JP6579617B2 - 軽金属射出成形機の射出装置 - Google Patents

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Description

この発明は、マグネシウム、アルミニウム等の軽金属材料を溶融し、その溶湯を金型に射出して成形する軽金属射出成形機の射出装置に関する。
従来、軽金属合金の成形は、ホットチャンバ方式とコールドチャンバ方式とで代表されるダイカスト法によって行われていた。また、上記ダイカスト法の他にチクソモールド法によっても行われていた。
ダイカスト法は、予め溶融炉で溶融した軽金属材料の溶湯をプランジャ射出装置の射出シリンダの中に供給し、その溶湯を射出シリンダの中のプランジャを前進させることで射出して金型に注入する成形方法である。この方式によれば、高温の溶湯が射出シリンダに安定して供給される。特に、ホットチャンバ方式では、射出シリンダが溶融炉中に配置されるので高温の溶湯がハイサイクルに金型に供給される。また、コールドチャンバ方式では、射出シリンダが溶融炉と個別に配置されるので射出装置の保守点検が容易である。また、ダイカスト法は、大容積の溶融炉が使用されるので装置が大がかりになる等のような背景の下、別異の射出装置も提案されている。
特許文献1(特開昭60−221161号公報)では、プランジャとなる成形材料のバーをすべりばめする通路と、その通路に連通するとともに閉鎖された加熱室と、その加熱室から延びる放出開口部と、を形成した射出シリンダとなる本体部材と、本体部材で通路が形成された部分を冷却する冷却装置と、本体部材で加熱室が形成された部分を加熱する加熱装置と、を有して、本体部材の加熱室の中に押し込められた成形材料のバーの先端部を加熱室の中で溶湯に溶融し、押し込められた成形材料のバーが閉鎖された加熱室の中の溶湯を加圧して放出開口部を通して放出する射出成形装置を開示している。また、特許文献1では、本体部材が断熱層により相互に連結された2つの部分からなり、加熱室に通じた通路の端部が加熱室に向って発散するように形成され、そして、断熱層が発散部分の両端の間の所定位置に配置されることで、加熱室の中の圧力が上昇すると、溶湯が加熱室から通路の発散部分に流入して発散部分に沿って断熱層を超えた位置まで移動して、断熱層の両側において生じた急激な温度勾配のために、溶湯が断熱層を横切るときに、発散部分の冷却部分において凝固してシールリングを形成することを開示している。特許文献1のシールリングは、断熱層の冷却側、すなわち、加熱室から遠い側の発散部分と密着するとともに成形材料のバーが前方に移動するときに成形材料のバーと一緒に前方に移動する傾向にあり、新たな溶湯がシールリングの後方に流入して、成形材料のバーが前方に移動するにつれて、その他のシールリングを漸次形成してそれによりシール作用が維持されて、加熱室に前方に移動せしめられた以前のシールリングを再び溶融せしめることを開示している。
また、特許文献2(特許4119892号公報)、特許文献3(特許4272413号公報)および特許文献4(特許5344469号公報)では、溶融部としての溶融装置と射出部としてのプランジャ射出装置とを別設し、溶融装置に有する溶融シリンダの中に軽金属材料をビレットの形で順次挿入することで、溶融シリンダの中でビレットを先端側から溶湯に溶融するとともに溶融シリンダの中の溶湯を計量してプランジャ射出装置の射出シリンダの中に供給する軽金属射出成形機の射出装置が開示されている。また、特許文献2ないし4では、溶融シリンダの基端を除く大部分のシリンダ孔が軟化した前記ビレット先端の前進する際に拡径したビレットの側面と隙間を生じる寸法関係に形成されて、溶融装置の溶融シリンダの基端に冷却スリーブを有して、溶融シリンダのシリンダ孔に連通するとともにビレットが挿入される冷却スリーブの内孔に溶湯のある程度に軟化した状態にあって溶湯のバックフローを防止する程度に固化した固化物であるシール部材をビレットの周囲に生成する環状溝を形成してあることが開示されている。
チクソモールド法は、スクリュの回転による材料の剪断発熱と加熱装置からの加熱とによって小粒のペレット形状の軽金属材料を溶融して射出する成形方法である。例えば、その方式では、軽金属材料を溶融シリンダの中でスクリュによって溶融する溶融装置と、溶融装置から射出シリンダの中に供給された溶融された軽金属材料をプランジャによって射出するプランジャ射出装置とを備え、溶融シリンダと射出シリンダとを連通部材を介して連結した装置を用いる。また、その方式では、基本的にインラインスクリュ射出成形機と同じ構成の装置であり、スクリュのように回転して材料を剪断発熱するとともにプランジャのように前進して射出するインラインスクリュを内蔵する1個の射出シリンダで溶融と射出を行う装置を用いる。
特開昭60−221161号公報 特許4119892号公報 特許4272413号公報 特許5344469号公報
成形材料の溶湯の固化物からなるシールリングは、軟化状態から固化が進むにつれて、一方でバックフローしようとする溶湯の圧力に抗して隙間をすり抜けずにシールする能力が高まり、他方で剪断力が大きくなりビレットまたはプランジャのような溶湯を押し出す部材(以下、柱状押出体という)が移動する際の抵抗が大きくなる。そして、バックフローしようとする溶湯の圧力は、溶湯を計量する場合に比べて、溶湯を射出する場合、特に射出が完了する直前の方が大きい。そのため、成形材料でシールリングを生成する構成の射出装置の場合、十分にシールを行なうとともにシールが移動抵抗にならないようにするために、柱状押出体がスムーズに移動できなくならない範囲内でシール部位における成形材料の溶湯を、バックフローしようとする溶湯の圧力に応じて固化させておくことが要求される。
しかしながら、特許文献1の発明における射出装置では、シールリングを生成するために溶湯を冷却する冷却手段と柱状押出体である通路にすべりばめした成形材料のバーを冷却するための冷却手段とが同じ1つの冷却装置で構成されているので、シールリングを生成するために強力に溶湯を冷却固化させようとすると成形材料のバーの軸芯部位まで強力に冷却されてしまう。そのため、加熱室に挿入されたあとの成形材料のバーを速やかに溶湯に溶融することを妨げる恐れがあった。とりわけ、軸芯部位まで冷却され過ぎた状態で成形材料のバーが加熱室に挿入されると、溶湯の冷却がさらに強まって強固に固化しかつ大きなシールリングが生成される結果、本体部分と成形材料のバーが強固で大きなシールリングで強固に固着されて、成形材料のバーが移動できなくなる恐れがあった。また、特許文献1の発明における射出装置では、加熱装置で加熱される加熱部分と冷却装置で冷却されるシール部位を含む冷却部分とを1つの平面の断熱層により相互に連結した本体部材からなり、加熱部分の外部にシール部位を形成する構成となっているため、加熱室のシール部位側の端部が加熱部分の端部になるため他の部位に比べて加熱装置からの熱が伝わりずらく加熱しずらいとともに近傍のシール部位によって冷却されやすいこともあって、断熱層前後に大きな温度差および急激な温度勾配を持った状態を十分に形成できずに、シール部位から加熱室の中にまで大きくシールリングが生成されてしまうことをさらに助長する恐れがあった。
また、上記の特許文献2ないし4の発明の射出装置では、溶湯のある程度に軟化した状態を利用したシール部材によって、バックフローを防止するとともに柱状押出体であるビレットまたはプランジャとシール部材との間の固着を容易に剪断して移動する際の抵抗を小さくしているが、成形材料の種類によって溶湯のある程度に軟化した状態を作り出すための温度範囲が異なるため、温度制御が複雑になる場合があった。例えば、具体的には、マグネシウム合金では、およそ468度から598度の広い温度範囲で溶湯のある程度に軟化した状態を成すことができるのに対して、アルミニウム合金では、およそ515度から582度の狭い温度範囲で溶湯のある程度に軟化した状態を作り出す必要があった。柱状押出体であるビレットまたはプランジャは、シリンダの加熱ヒータで前半部分が加熱されて、後半部分に向って温度が低下する。したがって、例えば、容積の大きい成形品を成形する場合には、柱状押出体が大きく移動するため、柱状押出体の移動の開始の時点と移動の完了の時点で、シール部材を生成する箇所の温度が大きく変化し、シール部材の軟化状態を維持するための温度制御が複雑になる恐れがあった。特に、溶湯を射出する射出シリンダでは、大きな射出圧力によってバックフローしようとする溶湯の圧力も大きくなるため、なるべく低い温度で生成したシール部材を使おうとするとプランジャ等の射出軸の移動抵抗が大きくなり、射出軸を大きく移動させる際に適正にシール部材を生成できる温度の制御範囲が狭くなる傾向にあった。また、上記の特許文献2ないし4の発明の射出装置では、溶融シリンダのビレット挿入口の付近の環状溝の中に溶湯のある程度に軟化した状態を利用したシール部材を生成するので、ビレット挿入口付近の加熱温度は、溶湯をある程度に軟化した状態になる温度に制御されて、ビレットをより早く溶湯に溶融するためにビレット入口付近から溶融温度で加熱することが難しい場合があった。
そこで、本発明では、シリンダの中に挿入される軽金属材料でなるビレットまたはプランジャのような柱状押出体の移動を妨げることなくバックフローを防止する程度の溶湯の固化物を生成するための温度範囲が広がるように、シリンダの挿入口付近の加熱部分と冷却部分が互いの温度に影響されないように構成し、加熱部分と冷却部分の間に大きな温度差および急激な温度勾配を容易に形成できるように構成し、小さくかつ容易に剪断可能な溶湯の固化物を生成するように構成される軽金射出成形機の射出装置を提案する。また、本発明では、軽金属材料でなるビレットをできる限り冷却することなくシリンダに挿入して、移動を妨げることなくバックフローを防止する程度の溶湯の固化物を生成するように構成して、移動を妨げることなくバックフローを防止すること、および、速やかにビレットを溶湯に溶融することを両立させる軽金射出成形機の射出装置を提案する。
本発明の軽金属射出成形機の射出装置は、軽金属材料製ビレットまたはプランジャから成る柱状押出体と、前記柱状押出体の外径よりも大きい内径のシリンダ孔を形成し、前記シリンダ孔の基端の開口において底面に底付き穴を成すように同じ軸中心で当該シリンダ孔よりも大きい内径の大径部を形成し、前記シリンダ孔の中に軽金属材料の溶湯を貯留するとともに前記シリンダ孔の基端から挿入される前記柱状押出体で押し出すように前記シリンダ孔の外に前記溶湯を排出するシリンダと、挿通する前記柱状押出体の外径よりも大きくかつ前記シリンダ孔の内径よりも小さい内径の縮径部と当該縮径部の前記内径から徐々に径が大きくなるテーパ形状部または前記縮径部の前記内径より大きな内径の段部とを形成してある前部を前記大径部の中に収容されるように内挿し、冷却媒体を循環させるための冷却管路が形成され前記シリンダ孔と前記柱状押出体の間の隙間を流動する前記溶湯のうちの前記縮径部の周囲の前記溶湯をバックフローを防止しかつ前記柱状押出体の移動を妨げない程度に軟化または固化した固化物に生成するように前記縮径部を冷却する冷却部を形成してあるフランジ形状の後部を前記シリンダの前記基端の端面対向するように固定してなる冷却リングと、前記シリンダと前記冷却リングの間に有する断熱部と、を含むことを特徴とする。
また、本発明の軽金属射出成形機の射出装置は、軽金属材料を溶融して前記溶湯を生成する溶融ユニットと、前記溶融ユニットから供給される前記溶湯を計量して射出する射出ユニットと、を有し、前記柱状押出体が、前記軽金属材料製ビレットであって、前記シリンダが、前記シリンダ孔内の前記軽金属材料製ビレットの先端側から前記溶湯に溶融するとともに前記溶湯を前記軽金属材料製ビレットで押し出すように前記射出ユニットに供給する前記溶融ユニットの溶融シリンダであると良い。
また、本発明の軽金属射出成形機の射出装置は、軽金属材料を溶融して前記溶湯を生成する溶融ユニットと、前記溶融ユニットから供給される前記溶湯を計量して射出する射出ユニットと、を有し、前記柱状押出体が、前記プランジャであって、前記シリンダが、前記溶融ユニットから供給される前記溶湯を計量するとともに計量した前記溶湯を前記プランジャで射出する前記射出ユニットの射出シリンダであると良い。
また、本発明の軽金属射出成形機の射出装置は、前記柱状押出体が、前記軽金属材料製ビレットであって、前記シリンダが、前記シリンダ孔内の前記軽金属材料製ビレットの先端側から少なくとも1ショット分の前記溶湯に溶融するとともに前記軽金属材料製ビレットで1ショット分の前記溶湯を押し出すように射出する射出シリンダであると良い。
また、本発明の軽金属射出成形機の射出装置は、前記柱状押出体が、前記軽金属材料製ビレットであって、前記シリンダに挿入される前の前記軽金属材料製ビレットを予備加熱する予備加熱装置と、前記予備加熱装置で予備加熱されたあとの前記前記軽金属材料製ビレットを冷却する予備冷却装置と、を有すると良い。
また、本発明の軽金属射出成形機の射出装置は、前記冷却リングが、前部の前記縮径部と当該縮径部の前記内径から徐々に径が大きくなるテーパ形状部または前記縮径部の前記内径より大きな内径の段部とを有するリング部材と、後部のフランジ形状の前記冷却部を有す冷却部材と、の2つの部材から構成され、前記リング部材を前記冷却部材によって前記大径部の底面に押し付つけるようにして前記大径部の中に収容されるように内挿するとともに前記リング部材を前記冷却部材で冷却するように前記冷却部材を前記シリンダの基端に取り付けるようにすると良い。
また、本発明の軽金属射出成形機の射出装置は、前記断熱部が空気断熱層であると良い。
本発明の軽金属射出成形機の射出装置では、軽金属材料でなるビレットまたはプランジャのような柱状押出体の移動を妨げることなくバックフローを防止する程度の溶湯の固化物を生成するための温度範囲が広がることで、より多くの種類の軽金属材料を射出成形することを可能にし、1ショットの射出容積がより大きな成形品を射出成形することを可能にする。
本発明の軽金属射出成形機の射出装置の構成の概略を断面で示す側面図である。 図1のA−A矢視断面図であって、ビレット供給装置の断面図である。 本発明の溶湯のバックフローを防止する手段の構成を示し、図(a)が図1のB−B矢視断面図であって、リング部材と冷却部材が別体でなる冷却リングと空気断熱層とを含む場合の溶融シリンダの基端の断面図であり、図(b)が図(a)のX−X矢視側面図である。 本発明の溶湯のバックフローを防止する手段の別の構成を示し、図(a)が図1のB−B矢視断面図であって、リング部材と冷却部材が一体の冷却リングと断熱材とを含む場合の溶融シリンダの基端の断面図であり、図(b)が図(a)のX−X矢視側面図である。 本発明の溶湯のバックフローを防止する手段の要部を拡大して示し、図(a)が図1のB−B矢視断面図であって、溶融シリンダの基端を断面で示す側面図であり、図(b)が図1のE−E矢視断面図であって、射出シリンダの基端を断面で示す側面図である。 本発明の予備加熱装置の構成を示し、図(a)が図1のC−C矢視断面図であって、図(b)が図(a)のX−X矢視側面図である。 本発明の予備冷却装置の構成を示し、図(a)が図1のD−D矢視断面図であって、図(b)が図(a)のX−X矢視側面図である。 本発明の予備冷却装置の別の構成を示し、図(a)が図1のD−D矢視断面図に相当し、図(b)が図(a)のX−X矢視側面図である。 本発明の予備冷却装置の別の構成を示し、図(a)が図1のD−D矢視断面図に相当し、図(b)が図(a)のX−X矢視側面図である。
以下、本発明の実施の形態は、図1の軽金属射出成形機の射出装置の概略図で示す一例を用いて説明される。なお、本発明の軽金属射出成形機の射出装置は、短棒形状の軽金属材料でなる柱状押出体であるビレット2を溶融シリンダ11に挿入して溶湯に溶融する溶融ユニット10と、溶融シリンダ11から供給される溶湯2aを射出シリンダ21で計量したあと柱状押出体であるプランジャ24で射出する射出ユニット20と、溶融シリンダ11と射出シリンダ21を連通する連通路18aを含んだ図1に示す方式の射出装置1の他にも、前記連通路を含まないコールドチャンバ方式の射出装置(図示省略)、溶解炉などから供給される軽金属材料の溶湯を射出シリンダで計量したあとプランジャで射出する方式の射出装置(図示省略)、ビレットを射出シリンダに挿入して溶湯に溶融しかつ射出する方式の射出装置(図示省略)など、本発明の趣旨を逸脱しない限り各種の射出装置に適用が可能である。ビレット2は、例えば、マグネシウム、アルミニウム等の軽金属材料から成る。なお、プランジャ24とは、先端部にチェックリングを有するスクリュなど各種射出軸を含むものとする。
図1に示す射出装置1は、溶融ユニット10と射出ユニット20とそれらを連結する連結部材18と射出時に溶湯2aが射出ユニット20から溶融ユニット10に逆流することを防ぐ逆流防止装置30とを含む。ビレット2は、1回のショットで射出される射出容積の数ショット分ないしは10数ショット分の容積を含む長さに形成されると良く、キャビティ空間(成形品)にもよるが、例えば150mmないし300mm程度に形成されると良い。
溶融ユニット10は、溶融シリンダ11とビレット供給装置40とビレット挿入装置50とを含む。溶融シリンダ11は、複数本のビレット2を収容可能な長さに形成されて、シリンダ孔11aをビレット2より若干大径に形成され、そのシリンダ孔11aの先端がエンドプラグ13によって塞がれる。溶融シリンダ11の連結部材18側の閉塞端を先端とし、ビレット供給装置40側の開口端を基端とするとき、溶融シリンダ11の基端における開口部位の内周とシリンダ孔11aに挿入されたビレット2の外周との間の隙間からの溶湯2aのバックフローは、後述されるリング部材71を含む冷却リング70で生成される溶湯2aの固化物2bによってシールされることで防止されている。溶融シリンダ11の基端はビレット供給装置40などを収容する中央枠部材90に固定されると良い。溶融シリンダ11の基端と中央枠部材90は、例えば、互いに小さい面積で当接するようにして熱の伝導を抑えるなど、各種手段で断熱されると良い。中央枠部材90は、4方を囲む矩形の4側板と1底板で構成され、対向する側板90aの一方に溶融シリンダ11が接続されもう一方の側板90aにビレット挿入装置50が接続される。これらの2つの側板90aには、ビレット2の外径よりわずかに大きい透孔90bが形成される。溶融シリンダ11とビレット供給装置40とビレット挿入装置50は、1直線上に直列に配置される。ビレット2は、1回のショットで射出される射出容積の数ショット分ないしは10数ショット分の容積を含む長さに形成されいて、ビレット供給装置40によって溶融シリンダ11の中に複数ショット毎に1個ずつ補給され、ビレット挿入装置50のプッシャ52aによって溶融シリンダ11中に挿入される。溶融シリンダ11の基端もしくはその近傍に、不活性ガスが注入される注入孔が用意されても良い。
ビレット供給装置40は、例えば、図2に示すように、ビレット2が多数装填されるホッパ41と、ビレット2を順次落下させるシュート42と、ビレット2を1個ずつ落下させるシャッタ装置43と、ビレット2を溶融シリンダ11の軸中心に同芯に保持する保持部44と、を含む。ホッパ41の中には、ビレット2を案内しながら落下させるための仕切り41aを有する。シャッタ装置43は、シャッタプレート43aによってビレット2を1個ずつ落下させる。シャッタプレート43aは、エアシリンダ等の流体シリンダ43bで進退すると良い。保持部44は、落下してくるビレット2を受け止めるとともに後述するプッシャで押し出す際にビレットを移動方向に案内するための凹部44aが形成されている。保持部44の凹部44aの中心は、溶融シリンダのシリンダ孔11aの中心に略一致するように形成されると良い。
ビレット挿入装置50は、ビレット2の補給時にビレット2を溶融シリンダ11の中に挿入する装置であればであればどのような装置であっても良い。例えば、ビレット挿入装置50は、油圧シリンダなどの流体シリンダ51と、流体シリンダ51によって前後に移動制御されるピストンロッド52と、ピストンロッド先端に一体に形成されたプッシャ52aとを含んで、計量時にプッシャ52aを逐次前進させて、1回の前進で1ショット分の射出容積に相当する溶湯2aを射出シリンダ21に送り込んで計量することになる。
射出ユニット20は、射出シリンダ21と、射出ノズル22と、プランジャ24と、ピストンロッド62を前後に移動制御する油圧シリンダなどの流体シリンダ61を有するプランジャ駆動装置60と、ピストンロッド62とプランジャ24を結合するカップリング63とを含む。射出シリンダ21は、プランジャ24より若干大径に形成されて計量した溶湯2aを貯留するシリンダ孔21aを有し、その先端側にノズルアダプタ23を介して図示省略された金型に当接する射出ノズル22を有する。射出シリンダ21の射出ノズル22側の開口端を先端とし、プランジャ駆動装置60側の開口端を基端とするとき、射出シリンダ21の基端における開口部位の内周とシリンダ孔21aに挿入されたプランジャ24の外周との間の隙間からの溶湯2aのバックフローは、後述されるリング部材71を含む冷却リング70で生成される溶湯2aの固化物2bによってシールされることで防止されている。射出シリンダ21の基端は、プランジャ駆動装置60の前方に接続部材64を介して固定される。射出シリンダ21の基端と接続部材64は、例えば、互いに小さい面積で当接するようにして熱の伝導を抑えるなど、各種手段で断熱されると良い。実施例として図示された接続部材64は、プランジャ24の後部やカップリング63を移動可能に収容する筒状の部材で、その前方に近い位置にプランジャ24とほとんど隙間のない状態で嵌り合う隔壁64aを備え、射出シリンダ21基端と隔壁64aとの間に空間66を備える。空間66の下方には、回収パン65が接続部材64の下側に着脱自在に用意される。このような構成によってプランジャ24が後退したときに、プランジャ24の表面に僅かに付着した溶湯2aの固化物2bがさらに冷却されて射出シリンダの外に僅かに排出されて、回収パン65に回収される。
プランジャ駆動装置60は、計量時において、ビレット挿入装置50のプッシャ52aを押し込む圧力の制御に合わせてプランジャ24の後退を許容する背圧が制御されて、溶融シリンダ11中の溶湯2aの圧力上昇が抑えられると共に射出シリンダ21中の溶湯2aの圧力、すなわち計量時の背圧が適正に制御される。プランジャ24の後退位置は、計量位置として検出されることは従来と同じである。また、プランジャ駆動装置60は、射出時において、溶湯2aの射出速度及び射出圧力を制御する従来と同じ制御が行われる。また、プランジャ駆動装置60は、プランジャ24を所定量後退させる、従来公知のサックバック動作も行う。射出ユニット20は、図示省略した機台上で前後に移動する移動ベース91上に載置されて、射出装置1全体が図示省略した型締装置に対して離接するように移動する。
溶融シリンダ11のシリンダ孔11aと射出シリンダ21のシリンダ孔21aは、溶融シリンダ11と射出シリンダ21を連結する連結部材18の中の連通路18aで連通してある。
連通路18aは、逆流防止装置30によって、計量動作の開始時に開かれ射出動作の直前に閉じられる。したがって、逆流防止装置30は、そのような開閉動作をする装置であれば従来公知の装置であっても良い。
逆流防止装置30は、例えば、図1に示すように、射出シリンダ21の内孔面上に形成された弁座21fと、これに離接する棒状の逆流防止弁棒31と、射出シリンダ21の側面に固定されて逆流防止弁棒31を進退駆動する弁棒駆動装置である油圧シリンダ等の流体圧シリンダ32を含むと良い。また、逆流防止装置30は、例えば、チェックバルブあるいはロータリバルブなどの従来公知のバルブが採用されても良い。
そうした射出装置1は、溶融シリンダ11、射出シリンダ21及び連結部材18に巻回されたバンドヒータ等によって所定の温度に加熱制御されて、計量の度に前進するビレット2が溶融シリンダ11中で先端から先に順次溶融し、溶融した溶湯2aは射出シリンダ21や連結部材18の中で溶融状態に保持される。
例えば、溶融シリンダ11には、溶融シリンダ11の先端側から基端側を複数ゾーンに分けるように複数の加熱ヒータが巻回されて、例えば、図1に示されるような4個の加熱ヒータ12a、12b、12c、12dが巻回される。特に、後述される本発明のバックフロー防止手段を用いることで、例えば、溶融シリンダ11の基端側の加熱ヒータ12dを含め、すべての加熱ヒータ12a、12b、12c、12dをビレット2の溶融温度に設定することを可能にして、ビレット2を溶湯2aに速やかに溶融することを可能にする。また、従来のように、先端側の2個の加熱ヒータ12a、12bがビレット2の溶融温度に、加熱ヒータ12cがその溶融温度より若干低い温度に、そして基端側の加熱ヒータ12dが溶融温度より更に低い温度に設定するなど、各加熱ヒータ12a、12b、12c、12dを個別の温度に設定することも可能である。
また、射出ノズル22、ノズルアダプタ23及び射出シリンダ21には、加熱ヒータ25、26、及び27a,27b,27cが巻回され、連結部材18には加熱ヒータ19が巻回されている。連結部材18や射出シリンダ21の中の溶湯2aは、溶融状態に維持される。射出ノズル22を加熱する加熱ヒータ25の制御温度は、射出ノズル22からの溶湯2aの漏れ出しをその中で生成するコールドプラグによって防止して、成形サイクルに合わせて射出ノズル22を開閉するために、成形サイクル時間(射出間隔)に合わせて調整されてもよい。
そうした射出装置1は、各加熱ヒータ12a,12b,12c,12d,19,25,26,27a,27b,27cを所定の温度に制御して、計量時において、逆流防止装置30が連通路18aを開いた状態で、ビレット挿入装置50が1回の前進で1ショット分の射出容積に相当する距離だけビレット2を前進させて、既に溶融シリンダ11の中で溶融されている溶湯2aを1ショットの射出容積に相当する分だけ射出シリンダ21に送り込み、供給される溶湯2aでプランジャ24を後退させて、射出時において、逆流防止装置30が連通路18aを閉じた状態で、1ショット分の射出容積に相当する距離だけプランジャ24を前進させて、図示省略される金型の中に溶湯2aを射出する。なお、溶融ユニット10は、計量前に溶融シリンダ11の中に少なくとも1ショット分の射出容積を超える溶湯を貯留するために、溶融シリンダ11の中に挿入されているビレット2の先端側から溶湯2aに溶融する。なお、射出装置1の各部の内径および外径の寸法は、各部の材質の熱膨張差を考慮して設定されると良い。
ここからは、本発明の特有の構成が説明される。本発明の射出装置1は、溶融シリンダ11の基端と射出シリンダ21の基端からの溶湯2aのバックフローを防止する手段を有する。図3に示すように、各シリンダ11,21のシリンダ孔11a,21aの基端には、同じ軸中心に断熱部73と冷却リング70のうちのリング部材71の部分を収めるために、各シリンダ孔11a,21aよりも大きくかつ同じ軸中心の大径部11b,21bが形成されている。各シリンダ孔11a,21aに形成される大径部11b,21bは、底面にそれぞれシリンダ孔11a,21aが開口した底付きの穴を成す。バックフローを防止する手段は、各シリンダ孔11a,21aの基端に形成される大径部11b,21bに内挿されるリング部材71と、リング部材71を所定の温度で冷却するとともにリング部材71を各シリンダ孔11,21の基端に固定するための冷却部材72と、リング部材71と各シリンダ11,21の間に設けられる空気断熱層73aまたは各種断熱材73bなどから成る断熱部73と、を含む。
図4に示すように、冷却リング70は、リング部材71と冷却部材72を一体に形成したものでも良い。また、大径部11b,21bの中に収められた状態のリング部材71の外周には、断熱部73と各シリンダ11,21を間に挟むようにして各シリンダ11,21の基端の外周に取り付けられた加熱ヒータ、例えば、図5に示すように加熱ヒータ12d,27cが配置されているとなお良い。加熱ヒータは、溶融シリンダ11および射出シリンダ21に巻き回された加熱ヒータ、例えば、溶融シリンダ11の基端の加熱ヒータ12d、および、射出シリンダ21の基端の加熱ヒータ27cを利用しても良いし、別途の加熱ヒータを用いても良い。本発明では、シリンダの基端となる溶融シリンダ11の基端または射出シリンダ21の基端と、冷却リング70と、柱状押出体となるビレット2またはプランジャ24と、のそれぞれの温度が干渉しないように構成されることで、それぞれを所望する温度に制御することが容易になる。例えば、溶融シリンダ11に挿入されたビレット2が、冷却リング70を超えてすぐに溶融シリンダ11の基端に設けられて溶融温度に設定されている加熱ヒータ12dで速やかに溶融が開始できるようになり、後述されるような移動抵抗が小さくビレットの移動を妨げることなくバックフローを防止する固化物2bを局所的に小さく生成することも容易になる。
図3ないし図5に示されるように、冷却リング70の一部となるリング部材71は、リング形状を成し、内孔に柱状押出体であるビレット2またはプランジャ24を挿通する。リング部材71の内孔には、その内孔に挿通する柱状押出体と成るビレット2またはプランジャ24の外径よりも大きくかつ各シリンダ11,21の各シリンダ孔11a,21aの内径よりも小さい内径に形成される縮径部71aを有する。リング部材71の前面および外周面は、一部分が各シリンダ孔11a,21aの大径部11b、11bの底面および内周面に当接し、大径部11b、11bに当接しない部分と大径部11b、21bとの間に断熱部73が形成される。リング部材71が各シリンダ11,21の大径部11b、21bに当接する面積は、各シリンダ11,21からの熱の伝導を小さくするためになるべく小さい面積に設定されると良い。リング部材71の外周面に形成される少なくとも1つの環状凸部71bは、大径部11b、21bの中に各シリンダ孔11a,21aと同じ軸中心にリング部材71を取り付けるための案内となる。リング部材71の外周面の環状凸部71bは、断熱部73を断熱材73bで形成する場合に形成しないようにしても良い。リング部材71の前面に形成される少なくとも1つの環状凸部71bは、大径部11b、21bの底面に開口する各シリンダ孔11a,21aの開口の回りに当接し、好ましくはその開口の周りに極力小さな面積で当接し、冷却部材72で後ろから底面に均等に押し付けられることで、各シリンダ孔11a,21aから大径部11b、21bに溶湯2aを浸入させないようにしている。
そうしたリング部材は、柱状押出体であるビレット2またはプランジャ24、および、各シリンダ11,21のそれぞれの温度に影響されることなく、また、それぞれの温度に影響を与えることなく、後述される冷却部材72によって所望する温度に制御することを容易にする。リング部材71は、溶融シリンダ11と射出シリンダ21で異なる形状にしても良い。例えば、溶融シリンダ11に取り付けるリング部材71の縮径部71aから後ろの内径は、縮径部71aの内径から徐々に径を大きくするようにテーパ形状に形成することで、溶融シリンダ11とビレット2の軸中心が僅かに異なる場合でもビレット2をテーパ部71cで案内することで溶融シリンダ11に挿入し易くし、ビレット2の外径が熱膨張によって縮径部71aの内径よりも僅かに大きくなってしまった場合でもリング部材71のテーパ部71cに接触したビレット2を冷却して熱収縮させながらテーパ部71cで徐々にビレット2を導くことで溶融シリンダ11に挿入する際の抵抗を小さくするようにしても良い。また、例えば、射出シリンダ21に取り付けるリング部材71の縮径部71aから後ろの内径は、射出シリンダ21に取り付けるリング部材71の縮径部71aから後ろを縮径部71aの内径より大きな段部71dに形成しても良い。また、冷却リング70の一部となるリング部材71の縮径部71aから前方に形成した段部に溝部71eを形成しても良い。
リング部材71の材質は、ビレット2を成す軽金属材料がマグネシウム合金であれば、各シリンダ11,21と同じ材質、例えば、耐熱鋼などで形成されると良い。リング部材71を耐熱鋼などで形成する場合には、冷却リング70をリング部材71と冷却部材72を一体形成しても良い。リング部材71の材質は、ビレット2を成す軽金属材料がアルミニウム合金であれば、リング部材71の溶損またはリング部材71への張り付きの関係から、例えば、セラミックス系、サーメット系、または、カーボン系の材料で形成し、容易に交換が可能なように冷却部材72と別体でされると良い。
具体的には、各部の熱膨張を考慮した上で、溶融シリンダ11と射出シリンダ21のそれぞれのシリンダ孔11a,21aの内径が柱状押出体であるビレット2またはプランジャ24の外径よりも大きく形成されて、その差を2.4mmから3.4mm程度、すなわち各シリンダ孔11a,21aと各柱状押出体との間の片側の隙間を1.2mmから1.7mm程度とし、冷却リング70のリング部材71の縮径部71aの内径が各柱状押出体の外径よりも大きく形成されて、その差を0.4mmから0.6mm程度、すなわち冷却リング70のリング部材71の縮径部71aと各柱状押出体の間の片側の隙間を0.2mmから0.3mm程度とし、そして、各シリンダ孔11a,21aの内径が冷却リング70のリング部材71の縮径部71aの内径よりも大きく形成されて、その差を2mmから3mm程度、すなわち各シリンダ孔11a,21aの内径と冷却リング70のリング部材71の縮径部71aの間の段部の片側の高さを1mmから1.5mm程度とすると良い。また、リング部材71の軸芯方向、すなわち、柱状押出体を挿通するリング部材71の内孔の軸芯方向に沿った縮径部71aの長さ(以下、縮径部71aの幅と称する)は、5mmから10mm程度に形成されると良い。また、溶融シリンダ11と射出シリンダ21のそれぞれにおける冷却リング70のリング部材71は、前面および外周面の各環状凸部71bが各シリンダ11,21の大径部11b,21bに当接する面積と縮径部71aがビレット2またはプランジャ24に対面する面積の総面積Saと後面の冷却部材72に当接する面積Sbが、Sa対Sbの比(=Sa/Sb)が0.6から1.0程度になるように形成されると良い。
溶融シリンダ11と射出シリンダ21のそれぞれにおける冷却リング70の冷却部材72は、柱状押出体となるビレット2またはプランジャ24の外径よりも大きな内径の内孔が形成されて、前面を冷却リング70のリング部材71に当接し、後部のフランジ72cをボルト74などで各シリンダ11,21の基端に固定するようになっている。冷却部材72は、例えば、図5に示すように、図示省略される外部の冷却装置と接続されて冷却媒体を循環させるための冷却管路72aが形成されている。冷却リング70の冷却部材72は、軽金属材料が直接接触して溶損が発生することがないので、各シリンダ11,21に強力に締め付けるように固定するために高い剛性と靭性を有する鉄系の材料で成ると良い。また、冷却部材72と各シリンダ11,21の間には、断熱部73を有し、好ましくは空気断熱層73aを有すると良い。また、各シリンダ11,21の大径部11b,21bに挿入される部分には、各シリンダ孔11a,21aと同じ軸中心に冷却部材72を取り付けるための案内となる環状凸部72bを形成してあっても良い。
こうした本発明の射出装置1のバックフロー防止手段では、各シリンダ11,21の内周面と柱状押出体となるビレット2またはプランジャ24の外周面との間の隙間を流動する溶湯2aが、各シリンダ11,21のそれぞれにおいて冷却された冷却リング70のリング部材71の縮径部71aの周辺の狭い範囲だけで局所的に溶湯2aを冷却して、溶湯2aがある程度軟化してバックフローを防止する程度に固化した固化物2b、あるいは、常温のビレット2の状態に比べて剪断力または引張力が5分の1程度以下の状態であってビレット2またはプランジャ24が移動すると容易に剪断できる程度に溶湯2aが軟化または固化してバックフローを防止する固化物2bを局所的にかつ剪断をさらに容易にするように小さく生成することが可能になって、故にバックフローを防止しながらもシールとなる固化物2bが狭い範囲で小さく形成されることによって、リング部材71と柱状押出体2,24の両者に密着しても剪断されやすい状態なので、柱状押出体2,24の移動する際の抵抗も小さく、その移動を妨げることもない。溶湯2aを射出するためにプランジャ24を射出シリンダ21中に挿入する場合には、溶融するためにビレット2を溶融シリンダ11に挿入するときに比べてバックフローしようとする溶湯2aの圧力が大きくなるのでより低い温度で溶湯2aを固化してシールとなる固化物2bを生成することになるが、バックフローを防止するために、好ましくは、常温のビレット2の状態に比べて剪断力または引張力が5分の1程度以下の状態に溶湯2aを固化した固化物2bを生成すれば良い。シールとなる固化物2bは、温度の高い柱状押出体となるビレット2またはプランジャ24よりも温度の低いリング部材71に留まって、柱状押出体の側で剪断され易い傾向にある。また、リング部材71の縮径部71a前方の段部に溝部71eを有する場合には、シールとなる固化物2bが溝部71eに引っかかることでリング部材71側に留まるとともに、柱状押出体となるビレット2またはプランジャ24の表面近くで剪断されやすくしても良い。
また、本発明の射出装置1のバックフロー防止手段では、冷却リング70のリング部材71が、加熱ヒータ12d,27cで加熱される溶融シリンダ11または射出シリンダ21の中に断熱部73を挟んで挿入されているので、各シリンダ孔11,21内からリング部材71内に向かって高温から低温の大きな温度差が形成され、急峻な温度勾配を設定することができるため、局所的に小さな溶湯2aの固化物2b形成することができる。
また、本発明の射出装置1のバックフロー防止手段では、加熱ヒータ12a,12b,12c,12dを有する溶融シリンダ11のシリンダ孔11aの中にビレット2を挿入するとシリンダ孔11aの内周面から溶湯2aを介してビレット2に熱が伝導するのに対して、溶融シリンダ11に対して断熱部73で断熱された状態で溶融シリンダ11の基端に埋め込まれている冷却リング70のリング部材71の中にビレット2が挿入されても縮径部71aの幅がビレット2の容積に対して小さいため、冷却されるリング部材71がビレット2に及ぼす熱の影響は僅かである。また、本発明の射出装置1のバックフロー防止手段では、冷却リング70のリング部材71が溶融シリンダ11に対して断熱部73によって断熱されているため、溶融シリンダ11の温度に影響されることなくシリンダ孔11aから流れてくる溶湯2aをリング部材71の端面で安定してかつ小さい範囲に固化させることができるので、より低い温度で固化させた固化物2bでもビレット2が移動する際の抵抗の小さいシールとなる固化物2bとして生成することが可能になる。それで、本発明の射出装置1のバックフロー防止手段では、溶融シリンダ11を有する溶融ユニット10において、速やかにビレット2を溶湯2aに溶融するために、ビレット2を溶融シリンダ11に押し込める際にビレット2が変形しない最低限の剛性が得られる温度に加熱することを可能にし、冷却リング70の中を通過して直後の溶融シリンダ11の温度をビレット2を溶湯2aに溶融する溶融温度または溶融温度近くまで高めることが可能にし、そして、冷却リング70によって小さい範囲に溶湯2aを固化させることで、より低い温度で溶湯2aを固化した剪断力の小さな固化物2b生成することで、溶湯2aのバックフローを防止しながらビレット2の移動の抵抗を小さくすることを可能にする。
また、本発明の射出装置1のバックフロー防止手段では、加熱ヒータ27a,27b,27cを有する射出シリンダ21の中でプランジャ24を進退するとシリンダ孔21aの内周面から溶湯2aを介してプランジャ24に熱が伝導するのに対して、射出シリンダ21に対して断熱部73で断熱された状態で溶融シリンダ21の基端に埋め込まれている冷却リング70のリング部材71の中にプランジャ24が挿入されても縮径部71aの幅がビレット2の容積に対して小さいため、冷却されるリング部材71がプランジャ24に及ぼす熱の影響は僅かである。プランジャ24は、移動するときにシールとなる溶湯2aの固化物2bと摩擦するが、溶湯2aの固化物2bに比べて硬度が高いので摩擦が極力抑えられて耐久性がある。また、プランジャ24は、後退して射出シリンダ21の外に出た部分の温度が低下してしまうことに起因する前進時と後退時の温度差をより小さくするために、プランジャ駆動装置60のピストンロッド62を取り付ける基部から前部途中までの間に適正な強度を維持できる範囲で軸心方向に中をくり抜いた中空の空間が形成されていても良い。
このように、本発明の射出装置1のバックフロー防止手段では、冷却リング70のリング部材71が溶融シリンダ11または射出シリンダ21の熱の影響を受けにくい構成であって、冷却リング70のリング部材71がビレット2またはプランジャ24に熱の影響を与えにくい構成であって、冷却リング70のリング部材71が溶湯2aを冷却する温度が安定して、小さい範囲にシールとなる溶湯2aの固化物2bを生成するこを可能にして、バックフローを防止しながらも、ビレット2またはプランジャ24の移動抵抗を極力小さくして、各部の摩耗箇所を少なくかつ各部の耐久性を高めることが可能になる。
具体的には、例えば、軽金属材料がアルミニウム合金の場合には、およそ250度から515度の間で常温のビレット2の状態に比べて剪断力または引張力が5分の1程度以下の状態であって柱状押出体となるビレット2またはプランジャ24が移動すると容易に剪断できる程度に固化した固化状態となり、およそ515度から582度の間で軟化した固化状態となる。バックフローを防止する溶湯2aの固化物2bを生成する温度制御は、およそ250度から582度の広い制御範囲で制御することができる。例えば、溶融シリンダ11の基端の加熱ヒータ12cでおよそ650度に加熱し、前面および外周面の各環状凸部71bが溶融シリンダ11の大径部11bに当接する面積と縮径部71aがビレット2に対面する面積の総面積Saが、後面の冷却部材72に当接する面積Sbと略等しい面積(Sa=Sb、すなわち、Sa/Sb=1.0)とする冷却リングを冷却部材でおよそ50度に冷却して、冷却リング70のリング部材71の縮径部71aの周辺を350度程度に冷却される。したがって、本発明の射出装置1のバックフローを防止する手段は、マグネシウム合金に比べて軟化状態の温度制御の幅が小さいアルミニウム合金においても、柱状押出体であるビレット2またはプランジャ24の移動を妨げることなく容易にバックフローを防止する溶湯2aの固化物2bを生成することが可能になる。
また、本発明の射出装置1のバックフローを防止する手段は、温度の制御範囲が広いので、例えば、大きい容積の製品を成形するために、柱状押出体であるビレット2またはプランジャ24を大きく移動させて、冷却リング70のリング部材71の縮径部71aの周辺の温度が大きく変化する場合でも、バックフローを充分に防止するともに柱状押出体の移動を妨げることのないシールとなる固化物2bを生成することを可能にする。また、本発明の射出装置1のバックフローを防止する手段は、バックフローを防止しかつビレット2やプランジャの移動を妨げることのないシールとなる溶湯2aの固化物2bが、広い温度制御範囲の中で生成するこを可能にするので、バックフローしようとする溶湯の圧力に応じた軟化状態または固化状態のシールとなる溶湯2aの固化物2bを各シリンダ11,21の温度の影響が少ない状態で容易に生成することも可能にする。
また、本発明の射出装置1では、ビレット供給装置40とビレット挿入装置50で1本ずつ押し出されるビレット2を、まず予備加熱装置100で予備加熱しておくことで溶融シリンダ11の中に挿入されると速やかに溶融されるように準備し、続いて予備冷却装置200(もしくは、別の実施形態の予備冷却装置210または220)で予備加熱されたビレット2の外周面、あるいは、溶融シリンダ11の中に前部が挿入されて後部が挿入されていない状態のビレット2の後部の外周面が所定の温度を超えた場合に当該ビレット2の外周面だけを冷却するようにして、ビレット2を溶融シリンダ21の中に挿入するときの押圧力でビレット2が変形してビレット2の移動を妨げないようにしている。予備冷却装置200,210,220は、ビレット2が変形するのを防止するためにビレット2の外周面部位を冷却して、溶融シリンダ11に挿入されると速やかに溶融されるようにビレット2の軸芯部位を冷却しないようにすると良い。従来は、ビレット2が比較的に熱伝導の良い軽金属材料であるために、射出装置1が何らかの理由で運転を停止した際に、溶融シリンダ11に挿入した後のビレット2から伝わる熱で挿入前のビレット2が加熱されて、挿入前のビレット2がある一定の温度を超えると剛性が低下してしまい、運転を再開した際に、溶融シリンダ11に挿入する圧力で挿入前のビレット2がたわむように変形して、ビレット2が挿入できなくなることを防止するために、加熱ヒータ12a,12b,12c,12dを、例えば、成形サイクル時間、1ショットの射出充填量、ビレット2の予備加熱温度、ビレット2の材料の熱伝導率など、で導出される初期設定温度よりも低い設定温度で温度制御していた。それは、加熱ヒータ12a,12b,12c,12dで加熱される溶融シリンダ11の温度制御の応答が低いこと、すなわち、溶融シリンダ11の実際の温度を即時に変更することが難しいことに起因する。本発明の射出装置1では、予備冷却装置200,210,220によって、上記の初期設定温度、さらには、初期設定温度より高い設定温度に設定された状態でも、射出装置1が何らかの理由で運転が停止しても、例えば、溶融シリンダ11に挿入されるビレット2が変形しないような剛性に維持されるように、ビレット2の外周面部位を所定の温度を超えないように冷却するとともに、溶融シリンダ11に挿入されると速やかに溶融されるようにビレット2の軸芯部位を冷却しないようにすることができるので、溶融シリンダ11にビレット2を確実に挿入することを可能にすること、および、これまでに比べて溶融時間および成形サイクル時間を短縮することを両立することを可能にする。
特に、予備冷却装置200,210,220は、本発明のバックフロー防止手段と一緒に用いると、総じて、ビレット2の溶融を速やかに行うことを可能にする。予備冷却装置200,210,220は、本発明のバックフロー防止手段において、ビレット2が溶湯2aの固化物2bから成る小さなシールを越えて前進すると、急峻な温度勾配の状態によって急激にかつ強力に加熱が開始されることでビレット2を速やかに溶融することを可能にするが、その際に加熱ヒータ12dからの強力な加熱によってビレット2自身を熱が伝導することで、移動の際に押し出される圧力でビレット2の後部が熱で変形しないようにビレット2の外周面のみを冷却して、速やかにビレット2を溶融シリンダ21の中に挿入して速やかに加熱して溶融することを可能にする。
図1に示す射出装置1の溶融ユニット10では、ビレット挿入装置50、ビレット供給装置40、予備加熱装置100、予備冷却装置200、そして、本発明のバックフロー防止手段を有する溶融シリンダ21の順番に配置されるとともに、ビレット供給装置40から溶融シリンダ11まで移動するビレット2が同じ軸中心上になるように配置されている。なお、ビレット2を射出シリンダに挿入することでビレット2の溶融と溶湯の射出を行う方式の軽金属射出成形機の射出装置では、溶融シリンダ21を射出シリンダに置き換えて説明されるものとする。
例えば、図6に示す本発明の予備加熱装置100は、ビレット2の外周を囲むようにして、同一円周上に配置される複数の分割加熱体となる複数の円弧状の加熱ヒータ101から成る。複数の円弧状の加熱ヒータ101は、移動手段として隣り合う円弧状の加熱ヒータ101同士が付勢部材102で近づいたり離れたりできるように取り付けられていて、そうした複数の円弧状の加熱ヒータ101で囲まれた空間にビレット2が挿入されると、ビレット2の外径に合わせてビレット2の外周面にすべての円弧状の加熱ヒータ101が当接して、ビレット2を外周面から均一に加熱して、ビレット2を速やかに加熱することができるようになっている。
本発明の予備加熱装置100では、軽金属材料を柱状のビレット2に加工する際に外径寸法にばらつきが生じても確実に予備加熱を行うことを可能にする。複数の円弧状の加熱ヒータ101の移動手段は、図示省略される流体シリンダなどの各種駆動源を用いて行うようにしても良い。なお、予備加熱装置100は、上記の実施の形態に限定されることなく、加熱ヒータ101の個数および形状、加熱ヒータ101の移動手段など、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、各種手段を適用することが可能である。
また、例えば、図7に示す本発明の予備冷却装置200は、外径寸法が所定の誤差の範囲に入るように形成されて寸法管理されたビレット2が加熱された状態でも変形しない非軟化状態を維持可能な温度のときのビレット2の外径寸法、例えば、加熱されたビレット2が本発明のバックフロー防止手段を通して溶融シリンダ11の中に押し込まれる圧力で変形してしまう直前の所定の温度、例えば、およそ500度にまで加熱されて熱膨張しているときのビレット2の外径寸法が少なくとも一部の内径寸法になるように形成されたシリンダ孔201aを形成し、所定の温度に冷却される冷却シリンダ201からなる。冷却シリンダ201の外周には、例えば、図示省略される外部の冷却媒体供給装置から給排される冷却媒体を冷却配管202aに循環させて冷却シリンダ201を冷却する冷却装置202を有する。冷却シリンダ201は、中央枠部材90の側板90aに取り付けられて、側板90aに形成されているビレット2の外径より大きい透孔90bを通してビレット2が挿入される。
冷却シリンダ201の中を通過するビレット2は、変形する直前の温度にまで加熱されて熱膨張すると、外周面が冷却シリンダ201のシリンダ孔201aの内周面に当接して冷やされて、ビレット2の外周面を均一に変形しない温度にまで冷却するとともにビレット2の外径も熱収縮するので移動が妨げられることはない。本実施の形態では、温度センサが不要になる。ビレット2の内部の加熱状態を維持しながらビレット2の外周面だけを冷却することで、ビレット2の変形を防止するとともに溶融シリンダ21に挿入されると速やかに溶融を開始することができる。また、冷却シリンダ201は、シリンダ孔201aの少なくとも一部の内径寸法だけをビレット2が所定の温度に加熱されて熱膨張した状態ときの外径寸法と同じ寸法に形成するようにしても良い。
また、例えば、図8に示す本発明の予備冷却装置210は、加熱されて熱膨張した状態のビレット2を隙間を空けて挿通するシリンダ孔211aを形成し、図示省略される外部の冷却ガス供給装置から供給される冷却ガスを供給孔211bから供給し、冷却ガスを連通配管211cを介してシリンダ孔211aに開口する複数のガス噴射孔211dから噴射する冷却シリンダ211を有し、シリンダ孔211a内を通過するビレット2の温度、例えば、ビレット2の外周面の表面温度を図示省略される温度センサで検出して、所定の温度を超える場合に外部から供給される冷却ガスを複数のガス噴射孔211dからビレット2の外周面に吹き付けるように図示省略される制御装置で制御することで、ビレット2の外周面を均一に冷却する。
冷却ガスをビレット2に吹き付ける条件となる所定の温度は、ビレット2が加熱された状態でも変形しない非軟化状態を維持可能な温度以上の温度、例えば、加熱されたビレット2が本発明のバックフロー防止手段を通して溶融シリンダ11の中に押し込まれる圧力で変形してしまう直前のビレット2の外周面の温度などが適宜に設定されると良い。また、本発明の予備加熱装置210では、軽金属材料を柱状のビレット2に加工する際に外径寸法にばらつきが生じても確実に予備冷却を行うことを可能にする。
また、例えば、図9に示す本発明の予備冷却装置220は、加熱されて熱膨張した状態のビレット2を隙間を空けて挿通するシリンダ孔221aを形成した冷却シリンダ221を有し、シリンダ孔221aの中に突き出すようにビレット2に向って進退可能に取り付けられた複数の分割冷却体となる複数の冷却ブロック222をビレット2の外周を囲むようにして同一円周上に配置して、移動手段として内周面に複数の冷却ブロック222を当接させて、両端を付勢部材224で接続することで内径を所定の範囲で可変可能にするとともに図示省略される外部の冷却媒体供給装置から給排される冷却媒体を流動させる冷却配管223aを有して冷却ブロック222を冷却するようにした締め付け部材223で覆われている。
本実施の形態では、予備冷却装置220の中を通過するビレット2の外径に合わせて冷却ブロック222が常にビレット2の外周面に当接して、ビレット2の外周面を均一に所定の温度に冷却することができる。また、予備加熱冷却装置220は、ビレット2の表面温度を図示省略される温度センサで検出して、例えば、加熱されたビレット2が本発明のバックフロー防止手段を通して溶融シリンダ11の中に押し込まれる圧力で変形してしまう直前の温度に到達したときにのみ、締め付け部材223の冷却配管223aに冷却媒体を循環させてビレット2の外周面を冷却するようにしても良い。また、図示省略されるが、他の実施の形態としては、複数の冷却ブロックにそれぞれ冷却配管を設けて、通過するビレット2の外周面の温度を温度センサで検出して、所定の温度を超えた場合にだけ、複数の冷却ブロックを流体シリンダなどの駆動手段によって前進させてビレット2の外周面に当接させてビレット2の外周面を冷却するようにしても良い。また、本発明の予備加熱装置220では、軽金属材料を柱状のビレット2に加工する際に外径寸法にばらつきが生じても確実に予備冷却を行うことを可能にする。
以上説明した発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、この発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらをこの発明の範囲から排除するものではない。特に具体的な装置については、本発明の趣旨に添った基本的な機能を有するものは、本発明に含まれる。
以上説明したように、本発明の軽金属射出成形機の射出装置は、より多くの種類の軽金属材料を射出成形する射出装置を実現し、1ショットの射出容積がより大きな軽金属材料からなる成形品を射出成形する射出装置を実現する。
1 軽金属射出成形機の射出装置
2 ビレット
2a 溶湯
2b シールとなる溶湯の固化物
10 溶融ユニット
11 溶融シリンダ
11a 溶融シリンダのシリンダ孔
11b 溶融シリンダのシリンダ孔の大径部
12a,12a,12a,12a 加熱ヒータ
14 ビレット供給装置
18 連結部材
18a 連通路
19 加熱ヒータ
20 射出ユニット
21 射出シリンダ
21a 射出シリンダのシリンダ孔
21b 射出シリンダのシリンダ孔の大径部
22 射出ノズル
23 ノズルアダプタ
24 プランジャ
25 加熱ヒータ
26 加熱ヒータ
27a,27b,27c 加熱ヒータ
30 逆流防止装置
31 逆流防止弁棒
40 ビレット供給装置
50 ビレット挿入装置
60 プランジャ駆動装置
70 冷却リング
71 リング部材
71a 縮径部
71b 環状凸部
71c テーパ部
71d 段部
71e 溝部
72 冷却部材
72a 冷却配管
72b 環状凸部
72c フランジ
73 断熱部
73a 空気断熱層
73b 断熱材
74 ボルト
90 中央枠部材
90a 側板
100 予備加熱装置
200 予備冷却装置
210 予備冷却装置
220 予備冷却装置

Claims (7)

  1. 軽金属材料製ビレットまたはプランジャから成る柱状押出体と、
    前記柱状押出体の外径よりも大きい内径のシリンダ孔を形成し、前記シリンダ孔の基端の開口において底面に底付き穴を成すように同じ軸中心で当該シリンダ孔よりも大きい内径の大径部を形成し、前記シリンダ孔の中に軽金属材料の溶湯を貯留するとともに前記シリンダ孔の基端から挿入される前記柱状押出体で押し出すように前記シリンダ孔の外に前記溶湯を排出するシリンダと、
    挿通する前記柱状押出体の外径よりも大きくかつ前記シリンダ孔の内径よりも小さい内径の縮径部と当該縮径部の前記内径から徐々に径が大きくなるテーパ形状部または前記縮径部の前記内径より大きな内径の段部とを形成してある前部を前記大径部の中に収容されるように内挿し、冷却媒体を循環させるための冷却管路が形成され前記シリンダ孔と前記柱状押出体の間の隙間を流動する前記溶湯のうちの前記縮径部の周囲の前記溶湯をバックフローを防止しかつ前記柱状押出体の移動を妨げない程度に軟化または固化した固化物に生成するように前記縮径部を冷却する冷却部を形成してあるフランジ形状の後部を前記シリンダの前記基端の端面対向するように固定してなる冷却リングと、
    前記シリンダと前記冷却リングの間において前記冷却リングの全面にわたって設けられる断熱部と、
    を含むことを特徴とする軽金属射出成形機の射出装置。
  2. 軽金属材料を溶融して前記溶湯を生成する溶融ユニットと、前記溶融ユニットから供給される前記溶湯を計量して射出する射出ユニットと、を有し、
    前記柱状押出体が、前記軽金属材料製ビレットであって、
    前記シリンダが、前記シリンダ孔内の前記軽金属材料製ビレットの先端側から前記溶湯に溶融するとともに前記溶湯を前記軽金属材料製ビレットで押し出すように前記射出ユニットに供給する前記溶融ユニットの溶融シリンダであることを特徴とする請求項1に記載の軽金属射出成形機の射出装置。
  3. 軽金属材料を溶融して前記溶湯を生成する溶融ユニットと、前記溶融ユニットから供給される前記溶湯を計量して射出する射出ユニットと、を有し、
    前記柱状押出体が、前記プランジャであって、
    前記シリンダが、前記溶融ユニットから供給される前記溶湯を計量するとともに計量した前記溶湯を前記プランジャで射出する前記射出ユニットの射出シリンダであることを特徴とする請求項1に記載の軽金属射出成形機の射出装置。
  4. 前記柱状押出体が、前記軽金属材料製ビレットであって、
    前記シリンダが、前記シリンダ孔内の前記軽金属材料製ビレットの先端側から少なくとも1ショット分の前記溶湯に溶融するとともに前記軽金属材料製ビレットで1ショット分の前記溶湯を押し出すように射出する射出シリンダであることを特徴とする請求項1に記載の軽金属射出成形機の射出装置。
  5. 前記柱状押出体が、前記軽金属材料製ビレットであって、
    前記シリンダに挿入される前の前記軽金属材料製ビレットを予備加熱する予備加熱装置と、
    前記予備加熱装置で予備加熱されたあとの前記前記軽金属材料製ビレットを冷却する予備冷却装置と、を有することを特徴とする請求項1に記載の軽金属射出成形機の射出装置。
  6. 前記冷却リングが、前部の前記縮径部と当該縮径部の前記内径から徐々に径が大きくなるテーパ形状部または前記縮径部の前記内径より大きな内径の段部とを有するリング部材と、後部のフランジ形状の前記冷却部を有す冷却部材と、の2つの部材から構成され、前記リング部材を前記冷却部材によって前記大径部の底面に押し付つけるようにして前記大径部の中に収容されるように内挿するとともに前記リング部材を前記冷却部材で冷却するように前記冷却部材を前記シリンダの基端に取り付けることを特徴とする請求項1に記載の軽金属射出成形機の射出装置。
  7. 前記断熱部が空気断熱層であることを特徴とする請求項1に記載の軽金属射出成形機の射出装置。
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