本明細書に引用される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
冠詞「a」及び「an」は、本明細書では、1つ又は2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)の、その冠詞の文法的対象語を指すために使用される。例として、「ポリマー樹脂(a polymer resin)」は、1つのポリマー樹脂又は2つ以上のポリマー樹脂を意味する。本明細書に記載されるいずれの範囲も、包括的である。本明細書の全体を通して使用される、用語「実質的に」及び「約」は、小規模な変動を記述及び説明するために使用される。例えば、それらの用語は、±2%以下など、±1%以下など、±0.5%以下など、±0.2%以下など、±0.1%以下など、±0.05%以下などの、±5%以下を指すことができる。
バルク凝固アモルファス合金、すなわちバルク金属ガラス(「BMG」)は、最近開発された部類の金属材料である。これらの合金は、比較的穏やかな速度で、凝固及び冷却させることができ、それらは、アモルファスの、非晶質(すなわち、ガラス質)状態を室温で保持する。アモルファス合金は、それらの結晶性の対応物よりも、多くの優れた特性を有する。しかしながら、冷却速度が十分に高速ではない場合には、冷却の間にその合金の内部で結晶が形成される恐れがあり、そのため、アモルファス状態の利益が失われる恐れがある。例えば、バルクアモルファス合金部品の製造に伴う1つの重要な課題は、徐冷又は合金原料中の不純物のいずれかによる、それらの部品の部分的な結晶化である。BMG部品内では、高い程度のアモルファス化度(また反対に、低い程度の結晶化度)が望ましいため、制御された量のアモルファス化度を有するBMG部品を鋳造するための方法を開発する必要性がある。
図1A(米国特許第7,575,040号より入手)は、Liquidmetal Technologyによって製造されたZr−−Ti−−Ni−−Cu−−BeファミリーのVIT−001シリーズからの、例示的なバルク凝固アモルファス合金の粘度−温度グラフを示す。アモルファス固体の形成の間、バルク凝固アモルファス金属に関しては、明確な液体/固体変態が存在しないことに留意するべきである。この溶融合金は、ガラス転移温度近傍で固体形態に近づくまで、過冷却の増大と共に、ますます粘稠になる。したがって、バルク凝固アモルファス合金に関する凝固前面の温度は、ガラス転移温度近傍とすることができ、その温度近傍で、この合金は事実上、急冷アモルファスシート製品を引き抜く目的に関して、固体として作用する。
図1B(米国特許第7,575,040号より入手)は、例示的なバルク凝固アモルファス合金の、時間−温度−変態(TTT)冷却曲線、すなわちTTT図を示す。バルク凝固アモルファス金属は、従来の金属と同様に、冷却の際の液体/固体の結晶化変態を起こさない。その代わりに、高温で(「融解温度」Tm近傍で)見出される、高度に流体の非晶質形態の金属は、温度が低減されるにつれて(ガラス転移温度Tg近傍まで)より粘稠になり、最終的に従来の固体の外面的な物理的特性を呈する。
バルク凝固アモルファス金属に関しては、液体/結晶化変態は存在しないにも関わらず、対応する結晶相の熱力学的液相温度として、「融解温度」Tmを定義することができる。この体系の下では、バルク凝固アモルファス合金の融解温度での粘度は、約0.1ポアズ〜約10,000ポアズの範囲に、更に場合によっては、0.01ポアズ未満にあることが可能である。この「融解温度」でのより低い粘度は、BMG部品を成形するためのバルク凝固アモルファス金属による、シェル/金型の複雑な部分のより速く完全な充填をもたらす。更には、BMG部品を成形するための溶融金属の冷却速度は、冷却の間の時間−温度プロファイルが、図1BのTTT図内の結晶化領域を境界付けるノーズ形状領域を横断しないようなものでなければならない。図1Bでは、Tノーズは、結晶化が最も急速であり、かつ最短の時間スケールで生じる、臨界結晶化温度Txである。
過冷却液体領域である、Tg〜Txの温度領域は、バルク凝固合金の結晶化に対する、極度の安定性を明示するものである。この温度領域内では、バルク凝固合金は、高粘度の液体として存在し得る。この過冷却液体領域内でのバルク凝固合金の粘度は、ガラス転移温度での1012Pa・sから、結晶化温度である過冷却液体領域の高温限界での105Pa・sに至るまでの間で変化し得る。そのような粘度を有する液体は、加圧力の下で、実質的な塑性歪みを経験し得る。本明細書の実施形態は、成形及び分離方法として、この過冷却液体領域内での大きい塑性成形性を利用する。
Txについて明確にする必要がある。技術的には、TTT図に示されるノーズ形状の曲線は、Txを温度及び時間の関数として説明する。それゆえ、金属合金を加熱又は冷却する間に辿る軌跡とは関係なく、このTTT曲線に当る場合に、Txに到達している。図1Bでは、Txは破線として示されるが、これは、Tmの近位からTgの近位まで、Txが変化し得るためである。
図1Bの概略的なTTT図は、時間−温度の軌跡(例示的軌跡として、(1)として示す)がTTT曲線に当ることがない、Tm以上〜Tg未満のダイキャストの加工処理方法を示す。ダイカストの間、この成形は、軌跡がTTT曲線に当ることを回避するために、実質的に急速冷却と同時に行われる。時間−温度の軌跡(例示的軌跡として、(2)、(3)及び(4)として示す)がTTT曲線に当ることがない、Tg以下からTm未満までの超塑性成形(SPF)に関する加工処理方法。SPFでは、アモルファスBMGは、過冷却液体領域内へと再加熱され、利用可能な加工処理ウインドウは、ダイキャストよりも遙かに大きく、より良好なプロセスの可制御性をもたらすことが可能である。SPFプロセスは、冷却の間の結晶化を回避するための急速冷却を必要としない。また、例示的軌跡(2)、(3)、及び(4)によって示されるように、SPFの間の最高温度が、Tノーズ超又はTノーズ未満、最大約Tmとなる状態で、SPFを実施することができる。一個のアモルファス合金を昇温させるが、TTT曲線に当ることを回避するように管理する場合には、「Tg〜Tm」に加熱しても、Txには到達していない。
20℃/分の加熱速度で得られる、バルク凝固アモルファス合金の典型的な示差走査熱量計(DSC)加熱曲線は、大部分は、TTTデータを横切る具体的な軌跡を説明するものであり、特定温度でのTgと、DSC加熱傾斜がTTT結晶化開始と交差する場合のTxと、最終的に、同じ軌跡が融解に関する温度範囲と交差する場合の融解ピークとが認められるであろう。図1Bの軌跡(2)、(3)、及び(4)の上り傾斜部分によって示されるような急速な加熱速度で、バルク凝固アモルファス合金を加熱する場合には、TTT 曲線を完全に回避することが可能であり、DSCデータは、加熱の際、ガラス転移を示すが、Txは示さない。このことについての別の考察方法は、軌跡(2)、(3)、及び(4)は、結晶化曲線に当らない限り、TTT曲線のノーズ(及び更にその上方)〜Tg線の温度内の、いずれの場所にも収まることができる点である。そのことは、加工処理温度が上昇するにつれて、軌跡内の水平な平坦部が遙かに短くなり得ることを単に意味する。
相
本明細書での用語「相」は、熱力学状態図内で見出すことができるものを指すことができる。相は、その全体にわたって、材料の全ての物理的特性が本質的に均一である、空間の領域(例えば、熱力学系)である。物理的特性の例としては、密度、屈折率、化学組成、及び格子周期性が挙げられる。相の単純な説明は、化学的に均一で、物理的に異なっており、及び/又は機械的に分離可能な材料の領域である。例えば、ガラスジャー内の、氷及び水からなる系では、その角氷が1つの相であり、水が第2の相であり、その水の上の湿り空気が第3の相である。ジャーのガラスは、別の分離相である。相は、金属間化合物などの、2成分、3成分、4成分以上の溶体又は化合物とすることができる、固溶体を指すことができる。別の例としては、アモルファス相は、結晶相とは異なる。
金属、遷移金属、及び非金属
用語「金属」は、電気陽性の化学元素を指す。本明細書での用語「元素」は、全般的には、周期表に見出すことができる元素を指す。物理的には、基底状態の金属原子は、占有状態に近い、空状態を有する部分的充満帯を含む。用語「遷移金属」とは、不完全な内部電子殻を有し、一連の元素内の、最も電気陽性のものと最も電気陽性ではないものとの間の遷移リンクとして役立つ、周期表の第3族〜第12族の範囲内の金属元素のうちのいずれかである。遷移金属は、複数の原子価、着色化合物、及び安定な錯イオンを形成する能力によって特徴付けられる。用語「非金属」は、電子を失って陽イオンを形成する能力を有さない化学元素を指す。
用途に応じて、任意の好適な非金属元素、又はそれらの組み合わせを使用することができる。合金(又は「合金組成物」)は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ以上の非金属元素などの複数の非金属元素を含み得る。非金属元素は、周期表内の第13族〜第17族内に見出される、いずれかの元素とすることができる。例えば、非金属元素は、F、Cl、Br、I、At、O、S、Se、Te、Po、N、P、As、Sb、Bi、C、Si、Ge、Sn、Pb、及びBのうちの、いずれか1つとすることができる。場合により、非金属元素はまた、第13族〜第17族内の特定の半金属(例えば、B、Si、Ge、As、Sb、Te、及びPo)を指すこともできる。一実施形態では、非金属元素としては、B、Si、C、P、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。したがって、例えば、その合金は、ホウ化物若しくは炭化物、又は双方を含む。
遷移金属元素は、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀、ラザホージウム、ドブニウム、シーボーギウム、ボーリウム、ハッシウム、マイトネリウム、ウンウンニリウム、ウンウンウニウム、及びウンウンビウムのうちのいずれかとすることができる。一実施形態では、遷移金属元素含有BMGは、Sc、Y、La、Ac、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、及びHgのうちの少なくとも1つを有し得る。用途に応じて、任意の好適な遷移金属元素、又はそれらの組み合わせを使用することができる。合金組成物は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ以上の遷移金属元素などの、複数の遷移金属元素を含み得る。
本明細書で説明される、合金又は合金「サンプル」又は「試料」合金は、任意の形状又はサイズを有し得る。例えば、合金は、球形、楕円、ワイヤ状、ロッド状、シート状、フレーク状、又は不規則形状などの形状を有し得る、微粒子の形状を有し得る。この微粒子は、任意のサイズを有し得る。例えば、その微粒子は、約5マイクロメートル〜約80マイクロメートルなど、約10マイクロメートル〜約60マイクロメートルなど、約15マイクロメートル〜約50マイクロメートルなど、約15マイクロメートル〜約45マイクロメートルなど、約20マイクロメートル〜約40マイクロメートルなど、約25マイクロメートル〜約35マイクロメートルなどの、約1マイクロメートル〜約100マイクロメートルの平均直径を有し得る。例えば、一実施形態では、微粒子の平均直径は、約25マイクロメートル〜約44マイクロメートルである。一部の実施形態では、ナノメートルの範囲のものなどの、より小さい微粒子、又は100マイクロメートルよりも大きいものなどの、より大型の微粒子を使用することができる。
合金のサンプル又は試料はまた、遙かに大きい寸法のものにすることもできる。例えば、インゴットなどのバルク構造構成要素、電子機器の筺体/ケーシング、又は更にミリメートル、センチメートル、又はメートルの範囲の寸法を有する構造的構成要素の一部分とすることができる。
固溶体
用語「固溶体」は、溶体の固体形態を指す。用語「溶体」は、固体、液体、気体、又はこれらの組み合わせとすることができる、2種以上の物質の混合物を指す。この混合物は、均質又は不均質とすることができる。用語「混合物」とは、互いに組み合わされ、一般的には分離することが可能である、2種以上の物質の組成物である。一般的には、それらの2種以上の物質は、互いに化合されない。
合金
一部の実施形態では、本明細書で説明される合金組成物は、完全に合金化することができる。一実施形態では、「合金」とは、一方の原子が他方の原子に置き換わるか、又は原子間の格子間位置を占有する、2種以上の金属の均質な混合物又は固溶体を指すものであり、例えば、黄銅は、亜鉛及び銅の合金である。合金とは、複合材料とは対照的に、金属マトリックス中の1種以上の化合物などの、金属マトリックス中の1種以上の元素の部分的又は完全な固溶体を指すことができる。本明細書での合金という用語は、単一の固相の微細構造を呈し得る全率固溶合金、及び2つ以上の相を呈し得る部分的溶体の双方を指すことができる。本明細書で説明される合金組成物は、合金を含むもの、又は合金含有複合材料を含むものを指すことができる。
それゆえ、完全に合金化した合金は、固溶体相であれ、化合物相であれ、又は双方であれ、その構成成分の均質な分布を有し得る。本明細書で使用される用語「完全に合金化された」は、許容誤差範囲内の僅かな変異を説明することができる。例えば、その用語は、少なくとも95%の合金化など、少なくとも99%の合金化など、少なくとも99.5%の合金化など、少なくとも99.9%の合金化などの、少なくとも90%の合金化を指すことができる。本明細書での百分率は、文脈に応じて、体積百分率又は重量百分率のいずれかを指すことができる。これらの百分率は、合金の部分ではない組成又は相の観点によるものとすることができる、不純物によって均衡させることができる。
アモルファス又は非晶質固体
「アモルファス」又は「非晶質固体」は、結晶に特徴的な格子周期性を欠く固体である。本明細書で使用するとき、「アモルファス固体」は、ガラス転移を通じて、加熱されると液体状の状態へと軟化及び変態するアモルファス固体である、「ガラス」を含む。一般的には、アモルファス材料は、結晶に特徴的な長距離秩序を欠くが、それらのアモルファス材料は、化学結合の性質による、原子の長さスケールでの何らかの短距離秩序を保有し得る。アモルファス固体と結晶性固体との区別は、X線回折及び透過型電子顕微鏡検査などの構造特性評価技術によって判定される、格子周期性に基づいて行なうことができる。
用語「秩序」及び「無秩序」とは、多粒子系内での何らかの対称性又は相関性の有無を指示する。用語「長距離秩序」及び「短距離秩序」は、長さスケールに基づいて、材料内の秩序を区別する。
固体における秩序の最も厳密な形態は格子周期性であり、特定のパターン(単位格子内の原子配列)が何度も繰り返され、空間の並進に普遍の、空間充填を形成する。この格子周期性は、結晶の定義特性である。可能な対称性は、14種のブラベー格子及び230種の空間群に分類されている。
格子周期性は、長距離秩序を示唆するものである。1つの単位格子のみが知られる場合には、その並進対称性によって、任意の距離での、全ての原子配置を正確に予測することが可能である。一般に逆も真であるが、ただし、例えば、完全に確定的な充填を有するが、格子周期性を保有しない、準結晶の場合は例外である。
長距離秩序は、同じサンプルの遠隔の部分が、相関する挙動を呈する、物理系を特徴付ける。この長距離秩序は、相関関数、すなわち次のスピン−スピン相関関数として表現することができる。
上記の関数では、sはスピン量子数であり、xは特定の系内の距離関数である。この関数は、x=x’である場合、単位元に等しく、距離|x−x’|が増大するにつれて減少する。典型的には、この関数は、長距離で、指数関数的にゼロまで減衰し、その系は無秩序であると見なされる。しかしながら、この相関関数が、大きい|x−x’|で一定値へと減衰する場合には、その系は長距離秩序を保有すると述べることができる。この関数が、距離の累乗でゼロまで減衰する場合には、準長距離秩序と呼ぶことができる。大きい値の|x−x’|を構成するものは、相対的であることに留意されたい。
系は、その挙動を定義する一部のパラメータが、経時的に進展しないランダム変数である(すなわち、それらが急冷又は凍結される)場合、急冷無秩序、例えば、スピングラスを提示すると延べることができる。この急冷無秩序は、ランダム変数自体が進展することが可能な、焼鈍無秩序とは反対である。本明細書の実施形態は、急冷無秩序を含む系を包含する。
本明細書で説明される合金は、結晶性、部分結晶性、アモルファス、又は実質的アモルファスとすることができる。例えば、合金サンプル/試料は、少なくともある程度の結晶化度を含み得るものであり、ナノメートル及び/又はマイクロメートルの範囲のサイズを、結晶粒/結晶が有する。あるいは、合金は、十分にアモルファスであるなどの、実質的アモルファスとすることができる。一実施形態では、合金組成物は、実質的に結晶性であるなど、完全に結晶性であるなどの、少なくとも実質的にアモルファスではない。
一実施形態では、他のアモルファス合金中の、1種の結晶又は複数種の結晶の存在は、その合金中の「結晶相」として解釈することができる。合金の結晶化度の程度(又は一部の実施形態では、略して「結晶化度」)とは、その合金中に存在する結晶相の量を指すことができる。その程度とは、例えば、合金中に存在する結晶の分率を指すことができる。この分率は、文脈に応じて、体積分率又は重量分率を指すことができる。アモルファス合金がどの程度「アモルファス」であるかの尺度を、アモルファス化度とすることができる。アモルファス化度は、結晶化度の程度の観点により測定することができる。例えば、一実施形態では、低い程度の結晶化度を有する合金は、高い程度のアモルファス化度を有すると述べることができる。一実施形態では、例えば、60体積%の結晶相を有する合金は、40体積%のアモルファス相を有し得る。
アモルファス合金又はアモルファス金属
「アモルファス合金」とは、50体積%超のアモルファス含有量、好ましくは90体積%超のアモルファス含有量、より好ましくは95体積%超のアモルファス含有量、最も好ましくは99体積%超〜ほぼ100体積%のアモルファス含有量を有する合金である。上述のように、アモルファス化度が高い合金は、結晶化度の程度が同等に低いことに留意されたい。「アモルファス金属」とは、無秩序な原子スケール構造を有するアモルファス金属材料である。結晶性であることにより、高度に秩序化された原子配置を有する、殆どの金属とは対照的に、アモルファス合金は非晶質である。そのような無秩序構造が、冷却の間に液体状態から直接作り出される材料は、「ガラス」と称される場合がある。したがって、アモルファス金属は、一般に「金属ガラス」又は「ガラス金属」と称される。一実施形態では、バルク金属ガラス(「BMG」)とは、その微細構造が少なくとも部分的にアモルファスである合金を指すことができる。しかしながら、アモルファス金属を作り出すためには、極度な急速冷却の他にも、物理蒸着、固相反応、イオン照射、メルトスピニング、及び機械的合金化を含めた、幾つかの方法が存在する。アモルファス合金は、それらが調製される方法とは関係なく、単一の部類の材料とすることができる。
アモルファス金属は、様々な急冷法を通じて作り出すことができる。例えば、アモルファス金属は、回転する金属ディスク上に溶融金属をスパッタリングすることによって、作り出すことができる。1秒当り約数百万度の急冷は、結晶が形成するには過度に高速である得るため、その金属は、ガラス状態で「固定」される。また、アモルファス金属/合金は、厚い層のアモルファス構造、例えば、バルク金属ガラスの形成を可能にするための、十分に低速な臨界冷却速度で作り出すこともできる。
用語「バルク金属ガラス」(「BMG」)、バルクアモルファス合金(「BAA」)、及びバルク凝固アモルファス合金は、本明細書で互換的に使用される。それらの用語は、少なくともミリメートルの範囲の最小寸法を有する、アモルファス合金を指す。例えば、その寸法は、少なくとも約1mmなど、少なくとも約2mmなど、少なくとも約4mmなど、少なくとも約5mmなど、少なくとも約6mmなど、少なくとも約8mmなど、少なくとも約10mmなど、少なくとも約12mmなどの、少なくとも約0.5mmとすることができる。幾何学形状に応じて、その寸法は、直径、半径、厚さ、幅、長さなどを指すことができる。BMGはまた、少なくとも約1.0cmなど、少なくとも約2.0cmなど、少なくとも約5.0cmなど、少なくとも約10.0cmなどの、センチメートルの範囲の少なくとも1つの寸法を有する、金属ガラスとすることもできる。一部の実施形態では、BMGは、少なくともメートルの範囲の、少なくとも1つの寸法を有し得る。BMGは、金属ガラスに関連する、上述の形状又は形態のうちの、いずれかを呈することができる。したがって、本明細書で説明されるBMGは、一部の実施形態では、重要な一態様での従来の堆積技術によって作製される薄膜とは異なるものとすることができ、前者のBMGは、後者の薄膜よりも遙かに大きい寸法のものとすることができる。
アモルファス金属は、純金属ではなく、合金とすることができる。この合金は、著しく異なるサイズの原子を含有し得ることにより、溶融状態で、低い自由体積がもたらされる(またそれゆえ、他の金属及び合金よりも、桁違いとなるまでの高い粘度を有する)。この粘度は、原子が、規則格子を形成するために十分に移動することを防ぐ。この材料構造は、冷却の間の低収縮性、及び塑性変形に対する抵抗性をもたらし得る。一部の場合には結晶性材料の弱点である、この結晶粒界の非存在は、例えば、磨耗及び腐食に対する、より良好な抵抗性をもたらし得る。一実施形態では、技術的にはガラスであるが、アモルファス金属はまた、酸化物ガラス及びセラミックよりも遙かに強靭であり、脆性ではないものにすることもできる。
アモルファス材料の熱伝導率は、それらの結晶性対応物の熱伝導率よりも低いものにすることができる。より緩徐な冷却の間でも、アモルファス構造の形成を達成するために、3種以上の構成成分で合金を作製して、より高いポテンシャルエネルギー、及びより低い形成の確率を有する、複合結晶単位をもたらすことができる。アモルファス合金の形成は、以下の幾つかの因子:合金の構成成分の組成、構成成分の原子半径(好ましくは、高い充填密度及び低い自由体積を達成するために、12%超の有意差を有する)、並びに結晶核生成を阻止し、溶融金属が過冷却状態に留まる時間を延長する、構成成分の組み合わせの負の混合熱によって決まり得る。しかしながら、アモルファス合金の形成は、多種多様な変数に基づくものであるため、合金組成物がアモルファス合金を形成するか否かを事前に判定することは、困難な場合がある。
例えば、ホウ素、ケイ素、リン、及び他のガラス形成剤と、磁性金属(鉄、コバルト、ニッケル)とのアモルファス合金は、低い保磁力及び高い電気抵抗を有する、磁性のものとすることができる。この高い抵抗は、例えば、トランス用磁心として有用な特性である、交番磁界に晒された場合の渦電流による低損失をもたらす。
アモルファス合金は、潜在的に有用な、様々な特性を有し得る。具体的には、アモルファス合金は、同様の化学組成の結晶性合金よりも強固である傾向にあり、それらは、結晶性合金よりも大きい可逆性(「弾性」)変形に耐え得る。アモルファス金属は、それらの強度を、それらの非晶質構造から直接導き出すものであり、この非晶質構造は、結晶性合金の強度を制限する欠陥(転位などの)を全く有し得ない。例えば、Vitreloy(商標)として知られる、1つの最新のアモルファス金属は、高級チタンのほぼ2倍の引張り強さを有する。一部の実施形態では、室温での金属ガラスは延性ではなく、張力が負荷されると突然破損するが、このことは、差し迫った破壊が明白ではないため、信頼性が重要な用途での、その材料の適用性を制限する。それゆえ、この課題を克服するために、延性の結晶性金属の樹枝状の粒子又は繊維を含有する、金属ガラスマトリックスを有する、金属マトリックス複合材料を使用することができる。あるいは、深刻化を引き起こす傾向がある元素(例えば、Ni)が少ないBMGを、使用することができる。例えば、Niを含まないBMGを使用することにより、そのBMGの延性を改善することができる。
バルクアモルファス合金の別の有用な特性は、これらが真のガラスであり、換言すれば、加熱により軟化かつ流動し得ることである。これは、ポリマーと同様に射出成形などの容易な加工処理を可能にする。結果として、アモルファス合金は、スポーツ用品、医療用装置、電子部品及び電子装備、並びに薄膜を作製するために使用することができる。アモルファス金属の薄膜は、高速酸素燃料技術を介して、保護コーティングとして堆積させることができる。
材料は、アモルファス相、結晶相、又は双方を有し得る。これらのアモルファス相及び結晶相は、同じ化学組成を有し、微細構造のみが異なる(すなわち、一方はアモルファスであり、他方は結晶質である)ものとすることができる。一実施形態での微細構造は、25×以上の倍率の顕微鏡によって明らかとなるような材料の構造を指す。あるいは、これらの2つの相は、異なる化学組成及び微細構造を有し得る。例えば、組成物は、部分的アモルファス、実質的アモルファス、又は完全アモルファスとすることができる。
上述のように、アモルファス化度の程度(また反対に結晶化度の程度)は、合金中に存在する結晶の分率によって測定することができる。その程度とは、合金中に存在する結晶相の体積分率又は重量分率を指すことができる。部分的アモルファス組成物とは、少なくとも約10体積%など、少なくとも約20体積%など、少なくとも約40体積%など、少なくとも約60体積%など、少なくとも約80体積%など、少なくとも約90体積%などの、少なくともその約5体積%がアモルファス相である組成物を指すことができる。用語「実質的に」及び「約」は、本明細書中の他の場所で定義されている。したがって、少なくとも実質的にアモルファスである組成物とは、少なくとも約95体積%など、少なくとも約98体積%など、少なくとも約99体積%など、少なくとも約99.5体積%など、少なくとも約99.8体積%など、少なくとも約99.9体積%などの、少なくともその約90体積%がアモルファスであるものを指すことができる。一実施形態では、実質的アモルファス組成物は、その中に存在する、何らかの付随的な少量の結晶相を有し得る。
一実施形態では、アモルファス合金組成物は、アモルファス相に関して均質とすることができる。組成が均一である物質は、均質である。このことは、不均質である物質とは対照的である。用語「組成」とは、物質中の化学組成及び/又は微細構造を指す。物質は、その物質の体積を半分に分割して、両半分が実質的に同じ組成を有する場合に均質である。例えば、微粒子懸濁液は、その微粒子懸濁液の体積を半分に分割して、両半分が実質的に同じ体積の粒子を有する場合に均質である。しかしながら、顕微鏡下で個々の粒子を視認することが可能な場合もある。均質な物質の別の例は、空気であり、その空気中の種々の成分は等しく浮遊するが、空気中の粒子、気体、及び液体は、個別に分析することができ、又は空気から分離することもできる。
アモルファス合金に関して均質である組成とは、その微細構造の全体にわたって実質的に均一に分布するアモルファス相を有するものを指すことができる。換言すれば、その組成物は、組成物の全体にわたって実質的に均一に分布するアモルファス合金を巨視的に含む。代替の実施形態では、この組成は、非アモルファス相をその中に有する、アモルファス相を有する複合材料のものとすることができる。この非アモルファス相は、1つの結晶又は複数の結晶とすることができる。それらの結晶は、球形、楕円、ワイヤ状、ロッド状、シート状、フレーク状、又は不規則形状などの、任意の形状の微粒子の形態とすることができる。一実施形態では、結晶は、樹枝状形態を有し得る。例えば、少なくとも部分的にアモルファスの複合組成物は、アモルファス相マトリックス中に分散する樹枝状結晶の形状の結晶相を有し得るものであり、この分散は、均一又は不均一なものとすることができ、アモルファス相と結晶相とは、同じ化学組成又は異なる化学組成を有し得る一実施形態では、それらの相は実質的に同じ化学組成を有し得る。別の実施形態では、結晶相は、BMG相よりも延性とすることができる。
本明細書で説明される方法は、任意のタイプのアモルファス合金に適用可能とすることができる。同様に、組成物又は物品の成分として、本明細書で説明されるアモルファス合金は、任意のタイプのものとすることができる。このアモルファス合金は、Zr、Hf、Ti、Cu、Ni、Pt、Pd、Fe、Mg、Au、La、Ag、Al、Mo、Nb、Beの元素、又はこれらの組み合わせを含み得る。すなわち、この合金は、その化学式又は化学組成中に、これらの元素のいずれかの組み合わせを含み得る。それらの元素は、種々の重量百分率又は体積百分率で存在し得る。例えば、鉄「ベース」合金とは、その中に存在する無視することができない重量百分率の鉄を有する、合金を指すことができ、その重量百分率は、例えば、少なくとも約40重量%など、少なくとも約50重量%など、少なくとも約60重量%など、少なくとも約80重量%などの、少なくとも約20重量%などとすることができる。あるいは、一実施形態では、上述の百分率は、重量百分率の代わりに、体積百分率とすることができる。したがって、アモルファス合金は、ジルコニウムベース、チタンベース、白金ベース、パラジウムベース、金ベース、銀ベース、銅ベース、鉄ベース、ニッケルベース、アルミニウムベース、モリブデンベースなどとすることができる。この合金はまた、特定の目的に適合するように、上述の元素のうちのいずれかを含まない場合もある。例えば、一部の実施形態では、この合金、又はこの合金を含む組成物は、ニッケル、アルミニウム、チタン、ベリリウム、又はこれらの組み合わせを実質的に含まないものであり得る。一実施形態では、この合金又は複合材料は、ニッケル、アルミニウム、チタン、ベリリウム、又はこれらの組み合わせを全く含まない。
例えば、このアモルファス合金は、式(Zr,Ti)
a(Ni,Cu,Fe)
b(Be,Al,Si,B)
cを有し得るものであり、式中、a、b、及びcはそれぞれ、重量百分率又は原子百分率を表す。一実施形態では、原子百分率で、aは30〜75の範囲であり、bは5〜60の範囲であり、cは0〜50の範囲である。あるいは、このアモルファス合金は、式(Zr,Ti)
a(Ni,Cu)
b(Be)
cを有し得るものであり、式中、a、b、及びcはそれぞれ、重量百分率又は原子百分率を表す。一実施形態では、原子百分率で、aは40〜75の範囲であり、bは5〜50の範囲であり、cは5〜50の範囲である。この合金はまた、式(Zr,Ti)
a(Ni,Cu)
b(Be)
cを有し得るものでもあり、式中、a、b、及びcはそれぞれ、重量百分率又は原子百分率を表す。一実施形態では、原子百分率で、aは45〜65の範囲であり、bは7.5〜35の範囲であり、cは10〜37.5の範囲である。あるいは、この合金は式(Zr)
a(Nb,Ti)
b(Ni,Cu)
c(Al)
dを有し得るものであり、式中、a、b、c、及びdはそれぞれ、重量百分率又は原子百分率を表す。一実施形態では、原子百分率で、aは45〜65の範囲であり、bは0〜10の範囲であり、cは20〜40の範囲であり、dは7.5〜15の範囲である。上述の合金系の例示的一実施形態は、Liquidmetal Technologies(CA,USA)によって製作されるような、Vitreloy−1及びVitreloy−101などの、商品名Vitreloy(商標)の、Zr−Ti−Ni−Cu−Beベースのアモルファス合金である。種々の系のアモルファス合金の一部の実施例が、表1及び表2に記載される。
その他の例示的な鉄系合金には、例えば米国特許出願公開第2007/0079907号及び同第2008/0305387号に開示されているものが挙げられる。これらの組成物には、Fe(Mn,Co,Ni,Cu)(C,Si,B,P,Al)系が含まれ、ここにおいてFe含有量は60〜75原子パーセント、(Mn,Co,Ni,Cu)の合計は5〜25原子パーセントの範囲内、及び(C,Si,B,P,Al)の合計は8〜20原子パーセントの範囲内であり、例示的な組成はFe48Cr15Mo14Y2C15B6である。また、Fe−Cr−Mo−(Y,Ln)−C−B,Co−Cr−Mo−Ln−C−B、Fe−Mn−Cr−Mo−(Y,Ln)−C−B、(Fe,Cr,Co)−(Mo,Mn)−(C,B)−Y、Fe−(Co,Ni)−(Zr,Nb,Ta)−(Mo,W)−B,Fe−(Al,Ga)−(P,C,B,Si,Ge)、Fe−(Co,Cr,Mo,Ga,Sb)−P−B−C、(Fe,Co)−B−Si−Nb合金、及びFe−(Cr−Mo)−(C,B)−Tmにより記述される合金系が挙げられ、ここにおいてLnはランタニド元素、Tmは遷移金属元素を示す。更に、このアモルファス合金は、米国特許出願公開第2010/0300148号に記述される例示的組成物Fe80P12.5C5B2.5,Fe80P11C5B2.5Si1.5,Fe74.5Mo5.5P12.5C5B2.5、Fe74.5Mo5.5P11C5B2.5Si1.5、Fe70Mo5Ni5P12.5C5B2.5、Fe70Mo5Ni5P11C5B2.5Si1.5、Fe68Mo5Ni5Cr2P12.5C5B2.5、及びFe68Mo5Ni5Cr2P11C5B2.5Si1.5のうちの1つであり得る。
これらのアモルファス合金はまた、(Fe,Ni,Co)ベース合金などの、鉄合金とすることもできる。かかる組成物の例は、米国特許第6,325,868号、同第5,288,344号、同第5,368,659号、同第5,618,359号、及び同第5,735,975号、InoueらのAppl.Phys.Lett.,Volume 71,p 464(1997)、ShenらのMater.Trans.,JIM,Volume 42,p 2136(2001)、並びに日本特許出願第200126277号(公開番号2001303218(A))で開示されている。1つの例示的な組成物は、Fe72Al5Ga2P11C6B4である。別の実施例は、Fe72Al7Zr10Mo5W2B15である。本明細書でのコーティングに使用することができる、別の鉄ベース合金系が、米国特許出願公開第2010/0084052号で開示されており、そのアモルファス金属は、例えば、括弧内に記される組成の範囲で、マンガン(1〜3原子%)、イットリウム(0.1〜10原子%)、及びケイ素(0.3〜3.1原子%)を含有し、また括弧内に記される組成の指定範囲で以下の元素:クロム(15〜20原子%)、モリブデン(2〜15原子%)タングステン(1〜3原子%)、ホウ素(5〜16原子%)、炭素(3〜16原子%)、及び残部の鉄を含有する。
このアモルファス合金は、米国特許出願公開第2008/0135136号、同第2009/0162629号、及び同第2010/0230012号に記述されているPt又はPd系合金のうちの1つであり得る。例示的な組成物には、Pd44.48Cu32.35Co4.05P19.11、Pd77.5Ag6Si9P7.5、及びPt74.7Cu1.5Ag0.3P18B4Si1.5が挙げられる。
上述のアモルファス合金系は、Nb、Cr、V、及びCoを含めた添加遷移金属元素などの、添加元素を更に含み得る。これらの添加元素は、約20重量%以下など、約10重量%以下など、約5重量%など、約30重量%以下で存在し得る。一実施形態では、この任意選択の添加元素は、コバルト、マンガン、ジルコニウム、タンタル、ニオブ、タングステン、イットリウム、チタン、バナジウム、及びハフニウムのうちの少なくとも1つであり、炭化物を形成して、耐摩耗性及び耐食性を更に改善する。更なる任意選択の元素としては、融点を低下させるための、合計で最大約2%の、好ましくは1%未満の、リン、ゲルマニウム、及びヒ素を挙げることができる。他の少量の不純物は、約2%未満、好ましくは0.5%未満とするべきである。
一部の実施形態では、アモルファス合金を有する組成物は少量の不純物を含み得る。不純物元素を意図的に添加することにより、機械的特性(例えば、硬度、強度、破壊機構など)の改善、及び/又は耐食性の改善などの、その組成物の特性を修正することができる。あるいは、それらの不純物は、加工処理及び製造の副生成物として得られるもののような、不可避の付随的な不純物として存在し得る。これらの不純物は、約5重量%など、約2重量%など、約1重量%など、約0.5重量%など、約0.1重量%などの、約10重量%以下とすることができる。一部の実施形態では、これらの百分率は、重量百分率の代わりに、体積百分率とすることができる。一実施形態では、この合金サンプル/組成物は、アモルファス合金から本質的になる(少量の付随的な不純物のみを有する)。別の実施形態では、この組成物はアモルファス合金を含む(観察可能な微量の不純物を全く有さない)。
一実施形態では、最終部品は、バルク凝固アモルファス合金の臨界鋳造厚さを超過するものであった。
本明細書の実施形態では、バルク凝固アモルファス合金が高粘度の液体として存在することができる過冷却液体領域の存在により、超塑性成形が可能となる。大きい塑性変形を得ることができる。過冷却液体領域で大きく塑性変形する能力は、成形プロセス及び/又は切断プロセスに使用される。固体とは対照的に、この液体のバルク凝固合金は、局所的に変形し、このことが、切断及び成形のために必要とされるエネルギーを、大幅に低下させる。切断及び成形の容易性は、合金、金型、及び切断工具の温度に応じて変化する。温度が高くなるにつれて、粘度が低下し、その結果として、切断及び成形が容易になる。
本明細書の実施形態は、例えば、Tg〜Txで実施される、アモルファス合金を使用する熱可塑性成形プロセスを、利用することができる。本明細書では、Tx及びTgは、結晶化の開始の温度、及びガラス転移の開始の温度として、典型的な加熱速度(例えば、20℃/分)での標準的なDSC測定から決定される。
アモルファス合金構成要素は、臨界鋳造厚さを有し得るものであり、最終部品は、その臨界鋳造厚さよりも厚い厚さを有し得る。更には、加熱及び整形操作の時間並びに温度は、アモルファス合金の弾性歪み限界が、1.0%以上、好ましくは1.5%以上であることを実質的に維持し得るように選択される。本明細書の実施形態との関連では、ガラス転移近傍の温度とは、成形温度がガラス転移未満、ガラス転移温度若しくはガラス転位温度近傍、及びガラス転移温度超とすることができることを意味するが、結晶化温度Txより低い温度であることが好ましい。冷却工程は、加熱工程での加熱速度と同様の速度で、好ましくは、加熱工程での加熱速度を超える速度で実施される。冷却工程はまた、好ましくは、形成荷重及び成形荷重が依然として維持されている間にも達成される。
電子機器
本明細書の実施形態は、BMGを使用する電子機器の製作で有用であり得る本明細書での電子機器とは、当該技術分野において既知の任意の電子機器を指すことができる。例えば、この電子デバイスは、セル電話及び固定電話などの電話、あるいは、例えばiPhone(商標)を含めたスマートフォン、及び電子eメール送信/受信デバイスなどの、いずれかの通信デバイスとすることができる。この電子機器は、デジタルディスプレイ、TVモニタ、電子ブックリーダ、携帯ウェブブラウザ(例えば、iPad(商標))、及びコンピュータモニタなどの、ディスプレイの一部とすることができる。この電子デバイスはまた、携帯DVDプレーヤ、従来型DVDプレーヤ、ブルーレイディスクプレーヤ、ビデオゲームコンソール、携帯音楽プレーヤ(例えば、iPod(商標))などの音楽プレーヤなどを含めた、娯楽デバイスとすることもできる。この電子デバイスはまた、画像、ビデオ、音声のストリーミングを制御することなどの、制御を提供するデバイス(例えば、Apple TV(商標))の一部とすることもでき、又は電子デバイス用の遠隔制御装置とすることができる。この電子機器は、コンピュータ、あるいはハードドライブタワーの筺体若しくはケーシング、ラップトップ筺体、ラップトップキーボード、ラップトップトラックパッド、デスクトップキーボード、マウス、及びスピーカーなどの、コンピュータ付属品の一部とすることができる。この物品はまた、腕時計又は時計などの機器にも適用することができる。
本明細書の実施形態により、容器内の材料(例えば金属又は金属合金)を溶融するための、提案されている解決策は、溶融ゾーン内に溶融物又は溶融した材料を閉じ込めることである。
実施形態は、離れた螺旋巻き部分を備えた誘導コイルを使用して、インライン溶融装置内で溶融原料の位置及び形状を制御するための装置及び方法に関する。この誘導コイルは、溶融コイルとして作用する第1部分と、閉じ込めコイルとして作用する第2部分とを有する。「閉じ込め」コイルにより生じるラプラス力は、溶融可能材料の誘導加熱を実質的に低下させることなく、溶融コイル(これは、溶融可能材料又は合金を容器から押し出す傾向をもつ)により生じるラプラス力に対抗するよう作用する。これにより、材料を溶融させ、例えば後続の形成のためのコールドチャンバダイカストなどの別のシステムへと制御可能に導入することができる。またこれにより、材料を閉じ込めるのに物理的な障害を用いることなく、材料を電磁的に閉じ込めることができる。
図2は、誘導コイルの一実施形態を示す。この装置には、図2に示すように、溶融するための、例えばインゴット204などの材料を内部に受容するよう構成された容器が含まれ得る。図示されているのは、材料を内部で溶融するよう構成された第1誘導コイルと、第1誘導コイルと直線上に配置された第2誘導コイルであり、この第2誘導コイルは材料を溶融し、同時に材料の移動を閉じ込めるよう構成されている。第1部分又は第1誘導コイルと、第2部分又は第2誘導コイルは、機能するよう接続され、かつ同じ周波数で作動させるよう構成されている、単一の誘導コイルの部分である。この第1部分及び第2部分は、容器の軸に沿って互いに、相対的に離れて配置され、これによってこれらの間にスペースが形成される。この誘導コイルは、作動中に(例えばRF印加中に)コイルの第1部分と第2部分との間のスペース内で、容器内の溶融した材料に対して力を印加する。したがって、図2は、加熱機能と閉じ込め機能の両方を実施するコイル構成を示している。作動中、溶融温度と攪拌は、第1コイルと第2コイルとの間の領域で比較的均一なままである。第2誘導コイルは、容器内で、溶融した材料の水平方向の移動を閉じ込めるためのゲート又はバルブとして機能するよう構成され得る。一実施形態において、第1誘導コイル200は搭載又は加熱コイルであり、第2誘導コイル202は閉じ込めコイルである。あるいは、別の一実施形態において、第1誘導コイルは閉じ込めコイルであり、第2誘導コイルは加熱コイルである。単一の誘導コイルは、溶融可能材料(例えばインゴットの形態)上での熱エネルギー生成を最大限にし、同時に溶融物に印加される力を最大限にするよう調整された周波数を有し得る。
単に説明目的のため、図2は、溶融した材料が容器から金型へと水平方向に、右から左へと射出されるのを示していることが理解されよう。したがって、これらの図示されている実施形態において、第1誘導コイルは加熱コイルであり、第2誘導コイルは閉じ込めコイルである。しかしながら、移動の方向及び加熱/閉じ込めコイルの配置は、限定することを意図したものではない。この装置は更に、容器の射出端、又は容器の射出端の反対側のいずれかに配置される、追加の誘導コイルを含み得る。追加の誘導コイルは図2に示されていない。
容器(図2には示されていないが、代わりに容器内のインゴットが図示されている)は、第1誘導コイル又は第2誘導コイルの水平軸に沿って配置することができ、これにより、容器内の材料の移動が、容器の射出経路に沿って水平方向になる。
一実施形態において、溶融可能材料は、水冷されたボート、容器、又はコンテナによって底に閉じ込められ、これはほぼU字型のチャネルを有している場合も有していない場合もある。
これらの実施形態の任意のものにおいて、溶融する材料にはBMG原料が含まれ、この装置は材料をBMG部品に成形するよう構成される。
様々な実施形態により、一装置が提供される。この装置は、溶融するための材料を内部に受容するよう構成された容器と、その容器内で材料を溶融し、その材料の移動を閉じ込めるように構成された、第1誘導コイル及び第2誘導コイルと、を含み得る。第1誘導コイル及び第2誘導コイルは、単独の誘導コイルである。装置は、材料をBMG部品に形成するよう構成することができる。
様々な実施形態により、材料を溶融する方法が提供される。この方法は、溶融可能材料を容器に挿入する工程と、溶融した材料を形成するために誘導コイルをあるRF周波数で作動させる工程と、を含む。誘導コイルは、容器内で溶融可能材料を溶融し、閉じ込めるよう構成された、第1誘導コイル及び第2誘導コイルを有する。
様々な実施形態により、装置を作動させる方法が提供される。この方法は、溶融可能材料を容器に挿入する工程と、容器内の溶融した材料を形成するために誘導コイルをあるRF周波数で作動させる工程と、誘導コイルの作動を停止する工程と、を含む。誘導コイルは、容器内で溶融可能材料を溶融し、閉じ込めるよう構成された、第1誘導コイル及び第2誘導コイルを有する。
様々な実施形態により、装置を作動させる方法が提供される。この方法は、溶融可能材料を容器に挿入する工程と、容器内の溶融した材料を形成するために誘導コイルをあるRF周波数で作動させる工程と、誘導コイルの作動を停止する工程と、を含む。誘導コイルは、機能するよう接続されている第1部分及び第2部分を有する。この第1部分及び第2部分は、容器の軸に沿って互いに、相対的に離れて配置され、これによってこれらの間にスペースが形成される。誘導コイルは、作動中にコイルの第1部分と第2部分との間のスペース内で、容器内の溶融した材料に対して力を印加する。
様々な実施形態により、一装置が提供される。この装置には、溶融するための材料を内部に受容するよう構成された容器と、その容器の実質的に周囲に配置された誘導コイルと、を含み得る。誘導コイルは、容器内に溶融した材料を形成するために、あるRF周波数で作動するよう構成された複数のコイル巻きを有する。誘導コイルは、第1部分及び第2部分に分離され、この第1部分と第2部分の間に少なくとも1巻きを有する。この少なくとも1巻きは、第1部分と第2部分の両方からある距離を空けて配置される。
本明細書に記述される方法、技法、及び装置は、記述されている実施形態を限定することを意図したものではない。本明細書に開示されるように、装置又はシステム(あるいは装置又は機械)は、材料(例えばアモルファス合金)の溶融及び射出成形を行うように構成され得る。この装置は、高融解温度で溶融してから、その溶融した材料を金型に注入して成形を行うことにより、そのような材料又は合金を加工するように構成されている。下記で詳しく述べられるように、この装置の部品は互いに一線上に配置される。実施形態により、この装置の部品(又はこれらへのアクセス)及び/又は装置若しくはシステム自体は、水平軸上に揃えられる。
一実施形態において、装置の部品及び/又は装置若しくはシステム自体は、水平軸に対してある角度で配置される。容器は、ある角度で傾いていてよく、これによって、本明細書に開示される誘導コイルによって溶融される材料、又はその中で溶融した材料が、重力の影響を受ける。例えば、容器は、システムの水平かつ長手方向に対して鋭角で斜めに配置することができ、これによって容器の射出端(例えば図の左側)が、容器のプランジャ端(例えば図の右側)よりも高く、すなわち上向きに配置される。この容器の傾いた配置は、[金型への]射出の前に、溶融した材料が漏出するのを低減することによって、溶融した材料を(コイル及びその設計に沿って)閉じ込めるのに役立ち得る。
下記の実施形態は単に例示目的のためのものであり、限定することを意図するものではない。
図3は、開示される誘導コイルの実施形態を実装するための例示的な装置の概略図を示す。より具体的には、図3は射出成形装置300を示す。一実施形態により、射出成形システム300は、内部に受容した溶融可能材料305を溶融するよう構成された溶融ゾーン310と、その溶融した材料305を溶融ゾーン310から金型340へと射出するよう構成された少なくとも1本のプランジャロッド330と、を含み得る。一実施形態では、少なくともプランジャロッド330と溶融ゾーン310は一線上でかつ水平軸(例えばX軸)上に提供され、これによりプランジャロッド330は溶融ゾーン310を実質的に通過して水平方向に(例えばX軸に沿って)動き、溶融した材料305を金型340へと移動させる。この金型は、溶融ゾーンに隣接して配置され得る。
溶融可能材料は、任意の数の形態で溶融ゾーンに受容され得る。例えば、溶融可能材料は、インゴット(固体状態)、半固体状態、予熱されたスラリー、粉末、ペレットなどの形態で溶融ゾーン310に供給され得る。いくつかの実施形態において、搭載ポート(例えばインゴット搭載ポート318の図示例)が、射出成形装置300の一部として提供され得る。搭載ポート318は、任意の数の場所で装置内に提供される別々の開口部又は領域であってもよい。一実施形態において、搭載ポート318は、装置の1つ以上の部分を通過する経路であり得る。例えば、材料(例えばインゴット)は、プランジャ330によって容器312内に水平方向に挿入することができ、あるいは、射出装置300の金型側から水平方向に挿入することができる(例えば、金型340を通って、及び/又は移送スリーブ350を通って、容器312内へ)。他の実施形態において、溶融可能材料は、他の方法及び/又は他の装置を用いて(例えば射出装置の反対側を通して)溶融ゾーン310内に供給することができる。
溶融ゾーン310は、溶融可能材料を受容し、その材料が溶融状態に加熱された際にそれを保持するように構成された溶融機構を有する。溶融機構は、容器312の形態であってよく、これは例えば、溶融可能材料を受容し、かつ、中にある材料を溶融するように構成された本体を有する。本開示全体にわたって使用されている容器は、物質を高温に加熱するために採用された材料で作製された容器である。例えば、一実施形態において、この容器はるつぼであってよく、例えばボート形るつぼ、又はスカルるつぼであり得る。一実施形態において、容器312は、減圧下(例えば真空ポート332の真空装置又はポンプによって適用される)で溶融可能材料用に利用できるよう構成された低温炉床溶融装置である。一実施形態において、下記に詳しく述べられるように、この容器は温度調節された容器である。
容器312はまた、本体の受容部分又は溶融部分314内に材料(例えば原材料)を投入するための入口も有し得る。図に示されている実施形態において、容器312の本体は、実質的にU字型の構造を含み得る。ただし、この図示されている形状は、限定を意味するものではない。容器312は、任意の数の形状又は構成を含み得る。この容器の本体は、ある長さを有し、長手かつ水平方向に延在していてよく、これにより溶融した材料がプランジャ330を用いてここから水平方向に移送される。例えば、この本体は、垂直に延在する側壁を備えた底部を含み得る。加熱又は溶融のための材料は、容器の溶融部分314に受容することができる。溶融部分314は、溶融される溶融可能材料を内部に受容するように構成される。例えば、溶融部分314は材料を受容するための表面を有する。容器312は、送達のための1つ以上の射出装置(例えば搭載ポート及びプランジャ)を使用して溶融部分314内に材料(例えばインゴットの形態)を受容することができる。
一実施形態において、本体及び/又はその溶融部分314は、実質的に丸みのある及び/又は滑らかな表面を含み得る。例えば、溶融部分314の表面は、円弧形状に形成することができる。ただし、本体の形状及び/又は表面は、限定することを意図したものではない。本体は、一体型構造であってよく、又は、一緒に接合若しくは機械加工された別個の部品から形成されていてもよい。容器312の本体は、任意の数の材料(例えば銅、銀)から形成され得、これには1つ以上のコーティング、及び/又は構成若しくは設計が挙げられる。例えば、1つ以上の表面は、内部に凹部又は溝を有してもよい。
容器312の本体は、水平方向に貫通するプランジャロッドを受容して、溶融した材料を動かすよう構成され得る。すなわち、一実施形態において、溶融機構はプランジャロッドと同じ軸上にあり、本体は、このプランジャロッドの少なくとも一部分を受容するような構成及び/又は寸法にすることができる。よって、プランジャロッド330は、実質的に容器312内を通じて移動することにより、溶融した材料(加熱/溶融後)を容器から金型340内に移動させるように構成することができる。図3に図示されている装置300の実施形態を参照し、例えば、プランジャロッド330は、容器312を通じて、右から左に向かって水平方向に動き、溶融した材料を金型340に向かって、かつその内部へ移動させて押し出す。
溶融ゾーン310を加熱して、容器312内に受容した溶融可能材料を溶融させるために、射出装置300には、その溶融可能材料を加熱して溶融させるのに使用する熱源も含まれる。
本体自体の実質的に全体ではなくとも、少なくとも容器の溶融部分314は、内部に受容した材料を溶融するべく、溶融ゾーン310内で加熱されるように構成されている。加熱は、例えば、溶融可能材料を溶融させるように構成された、溶融ゾーン310内に配置された誘導源を使用して達成される。一実施形態において、誘導源は2つの部分320L、320Cを有し、これらは容器312に隣接して配置される(下記に詳しく述べる)。例えば、誘導源は、実質的に、容器本体の一定の長さにわたってその周囲に、螺旋状に配置されたコイルの形状であり得る。したがって、容器312は、電源供給又は電源325を用いて、少なくとも誘導源/コイル320Lに電力を供給することにより、溶融部分314内の溶融可能材料(例えば挿入されたインゴット)を電磁誘導により溶融させるよう構成され得る。よって、溶融ゾーン310には誘導ゾーンが含まれ得る。この誘導源は、容器312を溶融させて濡らすことなしに、容器312に収容されている任意の材料を加熱し溶融させるよう構成される。この誘導コイルは容器312に対して無線周波数(RF)波を放射する。図3に示されているように、容器312を取り巻くコイルは、水平軸(例えばX軸)に沿って水平方向に配置されるよう構成される。
一実施形態において、容器312は温度調節された容器である。そのような容器は、1本以上の温度調節チャネルを含み得、これは、容器内に受容した材料の溶融中に容器312の本体の温度を調節する(例えば容器を強制的に冷やす)ために、その中に気体又は液体(例えば水、油、又はその他の液)が流れるよう構成されている。そのような強制冷却されたるつぼはまた、プランジャロッドと同じ軸上に提供され得る。冷却チャネルは、容器312の本体自体が過剰に加熱して溶融するのを防ぐのに役立つことができる。冷却チャネルは、容器内の気体又は液体の流れを誘導するよう構成された冷却システムに接続することができる。この冷却チャネルは、流体が中を貫通して流れる1つ以上の入口及び出口を含み得る。この冷却チャネルの入口及び出口は、任意の数の方法で構成することができ、限定することを意図したものではない。例えば、冷却チャネル管は、中の材料が溶融して容器温度が調節されるように(すなわち、熱が吸収され、かつ容器が冷却されるように)、溶融部分314に対して配置され得る。冷却チャネルの数、配置及び/又は方向は限定されるべきではない。冷却液体又は冷却流体は、誘導源320Lが通電されているときに、溶融可能材料の溶融中に冷却チャネルを流れるように構成され得る。
材料が容器312内で溶融された後、プランジャ330を使用して、その溶融した材料を、物体、部品又は構成片へと成形するために、容器312から金型340へと押し出すことができる。溶融可能材料が合金(例えばアモルファス合金)である場合において、金型340は、成形されたバルクアモルファス合金の物体、部品又は構成片を形成するように構成される。金型340は、溶融した材料を中に通して受容するための入口を有する。容器312の出口と金型340の入口は、一線上かつ水平軸上に提供することができ、これによりプランジャロッド330は、容器の本体を貫通して水平方向に動き、溶融した材料を、金型340の入口を介して金型内に押し出す。
前述のように、金属又は合金などの材料を成形するのに使用される射出成形システム300のようなシステムは、金型又はダイキャビティ内に溶融した材料を押し出す際、真空を利用することができる。射出成形システム300は更に、少なくとも溶融ゾーン310及び金型340に真空圧を適用するよう構成された少なくとも1つの真空源又はポンプを真空ポート312に含み得る。この真空圧は、中の材料を溶融し、移動又は移送し、成形するのに使用される射出成形システム300の少なくとも部分に適用され得る。例えば容器312、移送スリーブ350、及びプランジャロッド330は、すべて減圧下であってよく、及び/又は真空チャンバ内で密閉されていてもよい。
一実施形態において、金型340は、材料を成形する際に内部の真空圧を調節するように構成された封入構造である真空金型である。例えば、一実施形態において、真空金型340は、互いに対して隣接して(それぞれ)配置された、第1プレート(「A」金型又は「A」プレートとも呼ばれる)、第2プレート(「B」金型又は「B」プレートとも呼ばれる)を含む。第1プレートと第2プレートは一般にそれぞれ、それらの間で溶融した材料を成形するために、それぞれに伴う金型キャビティを有する。このキャビティは、注入スリーブ又は移送スリーブ350を介してその間に受容される溶融した材料を成形するよう構成される。金型キャビティは、部品を内部で形成及び成形するために、部品の金型キャビティを含んでもよい。
一般に、第1プレートは、移送スリーブ350に接続することができる。一実施形態により、プランジャロッド330は、溶融した材料を、容器312から、移送スリーブ350を介して、金型340へと移動させるように構成されている。移送スリーブ350(時に、当該技術分野及び本明細書においてショットスリーブ、コールドスリーブ又は注入スリーブと呼ばれる)は、溶融ゾーン310と金型340との間に提供され得る。移送スリーブ350は、溶融した材料を受容し、その中を通して金型340へと(プランジャ330を使用して)移送することを可能にするよう構成された開口部を有する。この開口部は、水平軸(例えばX軸)に沿って水平方向に提供され得る。移送スリーブは、コールドチャンバである必要はない。一実施形態において、少なくともプランジャロッド330、容器312(例えばその受容部分又は溶融部分)、及び移送スリーブ350の開口部は、一直線かつ水平軸上に設けられ、これによりプランジャロッド330は、溶融した材料を移送スリーブ350の開口部内に移動させる(及び、その後通過させる)ために、容器312を通って水平方向に移動できる。
溶融した材料は、移送スリーブ350を通って水平方向に押され、入口(例えば第1プレート内)を介し、第1プレートと第2プレートとの間を通って金型キャビティ内に入る。材料の成形中、少なくとも第1プレート及び第2プレートは、その間にある材料(例えばアモルファス合金)が例えば酸素及び窒素に曝露するのを実質的に排除するよう構成される。具体的には、プレート並びにそれらのキャビティから、大気空気が実質的に排除されるよう、真空が適用される。真空圧は、真空ライン332に接続された少なくとも1つの真空源を使用して、真空金型340の内部に印加される。例えば、システムの減圧又は減圧レベルは、溶融及びその後の成形サイクル中において、1×10-1〜1×10-4Torrに保持され得る。別の一実施形態において、この減圧レベルは、溶融及び成形サイクル中において、1×10-2〜約1×10-4Torrに保持される。もちろん、他の圧力レベル又は範囲、例えば、1×10-9Torr〜約1×10-3Torr、及び/又は1×10-3Torr〜約0.1Torrも使用することができる。真空イジェクタボックス(図示なし)は、金型340の第1プレートと第2プレートとの間の金型キャビティから、成形された(アモルファス合金)材料を取り出すように構成されている。この取り出し機構は、成形された材料又は部品を外すために、作動するように構成された作動機構(図示なし)に関連付けられ又は接続される(例えば、少なくともプレート間の真空圧が解放された後、第1部品及び第2部品が互いからに離れるよう水平方向に動いた後に)。
装置300には、任意の数又はタイプの金型を採用することができる。例えば、任意の数のプレートを、第1プレートと第2プレートとの間及び/又はこれらに隣接するように設けて、金型を形成することができる。例えば「A」シリーズ、「B」シリーズ、及び/又は「X」シリーズの金型として当該技術分野で知られる金型を、射出成形システム/装置300に取り付けることができる。
溶融される材料を均一に加熱し、このような射出成形装置300の中にある溶融した材料の温度を維持することが、均一に成形された部品を形成するのに役立つ。単に説明目的のため、本開示全体で、溶融される材料は、固体状態の原材料であるインゴット305の形態であるものとして説明及び図示される。ただし、溶融される材料は、固体状態、半固体状態、予熱されたスラリー、粉末、ペレットなどの形態で、射出成形システム又は装置300内に受容されてもよく、材料の形態は限定されないことに注意されたい。加えて、容器312の図は、単に説明目的のため、U字型ボート/容器のX軸に沿った断面図である。
射出成形装置は、インラインでかつ水平方向に配置され、電力入力の大半を溶融のための材料に適用し、誘導コイルに隣接する溶融ゾーン内に材料を閉じ込めるようになっているため、一貫した溶融サイクルを行うのに効果的である(例えば、溶融した材料の流れを容器の取り出し経路に向かわせ及び/又は取り出し経路から出すのに比べて)。本明細書で開示されているように、図3の例示的な射出成形装置/システム300は、螺旋コイル形状の誘導源を含み、この巻きは長手方向に分かれて、例えば、搭載誘導コイル320L及び閉じ込め誘導コイル320Cの、複数の別々の誘導コイルとして作用し、しかも依然として単一コイルの部分である。より具体的には、誘導コイル320の巻きは、容器312内の材料に対して、加熱並びに搭載の機能と、閉じ込めの機能とを提供するように、不均一な間隔になっている。
図4は、射出成形システムに使用するために構成されている、容器412と、不均一な間隔の部分を有する誘導コイル420の一実施形態を示す。誘導コイル420の部分は、容器412内に配置されている溶融するための材料405(例えば金属/金属合金)に力を印加することができ、最終的に、材料405が溶融したとき、誘導コイル420がコイル420の部分間のスペース内にある溶融した材料405に力を印加する。これらの力は、図示のように、容器の中央に向かって溶融した材料を内向きに押し出すよう作用し得る。一方、これらの力は、誘導コイルによる加熱中に、溶融した材料を滑らかに伸ばしながら、誘導コイル420から溶融した材料405を(例えば誘導コイル420の両端で)押し出すことができる。そのような実施形態に関連する追加の記述が、例えば、図7〜9及び図10を参照して下記に詳しく提示される。
本明細書で開示されているように、図3の例示的な射出成形装置/システム300には、例えば、搭載誘導コイル320L及び閉じ込め誘導コイル320Cの、複数の別々の誘導コイルが含まれ、これらは単一コイルの部分として提供される。実施形態において、誘導コイル320L及び320Cは、容器312に対して無線周波数(RF)波を放射する。コイル320L及び320Cは、先細形状であっても、またそうでなくともよい。コイル320L及び320Cは、例えば球形コイルを含み得る。実施形態において、コイルは同じ又は異なる形状であってよく、これにより、生じるRF場を、例えばより望ましい指向性に調整することができるようになっている。例えば、閉じ込め誘導コイル320Cは、対向する搭載誘導コイル320Lから幅広い領域のスペースを空けた、先細形状又は円錐形状のコイルであり得る。調整されたRF場を用いることにより、閉じ込め誘導コイル320Cによってより強い力が生成され、搭載誘導コイル320Lに向かって溶融物を押し付ける。こうして、溶融物/溶融した材料を、搭載誘導コイル320Lに対して閉じ込めることができる。
閉じ込め誘導コイル320Cは、搭載誘導コイル320Lと間隔を空けて配置され得るが、ただし一直線上に構成される。閉じ込め誘導コイル320Cは、溶融ゾーン310の射出端近くに構成することができる。搭載誘導コイル320Lは、容器310の溶融部分314内に溶融のために配置される材料305を加熱/溶融するよう構成することができる。閉じ込め誘導コイル320Cは、加熱/溶融プロセス中に、搭載誘導コイル320L内で溶融物又は溶融した材料を配置及び/又は閉じ込めるように構成することができる。閉じ込め誘導コイル320Cは、溶融物又は溶融した材料が、搭載誘導コイル320Lから流出するのを防ぐことができ、容器312内の材料305が加熱され溶融した状態で保持され得る。同様に、溶融物/溶融した材料を、平らに伸ばされ、熱損失を最小限に抑えながら、装置/システム300の溶融ゾーン310内に閉じ込めることができる。
閉じ込め誘導コイル320Cと搭載誘導コイル320Lは、1つの周波数fmeltingで動作する。しかしながら、誘導コイルの構成(例えば巻きの数)に応じて、閉じ込め誘導コイル320Cはそのような溶融物に対する力(例えばラプラス力)を印加して、搭載誘導コイルによって生じる力(これは溶融物を押し出す傾向をもつ)に対向して作用し、溶融物を押し戻し、搭載誘導コイル320L近くの容器内に閉じ込めることができる。
実施形態において、図5に示すように、誘導コイルは、搭載誘導コイル320L、第1閉じ込め誘導コイル320C1、及び第2閉じ込め誘導コイル320C2を有し得る。第2閉じ込め誘導コイル320C2は、搭載誘導コイル320Lと一直線上に、容器を挟んで閉じ込め誘導コイル320C1の反対側の端(すなわち、射出経路の反対側)に構成される。第1及び第2閉じ込め誘導コイル320C1〜C2は、類似又は異なる螺旋巻き数を有し得るが、搭載誘導コイル320Lと同じ周波数で稼働する。容器312内の溶融物305は、搭載誘導コイル320Lに対し、その両側から閉じ込められ得る。
実施形態において、射出成形装置300/500内の材料としてBMGを利用する際、高い弾性限界、耐腐食性、及び低い密度を備えた物品/部品を形成することができる。
本明細書で開示されているように、次に、誘導コイルの隣接する巻きを長手方向に不均一な間隔で構成することによって、搭載誘導コイル320C及び閉じ込め誘導コイル320C(又は320C1及び320C2)の周波数、出力、それらにより生じる磁場間の相互作用を、容器312内の材料305が加熱/溶融され、更に容器312内に閉じ込めることができるように、変えることができる。
図6は、図3及び図5に示すように、装置300及び/又は500と、コイルの形態の誘導源(例えば、図3及び図5に示す搭載誘導コイル320L及び閉じ込め誘導コイル320C)、又は図7〜9(後述)に示す誘導コイル420の任意の実施形態とを使用した、本開示の一実施形態による、材料を溶融するための方法600を示すものである。ただし、本明細書に開示される装置及び方法は、いかなる形でも互いに制限するものではない。
図6のブロック610において、装置は、例えば、中で溶融するための材料305を受容するよう構成された容器312と、不均一な間隔の誘導コイルとを含むよう、取得及び/又は設計される。一般に、射出成形システム/装置300/500は、下記のように作動させることができる:溶融するための溶融可能材料305(例えば、アモルファス合金又はBMGを単一インゴットの形態で)を、供給機構(例えば搭載ポート318)に搭載し、容器312内の溶融ゾーン310(これは誘導コイルで取り囲まれている)に挿入し受容させることができる。射出成形装置の「ノズル」ストローク又はプランジャ330を使用して、この材料を、必要に応じて、容器312の溶融部分314内に移動させる。
一実施形態において、所望によりプランジャ330の先端を、容器312の溶融部分314内に溶融可能材料を保持又は閉じ込めるのに使用することができる(例えば図8及び図9を参照)。ブロック620で。プランジャ330は、例えば装置300内の容器312の第1又は右側で、溶融プロセス中に材料305を閉じ込めるよう位置が揃えられる。
ブロック630において、不均一な間隔の誘導コイルが同じRF周波数で作動して、材料305を閉じ込めかつ溶融する。材料305は、例えば誘導コイルに電源325Lを介して電力を供給することにより、誘導プロセスを介して加熱することができる。誘導コイル320Cの閉じ込め側は、溶融した材料に対して力(例えばラプラス力)を印加し、誘導コイルの搭載側320Lにより生成される力に対抗して作用し、溶融した材料305の誘導加熱を実質的に低減することなく、インライン溶融装置内の溶融した材料又は溶融した原料の位置及び形状を制御することができる。加熱/溶融中に、冷却システムを作動させて、容器312の任意の冷却チャネル316内に(冷却)流体を流すことができる。射出成形装置は、閉ループ又は開ループシステムを介して温度を制御し、これにより材料305を特定の温度(例えば、温度センサ362とコントローラ364を使用して検出される温度)で安定させることができる。
容器312内の溶融物について、いったん望ましい温度が達成され、維持されたら、誘導コイルをオフにすることで容器312の射出経路が「開き」、これにより、例えば、図6のブロック640に見られるように、例えば、所望によりプランジャを使用して、溶融物/溶融した材料が次いで容器から射出経路を通って金型340へと射出され得る。金型340は、例えばコールドチャンバダイなどの、鋳造機内の任意の金型であり得る。射出は、水平軸(X軸)に沿って、水平方向に(例えば図3及び図5に示す右から左へ)実施することができる。これは、プランジャ330を使用して制御可能であり、これは例えば、サーボ駆動ドライブ又は水圧駆動を用いて作動させることができる。例えば、金型340は、溶融した材料を入口を介して受容するよう構成され、かつ、減圧下でその溶融した材料を成形するよう構成されている。すなわち、溶融した材料は、少なくとも第1プレートと第2プレートとの間の減圧されたキャビティ内に注入されて、金型340で部品を成形する。前述のように、いくつかの実施形態において、この材料は、バルクアモルファス合金部品を成形するのに使用されるアモルファス合金材料であり得る。金型キャビティが充填され始めたら、圧力(プランジャを介して)を所定のレベルに保持して、溶融した材料を金型キャビティ内の空洞領域に「押し詰め」、材料を成形することができる。成形プロセスの後(例えば約10〜15秒後)、少なくとも金型340(又は装置300/500全体)に印加した圧力を解除することができる。次に金型340を空けて、固化した部品を外気に曝す。実施形態において、イジェクタ機構を作動させ、作動装置を介して、固化した成形物品を、金型340の少なくとも第1及び第2プレートの間から外す(図示なし)。この後、プロセスを再び開始することができる。金型340は、少なくとも第1及び第2プレートを互いに近づくように動かすことによって閉じ、これによって第1及び第2プレートを互いに隣接させることができる。溶融ゾーン310及び金型340は、プランジャ330が搭載位置に戻った後に、真空源を介して減圧され、これにより次の材料を挿入して溶融し、次の部品を成形するため、及び材料溶融の方法を再開することができる。
図4を参照して前述したように、一実施形態において、第1誘導コイル及び第2誘導コイルは、加熱機能と閉じ込め機能の両方を実施し、かつRF出力を介して溶融物を制御するために使用される構成を有する、単一の誘導コイル420の部分である。例えば、単一誘導コイル420は非対称的な設計を有し得、ここにおいて不均一な間隔のコイルの外形は、水平方向に容器412の長さに沿ってその周りに水平に間隔を空けて配置される。一実施形態において、誘導コイル420は、間に間隔の広いコイル416を伴うか又は伴わずに、相対的に間隔の空いた部分410及び414(図8を参照)に提供される、所定の数のコイルを有し得る。一実施形態において、第2コイル(例えば閉じ込めコイル)は左側に、また第1コイル(例えば加熱コイル又は溶融コイル)は右側に、提供され得る。あるいは、この位置(例えば、容器の水平軸に対して左と右)は、入れ替えることができる。第1及び第2誘導コイルは、単一誘導コイルの部分として機能するよう接続することができ、同じ周波数で作動し、かつ容器の長さに沿って(又は容器内の溶融ゾーンの長さに沿って)不均一な間隔で構成することができる。したがって、不均一な間隔の誘導コイルは、長さに沿って隣接する1つ以上の巻きに対して不均一又は非対称的な間隔になっている、少なくともいくつかの巻きを含む、複数又は多重の螺旋巻きを有する単一の誘導コイルとして定義される。この巻きは、誘導コイルが隣接して配置される容器の溶融ゾーンの長さに沿って、不均一又は非対称的な間隔に配置され得る。
第1及び第2誘導コイル(部分410及び412としても参照される)は更に、本開示全体にわたって(例えば図3及び図5を参照して上述)、搭載誘導コイル(例えば320L)及び閉じ込め誘導コイル(例えば320C)として互換可能に使用されることに注意されたい。したがって、第1、第2、部分、搭載、及び閉じ込めという用語は、限定することを意図したものではないことが理解されよう。
また、一実施形態において、溶融可能材料の溶融中に、システムのプランジャ(例えばシステム300のプランジャロッド330)は、容器内に溶融可能材料を閉じ込めるのを支援するよう構成し得ることも構想される。例えば、プランジャが右から左へ水平方向に動いて材料を金型に射出する(よって容器から溶融した材料を射出する)よう構成されている一実施形態において、このプランジャは、溶融した材料が誤った側に射出されないように、右側から溶融物を閉じ込めるよう配置され得る。コイル構成は、金型に至る(左側)反対側で溶融物を閉じ込めるよう設計され得る。図8及び図9は、溶融プロセス中に容器412内に溶融可能材料405を閉じ込めるのを支援するため、不均一な間隔のコイルの第1側(例えば右側)に隣接して提供されるプランジャ418(これは、システム300のプランジャロッド330に類似の物であり得る)を実施する例示的な実施形態を示す。
図7〜図9は、装置の様々な実施形態を示す。第1部分又は第1誘導コイルと、第2部分又は第2誘導コイルは、機能するよう接続され、かつ同じ周波数で作動するよう構成されている、単一の誘導コイルの部分である。この第1部分及び第2部分は、容器の軸に沿って互いに、相対的に離れて配置され、これによってこれらの間にスペースが形成される。この誘導コイルは、作動中に(例えばRF印加中に)コイルの第1部分と第2部分との間のスペース内で、相対的又は隣接して配置された容器内の溶融した材料に対して力を印加する。単に説明目的のため、図7〜9は、水平軸上に配置され、溶融した材料を容器から水平方向に、右から左へと、金型に向けて射出するよう構成された、容器を参照していることが理解されよう。しかしながら、移動の方向は限定することを意図したものではない。一実施形態において、コイルの1つ以上の巻きが、コイルの第1部分と第2部分との間に間隔を空けて提供されてよく、これは、各部分から、及び/又はコイルの隣接する1つ以上の巻きから、相対的に間隔が空いていてよい。これらの実施形態の任意のものにおいて、溶融する材料にはBMG原料が含まれ、この装置は材料をBMG部品に成形するよう構成される。
この装置は、溶融するための、例えばインゴットなどの材料を内部に受容するよう構成された容器412が含まれ得る。これらの実施形態に示されているのは、単一誘導コイル420の第1部分410と、この第1誘導コイルと直線上に配置される、単一誘導コイル420の第2部分414である。第1部分410(又は第1誘導コイル)は、容器412の周りに実質的に配置された所定の第1数の巻きを有し、第2部分414(又は第2誘導コイル)は、容器の周りに実質的に配置された所定の第2数の巻きを有する。第1及び第2誘導コイルの部分410及び414の組み合わせは、容器412内で溶融した材料405の水平方向の移動を閉じ込めるためのゲート又はバルブとして機能するよう構成される。更に、単一誘導コイルは、第1誘導コイル/部分410の巻きと、第2誘導コイル/部分414の巻きとの間に、1つ以上の間隔の空いた巻きを含み得る。この1つ以上の巻きは、第1部分と第2部分の両方から、距離を空けて配置され得る。第1部分からの距離と第2部分からの距離は、同様又は異なり得る。
誘導コイル420のプロファイリングを使用して、容器412とコイルに沿った様々な位置での、場の強さ(RF出力)を変えることができる。よって、本明細書の一実施形態により、システム、機械又はデバイス(例えば射出成形システム(例えばシステム300))は、誘導コイル420のある領域が巻きの間の間隔が比較的密であり、またある領域では比較的広い間隔を有する、コイル巻き間の間隔が不均一な誘導コイルを使用する。
一般に、磁場の強度は、より密な間隔を有するコイルの隣接巻きの領域(すなわち、比較的密にくっつき合った間隔で配置されている領域)の方が、比較的大きい。誘導コイル内の場は、無限ソレノイド内の場によって近似することができ、これは次の式で表わされる:
B=μ0In
式中、Bは磁場の強度であり、
μ0は自由空間の透磁率であり、
Iはコイル電流であり、及び、
nは長さ当たりの巻きの数である。
誘導コイルは無限長さではないためフリンジング効果を呈することがあるが、依然として、ある領域の場強度は、長さ当たりの巻きの数にほぼ比例する。
容器中の溶融した材料は、比較的強い磁場の領域から(離れて)、比較的弱い磁場へ(向かって)移動する傾向にあるため、例えば本明細書に開示されているような不均一な間隔のコイルを実装すると(例えば図7〜図9)、単位長さ当たりの巻きが少ない容器領域に向かって、溶融した材料に容器内で実質的に力がかかって、コイルに対して移動する。これにより、溶融物を電磁力により完全に閉じ込めることができ、同時に依然として、溶融物又は溶融した材料を、液相線温度を超えて加熱することができる。不均一な間隔のコイルは更に、材料を物理的に押し出し、選択されたプロセス(例えば射出成形)に伝導する方法で成形することができる。
誘導コイルの第1及び第2部分は、容器の周りに配置された螺旋巻きが、同様又は異なる所定量であってよく、かつ、同じ周波数で稼働又は作動する。一実施形態において、第1部分の第1の所定数の巻きは、第2部分の第2の所定数の巻きとは異なる。一実施形態において、第1誘導コイル又は部分410の第1の所定数の巻きは、第2誘導コイル又は部分414の第2の所定数の巻きに対して、非対称である。一実施形態において、第1誘導コイル又は部分410の巻き数は、第2誘導コイル又は部分414の巻き数よりも少ない。
第1及び第2部分の第1の所定数の巻き及び第2の所定数の巻きにおけるそれぞれの巻きは、一実施形態により、同じ対応する部分において、1つ以上の隣接する巻きに対して等距離間隔であり得る。一実施形態において、各部分における各巻きは、同じ部分の別の巻きとの間が、異なる相対的距離で配置されている。
記載されているように、間隔の空いた巻き416の数(例えば1つ以上)は、第1誘導コイル/部分410の巻きと、第2誘導コイル/部分414の巻きとの間に(軸に沿って、これら2つの間のスペース又は距離の中に)提供され得る。一実施形態において、コイルの隣接する巻きの間の間隔は、容器に隣接するほぼ中央部分において比較的狭く(又は実質的に全く提供されず)、容器に隣接する一方の端又は両端において比較的広くすることができる。両端において、隣接する巻きの間の間隔が(中央部分内のコイルの間隔に比べて)密なコイルの場合、溶融物は、そのコイル単独で完全に閉じ込められ得る。図4は、そのような間隔の一実施形態を示す。図7は更に、射出成形システムに使用するために構成されている、容器412と、不均一な間隔の部分を有する誘導コイル420の一実施形態を示す。誘導コイル420の部分は、容器412内に配置されている溶融するための材料405(例えば金属/金属合金)に力を印加することができ、最終的に、材料405が溶融したとき、誘導コイル420がコイル420の部分間のスペース内にある溶融した材料405に力を印加する。これらの力は、図示のように、容器の中央に向かって溶融した材料を内向きに押し出すよう作用し得る。
一実施形態において、コイル間隔は、容器のほぼ中央部分において比較的広く、一方の端又は両端において比較的狭くすることができる。
一実施形態において、単一の誘導コイルが、容器の一方の端のみ又はそれに隣接して比較的密な巻き間隔を有する(例えば、巻きの間の間隔が狭い)場合、別の力又は物体を提供して、溶融物又は溶融した材料を閉じ込めることができ、これにより、溶融プロセスを完了するまで、溶融物又は溶融した材料がコイルにより取り囲まれた容器の領域内に留まる。例えば、前述のように、システムのプランジャを、溶融可能材料を容器内に閉じ込めるのを支援するよう構成することができる。すなわち、一実施形態において、プランジャは、容器412内で水平方向に、溶融した材料405の移動を閉じ込めるためのゲート又はバルブとして機能するよう構成することができる。図8及び図9は、容器412及びプランジャ418と共に使用される誘導コイル420の実施形態を示す。プランジャ418は、溶融した材料が、第2(左、又は誤った)側(射出側、これは溶融した材料を金型に移動させるための側)から射出されないように、(第1誘導コイルに隣接する)第1(右)側から溶融物を閉じ込めるよう配置される。コイル構成は、金型に至る(左側)反対側で溶融物又は溶融した材料を閉じ込めるよう設計され得る。プランジャ418は、溶融プロセスが完了した後、水平方向に右から左へと動き、材料を金型へと射出する(よって、溶融した材料が容器から射出される)ように構成される。プランジャ先端418は、金型に向かって単に押し出す。一実施形態において、金型に射出されるまでできるだけ長く材料を確実に加熱するために、溶融した材料が容器及び隣接するコイル巻きから完全に排出された時点まで、誘導コイル420に印加される電力が維持される。
加えて、一方の側で材料を閉じ込めるためにプランジャ418を使用する場合、第1側においてコイルの巻きの間隔をずっと密にすることができ、これにより、損失電力が少なくなるために、全体にずっと高温の溶融物が可能になる。例えば図8に示すように、溶融プロセス中に材料を閉じ込めるために一方の側でプランジャを使用する場合、電力が第1(右)側で加熱するのに使用されるため、より効率的なコイルをシステムに実装することができる。
図8及び図9は更に、誘導コイルの長さに沿って、巻きの数又は並び、及び巻きの間隔、及び/又は巻きの並びを変えることで、材料を依然として溶融させながら、材料を望ましい位置に向かって押す(例えば押し戻す)ことができ、これにより材料がRF場から漏出又は外に出ないようにすることができることを示している。一実施形態において、誘導コイル420は、第1(右又は前)側のコイルの巻きの数又は並びがより密に巻かれている第1部分410と、第2(左又は後)側(例えば、射出用)のコイルの巻きの数又は並びがより密に巻かれている第2部分414とを含み、これらの2つの部分410及び414の間又はほぼ中間に、より緩い間隔で又は離れているコイル巻きを有する設計を含む。すなわち、第1部分410及び第2部分414におけるコイルの隣接する巻きは、互いにある距離の間隔で配置され、これは、中央部のコイルの隣接する巻き相互間の距離に比べて、比較的狭い。これにより、RF場は、コイルの(よって、容器の)端又は端に隣接する部分で比較的強く、よって、それらの間又はほぼ中間において比較的弱い。したがって、材料は、部分410及び414の間又は中間である溶融ゾーンの中央に向かって移動され得る。これは、前述のように、コイルからの場が溶融物に対して力を印加し、溶融物は場が弱い場所に向かう傾向がある(よって、場が強い領域から弱い領域へと向かう傾向がある)からである。部分410と414の間ではコイルの巻きが少ないため、また各巻きは離れるように配置することができるため、材料/容器に向かって放射されるRF場は比較的弱くなる。材料は、それらの間に実質的に閉じ込められ、力をかけない限り(例えばプランジャ418を介して)、容器412のいずれかの端(場が比較的強い場所)からも前進することはない。また、コイルの密に配置された隣接する巻きは、プランジャ先端418近くの第1部分410の方が、それらの間の間隔の空いたコイルの巻き416よりも、より多くの数が提供され得る。これは、プランジャ先端418が材料を閉じ込めて、溶融時に誘導場のより大きな焦点を可能にするために使用されるだけではなく、プランジャ先端418が一般に、独自の冷却系を含んでいるため、この先端は、材料を保持し、溶融した材料が漏出するのを防ぐと同時に、より大きなRF場に対抗して冷却され得る。
図8は、第1部分410に約4巻きのコイル、第2部分414に約5巻きのコイル、そしてそれらの間に比較的間隔の空いた巻き416のコイル約3巻きを有する、システム402内の誘導コイル420の一実施形態を示す。図9は、第1部分410に約4巻きのコイル、第2部分414に約6巻きのコイル、そしてそれらの間に比較的間隔の空いた巻き416(例えば単回巻き)のコイル約2巻きを有する、システム404内の誘導コイル420の一実施形態を示す。図示のように、図8及び図9の第1部分410及び第2部分414の巻きは、互いに比較的密に配置することができる。一実施形態において、各部分410及び414に伴う巻きは、互いに固定又は拘束することができる。
図8及び図9の間隔の空いたコイルの巻き416は、図示のように、第1及び第2部分410及び414からある距離離れて配置され、また互いに対してもある距離離れて配置される。一実施形態において、間隔の空いたコイルの各巻き416それぞれの間の相対的距離は実質的に等しい。一実施形態において、第1部分410の巻きと、隣接する間隔の空いた巻き416との間の距離(例えば右側)は、第2部分414の巻きと、隣接する別の間隔の空いた巻き416との間の距離(例えば左側、又は反対側で、第2部分414に近い側)に実質的に等しい。一実施形態において、隣接する間隔の空いたコイル416に対する、コイルの第1部分410及び/又は第2部分414の間の距離は、間隔の空いたコイル416それぞれの間の距離に実質的に等しい。
一実施形態において、間隔の空いた巻き416それぞれは、互いに対して、並びに/又は第1及び第2誘導コイルに対して、第1及び第2誘導コイルの所定の数の隣接する巻きそれぞれの間の間隔よりも広い距離を空けて配置される。すなわち、例えば、第1部分410及び/又は第2部分414に伴うコイルの巻きの間の間隔は、より緊密及び/又はは互いに対して密に巻き付けることができ、一方、間隔の空いた巻き416は、隣接する巻きに対して(他の間隔の空いた巻き416に対して、又は第1若しくは第2部分の一方に対して)、より離れた、より広い又はより緩い間隔を有する。
ただし、第1部分410、第2部分414、及び/又は間隔の空いたコイル416における、コイルの反復及び/又は巻き、並びにコイルの巻き数、並びにそれらの間の寸法若しくは距離は、限定することを意図したものではない。例えば、図8及び図9にはそれぞれ、比較的間隔を空けて配置された第1部分と第2部分との間のスペースに、2つの単独の、別々の、間隔が空いたコイル巻きがあり、このコイルの各巻きは更に互いに間隔を空けて配置されている例が示されているが、この第1部分と第2部分との間のコイルの間隔の空いた巻きそれぞれ又は部分には、このスペース内に2つ以上のコイルを含み得ることが理解されよう。更に、この第1部分と第2部分との間のスペース内に少なくとも1つのコイル巻きを伴う巻きの数と、それらの間隔は、限定されない。誘導コイル410の長さに沿って不均一な間隔のコイル巻きを実現し、かつ材料を溶融するためにこの誘導装置を調節するために、任意の数の巻き、間隔、及び/又は距離を使用することができる。また、図示されているものとは異なる間隔又は異なる巻き数を、単一の誘導コイル420内に有するものが、ほぼ同等又はより効率的である可能性があり、これらも本開示の一部と見なされるべきである。一実施形態において、誘導/RF場を印加するための、容器の長さ又は領域の寸法は、不均一な間隔の誘導コイル420の巻き数及び/又は構成を決定するのに使用することができる。一実施形態において、管の寸法(例えば4分の1インチ、3/8インチ)が、この不均一な間隔の誘導コイル420の巻き数及び/又は構成に影響を与えるか及び/又はこれを決定し得る。一実施形態において、場の長さ及び管の寸法を使用して、不均一な間隔の誘導コイルの構成が決定される。一実施形態において、単一の誘導コイル420は、より厚い管と、より少ない巻き数を利用する。一実施形態において、単一の誘導コイル420は、より薄い管と、より多い巻き数を利用する。
誘導コイル420の管は、コイルの巻き数及びその間隔に応じて変化するため、異なる構成に対しては、必要な電源を再調整する必要が生じる。ただし一般に、溶融する材料を閉じ込める(又は閉じ込めを支援する)ために、第1(右又は前)側に2、3の緊密な間隔の巻きと、閉じ込めを損うことのない緊密さの中間の間隔を備えた間隔の空いたコイル416とを提供することが、有利であり得る。第2側により多くの、緊密な間隔の巻きがあることが、溶融中の閉じ込めに有利である。
一定の巻き間隔を備えた従来型のソレノイド誘導コイルでは、磁場によって、溶融物が中央部で少なくなり、溶融した合金が両端に向かって力がかかる傾向にあり、これは、溶融のために材料を閉じ込める必要がある場合に問題となり、より具体的には、例えばバルクアモルファス合金の場合のように、実質的に均一な溶融を得る際に問題となる。この問題は、両端において重力が溶融物の閉じ込めを支援しない水平型インライン射出成形システムの場合、悪化する。
本明細書に開示されているもののように、不均一な間隔のコイルを設計することにより、溶融物をコイル内に完全に閉じ込めながら、溶融状態を保つことができ、溶融物を閉じ込めるためのトラップとして機能し得る。よって、不均一な間隔の誘導コイルは、「トラップコイル」とも呼ぶことができる。この誘導コイル設計は、一般により小さいか又はより短い領域内に適合し(これによりシステム全体の長さを縮小できる)、利用面積に対してより大きな容積の比が提供され、これにより、溶融した材料は、容器の表面であまり冷却されない。作動中、溶融物の温度及び攪拌は、単一誘導コイルの第1及び第2部分410及び414(又は第1及び第2誘導コイル)の間の領域で、比較的均一に維持される。
この材料は、プランジャ先端又はゲート、又はこれら両方の支援なしに、不均一な間隔の誘導コイルによって完全に閉じ込めることができる。例えば、いくつかの設計では、容器の後側(又は射出側)に隣接して機械的ゲートを有し、これは溶融のための定位置に動く(例えば落下する)よう構成され、次に射出の前に、定位置から外れる(例えば上昇する)よう構成され、これによって溶融した材料が漏出できるようになり、プランジャ先端が、好ましくは何にもぶつからずに、前進して射出を行う。しかしながら、そのような機械的ゲートは信頼性が低い傾向があり、様々な理由により故障することがある。この理由には、材料がゲート自体に付着すること、ゲート又はその一部が破壊されること(例えばセラミック製の場合、溶融したバルクアモルファス合金の高温によって破壊される場合がある)、及び、材料がゲートに付着又はゲート下に挟まることにより、次のサイクル中にゲートが完全に閉まらなくなることが挙げられるが、これらに限定されない。そのような場合、溶融物はゲートの下から漏れる可能性があり、実際に漏れる。そのような制限は、ゲートを備えたシステムにおいて、材料を溶融するための障害点となるだけでなく、溶融プロセス中の不十分な溶融又は閉じ込めにより、不良な成形製品をもたらすことになり得る。更に、機械的ゲートによるそのような障害のため、システムの繰り返しサイクル及び/又は使用の回数が限定され、したがってゲートが低信頼性と見なされ得る。更に、システムの位置が変化した場合、例えばシステムがある角度で傾けられ、これによって射出前の漏出低減に重力が寄与し得る場合であっても、そのような傾きにもかかわらず、誘導コイルの誘導場は依然として溶融中に重力に対抗し、溶融領域から溶融物を押し出し得ることが見出された。
開示されている不均一な間隔の誘導コイルは更に、溶融した材料が触れる1つ又は2つの冷却された表面(例えばゲート又はプランジャで、これらはそれぞれ独自の冷却システムにより材料を冷却する傾向にある)を排除する。溶融した材料がそのように冷却されることは、最終製品に欠陥を生じる可能性があるため、望ましくない。よって、開示されている不均一な間隔の誘導コイルが射出システムに実装された場合、より高温でより均一な温度の溶融材料が達成される。更に、材料は、容器内で溶融される際に、ゲート及び/又はプランジャ先端によって遮蔽されないため、材料は、誘導コイルにより生成される磁束をより多く受け取ることになる。
更に、容器に隣接する不均一な間隔の誘導コイルを使用することによって、通常の操作で繰り返し使用するのに好適な、溶融プロセス中に容器の溶融部分内に材料を閉じ込めるための信頼できる閉じ込めシステムが提供される。コイルがいったん通電されると、この閉じ込めシステムは更に、実質的に故障の可能性なしに作動する。
図7〜図10を参照して示され、及び/又は記述されているシステム又は装置及び/又は容器は更に、例えば前述されているような追加の機能(例えば、図2A〜図2D、図3などを参照して、温度調節チャネル、追加の誘導コイル、バルブなど)を含み得るということが理解される必要があるが、そのような機能についてはここで明確に述べることはなく、及び/又はここでは繰り返さない。また、図9には誘導コイル420から2本の導線が伸びているが、これは、機械又はシステムの誘導装置又はバスバーに直接接続することができる。そのような導線及び装置は、図7及び8、又は図2〜図5には必ずしも示されていないが、これらの図を参照して記述される実施形態にも含まれ得る。
本明細書で開示されているように、図3又は図5の例示的な射出成形装置/システム300又は500は、例えば、図7〜図9に示されている、不均一な間隔の部分410及び414を有する誘導コイルで適合され得る。実施形態において、誘導コイル410及び414は、容器412に対して無線周波数(RF)波を放射する。この部分410及び414は先細形状であっても、またそうでなくともよい。このコイルの部分410及び414は、例えば球形コイルを含み得る。
誘導コイル420の部分410及び414は、溶融物を例えば溶融温度で配置/閉じ込めるため、同じ周波数で作動する。各部分のコイルの巻き数及び間隔によって、溶融した材料が閉じ込められる。例えば、誘導コイル420の第2部分414は、溶融物405に対して力(例えばラプラス力)を印加して、誘導コイルの第1部分410によって生じる力(これは溶融物を押し出す傾向をもつ)に対抗するよう作用し、溶融物を押し戻して、これら2つの部分の間の容器412内に閉じ込めることができる。
詳しくは記述されていないが、本開示の射出システムのいずれも、1つ以上のセンサ、流量計など(例えば温度、冷却水流量などをモニターするため)、及び/又は1つ以上のコントローラを含むがこれらに限定されない追加部品を含み得る。本明細書に開示される射出システムの任意の実施形態を用いて成形される(及び/又は溶融される)材料には、任意の数の材料が含まれ得、限定されるべきものではない。一実施形態において、鋳造成形される材料は、上記のように、アモルファス合金である。
実施形態の用途
本明細書に記述される装置及び方法は、様々な部品又は物品を形成するのに使用することができ、これは、例えば、ヤンキードライヤロール、自動車及びディーゼルエンジンのピストンリング、ポンプ構成部品(例えばシャフト、スリーブ、シート、インペラ、ケーシング部分、プランジャ)、ヴァンケルエンジン構成部品(例えば筐体、エンドプレート)、及び機械構成要素(例えばシリンダライナー、ピストン、バルブステム、液圧ラム)に使用することができる。実施形態において、装置及び方法は、電子デバイスの筐体又はその他の部品(例えば、デバイス又はその電気コネクタの筐体又はケーシングの一部)を形成するのに使用することができる。装置及び方法は、任意の消費者向け電子デバイス(例えば携帯電話、デスクトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、及び/又は携帯型音楽プレーヤ)の部分を製造するのにも使用することができる。本明細書で使用されるとき、「電子デバイス」とは、消費者向け電子デバイスなどの任意の電子デバイスを指し得る。例えば、この電子デバイスは、携帯電話及び固定電話などの電話、及び/又は、例えばiPhone(商標)を含めたスマートフォン、及び電子eメール送信/受信デバイスなどの、いずれかの通信デバイスであり得る。この電子機器は、デジタルディスプレイ、TVモニタ、電子ブックリーダ、携帯ウェブブラウザ(例えば、iPad(商標))、及びコンピュータモニタなどの、ディスプレイの一部とすることができる。この電子機器はまた、携帯DVDプレーヤ、DVDプレーヤ、ブルーレイディスクプレーヤ、ビデオゲームコンソール、携帯音楽プレーヤ(例えば、iPod(商標))などの音楽プレーヤなどを含めた、娯楽デバイスとすることもできる。この電子機器はまた、画像、ビデオ、音声のストリーミングを制御することなどの、制御を提供するデバイス(例えば、Apple TV(商標))の一部とすることもでき、又は電子デバイス用の遠隔制御装置とすることができる。この電子デバイスは、コンピュータ、あるいはハードドライバタワーの筺体若しくはケーシング、ノートブック筺体、ノートブックキーボード、ノートブックトラックパッド、デスクトップキーボード、マウス、及びスピーカーなどの、コンピュータ付属品の一部とすることができる。このコーティングはまた、腕時計又は時計などのデバイスにも適用することができる。
本発明は、限られた数の実施形態との関連で、本明細書で説明及び例示されるが、本発明は、本発明の趣旨及び本質的特性から逸脱することなく、多くの形態で具体化することができる。それゆえ、本開示の要約書で説明されるものを含めた、例示及び説明される実施形態は、全ての点で、制限するものではなく、例示として見なされるべきである。本発明の範囲は、上述の説明によってではなく、添付の特許請求の範囲によって指示されるものであり、この特許請求の範囲の均等物の意味及び範囲内に含まれる全ての変更は、その特許請求の範囲内に包含されることが意図される。