JP2003305555A - ダイカスト鋳造装置及びダイカスト鋳造方法 - Google Patents

ダイカスト鋳造装置及びダイカスト鋳造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶湯を溶湯保持炉から金型キャビティ内へ酸
化物の混入のない状態で高速で充填することができると
共に、キャビティ内のガスをほぼ完全に排出すると同時
に、閉塞されたキャビティ内の溶湯を有効に加圧するこ
とができ、ガスの巻き込みやひけ巣の発生のない均質な
鋳造品を簡便かつ低設備コストで得ること。 【解決手段】 金型キャビティCに連通する鋳込みスリ
ーブ5と、該鋳込みスリーブに連通するストーク9と、
該ストークの下端が金型キャビティへの1回の注湯によ
り下降する湯面の下限位置より下方に配置されている溶
湯保持炉7と、該溶湯保持炉から前記鋳込みスリーブ内
へ溶湯を供給する鋳込み手段と、前記鋳込みスリーブ内
を摺動するプランジャー6とを備え、該プランジャーが
鋳込みスリーブ内の溶湯送出開口を閉塞したとき、鋳込
みスリーブ内のプランジャーチップ前方部分が溶湯で充
満されるように構成したダイカスト鋳造装置とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋳込みスリーブ
へ、アルミニウム合金やマグネ合金等の溶湯を自動給湯
するダイカスト鋳造装置及びダイカスト鋳造方法に関
し、より詳しくは、電磁ポンプ及び/又は金型キャビテ
ィ内ガス真空吸引機構により、鋳込みスリーブ内に送出
された溶湯をプランジャーでその都度ダイカスト鋳造装
置の金型キャビティ内に鋳込んだ後、金型キャビテイ内
の溶湯を加圧するダイカスト鋳造装置及びダイカスト鋳
造方法に関する。かかる本発明によると、凝固時にひけ
巣の発生がなくかつガスの巻込みのない鋳造品を鋳造す
ることができる。
【0002】
【従来の技術】従来、固定金型と可動金型によって形成
される金型キャビティに、溶融されたアルミニウム合金
等の溶湯を注入し、冷却して鋳物を作製するアルミニウ
ム合金等のダイカスト鋳造装置においては、図8に示す
ように、金型キャビティに溶湯を供給する場合、ラドル
によって溶湯保持炉内に保持される溶湯を汲み取り、鋳
込みスリーブの上部の入口穴から注湯する方法が採用さ
れているが、スリーブ上部の入口穴を大きく、長さが長
いスリーブとせざるを得なかった。かかる鋳込みスリー
ブを用いる場合、1回分の鋳込みスリーブに注湯される
溶湯量は、鋳込みスリーブ及びその先端に設けられた湯
溜まりの容積の和に比較して大幅に小さく、注湯された
溶湯が鋳込みスリーブを充満することなく、溶湯上部の
大きな空気溜まりにより湯面が酸化されやすい上に、鋳
込みスリーブとの接触面積も大きくなって冷却され、凝
固層が発生しやすい。また、プランジャーが前進して金
型キャビティに溶湯を充填するとき、鋳込みスリーブ内
の溶湯湯面が波立ち、溶湯上部の空気溜まりから空気を
巻き込むとともに、溶湯湯面の酸化膜もが混入し、加え
て、発生した凝固層がプランジャー前進の抵抗となって
実質的な鋳込力の低下を来たし、不良鋳造製品発生の原
因となっていた。
【0003】また、このような重力により鋳込みスリー
ブに給湯する方法は、溶湯保持炉内の溶湯をラドルで汲
み取る際、空気と接触する湯面に発生する酸化膜もラド
ルで汲み取られるため、溶湯に酸化膜が混入し、また、
鋳込スリーブに注湯する際の落下衝突時の空気が混入
し、欠陥の多い鋳造品となるため、空気に接触すること
により酸化されやすいアルミニウム合金等の鋳造品の製
造方法としては好ましいものとはいえなかった。このた
め、ラドル下端部の溶湯口部に短管を設け、鋳込みスリ
ーブ内の後退位置にあるプランジャーチップの前面の直
前に短管の先端を配置し、ラドルから鋳込みスリーブ内
へ静かに注湯し、空気の巻き込みによる酸化物の発生を
防止しつつ、鋳造品の品質の向上を図ることができるダ
イカストマシンの自動給湯装置等(特開平6−2464
19号公報)が提案されていた。しかし、このような自
動給湯装置においても、溶湯はラドルから空気の存在す
る鋳込みスリーブに落下されており、空気と接触した溶
湯がダイカストマシンへ供給されることは免れ得るもの
ではなかった。
【0004】溶湯の金型キャビティへの鋳込み方法とし
ては、溶湯保持炉に供給されるガス圧により供給する低
圧鋳造方法(特開昭58−55166号公報)や、金型
キャビティ内のガスを排出して真空吸引により供給する
真空吸引鋳造方法(特開平5−212528号公報、特
開平6−182520号公報、特開平7−32125号
公報、特開平9−57422号公報、)や、溶湯保持炉
の溶湯湯面の下に浸漬型電磁ポンプを設置してその駆動
力によって供給する方法(特表平8−509170号公
報)が知られているが、これらの方法では、酸化物の混
入やガスの巻き込みあるいは凝固時に発生するひけ巣を
充分に防止することができず、強度を必要とする鋳造品
には適用されていなかった。また、例えば上記特開昭5
8−55166号公報には、湯槽上部空間を減圧にする
と共に、エアベントバルブを介してキャビテイ内を減圧
し、その後湯槽上部空間を加圧状態として溶湯をキャビ
テイ内に鋳込むという複雑な切替弁やバルブを用いる方
法や、湯槽上部空間を減圧にすることにより、キャビテ
イ内のガスをストーク及び湯槽内を通して排気した後、
湯槽上部空間を加圧状態として溶湯をキャビティ内に鋳
込むという複雑な切替弁やバルブを用いる上に溶湯にガ
スが混入する方法が開示されているように、キャビテイ
内のガスを抜くために色々な方法が考案されているが、
従来の鋳込み装置では稼動上のトラブルも多く、現在ま
で実用面において必ずしも満足できるものは存在しなか
った。
【0005】一方、本発明者は、一般的な部品を鋳造す
る場合の酸化物の混入やガスの巻き込みを防止する竪型
鋳込み方法として、下側の固定金型と上側の可動金型と
固定金型の下側において射出装置を設け、固定金型に鋳
込スリーブの内径よりも小径の縦方向の円形ゲートを設
け、円形ゲートへの挿入部の直径が円形ゲート内径より
もわずかに小さい径のピンを可動金型に摺動自在に設け
てピンを円形ゲート内を昇降させ得るように設け、可動
金型の円形ゲート上部に設けた円形の溜部の入口の直径
を鋳込時に円形ゲートから噴出する溶湯噴流の直径より
も大きく、溜部の天井高さを前記溶湯噴流の到達高さよ
りも高くした竪型鋳込装置を用いて、溶湯を金型のキャ
ビティ内へ鋳込み、溶湯がキャビティ内を充填したらピ
ンを突出させて押湯作用を行わせる方法を提案した(特
開平10−146663号公報)。この方法は、酸化物
の混入やガスの巻き込みあるいは溶湯凝固時に発生する
ひけ巣をある程度防止しうる点では優れているといえる
ものの、高圧鋳込みのために大きい射出力及び型締力を
必要とし、コストの高い設備が必要とされていた。
【0006】また、本発明者は、ガス排出通路を備えた
キャビティを形成することができる下側の固定金型と上
側の可動金型と、キャビティ内へ溶湯を下方から供給充
填するための真空吸引手段と、キャビティ内に鋳込まれ
た溶湯がキャビティ内を充填した後、固定金型に設けら
れている溶湯流入ゲートを塞ぐ閉塞ピンと、閉塞された
金型キャビティ内の溶湯を加圧する加圧システムとを備
えた竪型鋳造装置及びそれを用いた鋳造方法についても
提案した(特開2001−191170号公報)。この
方法は、ある範囲の鋳造品に対しては、酸化物の混入や
ガスの巻き込みあるいは溶湯凝固時に発生するひけ巣を
防止しうる点できわめて優れているといえるものの、薄
肉で大型の鋳造品の場合には、溶湯がキャビティ製品部
内を流れる速度が遅くなり、その間に冷却凝固が進むた
めに流速が一層低下してキャビティ製品部内への溶湯充
填が充分でなくなり、加圧しても圧力伝達が悪いために
ひけ巣発生の可能性が生じるという問題があった。ま
た、充填能力を大きくするために真空度を高くすると、
金型キャビティへの外気漏入の可能性が増加し、不良品
発生の可能性が生じるという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、鋳造
品の形状に関わらず溶湯を溶湯保持炉から金型キャビテ
ィ内へ酸化物の混入のない状態で高速で充填することが
できると共に、キャビティ内のガスをほぼ完全に排出す
ると同時に、閉塞されたキャビティ内の溶湯を有効に加
圧することができ、ガスの巻き込みやひけ巣の発生のな
い均質な鋳造品を簡便かつ低設備コストで得ることがで
きるダイカスト鋳造装置及びダイカスト鋳造方法を提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するため、従来の鋳込みスリーブの内径よりも小さ
な内径の鋳込みスリーブを用い、該鋳込みスリーブに連
通するストークの下端を、1回の注湯により下降する湯
面の下限位置より下方の溶湯保持炉内に配置し、金型キ
ャビティ内のガスを真空吸引するとともに、電磁ポンプ
を用いて、溶湯保持炉内のアルミニウム合金からなる溶
湯を、鋳込みスリーブの先端近傍下面に設けられた溶湯
送出開口を介して、鋳込みスリーブ内へ送出し始め、鋳
込みスリーブ内を鋳込みスリーブの後退限から前方に摺
動するプランジャーが前進して溶湯送出開口を閉塞した
とき、プランジャーチップ前方の鋳込みスリーブ内と、
鋳込みスリーブ前方の金型キャビティ内に形成された、
スリーブ内径より少し大きい内径のテーパー状湯溜部
を、1回分の溶湯でほぼ充満させ、かかる溶湯をさらに
前進するプランジャーにより金型キャビティへ注入する
と、溶湯が波立たず、また空気の巻き込みがない上に、
湯溜部側壁に発生した凝固層をプランジャーが加圧しな
い結果、プランジャー前進時の抵抗が小さくなり、かつ
小さい加圧力で溶湯を充分に加圧することが可能とな
り、さらに、溶湯が充満した金型キャビティ内を加圧ピ
ンで加圧することにより、酸化膜の混入、ガスの巻き込
み及び凝固時におけるひけ巣の発生が防止できると共
に、薄肉で大型のアルミ合金鋳造品を強度ある鋳造品と
してきわめて安定的に鋳造できることを見い出し、本発
明を完成するに至った。
【0009】すなわち本発明は、金型キャビティに連通
する鋳込みスリーブと、該鋳込みスリーブに溶湯送出開
口を介して連通するストークと、該ストークの下端が金
型キャビティへの1回の注湯により下降する湯面の下限
位置より下方に配置されている溶湯保持炉と、該溶湯保
持炉から前記鋳込みスリーブ内へ溶湯を供給する鋳込み
手段と、前記鋳込みスリーブ内を摺動し、鋳込みスリー
ブに送出された溶湯を前記金型キャビティへ注入するプ
ランジャーとを備え、該プランジャーのプランジャーチ
ップが鋳込みスリーブ内の溶湯送出開口を閉塞したと
き、鋳込みスリーブ内のプランジャーチップ前方部分が
溶湯で充満されるように構成されていることを特徴とす
るダイカスト鋳造装置(請求項1)や、金型キャビティ
が、その入口に鋳込みスリーブ内径より大きい内径の湯
溜部を備えていることを特徴とする請求項1記載のダイ
カスト鋳造装置(請求項2)や、湯溜部が、鋳込みスリ
ーブ端部から漸次拡大するテーパー形状に形成されてい
ることを特徴とする請求項2記載のダイカスト鋳造装置
(請求項3)や、金型キャビティが、金型キャビティ内
に注入された溶湯を加圧する加圧手段用湯溜を備えてい
ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のダイ
カスト鋳造装置(請求項4)や、金型キャビテイ内の溶
湯を加圧する手段が、加圧ピンであることを特徴とする
請求項4記載のダイカスト鋳造装置(請求項5)や、溶
湯送出開口が、鋳込みスリーブの先端近傍に設けられて
いることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載のダ
イカスト鋳造装置(請求項6)や、溶湯送出開口が、固
定盤により固定された固定金型側に設けられていること
を特徴とする請求項1〜6のいずれか記載のダイカスト
鋳造装置(請求項7)や、鋳込みスリーブが、固定金型
に水平又は垂直に固定されていることを特徴とする請求
項1〜7のいずれか記載のダイカスト鋳造装置(請求項
8)や、金型キャビティがガス排出通路を備え、該ガス
排出通路に連通した溶湯凝固ゾーン用空隙が前記ガス排
出通路の近傍に設けられていることを特徴とする請求項
1〜8のいずれか記載のダイカスト鋳造装置(請求項
9)や、鋳込みスリーブ内へ溶湯を供給する鋳込み手段
が、溶湯保持炉に浸漬された電磁ポンプ、及び/又は、
金型キャビティ内のガスを真空吸引する真空吸引機構で
あることを特徴とする請求項1〜9のいずれか記載のダ
イカスト鋳造装置(請求項10)に関する。
【0010】また本発明は、金型キャビティに連通する
鋳込みスリーブと、該鋳込みスリーブに溶湯送出開口を
介して連通するストークと、該ストークの下端が金型キ
ャビティへの1回の注湯により下降する湯面の下限位置
より下方に配置されている溶湯保持炉と、該溶湯保持炉
から前記鋳込みスリーブ内へ溶湯を供給する鋳込み手段
と、前記鋳込みスリーブ内を摺動し、鋳込みスリーブに
送出された溶湯を前記金型キャビティへ注入するプラン
ジャーとを備えたダイカスト鋳造装置を用い、鋳込み手
段により溶湯保持炉からストークを通じて溶湯を鋳込み
スリーブに送出し、次いで、鋳込みスリーブ内を摺動す
るプランジャーを前進させ、該プランジャーのプランジ
ャーチップが鋳込みスリーブ内の溶湯送出開口を閉塞し
たとき、鋳込みスリーブ内のプランジャーチップ前方部
分を溶湯で充満し、さらに、プランジャーを前進させ、
溶湯を金型キャビティへ注入・加圧し、ガスの巻込みの
ない鋳造品を鋳造することを特徴とするダイカスト鋳造
方法(請求項11)や、溶湯を金型キャビティへ注入し
た後、金型キャビティ内の溶湯を加圧ピンで加圧して、
凝固時にひけ巣の発生がなくかつガスの巻込みのない鋳
造品を鋳造することを特徴とする請求項11記載のダイ
カスト鋳造方法(請求項12)や、鋳造品が、薄肉で大
型のアルミ合金鋳造品又はマグネ合金鋳造品であること
を特徴とする請求項11又は12記載のダイカスト鋳造
方法(請求項13)に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明のダイカスト鋳造装置とし
ては、金型キャビティに連通する鋳込みスリーブと、該
鋳込みスリーブに溶湯送出開口を介して連通するストー
クと、該ストークの下端が金型キャビティへの1回の注
湯により下降する湯面の下限位置より下方に配置されて
いる溶湯保持炉と、該溶湯保持炉から前記鋳込みスリー
ブ内へ溶湯を供給する鋳込み手段と、前記鋳込みスリー
ブ内を摺動し、鋳込みスリーブに送出された溶湯を前記
金型キャビティへ注入・加圧するプランジャーとを備
え、該プランジャーのプランジャーチップが鋳込みスリ
ーブ内の溶湯送出開口を閉塞したとき、鋳込みスリーブ
内のプランジャーチップ前方部分が溶湯で充満されるよ
うに構成されている鋳造装置であれば特に制限されるも
のではなく、本発明のダイカスト鋳造装置を用いると、
ストークの下端が金型キャビティへの1回の注湯により
下降する湯面の下限位置より下方に配置されているので
溶湯への酸化物の混入がない製品特性、かつプランジャ
ーのプランジャーチップが鋳込みスリーブ内の溶湯送出
開口を閉塞したとき、鋳込みスリーブ内のプランジャー
チップ前方部分が溶湯で充満されるように構成されてい
るのでガスの巻き込みのない製品特性を有する鋳造品を
好適に鋳造することができる。さらに、金型キャビテイ
内の溶湯を加圧する加圧ピン等を設けておくと、凝固時
にひけ巣の発生がない製品特性の鋳造品を好適に鋳造す
ることができる。そして、かかる鋳造品としては特に限
定されるものではないが、アルミニウム合金、マグネシ
ウム合金等の軽金属合金、特に凝固収縮が大きいアルミ
ニウム合金が好ましい。アルミニウムは凝固するとき約
7%収縮することから、ひけ巣の発生を防止しうる本発
明の鋳造装置は、アルミニウム合金等の凝固収縮が大き
い軽金属合金からなる鋳造品、特に薄肉で大型のアルミ
合金鋳造品を鋳造する場合に、特に有利に用いることが
できる。
【0012】前記金型キャビティとしては、下方から溶
湯を充填供給することができるものであれば特に制限さ
れるものではないが、薄肉で大型の鋳造品を鋳造するこ
とができる金型キャビティが好ましく、また、鋳込みス
リーブと連通状態で隣接する金型キャビティ入口に、ス
リーブ内径より少し大きい内径の湯溜部、好ましくは鋳
込みスリーブ端部から漸次拡大するテーパー形状に形成
されている湯溜部を備えているものが、湯溜部側壁に発
生した凝固層をプランジャーが加圧しないので、プラン
ジャー前進時の抵抗が小さくなり、かつ小さい加圧力で
溶湯を充分に加圧することが可能となる点でより好まし
い。かかる湯溜部はサイドゲートを介して金型キャビテ
ィと連通させることができる。さらに、金型キャビティ
内への溶湯充填時にキャビティ内に存在するガスを排出
することができるガス排出通路と、該ガス排出通路に連
通した溶湯凝固ゾーン用空隙を有するものが好ましく、
ガス排出通路としては、可動金型中を貫通しているガス
排出孔と、ガス排出空隙又はガス排出溝とから構成され
るものが好ましい。
【0013】本発明のダイカスト鋳造装置における溶湯
保持炉内の溶湯を鋳込みスリーブに送出しうる鋳込み手
段としては特に限定されるものではなく、従来公知の手
段、例えば前記の低圧鋳造方法、真空吸引鋳造方法、浸
漬型電磁ポンプによる方法等を用いることができるが、
鋳込みスリーブ内へ溶湯を供給する鋳込み手段として、
溶湯保持炉に浸漬された電磁ポンプや、金型キャビティ
内のガスを真空吸引する真空吸引機構を好適に例示する
ことができ、この場合、湯面加圧による低圧鋳造のよう
に溶湯保持炉を密閉シールする必要がなく、溶湯保持炉
の形状を自由なものとすることができ、ストークあるい
は電磁ポンプの連絡ダクトの周辺だけ幅の狭い形状にす
ることにより溶湯の湯面を金型に近づけ、溶湯の供給を
容易にすることができる。
【0014】前記の電磁ポンプとしては、従来公知の浸
漬型電磁ポンプを用いることができ、例えば、特開平6
−189521号公報に記載されている浸漬型電磁ポン
プや、特開平8−215830号公報に記載されている
市販の浸漬型電磁ポンプ(坂井商事製)等を挙げること
ができる。電磁ポンプは、フレミングの法則に従い、溶
湯に電流と磁界とを作用させることによって駆動力を得
るもので、定量的な溶湯の供給や、供給スピードの高速
化及びショットタイムラグの短縮化を可能とし、高品質
な鋳造や薄肉で大型の鋳造品の鋳造を可能とする。ま
た、電磁ポンプを用いることにより、生産サイクルタイ
ムが短くなるので、生産性も向上する。さらに、電磁ポ
ンプは、通常、予熱ヒータ及び熱電対を内臓し、溶湯を
所定温度に保持しうることから、凝固層の発生が少な
く、凝固層混入による鋳造製品の不良発生を極力抑制す
ることが可能となる。
【0015】特に、鋳込手段として、前記電磁ポンプに
加えて、溶湯充填時のガスの巻き込み防止や、低設備コ
ストでかつ簡単な構造で構成することができる前記真空
吸引機構、すなわち、金型キャビティ内のガスを真空吸
引することによって、下側固定金型の下方に隣接して設
けられたストークを通じて、下方の溶湯保持炉から溶湯
を真空吸引充填する真空吸引機構を備えている鋳込手段
がより好ましい。これら電磁ポンプと真空吸引機構を併
用することにより、真空吸引機構単独の場合に比べて低
吸引力で溶湯保持炉内の溶湯を鋳込みスリーブに送出し
うるばかりでなく、鋳込みスリーブとプランジャーとの
間や金型の合わせ面等から外気の漏入する可能性を完全
に排除することができる上に、金型キャビティ内での溶
湯の酸化防止をも完全に排除することができる。このよ
うに電磁ポンプと真空吸引機構を併用することにより、
薄肉で大型のアルミ合金やマグネ合金等の鋳造品を簡便
に鋳造することが可能になるばかりか、例えば、電磁ポ
ンプの駆動力を大きくし、さらに真空吸引力を加えるこ
とで、厚肉で大型の鋳造品の鋳造にも対応が可能とな
る。
【0016】本発明におけるダイカスト鋳造装置の鋳込
みスリーブとしては、鋳込みスリーブ内の溶湯を金型キ
ャビティに注入することができるように、例えば合金鋼
製の固定金型を固定する固定盤を貫通して固定金型に略
水平状態又は略垂直状態で固着されているものを例示す
ることができる(以下、鋳込みスリーブが略水平状態に
設置されている給湯装置を水平タイプ給湯装置、鋳込み
スリーブが略垂直状態に設置されている給湯装置を垂直
タイプ給湯装置という)。鋳込みスリーブにはストーク
との連通口である溶湯送出開口が設けられ、例えば、水
平タイプ給湯装置では鋳込みスリーブ下面に、垂直タイ
プ給湯装置では鋳込みスリーブ側面に溶湯送出開口が設
けられることになるが、いずれの場合であっても、金型
キャビティに近い方の鋳込みスリーブの先端近傍に溶湯
送出開口を設けることや、固定盤により固定された固定
金型側に溶湯送出開口を設けることが、プランジャーの
プランジャーチップが鋳込みスリーブ内の溶湯送出開口
を閉塞したとき、鋳込みスリーブ内のプランジャーチッ
プ前方部分と湯溜部との内容積を小さくし、1回の鋳造
に必要な注湯量で、鋳込みスリーブ内のプランジャーチ
ップ前方部分が少なくとも溶湯で充満される結果、溶湯
とガスとの接触が極力減少し、さらにプランジャーチッ
プを前進させて、溶湯をサイドゲートからキャビティ製
品部に注入する際、溶湯が波立ったり、ガスを巻き込む
心配がない点で好ましい。例えば、水平タイプ給湯装置
の場合、鋳込みスリーブ内のプランジャーチップが溶湯
送出開口を閉塞したとき、鋳込みスリーブ内のプランジ
ャーチップ前方の体積と湯溜部のスリーブの最高位置水
平面以下の内容積との総和を、1回の鋳造に必要な注湯
量より小さくなるように構成しておくことにより、鋳込
みスリーブ内のプランジャーチップ前方部分を少なくと
も溶湯で充満することができる。
【0017】また、鋳込みスリーブに送出された溶湯を
前記金型キャビティへ注入する前記給湯装置におけるプ
ランジャーとしては、鋳込みスリーブ内を気密下に摺動
しうるプランジャーチップ(プランジャーヘッド)と、
前記プランジャーチップを進退させることができるプラ
ンジャーロッドを有するものを例示することができ、プ
ランジャーロッドの往復動の駆動源としては、油圧シリ
ンダやサーボモータを挙げることができる。プランジャ
ーチップが鋳込みスリーブの後退限に位置したとき、か
かるプランジャーチップの金型キャビティ側近傍の鋳込
みスリーブに、前記ストークからの溶湯の送出開口を設
けることが速やかに注湯しうることから好ましく、ま
た、プランジャーチップ背面に溶湯が流出しないよう
に、プランジャーチップが鋳込みスリーブの前進限に位
置したときであっても、前記ストークからの溶湯の送出
開口を閉塞するような長さのプランジャーチップとして
おくことが、運転トラブルを回避する上で好ましい。
【0018】本発明のダイカスト鋳造装置としては、前
記プランジャーの他に、金型キャビティ内に注入された
溶湯を加圧する加圧手段を、金型キャビティのキャビテ
ィ製品部等の加圧手段用湯溜に備えているものが好まし
い。かかる金型キャビティ内に注入された溶湯を加圧す
る加圧手段としては、閉塞された金型キャビティ内に充
填されている溶湯を加圧することにより、凝固時にひけ
巣の発生を抑制しうる手段であればどのようなものでも
よいが、金型キャビティ内の溶湯を加圧する手段とし
て、金型キャビティのキャビティ製品部を形成する可動
金型に摺動自在に配設された加圧ピンを具体的に例示す
ることができる。金型キャビティ内の溶湯凝固時に、か
かる加圧ピンを金型キャビティ内に前進させて溶湯を加
圧すると、凝固収縮体積を補充しひけ巣の発生を防止す
ることができるが、プランジャーに加えて加圧ピンの進
出速度をキャビティ製品部内の溶湯の凝固収縮速度に適
応した速度となるようにプログラム制御を行う等、加圧
速度を調節することにより、小さい型締め力のプレス装
置でバリ吹きを防止しながらひけ巣の発生を防止するこ
とができる。また、加圧ピンは複数設けることもでき
る。
【0019】本発明のダイカスト鋳造装置においては、
前述のようにガス排出通路の近傍に溶湯凝固ゾーン用空
隙を設けることが好ましく、特に加圧手段に近接してガ
ス排出通路に連通した溶湯凝固ゾーン用空隙を設けるこ
とが好ましい。かかる溶湯凝固ゾーン用空隙としては、
例えばキャビティ内のガスをガス排出通路から排出した
後に、溶湯凝固ゾーンとなる空隙で先湯を凝固させるこ
とができ、プランジャーの作用面と協働して、簡単にキ
ャビティ内を密封・閉塞することができる空隙であれば
どのようなものでもよく、かかる溶湯凝固ゾーン用空隙
を単に設けておくだけで、エアベントバルブやフィルタ
ー等を配設しかつ複雑な切替弁やバルブを用いることな
く、簡単にキャビティ内を密封・閉塞することができ、
また鋳造装置の稼動に際して圧力調節等の複雑な操作も
不要となり、さらに故障等の発生がないことから、溶湯
凝固ゾーン用空隙を設けることは極めて実用的であると
いえる。
【0020】また、前記加圧手段に近接して設けられる
溶湯凝固ゾーン用空隙としては、前記加圧ピンの外周面
と可動金型内周面との間に形成されるガス排出空隙又は
ガス排出溝を介してガス排出孔に連通している溶湯凝固
ゾーン用空隙を例示することができ、かかる溶湯凝固ゾ
ーン用空隙としては、加圧ピンと同芯に設けられ、加圧
ピンの直径よりも1〜5mm大きい内径で10〜40mm程
度の深さ(長さ)を有する溶湯凝固ゾーンとなる空隙を
具体的に例示することができる。このように、溶湯凝固
ゾーン用空隙を溶湯の温度や鋳込速度に適合した寸法に
設計製作しておくと、溶湯が充填された時に先湯がこの
空隙部分で冷却凝固してガス排出空隙やガス排出溝に浸
入することはない。
【0021】溶湯凝固ゾーン用空隙と隣接する前記ガス
排出空隙やガス排出溝としては、先湯が流入しない大き
さや先湯が流入しない構造のものが好ましく、例えば、
ガス排出空隙としては、加圧ピンと同芯に設けられ、加
圧ピンの直径より0.4〜1.0mm程度大きい内径のガ
ス排出空隙を具体的に挙げることができ、前記ガス排出
溝としては加圧ピンの外周面に軸線状に伸びたガス排出
溝を具体的に挙げることができる。そして、金型キャビ
ティを真空にする際、空気の侵入を防止するために、パ
ーテイング面にはガス排出孔、及びガス排出空隙若しく
はガス排出溝等からなるガス排出通路を設けずにシール
パッキングを設置し、ガスの残存しやすいキャビティの
高い位置、例えば湯溜部の上方にガス排出通路を設置す
ることが好ましい。また、加圧各ピンの摺動部等には凡
てシールパッキングを設置し金型外部からの空気の漏入
を防止することが好ましい。
【0022】ところで、前記のように、電磁ポンプや、
電磁ポンプと真空吸引機構との併用による溶湯の鋳込み
速度を最適値の1.0〜2.4m/秒とすると、加圧ピ
ンの外周に近接して設けられた溶湯凝固ゾーン用空隙や
ガス排出空隙等の2段空隙部における空気抵抗が大きく
なるが、加圧ピンの数及び配置を適宜選択することによ
り、前記溶湯凝固ゾーン用空隙やガス排出空隙の設置目
的を達成することができる。すなわち、先湯が2段空隙
の溶湯凝固ゾーン用空隙で冷却凝固し、溶湯凝固ゾーン
用空隙より狭いガス排出空隙やガス排出溝に浸入しない
構造に、当業者であれば容易に設計することができる。
また、溶湯凝固ゾーン用空隙で先湯を確実に冷却凝固す
るために、加圧ステムや加圧ピンにベリリューム銅など
熱伝導の良い材料を用い、その内部を水冷することがで
きる構造とすることもできる。
【0023】本発明のダイカスト鋳造方法には、本発明
のダイカスト鋳造鋳造装置を好適に用いることができ
る。具体的には、金型キャビティに連通する鋳込みスリ
ーブと、該鋳込みスリーブに溶湯送出開口を介して連通
するストークと、該ストークの下端が金型キャビティへ
の1回の注湯により下降する湯面の下限位置より下方に
配置されている溶湯保持炉と、該溶湯保持炉から前記鋳
込みスリーブ内へ溶湯を供給する鋳込み手段と、前記鋳
込みスリーブ内を摺動し、鋳込みスリーブに送出された
溶湯を前記金型キャビティへ注入するプランジャーとを
備えたダイカスト鋳造装置を用い、鋳込み手段により溶
湯保持炉からストークを通じて溶湯を鋳込みスリーブに
送出し、次いで、鋳込みスリーブ内を摺動するプランジ
ャーを前進させ、該プランジャーのプランジャーチップ
が鋳込みスリーブ内の溶湯送出開口を閉塞したとき、鋳
込みスリーブ内のプランジャーチップ前方部分を溶湯で
充満し、さらに、プランジャーを前進させ、溶湯を金型
キャビティへ注入・加圧し、ガスの巻込みのない鋳造品
を鋳造するダイカスト鋳造方法であれば特に制限される
ものではない。
【0024】例えば、真空吸引や電磁ポンプ等の鋳込み
手段を用いて1回の注湯量に相当する溶湯を溶湯保持炉
から鋳込みスリーブに送出し、鋳込みスリーブに送出さ
れた溶湯を鋳込みスリーブ内を摺動するプランジャーに
より、溶湯保持炉と鋳込みスリーブとの連通口より金型
キャビティ側へ押し進め、かつ金型キャビティの溶湯を
加圧ピン等で有効に加圧することにより、凝固時にひけ
巣の発生がなくかつガスの巻込みのない鋳造品、特に、
薄肉で大型のアルミ合金やマグネ合金等の鋳造品を簡便
かつ効率よく鋳造することができる。
【0025】
【実施例】本発明のダイカスト鋳造装置を適用した好ま
しい実施の態様を以下図面を参照して説明するが、本発
明の技術的範囲はこれらに限定されるものではない。図
1は本発明のダイカスト鋳造装置を示す概略断面図、図
2〜図7は図1に示す本発明のダイカスト鋳造装置の作
動状態を示す説明図、図8は従来のダイカスト鋳造装置
を示す概略断面図である。以下、鋳込み手段として電磁
ポンプと真空吸引機構を備えたダイカスト鋳造装置を例
に挙げて説明する。
【0026】図1〜図7に示されるダイカスト鋳造装置
は、固定盤3に固定される合金鋼製の固定金型1と、固
定金型1に圧着される可動金型2と、固定金型1と可動
金型2との間に形成される金型キャビティCに溶湯を注
入するための鋳込みスリーブ5と鋳込みスリーブ5内を
往復動するプランジャー6と、ストーク9を介して鋳込
みスリーブ5に溶湯を供給するための電磁ポンプ8と、
溶湯Mを保持する溶湯保持炉7と、金型キャビティC内
の溶湯を加圧する加圧ピン11と、金型キャビティC内
に連通する真空吸引通路13を有し、金型キャビティC
に溶湯を自動的に鋳込み、冷却して鋳造品を製造するも
のである。なお、図示されていないが、ダイカスト鋳造
装置には溶湯冷却後、金型キャビティCから鋳造品10
を取り出すための型開きを行なう型締装置等が設けられ
ている。
【0027】鋳込みスリーブ5は、ダイカスト鋳造装置
の金型キャビティCに連通されるように固定盤3を貫通
し、固定金型1に略水平に固定され、溶湯Mを金型キャ
ビティCへ給湯する円管であって、金型キャビティ寄り
の先端近傍付近の管壁下面には、溶湯保持炉7に浸漬し
ている電磁ポンプ8の出口に延設されるストーク(連絡
ダクト)9に接続する溶湯送出開口51が固定盤3によ
り固定された固定金型1側に設けられており、鋳込みス
リーブ5の内径は、溶湯の充満度を高くして空間の体積
を小さくしてガスの巻込みを排除するため、また、鋳込
みスリーブ5の内壁を気密に摺動するプランジャー6の
作用面を小さくし、同一の鋳込み圧力を小さい駆動力で
得るため、従来のものよりも小径となっており、プラン
ジャー6のプランジャーチップ63が鋳込みスリーブ5
内の溶湯送出開口51を閉塞したとき、鋳込みスリーブ
5内のプランジャーチップ63前方部分が少なくとも溶
湯で充満されるように構成されている。すなわち、鋳込
みスリーブ5内のプランジャーチップ63が溶湯送出開
口51を閉塞したとき、鋳込みスリーブ5内のプランジ
ャーチップ63前方の体積と、湯溜部C1の鋳込みスリ
ーブ5の最高位置水平面以下との内容積の総和を、1回
の鋳造に必要な注湯量より小さくするために、鋳込みス
リーブ5の長さは短く小径のものとして構成されてい
る。
【0028】このような鋳込みスリーブ5内を往復動す
るプランジャー6は、鋳込みスリーブ5に供給された溶
湯Mを金型キャビティCへ押し出すものであり、油圧シ
リンダ61によって駆動され、小径のプランジャーロッ
ド62と、プランジャーロッド62の先端に設けられ、
鋳込みスリーブ5の内壁を摺動する鋳込みスリーブ5の
内径と略同一径であり、その先端面が溶湯Mを押し出す
作用面を構成する前述のプランジャーチップ63とを有
する。プランジャーチップ63の軸方向の長さは、進出
限においても溶湯送出開口51を閉塞し、また、後退限
に配置されるとき、鋳込みスリーブ5の管壁下面に設け
られる溶湯送出開口51を閉塞せず、その先端が溶湯送
出開口51の直前に位置するような長さであって、溶湯
保持炉7から溶湯Mが鋳込みスリーブ5へ送出されてい
る間は溶湯送出開口51の全面を開放させ、鋳込みスリ
ーブ5への溶湯Mの供給が終了して前方へ移動すること
により、溶湯送出開口51を閉塞しながら、鋳込みスリ
ーブ5へ供給された溶湯Mを前方へ押し出し、溶湯送出
開口51から余剰の溶湯Mの鋳込みスリーブ5への供給
を防止しうるようになっている。
【0029】鋳込みスリーブ5へ供給される溶湯Mを保
持する溶湯保持炉7は、図1に示すように、電磁ポンプ
8が浸漬されており、ストーク(連絡ダクト)9を通じ
て鋳込みスリーブ5の溶湯送出開口51に接続されてい
る。電磁ポンプ8の下端入口は、金型キャビティへの1
回の注湯により下降する湯面の下限位置より下方に配置
されているので、溶湯Mが電磁ポンプ8の電磁力で送出
される際に、溶湯表面近傍の酸化膜等が鋳込みスリーブ
内へ混入することはない。電磁ポンプ8は内部に電磁コ
イル81を有し、電磁ポンプ8のケースはセラミック製
であり溶湯Mから保護されている。また、溶湯保持炉7
の上部は解放されており、溶湯ポンプ、ラドル等いずれ
の方法によっても溶湯Mの補給が容易にできる構造とな
っている。
【0030】また、鋳込みスリーブ5に連通する金型キ
ャビティCには、鋳込みスリーブ5の内径より少し大き
いテーパー形状の湯溜部C1が設けられ、湯溜部C1は
サイドゲートC2を介して金型キャビティCの製品部に
連通している。また、金型キャビティCの製品部の一端
には、金型キャビティC内の溶湯を加圧ピン用油圧シリ
ンダ12の駆動により加圧ピン湯溜14に進出して加圧
する加圧ピン11が設けられている。なお、図示はして
いないが、加圧手段に近接して真空吸引通路(ガス排出
通路)13に連通した溶湯凝固ゾーン用空隙が設けられ
ている。
【0031】このような構成のダイカスト鋳造装置を用
いたダイカスト鋳造方法について以下説明する。図2に
示される状態から、真空吸引通路13に連通した真空吸
引機構による吸引と電磁ポンプ8によって、溶湯保持炉
7から鋳造1回分に必要な注湯量の溶湯が鋳込みスリー
ブ5内へ送出される。このとき、図3に示すように、鋳
込みスリーブ5から金型キャビティCの湯溜部C1に入
った溶湯の湯面は、鋳込みスリーブ5の最高位置水平面
より高く、鋳込みスリーブ5内のプランジャーチップ6
3前方部分が溶湯で充満されているので、鋳込みスリー
ブ5内には空気が残存せず、溶湯の表面酸化も起こらな
い。溶湯の送出が完了すると、図4に示すように、油圧
バルブを開いて油圧シリンダ61を作動させ、プランジ
ャーロッド62を介しプランジャーチップ63の前進が
開始されると同時に、鋳込みスリーブ5の溶湯送出開口
51が閉塞され、金型キャビティCに溶湯が充填され
る。前記したように、鋳込みスリーブ5内には空気が残
存しないことから、プランジャーチップ63を前進さ
せ、金型キャビティC(キャビティ製品部)へ溶湯を充
填するする際、湯面が波立たず、ガスの巻き込みや酸化
膜の混入はない。また、金型キャビティCの湯溜部C1
の内径は、鋳込みスリーブ5の内径よりも大きくなるよ
うに設計されているため、仮に金型キャビティCの湯溜
部C1内に凝固層が発生した場合でも、プランジャー6
によって金型キャビティC内に押し出されることはな
い。
【0032】充填が完了し溶湯の冷却が始まると、溶湯
の凝固収縮が生起するため、プランジャーでの加圧下、
図5に示すように、加圧ピン用油圧シリンダ12により
加圧ピン11を作動させる。プランジャー6による加圧
のみでは金型キャビティCの端部までの圧力伝達が難し
いが、加圧ピン11を作動させて加圧することで、全面
的に凝固収縮によるひけ巣のない緻密な組織の鋳造品を
得ることができる。金型キャビティCの溶湯の冷却凝固
が完了した後、型開きを行い(図6)可動金型で持ち出
された製品素材は各加圧ピン及び押し出しピンによって
押し出され取り出すことができる(図7)。
【0033】
【発明の効果】本発明のダイカスト鋳造装置、また、ダ
イカスト鋳造方法によると、鋳造品の形状に関わらず溶
湯を溶湯保持炉から金型キャビティ内へガスの巻き込み
や、酸化物の混入のない状態で高速で充填することがで
きると共に、キャビティ内のガスをほぼ完全に排出する
と同時に、閉塞されたキャビティ内の溶湯を有効に加圧
することができ、ガスの巻き込みやひけ巣の発生のない
均質な鋳造品を簡便かつ低設備コストで得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のダイカスト鋳造装置の概略縦断面図で
ある。
【図2】図1に示す本発明のダイカスト鋳造装置の作動
状態を示す説明図で、鋳込み前の状態を示す。
【図3】図1に示す本発明のダイカスト鋳造装置の作動
状態を示す説明図で、鋳込みスリーブ内へ溶湯を供給し
た状態を示す。
【図4】図1に示す本発明のダイカスト鋳造装置の作動
状態を示す説明図で、溶湯を金型キャビティ内へ充填し
た状態を示す。
【図5】図1に示す本発明のダイカスト鋳造装置の作動
状態を示す説明図で、金型キャビティ内の溶湯が加圧さ
れた状態を示す。
【図6】図1に示す本発明のダイカスト鋳造装置の作動
状態を示す説明図で、溶湯の充填冷却が完了し型が開い
た状態を示す。
【図7】図1に示す本発明のダイカスト鋳造装置の作動
状態を示す説明図で、製品を取り出す状態を示す。
【図8】従来の一般的なダイカスト鋳造装置の概略縦断
面図である。
【符号の説明】
1……固定金型 2……可動金型 3……固定盤 4……可動盤 5……鋳込みスリーブ 51……溶湯送出開口 6……プランジャー 61……プランジャー用油圧シリンダ 62……プランジャーロッド 63……プランジャーチップ 7……溶湯保持炉 8……電磁ポンプ 81……電磁コイル 9……ストーク 10……鋳造品 11……加圧ピン 12……加圧ピン用油圧シリンダ 13……真空吸引通路 14……加圧ピン湯溜 C……金型キャビティ C1……湯溜部 C2……サイドゲート M……溶湯
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B22D 21/04 B22D 21/04 A B

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金型キャビティに連通する鋳込みスリー
    ブと、該鋳込みスリーブに溶湯送出開口を介して連通す
    るストークと、該ストークの下端が金型キャビティへの
    1回の注湯により下降する湯面の下限位置より下方に配
    置されている溶湯保持炉と、該溶湯保持炉から前記鋳込
    みスリーブ内へ溶湯を供給する鋳込み手段と、前記鋳込
    みスリーブ内を摺動し、鋳込みスリーブに送出された溶
    湯を前記金型キャビティへ注入するプランジャーとを備
    え、該プランジャーのプランジャーチップが鋳込みスリ
    ーブ内の溶湯送出開口を閉塞したとき、鋳込みスリーブ
    内のプランジャーチップ前方部分が溶湯で充満されるよ
    うに構成されていることを特徴とするダイカスト鋳造装
    置。
  2. 【請求項2】 金型キャビティが、その入口に鋳込みス
    リーブ内径より大きい内径の湯溜部を備えていることを
    特徴とする請求項1記載のダイカスト鋳造装置。
  3. 【請求項3】 湯溜部が、鋳込みスリーブ端部から漸次
    拡大するテーパー形状に形成されていることを特徴とす
    る請求項2記載のダイカスト鋳造装置。
  4. 【請求項4】 金型キャビティが、金型キャビティ内に
    注入された溶湯を加圧する加圧手段用湯溜を備えている
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のダイカ
    スト鋳造装置。
  5. 【請求項5】 金型キャビテイ内の溶湯を加圧する手段
    が、加圧ピンであることを特徴とする請求項4記載のダ
    イカスト鋳造装置。
  6. 【請求項6】 溶湯送出開口が、鋳込みスリーブの先端
    近傍に設けられていることを特徴とする請求項1〜5の
    いずれか記載のダイカスト鋳造装置。
  7. 【請求項7】 溶湯送出開口が、固定盤により固定され
    た固定金型側に設けられていることを特徴とする請求項
    1〜6のいずれか記載のダイカスト鋳造装置。
  8. 【請求項8】 鋳込みスリーブが、固定金型に水平又は
    垂直に固定されていることを特徴とする請求項1〜7の
    いずれか記載のダイカスト鋳造装置。
  9. 【請求項9】 金型キャビティがガス排出通路を備え、
    該ガス排出通路に連通した溶湯凝固ゾーン用空隙が前記
    ガス排出通路の近傍に設けられていることを特徴とする
    請求項1〜8のいずれか記載のダイカスト鋳造装置。
  10. 【請求項10】 鋳込みスリーブ内へ溶湯を供給する鋳
    込み手段が、溶湯保持炉に浸漬された電磁ポンプ、及び
    /又は、金型キャビティ内のガスを真空吸引する真空吸
    引機構であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか
    記載のダイカスト鋳造装置。
  11. 【請求項11】 金型キャビティに連通する鋳込みスリ
    ーブと、該鋳込みスリーブに溶湯送出開口を介して連通
    するストークと、該ストークの下端が金型キャビティへ
    の1回の注湯により下降する湯面の下限位置より下方に
    配置されている溶湯保持炉と、該溶湯保持炉から前記鋳
    込みスリーブ内へ溶湯を供給する鋳込み手段と、前記鋳
    込みスリーブ内を摺動し、鋳込みスリーブに送出された
    溶湯を前記金型キャビティへ注入するプランジャーとを
    備えたダイカスト鋳造装置を用い、鋳込み手段により溶
    湯保持炉からストークを通じて溶湯を鋳込みスリーブに
    送出し、次いで、鋳込みスリーブ内を摺動するプランジ
    ャーを前進させ、該プランジャーのプランジャーチップ
    が鋳込みスリーブ内の溶湯送出開口を閉塞したとき、鋳
    込みスリーブ内のプランジャーチップ前方部分を溶湯で
    充満し、さらに、プランジャーを前進させ、溶湯を金型
    キャビティへ注入・加圧し、ガスの巻込みのない鋳造品
    を鋳造することを特徴とするダイカスト鋳造方法。
  12. 【請求項12】 溶湯を金型キャビティへ注入した後、
    金型キャビティ内の溶湯を加圧ピンで加圧して、凝固時
    にひけ巣の発生がなくかつガスの巻込みのない鋳造品を
    鋳造することを特徴とする請求項11記載のダイカスト
    鋳造方法。
  13. 【請求項13】 鋳造品が、薄肉で大型のアルミ合金鋳
    造品又はマグネ合金鋳造品であることを特徴とする請求
    項11又は12記載のダイカスト鋳造方法。
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