JP3842163B2 - ダイカスト鋳造装置及びダイカスト鋳造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋳込みスリーブへ、アルミニウム合金やマグネ合金等の溶湯を自動給湯するダイカスト鋳造装置及びダイカスト鋳造方法に関し、より詳しくは、電磁ポンプ及び/又は金型キャビティ内ガス真空吸引機構により、鋳込みスリーブ内に送出された溶湯をプランジャーでその都度ダイカスト鋳造装置の金型キャビティ内に鋳込んだ後、金型キャビテイ内の溶湯を加圧するダイカスト鋳造装置及びダイカスト鋳造方法に関する。かかる本発明によると、凝固時にひけ巣の発生がなくかつガスの巻込みのない鋳造品を鋳造することができる。
【0002】
【従来の技術】
従来、固定金型と可動金型によって形成される金型キャビティに、溶融されたアルミニウム合金等の溶湯を注入し、冷却して鋳物を作製するアルミニウム合金等のダイカスト鋳造装置においては、図8に示すように、金型キャビティに溶湯を供給する場合、ラドルによって溶湯保持炉内に保持される溶湯を汲み取り、鋳込みスリーブの上部の入口穴から注湯する方法が採用されているが、スリーブ上部の入口穴を大きく、長さが長いスリーブとせざるを得なかった。かかる鋳込みスリーブを用いる場合、1回分の鋳込みスリーブに注湯される溶湯量は、鋳込みスリーブ及びその先端に設けられた湯溜まりの容積の和に比較して大幅に小さく、注湯された溶湯が鋳込みスリーブを充満することなく、溶湯上部の大きな空気溜まりにより湯面が酸化されやすい上に、鋳込みスリーブとの接触面積も大きくなって冷却され、凝固層が発生しやすい。また、プランジャーが前進して金型キャビティに溶湯を充填するとき、鋳込みスリーブ内の溶湯湯面が波立ち、溶湯上部の空気溜まりから空気を巻き込むとともに、溶湯湯面の酸化膜もが混入し、加えて、発生した凝固層がプランジャー前進の抵抗となって実質的な鋳込力の低下を来たし、不良鋳造製品発生の原因となっていた。
【0003】
また、このような重力により鋳込みスリーブに給湯する方法は、溶湯保持炉内の溶湯をラドルで汲み取る際、空気と接触する湯面に発生する酸化膜もラドルで汲み取られるため、溶湯に酸化膜が混入し、また、鋳込スリーブに注湯する際の落下衝突時の空気が混入し、欠陥の多い鋳造品となるため、空気に接触することにより酸化されやすいアルミニウム合金等の鋳造品の製造方法としては好ましいものとはいえなかった。このため、ラドル下端部の溶湯口部に短管を設け、鋳込みスリーブ内の後退位置にあるプランジャーチップの前面の直前に短管の先端を配置し、ラドルから鋳込みスリーブ内へ静かに注湯し、空気の巻き込みによる酸化物の発生を防止しつつ、鋳造品の品質の向上を図ることができるダイカストマシンの自動給湯装置等(特開平6−246419号公報)が提案されていた。しかし、このような自動給湯装置においても、溶湯はラドルから空気の存在する鋳込みスリーブに落下されており、空気と接触した溶湯がダイカストマシンへ供給されることは免れ得るものではなかった。
【0004】
溶湯の金型キャビティへの鋳込み方法としては、溶湯保持炉に供給されるガス圧により供給する低圧鋳造方法(特開昭58−55166号公報)や、金型キャビティ内のガスを排出して真空吸引により供給する真空吸引鋳造方法(特開平5−212528号公報、特開平6−182520号公報、特開平7−32125号公報、特開平9−57422号公報、)や、溶湯保持炉の溶湯湯面の下に浸漬型電磁ポンプを設置してその駆動力によって供給する方法(特表平8−509170号公報)が知られているが、これらの方法では、酸化物の混入やガスの巻き込みあるいは凝固時に発生するひけ巣を充分に防止することができず、強度を必要とする鋳造品には適用されていなかった。また、例えば上記特開昭58−55166号公報には、湯槽上部空間を減圧にすると共に、エアベントバルブを介してキャビテイ内を減圧し、その後湯槽上部空間を加圧状態として溶湯をキャビテイ内に鋳込むという複雑な切替弁やバルブを用いる方法や、湯槽上部空間を減圧にすることにより、キャビテイ内のガスをストーク及び湯槽内を通して排気した後、湯槽上部空間を加圧状態として溶湯をキャビティ内に鋳込むという複雑な切替弁やバルブを用いる上に溶湯にガスが混入する方法が開示されているように、キャビテイ内のガスを抜くために色々な方法が考案されているが、従来の鋳込み装置では稼動上のトラブルも多く、現在まで実用面において必ずしも満足できるものは存在しなかった。
【0005】
一方、本発明者は、一般的な部品を鋳造する場合の酸化物の混入やガスの巻き込みを防止する竪型鋳込み方法として、下側の固定金型と上側の可動金型と固定金型の下側において射出装置を設け、固定金型に鋳込スリーブの内径よりも小径の縦方向の円形ゲートを設け、円形ゲートへの挿入部の直径が円形ゲート内径よりもわずかに小さい径のピンを可動金型に摺動自在に設けてピンを円形ゲート内を昇降させ得るように設け、可動金型の円形ゲート上部に設けた円形の溜部の入口の直径を鋳込時に円形ゲートから噴出する溶湯噴流の直径よりも大きく、溜部の天井高さを前記溶湯噴流の到達高さよりも高くした竪型鋳込装置を用いて、溶湯を金型のキャビティ内へ鋳込み、溶湯がキャビティ内を充填したらピンを突出させて押湯作用を行わせる方法を提案した(特開平10−146663号公報)。この方法は、酸化物の混入やガスの巻き込みあるいは溶湯凝固時に発生するひけ巣をある程度防止しうる点では優れているといえるものの、高圧鋳込みのために大きい射出力及び型締力を必要とし、コストの高い設備が必要とされていた。
【0006】
また、本発明者は、ガス排出通路を備えたキャビティを形成することができる下側の固定金型と上側の可動金型と、キャビティ内へ溶湯を下方から供給充填するための真空吸引手段と、キャビティ内に鋳込まれた溶湯がキャビティ内を充填した後、固定金型に設けられている溶湯流入ゲートを塞ぐ閉塞ピンと、閉塞された金型キャビティ内の溶湯を加圧する加圧システムとを備えた竪型鋳造装置及びそれを用いた鋳造方法についても提案した(特開2001−191170号公報)。この方法は、ある範囲の鋳造品に対しては、酸化物の混入やガスの巻き込みあるいは溶湯凝固時に発生するひけ巣を防止しうる点できわめて優れているといえるものの、薄肉で大型の鋳造品の場合には、溶湯がキャビティ製品部内を流れる速度が遅くなり、その間に冷却凝固が進むために流速が一層低下してキャビティ製品部内への溶湯充填が充分でなくなり、加圧しても圧力伝達が悪いためにひけ巣発生の可能性が生じるという問題があった。また、充填能力を大きくするために真空度を高くすると、金型キャビティへの外気漏入の可能性が増加し、不良品発生の可能性が生じるという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、鋳造品の形状に関わらず溶湯を溶湯保持炉から金型キャビティ内へ酸化物の混入のない状態で高速で充填することができると共に、キャビティ内のガスをほぼ完全に排出すると同時に、閉塞されたキャビティ内の溶湯を有効に加圧することができ、ガスの巻き込みやひけ巣の発生のない均質な鋳造品を簡便かつ低設備コストで得ることができるダイカスト鋳造装置及びダイカスト鋳造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため、従来の鋳込みスリーブの内径よりも小さな内径の鋳込みスリーブを用い、該鋳込みスリーブに連通するストークの下端を、1回の注湯により下降する湯面の下限位置より下方の溶湯保持炉内に配置し、金型キャビティ内のガスを真空吸引するとともに、電磁ポンプを用いて、溶湯保持炉内のアルミニウム合金からなる溶湯を、鋳込みスリーブの先端近傍下面に設けられた溶湯送出開口を介して、鋳込みスリーブ内へ送出し始め、鋳込みスリーブ内を鋳込みスリーブの後退限から前方に摺動するプランジャーが前進して溶湯送出開口を閉塞したとき、プランジャーチップ前方の鋳込みスリーブ内と、鋳込みスリーブ前方の金型キャビティ内に形成された、スリーブ内径より少し大きい内径のテーパー状湯溜部を、1回分の溶湯でほぼ充満させ、かかる溶湯をさらに前進するプランジャーにより金型キャビティへ注入すると、溶湯が波立たず、また空気の巻き込みがない上に、湯溜部側壁に発生した凝固層をプランジャーが加圧しない結果、プランジャー前進時の抵抗が小さくなり、かつ小さい加圧力で溶湯を充分に加圧することが可能となり、さらに、溶湯が充満した金型キャビティ内を加圧ピンで加圧することにより、酸化膜の混入、ガスの巻き込み及び凝固時におけるひけ巣の発生が防止できると共に、薄肉で大型のアルミ合金鋳造品を強度ある鋳造品としてきわめて安定的に鋳造できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、固定金型に水平に固定され、金型キャビティに連通する鋳込みスリーブと、金型キャビティの入口に設けられ、前記鋳込みスリーブ端部から漸次拡大するテーパー形状に形成された湯溜部と、前記鋳込みスリーブの先端近傍の下面に設けられた溶湯送出開口を介して連通するストークと、該ストークの下端が金型キャビティへの1回の注湯により下降する湯面の下限位置より下方に配置されている溶湯保持炉と、該溶湯保持炉から前記鋳込みスリーブ内へ溶湯を供給する鋳込み手段と、前記鋳込みスリーブ内を摺動し、鋳込みスリーブに送出された溶湯を前記金型キャビティへ注入するプランジャーとを備え、該プランジャーのプランジャーチップが鋳込みスリーブ内の溶湯送出開口を閉塞したとき、鋳込みスリーブ内のプランジャーチップ前方の体積と湯溜部のスリーブの最高位置水平面以下の内容積との総和が、1回の鋳造に必要な注湯量より小さくなるように構成して、鋳込みスリーブ内のプランジャーチップ前方部分が溶湯で充満されるように構成されていることを特徴とするダイカスト鋳造装置(請求項1)や、金型キャビティの製品部の一端に、金型キャビティ内に注入された溶湯を加圧する加圧手段用湯溜を備えていることを特徴とする請求項1記載のダイカスト鋳造装置(請求項2)や、金型キャビテイ内の溶湯を加圧する手段が、加圧ピンであることを特徴とする請求項2記載のダイカスト鋳造装置(請求項3)や、溶湯送出開口が、固定盤により固定された固定金型側に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のダイカスト鋳造装置(請求項4)や、金型キャビティがガス排出通路を備え、該ガス排出通路に連通した溶湯凝固ゾーン用空隙が前記ガス排出通路の近傍に設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載のダイカスト鋳造装置(請求項5)や、鋳込みスリーブ内へ溶湯を供給する鋳込み手段が、溶湯保持炉に浸漬された電磁ポンプ、及び/又は、金型キャビティ内のガスを真空吸引する真空吸引機構であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載のダイカスト鋳造装置(請求項6)に関する。
【0010】
また本発明は、固定金型に水平に固定され、金型キャビティに連通する鋳込みスリーブと、金型キャビティの入口に設けられ、前記鋳込みスリーブ端部から漸次拡大するテーパー形状に形成された湯溜部と、前記鋳込みスリーブの先端近傍の下面に設けられた溶湯送出開口を介して連通するストークと、該ストークの下端が金型キャビティへの1回の注湯により下降する湯面の下限位置より下方に配置されている溶湯保持炉と、該溶湯保持炉から前記鋳込みスリーブ内へ溶湯を供給する鋳込み手段と、前記鋳込みスリーブ内を摺動し、鋳込みスリーブに送出された溶湯を前記金型キャビティへ注入するプランジャーとを備え、該プランジャーのプランジャーチップが鋳込みスリーブ内の溶湯送出開口を閉塞したとき、鋳込みスリーブ内のプランジャーチップ前方の体積と湯溜部のスリーブの最高位置水平面以下の内容積との総和が、1回の鋳造に必要な注湯量より小さくなるように構成されたダイカスト鋳造装置を用い、鋳込み手段により溶湯保持炉からストークを通じて溶湯を鋳込みスリーブに送出し、次いで、鋳込みスリーブ内を摺動するプランジャーを前進させ、該プランジャーのプランジャーチップが鋳込みスリーブ内の溶湯送出開口を閉塞したとき、鋳込みスリーブ内のプランジャーチップ前方部分を溶湯で充満し、さらに、プランジャーを前進させ、溶湯を金型キャビティへ注入・加圧し、ガスの巻込みのない鋳造品を鋳造することを特徴とするダイカスト鋳造方法(請求項7)や、溶湯を金型キャビティへ注入した後、金型キャビティ内の溶湯を金型キャビティの製品部の一端に設けられた加圧ピンで加圧して、凝固時にひけ巣の発生がなくかつガスの巻込みのない鋳造品を鋳造することを特徴とする請求項7記載のダイカスト鋳造方法(請求項8)や、鋳造品が、薄肉で大型のアルミ合金鋳造品又はマグネ合金鋳造品であることを特徴とする請求項7又は8記載のダイカスト鋳造方法(請求項9)に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のダイカスト鋳造装置としては、金型キャビティに連通する鋳込みスリーブと、該鋳込みスリーブに溶湯送出開口を介して連通するストークと、該ストークの下端が金型キャビティへの1回の注湯により下降する湯面の下限位置より下方に配置されている溶湯保持炉と、該溶湯保持炉から前記鋳込みスリーブ内へ溶湯を供給する鋳込み手段と、前記鋳込みスリーブ内を摺動し、鋳込みスリーブに送出された溶湯を前記金型キャビティへ注入・加圧するプランジャーとを備え、該プランジャーのプランジャーチップが鋳込みスリーブ内の溶湯送出開口を閉塞したとき、鋳込みスリーブ内のプランジャーチップ前方部分が溶湯で充満されるように構成されている鋳造装置であれば特に制限されるものではなく、本発明のダイカスト鋳造装置を用いると、ストークの下端が金型キャビティへの1回の注湯により下降する湯面の下限位置より下方に配置されているので溶湯への酸化物の混入がない製品特性、かつプランジャーのプランジャーチップが鋳込みスリーブ内の溶湯送出開口を閉塞したとき、鋳込みスリーブ内のプランジャーチップ前方部分が溶湯で充満されるように構成されているのでガスの巻き込みのない製品特性を有する鋳造品を好適に鋳造することができる。さらに、金型キャビテイ内の溶湯を加圧する加圧ピン等を設けておくと、凝固時にひけ巣の発生がない製品特性の鋳造品を好適に鋳造することができる。そして、かかる鋳造品としては特に限定されるものではないが、アルミニウム合金、マグネシウム合金等の軽金属合金、特に凝固収縮が大きいアルミニウム合金が好ましい。アルミニウムは凝固するとき約7%収縮することから、ひけ巣の発生を防止しうる本発明の鋳造装置は、アルミニウム合金等の凝固収縮が大きい軽金属合金からなる鋳造品、特に薄肉で大型のアルミ合金鋳造品を鋳造する場合に、特に有利に用いることができる。
【0012】
前記金型キャビティとしては、下方から溶湯を充填供給することができるものであれば特に制限されるものではないが、薄肉で大型の鋳造品を鋳造することができる金型キャビティが好ましく、また、鋳込みスリーブと連通状態で隣接する金型キャビティ入口に、スリーブ内径より少し大きい内径の湯溜部、好ましくは鋳込みスリーブ端部から漸次拡大するテーパー形状に形成されている湯溜部を備えているものが、湯溜部側壁に発生した凝固層をプランジャーが加圧しないので、プランジャー前進時の抵抗が小さくなり、かつ小さい加圧力で溶湯を充分に加圧することが可能となる点でより好ましい。かかる湯溜部はサイドゲートを介して金型キャビティと連通させることができる。さらに、金型キャビティ内への溶湯充填時にキャビティ内に存在するガスを排出することができるガス排出通路と、該ガス排出通路に連通した溶湯凝固ゾーン用空隙を有するものが好ましく、ガス排出通路としては、可動金型中を貫通しているガス排出孔と、ガス排出空隙又はガス排出溝とから構成されるものが好ましい。
【0013】
本発明のダイカスト鋳造装置における溶湯保持炉内の溶湯を鋳込みスリーブに送出しうる鋳込み手段としては特に限定されるものではなく、従来公知の手段、例えば前記の低圧鋳造方法、真空吸引鋳造方法、浸漬型電磁ポンプによる方法等を用いることができるが、鋳込みスリーブ内へ溶湯を供給する鋳込み手段として、溶湯保持炉に浸漬された電磁ポンプや、金型キャビティ内のガスを真空吸引する真空吸引機構を好適に例示することができ、この場合、湯面加圧による低圧鋳造のように溶湯保持炉を密閉シールする必要がなく、溶湯保持炉の形状を自由なものとすることができ、ストークあるいは電磁ポンプの連絡ダクトの周辺だけ幅の狭い形状にすることにより溶湯の湯面を金型に近づけ、溶湯の供給を容易にすることができる。
【0014】
前記の電磁ポンプとしては、従来公知の浸漬型電磁ポンプを用いることができ、例えば、特開平6−189521号公報に記載されている浸漬型電磁ポンプや、特開平8−215830号公報に記載されている市販の浸漬型電磁ポンプ(坂井商事製)等を挙げることができる。電磁ポンプは、フレミングの法則に従い、溶湯に電流と磁界とを作用させることによって駆動力を得るもので、定量的な溶湯の供給や、供給スピードの高速化及びショットタイムラグの短縮化を可能とし、高品質な鋳造や薄肉で大型の鋳造品の鋳造を可能とする。また、電磁ポンプを用いることにより、生産サイクルタイムが短くなるので、生産性も向上する。さらに、電磁ポンプは、通常、予熱ヒータ及び熱電対を内臓し、溶湯を所定温度に保持しうることから、凝固層の発生が少なく、凝固層混入による鋳造製品の不良発生を極力抑制することが可能となる。
【0015】
特に、鋳込手段として、前記電磁ポンプに加えて、溶湯充填時のガスの巻き込み防止や、低設備コストでかつ簡単な構造で構成することができる前記真空吸引機構、すなわち、金型キャビティ内のガスを真空吸引することによって、下側固定金型の下方に隣接して設けられたストークを通じて、下方の溶湯保持炉から溶湯を真空吸引充填する真空吸引機構を備えている鋳込手段がより好ましい。これら電磁ポンプと真空吸引機構を併用することにより、真空吸引機構単独の場合に比べて低吸引力で溶湯保持炉内の溶湯を鋳込みスリーブに送出しうるばかりでなく、鋳込みスリーブとプランジャーとの間や金型の合わせ面等から外気の漏入する可能性を完全に排除することができる上に、金型キャビティ内での溶湯の酸化防止をも完全に排除することができる。このように電磁ポンプと真空吸引機構を併用することにより、薄肉で大型のアルミ合金やマグネ合金等の鋳造品を簡便に鋳造することが可能になるばかりか、例えば、電磁ポンプの駆動力を大きくし、さらに真空吸引力を加えることで、厚肉で大型の鋳造品の鋳造にも対応が可能となる。
【0016】
本発明におけるダイカスト鋳造装置の鋳込みスリーブとしては、鋳込みスリーブ内の溶湯を金型キャビティに注入することができるように、例えば合金鋼製の固定金型を固定する固定盤を貫通して固定金型に略水平状態又は略垂直状態で固着されているものを例示することができる(以下、鋳込みスリーブが略水平状態に設置されている給湯装置を水平タイプ給湯装置、鋳込みスリーブが略垂直状態に設置されている給湯装置を垂直タイプ給湯装置という)。鋳込みスリーブにはストークとの連通口である溶湯送出開口が設けられ、例えば、水平タイプ給湯装置では鋳込みスリーブ下面に、垂直タイプ給湯装置では鋳込みスリーブ側面に溶湯送出開口が設けられることになるが、いずれの場合であっても、金型キャビティに近い方の鋳込みスリーブの先端近傍に溶湯送出開口を設けることや、固定盤により固定された固定金型側に溶湯送出開口を設けることが、プランジャーのプランジャーチップが鋳込みスリーブ内の溶湯送出開口を閉塞したとき、鋳込みスリーブ内のプランジャーチップ前方部分と湯溜部との内容積を小さくし、1回の鋳造に必要な注湯量で、鋳込みスリーブ内のプランジャーチップ前方部分が少なくとも溶湯で充満される結果、溶湯とガスとの接触が極力減少し、さらにプランジャーチップを前進させて、溶湯をサイドゲートからキャビティ製品部に注入する際、溶湯が波立ったり、ガスを巻き込む心配がない点で好ましい。例えば、水平タイプ給湯装置の場合、鋳込みスリーブ内のプランジャーチップが溶湯送出開口を閉塞したとき、鋳込みスリーブ内のプランジャーチップ前方の体積と湯溜部のスリーブの最高位置水平面以下の内容積との総和を、1回の鋳造に必要な注湯量より小さくなるように構成しておくことにより、鋳込みスリーブ内のプランジャーチップ前方部分を少なくとも溶湯で充満することができる。
【0017】
また、鋳込みスリーブに送出された溶湯を前記金型キャビティへ注入する前記給湯装置におけるプランジャーとしては、鋳込みスリーブ内を気密下に摺動しうるプランジャーチップ(プランジャーヘッド)と、前記プランジャーチップを進退させることができるプランジャーロッドを有するものを例示することができ、プランジャーロッドの往復動の駆動源としては、油圧シリンダやサーボモータを挙げることができる。プランジャーチップが鋳込みスリーブの後退限に位置したとき、かかるプランジャーチップの金型キャビティ側近傍の鋳込みスリーブに、前記ストークからの溶湯の送出開口を設けることが速やかに注湯しうることから好ましく、また、プランジャーチップ背面に溶湯が流出しないように、プランジャーチップが鋳込みスリーブの前進限に位置したときであっても、前記ストークからの溶湯の送出開口を閉塞するような長さのプランジャーチップとしておくことが、運転トラブルを回避する上で好ましい。
【0018】
本発明のダイカスト鋳造装置としては、前記プランジャーの他に、金型キャビティ内に注入された溶湯を加圧する加圧手段を、金型キャビティのキャビティ製品部等の加圧手段用湯溜に備えているものが好ましい。かかる金型キャビティ内に注入された溶湯を加圧する加圧手段としては、閉塞された金型キャビティ内に充填されている溶湯を加圧することにより、凝固時にひけ巣の発生を抑制しうる手段であればどのようなものでもよいが、金型キャビティ内の溶湯を加圧する手段として、金型キャビティのキャビティ製品部を形成する可動金型に摺動自在に配設された加圧ピンを具体的に例示することができる。金型キャビティ内の溶湯凝固時に、かかる加圧ピンを金型キャビティ内に前進させて溶湯を加圧すると、凝固収縮体積を補充しひけ巣の発生を防止することができるが、プランジャーに加えて加圧ピンの進出速度をキャビティ製品部内の溶湯の凝固収縮速度に適応した速度となるようにプログラム制御を行う等、加圧速度を調節することにより、小さい型締め力のプレス装置でバリ吹きを防止しながらひけ巣の発生を防止することができる。また、加圧ピンは複数設けることもできる。
【0019】
本発明のダイカスト鋳造装置においては、前述のようにガス排出通路の近傍に溶湯凝固ゾーン用空隙を設けることが好ましく、特に加圧手段に近接してガス排出通路に連通した溶湯凝固ゾーン用空隙を設けることが好ましい。かかる溶湯凝固ゾーン用空隙としては、例えばキャビティ内のガスをガス排出通路から排出した後に、溶湯凝固ゾーンとなる空隙で先湯を凝固させることができ、プランジャーの作用面と協働して、簡単にキャビティ内を密封・閉塞することができる空隙であればどのようなものでもよく、かかる溶湯凝固ゾーン用空隙を単に設けておくだけで、エアベントバルブやフィルター等を配設しかつ複雑な切替弁やバルブを用いることなく、簡単にキャビティ内を密封・閉塞することができ、また鋳造装置の稼動に際して圧力調節等の複雑な操作も不要となり、さらに故障等の発生がないことから、溶湯凝固ゾーン用空隙を設けることは極めて実用的であるといえる。
【0020】
また、前記加圧手段に近接して設けられる溶湯凝固ゾーン用空隙としては、前記加圧ピンの外周面と可動金型内周面との間に形成されるガス排出空隙又はガス排出溝を介してガス排出孔に連通している溶湯凝固ゾーン用空隙を例示することができ、かかる溶湯凝固ゾーン用空隙としては、加圧ピンと同芯に設けられ、加圧ピンの直径よりも1〜5mm大きい内径で10〜40mm程度の深さ(長さ)を有する溶湯凝固ゾーンとなる空隙を具体的に例示することができる。このように、溶湯凝固ゾーン用空隙を溶湯の温度や鋳込速度に適合した寸法に設計製作しておくと、溶湯が充填された時に先湯がこの空隙部分で冷却凝固してガス排出空隙やガス排出溝に浸入することはない。
【0021】
溶湯凝固ゾーン用空隙と隣接する前記ガス排出空隙やガス排出溝としては、先湯が流入しない大きさや先湯が流入しない構造のものが好ましく、例えば、ガス排出空隙としては、加圧ピンと同芯に設けられ、加圧ピンの直径より0.4〜1.0mm程度大きい内径のガス排出空隙を具体的に挙げることができ、前記ガス排出溝としては加圧ピンの外周面に軸線状に伸びたガス排出溝を具体的に挙げることができる。そして、金型キャビティを真空にする際、空気の侵入を防止するために、パーテイング面にはガス排出孔、及びガス排出空隙若しくはガス排出溝等からなるガス排出通路を設けずにシールパッキングを設置し、ガスの残存しやすいキャビティの高い位置、例えば湯溜部の上方にガス排出通路を設置することが好ましい。また、加圧各ピンの摺動部等には凡てシールパッキングを設置し金型外部からの空気の漏入を防止することが好ましい。
【0022】
ところで、前記のように、電磁ポンプや、電磁ポンプと真空吸引機構との併用による溶湯の鋳込み速度を最適値の1.0〜2.4m/秒とすると、加圧ピンの外周に近接して設けられた溶湯凝固ゾーン用空隙やガス排出空隙等の2段空隙部における空気抵抗が大きくなるが、加圧ピンの数及び配置を適宜選択することにより、前記溶湯凝固ゾーン用空隙やガス排出空隙の設置目的を達成することができる。すなわち、先湯が2段空隙の溶湯凝固ゾーン用空隙で冷却凝固し、溶湯凝固ゾーン用空隙より狭いガス排出空隙やガス排出溝に浸入しない構造に、当業者であれば容易に設計することができる。また、溶湯凝固ゾーン用空隙で先湯を確実に冷却凝固するために、加圧ステムや加圧ピンにベリリューム銅など熱伝導の良い材料を用い、その内部を水冷することができる構造とすることもできる。
【0023】
本発明のダイカスト鋳造方法には、本発明のダイカスト鋳造鋳造装置を好適に用いることができる。具体的には、金型キャビティに連通する鋳込みスリーブと、該鋳込みスリーブに溶湯送出開口を介して連通するストークと、該ストークの下端が金型キャビティへの1回の注湯により下降する湯面の下限位置より下方に配置されている溶湯保持炉と、該溶湯保持炉から前記鋳込みスリーブ内へ溶湯を供給する鋳込み手段と、前記鋳込みスリーブ内を摺動し、鋳込みスリーブに送出された溶湯を前記金型キャビティへ注入するプランジャーとを備えたダイカスト鋳造装置を用い、鋳込み手段により溶湯保持炉からストークを通じて溶湯を鋳込みスリーブに送出し、次いで、鋳込みスリーブ内を摺動するプランジャーを前進させ、該プランジャーのプランジャーチップが鋳込みスリーブ内の溶湯送出開口を閉塞したとき、鋳込みスリーブ内のプランジャーチップ前方部分を溶湯で充満し、さらに、プランジャーを前進させ、溶湯を金型キャビティへ注入・加圧し、ガスの巻込みのない鋳造品を鋳造するダイカスト鋳造方法であれば特に制限されるものではない。
【0024】
例えば、真空吸引や電磁ポンプ等の鋳込み手段を用いて1回の注湯量に相当する溶湯を溶湯保持炉から鋳込みスリーブに送出し、鋳込みスリーブに送出された溶湯を鋳込みスリーブ内を摺動するプランジャーにより、溶湯保持炉と鋳込みスリーブとの連通口より金型キャビティ側へ押し進め、かつ金型キャビティの溶湯を加圧ピン等で有効に加圧することにより、凝固時にひけ巣の発生がなくかつガスの巻込みのない鋳造品、特に、薄肉で大型のアルミ合金やマグネ合金等の鋳造品を簡便かつ効率よく鋳造することができる。
【0025】
【実施例】
本発明のダイカスト鋳造装置を適用した好ましい実施の態様を以下図面を参照して説明するが、本発明の技術的範囲はこれらに限定されるものではない。図1は本発明のダイカスト鋳造装置を示す概略断面図、図2〜図7は図1に示す本発明のダイカスト鋳造装置の作動状態を示す説明図、図8は従来のダイカスト鋳造装置を示す概略断面図である。以下、鋳込み手段として電磁ポンプと真空吸引機構を備えたダイカスト鋳造装置を例に挙げて説明する。
【0026】
図1〜図7に示されるダイカスト鋳造装置は、固定盤3に固定される合金鋼製の固定金型1と、固定金型1に圧着される可動金型2と、固定金型1と可動金型2との間に形成される金型キャビティCに溶湯を注入するための鋳込みスリーブ5と鋳込みスリーブ5内を往復動するプランジャー6と、ストーク9を介して鋳込みスリーブ5に溶湯を供給するための電磁ポンプ8と、溶湯Mを保持する溶湯保持炉7と、金型キャビティC内の溶湯を加圧する加圧ピン11と、金型キャビティC内に連通する真空吸引通路13を有し、金型キャビティCに溶湯を自動的に鋳込み、冷却して鋳造品を製造するものである。なお、図示されていないが、ダイカスト鋳造装置には溶湯冷却後、金型キャビティCから鋳造品10を取り出すための型開きを行なう型締装置等が設けられている。
【0027】
鋳込みスリーブ5は、ダイカスト鋳造装置の金型キャビティCに連通されるように固定盤3を貫通し、固定金型1に略水平に固定され、溶湯Mを金型キャビティCへ給湯する円管であって、金型キャビティ寄りの先端近傍付近の管壁下面には、溶湯保持炉7に浸漬している電磁ポンプ8の出口に延設されるストーク(連絡ダクト)9に接続する溶湯送出開口51が固定盤3により固定された固定金型1側に設けられており、鋳込みスリーブ5の内径は、溶湯の充満度を高くして空間の体積を小さくしてガスの巻込みを排除するため、また、鋳込みスリーブ5の内壁を気密に摺動するプランジャー6の作用面を小さくし、同一の鋳込み圧力を小さい駆動力で得るため、従来のものよりも小径となっており、プランジャー6のプランジャーチップ63が鋳込みスリーブ5内の溶湯送出開口51を閉塞したとき、鋳込みスリーブ5内のプランジャーチップ63前方部分が少なくとも溶湯で充満されるように構成されている。すなわち、鋳込みスリーブ5内のプランジャーチップ63が溶湯送出開口51を閉塞したとき、鋳込みスリーブ5内のプランジャーチップ63前方の体積と、湯溜部C1の鋳込みスリーブ5の最高位置水平面以下との内容積の総和を、1回の鋳造に必要な注湯量より小さくするために、鋳込みスリーブ5の長さは短く小径のものとして構成されている。
【0028】
このような鋳込みスリーブ5内を往復動するプランジャー6は、鋳込みスリーブ5に供給された溶湯Mを金型キャビティCへ押し出すものであり、油圧シリンダ61によって駆動され、小径のプランジャーロッド62と、プランジャーロッド62の先端に設けられ、鋳込みスリーブ5の内壁を摺動する鋳込みスリーブ5の内径と略同一径であり、その先端面が溶湯Mを押し出す作用面を構成する前述のプランジャーチップ63とを有する。プランジャーチップ63の軸方向の長さは、進出限においても溶湯送出開口51を閉塞し、また、後退限に配置されるとき、鋳込みスリーブ5の管壁下面に設けられる溶湯送出開口51を閉塞せず、その先端が溶湯送出開口51の直前に位置するような長さであって、溶湯保持炉7から溶湯Mが鋳込みスリーブ5へ送出されている間は溶湯送出開口51の全面を開放させ、鋳込みスリーブ5への溶湯Mの供給が終了して前方へ移動することにより、溶湯送出開口51を閉塞しながら、鋳込みスリーブ5へ供給された溶湯Mを前方へ押し出し、溶湯送出開口51から余剰の溶湯Mの鋳込みスリーブ5への供給を防止しうるようになっている。
【0029】
鋳込みスリーブ5へ供給される溶湯Mを保持する溶湯保持炉7は、図1に示すように、電磁ポンプ8が浸漬されており、ストーク(連絡ダクト)9を通じて鋳込みスリーブ5の溶湯送出開口51に接続されている。電磁ポンプ8の下端入口は、金型キャビティへの1回の注湯により下降する湯面の下限位置より下方に配置されているので、溶湯Mが電磁ポンプ8の電磁力で送出される際に、溶湯表面近傍の酸化膜等が鋳込みスリーブ内へ混入することはない。電磁ポンプ8は内部に電磁コイル81を有し、電磁ポンプ8のケースはセラミック製であり溶湯Mから保護されている。また、溶湯保持炉7の上部は解放されており、溶湯ポンプ、ラドル等いずれの方法によっても溶湯Mの補給が容易にできる構造となっている。
【0030】
また、鋳込みスリーブ5に連通する金型キャビティCには、鋳込みスリーブ5の内径より少し大きいテーパー形状の湯溜部C1が設けられ、湯溜部C1はサイドゲートC2を介して金型キャビティCの製品部に連通している。また、金型キャビティCの製品部の一端には、金型キャビティC内の溶湯を加圧ピン用油圧シリンダ12の駆動により加圧ピン湯溜14に進出して加圧する加圧ピン11が設けられている。なお、図示はしていないが、加圧手段に近接して真空吸引通路(ガス排出通路)13に連通した溶湯凝固ゾーン用空隙が設けられている。
【0031】
このような構成のダイカスト鋳造装置を用いたダイカスト鋳造方法について以下説明する。
図2に示される状態から、真空吸引通路13に連通した真空吸引機構による吸引と電磁ポンプ8によって、溶湯保持炉7から鋳造1回分に必要な注湯量の溶湯が鋳込みスリーブ5内へ送出される。このとき、図3に示すように、鋳込みスリーブ5から金型キャビティCの湯溜部C1に入った溶湯の湯面は、鋳込みスリーブ5の最高位置水平面より高く、鋳込みスリーブ5内のプランジャーチップ63前方部分が溶湯で充満されているので、鋳込みスリーブ5内には空気が残存せず、溶湯の表面酸化も起こらない。溶湯の送出が完了すると、図4に示すように、油圧バルブを開いて油圧シリンダ61を作動させ、プランジャーロッド62を介しプランジャーチップ63の前進が開始されると同時に、鋳込みスリーブ5の溶湯送出開口51が閉塞され、金型キャビティCに溶湯が充填される。前記したように、鋳込みスリーブ5内には空気が残存しないことから、プランジャーチップ63を前進させ、金型キャビティC(キャビティ製品部)へ溶湯を充填するする際、湯面が波立たず、ガスの巻き込みや酸化膜の混入はない。また、金型キャビティCの湯溜部C1の内径は、鋳込みスリーブ5の内径よりも大きくなるように設計されているため、仮に金型キャビティCの湯溜部C1内に凝固層が発生した場合でも、プランジャー6によって金型キャビティC内に押し出されることはない。
【0032】
充填が完了し溶湯の冷却が始まると、溶湯の凝固収縮が生起するため、プランジャーでの加圧下、図5に示すように、加圧ピン用油圧シリンダ12により加圧ピン11を作動させる。プランジャー6による加圧のみでは金型キャビティCの端部までの圧力伝達が難しいが、加圧ピン11を作動させて加圧することで、全面的に凝固収縮によるひけ巣のない緻密な組織の鋳造品を得ることができる。金型キャビティCの溶湯の冷却凝固が完了した後、型開きを行い(図6)可動金型で持ち出された製品素材は各加圧ピン及び押し出しピンによって押し出され取り出すことができる(図7)。
【0033】
【発明の効果】
本発明のダイカスト鋳造装置、また、ダイカスト鋳造方法によると、鋳造品の形状に関わらず溶湯を溶湯保持炉から金型キャビティ内へガスの巻き込みや、酸化物の混入のない状態で高速で充填することができると共に、キャビティ内のガスをほぼ完全に排出すると同時に、閉塞されたキャビティ内の溶湯を有効に加圧することができ、ガスの巻き込みやひけ巣の発生のない均質な鋳造品を簡便かつ低設備コストで得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のダイカスト鋳造装置の概略縦断面図である。
【図2】図1に示す本発明のダイカスト鋳造装置の作動状態を示す説明図で、鋳込み前の状態を示す。
【図3】図1に示す本発明のダイカスト鋳造装置の作動状態を示す説明図で、鋳込みスリーブ内へ溶湯を供給した状態を示す。
【図4】図1に示す本発明のダイカスト鋳造装置の作動状態を示す説明図で、溶湯を金型キャビティ内へ充填した状態を示す。
【図5】図1に示す本発明のダイカスト鋳造装置の作動状態を示す説明図で、金型キャビティ内の溶湯が加圧された状態を示す。
【図6】図1に示す本発明のダイカスト鋳造装置の作動状態を示す説明図で、溶湯の充填冷却が完了し型が開いた状態を示す。
【図7】図1に示す本発明のダイカスト鋳造装置の作動状態を示す説明図で、製品を取り出す状態を示す。
【図8】従来の一般的なダイカスト鋳造装置の概略縦断面図である。
【符号の説明】
1……固定金型
2……可動金型
3……固定盤
4……可動盤
5……鋳込みスリーブ
51……溶湯送出開口
6……プランジャー
61……プランジャー用油圧シリンダ
62……プランジャーロッド
63……プランジャーチップ
7……溶湯保持炉
8……電磁ポンプ
81……電磁コイル
9……ストーク
10……鋳造品
11……加圧ピン
12……加圧ピン用油圧シリンダ
13……真空吸引通路
14……加圧ピン湯溜
C……金型キャビティ
C1……湯溜部
C2……サイドゲート
M……溶湯
Claims (9)
- 固定金型に水平に固定され、金型キャビティに連通する鋳込みスリーブと、金型キャビティの入口に設けられ、前記鋳込みスリーブ端部から漸次拡大するテーパー形状に形成された湯溜部と、前記鋳込みスリーブの先端近傍の下面に設けられた溶湯送出開口を介して連通するストークと、該ストークの下端が金型キャビティへの1回の注湯により下降する湯面の下限位置より下方に配置されている溶湯保持炉と、該溶湯保持炉から前記鋳込みスリーブ内へ溶湯を供給する鋳込み手段と、前記鋳込みスリーブ内を摺動し、鋳込みスリーブに送出された溶湯を前記金型キャビティへ注入するプランジャーとを備え、該プランジャーのプランジャーチップが鋳込みスリーブ内の溶湯送出開口を閉塞したとき、鋳込みスリーブ内のプランジャーチップ前方の体積と湯溜部のスリーブの最高位置水平面以下の内容積との総和が、1回の鋳造に必要な注湯量より小さくなるように構成して、鋳込みスリーブ内のプランジャーチップ前方部分が溶湯で充満されるように構成されていることを特徴とするダイカスト鋳造装置。
- 金型キャビティの製品部の一端に、金型キャビティ内に注入された溶湯を加圧する加圧手段用湯溜を備えていることを特徴とする請求項1記載のダイカスト鋳造装置。
- 金型キャビテイ内の溶湯を加圧する手段が、加圧ピンであることを特徴とする請求項2記載のダイカスト鋳造装置。
- 溶湯送出開口が、固定盤により固定された固定金型側に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のダイカスト鋳造装置。
- 金型キャビティがガス排出通路を備え、該ガス排出通路に連通した溶湯凝固ゾーン用空隙が前記ガス排出通路の近傍に設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載のダイカスト鋳造装置。
- 鋳込みスリーブ内へ溶湯を供給する鋳込み手段が、溶湯保持炉に浸漬された電磁ポンプ、及び/又は、金型キャビティ内のガスを真空吸引する真空吸引機構であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載のダイカスト鋳造装置。
- 固定金型に水平に固定され、金型キャビティに連通する鋳込みスリーブと、金型キャビティの入口に設けられ、前記鋳込みスリーブ端部から漸次拡大するテーパー形状に形成された湯溜部と、前記鋳込みスリーブの先端近傍の下面に設けられた溶湯送出開口を介して連通するストークと、該ストークの下端が金型キャビティへの1回の注湯により下降する湯面の下限位置より下方に配置されている溶湯保持炉と、該溶湯保持炉から前記鋳込みスリーブ内へ溶湯を供給する鋳込み手段と、前記鋳込みスリーブ内を摺動し、鋳込みスリーブに送出された溶湯を前記金型キャビティへ注入するプランジャーとを備え、該プランジャーのプランジャーチップが鋳込みスリーブ内の溶湯送出開口を閉塞したとき、鋳込みスリーブ内のプランジャーチップ前方の体積と湯溜部のスリーブの最高位置水平面以下の内容積との総和が、1回の鋳造に必要な注湯量より小さくなるように構成されたダイカスト鋳造装置を用い、鋳込み手段により溶湯保持炉からストークを通じて溶湯を鋳込みスリーブに送出し、次いで、鋳込みスリーブ内を摺動するプランジャーを前進させ、該プランジャーのプランジャーチップが鋳込みスリーブ内の溶湯送出開口を閉塞したとき、鋳込みスリーブ内のプランジャーチップ前方部分を溶湯で充満し、さらに、プランジャーを前進させ、溶湯を金型キャビティへ注入・加圧し、ガスの巻込みのない鋳造品を鋳造することを特徴とするダイカスト鋳造方法。
- 溶湯を金型キャビティへ注入した後、金型キャビティ内の溶湯を金型キャビティの製品 部の一端に設けられた加圧ピンで加圧して、凝固時にひけ巣の発生がなくかつガスの巻込みのない鋳造品を鋳造することを特徴とする請求項7記載のダイカスト鋳造方法。
- 鋳造品が、薄肉で大型のアルミ合金鋳造品又はマグネ合金鋳造品であることを特徴とする請求項7又は8記載のダイカスト鋳造方法。
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