以下、添付図面を参照しながら本発明をその例示的な実施形態を通して説明する。
まず、図1を参照しながら本発明の第1実施形態の固体撮像装置1について説明する。固体撮像装置1は、例えば、画素アレイ110、垂直選択部120、複数の比較器130、参照信号発生部140、複数のメモリ150、カウンタ160、水平選択部(選択部)200、水平出力線(出力線)210、出力部220、書き込み部170を備えうる。他の観点において、固体撮像装置1は、AD変換部ADUを備え、AD変換部ADUは、例えば、複数の比較器130と、参照信号発生部140と、カウンタ160とを含みうる。画素アレイ110は、複数の行および複数の列を構成するように2次元状に配列された複数の画素100を有する。各画素100は、入射光に基づくアナログ信号を生成する。各画素100のアナログ信号は、列信号線を介して出力される。1つの列信号線には、1つの列を構成する画素100が接続されうる。
第1実施形態では、画素アレイ110の全ての画素100のデジタル信号を固体撮像装置1から出力する動作モードにおいては、AD変換部ADUは、画素アレイ110から出力される複数のアナログ信号の全てをAD変換してデジタル信号を生成する。一方、画素アレイ110の全ての画素100のうちの一部の画素100のデジタル信号を固体撮像装置1から出力する動作モードにおいては、AD変換部ADUは、画素アレイ110から出力される複数のアナログ信号の一部をAD変換してデジタル信号を生成する。
AD変換部ADUにおいて、参照信号発生部140は、時間経過にともなって変化する参照信号(例えば、ランプ信号)を生成する。各比較器130は、参照信号発生部140が生成する参照信号の値と画素アレイ110(画素100)から出力されるアナログ信号の値とを比較し、例えば、両者の大小関係が反転したときに、書き込み制御信号WR(例えば、パルス信号)を出力する。カウンタ160は、時間経過に応じたカウント値を発生してデータ線190に出力する。比較器130が出力する書き込み制御信号WRは、カウンタ160が生成したカウント値をメモリ150に対して書き込むべきタイミングを示す信号である。
他の実施形式において、1つの比較器130に対して1つのカウンタ160が設けられてもよい。比較器130は、画素アレイ110の列(画素100によって構成される列)ごとに設けられる。AD変換部ADUは、画素アレイ110の複数の列にそれぞれ対応する複数のAD変換器の集合として理解することもできる。図1に示された例では、1つのAD変換器が1つの比較器130を含み、参照信号発生部140およびカウンタ160が複数のAD変換器によって共有される。複数のメモリ150は、AD変換部ADUによって生成されたデジタル信号を保持する。
水平選択部(選択部)200は、複数のメモリ150を順次に選択することによって複数のメモリ150に保持された複数のデジタル信号を順次に水平出力線210に出力させる。
書き込み部170は、複数のメモリ150の一部のメモリ150から水平出力線210に対して所定値を有するデジタル信号が出力されるように、複数のメモリ150の当該一部のメモリ150に対して所定値を有するデジタル信号PSVを書き込む。ここで、書き込み部170は、前記一部のメモリ150の少なくとも2つのメモリ150から所定値を有するデジタル信号PSVが連続して出力線210に出力されるように当該一部のメモリ150に対して所定値を有するデジタル信号PSVを書き込む。所定値は、例えば、全ビットが”0”または”1”の一定の値、または、”0”と”1”との組み合わせからなる一定の値である。書き込み部170は、メモリ150から信号が水平出力線210に出力される前に当該メモリ150に対してデジタル信号PSVを書き込む。換言すると、書き込み部170によってデジタル信号PSVが書き込まれたメモリ150からデジタル信号PSVが水平出力線210に出力されるように、書き込み部170によるデジタル信号PSVの書き込みが制御される。
書き込み部170は、例えば、書き込み制御部172、スイッチ174、176を含む。書き込み制御部172は、書き込み制御信号PSET、選択信号SEL、SELbおよびデジタル信号PSVを出力する。ここで、選択信号SEL、SELbは、互いに論理が反対の信号である。つまり、選択信号SELがハイレベルであるときは、選択信号SELbはローレベルであり、選択信号SELがローレベルであるときは、選択信号SELbはハイレベルである。この例では、選択信号SELがハイレベルであるときは、所定値を有するデジタル信号PSVがデータ線190を介してメモリ150に供給され、選択信号がローレベルであるときは、カウンタ160のカウント値がデータ線190を介してメモリ150に供給される。選択信号SELがハイレベルである状態で書き込み制御信号PSETがアクティブレベル(ハイレベル)になると、所定値を有するデジタル信号PSVがデータ線190を介してメモリ150に書き込まれる。選択信号SELがローレベルである状態で、比較器130から書き込み制御信号WRが出力されると、それに応じて、カウンタ160のカウント値が、AD変換されたデジタル信号として、データ線190を介してメモリ150に書き込まれる。
画素アレイ110とAD変換部ADUとの間には、読出部(不図示)が設けられてもよい。該読出部は、例えば、画素アレイ110から出力される信号を増幅する複数のアンプを含みうる。該アンプは、例えば、画素アレイ110の列ごとに設けられうる。
図1に例示された固体撮像装置1では、複数の比較器130(AD変換器)の一部、具体的には、第1列、第2列、第5列、第6列がパワーセーブモードを有し、パワーセーブ信号PSAVEがアクティブレベルになると、パワーセーブモードに設定になる。なお、これは説明の簡単化のための例であり、この例は、画素アレイ110の中央部の画素100の信号を読み出す際に、該中央部を含む列以外の列のための比較器130をパワーセーブモードに設定することによって電力消費を低減する動作モードに適用されうる。複数の比較器130は、それらの全てがパワーセーブモードを有し、パワーセーブモードに設定するかどうかが個々に制御されてもよい。
以下では、図2を参照しながら第1列、第2列、第5列、第6列の比較器130がパワーセーブモードに設定された場合、即ち、パワーセーブ信号PSAVEがアクティブレベルに設定されている場合の固体撮像装置1の駆動方法を説明する。図2において、「PS列」は、パワーセーブモードに設定された列(パワーセーブ列)を意味し、「動作列」は、パワーセーブモードに設定されていない列を意味する。
時刻t0において、選択信号SELがハイレベル(選択信号SELbがローレベル)に駆動されることにより、データ線190に対して所定値を有するデジタル信号PSVが出力される。この例では、所定値は、全ビットが”0”の値であるが、全ビットが”1”の値でもよいし、”0”と”1”との組み合わせからなる任意の値であってもよい。ただし、所定値は、一定の値に固定される。”0”と”1”との組み合わせからなる任意の値の場合には、水平出力線210が備える複数のバスの各々の信号レベルが一定となるような信号レベルとする。具体的には、あるビットを伝送するバスの信号値を“0”で一定とし、別のビットを伝送するバスの信号値を“1”で一定とする。時刻t0において、選択信号SELがハイレベルになる他、書き込み制御信号PSETがアクティブレベル(ここでは、ハイレベル)に駆動されることにより、書き込み部170は、デジタル信号PSVを全てのメモリ150にデータ線190を介して書き込む。つまり、パワーセーブ列のメモリ150および動作列のメモリ150にデジタル信号PSVが書き込まれる。
時刻t3からAD変換期間が始まる。AD変換期間では、各比較器130(AD変換器)は、画素100からのアナログ信号の値と参照電圧発生部140から供給される参照信号の値とを比較し、比較結果に従って書き込み制御信号WRをメモリ150に出力する。書き込み制御信号WRを受けたメモリ150には、カウンタ160からデータ線190を介して供給されるカウント値が書き込まれる。図2の例では、時刻t4で動作列のメモリ150にカウント値が書き込まれているが、このタイミングは、画素100からのアナログ信号の値に応じて定まる。一方、パワーセーブモードに設定されている比較器130(AD変換器)からは書き込み制御信号WRが出力されないので、AD変換期間が終了する時刻t5になっても、メモリ150は、所定値を有するデジタル信号PSVを保持したままである。
時刻t6から1つの水平転送期間が始まる。水平転送期間では、水平選択部200が複数のメモリ150を順次に選択し、選択されたメモリ150から信号が出力線(水平出力線)210に出力され、その信号が出力部220から固体撮像装置1の外部に出力される。
水平転送期間は、第1期間と第2期間とを含む。第1期間は、複数のメモリ150の一部のメモリ150から、AD変換部ADUによってAD変換されたデジタル信号ではない所定値を有するデジタル信号PSVが出力線(水平出力線)210に出力される。第1期間では、前記一部のメモリ150のうち少なくとも2つのメモリから、所定値を有するデジタル信号PSVが連続して出力線210に出力される。第2期間では、複数のメモリ150の他の一部のメモリから、AD変換部ADUによってAD変換され当該他のメモリ150に書き込まれたデジタル信号が出力線210に出力される。
この例では、時刻t6〜t8(第1期間の一部)において、第1列および第2列のメモリ150が順次に選択され、所定値を有する2つのデジタル信号PSVが連続して出力線210に出力される。その後、時刻t8〜t10(第2期間)において、第3列および第4列のメモリ150が順次に選択され、画素100からのアナログ信号から変換されたデジタル信号が順次に出力線210に出力される。その後、時刻t10〜t12(第1期間の他の一部)において、第5列および第6列のメモリ150が順次に選択され、所定値を有する2つのデジタル信号PSVが連続して出力線210に出力される。ここで、第1期間の一部(時刻t6〜t8、t10〜t12)において、所定値を有するデジタル信号PSVが出力線210、更には固体撮像装置1の外部に連続的に出力される。よって、信号の伝達経路の負荷の充放電に伴う電力消費を低減することができる。一方、全てのメモリ150に画素100の信号に応じたデジタル信号が書き込まれてそれが出力線210に出力される場合には、その分だけ電力が消費される。図1および図2に示された例では、所定値を有する2つのデジタル信号PSVが連続して出力線210に出力されるが、所定値を有する3以上のデジタル信号PSVが連続して出力線210に出力されてもよい。第1期間は、所定値を有する1つのみのデジタル信号PSVが出力される期間を含んでもよい。
以上の例は、複数の比較器130(AD変換器)の一部をパワーセーブモードに設定するものであるが、第1実施形態は、不要な信号がメモリ150に書き込まれない他の構成にも適用されうる。図3には、第1実施形態の第1変形例が示されている。第1変形例の固体撮像装置1では、画素アレイ110の全ての画素100のうちの一部の画素100の信号のみが外部の処理部で利用されるモードにおいて、信号が不要な列の比較器130(AD変換器)の出力は、遮断部250によって遮断される。遮断部250は、例えば、AND回路で構成されうる。遮断部250は、遮断信号BLKがアクティブに設定されたときに、比較器130(AD変換器)の出力、即ち書き込み制御信号WRがメモリ150に供給されないように、書き込み制御信号WRを遮断する。
図4には、第1実施形態の第2変形例が示されている。第2変形例の固体撮像装置1では、画素アレイ110(画素アレイ110の列信号線)と比較器130との経路中に遮断部250(例えば、MOSトランジスタ等のパスゲート)が設けられている。画素アレイ110の全ての画素100のうちの一部の画素100の信号のみが外部の処理部で利用されるモードにおいて、信号が不要な列の比較器130(AD変換器)に対する入力は、遮断部250によって遮断される。遮断部250は、遮断信号BLKがアクティブに設定されたときに、比較器130(AD変換器)に画素100の信号が供給されないように、比較器130への入力を遮断する。
第1変形例および第2変形例は、複数の比較器130の一部からの出力または複数の比較器130の一部への信号の入力を遮断する遮断部250を備える固体撮像装置1の構成例である。書き込み部170は、遮断部250による遮断がなされた比較器130に対応するメモリ150から水平出力線210にデジタル信号PSVが出力されるように遮断部250による遮断がなされた比較器130に対応するメモリ150にデジタル信号PSVを書き込む。
図5を参照しながら本発明の第2実施形態の固体撮像装置1について説明する。第2実施形態として言及しない事項は、第1実施形態に従いうる。第2実施形態は、画素アレイ110における複数の列(画素100によって構成される列)を3列単位でグループ化し、各グループをパワーセーブ列/動作列/パワーセーブ列とする動作モードを提供する。これは、水平方向に関して、画素信号の加算や間引きを行う際に動作不要な比較器130(AD変換器)をパワーセーブモードに設定し、電力消費を低減することを想定した動作モードである。パワーセーブ列には、パワーセーブ信号PSAVEが供給され、動作列には、パワーセーブ信号PSAVEが供給されない。この動作モードは、画素アレイ110を構成する複数の列から周期的に選択される列をパワーセーブモードに設定する動作モードの一例である。
図6には、パワーセーブ信号PSAVEがアクティブレベルに設定されている場合の第2実施形態の固体撮像装置1の駆動方法が示されている。時刻t6からの水平転送期間において、所定値(PSV)、カウント値(AD変換されたデジタル信号)、所定値(PSV)、所定値(PSV)、カウント値(AD変換されたデジタル信号)、所定値(PSV)の順に信号が出力される。ここで、時刻t6〜t7、t8〜t10、t11〜t12が第1期間、時刻t7〜t8、t10〜t11が第2期間である。第1期間において、所定値(PSV)が連続した期間(t8〜t10)が存在するので、電力消費が低減される。
図7を参照しながら本発明の第3実施形態の固体撮像装置1について説明する。第3実施形態として言及しない事項は、第1または第2実施形態に従いうる。第3実施形態では、書き込み制御部172は、第1書き込み制御信号PSET1および第2書き込み制御信号PSET2を生成する。第1書き込み制御信号PSET1は、画素100の信号を固体撮像装置1から出力する列(読出列)のメモリ150に対して所定値を有するデジタル信号PSVを書き込むための制御信号である。第2書き込み制御信号PSET2、画素100の信号を固体撮像装置1から出力しない列(非読出列)のメモリ150に対して所定値を有するデジタル信号PSVを書き込むための制御信号である。この例では、第2書き込み制御信号PSET2は、パワーセーブ列にメモリ150に対して所定値を有するデジタル信号PSVを書き込むための制御信号でもある。これにより、画素100の信号を固体撮像装置1から出力する列(読出列)と出力しない列(非読出列)に対するデジタル信号PSVの書き込みを個別に制御することができる。
この例では、第1書き込み制御信号PSET1は、第3列および第4列(読出列)のメモリ150に対するデジタル信号PSVの書き込みを制御する。一方、第2書き込み制御信号PSET2は、第1列、第2列、第5列および第6列(非読出列)のメモリ150に対するデジタル信号PSVの書き込みを制御する。
図8には、パワーセーブ信号PSAVEがアクティブレベルに設定されている場合の第3実施形態の固体撮像装置1の駆動方法が示されている。時刻t0において、選択信号SEL、第1書き込み制御信号PSET1および第2書き込み制御信号PSET2がハイレベルに駆動されることにより、全ての列のメモリ150に対して所定値を有するデジタル信号PSVが書き込まれる。
時刻t3から始まるAD変換期間では、各比較器130(AD変換器)による比較に基づいて、画素100からのアナログ信号に対応するカウント値、即ちAD変換されたデジタル信号が全ての列のメモリ150に書き込まれる。その後、時刻t5において、選択信号SELおよび第2書き込み制御信号PSET2がハイレベルに駆動されることにより、非読出列のメモリ150に再度、所定値を有するデジタル信号PSVが書き込まれる。以上の動作により、水平転送期間において水平出力線210に出力される信号は、図2に示された第1実施形態と同様になる。したがって、第3実施形態においても、電力消費が低減される。
図9を参照しながら本発明の第4実施形態の固体撮像装置1について説明する。第4実施形態として言及しない事項は、矛盾しない限り、第1〜第3実施形態にしたがいうる。第4実施形態では、偶数列に配置された比較器130(AD変換器)がパワーセーブモードに設定可能に構成されている。また、第4実施形態では、複数の水平出力線として第1水平出力線210および第2水平出力線212を有し、複数列のデジタル信号を第1水平出力線210および第2水平出力線212に分配して並列に出力することができる。
パワーセーブ信号PSAVEがアクティブレベルに設定され、偶数列の比較器130がパワーセーブモードに設定された場合について説明する。この場合、複数のメモリ150のうち偶数列のメモリ150から水平出力線212に対して所定値を有するデジタル信号PSVが出力されるように、複数のメモリ150のうち少なくとも偶数列のメモリ150に対してデジタル信号PSVが書き込まれる。この例では、全てのメモリ150に対して信号PSVが書き込まれた後に、奇数列のメモリ150に対してのみAD変換されたデジタル信号が上書きされる。水平出力線212には、デジタル信号PSVが連続的に出力されるので、水平出力線212は一定レベルに維持される。したがって、水平出力線212の充放電に伴う電力消費が低減される。
以下、図10を参照しながら本発明の1つの実施形態のカメラ300について説明する。カメラの概念には、撮影を主目的とする装置のみならず、撮影機能を補助的に備える装置(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯端末)も含まれる。カメラ300は、上記の実施形態として例示された本発明に係る固体撮像装置1と、固体撮像装置1から出力されるデジタルを処理する処理部320とを含む。処理部320は、例えば、固体撮像装置1から出力されたデジタル信号を処理(例えば、色処理、圧縮など)する。処理部320は、例えば、固体撮像装置1から出力されたデジタル信号から固体撮像装置1によって検出された信号を抽出して処理する機能を含む。カメラ300は、更に、記録部330および出力部340を含みうる。記録部330は、処理部320によって処理されたデジタル信号を記録媒体に記録する。出力部340は、例えば、表示部および通信部の少なくとも1つを含み、処理部320によって処理されたデジタル信号などの信号を出力する。