JP2009262196A - 鋳造方法および鋳型 - Google Patents
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Abstract
【課題】 大きな湯だまりや押湯を要せず、しかも大掛かりな鋳造機や機構を要しないで良好な鋳造品を製造することを可能にする。
【解決手段】 キャビティ31内に溶湯が満たされた後、最初にせき22内の溶湯が凝固するように、せき22の形状が設定されている。そして、せき22内の溶湯が凝固した後に、湯揚がり51から溶湯に空気圧を付加することで、空気圧による圧力がキャビティ31内の溶湯に伝わり、引け巣や湯回り不良などがない良好な鋳造品を製造することが可能となる。
【選択図】 図1
【解決手段】 キャビティ31内に溶湯が満たされた後、最初にせき22内の溶湯が凝固するように、せき22の形状が設定されている。そして、せき22内の溶湯が凝固した後に、湯揚がり51から溶湯に空気圧を付加することで、空気圧による圧力がキャビティ31内の溶湯に伝わり、引け巣や湯回り不良などがない良好な鋳造品を製造することが可能となる。
【選択図】 図1
Description
この発明は、引け巣や湯回り不良などがない良好な鋳造品を製造するための鋳造方法および鋳型に関し、特に、大掛かりな鋳造機や機構を要しない鋳造方法および鋳型に関する。
鋳造に際しては、引け巣(外引けや内引けなど)や湯回り不良などが生じる場合があり、このような鋳造不良が生じると、適正な機械的性質や形状、表面状態(鋳肌面)を有する鋳造品が得なれない。このため、鋳型の湯口側に湯だまり(受口)を設けたり、湯揚がり側に押湯などを設けたりすることで、鋳造不良を防止する重力鋳造法が知られている。すなわち、湯だまり内の溶湯と押湯内の溶湯とによって、キャビティ(鋳造品が成型される凹部)内の溶湯に圧力を加えるとともに、凝固による収縮量を補うことで、引け巣や湯回り不良などを防止するものである。
また、鋳造時に加圧プランジャなどによってキャビティ内の溶湯に圧力を加えるダイキャスト法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この方法は、射出プランジャで圧力を加えながら溶湯を鋳型内に鋳込むとともに、シリンダ内を往復動するピストンの端部に加圧プランジャを配設し、この加圧プランジャによってキャビティ内の溶湯を局部的に加圧するものである。
特開平05−253658号公報
ところで、上記の重力鋳造法では、キャビティ内の溶湯に圧力を加えるために、湯だまりや押湯内に大量の溶湯を入れる必要があるが、この溶湯の凝固部は製品部(製品としての鋳造部)ではないため、鋳造後に製品部と切り離す必要がある。つまり、製品として必要がない大きな余肉部が鋳造され、この余肉部は切り離して再溶解などする必要があるため、材料歩留まりが低い。また、キャビティ内の溶湯のみならず、湯だまりや押湯内の溶湯が凝固するまで鋳型を開けることができず、鋳造のサイクルタイムは、湯だまりや押湯内の溶湯の凝固時間に依存する。そして、湯だまりや押湯内に大量の溶湯を入れるため、凝固に長時間を要し、サイクルタイムが長くなり生産性が低かった。
一方、上記特許文献1に記載された方法では、射出プランジャや加圧プランジャ、制御装置などを要する。つまり、この方法にあった大掛かりな(特殊な)鋳造機や鋳型を要し、簡易な(重力鋳造法などの)鋳造機や鋳型を使用することができない。また、凝固した固体をプランジャで変形させることで押湯と同等の効果を得るため、例えば、500〜1000kg/cm2という膨大な圧力を要する。
そこでこの発明は、大きな湯だまりや押湯を要せず、しかも大掛かりな鋳造機や機構を要しないで良好な鋳造品を製造することが可能な鋳造方法および鋳型を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、溶湯を、鋳型の湯口側からせきを介してキャビティ内に鋳込み湯揚がりに至らせる鋳造方法において、前記キャビティ内に溶湯を満たした後に、前記せきにおける溶湯の流れを遮断し、前記湯揚がり側から前記溶湯に気体圧を付加する、ことを特徴とする。
この発明によれば、キャビティ内に溶湯が満たされた後に、せきにおける溶湯の流れが遮断されるため、キャビティ内の溶湯が湯口側へ逆流することが阻止(抑止)され、この状態で、湯揚がり側から溶湯に気体圧が付加される。このため、気体圧による圧力が的確に溶湯に付加される。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の鋳造方法において、前記せき内の溶湯を凝固させることで、前記溶湯の流れを遮断する、ことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の鋳造方法において、前記キャビティ内の溶湯の凝固が進む前に、前記溶湯の流れを遮断し前記気体圧を付加する、ことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、湯口とキャビティとがせきを介して連通され、前記キャビティにつながって湯揚がりが設けられ、溶湯が前記湯口側からせきを介してキャビティ内に鋳込まれ、前記湯揚がりに至る鋳型において、前記キャビティ内に溶湯が満たされた後、前記キャビティ内の溶湯の凝固が進む前に、前記せき内の溶湯が凝固するように、前記せきの形状が設定され、前記湯揚がりから前記溶湯に気体圧を付加可能になっている、ことを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の鋳型において、前記キャビティ内に溶湯が隙間なく満たされ、かつ、前記湯口側からの鋳込みが終了した後に直ちに前記せき内の溶湯が凝固するように、前記せきの形状が設定されている、ことを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の鋳型において、前記せきが薄板状の空間で、その板面方向が前記溶湯の流れ方向になるように前記せきが設けられている、ことを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、気体圧による圧力が的確に溶湯に付加されるため、引け巣や湯回り不良などがない良好な鋳造品を製造することが可能となる。つまり、気体圧によって、大きな湯だまりや押湯内に溶湯が入った状態と同等の効果が得られる。また、鋳込みの最終段階で溶湯が至る湯揚がり側、つまり湯口の反対側から気体圧を付加し、しかも気体圧によって圧力を付加するため、キャビティ内の溶湯全体に均等に圧力を付加することが可能となる。この結果、大きな湯だまりや押湯を設ける必要がなく、歩留まりが向上し、鋳造のサイクルタイムが短縮する。また、せきにおける溶湯の流れを遮断して湯揚がり側から気体圧を付加するだけでよいため、大掛かりな鋳造機や鋳型、機構を必要とせず、既存(重力鋳造法などの)の鋳型を利用することが可能となる。
請求項2に記載の発明によれば、せき内の溶湯を凝固させることで溶湯の流れを遮断するため、大掛かりな機構を要せず、簡易な鋳型などで良好な鋳造品を製造することが可能となる。
請求項3に記載の発明によれば、キャビティ内の溶湯の凝固が進む前に、つまり凝固前(完全溶融状態)あるいは凝固が最小限の状態で、気体圧による圧力が溶湯に付加されるため、その圧力による効果が効果的となり、良好な鋳造品を製造することがより可能となる。
請求項4に記載の発明によれば、溶湯を湯口側から鋳込み、気体圧を湯揚がりから溶湯に付加することで、請求項1、2の発明と同様に、キャビティ内の溶湯の湯口側への逆流が阻止された状態で、溶湯に圧力が付加され、良好な鋳造品を製造することが可能となる。また、キャビティ内の溶湯の凝固が進む前にせき内の溶湯が凝固するようにせきの形状を設定し、湯揚がりから気体圧を付加可能にするだけでよい。このため、大きな湯だまりや押湯を設ける必要がなく、この結果、歩留まりが向上し、鋳造のサイクルタイムが短縮する。また、せきと湯揚がりのみを変更することで、既存の鋳型を利用することが可能となる。
請求項5に記載の発明によれば、キャビティ内に溶湯が隙間なく満たされるようにせきの形状が設定されているため、湯回り不良が発生しない。しかも、鋳込みが終了した後に直ちにせき内の溶湯が凝固するようにせきの形状が設定されているため、鋳込み後に直ちに溶湯の逆流が阻止される。この結果、キャビティ内に溶湯を隙間なく満たし、その後速やかに(溶湯の凝固前に)気体圧を付加して、良好な鋳造品を製造することが可能となる。
請求項6に記載の発明によれば、せきが薄板状の空間でその板面方向が溶湯の流れ方向になっているため、せきの伝熱面積(冷却面積)が大きく、せき内の溶湯が速やかに凝固する。このため、鋳込み後速やかに気体圧を付加することが可能となる。さらに、せきが板状という単純形状であるため、このようなせきを鋳型に設けることが容易となる。
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
図1〜3は、この発明の実施の形態に係る鋳造金型(鋳型)1を示す図であり、図4、5は、鋳造金型1で鋳造された鋳造物100を示す図である。鋳造金型1は、ピストン(鋳造品)131を鋳造するための金属製の鋳型で、主として、湯口ブロック2と、キャビティブロック3と、余肉ブロック4と、湯揚がりブロック5とを備えている。
湯口ブロック2内には、湯口21とせき22とが連続して形成されている。湯口21は、注ぎ込まれた溶湯をキャビティブロック3に導く流路で、この実施の形態では、湯だまり(受口)を兼ね、キャビティブロック3側の溶湯に圧力を加える機能を備えている。このため、湯口21の容量は、キャビティブロック3側の溶湯に圧力が加わる程度の溶湯が貯えられる大きさに設定されている。また、せき22は、湯口21と後述するキャビティ31とを連通させ、湯口21側の溶湯をキャビティ31に導く流路である。このせき22は、キャビティ31内に溶湯が満たされた後、キャビティ31内の溶湯の凝固が進む前に、せき22内の溶湯が凝固するようにその形状が設定されている。
具体的には、薄い平板状の空間部で、その平面方向(厚み方向と垂直な方向)が溶湯の流れ方向となるように設けられている。さらに、平面が垂直に位置して、キャビティ31との連通(接触)面積が広くなるように、つまりキャビティ31の上端部から下端部にわたってキャビティ31と接する(流通する)ように、形成、設けられている。このように、せき22が薄板状でその平面方向が溶湯の流れ方向になっているため、伝熱面積(冷却面積)が大きく、せき22内の溶湯が速やかに凝固する。また、平板状という単純形状であるため、このようなせき22を形成することが容易となっている。
さらに、キャビティ31内に溶湯が隙間なく満たされ、かつ、湯口21側からの鋳込みが終了した後に直ちに(できるだけ早く)せき22内の溶湯が凝固するように、せきの幅と厚みが設定されている。すなわち、図4、5に示すように、せき22内の溶湯が凝固して形成されたせき凝固部122の幅W(湯口21からキャビティ31までの長さ)と厚みTとが、溶湯の湯流れが良好で、かつ、鋳込み終了後最初にせき22内の溶湯が凝固するように設定されている。これにより、速やかに溶湯がキャビティ31内に満たされるとともに湯回り不良が発生せず、しかも、鋳込み後に直ちに溶湯の湯口21側への逆流が抑止される(せき22における溶湯の流れが遮断される)。そして、後述するように、鋳込み後速やかに(他の溶湯の凝固前に)空気圧を付加して、良好な鋳造品を製造することが可能となる。具体的には、溶湯の材質やキャビティ31の形状などによるが、例えば、この実施の形態では、幅Wが50mm、厚みTが2〜3mmに設定されている。このような湯口ブロック2が、上記のようにせき22がキャビティ31と接するように、ボルトでキャビティブロック3に接続されている。
キャビティブロック3内には、鋳造品であるピストン131を鋳造、成型するためのキャビティ31が形成されている。このキャビティ31は、ピストン131と同形状の凹状の空間部で、この実施の形態では略円筒状のピストン形で、その側面の上端部から下端部にわたってせき22と接している。
余肉ブロック4内には、断面形状が略L字状の余肉形成部41が形成されている。この余肉形成部41は、後述する空気圧(気体圧)による圧力がキャビティ31内の溶湯全体に伝わるように、その形状および配設位置が設定されている。すなわち、この実施の形態では、余肉形成部41の上流側(図1中右側)の開口が、せき22と対向し、かつ、キャビティ31の側面の下側と接するように配設され、このような状態で、余肉ブロック4がボルトでキャビティブロック3に接続されている。
湯揚がりブロック5内には、湯揚がり51が形成されている。この湯揚がり51は、後述する空気圧による圧力がキャビティ31内の溶湯全体に伝わるように、その形状が設定されている。すなわち、この実施の形態では、略円錐状で、その下端側の開口が余肉形成部41の下流側の開口と同形状になるように形成されている。さらに、湯揚がりブロック5の上端部には、湯揚がり51に通じる雌ネジ52が形成され、この雌ネジ52を介して外部の空圧ホース(図示せず)が着脱自在となっている。そして、空圧ホースを装着し、圧縮空気源から空圧ホースを介して圧縮空気を供給することで、湯揚がり51から溶湯に空気圧が付加されるようになっている。また、湯口21および湯揚がり51の上端部は、キャビティ31の上端部よりも高く設定され、キャビティ31内に溶湯が満たされるようになっている。
このような湯揚がりブロック5が、湯揚がり51の下端側の開口が余肉形成部41の下流側の開口と一致するように、余肉ブロック4に接続されている。すなわち、湯揚がりブロック5の下端外周にツバ5aが形成され、このツバ5aを押える連結部材6が、余肉ブロック4にボルト締めされることで、湯揚がりブロック5が余肉ブロック4に接続されている。ここで、湯揚がり51と称しているが、通常の(重力鋳造法の)鋳型において湯揚がり側に位置してキャビティ内の溶湯に圧力を加える「押湯」も、湯揚がり51に含まれる。
以上のようにして、湯口21とキャビティ31とがせき22を介して連通され、キャビティ31につながって湯揚がり51が設けられている。そして、湯口21側から溶湯を鋳込むことで、せき22を介してキャビティ31内に溶湯が流入し、さらに、余肉形成部41を介して溶湯が湯揚がり51に至るようになっている。
次に、このような構成の鋳造金型1の作用および、鋳造金型1を用いた鋳造方法について説明する。ここで、雌ネジ52を介して空圧ホースを湯揚がりブロック5に装着しておく。また、この実施の形態では、圧縮空気源は鋳造工場に配設されたコンプレッサで、その空気圧は、1〜2気圧(atm)とする。
まず、湯口21側から溶湯を鋳込んでいくと、せき22を介してキャビティ31内に溶湯が充填され、さらに、余肉形成部41および湯揚がり51に溶湯が流入していく。このとき、上記のように、キャビティ31の上端部から下端部にわたってキャビティ31と接するようにせき22が形成されているため、湯口21側からの溶湯が速やかにキャビティ31にわたり、キャビティ31内が凝固していない(凝固が進んでいない)溶湯で満たされる。
そして、キャビティ31内に溶湯を満した後に、つまり湯揚がり51の上端部まで溶湯を満たした後に、溶湯の鋳込みを止める。これにより、鋳込んだ溶湯が凝固し始める。このとき、上記のようにせき22の形状が設定されているため、せき22内の溶湯が最初にすべて凝固し、キャビティ31や湯揚がり51内の溶湯は非凝固状態、あるいは一部凝固状態となっている。この状態では、せき22内の溶湯が凝固してせきにおける溶湯の流れが遮断されており、キャビティ31内などの溶湯が湯口21側へ逆流することが阻止されている。
続いて、コンプレッサから圧縮空気を供給することで、湯揚がり51側から溶湯に空気圧が付加される。すなわち、湯揚がり51内の溶湯および余肉形成部41内の溶湯を介して、キャビティ31内の溶湯に圧力が加えられ、この状態で、キャビティ31内の溶湯が凝固する。ことのとき、キャビティ31内の溶湯の湯口21側への逆流が阻止された状態で、湯口21の対向側から、つまり湯揚がり51側から溶湯に空気圧が付加されるため、空気圧による圧力がキャビティ31内の溶湯に良好(的確)に加えられる。これにより、溶湯がキャビティ31内の隅々まで達し、また、収縮部などに対しては湯揚がり51内の溶湯が満たされて補完される。さらに、圧力が付加された状態で溶湯が凝固することで、内部欠陥がなく、微細でかつ均一な結晶組織の鋳造物が得られる。
そして、すべての溶湯が凝固し終わった後に鋳造金型1を開けると、図4、5に示すような鋳造物100が得られる。この鋳造物100には、湯口21で成型された湯口凝固部121と、せき22で成型されたせき凝固部122と、キャビティ31で成型されたピストン131と、余肉形成部41で成型された余肉凝固部141と、湯揚がり51で成型された湯揚がり凝固部151とが、一体的に形成されている。このため、ピストン131からせき凝固部122と余肉凝固部141とを切り離して、ピストン131を得るものである。なお、湯揚がり凝固部151内には、空気圧による円柱状の空洞151aが形成される。
以上のように、この鋳造金型1および鋳造方法によれば、空気圧による圧力がキャビティ31内の溶湯に良好に加えられた状態で、キャビティ31内の溶湯が凝固するため、引け巣や湯回り不良などがない良好なピストン131を製造することが可能となる。また、鋳込みの最終段階で溶湯が達する湯揚がり51側から空気圧を付加し、しかも、空気圧によって圧力を付加するため、キャビティ31内の溶湯全体に均等に圧力を付加することが可能となる。さらには、キャビティ31や湯揚がり51内の溶湯が非凝固状態で、空気圧による圧力を溶湯に付加するため、その圧力による効果が効果的となり、良好なピストン131を製造することがより可能となる。そして、これらの結果、大きな湯だまりや押湯を設ける必要がなく、歩留まりが向上し、鋳造のサイクルタイムが短縮する。例えば、従来の重力鋳造法で3.5〜4分要していたサイクルタイムを、1.5分以下に短縮することが可能となり、生産性が著しく向上する。
また、せき22の形状を上記のように設定し、湯揚がりブロック5に雌ネジ52を形成して空気ホースを装着するだけで、良好なピストン131を製造でき、大掛かりな鋳造機や機構を要しない。つまり、従来の重力鋳造法による鋳造機で製造することができる。しかも、空気圧により圧力を加えるため、凝固していない溶湯(ホットスポット)に均等に圧力を加えることができ、1〜2気圧という小さい空気圧で効果的に溶湯に圧力を付加することができる。この結果、大きな圧縮空気源を要せず、簡易に良好なピストン131を製造できる。また、せき凝固部122が薄い平板状のため、ピストン131からせき凝固部122を切り離す作業、つまり切断作業が容易となる。
さらに、既存の鋳型を利用することが可能である。すなわち、最も精巧な製作を要求されるキャビティ31については、既存の鋳型のキャビティを利用し、このキャビティの周りを切り離して、キャビティブロック3とする。そして、このキャビティブロック3に他のブロック2、4、5を組み付ける。これにより、既存の鋳型を利用して、容易に鋳造金型1を製作し、良好なピストン131を製造することができる。
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、せき22を上記のような形状にすることで、せき22内の溶湯が最初に凝固するようにしているが、せき22内の溶湯を強制的に冷却してもよい。例えば、せき22の周りに冷却水管を配設し、冷却水管に冷却水を流通させることで、せき22内の溶湯が速やかに凝固するようにしてもよい。また、平板状のせき22をその平面が垂直に位置するように設けているが、キャビティの形状などに応じてせきを設ければよい。例えば、キャビティが平盤状の場合には、平板状のせきをその板面がキャビティの盤面と平行に位置するように設けたり、キャビティの形状などに応じて曲面状のせきを設けてもよい。
さらに、上記の実施の形態では、せき内の溶湯を凝固させることで、せきにおける溶湯の流れを遮断しているが、せきを開閉する開閉板や開閉弁などを設け、キャビティ内に溶湯が満たされた後に開閉板などを閉じて、溶湯の流れを遮断するようにしてもよい。また、上記の実施の形態では、鋳込み終了後最初にせき内の溶湯が凝固するようになっているが、キャビティの形状、つまり鋳造品の形状によっては、キャビティ内の溶湯の一部が凝固した後に、せき内の溶湯が凝固する場合もある。このような場合でも、キャビティ内の溶湯の凝固が進む前にせきにおける溶湯の流れを遮断することで、すなわち、速やかに(凝固を最小限に抑えて)キャビティ内に溶湯を満たし、その後速やかにせきにおける溶湯の流れを遮断することで、良好な鋳造品を製造することができる。なお、鋳造金型1を複数のブロック2〜5から構成せずに、一体のブロックで構成してもよいことは勿論である。
以上のように、この発明に係る鋳造方法および鋳型は、材料歩留まりが高く、鋳造サイクルタイムが短く、しかも大掛かりな鋳造機や機構を要しないで良好な鋳造品を製造することが可能なものとして極めて有用である。
1 鋳造金型(鋳型)
2 湯口ブロック
21 湯口
22 せき
3 キャビティブロック
31 キャビティ
4 余肉ブロック
41 余肉形成部
5 湯揚がりブロック
51 湯揚がり
52 雌ネジ
100 鋳造物
121 湯口凝固部
122 せき凝固部
131 ピストン(鋳造品)
141 余肉凝固部
151 湯揚がり凝固部
2 湯口ブロック
21 湯口
22 せき
3 キャビティブロック
31 キャビティ
4 余肉ブロック
41 余肉形成部
5 湯揚がりブロック
51 湯揚がり
52 雌ネジ
100 鋳造物
121 湯口凝固部
122 せき凝固部
131 ピストン(鋳造品)
141 余肉凝固部
151 湯揚がり凝固部
Claims (6)
- 溶湯を、鋳型の湯口側からせきを介してキャビティ内に鋳込み湯揚がりに至らせる鋳造方法において、
前記キャビティ内に溶湯を満たした後に、前記せきにおける溶湯の流れを遮断し、
前記湯揚がり側から前記溶湯に気体圧を付加する、
ことを特徴とする鋳造方法。 - 前記せき内の溶湯を凝固させることで、前記溶湯の流れを遮断する、
ことを特徴とする請求項1に記載の鋳造方法。 - 前記キャビティ内の溶湯の凝固が進む前に、前記溶湯の流れを遮断し前記気体圧を付加する、
ことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の鋳造方法。 - 湯口とキャビティとがせきを介して連通され、前記キャビティにつながって湯揚がりが設けられ、溶湯が前記湯口側からせきを介してキャビティ内に鋳込まれ、前記湯揚がりに至る鋳型において、
前記キャビティ内に溶湯が満たされた後、前記キャビティ内の溶湯の凝固が進む前に、前記せき内の溶湯が凝固するように、前記せきの形状が設定され、
前記湯揚がりから前記溶湯に気体圧を付加可能になっている、
ことを特徴とする鋳型。 - 前記キャビティ内に溶湯が隙間なく満たされ、かつ、前記湯口側からの鋳込みが終了した後に直ちに前記せき内の溶湯が凝固するように、前記せきの形状が設定されている、
ことを特徴とする請求項4に記載の鋳型。 - 前記せきが薄板状の空間で、その板面方向が前記溶湯の流れ方向になるように前記せきが設けられている、
ことを特徴とする請求項5に記載の鋳型。
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JP2008114757A JP2009262196A (ja) | 2008-04-25 | 2008-04-25 | 鋳造方法および鋳型 |
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