目次
1 家具設計支援システム
1.1 家具設計支援システムの概要
1.2 ユニットとパーツの基本的構造
1.3 家具設計支援システムの構成
1.4 基本情報テーブル(マスタ・ファイル)および設計図面
2 家具設計データ
2.1 完成家具テーブル
2.2 ユニット番号テーブル
2.3 ユニット配置テーブル
2.4 仕切(セル)情報テーブル
2.5 ユニット/パーツ定義テーブル
2.6 引出し配置テーブル
2.7 扉配置テーブル
2.8 引き手配置テーブル
2.9 脚配置テーブル
2.10 仕切板配置テーブル
3 家具設計支援システムにおける処理I
3.1 全体概要
3.2 ユニット/パーツ定義処理
3.3 組み立て処理
3.4 図面表示/印刷処理
4 家具設計支援システムにおける処理II(表示画面を中心に)
5 加工図作成処理
6 製造工程図作成処理
7 取扱説明書作成処理
8 ネットワークを利用した家具設計支援システム
1 家具設計支援システム
1.1 家具設計支援システムの概要
家具設計支援システムは,基本的には,家具の販売店,住宅展示場,その他の家具を購入しようとする顧客と応対する場所に設置される。これらの店舗,場所等では,オペレータは家具設計支援システムを用いて,顧客が要望する種類の家具について,その形状,構造,寸法,材料(木材,ガラス等),部材(金具を含む),色等についての顧客の希望を聞きながら,または考慮して家具を設計し(家具設計データを作成し),設計された家具の外観を表す画像(図面)等を,表示画面に表示して,またはプリントして顧客に提供する。すなわち,家具設計支援システムは,顧客の希望にしたがって,オーダ・メイドの態様で家具を設計(シミュレーション)する。
また家具設計支援システムは,家具製作所,設計所(室)等に設置されることもある。家具製作所等では,家具の設計データを,FDや通信回線等を介して家具の販売店や住宅展示場等から受け取る。家具設計データが,家具製作所等に設置された家具設計支援システムに入力される。家具設計支援システムに入力された家具設計データによって表される家具の設計図面が,家具設計支援システムから出力(画面出力,プリント出力)される。家具製作所等では,出力された設計図面にもとづいて家具を製作する。顧客の要望を反映した家具が製作される。もちろん,家具製作所等において,この支援システムを用いて家具を設計することもできる。
家具には,たんす,ワードローブ,クロゼット,戸棚,本棚,サイドボード,キャビネット,チェスト,シェルフ,ワゴン,ラック,机等,数多くの種類がある。家具設計支援システムは,これらの多くの種類の家具のすべてが,それらを構成する部材(外枠,仕切板,引出し,扉,天板,脚,引き手,ヒンジ,キャスタ等)(後述するユニット,パーツ等)の組合せによって作ることができるという点に着目し,この考え方を基本とするものである。
家具設計支援システムの記憶装置には,家具を構成する部材(基本構成部材=ユニット,部品=パーツ,その他の部材)のそれぞれについての基本的なデータ(タイプ等)があらかじめ格納されている。家具設計支援システムは,あらかじめ用意された家具の構成部材のデータを,オペレータの入力に応じて組み合わせることによって,多くの種類の家具を設計する。しかも,構成部材のデータの多様な組合せによって,様々な形状,構造,寸法,材料,材質,部品,色等を持つ家具を設計することができる。
家具は,その構造の観点から,「箱もの」,「脚もの」,「差しもの」等に大きく分類できる。
この実施例では,「箱もの」の家具の設計(シミュレーション),特に,「箱もの」の家具を構成する基本的構造体(基本構成部材)を基礎とし,その構造体にさまざまな部材(部品)等を組合わせることによって最終的に完成した家具を設計する,そのような家具設計に焦点を当てて説明する。
「箱もの」と呼ばれる家具は,複数の壁によって境界が定められた一つの空間を持つ。複数の壁によって枠体が形成される。枠体内部が上述の空間である。「箱もの」の家具の構造の最も基本となる枠体のことを,この明細書において「ユニット」という。ユニット内の上述の空間をこの明細書において「セル」という。
一般的には「箱もの」の家具のユニット内の空間(セル)はさらに一または複数の仕切板または他の部材,部品等(たとえば引出しのガイド)によって分割される。この分割によって形成されるより小さな空間もまた,この明細書において「セル」という。
1.2 ユニットとパーツの基本的構造
図1から図4はユニットの構造例(ユニット・タイプ)を示すものである。
家具を構成するユニットは,代表的には,(I)天地被せ式,(II)側板被せ式および(III)留接合式の3つのタイプに分類することができる。
(I)天地被せ式(図1(A) および図1(B) )
図1(A) は天地被せ式ユニットの斜視図を,図1(B) は(A) のIB−IB線に沿う断面図をそれぞれ示している。天地被せ式ユニットは,左右に間隔をあけて平行に立てられた2枚の同一形状の側板3,4の上端面に,この上端面に上から被さるように,天板1が(その両端部において)接合され,かつ側板3,4の下端面に,地板2が(その両端部において),下端面に下から被さるように,接合されているものである。側板3,4の上端面と天板1,側板3,4の下端面と地板2とは接着剤,釘,ねじ等により,またはこれらの組合せによって互いに接合される(釘,ねじ等は図示略)(このことは次に述べる側板被せ式ユニットについても同様である)。天板1,地板2,側板3,4の内側の面によってつくられる直方体状の空間が「セル」である。セルの前面(手前側)は開口している。セルの背面(奥側)は開口している,または裏板(背面板)(図示略)によって閉じられる。このことは,次に述べる側板被せ式ユニットおよび留接合式ユニットについても同じである。天板1の左右のいずれかの一端部または両端部は側板3,4よりも側方に突出してもよい。同じように,地板2の左右のいずれかの一端部または両端部も側板3,4よりも側方に突出していてもよい。
(II)側板被せ式(図2(A) および図2(B) ならびに図3(A) および図3(B) )
側板被せ式には3つのタイプがあり,これらを側板被せ式I,II,III とする。
図2(A) は側板被せ式Iユニットの斜視図を,図2(B) は図2(A) のIIB−IIB線に沿う断面図をそれぞれ示している。側板被せ式Iユニットは,上下に間隔をあけて平行に配置された天板1と地板2の左右の端面に,側板3と側板4がそれぞれ,側方から被さるように,接合されているものである。側板3,4の上端部は天板1より上方に突出していてもよいし,側板3,4の下端部が地板2よりも下方に突出していてもよい。
図3(A) は側板被せ式IIユニットの斜視図を,図3(B) は図3(A) のIIIB−IIIB線に沿う断面図をそれぞれ示している。側板被せ式IIユニットは,側板3および側板4が地板2の左右の端面に,側方から被さるように,接合されているものである。また,側板3,4の上端面に天板1が接合されているものである。天板1の左右のいずれかの一端部または両端部は側板3,4よりも側方に突出していてもよいし,側板3,4の下端部は地板2よりも下方に突出していてもよい。
側板被せ式III ユニットは,図示を省略しているが,2枚の側板が,天板の左右の端面にそれぞれ接合され,その2枚の側板の下端面に地板が接合されているものである。側板の上端部は天板よりも上方に突出していてもよいし,地板の左右のいずれかの一端部または両端部は側板よりも側方に突出していてもよい。
(III)留接合式(図4(A) および図4(B) )
図4(A) は留接合式ユニットの斜視図を,図4(B) は図4(A) のIVB−IVB線に沿う断面図をそれぞれ示している。天板1および地板2の左右の端面と,側板3,4の上下の端面とが斜めにカットされている。天板1の左右のカット面と側板3,4の上端のカット面とが互いに接合され,かつ地板2の左右のカット面と側板3,4の下端のカット面とが互いに接合されている。これらの互いに接合されるカット面の一方には凸部(ほぞ)(図4(B) において符号4aで示す)が,他方には凸部4aが嵌め込まれる凹部(ほぞ穴)(符号1aで示す)がそれぞれ形成されている。カット面は凸部と凹部の嵌め合いにより,または嵌め合いに加えて接着剤を用いて互いに固定(結合)される。ほぞとほぞ穴は交互に複数箇所にわたって設けてもよい。留接合式ユニットにおいては,必ずしも,釘,ねじを用いて天板1,地板2,側板3,4を互いに固定する必要はない。天板または地板と側板とを,それらの端部に形成した凹凸を嵌め合わせることにより接合してもよい。
図5(A) は天地被せ式ユニットを含む家具の一例を示している。図5(B) ,図5(C) および図5(D) は側板被せ式Iユニットを含む家具の例を示している。図6(A) ,図6(B) および図6(C) は側板被せ式IIユニットを含む家具の例を示している。図6(D) は留接合式ユニットを含む家具の例を示している。多くの家具は,上述の3つのユニット・タイプのうちのいずれか一つまたは複数のタイプのユニットを含む。
ユニット内のセルは,一般的には,上述のように仕切板,ガイド等によりより小さなセルが形成される。このセルには,場合によっては引出しが格納される。ユニットの開口した前面には扉が取付けられることもある。引出しや扉等の前面には引き手,取っ手またはノブが取付けられることがある。さらに,ユニットの底面にはキャスタが取付けられることもある。このように,ユニットまたはセルに設けられる仕切板,ガイド,引出し,扉,引き手,キャスタ等を総称して,この明細書では「パーツ」という。
図7(A) ,図7(B) はパーツを持つ家具の例を示すものである。
図7(A) の家具8は,ユニット8A内のセルが仕切板10によって上,下2つの小さなセルに分割され,それぞれの小さなセル内に引出し6が引出し自在に納められている。仕切板10はユニット8Aの両側板3,4および裏板(背面板)5に固定されている。引出し6の前面板6aには引き手6bが取付けられている。
図7(B) に示す家具9は,ユニット9A内のセルが左右2つのガイド(支持部材)10Aによって,上,下2つの小さなセルに分割されている。左右2つのガイド10Aはそれぞれ側板3,4に固定されている。左右2つのガイド10Aは,天板1と地板2とのほぼ中間の高さに位置しており,天板1,地板2との間に間隔がある。ガイド10Aによって分割された小さなセル内にそれぞれ引出し7が引出し自在に納められている。上段の引出し7はその両端部がガイド10Aによって受けられている。引出し7の前面板7aの下部には取っ手となる凹部7bが形成されている。
引出しは,一般に,「インセット式」と「オーバーセット式」の2つのタイプに分けることができる。図7(A) はインセット式引出しを,図7(B) はオーバーセット式引出しをそれぞれ示している。
インセット式引出しとは,引出しをセルに納めた状態において,引出しの前面板がセル内部に入る大きさを持つ引出しをいい,一般には天板1,地板2および側板3,4の前端面と,インセット式引出し6の前面(前面板6aの前面)とがほぼ面一の状態になる。
オーバーセット式引出しとは,引出しをセルに納めた状態において,その前面板がセル内に入らない大きさを持つ引出しをいう。一般に,オーバセット式引出し7をセル内に収めたときに,前面板7aの裏面が,天板1,地板2および側板3,4の前端面に接する状態になる。
1.3 家具設計支援システムの構成
図8は家具設計支援システムの外観を,図9はその電気的構成をそれぞれ示している。
家具設計支援システムはコンピュータ20を含むコンピュータ・システム(たとえば,パーソナル・コンピュータ)によって構成される。コンピュータ20にはFDドライブ14,CD−ROMドライブ15,HDユニット16およびメモリ18が接続され,これらはコンピュータ本体ケース19内に内蔵されている。コンピュータ20にはCRT表示装置11,キーボード12,マウス13およびプリンタ17が接続されている。FDドライブ14はFD22にデータを書込み,FD22からデータを読出す。CD−ROMドライブ15はCD−ROM21から家具設計支援プログラムおよびデータ(マスタ・ファイル)を読出す。HDユニット16はハード・ディスク(HD)に家具設計支援プログラムおよび各種データを書込み,HDからプログラムおよびデータを読出す。コンピュータ・システムのHDにはあらかじめ,コンピュータ・システムを統合的に制御するオペレーティング・システム(OS)が格納されている。
コンピュータ20から与えられる表示データにもとづいて,後述するように,表示装置11の表示画面には種々の画面(ウインドウ)が表示される。オペレータ(または顧客)は,この表示画面上に表示された各種のボタン(アイコン)に,マウス13の動きと連動して表示画面上を移動するポインタを重ね合わせてクリックする,またはリスト・アップされた各種の項目のうち所望のものの位置に,ポインタを合わせてクリックすることによって,要求,意思,選択を入力する。また,オペレータはキーボード12を用いて必要なデータ(数値,文字等)を入力する。マウス13やキーボード12を用いて入力されたデータは,コンピュータ20に取り込まれ,その後の処理に用いられる。表示装置11の表示画面に表示された表示画面のハード・コピー,処理結果の印刷は,プリンタ17によって行われる。
CD−ROM21には,コンピュータ・システムを家具設計支援システムとして動作させるために必要な家具設計支援プログラムおよびデータ(マスタ・ファイルを含む)が記録されている。CD−ROM21に記憶されている家具設計支援プログラムおよびデータは,CD−ROMドライブ15によって読取られてHDユニット16のHDにインストールされる。表示装置11の表示画面に表示される画面(ウインドウ)は,HDにインストールされた家具設計支援プログラムおよびデータとOSとの両方にもとづく。
HDには家具設計データ25が記憶される(家具設計データ25には,マスタ・ファイルの内容が含まれる)。後述するように,家具設計データ25によって家具の画像や設計図面等が表される。
1.4 基本情報テーブル(マスタ・ファイル)および設計図面
HDにインストールされるマスタ・ファイルには,基本情報テーブルが含まれている。基本情報テーブルには,図10に示すように,家具の設計に用いられるマスタ・データが階層構造で格納されている。
ユニットに関しては,上述したように,天地被せ式と,側板被せ式と,留接合式とがあること(これらをタイプ分類1とする),側板被せ式は側板被せ式I,IIおよびIII に分類されること(これらをタイプ分類2とする)が記述されている。
続いて基本情報テーブルにはパーツに関する分類(タイプ分類1)が記述されている。引出しにはインセットとオーバセットがある。特に引出しに関してはその前板(前面板)が,前板1(標準:木材である)と前板2(ガラス付)に分類される。扉は扉1(両開き)と扉2(片開き)に分類される。扉2(片開き)はさらに,右開きと左開きとに分類される(タイプ分類2)。パーツに関しては,さらに脚,引き手,仕切板,ヒンジ(丁番),鍵等のそれぞれについての分類が規定されている。
基本情報テーブルにはさらに,ユニットとパーツについての属性(材料,材質(木目),色,板の厚さ,扉の厚さ,引出し前板の厚さ等)が規定されている。
基本情報テーブルには,家具設計支援システムに行わせる処理に応じて,他のデータも格納される。たとえば,基本情報テーブルには,上述したユニット,パーツ,属性に関するデータの他に,木材の種類ごとの単位面積当たりの単価のデータ,パーツごとの単価のデータ,家具を写真撮影することによって得られた家具の写真画像データ等が格納される。
基本情報テーブルは,家具設計支援プログラムとともにCD−ROM21に格納されており,家具設計支援システムのHDユニット16のHDにインストールされる。
図11および図12は,プリンタ17から出力される家具の設計図面の一例を示すものである。図11は設計された家具の正面設計図面を,図12は設計された家具の側面設計図面をそれぞれ示している。
家具設計支援システムによって作成されて出力される家具の設計図面には,家具の形状,構造および寸法(幅,奥行き,高さ)が示される。設計図面にはさらに,家具を構成する構成部材の材料,材質(木目),色(塗装色)等を指定する記述が加えられる場合もある。
図11および図12には,説明の便宜のために,X,Y,Z座標,および各基準点の座標が示され,さらにユニット番号,代表的なパーツの名称およびパーツ番号が表わされている。
この家具は家具番号(後述する)が「1113」のものであり,2つのユニット(ユニット番号「1113−01」,「1113−02」)から構成されている。
上段のユニット(ユニット番号「1113−01」)について説明すれば,このユニットは,パーツとして,4つの仕切板(パーツ番号「001」〜「004」)(図13参照),5つの引出し(パーツ番号「005」〜「009」),および5つの引き手(パーツ番号「010」〜「014」)を備えている。
上段のユニット内につくられるセルおよびセルIDについて,図13(A) 〜図13(C) を参照して説明する。
図13(A) を参照して,このユニットは1つのセルを含む。ユニットの天板,地板,左側板および右側板によってつくられるセルのセルIDは「00」(以下,セルID「00」と呼ぶ)である。
ユニット内のセルが仕切板(棚板)によって分割される。もとのセルよりも小さい複数のセルがつくられる。
図13(B) に示すように,セルID「00」のセルが横方向の2枚の仕切板(パーツ番号「001」,「002」)によって分割されることによって,3つのより小さいセルがつくられる。3つのセルのそれぞれにセルIDが付される(セルID「01」,「02」および「03」)。
図13(C) に示すように,セルID「03」のセルが縦方向の2枚の仕切板(パーツ番号「003」,「004」)によって分割されることによって,3つのより小さいセルがつくられる。3つのセルのそれぞれにセルIDが付される(セルID「04」,「05」および「06」)。
家具設計支援システムでは,図11,図12に示す家具の上段のユニットは,7つのセル(セルID「00」〜「06」)を含むものとして扱われる。
図11,図12に示す家具の下段のユニット(ユニット番号「1113−02」)も同じように,3つの仕切板と,4つの引出しと,これらの前板に付けられる4つの引き手と,1つの両開き扉と,この扉に付けられる1つの(1対の)引き手と,両開き扉をユニットに取付ける1組(4つ)の丁番(ヒンジ)と,1組(4つ)の脚(キャスタ)とをパーツとして含む。このユニットに含まれるセルは合計5つである。
2 家具設計データ
図14から図23は,家具設計支援システムのHDに格納される家具設計データ25を示すものである。家具設計データ25は,相互にリンクした各種のテーブルに格納される。これらのテーブル内の具体的なデータは,図11および図12に示す家具の設計図を表現することや,家具の外観を表示すること等に利用される。
2.1 完成家具テーブル
完成家具テーブルには,図14に示すように,家具番号,家具種別,家具名称,作成日付およびユニット数に関するデータが格納(記憶,登録)される。
「家具番号」は,家具設計支援システムを用いて設計された家具(以下,「完成家具」という)ごとに付されるユニークな番号である。
「家具種別」には,完成家具の種別に応じて「箱もの」,「脚もの」または「差しもの」のいずれかが格納される。
「家具名称」は,完成家具の名称を表すデータ(表示のための文字列)である。
「作成日付」は,完成家具テーブルに家具番号,家具種別,家具名称およびユニット数のデータ(行方向のデータ)が格納された日付(年月日)を表す。
「ユニット数」は完成家具に含まれるユニットの数を表す。完成家具が2つのユニットを含む場合には「2」の数字が,3つのユニットを含む場合には「3」の数字が格納される。
図11および図12に示す完成家具は,家具番号が「1113」のもので,家具名称が「タンス3」である。タンス3は2つのユニットから構成されている。
2.2 ユニット番号テーブル
ユニット番号テーブルには,図15に示すように,家具番号,ユニット番号,ユニット/パーツ定義番号,ユニット/パーツ定義名称およびセル数に関するデータが格納される。
「家具番号」は,上述の完成家具テーブルのものと同じである。「家具番号」によってこのユニット番号テーブルと完成家具テーブルとがリンクする。
「ユニット番号」は,完成家具に含まれるユニットごとに付される番号である。たとえば,家具番号1113(図11,図12に示す)の完成家具には,「1113−01」と「1113−02」のユニット番号で特定される2つのユニットが含まれていることを示す。以降に説明するすべてのテーブルは,家具番号およびユニット番号によって,このユニット番号テーブルにリンクする。
「ユニット/パーツ定義番号」および「ユニット/パーツ定義名称」については後述する。
「セル数」は,ユニットに含まれるセルの数を表す。上述のように,上記2つのユニットにはそれぞれ7つ,5つのセルが含まれる。
2.3 ユニット配置テーブル
ユニット配置テーブルには,図16に示すように,家具番号,ユニット番号,セルID,配置情報,基準点(x,y,z),全体サイズ(uW,uD,uH),部位1(天板)のサイズ,仕上げ色および材料,部位2(地板)のサイズ,仕上げ色および材料,部位3(左側板)のサイズ,仕上げ色および材料,部位4(右側板)のサイズ,仕上げ色および材料(部位2〜4については図示略),パーツ数ならびに脚の有無に関するデータが格納される。
「家具番号」および「ユニット番号」は上述した通りである。
「セルID」は,ユニットによってつくられるセルのセルIDを表す。
「配置情報」は,ユニット同士の位置関係を表す。完成家具が複数のユニットを含む場合,それらのユニットがどのような位置関係にあるかが示される。
ユニット番号「1113−01」についての配置情報には「下面に1113−02を一体接合」する旨のデータが格納され,ユニット番号「1113−02」についての配置情報には「上面に1113−01を一体接合」する旨のデータが格納されているので,完成家具(「家具番号1113」)はユニット番号「1113−01」のユニットが上段に,ユニット番号「1113−02」のユニットが下段に配置され,上段のユニットの地板と下段のユニットの天板が1枚の板で構成されている(一体接合されている)ことを表す。
「基準点(x,y,z)」は,ユニットをその正面から見た場合におけるユニットの前方左下隅の点を,3次元座標(x,y,z)で表すものである。完成家具が複数のユニットによって構成される場合には,はじめに設計されたユニットの前方左下隅の点が3次元座標の原点に定められる。
「全体サイズ(uW,uD,uH)」は,ユニットの幅(uW),奥行き(uD)および高さ(uH)の寸法(mm単位)をそれぞれ表す。
ユニットは基本的に天板,地板,左側板および右側板によって形成されるので,これらが部位1,2,3,4とされる。「部位1(天板)のサイズ」,「部位1(天板)の仕上げ色」および「部位1(天板)の材料」は天板のサイズ,仕上げ色(塗装色)および材料(木材の種類,材質(木目)が格納されることもある)をそれぞれ表す。地板,左側板および右側板についても,サイズ,仕上げ色および材料のデータがそれぞれ格納される。これらの仕上げ色および材料のデータには,基本情報テーブル(図10)のデータが用いられる。
「パーツ数」は,ユニットに含まれるパーツの数を表す。
「脚の有無」は,ユニットに脚(キャスタ等)が取付けられているかどうかを表す。
2.4 仕切(セル)情報テーブル
仕切(セル)情報テーブルには,図17に示すように,家具番号,ユニット番号,セルID,横仕切数,縦仕切数,親セルのID,親セル内の横位置,親セル内の縦位置,基準点(x,y,z),サイズ(cW,cD,cH),配置パーツ定義名称,分割レベル等に関するデータが格納される。
「セルID」は,ユニット番号によって特定されるユニットに含まれるセルのそれぞれを識別する番号を表す。上述したようにユニット番号「1113−01」のユニットは7つのセルを含み,7つのセルのそれぞれにセルID(「00」,「01」,「02」,「03」,「04」,「05」および「06」)が付けられている。
「横仕切数」は,横方向(水平方向)に配置された仕切板の数を表す。「縦仕切数」は,縦方向(垂直方向)に設けられている仕切板の数を表す。たとえば,セルID「00」のセル(ユニット)には2つの水平な仕切板(横仕切板)が設けられているので,横仕切数の欄には「2」の数字が格納される。
「親セルのID」は,セルが仕切板によって仕切られることによって複数のセルが含まれるようになった場合における,もとのセル(分割前のセル)に付されているセルIDを表す。たとえば,セルID「01」,「02」および「03」のセルの「親セルのID」には,それぞれ「00」が格納されている。セルID「01」,「02」および「03」のセルは,セルID「00」のセルが仕切板によって仕切られてつくられたセルであることを表す。セルID「00」のようなセルを「親セル」といい,セルID「01」,「02」および「03」のようなセルを,セルID「00」のセルの「子セル」という。
「親セル内の横位置」は,ユニットをその正面から見た場合に,親セルに含まれる子セルが左から何番目に位置するかを表す。たとえば,セルID「06」のセルに関して「親セル内の横位置」には「3」の数字が格納されている。セルID「06」のセルの親セルはセルID「03」のセルである。セルID「06」のセルは,親セル(セルID「03」のセル)内の子セルのうち,左から3番目に位置する。
「親セル内の縦位置」は,ユニットをその正面から見た場合に,親セルに含まれる子セルが下から何番目に位置するかを表す。たとえば,セルID「02」のセルに関して「親セル内の縦位置」には「2」の数字が格納されている。セルID「02」のセルの親セルは,セルID「00」のセルである。セルID「02」のセルは,親セル(セルID「00」のセル)内の子セルのうち,下から2番目に位置することを表す。
「基準点(x,y,z)」は,ユニットをその正面から見た場合におけるセルの前方左下隅の点の3次元座標(x,y,z)を示す。
「サイズ(cW,cD,cH)」は,セルの幅(cW),奥行き(cD)および高さ(cH)のそれぞれの寸法を表す。
「配置パーツ定義名称」は,セルに取付けられている(格納されている)パーツのユニット/パーツ定義名称(後述する)を表す。
「分割レベル」は,セルが何回目の分割でつくられたものであるかを表す。たとえば,セルID「01」,「02」および「03」のセルの分割レベルは,セルID「00」のセルを分割することによってつくられたものであるので「1」の数字が入る。セルID「04」,「05」および「06」のセルの分割レベルは,セルID「00」のセルが分割され,さらにその子セルであるセルID「03」のセルが分割されてつくられたものであるので分割レベルは「2」である。仕切(セル)情報テーブルには,さらに仕切板の有無,縦仕切板または横仕切板の優先関係,裏板の有無,オフセット値(後述する)についてのデータが格納される。
2.5 ユニット/パーツ定義テーブル
ユニット/パーツ定義テーブルには,図18に示すように,ユニット/パーツ種別,ユニット/パーツ定義番号,ユニット/パーツ定義名称,タイプ分類1,タイプ分類2,タイプ分類3,全体サイズ,部位1〜4のサイズ,仕上げ色,材料等(部位2の仕上げ色および材料,部位3,4については図示略)に関するデータが格納される。ユニット/パーツ定義テーブルに格納されるデータを総括して「定義データ」という。すなわち,このユニット/パーツ定義テーブルに記述されるデータは,家具設計支援システムを用いて家具を設計するときにオペレータ(または顧客)がユニットおよびパーツに関して入力(定義)したデータである。ユニット/パーツ定義テーブルに格納される定義データは,複数の完成家具(またはその一部)に利用することができ,何回でも利用することができる。
「ユニット/パーツ種別」は,ユニットであること,またはパーツの場合にはパーツの種類を表す。
「ユニット/パーツ定義番号」は,定義データが与えられたユニットおよびパーツのそれぞれに付されるユニークな番号である。
「ユニット/パーツ定義名称」は,定義データが与えられたユニットおよびパーツのそれぞれについて,オペレータ(または顧客)によって付けられた名称(名称を表示するための文字コード)を表す。
「タイプ分類1」,「タイプ分類2」,「タイプ分類3」は,ユニットまたはパーツについて,基本情報テーブル(図10)に格納されているマスタ・データを用いてオペレータ(または顧客)が与えた定義を示す(図10においては,タイプ分類3は図示されていない)。
たとえば,ユニットについての「タイプ分類1」は,天地被せ式,側板被せ式または留接合式のいずれのタイプであるかを表す。「タイプ分類1」が側板被せ式である場合には,さらに「タイプ分類2」に側板被せ式I,側板被せ式IIまたは側板被せ式III のいずれであるかを表すデータが記述される。引出しについての「タイプ分類1」は,引出しの前板が標準タイプまたはガラス付きタイプのいずれであるかを表す。
「全体サイズ」は,ユニットの幅(W),奥行き(D)および高さ(H),またはパーツの幅,奥行きおよび高さ(パーツの横の長さ,縦の長さ,パーツの厚さを表す場合もある)のそれぞれの寸法を表す。パーツについては,全体サイズは定義されない場合もある。
部位1〜4のサイズ,仕上げ色および材料は,ユニットまたはパーツが複数の部材によって構成される場合に,それら部材についてのサイズ,仕上げ色(塗装色),材料をそれぞれ表す。
部位1〜4はユニットまたはパーツの種類に応じてあらかじめ定められている。上述したように,ユニットについては天板,地板,左側板,右側板がそれぞれ部位1,2,3,4である。引出しについては,前面板が部位1,それ以外の板が部位2である。パーツについては,部位のサイズは定義されない場合もある。
以下に述べる各種テーブルは,ユニット/パーツ定義番号およびユニット/パーツ定義名称によって,このユニット/パーツ定義テーブルとリンクする。
2.6 引出し配置テーブル
引出し配置テーブルには,パーツの一つである引出しに関するデータが格納される。引出し配置テーブルには,図19に示すように,家具番号,ユニット番号,セルID,パーツ番号,ユニット/パーツ定義番号,ユニット/パーツ定義名称,基準点(x,y,z),サイズ,仕上げ色(前板),材料(前板),仕上げ色(前板以外),材料(前板以外),セット方法およびパーツ数に関するデータが格納される。
「家具番号」,「ユニット番号」,「セルID」は,それぞれ引出しが納められている完成家具の家具番号,引出しが納められているユニットのユニット番号,引出しが納められているセルのセルIDを表す。
「パーツ番号」は個々の引出しに付された識別番号を表す。パーツ番号は1つのユニットにおいてパーツの種類にかかわらずユニークである。「基準点(x,y,z)」は,引出しを構成する前板の前方左下隅の点の3次元座標を表す。「サイズ」は引出し全体の幅,奥行きおよび高さのそれぞれの寸法を表す。「仕上げ色(前板)」は前板の色を,「材料(前板)」は前板の材料(木材の種類等)をそれぞれ表す。「仕上げ色(前板以外)」は引出しの前板以外の箱の部分の色を,「材料(前板以外)」は引出しの前板以外の箱の部分の材料を表す。
「セット方法」は引出しがオーバーセット式のものであるか,インセット式のものであるかを表す。「パーツ数」は引出しの前板に取付けられるパーツ(たとえば,引き手)の数を表す。
2.7 扉配置テーブル
扉配置テーブルには,パーツの一つである扉に関するデータが格納される。扉配置テーブルには,図20に示すように,家具番号,ユニット番号,セルID,パーツ番号,ユニット/パーツ定義番号,ユニット/パーツ定義名称,基準点(x,y,z),サイズ,仕上げ色,材料,セット方法およびパーツ数に関するデータが格納される。
「家具番号」,「ユニット番号」,「セルID」は,それぞれ扉が取付けられている完成家具の家具番号,扉が取付けられているユニットのユニット番号,扉が取付けられているセルのセルIDを表す。
「パーツ番号」は,各扉に付された識別番号を表す。「基準点(x,y,z))」は扉の前方左下隅の点の3次元座標を表す。「サイズ」は扉の横の長さ,縦の長さ,板厚のそれぞれの寸法を表す。「仕上げ色」は扉の色を,「材料」は扉に用いられる木材等の種類を表す。
「セット方法」はオーバーセットの扉であるか,インセットの扉であるかを表す(ユニットの左右の側板の前端面に接するように取付けられる扉がオーバーセット,側板の内側に配置される扉がインセットである)。「パーツ数」は,扉に取付けられるパーツ(たとえば,引き手)の数を表す。
2.8 引き手配置テーブル
引き手配置テーブルには,パーツの一つである引き手に関するデータが格納される。引き手配置テーブルには,図21に示すように,家具番号,ユニット番号,親パーツ番号,セルID,パーツ番号,ユニット/パーツ定義番号,ユニット/パーツ定義名称,配置情報,基準点(x,y,z),サイズ,仕上げ色および材料に関するデータが格納される。
「家具番号」,「ユニット番号」,「親パーツ番号」,「セルID」は,それぞれ引き手が取付けられている完成家具の家具番号,引き手が取付けられているユニットのユニット番号,引き手が取付けられているパーツ(親パーツ,たとえば,引き出し)のパーツ番号,引き手が取付けられているセルのセルIDを表す。
「パーツ番号」は各引き手に付された識別番号を表す。「配置情報」は引き手が取付けられる引出しの前板や扉における引き手の配置関係(中央,上部,下部,左端,右端等)を表す。「基準点(x,y,z)」は引き手の前方左下隅の点の座標を表す。「サイズ」は引き手の幅,奥行きおよび高さのそれぞれの寸法を表す。「仕上げ色」は引き手の色を,「材料」は引き手に用いられる材料(アルミニウム等)の種類を表す。
2.9 脚配置テーブル
脚配置テーブルには,パーツの一つである脚に関するデータが格納される。脚配置テーブルには,図22に示すように,家具番号,ユニット番号,パーツ番号,ユニット/パーツ定義番号,ユニット/パーツ定義名称,基準点(x,y,z),サイズ,仕上げ色および材料に関するデータが格納される。
ユニットに脚が設けられる場合には,ユニットの底面の全体に1つの脚(台)が設けられるか,またはユニットの底面の四隅に,それぞれ1つずつの脚が設けられる。この場合,脚配置テーブルに格納される行方向のデータは,4個1組の脚に関するデータである。
「家具番号」,「ユニット番号」はそれぞれ脚(たとえば,キャスタ)が取付いている完成家具の家具番号,脚が取付いているユニットのユニット番号を表す。「パーツ番号」は1組の脚に付された識別番号を表す。
「基準点(x,y,z)」には,たとえば,ユニットの底面に取付けられている脚のうち,ユニットの前方左側に位置する脚とユニットの底面との接合部分の中心の3次元座標を表す。「サイズ」は脚の幅,奥行き,高さのそれぞれの寸法を表す。「仕上げ色」は脚の色を,「材料」は脚に用いられる木材等の種類を表す(脚の種類が「キャスタ」の場合には材料のデータは省略される)。
2.10 仕切板配置テーブル
仕切板配置テーブルには,パーツの一つである仕切板に関するデータが格納される。仕切板配置テーブルには,図23に示すように,家具番号,ユニット番号,セルID,パーツ番号,ユニット/パーツ定義番号,ユニット/パーツ定義名称,基準点(x,y,z),サイズ,仕上げ色,材料および固定/可動に関するデータが格納される。
「家具番号」,「ユニット番号」,「セルID」は,それぞれ仕切板が取付いている完成家具の家具番号,仕切板が取付いているユニットのユニット番号,仕切板が取付いているセルのセルIDを表す。
「パーツ番号」は,完成家具に取付けられている仕切板のそれぞれに付される識別番号である。
「基準点(x,y,z)」は,完成家具をその正面から見た場合における,仕切板の前方左下隅の点の3次元座標を表す。「サイズ」は仕切板の寸法(横方向(幅方向)の長さ,縦方向(奥行き方向)の長さ,厚さ(仕切板の板の厚さ))を表す。「仕上げ色」は仕切板の色を,「材料」は仕切板に用いられる木材等の種類を表す。
「固定/可動」は,仕切板がユニットに固定されるものであるか,取り外しが可能なもの(可動)かを表す。
図24は上述した各種データ・テーブル(図14〜図23)の関係を示すものである。
3 家具設計支援システムにおける処理I
3.1 全体概要
図25は家具設計支援システムにおける処理手順を示すフローチャートである。
家具設計支援システムの処理動作は,HDユニット6のHDに格納された家具設計支援プログラムにしたがう。家具設計支援システムのオペレータが,マウス13を用いてHDに格納された家具設計支援プログラムを起動すると,HDから家具設計支援プログラムが読出され,コンピュータ20によって実行される。図37〜図39,図41〜図43,図47〜図49,図51〜図59は,家具設計支援プログラムにしたがって表示装置11の表示画面に表示されるウインドウの例を示している。
家具設計支援プログラムを起動すると,図37に示すように,初期画面としてメイン・メニュー・ウインドウW1が表示装置11の表示画面に表示される(ステップ31)。以下,「ウインドウが表示装置11の表示画面に表示される」ことを,単に「ウインドウが表示される」という。
メイン・メニュー・ウインドウW1には,「ユニット/パーツの定義」,「組み立て」,「図面表示/印刷」および「システム終了」のボタンが設けられている。オペレータがこれらのボタンの位置にマウス13を用いてカーソル26を移動させて(合わせて)クリックすることによって,そのクリックされたボタンに対応する処理が選択され(ステップ32),選択された処理が実行される(ステップ33〜36)。以下,「オペレータが,ウインドウ上の所望のボタン(または領域)の位置に,マウス13を用いてカーソル26を移動させてクリックする」ことを,単に「ボタン(または領域)をクリックする」という。
「ユニット/パーツの定義」ボタンがクリックされると,ユニット/パーツ定義処理が開始される(ステップ33)。
ユニット/パーツ定義処理は,設計しようとする家具に用いるユニットとそのユニットに設けるパーツ(引出し,扉等)を選択(指定,特定)し,選択したユニットの寸法,仕上げ色,材料,材質等を定義(指定,特定)し,各パーツの仕上げ色や材料等を定義(指定,特定)する処理である。ユニット/パーツ定義処理において定義されたデータは,ユニット/パーツ定義テーブル(図18)に格納される。ユニット/パーツ定義処理は,次に説明する「組み立て処理」および「図面表示/印刷処理」に先だって行われる。ユニット/パーツ定義処理の詳細は後述する。
「組み立て」ボタンがクリックされると,組み立て処理が開始される(ステップ34)。
組み立て処理は,上述のユニット/パーツ定義処理において定義されたユニットおよびパーツを,画面上で組み合わせる(組み立てる)処理である。組み立て処理を経ることによって,表示画面上に表示されるウインドウには組立てられた家具(完成家具)またはその一部の正面図が表示される。表示画面上で家具が組み立てられるとHDでは家具設計データが格納される。組み立て処理の詳細は後述する。
「図面表示/印刷」ボタンがクリックされると,図面表示/印刷処理が開始される(ステップ35)。
図面表示/印刷処理では,組み立て処理(ステップ34)において設計された完成家具の外観を,図面の種類(正面図,側面図,背面図等)の選択に応じて表示装置11の表示画面に表示する処理と,完成家具の設計図面(通常はすべての種類の図面)を表示画面に表示し,プリンタ17によって印刷して出力する処理とが行われる。また,図面表示/印刷処理では,完成家具の寸法(幅,奥行き,高さ)や仕上げ色(塗装色)等を変更する処理等も,必要であれば,行われる。図面表示/印刷処理の詳細は後述する。
「システム終了」ボタンがクリックされると,家具設計支援プログラムのすべての処理が終了する(ステップ36)。
3.2 ユニット/パーツ定義処理
図26はユニット/パーツ定義処理の処理手順を示すフローチャートである。
メイン・メニュー・ウインドウW1(図37)において「ユニット/パーツの定義」ボタンがクリックされると,図38に示すように,ユニット/パーツ選択ウインドウW2が,メイン・メニュー・ウインドウW1に代えて,またはその上に表示される(ステップ41)。
ユニット/パーツ選択ウインドウW2には,ユニット/パーツ表示領域A1が表示される。また「消去」,「次へ」および「定義終了」ボタンが設けられる。
ユニット/パーツ表示領域A1には,基本情報テーブル(図10)のユニットとパーツの種別(ユニットについてはタイプ分類1,パーツについては,引出し,引出し前板,扉,脚等)の名称が一覧に表示される。ユニット/パーツ表示領域A1の右側のスクロール・バーをマウス13を用いて上または下に移動させると,ユニット/パーツ表示領域A1内に表示されている名称の一覧が上または下にスクロールされる。オペレータは,ユニット/パーツ表示領域A1に表示されるユニットおよびパーツの名称の中から,顧客が家具に採用することを希望するユニットおよびパーツの名称を選択する。
図26を参照して,ユニットを選択する場合には,オペレータは,ユニット/パーツ表示領域A1に表示される3つのユニット・タイプの名称(天板被せ式,側板被せ式および留接合式)のうちのいずれかをクリックする(ステップ42)。選択されたユニット・タイプの名称を含む部分の色がユニット/パーツ表示領域A1において変化する。「次へ」ボタンがクリックされると(ステップ43で「次へ」),選択したユニット・タイプについて,さらに詳細なデータ入力を行うための処理が開始される(ステップ44〜49)。
ユニットについての詳細なデータ入力処理(ステップ44〜49)では,ユニットに用いられる材料,色等の指定(ステップ44),裏板(背面板)の有無の指定(ステップ45),ユニット寸法の指定(ステップ46)が,ウィザード形式(家具設計支援プログラムからの問いかけに応じて順次データ入力を進める形式)により行われる。もちろん,これらのデータ入力のための1つのウインドウを表示画面上に表示させるようにしてもよい。この場合には,ウィザード形式は採用する必要がない。
材料,色等の指定(ステップ44)では,はじめに材料の種類(木材等の種類)の一覧表が文字または文字と画像の組合せによって表示される。表示される材料の種類は,基本情報テーブル(図10)に格納されたデータにもとづく。オペレータはこの一覧表の中から天板,地板,左側板および右側板のそれぞれについて所望の材料を選択する。同じように,色(仕上げ色),材質(木目),模様等のそれぞれについても,それらの種類のリストが文字または文字と画像の組み合わせによって表示画面上に表示される(図示略)。これらのリストの表示も,基本情報テーブル(図10)に格納されているデータにもとづく。オペレータは,表示された色,材質(木目),模様等のリストの中から,ユニットの天板,地板,左側板および右側板のそれぞれについて所望のものを選択する。入力(選択)されたデータはメモリ18に一時的に記憶される。
裏板(背面板)の有無の指定(ステップ45)では,ユニットに裏板を取り付けるかどうかを示すデータが入力される。入力されたデータはメモリ18に一時的に記憶される。
ユニット寸法指定(ステップ46)では,ユニットの寸法データが入力される。寸法指定(ステップ46)において表示画面上に表示されるウインドウ(寸法入力ウインドウW3)の例を図39に示す。寸法入力ウインドウW3は,ユニットの幅,高さ,奥行きのそれぞれの寸法を入力するための数値入力ボックスW3aを含んでいる。オペレータは,ユニットの幅,高さおよび奥行きのそれぞれの数値入力ボックスW3a内に顧客が希望する値をキーボード12を用いて入力する。入力されたデータはメモリ18に一時的に記憶される。
ユニットの寸法(幅,奥行き,高さ)が入力されると,ユニットを構成する天板,地板および左右の側板の板の厚さ,天板,地板および左右の側板の寸法,およびユニットによってつくられるセルの幅,奥行きおよび高さが,ステップ42で選択されたユニットのタイプ分類1およびステップ44で選択された材料が考慮されて,家具設計支援プログラムによって算出される(ステップ47,48)。
図27は,家具設計支援プログラムによる板厚決定の処理(ステップ47)の一例を,詳細に示すフローチャートである。
オペレータによって入力され,メモリ18に一時的に記憶されているユニットを構成する木材等の材料に関するデータと,ユニット寸法(幅,奥行き,高さ)に関するデータが,メモリ18のワークエリアに転送される(ステップ55)。
「マホガニー」,「チーク」,「パイン」などの木材は,木材の種類ごとに硬さ(強度)が異なる。マホガニーはチークよりも硬く,チークはパインよりも硬い。同じ大きさで同じ強度のユニットを製作する場合,チークを用いる場合にはマホガニーを用いる場合よりも板の厚さを厚くする必要がある。パインを用いる場合にはチークを用いる場合よりも板の厚さを厚くする必要がある。また,寸法の大きいユニットに用いる木材の板の厚さは,寸法の小さいユニットに用いる板の厚さよりも厚くする必要がある。家具設計支援プログラムには,ユニットのタイプ分類1のデータと木材の種類とユニットの寸法にもとづいて板の厚さを算出するための算出ルールが記述されている。
算出ルールは,たとえば,入力されたユニットの高さ(uH)の寸法が,あらかじめ定められた基準値よりも小さい場合には板の厚さを30mmとする,高さが基準値と同じまたは基準値よりも大きい場合には板の厚さを50mmとする,というようなルールである。基準値および基準値にしたがって決定される板の厚さの数値が木材の種類によって異なる。ユニットに用いられる木材材料の特性(強度等)と寸法とにもとづいて,製作されるユニットが所定の強度を持つようになるような板の厚さが決定される(ステップ56,ステップ57,58,59)。
決定された板の厚さは,メモリ18に一時的に記憶される(ステップ60)。
もちろん,入力されたユニットの幅,奥行き,高さのいずれかの寸法が,あらかじめ定められた最小値よりも小さい場合,またはあらかじめ定められた最大値よりも大きい場合には,板の厚さの決定処理を行うことなく,適正な寸法の再度の入力をオペレータ(または顧客)に求めるようにしてもよい。
また,ユニットに水平方向(横方向)に用いられる板の厚さと,垂直方向(縦方向)に用いられる板の厚さとを,入力されるユニットの寸法(幅,奥行き,高さ)に応じて異なる値となるようにしてもよい。さらに,オペレータに板の厚さを入力させるようにしてもよい。この場合には板の厚さの算出処理(図26,ステップ47)はスキップされる。
次に,ユニットのタイプ分類1(天地被せ,側板被せまたは留接合)を表わすデータがメモリ18のワーク・エリアに読み込まれる。ユニットのタイプ分類1を表わすデータ(既にステップ42で特定されている)と,ステップ47で決定された板の厚さのデータとから,ユニットを構成する天板,地板および側板の寸法と,セルの寸法とが算出される(ステップ48)。図40はオペレータによって入力されたユニットの寸法(幅,奥行き,高さ)と,家具設計支援プログラムによって決定された板の厚さと,家具設計支援プログラムによって算出される天板,地板および側板の寸法,セルの寸法の関係を示すものである。これは側板被せ式Iユニット(裏板なし)の場合である。
オペレータによって入力されたユニットの幅,奥行き,高さの寸法をそれぞれuW,uD,uHとする。板厚決定処理(ステップ47)において決定された縦板(側板)の厚さをuxT,横板(天板,地板)の厚さをuzTとする。側板被せ式Iユニットの場合には,次式によって,天板と地板の寸法(横,縦),側板の寸法(横,縦),セルの寸法(幅,奥行き,高さ)が算出される。
天板の横(幅)方向の寸法と地板の横方向の寸法(幅)
uW−2uxT
天板と地板の奥行き方向の寸法(幅)
uD
側板の横方向の寸法(幅)
uD
側板の高さ方向の寸法(長さ)
uH
セルの幅方向の寸法(cW)
cW=uW−2uxT
セルの奥行き方向の寸法(cD)
cD=uD
セルの高さ方向の寸法(cH)
cH=uH−2uzT
家具設計支援プログラムには,側板被せ式ユニットIの他にも,側板被せ式ユニットII,側板被せ式ユニットIII ,天地被せ式ユニットおよび留接合式ユニットのそれぞれについて,天板,地板および側板の寸法と,ユニットによってつくられるセルの寸法とを算出するための式が記述されている。選択されたユニット・タイプに対応する式に,オペレータによって入力されたユニットの寸法(幅,奥行き,高さ)と,家具設計支援プログラムによって決定された板の厚さが代入されることによって,天板,地板および側板の寸法ならびにセルの寸法が,家具設計支援プログラムによって算出される。算出された寸法データはメモリ18に一時的に記憶される。
ユニットに裏板(背面板)を設ける旨のデータ入力がされている場合には,上記の式は裏板の厚さを示すパラメータも含む。裏板の厚さは固定値であってもよいし,ユニットの寸法に応じて決定してもよい。裏板の寸法の算出も行なわれる。
各板の寸法の算出が終了した後に,図41に示すデータ保存名入力ウインドウW4が表示される。データ保存名入力ウインドウW4は,データ保存名を入力するための入力ボックスW4aを含み,「戻る」,「キャンセル」および「終了」ボタンが設けられている。
オペレータによってキーボード12が用いられて入力ボックスW4aに保存名が入力され,「終了」ボタンがクリックされる。すると,ユニット/パーツ定義テーブル(図18)に入力ボックスW4aに入力された保存名がユニット/パーツ定義名称として,タイプ分類や,メモリ18に一時的に記憶されていたデータ(寸法,材料,色等のデータ)とともに格納されて保存される(ステップ49)。表示画面の表示は再びユニット/パーツ選択ウインドウW2に戻る(ステップ41)。
設計する家具に採用しようとするユニット・タイプが複数ある場合には,上述の操作を繰り返す。ユニット/パーツ定義テーブル(図18)には,上述の操作を繰り返す度に,入力されたユニットに関するデータ(レコード)が追加される。
データ保存名入力ウインドウW4において「キャンセル」ボタンがクリックされると,入力ボックス内に文字が入力されている場合に,その文字が消去される。「戻る」ボタンがクリックされると,データ保存名入力ウインドウW4に代わって,寸法入力ウインドウW3が再び表示される。
パーツをデータ定義する場合には,オペレータによって,ユニット/パーツ選択ウインドウW2のユニット/パーツ表示領域A1に表示されているパーツの名称のうち,いずれかのパーツの名称部分がクリックされる(ステップ42)。選択されたパーツの名称を含む部分の色が変化する。「次へ」ボタンがクリックされると(ステップ43で「次へ」),選択したパーツについて,詳細なデータの入力を求める処理が開始される(ステップ50〜52)。
パーツについての詳細データの入力のための処理では,形状等の指定(ステップ50)および材料,色等の指定(ステップ51)が順次行われる。
たとえば,パーツとして「扉」が選択されたとする。扉1(両開き)または扉2(片開き)のいずれかが選択される(ステップ50;タイプ分類1の選択)。ここで,扉2(片開き)が選択された場合にはさらに右開きまたは左開きのいずれかの選択が行なわれる。続いて扉の材料,仕上げ色,材質(木目)の種類,模様等の指定が行なわれる(ステップ51)。最後に,データ保存名入力ウインドウW4(図41)が表示されて入力ボックスW4aにデータ保存名が入力される。ユニット/パーツ定義テーブル(図18)には,選択されたパーツについての定義データが格納される(ステップ52)。
設計しようとする家具に複数のパーツを用いる場合には,ステップ41〜52の処理(操作)が繰り返される。ユニット/パーツ定義テーブル(図18)には,上述の操作を繰り返す度に,そのパーツについて入力されたデータ(レコード)が追加される。このとき,定義されたユニットおよびパーツのそれぞれについて,ユニット/パーツ定義番号が自動的に採番され(連続番号が付される),ユニット/パーツ定義名称に対応して記憶される。
ユニット/パーツ定義処理を終える場合,オペレータはユニット/パーツ選択ウインドウW2(図38)において「定義終了」ボタンをクリックする(ステップ43で「定義終了」)。表示装置11の表示画面には,再びメイン・メニュー・ウインドウW1(図37)が表示される(ステップ31)。
ユニット/パーツ選択ウインドウW2の「消去」ボタンは,ユニット/パーツ定義テーブル(図18)の特定のユニットまたはパーツについてのデータを消去する場合に用いられる。たとえば,ユニット/パーツ表示領域A1に表示されている「引き手」をクリックして選択し,その後「消去」ボタンをクリックすると(ステップ43で「消去」),ユニット/パーツ定義テーブルにおいて「引き手」について格納されているデータがすべてクリア(消去)される(ステップ54)。
3.3 組み立て処理
図28〜図30は組み立て処理の処理手順を示すフローチャートである。
組み立て処理は,上述のユニット/パーツ定義処理においてデータ定義されたユニットやパーツを組合わせることによって,完成状態の家具(完成家具)またはその一部を設計する処理である。
メイン・メニュー・ウインドウW1(図37)において,「組み立て」ボタンがクリックされると,組立て処理に進む(ステップ34)。図42に示すように,組み立てメイン・ウインドウW5が,メイン・メニュー・ウインドウW1に代えて,またはその上に表示される(ステップ61)。
組み立てメイン・ウインドウW5(図42)には,ユニット/パーツ表示領域B1,組み立て家具表示領域B2および完成家具表示領域B3が表示されるとともに,「選択ロード」,「仕切定義」,「配置指定」,「色調変更」,「家具保存」および「終了」ボタンが設けられる。
ユニット/パーツ表示領域B1には,上述のユニット/パーツ定義処理においてデータ定義されたユニットおよびパーツのそれぞれの正面図を表す画像が表示される。各ユニットおよびパーツを表す画像の下には,ユニットおよびパーツごとに付けられたユニット/パーツ定義名称がそれぞれ表示される。これらのユニットまたパーツを表わす画像はユニット/パーツ定義テーブル(図18)に記述された寸法,色等のデータを反映するものでなくてもよく,単にユニットまたはパーツのタイプを表現するものであれば足りる。図11,図12に示す家具の例ではユニットは2つ用いられているが,いずれも同じタイプのユニット(ユニット1)(ユニット/パーツ定義テーブル(図18)のユニット/パーツ定義番号「001」参照)であるから,ユニット/パーツ表示領域B1には1つのユニット(ユニット1)についての画像のみが示されている。パーツについても同じである。
組み立て家具表示領域B2は,ユニット/パーツ表示領域B1に表示されているユニットおよびパーツの組合わせ(組立て)に用いられる。組合せ結果を表す画像が表示される。
完成家具表示領域B3は,ユニットおよびパーツを含む完成家具(またはその一部)を表す画像を表示する。
初期状態では,組み立てメイン・ウインドウW5のユニット/パーツ表示領域B1に,上述のユニット/パーツ定義処理においてデータ定義されたすべてのユニットおよびパーツが表す画像が表示される。組み立て家具表示領域B2および完成家具表示領域B3には何も表示されない。
はじめにユニット/パーツ表示領域B1に表示されているユニット(ユニット1)がマウス13を用いてクリックされることによって選択され(ステップ62),その後,「選択ロード」ボタンがクリックされる(ステップ63)。図43に示すように,組み立て家具表示領域B2には,選択されたユニットが表示される(ステップ64,65)(はじめてのユニットの指定であるから,ステップ64でNOとなる)。
完成家具の組み立て(家具設計データを作成すること)は,ユニット/パーツ表示領域B1に表示されているユニットおよびパーツの画像の中から完成家具に採用すべきユニットまたはパーツをマウス13を用いてクリックして選択し,選択したユニットまたはパーツと,組み立て家具表示領域B2に表示されているユニットまたはパーツとの組合せ態様を指定すること(たとえば,どのセルにどのパーツを取付けるか等)によって行われる。
完成家具の組み立ての流れの一例を,図44(A) 〜図44(D) ,図45(A) 〜図45(D) および図46を用いて具体的に説明する。
上述のように,オペレータによって,はじめに,ユニット/パーツ表示領域B1に表示されているユニットの画像の中から,完成家具に用いるべきユニットの画像がクリックされて選択される(ステップ62)。その後,「選択ロード」ボタンがクリックされると(ステップ63),ユニット/パーツ表示領域B1に表示されている選択されたユニットの画像が組み立て家具表示領域B2に表示される(ステップ64でNO,ステップ65,図44(A) ,図43の組み立て家具表示領域B2の画像と同じ)。ユニットを符号210 で,ユニット210 内のセルを符号200 で示す。
組み立て家具表示領域B2に表示されるユニットおよびパーツの画像(最終的には,完成家具の画像になる)には,ユニット/パーツ定義テーブル(図18)に格納されているデータ(サイズ,仕上げ色,材質等)が反映される。たとえば,ユニット1の天板(部位1)の色を「ナシ(材料色)」とすることがユニット/パーツ定義テーブルに格納されていると,組み立て家具表示領域B2には,ユニット/パーツ定義テーブルの「部位1(天板)の材料」の欄に格納された天板の材料データにもとづいてその材料の色(マホガニー色)の天板を持つユニットの画像が表示される。もちろん,色等の表現を省略して,形状のみを画面表示してもよい。いずれにしても,ユニット・タイプを表わすデータ,そのサイズ,色,材料等を表わすデータがあるので,ユニットの画像を組み立て家具表示領域B2に表示することができる。家具設計支援プログラムとは別のプログラム(たとえば,CADソフト)によって,家具の画像を組み立て家具表示領域B2に表示するようにしてもよい。
また,組み立て家具表示領域B2にユニットが表示されると,ユニット番号テーブル(図15),ユニット配置テーブル(図16)および仕切(セル)情報テーブル(図17)において,「ユニット番号」の欄にユニット番号のうちの枝番(−01)が採番されて格納される。
ユニット番号テーブル(図15)のユニット番号「−01」についての「ユニット/パーツ定義番号」の欄および「ユニット/パーツ定義名称」の欄には,組み立て家具表示領域B2に表示されたユニットについての「ユニット/パーツ定義番号」(001)および「ユニット/パーツ定義名称」(ユニット1)(ユニット/パーツ定義テーブル(図18)に格納されている)が,それぞれ格納される。ユニット番号テーブル(図15)の「セル数」の欄には初期値として1の数字が格納される。
ユニット配置テーブル(図16)のユニット番号「−01」についての「全体サイズ」の欄,「部位1(天板)のサイズ」の欄等にも,それぞれユニット/パーツ定義テーブル(図18)のものと同じデータが格納される。セル200 についてのセルID「00」が決定されて,「セルID」の欄に格納される。
組み立て家具表示領域B2に最初に表示されるユニット210 の前方左下隅の点が,原点((x,y,z)=(0,0,0))とされる。ユニット配置テーブル(図16)のユニット番号「−01」についての「基準点」の欄に,3次元座標(0,0,0)が格納される。
仕切(セル)情報テーブル(図17)には,セル200 に関してのセルID「00」が「セルID」の欄に格納される。「基準点」の欄には,ユニット210 の前方左下隅の点(原点)を基準に,ユニット210 の地板および左側板の板の厚さにもとづいて算出されたセル200 の前方左下隅の点の3次元座標(30,0,30)が格納される。「サイズ(cW,cD,cH)」の欄にはセル200 について先に算出され,メモリ18に一時的に格納されているセル(セルID「00」)の幅,奥行き,高さのそれぞれの寸法(cW,cD,cH)=(940 ,610 ,390 )が格納される(再度セルの寸法を算出するようにしてもよい。)。
完成家具に複数のユニットを含ませる場合には,オペレータによってユニット/パーツ表示領域B1に表示されているユニットの画像の中から再びユニットの画像がクリックされる(ステップ69)。たとえば,ユニット/パーツ表示領域B1に表示されているユニット1の画像が再びクリックされ,その後,「選択ロード」ボタンがクリックされる(ステップ63)。組み立て家具表示領域B2には既に1つのユニットが表示されているので,ステップ64でYES となる。図47に示すように,配置指定ウインドウW7が表示画面に表示される(ステップ66)。
配置指定ウインドウW7は,2つのユニットの相互の位置(配置)関係を指定するためのウインドウである。
配置指定ウインドウW7では,既に組み立て家具表示領域B2に表示されているユニット(ユニット1)(「表示ユニット」という)と,新たに選択されたユニット(ユニット1)(「選択ユニット」という)との配置関係について,「取付面指定」と「位置合わせ」を入力することができる(ステップ67)。
図47に示すように,「取付面指定」では,たとえば,選択ユニットの上面と表示ユニットの下面とを接合させる場合には,選択ユニットについて「上面」,表示ユニットについて「下面」がチェックされて,OKボタンがクリックされる。すると,選択ユニットの上面に,表示ユニットの下面が接合された状態の2つのユニットが,組み立てメイン・ウインドウW5の組み立て家具表示領域B2に表示される(ステップ68)。一般に2つのユニットを上下に配置する場合には,取付面指定として上面,下面が用いられ,2つのユニットを左右に配置する場合には取付面指定として左面,右面が用いられる。
「位置合わせ」では,選択ユニットの表示ユニットに対する取付位置を指定する。たとえば,2つのユニットを上下に配置し,かつ2つのユニットを正面から見た場合において,表示ユニットの左端と,選択ユニットの左端とを位置合わせする(同じ位置にする)場合には,「左端」をチェックしてOKボタンを押す。左面が面一となるように位置合わせされた2つのユニット(表示ユニットと選択ユニット)が,組み立て家具表示領域B2に表示される。一般に,2つのユニットが上下に配置された場合には左右の位置合わせが行なわれ,2つのユニットが左右に配置された場合には高さについての位置合わせが行なわれる。
「一体接合する」がチェックされてOKボタンがクリックされると,取付面同士が一つの板で構成された状態となる(一方の取付面が消去され,かつ取付面に直交する板が連続した板とされる)。たとえば,表示ユニットの下面と選択ユニットの上面を取付面として指定し,かつ「一体接合する」をチェックして,OKボタンをクリックする。組み立て家具表示領域B2には選択ユニットの上面の板(天板)が消去され,かつ表示ユニットと選択ユニットの側板が連続した側板として表示され,1つのユニットのように表示される(ステップ68)。
「オフセット寸法」は,たとえばユニットの内部に引出しがあり,かつユニットの前面に扉を取付ける場合に入力される。扉をユニットの前面に丁番を用いて取付ける場合(丁番がユニット内部に設けられる場合)には,扉の中に納められた引出しを前面に引き出すことを可能にするために,一定のスペース(引出しを前面に引き出すときに,引出しが丁番につかえて前面に引き出せないようになることを防ぐために設けられる空間)が必要とされる。このスペースを表わすデータがオフセット寸法である。
図50は,オフセット寸法を持つ家具の例の一部を示す破断斜視図である。
ユニット内にオフセットを確保して引出しを設けるために,引出しを受ける仕切板を取付けるために内側板が設けられる(内側板はパーツとして位置付ける必要はなく,最終的に得られる設計図面に現れていればよい)。オフセットには,内側板の外面とユニットの側板の内面との間の間隙を示す左右方向オフセット,内側板の前端面(または引出しの前面)とユニットの前面との間の間隙を示す奥行方向オフセット,最上段の引出しの上端面とユニットの天板の下面との間の間隙を示す上下方向オフセットがある。
上述の例では,一項目ごとにOKボタンを押しているが,取付面指定,位置合わせ,一体接合するおよびオフセット寸法を入力した後に,OKボタンをクリックしてもよい。OKボタンをクリックすると配置指定ウインドウW7は消える。なお,図42に示す組み立てメイン・ウインドウW5の組み立て家具表示領域B2に2つ以上のユニットが表示されている状態において,いずれかのユニットをクリックして選択し,その後「配置指定」ボタンをクリックしても,この配置指定ウインドウW7が表示画面上に現れる。
図44(B) には,ユニット210 の地板と,ユニット260 の天板とが一体接合されて一つのユニットとなったものが表示されている。ユニット260 内のセルを符号250 で示す。
ユニット番号テーブル(図15),ユニット配置テーブル(図16)および仕切(セル)情報テーブル(図17)において,「ユニット番号」の欄にユニット番号のうちの枝番(−02)が採番されて格納される。
ユニット番号テーブル(図15)のユニット番号「−02」についての「ユニット/パーツ定義番号」の欄および「ユニット/パーツ定義名称」の欄には,ユニット/パーツ定義テーブル(図18)が参照されて,「001」,「ユニット1」がそれぞれ格納される。また,ユニット番号テーブル(図15)のユニット番号「−02」についての「セル数」の欄には初期値として1がセットされる。
ユニット配置テーブル(図16)のユニット番号「−02」についての「全体サイズ」の欄,「部位1(天板)のサイズ」の欄等にも,それぞれユニット/パーツ定義テーブル(図18)が参照されてデータが格納される。セル250 についてのセルID「00」が決定されて「セルID」の欄に格納される。
ユニット210 の前方左下隅の点(原点)を基準にして,ユニット260 の前方左下隅の点の3次元座標が算出される。算出された3次元座標がユニット配置テーブル(図16)のユニット番号「−02」についての「基準点」の欄に格納される。また,ユニット配置テーブル(図16)において,上側のユニット210 (枝番「−01」)に関しての「配置情報」の欄には「下面に枝番−02のユニットを一体接合」する旨のデータが格納され,ユニット260 (枝番「−02」)に関しての「配置情報」の欄には「上面に枝番−01のユニットを一体接合」する旨のデータが格納される。
仕切(セル)情報テーブル(図17)には,セル250 に関してのセルID「00」が「セルID」の欄に格納される。「基準点」の欄には,セル250 の前方左下隅の点の座標が格納される。「サイズ」の欄にはセル250 について先に算出され,メモリ18に一時的に格納されているセルの幅,奥行き,高さのそれぞれの寸法(cW,cD,cH)が格納される。
ユニットによってつくられたセル内に仕切板を設けることによって,そのセルを複数のより小さいセルに分割することができる。
組立て家具表示領域B2に図44(B) に示すユニットが表示されている状態において,セル200 をマウス13を用いてクリックして選択し,その後,ユニット/パーツ表示領域B1において仕切板の画像(図示略)をクリックして選択し,「仕切定義」ボタンを押す(図28,ステップ70)。図48に示すように,表示画面には仕切定義ウインドウW6が表示される(図29,ステップ81)(ここでは固定式の仕切板が選択されたものとする)。
仕切定義ウインドウW6(図48)には,「縦仕切板による分割数」,「横仕切板による分割数」および「分割後寸法指定」を入力するための3つの数値入力ボックスW6a,W6b,W6cが含まれている。
「縦仕切板による分割数」の数値入力ボックスW6aには,縦方向に設けられる仕切板によって,選択したセル内にいくつの空間(セル)を形成するかを示す数字を入力する。
「横仕切板による分割数」の数値入力ボックスW6bには,横方向に設けられる仕切板によって,選択したセル内にいくつの空間(セル)を形成するかを示す数字を入力する。
縦仕切板による分割数または横仕切板による分割数に数値を入力して(ステップ82),「OK」ボタンをクリックすると(ステップ83でOK),入力された数のセルを含むように仕切板が設けられたユニットが,組み立て家具表示領域B2に表示される(ステップ84)。OKボタンが押されると仕切定義ウインドウW6は消える。
セル200 が選択されて,その後「仕切定義」ボタンがクリックされると現れる仕切定義ウインドウW6において,横仕切板による分割数に「3」を入力したときに組み立て家具表示領域B2に表示される画面が,図44(C) に示されている。3つのセル201 ,202 および203 がつくられている。セル200 が「親セル」となり,セル201 ,202 および203 は,親セル200 の子セルとなる。「分割後寸法指定」を入力していないので,親セルは等しい高さの3つのセルに分割される(分割後寸法指定については後述する)。
ユニット番号テーブル(図15)のユニット番号「−01」についての「セル数」の欄に初期値として格納されていた「1」の数字が「4」に更新される。
ユニット配置テーブル(図16)のユニット番号「−01」についての「パーツ数」の欄には,ユニット番号「−01」のユニットに取付けられたパーツ(ここでは仕切板)の数を表す「2」の数字が格納される。
仕切(セル)情報テーブル(図17)には,セル201 ,202 および203 を特定する番号「01」,「02」および「03」が採番されて「セルID」の欄にそれぞれ格納される。「基準点」の欄には,ユニット210 の前方左下隅の点(原点)を基準に,セル201 ,202 ,203 の前方左下隅の点の3次元座標が算出されて格納される。「サイズ」の欄にはセル201 ,202 ,および203 の幅,奥行き,高さのそれぞれの寸法が算出されて格納される。セル200 (セルID「00」)についての横仕切数の欄には,セル200 に横方向に2枚の仕切板が取付けられたことを表す「2」の数字が格納される。セルID「01」,「02」および「03」についての「親セルのID」には「00」が格納される。「親セル内の縦位置」の欄にはセルID「01」,「02」および「03」の親セル(セルID「00」)における縦方向の並び順(下から何番目であるか)を表す数字が格納される。セルID「01」,「02」および「03」についての「分割レベル」欄には,1回目の分割であることを表す「1」の数字が格納される。
仕切板配置テーブル(図23)には,新たに設けられた2枚の仕切板のそれぞれについてのデータが追加される。2枚の仕切板のそれぞれにパーツ番号が採番されて「パーツ番号」の欄に格納される。また,「ユニット番号」の欄には仕切板が取り付けられたユニットを特定するユニット番号の枝番「−01」が,「セルID」の欄には仕切板が取り付けられたセルのセルID「00」が,「ユニット/パーツ定義番号」,「ユニット/パーツ定義名称」,「仕上げ色」,「材料」,「固定/可動」の欄にはセル200 内に取り付けられた仕切板についてのデータがユニット/パーツ定義テーブル(図18)が参照されて格納される。「基準点」の欄には仕切板の前方左下隅の点の3次元座標が格納され,「サイズ」の欄には仕切板の幅方向の長さおよび奥行き方向の長さが算出されて格納され,仕切板の厚さが格納される。仕切板の厚さは,ユニットの寸法にもとづいて家具設計支援プログラムによって決定される。もちろん,固定値(あらかじめ定義された厚さ)または指定値であってもよい。
セル201 ,202 および203 のいずれか1つまたは2つ以上についても,さらに横仕切板または縦仕切板を設けることが可能である。図44(D) はセル203 を選択し,その後「仕切定義」ボタンをクリックすると表れる仕切定義ウインドウW6(図48)において,縦仕切板による分割数に「3」を入力したときに組み立て家具表示領域B2に表示される画像が示されている。セル203 が2枚の縦方向の仕切板によって仕切られることによって分割され,セル205 ,206 および207 がつくられている。セル205 ,206 および207 は親セル203 の子セルになる。セル205 ,206 および207 のそれぞれの幅は等しい。
ユニット番号テーブル(図15)のユニット番号「−01」についての「セル数」の欄に格納されていた「4」の数字が「7」に更新される。
ユニット配置テーブル(図16)のユニット番号「−01」についての「パーツ数」の欄には,ユニット番号「−01」のユニットに取付けられたパーツの数を表す数字が「4」に更新される。
仕切(セル)情報テーブル(図17)には,セル205 ,206 および207 を特定するセルID「04」,「05」および「06」が採番されて「セルID」の欄にそれぞれ格納される。「基準点」の欄には,セル205 ,206 ,207 の前方左下隅の点の3次元座標が算出されて格納される。「サイズ」の欄にはセル205 ,206 ,および207 の幅,奥行き,高さのそれぞれの寸法が算出されて格納される。セル203 (セルID「03」)についての「縦仕切数」の欄には,セル203 に縦方向に2枚の仕切板が取付けられたことを表す「2」の数字が格納される。セルID「04」,「05」および「06」についての「親セルのID」には「03」が格納される。「親セル内の縦位置」の欄にはセルID「04」,「05」および「06」の親セル(セルID「03」)における横方向の並び順(左から何番目であるか)を表す数字がそれぞれ格納される。セルID「04」,「05」および「06」についての「分割レベル」欄には,2回目の分割であることを表す「2」の数字がそれぞれ格納される。
仕切板配置テーブル(図23)には,新たに設けられた2枚の仕切板のそれぞれについてのデータが格納される。2枚の仕切板のそれぞれにパーツ番号が採番されて「パーツ番号」の欄に格納される。「ユニット番号」の欄には仕切板が取り付けられたユニットを特定するユニット番号の枝番「−01」が,「セルID」の欄には仕切板が取り付けられたセルのセルID「00」が,「ユニット/パーツ定義番号」,「ユニット/パーツ定義名称」,「仕上げ色」,「材料」,「固定/可動」の欄にはセル203 内に取り付けられた仕切板についてのデータが,ユニット/パーツ定義テーブル(図18)が参照されて格納される。「基準点」の欄には仕切板の前方左下隅の点の3次元座標が格納され,「サイズ」の欄には仕切板の奥行き方向および高さ方向の長さが算出されて格納され,仕切板の厚さが格納される。
縦仕切板による分割数または横仕切板による分割数に数値を入力することによってつくられたセル(子セル)のいずれかが選択され,その後「仕切定義」ボタンがクリックされると現れる仕切定義ウインドウW6(図48)において,「分割後寸法指定」の数値入力ボックスW6cにセルの幅寸法または高さ寸法(幅寸法と高さ寸法の両方でもよい)を入力する。すると,選択されたセルの幅寸法と高さ寸法が「分割後寸法指定」の数値入力ボックスW6bに入力された寸法に変更されて,組み立て家具表示領域B2に表示される(寸法変更後の表示は図示略)。
セルの幅寸法または高さ寸法が変更されると,仕切(セル)情報テーブル(図17)において,幅寸法および高さ寸法が変更されたセルに関する「基準点」の欄のデータが,組み立て家具表示領域B2に表示されているサイズ変更後のセルの基準点(前方左下隅の点の3次元座標)に更新され,「サイズ」の欄のデータが変更後のセルの幅,奥行き,高さの寸法を表すデータに変更される。
また,幅寸法または高さ寸法が変更されたセルに隣接するセルの幅寸法または高さ寸法も自動的に変更される。たとえば,セル201 の高さ寸法を大きくするようにサイズ変更すると,セル201 に隣接するセル202 の高さ寸法が,セル201 の高さが高くなった分だけ縮められる。セル202 の高さ寸法を大きくするようにサイズ変更すると,その増加分を2等分した高さ(上下方向の長さ)分だけ,セル202 に隣接するセル201 の高さ寸法と,セル205 ,206 および207 の高さ寸法のそれぞれが縮められる。隣接するセルに関する「基準点」の欄のデータおよび「サイズ」の欄のデータもサイズ変更後のセルの基準点,サイズを表すデータに変更される。また,セルの幅寸法または高さ寸法を変更すると仕切板の配置位置も変更されるので,仕切板配置テーブル(図23)の「基準点」の欄のデータも,変更後の仕切板の配置位置を表すデータに更新される。
図45(A) はセル201 ,202 ,205 ,206 および207 のそれぞれに,オーバーセット式引出しを納めた状態を示している。引出しの組立ては次のようにして行われる。
組み立てメイン・ウインドウW5(図42,図43)のユニット/パーツ表示領域B1の中にある「ひきだし1」を表す画像を選択し(図28,ステップ69),その後,組み立て家具表示領域B2においてセル201 ,202 ,205 ,206 および207 を含む矩形領域をマウス13を用いて範囲指定し,「選択ロード」ボタンをクリックする(ステップ63)。すると,図49に示すように,配置指定ウインドウW8が表示される(ステップ66)。
配置指定ウインドウW8は,選択されたパーツが「引出し」などのインセットまたはオーバーセットの区別があるパーツの場合や取付位置を決定可能なパーツの場合に,インセットまたはオーバーセットのいずれにするかを指定するものである。
「オーバーセット」が選択され,OKボタンがクリックされると(ステップ67),セル201 ,202 ,205 ,206 および207 のそれぞれに,オーバーセット式引出しが納められた画像が,組み立て家具表示領域B2に表示される(ステップ68,図45(A) )。
ユニット配置テーブル(図16)のユニット番号「−01」についての「パーツ数」の欄には,ユニット番号「−01」のユニットに取付けられたパーツの数を表す数字が「9」に更新される。
仕切(セル)情報テーブル(図17)において,セル201 (セルID「01」),202 (セルID「02」),205 (セルID「04」),206 (セルID「05」)および207 (セルID「06」)についての「配置パーツ定義名称」欄に,それぞれ「ひきだし1」が格納される。
引出し配置テーブル(図19)には,新たに設けられた5つの引出しのそれぞれについてのデータが追加される。5つの引出しそれぞれにパーツ番号が採番されて「パーツ番号」の欄に格納される。また,「ユニット番号」の欄には引出しが取り付けられたユニットを特定するユニット番号の枝番「−01」が,「セルID」の欄には引出しが取り付けられたセルのそれぞれのセルIDが,「ユニット/パーツ定義番号」,「ユニット/パーツ定義名称」,「仕上げ色(前板)」,「材料(前板)」,「仕上げ色(前板以外)」,「材料(前板以外)」の欄には,引出し(ひきだし1)についてのデータが,ユニット/パーツ定義テーブル(図18)が参照されて格納される。「基準点」の欄には引出しの前方左下隅の点の3次元座標がそれぞれ格納される。「サイズ」の欄には引出しの幅,奥行き,高さの寸法がそれぞれ格納される。セル201 および202 に設けられた2つの引出しの寸法はそれぞれほぼ等しく,セル205 ,206 および207 に設けられた3つの引出しの寸法もそれぞれほぼ等しい。「セット方法」の欄には,指定されたセット方法がオーバーセットである旨を表すデータが格納される。
もちろん,セルを1つずつ選択して,1つのセルごとに引出しを設けるようにすることもできる。
組み立て家具表示ウインドウW5において,ユニット/パーツ表示領域B1の中からヒキテ1を選択し(図28,ステップ69),組み立て家具表示領域B2においてセル201 ,202 ,205 ,206 および207 を含む矩形領域(引出しが納められた範囲)をマウス13を用いて範囲指定する。その後,「選択ロード」ボタンをクリックした場合(ステップ63)にも,配置指定ウインドウW8(図49)が表示される(ステップ66)。ここで表示される配置指定ウインドウW8は,引き手に関して配置位置を指定するためのものとなる。範囲指定によって選択された部分のどのような位置(高さ方向および左右方向のそれぞれについて,標準,上端,下端または中央のいずれか)に,選択したパーツを配置するかを入力する。
取付け位置を,高さにおいて「中央」,左右において「中央」としてOKボタンをクリックすると(ステップ67),図45(B) に示すように,5つの引出しのそれぞれのほぼ中央に,引き手が取り付けられた画像が組み立て家具表示領域B2に表示される(ステップ68)。
ユニット配置テーブル(図16)のユニット番号「−01」についての「パーツ数」の欄には,ユニット番号「−01」のユニットに取付けられたパーツの数を表す数字が「14」に更新される。
引出し配置テーブル(図19)の「パーツ数」には,引出しのそれぞれに取り付けられたパーツ(引き手)の数を表す「1」の数字がそれぞれ格納される。
引き手配置テーブル(図21)には,新たに設けられた5つの引き手のそれぞれについてのデータが追加される。5つの引き手のそれぞれにパーツ番号が採番されて「パーツ番号」の欄に格納される。「ユニット番号」の欄には引き手が取り付けられたユニットを特定するユニット番号の枝番「−01」が,「親パーツ番号」の欄には引き手が取り付けられたパーツ(引出し)のパーツ番号が,「セルID」の欄には引き手が取り付けられたセルのそれぞれのセルIDが,「ユニット/パーツ定義番号」,「ユニット/パーツ定義名称」,「仕上げ色」,「材料」の欄には,引き手(ヒキテ1)についてのデータが,ユニット/パーツ定義テーブル(図18)が参照されて格納される。「配置情報」の欄には引出しの中央に配置されている旨を表すデータが,「基準点」の欄には引き手の前方左下隅の点の3次元座標がそれぞれ格納される。「サイズ」の欄には引き手の幅,奥行き,高さの寸法がそれぞれ格納される。
図45(C) は,下側のユニット260 のセル250 に3枚の横仕切板が設けられて,セル250 が4つのセル251 ,252 ,253 および254 に分割された状態を示している。図45(D) は4つのセル251 ,252 ,253 および254 に,それぞれインセット式引出しが納められ,さらに引出しのそれぞれに引き手が取り付けられた状態を示している。図45(C) に示す画像を組み立て家具表示領域B2に表示させるための処理は,上述した図44(C) に示す画像を組み立て家具表示領域B2に表示させるための処理と同様の処理となる。図45(D) に示す画像を組み立て家具表示領域B2に表示させるための処理は,図45(A) ,図45(B) に示す画像を組み立て家具表示領域B2に表示させるための処理と同様の処理となる。インセット式引出しを組立てる場合には,配置指定ウインドウW8(図49)において取付方法を「インセット」にすればよい。
下側のユニット260 内のセル250 の部分に扉が取付けられ,その扉に引き手が取付けられ,さらにユニット260 の底面にキャスタが取付けられた状態の画像が,図46に示されている。組み立てメイン・ウインドウW5のユニット/パーツ表示領域B1の中にある「トビラ1」を表す画像を選択し(ステップ69),その後,組み立て家具表示領域B2においてセル250 を含む矩形領域を範囲指定し,「選択ロード」ボタンをクリックする(ステップ63)。配置指定ウインドウW8においてオーバーセットが選択されると(ステップ67),オーバーセットの取付方法で扉が取付けられた画像が組み立て家具表示領域B2に表示される(ステップ68)。さらに,ユニット/パーツ表示領域B1の中からヒキテ1を選択し(ステップ69),組み立て家具表示領域B2においてセル250 を含む矩形領域(扉が取り付けられた範囲)を範囲指定し,その後,「選択ロード」ボタンをクリックすると表示される配置指定ウインドウW8において,取付位置を高さについて「標準」,左右について「標準」とする(ステップ67)。扉の開閉部分の近傍で,かつ扉の高さ方向のほぼ中央の部分に引き手が取り付けられた画像が,組み立て家具表示領域B2に表示される(ステップ68)。組み立てメイン・ウインドウW5のユニット/パーツ表示領域B1の中にある「キャスタ」を表す画像(図示略)を選択し(ステップ69),その後,組み立て家具表示領域B2においてユニット260 を選択し,「選択ロード」ボタンをクリックする(ステップ63)。配置指定ウインドウW8において,高さについて「標準」,左右について「標準」を選択すると(ステップ67),ユニット260 の底面の4つの隅にキャスタが取付けられた画像が,組み立て家具表示領域B2に表示される(ステップ68)。
上述のユニット210 (セル200 )への仕切板,引出しおよび引き手の取り付けの場合と同じように,ユニット番号テーブル(図15),ユニット配置テーブル(図16),仕切(セル)情報テーブル(図17),引出し配置テーブル(図19)および引き手配置テーブル(図21)には,ユニット260 (セル250 )に仕切板,引出しおよび引き手が設けられるにしたがって,順次データが格納される。
扉配置テーブル(図20)には,ユニット260 内のセル250 に取り付けられた扉についてのデータが格納される。扉についてのパーツ番号が採番されて「パーツ番号」の欄に格納される。「ユニット番号」の欄には扉が取り付けられたユニットを特定するユニット番号の枝番「−02」が,「セルID」の欄には扉が取り付けられたセル250 のセルID「00」が,「ユニット/パーツ定義番号」,「ユニット/パーツ定義名称」,「仕上げ色」,「材料」の欄には,扉(トビラ1)についてのユニット/パーツ定義テーブル(図18)が参照されて格納される。「基準点」の欄には扉の前方左下隅の点の3次元座標が格納される。「サイズ」の欄には扉の幅,奥行き,高さの寸法がそれぞれ格納される。「セット方法」にはインセットの扉が取り付けられた旨を表すデータが,「パーツ数」には扉に取り付けられたパーツ(引き手)の数が格納される。
脚配置テーブル(図22)には,ユニット260 の底面に取り付けられた脚(キャスタ)についてのデータが格納される。キャスタについてのパーツ番号が採番されて「パーツ番号」の欄に格納される。「ユニット番号」の欄にはキャスタが取り付けられたユニットを特定するユニット番号の枝番「−02」が,「ユニット/パーツ定義番号」,「ユニット/パーツ定義名称」,「仕上げ色」欄には,キャスタについてのデータが,ユニット/パーツ定義テーブル(図18)が参照されて格納される。「基準点」の欄にはユニットの前方左側に位置する脚とユニットの底面との接合部分の中心の3次元座標が格納される。「サイズ」の欄にはキャスタの幅,奥行き,高さの寸法がそれぞれ格納される。
このようにして,組み立て家具表示ウインドウW5の組み立て家具表示領域B2に表示される画像が順次変更されていくにしたがって,HDに記憶されている各種テーブルに格納されているデータ(家具設計データ)が順次更新される。
組み立て家具表示ウインドウW5において「色調変更」ボタンがクリックされると(ステップ72),色調変更ウインドウが表示される(図30,ステップ91)(色調変更ウインドウは図示略)。色調変更ウインドウでは組み立て家具表示領域B2に表示されているユニットまたはパーツの仕上げ色(塗装色)(模様を含む),木材等の種類(木目を含む)を変更することができる。仕上げ色または木材等の種類の変更を希望するユニットの部分(天板,地板,左側板または右側板)またはパーツ(またはその部分)を組み立て家具表示領域B2においてクリックして指定し,その後,変更しようとする色,木材の種類を指定して(ステップ92),OKボタンをクリックする(ステップ93で「OK」)。指定された色または木材等をもつユニットまたはパーツが,組み立て家具表示領域B2に表示され,家具設計データ25が変更される(ステップ94)。
たとえば,ユニット「−01」の天板の仕上げ色が変更されると,ユニット配置テーブル(図16)の部位1(天板)の仕上げ色の欄のデータが,変更された仕上げ色を表すデータに更新される。
ユニットを構成する木材の種類が変更される場合には,ユニットを構成する板の厚さが再度算出されよう。変更後の木材の種類に応じた板の厚さが再決定される(図27参照)。
組み立て家具表示ウインドウW5において「家具保存」ボタンがクリックされると(ステップ73),図51に示すように,組み立て家具表示領域B2に表示されている家具が完成家具表示領域B3に縮小されて表示される(ステップ74)。
完成家具テーブル(図15)の「家具番号」の欄には,組み立て家具表示領域B2に表示されている家具について番号(「1113」)が採番されて格納される。家具番号は,ユニット配置テーブル(図16),仕切(セル)情報テーブル(図17)等の「ユニット番号」の欄にも格納される。
組み立てメイン・ウインドウW5において,仕切定義(ステップ70),配置指定(ステップ71),色調変更(ステップ72)および家具保存(ステップ73)は,どの順番にやってもよい。たとえば,色調変更(ステップ72)によりユニットの天板の色を変更した後に,仕切定義(ステップ70)をすることもできるし,家具保存(ステップ73)で家具の設計データを保存した後に,色調変更(ステップ72)することもできる。
家具保存(ステップ73)の後に,仕切定義,配置指定または色調変更を行った場合には,仕切定義,配置指定または色調変更を行う前の完成家具と,行った後の完成家具の画像がそれぞれ完成家具表示領域B3に表示される。
「終了」ボタンがクリックされると(ステップ75),組み立て処理が終了する。表示装置11の表示画面には,再びメイン・メニュー・ウインドウW1が表示される(ステップ31)。
このようにして,相互にリンクした各種のテーブルには家具設計データが格納されて,顧客の希望する構造等をもつ家具の概略の設計が終了する。この後,必要ならば,この概略の設計を修正していくことになる。
3.4 図面表示/印刷処理
図面表示/印刷処理は,組み立て処理(ステップ34)においてHDの各種データ・テーブルに格納されたデータにもとづいて,完成家具の外観等を表示装置の表示画面上に表示し,または完成家具の設計図面等をプリンタ17を用いて印刷して出力するものである。
図31〜図36は図面表示/印刷処理の処理手順を示すフローチャートである。ここでは図52〜図59に示す表示画面(ウインドウ)を参照する。
メイン・メニュー・ウインドウW1において「図面表示/印刷」ボタンがクリックされると(ステップ35),図52に示すように,完成家具表示ウインドウW11が表示される(ステップ101 )。
完成家具表示ウインドウW11(図52)は,完成家具表示領域C1および完成家具図面表示領域C2を含んでいる。また「家具選択」,「図面選択」,「寸法変更」,「写真表示」,「印刷」および「終了」ボタンが設けられている。
完成家具表示領域C1には,上述の組み立て処理によって組み立てられた完成家具の画像が表示される。組み立て処理によって組み立てられた完成家具が複数ある場合には,そのそれぞれについての家具設計データが上述の各種のデータ・テーブルに格納されている。すなわち,データ・テーブルに,複数の完成家具についての家具設計データが格納されている場合には,完成家具表示領域C1には,それらの家具設計データによって表される複数の完成家具の画像がそれぞれ表示される。一方,初期状態において,完成家具図面表示領域C2には何も表示されない。
完成家具表示領域C1に表示されている完成家具の画像の中から,設計図面を印刷すべき完成家具の画像をクリックして選択し(ステップ102 ),その後,「家具選択」ボタンをクリックする(ステップ103 )。選択された完成家具の正面図が完成家具図面表示領域C2に表示される(ステップ104 ,図53)。
「図面選択」ボタンがクリックされると(ステップ106 ),図54に示すように,表示図面選択ウインドウW12が表示される(図32,ステップ111 )。
表示画面選択ウインドウW12(図54)は,完成家具表示ウインドウW11に,図面(「正面図」,「平面図」,「背面図」,「側面図」,「セル図」,「正面詳細図」のいずれか),部材表,木取り図または見積書のいずれを表示するかを選択するために用いられる。
「正面図」,「平面図」,「背面図」,「側面図」,「セル図」,「正面詳細図」,「部材表」,「木取り図」および「見積書」のいずれかについて,対応する円形の入力ボックスをクリックする(ステップ112 )。チェックされた円形の入力ボックスの色が変わる。
「正面図」,「平面図」,「背面図」,「側面図」または「セル図」のいずれかがクリックされてOKボタンがクリックされると(ステップ113 でOK),クリックされた図面が,完成家具が完成家具表示ウインドウW11の完成家具図面表示領域C2に表示される(ステップ114 )。
ユニット配置テーブル(図16)には,完成家具に含まれるユニットについて,ユニットの前方左下隅の位置情報(基準点(x,y,z))が格納され,かつユニットの寸法(uW,uD,uH)」が格納されている。仕切(セル)情報テーブル(図17),引出し配置テーブル(図19)等のパーツについてのデータ・テーブルには,各パーツの位置情報(基準点)が格納され,かつ各パーツのサイズのデータが格納されている。
家具設計支援プログラムは,たとえば,上述のユニットおよびパーツに関するデータ・テーブルに格納される「基準点」のデータおよび「サイズ」のデータにもとづいて,完成家具の3次元図形データ(頂点,辺,面の座標やこれらの相互関係を表すデータ)を生成して,表示装置11の表示画面上に2次元画像を表示するレンダリング処理を行う。レンダリング処理によって,3次元図形データにもとづいて,2次元画像において3次元のものがどのような形で見えるかが計算(座標変換)され,その後,隠れて見えない部分の線および面が消去(隠線消去,隠面消去)されて,表示装置11の表示画面上に2次元画像を表示する画像データが生成される。
「正面図」が選択されると(ステップ112 ),家具設計支援プログラムは,完成家具の正面図を,完成家具図面表示領域C2に表示する(ステップ114 )。同様に,「平面図」,「背面図」,「側面図」が選択されると(ステップ112 ),家具設計支援プログラムは,完成家具の平面図,背面図,右側面図を,完成家具図面表示領域C2に表示する。もっとも,レンダリング処理を行うまでもなく,家具設計データにもとづいて,完成家具の正面図,平面図,背面図,側面図を表示することもできる(図11,図12参照)。
「セル図」が選択されると(ステップ112 ),家具設計支援プログラムは,完成家具から引出しや扉などの仕切板を除くパーツを取り除いた状態の家具(ユニットと仕切板が残ることになる)の正面図を,完成家具図面表示領域C2に表示する。
「正面詳細図」が選択されると(ステップ112 ),家具設計支援プログラムは,完成家具の正面図(または斜視図)に陰影(シェーディング)を加えた画像を,完成家具図面表示領域C2に表示する。
「部材表」が選択されると,家具設計支援プログラムは,完成家具に用いられているの材料(ユニットに用いられる木材の種類,パーツに用いられる木材の種類等)を完成家具図面表示領域C2に表示する。
「木取り図」が選択されると,家具設計支援プログラムは,完成家具を構成するユニットや引出しなどの製作に必要とされる木材の大きさ(寸法)を算出し,ユニットや引出しなどを構成する天板や側板等を,効率よく(無駄がないように)1枚(または複数枚)の板から切出すための切出し図(木取り図)を,完成家具図面表示領域C2に表示する。
「見積書」が選択されると,家具設計支援プログラムは,完成家具に用いられる木材の種類,構造,大きさ,塗装(仕上げ色)の有無,パーツの値段などにもとづいて,完成家具の製作に必要な経費を算出し,算出された経費が記載された見積書を完成家具図面表示領域C2に表示する。
ユニットおよび仕切板の経費の算出には,基本情報テーブル(図10)に格納された材料(木材の種類)ごとの単位面積あたりの単価のデータ(図10において,単価データは図示を省略している)と,ユニット配置テーブル(図16)に格納された完成家具に含まれるユニットの寸法および材料のデータならびに仕切板配置テーブル(図23)に格納された仕切板の寸法および材料のデータとが用いられる。ユニットおよび仕切板に用いられる板の面積が材料ごとに算出され,その算出された材料の板の面積に,材料ごとの単位面積あたりの単価が乗算されて,ユニットおよび仕切板の経費が算出される。
基本情報テーブル(図10)には引出し,扉,脚,引き手等のパーツのそれぞれの単価のデータも格納されている(図10において図示略)。完成家具に用いられているそれぞれのパーツの数量に単価データを乗算することによって,各パーツに必要な経費が概算される。
見積書には,このようにして算出されたユニット,仕切板およびパーツごとの必要経費が示され,完成家具の全体の必要経費(ユニットおよびパーツの必要経費を足し合わせた値段)が示される。
「寸法変更」ボタンがクリックされると(ステップ107 ),図55に示すように,ユニット寸法変更ウインドウW13が表示される(図33,ステップ121 )。ユニット寸法変更ウインドウW13(図55)は,完成家具の全体の幅,奥行き,高さ,または完成家具に含まれるユニットの幅,奥行き,高さを変更するためのウインドウである。
ユニット寸法変更ウインドウW13は,完成家具表示領域D1,寸法変更表示領域D2および変更サイズ入力領域D3を含んでいる。
ユニット寸法変更ウインドウW13の寸法変更表示領域D2には,完成家具の正面図が表示される。
変更サイズ入力領域D3は変更サイズ入力ボックスを含んでいる。また変更サイズ入力領域D3には,「再表示」,「セル寸法変更」,「キャンセル」および「保存終了」ボタンが設けられている。
完成家具が複数のユニットを含んで構成されている場合には,ユニット単位で寸法を変更することができる。寸法変更表示領域D2に表示されている完成家具の下段のユニット(扉が設けられている部分)の高さ寸法を変更する例を説明する。
寸法変更表示領域D2おいて,完成家具の下段のユニットの部分がマウス13が用いられてクリックされると,変更サイズ入力ボックスには,完成家具の下段のユニットの幅,奥行きおよび高さ寸法が表示される。
変更サイズ入力ボックスにおいて,変更後の寸法をキーボード12を用いて入力する(ステップ122 )。
「再表示」ボタンがクリックされると(ステップ123 で「再表示」),寸法変更表示領域D2には,変更サイズ入力ボックスに入力された数値に対応する比率に寸法変更された完成家具の正面図が表示される(ステップ124 ,図56)。
「保存終了」ボタンがクリックされると(ステップ123 で「保存終了」),寸法変更ウインドウW13に代わって,完成家具表示ウインドウW11が表示される。完成家具表示ウインドウW11の完成家具図面表示領域C2には,寸法変更後の完成家具が表示される(ステップ125 ,図示略)。
「キャンセル」ボタンがクリックされると(ステップ123 で「キャンセル」),変更前の寸法の完成家具が,完成家具表示ウインドウW11の完成家具図面表示領域C2に表示される。
完成家具(またはユニット)の寸法が変更されると,仕切板,セルの大きさ等が,完成家具(ユニット)の寸法の変更に伴って変更される。図55に示す家具を図56に示す家具に寸法変更する例では,完成家具の寸法変更に伴って,ユニット配置テーブル(図16)の「全体サイズ」の欄,「部位3(左側板)のサイズ」および「部位4(右側板)のサイズ」の欄のデータが変更される。仕切(セル)情報テーブル(図17)の「サイズ」の欄および「基準点」の欄のデータも変更される。仕切板配置テーブル(図23)では仕切板の「基準点」のデータが変更される。もちろん,脚配置テーブル(図22),引出し配置テーブル(図19),扉配置テーブル(図20),引き手配置テーブル(図21)のそれぞれのテーブルにおいても,「基準点」および「サイズ」の欄のデータが寸法変更後の完成家具に対応するように変更される。
完成家具(またはユニット)の寸法を変更する場合には,ユニットを構成する板の厚さを,再度算出するようにしてもよい。変更後のユニットの寸法に応じた板の厚さが決定される。
ユニット寸法変更ウインドウW13(図55,図56)において「セル寸法変更」ボタンがクリックされると(ステップ126 ),セル寸法変更ウインドウW14(図57)が表示装置11の表示画面に表示される(図34,ステップ131 )。セル寸法変更ウインドウW14(図57)は,セル寸法変更表示領域E2およびセル変更サイズ入力領域E3を含んでいる。
セル寸法変更表示領域E2には,ユニットと仕切板のみが表された(引出し,扉等が取り除かれた)家具を表す画像が表示される。
セル寸法変更表示領域E2において,いずれかのセルがクリックされて選択されると,セル変更サイズ入力領域E3の数値入力ボックスには,選択されたセルの幅と高さを表す数値が表示される。数値入力ボックスに表示されている数値を書き換えるように,変更後のセルの幅または高さが数値入力ボックスに入力される(ステップ132 )。「再表示」ボタンがクリックされると(ステップ133 で「再表示」),選択されたセルが,入力された数値の幅または高さに変更されてセル寸法変更表示領域E2に表示される(ステップ134 )。
「保存終了」ボタンがクリックされると(ステップ133 で「保存終了」),セル寸法変更ウインドウW14に代わって完成家具表示ウインドウW11が表示される。寸法変更されたセルをもつ完成家具が完成家具図面表示領域C2に表示される(ステップ135)。
セルの幅寸法または高さ寸法が変更されると,仕切(セル)情報テーブル(図17)において,幅寸法および高さ寸法が変更されたセルに関する「基準点」の欄のデータが,組み立て家具表示領域B2に表示されているサイズ変更後のセルの基準点(前方左下隅の点の3次元座標)に更新され,「サイズ」の欄のデータが変更後のセルの幅,奥行き,高さの寸法を表すデータに変更される。また,幅寸法または高さ寸法が変更されたセルに隣接するセルの幅寸法または高さ寸法も変更されるので,隣接するセルに関する「基準点」の欄のデータおよび「サイズ」の欄のデータもサイズ変更後のセルの基準点,サイズを表すデータに変更される。さらに,セルの幅寸法または高さ寸法を変更すると仕切板等の配置位置も変更されるので,仕切板配置テーブル(図23)等の「基準点」の欄のデータも,変更後の仕切板等の配置位置を表すデータに更新される。
完成家具表示ウインドウW11(図52)において「写真表示」ボタンがクリックされると(ステップ105 ),図58に示すように,写真表示ウインドウW15が表示される(図35,ステップ141 )。
写真表示ウインドウW15(図58)は,完成家具表示領域F1,写真拡大表示領域F2および写真表示領域F3を含んでいる。写真拡大表示領域F2は,「選択」ボタンと「終了」ボタンを含む。完成家具表示領域F1には,完成家具表示ウインドウW11(図52)の完成家具表示領域C1と同じものが表示される。
家具設計支援システムのHDユニット16のHDには,現実の家具の外観を表す写真画像データがあらかじめ記憶されている。写真表示領域F3には,HDに記憶された写真画像データによって表される家具の写真画像が表示される。
写真表示領域F3に表示される家具の写真画像のいずれかがクリックされ(ステップ142 ),その後,写真拡大表示領域F2の「選択」ボタンがクリックされる(ステップ143 で「選択」)。選択された家具の写真画像が,写真拡大表示領域F2に拡大されて表示される(ステップ144 )。
写真拡大表示領域F2の「終了」ボタンがクリックされると(ステップ143 で「終了」),写真表示ウインドウW14に代わって,完成家具表示ウインドウW11が表示される。
完成家具表示ウインドウW11(図52)において「印刷」ボタンがクリックされると(ステップ109 ),図59に示すように,印刷指定ウインドウW16が表示される(図36,ステップ151 )。
印刷指定ウインドウW16(図59)において,図面,正面詳細図,部材表,木取り図,見積書の5つの項目のうち,印刷しようとする一または複数の項目がクリックされて選択され(ステップ152 ),その後「印刷」ボタンがクリックされる(ステップ153 で「印刷」)。すると,指定した項目(図面等)がプリンタ17によって紙等に印刷されて出力される(ステップ154 )。
たとえば,「図面」をクリックして「印刷」ボタンをクリックすると,プリンタ17から完成家具の設計図面が出力される(図11,図12参照)。
「プリンタ設定」ボタンは,出力すべきプリンタを設定する(選択する)場合にクリックされる。
「キャンセル」ボタンがクリックされると(ステップ153 で「キャンセル」),印刷しようとする項目の選択に戻る(ステップ152 )。
完成家具表示ウインドウW11において「終了」ボタンがクリックされると(ステップ110 ),図面表示/印刷処理が終了する。完成家具表示ウインドウW11に代わって,メイン・メニュー・ウインドウW1が表示される(ステップ31)。
4 家具設計支援システムにおける処理II(ウインドウを中心に)
家具設計支援システムにおいて表示装置11の表示画面に表示されるウインドウは,図37〜図39,図41〜図49,図51〜図59に示すものに限られるものではない。また,家具設計や家具設計データ(例えば寸法等)の変更などの流れも,上述した例に限定される訳ではない。図60〜図82は,表示装置11の表示画面に表示されるウインドウの他の例を示すものである。上述の家具設計システムにおける処理Iにおいて説明したフローチャート(図25〜図36)を適宜参照して,家具設計支援システムにおける処理の他の例を説明する。
図60はメイン・メニュー・ウインドウW1(図37)において,オペレータまたはユーザによって「ユニット/パーツの定義」ボタンがクリックされると表示画面に現れるユニット/パーツ選択ウインドウの他の例である(図25のステップ32,ステップ33,図26のステップ41に対応)。ユニット/パーツ選択ウインドウW21はユニット/パーツ表示領域a1を含み,「次へ」および「終了」ボタンを備えている。
ユニット/パーツ表示領域a1には,ユニット,ひきだし,扉,仕切板/棚板,脚,引き手および鍵の文字が表示されている。マウス13を用いてこれらのいずれかの文字部分がクリックされることによって,ユニットまたはパーツ(ひきだし,扉,仕切板/棚板,脚,引き手,鍵)のいずれかが選択される(ステップ42に対応)。選択されたユニットまたはパーツについて,寸法,材料,材質,塗装等の定義(定義データの作成;ユニット/パーツ定義テーブルへのデータ登録)が行われる。
「ひきだし」がクリックされ,その後に「次へ」ボタンがクリックされた場合(ステップ43で「次へ」に表示画面上に現れるウインドウ(ひきだし定義ウインドウW22)の例が,図61に示されている。
ひきだし定義ウインドウW22は,種類選択領域a2,寸法定義領域a3,属性定義領域a4および定義済み一覧表示領域a5を含み,「保存」,「名称の変更」,「削除」および「終了」ボタンを備えている。
種類選択領域a2には,あらかじめ基本情報テーブル(図10)に格納されているデータにもとづいて,引き出しの種類が一覧に表示される。ここでは,標準タイプ(標準),枠付きタイプ(枠)および枠付きでかつ枠内にガラス板がはめ込まれたタイプ(枠ガラス付)の3種類のひきだしのデータがあらかじめ基本情報テーブ(図10)に格納されており,これらのデータにしたがって画面表示が行われている。
種類選択領域a2において選択されたタイプの引き出し(文字の色が反転する)について,寸法定義領域a3において,引き出し前板(前面板)の板の厚さ(板厚),本体(箱の部分)の板の厚さおよび引き出し前板に取り付けられる引き手の配置位置が定義される。
属性定義領域a4では,引き出しの前板および引き出しの本体に用いられる材料(ナラ,タモ,マホガニーなど),材質(ムクまたは突板)および塗装(ウレタン塗装,ナチュラル色,アンバー色など)が定義される。寸法定義領域a3および属性定義領域a4において選択可能な定義データにも,基本情報テーブル(図10)にあらかじめ記憶されたデータが用いられる。
引き出しの種類,寸法および属性を決定した後に,「保存」ボタンがクリックされると,名称を入力するための新たなウインドウがひきだし定義ウインドウW22に重ね合わされて表示される(図示略)。入力された名称が定義済み一覧表示領域a5に新たに加えられる(図示略)。
「名称の変更」ボタンは,定義済み一覧表示領域a5に表示されている引き出しの名称を変更する場合にクリックされる。「削除」ボタンは,定義済み一覧表示領域a5に表示されている定義済みデータを削除する場合にクリックされる(ステップ54)。「終了」ボタンは,データ定義を終える場合にクリックされる。「終了」ボタンがクリックされると,定義ウインドウW22が表示画面から消える。
引き出し以外のパーツ(扉,仕切板/棚板,脚,引き手および鍵)やユニットについても,同様にして,定義ウインドウW22を用いて寸法や属性等が定義される。
上述の定義ウインドウW22を用いた処理は,図26に示すフローチャートとは完全には一致しないが,家具設計支援システムの利用者があらかじめ用意された基本情報テーブルのデータ範囲内において,ユニットおよびパーツについての定義データを定義する(ユニット/パーツ定義テーブルに定義データを格納する)という点で共通している。
図62はメイン・メニュー・ウインドウW1(図37)においてオペレータまたはユーザによって「組み立て」ボタンがクリックされる(図25のステップ32,ステップ34)と表示される組み立てメイン・ウインドウの他の例である(図28のステップ61)。
組み立てメイン・ウインドウW23は,ユニット/パーツ表示領域b1,組み立て家具表示領域b2および完成家具表示領域b3を含むとともに,「ユニット/パーツ・ロード」,「セル定義」,「寸法変更」,「パーツ削除」,「家具保存」,「家具ロード」,「家具削除」および「終了」ボタンを備えている。ユニット/パーツ種類表示領域b1,組み立て家具表示領域b2および完成家具表示領域b3は,それぞれ別々のウインドウにしてもよい。
ユニット/パーツ表示領域b1の上部には,ユニット/パーツ種類表示ボックスb4が含まれている。表示ボックスb4の右側の三角マークの部分がクリックされると,ユニットまたはパーツの種類が一覧に表示される(図68参照)。
表示ボックスb4に「ユニット」を表示させると,ユニット/パーツ表示領域b1(表示ボックスb4の下方)には,ユニットの外観(正面)の概略を表す画像が,ユニット名称とともに表示される。
組み立て家具表示領域b2には,ユニットやパーツの組合せ態様が表示される。また,家具(ユニット,パーツ)の幅や高さの基準を表すための基準点(座標)が示される。
完成家具表示領域b3には,完成家具(またはその一部)の名称と画像が表示される。
たとえば,ユニット/パーツ表示領域b1において天地1のユニットをクリックして選択する(図28のステップ62)。その後「ユニット/パーツ・ロード」ボタンがクリックされると(ステップ63),図63に示すように,天地1ユニットの前方左下頂点が原点(0,0)に合わせられて,組み立て家具表示領域b2に表示される(図28のステップ64でNO,ステップ65)。ユニット/パーツ表示領域b1の下部には天地1タイプのユニットの幅,高さおよび奥行きが数値によって示される。
ユニットまたはセルの寸法の変更を,組み立て処理内において実行することができる。
ユニットまたはセルの寸法を変更する場合,「寸法変更」ボタンがクリックされる。「寸法変更」ボタンがクリックされると,図64に示すように,寸法変更ウインドウW24が組み立てメイン・ウインドウW23に重ね合わされて表示される。
寸法変更ウインドウW24の上部には,組み立てメイン・ウインドウW23の組み立て家具表示領域b2に表示されているユニットの幅,高さ,奥行を表示する欄W24aおよび「変更して終了」ボタンが設けられている。
ユニットの寸法を変更する場合には,幅,高さ,奥行の表示欄W24aに表示されている数値をキーボード12を用いて書き換え,その後「変更して終了」ボタンをクリックする(図33参照)。すると,図65に示すように,その後の組み立てメイン・ウインドウW23の組み立て家具表示領域b2には,数値変更後の寸法を持つユニットが表示される。寸法変更ウインドウW24は消える。
ユニットに含まれるセルの寸法を変更する場合にも寸法変更ウインドウW24が用いられる。
寸法変更ウインドウW24(図64)の下部には,組み立て家具表示領域b2において選択されたセルのセル番号,ユニットに含まれるセル数および選択されたセルの寸法を表示する欄,変更する寸法(新しい寸法)を入力する欄W24b,寸法変更するセルの移動方向を決定する欄ならびに隣接セルへの影響を決定する欄が設けられている。また「リセット」,「変更」,「終了」および「キャンセル」が設けられている。
寸法変更しようとするセルが組み立て家具表示領域b2においてマウス13を用いて選択される。「新しい寸法」の欄W24bに新たなセルの幅または高さが入力される。「移動方向」の欄では,寸法変更するセルを上(右)側に広げる(狭める)(上(右)側)か,下(左)側に広げる(狭める)(下(左)側)かのいずれかが選択される。「移動方向への影響」の欄では,寸法が変更されたセル以外のセルについて,寸法変更されるセルに隣接するセルのみに影響を及ぼすようにするか(隣接セルのみ変更),ユニットに含まれるすべてのセルについて等比率で寸法変更するか(等比率ですべて変更)のいずれかが選択される(セルの寸法の変更について図34参照)。
「変更」ボタンがクリックされると,セルの寸法が変更されたユニットが組み立て家具表示領域b2に表示される。「リセット」ボタンは変更前の状態に戻す場合に,「終了」ボタンはセルの寸法変更処理を終える場合に,「キャンセル」ボタンは寸法変更処理をキャンセルする場合に,それぞれクリックされる。
組み立てメイン・ウインドウW23において,「セル定義」ボタンは,組み立て家具表示領域b2に表示されているユニットに縦板または横板を設ける場合にクリックされる。
寸法変更ウインドウW24に,ユニットおよびセル以外のパーツの寸法を変更させる機能を備えさせてもよいのはいうまでもない。
「セル定義」ボタンがクリックされると,図66に示すように,セル定義ウインドウW25が組み立てメイン・ウインドウW23に重合わされて表示される。
セル定義ウインドウW25は,縦板または横板として用いられる仕切板(棚板)の種類(木製またはガラス製)を選択する欄(定義済み領域)W25aおよび板の枚数を入力する欄W25bを含み,「すべてクリア」,「クリア」,「OK」および「キャンセル」ボタンを備えている。
たとえば,図65の組み立て家具表示領域b2に示すユニットに,7枚の木製の横板を設ける場合には,図66に示すように,定義済み領域W25aにおいて「木製」を選択し,板の枚数を表示する欄W25bにおいて横板を7枚とし,その後,「OK」ボタンをクリックする。すると,図67に示すように,組み立てメイン・ウインドウW13の組み立て家具表示領域b2には,7枚の横板が設けられたユニットが表示される。ユニットは寸法の等しい8つのセルを含むようになる。セル定義ウインドウW25は表示画面から消える(「セル定義」の処理は,図28のステップ70(図29)の「仕切定義」の処理と対応する)。
「すべてクリア」ボタンは,ユニットに設けられた縦板または横板をすべて消去する場合に,「クリア」ボタンは複数回にわたって縦板または横板を設ける処理が行われた場合に最も最後に設けられた縦板または横板を消去する場合に,「キャンセル」ボタンはセル定義処理をキャンセルする場合に,それぞれクリックされる。
組み立てメイン・ウインドウW23の組み立て家具表示領域b2に表示されているユニットにパーツを取り付ける場合には,図68に示すように,はじめにユニット/パーツ表示領域b1の上側の表示ボックスb4に,取り付けようとするパーツ名を表示させる。
たとえば,パーツ名として「脚」を選択する(表示ボックスb4に「脚」を文字表示させる)と,図69に示すようにユニット/パーツ表示領域1bに複数のタイプの脚が表示される(ユニット/パーツ定義テーブル(図18)にもとづく)。台角4本タイプの脚がマウス13を用いてクリックされて選択され,その後,「ユニット/パーツ・ロード」ボタンがクリックされたときの組み立てメイン・ウインドウW23を,図70に示す。組み立て家具表示領域b2に,ユニットの下面に柱状の4本の脚と台座とから構成される台角4本タイプの脚が取り付けられた家具が表示される(必ずしも,配置指定のためのウインドウ(図28のステップ66〜68;図47,図49)は表示されない)。
さらに,ユニットに含まれる8つのセルのそれぞれに,パーツの一つであるひきだしを設ける場合には,8つのセルのすべてをマウス13を用いて選択し,その後,表示ボックスb4に「ひきだし」を文字表示させる。ユニット/パーツ表示領域b1には複数のタイプのひきだしの画像が表示される。所望のタイプをマウス13を用いて選択した後,「ユニット/パーツ・ロード」ボタンをクリックする。すると,ひきだしをどのようにセットするかを指定するセット方法選択ウインドウW26が,組み立てメイン・ウインドウW23に重ね合わされて表示される(図71)(配置指定ウインドウW7(W8)の他の例である)。
セット方法選択ウインドウW26では,(I) ひきだしの前板が,セルに設けられた仕切板の前面とほぼ面一になるように引き出しを納めるインセット1(完全),(II)天板,地板および側板の前面が引き出しの前板とほぼ面一になり,かつ各仕切板の奥行き方向の寸法を少し短くすることによって引き出しの前板によって各仕切板が見えないように引き出しを納めるインセット2(仕切板のみを隠す),(III) 天板,地板,側板および各仕切板がすべて引き出しの前板によって隠れるように引き出しを納めるオーバーセット1(完全),ならびに(IV)引き出しの前板によって天板および地板以外の側板および各仕切板を隠すように引き出しを納めるオーバーセット2(天地板以外を隠す)の4つのセット方法のうちのいずれかのセット方法が選択される。
いずれかのセット方法が選択されて「OK」ボタンがクリックされると,図72に示すように,セット方法選択ウインドウW26を用いて選択されたセット方法によって引き出しが納められた家具が,組み立て家具表示領域b2に表示される(ここでは,ガラス付き引き出しがオーバーセット2で格納されている)(図28のステップ66〜ステップ68に対応)。セット方法選択ウインドウW26が消える。
「家具保存」ボタンがクリックされると(ステップ73),家具保存ウインドウW27が表示される(図73)。完成家具名称の欄W27aに家具を特定する名称をキーボード12を用いて入力し「OK」ボタンをクリックする。図74に示すように,完成家具表示領域b3に,組み立て家具表示領域b2に表示されている家具の画像が縮小されて表示される(ステップ74)。また上述の家具保存ウインドウW27を用いて入力された名称が縮小画像の上に表示される。
組み立てメイン・ウインドウW23において,「パーツ削除」ボタンは,組み立てられている(取り付けられている)パーツを削除する(取り外す)(データ・テーブルから削除する)場合に,「家具ロード」ボタンは完成家具表示領域b3に表示されている完成家具を組み立て家具表示領域b2に表示する場合に,「家具削除」ボタンは完成家具表示領域b3に表示されている完成家具を削除する(データ・テーブルから削除する)場合に,それぞれクリックされる。「終了」ボタンがクリックされると,組み立てメイン・ウインドウW23が表示画面から消える(図28のステップ75)。
図75はメイン・メニュー・ウインドウW1(図37)において,オペレータまたはユーザによって「図面の表示/印刷」ボタンがクリックされると表示画面に現れる完成家具表示ウインドウの他の例である(図25のステップ32,35,図31のステップ101 )。完成家具表示ウインドウW31の左側には完成家具表示領域c1が位置し,その右側に完成家具図面表示領域c2が位置する。
完成家具表示ウインドウW31の下側には「家具ロード」,「図面の表示」,「レンダリング」,「寸法変更」,「材質変更」,「図面の印刷」,「家具保存」および「終了」ボタンが表示される。
完成家具表示領域c1においていずれかの完成家具がマウス13を用いて選択され,その後,「家具ロード」ボタンがクリックされると(図31のステップ102 ,103 ),図76に示すように,完成家具図面表示領域c2には,選択された完成家具の正面図が寸法の記述ととも表示される(ステップ104 )。完成家具図面表示領域c2の右側には,完成家具図面表示領域c2に表示されている図面を拡大または縮小して再表示させるためのボタン,完成家具図面表示領域c2に表示されている家具の図面を上下左右のいずれかの方向に移動させて表示するための十字ボタンが新たに表示される。
「図面の表示」ボタンがクリックされると(図31の「図面選択」(ステップ106 )の処理(図32)に対応),図77に示すように,完成家具表示ウインドウW31に重ね合わされて図面選択ウインドウW32が表示される。図面選択ウインドウW32では,完成家具図面表示領域c2に表示させる図面の種類等(正面図,平面図等)を選択する。
たとえば,立体図が選択されて(図32のステップ112 ),図面選択ウインドウW32の下側の「表示」ボタンがクリックされると,図78に示すように,完成家具図面表示領域c2には完成家具が立体的に表示される(ステップ114 )。
完成家具表示ウインドウW31の下側の「レンダリング」ボタンがクリックされると,図79に示すように,レンダリング処理された図面が,完成家具図面表示領域c2に表示される。
レンダリング処理には,CAD(Computer Aided Design )プログラム(ソフト)を利用することができる。CADプログラムは家具設計支援プログラムの一部として位置づけてもよいし,家具設計支援プログラムとは別個のプログラムとしてもよい。
CADプログラムは,ユニットおよびパーツに関するデータ・テーブルに格納される基準点データおよび寸法データにもとづいて,完成家具の3次元図形データ(頂点,辺,面の座標やこれらの相互関係を表すデータ)を生成する。完成家具の3次元図形データの生成と出力に必要なデータおよび命令が,家具設計支援プログラムからCADプログラムに受渡される(3Dモデリング命令,3D描画命令,3D印刷命令)。CADプログラムは3次元図形データを生成に必要な関数(モデリング関数)を含み,家具設計支援プログラムから受渡されたデータにもとづいて,2次元画像において3次元のものがどのような形で見えるかを計算(座標変換)し,3次元図形データを生成する(モデリング)。さらにCADプログラムは,隠れて見えない部分の線および面を消去(隠線消去,隠面消去)し,シェーディング処理やレイトレーシング処理等を行って表示画面に描画するための描画関数および印刷のための印刷関数を含む。立体的に表現された2次元画像を,表示装置11の表示画面上に表示し,またはプリンタ17から出力することができる。
完成家具表示ウインドウW31の下側の「図面の印刷」ボタンがクリックされると,図80に示すように,印刷図面選択ウインドウW33が現れる(図31のステップ109 ,図36に対応)。印刷図面選択ウインドウW33は,「図面」,「立体図」,「部材表」および「見積表」の各文字とそのそれぞれに対応する円形の入力ボックスを含むとともに,「表示」ボタンおよび「キャンセル」ボタンを備えている。
印刷図面選択ウインドウW33において「図面」が選択され,その後「表示」ボタンがクリックされると,図81に示すように,完成家具図面表示領域c2には完成家具の正面図,側面図,背面図等が寸法とともに表示される。画面右側の領域c4には「プリンタの設定」,「印刷の実行」,「前ページ」および「次ページ」ボタンが現れる。「プリンタの設定」は表示画面に表示されるプリンタの設定(複数のプリンタに出力可能である場合におけるプリント出力すべきプリンタの指定等)を行う場合に,「印刷の実行」はプリントを実行する場合に,「前ページ」は表示画面に表示されている図面が複数のページにわたる場合に前のページを表示させる場合に,「次ページ」は次のページを表示させる場合に,それぞれクリックされる。
印刷図面選択ウインドウW33(図80)において「立体図」が選択され,「表示」ボタンがクリックされると,立体図が完成家具図面表示領域c2に表示される(図78参照)。「部材表」が選択されて「表示」ボタンがクリックされると,完成家具図面表示領域c2に表示されている完成家具に用いられている部材(ユニット,パーツ)が一覧に表示される(図示略)。「見積表」が選択されて「表示」ボタンがクリックされると,図82に示すように,完成家具図面表示領域c2に表示されている完成家具に用いられるユニット,パーツのそれぞれについて,名称,材料,材質,塗装,サイズ,材料単価,塗装単価,数量,合計金額等が一覧に表示される。「印刷の実行」ボタンがクリックされると,完成家具図面表示領域c2に表示されている図面,立体図,部材表,見積表のいずれかがプリンタ17からプリント・アウトされる(図36のステップ154 )。
完成家具表示ウインドウW31において「寸法変更」ボタンは完成家具の寸法またはセルの寸法を変更する場合(図31のステップ107 ,図33のステップ126 ,図34に対応)に,「材質変更」ボタンは完成家具に用いられているユニットまたはパーツの材質(材料)を変更する場合に,それぞれクリックされる。寸法または材質が変更された完成家具のデータを保存する場合には「家具保存」ボタンがクリックされる。「終了」ボタンがクリックされると,完成家具表示ウインドウW31が表示画面から消える。
5 加工図作成処理
上述したように,家具設計支援システムを用いて作成された家具設計データ(各種テーブルに格納されたデータ)25にもとづいて,完成家具の正面図,側面図,背面図等を寸法とともに表示画面に表示し,またはプリント・アウトすることができる。家具設計データ25として,完成家具を構成するユニットやパーツごとに,さらに詳細なデータを持たせることによって,完成家具を構成するユニットやパーツの加工のための図面(加工図)を表示し,またはプリント・アウトすることができる。図83〜図91は家具の製作に用いられる加工図の一例を示すものである。図83〜図91は,図5に示す家具(完成家具)についての加工図を示している。
図83Aは完成家具の平面図,図83Bは完成家具の正面図,図83Cは完成家具の右側面図をそれぞれ寸法とともに示している(寸法を表す数字は省略されている。他の図面において同じ)。
図84は完成家具のユニットと仕切板(棚板)とを寸法とともに示すものである。図84A,B,Cは,それぞれ平面図,正面図,右側面図である。
図85は天板の加工図を示すものである。図85Aは天板の平面図(天板を上から見た図),図85Bは天板の正面図,図85Cは天板の底面図(裏面;天板をセル側(ユニット内部)から見た図),図85Dは天板と側板との接合部分を拡大して示す図である。天板の底面(裏面)には,側板および裏板との接合に用いられるダボ穴(黒丸)が示されている。図85Cに示された矢印の部分について,天板と側板との接合部分が図85Dに拡大されて示されている。図85Dにおいて,破線で示す部分がダボ穴に差し込まれるべきダボを示している。
図86は地板の加工図を示すものである。図86Aは地板の平面図(地板をセル側(ユニット内部)から見た図),図86Bは地板の正面図,図86Cは地板の底面図(地板を下側から見た図),図86Dは地板と側板との接合部分の拡大図である。
図87は裏板(背面板)の加工図を示すものである。図87Aは裏板の平面図,図87Bは裏板の正面図,図87Cは裏板の底面図,図87Dは裏板の右側面図をそれぞれ示している。図87Eおよび図87Fは裏板にあけられるダボ穴を正面と側面とからそれぞれ示すものである。
図88は側板の加工図を示すものである。図88A〜図88Eは左側の側板の加工図を,図88F〜図88Jは右側の側板の加工図をそれぞれ示している。図88A(I)は側板の正面図,図88B(G)は側板の右側面図,図88C(H)は側板の平面図,図88D(F)は側板の背面図,図88E(J)は側板の底面図である。図88B(G)および図88D(F)には,側板に取り付けるべき丁番(および丁番の取付のためのダボ穴)が示されている。
図89は扉と引出しとの間に配置され,ユニット内部(セル)に納められる仕切板の加工図を示すものである。図89A〜図89Eは左側の仕切板の加工図を,図89F〜図89Jは右側の仕切板の加工図をそれぞれ示している。図89A(I)は仕切板の正面図,図89B(G)は引出しの右側面図,図89C(H)は引出しの平面図,図89D(F)は引出しの背面図,図89E(J)は引出しの底面図である。図89D(F)には引出しをユニット内部に納めるときに用いられるレールが示されている。
図90は扉の加工図を示すものである。図90A〜図90Dは左側の扉の加工図を,図90E〜図90Hは右側の扉の加工図をそれぞれ示している。図90A(G)は扉の平面図,図90B(H)は扉の正面図,図90Cは扉の右側面図,図90Fは扉の左側面図,図90D(E)は扉の背面図である。図90D(E)および図90B(H)には扉をユニットに取り付けるための丁番が示されている。図90A(G),図90B(H)および図90C(F)には扉に取付られた取手が示されている。
図91は引出しの加工図を示すものである。図91Aは組み立てられた引出しの平面図である。図91Bは引出しの前面に取り付けられた前板(前面板)の正面図である。図91Fは引出しの右側面図である。図91Gは前板を除く部分の引出しを右側面から見た断面図である。
図91C〜図91E,図91H〜図91Lは引出しを構成する部材(エレメント)の加工図である。図91Cは前板の正面図,図91Dは前板の平面図,図91Eは前板の背面図である。図91Cおよび図91Eには引出しの前板に取り付けられる取手のためのダボ穴が示されている。図91Hは引出しの箱の部分を構成するエレメントである左側板を,図91Iは引出しの箱の部分の右側板を,図91Jは引出しの箱の部分の背面板を,図91Kは引出しの箱の部分の前板を,図91Lは引出しの箱の部分の底板をそれぞれ示している。
加工図作成処理では,完成家具を構成するユニットやパーツのそれぞれを構成する部材(エレメント)ごとのデータ(寸法,穴あけ位置,丁番取付位置等を表すデータ)が用いられる。加工図を作成するためのデータが格納されるテーブルを新たにHDに設け,必要であれば,加工図作成のためのデータ・テーブルに格納すべきデータを,あらかじめ基本情報テーブル(図10)に格納しておけばよい。
加工図作成処理のためのプログラムは,上述した家具設計支援プログラムの機能の一部として位置づけてもよいし,家具設計支援プログラムとは別のプログラムとしてもよい。加工図作成処理のためのプログラムを,上述の家具設計支援プログラムとは別のプログラムとする場合には,加工図作成処理のためのプログラムは,家具設計支援プログラムの処理によって作成された家具設計データと,加工図作成のためのデータを格納したテーブル内のデータにしたがって,加工図を作成する処理を行う。作成された加工図が,表示画面上に表示され,またはプリント・アウトされる。
加工図作成処理によって作成される加工図は,主に,家具の製作所(家具の製作工場)等において,家具設計支援システムが用いられて設計された完成家具を,現実に作成する場合に,家具の製作者(加工者)によって利用される。
加工図の作成のために用いられるデータ(ユニットの寸法,ユニットを構成する部材(エレメント;天板,地板,側板,裏板等)の寸法,エレメントごとのダボ穴をあける位置,丁番を取付ける位置,パーツ(引出し)についての寸法,引出しを構成するエレメント(箱の前面に取付けられる前板,箱の部分の前板,側板,地板,裏板)の寸法,引出しについてのダボ穴の位置,扉についてのダボ穴の位置等のデータ)は,コード化されたデータである。このため,加工図作成のためのデータを,完成家具(または完成家具を構成するユニットやパーツ)の加工のためのCAM(Computer Aided Manufacturing)装置(数値制御工作機械)に読込ませることによって,ユニットを構成するエレメントやパーツを構成するエレメントを,コンピュータ制御のもとに作成することもできる。
家具はユニットおよびパーツによって構成され,ユニットおよびパーツはエレメントによって構成されるので,家具の寸法に応じてユニット,パーツおよびエレメントの寸法が決定する。ユニット,パーツおよびエレメントの寸法に応じて,エレメント同士の組立てに用いられる接合部材の数や接合位置(たとえば,ダボ穴の数や位置,丁番の取付位置等)を変更するようにしてもよい。たとえば,あらかじめ標準的なエレメントの寸法と,接合部材の数や接合部材の配置位置との関係をデータ・テーブルに定めておく。エレメントがしきい値(設定値)を超えた寸法であれば,ダボ穴の数を増やす,またはしきい値より小さい寸法であればダボ穴の数を減らすといった判断を,家具設計支援プログラム(または加工図作成処理のためのプログラム)に行わせればよい。
6 製造工程図作成処理
上述したように,家具設計支援システムによって得られた家具設計データには,完成家具に含まれるユニットおよびパーツのそれぞれの構造(種類),寸法,位置関係等の完成家具の外観画像(レンダリング図)を表示画面に表示したり,設計図をプリントするために必要なデータ等が含まれている。すなわち,家具設計データによって,家具がどのようなユニットおよびパーツの組合せによって構成されるかがあらかじめ分かることになる。さらなる別のデータ(データ・テーブル)を用意することによって,次に示すように,完成家具の製造工程図を作成することができる。
図92は,製造工程図の作成に用いられる製造工程データを備えた家具設計支援システム(コンピュータ・システム)の電気的構成を示すものである。図9に示す家具設計支援システムとは,HDユニット16(HD)に,製造工程データが記憶されている点が異なる(符号25Aで示す)。その他のハードウエア構成およびHDに記憶されたプログラムおよびデータは図9のものと同じであるので,重複した説明を避ける。
図93は完成家具の一例(引出し付きキャビネット)を示す斜視図である。図94は,図93に示す完成家具(引出し付きキャビネット)についての製造工程図の一例を示すものである。
図94に示す製造工程図は,家具の製作所,工場等において家具の製作作業に用いられるものである。製造工程図に示された製造工程の流れにしたがって,家具製作所等においてユニットおよびパーツが加工され,家具が製作される。
製造工程図では,加工が必要とされるパーツおよびユニットごとに加工ラインが示される。加工ラインごとに,家具に含まれるパーツおよびユニットが加工される。そして最終的に,各加工ラインにおいて加工終了したパーツやユニットが組合わされる(組立てられる,取付けられる)ことによって家具が完成する。図93に示す家具(引出し付きキャビネット)は,扉,引出し,ユニット(天地被せ式),仕切板(棚板)および台輪を含んでいる。これらが引出し付きキャビネットにおいて加工が必要とされるユニットおよびパーツである。引出しについては加工ラインが前板と箱とに分けられる。
加工ラインには,ユニットやパーツごとにあらかじめ定められた加工工程がならべられる。図94の製造工程図において,「扉(ムク)」に着目すると,切断,木口貼り,丁番穴あけ,引き手穴あけおよび丁番引き手取付の5つの加工工程がある。家具(完成家具)を構成するユニットおよびパーツのそれぞれについて,このような加工工程があらかじめ定められている。
さらに,後述するように,ユニットやパーツのそれぞれについてあらかじめ定められている加工工程は,工程ごとに,その日程と加工順番についてのデータを持つ。引出し付きキャビネットを構成する「扉(ムク)」に着目すると,第2日目の第1加工工程が「切断」と定められている。
図95は,家具を構成するユニットやパーツについての加工工程ならびに各工程の日程および順番等を定めたデータが格納された,製造工程情報テーブルの一例を示すものである。製造工程データには,この製造工程情報テーブルに格納されたデータが用いられる。
製造工程情報テーブルには,図95に示すように,工程区分,ユニット/パーツ,ライン・ナンバ,工程順序,作業内容,結合ラインおよび結合先作業内容に関するデータが格納される。
「工程区分」には,たとえば,完成家具の複雑さや完成家具に含まれるユニット・タイプ等に応じて決められる区分が格納される。工程区分は,「7日」,「30日」のような製造を開始して最終的に納品するまでに必要とされる期間で示される。たとえば,家具に用いられているユニットまたはパーツごとに,あらかじめ工程区分を設定しておく。
家具に含まれる種々のユニットまたはパーツのうち,加工が必要とされるユニットやパーツの名称が項目「ユニット/パーツ」に格納される。各ユニットまたはパーツについて加工ライン(「ライン・ナンバ」)が割振られる(あらかじめ割振っておいてもよい)。たとえば,工程区分が「7日」である「扉(ムク)」は,ライン・ナンバ1の加工ラインが割振られている。
「工程順序」は,次項目の「作業内容」で規定されるユニットまたはパーツの加工工程(作業内容)の日程とその日程中の順番を表す。たとえば,「切断」は2日目の第1工程,「木口貼り」は2日目の第2工程であること表す。
完成家具を最終的に組み立てたり,引出しであれば,前板と箱の部分を組み立てたりするときに,他の加工ラインにユニットまたはパーツ(パーツの一部)を移す必要がある。「結合ライン」には,このような場合において移動先の加工ラインのライン・ナンバが格納される。「結合先作業内容」は,移動先ラインにおける作業内容を表す。ライン結合のタイミングとも言えるデータである。
図96は製造工程図作成処理の流れを示すフローチャートである。図97は,図96に示す製造工程図作成処理において作成されるテンポラリ・ファイルの内容を示すものである。
製造工程図作成処理は,上述した家具設計支援プログラムの機能の一部として位置づけることもできるし,家具設計支援システムによって作成される家具設計データを利用して動作する別個のプログラムの機能として位置づけることもできる。この場合には,製造工程図作成処理のためのプログラムが,あらかじめHDユニット16のHDに記憶(インストール)される。
はじめにスタート処理(たとえば,製造工程図作成出力処理プログラムの実行等)と,製造工程図を作成すべき家具(完成家具)の選択とが行われる(ステップ161 )。
製造工程情報テーブルおよび家具設計データにおいて,選択された完成家具についてのデータがアクセスされる。
製造工程情報テーブル(図95)には,家具設計支援システムを用いて設計された完成家具に含まれる加工が必要なパーツとユニットのそれぞれについて,あらかじめ加工工程(順序(日程と作業順)を含む),加工ライン,結合ライン,結合作業内容等のデータが格納されている。このような製造工程情報テーブルから選択された家具に含まれるパーツおよびユニットについての各加工工程を特定するデータが次々に読み出され,図97に示すようなテンポラリ・ファイルが作成される(ステップ162 )。
テンポラリ・ファイルでは,家具名称,パーツ(ユニット),ライン番号,加工工程(作業終了や結合先も含む)および工程順序がコードによってあらわされる。このテンポラリ・ファイルに格納されたデータが,選択された家具についての製造工程データとなる。テンポラリ・ファイルにもとづいて,図85に示すような製造工程図が作成される(ステップ163 )。作成された製造工程図は表示画面上に表示される,またはプリント・アウトされる。
図94に示す製造工程図について言えば,この製造工程図は,引出し付きキャビネット(扉(ムク),引出し(前板),引出し(箱),ユニット,仕切/棚板および台輪を含む)を,7日間のうちに製造(製作)を終えて納品まで終了させる場合の予定表として用いることができる(第1日目は,作業進行の確認のために用いられる)。
作成される製造工程図では,異なるユニットやパーツの加工処理に含まれる同一の加工工程(作業内容)(たとえば,「切断」等)が同じ日程(たとえば,第2日目)に行われるように,配置されている。このような製造工程図にもとづいて家具の製造(ユニットやパーツの加工)を行うことによって,家具の製造工場等において,完成家具を効率よく作成することができる。
7 取扱説明書作成処理
図98は,取扱説明書の作成に用いられる取扱説明書データを備えた家具設計支援システム(コンピュータ・システム)の電気的構成を示すものである。図9に示す家具設計支援システムとは,HDユニット16(HD)に,取扱説明書データが加えられている点が異なる(符号25Bで示す)。その他のハードウエア構成およびHDに記憶されたプログラムおよびデータは図9のものと同じである。HDに上述の製造工程データをさらに格納することができるのは言うまでもない。この場合には,コンピュータ・システムは上述の製造工程図作成処理と,次に説明する取扱説明書作成処理の両方を行うことができる。
家具設計支援システムによって得られる家具設計データには,上述のように,家具(完成家具)に含まれるユニットおよびパーツの構造(種類),位置(配置),寸法,材料,家具の名称等のデータが含まれている。取扱説明書作成処理では,次に示す取扱説明書テーブル,テキストデータ・テーブルおよび画像データ・テーブルに記憶されたデータならびに上述の家具設計データが用いられて,家具についての取扱説明書が作成される。取扱説明書作成処理は,基本的には,取扱説明書テーブルに記憶された取扱説明書の基本構成(ひな形)を表すデータにもとづいて,そのひな形の所定の空欄の位置に,テキストデータ・テーブルに記憶されたテキスト・データ,家具設計データ,および画像データ・テーブルに記憶された画像データを挿入する(組込む)ことによって,取扱説明書を作成する処理である。
図99〜図104 は,家具設計支援システムによって作成された取扱説明書の一例を示すものである。図99(取扱説明書の表紙)には,テキストデータ・テーブルに記憶されたテキスト・データ,家具設計データおよび画像データ・テーブルに記憶された画像データが取扱説明書の基本構成の空欄の部分に挿入されている(組込まれている)様子が示されている。符号170a〜符号170mによって示す部分(鎖線によって囲まれた部分)が,挿入されたデータによって表される部分である(図100 〜図104 では挿入部分(鎖線)は省略している)。
図105 は取扱説明書テーブルの一例を,図106 はテキストデータ・テーブルの一例を,図107 は画像データ・テーブルの一例を,それぞれ示すものである。これらのテーブルに格納されたデータが用いられて,取扱説明書を表す取扱説明書データが作成される。
取扱説明書テーブル(図105 )には,出力項目,出力条件,パーツ,書式1,書式2,出力データ種別および説明内容に関するデータが記憶されている。
「出力項目」には,取扱説明書における項目(表示,注意事項,使用前注意および使用方法)のいずれかが格納される。出力とは,ここでは,作成する取扱説明書に(取扱説明書データに),家具設計データ,またはテキストデータ・テーブルもしくは画像データ・テーブルに記憶されたデータを用いる(挿入する,組み込む)という意味で用いられている。
「出力条件」には,後述するテキストデータ・テーブルに記憶されているテキスト(テキスト・データ)を,無条件に出力する(取扱説明書に含める)か,家具またはユニットに応じて出力するかどうかを判断するための条件の有無(無条件または条件)が格納される。
「パーツ」には取扱説明が必要とされるパーツ名が格納される。「家具名称」には取扱説明書の作成対象の完成家具の名称が格納される。
「書式1」には改ページ,記載行数等を規定するデータが,「書式2」にはフォント,フォントサイズ,表示スケール等を規定するデータが格納される。
「出力データ種別」には,出力する(取扱説明書に含める)データが,テキスト・データ,画像データ,またはアプリケーション・プログラム(他のソフトウエア,たとえばCADソフトウエア)の出力データ(レンダリング・データ)のいずれであるかが示される。
「説明内容コード」には,説明内容を表すコードが格納される。この取扱内容コードによって,後述するテキストデータ・テーブル(図106 )および画像データ・テーブル(図107 )と,取扱説明書テーブル(図105 )とが互いにリンクする。
テキストデータ・テーブル(図106 )には,コードと,そのコードに対応する取扱説明テキスト・データとが記憶されている。画像データ・テーブル(図107 )には,コードと,そのコードに対応する取扱説明画像データとが記憶されている。
図108 は,取扱説明書作成処理の流れを示すフローチャートである。取扱説明書作成処理は,上述した家具設計支援プログラムの機能の一部として位置づけることもできるし,家具設計支援システムによって作成される家具設計データを利用して動作する別個のプログラムとして位置づけることもできる。この場合には取扱説明書処理のためのプログラムが,あらかじめHDユニット16(HD)に記憶(インストール)される。
はじめに,取扱説明書作成処理のスタート処理(たとえば,取扱説明書作成処理プログラムの実行等)と,取扱説明書を作成すべき家具の選択とが行われる(ステップ171 )。
取扱説明書作成処理では,作成すべき取扱説明書が第1ページ(表紙)から順に作成される。はじめに表紙(第1ページ)が作成される。
図99を参照して,家具の名称が出力(挿入,組み込み)される(ステップ172 )。符号 170aの部分に家具の名称が入る。用いられる文字のフォント,フォント・サイズ等は,取扱説明書テーブル(図105 )に格納されたデータに従う。
次に,完成家具のレンダリング図が出力される(ステップ173 )。符号 170bおよび符号 170cの部分に,家具設計データが用いられてレンダリング図が表される。
表紙定形文が出力される(ステップ174 )。符号 170dの部分に,テキストデータ・テーブル(図106 )から,取扱説明書テーブル(図105 )の項目「説明内容コード」にしたがって,表紙定形文を表すテキスト・データが読み出されて出力される。
スペック表が出力される(ステップ175 )。符号170e〜符号170lの部分に,家具設計データが用いられて,品名(家具名称),生産国,寸法等が表される(家具設計データには,スペック表の作成のためのすべてのデータがあらかじめ格納されるのはいうまでもない)。
製造番号が採番されて,符号 170mの部分に出力される(ステップ176 )。製造番号は家具ごとに付されるシリアル番号である。
以上の処理によって省スペースクローゼットについての取扱説明書の表紙(第1ページ)を表すデータが完成する。
同じようにして,注意事項ページ(図100 および図101 ),使用前注意ページ(図102 ),使用方法説明ページ(図103 および図104 )を表すデータが作成されることになる。
注意事項のページについては,定形文が出力されるとともに(ステップ177 ),取扱説明書の作成対象の家具に含まれているパーツについての注意事項が出力される(ステップ178 )。取扱説明書作成処理プログラムは,取扱説明書の作成対象の家具に,注意事項を出力すべきパーツが含まれているかどうかを家具設計データにもとづいて検索し,含まれている場合には,そのパーツについての注意事項をテキストデータ・テーブル(図106 )から読出して出力する。注意事項を出力すべき同じパーツが家具に2つ以上含まれている場合には,そのパーツについての注意事項は1つだけ出力される(2つの同じ注意事項は出力されない)。
使用前注意のページ(図102 )については,定形文が出力されるとともに(ステップ179 ),レンダリング図が出力される(ステップ180 )。出力されたレンダリング図には,主なパーツの名称が引出し線とともに表される(レンダリング図に表されるパーツ名についてのデータも,あらかじめ家具設計データまたは取扱説明書データに含めておく)。
取扱説明書作成処理のためのプログラムは,取扱説明書の作成対象の家具に,使用前注意事項を出力すべきパーツが含まれているかどうかを検索し,含まれている場合には,そのパーツについての使用前注意事項をテキストデータ・テーブル(図106 )から読出して出力し,画像データを画像データ・テーブル(図107 )から読出して出力する(ステップ181 )。
使用方法説明のページ(図103 および図104 )についても,説明文または画像を出力すべきパーツが家具に含まれているかどうかが検索され,含まれている場合には,そのパーツについての使用方法説明文のデータがテキストデータ・テーブル(図106 )から読出されて出力され,画像データが画像データ・テーブル(図107 )から読出されて出力される(ステップ182 )。説明文または説明画像を出力すべき同じパーツが2つ以上含まれている場合には,そのうちの1つについて説明文または説明画像が出力される。
このように,取扱説明書データにしたがって,家具(完成家具)のための取扱説明書が作成される。家具に含まれているパーツの種類等にしたがって,そのパーツの種類に適合するテキストデータおよび画像データが読出される(出力される)ので,種々の家具について,その家具のための取扱説明書を作成することができる。作成された取扱説明書は表示画面上に表示される,またはプリント・アウトされる。
8 ネットワークを利用した家具設計支援システム
上述した家具設計支援システムでは,コンピュータ・システムにインストールされた家具設計支援プログラムおよび各種のテーブルが用いられて,オペレータまたは顧客が,ユニットおよびパーツを選択し,寸法等を入力することによって完成家具を組み立てている(完成家具を表すデータを作り上げている)。あらかじめ数種類の基本的なタイプの完成家具についてのデータを用意しておき,この基本的なタイプの完成家具についてのデータに対し,顧客にデータ変更を行わせるようにしてもよい。完成家具のレンダリング図の作成を,ネットワークを通じて接続された他のコンピュータに実行させるようにすることもできる。
図108 はネットワークを利用した家具設計支援システムの全体的構成を示している。
この家具設計支援システムは,ネットワーク301 を介して相互に接続されたサーバ・コンピュータ302 と,複数のクライアント・コンピュータ303 とから構成される。この実施例において,サーバ・コンピュータ302 は家具設計支援システムの提供者の管理下にあるものとする。クライアント・コンピュータ303 は家具設計支援システムの提供者が提供するプログラムやデータを利用するユーザの管理下にあるものとする。
サーバ・コンピュータ302 およびクライアント・コンピュータ303 は,プログラムやデータ等を記憶する記憶装置やプログラムやデータ等をネットワーク301 を介して送受信する送受信装置,データ等を入力するための入力装置,データを表示するための表示装置等を含むコンピュータ・システム(パーソナル・コンピュータ,ワークステーション等)である。ネットワーク301 は,これらのコンピュータ・システム間に設けられた公衆回線(インターネットなど)および専用回線のいずれをも含む。これらの回線において用いられる施設や装置(CATV施設,放送衛星,通信衛星等)もネットワーク301 に含まれる。サーバ・コンピュータ302 およびクライアント・コンピュータ303 の記憶装置には,データ等の送受信に用いられる通信プログラムが記憶されている。ネットワーク301 がインターネットである場合には,クライアント・コンピュータ303 に備えられる通信プログラムとしてブラウザを用いることができる。
クライアント・コンピュータ303 には,家具設計支援システムの提供者からあらかじめ配布されたCD−ROM304 が備えられている。CD−ROM304 に記録されたプログラムおよびデータの内容が図110 に示されている。
CD−ROM304 に記録されたプログラムおよびデータは,基本的にはクライアント・コンピュータ303 にあらかじめ用意されたブラウザと協動して実行されるものである。CD−ROM304 には,起動ウインドウ(HTMLデータ:HyperText Markup Language ),家具およびパーツのサンプル画像データ( jpgデータ等),オート・デモンストレーション・プログラム,リンク・データ(URL:Uniform Resource Locator),新規ユーザ登録/認証ウインドウ(HTMLデータ),家具設計支援システムの紹介ウインドウ(HTMLデータ)が記録されている。
CD−ROM304 に上述した家具設計支援プログラムの一部または全部を記録しておいてもよい。この場合には,CD−ROM304 に記録されている家具設計支援プログラムがクライアント・コンピュータ303 にインストールされることによって,そのクライアント・コンピュータ303 が,スタンドアローン(単体)で,家具設計支援システム(図8,図92,図98)として動作することになる。家具設計支援プログラムの一部が記録されている場合には,クライアント・コンピュータ303 は上述の家具設計支援システムの機能の一部のみが実行されることになる(機能の制限)。
ブラウザが起動されたクライアント・コンピュータ303 において,CD−ROM304 に記録された起動ウインドウ・データ(HTMLデータ)が読込まれたときに表示画面上に表示されるウインドウ(起動ウインドウ)の例が,図111 に示されている。
起動ウインドウW41は,画像表示領域を含む。画像表示領域の左側に複数の完成家具のサンプル画像を表示する領域W41aが含まれている。画像表示領域の右側には,左側の領域W41aにおいて選択された完成家具のサンプル画像を拡大して表示する領域W41bが含まれている。領域W41aおよび領域W41bに表示される完成家具のサンプル画像は,CD−ROM304 に記録されている画像データにもとづくものである。さらに起動ウインドウW41の左側には次のボタンが含まれている。
「ホーム」ボタン:家具設計支援システムの提供者についての情報が登録されたページを表示画面上に表示させる場合にクリックされる。URLが記述されている。
「デモ」ボタン:サンプル画像が表す完成家具に,寸法変更,色変更等が行われる様子を,デモンストレーションさせる場合にクリックされる。「デモ」ボタンがクリックされると,CD−ROM304 に記録されたオート・デモンストレーション・プログラムが実行される。
「登録」ボタン:ユーザ登録/認証を行う場合にクリックされる。図112 にユーザ登録/認証ウインドウW42の一例を示す。「登録」ボタンがクリックされると,このユーザ登録/認証ウインドウW42が表示画面上に現れる。
ユーザ登録/認証ウインドウW42にはユーザIDおよびパスワードを入力する領域W42aと,サービスの選択,会社/所属,名前,住所,電話番号,ファックス番号,電子メール・アドレスを入力する領域W42bとを含む。ユーザ登録を行う者(新規登録)は,領域W42bにデータ入力する。入力されたデータはネットワーク301 を通じてサーバ・コンピュータ302 に送信される。サーバ・コンピュータ302 はデータを送信してきたユーザを特定するユーザIDおよびパスワードを発行(生成)して,そのユーザに通知する。以降,ユーザは,クライアント・コンピュータ303 をサーバ・コンピュータ302 に接続する場合には,通知されたユーザIDおよびパスワードを,領域W42aに入力することになる。
アバウト:家具設計支援システムの機能の紹介を表示画面上に表示する場合にクリックされる。CD−ROM304 に記録された紹介データにもとづいて,家具設計支援システムの機能の紹介が文字(文章)および画像によって表示画面上に表示される。
終了:起動ウインドウを表示画面上から消す場合にクリックされる。
クライアント・コンピュータ303 のユーザは,サーバ・コンピュータ302 を利用することによって,サンプル画像によって表されている完成家具の寸法の変更,色の変更等を行うことができる。図113 は,ネットワーク301 を利用した家具設計支援システムにおける,サーバ・コンピュータ302 の処理とクライアント・コンピュータ303 の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
クライアント・コンピュータ303 のユーザは,CD−ROM304 を起動してユーザ登録/認証ウインドウW42を表示画面上に表示して,ユーザIDおよびパスワードを入力する(ステップ311 )。ユーザIDおよびパスワードがクライアント・コンピュータ303 からサーバ・コンピュータ302 に送信される。
サーバ・コンピュータ302 は受信したユーザIDおよびパスワードにもとづいて,ユーザ認証を行う。認証が成功した場合には,メイン・ページを表すデータをクライアント・コンピュータ303 に送信する(ステップ312 )。クライアント・コンピュータ303 の表示画面上にメイン・ページが表示される(ステップ313 ,図114 )。
メイン・ページW43は基本的に,上述した起動ウインドウW41(図111 )と同じである。領域W43aに表示されるサンプル画像の数を,CD−ROM304 にもとづいて表示されるサンプル画像の数よりも多くしてもよい。
クライアント・コンピュータ303 に表示されるメイン・ページW41は,クライアント・コンピュータ303 からの送信要求(ユーザIDおよびパスワードの入力)に基づいて,サーバ・コンピュータ302 において作成するようにしてもよいし,あらかじめ作成してサーバ・コンピュータ302 に保持しておくようにしてもよい。メイン・ページW41はHTMLデータ(HTMLファイル)によって表す(クライアント・コンピュータ303 の表示画面に表示する)ことができる。いずれにしても,クライアント・コンピュータ303 からのアクセスがあると,サーバ・コンピュータ302 は,メイン・ページW41を表示するためのHTMLデータをメモリ内の送信バッファに一時的に格納する。送信バッファに格納されたHTMLデータがクライアント・コンピュータ303 によってダウンロードされる。クライアント・コンピュータ303 において,ダウンロードされたHTMLデータに基づくウインドウ(メイン・ページW41)が表示される。このことは,後述する他のページについても同様である。
メイン・ページW43の左側には,「ホーム」,「ステップ2」ボタン,「ステップ3」ボタン,「登録」ボタンおよび「アバウト」ボタンが含まれている。「ホーム」,「登録」および「アバウト」ボタンは,起動ウインドウW41のものと同じである。
「ステップ2」ボタンはサンプル画像(完成家具)に寸法の変更,パーツの変更,色の変更を行う場合にクリックされる。「ステップ3」はレンダリング図を表示させる場合にクリックされる。
メイン・ページW43においてサンプル画像(完成家具の画像)のいずれかが選択されると,領域W43bに選択された完成家具の画像が拡大表示される。ここで「ステップ2」ボタンがクリックされると,選択された完成家具についてのカスタム・ページがサーバ・コンピュータ302 からクライアント・コンピュータ303 に送信される(ステップ315 ,ステップ316 ,図115 )。
カスタム・ページW44(図115 )は,選択された完成家具の構造と寸法とを表す図面を表示する領域W44aと,選択された家具の寸法(サイズ)の入力,パーツの選択,色の選択,家具の名称の入力のための領域W44bとが含まれている。
ユーザは,カスタム・ページW44を用いて,選択した完成家具の寸法,パーツ,色を変更することができる(ステップ317 )。
「ステップ3」ボタンがクリックされると(ステップ318 ),変更された値(寸法,パーツ,色)を表すデータ(以下,変更データという)が,クライアント・コンピュータ303 からサーバ・コンピュータ302 に送信される。変更データを受信したサーバ・コンピュータ302 において,クライアント・コンピュータ303 に送信するレンダリング・ページの作成処理が行われる(ステップ319 )。
図117 はサーバ・コンピュータ302 におけるレンダリング・ページの作成のための処理の流れを示すフローチャートである。
サーバ・コンピュータ302 は,サンプル画像についての家具設計データを備え(上述の家具設計データ25と同様のデータ),さらにレンダリング・エンジン(プログラム),組み立てエンジン(プログラム)および見積もりエンジン(プログラム)を備えている。変更データにもとづいて,組み立てエンジンが用いられて,家具(家具設計データ)が変更される(ステップ331 )。
つづいてレンダリング・エンジンによって変更後の家具設計データにもとづいて,レンダリング処理が行われる(ステップ333 )。レンダリング図を表すデータが作成される。
さらに,見積もりエンジンによって,変更後の家具設計データにもとづいて,家具(完成家具)に含まれるパーツと,パーツの寸法とから,家具の値段が算出される(ステップ334 )。
サーバ・コンピュータ302 は,組み立てエンジンによって得られた家具設計データ,レンダリング・エンジンによって得られたレンダリング図を表すデータ,および見積もりエンジンによって得られた家具の値段を表すデータを含むレンダリング・ページを表すデータを作成し,クライアント・コンピュータ303 に送信する(ステップ320 )。
レンダリング・ページW45(図116 )には,上述のカスタム・ページW42が用いられて変更された寸法,パーツ,色が反映された家具のレンダリング図が表示される領域W45aを含む。領域W45aの右側上部には変更後の家具の寸法,構造を示す図面(設計図)が,領域w45aの右側下部にはスペック表(日付,寸法,材料,色,塗装,装備,値段)が表示される。
レンダリング・ページW45には,「確定」ボタンが含まれている。「確定」ボタンがクリックされると,サーバ・コンピュータ302 において,変更データ(変更後の家具設計データ)がデータベースに保存される(ステップ321 ,ステップ322 )。サーバ・コンピュータ302 から家具製作所等に向けて,変更後の寸法,パーツ,色を持つ家具についての家具設計データが送信される(図面等が渡すようにしてもよい)。変更後の寸法,パーツ,色を持つ家具が,家具製作所において製作される。
このように,あらかじめ基本的な構造をもつ完成家具の家具設計データ(およびその画像)を用意しておくことによって,その一部に変更を加えるだけで好みの構造,色等を持つ家具を比較的容易に設計することができる。手軽に好みの家具を設計し,注文することができる。また,レンダリング処理を含む家具の画像や図面の作成がサーバ・コンピュータ302 側で行われるので,クライアント・コンピュータ303 の処理負担は軽い。
上述したネットワークを利用した家具設計支援システムでは,あらかじめ完成家具の家具設計データを用意しておき,この家具設計データの寸法データ等を変更することにより,ユーザの好みの寸法等を持つ家具の家具設計データを作成している。もちろん,あらかじめ用意された完成家具の家具設計データを変更できるようにしたシステムを,スタンドアローンのコンピュータ・システムに実現してもよい。逆に,上述したスタンド・アローンの家具設計支援システム(ユニットの選択から家具設計データを作成するシステム)を,ネットワークを利用して行うようにしてもよい。さらに,ユニットと基本的なパーツが組合わされた状態の家具設計データをあらかじめ用意しておき,これにユーザの好みのパーツをさらに組合わさせる(またはパーツを交換させる)ことによって,家具設計データをユーザに作成させるようにしてもよい。