JP4657251B2 - ダイカストマシンの制御方法 - Google Patents

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本発明は、ダイカストマシンの制御方法に関し、さらに詳しくは、可動盤を固定盤に対して進退移動させて可動型を固定型に型開閉させる型開閉手段と、タイバーの所定位置に対して可動盤を脱着可能に連結するタイバー連結手段と、該タイバー連結手段によりタイバーの所定位置に連結された状態の可動盤を固定盤に対して推進させて固定型に対して可動型を型締め・型開きさせる型締め手段と、溶湯をキャビティ内へ射出充填させるプランジャ装置と、を備えたダイカストマシンにおいて、成形が完了してから、可動型を固定型から離間するよう移動させて型開きするとともに、プランジャチップを溶湯の射出充填時の位置からさらに突き出す突き出し動作を行わせて、ビスケット部を含む成形品を固定型から離型させるダイカストマシンの制御方法に関するものでる。
図6に示したように、可動盤4を固定盤2に対して進退移動させて可動型3を固定型1に型開閉させる型開閉手段6と、タイバー5の所定位置に対して可動盤4を脱着可能に連結するタイバー連結手段7と、タイバー連結手段7によりタイバー5の所定位置に連結された状態の可動盤4を固定盤2に対して推進させて固定型1に対して可動型3を型締め・型開きさせる型締め手段8と、供給された溶湯をキャビティ内へ射出充填させるプランジャ装置12とを備えたダイカストマシンが従来から知られている。このようなダイカストマシンでは一般に、タイバー連結手段7が、タイバー5の所定の位置に複数形成された係合溝24と、タイバー5の係合溝24に対して係合および離脱が可能な係合歯を内周面に有する一対のハーフナット25、25と、このハーフナット25、25を係合溝24に対して係合および離脱させるよう駆動するアクチュエータとを備えた構成とされている。
このように構成されたダイカストマシンを使用して所定形状の成形品Pを成形するに際しては、最初に、型開閉手段6により可動盤4を固定盤2に対して近接させるよう所定の位置に移動させて、タイバー連結手段7のアクチュエータの駆動によってハーフナット25、25をタイバー5の係合溝24に係合させてタイバー5の所定位置に対して可動盤4を連結し、型締め手段8により固定型1に対して可動型3を型締めする。そして、プランジャ装置12のプランジャスリーブ9内に溶湯を供給してプランジャチップ10を前進させ、固定型1と可動型3の間に形成されたキャビティ11内へ射出充填させる。キャビティ11内の溶湯が凝固して成形が完了したら、型締め手段8により可動型3を固定型1から離間させて型開きする。このとき、一般に、成形品Pは固定型1から離型されて可動型3に残される。そして、タイバー連結手段7のアクチュエータの駆動によってハーフナット25、25をタイバー5の係合溝24から離脱させて可動盤4のタイバー5に対する連結を解除し、型開閉手段6により可動盤4を固定盤2から離間させるよう移動させて、成形品Pを取り出す。
ところで、このようなダイカストマシンにより成形された成形品Pには、プランジャスリーブ9内で成形されるビスケット部Paが一般に含まれる。そして、上述したように成形が完了して型開きする際には、成形品Pを可動型3に残して固定型1から離型させるが、このときには、成形品Pと一体に成形されたビスケット部Paを固定型1のプランジャスリーブ9から抜き出すように離型させる必要がある。これは、ビスケット部Paがプランジャスリーブ9内で離型せずに残留すると、ビスケット部Paと一体に成形された成形品Pが折れるなど、成形品Pが破損することがあるからである。
このように型開き時にビスケット部Paが固定型1のプランジャスリーブ9内に残留することによる成形品Pの破損を防止するための従来の技術として、たとえば特許文献1に開示されているように、金型と連通接続する射出スリーブ(プランジャスリーブ)に溶湯を供給し、この溶湯を射出プランジャ(プランジャチップ)により加圧して金型内のキャビティに充填し、その凝固後に所定のタイミングで移動型(可動型)を固定型から離間させる型開きと同時に射出プランジャを前進させて、鋳造品(成形品)のビスケット部を固定型から押し出すようにしたダイカストマシンが知られている。
特許文献1には、射出プランジャの移動速度を検出する射出速度検出手段と、移動ダイプレートの移動速度を検出する型開き速度検出手段と、射出シリンダに供給する圧油の流量を制御する流量制御弁と、前記型開き開始時点から射出速度検出手段、型開き速度検出手段によって検出した射出プランジャの移動速度と移動ダイプレートの移動速度とを比較し、前記射出プランジャの移動速度が移動ダイプレートの移動速度に等しくなるように前記流量制御弁の開度を制御する制御手段とを備えることなどを特徴とするダイカストマシンにおける射出追従制御装置、および、射出プランジャの移動速度を検出する射出速度検出手段と、移動ダイプレートの移動速度を検出する型開き速度検出手段と、型開きシリンダに供給する圧油の流量を制御する流量制御弁と、前記型開き開始時点から射出速度検出手段、型開き速度検出手段によって検出した射出プランジャの移動速度と移動ダイプレートの移動速度とを比較し、前記射出プランジャの移動速度が移動ダイプレートの移動速度に等しくなるように前記流量制御弁の開度を制御する制御手段とを備えることなどを特徴とするダイカストマシンにおける射出追従制御装置が開示されている。
そして、特許文献1には、射出シリンダの駆動により前進される射出プランジャの追従制御をそのストロークエンドに到達するまで行うことが記載されている(0030)。
特開平9‐122879号公報
図6に示したように、タイバー5の所定位置に対して可動盤4を脱着可能に連結するタイバー連結手段7を有するダイカストマシンにおいて、型開きと同時にプランジャチップ10を前進させて成形品Pと一体に成形されたビスケット部Paを固定型1から突き出すよう制御する場合には、型開き動作を行うためにタイバー連結手段7によって可動盤4がタイバー5に連結されている状態で、プランジャチップ10がそのストロークエンドに到達するまでビスケット部Paを押し続けている。一方、型締め手段8による型開きは、わずかな量であり、通常、タイバー5に複数形成された係合溝24の1ピッチ分(たとえば10mm程度)である。そのため、型締め手段8によるわずかな量の型開きが完了したときも、可動型3に残された成形品Pと一体のビスケット部Paがプランジャチップ10によって押されているため、図6に矢印で示したように、可動型3を取付けられた可動盤4に捩れが生じて傾くなどし、その結果、タイバー5の係合溝24とこれに係合されたタイバー連結手段7のハーフナット25、25の係合歯との間に応力が生じることから、ハーフナット25をタイバー5の係合溝24から離脱させて可動盤4のタイバー5に対する係合を解除できなくなるという問題がある。
そこで、この問題を解消するため、従来では、タイバー5の係合溝24からタイバー連結手段7のハーフナット25を離脱させるのに先だって、図7に示すように、型開きした後に、プランジャチップ10を一端後退させて可動型3に残された成形品Pと一体のビスケット部Paに対する突き出しを解除することにより可動盤4の捩れをなくし、タイバー5の係合溝24とタイバー連結手段7のハーフナット25との間に生じた応力を解消してから、図8に示すように、タイバー5の係合溝24からタイバー連結手段7のハーフナット25を離脱させる必要があった。そのため、上記プランジャチップ10を一端後退させる従来の技術では、制御が煩雑であるとともに、成形サイクルタイムが長くなるという問題や、プランジャチップ10を後退させることによりプランジャスリーブ9の内壁との摺動が多くなることから、プランジャチップ10の摩耗が促進されるなどの問題があった。
さらに、上記従来の技術にあっては、ビスケット部Paの厚さが変化すると、これに伴ってビスケット部Paの抜き代も変化し、可動盤4の捩れの大きさがばらつくこととなる。そして、ビスケット部Paの厚さが厚い場合には可動盤4の捩れが大きくなることから、プランジャチップ10を一端後退させても、タイバー5の係合溝24とタイバー連結手段7のハーフナット25との間に生じた応力を解消することができず、したがって、タイバー5の係合溝24からタイバー連結手段7のハーフナット25を確実に離脱させることができないという問題もあった。
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたもので、簡単な構成で容易に且つ確実に離型を行うとともにタイバーに対するタイバー連結手段の連結を解除することができ、もって、プランジャチップの摩耗による寿命を延ばし、成形サイクルタイムの短縮化を図ることができるダイカストマシンの制御方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明のダイカストマシンの制御方法は、固定型を支持する固定盤と、可動型を支持する可動盤と、一端部が前記固定盤に連結されており前記可動盤に挿通される複数のタイバーと、前記可動盤を前記固定盤に対して進退移動させて前記可動型を前記固定型に型開閉させる型開閉手段と、タイバーの所定位置に対して可動盤を脱着可能に連結するタイバー連結手段と、該タイバー連結手段によりタイバーの所定位置に連結された状態の可動盤を固定盤に対して推進させて固定型に対して可動型を型締め・型開きさせる型締め手段と、プランジャスリーブ内でプランジャチップを前進させることによりプランジャスリーブ内に供給された溶湯を固定型と可動型の間に形成されたキャビティ内へ射出充填させるプランジャ装置と、を備えたダイカストマシンにおいて、成形が完了してから、動型を固定型から離間するよう移動させて型開きするとともに、プランジャチップをさらに前進させて突き出し動作を行い、ビスケット部を含む成形品を固定型から離型させるダイカストマシンの制御方法であって、前記突き出し動作のストローク量が前記型締手段による可動型を固定型から離間するよう移動させる型開きストロークと同じとなったときに前記突き出し動作を停止させて、前記タイバー連結手段によるタイバーと可動盤との連結を解除することを特徴とするものである。
本発明によれば、成形完了時の位置からプランジャ装置によるプランジャチップをさらに前進させて突き出す突き出し動作のストローク量が、型締め手段による可動型を固定型から離間するよう移動させる型開きストローク量と同じとなったときに突き出し動作を停止させることにより、ビスケット部を含む成形品を固定型から確実に離型させることができるとともに、可動盤に捩れを生じさせることがないためにタイバーの係合溝とタイバー連結手段のハーフナットとの間に応力が生じることがないことから、従来の技術のようにプランジャチップを後退させることなくタイバーに対するタイバー連結手段の連結を容易に且つ確実に解除することができ、したがって、プランジャチップの摩耗による寿命を延ばすことができるとともに、成形サイクルタイムの短縮化を図ることができる。
(発明の態様)
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、少なくとも、請求の範囲に記載された発明である「本発明」ないし「本願発明」を含むが、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、(2)項が請求項2に相当する。
(1) 固定型を支持する固定盤と、可動型を支持する可動盤と、一端部が前記固定盤に連結されており前記可動盤に挿通される複数のタイバーと、前記可動盤を前記固定盤に対して進退移動させて前記可動型を前記固定型に型開閉させる型開閉手段と、タイバーの所定位置に対して可動盤を脱着可能に連結するタイバー連結手段と、該タイバー連結手段によりタイバーの所定位置に連結された状態の可動盤を固定盤に対して推進させて固定型に対して可動型を型締め・型開きさせる型締め手段と、プランジャスリーブ内でプランジャチップを前進させることによりプランジャスリーブ内に供給された溶湯を固定型と可動型の間に形成されたキャビティ内へ射出充填させるプランジャ装置と、を備えたダイカストマシンにおいて、
成形が完了してから、動型を固定型から離間するよう移動させて型開きするとともに、プランジャチップをさらに前進させて突き出し動作を行い、ビスケット部を含む成形品を固定型から離型させるダイカストマシンの制御方法であって、
前記突き出し動作のストローク量が前記型締手段による可動型を固定型から離間するよう移動させる型開きストロークと同じとなったときに前記突き出し動作を停止させて、前記タイバー連結手段によるタイバーと可動盤との連結を解除することを特徴とするダイカストマシンの制御方法。
(1)項に記載の発明では、成形が完了してから、型締め手段により可動型を固定型から離間するよう移動させて型開きするとともに、成形完了時の位置からプランジャ装置によりプランジャチップをさらに前進させて突き出し動作を行って、ビスケット部を含む成形品を固定型から離型させる際に、型締め手段による可動型を固定型から離間するよう移動させて型開きする型開きストローク量と、プランジャチップを溶湯の射出充填時の位置からさらに突き出す突き出し動作のストローク量とを同じストローク量として、このストローク量が同じとなったときに突き出し動作を停止させることにより、ビスケット部を含む成形品を固定型から確実に離型させることができ、また、プランジャチップの突き出しによる可動盤の捩れが生じないためにタイバーの係合溝とタイバー連結手段のハーフナットとの間に応力が生じることがないことから、従来の技術のようにプランジャチップを後退させることなくタイバーに対するタイバー連結手段の連結を容易に且つ確実に解除することができる。そのため、プランジャチップの摩耗による寿命を延ばすことができるとともに、成形サイクルタイムの短縮化を図ることができる。
(2) 離間開始時の前記プランジャチップの位置を検知し、該検知した位置からプランジャチップの前進ストローク量が前記型開きストローク量と同じとなったときにプランジャチップの前進を停止させるよう前記プランジャ装置を制御することを特徴とする(1)項に記載のダイカストマシンの制御方法。
(2)項に記載の発明では、(1)項に記載の発明において、型締め手段による離間開始とプランジャチップによる突き出し動作とを同時に開始するときの、プランジャチップの動き出す直前の位置を検出して記憶し、この記憶された位置からプランジャチップの前進型開きストローク量と同じストローク量となったときにプランジャチップの前進を停止させるよう前記プランジャ装置を制御することにより、ビスケットの厚さのばらつきに影響されることなくビスケット部を含む成形品を固定型から確実に安定して離型させることができ、且つ、プランジャチップの突き出しによる可動盤の捩れが生じるのを確実に防止してタイバーに対するタイバー連結手段の連結を容易に且つ確実に解除することができる。
本発明の実施の一形態を図1〜図5に基づいて詳細に説明する。図において同じ符号は、同様または相当する部分を示すものとする。
本発明で使用されるダイカストマシンは、概略、固定型1を支持する固定盤2と、可動型3を支持する可動盤4と、一端部が固定盤2に連結されており中間部が可動盤4に挿通される複数のタイバー5と、可動盤4を固定盤2に対して比較的大きなストロークで進退移動させて可動型3を固定型1に型開閉させる型開閉手段6と、タイバー5の所定位置に対して可動盤4を脱着可能に連結するタイバー連結手段7と、タイバー連結手段7によりタイバー5の所定位置に連結された状態の可動盤4を固定盤2に対して比較的大きな力で推進させて固定型1に対して可動型3を型締め・型開きさせる型締め手段8と、プランジャスリーブ9内でプランジャチップ10を前進させることによりプランジャスリーブ9内に供給された溶湯を固定型1と可動型3の間に形成されたキャビティ11内へ射出充填させるプランジャ装置12と、を備えている。そして、本発明は、このようなダイカストマシンにおいて、概略、成形が完了してから、型締め手段8により可動型3を固定型1から離間するよう移動させて型開きするとともに、プランジャ装置12によりプランジャチップ10をさらに前進させて突き出し動作を行って、ビスケット部Paを含む成形品Pを固定型1から離型させる制御方法であって、プランジャ装置12によりプランジャチップ10による突き出し動作のストローク量S1を、型締め手段8による可動型3を固定型1から離間するよう移動させる型開きストロークS2と同じに制御するものである。
最初に、この実施の形態で使用されるダイカストマシンの一例を説明する。図1に示すように、ダイカストマシンは、ベースプレート15の一端側(図においては左方端側)に固定盤2が設けられており、他端側(図においては右方端側)にエンドプレート16が設けられており、ベースプレート15上の固定盤2とエンドプレート16との間にはガイドレール17が設けられている。可動盤4は、ガイドレール17上に摺動可能に支持されている。固定盤2と可動盤4は、それぞれほぼ矩形に形成されている。固定盤2の各角隅部には、タイバー5の一端部がナットによりそれぞれ結合されており、エンドプレート16には、タイバー5の他端部がそれぞれ支持されている。可動盤4の各角隅部には、タイバー5の中間部が挿通されている。固定盤2と可動盤4の相対向する面には、固定型1と可動型3がそれぞれ着脱可能に取り付けられている。
この実施の形態における型開閉手段6は、ガイドレール17に支持された可動盤4の移動方向と並行に延びるように設けられたボールネジ軸18と、可動盤4に取付けられボールネジ軸18に螺合されたボールネジナット19と、ボールネジ軸18の一端に減速機構20を介して接続されてボールネジ軸18をその軸周りに回転駆動するサーボモータ21とを備えている。サーボモータ21を回転駆動することにより、減速機構20を介してボールネジ軸18がその軸周りに回転されると、これに螺合されたボールネジナット19が図の左右方向に比較的大きなストロークで高速移動し、その結果、可動盤4に取付けられた可動型3が固定盤2に取付けられた固定型1に対して近接・離間するよう型開閉される。
この実施の形態における型締め手段8は、可動盤4のタイバー5が挿通された角隅部であって固定盤2とは反対側に設けられたシリンダ22と、各タイバー5に挿通されると共にシリンダ22に対して摺動可能に内嵌されたピストン23とを備えている。シリンダ22とピストン23は、作動流体が供給されることにより比較的小さなストロークを大きな力で、図3に示すように型締めすべく可動盤4を固定盤2に対して近接させるシリンダ室22aと、図4に示すように型開きすべく可動盤4を固定盤2から離間させるシリンダ室22bとを形成する。
この実施の形態におけるタイバー連結手段7は、各タイバー5の所定の位置に形成された複数の係合溝24と、この係合溝24に対して係合可能な一対のハーフナット25と、タイバー5の係合溝24に対してハーフナット25を係合・解除させるよう移動させるアクチュエータとを備えている。アクチュエータは、タイバー5の径方向に伸縮するシリンダなどにより構成することができる。アクチュエータの駆動によりハーフナット25、25が互いに近接するよう移動されてタイバー5の係合溝24に係合すると、可動盤4がタイバー5の所定の位置に連結されて、型締め手段8の駆動により比較的大きな力で型締めまたは型開きすることが可能となる。また、アクチュエータの駆動によりハーフナット25、25が互いに離間するよう移動されてタイバー5の係合溝24に対する係合が解除されると、型開閉手段6の駆動により可動盤4が固定盤2に対して比較的大きなストロークで移動することが可能な状態となる。
この実施の形態におけるプランジャ装置12は、図2に示すように、プランジャスリーブ9と、プランジャスリーブ9に嵌挿されたプランジャチップ10と、プランジャチップ10を駆動する射出シリンダ26と、射出シリンダ26のストロークを検出するストロークセンサ27とを備えている。射出シリンダ26には、プランジャチップ10と連結されているピストン28が嵌挿されており、シリンダ室26a、26bが形成されている。そして、プランジャ装置12は、シリンダ室26aにソレノイドバルブ29を介してアキュムレータ30が接続されており、シリンダ室26bにサーボ弁31を介して作動流体供給源32が接続されている。作動流体としては、圧油などを用いることができる。さらに、プランジャ装置12は、ストロークセンサ27が検出した射出シリンダ26のストロークに基づいて、ソレノイドバルブ29とサーボ弁31の切換えを制御する射出コントローラ33を有している。
ソレノイドバルブ29は、アキュムレータ30からシリンダ室26aへの作動流体の供給と、シリンダ室26aからタンク34への作動流体の排出とを切換える。サーボ弁31は、作動流体供給源32からシリンダ室26bへの作動流体の供給と、シリンダ室26bからタンク35への作動流体の排出と、シリンダ室26b内の作動流体の出し入れの停止とを切換えるもので、作動流体のシリンダ室26bへの供給量とシリンダ室26bからの排出量を任意に制御することができる。射出コントローラ33によって、アキュムレータ30からシリンダ室26aに作動流体を供給するようソレノイドバルブ29を切換えるとともに、シリンダ室26bから作動流体を排出するようサーボ弁31を切換えると、ピストン28が図2の右方に移動してこれに接続されたプランジャチップ10がプランジャスリーブ9内を前進する。また、射出コントローラ33によって、作動流体源32からシリンダ室26bに作動流体を供給するようサーボ弁31を切換えるとともに、シリンダ室26aから作動流体を排出するようソレノイドバルブ29の切換えると、ピストン28が図2の左方に移動してこれに接続されたプランジャチップ10がプランジャスリーブ9内を後退する。そして、射出コントローラ33が、サーボ弁31をシリンダ室26bの作動流体の出し入れを停止させるよう切換えることにより、ピストン28が射出シリンダ26内の任意の位置で停止してこれに接続されたプランジャチップ10がプランジャスリーブ9内の任意の位置で止められることとなる。
以上のように構成されたダイカストマシンを用いて所定形状の成形品Pを成形するに際しては、固定盤2と可動盤4に所定の固定型1と可動型2をそれぞれ取付ける。そして、図1に示すように、各タイバー連結手段7のハーフナット25、25を互いに離間させ、また、型締め手段8のシリンダ室22bに作動流体が供給された状態(ピストン23に対して可動盤4に設けられたシリンダ22が図の右方に移動している状態)とし、また、プランジャ装置12は、プランジャチップ10がプランジャスリーブ9に形成された給湯口9aよりも後方に後退させた状態とされている。
この状態から、型開閉手段6のサーボモータ21の駆動によって可動盤4を固定盤2に対して所定の位置まで近接移動させる。次いで、図3に示すように、各タイバー連結手段7のハーフナット25、25をタイバー5の係合溝24に係合させて可動盤4をタイバー5に連結し、ピストン23に対して可動盤4に設けられたシリンダ22を図3の左方に移動させるよう型締め手段8のシリンダ室22aに作動流体を所定圧力で供給して、可動盤4をさらに固定盤2に近接させるよう押圧し、固定型1と可動型3を型締めする。
そして、プランジャスリーブ9の給湯口9aから所定量の溶湯を給湯して、射出シリンダ26の駆動によってプランジャチップ10を前進移動させて、キャビティ11内に溶湯を射出充填する。このとき、射出充填された溶湯の温度が低下して凝固し所定形状の成形品Pが形成されるまで、プランジャ装置12は、プランジャチップ10によって溶湯に圧力を加えている。また、プランジャ装置12では、プランジャチップ10と連結されている射出シリンダ26のピストン28のストローク位置をストロークセンサ27によって検知し、その検出結果を射出コントローラ33に記憶している。なお、射出充填が完了した時点では、図3に示したように、プランジャチップ10はプランジャスリーブ9の先端開口よりも後方に位置している。そのため、成形品Pには、プランジャスリーブ9内で一体に成形されたビスケット部Paが含まれている。
成形品Pの成形が完了すると、図4に示すように、型締め手段8のシリンダ室22bに作動流体を供給して、ピストン23に対して可動盤4に設けられたシリンダ22を図4の右方に移動させ、固定型1から可動型3を比較的大きな力で所定ストロークの型開きを行わせ、固定型1から成形品Pを離型させる。また、これと同時にプランジャ装置12は、射出コントローラ33により、ソレノイドバルブ29を制御してアキュムレータ30から作動流体をシリンダ室26aに供給すると共に、サーボ弁31を制御してシリンダ室26bから作動流体を排出させて、ピストン28に連結されたプランジャチップ10を型開きと同期するよう前進させて、プランジャスリーブ9内で成形されたビスケット部Paを突き出し離型させる。そして、プランジャ装置12は、射出シリンダ26のピストン28の位置をストロークセンサ27により検出して射出コントローラ33に出力し、射出シリンダ26のピストン28のストロークS1が型締め手段8による型開きストロークS2と同じストロークに達したと判断すると、射出コントローラ33がシリンダ室26bからの作動流体の排出を停止させるようサーボ弁31を制御し、プランジャチップ10の突き出しを規制する。そのため、従来の技術(図6を参照)のようにプランジャチップ10が成形品Pを押圧し続けることがなく、型締め手段8による型開きの完了と同時に、プランジャチップ10の前進が停止するために、可動盤4が捩れることがなく、したがって、各タイバー5の係合溝24と係合された各タイバー連結手段7のハーフナット25、25との間に応力が生じることがない。なお、射出シリンダ26のピストン28のストロークS1を型締め手段8による型開きストロークS2と実質的に同じストロークとするために、射出コントローラ33による制御信号の出力やソレノイドバルブ29あるいはサーボ弁31の応答にばらつきや遅れがある場合には、これらのばらつきや遅れを見込んで射出シリンダ26のピストン28の位置がストロークS1に達するよりも僅かに手前(たとえば3mm程度)にあることをストロークセンサ27が検出したときに、ソレノイドバルブ29あるいはサーボ弁31に停止信号を与えるようにプリセットすることもできる。
続いて、各タイバー連結手段7のハーフナット25、25をそれぞれ互いに離間させて、図5に示すように、各タイバー5の係合溝24に対する係合を解除する。このとき、上述したように可動盤4が捩れておらず、各タイバー5の係合溝24とハーフナット25との間に応力が生じていないために、ハーフナット25は、容易に且つ確実にタイバー5の係合溝24から離脱する。したがって、本発明によれば、従来の技術(図7を参照)のようにプランジャチップ10を一端後退させる必要がなく、したがって、プランジャチップ10の摩耗を減少させることができるとともに、成形サイクルタイムの短縮化を図ることができる。
その後、型開閉手段6のサーボモータ21の駆動によって可動盤4を固定盤2から所定の位置まで離間移動させ、可動型3に残された成形品Pを取り出して、一成形サイクルを終える。
本発明に用いられるダイカストマシンの一例を概念的に示した要部断面図である。 プランジャ装置の一例を概念的に示した要部断面図である。 型締めを行って溶湯をキャビティに射出充填した状態を説明するために示した要部断面図である。 成形が完了して型締め手段により型開きするとともにプランジャ装置によりプランジャチップを型開きストロークと同じストローク量で突き出した状態を説明するために示した要部断面図である。 タイバー連結手段による可動盤のタイバーに対する係合を解除させた状態を説明するために示した要部断面図である。 従来の技術により、プランジャ装置のプランジャチップを型開きストロークを超えるストローク量で突き出し続けて、可動盤が捩れた状態を概念的に示した要部断面図である。 可動盤が捩れることによりタイバー連結手段に発生した応力を解消させるためにプランジャチップを一端後退させる従来の技術を説明するために、概念的に示した要部断面図である。 図7の状態とすることによりタイバー連結手段による可動盤のタイバーに対する係合を解除させた状態を説明するために示した要部断面図である。
符号の説明
1:固定型、 2:固定盤、 3:可動型、 4:可動盤、 5:タイバー、 6:型開閉手段、 7:タイバー連結手段、 8:型締め手段、 9:プランジャスリーブ、 10:プランジャチップ、 11:キャビティ、 12:プランジャ装置、 P:成形品、 Pa:ビスケット部、 S1:プランジャチップ10による突き出しストローク量、 S2:型締め手段による型開きストローク量

Claims (2)

  1. 固定型を支持する固定盤と、可動型を支持する可動盤と、一端部が前記固定盤に連結されており前記可動盤に挿通される複数のタイバーと、前記可動盤を前記固定盤に対して進退移動させて前記可動型を前記固定型に型開閉させる型開閉手段と、タイバーの所定位置に対して可動盤を脱着可能に連結するタイバー連結手段と、該タイバー連結手段によりタイバーの所定位置に連結された状態の可動盤を固定盤に対して推進させて固定型に対して可動型を型締め・型開きさせる型締め手段と、プランジャスリーブ内でプランジャチップを前進させることによりプランジャスリーブ内に供給された溶湯を固定型と可動型の間に形成されたキャビティ内へ射出充填させるプランジャ装置と、を備えたダイカストマシンにおいて、
    成形が完了してから、動型を固定型から離間するよう移動させて型開きするとともに、プランジャチップをさらに前進させて突き出し動作を行い、ビスケット部を含む成形品を固定型から離型させるダイカストマシンの制御方法であって、
    前記突き出し動作のストローク量が前記型締手段による可動型を固定型から離間するよう移動させる型開きストロークと同じとなったときに前記突き出し動作を停止させて、前記タイバー連結手段によるタイバーと可動盤との連結を解除することを特徴とするダイカストマシンの制御方法。
  2. 離間開始時の前記プランジャチップの位置を検知し、該検知した位置からプランジャチップの前進ストローク量が前記型開きストローク量と同じとなったときにプランジャチップの前進を停止させるよう前記プランジャ装置を制御することを特徴とする請求項1に記載のダイカストマシンの制御方法。
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