JP2017200704A - コールドるつぼを介して流体を配分するためのマニホールドガスケット - Google Patents

コールドるつぼを介して流体を配分するためのマニホールドガスケット Download PDF

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Abstract

【課題】温度調節された容器及び流体送達デバイス、並びにそれらの使用方法を提供する。
【解決手段】容器312は、射出成形装置300に使用することができ、本体内に流体又は液体を流すよう構成された1つ以上の温度調節ライン316(例えば低温のデバイスを加熱するために)を含む。流体送達デバイスは、この装置300内に取り付けられ、容器に密封嵌合する、中を通って延在する開口部を備えたガスケットを有する。流体の流入流を容器312へと方向付けるために、ガスケット内に送達チャネルが設けられる。更に、容器312からの流体の流出流を方向付けるために、ガスケット内に出口チャネルも設けることができる方法。
【選択図】図3

Description

本開示は全体として、インライン射出システムの部品への流体送達に関する。より具体的には、その温度調節のために少なくともシステムの容器内に流体を方向付けるのに使用されるデバイスに関する。
低温炉床溶融システムを使用して、金属又は合金を溶融することができる。この容器は、加熱/溶融プロセス中に容器を強制冷却し、熱を吸収するための冷却システムを含むよう、あるいは、容器を加熱してから溶融に使用することができるよう設計することができる。材料を溶融するための冷却及び溶融技法の例としては、スカル溶融(コールドウォール誘導溶融とも呼ばれる)、プラズマ炉床溶融/プラズマアーク溶融、及び電子ビーム溶融が挙げられる。これらの技法はすべて、例えばチタン、ジルコニウム、ハフニウム、及びベリリウム、並びにこれらの合金などの反応性金属を加工するのに使用することができる。いくつかの射出成形装置では、誘導コイルを使用して容器又はボート内で材料を溶融してから、材料を金型に射出する。そのような容器又はボートは、温度調節技法もまた利用することができる。
そのような材料を溶融する際、水(又はその他の好適な液体若しくは流体)を使用して、溶融した材料と容器底部自体との間で熱を移動させることができる。いくつかの装置では、銅管を使用して水を送達している。そのような管は典型的に、取り付けた後に、折り曲げ又は変形させて、選択された容器又は器の周りに成形しなければならない。容器を交換する場合、その管はまた典型的に移動させて、場合によっては交換しなければならず、再び再び折り曲げ又は変形させて、選択された容器の周りに成形しなければならない。
材料を溶融する際のインライン射出装置又はシステムにおいて、(例えば容器に)流体を送達するために、本明細書の実施形態による解決策が提案される。
様々な実施形態により、中を通って延在する開口部を有する襟部と、流体の流入流を方向付けるために、その襟部内に送達チャネルと、を有するデバイスが提供される。襟部は、開口部を介して、温度調節された容器と密封嵌合するよう構成される。送達チャネルは、流体の流入流を温度調節された容器内へと送達するよう構成される。一実施形態において、流体の流出流を方向付けるために、襟部内に出口チャネルが設けられる。この出口チャネルは、温度調節された容器から流体の流出流を排出するよう構成される。
様々な実施形態により、一装置が提供される。この装置は、溶融するための材料を内部に受容するよう構成された容器と、その容器内で材料を溶融するための熱源と、冷却液システムと、その冷却液システムから流体を送達するための流体送達デバイスとを含む。この流体送達デバイスは、中を通って延在する開口部を有する襟部と、流体の流入流を方向付けるために、襟部内に送達チャネルとを有する。送達チャネルは、流体の流入流を容器内へと送達するよう構成される。この容器は、襟部の開口部内に設けられ、これに対して密封される。この容器は、熱源による材料の溶融中に容器の温度を調節するために、送達チャネルにより受容した流体を内部に流すよう構成された、1つ以上の温度調節チャネルを有する。一実施形態において、流体の流出流を方向付けるために、襟部内に出口チャネルが設けられる。この出口チャネルは、温度調節された容器から流体の流出流を排出するよう構成される。
様々な実施形態により、一方法が提供される。この方法は、流体を冷却液システムから流体送達デバイスに送達する工程と、流体送達デバイスを使用して流体を容器の端へと方向付ける工程と、内部の溶融可能材料を加熱するために、容器に隣接して設けられた熱源を作動させる工程と、容器内に流体を流すことにより容器の温度を調節する工程とを含み得る。この流体送達デバイスは、中を通って延在する開口部を備えた襟部と、流体の流入流を方向付けるために、襟部内の周縁送達チャネルとを有する。送達チャネルは、流体の流入流を容器内へと送達するよう構成される。この容器は、襟部の開口部内に設けられ、これに対して密封される。この容器は、熱源の作動中に容器の温度を調節するために、送達チャネルにより受容した流体を内部に流すよう構成された、1つ以上の温度調節チャネルを有する。一実施形態において、流体の流出流を方向付けるために、襟部内に出口チャネルが設けられる。この出口チャネルは、温度調節された容器から流体の流出流を排出するよう構成される。この方法には、流体送達デバイスを使用して、容器から冷却液システムへと流体の出力流を方向付ける工程が含まれ得る。
また、実施形態により、容器内で溶融するための材料は、BMG供給材料を含み、BMG部品が形成され得る。
例示的なバルク凝固アモルファス合金の温度−粘度図である。
例示的なバルク凝固アモルファス合金に関する、時間−温度−変態(TTT)図の概略図である。
本教示の様々な実施形態に係る、例示的な射出成形システム/装置の概略図である。
本開示の一実施形態に係る、射出成形装置に取り付けられたデバイスの断面図である。
図4に示すデバイスの詳細図である。
一実施形態に係るデバイスの側面図及び正面図である。 一実施形態に係るデバイスの側面図及び正面図である。
一実施形態に係るデバイスの分解平面図である。
一実施形態に係るデバイスの断面の詳細図である。
図4に示す容器の端の詳細図である。
本明細書に引用される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
冠詞「a」及び「an」は、本明細書では、1つ又は2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)の、その冠詞の文法的対象語を指すために使用される。例として、「ポリマー樹脂(a polymer resin)」は、1つのポリマー樹脂又は2つ以上のポリマー樹脂を意味する。本明細書に記載されるいずれの範囲も、包括的である。本明細書の全体を通して使用される用語「実質的に」及び「約」は、小規模な変動を記述及び説明するために使用される。例えば、それらの用語は、±2%以下など、±1%以下など、±0.5%以下など、±0.2%以下など、±0.1%以下など、±0.05%以下などの、±5%以下を指すことができる。
バルク凝固アモルファス合金、すなわちバルク金属ガラス(「BMG」)は、最近開発された部類の金属材料である。これらの合金は、比較的穏やかな速度で、凝固及び冷却させることができ、それらはアモルファスの、非晶質(すなわち、ガラス質)状態を室温で保持する。アモルファス合金は、それらの結晶性の対応物よりも、多くの優れた特性を有する。しかしながら、冷却速度が十分に高速ではない場合には、冷却の間にその合金の内部で結晶が形成される恐れがあり、そのため、アモルファス状態の利益が失われる恐れがある。例えば、バルクアモルファス合金部品の製造に伴う1つの重要な課題は、徐冷又は合金原料中の不純物のいずれかによる、それらの部品の部分的な結晶化である。BMG部品内では、高い程度のアモルファス化度(また反対に、低い程度の結晶化度)が望ましいため、制御された量のアモルファス化度を有するBMG部品を鋳造するための方法を開発する必要性がある。
図1(米国特許第7,575,040号より入手)は、Liquidmetal Technologyにより製造された、Zr−−Ti−−Ni−−Cu−−Beの種類のVIT−001シリーズからの、例示的なバルク凝固アモルファス合金の粘度−温度グラフを示す。アモルファス固体の形成の間、バルク凝固アモルファス金属に関しては、明確な液体/固体変態が存在しないことに留意するべきである。この溶融合金は、ガラス転移温度近傍で固体形態に近づくまで、過冷却の増大と共に、ますます粘稠になる。したがって、バルク凝固アモルファス合金に関する凝固前面の温度は、ガラス転移温度近傍であり得、その温度近傍で、この合金は、急冷アモルファスシート製品を取り出すために、実際に固体として作用する。
図2(米国特許第7,575,040号より入手)は、例示的なバルク凝固アモルファス合金の、時間−温度−変態(TTT)冷却曲線、すなわちTTT図を示す。バルク凝固アモルファス金属は、従来の金属と同様に、冷却の際の液体/固体の結晶化変態を起こさない。その代わりに、高温で(「融解温度」Tm近傍で)見出される、流動性の高い非晶質形態の金属は、温度が低下するにつれて(ガラス転移温度Tg近傍まで)より粘稠になり、最終的に従来の固体の外面的な物理的特性を呈する。
バルク凝固アモルファス金属に関しては、液体/結晶化変態は存在しないにも関わらず、対応する結晶相の熱力学的液相温度として、「融解温度」Tmを定義することができる。この体系の下では、バルク凝固アモルファス合金の融解温度での粘度は、約0.1ポアズ〜約10,000ポアズの範囲に、更に場合によっては、0.01ポアズ未満にあることが可能である。この「融解温度」でのより低い粘度は、BMG部品を成形するためのバルク凝固アモルファス金属による、シェル/金型の複雑な部分のより速く完全な充填をもたらす。更には、BMG部品を成形するための溶融金属の冷却速度は、冷却の間の時間−温度プロファイルが、図2のTTT図内の結晶化領域を境界付けるノーズ形状領域を横断しないようなものでなければならない。図2では、Tノーズは、結晶化が最も急速であり、最短の時間スケールで生じる、臨界結晶化温度Txである。
過冷却液体領域、すなわちTg〜Txの温度領域は、バルク凝固合金の結晶化に対する極度の安定性を明示するものである。この温度領域内では、バルク凝固合金は、高粘度の液体として存在し得る。この過冷却液体領域内でのバルク凝固合金の粘度は、ガラス転移温度での1012Pa・sから、結晶化温度である過冷却液体領域の高温限界での105Pa・sに至るまでの間で変化し得る。そのような粘度を有する液体は、加圧力の下で、実質的な塑性歪みを経験し得る。本明細書の実施形態は、成形及び分離方法として、この過冷却液体領域内での大きい塑性成形性を利用する。
Txについて明確にする必要がある。技術的には、TTT図に示されるノーズ形状の曲線は、Txを温度及び時間の関数として説明する。それゆえ、金属合金を加熱又は冷却する間に辿る軌跡とは関係なく、このTTT曲線に当る場合に、Txに到達している。図2では、Txは破線として示されるが、これは、Tmの近位からTgの近位まで、Txが変化し得るためである。
図2の概略的なTTT図は、時間−温度の軌跡(例示的軌跡として、(1)として示す)がTTT曲線に当ることがない、Tm以上〜Tg未満のダイカストの加工処理方法を示す。ダイカストの間、この成形は、軌跡がTTT曲線に当ることを回避するために、実質的に急速冷却と同時に行われる。時間−温度の軌跡(例示的軌跡として、(2)、(3)及び(4)として示す)がTTT曲線に当ることがない、Tg以下からTm未満までの超塑性成形(SPF)に関する加工処理方法。SPFでは、アモルファスBMGは、過冷却液体領域内へと再加熱され、利用可能な加工処理ウインドウは、ダイカストよりも遙かに大きく、より良好なプロセスの可制御性をもたらすことが可能である。SPFプロセスは、冷却の間の結晶化を回避するための急速冷却を必要としない。また、例示的軌跡(2)、(3)、及び(4)によって示されるように、SPFの間の最高温度が、Tノーズ超又はTノーズ未満、最大約Tmとなる状態で、SPFを実施することができる。アモルファス合金の断片を昇温させつつ、TTT曲線に当ることを回避させた場合には、「Tg〜Tm」に加熱しても、Txには到達していない。
20℃/分の加熱速度で得られる、バルク凝固アモルファス合金の典型的な示差走査熱量計(DSC)加熱曲線は、大部分は、TTTデータを横切る具体的な軌跡を説明するものであり、特定温度のTgと、DSC加熱傾斜がTTT結晶化開始と交差する場合のTxと、最終的に、同じ軌跡が融解に関する温度範囲と交差する場合の融解ピークとが認められるであろう。図2の軌跡(2)、(3)、及び(4)の上り傾斜部分によって示されるような急速な加熱速度で、バルク凝固アモルファス合金を加熱する場合には、TTT曲線を完全に回避することが可能であり、DSCデータは、加熱の際、ガラス転移を示すが、Txは示さない。このことについての別の考察方法は、軌跡(2)、(3)、及び(4)は、結晶化曲線に当らない限り、TTT曲線のノーズ(及び更にその上方)〜Tg線の温度内の、いずれの場所にも収まることができる点である。そのことは、加工処理温度が上昇するにつれて、軌跡内の水平な平坦部が遙かに短くなり得ることを単に意味する。
本明細書での用語「相」は、熱力学状態図内で見出すことができるものを指すことができる。相は、その全体にわたって、材料の全ての物理的特性が本質的に均一である、空間の領域(例えば、熱力学系)である。物理的特性の例としては、密度、屈折率、化学組成、及び格子周期性が挙げられる。相の単純な説明は、化学的に均一で、物理的に異なっており、及び/又は機械的に分離可能な材料の領域である。例えば、ガラスジャー内の、氷及び水からなる系では、その角氷が1つの相であり、水が第2の相であり、その水の上の湿り空気が第3の相である。ジャーのガラスは、別の分離相である。相は、2成分、3成分、4成分以上の溶体などの固溶体、又は金属間化合物などの化合物を指すこともある。別の例としては、アモルファス相は、結晶相とは区別ができる。
金属、遷移金属、及び非金属
用語「金属」は、電気陽性の化学元素を指す。本明細書での用語「元素」は、全般的には、周期表に見出すことができる元素を指す。物理的には、基底状態の金属原子は、占有状態に近い、空状態を有する部分的充満帯を含む。用語「遷移金属」とは、不完全な内部電子殻を有し、一連の元素内の、最も電気陽性のものと最も電気陽性ではないものとの間の遷移リンクとして役立つ、周期表の第3族〜第12族の範囲内の金属元素のうちのいずれかである。遷移金属は、複数の原子価、着色化合物、及び安定な錯イオンを形成する能力によって特徴付けられる。用語「非金属」は、電子を失って陽イオンを形成する能力を有さない化学元素を指す。
用途に応じて、任意の好適な非金属元素、又はそれらの組み合わせを使用することができる。合金(又は「合金組成物」)は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ以上の非金属元素などの複数の非金属元素を含み得る。非金属元素は、周期表内の第13族〜第17族内に見出される、いずれかの元素とすることができる。例えば、非金属元素は、F、Cl、Br、I、At、O、S、Se、Te、Po、N、P、As、Sb、Bi、C、Si、Ge、Sn、Pb、及びBのうちのいずれか1つとすることができる。場合により、非金属元素は、第13族〜第17族内の特定の半金属(例えば、B、Si、Ge、As、Sb、Te、及びPo)を指すことがある。一実施形態では、非金属元素としては、B、Si、C、P、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。したがって、例えば、その合金は、ホウ化物若しくは炭化物、又は双方を含み得る。
遷移金属元素は、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀、ラザホージウム、ドブニウム、シーボーギウム、ボーリウム、ハッシウム、マイトネリウム、ウンウンニリウム、ウンウンウニウム、及びウンウンビウムのうちのいずれかとすることができる。一実施形態では、遷移金属元素含有BMGは、Sc、Y、La、Ac、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、及びHgのうちの少なくとも1つを有し得る。用途に応じて、任意の好適な遷移金属元素、又はそれらの組み合わせを使用することができる。合金組成物は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ以上の遷移金属元素などの、複数の遷移金属元素を含み得る。
本明細書で説明される、合金又は合金「サンプル」又は「試料」合金は、任意の形状又はサイズを有し得る。例えば、合金は、球形、楕円、ワイヤ状、ロッド状、シート状、フレーク状、又は不規則形状などの形状を有し得る、微粒子の形状を有し得る。この微粒子は、任意のサイズを有し得る。例えば、その微粒子は、約5マイクロメートル〜約80マイクロメートルなど、約10マイクロメートル〜約60マイクロメートルなど、約15マイクロメートル〜約50マイクロメートルなど、約15マイクロメートル〜約45マイクロメートルなど、約20マイクロメートル〜約40マイクロメートルなど、約25マイクロメートル〜約35マイクロメートルなどの、約1マイクロメートル〜約100マイクロメートルの平均直径を有し得る。例えば、一実施形態では、微粒子の平均直径は、約25マイクロメートル〜約44マイクロメートルである。一部の実施形態では、ナノメートルの範囲のものなどの、より小さい微粒子、又は100マイクロメートルよりも大きいものなどの、より大型の微粒子を使用することができる。
合金のサンプル又は試料はまた、遙かに大きい寸法のものにすることもできる。例えば、インゴットなどのバルク構造構成要素、電子デバイスの筺体/ケーシング、又は更にミリメートル、センチメートル、又はメートルの範囲の寸法を有する構造的構成要素の一部分とすることができる。
固溶体
用語「固溶体」は、溶体の固体形態を指す。用語「溶体」は、固体、液体、気体、又はこれらの組み合わせとすることができる、2種以上の物質の混合物を指す。この混合物は、均質又は不均質とすることができる。用語「混合物」とは、互いに組み合わされ、一般的には分離することが可能である、2種以上の物質の組成物である。一般的には、それらの2種以上の物質は、互いに化合されない。
合金
一部の実施形態では、本明細書で説明される合金組成物は、完全に合金化することができる。一実施形態では、「合金」とは、一方の原子が他方の原子に置き換わるか、又は原子間の格子間位置を占有する、2種以上の金属の均質な混合物又は固溶体を指すものであり、例えば、黄銅は、亜鉛及び銅の合金である。合金とは、複合材料とは対照的に、金属マトリックス中の1種以上の化合物などの、金属マトリックス中の1種以上の元素の部分的又は完全な固溶体を指すことができる。本明細書での合金という用語は、単一の固相の微細構造を呈し得る全率固溶合金、及び2つ以上の相を呈し得る部分的溶体の双方を指すことができる。本明細書で説明される合金組成物は、合金を含むもの、又は合金含有複合材料を含むものを指すことができる。
それゆえ、完全に合金化した合金は、固溶体相であれ、化合物相であれ、又は双方であれ、その構成成分の均質な分布を有し得る。本明細書で使用される用語「完全に合金化された」は、許容誤差範囲内の僅かな変異を説明することができる。例えば、その用語は、少なくとも95%の合金化など、少なくとも99%の合金化など、少なくとも99.5%の合金化など、少なくとも99.9%の合金化などの、少なくとも90%の合金化を指すことができる。本明細書での百分率は、文脈に応じて、体積百分率又は重量百分率のいずれかを指すことができる。これらの百分率は、合金の部分ではない組成又は相の観点によるものとすることができる不純物によって均衡させることができる。
アモルファスすなわち非晶質固体
「アモルファス」すなわち「非晶質固体」は、結晶に特徴的な格子周期性を欠く固体である。本明細書で使用するとき、「アモルファス固体」は、ガラス転移を通じて、加熱されると液体状の状態へと軟化及び変態するアモルファス固体である、「ガラス」を含む。一般的には、アモルファス材料は、結晶に特徴的な長距離秩序を欠くが、それらのアモルファス材料は、化学結合の性質による、原子の長さスケールでの何らかの短距離秩序を保有し得る。アモルファス固体と結晶性固体との区別は、X線回折及び透過型電子顕微鏡検査などの構造特性評価技術によって判定される、格子周期性に基づいて行なうことができる。
用語「秩序」及び「無秩序」とは、多粒子系内での何らかの対称性又は相関性の有無を指示する。用語「長距離秩序」及び「短距離秩序」は、長さスケールに基づいて、材料内の秩序を区別する。
固体における秩序の最も厳密な形態は格子周期性であり、特定のパターン(単位格子内の原子配列)が何度も繰り返され、空間の並進的な一様の空間充填を形成する。この格子周期性は、結晶の定義特性である。可能な対称性は、14種のブラベー格子及び230種の空間群に分類されている。
格子周期性は、長距離秩序を示唆するものである。1つの単位格子のみが知られる場合には、その並進対称性によって、任意の距離での、全ての原子配置を正確に予測することが可能である。一般に逆も真であるが、ただし、例えば、完全に確定的な充填を有するが、格子周期性を保有しない、準結晶の場合は例外である。
長距離秩序は、同じサンプルの遠隔の部分が、相関する挙動を呈する、物理系を特徴付ける。この長距離秩序は、相関関数、すなわち次のスピン−スピン相関関数として表現することができる。
Figure 2017200704
上記の関数では、sはスピン量子数であり、xは特定の系内の距離関数である。この関数は、x=x’である場合、単位元に等しく、距離|x−x’|が増大するにつれて減少する。典型的には、この関数は、長距離で、指数関数的にゼロまで減衰し、その系は無秩序であると見なされる。しかしながら、この相関関数が大きい|x−x’|で一定値へと減衰する場合には、その系は長距離秩序を保有すると述べることができる。この関数が、距離の累乗でゼロまで減衰する場合には、準長距離秩序と呼ぶことができる。大きい値の|x−x’|を構成するものは、相対的であることに留意されたい。
系は、その挙動を定義する一部のパラメータが、経時的に進展しないランダム変数である(すなわち、それらが急冷又は凍結される)場合、急冷無秩序、例えば、スピングラスを呈すると延べることができる。この急冷無秩序は、ランダム変数自体が進展することが可能な、焼鈍無秩序とは反対である。本明細書の実施形態は、急冷無秩序を含む系を包含する。
本明細書で説明される合金は、結晶性、部分結晶性、アモルファス、又は実質的にアモルファスとすることができる。例えば、合金サンプル/試料は、少なくともある程度の結晶化度を含み得るものであり、結晶粒/結晶は、ナノメートル及び/又はマイクロメートルの範囲のサイズを有する。あるいは、合金は、完全にアモルファスであるなどの、実質的アモルファスとすることができる。一実施形態では、合金組成物は、完全に結晶性であるなど、実質的に結晶性であり、少なくとも実質的にアモルファスではない。
一実施形態では、他のアモルファス合金中の1種の結晶又は複数種の結晶の存在は、その合金中の「結晶相」として解釈することができる。合金の結晶化度の程度(又は一部の実施形態では、略して「結晶化度」)とは、その合金中に存在する結晶相の量を指すことができる。その程度とは、例えば、合金中に存在する結晶の分率を指すことができる。この分率は、文脈に応じて、体積分率又は重量分率を指すことができる。アモルファス合金がどの程度「アモルファス」であるかの尺度を、アモルファス化度とすることができる。アモルファス化度は、結晶化度の程度の観点により測定することができる。例えば、一実施形態では、低い程度の結晶化度を有する合金は、高い程度のアモルファス化度を有すると述べることができる。一実施形態では、例えば、60体積%の結晶相を有する合金は、40体積%のアモルファス相を有し得る。
アモルファス合金又はアモルファス金属
「アモルファス合金」とは、50体積%超のアモルファス含有量、好ましくは90体積%超のアモルファス含有量、より好ましくは95体積%超のアモルファス含有量、最も好ましくは99体積%超〜ほぼ100体積%のアモルファス含有量を有する合金である。上述のように、アモルファス化度が高い合金は、結晶化度の程度が同等に低いことに留意されたい。「アモルファス金属」とは、無秩序な原子スケール構造を有するアモルファス金属材料である。結晶性であり、したがって高度に秩序化された原子配置を有する、殆どの金属とは対照的に、アモルファス合金は非晶質である。そのような無秩序構造が、冷却の間に液体状態から直接作り出される材料は、「ガラス」と称される場合がある。したがって、アモルファス金属は、一般に「金属ガラス」又は「ガラス金属」と称される。一実施形態では、バルク金属ガラス(「BMG」)とは、その微細構造が少なくとも部分的にアモルファスである合金を指すことができる。しかしながら、アモルファス金属を作り出すためには、極度な急速冷却の他にも、物理蒸着、固相反応、イオン照射、メルトスピニング、及び機械的合金化を含めた、幾つかの方法が存在する。アモルファス合金は、それらが調製される方法とは関係なく、単一の部類の材料とすることができる。
アモルファス金属は、様々な急冷法を通じて作り出すことができる。例えば、アモルファス金属は、回転する金属ディスク上に溶融金属をスパッタリングすることによって、作り出すことができる。1秒当り約数百万度の急冷は、結晶が形成するには過度に高速である得るため、その金属は、ガラス状態で「固定」される。また、アモルファス金属/合金は、厚い層のアモルファス構造、例えば、バルク金属ガラスの形成を可能にするための、十分に低速な臨界冷却速度で作り出すこともできる。
用語「バルク金属ガラス」(「BMG」)、バルクアモルファス合金(「BAA」)、及びバルク凝固アモルファス合金は、本明細書で互換的に使用される。それらの用語は、少なくともミリメートルの範囲の最小寸法を有する、アモルファス合金を指す。例えば、その寸法は、少なくとも約1mmなど、少なくとも約2mmなど、少なくとも約4mmなど、少なくとも約5mmなど、少なくとも約6mmなど、少なくとも約8mmなど、少なくとも約10mmなど、少なくとも約12mmなどの、少なくとも約0.5mmとすることができる。幾何学形状に応じて、その寸法は、直径、半径、厚さ、幅、長さなどを指すことができる。BMGはまた、少なくとも約1.0cmなど、少なくとも約2.0cmなど、少なくとも約5.0cmなど、少なくとも約10.0cmなどの、センチメートルの範囲の少なくとも1つの寸法を有する、金属ガラスとすることもできる。一部の実施形態では、BMGは、少なくともメートルの範囲の、少なくとも1つの寸法を有し得る。BMGは、金属ガラスに関連する、上述の形状又は形態のうちの、いずれかを呈することができる。したがって、本明細書で説明されるBMGは、一部の実施形態では、重要な一態様での従来の堆積技術によって作製される薄膜とは異なるものとすることができ、前者のBMGは、後者の薄膜よりも遙かに大きい寸法のものとすることができる。
アモルファス金属は、純金属ではなく、合金とすることができる。この合金は、著しく異なるサイズの原子を含有し得ることにより、溶融状態で、低い自由体積がもたらされる(またそれゆえ、他の金属及び合金よりも、桁違いとなるまでの高い粘度を有する)。この粘度は、原子が、規則格子を形成するために十分に移動することを防ぐ。この材料構造は、冷却の間の低収縮性、及び塑性変形に対する抵抗性をもたらし得る。一部の場合には結晶性材料の弱点である、この結晶粒界の不在は、例えば、磨耗及び腐食に対する、より良好な抵抗性をもたらし得る。一実施形態では、技術的にはガラスであるが、アモルファス金属はまた、酸化物ガラス及びセラミックよりも遙かに強靭であり、脆性ではないものにすることもできる。
アモルファス材料の熱伝導率は、それらの結晶性対応物の熱伝導率よりも低いものにすることができる。より緩徐な冷却の間でも、アモルファス構造の形成を達成するために、3種以上の構成成分で合金を作製して、より高いポテンシャルエネルギー、及びより低い形成の確率を有する、複合結晶単位をもたらすことができる。アモルファス合金の形成は、以下の幾つかの因子:合金の構成成分の組成、構成成分の原子半径(好ましくは、高い押し詰め密度及び低い自由体積を達成するために、12%超の有意差を有する)、並びに結晶核生成を阻止し、溶融金属が過冷却状態に留まる時間を延長する、構成成分の組み合わせの負の混合熱によって決まり得る。しかしながら、アモルファス合金の形成は、多種多様な変数に基づくものであるため、合金組成物がアモルファス合金を形成するか否かを事前に判定することは、困難な場合がある。
例えば、ホウ素、ケイ素、リン、及び他のガラス形成剤と、磁性金属(鉄、コバルト、ニッケル)とのアモルファス合金は、低い保磁力及び高い電気抵抗を有する、磁性のものとすることができる。この高い抵抗は、例えば、トランス用磁心として有用な特性である、交番磁界に晒された場合の渦電流による低損失をもたらす。
アモルファス合金は、潜在的に有用な様々な特性を有し得る。具体的には、アモルファス合金は、同様の化学組成の結晶性合金よりも強固である傾向にあり、それらは結晶性合金よりも大きい可逆性(「弾性」)変形に耐え得る。アモルファス金属は、それらの強度を、それらの非晶質構造から直接導き出すものであり、この非晶質構造は、結晶性合金の強度を制限する欠陥(転位などの)を全く有し得ない。例えば、Vitreloy(商標)として知られる、1つの最新のアモルファス金属は、高級チタンのほぼ2倍の引張り強さを有する。一部の実施形態では、室温での金属ガラスは延性ではなく、張力が負荷されると突然破損するが、このことは、差し迫った破壊が明白ではないため、信頼性が重要な用途での、その材料の適用性を制限する。それゆえ、この課題を克服するために、延性の結晶性金属の樹枝状の粒子又は繊維を含有する金属ガラスマトリックスを有する、金属マトリックス複合材料を使用することができる。あるいは、障害を生じる傾向がある元素(例えば、Ni)が少ないBMGを、使用することができる。例えば、Niを含まないBMGを使用することにより、そのBMGの延性を改善することができる。
バルクアモルファス合金の別の有用な特性は、これらが真性のガラスであり、換言すれば、加熱により軟化及び流動し得ることである。これは、ポリマーと同様に射出成形などの容易な加工処理を可能にする。結果として、アモルファス合金は、スポーツ用品、医療用デバイス、電子部品及び電子装備、並びに薄膜を作製するために使用することができる。アモルファス金属の薄膜は、高速酸素燃料技術を介して、保護コーティングとして堆積させることができる。
材料は、アモルファス相、結晶相、又は双方を有し得る。これらのアモルファス相及び結晶相は、同じ化学組成を有し、微細構造のみが異なる(すなわち、一方はアモルファスであり、他方は結晶質である)ものとすることができる。一実施形態での微細構造は、25×以上の倍率の顕微鏡によって明らかとなるような材料の構造を指す。あるいは、これらの2つの相は、異なる化学組成及び微細構造を有し得る。例えば、組成物は、部分的アモルファス、実質的アモルファス、又は完全アモルファスとすることができる。
上述のように、アモルファス化度の程度(また反対に結晶化度の程度)は、合金中に存在する結晶の分率によって測定することができる。その程度とは、合金中に存在する結晶相の体積分率又は重量分率を指すことができる。部分的アモルファス組成物とは、少なくとも約10体積%など、少なくとも約20体積%など、少なくとも約40体積%など、少なくとも約60体積%など、少なくとも約80体積%など、少なくとも約90体積%などの、少なくともその約5体積%がアモルファス相である組成物を指すことができる。用語「実質的に」及び「約」は、本明細書中の他の場所で定義されている。したがって、少なくとも実質的にアモルファスである組成物とは、少なくとも約95体積%など、少なくとも約98体積%など、少なくとも約99体積%など、少なくとも約99.5体積%など、少なくとも約99.8体積%など、少なくとも約99.9体積%などの、少なくともその約90体積%がアモルファスであるものを指すことができる。一実施形態では、実質的アモルファス組成物は、内部に存在する、何らかの付随的な少量の結晶相を有し得る。
一実施形態では、アモルファス合金組成物は、アモルファス相に関して均質とすることができる。組成が均一である物質は、均質である。このことは、不均質である物質とは対照的である。用語「組成」とは、物質中の化学組成及び/又は微細構造を指す。物質は、その物質の体積を半分に分割して、両半分が実質的に同じ組成を有する場合に均質である。例えば、微粒子懸濁液は、その微粒子懸濁液の体積を半分に分割して、両半分が実質的に同じ体積の粒子を有する場合に均質である。しかしながら、顕微鏡下で個々の粒子を視認することが可能な場合もある。均質な物質の別の例は、空気であり、その空気中の種々の成分は等しく浮遊するが、空気中の粒子、気体、及び液体は、個別に分析することができ、又は空気から分離することもできる。
アモルファス合金に関して均質である組成とは、その微細構造の全体にわたって実質的に均一に分布するアモルファス相を有するものを指すことができる。換言すれば、その組成物は、組成物の全体にわたって実質的に均一に分布するアモルファス合金を巨視的に含む。代替の実施形態では、この組成は、非アモルファス相を内部に有する、アモルファス相を有する複合材料のものとすることができる。この非アモルファス相は、1つの結晶又は複数の結晶とすることができる。それらの結晶は、球形、楕円、ワイヤ状、ロッド状、シート状、フレーク状、又は不規則形状などの、任意の形状の微粒子の形態とすることができる。一実施形態では、結晶は、樹枝状形態を有し得る。例えば、少なくとも部分的にアモルファスの複合組成物は、アモルファス相マトリックス中に分散する樹枝状結晶の形状の結晶相を有し得るものであり、この分散は、均一又は不均一なものとすることができ、アモルファス相と結晶相とは、同じ化学組成又は異なる化学組成を有し得る一実施形態では、それらの相は実質的に同じ化学組成を有し得る。別の実施形態では、結晶相は、BMG相よりも延性とすることができる。
本明細書で説明される方法は、任意のタイプのアモルファス合金に適用可能とすることができる。同様に、組成物又は物品の成分として、本明細書で説明されるアモルファス合金は、任意のタイプのものとすることができる。このアモルファス合金は、Zr、Hf、Ti、Cu、Ni、Pt、Pd、Fe、Mg、Au、La、Ag、Al、Mo、Nb、Beの元素、又はこれらの組み合わせを含み得る。すなわち、この合金は、その化学式又は化学組成中に、これらの元素のいずれかの組み合わせを含み得る。それらの元素は、種々の重量百分率又は体積百分率で存在し得る。例えば、鉄「ベース」合金とは、内部に存在する有意な重量百分率の鉄を有する、合金を指すことができ、その重量百分率は、例えば、少なくとも約40重量%など、少なくとも約50重量%など、少なくとも約60重量%など、少なくとも約80重量%などの、少なくとも約20重量%などとすることができる。あるいは、一実施形態では、上述の百分率は、重量百分率の代わりに、体積百分率とすることができる。したがって、アモルファス合金は、ジルコニウムベース、チタンベース、白金ベース、パラジウムベース、金ベース、銀ベース、銅ベース、鉄ベース、ニッケルベース、アルミニウムベース、モリブデンベースなどとすることができる。この合金はまた、特定の目的に適合するように、上述の元素のうちのいずれかを含まない場合もある。例えば、一部の実施形態では、この合金、又はこの合金を含む組成物は、ニッケル、アルミニウム、チタン、ベリリウム、又はこれらの組み合わせを実質的に含まないものであり得る。一実施形態では、この合金又は複合材料は、ニッケル、アルミニウム、チタン、ベリリウム、又はこれらの組み合わせを全く含まない。
例えば、このアモルファス合金は、式(Zr,Ti)a(Ni,Cu,Fe)b(Be,Al,Si,B)cを有し得るものであり、式中、a、b、及びcはそれぞれ、重量百分率又は原子百分率を表す。一実施形態では、原子百分率で、aは30〜75の範囲であり、bは5〜60の範囲であり、cは0〜50の範囲である。あるいは、このアモルファス合金は、式(Zr,Ti)a(Ni,Cu)b(Be)cを有し得るものであり、式中、a、b、及びcはそれぞれ、重量百分率又は原子百分率を表す。一実施形態では、原子百分率で、aは40〜75の範囲であり、bは5〜50の範囲であり、cは5〜50の範囲である。この合金はまた、式(Zr,Ti)a(Ni,Cu)b(Be)cを有し得るものでもあり、式中、a、b、及びcはそれぞれ、重量百分率又は原子百分率を表す。一実施形態では、原子百分率で、aは45〜65の範囲であり、bは7.5〜35の範囲であり、cは10〜37.5の範囲である。あるいは、この合金は式(Zr)a(Nb,Ti)b(Ni,Cu)c(Al)dを有し得るものであり、式中、a、b、c、及びdはそれぞれ、重量百分率又は原子百分率を表す。一実施形態では、原子百分率で、aは45〜65の範囲であり、bは0〜10の範囲であり、cは20〜40の範囲であり、dは7.5〜15の範囲である。上述の合金系の例示的一実施形態は、Liquidmetal Technologies(CA,USA)によって製作されるような、Vitreloy−1及びVitreloy−101などの、商品名Vitreloy(商標)の、Zr−Ti−Ni−Cu−Beベースのアモルファス合金である。種々の系のアモルファス合金の一部の実施例が、表1及び表2に記載される。
Figure 2017200704
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その他の例示的な鉄系合金には、例えば米国特許出願公開第2007/0079907号及び同第2008/0305387号に開示されている組成物が挙げられる。これらの組成物には、Fe(Mn,Co,Ni,Cu)(C,Si,B,P,Al)系が含まれ、ここにおいてFe含有量は60〜75原子パーセント、(Mn,Co,Ni,Cu)の合計は5〜25原子パーセントの範囲内、及び(C,Si,B,P,Al)の合計は8〜20原子パーセントの範囲内であり、例示的な組成はFe48Cr15Mo14Y2C15B6である。また、Fe−Cr−Mo−(Y,Ln)−C−B,Co−Cr−Mo−Ln−C−B、Fe−Mn−Cr−Mo−(Y,Ln)−C−B、(Fe,Cr,Co)−(Mo,Mn)−(C,B)−Y、Fe−(Co,Ni)−(Zr,Nb,Ta)−(Mo,W)−B,Fe−(Al,Ga)−(P,C,B,Si,Ge)、Fe−(Co,Cr,Mo,Ga,Sb)−P−B−C、(Fe,Co)−B−Si−Nb合金、及びFe−(Cr−Mo)−(C,B)−Tmにより記述される合金系が挙げられ、ここにおいてLnはランタニド元素、Tmは遷移金属元素を示す。更に、このアモルファス合金は、米国特許出願公開第2010/0300148号に記述される例示的組成物Fe80P12.5C5B2.5、Fe80P11C5B2.5Si1.5、Fe74.5Mo5.5P12.5C5B2.5、Fe74.5Mo5.5P11C5B2.5Si1.5、Fe70Mo5Ni5P12.5C5B2.5、Fe70Mo5Ni5P11C5B2.5Si1.5、Fe68Mo5Ni5Cr2P12.5C5B2.5、及びFe68Mo5Ni5Cr2P11C5B2.5Si1.5のうちの1つであり得る。
これらのアモルファス合金はまた、(Fe,Ni,Co)ベース合金などの、鉄合金とすることもできる。かかる組成物の例は、米国特許第6,325,868号、同第5,288,344号、同第5,368,659号、同第5,618,359号、及び同第5,735,975号、InoueらのAppl.Phys.Lett.,Volume 71,p 464(1997)、ShenらのMater.Trans.,JIM,Volume 42,p 2136(2001)、並びに日本特許出願第200126277号(公開番号2001303218(A))で開示されている。1つの例示的な組成物は、Fe72Al5Ga21164である。別の実施例は、Fe72Al7Zr10Mo5215である。本明細書でのコーティングに使用することができる、別の鉄ベース合金系が、米国特許出願公開第2010/0084052号で開示されており、そのアモルファス金属は、例えば、括弧内に記される組成の範囲で、マンガン(1〜3原子%)、イットリウム(0.1〜10原子%)、及びケイ素(0.3〜3.1原子%)を含有し、また括弧内に記される組成の指定範囲で以下の元素:クロム(15〜20原子%)、モリブデン(2〜15原子%)タングステン(1〜3原子%)、ホウ素(5〜16原子%)、炭素(3〜16原子%)、及び残部の鉄を含有する。
このアモルファス合金は、米国特許出願公開第2008/0135136号、同第2009/0162629号、及び同第2010/0230012号に記述されているPt又はPd系合金のうち1つであり得る。例示的な組成物には、Pd44.48Cu32.35Co4.05P19.11、Pd77.5Ag6Si9P7.5、及びPt74.7Cu1.5Ag0.3P18B4Si1.5が挙げられる。
上述のアモルファス合金系は、Nb、Cr、V、及びCoを含めた添加遷移金属元素などの、添加元素を更に含み得る。これらの添加元素は、約20重量%以下など、約10重量%以下など、約5重量%など、約30重量%以下で存在し得る。一実施形態では、この任意選択の添加元素は、コバルト、マンガン、ジルコニウム、タンタル、ニオブ、タングステン、イットリウム、チタン、バナジウム、及びハフニウムのうちの少なくとも1つであり、炭化物を形成して、耐摩耗性及び耐食性を更に改善する。更なる任意選択の元素としては、融点を低下させるための、合計で最大約2%の、好ましくは1%未満のリン、ゲルマニウム、及びヒ素を挙げることができる。他の少量の不純物は、約2%未満、好ましくは0.5%未満とするべきである。
一部の実施形態では、アモルファス合金を有する組成物は少量の不純物を含み得る。不純物元素を意図的に添加することにより、機械的特性(例えば、硬度、強度、破壊機構など)の改善、及び/又は耐食性の改善などの、その組成物の特性を修正することができる。あるいは、それらの不純物は、加工処理及び製造の副生成物として得られるもののような、不可避の付随的な不純物として存在し得る。これらの不純物は、約5重量%など、約2重量%など、約1重量%など、約0.5重量%など、約0.1重量%などの、約10重量%以下とすることができる。一部の実施形態では、これらの百分率は、重量百分率の代わりに、体積百分率とすることができる。一実施形態では、この合金サンプル/組成物は、アモルファス合金から本質的になる(少量の付随的な不純物のみを有する)。別の実施形態では、この組成物はアモルファス合金を含む(観察可能な微量の不純物を全く有さない)。
一実施形態では、最終部品は、バルク凝固アモルファス合金の臨界鋳造厚さを超過するものであった。
本明細書の実施形態では、バルク凝固アモルファス合金が高粘度の液体として存在することができる過冷却液体領域の存在により、超塑性成形が可能となる。大きい塑性変形を得ることができる。過冷却液体領域内で大きく塑性変形する能力は、成形プロセス及び/又は切断プロセスに使用される。固体とは対照的に、この液体のバルク凝固合金は、局所的に変形し、このことが、切断及び成形のために必要とされるエネルギーを大幅に低下させる。切断及び成形の容易性は、合金、金型、及び切断工具の温度に応じて変化する。温度が高くなるにつれて、粘度が低下し、その結果として、切断及び成形が容易になる。
本明細書の実施形態は、例えば、Tg〜Txで実施される、アモルファス合金を使用する熱可塑性成形プロセスを、利用することができる。本明細書では、Tx及びTgは、結晶化の開始の温度、及びガラス転移の開始の温度として、典型的な加熱速度(例えば、20℃/分)での標準的なDSC測定から決定される。
アモルファス合金構成要素は、臨界鋳造厚さを有し得るものであり、最終部品は、その臨界鋳造厚さよりも厚い厚さを有し得る。更には、加熱及び整形操作の時間並びに温度は、アモルファス合金の弾性歪み限界が、1.0%以上、好ましくは1.5%以上であることを実質的に維持し得るように選択される。本明細書の実施形態との関連では、ガラス転移近傍の温度とは、成形温度がガラス転移未満、ガラス転移温度若しくはガラス転位温度近傍、及びガラス転移温度超とすることができることを意味するが、結晶化温度Txより低い温度であることが好ましい。冷却工程は、加熱工程での加熱速度と同様の速度で、好ましくは、加熱工程での加熱速度を超える速度で実施される。冷却工程はまた、好ましくは、形成荷重及び成形荷重が依然として維持されている間にも達成される。
電子デバイス
本明細書の実施形態は、BMGを使用する電子デバイスの製作で有用であり得る。本明細書での電子デバイスとは、当該技術分野において既知の任意の電子デバイスを指すことができる。例えば、この電子デバイスは、携帯電話及び固定電話などの電話、あるいは、例えばiPhone(商標)を含めたスマートフォン、及び電子eメール送信/受信デバイスなどの、いずれかの通信デバイスとすることができる。この電子デバイスは、デジタルディスプレイ、TVモニタ、電子ブックリーダ、携帯ウェブブラウザ(例えば、iPad(商標))、及びコンピュータモニタなどの、ディスプレイの一部とすることができる。この電子デバイスはまた、携帯DVDプレーヤ、従来型DVDプレーヤ、ブルーレイディスクプレーヤ、ビデオゲームコンソール、携帯音楽プレーヤ(例えば、iPod(商標))などの音楽プレーヤなどを含めた、娯楽デバイスとすることもできる。この電子デバイスはまた、画像、ビデオ、音声のストリーミングを制御することなどの、制御を提供するデバイス(例えば、Apple TV(商標))の一部とすることもでき、又は電子デバイス用の遠隔制御装置とすることができる。この電子デバイスは、コンピュータ、あるいはハードドライブタワーの筺体若しくはケーシング、ラップトップ筺体、ラップトップキーボード、ラップトップトラックパッド、デスクトップキーボード、マウス、及びスピーカなどの、コンピュータ付属品の一部とすることができる。この物品はまた、腕時計又は時計などのデバイスにも適用することができる。
本明細書に記述される方法、技法、及び装置は、記述されている実施形態を限定することを意図したものではない。本明細書に開示されるように、装置又はシステム(あるいはデバイス又は機械)は、材料(例えばアモルファス合金)の溶融及び射出成形を行うよう構成され得る。この装置は、高融解温度で溶融してから、その溶融材料を金型に注入して成形を行うことにより、そのような材料又は合金を加工するよう構成される。流体(例えば水)の送達は、少なくとも溶融プロセス中に機械の部品を調節及び/又は冷却するためにこの部品へと方向付けられる。流体送達を方向付けるために、装置内でデバイスが使用される。下に詳述され図に示されるように、装置の部品は互いに一線上に配置される。いくつかの実施形態により、この装置の部品(又はこのシステムへのアクセス)は、水平軸に沿っている。下記の実施形態は単に例示目的のためのものであり、限定することを意図するものではない。
様々な実施形態により、中を通って延在する開口部を有する襟部と、流体の流入流を方向付けるために、その襟部内の送達チャネルとを有するデバイスが提供される。襟部は、開口部を介して、温度調節された容器と密封嵌合するよう構成される。送達チャネルは、流体の流入流を温度調節された容器内へと送達するよう構成される。一実施形態において、流体の流出流を方向付けるために、襟部内に出口チャネルが設けられる。この出口チャネルは、温度調節された容器からの流体の流出流を排出するよう構成される。
様々な実施形態により、一装置が提供される。この装置は、溶融するための材料を内部に受容するよう構成された容器と、その容器内で材料を溶融するための熱源と、冷却液システムと、流体をこの冷却液システムから送達するための流体送達デバイスとを含む。この流体送達デバイスは、中を通って延在する開口部を備えた襟部と、流体の流入流を方向付けるために、襟部内の送達チャネルとを有する。送達チャネルは、流体の流入流を容器内へと送達するよう構成される。この容器は、襟部の開口部内に設けられ、これに対して密封される。この容器は、熱源による材料の溶融中に容器の温度を調節するための、送達チャネルにより受容した流体を内部に流すよう構成された、1つ以上の温度調節チャネルを有する。一実施形態において、流体の流出流を方向付けるために、襟部内に出口チャネルが設けられる。この出口チャネルは、温度調節された容器からの流体の流出流を排出するよう構成される。
様々な実施形態により、一方法が提供される。この方法は、流体を冷却液システムから流体送達デバイスに送達する工程と、流体送達デバイスを使用して流体を容器の端へと方向付ける工程と、内部の溶融可能材料を加熱するために、容器に隣接して設けられた熱源を作動させる工程と、容器内に流体を流すことにより容器の温度を調節する工程とを含み得る。この流体送達デバイスは、中を通って延在する開口部を備えた襟部と、流体の流入流を方向付けるために、襟部内に周縁送達チャネルとを有する。送達チャネルは、流体の流入流を容器内へと送達するよう構成される。この容器は、襟部の開口部内に設けられ、これに対して密封される。この容器は、熱源の作動中に容器の温度を調節するために、送達チャネルにより受容した流体を内部に流すよう構成された、1つ以上の温度調節チャネルを有する。一実施形態において、流体の流出流を方向付けるために、襟部内に出口チャネルが設けられる。この出口チャネルは、温度調節された容器から流体の流出流を排出するよう構成される。この方法には、流体送達デバイスを使用して、容器から冷却液システムへと流体の出力流を方向付ける工程が含まれ得る。
図3は、そのような例示的装置の概略図を示す。より具体的には、図3は射出成形装置300を示す。一実施形態により、射出成形システム300は、内部に受容した溶融可能材料305を溶融するよう構成された誘導コイル320を備えた溶融ゾーンと、その溶融した材料305を溶融ゾーンから金型340へと射出するよう構成された少なくとも1本のプランジャロッド330とを含み得る。一実施形態において、少なくともプランジャロッド330と溶融ゾーンは一線上でかつ水平軸(例えばX軸)上に設けられ、これによりプランジャロッド330は溶融ゾーンを実質的に通過して水平方向に(例えばX軸に沿って)移動し、溶融した材料305を金型340へと移動させる。この金型は、溶融ゾーンに隣接して配置され得る。
溶融ゾーン310は、溶融可能材料を受容し、その材料が溶融状態に加熱された際にそれを保持するよう構成された溶融機構を有する。溶融機構は、容器312の形態であってよく、これは例えば、溶融可能材料を受容し、かつ、内部の材料を溶融するよう構成された本体を有する。容器312は、本体の受容部分又は溶融部分314内に材料(例えば原材料)を入れるための入口も有し得る。容器の本体は、ある長さを有し、図3に示すように長手方向及び水平方向に延在していてよく、これにより溶融した材料がプランジャ330を用いてここから水平方向に移送される。加熱又は溶融のための材料は、容器312の溶融部分314に受容され得る。溶融部分314は、装置の溶融部分内で溶融された溶融可能材料を内部に受容するよう構成される。例えば、溶融部分314は材料を受容するための表面を有する。
本開示全体にわたって使用されている容器又は本体は、物質を高温に加熱するために採用された材料で製造された容器である。この容器は更に、溶融した材料を金型に向けて移動させるためのショットスリーブとしての役割も果たす。一実施形態において、容器312は、真空下にあるうちに(例えば、真空ポート332で真空デバイス又はポンプにより印加する)溶融可能材料に適用し、誘導源(例えばコイル)を介して曝露又は加熱するよう構成された、低温炉床溶融デバイスである。
一実施形態において、容器の本体及び/又は溶融部分314は、実質的に丸くなった及び/又は滑らかな表面を含み得る。例えば、溶融部分314の表面は、弓状、円形、又は環状形状に形成することができる。ただし、本体の形状及び/又は表面は、限定することを意図したものではない。本体は、一体型構造であってよく、又は、一緒に接合若しくは機械加工された別個の部品から形成されていてもよい。
一実施形態において、容器312の本体は、プランジャロッド330を内部に受容し、その中を通って溶融した材料を水平方向に移動させるよう構成される。すなわち、一実施形態において、溶融機構はプランジャロッドと同じ軸上にあり、本体は、このプランジャロッドの少なくとも一部分を受容するような構成及び/又は寸法にすることができる。よって、プランジャロッド330は、実質的に容器312内を通じて移動することにより、溶融した材料(加熱/溶融後)を容器から金型340内に移動させるよう構成することができる。図3に図示されている装置300の実施形態を参照し、例えば、プランジャロッド330は、容器312を通じて、右から左に向かって水平方向に移動し、溶融した材料を金型340に向かって、かつその内部へ移動させて押し出す。
溶融ゾーン310を加熱して、容器312内に受容した溶融可能材料を溶融させるために、射出装置300には、その溶融可能材料を加熱して溶融させるのに使用する熱源も含まれる。本体自体の実質的に全体ではなくとも、少なくとも容器の溶融部分314は、内部に受容した材料を溶融するべく、加熱されるよう構成される。加熱は、例えば、溶融可能材料を溶融させるよう構成された、溶融ゾーン320内に配置された誘導源310を使用して達成される。一実施形態において、誘導源320は容器312に隣接して配置される。例えば、誘導源320は、実質的に、容器本体の一定の長さにわたってその周囲に、螺旋状に配置されたコイルの形状であり得る。しかしながら、容器312内の材料を溶融させるよう構成された他の構成又はパターンも使用することができる。このように、容器312は、電力供給又は電源325を使用して、誘導源/コイル320に電力を印加することによって、溶融可能材料に磁場を供給することにより、溶融部分314内で溶融可能材料(例えば挿入されたインゴット305)を誘導により溶融させるよう構成することができる。よって、溶融ゾーンには誘導ゾーンが含まれ得る。誘導コイル320は、容器312を溶融させて濡らすことなしに、容器312に収容されている任意の材料を加熱し溶融させるよう構成される。誘導コイル320は容器312に向けて無線(RF)波を放射し、これが、内部の材料を溶融させるための磁場を生成する。図示されているように、本体と、容器312を取り巻くコイル320は、水平軸(例えばX軸)に沿って水平方向に配置されるよう構成される。一実施形態において、誘導コイル320は水平構成に配置され、これにより、このコイルの巻きは、容器312の周りに隣接して配置される。
一実施形態において、容器312は温度調節された容器である。そのような容器312は、誘導場の印加(誘導源又はコイルを介して)の間、容器内での材料の溶融中に容器312の本体の温度を調節する(例えば、容器を冷却する、又は溶融前に容器312を加熱する)ため、気体又は液体(例えば水、油、又はその他の流体)を内部に流すよう構成される1つ以上の温度調節チャネル316又は冷却液ラインを含み得る。そのような容器も、プランジャロッド330と同じ軸上に設けることができる。チャネル316は、容器312の本体自体の過剰な加熱及び溶融の防止に役立つことができ、あるいは低温のデバイスと共に使用した場合は容器312の本体に熱を供給することができる。調節チャネル316は、容器内の気体又は液体の流れを誘導するよう構成された冷却液システム360に接続することができる。この調節チャネル316は、流体が中を通って流れる1つ以上の入口及び出口を含み得る。このチャネル316の入口及び出口は、任意の数の方法で構成することができ、限定することを意図したものではない。例えば、チャネル316は、その上に置かれた材料が溶融し、容器温度が調節されるように(すなわち、熱が吸収されて容器が冷却されるように)、あるいは、溶融の前に熱が容器に伝達されるように(すなわち、容器表面が温められるか又は加熱され、これにより溶融可能材料からの冷却/熱移動を低減するように)、溶融部分314に対して配置することができる。調節チャネルの数、配置及び/又は方向は限定されるべきではない。液体又は冷却流体は、誘導源320が通電されているときに、溶融可能材料の溶融中に調節チャネルを流れるよう構成され得る。
一実施形態において、温度調節チャネルはシステムの他の部分に設置され得る。例えば、一実施形態において、追加のチャネルが誘導源320の周囲に又は隣接して設置され得る。一実施形態において、温度調節チャネルは、金型340内に設置され得る。したがって、本開示全体にわたって、調節チャネルは容器312を参照して記述されるが、少なくとも溶融プロセス中に(例えば誘導源320が通電され誘導場が印加されているとき)、内部に流体を流すよう構成された別の及び/又は追加のチャネルを、他の又は追加の(システム又は装置の)部品の温度を調節するために装置内に設けることができることを理解されたい。
図10は、一実施形態による実質的に管状の構造を有する、温度調節された容器312の端の部分図を示す。この容器312は、水平に配置された誘導コイル320と共に射出装置内で使用するために、水平軸に沿って配置するよう構成することができる。この容器312は、内部に溶融部分314を有し、これは、容器に隣接して設けられた誘導コイル320からの磁場による溶融を行うために溶融可能材料を受容するよう構成される。
図10に示す容器は、装置300内の長手及び水平方向に配置されたときに、内部で長手方向に液体(例えば水又はその他の流体)を流せるよう構成された温度調節チャネルを有する。しかしながら、本体内で本体に沿う調節チャネルの方向は、限定的であることを意図するものではない。一実施形態において、チャネル316は、水平方向又は横方向に配置され得る。
この調節チャネルは、中を通って液体又は流体を流すための、1つ以上の流体入口322及び出口324を含み得る。図10に示すように、入口322及び出口324は、本体328の接続端328に隣接して設けることができる。入口322及び出口324は、本体の周囲に沿って設けられる穴又は開口部であり得る。入口322及び出口324は、調節チャネル内へと流体を流入及び流出させるよう、冷却液システムに連通して構成される。入口322及び出口324は、調節ラインの構成にかかわらず、容器312(図示)の中心軸に対して放射状に配置することができる。一実施形態において、図10に示すように、入口322及び出口324は互いに対して、オフセット又はずれた位置にある。例えば、入口322は、第1領域(例えば図10の右側)において間隔をあけた配置で本体周囲に放射状にかつ周囲方向に設けることができ、出口324は、第2領域(例えば図10の右側)において間隔をあけた配置で本体周囲に放射方向かつ円周方向に設けることができる。一実施形態において、入口及び出口の位置は、調節チャネルの位置に基づき得る。
調節チャネルの入口及び出口は、任意の数の方法で構成することができ、限定することを意図したものではない。更に、チャネル内の流体又は液体の流れの方向は、限定されない。例えば、一実施形態において、流体は各チャネルに入り、出るよう構成され、これにより液体が一方向に流れるようにすることができる。他の一実施形態において、液体は互い違いの方向に流れるよう構成することができ、例えば、隣接する各ラインには、交互に入口と出口が含まれ得る。流体又は液体は、例えば、チャネルそれぞれにおいて、入口322に流入し、本体の第1側面に沿って長手方向に流れ、本体の第2側面に沿って反対方向に、長手方向に流れ、出口324から出るよう構成することができる。各チャネル内の流れの方向は同じである必要はない。加えて、調節チャネルは、チャネル間に液体を流すよう構成された1つ以上の入口/出口を有するよう構成することができる。例えば、容器が長手方向に延在する調節チャネルを含む一実施形態において、1つ以上のチャネルには、別のチャネル又はラインに向かって延在する1つ以上の横方向又は延在するラインが含まれ得、これによって互いに流体連通し得る。すなわち、液体は、本体に沿って長手方向に流れるだけでなく、接続されたチャネルを通ってこれらの間も流れるよう構成することができる。
容器312内の調節チャネルの数、配置、その中の流れ、及び/又は方向。更に、入口322及び出口324並びに/又は調節チャネルの、形状及び/又は寸法(例えば直径又は幅)は限定されない。入口322及び/又は出口324の寸法は、例えば本体に含まれる調節チャネルの数に基づいてもよく、あるいは、チャネルが設けられるセグメント又は材料の寸法(例えば、本体の厚さなど、表面の厚さに基づく)に基づいてもよい。調節チャネルの寸法は更に、望ましい冷却又は加熱の量にも基づき得る。
図10は更に、容器312がフランジ326を有していることを示す。フランジ326は、図5に示すように、射出成形装置内の容器本体の接続端328に固定されるよう構成される。フランジ326は、射出成形装置に対して本体が動くのを防ぐ。フランジ326は、射出中に容器312が引っ張り出されるのを防ぐことができる。例えば、プランジャ330が溶融した材料を容器から移動させ、金型へと射出する際、この本体には、射出プロセスが起こる際に力がかかる。プランジャ330からの前向き圧力により金型のキャビティが充填されると、ある程度の背圧が容器にかかり得る。フランジ326は、装置内に容器を安定化し、保持するのに役立つ。
フランジ326は、突出した縁、エッジ、畝、又は襟部の形状であり得る。これは、容器本体を強化し、定位置に保持し、及び/又は射出成形装置の他の物品に取り付けるために使用される。一実施形態において、容器312は、フランジ326の代わりに、その接続端328に隣接した溝を含み得る。この溝に収まるように環が設置され得る。環と溝の組み合わせを使用して、フランジと同様にして容器を固定することができる。
図4に示すように、フランジ326は装置の金型側340(プランジャ側の反対側)に挿入するよう構成される。図5に示すように、接続端328は、金型340に揃えられ、これに挿入することができる。一実施形態において、容器312のフランジ326は、金型340の表面に配置及び固定するよう構成される。これは、例えば移送スリーブ350に隣接していてよい。図4及び図5に示すように、容器312の配置によって、溶融プロセスの後、容器312の溶融部分314からの溶融した材料の、金型340に向かう水平方向での移動と射出が可能になる。プランジャ330は、例えば、溶融した材料を移動させ射出するのに使用することができる。
いくつかの場合において、溶融システムがインライン射出装置の一部である場合、容器の材料によっては、機械的な不安定性のため、一定期間後に交換が必要になることがある。そのような容器は、低価格製造で精密かつ繰り返し可能性のある製造及び設計はできない。いくつかの冷却液システムは、流体を送達するため容器本体に対して配置される管を使用し、これには、溶融ゾーン310の領域で管を折り曲げるか又は変形させることが含まれ得る。容器を交換した場合、冷却液システム360から流体を送達するのに使用する管を取り外し、場合によっては交換して再びやり直す必要がある。
一実施形態において、流体を装置300(例えば容器312の温度調節チャネル)に送達するために、デバイス400が提供され得る。このデバイス400は流体送達デバイス、又はマニホールドであり、流体を冷却液システム360から少なくとも容器312へと送達するのに使用される。一実施形態において、図4に示すように、デバイス400は例えば、金型340と移送スリーブ350との間を配置及び固定するよう構成される。
図6及び図7は、一実施形態によるデバイス400の正面図及び側面図を示す。このデバイス400は、中を通って延在する開口部412を有する襟部406を有する。この襟部406は、開口部412を介して、容器(例えば図10に示す容器316)と密封嵌合するよう構成される。容器316は、襟部406の開口部412内に設けられ、これに密封される。一実施形態において、図9に示すように、開口部412の中心軸が、襟部406の中心を通って設けられる。したがって、容器312の本体は、開口部412を通って挿入することができ、これにより接続端328とフランジ326は金型340内に固定され得る。
一実施形態において、デバイス400は、射出成形装置300内の金型340に取り付けられる。このデバイスは、内部に配置された穴408を備えた取り付け部分を含み得る。穴408は、例えば整列ピン穴及び/又は貫通穴であり得る。固定具又はボルトをこの穴408の1つ以上に挿入して、金型340の底部又は表面に固定することができる。デバイス400を金型340に取り付けることにより、デバイス400は、金型340及び/又は機械の他の部品と共に動くよう構成される。デバイス400が金型340と共に動くため、装置の部品の整備が簡単になる。部品は、機械の金型側で整備することができる。例えば、容器312は、必要に応じて交換することができる。また、デバイス400は必要な時に容易に整備又は交換することができる。
一実施形態において、襟部406は、図7に示すように、本体500を有する。この本体500は、例えば取り付け部分から延在し得る。
襟部406の本体500内には、図9に示すように、流体の流入流を方向付けるために、送達チャネル502がある。本開示において、「チャネル」とは、流体又は液体(例えば水)を方向付けることができる経路として定義される。一実施形態により、送達チャネル502は、冷却液システムから嵌合した容器へと流体の流入流を送達するよう構成される。より具体的には、図5に示すように、流体は、送達チャネル502により、容器312の1つ以上の整列された入口322へと送達される。一実施形態において、送達チャネル502は、開口部412の周囲に構成される。
一実施形態において、送達チャネルは、襟部406内の周縁チャネルである。例えば、送達チャネル502は、開口部412の周囲に構成され得る。周縁送達チャネル502は、間隔をあけた周縁配置で設けられる入口322を有する容器本体の隣接部分に沿って流体を送達することができる。例えば図10に示すように、容器の温度調節ラインへの入口322が放射状に配置されている場合、この周縁送達チャネル502は、流体を各入口322、すなわち容器の調節チャネルへと供給することができる。この構成は、コンパクトな設計をもたらし、容器の機械加工に伴うコストを減少させる。更にこれにより、異なる入口構成も可能になる。すなわち、調節チャネルの入口322は、異なる半径部分に設けることができる。なぜなら、容器が襟部406内に密封されているときに、送達チャネル502と入口322とが整列して配置されている限り、入口322の角度(容器内の調節チャネルに対する角度)を問わず、入口322は襟部406を介して流体を受容することができるからである。
一実施形態において、図9に示すように(送達チャネル502に対して左側に設けられる)、流体の流出流の方向付けのために、襟部406内に設けられる出口チャネル504が存在し得る。一実施形態により、出口チャネル504は、嵌合している容器からの流体の流出流を排出するよう(及び所望により冷却液システムに戻すよう)構成される。図5に示すように、流体は、容器312の1つ以上の整列した出口324から、出口チャネル504を経て流出する。一実施形態において、出口チャネル504は、開口部412の周囲に構成される。
一実施形態において、出口チャネルは、襟部406内の周縁チャネルである。例えば、出口チャネル504は、開口部412の周囲に構成され得る。周縁出口チャネル504は、間隔をあけた周縁配置で設けられる出口324を有する容器本体の隣接部分周りから流体を排出することができる。例えば図10のように、容器の温度調節ラインへの出口324が放射状に配置されている場合、周縁出口チャネル504は、各出口324からの(すなわち、容器の調節チャネルからの)流体を排出できる。この設計はコンパクトであり、容器の機械加工に伴うコストを減少させる。更にこれにより、異なる出口構成も可能になる。すなわち、入口322と同様、調節チャネルの出口324は、異なる半径部分に設けることができる。なぜなら、容器が襟部406内に密封されているときに、送達出口504と出口324とが整列して配置されている限り、出口324の角度(容器内の調節チャネルに対する角度)を問わず、出口324は襟部406を介して流体を排出することができるからである。
この本体500は、図8に示すように、第1部分410及び第2部分418を有し得、これらは一緒に組み立てられて襟部406を形成する。第1部分410は、出口チャネル504と、送達チャネル502の一部分とを含み得る。図9に示すように、一実施形態において、送達チャネル502は襟部406の前側(この断面図では右側)にあってよく、出口チャネル504は襟部406の後側(この断面図では左側)にあってよい。しかしながら、送達チャネル502及び出口チャネル504の襟部406内での配置は限定されない。襟部406内の送達チャネル502及び/又は出口チャネル504の配置は、容器312の入口322及び出口324の配置に基づき得る。
襟部406が本体500内に送達チャネル502と出口チャネル504の両方を含む場合、この送達チャネル502と出口チャネル504は、襟部406内で互いに対してオフセット又はずれた位置にあり得る。一実施形態において、チャネル502及び504は、階段状配置で設置され得る。一実施形態において、チャネル502及び504は、異なる寸法であり得る。
流体の流入流と流出流の混合を防ぐために、図9に示すように、送達チャネル502と出口チャネル504との間にディバイダ416が設けられる。一実施形態において、本体500は、チャネル502、504を分離するよう、階段状配置のチャネル502、504を有し得る。例えば、図8は第1部分410の壁414又は縁を示す。壁414は、送達チャネル502と出口チャネル504とを分離する段差又は表面を提供する。ディバイダ416は、この壁414に対して配置し、第1部分410に固定して、出口チャネル504を閉じてこれを形成することができる。
図8は、ディバイダ416が環の形状である一実施形態の断面図を示す。この環は、内部に中央開口部を有する。環の中央開口部は、襟部406の開口部412と軸方向に整列している。中央開口部は、図5に示すように、襟部406と嵌合したときに、中を通る容器312を受容するよう構成される。
第2部分418は、キャップの役目を果たし、送達チャネル502の一部分を含み得る。このキャップは閉じて、送達チャネル502を形成することができる。組み立てにおいて、ディバイダ416を挿入し固定した後、第2部分418を第1部分410に取り付けることができる。図9に示されているように、第2部分410の端部を、第1部分410内に挿入することができる。この端部は、例えばディバイダ416に接することができる。第2部分418及び第1部分410の面は揃えられている(例えば、図9に示すように右側に)。第1部分410及び第2部分418を一緒に組み立てたときに、送達チャネル502が形成され、2つのチャネル502と504が互いに分離される。
襟部406の部品の組立て方法は、限定されないものとする。一実施形態において、1つ以上の部品が合わせて溶接される。
襟部406の第1部分410及び第2部分418によって、部品の製造、機械加工、及び組立(例えば、ずれたチャネルを本体に形成するなど)がより容易になる。ただし、第1部分410及び第2部分418の図示並びに襟部406の組立は、制限されないものとする。一実施形態において、例えば、ディバイダ416は、第1部分と共に形成され、及び/又は送達チャネルに取り付けることができる。第2部分は、出口チャネルを含み得る。この部分を次に、合わせて固定することができる。一実施形態において、襟部406は、単独の固体部品として形成される。襟部406は、例えば形成又は注型成形することができる。このように、任意の数の方法を使用して、デバイス400の形状を製造又は機械加工することができることを理解されたい。
図9に示されるように、襟部406は、シールを受容するための1つ以上の溝420を含み得る。例えば、Oリングを溝420内に配置することができる。一実施形態において、このシール又はOリングを使用して、隣接するチャネル502又は504を固定し密封することができる(これにより流体が失われない)。一実施形態において、シール又はOリングは、これに加えて、又は代わりに、容器312の本体が開口部412を通って挿入されたときにこれを固定することができる。
デバイス400は更に、入口ポート403及び/又は出口ポート405を含み得る。本開示において、「ポート」とは、流体経路のための開口部として定義される。入口ポート403は送達チャネル502に流体連通して、流体の流入流を送達する。図9は、入口ポート403が襟部406と共に一体形成することができる非限定的な一実施形態を示す。
一実施形態において、入口ポート403は襟部406を通って開口部412に対して放射状に配置される。入口ポート403は、送達チャネル502に直接又は間接的に接続することができる。図9に示すように、襟部406は流体を送達チャネル502に送達するために、入口ポート403からの流体流の方向を変えるための指向チャネルを含み得る。この指向チャネルは、例えば2つの流体を接続するため、送達チャネル502又は入口ポート403に対して実質的に垂直な(例えば水平な)配置で設置され得る。襟部406の送達チャネル502内に流体を密封するために、図8及び図9に示すように、プラグ422が設置され得る。プラグ422は、図8に示すように、第2部分418の壁と第1部分410の壁との間の領域又は開口部に挿入及び固定することができる(例えば溶接によって)。図9は、本体500内に組み立てられたプラグ422を示す。
ただし、指向チャネル及びプラグ422は、襟部406内に設けられる必要はない。一実施形態により、角度のついたチャネルを使用して、入口ポート403を介して流体を送達チャネル502に送達することができる。流体送達のための入口ポート403の角度は、限定されない。
襟部406が出口チャネル504を含む一実施形態において、出口部分405も更に含まれ得る。出口ポート405は出口チャネル504と流体連通して、流体の流出流を排出する。非限定的な一実施形態において、出口ポート405は、図9に示すように、襟部406と共に一体形成することができる。
一実施形態において、出口ポート405は襟部406を通って開口部412に対して放射状に配置される。出口ポート405は、出口チャネル504に直接又は間接的に接続することができる。流体送達のための出口ポート405の角度は、限定されない。
一実施形態において、出口チャネル504及び出口ポート405は、襟部406から実質的に上向きの方向に、容器からの流体の流出流を方向付けるよう構成される。例えば、出口ポート405は、襟部406の上部分位置又はその近くに設けることができる。このように流出流を方向付けることが、気泡の形成、並びに/又は襟部406及び/若しくは出口ポート405(及び後述する流出ライン402)内に気泡が捕捉されるのを防ぐ助けとなる。
入口ポート403及び/又は出口ポート405は、図6及び図7に示すように、流入ライン404及び/又は流出ライン402に接続することができる。流入ライン404及び/又は流出ライン402の端は、例えばライン404、402との流体連通のために、冷却システムとを結んで延在する管に接続することができる。一実施形態において、この流入ライン404及び/又は流出ライン402は、襟部406から離れて延在し得る。一実施形態において、この流入ライン404及び/又は流出ライン402は、垂直方向に配置される。ただし、流入ライン404及び/又は流出ライン402の配置は限定されない。図4に示すように、流入ライン404及び/又は流出ライン402は、装置300内に取り付けられたとき、金型340と移送スリーブ350との間に受容され得る。ライン404、402の位置は、冷却液システムの管の位置に基づいて決定することができる。
デバイス400が装置(例えば射出成形装置300)内に設置及び使用されるとき、送達チャネル502は、整列されたチャネル502及び入口322を介して、流体の流入流を容器内へと送達するよう構成される。流体は、冷却液システム360の管から、流入ライン404を介して、入口ポート405へと流入させることができる。流体は次に、入口322を通って、容器316の送達チャネル502へ、そして温度調節チャネルへと流れる。流体は、出口324を通って容器316のチャネルから外に流れ出て、出口チャネル504及び出口ポート403を通って排出され得る。流体は、流出ライン402及び管を通して、流出流を方向付けることにより、冷却液システム360に戻して送達することができる。
したがって、記述された特徴部及び利点に加え、上述の実施形態が、冷却液システムから、少なくともインラインの射出成形装置内の容器まで、流体を送達するのを支援する。本開示により、コールドるつぼショットスリーブ(すなわち容器312)が、任意の放射点において水(又は水、ラジエーター液、ホットオイルなどの任意の温度安定化液)を供給されるようにすることができる。入口穴322及び/又は出口穴324は、チャネル502、504に沿い、これに整列した任意の点で容器312にドリルで開けることができる。ずれた穴パターンにより、入口322には、流体が独立に、任意の角度位置で供給されるようになる。入口322及び出口324の角度のついた屈曲は排除される。
更に、容器312は、流体(冷却液)が特定のチャネルに向かって容易に流れ、特定のチャネルに沿って戻ることができるように形成することができる。これによって、最も加熱されると見込まれる領域(例えば溶融部分314)に液を分配することができ、これによって容器に最も均一な加熱(又は冷却)を提供する。デバイス400では更に、容器を機械加工する際に、より小さいストック材料寸法を使用することが可能になる。フェイスシールを有するシステムは、容器上に大きなフランジが必要である。このため、小さな直径を達成するのに、フランジと同じ直径を有するストック材料を使用し、機械加工で大量に削り落とす必要がある。デバイス400では、容器と同じ小さな直径を有するストック材料を使用することができる。より小さなストック材料はより安価であり、よって、より小さなストック材料を使って容器を機械加工することで、消耗品コストを下げることになる。加えて、容器の機械加工が単純化され、ドリル穴を塞ぐためのいくつかの作業が排除される。例えば、流入及び流出ラインを接続するのに、複数の(例えば少なくとも4つの)ドリル穴開け及びろう付け作業が不要になる。ろう付けと溶接作業は高価であり、形成に使用される材料/ストックの熱処理により、容器の機械的特性を低下させる可能性すらある。本明細書に開示されるようにデバイス400と共に容器を使用することで、全体のコストを低減し、また熱処理の影響を低減することができる。更に、この容器の設計では、角度のついた屈曲以外、流れの制限が実質的に排除されているため、より大量の流体を容器に通すことができる。
前述のように、コールドるつぼ又は容器312の温度を、デバイス400及びその設計を使用して調節することができるが、この用途に限定されない。複数の実施形態において、デバイス400は、ダイカストショットスリーブに加熱流体を通す工程、ダイカストショットスリーブに冷却流体を通す工程、及び、より高い温度で容器の表面又は溶融部分314を安定化させるため、コールドるつぼ/容器に加熱流体を通す工程に使用することができ、これによって溶融した合金の冷却を減らし、より高い過熱温度を達成することができる。
更に、本明細書に開示されているように、容器と射出成形装置の長さを短縮するために、デバイスと容器を組み合わせ、同時に、射出前に溶融した材料を金型にできる限り近づけることによって、溶融した材料から伝達される熱損失を低減する。これは更に、例えば容器などの消耗構成要素など、機械の様々な構成要素を製造する複雑さとコストを低減する。これは、全体によりコンパクトな設計と、よりシンプルな機械加工工程と、より容易な組み立て及び交換をもたらす。
一実施形態により、本開示によって、例えば溶融システムがインライン射出システムの一部である場合など、採算の合うシルバーボートタイプの溶融システムの使用が可能になる。シルバーボートは、少量の反応性金属を合金にするのに一般に使用されている。典型的に、銅管を変形させ(凹ませ)、誘導コイルの内側に配置することで、凹状に凹んだ領域で材料を溶融させることができ、管に水を通すことで、ボートに一定の冷却を行うことができ、これによって、ボートが溶融さず、また合金化される材料と反応することがなくなる。このシルバーボートは、実験室規模の環境で少量の反応性合金を試験溶融するのに有効であるが、生産システムには適していない。これは、数千回の溶融を行っても機械的に安定であるような設計にはなっておらず、また、低価格製造で精密かつ繰り返し可能性のある設計にはなっていないためである。本開示は、強靱で、繰り返し可能な、マニホールドを介して製造量のシルバーボートに冷却液を送達する方法のための設計を提供する。
溶融可能材料は、任意の数の形態で溶融ゾーンに受容され得る。例えば、溶融可能材料は、インゴット(固体状態)、半固体状態、予熱されたスラリー、粉末、ペレットなどの形態で溶融ゾーンに供給され得る。いくつかの実施形態において、搭載ポート(例えば図3のインゴット搭載ポート318の図示例)が、射出成形装置300の一部として提供され得る。搭載ポート318は、任意の数の場所で装置内に提供される別々の開口部又は領域であってもよい。一実施形態において、搭載ポート318は、装置の1つ以上の部分を通過する経路であり得る。例えば、材料(例えばインゴット)は、プランジャ330によって容器312内に水平方向に挿入することができ、あるいは、射出装置300の金型側から水平方向に挿入することができる(例えば、金型340を通って、及び/又は任意の移送スリーブ350を通って、容器312内へ)。他の実施形態において、溶融可能材料は、他の方法及び/又は他の装置を用いて(例えば射出装置の反対側を通して)溶融ゾーン内に供給することができる。
一実施形態により、材料が容器312内で溶融された後、プランジャ330を使用して、その溶融した材料を、容器312から、物体、部品又は構成片を成形するための金型340へと押し出すことができる。溶融可能材料が合金(例えばアモルファス合金)である場合において、金型340は、成形されたバルクアモルファス合金の物体、部品又は構成片を形成するよう構成される。金型340は、溶融した材料を中に通して受容するための入口を有する。容器312の出口(例えば射出に使用される第2の端又は後端)と、金型340の入口は、一直線でかつ水平軸上に提供されてよく、これによりプランジャロッド330が、容器312の本体を通って水平方向に移動し、溶融した材料を、入口を通して金型340内へと射出する。
前述のように、金属又は合金などの材料を成形するのに使用される射出成形システム300のようなシステムは、金型又はダイキャビティ内に溶融した材料を押し出す際、真空を利用することができる。射出成形システム300は更に、図3に示すように、真空ポート333を介して少なくとも溶融ゾーンの容器312及び金型340に真空圧を印加するよう構成された、機能的に接続された少なくとも1つの減圧源又はポンプ(図示なし)を含み得る。この真空圧は、内部の材料を溶融し、移動又は移送し、成形するのに使用される射出成形システム300の少なくとも部分に適用され得る。例えば、容器312及びプランジャロッド330は、溶融及び成形プロセス中に、その全体が減圧下にあってよく、及び/又は減圧槽内に封入されていてもよい。
一実施形態において、金型340は、材料を成形する際に内部の真空圧を調節するよう構成された封入構造である真空金型である。例えば、一実施形態において、減圧金型340は、互いに対して隣接して(それぞれ)配置された、第1プレート(「A」金型又は「A」プレートとも呼ばれる)、第2プレート(「B」金型又は「B」プレートとも呼ばれる)を含む。第1プレートと第2プレートは一般にそれぞれ、それらの間で溶融した材料を成形するために、それぞれに伴う型穴を有する。金型キャビティには、例えばBMG部品などの部品を内部で形成及び成形するための部品キャビティが含まれ得る。
一実施形態において、金型340のキャビティは、溶融ゾーンから任意の射出スリーブ又は移送スリーブ350を介して、それらの間に受容した溶融した材料を成形するよう構成される。一般に、金型340の第1プレートが移送スリーブ350に接続され得る。移送スリーブ350(時に、当該技術分野及び本明細書においてショットスリーブ、コールドスリーブ又は注入スリーブと呼ばれる)は、溶融ゾーン310と金型340との間に設置され得る。移送スリーブ350は、溶融した材料を受容し、その中を通して金型340へと(プランジャ330を使用して)移送することを可能にするよう構成された開口部を有する。この開口部は、水平軸(例えばX軸)に沿って水平方向に設置され得る。移送スリーブは、コールドチャンバである必要はない。一実施形態において、少なくともプランジャロッド330、容器312(例えばその受容部分又は溶融部分の内側壁)、及び移送スリーブ350の開口部は、一線上かつ水平軸上に設けられ、これによりプランジャロッド330は、溶融した材料を容器312から移送スリーブ350の開口部内へ、そして金型340内へと移動させる(及び、その後通過させる)ために、容器312の本体を通って水平方向に移動できる。移送スリーブ350は更に、溶融及び成形プロセス中に、減圧下にあってよく、及び/又は減圧槽内に封入されていてもよい。
溶融した材料は、移送スリーブ350を通って水平方向に押され、入口(例えば第1プレート内)を介し、第1プレートと第2プレートとの間を通って一つの(または複数の)型穴内に入る。材料の成形中、少なくとも第1プレート及び第2プレートは、その間にある材料(例えばアモルファス合金)が例えば酸素及び窒素に曝露するのを実質的に排除するよう構成される。具体的には、プレート並びにそれらのキャビティから、大気空気が実質的に排除されるよう、真空が適用される。減圧は、減圧ライン及びポート333を介して接続された少なくとも1つの減圧源を使用して、減圧金型340の内部に印加される。例えば、システムの減圧又は減圧レベルは、溶融及びその後の成形サイクル中において、1.3×10-2〜1.3×10-5kPa(1×10-1〜1×10-4Torr)に保持され得る。別の一実施形態において、この真空レベルは、溶融及び成形プロセスにおいて、1.3×10-3〜約1.3×10-5kPa(1×10-2〜約1×10-4Torr)に維持される。もちろん、他の圧力レベル又は範囲、例えば、1.3×10-10kPa〜約1.3×10-4kPa(1×10-9Torr〜約1×10-3Torr)、及び/又は1.3×10-4kPa〜約1.3×10-2kPa(1×10-3Torr〜約0.1Torr)も使用することができる。取り出し機構(図示なし)は、金型340の第1プレートと第2プレートとの間の金型キャビティから、成形された(アモルファス合金)材料(または溶融された部品)を外すよう構成されている。この取り出し機構は、成形された材料又は部品を外すために、作動するよう構成された作動機構(図示なし)に関連付けられ又は接続される(例えば、少なくともプレート間の真空圧が解放された後、第1部品及び第2部品が互いからに離れるよう水平方向に動いた後に)。
装置300には、任意の数又はタイプの金型を採用することができる。例えば、任意の数のプレートを、第1プレートと第2プレートとの間及び/又はこれらに隣接するように設けて、金型を形成することができる。例えば「A」シリーズ、「B」シリーズ、及び/又は「X」シリーズの金型として当該技術分野で知られる金型を、射出成形システム/装置300に取り付けることができる。
溶融される材料を均一に加熱し、このような射出成形装置300の中にある溶融した材料の温度を維持することが、均一に成形された部品を形成するのに役立つ。単に例示目的のため、本開示全体で、溶融される材料は、固体状態の原材料であるインゴット305の形態であるものとして説明及び図示される。ただし、溶融される材料は、固体状態、半固体状態、予熱されたスラリー、粉末、ペレットなどの形態で、射出成形システム又は装置300内に受容されてもよく、材料の形態は限定されないことに注意されたい。
本明細書で開示されるデバイス400及びその部品は、任意の数の材料で形成することができ、限定されるものではないことに注意されたい。例えば、デバイス400は、ステンレススチールで形成でき、又はこれを含み得、あるいはいくつかの耐腐食性材料が、その中に流体(例えば水又はその他の冷却液の流れ)を通すことができる。そのような材料は、容器の面に対してある程度の射出の力がかかり得るため、十分に強靱であるべきである。前に記述したように、容器には背圧が印加されることがあり、これはフランジ326によって保持される。背圧は、装置内のデバイス400にも印加され得る。デバイス400は、容器312のフランジ326に力を印加することにより、容器を前向き位置に保持するのを助けている。
また、本明細書で開示される任意の実施形態において、容器312の本体は、任意の数の材料(例えば銅、銀、及び合金)で形成することができ、これには、任意の表面若しくは部品の上の1つ以上のコーティング若しくは層、及び/又は構成又は設計が含まれる。容器本体を形成するのに使用される材料、溶融される材料、及び材料の層は、限定することを意図したものではない。
詳しくは記述されていないが、本開示の射出システムは、1つ以上のセンサ(例えば温度センサ362)、流量計など(例えば温度、冷却水流量などをモニターするため)、及び/又は1つ以上のコントローラ364を含むがこれらに限定されない追加部品を含み得る。本明細書に開示される射出システムの任意の実施形態を用いて成形される(及び/又は溶融される)材料には、任意の数の材料が含まれ得、限定されるべきものではない。一実施形態において、鋳造成形される材料は、上記のように、アモルファス合金である。
実施形態の用途
本明細書に記述される装置及び方法は、様々な部品又は物品を形成するのに使用することができ、これは、例えば、ヤンキードライヤロール、自動車及びディーゼルエンジンのピストンリング、ポンプ構成部品(例えばシャフト、スリーブ、シール、インペラ、ケーシング部分、プランジャ)、ヴァンケルエンジン構成部品(例えば筐体、エンドプレート)、及び機械構成要素(例えばシリンダライナー、ピストン、バルブステム、液圧ラム)に使用することができる。実施形態において、装置及び方法は、電子デバイスの筐体又はその他の部品(例えば、デバイス又はその電気コネクタの筐体又はケーシングの一部)を形成するのに使用することができる。装置及び方法は、任意の消費者向け電子デバイス(例えば携帯電話、デスクトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、及び/又は携帯型音楽プレーヤ)の部分を製造するのにも使用することができる。本明細書で使用されるとき、「電子デバイス」とは、消費者向け電子デバイスなどの任意の電子デバイスを指し得る。例えば、この電子デバイスは、携帯電話及び固定電話などの電話、及び/又は、例えばiPhone(商標)を含めたスマートフォン、及び電子eメール送信/受信デバイスなどの、任意の通信デバイスであり得る。この電子デバイスは、デジタルディスプレイ、TVモニタ、電子ブックリーダ、携帯ウェブブラウザ(例えば、iPad(商標))、及びコンピュータモニタなどの、ディスプレイの一部とすることができる。この電子デバイスはまた、携帯DVDプレーヤ、DVDプレーヤ、ブルーレイディスクプレーヤ、ビデオゲームコンソール、携帯音楽プレーヤ(例えば、iPod(商標))などの音楽プレーヤなどを含めた、娯楽デバイスとすることもできる。この電子デバイスはまた、画像、ビデオ、音声のストリーミングを制御することなどの、制御を提供するデバイス(例えば、Apple TV(商標))の一部とすることもでき、又は電子デバイス用の遠隔制御装置とすることができる。この電子デバイスは、コンピュータ、あるいはハードドライバタワーの筺体若しくはケーシング、ノートブック筺体、ノートブックキーボード、ノートブックトラックパッド、デスクトップキーボード、マウス、及びスピーカなどの、コンピュータ付属品の一部とすることができる。このコーティングはまた、腕時計又は時計などのデバイスにも適用することができる。
本発明は、限られた数の実施形態との関連で、本明細書で説明及び例示されるが、本発明は、本発明の趣旨及び本質的特性から逸脱することなく、多くの形態で具体化することができる。それゆえ、本開示の要約書で説明されるものを含めた、例示及び説明される実施形態は、全ての点で、制限するものではなく、例示として見なされるべきである。本発明の範囲は、上述の説明によってではなく、添付の特許請求の範囲によって指示されるものであり、この特許請求の範囲の均等物の意味及び範囲内に含まれる全ての変更は、その特許請求の範囲内に包含されることが意図される。

Claims (20)

  1. 中を通って延在する開口部を有するガスケットと、
    流体の流入流を方向付けるために、前記ガスケット内に送達チャネルと、
    を備える、デバイスであって、
    前記ガスケットは、前記開口部を介して、温度調節された容器と密封嵌合するよう構成され、かつ
    前記送達チャネルは、前記流体の前記流入流を前記温度調節された容器内へと送達するよう構成される、デバイス。
  2. 前記流体の流出流を方向付けるために、前記ガスケット内に出口チャネルを更に備え、
    前記出口チャネルは、前記温度調節された容器から前記流体の前記流出流を排出するよう構成される、請求項1に記載のデバイス。
  3. 前記ガスケットが、射出成形装置で使用するために構成されている、請求項1に記載のデバイス。
  4. 前記送達チャネルが、前記ガスケット内の周縁チャネルである、請求項1に記載のデバイス。
  5. 前記送達チャネル及び前記出口チャネルが、前記ガスケット内の周縁チャネルであり、前記送達チャネル及び前記出口チャネルはそれぞれ、前記開口部の周囲に構成されている、請求項2に記載のデバイス。
  6. 流体の前記流入流と前記流出流との混合を防ぐために、前記送達チャネルと前記出口チャネルの間のディバイダを更に備える、請求項5に記載のデバイス。
  7. 前記ディバイダが、環の形状であり、前記環が内部に中央開口部を有し、前記環の前記中央開口部が、前記ガスケットの前記開口部と軸方向に整列し、かつ、前記中央開口部が、その中に前記温度調節された容器を受容するよう構成される、請求項6に記載のデバイス。
  8. 前記送達チャネル及び前記出口チャネルが、前記ガスケット内で互いに対してオフセットされる、請求項2に記載のデバイス。
  9. 前記ガスケットと共に一体成形された入口ポートを更に備え、前記入口ポートは、流体の前記流入流を送達するために前記送達チャネルと流体連通している、請求項1に記載のデバイス。
  10. 前記ガスケットと共に一体成形された出口ポートを更に備え、前記出口ポートは、流体の前記流出流を排出するために前記出口チャネルと流体連通している、請求項2に記載のデバイス。
  11. 溶融するための材料を内部に受容するよう構成された容器と、
    前記容器内で前記材料を溶融するための熱源と、
    冷却液システムと、
    前記冷却液システムから流体を送達するための流体送達デバイスと、
    を備える、装置であって、
    前記流体送達デバイスは、中を通って延在する開口部を有するガスケットと、前記流体の流入流を方向付けるために、前記ガスケット内に周縁送達チャネルとを含み、
    前記送達チャネルは、前記流体の前記流入流を前記容器内へと送達するよう構成され、
    前記容器は、前記ガスケットの前記開口部内に設けられ、これに対して密封され、
    前記容器は、前記熱源による前記材料の溶融中に前記容器の温度を調節するために、前記送達チャネルにより受容した前記流体を内部に流すよう構成された、1つ以上の温度調節チャネルを含む、装置。
  12. 前記流体送達デバイスが、前記流体の流出流を方向付けるために、前記ガスケット内に出口チャネルを更に含み、前記出口チャネルは、前記温度調節された容器から前記流体の前記流出流を排出するよう構成される、請求項11に記載の装置。
  13. 前記送達チャネル及び前記出口チャネルが、前記ガスケット内の周縁チャネルであり、前記送達チャネル及び前記出口チャネルはそれぞれ、前記開口部の周囲に構成されている、請求項12に記載の装置。
  14. 流体の前記流入流と前記流出流との混合を防ぐために、前記ガスケット内に、前記送達チャネルと前記出口チャネルとの間のディバイダを更に備える、請求項13に記載の装置。
  15. 前記ディバイダが、環の形状であり、前記環が内部に中央開口部を有し、前記環の該中央開口部が、前記ガスケットの前記開口部と軸方向に整列し、かつ、前記中央開口部が、その中に前記容器を受容するよう構成される、請求項14に記載の装置。
  16. 前記送達チャネル及び前記出口チャネルが、前記ガスケット内で互いに対してオフセットされる、請求項12に記載の装置。
  17. 前記装置が、金型を更に備える射出成形装置であり、前記金型が、前記容器から溶融した材料を受容し、前記溶融した材料を部品に成形するよう構成されており、かつ、前記流体送達デバイスが前記金型に取り付けられている、請求項11に記載の装置。
  18. 流体を冷却液システムから流体送達デバイスに送達する工程と、
    前記流体送達デバイスを使用して、前記流体を、容器の端へと方向付ける工程と、
    内部の溶融可能材料を加熱するために、前記容器に隣接して設けられた熱源を作動させる工程と、
    前記容器内に前記流体を流すことにより前記容器の温度を調節する工程と、
    を含む方法であって、前記流体送達デバイスは、中を通って延在する開口部を有するガスケットと、前記流体の流入流を方向付けるために、前記ガスケット内に周縁送達チャネルとを含み、前記送達チャネルは、前記流体の前記流入流を前記容器内へと送達するよう構成され、前記容器は、前記ガスケットの前記開口部内に設けられ、かつこれに対して密封され、
    前記容器は、前記熱源の作動中に前記容器の温度を調節するために、前記送達チャネルにより受容した前記流体を内部に流すよう構成された、1つ以上の温度調節チャネルを含む、方法。
  19. 前記流体送達デバイスが、前記流体の流出流を方向付けるために、前記ガスケット内に出口チャネルを更に含み、前記出口チャネルは、前記容器から前記流体の前記流出流を排出するよう構成されており、かつ、前記流体送達デバイスを使って、前記容器からの前記流体の前記流出流を、前記冷却液システムに向けて方向付ける工程を更に含む、請求項18に記載の方法。
  20. 前記送達チャネル及び前記出口チャネルが、前記ガスケット内で互いに対してオフセットされ、前記容器の端が、1つ以上の温度調節チャネルのための流体受容入口及び流体出口を含み、
    前記流体送達デバイスを使って、前記流体を、前記容器の端へと方向付ける工程が、前記流体を、前記容器の端の前記流体受容入口へと方向付ける工程を更に含み、
    前記流体の前記流出流を、前記容器から前記冷却液システムへと方向付ける工程が、前記流体の前記流出流を、前記容器の端の前記流体出口から受け取る工程を更に含む、請求項19に記載の方法。
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