JP5777419B2 - 電子写真感光体および電子写真装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真感光体および電子写真装置に関するものである。
電子写真装置は、表面に潜像(静電潜像)およびトナー像が形成される電子写真感光体を備えている。電子写真感光体には、電子写真特性(帯電能、感度(光感度)、残留電位などの電位特性や、解像度、階調性などの画像特性など)の質および安定性、ならびに、耐久性(耐摩耗性、耐刷性、耐環境性、耐薬品性など)が求められる。また、電子写真感光体としては、円筒状基体(以下単に「基体」とも表記する。)上に光導電層を形成してなるものが一般的に使用されている。基体としては、アルミニウムなどの金属製(合金製)のものが一般的に使用されている。
光導電層を構成する光導電性材料には、高感度であり、SN比(光電流(Ip)/暗電流(Id))が高く、電子写真感光体に照射される電磁波(画像露光光など)のスペクトル特性に適合した吸収スペクトルを有し、光応答性が早く、所望の暗抵抗値を有することが求められる。
このような点に優れた性質を示す光導電性材料として、水素原子を含むアモルファスシリコン(ケイ素原子を母体とし、水素原子を含むアモルファス材料)があり、電子写真感光体の光導電層を構成する材料として実用化されている。水素原子を含むアモルファスシリコンを、以下「a−Si」とも表記する。
a−Siで構成された光導電層(以下「a−Si光導電層」または単に「光導電層」とも表記する。)は、一般的に、50〜400℃に加熱された基体上に、真空蒸着法、スパッタリング法、熱CVD法、光CVD法、プラズマCVD法などの成膜方法によって形成される。これらの成膜方法の中でも、プラズマCVD法は、原料ガス(原料物質)を高周波またはマイクロ波グロー放電によって分解し、基体上にa−Si堆積膜を形成する方法として好適に使用されている。さらに、このように形成したa−Si光導電層上に、摩耗や、温度、湿度などの使用環境に対して耐久性を付与する表面層を形成することで、実用に適した電子写真感光体が製造されている。
近年は、電子写真装置のカラー化(フルカラー化)が顕著であり、電子写真感光体にも、カラー用の電子写真装置に搭載できることが求められている。カラー画像を出力する電子写真装置においては、文字原稿のみならず、写真、絵、デザイン画などの出力も頻繁に行われる。そのため、高解像度化、画像濃度ムラの抑制、画像欠陥の抑制などが、モノクロ用の電子写真装置以上に強く求められるようになっている。
特に、画像濃度ムラの抑制に対する要求は年々高くなっている。例えば、風景写真の青空部分などに相当するハーフトーン領域においては、わずかな濃度ムラも非常に目立つため、従来にも増して、画像濃度ムラを抑制することが求められるようになってきた。
ところが、a−Si光導電層を一般的な上記成膜方法で形成する場合、前述のとおり、基体を50〜400℃に加熱する必要がある。このようにして基体上にa−Si光導電層を形成した場合、基体の端部の変形による、電子写真感光体の端部変形が生じることがある。
このような電子写真感光体の端部変形は、基体とa−Si光導電層との熱膨張率の差が大きな要因であると考えられる。すなわち、基体上にa−Si光導電層を形成した後に基体およびa−Si光導電層が冷却された場合、基体とa−Si光導電層の間で、それらの熱膨張率の差に起因する異なった熱収縮量が発生すると考えられる。その結果、基体とa−Si光導電層との間には応力が作用する。このような応力は、一般的に熱収縮量が最も大きな基体の端部において大きく作用するため、基体の端部が変形し、電子写真感光体の端部変形が生じてしまう。あるいは、基体の端部が変形しにくい場合、応力が光導電層のa−Si堆積膜の内部応力となるため、電子写真感光体の端部での膜剥がれ(a−Si光導電層の剥がれ)が発生する場合がある。
基体の端部変形は、電子写真感光体の端部変形を生じさせ、電子写真感光体の寸法精度のレベルを低下させてしまう。このため、例えば、接触現像方式を採用した系においては、電子写真感光体と現像部材が接触する部分で電子写真感光体の表面層が局所的に摩耗しやすくなり、現像の均一性が低下する(現像ムラが起きる)ことで、画像濃度ムラが発生してしまう。また、例えば、コロナ帯電器などの非接触型の帯電方式を採用した系においては、電子写真感光体の寸法精度のレベルの低下により、帯電器と電子写真感光体との間の距離にムラができ、帯電の均一性が低下する(帯電ムラが起きる)ことで、画像濃度ムラが発生してしまう。
特許文献1には、基体の端部変形や電子写真感光体の端部での膜剥がれを抑制するために、非潜像形成領域に基体と光導電層との間に作用する応力を緩和する応力緩和部を設ける方法が開示されている。また、特許文献2には、基体の端部形状の工夫によって変形を抑制する方法が開示されている。
特開2007−179025号公報 特開2004−354967号公報
しかしながら、上記従来技術では、a−Si堆積膜を形成した後に応力緩和部を設けるために、電子写真感光体に対する切削などの機械的な加工またはエッチング処理などの化学的な加工や、基体の加工などが必要となる。そのため、電子写真感光体の製造コストが増加しやすかった。また、上記従来技術では、電子写真感光体を画像形成に使用したときの経時的な膜剥がれは抑制できるが、電子写真感光体の温度変化による端部変形は、十分に抑制することができなかった。
本発明の目的は、画像濃度ムラや画像欠陥の要因となる端部変形および端部での膜剥がれが抑制された電子写真感光体、および、該電子写真感光体を有する電子写真装置を提供することにある。
本発明は、円筒状基体および該円筒状基体上の水素原子を含むアモルファスシリコンで構成された光導電層を有する電子写真感光体において、
該光導電層の円筒軸方向の中央部領域におけるケイ素原子と水素原子との和に対する水素原子の含有率の平均値をHx_ave[原子%]とし、該中央部領域の任意の点におけるケイ素原子と水素原子との和に対する水素原子の含有率をHx[原子%]とし、該光導電層の円筒軸方向の端部領域におけるケイ素原子と水素原子との和に対する水素原子の含有率の平均値をHy_ave[原子%]とし、該端部領域の任意の点におけるケイ素原子と水素原子との和に対する水素原子の含有率をHy[原子%]としたとき、Hx_ave、Hx、Hy_aveおよびHyが下記数式1〜4を満たすことを特徴とする電子写真感光体
10≦Hx_ave≦30 (数式1)
Hx<Hy (数式2)
|Hx_ave−Hx|≦5 (数式3)
2≦Hy_ave−Hx_ave≦12 (数式4)
(ここで、該電子写真感光体の円筒軸方向の長さを一方の端部から他方の端部に向かって順に20%、60%、20%になるように分けたとき、該60%の長さを占める領域が該中央部領域であり、残りの領域が該端部領域である。)である。
また、本発明は、上記電子写真感光体、ならびに、帯電手段、画像露光手段、現像手段および転写手段を有する電子写真装置である。
本発明によれば、画像濃度ムラや画像欠陥の要因となる端部変形および端部での膜剥がれが抑制された電子写真感光体、および、該電子写真感光体を有する電子写真装置を提供することができる。
電子写真感光体の層構成の一例を示す断面図である。 電子写真感光体の光導電層を2層化した層構成の一例を示す断面図である。 RFプラズマCVD法により堆積膜を形成する堆積膜形成装置の一例を示す図である。 中央部領域、端部領域および端部を説明するための図である。 実施例および比較例で用いた電子写真装置の構成を示す図である。 実施例および比較例における電子写真感光体の端部変形の評価の説明をするための図である。
<電子写真感光体>
図1は、電子写真感光体の層構成の一例を示す断面図である。図1に示す電子写真感光体1000は、基体(円筒状基体)1101、および、基体1101上に形成された光導電層1202を有している。さらに、電子写真感光体1000は、基体1101と光導電層1202との間に電荷注入阻止層1201を有し、光導電層1202上に表面層1301を有している。
また、図2は、電子写真感光体の光導電層を2層化した層構成の一例を示す断面図である。図2に示す電子写真感光体2000は、基体(円筒状基体)2101、基体2101に形成された第一の光導電層2202、および、第一の光導電層2202上に形成された第二の光導電層2203を有している。さらに、電子写真感光体2000は、基体2101と第一の光導電層2202との間に電荷注入阻止層2201を有し、第二の光導電層2203上に表面層2301を有している。
(基体(円筒状基体))
基体は、導電性を有するもの(導電性基体(円筒状導電性基体))であればよく、その材質としては、例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、コバルト、鉄、クロム、モリブデン、チタンなどの金属や、これらの合金を用いることができる。これらの中でも、加工性や製造コストの観点から、アルミニウム(アルミニウム合金)が好ましい。アルミニウム合金としては、Al−Mg系合金、Al−Mn系合金が好ましい。
また、基体の表面は、基体洗浄装置で処理される前に、鏡面切削加工されることがある。
(光導電層)
円筒状基体上に形成される光導電層は、電子写真感光体に照射される画像露光光などの光に感度を有する材料で構成される必要がある。本発明において、光導電層は、a−Si(水素原子を含むアモルファスシリコン)で構成される。
a−Si光導電層の中の水素原子の含有量は、要求される電子写真感光体の特性に応じて適宜変化させることができる。含有させた水素原子をケイ素原子の未結合手であるダングリングボンドに結合させたり、ケイ素原子のネットワークを変化させたりすることで、要求される電子写真感光体の特性を得ることができる。本発明において重要な特性である熱膨張率も変化させることができる。熱膨張率の変化については、a−Si光導電層に水素原子を多く含有させることにより、ケイ素原子同士の3次元的なネットワークが抑制され、構造に柔軟性ができ、応力を緩和することができる。このため、熱膨張に起因する応力については、水素原子の含有量が少ない領域と多い領域を隣り合わせることで、水素原子の含有量が少ない領域で発生する応力を、水素原子の含有量が多い領域が持つ構造的な柔軟性により、緩和することができる。また、構造的に応力が集中する部分や構造的に他の箇所より弱い部分に水素原子の含有量が多い領域を設けることで、応力による基体および電子写真感光体の端部変形を緩和することができる。構造的に応力が集中する部分や構造的に他の箇所より弱い部分としては、例えば、片持ち梁のようになる基体の開口部の端部が挙げられる。
これらのことから、後述するように、本発明においては、a−Si光導電層における水素原子の含有量は、円筒軸方向(円筒状である電子写真感光体の長軸方向)の中央部領域と端部領域で異なるように調整される。中央部領域とは、潜像形成領域(画像形成領域)を含み電子写真感光体の大半を占める領域である。具体的には、コストの観点から、円筒軸方向において60%以上の領域であることが好ましく、電子写真感光体の特性の均一性を維持可能ならば、75%以上がより好ましい。また、端部領域とは、非潜像形成領域(非画像形成領域)内の領域であり、電子写真感光体を電子写真装置の回転軸と連動させるためのフランジを用いる場合、端部領域は、フランジを設置する部分を含む領域である。フランジを用いる場合、端部領域は、フランジを設置する部分への加工(例えば、インロー加工)を行う領域を考慮しながら、コストの観点から、円筒軸方向において30%未満にすることが好ましい。光導電層の円筒軸方向の中央部領域を、以下「光導電層の中央部領域」あるいは単に「中央部領域」とも表記する。また、光導電層の円筒軸方向の端部領域を、以下「光導電層の端部領域」あるいは単に「端部領域」とも表記する。
そして、本発明においては、a−Si光導電層における水素原子の含有量の具体的な調整として、光導電層の中央部領域におけるケイ素原子と水素原子との和に対する水素原子の含有率の平均値をHx_ave[原子%]とし、中央部領域の任意の点におけるケイ素原子と水素原子との和に対する水素原子の含有率をHx[原子%]とし、端部領域におけるケイ素原子と水素原子との和に対する水素原子の含有率の平均値をHy_ave[原子%]とし、端部領域の任意の点におけるケイ素原子と水素原子との和に対する水素原子の含有率をHy[原子%]としたとき、Hx_ave、Hx、Hy_aveおよびHyが下記数式1〜4を満たすように水素原子の含有量を調整する。
10≦Hx_ave≦30 (数式1)
Hx<Hy (数式2)
|Hx_ave−Hx|≦5 (数式3)
2≦Hy_ave−Hx_ave≦12 (数式4)
ケイ素原子と水素原子との和に対する水素原子の含有率を、以下単に「水素原子の含有率」とも表記する。
本発明においては、上記数式1で示すように、光導電層の中央部領域における水素原子の含有率の平均値Hx_ave[原子%]は、10≦Hx_ave≦30となるように調整される。Hx_aveが10原子%より小さいと、ケイ素原子の未結合手であるダングリングボンドの増加によって、a−Si光導電層が低抵抗化して、帯電不足になりやすい。Hx_aveが30原子%より大きいと、残留電位が大きくなったり、画像にカブリが発生しやすくなったりする。
また、本発明においては、上記数式2で示すように、光導電層の中央部領域の任意の点における水素原子の含有率Hx[原子%]と端部領域の任意の点における水素原子の含有率Hy[原子%]の大小関係は、Hx<Hyとなるように調整される。
また、本発明においては、上記数式3で示すように、光導電層の中央部領域における水素原子の含有率の平均値Hx_ave[原子%]と中央部領域の任意の点におけるケイ素原子と水素原子との和に対する水素原子の含有率Hx[原子%]の差の絶対値である|Hx_ave−Hx|は、|Hx_ave−Hx|≦5となるように調整される。上記数式3は、中央部領域における水素原子の含有率のバラツキを表し、静電潜像形成領域における電子写真感光体の特性の均一性に関係している。そのため、|Hx_ave−Hx|が5パーセンテージポイントより大きいと、感度ムラや帯電ムラが発生し、画像濃度ムラが発生しやすくなる。
また、本発明においては、上記数式4に示すように、光導電層の端部領域における水素原子の含有率の平均値Hy_ave[原子%]と中央部領域における水素原子の含有率の平均値Hx_ave[原子%]の差であるHy_ave−Hx_aveは、2≦Hy_ave−Hx_ave≦12となるように調整される。Hy_ave−Hx_aveが2パーセンテージポイントより小さいと、上記応力を緩和する効果が乏しくなる。Hy_ave−Hx_aveが12パーセンテージポイントより大きいと、中央部領域と端部領域の膜質の違いが大きいことにより、電子写真感光体の端部以外での膜剥がれが生じやすくなる。
さらに、本発明においては、上記応力を緩和する効果をより高めるため、光導電層の端部領域における水素原子の含有率が光導電層の円筒軸方向の端部に向かって漸次大きくなっていることが好ましい。これは、水素原子の含有率が端部に向かって増減を繰り返すと、水素原子の含有率が小さい部分が水素原子の含有率が大きい部分の応力緩和効果を弱め、上記応力を緩和する効果をやや低下させる場合があるからである。
また、水素原子の含有率を光導電層の層厚方向に対して、画像露光光などの光の波長に合わせて適宜調整してもよい。光導電層における水素原子の含有率を多くすると、光学的バンドギャップが大きくなり、感度のピークが短波長側にシフトする傾向にある。
また、水素原子の含有率の調整に加えて、光導電層には、伝導性(電気伝導性)を制御するための原子を含有させてもよい。伝導性を制御するための原子を、以下「伝導性制御原子」とも表記する。
また、図2に示すように、光導電層の層質を変化させ、第1の光導電層および第2の光導電層というように、光導電層を多層化してもよい。
伝導性制御原子としては、半導体分野における、いわゆる不純物を挙げることができ、例えば、周期表第13族に属する原子(以下「第13族原子」とも表記する。)や、周期表第15族に属する原子(以下「第15族原子」とも表記する。)を用いることができる。第13族原子としては、具体的には、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)が挙げられ、これらの中でも、B、Al、Gaが好ましい。第15族原子としては、具体的には、窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)が挙げられ、これらの中でも、P、As、Sbが好ましい。
光導電層における伝導性制御原子の含有量は、0.05〜5原子ppmであることが好ましい。また、画像露光光の到達する範囲においては、伝導性制御原子を実質的に含有しないものであってもよい。
また、光導電層には、物性の制御性、層形成の容易性などの観点から、ヘリウム原子など含有させてもよい。
光導電層の層厚は、10〜50μmであることが好ましく、15〜45μmであることがより好ましく、20〜40μmであることがより好ましい。光導電層の層厚が厚いほど、帯電能や感度などの電子写真特性を十分に確保しやすくなり、層厚が薄いほど、光導電層を効率よく形成することができる。
a−Si光導電層は、真空蒸着法、スパッタリング法、熱CVD法、光CVD法、プラズマCVD法などの成膜方法によって形成することができる。これらの成膜方法の中でも、プラズマCVD装置を用いたプラズマCVD法が好ましい。
プラズマCVD法によるa−Si光導電層の形成としては、例えば、ケイ素原子供給用の原料ガスと水素原子供給用の原料ガスを、内部を減圧できる反応容器の中に所望のガス状態で導入し、反応容器の中にグロー放電を生起させ、所定の位置に設置されている基体の上に光導電層のa−Si堆積膜を形成する方法が挙げられる。
ケイ素原子供給用の原料ガス(原料物質)としては、例えば、ガス状態またはガス化しうる状態の、SiH、Si、Si、Si10などの水素化ケイ素(シラン類)が挙げられる。これらの中でも、層形成時の取り扱いやすさ、ケイ素原子の供給効率の良さなどの観点から、SiH、Siが好ましい。なお、各原料ガスは、1種のみを用いてもよいし、所定の混合比で混合して複数種を用いてもよい。また、層の物性の制御性や、原料ガスの供給の利便性などを考慮し、これらの原料ガスに、H、He、水素原子を含むケイ素化合物などのガスを所定の混合比で混合して用いることもできる。
第13族原子であるホウ素原子供給用の原料ガス(原料物質)としては、例えば、B、B10、B、B11、B10、B12、B14などの水素化ホウ素や、BF、BCl、BBrなどのハロゲン化ホウ素などが挙げられる。これら以外の第13族原子供給用の原料ガス(原料物質)としては、例えば、AlCl、GaCl、Ga(CH、InCl、TlClなどが挙げられる。
第15族原子であるリン原子供給用の原料ガス(原料物質)としては、例えば、PH、Pの水素化リンや、PHI、PF、PF、PCl、PBr、PBr、PIのハロゲン化リンなどが挙げられる。これら以外の第15族原子供給用の原料ガス(原料物質)としては、例えば、AsH、AsF、AsCl、AsBr、AsF、SbH、SbF、SbF、SbCl、SbCl、BiH、BiCl、BiBrなどが挙げられる。
これらの伝導性制御原子供給用の原料ガス(原料物質)は、必要に応じて、Hや希ガスのHe、Ar、Neなどにより希釈して使用してもよい。
これらの原料ガス(原料物質)を用いて所望の特性を有する光導電層を形成するためには、ケイ素原子供給用の原料ガスや水素原子供給用の原料ガスや希釈ガスなどのガスの混合比、反応容器の中のガス圧(反応容器内圧力)、放電電力(高周波電力)、基体温度などを調整すればよい。
希釈ガスとして使用するHやHeなどの流量は、層設計にしたがって調整すればよい。希釈ガスの流量は、ケイ素原子供給用の原料ガスに対して、3〜30倍の範囲であることが好ましく、4〜15倍の範囲であることがより好ましく、5〜10倍の範囲であることがより好ましい。
反応容器の中のガス圧は、1×10−2〜1×10Paの範囲であることが好ましく、5×10−2〜5×10Paの範囲であることがより好ましく、1×10−1〜2×10Paの範囲であることがより好ましい。
放電電力は、ケイ素原子供給用の原料ガスの流量に対する放電電力の比を0.5〜8W/mlの範囲に設定することが好ましく、2〜6W/mlの範囲に設定することがより好ましい。
基体温度は、100〜350℃の範囲であることが好ましく、150〜330℃の範囲であることがより好ましく、180〜300℃の範囲であることがより好ましい。
(電荷注入阻止層)
電荷注入阻止層は、電子写真感光体の表面がある極性に帯電された際、基体側より光導電層側に電荷が注入されるのを阻止する機能を有する。一方、逆の極性に帯電された際にはそのような機能は、通常、発揮されない。いわゆる極性依存性を有している。そのような機能を付与するために、電荷注入阻止層には、伝導性制御原子が光導電層に比べて多く含有される。
電荷注入阻止層に含有される伝導性制御原子は、電荷注入阻止層の中にまんべんなく均一に分布されてもよいし、あるいは、層厚方向にはまんべんなく含有されてはいるが、不均一に分布する状態で含有している部分があってもよい。
伝導性制御原子の分布濃度が不均一な場合には、基体側に多く分布するように含有させるのが好ましい。電荷注入阻止層に含有される伝導性制御原子としては、光導電層と同様の、第13族原子、第15族原子が挙げられる。
電荷注入阻止層における伝導性制御原子の含有量は、10〜1×l0−4原子ppmであることが好ましく、50〜5×l0−3原子ppmであることがより好ましく、1×l0−2〜1×l0−3原子ppmであることがより好ましい。
電荷注入阻止層は、光導電層と同様の成膜方法や原料ガス(原料物質)を用いて形成することができる。所望の特性を有する電荷注入阻止層を形成するためには、ケイ素原子供給用の原料ガスやハロゲン原子供給用の原料ガスや伝導性制御原子供給用の原料ガスや希釈ガスなどのガスの混合比、反応容器の中のガス圧(反応容器内圧力)、放電電力(高周波電力)、基体温度などを調整すればよい。
(表面層)
表面層は、ケイ素原子を母体とし、水素原子を含むアモルファス材料であるアモルファスシリコンのほか、ケイ素原子および炭素原子を母体とし、水素原子を含むアモルファスシリコンカーバイド(以下「a−SiC:H」とも表記する。)が好適に用いられる。また、ケイ素原子および酸素原子を母体とし、水素原子を含むアモルファスシリコンオキサイド(以下「a−SiO:H」とも表記する。)や、ケイ素原子および窒素原子を母体とし、水素原子を含むアモルファスシリコンナイトライド(以下「a−SiN:H」とも表記する。)も好適に用いられる。
表面層は、光導電層や電荷注入阻止層と同様の成膜方法や原料ガス(原料物質)を用いて形成することができる。
炭素原子供給用の原料ガス(原料物質)としては、例えば、ガス状態またはガス化しうる状態の、CH、C、C、C10などの炭化水素が挙げられる。これらの仲でも、層作成時の取り扱いやすさ、炭素原子の供給効率の良さなどの観点から、CH、Cが好ましい。
これらの炭素原子供給用の原料ガス(原料物質)は、必要に応じて、Hや希ガスのHe、Ar、Neなどにより希釈して使用してもよい。
表面層の層厚は、0.01〜3μmであることが好ましく、0.05〜2μmであることがより好ましく、0.1〜1μmであることがより好ましい。表面層の層厚が厚いほど、使用中に摩耗などがあっても表面層が失われにくくなり、層厚が薄いほど、残留電位の増加、感度の変動による電子写真特性の低下が抑制される。
(堆積膜形成装置)
図3は、本発明の電子写真感光体の製造に使用できる、RFプラズマCVD法により堆積膜を形成する堆積膜形成装置の一例を示す図である。
この堆積膜形成装置は、主として、反応容器3110を有する堆積装置3100、原料ガス供給装置3200、および、反応容器3110の中を減圧するための排気装置(不図示)から構成されている。
反応容器3110の中には、アースに接続された円筒状基体3112、円筒状基体加熱用ヒーター3113、および、原料ガス導入管3114が設置されている。円筒状基体加熱用ヒーター3113としては、円筒状基体3112の円筒軸方向の各位置に対応するヒーターが設置されており、円筒状基体3112の円筒軸方向の各位置で加熱量が制御可能になっている。また、ガス導入管3114に設けられたガス導入口3115の位置により、反応容器3110の中における原料ガスの導入量の分布を制御する。図3では、ガス導入口3115はガス導入管1本当たり5個であるが、ガス導入口3115の数は適宜調整するのが好ましい。
カソード電極3111には、高周波マッチングボックス3122を介して高周波電源3120が接続されている。
原料ガス供給装置3200は、原料ガスボンベ3221〜3225であるSiH、H、CH、NO、B、CFなどの原料ガスのボンベを具備する。また、ガス量調整のバルブとして、バルブ3231〜3235、流入バルブ3241〜3245、流出バルブ3251〜3255を具備する。また、圧力調整器3261〜3265、および、マスフローコントローラー3211〜3215を具備する。
以下、図3に示す堆積膜形成装置を使った、電子写真感光体の各層の堆積膜を形成する方法について説明する。
まず、円筒状基体3112を反応容器3110に受け台3123を介して設置する。次に、排気装置(不図示)を運転し、反応容器3110の中を排気する。真空計3119の表示を見ながら、反応容器3110の中の圧力が所定の圧力(例えば1Pa以下)になったところで、円筒状基体加熱用ヒーター3113に電力を供給し、円筒状基体3112を所定の温度(例えば100〜350℃)に加熱する。このとき、ガス供給装置3200より、Ar、Heなどの不活性ガスを反応容器3110に供給して、不活性ガス雰囲気中で加熱を行うこともできる。
電子写真感光体を構成する各層(例えば、電荷注入阻止層、光導電層、表面層)に応じて、各層の堆積膜の形成に用いるガスを、ガス供給装置3200より反応容器3110に供給する。すなわち、必要に応じて、バルブ3231〜3235、流入バルブ3241〜3245、流出バルブ3251〜3255を開き、マスフローコントローラー3211〜3215に対してガス流量の設定を行う。各マスフローコントローラーにおけるガス流量が安定したところで、真空計3119の表示を見ながらメインバルブ3118を操作し、反応容器3110の中の圧力が所定の圧力になるように調整する。所定の圧力が得られたところで、高周波電源3120より高周波電力を印加するとともに、高周波マッチングボックス3122を操作し、反応容器3110の中にプラズマ放電を生起する。その後、速やかに高周波電力を所定の電力に調整し、層の堆積膜の形成を行う。
光導電層における水素原子の含有率の調整は、例えば、円筒状基体加熱用ヒーター3113による円筒状基体3112の円筒軸方向での加熱の制御や、ガス導入口3115の位置による原料ガスの導入量の分布の制御で行うことができる。水素原子の含有率の調整方法は、使用する堆積膜形成装置や、導入するガス流量、ガスの混合比、反応容器内圧力、高周波電力などで異なる。
複数の層の堆積膜を形成する場合には、各層の堆積膜が所望の膜厚(層厚)になった時点で高周波電力の印加を停止し、再び上記の手順を繰り返してそれぞれの層を形成すればよい。また、連続的に高周波電力、原料ガスの種類および流量、円筒状基体加熱用ヒーター3113に供給する電力、反応容器3110の中の圧力などを再設定して堆積膜を形成してもよい。例えば、原料ガスの流量や、圧力などを、次に形成する層の条件に一定の時間で変化させて、変化層(中間層)の形成を行うこともできる。
以上のようにして、所定の層の堆積膜の形成が終わったところで、高周波電力の印加を停止する。そして、バルブ3231〜3235、流入バルブ3241〜3245、流出バルブ3251〜3255、および、補助バルブ3260を閉じる。そして、原料ガスの供給を終えるとともに、メインバルブ3118を開き、反応容器3110の中を1Pa以下の圧力まで排気する。
このようにして、各層の堆積膜の形成が終わった後は、メインバルブ3118を閉じ、反応容器3110の中に不活性ガスを導入し、大気圧に戻した後、各層の堆積膜が形成された円筒状基体3112を反応容器3110から取り出す。
また、プラズマを発生させるエネルギーは、DC、RF、マイクロ波、VHF帯域の電磁波などのいずれでもよく、それらは、層の所望の特性に合わせて使用できる。
このように製造された電子写真感光体は、電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、液晶プリンター、レーザー製版機などの電子写真応用分野にも広く用いることができる。
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳しく説明する。なお、以下の実施例および比較例においては、画像形成領域を中央部領域とし、非画像形成領域を端部領域とした。
<実施例1ならびに比較例1および2>
まず、実施例1ならびに比較例1および2の電子写真感光体を作製した。
実施例1においては、光導電層の端部領域における水素原子の含有率が中央部領域における水素原子の含有率より大きくなるように、かつ、中央部領域における水素原子の含有率の平均値Hx_ave[原子%]が25原子%程度になるように、電子写真感光体を作製した。
比較例1においては、光導電層の中央部領域における水素原子の含有率と端部領域における水素原子の含有率が同等になるように、かつ、中央部領域における水素原子の含有率の平均値Hx_ave[原子%]および端部領域における水素原子の含有率の平均値Hy_ave[原子%]がともに25原子%程度になるように、電子写真感光体を作製した。
比較例2においては、実施例1とは逆に、光導電層の端部領域における水素原子の含有率が中央部領域における水素原子の含有率より小さくなるように、かつ、中央部領域における水素原子の含有率の平均値Hx_ave[原子%]が25原子%程度になるように、電子写真感光体を作製した。
3種類の電子写真感光体は、図3に示す堆積膜形成装置を用い、周波数としてはRF帯を用い、基体(円筒状基体)としては、直径80mm、長さ358mm、厚さ3mmの鏡面加工を施した円筒状のアルミニウム製の導電性基体を用いて作製した。
この際、実施例1では、光導電層の端部領域における水素原子の含有率を中央部領域における水素原子の含有率より大きくするために、図3の円筒状基体加熱用ヒーター3113に関して中央部領域のヒーター設定温度が端部領域のヒーター設定温度より高温になるように調整した。また、図3のガス導入口3115の位置を調整した。具体的には、水素原子の含有率の分布が均一になる位置(以下「標準位置」とも表記する。)に対して、水素原子の含有率を大きくするべき端部領域においてガス導入口3115の数が多くなるように調整した。
その際、表1に示す各層形成時の基体温度(基体加熱温度であるヒーター設定温度)、反応容器内圧、高周波電力、SiH流量、H流量、B流量、NO流量およびCH流量で、電荷注入阻止層、光導電層および表面層を順次形成した。なお、以降に示す表における「中央部領域のヒーター設定温度」は、円筒状基体の円筒軸方向の中央位置での温度である。また、「端部領域のヒーター設定温度」は、円筒状基体の円筒軸方向の端部から30mmの位置での温度である。
Figure 0005777419
また、比較例1では、中央部領域のヒーター設定温度および端部領域のヒーター設定温度、および、図3に示したガス導入口3115の位置を、実施例1から変更した。具体的には、比較例1では、光導電層を形成する際も、中央部領域のヒーター設定温度と端部領域のヒーター設定温度を同じにした。また、ガス導入口3115の位置は、標準位置のままとした。
また、比較例2では、図3の円筒状基体加熱用ヒーター3113に関して中央部領域のヒーター設定温度が端部領域のヒーター設定温度より低温になるように調整した。また、ガス導入口3115の位置に関しては、水素原子の含有率を小さくするべき端部領域においてガス導入口3115の数が少なくなるように調整した。
比較例1および2の成膜条件(層形成条件)については、電荷注入阻止層および表面層に関しては実施例1と同じ条件で、光導電層に関しては表2に示す条件で電子写真感光体を作製した。
なお、各例における電子写真感光体の作製本数は、それぞれ2本とした。
Figure 0005777419
実施例1ならびに比較例1および2で作製した電子写真感光体のそれぞれ1本ずつを用いて分析を行った。
分析を行う際には、電子写真感光体の円筒軸方向について、中央部領域を7箇所の小領域に分割した。また、端部領域については、中央部領域を挟んで両側の端部領域をそれぞれ5箇所の小領域に分割した。すなわち、電子写真感光体の円筒軸方向について、図4に示すように、計17箇所の小領域に分割した。そして、17箇所の各小領域で任意の3点を分析し、平均値を各小領域の分析値とした。
具体的には、円筒軸方向の両端部のうち一方を端部Aとし、端部Aを含む端部領域を5等分し、5個の小領域に区分した。そして、端部Aを含む小領域を小領域No.1とし、小領域No.1から中央部領域に向かって順に小領域No.2、No.3、No.4、No.5とした。
また、端部Aを含む端部領域と同様に、他方の端部である端部Bを含む端部領域を5等分し、5個の小領域に区分した。そして、中央部領域に隣接する小領域を小領域No.6とし、小領域No.6から端部Bに向かって順に小領域No.7、No.8、No.9、No.10とした。
また、中央部領域は7等分し、7個の小領域に区分した。そして、端部領域の小領域No.5に隣接する小領域を小領域No.11とし、小領域No.11から端部領域の小領域No.6に向かって順に小領域No.12、No.13、No.14、No.15、No.16、No.17とした。
なお、端部領域の小領域No.1〜No.5は、電子写真感光体の円筒軸方向の20%を占め、中央部領域の小領域No.11〜No.17は、電子写真感光体の円筒軸方向の60%を占め、端部領域の小領域No.6〜No.10は、電子写真感光体の円筒軸方向の20%を占める。
そして、17箇所の小領域について、小領域ごとに後述の分析方法による分析を行い、水素原子の含有率を算出した。
中央部領域における水素原子の含有率の平均値Hx_ave[原子%]は、小領域No.11〜No.17の平均値とした。端部領域における水素原子の含有率の平均値Hy_ave[原子%]は、小領域No.1〜No.10の平均値とした。
(光導電層における水素原子の含有率の測定)
光導電層における水素原子の含有率の測定は、以下の方法で行った。
作製した電子写真感光体を円筒軸方向に切断し、層厚方向の断面が得られるサンプルを切り出した。同一条件になるように切り出したサンプルについて、赤外吸収スペクトルを測定した。そして、Si−H伸縮振動に対応する2000cm−1近傍の吸収ピークおよびSi−H伸縮振動に対応する2090cm−1の近傍の吸収ピークについて、ピーク面積から水素原子の含有率を算出した。
赤外吸収スペクトルの測定は、イメージングIRであるパーキンエルマー社製のSpotlight400(商品名)を用い、各小領域に対応する位置に対して行った。
また、17箇所の小領域に対応する位置に、光導電層と同一の成膜条件(層形成条件)で、コーニング社製のガラス(商品名:7059)の上に膜厚0.5μmの光導電層を形成したサンプルを作製し、水素前方散乱分析(HFS)法で赤外吸収スペクトルを測定した。同様に、ガラスをシリコンウェハーに替えて、シリコンウェハーの上に光導電層を形成し、赤外吸収スペクトルを測定した。測定装置としては、後方散乱測定装置(商品名:AN−2500、日新ハイボルテージ(株))を用い、水素前方散乱分析(HFS)法により、光導電層の表面より0.4μmの深さの部分の水素原子の含有率を計測し、水素原子の含有率を算出した。そして、電子写真感光体の断面における赤外吸収スペクトルと、シリコンウェハーの上に形成した光導電層の赤外吸収スペクトルの整合性を確認した。その結果、サンプル間の水素原子の含有率の序列に逆転は無く、整合性が確認できた。以下の水素原子の含有率の値は、赤外吸収スペクトルから算出した値を示す。
実施例1ならびに比較例1および2の分析結果を表3に示す。
Figure 0005777419
実施例1ならびに比較例1および2の電子写真感光体は、いずれも、中央部領域における水素原子の含有率の平均値Hx_ave[原子%]が、25原子%程度(25±1原子%)になっていた。
また、実施例1では、端部領域における水素原子の含有率の平均値Hy_ave[原子%]が、中央部領域における水素原子の含有率の平均値Hx_ave[原子%]より3.2パーセンテージポイント大きくなっていた。
比較例1では、中央部領域における水素原子の含有率の平均値Hx_ave[原子%]および端部領域における水素原子の含有率の平均値Hy_ave[原子%]が、ともに25.0原子%の均一な電子写真感光体となっていた。
比較例2では、端部領域における水素原子の含有率の平均値Hy_ave[原子%]が、中央部領域における水素原子の含有率の平均値Hx_ave[原子%]より3.0パーセンテージポイント小さくなっていた。
また、実施例1では、端部領域の任意の点における水素原子の含有率の最小値が、中央部領域の任意の点における水素原子の含有率の最大値より大きくなっていた。よって、17個に区分した小領域において、端部領域の任意の点における水素原子の含有率Hy[原子%]は、中央部領域の任意の点における水素原子の含有率Hx[原子%]より大きくなっていたと判断される。
(電子写真感光体の端部変形の評価、電子写真感光体の端部での膜剥がれの評価、画像濃度ムラの評価)
上記分析用とは別の、もう1本の電子写真感光体を用いて、後述する方法で電子写真感光体の端部変形の評価、電子写真装置を用いた出力画像による画像濃度ムラの評価、および、電子写真感光体の端部での膜剥がれの評価を行った。
使用した電子写真装置の構成を図5に示す。
図5において、一次帯電器(帯電手段)502は、静電潜像が形成される前の電子写真感光体501の表面を帯電する。現像器(現像手段)503は、表面に静電潜像が形成された電子写真感光体501にトナー(現像剤)504を供給し、静電潜像を現像して電子写真感光体501の表面にトナー像を形成する。転写帯電器(転写手段)505は、電子写真感光体501の表面のトナー504を、紙などの転写材506に転写する(移行させる)。分離帯電器507は、転写材506の静電吸着力を低下させて、転写材506を電子写真感光体501から分離させる。クリーニング装置(クリーニング手段)508は、電子写真感光体501の表面をクリーニングする(清浄化を図る)。図5に示す構成の電子写真装置では、電子写真感光体501の表面の均一な清浄化を有効に行うため、クリーニング装置508にはマグネットローラー509とクリーニングブレード510が備わっている。除電ランプ(前露光手段(除電手段))511は、次の画像形成に備えて、電子写真感光体501の表面を除電する。送りローラー512は、転写材506を送り出し、搬送ユニット513は、画像形成を終了した後の転写材506を搬送する。露光光源(画像露光手段(静電潜像形成手段))(不図示)は、単一波長の画像露光光514を照射する。
各種の評価は、以下の方法で行った。
(電子写真感光体の端部変形の評価)
電子写真感光体の端部変形の評価は、図6に示す領域について、以下の方法で行った。
まず、円筒状基体601の上に光導電層を含む堆積膜602を形成して作製した直後の電子写真感光体について、一方の端部603から母線方向(円筒軸方向)に中央部領域に向かって、図6に示す変形量測定位置604(50mm)と水平基準605(5mm)までの外形形状を測定した。変形量測定位置604における測定結果について、水平基準である5mm幅の母線を基準とし、水平基準からの差分の最大値を、一方の端部変形量として算出した。同様に、他方の端部から母線方向(円筒軸方向)に中央部領域に向かって50mmまでの外形形状を測定し、他方の端部変形量を算出した。得られた2つの端部変形量の平均値を求め、電子写真感光体の端部変形量とした。
端部変形量の測定は、東京精密(株)製の三次元測定器(商品名:XYZAX、PA800A)を用いて行った。
電子写真感光体の端部変形の評価としては、比較例1を基準とし、比較例1の端部変形量の値を分母にとった場合の比率を算出して評価した。したがって、算出された値が1より小さい場合に、比較例1より良好になったと判断した。なお、比較例1の端部変形量の値は、0.035mm(35μm)であった。
(画像濃度ムラの評価)
画像濃度ムラの評価は、以下の方法で行った。
作製した電子写真感光体を、図5に示す構成であるキヤノン(株)製のデジタル電子写真装置(商品名:iR−5065)に設置し、ハーフトーン画像を出力して画像濃度ムラを評価した。その際、ハーフトーン画像の濃度を揃えるために電子写真装置を調整した。調整としては、まず、ハーフトーン画像を出力し、電子写真感光体の円筒軸方向における中心位置に対応する画像位置で、X−Rite Inc.製の反射濃度計(商品名:504)を用いて反射濃度を測定して行った。そして、反射濃度が0.75になるように電子写真装置の電位の調整と画像出力を繰り返し、画像濃度を調整した後に、画像濃度ムラの評価を行った。
評価は、出力したハーフトーン画像について、中央部領域の7個の各小領域に対応する画像位置で、小領域ごとに任意の3点をX−Rite Inc.製の反射濃度計(商品名:504)により画像濃度を測定し、濃度の平均値を各小領域の濃度とした。7個の小領域における最大濃度と最小濃度の差分を画像濃度ムラとした。
画像濃度ムラについては、以下の基準で判定した。
A:0.01未満
B:0.01以上0.02未満
C:0.02以上0.03未満
D:0.03以上
この判定基準において、ランクB以上で、本発明の効果が得られていると判断した。
(電子写真感光体の端部での膜剥がれの評価)
膜剥がれについては、目視にて電子写真感光体の端部の外周面における膜剥がれの状態を確認し、以下の基準で判定した。
A:膜剥がれがなく良好
B:膜剥がれが0.5mm以下
C:膜剥がれが0.5mm以上1mm以下
D:膜剥がれが1mm以上
この判定基準において、ランクB以上で、本発明の効果が得られていると判断した。
電子写真感光体の端部変形の評価、画像濃度ムラの評価および電子写真感光体の端部での膜剥がれの評価の結果を表4に示す。なお、以降に示す表における「端部変形量」は、電子写真感光体の端部変形(端部変形量)の評価結果である。また、「画像濃度ムラ」は、画像濃度ムラの評価結果である。また、「端部膜剥がれ」は電子写真感光体の端部での膜剥がれの評価結果である。
Figure 0005777419
実施例1のように、端部領域における水素原子の含有率の平均値Hy_ave[原子%]が中央部領域における水素原子の含有率の平均値Hx_ave[原子%]より大きい電子写真感光体では、比較例1のように、水素原子の含有率が均一な場合より、端部変形が抑制され、画像濃度ムラも抑制されている。
また、比較例2のように、実施例1とは逆に、端部領域における水素原子の含有率の平均値Hy_ave[原子%]が中央部領域における水素原子の含有率の平均値Hx_ave[原子%]より小さい電子写真感光体では、比較例1のように、水素原子の含有率が均一な場合より、端部変形量が大きく、画像濃度ムラが発生しやすくなっている。
これらのことから、光導電層の端部領域と中央部領域における水素原子の含有率を均一にした場合、基体と光導電層との間に発生した応力が基体の端部に集中してしまい、基体の端部の変形を増大させ、電子写真感光体の端部変形が生じ、これによる電子写真感光体の寸法精度レベルの低下が、画像濃度ムラを発生させやすくしていると考えられる。
光導電層の端部領域における水素原子の含有率を中央部領域における水素原子の含有率より大きくすることで、熱膨張率の差に起因する熱収縮量の差を小さくし、基体と光導電層との間の応力を緩和することができ、電子写真感光体の端部変形が抑制されると考えられる。そして、端部変形の抑制により電子写真感光体の寸法精度レベルが向上することで、電子写真装置の中での帯電器との位置関係が良化され、電子写真感光体の表面の局所的な摩耗量の増大が抑制される。その結果として、画像濃度ムラが発生しにくくなると考えられる。
また、比較例2のように、端部領域における水素原子の含有率が中央部領域における水素原子の含有率より低い場合には、応力緩和効果のある水素原子の含有量が多い領域と応力の集中する端部との位置が異なるために、応力緩和の効果が得られにくいと考えられる。
以上のことから、光導電層における端部領域における水素原子の含有率を中央部領域における水素原子の含有率より大きくすることで、電子写真感光体の端部変形が抑制され、電子写真感光体の寸法精度レベルの向上に伴って画像濃度ムラが発生しにくくなることがわかった。
<実施例2〜4>
実施例2〜4として、それぞれ、光導電層の中央部領域における水素原子の含有率の平均値Hx_ave[原子%]を10原子%程度(実施例2)、20原子%程度(実施例3)、30原子%程度(実施例4)になるように変更し、かつ、実施例1と同様、光導電層の端部領域における水素原子の含有率が中央部領域における水素原子の含有率より大きくなるように、電子写真感光体を作製した。
実施例2〜4では、実施例1と同様、図3の円筒状基体加熱用ヒーター3113に関して中央部領域のヒーター設定温度が端部領域のヒーター設定温度より高温になるように調整した。実施例2および実施例3では、水素原子の含有率を実施例1より下げるために、円筒状基体加熱用ヒーター3113の設定温度を実施例1より高く設定し、実施例4では、水素原子の含有率を実施例1より上げるために、円筒状基体加熱用ヒーター3113の設定温度を実施例1より低く設定した。
また、原料ガス量の調整に伴って、図3のガス導入口3115の位置を調整した。具体的には、実施例1と同様、水素原子の含有率を大きくするべき端部領域においてガス導入口3115の数が多くなるように調整した。
実施例2〜4の成膜条件(層形成条件)については、電荷注入阻止層および表面層に関しては実施例1と同じ条件で、光導電層に関しては表5に示す条件で電子写真感光体を作製した。
実施例2〜4における電子写真感光体の作製本数も、それぞれ2本とした。
Figure 0005777419
実施例2〜4で作製した電子写真感光体のそれぞれ1本ずつを用いて、実施例1と同様の分析を行った。分析結果を表6に示す。
Figure 0005777419
次に、実施例1と同様、実施例2〜4で作製した電子写真感光体のそれぞれ1本ずつを用いて、電子写真感光体の端部変形の評価、画像濃度ムラの評価、および、電子写真感光体の端部での膜剥がれの評価を行った。結果を表7に示す。
Figure 0005777419
実施例2〜4においても、実施例1と同様、電子写真感光体の端部変形が抑制され、画像濃度ムラも抑制されている。
以上のことから、中央部領域における水素原子の含有率の平均値Hx_ave[原子%]を10≦Hx_ave≦30となるように調整することによって、端部領域における水素原子の含有率の平均値Hy_ave[原子%]が中央部領域における水素原子の含有率の平均値Hx_ave[原子%]より大きい電子写真感光体では、電子写真感光体の端部変形が抑制され、画像濃度ムラも抑制されることがわかった。
<実施例5および比較例3>
実施例5として|Hx_ave−Hx|の最大値が5パーセンテージポイント以下になるように、比較例3として|Hx_ave−Hx|の最大値が5パーセンテージポイントより大きくなるように、電子写真感光体を作製した。また、この際、実施例1と同様に、端部領域における水素原子の含有率の平均値Hy_ave[原子%]がHx_ave[原子%]より大きくなるように作製した。
実施例5および比較例3では、実施例1と同様、図3の円筒状基体加熱用ヒーター3113に関して中央部領域のヒーター設定温度が端部領域のヒーター設定温度より高温になるように調整した。実施例5では、|Hx_ave−Hx|の最大値が5パーセンテージポイント以下になるように、比較例3では|Hx_ave−Hx|の最大値が5パーセンテージポイントより大きくなるように、中央部領域におけるガス導入口3115の位置を調整した。
実施例5および比較例3の成膜条件(層形成条件)については、電荷注入阻止層および表面層に関しては実施例1と同じ条件で、光導電層は表8に示す条件で電子写真感光体を作製した。
実施例5および比較例3における電子写真感光体の作製本数も、それぞれ2本とした。
Figure 0005777419
実施例5および比較例3で作製した電子写真感光体のそれぞれ1本ずつを用いて、実施例1と同様の分析を行った。分析結果を表9に示す。
Figure 0005777419
次に、実施例1と同様、実施例5および比較例3で作製した電子写真感光体のそれぞれ1本ずつを用いて、電子写真感光体の端部変形の評価、画像濃度ムラの評価、および、電子写真感光体の端部での膜剥がれの評価を行った。結果を表10に示す。
Figure 0005777419
実施例5および比較例3においても、実施例1と同様、電子写真感光体の端部変形が抑制されている。そして、実施例5においては、画像濃度ムラも抑制されている。しかしながら、比較例3においては、|Hx_ave−Hx|の最大値が5パーセンテージポイントより大きいため、電子写真感光体の端部変形が抑制されているにもかかわらず、画像濃度ムラが十分に抑制されていない。これは、|Hx_ave−Hx|の最大値が5パーセンテージポイントより大きい場合、|Hx_ave−Hx|自体の画像濃度ムラへの影響が大きく、その結果、十分に画像濃度ムラが十分に抑制されなくなっているものと考えられる。
以上のことから、|Hx_ave−Hx|の最大値が5パーセンテージポイント以下であることが、画像濃度ムラを抑制するために必要であることがわかった。
<実施例6〜8および比較例4>
実施例6〜8および比較例4として、それぞれ、Hy_ave−Hx_aveが12パーセンテージポイント程度(実施例6)、7パーセンテージポイント程度(実施例7)、2パーセンテージポイント程度(実施例8)、14パーセンテージポイント程度(比較例4)になるように、電子写真感光体を作製した。
実施例6〜8および比較例4では、図3の円筒状基体加熱用ヒーター3113に関して中央部領域のヒーター設定温度が端部領域のヒーター設定温度より高温になるように調整した。
また、原料ガス量の調整に伴って、図3のガス導入口3115の位置を調整した。具体的には、水素原子の含有率を大きくするべき端部領域においてガス導入口3115の数が多くなるように調整した。
実施例6〜8および比較例4の成膜条件(層形成条件)については、電荷注入阻止層および表面層に関しては実施例1と同じ条件で、光導電層に関しては表11に示す条件で電子写真感光体を作製した。
実施例6〜8および比較例4における電子写真感光体の作製本数も、それぞれ2本とした。
Figure 0005777419
実施例6〜8および比較例4で作製した電子写真感光体のそれぞれ1本ずつを用いて、実施例1と同様の分析を行った。分析結果を表12に示す。
Figure 0005777419
次に、実施例1と同様、実施例6〜8および比較例4で作製した電子写真感光体のそれぞれ1本ずつを用いて、電子写真感光体の端部変形の評価、画像濃度ムラの評価、および、電子写真感光体の端部での膜剥がれの評価を行った。結果を表13に示す。
Figure 0005777419
実施例6〜8においては、実施例1と同様、電子写真感光体の端部変形が抑制され、画像濃度ムラも抑制されている。
しかしながら、比較例4においては、電子写真感光体の端部変形量が大きく、電子写真感光体の端部での膜剥がれが発生しやすくなっている。
以上のことから、Hy_ave−Hx_aveが2パーセンテージポイント以上12パーセンテージポイント以下であることが、電子写真感光体の端部変形を抑制し、画像濃度ムラを抑制するために必要であることがわかった。
<実施例9および10>
実施例9および10として、図2に示すような2層化した光導電層を有する電子写真感光体を作製した。
この際、光導電層を2層化した実施例9および10の電子写真感光体においても、第1の層(電荷注入阻止層側)と第2の層(表面層側)の層厚方向における平均の水素原子の含有率に関して、実施例1と同様、光導電層の端部領域における水素原子の含有率が中央部領域における水素原子の含有率より大きくなるように作製した。また、実施例9においては、第1の層における水素原子の含有率が第2の層における水素原子の含有率より大きくなるように作製した。また、実施例10においては、実施例9とは逆に、第1の層における水素原子の含有率が第2の層における水素原子の含有率より小さくなるように作製した。
実施例9および10では、図3の円筒状基体加熱用ヒーター3113に関して中央部領域のヒーター設定温度を端部領域のヒーター設定温度より高温になるように調整した。また、第1の層と第2の層の水素原子の含有率は、原料ガスおよび基体温度により調整した。
また、原料ガス量の調整に伴って、図3のガス導入口3115の位置を調整した。具体的には、水素原子の含有率を大きくするべき端部領域においてガス導入口3115の数が多くなるように調整した。
実施例9および10の成膜条件(層形成条件)については、電荷注入阻止層および表面層に関しては実施例1と同じ条件で、第1の層および第2の層からなる光導電層に関しては表14に示す条件で電子写真感光体を作製した。
実施例9および10における電子写真感光体の作製本数も、それぞれ2本とした。
Figure 0005777419
実施例9および10で作製した電子写真感光体のそれぞれ1本ずつを用いて、実施例1と同様の分析を行った。その際に、光導電層の第1の層と第2の層の各小領域において、それぞれ水素原子の含有率を算出した。第1の層と第2の層の各値は、断面で、層厚方向で各層の中心部分の値とした。分析結果を表15に示す。
Figure 0005777419
次に、実施例1と同様、実施例9および10で作製した電子写真感光体のそれぞれ1本ずつ用いて、電子写真感光体の端部変形の評価、画像濃度ムラの評価、および、電子写真感光体の端部での膜剥がれの評価を行った。結果を表16に示す。
Figure 0005777419
実施例9および10のように、光導電層を2層化した場合においても、光導電層の第1の層と第2の層の層厚方向における平均の水素原子の含有率として、Hy_ave[原子%]をHx_ave[原子%]より大きくすることによって、電子写真感光体の端部変形が抑制され、画像濃度ムラも抑制されることがわかった。
また、光導電層を2層化した場合において、第1の層における水素原子の含有率と第2の層における水素原子の含有率のどちらが大きい場合でも、電子写真感光体の端部変形が抑制され、画像濃度ムラが抑制される効果が得られることがわかった。
<実施例11>
実施例11として、5個の小領域に区分した両端部領域において水素原子の含有率が端部に向かって漸次大きくなっていくように、電子写真感光体を作製した。つまり、水素原子の含有率が、図4に示す端部領域の小領域No.5からNo.1に向かって漸次大きくなっていくように、かつ、小領域No.6からNo.10に向かって漸次大きくなっていくように、電子写真感光体を作製した。
実施例11では、図3の円筒状基体加熱用ヒーター3113に関して中央部領域のヒーター設定温度が端部領域のヒーター設定温度より高温になるように調整した。
また、端部領域で水素原子の含有率が端部に向かって漸次大きくなっていくように、図3のガス導入口3115の位置を調整した。
実施例11の成膜条件(層形成条件)については、電荷注入阻止層、光導電層および表面層に関して実施例1と同じ条件で電子写真感光体を作製した。
実施例11における電子写真感光体の作製本数も、2本とした。
実施例11で作製した電子写真感光体の1本を用いて、実施例1と同様の分析を行った。分析結果を表17に示す。
Figure 0005777419
次に、実施例1と同様、実施例11で作製した電子写真感光体の1本を用いて、電子写真感光体の端部変形の評価、画像濃度ムラの評価、および、電子写真感光体の端部での膜剥がれの評価を行った。結果を表18に示す。
Figure 0005777419
実施例11のように、端部領域において水素原子の含有率が端部に向かって漸次大きくなっている場合には、電子写真感光体の端部変形が抑制される効果がさらに向上することがわかった。
これは、水素原子の含有率が端部に向かって漸次大きくなっていくことで、基体の端部に集中する応力がより効率的に緩和されるため、電子写真感光体の端部変形がより抑制されるものと考えられる。
1000 電子写真感光体
1101 基体(円筒状基体)
1201 電荷注入阻止層
1202 光導電層
1301 表面層

Claims (3)

  1. 円筒状基体および該円筒状基体上に水素原子を含むアモルファスシリコンで構成された光導電層を有する電子写真感光体において、
    該光導電層の円筒軸方向の中央部領域におけるケイ素原子と水素原子との和に対する水素原子の含有率の平均値をHx_ave[原子%]とし、該中央部領域の任意の点におけるケイ素原子と水素原子との和に対する水素原子の含有率をHx[原子%]とし、該光導電層の円筒軸方向の端部領域におけるケイ素原子と水素原子との和に対する水素原子の含有率の平均値をHy_ave[原子%]とし、該端部領域の任意の点におけるケイ素原子と水素原子との和に対する水素原子の含有率をHy[原子%]としたとき、Hx_ave、Hx、Hy_aveおよびHyが下記数式1〜4を満たすことを特徴とする電子写真感光体
    10≦Hx_ave≦30 (数式1)
    Hx<Hy (数式2)
    |Hx_ave−Hx|≦5 (数式3)
    2≦Hy_ave−Hx_ave≦12 (数式4)
    (ここで、該電子写真感光体の円筒軸方向の長さを一方の端部から他方の端部に向かって順に20%、60%、20%になるように分けたとき、該60%の長さを占める領域が該中央部領域であり、残りの領域が該端部領域である。)。
  2. 前記光導電層の円筒軸方向の端部領域におけるケイ素原子と水素原子との和に対する水素原子の含有率が、前記光導電層の円筒軸方向の端部に向かって漸次大きくなっている請求項1の電子写真感光体。
  3. 請求項1または2に記載の電子写真感光体、ならびに、帯電手段、画像露光手段、現像手段および転写手段を有する電子写真装置。
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