JP2010170111A - 画像形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 長期間にわたって高品質画像の形成が可能な画像形成方法(電子写真画像形成方法)を提供する。
【解決手段】 電子写真感光体が水素化アモルファスシリコンカーバイドからなる表面層を有し、表面層におけるケイ素原子の原子数と炭素原子の原子数との和に対する炭素原子の原子数の比が0.61以上0.75以下であり、表面層におけるケイ素原子の原子密度と炭素原子の原子密度との和が6.60×1022原子/cm以上であり、前露光光のピーク波長が画像露光光のピーク波長よりも短い画像形成方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は電子写真プロセスを用いた画像形成方法(以下「電子写真画像形成方法」とも表記する。)に関する。
電子写真画像形成方法に使用される電子写真感光体(以下単に「感光体」とも表記する。)は、光導電層(感光層)と、光導電層上に形成された表面層とを有するものが一般的である。また、高速画像形成が求められる場合は、光導電層にはアモルファスシリコン(以下「a−Si」とも表記する。)が使用され、表面層には水素化アモルファスシリコンカーバイド(以下「a−SiC」とも表記する。)が使用されることが多い。a−SiCからなる表面層は、耐摩耗性、電荷保持性、光透過性に優れている。
しかしながら、a−SiCからなる表面層は、高湿環境下で使用した場合に画像流れが発生する場合がある(以下「高湿流れ」とも表記する。)。高湿流れは、高湿環境下で、画像形成を反復して行い、しばらく時間をあけた後、再び画像を出力したときに、文字がぼける、または、文字が印字されずに白抜けが生じる画像不良である。
高湿流れは、感光体の表面に吸着した水分が原因の1つとなって生じることが知られており、従来、高湿流れの発生を抑制するために、感光体ヒーターで感光体を常時加熱し、感光体の表面に吸着した水分を減量または除去することが行われている。
しかしながら、感光体ヒーターを常時作動することは、電子写真装置が稼動していないときにも待機電力として相応の電力を消費し、環境負荷を増大させ、ランニングコストも高くなる。
高湿流れの発生を抑制する技術として、特許文献1には、感光体のa−SiCからなる表面層中のケイ素原子、炭素原子、水素原子またはフッ素原子の原子密度を所定の値よりも小さくする技術が開示されている。特許文献1に開示されている技術は、感光体の表面がクリーニング工程で容易に削られるように感光体の表面層を粗な膜構造とし、感光体の表面に水分吸着量の少ない新しい面が常に形成されるようにすることによって、高湿流れの発生を抑制する技術である。
しかしながら、特許文献1に開示されている技術では、感光体の表面層が繰り返しの使用に伴って削れやすいことから、感光体や電子写真装置の寿命の短さ(耐久性の低さ)が問題となる。
また、電子写真画像の品質上の問題の1つとして、ゴーストが挙げられる。ゴーストとは、感光体に静電潜像の履歴が残り、転写材に転写した画像(トナー像)に前に出力した画像のパターンが重複して出力される現象である。
ゴーストの発生を抑制することを目的として、従来の電子写真画像形成方法には、転写工程の後かつ帯電工程の前に感光体の表面に前露光光を照射して感光体の表面を除電する前露光工程が組み込まれていることが多い。この前露光光のピーク波長と感光体の表面に静電潜像を形成するための画像露光光のピーク波長は、感光体の電位特性と画像品質に密接な関係にある。そのため、前露光光のピーク波長および画像露光光のピーク波長は、適用される電子写真画像形成方法に応じて適切に選択される。その一例として、特許文献2には、画像露光光として波長700nm〜900nmのレーザー光を用い、前露光光として波長600nm以上の光をフィルターでカットした光を用い、暗電流の増加(帯電能の低下)を抑制することができる電子写真画像形成方法が開示されている。また、特許文献3には、画像露光光として波長670nm以上の光を使用し、前露光光として波長620nm以上の光を用い、前露光光の浸透距離が浅くなるのを抑制し、ゴーストの除去を図ることができる電子写真画像形成方法が開示されている。
特許第3124841号公報 特開昭58−080656号公報 特開平8−022229号公報
電子写真画像形成方法の高速化、高画質化、環境への配慮、長期間繰り返し使用した際の安定性の観点から見ると、電子写真画像形成方法には、いまだ改善すべき点が残っているのが現状である。
例えば、高湿流れが発生すると、画像品質の低下につながることから、高画質化の要求の面からいまだ改善すべき点とされている。高湿流れの発生を抑制するために電子写真装置に感光体ヒーターを設置する場合、感光体の表面から水分を除去しつづけるために、電子写真装置が稼動していないときにも待機電力として相応の電力を必要とする。そのため、環境への配慮の点から必ずしも好ましくない。また、高湿流れの発生を抑制するために特許文献1に開示されている技術を用いる場合は、感光体の表面をある程度のスピードで削る必要があるため、感光体や電子写真装置の寿命の短さ(耐久性の低さ)が問題となる。
以上の観点から、a−SiCからなる表面層を有する感光体に対しては、感光体ヒーターを用いなくても、また、耐久性を低下させなくても、高湿流れが発生しにくい特性(以下「耐高湿流れ性」とも表記する。)が求められている。
また、長期間にわたる繰り返し使用を考えた場合、画像露光光や前露光光の波長の設定に関しても、いまだ課題を残している。
前述のとおり、電子写真感光体の表面状態は、長期間にわたる繰り返し使用によって次第に変化していく。それによって、画像露光光や前露光光が表面層を透過して光導電層に到達する光量も次第に変化していく。こうした状況では、初期状態に帯電能や耐ゴースト性の特性を鑑みて画像露光光や前露光光の調整を行っても、長期間にわたる繰り返し使用によって、帯電能や耐ゴースト性の特性が変化してしまうことになる。しかも、前露光光の帯電能に対する影響と、耐ゴースト性に対する影響は、通常逆方向の作用として現れるため、長期間にわたって帯電能および耐ゴースト性をともに良好な範囲に維持しつづけることは難しい。長期間にわたって帯電能および耐ゴースト性をともに良好な範囲に維持しつづけることは、前述の特許文献2および3に開示されている技術によっても、なお十分でない場合もあった。
本発明の目的は、上記課題を解決し、長期間にわたって高品質画像の形成が可能な画像形成方法(電子写真画像形成方法)を提供することにある。
本発明は、電子写真感光体の表面を帯電させる帯電工程と、
帯電した該電子写真感光体の表面に画像露光光を照射して該電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する画像露光工程と、
該電子写真感光体の表面に形成された静電潜像をトナーによって現像して該電子写真感光体の表面にトナー像を形成する現像工程と、
該電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を転写材に転写する転写工程と、
該電子写真感光体の表面に前露光光を照射して該電子写真感光体の表面を除電する前露光工程と
をこの順に有する画像形成方法であって、
該電子写真感光体が、基体と、該基体上に形成された少なくともアモルファスシリコンからなる光導電層と、該光導電層上に形成された少なくとも水素化アモルファスシリコンカーバイドからなる表面層とを有し、
該表面層におけるケイ素原子の原子数(Si)と炭素原子の原子数(C)との和に対する炭素原子の原子数(C)の比(C/(Si+C))が、0.61以上0.75以下であり、
該表面層におけるケイ素原子の原子密度と炭素原子の原子密度との和が、6.60×1022原子/cm以上であり、
該前露光光のピーク波長(λ)が、該画像露光光のピーク波長(λ)よりも短い
ことを特徴とする画像形成方法である。
本発明によれば、長期間にわたって高品質画像の形成が可能な画像形成方法(電子写真画像形成方法)を提供することができる。
本発明の画像形成方法に用いられる感光体の例を示す図である。 本発明の画像形成方法を実行するための電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。 本発明の画像形成方法に用いられる感光体の製造に適用可能なプラズマCVD装置の概略構成の一例を示す図である。 酸化試験機の概略構成を示す図である。 感光体のトナー成分付着性を測定するための測定装置の一部を示す正面図である。 感光体のトナー成分付着性を測定するための測定装置の一部を示す側面図である。 クリーナーの概略構成を示す図である。 ピーク波長の半値幅を説明するための図である。
[電子写真感光体]
本発明の画像形成方法(電子写真画像形成方法)に用いられる電子写真感光体(感光体)は、基体と、該基体上に形成された光導電層と、該光導電層上に形成された表面層とを有する感光体である。
基体としては、光導電層および表面層を支持しうる強度を有し、導電性を有するものが好ましい。基体の材質としては、例えば、アルミニウム、クロム、チタン、鉄などの金属や、これらを含む合金(例えば、アルミニウム合金やステンレスなど)を挙げることができる。また、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミドなどの合成樹脂、ガラス、セラミックなどの基体の、光導電層を形成する面を導電処理したものも使用できる。
基体の形状としては、例えば、円筒状、ベルト状などが挙げられる。
[光導電層]
本発明の画像形成装置に用いられる感光体の光導電層は、少なくともアモルファスシリコン(a−Si)からなる層である。さらに、光導電層には、a−Si中の未結合手に結合する水素原子やハロゲン原子を含有させることができる。これらの原子は、a−Siの未結合手と結合して、層品質、特に光導電性および電荷保持特性を向上させる。光導電層中の水素原子とハロゲン原子の合計の含有量は、ケイ素原子と水素原子とハロゲン原子の和に対して10原子%以上が好ましく、15原子%以上がより好ましく、また、30原子%以下が好ましく、25原子%以下がより好ましい。
また、光導電層には、必要に応じて、導電性を制御する原子を含有させてもよい。導電性を制御する原子は、光導電層中にまんべんなく均一な分布状態で含有されていてもよく、また、層厚方向に不均一な分布状態で含有されている部分があってもよい。
導電性を制御する原子としては、半導体分野におけるいわゆる不純物を挙げることができる。具体的には、p型半導体である周期表第13族に属する原子(以下単に「第13族原子」とも表記する。)や、n型半導体である周期表第15族に属する原子(以下単に「第15族原子」とも表記する。)を挙げることができる。
第13族原子としては、例えば、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウムなどを挙げることができ、これらのうち、特に、ホウ素、アルミニウム、ガリウムが好適である。第15族原子としては、例えば、リン、ヒ素、アンチモン、ビスマスなどを挙げることができ、これらのうち、特に、リン、ヒ素が好適である。
光導電層中の導電性を制御する原子の含有量は、ケイ素原子に対して1×10−2原子ppm以上が好ましく、5×10−2原子ppm以上がより好ましく、1×10−1原子ppm以上がさらに好ましい。また、導電性を制御する原子の含有量は、ケイ素原子に対して1×10原子ppm以下が好ましく、5×10原子ppm以下がより好ましく、1×10原子ppm以下がさらに好ましい。
光導電層の層厚は、所望の電子写真特性が得られること、経済性などの点から、15μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましく、また、60μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、40μm以下がさらに好ましい。光導電層の層厚が15μm以上であれば、帯電部材への通過電流量の増大を抑制し、光導電層の劣化を抑制することができる。光導電層の層厚が60μm以下であれば、光導電層を堆積膜として形成する場合、光導電層の異常成長部位が大きくなるのを抑制し、水平方向で50〜150μm、高さ方向で5〜20μmとなるのを抑制することができる。これにより、感光体の表面に摺擦する部材の損傷を抑制し、画像欠陥の発生を抑制することができる。
後述するように、本発明においては、層厚は、分光エリプソメトリーを用いた測定値を採用した。
光導電層は、単一の層から構成されてもよいし、電荷発生層と電荷輸送層を分離した複数の層構成としてもよい。
光導電層の形成方法としては、例えば、プラズマCVD法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などを採用することができるが、これらの中でも、原料の供給が容易なことなどから、プラズマCVD法が好ましい。
以下、プラズマCVD法による上記光導電層の形成方法を説明する。
原料として、ケイ素原子を含有するケイ素原子供給用の原料ガスと、水素原子を含有する水素原子供給用の原料ガスを用い、これらのガスを、内部を減圧にしうる反応容器内に所望のガス状態で導入し、反応容器内にグロー放電を生起させる。このとき、必要に応じて、ハロゲン原子を含有するハロゲン原子供給用の原料ガスや、上記導電性を制御する原子を含有する原料ガスをともに導入することができる。グロー放電によって原料ガスを分解し、あらかじめ所定の位置に設置された基体(導電性基体)の上にa−Siを堆積成長させることにより、a−Siからなる光導電層を形成することができる。
ケイ素原子供給用の原料ガスとしては、シラン(SiH)、ジシラン(Si)などのシラン類のガスが好適に使用できる。また、水素原子供給用の原料ガスとしては、上記シラン類に加えて、水素ガスも好適に使用できる。
[表面層]
上記感光体の表面に設けられる表面層は、少なくとも水素化アモルファスシリコンカーバイド(a−SiC)からなる層である。また、表面層におけるケイ素原子の原子数(Si)と炭素原子の原子数(C)との和に対する炭素原子の原子数(C)の比(C/(Si+C))は、0.61以上0.75以下である。また、表面層におけるケイ素原子の原子密度と炭素原子の原子密度との和は、6.60×1022原子/cm以上である。
以下、ケイ素原子の数と炭素原子の数との和に対する炭素原子の数の比を「C/(Si+C)」とも表記する。また、以下、ケイ素原子の原子密度と炭素原子の原子密度との和を「Si+C原子密度」とも表記する。
表面層を構成するケイ素原子および炭素原子の原子数の比と原子密度を上記特定の範囲にすることにより、表面層の耐摩耗性を維持あるいは向上させながら、耐高湿流れ性を向上させることができる。また、長期間にわたり画像形成を繰り返した際の表面層の変質が抑制されるため、電位特性、画像特性の変化が抑制され、長期間にわたってゴーストの少ない高品質な画像を安定して形成することができる。
以下に表面層の作用について、より詳細に説明する。
高湿流れは、前述のように水分の吸着が原因の1つとして挙げられるが、表面層の表面には、感光体の使用初期の段階で高湿流れを発生させるほどの水分が吸着するわけではない。感光体をある程度使用した際、主に帯電工程によって、例えばオゾンなどの影響により、感光体の表面に酸化層が形成される。この酸化層は、最表面に極性基を生成するため、これによって水分の吸着量が増大すると考えられる。さらに使用を続ければ、感光体の最表面には酸化層が蓄積されつづけ、これにより水分の吸着量も増えて行き、結果として高湿流れを引き起こすほどの水分の吸着に至ると考えられる。したがって、高湿流れを抑制するためには、この酸化層を除去する、あるいは酸化層の形成そのものを抑制することが必要となる。
また、こうした酸化層が形成されると、変質されていない正常なa−SiCの表面に屈折率の異なる別の層が形成されるために、光の干渉によって、画像露光光や前露光光が光導電層に到達する量が変化してしまうことになる。また、長期間にわたって画像形成を繰り返すうちに、電子写真装置の使用状況によっては、感光体の表面に何らかのトナー成分が付着する場合もある。現状では、具体的にどのような成分が、どのような形態で付着しているのか、明らかにはなっていない。しかしながら、これが膜状になると、酸化層の場合と同様に光の干渉を起こし、反射率の増加を起こす場合があり、画像露光光や前露光光が光導電層に到達する量が減少してしまうことになる。
以下、上記の酸化層および付着物の層を総称して「変質層」とも表記する。なお、「変質層」とは、本発明の効果を説明するための便宜上の表記であって、必ずしも物理的な層状態を意味するものではない。
まず、上記表面層の構成によって変質層の形成が抑制される作用について説明する。上記表面層において、変質層の形成を抑制できる理由については、おおよそ以下のように推測している。
すなわち、a−SiCからなる表面層の酸化は、a−SiCの表面に主に帯電工程で発生するオゾンなどの物質が作用することにより、ケイ素原子(Si)と炭素原子(C)の結合が切れ、Cが遊離し、代わりに酸素原子(O)と置換されて起こると推測される。ケイ素原子の原子密度と炭素原子の原子密度を上昇させ、原子間距離を通常より短くし、空間率を減少させることにより、炭素原子の遊離を伴う酸化が抑制されるものと思われる。また、こうした膜は、表面層の構成原子の結合力が高くなるため、表面層の高硬度化にもつながるため、耐摩耗性も向上すると推察される。
このような表面層は酸化そのものを抑制しているため、酸化層を除去するために摩耗量を増大させる必要がなく、耐摩耗性を向上させながら、同時に耐高湿流れ性も向上させることができるものである。
上記の理由により、表面層におけるSi+C原子密度は高い方がより好ましく、6.60×1022原子/cm以上とすることで、高い耐高湿流れ性および耐摩耗性が得られる。また、表面層におけるSi+C原子密度を6.81×1022原子/cm以上にすることで、さらに高い耐高湿流れ性および耐摩耗性が得られる。また、a−SiCにおいては、Si+C原子密度が最も大きくなるのはSiC結晶の状態であると考えられることから、表面層が取りうるSi+C原子密度は、理論上13.0×1022原子/cm以下となる。
さらに、このようなSi+C原子密度の高い表面層は、未結合手が少なくなるため、表面が不活性になり、すなわち、表面自由エネルギーが低くなり、表面の離型性が向上し、トナー成分の付着も起こりにくく、表面に変質層が形成されるのを抑制することができる。
本発明においては、原子密度は、分光エリプソメトリー(M−2000:J.A.Woollam社製)を用いて求めた表面層の層厚と、後述する原子の数から算出した値を採用した。
上記表面層においては、C/(Si+C)が0.61より小さくなると、a−SiCの抵抗が低下する場合がある。このような場合、表面に保持された電荷が横流れをしやすくなる。電荷の横流れは、高湿流れと比較すると軽微な画像不良であるが、画像露光光により孤立ドットを形成した画像では、静電潜像でのドットの再現性が低減する。ドットの再現性が低減すると、ドットの明暗の境界が曖昧になり、出力画像に境界の濃度が低濃度側へ階調的に低下した、いわゆる、画像ボケと呼ばれる画像不良となって現れる。原子密度の高い上記表面層においては、C/(Si+C)を0.61以上にする必要がある。
また、C/(Si+C)を大きくすると、特に、原子密度の高いa−SiCからなる表面層を形成した場合、a−SiCからなる表面層での光吸収が急激に増加する場合がある。このような場合、静電潜像形成時に必要となる画像露光量が多くなり、感度が極端に低減してしまう。このため、C/(Si+C)は0.75以下とする必要がある。
以上のように、上記表面層においては、C/(Si+C)が0.61以上0.75以下であり、かつ、Si+C原子密度が6.60×1022原子/cm以上であることが重要である。
また、上記表面層におけるケイ素原子の原子数(Si)と炭素原子の原子数(C)と水素原子の原子数(H)との和に対する水素原子の原子数(H)の比(H/(Si+C+H))は、0.3以上0.45以下であることが好ましい。以下、ケイ素原子の原子数と炭素原子の原子数と水素原子の原子数との和に対する水素原子の原子数の比を「H/(Si+C+H)」とも表記する。
表面層におけるH/(Si+C+H)を0.30以上とすることで、光学的バンドギャップが広がり、光感度の向上を図ることができる。一方、表面層におけるH/(Si+C+H)を0.45より多くすると、表面層中にメチル基のような水素原子の多い終端基が増加する傾向がみられる。表面層中にメチル基のような水素原子の多い終端基が増加すると、a−SiCの構造中に大きな空間を形成するとともに、周囲に存在する原子間の結合にひずみを生じさせ、耐酸化性や耐摩耗性が低下する傾向にある。
よって、感光体の表面層におけるH/(Si+C+H)は0.30以上0.45以下であることが好ましく、耐高湿流れ性および耐摩耗性を維持しながら、光感度の向上が可能となる。
本発明においては、表面層中の原子の数の比の値は、ラザフォード後方散乱法(RBS)を適用した後方散乱測定装置(AN−2500:日新ハイボルテージ(株)製)を用いて表面層中のそれぞれの原子の数を測定した測定値から算出した値を採用した。
また、上記表面層のラマンスペクトルにおける1480cm−1のピーク強度Iに対する1390cm−1のピーク強度Iの比(I/I)は、0.20以上0.70以下であることが好ましい。以下、ラマンスペクトルにおける1480cm−1のピーク強度Iに対する1390cm−1のピーク強度Iの比を「I/I」とも表記する。
まず、a−SiCからなる表面層のラマンスペクトルについて、ダイヤモンドライクカーボン(以下「DLC」とも表記する。)と比較しながら説明する。
sp構造とsp構造から形成されているDLCのラマンスペクトルは、1540cm−1付近に主ピークを持ち、1390cm−1付近にショルダーバンドを有する非対称なラマンスペクトルが観察される。RF−CVD法で形成されたa−SiCからなる表面層では、1480cm−1付近に主ピークを持ち、1390cm−1付近にショルダーバンドを有するDLCに類似したラマンスペクトルが観察される。a−SiCからなる表面層の主ピークがDLCよりも低波数側にシフトしているのは、a−SiCからなる表面層にはケイ素原子が含まれているためである。このことから、RF−CVD法で形成されたa−SiCからなる表面層は、DLCに非常に近い構造を有する材料であることがわかる。
一般的に、DLCのラマンスペクトルにおいて、高波数バンドのピーク強度に対する低波数バンドのピーク強度の比が小さいほど、DLCのsp性が高い傾向があることが知られている。よって、a−SiCからなる表面層においても、DLCと非常に近い構造であることから、高波数バンドのピーク強度に対する低波数バンドのピーク強度の比が小さいほど、sp性が高い傾向を示すと考えられる。sp性が向上すると、spの2次元のネットワーク数が減少し、spの3次元ネットワークが増加するため、骨格原子の結合数が増加し、強固な構造体を形成すると考えられる。そのため、表面層のラマンスペクトルにおける1480cm−1のピーク強度Iに対する1390cm−1のピーク強度Iの比が小さい方がより好ましく、0.70以下にすることにより、さらなる耐摩耗性の向上が得られる。
一般的に量産レベルで形成されるa−SiCからなる表面層では、完全にsp構造を取り除くことはできない。そのため、a−SiCからなる表面層のラマンスペクトルにおけるI/Iの下限値としては、耐高湿流れ性および耐摩耗性の良好な範囲として確認された0.20以上が好ましい。
以上のように、表面層におけるI/Iを0.20以上0.70以下にすることにより、さらに耐摩耗性を向上させることができる。
本発明においては、ラマンスペクトルにおけるピーク強度は、レーザーラマン分光光度計(NRS−2000:日本分光(株)製)により得られた表面層のラマンスペクトルに基づく値を採用した。
上記表面層の形成方法は、上記条件を満足する堆積膜を形成できるものであればいずれの方法であってもよく、例えば、プラズマCVD法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの公知の方法によって形成可能である。これらの中でも、原料の供給が容易なことなどから、プラズマCVD法が好ましい。
以下、プラズマCVD法による上記表面層の形成方法を説明する。
原料として、ケイ素原子を含有するケイ素原子供給用の原料ガスと炭素原子を含有する炭素原子供給用の原料ガスを用い、これらのガスを、内部を減圧にしうる反応容器内に所望のガス状態で導入し、反応容器内にグロー放電を生起させる。グロー放電によって原料ガスを分解し、あらかじめ所定の位置に設置された基体(導電性基体)の上の光導電層上にa−SiCを堆積成長させることにより、a−SiCからなる表面層を形成することができる。
ケイ素原子供給用の原料ガスとしては、シラン(SiH)、ジシラン(Si)などのシラン類のガスが好適に使用できる。また、炭素原子供給用の原料ガスとしては、メタン(CH)、アセチレン(C)などの炭化水素類のガスが好適に使用できる。また、主にH/(Si+C+H)を調整するため、水素ガス(H)を、上記のガスとともに使用してもよい。
上記表面層の形成条件としては、反応容器に導入するガスの量(ガス流量)を少なくするほど、また、高周波電力を高くするほど、また、基体の温度を高くするほど、Si+C原子密度は高くなる傾向がある。
本発明の画像形成方法に用いられる感光体は、上記光導電層および上記表面層以外の層、例えば、電荷注入阻止層を、光導電層の下もしくは上、または、上下の両方に有していてもよい。電荷注入阻止層は、光導電層を構成する材料をベースに形成することが好ましい。また、これらの層間には、その組成を連続的に繋ぐ、いわゆる変化層を必要に応じて設けることもできる。
本発明の画像形成方法に用いられる感光体の例を図1に示す。図1の(A)に示した感光体10は、基体13上に、光導電層12、表面層11を順次積層してなる感光体である。図1の(B)に示した感光体10’は、基体13と光導電層12との間に電荷注入阻止層14を有している。
[画像形成方法]
本発明の画像形成方法(電子写真画像形成方法)は、
電子写真感光体の表面を帯電させる帯電工程と、
帯電した電子写真感光体の表面に画像露光光を照射して電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する画像露光工程と、
電子写真感光体の表面に形成された静電潜像をトナーによって現像して電子写真感光体の表面にトナー像を形成する現像工程と、
電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を転写材に転写する転写工程と、
電子写真感光体の表面に前露光光を照射して電子写真感光体の表面を除電する前露光工程と
をこの順に有する。
図2に、本発明の画像形成方法を実行するための電子写真装置の概略構成の一例を示す。この電子写真装置は、感光体301を中心に、前露光工程を行うための前露光器309、帯電工程を行うための帯電器(一次帯電器)302、画像露光光303を放出して画像露光工程を行うための画像露光器(不図示)、現像工程を行うための現像器304、転写工程を行うための転写器306が設けられている。その他、クリーナー307、分離帯電器、転写前帯電器などが、必要に応じて設置されていてもよい。
上記電子写真装置を用いた本発明の画像形成方法を説明する。
感光体301を図2中の矢印Xの方向に回転させ、帯電器302において、高圧電源にそれぞれ接続された帯電ワイヤー302Aおよびグリッド302B間に発生した放電を用いて、感光体の表面を所定の電位に帯電させる。例えば、明部表面電位を100Vとするとき、暗部表面電位が450Vとなるように感光体の表面を帯電させる。画像露光器から放出される画像露光光303が感光体301の表面に照射され、感光体301の表面に静電潜像が形成される。次に、現像器304のトナーによって静電潜像が現像されて感光体301の表面にトナー像に形成される。転写器306によって転写材(コピー用紙など)312上に転写されたトナー像は、加熱定着器(図示せず)により転写材312上に定着されて画像形成が完了する。転写材312に転写されずに感光体301の表面に残留するトナーは、クリーナー307内のクリーニングブレード310およびクリーニングローラー311によって、感光体301の表面から除去される。さらに、前露光器309から放出される前露光光を感光体301の表面に照射し、感光体301の表面に残留する電位を消去する。
次に、上記表面層を有する感光体を用いて画像を形成する本発明の画像形成方法によって、長期間にわたって帯電能および耐ゴースト性をともに良好な範囲に維持しつづけることができる理由について、画像露光光と前露光光の関係に基づいて説明する。
前述の特許文献2および3に開示されているように、前露光光のピーク波長(λ)によって帯電能や耐ゴースト性が変化することは以前より知られていた。前露光光としては、光キャリアを過剰に発生させて感光体の表面に残る電位を消去するため、画像露光光よりも強度の高い光が用いられることが多い。また、前露光工程は、帯電器によって行われる帯電工程に対して、画像露光工程よりも時間的にずっと接近して行われることが多い。このような事情により、前露光光としてピーク波長(λ)が比較的長い光を用いると、前露光工程において発生した光キャリアが帯電工程の際にもある程度残存しやすくなり、帯電能の低下を招きやすい。
これに対して、前露光光としてピーク波長(λ)が比較的短い光を用いると、浸透距離が比較的短い領域に光キャリアを集中的に発生させることができるために、光キャリアが帯電工程まで残存する確率を低下させることができる。したがって、ピーク波長(λ)が比較的短い前露光光を用いれば、帯電能の低下を抑制しながら、感光体の表面電位を効率よく消去することができる。
一方、前露光光は、上記の電位消去の効果と合わせて、画像露光で発生した寿命の長い光キャリアを中和する効果も併せ持っていることが一般的である。この側面から見ると、前露光光のピーク波長(λ)を画像露光光のピーク波長(λ)よりも極端に短くすると、耐ゴースト性は低下する傾向にある。これは、画像露光光によって光導電層の浸透距離が比較的深い領域に形成された光キャリアに、前露光光が届かなくなるためと考えられる。この理論によれば、画像露光光のピーク波長(λ)と前露光光のピーク波長(λ)は近いほど、耐ゴースト性の低下が抑制できることになる。
しかしながら、実際の電子写真画像形成方法では、画像露光光のピーク波長(λ)と前露光光のピーク波長(λ)が近いと、必ずしもゴーストの低減が十分ではない場合もある。耐ゴースト性の点では、画像露光光のピーク波長(λ)よりも前露光光のピーク波長(λ)をある程度短くした方が好適である。プロセススピードが高まると、この傾向がより顕著になることから、前露光工程および帯電工程時に、画像露光光によって発生した光キャリアが残存する確率が増えることと関係していると思われる。そこに、画像露光光と前露光光の波長の違いによる光の浸透距離および/または光キャリアの発生分布の違いが、複雑に作用していると考えられる。耐ゴースト性の低下を抑制するためには、非露光部の電位の除去と、画像露光による光キャリアの除去と、非露光部の電位の除去とを、バランスよく行う必要がある。プロセススピードが高まると、そのバランスに対する前露光光または画像露光光の依存性が顕著になってくるために、従来は認識されていなかったゴーストが顕在化してくるものと推測される。上記のとおり、帯電能や耐ゴースト性は、光キャリアの発生量および発生する領域(光の浸透距離)に依存することから、画像露光光のピーク波長(λ)と前露光光のピーク波長(λ)とあわせて、これらの光量を設定し、帯電能と耐ゴースト性のバランスをとって、良好な範囲にすることができる。
しかしながら、長期間にわたって画像形成を繰り返すうちに、感光体の表面に形成される変質層によって画像露光光と前露光光の透過率が変化し、初期設定の画像露光光の光量および前露光光の光量では、帯電能と耐ゴースト性のバランスが崩れてしまう。変質層による光量の変化は、光の波長によって異なるため、画像露光光のピーク波長(λ)よりも一般的に短波長のピーク波長(λ)を有する前露光光にその影響が現れやすい。一般的には、前露光光の光量に対して帯電能と耐ゴースト性の特性は通常逆方向に変動するため、長期間にわたって帯電能および耐ゴースト性を良好な範囲に維持することは難しかった。
この点、本発明の画像形成方法に用いられる電子写真感光体の上記表面層は、摩耗量が小さく保たれたままで、電子写真感光体の最表面での変質層の形成も抑えられるものである。したがって、光導電層に到達する画像露光光および前露光光の光量が安定に保持され、結果として、特に変化しやすい帯電能と耐ゴースト性が、長期間にわたって良好な範囲に維持されるのである。
帯電能を維持しつつ、耐ゴースト性の低下を抑制できる範囲として、画像露光光のピーク波長(λ)と前露光光のピーク波長(λ)の差は、15nm以上であることが好ましく、また、60nm以下であることが好ましい。画像露光光としては、光導電層に使用されるa−Siの光吸収スペクトルのピークに近い650nm以上690nm以下のピーク波長(λ)を有する光を用いることが好ましい。上記の範囲であれば、プロセススピードが高速な場合であっても、十分な光感度を得ることができる。
前露光光のピーク波長(λ)は、655nm以下であれば、帯電能の低下を抑制する効果が顕著になる。一方、600nm以上であれば、表面層の光の吸収を抑制することができ、耐ゴースト性の低下を抑制する効果が顕著になる。
画像露光光および前露光光の光量は、これらが有するピーク波長に応じて調整することが好ましいが、感光体の表面を照射する強度(以下「露光強度」とも表記する。)において、画像露光光は、0.2μJ/cm以上1.5μJ/cm以下であることが好ましい。また、前露光光は、1.5μJ/cm以上4μJ/cm以下であることが好ましい。
画像露光光および前露光光に用いる光源は、画像露光光のピーク波長(λ)と前露光光のピーク波長(λ)との関係が上記関係となるものであれば特に限定されない。例えば、ハロゲンランプ、ヒューズランプにバンドパスフィルターを装着して所望の波長スペクトルに調整したもの、LED素子を線上に配置したLEDアレイ、ポリゴンミラーなどによりスキャニングを可能としたレーザー素子などが用いられる。特に、画像露光光用の光源としては、ドットにより電子写真感光体の表面に画像パターンが形成しやすいことから、ポリゴンミラーなどによりスキャニングを併用したレーザー素子が好適である。また、前露光光用の光源としては、比較的輝度が高く、均一な露光を行いやすいことから、LEDアレイが好適である。
画像露光光および前露光光の波長スペクトルは、画像露光光のピーク波長(λ)と前露光光のピーク波長(λ)との関係が上記関係となるものが好ましいが、帯電能および耐ゴースト性などの特性を設計とおりに再現するために、急峻であることが好ましい。具体的には、波長スペクトルの半値幅において30nm以下であることが好ましい。LEDアレイは、半値幅20nm以下、レーザー素子は半値幅5nm以下のピーク波長を有することから、この点でも、これらのものが前露光光用および画像露光光用の光源として好適である。
[感光体の製造装置]
図3に、上記感光体の製造に適用可能なプラズマCVD装置の概略構成の一例を示す。
図3に示すプラズマCVD装置は、電源周波数としてRF帯を用いたものであり、主として、堆積装置4100、原料ガス供給装置4200、および、堆積装置4100に含まれる反応容器4110内を減圧するための排気装置(図示せず)から構成されている。堆積装置4100には、碍子4121およびカソード電極4111が含まれ、高周波マッチングボックス4115を介して高周波電源4120がカソード電極4111に接続されている。また、反応容器4110内には、円筒状の基体4112を載置する載置台4123、基体加熱用ヒーター4113、および、原料ガス導入管4114が設置されている。反応容器4110は、排気バルブ4118を介して排気装置(図示せず)に接続され、真空排気可能となっている。原料ガス供給装置4200には、原料ガスのボンベ4221〜4225とバルブ4231〜4235、4241〜4245、4251〜4255、および、マスフローコントローラ4211〜4215が含まれる。各原料ガスのボンベは、バルブ4260を介して反応容器4110内のガス導入管4114に接続されている。
このプラズマCVD装置を用いた堆堆膜の形成は、例えば以下のような手順によって行われる。
まず、反応容器4110内に基体4112を設置し、例えば真空ポンプなどの排気装置(図示せず)により反応容器4110内を排気する。続いて、基体加熱用ヒーター4113により基体4112の温度を200℃から350℃の所定の温度に制御する。次に、堆積膜形成用の原料ガスを、ガス供給装置4200により流量制御して、反応容器4110内に導入する。そして、真空計4119の表示を見ながら排気バルブ4118を操作して所定の圧力に設定する。
以上のようにして堆積膜形成の準備が完了した後、以下に示す手順で各層(各堆積膜)の形成を行う。
圧力が安定したところで、高周波電源4120を所望の電力に設定して、高周波マッチングボックス4115を通じてカソード電極に供給し、高周波グロー放電を生起させる。放電に用いる周波数は1MHz〜30MHzのRF帯が好適に使用できる。この放電エネルギーによって反応容器4110内に導入された各原料ガスが分解され、基体4112上に所定の堆積膜が形成される。所望の膜厚の堆積膜の形成が行われた後、高周波電力の供給を止め、ガス供給装置の各バルブを閉じて反応容器4110への各原料ガスの流入を止め、堆積膜の形成を終える。同様の操作を、原料ガスの流量、圧力および高周波電力などの条件を変えながら複数回繰り返すことによって、所望の多層構造の電子写真感光体が作製される。また、堆積膜形成の均一化を図るために、堆積膜形成を行っている間は、基体4112を駆動装置(不図示)によって所定の速度で回転させることも有効である。
すべての堆積膜を形成した後、リークバルブ4117を開き、反応容器4110内を大気圧として、堆積膜が形成された基体4112(感光体)を取り出す。
以下、実施例によって、本発明の画像形成方法をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
[実施例1]
基体上に電荷注入層、光導電層および表面層を有する層構成(図1の(B)に示す構成)の感光体を作製した。
基体(導電性基体)として、外径80mm、長さ358mm、肉厚3mmのアルミニウム材料の表面に鏡面加工を施したシリンダーを用い、各層を表1に示す条件(成膜条件)で形成した。特に、表面層については、表2に示すように条件(成膜条件)を変えて、密度の異なる層を形成した。なお、表1中、層厚は、設計値を示す。
Figure 2010170111
Figure 2010170111
得られた感光体の特性を以下の方法により測定した。結果を表5に示す。
[C/(Si+C)]
(1)試料の作製
感光体の長手方向の中央部の積層膜15mm角を切り出し、表面層測定用試料を作製した。リファレンス試料として、基体上に電荷注入阻止層を形成したもの(リファレンス1)、電荷注入阻止層および光導電層を形成したもの(リファレンス2)から同様に積層膜15mm角を切り出して作製した。
(2)C/(Si+C)
表面層測定用試料について、ラザフォード後方散乱法(RBS)を適用した後方散乱測定装置(AN−2500:日新ハイボルテージ(株)製)を用いて、測定面積における表面層のケイ素原子および炭素原子の原子の数を測定した。得られた原子の数からC/(Si+C)を算出した。
[Si+C原子密度]
(1)層厚
表面層測定用試料とリファレンス試料について、分光エリプソメトリー(M−2000:J.A.Woollam社製)を用いて、以下の条件で、入射角毎に波長と振幅比Ψおよび位相差Δの関係を求めた。この際、リファレンス1およびリファレンス2をそれぞれ測定した結果より、電荷注入阻止層および光導電層の光学定数を算出し、これを基に表面層測定用試料の測定結果より表面層の光学定数を算出している。
入射角:60°、65°、70°
測定波長:195nmから700nm
解析ソフト:WVASE32
ビーム径:1mm×2mm
表面層上に、さらに空隙率が20体積%の粗面層を有する層構成を計算モデルとして、解析ソフトにより、各入射角における波長と振幅比Ψおよび位相差Δの関係を算出した。この算出値と表面層測定用試料の測定値の平均二乗誤差が最小のときの表面層測定用試料の膜厚を求め、表面層の層厚を求めた。
(2)Si+C原子密度
後方散乱測定装置により測定したケイ素原子および炭素原子の原子の数と、表面層の層厚とから、表面層におけるケイ素原子の原子密度(Si原子密度)および炭素原子の原子密度(C原子密度)を算出し、Si+C原子密度を算出した。
[H/(Si+C+H)]
表面層測定用試料について、水素前方散乱法(HFS)を適用した後方散乱測定装置(AN−2500:日新ハイボルテージ(株)製)を用いて、以下の条件で、測定面積における表面層の水素原子の原子数を測定した。上記ケイ素原子、炭素原子、水素原子の原子数から、H/(Si+C+H)を算出した。さらに、これらの原子数と、表面層の層厚から、表面層における水素原子の原子密度(H原子密度)を求めた。
入射イオン:4He
入射エネルギー:2.3MeV
入射角:75°
試料電流:35nA
入射ビーム経:1mm
RBSの検出器の散乱角:160°、アパーチャ径:8mm
HFSの検出器の反跳角:30°、アパーチャ径:8mm+Slit
[I/I
得られた感光体の任意の周方向における長手方向の中央部から10mm角で切り出したピーク強度比測定用試料を、レーザーラマン分光光度計(NRS−2000:日本分光(株)製)により測定した。測定条件は、光源:Arレーザー 514.5nm、レーザー強度:20mA、対物レンズ:50倍とし、中心波長を1380cm−1、露光時間を30秒、積算を5回として3回測定した。
得られたラマンスペクトルの解析方法を以下に示す。
ショルダーバンドのピーク波数を1390cm−1で固定し、主ピーク波数を1480cm−1に設定して固定せずに、ガウシアン分布を用いてカーブフィッティングを行った。このとき、ベースラインは直線近似とした。カーブフィッティングより得られた主ピーク強度Iとショルダーバンドのピーク強度IよりI/Iを求め、3回の平均値を採用した。
さらに、作製した感光体を電子写真装置に設置し、得られる画像について、耐高湿流れ性、耐摩耗性、画像ボケ、帯電能、光感度、耐酸化性、トナー成分付着性および耐ゴースト性について、以下の方法により評価した。結果を表5に示す。
[耐高湿流れ性]
電子写真装置(商品名:iR5065、キヤノン(株)製)のプロセススピードを500mm/secに設定し、1200dpiの解像度で画像出力を行うように改造した。また、帯電器(一次帯電器)には外部より高圧電源を接続し、グリッド電位および帯電電流を調節可能にした。露光系としては、画像露光光の光源にはピーク波長670nm、半値幅1.5nmのレーザー素子を用い、前露光光の光源にはピーク波長630nm、半値幅15nmのLEDアレイ用いた。レーザー素子には外部電源を接続し、露光量を任意に調整できるようにした。前露光光は露光強度2.4μJ/cmとなるよう設定した。以下、この電子写真装置を改造機Aという。
改造機Aに感光体を設置し、電位条件を設定した。まず、グリッド電位を820Vに設定し、画像露光光を切った状態で帯電ワイヤーへ供給する電流を調整して、感光体の現像器位置での暗部表面電位が450Vとなるように設定した。次に、画像露光光を点灯させ、感光体の現像器位置での明部表面電位が100Vになるように露光量を調整した。この電位条件のもとで、A3サイズの全面文字チャート(4pt、印字率4%)を原稿台にセットして、22℃/50%RHの環境下で初期画像を出力した。このとき、感光体ヒーターをONにし、感光体の表面を40℃に保った。
その後、連続通紙試験を実施した。具体的には、感光体ヒーターをOFFにし、印字率1%のA4テストパターンを用いて、1日当たり2.5万枚の連続通紙試験を累計25万枚まで行った。連続通紙試験が終了した後、25℃/75%RHの環境下で15時間放置した後、感光体ヒーターをOFFのまま立ち上げ、初期画像の出力に用いたものと同じA3サイズの文字チャートを用いて画像を出力した。
初期画像と、連続通紙試験後の画像を、それぞれデジタル電子写真装置(商品名:iRC5870:キヤノン(株)製)を用いて、モノクロ300dpiの2値の条件でPDFファイルに電子化した。電子化した画像をAdobe Photoshop(Adobe製)を用いて、感光体1周分の画像領域(251.3mm×273mm)中での黒で表示されるピクセルの比率(以下「黒比率」と記す。)を測定した。初期画像の黒比率に対する連続通紙試験後の画像の黒比率の比により、耐高湿流れ性の評価を行った。黒比率の比の値が大きいほど高湿流れが少ない(耐高湿流れ性が高い)ことを示している。
[耐摩耗性]
感光体の表面層の耐摩耗性は、画像形成前後における表面層の層厚により評価した。
層厚の測定方法は、分光計(大塚電子製:MCPD−2000)を用いて、2mmのスポット径で感光体の表面に垂直に光を照射し、500nmから750nmの波長範囲で反射光の分光測定を行った。得られた反射波形から、光導電層の屈折率を3.30として層厚を算出した。測定箇所は、感光体の長手方向9点(中央を基準として、0mm、±50mm、±90mm、±130mm、±150mm)と、この位置から周方向に180°回転した位置の9点、合計18点とし、その18点の測定値の平均値を表面層の画像形成前の層厚とした。
画像形成は、感光体を改造機Aに設置し、25℃/75%RHの高湿環境下で耐高湿流れ性の評価と同様の条件により連続通紙により実施した。25万枚連続通紙試験が終了した後、改造機Aから感光体を取り出し、画像形成前と同様に測定を行い、表面層の層厚を得た。画像形成前後の層厚の差を求め、表面層の耐摩耗性について評価を行った。層厚の差が小さいほど摩耗量が少ない(耐摩耗性が高い)ことを示している。
[画像ボケ]
Adobe Photoshopを用いて1200dpiの解像度において、ドットを45°方向に170lpi(1インチ当り170線)の線密度配置した面積階調ドットスクリーンを用い、全階調範囲を17段階に均等配分した階調データを作成した。このとき最も濃い階調を16、最も薄い階調を0として各階調に番号を割り当て、階調段階とした。
次に、感光体を改造機Aに設置し、耐摩耗性の評価と同様の電位条件に設定したうえで、階調データを用いて、テキストモードにより形成した画像をA3用紙に出力した。このとき、高湿流れが発生すると画像ボケの評価に影響が出るため、22℃/50%RHの環境下で、感光体ヒーターをONにして、感光体の表面を40℃に保った。
得られた画像を各階調毎に分光濃度計(504、X−Rite Inc製)を用い、画像濃度を測定し、3回の測定の平均値を画像ボケの評価の対象とした。
得られた画像において各階調毎の反射濃度から、直線的に変化する階調データに対応した反射濃度を1.00としたときの相対濃度差を求め、画像ボケとして評価した。相対濃度差が小さいほど画像ボケが少なく、直線に近い階調表現がなされていることを示している。
なお、耐高湿流れ性、耐摩耗性および画像ボケの評価で、画像露光光および前露光光のピーク波長を固定したのは、画像形成時あるいは連続通紙試験の条件を統一するためである。
[帯電能、光感度]
改造機Aの画像露光光に用いるレーザー素子および前露光光に用いるLEDアレイに外部より供給する電力を調整可能とし、これらの発光の光量を任意に調整可能とした改造機Bを用いた。改造機Bに感光体を設置し、グリッド電位を820Vに設定したうえで、画像露光光を切った状態で帯電ワイヤーへ1000μAの電流を供給した。このとき感光体の現像器位置での暗部表面電位を測定し、これを帯電能の評価に用いた。次に、画像露光光を点灯させ、感光体の現像器位置での明部表面電位が100Vになるように光量を調整した。このときの画像露光光の照射エネルギーを光感度の評価に用いた。暗部表面電位が大きいほど、優れた帯電能を有し、照射エネルギーが小さいほど、優れた光感度を有している。
[耐ゴースト性]
A3用紙全面に反射濃度0.6のハーフトーン画像を印刷したハーフトーンチャートを用意し、ハーフトーンチャートの長辺の端部から40mmであって短辺の中央付近に40mm角の、反射濃度1.2の黒色を印刷した紙片を貼り付けてゴーストチャートを作成した。
改造機Bに感光体を設置し、ゴーストチャートを黒色紙片がコピー画像の前端に来るように原稿台にセットした。22℃/50%RHの環境下で感光体ヒーターをONにして、感光体の表面を40℃に保った条件で画像を出力した。このとき、出力画像のハーフトーン部分の反射濃度が0.6になるようにレーザー素子への供給電力を調整し、画像露光光の光量を調整した。得られた出力画像では、前端に40mm角の黒色が出力されてから、長辺方向で251mmの位置に40mm角の黒色部のゴーストが現れうる。このゴーストに相当する位置の任意の5点と、その周辺の位置(ゴースト以外の位置)の任意の5点について反射濃度計にて反射濃度を測定し、それぞれの平均値を比較した。得られた反射濃度から、ゴースト周辺の反射濃度に対するゴーストの反射濃度の比率を算出し、ゴースト濃度として評価した。ゴーストの反射濃度が周辺の反射濃度に比べて高くなるので、数値が小さいほど、ゴーストの発生が抑制された(耐ゴースト性が高い)ことを示す。
[耐酸化性]
分光計(商品名:MCPD−2000、大塚電子製)を用いて、改造機Bの前露光光と同じピーク波長を有する光を2mmのスポット径で、表面層に垂直に照射し、反射光を測定した。耐摩耗性の測定と同様の測定箇所を測定し、得られた測定値の平均値を初期反射率とした。測定後、30℃/80%RHの高温高湿環境下に設置された酸化試験機(図4)に感光体を設置し、感光体を酸化状態に置いた。
図4の構成図に示すように、酸化試験機5000は、被試験体である感光体5001の表面を帯電させる帯電器5002、感光体5001の表面の電位を測定する電位センサー5003、および、前露光光源5004を備えている。感光体5001はモーター(図示せず)に接続され、デジタル電子写真装置(商品名:iR−5075、キヤノン(株)製)と同じ回転数で回転するよう設定される。前露光光源5004はピーク波長が630nm、半値幅15nmの発光特性を有する。帯電器5002は帯電ワイヤー5002Aに接続された高圧電源(図示せず)により、感光体に所望の電位を与えることができ、その電位は、感光体の軸方向の中心部領域において電位センサー5003で測定されるようになっている。帯電器5002、電位センサー5003および前露光光源5004は、上記デジタル電子写真装置の帯電器、現像器および前露光光源が感光体の中心軸に対して有する角度とそれぞれ同じ角度を有するように配置されている。
この酸化試験機5000に感光体をセットし、電位条件を安定させるため、酸化試験機に暗幕をかぶせ、外部より光が入らないようにした。前露光を2.4μJ/cmの露光量で点灯させ、現像器位置の電位センサーの測定値が+600Vとなるように調整し、50時間連続して感光体を回転させて、感光体の表面を帯電させた。その後、感光体を酸化試験機から取り出し、初期の反射率と同様にして、酸化試験後の反射率を得た。
得られた結果から、初期の反射率に対する酸化試験後の反射率の比を算出し、反射率比によって耐酸化性(反射率)を評価した。感光体の表面に酸化層が形成された場合、光の干渉によって反射率は低下する傾向が強い。よって、反射率比が大きいほど、耐酸化性に優れるといえる。
また、耐酸化試験後の感光体を改造機Bに設置し、前述の帯電能および耐ゴースト性と同様の評価を行い、それぞれ耐酸化性(帯電能)、耐酸化性(ゴースト)を評価した。改造機Bにおいて、画像露光光の光源としてピーク波長670nm、半値幅1.5nmのレーザー素子を用い、前露光光の光源としてピーク波長630nm、半値幅15nmのLEDアレイを用い、前露光光の光量は2.4μJ/cmに設定して行った。
[トナー成分付着性]
図5の正面図、図6の側面図に示す測定装置6000を用いて、感光体とクリーニングブレードとの当接圧力を調整して、連続通紙試験を行った。測定装置6000は、支持台6005を組み付けたフランジ6002、6003にベアリング6001、6004が取り付けられ、このベアリング6001、6004によって、電子写真感光体ユニットと同様に電子写真装置に回転可能に取付け可能となっている。支持台6005には感光体の軸方向の中心に相当する位置と、これから左右に130mmの位置に、それぞれロードセル6007(商品名:TC−PAR 200N、TEAC(株)製)、6006、6008が取り付けられている。各々のロードセルは、表示器(商品名:TD−240A、TEAC(株)製)(図示せず)に接続され、それぞれのロードセル6006〜6008の中心に位置するロードボタン6009〜6011にかかる荷重を読み取れる。ロードボタン6009〜6011の先端には、幅30mm、長さ300mm、肉厚3mmで表面を鏡面加工したアルミ板を幅方向に半径40mmで湾曲させた受圧板6012が設置される。受圧板6012はそれぞれのロードボタンと機械的に接続している。この受圧板の湾曲の中心はフランジの中心軸と一致するように、また、表面がフランジの中心軸から40mmになるように設置されている。
次に、クリーニングブレード調整用のクリーナーを準備した。図7の構成図に示すように、クリーナー7000は、ボディ7001、クリーニングローラー7007、クリーニングブレード7002を有する。クリーニングブレード7002は支持板7003および支持軸7004によって角度が変更できるようにボディに支持されている。支持板7003はプレート7005とバネ7008によって機械的に連結され、プレート7005側に引っ張られつつ、調整ネジ7006によって角度を任意に設定できるようになっている。この機構により、調整ネジ7006によってクリーニングブレード7002が感光体と当接する圧力を任意に調整できる。
上記測定装置6000およびクリーナー7000を、受圧板6012の概略中心がクリーニングブレードの先端に当接するように角度と、3つのロードセルに加わる荷重の合計値が150g±5gとなるように距離を調整し、改造機Aに設置した。このとき、各ロードセルにかかる圧力は、最大値と最小値の差は10g以内となるように、クリーニングブレードの当接圧力を調整した。感光体を改造機Aに設置して、耐高湿流れ性の評価における電位条件と同じ条件で、30℃/80%RHの高温高湿環境下で、連続通紙試験を実施した。連続通紙試験時は、電子写真装置(改造機A)を稼働して連続通紙試験を実施している間、および、電子写真装置を停止している間を通じて常に感光体ヒーターをONにし、感光体の表面を40℃に保った条件で実施した。以下の条件で作製したトナーを用い、印字率1%のA4テストパターンを用いて、1日当たり2.5万枚の連続通紙試験を4日間実施して10万枚まで行った。
10万枚連続通紙試験を実施した後、感光体を電子写真装置(改造機A)から取り出し、耐酸化性の評価と同様に、連続通紙試験後の反射率を得て、初期の反射率に対する連続通紙試験後の反射率の比を算出し、反射率比によってトナー成分付着性(反射率)を評価した。感光体の表面にトナー成分が付着した場合、反射率は増加する。よって、反射率比が小さいほど、トナー成分の付着が抑制され、トナー成分付着性に優れるといえる。
また、上記連続通紙試験を終了した感光体を改造機Bに設置し、前述の帯電能および耐ゴースト性と同様の評価を行い、それぞれトナー成分付着性(帯電能)、トナー成分付着性(ゴースト)を評価した。改造機Bにおいて、画像露光光の光源としてピーク波長670nm、半値幅1.5nmのレーザー素子を用い、前露光光の光源としてピーク波長630nm、半値幅15nmのLEDアレイを用い、前露光光の光量は2.4μJ/cmに設定して行った。
[トナー成分付着性評価用のトナーの製造例]
以下のトナーは、実際の電子写真装置に必ずしも使用されるものではないが、感光体の表面に変質層が形成されやすいものであり、形成される変質層を定量的に知ることができことから採用した。
還流冷却器、水分分離装置、Nガス導入管、温度計および攪拌装置を備えた5リットルオートクレーブ内に、下記材料をエステル化溶媒とともに仕込み、Nガスを導入しながら230℃で重縮合反応を行った。反応終了後、容器から取り出し、冷却、粉砕して結着樹脂を合成した。
プロポキシ化ビスフェノールA(2.2mol添加) 25.0mol%
エトキシ化ビスフェノールA(2.2mol添加) 25.0mol%
テレフタル酸 37.2mol%
無水トリメリット酸 12.8mol%
下記材料をヘンシェルミキサーで前混合した後、二軸混錬押し出し機によって、溶融混錬した。得られた混錬物を冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後、ターボミルで粉砕し、得られた微粉砕粉末を、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径5.9μmの負帯電性の磁性トナーを得た。
結着樹脂 100部
磁性酸化鉄粒子(平均粒径0.15μm、Hc=11.5kA/m、σs=88Am/kg、σr=14Am/kg) 70部
フィッシャートロプシュワックス(融点:101℃) 4部
以下の構造式を有する荷電制御剤 2部
Figure 2010170111
得られた磁性トナー粒子100部に対し、以下の材料を外添混合し、目開き150μmのメッシュで篩い、トナー成分付着性評価用のトナーを作製した。
疎水性シリカ微粉体 1.0部
無機微粉末として酸化チタン微粉体(D50:0.3μm) 0.2部
チタン酸ストロンチウム微粉体(D50:1.0μm) 3.0部
疎水性シリカ微粉末は、BET比表面積150m/g、シリカ微粉体100部に対してヘキサメチルジシラザン(HMDS)30部およびジメチルシリコーンオイル10部で疎水処理したものである。
[ピーク波長、半値幅の測定]
前述の分光計のファイバー先端の受光部に光源を正対させて配置し、光源と受光部の距離は任意とし、発光スペクトルを得る。例えば、発光スペクトルが図8に示すものの場合、発光ピークの発光強度(Emax)の1/2の発光強度における波長の幅を半値幅(全半値幅)とする。
[比較例1]
ガス種、内圧および高周波電力を表3に示す条件(成膜条件)に変更して表面層を形成した以外は、実施例1と同様に感光体を作製し、得られた感光体の特性を測定し、電子写真装置に設置し、得られた画像について評価を行った。結果を表5に示す。
Figure 2010170111
[比較例2]
表面層を表4に示す条件(成膜条件)で形成した他は、実施例1と同様に感光体を作製し、得られた感光体の特性を測定し、電子写真装置に設置し、得られた画像の評価を行った。結果を表5に示す。
Figure 2010170111
Figure 2010170111
表5中、耐高湿流れ性、耐摩耗性、画像ボケ、帯電能、光感度、耐ゴースト性、耐酸化性(反射率)およびトナー成分付着性(反射率)の各項目は、実施例1の成膜条件No.2により表面層を形成した場合におけるそれぞれの項目の値を基準とした相対評価で示す。耐酸化性(帯電能)、トナー成分付着性(帯電能)は実施例1の成膜条件No.2により表面層を形成した場合における帯電能の値を基準とした相対評価で示している。耐酸化性(ゴースト)およびトナー成分付着性(ゴースト)の各項目は、実施例1の成膜条件No.2により表面層を形成した場合における耐ゴースト性の値を基準とした相対評価で示している。以下、特記しない限り、表8〜11、14および17においても、表5中の標記に準ずる。
耐高湿流れ性については、0.95以上であれば優れた耐高湿流れ性を有し、1.02以上であれば特に優れた耐高湿流れ性を有する。
耐摩耗性については、1.10以下であれば優れた耐摩耗性を有し、0.90以下であれば特に優れた耐摩耗性を有する。
画像ボケについては、1.80以下であれば画像上でトーンジャンプが認識できない良好な階調性であり、1.50以下であれば特に優れた階調表現が可能である。1.50を下回る数値のものは実質的に画像で差は認識できず、測定上のばらつきの範囲といえる。帯電能については、0.93以上であればプロセススピードが高速である場合においても十分な帯電能を有する。
光感度については、1.10以下であれば良好な特性であり、1.05以下であれば幅広い電子写真画像形成方法に適用可能な特に良好な特性である。
耐ゴースト性については、1.10以下であれば画像上でゴーストが目立たず良好な特性であり、1.06以下であれば画像上でゴーストがほとんど認識できない、優れた特性である。
耐酸化性(反射率)およびトナー成分付着性(反射率)は、定量的な比較の目安である。そのため、電位特性として、耐酸化性(帯電能)およびトナー成分付着性(帯電能)を、上記帯電能と同様の基準で評価すればよい。また、画像特性として、耐酸化性(ゴースト)およびトナー成分付着性(ゴースト)を、上記耐ゴースト性と同様の基準で評価すればよい。
以上の結果から、表面層におけるSi+C原子密度を6.60×1022原子/cm以上とすれば、耐高湿流れ性が向上し、耐摩耗性が向上することがわかる。また、Si+C原子密度を6.81×1022原子/cm以上とすることで、より顕著に耐高湿流れ性が向上し、耐摩耗性が向上することがわかる。比較例1および2では、実施例1と比べると帯電能がやや低く、耐ゴースト性はやや向上している。これは、表面層の特性により、画像露光光および前露光光の吸収が少なくなり、光導電層に到達する光量が増したためと考えられる。耐酸化性の評価においては、比較例1および2では反射率が下がったことに伴い、耐ゴースト性は向上したものの、帯電能は逆に低下した。同様にトナー成分付着性の評価においても、比較例1および2では反射率が上がったことにより、帯電能は向上したものの、耐ゴースト性は逆に低下した。これは、Si+C原子密度が小さくなると変質層が形成されやすく、画像露光光と前露光光が光導電層に入射する光量が変化した結果と考えられる。
以上のように、画像露光光と前露光光の光導電層に入射する光量が変化する比較例では、変質層が形成されやすく、帯電能の低下と耐ゴースト性の低下の双方を抑制することは困難であることがわかる。一方、実施例1では、変質層の形成が抑えられ、帯電能の低下と耐ゴースト性の低下の双方を抑制することができる。
[実施例2]
ガス種、内圧および高周波電力を表6に示す条件(成膜条件)に変更して表面層を形成した以外は、実施例1と同様に感光体を作製し、得られた感光体の特性を測定し、電子写真装置に設置し、得られた画像について評価を行った。結果を表8に示す。
Figure 2010170111
[比較例3]
ガス種、内圧および高周波電力を表7に示す条件(成膜条件)に変更して表面層を形成した以外は、実施例1と同様に感光体を作製し、得られた感光体の特性を測定し、電子写真装置に設置し、得られた画像について評価を行った。結果を表8に示す。
Figure 2010170111
Figure 2010170111
比較例3の成膜条件No.13により表面層を形成した場合、感光体の光感度が低下したことにより、帯電能がやや向上し、耐ゴースト性がやや低下している。また、成膜条件No.12により表面層を形成した場合、画像ボケの悪化が見られた。しかしながら、実施例2では、いずれの感光体も、耐酸化性もトナー成分付着性も良好な結果が得られ、耐酸化性試験後やトナー付着性試験後、帯電能の低下やゴーストの発生についての変化は見られなかった。
以上の結果から、表面層におけるC/(Si+C)を0.61以上0.75以下とすることで画像ボケの抑制と光感度を両立しつつ、感光体の表面の変質を抑え、帯電能の低下や耐ゴースト性の低下を長期間にわたって抑制できることがわかる。
[実施例3]
実施例1の成膜条件No.2により層厚のみを変化させて表面層を形成した感光体を用い、改造機Bの画像露光に用いるレーザー素子を表9に示すピーク波長を有するレーザー素子に交換した以外は、実施例1と同様にして、画像の評価を行った。結果を表9に示す。なお、感光体の特性については、表5に示しており、省略した。
Figure 2010170111
表9中、耐高湿流れ性、耐摩耗性および画像ボケの値は、画像露光光のピーク波長を635nmとしたときの値で代表した。波長差は、画像露光光のピーク波長と前露光光のピーク波長の差を示す。
以上の結果から、画像露光光のピーク波長が650nm以上では、光感度において特に良好な特性が得られることがわかる。また、画像露光光のピーク波長を635nmとすると、前露光光のピーク波長との差が小さくなるため、耐ゴースト性がやや低下することがわかる。耐ゴースト性の値は1.06以下が特に良好であるが、画像露光光のピーク波長を650nmとした場合、波長差がおよそ15nm以上であれば、特に良好な特性が得られる。
[実施例4]
実施例1の成膜条件No.2により層厚のみを変化させて表面層を形成した感光体を用い、改造機Bの画像露光光のピーク波長を表10に示すピーク波長に変更した以外は、実施例1と同様にして、画像の評価を行った。
画像露光光のピーク波長の変更は、画像露光光の光源に、幅3mmのスリットを取り付けたLEDアレイを用い、これを、感光体の表面の画像露光の位置に正対して取り付けることによって行った。用いたLEDアレイの半値幅は、いずれも12nm〜16nmの範囲内であった。
このLEDアレイでは、画像パターンの露光ができないため、A3用紙の先端40mmに相当する部分で画像露光を切り、他の部分では、反射濃度0.6が得られるように光量を調整してゴーストチャートとした。結果を表10に示す。なお、感光体の特性については、表5に示しており、省略した。
Figure 2010170111
表10中、耐高湿流れ性、耐摩耗性および画像ボケの値は、画像露光光のピーク波長を655nmとしたときの値で代表した。波長差は、画像露光光のピーク波長と前露光光のピーク波長の差を示す。帯電能、光感度、耐ゴースト性、耐酸化性(反射率、帯電能、ゴースト)、トナー成分付着性(反射率、帯電能、ゴースト)の値は、実施例4において画像露光光のピーク波長を670nmとしたときの、それぞれの値に対する相対評価で示した。
帯電能については、0.80以上であれば良好であり、0.93以上ではプロセススピードが高速である場合においても十分な帯電能を有する。光感度については、1.50以下であれば良好であり、1.10以下であれば特に良好な特性であり、1.05以下では幅広い電子写真画像形成方法に適用可能な優れた特性である。耐ゴースト性については1.20以下であれば良好であり、1.20以上であれば画像上でゴーストが目立たない特に良好な特性であり、1.06以下であれば画像上でゴーストがほとんど認識できないさらに良好な特性である。
画像露光光のピーク波長が680nm以下では特に良好な光感度が得られた。また、波長差が70nmでは耐ゴースト性がやや低下していた。波長差50nmの結果との比較から、波長差が60nm以下であれば、耐ゴースト性において特に良好な結果が得られる。
実施例4から、画像露光光のピーク波長は650nm以上680nm以下の範囲であれば特に良好な光感度であり、また、画像露光光のピーク波長と前露光光のピーク波長の差は15nm以上60nm以下の範囲であれば特に良好な耐ゴースト性が得られることがわかる。
[実施例5]
実施例1の成膜条件No.2により層厚のみを変化させて表面層を形成した感光体を用い、改造機Bの画像露光光の光源のレーザー素子と、前露光光の光源のLEDアレイを変更し、表11に示すピーク波長のものに変更した。それ以外は、実施例1と同様にして、画像の評価を行った。いずれのレーザー素子も、半値幅は1.5nm以下であり、LEDアレイの半値幅は、12nm〜16nmの範囲であった。結果を表11に示す。なお、感光体の特性については、表5に示しており、省略した。
Figure 2010170111
表11中、耐高湿流れ性、耐摩耗性および画像ボケの値は、画像露光光のピーク波長を635nmとしたときの値で代表した。
前露光光のピーク波長が590nmと620nmの結果から、前露光光のピーク波長を600nm以上とすれば耐ゴースト性が1.06以下とできることがわかる。
一方、前露光光のピーク波長を680nmへと長くするにしたがって耐ゴースト性はやや低下する傾向がみられた。これは、画像露光光と前露光光のピーク波長の差が小さくなったことによる影響であって、特に画像露光光と前露光光のピーク波長の差が0nmのとき、および、画像露光光よりも前露光光のピーク波長が長いときの比較例4では、耐ゴースト性の低下が顕著であった。画像露光光と前露光光のピーク波長の差を15nm以上とすることにより耐ゴースト性の値が1.10以下になり、前露光光のピーク波長が長くなると帯電能がやや低下する傾向も明らかになった。
前露光光のピーク波長と画像露光光のピーク波長の差を15nm以上60nm以下に保ち、前露光光のピーク波長を600nm以上655nm以下の範囲とすれば、帯電能の低下の抑制と耐ゴースト性の低下の抑制をより高いレベルで達成できることがわかった。
[実施例6]
ガス種、高周波電力を表12に示す条件(成膜条件)に変更して表面層を形成した以外は、実施例1と同様に感光体を作製し、得られた感光体の特性を測定し、電子写真装置に設置し、得られた画像について評価を行った。結果を表13に示す。
Figure 2010170111
Figure 2010170111
の流量を多量にした成膜条件の方が、H/(Si+C+H)が減少しているのは、水素ラジカルによる脱離効果によることが考えられる。
以上の結果から、表面層におけるH/(Si+C+H)が0.30以上0.45以下の範囲であると、耐摩耗性および光感度が特に良好となることがわかる。成膜条件No.14により表面層を形成したとき、帯電能がやや向上し、耐ゴースト性がやや低下しているのは、表面層の前露光光吸収による影響と考えられる。耐酸化性試験およびトナー成分付着性試験による変質層の形成の影響は見られなかった。
[実施例7]
ガス種、内圧および高周波電力を表14に示す条件(成膜条件)に変更して表面層を形成した以外は、実施例1と同様に感光体を作製し、得られた感光体の特性を測定し、電子写真装置に設置し、得られた画像について評価を行った。成膜条件No.19により表面層を形成する際は、高周波電力として、20kHz、デューティ比50%のパルス発振する電力を用いた。結果を表15に示す。
Figure 2010170111
Figure 2010170111
以上の結果から、I/Iが0.20以上0.70以下であると、耐摩耗性が特に良好となることがわかる。
10 電子写真感光体
11 表面層
12 光導電層
13 基体
14 電荷注入阻止層

Claims (6)

  1. 電子写真感光体の表面を帯電させる帯電工程と、
    帯電した該電子写真感光体の表面に画像露光光を照射して該電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する画像露光工程と、
    該電子写真感光体の表面に形成された静電潜像をトナーによって現像して該電子写真感光体の表面にトナー像を形成する現像工程と、
    該電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を転写材に転写する転写工程と、
    該電子写真感光体の表面に前露光光を照射して該電子写真感光体の表面を除電する前露光工程と
    をこの順に有する画像形成方法であって、
    該電子写真感光体が、基体と、該基体上に形成された少なくともアモルファスシリコンからなる光導電層と、該光導電層上に形成された少なくとも水素化アモルファスシリコンカーバイドからなる表面層とを有し、
    該表面層におけるケイ素原子の原子数(Si)と炭素原子の原子数(C)との和に対する炭素原子の原子数(C)の比(C/(Si+C))が、0.61以上0.75以下であり、
    該表面層におけるケイ素原子の原子密度と炭素原子の原子密度との和が、6.60×1022原子/cm以上であり、
    該前露光光のピーク波長(λ)が、該画像露光光のピーク波長(λ)よりも短い
    ことを特徴とする画像形成方法。
  2. 前記画像露光光のピーク波長(λ)と前記前露光光のピーク波長(λ)との差(λ−λ)が、15nm以上60nm以下である請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 前記前露光光のピーク波長(λ)が600nm以上655nm以下の範囲にあり、前記画像露光光のピーク波長(λ)が650nm以上690nm以下の範囲にある請求項1または2に記載の画像形成方法。
  4. 前記表面層におけるケイ素原子の原子数(Si)と炭素原子の原子数(C)と水素原子の原子数(H)との和に対する水素原子の原子数(H)の比(H/(Si+C+H))が、0.30以上0.45以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  5. 前記表面層におけるケイ素原子の原子密度と炭素原子の原子密度との和が、6.81×1022原子/cm以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  6. 前記表面層のラマンスペクトルにおける1480cm−1のピーク強度(I)に対する1390cm−1のピーク強度(I)の比(I/I)が、0.20以上0.70以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成方法。
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