JP2005305466A - 溶湯鍛造装置および溶湯鍛造法 - Google Patents
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Abstract
【課題】形状が複雑で、かつ、健全な金属組織が要求される金属部材に対し、生産性が高い製造装置を提供する。
【解決手段】型のキャビティC内の溶湯にプレス圧力を加えて、溶湯を成形、凝固させる溶湯鍛造装置1であって、溶湯が注湯される湯だまりBとキャビティCとの間に、湯だまりBに注湯された溶湯をキャビティCに導く湯道Rを設ける。湯だまりB内の溶湯に圧力を加える第1加圧ピストン4と、キャビティC内の溶湯に圧力を加える第2加圧ピストン15とを設け、湯だまりB、湯道RおよびキャビティC内に溶湯が供給された状態で、湯だまりB内とキャビティC内の溶湯に圧力を加えて、溶湯をキャビティCの形状に成形、凝固させる。
【選択図】図1
【解決手段】型のキャビティC内の溶湯にプレス圧力を加えて、溶湯を成形、凝固させる溶湯鍛造装置1であって、溶湯が注湯される湯だまりBとキャビティCとの間に、湯だまりBに注湯された溶湯をキャビティCに導く湯道Rを設ける。湯だまりB内の溶湯に圧力を加える第1加圧ピストン4と、キャビティC内の溶湯に圧力を加える第2加圧ピストン15とを設け、湯だまりB、湯道RおよびキャビティC内に溶湯が供給された状態で、湯だまりB内とキャビティC内の溶湯に圧力を加えて、溶湯をキャビティCの形状に成形、凝固させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、形状が複雑で、かつ、健全な金属組織が要求される金属部材の製造方法に関し、特に溶湯鍛造法およびその装置に関する。
例えば、自動車のアンチロックブレーキシステム・ハウジング(以下、「ABSハウジング」という)などの金属部品(部材)は、形状が複雑であり、また、金属組織や機械的特性が良好(素材の特性どおりであること)かつ均質であることが要求される。このような金属部材を製造する方法としては、鋳造法、ダイカスト法または、押し出し材を機械加工(切削、研削加工など)する方法などがある(例えば、特許文献1参照。)。
特開2002−161326号公報
ところで、鋳造法やダイカスト法では、溶湯(例えば、溶融アルミニウム)中のガスや、溶湯を金型のキャビティ内に充填する際に巻き込まれたガス(外気)などが、ピンホールやブローホール(気泡)となって製品(部材)内部に封じ込められる場合がある。この他、収縮巣(最後に凝固する部分に収縮が集まってできる空洞)や凝固組織(結晶粒)の不均一化などの鋳造欠陥が生じる場合がある。特に、製品の形状が複雑な場合により発生し得る。そして、このような鋳造欠陥は、ABSハウジングなど金属組織や機械的特性が良好かつ均質であることが求められる部材では、あってはならないものであり、不良品として扱われる。
また、押し出し材を機械加工する方法では、機械的特性などが良好かつ均質である押し出し材を用いるため、上記のような鋳造欠陥はないが、機械加工するため、膨大な製造稼働を要し、また、歩留まりも低く、製造費が高くなってしまう。
そこで本発明は、形状が複雑で、かつ、健全な金属組織が要求される金属部材に対し、生産性が高い製造装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、型のキャビティ内の溶湯にプレス圧力を加えて、溶湯を成形、凝固させる溶湯鍛造装置において、溶湯が注湯される湯だまりとキャビティとの間に、湯だまりに注湯された溶湯をキャビティに導く湯道を設ける。また、湯だまり内の溶湯に圧力を加える第1加圧ピストンと、キャビティ内の溶湯に圧力を加える第2加圧ピストンとを設け、湯だまり、湯道およびキャビティ内に溶湯が供給された状態で、湯だまり内とキャビティ内の溶湯に圧力を加えて、溶湯をキャビティの形状に成形、凝固させることを特徴としている。
(作用)
第1加圧ピストンによって湯だまり内の溶湯が加圧されるため、溶湯がキャビティの隅々に隙間なく充填されるとともに、この加圧によって充填時のガスの巻き込み(残留)が抑制され、さらに収縮巣が発生しない。また、第1加圧ピストンによる鍛造効果によって、製品(キャビティ内の溶湯)が均質化、高密度化され、機械的性質が向上する。さらに、第1加圧ピストンによる加圧によって、溶湯とキャビティとの間にエアギャップが発生せず、溶湯の冷却速度が速くなり、この結果、微細な凝固組織が得られる。
しかも、第2加圧ピストンによってキャビティ内の溶湯も加圧されるため、これらの作用が向上する。すなわち、第1加圧ピストンにより間接押込溶湯鍛造の効果が得られ、第2加圧ピストンにより直接押込溶湯鍛造の効果が得られる。この結果、複雑な製品形状に対しても、ニアネットシェイプ(一度の加工で最終形状に近い形状に成形すること)が可能となる。
(作用)
第1加圧ピストンによって湯だまり内の溶湯が加圧されるため、溶湯がキャビティの隅々に隙間なく充填されるとともに、この加圧によって充填時のガスの巻き込み(残留)が抑制され、さらに収縮巣が発生しない。また、第1加圧ピストンによる鍛造効果によって、製品(キャビティ内の溶湯)が均質化、高密度化され、機械的性質が向上する。さらに、第1加圧ピストンによる加圧によって、溶湯とキャビティとの間にエアギャップが発生せず、溶湯の冷却速度が速くなり、この結果、微細な凝固組織が得られる。
しかも、第2加圧ピストンによってキャビティ内の溶湯も加圧されるため、これらの作用が向上する。すなわち、第1加圧ピストンにより間接押込溶湯鍛造の効果が得られ、第2加圧ピストンにより直接押込溶湯鍛造の効果が得られる。この結果、複雑な製品形状に対しても、ニアネットシェイプ(一度の加工で最終形状に近い形状に成形すること)が可能となる。
請求項2に記載の発明は、第2加圧ピストンの加圧方向が湯道に対向するように、第2加圧ピストンを配置したことを特徴としている。
(作用)
キャビティ内の溶湯が、湯道側からは第1加圧ピストンにより加圧され、この加圧方向の対向側からは第2加圧ピストンにより加圧される。この結果、キャビティ内の溶湯に対する上記の加圧、鍛造作用がさらに向上される。
(作用)
キャビティ内の溶湯が、湯道側からは第1加圧ピストンにより加圧され、この加圧方向の対向側からは第2加圧ピストンにより加圧される。この結果、キャビティ内の溶湯に対する上記の加圧、鍛造作用がさらに向上される。
請求項3に記載の発明は、湯道の湯だまり側開口を、注湯された溶湯が一旦溜まる湯だまりの底部よりも高く位置させたことを特徴としている。
(作用)
湯だまりに注湯された溶湯は一旦底部に溜まり、この底部から溢れた溶湯が湯道を介してキャビティへと流入する。このため、キャビティへ流入する溶湯は非乱流となり、溶湯がキャビティ内に隙間なく充填され、かつ、外気(空気)を巻き込むことがない。
(作用)
湯だまりに注湯された溶湯は一旦底部に溜まり、この底部から溢れた溶湯が湯道を介してキャビティへと流入する。このため、キャビティへ流入する溶湯は非乱流となり、溶湯がキャビティ内に隙間なく充填され、かつ、外気(空気)を巻き込むことがない。
請求項4に記載の発明は、湯だまりから等距離に複数のキャビティを配置したことを特徴としている。
(作用)
キャビティが複数設けられているため、一度に複数の製品が得られるとともに、各キャビティが湯だまりから等距離に配置されているため、各キャビティに対する湯流れ(湯廻り)、加圧が均等になり、各キャビティから均質な製品が得られる。
(作用)
キャビティが複数設けられているため、一度に複数の製品が得られるとともに、各キャビティが湯だまりから等距離に配置されているため、各キャビティに対する湯流れ(湯廻り)、加圧が均等になり、各キャビティから均質な製品が得られる。
請求項5に記載の発明は、湯道の温度を調節する湯道温度調節手段が設けられ、キャビティ内の溶湯が凝固した後に、湯道内の溶湯が凝固するように、湯道の温度を調節することを特徴としている。
(作用)
キャビティ内の溶湯が凝固した後に湯道内の溶湯が凝固するため、湯道内に偏析が生じ、キャビティ内すなわち製品内は、偏析のない健全な組織となる。
(作用)
キャビティ内の溶湯が凝固した後に湯道内の溶湯が凝固するため、湯道内に偏析が生じ、キャビティ内すなわち製品内は、偏析のない健全な組織となる。
本発明によれば、第1加圧ピストンによる間接押込溶湯鍛造の効果と、第2加圧ピストンによる直接押込溶湯鍛造の効果とにより、複雑な製品形状に対しても、気泡や収縮巣がなく、凝固組織が微細で機械的性質が均質な製品(金属部材)を製造することができる。しかも、溶湯鍛造は機械加工に比べて生産性がはるかに高く、かつ、本発明によればニアネットシェイプが可能であるため、生産性がさらに向上される。
以下、本発明を図示の実施形態に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る溶湯鍛造装置1であって、上型6とサイド型14とを閉じた状態を示す断面図である。
図中2は、溶湯鍛造プレスの上ボルスタであり、この上ボルスタ2の下に上ラム3が配置され、この上ラム3はアウターラムポンプ(図示せず)によって上下動するようになっている。また、図中4は第1加圧ピストンであり、インナーラムポンプ(図示せず)によって上ラム3とは独立して上下動できるようになっている。
上ラム3には、接続部材5を介して上型6が取り付けられ、この上型6の中心部に湯だまりBを形成するスリーブ7が設けられている。すなわち、上型6は円盤形をしており、その中心に円筒形のスリーブ7がインサートされ、スリーブ7を中心として4つの上キャビティ6aが放射線状(スリーブ7から等距離で90度毎)に形成されている。また、スリーブ7には各上キャビティ6aにつながるスリット7aが形成され、このスリット7aと後述する下型13とによって、湯道Rが形成されるようになっている。また、各上キャビティ6aの外周側には、型締めした際に後述する各サイド型14を固定するロッキングブロック8が取り付けられている。
接続部材5と上型6との間には断熱板9が設けられ、上型6の熱放出を抑制するようになっている。さらに、上型6の外周には、上型6を昇温、保温する金型昇温装置10が設けられている。
接続部材5と上型6との間には断熱板9が設けられ、上型6の熱放出を抑制するようになっている。さらに、上型6の外周には、上型6を昇温、保温する金型昇温装置10が設けられている。
一方、図中11は、溶湯鍛造プレスの下ボルスタであり、この下ボルスタ11に下型ホルダー12を介して下型13が取り付けられている。なお、下ボルスタ11と下型ホルダー12との間、および、下型ホルダー12と下型13との間には、上記の断熱板9と同様の役目をする断熱板17,18がそれぞれ設けられている。
この下型13は、図2に示すように、上型6と同様に円盤形をしており、その中心に摺動穴13aが形成され、この摺動穴13aを中心として4つの下キャビティ13bが、上記上型6の上キャビティ6aに対応する位置に形成されている。そして、図1,2に示すように、各下キャビティ13bの外周側で、摺動穴13aと対向する位置に、サイド型14が配置されている。
このサイド型14には第2加圧ピストン15が内設され、サイド型14および第2加圧ピストン15は、油圧シリンダー16によって往復動(水平方向に前進、後退)するようになっている。すなわち、サイド型14および第2加圧ピストン15は、下型13の摺動穴13aに対向して往復動し、サイド型14が摺動穴13a側に前進し型締めした際に、上型6の上キャビティ6a、下型13の下キャビティ13bおよび、サイド型14によってキャビティCが形成されるようになっている。また、下型13には、図2に示すように、摺動穴13aと各下キャビティ13bとをつなぐスリット13cが形成され、このスリット13cとスリーブ7のスリット7aおよび上型6とによって、湯道Rが形成されるようになっている。さらに、スリット13cとスリット7aには断熱材(湯道温度調節手段、図示せず)が設けられ、後述する冷却装置によって上型6および下型13が冷却されても、湯道Rの温度がキャビティC内の温度よりも高くなるようになっている。これにより、キャビティC内の溶湯が凝固した後に、湯道R内の溶湯が凝固するようになっている。
なお、図1に示すように、第2加圧ピストン15と油圧シリンダー16との間には、上記の断熱板9と同様の役目をする断熱板19が設けられている。さらに、下型13の外周には、金型昇温装置10が設けられている。また、第2加圧ピストン15には、摺動性と耐熱性とを高めるために、TiNコーティングやTiAlNコーティングなどの表面処理が施されている。
図1中20は下ラムであり、下ラムポンプ(図示せず)によって上下動するようになっている。この下ラム20の上には、エジェクターホルダー21を介してブロック状のエジェクター22が取り付けられており、このエジェクター22の上部は、下型13の摺動穴13a内に上下動可能に嵌合されている。そして、型締めした際に、このエジェクター22とスリーブ7とによって、湯だまりBが形成されるようになっている。また、エジェクター22の上面には凹部22aが形成されており、型締めした際に、この凹部22aが湯だまりBの底部となり、湯道Rがこの凹部22a(底部)よりも上に(高く)位置し、湯だまりBと各キャビティCとがほぼ水平に位置するようになっている。また、エジェクターホルダー21には、各キャビティCに対してエジェクトピン23が配置され、下ラム20が上昇すると、このエジェクトピン23が下型13の下キャビティ13bから突出するようになっている。
この下型13は、図2に示すように、上型6と同様に円盤形をしており、その中心に摺動穴13aが形成され、この摺動穴13aを中心として4つの下キャビティ13bが、上記上型6の上キャビティ6aに対応する位置に形成されている。そして、図1,2に示すように、各下キャビティ13bの外周側で、摺動穴13aと対向する位置に、サイド型14が配置されている。
このサイド型14には第2加圧ピストン15が内設され、サイド型14および第2加圧ピストン15は、油圧シリンダー16によって往復動(水平方向に前進、後退)するようになっている。すなわち、サイド型14および第2加圧ピストン15は、下型13の摺動穴13aに対向して往復動し、サイド型14が摺動穴13a側に前進し型締めした際に、上型6の上キャビティ6a、下型13の下キャビティ13bおよび、サイド型14によってキャビティCが形成されるようになっている。また、下型13には、図2に示すように、摺動穴13aと各下キャビティ13bとをつなぐスリット13cが形成され、このスリット13cとスリーブ7のスリット7aおよび上型6とによって、湯道Rが形成されるようになっている。さらに、スリット13cとスリット7aには断熱材(湯道温度調節手段、図示せず)が設けられ、後述する冷却装置によって上型6および下型13が冷却されても、湯道Rの温度がキャビティC内の温度よりも高くなるようになっている。これにより、キャビティC内の溶湯が凝固した後に、湯道R内の溶湯が凝固するようになっている。
なお、図1に示すように、第2加圧ピストン15と油圧シリンダー16との間には、上記の断熱板9と同様の役目をする断熱板19が設けられている。さらに、下型13の外周には、金型昇温装置10が設けられている。また、第2加圧ピストン15には、摺動性と耐熱性とを高めるために、TiNコーティングやTiAlNコーティングなどの表面処理が施されている。
図1中20は下ラムであり、下ラムポンプ(図示せず)によって上下動するようになっている。この下ラム20の上には、エジェクターホルダー21を介してブロック状のエジェクター22が取り付けられており、このエジェクター22の上部は、下型13の摺動穴13a内に上下動可能に嵌合されている。そして、型締めした際に、このエジェクター22とスリーブ7とによって、湯だまりBが形成されるようになっている。また、エジェクター22の上面には凹部22aが形成されており、型締めした際に、この凹部22aが湯だまりBの底部となり、湯道Rがこの凹部22a(底部)よりも上に(高く)位置し、湯だまりBと各キャビティCとがほぼ水平に位置するようになっている。また、エジェクターホルダー21には、各キャビティCに対してエジェクトピン23が配置され、下ラム20が上昇すると、このエジェクトピン23が下型13の下キャビティ13bから突出するようになっている。
なお、図示していないが、上型6,下型13,第1加圧ピストン4および第2加圧ピストン15を冷却するための、冷却装置(ポンプによって冷却媒体を供給、循環させる装置)が設けられている。また、この冷却装置と金型昇温装置10とを制御装置(図示せず)で制御することで、金型温度を制御するようになっている。
次に、このような構成の溶湯鍛造装置1によって、ABSハウジングなどの複雑な形状を有する製品を製造する工程について説明する。なお、本実施形態では、溶湯Yの材質を、ABSハウジングに一般に用いられているアルミニウム合金AC4Cとする。
まず、図3に示すように、型開きした状態で上型6および下型13の温度を所定の温度まで上昇させ、保温しておく。これにより、製造開始前の待ち時間を短くできる。この状態で、上型6(上キャビティ6a),下型13(下キャビティ13b),第1加圧ピストン4および第2加圧ピストン15に、離型剤を霧状に塗布する。ここで、離型剤には、溶湯Yと金型6,13間との断熱性に優れ、かつ、金型6,13と素形材S(製品部と湯だまり部、湯道部が一体となった被溶湯鍛造物)との離型性に優れた断熱性離型剤を用いる。また、離型剤を霧状に塗布することで、離型剤の塗布量が過剰にならず、金型6,13の温度低下や、溶湯充填時に溶湯Y中に離型剤が混入するのを防ぐことができる。さらに、過剰な離型剤のエアーブロー除去も必要なくなる。
次に、油圧シリンダー16によって、サイド型14と第2加圧ピストン15とをエジェクター22側に前進させ、かつ、上ラム3を下降させて、図4に示すように、上型6およびスリーブ7を閉じる。このとき、ロッキングブロック8がサイド型14の上部に嵌合し、これによりサイド型14が固定(ロック)される。この後、油圧シリンダー16によって第2加圧ピストン15を後退させる。この型締めにより、湯だまりB、湯道RおよびキャビティCが形成される。
この状態で、図5に示すように、溶湯Yをとりべ24から注湯ロート(図示せず)を介して湯だまりB(スリーブ7)に注湯する。すると溶湯Yは、一旦湯だまりBの底部(エジェクター22の凹部22a)に溜まり、この底部から溢れた溶湯Yが湯道Rを介して各キャビティCへと流入する。このように、湯だまりBの底部から溶湯Yが溢れて流れ出るため、キャビティCへ流入する溶湯Yは非乱流となり、溶湯YがキャビティC内に隙間なく供給され、かつ、外気(空気)を巻き込むことがない。しかも、湯だまりBを中心として4つのキャビティCが、等距離で放射線状に形成されているため、各キャビティCに対する湯流れが均一、かつ同時に行われる。なお、本実施形態では、溶湯Yをとりべ24によって注湯しているが、溶湯タンクからポンプによって溶湯Yを自動注湯するダイレクト注湯であってもよい。
そして、湯だまりB、湯道Rおよび各キャビティC内に溶湯Yが供給された直後に、図6に示すように、第1加圧ピストン4を下降させて湯だまりB内の溶湯Yを加圧する。そして、この加圧によって、溶湯YがキャビティC内に隙間なく充填される。同時に、各油圧シリンダー16によって第2加圧ピストン15を湯だまりB側に前進させ、キャビティC内の溶湯Yを加圧する。これにより、溶湯YのキャビティC内への充填がさらに促進される。
続いて、冷却装置によって、上型6,下型13,第1加圧ピストン4および第2加圧ピストン15を冷却し、溶湯Yが凝固するまで、第1加圧ピストン4および第2加圧ピストン15による加圧を保持する。このように加圧を保持することで、溶湯Yが凝固収縮しても溶湯YとキャビティCとの間に隙間を発生させずに、常に溶湯YがキャビティC内に隙間なく充填された状態にすることができる。
このように、第1加圧ピストン4によって湯だまりB内の溶湯Yを加圧することで、間接押込溶湯鍛造の効果が得られ、溶湯YがキャビティCの隅々にまで充填されるとともに、加圧によって、気泡の残留や収縮巣の発生が抑制される。さらに、加圧によって、製品(キャビティC内の溶湯)が均質化、高密度化され、機械的性質が向上する。また、金型などの強制冷却によって、溶湯Yの冷却速度が速くなるとともに、加圧によって、溶湯YとキャビティCとの間にエアギャップが発生せず、溶湯Yの冷却速度が速くなる結果、微細な凝固組織が得られる。
続いて、冷却装置によって、上型6,下型13,第1加圧ピストン4および第2加圧ピストン15を冷却し、溶湯Yが凝固するまで、第1加圧ピストン4および第2加圧ピストン15による加圧を保持する。このように加圧を保持することで、溶湯Yが凝固収縮しても溶湯YとキャビティCとの間に隙間を発生させずに、常に溶湯YがキャビティC内に隙間なく充填された状態にすることができる。
このように、第1加圧ピストン4によって湯だまりB内の溶湯Yを加圧することで、間接押込溶湯鍛造の効果が得られ、溶湯YがキャビティCの隅々にまで充填されるとともに、加圧によって、気泡の残留や収縮巣の発生が抑制される。さらに、加圧によって、製品(キャビティC内の溶湯)が均質化、高密度化され、機械的性質が向上する。また、金型などの強制冷却によって、溶湯Yの冷却速度が速くなるとともに、加圧によって、溶湯YとキャビティCとの間にエアギャップが発生せず、溶湯Yの冷却速度が速くなる結果、微細な凝固組織が得られる。
そしてこのような効果は、第2加圧ピストン15によってさらに向上される。すなわち、第2加圧ピストン15によって各キャビティC内の溶湯Yを加圧することで、直接押込溶湯鍛造の効果が得られ、第1加圧ピストン4による間接押込溶湯鍛造の効果との相乗効果が得られる。しかも、第2加圧ピストン15の加圧方向が湯道Rに対向するため、キャビティC内の溶湯Yが、湯道R側からは第1加圧ピストン4により加圧され、この加圧方向の対向側からは第2加圧ピストン15により加圧され、加圧効果が高まる。この結果、第2加圧ピストン15によってキャビティC内の溶湯Yの湯廻りが向上し、複雑な製品形状に対しても、ニアネットシェイプが可能となり、生産性が向上する(追加の機械加工などが不要、軽減される)。
ところで、上記のように、スリット13cとスリット7a(湯道R)には断熱材が設けられているため、冷却装置によって冷却されたキャビティC内の溶湯が凝固した後に、湯道R内の溶湯が凝固する。このため、Al−Si−Cu共晶などによる偏析が湯道R内に発生し、キャビティC(製品)内は、偏析のない健全な組織となる。これは、比較的融点が低い共晶が最後に凝固する部位に発生することに起因するものであり、湯道RをキャビティCよりも遅く冷却するようにしたことによる。この偏析は、製品の伸び、塑性変形能(かしめ性)を低下させるが、本実施形態では、湯道R内に偏析が発生するため、製品に悪影響を与えることがない。
ところで、上記のように、スリット13cとスリット7a(湯道R)には断熱材が設けられているため、冷却装置によって冷却されたキャビティC内の溶湯が凝固した後に、湯道R内の溶湯が凝固する。このため、Al−Si−Cu共晶などによる偏析が湯道R内に発生し、キャビティC(製品)内は、偏析のない健全な組織となる。これは、比較的融点が低い共晶が最後に凝固する部位に発生することに起因するものであり、湯道RをキャビティCよりも遅く冷却するようにしたことによる。この偏析は、製品の伸び、塑性変形能(かしめ性)を低下させるが、本実施形態では、湯道R内に偏析が発生するため、製品に悪影響を与えることがない。
次に、溶湯Yが凝固した後に、上型6を上昇させるとともに、油圧シリンダー16によって、サイド型14と第2加圧ピストン15とを後退させる。その後、図7に示すように、下ラム20を上昇させて、エジェクター22およびエジェクトピン23を下型6から突出させ、素形材Sを下型6から取り出す。この素形材Sは、1つの湯だまり部と4つの製品部および湯道部とが一体となったもので、製品部を切り離すことで、最終製品(ABSハウジング)が得られる。
以上が1サイクルであり、このサイクルを繰り返して製品の製造を行うものである。
このように、キャビティCが4つ設けられているため、1サイクルで4つの製品が得られるとともに、各キャビティCが湯だまりBを中心として等距離で放射線状に配置されているため、各キャビティCに対する湯流れ、加圧が均等になり、各キャビティCから均質な製品が得られる。
このように本実施形態によれば、溶湯鍛造によって健全な金属組織を有する製品が製造されるため、機械加工に比べて生産性がはるかに高い。しかも、ニアネットシェイプが可能であり、かつ、多数個取りのため、生産性がさらに向上される。そして、このような生産性の向上が、製造費の低減に寄与するものである。
このように本実施形態によれば、溶湯鍛造によって健全な金属組織を有する製品が製造されるため、機械加工に比べて生産性がはるかに高い。しかも、ニアネットシェイプが可能であり、かつ、多数個取りのため、生産性がさらに向上される。そして、このような生産性の向上が、製造費の低減に寄与するものである。
1 溶湯鍛造装置
4 第1加圧ピストン
6 上型
7 スリーブ
13 下型
14 サイド型
15 第2加圧ピストン
16 油圧シリンダー
20 下ラム
22 エジェクター
C キャビティ
B 湯だまり
R 湯道
Y 溶湯
S 素形材
4 第1加圧ピストン
6 上型
7 スリーブ
13 下型
14 サイド型
15 第2加圧ピストン
16 油圧シリンダー
20 下ラム
22 エジェクター
C キャビティ
B 湯だまり
R 湯道
Y 溶湯
S 素形材
Claims (6)
- 型のキャビティ内の溶湯にプレス圧力を加えて、前記溶湯を成形、凝固させる溶湯鍛造装置であって、
溶湯が注湯される湯だまりと前記キャビティとの間に、前記湯だまりに注湯された溶湯を前記キャビティに導く湯道が設けられ、
前記湯だまり内の溶湯に圧力を加える第1加圧ピストンと、前記キャビティ内の溶湯に圧力を加える第2加圧ピストンとが設けられ、
前記湯だまり、前記湯道および前記キャビティ内に前記溶湯が供給された状態で、前記湯だまり内と前記キャビティ内の溶湯に圧力を加えて、前記溶湯を前記キャビティの形状に成形、凝固させる、
ことを特徴とする溶湯鍛造装置。 - 前記第2加圧ピストンの加圧方向が前記湯道に対向するように、前記第2加圧ピストンを配置した、
ことを特徴とする請求項1に記載の溶湯鍛造装置。 - 前記湯道の湯だまり側開口を、注湯された前記溶湯が一旦溜まる前記湯だまりの底部よりも高く位置させた、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の溶湯鍛造装置。 - 前記湯だまりから等距離に複数のキャビティを配置した、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の溶湯鍛造装置。 - 前記湯道の温度を調節する湯道温度調節手段が設けられ、前記キャビティ内の溶湯が凝固した後に、前記湯道内の溶湯が凝固するように、前記湯道の温度を調節する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の溶湯鍛造装置。 - 型のキャビティ内の溶湯にプレス圧力を加えて、前記溶湯を成形、凝固させる溶湯鍛造法であって、
湯だまりに溶湯を注湯して、湯道を介してキャビティ内に溶湯を供給し、前記湯だまり、前記湯道および前記キャビティ内に前記溶湯が供給された状態で、第1加圧ピストンによって、前記湯だまり内の溶湯に圧力を加えるとともに、第2加圧ピストンによって、前記キャビティ内の溶湯に圧力を加えて、前記溶湯を前記キャビティの形状に成形、凝固させる、
ことを特徴とする溶湯鍛造法。
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