JP4012442B2 - 軽金属射出成形機の射出装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛等の軽金属合金材料を融解し、その溶湯を金型に射出して成形する軽金属射出成形機の射出装置に関し、特に、円柱短棒形状のビレットに形成された軽金属材料を射出シリンダに直接供給して融解し、その溶湯をその未融解のビレットによって射出する軽金属射出成形機の射出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、軽金属合金の成形は、ホットチャンバ方式と、コールドチャンバ方式とで代表されるダイカスト法によって行われていた。特に、マグネシウム合金の成形は、上記ダイカスト法の他にチクソモールド法によって行われていた。
【0003】
ダイカスト法は、軽金属材料をあらかじめ融解炉中で融解してその溶湯を射出装置の射出シリンダに供給し、プランジャによって射出シリンダ中の溶湯を押し出して金型に注入する成形方法である。この方式では、高温の溶湯が射出シリンダに安定して供給される。特に、ホットチャンバ方式では、射出シリンダが金属溶湯の貯留された融解炉中に配置されるので、溶湯が安定して金型に供給される。また、コールドチャンバ方式では、射出シリンダが融解炉とは個別に配置されて射出装置の保守点検が容易である。
【0004】
一方、チクソモールド法は、小粒のペレット形状のマグネシウム材料をスクリュウの回転による材料の剪断熱と加熱装置による加熱とによって半溶融状態に融解して、その溶湯を射出する成形方法である。その射出装置は、一般的につぎのような2種類の装置のいずれかに構成される。1つは、特許3258617号公報に開示されるように、材料を半溶融状態に融解する押し出しシリンダと、その溶湯をプランジャによって射出する注湯シリンダとを備える。もう1つは、基本的にインラインスクリュウ成形機と同じ構成の装置で、融解と射出を1個のシリンダで行う装置に構成される。一般的には、後者の構成が主流であるが、いずれにしても、この成形機にはダイカスト法に必要な融解炉が不要である。
【0005】
ところが、上記成形法には、つぎのような改良されるべき課題がある。まず、ダイカスト法では、大容量の融解炉が使用されるために成形品の大きさに比べて大容量の溶湯が必要とされ、多量の溶湯を所定の加熱状態に維持するために成形運転中のランニングコストが大きくならざるを得ない。また、温度の昇降に多大な時間を必要とするので、融解炉の保守作業が1日がかりの作業にならざるを得ない。加えて、特にマグネシウム合金が使用される場合には、マグネシウムが非常に酸化されやすく、特に溶融状態にあるときに非常に発火しやすいことから、溶湯の発火防止対策は当然のこととして充分な酸化防止対策が必要である。このため、融解炉中に防燃フラックスや不活性ガスが多量に注入されるが、この対策によってもマグネシウム合金の酸化物を主とするスラッジの発生を充分に抑えることができず、融解炉中のスラッジを時折除去する保守作業が欠かせない。また、プランジャが使用されるので射出シリンダとプランジャの摩耗が発生して、それらの保守点検、交換が煩わしい。
【0006】
また、チクソモールド法では、材料の融解がスクリュウを回転することによって行われるため、材料を所望の半溶融状態に安定して融解させることが必ずしも容易ではない。特にインラインスクリュウ方式の成形機では、スクリュウを後退させながら同時に計量を行うので、半溶融状態の溶湯を一定密度に安定して計量することがさらに難しい。溶湯の粘度と融解する直前の半溶融状態の溶湯の粘度とに大きな差があるために、機械的な回転運動である混練、剪断加熱の効率が粘度に多いに影響されるところから、最適な融解条件に調整することが難しいからである。加えて、スクリュウが回転するのでスクリュウ、射出シリンダの摩耗が発生しやすい。また、成形材料がペレット状でその表面積が体積に比べて大きいために酸化しやすく、その材料の取り扱いに配慮する必要がある。
【0007】
上記の状況下、別異の射出装置が特開平05−212531号公報によって提案されている。この射出装置は、成形型側(前方側)の高温側シリンダ部と、後方側の低温側シリンダ部と、その間の断熱シリンダ部とからなる射出シリンダを備え、あらかじめ円柱棒状に成形された成形材料を前記射出シリンダに挿入して高温側シリンダ部で融解し、前記未溶融の成形材料によってこの溶湯を射出する装置である。プランジャではなく成形材料自体で射出するところから、この成形材料は、自己消費型プランジャと呼称されている。このような射出装置は、融解炉を備えないので、射出装置周りを簡素にすることができるとともに効率的な融解を可能にする。また、プランジャを備えないので射出シリンダの摩耗低減や短時間の保守点検などを可能にする。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記先願公報は、成形材料の長さ形状について、およびその成形材料の供給について説明していない。また、上記先願公報は、つぎのような現象が発生する虞が多分にあるにも拘わらずその解決策を開示していない。その現象は、この射出装置で軽金属材料を使用して成形する場合に発生する現象で、射出時に高圧で低粘度の溶湯が射出シリンダと自己消費型プランジャの隙間に詰め込まれて固化する結果、自己消費型プランジャの前後方向への移動が阻害されて射出動作が不能になる現象である。自己消費型プランジャが射出の際に高速高圧で前進するときに、溶湯が上記隙間にバックフローして固化して、その固化物が自己消費型プランジャの直径を太くする。しかも、その固化物が、射出動作の度に破壊、再形成されて、より強固な固化物がプランジャに沿って広範囲に成長する。その結果、熱膨張による拡径とも相俟ってやがて固化物が射出シリンダ内壁に高圧で当接して摩擦抵抗を著しく増大させて、上記現象が発生するのである。特に薄肉で複雑形状の成形品を射出成形する場合には、射出が高速、高圧で行われるので、上記現象の発生がより顕著になる。
【0009】
また、同一出願人によってその後に出願された特開平5−238765号公報や特開平5−254858号公報も、主としてガラス成形のための射出装置におけるかじり防止技術を開示するものであることから、軽金属成形における上記問題点を解決していない。なぜなら、このかじり防止技術は、シリンダ側または成形材料(自己消費型プランジャ)側に多数の溝もしくは螺旋溝を形成することによって、成形材料の冷却を促進するか、あるいは軟化による成形材料の拡径と変形を吸収する技術であるからである。ガラスの成形では、ガラスが比較的広い温度範囲での高粘度の軟化状態を呈するので溶湯が上記溝をすぐに埋めることがなく、上記作用効果が確かに得られると思われる。しかし、軽金属材料の成形では、溶湯が上記溝にすぐに充満してそれが広範囲に固化してしまうので、その溝が冷却溝としてあるいは変形の吸収溝として機能しない。軽金属特有の小さい熱容量および融解熱(潜熱)と高い熱伝導率とによって軽金属が速やかに融解、固化すること、軟化状態を示す温度範囲が狭いこと、および、溶湯が著しく低粘度の流動性を呈することから、上記溝の作用効果がガラス成形の場合と同様には得られない。
【0010】
そこで、本発明は、射出シリンダに軽金属材料を簡易に補給して効率的に融解することができるとともにその溶湯をバックフローさせることなく射出することができる軽金属材料の射出装置を提案することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の軽金属射出成形機の射出装置(100)は、軽金属材料からなる円柱短棒形状のビレット(101)を射出シリンダ(11)の後端側から挿入し、前方に移動した前記ビレットを前記射出シリンダ中で融解して、融解した溶湯(102)を未融解の前記ビレットによって射出する軽金属射出成形機の射出装置において、前記射出装置が、複数本の前記ビレットを貯留するとともに補給時に前記射出シリンダの後端側に前記ビレットを1本ずつ順次補給する材料供給装置(20)と、補給時に補給された前記ビレットを前記射出シリンダ中に挿入する一方、射出時に前記ビレットを1ショット分の射出容積に相当する距離を前進させることによって前記溶湯を射出する射出駆動装置(40)とを備え、
前記射出シリンダが、前記射出シリンダの前方部分に位置して加熱ヒータ(16)によって加熱されて、前記ビレットを融解して複数ショット分の前記溶湯を一時的に貯留する融解ゾーン(111)と、
前記射出シリンダの後方部分に位置して第一の冷却管(17)によって冷却されて、前記ビレットを射出圧力によって変形しない非軟化状態に維持して冷却する冷却ゾーン(112)と、
前記融解ゾーンと前記冷却ゾーンとの間に位置して第二の冷却管(18)によって冷却されて、前記溶湯を冷却して前記ビレットの外周に前記溶湯の固化物である自己シール(103)を生成するシールゾーン(113)とに区分された上に、
前記融解ゾーンと前記冷却ゾーンが、融解シリンダ(111a)と冷却シリンダ(112a)の個別の部材によって形成されて前記シールゾーンを介して相互に部分的にのみ当接し、
前記融解シリンダのシリンダ孔(111h)が、軟化した前記ビレットの先端が射出時に拡径した状態で前進するときにあっても該ビレットの先端と該シリンダ孔とが相互に干渉しないように、前記冷却シリンダのシリンダ孔(112h)より大きい直径寸法に形成され、
前記シールゾーンが、前記融解シリンダと前記冷却シリンダとの間に配置されて両者に部分的に当接するとともに断熱空間で囲まれかつ個別に冷却される小容積の冷却スリーブ(113a)によって形成され、
環状溝(113b)が前記冷却スリーブのシリンダ孔の前側に形成されることによって、
前記自己シールが軟化状態を維持したまま前記環状溝に固定された状態で生成されるように構成される。
【0012】
また、前記ビレットがマグネシウム合金である場合には、前記環状溝は、その溝幅が20mmないし40mm、好ましくは30mm程度に、そしてその溝深さ寸法が3mm程度に形成され、また、前記融解シリンダのシリンダ孔(111h)が前記冷却シリンダのシリンダ孔(112h)より大きい直径寸法に形成されることによる寸法差は、望ましくは片側寸法で2mmないし4mm程度の隙間に形成されると良い。
【0013】
また、本発明の軽金属射出成形機の射出装置(100)には、前記環状溝の後方の前記冷却スリーブ中に前記環状溝より小さい、望ましくはその溝幅が3mmから5mm、その溝深さが3mm程度の、副環状溝(113e)が形成されても良い。
【0014】
また、本発明の軽金属射出成形機の射出装置(100)には、前記射出シリンダの前記融解シリンダの先端側近傍の前記溶湯の中に出没するように移動する棒部材(81)と前記棒部材を外部から駆動する駆動装置(82)とを含む減圧装置(80)が、前記射出シリンダに備えられても良い。
【0015】
また、本発明の軽金属射出成形機の射出装置(100)において、前記減圧装置の前記棒部材が移動する前記射出シリンダに形成された案内孔(11g)が前記棒部材の周りに前記軽金属材料を満たす程度に該棒部材の直径より数mm大径に、望ましくは1mm程度大径に形成され、前記棒部材をほとんど隙間のない状態で移動可能に案内するガイド部材(85)が前記案内孔に挿入されて前記案内孔が塞がれるとともに前記ガイド部材あるいは前記棒部材が冷却されることによって前記案内孔のガイド部材近傍に前記溶湯の固化した自己シールを生成させるシール装置(84)を備えても良い。
【0016】
なお、上記括弧内の符号は、構成要素を図面と参照するものであり、何ら本発明の構成を図面の構成に限定するものではない。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る軽金属射出成形機の射出装置が、図示実施形態を参照して説明される。図1は射出装置全体の概略構成を一部断面にて示す側面図、図2は射出シリンダ部の概略構成を示す断面図、図3は射出シリンダ部のシールゾーン周りを詳細に示す断面図である。また、図4は図1のX−X矢視図であって材料供給装置の構成を示す断面図、図5は射出駆動装置の詳細断面図、そして、図6は射出シリンダ部に取り付けられる減圧装置を示す断面図である。
【0018】
軽金属射出成形機の射出装置に供給される軽金属材料が最初に説明される。軽金属材料は、図1に示されるように、円柱の棒材を所定寸法に切断して製造された短棒材料(以下、ビレットと称される。)として供給される。101は、そのビレットである。ビレット101の外径は、熱膨張も考慮して、後に詳細に説明される射出シリンダ11のシリンダ孔の後端側内径より小さく形成される。例えば、ビレット101が内径40mmの射出シリンダ11に挿入されるマグネシウム合金である場合、その外径は、シリンダ孔の後端内径との隙間が0.1mmないし1mm、望ましくは0.2mmないしは0.5mm程度になるように形成される。それで、ビレット101は、射出シリンダ11前方から加熱されて膨張しても、射出シリンダ11のシリンダ孔に対してわずかに隙間のある状態で挿入される。一方、ビレット101の長さは、その取り扱い易さを考慮して、例えば、300mm程度に形成される。この長さは、いわゆる射出容積の10数ショットないしは数10ショット分に相当する長さである。なお、射出容積は、従来公知の成形用語であり、1ショットで成形される成形品の容積とそれに付随するスプール、ランナ等の容積、および冷却によって収縮するであろう容積の合計である。
【0019】
軽金属材料がこのようなビレット101として供給されることによって、その保管、運搬等の取り扱いが容易であることはもちろん、射出装置への材料供給も容易である。特に、ビレットがマグネシウム材料である場合には、ビレットの体積に対する表面積が小さいので、その材料がチクソモールド法で使用されるペレット材より酸化しにくい利点もある。なお、具体的に例示された上記数値は、ビレットが内径40mmの射出シリンダに挿入されるマグネシウム合金である場合の数値で、以下において例示される数値も同様な場合の数値である。
【0020】
つぎに、軽金属射出成形機の射出装置の概要が説明される。射出装置100は、図1に示されるように、射出シリンダ部10、材料供給装置20、および射出駆動装置40によって構成され、射出シリンダ部10と射出駆動装置40は、材料供給装置20を載置する中央枠90の前後に一直線上に配置される。射出駆動装置40は、後に説明される第一の駆動装置50と第二の駆動装置70とを含む。中央枠90が機台91上に移動可能に載置されたスライドベース92上に固定されることによって、射出装置100は型締装置の固定プラテン93に対して接近または離隔するように移動する。
【0021】
しかして、ビレット101は、後に詳細に説明される材料供給装置20によって射出シリンダ11の後端側に補給され、後に詳細に説明される射出駆動装置40によってそのシリンダ孔に挿入される。そして、射出シリンダ11の中程から後方に位置するビレット101が未融解のまま非軟化状態に維持され、前方に位置するビレット101が加熱ヒータによって加熱されて融解する。融解された溶湯は、未融解のビレット101を介して射出駆動装置40のプッシャ41によって押し出されて射出シリンダ11から射出される。以下、各構成部材が順次説明される。
【0022】
射出シリンダ部10の概略断面構成が図2に示され、本発明特有の細部構成が図3に示される。この射出シリンダ部10は、中央枠90に固定された中空筒状の射出シリンダ11と、その射出シリンダ11の先端(図中左端)に取り付けられて図示省略した金型に離接する従来公知の射出ノズル12と、これらを接続する接続部材13(以下ノズルアダプタ13と称される。)とから成る。これらは、図示省略されたボルトにて強固に接続固定される。固定プラテン93の厚みが薄い場合には、ノズルアダプタ13はより短く製作されたり省略されたりする。
【0023】
射出ノズル12にはノズル孔12aが、ノズルアダプタ13にはノズル孔12aより大径に拡大したノズルアダプタ孔13aが、そして、ノズルアダプタ13と射出シリンダ11にはさらに大径のシリンダ孔11aが形成される。また、シリンダ孔11aよりわずかに大きい透孔90aがシリンダ孔11aに同心に中央枠90に形成される。透孔90aとシリンダ孔11aとは、テーパ孔によって滑らかに連なる。同様に、シリンダ孔11aとノズルアダプタ孔13a、およびノズルアダプタ孔13aとノズル孔12aが、テーパ孔によって滑らかに連なる。射出ノズル12、ノズルアダプタ13には、従来公知のバンドヒータ等の加熱ヒータ14、15が巻回され、射出シリンダ11には、その前方部分から順に、加熱ヒータ16a、16b、16cが巻回され、射出シリンダ11の後方部分には後に説明される第一の冷却管17が巻回される。そして、これら加熱ヒータあるいは冷却管の内側に熱電対からなる温度センサ19が装着され、各温度センサ19がその検出温度を加熱ヒータの温度制御装置(図示省略)あるいは冷却管の温度制御装置(図示省略)にフィードバックして、上記加熱ヒータあるいは冷却管がその内側のシリンダ部分を設定した所定の温度に加熱、あるいは冷却制御する。
【0024】
射出シリンダ11は、図3により詳細に示されるように、前方部分の融解ゾーン111と、後方部分の冷却ゾーン112と、それらのゾーンの間に配置されるシールゾーン113とに区分される。融解ゾーン111はその前方部分でビレット101を融解して複数ショット分の溶湯102を一時的に貯留する。冷却ゾーン112はビレット101を射出圧力によって変形しない程度の非軟化状態に維持するように冷却する。そして、シールゾーン113は、ビレット101の周りでバックフローした溶湯102を固化して、後に説明される自己シール103を形成する。
【0025】
より具体的には、融解ゾーン111と冷却ゾーン112は、融解シリンダ111aと冷却シリンダ112aの個別の部材から構成される。そして、融解シリンダ111aは、ある程度の長尺のシリンダに形成される。ビレット101がこのシリンダ111a中で前進する間に加熱されて、数ショット分の射出容積に見合った溶湯102が確保されるようにするためである。特に、射出容積が小さく射出サイクル(射出間隔)が長い射出成形にのみ使用される特殊仕様の射出装置では、融解シリンダ111a部が短く形成されても良い。このような融解シリンダ111aによって必要充分な量の溶湯102が安定して確保される。一方、冷却シリンダ112aは、融解シリンダ111aほど長尺に形成する必要はない。冷却シリンダ112a内に位置するビレット101が融解シリンダ111a側から加熱されても軟化しない限りにおいて、冷却シリンダ112aの長さはできるだけ短め目に設計される。もちろん、この長さの設計には、第一の冷却管17の冷却能力等が勘案される。
【0026】
一方、シールゾーン113は、冷却スリーブ113aとこのスリーブ113aに形成された環状溝113bから構成される。
【0027】
冷却スリーブ113aは、融解シリンダ111aの後端と冷却シリンダ112aの前端との間にあって両者との接触面積ができる限り小さくなるように形成された小容積の略筒状の部材から成る。この冷却スリーブ113aは、図3の射出シリンダ11の中心線から上側の図面のように、冷却シリンダ112a前端のシリンダ孔112h側(内側)に形成された内側環状凸部と、融解シリンダ111a後端のシリンダ孔111h側(内側)に挿嵌されるスリーブ部材(113a)と、それらの間に装着される冷却部材113cとから成る。冷却部材113cは、それを巻回する第二の冷却管18によって冷却される。また、冷却スリーブ113aは、図3の射出シリンダ11の中心線から下側図面のように、冷却シリンダ112a前端のシリンダ孔112h側と融解シリンダ111a後端のシリンダ孔111h側との間に装着されるスリーブ部材(113a)で構成されても良い。そして、このスリーブ部材(113a)も、それを巻回する第二の冷却管18によって冷却される。いずれにおいても、冷却スリーブ113aが上記スリーブ部材(113a)によって代表されるので、上記スリーブ部材(113a)と冷却スリーブ113aとが混同される。
【0028】
環状溝113bは、冷却スリーブ113aのシリンダ孔113hに形成された環状の溝である。この環状溝113bは、図3の中心線から上側図面では冷却スリーブ113a中に全て形成され、図3の中心線から下側の図面では冷却スリーブ113a中の融解シリンダ111aに接する位置に形成される。いずれにあっても、ビレット101がマグネシウム合金である場合には、融解シリンダ孔111hに対する環状溝113bの溝幅が20mmないし40mm、好ましくは30mm程度に、また溝深さ寸法が3mm程度に形成されると良い。
【0029】
なお、冷却スリーブ113aを代表する上記スリーブ部材(113a)の材質は、融解シリンダ111a、冷却シリンダ112aと剛性的、熱膨張的に均等な材質であるとともにできるだけ熱伝導度が良好な材質であることが好ましい。また、冷却スリーブ113aは、図示されるような小容積、すなわち比較的に薄肉の筒状部材であっても強度的に支障がない。環状溝113bに後述されるような自己シール103が形成されて、この自己シールから後方の冷却スリーブ113a内に侵入する可能性がある溶湯102の圧力が射出圧力よりはるかに低圧になるからである。
【0030】
特に、融解シリンダ111aと冷却シリンダ112aは、いずれか一方のシリンダの外周周縁にスリーブ形状の外側環状凸部を備え、もう一方のシリンダにこの環状凸部が嵌る嵌合段部を備えるように形成される。図示例では、冷却シリンダ112aの前端外縁に外側環状凸部112bが形成され、融解シリンダ111aの後端の外周に環状凸部112bの嵌合段部が形成される。そして、外側環状凸部112bと上記冷却スリーブ113aが長く形成されて、融解シリンダ111aと冷却シリンダ112aとの間に空間113dが形成される。さらに、外側の環状凸部112bに透孔もしくは切り欠き112cが複数個形成されてこの空間113dに籠もる熱が放熱される。それで、この空間113dは、冷却シリンダ112aと融解シリンダ111aとの間の断熱空間として機能する。冷却シリンダ112aと融解シリンダ111aとは、冷却シリンダ112a側から挿入される図示省略されたボルトによって1本の射出シリンダに結合される。
【0031】
冷却シリンダ112aおよび冷却スリーブ113aのシリンダ孔112h、113hの内径は、ビレット101が軟化しない程度に加熱されて熱膨張しても相互に干渉しない程度に、ビレット101に対して隙間が残る寸法に形成される。具体的には、シリンダ孔112hおよびシリンダ孔113hの内径が、ビレット101の外径より0.2mmないし0.3mm程度大きい寸法に形成される。望ましくは、冷却シリンダ112aの後端側から冷却スリーブ113aの先端側にかけてシリンダ孔112h、113hがわずかに拡径するテーパに形成されるとなおさら良い。このような構成によって、ビレット101がシリンダ孔112h、113h内でほとんど偏心することなく挿入されて、両者の隙間がほとんど一様になる。特に、これらのシリンダ孔がテーパである場合には、熱膨張したビレット101の外径の傾斜に合わせてシリンダ孔112h、113hの隙間をより狭く形成することができる。
【0032】
一方、融解シリンダ111aのシリンダ孔111hの内径は、シリンダ孔112hおよび113hより数mm大きく形成される。例えば、成形材料がマグネシウム合金である場合には、シリンダ孔111hの内径は片側寸法で2mmないし4mm程度に大きく形成される。シリンダ孔111hをより大径にすることによる作用効果は、後に説明される。
【0033】
融解シリンダ111aに巻回された加熱ヒータ16aないし16cの温度は、融解シリンダ111a中のビレット101を融解するために、ビレット101の融解温度以上に設定され、例えば、ビレットがマグネシウム合金である場合にその温度が650℃程度に設定される。それで、ビレットがシリンダ111a中で前方へ移動する間に600℃から650℃の溶湯に変化する。ただし、特に後方の加熱ヒータ16cの温度が上記融解温度を適宜下回る温度に設定されて、加熱ヒータ16aないし16cの温度設定に温度勾配が付けられる場合もある。このように温度調整される場合には、冷却ゾーン112、シールゾーン113中に位置するビレット101の温度調整が容易になる。なお、特に、環状溝113bが内側に位置する融解シリンダ111a後端近傍の外周には、加熱ヒータ16cの取り付けが避けられる。この部分がシールゾーン113に該当するからである。
【0034】
冷却シリンダ112aに巻回された第一の冷却管17と、冷却スリーブ113aに巻回された第二の冷却管18は、冷却シリンダ112aと冷却スリーブ113aを個別に冷却する。それで、冷却スリーブ113aと冷却シリンダ112aは、融解シリンダ111aに対して急激に温度低下した低い温度に制御される。既述した融解シリンダ111aと冷却シリンダ112aとの間の断熱空間113d、および冷却スリーブ113aの局部的な当接状態は、融解シリンダ111aと冷却シリンダ112aとの間の冷却スリーブ113aの急峻な温度勾配のある温度制御を容易にする。
【0035】
特に、冷却スリーブ113aに巻回された第二の冷却管18は、容積の小さい冷却スリーブ113aを強力に冷却することによって環状溝113bを強力に冷却するとともに冷却スリーブ113aに接するビレット101の外周をより直接的に強力に冷却する。この冷却によって、冷却シリンダ112aや冷却スリーブ113aの中に位置するビレット101が融解シリンダ111aから伝搬する高温によって軟化することが効率的に防止される。例えば、マグネシウム成形機では、冷却シリンダ112aの冷却スリーブ113a近傍に位置するビレット101の深部温度が100℃から150℃程度を上回らないように冷却が調整され、冷却スリーブ113aの融解シリンダ111a側に位置するビレット101の深部温度が、融解ゾーン111に近いことから特に軟化が発生する温度350℃を下回る温度250℃ないし300℃程度になるように温度制御される。
【0036】
以上のような射出装置100において、最初にその運転が立ち上げられる際にビレット101が低速で前進する。このとき、図3に示されるように、射出シリンダ11先端側ですでに融解している溶湯102は、バックフローして環状溝113bで固化物に変化する。この固化物103は、つぎに説明されるような特徴を有し、それによって特有の作用効果を奏する。
【0037】
まず、この固化物103は、溶湯102が環状溝113bとビレット101の間隙に倣って固化したものであるから、ビレット101の射出シリンダ11に対する偏心が多少あってもビレット101の周りの間隙を隙間なく埋める。また、固化物103は、充分に固化した状態で環状溝113bに嵌っているので、射出時にビレット101とともに前進したり射出圧力によって損傷したりすることがなく、その結果として更新されて成長することもない。また、固化物103の前方部分は、融解シリンダ111aのシリンダ孔111hとビレット101の間隙に充満している溶湯102に直接接して軟らかい軟化状態にあるので、射出時にその前方部分が射出圧力によって押しつぶされて、固化物103とビレット101との間の隙間が軟化物で充分に埋められる。また、射出によって前進したビレット101の外周(表面)がつぎの射出までに上記間隙の溶湯102によって急速に加熱されて、固化物103に接するビレット101の表面の温度も急速に上昇する。その結果、ビレット101に接する固化物103の表面が急速に軟化する。また、固化物103のビレット101に対する結合力は、高温の溶湯102が比較的低い温度にある非軟化状態のビレット101に対して急速に固化した物であるから、それほど強くない。
【0038】
しかして、上記固化物103は、射出時にビレット101が前進するときに、ビレット101と射出シリンダ11との間の隙間をシールする。この固化物103は、溶湯102自体が変化したものである。それで、以下の説明において、固化物103は自己シール103と呼称される。
【0039】
こうして、自己シール103は、ビレット101自体が溶湯102を射出するときに、ビレット101と射出シリンダ11との間から空気等を侵入させないことはもちろん溶湯102を後方に漏らすこともなく、かつビレット101の移動時の摩擦抵抗を低減する。それで、自己シール103は、理想的なシール部材として機能する。自己シール103のこのような作用は、軽金属材料、特にマグネシウム合金の特性である、大きい熱伝導率、小さい熱容量、潜熱によって急速に固液状態が変化する特性をうまく利用している。
【0040】
一方、融解シリンダ111aのシリンダ孔111hの内径とビレット101の外径との隙間が数mm程度に形成されるので、射出時に軟化したビレット101先端101aが拡径した状態で前進するときに、ビレット101とシリンダ孔111hとが相互に干渉しないだけの間隙が充分に確保されて、溶湯102がその間隙を通り抜けて拡径したビレット先端101aの背後に確実に回り込む。それで、この溶湯102の回り込みが溶湯102の回り込まない空間の発生を阻止して、射出容積の増加を引き起こすことなく、射出容積を安定化する。なお、融解シリンダ111a中のビレット101の先端101a近傍が特に容易に拡径する現象は、その先端が高温の溶湯102に接して特に軟化するからである。
【0041】
一般的に、溶湯のバックフロー現象は、薄肉で複雑形状の成形品を射出成形する場合により発生しやすい。このような成形では、高速高圧で射出されるからビレットの前進も高速になり、結果、溶湯が高圧になるからである。上記自己シール103は、このような場合に最も効果的にその現象を抑える。もちろん、上記自己シール103は、厚肉単純形状の成形品を低速低圧で射出成形する成形機においても、上記現象の発生を皆無にする。
【0042】
冷却スリーブ113aには、副環状溝113eをさらに形成しておくとなお良い。この副環状溝113eは、環状溝113b後方近傍の冷却スリーブ113aのシリンダ孔113hに形成された小さい溝であり、例えば、環状溝113bより後方10mm程度の位置に溝幅が3mmから5mm程度、深さが3mm程度の溝に形成される。この副環状溝113eは、図3の中心線から上側の図面のように冷却部材113cが装着される箇所に、あるいは、図3の中心線から下側の図面のように冷却スリーブ113aに直接形成される。そして、この副環状溝113eは、第二の冷却管18によって強力に冷却される。
【0043】
このように構成することによって、万一射出がうまく行われずに溶湯102が自己シール103を越えて後方に最初に逆流しようとした場合に、その溶湯102が副環状溝113eで直ちに固化して強固な固化層を形成する。環状溝113bの後方における冷却スリーブ孔113hとビレット101との隙間が既述したように小さく、かつ充分に冷却されるから、また、自己シール102を越えて漏れ出る溶湯102がわずかで、かつ、そのバックフローの速度が遅いからである。加えて、副環状溝113eが溶湯のバックフローをこの位置で止めるように緩衝するとともに生成した固化物をこの溝に係止するので、射出の際に固化物がビレット101とともに前後に移動することがなく、結果、この固化物が成長することもない。また、副環状溝113eの箇所および環状溝113bと副環状溝113eの間の箇所で環状に固化した固化物は、その幅が狭い上に温度差の大きい状態で固化してビレット101にほとんど結合しない。こうして、副環状溝113eでの固化物は、摩擦抵抗の増大を引き起こすことがない、より確実なシールとして機能する。
【0044】
冷却シリンダ112のシリンダ孔112hの後端近傍に、または中央枠90の透孔90aに、もしくは両者の間にガス噴出口90cが形成され、この噴出口90cから不活性ガスが噴出する。このような構成によって、不活性ガスがシリンダ孔112hとビレット101の隙間の空気をパージして、特にマグネシウム合金が使用される場合にその酸化が確実に防止される。この場合、不活性ガスの注入は、シリンダ孔112hにビレット101が挿入された状態で行われる。それで、注入される不活性ガスが少なくて済む。もちろん、不活性ガスが溶湯102中に混入することは、自己シール103によって阻止される。
【0045】
材料供給装置20は、図4の断面図に示されるように、ビレット101が整列状態で多数装填されるホッパ21と、ビレット101を整列状態で順次落下させるシュート22と、ビレット101を一旦受け止めて1個ずつ落下させるシャッタプレート23と、供給されたビレット101を融解シリンダ111aの軸中心に同心に保持する保持装置24とから成る。特に、保持装置24は、ビレット101を供給する際に開閉する可動側保持部材26と、固定側保持部材25と、可動側保持部材26を開閉するエアシリンダ等の流体シリンダ27とを含む。そして、保持部材25、26が閉じたときにビレット101をシリンダ孔112hの中心に略一致する位置に保持するように、保持部材25、26のお互いに対向する内側側面にビレット101の外径よりわずかに大きい径の略半円円弧状の凹部25a、26aが形成され、凹部25a、26aの中心が射出シリンダ11シリンダ孔11aの中心に略一致するように形成される。シャッタプレート23は、エアシリンダ等の流体シリンダ31を含むシャッタ装置30によって開閉される。そして、シャッタプレート23は、可動側保持部材26とともに上下2段のシャッタを構成し、それらの交互開閉動作によってビレット101を1個ずつ落下させる。28は、シュート22の下方にてビレット101をその案内曲面にて受け止めて保持部材25の凹部25aに案内するガイド部材である。このビレット供給装置40は、1つの実施例であり、ビレット101を1個ずつ供給して融解シリンダ111aの軸芯に同心な位置に保持する装置であれば他の構成の装置であっても良い。
【0046】
射出駆動装置40は、第一の駆動装置50と第二の駆動装置70とを含み、従来公知のプランジャの代わりに図5に示すようなプッシャ41を使用して、射出シリンダ11中の未融解のビレット101を前進させて溶湯102の射出を行う。プッシャ41は、その先端側の略半分(図中左側半分)がねじ軸41aに、その後端側半分(図中右側半分)がスプライン軸41bに形成される。そして、ねじ軸41aは、好ましくは台形ねじに形成され、その外径がビレット101よりわずかに小径に形成される。それで、プッシャ41は、その挿入距離がわずかではあるが射出シリンダ11に対して充分隙間のある状態で挿入され、プッシャ41と射出シリンダ11の間の摩耗は皆無である。このようなプッシャ41を協働して駆動する第一の駆動装置50と第二の駆動装置70は、つぎのように構成される。
【0047】
第一の駆動装置50は、上記中央枠90に固定された油圧シリンダ51と、油圧シリンダ51中で駆動される油圧ピストン52とから成る。油圧ピストン52、およびその前後に形成されたピストンロッド部52a、52bの中心には、プッシャ41が同心に移動可能に配置される中空部が形成され、その中空部の前端にプッシャ41のねじ軸41aに螺合するナット53が固定される。このような構成の第一の駆動装置50は、油圧によって油圧ピストン52を移動させてプッシャ41を高速大推力で前進させるので、射出制御に使用される。したがって、油圧ピストン52の移動可能な最大ストロークは射出装置100の最大射出容積によって決まり、成形中の油圧ピストン52の移動ストロークは射出条件の射出容積に設定される。なお、ナット53がねじ軸41aに負荷する射出時の大推力は、ナット53とねじ軸41aとが台形ねじで螺合しているのでねじ全体に負担され、ねじ部を損傷することはない。また、上記大推力がナット53からねじ部に負荷される際にプッシャ41を回転させようとするトルクを発生するが、このトルクはねじ部の面摩擦抵抗が大きいことによって僅少である。しかも、このトルクによるプッシャ41の回転の可能性は、後に説明される第二の駆動装置70のモータ72の停止制御によって阻止される。
【0048】
一方、上記トルクの反作用として、油圧ピストン52にも回転トルクが発生する。それで、油圧ピストン52の回り止め装置60がピストンロッド部52b後部に設けられる。回り止め装置60は、ピストンロッド部52bに固定されたブラケット61と、ブラケット61上に回転自在に固定されたローラ62とを含む。そして、ローラ62は、油圧シリンダ51の後端(図中右端)に連結された中空筒状の後側ハウジング54に形成された、ローラ62と等しい幅の案内溝54aに沿って移動する。このような構成によって、ローラ62は、射出時に油圧ピストン52の油圧シリンダ51に対する回転を阻止する。
【0049】
ブラケット61の先端には、油圧ピストン52の後側ハウジング54に対する移動位置を検出する、従来公知の位置検出装置が取り付けられる。この検出装置は、図示省略されているが、例えば、後側ハウジング54側に取り付けられた、リニアスケールもしくはマグネスケール(磁気スケール)と、ブラケット61先端側に取り付けられたスケール検出ヘッドとから構成される。
【0050】
第二の駆動装置70は、後側ハウジング54の後端にブラケット71を介して固定されたモータ72、モータ72の出力軸に固定された第一のプーリ73、後側ハウジング54の後部に回転自在に支承された中空軸部材78に固定された第二のプーリ74、これらプーリ73、74間に張り渡されたタイミングベルト75、および、中空軸部材78に固定されるとともにプッシャ41のスプライン軸41bに歯合するスプラインナット76から構成される。モータ72には、油圧モータ、またはサーボモータが使用され、スプラインナット76には、公知のボールスプラインナットが採用される。77は中空軸部材78を後側ハウジング54に回転自在に取り付けるベアリングである。
【0051】
後側ハウジング54から後方に張り出すように取り付けられたブラケット55には、プッシャ41の後端の通過を検出する、例えば近接スイッチからなる検出器56、57が設けられる。検出器56は、ビレット101の補給時機を検出するために、プッシャ41がビレット101の全長を超える距離前進したことを検出する。検出器57は、材料供給装置20がビレット101を補給する際にプッシャ41がビレット101に干渉しない位置まで後退したことを検出する。図示省略された制御装置は、これら検出器56、57からの信号を受けてビレット101のビレットの補給時機到来や補給準備完了を検知する。
【0052】
上記のような第二の駆動装置70は、モータ72を回転制御することによって第二のプーリ74を回転制御し、これと一体のスプラインナット76を介してプッシャ41を回転制御する。すると、プッシャ41のねじ軸41aが油圧ピストン52のナット53に対して前後に移動して、結局、プッシャ41が前後いずれかに移動する。このとき、油圧ピストン52の回転は、回り止め装置60によって阻止される。そして、スプライン嵌合部は、前後方向の動作のみを許容する。しかして、第二の駆動装置70は、ビレット101の補給の際にプッシャ41をビレット101の全長を超える距離後退させ、その後にプッシャ41を所定推力で前進させてビレット101を射出シリンダ中に挿入する。また、第二の駆動装置70は、射出時に射出容積に等しい距離前進した油圧ピストン52をつぎの射出のために後退させるときに、プッシャ41をナット53に対して同じ距離だけ所定推力で前進させる。後者の動作は、従来公知の計量動作に対応する動作であり、その詳細は後に説明される。
【0053】
なお、補給時や計量時の上記プッシャ41の移動速度が射出時の移動速度ほど高速にならないので、ねじ軸41aのナット53に対する回転も高速ではない。それで、ねじ軸41aとナット53とが台形ねじを介して螺合していても運転上何ら支障がない。また、上記所定推力で前進させる動作は、モータ72が油圧モータである場合に作動油の油圧を所定圧力に設定することによって、また、モータ72がサーボモータである場合に出力トルクを所定トルクに制限することによって実現される。また、射出時に第二の駆動装置70のモータ72が停止されて第二のプーリ74が停止されることによって、これと一体のスプラインナット76が停止してプッシャ41の回転が阻止される。
【0054】
以上説明した射出駆動装置40は、1実施例であって図示構成のものに限定されない。また、射出駆動装置40は、第一の駆動装置50と第二の駆動装置70とから構成される必要もない。射出駆動装置40は、プッシャ41に相当する部材を射出時に射出容積に対応する距離正確に前進させる動作を逐次実行し、ビレット101の補給時にプッシャ41に相当する部材を一気に後方まで移動させるとともに補給後にビレット101を射出シリンダ11中に挿入する装置であれば、いかなる構成の駆動装置であっても良い。
【0055】
射出装置100は、射出シリンダ11中の容積を変動させることによって射出シリンダ11中の溶湯102の圧力を減圧する減圧装置80を備えても良い。この減圧装置80は、図6に示されるように、射出シリンダ11の前端近傍のシリンダ孔11a中に出没する棒部材81と、射出シリンダ11の外周に所定距離離れた位置に固定されて外部から棒部材81を前後に駆動する駆動装置82とを含む。棒部材81は、射出シリンダ11に形成され案内孔11gに挿通される。駆動装置82には、例えば、油圧シリンダ等が採用され、このシリンダのピストンロッド83に棒部材81が連結される。
【0056】
このような減圧装置80は、射出シリンダ11の中で棒部材81を後退させることによって、射出シリンダ11中の容積を増加して溶湯102の圧力を減ずる。この減圧動作は、従来公知のサックバック動作による減圧動作と同じ作用であり、射出ノズル22先端からの溶湯102の不用意な漏れ出しを防ぐものであるが、プッシャ41を後退させてもビレット101を後退させることができないことから、棒部材81を採用して減圧動作を実現したものである。そして、この動作は、通常、射出後保圧が行われた後、あるいは冷却が行われた後のタイミングで行われる。これに対して棒部材81を前進する逆の動作は、射出直前の瞬間に行われる。したがって、このような減圧装置80が備えられる場合には、射出容積に棒部材81のストロークによって押し退けられる容積が追加される。
【0057】
減圧装置80は、さらにつぎのようなシール装置84を備えると良い。このシール装置84は、案内孔11gを塞ぐように装着されるガイド部材85と、この部材85に巻回される冷却管86とを含む。そして、棒部材81と案内孔11gの隙間が1mm程度に形成され、棒部材81がこのガイド部材85に対してわずかな隙間を有する状態で移動可能に案内される。このような構成によって、案内孔11gに侵入した溶湯102がガイド部材85近傍の棒部材81の周りで固化する。それで、この固化物は、棒部材81と案内孔11gの間の案内孔シールとして機能する。また、棒部材81とガイド部材85との間にも固化物が層状に介在して、その固化物が棒部材81とガイド部材85の間の摩耗やかじりを防止する。もちろん、このシール装置84は、ガイド部材85が冷却される代わりに棒部材81が冷却される構成であっても良い。この場合、ガイド部材85が小さい栓部材として案内孔11gを塞ぐように取り付けられ、棒部材81に摺接して棒部材81を案内するブロック体が栓部材より所定距離離れた位置に固定される。そして、このブロック体が、冷却管をその内部あるいはその外部に配置することによって冷却される。それで、棒部材81が冷却されて栓部材近傍の案内孔11gが冷却される結果、図示例と同様に案内孔11gにシールが形成される。
【0058】
以上説明された本発明の射出装置100によって、図7、図8に示されるように射出が行われる。図7は射出シリンダ部10の側面から見た断面を示し、図8は射出駆動装置40の側面から見た断面を示す。図7中の図(a)、図(b)および図(c)と、図8中の図(a)、図(b)および図(c)は同じ動作過程にある状態図を示す。そして、各図(a)はビレット101が補給されるときの状態、各図(b)は射出が行われる前後の状態、各図(c)は補給時機に達したことが検出されるときの状態を示す。特に図(b)において、中心軸線より上側半分の図が射出直前の状態を示し、中心軸線より下側半分の図が射出直後の状態を示す。
【0059】
先に、射出が安定的に行われている成形運転本番の状態が、図(b)を参照して説明される。このとき、数ショット分の溶湯102が融解シリンダ111aの前方部分に常に確保されている。そして、射出直前には、上側半分の図のように、第一の駆動装置50が油圧ピストン52を射出容積に相当するストロークだけ後退させてプッシャ41のつぎの射出容積に相当するストロークを確保するとともに、第二の駆動装置70がプッシャ41を油圧ピストン52に対して射出容積に相当するストロークだけ前進させてプッシャ41を所定の推力でビレット101の後端に密着させている。
【0060】
この状態で、油圧ピストン52がプッシャ41を射出容積に相当するストロークだけ高速前進させることによって溶湯102の高速充填制御が行われ、上側半分の図の状態から下側半分の図の状態に移行する。この射出動作が開始されるとき、通常、既述した自己シール103が環状溝113bにすでに形成されている。最初にビレット101が前進するときに、この自己シール103が速やかに形成されるからである。それで、自己シール103は、ビレット101が溶湯102を射出するときに不活性ガス、空気等を侵入させないことはもちろん、溶湯102を後方にバックフローさせない。加えて、自己シール103は、射出シリンダ中で移動するビレット101の移動抵抗を軽減する。また、融解シリンダ111aのシリンダ孔111hの内径がビレット101外径より充分に大きめであるから、融解直前状態に軟化したビレット101の先端が射出圧力によって拡径してもシリンダ孔111hに緩衝せず、射出容積は変動しない。
【0061】
上記の射出動作において、油圧ピストン52の回転が回り止め装置60によって阻止されるとともにプッシャ41の回転が第二の駆動装置70によって阻止されて、ピストン52の位置がブラケット61の既述した位置検出装置によってフィードバックされる。それで、プッシャ41の射出動作は、油圧ピストン52の移動制御によって正確に制御される。
【0062】
射出後に保圧が行われ、成形品の冷却が開始されるとつぎの射出のための計量がつぎのように行われる。ただし、本発明の計量は、プランジャが毎回射出容積に相当する距離後退して射出シリンダに溶湯を貯留する従来公知の計量とは異なる。本発明では、以下の説明から理解されるように、プランジャが使用されず、かつ数ショット分の溶湯が射出シリンダ中に貯留されように制御されるからである。
【0063】
本発明の射出装置100における計量動作は、図7、図8の図(b)の下側半分の図で射出直後のプッシャ41の位置を変えない状態で、同じ図面図(b)の上側半分の図のように油圧ピストン52のみを後退させて、油圧ピストン52のストローク上でつぎの射出のためのストロークを確保する動作である。まず、第一の駆動装置50の油圧ピストン52が射出の際に前進した射出容積に相当するストローク後退して、次回の射出動作のための射出容積に相当するプッシャ41の移動ストロークを確保する。そして、それと同時にあるいはその直後から、第二の駆動装置70がプッシャ41を回転させて、プッシャ41を射出容積に相当するストロークだけ油圧ピストン52に対して前進させてビレット101の後端に所定推力で密着させる。すなわち、第一の駆動装置50が油圧ピストン52を射出容積に相当するストロークだけ後退させてプッシャ41のつぎの射出容積に相当するストロークを確保するとともに、第二の駆動装置70がプッシャ41を所定の推力でビレット101の後端に再度密着させる。こうして、つぎの射出動作の準備動作である計量が完了する。
【0064】
本番の成形は、上記のような射出動作とその後の計量動作の繰り返しによって行われる。そして、このような動作の繰り返しによって、プッシャ41が1ショット分の射出容積に相当する距離を累進的に前進してビレット101が同様に累進的に前進して順次溶湯に融解される。やがて1本分のビレット101が消費されてプッシャ41が1本分のビレット101全長を超える長さ前進したときに、つぎのビレット101が補給される。
【0065】
特に、射出装置100が射出シリンダ11に減圧装置80を備えている場合には、上記射出動作の直前に棒部材81が前進する。そして、射出完了後保圧が完了して金型のゲートが固化したタイミングで棒部材81が後退して、射出シリンダ11中の溶湯102の圧力が減圧される。このようなサックバック動作によって、射出ノズル12からの溶湯102の不意の漏れ出しが防止される。当然、射出容積には、棒部材81のストロークによって押し退けられる容積の増加分が考慮される。
【0066】
材料補給は、図8(c)に示されるように、射出動作の途中にプッシャ41の後端が検出器56の側方を通過したときから開始される。このとき、検出器56は制御装置にその後端の通過を検出してその旨の信号を送る。すると、制御装置は、実行中であった射出動作及び保圧動作を完了させた後、図8(a)のように射出プッシャ41をその後端が検出器57に検出されるまで後退させる。このとき、油圧ピストン52は、射出直後の前進位置に位置したままである。こうして、保持装置24中にビレット101が収容されるための空所ができると、つぎに、図4のように、片側の保持部材26が開いて1個のビレット101が保持装置24内に供給される。そして、材料供給装置20がシャッタプレート23を開いてつぎのビレット101を片側の保持部材26の上に供給する。つぎに、第二の駆動装置70がプッシャ41を所定の推力で前進させて、ビレット101を射出シリンダ11の中に送り込んで、ビレット101同士を当接させる。その後、第一の駆動装置50が油圧ピストン52を射出容積に相当するストロークだけ後退させてつぎの射出に必要な射出容積に相当するプッシャ41のストロークを確保するとともに、第二の駆動装置70がプッシャ41を所定の推力で前進させてビレット101に再び当接させる。こうしてビレット101が射出シリンダ11の中に充填されるとともにつぎの射出のためのプッシャ41の移動ストロークが確保される。
【0067】
つぎに、射出装置100を最初に立ち上げる際の段取り作業が説明される。最初にビレット101が材料供給装置20によって既述したように射出シリンダ11の後端側に補給され、射出駆動装置40によって射出シリンダ11内にそのまま挿入される。続けて、上記補給動作が繰り返されて複数本のビレット101が射出シリンダ11内に挿入される。その後、ビレット101がプッシャ41によって所定推力で押圧された状態で不活性ガスの注入が開始されて、ビレット101が融解シリンダ111a中で融解温度に加熱される。
【0068】
ビレット101が射出シリンダ11中で加熱されると、やがて射出ノズル12側のビレット101から先に融解し始める。融解した溶湯102は、プッシャ41による圧力によって前方に移動して、シリンダ内に充満して射出ノズル12孔に到達し、図7(a)の状態になる。このとき、冷却スリーブ113aとビレット101との隙間が小さい上に冷却スリーブ113aが強力に冷却されるので、溶湯102がある程度生成されるまでの間射出シリンダ11中の空気や不活性ガス等がこの隙間から抜ける一方、生成した溶湯102がこの隙間から後方に漏れ出すことはない。溶湯102の圧力が未だ高くない上、溶湯102が後方に移動しても冷却スリーブ113aにおける上記隙間で直ちに固化するからである。
【0069】
最初の立ち上げ時には、ビレット101の融解が進むとビレット101が前進する。それで、必要に応じてビレット101の補給が行われる。やがて溶湯102が数ショット分確保されると、射出動作に準じたパージが行われて溶湯に混入されている不活性ガスや空気が溶湯102とともにシリンダ中から追い出される。その後、射出ノズル12が金型に当接された状態で成形条件が調整されて本運転が開始される。
【0070】
上記段取り作業の際に射出シリンダ中に最初に混入している空気や不活性ガス等が速やかにパージされない場合には、これらの膨張が高温の溶湯102を射出ノズル22先端から突然噴出させたり、鼻水のように出したりすることがある。このような現象は、成形条件出しの段取り作業が成形作業者の直接的な調整作業に頼ることが多いところから、作業者に危険を及ぼす虞が多大にある。
【0071】
しかして、減圧装置80が射出シリンダに備えられる場合には、特にこの減圧装置80が上記成形条件出し作業における危険を減少する。すなわち、減圧装置80は、射出が行われた直後に減圧、すなわちサックバックして、射出時を除く時機において溶湯102が不意に漏れ出すことを防止する。
【0072】
最後に、射出シリンダ部10の保守点検に関しての本発明に特有の作用効果が説明される。
第一に、溶湯102の量が必要最小限の数ショット分だけで済むことから、射出装置100の立ち上げ、再立ち上げ等の作業において昇温、降温に伴う多大な時間的ロスが発生せず、保守点検作業が楽になる。
第二に、溶湯102がプランジャやスクリュウによってではなくビレット101によって射出されるので、プランジャやスクリュウの摩耗は当然あり得ず、射出シリンダ11の摩耗も格段に少なく、従来の射出装置ほどにその保守点検を必要としない。
第3に、プッシャ41が射出シリンダ11に対して充分隙間のある状態で射出シリンダ11に侵入するので、プッシャ41と射出シリンダ11との間の摩耗も皆無である。
第4に、成形材料(溶湯が固化したもの)を射出シリンダ11から引き抜く作業も簡単にできる。まず、溶湯102の加熱を停止して全体をある程度固化させた後、射出シリンダ11先端のノズルアダプタ13および射出ノズル12を取り外して、プッシャ41によってビレット101を押し出すが、このとき、自己シール103が破損、生成の繰り返しによって成長した固化物ではないこと、既述したように自己シール103がもともとビレット101に強く結合していないこと、および、ビレット101が冷却されて収縮することから、プッシャ41が成形材料を押し出すために必要な推力は、それほど大きくはない。しかも、このとき、自己シール103を環状溝113bに残したままでビレット101を押し出すことができる。環状溝113bに残された自己シール103は、オーバホールのための保守点検でなければそのまま射出シリンダ11中に残されて、次回の成形運転で再びシール部材として利用される。特に、射出装置100が減圧装置80を備える場合には、溶湯102を冷やす適当な時機に棒部材81をシリンダ孔から抜き出しておく。
【0073】
【発明の効果】
以上説明した請求項1の射出装置は、上記材料供給装置と射出駆動装置とを備えるとともに融解ゾーンと冷却ゾーンとシールゾーンとを含む射出シリンダを備えるので、軽金属材料を射出装置に容易に補給することができ、融解ゾーンに数ショット分の溶湯を効率的に確保することができ、冷却ゾーンのビレットを軟化させない程度に確実に冷却することができるとともに、シールゾーンに自己シールを確実に形成した状態で射出を正確に安定して行うことができる。それで、材料を融解し保温する電力が必要最小限の電力で済み、成形運転時のランニングコストが大幅に減少する。また、自己シールは、射出時のビレットと射出シリンダの間からの溶湯漏れを確実に防止することはもちろん、ビレットとシリンダの間の摩擦抵抗を低減するとともに、射出シリンダの摩耗を低減する。その上、自己シールが環状溝で軟化状態を保持するとともに固定された状態で形成されるので、この自己シールが射出動作に伴って損傷して更新されることなく、安定して溶湯のバックフローを防止する。加えて、射出時にビレット先端が射出圧力に因って拡径しても融解シリンダと干渉しないので射出容積が変動しない。
【0074】
また、本発明の請求項2に記載した射出装置によれば、前記ビレットがマグネシウム合金である場合に、急峻な温度勾配を有する状態で冷却された冷却スリーブの環状溝で生成する自己シールは、融解シリンダのシリンダ孔の前記ビレットに対する隙間の高温の溶湯に接することによって前方部分などで軟化状態を保持するとともにその溝に固定された状態で確実に安定して形成される作用効果をより確実に奏する。加えて、ビレット先端が射出圧力に因って拡径しても射出容積が変動しない作用効果も顕著になる。
【0075】
また、本発明の請求項3に記載した発明によれば、冷却スリーブに環状溝より小さい副環状溝がさらに形成されるので、射出中に万が一にも溶湯が自己シールを超えてバックフローしたとしても、溶湯が迅速に固化して小さい強固な固化物となり、それが溶湯の後方への漏れより確実に阻止る。
【0076】
また、本発明の請求項4に記載した発明によれば、融解ゾーンの先端近傍に減圧装置が備えられるので、射出ノズルからの溶湯の不意の漏れ出しが阻止される。
【0077】
また、本発明の請求項5に記載した発明によれば、減圧装置の棒部材が案内孔に形成される案内孔の自己シールによってシールされるので、確実にシールされるとともに、棒部材の摩耗やかじりの心配がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の射出装置の全体構成を一部断面で示す側面図である。
【図2】図1の射出シリンダ部の概略構成を示す断面図である。
【図3】図1の射出シリンダ部のシールゾーン周りを詳細に示す断面図である。
【図4】本発明の射出装置の材料供給装置の断面を示す図1のX−X矢視断面図である。
【図5】図1の射出駆動装置の詳細断面図である。
【図6】本発明の射出装置の減圧装置の断面図である。
【図7】本発明の射出装置の、特に射出シリンダ部の動作過程を示す側面から見た断面図である。特に、図(a)はビレットが補給されるときの状態、図(b)は射出が行われる前後の状態、図(c)は補給時機に達したことが検出されるときの状態を示す。特に、図(b)の中心軸線より上側半分は射出直前の状態を示し、図(b)の下側半分は、射出直後の状態を示す。
【図8】本発明の射出装置の、特に射出駆動装置の動作過程を示す側面から見た断面図である。特に、図(a)はビレットが補給されるときの状態、図(b)は射出が行われる前後の状態、図(c)は補給時機に達したことが検出されるときの状態を示す。特に、図(b)の中心軸線より上側半分は射出直前の状態を示し、図(b)の下側半分は、射出直後の状態を示す。
【符号の説明】
10 射出シリンダ部
11 射出シリンダ
11a 射出シリンダのシリンダ孔
11g 棒部材の案内孔
16 加熱ヒータ
17 第一の冷却管
18 第二の冷却管
20 材料供給装置
24 保持装置
40 射出駆動装置
41 プッシャ
50 第一の駆動装置
70 第二の駆動装置
80 減圧装置
81 棒部材
82 駆動装置
84 シール装置
85 ガイド部材
100 射出装置
101 ビレット
102 溶湯
103 自己シール(固化物)
111 融解ゾーン
111a 融解シリンダ
111h 融解シリンダのシリンダ孔
112 冷却ゾーン
112a 冷却シリンダ
112h 冷却シリンダのシリンダ孔
113 シールゾーン
113a 冷却スリーブ
113b 環状溝
113e 副環状溝

Claims (5)

  1. 軽金属材料からなる円柱短棒形状のビレットを射出シリンダの後端側から挿入し、前方に移動した前記ビレットを前記射出シリンダ中で融解して、融解した溶湯を未融解の前記ビレットによって射出する軽金属射出成形機の射出装置において、
    前記射出装置が、複数本の前記ビレットを貯留するとともに補給時に前記射出シリンダの後端側に前記ビレットを1本ずつ順次補給する材料供給装置と、補給時に補給された前記ビレットを前記射出シリンダ中に挿入する一方、射出時に前記ビレットを1ショット分の射出容積に相当する距離を前進させることによって前記溶湯を射出する射出駆動装置とを備え、
    前記射出シリンダが、前記射出シリンダの前方部分に位置して加熱ヒータによって加熱されて、前記ビレットを融解して複数ショット分の溶湯を一時的に貯留する融解ゾーンと、
    前記射出シリンダの後方部分に位置して第一の冷却管によって冷却されて、前記ビレットを射出圧力によって変形しない非軟化状態に維持して冷却する冷却ゾーンと、
    前記融解ゾーンと前記冷却ゾーンとの間に位置して第二の冷却管によって冷却されて、前記溶湯を冷却して前記ビレットの外周に前記溶湯の固化物である自己シールを生成するシールゾーンとに区分された上に、
    前記融解ゾーンと前記冷却ゾーンが、融解シリンダと冷却シリンダの個別の部材によって形成されて前記シールゾーンを介して相互に部分的にのみ当接し、
    前記融解シリンダのシリンダ孔が、軟化した前記ビレットの先端が射出時に拡径した状態で前進するときにあっても該ビレットの先端と該シリンダ孔とが相互に干渉しないように、前記冷却シリンダのシリンダ孔より大きい直径寸法に形成され、
    前記シールゾーンが、前記融解シリンダと前記冷却シリンダとの間に配置されて両者に部分的に当接するとともに断熱空間で囲まれかつ個別に冷却される小容積の冷却スリーブによって形成され、
    環状溝が前記冷却スリーブのシリンダ孔の前側に形成されることによって、
    前記自己シールが軟化状態を維持したまま前記環状溝に固定された状態で生成されることを特徴とする軽金属射出成形機の射出装置。
  2. 前記ビレットがマグネシウム合金であ、前記環状溝は、その溝幅が20mmないし40mm程度に、そしてその溝深さ寸法が3mm程度に形成され、また、前記融解シリンダのシリンダ孔が前記冷却シリンダのシリンダ孔より大きい直径寸法に形成されることによる寸法差は、片側寸法で2mmないし4mm程度の隙間に形成されることを特徴とする請求項1記載の軽金属射出成形機の射出装置。
  3. 前記環状溝の後方の前記冷却スリーブ中に、前記環状溝より小さい、その溝幅が3mmから5mm、その溝深さが3mm程度の、副環状溝が形成されることを特徴とする請求項1記載の軽金属射出成形機の射出装置。
  4. 前記射出シリンダの前記融解シリンダの先端側近傍の前記溶湯の中に出没するように移動する棒部材と前記棒部材を外部から駆動する駆動装置とを含む減圧装置が、前記射出シリンダに備えられることを特徴とする請求項1記載の軽金属射出成形機の射出装置。
  5. 前記減圧装置の前記棒部材が移動する前記射出シリンダに形成された案内孔が前記棒部材の周りに前記軽金属材料を満たす程度に該棒部材の直径より1mm程度大径に形成され、前記棒部材をほとんど隙間のない状態で移動可能に案内するガイド部材が前記案内孔に挿入されて前記案内孔が塞がれるとともに前記ガイド部材あるいは前記棒部材が冷却されることによって、前記案内孔のガイド部材近傍に前記溶湯の固化した自己シールを生成させるシール装置を備えることを特徴とする請求項4記載の軽金属射出成形機の射出装置。
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