JP2011156773A - 射出成形方法及び射出成形装置 - Google Patents

射出成形方法及び射出成形装置 Download PDF

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隆昭 伊藤
Masahiro Higuchi
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Abstract

【課題】外観品質の優れた樹脂成形品を短い成形サイクルで効率的に成形可能な射出成形技術を提供する。
【解決手段】射出成形用金型12の全体が、溶融樹脂のビカット軟化点(摂氏温度)の80〜90%の範囲内の温度に維持されるように、射出成形用金型12全体の温度を調節した状態下で、射出成形用金型12のキャビティ面30,32に加熱不活性ガスを接触させて、キャビティ面30,32を、溶融樹脂のビカット軟化点の110〜120%の範囲内の温度にまで加熱した後、成形キャビティ34内に溶融樹脂を射出、充填し、その後、キャビティ面30,32の温度を、溶融樹脂のビカット軟化点の80〜90%の範囲内の温度にまで低下させて、成形キャビティ34内の溶融樹脂を冷却、固化させるようにした。
【選択図】図2

Description

本発明は、射出成形方法と射出成形装置とに係り、特に、ヒート&クール方式を採用した射出成形方法の改良と、そのような射出成形方法に有利に採用され得る射出成形装置とに関する。
従来から、様々な樹脂成形品の成形に際して、射出成形方法が広く採用されているが、この射出成形方法を実施する場合、成形キャビティ内での溶融樹脂の流動性が不十分であると、ウェルドラインやフローマーク等が生じたり、或いはキャビティ面形状の転写性が低下したりする恐れがある。
そこで、例えば、特開昭60−54828号公報(特許文献1)等には、所謂ヒート&クール方式を採用してなる射出成形方法が、提案されている。この方法は、射出成形用金型のキャビティ面を高温にした状態で、成形キャビティ内に溶融樹脂を射出、充填した後、金型温度を低下させて、成形キャビティ内の溶融樹脂を冷却、固化させるものである。このような射出成形方法によれば、溶融樹脂が高温のキャビティ面上を流動するようになるため、溶融樹脂の流動性が十分に高められ得る。そして、それにより、ウェルドラインやフローマーク等の発生が防止されると共に、キャビティ面形状の転写性が有利に高められ、以て、成形されるべき樹脂成形品の外観品質の向上が効果的に図られ得るのである。
ところが、従来のヒート&クール方式を採用してなる射出成形方法では、成形キャビティ内への溶融樹脂の射出前に、射出成形用金型の内部に形成された媒体流路内に熱水乃至は温水等の加熱用の熱媒体を流通させることにより、キャビティ面以外の部分を含む金型の全体が加熱されて、キャビティ面の温度が高められるようになっており、また、成形キャビティ内への溶融樹脂の射出、充填後に、加熱用の熱媒体に代えて、冷却水等の冷却用の熱媒体を媒体流路内に流通させることにより、金型全体が冷却されて、キャビティ面の温度が低下させられるようになっていた。それ故、キャビティ面を所定の温度にまで上昇させるのに、キャビティ面以外の金型部分の温度を高めるための余分な時間が費やされており、また、成形キャビティ内の溶融樹脂を冷却、固化させるためにキャビティ面の温度を低下させる際にも、金型全体を冷却するのに長い時間が掛かってしまうことが避けられなかった。従って、従来のヒート&クール方式による射出成形方法には、目的とする樹脂成形品の成形サイクルが長くなって、その生産効率が低いものとなってしまうといった問題が内在していたのである。
特開昭60−54828号公報
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、ヒート&クール方式の採用によって外観品質の向上が効果的に図られてなる樹脂成形品を、短い成形サイクルで効率的に成形し得る射出成形方法を提供することにある。また、本発明にあっては、そのような射出成形方法が有利に実施されて、優れた外観品質を有する樹脂成形品が効率的に成形可能な射出成形装置を提供することをも、その解決課題とするものである。
本発明は、上記した課題、又は本明細書全体の記載や図面から把握される課題を解決するために、以下に列挙する各種の態様において、好適に実施され得るものである。また、以下に記載の各態様は、任意の組み合わせにおいても、採用可能である。なお、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載並びに図面に開示の発明思想に基づいて、認識され得るものであることが、理解されるべきである。
そして、本発明にあっては、上記した射出成形方法に係る課題の解決のために、(a)射出成形用金型の成形キャビティ内への溶融樹脂の射出、充填操作が行われる前に、該射出成形用金型の全体が、該溶融樹脂のビカット軟化点(摂氏温度)の80〜90%の範囲内の温度に維持されるように、該射出成形用金型の全体の温度を調節する工程と、(b)前記温度調節された射出成形用金型のキャビティ面に、加熱した不活性ガスからなる加熱ガスを接触させて、該キャビティ面を、前記溶融樹脂のビカット軟化点(摂氏温度)の110〜120%の範囲内の温度となるまで加熱する工程と、(c)前記キャビティ面が加熱された射出成形用金型の前記成形キャビティ内に、前記溶融樹脂を射出、充填する工程と、(d)前記成形キャビティ内への溶融樹脂の射出、充填後に、前記射出成形用金型のキャビティ面が、該溶融樹脂のビカット軟化点(摂氏温度)の80〜90%の範囲内の温度となるまで、該キャビティ面の温度を低下させて、該成形キャビティ内に射出、充填された該溶融樹脂を冷却、固化させる工程とを含むことを特徴とする射出成形方法を、その要旨とするものである。
なお、本発明に従う射出成形方法の好ましい態様の一つによれば、前記射出成形用金型として、気体は通過するものの、前記溶融樹脂は通過させない大きさを有して、前記成形キャビティ内に連通する貫通孔からなるガス導入口とガス排出口とを備えたものが用いられ、該射出成形用金型が型締めされた後、前記加熱ガスが、該ガス導入口を通じて該成形キャビティ内に供給されて、前記キャビティ面に接触させられることにより、該キャビティ面が加熱される一方、該成形キャビティ内に供給された該加熱ガスが、該ガス排出口を通じて外部に排出されることとなる。
また、本発明に従う射出成形方法の有利な態様の一つによれば、前記加熱ガスとして、前記成形キャビティ内に射出、充填される前記溶融樹脂のビカット軟化点(摂氏温度)の110〜120%の範囲内の温度となるまで加熱された不活性ガスが用いられる。
さらに、本発明に従う射出成形方法の望ましい態様の一つによれば、前記加熱ガスとして、加熱した窒素ガスが用いられる。
更にまた、本発明に従う射出成形方法の好適な態様の一つによれば、前記射出成形用金型として、熱媒体が流通可能な媒体流路が内部に設けられてなるものが用いられ、前記溶融樹脂のビカット軟化点(摂氏温度)の80〜90%の範囲内の温度を有する熱媒体が、該射出成形用金型の前記成形キャビティ内への溶融樹脂の射出、充填操作が行われる前に、該媒体流路内に供給されて、かかる流路内を流通せしめられることにより、該射出成形用金型の全体が、該成形キャビティ内への溶融樹脂の射出、充填操作前において、該溶融樹脂のビカット軟化点(摂氏温度)の80〜90%の範囲内の温度に維持されるように、該射出成形用金型の全体の温度が調節されることとなる。
なお、そのような媒体流路が内部に設けられた射出成形用金型が用いられる場合には、望ましくは、前記キャビティ面が加熱された前記射出成形用金型の成形キャビティ内に、前記溶融樹脂が射出、充填された後、該溶融樹脂のビカット軟化点(摂氏温度)の80〜90%の範囲内の温度を有する前記熱媒体が、前記媒体流路内に供給されて、かかる流路内を流通せしめられることにより、該キャビティ面が、該溶融樹脂のビカット軟化点(摂氏温度)の80〜90%の範囲内の温度となるまで、該キャビティ面の温度が低下せしめられて、前記成形キャビティ内に射出、充填された溶融樹脂が冷却、固化せしめられる。
また、本発明に従う射出成形方法の有利な態様の一つによれば、前記射出成形金型として、該射出成形金型の内部の温度を検出する第一の温度検出手段が設けられてなるものが用いられて、該第一の温度検出手段にて検出される該射出成形金型の内部温度が、前記溶融樹脂のビカット軟化点(摂氏温度)の80〜90%の範囲内の温度とされているときに、該射出成形用金型の前記キャビティ面に対する前記加熱ガスの接触操作が行われることとなる。
さらに、本発明に従う射出成形方法の望ましい態様の一つによれば、前記射出成形金型として、該射出成形金型の前記キャビティ面の温度を検出する第二の温度検出手段が設けられてなるものが用いられて、該キャビティ面に対する前記加熱ガスの接触による該キャビティ面の加熱操作により、該第二の温度検出手段にて検出される該キャビティ面の温度が、前記溶融樹脂のビカット軟化点(摂氏温度)の110〜120%の範囲内の温度となったときに、該キャビティ面に対する加熱ガスの接触による該キャビティ面の加熱操作が停止され、その後、前記成形キャビティ内への該溶融樹脂の射出、充填が行われる。
更にまた、本発明に従う射出成形方法の好適な態様の一つによれば、前記加熱ガスとの接触により、前記溶融樹脂のビカット軟化点(摂氏温度)の110〜120%の範囲内の温度となるまで加熱される前記キャビティ面が、少なくとも、目的とする樹脂成形品の意匠面を形成するキャビティ面からなる。
そして、本発明にあっては、前記した射出成形装置に係る課題の解決のために、(a)溶融樹脂を射出する射出装置と、(b)該射出装置から射出される溶融樹脂が充填される成形キャビティを備えた射出成形用金型と、(c)該射出成形用金型の全体が、前記溶融樹脂のビカット軟化点(摂氏温度)の80〜90%の範囲内の温度に維持されるように、該射出成形用金型の全体の温度を調節する温度調節手段と、(d)不活性ガスを加熱した加熱ガスを前記射出成形用金型のキャビティ面に接触させることにより、該キャビティ面を、前記溶融樹脂のビカット軟化点(摂氏温度)の110〜120%の範囲内の温度となるまで加熱する加熱手段と、(e)前記成形キャビティ内に前記溶融樹脂が充填された前記射出成形用金型のキャビティ面が、該溶融樹脂のビカット軟化点(摂氏温度)の80〜90%の範囲内の温度となるまで、該キャビティ面の温度を低下させることにより、該成形キャビティ内の溶融樹脂を冷却する冷却手段とを含むことを特徴とする射出成形装置をも、また、その要旨とするものである。
なお、本発明に従う射出成形装置の有利な態様の一つによれば、前記射出成形用金型の型締めを行う型締装置と、該型締装置による射出成形用金型の型締が完了したときに、それを検出して、型締完了信号を出力する型締検出手段と、該射出成形用金型の内部の温度を、該射出成形用金型の全体の温度として検出して、金型温度検出信号を出力する第一の温度検出手段と、該射出成形用金型の前記成形キャビティ面の温度を検出して、キャビティ面温度検出信号を出力する第二の温度検出手段と、それら型締検出手段と第一の温度検出手段と第二の温度検出手段からの出力信号が入力される制御装置とが、更に設けられており、そして、該制御装置が、該第一の温度検出手段からの前記金型温度検出信号に基づいて、該射出成形用金型の全体の温度が、前記溶融樹脂のビカット軟化点(摂氏温度)の80〜90%の範囲内の温度となったと判断したときに、該制御装置から前記型締装置に対して、型締開始信号が出力されて、該型締装置による型締が行われる一方、前記型締検出手段からの型締完了信号が該制御装置に入力されたときに、該制御装置から前記加熱手段に対して、加熱開始信号が出力されて、該加熱手段による前記キャビティ面の加熱が開始され、更に、該制御装置が、前記第二の温度検出手段からの前記キャビティ面温度検出信号に基づいて、該キャビティ面の温度が、前記溶融樹脂のビカット軟化点(摂氏温度)の110〜120%の範囲内の温度となったと判断したときに、該制御装置から前記加熱手段に対して、加熱終了信号が出力されて、該加熱手段による前記キャビティ面の加熱が終了されるように構成されることとなる。
また、本発明に従う射出成形装置の好適な態様の一つによれば、前記加熱ガスとの接触により、前記溶融樹脂のビカット軟化点(摂氏温度)の110〜120%の範囲内の温度となるまで加熱される前記キャビティ面が、少なくとも、目的とする樹脂成形品の意匠面を形成するキャビティ面からなる。
すなわち、本発明に従う射出成形方法にあっては、キャビティ面が、溶融樹脂のビカット軟化点の110%以上となる高い温度にまで加熱された状態で、溶融樹脂が、成形キャビティ内に射出、充填されるようになっている。これによって、成形キャビティ内での溶融樹脂の流動性が十分に高められ、以て、ウェルドラインやフローマーク等の発生が有利に防止され得ると共に、キャビティ面形状の転写性が効果的に高められ得る。
また、本発明に係る射出成形方法においては、キャビティ面の加熱操作が、加熱ガスのキャビティ面への接触により、キャビティ面のみを加熱することによって実現されている。それ故、かかる本発明手法では、射出成形用金型の内部に形成された媒体流路内に加熱用の熱媒体を流通させて、金型全体を加熱することにより、キャビティ面の温度を高めるようにした従来手法とは異なって、キャビティ面以外の金型部分の温度を上昇させるための余分な時間が省略され、以て、キャビティ面の加熱に要する時間の短縮化が、有利に図られ得る。しかも、加熱ガスが、加熱した不活性ガスであるところから、キャビティ面での錆の発生が有利に防止され得ると共に、溶融樹脂の酸化による樹脂成形品(射出成形品)の品質低下が未然に阻止され得る。
さらに、本発明に従う射出成形方法においては、成形キャビティ内への溶融樹脂の射出、充填操作が行われる前に、射出成形用金型の全体が、溶融樹脂のビカット軟化点の80〜90%の範囲内の温度に維持されるように、金型全体の温度が調節されている。これによっても、成形キャビティ内への溶融樹脂の射出、充填操作の開始直前にキャビティ面を加熱するのに要される時間が、効果的に短縮化され得る。
また、成形キャビティ内に射出、充填された溶融樹脂の冷却に際しても、キャビティ面の温度が、溶融樹脂のビカット軟化点の80〜90%の範囲内の温度にまで低下させられるだけである。それ故、少なくとも、成形キャビティ内への溶融樹脂の射出、充填操作が行われていない間、キャビティ面の温度が、溶融樹脂のビカット軟化点の80〜90%の範囲内の温度に維持されるようになる。そして、それにより、キャビティ面、或いは金型全体の温度の過冷却によって、成形キャビティ内への溶融樹脂の射出、充填操作の開始前におけるキャビティ面の加熱時間が長くなってしまうようなことが、効果的に回避され得る。
加えて、本発明に従う射出成形方法では、加熱ガスとの接触によるキャビティ面の加熱温度が、溶融樹脂のビカット軟化点の120%以下に制限されている。このため、キャビティ面が必要以上に高温とされることがなく、それによって、キャビティ面の加熱に要する時間と、加熱されたキャビティ面を冷却するのに要する時間とが、何れも、有利に短縮化され得る。
従って、かくの如き本発明に従う射出成形方法によれば、ウェルドラインやフローマーク等の発生がなく、しかもキャビティ面形状が忠実且つ正確に転写された外観品質の優れた樹脂成形品が、十分に短い成形サイクルにて、極めて効率的に成形され得るのである。
また、本発明に従う射出成形装置にあっては、上記の如き優れた特徴を発揮する射出成形方法を有利に実施することが出来、それによって、かかる射出成形方法において奏される作用・効果と実質的に同一の作用・効果が、極めて有効に享受され得ることとなる。
本発明に従う構造を有する射出成形装置の正面説明図である。 図1に示された射出成形装置に装備される射出成形用金型の縦断面説明図である。 図2に示された射出成形用金型の可動型の説明図であって、キャビティ形成凹部が形成される表面の形態を示している。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の構成について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
先ず、図1には、本発明に従う構造を有する射出成形装置の一実施形態が、その正面形態において概略的に示されている。かかる図1から明らかなように、本実施形態の射出成形装置は、基台10上に設置された射出装置11、射出成形用金型12、及び型締装置14と、基台10の近傍に設置された金型温度調節装置15、窒素ガス発生装置16、窒素ガス加熱装置17、及び制御装置18とを有している。
より具体的には、射出装置11は、インラインスクリュー方式を採用した従来より公知の構造を有している。この射出装置11は、制御装置18と電気的に接続されており、制御装置18から射出装置11に対して、射出装置11内で溶融した溶融樹脂の射出を開始させる射出開始信号が出力されるようになっている。そして、かかる射出開始信号の入力により、射出装置11において、溶融樹脂の射出が行われるようになっている。
また、型締装置14は、ラム方式の公知の構造を有している。この型締装置14も、制御装置18と電気的に接続されており、制御装置18から型締装置14に対して、型締開始信号が出力されるようになっている一方、型締装置14から制御装置18に対しては、射出成形用金型12の型締めが完了したときに、型締完了信号が出力されるようになっている。なお、かかる型締完了信号は、型締装置14に内蔵されたリミットスイッチ等の公知の型締検出センサ(型締検出手段)から出力される。そして、型締開始信号の入力により、型締装置14にて、射出成形用金型12の型閉じ及び型締めが行われるようになっている。
射出成形用金型12は、位置固定の固定盤19と、この固定盤19と対向配置された可動盤20と、固定盤19に取り付けられた固定型22と、可動盤20に取り付けられて、固定型22と対向配置された可動型24とを有している。そして、可動盤20が型締装置14のラム26(トグルでも良い)に取り付けられている。このラム26が、前記した制御装置18からの型締開始信号に基づいて突出/引込作動することにより、可動盤20が固定盤19に対して接近/離隔移動して、可動型24と固定型22とが型閉じ又は型開きされるようになっているのである。
また、図2に示されるように、射出成形用金型12にあっては、固定型22の可動型24との対向面に、矩形形状を呈するキャビティ形成凹部28が、設けられている。このキャビティ形成凹部28の内面の全面が、射出成形されるべき、矩形形状を呈する樹脂成形品の一方の面に対応した形状を有する固定型側キャビティ面30とされている。一方、可動型24の固定型22との対向面のうち、固定型22のキャビティ形成凹部28と対応する部分が、射出成形されるべき樹脂成形品の他方の面に対応した形状を有する可動型側キャビティ面32とされている。なお、ここでは、樹脂成形品の一方の面に精密な意匠(例えば鏡面)を付与するための意匠形成部が、固定型側キャビティ面30に設けられている。
そして、それら可動型24と固定型22とが型閉じされて、固定型22のキャビティ形成凹部28が、可動型24の可動型側キャビティ面32にて覆蓋されることにより、かかる可動型側キャビティ面32と固定型側キャビティ面30との間に、目的とする樹脂成形品の外形形状に対応した形状を有する成形キャビティ34が形成されるようになっている。
また、射出成形用金型12においては、固定盤19に、射出装置11のノズル(図示せず)が接触するスプルーブッシュ36が設けられている。固定型22には、スプルーブッシュ36から延びるスプルー38と、かかるスプルー38と成形キャビティ34とに連通するゲート42とが、形成されている。これにより、射出装置11から射出された溶融樹脂が、スプルー38とゲート42とを通じて、成形キャビティ34内に導入されるようになっている。
そして、本実施形態の射出成形装置にあっては、上記の如き構造を有する射出成形用金型12の固定型22と可動型24のそれぞれの全体の温度を調節する機構が、金型温度調節装置15と制御装置18とを含んでなる構造をもって設けられ、また、固定型22と可動型24のそれぞれの特定部分のみの温度を調節する機構が、窒素ガス発生装置16と窒素ガス加熱装置17と制御装置18とを含んでなる構造をもって設けられている。
すなわち、図2及び図3に示されるように、射出成形用金型12における可動型24の厚さ方向(図2の左右方向)の中間部には、その幅方向(図3の左右方向)に貫通して延びる4個の貫通孔44a,44b,44c,44dが、可動型24の長さ方向(図2及び図3の上下方向)に所定間隔を隔てて位置するように、形成されている。そして、それら4個の貫通孔44a,44b,44c,44dのうち、可動型24の長さ方向の一端側(図3の上端側)に位置する貫通孔44aにおいては、可動型24の幅方向一方側の開口部に、媒体導入パイプ46が接続されている。また、可動型24の長さ方向の他端側(図3の下端側)に位置する貫通孔44dにおける可動型24の幅方向一方側の開口部には、媒体排出パイプ48が接続されている。更に、4個の貫通孔44a,44b,44c,44dは、可動型24の長さ方向において互いに隣り合うもの同士が、連結パイプ50にて、互いに連結されている。
かくして、4個の貫通孔44a,44b,44c,44dが、3個の連結パイプ50,50,50にて、互いに連通していると共に、媒体導入パイプ46と媒体排出パイプ48とを通じて、外部に連通している。それにより、可動型24の厚さ方向中間部に、4個の貫通孔44a,44b,44c,44dと3個の連結パイプ50,50,50と媒体導入パイプ46と媒体排出パイプ48からなる媒体流路52bが、可動型24の略全体に亘って蛇行して延びるように形成されている。そして、図1に示されるように、可動型24に設けられた媒体流路52bの媒体導入パイプ46と媒体排出パイプ48とが、基台10の近傍に設置された金型温度調節装置15に接続されている。
一方、図1及び図2から明らかなように、固定型22の厚さ方向中間部にも、媒体流路52aが、可動型24に設けられた媒体流路52bと同一の構造をもって設けられている。即ち、固定型22に設けられた媒体流路52aも、固定型22の厚さ方向中間部において幅方向に延びるように形成された4個の貫通孔44a,44b,44c,44dと、それらを互いに連通する3個の連結パイプ50,50,50と、貫通孔44aに接続された媒体導入パイプ46と、貫通孔44dに接続された媒体排出パイプ48とからなり、固定型22の厚さ方向中間部において、固定型22の略全体に蛇行して延びるように形成されている。そして、そのような媒体流路52aの媒体導入パイプ46と媒体排出パイプ48とが、金型温度調節装置15に接続されている。
そのような2個の媒体流路52a,52bが接続される金型温度調節装置15は、公知のヒータや送水ポンプ等を内蔵し、外部から導入した水をヒータにより予め設定された温度にまで加熱して熱水乃至は温水とすると共に、かかる熱水乃至は温水を、熱媒体として、送水ポンプにより、媒体導入パイプ46,46を通じて、固定型22の媒体流路52aと可動型24の媒体流路52bとに供給し得るように構成されている。また、各媒体流路52a,52b内の流通により温度が低下した状態で、媒体排出パイプ48,48を通じて金型温度調節装置15内に返送された熱媒体を、再び、予め設定された温度にまで加熱した後、媒体導入パイプ46,46に送り出すようになっている。
かくして、本実施形態の射出成形装置には、固定型22の媒体流路52aとそれに接続される金型温度調節装置15内の流路(図示せず)とからなる循環路と、可動型24の媒体流路52bとそれに接続される金型温度調節装置15内の流路(図示せず)とからなる循環路の二つの循環路が設けられ、そして、それら二つの循環路内を、熱水乃至は温水からなる熱媒体が循環するようになっている。また、成形されるべき射出成形品が1個のときでも、或いは複数個のときでも、1個目の射出成形品の成形開始前から、全ての射出成形品の成形が終了するまでの間、金型温度調節装置15が連続的に作動することで、各媒体流路52a,52bをそれぞれ含む二つの循環路内での熱媒体の循環が、それぞれ継続して行われるようになっている。そして、ここでは、金型温度調節装置15から供給される熱媒体たる熱水乃至は温水の温度が、射出成形用金型12の型締め→成形キャビティ34内への溶融樹脂の射出、充填→溶融樹脂の冷却、固化→射出成形用金型12の型開き→樹脂成形品の離型までの一連の操作(以下、射出成形操作と言う)の終始に亘って維持されるべき固定型22と可動型24のそれぞれの全体の目標温度と同一の値となるように設定されている。なお、そのような目標温度は、射出装置11から射出される溶融樹脂が固化される温度、具体的には、かかる溶融樹脂のビカット軟化点(摂氏温度)よりも所定の値だけ低い温度とされる。
これによって、本実施形態の射出成形用装置にあっては、成形キャビティ34内に、溶融樹脂を射出、充填する操作(以下、射出操作と言う)を行う前に、固定型22と可動型24とが、溶融樹脂のビカット軟化点(摂氏温度)よりも所定の値だけ低い温度を有して、各媒体流路52a,52bを含む二つの循環路内を循環する熱媒体により加熱され、以て、それら固定型22と可動型24の各キャビティ面30,32を含む全体の温度が、それぞれ、予め設定された目標温度(溶融樹脂のビカット軟化点(摂氏温度)よりも所定の値だけ低い温度)にまで上昇させられた後、その目標温度に維持されるようになっている。また、射出成形操作の実施後には、成形キャビティ34内に射出、充填された高温の溶融樹脂により加熱された固定型22と可動型24とが、溶融樹脂が固化される温度を有して、各媒体流路52a,52bを含む二つの循環路内を循環する熱媒体にて冷却されて、それら固定型22と可動型24の各キャビティ面30,32を含む全体の温度が、それぞれ、予め設定された目標温度にまで降下させられた後、その目標温度に維持されるようになっている。このことから明らかなように、本実施形態では、温度調節手段と冷却手段とが、何れも、金型温度調節装置15と媒体流路52a,52bとにて構成されている。
また、図2に示されるように、固定型22と可動型24の内部には、第一の温度検出手段としての、例えば熱電対等からなる、2個の第一温度センサ54a,54bが、埋設されている。それら2個の第一温度センサ54a,54bは、何れも、制御装置18に対して電気的に接続されており、各第一温度センサ54a,54bにて検出される検出信号が、かかる制御装置18に入力されるようになっている。そうして、各第一温度センサ54a,54bからの検出信号に基づいて、固定型22と可動型24の内部温度が、それら固定型22と可動型24のそれぞれの全体の温度として、制御装置18で把握されるようになっている。
さらに、固定型22には、固定型側キャビティ面30の一部を構成する、キャビティ形成凹部28の底面の直近部位に、第二の温度検出手段としての、例えば熱電対等からなる第二温度センサ58が、埋設されている。第二温度センサ58は、制御装置18に対して電気的に接続されており、かかる第二温度センサ58にて検出される検出信号が、制御装置18に入力されるようになっている。そうして、第二温度センサ58からの検出信号に基づいて、固定型22におけるキャビティ形成凹部28の底面の直近部位の温度が、固定型側キャビティ面30の温度として、制御装置18で把握されるようになっている。
また、図2及び図3に示されるように、可動型24には、その内部において直角に屈曲するように延出して、可動型24を貫通する2個の細径貫通孔60a,60bが、可動型24の側面と可動型側キャビティ面32とにおいて開口する開口部を有して、形成されている。それら2個の微細貫通孔60a,60bは、何れも、ガスは通過するものの、溶融樹脂は通過させない大きさ(開口径)を有している。
そして、そのような2個の細径貫通孔60a,60bのうち、一方の細径貫通孔60aは、可動型側キャビティ面32の長さ方向(図3の上下方向)の一端側(図3の上端側)部分において開口する開口部が、ガス流入口64(ガス導入口)とされている。他方の細径貫通孔60bは、可動型側キャビティ面32の長さ方向の他端側(図3の下端側)部分において開口する開口部が、ガス流出口68(ガス排出口)とされている。また、可動型24の側面における細径貫通孔60aの開口部には、ガス流通パイプ66が接続されている。可動型24の側面における微細貫通孔60bの開口部は、大気に開放された排出口70とされている。
そして、図1に示されるように、細径貫通孔60aに連通するガス流通パイプ66が、不活性ガスの一種たる窒素ガスを加熱する前記窒素ガス加熱装置17に接続されている。窒素ガス加熱装置17は、それと隣り合って位置する窒素ガス発生装置16に対して、接続パイプ72によって接続されている。この窒素ガス発生装置16は、図示しない空気導入口を通じて導入された空気から窒素ガスを選択的に取り出すことにより、装置内部で99.9%以上の純度の窒素ガスを発生させる公知の構造を有している。そのような窒素ガス発生装置16にて発生させられた窒素ガスが、接続パイプ72を通じて、窒素ガス加熱装置17内に導入されるようになっている。
窒素ガス加熱装置17は、ヒータ等の加熱機構(図示せず)を内蔵し、窒素ガス発生装置16から送り込まれた窒素ガスを、かかる加熱機構にて、予め設定された温度にまで加熱し得るようになっている。また、この窒素ガス加熱装置17内には、所定温度にまで加熱された加熱窒素ガスを、大気圧よりも高い圧力で、所定の量だけ貯留する貯留タンク(図示せず)を有している。そして、この貯留タンクに対して、ガス流通パイプ66が接続されている。このガス流通パイプ66上には、電磁弁67が設けられており、かかる電磁弁67が、制御装置18に対して電気的に接続されている。
そして、ここでは、前記の如き可動型24と固定型22の熱媒体による加熱により、第一温度センサ54a,54bにて検出される温度が予め設定された温度となっている状態下で、型締完了信号が型締装置14から制御装置18に入力されたときに、ガス流通パイプ66上の電磁弁67に対して、それを開作動させる、ガスの圧入信号(加熱開始信号)としての電磁弁開作動信号が、制御装置18から出力されるようになっている。
かくして、本実施形態の射出成形装置においては、制御装置18への型締信号の入力に基づいて制御装置18から出力される電磁弁開作動信号が、ガス流通パイプ66上の電磁弁67に入力されて、かかる電磁弁67が開作動したときに、窒素ガス加熱装置17の貯留タンク内の加熱窒素ガスが、図2に矢印で示されるように、ガス流通パイプ66内と細径貫通孔60a内とを流通し、ガス流入口64を通じて、成形キャビティ34内に流入するようになっている。また、そのような加熱窒素ガスは、成形キャビティ34内を、その略全体に亘って、固定型22や可動型24の長さ方向の一方側から他方側に流通した後、ガス流出口68から流出し、細径貫通孔60bを経て、排出口70から外部に排出されるようになる。即ち、加熱窒素ガスが、窒素ガス加熱装置17から成形キャビティ34内に掛け流し状態で流入させられるようになる。ここでは、加熱窒素ガスの温度が、固定型側キャビティ面30の目標温度と同一の温度に設定されている。なお、この目標温度は、成形キャビティ34内に射出、充填された溶融樹脂が固化する温度よりも所定の値だけ高い温度、具体的には、溶融樹脂のビカット軟化点(摂氏温度)よりも所定の値だけ高い温度とされる。
このように、本実施形態の射出成形装置では、熱媒体による加熱により、全体の温度が予め設定された温度にまで上昇した可動型24と固定型22とが型締めされて、それら可動型24と固定型22との間に成形キャビティ34が形成されたときに、初めて、かかる成形キャビティ34内に加熱窒素ガスが導入されて、固定型側キャビティ面30が、加熱窒素ガスと接触するようになっている。そして、それにより、固定型側キャビティ面30の全面が、加熱窒素ガスにて、更に加熱されて、固定型側キャビティ面30の全面の温度が、目標温度にまで上昇させられるようになっているのである。このことから明らかなように、本実施形態では、窒素ガス加熱装置17とガス流通パイプ66と電磁弁67と細径貫通孔60a,60bとガス流入口64とガス流出口68と排出口70とにて、加熱手段が、構成されている。また、本実施形態においては、固定型側キャビティ面30によって、目的とする射出成形品の意匠面が形成されるため、固定型側キャビティ面30の全面の温度が、目標温度にまで加熱されるようになっているが、固定型側キャビティ面30に代えて、或いはそれに加えて、可動型側キャビティ面32にて、目的とする樹脂成形品の意匠面が形成される場合には、可動型キャビティ面32も、加熱窒素ガスとの接触により、目標温度にまで加熱されることとなる。
また、ここでは、第二温度センサ58にて検出される温度が予め設定された温度となって、固定型側キャビティ面30の温度が目標温度に到達したときに、ガス流通パイプ66上の電磁弁67を閉作動させる、加熱終了信号としての電磁弁閉作動信号が、制御装置18から電磁弁67に出力されると共に、射出開始信号が、射出装置11に出力されるようになっている。
そして、電磁弁閉作動信号に基づく電磁弁67の閉作動によって、窒素ガス加熱装置17から成形キャビティ34内への加熱窒素ガスの流入が停止され、以て、加熱窒素ガスを利用した固定型側キャビティ面30の加熱操作が、一旦、終了させられるようになっている。また、その一方で、射出開始信号に基づいて、射出装置11から成形キャビティ34内への溶融樹脂の射出操作が開始されるようになっている。
ところで、かくの如き構造とされた本実施形態の射出成形装置を用いて、ヒート&クール方式による射出成形を行う際には、例えば、以下の手順に従って、その作業が進められることとなる。
すなわち、先ず、図1に二点鎖線で示されるような固定型22と、可動型24との型開き状態下で、金型温度調節装置15から、固定型22と可動型24の各媒体流路52a,52b内に、熱水乃至は温水からなる熱媒体を流入させて、それら各媒体流路52a,52bと金型温度調節装置15内の流路とからなる二つの循環路内で、かかる熱媒体を循環させる。これにより、後述する射出操作(成形キャビティ34内への溶融樹脂の射出、充填操作)の開始前に、固定型22の全体と可動型24の全体とを、それぞれ加熱する。
このとき、熱媒体によって加熱された固定型22の全体の温度と可動型24の全体の温度とが、何れも、成形キャビティ34内に射出、充填される溶融樹脂のビカット軟化点(摂氏温度)の80〜90%の範囲内の温度とされている必要がある。何故なら、射出操作の開始前に、固定型22全体と可動型24全体とが、溶融樹脂のビカット軟化点の80%を下回る温度とされている場合には、後述する加熱窒素ガスを利用した固定型側キャビティ面30の加熱操作の実施に際して、固定型側各キャビティ面30の温度を目標温度にまでに上昇させるのに長い時間がかかり、固定型側キャビティ面30の加熱操作に要する時間、ひいては目的とする樹脂成形品の成形のために実施される射出成形操作に要する時間が長くなってしまうといった不具合が生ずるからである。
また、射出操作の開始前に、固定型22全体と可動型24全体とが、溶融樹脂のビカット軟化点の90%を上回る温度とされている場合と、かかる温度が80〜90%の範囲内の温度とされている場合とでは、固定型側キャビティ面30を目標温度にまで上昇させるのに要する時間に然程の違いはない。そのため、固定型22全体と可動型24全体とを溶融樹脂のビカット軟化点の90%を上回る温度とすることは、固定型22や可動型24を必要以上に加熱することとなる。それ故、射出操作の開始前に、固定型22と可動型24のそれぞれの全体温度を、熱媒体による加熱により、溶融樹脂のビカット軟化点の90%を超える温度にまで上昇させる場合には、熱媒体自体を加熱するために、無駄な時間と余分なエネルギーとが必要となり、それによって、目的とする樹脂成形品の生産効率が低下することとなる。従って、射出操作の開始前には、可動型24と固定型22のそれぞれの全体温度が、溶融樹脂のビカット軟化点の90%以下の温度に抑えられている必要があるのである。
そして、本操作では、射出操作の開始前に、固定型22全体の温度と可動型24全体の温度とを溶融樹脂のビカット軟化点の80〜90%の範囲内の温度とするために、金型温度調節装置15内の流路と各媒体流路52a,52bとからなる二つの循環路内を循環する熱媒体の温度が、固定型22と可動型24の目標温度と同一の温度とされる。即ち、熱媒体が、金型温度調節装置15にて、溶融樹脂のビカット軟化点の80〜90%の範囲内の温度にまで加熱されるのである。これによって、射出操作の開始前に、固定型22の全体と可動型24の全体とを目標温度とする温度調節が、例えば、各種の制御機構を用いた厳密な制御を何等行うことなしに、容易に且つ安価に実現されることとなる。
一方、上記の如き熱媒体による固定型22と可動型24の加熱操作の実施中、或いはかかる加熱操作の実施前、又は実施後に、窒素ガス発生装置16と窒素ガス加熱装置17とを作動させる。これにより、窒素ガス発生装置16で窒素ガスを発生させて、それを窒素ガス加熱装置17に送り込む一方、窒素ガス加熱装置17にて、送り込まれた窒素ガスを加熱して、貯留タンク内に、高圧の加熱窒素ガスとして貯留する。なお、後述する加熱窒素ガスの成形キャビティ34内への吹き込み操作中には、窒素ガス発生装置16から窒素ガス加熱装置17への窒素ガスの送込みが停止される。また、熱媒体による固定型22と可動型24の加熱操作や窒素ガスの加熱操作と並行して、射出装置11内で、原料樹脂を加熱、混練して溶融させる操作を行う。
次に、熱媒体による加熱により、固定型22全体の温度と可動型24全体の温度とが、溶融樹脂のビカット軟化点の80〜90%の範囲内の温度に到達したら、二つの循環路内での熱媒体の循環を継続させた状態で、型締装置14にて、固定型22と可動型24とを型閉じ、型締めして、固定型22と可動型24との間に成形キャビティ34を形成する(図2参照)。その後、窒素ガス加熱装置17の貯留タンク内に貯留された加熱窒素ガスを、図2に矢印で示されるように、ガス流通パイプ66と細径貫通孔60aとを通じて、ガス流入口64から成形キャビティ34内に吹き込む。そして、かかる加熱窒素ガスを、成形キャビティ34内の略全体に亘って、その長さ方向に流動させた後、ガス流出口68から細径貫通孔60bに導いて、排出口70を通じて、大気中に排出する。これにより、射出操作の開始直前に、特に、固定型側キャビティ面30の全面に加熱窒素ガスを接触させて、固定型22のうちの固定型側キャビティ面30の全面のみを加熱する。
なお、ここでは、上記の如き固定型22と可動型24との型締めから、加熱窒素ガスによる固定型側キャビティ面30の加熱までの一連の操作が、制御装置18の制御の下で実施される。
すなわち、本操作では、2個の第一温度センサ54a,54bと第二温度センサ58とにて検出される温度が、溶融樹脂のビカット軟化点の80〜90%の範囲内の温度に達したときに、制御装置18において、固定型22全体の温度と可動型24全体の温度とが、目標温度に到達したと判断されて、制御装置18から型締装置14に対して、型締めを開始させる型締開始信号が出力される。そして、かかる型締開始信号に基づいて、型締装置14による型締めが行われ、それが完了すると、今度は、型締装置14から制御装置18に対して、型締完了信号が出力される。
次いで、制御装置18に型締完了信号が入力されると、それに基づいて、制御装置18からガス流通パイプ66上の電磁弁67に、電磁弁開作動信号が出力される。その後、かかる電磁弁開作動信号により、電磁弁67が開作動して、加熱窒素ガスが、窒素ガス加熱装置17内から、ガス流通パイプ66と細径貫通孔60aとを通じて成形キャビティ34内に吹き込まれる。そうして、射出操作の開始直前に、加熱窒素ガスとの接触による固定型側キャビティ面30の加熱操作が実施される。
なお、本操作では、少なくとも、目的とする樹脂成形品の意匠面を形成する固定型側キャビティ面30が、加熱窒素ガスとの接触による加熱により、成形キャビティ34内に射出、充填される溶融樹脂のビカット軟化点(摂氏温度)の110〜120%の範囲内の温度とされている必要がある。何故なら、加熱窒素ガスによる加熱により、固定型側キャビティ面30の温度が110%を下回る温度とされている場合には、かかる加熱操作に引き続いて実施される、後述の射出操作において、成形キャビティ内に射出される溶融樹脂の成形キャビティ内での流動性を十分に高めることが出来ず、そのために、目的とする樹脂成形品の意匠面に対するウェルドラインやフローマーク等の発生、或いは固定型側キャビティ面30の鏡面形状の転写性の低下等の問題が惹起される可能性が極めて大きくなるからである。
また、そのように、射出操作の開始直前に、加熱窒素ガスによる加熱により、固定型側キャビティ面30が、溶融樹脂のビカット軟化点の110%以上の温度とされておれば、ウェルドラインやフローマーク等の発生防止と固定型側キャビティ面30からの精密な意匠(例えば鏡面)の転写性の向上とが十分に実現され得るのであって、固定型側キャビティ面30の温度が、溶融樹脂のビカット軟化点の120%を超える温度とされても、ウェルドラインやフローマーク等の発生防止効果と固定型側キャビティ面30の鏡面形状の転写性の向上効果とが、更に高められることはない。固定型側キャビティ面30の温度を、加熱窒素ガスによる加熱により、溶融樹脂のビカット軟化点の120%を超える温度にまで上昇させる場合には、むしろ、窒素ガス自体を加熱するために、無駄な時間と余分なエネルギーとが必要となって、目的とする樹脂成形品の生産効率が低下することとなる。従って、本操作では、射出操作の開始直前に、固定型側キャビティ面30が、加熱窒素ガスとの接触による加熱により、溶融樹脂のビカット軟化点の120%以下の温度に抑えられている必要があるのである。
そして、本操作では、射出操作の開始直前に、固定型側キャビティ面30を溶融樹脂のビカット軟化点の110〜120%の範囲内の温度とするために、加熱窒素ガスの温度が、固定型側キャビティ面30の目標温度と同一の温度とされる。即ち、窒素ガス発生装置16から窒素ガス加熱装置17に送り込まれた窒素ガスが、窒素ガス加熱装置17にて、溶融樹脂のビカット軟化点の110〜120%の範囲内の温度にまで加熱されるのである。これによって、射出操作の開始直前に、固定型側キャビティ面30を目標温度とする加熱操作が、例えば、各種の制御機構を用いた厳密な制御を何等行うことなしに、容易に且つ安価に実施され得ることとなる。
次に、加熱窒素ガスによる加熱により、固定型側キャビティ面30の温度が、溶融樹脂のビカット軟化点の110〜120%の範囲内の温度に到達したら、加熱窒素ガスの成形キャビティ34内への吹込みを停止する。その後、射出装置11から溶融樹脂を射出させて、かかる溶融樹脂を、図2に示される固定盤19及び固定型22のスプルー38とサブスプルー40とゲート42とを通じて成形キャビティ34内に導き、そして、成形キャビティ34内を溶融樹脂にて充満させる。そして、そのような射出操作が完了したら、固定型22と可動型24の型締状態の下で、固定型22の媒体流路52a内と可動型24の媒体流路52b内とをそれぞれ含む二つの循環路内を循環する熱媒体により、固定型キャビティ面30を含む固定型22の全体と可動型側キャビティ面32を含む可動型24の全体とを、それぞれ冷却する。そうして成形キャビティ34内の溶融樹脂を冷却、固化させる。
なお、ここでは、上記の如き加熱窒素ガスの成形キャビティ34内への吹込み停止と、それに続く射出操作の開始から完了、更には成形キャビティ内の溶融樹脂の冷却までの一連の操作が、制御装置18の制御の下で実施される。
すなわち、本操作では、第二温度センサ58にて検出される温度が、溶融樹脂のビカット軟化点の110〜120%の範囲内の温度に達したときに、制御装置18において、固定型側キャビティ面30の温度が、目標温度に到達したと判断されて、制御装置18からガス流通パイプ66上の電磁弁67に、閉作動信号が出力される。その後、かかる閉作動信号に基づいて、電磁弁67が閉作動して、窒素ガス加熱装置17内からの加熱窒素ガスの流出が停止され、それにより、加熱窒素ガスの成形キャビティ34内への吹込みが停止される。
一方、制御装置18から電磁弁67への閉作動信号の出力と同時に、或いはその後に、制御装置18から射出装置11に対して、射出開始信号が出力される。その後、かかる射出開始信号に基づいて、射出装置11から溶融樹脂が、成形キャビティ34内に射出される。このとき、成形キャビティ34内に残留した加熱窒素ガスは、ガス流出口68から押し出されて、排出口70を通じて大気中に排出される。
そして、ここでは、制御装置18から射出開始信号が出力された時点から、制御装置18に内蔵されたタイマー装置(図示せず)の計時が開始され、かかるタイマー装置の計測時間が予め設定された時間となるまで、固定型22と可動型24との型締状態が維持されて、その間、各媒体流路52a,52bを含む循環路内の熱媒体による固定型22と可動型24の冷却により、成形キャビティ34内の溶融樹脂の冷却、固化が進行させられる。
そのような成形キャビティ34内の溶融樹脂の冷却に際しては、溶融樹脂のビカット軟化点の110〜120%の範囲内の温度にまで高められた固定型側キャビティ面30と可動型側キャビティ面32とが、溶融樹脂のビカット軟化点の80〜90%の範囲内の温度にまで冷却される必要がある。何故なら、成形キャビティ34内の溶融樹脂の冷却時に、固定型側キャビティ面30が、溶融樹脂のビカット軟化点の90%を超える温度とされていると、成形キャビティ34内の溶融樹脂の冷却、固化が不十分なものとなり、そのために、固化した樹脂成形品を、例えば、突出しピン等で突き出して、離型させる際に、突出しピンが、樹脂成形品を傷付けたり、樹脂成形品の突出しが困難となったりする可能性が極めて大きいからである。また、成形キャビティ34内の溶融樹脂の冷却時に、固定型側キャビティ面30と可動型側キャビティ面32とが、溶融樹脂のビカット軟化点の80%を下回る温度にまで低下した場合には、固定型22の全体の温度と可動型24の全体の温度とが、溶融樹脂のビカット軟化点の80%を下回る温度となってしまい、それによって、次回の射出成形操作の実施に先立って、それら固定型22の全体と可動型24の全体とを、溶融樹脂のビカット軟化点の80%以上の温度にまで加熱するための余分な操作を実施する必要が生じることとなるからである。
従って、本操作では、固定型側キャビティ面30と可動型側キャビティ面32とを溶融樹脂のビカット軟化点の80〜90%の範囲内の温度にまで冷却するのに必要な時間に、所定の時間を加えた時間が、制御装置18に内蔵のタイマー装置での計測時間として、設定されている。なお、このようなタイマー装置の設定時間は、例えば、各種の試験結果や経験等に基づいて求められる。また、制御装置18のタイマー装置による計時開始のタイミングを、第二温度センサ58にて検出される温度が溶融樹脂のビカット軟化点の80〜90%の範囲内の温度に到達した時点としても良い。
そして、ここでは、射出操作の開始前から、射出操作の実施中、更には射出操作の終了後に至るまで、即ち、射出成形操作の終始に亘って、熱媒体が、固定型22と可動型24の各媒体流路52a,52bをそれぞれ含む二つの循環路内を循環している。また、そのような熱媒体の温度が、固定型22と可動型24のそれぞれの全体の目標温度と同じ温度、即ち、溶融樹脂のビカット軟化点の80〜90%の範囲内の温度とされている。それ故、成形キャビティ34内の溶融樹脂の冷却時に、固定型側キャビティ面30と可動型側キャビティ面32とを、溶融樹脂のビカット軟化点の80〜90%の範囲内の温度とする冷却操作が、例えば、各種の制御機構を用いた厳密な制御を何等行うことなしに、容易に且つ安価に実施され得ることとなる。
そして、制御装置18に内蔵のタイマー装置による、予め設定された時間の計測が終了した時点で、固定型22と可動型24とを型開きする。その後、固化した樹脂成形品を離型する。なお、本操作では、タイマー装置による計時の終了と同時に、制御装置18から型締装置14に対して、型開き信号が出力され、それに基づいて、型締装置14により、固定型22と可動型24の型開きが行われるようになっている。
このように、本実施形態の射出成形装置を用いれば、固定型側キャビティ面30と可動型側キャビティ面32とが、溶融樹脂のビカット軟化点の110〜120%の高い温度にまで加熱された状態で、溶融樹脂が成形キャビティ34内に射出、充填されるようになる。それによって、最終的に得られる樹脂成形品に、ウェルドラインやフローマーク等が発生することが有利に防止され得ると共に、かかる樹脂成形品の表面に対して、固定型側キャビティ面30の鏡面形状が確実に且つ良好に転写され得る。また、射出操作後における固定型側キャビティ面30の冷却に要する時間の短縮化が、有利に図られ得る。
しかも、本実施形態では、射出操作の終了後から、次回の射出操作の開始前の間に亘って、固定型22の全体の温度と可動型24の全体の温度とが、溶融樹脂のビカット軟化点の80〜90%の範囲内の温度に維持されるように調節される。これにより、1個の樹脂成形品を射出成形する際はもとより、複数個の樹脂成形品を連続的に射出成形する際にあっても、射出操作の直前に、固定型側キャビティ面30を溶融樹脂のビカット軟化点よりも高い温度にまで加熱するための時間が、毎回、短い時間で済む。
従って、かくの如き本実施形態の射出成形装置によれば、ウェルドラインやフローマーク等の発生がなく、しかも固定型側キャビティ面30の鏡面形状が忠実且つ正確に転写された外観品質の優れた樹脂成形品が、十分に短い成形サイクルにて、極めて効率的に成形され得るのである。
また、本実施形態では、少なくとも固定型側キャビティ面30が、不活性ガスの一種たる窒素ガスを加熱した加熱窒素ガスとの接触により加熱されるようになっている。それ故、固定型側キャビティ面30での錆の発生が有利に防止され得ると共に、溶融樹脂の酸化による樹脂成形品の品質低下が未然に阻止され得る。
さらに、本実施形態においては、固定型側キャビティ面30を加熱窒素ガスにて加熱する際に、加熱窒素ガスが、成形キャビティ34内に掛け流し状態で流入されるようになっている。そのため、成形キャビティ34内への加熱窒素ガスの流入により、成形キャビティ34の内圧が、大気圧よりも著しく高められるようなことがない。これによって、加熱窒素ガスを成形キャビティ34内に流入させる際の作業や加熱窒素ガスの取扱いが容易とされると共に、有利に簡素化され得る。
更にまた、本実施形態では、固定型22と可動型24とが型締めされた状態で、加熱窒素ガスが、成形キャビティ34内に吹き込まれることにより、固定型側キャビティ面30が加熱されるようになっている。それ故、例えば、固定型22と可動型24との型開き状態で、固定型側キャビティ面30に対して、加熱窒素ガスを直接に吹き付けることにより、それら固定型側キャビティ面30を加熱する場合に比して、固定型側キャビティ面30が、より効率的に加熱され得る。
また、本実施形態においては、熱水乃至は温水からなる熱媒体が、固定型22と可動型24とにそれぞれ設けられた媒体流路52a,52b内を流通することにより、固定型22の全体と可動型24の全体とが、所定の温度にまで加熱され、或いは冷却されるようになっている。それ故、例えば、固定型22や可動型24の内部にヒータ等の加熱機器を埋設し、そのような加熱機器にて、固定型22と可動型24を加熱又は冷却する場合に比して、固定型22と可動型24のそれぞれの全体を、より効率的に加熱又は冷却することが出来る。
さらに、本実施形態では、型締装置14に設けられた型締検出センサと、固定型22及び可動型24に埋設された第一温度センサ54a,54bと第二温度センサ58と、制御装置18とを利用して、射出成形操作が進められるようになっている。これによって、射出成形操作の自動化が、効果的に図られ得る。
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないのであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
例えば、前記実施形態では、固定型22の全体と可動型24の全体の温度を調節する温度調節手段、及び成形キャビティ34内に溶融樹脂が充填された固定型22と可動型24の各キャビティ面30,32を冷却する冷却手段が、金型温度調節装置15と、それによって加熱された熱媒体が流通する媒体流路52a,52bとにて、構成されていた。しかしながら、そのような温度調節手段や冷却手段としては、例示の構造のものに代えて、或いはそれに加えて、固定型22や可動型24に埋設された電気ヒータ等の公知の加熱機器にて、固定型22と可動型24の温度を調節するようにした構造のものを用いても良い。
また、固定型22と可動型24の温度調節に利用する熱媒体としては、各種の油等、金型の温度調節用の熱媒体として利用されるものが、例示の熱水乃至は温水に代えて、何れも使用可能である。
さらに、前記実施形態では、射出成形操作の終始に亘って、固定型22の全体の温度と可動型24の全体の温度とが、溶融樹脂のビカット軟化点の80〜90%の範囲内の温度となるように調節されていたが、このような固定型22と可動型24のそれぞれの全体の温度の調節は、少なくとも、射出操作が実施されていない間に実施されておれば良い。従って、固定型22と可動型24のそれぞれの全体の温度の調節を、射出操作の実施前と実施後には実施するものの、射出操作中には実施しないように為すことも可能である。
更にまた、窒素ガス発生装置16を窒素ガスが充填されたボンベに変更しても良い。
また、少なくとも固定型側キャビティ面30に対して、それを加熱するのに接触させられる加熱ガスとしては、アルゴンガス等、窒素ガス以外の不活性ガスの各種を加熱したものが、加熱した窒素ガスに代えて、或いはそれと混合されて用いられ得る。
さらに、可動型側キャビティ面32や固定型側キャビティ面30に対するガス流入口64やガス排出口68の具体的な形成位置や形成個数は、例示のものに何等限定されるものではない。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
11 射出装置 12 射出成形用金型
14 型締装置 15 金型温度調節装置
16 窒素ガス発生装置 17 窒素ガス加熱装置
22 固定型 24 可動型
30 固定型側キャビティ面 32 可動型側キャビティ面
34 成形キャビティ 52a,52b 媒体流路
64 ガス流入口 68 ガス流出口
70 排出口

Claims (3)

  1. 射出成形用金型の成形キャビティ内への溶融樹脂の射出、充填操作が行われる前に、該射出成形用金型の全体が、該溶融樹脂のビカット軟化点(摂氏温度)の80〜90%の範囲内の温度に維持されるように、該射出成形用金型の全体の温度を調節する工程と、
    前記温度調節された射出成形用金型のキャビティ面に、加熱した不活性ガスからなる加熱ガスを接触させて、該キャビティ面を、前記溶融樹脂のビカット軟化点(摂氏温度)の110〜120%の範囲内の温度となるまで加熱する工程と、
    前記キャビティ面が加熱された射出成形用金型の前記成形キャビティ内に、前記溶融樹脂を射出、充填する工程と、
    前記成形キャビティ内への溶融樹脂の射出、充填後に、前記射出成形用金型のキャビティ面が、該溶融樹脂のビカット軟化点(摂氏温度)の80〜90%の範囲内の温度となるまで、該キャビティ面の温度を低下させて、該成形キャビティ内に射出、充填された該溶融樹脂を冷却、固化させる工程と、
    を含むことを特徴とする射出成形方法。
  2. 前記射出成形用金型として、気体は通過するものの、前記溶融樹脂は通過させない大きさを有して、前記成形キャビティ内に連通する貫通孔からなるガス導入口とガス排出口とを備えたものが用いられ、該射出成形用金型が型締めされた後、前記加熱ガスが、該ガス導入口を通じて該成形キャビティ内に導入されて、前記キャビティ面に接触させられることにより、該キャビティ面が加熱される一方、該成形キャビティ内に導入された該加熱ガスが、該ガス排出口を通じて外部に排出されるようになっている請求項1に記載の射出成型方法。
  3. 溶融樹脂を射出する射出装置と、
    該射出装置から射出される溶融樹脂が充填される成形キャビティを備えた射出成形用金型と、
    該射出成形用金型の全体が、前記溶融樹脂のビカット軟化点(摂氏温度)の80〜90%の範囲内の温度に維持されるように、該射出成形用金型の全体の温度を調節する温度調節手段と、
    不活性ガスを加熱した加熱ガスを前記射出成形用金型のキャビティ面に接触させることにより、該キャビティ面を、前記溶融樹脂のビカット軟化点(摂氏温度)の110〜120%の範囲内の温度となるまで加熱する加熱手段と、
    前記成形キャビティ内に前記溶融樹脂が充填された前記射出成形用金型のキャビティ面が、該溶融樹脂のビカット軟化点(摂氏温度)の80〜90%の範囲内の温度となるまで、該キャビティ面の温度を低下させることにより、該成形キャビティ内の溶融樹脂を冷却する冷却手段と、
    を含むことを特徴とする射出成形装置。
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