JP3396632B2 - 非晶質合金成形品の製造方法 - Google Patents

非晶質合金成形品の製造方法

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JP3396632B2 JP27508098A JP27508098A JP3396632B2 JP 3396632 B2 JP3396632 B2 JP 3396632B2 JP 27508098 A JP27508098 A JP 27508098A JP 27508098 A JP27508098 A JP 27508098A JP 3396632 B2 JP3396632 B2 JP 3396632B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非晶質合金成形品
の製造方法に関し、さらに詳しくは、非晶質合金の特性
を生かして連続した製造工程で棒状や中空パイプ状の製
品、特に光コネクタ部品を成形加工できる方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】非晶質合金の製造においては、大きな冷
却速度が必要なことから、従来から単ロール法、双ロー
ル法等の液体急冷法や、ガスアトマイズ法等、種々の方
法が知られている。しかしながら、このような方法で得
られる非晶質合金は質量の小さなリボン状(薄い帯
状)、粉末状のものであり、これらの方法ではバルク材
を得ることは困難である。
【0003】そこで、このような欠点を改善するため
に、特開平3−253525号には、金属溶湯を二段階
急冷凝固して非晶質合金固化材を製造する方法が提案さ
れており、例えば、水冷金型の入口部に溶湯供給通路を
絞ったノズル状の初期過冷却ゾーンを設け、溶湯を加圧
して上記初期過冷却ゾーンを経て水冷金型内に圧入し、
板状又はロッド状の非晶質合金固化材を製造する方法が
開示されており、上記初期過冷却ゾーンで合金材料の融
点(Tm)±100K/秒の範囲まで102K/秒以上
で冷却することが好ましいと教示されている。あるい
は、上記初期過冷却ゾーンの後に一対の水冷ロールを設
け、溶湯を初期過冷却ゾーンを経て上記水冷ロール間に
圧入し、約100K/秒の冷却速度で凝固して板状の固
化材を製造する方法も記載されている。しかしながら、
上記二段階急冷凝固法によって作製できる固化材は、厚
さの薄い板状のものや直径の小さなロッド状のものであ
り、中空パイプ状等の長尺の異形製品を製造することは
困難である。
【0004】一方、特開平5−309427号には、上
記のような二段階急冷凝固法によって作製した板状の非
晶質合金素材や、回転鋳型に鋳込んで製造した円筒状の
非晶質合金素材を、一対の型内に保持し、合金素材のガ
ラス遷移温度(Tg)と結晶化温度(Tx)との間の温
度に加熱すると共に、上記非晶質合金素材の両側に圧力
差を生じさせ、非晶質合金素材をその一方の金型内面に
密着させて成形する方法が開示されている。しかしなが
ら、この方法の場合、一旦鋳造した非晶質合金素材を金
型内で加熱し、素材両側に差圧を発生させて成形するも
のであるため、工程が複雑になり、またエネルギー損失
も大きくなり、しかも特別な成形装置が必要となり、製
造コストが高くなるという難点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の基本
的な目的は、非晶質合金の特性を生かし、丸棒状、角棒
状、丸パイプ状、角パイプ状等の種々の断面形状の棒状
及び中空パイプ状の製品を非晶質合金材料の溶湯から連
続的にエネルギー効率よく製造できる方法を提供するこ
とにある。さらに本発明の目的は、軸線方向に形成され
たスリット及び/又は内周面に軸線方向に形成された突
条を有する中空パイプや、中心軸線に沿って細い透孔が
形成された毛細管など、光コネクタ部品のスリーブやキ
ャピラリー等として有用な製品を1回の製造工程で効率
的に低コストで製造できる方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明によれば、非晶質合金材料の溶湯から直に非
晶質合金成形品を製造する方法が提供され、その基本的
な態様は、非晶質合金を生じ得る合金材料の溶湯を、第
一段冷却ゾーンを通過させて合金材料のガラス遷移温度
(Tg)以上、結晶温度(Tx)以下の温度に冷却し、
所定の断面形状を付与する一次成形段階、及び上記第一
段冷却ゾーンの下流側に位置する第二段成形加工冷却ゾ
ーンにおいて、所定の形状の周面輪郭を持つ少なくとも
一対の対向する二次成形用ロール間を通過させて棒状又
は管状の所定の断面形状に成形する二次成形段階を含む
ことを特徴としている。
【0007】本発明の非晶質合金成形品の製造方法の好
適な第一の態様は、非晶質合金を生じ得る合金材料の溶
湯を、第一段冷却ゾーンにおいて、通過する溶湯の断面
形状を規制する所定の凹状の周面輪郭を持つ一対の対向
する急冷用ロール間を通過させ、合金材料のガラス遷移
温度(Tg)以上、結晶化温度(Tx)以下の温度に冷
却して棒状又は管状の所定の断面形状を付与する一次成
形段階、及び上記急冷用ロールの下流側に位置する第二
段成形加工冷却ゾーンにおいて、通過する一次成形後の
材料の断面形状を規制する所定の凹状の周面輪郭を持つ
一対の対向する二次成形用ロール間を通過させ、棒状又
は管状の所定の断面形状に成形する二次成形段階を含む
ことを特徴としている。
【0008】前記方法の一次成形段階において、一対の
急冷用ロールの対向する凹状周面により形成される空間
内に、該空間よりも小さな断面寸法のマンドレルを挿入
し、該マンドレルの周囲に溶湯を流すことにより、管状
に成形することができる。また、上記マンドレルの外周
面に、上面が一方の急冷用ロールの凹状周面に接触する
高さの突条が軸線方向に形成されている場合、軸線方向
にスリットを有する管状に成形することができ、一方、
軸線方向に複数の溝が形成されている場合、内周面に軸
線方向に複数の突条が形成された管状に成形することが
できる。さらに、前記一対の急冷用ロールの一方のロー
ルの凹状周面に、円周方向に沿って少なくともマンドレ
ルの外周面に達する高さの環状の突起が形成されている
場合にも、軸線方向にスリットを有する管状に成形する
ことができる。
【0009】さらに本発明の非晶質合金成形品の製造方
法の好適な第二の態様は、非晶質合金を生じ得る合金材
料の溶湯を、第一段冷却ゾーンを通過させて合金材料の
ガラス遷移温度(Tg)以上、結晶化温度(Tx)以下
の温度に冷却し、所定の断面形状を付与する一次成形段
階、及び上記第一段冷却ゾーンの下流側に配置され、か
つ所定の形状の周面輪郭を持つ複数対の対向する二次成
形用ロール間を通過させ、管状の所定の断面形状に多段
成形する二次成形段階を含むことを特徴としている。好
適には、上記二次成形段階において、一次成形後の合金
材料をそのガラス遷移温度(Tg)以上、結晶化温度
(Tx)以下に温度を保持しながら複数対の二次成形用
ロール間を通過させて多段成形し、その後室温まで0.
1〜103K/秒の冷却速度で冷却する。
【0010】前記した基本的な態様及び第一の態様にお
いて、前記一次成形段階において、溶湯をオリフィ
ス、ノズル又はダイを通過させて棒状又は中空パイプ状
断面形状に一次成形することができ、第二の態様にお
いては、前記一次成形段階において、溶湯をオリフィ
ス、ノズル又はダイを通過させて板状の断面形状に一次
成形することができる。また、前記合金材料の溶湯を第
一段冷却ゾーンに導入する前の溶湯供給経路に、溶湯の
溜り部を設け、該溜り部にて溶湯温度を制御することが
できる。あるいはまた、前記合金材料の溶湯を第一段冷
却ゾーンに導入するにあたり、0.1〜100kgf/
cm2だけ加圧して導入することができ、加圧手段とし
ては溶湯ポンプ、プランジャ又は溶湯室を気体加圧する
間接加圧を用いることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の非晶質合金成形品の製造
方法は、非晶質合金を生じ得る合金材料の溶湯を、第一
段冷却ゾーンを通過させて合金材料のガラス遷移温度
(Tg)以上、結晶化温度(Tx)以下の温度に冷却
し、過冷却液体領域(ガラス遷移領域)ΔTx=Tx−
Tgに徐冷すると共に所定の断面形状を付与する(一次
成形段階)。非晶質合金材料は、この温度領域では粘性
流動により数10MPa以下の低応力でも非常に良好な
加工性を示し、また二次成形用ロール周面の形状や寸法
を極めて忠実に再現する特性を有する。従って、引き続
き、上記第一段冷却ゾーンの下流側に位置する第二段成
形加工冷却ゾーンにおいて、所定の形状の周面輪郭を持
つ少なくとも一対の対向する二次成形用ロール間を通過
させることにより、棒状又は管状の所定の断面形状にエ
ネルギー効率よく連続的に成形することができる(二次
成形段階)。
【0012】成形は、第一の好適な態様においては、通
過する溶湯の断面形状を規制する所定の凹状、例えば半
円形状の周面輪郭を持つ一対の対向する急冷用ロール間
を通過させ、棒状又は管状の所定の断面形状を付与する
一次成形段階に引き続き、一次成形後の材料の断面形状
を規制する所定の凹状の周面輪郭、好ましくは上記急冷
用ロールの凹状周面輪郭より若干小さい相似形の凹状周
面輪郭を持つ一対の対向する二次成形用ロール間を通過
させることにより行われ、それにより棒状又は管状の所
定の断面形状の成形品を得る。得られる非晶質合金成形
品は、組み合わされた一対の二次成形用ロールの凹状周
面の形状及び寸法を忠実に再現したものであり、しかも
溶湯から一次成形、二次成形まで連続的に行われる。
【0013】一方、第二の好適な態様においては、オリ
フィス又はノズルを通した所定の断面形状、例えば板状
の溶湯を第一段冷却ゾーンを通過させる間に過冷却液体
領域温度にまで冷却させると共に上記断面形状に固定し
(一次成形段階)、次いで、この合金材料の温度を過冷
却液体領域温度に保持しながら、所定の形状の周面輪郭
を持つ複数対の対向する二次成形用ロール間を通過さ
せ、管状の所定の断面形状に多段ロール成形する。この
方法によっても、溶湯から一次成形、二次成形まで連続
的な生産工程によってエネルギー効率よく非晶質合金成
形品を製造できる。以下、添付図面を参照しながら本発
明の方法について詳細に説明する。
【0014】図1は、本発明の非晶質合金成形品の製造
方法の好適な第一態様を実施するのに有利に用いること
ができる装置の概略構成を示しており、図中、符号10
は金属溶解装置、20は急冷用ロール、30は二次成形
用ロールを示している。金属溶解装置10は、下端部に
噴射ノズル11が付いた金属を溶解できるるつぼやチュ
ーブから構成され、その材質としてはセラミックスやカ
ーボンなどが好ましい。金属溶解装置10の周囲には加
熱源としての高周波コイル12が配設されている。な
お、金属溶解装置10内の合金材料の加熱方法として
は、高周波溶解の他、アーク溶解、抵抗加熱など、合金
材料を溶解できるまで温度を上げ得る方法であれば全て
適用可能である。
【0015】金属溶解装置10の下方には、溶湯の供給
に沿って一対の急冷用ロール20(第一段冷却ゾー
ンを形成)と一対の二次成形用ロール30(第二段成形
加工冷却ゾーンを形成)が配設されている。急冷用ロー
ル20は、噴射ノズル11から射出された溶湯1を非晶
質合金(金属ガラス)の過冷却液体領域まで急冷し、丸
棒状や、パイプ状に一次成形加工するための双ロールで
ある。各急冷用ロール20の周面21には、図2に示さ
れるように半円形の凹部22が形成されており、これら
一対の急冷用ロール20の周面が図2に示すように当接
して組み合わされたときに一対の半円形凹部22により
形成される円形空間部により、その中を通過する溶湯1
の外径が規制される。これら急冷用ロール20は、用い
る非晶質合金材料の過冷却液体領域程度の温度、例えば
400〜450℃まで加熱しておき、それ以下の温度に
冷却されないようにすることが好ましい。
【0016】二次成形用ロール30は、急冷用ロール2
0から排出された丸棒状やパイプ状の一次成形材2を過
冷却液体領域の温度から冷却し、好ましくは室温近傍ま
で冷却する双ロールからなっている。これら二次成形用
ロール30は、1段目の急冷用ロール20から排出され
た丸棒状やパイプ状の一次成形材2の外径を所定の寸法
に制御する役目と、急冷用ロール20から一次成形材2
を引き抜く役目(引張用ロールとしての機能)を有す
る。従って、各二次成形用ロール30の周面にも急冷用
ロール20の周面に形成された半円形凹部22よりも若
干小さな径の半円形の凹部31が形成されている。これ
ら一対の二次成形用ロール30は、10〜100℃程
度、好ましくは室温に設定する。
【0017】前記した急冷用ロール20及び二次成形用
ロール30の材質としては任意のものを使用できるが、
好ましくは熱伝達率の良い(冷却効果の高い)銅系や鉄
系などの金属系が望ましい。各ロールの直径や周面の幅
についても任意であるが、幅は成形品を作製するための
凹部がロール周面に充分に作製できる程度の大きさがよ
い。また、各ロールの回転数(周速度)についても所望
の冷却速度や成形品の断面形状等に応じて任意に設定で
きるが、丸棒やパイプの作製速度となるため、好ましく
は1mm/秒〜10m/秒の範囲内に設定することが望
ましい。各ロールによる冷却速度としては0.1K/秒
以上であればよいが、103K/秒以下が好ましい。な
お、上記のようなロールについての条件は、特に考慮す
べき特別の点がない限り、後述する方法に用いるロール
についても同様に適用できる。
【0018】図1において、符号40は中空パイプを作
製する場合に用いる棒状のマンドレルであり、棒状成形
品を作製する場合には必要ない。このマンドレル40
は、金属溶解装置10の下端の噴射ノズル11の孔の中
に挿入され、その上部は固定装置(図示せず)により固
定されている。図1においては、中空パイプの一次成形
材2の内径収縮が生じないように、マンドレル40の尖
った先端部41は、一対の二次成形用ロール30周面の
半円形凹部31により形成される円形空間部を突き抜け
るように通されているが、内径収縮が問題ない場合には
このような配置にする必要はなく、急冷用ロール20間
を通してさえあればどの位置にあってもよい。なお、急
冷用ロール20で冷却された一次成形材の温度を過冷却
液体領域に止め、かつこの温度範囲状態で二次成形用ロ
ール30に送るために、上記マンドレル40は用いる非
晶質合金材料の過冷却液体領域まで加熱して用いる。
【0019】次に、前記した装置を用いて非晶質合金成
形品を製造する工程について説明する。まず、非晶質合
金成形品の製造は、真空中、不活性雰囲気中、大気中の
いずれでも行うことができ、また金属溶解装置10の内
部と他の場所の雰囲気が異なってもよいが、合金成分と
してZr等の反応性の高い金属を用いる場合、装置全
体、特に金属溶解装置10から急冷用ロール20に至る
までの空間は真空又は不活性雰囲気とすることが好まし
い。次に、マンドレル40を図1に示すようにセットし
た金属溶解装置10内に非晶質合金材料を入れ、マンド
レル40及び急冷用ロール20を所定の過冷却液体領域
の温度となるようにセットし、急冷用ロール20及び二
次成形用ロール30を所定の周速度で回転するようにセ
ットした状態で、高周波コイル12に高周波電流を流
し、金属溶解装置10内の非晶質合金材料を高周波溶解
し、次いで噴射ノズル11から溶湯1を射出する。非晶
質合金材料は、合金の融点以上に温度を上げて溶解させ
るが、好ましくは融点の150℃以上の温度に昇温して
溶解させることが望ましい。
【0020】溶湯1を噴射ノズル11から射出させる方
法としては、図示の例では金属溶解装置10の内部にガ
ス圧をかける方法が採用されているが、溶湯を射出でき
る方法であればよく、例えばピストンで溶湯を押し出す
方法など、任意の方法を採用できる。また、射出圧力
は、溶湯1を徐々に噴射ノズル11から押し出すことが
できる圧力であればよいため、ロール部の雰囲気圧力よ
り高い圧力、例えば0.1〜100kgf/cm2だけ
高い圧力をピストンや加圧ガスで溶湯1に付加すればよ
い。噴射ノズル11から射出された溶湯1は、マンドレ
ル40の周面を流下して急冷用ロール20に到達し、回
転している一対の急冷用ロール20周面の半円形凹部2
2により加圧されながら過冷却液体領域の温度に冷却さ
れると共に、管状の断面形状に一次成形される。この
際、マンドレル40周面を流下する溶湯1は、一対の急
冷用ロール20周面の半円形凹部22により加圧されて
接触した状態となるため、その冷却速度は高くなる。
【0021】次いで、急冷用ロール20間を出た一次成
形材2は、回転している一対の二次成形用ロール30周
面の半円形凹部31により加圧されながら室温近傍まで
冷却されながら下方に引っ張られる。このようにして、
マンドレル40の外径により制御される内径及び一対の
二次成形用ロール30周面の半円形凹部31により制御
される外径を有する長尺の中空パイプ状非晶質合金成形
品が、一回の製造工程で得られる。なお、マンドレル4
0周面を流下中の溶湯や、急冷用ロール20間を出た一
次成形材2の温度降下を防止し、温度制御を行い易くす
るために、噴射ノズル11と急冷用ロール20との間あ
るいはさらに急冷用ロール20と二次成形用ロール30
との間のマンドレル40周囲に断熱材を配することもで
きる。
【0022】製造する非晶質合金成形品の断面形状やサ
イズ、例えば棒状や中空パイプの外面輪郭や寸法、外径
は、急冷用ロール20及び二次成形用ロール30の各周
面に形成された凹部22、31の形状や寸法を変えるこ
とにより任意に設定でき、また中空パイプの内面輪郭や
内径は、マンドレル40の断面形状や外径を変えること
により任意に設定でき、丸棒状、角棒状、異形棒状、丸
パイプ状、角パイプ状、異形パイプ状など任意の形状、
サイズの長尺成形品を製造できる。また、噴射ノズル1
1の形状をスリット状とし、各ロール20、30の凹部
22、31をそれに応じた適当な形状とすることによ
り、板状、異形板状などの長尺成形品も製造することが
できる。このような異形成形品の製造方法の幾つかの例
を図3乃至図6に示す。
【0023】図3は、軸線方向にスリットを有する管状
に成形する方法の一例を示し、上面が一方の急冷用ロー
ル20の半円形凹部22の周面に接触する高さの突条4
2が軸線方向に形成されたマンドレル40aを用いるも
のである。このような形状のマンドレル40aを用いる
と、突条42の部分には溶湯1が流れないので、軸線方
向にスリットを有する管状に成形することができる。一
方、図4に示す例では、マンドレル40bの外周面に軸
線方向に溝43が形成され、一方の急冷用ロール20a
の半円形凹部22aの底部には、上記溝43に挿入され
る高さの環状の突起23が形成されている。このような
形状の急冷用ロール20aとマンドレル40bを組み合
わせて用いても、軸線方向にスリットを有する管状に成
形することができる。なお、図1及び図2に示すような
溝を形成していない断面円形のマンドレル40を用い、
急冷用ロール20aの環状の突起23の上面がマンドレ
ル外周面に摺接するように構成することもできる。
【0024】図5は、軸線方向にスリットを有すると共
に、内周面に軸線方向に複数の突条を有する管状に成形
する例を示している。マンドレル40cは、図3に示す
マンドレル40aと同様に外周面に軸線方向に形成され
た突条42を有すると共に、軸線方向に複数(図示の例
では3個)の略半円形の溝44が形成されている。この
ような形状のマンドレル40cを用いて製造されるスリ
ット付き中空パイプを所定の長さに切断すると、図6に
示すように、円筒体101の内周面の3箇所にその長手
方向の一端から他端に至る略半円形の凸部102が形成
されていると共に、長手方向に全長に亘ってスリット1
03が形成された非晶質合金製のスリーブ100が得ら
れる。このようなスリーブ100は、光コネクタフェル
ール同士を突き合わせ整列して保持するためのスリーブ
として有利に用いることができる。その使用形態を図7
及び図8を参照して説明する。
【0025】図7及び図8は、前記のように作製された
スリーブ100の光コネクタにおける使用状態を示して
おり、フェルール110としてはキャピラリー111と
フランジ112が別体のものが用いられているが、一体
のものにも同様に適用できる。このフェルール110
は、光ファイバ117を挿入するための小径の貫通孔1
13が中心軸線に沿って形成されたキャピラリー111
と、中心軸線に沿って光ファイバ心線116挿通用の大
径の貫通孔114が形成されたフランジ112とからな
る。キャピラリー111のテーパ孔部115が形成され
た端部を、フランジ112の前端穴部119に締り嵌め
又は接着等により固着することにより組み立てられ、キ
ャピラリー111の小径の貫通孔113とフランジ11
2の大径の貫通孔114はテーパ孔部115を介して接
続される。
【0026】このようなフェルール110に光ファイバ
を取り付ける場合、光ファイバー心線116の先端部の
外被118を剥がして所定の長さだけ光ファイバ117
を露出させ、露出した光ファイバ及び光ファイバ心線先
端部に接着剤を塗布した後、フェルール110の小径の
貫通孔113に露出した光ファイバ117をフランジ側
から挿入し、光ファイバ117及び光ファイバ心線11
6の先端部を接着剤によりフェルール110の貫通孔1
13及び114内に固着させることにより行われる。一
対の光ファイバ117、117の接続は、それらが挿入
・接合された各フェルール110、110をスリーブ1
00の両端から挿入し、フェルール111、110同士
の端部を突き合わせることにより行われ、これによって
光ファイバ117、117の軸線が整列した状態で先端
部が突き合わせ接続される。スリーブ100の3箇所の
凸部102上端を通る円の径は、フェルール110のキ
ャピラリー111の外径よりも僅かに小さめの寸法とさ
れている。従って、フェルール110、110を両端か
ら挿入したときにスリーブ100は若干押し拡げられ、
キャピラリー111,111を弾力的に挟持した状態に
保持することになる。
【0027】スリーブ100の内周面に形成された凸部
102は、フェルールを傷付けないように、その上面が
円筒体101の軸線に向って凸の断面略半円形状、略楕
円形状、上端が丸みを帯びた三角形状等の円弧状である
必要があり、好ましくは図8に示されるように断面が略
半円形状の凸部102とする。このような凸部102を
円筒体101の内周面3箇所に長手方向に設けることに
より、スリーブ100内に保持するフェルールのキャピ
ラリー111外周面と3箇所で点接触した状態にフェル
ールを挟持することになる。従って、突き合わされるフ
ェルール同士の軸線(従って、光ファイバ同士)を整列
させて保持することができる。但し、点接触の場合で
も、上記凸部が鋭角な角部を有する場合、集中荷重がか
かってフェルール外周面を傷付け易くなるので好ましく
ない。また、スリーブの内周面に4箇所以上の凸部を設
けた場合、スリーブ内に嵌挿された対向するフェルール
の接触・固定点にずれを生じ易く、接続される光ファイ
バ同士の軸線がずれ易くなる。なお、凸部102は円筒
体101の内周面3箇所に等間隔に設けることが好まし
いが、多少ずれていても構わない。また、凸部102の
高さはフェルールを安定して保持できる程度であればよ
いが、一般に0.1〜1.0mm(断面半円形の場合、
0.1〜1.0mmR)の範囲内が好ましい。
【0028】前記したように、スリーブ100には長手
方向に全長に亘ってスリット103が形成されている。
このようなスリットを設けない精密スリーブでも、非晶
質合金材使用による効果及び前記した凸部形成による効
果は得られる。しかしながら、スリット103を設ける
ことにより、スリーブ100の弾力性が向上し、多少寸
法精度にばらつきがあってもフェルール同士の軸線を整
列させてより安定して弾力的に挟持でき、また、スリー
ブとフェルールの着脱を繰り返しても保持状態にガタを
生じ難くなるので有利である。従来のスリーブ材料とし
て用いられているセラミックス、例えば、ジルコニアは
弾性を殆ど有しないのに比べ、非晶質合金から作製した
本発明のスリーブはばね特性に優れ、フェルールの繰返
し脱着に充分に耐えることができる。
【0029】図9は、前記したフェルール110のキャ
ピラリー111などの成形品の製造に適した装置の例を
示している。この場合、金属溶解装置10aの下端部
に、前記した噴射ノズルに代えて、中心部に下方に突出
したコアピン14を有するダイ13が取り付けられてお
り、またマンドレルが装着されていない以外は、金属溶
解装置10a、急冷用ロール20、二次成形用ロール3
0の構造、配置形態、製造条件等は図1に示す例の場合
と同様である。なお、コアピン14は細い連結部(図示
せず)によりダイ13に連結されている。このようなダ
イ13を用いることにより、コアピン14の直径に応じ
た細い中心貫通孔を有する毛細管状の成形品を製造する
ことができ、また、中心貫通孔のサイズはコアピン14
の直径を変えることにより任意に変更できる。
【0030】図10及び図11は、本発明の非晶質合金
成形品の製造方法の第二態様を実施するのに適した装置
の概略構成を示しており、図10は溶湯供給経路と第一
段冷却ゾーンを示し、図11は第二段成形加工冷却ゾー
ンを示している。図10において、溶湯供給経路は、取
鍋10bと、その下に配置され、溶湯の温度を均一に
し、かつ乱流を防止するための溶湯の溜り部としてのタ
ンディッシュ17とからなっているが、前記図1に示す
金属溶解装置のように、合金材料を溶解し、鋳型に流し
込める装置であればこの様な構成でなくてもよい。ま
た、溶湯の加熱方法、加熱温度、溶解雰囲気等の条件
は、前記図1に関連して説明した場合と同様である。
【0031】タンディッシュ17の下部には、オリフィ
ス状又はノズル状の鋳型25が配設されている。第一段
冷却ゾーンは、この鋳型25と、その下方のピンチロー
ル26との間のスプレー冷却ゾーンとからなるが、合金
成分としてZr等の反応性の高い金属を用いる場合に
は、反応の可能性があるため水スプレー冷却は採用しな
い。溶湯1を鋳型25に流し込むときには、まず、取鍋
10bの底部に形成された注湯口15を閉鎖しているス
トッパー16を引き上げて、図示のように重力により鋳
型25内に流し込んでもよいが、好ましくは溶湯にガス
圧付加したり、ピストン等により機械的に圧力を加えて
鋳造を行う。この時の鋳造圧力は、前記した例と同様に
0.1kgf/cm2以上となるように行う。鋳型25
から出てきた溶湯1は、スプレーにより合金材料のガラ
ス遷移温度(Tg)以上、結晶化温度(Tx)以下の過
冷却液体領域まで0.1K/秒以上の冷却速度で冷却さ
れ、図10に示すように外表面から徐々に凝固する。
【0032】第一段冷却ゾーンから出てくる一次成形材
2aは、鋳型25の孔形状に応じて板状又は棒状に一次
成形されており、ピンチロール26によって所定の速度
で引き出され、第二段成形加工冷却ゾーンへ送られる。
第二段成形加工冷却ゾーンは、図11に示すように、周
面輪郭が平板材を中空パイプ状に変形させるように段階
的に変化する複数対の対向する二次成形用ロール32a
〜32tからなる。一次成形材2aは、Tg以上、Tx
以下の温度に保ちながらこれらの二次成形用ロール間を
通過する間に、非晶質合金(金属ガラス)の過冷却液体
領域の粘性流動を利用した加工が行われ、中空パイプ状
又はスリットを有する中空パイプ状に多段ロール成形さ
れる。
【0033】本発明に用いる合金材料としては、実質的
に非晶質の合金からなる製品を得ることができる材料で
あれば全て使用可能であり、特定の材料に限定されるも
のではないが、中でも、ガラス遷移温度(Tg)と結晶
化温度(Tx)の温度差が極めて広い下記一般式で示さ
れる組成を有し、少なくとも体積率50%以上の非晶質
相を含む実質的に非晶質の合金が好ましい。 一般式:XaMbAlc 但し、XはZr及びHfから選ばれる1種又は2種の元
素、MはMn、Fe、Co、Ni及びCuよりなる群か
ら選ばれる少なくとも1種の元素を表わし、a、b、c
は原子%で、25≦a≦85、5≦b≦70、0<c≦
35である。これらのZr−TM−Al系及びHf−T
M−Al系(TM:遷移金属)非晶質合金は、特公平7
−122120号に記載されており、高強度、高耐食性
であると共に、過冷却液体領域(ガラス遷移領域)ΔT
x=Tx−Tgが30K以上、特にZr−TM−Al系
非晶質合金は60K以上と極めて広く、この温度領域で
は粘性流動により数10MPa以下の低応力でも非常に
良好な加工性を示す。また、冷却速度が数10K/秒程
度の鋳造法によっても非晶質バルク材が得られるなど、
非常に安定で製造し易い特徴を持っている。
【0034】本発明に利用されるこのZr−TM−Al
系及びHf−TM−Al系非晶質合金は、合金組成、測
定法によっても異なるが、非常に大きなΔTxの範囲を
持っている。例えばZr60Al15Co2.5Ni7.5Cu15
合金(Tg:652K、Tx:768K)のΔTxは1
16Kと極めて広い。耐酸化性も極めて良く、空気中で
Tgまでの高温に熱してもほとんど酸化されない。硬度
は室温からTg付近までビッカース硬度(Hv)で46
0(DPN)、引張強度は1,600MPa、曲げ強度
は3,000MPaに達する。熱膨張率αは室温からT
g付近まで1×10-5/Kと小さく、ヤング率は91G
Pa、圧縮時の弾性限界は4〜5%を超える。さらに靭
性も高く、シャルピー衝撃値で6〜7J/cm2を示
す。このように非常に高強度の特性を示しながら、ガラ
ス遷移領域まで加熱されると、流動応力は10MPa程
度まで低下する。このため極めて加工が容易で、低応力
で複雑な形状の微小部品や高精度部品に成形できるのが
本合金の特徴である。しかも、いわゆるガラス(非晶
質)としての特性から加工(変形)表面は極めて平滑性
が高く、結晶合金を変形させたときのように滑り帯が表
面に現われるステップなどは実質的に発生しない特徴を
持っている。
【0035】一般に、非晶質合金はガラス遷移領域まで
加熱すると長時間の保持によって結晶化が始まるが、本
合金のようにΔTxが広い合金は非晶質相が安定であ
り、ΔTx内の温度を適当に選べば2時間程度までは結
晶が発生せず、通常の成形加工においては結晶化を懸念
する必要はない。また、本合金は溶湯からの凝固におい
てもこの特性を如何なく発揮する。一般に非晶質合金の
製造には急速な冷却が必要とされるが、本合金は冷却速
度10K/秒程度の冷却で溶湯から容易に非晶質単相か
らなるバルク材を得ることができる。その凝固表面はや
はり極めて平滑であり、金型表面のミクロンオーダーの
研磨傷でさえも忠実に再現する転写性を持っている。従
って、本発明の方法における非晶質合金材料として本合
金を適用すれば、二次成形用ロール及びマンドレルの表
面がスリーブの要求特性を満たす表面品質を持っておれ
ば、成形材の寸法調整、表面粗さ調整の工程を省略又は
短縮することができる。
【0036】以上のように、比較的低い硬度、高い引張
強度及び高い曲げ強度、比較的低いヤング率、高弾性限
界、高耐衝撃性、表面の平滑性、高精度の鋳造又は加工
性を併せ持った特徴は、光コネクタフェルール用スリー
ブの材料として適しているばかりでなく、本発明の成形
加工方法を適用することにより、種々の断面形状を持つ
非晶質合金成形品の量産を可能にする。なお、前記一般
式XaMbAlcで示される非晶質合金は、5原子%以
下の割合でTi、C、B、Ge、Biなどの元素を含有
する場合でも、上記と同様の特性を示す非晶質合金が得
られる。
【0037】なお、本発明に用いる非晶質合金材料は前
記したものに限定されるものではなく、成形加工を行え
る適度の範囲の過冷却液体領域ΔTxを持つものであれ
ば全て使用できる。例えば、特開平5−309427号
に記載の一般式Al100-(m+n )1 m1 n(但し、M1はT
i、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、
Nb、Mo、Hf、Ta及びWよりなる群から選ばれる
少なくとも1種の元素、X1はY、La、Ce、Nd、
Sm及びGdよりなる群から選ばれる少なくとも1種の
元素又はMm(ミッシュメタル)を表わし、m及びnは
原子%でそれぞれ55%以下及び30〜90%の範囲内
にあり、かつ(m+n)が50%以上である。)で示さ
れる組成を有するもの、一般式Mgx2 yLnz又はMg
x2 y2 qLnz(但し、M2はCu、Ni、Sn及びZ
nよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、X2
はAl、Si及びCaよりなる群から選ばれる少なくと
も1種の元素、LnはY、La、Ce、Nd、Sm及び
Gdよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素又は
Mmを表わし、x、y、z及びqは原子%でそれぞれ4
0〜90%、4〜35%、4〜25%及び2〜25%の
範囲内にある。)で示される組成を有するものなどが挙
げられる。
【0038】
【実施例】以下、本発明の方法を具体的に適用した実施
例を示すが、本発明が下記実施例に限定されるものでな
いことはもとよりである。
【0039】実施例1 図1に示す装置及び図3に示す断面形状のマンドレルを
用いて、以下のようにしてスリット付きパイプを作製し
た。まず、装置全体を真空の雰囲気(10-4Torr)
にした。次に、高周波コイル12を装着した金属溶解装
置10としてのφ3.5mmの孔の開いた石英ノズル1
1をセットし、該石英ノズルの中に金属ガラスZr55
10Ni5Cu30(原子%)の合金20gをセットし
た。次いで、ノズルの孔の中心に、スリット付きパイプ
が作製できるように外周面に軸線方向に1個の突条42
を形成したφ2.48mmのマンドレル40aをセット
し、マンドレルの先端部41を急冷用ロール20の双ロ
ール周面により形成される円形孔の中を通し、二次成形
用ロール30手前までおろし、石英ノズル上部で固定し
た。なお、マンドレルは加熱し、用いる金属ガラスの過
冷却液体領域の450℃にセットした。急冷用ロール2
0としては一対の銅製のロールを用い、双ロールのつき
合わされた周面間にφ3.1mmの円形孔が形成される
ように、各ロール周面に半円形凹部22が形成されたも
のを用いた。急冷用ロールもマンドレルと同様に加熱
し、用いる金属ガラスの過冷却液体領域の450℃にセ
ットした。二次成形用ロール30としては一対の銅製の
ロールを用い、双ロールのつき合わされた周面間にφ
3.04mmの円形孔が形成されるように、各ロール周
面に半円形凹部31が形成されたものを用いた。上記急
冷用ロール及び二次成形用ロールは共に周速度が10m
m/秒になるように回転させておく。石英ノズル中の金
属ガラスを高周波により溶解させ、1,100℃以上ま
で溶湯温度を上昇させて金属ガラスが溶融し、充分溶湯
温度が安定した後、ノズルの先端を急冷用ロールの中心
(双ロールの間の部分)から0.5mmのところまで近
づけた。次いで、ノズルの中に0.5気圧のHeガスを
導入し、溶融金属ガラスに射出圧力をかけ、ノズルの先
端から急冷用ロールに向かって溶融金属ガラスを射出し
た。それによって、マンドレルとノズルのすき間を通っ
て溶融金属ガラスが射出され、急冷用双ロールにより、
パイプ状に加工されると共に、過冷却液体領域まで冷却
された。スリットの付いたパイプ状に加工された金属ガ
ラスは、二次成形用ロールにより急冷用ロールから引っ
張り出されると同時に、パイプ外径に精度が与えられ、
常温に近い状態まで冷却されて二次成形用ロールから排
出され、最終的に外周3.04mm×内径φ2.48m
mのスリット入り金属ガラスパイプが作製された。この
スリット入り金属ガラスパイプを11.4mm間隔で切
断することにより、光コネクタ部品である割スリーブを
作製した。
【0040】実施例2 図10及び図11に示す装置を用いて、以下のようにし
てスリット付きパイプを作製した。まず、装置全体(溶
湯供給経路、第一段冷却ゾーン、第二段成形加工冷却ゾ
ーン)を真空に引いた後、Arガスを導入して760T
orrの圧力にセットした。次に、図10に示す溶湯供
給装置(取鍋10b)内にZr55Al10Ni5Cu
3 0(原子%)の合金を入れ、高周波溶解により加熱し
た。溶湯が1,200℃で安定した状態になった後、取
鍋のストッパー16を開き、鋳型25(0.28×9m
mの薄板が作製されるような孔があけてある)に溶湯を
流し込んだ。鋳型より出てきた薄板2aは、第一段冷却
ゾーンで450℃まで100K/秒の速度で冷却され、
450℃の温度を保ったまま、第一段冷却ゾーンの直後
にある第二段成形加工冷却ゾーンの多段二次成形ロール
32a〜32tにより管状にロール成形された。第二段
成形加工冷却ゾーンの各二次成形用ロールは、薄板と同
じ450℃に保たれており、金属ガラス特有の過冷却液
体領域の粘性流動を利用して加工するものであり、この
ロール成形により最終的にはスリットのついた外径3m
m程度のパイプが作製された。このパイプは、11.4
mmの長さに切断することにより、光ファイバのコネク
タ部分に使用されるスリーブとして利用できる。
【0041】一般に光コネクタ用スリーブは、りん青銅
やジルコニアにより機械加工により作製されているた
め、多くの加工、成形工程が必要であり、高い加工コス
トが必要となっている。また、スリーブには0.5μm
以下の表面粗さが必要である。この精度を出すため、超
精密な加工が必要となり、このことがコストを上げてい
る原因となっていた。これに対して、本発明の方法を用
いて金属ガラススリーブを作製した場合、製造コストを
大幅に下げることができる。その理由として、1回の製
造工程でスリーブが作製できることがあげられる。金属
ガラスはその特徴により1回の鋳造で表面粗さを0.5
μm以下と非常に小さくすることができるため、コスト
を上げている原因の超精密な加工が不必要となる。ま
た、過冷却液体領域の粘性流動を利用してロール成形を
行うことで、簡易に、短時間で多くのパイプ状の製品を
作製することができる。このため、本発明の方法を利用
すれば、通常のスリーブと比較して大幅にコストを下げ
ることが可能である。また、金属ガラスの特性として、
耐食性に優れ、強度も高く、また、ジルコニアと比較し
て割れにくいため、信頼性はジルコニア以上の材料であ
る。このように信頼性の高い金属ガラス製スリーブを安
価に作製できるため、光通信分野に大きく貢献できる。
【0042】
【発明の効果】以上のように、本発明の非晶質合金成形
品の製造方法によれば、丸棒状、角棒状、丸パイプ状、
角パイプ状、スリット付きパイプ状等の種々の断面形状
の長尺成形品を、非晶質合金の過冷却液体領域の粘性流
動を利用したロール成形により、一回の製造工程でエネ
ルギー効率よく低コストで製造することができる。ま
た、特に急冷用ロールと二次成形用ロールを組み合わせ
て用いる第一態様の方法の場合、中空パイプに軸線方向
にスリットを形成したり、内周面に軸線方向に複数の突
条を形成することも簡単に行うことができる。得られる
成形品は非晶質合金からなるため、表面平滑性や寸法精
度に優れると共に、耐食性に優れ、強度も高く、またセ
ラミックスに比べて割れ難いため、信頼性にも優れてい
る。従って、得られる非晶質合金成形品は種々の分野に
利用でき、特にスリーブ等の光コネクタ部品として特に
有利に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の非晶質合金成形品の製造に用いる装置
の一例の概略構成図である。
【図2】一対の急冷用ロールとマンドレルの組合せ状態
を示す部分断面図である。
【図3】一対の急冷用ロールと他のマンドレルの組合せ
状態を示す部分断面図である。
【図4】別の例の急冷用ロールとマンドレルの組合せ状
態を示す部分断面平面図である。
【図5】一対の急冷用ロールとさらに別のマンドレルの
組合せ状態を示す部分断面図である。
【図6】作製した光コネクタ用スリーブの一例を示す斜
視図である。
【図7】光コネクタ用スリーブの使用形態を示す部分断
面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線断面図である。
【図9】本発明の非晶質合金成形品の製造に用いる装置
の他の例の概略構成図である。
【図10】本発明の非晶質合金成形品の製造に用いる装
置の別の例の第一段冷却ゾーンの概略構成図である。
【図11】本発明の非晶質合金成形品の製造に用いる装
置の別の例の第二段成形加工冷却ゾーン(多段ロール成
形)の概略構成図である。
【符号の説明】
1 溶湯 2,2a 一次成形材 10,10a 金属溶解装置 10b 取鍋 11 噴射ノズル 12 高周波コイル 13 ダイ 14 コアピン 15 注湯口 16 ストッパー 17 タンディッシュ 20,20a 急冷用ロール 22,22a 半円形凹部 23 環状突起 25 鋳型 26 ピンチロール 30 二次成形用ロール 31 半円形凹部 32a〜32t 二次成形用ロール 100 スリーブ 110 光コネクタ用フェルール 111 キャピラリー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C22C 45/10 C22C 45/10 G02B 6/36 G02B 6/36 (56)参考文献 特開 平3−253525(JP,A) 特開 昭56−11147(JP,A) 特開 平9−47849(JP,A) 特開 平1−210151(JP,A) 特開 平4−17962(JP,A) 特開 平9−122832(JP,A) 特開 平3−158446(JP,A) 特開 平5−104127(JP,A) 特開 平5−309427(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 11/06 360 B22D 11/00 C22C 1/00 C22C 1/02 501 C22C 16/00 C22C 45/10 G02B 6/36

Claims (19)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非晶質合金を生じ得る合金材料の溶湯
    を、第一段冷却ゾーンを通過させて合金材料のガラス遷
    移温度(Tg)以上、結晶化温度(Tx)以下の温度に
    冷却し、所定の断面形状を付与する一次成形段階、及び
    上記第一段冷却ゾーンの下流側に位置する第二段成形加
    工冷却ゾーンにおいて、所定の形状の周面輪郭を持つ少
    なくとも一対の対向する二次成形用ロール間を通過させ
    て棒状又は管状の所定の断面形状に成形する二次成形段
    階を含むことを特徴とする非晶質合金成形品の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 非晶質合金を生じ得る合金材料の溶湯
    を、第一段冷却ゾーンにおいて、通過する溶湯の断面形
    状を規制する所定の凹状の周面輪郭を持つ一対の対向す
    る急冷用ロール間を通過させ、合金材料のガラス遷移温
    度(Tg)以上、結晶化温度(Tx)以下の温度に冷却
    して棒状又は管状の所定の断面形状を付与する一次成形
    段階、及び上記急冷用ロールの下流側に位置する第二段
    成形加工冷却ゾーンにおいて、通過する一次成形後の材
    料の断面形状を規制する所定の凹状の周面輪郭を持つ一
    対の対向する二次成形用ロール間を通過させ、棒状又は
    管状の所定の断面形状に成形する二次成形段階を含むこ
    とを特徴とする非晶質合金成形品の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記一次成形段階において、一対の急冷
    用ロールの対向する凹状周面により形成される空間内
    に、該空間よりも小さな断面寸法のマンドレルを挿入
    し、該マンドレルの周囲に溶湯を流し、管状に成形する
    ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記マンドレルの外周面に、上面が一方
    の急冷用ロールの凹状周面に接触する高さの突条が軸線
    方向に形成されており、軸線方向にスリットを有する管
    状に成形することを特徴とする請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記マンドレルの外周面に軸線方向に複
    数の溝が形成されており、内周面に軸線方向に複数の突
    条が形成された管状に成形することを特徴とする請求項
    3又は4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記一対の急冷用ロールの一方のロール
    の凹状周面に、円周方向に沿って少なくともマンドレル
    の外周面に達する高さの環状の突起が形成されており、
    軸線方向にスリットを有する管状に成形することを特徴
    とする請求項3又は5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記一対の急冷用ロール及び/又はマン
    ドレルを、合金材料のガラス遷移温度(Tg)以上、結
    晶化温度(Tx)以下の温度に加熱しておくことを特徴
    とする請求項2乃至6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記一対の二次成形用ロールが、それら
    を突き合わせたときの対向する凹状周面間に形成される
    空間の断面寸法が前記一対の急冷用ロールの対向する凹
    状周面間に形成される空間の断面寸法よりも若干小さく
    なる外形寸法であり、かつ急冷用ロールの凹状周面輪郭
    と相似形の凹状周面輪郭を有することを特徴とする請求
    項2乃至7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記一対の二次成形用ロールが10〜1
    00℃の温度であることを特徴とする請求項2乃至8の
    いずれか一項に記載の方法。
  10. 【請求項10】 非晶質合金を生じ得る合金材料の溶湯
    を、第一段冷却ゾーンを通過させて合金材料のガラス遷
    移温度(Tg)以上、結晶化温度(Tx)以下の温度に
    冷却し、所定の断面形状を付与する一次成形段階、及び
    上記第一段冷却ゾーンの下流側に配置され、かつ所定の
    形状の周面輪郭を持つ複数対の対向する二次成形用ロー
    ル間を通過させ、管状の所定の断面形状に多段成形する
    二次成形段階を含むことを特徴とする非晶質合金管状成
    形品の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記二次成形段階において、一次成形
    後の合金材料をそのガラス遷移温度(Tg)以上、結晶
    化温度(Tx)以下に温度を保持しながら複数対の二次
    成形用ロール間を通過させて多段成形し、その後室温ま
    で0.1〜103K/秒の冷却速度で冷却することを特
    徴とする請求項10に記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記一次成形段階において、溶湯をオ
    リフィス、ノズル又はダイを通過させて棒状又は中空パ
    イプ状断面形状に一次成形することを特徴とする請求
    項1又は2に記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記一次成形段階において、溶湯をオ
    リフィス、ノズル又はダイを通過させて板状の断面形状
    に一次成形することを特徴とする請求項10又は11に
    記載の方法。
  14. 【請求項14】 第一段冷却ゾーンにおいて0.1〜1
    3K/秒の冷却速度で冷却することを特徴とする請求
    項1乃至13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 【請求項15】 前記合金材料の溶湯を第一段冷却ゾー
    ンに導入する前の溶湯供給経路に、溶湯の溜り部を設
    け、該溜り部にて溶湯温度を制御することを特徴とする
    請求項1乃至14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 【請求項16】 前記合金材料の溶湯を第一段冷却ゾー
    ンに導入するにあたり、0.1〜100kgf/cm2
    だけ加圧して導入することを特徴とする請求項1乃至
    のいずれか一項に記載の方法。
  17. 【請求項17】 加圧手段として溶湯ポンプ、プランジ
    ャ又は溶湯室を気体加圧する間接加圧を用いることを特
    徴とする請求項16に記載の方法。
  18. 【請求項18】 前記合金材料が、一般式XaMbAl
    c(但し、XはZr及びHfから選ばれる1種又は2種
    の元素、MはMn、Fe、Co、Ni及びCuよりなる
    群から選ばれる少なくとも1種の元素を表わし、a、
    b、cは原子%で、25≦a≦85、5≦b≦70、0
    <c≦35の範囲内にある。)で示される組成を有し、
    少なくとも50%(体積率)の非晶質相を含む非晶質合
    金成形品を製造することを特徴とする請求項1乃至17
    のいずれか一項に記載の方法。
  19. 【請求項19】 成形品が、光コネクタフェルール同士
    を突き合わせ整列して保持するためのスリーブであるこ
    とを特徴とする請求項1乃至18のいずれか一項に記載
    の方法。
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