JPH06317920A - 電子写真用光受容部材の形成方法 - Google Patents

電子写真用光受容部材の形成方法

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JPH06317920A
JPH06317920A JP10553593A JP10553593A JPH06317920A JP H06317920 A JPH06317920 A JP H06317920A JP 10553593 A JP10553593 A JP 10553593A JP 10553593 A JP10553593 A JP 10553593A JP H06317920 A JPH06317920 A JP H06317920A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 帯電能、画像流れが共に良好で、白ポチ、ゴ
ーストなどの画像特性も改善されたa−Si系電子写真
用光受容部材の製造方法を提供する。 【構成】 光導電層および表面層が、それぞれシリコン
および炭素原子を母体とする非単結晶系材料から成る電
子写真用光受容部材の作製において、周波数20〜45
0MHzのVHF波を用い、特に表面層中の水素原子含
有量を8〜45原子%とし、さらにカソードにバイアス
を印加して作製を行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光(ここでは広義の光
を意味し、紫外線、可視光線、赤外線、X線、γ線など
を意味する。)のような電磁波に対して感受性のある電
子写真用光受容部材に関する。
【0002】
【従来の技術】像形成分野において、光受容部材の光受
容層を形成する光導電材料に要求される諸特性として
は、高感度で、SN比[光電流(Ip)/暗電流(I
d)]が高く、照射する電磁波のスペクトル特性に適合
した吸収スペクトル特性を有すること、光応答性が高
く、所望の暗抵抗値を有すること、使用時において人体
に無害であることなどがある。特に、事務機としてオフ
ィスで使用される電子写真装置内に組み込まれる電子写
真用光受容部材の場合には、上記の使用時における無公
害性は重要な点である。
【0003】このような点で最近注目されている光導電
材料としてはアモルファスシリコン(以下「a−Si」
と記す)があり、例えば特開昭54−86341号公報
などに電子写真用光受容部材としての応用が記載されて
いる。
【0004】また、特開昭61−219961号公報に
は、表面層として水素化アモルファス炭素と10〜40
原子%の水素原子で構成された材料を用いる技術が記載
されている。
【0005】これらの技術により、電気的、光学的、光
導電的特性および使用環境特性、耐久性が向上し、さら
に、画像品位の向上も可能になっている。
【0006】このようなアモルファス電子写真光受容部
材の形成方法としては、グロー放電によるプラズマCV
D法(以下「プラズマCVD法」と称する。)が挙げら
れ、例えば特開昭57−115551号公報には、周波
数13.56MHzの電磁波を用いてグロー放電を生起
して原料ガスを分解する高周波プラズマCVD法により
表面層を堆積する例が開示されている。
【0007】本発明の形成方法は、特開平3−6446
6号公報で開示されている、20MHz以上の周波数の
高周波を用いた製造方法を応用したものである。
【0008】また、特開昭60−186849号公報に
は、原料ガスの分解源として、周波数2.45GHzの
マイクロ波を用いたマイクロ波プラズマCVD法による
堆積膜の形成方法が開示されている。
【0009】以上のような技術により、さらに良好な電
気特性を有する電子写真用光受容部材を供給することが
可能となっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら近年、電
子写真装置は従来にも増して高画質化、高速化、高耐久
化が求められている。
【0011】また、サービスコスト低減のため、各部品
の信頼性向上によりメンテナンス回数の低減が必要とさ
れている。このような状況のもとで、電子写真用光受容
部材は様々な環境下でサービスマンのメンテナンスを受
けないまま、以前にも増して長時間繰り返し使用される
ようになってきている。こうした状況下では、従来の電
子写真用光受容部材にもまだまだ改良すべき余地が存在
するのが実状である。例えば、高速で画像形成を繰り返
した場合、従来の形成方法で得られた電子写真用光受容
部材ではその耐久性が十分ではなく、得られるコピー画
像上に白い小点であるいわゆる「白ポチ」が発生し、さ
らにこれが次第に増加する傾向が見られるようになって
きた。
【0012】また、非常に高速で長時間繰り返し使用を
続けると、画像上の細線がにじんだような状態(画像流
れ)となり、ひどい場合は文字が全く読めない画像とな
る。従来、高湿下の画像流れは光受容部材を加熱するこ
とにより、光受容部材表面の相対湿度を低下させて防止
していたが、従来にない高速条件で使用した場合には、
光受容部材を加熱しても画像流れを防止できないような
状況も生まれており、高速複写機の開発には、光受容部
材の改良も必須となっている。
【0013】また、上記の湿度起因の画像流れとは別
に、強露光を当てた時に起こる画像流れがある。これ
は、電子写真用光受容部材中で電荷が横方向に流れるこ
とで、電子写真用光受容部材表面に形成された潜像が乱
されることにより生ずるものである。現在のところ、こ
のようにして発生する画像流れは、製造条件の検討、例
えば不純物としての酸素の含有量を大幅に減らすような
工夫を行なうことにより、通常では全く問題がないとこ
ろまで克服されてきている。しかしながら、今後はさら
に、超高画質への展開、また高画質フルカラー複写機へ
の搭載を検討する場合、一層の改善を行なうのが望まし
く、解決すべき問題点として挙げることができる。これ
を強露光画像流れと称することにする。
【0014】さらに、高速で長時間使用した場合に起こ
るゴースト現象(連続複写の場合、一度形成した画像が
次回の画像形成時に残像となって残ること)も改善する
必要がある。
【0015】また更なる高速条件で長時間使用し続けた
場合、ハーフトーン画像上に電子写真用光受容部材の周
方向に沿った黒いすじ(「黒すじ」)が生じることもあ
る。また今日の市場で強く要望されている高速複写を実
現する際、現像位置で必要とされる潜像電位を得るため
には、帯電電流を増加する必要がある。ところが、例え
ば帯電電流を増加するために、単に帯電電流密度を上げ
た場合、帯電器の汚れがひどくなり、メンテナンス間隔
が短くなるという問題が生じてしまう。他の手段として
帯電器幅を広げ、帯電電流密度を変えずに帯電電流を増
加する方法も考えられるが、この場合、市場でのもう一
つの要望である複写機の小型化が達成されなくなってし
まう。
【0016】このような状況下で、電子写真用光受容部
材の帯電能向上も強く求められている。すなわち、電子
写真用光受容部材の帯電能向上が達成されれば、高速複
写を実現する際、帯電電流を増加させる必要がなく、上
記の問題を抱えることなく必要とされる潜像電位を得る
ことができる。またさらに、高速複写を実現するために
は、帯電能向上とともに感度を向上させる必要もある。
【0017】本発明は、上述のごときa−Siで構成さ
れた従来の光受容層を有する電子写真用光受容部材にお
ける諸問題を解決することを目的とするものである。す
なわち、本発明の主目的は、電気的、光学的、光導電的
特性がほとんど使用環境に依存することなく実質的に常
時安定しており、繰り返し使用に際しては劣化現象を起
こさず、耐久性、耐湿性に優れた、シリコン原子を母体
とした非単結晶材料で構成された電子写真用光受容部材
の形成方法を提供することにある。
【0018】本発明のもう一つの目的は、工業的見地か
ら、上記のごとき改良された電子写真用光受容部材を、
安定的かつ安価に供給し得る手段となる、電子写真用光
受容部材の形成方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は、シリコン原子
を母体とする非単結晶シリコン系材料から成る1つ以上
の光導電層および炭素原子を母体とする非単結晶炭素系
材料から成る表面層を基体上に順次積層する電子写真用
光受容部材形成方法において、(1)周波数20MHz
〜450MHzの電磁波を使用し、(2)表面層形成時
の条件を調整して表面層の水素原子含有量を8〜45原
子%となるようにし、ないしは(3)カソード電極に直
流および/または交流のバイアス電圧を印加して、プラ
ズマCVD法によって光導電層および表面層の積層を連
続的に行なう電子写真用光受容部材形成方法を提供す
る。
【0020】本発明者らは、従来の光受容部材における
上記の問題点を解決する方途を探るため、上述の問題点
の発生原因を詳細に検討し、さらにその対策を見出し
て、本発明を完成したものである。
【0021】以下、本発明の完成に至った経緯について
説明する。
【0022】電子写真用光受容部材は、その機能を十分
に高めるため、性質の異なる2つ以上の層を積層して形
成されるのが一般的である。例えば、光受容性に優れた
光導電層と、これを保護するために高硬度でしかも光透
過性に優れた表面層を積層するような手法が用いられ
る。またこれらに加えて、電荷の注入を防止するための
電荷注入阻止層などの各種機能を持たせた層領域を追加
する場合もある。
【0023】そこで本発明者らは、非単結晶シリコン系
材料に比べて比誘電率が小さく、光学的バンドギャップ
が大きい、従って帯電のためのコロナ電流が低く、表面
電荷の少ない非単結晶炭素系材料を表面層とすることに
よって、光感度の高い電子写真用光受容部材を得ること
ができるかどうかを検討した結果、光受容部材に部分的
に抵抗の低い箇所ができたり、光受容部材の硬度が不足
する場合があった。
【0024】そこで本発明者らは、さらに鋭意検討を続
けた結果、層形成で用いる高周波電力の周波数をさらに
高くすることによって、それらの問題の発生が非常に少
なくなることを見出した。これは、周波数が低い場合に
は原料ガスの分解能力が低く、また、気相反応によって
グラファイト化した部分の形成が考えられるが、周波数
20MHz〜450MHzの電磁波を用いる場合は、原
料ガスの分解がさらに進み、炭素原子がsp3混成軌道
を取り、ダイヤモンド構造に近い配列を持ってランダム
に絡み合った配列を持った非単結晶が形成されるからで
はないかと考えられる。従って、本発明の周波数帯を用
いて成膜することにより、従来法で形成されるものに比
べて構造むらが少ない、炭素の共有結合が絡み合った複
雑な構造を有する表面層が形成されるものと思われる。
これらが、従来、耐久後に部分的に生じていた低抵抗箇
所や硬度不足箇所などが減少し、特性むらが軽減される
理由であると推測される。
【0025】非単結晶炭素系材料の表面層が非単結晶シ
リコン系材料の光導電層上に積層された多層構造を持つ
光受容層の場合、各層の諸特性を所望の電子写真特性が
得られるように設計することが重要なのは言うまでもな
いが、それと同時に、特性の異なる各層の積層状態の最
適化、すなわちその界面の状態の最適化も重要な要素と
なっている。本発明で形成する光受容層のように、非単
結晶炭素系材料と非単結晶シリコン系材料との間のヘテ
ロ界面においては、その界面の状態をいかに最適化する
かが、良好な特性を得るための最重要の要素となってい
る。
【0026】一方、本発明者らの検討によれば、上述し
たような特性上の問題は、この界面部分の状態に起因す
ることがわかってきた。
【0027】例えば「白ポチ」に関しては、各層間の界
面での密着性が不十分であるために、高速で長時間使用
した場合に、主として堆積層形成中に発生した堆積膜の
異常成長である球状突起の部分で、堆積膜が界面からは
がれ落ちるために、画像上の「白ポチ」となって現われ
ることがわかった。このようにして発生する「白ポチ」
は、画像形成を繰り返す度に次第に増加していく傾向が
見られた。
【0028】画像流れについては、従来、電子写真用光
受容部材表面での電荷保持能力と密接な関係があること
がわかっているが、これとは別に、電子写真用光受容部
材中の界面で電荷が移動できずに蓄積され、これが横方
向に流れることで、電子写真用光受容部材表面に形成さ
れた潜像を乱し、画像流れを発生しているものと考えら
れる。このようにして発生する画像流れは、電子写真用
光受容部材の界面のみに依存し、表面状態に依存しない
ため、従来のように電子写真用光受容部材表面を加熱
し、表面での相対湿度を下げても、ほとんど改善の効果
が得られなかった。
【0029】また、上記のように界面部分で電荷が蓄積
されることにより、ゴーストも発生するようになると同
時に、画像露光により生成されたキャリアが、これら蓄
積電荷と再結合して潜像形成に有効に寄与しなくなり、
それが光感度の低下につながる。
【0030】さらには、このように界面が乱れることに
より、表面層から光導電層への電荷の注入が生じてしま
い、帯電能の低下にもつながってしまう。
【0031】また、「黒すじ」は、電子写真装置内の電
子写真用光受容部材に接触する部分、例えば電子写真用
光受容部材表面からコピー用紙を分離するために設けら
れている分離爪のような部品が、長期使用することで、
電子写真用光受容部材表面を局所的に圧迫するようにな
ることによって発生することがわかった。界面での膜の
密着性が十分でない場合に、このような局所的な圧力が
加わると、その界面の部分にストレスがかかり、この部
分での電荷の走行性が低下して、ハーフトーン画像上で
「黒すじ」となって現われるものと考えられる。
【0032】従来のプラズマCVD法などによる電子写
真用光受容部材形成では、(1)一つの層を形成した後
に放電を一旦停止し、次の層を形成するためのガス条件
などを整えた後に、放電を再開する方法、(2)各層形
成間で組成などを連続的に変化させる方法などが採られ
てきたが、その層形成の連続性に従って、界面が組成的
に不連続となる場合と連続となる場合とがある。
【0033】従来の高周波プラズマCVD法やマイクロ
波プラズマCVD法による層形成では、界面が不連続と
なる場合、界面での2層の密着性が不十分なため「白ポ
チ」の増加や「黒すじ」の発生などの問題を起こしやす
いだけでなく、再放電の開始状況次第で界面部分の膜は
がれを生じる場合もある。界面が連続となる場合でも、
「白ポチ」の増加や「黒すじ」の発生防止に期待通りの
効果が得られず、また放電が不安定になりやすいなどの
問題もあって逆に界面を乱し、かえって画像流れ、ゴー
スト、帯電能悪化を助長することもある。
【0034】そこで本発明者らは、このような問題点を
克服すべく、形成方法に関して詳細に検討を加えた結
果、光導電層と界面の特性が、原料ガスを分解するため
の「電磁波の周波数」と「表面層中の水素含有量」の組
み合わせ、またカソード電極に印加するバイアス電圧に
大きく依存していることを見出した。
【0035】従来の周波数13.56MHzを用いる高
周波プラズマCVD法や、2.45GHzを用いるマイ
クロ波プラズマCVD法に比べて、20〜450MHz
の周波数の電磁波を用いるCVD法では、形成される光
導電層と表面層の界面部分に具体的にどのような相違が
あるのか、またその際、表面層中(または光導電層との
界面近傍)の炭素、水素、シリコン原子がどのような役
割を果たしているのかについては、現在完全に明らかに
はなっていないが、原料ガスの分解性、また分解した後
の活性種のエネルギーの違い、各活性種の比率の違い、
光導電層と表面層との界面の炭素、水素、シリコン原子
の結合状態の違いが関与しているものと推測される。
【0036】すなわち、光導電層と表面層の界面におい
て一旦放電を停止し、その後再放電を行なう場合、再放
電直後に形成される堆積膜の結合性に問題があったり、
あるいはすでに形成された層の表面がダメージを受ける
などの問題があるものと考えられる。
【0037】しかしながら本発明の方法では、電磁波の
周波数を適切に選択し、原料ガスの分解性や活性種のエ
ネルギーを変化させ、さらにはそれに適した炭素、水素
原子比率を選択することから、これらの問題を軽減でき
るのでないかと考えられる。また本発明の方法では、光
導電層と表面層の間の界面近傍の組成を連続的に変化さ
せる場合でも、原料ガスの分解性が良いことから、従来
の方法に比べて理想に近い条件の変化層が形成される。
【0038】本発明においては、カソード電極にバイア
ス電圧を印加することにより、上記のような周波数の効
果をさらに顕著なものとすることができる。
【0039】本発明者らの知見によれば、一般に原料ガ
スを分解するための電磁波の周波数を高くすると、基体
に入射するイオンのエネルギーが低下する傾向がある。
これはすなわち、堆積膜に与えるイオン衝撃のダメージ
が少ない反面、基体上に活性種が堆積する際のサーフェ
イスモビリティー(表面移動度)を促進するイオンによ
るアシストエネルギーの不足につながるものと考えられ
る。また、イオンによるアシストエネルギーの不足によ
る影響は、特に界面部分で強く現われる傾向がある。
【0040】このような理由で、界面特性を改善するた
めに原料ガス分解のための電磁波の周波数を上記のよう
に20〜450MHzの範囲で選択しても、成膜条件に
よっては、その効果が低下する場合があり、この傾向
は、特にサーフェイスモビリティーが不足するような高
い膜堆積速度の場合により顕著になる。
【0041】しかしながら、このような条件下において
も、カソード電極にバイアス電圧を印加し、イオンにエ
ネルギーを与えることによって、上記のような界面特性
の改善効果の再現性を向上させ、光感度を向上させるこ
とができる。
【0042】カソード電極にバイアス電厚を印加しない
場合、基体に入射するイオンのエネルギーは堆積膜形成
装置の形状や、原料ガスのガス種、放電時の圧力、グロ
ー放電時の電磁波の電力などのさまざまな放電条件によ
って決まるプラズマ空間電位で左右される。特に界面形
成時は、放電の一旦停止・再開または放電条件の連続的
変化により、プラズマ空間電位に変化が生じ、基板に入
射するイオンのエネルギーも一定にはなり得ない。
【0043】これに対して、本発明の方法では、カソー
ド電極にバイアス電圧を印加することによってイオンの
入射エネルギーを増し、上記のような放電条件の変動に
よる影響を小さくすることができるものと推察される。
またこれによって、サーフェイスモビリティーが上昇す
るため、光感度の向上が達成されるものと考えられる。
【0044】以上のように本発明者らは、多層構造の電
子写真用光受容部材の作製に際して、(1)原料ガスの
励起源として、上記のような範囲の周波数(20〜45
0MH z)の電磁波を使用し、かつ(2)カソー
ド電極にバイアス電圧を印加することで、原料ガスの分
解性、活性種のサーフェイスモビリティーのバランスを
取り、また、イオンの入射エネルギーの変動の影響を小
さくすることで、主として各層間の界面の状態を改善
し、具体的な電子写真特性を向上させることが可能であ
ることを見出して初めて、本発明を完成した。
【0045】また本発明者らの知見によれば、20〜4
50MHzの範囲のどの周波数の電磁波を用いても、従
来のプラズマCVD法に比べて上記の界面部分(界面近
傍の変化層を含む)の改質効果が認められるが、51〜
250MHzの範囲の周波数で特に顕著な効果が得られ
る。
【0046】また、周波数が450MHzを超えると、
本発明に用いた装置では電磁波の減衰が大きくなり、堆
積速度が低下する傾向が顕著となった。
【0047】一方、バイアス電圧(V1)については、
バイアス電圧を印加しない場合のカソード電極のセルフ
バイアスをV2とした場合に、 0≦V1−V2≦200V を満たす値とすることで、良好な結果が得られた。すな
わち、バイアス電圧V1が上記のセルフバイアスV2以下
の場合には、イオンの入射エネルギー増加の効果が得ら
れず、逆にV1−V2>200Vの場合、イオン衝撃によ
る堆積膜へのダメージが顕著となり、特に画像特性を悪
化させる傾向が顕著になる。
【0048】本発明の形成方法においては、バイアス電
圧の値は、上記の範囲内であればいずれの値でも良く、
光受容層形成中一定に設定しても良いし、各層の形成時
にそれぞれ変化させても良い。さらに、膜の堆積中に経
時的に漸増もしくは漸減させることもできる。
【0049】本発明の方法におけるバイアス電圧は、直
流、交流、あるいは交流に直流を重畳したものなどが使
用できる。実際、直流電圧の場合、経時変化させず定電
圧印加した場合、経時的に電圧を変化させて印加した場
合、半波整流電圧印加の場合などのいずれの場合にも、
バイアス電圧印加の効果が認められた。交流の場合は、
正弦波、矩形波、三角波、およびこれらの合成波など、
いずれの場合も効果が認められた。ただし、バイアス電
圧を経時的に変化させる場合は、上記バイアス電圧は実
効値を表わす。
【0050】バイアス電圧を経時的に変動させる場合、
そのバイアス電圧の周波数は、基体上に形成されるシー
ス領域において、シースの電界の変動に対してプラズマ
中のイオンが追随できる上限の周波数である約2MHz
以下であることが望ましい。本発明者らの知見によれ
ば、従来それぞれ13.56MHzおよび2.45GH
zを用いてきた高周波プラズマCVD法およびマイクロ
波プラズマCVD法について、上記のように20〜45
0MHzの周波数の電磁波を用いることによって、光導
電層と炭素原子を母体とする表面層の層界面部分(界面
近傍の変化層も含む)の改質効果が得られるが、その表
面層における水素原子の含有量を8〜45原子%以下と
し、しかも炭素原子に対して不純物(シリコン原子な
ど)が0.01〜10原子%以下とした場合に、特に著
しい効果が得られる。
【0051】表面層である非単結晶炭素系材料の水素含
有量が8原子%以下になると、非単結晶シリコン系材料
に比べ、比抵抗、光学的バンドギャップが小さくなり、
表面層として用いるには不適格となる。また45原子%
を超えると、比抵抗が大きくなり、感度が悪く、残留電
位の大きいものになり、表面層として用いるにはやはり
不適格である。
【0052】ここで、水素原子含有量をコントロールす
る方法としては、放電空間内に導入する水素ガスの流量
を変化させる方法、放電電力を変化させる方法、印加す
るバイアス電力を変化させる方法、支持体の温度を変化
させる方法、放電空間内の圧力を変化させる方法、さら
に放電空間内に導入するガスの種類とその流量比を変化
させる方法などが挙げられる。その中でも特に、マイク
ロ波放電法で光受容部材を作製する場合は、放電空間内
に導入する水素ガスの流量を所望に従って変化させる方
法、印加するバイアス電圧を変化させる方法、および支
持体の温度を変化させる方法が好ましい。
【0053】以下、図面を用いて本発明の電子写真用光
受容部材の形成方法について詳細に説明する。
【0054】図1は、本発明の方法により形成された電
子写真用光受容部材の層構成の1例を模式的に示した図
である。電子写真用光受容部材100は、基体101上
に、光導電層102、表面層103を順次積層して得ら
れたものである。
【0055】本発明の光受容部材の基体101としては
例えば、Al、Cr、Mo、Au、In、Nb、Te、
V、Ti、Pt、Pb、Feなどの金属または、例えば
ステンレスなどのこれらの合金が挙げられる。また、ポ
リエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、セルロ
ース、アセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、
ポリエチレン、ポリアミドなどの合成樹脂のフィルムま
たはシート、ガラス、セラミックなどの絶縁性材料の少
なくとも光受容層を形成する側の表面を導電処理したも
のも基体として用いることができる。さらに、絶縁性材
料を基体とする場合、光受容層を形成する側と反対側も
導電処理することが望ましい。
【0056】基体101の形状は、平滑平面あるいは凹
凸表面の円筒状または板状無端ベルト形状であることが
でき、その厚さは、所望通りの光受容部材を形成できる
ように適宜決定するが、光受容部材に可撥性が要求され
る場合、基体としての機能が十分発揮される範囲で可能
な限り薄くすることができる。しかしながら、基体の製
造および取扱い、機械的強度などの点から、通常は10
μm以上とする。
【0057】本発明の光受容部材に関しては、例えばレ
ーザー光などの可干渉性光を用いて像記録を行なう場合
には、可視画像において現われる干渉縞模様による画像
不良を解消するために、基体101の表面に凹凸を設け
ても良い。
【0058】光導電層102は、周波数20〜450M
Hzの電磁波を用いたプラズマCVD法によって、所望
の特性を有する非単結晶材料より形成される。通常、光
導電層の膜厚は10〜60μmである。
【0059】例えば、a−Siから成る光導電層102
を形成するには、基本的にはSi供給用の原料ガスを減
圧可能の反応容器内に所望のガス状態で導入して、その
反応容器内で周波数20〜450MHzの電磁波を用
い、グロー放電を起こし、予め所定の位置に設置した基
体101上にa−Siから成る層を形成する。
【0060】シリコン原子供給用の原料ガスとなり得る
物質としては、SiH4、Si26、Si38、Si4
10などのガス状またはガス化可能の水素化シリコン(シ
ラン類)が挙げられ、その中でも、層形成時の取扱いの
容易さ、Si供給効率の良さなどの点でSiH4、Si2
6が好ましい。また、水素化珪素のほかにも、フッ素
を含む珪素化合物であるいわゆるフッ素置換シラン誘導
体、具体的にはSiF4、Si26などのフッ化珪素
や、SiH3F、SiH22、SiHF3などのフッ素置
換水素化珪素など、ガス状またはガス化可能な物質もS
i供給用ガスとしては有効である。また、これらのSi
供給用ガスを必要に応じてH2、He、Ar、Neなど
のガスによって希釈して使用しても何等差し支えはな
い。また、光導電層102中に伝導性を制御するための
原子を導入することも有効であるし、修飾物質としてフ
ッ素原子などのハロゲン原子を導入することも有効であ
る。
【0061】所望の光受容部材に必要なa−Siから成
る光導電層102を形成するためには、基体の温度を5
0〜500℃、反応容器内のガス圧を5〜100mTo
rrの範囲で適宜設定する必要がある。
【0062】本発明の光受容部材の表面層103は、周
波数20〜450MHzの電磁波を用いたプラズマCV
D法で形成され、所望の機械的特性、電気的特性、耐環
境性などを有する炭素原子を母体とする非単結晶炭素系
材料から成る。
【0063】例えば、アモルファス炭素(a−C)から
成る表面層の形成は、基本的には、前もって光導電層な
どが形成された基体が所定の位置に設置されている減圧
可能な反応容器内に、炭素(C)を含む原料ガスと希釈
ガスである水素ガスとを導入し、周波数20〜450M
Hzの電磁波を用いてその反応容器内にグロー放電を生
起せしめ、基体上に堆積膜を形成することによって行な
われる。
【0064】炭素原子導入用の原料ガスとして有用なも
のとしては、例えば炭素数1〜4の飽和炭化水素、炭素
数2〜3のエチレン系炭化水素、炭素数2〜3のアセチ
レン系炭化水素などが挙げられる。具体的には、飽和炭
化水素としては、メタン(CH4)、エタン(C
26)、プロパン(C38)、n−ブタン(n−C4
10)などがあり、エチレン系炭化水素としては、エチレ
ン(C24)、プロピレン(C 36)などがあり、アセ
チレン系炭化水素としては、アセチレン(C22)、メ
チルアセチレン(C34)などがある。その他に、CF
4、C26、C38、C48などのフッ化炭素化合物も
炭素供給用ガスとして使用できる。
【0065】また、これらの炭素供給用原料ガスを必要
に応じてH2、He、Ar、Neなどのガスによって希
釈して使用しても良い。さらに、Si(CH34、Si
(C 254などの珪化アルキルを上記の原料ガスと併
用することもできる。
【0066】本発明に使用される上記のような原料ガス
は、各々異なる供給源(ボンベ)から供給しても良い
し、あるいは予め一定の濃度で混合されたガスとして供
給することもできる。
【0067】表面層103の層厚は、所望の電子写真特
性の達成、経済的効果などの点から、好ましくは0.0
1〜30μm、より好ましくは0.05〜20μm、最
適には0.1〜10μmとする。
【0068】本発明において表面層103を形成する条
件は、所望の電子写真特性が得られるよう適宜選択する
ことができる。例えば、基体温度は適宜最適範囲が設定
されるが、好ましくは20〜700℃、より好ましくは
50〜680℃、最適には100〜650℃とする。ま
た、反応容器内のガス圧も適宜最適範囲が設定される
が、好ましくは1×10-5〜100Torr、より好ま
しくは5×10-5〜30Torr、最適には1×10-4
〜10Torrとする。さらに、原料ガスの分解のため
に印加するVHF帯域の電磁波のパワーは、基体一個当
たり通常10〜5000W、好適には20〜2000W
とするのが好ましい。
【0069】表面層103を形成するための基体温度、
ガス圧の望ましい範囲などについて前記で例示したが、
通常はこれらの設定を個々独立に行なうことはできな
い。従って、所望の特性の光受容部材を形成するには、
各因子の相互関連に基づいて最適条件を決めるのが望ま
しい。
【0070】本発明の光受容部材では、光導電層と表面
層の界面部分に組成などが連続的に変化するような領域
を設けることもできる。この領域の厚さは、実質的に光
導電層と表面層の間の界面とみなせる程度のものであ
る。すなわち、光導電層と表面層の間をなだらかに接続
するものであるが、組成、光学特性などについて界面の
特定ができなくなるほど厚いものであってはならない。
【0071】また本発明の方法によって形成される電子
写真用光受容部材の層構成中に、電子写真用光受容部材
としての所望の特性を得るために、必要に応じて上記光
導電層と表面層以外に、密着層、下部電荷注入阻止層な
どを設けることもできる。
【0072】次に、本発明の光受容部材形成を、図2を
用いて具体的に説明する。
【0073】この装置は大別すると、堆積装置200
0、原料ガス供給装置2200、反応容器2111内を
減圧とするための排気装置(不図示)、電磁波を発生さ
せるための電源2120から構成されている。堆積装置
2000中の反応容器2111内には、基体2112、
基体加熱用ヒーター2113、原料ガス導入管2114
が設置され、さらに高周波マッチングボックス2115
を介して電源2120が接続されている。
【0074】原料ガス供給装置2200は、SiH4
2、CH4、He、C22、SiF4などの原料ガスの
ボンベ2221〜2226とバルブ2231〜223
6,2241〜2246,2251〜2256およびマ
スフローコントローラー2211〜2216から構成さ
れ、各原料ガスのボンベはバルブ2260を介して反応
容器2111内のガス導入管2114に接続されてい
る。
【0075】以下、図2の装置を用いた、本発明の電子
写真用光受容部材の形成手順の1例について説明する。
【0076】先ず反応容器内に円筒状の基体2112を
設置し、不図示の排気装置(例えば真空ポンプ)によ
り、反応容器2111内を排気する。続いて、基体加熱
用ヒーター2113により基体2112の温度を20〜
500℃の範囲の所定の温度に制御する。
【0077】堆積膜形成用の原料ガスを反応容器211
1に流入させるには、ガスボンベのバルブ2231〜2
236、反応容器のリークバルブ2117が閉じられて
いることを確認し、また、流入バルブ2241〜224
6、流出バルブ2251〜2256、補助バルブ226
0が開かれていることを確認して、先ずメインバルブ2
118を開いて、反応容器2111およびガス配管21
16内を排気する。
【0078】次に、真空計2119の読みが約5×10
ー6Torrとなった時点で、補助バルブ2260、流出
バルブ2251〜2256を閉じる。
【0079】その後、ガスボンベ2221〜2226よ
り各ガスをバルブ2231〜2236を開いて導入し、
圧力調整器2261〜2266により各ガス圧を2kg
/cm2に調整する。次に、流入バルブ2241〜22
46を徐々に開けて、各ガスをマスフローコントローラ
ー2211〜2216内に導入する。
【0080】以上のようにして、成膜の準備が完了した
後、基体2112上に光導電層の形成を行なう。
【0081】基体2112が所定の温度となったところ
で、流出バルブ2251〜2256のうち必要なものお
よび補助バルブ2260を徐々に開き、ガスボンベ22
21〜2226から所定のガスをガス導入管2114を
介して反応容器内に導入する。次に、マスフローコント
ローラー2211〜2216により、各原料が所定の流
量で流れるように調整する。その際、反応容器2111
内の圧力が1Torr以下の所定の圧力となるように真
空計2119を見ながらメインバルブ2118の開口を
調整する。内圧が安定したところで、電源2120を所
望の電力に設定して、高周波マッチングボックス211
5を通じて反応容器2111内に周波数20〜450M
Hzの高周波電力を導入し、グロー放電を生起させる。
この放電エネルギーによって、反応容器内に導入された
原料ガスが分解され、基体2112上に所定の光導電層
が形成される。所望の膜厚の形成が終了した後、電磁波
の供給を停止し、流出バルブを閉じて反応容器へのガス
の流入を停止し、光導電層の形成を終える。
【0082】表面層を形成する場合は、原料ガスをSi
系から炭素系へ変えて、圧力、高周波電力を変化させ
て、上記の操作を繰り返せば良い。その際、原料ガスの
変化は徐々に連続的に行なうのがより効果的である。そ
の他の層の形成の場合も、原料ガスの変化、圧力の変
化、高周波電力の変化を施して、上記の操作を繰り返す
ことによって行なう。
【0083】膜形成を行なっている間は、基体2112
を駆動装置(不図示)によって所定の速度で回転させて
も良い。
【0084】本発明の光受容部材において、各層間で組
成などの変化が連続的になるように変化層を設ける場
合、例えば、光導電層と表面層との間に中間層を設ける
場合には、上記の操作により光導電層を形成した後、高
周波電力の供給を停止せずに、原料ガスの流量条件を徐
々に表面層形成の条件に遷移させていくなどの方法をと
ることができる。
【0085】このとき、原料ガスの流量を変化させると
同時に、変化層形成時の所望の条件が得られるように、
電源2120の出力およびメインバルブ2118の開口
などを適宜調整する。また、原料ガスの流量を変える際
に、ガスの突出などによる極端な圧力変化が生じないよ
うに十分配慮すべきであることは言うまでもない。この
変化層領域の厚さは、前記のように光導電層と表面層の
間に実質的に界面を形成する程度であれば良い。
【0086】それぞれの層を形成する際には、必要なガ
ス以外の流出バルブが全て閉じられているべきであるこ
とは言うまでもなく、また、それぞれのガスが反応容器
2111内、流出バルブ2251〜2256から反応容
器2111に至る配管内に残留することを避けるため
に、必要に応じて、流出バルブ2251〜2256を閉
じ、補助バルブ2260を開き、さらにメインバルブ2
118を全開にして、系内を一旦高真空に排気する操作
を行なう。また、上述のガス種およびバルブ操作は、各
々の層の作製条件に従って変わることは言うまでもな
い。
【0087】さらに、カソード電極にバイアスを印加す
るためには、図2のように接続されたローパスフィルタ
ー2122とバイアス電源2123を用いる。
【0088】基体の加熱方法は、真空仕様である発熱体
を用いるものであればよく、より具体的にはシース状ヒ
ーターの巻き付けヒーター、板状ヒーター、セラミック
ヒーターなどの電気抵抗発熱体、ハロゲンランプ、赤外
線ランプなどの熱放射ランプ発熱体、液体、気体などを
温媒とする熱交換手段を用いる発熱体などが挙げられ
る。加熱手段の表面材質には、ステンレス、ニッケル、
アルミニウム、銅などの金属類、セラミックス、耐熱性
高分子樹脂などを使用することができる。またそれ以外
にも、反応容器外に加熱専用の容器を設けて基体を加熱
した後、それを反応容器内に真空下に搬送するなどの手
法を用いることもできる。
【0089】次に、電磁波の周波数および表面層の水素
原子含有量が作製される光受容部材の諸特性にどのよう
に影響するかを知るために以下の実験を行なった。
【0090】鏡面加工を施し、脱脂洗浄したアルミニウ
ムシリンダーを基体として使用し、図2、図3または図
10の製造装置を用いて、表1の条件で、炭素原子を母
体とする非単結晶炭素系材料から成る表面層を有する電
子写真用光受容部材を形成した。
【0091】
【表1】 プロパン(C38)を炭素原子導入用ガスとし、希釈ガ
スとして水素を用いたが、各ガスの導入量は表面層中の
水素原子含有量が所望の値となるように調整したもので
ある。また、電磁波の周波数としては、13.56、2
0、105および450MHzならびに2.45GHz
の5種類とした。13.56MHzの場合は図10の装
置、20〜450MHzの場合は図2の装置を用い、
2.45GHzの場合は図3の装置を用いた。
【0092】作製した光受容部材を電子写真装置(キャ
ノン社製NP−6060を本テスト用に改造したもの)
にセットして、帯電能、強露光時の画像流れの評価を行
なった。
【0093】帯電能は、暗状態における電流値一定での
コロナ放電によって光受容部材表面を帯電させ、その時
の現像器位置での光受容部材表面電位を示すものであ
り、その値が高い方が光受容部材の特性が良好であると
言える。
【0094】感度は、まず暗状態において現像器位置で
の光受容部材表面電位が400Vとなるように帯電電流
値を調整した後、潜像形成用のハロゲン光を照射して、
一定量の表面電位の減衰が得られた時点での露光強度で
表わし、値が小さい方が光受容部材としては良好であ
る。
【0095】強露光時の画像流れの評価に関しては、ま
ず暗状態において現像器位置での光受容部材表面電位が
400Vとなるように帯電電流値を調整した後、潜像形
成用のハロゲン光を約2ルクス秒の強度で照射し、多数
の細かい線が描かれている原稿を複写して、その得られ
た画像について、光を当てた部分と当てない部分の境目
のボケ具合の長さを測定し、各画像の広がった長さを相
対比較することにより判断した。従って、この値は小さ
い方が強露光時における画像流れがなく良好であると言
える。
【0096】高湿環境下での画像流れは、気温35℃、
湿度85%の環境下において、まず暗状態において現像
器位置での光受容部材表面電位が400Vとなるように
帯電電流値を調整した後、潜像形成用のハロゲン光を前
記の感度を得られる露光強度で照射し、多数の細かい線
画描かれている原稿を複写して、その得られた画像の光
を当てた部分と当てない部分の境目のボケ具合の長さを
測定して、各画像の広がった長さを相対比較することに
よって判断した。従って、この値は小さい方が強露光時
における画像流れがなく良好であると言える。
【0097】図5〜9は各周波数(13.56、20、
105および450MHzならびに2.45GHz)に
おいて表面層中の水素原子の含有量を変化させたときの
帯電能、感度、強露光画像流れおよび高湿画像流れの変
化を示したものである。これらの図から、表面層を炭素
を母体とした非単結晶炭素系材料の層とする光受容部材
作製の際に、電磁波の周波数を20〜450MHzで、
表面層の水素原子含有量が8〜45原子%の範囲である
場合に、特性的に優れた光受容部材が得られることがわ
かる。
【0098】
【実施例】次に、本発明を実施例および比較例を用いて
さらに具体的に説明するが、本発明はこれらによって何
ら限定されるものではない。なお、これ以降「含有量」
とは、ある層の単位量内に含まれる特定元素の量の割合
を示す。
【0099】(実施例1)鏡面加工を施し、脱脂洗浄し
たアルミニウムシリンダーを基体として使用し、図2の
製造装置を用いて電子写真用光受容部材を形成した。こ
の時、電磁波の周波数を20〜600MHzの範囲で変
化させ、表2に示した条件で形成を行なった。
【0100】
【表2】 この際、表面層中の水素含有量は20原子%となるよう
に各ガス量を調整した。この光受容部材を電子写真装置
(キャノン社製NP−6060を本テスト用に改造した
もの)にセットして、通常の電子写真プロセスにより画
像を形成し、「白ポチ」、画像流れ、ゴースト、「黒す
じ」、帯電能、強露光画像流れなどの項目について初期
画像評価を行なった。さらに、同じ光受容部材に400
万枚連続して画像形成を行なう耐久試験(以下、耐久試
験と表記)を行なった後、再び上記の項目について評価
を行なった。
【0101】これらの項目の評価基準は以下の通りとし
た。
【0102】(1)白ポチ キャノン製全面黒チャート(部品番号:FY9−907
3)を原稿台に置き、コピーした時に得られたコピー画
像の同一面積内にある直径0.2mm以下の白ポチにつ
いて、その数を数え、以下の評価を与えた。
【0103】◎:「特に良好」 ○:「良好」 △:「実用上問題なし」 ×:「実用上問題有り」。
【0104】(2)画像流れ 白地に全面文字より成るキャノン製テストチャート(部
品番号:FY9−9058)を原稿台に置き、通常の露
光量で照射し、コピーを取った。こうして得られた画像
を観察し、画像上の細線が途切れずにつながっているか
を、以下の4段階で評価した。なお、画像上でむらがあ
るときは、全画像域で最も悪い部位で評価した。
【0105】◎:「良好」 ○:「一部途切れあり」 △:「途切れが多いが文字として判読でき、実用上問題
ない」 ×:「途切れが多く文字として判読しにくく、実用上問
題有り」。
【0106】(3)ゴースト キャノン製ゴーストテストチャート(部品番号:FY9
−9040)に反射濃度1.1、直径5mmの黒丸を貼
り付けたものを原稿台に置き、その上にキャノン製中間
調チャートを重ねて置いた際のコピー画像において、中
間調コピー上に認められるゴーストチャートの直径5m
mの黒丸の反射濃度と中間調部分の反射濃度との差を測
定、評価した。評価基準は下記の通りである。
【0107】◎:「特に良好」 ○:「良好」 △:「実用上問題なし」 ×:「実用上問題有り」。
【0108】(4)黒すじ キャノン製中間調チャート(部品番号:FY9−904
2)を原稿台に置き、コピーをした時に得られたコピー
画像を、特に光受容部材上で分離爪が当る箇所に対応す
る位置に注目して目視にて点検し、長さ3mm以上の他
の部分より濃度の濃いすじが確認できるかを調べた。評
価は以下の通りである。
【0109】◎:「全く確認できない」 ○:「わずかに確認できる」 △:「確認できるが程度が軽微であり、実用上問題な
し」 ×:「容易に確認でき、実用上問題有り」。
【0110】(5)帯電能 前記の方法と同様にして行なった。評価は以下の通りで
ある。
【0111】◎:「特に良好」 ○:「良好」 △:「実用上問題なし」 ×:「実用上問題有り」。
【0112】(6)感度 光受容部材を、一定の暗部表面電位に帯電させ、直ちに
光像を照射した。光像はキセノンランプ光源を用い、フ
ィルターを用いて550nm以下の波長域の光を照射し
た。この時、表面電位計により光受容部材の明部表面電
位を測定した。明部表面電位が所定の値となるよう露光
量を調整し、この時の露光量をもって感度とし、下記の
基準で評価した。
【0113】◎:「特に良好」 ○:「良好」 △:「実用上問題なし」 ×:「実用上問題有り」。
【0114】(7)強露光画像流れ 前記の方法と同様にして行なった。評価基準は以下の通
りである。
【0115】◎:「特に良好」 ○:「良好」 △:「実用上問題なし」 ×:「実用上問題有り」。
【0116】(8)高湿画像流れ 前記の方法と同様にして行なった。評価基準は以下の通
りである。
【0117】◎:「特に良好」 ○:「良好」 △:「実用上問題なし」 ×:「実用上問題有り」。
【0118】結果は表3に示した。
【0119】
【表3】 (比較例1)図10に示した堆積膜形成装置に周波数1
3.56MHzの高周波数電源および高周波マッチング
ボックスを接続し、13.56MHzの電磁波を用いて
原料ガスを分解した以外は、実施例1と同様にして光受
容部材を作製した。こうして得られた光受容部材につい
て、実施例1と同様に初期画像と耐久試験後画像の評価
を行なった。その結果は、実施例1の結果と共に表3に
示した。
【0120】この表から、本発明の形成方法によって形
成された実施例1の光受容部材に、主として界面部分の
改質による電子写真特性の向上が認められた。
【0121】(実施例2)鏡面加工を施し、脱脂洗浄し
たアルミニウムシリンダーを基体として使用し、図2の
製造装置を用いて、実施例1と同様の手順で、電磁波の
周波数を20〜450MHzの範囲で変化させ、表4に
示した条件で電子写真用光受容部材を形成した。
【0122】
【表4】 こうして得られた光受容部材を実施例1と同様に、初期
画像および耐久試験後画像について評価した。結果は表
5に示す。
【0123】
【表5】 (比較例2)図3A、Bおよび図4に示した、周波数
2.45GHzのマイクロ波を用いたマイクロ波プラズ
マCVD法による堆積膜形成装置を用いて、以下に示す
手順で上記の表4に示した条件で光受容部材を形成し
た。
【0124】先ず反応容器3111内に予め脱脂洗浄し
た円筒状の基体3115を設置し、駆動装置3120に
よって基体3115を回転し、不図示の排気装置(例え
ば真空ポンプ)により、反応容器3111内を排気管3
121を介して排気して、反応容器3111内の圧力を
1×10-6Torr以下に調整した。続いて、基体加熱
用ヒーター3116により基体3115の温度を所定の
温度330±20℃に加熱保持した。
【0125】堆積膜形成用の原料ガスを反応容器311
1に流入させるには、ガスボンベのバルブ3231〜3
236、反応容器のリークバルブ(不図示)が閉じられ
ていることを確認し、また、流入バルブ3241〜32
46、流出バルブ3251〜3256、補助バルブ32
60が開かれていることを確認して、まずメインバルブ
(不図示)を開いて反応容器3111およびガス配管3
118内を排気した。次に、真空計(不図示)の読みが
約5×10ー6Torrとなった時点で、補助バルブ32
60、流出バルブ3251〜3256を閉じた。その
後、ガスボンベ3221〜3226より各ガスをバルブ
3231〜3236を開いて導入し、圧力調整器326
1〜3266により各ガス圧を2kg/cm2に調整し
た。次に、流入バルブ3241〜3246を徐々に開け
て、各ガスをマスフローコントローラー3211〜32
16内に導入した。
【0126】以上のようにして、成膜の準備が完了した
後、円筒状の基体3115上に光導電層、表面層の各層
の形成を行なった。
【0127】円筒状基体3115が所定の温度となった
ところで、流出バルブ3251〜3256のうち必要な
ものおよび補助バルブ3260を徐々に開き、ガスボン
ベ3221〜3226から所定のガスをガス導入管31
17を介して反応容器3111内の放電空間3136に
導入した。
【0128】次に、マスフローコントローラー3211
〜3216により、各原料が所定の流量で流れるように
調整した。その際、放電空間3130内の圧力が1To
rr以下の所定の圧力となるように真空計(不図示)を
見ながらメインバルブ(不図示)の開口を調整した。圧
力が安定したところで、2.45GHzのマイクロ波を
発生させ、マイクロ波電源(不図示)を所望の電力に設
定して、導波管3113、マイクロ波導入窓3112を
介して、放電空間3130にマイクロ波エネルギーを導
入して、グロー放電を生起させた。こうして原料ガスは
マイクロ波のエネルギーによって励起されて解離し、基
体3115上に所定の光導電層が形成された。同様の操
作を複数回繰り返すことによって、所望の多層構造の光
受容層を形成した。
【0129】以上の手順で作製した光受容部材を実施例
1と同様にして、初期画像および耐久試験後画像の評価
を行なった。結果は実施例2と共に表5に示した。
【0130】表5に示した結果から、本発明の形成方法
によって得られた光受容部材は、主として界面部分の改
質により、従来法によって得られたものより電子写真特
性が向上していることがわかる。
【0131】(実施例3)鏡面加工を施し、脱脂洗浄し
たアルミニウムシリンダーを基体として使用し、図2の
製造装置を用いて、実施例1と同様の手順で、電磁波の
周波数を20〜450MHzの範囲で変化させ、また、
カソード電極に印加するバイアス電圧(V1)とカソー
ド電極にバイアス電圧を印加しないときにカソード電極
にかかるセルフバイアス電圧(V2)との差のバイアス
電圧(V0)(以下、単にバイアス電圧(V0)と称す
る)を50〜200Vの範囲で変化させ、表6に示した
条件で電子写真用光受容部材(以下、光受容部材と称す
る)を形成した。
【0132】
【表6】 本実施例においては、光導電層と表面層の間に組成が連
続的に変化する領域を設けて界面とした。また、バイア
ス電圧印加には、実質的に経時変化しない直流電圧を用
いた。
【0133】この光受容部材も実施例1同様の評価に付
した。結果は表7〜15に示した。
【0134】
【表7】
【0135】
【表8】
【0136】
【表9】
【0137】
【表10】
【0138】
【表11】
【0139】
【表12】
【0140】
【表13】
【0141】
【表14】
【0142】
【表15】 (比較例3)バイアス電圧の効果を比較するため、バイ
アス電圧(V0)を0V(バイアス電圧を印加しない実
施例1に相当)、250Vとした以外は、実施例3と同
様にして光受容部材を作製した。得られた光受容部材を
実施例1と同様に、初期画像と耐久性試験後画像につい
て評価した。結果は、上記の実施例3とともに表7〜1
5に示した。
【0143】これら表7〜15に示した結果から、バイ
アス電圧(V0)が0≦V0≦200Vの範囲にある場合
に良好な結果が得られている。また、バイアス電圧(V
0)を250Vとした電子写真用光受容部材の表面を顕
微鏡で観察したところ、バイアス電圧(V0)≦200
Vのものと比較して球状突起が大幅に多く、この一部が
「白ポチ」となって画像上に現われているのが観察され
た。
【0144】(実施例4)鏡面加工を施し、脱脂洗浄し
たアルミニウムシリンダーを基体として使用し、図2の
製造装置を用いて、実施例1と同様の手順で、電磁波の
周波数を20〜450MHzの範囲で変化させ、また、
バイアス電圧(V0)を50〜200Vの範囲で変化さ
せ、表16に示した条件で光受容部材を形成した。
【0145】
【表16】 本実施例においては、光導電層と表面層の間に組成の連
続的に変化する領域を設けて界面とし、またバイアス電
圧は、実質的に経時変化しない直流電流を使用した。
【0146】このようにして得られた光受容部材につい
て、実施例1と同様に初期画像および耐久性試験後画像
の評価を行なった。結果は表17〜25に示す。
【0147】
【表17】
【0148】
【表18】
【0149】
【表19】
【0150】
【表20】
【0151】
【表21】
【0152】
【表22】
【0153】
【表23】
【0154】
【表24】
【0155】
【表25】 (比較例4)周波数の効果を比較するため、図10に示
した堆積膜形成装置を用いて、原料ガスを分解した以外
は実施例4と同様にして光受容部材を作製した。得られ
た光受容部材について、実施例1と同様に初期画像およ
び耐久性試験後画像を評価した。結果は、実施例4とと
もに表17〜25に示した。
【0156】これら表17〜25に示した結果から、周
波数20〜450MHzおよびバイアス電圧(V0)0
<V0≦200Vの場合に、主として界面部分の改質に
より、従来法によって形成されたものと比較して、電子
写真特性が向上することがわかる。また、周波数が51
〜250MHzの範囲の場合に、より顕著な効果が認め
られた。
【0157】(実施例5)鏡面加工を施し、脱脂洗浄し
たアルミニウムシリンダーを基体として使用し、図2の
製造装置を用いて、実施例1と同様の手順で、電磁波の
周波数を20〜450MHzの範囲で変化させ、また、
バイアス電圧(V0)を50〜200Vの範囲で変化さ
せ、表26に示した条件で光受容部材を形成した。
【0158】
【表26】 本実施例においては、光導電層と表面層の間に組成の連
続的に変化する領域を設けて界面とし、またバイアス電
圧は、実質的に経時変化しない直流電流を使用した。
【0159】このようにして得られた光受容部材につい
て、実施例2と同様に初期画像および耐久性試験後画像
の評価を行なった。結果は表27〜35に示す。
【0160】
【表27】
【0161】
【表28】
【0162】
【表29】
【0163】
【表30】
【0164】
【表31】
【0165】
【表32】
【0166】
【表33】
【0167】
【表34】
【0168】
【表35】 (比較例5)図3A、Bおよび図4に示した、周波数
2.45GHzのマイクロ波を用いるマイクロ波プラズ
マCVD法による堆積膜形成装置によって、表26の条
件で、比較例2と同様の手順で光受容部材を形成し、実
施例1と同様の評価を行なった。結果は、実施例5の結
果とともに表27〜35に示した。
【0169】これら表27〜35に示した結果から、周
波数20〜450MHzの場合に、主として界面部分の
改質により、電子写真特性が良好であることがわかる。
さらに、周波数が51〜250MHzの範囲の場合に
は、より顕著な効果が認められた。
【0170】(実施例6)鏡面加工を施し、脱脂洗浄し
たアルミニウムシリンダーを基体として使用し、表36
に示した条件で、実施例1および3と同様にして光受容
部材を形成した。
【0171】
【表36】 実施例1と同様の条件で作製したものを試料6A、実施
例3と同様の条件で作製したものを試料6Bとした。表
面層中の水素含有量は20原子%となるように各ガス量
を調整した。これらの試料について、実施例1と同様の
評価を行ない、結果は表37に示した。
【0172】
【表37】 (実施例8)鏡面加工を施し、脱脂洗浄したアルミニウ
ムシリンダーを基体として使用し、図2の製造装置を用
いて、表38に示した条件で光受容部材を10ロット形
成した。
【0173】
【表38】 本実施例においては、光導電層と表面層の間に組成が連
続的に変化する領域を設けて界面とした。また、バイア
ス電圧印加は、実質的に経時変化しない直流電圧によっ
て行なった。
【0174】得られた10ロットの光受容部材を試料1
〜10とし、実施例1同様に、初期画像および耐久試験
後画像について評価を行なった。結果は表39に示し
た。
【0175】
【表39】 (比較例7)バイアス電圧が電子写真特性の再現性に与
える効果を比較するため、バイアス電圧(V0)を0V
(バイアス電圧を印加しない)とした以外は、実施例5
と同様にして光受容部材を10ロット作製した。得られ
た光受容部材を試料11〜20とし、それぞれの試料に
ついて実施例1と同様に、初期画像と耐久性試験後画像
について評価を行なった。結果は表40に示した。
【0176】
【表40】 以上の表39および40に示した結果から、本発明の方
法で作製した光受容部材の特性が、従来法で作製された
ものに比べて、主として界面部分の改質により、優れた
電子写真特性を有しかつ特性の再現性が良好であること
がわかる。
【0177】(実施例8)鏡面加工を施し、脱脂洗浄し
たアルミニウムシリンダーを基体として使用し、図2の
製造装置を用いて、実施例1と同様の手順で、表41に
示した条件で光受容部材を形成した。
【0178】
【表41】 本実施例においては、光導電層と表面層の間に組成が連
続的に変化する領域を設けて界面とした。また、バイア
ス電圧の印加は、周波数60Hz、Vp-p100Vの交
流電圧に50Vの直流電圧を重畳したものを用いた。得
られた光受容部材について、実施例1と同様に初期画像
および耐久試験後画像を評価した。結果は表43に示し
た。
【0179】(実施例9)表42に示した条件で、実施
例8と同様に光受容部材の作製・評価を行なった。評価
の結果は表43に示した。
【0180】
【表42】
【0181】
【表43】 表43に示した結果から、本発明の方法によって作製さ
れた光受容部材は、主に界面特性が改善されて、優れた
電子写真特性を示すことがわかる。
【0182】(実施例10)表44の条件で、電荷注入
阻止層、光導電層、表面層の3層から成る阻止型電子写
真用光受容部材を、実施例8と同様の手順で作製した。
【0183】
【表44】 得られた光受容部材は、実施例1と同様に評価し、その
結果は表47に示した。 (実施例11)表45の条件で、IR吸収層、電荷注入
阻止層、光導電層、表面層の4層から成る阻止型電子写
真用光受容部材を、実施例8と同様の手順で作製した。
【0184】
【表45】 得られた光受容部材は、実施例1と同様に評価し、その
結果は表47に示した。 (実施例12)表46の条件で、電荷注入阻止層、電荷
輸送層、電荷発生層、表面層の4層から成る機能分離阻
止型電子写真用光受容部材を、実施例8と同様の手順で
作製した。
【0185】
【表46】 得られた光受容部材は、実施例1と同様に評価し、その
結果は表47に示した。
【0186】
【表47】 表47に示した結果から、本発明の方法によって作製さ
れた光受容部材は、優れた電子写真特性を示すことがわ
かる。
【0187】
【発明の効果】本発明の方法によって多層構造の光受容
部材を形成することによって、主として界面部分が改質
されて、「白ポチ」、画像流れ、ゴースト、「黒す
じ」、感度などの面で改善された電子写真特性の優れ
た、しかも耐久性、耐環境性、高速性および再現性に優
れた電子写真用光受容部材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法で形成される光受容部材の層構成
を示す模式的断面図である。
【図2】本発明に用いる堆積膜形成装置の1例の模式的
断面図である。
【図3】光受容層形成に用いるマイクロ波プラズマCV
D装置の図であり、Aは、その模式的断面図であり、B
は、A中のX−X線断面図である。
【図4】図3の装置を含む堆積膜形成装置の1例の模式
的断面図である。
【図5】周波数13.56MHzでの、表面層水素含有
量と電子写真特性との関係図である。
【図6】周波数20MHzでの、表面層水素含有量と電
子写真特性との関係図である。
【図7】周波数105MHzでの、表面層水素含有量と
電子写真特性との関係図である。
【図8】周波数450MHzでの、表面層水素含有量と
電子写真特性との関係図である。
【図9】周波数2.45GHzでの、表面層水素含有量
と電子写真特性との関係図である。
【図10】本発明に用いる堆積膜形成装置の別の例の模
式的断面図である。
【符号の説明】
100 電子写真用光受容部材 101 基体 102 光導電層 103 表面層 2000 堆積装置 2111 反応容器(カソード電極) 2112 基体 2113 基体加熱用ヒーター 2114 ガス導入管 2115 高周波マッチングポンプ 2116 ガス配管 2117 リークバルブ 2118 メインバルブ 2119 真空計 2120 高周波電源 2121 絶縁体 2122 ローパスフィルター 2123 バイアス電源 2200 ガス供給装置 2211〜2216 マスフローコントローラー 2221〜2226 ボンベ 2231〜2236 バルブ 2241〜2246 バルブ 2251〜2256 バルブ 2260 バルブ 3100 堆積装置 3111 反応容器 3112 マイクロ波導入窓 3113 導波管 3114 ホルダー 3115 基体 3116 基体加熱用ヒーター 3117 ガス導入管 3118 ガス配管 3120 駆動装置 3121 排気管 3122 バイアス電極 3123 バイアス電源 3130 放電空間 3200 原料ガス供給装置 3211〜3216 マスフローコントローラー 3221〜3226 ボンベ 3231〜3236 バルブ 3241〜3246 流入バルブ 3251〜3256 流出バルブ 3260 補助バルブ 3261〜3266 圧力調整器 6000 堆積装置 6111 反応容器(カソード電極) 6112 基体 6113 基体加熱用ヒーター 6114 ガス導入管 6115 RFマッチングボックス 6116 ガス配管 6117 リークバルブ 6118 メインバルブ 6119 真空計 6120 RF電源 6121 絶縁体 6200 ガス供給装置 6211〜6216 マスフローコントローラー 6221〜6226 ボンベ 6231〜6236 バルブ 6241〜6246 バルブ 6251〜6256 バルブ 6260 バルブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 秋山 和敬 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 櫃石 光治 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 大利 博和 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリコン原子を母体とする非単結晶シリ
    コン系材料から成る1つ以上の光導電層および炭素原子
    を母体とする非単結晶炭素系材料から成る表面層を基体
    上に順次積層する電子写真用光受容部材形成方法におい
    て、光導電層および表面層の積層を、周波数20MHz
    〜450MHzの電磁波により生起されるグロー放電で
    原料ガスを分解するプラズマCVD法によって、連続的
    に行なうことを特徴とする電子写真用光受容部材形成方
    法。
  2. 【請求項2】 電磁波の周波数を51MHz〜250M
    Hzとする、請求項1に記載の電子写真用光受容部材形
    成方法。
  3. 【請求項3】 表面層形成時の条件を調整することによ
    り、表面層の水素原子含有量を8〜45原子%とする、
    請求項1または2に記載の電子写真用光受容部材形成方
    法。
  4. 【請求項4】 表面層形成時に調整する条件が、放電空
    間内に導入する水素ガスの流量、放電電力、印加するバ
    イアス電圧、支持体温度、放電空間内の圧力、放電空間
    内に導入するガスの種類および/または放電空間内に導
    入するガスの流量である、請求項3に記載の電子写真用
    光受容部材形成方法。
  5. 【請求項5】 カソード電極に直流および/または交流
    のバイアス電圧を印加する、請求項1ないし4のいずれ
    かに記載の電子写真用光受容部材形成方法。
  6. 【請求項6】 バイアス電圧(V1)を、該バイアス電
    圧が、グロー放電時にバイアス電圧を印加しない場合の
    カソード電極のセルフバイアス電圧(V2)に対して、
    0≦V1−V2≦200Vの関係を有するように設定す
    る、請求項5に記載の電子写真用光受容部材形成方法。
  7. 【請求項7】 交流のバイアス電圧の周波数を2MHz
    以下とする、請求項5または6に記載の電子写真用光受
    容部材形成方法。
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