JPH07196899A - ラミネート用ポリエステル樹脂組成物とその製造方法およびその積層体 - Google Patents

ラミネート用ポリエステル樹脂組成物とその製造方法およびその積層体

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JPH07196899A
JPH07196899A JP33868493A JP33868493A JPH07196899A JP H07196899 A JPH07196899 A JP H07196899A JP 33868493 A JP33868493 A JP 33868493A JP 33868493 A JP33868493 A JP 33868493A JP H07196899 A JPH07196899 A JP H07196899A
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JP
Japan
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polyester resin
mol
amount
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dihydroxy compound
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Application number
JP33868493A
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English (en)
Inventor
Koji Niimi
美 宏 二 新
Takayuki Hiraoka
岡 孝 之 平
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Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 テレフタル酸またはその誘導体から導かれる
構成単位とアジピン酸またはその誘導体から導かれる構
成単位とを含むジカルボン酸成分単位と、エチレングリ
コールまたはその誘導体から導かれる構成単位とそれ以
外のジヒドロキシ化合物またはその誘導体から導かれる
構成単位とを含むジヒドロキシ化合物成分単位と、必要
に応じて3つ以上の官能基を有するカルボン酸などのモ
ノマーから導かれる構成単位とからなるポリエステル樹
脂、および、極性基含有ポリマーからなることを特徴と
するラミネート用ポリエステル樹脂組成物およびその製
造方法。 【効果】 本発明に係るラミネート用ポリエステル樹脂
組成物は、ヒートシール材として好適に用いることがで
きる。また、本発明に係るラミネート用ポリエステル樹
脂組成物の製造方法によれば、ヒートシール強度、保香
性などに優れたラミネート用ポリエステル樹脂組成物が
得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明はラミネート用ポリエステル
樹脂組成物およびその製造方法に関し、さらに詳しく
は、ジカルボン酸成分単位[A]とジヒドロキシ化合物
成分単位[B]とからなるポリエステル樹脂(i)、お
よび極性基含有ポリマー(ii)からなり、優れたヒート
シール性、インパクト強度を有し、また、滑剤を添加し
ないでもハンドリングに適した滑り性を有し、さらに溶
融粘度、溶融張力(メルトテンション)の改良されたラ
ミネート用ポリエステル樹脂組成物に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】近年、紙を基材としてこの基材を
樹脂で被覆した液体充填用容器は、該容器を殺菌した
後、低温充填により内容物を充填して用いると、内容物
の品質を長期間維持することができるため、需要が急速
に伸びている。長期間保存対象品としては、牛乳、ジュ
ース類、コーヒー飲料、スープ類などがあり、充填方法
としては無菌充填法が採用されている。無菌充填の際に
おこなわれる容器の滅菌方法としては、過酸化水素処理
(過酸化水素処理後、熱風乾燥)が広く採用されてお
り、充填物は高温瞬間殺菌を行った後、充填されてい
る。
【0003】液体充填用容器は、紙基材の両面をポリオ
レフィン系樹脂で被覆し、この紙基材上に積層されたポ
リオレフィン系樹脂をヒートシールすることによって製
造されている。このようなポリオレフィン系樹脂を最内
層とする容器は、ジュース、酒、その他味覚に微妙な特
性のある内容物を充填した場合、香気が低下したり、味
覚の劣化が生じたりすることがあった。充填内容物の味
覚の劣化原因としては、最内層であるポリオレフィン樹
脂中の低分子化合物あるいは樹脂のラミネートの際に生
じる分解生成物や揮発成分が液温の上昇につれて充填物
に移行すること、樹脂自体の吸着性により味覚成分、香
気成分が減少することなどが挙げられる。また、ポリオ
レフィン樹脂は通気性を有するため、外部の臭気が内部
充填物に移行し異味、異臭をもたらしたり、充填物の香
気成分が外部へ散逸することなどが挙げられる。
【0004】上記のようなポリオレフィン樹脂の欠点を
改良した容器の開発が進められており、特に香気成分の
吸着を改良した容器として、低結晶性あるいは非晶性ポ
リエステル樹脂を最内層として有する容器(特開昭55
−166247号、特開昭56−24165号、特開昭
62−290534号公報など)、三元共重合ポリエス
テル樹脂を最内層として有する容器(特開昭59−59
435号公報)が提案されている。
【0005】また、本発明者らが、香気成分を保持する
性能が高い非晶性ポリエステル樹脂として当業界におい
てよく知られているPET−G(イーストマンコダック
社製PET-G6763)を内層に用いる容器は、該容器に過酸
化水素殺菌処理を施すと、樹脂間のヒートシール性が著
しく低下することを見出した。
【0006】このように、ポリオレフィン系樹脂からな
るヒートシール材は保香性に劣り、またポリエステル樹
脂はポリオレフィン系樹脂に較べ保香性は優れるが、過
酸化水素殺菌処理によりヒートシール性が低下するとい
う問題点がある。
【0007】本発明者らはこのような従来技術に鑑み鋭
意検討したところ、 (i)[A]ジカルボン酸成分単位を100モル%とし
た場合に、(a)テレフタル酸またはその誘導体から導
かれる構成単位が80〜95モル%の量で、(b)アジ
ピン酸またはその誘導体から導かれる構成単位が20〜
5モル%の量で存在するジカルボン酸成分単位と、 [B]ジヒドロキシ化合物成分単位を100モル%とし
た場合に、(c)エチレングリコールまたはその誘導体
から導かれる構成単位が55〜90モル%の量で、
(d)前記(c)以外の、ジヒドロキシ化合物またはそ
の誘導体から導かれる構成単位が45〜10モル%の量
で存在するジヒドロキシ化合物成分単位とからなるポリ
エステル樹脂は、保香性に優れているとともに、過酸化
水素殺菌処理によってもヒートシール性がほとんど損な
われないことを見出し、特願平3−71891号として
特許出願した。
【0008】しかしながら、このポリエステル樹脂は、
ヒートシール強度、熱水処理あるいは熱過酸化水素処理
後のヒートシール強度、および保香性には優れている
が、インパクト強度、滑り性、溶融粘度、溶融張力(メ
ルトテンション)の改良が強く望まれていた。
【0009】また、液体充填用容器の積層材としては、
紙、金属フィルムあるいは樹脂フィルムなどの基材の表
面に、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、4-メチルペンテン-1あるいはナイロンな
どの樹脂を積層した積層体が知られている。このような
積層体は、基材上に上記のような樹脂を溶融状態で押し
出すことにより製造されている。
【0010】このように積層される樹脂の内、ポリエチ
レンテレフタレートは、透明性、ガスバリヤー性、機械
的強度などの特性に優れており、基材に良好な特性を付
与することができる。ところが、このポリエチレンテレ
フタレートをラミネートする場合には、Tダイより押し
出された積層体の幅方向の端部(耳の部分)に樹脂を安
定供給して積層させるのに困難なことが多い。特に、積
層体の製造速度が速くなるに従い、耳の部分における樹
脂の「のり」状態が不安定になりやすい。
【0011】また、このような積層体の製造に際して
は、溶融状態の樹脂がダイから出てくる線速度よりも速
い線速度で押し出し物を引き取り、溶融状態の樹脂の断
面寸法を低下(ドローダウン) させながら積層体を製造
するのが一般的である。このドローダウンに際して、断
面寸法の変化率が連続的になるように押し出し条件を設
定することにより均一性の高い積層体を製造することが
できる。
【0012】ところが、ポリエチレンテレフタレートを
使用した場合には、溶融状態の樹脂の断面寸法の変化率
が不連続(ネックイン)になり易く、均一な厚さのポリ
エチレンテレフタレート層を形成しにくいという問題点
があった。
【0013】このことから、ポリエステル樹脂の溶融粘
度、溶融張力(メルトテンション)などを改良し、ドロ
ーダウンさせながら積層体を製造するに際して、ネック
インになりにくく、均一な厚さのポリエステル樹脂層を
形成できるポリエステル樹脂組成物の製造方法が強く望
まれていた。
【0014】
【発明の目的】本発明は、ヒートシール強度に優れ、し
かも熱水処理あるいは熱過酸化水素処理によってもヒー
トシール強度の低下が少なく、かつ保香性に優れ、その
上インパクト強度、滑り性に優れ、さらには溶融粘度、
溶融張力(メルトテンション)が改良されたラミネート
用ポリエステル樹脂組成物およびその製造方法の提供を
目的としている。
【0015】
【発明の概要】本発明に係るラミネート用ポリエステル
樹脂組成物は、 (i)[A]ジカルボン酸成分単位を100モル%とし
た場合に、(a)テレフタル酸またはその誘導体から導
かれる構成単位が80〜95モル%の量で、(b)アジ
ピン酸またはその誘導体から導かれる構成単位が20〜
5モル%の量で存在するジカルボン酸成分単位と、 [B]ジヒドロキシ化合物成分単位を100モル%とし
た場合に、(c)エチレングリコールまたはその誘導体
から導かれる構成単位が55〜90モル%の量で、
(d)前記(c)以外の、ジヒドロキシ化合物またはそ
の誘導体から導かれる構成単位が45〜10モル%の量
で存在するジヒドロキシ化合物成分単位と、 [C]ジカルボン酸成分単位とジヒドロキシ化合物成分
単位との合計を100モル%とした場合に、3つ以上の
官能基を有する多価カルボン酸化合物または多価ヒドロ
キシ化合物などの多価モノマーから導かれる構成単位が
0〜1モル%の量で存在するモノマー成分単位とからな
るポリエステル樹脂、および、 (ii)極性基含有ポリマーからなるラミネート用ポリエ
ステル樹脂組成物であって、ポリエステル樹脂(i)を
95〜50重量%の量で、極性基含有ポリマー(ii)を
5〜50重量%の量で含有していることを特徴としてい
る。
【0016】このような本発明に係るラミネート用ポリ
エステル樹脂組成物は、JIS Z-1707に示される測定法に
準じて、ヒートシール温度120℃、ヒートシール圧力
2kgf/cm2、ヒートシール時間2秒の条件で測定し
たヒートシール強度が1.2kgf/15mm以上であ
り、85℃の35%過酸化水素水溶液に30秒間浸漬
し、過酸化水素水溶液を拭き取った後、70℃で30分
間送風乾燥した後の、ヒートシール温度120℃、ヒー
トシール圧力2kgf/cm2、ヒートシール時間2秒の
条件で測定した上記ヒートシール強度が1.0kgf/
15mm以上であることが好ましく、ポリエステル樹脂
(i)および極性基含有ポリマー(ii)の合計量に対し
て、極性基含有ポリマー(ii)を5〜25重量%の量で
含有していることが好ましい。
【0017】さらに本発明に係るラミネート用ポリエス
テル樹脂組成物は、ASTMD1894-74 に示される動摩
擦係数が0.4〜0.6の範囲であることが好ましい。
また、本発明に係るラミネート用ポリエステル樹脂組成
物の製造方法は、テレフタル酸またはその誘導体と、ア
ジピン酸またはその誘導体を含むジカルボン酸成分と、
エチレングリコールまたはその誘導体と、ジヒドロキシ
化合物またはその誘導体を含むジヒドロキシ化合物成分
とをエステル化し、得られた重縮合物を重合触媒の存在
下に重縮合して、 [A]ジカルボン酸成分単位を100モル%とした場合
に、(a)テレフタル酸またはその誘導体から導かれる
構成単位が80〜100モル%の量で、(b)アジピン
酸またはその誘導体から導かれる構成単位が20〜0モ
ル%の量で存在するジカルボン酸成分単位と、 [B]ジヒドロキシ化合物成分単位を100モル%とし
た場合に、(c)エチレングリコールまたはその誘導体
から導かれる構成単位が55〜90モル%の量で、
(d)前記(c)以外の、ジヒドロキシ化合物またはそ
の誘導体から導かれる構成単位が45〜10モル%の量
で存在するジヒドロキシ化合物成分単位とからなるポリ
エステル樹脂(i)を製造し、次いで、前記ポリエステ
ル樹脂(i)95〜50重量%の量に対して、極性基含
有ポリマー(ii)を5〜50重量%の量で配合した後、
溶融混合またはドライブレンドすることを特徴としてい
る。
【0018】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係るラミネート用
ポリエステル樹脂組成物およびその製造方法について具
体的に説明する。
【0019】本発明に係るラミネート用ポリエステル樹
脂組成物は、ポリエステル樹脂(i)と、極性基含有ポ
リマー(ii)とからなる。ポリエステル樹脂(i) 本発明で用いられるポリエステル樹脂(i)は、テレフ
タル酸またはその誘導体(a)から導かれる構成単位、
およびアジピン酸またはその誘導体(b)から導かれる
構成単位を含むジカルボン酸成分単位と、エチレングリ
コールまたはその誘導体(c)から導かれる構成単位、
およびエチレングリコールまたはその誘導体(c)以外
のジヒドロキシ化合物またはその誘導体(d)から導か
れる構成単位を含むジヒドロキシ化合物成分単位と、必
要に応じて、3つ以上の官能基を有する多価カルボン酸
化合物または多価ヒドロキシ化合物などから導かれる構
成単位を含むモノマー成分単位とからなっている。
【0020】該ポリエステル樹脂を構成するジカルボン
酸成分単位では、ジカルボン酸成分単位を100モル%
とした場合に、テレフタル酸またはその誘導体(a)か
ら導かれる構成単位は80〜100モル%、好ましくは
84〜95モル%の量で、アジピン酸またはその誘導体
(b)から導かれる成分単位は20〜0モル%、好まし
くは16〜5モル%の量で存在していることが望まし
い。
【0021】ジヒドロキシ化合物成分単位では、ジヒド
ロキシ化合物成分単位を100モル%とした場合に、エ
チレングリコールまたはその誘導体(c)から導かれる
構成単位は55〜90モル%、好ましくは60〜85モ
ル%の量で、エチレングリコールまたはその誘導体
(c)以外のジヒドロキシ化合物またはその誘導体
(d)から導かれる構成単位が45〜10モル%、好ま
しくは40〜15モル%の量で存在していることが望ま
しい。
【0022】テレフタル酸(a)成分単位およびアジピ
ン酸(b)成分単位以外のジカルボン酸成分単位として
具体的には、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカ
ルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタ
ンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;コハク酸、
セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸などの
脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸など
の脂環族ジカルボン酸などから導かれる成分単位が挙げ
られる。
【0023】また、エチレングリコールまたはその誘導
体(c)以外のジヒドロキシ化合物またはその誘導体
(d)としては、以下の式(1)〜(3)で表される少
なくとも一つの化合物が挙げられる。
【0024】
【化1】
【0025】上記式(1)で表される化合物として、具
体的には、ネオペンチルグリコール、ビス(2-ヒドロキ
シエチル)ジメチルメタンを例示できる。上記式(2)
で表される化合物として、具体的には、シクロヘキサン
ジメタノール、シクロヘキサンジエタノール、シクロヘ
キサンジプロパノール、シクロヘキサンジブタノールを
例示できる。
【0026】上記式(3)で表される化合物として、具
体的には、ビス(2-ヒドロキシエトキシフェニル)ジメ
チルメタンを例示できる。これらジヒドロキシ化合物ま
たはその誘導体(d)の中では、ネオペンチルグリコー
ル、シクロヘキサンジメタノール、ビス(2-ヒドロキシ
エトキシフェニル)ジメチルメタンが好ましく、この中
でも特にシクロヘキサンジメタノールが好ましい。
【0027】エチレングリコール(c)成分単位および
上記式(1)〜(3)で表される少なくとも一つの化合
物から選ばれるジヒドロキシ化合物成分単位以外のジヒ
ドロキシ化合物成分単位として、具体的には、トリエチ
レングリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレン
グリコール、シクロヘキサンジオール、1,3-ビス(2-ヒ
ドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4-ビス(2-ヒドロキシ
エトキシ)ベンゼン、ビス(4-β-ヒドロキシエトキシ
フェニル)スルホンなどから導かれる成分単位が挙げら
れる。
【0028】また、このポリエステル樹脂(i)には、
前記ジカルボン酸成分単位と前記ジヒドロキシ化合物成
分単位との合計を100モル%とした場合に、2モル%
以下の量で、好ましくは0〜1モル%の量で、3価以上
の多価カルボン酸化合物および/または3価以上の多価
ヒドロキシ化合物が共縮合されていてもよい。
【0029】このような3価以上の多価カルボン酸化合
物として具体的には、トリメリット酸、ピロメリット酸
などが挙げられる。この中では、トリメリット酸が好ま
しい。
【0030】また3価以上の多価ヒドロキシ化合物とし
て具体的には、トリメチロールメタン、トリメチロール
エタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトー
ルなどが挙げられる。
【0031】この中では、トリメチロールプロパンが好
ましい。さらに、本発明に用いられるポリエステル樹脂
(i)は、5モル%以下の他のジカルボン酸成分単位が
含まれていてもよく、また、ベンゾイル安息香酸、ジフ
ェニルスルホンモノカルボン酸、ステアリン酸、メトキ
シポリエチレングリコール、フェノキシポリエチレング
リコールなどの単官能化合物から導かれる構成単位が少
量たとえば2モル%以下の量で含まれていてもよい。
【0032】ポリエステル樹脂(i)は、上記したよう
なジカルボン酸と、ジヒドロキシ化合物と、必要に応じ
て3価以上の多価カルボン酸化合物および/または3価
以上の多価ヒドロキシ化合物とをエステル化した後、重
縮合用触媒の存在下で液相重合することにより製造され
る。
【0033】本発明に用いられるポリエステル樹脂
(i)を形成するには、回分方式、連続方式のいずれを
採用してもよいが、以下連続方式での製造方法について
説明する。
【0034】具体的には、まずテレフタル酸(a)およ
びアジピン酸(b)を含むジカルボン酸またはそのエス
テル形成性誘導体と、エチレングリコール(c)および
上記式(1)〜(3)で表される少なくとも一つの化合
物から選ばれるジヒドロキシ化合物(d)を含むジヒド
ロキシ化合物またはそのエステル形成性誘導体と、必要
に応じて、3価以上の多価カルボン酸化合物および/ま
たは3価以上の多価ヒドロキシ化合物とを含むスラリー
を調製する。このようなスラリーには、ジカルボン酸成
分またはそのエステル形成性誘導体1モルに対して1.
02〜2.0モル、好ましくは1.03〜1.5モルのジ
ヒドロキシ化合物成分またはそのエステル形成性誘導体
が含まれる。また、必要に応じて用いられる3価以上の
多価カルボン酸化合物および/または3価以上の多価ヒ
ドロキシ化合物は、ジカルボン酸成分単位とジヒドロキ
シ化合物成分単位との合計量を100モル%とした場合
に0.01〜2モル%、好ましくは0.05〜1モル%の
量で用いられる。このスラリーは、エステル化反応工程
に連続的に供給される。
【0035】エステル化反応は、少なくとも2個のエス
テル化反応器を直列に連結した装置を用いてジヒドロキ
シ化合物が還流する条件下で、反応によって生成した水
を精留塔で系外に除去しながら実施される。エステル化
反応を行なう際の反応条件は、第1段目のエステル化反
応の温度は、通常240〜270℃、好ましくは245
〜265℃であり、圧力は、通常0.2〜3kg/cm2
-G、好ましくは0.5〜2kg/cm2-Gであり、また
最終段目のエステル化反応の温度は、通常250〜28
0℃、好ましくは255〜275℃であり、圧力は、通
常0〜1.5kg/cm2-G、好ましくは0〜1.3kg
/cm2-Gであることが望ましい。
【0036】したがって、エステル化反応を2段階で実
施する場合には、第1段目および第2段目のエステル化
反応条件がそれぞれ上記の範囲であり、3段階以上で実
施する場合には、第2段目から最終段の1段前までエス
テル化反応の反応条件は、上記第1段目の反応条件と最
終段目の反応条件の間の条件である。たとえば、エステ
ル化反応が3段階で実施される場合には、第2段目のエ
ステル化反応の反応温度は、通常245〜275℃、好
ましくは250〜270℃であり、圧力は通常0〜2k
g/cm2-G、好ましくは0.2〜1.5kg/cm2-G
であることが望ましい。
【0037】これらのエステル化反応の反応率は、それ
ぞれの段階においては、とくに制限はないが、各段階に
おけるエステル化反応率の上昇の度合が滑らかに分配さ
れることが好ましく、さらに最終段目のエステル化反応
生成物において、通常90%以上、好ましくは93%以
上に達することが望ましい。
【0038】このエステル化工程により低次縮合物が得
られ、この低次縮合物の数平均分子量は、通常、500
〜5000である。このようなエステル化反応は後述す
る重縮合触媒の共存下に実施することも可能であり、さ
らにトリエチルアミン、トリ-n-ブチルアミン、ベンジ
ルジメチルアミンなどの第3級アミン、水酸化テトラエ
チルアンモニウム、水酸化テトラn-ブチルアンモニウ
ム、水酸化トリメチルベンジルアンモニウムなどの水酸
化第4級アンモニウムおよび炭酸リチウム、炭酸ナトリ
ウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウムなどの塩基性化合
物を少量添加して実施すると、ポリエステル樹脂(i)
の主鎖中のジオキシエチレンテレフタレート成分単位の
割合を比較的低水準に保持できるので好ましい。
【0039】次いで、得られた低次縮合物は重縮合触媒
の存在下に減圧下で、得られるポリエステル樹脂(i)
の融点以上の温度に加熱し、この際生成するグリコール
を系外に留去させて縮重合する液相縮重合工程に供給さ
れる。
【0040】このような液相での重縮合反応は、1段階
で行なってもよく、複数段階に分けて行なってもよい。
複数段階で行なう場合、重縮合反応条件は、第1段階目
の重縮合の反応温度が、通常250〜290℃、好まし
くは260〜280℃であり、圧力が通常、500〜2
0Torr、好ましくは200〜30Torrであり、
また最終段階の重縮合反応の温度が、通常265〜30
0℃、好ましくは270〜295℃であり、圧力が通常
10〜0.1Torr、好ましくは5〜0.5Torrで
ある。
【0041】重縮合反応を2段階で実施する場合には、
第1段目および第2段目の重縮合反応条件はそれぞれ上
記の範囲であり、3段階以上で実施する場合には、第2
段目から最終段目の1段前までの重縮合反応の反応条件
は上記1段目の反応条件と最終段目の反応条件との間の
条件である。
【0042】たとえば、重縮合反応が3段階で実施され
る場合には、第2段目の重縮合反応の反応温度は、通常
260〜295℃、好ましくは270〜285℃であ
り、圧力は通常、50〜2Torr、好ましくは40〜
5Torrの範囲である。
【0043】これらの重縮合反応工程の各々において到
達される極限粘度[η]はとくに制限はないが、各段階
における極限粘度の上昇の度合が滑らかに分配されるこ
とが好ましく、さらに最終段目の重縮合反応器から得ら
れるポリエステル樹脂(i)の極限粘度[η]は、通常
0.40〜1.0dl/g、好ましくは0.50〜0.90
dl/gの範囲であることが望ましい。
【0044】重縮合反応は、触媒および安定剤の存在下
に実施されることが好ましい。触媒として二酸化ゲルマ
ニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウム
テトラn-ブトキシドなどのゲルマニウム化合物、三酸化
アンチモンなどのアンチモン触媒およびチタニウムテト
ラブトキサイドなどのチタン触媒を用いることができ
る。これらの触媒の中では、二酸化ゲルマニウム化合物
を用いることが好ましい。
【0045】また、安定剤としては、トリメチルホスフ
ェート、トリエチルホスフェート、トリn-ブチルホスフ
ェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホス
フェートなどの燐酸エステル類、トリフェニルホスファ
イト、トリスドデシルホスファイト、トリスノニルフェ
ニルホスファイトなどの亜リン酸エステル類、メチルア
シッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェー
ト、ブチルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェー
ト、モノブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート
などの酸性リン酸エステルおよびリン酸、ポリリン酸な
どのリン化合物が用いられる。
【0046】これらの触媒あるいは安定剤の使用割合
は、ジカルボン酸成分とジヒドロキシ化合物成分との混
合物の重量に対して、触媒の場合には触媒中の金属の重
量として、通常0.0005〜0.2重量%、好ましくは
0.001〜0.05重量%の範囲であり、また安定剤の
場合には、安定剤中のリン原子の重量として、通常0.
001〜0.1重量%、好ましくは0.002〜0.02
重量%の範囲である。これらの触媒および安定剤は、エ
ステル化反応工程の段階で供給してもよく、重縮合反応
工程の第1段目の反応器に供給することもできる。
【0047】このような液相重縮合工程で得られるポリ
エステル樹脂(i)は、通常、溶融押出成形法によって
粒状(チップ状)に成形される。上記のようにして得ら
れた粒状のポリエステル樹脂(i)は、必要ならば乾燥
を行ってもよい。
【0048】次に、本発明に用いられるポリエステル樹
脂(i)の回分式での製造方法について具体的に説明す
る。まずテレフタル酸(a)およびアジピン酸(b)を
含むジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、
エチレングリコール(c)および上記式(1)〜(3)
で表される少なくとも一つの化合物から選ばれるジヒド
ロキシ化合物(d)を含むジヒドロキシ化合物またはそ
のエステル形成性誘導体と、必要に応じて、3価以上の
多価カルボン酸化合物および/または3価以上の多価ヒ
ドロキシ化合物とを含むスラリーを調製する。このよう
なスラリーには、ジカルボン酸成分またはそのエステル
形成性誘導体1モルに対して1.02〜3.0モル、好ま
しくは1.05〜2.0モルのジヒドロキシ化合物成分ま
たはそのエステル形成性誘導体が含まれる。また、必要
に応じて用いられる3価以上の多価カルボン酸化合物成
分および/または3価以上の多価ヒドロキシ化合物成分
はジカルボン酸成分単位とジヒドロキシ化合物成分単位
との合計量を100モル%とした場合に0.01〜2モ
ル%、好ましくは0.05〜1モル%の量で含まれる。
このスラリーは、エステル化反応器に供給される。
【0049】エステル化反応は、ジヒドロキシ化合物が
還流する条件下で、反応によって生成した水を精留塔で
系外に除去しながら実施される。また、エステル化反応
は、窒素ガス、アルゴンガス、炭酸ガスなどの不活性ガ
ス雰囲気下で実施することが好ましく、これらの不活性
ガスの中では窒素ガスが好ましい。
【0050】エステル化反応を行なう際の反応条件は、
温度が、通常200〜300℃、好ましくは220〜2
60℃であり、圧力が、通常0〜3.0kg/cm2-
G、好ましくは0.5〜2.0kg/cm2-Gであること
が望ましい。
【0051】エステル化反応条件を2段階で変化させる
場合には、第1段階および第2段階のエステル化反応条
件がそれぞれ上記の範囲であり、3段階以上で変化させ
てもよい。
【0052】エステル化反応の反応率は、通常は90%
以上、好ましくは93%以上に達することが望ましい。
これらのエステル化工程により低次縮合物が得られ、こ
の低次縮合物の数平均分子量は、通常、500〜500
0である。
【0053】このようなエステル化反応はジカルボン酸
およびジヒドロキシ化合物以外の添加物を添加せずに実
施することも可能であり、また前述のような重縮合触媒
の共存下に実施することも可能であるが、さらにトリエ
チルアミン、トリn-ブチルアミン、ベンジルジメチルア
ミンなどの第3級アミン、水酸化テトラエチルアンモニ
ウム、水酸化テトラn-ブチルアンモニウム、水酸化トリ
メチルベンジルアンモニウムなどの水酸化第4級アンモ
ニウムおよび炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリ
ウム、酢酸ナトリウムなどの塩基性化合物を少量添加し
て実施すると、ポリエステル樹脂(i)の主鎖中のジオ
キシエチレンテレフタレート成分単位の割合を比較的低
水準に保持できるので好ましい。
【0054】次いで、得られた低次縮合物は重縮合触媒
の存在下に減圧下で、得られるポリエステル樹脂(i)
の融点以上の温度に加熱し、この際生成するグリコール
を系外に留去させて縮重合する液相縮重合工程に供給さ
れる。
【0055】このような液相での重縮合反応では、反応
条件を2段階以上に変化させることが好ましい。重縮合
反応条件は、第1段階の重縮合の反応温度が、通常24
0〜300℃、好ましくは260〜290℃であり、圧
力が通常20〜0.1Torr、好ましくは5〜0.2T
orrであり、また最終段階の重縮合反応の温度が、通
常260〜290℃であり、圧力が、通常3〜0.5T
orrである。
【0056】重縮合反応条件を2段階で変化させる場合
には、第1段階および第2段階の重縮合反応条件はそれ
ぞれ上記の範囲であり、3段階以上で実施する場合に
は、第2段階から最終段階の1段階前までの重縮合反応
の反応条件は上記第1段階の反応条件と最終段階の反応
条件との間の条件である。
【0057】たとえば、重縮合反応条件を3段階に変化
させる場合には、第2段階の重縮合反応の反応温度は、
通常260〜295℃、好ましくは270〜285℃で
あり、圧力は通常15〜0.2Torr、好ましくは1
0〜0.2Torrの範囲である。
【0058】重縮合反応工程において到達される極限粘
度[η]は、通常0.40〜1.0dl/g、好ましくは
0.50〜0.90dl/gの範囲であることが望まし
い。このような重縮合反応は、触媒および安定剤の存在
下に実施されることが好ましい。重合反応において用い
られる触媒および安定剤としては前記連続方式の場合と
同様である。これらの触媒あるいは安定剤の使用割合
は、ジカルボン酸成分とジヒドロキシ化合物成分との混
合物の重量に対して、触媒の場合には触媒中の金属の重
量として、通常0.0005〜0.2重量%、好ましくは
0.001〜0.05重量%の範囲であり、また安定剤の
場合には、安定剤中のリン原子の重量として、通常0.
001〜0.1重量%、好ましくは0.002〜0.02
重量%の範囲である。これらの触媒および安定剤は、エ
ステル化反応工程の段階で供給してもよく、重縮合反応
工程の反応器に供給することもできる。
【0059】このような液相重縮合反応工程で得られる
ポリエステル樹脂(i)は、通常、溶融押出成形法によ
って粒状(チップ状)に成形され、必要ならば乾燥を行
ってもよい。
【0060】極性基含有ポリマー(ii) また、本発明で用いられる極性基含有ポリマー(ii)
は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、無水カルボン酸
基およびグリシジル基などの極性基から選ばれる少なく
とも1種の基を1分子内に有するポリマーであり、アイ
オノマー、変性ポリオレフィン系エラストマー、ポリエ
ステルエラストマーあるいはエポキシ基含有ポリマーな
どが挙げられ、以下これら極性基含有ポリマー(ii)に
ついて説明する。
【0061】[アイオノマー]本発明では、極性基含有
ポリマー(ii)として従来公知のアイオノマーを制限さ
れることなく用いることができる。
【0062】このアイオノマーとしては、エチレン/
α,β-不飽和カルボン酸共重合体あるいはエチレン/
α,β-不飽和カルボン酸/α,β-不飽和カルボン酸エス
テル共重合体のカルボン酸基の一部、通常15〜100
%を金属イオンにより中和したものが好ましく用いられ
る。
【0063】このα,β-不飽和カルボン酸としては、
炭素数3〜8の不飽和カルボン酸が挙げられ、具体的に
は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン
酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチルエステル、
マレイン酸モノメチルエステルなどが挙げられる。
【0064】このようなエチレンと不飽和カルボン酸と
の共重合体中のカルボキシル基を中和する金属陽イオン
としては、具体的に、Na+ 、K+ 、Li+ 、Zn+
Zn ++、Mg++、Ca++、Co++、Ni++、Mn++、P
++、Cu++などの1〜2価の金属陽イオンが挙げられ
る。また金属陽イオンで中和されてない残余のカルボキ
シル基の一部は、低級アルコールでエステル化されてい
てもよい。
【0065】本発明で用いられるアイオノマーは、上述
のようにエチレンと不飽和カルボン酸との共重合体の金
属塩であるが、金属塩を形成するためのエチレン・不飽
和カルボン酸との共重合体は、エチレンから誘導される
構成単位を、80〜99モル%、好ましくは85〜98
モル%であり、不飽和カルボン酸から誘導される構成単
位(カルボキシル基を有する構成単位)を1〜20モル
%、好ましくは2〜15モル%の量で含有している。
【0066】本発明でアイオノマーを用いる場合には、
エチレンと不飽和カルボン酸との共重合体中のカルボキ
シル基の一部または全部が、具体的には15〜100%
のカルボキシル基が上記のような金属陽イオンで中和さ
れている。この中和度は、好ましくは20〜80%、さ
らに好ましくは30〜70%である。
【0067】このようなアイオノマーとしては、具体的
には、エチレンとアクリル酸、メタクリル酸などの不飽
和モノカルボン酸との共重合体中のカルボキシル基の一
部または全部あるいはエチレンとマレイン酸、イタコン
酸などの不飽和ジカルボン酸との共重合体中のカルボキ
シル基の一部または全部がナトリウム、カリウム、リチ
ウム、亜鉛、マグネシウム、カルシウムなどの金属イオ
ンで中和されたエチレン・不飽和カルボン酸共重合体の
金属塩が挙げられる。さらに具体的には、エチレンとア
クリル酸またはメタクリル酸との共重合体(カルボキシ
ル基を有する構成単位が2〜15モル%)中のカルボキ
シル基の30〜70%が、Naなどの1価の金属イオン
またはZnなどの2価の金属イオンで中和されたものを
挙げることができる。
【0068】このようなアイオノマーとしては、たとえ
ば“ハイミラン”(商品名:三井デュポンポリケミカル
社製)などの市販品を使用することができる。 [変性ポリオレフィン系エラストマー]本発明では、極
性基含有ポリマー(ii)として従来公知の未変性ポリオ
レフィン系エラストマーに、不飽和カルボン酸などの極
性基を有するモノマーから導かれる成分が、グラフト結
合している変性ポリオレフィン系エラストマーを制限さ
れることなく用いることができる。
【0069】まず、未変性ポリオレフィン系エラストマ
ーとしては、23℃における引張りモジュラスが、0.
1kg/cm2 〜2000kg/cm2 、さらには1kg/cm2
1500kg/cm2であることが好ましく、ガラス転移温
度(Tg)が、−150〜0℃、さらには−80〜−20
℃であることが好ましい。
【0070】このエラストマーは、X線回折法によって
測定される結晶化度が、30%以下であり、好ましくは
25%以下であって、低結晶性あるいは非晶性であるこ
とが好ましい。
【0071】またこのエラストマーは、135℃、デカ
リン中で測定される極限粘度[η]が、通常、0.2〜
10dl/g、好ましくは1〜5dl/gであり、その密度
が、通常、0.82〜0.96g/cm3、好ましくは0.8
4〜0.92g/cm3であることが望ましい。
【0072】本発明では、このようなエラストマーとし
て、具体的に、α-オレフィン共重合体などを用いるこ
とができる。α−オレフィン共重合体としては、たとえ
ば、(イ)エチレン・α-オレフィン共重合体ゴム、
(ロ)プロピレン・α-オレフィン共重合体ゴムを用い
ることができる。
【0073】上記のエチレン・α-オレフィン共重合体
ゴム(イ)を構成するα-オレフィンとしては、通常、
炭素数3〜20のα-オレフィン、たとえばプロピレ
ン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-
ペンテン、1-オクテン、1-デセンおよびこれらの混合物
を挙げることができる。このうち特にプロピレンおよび
/または1-ブテンが好ましい。
【0074】エチレン・α-オレフィン共重合体(イ)
では、エチレンとα-オレフィンとのモル比(エチレン
/α-オレフィン)は、α-オレフィンの種類によっても
異なるが、通常、10/90〜99/1、好ましくは5
0/50〜95/5である。上記モル比は、α-オレフ
ィンがプロピレンである場合には、50/50〜90/
10であることが好ましく、α-オレフィンが炭素数4
以上のα-オレフィンである場合には80/20〜95
/5であることが好ましい。
【0075】またプロピレン・α-オレフィン共重合体
ゴム(ロ)を構成するα-オレフィンとしては、通常、
炭素数4〜20のα-オレフィン、たとえば1-ブテン、1
-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オク
テン、1-デセンおよびこれらの混合物を挙げることがで
きる。このうち特に1-ブテンが好ましい。
【0076】プロピレン・α-オレフィン共重合体
(ロ)では、プロピレンとα-オレフィンとのモル比
(プロピレン/α-オレフィン)は、α-オレフィンの種
類によっても異なるが、一般には50/50〜95/5
の範囲内にある。さらに、上記モル比は、α-オレフィ
ンが1-ブテンである場合には、50/50〜90/10
であることが好ましく、α-オレフィンが炭素数5以上
である場合には80/20〜95/5であることが好ま
しい。
【0077】なお、このα−オレフィン共重合体は、そ
の特性を損なわない範囲内で、α−オレフィンと共重合
し得る他のモノマーから誘導される構成単位を含有して
いてもよい。
【0078】このような他のモノマーとしては、具体的
に、1,4-ヘキサジエン、1,6-オクタジエン、2-メチル-
1,5-ヘキサジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエンおよび7
-メチル-1,6-オクタジエンなどの鎖状非共役ジエン、シ
クロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、メチルテト
ラヒドロインデン、5-ビニルノルボルネン、5-エチリデ
ン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-イ
ソプロピリデン-2-ノルボルネンおよび6-クロロメチル-
5-イソプロペニル-2-ノルボルネンなどの環状非共役ジ
エン、2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-エ
チリデン-3-イソプロピリデン-5-ノルボルネンおよび2-
プロペニル-2,2-ノルボルナジエンなどのジエンが挙げ
られる。α-オレフィン共重合体は、上記のようなジエ
ンから誘導される構成単位を、10モル%以下、好まし
くは5モル%以下の量で含有していてもよい。
【0079】また、上記のようなエチレン・α-オレフ
ィン共重合体ゴム(イ)とプロピレン・α-オレフィン
共重合体ゴム(ロ)とを組み合わせて用いることもでき
る。次に、未変性ポリエステルエラストマーのグラフト
変性に用いられるグラフトモノマーとしては、不飽和カ
ルボン酸またはその誘導体が挙げられる。
【0080】このような不飽和カルボン酸としては、ア
クリル酸、メタクリル酸、α-エチルアクリル酸、マレ
イン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、テト
ラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、エン
ドシス-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,5-ジカルボン
酸(ナジック酸TM)およびメチル-エンドシス-ビシクロ
[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,5-ジカルボン酸(メチルナジ
ック酸TM)などが挙げられ、不飽和カルボン酸の誘導体
としては、上記の不飽和カルボン酸の酸ハライド化合物
(塩化マレイルなど)、イミド化合物(マレイミドな
ど)、エステル化合物(マレイン酸モノメチル、マレイ
ン酸ジメチル、グリシジルマレエートなど)、酸無水物
(無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水ナジック酸
および無水メチルナジック酸)などが挙げられる。
【0081】上記のようなグラフトモノマーは、組み合
わせて用いることもできる。変性ポリオレフィン系エラ
ストマーは、上記のような未変性ポリオレフィン系エラ
ストマーに、上記グラフトモノマーをグラフト重合させ
ることにより得られる。
【0082】本発明で変性ポリオレフィン系エラストマ
ーを用いる場合には、これらのうち、未変性ポリオレフ
ィン系エラストマーとしては、α−オレフィン共重合体
が好ましく用いられ、特にエチレンから誘導される構成
単位を5〜50モル%の量で含み、結晶化度10%以下
であるエチレン・プロピレンランダム共重合体あるいは
エチレン・α-オレフィンランダム共重合体が好ましく
用いられる。また、グラフトモノマーとしては、不飽和
カルボン酸無水物、特に、無水マレイン酸、無水ナジッ
ク酸が好ましく用いられる。
【0083】[ポリエステルエラストマー]本発明で
は、極性基含有ポリマー(ii)として従来公知のポリエ
ステルエラストマーを制限されることなく用いることが
できる。
【0084】また本発明では、極性基含有ポリマー(i
i)として従来公知のポリエステルエラストマーに、極
性基を有するモノマーから導かれる成分が、グラフト結
合している変性ポリエステルエラストマーを用いること
もできる。
【0085】このポリエステルエラストマーは、結晶性
であって高融点を有するハードセグメントと、ソフトセ
グメントとを有する熱可塑性エラストマーであって、こ
のハードセグメントが(i) 芳香族ポリエステルからな
り、ソフトセグメントが(ii)ポリエーテルまたは(iii)
脂肪族ポリエステルからなるポリエステル・ポリエーテ
ルブロック共重合体またはポリエステル・ポリエステル
ブロック共重合体であることが望ましい。
【0086】このようなポリエステル・ポリエーテルブ
ロック共重合体またはポリエステル・ポリエステルブロ
ック共重合体は、(ハ)芳香族ポリエステルと、(ニ)
ポリエーテルまたは(ホ)脂肪族ポリエステルとを、公
知の方法により共縮合させて得られる。
【0087】ポリエステル・ポリエーテルブロック共重
合体またはポリエステル・ポリエステルブロック共重合
体を形成している(ハ)芳香族ポリエステルセグメント
は、芳香族ジカルボン酸とジヒドロキシ化合物とから誘
導される構成単位からなっている。
【0088】芳香族ジカルボン酸としては、具体的に、
テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン
酸、ジフェニルジカルボン酸などが挙げられる。これら
は、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0089】またジヒドロキシ化合物としては、具体的
に、エチレングリコール、トリメチレングリコール(プ
ロピレングリコール)、テトラメチレングリコール、ペ
ンタメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2,
2-ジメチルトリメチレングリコール、ヘキサメチレング
リコール、ドデカメチレングリコールなどの脂肪族ジヒ
ドロキシ化合物、p-キシレングリコールなどの芳香族ジ
ヒドロキシ化合物、シクロヘキサンジメタノールなどの
脂環族ジヒドロキシ化合物が挙げられる。これらは、2
種以上の組み合わせであってもよい。
【0090】(ハ)芳香族ポリエステルセグメントは、
テレフタル酸と1種のアルキレングリコールとのホモポ
リエステルであってもよく、ジカルボン酸成分とジヒド
ロキシ成分とのいずれか一方が2種以上からなるか、あ
るいは両成分がそれぞれ2種以上からなる共重合ポリエ
ステルであってもよい。
【0091】本発明で変性ポリエステルエラストマーを
用いる場合、ポリエステル・ポリエーテルブロック共重
合体およびポリエステル・ポリエステルブロック共重合
体を形成している(ハ)芳香族ポリエステルセグメント
は、ジカルボン酸成分を100モル%とするときに、テ
レフタル酸を50モル%以上の量で含有するジカルボン
酸成分と、炭素数2〜10のアルキレングリコールから
なるジヒドロキシ成分とから形成されていることが好ま
しい。
【0092】ポリエステル・ポリエーテルブロック共重
合体を形成する(ニ)ポリエーテルセグメントは、分子
量が300〜6000のポリ(アルキレンオキサイド)
グリコールから形成される。このようなポリ(アルキレ
ンオキサイド)グリコールとしては、具体的に、ポリエ
チレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブ
チレングリコールなどが挙げられる。
【0093】またポリエステル・ポリエステルブロック
共重合体を形成する(ホ)脂肪族ポリエステルセグメン
トは、脂肪族ジカルボン酸成分と、炭素数2〜10のア
ルキレングリコールとから誘導される構成単位からな
る。
【0094】脂肪族ジカルボン酸としては、具体的に、
アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカル
ボン酸などが挙げられる。炭素数2〜10のアルキレン
グリコールとしては、具体的には、上記に(i) 芳香族ポ
リエステルセグメントを形成するジヒドロキシ化合物と
して示したものが挙げられる。
【0095】[エポキシ基含有ポリマー]本発明では、
極性基含有ポリマー(ii)として従来公知のエポキシ基
含有ポリマーを制限されることなく用いることができる
が、たとえば、ビスフェノール-Aとエピクロルヒドリ
ンとから得られるエポキシ樹脂を用いることができる。
【0096】さらに、エポキシ基含有ポリマーとして
は、熱可塑性エラストマーであるエチレン・α-オレフ
ィン共重合体に、エポキシ基がグラフト共重合されてい
るエポキシ変性エチレン・α-オレフィン共重合体ゴ
ム、および熱可塑性エラストマーであるスチレン系ブロ
ック共重合体に、エポキシ基がグラフト共重合されてい
るエポキシ変性スチレン系ブロック共重合体を用いるこ
とができる。
【0097】このようなエポキシ変性エチレン・α-オ
レフィン共重合体を製造する際に用いられるグラフトモ
ノマーとしては、塩化グリシジルなどのグリシジル基を
有するエポキシ化合物が挙げられ、具体的には、グリシ
ジルメタクリレート、グリシジルマレエートなどが例示
される。
【0098】また、変性スチレン系ブロック共重合体を
構成するグラフトモノマー成分としては、上記と同様の
ものが挙げられる。ポリエステル樹脂組成物 本発明に係るラミネート用ポリエステル樹脂組成物は、
上記ポリエステル樹脂(i)と極性基含有ポリマー(i
i)とからなり、ポリエステル樹脂(i)を95〜50
重量%の量で、極性基含有ポリマー(ii)を5〜50重
量%の量で含有している。
【0099】このような本発明に係るラミネート用ポリ
エステル樹脂組成物は、JIS Z-1707に示される測定法に
準じて、ヒートシール温度120℃、ヒートシール圧力
2kgf/cm2、ヒートシール時間2秒の条件で測定
したヒートシール強度が、通常1.2kgf/15mm
以上、好ましくは1.5kgf/15mm以上であり、
85℃の35%過酸化水素水溶液に30秒間浸漬し、過
酸化水素水溶液を拭き取った後、70℃で30分間送風
乾燥した後の、ヒートシール温度120℃、ヒートシー
ル圧力2kgf/cm2、ヒートシール時間2秒の条件
で測定した上記ヒートシール強度が、通常1.0kgf
/15mm以上、好ましくは1.1kgf/15mm以
上である。
【0100】このような本発明に係るラミネート用ポリ
エステル樹脂組成物は、ヒートシール性にとくに優れて
おり、熱水処理あるいは熱過酸化水素処理を施してもそ
のヒートシール強度の低下は少ない。たとえば本発明に
係るラミネート用ポリエステル樹脂組成物[テレフタル
酸/アジピン酸/エチレングリコール/シクロヘキサン
ジメタノール/トリメチロールプロパン(90/10/
70/29.85/0.15(mol%))95重量%にアイオノマー
5重量%をブレンドした組成物]は、120℃のヒート
シール強度は1820g/15mmであり、85℃の3
5%過酸化水素水溶液に5分間浸漬し、過酸化水素水溶
液を拭き取った後、70℃で30分間送風乾燥した後の
上記ヒートシール強度は1250g/15mmであるの
に対し、従来公知のポリエステル樹脂[テレフタル酸/
エチレングリコール/シクロヘキサンジメタノール(1
00/70/30)]は、120℃のヒートシール強度
は1430g/15mmであり、上記と同様に85℃過
酸化水素水溶液処理をした後のヒートシール強度は15
0g/15mmに過ぎない。
【0101】また、上記のような本発明に係るラミネー
ト用ポリエステル樹脂組成物は、保香性にも優れてお
り、このポリエステル樹脂組成物と接触するジュースな
どの液体に異味、異臭をもたらすことが少なく、しかも
ジュースなどの液体が有する香気を外部に散逸させるこ
とが少ない。さらに、このポリエステル樹脂組成物は、
落袋強度などの衝撃強度、ハンドリング上重要な滑り
性、折り曲げ性などの機械的特性、ガスバリヤー性、耐
油性にも優れている。
【0102】したがって、本発明に係るラミネート用ポ
リエステル樹脂組成物は、ヒートシール材、フィルム包
装材、紙容器被覆材などに極めて有用性が高い。本発明
に係るラミネート用ポリエステル樹脂組成物は、ポリエ
ステル樹脂(i)と、極性基含有ポリマー(ii)とを溶
融混合またはドライブレンドすることで製造される。
【0103】この本発明に係るラミネート用ポリエステ
ル樹脂組成物の製造方法では、上記のようにして得られ
た粒状のポリエステル樹脂(i)をベースに、ヒドロキ
シル基、カルボキシル基などの極性基含有ポリマー(i
i)を配合する。この場合、ポリエステル樹脂(i)お
よび極性基含有ポリマー(ii)の合計量100重量%に
対して、極性基含有ポリマー(ii)を5〜50重量%含
有するように配合するのが好ましく、さらに好ましくは
5〜25重量%に配合するのがよい。
【0104】この配合した樹脂を、通常200℃以上、
好ましくは230℃以上で、10kg/時間、好ましく
は30kg/時間の吐出量にて溶融混合した後、乾燥す
る。また、この配合した樹脂を以下のようにドライブレ
ンドすることにより、ポリエステル樹脂組成物を製造す
ることもできる。すなわち、吸湿を防止するためポリエ
ステル樹脂および極性基含有ポリマーを秤量し、混合機
に投入後、混合機中の空気を除湿した空気に置換し密封
後、攪拌混合する。このドライブレンドされた樹脂をラ
ミネートする押出機のホッパーに投入して成形する。こ
の時、ホッパー内に窒素または除湿された空気を常時流
れるようにすることが好適である。
【0105】このようにして製造されたラミネート用ポ
リエステル樹脂組成物は、ヒートシール性などに優れた
ポリエステル樹脂の特性を保持したまま、インパクト強
度、滑り性などに優れた性能を有している。
【0106】
【発明の効果】本発明に係るラミネート用ポリエステル
樹脂組成物は、液体充填用容器などの積層材として使用
した場合に、ヒートシール強度に優れ、熱水処理あるい
は熱過酸化水素処理によってもヒートシール強度が低下
することが少ない。また、保香性に優れ、充填内容物に
異味、異臭をもたらすことが少なく、かつ充填内容物の
香気成分を外部に散逸させることが少ない。さらに、イ
ンパクト強度、滑り性などの機械的特性にも優れ、かつ
溶融粘度、溶融張力(メルトテンション)が改良されて
いる。
【0107】そして、本発明に係るラミネート用ポリエ
ステル樹脂組成物は、ヒートシール強度に優れ、かつ過
酸化水素水溶液処理によってヒートシール強度が低下す
ることが少ないので、ヒートシール材として好適に用い
ることができる。
【0108】また、本発明に係るラミネート用ポリエス
テル樹脂組成物の製造方法によれば、溶融粘度、溶融張
力(メルトテンション)の改良により、ドローダウンさ
せながら積層体を製造するに際して、ネックインになり
にくく、均一な厚さのポリエステル樹脂組成物層を形成
でき、かつ、ヒートシール強度、熱水処理あるいは熱過
酸化水素処理後のヒートシール強度、および保香性を保
持したまま、インパクト強度、滑り性に優れた該組成物
が得られる。
【0109】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0110】
【実施例1】ステンレススチール製反応器に、69.1
kgのテレフタル酸、6.75kgのアジピン酸、31.
0kgエチレングリコール、21.2kgのシクロヘキ
サンジメタノールを充填した。この混合物を窒素ガス雰
囲気下に2.5時間以上かけて180℃〜240℃の温
度まで加熱し、この間反応混合物から水を除去した。次
に反応混合物をステンレススチール製重合槽に移し、1
6.0gの二酸化ゲルマニウムを61.3gの20%エチ
ルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液に溶解したも
のおよび23.1gのモノメチルフォスファイトを添加
し、反応温度を2時間以上かけて220℃から250℃
まで上げた。圧力をさらに1時間以上かけて0.5To
rrに除々に下げ、この間温度は265℃まで上昇させ
た。
【0111】続く1時間内に、温度は275℃まで上昇
した。さらにこれらの条件下に3時間保ってから、反応
器を窒素ガスで大気圧までもどし、ポリマーを反応器か
ら押出し、冷却してからペレット化したポリエステル樹
脂(I)を得た。ポリエステル樹脂(I)は、25℃で
o-クロロフェノール中の極限粘度が0.75dl/gで
あった。また、ポリエステル樹脂(I)の組成は、テレ
フタル酸/アジピン酸/エチレングリコール/シクロヘ
キサンジメタノール/トリメチロールプロパンの比が、
90/10/70/29.85 /0.15(mol%)であった。
【0112】このポリエステル樹脂(I)に、アイオノ
マー(三井デュポン・ポリケミカル(株)製:ハイミラ
ン1707、ナトリウム塩、MFR=0.9g/10分)が
5重量%となるように配合し、2軸押出機PCM45
(池貝鉄工(株)製)により280℃、20kg/時間の
吐出量で溶融混合した後、真空乾燥機で50℃で2日間
乾燥した。
【0113】得られたポリエステル樹脂組成物につい
て、フィルムインパクト、引張強度、ヒートシール強
度、スリップ性、溶融張力および溶融粘度について測定
した。結果を第1表および第2表に示す。
【0114】ここで上記物性は以下の方法によって測定
した。 (1)フィルムインパクト 東洋精機(株)製フィルムインパクトテスターを使用
し、錘のエネルギーを30kg・cm、先端形状を1/
2”として測定し、そのエネルギーを厚みで除した値を
インパクト強度とした。 (2)引張強度 ASTM−TYPE4のダンベルで打ち抜いたフィルムをテ
ンシロン(株)製引張試験機を用い、引張速度50mm
/分の速度で引張り、その時の強度を引張強度とした。 (3)ヒートシール強度 日立造船(株)製65mmφ押出機を用いて、シリンダ
ー温度280℃でポリエステル樹脂を溶融押出し、静電
密着装置を備えた表面温度30℃の冷却ドラム上でメル
トフィルムを冷却し、100μmの厚みを有するフィル
ムを得た。
【0115】このフィルムを(A)23℃、50%RH
のオーブンに1日放置した(以下、初期という)。その
後(B)80℃の35%過酸化水素水溶液に30秒間浸
漬し、過酸化水素水溶液を拭き取った後、70℃で30
分送風乾燥した(以下、処理後という)。
【0116】上記のようにして調製した試料をJIS Z-17
07に示される測定法に準じて測定した。図1にヒートシ
ーラーの概略説明図を示す。具体的なヒートシール条件
は以下の通りである。
【0117】 ヒートシーラー;テスター産業(株)製 フィルム ;約120mm×120mm 上部シールバー;アルミニウム製でシール幅は5mmで
あり、実用のヒートシール性を調べるため、80℃〜1
40℃まで温度を変えた。
【0118】下部シールバー;上部シールバーの受けに
なるもので、厚さ5.2mm、ショアA硬度52±1の
もの。温度70℃ シール圧力 ;2kgf/cm2 シール時間 ;2秒間 インストロン型万能材料試験機;ヒートシールしたフィ
ルムサンプルを15mm幅に切断し試験片として、30
0mm/分の引張速度でヒートシール部を180°で引
張り、ヒートシール部の最大荷重をヒートシール強度と
して求めた。 (4)スリップ性 ASTM-D-1894 に準じてインストロン型万能材料試験機を
用い100μmの厚みの初期フィルムについて引張速度
200mm/分で測定した。
【0119】1.0以上 ;フィルムの滑り性がきわめ
て悪く、実用上ハンドリングできない。 0.4〜0.6;滑り性が適当であり、実用上ハンドリン
グしやすい。
【0120】0.3以下 ;フィルムの滑り過ぎるた
め、実用上かえってハンドリングしにくい。 (5)溶融張力 東洋精機(株)製メルトテンションテスターのノズル径
2.095mm、ノズル長さ8.0mmを用い、温度2
30℃または250℃で押出し、その押出速度、ストラ
イドの引取速度を変えて、そのストライドの引取りに要
した力をg単位で表した。 (6)溶融粘度 (株)島津製作所製SCER(Shimazu Capillary Extr
usion Rheometer )を用い、温度、押出速度を変えて、
その時の押出荷重を読み取り、計算式により、ずり応
力、粘度を求めた値である。
【0121】
【比較例1】アイオノマー(三井デュポン・ポリケミカ
ル(株)製:ハイミラン1707、ナトリウム塩、MFR=
0.9g/10分)を配合しない以外は実施例1と同様
にして、フィルムインパクト、引張強度、ヒートシール
強度、スリップ性、溶融張力および溶融粘度について測
定した。
【0122】結果を第1表および第2表に示す。
【0123】
【実施例2〜9および比較例2〜3】第1表に示す組成
の化合物を用いる以外は、実施例1と同様にしてポリエ
ステル樹脂組成物を得、実施例1と同様にして各種物性
を求めた。
【0124】なお、ポリエステル樹脂(II)は、25℃
でo-クロロフェノール中の極限粘度が0.85dl/g
であった。また、ポリエステル樹脂(II)の組成は、テ
レフタル酸/エチレングリコール/シクロヘキサンジメ
タノールの比が、100/70/30(mol%)であった。
【0125】結果を第1表および第2表に示す。なお、
表中の極性基含有ポリマーの組成は、以下の通りであ
る。 HM1707 :アイオノマー(三井デュポンポリケミカル株)製ハイ
ミラン1707)MFR(190℃、2.16kg)=0.9(g/1
0min.)、Na塩 HM1856 :アイオノマー(三井デュポンポリケミカル(株)製ハ
イミラン1856)MFR(190℃、2.16kg)=1.0(g
/10min.)、Na塩 HM1706 :アイオノマー(三井デュポンポリケミカル(株)製ハ
イミラン1706)MFR(190℃、2.16kg)=0.7(g
/10min.)、Na塩ハイトレル 4057:ポリエステルエラストマー(東レデュポン
(株)製ハイトレル4057 ) MP0610 :無水マレイン酸変性EPR(三井石油化学工業
(株)製マレイン化アフターMP0610)MFR(190
℃、2.16kg)=0.4(g/10min.) LDPE :高圧法ポリエチレン(三井石油化学工業(株)
製ミラソンM16)MFR(190℃、2.16kg)=3.
7(g/10min.)
【0126】
【表1】
【0127】
【表2】
【0128】
【表3】
【0129】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒートシーラーの概略説明図である。
【符号の説明】
1 試料フィルム 2 テフロンフィルム 3 上部シールバー 4 下部シールバー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 101/02 LTA

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(i)[A]ジカルボン酸成分単位を10
    0モル%とした場合に、(a)テレフタル酸またはその
    誘導体から導かれる構成単位が80〜100モル%の量
    で、(b)アジピン酸またはその誘導体から導かれる構
    成単位が20〜0モル%の量で存在するジカルボン酸成
    分単位と、 [B]ジヒドロキシ化合物成分単位を100モル%とし
    た場合に、(c)エチレングリコールまたはその誘導体
    から導かれる構成単位が55〜90モル%の量で、
    (d)前記(c)以外の、ジヒドロキシ化合物またはそ
    の誘導体から導かれる構成単位が45〜10モル%の量
    で存在するジヒドロキシ化合物成分単位と、 [C]ジカルボン酸成分単位とジヒドロキシ化合物成分
    単位との合計を100モル%とした場合に、3つ以上の
    官能基を有する多価モノマーから導かれる構 成単位が
    0〜1モル%の量で存在するモノマー成分単位とからな
    るポリエステ ル樹脂、および、 (ii)極性基含有ポリマーからなるラミネート用ポリエ
    ステル樹脂組成物であって、 ポリエステル樹脂(i)を95〜50重量%の量で、極
    性基含有ポリマー(ii)を5〜50重量%の量で含有し
    ていることを特徴とするラミネート用ポリエステル樹脂
    組成物。
  2. 【請求項2】JIS Z-1707に示される測定法に準じて、ヒ
    ートシール温度120℃で測定したヒートシール強度が
    1.0kgf/15mm以上であり、 85℃の35%過酸化水素水溶液に30秒間浸漬し、過
    酸化水素水溶液を拭き取った後、70℃で30分間送風
    乾燥した後の、ヒートシール温度120℃で測定した上
    記ヒートシール強度が1.0kgf/15mm以上であ
    ることを特徴とする請求項1に記載のラミネート用ポリ
    エステル樹脂組成物。
  3. 【請求項3】ASTMD1894-74 に示される動摩擦係数
    が0.4〜0.6の範囲であることを特徴とする請求項
    1に記載のラミネート用ポリエステル樹脂組成物。
  4. 【請求項4】極性基含有ポリマー(ii)を5〜25重量
    %の量で含有していることを特徴とする請求項1に記載
    のラミネート用ポリエステル樹脂組成物。
  5. 【請求項5】テレフタル酸またはその誘導体と、アジピ
    ン酸またはその誘導体を含むジカルボン酸成分と、エチ
    レングリコールまたはその誘導体と、ジヒドロキシ化合
    物またはその誘導体を含むジヒドロキシ化合物成分とを
    エステル化し、 得られた重縮合物を重合触媒の存在下に重縮合して、 [A]ジカルボン酸成分単位を100モル%とした場合
    に、(a)テレフタル酸またはその誘導体から導かれる
    構成単位が80〜100モル%の量で、(b)アジピン
    酸またはその誘導体から導かれる構成単位が20〜0モ
    ル%の量で存在するジカルボン酸成分単位と、 [B]ジヒドロキシ化合物成分単位を100モル%とし
    た場合に、(c)エチレングリコールまたはその誘導体
    から導かれる構成単位が55〜90モル%の量で、
    (d)前記(c)以外の、ジヒドロキシ化合物またはそ
    の誘導体から導かれる構成単位が45〜10モル%の量
    で存在するジヒドロキシ化合物成分単位とからなるポリ
    エステル樹脂(i)を製造し、 次いで、前記ポリエステル樹脂(i)95〜50重量%
    の量に対して、極性基含有ポリマー(ii)を5〜50重
    量%の量で、 溶融混合またはドライブレンドすることを特徴とするラ
    ミネート用ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
  6. 【請求項6】極性基含有ポリマー(ii)を5〜25重量
    %の量で配合することを特徴とする請求項5に記載のラ
    ミネート用ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
  7. 【請求項7】紙、金属フィルムまたは樹脂フィルムであ
    る基材と、 請求項1に記載のラミネート用ポリエステル樹脂組成物
    とからなる積層体。
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