JP2005187762A - ポリエステル未延伸フイルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 滑性、成形性、耐油性、耐熱性およびおよび香味保持性に優れた、他の素材からなるトレーや容器などにラミネートするのに好適なポリエステル未延伸フイルムを提供する。
【解決手段】 主たる繰り返し単位がエチレンアリレートであるポリエステル樹脂100重量部、ポリオレフィン樹脂1〜10重量部、無機微粒子0.01〜5重量部および/または高級脂肪酸アマイドまたは高級脂肪酸ビスアマイドのいずれか0.001〜1重量部とを主成分として含むポリエステル樹脂組成物を成形して得られるポリエステル未延伸フイルムであって、前記ポリエステル樹脂が同一組成のポリエステルのファインを0.005〜1重量%含み、前記ポリオレフィン樹脂のメルトフローレートが0.1〜10グラム/10分であり、前記未延伸フイルムの少なくとも片面の平均表面粗さ(Ra)が0.1〜2.0μmであることを特徴とするポリエステル未延伸フイルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、包装用、工業用などの用途に用いられるポリエステルフイルムに関し、滑性、耐油性、耐熱性、香味保持性および成形性などを要求される、ポリエステル以外の素材からなるトレーや容器などにラミネートするのに好適なポリエステル未延伸フイルムに関する。
ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略称することがある)などのポリエステルは、機械的性質及び化学的性質が共に優れているため、工業的価値が高く、繊維、フィルム、シート、ボトルなどとして広く使用されている。特に、PETは、二軸延伸フイルムとして、ビデオテープ、写真用フイルム、包装用フイルムなどとして大量に使用されている。
一方、ポリエステルからの未延伸フイルムやラミネート層は、香味保持性、臭い、ガスバリヤー性などの面から、ポリオレフィン樹脂に替わって、紙製容器、金属箔、プラスチックフイルムなどの食品接触面として用いられるようになってきた。
しかし、ポリエステル樹脂は低温での熱接着性が悪く、また柔軟性、耐ピンホール性、耐衝撃性などが劣るという問題がある。
このような問題点を解決するための手段として、特定の溶融温度、ガラス転移温度、結晶融解熱を持つ共重合ポリエステルを薄葉状基材に積層したポリエステル積層体(例えば、特許文献1参照)、テレフタル酸、イソフタル酸およびエチレングリコールからなるポリエステル樹脂にエチレンと不飽和カルボン酸あるいは(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体とのブレンド樹脂を紙容器の内面に用いた液体用容器(例えば、特許文献2参照)、あるいは特定の溶融粘度、結晶融解熱を持つ共重合ポリエステル樹脂を共押出しした芳香族ポリエステル多層シート(例えば、特許文献3参照)が開示されているが、ヒートシール性や香味保持性は改良されるが、成形時の割れの発生、耐熱性や耐衝撃性に問題があるなど欠点があり、完全なものではない。
また、共重合成分が5mol%以上のPET樹脂に融点が190℃以下の共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂をブレンドした未延伸ポリエステルフイルムあるいはこれを食品接触面とした食品包装材料が開示されているが(例えば、特許文献4参照)、耐熱性や製膜時の熱分解で生じた分解生成物による臭いの問題があり満足のいくものではない。
また、エチレンテレフタレート単位を60重量%以上有する固有粘度0.7〜1.5のポリエステルAを主構成成分とし、特定品質の5〜40μmの未延伸ポリエステルフイルムおよびこれに融点が150〜230℃のポリエステルBを積層した未延伸ポリエステルフイルムが開示されているが(例えば、特許文献5参照)、耐熱性が悪いという欠点があり問題である。
また、ポリエステル樹脂、カルボン酸変性エチレン・α―オレフィン共重合体およびポロピレン系重合体またはエチレン系重合体からなる樹脂組成物をインフレーション成形したポリエステル系フイルムが開示されているが(例えば、特許文献6参照)、耐熱性や香味保持性、臭いの問題があり、これらの問題の解決が望まれている。
さらにまた、上記に説明した種々の技術に基づく未延伸ポリエステルフイルムは、滑性が悪く、製膜時あるいは後加工時や後処理時に上手く巻けずに皺が発生したりし、また作業効率が悪くなるという問題点がある。
このような問題点を解決するために、ポリエステルに対してポリオレフィンおよび高級脂肪酸アミドを含有したポリエステル組成物(例えば、特許文献7参照)、またPETにポリオレフィン系樹脂および不活性粒子を含有した樹脂組成物からのポリエステルシート(例えば、特許文献8参照)が開示されているが、得られたシートや未延伸フイルムの滑性はまだ不十分なため上記のような問題点が未解決であり、解決が待たれている。
特開平3−97556号公報 特開平5−208472号公報 特開平7−108583号公報 特開平8−231836号公報 特開平10−279707号公報 特開2002−155153号公報 特開昭59−213754号公報 特開平5−51522号公報
本発明は、前記の従来技術の問題点を解決することにあり、滑性、耐油性、耐熱性、香味保持性および成形性に優れ、他の素材からなるトレーや容器などにラミネートするのに好適なポリエステル未延伸フイルムを提供することを目的とする。
本発明者らは上記問題点を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達した。
即ち、本発明は、主たる繰り返し単位がエチレンアリレートであるポリエステル樹脂100重量部、ポリオレフィン樹脂1〜10重量部、無機微粒子0.01〜5重量部および/または高級脂肪酸アマイドまたは高級脂肪酸ビスアマイドのいずれか0.001〜1重量部とを主成分として含むポリエステル樹脂組成物を成形して得られるポリエステル未延伸フイルムであって、前記ポリエステル樹脂が同一組成のポリエステルのファインを0.005〜1重量%含み、前記ポリオレフィン樹脂のメルトフローレートが0.1〜10グラム/10分であり、前記未延伸フイルムの少なくとも片面の平均表面粗さ(Ra)が0.1〜2.0μmであるポリエステル未延伸フイルムである。
なお、平均表面粗さ(Ra)は下記の測定法で測定する。
この場合において、前記ポリエステル未延伸フイルムの静摩擦係数が、0.3以下であることができる。
この場合において、前記ポリエステル未延伸フイルムの極限粘度が、0.70〜2.0デシリットル/グラムであることができる。
この場合において、前記ポリエステル未延伸フイルムの環状3量体の含有量が、0.70重量%以下であることが好ましい。
この場合において、本発明のポリエステル未延伸フイルムは、インフレーション法によって製造することができる。
またこの場合において、前記ポリエステル未延伸フイルムが、紙製容器張合わせ用フイルムとして好適に用いられる。
本発明のポリエステル未延伸フイルムは、滑性、香味保持性、耐油性、耐熱性および成形性に優れており、耐熱性包装用途に対するフイルムとして好適に用いることができる。
以下、本発明のポリエステル未延伸フイルムの実施の形態を具体的に説明する。
(ポリエステル樹脂)
本発明に用いられるポリエステル樹脂は、主たる繰り返し単位がエチレンアリレートであるポリエステル樹脂であるが、好ましくはエチレンアリレート単位を85モル%以上含む線状ポリエステル樹脂であり、さらに好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95%以上含む線状ポリエステル樹脂である。
中でも、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレン−2,6−ナフタレートが好ましい。以下、ポリエステル樹脂が、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートであるポリエステル樹脂を中心に説明する。
前記ポリエステル樹脂が共重合体である場合に使用される共重合成分としてのジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、p−オキシ安息香酸、オキシカプロン酸等のオキシ酸及びその機能的誘導体、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸等の脂肪族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸及びその機能的誘導体などが挙げられる。
前記ポリエステル樹脂が共重合体である場合に使用される共重合成分としてのグリコールとしては、ジエチレングリコール、1,3−トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族グリコール、ポリエチレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリアルキレングリコールなどが挙げられる。
さらに、前記ポリエステル樹脂が共重合体である場合に使用される共重合成分としての多官能化合物としては、酸成分として、トリメリット酸、ピロメリット酸等を挙げることができ、グリコール成分としてグリセリン、ペンタエリスリトールを挙げることができる。以上の共重合成分の使用量は、ポリエステル樹脂が実質的に線状を維持する程度でなければならない。また、単官能化合物、例えば安息香酸、ナフトエ酸等を共重合させてもよい。
前記のポリエステル樹脂は、テレフタル酸とエチレングリコールおよび必要により上記共重合成分を直接反応させて水を留去しエステル化した後、重縮合触媒としてSb化合物、Ge化合物、Ti化合物またはAl化合物から選ばれた1種またはそれ以上の化合物を用いて減圧下に重縮合を行う直接エステル化法、またはテレフタル酸ジメチルとエチレングリコールおよび必要により上記共重合成分をエステル交換触媒の存在下で反応させてメチルアルコールを留去しエステル交換させた後、重縮合触媒としてSb化合物、Ge化合物、Ti化合物またはAl化合物から選ばれた1種またはそれ以上の化合物を用いて主として減圧下に重縮合を行うエステル交換法により製造される。
前記の出発原料であるテレフタル酸ジメチル、テレフタル酸またはエチレングリコールとしては、パラキシレンから誘導されるバージンのジメチルテレフタレート、テレフタル酸あるいはエチレンから誘導されるエチレングリコールは勿論のこと、使用済みPETボトルからメタノール分解やエチレングリコール分解などのケミカルリサイクル法により回収したジメチルテレフタレート、テレフタル酸、ビスヒドロキシエチルテレフタレートあるいはエチレングリコールなどの回収原料も、出発原料の少なくとも一部として利用することが出来る。前記回収原料の品質は、使用目的に応じた純度、品質に精製されていなければならないことは言うまでもない。
さらにポリエステル樹脂の極限粘度を増大させたり、またアセトアルデヒド含有量を低下させたりするために固相重合を行ってもよい。
前記のエステル化反応、エステル交換反応、溶融重縮合反応および固相重合反応は、回分式反応装置で行っても良いしまた連続式反応装置で行っても良い。これらいずれの方式においても、溶融重縮合反応は1段階で行っても良いし、また多段階に分けて行っても良い。固相重合反応は、溶融重縮合反応と同様、回分式装置や連続式装置で行うことが出来る。溶融重縮合と固相重合は連続で行っても良いし、分割して行ってもよい。
本発明に用いられるポリエステル樹脂の製造に使用されるSb化合物としては、三酸化アンチモン、酢酸アンチモン、酒石酸アンチモン、酒石酸アンチモンカリ、オキシ塩化アンチモン、アンチモングリコレート、五酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン等が挙げられる。Sb化合物は、生成ポリマー中のSb残存量として50〜250ppmの範囲になるように添加することが好ましい。
本発明に用いられるポリエステル樹脂の製造に使用されるGe化合物としては、無定形二酸化ゲルマニウム、結晶性二酸化ゲルマニウム、四酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム、蓚酸ゲルマニウム、塩化ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラ−n−ブトキシド、亜リン酸ゲルマニウム等が挙げられる。Ge化合物を使用する場合、その使用量はポリエステル樹脂中のGe残存量として5〜150ppmとすることが好ましく、より好ましくは10〜100ppmであり、更に好ましくは15〜70ppmである。
本発明に用いられるポリエステル樹脂の製造に使用されるTi化合物としては、テトラエチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート等のテトラアルキルチタネートおよびそれらの部分加水分解物、酢酸チタン、蓚酸チタニル、蓚酸チタニルアンモニウム、蓚酸チタニルナトリウム、蓚酸チタニルカリウム、蓚酸チタニルカルシウム、蓚酸チタニルストロンチウム等の蓚酸チタニル化合物、トリメリット酸チタン、硫酸チタン、塩化チタン、チタンハロゲン化物の加水分解物、シュウ化チタン、フッ化チタン、六フッ化チタン酸カリウム、六フッ化チタン酸アンモニウム、六フッ化チタン酸コバルト、六フッ化チタン酸マンガン、チタンアセチルアセトナート等が挙げられる。Ti化合物は、生成ポリマー中のTi残存量として0.1〜50ppmの範囲になるように添加することが好ましい。
また、本発明に用いられるポリエステル樹脂の製造に使用されるAl化合物としては、蟻酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、プロピオン酸アルミニウム、蓚酸アルミニウム等のカルボン酸塩、酸化物、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウム、炭酸アルミニウム等の無機酸塩、アルミニウムメトキサイド、アルミニウムエトキサイド等のアルミニウムアルコキサイド、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムアセチルアセテート等とのアルミニウムキレート化合物、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物およびこれらの部分加水分解物等があげられる。これらのうち酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウム、乳酸アルミニウムおよびアルミニウムアセチルアセトネートが特に好ましい。Al化合物は、生成ポリマー中のAl残存量として5〜200ppmの範囲になるように添加することが好ましい。
また、Al化合物の場合には、アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物を併用してもよい。アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物は、これら元素の酢酸塩等のカルボン酸塩、アルコキサイド等があげられ、粉体、水溶液、エチレングリコール溶液等として反応系に添加される。アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物は、生成ポリマー中のこれらの元素の残存量として1〜50ppmの範囲になるように添加することが好ましい。
前記の触媒化合物は、前記のポリエステル生成反応工程の任意の段階で添加することができる。
また、安定剤として種々のリン化合物を使用することができる。本発明で使用されるリン化合物としては、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸およびそれらの誘導体等が挙げられる。具体例としてはリン酸、リン酸トリメチルエステル、リン酸トリエチルエステル、リン酸トリブチルエステル、リン酸トリフェニルエステル、リン酸モノメチルエステル、リン酸ジメチルエステル、リン酸モノブチルエステル、リン酸ジブチルエステル、亜リン酸、亜リン酸トリメチルエステル、亜リン酸トリエチルエステル、亜リン酸トリブチルエステル、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチルエステル、エチルホスホン酸ジメチルエステル、フェニルホスホン酸ジメチルエステル、フェニルホスホン酸ジエチルエステル、フェニルホスホン酸ジフェニルエステル等であり、これらは単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。リン化合物は、生成ポリマー中のリン残存量として5〜100ppmの範囲になるように前記のポリエステル生成反応工程の任意の段階で添加することが好ましい。
本発明に用いられるポリエステル樹脂の製造工程を構成する、溶融重縮合ポリマーをチップ化する工程、固相重合工程、溶融重縮合ポリマーチップや固相重合ポリマーチップを輸送する工程等において、本来造粒時に設定した大きさのチップよりかなり小さな粒状体や粉等が発生する。ここでは、このような微細な粒状体や粉等をファインと称する。このようなファインは、チップと同一組成のポリエステル樹脂であり、後記するようにポリオレフィン樹脂のMFRや製膜条件などと共にポリエステル未延伸フイルムの滑性に関係する。
ここでファインとは、JIS−Z8801による目開き1.7mmの金網をはった篩を通過する粉体又は欠片のことであり、実施例で記載した方法により測定する。
本発明のポリエステル未延伸フイルムを製造するための方法の一つとして、ポリエステル樹脂としては、後期するように、前記のファイン含有量が0.005〜1重量%、好ましくは0.01〜0.7重量%、さらに好ましくは0.05〜0.5重量%のポリエステル樹脂を用いることができる。
ポリエステル樹脂中のファインの含有量を前記の範囲に調節する方法としては、例えば、篩分工程を通していないファイン含有量の高いポリエステルのチップと篩分工程及び空気流によるファイン除去工程を通したファイン含有量の非常に少ないポリエステルチップを適当な割合で混合する方法による他、ファイン除去工程の飾の目開きを変更することにより調節することもでき、また篩分速度を変更することによるなど任意の方法を用いることができる。
また、本発明に用いられるポリエステル樹脂の溶融粘度は、下記に説明する方法によって290℃で測定するが、これが8,000ポイズ以上であることが好ましく、9,000ポイズ以上であることがより好ましい。溶融粘度が低すぎる場合には、下記に説明するように、得られたポリエステル未延伸フイルムの滑性が十分でなく製膜時、後加工時などにおいて取り扱い上問題が生じる場合があり、また紙容器などへの深絞り成形加工時に破れなどの問題が生じる場合がある。また、インフレーション法でフイルムを製膜する場合、ダイス吐出後の管状チューブが不安定となり、連続的な安定生産が困難または不可能となる場合がある。溶融粘度の上限は、80,000ポイズ以下であることが好ましく、50,000ポイズ以下であることがより好ましい。溶融粘度が高すぎる場合は、未延伸フイルム製膜時の厚み斑の増加やアセトアルデヒド含有量の増加が起こり易い。
また、本発明に用いられる、主たる繰り返し単位がエチレンアリレートであるポリエステル樹脂のアセトアルデヒド含有量は、好ましくは50ppm以下であり、より好ましくは20ppm以下であり、さらに好ましくは10ppm以下である。アセトアルデヒド含有量が多すぎる場合は、このポリエステル樹脂から成形されたフイルムの内容物の香味保持性の効果が悪くなる場合がある。なお、アセトアルデヒド量の下限は特に限定されないが、経済的な製造コストの観点から、0.1ppb以上であることが好ましく、0.5ppm以上であることがより好ましい。
また本発明に用いられる、主たる繰り返し単位がエチレンアリレートであるポリエステル樹脂中に共重合されたジエチレングリコール量は、前記ポリエステル樹脂を構成するグリコール成分に対して0.5〜5.0モル%であることが好ましく、より好ましくは1.0〜3.0モル%であり、さらに好ましくは1.0〜2.0モル%である。ジエチレングリコール量が多すぎる場合は、熱安定性が低下し易く、製膜時に分子量低下が大きくなったり、またアセトアルデヒド含有量の増加量が大となることがある。またジエチレングリコール含有量が少なすぎる場合には、製造コストの観点で不利である。
また、使用済みPETボトルをメカニカルリサイクル法により精製し回収したフレーク状PETやさらにこれを溶融押出ししたチップ状PETなどを混合して用いることができる。
(ポリオレフィン樹脂)
本発明に用いられるポリオレフィン樹脂としては、例えば高密度ポリエチレン、分岐低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、マレイン酸変性ポリエチレン、酢酸ビニル−エチレン共重合体、アクリル酸エチル−エチレン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メタクリル酸グリシジル−エチレン共重合体、メタクリル酸グリシジル−アクリル酸エチル−エチレン共重合体などが挙げられ、特に線状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン樹脂が好ましく使用できる。これらは単独で用いても良いし、二種以上を併用しても良い。なお、本明細書中でポリエチレン樹脂のことを「PE」ともいう。
前記ポリオレフィン樹脂のメルトフローレート(以下MFRと記す)は、その耐衝撃性改善効果およびPETへの微分散性の観点から、好ましくは0.1〜10g/10分であり、より好ましくは0.1〜5g/10分である。さらに好ましくは0.3〜3g/10分である。特に好ましくは0.5〜3g/10分である。なお、MFRは、JISK−6760−1981の方法に基づいて測定した値である。
(ポリエステル樹脂組成物)
本発明に用いられるポリエステル樹脂組成物は、主たる繰り返し単位がエチレンアリレートであるポリエステル樹脂100重量部、ポリオレフィン樹脂1〜10重量部、無機微粒子0.01〜5重量部および/または高級脂肪酸アマイドまたは高級脂肪酸ビスアマイドのいずれか0.001〜1重量部とを主成分として含むポリエステル樹脂組成物である。ここで、重量部は、上記ポリエステル樹脂の重量を基準とする。本発明において、上記ポリエステル樹脂およびポリオレフィン樹脂以外の樹脂を用いないことが好ましいが、必要に応じて、本発明の作用効果を損なわない範囲で、上記ポリエステル樹脂およびポリオレフィン樹脂以外の樹脂を用いてもよい。具体的には、上記ポリエステル樹脂およびポリオレフィン樹脂以外の樹脂の使用量は、上記ポリエステル樹脂の合計100重量部に対して、20重量部以下が好ましく、10重量部以下がより好ましく、5重量部以下がさらに好ましく、2重量部以下が特に好ましい。
ポリオレフィン樹脂の配合量が少なすぎる場合は、得られたポリエステルフイルムの加熱時の結晶化速度が遅く、そのために加熱処理後のポリエステルフイルムの耐熱性が悪くなる場合がある。特に、紙製容器に本発明のポリエステルフイルムを張り合わせた複合容器の場合、オーブン加熱や電子レンジ加熱処理用途に用いると耐熱性が不足しているために、ポリエステルフィルムが紙製容器から剥がれたり、ひどい場合は穴が空いて内容物が漏れる場合がある。また、ポリオレフィン樹脂の配合量が多すぎる場合は、得られたポリエステルフイルムの耐油性や耐熱性が低下するために前記の複合容器が電子レンジ加熱に耐えなくなったり、またポリオレフィン特有の臭いがするなど香味保持性が悪くなる場合がある。
また、無機微粒子を含有するポリエステル樹脂組成物を用いることが望ましい。無機微粒子の配合量は、好ましくは0.01〜5重量部であり、より好ましくは0.1〜3重量部である。配合量が少なすぎる場合には結晶化促進効果がなく、得られたポリエステルフイルムの耐熱性が低下する場合がある。また配合量が多すぎる場合は、得られたポリエステルフイルムの耐衝撃性が低下する場合があり、また5重量%を超える無機微粒子を配合しても結晶化促進効果のさらなる大きな向上はみられない。
無機微粒子としては、シリカ、酸化チタン、アルミナ、マイカ、カオリン、タルク、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸リチウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムなどが挙げられる。
また、高級脂肪酸アマイドまたは高級脂肪酸ビスアマイドの配合量は、好ましくは0.003〜0.5重量部、さらに好ましくは0.005〜0.3重量部である。
高級脂肪酸アマイドまたは高級脂肪酸ビスアマイドの配合量が少なすぎる場合には、得られたポリエステルフイルムの滑り性が悪くなる場合がある。また配合量が1重量部を超える場合に、得られたポリエステルフイルムの滑性のさらなる大きな向上はみられない。
高級脂肪酸アマイドまたは高級脂肪酸ビスアマイドとしては、飽和脂肪酸モノアミド、不飽和脂肪酸モノアミド、飽和脂肪酸ビスアミド、不飽和脂肪酸ビスアミド等がある。
飽和脂肪酸モノアミドの例としては、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド等が挙げられる。不飽和脂肪酸モノアミドの例としては、オレイン酸アミド、エルカ酸アミドリシノール酸アミド等が挙げられる。飽和脂肪酸ビスアミドの例としては、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド等が挙げられる。また、不飽和脂肪酸ビスアミドの例としては、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド等が挙げられる。好ましいアミド系化合物は、飽和脂肪酸ビスアミド、不飽和脂肪酸ビスアミド等である。
また炭素数8〜33の脂肪族モノカルボン酸の金属塩化合物、例えばナフテン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、モンタン酸、メリシン酸、オレイン酸、リノール酸等の飽和及び不飽和脂肪酸のリチュウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、及びコバルト塩等を同時に併用することも可能である。これらの化合物の配合量は、0.01〜1重量部の範囲である。
本発明における前記のポリオレフィン樹脂等を配合したポリエステル樹脂組成物の製造は、前記ポリエステル樹脂に前記ポリオレフィン樹脂などを、その含有量が前記範囲となるように直接に添加し溶融混練する方法、または、マスターバッチとして添加し溶融混練する方法等の慣用の方法によるほか、前記樹脂を、前記ポリエステル樹脂の製造段階、例えば、溶融重縮合時、溶融重縮合直後、予備結晶化直後、固相重合時、固相重合直後等のいずれかの段階、または、製造段階を終えてから製膜段階に到るまでの工程などで、粉粒体として直接に添加する等の方法で混入させる方法等によることもできる。
無機微粒子を配合する方法としては、マスターバッチとして添加し溶融混練する方法が好ましい。
本発明に用いるポリエステル樹脂組成物には、必要に応じて他の添加剤、例えば、公知の紫外線吸収剤、酸化防止剤、酸素吸収剤、酸素捕獲剤、アルデヒド類の捕獲剤、外部より添加する滑剤や反応中に内部析出させた滑剤、離型剤、核剤、安定剤、帯電防止剤、顔料などの各種の添加剤を配合してもよい。また、紫外線遮断性樹脂、耐熱性樹脂、使用済みポリエチレンテレフタレートボトルからの回収品等を適当な割合で混合することも可能である。
(ポリエステル未延伸フイルム)
本発明のポリエステル未延伸フイルムは、前記のポリエステル樹脂組成物を製膜して得られるポリエステル未延伸フイルムであって、前記ポリエステル樹脂が同一組成のポリエステルのファインを0.005〜1重量%含み、前記ポリオレフィン樹脂のメルトフローレートが0.1〜10グラム/10分であり、前記未延伸フイルムの少なくとも片面の平均表面粗さ(Ra)が0.1〜2.0μmであるポリエステル未延伸フイルムである。
本発明のポリエステル未延伸フイルムの少なくとも片面の平均表面粗さ(Ra)は、好ましくは0.2〜1.8μmであり、さらに好ましくは0.3〜1.5μmである。表面粗さが小さすぎる場合は、製膜時あるいは後加工時に滑性が低いために、作業効率が低下し、またロール状に綺麗に巻けずに製品価値を著しく低下させるなどの問題が発生する場合がある。また、表面粗さが大きすぎる場合は、未延伸フイルム同志が滑り易くなりすぎるためにロール巻上げの最終の段階でフイルムの巻きずれが発生する場合がある。
また、本発明のポリエステル未延伸フイルムの静摩擦係数は、好ましくは0.3以下であり、より好ましくは0.2以下である。
本発明のポリエステル未延伸フイルムは、例えば、前記のようにファイン含有量が0.005〜1重量%のポリエステル樹脂100重量部とMFRが0.1〜10グラム/10分のポリオレフィン樹脂1〜10重量部、無機微粒子0.01〜5重量部および/または高級脂肪酸アマイドまたは高級脂肪酸ビスアマイドのいずれか0.001〜1重量部とを主成分として含むポリエステル樹脂組成物を用いて製膜時の樹脂温度を約270〜295℃に維持して製膜することによって達成することができるが、これに限定されるものではない。
本発明のポリエステル未延伸フイルムの極限粘度は、好ましくは0.70〜2.00デシリットル/グラムであり、より好ましくは0.75〜1.50デシリットル/グラムであり、さらに好ましくは0.80〜1.30デシリットル/グラムの範囲である。極限粘度が少なすぎる場合には、得られたポリエステル未延伸フイルムの耐衝撃性や耐ピンホール性などの機械的特性が悪くなる場合がある。また極限粘度が高すぎる場合は、押出機による溶融時に樹脂温度が高くなって熱分解が激しくなることがあり、香味保持性に影響を及ぼすアセトアルデヒドなどの遊離の低分子量化合物の含有量が増加する場合があり、またこのような高粘度のポリエステル未延伸フイルムを得るためのポリエステル樹脂を製造するには、非経済的な製造方法によるしかなく、コスト高になり、経済性の観点で不利になる。
前記の極限粘度のポリエステル未延伸フイルムは、例えば、極限粘度が0.75デシリットル/グラム以上のポリエステル樹脂を用い、製膜前にポリエステル樹脂組成物の水分率を100ppm以下に管理し、製膜時の樹脂温度を約280〜295℃にすることにより得られる。
また、本発明のポリエステル未延伸フイルムが含有する環状3量体の含有量は、0.70重量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.6重量%以下であり、さらに好ましくは0.5重量%以下である。ポリエステル未延伸フイルムの環状3量体含有量が多すぎる場合には、紙容器などへ真空成形機により加熱成形して積層する際に、プラグの汚れが発生したり、また内容物の味や臭いに影響したりして問題となる場合がある。なお、環状3量体の下限値は特に限定されないが、ポリエステル樹脂の経済的な生産の点から0.10重量%以上であることが好ましく、0.20重量%以上とすることがより好ましい。
環状3量体の含有量が0.70重量%以下のポリエステル未延伸フイルムは、例えば、環状3量体の含量が0.68重量%以下のポリエステル樹脂を用いて、製膜時の樹脂温度を約280〜295℃に維持することによって得ることができ、また用いるポリエステル樹脂の重縮合触媒を水処理法によって失活させたり、またリン化合物によって失活させることによっても得ることができる。
また、本発明のポリエステル未延伸フイルムのアセトアルデヒド含有量は、好ましくは30ppm以下であり、より好ましくは25ppm以下であり、さらに好ましくは20ppm以下であり、最も好ましくは15ppm以下である。アセトアルデヒド含有量が多すぎる場合は、本発明のポリエステル未延伸フイルムを積層した紙容器などの内容物の香味保持性が悪くなる場合がある。なお、アセトアルデヒド量の下限は特に限定されないが、経済的な製造コストの観点から、0.5ppm以上であることが好ましい。
ポリエステル未延伸フイルムのアセトアルデヒド含有量を前記の範囲に制御することは、例えば、アセトアルデヒド含有量が20ppm以下のポリエステル樹脂を用いて、製膜時の樹脂温度を約280〜295℃に維持することによって達成することができ、また用いるポリエステル樹脂の重縮合触媒を水処理法によって失活させたり、またリン化合物によって失活させることによっても達成することができる。
また、本発明のポリエステル未延伸フイルムの耐熱性を維持するためには、ポリエステル未延伸フイルムのDEG(ジエチレングリコール)含有量は好ましくは5.0モル以下であり、より好ましくは3.0モル%以下であり、さらに好ましくは2.0モル%以下である。DEG含有量が多すぎる場合は、ポリエステル樹脂の耐熱性が悪くなり、製膜時のアセトアルデヒド含有量の増加量が大となり、また紙容器などとの成形時に劣化が生じたりする場合がある。ポリエステル未延伸フイルムのDEG含有量を前記の範囲に維持するためには、約5.0モル%以下のDEG含有量のポリエステル樹脂を用いることが望ましい。またジエチレングリコール含有量の下限は特に限定されないが、経済的な製造コストの観点から、0.5モル%以上とすることが好ましい。
本発明のポリエステル未延伸フイルムは未配向のフイルムであり、ナトリウムD線を光源として、アッベ屈折率計を用いて測定される長手方向、巾方向、厚み方向の屈折率(nx、ny、nz)から得られる面配向係数[fn={(nx+ny)/2}−nz]が、0〜0.05であることが好ましい。
前記のポリエステル樹脂組成物は公知のT−ダイ法又はインフレーション法によってフィルムに成形することができる。
前記のポリエステル樹脂組成物は、必要に応じて含有水分を除去するために乾燥される。水分が除去された樹脂組成物は、次いでインフレーションフィルム成形機へと供給される。インフレーションフィルム成形機の押出機部分に設けられたベント口から減圧操作を加えることによってさらに残存する水分を除去することもできる。押出機部分のシリンダー中で樹脂組成物を溶融し、押出機先端に設けたサーキュラーダイから溶融樹脂を押出し、次いで空気量を調整して円筒状に膨らませつつ冷却し、その後二つ折りにして、あるいは1枚ないし2枚に分離して巻き取ることによってインフレーションフィルムを製造することができる。インフレーションフィルム成形機の押出機部分に使われるスクリューは、特に制限されるものではなく、冷却は、通常の空気冷却が好ましい。必要に応じて、その後一軸または二軸方向への延伸配向を行うこともできるが、延伸を行わずに未延伸のフィルムとして使用することが好ましい。
また、前記のポリエステル樹脂組成物は前記と同様にして乾燥後、一軸押出機で溶融し、押出機出口に取り付けたTダイからキャストドラム上に溶融体を押出して急冷固化させて未延伸フイルムを得ることができる。
本発明のポリエステル未延伸フイルムの厚みは、取扱上や賦形性、易切断性などから好ましくは5〜100μmの範囲であり、より好ましくは10〜80μmである。さらに好ましくは15〜50μmであり、特に好ましくは20〜35μmである。厚すぎる場合には取扱性や賦形性が低下しやすく、薄すぎる場合には、フィルムが破れやすい。
また、本発明のポリエステル未延伸フイルムにおける無機微粒子の平均粒子径は、好ましくは10μm以下であり、より好ましくは8μm以下である。大きすぎる場合は、結晶化促進効果や滑効果が低くなる場合がある。下限は特に限定されないが、経済的な観点から0.01μm以上が好ましく、より好ましくは0.1μm以上である。
また本発明のポリエステル未延伸フイルムに別のフィルムを積層して多層構成のフイルムとしてもよい。この場合、本発明に係るポリエステル樹脂組成物からなる層が、積層フイルム全体の少なくとも60重量%以上を占めていることが好ましい。本発明のフィルムに積層されるフィルムとしては、ポリエステルフィルムに積層可能であることが公知の任意のフィルムを用いることができる。例えば、ポリオレフィンを含まないPETのみからなるフィルムを用いてもよく、また、ポリエステル以外の材料(例えば、ポリオレフィンなど)からなるフィルムを用いてもよい。また、構成としては、本発明に係るポリエステル組成物からなる層が一層を構成する二層フイルム、本発明に係るポリエステル組成物からなる層が両外層を構成する三層フイルムなどが例として挙げられる。
上記積層フィルムは、従来公知の方法により製造することが可能であり、例えば、二軸押出成形機で押出成形を行ってもよく、あるいは、それぞれのフィルムを製造した後に加熱ラミネートを行う方法により積層フィルムを製造してもよい。
また、製膜時に発生するフイルム屑は、食品と直接接触しない層の原料として再使用することができる。
本発明のポリエステル未延伸フイルムは、成形性、耐油性、耐熱性および香味保持性に優れているため、パルプモールド容器や紙容器などの紙製容器、不織布製容器、発泡素材容器の内層フイルム、ポリオレフィンフイルムなど他の樹脂フイルムやシートの内層フイルムなどの食品直接接触表面として用いることができる。特に紙製容器、不織布製容器、発泡素材容器等の液体透過性素材と組み合わせた際には、容器からの水、油の浸み出しを防ぐと共に、断熱性があるために熱い内容物が収容されていても取り扱いが容易に出来る。
本発明のフィルムは、加熱して結晶化させることにより、200℃以上の高い耐熱性を持たせることが出来る。加熱結晶化は、熱風による方法、赤外線照射による方法、金型による方法などが挙げられ、成形の方式等により自由に選択することが出来る。トレイや容器形状とする際には、一般には、そのままか上記の他の素材と積層させた後、赤外線照射または熱風により軟化させ、加熱した金型内で結晶化させる方式が好ましい。
加熱結晶化を行う温度は好ましくは140℃以上であり、より好ましくは150℃以上である。また上限については、好ましくは210℃以下であり、より好ましくは200℃以下である。加熱結晶化を行う時間は好ましくは1秒以上であり、より好ましくは5秒以上であり、さらに好ましくは10秒以上である。上限については、好ましくは5分以下であり、より好ましくは2分以下であり、さらに好ましくは1分以下である。
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、本明細書中における主な特性値の測定法を以下に説明する。
(評価方法)
(1)ポリエステル樹脂またはフィルムの極限粘度(IV)
1,1,2,2−テトラクロルエタン/フェノール(2:3重量比)混合溶媒中30℃での溶液粘度から求めた。
(2)ポリエステルの溶融粘度
東洋精機製キャピログラフ1Bにφ1mm、L/D=10のキャピラリーダイを用いて溶融粘度を測定した。
290℃に保ったシリンダー内に、乾燥試料を充填し、約1分間溶融した後、剪断速度608.0sec−1 下で溶融粘度を測定した。
(3)ポリエステル中に共重合されたジエチレングリコール含有量(以下「DEG含有量」という)
メタノールにより分解し、ガスクロマトグラフィーによりDEG量を定量し、全グリコール成分に対する割合(モル%)で表した。
(4)環状エステル3量体の含有量(以下「CT含有量」という)
試料300mgをヘキサフルオロイソプロパノール/クロロフォルム混合液(容量比=2/3)3mlに溶解し、さらにクロロフォルム30mlを加えて希釈する。これにメタノール15mlを加えてポリマーを沈殿させた後、濾過する。濾液を蒸発乾固し、ジメチルフォルムアミド10mlで定容とし、高速液体クロマトグラフ法により環状エステル3量体を定量した。
(5)アセトアルデヒド含有量(以下「AA含有量」という)
試料/蒸留水=1グラム/2ccを窒素置換したガラスアンプルに入れた上部を溶封し、160℃で2時間抽出処理を行い、冷却後抽出液中のアセトアルデヒドを高感度ガスクロマトグラフィーで測定し、濃度をppmで表示した。
(6)フイルムの平均表面粗さ(Ra)
JIS B 0601−1994に準拠し、MITUTOYO製SURFTEST SV600を使用し、レンジ600μm、速度0.5mm/sにて、平均表面粗さ(Ra)を測定した。
(7)フイルムの静摩擦係数
ポリエステル未延伸フイルムから測定用試料を採り、JIS K 7100で規定する23℃±2℃、50±6%RHの条件下で、JIS K 7125に準拠して測定した。
(8)紙容器へのラミネート法
ポリエステルフイルムにエチレン酢酸ビニル系樹脂を約5μmに押出しコーティングした。次いで、真空成形機の金型に紙容器を挿入したあと、加熱した前記のコーティングしたポリエステルフイルムを金型内に導くと同時に金型内を真空ポンプによって減圧にし、さらに圧縮空気を用いて紙容器の内側にラミネートした。容器としては、内寸法が縦17cm、横10cm、深さ2.5cmのグラタン容器を用いた。
(9)ラミネートした紙容器の耐熱性
容器にオリーブ油を半分程入れ、電子レンジ(500kw)で60分間加熱した後の外観変化を評価した。
(評価基準)
◎ :耐熱性問題なし(外観変化無し)
× :耐熱性問題あり(ポリエステルフィルムの剥離や、穴空き、油漏れ等が生じた)
(10)官能試験
上記のポリエステルフイルムをラミネートした紙容器に沸騰した蒸留水を入れた後、PEフイルム製シールフイルムを加熱シールして30分保持し、室温へ冷却し室温で1ヶ月間放置し、開栓後異味および臭いの試験を行った。比較用のブランクとして、室温の蒸留水をガラス製容器に入れ、その直後の異味および臭いを評価した。官能試験は10人のパネラーにより次の基準により実施し、平均値で比較した(例えば、「○」が2人、「△」が6人、「×」が2人であれば、平均として「△」であると評価した)。
(評価基準)
◎ :異味、臭いを感じない
○ :ブランクとの差をわずかに感じる
△ :ブランクとの差を感じる
× :ブランクとのかなりの差を感じる
××:ブランクとの非常に大きな差を感じる
(11) ファインの含有量の測定
樹脂約0.5kgを、JIS−Z8801による目開き1.7mmの金網をはった篩(直径20cm)の上に乗せ、テラオカ社製揺動型篩い振とう機SNF−7で1800rpmで1分間篩った。この操作を繰り返し、樹脂を合計20kg篩った。
ふるい落とされたファインは、別々にイオン交換水で洗浄し岩城硝子社製G1ガラスフィルターで濾過して集めた。これらをガラスフィルターごと乾燥器内で100℃で2時間乾燥後、冷却して秤量した。再度、イオン交換水で洗浄、乾燥の同一操作を繰り返し、恒量になったことを確認し、この重量からガラスフィルターの重量を引き、ファイン重量を求めた。
(実施例1)
IV=1.12デシリットル/グラム、溶融粘度約15,000ポイズ、DEG含有量=1.1モル%、AA含有量が2.2ppm、環状3量体含有量が0.56重量%、ファイン含有量が約0.05重量%の乾燥PET樹脂(水分率60ppb)100重量部と密度が0.921、MFR=1.1g/10分の線状低密度PE樹脂(日本ポリケム(株)のUF230)3重量部、ステアリン酸アミド0.1重量部および酸化防止剤(Irganox 1330)0.015重量部とからなるポリエステル樹脂組成物をインフレーション製膜機に連結された二軸押出機のホッパーに供給し、樹脂温度275℃、ダイス温度280℃、吐出量70kg/時、巻き取り速度40m/分で製膜し、厚み30μmの未延伸ポリエステルフイルムを得た。
フイルムのIVは1.01デシリットル/グラム、平均表面粗さ(Ra)は0.35μm、静摩擦係数は0.23、環状3量体含有量は0.63重量%、AA含有量は9ppmであった。
このフイルムを(8)の方法で紙容器にラミネートし、(9)、(10)の試験を実施したところ、耐熱性は◎で問題なく、また香味保持性も◎で問題なかった。
(実施例2)
無機微粒子として、タルクを配合したPET樹脂のマスターバッチを併用すること以外は、実施例1と同様にして未延伸フイルムを得た。ただし、タルクとしては、林化成(株)製のミクロンホワイト5000SDを使用し、フイルム中の配合量は12000ppmであった。
フイルムのIVは0.90デシリットル/グラム、平均表面粗さ(Ra)は0.75μm、静摩擦係数は0.15、環状3量体含有量は0.62重量%、AA含有量は9ppmであった。
このフイルムを(8)の方法で紙容器にラミネートし、(9)、(10)の試験を実施したところ、耐熱性は◎で問題なく、また香味保持性も◎で問題なかった。
(比較例1)
IV=0.68デシリットル/グラム、溶融粘度は約2,700ポイズ、DEG含有量=4.8モル%、AA含有量は70ppm、環状3量体含有量が1.00重量%、ファイン含量が約5ppmの乾燥PET樹脂(水分率300ppm)100重量部、密度が0.92、MFR=35g/10分の低密度PE樹脂20重量部とからなるポリエステル樹脂組成物を実施例1と同様にして製膜し、30μmの未延伸フイルムを得た。
フイルムのIVは0.63デシリットル/グラム、平均表面粗さ(Ra)は0.06μm、静摩擦係数は0.59、環状3量体含有量は1.10重量%、AA含有量は95ppmであった。
実施例1と同様にして、(9)、(10)の評価を実施したが、官能試験は×、耐熱性も×と悪く問題であった。
また、紙容器へ積層されたフイルムは、底の角部での紙容器への追従性が悪くて紙容器表面から浮いている箇所がかなりあり、商品としては問題であった。
本発明のポリエステルフイルムは、滑性、成形性、耐油性、耐熱性および香味保持性に優れた耐熱性包装用途に対するフイルムとして好適に用いることができる。特に200℃以上の耐熱性を持つため、電子レンジやオーブンで容器ごと加熱や調理することが可能で、各種食品の包装用途に利用することができ、産業界に寄与することが大である。

Claims (6)

  1. 主たる繰り返し単位がエチレンアリレートであるポリエステル樹脂100重量部、ポリオレフィン樹脂1〜10重量部、無機微粒子0.01〜5重量部および/または高級脂肪酸アマイドもしくは高級脂肪酸ビスアマイドのいずれか0.001〜1重量部とを主成分として含むポリエステル樹脂組成物を成形して得られるポリエステル未延伸フイルムであって、前記ポリエステル樹脂のうちの0.005〜1重量%が同一組成のポリエステルのファインであり、前記ポリオレフィン樹脂のメルトフローレートが0.1〜10グラム/10分であり、前記未延伸フイルムの少なくとも片面の平均表面粗さ(Ra)が0.1〜2.0μmである、ポリエステル未延伸フイルム。
  2. 静摩擦係数が、0.3以下である、請求項1に記載のポリエステル未延伸フイルム。
  3. 極限粘度が、0.70〜2.0デシリットル/グラムである、請求項1または2のいずれかに記載のポリエステル未延伸フイルム。
  4. 環状3量体の含有量が、0.70重量%以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル未延伸フイルム。
  5. インフレーション法によって製造された、請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル未延伸フイルム。
  6. 紙製容器張合わせ用フイルムである、請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステル未延伸フイルム。
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