JP2009172627A - 金属ガラス合金成形体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】特にガラス形成能の小さなCo基金属ガラス合金等の大バルク化を可能とする金属ガラス合金成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】金属ガラス合金からなるバルク材を、該バルク材より大きい成形型のキャビティに挿入し、当該バルク材と同一の組成の金属ガラス合金からなる溶湯を前記キャビティの空所に充填し凝固させて、段階的に前記バルク材より大きな成形体を成形する多段階鋳造を行う。このように、小さな鋳型を用いた鋳造から始めて、得られた成形体をそれよりも大きな鋳型にセットして段階的に鋳造することで、徐々に大きなバルクを得ることができる。
【選択図】図2
【解決手段】金属ガラス合金からなるバルク材を、該バルク材より大きい成形型のキャビティに挿入し、当該バルク材と同一の組成の金属ガラス合金からなる溶湯を前記キャビティの空所に充填し凝固させて、段階的に前記バルク材より大きな成形体を成形する多段階鋳造を行う。このように、小さな鋳型を用いた鋳造から始めて、得られた成形体をそれよりも大きな鋳型にセットして段階的に鋳造することで、徐々に大きなバルクを得ることができる。
【選択図】図2
Description
本発明は、金属ガラス合金成形体の製造方法に関する。
特定の金属材料を主成分とし、所定の条件を満たす元素を含む材料を混合した原材料を、溶融状態から極めて急速に冷却すると、結晶が形成される前のランダムな非晶質状態の合金が形成される場合がある。このような合金は、所定の温度領域においてガラスのように振る舞うことから、「金属ガラス」と呼ばれる。
このような金属ガラス合金は、従来の金属材料と比較して、高強度、低ヤング率、高耐食性等の優れた特性を備えていることから、歯車のような各種の機械部品をはじめ、化学プラント部品、医療機器部品を構成する材料として期待されている。
このような金属ガラス合金は、従来の金属材料と比較して、高強度、低ヤング率、高耐食性等の優れた特性を備えていることから、歯車のような各種の機械部品をはじめ、化学プラント部品、医療機器部品を構成する材料として期待されている。
このように優れた特性を示す金属ガラスを、上記各種産業に適用するために、摩擦接合により金属ガラスを接合する方法(例えば、特許文献1参照)や、レーザー接合により金属ガラスを接合する方法(例えば、特許文献2参照)が知られている。
特開2003−285170号公報
特開2005−246433号公報
ところで、金属ガラス合金は、従来のアモルファス合金とは異なり、広い過冷却液体領域を保有することから、アモルファス構造を保持した状態でバルク化が可能となっている。しかしながら、Pd基やZr基の金属ガラスなど一部の非常に高価な原材料を用いた金属ガラス合金を除いて、センチメートル級のバルク金属ガラス合金の作製は困難となっている。
そして、金属ガラスの接合技術としては、上記各特許文献に記載の方法に限られており、両技術ともバルク金属ガラス合金の大型化を実現するものではない。
そこで、本発明は、特にガラス形成能の小さなCo基金属ガラス合金等の大バルク化を可能とする金属ガラス合金成形体の製造方法を提供することを課題としている。
そこで、本発明は、特にガラス形成能の小さなCo基金属ガラス合金等の大バルク化を可能とする金属ガラス合金成形体の製造方法を提供することを課題としている。
上記課題を解決するために、第1の発明に係る金属ガラス合金成形体の製造方法は、ΔTx=Tx−Tg(ただしTxは結晶化開始温度、Tgはガラス遷移温度を示す。)の式で表される過冷却液体の温度間隔ΔTxが40K以上の金属ガラス合金からなるバルク材を、バルク材より大きい成形型のキャビティに挿入し、バルク材と同一の組成の金属ガラス合金からなる溶湯をキャビティの空所に充填し凝固させて、段階的にバルク材より大きな成形体を成形する多段階鋳造工程を備えることを特徴としている。
これにより、ガラス化可能最大径(ガラス形成能)以下の小さな鋳型を用いた鋳造から始めて、得られた成形体をそれよりも大きな鋳型にセットし段階的に鋳造することで、徐々に大きなバルク金属ガラス合金を得ることができるので、特にガラス形成能の小さなCo基金属ガラス合金等であっても、センチメートル級のバルク金属ガラス合金を作製することができる。また、このとき、過冷却液体の温度間隔ΔTxが40K以上のものを適用するので、多段階鋳造を行っても非晶質相を主体とする成形体を得ることができる。
また、第2の発明は、第1の発明において、多段階鋳造工程は、バルク材の外周面とキャビティの内壁面との間に全周に亘って所定間隔を有するように、バルク材をキャビティ内に配置し、バルク材と同一の組成の金属ガラス合金からなる溶湯をキャビティの空所に充填し凝固させることを特徴としている。
これにより、効率的に大きなバルク金属ガラス合金を得ることができる。
これにより、効率的に大きなバルク金属ガラス合金を得ることができる。
さらに、第3の発明は、第1又は第2の発明において、多段階鋳造工程は、バルク材における溶湯の流入側端部に、融点が溶湯の温度より高く、且つ溶湯に含まれない材料からなる断熱用カバーを装着してから、溶湯を用いた鋳造を行うことを特徴としている。
これにより、高温の溶湯がバルク材に射出・付着されることによる、該バルク材の昇温及び結晶化を防ぐことができる。
これにより、高温の溶湯がバルク材に射出・付着されることによる、該バルク材の昇温及び結晶化を防ぐことができる。
また、第4の発明は、第3の発明において、断熱用カバーは、バルク材における溶湯の流入側端部を内嵌する嵌合部と、嵌合部から溶湯の流入側に向けて断面積が小さくなる突出部とを備えることを特徴としている。
これにより、突出部が溶湯をバルク材とキャビティとの隙間に誘導することができ、溶湯を当該隙間に滑らかに流れ込ませることができる。その結果、多段階鋳造工程において、気泡等の欠陥のない金属ガラス合金成形体を作製することができる。
これにより、突出部が溶湯をバルク材とキャビティとの隙間に誘導することができ、溶湯を当該隙間に滑らかに流れ込ませることができる。その結果、多段階鋳造工程において、気泡等の欠陥のない金属ガラス合金成形体を作製することができる。
さらにまた、第5の発明は、第1乃至第4の何れかの発明において、多段階鋳造工程により成形された成形体を、ガラス遷移温度まで加熱し加圧する加熱加圧工程を備えることを特徴としている。
これにより、多段階鋳造工程によって成形された成形体の接合度合いを向上させることができる。
これにより、多段階鋳造工程によって成形された成形体の接合度合いを向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本実施形態の金属ガラスの成形装置を示す概略構成図である。
この成形装置は、鋳型10と、この鋳型10内に溶融材料を供給する供給源50とを有する射出成形装置である。
鋳型10は、例えば、耐熱鋼、超硬合金等で構成されており、キャビティ20内に溶融材料が充填されて成形体を形成する射出成形に用いられる。ここで、溶融材料としては、固化したときに金属ガラス合金となる組成の溶融金属を用いる。
図1は本実施形態の金属ガラスの成形装置を示す概略構成図である。
この成形装置は、鋳型10と、この鋳型10内に溶融材料を供給する供給源50とを有する射出成形装置である。
鋳型10は、例えば、耐熱鋼、超硬合金等で構成されており、キャビティ20内に溶融材料が充填されて成形体を形成する射出成形に用いられる。ここで、溶融材料としては、固化したときに金属ガラス合金となる組成の溶融金属を用いる。
金属ガラス合金は、その原子配列がランダムであり、結晶粒同士の境界である結晶粒界や、結晶粒内の原子レベルでの位置ズレである転位等の不連続部位が実質的に存在しないという特徴を有する金属材料である。このため、金属ガラス合金に応力が発生しても、この不連続部位を起点とした亀裂が生じ難い。これにより、金属ガラス合金は、高強度、高靭性、高耐摩耗性等の優れた機械的特性を備えた金属材料となる。すなわち、このような金属ガラス合金で構成された成形体は、機械的特性に優れたものとなる。
本実施形態で用いられる金属ガラス合金の組成としては、特に限定されないが、例えば、Fe基、Co基、Ni基、Cu基、Ti基、Zr基、Hf基、Mg基、Ca基、La基、Y基、Pt基、Pd基等の各種金属ガラス合金が挙げられる。
また、本実施形態では、このような金属ガラス合金として、ΔTx=Tx−Tg(但し、Txは結晶化開始温度、Tgはガラス遷移温度を示す。)の式で表される過冷却液体の温度間隔ΔTxが40K以上であるものを適用する。
また、本実施形態では、このような金属ガラス合金として、ΔTx=Tx−Tg(但し、Txは結晶化開始温度、Tgはガラス遷移温度を示す。)の式で表される過冷却液体の温度間隔ΔTxが40K以上であるものを適用する。
過冷却液体の温度間隔ΔTxが大きいと、溶融状態から冷却するとき、結晶化開始温度Txの低温側に広い過冷却液体領域を有し、結晶化することなく温度の低下に伴ってこの過冷却液体領域の温度幅ΔTxを経過したときに、ガラス遷移温度Tgに至って非晶質相を容易に形成する。したがって、冷却速度が比較的遅くても十分に非晶質相を形成することが可能であり、溶湯を鋳型10に射出して成形しても、非晶質相を主体とする射出成形体が得られる。
次に、鋳型10の構造について説明する。
鋳型10は、図1に示すように、上下方向に沿って円筒状のキャビティ20が設けられている。キャビティ20は、上部が開口した有底穴であり、供給源50から供給される溶融金属がこの開口部からキャビティ20内に充填されるようになっている。
このようにして充填された溶融金属は、冷却・固化されることによりキャビティ20の形状をなし、金属ガラス合金で構成された成形体となる。
鋳型10は、図1に示すように、上下方向に沿って円筒状のキャビティ20が設けられている。キャビティ20は、上部が開口した有底穴であり、供給源50から供給される溶融金属がこの開口部からキャビティ20内に充填されるようになっている。
このようにして充填された溶融金属は、冷却・固化されることによりキャビティ20の形状をなし、金属ガラス合金で構成された成形体となる。
供給源50は、溶融金属をキャビティ20の開口部に供給するものである。
この供給源50は、円筒状の石英管51と、石英管51の外周に巻き付けられた高周波コイル52とから構成されており、石英管51内の母合金(金属ガラス合金の原材料)53を高周波コイル52で加熱して溶融状態とし、その溶融金属をガス圧により石英管51の下端部に形成された先端ノズル孔54から噴出させるようになっている。
この供給源50は、円筒状の石英管51と、石英管51の外周に巻き付けられた高周波コイル52とから構成されており、石英管51内の母合金(金属ガラス合金の原材料)53を高周波コイル52で加熱して溶融状態とし、その溶融金属をガス圧により石英管51の下端部に形成された先端ノズル孔54から噴出させるようになっている。
一般に金属ガラスは上記のような成形装置を用いて一段で鋳造成形が行われるが、本実施形態では、小さな鋳型を用いた鋳造から始めて、得られた成形体をそれよりも大きな鋳型にセットして段階的に鋳造し、徐々に大きな成形体を得るようにする。
ここでは、例えば、特にガラス形成能の小さいCo基金属ガラス((Co0.942Fe0.058)70Si8B20Nb2、ガラス化可能最大径1.5mm)の原材料を用い、銅製の丸棒形状鋳型10を用いて多段階鋳造を行うものとする。
ここでは、例えば、特にガラス形成能の小さいCo基金属ガラス((Co0.942Fe0.058)70Si8B20Nb2、ガラス化可能最大径1.5mm)の原材料を用い、銅製の丸棒形状鋳型10を用いて多段階鋳造を行うものとする。
次に、成形体を形成する流れ(工程)について、図1及び図2をもとに説明する。
図2は、多段階鋳造法を説明するための図である。
先ず、上記原材料(母合金53)を用意し、供給源50の石英管51内に装填する。次に、高周波コイル52に電圧を印加して、石英管51内の原材料を所定の温度に加熱する。これにより、原材料を溶解し、溶湯(溶融金属)を得る。
図2は、多段階鋳造法を説明するための図である。
先ず、上記原材料(母合金53)を用意し、供給源50の石英管51内に装填する。次に、高周波コイル52に電圧を印加して、石英管51内の原材料を所定の温度に加熱する。これにより、原材料を溶解し、溶湯(溶融金属)を得る。
次に、石英管51内に図示しないガス供給源から不活性ガスを加圧状態で導入し、溶湯を石英管51の先端ノズル孔54から射出し、図2(a)の斜線部に示すように、第1の鋳型10aのキャビティ20a内に充填する。
ここで、キャビティ20aの内径は、例えば、0.5mmに設定されている。なお、キャビティ20aの内径は、材料合金のガラス化可能最大径以下に設定するものとし、より好ましくは、上記ガラス化可能最大径の3分の1程度に設定する。これにより、確実に鋳造成形体の組織を非晶質相とすることができる。
ここで、キャビティ20aの内径は、例えば、0.5mmに設定されている。なお、キャビティ20aの内径は、材料合金のガラス化可能最大径以下に設定するものとし、より好ましくは、上記ガラス化可能最大径の3分の1程度に設定する。これにより、確実に鋳造成形体の組織を非晶質相とすることができる。
キャビティ20a内に射出された溶湯は、キャビティ20aの内壁面に接触することにより急速に冷却され、溶湯中にランダムに存在していた各原子が、そのランダムな配置を維持した状態で固化に至る。
その結果、原子がランダムに配置した金属ガラス合金となり、金属ガラス合金からなる第1の成形体30aが得られる。なお、かかる第1の成形体30aは、キャビティ20aの形状を高い寸法精度で再現したものとなる。
その結果、原子がランダムに配置した金属ガラス合金となり、金属ガラス合金からなる第1の成形体30aが得られる。なお、かかる第1の成形体30aは、キャビティ20aの形状を高い寸法精度で再現したものとなる。
次に、第1の成形体30aを第1の鋳型10aから離型し、図2(b)に示すように、第2の鋳型10bにセットし、第1の成形体30aにおける溶湯の流入側である上側先端部に断熱用カバー40を装着する。
ここで、第2の鋳型10bに形成されたキャビティ20bの内径は、例えば、1.0mmに設定されており、第1の成形体30aは、キャビティ20bの底部に形成された固定溝21bに固定されることにより、当該キャビティ20bと同一軸心に配置される。したがって、第1の成形体30aの外周面とキャビティ20bの内壁面との間には、全周に亘って0.25mmの隙間が形成されることになる。
ここで、第2の鋳型10bに形成されたキャビティ20bの内径は、例えば、1.0mmに設定されており、第1の成形体30aは、キャビティ20bの底部に形成された固定溝21bに固定されることにより、当該キャビティ20bと同一軸心に配置される。したがって、第1の成形体30aの外周面とキャビティ20bの内壁面との間には、全周に亘って0.25mmの隙間が形成されることになる。
2段階目以降の鋳造では、成形体の外周面とキャビティの内壁面との間の隙間を、図2(a)に示す1段階目の鋳造で用いたキャビティ20aの内径の半分程度に設定する。これは、2段階目以降の鋳造では中央に冷却効果の低い成形体が存在し、キャビティに充填された溶湯は鋳型と接触する側からしか冷却されず、1段階目の鋳造と比較して当該溶湯の冷却速度は半減すると考えられるためである。
また、断熱用カバー40は、図3に示すように、円環状の嵌合部41と円錐状の突出部42とから構成されており、嵌合部41は、第1の成形体30aにおける溶湯の流入側端部を内嵌するようになっている。したがって、嵌合部41の内径は、例えば、成形体(棒材)の内径+0.05mmに設定される。また、嵌合部41の厚さは、例えば、0.05mmに設定する。
さらに、突出部42は、嵌合部41から溶湯の流入側(図中、上方向)に向けて断面積が小さくなるように形成されることで、所定の角度を有するようになっている。その角度は、断熱用カバー40を装着する成形体の大きさや、当該成形体とキャビティとの間隔、溶湯の温度(粘度)等に応じて設定するものとし、例えば、30°〜80°とする。
この断熱用カバー40は、高温の溶湯が第1の成形体30aの先端に射出・付着されることによる、当該第1の成形体30aの昇温及び結晶化を防ぐと共に、溶湯を第1の成形体30aとキャビティ20bとの隙間に滑らかに流れ込ませる目的で装着する。
この断熱用カバー40は、高温の溶湯が第1の成形体30aの先端に射出・付着されることによる、当該第1の成形体30aの昇温及び結晶化を防ぐと共に、溶湯を第1の成形体30aとキャビティ20bとの隙間に滑らかに流れ込ませる目的で装着する。
したがって、断熱用カバー40は、融点が溶湯の温度より高く、且つ当該溶湯に含まれない材料により構成するものとし、ここではタングステンを用いる。
なお、ここではタングステンからなる断熱用カバー40を適用する場合について説明したが、融点が溶湯の温度より高く、且つ母合金53に含まれていない材料であれば上記カバーの材料として適用可能である。このような材料としては、例えば、タンタルやモリブデンが挙げられる。
また、ここでは、断熱用カバー40の突出部42の輪郭を、図3の上下方向において線形とする場合について説明したが、当該輪郭を非線形とすることもできる。
なお、ここではタングステンからなる断熱用カバー40を適用する場合について説明したが、融点が溶湯の温度より高く、且つ母合金53に含まれていない材料であれば上記カバーの材料として適用可能である。このような材料としては、例えば、タンタルやモリブデンが挙げられる。
また、ここでは、断熱用カバー40の突出部42の輪郭を、図3の上下方向において線形とする場合について説明したが、当該輪郭を非線形とすることもできる。
次に、溶湯を石英管51の先端ノズル孔54から射出し、図2(b)の斜線部に示すように、キャビティ20b内における第1の成形体30aの外周に充填する。キャビティ20b内に射出された溶湯は、キャビティ20bの内壁面に接触することにより急速に冷却され、固化する。その結果、径1.0mmの第2の成形体30bが得られる。
次に、第2の成形体30bを第2の鋳型10bから離型し、図2(c)に示すように、第3の鋳型10cにセットし、第2の成形体30bにおける溶湯の流入側である上側先端部に断熱用カバー40を装着する。
ここで、第3の鋳型10cに形成されたキャビティ20cの内径は、例えば、1.5mmに設定されており、第2の成形体30bは、キャビティ20cの底部に形成された固定溝21cに固定されることにより、当該キャビティ20cと同一軸心に配置される。したがって、第2の成形体30bの外周面とキャビティ20cの内壁面との間には、全周に亘って0.25mmの隙間が形成されることになる。
ここで、第3の鋳型10cに形成されたキャビティ20cの内径は、例えば、1.5mmに設定されており、第2の成形体30bは、キャビティ20cの底部に形成された固定溝21cに固定されることにより、当該キャビティ20cと同一軸心に配置される。したがって、第2の成形体30bの外周面とキャビティ20cの内壁面との間には、全周に亘って0.25mmの隙間が形成されることになる。
そして、溶湯を石英管51の先端ノズル孔54から射出し、図2(c)の斜線部に示すように、キャビティ20c内における第2の成形体30bの外周に充填する。キャビティ20c内に射出された溶湯は、キャビティ20cの内壁面に接触することにより急速に冷却され、固化する。その結果、径1.5mmの第3の成形体30cが得られる。
このように、0.5mmずつ鋳型の径を大きくして鋳造を段階的に行うことにより、図2(d)に示すように、径10mmの成形体31を得ることができる。
このように、0.5mmずつ鋳型の径を大きくして鋳造を段階的に行うことにより、図2(d)に示すように、径10mmの成形体31を得ることができる。
なお、本実施形態においては、図4に示すように、複数回鋳造を繰り返して作製された成形体31の接合が悪い場合には、成形体31を高周波コイルにてガラス遷移温度Tgまで加熱し、成形体31の両側から軸直方向に加圧する加熱加圧接合を行うこともできる。これにより、最終的な成形体の接合度合いを向上させることができる。
本実施形態により得られた成形体31について、X線回折により結晶構造解析を行った結果を図5に示す。多段階鋳造成形のみによる成形体31と、鋳造成形後、加熱加圧接合した成形体31とについてX線回折分析を行った結果、図5に示すように、結晶相の存在を示す回折パターンは認められず、ブロードなハローパターンのみが検出されている。したがって、得られた成形体31は、その組織が非晶質相であることがわかる。
本実施形態により得られた成形体31について、X線回折により結晶構造解析を行った結果を図5に示す。多段階鋳造成形のみによる成形体31と、鋳造成形後、加熱加圧接合した成形体31とについてX線回折分析を行った結果、図5に示すように、結晶相の存在を示す回折パターンは認められず、ブロードなハローパターンのみが検出されている。したがって、得られた成形体31は、その組織が非晶質相であることがわかる。
ところで、Co基やFe基、Ni基の金属ガラスはガラス形成能が低く、センチメートル級のバルク金属ガラス合金の作製は困難となっている。
金属ガラスの接合技術としては、摩擦接合やレーザー接合等が知られているが、両技術ともバルク金毒ガラス合金の大型化を実現するものではない。また、大型バルク金属ガラス合金を作製するものとして、抵抗溶接法というものがあるが、作製できる試料の厚さに限界がある。
金属ガラスの接合技術としては、摩擦接合やレーザー接合等が知られているが、両技術ともバルク金毒ガラス合金の大型化を実現するものではない。また、大型バルク金属ガラス合金を作製するものとして、抵抗溶接法というものがあるが、作製できる試料の厚さに限界がある。
これに対して、本実施形態では、小さな鋳型を用いた鋳造から始めて、得られた成形体をそれよりも大きな鋳型にセットして段階的に鋳造し、徐々に大きなバルク金属ガラス合金を得るようにするので、特にガラス形成能の小さなCo基金属ガラス合金等の大バルク化を実現することができると共に、作製できる試料の厚さにも限界がない。
また、Co基金属ガラス((Co0.942Fe0.058)70Si8B20Nb2、ガラス化可能最大径1.5mm)の原材料を用いた場合、0.5mmずつ鋳型の径を大きくして段階的に鋳造を行うなど、材料合金のガラス化可能最大径を考慮して鋳型の径を設定するので、確実に成形体の組織を非晶質相とすることができる。
また、Co基金属ガラス((Co0.942Fe0.058)70Si8B20Nb2、ガラス化可能最大径1.5mm)の原材料を用いた場合、0.5mmずつ鋳型の径を大きくして段階的に鋳造を行うなど、材料合金のガラス化可能最大径を考慮して鋳型の径を設定するので、確実に成形体の組織を非晶質相とすることができる。
さらに、2回目以降の鋳造では、前段の鋳造で成形された成形体の先端に断熱用カバーを装着するので、高温の溶湯が前段で成形された成形体に射出・付着されることによる、該成形体の昇温及び結晶化を防ぐことができる。
また、断熱用カバーは、前段の鋳造で成形された成形体における溶湯の流入側端部を内嵌する嵌合部と、該嵌合部から溶湯の流入側に向けて断面積が小さくなる突出部とを備えるので、当該突出部が溶湯を成形体とキャビティとの隙間に誘導することができ、溶湯を当該隙間に滑らかに流れ込ませることができる。その結果、多段階鋳造工程において、気泡等の欠陥のない金属ガラス合金成形体を作製することができる。
また、断熱用カバーは、前段の鋳造で成形された成形体における溶湯の流入側端部を内嵌する嵌合部と、該嵌合部から溶湯の流入側に向けて断面積が小さくなる突出部とを備えるので、当該突出部が溶湯を成形体とキャビティとの隙間に誘導することができ、溶湯を当該隙間に滑らかに流れ込ませることができる。その結果、多段階鋳造工程において、気泡等の欠陥のない金属ガラス合金成形体を作製することができる。
さらにまた、多段階鋳造工程により成形された成形体を、ガラス遷移温度Tgまで加熱し加圧する加熱加圧接合を行うので、多段階鋳造によって成形された成形体の接合度合いを向上させることができる。
なお、上記本実施形態においては、Co基金属ガラスの原材料を用いる場合について説明したが、あらゆる金属ガラスに適用可能である。
なお、上記本実施形態においては、Co基金属ガラスの原材料を用いる場合について説明したが、あらゆる金属ガラスに適用可能である。
さらに、上記本実施形態においては、径10mmまでの多段階鋳造を行う場合について説明したが、原理的には無限に大きなバルク金属ガラス合金を作製することができる。
また、上記本実施形態においては、キャビティの形状を円筒状とし、丸棒鋳造を行う場合について説明したが、複雑な形状であっても本発明を適用することができる。その結果、フォトニック素子、歯車、ゼンマイ、バネ部品、ゴルフクラブのフェイス溝部分、ミラーデバイス、各種光学素子、回折格子、センサー材、水素透過膜、燃料電池セパレーター材など、金属ガラスを用いた全ての製品を作製可能である。
また、上記本実施形態においては、キャビティの形状を円筒状とし、丸棒鋳造を行う場合について説明したが、複雑な形状であっても本発明を適用することができる。その結果、フォトニック素子、歯車、ゼンマイ、バネ部品、ゴルフクラブのフェイス溝部分、ミラーデバイス、各種光学素子、回折格子、センサー材、水素透過膜、燃料電池セパレーター材など、金属ガラスを用いた全ての製品を作製可能である。
10…鋳型、20…キャビティ、21b,21c…固定溝、31…成形体、40…断熱用カバー、50…供給源、51…石英管、52…高周波コイル、53…母合金、54…先端ノズル孔
Claims (5)
- ΔTx=Tx−Tg(ただしTxは結晶化開始温度、Tgはガラス遷移温度を示す。)の式で表される過冷却液体の温度間隔ΔTxが40K以上の金属ガラス合金からなるバルク材を、該バルク材より大きい成形型のキャビティに挿入し、前記バルク材と同一の組成の金属ガラス合金からなる溶湯を前記キャビティの空所に充填し凝固させて、段階的に前記バルク材より大きな成形体を成形する多段階鋳造工程を備えることを特徴とする金属ガラス合金成形体の製造方法。
- 前記多段階鋳造工程は、前記バルク材の外周面と前記キャビティの内壁面との間に全周に亘って所定間隔を有するように、前記バルク材を前記キャビティ内に配置し、前記バルク材と同一の組成の金属ガラス合金からなる溶湯を前記キャビティの空所に充填し凝固させることを特徴とする請求項1に記載の金属ガラス合金成形体の製造方法。
- 前記多段階鋳造工程は、前記バルク材における前記溶湯の流入側端部に、融点が前記溶湯の温度より高く、且つ当該溶湯に含まれない材料からなる断熱用カバーを装着してから、前記溶湯を用いた鋳造を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の金属ガラス合金成形体の製造方法。
- 前記断熱用カバーは、前記バルク材における前記溶湯の流入側端部を内嵌する嵌合部と、該嵌合部から前記溶湯の流入側に向けて断面積が小さくなる突出部とを備えることを特徴とする請求項3に記載の金属ガラス合金成形体の製造方法。
- 前記多段階鋳造工程により成形された成形体を、ガラス遷移温度まで加熱し加圧する加熱加圧工程を備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の金属ガラス合金成形体の製造方法。
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