JP2009173964A - 金属ガラス合金複合体、及び金属ガラス合金複合体の製造方法 - Google Patents

金属ガラス合金複合体、及び金属ガラス合金複合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】組成及び特性の異なる金属ガラス合金を複数組み合わせた金属ガラス合金複合体、及びその金属ガラス合金複合体の製造方法を提供する。
【解決手段】所定の組成の金属ガラス合金からなるバルク材を鋳造し、これを該バルク材より大きい成形型のキャビティに挿入し、当該バルク材とは異なる組成の金属ガラス合金からなる溶湯を前記キャビティの空所に充填し凝固させる多段階鋳造を行うことで、前記バルク材を当該バルク材とは異なる組成の金属ガラス合金で取り囲む。これにより、所定の組成の金属ガラス合金からなる芯材を、当該芯材とは異なる組成の金属ガラス合金からなる外方材で内包した金属ガラス合金複合体が得られる。
【選択図】図2

Description

本発明は、組成及び特性の異なる金属ガラス合金を複数組み合わせた金属ガラス合金複合体、及び金属ガラス合金複合体の製造方法に関する。
特定の金属材料を主成分とし、所定の条件を満たす元素を含む材料を混合した原材料を、溶融状態から極めて急速に冷却すると、結晶が形成される前のランダムな非晶質状態の合金が形成される場合がある。このような合金は、所定の温度領域においてガラスのように振る舞うことから、「金属ガラス」と呼ばれる。
このような金属ガラス合金は、従来の金属材料と比較して、高強度、低ヤング率、高耐食性等の優れた特性を備えていることから、歯車のような各種の機械部品をはじめ、化学プラント部品、医療機器部品を構成する材料として期待されている。
金属ガラスを接合する方法としては、摩擦接合による方法(例えば、特許文献1参照)や、レーザー接合による方法(例えば、特許文献2参照)が知られている。
特開2003−285170号公報 特開2005−246433号公報
ところで、金属ガラス合金は、上述したように高強度、低ヤング率、高耐食性等の優れた特性を備えているが、一般にこれらの特性はトレードオフの関係にあるため、応用を考慮した場合、異なる特性を有する金属ガラス合金を組み合わせた複合材料として使用できることが望ましい。
しかしながら、上記各特許文献に記載の金属ガラスの接合方法では、金属ガラス合金の複合体を作製することができない。
そこで、本発明は、組成及び特性の異なる金属ガラス合金を複数組み合わせた金属ガラス合金複合体、及びその金属ガラス合金複合体の製造方法を提供することを課題としている。
上記課題を解決するために、第1の発明に係る金属ガラス合金複合体は、複数の異なる組成の金属ガラス合金が一体形成されていることを特徴としている。
これにより、一般にトレードオフの関係にある複数の特性を併せ持つ優れた金属ガラス合金とすることができ、様々な製品に応用することができる。
また、第2の発明は、第1の発明において、所定の組成の金属ガラス合金からなる芯材と、芯材を内包し、当該芯材とは異なる組成の金属ガラス合金からなる外方材とを備えることを特徴としている。
これにより、例えば、芯材にPd‐Ni‐Cu‐P系金属ガラス合金、外方材にアレルギー反応を示すNiを含まないCo基金属ガラス合金を適用することで、生体内でも使用可能な高強度特性に優れた材料とすることができるなど、芯材となる金属ガラス合金の弱点を補った材料とすることができる。
さらに、第3の発明は、第2の発明において、芯材は低ヤング率の特性を有し、外方材は高強度の特性を有することを特徴としている。
これにより、高いガラス形成能と高強度特性とを兼ね備えた金属ガラス合金複合体とすることができ、比較的大型で高強度なバルク金属ガラスとすることができる。
また、第4の発明は、第2の発明において、芯材は低ヤング率の特性を有し、外方材は高耐食性の特性を有することを特徴としている。
これにより、高いガラス形成能と高耐食性とを兼ね備えた金属ガラス合金複合体とすることができ、外方材としてアレルギー反応を示すNiを含まない材料を適用すれば、優れた特性の生体材料(人工関節等)として使用することができる。
さらに、第5の発明に係る金属ガラス合金複合体の製造方法は、ΔTx=Tx−Tg(ただしTxは結晶化開始温度、Tgはガラス遷移温度を示す。)の式で表される過冷却液体の温度間隔ΔTxが40K以上の金属ガラス合金からなるバルク材を、バルク材より大きい成形型のキャビティに挿入し、温度間隔ΔTxが40K以上で、且つバルク材とは異なる組成の金属ガラス合金からなる溶湯をキャビティの空所に充填し凝固させて、異なる組成の金属ガラス合金が一体形成された複合体を成形する多段階鋳造工程を備えることを特徴としている。
このように多段階鋳造を行うことで、複数の異なる組成の金属ガラス合金を一体形成させることができ、従来の接合方法では成し得なかった、組成及び特性の異なる金属ガラス合金を複数組み合わせた金属ガラス合金複合体の作製を実現することができる。また、このとき、過冷却液体の温度間隔ΔTxが40K以上のものを適用するので、多段階鋳造を行っても非晶質相を主体とする成形体を得ることができる。
また、第6の発明は、第5の発明において、多段階鋳造工程は、バルク材の外周面とキャビティの内壁面との間に全周に亘って所定間隔を有するように、バルク材をキャビティ内に配置し、バルク材とは異なる組成の金属ガラス合金からなる溶湯を、バルク材を被覆するように充填し凝固させる第1の鋳造工程と、第1の鋳造工程で成形された成形体を上下反転してキャビティに挿入し、溶湯を、バルク材を被覆するように充填し凝固させる第2の鋳造工程と、を備えることを特徴としている。
これにより、芯材となるバルク材を、そのバルク材とは異なる組成のバルク金属ガラス合金で取り囲むことができ、用途に応じた優れた特性の金属ガラス合金複合体を作製することができる。
さらにまた、第7の発明は、第5又は第6の発明において、多段階鋳造工程は、バルク材の外周面に断熱材を塗布してから、バルク材とは異なる組成の金属ガラス合金からなる溶湯を用いた鋳造を行うことを特徴としている。
これにより、高温の溶湯がバルク材に射出・付着されることによる、該バルク材の昇温及び結晶化を防ぐことができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本実施形態の金属ガラスの成形装置を示す概略構成図である。
この成形装置は、鋳型10と、この鋳型10内に溶融材料を供給する供給源50とを有する射出成形装置である。
鋳型10は、例えば、耐熱鋼、超硬合金等で構成されており、キャビティ20内に溶融材料が充填されて成形体を形成する射出成形に用いられる。ここで、溶融材料としては、固化したときに金属ガラス合金となる組成の溶融金属を用いる。
金属ガラス合金は、その原子配列がランダムであり、結晶粒同士の境界である結晶粒界や、結晶粒内の原子レベルでの位置ズレである転位等の不連続部位が実質的に存在しないという特徴を有する金属材料である。このため、金属ガラス合金に応力が発生しても、この不連続部位を起点とした亀裂が生じ難い。これにより、金属ガラス合金は、高強度、高靭性、高耐摩耗性等の優れた機械的特性を備えた金属材料となる。すなわち、このような金属ガラス合金で構成された成形体は、機械的特性に優れたものとなる。
本実施形態で用いられる金属ガラス合金の組成としては、特に限定されないが、例えば、Fe基、Co基、Ni基、Cu基、Ti基、Zr基、Hf基、Mg基、Ca基、La基、Y基、Pt基、Pd基等の各種金属ガラス合金が挙げられる。
また、本実施形態では、このような金属ガラス合金として、ΔTx=Tx−Tg(但し、Txは結晶化開始温度、Tgはガラス遷移温度を示す。)の式で表される過冷却液体の温度間隔ΔTxが40K以上であるものを適用する。
過冷却液体の温度間隔ΔTxが大きいと、溶融状態から冷却するとき、結晶化開始温度Txの低温側に広い過冷却液体領域を有し、結晶化することなく温度の低下に伴ってこの過冷却液体領域の温度幅ΔTxを経過したときに、ガラス遷移温度Tgに至って非晶質相を容易に形成する。したがって、冷却速度が比較的遅くても十分に非晶質相を形成することが可能であり、溶湯を鋳型10に射出して成形しても、非晶質相を主体とする射出成形体が得られる。
次に、鋳型10の構造について説明する。
鋳型10は、図1に示すように、上下方向に沿って円筒状のキャビティ20が設けられている。キャビティ20は、上部が開口した有底穴であり、供給源50から供給される溶融金属がこの開口部からキャビティ20内に充填されるようになっている。
このようにして充填された溶融金属は、冷却・固化されることによりキャビティ20の形状をなし、金属ガラス合金で構成された成形体となる。
供給源50は、溶融金属をキャビティ20の開口部に供給するものである。
この供給源50は、円筒状の石英管51と、石英管51の外周に巻き付けられた高周波コイル52とから構成されており、石英管51内の母合金(金属ガラス合金の原材料)53を高周波コイル52で加熱して溶融状態とし、その溶融金属をガス圧により石英管51の下端部に形成された先端ノズル孔54から噴出させるようになっている。
一般に金属ガラスは上記のような成形装置を用いて一段で鋳造成形が行われるが、本実施形態では、母材となるバルク金属ガラス合金を鋳造し、得られた母材をそれよりも大きな鋳型にセットして、上記母材とは異なる組成の金属ガラス合金の溶湯を用いて当該母材を取り囲むように鋳造する多段階鋳造を行うことで、組成及び特性の異なる複数の金属ガラス合金が一体形成された複合体を得るようにする。
ここでは、例えば、母材としてPd基金属ガラス(Pd40Cu30Ni1020、ガラス化可能最大径(ガラス形成能)70mm)を用い、それを取り囲む材料としてCo基金属ガラス((Co0.942Fe0.05870Si820Nb2、ガラス化可能最大径1.5mm)を用い、銅製の丸棒形状鋳型10を用いて多段階鋳造を行うものとする。
なお、母材(Pd基金属ガラス)が芯材に対応し、それを取り囲む材料(Co基金属ガラス)が外方材に対応している。
次に、成形体を形成する流れ(工程)について、図1及び図2をもとに説明する。
図2は、多段階鋳造法を説明するための図である。
先ず、上記Pd基金属ガラスの原材料(母合金53)を用意し、供給源50の石英管51内に装填する。次に、高周波コイル52に電圧を印加して、石英管51内の原材料を所定の温度に加熱する。これにより、原材料を溶解し、Pd基金属ガラスの溶湯(溶融金属)を得る。
次に、石英管51内に図示しないガス供給源から不活性ガスを加圧状態で導入し、溶湯を石英管51の先端ノズル孔54から射出し、図2(a)の斜線部に示すように、第1の鋳型10aのキャビティ20a内に充填する。
このキャビティ20aの内径は、ガラス化可能最大径以下(ここでは、70mm以下)に設定されているものとする。これにより、確実に鋳造成形体の組織を非晶質相とすることができる。
キャビティ20a内に射出された溶湯は、キャビティ20aの内壁面に接触することにより急速に冷却され、溶湯中にランダムに存在していた各原子が、そのランダムな配置を維持した状態で固化に至る。
その結果、原子がランダムに配置した金属ガラス合金となり、Pd基金属ガラスからなる第1の成形体30aが得られる。なお、かかる第1の成形体30aは、キャビティ20aの形状を高い寸法精度で再現したものとなる。
次に、第1の成形体30aを第1の鋳型10aから離型し、図2(b)に示すように、第2の鋳型10bにセットする。
このとき、第1の成形体30aは、キャビティ20bの底部に形成された固定溝21bに固定されることにより、当該キャビティ20bと同一軸心に配置される。また、キャビティ20bの内径は、第1の成形体30aの外周面とキャビティ20bの内壁面との間に、全周に亘って所定間隔を有する大きさに設定する。ここで、上記所定間隔は、外方材となるCo基金属ガラスのガラス化可能最大径1.5mm以下に設定するものとする。
そして、断熱目的として、第1の成形体30aの表面に断熱材、例えば窒化ホウ素(BN)を塗布する。これにより、第1の成形体30aの表面において、固定溝21bに係合している部分以外に断熱材が塗布されることになる。
次に、上記Co基金属ガラスの原材料(母合金53)を用意し、供給源50の石英管51内に装填する。次に、高周波コイル52に電圧を印加して、石英管51内の原材料を所定の温度に加熱する。これにより、原材料を溶解し、Co基金属ガラスの溶湯(溶融金属)を得る。
そして、石英管51内に図示しないガス供給源から不活性ガスを加圧状態で導入し、図2(b)の斜線部に示すように、溶湯を石英管51の先端ノズル孔54から第2の鋳型10bのキャビティ20b内に充填する。このとき、溶湯を第1の成形体30aを完全に覆い被せるように充填するものとする。キャビティ20b内に射出された溶湯は、キャビティ20bの内壁面に接触することにより急速に冷却、固化され、その結果、第2の成形体30bが得られる。
次に、第2の成形体30bを第2の鋳型10bから離型し、図2(c)に示すように、上下方向を反転させて第3の鋳型10cにセットする。
ここで、第3の鋳型10cに形成されたキャビティ20cの内径は、第2の鋳型10bに形成されたキャビティ20bの内径と等しく設定する。
次に、前段と同様に、断熱目的として、第1の成形体30aの表面に窒化ホウ素(BN)を塗布した後、Co基金属ガラスの溶湯を石英管51の先端ノズル孔54から射出し、図2(c)の斜線部に示すように、キャビティ20c内に充填する。このとき、溶湯を第1の成形体30aを完全に覆い被せるように充填する。キャビティ20c内に射出された溶湯は、キャビティ20cの内壁面に接触することにより急速に冷却され、固化する。
これにより、図2(d)に示すように、内側がPd基金属ガラス、外側がCo基金属ガラスで構成された金属ガラス合金複合体31を得ることができる。
本実施形態により得られた金属ガラス合金複合体31について、X線回折により結晶構造解析を行った結果を図3に示す。この図3に示すように、金属ガラス合金複合体31に対してX線回折分析を行った結果、結晶相の存在を示す回折パターンは認められず、Pd基金属ガラス及びCo基金属ガラスの両方のブロードなハローパターンが検出されている。したがって、得られた金属ガラス合金複合体31は、その組織が非晶質相であり、Pd基及びCo基両方の特性を備えていることがわかる。
ところで、金属ガラスはアモルファス構造を有するため、表面が均一で乱れている部分が存在せず、高強度、高耐食性、磁気特性等、結晶金属と比較して優れた特性を示すことが知られている。しかし、一般にそれらの特性はトレードオフの関係にあるため、応用を考慮した場合、異なる特性を有する金属ガラスを組み合わせた複合材料として使用できることが望ましい。
ところが、金属ガラスの接合技術としては、摩擦接合やレーザー接合に限られており、両技術とも金属ガラス複合体を作製できるものではない。
これに対して、本実施形態では、異なる組成の金属ガラス合金からなる溶湯を用いて多段階鋳造を行うので、複数の異なる組成の金属ガラス合金が一体形成された複合体を作製することができる。また、このとき、過冷却液体の温度間隔ΔTxが40K以上のものを適用するので、多段階鋳造を行っても非晶質相を主体とする成形体を得ることができる。
そして、このようにして作製された金属ガラス合金複合体は、一般的にトレードオフの関係にある複数の異なる特性を併せ持つ優れた金属ガラス合金であり、様々な製品に応用することができる。
また、芯材となるバルク金属ガラス合金を、その芯材とは異なる組成のバルク金属ガラス合金で取り囲むように多段階鋳造を行うので、所定の組成の金属ガラス合金からなる芯材を、当該芯材とは異なる組成の金属ガラス合金からなる外方材で内包した金属ガラス合金複合体を作製することができる。
このとき、内側にPd基金属ガラス、外側にCo基金属ガラスを適用するので、Pd基金属ガラスの高いガラス形成能とCo基金属ガラスの高強度特性とを兼ね備えた金属ガラス合金複合体とすることができる。したがって、Co基金属ガラスだけでは数mmのバルク化しか実現できないのに対し、Pd基金属ガラスとの複合体とすることで100mmを超えるバルク化が可能となる。
また、Pd‐Cu‐Ni‐P系金属ガラスはNiを含んでおり、アレルギー反応を起こすことから生体材料には使えないが、Niを含まないCo基金属ガラスで上記Pd‐Cu‐Ni‐P系金属ガラスを取り囲むことで、生体内でも使用可能な高強度特性に優れた材料とすることができる。
このように、芯材を低ヤング率・高ガラス形成能の特性を持つ材料とし、外方材を高強度・高耐食性の特性を持つ材料とすることで、芯材となる金属ガラス合金の弱点を補った材料とすることができ、用途に応じた優れた特性の金属ガラス合金複合体とすることができる。
さらに、芯材(母材)の表面に断熱目的の窒化ホウ素を塗布してから、外方材となる金属ガラス合金の溶湯を射出するので、高温の溶湯が母材に射出・付着されることによる、母材の昇温及び結晶化を防ぐことができる。
なお、上記本実施形態においては、内側がPd基金属ガラス(Pd‐Cu‐Ni‐P)、外側がCo基金属ガラスで構成された金属ガラス合金複合体を作製する場合について説明したが、原理的には無限の組み合わせの金属ガラス合金複合体が作製可能である。
例えば、内側にPd‐Ni‐Cu‐P系金属ガラスやZr‐Cu‐Al‐Ni系金属ガラス、外側にCo基金属ガラスやFe基金属ガラスを適用した金属ガラス合金複合体とすることもできる。
Pd‐Ni‐Cu‐P系金属ガラスでは100mmを超える大型バルクが作製可能であるが、Niを含んでいるため生体材料には使えない。また、Zr‐Cu‐Al‐Ni系金属ガラスは、30mm程度のバルクが作製でき良好な靭性を示すが、硬度が低いため耐摩耗性が低く耐食性も悪い。一方、Co基金属ガラスやFe基金属ガラスは高強度・高耐食性を示すが、ガラス形成能が低く、未だセンチメートル級のバルク材は発見されていない。
したがって、Pd‐Ni‐Cu‐P系金属ガラス、Zr‐Cu‐Al‐Ni系金属ガラスとCo基金属ガラス、Fe基金属ガラスとを組み合わせることで、高いガラス形成能と高強度特性とを兼ね備えた金属ガラス合金複合体とすることができる。
さらに、外側にアレルギー反応を起こすNiを含まないCu‐Pd‐P系金属ガラスや、あるいは高硬度・高耐食性を示すCo‐Fe‐Si‐B‐Nb系金属ガラスを用い、内側にPd‐Ni‐Cu‐P系金属ガラスやZr‐Cu‐Al‐Ni系金属ガラスを用いることで、優れた性能の生体材料(人工関節等)として使用することができる。
さらにまた、内側に高比強度(質量に対する強度の比が高い)のTi基金属ガラス、外側に高強度・高耐食性のCo基金属ガラスやFe基金属ガラスを適用した金属ガラス合金複合体とすることもできる。Ti基金属ガラスは、Co基金属ガラスやFe基金属ガラスと比べて比強度に優れているが、絶対強度ではCo基金属ガラスやFe基金属ガラスの方が2倍程度優れている(Ti基金属ガラスの引張強度:2000MPaに対して、Co基金属ガラスやFe基金属ガラスの引張強度:4000〜5000MPa)。また、耐食性や硬度(≒摩耗特性)においても、Co基金属ガラスやFe基金属ガラスの方がTi基金属ガラスよりも優れている。したがって、Ti基金属ガラスとCo基金属ガラス、Fe基金属ガラスとを組み合わせることで、軽くて摩耗特性に優れた材料を作製することができる。
さらに、内側にCo‐Fe‐Ni系の軟磁性金属ガラス、外側にNiを含まず靭性に優れたPd基金属ガラスやTi基金属ガラスを適用した金属ガラス合金複合体とすることもできる。Co‐Fe‐Ni系金属ガラスはNiを含んでいるため生体材料として使用できないと共に、強度は強いが脆いという特性がある。これに対して、Niを含まないPd基金属ガラスやTi基金属ガラスは、靭性に優れていると共に、生体材料としても使用できる。したがって、Co‐Fe‐Ni系金属ガラスとPd基金属ガラス、Ti基金属ガラスとを組み合わせることで、生体内でも使用可能な磁石を作製することができる。
また、上記本実施形態においては、二種類の異なる材料を用いて多段階鋳造を行って、金属ガラス合金複合体を作製する場合について説明したが、三種類以上の異なる材料を用いることもできる。
さらに、上記本実施形態においては、芯材を外方材で完全に取り囲むように形成された金属ガラス合金複合体とする場合について説明したが、複数の異なる組成の金属ガラス合金が積層構造となっているものや、一部分のみが異なる組成の金属ガラス合金で構成された金属ガラス合金複合体とすることもできる。
また、上記本実施形態においては、キャビティの形状を円筒状とし、丸棒鋳造を行う場合について説明したが、複雑な形状であっても本発明を適用することができる。その結果、フォトニック素子、歯車、ゼンマイ、バネ部品、ゴルフクラブのフェイス溝部分、ミラーデバイス、各種光学素子、回折格子、センサー材、水素透過膜、燃料電池セパレーター材など、金属ガラスを用いた全ての製品に適用可能である。
本発明における本実施形態の金属ガラスの成形装置を示す概略構成図である。 多段階鋳造法を説明するための図である。 X線回折パターンを示す図である。
符号の説明
10…鋳型、20…キャビティ、21b…固定溝、30a,30b…成形体、31…金属ガラス合金複合体、50…供給源、51…石英管、52…高周波コイル、53…母合金、54…先端ノズル孔

Claims (7)

  1. 複数の異なる組成の金属ガラス合金が一体形成されていることを特徴とする金属ガラス合金複合体。
  2. 所定の組成の金属ガラス合金からなる芯材と、該芯材を内包し、当該芯材とは異なる組成の金属ガラス合金からなる外方材とを備えることを特徴とする請求項1に記載の金属ガラス合金複合体。
  3. 前記芯材は低ヤング率の特性を有し、前記外方材は高強度の特性を有することを特徴とする請求項2に記載の金属ガラス合金複合体。
  4. 前記芯材は低ヤング率の特性を有し、前記外方材は高耐食性の特性を有することを特徴とする請求項2に記載の金属ガラス合金複合体。
  5. ΔTx=Tx−Tg(ただしTxは結晶化開始温度、Tgはガラス遷移温度を示す。)の式で表される過冷却液体の温度間隔ΔTxが40K以上の金属ガラス合金からなるバルク材を、該バルク材より大きい成形型のキャビティに挿入し、前記温度間隔ΔTxが40K以上で、且つ前記バルク材とは異なる組成の金属ガラス合金からなる溶湯を前記キャビティの空所に充填し凝固させて、異なる組成の金属ガラス合金が一体形成された複合体を成形する多段階鋳造工程を備えることを特徴とする金属ガラス合金複合体の製造方法。
  6. 前記多段階鋳造工程は、前記バルク材の外周面と前記キャビティの内壁面との間に全周に亘って所定間隔を有するように、前記バルク材を前記キャビティ内に配置し、前記バルク材とは異なる組成の金属ガラス合金からなる溶湯を、当該バルク材を被覆するように充填し凝固させる第1の鋳造工程と、該第1の鋳造工程で成形された成形体を上下反転して前記キャビティに挿入し、前記溶湯を、前記バルク材を被覆するように充填し凝固させる第2の鋳造工程と、を備えることを特徴とする請求項5に記載の金属ガラス合金複合体の製造方法。
  7. 前記多段階鋳造工程は、前記バルク材の外周面に断熱材を塗布してから、前記バルク材とは異なる組成の金属ガラス合金からなる溶湯を用いた鋳造を行うことを特徴とする請求項5又は6に記載の金属ガラス合金複合体の製造方法。
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