JP2011156550A - ダイカストマシンおよびダイカスト鋳造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な構成で、ビスケット成形部において、プランジャスリーブ内に給湯された溶湯を射出するまでは適切に保温し、射出を開始してから溶湯を適切に冷却して指向性凝固を図るとともに,成形サイクルを短縮化する。
【解決手段】本発明のダイカストマシンは、金型1とプランジャ2とを備え、金型1がスプールコア3とスプールブッシュ4とを有し、プランジャ2がプランジャスリーブ21とプランジャチップ22とを有し、スプールコア3とスプールブッシュ4内に前進したプランジャチップ22との間にビスケット成形部Bが形成され、このビスケット成形部BとキャビティCとを連通するランナRにゲートGが形成されるもので、スプールコア3は、低熱伝導性材料からなる第1領域31と高熱伝導性材料からなる第2領域32とを備えており、スプールコア3を切り替え変位させる切替機構5とを有している。
【選択図】図3

Description

本発明は、ダイカストマシンおよびダイカスト鋳造方法に関し、さらに詳しくは、金型にスプールコアとスプールブッシュを有するダイカストマシン、および、スプールコアとスプールブッシュを有する金型を用いたダイカスト鋳造方法に関するものである。
ダイカストマシンは、一般に、開閉可能に設けられた金型と、金型が閉じることにより形成されるキャビティ内に溶湯を射出するプランジャとを備えており、プランジャは、プランジャスリーブとプランジャチップとを有している。そして、金型の溶湯導入部には、プランジャスリーブと連続してスプールブッシュが設けられ、このスプールブッシュの先端と対向する位置にスプールコアが設けられている。金型の溶湯導入部は、プランジャスリーブ内に給湯された溶湯をキャビティ内へ射出すべくプランジャチップを前進させたときにスプールコアとスプールブッシュ内に前進したプランジャチップとの間に形成されるビスケット成形部と、このビスケット成形部からキャビティに連通するランナとを含んでおり、ランナのキャビティとの境界にはゲートが形成されている。
このようなダイカストマシンを用いてダイカスト鋳造を行う場合には、一般に、金型を閉じてその内部にキャビティを形成し、プランジャスリーブ内に溶湯を給湯してプランジャチップを前進させることにより、金型の溶湯導入部を介してキャビティ内に溶湯を射出する。このとき、製品となる溶湯の凝固は、キャビティ先端に相当する位置から開始してビスケットで終了するように、指向性凝固が図られている。
このようなダイカスト鋳造においては、型閉じを開始してから、溶湯が凝固して型開きし製品を金型より取り出すまでが一成形サイクルとなる。したがって、溶湯を適切な温度勾配で且つできるだけ短時間で冷却して凝固させることが生産効率などの向上につながることとなる。そのため、金型には、冷却水などの温度調整用流体を流通させるための温調回路が従来から設けられている。そして、金型のスプールコアに温調回路を設けることが知られている(たとえば、特許文献1を参照)。特許文献1には、鋳造用金型の溶湯導入部におけるスプールブッシュの先端側に配設されるスプールコアであって、当該スプールコアが一体構造をなすと共に、溶湯との接触面に沿って、温度調整用流体を流すための温調回路を備えていることなどを特徴とするスプールコアが開示されている。
そして、特許文献1には、スプールコアの冷却構造を噴流タイプではなく、温度調整用流体(例えば、冷却水)を連続的に流通させる回路方式のものとし、当該温調回路、すなわち当該スプールコア自体を冷却したり、その冷却速度をコントロールしたりするための流体回路を溶湯との接触面に沿ったものとしたことから、溶湯との接触面の全体を均一に温度調整(一般には、冷却)することができ、温度の制御効率が向上して、当該スプールコアの耐用寿命が増すと共に、鋳造サイクルタイムを短縮することができ、鋳造コストの低減にも貢献するという極めて優れた効果がもたらされるなどと記載されている(0009)。
特開2006−239738号公報
しかしながら、上記特許文献1にあっては、スプールコアの温調回路に冷却水などの温度調整用流体を連続的に流通させていることから、スプールコアの溶湯と接触する面が常時冷却されているために、一成形サイクルの初期において、プランジャスリーブ内に溶湯を給湯した際に、スプールコアに接触した溶湯が冷却されて、凝固層(破断チル層)を形成することとなる。そして、プランジャチップを前進させることによって溶湯を射出したときに、この凝固層がキャビティ内に入り込み、異材として製品に混入することとなり、たとえば成形する製品が気密性を必要とするものである場合にその気密性が損なわれたり、製品の強度が低下するなどの問題が生じることがある。
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたもので、ビスケット成形部において、プランジャスリーブ内に給湯された溶湯を射出するまでは適切に保温し、射出を開始してから溶湯を適切に冷却して指向性凝固を図るとともに,成形サイクルを短縮化することができるダイカストマシンおよびダイカスト鋳造方法を提供することを目的とする。
請求項1のダイカストマシンに係る発明は、上記目的を達成するため、製品の形状に応じたキャビティを形成する金型と、キャビティ内に溶湯を射出するプランジャとを備え、金型がスプールコアとスプールブッシュとを有しており、プランジャがプランジャスリーブとプランジャチップとを有しており、前記スプールコアとスプールブッシュ内に前進した前記プランジャチップとの間にビスケット成形部が形成され、該ビスケット成形部と前記キャビティとを連通するランナにゲートが形成されるダイカストマシンであって、スプールコアの前記ビスケット成形部を構成する面に設けられた、低熱伝導性材料からなる第1領域、および、高熱伝導性材料からなる第2領域と、プランジャスリーブに給湯された射出前の溶湯に前記スプールコアの第1領域が接するように位置し、射出を開始して溶湯が前記ゲートに達してから少なくともキャビティと連通するゲート側に前記スプールコアの第1領域が位置するとともに、反ゲート側に前記スプールコアの第2領域が位置するように、前記スプールコアを切り替え変位させる切替機構とを有することを特徴とするものである。
請求項2のダイカストマシンに係る発明は、上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明において、前記スプールコアは、円柱状に成形され、その端面が前記ビスケット成形部を構成するよう配置されており、前記切替機構は、前記スプールコアをその中心軸線回りに回動させるよう構成されていることを特徴とするものである。
請求項3のダイカストマシンに係る発明は、上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明において、前記スプールコアは、断面矩形の板状に成形され、その一方端側に前記第1領域が設けられるとともに他方端側に第2領域が設けられ、前記第1領域が前記ビスケット成形部とゲートとの間で移動するとともに、前記第2領域が前記ビスケット成形部と退避位置との間で移動するようにスライド可能に配設されており、前記切替機構は、前記スプールコアを前記一方端側と他方端側にスライドさせるよう構成されていることを特徴とするものである。
請求項4のダイカストマシンに係る発明は、上記目的を達成するため、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明において、前記プランジャによって射出を開始して溶湯が前記ゲートに達したことを検知するセンサを設けたことを特徴とするものである。
また、請求項5のダイカスト鋳造方法に係る発明は、上記目的を達成するため、金型内に製品の形状に応じたキャビティを形成し、プランジャスリーブ内に溶湯を給湯してプランジャチップを前進させることにより、溶湯を金型のゲートからキャビティ内に射出し、製品のキャビティ先端に相当する位置から金型のスプールコアとスプールブッシュ内に前進した前記プランジャチップとの間のビスケットに向って指向性凝固を図るダイカスト鋳造方法であって、スプールコアの前記ビスケットを成形する面に、低熱伝導性材料からなる第1領域と、高熱伝導性材料からなる第2領域とを設けておき、プランジャスリーブに給湯された射出前の溶湯に対して前記スプールコアの第1領域が接するよう位置させ、射出を開始して溶湯が前記ゲートに達してから少なくともキャビティと連通するゲート側に前記スプールコアの第1領域を位置させるとともに、反ゲート側に前記スプールコアの第2領域を位置させるように、前記スプールコアを切り替え変位させることを特徴とするものである。
請求項1の発明によれば、スプールコアのビスケット成形部を構成する面に設けられた、低熱伝導性材料からなる第1領域、および、高熱伝導性材料からなる第2領域と、このスプールコアの第1領域と第2領域を適当に切り替え変位させる切替機構とを備えたことにより、プランジャスリーブに給湯された射出前の溶湯は、スプールコアの第1領域が接することにより適切に保温され、また、射出を開始してから鋳造方案となる溶湯導入部の溶湯は、ビスケットのゲート側が第1領域によって保温されるとともに、反ゲート側が第2領域によって冷却されることとなる。そのため、溶湯導入部の溶湯を適切に冷却して、指向性凝固を図るとともに成形サイクルを短縮化することが可能なダイカストマシンを提供することができる。
請求項2の発明によれば、請求項1に記載の発明において、スプールコアを、円柱状に成形してその端面がビスケット成形部を構成するよう配置し、切替機構によってスプールコアをその中心軸線回りに回動させるようにしたという簡単な構成により、プランジャスリーブ内に給湯された溶湯を射出するまでは適切に保温し、射出を開始してから鋳造方案となる溶湯導入部の溶湯を適切に冷却して、指向性凝固を図るとともに成形サイクルを短縮化することが可能なダイカストマシンを具現化できる。
請求項3の発明によれば、請求項1に記載の発明において、スプールコアを、断面矩形の板状に成形し、その一方端側に第1領域を設けるとともに他方端側に第2領域を設けて、第1領域が前記ビスケット成形部とゲートとの間で移動するとともに、前記第2領域が前記ビスケット成形部と退避位置との間で移動するようにスライド可能に配設し、切替機構を、スプールコアが一方端側と他方端側にスライドするようにしたという簡単な構成により、プランジャスリーブ内に給湯された溶湯を射出するまでは適切に保温し、射出を開始してから鋳造方案となる溶湯導入部の溶湯を適切に冷却して、指向性凝固を図るとともに成形サイクルを短縮化することが可能なダイカストマシンを具現化できる。
請求項4の発明によれば、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明において、プランジャによって射出を開始して溶湯が前記ゲートに達したことを検知するセンサを設けたことにより、切替機構がスプールコアの第1領域と第2領域とを適切なタイミングで切り替え変位させることが可能なダイカストマシンを具現化できる。
また、請求項5の発明によれば、スプールコアの前記ビスケットを成形する面に、低熱伝導性材料からなる第1領域と、高熱伝導性材料からなる第2領域とを設けておき、プランジャスリーブに給湯された射出前の溶湯に対して前記スプールコアの第1領域が接するよう位置させ、射出を開始して溶湯が前記ゲートに達してから少なくともキャビティと連通するゲート側に前記スプールコアの第1領域を位置させるとともに、反ゲート側に前記スプールコアの第2領域を位置させるように、前記スプールコアを切り替え変位させることにより、プランジャスリーブに給湯された射出前の溶湯は、スプールコアの第1領域が接することにより適切に保温され、また、射出を開始してから鋳造方案となる溶湯導入部の溶湯は、ビスケットのゲート側が第1領域によって保温されるとともに、反ゲート側が第2領域によって冷却されることとなる。そのため、溶湯導入部の溶湯を適切に冷却して、指向性凝固を図るとともに成形サイクルを短縮化することが可能なダイカスト鋳造方法を提供することができる。
(発明の態様)
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、少なくとも、請求の範囲に記載された発明である「本発明」ないし「本願発明」を含むが、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、(2)項が請求項2に相当し、(3)項が請求項3に相当し、(4)項が請求項4に相当し、(6)項が請求項5に相当する。
(1) 製品の形状に応じたキャビティを形成する金型と、キャビティ内に溶湯を射出するプランジャとを備え、金型がスプールコアとスプールブッシュとを有しており、プランジャがプランジャスリーブとプランジャチップとを有しており、前記スプールコアとスプールブッシュ内に前進した前記プランジャチップとの間にビスケット成形部が形成され、該ビスケット成形部と前記キャビティとを連通するランナにゲートが形成されるダイカストマシンであって、
スプールコアの前記ビスケット成形部を構成する面に設けられた、低熱伝導性材料からなる第1領域、および、高熱伝導性材料からなる第2領域と、
プランジャスリーブに給湯された射出前の溶湯に前記スプールコアの第1領域が接するように位置し、射出を開始して溶湯が前記ゲートに達してから少なくともキャビティと連通するゲート側に前記スプールコアの第1領域が位置するとともに、反ゲート側に前記スプールコアの第2領域が位置するように、前記スプールコアを切り替え変位させる切替機構とを有することを特徴とするダイカストマシン。
(1)項の発明では、スプールコアのビスケット成形部を構成する面に設けられた、低熱伝導性材料からなる第1領域、および、高熱伝導性材料からなる第2領域と、このスプールコアの第1領域と第2領域を適当に切り替え変位させる切替機構とを備えたことにより、プランジャスリーブに給湯された射出前の溶湯は、スプールコアの第1領域が接することにより適切に保温され、また、射出を開始してから鋳造方案となる溶湯導入部の溶湯は、ビスケットのゲート側が第1領域によって保温されるとともに、反ゲート側が第2領域によって冷却されることとなるため、溶湯導入部の溶湯を適切に冷却して、指向性凝固を図るとともに成形サイクルを短縮化することができる。
(2) 前記スプールコアは、円柱状に成形され、その端面が前記ビスケット成形部を構成するよう配置されており、
前記切替機構は、前記スプールコアをその中心軸線回りに回動させるよう構成されていることを特徴とする(1)項に記載のダイカストマシン。
(2)項の発明では、(1)項に記載の発明において、スプールコアを、円柱状に成形してその端面がビスケット成形部を構成するよう配置し、切替機構によってスプールコアをその中心軸線回りに回動させるようにしたという簡単な構成により、プランジャスリーブ内に給湯された溶湯を射出するまでは適切に保温し、射出を開始してから鋳造方案となる溶湯導入部の溶湯を適切に冷却して、指向性凝固を図るとともに成形サイクルを短縮化することができる。
(3) 前記スプールコアは、断面矩形の板状に成形され、その一方端側に前記第1領域が設けられるとともに他方端側に第2領域が設けられ、前記第1領域が前記ビスケット成形部とゲートとの間で移動するとともに、前記第2領域が前記ビスケット成形部と退避位置との間で移動するようにスライド可能に配設されており、
前記切替機構は、前記スプールコアを前記一方端側と他方端側にスライドさせるよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載のダイカストマシン。
(3)項の発明では、(1)項に記載の発明において、スプールコアを、断面矩形の板状に成形し、その一方端側に第1領域を設けるとともに他方端側に第2領域を設けて、第1領域が前記ビスケット成形部とゲートとの間で移動するとともに、前記第2領域が前記ビスケット成形部と退避位置との間で移動するようにスライド可能に配設し、切替機構を、スプールコアが一方端側と他方端側にスライドするようにしたという簡単な構成により、プランジャスリーブ内に給湯された溶湯を射出するまでは適切に保温し、射出を開始してから鋳造方案となる溶湯導入部の溶湯を適切に冷却して、指向性凝固を図るとともに成形サイクルを短縮化することができる。
(4) 前記プランジャによって射出を開始して溶湯が前記ゲートに達したことを検知するセンサを設けたことを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載のダイカストマシン。
(4)項の発明では、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の発明において、プランジャによって射出を開始して溶湯が前記ゲートに達したことを検知するセンサを設けたことにより、切替機構がスプールコアの第1領域と第2領域とを適切なタイミングで切り替え変位させることができる。
(5) 前記スプールコアの第2領域に冷却流体を流通させる流路を設けたことを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載のダイカストマシン。
(5)項の発明では、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の発明において、スプールコアの第2領域に設けた流路に冷却流体を流通させることにより、少なくともビスケット成形部における溶湯を適切に凝固させることができる。
(6) 金型内に製品の形状に応じたキャビティを形成し、プランジャスリーブ内に溶湯を給湯してプランジャチップを前進させることにより、溶湯を金型のゲートからキャビティ内に射出し、製品のキャビティ先端に相当する位置から金型のスプールコアとスプールブッシュ内に前進した前記プランジャチップとの間のビスケットに向って指向性凝固を図るダイカスト鋳造方法であって、
スプールコアの前記ビスケットを成形する面に、低熱伝導性材料からなる第1領域と、高熱伝導性材料からなる第2領域とを設けておき、
プランジャスリーブに給湯された射出前の溶湯に対して前記スプールコアの第1領域が接するよう位置させ、射出を開始して溶湯が前記ゲートに達してから少なくともキャビティと連通するゲート側に前記スプールコアの第1領域を位置させるとともに、反ゲート側に前記スプールコアの第2領域を位置させるように、前記スプールコアを切り替え変位させることを特徴とするダイカスト鋳造方法。
(6)項の発明では、スプールコアの前記ビスケットを成形する面に、低熱伝導性材料からなる第1領域と、高熱伝導性材料からなる第2領域とを設けておき、プランジャスリーブに給湯された射出前の溶湯に対して前記スプールコアの第1領域が接するよう位置させ、射出を開始して溶湯が前記ゲートに達してから少なくともキャビティと連通するゲート側に前記スプールコアの第1領域を位置させるとともに、反ゲート側に前記スプールコアの第2領域を位置させるように、前記スプールコアを切り替え変位させることにより、プランジャスリーブに給湯された射出前の溶湯は、スプールコアの第1領域が接することにより適切に保温され、また、射出を開始してから鋳造方案となる溶湯導入部の溶湯は、ビスケットのゲート側が第1領域によって保温されるとともに、反ゲート側が第2領域によって冷却されることとなるため、溶湯導入部の溶湯を適切に冷却して、指向性凝固を図るとともに成形サイクルを短縮化することができる。
(7) 前記スプールコアを、円柱状に成形して、その端面が前記ビスケット成形部を構成するよう配置しておき、
プランジャスリーブに給湯された射出前の溶湯に前記スプールコアの第1領域が接するように位置させ、射出を開始して溶湯が前記ゲートに達してからスプールコアをその中心軸線回りに回動させて、ゲート側に第1領域を位置させるとともに、反ゲート側に第2領域を位置させるように、前記スプールコアを切り替え変位させることを特徴とする(6)項に記載のダイカスト鋳造方法。
(7)項の発明では、(6)項に記載の発明において、スプールコアを、円柱状に成形して、その端面が前記ビスケット成形部を構成するよう配置しておき、プランジャスリーブに給湯された射出前の溶湯に前記スプールコアの第1領域が接するように位置させ、射出を開始して溶湯が前記ゲートに達してからスプールコアをその中心軸線回りに回動させて、ゲート側に第1領域を位置させるとともに、反ゲート側に第2領域を位置させるように、前記スプールコアを切り替え変位させるという簡単な構成により、プランジャスリーブ内に給湯された溶湯を射出するまでは適切に保温し、射出を開始してから鋳造方案となる溶湯導入部の溶湯を適切に冷却して、指向性凝固を図るとともに成形サイクルを短縮化することができる。
(8) 前記スプールコアを、断面矩形の板状に成形して、その一方端側に前記第1領域を設けるとともに他方端側に第2領域を設け、前記第1領域が前記ビスケット成形部とゲートとの間で移動するとともに、前記第2領域が前記ビスケット成形部と退避位置との間で移動するようにスライド可能に配設しておき、
プランジャスリーブに給湯された射出前の溶湯に前記スプールコアの第1領域が接するように位置させ、射出を開始して溶湯が前記ゲートに達してから前記ゲートとビスケット成形部のゲート側に前記スプールコアの第1領域が位置するとともに、前記ビスケット成形部の反ゲート側に前記スプールコアの第2領域が位置するように、前記スプールコアをスライドさせることを特徴とする(6)項に記載のダイカスト鋳造方法。
(8)項の発明では、(6)項に記載の発明において、スプールコアを、断面矩形の板状に成形して、その一方端側に前記第1領域を設けるとともに他方端側に第2領域を設け、前記第1領域が前記ビスケット成形部とゲートとの間で移動するとともに、前記第2領域が前記ビスケット成形部と退避位置との間で移動するようにスライド可能に配設しておき、プランジャスリーブに給湯された射出前の溶湯に前記スプールコアの第1領域が接するように位置させ、射出を開始して溶湯が前記ゲートに達してから前記ゲートとビスケット成形部のゲート側に前記スプールコアの第1領域が位置するとともに、前記ビスケット成形部の反ゲート側に前記スプールコアの第2領域が位置するように、前記スプールコアをスライドさせるという簡単な構成により、プランジャスリーブ内に給湯された溶湯を射出するまでは適切に保温し、射出を開始してから鋳造方案となる溶湯導入部の溶湯を適切に冷却して、指向性凝固を図るとともに成形サイクルを短縮化することができる。
(9) 前記プランジャによって射出を開始して溶湯が前記ゲートに達したことをセンサによって検知して、このセンサからの出力信号に基づいて、前記スプールコアの切り替え変位を制御することを特徴とする(6)〜(8)のいずれか1項に記載のダイカスト鋳造方法。
(9)の発明では、(6)〜(8)のいずれか1項に記載の発明において、前記プランジャによって射出を開始して溶湯が前記ゲートに達したことをセンサによって検知して、このセンサからの出力信号を受けたときに、少なくともキャビティと連通するゲート側に前記スプールコアの第1領域を位置させるとともに、反ゲート側に前記スプールコアの第2領域を位置させるように、前記スプールコアを正確に且つ容易に切り替え変位させることができる。
本発明のダイカストマシンの第1の実施の形態を説明するために、プランジャスリーブに溶湯を給湯する状態を示した要部断面図である。 図1の状態からキャビティ内を減圧するとともにプランジャチップを前進させて低速射出する状態を示した要部断面図である。 図2の状態から溶湯がゲートに達して切替機構によってスプールコアを切り替え変位させて、ゲート側に第1領域を、反ゲート側に第2領域を位置させた状態でキャビティ内に溶湯を高速射出する状態を示した要部断面図である。 図3の状態から鋳造圧を付加し保持する状態を示した要部断面図である。 本発明のダイカストマシンの第2の実施の形態を説明するために、プランジャスリーブに溶湯を給湯する状態を示した要部拡大断面図である。 図5の状態からキャビティ内を減圧するとともにプランジャチップを前進させて低速射出する状態を示した要部拡大断面図である。 図6の状態から溶湯がゲートに達することにより切替機構によってスプールコアを上昇させるよう切り替え変位させて、ゲート側に第1領域を、反ゲート側に第2領域を位置させた状態でキャビティ内に溶湯を高速射出する状態を示した要部拡大断面図である。 図7の状態から鋳造圧を付加し保持する状態を示した要部拡大断面図である。 図5〜図8に示した第2の実施の形態におけるスプールコアのスプールブッシュに対する変位を説明するために概念的に示した説明図である。 ダイカスト鋳造における工程を説明するために示したブロック図である。
最初に、本発明のダイカストマシンの実施の一形態を、図に基づいて詳細に説明する。なお、図において同じ符号は、同様または相当する部分を示すものとする。
本発明のダイカストマシンは、概略、製品の形状に応じたキャビティCを形成する金型1と、キャビティC内に溶湯を射出するプランジャ2とを備え、金型1がスプールコア3とスプールブッシュ4とを有しており、プランジャ2がプランジャスリーブ21とプランジャチップ22とを有しており、スプールコア3とスプールブッシュ4内に前進したプランジャチップ22との間にビスケット成形部Bが形成され、このビスケット成形部BとキャビティCとを連通するランナRにゲートGが形成されるものであって、スプールコア3のビスケット成形部Bを構成する面に設けられた、低熱伝導性材料からなる第1領域31、および、高熱伝導性材料からなる第2領域32と、プランジャスリーブ21に給湯された射出前の時の溶湯Mにスプールコア3の第1領域31が接するように位置し、且つ、射出を開始して溶湯MがゲートGに達してから少なくともビスケット成形部BのゲートG側にスプールコア3の第1領域31が位置するとともに、反ゲート側にスプールコア3の第2領域32が位置するように、スプールコア3を切り替え変位させる切替機構5とを有している。
そして、ダイカストマシンのスプールコア3は、図1〜図4に示した第1の実施の形態の場合には円柱状に成形されたスプールコア3Aが採用され、その端面がビスケット成形部Bを構成するよう配置されており、切替機構5は、スプールコア3をその中心軸線回りに回動させるよう構成されている。
金型1は、固定盤13に取付けられた固定型11と、型締装置によって図の左右方向に移動される可動盤14に取付けられた可動型12とにより構成されている。可動盤14を固定盤13に近接させるよう移動することによって固定型11に対して可動型12が衝合して型閉じし、所定の力で型締されて、製品の形状に応じたキャビティCが金型1の内部に形成されて製品を成形することが可能となり、また、可動盤14を固定盤13から離間させるよう移動することによって固定型11から可動型12が型開きし、成形された製品を取り出すことが可能となる。なお、本発明のダイカストマシンにおける金型1は、この実施の形態に限定されることはなく、例えば、固定型11に対する可動型12の型開閉方向と交差する方向に進退可能に設けられたスライド型または入子を有する場合も含まれる。
固定型11にはスプールブッシュ4が設けられており、固定盤13にはプランジャ2のプランジャスリーブ21がスプールブッシュ4と連通するように取付けられている。また、可動型12のスプールブッシュ4と対向する位置にはスプールコア3(第1の実施の形態では3A)が設けられており、また、成形された製品を押出すためのエジェクタ機構6が設けられている。さらに、固定型11と可動型12には、それぞれ必要に応じて所定の箇所に、温度調節流体を流通させるための温調回路7が設けられている。
固定型11と可動型12の型閉じしたときの衝合面には、製品の形状に応じたキャビティCと、このキャビティCとスプールブッシュ4とを連通するランナRと、必要に応じてキャビティC内を減圧するための真空ポンプなどが接続される減圧通路Vとが形成される。ランナRのキャビティCに隣接する位置には、ゲートGが形成される。また、図4に参照されるように、スプールコア3A(3)とスプールブッシュ4内で前進したプランジャチップ22との間には、ビスケット成形部Bが形成される。
プランジャ2は、プランジャスリーブ21と、このプランジャスリーブ21内に摺動可能に嵌挿されるプランジャチップ22と、プランジャチップ22を前進・後退駆動するシリンダなどの駆動手段とを備えている。図1に参照されるように、プランジャスリーブ21の後方には、溶湯Mをラドル8などによって給湯する給湯口23が設けられている。
スプールコア3Aは、円柱状に成形されており、その端面が固定型11のスプールブッシュ4に対する対向面に露出してビスケット成形部Bを部分的に構成するよう配置されている。スプールコア3Aは、低熱伝導性材料として例えばセラミックなどからなる第1領域31と、高熱伝導性材料として例えば耐熱鋼などからなる第2領域32とを、その軸方向に沿って延在させるように全体が構成されている。第1領域31と第2領域32は、スプールコア3のビスケット成形部Bを部分的に構成する端面に、所定の比率で、且つ、形状がその中心を通る所定の角度で形成される扇形、または、第1領域31と第2領域32の境界線によって形成される弦を有する弓形に成形することができる。なお、本発明は、この実施の形態に限定されることなく、円柱状のスプールコア3が構成するビスケット成形部Bに第1領域31と第2領域32が露出していればよく、したがって、円筒状のスプールコア3Aのビスケット成形部Bを構成する端面が第1領域31と第2領域32以外の他の材質を含む場合も含まれ、また、スプールコア3Aの軸方向基端側(切替機構5のモータ51などの回転駆動軸52が設けられる側)を他の材質によって構成される場合も含まれる。
切替機構5は、スプールコア3Aのビスケット成形部Bを部分的に構成する端面と反対側の端面に、スプールコア3Aの中心軸方向に延在するよう設けられた回転駆動軸52と、回転駆動軸52に接続されたモータなどのアクチュエータ51とを備えている。後述するように制御手段によってアクチュエータ51に駆動信号が出力されると、スプールコア3Aをその中心軸船回りに180度回転駆動させるよう構成されている。
次に、本発明のダイカストマシンの第2の実施の形態を図5〜図9に基づいて詳細に説明する。なお、この第2の実施の形態の説明においては、上述した第1の実施の形態と同様または相当する部分については同じ符号を付してその説明を省略し、異なる部分についてのみ説明することとする。
上述した第1の実施の形態では、スプールコア3Aが円柱状に成形され、その一方の端面がビスケット成形部Bを部分的に構成するよう配置されており、切替機構5は、スプールコア3Aをその中心軸線回りに回動させるよう構成されていたのに対し、この第2の実施の形態においては、概略、スプールコア3が、断面矩形の板状に成形されたスプールコア3Bが採用されており、その一方端側(図の上方)に第1領域31が設けられるとともに他方端側(図の下方)に第2領域32が設けられ、第1領域31がビスケット成形部BとゲートGとの間で移動するとともに、第2領域32がビスケット成形部Bとビスケット成形部Bから退避した下方の位置との間で移動するようにスライド可能に配設されており、切替機構5は、スプールコア3Bを一方端側と他方端側にスライドさせるよう構成されたもので、スプールコア3Bの図における下方端に接続されたロッド54と、ロッド54を昇降駆動するシリンダなどからなるアクチュエータとを備えている。
図9に参照されるように、スプールコア3Bは、スプールブッシュ4の内径よりも大きい幅と、上下方向のいずれにスライドしたときでもスプールブッシュ4と対応する高さとを有する板状に成形されている。スプールコア3Bは、その上方に低熱伝導性材料からなる第1領域31が形成されており、その下方に高熱伝導性材料からなる第2領域32が形成されている。さらに、この実施の形態においては、第1領域31の上方には、スプールコア3Bが下方に退避した位置にある状態(図9の左方に示した状態を参照)でゲートGと対応する位置に溶湯Mが達したか否かを検出するためのセンサ33が設けられている。なお、このセンサ33を設ける位置は、スプールコア3Bが下方に退避した位置にある状態ではゲートGと対応する位置よりも低いが、その理由として、センサ33が信号を出力してからロッド54の伸長によってスプールコア3Bが実際に上昇限にスライドするまでのタイムラグが考慮されているからである。さらにまた、第2領域32のビスケット成形部Bを構成する面とは反対側の面には、冷却水などの温度調節流体を流通させることが可能な溝部34が形成されている。
一方、可動型12のスプールブッシュ4と略対応する位置には、スプールコア3Bを図の上下方向にスライド可能に嵌合される凹部16が形成されている。図9に参照されるように、可動型12の凹部16の上下方向の長さとスプールコア3Bの上下方向の長さとの関係は、凹部16に対してスライドコア3Bが下降限に位置するとき(図9の左方)に、第1領域31がスプールブッシュ4と対応する位置にあり、第2領域32がスプールブッシュ31と対応する位置から下方に退避し、また、凹部16に対してスライドコア3Bが上昇限に位置するとき(図9の右方)に、第1領域31がスプールブッシュ4の上方からゲートGにわたって対応する位置にあり、第2領域32がスプールブッシュ4の下方と対応する位置に移動するよう設定されている。そして、この実施の形態では、凹部16に対してスプールコア3Bが上昇限に位置するときに、可動型12の、第2領域32の溝部34の両端と対応する位置には、冷却水などの温度調節流体を供給および排出する管路17,18が開口するよう形成されている。
次に、本発明のダイカスト鋳造方法の実施の一形態を、図10を参照しつつ説明する。
本発明のダイカスト鋳造方法は、概略、金型1内に製品の形状に応じたキャビティCを形成し、プランジャスリーブ21内に溶湯Mを給湯してプランジャチップ22を前進させることにより、溶湯Mを金型1のゲートGからキャビティC内に射出し、製品のキャビティC先端に相当する位置から金型1のスプールコア3とスプールブッシュ4内に前進したプランジャチップ22との間のビスケットbに向って指向性凝固を図るものであって、スプールコア3のビスケットbを成形する面に、低熱伝導性材料からなる第1領域31と、高熱伝導性材料からなる第2領域32とを設けておき、プランジャスリーブ22に給湯された射出前の溶湯Mに対してスプールコア3の第1領域31が接するよう位置させ、射出を開始して溶湯MがゲートGに達してから少なくともキャビティCと連通するゲートG側にスプールコア3の第1領域31を位置させるとともに、反ゲート側にスプールコア3の第2領域32を位置させるように、スプールコア3を切り替え変位させるものである。
そして、図1〜図4に示した第1の実施の形態におけるダイカストマシンを用いる場合には、スプールコア3として、円柱状に成形されたスプールコア3Aを採用して、その端面がビスケット成形部Bを構成するよう配置しておき、プランジャスリーブ21に給湯された射出前においては、溶湯Mにスプールコア3Aの第1領域31が接するように位置させ、射出を開始して溶湯MがゲートGに達した時点で、スプールコア3Aをその中心軸線回りに回動させて、ゲートG側に第1領域31を位置させるとともに、反ゲート側に第2領域32を位置させるように、スプールコア3Aを切り替え変位させる。
予め、ダイカストマシンのスプールコア3Aを円柱状に成形し、この端面に第1領域31と第2領域32が露出するよう構成してビスケット成形部Bを構成するよう配置するとともに、スプールコア3Aを中心軸線回りに回動させる切替機構5を設けておくことなどは、上述したとおりである。
製品を成形する一サイクルにおいては、最初に図1に示すように、プランジャスリーブ21内でプランジャチップ22を図の右方に後退させ、可動型12を固定型11に対して型締し、エジェクタ機構6の押出ピン61を図の左方に後退させ、第1領域31が下方に位置するとともに第2領域32が上方に位置するようにスプールコア3Aを位置決めしておく。そして、ラドル8などによってプランジャスリーブ21の給湯口23から所定量の溶湯Mを給湯する(図10のS1)。
次いで、図2に示すように、減圧通路Vを介してキャビティC内を減圧しつつ、プランジャチップ22を比較的低速で前進させる(図10のS2)。このとき、溶湯Mは、プランジャスリーブ21とスプールブッシュ4の下方に所定の高さ(深さ)で溜まった状態となっており、スプールコア3Aの第1領域31のみに接していることにより保温されている。そのため、溶湯Mの温度は低下することがなく、したがって、従来の技術のように凝固層(破断チル層)が形成されることがないことから、製品に凝固層が異材として混入して気密性が損なわれたり、製品の強度が低下するなどの問題が生じることを防止することができる。
さらにプランジャチップ22を前進させて、溶湯MがゲートGに達すると、図3に示すように、モータ51などの駆動によって第1領域31が上方に位置するとともに第2領域32が下方に位置するようにスプールコア3Aを回動させて、プランジャチップ22を比較的高速で前進させ、溶湯MをキャビティC内に射出して(図10のS3)、図4に示すようにプランジャチップ22によって溶湯Mに鋳造圧を付加する(図10のS4)。ビスケット成形部Bの溶湯Mは、ゲートG側(上方)の位置ではスプールコア3Aの第1領域31によって保温されており、また、反ゲート側(下方)では第2領域32によって冷却されるため、従来の技術よりも適切に指向性凝固が図られ、第2領域を設けない場合と比較して短時間で凝固することとなる。
溶湯Mが凝固した後には、型締装置の駆動により可動盤14を後退移動させることにより固定型11から可動型12を引き離して型開きし(図10のS5)、エジェクタ機構6の押出ピン61を図の右方に突き出し製品を押し出して製品を取り出し(図10のS6)、その後、エジェクタ機構6の押出ピン61を図の左方に後退させて型締装置の駆動により可動盤14を前進移動させることにより固定型11に対して可動型12を衝合させて型閉じする(図10のS7)。そして、製品を取り出してから、次の成形サイクルで溶湯Mをプランジャスリーブ21内に給湯するまでには、モータ51などの駆動によって第1領域31が下方に位置するとともに第2領域32が上方に位置するようにスプールコア3Aを回動させる。
次に、本発明のダイカスト鋳造方法の第2の実施の形態を、図5〜図9に示した第2の実施の形態におけるダイカストマシンを用いる場合により説明する。なお、この実施の形態においては、第1の実施の形態と同様または相当する構成については同じ符号を付してその説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
予め、ダイカストマシンのスプールコア3Bを板状に成形して、その上方に第1領域31を設けるとともに、下方に第2領域32を設けた構成とし、可動型12の凹部16にスライド可能に嵌合して、スプールコア3Bの下端に切替機構5のシリンダなどのロッド54を接続しておくことなどは、上述したとおりである。
製品を成形する一サイクルにおいては、最初に、プランジャスリーブ21内でプランジャチップ22を図の右方に後退させ、可動型12を固定型11に対して型締し、スプールコア3Bを下降限に位置させて第1領域31がスプールブッシュ4と対向するとともに第2領域32がスプールブッシュ4と対向する位置よりも下方に退避した位置となるようにスプールコア3Bを位置決めしておき(図9の左方を参照)、この状態で、プランジャスリーブ21の給湯口23から所定量の溶湯Mを給湯する(図10のS1)。
次いで、図5に示すように、プランジャチップ22を比較的低速で前進させる(図10のS2)。このとき、スプールコア3Bの第2領域32が下方に退避して第1領域31のみがスプールブッシュ4と対向しているため、溶湯Mは、プランジャスリーブ21とスプールブッシュ4の下方に所定の高さ(深さ)で溜まった状態となっており、第1領域31のみに接していることにより保温されている。そのため、溶湯Mの温度は低下することがなく、したがって、従来の技術のように凝固層(破断チル層)が形成されることがないことから、製品に凝固層が異材として混入して気密性が損なわれたり、製品の強度が低下するなどの問題が生じることを防止することができる。
図6に示すように、さらにプランジャチップ22を前進させて、溶湯MがゲートGに達すると、センサ33がこれを感知し、出力信号によりシリンダなどのアクチュエータがロッド54を伸長させるよう制御され、図7に示すように、凹部16に対してスライドコア3Bを上昇限にスライド移動させて、第1領域31をスプールブッシュ4の上方からゲートGにわたって対応するよう位置させるとともに、第2領域32をスプールブッシュ4の下方と対応するよう位置させる(図9の右方を参照)。このとき、第2領域32の溝部34の両端と可動型12に設けられた管路17,18の開口がそれぞれ一致して温調回路が形成されることとなる。
この状態でさらに、プランジャチップ22を比較的高速で前進させキャビティC内に射出して(図10のS3)、図8に示すようにプランジャチップ22によって溶湯Mに鋳造圧を付加する(図10のS4)。ビスケット成形部Bの上方からゲートGにかけての溶湯Mは、スプールコア3Bの第1領域31によって保温されており、また、ビスケット成形部Bの下方では温調回路を有する第2領域32によって冷却されるため、従来の技術よりも適切に指向性凝固が図られ、第2領域を設けない場合と比較して短時間で凝固することとなる。
溶湯Mが凝固した後には、型締装置の駆動により可動盤14を後退移動させることにより固定型11から可動型12を引き離して型開きし(図10のS5)、エジェクタ機構6の押出ピン61を図の右方に突き出し(第1の実施の形態を参照)製品を押し出して製品を取り出し(図10のS6)、その後、エジェクタ機構6の押出ピン61を図の左方に後退させて型締装置の駆動により可動盤14を前進移動させることにより固定型11に対して可動型12を衝合させて型閉じする(図10のS7)。そして、製品を取り出してから、次の成形サイクルで溶湯Mをプランジャスリーブ21内に給湯するまでには、シリンダなどの駆動によってロッド54を退縮させてスプールコア3Bを下降限に位置させ、第1領域31がスプールブッシュ4と対向するとともに第2領域32がスプールブッシュ4と対向する位置よりも下方に退避した位置となるようにスプールコア3Bを位置決めしておく。
なお、センサ33と溝部34による温調回路は、図5〜図9に示した第2の実施の形態に限定されることはなく、図1〜図4に示した第1の実施の形態に適用することもできる。また、溶湯Mの射出時にキャビティC内を減圧することは、第1の実施の形態に必須ではなく、また、第1の実施の形態に限定されることはなく必要に応じて第2の実施の形態にも適用することができる。
本発明は、金型がスプールコアとスプールブッシュとを有するダイカストマシン、および、製品のキャビティ先端に相当する位置から金型のスプールコアとスプールブッシュ内に前進したプランジャチップとの間のビスケットに向って指向性凝固を図るダイカスト鋳造方法に適用することができる。
1:金型、 2:プランジャ、 3:スプールコア、 4:スプールブッシュ、5:切替機構、 21:プランジャスリーブ、 22:プランジャチップ、 31:第1領域、 32:第2領域、 33:センサ、 C:キャビティ、 B:ビスケット成形部、 R:ランナ、 G:ゲート、 b:ビスケット、 M:溶湯

Claims (5)

  1. 製品の形状に応じたキャビティを形成する金型と、キャビティ内に溶湯を射出するプランジャとを備え、金型がスプールコアとスプールブッシュとを有しており、プランジャがプランジャスリーブとプランジャチップとを有しており、前記スプールコアとスプールブッシュ内に前進した前記プランジャチップとの間にビスケット成形部が形成され、該ビスケット成形部と前記キャビティとを連通するランナにゲートが形成されるダイカストマシンであって、
    スプールコアの前記ビスケット成形部を構成する面に設けられた、低熱伝導性材料からなる第1領域、および、高熱伝導性材料からなる第2領域と、
    プランジャスリーブに給湯された射出前の溶湯に前記スプールコアの第1領域が接するように位置し、射出を開始して溶湯が前記ゲートに達してから少なくともキャビティと連通するゲート側に前記スプールコアの第1領域が位置するとともに、反ゲート側に前記スプールコアの第2領域が位置するように、前記スプールコアを切り替え変位させる切替機構とを有することを特徴とするダイカストマシン。
  2. 前記スプールコアは、円柱状に成形され、その端面が前記ビスケット成形部を構成するよう配置されており、
    前記切替機構は、前記スプールコアをその中心軸線回りに回動させるよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載のダイカストマシン。
  3. 前記スプールコアは、断面矩形の板状に成形され、その一方端側に前記第1領域が設けられるとともに他方端側に第2領域が設けられ、前記第1領域が前記ビスケット成形部とゲートとの間で移動するとともに、前記第2領域が前記ビスケット成形部と退避位置との間で移動するようにスライド可能に配設されており、
    前記切替機構は、前記スプールコアを前記一方端側と他方端側にスライドさせるよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載のダイカストマシン。
  4. 前記プランジャによって射出を開始して溶湯が前記ゲートに達したことを検知するセンサを設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のダイカストマシン。
  5. 金型内に製品の形状に応じたキャビティを形成し、プランジャスリーブ内に溶湯を給湯してプランジャチップを前進させることにより、溶湯を金型のゲートからキャビティ内に射出し、製品のキャビティ先端に相当する位置から金型のスプールコアとスプールブッシュ内に前進した前記プランジャチップとの間のビスケットに向って指向性凝固を図るダイカスト鋳造方法であって、
    スプールコアの前記ビスケットを成形する面に、低熱伝導性材料からなる第1領域と、高熱伝導性材料からなる第2領域とを設けておき、
    プランジャスリーブに給湯された射出前の溶湯に対して前記スプールコアの第1領域が接するよう位置させ、射出を開始して溶湯が前記ゲートに達してから少なくともキャビティと連通するゲート側に前記スプールコアの第1領域を位置させるとともに、反ゲート側に前記スプールコアの第2領域を位置させるように、前記スプールコアを切り替え変位させることを特徴とするダイカスト鋳造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113857459A (zh) * 2021-10-21 2021-12-31 深圳市协和辉五金制品有限公司 一种用于多孔铝合金圆盘的精密压铸机器

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