JP2024024714A - 中空鋳造装置および中空鋳造方法 - Google Patents

中空鋳造装置および中空鋳造方法 Download PDF

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昭男 岡本
Akio Okamoto
博晃 三吉
Hiroaki Mitsuyoshi
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Abstract

Figure 2024024714000001
【課題】厚肉部と薄肉部を備える鋳造品において、鋳造金型および鋳造装置等の設備の簡素化と安全確保、および、厚肉部の鋳巣改善と鋳造品の軽量化を可能とする、中空鋳造装置および中空鋳造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】厚肉部と薄肉部を備える金型キャビティ内に溶湯を充填して、厚肉部に充填された溶湯の内部に、温度上昇によって熱膨張する膨張ガスを注入する膨張ガス注入部および膨張ガス注入工程と、溶湯からの熱量を受けて膨張ガスが温度上昇して熱膨張するガス膨張工程と、ガス膨張工程によって厚肉部の溶湯の内部に中空部を形成する中空部形成工程と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、厚肉部と薄肉部を備える金型キャビティ内に溶湯を充填して、厚肉部の内部に中空部を形成する中空鋳造装置および中空鋳造方法に関するものである。
アルミニウム合金等の溶湯を金型キャビティ内に充填する鋳造成形は、設定された鋳造品の個数を製造するまで、以下に示す工程を繰り返す。先ず、鋳造金型を型締して金型キャビティを形成し(型締工程)、金型キャビティ内に溶湯を充填する(充填工程)。充填した溶湯の密度調整を行い(増圧工程)、その状態で溶湯を冷却凝固させる(冷却工程)。続いて、鋳造金型を型開して(型開工程)、金型キャビティから冷却凝固した鋳造品を取り出す(取出し工程)。その後、金型キャビティの清掃や離型剤塗布等の準備工程を行い、次ショットの鋳造成形に進む。
ここで、例えば、鋳造品の軽量化や剛性化、あるいは、鋳造品の内部に温調媒体等の流体を循環させる流路の形成、断熱材や制振材等の機能性素材を装着するスペースの確保、等を目的として、鋳造品の内部に中空部を形成する手段について提案が多くなされている。例えば、特許文献1に示すような、金型キャビティの所定の位置に砂中子を配置して溶湯を充填し、冷却工程後の鋳造品から砂中子を排出して、中空部を形成する手段が提案されている。また、特許文献2に示すような、中空部品を金型キャビティにインサートした状態で溶湯を充填し、中空部品を内包した鋳造品を製造する手段が提案されている。また、特許文献3に示すような、金型キャビティ内に溶湯を充填して充満させた後、まだ冷却凝固していない溶湯を金型キャビティから排出して、中空部を形成する手段が提案されている。さらに、特許文献4に示すような、金型キャビティに溶湯を充填して充満させた後、溶湯の内部に高圧ガスを注入して、まだ冷却凝固していない溶湯を金型キャビティから排出して、中空部を形成する手段が提案されている。
特開平2―241643号公報 特開2009-166130号公報 特開平11-5150号公報 特開2000-263212号公報
ここで、特許文献1において、砂中子の材料準備と造型設備および造型工程を必要とする。さらに、鋳造品から砂中子を排出し回収する処理設備と処理工程を必要とし、生産性の面で課題が残る。また、砂中子の一部が鋳造品の内部に残存すると鋳造品質を低下させることになる。さらに、金型キャビティに砂中子を支持するために、鋳造品に穴が開いた状態となり、鋳造品の形状設計に大きな制約を受ける。また、特許文献2において、鋳造品から中空部品を排出する工程は不要であるが、中空部品の材料準備と造型設備および造型工程は必要であり、生産性の面での課題は残る。また、鋳造品の内部に中空部品が残存しているために、その分ほど軽量化の効果が小さくなる。さらに、鋳造品の溶湯と中空部品の線膨張係数等の熱的物性が異なる場合、鋳造品が使用される環境温度によっては、鋳造品と中空部品とが離れ隙間が生じ、この隙間を起点として鋳造品の破損が生じることが考えられる。
これに対して、特許文献3において、砂中子や中空部品等を使用せず、鋳造成形と同時に中空部の形成を行うことから、生産性の高い手段と言える。金型キャビティと接触している溶湯は急速に冷却され薄い凝固層が形成される。この凝固層に孔を開けて空気を導入し、凝固層の内部の溶湯を鉛直下方の溶湯炉に向けて排出することで、中空部が形成される。ここで、例えば、鉛直上方に配列した金型キャビティでは、溶湯を排出することができないために中空部を形成することができない。また、薄肉部を備える金型キャビティでは、薄肉部の溶湯が凝固して溶湯の排出が停滞し、中空部が途切れてしまう。そのために、鋳造品の形状に大きな制約を受ける。さらに、中空部の内部圧力が小さく、金型キャビティ形状を正確に転写することができないために、鋳造品の外観品質に課題が残る。
これに対して、特許文献4において、凝固層に孔を開けて高圧ガスを注入し、凝固層の内部の溶湯を積極的に排出して中空部を形成する。また、中空部の内部圧力が高く、金型キャビティの形状を正確に転写した外観品質に優れた鋳造品を製造することができるとされている。反面、高圧ガスの供給設備を必要とするために、徹底した安全管理を必要とし、鋳造装置の大型化や複雑化は避けられない。さらに、例えば、厚肉部と薄肉部を備える金型キャビティでは、注入した高圧ガスが完全に凝固した薄肉部で遮断され、金型キャビティ内で高圧ガスの行き場が無くなってしまう。その結果、厚肉部に閉鎖された高圧ガスが、凝固層を突き破って噴出して、中空部が破裂した鋳造品となることが考えられる。また、高圧ガスの噴出と同時に溶湯も噴出するので、安全面での課題も残る。
そこで本発明は、厚肉部と薄肉部を備える鋳造品において、鋳造金型および鋳造装置等の設備の簡素化と安全確保、および、厚肉部の鋳巣改善と鋳造品の軽量化を可能とする、中空鋳造装置および中空鋳造方法を提供することを目的とする。
本発明の中空鋳造装置は、
厚肉部と薄肉部を備える金型キャビティ内に溶湯を充填して、前記厚肉部の内部に中空部を形成する中空鋳造装置において、
前記厚肉部に充填された前記溶湯の内部に、温度上昇によって熱膨張する膨張ガスを注入する膨張ガス注入部、を備えることを特徴とする。
本発明の中空鋳造装置において、
前記膨張ガス注入部は、前記厚肉部の溶湯に向けて膨張ガスを放出するガス注入ピンと、前記ガス注入ピンを前記厚肉部に対して進退させる注入ピン駆動部と、前記ガス注入ピンに前記膨張ガスを供給する膨張ガス供給部と、前記膨張ガス供給部と前記注入ピン駆動部を操作するガス注入制御部と、を備えることが好ましい。
本発明の中空鋳造方法は、
請求項1に記載の中空鋳造装置を用いて行う中空鋳造方法において、
鋳造金型を型締して前記厚肉部と前記薄肉部を備える前記金型キャビティを形成する型締工程と、前記金型キャビティに向けて溶湯を充填する充填工程と、充填された前記溶湯の密度調整を行う増圧工程と、前記金型キャビティ内で前記溶湯を冷却凝固させる冷却工程、とからなる鋳造成形を行うに際して、
前記充填工程に続いて、前記厚肉部に充填された前記溶湯の内部に前記膨張ガス注入部から温度上昇によって熱膨張する前記膨張ガスを注入する膨張ガス注入工程と、前記溶湯からの熱量を受けて前記膨張ガスが温度上昇して熱膨張するガス膨張工程と、前記ガス膨張工程によって前記厚肉部の内部に前記中空部を形成する中空部形成工程と、を備えることを特徴とする。
本発明の中空鋳造方法において、
前記ガス膨張工程で前記厚肉部の前記溶湯の密度調整を行う、ことが好ましい。
本発明によれば、厚肉部と薄肉部とが存在する鋳造品において、鋳造金型および鋳造装置等の設備の簡素化と安全確保、および、厚肉部の鋳巣改善と鋳造品の軽量化を可能とする、中空鋳造装置および中空鋳造方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係る中空鋳造装置を示す概念図である。 本発明の実施形態に係る中空鋳造方法の前半部分を示す図である。 本発明の実施形態に係る中空鋳造方法の中間部分を示す図である。 本発明の実施形態に係る中空鋳造方法の後半部分を示す図である。 図2から図4に示す膨張ガス注入部の先端部分を示す概念図である。
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが、各請求項に係る発明の解決手段に必須であるとは限らない。また、本実施形態においては、各構成要素の尺度や寸法が誇張されて示されている場合や、一部の構成要素が省略されている場合がある。
(中空鋳造装置)
先ず、本発明の実施形態に係る、鋳造品の内部に中空部を形成する鋳造装置(中空鋳造装置という)について、図1を用いて説明する。図1に示す中空鋳造装置100は、射出部10と、鋳造金型20と、膨張ガス注入部30と、を備える。なお、図1において、射出部10と鋳造金型20を鉛直上下方向に配置した竪型の中空鋳造装置100としたが、これに限定されることなく、例えば、射出部10と鋳造金型20が水平方向に配置される横型の中空鋳造装置100であっても良い。
射出部10は、アルミニウム合金等の溶湯Mを所定の温度に保持し貯蔵する溶湯保持炉11と、溶湯保持炉11内の溶湯Mを鋳造金型20に向けて流動させる給湯管12と、溶湯保持炉11内の加圧空間部11Gに向けて圧力および流量が調整された加圧ガスを供給する加圧ガス供給部13と、加圧ガス供給部13を操作する加圧ガス制御部14と、を備える。溶湯保持炉11は密閉されており、加圧空間部11Gに加圧ガスを供給すると、溶湯Mが押圧され、給湯管12内を溶湯Mが流動する。給湯管12は、流動する溶湯Mの保温と流動性を考慮して、セラミックス等の素材で形成されることが好ましい。必要に応じて図示しない保温手段を設けることが好ましい。同様に、溶湯保持炉11も図示しない加熱および保温手段が設けられている。
また、溶湯Mの酸化防止のために、溶湯保持炉11内を窒素やアルゴン等の不活性ガスで充満させることが好ましい。同様に、加圧ガス供給部13も窒素やアルゴン等の不活性ガスを用いることが好ましく、例えば、分離膜等を備えた空気中から窒素ガスのみを抽出する窒素ガス抽出手段を加圧ガス供給部13に用いるとしても良い。また、溶湯保持炉11とは別に、図示しない溶湯製造手段を備え、この溶湯製造手段から定期的に溶湯保持炉11に溶湯Mを供給する形態であっても良い。
鋳造金型20は、固定盤21に支持される固定金型22と、可動盤23に支持される可動金型24と、を備え、図示しない型締手段により固定金型22と可動金型24とが型締され、金型キャビティ25とゲート25G(湯口ともいう)を形成する。また、ゲート25Gと給湯管12とが連結される。加圧ガス制御部14で加圧ガス供給部13を操作して、加圧空間部11Gに向けて圧力および流量が調整された加圧ガスが供給され、加圧空間部11Gの圧力が上昇すると、溶湯保持炉11内の溶湯Mを押圧して、給湯管12内を溶湯Mが流動し、ゲート25Gを経由して金型キャビティ25内に溶湯Mが充満される。
ここで、金型キャビティ25は、図1に示すように、厚肉部25Bと薄肉部25Sを備える。なお、図1において、ゲート25Gに近い位置に薄肉部25S、ゲート25Gから離れた位置に厚肉部25Bとしたが、これに限定されることなく、例えば、ゲート25Gに近い位置に厚肉部25B、ゲート25Gから離れた位置に薄肉部25Sとしても良い。また、薄肉部25Sおよび厚肉部25Bを複数配置するとしても良い。また、ゲート25Gと対向する位置にゲート開閉部26を備え、鋳造成形の動作に応じてゲート25Gの開閉を行う。また、固定金型22および可動金型24には、図示しない温度調整手段を設け、金型キャビティ25内に充填される溶湯Mに対して最適な温度状態となるように調整される。さらに、金型キャビティ25に離型剤等を塗布することが好ましい。
膨張ガス注入部30は、金型キャビティ25の厚肉部25Bに近接する位置に配置され、厚肉部25Bに充填された溶湯Mの内部に向けて、温度上昇によって熱膨張する膨張ガスを放出するガス注入ピン31と、ガス注入ピン31を厚肉部25Bに対して進退させる注入ピン駆動部32と、ガス供給管35および注入ピン駆動部32を経由してガス注入ピン31へ膨張ガスを供給する膨張ガス供給部33と、膨張ガス供給部33と注入ピン駆動部32を操作するガス注入制御部34と、を備える。なお、図1において、2つの厚肉部25Bに対して膨張ガス供給部33およびガス注入制御部34をそれぞれに配置したが、膨張ガス供給部33およびガス注入制御部34を1つとして、それぞれの注入ピン駆動部32およびガス注入ピン31に分配する形態としても良い。また、射出部10に用いる加圧ガスを膨張ガスとして利用する場合は、加圧ガス供給部13から注入ピン駆動部32およびガス注入ピン31に膨張ガスを供給するとしても良い。なお、この場合は、射出部10と膨張ガス注入部30とで膨張ガスの圧力を個別に調整できる形態が好ましい。
ガス注入制御部34で膨張ガス供給部33を操作して、ガス注入ピン31から厚肉部25Bに充填された溶湯Mの中に、温度上昇によって膨張する膨張ガスを注入する。注入された膨張ガスは、溶湯Mから熱量を受けて温度上昇して熱膨張し、厚肉部25Bの溶湯Mの中に中空部が形成される。そのために、溶湯Mの内部に注入する膨張ガスは、必ずしも高圧状態を必要としない。また、少量の膨張ガスの注入であっても熱膨張することで、中空部を正確に形成することができる。このように、厚肉部25Bと薄肉部25Sを備える鋳造品において、金型キャビティ25の厚肉部25Bに充填された溶湯Mの中に、少量の低圧の安全な膨張ガスを注入するだけの簡単な手段により、鋳造品の中に中空部を形成することが可能な中空鋳造装置100を提供することができる。
(中空鋳造方法)
次に、本発明の実施形態に係る、鋳造品の内部に中空部を形成する鋳造方法(中空鋳造方法という)について、図2から図4を用いて説明する。なお、図2から図4は、図1に示す領域Aを拡大したものである。
先ず、図2(a)に示すように、図示しない型締手段を用いて、鋳造金型20の固定金型22と可動金型24を型締して金型キャビティ25を形成する(型締工程)。この時点では、厚肉部25Bに近接する位置に配置された膨張ガス注入部30のガス注入ピン31は、金型キャビティ25から離れた待機位置にいる。
次に、鋳造金型20のゲート開閉部26をゲート25Gから離れる方向に後退動作させて、ゲート25Gを開放する。同時に、射出部10の加圧ガス制御部14で加圧ガス供給部13を操作して、溶湯保持炉11内の加圧空間部11G内に向けて、圧力および流量が調整された加圧ガスを供給する。加圧空間部11Gは、加圧ガスの供給を受けて圧力が上昇し、溶湯保持炉11内の溶湯Mを押圧する。押圧された溶湯Mは、給湯菅12内およびゲート25Gを経由して、図2(b)に示すように、金型キャビティ25内に充填される(充填工程)。また、充填工程の開始と同時に、あるいは、充填工程の開始前に、ガス注入制御部34で注入ピン駆動部32を操作して、厚肉部25Bの溶湯Mに向けて膨張ガスを放出する位置(ガス注入位置という)にガス注入ピン31を移動させる(侵入動作という)。この侵入動作は、金型キャビティ25内に充填された溶湯Mが、厚肉部25Bに到達する前に行う。
次に、図3(c)に示すように、金型キャビティ25内に溶湯Mが充満されると、溶湯Mの押圧力(鋳造圧力という)を増大させて、溶湯Mの密度調整を行う(増圧工程)。ここで、増圧工程は、射出部10の加圧ガス制御部14で加圧ガス供給部13を操作して、加圧空間部11Gに供給する加圧ガスの圧力を増大させて、給湯管12およびゲート25Gを経由して、金型キャビティ25内の鋳造圧力を増大させる(射出部10からの増圧工程)。また、鋳造金型20のゲート開閉部26をゲート25Gに向けて前進動作させて、金型キャビティ25内の溶湯Mを押圧して増圧工程を補助するとしても良い。この場合、ゲート25Gから離れた位置に配置された厚肉部25Bに適切な鋳造圧力を負荷するために、射出部10は大きな鋳造圧力を発生することができる大型の設備を必要とする。
特に、薄肉部25Sを経由して厚肉部25Bへ射出部10からの増圧工程を行う場合は、薄肉部25Sの溶湯Mは直ぐに冷却凝固するので、鋳造圧力を効率よく厚肉部25Bに伝達することができず、射出部10はさらなる大型化が要求される。また、過大な鋳造圧力の負荷により、金型キャビティ25を形成する固定金型22と可動金型24の押圧力(型締力という)が負けて、金型キャビティ25が開いて、溶湯Mが漏れ出て鋳バリ不良となることが心配される。さらに、厚肉部25Bの溶湯Mの冷却凝固に要する時間は長く、射出部10からの増圧工程の時間も長くなって、鋳造サイクルが長くなり生産性が大きく低下する。
そこで、薄肉部25Sの溶湯Mの密度調整は、射出部10からの増圧工程で行い、厚肉部25Bの溶湯Mの密度調整(増圧工程)を膨張ガス注入部30で行うものとする(増圧工程の分担)。薄肉部25Sの溶湯Mは、冷却凝固の時間が短いので、射出部10からの増圧工程も短時間で良い。その結果、鋳造金型10のゲート開閉部26を動作させてゲート25Gの閉鎖を早くすることができ、射出部10の次ショットの鋳造成形の準備を先行して行ことができ、鋳造サイクルの短縮を可能とする。その後の金型キャビティ25内で溶湯Mを所定の温度まで冷却する冷却工程の中で、膨張ガス注入部30からの厚肉部25Bの増圧工程を終えるとすると、鋳造サイクルの短縮を確実なものとすることができる。また、薄肉部25Sのみを選択的に射出部10からの増圧工程とすることにより、射出部10の小型化を可能とし、中空鋳造装置100の簡素化を可能とする。
厚肉部25Bの増圧工程は、図3(d)に示すように、ガス注入制御部34で膨張ガス供給部33を操作して、ガス供給管35および注入ピン駆動部32を経由して、ガス注入ピン31から厚肉部25Bに充填された溶湯Mの中に、所定量の膨張ガスGを注入する(膨張ガス注入工程)。この時、金型キャビティ25と接触している溶湯Mが局部的に冷却凝固して、卵の殻のように薄い凝固層が形成され、凝固層の内部に流動性を示す溶湯Mが存在する状態であることが好ましい。膨張ガスGは、この凝固層に囲まれた溶湯Mに向けて注入する。なお、ガス注入ピン31を予めガス注入位置に侵入させているとしたが、例えば、溶湯Mが充填された後に、凝固層を貫通するようにガス注入ピン31の侵入動作を行うとしても良い。
また、射出部10からの増圧工程の鋳造圧力は、薄肉部25Sで遮断されて、厚肉部25Bには伝達し難く、厚肉部25Bの溶湯Mの圧力は低くなっている。溶湯Mからの熱量によって熱膨張することと合わさって、膨張ガス注入工程において、少量の低圧の膨張ガスGを用いることができ、膨張ガス注入部30の小型化と安全性が確保される。
厚肉部25Bの凝固層内の溶湯Mに向けて注入された低圧の膨張ガスGは、図4(e)に示すように、溶湯Mから熱量を受けて温度上昇し熱膨張する(ガス膨張工程)。例えば、膨張ガスGに室温に調整された乾燥空気を用い、溶湯Mの温度を700℃とすると、膨張ガスGも700℃近くまで温度上昇する。この温度上昇により、膨張ガスGは約10倍に熱膨張する。この時、溶湯Mは、凝固層で囲まれていること、厚肉部25Bに隣接する薄肉部25Sは冷却凝固していることから、金型キャビティ25の厚肉部25Bは密閉状態である。その結果、熱膨張した膨張ガスGによって、厚肉部25B内の溶湯Mの圧力が上昇し、溶湯Mを金型キャビティ25に強固に押圧する(膨張ガス注入部30からの増圧工程)。これにより、金型キャビティ25の転写性の高い高品質な外観性を有する中空鋳造品を得ることができる。また、膨張ガスGの熱膨張は、溶湯Mの温度が最も高い部位、つまり、冷却凝固が遅く鋳巣が発生しやすい部位を優先的に行うので、鋳巣の全くない鋳造品を製造することができる。その結果、選択的に厚肉部25Bの内部に中空部を形成することができ、軽量で鋳巣の無い外観性に優れた高品質な鋳造品の安定生産を可能とする中空成形方法を提供することができる。
射出部10からの増圧工程と、膨張ガス注入部30からの増圧工程を維持して、金型キャビティ25内の溶湯Mの冷却凝固を行う(冷却工程)。その後、図4(f)に示すように、ガス注入制御部34で膨張ガス供給部33を操作して、膨張ガスGの供給を停止する。同時に、注入ピン駆動部32を操作して、ガス注入ピン31を厚肉部25Bから引き抜いて待機位置に戻す。厚肉部25Bの内部は、膨張ガスGの膨張跡とガス注入ピン31の突出し跡の中空部GHを形成する(中空部形成工程)。この中空部GHを、例えば、鋳抜きピン孔等に利用することができ、鋳造品の後加工処理の削減によるコスト低減効果を得る。また、膨張ガスGの注入量を調整することで、中空部GHの大きさを調整でき、軽量効果が発揮される。さらに、中空部GHをリブ構造物として、軽量と剛性を兼ね備えた中空鋳造品を得ることができる。また、膨張ガスGの注入位置の調整により、中空部GHを設定された位置に配置した中空鋳造品を製造することもできる。その結果、高品質な中空鋳造品の安定生産を可能とする中空鋳造方法を提供することができる。
ここで、ガス注入ピン31の先端形状の実施形態について、図5を用いて説明する。ガス注入ピン31の先端形状は、膨張ガスGを通過させて溶湯Mの中に注入することができ、溶湯Mがガス注入ピン31の内部に流入しないことが望まれる。そのために、例えば、図5(a)に示すように、ガス注入ピン31の内部に膨張ガスGが通過するガス流路311を備え、ガス流路311の先端をセラミックス等の多孔質ブロック312を配置する。この多孔質ブロック312は、膨張ガスGと溶湯Mの粘性の違いを利用して、膨張ガスGを通過し溶湯Mを遮断する隙間を設ける。なお、多孔質ブロック312は交換可能な形態とすることで、メンテナンスの簡素化を図ることができる。また、多孔質ブロック312を平面形状としたが、例えば、球面や円錐形状としても良い。
次に、鋳造成形の工程に応じて、膨張ガスGの供給と停止を積極的に操作する実施形態について、図5(b)および図5(c)を用いて説明する。ガス注入ピン31のガス流路311の先端を円錐状に拡大する。この円錐状と勘合する摺動可能な摺動ピン313を設ける。また、注入ピン駆動部32にガス注入制御部34で操作される図示しない摺動ピン313の駆動手段を設ける。先ず、図5(b)に示すように、摺動ピン313とガス流路311の円錐形状が密着するように摺動させて、ガス流路311を閉鎖し、膨張ガスGの供給を停止とする。次に、図5(c)に示すように、摺動ピン313を摺動させて、摺動ピン313とガス流路311の円錐形状に隙間を形成させて、ガス流路311を開放状態とし、膨張ガスGの供給を行う。これにより、溶湯Mの遮断と膨張ガスGの通過を確実にすることができる。なお、仮に、摺動ピン313とガス流路311の円錐形状の隙間に溶湯Mが差し込んだとしても、固定金型22と可動金型24の型開状態で、摺動ピン313を摺動させてガス流路311を開放させた状態で、膨張ガスGを勢いよく噴射して、差し込んだ溶湯Mの清掃を行うことができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に記載された範囲には限定されない。上記の実施形態には多様な変更または改良を加えることが可能である。
100 中空鋳造装置
10 射出部
11 溶湯保持炉
11G 加圧空間部
12 給湯管
13 加圧ガス供給部
14 加圧ガス制御部
20 鋳造金型
21 固定盤
22 固定金型
23 可動盤
24 可動金型
25 金型キャビティ
25G ゲート
25S 薄肉部
25B 厚肉部
26 ゲート開閉部
30 膨張ガス注入部
31 ガス注入ピン
311 ガス流路
312 多孔質ブロック
313 摺動ピン
32 注入ピン駆動部
33 膨張ガス供給部
34 ガス注入制御部
35 ガス供給管
M 溶湯
A 領域
G 膨張ガス
GH 中空部

Claims (4)

  1. 厚肉部と薄肉部を備える金型キャビティ内に溶湯を充填して、前記厚肉部の内部に中空部を形成する中空鋳造装置において、
    前記厚肉部に充填された前記溶湯の内部に、温度上昇によって熱膨張する膨張ガスを注入する膨張ガス注入部、を備えることを特徴とする中空鋳造装置。
  2. 前記膨張ガス注入部は、前記厚肉部の溶湯に向けて膨張ガスを放出するガス注入ピンと、前記ガス注入ピンを前記厚肉部に対して進退させる注入ピン駆動部と、前記ガス注入ピンに前記膨張ガスを供給する膨張ガス供給部と、前記膨張ガス供給部と前記注入ピン駆動部を操作するガス注入制御部と、を備える請求項1に記載の中空鋳造装置。
  3. 請求項1に記載の中空鋳造装置を用いて行う中空鋳造方法において、
    鋳造金型を型締して前記厚肉部と前記薄肉部を備える前記金型キャビティを形成する型締工程と、前記金型キャビティに向けて溶湯を充填する充填工程と、充填された前記溶湯の密度調整を行う増圧工程と、前記金型キャビティ内で前記溶湯を冷却凝固させる冷却工程、とからなる鋳造成形を行うに際して、
    前記充填工程に続いて、前記厚肉部に充填された前記溶湯の内部に前記膨張ガス注入部から温度上昇によって熱膨張する前記膨張ガスを注入する膨張ガス注入工程と、前記溶湯からの熱量を受けて前記膨張ガスが温度上昇して熱膨張するガス膨張工程と、前記ガス膨張工程によって前記厚肉部の内部に前記中空部を形成する中空部形成工程と、を備えることを特徴とする中空鋳造方法。
  4. 前記ガス膨張工程で前記厚肉部の前記溶湯の密度調整を行う、請求項3に記載の中空鋳造方法。
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