JP2009241103A - 成形機 - Google Patents
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Abstract
【課題】キャビティを排気するための構成が離型に及ぼす影響を低減して、成形品の離型時における成形品の破損を抑制できる成形機を提供する。
【解決手段】ダイカストマシン1は、移動金型105を貫いて分割面105a側表面において開口する排気路109を介して、キャビティCaを排気可能な真空ポンプ23と、固定金型103及び移動金型105の間に配置され、型開閉方向の移動により、移動金型105の分割面105a側表面に当接又は離間して排気路109を開閉可能なバルブチップ47aを有するバルブ部材47と、バルブ部材47を型開閉方向に駆動するアクチュエータ49と、移動金型105から成形品Dtが離型するときに、バルブチップ47aにより成形品Dtを押すようにアクチュエータ49を制御する制御装置13とを有する。
【選択図】図4
【解決手段】ダイカストマシン1は、移動金型105を貫いて分割面105a側表面において開口する排気路109を介して、キャビティCaを排気可能な真空ポンプ23と、固定金型103及び移動金型105の間に配置され、型開閉方向の移動により、移動金型105の分割面105a側表面に当接又は離間して排気路109を開閉可能なバルブチップ47aを有するバルブ部材47と、バルブ部材47を型開閉方向に駆動するアクチュエータ49と、移動金型105から成形品Dtが離型するときに、バルブチップ47aにより成形品Dtを押すようにアクチュエータ49を制御する制御装置13とを有する。
【選択図】図4
Description
本発明は、ダイカストマシン等の成形機に関する。
溶湯(溶融状態の金属材料)を金型のキャビティ(製品となる部分に対応する空間)へ射出するときに、溶湯が空気を巻き込むことを防止するために、金型に形成された排気路を介してキャビティの空気を排気しつつ溶湯をキャビティへ射出することを可能としたダイカストマシンが知られている(例えば特許文献1)。
図5は、特許文献1の要部を示す断面図である。具体的には、図5(a)は、キャビティに射出された溶湯が凝固して成形品Dtが形成され、型開きされたときの移動金型105を示している。図5(b)は、成形品Dtが押し出されているときの移動金型105を示している。
特許文献1のダイカストマシンでは、排気路109は、移動金型105の分割面105a側表面に開口するように設けられており、移動金型105の分割面105a側表面に対して当接又は離間可能なバルブチップ47aにより開閉される。このダイカストマシンでは、バルブチップ47aが分割面105a側表面から離間した状態で排気が行われつつ、溶湯のキャビティへの射出が行われ、溶湯のキャビティへの充填が完了する前にバルブチップ47aが分割面105a側表面に当接して排気路109が閉じられる。そして、溶湯はバルブチップ47aの周囲まで流れ込む。
特許文献1のダイカストマシンでは、溶湯はバルブチップ47aの周囲まで流れ込んでいるから、溶湯が凝固して形成された成形品Dt(製品となる部分だけでなく、バルブチップ47aの周囲部分等を含む)は、金型だけでなく、バルブチップ47aにも固着している。一方、バルブチップ47aは、キャビティの外側に配置されるとともに、キャビティからバルブチップ47aまでの通路は狭い。従って、図5(b)に示すように、押出ピン35により移動金型105から成形品Dtを押し出して離型させるときに、成形品Dtが、バルブチップ47aにより引張られる力と、押出ピン35により押し出される力とにより、曲げモーメントや剪断力を受け、破断するおそれがある。
そこで、特許文献1では、バルブチップ47aの表面形状を突状の曲面とすることにより、成形品Dtをバルブチップ47aから剥がれやすくして、成形品Dtの破損を防止している。
特開2004−351423号公報
しかし、バルブの形状を曲面状にするだけでは、キャビティを排気するための構成が離型に及ぼす影響を十分に低減することができない場合がある。例えば、成形材料が、金型の分割面側表面のうちバルブの周囲に対して強く固着している場合、成形品は、バルブに強く固着している場合と同様に破断してしまう。
なお、排気するための構成が離型に及ぼす影響は、排気するための構成(バルブ等)が、押出ピンにより離型が行われる金型(図5の例では移動金型)に設けられる場合だけでなく、型開きにより離型が行われる金型(図5の例では不図示の固定金型)に設けられる場合にも生じる。
本発明の目的は、キャビティを排気するための構成が離型に及ぼす影響を低減して、成形品の離型時における成形品の破損を抑制できる成形機を提供することにある。
本発明の成形機は、固定型を保持する固定ダイプレートと、移動型を保持し、前記固定ダイプレートに対して型開閉方向に移動可能な移動ダイプレートと、前記固定型及び前記移動型の一方を貫いて分割面側表面に開口する排気路を介して、型閉じされた前記固定型及び前記移動型により形成されたキャビティを排気可能な真空ポンプと、前記固定型及び前記移動型の間に配置され、前記型開閉方向の移動により、前記排気路が開口する型の分割面側表面に当接又は離間して前記排気路を開閉可能なバルブチップを有するバルブ部材と、前記バルブ部材を前記型開閉方向に駆動するアクチュエータと、前記固定型及び前記移動型のうち前記排気路が開口する型から成形品が離型するときに、前記バルブチップにより前記成形品を押すように前記アクチュエータを制御する制御装置と、を有する。
好適には、前記成形品を押し出し可能な押出装置を有し、前記排気路は、前記固定型及び移動型のうち前記押出装置により前記成形品が押し出される型に形成されており、前記制御装置は、前記押出装置により前記成形品を押し出すときに、前記バルブチップにより前記成形品を押すように前記アクチュエータを制御する。
好適には、前記バルブチップによる前記成形品の押圧が、前記押出装置による前記成形品の押圧よりも先に開始される。
好適には、前記アクチュエータは、電磁アクチュエータであり、前記押出装置は、前記成形品に当接する押出ピンと、当該押出ピンを駆動する液圧シリンダ装置と、を有する。
好適には、前記バルブチップの、前記成形品を押す側の表面は、突状の曲面により形成されており、前記突状の曲面の頂部は、前記型開閉方向に見て、前記バルブチップの中央よりも、前記成形品が前記押出装置により押される側とは反対側へ位置している。
本発明によれば、キャビティを排気するための構成が離型に及ぼす影響を低減して、成形品の離型時における成形品の破損を抑制できる。
図1は、本発明の実施形態に係るダイカストマシン1の要部を示す図である。なお、図1に含まれる断面図及び側面図は、紙面上方側が鉛直方向上方側である。
ダイカストマシン1は、固定金型103及び移動金型105(以下、両者を合わせて「金型101」ということがある。)の型開閉及び型締めを行う型締装置3と、型締めされた金型101に形成されたキャビティCaの減圧(排気)を行う減圧装置5と、キャビティCaに溶湯MLを射出するための射出装置7と、キャビティCa等の溶湯MLが凝固することにより形成された成形品Dtを押し出す押出装置9と、射出装置7及び押出装置9への作動液(例えば油)の供給を制御する液圧回路11と、型締装置3、減圧装置5及び液圧回路11を制御する制御装置13とを有している。
型締装置3は、固定金型103を保持する固定ダイプレート15と、移動金型105を保持する移動ダイプレート17と、移動ダイプレート17を型開閉方向(図1の紙面左右方向、固定ダイプレート15及び移動ダイプレート17の対向方向)において駆動可能な駆動装置19とを有している。
移動ダイプレート17は、ダイベース107を介して移動金型105を保持している。移動ダイプレート17が固定ダイプレート15に対して型開閉方向に駆動されることにより、金型101の型開閉がなされる。
型締装置3は、駆動装置19の動力をトグル機構を介して移動ダイプレート17に伝達するトグル式のものであってもよいし、駆動装置19の動力を直接的に移動ダイプレート17に伝達する直圧式のものであってもよいし、型開閉を行うための駆動装置と型締を行うための駆動装置とが別個に設けられる複合式のものであってもよい。駆動装置19は、例えば、液圧シリンダ又は電動機により構成されている。
減圧装置5は、金型101に形成された排気路109に接続された真空タンク21と、真空タンク21の排気を行う真空ポンプ23と、真空ポンプ23を駆動するモータ24と、排気路109の開閉を行うバルブ装置25と、バルブ装置25に駆動電力を供給するバルブコントローラ26とを有している。
真空タンク21は、一定容積の密閉空間を有している。真空ポンプ23により真空タンク21を予め減圧しておき、バルブ装置25により排気路109を開いて真空タンク21とキャビティCaとを連通することにより、減圧装置5は、キャビティCaを急激に排気することが可能である。
射出装置7は、キャビティCaに連通されるスリーブ27と、スリーブ27内を摺動可能な射出プランジャ29と、射出プランジャ29を駆動する射出シリンダ装置31とを有している。
ラドル33により給湯口27aからスリーブ27内に溶湯MLが供給され、射出プランジャ29がスリーブ27内をキャビティCa側へ前進することにより、溶湯MLがキャビティCaに射出、充填される。
押出装置9は、溶湯MLが凝固して形成された成形品Dtに当接する複数の押出ピン35と、複数の押出ピン35が固定された押出板37と、押出板37に固定された押出ロッド39と、押出ロッド39を駆動する押出シリンダ装置41とを有している。
押出ピン35は、移動金型105を貫通しており、移動金型105の分割面105a側表面から型開閉方向において突出又は退避可能である。複数の押出ピン35は、金型101の分割面側表面間の成形空間MS(キャビティCaだけでなく、スリーブ27とキャビティCaとを連通するランナRn等を含む空間)の形状等に応じて適宜な位置及び本数で設けられている。なお、図1では、図示の都合上、ランナRnに対応して配置された押出ピン35のみを図示している。
押出板37は、ダイベース107に収容されている。押出板37は、例えば、押出ガイド43により型開閉方向へ移動可能に支持されている。なお、押出ガイド43は省略されてもよい。押出板37は、例えば、押出ピン35が固定される、移動金型105側の2枚の板状部材と、当該2枚の板状部材が着脱され、押出ロッド39に固定された移動ダイプレート17側の1枚の板状部材とを有している。押出ロッド39は、移動ダイプレート17を貫通しており、移動ダイプレート17により型開閉方向へ移動可能に支持されている。
押出シリンダ装置41は、シリンダチューブ41tと、シリンダチューブ41t内に摺動可能に収容された不図示のピストンと、当該ピストンに固定されたピストンロッド41rとを有している。特に図示しないが、シリンダチューブ41tの内部空間は、ピストンにより2つのシリンダ室に区画されており、その2つのシリンダ室に選択的に作動液が供給されることにより、押出シリンダ装置41は伸縮する。
押出シリンダ装置41は、例えば、ピストンロッド41rが移動ダイプレート17に、シリンダチューブ41tが押出ロッド39に固定されている。なお、ピストンロッド41rが押出ロッド39に、シリンダチューブ41tが移動ダイプレート17に固定されていてもよい。
押出シリンダ装置41の伸縮は、押出ロッド39及び押出板37を介して押出ピン35に伝達される。これにより、押出ピン35が移動金型105の分割面105a側表面から突出又は退避し、成形品Dtの押し出しがなされる。なお押出シリンダ装置41(押出ピン35)の移動範囲は、例えば、20〜30mmである。
液圧回路11は、特に図示しないが、作動液を送出するポンプ、作動液を貯留するタンク、並びに、当該ポンプ及びタンクと、射出シリンダ装置31及び押出シリンダ装置41との間の作動液の流れを制御する複数のバルブを含んで構成されている。
液圧回路11は、射出シリンダ装置31への作動液の供給に関し、例えば、メータアウト回路又はメータイン回路を有し、射出シリンダ装置31の速度を制御できるように構成されている。一方で、液圧回路11は、押出シリンダ装置41への作動液の供給に関し、メータアウト回路等を有さず、押出シリンダ装置41の速度を制御しない簡素な構成とされている。ただし、液圧回路11は、押出シリンダ装置41の速度を制御可能に構成されていてもよい。
制御装置13は、特に図示しないが、CPU、ROM、RAM、外部記憶装置等を含むコンピュータにより構成されており、射出プランジャ29の位置を検出する位置センサ45等の各種のセンサからの入力信号に基づいて、真空ポンプ23、バルブコントローラ26、及び、液圧回路11のポンプやバルブへ制御信号を出力する。
位置センサ45は、例えば、射出プランジャ29の進退方向に沿って射出プランジャ29に設けられた不図示のスケール部とともに、磁気式又は光学式のリニアエンコーダを構成しており、スケール部の位置センサ45に対する移動量に応じた数のパルスを出力する。制御装置13は、位置センサ45からのパルスを計数することにより、射出プランジャ29の位置及び速度を特定可能である。
図2は、バルブ装置25を拡大して示す断面図である。
バルブ装置25は、排気路109を開閉するバルブ部材47と、バルブ部材47を駆動するアクチュエータ49とを有している。
バルブ部材47は、金型101の成形空間MSと、排気路109との接続部分において、成形空間MSと排気路109とを接続又は遮断可能である。具体的には、以下のとおりである。
成形空間MSは、上述のキャビティCa及びランナRnに加え、キャビティCaからランナRnとは反対側(上方側)へ延びる排気用空間Epを有している。排気路109は、移動金型105の分割面105a側表面において開口する開口部109aを含み、排気用空間Epに接続されている。排気路109は、開口部109aから型開閉方向において移動金型105の内部へ延びる第1構成部109bと、第1構成部109bから移動金型105の外周面(例えば上面)へ延びる第2構成部109cとを有し、移動金型105を貫通している。
バルブ部材47は、排気用空間Epに配置されるバルブチップ47aと、バルブチップ47aから延び、排気路109の第1構成部109bに挿入されたバルブロッド47bとを有している。
バルブロッド47bは、型開閉方向へ移動可能に移動金型105に保持されている。バルブチップ47aは、型開閉方向への移動により、移動金型105の分割面105a側表面のうち、開口部109aの周囲(弁座面105c)に対して当接又は離間可能であり、弁座面105cに当接することにより、開口部109aを塞いで排気路109を閉じ、弁座面105cから離間することにより、排気路109を開く。
アクチュエータ49は、例えば、電磁石を利用した電磁アクチュエータにより構成されている。例えば、アクチュエータ49は、リニアモータにより構成されており、ケーシング49cと、駆動軸49rとを有するとともに、ケーシング49c及び駆動軸49rの一方に設けられ、駆動方向に配列された不図示の複数の永久磁石又は複数のコイルと、ケーシング49c及び駆動軸49rの他方に設けられ、上述の配列された複数の永久磁石又は複数のコイルに対向する不図示のコイル又は永久磁石とを有している。コイルに供給する電力の制御により、ケーシング49cに対する駆動軸49rの速度制御や位置制御が可能である。アクチュエータ49は、例えば、ケーシング49cが移動金型105に固定され、駆動軸49rがバルブロッド47bに固定されている。なお、アクチュエータ49(バルブ部材47)の移動範囲は、例えば、5mm以下である。
なお、バルブコントローラ26は、例えば、制御装置13からバルブコントローラ26に出力された制御信号の信号レベル(電圧)に比例した変位でアクチュエータ49を駆動するように構成されているが、制御装置13からの制御信号に基づいてアクチュエータ49の速度制御や駆動力制御を行うようには構成されていない、簡素なものにより構成されている。ただし、バルブコントローラ26は、アクチュエータ49の速度制御等が可能に構成されていてもよい。
図3は、バルブチップ47a付近を拡大して示す断面図である。
バルブチップ47aは、例えば、バルブロッド47b側の表面が平面に形成され、排気用空間Ep側の表面が突状の曲面に形成されている。突状の曲面は、頂部が、型開閉方向に見て、バルブチップ47aの中央よりも、押出ピン35(キャビティCa)とは反対側に位置している。なお、バルブチップ47aの中央は、例えば、バルブチップ47aを型開閉方向に見た投影面の幾何学的重心である。
弁座面105cは、例えば、移動金型105の分割面105aに形成された、底側(図3の紙面左側)ほど縮径する凹部の底面により形成されている。排気用空間Epの、弁座面105cの位置における型開閉方向(図3の紙面左右方向)における隙間は、例えば、バルブチップ47aが開位置に位置するときに、バルブチップ47aが固定金型103に当接する大きさに設定されており、例えば5mm以下である。
以下、ダイカストマシン1の動作を説明する。
まず、ダイカストマシン1は、移動金型105が固定金型103から離間した型開き状態から、駆動装置19により移動ダイプレート17を型閉方向(図1の紙面右側)へ移動させて、型閉じを行う。次に、移動金型105及び固定金型103の接触圧を高める型締めを行う。
型締が完了すると、ダイカストマシン1は、図1に示すように、ラドル33により給湯口27aを介してスリーブ27へ溶湯を供給する。次に、射出シリンダ装置31により射出プランジャ29を前進させて射出を開始する。具体的には、例えば、ダイカストマシン1は、まず、溶湯の空気の巻き込みを防止するために、比較的低速で射出プランジャ29を前進させる低速射出を行い、次に、サイクルタイムの短縮等を目的として、比較的高速で射出プランジャ29を前進させる高速射出を行い、その後、射出プランジャ29により、成形空間MSに充填された溶湯を加圧して、溶湯の圧力を所定の鋳造圧力まで昇圧する。なお、低速射出から高速射出への切り換えは、例えば、位置センサ45の検出する位置が、所定の高速切換位置に到達したことを条件として行われる。
ダイカストマシン1は、溶湯の成形空間MSへの射出に並行して、成形空間MSから空気を排気する。具体的には、まず、ダイカストマシン1は、射出プランジャ29が給湯口27aを通過する前までに、バルブ部材47を閉位置に位置させるとともに、真空ポンプ23を駆動して、予め真空タンク21を減圧しておく。
次に、射出プランジャ29が給湯口27aに到達して、成形空間MS及びスリーブ27の内部空間が密閉されると、ダイカストマシン1は、バルブ部材47を開位置へ移動させる。これにより、成形空間MSの空気が真空タンク21に吸引されて成形空間MSの排気が急激に行われる。射出プランジャ29が給湯口27aに到達したことは、例えば、位置センサ45の検出する位置に基づいて検知される。
なお、バルブコントローラ26からアクチュエータ49へ出力される制御信号は、バルブ部材47を固定金型103に当接しない位置まで突出させるものでもよいし、バルブ部材47を固定金型103に当接させる位置まで突出させるものでもよいし、バルブ部材47を固定金型103に当接させる位置よりも更に突出させる(固定金型103に当接させることによりバルブ部材47を停止させる)ものでもよいし、アクチュエータ49を駆動限まで駆動させるものであってもよいし、アクチュエータ49を駆動限の手前まで駆動させるものであってもよい。また、バルブコントローラ26からアクチュエータ49へは、排気路109へ流れ込む空気に抵抗してバルブ部材47を開位置に留めるように駆動力若しくは制動力が発揮されるように制御信号が出力されてよい。
その後、射出プランジャ29が高速切換位置に到達すると、ダイカストマシン1は、バルブ部材47を閉位置に移動させる。そして、溶湯MLは、閉位置のバルブチップ47aの周囲にまで到達する。なお、射出プランジャ29が高速切換位置に到達したことは、位置センサ45の検出する位置に基づいて検知される。
なお、真空ポンプ23は、終始駆動されていてもよいし、適宜な時期に停止されていてもよい。また、バルブ部材47による開閉タイミングは、上記の射出プランジャ29が給湯口27aや高速切換位置に到達するときに限られず、適宜に設定されてよい。
成形空間MSに充填された溶湯MLは、射出プランジャ29により鋳造圧力に保たれたまま、徐々に冷却されて凝固し、成形品Dtが形成される。ダイカストマシン1は、例えば、溶湯が鋳造圧力に達した時点等の適宜な時点から所定時間が経過すると、成形品Dtが形成されたものとみなして、型開きを行う。すなわち、移動ダイプレート17を型開き方向(図1の紙面左側)へ移動させる。このとき、成形品Dtは、固定金型103から離型して、移動金型105と共に型開き方向へ移動する。
図4は、型開き後の押出動作を説明する図である。
図4(a)に示すように、型開き中、若しくは、型開き後において、成形品Dtは、移動金型105に固着している。制御装置13は、型開き中、又は、型開き後において、バルブ部材47を突出させるための制御信号をバルブコントローラ26に出力するとともに、これと同時に、押出ピン35を突出させるための制御信号を液圧回路11に出力する。
ここで、バルブ部材47を駆動するアクチュエータ49は電磁アクチュエータにより構成されており、押出ピン35を駆動する押出シリンダ装置41は液圧装置であることから、アクチュエータ49の方が押出シリンダ装置41よりも応答性がよい。
従って、まず、図4(b)に示すように、押出ピン35により成形品Dtが押し出される前に、バルブ部材47により成形品Dtが押し出され、移動金型105の分割面105a側の表面のうちバルブチップ47aの周囲に固着した部分のみが離型する。次に、図4(c)に示すように、押出ピン35により成形品Dtが押し出され、成形品Dt全体が移動金型105から離型するとともに、成形品Dtがバルブ部材47から剥がれる。
なお、バルブコントローラ26からアクチュエータ49へは、射出時に成形空間MSを減圧するときにバルブ部材47を開位置へ移動させるために出力した制御信号と同一の制御信号が出力されてもよいし、異なる制御信号が出力されてもよい。すなわち、図4(b)の状態において、成形品Dtが曲げモーメントや剪断力で破損しない範囲で、バルブ部材47の目標とする突出位置は適宜に設定されてよい。なお、アクチュエータ49は、バルブ部材47の駆動に必要十分な範囲で、駆動力及び駆動範囲が小さい小型なものが選定されるから、通常は、射出時に開位置へ移動させるための制御信号と同一の制御信号が出力されても問題ない。
以上の実施形態によれば、ダイカストマシン1は、固定金型103を保持する固定ダイプレート15と、移動金型105を保持し、固定ダイプレート15に対して型開閉方向に移動可能な移動ダイプレート17と、移動金型105を貫いて分割面105a側表面において開口する排気路109を介して、キャビティCaを排気可能な真空ポンプ23と、固定金型103及び移動金型105の間に配置され、型開閉方向の移動により、移動金型105の分割面105a側表面に当接又は離間して排気路109を開閉可能なバルブチップ47aを有するバルブ部材47と、バルブ部材47を型開閉方向に駆動するアクチュエータ49と、移動金型105から成形品Dtが離型するときに、バルブチップ47aにより成形品Dtを押すようにアクチュエータ49を制御する制御装置13と、を有することから、成形品Dtが移動金型105から離型するときに、成形品Dtは、分割面105a側表面のうちバルブチップ47aの周囲から離型し易くなる。その結果、成形品Dtのうち製品となる部分(キャビティCaにより形成される部分)が固定金型103側へ移動させられる力と、成形品Dtのうちバルブチップ47a付近の部分が移動金型105側へ移動させられる力とにより生じる曲げモーメントや剪断力が緩和され、成形品Dtの破損が抑制される。
なお、図4(b)では、バルブ部材47が成形品Dtを押すことにより、成形品Dtのうちバルブチップ47aの周辺部分が移動金型105から離型する場合を例示したが、バルブ部材47の押す力のみでは、成形品Dtのうちバルブチップ47aの周辺部分が移動金型105から離型せず、押出ピン35により成形品Dtが押されて初めて離型する場合であっても、成形品Dtに生じる曲げモーメントや剪断力がバルブ部材47の押す力により緩和され、破損が抑制されることに変わりはなく、本実施形態の効果が奏される。
また、図5に示した従来技術において、成形品Dtが破損しない場合、成形品Dtは、押出ピン35が配置されている側(図5の紙面下方側)から離型していき、バルブチップ47aの周辺部分は曲げモーメントを受けながら離型する。従って、図3の領域ARにおいては、成形品Dtの、バルブチップ47aよりも押出ピン35とは反対側の部分と、移動金型105との接触圧が高くなって、成形品Dtが破損するおそれがある。しかし、本実施形態では、バルブチップ47aにより成形品Dtが押されることにより、領域ARにおける接触圧が高くなることが抑制される。
ダイカストマシン1は、成形品Dtを押し出し可能な押出装置9を有し、排気路109は、押出装置9により成形品Dtが押し出される型(移動金型105)に形成されており、制御装置13は、押出装置9により成形品Dtを押し出すときに、バルブチップ47aにより成形品Dtを押すようにアクチュエータ49を制御することから、難しい離型が好適になされる。すなわち、型開き時において成形品Dtが、押出装置9が設けられていない型(実施形態では固定金型103)から離型するとともに、押出装置9が設けられている型(実施形態では移動金型105)から離型しないようするために、移動金型105は固定金型103よりも離型がし難く形成されており、成形品Dtは移動金型105からの離型においては比較的大きな力が加えられ、固定金型103からの離型よりも破損が生じるおそれがあるところ、移動金型105に排気路109やバルブ装置25が設けられると、排気用空間Ep付近に押出ピン35を設けることが難しくなる。しかし、本実施形態では、逆にバルブ装置25を利用して離型を促しており、移動金型105からの離型を押出ピン35を増加させることなく好適に行うことができる。
なお、上記の、押出装置9により成形品Dtを押し出すときとは、型開きが開始されて押出装置9により成形品Dtを押し出し可能となってから押出装置9による押し出しが終了するまでのいずれかの時期であり、例えば、図4(b)及び図4(c)により示したように、押出装置9により成形品Dtが押し出される前にバルブ部材47により成形品Dtが押される態様を含む。
バルブチップ47aによる成形品Dtの押圧が、押出装置9による成形品Dtの押圧よりも先に開始されることから、成形品Dtに生じる曲げモーメントや剪断力の緩和を確実に行うことができる。
アクチュエータ49は、電磁アクチュエータであり、押出装置9は、成形品Dtに当接する押出ピン35と、押出ピン35を駆動する押出シリンダ装置41と、を有することから、上述のような、バルブチップ47aによる押圧を押出ピン35による押圧よりも先に行う制御が、アクチュエータ49及び押出シリンダ装置41の応答性の差異により結果として実現される。従って、バルブコントローラ26及び液圧回路11に同時に制御信号を出力するような簡素な制御を用いたり、バルブチップ47aによる押圧を確実に先に行うことが容易化されたりする。
バルブチップ47aの、成形品Dtを押す側の表面は、突状の曲面により形成されており、突状の曲面の頂部は、バルブチップ中央よりも、成形品Dtが押出装置9により押される側とは反対側へ位置していることから、成形品Dtのバルブチップ47aからの剥離の容易化を図りつつ、その弊害としての領域ARにおける接触圧の増加を抑制できる。具体的には以下のとおりである。
図3において、本実施形態とは逆に、頂部がバルブチップ中央よりも押出ピン35側に位置するバルブチップ247aを示す。バルブチップ47a又は247aを突出させずに、押出ピン35のみを突出させると、成形品Dtは、押出ピン35側(図3の紙面下方側)からバルブチップ47a又は247a側へ徐々に離型していく。バルブチップ47a又は247aにおいては、成形品Dtは、まず、押出ピン35側がバルブチップ47a又は247aから剥がれる。そして、成形品Dtは、一旦、バルブチップ47a又は247aから剥がれ始めると、次々とバルブチップ47a又は247aから剥がれていく。
このとき、バルブチップ247aは、押出ピン35側が急斜面となっており、成形品Dtは、急斜面の抵抗により、バルブチップ247aの押出ピン35側の斜面から離型し難い。一方、バルブチップ47aは、押出ピン35側が緩やかな斜面となっており、成形品Dtは、バルブチップ47aの押出ピン35側の斜面から離型し易い。従って、成形品Dtは、バルブチップ247aに対するときよりも、バルブチップ47aに対するときのほうが、大きな力が加えられることなく、剥離が開始され、ひいては、バルブチップ全体の剥離が円滑に終了する。
一方、バルブチップ47aは、バルブチップ247aに比較して、押出ピン35とは反対側の斜面や頂部を領域ARに近い位置に有しているから、成形品Dtが押し出しピン35側からバルブチップ47a側へ徐々に離型し、バルブチップ47aの押出ピン35とは反対側の斜面や頂部を支点として回転させられたときに、領域ARにおける接触圧が梃子の原理により高くなり易い。
しかし、上述のように、本実施形態では、押出ピン35により成形品Dtを押し出すときにバルブチップ47aにより成形品Dtを押し出すことにより、領域ARにおける接触圧が高くなることを抑制できるから、成形品Dtのバルブチップ47aからの剥離の容易化を図りつつ、その弊害としての領域ARにおける接触圧の増加を抑制できる。
なお、以上の実施形態において、ダイカストマシン1は本発明の成形機の一例であり、固定金型103は本発明の固定型の一例であり、移動金型105は本発明の移動型の一例である。
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
成形機は、ダイカストマシンに限定されない。換言すれば、成形材料は、金属材料に限定されない。例えば、成形機は、成形材料としての樹脂を射出する射出成形機であってもよい。また、作動液は、油に限定されない。例えば、作動液は、水であってもよい。
排気路は、押出装置が設けられる型に設けられるものに限定されない。換言すれば、バルブチップは、押出装置により離型するときに成形品を押すものに限定されない。例えば、実施形態のダイカストマシン1において、排気路109やバルブ装置25は、固定金型103に設けられ、制御装置13は、型開きのときに、バルブチップ47aにより成形品Dtを押すようにアクチュエータ49を制御してもよい。また、押出装置及び排気路(バルブ装置)は、それぞれ、移動金型及び固定金型のいずれに設けられてもよい。
バルブ部材を駆動するアクチュエータは、電磁アクチュエータに限定されない。液圧装置により駆動されるものであってもよい。また、電磁アクチュエータは、リニアモータに限定されず、電磁石又は磁石を2位置で移動(近接又は離間)させるだけの、より簡素な構成のものであってもよいし、ロータリ式のモータであってもよい。同様に、押出装置は、液圧装置により駆動されるものに限定されず、電動機によって駆動されるものであってもよい。
バルブチップによる成形品の押圧は、押出装置による成形品の押圧よりも先に開始されるものに限定されず、押出装置による成形品の押圧と同時に開始されてもよいし、押出装置による成形品の押圧の開始よりも若干遅れて開始されてもよい。バルブチップによる成形品の押圧と押出装置による成形品の押圧とは、同時に双方が行われていなくてもよく、例えば、型開き後、バルブチップを開位置へ移動させてから閉位置へ移動させ、その後、押出装置による押し出しを行うことも可能である。また、バルブチップによる成形品の押圧が、押出装置による成形品の押圧よりも先に開始される場合、押出装置よりも先にバルブ部材を駆動するアクチュエータに制御信号を出力することにより、バルブチップによる成形品の押圧が、押出装置による成形品の押圧よりも先に開始されてもよいし、実施形態のように、押出装置及びバルブ部材を駆動するアクチュエータに同時に制御信号を出力し、結果として、バルブチップによる成形品の押圧が、押出装置による成形品の押圧よりも先に開始されてもよい。
バルブチップや押出ピンは、同等の速度で突出するように、速度制御がなされてもよい。また、バルブチップや押出ピンは、バルブチップや押出ピンの位置や速度を検出するセンサが設けられてフィードバック制御がなされてもよい。
バルブチップの形状は、成形品を押す側の表面が突状の曲面により形成されたものに限定されない。例えば、成形品を押す側の表面は平面であってもよい。また、弁座面及びバルブチップの弁座面に当接する面も平面に限定されない。例えば、弁座面が、閉位置側ほど縮径する穴部のテーパ面により形成されるとともに、バルブチップが、当該穴部に嵌合するように形成されてもよい。
1…ダイカストマシン(成形機)、13…制御装置、15…固定ダイプレート、17…移動ダイプレート、23…真空ポンプ、47…バルブ部材、47a…バルブチップ、49…アクチュエータ、103…固定金型(固定型)、103a…分割面、105…移動金型(移動型)、105a…分割面、109…排気路、109a…開口部、Ca…キャビティ。
Claims (5)
- 固定型を保持する固定ダイプレートと、
移動型を保持し、前記固定ダイプレートに対して型開閉方向に移動可能な移動ダイプレートと、
前記固定型及び前記移動型の一方を貫いて分割面側表面に開口する排気路を介して、型閉じされた前記固定型及び前記移動型により形成されたキャビティを排気可能な真空ポンプと、
前記固定型及び前記移動型の間に配置され、前記型開閉方向の移動により、前記排気路が開口する型の分割面側表面に当接又は離間して前記排気路を開閉可能なバルブチップを有するバルブ部材と、
前記バルブ部材を前記型開閉方向に駆動するアクチュエータと、
前記固定型及び前記移動型のうち前記排気路が開口する型から成形品が離型するときに、前記バルブチップにより前記成形品を押すように前記アクチュエータを制御する制御装置と、
を有する成形機。 - 前記成形品を押し出し可能な押出装置を有し、
前記排気路は、前記固定型及び移動型のうち前記押出装置により前記成形品が押し出される型に形成されており、
前記制御装置は、前記押出装置により前記成形品を押し出すときに、前記バルブチップにより前記成形品を押すように前記アクチュエータを制御する
請求項1に記載の成形機。 - 前記バルブチップによる前記成形品の押圧が、前記押出装置による前記成形品の押圧よりも先に開始される
請求項2に記載の成形機。 - 前記アクチュエータは、電磁アクチュエータであり、
前記押出装置は、
前記成形品に当接する押出ピンと、
当該押出ピンを駆動する液圧シリンダ装置と、
を有する
請求項3に記載の成形機。 - 前記バルブチップの、前記成形品を押す側の表面は、突状の曲面により形成されており、
前記突状の曲面の頂部は、前記型開閉方向に見て、前記バルブチップの中央よりも、前記成形品が前記押出装置により押される側とは反対側へ位置している
請求項2〜4のいずれか1項に記載の成形機。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN103894577A (zh) * | 2014-03-27 | 2014-07-02 | 潘崇武 | 高温硬模压铸装置及其压铸工艺 |
JP2016516589A (ja) * | 2013-12-17 | 2016-06-09 | 韓国生産技術研究院Korea Institute Of Industrial Technology | スライド制御式ベント機能を持つ回転子鋳造装置及びこれを用いた回転子並びにその鋳造方法 |
CN108480597A (zh) * | 2018-05-28 | 2018-09-04 | 华中科技大学 | 一种压铸模具的高真空度快速实现装置 |
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2008
- 2008-03-31 JP JP2008090541A patent/JP2009241103A/ja active Pending
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