JP4317930B2 - アモルファス合金粒子 - Google Patents

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【0001】
【産業上の技術分野】
本発明は、アモルファス合金粒子に関する。特に、本発明は、ブラスト加工等における投射材(ショット)や、ボールミル、アトライター等における粉砕用ボール(粉砕媒体)、さらには、ボールペンチップ、マイクロベアリング等として好適なアモルファス合金粒子に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
通常、アモルファス金属(合金)を製造する際には、金属結晶が生じないうちに固化するように、105 K/秒以上の冷却速度で急冷することが必要である。冷却速度が充分でないと、アモルファス相中に結晶相が混在したり、又は結晶化相のみとなるため、結晶成分を含まないアモルファス(非晶質:無定形)状態、すなわち、金属ガラス状態を得難い。
【0003】
このため、液体急冷法に代表される種々の方法を用いてアモルファス金属を調製することが試みられている。しかし、冷却能力(冷却速度)には限界がある。
【0004】
したがって、上記アモルファス金属は、断面全体の均質急冷(高速冷却)が容易である小断面(0.1mm前後の粒径・線径・肉厚)の、粒子、線材、箔材等、いわゆる小断面材の形態の製造に限られているのが現状であった。
【0005】
このため、本発明者らは、これに対応するため、より大径の粒子を製造可能な汎用材料ベースの下記構成の「鉄系アモルファス球状粒子」を先に提案した(特願 2000-185742:出願時未公開)。
【0006】
「アトマイズ法で形成されてなる鉄系アモルファス球状粒子において、
該鉄系アモルファス球状粒子の組成が、Ni:15〜45at%、Si:5〜15at%、B:10〜25at%、Mo:0〜5at%、Fe:残部であり、、且つ、該鉄系アモルファス球状粒子の粒径が0.02〜1.5mmであることを特徴とする。」
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記鉄系アモルファス球状粒子(特願 2000-185742)でも、径1.5mmまでのアモルファス金属(アモルファス)粒子が限度であった。
【0008】
また、その他各種アモルファス化可能な合金組成が提案されている(例えば「METALLURGICAL TRANSACTIONS A」 VOLUME 18A,MARCH 1987 p377-383、「金属’94年3月号」”アーク溶解法によるcm級アモルファス合金の生成”p47-54等参照)。
【0009】
しかし、これらの合金組成は、高価な特殊金属(Pd,Zr等)を使用する必要があり実際的ではない、すなわち、汎用性に欠けた。
【0010】
本発明の目的は、上記にかんがみて、高価な特殊金属を用いなくても、汎用の鉄族元素等をベースとして、且つ、従来に比して大きな断面のいわゆるアモルファス金属(合金)バルク材を、特に、結晶相を含まない金属ガラスアモルファスからなる金属ガラス粒子を容易に製造可能とすることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題解決するために、鋭意開発に努力をする過程で、上記先願で提案した組成の鉄系アモルファス合金粒子において、汎用金属であるコバルト(Co)を添加することで、過冷度△Tが増大してアモルファス形成能が向上することを見出して、本発明のアモルファス合金粒子に想到したものである。
【0012】
本発明のアモルファス合金粒子は、金属成分と半金属成分とで構成されるアモルファス鉄族合金で形成されてなるアモルファス合金粒子において、Si:4.5〜11.5at%、B:12〜20.5at%、Mo:0.5〜4.5at%、残部:前記鉄族三元素、かつ、Si+B=20.5〜29.5at%の合金組成であり、さらに、
前記鉄族三元素の組成(三元素合計100at%換算値)が、Ni:4〜45at%、Co:2〜45at%、Fe:49.5at%以上であるものとされて、
下記式であらわされる過冷却液体の温度間隔(以下「過冷度△T」)
△T=Tx−Tg(ただしTx:結晶化開始温度、Tg:ガラス転移温度)
32K以上を示すものであることを特徴とする。
【0013】
当該構成にすることにより、従来に比して大断面、すなわち、バルクアモルファス金属(金属ガラス)の製造が可能となる。
【0014】
【0015】
また、△T:40K以上を示すことが可能となり、従来に比して、さらに大断面のバルクアモルファス金属(金属ガラス)の製造が可能となる。
【0016】
【0017】
上記構成のアモルファス金属粒子はアトマイズ法で形成し、さらには、該アモルファス金属粒子を投射材等に使用することが望ましい。すなわち、本発明のアモルファス合金粒子は、高靱性材であるためである。
【0018】
【手段の詳細な説明】
上記各手段について、詳細に説明をする。以下の説明で、合金組成(含有量)を示す「%」は、特に断らない限り、「原子%(at%)」を意味する。
【0019】
本発明は、基本的には、金属成分として、Fe主体の鉄族三元素(Fe、Co、Ni)及びMoを含有し、前記半金属成分として、Si及びBを含有して、
下記式であらわされる過冷却液体の温度間隔(以下「過冷度:△T」)
△T=Tx−Tg(ただし、Tx:結晶化開始温度(液相線温度)、Tg:ガラス転移温度(溶融金属温度))
32K以上、望ましくは40Kを示すものである。
【0020】
ここで、 なお、「半導体・金属材料用語辞典」(工業調査会刊行)には「過冷度」とは、「液相線温度から溶融金属の温度を差し引いた温度差」と定義されているが、本明細書の「過冷度」と同義である。
【0021】
そして、上記過冷度の範囲を満足させることにより、従来に比して大きな断面のいわゆるアモルファス金属(合金)バルク材の製造が可能となる。より具体的には、下記のような各元素の組成で達成する。
【0022】
(1)鉄族三元素(Fe、Co、Ni:周期表4周期旧VIII族)における、各元素の組成(三元素合計:100%換算値)及び添加理由は、下記の通りである。
【0023】
ニッケル(Ni)の含有量は〜45%、望ましくは5.5〜45%、さらに望ましくは10〜30%とする(三元素合計:100%換算値)。
【0024】
Niは、耐衝撃性などの機械的特性の改善(耐酸化性の向上に基づくと推定される。)とともに、アモルファス形成能の向上のために添加する。なお、Niはアモルファス金属の球状性の改善にも寄与するため、特に球状アモルファス金属を得る場合には、有用である。
【0025】
球状粒子を得る目的としては、本発明の球状粒子をたとえばブラスト加工等の表面処理に使用した場合、より安定した表面処理を可能とするためである。粒子形状が球形でないと、均一な加工が困難となり表面粗さが目立ち、より良質の表面処理を行なうのが困難となる。
【0026】
なお、「球状粒子」とは、真球状に限定するものではなく、外観上ほぼ球状である粒子のことをいい、扁平、楕円球形、等の粒子を除く概念である。
【0027】
Niの含有量が過少では、機械的特性の向上効果が得がたいとともに、合金溶湯に球状化可能なレベルの表面張力を得難く、アモルファス形成能が低下する。
【0028】
一方過多でも機械的性質が低下し、アモルファス形成能が低下する。その理由は、球状粒子にガス欠陥が出来やすい(本発明者らが確認している。)ためと推定される。
【0029】
コバルト(Co)の含有量は〜45%、望ましくは3.5〜30%、さらに望ましくは〜25%とする(三元素合計:100%換算値)。
【0030】
Coで前記先願における組成の鉄族の一部を置換することにより、アモルファス合金の過冷度△Tが増大してアモルファス形成能が増大する(表1参照)。
【0031】
Coの含有量が過少では、過冷度△Tの増大が小さく、逆に過多では、Co無添加の場合より、過冷度△Tが低下して、それぞれ、十分なアモルファス形成能が期待できない(表2参照)。
【0032】
なお、Feの濃度は残部となるが、このとき、49.5%以上(三元素合計:100%換算値)とする。鉄族元素中のFeを主体としないと、上記Fe以外のFe族元素(Ni、Co)の各アモルファス形成能を十分に発揮し難い(表2の合金No. 比較例2−2参照)。
【0033】
また、残部を構成するFeは、通常、Al、Mn、V、W、Co、Cu、Sn、Ti、Zr、Ta、C、P、Ge、Cr、Nb等の不純物を含む。しかし、それらの含有量の合計が3%以下であればアモルファス形成能の低下がほとんど観測されないことを、本発明者らは実験的に確かめている。従って、それらの不可避不純物を3%以下で含んでいても、本発明の範囲内である。
【0034】
(2)本発明のアモルファス合金に添加する半金属元素(メタロイド)であるけい素(Si)及びほう素(B)の組成は、さらには、鉄族元素と半金属元素の組成は、下記の通りである。
【0035】
Siの濃度は、4.5〜11.5%、望ましくは5.5〜11.5%、さらに望ましくは6.5〜10.5%であり、Bの含有量は、12〜20.5%、望ましくは13〜18%である。そして、両半金属元素の組成比は、B/Si=1.2〜3.3、望ましくは1.5〜3である。なお、SiとBの合計含有量は、上記から、17.5〜32%、望ましくは20.5〜29.5%となる。
【0036】
当該半金属元素は、高硬度化と組織の微細化のために添加し、Si及びBの相乗効果でアモルファス形成能が向上する。
【0037】
各半金属元素の濃度及び組成比が上記範囲より過少あるいは過多では、アモルファス形成能が阻害され、アモルファス母相中に結晶相が晶出し急速な脆化現象が起きる。
【0038】
そして、鉄族三元素(Fe、Co及びNi)の合計含有量は、全体から上記半金族元素及び後述のMoの各含有量の合計を差し引いた残部となる。すなわち、計算上は、63.5〜83%、望ましくは、65.5〜78%となり、最も望ましくは70〜75%である。すなわち、本アモルファス合金は、Fe主体の鉄族三元素を主体としたものに、半金属元素であるSi及びBをBリッチで合計量で全体比率で1/3以下となるように添加し、さらに、Moを5%未満の少量添加したものと言える。
【0039】
(3)本発明のMo元素の組成及び添加目的は下記の通りである。
【0040】
Moの濃度は0.5〜4.5%、望ましくは1.5〜2.5%、さらに望ましくは%前後とする。Moは、アモルファス形成能のさらなる向上(耐酸化性の向上及び組織の微細化に基づくと推定される。)と耐食性向上のために添加する。少量添加することで、過冷度△Tが顕著に増大してアモルファス形成能も格段に向上する。Moの添加量が過少であると、アモルファス形成能の十分な増大が期待できないとともに、合金粒子に耐食性を付与し難く、更なる耐食性の改善が望めない。また、Moの含有量が過多となると、過冷度△Tが極端に低下してアモルファス形成能も極端に低下するとともに(表5参照)、球状化性を阻害するおそれがあるとともに、不定形(凹凸の多い)となり耐衝撃性にも悪影響を与えるおそれがある。
【0041】
(4)そして本発明のアモルファス合金粒子を形成するアモルファス鉄族合金は、上記構成とすることにより、従来のアモルファス合金に比して、より遅い冷却速度で製造した場合であっても結晶化することがない。すなわち、結晶相を含まない金属ガラスを容易にえることができ、結果的に、大粒径の金属ガラス粒子を製造可能となる。結晶開始温度とガラス転移温度の差で表される過冷度△Tが、先願の金属アモルファスに比して増加し、アモルファス形成能が向上したためである。
【0042】
そのため、汎用のさまざまな鋳造法により製造することが可能である。また、Al、Zr等の酸化され易い金属を含有しないため、特殊な真空製造装置等を使用することなく、大気中で製造することが可能である。例えば、加工方法としては、鋳造法、単ロール法、双ロール法、液中紡糸法、溶液抽出法、高圧ガス噴霧法(アトマイズ法)等任意であり、加工形態も、バルク状体、リボン状体、線状体、粉末体等の任意とすることができる。
【0043】
本発明のアモルファス金属合金粒子を製造するにはアトマイズ法が望ましく、例えば、図1に示すようなアトマイズ装置を使用する。
【0044】
本アトマイズ装置12は、上部にノズル状の石英管14を、下部に回転液槽16を配した構成である。回転液槽16中には、冷却液18、及びマグネチックスターラー(水平円筒状の)20が配されている。
【0045】
本装置では、先端に穴を設けたノズル状の石英管14内で本発明の合金組成のインゴット22を溶融(融解)させた後、アルゴンガスなどの不活性ガスで加圧し流液中(冷却液)に噴霧(アトマイズ)して、粒子化することにより製造する。
【0046】
冷却液としては、アモルファス形成に必要な冷却能力を持つ液体であればよいが、通常、生産性の見地から水を使用する。なお、水を使用する場合には、冷却液18に界面活性剤を添加することが望ましい。なお、冷却液18の液温は、0℃(273K)前後とする。
【0047】
図1においては、マグネチックスターラー20の回転により流水を一定速度に維持する。例えば、マグネチックスターラー20の回転速度を700〜1000rpm とした際、流水の速度は0.5m/sとなる。冷却液18の流速が低過ぎると、アモルファス化に必要な冷却速度が得難くなり、逆に高すぎると、粒子化(アトマイズ化)が困難となる。
【0048】
ノズル状の石英管14に設けた穴の大きさは、0.08〜0.8mmの範囲で調整する。また、ノズル穴と冷却液表面との間は2mm前後に調整する。
【0049】
アトマイズ圧は0.2〜0.5MPaとする。アトマイズ圧が高すぎると、大径の粒子を得難くなる。アトマイズ圧が低過ぎると、粒子化に必要な表面張力(凝集力)が確保できず、粒子化が困難になるとともに、アモルファス化に必要な冷却速度が中心部側で得難くなる。
【0050】
アトマイズ時の溶融材料の温度は、合金の融点から150〜200℃高く設定することがアモルファス形成能の見地から望ましい。
【0051】
上記製造方法で得られる最大のアモルファス粒子径は、用途により異なるが、本発明組成の合金では球状合金とした場合、後述の試験例で示す如く、最大粒子径φ2.0mmまで可能であった。
【0052】
上記製造方法で得られた球状アモルファス金属は、アモルファス特有の高硬度、高靱性を活かして、投射材(ショット材)へ適用した場合、投射材の長寿命化が期待できる。
【0053】
投射材は、使用特性により、耐衝撃性等が要求されるため、機械的性質(強度、硬度、弾性率等)、耐食性等に優れた本発明のアモルファス合金で形成した場合、好適である。
【0054】
すなわち、本発明の合金組成の材料を用いてアトマイズ法により製作した粒子は、高硬度でありながら、アモルファス金属特有の低ヤング率を示し、良好な靱性を有する。従ってこの粒子を投射材として用いると、他の高硬度投射材に比較し極めて長寿命となる。このため、昨今の環境問題に配慮した低廃棄物システムを構築することが可能となる。
【0055】
【発明の効果】
本発明のアモルファス鉄族合金は、汎用金属であるFeをベースとし相対的に安価な金属材料(Co、Ni、Mo)を添加した組成において、後述の試験例で示す如く、大気雰囲気中で従来に比して大断面のアモルファス材(金属ガラス)の製造が可能となる。
【0056】
これにより、従来一部の高級部品に限定されていた、アモルファス金属の一般への応用を飛躍的に拡大するものである。
【0057】
特に従来最も急冷効果が与えにくいと考えられていた大断面粒子に応用した場合、本合金組成にて、径2.0mmまでのアモルファス球状粒子を得ることが可能となった。
【0058】
そして、アモルファス特有の高硬度、高靱性を活かし、投射材へ適用することで、投射材の長寿命化を図ることができる。
【0059】
また、合成組成を見直し、アモルファス形成能を向上することで、上記球状粒子以外のバルクアモルファス(金属ガラス)(棒材、板材、ぜんまいばね)への適用も可能となる。
【0060】
なお、本発明の発明性に影響を与えないがアモルファス合金の関連先行文献として下記のようなものがある。
【0061】
1)特開昭53−43028号公報「実効透磁率の…非晶質合金の製造方法」
2)特開昭53−47321号公報「磁気ヘッド材料」
3)特開昭53−46698号公報「捲鉄芯材料」
4)特開平5−245597号公報「鉄族基非晶質合金の製造方法」
5)特開平8−333660号公報「Fe系金属ガラス合金」
上記文献1)〜5)は、名称から明らかな如く用途も磁性材料を予定しており、本発明のごとく高耐力・靱性が要求される投射材や機械部品を予定していない。また、いずれも合金組成において、金属成分としてMoを含まないとともにFeの含有量も12又は13%と格段に少なく、全く別異である。
【0062】
なお、文献4)は、段落【0006】に本発明の成分を含むが、金属成分として鉄族、Mo以外にPd、Hf等を必須とし、合金加工も金型鋳造法を予定しており、本発明における好適な合金加工であるアトマイズ法による造粒を予定していない。
【0063】
また、文献5)は、本発明の鉄族以外の金属としてMoや半金属としてSiを含まず組成的に全く別異であり、やはり、用途として磁性材料を予定としている(段落【0001】等)。
【0064】
【試験例】
以下に、本発明の効果を確認するために行った、試験例(実施例・比較例)について説明する。
【0065】
以下において、アモルファス構造の可否は、サンプルを樹脂埋め、断面研削・研磨後に腐食性溶液によるエッチング処理後組織を目視判断することで行った。さらに、アモルファス度については、X線回折より、過冷度については示差走査熱量計(DSC:differrential scanning calorimeter)による分析(以下「DSC熱分析」)により確認した。
【0066】
<試験例1:Co添加の効果確認>
各金属・半金属原料を、Ar雰囲気下で誘導溶融(融解)させて表1に示す組成の合金塊(スラブインゴット)を製造した。各合金塊から、単ロール法によって、Ar雰囲気下(雰囲気20℃、溶融温度1380℃)で断面積が(幅1.5mm×厚み0.02mm)のリボン(帯材)を調製した。
【0067】
こうして調製した各アモルファス合金のリボンについて、DSC曲線の測定を行い、過冷度を求めた。表1にそれらの結果を示す。なお、実施例1−3及び比較例1−1については、図2にそれぞれのDSC曲線を示す。
【0068】
【表1】
Figure 0004317930
各実施例は、いずれもCo無添加の比較例1−1の発熱量を大きく上回る、すなわち、Coを添加することで、30Kであった過冷度が40〜45Kに拡大している。すなわち、アモルファス金属化能が増大していることが分かる。
【0069】
<試験例2:Ni、Coの含有量範囲確認>
合金組成中の各鉄族元素含有量の効果を比較するために、(Fe、Co、Ni)73Si817Mo2 系において、各鉄族元素の濃度を表2に示すものとした組成の原料を用いて溶融させて、図1に示すのと同様のアトマイズ装置を使用して造粒加工を行なった。このときの、アトマイズ条件は、下記の通りとした。
【0070】
溶融(溶解)温度:1350℃、ノズル径:φ2mm
使用ガス・温度:アルゴン、アトマイズ圧:600kPa
冷却水温度・速度:1℃・15m/s、雰囲気:大気中
そして、得られた各合金粒状体を、篩い分級(JIS Z 8801に対応)して、それぞれの粒径の合金粒状体について、X線回折装置を用いてアモルファス化の有無を判定して、結晶相を含まない金属ガラスが得られる最大径を求めた。また、各合金について前述と同様、DSC分析により過冷度△Tを求めた。それらの結果を表2に示す。
【0071】
【表2】
Figure 0004317930
本発明の過冷度△T:32K以上を示す範囲では、粒径1.5mmの、さらに過冷度△T:40K以上を示す範囲では、粒径2.0mmの、アモルファス球状粒子が得られることが分かる。上記過冷度△Tが32未満では大径の金属ガラス粒子が得難いことが分かる。
【0072】
<試験例3:Si、Bの含有量範囲確認>
合金組成中の各半金属元素含有量の効果を比較するために、Fe44Co15Ni14Six y Mo2 系及びFe44Co14Ni13SiXy Mo2 系において、半金属元素のそれぞれ濃度を表3及び4に示すものとした組成の原料を用いて溶融させて、試験例2と同様にして鉄族合金粒状体を調製し、同様にして金属ガラスが得られる最大粒径及び各組成合金の過冷度△Tを求めた。それらの結果を表3・4に示す。
【0073】
【表3】
Figure 0004317930
【0074】
【表4】
Figure 0004317930
各表から、Si、Bの含有量を所定範囲内とすれば、過冷度△Tが32K以上ないし40K以上となり、アモルファス形成能が増大して、従来得難かった粒径1.5mm以上ないし2.0mmの金属ガラス合金材が容易に製造可能であることが支持される。
【0075】
<試験例4:Moの含有量範囲確認>
合金組成中のMoの含有量の効果を比較するために、Fe(44-X)Co15Ni14Si87 Mox 系において、Moの濃度を表5に示すものとした組成の原料を用いて溶融させて、試験例2と同様にして鉄族合金粒状体を調製し、同様にして金属ガラスが得られる最大粒径及び各組成合金の過冷度△Tを求めた。それらの結果を表5に示す。
【0076】
【表5】
Figure 0004317930
表5から、Moを添加することにより、過冷度△T:40K以上となり、アモルファス形成能が増大して、従来得難かった2.0mmの金属ガラス合金材が容易に製造可能であることが分かる。
【0077】
<試験例5:投射材に適用した場合の耐久性>
表示の各投射材について、JIS Z 2244(1998)に準じてビッカース硬さHV0.5/5(試験力:4.9N、保持時間:5s)を求めるとともに、投射材としての寿命を求めて、それらの結果を表6に示す。
【0078】
なお、投射材の寿命は、アーヴィン式寿命試験機(アーヴィンインダストリー社製)を用いて、下記試験条件により行なった。
【0079】
粒子サイズ :200μm(網ふるい:-250+210 μm )
制御ふるい(コントロールスクリーン):180μm
サンプル量 :30gサンプル粒度:200μm(粒子サイズと違い)
投射速度 :60m/s
【0080】
【表6】
Figure 0004317930
表6から、本発明の金属ガラス合金を投射材として使用した場合、硬さの高い、セラミック投射材(コランダム)に比しては勿論、硬さの低い鉄鋼ショットやハイスビーズ(強化クロムモリブデン鋼系粒体)に比しても、格段に寿命が長いことが分かる。そして、本発明の合金組成においてCo無添加(前記先願:特願2000-185742 )の硬さを略同じ(若干低い)としたものに比しても、格段に寿命(サイクル数で3倍)が伸びていることが分かる。
【0081】
このことから、本発明のアモルファス鉄族合金を用いてアトマイズ法により造粒したアモルファス鉄族合金粒子は、金属ガラス特有の低ヤング率(セラミックスならびに一般の結晶系金属粒子に比して)を示し、良好な靱性を示すことが分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のアモルファス金属合金を製造可能なアトマイズ装置の一例を示す概略断面図
【図2】 試験例1における実施例及び比較例のDSC曲線図
【符号の説明】
12:アトマイズ装置
14:石英管
16:回転液槽
18:冷却液
20:マグネチックスターラー

Claims (5)

  1. 金属成分と半金属成分とで構成されるアモルファス鉄族合金で形成されてなるアモルファス合金粒子において、
    前記金属成分として、Fe主体の鉄族三元素(Fe、Co、Ni)及びMoを含有し、
    Si:4.5〜11.5at%、B:12〜20.5at%、Mo:0.5〜4.5at%、残部:前記鉄族三元素、かつ、Si+B=20.5〜29.5at%の合金組成であり、さらに、
    前記鉄族三元素の組成(三元素合計100at%換算値)が、Ni:4〜45at%、Co:2〜45at%、Fe:49.5at%以上であるものとされて、
    下記式であらわされる過冷却液体の温度間隔(以下「過冷度:△T」)
    △T=Tx−Tg(ただし、Tx:結晶化開始温度(液相線温度)、Tg:ガラス転移温度(溶融金属温度))
    32K以上を示すものである
    ことを特徴とするアモルファス合金粒子
  2. 前記過冷度△T:40K以上であることを特徴とする請求項1記載のアモルファス合金粒子
  3. アトマイズ法で形成されてなることを特徴とする請求項1又は2記載のアモルファス合金粒子。
  4. 粒径が1.5〜2mmφであることを特徴とする請求項3記載のアモルファス合金粒子。
  5. 請求項3記載のアモルファス合金粒子で形成されてなることを特徴とする投射材。
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