JP2020189892A - 延伸フィルム - Google Patents

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義之 湯淺
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Abstract

【課題】本発明の目的は、低温環境下だけでなく35℃より高温の環境下で保管してもヒートシール性が損なわれない延伸フィルムを提供することである。
【解決手段】本発明によれば、ヒートシールに供されて使用され且つポリエステルからなる延伸フィルムであって、表面にヒートシール前駆部が形成されており、下記式で表される重量平均分子量変化率が70%以下である延伸フィルムが提供される。
重量平均分子量変化率=(Mw−Mw)/Mw×100
式中、Mwは、前記ヒートシール前駆部が形成されていない延伸フィルムの重量平
均分子量を表し、Mwは、前記ヒートシール前駆部の重量平均分子量を表す。
【選択図】なし

Description

本発明は、ヒートシールに供されて使用され、ポリエステルからなり、高温下で保管してもヒートシール性が維持される延伸フィルムに関する。
ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルからなる延伸フィルムは、機械的強度、耐衝撃性、透明性等の物性に優れ、しかも内容物の香味保持性(フレーバー保持性)も良好であることから、優れた包装用素材である。そのため、延伸ポリエステルフィルムや、延伸ポリエステルフィルムを内層として有する積層体をヒートシールして形成されるパウチ等の包装袋やヒートシール蓋は、食品分野や医薬品分野等の様々な分野で期待されている。しかし、延伸成形されたフィルムはヒートシール性に乏しい。
延伸ポリエステルフィルム同士をヒートシールするためには、予め、フィルムの所望の領域にヒートシール性を付与しておく必要がある。具体的には、レーザーを照射する等して当該領域の結晶性を低下させる必要がある。ヒートシール性が付与されたフィルムをヒートシール性フィルムと呼ぶ。
ヒートシール性フィルムは、通常、ある程度の期間保管された後にシールバー等を用いてヒートシール加工されるが、保管条件によってはヒートシール加工をしても十分なシール強度を確保できない場合があった。
かかる問題を解決するため、特許文献1は、−25〜35℃の温度範囲でヒートシール性フィルムを保管する方法を開示している。特許文献1の方法によれば、3か月保管後でもシール強度を10N/15mm以上にすることができる。
特許第6094645号公報
しかしながら、特許文献1の方法では、35℃より高温の条件でヒートシール性フィルムを保管したときにはヒートシール性が損なわれ、十分なシール強度を確保することができない。そのため、夏季には空調管理された室内で保管しなければならない。また、調理場、高熱を発する電子機器の近く等、身の回りには季節を問わず35℃より高温となる場所は多々あるが、こうした高温環境下にヒートシール性フィルムを保管することができない。このようにヒートシール性フィルムには、保管環境の問題が依然としてあった。
従って、本発明の目的は、低温環境下だけでなく35℃より高温の環境下で保管してもヒートシール性が損なわれない延伸フィルムを提供することである。
本発明によれば、ヒートシールに供されて使用され且つポリエステルからなる延伸フィルムであって、表面にヒートシール前駆部が形成されており、下記式で表される重量平均分子量変化率が70%以下であることを特徴とする延伸フィルムが提供される。
重量平均分子量変化率=(Mw−Mw)/Mw×100
式中、Mwは、前記ヒートシール前駆部が形成されていない延伸フィルムの重量平
均分子量を表す。
Mwは、前記ヒートシール前駆部の重量平均分子量を表す。
本発明の延伸フィルムにおいては、以下の態様が好適である。
(1)前記ヒートシール前駆部の結晶化度が5%以下である。
(2)前記ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートである。
(3)前記ヒートシール前駆部が露出するようにして、他のフィルムの上に積層されている。
本発明の延伸フィルムは、ヒートシール前駆部の重量平均分子量とヒートシール前駆部が形成されていない延伸フィルムの重量平均分子量の差が小さい点に重要な特徴を有する。これにより、本発明の延伸フィルムは、35℃より高温の環境で長期に保管した後でもヒートシール性が損なわれず、強固にヒートシールすることができる。勿論、35℃以下の低温環境下で保管した後も同様にヒートシール性は維持されている。従って、本発明の延伸フィルムは、自由に保管環境を選ぶことができ、産業上極めて有利である。
<延伸フィルム>
本発明は、ポリエステルの延伸フィルムに関する。
ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の二塩基性カルボン酸とジオールとから誘導されたポリマーである。本発明の目的には、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
ポリエステルは、その本質を損なわない範囲内で、イソフタル酸、アジピン酸、デカンカルベン酸、コハク酸等の二塩基酸や、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンタンジオール等のジオール類を含有し得るが、これらの共重合成分は酸成分或いはジオール成分当り20モル%以下の量で存在するとよい。
ポリエステルは、フィルム形成範囲の分子量を有していればよく、30,000〜70,000、特に40,000〜60,000が好ましい。
溶媒としてフェノール/テトラクロロエタンの重量比が50/50の混合溶媒を用いて測定した固有粘度は、0.45〜0.80dl/g、特に0.55〜0.75dl/gが好ましい。
ガラス転移点は、65〜85℃であることが好ましい。また、融点は250〜270℃であることが好ましい。ガラス転移点および融点は、JIS K7121に基づき、示差走査熱量分析装置(DSC)を用いて測定することができる。
ポリエステルは、本発明の効果を損なわない範囲内で他の樹脂とブレンドして用いてもよい。また、結晶化用核剤、着色剤、充填剤、粉末乃至繊維状補強剤、滑剤、アンチブロッキング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤等の添加剤を配合し得ることは当然である。
延伸倍率は、用途などに応じて適宜決定すればよい。
本発明の延伸フィルムの厚みは、特に制限はないが、一般に3〜1,000μmの範囲にあることが好ましい。
本発明の延伸フィルムは単体でヒートシールに供される場合もあるが、他のフィルムの上に積層されてヒートシールに供される場合もある。
積層されている場合、本発明の延伸フィルムが表面に位置し、後述のヒートシール前駆部が露出するようになっている限り、層構成は任意である。各層の組成も任意である。
例えば種々の熱可塑性樹脂フィルム、アルミニウム等の金属箔、紙、セロハン等を外層または中間層とし、本発明の延伸フィルムを内層とすることが考えられる。
ガスバリア性を付与するのであれば、エチレンビニルアルコール共重合体、ナイロン又は環状オレフィンコポリマー等のガスバリア性樹脂から成る層、アルミニウムや酸化珪素などの金属酸化物蒸着膜を有する樹脂層、粘土鉱物を含有する樹脂層、アルミニウム等の金属箔を設けることが好ましい。
層同士は、必要に応じて公知の手段により接着すればよく、例えば熱接着してもよいし接着剤層を介して接着してもよい。但し、製造時に延伸作業の後で積層・接着作業を行う場合には、フィルムの収縮を回避するため、熱接着以外の手段を採用する必要がある。
本発明の延伸フィルムの表面にはヒートシール前駆部が設けられている。
ヒートシール前駆部では、レーザー照射等の処理により結晶性が低下されており、これによりヒートシール性が付与されている。
ヒートシール前駆部の結晶化度は、ヒートシール性が発揮できる程度に低ければよい。優れたヒートシール性を確実に得ることができるという観点から、結晶化度が5%以下であることが好ましい。
結晶化度は、ラマン顕微鏡を用いて測定される。詳述すると、ラマン顕微鏡を用いて測定したポリエステル樹脂のラマンシフトスペクトルでは、1060cm−1から1105cm−1の範囲に結晶性に依存する成分のピークtが表れる。また、1105cm−1から1160cm−1の範囲に非晶性に依存する成分のピークgが表れる。そのため、結晶性に依存する成分のピークtの高さをT、非晶性に依存する成分のピークgの高さをG、としたときTをGで除した値T/Gを、結晶化度として算出する。算出にあたっては、予め結晶化度が既知の試料を用いてT/Gと結晶化度の検量線を作成しておくとよい。
本発明においては、ヒートシール前駆部の重量平均分子量(以下、分子量と略称することがある。)が、ヒートシール前駆部が形成されていない延伸フィルムの分子量に比べてあまり低下していないことが大切である。
具体的には、下記式で表される重量平均分子量変化率(以下、分子量変化率と略称することがある。)が70%以下、好適には50%以下、特に好適には30%以下となっている。
重量平均分子量変化率=(Mw−Mw)/Mw×100
式中、Mwは、ヒートシール前駆部が形成されていない延伸フィルムの重量平均
分子量を表す。
Mwは、ヒートシール前駆部の重量平均分子量を表す。
上記式に用いられるヒートシール前駆部の分子量は保管開始前に測定する。また、ヒートシール前駆部が形成されていない延伸フィルムの分子量は、ヒートシール前駆部を形成する前の原反延伸フィルムの分子量を測定することで求めることができる。ヒートシール前駆部が部分的に形成されている場合においては、本発明の延伸フィルムのヒートシール前駆部が設けられていない領域の分子量を測定することでも求めることができるが、このときの測定も保管開始前に行う。
このようにヒートシール前駆部において分子量が維持されているため、本発明の延伸フィルムは、35℃以下の低温下のみならず35℃より高温の環境下でも長期間保管することができ、保管後にもヒートシール前駆部のヒートシール性は損なわれておらず、強固にシールすることができる。
ヒートシール前駆部の厚みは、ヒートシール性と耐熱性のバランスの観点から、ポリエステルフィルム全体の厚みの1〜95%が好ましく、10〜70%がより好ましく、30〜50%が特に好ましい。
ヒートシール前駆部の幅は任意に変化させ得るが、一般には、1〜10mmであることが好ましい。
<製造方法>
本発明の延伸フィルムは、従来公知の方法により製造することができる。例えば、以下のようにして製造することができる。
まず、ヒートシール前駆部が形成されていない点以外は本発明の延伸フィルムと同じである原反延伸フィルムを用意する。必要に応じて、原反延伸フィルムは、金属箔や熱可塑性樹脂フィルム等の他のフィルム上に予め積層しておいてもよい。
次に、単体の原反延伸フィルムまたは積層フィルムの表面に位置する原反延伸フィルムに熱処理を施し、処理した部分の結晶性を低下させる。結晶性が低下した部分がヒートシール前駆部である。
結晶性を低下させるためには、対象部分が短時間の内に急激に融点以上の温度に加熱され且つ加熱中止と共に結晶化温度よりも低い温度に急速に冷却されるようにすればよい。このように所望の部分を急速に加熱し且つ急速に冷却するためには、炭酸ガスレーザービーム等の赤外線波長を有するレーザービームを走査しながら照射すればよい。
本発明では、既に説明した通りヒートシール前駆部の結晶性は低下させても分子量は低下させない点に重要な特徴がある。よって、レーザー照射部分の分子量が極力低下しないよう、出力、スポット径、走査速度、走査線間隔、照射エネルギー密度等の条件を調整する。
それぞれの具体的な設定値は、原反延伸フィルムの組成や積層の有無、ヒートシール前駆部の厚み等によって決まるので一概には言えないが、全体として穏やかな条件でレーザーを照射するとヒートシール前駆部の結晶性と分子量のバランスが良くなる傾向にあり、以下の範囲からそれぞれの値を選択することが好ましい。
出力:10〜400W
スポット径:0.14〜15mm
走査速度:500〜20,000mm/sec
走査線間隔:0.05〜15mm
照射エネルギー密度:0.5〜8J/cm
レーザービームは、任意の軌跡を描くように照射すればよく、例えば、平面視したときに、一本の線が複数回折り返しながら続く軌跡で照射してもよい。あるいは、複数のドットを描くような軌跡で照射してもよい。更にまた、複数の直線が所定の間隔で平行に並ぶような軌跡で照射してもよい。
レーザービームは、連続照射してもよいが、パルス照射を重ねてもよい。この場合、各パルスの照射エネルギーは、例えば0.1〜1Jが好ましい。あるいは、パルス速度(頻度)は、例えば1,000〜500,000パルス/秒が好ましい。このような範囲内であれば、一般的な炭酸ガスレーザー装置を用いて安定的かつ充分にエネルギー照射を行うことができる。
レーザービーム照射後、形成されたヒートシール前駆部の表面は、軌跡に応じた凹凸で構成された微細構造を有している。また、表面の凹凸や気泡の生成に起因して白化している。
所望の部分を急速に加熱し急速に冷却してヒートシール前駆部を形成するための、レーザービーム照射以外の熱処理手段として、強制冷却された高周波誘導加熱コイルと、ヒートシールパターンを有する導体製型との組合せを用いることもできる。この場合には、コイルへの通電により型が急速に加熱されて、これに接触する樹脂の急速加熱が生じ、通電遮断により型を介して樹脂の急速冷却を生じる。この場合は、通電時間や電流の強さ等を調整することでヒートシール前駆部の分子量の低下を抑制すればよい。
ヒートシール前駆部を形成するための熱処理は、原反延伸フィルムの表面に部分的に行ってもよく、全体的に行ってもよい。原反延伸フィルムの表面全体に熱処理を行った場合、得られる本発明の延伸フィルムの表面は全体がヒートシール前駆部で覆われることとなる。
原反延伸フィルム単体を用いる場合には、両面に熱処理を施してもよい。
かくして得られた本発明の延伸フィルムは、必要に応じて公知の手段により他のフィルム上に積層してもよい。即ち、積層は、前述の通り熱処理前に行ってもよいし、熱処理後に行ってもよく、あるいは熱処理前後の両方で行ってもよい。
本発明の延伸フィルムは、必要に応じて保管され、その後各種成形体の製造に用いられる。
保管にあたっては、35℃以下の低温で保管してもよく、35℃より高温で保管してもよい。いずれの場合も、長期に亘ってヒートシール性を維持したまま保管することができる。ヒートシール前駆部の結晶化が進行するのを防ぐため、保管温度の上限は、ヒートシール前駆部を構成するポリエステルのガラス転移点未満とすることが好ましい。
本発明の延伸フィルムは、長期保管後であっても優れたヒートシール性を有しており、例えば後述の実施例に示されているように40℃で6か月保管した後でも15N/15mmのシール強度を達成することができる。
かかる特性を有する本発明の延伸フィルムは、種々の形態の包装袋に成形することができ、例えば、三方ヒートシールパウチ、四方ヒートシールパウチ等の通常パウチ;ガゼット付パウチ;スタンディングパウチ;ピロー包装パウチ;等に成形することができる。
例えば三方ヒートシールパウチに成形する場合であれば、四辺にヒートシール前駆部を設けた本発明の延伸フィルムを用意し、これを、ヒートシール前駆部同士が対面するように中心から折り、ヒートシール加工をする。
ヒートシール加工は、それ自体公知のヒートシール機構、例えばホットプレート、インパルスシール、誘導加熱シール、超音波シール、高周波誘導加熱シール等により行い得る。
加熱温度は、原反延伸フィルムを構成するポリエステルの融点よりも低いことが好ましく、特に、120〜220℃が好ましい。
本発明の延伸フィルムは、包装袋以外にも、例えばカップ等のヒートシール蓋の成形に用いることができる。
包装袋にしろヒートシール蓋にしろ、本発明の延伸フィルムの成形体は、各種物質に対する収着性が低いという特徴も有している。例えば本発明の延伸フィルムから作成された包装袋にツロブテロールを充填し、40℃で6か月保管した後のツロブテロールの収着量は、ポリエステルの代わりに低密度ポリエチレンを用いた場合の包装袋の収着量の10〜50%程度まで低減することが分かっている。
従って、本発明の延伸フィルムから作られる包装袋やヒートシール蓋といった成形体は、経皮吸収剤、化粧品、医薬品、その他エステル系物質を含む内容物や、芳香成分の減少が品質劣化につながりやすい食品、酒類等の様々な内容物に適している。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
[各種測定]
(結晶化度)
ヒートシール前駆部が形成されていない二軸延伸PETフィルムの結晶化度として、原反積層フィルム上の2軸延伸PETフィルムの結晶化度を、ラマン顕微鏡を用いて測定した。また、ヒートシール前駆部の結晶化度もラマン顕微鏡を用いて測定した。ヒートシール前駆部の測定には保管前のヒートシール性積層フィルムを用いた。
ラマン顕微鏡を用いて測定したPET樹脂のラマンシフトスペクトルより、1060cm−1から1105cm−1の範囲に現れる結晶性に依存する成分のピーク高さをT、1105cm−1から1160cm−1の範囲に現れる非晶性に依存する成分のピーク高さをG、としたときTをGで除した値T/Gを用いて結晶化度を算出した。
T/Gを用いた結晶化度の算出に先立ち、結晶化度が既知の試料を用いてラマン顕微鏡によりT/Gを測定し、結晶化度の異なる複数試料に対してT/Gを測定することで、T/Gと結晶化度の検量線を作成した。
(重量平均分子量)
ヒートシール前駆部が形成されていない2軸延伸PETフィルムの重量平均分子量は、次の手順にて測定した。即ち、原反積層フィルムを、クロロホルムとヘキサフルオロイソプロパノールとを体積比1:1で混合した溶液に浸漬し、2軸延伸PETフィルムを溶解させた。残留物を取り出し、混合溶液に溶解したPETについてGPC装置を用いて重量平均分子量を測定した。
また、ヒートシール前駆部の重量平均分子量は、次の手順にて測定した。即ち、保管前のヒートシール性積層フィルムをクロロホルムに30秒間浸漬した。2軸延伸PETフィルムは配向結晶化しているとクロロホルムに溶出しないが、配向結晶化が低下するとクロロホルムに溶出する。そのため、ヒートシール前駆部における結晶化度が低下したPETのみがクロロホルムに溶出することになる。クロロホルムに溶出したPETについてGPC装置を用いて重量平均分子量を測定した。
下記式から、重量平均分子量変化率を算出した。
重量平均分子量変化率=(Mw−Mw)/Mw×100
式中、Mwは、原反積層フィルムの2軸延伸PETフィルムの重量平均分子量を表
す。
Mwは、ヒートシール前駆部の重量平均分子量を表す。
(シール強度)
2枚のヒートシール性積層フィルムをヒートシールして得られた接着体から、15mm巾の短冊を5点切り出し、Tピール法により引張速度300mm/分にてシール強度を測定し平均値を求めた。
[実施例]
以下のとおり、2軸延伸PETフィルムを用いた原反積層フィルムを用意し、これにレーザービームを照射してヒートシール前駆部を形成し、ヒートシール性積層フィルムを作製した。その後、ヒートシール性積層フィルムを40℃の恒温庫にて所定の期間保管した。所定の期間経過後に恒温庫からヒートシール性積層フィルムを取り出し、ヒートシールを実施した。ヒートシール性積層フィルムは、結晶化度測定用と重量平均分子量測定用とシール強度測定用とを作成した。
(2軸延伸PETフィルムを用いて作成した原反積層フィルム)
厚さ12μmの2軸延伸PETフィルム(ガラス転移点77℃、融点260℃)を、ポリウレタン接着材を用いて厚さ7μmのアルミニウム箔の両面にラミネートした原反積層フィルムを作成した。
(ヒートシール前駆部形成条件)
原反積層フィルムの片側にある2軸延伸PETフィルムの表面に、炭酸ガスレーザー発振装置(波長10.6μm)を用いて、出力は35W、照射面上のスポット径は約2.7mm、走査速度は540mm/秒、走査線間隔は1100μm、にてレーザービームを照射し、長さ5mm、巾100mmの領域のヒートシール前駆部を形成した。
(ヒートシール条件)
恒温庫にて保管したヒートシール性積層フィルムを所定の期間経過後に恒温庫から取り出し、2枚のヒートシール性積層フィルムのヒートシール前駆部同士を向かい合わせに重ね、設定温度は180℃、圧力は0.2MPa、時間は1秒にてヒートシールを実施した。
[比較例]
ヒートシール前駆部形成条件を以下のとおりに変更した以外は、実施例と同様にヒートシール性積層フィルムを作製し、ヒートシールを実施した。
(比較例のヒートシール前駆部形成条件)
原反積層フィルムの片側にある2軸延伸PETフィルムの表面に、炭酸ガスレーザー発振装置(波長10.6μm)を用いて、出力は10W、照射面上のスポット径は約0.14mm、走査速度は1,000mm/秒、走査線間隔は100μm、にてレーザービームを照射し、長さ5mm、巾100mmの領域のヒートシール前駆部を形成した。
実施例および比較例のそれぞれについて、重量平均分子量の変化率、シール強度の測定結果および結晶化度を表1に示す。なお、表1に示す日数は、40℃の恒温庫にて保管した期間であり、0日はヒートシール前駆部形成直後であることを示す。
(考察)
実施例では、40℃の恒温庫にて188日間(約6ヶ月間)保管後でもシール強度が低下しなかった。
比較例では、3日間保管後にはシール強度が低下した。シール強度が低下する理由は、ヒートシール前駆部の表面において、分子量が低下した成分(短くなった分子鎖)が安定な状態である結晶に変化することでヒートシールが妨げられるからと推測している。
このことより、重量平均分子量の変化率が70%以下であると、40℃の恒温庫に保管してもシール強度の低下が起こらず、経時安定性が良好であると考えられる。

Claims (4)

  1. ヒートシールに供されて使用され且つポリエステルからなる延伸フィルムであって、
    表面にヒートシール前駆部が形成されており、
    下記式;
    重量平均分子量変化率=(Mw−Mw)/Mw×100
    式中、Mwは、前記ヒートシール前駆部が形成されていない延伸フィルムの重量平
    均分子量を表し、
    Mwは、前記ヒートシール前駆部の重量平均分子量を表す、
    で表される重量平均分子量変化率が70%以下であることを特徴とする延伸フィルム。
  2. 前記ヒートシール前駆部の結晶化度が5%以下である、請求項1に記載の延伸フィルム。
  3. 前記ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートである、請求項1または2に記載の延伸フィルム。
  4. 前記ヒートシール前駆部が露出するようにして、他のフィルムの上に積層されている、請求項1〜3の何れかに記載の延伸フィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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