JP2007118029A - アルミニウム又はアルミニウム合金長尺材の連続製造方法と、それに使用される凝固ロールと連続製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】溝がロール外周面周方向にリング状に形成された一つの凝固ロールを、その外周面を受け材に対向させて又は対向させずに回転させ、回転中にその溝内にアルミニウムの溶湯を連続供給して溝内で急冷凝固し、そのアルミニウムを当該溝から連続的に送り出して長尺材を製造するようにした。溝が周方向にリング状に形成された二つの凝固ロールを、それら溝を対向させて回転させ、回転中に夫々の溝にアルミニウムの溶湯を連続供給して夫々の溝内で急冷凝固し、そのアルミニウムを夫々の溝から連続的に送り出しながらそれらの半凝固状態の自由凝固部同士を突合せ接合させて長尺材を製造するようにした。突合せ接合されるアルミニウムの自由凝固部内でネジ形成軸を回転させてネジ付き長尺材を製造するようにした。
【選択図】 図1
Description
(1)溝内への溶湯供給量を溝に沿って薄く広がる程度にすれば、半割れパイプを連続製造することができる。
(2)溝内への溶湯供給量を溝内に充満する程度に多くすれば、半割れ棒を連続製造することができる。
(3)溝内への溶湯供給を溝内の途中まで充満する程度にすれば、断面形状が異形の半割れ棒を連続製造することができる。
(4)凝固ロールの溝形状を変えれば、外形の一部又は全部が溝形状と同じであるアルミニウム長尺材を連続製造することができる。
(5)凝固ロールの溝に受け材を対向させて、製造される棒やパイプの外側面を受け材に接触させれば、外側面の形状が安定したアルミニウム長尺材を製造することができる。
(6)溶湯を凝固ロールの溝に供給するだけで所望形状の長尺材を連続製造することができるため、製造工程が簡略化されて設備費が大幅に削減され、製造装置の小型化、製造作業の省力化ができ、それにも拘わらず生産性が向上するため、コスト安のアルミニウム長尺材を連続製造することができる。
(1)両凝固ロールの夫々の溝内への溶湯の供給量を、夫々の溝に沿って薄く広がる程度にすれば、夫々の溝で形成された半割れパイプが突合せ接合されたパイプが連続製造される。
(2)夫々の溝内へのアルミニウム溶湯の供給量を、夫々の溝に充満する量にすれば、夫々の溝で形成された半割れ棒が突合せ接合されて棒材が連続製造される。
(3)凝固ロールの溝形状を変えれば、外形が溝と同じ形状である長尺材を連続製造することができる。
(4)溶湯を凝固ロールの溝に供給するだけで長尺材を連続製造できるため、製造工程が簡略化され、設備費も大幅に削減され、製造装置が小型化され、製造作業が省力化でき、それにも拘わらず生産性が向上するため、コスト安のアルミニウム長尺材を連続製造することができる。
(1)一つの凝固ロールに同一形状の二本以上の溝がある場合は、一つの凝固ロールで同時に同じ形状の長尺材を、溝が一本の場合よりも二倍以上製造できるので量産に適する。
(2)一つの凝固ロールに、形状の異なる二本以上の溝がある場合は、一つの凝固ロールで同時に形状の異なる2種類以上の長尺材を製造できるため、多品種生産に適する。
(3)冷媒通路に冷媒を流しながら溝内の溶湯を急冷凝固できるため、従来のように、アルミニウムに外部から冷水をかけるための液体噴射ノズルを必要としないため、アルミニウム製造装置が簡潔になり、小型化される。
(1)構成が簡潔で、小型の製造装置となる。
(2)ノズルの出口を凝固ロールの溝の上方に配置して、溶湯を溝の上方から注入できるようすれば、溝内へのアルミニウム溶湯の供給が確実になり、溶湯が溝の外にこぼれたり溢れたりすることもなく、アルミニウム溶湯の無駄がほとんどなく、長尺材のコスト削減に寄与できる。
(3)ノズル位置を、凝固ロールによる掻き上げに適した高さにすれば、凝固ロールの回転で自動的に掻き上げることもできる。
(4)冷媒通路に冷媒を流して溝内の溶湯を急冷凝固させることで、製造される長尺材の機械的性質及び鍛造性の向上が期待でき、鍛造素材として適したものとなる。ちなみに、アルミニウムの鍛造加工・押出加工などの塑性加工性も、機械的性質と同様に金属組織因子の大きさによって影響を受け、特に、鍛造性に代表される塑性加工性は鍛造用素材としてDASが20μmになると飛躍的に良好になると報告されている。
(5)急冷凝固により組織を微細にした長尺材の製造が可能であるため、鍛造用素材として一般的な6000系アルミやパイプ材としての4000系などはもとより、これまで困難だった過共晶Al−Si系合金をはじめとした、Al−Si系合金の長尺材への適応が容易となり、産業界への応用・展開が可能となる。過共晶Al−Si系合金を含めたAl−Si系合金は耐摩耗性、低熱膨張係数、高強度等の特性が良好なため、新しいアルミニウム鍛造の適用範囲が広がることが考えられる。
(6)製造された長尺材は限界圧縮率が大きい(変形し易い)ことが望まれる。限界圧縮率は圧縮が進んだときに素材の外周に亀裂や割れが入る限界を言う。本願発明ではアルミニウムを半凝固状態で急冷するため、アルミニウムの結晶粒が微細となり限界圧縮率が高まる。
本願発明のアルミニウム長尺材の連続製造方法、それに使用される凝固ロール及び製造装置の実施形態の例を、図面を参照して以下に説明する。
本願発明のアルミニウム長尺材の連続製造方法の第2の実施形態を図2に示す。この実施形態は図1の凝固ロール3と同じ形状、構造の凝固ロール3を使用するが、図1と異なるのは凝固ロール3の外周面に板状の受け材9を宛がうこと、溶湯4を凝固ロール3の回転で溝2内に掻き上げること、溝2から送り出される半凝固状態のアルミニウムの自由凝固部(外側面)8を受け材9に接触させることである。この場合、溶湯4の掻き上げ量を溝2内に充満する量とすることにより、溝2から送り出される長尺材6の断面形状を図2(b)のように円弧面7が溝2と同じ形状で、外側面8が平面状の半割れ棒とすることができる。外側面8は凝固中に受け材9と接触しているため凹凸のある自由凝固部(面)の表面が滑らかになる。
本願発明のアルミニウム長尺材の連続製造方法の第3の実施形態を図4(a)(b)に示す。この実施形態はロール1の外周面周方向に溝2がリング状に形成された二つの凝固ロール3を、溝2同士を対向させて配置した2ロール方式(双ロール方式)である。この実施形態では、両凝固ロール3を回転させ、回転中に夫々の凝固ロール3の溝2にアルミニウム溶湯4をノズル5から連続注入し、そのアルミニウムを夫々の溝2内で急冷凝固させて溝2から送り出す方法である。この場合、溝2への溶湯4の供給量を、夫々の溝2内に充満する量にして、溝2内で急冷凝固されるアルミニウムが溝2と同じ外形の半割れ棒12(図5a)となるようにし、夫々の溝2から送り出される半割れ棒12の自由凝固面(外側面)8同士を突合わせ接合することにより、丸棒の長尺材6(図5a、b)を両溝2間から連続的に送り出す方法である。
本願発明のアルミニウム長尺材の連続製造方法の第4の実施形態は、図4(a)(b)において、凝固ロール3の溝2に供給する溶湯4を、夫々の溝2の内周面に沿って広がる程度の量として、溶湯4が溝2内で半割れパイプ10(図5c)に凝固されるようにし、その半割れパイプ10の自由凝固端部(開口端面)11同士を突合わせ接合することにより丸パイプの長尺物6(図5c、d)を製造する方法である。
本願発明のアルミニウム長尺材の連続製造方法の第4の実施形態を図6に示す。この実施形態は溶湯4を凝固ロール3の回転で溝2内に掻き上げる方法である。この場合も、溶湯4の掻き上げ量を調節することにより、溝2から送り出されるアルミニウムを半割れ棒12(図5a)とし、その自由凝固面(開口端面)8同士を突合わせ接合することにより、丸棒の長尺物6(図5a、b)を製造する方法である。
図7は断面H形の棒材の製造方法であり、この製造方法ではロール1の外周面周方向にコ字状(H形の半割れ形状)の溝2がリング状に形成された二つの凝固ロール3を、溝2を対向させて配置して、対向する両溝2間にH字状の空間13を形成し、両凝固ロール3の回転中に夫々の溝2に溶湯を連続供給し、夫々の溝2への供給量を夫々の溝2内に充満する量として、夫々の溝2内でコ字形の棒(H字形の半割れ棒)に凝固させ、その半割れ棒を夫々の溝2から送り出しながらそれらの自由凝固面(外側面)同士を突合わせ接合させてH字状の長尺物にして連続的に送り出す方法である。
本発明の長尺物製造方法で使用される凝固ロール3は溝2が他の断面形状のものであってもよい。例えば、外向きコ字形の溝が形成されたものでもよい。この凝固ロールを使用して、その溝にアルミニウム溶湯を供給し、その供給量を溝に充満する量として、夫々の溝2内で凝固されるアルミニウムを半割れ角棒にし、溝から送り出される半割れ角棒の自由凝固面(外側面)同士を突き合わせ接合すれば任意断面の角棒を連続製造することができる。
凝固ロール3は図8のようにロール外周面に二本以上の溝2がリング状に形成されたものでもよい。図8の溝2はサイズの異なる同じ形状であるが、溝2の形状やサイズは異なるものでもよい。
本願発明では、前記実施形態において、凝固ロール3の溝2内で急冷凝固された半凝固状態のアルミニウムの自由凝固部に、溶湯材料とは異種の材料を供給し、自由凝固部と異種材料を一体にして複合化させながら溝2から連続的に送り出すことができる。異種材料としては、引張強さ、耐力、耐摩耗性、耐熱性、耐温性等に優れた材料が好ましく、例えば、金属、合金、カーボン等があり、それらの長繊維、粒子、薄片といった各種形状、サイズのものが考えられる。
前記した2ロール式の実施形態では、図5(a)(c)のように、突合わせ接合される半割れ棒、半割れパイプ間に図3(a)〜(c)のいずれかの軸29を固定又は回転自在に配置することにより、凝固ロール3の溝2間から送り出されるパイプ内面の長手方向に直線溝又は螺旋溝(ネジ)が形成された溝付き或はネジ付きの棒、パイプを製造することができる。この場合も、直線突起30、螺旋突起31の高さ、幅等を異なるものとすることにより、各種サイズ、寸法の溝やネジが形成されたパイプを製造することができる。また、前記軸29を設けることにより、アルミニウムの自由凝固部(面)がその軸と接触して自由凝固部(面)の凹凸が平滑になる。
前記いずれの実施形態においても図9のように、凝固ロール3の溝と、その溝内の凝固アルミニウムとの間にドクターナイフとか他の形状、構造の分離器32を配置することにより、溝内の凝固アルミニウムを溝から円滑に剥離することができ、長尺材の連続製造がスムースになる。分離器32も製造装置のフレームに高さ設置して、凝固ロールの直径、溝の深さ等に合せて分離に適した位置に調節できるようにしてある。
前記いずれの実施形態で使用される凝固ロール3も、その内部に図10に示すように冷媒通路20が形成されている。冷媒は外部の冷媒供給部からロータリージョイント21で連結されている回転軸22の連通路23に供給され、この連通路23から凝固ロール3内の冷媒通路20に送られて、溝2内のアルミニウムを急冷凝固させることができるようにしてある。冷媒は図9に矢印で示すように、回転軸22の連通路23の往路→凝固ロール3の冷媒通路20の往路→凝固ロール3の冷媒通路20の復路→回転軸22の連通路24の復路を通って循環するようにしてある。
前記実施形態で使用される凝固ロール3は凝固装置のフレームに設置されている。凝固ロール3は図2(a)のように受け材9と組み合わせて使用する場合は、受け材9と凝固ロール3の外周面を対向させてフレームに設置する。受け材9と凝固ロール3はその間の間隔を調節できるように、いずれか一方又は双方を互いに接近、離間できるようにスライド可能にフレームに取り付けてある。
2 溝
3 凝固ロール
4 アルミニウム溶湯
5 ノズル
6 長尺材
6a 半割れパイプの内面
7 円弧面
8 半割れ棒の外側面(大気側面:自由凝固面)
9 受け材
9a 受け材の膨出部
9b 受け材の突起
9c 受け材のV字状突起
10 半割れパイプ
11 半割れパイプの自由凝固面(開口端面)
12 半割れ棒
13 空間
20 冷媒通路
21 ロータリージョイント
22 回転軸
23 連通路
24 ノズルの出口
25 ノズルの側壁
26 差込み溝
27 オリフィス用板
28 オリフィス
29 軸
30 直線突起
31 螺旋突起(傾斜突起)
32 分離器
Claims (8)
- 溝がロール外周面周方向にリング状に形成された一つの凝固ロールを、その外周面を受け材に対向させて又は対向させずに回転させ、回転中にその溝内にアルミニウム又はアルミニウム合金の溶湯を連続供給して溝内で急冷凝固させ、そのアルミニウム又はアルミニウム合金を当該溝から連続的に送り出して長尺材にすることを特徴とするアルミニウム又はアルミニウム合金長尺材の連続製造方法。
- 溝がロール外周面周方向にリング状に形成された二つの凝固ロールを、それら溝を対向させて回転させ、回転中に夫々の溝内にアルミニウム又はアルミニウム合金の溶湯を連続供給して夫々の溝内で急冷凝固させ、そのアルミニウム又はアルミニウム合金を夫々の溝から連続的に送り出しながらそれらアルミニウム又はアルミニウム合金の半凝固状態の自由凝固部同士を突合せ接合させて、長尺材にすることを特徴とするアルミニウム又はアルミニウム合金長尺材の連続製造方法。
- 請求項1又は請求項2記載のアルミニウム又はアルミニウム合金長尺材の連続製造方法において、凝固ロールの溝内で急冷凝固されるアルミニウム又はアルミニウム合金の半凝固状態の自由凝固部に溶湯材料とは異種の材料を供給して両者を複合化しながら溝から連続的に送り出すことを特徴とするアルミニウム又はアルミニウム合金長尺材の連続製造方法。
- 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のアルミニウム又はアルミニウム合金長尺材の連続製造方法において、凝固ロールの溝内で急冷凝固されるアルミニウム又はアルミニウム合金の半凝固状態の自由凝固部に一つ乃至二つ以上の突起が形成された軸を固定或は回転させて配置することにより、溝からの連続送り出し中に前記自由凝固部の長手方向に溝又はネジを形成して、内面が溝付き又はネジ付きの長尺材を製造することを特徴とするアルミニウム又はアルミニウム合金長尺材の連続製造方法。
- 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のアルミニウム又はアルミニウム合金長尺材の連続製造方法に使用される凝固ロールであり、溝がロールの外周面周方向に一本又は二本以上のリング状に形成され、二本以上の溝は形状又はサイズが同じ又は異なるものであり、ロール内に、外部から供給される冷媒が流れて凝固ロールを冷却する冷媒通路を備えたことを特徴とするアルミニウム又はアルミニウム合金長尺材の連続製造用凝固ロール。
- 内部に冷媒通路を備えたロールの外周面周方向に一本又は二本以上の溝がリング状に形成された凝固ロールと、その溝にアルミニウム又はアルミニウム合金の溶湯を供給するノズルと、前記冷媒通路に冷媒を供給する冷媒供給体を備えたことを特徴とするアルミニウム又はアルミニウム合金長尺材の連続製造装置。
- 請求項6記載のアルミニウム又はアルミニウム合金長尺材の連続製造装置において、凝固ロールの溝の下方に、溝内で冷却凝固されたアルミニウム又はアルミニウム合金を溝から剥離する剥離装置を備えたことを特徴とするアルミニウム又はアルミニウム合金長尺材の連続製造装置。
- 請求項6又は請求項7記載のアルミニウム又はアルミニウム合金長尺材の連続製造装置において、一つの凝固ロールの溝内又は対向する二つの凝固ロールの溝間に軸が固定又は回転自在に配置され、その軸の外周に、溝から連続的に送り出されるアルミニウム又はアルミニウム合金の半凝固状態の自由凝固部に溝又はネジを形成する一つ乃至二つ以上の突起が形成されていることを特徴とするアルミニウム又はアルミニウム合金長尺材の連続製造装置。
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