JP2010539670A - 非水電解液リチウム二次電池 - Google Patents

非水電解液リチウム二次電池 Download PDF

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Abstract

本発明は、リチウムイオンを吸蔵及び放出できる炭素材からなる負極、リチウム含有酸化物からなる正極、及び非水電解液を備えるリチウム二次電池に関し、前記非水電解液は、リチウム塩;及び(a)エチレンカーボネイトまたはエチレンカーボネイトとプロピレンカーボネイトとの混合物からなる環状カーボネイトと(b)エチルプロピオネートのようなプロピオネート系エステルとの混合体積比(a:b)が約10:90〜約70:30である非線状カーボネイト系混合有機溶媒;を含む。本発明のリチウム二次電池は線状カーボネイトを排除した所定の混合有機溶媒を含み、高率充放電特性に優れ、且つ、サイクル寿命と低温放電特性が改善される。また、負極と有機溶媒との反応を抑制することで、特に高温におけるガス発生が抑制される。

Description

本発明は、非水電解液リチウム二次電池に関し、特に高温における放電特性が向上したリチウム二次電池に関する。
近年、エネルギー保存技術に対する関心が高まりつつある。携帯電話、カムコーダー、及びノートパソコン、さらには電気自動車のエネルギーまで適用分野が拡がるとともに、このような電子機器の電源として使用される電池の高エネルギー密度化に対する要求が高くなっている。リチウム二次電池は、このような要求に最も応えられる電池であって、それに対する研究が活発に行われている。
現在使用されている二次電池のうち1990年代の初めに開発されたリチウム二次電池は、リチウムイオンを吸蔵及び放出できる炭素材からなる負極、リチウム含有酸化物からなる正極、及び混合有機溶媒にリチウム塩が適量溶解された非水電解液で構成されている。
リチウム二次電池の平均放電電圧は約3.6〜3.7Vであって、他のアルカリ電池、ニッケル‐カドミウム電池などに比べて動作電圧が高いことが長所の1つである。このような高い動作電圧を出すためには、充放電電圧領域である0〜4.2Vで電気化学的に安定した電解液の組成が必要である。そのために、エチレンカーボネイト、プロピレンカーボネイトなどの環状カーボネイト化合物とジメチルカーボネイト、エチルメチルカーボネイト、ジエチルカーボネイトなどの線状カーボネイト化合物とが適切に混合された混合溶媒を電解液の溶媒として使用する。電解液の溶質であるリチウム塩としては通常、LiPF、LiBF、LiClOなどを使用するが、これらは電池内でリチウムイオンの供給源として働いてリチウム電池の作動を可能にする。
リチウム二次電池の初期充電時、リチウム金属酸化物などの正極活物質から出たリチウムイオンは、グラファイトなどの負極活物質に移動し、負極活物質の層間に挿入される。このとき、リチウムの高反応性のため、グラファイトなどの負極活物質の表面で電解液と負極活物質を構成する炭素とが反応し、LiCO、LiO、LiOHなどの化合物を生成する。これらの化合物はグラファイトなどの負極活物質の表面に一種のSEI(Solid Electrolyte Interface)フィルムを形成する。
SEIフィルムはイオントンネルの役割を果たし、リチウムイオンのみを通過させる。イオントンネル効果により、SEIフィルムは電解液中でリチウムイオンとともに移動する分子量の大きい有機溶媒分子が負極活物質の層間に挿入されて負極構造を破壊することを防止する。よって、電解液と負極活物質との接触を防止することで電解液が分解せず、電解液中のリチウムイオンの量が可逆的に保持され、安定的な充放電が保障される。
しかし、薄い角型電池では、上述したSEIフィルム形成反応中にカーボネイト系溶媒の分解から発生するCO、CO、CH、Cなどの気体により、充電時電池の厚さが膨張する。また、満充電状態で高温に放置されると、時間の経過とともに増加した電気化学的エネルギーと熱エネルギーによってSEIフィルムが徐々に崩壊され、露出した負極表面と周辺の電解液とが反応する副反応が持続的に起きる。このときの継続的な気体の発生により、電池の内圧が上昇し、その結果、角型電池とパウチ電池の場合、電池の厚さが増加する。それにより、携帯電話及びノートパソコンなどの電子機器における高温放置安全性に問題が生じる。また、エチレンカーボネイトを多量含む通常のリチウム二次電池はSEIフィルムが不安定であるため、上記のような電池の内圧上昇がさらに問題になる。さらに、エチレンカーボネイトは凝固点が37〜39℃と高く、室温で固体状態であるため、低温におけるイオン伝導度が低い。したがって、エチレンカーボネイトを多量含む非水系溶媒を使用するリチウム電池は低温導電率が不良である。
このような問題点を解決するため、カーボネイト有機溶媒の溶媒成分の組成を多様に変化させるかまたは特定の添加剤を混合してSEIフィルム形成反応の様相を変化させようとする研究が行われてきた。しかし、今まで知られたところでは、電池性能向上のために溶媒成分を変化させるかまたは特定化合物を電解液に添加する場合、一部項目の性能は向上するものの他の項目の性能は減少する場合が多かった。
例えば、特許文献1はエチレンカーボネイト、ジメチルカーボネイト及びメチルプロピオネートからなる3成分系有機溶媒を含む非水電解液二次電池を開示している。しかし、ジメチルカーボネイトのような線状カーボネイトはリチウム二次電池の充放電サイクル効率を低下させ、メチルプロピオネートは負極との反応性が比較的高くて放電特性が低下する。
また、特許文献2は環状カーボネイト及び線状カーボネイトからなる2成分系有機溶媒とLiBF及び/またはLiPFからなるリチウム塩とを含む非水電解液二次電池を開示している。しかし、このようなリチウム二次電池は線状カーボネイトによってリチウム二次電池の充放電効率が低下する。
また、特許文献3にはプロピレンカーボネイトのような環状カーボネイトと酢酸メチルのような線状エステル化合物とを混合した混合有機溶媒を使用したリチウム二次電池が開示されている。しかし、酢酸メチルも負極との反応性が比較的高く、放電特性が低下する。
一方、特許文献4はエチレンカーボネイトとジメチルカーボネイトとの1:1(体積比)混合物にγ‐ブチロラクトンを0.5〜50体積%添加した電解液を使用するリチウム二次電池を開示している。しかし、このようにγ‐ブチロラクトンを添加すれば低温における高率放電特性は改善されるが、電池寿命特性が悪くなる問題点がある。
このように、高率充放電特性に優れ、且つ、サイクル寿命、低温放電特性、高温放電特性が全て良好なリチウム二次電池を提供できる非水電解液の組成を開発することが至急に求められる。
特許第3032338号公報 特開2005−276844号公報 特許第3029271号公報 特開平07−153486号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、高率充放電特性に優れ、且つ、サイクル寿命と低温放電特性が改善され、特に高温におけるガス発生が抑制されたリチウム二次電池を提供することをその目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明のリチウム二次電池は、リチウムイオンを吸蔵及び放出できる炭素材からなる負極、リチウム含有酸化物からなる正極、及び非水電解液を備えるリチウム二次電池であって、前記非水電解液は、LiPF及びLiBFを含むリチウム塩;及び(a)エチレンカーボネイトまたはエチレンカーボネイトとプロピレンカーボネイトとの混合物からなる環状カーボネイトと(b)プロピオネート系エステルのような線状エステルとの混合体積比(a:b)が約10:90〜約70:30である非線状カーボネイト系混合有機溶媒を含む。
本発明のリチウム二次電池において、高温放電特性を一層向上させるためにエチルプロピオネートのような線状プロピオネートエステルの負極に対する反応抑制剤をさらに含むことができる。このようなエチルプロピオネートと負極間の反応抑制剤としては、S=O基を持つ化合物、ビニレンカーボネイト、ビニル基を持つ環状カーボネイト、フッ素化エチレンカーボネイト、環状酸無水物、及び1,3‐ジオキソラン‐2‐オニルメチルアリルスルホネートからなる群より選択されたいずれか1つまたはこれらのうちの2種以上の混合物を使用することが望ましい。このようなエチルプロピオネートの負極に対する反応抑制剤は、非水電解液の総重量を基準に約0.05〜約10重量%を添加することができる。
以下、本発明について詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に即して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
前述したように、リチウム二次電池は通常、リチウムイオンを吸蔵及び放出できる炭素材からなる負極、リチウム含有酸化物からなる正極、及び非水電解液を備える。
本発明のリチウム二次電池において、非水電解液は、LiPF及びLiBFを含むリチウム塩;及び(a)エチレンカーボネイトまたはエチレンカーボネイトとプロピレンカーボネイトとの混合物からなる環状カーボネイトと(b)プロピオネート系エステルのような線状エステルとの混合体積比(a:b)が約10:90〜約70:30である非線状カーボネイト系混合有機溶媒を含む。
本発明で使用される前記プロピオネート系エステルは、下記化学式1で表され得る。
Figure 2010539670
化学式1において、R及びRは相互独立的に直鎖状または分枝状のC1〜6のアルキル基であり、前記R及びRはそれぞれ少なくとも1つのハロゲンに置換されるかまたは非置換され得る。
前記化学式1で表されるプロピオネート系エステル化合物の非制限的な例は、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート及びブチルプロピオネートからなる群より選択される少なくとも1つの化合物を含む。エチルプロピオネート系エステルが望ましい。
前記エチルプロピオネート系エステル化合物は、下記化学式2で表され得る。
Figure 2010539670
化学式2において、少なくとも1つの水素原子はフッ素に置換され得る。
本発明のリチウム二次電池の非水電解液に含まれるリチウム塩は、LiPF及びLiBFを含むが、これに制限されない。本発明によってLiPF及びLiBFで形成される2種のリチウム塩の混合物は、エチルプロピオネートによる低温放電特性及び高率放電特性の低下なく高温における安定性を補い、高温保管時、電極における電解液の分解反応を抑制できるため、気体の発生を抑制することで電池セットの装着性を向上させることができる。
前記LiPF及びLiBFの含有量は必要に応じて適切に調節することができる。例えば、LiPFが前記有機溶媒に添加される場合、LiPFの濃度は約0.5〜2.0Mになり得る。LiPFの濃度が約0.5M以上であれば、電解液の伝導度が優れてリチウム二次電池の高率放電特性及び寿命特性に著しい効果を奏する。また、LiPFの濃度が約2.0M以下である場合には、低温放電特性及び高率放電特性における効果が優れ、さらに高温保管時の電極の表面における電解液の分解反応の抑制効果が優れる。
また、本発明によるLiBFの含有量は、非水電解液の総重量対比約0.05〜約1.0重量%である。LiBFの含有量が約0.05重量%以上であれば高温における電池内部の気体発生の抑制効果が優れ、約1.0重量%以下であれば初期充電時の電極におけるSEIフィルムの生成量を非常に適切に維持することができる。
本発明のリチウム二次電池の非水電解液において、電解質として含まれるリチウム塩はリチウム二次電池用電解液に通常使用されるものなどが制限なく含まれ得るが、前記リチウム塩の代表的な例としては、前述したLiPF及びLiBFの外に、LiSbF、LiAsF、LiClO、LiN(CSO、LiN(CFSO、CFSOLi及びLiC(CFSOからなる群より選択されたいずれか1つまたはこれらのうちの2種以上の混合物をさらに含むことができる。
エチレンカーボネイトまたはエチレンカーボネイトとプロピレンカーボネイトとの混合物は誘電率が高く、電解質内のリチウム塩を解離させ易いので電池の充放電容量の向上に寄与する。プロピレンカーボネイトを混合する場合、望ましい混合体積比はエチレンカーボネイトの0.25〜1であり、この範囲で優れた充放電容量の向上効果を奏し得る。本発明のリチウム二次電池の非水電解液としては非線状カーボネイト系有機溶媒を使用し、線状カーボネイトはリチウム二次電池の充放電効率を向上させるために基本的には添加しないが、本発明の目的を阻害しない範囲内で微量添加することもできる。
エチルプロピオネートは凝固点が低く沸点が比較的高く、優れた低温特性を示す線状エステルである。また、負極に対する反応性が比較的低い。このようなエチルプロピオネートは前述した環状カーボネイトと混合されてリチウム二次電池の低温放電特性及びサイクル寿命の向上に寄与する。(a)エチレンカーボネイトまたはエチレンカーボネイトとプロピレンカーボネイトとの混合物からなる環状カーボネイトと(b)エチルプロピオネートのような線状エステルとの混合体積比(a:b)は、約10:90〜約70:30、望ましくは約20:80〜約60:40である。
混合するエチルプロピオネートの混合比が、上記の範囲未満であればリチウム二次電池の低温放電特性が低下し、その混合比が上記の範囲を超過すればリチウム二次電池の高率充放電特性が低下する。
また、本発明のリチウム二次電池の非水電解液は、必要に応じて前記エチルプロピオネートの負極に対する反応抑制剤をさらに含むことができる。
前述したように、エチルプロピオネートは常温では負極との反応性が低く良好な放電特性を示すが、高温では負極と反応して放電特性が低下する。したがって、本発明では高温保存時の自己放電現象による高温放電特性の低下を防止するため、エチルプロピオネートの負極に対する反応抑制剤を添加する。
このような反応抑制剤は、リチウム二次電池を初期に充電するとき、前述した環状カーボネイト及びエチルプロピオネートより先に分解して負極にフィルムを形成する。これにより、高温でもエチルプロピオネートが負極と反応して放電効率が低下することを防止することができる。
エチルプロピオネートと負極間の反応抑制剤としては、S=O基を持つ化合物、ビニレンカーボネイト、ビニル基を持つ環状カーボネイト、フッ素化エチレンカーボネイト、環状酸無水物及び1,3‐ジオキソラン‐2‐オニルメチルアリルスルホネートからなる群より選択されたいずれか1つまたはこれらのうちの2種以上の混合物を使用することが望ましい。
前記S=O基を持つ化合物としては、環状サルファイト、飽和スルトン、不飽和スルトン及び非環状スルホンからなる群より選択されたいずれか1つまたはこれらのうちの2種以上の混合物を使用することができる。環状サルファイトとしては、エチレンサルファイト、メチルエチレンサルファイト、エチルエチレンサルファイト、4,5‐ジメチルエチレンサルファイト、4,5‐ジエチルエチレンサルファイト、プロピレンサルファイト、4,5‐ジメチルプロピレンサルファイト、4,5‐ジエチルプロピレンサルファイト、4,6‐ジメチルプロピレンサルファイト、4,6‐ジエチルプロピレンサルファイト、1,3‐ブチレングリコールサルファイトなどが挙げられる。飽和スルトンとしては、1,3‐プロパンスルトン、1,4‐ブタンスルトンなどが挙げられる。不飽和スルトンとしては、エテンスルトン、1,3‐プロペンスルトン、1,4‐ブテンスルトン、1‐メチル‐1,3‐プロペンスルトンなどが挙げられる。非環状スルホンとしては、ジビニルスルホン、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、メチルエチルスルホン、メチルビニルスルホンなどが挙げられる。
一方、ビニル基を持つ環状カーボネイトとしては、4‐エテニル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐オン、4‐エテニル‐4‐メチル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐オン、4‐エテニル‐4‐エチル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐オン、4‐エテニル‐4‐n‐プロピル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐オン、4‐エテニル‐5‐メチル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐オン、4‐エテニル‐5‐エチル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐オン、4‐エテニル‐5‐n‐プロピル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐オンなどが挙げられる。
上記の化合物はそれぞれ単独でまたは混合して使用することができる。
このようなエチルプロピオネートの負極に対する反応抑制剤は、非水電解液の総重量を基準に約0.05〜約10重量%添加することができる。
この他に、リチウム二次電池の非水電解液には、本発明の目的を阻害しない限度内でラクトン、エーテル、エステル、アセトニトリル、ラクタム、ケトンなどの化合物をさらに添加できることは勿論である。
本発明のリチウム二次電池に使用されるリチウムイオンを吸蔵及び放出できる炭素材からなる負極及びリチウム含有酸化物からなる正極は、通常リチウム二次電池の製造に使用されるものなどを全て使用することができる。
例えば、リチウムイオンを吸蔵及び放出できる炭素材としては、低結晶性炭素及び高結晶性炭素などを全て使用することができる。低結晶性炭素としては、軟質炭素及び硬質炭素が代表的であり、高結晶性炭素としては、天然黒鉛、キッシュ黒鉛、熱分解炭素、メソフェーズピッチ系炭素繊維(mesophase pitch based carbon fiber)、メソカーボンマイクロビーズ(meso−carbon microbeads)、メソフェーズピッチ(Mesophase pitches)、及び石油または石炭系コークスなどの高温焼結炭素が代表的であるが、これらに限定されることはない。このとき、負極は結着剤を含むことができ、ポリフッ化ビニリデン‐ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF‐co‐HFP)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidenefluoride)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate)、SBR(styrene‐butadiene rubber)共重合体、及び改質されたスチレン‐ブタジエン共重合体のような多種の結着剤高分子を使用することができる。
また、リチウム含有酸化物からなる正極活物質としては、リチウム含有遷移金属酸化物が望ましく使用でき、例えばLiCoO、LiNiO、LiMnO、LiMn、Li(NiCoMn)O(0<a<1、0<b<1、0<c<1、a+b+c=1)、LiNi1−yCo、LiCo1−yMn、LiNi1−yMn(0≦y<1)、Li(NiCoMn)O(0<a<2、0<b<2、0<c<2、a+b+c=2)、LiMn2−zNi、LiMn2−zCo(0<z<2)、LiCoPO、LiFePOからなる群より選択されるいずれか1つまたはこれらのうちの2種以上の混合物を使用することができるが、これに限定されることはない。
また、正極と負極間には通常セパレーターが介在されるが、従来セパレーターとして使用された通常の多孔性高分子フィルム、例えばエチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体、及びエチレン/メタクリレート共重合体などのようなポリオレフィン系高分子から製造した多孔性高分子フィルムを単独でまたはこれらを積層して使用することができる。この他に通常の多孔性不織布、例えば高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などからなる不織布を使用できるが、これに限定されることはない。
本発明のリチウム二次電池の外形は特に制限がないが、缶を使用した円筒型、角型、パウチ型、またはコイン型などであり得る。
以下、本発明を具体的な実施例を挙げて説明する。しかし、本発明による実施例は多くの他の形態に変形されることができ、本発明の範囲が後述する実施例に限定されると解釈されてはならない。本発明の実施例は当業界で平均的な知識を持つ者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
実施例1
エチレンカーボネイト(EC):エチルプロピオネート(EP)=3:7(体積比)の組成を持つ混合有機溶媒にLiPFを添加して1MのLiPF溶液を製造した後、非水電解液の総重量対比0.1重量%のLiBFを添加して非水電解液を製造した。
正極活物質としてLiCoOを、負極活物質として人造黒鉛をそれぞれ使用したパウチ型電池に、上記の方法で製造したリチウム二次電池用非水電解液を注入してリチウム二次電池を製造した。
実施例2
0.2重量%のLiBFを使用したことを除き、実施例1と同様の方法でパウチ型電池を製造した。
実施例3
0.5重量%のLiBFを使用したことを除き、実施例1と同様の方法でパウチ型電池を製造した。
実施例4
1.0重量%のLiBFを使用したことを除き、実施例1と同様の方法でパウチ型電池を製造した。
実施例5
エチレンカーボネイト(EC):エチルプロピオネート(EP)=2:8(体積比)の組成を持つ混合有機溶媒を使用したことを除き、実施例2と同様の方法でパウチ型電池を製造した。
実施例6
エチレンカーボネイト(EC):エチルプロピオネート(EP)=4:6(体積比)の組成を持つ混合有機溶媒を使用したことを除き、実施例2と同様の方法でパウチ型電池を製造した。
実施例7
エチレンカーボネイト(EC):エチルプロピオネート(EP)=7:3(体積比)の組成を持つ混合有機溶媒を使用したことを除き、実施例2と同様の方法でパウチ型電池を製造した。
実施例8
ビニレンカーボネイト(VC)3重量%をさらに添加したことを除き、実施例2と同様の方法でパウチ型電池を製造した。
実施例9
プロパンスルトン(PS)3重量%をさらに添加したことを除き、実施例2と同様の方法でパウチ型電池を製造した。
実施例10
フルオロエチレンカーボネイト(FEC)3重量%をさらに添加したことを除き、実施例2と同様の方法でパウチ型電池を製造した。
実施例11
1,3‐ジオキソラン‐2‐オニルメチルアリルスルホネート1重量%をさらに添加したことを除き、実施例2と同様の方法でパウチ型電池を製造した。
実施例12
ビニルエチルカーボネイト(VEC)3重量%をさらに添加したことを除き、実施例2と同様の方法でパウチ型電池を製造した。
実施例13
無水コハク酸(SA)1重量%をさらに添加したことを除き、実施例2と同様の方法でパウチ型電池を製造した。
実施例14
プロペンスルトン(PRS)1重量%をさらに添加したことを除き、実施例2と同様の方法でパウチ型電池を製造した。
実施例15
エチレンカーボネイト(EC):プロピレンカーボネイト(PC):エチルプロピオネート(EP)=3:1:6(体積比)の組成を持つ混合有機溶媒を使用したことを除き、実施例2と同様の方法でパウチ型電池を製造した。
比較例1
エチルプロピオネート(EP):プロピレンカーボネイト(PC)=3:7(体積比)の組成を持つ混合有機溶媒にLiPFのみを添加して1MのLiPF溶液を製造して非水電解液を製造したことを除き、実施例1と同様の方法でパウチ型電池を製造した。
比較例2
1MのLiPFの代わりにLiBFを使用したことを除き、比較例1と同様の方法でパウチ型電池を製造した。
比較例3
エチレンカーボネイト(EC):エチルプロピオネート(EP)=3:7(体積比)の組成を持つ混合有機溶媒の代わりに、エチレンカーボネイト(EC):エチルプロピオネート(EP)=8:2(体積比)の組成を持つ溶媒を使用したことを除き、実施例1と同様の方法でパウチ型電池を製造した。
比較例4
エチレンカーボネイト(EC):エチルプロピオネート(EP)=3:7(体積比)の組成を持つ混合有機溶媒の代わりに、エチレンカーボネイト(EC):ジエチルカーボネイト(DEC):エチルプロピオネート(EP)=1:1:1(体積比)の組成を持つ溶媒を使用したことを除き、実施例1と同様の方法でパウチ型電池を製造した。
比較例5
エチレンカーボネイト(EC):エチルプロピオネート(EP)=3:7(体積比)の組成を持つ混合有機溶媒の代わりに、エチレンカーボネイト(EC):ジメチルカーボネイト(DMC):エチルプロピオネート(EP)=1:1:1(体積比)の組成を持つ溶媒を使用したことを除き、実施例1と同様の方法でパウチ型電池を製造した。
比較例6
エチレンカーボネイト(EC):エチルプロピオネート(EP)=3:7(体積比)の組成を持つ混合有機溶媒の代わりに、エチレンカーボネイト(EC):エチルメチルカーボネイト(EMC):エチルプロピオネート(EP)=1:1:1(体積比)の組成を持つ溶媒を使用したことを除き、実施例1と同様の方法でパウチ型電池を製造した。
上記のように製造したパウチ型電池の初期効率、容量保持率、高温厚さ変化、低温放電容量比及び高率放電容量比を表1に示した。
<実験例:初期効率、容量保持率、高温厚さ変化、低温放電容量比及び高率放電容量比の測定>
初期効率
前述した実施例及び比較例で製造されたパウチ型電池を、電解液を注入して常温で2日間エイジング(aging)した後、0.2Cレートで50分間充電した。次いで、脱ガス/再封止して室温で0.2Cで4.2Vまで定電流/定電圧条件で充電し、0.2Cで3.0Vまで定電流条件で放電することを初期充放電とする。このときの放電/充電容量の比を初期効率とし、下記表1に測定結果を示した。
容量保持率
実施例及び比較例で製造された電池を初期充放電した後、同じ電圧領域で1.0Cレートで充放電を300回施し、初期放電容量対比300回容量保持率を下記表1に示した。
高温厚さ変化
実施例及び比較例で製造された電池を初期充放電した後、それぞれ4.2Vで充電し、常温から90℃に1時間かけて昇温させ90℃で4時間保存した。常温対比高温における電池厚さの最大変化値を測定し、その値を下記表1に示した。
低温放電特性
実施例及び比較例で製造された電池を初期充放電した後、常温で同じ電圧領域で1.0Cレートで充電し0.2Cレートで放電した。次いで、1.0Cレートで充電させた電池を−20℃の低温チャンバーに入れた後、0.2Cレートで放電した。このとき、常温と−20℃とにおける放電容量の比を下記表1に示した。
高率放電容量
上記のような方法で製造した電池を初期充放電した後、同じ電圧領域で1.0Cレートで充放電を4回施し、1.0Cレートで充電してから0.2Cレートで放電した。そして、1.0Cレートの4回目放電容量と0.2Cレートの放電容量との比を下記表1に示した。
Figure 2010539670
表1から、実施例によって製造されたリチウム二次電池の特性が全体的に優れることが分かる。比較例によって製造されたリチウム二次電池の場合は、全般的な電池の特性が実施例によって製造されたリチウム二次電池より優れないことが分かる。たとえ比較例によって製造されたリチウム二次電池の一部の特性が実施例のリチウム二次電池より優れても、他の特性が劣っており、全体的には比較例のリチウム二次電池が実施例のリチウム二次電池より優れないことが分かる。
本発明のリチウム二次電池は、2種のリチウム塩及び線状カーボネイトを排除した所定の混合有機溶媒を含むことで、高率充放電特性に優れ、且つ、サイクル寿命と低温放電特性が改善され、特に高温におけるガスの発生が抑制されて電池セットの装着性が向上する。

Claims (20)

  1. リチウム二次電池であって、
    負極と、正極と、前記負極と正極間に介在されたセパレーターと、及び非水電解液を備えてなり、
    前記非水電解液が、LiPF及びLiBFを含むリチウム塩と、
    (a)エチレンカーボネイトまたはエチレンカーボネイトとプロピレンカーボネイトとの混合物からなる環状カーボネイトと、(b)下記化学式1で表されるプロピオネート系エステル化合物との混合体積比(a:b)が10:90〜70:30である非線状カーボネイト系混合有機溶媒とを含んでなることを特徴とする、リチウム二次電池。
    Figure 2010539670
    [上記化学式1において、
    及びRは相互独立的に直鎖状または分枝状のC1〜6のアルキル基であり、
    及びRはそれぞれ少なくとも1つのハロゲンに置換され又は非置換されてないものである。]
  2. 前記LiBFの含有量が、非水電解液の総重量に対して0.05〜1.0重量%であることを特徴とする、請求項1に記載のリチウム二次電池。
  3. 前記リチウム塩が、LiSbF、LiAsF、LiClO、LiN(CSO、LiN(CFSO、CFSOLi及びLiC(CFSOからなる群より選択されたいずれか1つ又はこれらのうちの2種以上の混合物をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のリチウム二次電池。
  4. 前記エチレンカーボネイトとプロピレンカーボネイトとの混合体積比が、エチレンカーボネイト:プロピレンカーボネイト=1:0.25〜1:1であることを特徴とする、請求項1に記載のリチウム二次電池。
  5. 前記非水電解液が、前記プロピオネート系エステルの負極に対する反応抑制剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のリチウム二次電池。
  6. 前記プロピオネート系エステルと負極間の反応抑制剤が、S=O基を持つ化合物、ビニレンカーボネイト、ビニル基を持つ環状カーボネイト、フッ素化エチレンカーボネイト、環状酸無水物及び1,3‐ジオキソラン‐2‐オニルメチルアリルスルホネートからなる群より選択されたいずれか1つ又はこれらのうちの2種以上の混合物であることを特徴とする、請求項5に記載のリチウム二次電池。
  7. 前記S=O基を持つ化合物が、環状サルファイト、飽和スルトン、不飽和スルトン及び非環状スルホンからなる群より選択されたいずれか1つ又はこれらのうちの2種以上の混合物であることを特徴とする、請求項6に記載のリチウム二次電池。
  8. 前記環状サルファイトが、エチレンサルファイト、メチルエチレンサルファイト、エチルエチレンサルファイト、4,5‐ジメチルエチレンサルファイト、4,5‐ジエチルエチレンサルファイト、プロピレンサルファイト、4,5‐ジメチルプロピレンサルファイト、4,5‐ジエチルプロピレンサルファイト、4,6‐ジメチルプロピレンサルファイト、4,6‐ジエチルプロピレンサルファイト及び1,3‐ブチレングリコールサルファイトからなる群より選択されたいずれか1つまたはこれらのうちの2種以上の混合物であることを特徴とする、請求項7に記載のリチウム二次電池。
  9. 前記飽和スルトンが、1,3‐プロパンスルトン、1,4‐ブタンスルトン及びこれらの混合物からなる群より選択されたいずれか1つであることを特徴とする、請求項7に記載のリチウム二次電池。
  10. 前記不飽和スルトンが、エテンスルトン、1,3‐プロペンスルトン、1,4‐ブテンスルトン及び1‐メチル‐1,3‐プロペンスルトンからなる群より選択されたいずれか1つ又はこれらのうちの2種以上の混合物であることを特徴とする、請求項7に記載のリチウム二次電池。
  11. 前記非環状スルホンが、ジビニルスルホン、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、メチルエチルスルホン及びメチルビニルスルホンからなる群より選択されたいずれか1つ又はこれらのうちの2種以上の混合物であることを特徴とする、請求項7に記載のリチウム二次電池。
  12. 前記ビニル基を持つ環状カーボネイトが、4‐エテニル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐オン、4‐エテニル‐4‐メチル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐オン、4‐エテニル‐4‐エチル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐オン、4‐エテニル‐4‐n‐プロピル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐オン、4‐エテニル‐5‐メチル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐オン、4‐エテニル‐5‐エチル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐オン、及び4‐エテニル‐5‐n‐プロピル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐オンからなる群より選択されたいずれか1つ又はこれらのうちの2種以上の混合物であることを特徴とする、請求項6に記載のリチウム二次電池。
  13. 前記プロピオネート系エステルの負極に対する反応抑制剤の含有量が、非水電解液の総重量を基準に0.05〜10重量%であることを特徴とする、請求項5に記載のリチウム二次電池。
  14. 前記化学式1で表されるプロピオネート系エステル化合物が、メチルプロピオネート系エステル、エチルプロピオネート系エステル、プロピルプロピオネート系エステル及びブチルプロピオネート系エステルからなる群より選択される少なくとも1つの化合物を含むことを特徴とする、請求項1に記載のリチウム二次電池。
  15. 前記エチルプロピオネート系エステル化合物が、下記化学式2で表されることを特徴とする、請求項14に記載のリチウム二次電池。
    Figure 2010539670
    [化学式2において、
    少なくとも1つの水素原子はフッ素に置換され得る。]
  16. 前記負極が、リチウムイオンを吸蔵または放出できる炭素材で製造されたことを特徴とする、請求項1に記載のリチウム二次電池。
  17. 前記正極が、リチウム含有酸化物で製造されたことを特徴とする、請求項1に記載のリチウム二次電池。
  18. LiPF及びLiBFを含むリチウム塩と、
    (a)エチレンカーボネイトまたはエチレンカーボネイトとプロピレンカーボネイトとの混合物からなる環状カーボネイトと、(b)下記化学式1で表されるプロピオネート系エステル化合物との混合体積比(a:b)が10:90〜70:30である非線状カーボネイト系混合有機溶媒とを含んでなることを特徴とする、非水電解液。
    Figure 2010539670
    [上記化学式1において、
    及びRは相互独立的に直鎖状または分枝状のC1〜6のアルキル基であり、
    及びRはそれぞれ少なくとも1つのハロゲンに置換され又は非置換されてないものである。]
  19. 前記化学式1で表されるプロピオネート系エステル化合物が、メチルプロピオネート系エステル、エチルプロピオネート系エステル、プロピルプロピオネート系エステル及びブチルプロピオネート系エステルからなる群より選択される少なくとも1つの化合物を含むことを特徴とする、請求項18に記載の非水電解液。
  20. 前記エチルプロピオネート系エステル化合物が、下記化学式2で表されることを特徴とする請求項19に記載の非水電解液。
    Figure 2010539670
    [化学式2において、
    少なくとも1つの水素原子はフッ素に置換され得る。]
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