JP5041852B2 - 溶融金属成形装置 - Google Patents

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Description

本発明は、溶融金属(金属溶湯)を金型のキャビティ内に射出・充填する溶融金属成形装置に係り、特に、加熱シリンダ内で溶融された金属溶湯を、1ショット毎に射出プランジャに給湯して、射出プランジャから金型内に金属溶湯を射出・充填するようにした溶融金属成形装置に関する。
溶融金属材料を金型のキャビティ内に射出・充填して製品を得る溶融金属成形装置としては、金属材料(例えば、Al合金、Mg合金など)を溶融する溶解炉(るつぼ)を備え、この溶解炉で溶融した金属材料を1ショット毎にラドルで計量して汲み上げ、汲み上げた溶融金属(金属溶湯)を射出スリーブ内に注ぎ込んで、これを射出プランジャの高速前進によって金型のキャビティ内に射出・充填するようにした、コールドチャンバー式のダイカストマシンが良く知られている。このコールドチャンバー式の溶融金属成形装置(ダイカストマシン)においては、溶解炉で溶融した金属材料(溶融金属)をラドルで汲み上げて搬送するようにしているので、装置全体が大掛かりなものとなる。
そこで、金属材料を溶融するのに、溶解炉を用いずに、射出スリーブを兼ねる加熱シリンダによって、金属材料を溶融するようにした溶融金属成形装置が、特開2004−148391号公報(特許文献1参照)において提案されている。この特許文献1においては、射出スリーブを兼ねる加熱シリンダによって金属材料を溶融して、加熱シリンダ先端のノズルから溶融金属(金属溶湯)を、直接金型のキャビティ内に射出・充填するようにしているので、溶解炉を備えたコールドチャンバー式のダイカストマシンのように、溶解炉で溶融した金属材料を1ショット毎にラドルで計量して汲み上げて射出スリーブ内に注ぎ込む構成をとるものに比べると、大きな溶解炉を必要としないので、装置全体を比較的にコンパクトにまとめることができる。
しかしながら、特許文献1に開示された溶融金属成形装置では、加熱シリンダ先端のノズルにおいて、1ショット毎に金属材料の固化と溶融とを行う仕組みとなっているため、加熱シリンダ先端のノズルのランド部の径は、ある程度以上細くしておかないと、ノズルにおける金属材料の溶融化や固化の応答性が悪くなるので、ノズルのランド部の径はある程度以下に細くせざるを得ない。しかし、ノズルのランド部の径が小さいと、次のような問題点が生じる。つまり、溶融金属の射出・充填においては、一般的に、金型のゲート部やランナ部の溶融金属の通過速度は、焼き付きや圧力損失の観点から、55m/秒以下とするのが普通で、30〜40m/秒が好ましいといわれている。単位時間当たりの溶融金属の通過量は、ノズルのランド部の径の面積と通過速度の積であり、ノズルのランド部の径が小さいことと、上記したように通過速度の制限があることとから、単位時間当たりの溶融金属の通過量は、言い換えれば充填量は、おのずと制限を受けるものとなる。溶融金属の成形においては、溶融金属はキャビティ内に充填された後、急速に冷却・固化するため、充填時間は0.1〜0.05秒程度と極めて短いのが一般的である。これらのことから、特許文献1に開示された溶融金属成形装置は、金属の溶融能力が充分あるにもかかわらず、その成形(鋳造)可能な製品重量がおのずと制限されてしまう。
この点、コールドチャンバー式のダイカストマシン(溶融金属成形装置)は、製品ごとに、射出・充填速度やその湯道の通過面積の大きさを最適なものとすることができるので、汎用性に優れている。
そこで、金属材料を溶融するのに溶解炉を用いずに、加熱シリンダによって金属材料を溶融するようにした構成の利点と、コールドチャンバー式のダイカストマシンの利点とを、兼ね備えた溶融金属成形装置が、特開2004−167499号公報(特許文献2)によって提案されている。
図6は、特許文献2に開示された溶融金属成形装置(コールドチャンバダイカスト成形機)の構成を示す図である。図6において、101は加熱シリンダ、102は、加熱シリンダ101の先端側に設けられたエンドプラグ、103は金属材料(図6では、符号103は、溶融前の円柱状の金属材料、あるいは半溶融状態の金属材料、あるいは溶融状態の金属材料(金属溶湯)を、総括的に表している)、104は、円柱状の金属材料103を加熱シリンダ101の後端開口から加熱シリンダ101内に押し込み、また、加熱シリンダ101内で溶融された金属材料(金属溶湯)103を加熱シリンダ102の先端側から射出スリーブへ給湯(落下供給)するための押し込み用の油圧シリンダ、105は固定ダイプレート、106は、固定ダイプレート105に搭載された固定側金型、107は、固定側金型106に対して前後進する可動側金型、108は、型締め状態にある両金型106、107で形づくられるキャビティ、109は、その先端を固定側金型106に固定されて、その内部がキャビティ108と連通した射出スリーブ、110は、射出スリーブ109に設けられた給湯口、111は、エンドプラグ102の湯道部を通って落下する金属溶湯103を、射出スリーブ109の給湯口110に導く給湯案内管、112は、射出スリーブ109内を前後進可能な射出プランジャ、113は、射出プランジャ112を前後進駆動する射出用の油圧シリンダである。
図6に示す構成において、加熱シリンダ101の後端開口と対向するように、円柱状金属材料供給装置から順次供給された円柱状の金属材料は、油圧シリンダ104のピストンロッドの前進により、加熱シリンダ101内に押し込められ、加熱シリンダ101に装着されたヒータからの加熱によって、金属材料103は加熱シリンダ101の後端側から前端側に行くにしたがって徐々に溶融化される。加熱シリンダ101内で溶融された金属材料(金属溶湯)103は、給湯開始タイミングにおいて停止状態から前進駆動される油圧シリンダ104のピストンロッドの前進によって、エンドプラグ102の湯道部、給湯案内管111を通じて、給湯口110から射出スリーブ109内に給湯(落下供給)され、この給湯動作の完了後に、直ちに、油圧シリンダ113のピストンロッドが前進駆動されて、これより射出プランジャ112が前進駆動されることで、金型のキャビティ108内に金属溶湯103が射出・充填されるようになっている。
特開2004−148391号公報 特開2004−167499号公報
ところで、図6に示した引用文献2の溶融金属成形装置では、加熱シリンダ101の先端側に後端側より高い位置をとらせるために、加熱シリンダ101を傾斜させて配置している。このようにする所以は、引用文献2における記載によれば、予定しない時期に金属溶湯103が射出スリーブ109側に流れ出すことを阻止するためとしている。
しかしながら、図6に示されるように、加熱シリンダ101の先端側の金属溶湯103は、給湯工程前の待機状態では、エンドプラグ102の堰部102aの上端と面一の状態で貯えられるようになっているので、給湯工程前の待機状態における金属溶湯103の熱膨張によって、金属溶湯103が堰部102aの上端を乗り越えてオーバーフローし、射出スリーブ109内に金属溶湯103が垂れ落ちる現象が発生することは否めない。この垂れ落ち現象は、給湯工程前の待機状態の時間が所定時間を越えると、必ず発生する。上記の給湯工程時以外の金属溶湯103の垂れ落ちが、射出プランジャ112が後退する前に発生すると、金属溶湯103が射出プランジャ112のロッド周面に被着するという重大問題を引き起こす。また、上記の給湯工程時以外の金属溶湯103の垂れ落ちが、射出プランジャ112の後退の後に発生すると、射出スリーブ109への給湯量がショット毎にばらつくことになる。コールドチャンバー式のダイカストマシンでは、射出スリーブ109への給湯量のばらつきは、ビスケットの厚みを調整することで、鋳造品の形状には影響を与えないようにできるものの、毎ショット後に給湯量がばらつくと、射出・充填の際の金属溶湯103の充填挙動が安定せず、鋳造品の重量ばらつきの低減のためには、大きな阻害要因となる。
本発明は上記の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、加熱シリンダ内で溶融された金属溶湯を、1ショット毎に射出プランジャに給湯して、射出プランジャから金型内に金属溶湯を射出・充填するようにした溶融金属成形装置において、給湯工程時以外の金属溶湯の射出スリーブ内への垂れ落ちを、確実に抑止できるようにすることにある。
本発明は上記した目的を達成するため、加熱シリンダの後端側から該加熱シリンダ内に円柱状の金属材料を順次供給して、直動体により前記金属材料を前記加熱シリンダの前端側に順次押し込むと共に、前記加熱シリンダに装着されたヒータからの加熱によって、前記金属材料を前記加熱シリンダの後端側から前端側に行くにしたがって徐々に溶融化するようにして、前記加熱シリンダ内の前端側から金属溶湯を1ショット毎に射出スリーブ内に落下供給することで給湯を行い、前記射出スリーブ内の金属溶湯を射出プランジャによって金型内に射出・充填するようにした構成をとり、前記加熱シリンダの金属溶湯を前記射出スリーブの給湯口に供給するために、前記加熱シリンダの先端側に設けられた給湯管部材には、上方に向かって傾斜した管路部Aと該管路部Aと連通して下方に向かって傾斜した管路部Bとが設けられて、前記管路部Aと前記管路部Bとの境界部分が、金属溶湯の前記射出スリーブへの給湯時以外には、金属溶湯の流れ出しを阻止する堰部として機能するようにした溶融金属成形装置において、 前記加熱シリンダ、前記直動体、前記ヒータ及び前記給湯管部材を含んで構成される溶融系ユニットを上下に回動する堰部高さ可変手段と、当該堰部高さ可変手段の駆動を制御するコントローラとを備え、前記コントローラは、給湯工程に先立つ前記溶融系ユニットの傾動工程の開始タイミングに至ったときには、前記堰部高さ可変手段を駆動して、前記堰部を低位の第1の位置へと移行させ、前記射出スリーブ内に所定量の金属溶湯の給湯が完了したことを確認したときには、前記射出プランジャを前進駆動して射出・充填工程を開始すると共に、前記堰部高さ可変手段を駆動して、前記堰部を高位の第2の位置へと移行させることを特徴とする。
本発明では、加熱シリンダの先端側に配置した給湯管部材の、上方に向かって傾斜した管路部Aと該管路部Aと連通して下方に向かって傾斜した管路部Bとの境界部分を、射出スリーブへの給湯時以外には金属溶湯の流れ出しを阻止する堰部として、この堰部を、金属溶湯の射出スリーブへの給湯時には低位の第1の位置に位置付け、金属溶湯の射出スリーブへの給湯時以外には高位の第2の位置に位置付けるようにしているので、給湯管部材の堰部が低位の第1の位置にある際に、金属溶湯が堰部の上端と面一の状態をとるようになっていても、給湯管部材の堰部が高位の第2の位置をとると、金属溶湯の液面は堰部の上端よりも下側の位置となるので、給湯工程前の待機状態において金属溶湯の熱膨張があっても、金属溶湯が射出スリーブ内に垂れ落ちることが一切なくなる。したがって、金属溶湯が垂れ落ちて射出プランジャのロッド周面に被着する虞は全くなくなる。また、忌避される金属溶湯の垂れ落ちがなくなるので、射出スリーブへの給湯量のばらつきが可及的に低減でき、これによって、ショット毎の金属溶湯の充填挙動が安定して、鋳造品の重量ばらつきを大幅に低減することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。
図1および図2は、本発明の一実施形態(以下、本実施形態と記す)に係る溶融金属成形装置の要部を簡略化して示す説明図である。
図1、図2において、1は、溶融系ユニットの主ベースフレーム、2は、主ベースフレーム1上に、回転支軸3を回転中心として上下に回動可能(傾動可能)に保持されたベースプレート、4は、回転支軸3廻りに回転可能に保持されたベースプレート2と一体の支持脚、5は、ベースプレート2上に固設された第1の保持プレート、6は、同じくベースプレート2上に固設されて、第1の保持プレート5と対向する第2の保持プレート、7は、その両端を第1の保持プレート5と第2の保持プレート6にそれぞれ固定され、第1の保持プレート5と第2の保持プレート6を一体に連結する複数本の連結軸、8は、連結軸7に挿通案内されて前後進可能であるように配設され、第1の保持プレート5と第2の保持プレート6との間で後記するように前後進駆動される直動体、9は、第2の保持プレート6に搭載された金属材料押し込み用の電動サーボモータ、10は、電動サーボモータ9を駆動制御するモータドライバ、11は、溶融金属成形装置の全体制御を司るシステムコントローラであり、該システムコントローラ11は、図示せぬ各種センサからの計測情報や計時情報などを参照して、予め用意された各種プログラムに基づき、溶融金属成形装置の各部の動作を制御する。このシステムコントローラ11は、上記の電動サーボモータ9に対しては、電動サーボモータ9に付設された図示せぬエンコーダの出力、あるいは後記するロードセル17(圧力検出センサ)の出力を参照しつつ、直動体8を位置軸に沿った速度フィードバック制御で駆動させるように、あるいは直動体8を時間軸に沿った圧力フィードバック制御で駆動させるように、モータドライバ10を介して、速度フィードバック制御のドライブ指令あるいは圧力フィードバック制御のドライブ指令を与える。
12は、電動サーボモータ9の出力軸に固着された駆動小プーリ、13は、電動サーボモータ9の回転を、駆動小プーリ12および図示せぬタイミングベルトを介して伝達される被動プーリ、14は、ネジ軸15とナット体16を備え、回転運動を直線運動に変換するボールネジ機構、15は、第2の保持プレート6に回転可能に保持され、その端部に被動プーリ13を固着したネジ軸、16は、ネジ軸15に螺合されてネジ軸15の回転に伴って直線移動すると共に、直動体8に固着されたロードセル17にその端部が固着されたナット体である。電動サーボモータ9の回転は、駆動小プーリ12、図示せぬタイミングベルト、被動プーリ13を介して、ネジ軸15に伝達され、ネジ軸15の回転方向に応じて、ナット体16と一体となって直動体8およびロードセル17が、前進駆動または後退駆動される。
前記の直動体8は、後記する溶融前の円柱状の金属材料37を、後記の加熱シリンダ18の後端の開口部から、加熱シリンダ18の内部に押し込み、また、加熱シリンダ18で溶融された金属材料(金属溶湯)37を加熱シリンダ18の先端側から、後記の射出スリーブ31へ給湯(落下供給)するためのもので、この直動体8には、後記の加熱シリンダ18の内周径よりも僅かに細い外径の押し込み部8aが設けられている。
18は、その後端側を第1の保持プレート5に固定された加熱シリンダ、19は、加熱シリンダ18の前端側に、加熱シリンダ18と一体に設けられた略「ヘ」字形の第1給湯管部材、20は、第1給湯管部材19と一体化されると共に、第1給湯管部材19の先端部を内蔵し、加熱シリンダ18から第1給湯管部材19を介して吐出(押し出し)される金属溶湯37を、後記する射出スリーブ31内に落下供給するための垂直管で構成される第2給湯管部材である。上記の第1給湯管部材19は、加熱シリンダ18と連通して、加熱シリンダ18の先端側から上方に向かって傾斜した管路部(A)19aと、該管路部(A)19aと連通して、管路部(A)19aの前端部から下方に向かって傾斜した管路部(B)19bとで構成されており、管路部(A)19aと管路部(B)19bとの境界部分が、金属溶湯37の給湯時以外には、金属溶湯37の流れ出しを阻止する堰部19cとして構成されている。また、第2給湯管部材20の上部には、ガス注入部20aが設けられていて、成形(鋳造)運転時には、ガス注入部20aから不活性ガスが第2給湯管部材20内に送り込まれ、これにより、後記の射出スリーブ31内へも不活性ガスが送り込まれるようになっている。なお、図1、図2では図示を割愛してあるが、加熱シリンダ18および第1給湯管部材19および第2給湯管部材20の外周には、バンドヒータが巻装されている。
21は、上述した構成要素5〜20を含んで構成される溶融系ユニットの保持ベースであるベースプレート2を傾動させるための、溶融系ユニット傾動用の電動サーボモータで、該電動サーボモータ21は主ベースフレーム1に搭載されている。22は、ネジ軸23とナット体24を備え、回転運動を直線運動に変換するボールネジ機構、23は、電動サーボモータ21の出力軸とカップリング25により連結・固定されると共に、主ベースフレーム1に回転可能に保持されたネジ軸、24は、ネジ軸23に螺合されて、ネジ軸23の回転に伴って直線移動するナット体、26は、主ベースフレーム1に前後進可能であるように保持されて、ナット体24の端部が固定された傾動駆動体、26aは、傾動駆動体26の上面に形成されて、ベースプレート2の下面に形成されたテーパー面2aと摺接可能なテーパー面である。
電動サーボモータ21の回転は、ボールネジ機構22によって直線運動に変換され、ボールネジ機構22のナット体24と一体となって傾動駆動体26が前進または後退駆動され、これによって、傾動駆動体26のテーパー面26aにおける、ベースプレート2のテーパー面2aに対する当接位置が変化することで、ベースプレート2(すなわち、溶融系ユニット)が回転支軸3を回転中心として回動(傾動)する。
27は、システムコントローラ11からの指令に基づき電動サーボモータ21を駆動制御するモータドライバである。システムコントローラ11は、電動サーボモータ21に対しては、電動サーボモータ21に付設された図示せぬエンコーダの出力を参照しつつ、傾動駆動体26を位置軸に沿った速度フィードバック制御で駆動させるように、モータドライバ27を介して、速度フィードバック制御のドライブ指令を与える。
28は固定金型、29は可動金型であり、図示では割愛してあるが、固定金型28は固定ダイプレートに搭載され、可動金型29は前後進可能な可動ダイプレートに搭載されていて、可動金型29は可動ダイプレートの前後進によって型締め(型閉じ)または型開きされるようになっていて、型締め完了状態では、固定金型28と可動金型29とによってキャビティ30が形づくられるようになっている。
31は、その端部を固定金型28に固定された射出スリーブ、32は、第2給湯管部材20の先端開口(下部開口)と対向するように、射出スリーブ31の外周上部に穿設された給湯口(金属溶湯注入口)、33は、金属溶湯37の射出・充填用の油圧シリンダ、34は、射出スリーブ31内を前後進可能な射出プランジャであり、ここでは、この射出プランジャ34は、図示を簡略する都合上、油圧シリンダ33のピストンロッドと一体化したものに描いてあるが、実際には、油圧シリンダ33のピストンロッドの先端に、プランジャチップ34aをもつ射出プランジャ34のロッド部が連結・固定されるようになっている。なお、油圧シリンダ33は、システムコントローラ11によって、バルブドライバ35、油圧シリンダ制御バルブ36を介して制御され、射出プランジャ34を前進または後退させる。
なお、図1〜図2においては、符号37により、溶融前の円柱状の金属材料、あるいは、半溶融状態の金属材料、あるいは、溶融状態の金属材料(金属溶湯)を、総括的に示している。
次に、本実施形態の溶融金属成形装置の動作について、図1、図2を用いて説明する。図1は、ベースプレート2が水平状態にあって、溶融系ユニットの加熱シリンダ18も水平な状態にあり、このとき、溶融系ユニットの第1給湯管部材19の堰部19cは低位の第1の位置にあり、第1給湯管部材19の管路部(A)19a内の金属溶湯37の液面は、堰部19cの上端と面一な状態にある。図2は、ベースプレート2が水平状態から所定角度(例えば、2〜3°)だけ傾動した状態にあって、溶融系ユニットの加熱シリンダ18は図示で左側を右側よりも上にした傾斜した状態にあり、このとき、溶融系ユニットの第1給湯管部材19の堰部19cは高位の第2の位置にあり、第1給湯管部材19の管路部(A)19a内の金属溶湯37の液面は、堰部19cの上端よりも下側に位置している。本実施形態では、堰部19cが上記の第1の位置(低位の位置)をとるのは、金属溶湯37を射出スリーブ31内に給湯する期間のみとされ、給湯が完了すると、直ちにベースプレート2が傾動した状態へ移行するようにされて、給湯工程時以外には、堰部19cは上記の第2の位置(高位の位置)を保持されるようになっている。
図1は、給湯工程の開始タイミングの様子を示しており、このとき、射出プランジャ34は後退位置にあって、射出スリーブ31内へ金属溶湯37が給湯可能な状態にあり、また、第1給湯管部材19の堰部19cは低位の第1の位置にあって(加熱シリンダ18は水平な状態にあって)、第1給湯管部材19の管路部(A)19a内の金属溶湯37の液面は、堰部19cの上端と面一な状態となっている。この図1に示した状態から、ベースプレート2を所定角度だけ傾動させた(堰部19cが高位の第2の位置をとっている、加熱シリンダ18が所定角度だけ傾斜した)図2の状態とすると、第1給湯管部材19の管路部(A)19a内の金属溶湯37の液面は、図2示すように、堰部19cの上端よりも下側に位置した状態となる。給湯工程の前には、溶融系ユニットは図2に示した状態で待機しており、このとき、直動体8の押し込み部8aの一部は、加熱シリンダ18内に入り込んだ状態で停止している。
給湯工程に先立つ溶融系ユニットの傾動工程の開始タイミングに至ると、システムコントローラ11は、モータドライバ27を介して、電動サーボモータ21を所定方向に低速で回転駆動し、これによって、ボールネジ機構22を介して傾動駆動体26が低速で前進駆動されて、ベースプレート2(すなわち、溶融系ユニット)が回転支軸3を回転中心として傾動され、加熱シリンダ18が水平な状態へと(堰部19cが低位の第1の位置へと)、振動等の発生なく安定した動作で移行する。この状態が図1に示した状態である。
加熱シリンダ18が水平な状態へと(堰部19cが低位の第1の位置へと)移行したことを確認すると、システムコントローラ11は直ちに給湯工程を開始させ、モータドライバ10を介して、電動サーボモータ9を所定方向に高速で回転駆動し、これによって、ボールネジ機構14を介して直動体8が高速で前進駆動されて、直動体8の押し込み部8aが加熱シリンダ18内を所定ストロークだけ前進する。これにより、所定量の金属溶湯37が、第1給湯管部材19の管路部(B)19b、第2給湯管部材20を通って、給湯口32から射出スリーブ31内に落下供給される(給湯される)。
所定量の金属溶湯37の給湯が完了したことを確認すると、システムコントローラ11は、直ちに、射出・充填工程を開始させると共に、溶融系ユニットの傾動動作を開始させる。すなわち、システムコントローラ11は、バルブドライバ35、油圧シリンダ制御バルブ36を介して油圧シリンダ33を駆動制御して、射出プランジャ34を所定条件にしたがって前進駆動することで、射出プランジャ34の低速前進による公知のガス抜きを行った後、射出プランジャ34の高速前進による金属溶湯37のキャビティ30内への射出・充填を行い、然る後、油圧シリンダ33により所定の増圧力を出力させて、キャビティ30内の金属材料に増圧力を付与する(図2の射出系ユニットは、射出・充填の完了状態ないしは増圧中の様子を示している)。一方また、システムコントローラ11は、モータドライバ27を介して、電動サーボモータ21を所定方向に回転駆動し、これによって、ボールネジ機構22を介して傾動駆動体26が後退駆動されて、ベースプレート2(すなわち、溶融系ユニット)が回転支軸3を回転中心として傾動され、加熱シリンダ18が傾斜した状態へと(堰部19cが高位の第2の位置へと)移行する。
加熱シリンダ18が傾斜した状態へと(堰部19cが高位の第2の位置へと)移行したときに、次のショットのための給湯用の金属材料37が、加熱シリンダ18内に残存している場合には、直動体8(押し込み部8a)は現在位置を保持される。
一方、加熱シリンダ18内に新たな円柱状の金属材料37を補給する必要があるときは、システムコントローラ11は、モータドライバ10を介して電動サーボモータ9を所定方向に回転駆動することで直動体8を後退させ、直動体8の押し込み部8aが、加熱シリンダ18から新たな円柱状の金属材料37の長さ分をわずかに超えて抜け出た状態となるように、直動体8(押し込み部8a)に所定の後退位置をとらせる。次に、図示せぬ予備加熱装置から予備加熱された所定長の円柱状の金属材料37が、システムコントローラ11からの指令によって、図示せぬ材料供給用ロボットにより取り出されて、この材料供給用ロボットに把持された円柱状の金属材料37が、加熱シリンダ18の後端の開口部と対向するように位置付けられる。続いて、システムコントローラ11からの指令により、図示せぬ材料供給用ロボットが円柱状の金属材料37の把持力を緩めて、金属材料37を押し込み可能な状態におき(このとき、金属材料37の位置決め精度は維持されるのは言うまでもない)、また、システムコントローラ11は、モータドライバ10を介して電動サーボモータ9を所定方向に回転させて、直動体8を前進させ、直動体8の押し込み部8aにより、円柱状の金属材料37を加熱シリンダ18の後端の開口部からに加熱シリンダ18内に押し込む。そして、システムコントローラ11は、直動体8を所定量だけ前進させると、直動体8を停止させて、この状態で給湯工程まで待機させる。
以上のように、本実施形態では、加熱シリンダ18の先端側に配置した第1給湯管部材19の、上方に向かって傾斜した管路部(A)19aと該管路部(A)19aと連通して下方に向かって傾斜した管路部(B)19bとの境界部分を、射出スリーブ31への給湯時以外には金属溶湯37の流れ出しを阻止する堰部19cとして機能させ、この堰部19cを、金属溶湯37の射出スリーブ31への給湯時には低位の第1の位置に位置付け、金属溶湯37の射出スリーブ31への給湯時以外には高位の第2の位置に位置付けるようにしているので、堰部19cが低位の第1の位置にある際に、金属溶湯37が堰部19cの上端と面一の状態をとるようになっていても、堰部19cが高位の第2の位置をとると、金属溶湯37の液面は堰部19cの上端よりも下側の位置となるので、給湯工程前の待機状態において金属溶湯37の熱膨張があっても、金属溶湯37が射出スリーブ31内に垂れ落ちることが一切なくなる。したがって、金属溶湯37が垂れ落ちて射出プランジャ34のロッド周面に被着する虞は全くなくなる。また、忌避される金属溶湯37の垂れ落ちがなくなるので、射出スリーブ31への給湯量のばらつきが可及的に低減でき、これによって、ショット毎の金属溶湯37の充填挙動が安定して、鋳造品の重量ばらつきを大幅に低減することが可能となる。
図3は、本発明(上述してきた本発明の一実施形態)のショット毎の鋳造品重量と、第1給湯管部材19の堰部19cが常に低位の第1の位置をとる(加熱シリンダ18が常に水平状態をとる)ようにした場合のショット毎の鋳造品重量とを、対比して示すグラフ図である。堰部19cが常に低位の第1の位置をとるようにした場合には、前記した金属溶湯37の垂れ落ちがあるので、鋳造品の重量ばらつきは±1.5%程度であるのに対し、本発明では、鋳造品の重量ばらつきは±0.5%程度となり、鋳造品の重量ばらつきが大幅に改善されている。
なお、上述した実施形態では、加熱シリンダ18から射出スリーブ31の給湯口32へ金属溶湯37を導く給湯管部材を、略「ヘ」字形の第1給湯管部材19と垂直管の第2給湯管部材20とで構成しているが、加熱シリンダ18から射出スリーブ31の給湯口32へ金属溶湯37を導く給湯管部材は、図4、図5に示すような構成としてもよい。図4、図5において、51は、加熱シリンダ18の先端側に固定された給湯管部材で、該給湯管部材51は、加熱シリンダ18の先端側から上方に向かって傾斜した管路部(A)51
aと、該管路部(A)51aと連通して、管路部(A)51aの前端部から下方に向かって傾斜した管路部(B)51bと、該管路部(B)51bと連通して、管路部(B)51bの前端部から下方に向かって垂直に延びる管路部(C)51cとを、含んで構成されており、管路部(A)51aと管路部(B)51bとの境界部分が、金属溶湯37の給湯時以外には、金属溶湯37の流れ出しを阻止する堰部51dとして構成されている。また、給湯管部材51には、管路部(B)51bの上部には、ガス注入部51eが設けられていて、成形(鋳造)運転時には、ガス注入部51eから不活性ガスが給湯管部材51内に送り込まれるようになっている。
図4は、前記した実施形態と同様の溶融系ユニットの傾動メカニズムによって、給湯管部材51の堰部51dが低位の第1の位置をとった状態を示しており、このとき、給湯管部材51の管路部(A)51a内の金属溶湯37の液面は、堰部51dの上端と面一な状態にある。図5は、前記した実施形態と同様の溶融系ユニットの傾動メカニズムによって、給湯管部材51の堰部51dが高位の第2の位置をとった状態を示しており、このとき、給湯管部材51の管路部(A)51a内の金属溶湯37の液面は、堰部51dの上端よりも下側に位置している。
このような図4、図5に示す構成をとっても、先の実施形態と同等の効果が得られる。
本発明の一実施形態に係る溶融金属成形装置における、給湯管部材の堰部が低位の第1の位置にある際の要部構成を簡略化して示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る溶融金属成形装置における、給湯管部材の堰部が高位の第2の位置にある際の要部構成を簡略化して示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る溶融金属成形装置によるショット毎の鋳造品重量と、堰部が常に低位の第1の位置をとるようにした場合のショット毎の鋳造品重量とを、対比して示すグラフ図である。 本発明の他の実施形態に係る溶融金属成形装置における、給湯管部材の堰部が低位の第1の位置にある際の要部構成を示す説明図である。 本発明の他の実施形態に係る溶融金属成形装置における、給湯管部材の堰部が高位の第2の位置にある際の要部構成を示す説明図である。 従来技術による溶融金属成形装置の要部構成を示す説明図である。
符号の説明
1 主ベースフレーム
2 ベースプレート
2a テーパー面
3 回転支軸
4 支持脚
5 第1の保持プレート
6 第2の保持プレート
7 連結軸
8 直動体
8a 押し込み部
9 電動サーボモータ
10 モータドライバ
11 システムコントローラ
12 駆動小プーリ
13 被動プーリ
14 ボールネジ機構
15 ネジ軸
16 ナット体
17 ロードセル
18 加熱シリンダ
19 第1給湯管部材
19a 管路部(A)
19b 管路部(B)
19c 堰部
20 第2給湯管部材
20a ガス注入部
21 電動サーボモータ
22 ボールネジ機構
23 ネジ軸
24 ナット体
25 カップリング
26 傾動駆動体
26a テーパー面
27 モータドライバ
28 固定金型
29 可動金型
30 キャビティ
31 射出スリーブ
32 給湯口
33 油圧シリンダ
34 射出プランジャ
34a プランジャチップ
35 バルブドライバ
36 油圧シリンダ制御バルブ
37 金属材料
51 給湯管部材
51a 管路部(A)
51b 管路部(B)
51c 管路部(C)
51d 堰部
51e ガス注入部

Claims (3)

  1. 加熱シリンダの後端側から該加熱シリンダ内に円柱状の金属材料を順次供給して、直動体により前記金属材料を前記加熱シリンダの前端側に順次押し込むと共に、前記加熱シリンダに装着されたヒータからの加熱によって、前記金属材料を前記加熱シリンダの後端側から前端側に行くにしたがって徐々に溶融化するようにして、前記加熱シリンダ内の前端側から金属溶湯を1ショット毎に射出スリーブ内に落下供給することで給湯を行い、前記射出スリーブ内の金属溶湯を射出プランジャによって金型内に射出・充填するようにした構成をとり、
    前記加熱シリンダの金属溶湯を前記射出スリーブの給湯口に供給するために、前記加熱シリンダの先端側に設けられた給湯管部材には、上方に向かって傾斜した管路部Aと該管路部Aと連通して下方に向かって傾斜した管路部Bとが設けられて、前記管路部Aと前記管路部Bとの境界部分が、金属溶湯の前記射出スリーブへの給湯時以外には、金属溶湯の流れ出しを阻止する堰部として機能するようにした溶融金属成形装置において、
    前記加熱シリンダ、前記直動体、前記ヒータ及び前記給湯管部材を含んで構成される溶融系ユニットを上下に回動する堰部高さ可変手段と、当該堰部高さ可変手段の駆動を制御するコントローラとを備え、
    前記コントローラは、給湯工程に先立つ前記溶融系ユニットの傾動工程の開始タイミングに至ったときには、前記堰部高さ可変手段を駆動して、前記堰部を低位の第1の位置へと移行させ、前記射出スリーブ内に所定量の金属溶湯の給湯が完了したことを確認したときには、前記射出プランジャを前進駆動して射出・充填工程を開始すると共に、前記堰部高さ可変手段を駆動して、前記堰部を高位の第2の位置へと移行させることを特徴とする溶融金属成形装置。
  2. 請求項1に記載の溶融金属成形装置において、
    前記堰部高さ可変手段は、堰部高さ可変メカニズムと、該堰部高さ可変メカニズムの駆動源である電動サーボモータとを含んで構成されることを特徴とする溶融金属成形装置。
  3. 請求項1または2に記載の溶融金属成形装置において、
    前記堰部高さ可変手段は、前記加熱シリンダに水平状態をとらせることで、前記給湯管部材の前記堰部に前記第1の位置をとらせ、前記加熱シリンダにその前端側がその後端側よりも持ち上がった傾斜状態をとらせることで、前記給湯管部材の前記堰部に前記第2の位置をとらせることを特徴とする溶融金属成形装置。
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