本明細書に引用される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
冠詞「a」及び「an」は、本明細書では、1つ又は2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)の、その冠詞の文法的対象語を指すために使用される。例として、「ポリマー樹脂(a polymer resin)」は、1つのポリマー樹脂又は2つ以上のポリマー樹脂を意味する。本明細書に記載されるいずれの範囲も、包括的である。本明細書の全体を通して使用される用語「実質的に」及び「約」は、小規模な変動を記述及び説明するために使用される。例えば、それらの用語は、±2%以下など、±1%以下など、±0.5%以下など、±0.2%以下など、±0.1%以下など、±0.05%以下などの、±5%以下を指すことができる。
バルク凝固アモルファス合金、すなわちバルク金属ガラス(「BMG」)は、最近開発された部類の金属材料である。これらの合金は、比較的穏やかな速度で、凝固及び冷却させることができ、それらはアモルファスの、非晶質(すなわち、ガラス質)状態を室温で保持する。アモルファス合金は、それらの結晶性の対応物よりも、多くの優れた特性を有する。しかしながら、冷却速度が十分に高速ではない場合には、冷却の間にその合金の内部で結晶が形成される恐れがあり、そのため、アモルファス状態の利益が失われる恐れがある。例えば、バルクアモルファス合金部品の製造に伴う1つの重要な課題は、徐冷又は合金原料中の不純物のいずれかによる、それらの部品の部分的な結晶化である。BMG部品内では、高い程度のアモルファス化度(また反対に、低い程度の結晶化度)が望ましいため、制御された量のアモルファス化度を有するBMG部品を鋳造するための方法を開発する必要性がある。
図1(米国特許第7,575,040号より入手)は、Liquidmetal Technologyにより製造された、Zr−−Ti−−Ni−−Cu−−Beの種類のVIT−001シリーズからの、例示的なバルク凝固アモルファス合金の粘度−温度グラフを示す。アモルファス固体の形成の間、バルク凝固アモルファス金属に関しては、明確な液体/固体変態が存在しないことに留意するべきである。この溶融合金は、ガラス転移温度近傍で固体形態に近づくまで、過冷却の増大と共に、ますます粘稠になる。したがって、バルク凝固アモルファス合金に関する凝固前面の温度は、ガラス転移温度近傍であり得、その温度近傍で、この合金は、急冷アモルファスシート製品を取り出すために、実際に固体として作用する。
図2(米国特許第7,575,040号より入手)は、例示的なバルク凝固アモルファス合金の、時間−温度−変態(TTT)冷却曲線、すなわちTTT図を示す。バルク凝固アモルファス金属は、従来の金属と同様に、冷却の際の液体/固体の結晶化変態を起こさない。その代わりに、高温で(「融解温度」Tm近傍で)見出される、流動性の高い非晶質形態の金属は、温度が低下するにつれて(ガラス転移温度Tg近傍まで)より粘稠になり、最終的に従来の固体の外面的な物理的特性を呈する。
バルク凝固アモルファス金属に関しては、液体/結晶化変態は存在しないにも関わらず、対応する結晶相の熱力学的液相温度として、「融解温度」Tmを定義することができる。この体系の下では、バルク凝固アモルファス合金の融解温度での粘度は、約0.1ポアズ〜約10,000ポアズの範囲に、更に場合によっては、0.01ポアズ未満にあることが可能である。この「融解温度」でのより低い粘度は、BMG部品を成形するためのバルク凝固アモルファス金属による、シェル/金型の複雑な部分のより速く完全な充填をもたらす。更には、BMG部品を成形するための溶融金属の冷却速度は、冷却の間の時間−温度プロファイルが、図2のTTT図内の結晶化領域を境界付けるノーズ形状領域を横断しないようなものでなければならない。図2では、Tノーズは、結晶化が最も急速であり、最短の時間スケールで生じる、臨界結晶化温度Txである。
過冷却液体領域、すなわちTg〜Txの温度領域は、バルク凝固合金の結晶化に対する極度の安定性を明示するものである。この温度領域内では、バルク凝固合金は、高粘度の液体として存在し得る。この過冷却液体領域内でのバルク凝固合金の粘度は、ガラス転移温度での1012Pa・sから、結晶化温度である過冷却液体領域の高温限界での105Pa・sに至るまでの間で変化し得る。そのような粘度を有する液体は、加圧力の下で、実質的な塑性歪みを経験し得る。本明細書の実施形態は、成形及び分離方法として、この過冷却液体領域内での大きい塑性成形性を利用する。
Txについて明確にする必要がある。技術的には、TTT図に示されるノーズ形状の曲線は、Txを温度及び時間の関数として説明する。それゆえ、金属合金を加熱又は冷却する間に辿る軌跡とは関係なく、このTTT曲線に当る場合に、Txに到達している。図2では、Txは破線として示されるが、これは、Tmの近位からTgの近位まで、Txが変化し得るためである。
図2の概略的なTTT図は、時間−温度の軌跡(例示的軌跡として、(1)として示す)がTTT曲線に当ることがない、Tm以上〜Tg未満のダイカストの加工処理方法を示す。ダイカストの間、この成形は、軌跡がTTT曲線に当ることを回避するために、実質的に急速冷却と同時に行われる。時間−温度の軌跡(例示的軌跡として、(2)、(3)及び(4)として示す)がTTT曲線に当ることがない、Tg以下からTm未満までの超塑性成形(SPF)に関する加工処理方法。SPFでは、アモルファスBMGは、過冷却液体領域内へと再加熱され、利用可能な加工処理ウインドウは、ダイカストよりも遙かに大きく、より良好なプロセスの可制御性をもたらすことが可能である。SPFプロセスは、冷却の間の結晶化を回避するための急速冷却を必要としない。また、例示的軌跡(2)、(3)、及び(4)によって示されるように、SPFの間の最高温度が、Tノーズ超又はTノーズ未満、最大約Tmとなる状態で、SPFを実施することができる。アモルファス合金の断片を昇温させつつ、TTT曲線に当ることを回避させた場合には、「Tg〜Tm」に加熱しても、Txには到達していない。
20℃/分の加熱速度で得られる、バルク凝固アモルファス合金の典型的な示差走査熱量計(DSC)加熱曲線は、大部分は、TTTデータを横切る具体的な軌跡を説明するものであり、特定温度のTgと、DSC加熱傾斜がTTT結晶化開始と交差する場合のTxと、最終的に、同じ軌跡が融解に関する温度範囲と交差する場合の融解ピークとが認められるであろう。図2の軌跡(2)、(3)、及び(4)の上り傾斜部分によって示されるような急速な加熱速度で、バルク凝固アモルファス合金を加熱する場合には、TTT曲線を完全に回避することが可能であり、DSCデータは、加熱の際、ガラス転移を示すが、Txは示さない。このことについての別の考察方法は、軌跡(2)、(3)、及び(4)は、結晶化曲線に当らない限り、TTT曲線のノーズ(及び更にその上方)〜Tg線の温度内の、いずれの場所にも収まることができる点である。そのことは、加工処理温度が上昇するにつれて、軌跡内の水平な平坦部が遙かに短くなり得ることを単に意味する。
相
本明細書での用語「相」は、熱力学状態図内で見出すことができるものを指すことができる。相は、その全体にわたって、材料の全ての物理的特性が本質的に均一である、空間の領域(例えば、熱力学系)である。物理的特性の例としては、密度、屈折率、化学組成、及び格子周期性が挙げられる。相の単純な説明は、化学的に均一で、物理的に異なっており、及び/又は機械的に分離可能な材料の領域である。例えば、ガラスジャー内の、氷及び水からなる系では、その角氷が1つの相であり、水が第2の相であり、その水の上の湿り空気が第3の相である。ジャーのガラスは、別の分離相である。相は、2成分、3成分、4成分以上の溶体などの固溶体、又は金属間化合物などの化合物を指すこともある。別の例としては、アモルファス相は、結晶相とは区別ができる。
金属、遷移金属、及び非金属
用語「金属」は、電気陽性の化学元素を指す。本明細書での用語「元素」は、全般的には、周期表に見出すことができる元素を指す。物理的には、基底状態の金属原子は、占有状態に近い、空状態を有する部分的充満帯を含む。用語「遷移金属」とは、不完全な内部電子殻を有し、一連の元素内の、最も電気陽性のものと最も電気陽性ではないものとの間の遷移リンクとして役立つ、周期表の第3族〜第12族の範囲内の金属元素のうちのいずれかである。遷移金属は、複数の原子価、着色化合物、及び安定な錯イオンを形成する能力によって特徴付けられる。用語「非金属」は、電子を失って陽イオンを形成する能力を有さない化学元素を指す。
用途に応じて、任意の好適な非金属元素、又はそれらの組み合わせを使用することができる。合金(又は「合金組成物」)は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ以上の非金属元素などの複数の非金属元素を含み得る。非金属元素は、周期表内の第13族〜第17族内に見出される、いずれかの元素とすることができる。例えば、非金属元素は、F、Cl、Br、I、At、O、S、Se、Te、Po、N、P、As、Sb、Bi、C、Si、Ge、Sn、Pb、及びBのうちの、いずれか1つとすることができる。場合により、非金属元素はまた、第13族〜第17族内の特定の半金属(例えば、B、Si、Ge、As、Sb、Te、及びPo)を指すこともある。一実施形態では、非金属元素としては、B、Si、C、P、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。したがって、例えば、その合金は、ホウ化物若しくは炭化物、又は双方を含む。
遷移金属元素は、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀、ラザホージウム、ドブニウム、シーボーギウム、ボーリウム、ハッシウム、マイトネリウム、ウンウンニリウム、ウンウンウニウム、及びウンウンビウムのうちのいずれかとすることができる。一実施形態では、遷移金属元素含有BMGは、Sc、Y、La、Ac、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、及びHgのうちの少なくとも1つを有し得る。用途に応じて、任意の好適な遷移金属元素、又はそれらの組み合わせを使用することができる。合金組成物は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ以上の遷移金属元素などの、複数の遷移金属元素を含み得る。
本明細書で説明される、合金又は合金「サンプル」又は「試料」合金は、任意の形状又はサイズを有し得る。例えば、合金は、球形、楕円、ワイヤ状、ロッド状、シート状、フレーク状、又は不規則形状などの形状を有し得る、微粒子の形状を有し得る。この微粒子は、任意のサイズを有し得る。例えば、その微粒子は、約5マイクロメートル〜約80マイクロメートルなど、約10マイクロメートル〜約60マイクロメートルなど、約15マイクロメートル〜約50マイクロメートルなど、約15マイクロメートル〜約45マイクロメートルなど、約20マイクロメートル〜約40マイクロメートルなど、約25マイクロメートル〜約35マイクロメートルなどの、約1マイクロメートル〜約100マイクロメートルの平均直径を有し得る。例えば、一実施形態では、微粒子の平均直径は、約25マイクロメートル〜約44マイクロメートルである。一部の実施形態では、ナノメートルの範囲のものなどの、より小さい微粒子、又は100マイクロメートルよりも大きいものなどの、より大型の微粒子を使用することができる。
合金のサンプル又は試料はまた、遙かに大きい寸法のものにすることもできる。例えば、インゴットなどのバルク構造構成要素、電子デバイスの筺体/ケーシング、又は更にミリメートル、センチメートル、又はメートルの範囲の寸法を有する構造的構成要素の一部分とすることができる。
固溶体
用語「固溶体」は、溶体の固体形態を指す。用語「溶体」は、固体、液体、気体、又はこれらの組み合わせとすることができる、2種以上の物質の混合物を指す。この混合物は、均質又は不均質とすることができる。用語「混合物」とは、互いに組み合わされ、一般的には分離することが可能である、2種以上の物質の組成物である。一般的には、それらの2種以上の物質は、互いに化合されない。
合金
一部の実施形態では、本明細書で説明される合金組成物は、完全に合金化することができる。一実施形態では、「合金」とは、一方の原子が他方の原子に置き換わるか、又は原子間の格子間位置を占有する、2種以上の金属の均質な混合物又は固溶体を指すものであり、例えば、黄銅は、亜鉛及び銅の合金である。合金とは、複合材料とは対照的に、金属マトリックス中の1種以上の化合物などの、金属マトリックス中の1種以上の元素の部分的又は完全な固溶体を指すことができる。本明細書での合金という用語は、単一の固相の微細構造を呈し得る全率固溶合金、及び2つ以上の相を呈し得る部分的溶体の双方を指すことができる。本明細書で説明される合金組成物は、合金を含むもの、又は合金含有複合材料を含むものを指すことができる。
それゆえ、完全に合金化した合金は、固溶体相であれ、化合物相であれ、又は双方であれ、その構成成分の均質な分布を有し得る。本明細書で使用される用語「完全に合金化された」は、許容誤差範囲内の僅かな変異を説明することができる。例えば、その用語は、少なくとも95%の合金化など、少なくとも99%の合金化など、少なくとも99.5%の合金化など、少なくとも99.9%の合金化などの、少なくとも90%の合金化を指すことができる。本明細書での百分率は、文脈に応じて、体積百分率又は重量百分率のいずれかを指すことができる。これらの百分率は、合金の部分ではない組成又は相の観点によるものとすることができる不純物によって均衡させることができる。
アモルファスすなわち非晶質固体
「アモルファス」すなわち「非晶質固体」は、結晶に特徴的な格子周期性を欠く固体である。本明細書で使用するとき、「アモルファス固体」は、ガラス転移を通じて、加熱されると液体状の状態へと軟化及び変態するアモルファス固体である、「ガラス」を含む。一般的には、アモルファス材料は、結晶に特徴的な長距離秩序を欠くが、それらのアモルファス材料は、化学結合の性質による、原子の長さスケールでの何らかの短距離秩序を保有し得る。アモルファス固体と結晶性固体との区別は、X線回折及び透過型電子顕微鏡検査などの構造特性評価技術によって判定される、格子周期性に基づいて行なうことができる。
用語「秩序」及び「無秩序」とは、多粒子系内での何らかの対称性又は相関性の有無を指示する。用語「長距離秩序」及び「短距離秩序」は、長さスケールに基づいて、材料内の秩序を区別する。
固体における秩序の最も厳密な形態は格子周期性であり、特定のパターン(単位格子内の原子配列)が何度も繰り返され、空間の並進的な一様の空間充填を形成する。この格子周期性は、結晶の定義特性である。可能な対称性は、14種のブラベー格子及び230種の空間群に分類されている。
格子周期性は、長距離秩序を示唆するものである。1つの単位格子のみが知られる場合には、その並進対称性によって、任意の距離での、全ての原子配置を正確に予測することが可能である。一般に逆も真であるが、ただし、例えば、完全に確定的な充填を有するが、格子周期性を保有しない、準結晶の場合は例外である。
長距離秩序は、同じサンプルの遠隔の部分が、相関する挙動を呈する、物理系を特徴付ける。この長距離秩序は、相関関数、すなわち次のスピン−スピン相関関数として表現することができる。
上記の関数では、sはスピン量子数であり、xは特定の系内の距離関数である。この関数は、x=x’である場合、単位元に等しく、距離|x−x’|が増大するにつれて減少する。典型的には、この関数は、長距離で、指数関数的にゼロまで減衰し、その系は無秩序であると見なされる。しかしながら、この相関関数が大きい|x−x’|で一定値へと減衰する場合には、その系は長距離秩序を保有すると述べることができる。この関数が、距離の累乗でゼロまで減衰する場合には、準長距離秩序と呼ぶことができる。大きい値の|x−x’|を構成するものは、相対的であることに留意されたい。
系は、その挙動を定義する一部のパラメータが、経時的に進展しないランダム変数である(すなわち、それらが急冷又は凍結される)場合、急冷無秩序、例えば、スピングラスを呈すると延べることができる。この急冷無秩序は、ランダム変数自体が進展することが可能な、焼鈍無秩序とは反対である。本明細書の実施形態は、急冷無秩序を含む系を包含する。
本明細書で説明される合金は、結晶性、部分結晶性、アモルファス、又は実質的にアモルファスとすることができる。例えば、合金サンプル/試料は、少なくともある程度の結晶化度を含み得るものであり、結晶粒/結晶は、ナノメートル及び/又はマイクロメートルの範囲のサイズを有する。あるいは、合金は、完全にアモルファスであるなどの、実質的アモルファスとすることができる。一実施形態では、合金組成物は、完全に結晶性であるなど、実質的に結晶性であり、少なくとも実質的にアモルファスではない。
一実施形態では、他のアモルファス合金中の1種の結晶又は複数種の結晶の存在は、その合金中の「結晶相」として解釈することができる。合金の結晶化度の程度(又は一部の実施形態では、略して「結晶化度」)とは、その合金中に存在する結晶相の量を指すことができる。その程度とは、例えば、合金中に存在する結晶の分率を指すことができる。この分率は、文脈に応じて、体積分率又は重量分率を指すことができる。アモルファス合金がどの程度「アモルファス」であるかの尺度を、アモルファス化度とすることができる。アモルファス化度は、結晶化度の程度の観点により測定することができる。例えば、一実施形態では、低い程度の結晶化度を有する合金は、高い程度のアモルファス化度を有すると述べることができる。一実施形態では、例えば、60体積%の結晶相を有する合金は、40体積%のアモルファス相を有し得る。
アモルファス合金又はアモルファス金属
「アモルファス合金」とは、50体積%超のアモルファス含有量、好ましくは90体積%超のアモルファス含有量、より好ましくは95体積%超のアモルファス含有量、最も好ましくは99体積%超〜ほぼ100体積%のアモルファス含有量を有する合金である。上述のように、アモルファス化度が高い合金は、結晶化度の程度が同等に低いことに留意されたい。「アモルファス金属」とは、無秩序な原子スケール構造を有するアモルファス金属材料である。結晶性であり、したがって高度に秩序化された原子配置を有する、殆どの金属とは対照的に、アモルファス合金は非晶質である。そのような無秩序構造が、冷却の間に液体状態から直接作り出される材料は、「ガラス」と称される場合がある。したがって、アモルファス金属は、一般に「金属ガラス」又は「ガラス金属」と称される。一実施形態では、バルク金属ガラス(「BMG」)とは、その微細構造が少なくとも部分的にアモルファスである合金を指すことができる。しかしながら、アモルファス金属を作り出すためには、極度な急速冷却の他にも、物理蒸着、固相反応、イオン照射、メルトスピニング、及び機械的合金化を含めた、幾つかの方法が存在する。アモルファス合金は、それらが調製される方法とは関係なく、単一の部類の材料とすることができる。
アモルファス金属は、様々な急冷法を通じて作り出すことができる。例えば、アモルファス金属は、回転する金属ディスク上に溶融金属をスパッタリングすることによって、作り出すことができる。1秒当り約数百万度の急冷は、結晶が形成するには過度に高速である得るため、その金属は、ガラス状態で「固定」される。また、アモルファス金属/合金は、厚い層のアモルファス構造、例えば、バルク金属ガラスの形成を可能にするための、十分に低速な臨界冷却速度で作り出すこともできる。
用語「バルク金属ガラス」(「BMG」)、バルクアモルファス合金(「BAA」)、及びバルク凝固アモルファス合金は、本明細書で互換的に使用される。それらの用語は、少なくともミリメートルの範囲の最小寸法を有する、アモルファス合金を指す。例えば、その寸法は、少なくとも約1mmなど、少なくとも約2mmなど、少なくとも約4mmなど、少なくとも約5mmなど、少なくとも約6mmなど、少なくとも約8mmなど、少なくとも約10mmなど、少なくとも約12mmなどの、少なくとも約0.5mmとすることができる。幾何学形状に応じて、その寸法は、直径、半径、厚さ、幅、長さなどを指すことができる。BMGはまた、少なくとも約1.0cmなど、少なくとも約2.0cmなど、少なくとも約5.0cmなど、少なくとも約10.0cmなどの、センチメートルの範囲の少なくとも1つの寸法を有する、金属ガラスとすることもできる。一部の実施形態では、BMGは、少なくともメートルの範囲の、少なくとも1つの寸法を有し得る。BMGは、金属ガラスに関連する、上述の形状又は形態のうちの、いずれかを呈することができる。したがって、本明細書で説明されるBMGは、一部の実施形態では、重要な一態様での従来の堆積技術によって作製される薄膜とは異なるものとすることができ、前者のBMGは、後者の薄膜よりも遙かに大きい寸法のものとすることができる。
アモルファス金属は、純金属ではなく、合金とすることができる。この合金は、著しく異なるサイズの原子を含有し得ることにより、溶融状態で、低い自由体積がもたらされる(またそれゆえ、他の金属及び合金よりも、桁違いとなるまでの高い粘度を有する)。この粘度は、原子が、規則格子を形成するために十分に移動することを防ぐ。この材料構造は、冷却の間の低収縮性、及び塑性変形に対する抵抗性をもたらし得る。一部の場合には結晶性材料の弱点である、この結晶粒界の不在は、例えば、磨耗及び腐食に対する、より良好な抵抗性をもたらし得る。一実施形態では、技術的にはガラスであるが、アモルファス金属はまた、酸化物ガラス及びセラミックよりも遙かに強靭であり、脆性ではないものにすることもできる。
アモルファス材料の熱伝導率は、それらの結晶性対応物の熱伝導率よりも低いものにすることができる。より緩徐な冷却の間でも、アモルファス構造の形成を達成するために、3種以上の構成成分で合金を作製して、より高いポテンシャルエネルギー、及びより低い形成の確率を有する、複合結晶単位をもたらすことができる。アモルファス合金の形成は、以下の幾つかの因子:合金の構成成分の組成、構成成分の原子半径(好ましくは、高い押し詰め密度及び低い自由体積を達成するために、12%超の有意差を有する)、並びに結晶核生成を阻止し、溶融金属が過冷却状態に留まる時間を延長する、構成成分の組み合わせの負の混合熱によって決まり得る。しかしながら、アモルファス合金の形成は、多種多様な変数に基づくものであるため、合金組成物がアモルファス合金を形成するか否かを事前に判定することは、困難な場合がある。
例えば、ホウ素、ケイ素、リン、及び他のガラス形成剤と、磁性金属(鉄、コバルト、ニッケル)とのアモルファス合金は、低い保磁力及び高い電気抵抗を有する、磁性のものとすることができる。この高い抵抗は、例えば、トランス用磁心として有用な特性である、交番磁界に晒された場合の渦電流による低損失をもたらす。
アモルファス合金は、潜在的に有用な様々な特性を有し得る。具体的には、アモルファス合金は、同様の化学組成の結晶性合金よりも強固である傾向にあり、それらは結晶性合金よりも大きい可逆性(「弾性」)変形に耐え得る。アモルファス金属は、それらの強度を、それらの非晶質構造から直接導き出すものであり、この非晶質構造は、結晶性合金の強度を制限する欠陥(転位などの)を全く有し得ない。例えば、Vitreloy(商標)として知られる、1つの最新のアモルファス金属は、高級チタンのほぼ2倍の引張り強さを有する。一部の実施形態では、室温での金属ガラスは延性ではなく、張力が負荷されると突然破損するが、このことは、差し迫った破壊が明白ではないため、信頼性が重要な用途での、その材料の適用性を制限する。それゆえ、この課題を克服するために、延性の結晶性金属の樹枝状の粒子又は繊維を含有する金属ガラスマトリックスを有する、金属マトリックス複合材料を使用することができる。あるいは、障害を生じる傾向がある元素(例えば、Ni)が少ないBMGを、使用することができる。例えば、Niを含まないBMGを使用することにより、そのBMGの延性を改善することができる。
バルクアモルファス合金の別の有用な特性は、これらが真性のガラスであり、換言すれば、加熱により軟化及び流動し得ることである。これは、ポリマーと同様に射出成形などの容易な加工処理を可能にする。結果として、アモルファス合金は、スポーツ用品、医療用デバイス、電子部品及び電子装備、並びに薄膜を作製するために使用することができる。アモルファス金属の薄膜は、高速酸素燃料技術を介して、保護コーティングとして堆積させることができる。
材料は、アモルファス相、結晶相、又は双方を有し得る。これらのアモルファス相及び結晶相は、同じ化学組成を有し、微細構造のみが異なる(すなわち、一方はアモルファスであり、他方は結晶質である)ものとすることができる。一実施形態での微細構造は、25×以上の倍率の顕微鏡によって明らかとなるような材料の構造を指す。あるいは、これらの2つの相は、異なる化学組成及び微細構造を有し得る。例えば、組成物は、部分的アモルファス、実質的アモルファス、又は完全アモルファスとすることができる。
上述のように、アモルファス化度の程度(また反対に結晶化度の程度)は、合金中に存在する結晶の分率によって測定することができる。その程度とは、合金中に存在する結晶相の体積分率又は重量分率を指すことができる。部分的アモルファス組成物とは、少なくとも約10体積%など、少なくとも約20体積%など、少なくとも約40体積%など、少なくとも約60体積%など、少なくとも約80体積%など、少なくとも約90体積%などの、少なくともその約5体積%がアモルファス相である組成物を指すことができる。用語「実質的に」及び「約」は、本明細書中の他の場所で定義されている。したがって、少なくとも実質的にアモルファスである組成物とは、少なくとも約95体積%など、少なくとも約98体積%など、少なくとも約99体積%など、少なくとも約99.5体積%など、少なくとも約99.8体積%など、少なくとも約99.9体積%などの、少なくともその約90体積%がアモルファスであるものを指すことができる。一実施形態では、実質的アモルファス組成物は、内部に存在する、何らかの付随的な少量の結晶相を有し得る。
一実施形態では、アモルファス合金組成物は、アモルファス相に関して均質とすることができる。組成が均一である物質は、均質である。このことは、不均質である物質とは対照的である。用語「組成」とは、物質中の化学組成及び/又は微細構造を指す。物質は、その物質の体積を半分に分割して、両半分が実質的に同じ組成を有する場合に均質である。例えば、微粒子懸濁液は、その微粒子懸濁液の体積を半分に分割して、両半分が実質的に同じ体積の粒子を有する場合に均質である。しかしながら、顕微鏡下で個々の粒子を視認することが可能な場合もある。均質な物質の別の例は、空気であり、その空気中の種々の成分は等しく浮遊するが、空気中の粒子、気体、及び液体は、個別に分析することができ、又は空気から分離することもできる。
アモルファス合金に関して均質である組成とは、その微細構造の全体にわたって実質的に均一に分布するアモルファス相を有するものを指すことができる。換言すれば、その組成物は、組成物の全体にわたって実質的に均一に分布するアモルファス合金を巨視的に含む。代替の実施形態では、この組成は、非アモルファス相を内部に有する、アモルファス相を有する複合材料のものとすることができる。この非アモルファス相は、1つの結晶又は複数の結晶とすることができる。それらの結晶は、球形、楕円、ワイヤ状、ロッド状、シート状、フレーク状、又は不規則形状などの、任意の形状の微粒子の形態とすることができる。一実施形態では、結晶は、樹枝状形態を有し得る。例えば、少なくとも部分的にアモルファスの複合組成物は、アモルファス相マトリックス中に分散する樹枝状結晶の形状の結晶相を有し得るものであり、この分散は、均一又は不均一なものとすることができ、アモルファス相と結晶相とは、同じ化学組成又は異なる化学組成を有し得る一実施形態では、それらの相は実質的に同じ化学組成を有し得る。別の実施形態では、結晶相は、BMG相よりも延性とすることができる。
本明細書で説明される方法は、任意のタイプのアモルファス合金に適用可能とすることができる。同様に、組成物又は物品の成分として、本明細書で説明されるアモルファス合金は、任意のタイプのものとすることができる。このアモルファス合金は、Zr、Hf、Ti、Cu、Ni、Pt、Pd、Fe、Mg、Au、La、Ag、Al、Mo、Nb、Beの元素、又はこれらの組み合わせを含み得る。すなわち、この合金は、その化学式又は化学組成中に、これらの元素のいずれかの組み合わせを含み得る。それらの元素は、種々の重量百分率又は体積百分率で存在し得る。例えば、鉄「ベース」合金とは、内部に存在する有意な重量百分率の鉄を有する、合金を指すことができ、その重量百分率は、例えば、少なくとも約40重量%など、少なくとも約50重量%など、少なくとも約60重量%など、少なくとも約80重量%などの、少なくとも約20重量%などとすることができる。あるいは、一実施形態では、上述の百分率は、重量百分率の代わりに、体積百分率とすることができる。したがって、アモルファス合金は、ジルコニウムベース、チタンベース、白金ベース、パラジウムベース、金ベース、銀ベース、銅ベース、鉄ベース、ニッケルベース、アルミニウムベース、モリブデンベースなどとすることができる。この合金はまた、特定の目的に適合するように、上述の元素のうちのいずれかを含まない場合もある。例えば、一部の実施形態では、この合金、又はこの合金を含む組成物は、ニッケル、アルミニウム、チタン、ベリリウム、又はこれらの組み合わせを実質的に含まないものであり得る。一実施形態では、この合金又は複合材料は、ニッケル、アルミニウム、チタン、ベリリウム、又はこれらの組み合わせを全く含まない。
例えば、このアモルファス合金は、式(Zr,Ti)
a(Ni,Cu,Fe)
b(Be,Al,Si,B)
cを有し得るものであり、式中、a、b、及びcはそれぞれ、重量百分率又は原子百分率を表す。一実施形態では、原子百分率で、aは30〜75の範囲であり、bは5〜60の範囲であり、cは0〜50の範囲である。あるいは、このアモルファス合金は、式(Zr,Ti)
a(Ni,Cu)
b(Be)
cを有し得るものであり、式中、a、b、及びcはそれぞれ、重量百分率又は原子百分率を表す。一実施形態では、原子百分率で、aは40〜75の範囲であり、bは5〜50の範囲であり、cは5〜50の範囲である。この合金はまた、式(Zr,Ti)
a(Ni,Cu)
b(Be)
cを有し得るものでもあり、式中、a、b、及びcはそれぞれ、重量百分率又は原子百分率を表す。一実施形態では、原子百分率で、aは45〜65の範囲であり、bは7.5〜35の範囲であり、cは10〜37.5の範囲である。あるいは、この合金は式(Zr)
a(Nb,Ti)
b(Ni,Cu)
c(Al)
dを有し得るものであり、式中、a、b、c、及びdはそれぞれ、重量百分率又は原子百分率を表す。一実施形態では、原子百分率で、aは45〜65の範囲であり、bは0〜10の範囲であり、cは20〜40の範囲であり、dは7.5〜15の範囲である。上述の合金系の例示的一実施形態は、Liquidmetal Technologies(CA,USA)によって製作されるような、Vitreloy−1及びVitreloy−101などの、商品名Vitreloy(商標)の、Zr−Ti−Ni−Cu−Beベースのアモルファス合金である。種々の系のアモルファス合金の一部の実施例が、表1及び表2に記載される。
その他の例示的な鉄系合金には、例えば米国特許出願公開第2007/0079907号及び同第2008/0305387号に開示されている組成物が挙げられる。これらの組成物には、Fe(Mn,Co,Ni,Cu)(C,Si,B,P,Al)系が含まれ、ここにおいてFe含有量は60〜75原子パーセント、(Mn,Co,Ni,Cu)の合計は5〜25原子パーセントの範囲内、及び(C,Si,B,P,Al)の合計は8〜20原子パーセントの範囲内であり、例示的な組成はFe48Cr15Mo14Y2C15B6である。また、Fe−Cr−Mo−(Y,Ln)−C−B,Co−Cr−Mo−Ln−C−B、Fe−Mn−Cr−Mo−(Y,Ln)−C−B、(Fe,Cr,Co)−(Mo,Mn)−(C,B)−Y、Fe−(Co,Ni)−(Zr,Nb,Ta)−(Mo,W)−B,Fe−(Al,Ga)−(P,C,B,Si,Ge)、Fe−(Co,Cr,Mo,Ga,Sb)−P−B−C、(Fe,Co)−B−Si−Nb合金、及びFe−(Cr−Mo)−(C,B)−Tmにより記述される合金系が挙げられ、ここにおいてLnはランタニド元素、Tmは遷移金属元素を示す。更に、このアモルファス合金は、米国特許出願公開第2010/0300148号に記述される例示的組成物Fe80P12.5C5B2.5,Fe80P11C5B2.5Si1.5,Fe74.5Mo5.5P12.5C5B2.5、Fe74.5Mo5.5P11C5B2.5Si1.5、Fe70Mo5Ni5P12.5C5B2.5、Fe70Mo5Ni5P11C5B2.5Si1.5、Fe68Mo5Ni5Cr2P12.5C5B2.5、及びFe68Mo5Ni5Cr2P11C5B2.5Si1.5のうちの1つであり得る。
これらのアモルファス合金はまた、(Fe,Ni,Co)ベース合金などの、鉄合金とすることもできる。かかる組成物の例は、米国特許第6,325,868号、同第5,288,344号、同第5,368,659号、同第5,618,359号、及び同第5,735,975号、InoueらのAppl.Phys.Lett.,Volume 71,p 464(1997)、ShenらのMater.Trans.,JIM,Volume 42,p 2136(2001)、並びに日本特許出願第200126277号(公開番号2001303218(A))で開示されている。1つの例示的な組成物は、Fe72Al5Ga2P11C6B4である。別の実施例は、Fe72Al7Zr10Mo5W2B15である。本明細書でのコーティングに使用することができる、別の鉄ベース合金系が、米国特許出願公開第2010/0084052号で開示されており、そのアモルファス金属は、例えば、括弧内に記される組成の範囲で、マンガン(1〜3原子%)、イットリウム(0.1〜10原子%)、及びケイ素(0.3〜3.1原子%)を含有し、また括弧内に記される組成の指定範囲で以下の元素:クロム(15〜20原子%)、モリブデン(2〜15原子%)タングステン(1〜3原子%)、ホウ素(5〜16原子%)、炭素(3〜16原子%)、及び残部の鉄を含有する。
このアモルファス合金は、米国特許出願公開第2008/0135136号、同第2009/0162629号、及び同第2010/0230012号に記述されているPt又はPd系合金のうちの1つであり得る。例示的な組成物には、Pd44.48Cu32.35Co4.05P19.11、Pd77.5Ag6Si9P7.5、及びPt74.7Cu1.5Ag0.3P18B4Si1.5が挙げられる。
上述のアモルファス合金系は、Nb、Cr、V、及びCoを含めた添加遷移金属元素などの、添加元素を更に含み得る。これらの添加元素は、約20重量%以下など、約10重量%以下など、約5重量%など、約30重量%以下で存在し得る。一実施形態では、この任意選択の添加元素は、コバルト、マンガン、ジルコニウム、タンタル、ニオブ、タングステン、イットリウム、チタン、バナジウム、及びハフニウムのうちの少なくとも1つであり、炭化物を形成して、耐摩耗性及び耐食性を更に改善する。更なる任意選択の元素としては、融点を低下させるための、合計で最大約2%の、好ましくは1%未満のリン、ゲルマニウム、及びヒ素を挙げることができる。他の少量の不純物は、約2%未満、好ましくは0.5%未満とするべきである。
一部の実施形態では、アモルファス合金を有する組成物は少量の不純物を含み得る。不純物元素を意図的に添加することにより、機械的特性(例えば、硬度、強度、破壊機構など)の改善、及び/又は耐食性の改善などの、その組成物の特性を修正することができる。あるいは、それらの不純物は、加工処理及び製造の副生成物として得られるもののような、不可避の付随的な不純物として存在し得る。これらの不純物は、約5重量%など、約2重量%など、約1重量%など、約0.5重量%など、約0.1重量%などの、約10重量%以下とすることができる。一部の実施形態では、これらの百分率は、重量百分率の代わりに、体積百分率とすることができる。一実施形態では、この合金サンプル/組成物は、アモルファス合金から本質的になる(少量の付随的な不純物のみを有する)。別の実施形態では、この組成物はアモルファス合金を含む(観察可能な微量の不純物を全く有さない)。
一実施形態では、最終部品は、バルク凝固アモルファス合金の臨界鋳造厚さを超過するものであった。
本明細書の実施形態では、バルク凝固アモルファス合金が高粘度の液体として存在することができる過冷却液体領域の存在により、超塑性成形が可能となる。大きい塑性変形を得ることができる。過冷却液体領域内で大きく塑性変形する能力は、成形プロセス及び/又は切断プロセスに使用される。固体とは対照的に、この液体のバルク凝固合金は、局所的に変形し、このことが、切断及び成形のために必要とされるエネルギーを大幅に低下させる。切断及び成形の容易性は、合金、金型、及び切断工具の温度に応じて変化する。温度が高くなるにつれて、粘度が低下し、その結果として、切断及び成形が容易になる。
本明細書の実施形態は、例えば、Tg〜Txで実施される、アモルファス合金を使用する熱可塑性成形プロセスを、利用することができる。本明細書では、Tx及びTgは、結晶化の開始の温度、及びガラス転移の開始の温度として、典型的な加熱速度(例えば、20℃/分)での標準的なDSC測定から決定される。
アモルファス合金構成要素は、臨界鋳造厚さを有し得るものであり、最終部品は、その臨界鋳造厚さよりも厚い厚さを有し得る。更には、加熱及び整形操作の時間並びに温度は、アモルファス合金の弾性歪み限界が、1.0%以上、好ましくは1.5%以上であることを実質的に維持し得るように選択される。本明細書の実施形態との関連では、ガラス転移近傍の温度とは、成形温度がガラス転移未満、ガラス転移温度若しくはガラス転位温度近傍、及びガラス転移温度超とすることができることを意味するが、結晶化温度Txより低い温度であることが好ましい。冷却工程は、加熱工程での加熱速度と同様の速度で、好ましくは、加熱工程での加熱速度を超える速度で実施される。冷却工程はまた、好ましくは、形成荷重及び成形荷重が依然として維持されている間にも達成される。
電子デバイス
本明細書の実施形態は、BMGを使用する電子デバイスの製作で有用であり得る。本明細書での電子デバイスとは、当該技術分野において既知の任意の電子デバイスを指すことができる。例えば、この電子デバイスは、携帯電話及び固定電話などの電話、あるいは、例えばiPhone(商標)を含めたスマートフォン、及び電子eメール送信/受信デバイスなどの、いずれかの通信デバイスとすることができる。この電子デバイスは、デジタルディスプレイ、TVモニタ、電子ブックリーダ、携帯ウェブブラウザ(例えば、iPad(商標))、及びコンピュータモニタなどの、ディスプレイの一部とすることができる。この電子デバイスはまた、携帯DVDプレーヤ、従来型DVDプレーヤ、ブルーレイディスクプレーヤ、ビデオゲームコンソール、携帯音楽プレーヤ(例えば、iPod(商標))などの音楽プレーヤなどを含めた、娯楽デバイスとすることもできる。この電子デバイスはまた、画像、ビデオ、音声のストリーミングを制御することなどの、制御を提供するデバイス(例えば、Apple TV(商標))の一部とすることもでき、又は電子デバイス用の遠隔制御装置とすることができる。この電子デバイスは、コンピュータ、あるいはハードドライブタワーの筺体若しくはケーシング、ラップトップ筺体、ラップトップキーボード、ラップトップトラックパッド、デスクトップキーボード、マウス、及びスピーカーなどの、コンピュータ付属品の一部とすることができる。この物品はまた、腕時計又は時計などのデバイスにも適用することができる。
本明細書の実施形態により、材料(例えば金属又は金属合金)を溶融するための容器は、スロットを介して、材料を溶融するために、磁場(例えば誘導コイルからの)を受容し、誘導し、受容を可能にし、及び/又は利用するよう構成されて提供される。更に、本明細書の実施形態は、二次場コンセントレータ容器を備えた射出成形装置又は機械と、本明細書の代表的な実施形態に開示されるような容器の使用方法とを開示する。
さまざまな実施形態により、温度調節された容器が提供される。この容器は、長手方向に沿って第1端及び第2端を備えた、実質的に管状の本体と、長手方向においてその実質的に管状の本体の第1端と第2端との間に延在し、その実質的に管状の本体の完全な厚さを貫通する、長手方向スロットと、実質的に管状の本体内に流体を流すよう構成された、1本以上の温度調節チャネルと、を含み得る。容器は、容器内で溶融可能材料を溶融するよう構成された、水平に配置された誘導コイルと共に使用するよう構成される。長手方向スロットは、容器内に渦電流を、誘導コイルによる誘導場の印加中に受容するよう構成される。実質的に管状の本体は、溶融可能材料を溶融するために、誘導場からの渦電流により生じた第2磁場をその印加中に実質的に含むよう構成される。また、1本以上の温度調節チャネルは、誘導場の印加中に容器の温度を調節するよう構成される。
様々な実施形態により、一装置が提供される。この装置は、溶融するための溶融可能材料を内部に受容するよう構成された内腔を有する容器と、容器に隣接して配置された、容器内の溶融可能材料を溶融するよう構成された、誘導コイルと、容器に対して動くよう構成された先端を備えたプランジャロッドと、を含み得る。この容器は、容器の完全な厚さを貫通して延在する長手方向スロットを有する。長手方向スロットは、誘導コイルによる誘導場の印加中に、内腔内に渦電流を誘導し、印加中に溶融可能材料を溶融するのを支援するよう構成される。プランジャロッドの先端は、容器の内腔内に移動して、誘導場の印加中に溶融可能材料を容器内に閉じ込めるよう構成される。
様々な実施形態により、一方法が提供される。この方法には、溶融可能材料を容器内に供給する工程と、溶融した材料を形成するために容器に隣接して設置される熱源を作動させる工程と、熱源を作動させる工程中に容器の温度を調節する工程と、を含む。容器は、本体と、その本体の完全な厚さを貫通して延在するスロットと、を有する。本体は、スロットを通って容器本体内に渦電流を許容することにより、この作動させる工程中に容器内の溶融可能材料に対して、熱源からの磁場を利用するよう構成される。容器は、内部に1本以上の温度調節チャネルも含み、本方法の温度を調節する工程は、1本以上の温度調節チャネルにおいて流体を流す工程を含む。
様々な実施形態により、一容器が提供される。この容器は、溶融するための溶融可能材料を内部に受容するよう構成された内腔と、外側表面と、を有する本体を含み得る。内腔は、本体の第1端と第2端の間に延在する内側表面によって形成され得る。容器は、本体の第1端と第2端との間に延在し、かつ、外側表面から内腔を形成する表面の一部まで本体を貫通して延在する、少なくとも1本のスロットと、内腔の内側表面と外側表面との間で本体内に設置され、かつ本体の第1端と第2端との間に延在する、1本以上の温度調節チャネルと、を更に含む。1本以上の温度調節チャネルは、本体内に流体を流すよう構成される。内腔の内側表面の一部は、容器内で溶融させるための溶融可能材料を受容するよう構成される。内側表面は、射出成形装置からのプランジャロッドの先端を実質的に取り巻く又は取り囲むよう構成される。また、少なくとも1本のスロットは、本体内で溶融可能材料を溶融させるために誘導場を印加している間、容器内に渦電流を受容するよう構成される。1本以上の温度調節チャネルは、誘導場の印加中に、内部に流体を流すことにより、容器の温度を調節するよう構成される。
また、実施形態により、溶融するための材料は、BMG原料を含み、BMG部品が形成され得る。
本明細書に記述される方法、技法、及び装置は、記述されている実施形態を限定することを意図したものではない。本明細書に開示されるように、装置又はシステム(あるいはデバイス又は機械)は、材料(例えばアモルファス合金)の溶融及び射出成形を行うように構成され得る。この装置は、高融解温度で溶融してから、その溶融材料を金型に注入して成形を行うことにより、そのような材料又は合金を加工するよう構成される。下記で詳しく述べられるように、この装置の部品は互いに一線上に配置される。いくつかの実施形態により、この装置の部品(又はこのシステムへのアクセス)は、水平軸に揃えられる。下記の実施形態は単に例示目的のためのものであり、限定することを意図するものではない。
図3は、そのような例示的装置の概略図を示す。より具体的には、図3は射出成形装置300を示す。一実施形態により、射出成形システム300は、内部に受容した溶融可能材料305を溶融するよう構成された誘導コイル320を備えた溶融ゾーンと、その溶融した材料305を溶融ゾーンから金型340へと射出するよう構成された少なくとも1本のプランジャロッド330と、を含み得る。一実施形態において、少なくともプランジャロッド330と溶融ゾーンは一線上でかつ水平軸(例えばX軸)上に設けられ、これによりプランジャロッド330は溶融ゾーンを実質的に通過して水平方向に(例えばX軸に沿って)動き、溶融した材料305を金型340へと移動させる。この金型は、溶融ゾーンに隣接して配置され得る。
溶融ゾーン310は、溶融可能材料を受容し、その材料が溶融状態に加熱された際にそれを保持するように構成された溶融機構を有する。溶融機構は、容器312の形態であってよく、これは例えば、溶融可能材料を受容し、かつ、中にある材料を溶融するように構成された本体を有する。容器312は、本体の受容部分又は溶融部分314内に材料(例えば原材料)を入れるための入口も有し得る。容器の本体は、ある長さを有し、図3に示すように長手方向及び水平方向に延在していてよく、これにより溶融した材料がプランジャ330を用いてここから水平方向に移送される。加熱又は溶融のための材料は、容器312の溶融部分314に受容され得る。溶融部分314は、装置の溶融部分内で溶融された溶融可能材料を受容するよう構成される。例えば、溶融部分314は材料を受容するための表面を有する。
本開示全体にわたって使用されている容器又は本体は、物質を高温に加熱するために採用された材料で製造された容器である。この容器は更に、溶融した材料を金型に向けて移動させるためのショットスリーブとしての役割も果たす。用語「ショットスリーブ」及び「容器」は、本開示を通じて、溶融可能材料(例えばBMG)を受容し、かつ、その溶融可能材料を溶融するため熱源又は磁場を印加してそのような材料を溶融している時に閉じ込めるための装置を参照して、互換可能に使用され得ることが理解されよう。この装置は、溶融プロセス後に溶融した材料を金型に移動させることができる。加えて、容器312は誘導場コンセントレータであり得る。すなわち、容器312は、磁場(例えば、誘導源320に由来する二次場)を局所的に集中させて、容器312内に設置されている材料の反応を促進し、これにより材料の溶融を促進するよう設計及び構成される。
一実施形態において、容器312は、減圧下(例えば真空ポート332の真空装置又はポンプによって適用される)で溶融可能材料用に利用できるよう構成された低温炉床溶融装置である。
一実施形態において、容器312は、「より」導電性の高い材料(例えば、それ自体の導電性材料に比べて)でコーティングして、容器内の渦電流伝搬(電流密度)を改善し、これによって溶融領域内/誘導コイル320に隣接する磁場の密度を増加させることができ、これによって溶融した合金の温度を上昇させ、おそらくは熱均一性を高めることができる。
一実施形態において、容器312は、特定のRF周波数で電磁気的に共鳴するよう「調整」することができ、これによりRFエネルギーの損失が最小限に抑えられ、これによって容器及びシステムの効率が改善される。
一実施形態において、容器の本体及び/又は溶融部分314は、実質的に丸くなった及び/又は滑らかな表面を含み得る。例えば、溶融部分314の表面は、弓状、円形、又は環状形状に形成することができる。ただし、本体の形状及び/又は表面は、限定することを意図したものではない。本体は、一体型構造であってよく、又は、一緒に接合若しくは機械加工された別個の部品から形成されていてもよい。
容器312の本体は、その中にプランジャロッド330を受容し、その内部を通じて溶融した材料を水平方向に移動するよう構成される。すなわち、一実施形態において、溶融メカニズムはプランジャロッドと同じ軸上にあり、本体はこのプランジャロッドの少なくとも一部分(例えばプランジャ先端)を受容するような構成及び/又は寸法にすることができ、これによりプランジャロッド330が本体内に入りこの中を通って(いずれの方向でも)動く際に、プランジャロッド(少なくともこの先端)を実質的に覆うか又は取り囲むことができる。よって、プランジャロッド330は、容器312内を実質的に貫通して動き、溶融した材料を金型340へと押すか又は力をかけることにより、溶融した材料(加熱/溶融後)を容器から移動させるよう構成することができる。図3に図示されている装置300の実施形態を参照し、例えば、プランジャロッド330は、容器312を通じて、右から左に向かって水平方向に動き、溶融した材料を金型340に向かって、かつその内部へ移動させて押し出す。
プランジャの少なくとも先端を容器内に実質的に取り囲むことによって、プランジャ先端を使って容器の端(例えばプランジャ先端の前)の誘導場をブロックすることができる。これにより、その前での溶融効率を低減させることができ、これは、誘導コイルの配置に応じて(例えば不均一に配置された誘導コイルを使用している場合)、溶融材料の閉じ込めに関していくつかの利益を有し得る。これは、溶融材料が強い場の領域からより弱い場の領域へと移動するためである。溶融した材料は、プランジャ先端に向かって移動し、くっつく傾向があり、この場所の誘導場は一般により低いことがある。更に、プランジャ先端はほぼ全体が、ほぼすべての側面において容器内に取り囲まれ又は捕捉されているため、プランジャ先端とボートの摩耗は大幅に低減され得る。加えて、容器がプランジャ先端を(内腔を使って)捕捉していることにより、多くても、最小限の先端遊びだけが可能になる又は許される。これにより、先端と内腔/ショットスリーブとの間に、より均一なかつ制御された隙間が可能になる。そのような制御された隙間では、鋳ばりが隙間内に入り込むことができず、射出中に先端により吹き飛ばされる(blow)。本明細書に開示される容器による鋳ばりの減少は、プランジャ先端と容器の摩耗を低減する。この摩耗は両構成要素の主な摩耗メカニズムであり、最終的に機能不全を起こすものである。
容器は、遮蔽として作用するのではなく、本明細書で提供される1本以上のスロットを介して、磁場を中継するものとして作用する。電流が誘導コイル/誘導源を通過すると、磁場が生成され、コイル内に放射される。このコイル内の磁場は容器内に電流(渦電流)を生成し、これは、容器本体にある1本以上のスロットにより、容器の内腔(内側表面)内を循環することができる。内腔内の渦電流は、内腔内に別の(二次)磁場を生成し、この(二次)磁場が、内腔内にある任意の溶融可能材料(例えばインゴット)内に電流を生成する。したがって、溶融可能材料内の電流がこれを加熱し、ジュール加熱により溶融させる。下記に詳しく説明されるように、本明細書に開示される容器312(例えば、図4〜図8及び図13〜図14に示されている例示的な容器)の壁により、本体内の溶融可能材料を溶融させるために誘導場を印加している間、スロットを介して、容器の内腔内で渦電流を利用及び/又は受容することにより、依然として材料を溶融させることができる。誘導コイルからのRF電流は、加熱及び溶融中に容器内で増加し、溶融可能材料を溶融させるためのより効率的な連結がもたらされる。加えて、容器の(高い)壁の中で、溶融した材料は、溶融中又は射出中に、容器の壁を越えてはね出ること又はあふれ出ることができない。溶融した材料の唯一の出口は、内腔(ショットスリーブ)の下流(これは、通電しているコイル又はその他のゲート機構によって阻止されている)、あるいは、上面のスロット(これは起こる可能性が低い)である。更に、容器312の開示されている設計は非常に強く、屈曲せず、また屈曲できない。
溶融ゾーン310を加熱して、容器312内に受容した溶融可能材料を溶融させるために、射出装置300には、その溶融可能材料を加熱して溶融させるのに使用する熱源も含まれる。本体自体の実質的に全体ではなくとも、少なくとも容器の溶融部分314は、内部に受容した材料を溶融するべく、加熱されるように構成される。加熱は、例えば、溶融可能材料を溶融させるように構成された、溶融ゾーン320内に配置された誘導源310を使用して達成される。一実施形態において、誘導源320は容器312に隣接して配置される。例えば、誘導源320は、実質的に、容器本体の一定の長さにわたってその周囲に、螺旋状に配置されたコイルの形状であり得る。しかしながら、容器312内の材料を溶融させるよう構成された他の構成又はパターンも使用することができる。このように、容器312は、電力供給又は電源325を使用して、誘導源/コイル320に電力を印加することによって、溶融可能材料に磁場を供給することにより、溶融部分314内で溶融可能材料(例えば挿入されたインゴット305)を誘導により溶融させるよう構成することができる。よって、溶融ゾーンには誘導ゾーンが含まれ得る。誘導コイル320は、容器312を溶融させて濡らすことなしに、容器312に収容されている任意の材料を加熱し溶融させるように構成される。誘導コイル320は容器312に向けて無線周波数(RF)波を放射し、これが、内部の材料を溶融させるための磁場を生成する。図示されているように、本体と、容器312を取り巻くコイル320は、水平軸(例えばX軸)に沿って水平方向に配置されるよう構成される。一実施形態において、誘導コイル320は水平構成に配置され、これにより、このコイルの巻きは、容器312の周りに隣接して配置される。
一実施形態において、誘導コイル320は容器312の長さに隣接し、かつこれに沿った、不均一な間隔のコイル巻きを有する。図11〜図12及び図14は、射出成形装置に使用するよう構成された不均一な間隔の誘導コイルの例を示す。誘導コイル320は、互いに間隔をあけて配置された、搭載誘導コイル及び閉じ込め誘導コイルを含み得る。コイルの間隔をあけた巻き又は部分は、全体が同じ周波数で動作する単一のコイルの部分であってよく、又は、例えば異なる周波数で動作するよう構成された別のコイルであってもよい。そのようなコイルは、容器内の材料を溶融させるため、プランジャと協働して使用することができる。
一実施形態において、下記に詳しく述べられるように、この容器312は温度調節された容器である。誘導場の印加中に、渦電流(二次磁場)が容器の内腔/内側表面内を循環しているため、容器の本体自体が溶融の対象になる。よって、容器312の調整又は冷却により、本体を損傷することなく、溶融可能材料の溶融前、溶融中、及び溶融後に利用することができる。そのような容器312は、1本以上の温度調節チャネル316又は冷却管を含み得、これは、例えば容器内の材料の溶融中に、容器312の本体の温度を調節する(例えば容器を強制的に冷やす)ために、その中に気体、流体、又は液体(例えば水、油、又はその他の液)が流れるよう構成される。そのような強制冷却容器も、プランジャロッド330と同じ軸上に設置することができる。チャネル316は、誘導場の印加中(例えば誘導コイル320から)の容器312の本体自体の過剰な加熱及び溶融を防ぐのを支援する。調節チャネル316は、容器内の気体又は液体の流れを誘導するよう構成された冷却システム360に接続することができる。この調節チャネル316は、流体が中を貫通して流れる1つ以上の入口及び出口を含み得る。入口及び出口が、温度調節チャネルの1本以上に接続され、本体内に流体を流し、通過させ、本体から流出させる。このチャネル316の入口及び出口は、任意の数の方法で構成することができ、限定することを意図したものではない。例えば、チャネル管316は、中の材料が溶融して容器温度が調節されるように(すなわち、熱が吸収され、かつ容器が冷却されるように)、溶融部分314に対して配置され得る。調節チャネルは、内腔の内側表面と外側表面の間の、容器本体内に設置することができ、及び/又は本体の第1端と第2端との間に延在し得る。調節チャネルの数、配置、形状及び/又は方向は限定されるべきではない。チャネルを通過する冷却液の稼働又は適用法も、限定されない。冷却液又は流体は、溶融可能材料の溶融中、溶融可能材料の溶融後、誘導源320が通電しているとき、電源が誘導源に供給されている時間、誘導場の印加中、誘導源320がオフのとき、又は容器の温度を望ましい(例えば、より低い)調整温度に調節するのに望ましい若しくは必要な任意の間隔で、調節チャネル内を通って流れるよう構成され得る。チャネルは流入チャネル及び流出チャネルと見なすことができる。容器の流入チャネルの数は、流出チャネルの数と同じであり得るが、必ずしも同じである必要はない。
射出成形装置300と共に使用できる上記の特徴を備えた容器312の実施形態を、図4〜図14に示す。すなわち、下記の記述では必ずしも繰り返さないが、容器312に関連する特徴に関して上記に提示された記述は、後述の実施形態それぞれに適用することができ、逆もまた同様であることが理解されよう。
図4〜図7は、本明細書で溶融される溶融可能材料のための、実質的に管状の本体400(又は本明細書で言及される「本体400」)を有する容器の一実施形態を示す。一実施形態において、容器312の本体400は、長手方向に沿って、第1端402(図4参照)(例えば前側又はプランジャ挿入側)と、第2端404(図5参照)(例えば後側又は射出側)とを備えた、実質的に管状構造を有する。本体400は、内側表面408及び外側表面410を有する。この本体400は、水平に配置された誘導コイル320と共に射出装置内で使用するために、水平軸に沿って配置するよう構成することができる。
一般に、本体400は、容器に隣接して設置される、誘導コイル(例えば誘導コイル320)からの磁場により溶融するための溶融可能材料を受容するよう構成された、溶融部分314を内部に有する。本体400は、溶融部分として機能し、その中で溶融するための溶融可能材料を受容するよう構成された、内腔を有し得る。内腔は、本体の第1端402と第2端404との間に延在する内側表面によって形成され得る。この容器は更に、第1端402と第2端404との間に延在し、外側表面から、内腔を形成する表面の一部まで本体を貫通するスロットを含み得る。誘導コイルは、スロットを介して導かれ、実質的な管状構造(容積にわたってほぼ一定)の内側に入り、コイルの軸に沿って(例えば内向きかつ水平に)導かれる磁場を生成する。また、例えば図4〜図8に示されているもののような容器312は、材料を溶融するための単なるるつぼではなく、溶融した材料を金型へと射出するためのショットスリーブとして使用される。一実施形態により、本体400の実質的な管状構造は、プランジャ先端を実質的に封入するための壁(複数可)を含み得る。図13〜図14は、プランジャ先端を取り囲むための同様の壁内にある、別の本体500(後で詳述される)を示す。
本体400の上部分は、図6及び図8に示すように、実質的に平らな表面を(所望により)有し得る。本体400の下部分412は、図7に示すように、追加で又は代替として、実質的に平らな表面を有し得る。この平らな表面は例えば、製造中又は使用中に装置を固定できるようにするために、機械加工され得る。しかしながら、壁を平らにする加工又はミリング加工は単なる例示であり、必ずしも必要ではない。本体400の壁は、実質的に円形であり得る。本体400の壁は、内側表面408と外側表面410により画定される。この壁は、図5に示すように、内側表面408と外側表面410とを本質的に分離する厚さTを有し得る。一実施形態において、この壁は、中を貫通する温度調節チャネルを除き、長さ及び/又は厚さTにわたって実質的に中実である。一実施形態において、溶融部分314は少なくとも内側表面408の一部である(例えばその下側部分及び/又は側面部分)。内側表面408は、実質的に管状の本体400を貫通する受容開口部又は内腔を形成する。溶融のための溶融可能材料を受容することに加え、この内側表面408は、前述のように、溶融した材料を移動させるため、中に通るプランジャ(例えばプランジャ330)を受容するよう構成される。
一実施形態において、本体400は実質的に円形及び/又は滑らかな表面を有し得る。例えば、溶融部分314の内腔の内側表面408は、実質的に円形、弓状、又は丸い形状(例えば図4に概略が示されている)で形成され得る。外側表面410は、例えば、内壁408として類似の形状又は異なる形状で形成することができ、また本体400は、その上及び/又は下に平らな表面を有していてもいなくてもよい。一実施形態において、内腔の内側表面408は、プランジャ330及びその先端に対応する形状で、対応する寸法又はサイズで形成することができ、これにより本体400は、プランジャ先端330が中を通って動く際にこれを実質的に取り囲むよう構成される。ただし、本体400の形状及び/又は表面は、限定することを意図したものではない。
図4〜図7に示される容器は更に、本体400内に1本以上の温度調節管316(又は冷却チャネル)を有し、これは、コイル320を使用して誘導場を印加している最中、及び、溶融部分314内に受容した溶融可能材料の溶融プロセス中に、容器の温度調節を支援するために、内部に液体(例えば水又はその他の流体)を流すことができるよう構成される。調節管316は、溶融部分314に対して本体400内に配置されるよう構成され得る。例えば、この図示されている実施形態において、容器がある長さを有して長手方向に延在し、その溶融部分314も長手方向に延在し得る。一実施形態により、チャネル316は、溶融部分314に対して長手方向に配置され得る。例えば、チャネル316は本体の底部(例えば、溶融可能材料を受容する表面の下)に配置され得る。別の一実施形態において、チャネル316は、水平方向又は横方向に配置され得る。一実施形態において、1本以上の温度調節管316が内壁408(又は内腔の表面)と外壁410との間に設置される。この1本以上の温度調節チャネルは、本体400の両端の間に延在し得る。1本以上の温度調節管316は、本体の第1端402と第2端404との間に、水平軸に対して平行に、長手方向に延在し得る。図4〜図8に示すように、本体400は、内側表面408と外側表面410との間に、壁の一部、領域、又は厚さを貫通するチャネル316を含み得る。
この調節チャネル316は、液体又は流体を容器内に流入させ、中を通し、流出させるための、1つ以上の入口及び出口を含み得る。調節チャネルの入口及び出口は、任意の数の方法で構成することができ、限定することを意図したものではない。更に、チャネル内の流体又は液体の流れの方向は、限定されない。例えば、一実施形態において、流体が各チャネルに入り及び出るよう構成され、これにより液体が一方向に流れるようにすることができる。他の一実施形態において、液体は互い違いの方向に流れるように構成することができ、例えば、隣接する各ラインには、交互に入口と出口が含まれ得る。この流体又は液体は、1つ以上の入口へと流入し、次に例えば、本体400の第1側に沿って長手方向に流れ、次にチャネル316のそれぞれにおいて、本体400の第2側に沿って反対の方向に、長手方向に流れ、そして1つ以上の出口から流出するよう構成することができる。各チャネル内の流れの方向は同じである必要はない。加えて、調節チャネルは、チャネル間に液体を流すよう構成された1つ以上の入口/出口を有するよう構成することができる。例えば、容器が長手方向に延在する調節チャネルを含む一実施形態において、1本以上のチャネルには、別のチャネル又はラインに向かって延在する1本以上の横方向又は延在するラインが含まれ得、これによって互いに流体連通し得る。すなわち、液体は、本体に沿って長手方向に流れるだけでなく、接続されたチャネルを通ってこれらの間も流れるよう、構成することができる。
図4〜図12及び図13〜図14(後述)に示されている容器の調節チャネル316の数、形状、配置、中の流れ、及び/又は方向は、限定されるべきものではない。また、調節チャネルの寸法(例えば直径又は幅)は、限定的ではない。チャネルの寸法は、例えば本体に含まれる調節チャネルの数に依存し、あるいは、チャネルが提供されるセグメント又は材料の寸法(例えば、本体の厚さなど、表面の厚さに基づく)に依存し得る。調節チャネルの寸法は更に、望ましい冷却の量にも基づき得る。
図8に示すように、本体400は長手方向スロット406、又は本明細書で言及される「スロット406」を含む。スロット406は例えば、第1端402と第2端404との間に延在し、実質的に管状の本体400の上部分で完全な厚さTを貫通して延在する。スロット406は、外側表面410から、内腔を形成する内側表面408の一部まで、貫通して延在し得る。スロット406は、容器の壁内の隙間又は開口部を提供する。誘導源からのRFエネルギー印加中に容器の壁が完全に閉じている場合では、形成される渦電流が望ましくない方向(例えば、溶融可能材料に向かう方向ではない方向)に伝搬し得る。渦電流は、容器内の溶融可能材料/インゴットを溶融する場を生成するため、印加中に最も必要な場所にこの場及び電流を向けるよう、渦電流に対する制御を獲得することが望ましい。よって、本明細書に開示されるスロット406は、その中/その上に配置された溶融可能材料を溶融するために二次場を利用するため、そのような場(渦)電流を容器の内腔に受容し、許可し、利用し、及び/又は導くよう構成される。容器が完全に閉じている場合(例えばスロット406がない場合)、渦電流は一般に、容器の外側表面上又は外側表面に沿ってのみ移動し、磁場を生成する容器の内腔(例えば溶融部分314)(ここにインゴット/溶融可能材料がある)には入らない。しかしながら、スロット406自体が細すぎる、又は幅が狭すぎる場合、渦電流はスロットを渡るアークを生じることがある。したがって、スロット406は、アークを実質的に低減又は防止し、同時に、依然としてその容器の壁が、プランジャを実質的に取り囲み、かつその中の材料を溶融することができるような寸法にすることができる。
一実施形態において、この容器は、溶融部分/その内腔内で材料の温度測定を可能にする。例えば、一実施形態において、スロットの幅は、溶融可能材料の温度測定値を読み取るためのセンサ又はその他の検出装置の挿入を可能にするような寸法にすることができる。スロットの幅はまた、例えば、溶融した材料が閉じ込められている(溶融中に)ことを確認するため、容器内の溶融可能材料を観察することを可能にし得る。
一実施形態において、スロット406は、図4に示すように、容器の上中央部分に沿って、又は本体400の最も上の部分に沿って、設置され得る。また図4に示すように、スロット406の側面は平行なエッジ418及び420又は壁によって画定されてよく、このそれぞれは、水平軸に対して垂直な方向で横方向に延在する平行な面の上に設置される。
図6に示すように、スロット406は、本体400の第1端402と第2端404との間に長手方向に延在する長さLを有する。スロット406の端は、本体400の端402及び404の端表面まで完全に延在しているか、及び/又はこれを貫通しているか、又は限定的であってよい(例えば図13〜図14を参照)。スロット406の長さLは、容器本体の全体長さに依存し得る。一実施形態において、図4に示すように、例えば、容器は「C」形状を有する。あるいは、図13に示す一実施形態において、例えば、スロット506は第1端502と第2端502との間に延在する長さL2を有するが、スロット506の両端は、その端表面まで貫通することなく、端502と504の手前又はこれらに隣接して停止している。スロットは、図6にも示されているように、平行なエッジ418及び420の間のスペースによって画定される幅Wを有する。スロット406は図5に示すように更に高さHを有し、これは内側表面408と外側表面410との間の壁の厚さによって画定され得る。
一実施形態において、スロットの長さLは、約150ミリメートル〜約225ミリメートルである。一実施形態において、スロットは、約175ミリメートルの長さを有する。一実施形態において、スロットは、約212ミリメートルの長さLを有する。一実施形態において、スロットの幅Wは、約3.0ミリメートル〜約15ミリメートルである。一実施形態において、スロットは約3.175ミリメートル(1/8インチ)の幅Wを有する。一実施形態において、壁の厚さTは約3.0ミリメートル〜約15ミリメートルである。したがって、スロットの高さHは、壁の厚さTとほぼ同様又は等しくてよい。ただし、上記のスロットの寸法範囲は単に例示目的であり、限定されるべきではなく、またここにおいて必須ではない。一実施形態において、スロットの寸法は、容器の寸法に基づいて構成することができる。一実施形態において、スロットは、誘導場の印加中に表面418と420との間のアーク形成(渦電流の結果生じる)が実質的に防止され、同時に、溶融可能材料に対して容器本体内に方向付けられた印加を可能にするような、寸法に構成される。
一実施形態において、容器の長さに沿って平行に走る複数のスロットがある。例えば、2本以上のスロットを、容器壁を貫通して機械加工又は形成し、これにより容器内に隙間又は開口部を提供することができる。スロットに関連する寸法は、同じ又は実質的に同様である必要はない。一実施形態において、第1スロットは、容器の端から端まで貫通するよう構成され、容器の全体長さと同様の長さを有し得るが、同時に、1本以上の隣接するスロット(例えば第1スロットの一方の側又はいずれかの側にある)は、容器よりも短い長さを有する。もちろん、このような例は限定的ではない。容器内に2本以上のスロットを容器本体全体に配置することができ、これにより、内部の材料を溶融するため、容器の内腔及び溶融部分に向けて、渦電流及び場を更に誘導する助けとすることができる。
本体400内に温度調節チャネルを設置するため、一実施形態において、チャネルは内部に形成又は機械加工される。本体400内を流体が通過するとき、このチャネルは真空圧により密封され得る。図4及び図5に示されている本体400の端面図に戻り、一実施形態において、端部402及び404はそれぞれ、受容部分422、424を更に含み、これらはそれぞれ、溶融プロセス中に調節チャネル316の端を真空密封できるようにするためのキャップを受容するよう構成される。キャップは、本体400の第1端402及び第2端404それぞれに固定され得る。一実施形態において、各受容部分422及び/又は424は、端部402及び404の端表面まで延在する陥凹したポケットの形状で提供される。この陥凹したポケットは、例えば、図4及び図5に示すように、「C」形状を有し得る。一実施形態において、図9及び図10に示すように、キャップ414及び416は、揃えて挿入するための受容部分422、424又は陥凹ポケットとして実質的に同様の形状に成形される。キャップ414及び416は、陥凹ポケットと実質的に同様の「C」形状を有し得る。キャップ414は、受容部分422に挿入することができ、またキャップ416は受容部分424に挿入することができる。図10に示すように、キャップ416は、温度調節のために本体400の調節チャネル316内に流体を送達するためのチューブを挿入できるように、貫通穴を有し得る。
調節チャネル316が本体400の壁内に機械加工及び形成されたら、容器を使用のために組み立てることができる。使用のために容器を組み立てるには、キャップ414及び416を端部に挿入するか、及び/又は、陥凹ポケット又は受容部分422,424内に挿入し、本体400の端部402及び404で機械加工する(例えばろう付け又は溶接する)あるいはキャップ414、416は、本体400の端に形成された対応するスレッド(例えば受容部分又はポケットの対応するスレッド、又は更には調節チャネル316自体の端に形成された対応するスレッド)にねじ込むためのスレッドを備えて形成することができ、これにより、キャップがここに接続され取り付けられる。
図11及び図12は、一実施形態による螺旋状に取り巻く誘導コイル320を備えた射出成形装置における、図4〜図8に示す容器の図を示す。非限定的な一実施形態において、誘導コイル320は、不均一な間隔で配置されたチューブを有する。チューブ326は例えば、冷却システム360から誘導され、キャップ416を介して容器312に取り付けられている。使用時、容器312は真空源による真空下に置かれた周囲を取り巻くチューブ(例えば石英チューブ)(図示なし)を介して真空密閉され、流体が本体400の調節チャネル316を通って流れ、同時に溶融可能材料が内側スリーブ408内で溶融される。本体400は真空密閉されており、空気には露出していない。溶融プロセスの後、プランジャ330が本体400を通って動くことにより溶融した材料が成形のために射出され得る。
図13は、本明細書で溶融される溶融可能材料のための、実質的に管状の本体500(又は本明細書で言及される「本体500」)を有する容器312の一実施形態を示す。一実施形態において、容器の本体500は、長手方向に沿って、第1端502(例えば前側又はプランジャ挿入側)と、第2端504(例えば後側又は射出側)とを備えた、実質的に管状構造を有する。本体400は、内側表面508及び外側表面510を有する。この本体500は、水平に配置された誘導コイル320と共に射出装置内で使用するために、水平軸に沿って配置するよう構成することができる。
一般に、本体500は、容器に隣接して設置される、誘導コイル(例えば誘導コイル320)からの磁場により溶融するための溶融可能材料を受容するよう構成された、溶融部分(図示なし)を内部に有する。本体500は、溶融部分として機能し、その中で溶融するための溶融可能材料を受容するよう構成された、内腔を有し得る。内腔は、本体の第1端502と第2端504との間に延在する内側表面によって形成され得る。この容器は更に、第1端502と第2端504との間に延在し、外側表面から、内腔を形成する表面の一部まで本体を貫通するスロットを含む。誘導コイルは、スロットを介して導かれ、実質的な管状構造(容積にわたってほぼ一定)の内側に入り、コイルの軸に沿って(例えば内向きかつ水平に)導かれる磁場を生成する。また、例えば図13に示されているもののような容器312は、材料を溶融するための単なるるつぼではなく、溶融した材料を金型へと射出するためのショットスリーブとして使用される。一実施形態により、本体50の実質的な管状構造は、プランジャ先端を実質的に封入するための壁を含み得る。プランジャを実質的に取り囲むことにより、加熱及び溶融中に誘導コイルからのRF電流が本体500内で上昇し、溶融可能材料を溶融するためのより効率的な連結がもたらされる。容器は、遮蔽として作用するのではなく、磁場を中継するものとして作用する。同様に、図13に示す容器の壁によって、誘導コイルを介して駆動された電流から、ボート内に二次磁場を生成することにより、材料は依然として溶融することができる。更に、プランジャ先端はほぼ全体が、ほぼすべての側面において容器内に取り囲み又は捕捉されているため、プランジャ先端とボートの摩耗は大幅に低減され得る。
本体の表面及び壁は任意の形状であり得る。本体500の壁は、実質的に円形であり得る。本体500の壁は、内側表面508及び外側表面510を有する。この壁は、内側表面508と外側表面510とを本質的に分離する厚さT2を有し得る。一実施形態において、この壁は、中を貫通する温度調節チャネルを除き、長さ及び/又は厚さT2にわたって実質的に中実である。一実施形態において、溶融部分は少なくとも内側表面508の一部である(例えばその下側部分及び/又は側面部分)。内側表面508は、実質的に管状の本体500を貫通する受容開口部又は内腔を形成する。溶融のための溶融可能材料を受容することに加え、この内側表面508は、前述のように、溶融した材料を移動させるため、中に通るプランジャ(例えばプランジャ330)を受容するよう構成される。
一実施形態において、本体500は実質的に円形及び/又は滑らかな表面を有し得る。例えば、内腔の内側表面508は、実質的に円形、弓状、又は丸い形状(例えば図13に概略が示されている)で形成され得る。外側表面510は、例えば、内壁508と同様の形状又は異なる形状で形成することができる。一実施形態において、内腔の内側表面508は、プランジャ330及びその先端に対応する形状で、対応する寸法又はサイズで形成することができ、これにより本体500は、プランジャ先端330が中を通って動く際にこれを実質的に取り囲むよう構成される。ただし、本体500の形状及び/又は表面は、限定することを意図したものではない。
図13に示す容器は、更に、本体500内に1本以上の温度調節管(又は冷却チャネル)(図示なし)を有し、これは、誘導場/溶融プロセス中に、容器本体の温度調節を支援するために、その中に液体(例えば水又はその他の流体)を流すことができるよう構成される。調節管は、溶融部分又は内側表面508に対して本体500内に配置され得る。例えば、一実施形態において、図4〜図7を参照して前述されているように、チャネルが本体500に対して長手方向に配置され得る。他の実施形態において、チャネル316は、水平方向又は横方向に配置され得る。一実施形態において、1本以上の温度調節管が内壁508(又は内腔の表面)と外壁510との間に設置される。この1本以上の温度調節チャネルは、本体500の両端の間に延在し得る。1本以上の温度調節管は、本体500の第1端502と第2端504との間に、水平軸に対して平行に、長手方向に延在し得る。本体500は、内側表面508と外側表面510との間に、壁の一部、領域、又は厚さを貫通するチャネルを含み得る。
この調節チャネルは、液体又は流体を容器内に流入させ、中を通し、流出させるための、1つ以上の入口及び出口を含み得る(この両方が図13の本体500の516として一般的に表わされている)。図13に示すように、入口及び出口516は、本体500の第2端504に隣接して設置することができる。入口及び出口516は、本体500の外周に沿って設置されるスロット又は開口部であり得る。入口及び出口516は、冷却流体又は液を流入又は流出させるため、冷却システムと流体連通するよう構成される。一実施形態において、入口及び出口516は互いに対して、オフセット又はずれた位置にある。例えば、入口は第1領域に設置され得、出口は第2領域に設置され得る。調節チャネルの入口及び出口516は、任意の数の方法で構成することができ、限定することを意図したものではない。更に、チャネル内の流体又は液体の流れの方向は、限定されない。例えば、一実施形態において、流体が各チャネルに入り及び出るよう構成され、これにより液体が一方向に流れるようにすることができる。他の一実施形態において、液体は互い違いの方向に流れるように構成することができ、例えば、隣接する各ラインには、交互に入口と出口が含まれ得る。この流体又は液体は、1つ以上の流入口又は入口へと流入し、次に例えば、本体500の第1側に沿って長手方向に流れ、次にチャネルのそれぞれにおいて、本体500の第2側に沿って反対の方向に、長手方向に流れ、そして1つ以上の流出口又は出口から流出するよう構成することができる。各チャネル内の流れの方向は同じである必要はない。加えて、調節チャネルは、チャネル間に液体を流すよう構成された1つ以上の入口/出口を有するよう構成することができる。例えば、容器が長手方向に延在する調節チャネルを有する一実施形態において、1本以上のチャネルには、別のチャネル又はラインに向かって延在する1本以上の横方向又は延在するラインが含まれ得、これによって互いに流体連通し得る。すなわち、液体は、本体に沿って長手方向に流れるだけでなく、接続されたチャネルを通ってこれらの間も流れるよう、構成することができる。
一実施形態において、壁508と510の間に間隔を空けた配置でチャネルが設置される。一実施形態において、チャネルは本体500の周囲に、互いに対して等間隔で配置される。一実施形態において、チャネル内の流体又は液の流れの方向は、隣接チャネルで交互になっている。一実施形態において、入口チャネルと出口チャネルは本体周囲で交互になっている。一実施形態において、容器本体の少なくとも底部分には、相対的間隔に関して比較的密にチャネルが含まれている。チャネルは、一実施形態により、容器の中間部分又は赤道より上に設置され得る。
図13〜図14に示される容器における調節チャネルの数、形状、配置、中の流れ、及び/又は方向、並びに本体500又は本体400のいずれかにおけるチャネルの入口及び出口の配置は、限定されるべきものではない。また、調節チャネルの寸法(例えば直径又は幅)は、限定的ではない。チャネルの寸法は、例えば本体に含まれる調節チャネルの数に依存し、あるいは、チャネルが提供されるセグメント又は材料の寸法(例えば、本体の厚さなど、表面の厚さに基づく)に依存し得る。調節チャネルの寸法は更に、望ましい冷却の量にも基づき得る。
図に示すように、本体500は長手方向スロット506、又は本明細書で言及される「スロット506」を含む。スロット506は例えば、第1端502と第2端504との間に延在し、実質的に管状の本体500の上部分で完全な厚さT2を貫通して延在する。スロット506は、外側表面510から、内腔を形成する内側表面508の一部まで、本体を貫通して延在し得る。スロット506は、容器の壁内の隙間又は開口部を提供する。スロット506は、スロット406に関して前述したように、RF誘導場の印加中に容器の本体500内の渦電流を利用及び/又は受容するよう構成され、よってこの詳細はここでは繰り返さない。容器内の渦電流は、第2誘導コイルのように作用し、第2の電流場を生成し、これが溶融可能材料に浸透してこれを溶融する。したがって、スロット506は、アークを実質的に低減又は防止し、同時に、依然としてその容器の壁が、プランジャを実質的に取り囲み、かつその中の材料を溶融することができるような寸法にすることができる。
この容器は、溶融部分/その内腔内で材料の温度測定を可能にする。一実施形態において、スロットの幅は、溶融可能材料の温度測定値を読み取るためのセンサ又はその他の検出装置の挿入を可能にするような寸法にすることができる。スロットの幅はまた、例えば、溶融した材料が閉じ込められている(溶融中に)ことを確認するため、容器内の溶融可能材料を観察することを可能にし得る。
スロット506は、例えば図13に示すように、容器の上中央部分に沿って、又は最も上の部分に沿って、設置され得る。スロット506の側面は平行なエッジ518又は壁によって画定されてよく、このそれぞれは、水平軸に対して垂直な方向で横方向に延在する平行な面の上に設置される。
図13に示すように、スロット506は、本体500の第1端502と第2端504との間に長手方向に延在する長さL2を有する。スロット506の長さL2は、容器本体の全体長さに依存し得る。スロット506の両端は、一実施形態において、その端表面まで貫通することなく、端502と504の手前又はこれらに隣接して停止している。例えば、このスロットは、いずれかの端で剛性を提供し、本体の屈曲を低減又は実質的に防ぐために、容器の端より短く形成することができる。そのような端は、マニホールド位置、並びに、溶融した材料に対してプランジャにより圧力がかけられ金型に押し出される(射出される)位置に、対応することができる。スロットは、平行なエッジの間のスペースによって画定される幅W2を有する。スロット506は更に高さHを有し(図示なし)、これは内側表面508と外側表面510との間の壁の厚さによって画定され得る。
本体400に関して上述した寸法は、本体500に同様に適用することができる。すなわち、一実施形態において、スロットの長さLは、約150ミリメートル〜約225ミリメートルである。一実施形態において、スロットは、約175ミリメートルの長さを有する。一実施形態において、スロットは、約212ミリメートルの長さLを有する。一実施形態において、スロットの幅Wは、約3.0ミリメートル〜約15ミリメートルである。一実施形態において、スロットは約3.175ミリメートル(1/8インチ)の幅Wを有する。一実施形態において、壁の厚さTは約3.0ミリメートル〜約15ミリメートルである。ただし、上記のスロットの寸法範囲は単に例示目的であり、限定されるべきではなく、またここにおいて必須ではない。一実施形態において、スロットの寸法は、容器の寸法に基づいて構成することができる。一実施形態において、スロットは、誘導場の印加中に表面518と520との間のアーク形成(渦電流の結果生じる)が実質的に防止され、同時に、溶融可能材料に対して容器本体内に方向付けられた印加を可能にするような、寸法に構成される。
図13は更に、本体500がその少なくとも一方の端にフランジ512を有することを示している。フランジ512は、射出成形装置内に本体500の端を固定し、かつ、射出成形装置に対して本体500が動くのを防ぐよう構成される。フランジ512は、射出中に本体500が引っ張り出されるのを防ぐことができる。例えば、プランジャ330が溶融した材料を本体500から移動させ、金型へと射出する際、この本体500には、射出プロセスが起こる際に力がかかる。プランジャ330からの前向き圧力により金型のキャビティが充填されると、ある程度の背圧が容器にかかり得る。フランジ512は、装置内に容器を安定化し保持するのに役立つ。
フランジ512は、突出した縁、エッジ、畝、又はガスケットの形状であり得る。これは、本体500をまっすぐにし、定位置に保持し、及び/又は射出成形装置の他の物品に取り付けるために使用される。
フランジ512は、第1端502又は第2端504のいずれか一方に隣接して設置され得る。一実施形態において、図13に示すように、フランジ512は第2端に隣接して設置される。一実施形態において、フランジ512は装置の金型側(プランジャ側の反対側)に挿入するよう構成される。フランジは、例えば金型340と移送スリーブ350との間の配置及び固定を行うよう構成される。
図13に示すように、一実施形態において、入口及び出口516は、本体500の第2端504に隣接して、かつフランジ512に対して、配置され得る。例えば、入口及び出口516は、少なくとも容器に流体を送達するのに使用される流体マニホールドの決定に基づいて製造することができる。
一実施形態において、容器の本体500は、フランジ512の代わりに、溝を含み得る。例えば、溝は、第2端504に隣接して、あるいは装置に取り付けるよう構成された本体500の端に隣接して、設置され得る。この溝に収まるように環が設置され得る。環と溝の組み合わせを使用して、上述のフランジと同様にして容器を固定することができる。
本体500内を流体が通過するとき、このチャネルは真空圧により密封され得る。一実施形態において、フランジ512とは反対側の端を固定するため(すなわち、この場合は第1端502)、溶融プロセス中に調節チャネルの端の真空密封を可能にするための、キャップ514を受容するよう構成された受容部分がその中に設置され得る。キャップは、図4〜図10を参照して前述されたように、本体500の端502に固定することができる。この受容部分は、端502の端表面内に延在する陥凹ポケットの形態であり得る。この陥凹ポケットは、円形、環状、又は「O」形状を有し得る。キャップ514は、図13に示すように、受容部分と実質的に同様の形状で形成され、その中に揃えられ挿入され得る。組立は前述と同様であり、キャップ514は(電子ビーム)溶接又はその他の機械加工を行って、端502に取り付けることができる(例えばスレッドを使用してねじ込む)。
図14は、一実施形態により、螺旋状に取り巻く誘導コイル320を備えた射出成形装置における、図13に示すような容器の俯瞰図を示す。非限定的な一実施形態において、誘導コイル320は、不均一な間隔で配置されたチューブを有する。容器は、フランジ512を介して装置に固定されている。図に示されているように、本体は装置内に延在する(例えば左側を参照)。冷却システム360からのチューブは、容器の固定された第2端504に隣接して、装置内に取り付けることができる。これで流体は、本体を調節するための入口及び出口516に導くことができる。第1端502は、キャップ514を介して固定することができる。使用時、容器312は真空源による真空下に置かれた周囲を取り巻くチューブ(例えば石英チューブ)(図示なし)を介して真空密閉され、流体が本体500の調節チャネルを通って流れることで容器の温度が調節され、同時に溶融可能材料が内側スリーブ508内で溶融される。本体500は真空密閉されており、空気には露出していない。溶融プロセスの後、プランジャ330が本体500を通って動くことにより溶融した材料が成形のために射出され得る。
前述のように、一実施形態において、容器の長さに沿って平行に走る複数のスロットがある。例えば、2本以上のスロットを、容器壁を貫通して機械加工又は形成し、これにより容器内に隙間又は開口部を提供することができる。2本以上のスロットに関連する寸法は、同じ又は実質的に同様である必要はない。
明示的には記述されていないが、図4〜図10の本体400を参照して記述されている特徴は、図13〜図14の本体500に適用することができ、逆もまた同様であり、よって限定されるべきものではないことが理解されよう。更に、図3の容器312を参照して記述されている特徴及び機能は、図4〜図10及び図13〜図14の本体400及び500の代表的な実施形態両方に適用される。
温度調節チャネルを内部に又は伴って備え、プランジャ先端を実質的に取り囲むための壁を有する容器の、図に示されている実施形態以外の他の実施形態も、また包含される。
ここでも、容器の本体400又は500によって、プランジャ先端が内側表面408又は508内を通って動く際に、完全に取り囲まれたチューブ内を通過するかのように、位置を揃え安定化することが可能になり、同時に、好ましくない又は望ましくない遮蔽(これは鋳造又は成形に適切な温度に材料が達するのを妨げる可能性がある)を生じることなく、材料を溶融するために誘導コイルからの磁場を利用することができる。しかしながら、スロット406又は506は、誘導場(電流)が溶融のために印加されたときに、材料の溶融を少なくとも支援するために、温度調節された容器の本体内で及び/又は内部へと、渦電流を受容できるようにする。
したがって、上述の実施形態は、少なくとも1本のスロットを使用して溶融可能材料を溶融するため、内腔内に誘導場(渦電流)を許容することができ、プランジャ先端を実質的に取り囲むことができ、かつ、溶融した材料を金型に射出するためのショットスリーブとして(内腔を介して)作用することができる容器と、その使用方法とを示す。上述の特徴(例えば図3の容器312を参照して記述されたもの)及び機能に加え、本明細書に開示される容器は合金を含み、溶融されている間に、その合金を混入物のない状態に維持し、またその合金が装置を濡らさないようにする。本明細書に開示される容器は更に、機械的チャネルとして作用し(内腔及び溶融部分を介して)、このチャネルを通って、溶融した材料を金型へと押し出すことができ、またプランジャ先端が経路にわたって移動するための滑り面としてはたらく。熱的には、本開示の容器は、液体/冷媒と溶融した材料との間に熱伝導を提供する。電磁気的には、本開示の容器は電場(渦電流の形態で)と磁場の伝導体を提供する。本開示の容器はまた非常にクリーンであり、溶融した合金に異物を導入することがない。
本明細書の実施形態は、容器によって吸収されるエネルギー量を低減するのに役立ち、これにより、溶融される材料に対してより大きなエネルギーが供給される。より大きなエネルギーを供給できるため、システムがより高い溶融温度を達成できる。しかしながら、これは、誘導コイル320により大きなエネルギーを印加する必要があることを必ずしも意味するものではないことに留意されたい。むしろ、本明細書に記述されるもののような容器を利用した場合、より高い溶融温度が達成できるため、より小さなエネルギー印加が可能になることによって溶融プロセスが改善される。したがって、均一に鋳造されたより高品質の成形部品が得られる可能性は、プロセス中に使用される射出成形システム及び部品において材料に対して実施されるプロセスに依存する。溶融可能材料を均一に加熱し、このような射出成形装置の中にある溶融した材料の温度を維持することが、均一に成形された部品を形成するのに役立つ。本明細書のいずれかの代表的実施形態における容器316の構成及び設計は、そのような特徴を改善し提供することができる。
溶融可能材料は、任意の数の形態で溶融ゾーンに受容され得る。例えば、溶融可能材料は、インゴット(固体状態)、半固体状態、予熱されたスラリー、粉末、ペレットなどの形態で溶融ゾーンに供給され得る。いくつかの実施形態において、搭載ポート(例えば図3のインゴット搭載ポート318の図示例)が、射出成形装置300の一部として設置され得る。搭載ポート318は、任意の数の場所で装置内に提供される別々の開口部又は領域であってもよい。一実施形態において、搭載ポート318は、装置の1つ以上の部分を通過する経路であり得る。例えば、材料(例えばインゴット)は、プランジャ330によって容器312内に水平方向に挿入することができ、あるいは、射出装置300の金型側から水平方向に挿入することができる(例えば、金型340を通って、及び/又は任意の移送スリーブ350を通って、容器312内へ)。他の実施形態において、溶融可能材料は、他の方法及び/又は他の装置を用いて(例えば射出装置の反対側を通して)溶融ゾーン内に供給することができる。
材料を溶融する方法は、例えば図4〜図8の本体400及び図13の本体500を参照して開示されたような特徴を有する容器312を、図3に示す装置300のような射出成形装置と組み合わせて使用し、実施することができる。したがって、容器312に対する参照及び本開示に記述されているその特徴は、図4〜図8又は図13〜図14に示されている代表的な構造、並びに本明細書に開示されている容器に関するその他の実施形態の、いずれか又は両方に適用することができることが理解されよう。
溶融した材料を成形する方法を実施するために、装置300は、例えば、長手方向及び/又は水平方向にプランジャ330を動かすことにより、材料を実質的に水平方向に金型340へと射出するよう構成することができる。よって、プランジャ318は、溶融のための材料を本体内に押し入れ、所望により、溶融プロセス中に容器及び溶融ゾーン内に材料を保持し、及び/又は溶融した材料を、実質的に水平方向に、容器312を通って移動させることにより(例えば右から左へ、金型340へ向かって)、溶融部分314から移動させるよう、構成することができる。上述のように、容器312の内壁408は、プランジャ330が移動して中を貫通する際に、その先端及び本体の移動に対応するよう構成される。
一実施形態により、材料が容器312内で溶融された後、プランジャ330を使用して、その溶融した材料を、容器312から、物体、部品又は構成片を成形するための金型340へと押し出すことができる。溶融可能材料が合金(例えばアモルファス合金)である場合において、金型340は、成形されたバルクアモルファス合金の物体、部品又は構成片を形成するように構成される。金型340は、溶融した材料を中に通して受容するための入口を有する。容器312の出口(例えば射出に使用される第2の端又は後端)と、金型340の入口は、一直線でかつ水平軸上に提供されてよく、これによりプランジャロッド330が、容器312の本体を通って水平方向に移動し、溶融した材料を、入口を通して金型340内へと射出する。
前述のように、金属又は合金などの材料を成形するのに使用される射出成形システム300のようなシステムは、金型又はダイキャビティ内に溶融した材料を押し出す際、真空を利用することができる。射出成形システム300は更に、図3に示すように、真空ポート333を介して少なくとも溶融ゾーンの容器312及び金型340に真空圧を印加するよう構成された、機能するよう接続された少なくとも1つの減圧源又はポンプ(図示なし)を含み得る。この真空圧は、中の材料を溶融し、移動又は移送し、成形するのに使用される射出成形システム300の少なくとも部分に適用され得る。例えば、容器312及びプランジャロッド330は、溶融及び成形プロセス中に、その全体が減圧下にあってよく、及び/又は減圧槽内に封入されていてもよい。
一実施形態において、金型340は、材料を成形する際に内部の真空圧を調節するように構成された封入構造である真空金型である。例えば、一実施形態において、減圧金型340は、互いに対して隣接して(それぞれ)配置された、第1プレート(「A」金型又は「A」プレートとも呼ばれる)、第2プレート(「B」金型又は「B」プレートとも呼ばれる)を含む。第1プレートと第2プレートは一般にそれぞれ、それらの間で溶融した材料を成形するために、それぞれに伴う金型キャビティを有する。金型キャビティには、例えばBMG部品などの部品をその中で形成及び成形するための部品キャビティが含まれ得る。
一実施形態において、金型340のキャビティは、溶融ゾーンから任意の射出スリーブ又は移送スリーブ350を介して、それらの間に受容した溶融した材料を成形するよう構成される。一般に、金型340の第1プレートが移送スリーブ350に接続され得る。移送スリーブ350(時に、当該技術分野及び本明細書においてショットスリーブ、コールドスリーブ又は注入スリーブと呼ばれる)は、溶融ゾーン310と金型340との間に設置され得る。移送スリーブ350は、溶融した材料を受容し、その中を通して金型340へと(プランジャ330を使用して)移送することを可能にするよう構成された開口部を有する。この開口部は、水平軸(例えばX軸)に沿って水平方向に設置され得る。移送スリーブは、コールドチャンバである必要はない。一実施形態において、少なくともプランジャロッド330、容器312(例えばその受容部分又は溶融部分の内側壁)、及び移送スリーブ350の開口部は、一線上かつ水平軸上に設けられ、これによりプランジャロッド330は、溶融した材料を容器312から移送スリーブ350の開口部内へ、そして金型340へと移動させる(及び、その後通過させる)ために、容器312の本体を通って水平方向に移動できる。移送スリーブ350は更に、溶融及び成形プロセス中に、減圧下にあってよく、及び/又は減圧槽内に封入されていてもよい。
溶融した材料は、移送スリーブ350を通って水平方向に押され、入口(例えば第1プレート内)を介し、第1プレートと第2プレートとの間を通って金型キャビティ内に入る。材料の成形中、少なくとも第1プレート及び第2プレートは、その間にある材料(例えばアモルファス合金)が例えば酸素及び窒素に露出するのを実質的に排除するよう構成される。具体的には、プレート並びにそれらのキャビティから、大気空気が実質的に排除されるよう、真空が適用される。減圧は、減圧ライン及びポート333を介して接続された少なくとも1つの減圧源を使用して、減圧金型340の内部に印加される。例えば、システムの減圧又は減圧レベルは、溶融及びその後の成形サイクル中において、1×10-1〜1×10-4Torrに保持され得る。別の一実施形態において、この減圧レベルは、溶融及び成形サイクル中において、1×10-2〜約1×10-4Torrに保持される。もちろん、他の圧力レベル又は範囲、例えば、1×10-9Torr〜約1×10-3Torr、及び/又は1×10-3Torr〜約0.1Torrも使用することができる。真空イジェクタボックス(図示なし)は、金型340の第1プレートと第2プレートとの間の金型キャビティから、成形された(アモルファス合金)材料(又は成形された部品)を取り出すよう構成される。この取り出し機構は、成形された材料又は部品を外すために、作動するように構成された作動機構(図示なし)に関連付けられ又は接続される(例えば、少なくともプレート間の真空圧が解放された後、第1部品及び第2部品が互いからに離れるよう水平方向に動いた後に)。
装置300には、任意の数又はタイプの金型を採用することができる。例えば、任意の数のプレートを、第1プレートと第2プレートとの間及び/又はこれらに隣接するように設けて、金型を形成することができる。例えば「A」シリーズ、「B」シリーズ、及び/又は「X」シリーズの金型として当該技術分野で知られる金型を、射出成形システム/装置300に取り付けることができる。
溶融される材料を均一に加熱し、このような射出成形装置300の中にある溶融した材料の温度を維持することが、均一に成形された部品を形成するのに役立つ。単に例示目的のため、本開示全体で、溶融される材料は、固体状態の原材料であるインゴット305の形態であるものとして説明及び図示される。ただし、溶融される材料は、固体状態、半固体状態、予熱されたスラリー、粉末、ペレットなどの形態で、射出成形システム又は装置300内に受容されてもよく、材料の形態は限定されないことに注意されたい。
容器の本体を形成するのに使用される材料及び製造プロセスは限定されない。一般に、本開示の容器の設計は、比較的容易に製造される。実質的に管状の設計により、例えば、金属の丸材から容器を製造するのに必要な機械加工が低減される。内側コアの内径を研磨又は研削するのは、小さなスロットのみを有するため、ずっと容易になる(例えば、壁に延在する大きな切り欠きに比べて)。これにより例えば、クロムを使用してメッキをより簡単に行うことができ、ここにおいてメッキ後に容器を研磨できる。
本明細書で開示される任意の実施形態において、容器312の本体は、任意の数の材料(例えば銅、銀)で形成することができ、これには、任意の表面若しくは部品の上の1つ以上のコーティング若しくは層、及び/又は構成又は設計が含まれることに留意されたい。例えば、1つ以上の表面は、内部に凹部又は溝を有してもよい。容器本体を形成するのに使用される材料、溶融される材料、及び材料の層は、限定することを意図したものではない。
容器312の本体は、材料又は合金の組み合わせを含む、1つ以上の材料から形成され得、又は1つ以上の材料を含み得る。例えば、容器312は、ステンレススチール(SS)、銅、銅ベリリウム、銅クロム、amcolloy、サイアロンセラミック、イットリア、ジルコニア、クロム、チタン、及び安定化セラミックコーティングからなる群から選択されるものなど、単金属又は金属の組み合わせを含み得る。一実施形態において、容器312は銅合金から形成される。一実施形態において、この容器312は、RF集約性の1つ以上の材料で形成され、又はその上にコーティングを有する。
一実施形態において、容器312の1つ以上の表面又は部品の上における、1つ以上のコーティング若しくは層は、断熱材熱バリヤ、又は導電体である。例えば、コーティングは、メッキ技法を用いて、容器312の内側スリーブに適用することができる。表面又は部品上のコーティング又は層は、必ずしも一貫している必要はない。すなわち、コーティング又は層化材料の適用領域は、全表面の被覆に限定されるわけではなく、また特定の厚さ又はパターンに限定されるわけでもない。任意の数及び/又はタイプの方法を使用して、容器312にコーティング材料を適用することができ、この方法は限定的であるべきではない。一実施形態において、コーティング又は層化材料は、セラミック、石英、ステンレススチール、チタン、クロム、銅、銀、金、ダイヤモンド状炭素、イットリア、酸化イットリウム、及びジルコニアからなる群の少なくとも1つを含み得る。これらのタイプの材料の付着により、表面硬さと耐摩耗性を提供することができ、同時に効率的な熱伝導のための伝導性が維持される。本開示の容器に対して、強化された導電性を備えたコーティングを適用することで、ボート内の渦電流密度を増加させることができ、これによりボート内の場の強さを高めることができる。
したがって、本開示は、システムの溶融及びプロセス温度を改善し、また電力消費を改善するよう設計された、温度調節された容器の実施形態について記述する。本明細書の実施形態は、プランジャ先端の側面を実質的に取り囲みながら、材料を溶融部分内で溶融するための渦電流の(二次)磁場を受容し利用することができる誘導場キャプチャーとして作用する容器を示す。加えて、本開示は、例えばバルクアモルファス合金などの材料を溶融するための、水平方向に利用されるそのような容器を提供する。更に、ダイ鋳造又は射出成形のための、溶融ゾーンとショットスリーブの組み合わせを提供する。したがって、装置及びシステムの操作は、この容器のコストを低減し、溶融物及び射出経路全体における構成要素の寸法制御を改善することにより、改善することができる。
詳しくは記述されていないが、本開示の射出システムは、1つ以上のセンサ(例えば温度センサ362)、流量計など(例えば温度、冷却水流量などをモニターするため)、及び/又は1つ以上のコントローラ364を含むがこれらに限定されない追加部品を含み得る。本明細書に開示される射出システムの任意の実施形態を用いて成形される(及び/又は溶融される)材料には、任意の数の材料が含まれ得、限定されるべきものではない。一実施形態において、鋳造成形される材料は、上記のように、アモルファス合金である。
実施形態の用途
本明細書に記述される装置及び方法は、様々な部品又は物品を形成するのに使用することができ、これは、例えば、ヤンキードライヤロール、自動車及びディーゼルエンジンのピストンリング、ポンプ構成部品(例えばシャフト、スリーブ、シート、インペラ、ケーシング部分、プランジャ)、ヴァンケルエンジン構成部品(例えば筐体、エンドプレート)、及び機械構成要素(例えばシリンダライナー、ピストン、バルブステム、液圧ラム)に使用することができる。実施形態において、装置及び方法は、電子デバイスの筐体又はその他の部品(例えば、デバイス又はその電気コネクタの筐体又はケーシングの一部)を形成するのに使用することができる。装置及び方法は、任意の消費者向け電子デバイス(例えば携帯電話、デスクトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、及び/又は携帯型音楽プレーヤ)の部分を製造するのにも使用することができる。本明細書で使用されるとき、「電子デバイス」とは、消費者向け電子デバイスなどの任意の電子デバイスを指し得る。例えば、この電子デバイスは、携帯電話及び固定電話などの電話、及び/又は、例えばiPhone(商標)を含めたスマートフォン、及び電子eメール送信/受信デバイスなどの、任意の通信デバイスであり得る。この電子デバイスは、デジタルディスプレイ、TVモニタ、電子ブックリーダ、携帯ウェブブラウザ(例えば、iPad(商標))、及びコンピュータモニタなどの、ディスプレイの一部とすることができる。この電子デバイスはまた、携帯DVDプレーヤ、DVDプレーヤ、ブルーレイディスクプレーヤ、ビデオゲームコンソール、携帯音楽プレーヤ(例えば、iPod(商標))などの音楽プレーヤなどを含めた、娯楽デバイスとすることもできる。この電子デバイスはまた、画像、ビデオ、音声のストリーミングを制御することなどの、制御を提供するデバイス(例えば、Apple TV(商標))の一部とすることもでき、又は電子デバイス用の遠隔制御装置とすることができる。この電子デバイスは、コンピュータ、あるいはハードドライバタワーの筺体若しくはケーシング、ノートブック筺体、ノートブックキーボード、ノートブックトラックパッド、デスクトップキーボード、マウス、及びスピーカーなどの、コンピュータ付属品の一部とすることができる。このコーティングはまた、腕時計又は時計などのデバイスにも適用することができる。
本発明は、限られた数の実施形態との関連で、本明細書で説明及び例示されるが、本発明は、本発明の趣旨及び本質的特性から逸脱することなく、多くの形態で具体化することができる。それゆえ、本開示の要約書で説明されるものを含めた、例示及び説明される実施形態は、全ての点で、制限するものではなく、例示として見なされるべきである。本発明の範囲は、上述の説明によってではなく、添付の特許請求の範囲によって指示されるものであり、この特許請求の範囲の均等物の意味及び範囲内に含まれる全ての変更は、その特許請求の範囲内に包含されることが意図される。