JP2012040599A - 鋳造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】鋳造装置2は、金型4、6と、スリーブ10と、プランジャ30を備える。スリーブ10内周面の下側部分14には、プランジャ30の後退端におけるプランジャ先端面位置Aからスリーブ10の前端に向けて、半径が漸次拡径する拡径部16が形成されている。そのため、プランジャ30を前進させて溶湯を押出す際に、プランジャチップ32の先端面のエッジが、拡径部16の表面に形成された凝固層を剥離させる可能性が極めて低い。仮に、プランジャ30の前進初期において、拡径部16の表面に形成された凝固層の一部が剥離した場合であっても、剥離した凝固片は、プランジャ30の前進に伴い、プランジャチップ32と拡径部16の間の隙間に沈殿する可能性が高い。凝固片がキャビティに侵入することを顕著に抑制できる。
【選択図】図1
Description
(形態1)一実施形態では、プランジャは、プランジャチップと、それを支えるロッドで構成されている。プランジャチップは、スリーブ内を往復移動可能な円柱状に形成されている。
(形態2)他の実施形態では、横型の鋳造装置の場合において、スリーブの内周面のうち、供給された溶湯が接触する下側部分(下半分)にのみ拡径部が形成される。溶湯が接触する時間が短く、凝固層が形成される可能性が少ない上側部分(上半分)には拡径部が形成されていない。別言すると、スリーブの内周面のうち、上半分は、スリーブ長手方向に沿って半径は一定である。この構成によると、プランジャチップが前進することにより、スリーブの上半分では、プランジャチップ側面とスリーブ内周面は常に接している。そのため、スリーブの上半分には溶湯の逃げ場がなく、溶湯を無駄にせずに済む。
(形態3)他の実施形態では、横型の鋳造装置の場合において、スリーブの内周面の上側部分のうち、長手方向の途中から前端に向けて半径が漸次拡径する拡径部が形成されている。拡径部が形成されている上側部分のうち、長手方向の途中から前端の間の範囲は、プランジャの前進の際に溶湯が押され、溶湯液面の高さが上がった際に溶湯が接触し得る範囲である。
(形態4)さらに他の実施形態では、縦型の鋳造装置の場合において、スリーブの内周面の全周に、プランジャの後退端におけるプランジャ先端面位置からプランジャの前進端におけるプランジャ先端面位置に向けて拡径する拡径部が設けられる。
図1に示すように、まず、コントローラは、可動盤を動作させることによって、可動金型6を固定金型4に圧着させ、2つの金型4、6の間にキャビティ及び湯道8を形成する。また、コントローラは、プランジャ30を後退端に位置させる。このとき、プランジャチップ32の先端面位置Aは、溶湯供給穴18より後方に位置する。このとき、プランジャチップ32の先端面位置Aが、ちょうど拡径部16の始端に相当する。この状態で、溶湯供給装置によって、溶湯供給穴18から、スリーブ10内に溶湯Hを供給する。このとき、溶湯供給装置がスリーブ10内に供給する溶湯Hの量は、製品を鋳造するために適した量である。通常、横型の鋳造装置2の場合、スリーブ10内に供給される溶湯Hの量は、スリーブ10内の下半分が満たされる量よりやや少ない量である。即ち、スリーブ10内に溶湯を供給した時点では、溶湯Hは、スリーブ10の内周面の下側部分14にのみ接触する。本実施例では、下側部分14のうち、プランジャ30の後退端におけるプランジャ先端面位置A(図1参照)からスリーブ10の前端に向けて拡径部16が形成されている。そのため、スリーブ10内に溶湯Hが供給されると、拡径部16の表面と接触する部分の溶湯が凝固し始め、拡径部16の表面には凝固層が形成される。なお、拡径部16の表面以外の部分の溶湯Hは、この段階では凝固していない。
次いで、図3に示すように、コントローラは、プランジャ30を前進端(図3に示す位置)まで前進させる。プランジャ30が前進すると、プランジャチップ32の先端面によってスリーブ10内の溶湯Hが押される。スリーブ10内の溶湯は、湯道穴19及び湯道8を介して、キャビティ内へと射出される。射出された溶湯Hは、キャビティ内に充填される。本実施例では、スリーブ10の内周面の下側部分14のうち、プランジャ30の後退端におけるプランジャ先端面位置A(図1参照)からスリーブ10の前端に向けて拡径部16が形成されている。即ち、プランジャ30の前進開始時点から、プランジャチップ32の先端面のエッジと下側部分14(拡径部16)との間に隙間が存在する。そのため、プランジャチップ32の先端面のエッジがスリーブ10の拡径部16の表面を擦らない。そのため、溶湯Hを押出す際に、プランジャチップ32の先端面のエッジが、拡径部16の表面に形成された凝固層を剥離させる可能性が極めて低い。仮に、プランジャ30の前進初期において、拡径部16の表面に形成された凝固層の一部が剥離した場合であっても、剥離した凝固片は、プランジャ30の前進に伴い、プランジャチップ32と拡径部16の間の隙間に沈殿する可能性が高い。なぜならば、プランジャ30が後退端から移動し始める時点から、プランジャチップ32の側面とスリーブ10の内周面の下側部分14との間に隙間が形成されているからである。そのような構造によって、凝固片がキャビティに侵入することを顕著に抑制できる。
所定時間が経過し、キャビティ内、湯道8内、スリーブ10内のそれぞれの溶湯が凝固すると、コントローラは、可動盤を動作させ、図4に示すように、可動金型6を固定金型4から離間させる。このとき、コントローラは、可動金型6の動作に合わせてプランジャ30をさらに前進させ、成形された製品及び方案部50を固定金型4から離脱させる。スリーブ10内のビスケットも、スリーブ10内から離脱する。このとき、拡径部16に溜まって凝固した部分(以下「拡径凝固部51」と呼ぶ)も、ビスケット50aの一部としてスリーブ10から離脱する。拡径凝固部51は、ビスケット50aがスリーブ10内から離脱する際に、拡径部16の斜面に沿ってスムースに離脱する。そのため、離脱の際に拡径凝固部51に大きな抵抗がかかることはない。ビスケット50aがスリーブ10内から離脱する際に、拡径凝固部51がスリーブ10内に折れ残る可能性は極めて小さい。
成形された製品及び方案部50を固定金型4から離脱させたのち、図5に示すように、プランジャ30を後退端まで後退させる。可動金型6に残された製品及び方案部50は、所定の搬出装置によって可動金型6から取り出される。可動金型6から製品及び方案部50が取り除かれると、コントローラは、可動盤を動作させて、可動金型6を再び固定金型4に圧着させ(図1参照)、再びスリーブ10内に溶湯を供給可能な状態にする。
(1)上記の各実施例では、プランジャチップ32、232として、一体に成形された円柱状部材を用いている。しかしながら、プランジャチップとして、先端部分が交換可能な構造のものを用いてもよい。
(2)プランジャチップの内部に冷却路を設け、プランジャチップの先端面に接触する溶湯の凝固を促進するようにしてもよい。その場合、プランジャロッドの内部に、冷却路に冷却媒体を供給する供給路と、冷却路から冷却媒体を排出する排出路を備えるようにしてもよい。
Claims (4)
- 金型と、
金型に溶融金属を射出するためのスリーブ及びプランジャと、
を備えており、
スリーブは、その内径が、プランジャの後退端におけるプランジャ先端面位置からプランジャの前進端におけるプランジャ先端面位置に向けて漸次拡径していることを特徴とする鋳造装置。 - プランジャは、溶融金属を押し出すプランジャチップと、プランジャチップを支持するプランジャロッドを備え、
プランジャチップの長さが、プランジャ前進端におけるプランジャチップの先端面位置とスリーブの拡径開始位置との間の距離よりも長いことを特徴とする請求項1に記載の鋳造装置。 - プランジャ及びスリーブは、水平に配置されており、
スリーブ内周面のうち、プランジャが後退端に位置していて溶融金属が注がれた状態において、溶融金属が接する部分は、プランジャ長手方向に沿って半径が漸次拡径しており、溶融金属が接しない部分の少なくとも一部は、プランジャ長手方向に沿って半径が一定であることを特徴とする請求項1又は2に記載の鋳造装置。 - スリーブは、水平に配置されており、
スリーブ内周面のうち下半分はプランジャ長手方向に沿って半径が漸次拡径しており、上半分はプランジャ長手方向に沿って半径が一定であることを特徴とする請求項1又は2に記載の鋳造装置。
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