JP3467044B2 - ポリエステル樹脂およびその製造方法 - Google Patents

ポリエステル樹脂およびその製造方法

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JP3467044B2 JP07189191A JP7189191A JP3467044B2 JP 3467044 B2 JP3467044 B2 JP 3467044B2 JP 07189191 A JP07189191 A JP 07189191A JP 7189191 A JP7189191 A JP 7189191A JP 3467044 B2 JP3467044 B2 JP 3467044B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明はポリエステル樹脂およびそ
の製造方法に関し、さらに詳しくは、ヒートシール強度
に優れ、しかも熱過酸化水素水溶液処理してもヒートシ
ール強度の低下が少ないポリエステル樹脂およびその製
造方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】近年、紙を基材としてこの基材を
樹脂で被覆した液体充填用容器は、該容器を殺菌した後
低温充填により内容物を充填して用いると、内容物の品
質を長期間維持するという特性があるため、需要が急速
に伸びている。長期間保存対象品としては、牛乳、ジュ
ース類、コーヒー飲料、スープ類などがあり、充填方法
としては無菌充填法が採用されている。無菌充填の際に
おこなわれる容器の滅菌方法としては、過酸化水素処理
(過酸化水素処理後、熱風乾燥)が広く採用されてお
り、充填物は高温瞬間殺菌を行った後、充填されてい
る。
【0003】液体充填用容器には、紙基材の両面をポリ
オレフィン系樹脂で被覆し、この紙基材上に積層された
ポリオレフン系樹脂をヒートシールすることによって製
造されている。このようなポリオレフィン系樹脂を最内
層とする容器は、ジュース、酒、その他味覚の微妙な特
性のある内容物を充填した場合、香気が低下したり味覚
の劣化を生じることがよくあった。充填内容物の味覚の
劣化の原因としては、最内層であるポリオレフィン樹脂
中の低分子化合物あるいは樹脂のラミネートの際に生じ
る分解生成物や揮発成分が液温の上昇につれて充填物に
移行すること、樹脂自体の吸着性により味覚成分、香気
成分が減少することなどが挙げられる。また、ポリオレ
フィン樹脂は通気性を有するため、外部の臭気が内部充
填物に移行し異味、異臭をもたらしたり、充填物の香気
成分が外部へ散逸することなどが挙げられる。
【0004】上記のようなポリオレフィン樹脂の欠点を
改良した容器の開発が進められており、特に香気成分の
吸着を改良した容器として、低結晶性あるいは非晶性ポ
リエステル樹脂を最内層として有する容器(特開昭55
−166247号、特開昭56−24165号、特開昭
62−290534号公報など)、三元共重合ポリエス
テル樹脂を最内層として有する容器(特開昭59−59
435号公報)が提案されている。
【0005】また、本発明者らが、香気成分を保持する
性能が高い非晶性ポリエステル樹脂として当業界におい
てよく知られているPET−G(イーストマンコダック
社製PET-G6763)を内層に用いる容器は、該容器に過酸
化水素殺菌処理を施すと、樹脂間のヒートシール性が著
しく低下することを見出した。
【0006】このように、ポリオレフィン系樹脂からな
るヒートシール材は保香性に劣り、またポリエステル樹
脂はポリオレフィン系樹脂に較べ保香性は優れるが過酸
化水素殺菌処理によりヒートシール性が低下するという
問題点がある。
【0007】本発明者らはこのような従来技術に鑑み鋭
意検討したところ、[A]ジカルボン酸成分単位を10
0モル%とした場合に、テレフタル酸(a)から導かれ
る構成単位が80〜95モル%の量で、アジピン酸
(b)から導かれる構成単位が20〜5モル%の量で存
在するジカルボン酸成分単位と、[B]ジヒドロキシ化
合物成分単位を100モル%とした場合に、エチレング
リコール(c)から導かれる構成単位が55〜90モル
%の量で、下記式(1)〜(3)で表される少なくとも
一つの化合物から選ばれるジヒドロキシ化合物(d)か
ら導かれる構成単位が45〜10モル%の量で存在する
ジヒドロキシ化合物成分単位と、
【0008】
【化5】
【0009】必要に応じて、[C]ジカルボン酸成分単
位とジヒドロキシ化合物成分単位との合計量を100モ
ル%とした場合に、3価以上の多価カルボン酸化合物か
ら導かれる構成単位および/または3価以上の多価ヒド
ロキシ化合物から導かれる構成単位が0.01〜2モル
%の量で存在する多官能性化合物成分単位とからなるポ
リエステル樹脂は、ヒートシール強度に優れ、しかも熱
過酸化水素水溶液処理をしてもヒートシール強度の低下
が少ないことを見出して本発明を完成するに到った。
【0010】
【発明の目的】本発明は、ヒートシール強度に優れ、し
かも熱水処理あるいは熱過酸化水素処理によってもヒー
トシール強度の低下が少なく、かつ保香性に優れたポリ
エステル樹脂およびその製造方法を提供することを目的
としている。
【0011】
【発明の概要】本発明に係るポリエステル樹脂は、
(i)[A]ジカルボン酸成分単位を100モル%とし
た場合に、テレフタル酸(a)から導かれる構成単位が
80〜95モル%の量で、アジピン酸(b)から導かれ
る構成単位が20〜5モル%の量で存在するジカルボン
酸成分単位と、[B]ジヒドロキシ化合物成分単位を1
00モル%とした場合に、エチレングリコール(c)か
ら導かれる構成単位が55〜90モル%の量で、下記式
(1)〜(3)で表される少なくとも一つの化合物から
選ばれるジヒドロキシ化合物(d)から導かれる構成単
位が45〜10モル%の量で存在するジヒドロキシ化合
物成分単位とからなり、
【0012】
【化6】
【0013】(ii)JIS Z-1707に示される測定法に準じ
て、ヒートシール温度130℃、ヒートシール圧力2k
gf/cm2、ヒートシール時間2秒の条件で測定した
ヒートシール強度が2.0kgf/15mm以上であ
り、(iii)80℃の35%過酸化水素水溶液に30秒
間浸漬し、過酸化水素水溶液を拭き取った後、70℃で
30分間送風乾燥した後の、ヒートシール温度130
℃、ヒートシール圧力2kgf/cm2、ヒートシール
時間2秒の条件で測定した上記ヒートシール強度が1.
0kgf/15mm以上であり、(iv)o-クロロフェノ
ール中25℃で測定した極限粘度[η]が0.40〜1.
0dl/gであり、(v)ガラス転移温度(Tg)が4
5〜80℃であることを特徴としている。
【0014】このような本発明に係るポリエステル樹脂
は、上記のような[A]ジカルボン酸成分単位と、
[B]ジヒドロキシ化合物成分単位のほかに、必要に応
じて、[C]3価以上の多価カルボン酸化合物から導か
れる構成単位および/または3価以上の多価ヒドロキシ
化合物から導かれる構成単位を含んでいてもよい。
【0015】また、本発明に係るポリエステル樹脂の製
造方法は、テレフタル酸(a)とアジピン酸(b)とエ
チレングルコール(c)と下記式(1)〜(3)で表さ
れる少なくとも一つの化合物から選ばれるジヒドロキシ
化合物(d)とをエステル化し、
【0016】
【化7】
【0017】次いで、得られた重縮合物を重合触媒の存
在下に重縮合して[A]ジカルボン酸成分単位を100
モル%とした場合に、テレフタル酸(a)から導かれる
構成単位が80〜95モル%の量で、アジピン酸(b)
から導かれる構成単位が20〜5モル%の量で存在する
ジカルボン酸成分単位と、[B]ジヒドロキシ化合物成
分単位を100モル%とした場合に、エチレングリコー
ル(c)から導かれる構成単位が55〜90モル%の量
で、ジヒドロキシ化合物(d)から導かれる構成単位が
45〜10モル%の量で存在するジヒドロキシ化合物成
分単位とからなるポリエステル樹脂を製造することを特
徴としている。
【0018】このような本発明に係る製造方法によって
得られるポリエステル樹脂は、上記のような[A]ジカ
ルボン酸成分単位と、[B]ジヒドロキシ化合物成分単
位のほかに、必要に応じて、[C]3価以上の多価カル
ボン酸化合物から導かれる構成単位および/または3価
以上の多価ヒドロキシ化合物から導かれる構成単位を含
んでいてもよい。
【0019】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係るポリエステル
樹脂およびその製造方法について具体的に説明する。
【0020】本発明に係るポリエステル樹脂は、テレフ
タル酸(a)から導かれる構成単位およびアジピン酸
(b)から導かれる構成単位を含むジカルボン酸成分単
位と、エチレングリコール(c)から導かれる構成単位
および上記式(1)〜(3)で表される少なくとも一つ
の化合物から選ばれるジヒドロキシ化合物(d)から導
かれる構成単位を含むジヒドロキシ化合物成分単位とか
らなっている。
【0021】該ポリエステル樹脂を構成するジカルボン
酸成分単位では、ジカルボン酸成分単位を100モル%
とした場合に、テレフタル酸(a)から導かれる構成単
位は80〜95モル%、好ましくは84〜92モル%の
量で、アジピン酸(b)から導かれる成分単位は20〜
5モル%、好ましくは16〜8モル%の量で存在してい
ることが望ましい。
【0022】ジヒドロキシ化合物成分単位では、ジヒド
ロキシ化合物成分単位を100モル%とした場合に、エ
チレングリコール(c)から導かれる構成単位は55〜
90モル%、好ましくは60〜85モル%の量で、上記
式(1)〜(3)で表される少なくとも一つの化合物か
ら選ばれるジヒドロキシ化合物(d)から導かれる構成
単位は45〜10モル%、好ましくは40〜15モル%
の量で存在していることが望ましい。
【0023】上記式(1)で表される化合物として、具
体的には、ネオペンチルグリコール、ビス(2-ヒドロキ
シエチル)ジメチルメタンを例示できる。上記式(2)
で表される化合物として、具体的には、シクロヘキサン
ジメタノール、シクロヘキサンジエタノール、シクロヘ
キサンジプロパノール、シクロヘキサンジブタノールを
例示できる。
【0024】上記式(3)で表される化合物として、具
体的には、ビス(2-ヒドロキシエトキシフェニル)ジメ
チルメタンを例示できる。これらジヒドロキシ化合物
(d)の中では、ネオペンチルグリコール、シクロヘキ
サンジメタノール、ビス(2-ヒドロキシエトキシフェニ
ル)ジメチルメタンが好ましく、この中でも特にシクロ
ヘキサンジメタノールが好ましい。
【0025】また、このポリエステル樹脂には2モル%
以下の量で、3価以上の多価カルボン酸化合物および/
または3価以上の多価ヒドロキシ化合物が共縮合されて
いてもよい。
【0026】このような3価以上の多価カルボン酸化合
物として具体的には、トリメリット酸、ピロメリット酸
などが挙げられる。この中では、トリメリット酸が好ま
しい。
【0027】また3価以上の多価ヒドロキシ化合物とし
て具体的には、トリメチロールメタン、トリメチロール
エタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトー
ルなどが挙げられる。
【0028】この中では、トリメチロールプロパンが好
ましい。さらに、本発明に係るポリエステル樹脂は、5
モル%以下の他のジカルボン酸成分単位および/または
他のジヒドロキシ化合物成分単位が含まれていてもよ
い。
【0029】テレフタル酸(a)成分単位およびアジピ
ン酸(b)成分単位以外のジカルボン酸成分単位として
具体的には、 フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジ
フェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン
酸などの芳香族ジカルボン酸; コハク酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボ
ン酸などの脂肪族ジカルボン酸; シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸
などから導かれる成分単位が挙げられる。
【0030】エチレングリコール(c)成分単位および
上記式(1)〜(3)で表される少なくとも一つの化合
物から選ばれるジヒドロキシ化合物(d)成分単位以外
のジヒドロキシ化合物成分単位として、具体的には、ト
リエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジエ
チレングリコール、シクロヘキサンジオール、1,3-ビス
(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4-ビス(2-ヒド
ロキシエトキシ)ベンゼン、ビス(4-β-ヒドロキシエ
トキシフェニル)スルホンなどから導かれる成分単位が
挙げられる。
【0031】また、本発明に係るポリエステル樹脂は、
ベンゾイル安息香酸、ジフェニルスルホンモノカルボン
酸、ステアリン酸、メトキシポリエチレングリコール、
フェノキシポリエチレングリコールなどの単官能化合物
から導かれる構成単位を少量たとえば2モル%以下の量
で含んでいてもよい。
【0032】このような本発明に係るポリエステル樹脂
は、JIS Z-1707に示される測定法に準じて、ヒートシー
ル温度130℃、ヒートシール圧力2kgf/cm2
ヒートシール時間2秒の条件で測定したヒートシール強
度が、通常2.0kgf/15mm以上、好ましくは2.
5kgf/15mm以上であり、80℃の35%過酸化
水素水溶液に30秒間浸漬し、過酸化水素水溶液を拭き
取った後、70℃で30分間送風乾燥した後の、ヒート
シール温度130℃、ヒートシール圧力2kgf/cm
2、ヒートシール時間2秒の条件で測定した上記ヒート
シール強度が、通常1.0kgf/15mm以上、好ま
しくは1.5kgf/15mm以上である。
【0033】また、このようなポリエステル樹脂は、極
限粘度[η]は、通常0.40〜1.0dl/g、好まし
くは0.5〜0.9dl/gであり、ガラス転移温度(T
g)は、通常45〜80℃、好ましくは50〜75℃で
ある。
【0034】なお、極限粘度[η]は以下の方法によっ
て測定される。すなわちポリエステル樹脂をo-クロロ
フェノールに、1g/100ml の濃度で溶かし、25
℃でウベローデ型毛細管粘度計を用いて溶液粘度の測定
を行い、その後o-クロロフェノールを徐々に添加し
て、低濃度側の溶液粘度を測定し、0%濃度に外挿して
極限粘度([η])を求める。
【0035】このような本発明に係るポリエステル樹脂
は、ヒートシール性にとくに優れており、熱水処理ある
いは熱過酸化水素処理を施してもそのヒートシール強度
の低下は少ない。たとえば本発明に係るポリエステル樹
脂[テレフタル酸/アジピン酸/エチレングリコール/
シクロヘキサンジメタノール(90/10/70/3
0)]は、120℃のヒートシール強度は3400g/
15mmであり、80℃の35%過酸化水素水溶液に3
0秒間浸漬し、過酸化水素水溶液を拭き取った後、70
℃で30分間送風乾燥した後の上記ヒートシール強度は
1900g/15mmであるのに対し、従来公知のポリ
エステル樹脂[テレフタル酸/エチレングリコール/シ
クロヘキサンジメタノール(100/70/30)]
は、120℃のヒートシール強度は1800g/15m
mであり、上記と同様に80℃過酸化水素水溶液処理を
した後のヒートシール強度は60g/15mmである。
【0036】また、上記のような本発明に係るポリエス
テル樹脂は、保香性にも優れており、このポリエステル
樹脂と接触するジュースなどの液体に異味、異臭をもた
らすことが少なく、しかもジュースなどの液体が有する
香気を外部に散逸させることが少ない。さらに、このポ
リエステル樹脂は、落袋強度などの衝撃強度、ハンドリ
ング上重要な滑り性、折り曲げ性などの機械的特性、ガ
スバリヤ性、耐油性にも優れている。
【0037】したがって、本発明に係るポリエステル樹
脂は、ヒートシール材、フィルム包装材、紙容器被覆材
などに極めて有用性が高い。次に、本発明に係るポリエ
ステル樹脂の製造方法について説明する。
【0038】上記したようなジカルボン酸と、ジヒドロ
キシ化合物と、必要に応じて3価以上の多価カルボン酸
化合物および/または3価以上の多価ヒドロキシ化合物
とをエステル化した後、重縮合用触媒の存在下で液相重
合することにより、上記したようなポリエステル樹脂が
製造される。
【0039】本発明に係るポリエステル樹脂を形成する
には、回分方式、連続方式のいずれを採用してもよい
が、以下連続方式での製造方法について説明する。具体
的には、まずテレフタル酸(a)およびアジピン酸
(b)を含むジカルボン酸またはそのエステル形成性誘
導体と、エチレングリコール(c)および上記式(1)
〜(3)で表される少なくとも一つの化合物から選ばれ
るジヒドロキシ化合物(d)を含むジヒドロキシ化合物
またはそのエステル形成性誘導体と、必要に応じて、3
価以上の多価カルボン酸化合物および/または3価以上
の多価ヒドロキシ化合物とを含むスラリーを調製する。
このようなスラリーには、ジカルボン酸成分またはその
エステル形成性誘導体1モルに対して1.02〜2.0モ
ル、好ましくは1.03〜1.5モルのジヒドロキシ化合
物成分またはそのエステル形成性誘導体が含まれる。ま
た、必要に応じて用いられる3価以上の多価カルボン酸
化合物および/または3価以上の多価ヒドロキシ化合物
は、ジカルボン酸成分単位とジヒドロキシ化合物成分単
位との合計量を100モル%とした場合に0.01〜2
モル%、好ましくは0.05〜1モル%の量で用いられ
る。このスラリーは、エステル化反応工程に連続的に供
給される。
【0040】エステル化反応は、少なくとも2個のエス
テル化反応器を直列に連結した装置を用いてジヒドロキ
シ化合物が還流する条件下で、反応によって生成した水
を精留塔で系外に除去しながら実施される。エステル化
反応を行なう際の反応条件は、第1段目のエステル化反
応の温度は、通常240〜270℃、好ましくは245
〜265℃であり、圧力は、通常0.2〜3kg/cm2
-G、好ましくは0.5〜2kg/cm2-Gであり、また
最終段目のエステル化反応の温度は、通常250〜28
0℃、好ましくは255〜275℃であり、圧力は、通
常0〜1.5kg/cm2-G、好ましくは0〜1.3kg
/cm2-Gであることが望ましい。したがって、エステ
ル化反応を2段階で実施する場合には、第1段目および
第2段目のエステル化反応条件がそれぞれ上記の範囲で
あり、3段階以上で実施する場合には、第2段目から最
終段の1段前までエステル化反応の反応条件は、上記第
1段目の反応条件と最終段目の反応条件の間の条件であ
る。たとえば、エステル化反応が3段階で実施される場
合には、第2段目のエステル化反応の反応温度は、通常
245〜275℃、好ましくは250〜270℃であ
り、圧力は通常0〜2kg/cm2-G、好ましくは0.
2〜1.5kg/cm2-Gであることが望ましい。
【0041】これらのエステル化反応の反応率は、それ
ぞれの段階においては、とくに制限はないが、各段階に
おけるエステル化反応率の上昇の度合が滑らかに分配さ
れることが好ましく、さらに最終段目のエステル化反応
生成物において、通常90%以上、好ましくは93%以
上に達することが望ましい。
【0042】このエステル化工程により低次縮合物が得
られ、この低次縮合物の数平均分子量は、通常、500
〜5000である。このようなエステル化反応は後述す
る重縮合触媒の共存下に実施することも可能であり、さ
らにトリエチルアミン、トリn-ブチルアミン、ベンジル
ジメチルアミンなどの第3級アミン、水酸化テトラエチ
ルアンモニウム、水酸化テトラn-ブチルアンモニウム、
水酸化トリメチルベンジルアンモニウムなどの水酸化第
4級アンモニウムおよび炭酸リチウム、炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウムなどの塩基性化合物
を少量添加して実施すると、ポリエステル樹脂の主鎖中
のジオキシエチレンテレフタレート成分単位の割合を比
較的低水準に保持できるので好ましい。
【0043】次いで、得られた低次縮合物は重縮合触媒
の存在下に減圧下で、得られるポリエステル樹脂の融点
以上の温度に加熱し、この際生成するグリコールを系外
に留去させて縮重合する液相縮重合工程に供給される。
【0044】このような液相での重縮合反応は、1段階
で行なってもよく、複数段階に分けて行なってもよい。
複数段階で行なう場合、重縮合反応条件は、第1段階目
の重縮合の反応温度が、通常250〜290℃、好まし
くは260〜280℃であり、圧力が通常、500〜2
0Torr、好ましくは200〜30Torrであり、
また最終段階の重縮合反応の温度が、通常265〜30
0℃、好ましくは270〜295℃であり、圧力が通常
10〜0.1Torr、好ましくは5〜0.5Torrで
ある。
【0045】重縮合反応を2段階で実施する場合には、
第1段目および第2段目の重縮合反応条件はそれぞれ上
記の範囲であり、3段階以上で実施する場合には、第2
段目から最終段目の1段前までの重縮合反応の反応条件
は上記1段目の反応条件と最終段目の反応条件との間の
条件である。
【0046】たとえば、重縮合反応が3段階で実施され
る場合には、第2段目の重縮合反応の反応温度は、通常
260〜295℃、好ましくは270〜285℃であ
り、圧力は通常、50〜2Torr、好ましくは40〜
5Torrの範囲である。
【0047】これらの重縮合反応工程の各々において到
達される極限粘度[η]はとくに制限はないが、各段階
における極限粘度の上昇の度合が滑らかに分配されるこ
とが好ましく、さらに最終段目の重縮合反応器から得ら
れるポリエステル樹脂の極限粘度[η]は、通常0.4
0〜1.0dl/g、好ましくは0.50〜0.90dl
/gの範囲であることが望ましい。
【0048】重縮合反応は、触媒および安定剤の存在下
に実施されることが好ましい。触媒として二酸化ゲルマ
ニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウム
テトラn-ブトキシドなどのゲルマニウム化合物、三酸化
アンチモンなどのアンチモン触媒およびチタニウムテト
ラブトキサイドなどのチタン触媒を用いることができ
る。これらの触媒の中では、二酸化ゲルマニウム化合物
を用いることが好ましい。
【0049】また、安定剤としては、トリメチルホスフ
ェート、トリエチルホスフェート、トリn-ブチルホスフ
ェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホス
フェートなどの燐酸エステル類、トリフェニルホスファ
イト、トリスドデシルホスファイト、トリスノニルフェ
ニルホスファイトなどの亜リン酸エステル類、メチルア
シッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェー
ト、ブチルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェー
ト、モノブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート
などの酸性リン酸エステルおよびリン酸、ポリリン酸な
どのリン化合物が用いられる。
【0050】これらの触媒あるいは安定剤の使用割合
は、ジカルボン酸成分とジヒドロキシ化合物成分との混
合物の重量に対して、触媒の場合には触媒中の金属の重
量として、通常0.0005〜0.2重量%、好ましくは
0.001〜0.05重量%の範囲であり、また安定剤の
場合には、安定剤中のリン原子の重量として、通常0.
001〜0.1重量%、好ましくは0.002〜0.02
重量%の範囲である。これらの触媒および安定剤は、エ
ステル化反応工程の段階で供給してもよく、重縮合反応
工程の第1段目の反応器に供給することもできる。
【0051】このような液相重縮合工程で得られるポリ
エステル樹脂は、通常、溶融押出成形法によって粒状
(チップ状)に成形される。上記のようにして得られた
粒状のポリエステル樹脂は、必要ならば乾燥を行っても
よい。
【0052】次に、本発明に係るポリエステル樹脂の回
分式での製造方法について具体的に説明する。まずテレ
フタル酸(a)およびアジピン酸(b)を含むジカルボ
ン酸またはそのエステル形成性誘導体と、エチレングリ
コール(c)および上記式(1)〜(3)で表される少
なくとも一つの化合物から選ばれるジヒドロキシ化合物
(d)を含むジヒドロキシ化合物またはそのエステル形
成性誘導体と、必要に応じて、3価以上の多価カルボン
酸化合物および/または3価以上の多価ヒドロキシ化合
物とを含むスラリーを調製する。このようなスラリーに
は、ジカルボン酸成分またはそのエステル形成性誘導体
1モルに対して1.02〜3.0モル、好ましくは1.0
5〜2.0モルのジヒドロキシ化合物成分またはそのエ
ステル形成性誘導体が含まれる。また、必要に応じて用
いられる3価以上の多価カルボン酸化合物成分および/
または3価以上の多価ヒドロキシ化合物成分はジカルボ
ン酸成分単位とジヒドロキシ化合物成分単位との合計量
を100モル%とした場合に0.01〜2モル%、好ま
しくは0.05〜1モル%の量で含まれる。このスラリ
ーは、エステル化反応器に供給される。
【0053】エステル化反応は、ジヒドロキシ化合物が
還流する条件下で、反応によって生成した水を精留塔で
系外に除去しながら実施される。また、エステル化反応
は、窒素ガス、アルゴンガス、炭酸ガスなどの不活性ガ
ス雰囲気下で実施することが好ましく、これらの不活性
ガスの中では窒素ガスが好ましい。
【0054】エステル化反応を行なう際の反応条件は、
温度が、通常200〜300℃、好ましくは220〜2
60℃であり、圧力が、通常0〜3.0kg/cm2-
G、好ましくは0.5〜2.0kg/cm2-Gであること
が望ましい。
【0055】エステル化反応条件を2段階で変化させる
場合には、第1段階および第2段階のエステル化反応条
件がそれぞれ上記の範囲であり、3段階以上で変化させ
てもよい。
【0056】エステル化反応の反応率は、通常は90%
以上、好ましくは93%以上に達することが望ましい。
これらのエステル化工程により低次縮合物が得られ、こ
の低次縮合物の数平均分子量は、通常、500〜500
0である。
【0057】このようなエステル化反応はジカルボン酸
およびジヒドロキシ化合物以外の添加物を添加せずに実
施することも可能であり、また前述のような重縮合触媒
の共存下に実施することも可能であるが、さらにトリエ
チルアミン、トリn-ブチルアミン、ベンジルジメチルア
ミンなどの第3級アミン、水酸化テトラエチルアンモニ
ウム、水酸化テトラn-ブチルアンモニウム、水酸化トリ
メチルベンジルアンモニウムなどの水酸化第4級アンモ
ニウムおよび炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリ
ウム、酢酸ナトリウムなどの塩基性化合物を少量添加し
て実施すると、ポリエステル樹脂の主鎖中のジオキシエ
チレンテレフタレート成分単位の割合を比較的低水準に
保持できるので好ましい。
【0058】次いで、得られた低次縮合物は重縮合触媒
の存在下に減圧下で、得られるポリエステル樹脂の融点
以上の温度に加熱し、この際生成するグリコールを系外
に留去させて縮重合する液相縮重合工程に供給される。
【0059】このような液相での重縮合反応では、反応
条件を2段階以上に変化させることが好ましい。重縮合
反応条件は、第1段階の重縮合の反応温度が、通常24
0〜300℃、好ましくは260〜290℃であり、圧
力が通常20〜0.1Torr、好ましくは5〜0.2T
orrであり、また最終段階の重縮合反応の温度が、通
常260〜290℃であり、圧力が、通常3〜0.5T
orrである。
【0060】重縮合反応条件を2段階で変化させる場合
には、第1段階および第2段階の重縮合反応条件はそれ
ぞれ上記の範囲であり、3段階以上で実施する場合に
は、第2段階から最終段階の1段階前までの重縮合反応
の反応条件は上記第1段階の反応条件と最終段階の反応
条件との間の条件である。
【0061】たとえば、重縮合反応条件を3段階に変化
させる場合には、第2段階の重縮合反応の反応温度は、
通常260〜295℃、好ましくは270〜285℃で
あり、圧力は通常15〜0.2Torr、好ましくは1
0〜0.2Torrの範囲である。
【0062】重縮合反応工程において到達される極限粘
度[η]は、通常0.40〜1.0dl/g、好ましくは
0.50〜0.90dl/gの範囲であることが望まし
い。このような重縮合反応は、触媒および安定剤の存在
下に実施されることが好ましい。重合反応において用い
られる触媒および安定剤としては前記連続方式の場合と
同様である。これらの触媒あるいは安定剤の使用割合
は、ジカルボン酸成分とジヒドロキシ化合物成分との混
合物の重量に対して、触媒の場合には触媒中の金属の重
量として、通常0.0005〜0.2重量%、好ましくは
0.001〜0.05重量%の範囲であり、また安定剤の
場合には、安定剤中のリン原子の重量として、通常0.
001〜0.1重量%、好ましくは0.002〜0.02
重量%の範囲である。これらの触媒および安定剤は、エ
ステル化反応工程の段階で供給してもよく、重縮合反応
工程の反応器に供給することもできる。
【0063】このような液相重縮合工程で得られるポリ
エステル樹脂は、通常、溶融押出成形法によって粒状
(チップ状)に成形される。上記のようにして得られた
粒状のポリエステル樹脂は、必要ならば乾燥を行っても
よい。
【0064】
【発明の効果】本発明に係るポリエステル樹脂は、
[A]ジカルボン酸成分単位を100モル%とした場合
に、テレフタル酸(a)から導かれる構成単位が80〜
95モル%の量で、アジピン酸(b)から導かれる構成
単位が20〜5モル%の量で存在するジカルボン酸成分
単位と、[B]ジヒドロキシ化合物成分単位を100モ
ル%とした場合に、エチレングリコール(c)から導か
れる構成単位が55〜90モル%の量で含み、上記式
(1)〜(3)で表される少なくとも一つの化合物から
選ばれるジヒドロキシ化合物(d)から導かれる構成単
位が45〜10モル%の量で存在するジヒドロキシ化合
物成分単位と、必要に応じて、[C]ジカルボン酸成分
単位とジヒドロキシ化合物成分単位との合計量を100
モル%とした場合に、3価以上の多価カルボン酸化合物
から導かれる構成単位および/または3価以上の多価ヒ
ドロキシ化合物から導かれる構成単位を0.01〜2モ
ル%の量で含む多官能性化合物成分単位とからなってい
る。
【0065】このようなポリエステル樹脂は、ヒートシ
ール強度に優れ、かつ過酸化水素水溶液処理によってヒ
ートシール強度が低下することが少なく、また、特定の
極限粘度[η]およびガラス転移点(Tg)を有してい
る。このため、ヒートシール材として好適に用いること
ができる。
【0066】また、本発明に係るポリエステル樹脂は、
液体充填用容器などに用いられる積層材として使用した
場合に、ヒートシール強度に優れ、熱水処理あるいは熱
過酸化水素処理によってもヒートシール強度が低下する
ことも少ない。また、保香性に優れ、充填内容物に異
味、異臭をもたらすことが少なく、かつ充填内容物の香
気成分を外部に散逸させることが少ない。さらに、落袋
強度や滑り性などの機械的特性にも優れている。
【0067】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0068】
【実施例1】ステンレススチール製反応器に、69.1
kgのテレフタル酸、6.75kgのアジピン酸、31.
0kgエチレングリコール、21.2kgのシクロヘキ
サンジメタノールを充填した。この混合物を窒素ガス雰
囲気下に2.5時間以上かけて180℃〜240℃の温
度まで加熱し、この間反応混合物から水を除去した。次
に反応混合物をステンレススチール製重合槽に移し、1
6.0gの二酸化ゲルマニウムを61.3gの20%エチ
ルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液に溶解したも
のおよび23.1gのモノメチルフォスファイトを添加
し、反応温度を2時間以上かけて220℃から250℃
まで上げた。圧力をさらに1時間以上かけて0.5To
rrに除々に下げ、この間温度は265℃まで上昇させ
た。
【0069】続く1時間内に、温度は275℃まで上昇
した。さらにこれらの条件下に3時間保ってから、反応
器を窒素ガスで大気圧までもどし、ポリマーを反応器か
ら押出し、冷却してからペレット化した。
【0070】得られたポリエステル樹脂について、極限
粘度、ガラス転移点、融点、ヒートシール強度、落体強
度(破袋率)、味覚性および静摩擦係数について調べた
結果を第1表および第2表に示した。
【0071】ここで上記物性は以下の方法によって測定
した。 (1)極限粘度[η] ポリエステル樹脂をo-クロロフェノールに、1g/1
00ml の濃度で溶かし、25℃でウベローデ型毛細管
粘度計を用いて溶液粘度の測定を行い、その後o-クロ
ロフェノールを徐々に添加して、低濃度側の溶液粘度を
測定し、0%濃度に外挿して極限粘度([η])を求め
る。 (2)ガラス転移点(Tg) ポリエステル樹脂を40℃で約5mmHgの圧力下14
日間かけて乾燥する。この乾燥したペレットの中央部か
ら採取した試料約10mmHgの薄片を、液体用アルミ
ニウムパン中に窒素雰囲気下に封入した後、パーキンエ
ルマー社製DSC−7型示差走査型熱量計を用いて、室
温(20℃)より10℃/分で昇温して測定した。図1
にTgの求め方を示す。 (3)融点 ガラス転移点と同様にして、パーキンエルマー社製DS
C−7型示差走査型熱量計を用いて、室温(20℃)よ
り10℃/分で昇温して融解熱のピーク温度を融点とし
て測定した。 (4)ヒートシール強度 日立造船(株)製65mmφ押出機を用いて、シリンダ
ー温度280℃でポリエステル樹脂を溶融押出し、静電
密着装置を備えた表面温度30℃の冷却ドラム上でメル
トフィルムを冷却し、100μmの厚みを有するフィル
ムを得た。
【0072】このフィルムを(A)23℃、50%RH
のオーブンに1日放置した(以下、初期という)。その
後(B)80℃の35%過酸化水素水溶液に30秒間浸
漬し、過酸化水素水溶液を拭き取った後、70℃で30
分送風乾燥した(以下、処理後という)。
【0073】上記のようにして調製した試料をJIS Z-17
07に示される測定法に準じて測定した。図2にヒートシ
ーラーの概略説明図を示す。具体的なヒートシール条件
は以下の通りである。
【0074】ヒートシーラー;テスター産業(株)製 フィルム ;約120mm×120mm 上部シールバー;アルミニウム製でシール幅は5mmで
あり、実用のヒートシール性を調べるため、80℃〜1
40℃まで温度を変えた。
【0075】下部シールバー;上部シールバーの受けに
なるもので、厚さ5.2mm、ショアA硬度52±1の
もの。温度70℃ シール圧力 ;2kgf/cm2 シール時間 ;2秒間 インストロン型万能材料試験機;ヒートシールしたフィ
ルムサンプルを15mm幅に切断し試験片として、30
0mm/分の引張速度でヒートシール部を180°で引
張り、ヒートシール部の最大荷重をヒートシール強度と
して求めた。 (5)落袋強度(破袋率) 100μmの厚みのフィルムを2枚用いて、縦200m
m、横200mmの三方を上記テスター産業(株)製ヒ
ートシーラーを用いて上記に示す条件でシールした袋を
作り、その中に蒸留水を250ml入れ、空気を袋の内
部に残さないように他の一片を液付シールした。
【0076】このように作成した20個の袋を、5℃の
冷蔵庫に1日間放置後、1.2mの高さよりコンクリー
ト面に落下させ破袋率を求めた。このときの破袋率は下
記式により求めた。
【0077】 (6)味覚性 100μmの厚みの初期フィルムを用いて、落袋強度と
同様にして三方をシールした袋を作成し、その中に純水
250mlを入れ、空気を袋の内部に残さないように他
の一片を液付シールした。
【0078】この袋を40℃で1ヵ月オーブン中に保存
し、パネラー10人で味覚官能評価を行った。 ○:味覚の変化が感じられない。
【0079】×:味覚の変化を感じた。 (7)静摩擦係数 ASTM-D-1894 に準じてインストロン型万能材料試験機を
用い100μmの厚みの初期フィルムについて引張速度
200mm/分で測定した。
【0080】1.0以上 ;フィルムの滑り性がきわめ
て悪く、実用上ハンドリングできない。0.4〜0.6;
滑り性が適当であり、実用上ハンドリングしやすい。
【0081】0.3以下 ;フィルムの滑り過ぎるた
め、実用上かえってハンドリングしにくい。
【0082】
【比較例1】ポリエチレン樹脂(三井石油化工業(株)
製ミラソンM-11)を使用した以外は実施例1と同様にし
て、極限粘度、ガラス転移点、融点、ヒートシール強
度、落体強度(破袋率)、味覚性、静摩擦係数について
調べた。
【0083】結果を第1表および第2表に示す。
【0084】
【実施例2〜9および比較例1〜12】第1表に示す組
成の化合物を反応させた以外は、実施例1と同様にして
ポリエステル樹脂を得、実施例1と同様にして各種物性
を求めた。
【0085】結果を第1表および第2表に示す。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】
【表3】
【0089】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【図1】ガラス転移点の求め方を示す図である。
【図2】ヒートシーラーの概略説明図である。
【符号の説明】
1 試料フィルム 2 テフロンフィルム 3 上部シールバー 4 下部シールバー
フロントページの続き (72)発明者 高 阪 真 樹 山口県玖珂郡和木町和木六丁目1番2号 三井石油化学工業株式会社内 (72)発明者 平 岡 孝 之 山口県玖珂郡和木町和木六丁目1番2号 三井石油化学工業株式会社内 (56)参考文献 実開 平2−52762(JP,U) 特公 昭47−40558(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G08G 63/00 - 63/91

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(i)[A]ジカルボン酸成分単位を10
    0モル%とした場合に、テレフタル酸(a)から導かれ
    る構成単位が80〜95モル%の量で、アジピン酸
    (b)から導かれる構成単位が20〜5モル%の量で存
    在するジカルボン酸成分単位と、[B]ジヒドロキシ化
    合物成分単位を100モル%とした場合に、エチレング
    リコール(c)から導かれる構成単位が55〜90モル
    %の量で、式(1)〜(3)で表される少なくとも一つ
    の化合物から選ばれるジヒドロキシ化合物(d)から導
    かれる構成単位が45〜10モル%の量で存在するジヒ
    ドロキシ化合物成分単位とからなり、 【化1】 (ii)JIS Z-1707に示される測定法に準じて、ヒートシ
    ール温度130℃、ヒートシール圧力2kgf/c
    2、ヒートシール時間2秒の条件で測定したヒートシ
    ール強度が2.0kgf/15mm以上であり、(iii)
    80℃の35%過酸化水素水溶液に30秒間浸漬し、過
    酸化水素水溶液を拭き取った後、70℃で30分間送風
    乾燥した後の、ヒートシール温度130℃、ヒートシー
    ル圧力2kgf/cm2、ヒートシール時間2秒の条件
    で測定した上記ヒートシール強度が1.0kgf/15
    mm以上であり、(iv)o-クロロフェノール中25℃で
    測定した極限粘度[η]が0.40〜1.0dl/gであ
    り、(v)ガラス転移温度(Tg)が45〜80℃であ
    ることを特徴とするポリエステル樹脂。
  2. 【請求項2】(i)[A]ジカルボン酸成分単位を10
    0モル%とした場合に、テレフタル酸(a)から導かれ
    る構成単位が80〜95モル%の量で、アジピン酸
    (b)から導かれる構成単位が20〜5モル%の量で存
    在するジカルボン酸成分単位と、[B]ジヒドロキシ化
    合物成分単位を100モル%とした場合に、エチレング
    リコール(c)から導かれる構成単位が55〜90モル
    %の量で、下記式(1)〜(3)で表される少なくとも
    一つの化合物から選ばれるジヒドロキシ化合物(d)か
    ら導かれる構成単位が45〜10モル%の量で存在する
    ジヒドロキシ化合物成分単位と、 【化2】 [C]ジカルボン酸成分単位とジヒドロキシ化合物成分
    単位との合計量を100モル%とした場合に、3価以上
    の多価ヒドロキシ化合物から導かれる構成単位が0.0
    1〜2モル%の量で存在する多官能性化合物成分単位と
    からなり、(ii)JIS Z-1707に示される測定法に準じ
    て、ヒートシール温度130℃、ヒートシール圧力2k
    gf/cm2、ヒートシール時間2秒の条件で測定した
    ヒートシール強度が2.0kgf/15mm以上であ
    り、(iii)80℃の35%過酸化水素水溶液に30秒
    間浸漬し、過酸化水素水溶液を拭き取った後、70℃で
    30分間送風乾燥した後の、ヒートシール温度130
    ℃、ヒートシール圧力2kgf/cm2、ヒートシール
    時間2秒の条件で測定した上記ヒートシール強度が1.
    0kgf/15mm以上であり、(iv)o-クロロフェノ
    ール中25℃で測定した極限粘度[η]が0.40〜1.
    0dl/gであり、(v)ガラス転移温度(Tg)が4
    5〜80℃であることを特徴とするポリエステル樹脂。
  3. 【請求項3】 上記ジヒドロキシ化合物(d)がシクロ
    ヘキサンジメタノールまたはネオペンチルグリコールで
    あることを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載
    のポリエステル樹脂。
  4. 【請求項4】 テレフタル酸(a)と、アジピン酸
    (b)と、エチレングリコール(c)と、下記式(1)
    〜(3)で表される少なくとも一つの化合物から選ばれ
    るジヒドロキシ化合物(d)とをエステル化し、 【化3】 次いで、得られた重縮合物を重合触媒の存在下に重縮合
    して、[A]ジカルボン酸成分単位を100モル%とし
    た場合に、テレフタル酸(a)から導かれる構成単位が
    80〜95モル%の量で、アジピン酸(b)から導かれ
    る構成単位が20〜5モル%の量で存在するジカルボン
    酸成分単位と、[B]ジヒドロキシ化合物成分単位を1
    00モル%とした場合に、エチレングリコール(c)か
    ら導かれる構成単位が55〜90モル%の量で、ジヒド
    ロキシ化合物(d)から導かれる構成単位が45〜10
    モル%の量で存在するジヒドロキシ化合物成分単位とか
    らなるポリエステル樹脂を製造することを特徴とする、
    ポリエステル樹脂の製造方法。
  5. 【請求項5】 テレフタル酸(a)とアジピン酸(b)
    とエチレングリコール(c)と下記式(1)〜(3)で
    表される少なくとも一つの化合物から選ばれるジヒドロ
    キシ化合物(d)とをエステル化し、 【化4】 次いで、得られた重縮合物を重合触媒の存在下に重縮合
    して[A]ジカルボン酸成分単位を100モル%とした
    場合に、テレフタル酸(a)から導かれる構成単位が8
    0〜95モル%の量で、アジピン酸(b)から導かれる
    構成単位が20〜5モル%の量で存在するジカルボン酸
    成分単位と、[B]ジヒドロキシ化合物成分単位を10
    0モル%とした場合に、エチレングリコール(c)から
    導かれる構成単位が55〜90モル%の量で、ジヒドロ
    キシ化合物(d)から導かれる構成単位が45〜10モ
    ル%の量で存在するジヒドロキシ化合物成分単位と、
    [C]ジカルボン酸成分単位とジヒドロキシ化合物成分
    単位との合計量を100モル%とした場合に、3価以上
    の多価カルボン酸化合物から導かれる構成単位および/
    または3価以上の多価ヒドロキシ化合物から導かれる構
    成単位が0.01〜2モル%の量で存在する多官能性化
    合物成分単位とからなるポリエステル樹脂を製造するこ
    とを特徴とするポリエステル樹脂の製造方法。
  6. 【請求項6】 上記ジヒドロキシ化合物(d)がシクロ
    ヘキサンジメタノールまたはネオペンチルグリコールで
    あることを特徴とする請求項4あるいは請求項5に記載
    のポリエステル樹脂の製造方法。
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