明 細 書 電子写真感光体 技術分野
本発明ほ、 電子写真感光体に関し、 特に波長が 380 nm以上 500 nm以 下の比較的短い波長の光を露光に用いたプリンタ、 ファクシミリ、 複写機など に最適な電子写真感光体に関するものである。 背景技術
像形成分野において、 感光体における光導電材料としては、
1. 高感度で、 SN比 (光電流 (I p) /暗電流 (I d) ) が高い
2. 照射する電磁波のスぺクトル特性に適合した吸収スぺクトルを有する
3. 光応答性が早く、 所望の暗抵抗値を有する
4. 使用時において人体に対して無害である
等の特性が要求される。
特に、 事務機としてオフィスで使用される電子写真装置内に組み込まれる電 子写真感光体の場合、 使用時における無公害性は重要な点である。
上述の特性を満足する優れた特性を示す光導電材料にアモルファスシリコ ン (以下、 a— S iと略す) があり、 電子写真感光体の光受容部材,として注目 されている。
a— S iからなる光導電層を有する感光体は、 一般的には、 50 〜35 0 に加熱した導電性基体上に真空蒸着法、 スパッタリング法、 イオンプレ一 ティング ¾、 熱 CVD法、 CVD法、 プラズマ CVD法等の成膜法により形 成される。 なかでも、 原料ガスを高周波あるいはマイクロ波グロ一放電によつ て分解し、 基体上に a— S i堆積膜を形成するプラズマ CVD法が好適なもの
として実用に付されている。
例えば、原料ガスに S iH4、 H2、 N2、 B2H6を用いて、それぞれの原料ガス の流量比を規定する事で P— i一 n接合の逆バイアス状態.となるようにした、 基板、 障壁層、 光導電層、 表面保護層からなる a— S i感光体が特 平 5— 1 50532号公報等に開示されている。
また、 導電性基体上に a— S iからなる光導電層とアモルファス窒化ケィ素 からなる表面層を有する電子写真感光体の最表面の N/S iの元素組成比が 0. 8〜1. 33の範囲で、 O/S iの元素組成比が 0〜0. 9の範囲である 電子写真感光体が特開平 8— 171220号公報に開示されている。'
また、 近年の高画質化に対する要求から、 トナーの小粒径化と並んで、 静電 潜像の高精細化がますます求められるようになってきている。 そのためには、 例えばデジタル複写方式であれば、 像露光に用いられるレーザ一のスポッ卜径 を絞るなどの方法が挙げられ、 そのためにレーザーの短波長化が求められてき た。 感光層が水素化 a— S iを用いて形成され、 露光波長が 380 nm〜4.5 0 nmに主たる発振波長を有する紫外青紫色レーザ一光発振器を用いた画像 形成装置が、 特開 2000— 258938号公報に提案されている。
更に、 a - S i系感光体を用い、 画像形成光線を露光する際に感光体にかか る電界が 150 kVZcm以上であり、 画像形成光線の波長が 500 nm以下 である電子写真装置が、 特開 2002-311693号公報に提案されている。 また、 a— S i感光体を帯電する方法には、 コロナ帯電を用いたコロナ帯電 方式、 導電性口一ラを用い直接放電で帯電を行うローラ帯電方式、 磁性粒子等 により接触面積を十分にとり、 電荷を感光体表面に直接注入することにより帯 電を行う注入帯電方式などがある。
中でも、 コロナ帯電方式やローラ帯電方式は放電を用いるために感光体表面 に放電生成物が付着しやすい。 加えて a— S i感光体は有機感光体などに比べ てはるかに高硬度な表面層を持っているために表面層が削れにくく、 放電生成.
物が表面に残存しやすい。 こで、 高湿環境下などで水分の吸着によって放電 生成物と水分が結合して表面を低抵抗化させ、 表面の電荷が移動しゃすくなつ て画像流れ現象が発生する場合がある。 そのため、 表面の罈擦方法や感光体の 温度管理方法など、 様々な工夫が必要となる場合があ 0た。
これに対して、 注入帯電方式は放電を積極的に用いることはせずに、 感光体 表面に接触した部分から直接電荷を注入する帯電方式であるために前記の画 像流れといった現象は発生しにくい。
また、 接触帯電である注入帯電方式は、 コロナ帯電方式が電流制御型である のに対し、 電圧制御型であるため、 帯電電位のムラを比較的小さくしゃすいと いうメリットがある。 発明の開示
発明が解決しょうとする課題
従来の a— S i系の電子写真感光体は、 暗抵抗値、 光感度、 光応答性等の電 気的、 光学的、 光導電特性、 及び使用環境特性の点、 さらには経時安定性およ び耐久性の点で特性の向上が図られてはいるが、 総合的な特性向上を図る上で さらに改良する余地が存在するのが実状である。
特に、 近年急速にデジタル化、 カラー化へのシフトが進み、 電子写真装置へ の高画質化 (高解像であること、 高精細であること、 濃度ムラがないこと、 画 像欠陥 白抜けや黒点など) がないこと等) の要求は以前に増して.高まってい る。
デジタルフルカラ一複写機では、 カラ一トナーとしてネガトナーが、 潜像の 制御性が高く高画質化に適したイメージ露光法 (画像部を露光する方法) およ
•び負電荷を帯電させる感光体との組み合わせて使用されている。 負帯電用 a— S i系感光体においては、 表面からの電荷の流入を出来るだけ阻止する機能の 如何が特性向上のカギを握っている。
加えて、 高速化、 高耐久 への要求も急速に増しており、 電子写真感光体で は、 電気的特性、 光導電特性および均一性の向上や画像欠陥の低減とともに、 耐久性ゃ耐環境性 (温度'湿度変化順応性) 等の性能の大憚な改善が求められ ている。
画像の解像度を高めるためには、 小粒径トナーだけでなく、 像形成用のレ一' ザ一光のスポッ卜径を小さくすることが有効である。 レ一ザ一光のスポット径 を小さくする手段としては、 レーザー光を光導電層に照射する光学系の精度を 向上させたり、 結像レンズの開口率を大きくしたりすること等が挙げられる。 しかし、 このスポット径はレ一ザ一光の波長と結像レンズの開口率で決まる回 折限界までしか小さくすることはできない。 このため、 レーザー光の波長を一 定にして、 スポット径を小さくするためには、 レンズの大型化や機械精度の向 上等を行なう必要があり、 装置の大型化やコスト上昇が避け難かった。
このため、 近年、 レ一ザ一光のスポット径の下限がレ一ザ一光の波長に正比 例することに着目し、 レーザ一光の波長を短くすることでスポット径を小さく し、 静電潜像の解像虔を高めるという技術が注目されている。
従来の電子写真装置においては、 画像露光の際に 6 0 0〜 8 0 0 nmの発振 波長を有するレーザ一光が一般的に用いられており、 この波長をさらに短.くす ることで画像の解像度を高めることができる。 近年、 発振波長の短い半導体レ 一ザ一の開発が急速に進んでおり、 4 0 0 nm近辺に発振波長を有する半導体 レーザ一が実用化されている。
この 4 0 0 nm近辺の発振波長の半導体レ一ザ一を画像露光に用いた、 2 4 0 0 d p iといった高解像度の a— S i感光体が求められている。
また、 高解像度デジタルフルカラーで用いられる小粒径トナーには、 感光体 表面への転写残や、 クリーニング残が生じやすいという課題があり、 これに対 する改善も求められている。
以上に挙げた手法によって画像の解像度を高めるためには、 感光体が 4 0 0
nm近辺の短波長帯の光に対応できるよう、 特に表面領域の材質のさらなる'改 善が要求されている。
例えば a— S i系の感光層は、 感度のピークが 6 0 0〜7.0 O nm付近であ るため、 ピーク感度に比べればやや劣るものの、 条件を工夫すれば 4 :0 0〜4 1 0 nm付近でも感度は有しているので、 例えば、 4 0 5 n mの短波長レ一ザ —を用いた場合でも使用可能である。 ただし、 感度的 はピークに比べて半分 前後となる場合もあり、 感光体の表面領域における光の吸収が殆どないことが 好ましいことになる。
しかし、 従来表面層に好適に用いられてきたアモルファス炭化シリコン (以 降 a— S i C) 系材料やアモルファス力一ボン (以降 a— C ) 系材料の場合、 4 0 0〜4 1 0 nm近辺では吸収が大きくなりやすい傾向があった。 このため に、 a— S i C系材料では、条件を工夫することで透過率を向上させる、また、 ある程度膜厚を薄くする事で対処する事も可能であるが、 表面層は複写機内で 摺擦によって徐々に磨耗していくという宿命にあり、 ある程度以上の膜厚を確 保する必要がある。 よって、 膜厚増による吸収量増と磨耗ムラによる感度ムラ が、 高解像な画像を安定的に出力する場合には、 問題になってくる場合があつ た。
これに対し、 a— C系材料の場合は、 条件によっては透過率のよい膜も作成 可能であつたが、 その場合にはポリマーに近い構造となり、 硬度が低くなつた り、 抵抗値が高くなりすぎたりする場合があった。 よって、 a— C系材料の場 合には、 透過率と硬度あるいは抵抗とのトレードオフになる場合があった。 これらの材料の代わりに、 アモルファス窒化シリコン (以降 a— S i. N) 系 材料を用いることができることが判っていたが、 そのような膜は感光体の表面 層としては使用が難しく、 これまで卖用化されていない。 例えば、 特開平 8— 1 7 1 2 2 0号公報には、 a— S i Nの原料ガスの違いによって様々な禾点と 欠点があることが示されており、 表面層として好適な条件を得るためには特定
の条件を選択する必要があることが示されている。
特開平 8— 1 7 1 2 2 0号公報では、 感光体の最表面の NZ S i元素組成比 および O/ S i元素組成比の最適値とその生成条件が開示されている。 しかし ながら、 特開平 8— 1 7 1 2 2 0号公報では、 露光こ供される波長ば 5 5 Q n mまでしか考慮されていない。 更に、 特開平 8— 1 7 1 2 2 0号公報には、 表 面層の膜厚が 0 . 8 z mを超えると感度が低下することが記載されている。 即 ち、 5 5 0 n mの露光波長でも、 0 . 8 mを越えると感度が低下することか ら、 例えば 4 0 0 nm付近の波長においてはある程度光を吸収する事が予想さ れ、 十分な感度が得られない可能性がある。
すなわち、 1つ目には、 表面領域にて 4 0 0 n m付近の短波長の露光がほと んど吸収されない事が必要であり、 2つ目には、 表面からの負電荷の注入を阻 止する機能を十分に持つ事、 3つ目として、.小スポット径&小粒径トナーを活 かせる高解像度を持つことである。 課題を解決するための手段
本発明者らは上記の諸問題を解決し、 高画質、 高耐久、 高速の複写プロセス に好適に使用でき、 短波長露光に対して実用上十分な感度を持ち、 光メモリが なく、 帯電能が高く、 高コントラストな複写プロセスを実現するために、 鋭意 検討した結果、 表面層として窒化シリコン系材料を採用し、 作成条件を最適化 することで、.上記の目的を良好に達成しうることを見出し、 本発明に至った。 即ち、 本発明は、 導電性基体と、 光導霉層と、 光導電層上に積層されたシリ コン原子と窒素原子を母材とし、 少なくとも周期表 1 3族元素と炭素原子を含 有する非単結晶窒化シリコン膜からなる表面領域層.を有する電子写真感光体 において、.前記表面領域層内に、.構成原子の総量に対する周期表 1 3族元素の 含有率が膜め厚さ方向で極大値を少なくとも 2つ持つ分布を有することを特 徵とする電子写真感光体である。
本発明によれば、 表面領域層における短波長光の吸収を最小限にとどめ、'安 定して高解像度で高品質なフルカラー画像を出力できる極めて良好な電子写 真特性の電子写真感光体を提供することができる。 図面の簡単な説明
図 1 A、 1 B、 1 C及び I Dは本発明の電子写真感光体の一例を示す模式的 な断面図である。
図 2は本発明の電子写真感光体の製造に使用することが可能な、 R F帯の高 周波を用いたプラズマ C VD堆積装置の好適な構成の一例を模式的に示した 図である。
図 3は本発明におけるカラー電子写真装置構成の一例を表す模式図である。 図 4は本発明における表面層中の周期表 1 3族元素(硼素原子)、炭素原子、 酸素 子及びフッ素原子含有量の極大値を説明するデプスプロファイルの一 例ある。
図 5は本発明における、 露光用レーザ一のスポット径と、 出力画像上のドッ 卜径との関係を説明する模式図である。
図 6は電子写真感光体の分光感度特性の測定結果の一例を表すグラフ あ る。
図 7は実施例 1で作成した電子写真感光体の表面層中における窒素原子濃 度と波長 4 0 5 n mの光に対する感度との相関を測定した結果を、表すグラフ である。
図 8 A及び 8 Bは本発明における、 光学的に連続した変化層を設けた場合の 分光反射スぺクトルの一例を示すグラフである。
図 9は本発明における、 実施 の分光反射スペクトルを示すグラフである。 図 1 0は本発明における、 実施例 3の表面領域層のデプスプロファイルであ る。
図 1 1は比較例 1の表面領域層のデプスプロファイルである。
図 1 2は本発明における、 実施例 4の表面領域層のデプスプロファイルであ る。
図 1 3は本発明における、 実施例 5の表面領域層のデプスプロファイル .あ る。
図 1 4は本発明における、 実施例 6の表面領域層のデプスプロファイルであ る。
図 1 5は本発明における、 実施例 7の表面領域層のデプスプロファイルであ る。
図 1 6は本発明における、 実施例 8の表面領域層のデプスプロファイルであ る。
図 1 7は本発明における、 実施例 9の表面領域層のデプスプロファイルであ る。
図 1 8は本発明における、 実施例 1 0の表面領域層のデプスプロファイルで る。
図 1 9は本発明における、 実; ^例 1 1の表面領域層のデプスプロファイルで る。
図 2 0は本発明における、 実施例 1 2の表面領域層のデプスプロファイルで る。
図 2 1は本発明における、 実施例 1 3の表面領域層のデプスプロ.ファイルで る。
図 2 2は本発明における、 表面領域層の極大値と極大値間距離の関係を説明 する模式図である。
図 2 3は本発明における、 表面領域層の極大値領域、 極大値および極大値間 距離の関係を説明する模式図である。
図 2 4は本発明の電子写真感光体の一例の表面領域層の厚さ方向における
周期表第 1 3族元素と窒素^子の含有率分布を示す図である。
図 2 5 Aは本発明の電子写真 光体の一例の表面領域層の厚さ方向におけ る窒素原子の含有率分布を示す図である。
図 2 5 Bは本発明の電子写真感光体の一例の表面鎮域層の厚さ方向に'おけ る窒素原子の含有率分布を示す図である。
図 2 5 Cは本発明の電子写真感光体の一例の表面領域層の厚さ方向におけ る窒素原子の含有率分布を示す図である。
図 2 5 Dは本発明の電子写真感光体の一例の表面領域層の厚さ方向におけ る窒素原子の含有率分布を示す図である。
図 2 5 Eは比較例の電子写真感光体の表面領域層の厚さ方向における窒素 原子の含有率分布を示す図である。
図 2 6 Aは本発明の電子写真感光体の一例の表面領域層の厚さ方向におけ る周期表第 1 3族元素の含有率分布を示す図である。
図 2 6 Bは本発明の電子写真感光体の一例の表面領域層の厚さ方向におけ る周期表第 1 3族元素の含有率分布を示す図である。
図 2 6 Cは本発明の電子写真感光体の一例の表面領域層の厚さ方向におけ る周期表第 1 3族元素の含有率分布を示す図である。
図 2 6 Dは本発明の電子写真感光体の一例の表面領域層の厚さ方向におけ る周期表第 1 3族元素の含有率分布を示す図である。
図 2 6 Eは本発明の電子写真感光体の一例の表面領域層の—厚さ.方向におけ る周期表第 1 3族元素の含有率分布を示す図である。
図 2 6 Fは比較例の電子写真感光体の表面領域層の厚さ方向における周期 表第 1 3族元素の含有率分布を示す図である。
図 2 7 Aは本発明の電子写真.感光体の一例の表面領域層の厚さ方向におけ る炭素原子の含有率分布を示す図である。
図 2 7 Bは本発明の電子写真感光体の一例の表面領域層の厚さ方向におけ
る炭素原子の含有率分布を示す図である 9
図 2 7 Cは本発明の電子写真感 体の一例の表面領域層の厚さ方向におけ る炭素原子め含有率分布を示す図である。
図 2 7 Dは本発明の電子写真感光体の一例の表面領域層の厚さ方向に .け る炭素原子の含有率分布を示す図である。
図 2 8 Aは本発明の電子写真感光体の一例の分光反射スぺクトルを示す図 である。
図 2 8 Bは本発明の電子写真感光体の一例の分光反射スぺクトルを示す図 である。
図 2 8 Cは本発明の電子写真感光体の一例の分光反射スぺクトルを示す図 である。
図 2 8 Dは本発明の電子写真感光体の一例の分光反射スぺクトルを示す図 である。 発明を実施するための最良の形態
本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意検討を行つた結果、 特定の条件で作 成した表面層を設けることで、 短波長の露光をほとんど吸収することなく、 且 つ解像力に優れ、 高精細で良好な電子写真特性を保つことが可能である事を見 出し、 本発明に至った。
本発明者らはまず特開平 8 — 1 7 1 2 2 0号公報などにあるような従来の 方法により、 表面層として好適な a— S i N : H系材料の薄膜を作成したが、 これらの方法で作成した膜は短波長の光、 例えば 4 0 0〜4 1 0 nmの光に対 する吸収係数が比較的大きく、 そのような表面層をもつ感光体では、 波長が 4
0 0〜4 .1 O nm付近の光に対しては感度が不十分となる場合がある.ことが わかった。 の後検討を重ねるうち、 限られた製造条件でしか、 短波長 (例え ば 4 0 5 n m) における吸収を抑えられないことが分かった。 具体的には、 原
料ガス種、 原料ガスの流量とそれらの比率、 投入電力とガス量に対する比など を適切に定める必要があり、 これらが特定の範囲に入った.とき、 初めて吸収の 少ない膜が得られる事が判った。 ここで、 吸収が少ない膜とは、 定量的に表す とすれば、 例えば 405 nmにおける吸収係数が 5000 cm— 1以下であるこ 'とが好ましく、 3000 cm—1以下であることがより好ましい。
ここで、 吸収係数 a (cm"1) は、 入射光の光量を TO、 透過光の光量を T、 膜厚を t (cm) としたとき、 (1) 式のように表すことが出来る。
=- (1 n (T/TO) ) /t · · (1)
このような条件で作成したシリコンを含む化合物からなる膜の最表面に露 出するシリコン原子は、 空気中で容易に酸化されるので、 シリコンの酸ィ匕膜が 形成されている。 更に、 大気中の元素を吸着している可能性があるので、 膜中 の窒素原子濃度は、 測定する前に、 およそ 10 nm、 好ましくは 20 nm程度 の厚さだけ、 膜の最表面の層を取り除き、 膜の最表面の影響を除去した後に行 なうことが好ましい。
膜の最表面の層は、 ESCA、 S IMS, RBSなどを用いて真空中で Ar 原子などを用いたスパッ夕を施す事によりの除去することで、 最表面の吸着原 子や自然酸化膜の影響を実質的に無くす事が可能である。
上記の方法で、膜の最表面の影響を無くした後、 XPS (X線光電子分光法)、
RBS (ラザフォード後方散乱分光法) 、 S IMS (二次イオン質量分析法) などを用いて窒素原子濃度め測定を行なった。
この結果、 波長 405 nmの場合、 実用膜厚 (およそ 0. 2 m〜2. 0 m) で、 吸収係数が 5000 cm- 1以下であれば吸収が許容でき、 この際の窒. 素原子濃度 (N/ (S i +N) ) の値は、 30 a tm%以上が好ましく、 35 a tm%以上であることがより圩ましいことがわかゥた。
また、 上限としては、 膜の歩留まりの関係から、 70 a tm%以下が好まし く、 60 a tm%以下であることがより好ましいことがわかった。 70 a t
m%以下であれば、 膜厚、 硬度および抵抗などのムラが発生しにくく、 更に、 膜の強度が保て、 且つ、 安定して高歩留まりで製造できるのでが、.表面層とし て使用するに好ましい特性を備えるが、 7 0 a t m%を超えると、膜厚や硬度、 抵抗などのムラが発生しやすくなり、 歩留まりが大きく低下する場合がある。 原因は、 窒素が多くなりすぎると膜の結合が非常に不安定になるためではない かと予想される。
次に、 スポット径を絞った際の効果について図 5を用いて説明する。 図 5,で は、 横軸にレーザ一スポット径、 縦軸に潜像や画像上のドット径をとり、 様々 な電子写真プロセスで比較した場合を想定している。 具体的には、 6 5 5 n m のレーザ一光を用いた場合 (図 5の (1 ) に相当) と、 例えば 4 0 5 n mのレ 一ザ一光を用いた場合 (図 5の (2 ) 〜 (5 ) に相当) を考える。
図 5の (1 ) では、 例えば光学系の開口数などで何とか絞る事が可能でも、 ある程度限界があるのに対し、 図 5の (2 ) 〜 (5 ) では短波長露光を甩いて いるので、 更にスポット径を絞る事が可能である。'
一方、 露光波長の違いは、 光導電層における光吸収にも影響する。 即ち、 短 い露光波長では光導電層における光吸収が非常に薄い領域に限られる。 光生成 キャリアは、 表面電荷が形成する電界によって加速され、 膜の厚さ方向に移動 する。 そして、 表面電荷と逆極性のキャリアが表面に移動し、 電荷をキャンセ ルすることで、 静電潜像が形成される。 しかし、 キャリア移動の際に、 キヤリ ァ同士の静電的な反発力によって、 膜の面方向 (厚さ方向に垂直な.方向) にも 移動する可能性があり、 潜像のぼけにつながる場合がある。 従って、 露光パタ —ンにより忠実な静電潜像パターンを形成するためには、 光生成キャリアが表 面電荷をキャンセルするために移動する距離を短くした方が好ましく、 即ち、 光キャリアの生成領域は、 表面に近い方が好ましい。
従来の 6 0 0〜 8 0.0 nmの露光では、 a— S i感光体の光学特性から光導 電層の上部数 m〜十数; mまで光が到達してキャリア生成が起こる。 一方、
例えば 4 0 5 nmの露光では、 光導電層最上部の極めて薄い範囲で光吸収が終 了し、 光生成キャリアが上部に到達するまでに広がる余地が殆どないため、 更 に高解像が期待できることとなる。 このことから、 仮に同 スポット径 (図 5 のィに相当) でも、 解像力に差がでることが期待される。
S i N系の表面領域層を用いた場合、 従来の S i C系の表面領域層を用いた 電子写真感光体に比べて、 4 0 5 nmにおける吸収係数が 5 0 0 0 c m 以下 であっても、 表面領域層起因の残留電位が大きくなることがあつた。
そのような場合には、 ドット再現性や細線再現性といった解像度が、 6 6 0 nmから 4 0 5 n mに露光レ一ザ一を変更しても、 向上しないことがわかった。 そこで本発明者らは、 帯電能や残留電位、 感度、 解像度といった特性に着目 しながら表面領域層の最適化を狙って作成条件の様々な見直しを行った。
その結果、 微量の炭素原子を添加することで、 表面領域層起因の残留電位を 低減でき、 短波長露光の効果が得られて解像度の向上が可能であることがわか つ 。
また、 十分な帯電能を維持するために、 周期表 1 3族元素を表面領域層に含 有させる必要があるが、 その場合に少なくとも極大値を 2個有するように含有 させることが効果的であることがわかった。
この理由としてはまだ分かっていないが、 炭素原子を微量添加することによ り、 応力の大きな a— S i N系の膜において結合 緩和が起こり、 結果として 欠陥が減少したと考えられる。 前述したように窒素濃度が高くなるように作成 した a— S i N系の膜は吸収係数が小さいので、 短波長光を吸収しない表面層 として使用するには好適であるが、 膜中の応力も大きくなる場合があり膜の結 合が不安定になり特性ムラが生じることがあつた。 本発明の電子写真感光体に おいては、. 表面層がアモルファス状態であるので、 結晶状態とはやや異なるの であるが、 S i— S iの原子間隔はおよそ 0 . 2 4 n m、 S i Cの原子間隔は およそ 1 9 n mであることが知られている。
これに対して N— Nの原芋間隔はおよそ 0 . 1 1 n mであることから、 窒素 原子濃度が増えていくと、 原子間 Ρίの小さい N— Nの結合が増えるために、 膜 中に歪が生じて特性ムラになるのではないかと考えられる。.
これに対して、 C— Cの原子間隔はおよそ 0 . 1 5 ftmであることから、 S i原子と窒素原子とを母体とするアモルファス状態の窒化シリコン膜に炭素 原子を微量含ませることで、 膜中の歪が緩和されるものと考える。
炭素原子の量が少ないと、 アモルファス状態の窒化シリコン膜中の歪が緩和 されないので、 残留電位の低下は見られない。 また量が多くなつてくると、 S i— C結合の増加により、 電位ムラの感度のムラが大きくなる傾向が見られる と共に、 やや短波長光の透過性が低下してくる。
十分な 電能を得るためには、 表面から電子が層中に流れ込むことを阻止す る必要がある。 その機能を十分に発揮するためには、 膜中に炭素原子を、 5 X 1 0 18個 Z c m3以上含有させる必要があるが、 表面領域層全体に均一に含有さ せた場合には、 表面領域層の正孔にたいする抵抗が下がりドット再現性や細線 再現性が低下する場合があった。
帯電能、 度等、 電子写真感光体の良好な電気特性を得るために、 周期表 1 3族元素を表面領域層に含有させることが必要であるが、 その場合に、 表面領 域層全体に均一にいれるのではなく、 膜の厚さ方向で極大値を少なくとも 2つ 持つた分布にすることが重要であることがわかつた。
また、 均一に含有させた場合だけでなく、 膜の厚さ方向で極大値,を少なくと も 2つ持つ場合でも、 ドッ卜再現性や細線再現性の低下は、 極大値が最表面側 から、 およそ 1 0 O nm以内という比較的最表面に近いところに位置する場合 や、 極大値の間隔が 1 0 0 n m未満と近接した場合に見られることがあった。 これは、.露光により生じたフォ卜キャリアの、内、 正孔が、 帯電電荷の電子と 結合するために最表面側にむかって移動するが、 その時、 周期表 1 3族元素を 多く含有し正孔にたいする抵抗が下がっている部分が、 キヤリァ移動方向で長
くなるほど、 面内方向への広がりが増すためである。 また、 比較的最表面に近' いところに極大値をもつように含有させた場合も同様で、 フォトキャリアを発 生する部分から、 表面からの電子を阻止する極大値の部分までが長くなるため に、 面内方向への広がりが大きくなつていると考えている。 ·
さらに、 本発明者らは、 画像品質に着目して、 表面層の作成条件の様々な見' 直しを行ったところ、 微量の酸素原子を添加することにより、 吸収係数を小さ.、 く抑えながら画像品質をより向上させることが可能である事がわかつた。
これは、 高解像度デジタ フル力ラーで用いられる小粒径トナ一の転写残や、 クリ一ニング残が減少したために画像品質が向上したと考える。 また、 ドット 再現性や細線再現性といった解像度の低下は見られず、 作成条件によってはわ ずかながら解像度の向上も確認できた。
この理由としてはまだ分かっていないが、 酸素原子を微量添加することによ り、 炭素原子だけを添加したときよりも、 応力の大きな a— S i N系の膜にお いて結合の緩和が起こり、 結果として欠陥が減少したと考えられる。 前述した ように窒素濃度の高い a— S i N系の膜は吸収係数が小さく硬度も非常に大 きいので、 表面層として使用するには好適であるが、 硬度が矢きいと膜中の応 力も大きくなる場合があり、 非常に大きな残留応力が膜中に残ってしまう場合 がある。 このような場合には応力による歪を緩和するために結合が切れたりし て、 膜堆積後 ίこ欠陥が生成されることが考えられる。 炭素と異なり、 酸素は結 合手の数が 2本であることから、 原子間に効果的に入る事で結合の.ひずみを緩 和する!!きが予想でき、 欠陥生成を効果的に防止できるのではないかと考えて いる。
一方、 水素終端などは膜形成中に欠陥を修復する効果はあるものの、 無理な 結合や弱.い結合が膜堆積後に欠.陥に変わって、しまうような場合には効力がな レ^ よって; 微量酸素によって結合の緩和が起こり、 水素による欠陥修復と並 行して、 これまで成膜後に生成されていた欠陥を効果的に低減させた事により、
総合的に欠陥低減が実現できたのではないかと考えている。 このように、 低欠 陥化が実現すると、 膜中にある浅い卜ラップが減り、 例えば帯電後にトラップ に束縛されたキャリアが、 現像までの間に再励起して出てくることがなくなる。 本来、 このような浅い卜ラップから出てくるキヤリ.ァは、 潜像形成によって生 じた電位差を埋めるようにドリフトすると考えられるので、 璋像をなまらせた り、 潜像の深さを浅くしたりしてしまうと考えられる。 よって、 トラップの低 減が図れれば、 潜像をなまらせる原因が減り、 解像度が高まると考えている。 以上のことにより、酸素を適量導入する事で、解像度が高まったと考えている。 また、 a _ S i N膜は、 作成条件により比較的柱状構造を示しやすい。 柱状 構造が多い状態では、 表面に現れる構造境界が多いと考えられ、 そのような状 態では転写残ゃクリ一ニング残が生じやすかつた。
このような柱状構造の低減に対して、 炭素原子を均一に含有させるよりも、 局所的に極大値を有する分布を持たせることが好ましいことが分かった。
微量の炭素及び酸素の添加により、 転写残やクリーニング残が減少したのは、 上記のように低欠陥化がすすみ、 柱状構造が低減したために、 表面に現れる構 造境界が減少したと考えている。
また、 酸素の量が少ない場合には価電子制御性の不純物と同様の作用が発生 すると思われ、 バンド構造の不整合を修正する働きがあると考えている。 この ようなバンドの不整合は、 キャリアの蓄積や横流れを生じる原因となる恐れが あり、,結果として解像力.も低下させる可能性がある。 よって、 バン.ド構造の整 合性向上は望ましい。
このように、 酸素原子を適度に添加させることでこれらの添加効果が効果的 に得られることが判った。 一方、 添加量が増加すると、 添加物的な役割から構 造材的な役割に変化する事があり、 S i O構造や S i NO構造となり、'膜の硬 度が下がったり、 抵抗値が上昇して残留電位が増大したり、 親水性の S i〇結 合が増加する事により高温高湿下で画像がボケたりする現象が発生する場合
があることが判った。
さらに、 本発明者らは酸素の添加に関して検討を重ねたところ、 腠中で極大 値を持つように含有させる方が、 上記のような硬度低下や ¾留電位増大といつ た弊害が全く見られず、 転写残やクリーニング残の減少に効果的で、 かつ解 度向上が得られる事が判った。 また、 このように膜中で極大値を持たせるよう に添加する元素としては、フッ素も同様の効果が得られ,る事が判った。加えて、 酸素とフッ素が共に極大値を持つように添加すると、 更に好ましい事がわかつ た。
このように酸素及び Zまたはフッ素を一部領域に比較的高濃度に添加する ことにより、 均一に添加した場合よりも、 応力の大きな a— S i Nなどの膜に おいては、 応力を効果的に緩和する局所的な領域が出来る事で、 結果として腠 全体の応力緩和が効率的に進むと考えられる。
前述したように、 酸素は結合手の数が 2本であることから、 a— S i N系の 膜中で結合のひずみを緩和.する働きが予想できる。 また、 -13, フッ素ほ欠陥 を終端することで、 膜形成中に欠陥を修復する効果に加え、 水素原子に比べて 原子半径が大きいために応力集中を緩和でき、 無理な結合や弱い結合が膜堆積 後に欠陥に変わってしまうような状況を防止できたと思われる。
前述したとおり、 酸素が高濃度で入ると膜の硬度が落ちたり、 膜の抵抗値が 上がり過ぎて残留電位が増えたり、 親水性の膜になって感光体を高湿下で使い にくくなる傾向がある。
しかし、 酸素を極大値を持つ分布とすることで、 部分的には比較的高濃度に した場合でも、 上記のような弊害が発現しない。 これは、 局所的には高濃度で あるが、 構造体として特性を発現するような層領域とはならないためと考える。 またフッ素は終端元素であり、 効果的に終端する.ことでネットヮ一クの自由 度は上がる方向になる ώ しかし終端元素を増やしすぎるとやはり膜の硬度が下 がったり、 吸収が大きくなつたりして好ましくない場合が生ずる事がある。 し
かしフッ素の場合も高濃度の極大値を持つ分布とすることで、 上記のような硬 度や吸収の問題を回避できることが分かった。 これは酸素の場合と同様に比較 的高濃度の領域を作る事で、 その領域で集中的に応力緩和 行えるためと考え られる。 また、 フッ素は水素に比べて原子半径がやや大きいので、 フ :ッ素が 端原子として終端することでネットヮ一クの構造が水素終 ¾している領域と は異なる (結合距離が増えたりする) 状況が作れ、 このような膜構造の違いが 応力緩和に更に役立っていると考えている。 この場合、 例えば塩素原子では原 子半径が大きくなりすぎ、 逆に結合の歪みを大きくする場合がある。 以上の点 から、 フッ素原子の濃度分布がピークを持つように含有させたことで、 解像力 を向上させることが出来たと考えられる。
特に、 酸素原子とフッ素原子とが各々極大値を持つように含有させた場合に は、 これら単独で得られる効果に加え、 更に光メモリの低減が顕著に得られる ことが判った。 この理由も明らかではないが、 酸素による結合の緩和に加え、 終端原子としてのフッ素が有効に働いて膜堆積中の欠陥生成抑制と膜堆積後 に生成される欠陥防止の両方が高水準で実現される事で、 解像力の向上は勿論、 局在準位密度の吏なる低減により、 光メモリ低減も同時に実現できたのではな いかと想像している。
ここで、 酸素原子、 フッ素原子の極大値における最大含有量をそれぞれ Om a x、 Fm a x、 表面領域層における最小含有量を Om i n、 Fm i nとした とき、 最小含有量に対する最大含有量の比率が、 2≤〇m a xZO.m i n、 2 ≤Fm a x/Fm i nの関係を満たすよ に制御する事が好ましく、 5≤Om a x/Om i n、 5≤Fm a x/Fm i nとすることがより好ましい。 この範 囲とすることで、 解像力の改善がより顕著に得られるため、 好ましい。
また、 酸素原子、 フッ素原子 ピークの幅としては、 含有量極大値の半値幅 として、 それぞれ 1 O nm以上 2 0 0 nm以下に制御する事が好ましい。 極大 値の半値幅を 1 O n m以上とすることで、 極大値の形成による膜特性への影響、
即ち応力緩和による欠陥低 が効果的に及ぼされる。 また、 ピ一クの半値幅を
20 Onm以下とすることで、 極 値近傍領域の膜質を阻害することなく、 解 像力等を更に向上させることが可能になったものと考えられる。
さらに本発明者らは、 本発明の表面側層領域を積層させる条件についても検 討を行ったところ、 画像品質の向上及び安定性のためには、 波長 350 nmか ら 680 nmの範囲の反射率 (%) の最小値 (M i n) と最大値 (Max) が 0 %≤Ma X (%) ≤20%かっ0≤ (Ma x-M i n) / (100— Max) ≤0. 15を満たすように、 感光層と表面側層領域との間を光学的に連続にな るように、 積層することが好ましいことが分かった。
次に、 本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
図 1 A〜 1 Dは本発明における電子写真感光体の層構成の一例について示 した模式図である。
図 1 Aに示す電子写真感光体 100は、 導電性基体 101の上に下部注入阻 止層 105、 光導電層 10.3および表面領域層 104がこの順に形成されてい る。
導電性基体 101上に形成された下部注入阻止層 105、 光導電層 103お よび表面領域層 104を感光層 102と称する。
尚、 図 1 B〜1Dにおいても、 導電性基体 101上に形成された層全体を感 光層 02と称している。
下部注入阻止層 105は、 必須ではないが、 導電性基体側からの «荷 注入 を阻止するために設けられていることが好ましいために、 図 1 A〜l C全てに 設けられている。 また図 1Dに示す電子写真感光体にも設けても良い。
図 1 Bに示す電子写真感光体 100の感光層 102は、 図 1 Aと同様に、 導 電性基体 101上に下部注入阻 層 105、 光導電層 103および 面領域層 104 aがこの順に形成されている。 図 1 B'の表面領域層 104 aは、 光導電 層 103側から順に、 上部注入阻止層 106および表面層 107が形成されて
いる。 上部注入阻止層 1 06は、 上部からの電荷の注入を低 し、 畨電性'を向 上させる目的で設けられた層で、 この構成は負番電用電子写真感光体に特に好 適である。
図 1 Cに示す電子写真感光体 1 00の感光層 1 0 2は、 図 1.Aと同様に、 導 電性基体 1 0 1上に下部注入阻止層 105、 光導電層 1 0 3および表面領域層 1 04 bがこの順に形成されている。 図 1 Cの表面領域層 1 04 bは、 光導電 層 1 03側から順に、 変化層 1 0 8および表面層 1 07が形成されている。 変 化層 1 08は、 表面領域層 1 04が光導電層 1 0 3との間で、 屈折率の変ィ匕が 連続的になるように設けられた層である。 変化層 1 08は、 上部注入阻止層 1 0 6の機能を持った層とすることが好ましい。
図 1 Cに示すように、 表面層 1 07の屈折率と光導電層 1 03の屈折率とを 変化層 1 08を介してなだらかに接続する事により、 層界面における光の反射 が抑えられ、 可干渉光を露光に用いた場合の表面での干渉を防ぐ事が出来る。 また、 変化層 108に上部注入阻止層の機能を持たせると、 光導電層 1 0 3 と表面層 1 0 7の間で組成変化をなだらかに行う事で屈折率の差に起因する 層界面を無くすと共に上部からの電荷の注入を低減し、 帯電性を向上する事が 出来る
図 1 Dに示す電子写真感光体は、 導電性基体 1 0 1の上に光導電層 1 0 3、 第 1の上部注入阻止層 (TBL— 1) 1 06 aと中間層 1 09と第 2の上部注 入阻止層 (TBL— 2) 1 0 6 bと表面保護層 (SL) 1 10から.なる表面領 域層 104 cがこの順に形成されている。
図 1 Bのように表面層 1 0 7と光導電層 1 0 3との間に上部注入阻止層 1 0 6を設ける場合、 上部注入阻止層 106と光導電層 1 03との屈折率差が大 きい場合には、 上部注入阻止層 1 06と光導電層 1 03との間に屈折率のなだ らかに変化する変化領 ¾を設けても良い。
次に、 前述した本発明における各層について詳細に説明する。
ぐ表面領域層 >
表面領域層 1 0 4〜 1 0 4 cは、 主に短波長光透過性、 .高解像度、 連続繰り 返し使用耐性、 耐湿性、 使用環境耐 、 良好な電気特性な に関して良好な特 性を得るために設けられている。
負帯電用電子写真感光体の場合は、 表面領域層に上部注入 止機能を設け帯 ' 電保持層としての役割を持つものであるが、 後述する上部注入阻止層を設けて 帯電保持の機能を持たせる事も有効である。
本発明における表面領域層の材質は、 シリコン原子と窒素原子を母体とし周 期表 1 3族元素と炭素原子とを含有した非単結晶材料からなる。 また、 水素原 子、 酸素原子及び Zまたはフッ素原子を膜中に適宜含んでいることが好ましい。 表面領域層は、 表面層 1 0 7と変化層 1 0 8を有しているが、 上部注入阻止 層 1 0 6を変化層の変わりに設けるあるいは表面層と変化層の間に設けるこ とも有効である。
このような a— S i N系材料よりなる表面領域層を、 例えば、 グロ 放電法 によって形成するには、 基本的にはシリコン原子 (S i ) を供給し得る S i供 給用の原料ガスと、 窒素原子 (N) を供給し得る N供給用の原料ガスと、 炭素 原子 (C) を供給し得る C供給用の原料ガスと、 周期表 1 3族元素の原子を供 給し得る原料ガスとを、 内部を減圧し得る反応容器内に所望の比率で導入し、 反応容器内にグロ一放電を生起させ、 あらかじめ所定の位置に設置された光導 電層などを形成した基体上に a _ S i N系材料からなる層を形成すればよい。 このとき、 表面領域層に含まれる窒素量は、 前述したようにシリコン原子と 窒素原子の和に対して 3 0 a t m%から 7 0 a t m%の範囲が好ましい。 また、 炭素原子の含有量に関しては、 2 . 0 X 1 0 17個 Z c m3以上 5 . 0 X 1 0 2°個 c m3以下の範囲が好ましい。
本発明の表面領域層は、 周期表 1 3族元素の含有率が膜の厚さ方向で極大値 を少なくとも 2つ持った分布になるようにする必要がある。 その時、 帯電能な.
どの電気特性や、 ドット再瑱性など解像度の向上のためには、' 周期表 1 3族元 素の含有率の隣接する 2つの極大磕間距離が、 膜の厚さ方向で 1 0 0 nm以上 1 0 0 O nm以下の範囲と'なるようにすることが好ましい。,
また、帯電能などの電気特性や、 ドット再現性など解像度の向上のため ίこ 、 周期表 1 3族元素の最も光導電層側に位置する極大値が、 5 . 0 X 1 0 18個/ c m3以上でありの隣接する 2つの極大値の間に存在する周期表 1 3族元素の 最小値が、 2 . 5 X 1 0 18個/ c m3以下となるように分布させることも好まし い。
図 4は、 表面領域層の各元素の模式的濃度プロファイルである。
図 4に示すように、 表面領域層でのボロン (周期表 1 3族原子) 、 炭素、 フ ッ素および酸素原子は、 最表面側にボロン (周期表 1 3族原子) 、 炭素、 フッ 素および酸素原子の極大値が、 更に深い、 光導電層側に近い位置にボロンの極 大値が形成されている。 ゥまり、 炭素、 フッ素および酸素原子の極大値は 1ケ 所で観測され、 ポ ψンの極大値は 2ケ所で観測されている。
ここ^、 図 2 2および図 2 3を用いて本発明の極大値について説明する。 本発明で、 周期表 1 3族元素や炭素原子の含有量の分布は、 図 2 2に示され るように、 極大値が頂部に存在する、 一定領域を持たない形状を示すこと 好 ましいが、 図 2 3に示すように一定の幅を持った一定領域に存在する場合も最 表面側の元素の含有率が隣接する一定領域の元素の含有率よりも大きい場合 には有効である。 この一定領域のこと極大領域という。 、
一定領域を持たない形状の場合、 極大値は、 頂部の原子の含有率で表され、 極大領域の場合、 極大値は、 極大領域の厚さ方向の 1 2の位置 (中間点) で の原子の含有率で表す
一定領塽を持たない形状の場合、 極大値間の距離は頂部の間隔の距離で表さ れ、 極大領域を有する場合極大値間の距離は 2つの中間点の間の距離で表す。 なお、 1つの一定領域を持たない形状と 1つの極大領域とを有する場合、 極
大値間の距離は、 各々の領¾の極大値の間の距離で表される。
また、 本発明において、 酸素原子およびダまたはフッ素原子の含有量の分布 も、 一定領域を持たない形状を示すことが好ましい。
a— S i Nなどの材料で構成された応力の大きい膜は、 極大値に頂部が存在 する、 一定領域を持たない形状であるほうが、 極大領域を持つ形状よりも応力 を効果的に緩和する局所的な領域が出来るので、 結果として膜全体の応力緩和 が効率的に進むと考えられる。 更に、 一定領域を持たない形状の方が、 像露光 時のフォ卜キャリアの移動の際、 ドット再現性や細線再現性を低下させるキヤ リアの拡がりやすい領域が局所的に設けられ、 キャリアの拡がりを小さく押さ えられると考える。
表面領域層における周期表第 1 3族元素および窒素原子の含有率の厚さ方 向における極大値の数は、それぞれ少なくとも 2つ以上であればよく、例えば、 各 2つ、 各 3つ、 あるいは一方が 2つ他方が 3つ若しくは 4つなど、 異なる数 であってもよい。 これらの極大値は表面領域層の厚さ方向におけるいずれに位 置していてもよく、 例えば、 図 2 4の周期表第 1 3族元素および窒素原子の含 有量を表すグラフに示すように、 それぞれの原子の極大値が厚さ方向において、 同じ位置に存在してもよいが、 窒素原子、 周期表第 1 3族元素の含有量の さ 方向における極大値が、 交互に位置することが好ましい。 この場合光導電層側 に周期表第 1 3族元素の含有率の極大値を有すると、 感光体の帯電能を向上さ せることができ好ましく、 自由表面側に窒素原子の含有率の極大値.を有すると、 感光体の耐傷性、 耐磨耗性の点から特に好ましい。 このような極大値を有する 表面領域層としては、 厚さ方向において周期表第 1 3族元素の含有率の極大値 を 1つずつ有する 2以上の上部注入阻止層と、 厚さ方向において窒素原子の含 有率の極大値を 1つずつ有する 1または 2以上の中間層とが光導電層上に交 互に設けられ; 自由表面を有する最外層として、 厚さ方向において窒素原子の 含有率の極大値を 1つ有する表面保護層が設けられた層構成とすることがで
きる。 そのような層構成と υては、 光導電層 1 0 3の上に、 第 ίの上部注入阻 止層、 中間層、 第 2の上部注入阻止層、 表面層 1 0 7の 4層をこの順に設けた ものを例示することができる。
ここで、 表面領域層における窒素原子、 周期表第 1 3族元素、 及び 炭素原 子の極大値について説明する。 表面領域層において、 窒素原子の含有率の厚さ 方向における極大値は、 図 2 5 Α、 図 2 5 C、 図 2 5 Dに示す中間層中の極大 値のように、 ピーク形状でもよく、 図 2 5 Bに示す中間層や図 2 5 A〜2 5 D に示す表面層 (S L) 中の極大値のように、 厚さ方向の一定長において一定の 値 (極大領域と呼ぶ) を持つ形状でもよい。 このような極大領域を持つ場合、 極大値は、 極大領域の厚さ方向の 1 Z 2の位置 (中間点) における原子の含有 率で表し、 極大値と極大値間の最小値との間の距離は、 中間点を起点とする鉅 離で表す。 かかる窒素原子の極大値における窒素原子の含有量は、 N/ ( S i + N) = 3 0 a t m%以上で、 かつ窒素原子の含有率の極大値と含有率の最小 値 (上部注入阻止層に存在) との比 (極大値/最小値)が、 1 . 1' 0であること が感度や、 耐摩耗性や耐傷性を向上させる上で好ましい。 このような窒素原子 含有率の厚さ方向における隣接する極大値のうち光導電層側の極大値と極大 値間の最小値との間の距離は、 帯電能向上および短波長光に対する感度の卓か ら 4 O nm以上 3 0 0 nm以下にすることがより好ましい。 かかる窒素原子の 含有率の極大値と最小値間の距離は上部注入阻止層の厚さを変化させること により調整することができる。
また、 表面領域層において、 周期表第 1 3族元素の含有率の厚さ方向におけ る極大値は、 図 2 6 A及び図 2 6 C〜 2 6 Eに示すように、 ピーク形状でもよ く、図 2 6 Bに示すように、厚さ方向の一定長において一定の値を持つ形状(極 大領域と呼ぶ) でもよい。
このような極大領域を持つ場合、 極大値としては、 極大領域の厚さ方向の 1 Z 2の位置 (中間点) における原子の含有率で表し、 極大値間距離は、 中間点を
起点とする距離で表す。.な: έ、 表面領域層において 1つの極大値と 1つの極大 領域を有する場合には、 極大領域の中間点の位置と極大値との距離を極大値間 距離とする。 このような周期表第 1 3族元素の含有率の極大値または極大領域 のうち、 最も光導電層側に位置する極大値または極大領域が 番大きい と (図 2 6 Ε) が好ましい。 具体的には、 最も光導電層側に位置する極大値にお ける周期表第 1 3族元素の含有量が 5. 0 X 1 0 18個/ c m3以上であることが 好ましく、 隣接する 2つの極大値間に存在する周期表第 1 3族元奉の含有率の 最小値における周期表第 1 3族元素の含有量が、 2 . 5 X 1 0 18個/ c m3以下で あることが感度および帯電能、 解像度という観点で好ましい。 ここで、 「最小 値」 とは極大値間に存在する周期表第 1 3族元素含有率のうち最も小さい値を 表し、 例えば、 極大値が 3つ以上存在する場合、 極大値間に存在する 2つ以上 の周期表第 1 3族元素含有率の極小値のうち最も小さいものを表す。 中間層と 表面層における周期表第 1 3族元素の含有率に関しては、 図 2 6 A〜2 6 E中 では、 極小値をべ一ス値で表したが、 これらの層中に周期表第 1 3族元素を含 有させない場合においては、 ベース値は、 含有率分析手段での検出限界値を表 す。 表面領域層における周期表第 1 3族元素含有率の厚さ方向における隣接す る極大値間の距離は、 ドット再現性や細線再現性の点から lOO n m以上 1000 η m以下にすることが好ましい。 かかる周期表第 1 3族元素の含有率の極大値間 距離は中間層の厚さを変化させることにより調整することができる。
このような表面領域層における上記周期表第 1 3族元素の含有 の極大値 と窒素原子の含有率の極大値は、 厚さ方向において交互に存在していること、 及び光導電層から自由表面へ向かって、 周期表第 1 3族元素の含有率の極大値 と窒素原子の含有率の極大値の順に存在していることが感光体の耐傷性、 耐磨 耗性の点から好ましい。
また、 表面領域層において、 炭素原子の含有率は、 図 2 7 A〜2 7 Dに示す ように極大値を持つことが好ましい。 炭素原子の含有率の厚さ方向における極
大値は、 中間層、 上部注入且止層、 表面層のいずれに存在してもよく、 その分 布の形状としては、 図 2 7 B、 図 2 7 Cに示すように、 ピ^ "ク形状でもよく、 図 2 7 Aに示すように、 厚さ方向の一定長において一定の値を持つ形状 (極大 領域と呼ぶ) でもよい。 このような極大領域を持つ場合、 極大値は、 極大領域 の厚さ方向の 1 Z 2の位置 (中間点) における原子の含有率で表す。 また、 表 面領域層における炭素原子の含有率に関しては、 図 2 7 A〜2 7 D中では、 極 小値をベース値で表したが、 表面領域層の全域に亘つて炭素原子を含有させる 必要はなく、 炭素原子を含有しない層領域が存在してもよい。 そのような場合 においては、 かかるベース値は、 含有率分析手段での検出限界値を表す。
また、 表面領域層中に水素原子が含有されることが好ましい。 水素原子はシ リコン原子の未結合手を補償し、 層品質の向上、 特に光導電性特性および電椅 保持特性を向上させる。 水素含有量は、 構成原子の総量に対して通常の場合、 膜中の平均値として 5〜7 0 a t m%であることが好ましく、 8〜6 0 a t m%であることがより好ましく、 1 0〜5 0 a t m%であることが更に好まし い。
表面領域層の形成において使用されるシリコン (S i ) 供給用ガスとなり得 る物質としては、 S i H4、 S i 2H6、 S i 3H8、 S i 4Η1β等のガス状物、.まこは ガス化し得る水素化ケィ素 (シラン類) が有効に使用されるものとして挙げら れ、 更に層作製時の取り扱い易さ、 S i供給効率の良さ等の点で S i H4、 S i 2H6が好ましいものとして挙げられる。 また、 これらの S i供給 の原料ガ スを必要に応じて H2、 H e、 A r、 N e等のガスにより希釈して使用してもよ い。
窒素供給用ガスとなり得る物質としては、 N2、 NH3、 N O、 N20、 N02、 等のガス状物、 またはガス化し得る化合物が有効に使用されるものとして挙げ られる。 炭素供給用ガスとなり得る物質としては、 C H4、 C2H2、 C F4、 C2 F6、 C〇、 C 02、 等のガス状物、 またはガス化し得る化合物が有効に使用さ
れるものとして挙げられる。
中でも、 窒素供給用ガスとして 窒素が最も良好な特性が得られるため好ま しい。炭素供給用ガスとしては同様に (3114が好ましい。 また、酸素供給用ガス + としては同様に N.Oが好ましい。
また、これらの窒素、炭素、酸素供給用の原料ガスを必要に応じて H2、 He、 Ar、 Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。 特に酸素を微量添加する 場合、 例えば NOガスを Heガスで予め希釈して供給する事で、 流量の正確な 制御が可能となる。
また、 酸素供給用ガスとなり得る物貧としては 02、 CO、 C02、 NO、 N2 0、 N02等のガス状物、 またはガス化し得る化合物が有効に使用されるものと ■ して挙げられる。
酸素供給用ガスとしては最も良好な特性が得られる N Oが好ましい。
フッ素原子供給のために、 フッ素ガス (F2) 、 B r F、 C 1 F、 C 1 F3、 B rF3、 B r F5、 I F3、 I F7等のハロゲン間化合物や、 S i F4、 S .i2F6等 のフッ化ケィ素を導入してもよい。
周期表第 13族原子導入用の原料物質としては具体的には、 ホウ素原子導入 用としては、 B2H6、 B4H,。ゝ B5H9、 B5H,い B6H,。、 B6HI2、 B6H14等 φ水 素化ホウ素、 BF3、 BC 13、 BB r 3等のハロゲン化ホウ素等の他、 A 1 C 13、 GaC l3、 Ga (CH3) 3、 I n C 13、 T 1 C 13等を挙げることができる。 表面領域層 104を形成するには、 反応容器のガス圧、 放電電力.、 ならびに 基体の温度を適宜設定することが必要である。 基体温度は、 層設計に従って最 適範囲が適宜選択されるが、 通常の場合、 150 以上 350で以下であるこ とが好ましく、 180 以上 33 O 以下であることがより好ましく、 20 0で以上.300 以下であることが更に好ましい。 ·
反応容器内の圧力も同様に層設計にしたがって最適範囲が適宜選択される が、 通常の場合 1 X 10— 2P a以上 1 X 103P a以下であることが好ましく、
5 X 10—2P a以上 5 X 102P a以下であることがより好ましく、 1 X I Ό一1 P a以上 1 X 102P a以下であることが更に好ましい。 .
本発明においては、 表面領域層を形成するための導電性基体の温度、 ガス圧 の好ましい数値範囲として前記した範囲が挙げられるが、 条件は通常は雜立的 に別々に決められるものではなく、 所望の特性を有する感光体を形成すべく相 互的且つ有機的関連性に基づいて最適値を決めるのが好ましい。
また、 例えば RF帯の高周波を用いたグロ一放電法にて表面領域層を作成す る場合には、 放電電力としては 10W〜5000W、 力ソード電極面積 (c m2) あたりに換算すると 2mWZcm2から 1. 4 WZ c m2程度の範囲が好適 である。 中でも、 前述した窒素範囲を実現する事で透過率の良好な a— S i N 系の膜を得るためには、.シリコン含有ガスの流量 FSi (単位: mL/mi n (n o rma 1) ) 、 窒素含有ガスの流量 FN (単位: mLZmi n (no rma 1) ) および放電電力 W (単位: W) を適切な関係にする必要がある。 即ち、 単位ガス.量あたりの電力、 特にシリコン原子含有ガスの単位ガズ量に対する電 力 (WZFS i) と、 窒素含有ガスとシリコン含有ガスのガス濃度比 (FNZ FS i) との積である W' FN/FS i2が 5 OW'm i n/mL (no rma 1 )以上 30 OW'mi n/mL (no rma 1 )以下であることが好ましく、 8 OW · m i n/mL (no rma l) 以上 20 OW · m i n/mL (no r ma 1) 以下とすることがより好ましいことが分かった。
上記の構成の表面領域層で上記の製造条件で製造することで、' 波長の光を 効率よく透過できる、表面領域層に好適な膜が作成できる。この表面領域層は、 膜の光学的パンドギャップが 2. 8 eV以上程度となり、 吸収係数も 5000 cm—1以下とすることが出来る。 この電力と流量比の積が 5 OW- mi n/m L (no rma l) より小さくなると、 吸収が大きくなり短波長が透過しにく くなる。また、'この値が 30 OW-m i n/mL (no rma 1)を超えると、 膜の硬度が小さくなる傾向にある。 .この理由としては膜作成中にプラズマから
のダメージが導入されるためと考えている。
上記の製造条件の範囲が好適な a由は明らかではないが > 次のように考えて いる。 所望の膜を得るためには、 プラズマ中に存在する原料物質のラジカルが 適切なバランスをとっている必要がある。 原料ガスが分解された際のラジカル の濃度は、 複数の原料ガスを使用する場合、 原料ガス濃度比と電力によって決 まると考えられるが、 ガス種によって分解効率に差があるため、 電力値とガス 流量比を逾切な範囲にしないと、 ラジカルの濃度が適切な範囲にならないと考 えている。
さらに本発明においては、 表面領域磨中に、 周期表 13族元素の含有量が極 大値を持つように制御することが好ましい。 更に、 炭素原子、 酸素原子および フッ素原子の含有量も極大値を持つように制御することがより好ましい。 極大値を形成するには、 表面領域層を形成している途中で、 周期表 13族元 素供給用ガス、 炭素原子、 酸素原子およびフッ素原子を供給する原料ガスを制 御することで達成することができる。 極大値を形成するための原料ガスの制御 には、 例えば、 ガス濃度またはガス流量や高周波電力や基体温度といった堆積 膜形成条件を適宜制御することをも含む。
酸素原子、 フッ素原子の最大含有量をそれぞれ Om a x、 Fmax、 酸率原 子及びフッ素原子の表面領域層全体の最小含有量を Om i n、 Fm i nとした ときに、 最小含有量に Omi n、 Fmi n対する最大含有量 Omax、 Fma xの比率が、 各々 2≤Oma xZOm i n、 2≤Fma xZFm i nの関係を 満たすことが好ましい。 ここで定義した最小含有量とは、 任意に挿入される変 化領域 107などを含まない考面領域層での最小含有量の値を指す。 図 4にお いては、 グラフの右端が表面領域層の堆積開始部分に相当し、 この領域での値 が〇mi n、 Fm i nに相当する。
表面領域層中の酸素原子の含有量は、 O/ (S i +N + O) という形式で表 した場合、 膜中の平均濃度が 0. O l a tm%以上 20 a tm%以下、 好まし
' くは 0. 1 a tm%以上 10 a tm%以下、 最適には 0. 5 a tm% 8'a tm%以下であることが好ましい。 このような範囲で含有量を調整するために
' は、 例えば NOのような酸素原子含有ガスを Heなどのガスで希釈したものを、 マスフ口一コントローラ一を介して正確に流量制御して添加すればよ :い。 . :. 表面領域層中のフッ素原子の含有量は、 F/ (S i +N+F) という形式で 表した場合、 膜中の平均濃度が 0. 01 a tm%以上 20 a tm%以下が好ま しく、 0. 1 a tm%以上 10 a tm%以下がより好ましく、 0. 5 a tm% 以上 8 a tm%以下であることが更に好ましい。
- このような範囲で含有量を調整するためには、 例えば S i F4、 CF4のよう なフッ素原子含有ガスを Heなどのガスで希釈したものを、 マスフ口一コント ローラ—を介して正確に流量制御して添加すればよ、 ^。 表面領域層の層厚としては、 通常 0. 01以上 5^m以下が好ましく、 0. 05以上 3 m以下がより好ましく、 0. 1〜1 mであることが更に好まし い。 層厚が 0. 01 /mよりも厚ければ光受容部材を使用中に磨耗等の理由に より表面側層領域が失われることがなく、. 5 mを越えなければ残留電位の増 加等の電子写真特性の低下が発生することがない。
以上の様な表面領域層を形成するには、 基体の温度、 反応容器內のガス圧等 を所望にしたがって、 適宜設定する必要がある。
基体の温度は、 層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、 通常の場 合、 200で以上 35 Ot:以下が好ましく、 230 以上 330 以下がより 好ましく、 250で以上 300で以下が更に好ましい。
反応容器内のガス圧も同様に層設計にしたがって適宜最適範囲が選択され るが、 通常の場合、 好ましくは 1 X 10—2以上 2 X 1 03Pa以下が好ましく、 5X 10—1以上 5 X 10?P a以下がより好ましく、 ΓΧ 101以上 1 X 10ZP a 以下が更に好ましい。 ·
表面領域層を形成する めの基体温度、 ガス圧の好ましい数値範囲として前.
記した範囲が挙げられるが、 条件は通常は独立的に別々に決められるもの^は なく、 所望の特性を有する電子写真感光体を形成すべく相互的かつ有機的関連 性に基づいて最適値を決めるのが好ましい。 表面領域層内に形成される各層に ついて説明する ώ
<表面層>
表面層 1 0 7は、 表面領域層のシリコン原子と窒素原子の組成比が略一定な 部分であり、 主に表面の保護膜として、 短波長光透過性、 高解像度、 連続繰り 返し使用耐性、 耐湿性、 使用環境耐性などに関して良好な特性を得るために設 けられている。
ぐ表面保護層 >
本発明における表面領域層に設けられる表面保護層は自由表面を有し、 シリ コン原子と窒素原子を母材とする非単結晶窒化シリコン膜からなり、 窒素原子 の厚さ方向における含有率の極大値を 1つ有し、 感光体に耐湿性、 連続繰り返 し使用特性、 電気的耐圧性、 使用環境特性、 耐久性を付与する。 窒素原子の含 有率の厚さ方向における極大値、 その形状、 極大値と、 上部注入阻止層におけ る窒素原子の含有率の最小値との関係、 窒素原子の平均含有量などにづいては、 後述する中間層と同様である。
表面保護層には、 上部注入阻止層や中間層との関係から、 炭素原子や、 必要 に応じて酸素原子、 フッ素原子などのハロゲン原子、 水素原子などが含有され る。表面層に含まれる窒素原子と酸素原子の平均濃度(N/ S i十 N) ) ( a t m%) は、 3 0 a t m%≤N/ ( S i十 N) ≤7 0 a t m%の範囲が感度や 歩留まりの点から好ましい。 表面保護層中の水素および/またはハロゲンは、 シリコンなどの構成原子の未結合手を補償し、 層品質の向上、 特に光導電性特 性および電荷保持特性を向上させる。 このような観点から、 水素原子の含有率 は、 構成原芋め総量に対して好ましくは 3 0 a t m%以上 7 0 a t m%以下、 より好ましくは 3 5 a t m%以上 6 5 a t m%以下、 更に好ましくは 4 0 a t
m%以上 60 a tm%以下である。 また、 ハロゲンとしては例えばフッ素慮子 の含有率は、 0. ひ 1 a tm%以上 15 a tm%以下、好適には 0. 1 a tm% 以上 10 a tm%以下、 より好ましくは 0. 6 a 111%以±4 a tm%以下で ある。
表面保護層の層厚としては、 10 nm以上 3000 nm以下、 好適には 50 nm以上 2000 nm以下、 より好ましくは 100 nm以上 1000 nm以下 である。 層厚が 10 nm以上であると感光体を使用中に摩耗等の理由により表 面層が失われることがなく、 3000 nnl以下であると残留電位増加等がなく 優れた電子写真特性を得ることができる。
本発明の目的を達成し得る特性を有する表面保護層を形成するには、 グロ一 放電法などによることができ、 かかるグロ一放電法による表面保護層の形成に おいては、 基体の温度、 反応容器内のガス圧を所望により適宜設定することが できる。 基体温度 (Ts) は、 層設計にしたがって最適範囲が適宜選択される が、 例えば 150で以上 350 以下とすることができ、 好ましぐは 180V 以上 330 以下、 より好ましくは 200 以上 300 以下である。 反応容 器内の圧力も同様に層設計にしたがって最適範囲が適宜選択されるが、 1 X I (T2Pa 上 1 X 103Pa以下、 好ましくは 5X 10—2Pa以上 5X 102P a 以下、 より好ましくは 1 X 1 Q— a以上 1 X 102P a以下である。 表面保護 層を形成するための基体温度、 ガス圧の望ましい数値範囲として前記した範囲 が挙げられるが、 条件は通常は独立的に別々に決められるもので «_なく、 所望 の特性を有する感光体を形成すべく相互.的且つ有機的関連性に基づいて最適 値を決めるのが好ましい。
<変化層 >
変化層 108は、 表面領域層のシリコン原子と窒素原子の組成比が変化する 部分であり、'主に表面の保護膜としての表面層 107と光導電層 103及び/ または上部注入阻止層 106との間で、 光学的な連続性が形成されるように設.
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けられる層である。 変化層を設けることで表面層と光導電層の密着性を向 itさ せ、 光キャリアの表面への移動がスムーズになるとともに光導電層と表面層の 界面での光の反射による干渉の影響をより少なくすることができる。
波長 350 nmから 680 nmの範囲の反射率 (%)' の最小値 (lv£ i n) と 最大値 (Max) が 0%≤Max ( ) ≤20%かっ0≤ (Max—Mi n) / (100-Max) ≤0. 15を満たすように、 光学的に連続するように設 けることが好ましい。
上記の範囲となるように変化層 108を設けることで、 露光の干渉防止効果 だけでなく、 電気的な接続性も改善し、 感度、 ゴーストや、 像露光によるフォ トキャリアの移動性も改善し、 高解像度などに関して良好な特性を効果的にえ ることができる。
また、 変化層 108は、 周期表 13族元素及び炭素原子の含有量が極大値を 持つようにすることも有効である。 変化層 108に周期表 13族元素及び炭素 原子の含有量が極大値を持つように含有させ、 上部注入阻止能を変化層に持た せることが、 良好な電気特性として帯電能や残留電位、 暗 ·明減衰電位を得る ために好ましい。
く上部注入阻止層〉
図 1 Bに示すように、 表面領域層 104内の光導電層 103側に上部注入阻 止層 106を設けることも有効である p また、 図 1Dに示すように、 中間層を 介して 2以上設けることもできる。 .
上部注入阻止層 106 a、 106 bの櫸能は、上部から (即ち表面層側から) の電荷の侵入を阻止し、 帯電能を向上させることである。
周期表 13族元素としては、具体的には、硼素(B)、アルミニウム(A 1)、 ガリウム. (Ga) 、 インジウム.(I n) 、 タリウム (T 1) 等があり、 特に硼 素が好適である。
上部注入阻止層に周期表 13族元素を含有^ることで伝導性を制御するこ
とができる。 周期表 13族元素の原子の含有量は、 極大値を持つように分布す ることが好ましいが、 一定領域をもつ極大領域であっても有効であり、 この場 合、 極大値は 5X1018個 Zcm3以上とすることが好まし 。
図 1Dに示す表面嶺域層において 2つ 上設けられる第 1、 第 2、:' - ±. 注入層 106 a、 10.6b, においては、 上部注入阻止層の構成原子の総量に 対する周期表第 13族元素の含有率の極大値が 50 a tm ppm以上 300 0 a tm p pm以下とされることが好ましく、 より好ましくは 100 a t m ppm以上 1500 a tm ppm以下である。
上部注入阻止層に周期表 13族元素を含有することで伝導性を制御するこ とができる。 周期表 13族元素の原子は、 基体の表面と平行面内方向において は、 均一な分布で含有されることで面内方向における特性の均一化を図ること ができる。
上部注入阻止層は、 シリコン原子と窒素原子を母体とし、 期表 13族元素
、
と炭素原子を含有した非単結晶材料から構成され、 水素原子、 酸素原子及び/ またはフッ素原子を膜中に適宜含んでいることが好ましい。
上部注入阻止層 106に含有される窒素原子の含有量は、 構成原子のシリコ ン原子と窒素原子の総和に対して 5 a tm%以上 35 a tm%以下の範囲と するのが好ましく、 10 a tm%以上 30 a tm%以下がより好ましく、 15 a tm%以上 30 a t m%以下であることが更に好ましい。
また、上部注入阻止層 106 a、 106 bに含有される窒素原子、炭素原子、 酸素原子の含有率は、 中間層や、 表面保導層におけるこれらの原子の含有率と も関連し本発明の目的が効果的に達成されるように適宜決定されるが、 1種類 の場合はその量として、 2種類以上の場合はその総和量として、 シリコンとの 総和に対して 10 a tm%以上 70 a t m%以下の範囲とするのが好ましい。 より好ましくは 15 a tm%以上 65 a tm%以下、 更に好ましくは 20 a t m%以上 60 a tm%以下である。 "
また、 上部注入阻止層には、 水素原子が含有されることが好ましい。.水素原 子はシリコン原子の未結合手を補償し、 層品質の向上、 特に光導電性特性およ び電荷保持特性を向上させるために必須不可欠である。 水素原子の含有量は、 上部注入阻止層中の構成原子の総量に対して通常の場合 30. a t M%以上 7 0 a tm%以下が好ましく、 35 a tm%以上 65 a tm%以下がより好まし く、 40 a tm%以上 60 a tm%以下が更に好ましい。
本発明において、 上部注入阻止層の層厚は、 所望の電子写真特性が得られ、 かつ、 経済的効果等の点から 5 nm以上 1000 nm以下が好ましく、 10 n m以上 80 Onm以下がより好ましく、 15nm以上 50 Onm以下が更に好 ましい。層厚が 5 nm以上であれば、表面側からの電荷の注入阻止能は充分で、 充分な帯電能が られ、 電子写真特性の低下を招くことはない。 また、 100 O nmを超えなければ、 感度等の電子写真特性の低下を招くことはない。 · 上部注入阻止層と.光導電層 103側から表面領域層 104に向かって組成 を連続的に変化させることも好ましく、 密着性の向上や干渉防止等に効果があ る。
上記の目的を達成し得る特性を有する上部注入阻止層を形成するには、 シリ コン原子供給用のガスと窒素原子供給用のガスとの混合比、 反応容器内のガス 圧、 放電電力ならびに基体の温度を適宜設定することが必要である。
反応容器内の圧力も同様に層設計にしたがって最適範囲が適宜選択される が、 通常の場合 1 X 10— 2P a以上 1 X 103P a以下が好ましく、 5 X 10_2 Pa以上 5 X I 02P a以下がより好ましく、 1 X 1 Ο—'Pa以上 1X 102P a 以下が更に好ましい。
さらに、 基体の温度は、 層設計にしたがって最適範囲が適宜選択されるが、 通常の場合、 150*C以上 350で以下が好ましく、 · 180 以上 33.0^以 下がよりより好ましく.、 200 以上 300 以下が更に好ましい。.
〈中間層〉
本発明の表面領域層に設けられる中間層は、 シリコン原子と窒素原子を母材 とする非単結晶窒化シリコン膜からなり、 窒素原子の厚さ方向における含有率 の極大値を 1つ有する。 かかる中間層を第 1の上部注入阻止層(T B L— 1 )と 第 2の上部注入阻止層の間、 第 2の上部注入阻止層(T B L一 2.)と第 3·の上部注 入阻止層(T B L— 3 )の間に設けることで、一表面領域層内に構成原子の総数に 対する周期表第 1 3族元素の含有率が、 表面領域層の厚さ方向で極大値又は極 大領域を少なくとも 2つ以上持ち、 かかる 2つの極大値間に必然的に形成され る極小値をもち、 更に、 後述する表面保護層に有する窒素原子の含有率の極大 値と共に、 窒素原子の含有率が、 表面領域層の厚さ方向において極大値.を 2つ 以上持った分布が形成される。
中間層に含有される窒素原子、 炭素原子および/または酸素原子は、 好まし くは、 1つの中間層を構成する全ての原子総量に対して 1 0 a t m%以上 9 0 ' a t m%以下を含有するのが感度特性や電気的特性の点から好ましい。 より好 ましくは 1 5 a t m%以上 8 5 a t m%以下、 更に好ましくは 2 0 a 1: .111%以 上 8 0 a t m%以下である。 しかしながら、 いずれの場合にも基体の表面と平 行面内方向においては、 均一な分布で満遍なく含有されることが面内方向にお ける特性の均一化を図る点からも必要である。 また、 窒素原子については第 1 又は第 2の上部注入阻止層よりは多く含有していることが好ましい。 更に、 中 間層には、 周期表第 1 3族元素を含有させてもよいが、 含有量を、 2 . 5 X 1 0 18個/ c m3以下にすることが感度特性の点からより好ましい。 - 力、かる中間層を形成するにはグロ一放電法などによる'ことができ、 かかるグ ロー放電法による中間層の形成においては、 上部注入阻止層の形成と同様の原 料ガスなどを使用し、 ガスとの混合比、 反応容器内のガス圧、 放電電力ならぴ に基体の温度を適宜設定することができる。
く基体〉 ' '
本発明において使用される導電性基体としては、 Aし C r、 M o、 A u、
I n、 N b、 T e、 V、. T i、 P t、 P d、 F .c等の金属、 およびこれらの合 金、 例えばステンレス等を挙げることができる。 .
また、 ポリエステル、 ポリエチレン、 ポリ力一ポネート、 セルロースァセテ ート、 ポリプロピレン、 ポリ塩化ビニル、 ポリスチレン、 ポリアミド等の合成 樹脂のフィルムまたはシート、 ガラス、 セラミック等の電気絶縁性基体の、 少 なくとも光受容層を形成する側の表面は、 導電処理されたものが使用される。 基体の形状は平滑な表面または凹凸状の表面をレた円筒状または無端ベル ト状であることができ、 その厚さは、 所望通りの光受容部材を形成し得るよう に適宜決定するが、 光受容部材としての可撓性が要求される場合には、 基体と しての機能が充分発揮できる範囲内で可能な限り薄くすることができる。 しか しながら、 基体は製造上および取り扱い上、 機械的強度等の点から通常は 1 Ό m以上とされる。
<光導電層〉
基体上に例えばグロ一放電法によって光導 層を形成するには、 基本的には シリコン原子 (S i ) を供給する S i供給用の原料ガスと、 水素原子 (H) を 供給する H供給用の原料ガスと、 必要に応じてハロゲン原子 (X) を供給する X供給用の原料ガスとを、 内部を減圧できる反応容器内に所望のガス状態で導 入して、 反応容器内にグロ一放電を生起させ、 あらかじめ所定の位置に設置さ れてある所定の基体上に a— S i : H, Xからなる層を形成すればよい。
光導電層中の水素原子、 更に必要に応じて添加されるハロゲン原子は、 シリ コン原子の未結合手を補償し、 層品質の向上、 特に光導電性および電荷保持特 性を向上させる。
水素原子の含有量は、 特に制限はな が、 シリコン原子と水素原子の和に対 して 1 0〜4 0 a t m%とされるのが好ましい。 また、 その分布形状に関して も、 露光系の波長に合わせて含有量を変化させるなど、 適宜調整することが好 ましい。
特に、 水素原子やハロゲン原子の含有量をある程度多くすると、 光学的バン ドギャップが大きくなり、 感度のピークが短波長側にシフ.トすることが知られ ている。 このような光学的バンドギャップの拡大は、 短波長の露光を用いる際 には好ましく、 その場合には、 水素原子をシリコンと水素原子の和に :対して 1 5 a t m%以上とすることが好ましい。
S i供給用ガスとなり得る物質としては、 S i H4、 S i 2H6、 S i 3H8、 S i 4H,。等のガス状態、 またはガス化し得る水素化ケィ素 (シラン類) が有効に 使用されるものとして挙げられ、 更に層作製時の取り扱い易さ、 S i供給効率 の良さ等の点で S i H4、 S i 2H6が好ましいものとして挙げられる。 なお、 各 ガスは単独種のみでなく所定の混合比で複数種混合しても差し支えない。 更に、 膜の物性の制御性、 ガスの供給の利便性などを考慮し、 これらのガス に更に、 H2、 H e及び水素原子を含むケィ素化合物から選ばれる 1種以上のガ スを所望量混合して層形成することも出来る。 ハロゲン原子供給用の原料ガス としては、 具体的には、 フッ素ガス (F2) 、 B r F、 C 1 F、 C I F3, B r F3、 B r F5、 I F3、 I F7等のハロゲン化合物、 S i F4、 S i 2F6等のフッ化 ケィ素が好ましいも ®として挙げることができる。 '
光導電層中に含有されるハロゲン元素の量を制御するには、 例えば、 基体の 温度、 ハロゲン元素を含有させるために使甩される原料物質の反応容器内へ導 入する量、 放電空間の圧力、 放電電力等を制御すればよい。
加えて、 光導電層には伝導性を制御する原子を光導電層の廇厚方向に不均一 な分布状態で含有することが好ましい。 これは、 光導電層のキヤリァの走行性 を調整し、 また或は補償して走行性を高次元でバランスさせることにより、 帯 電能の向上、 光メモリ低減、 感度の向上のために有効である。
伝導性を制御する原子の含有量は、 特に制限されないが、 一般には 0 . 0 5 〜5. a t m p p mとするのが好ましい。 また、 光の到達する範囲においては、 伝導性を制御する原子を実質的に含有しないように制御を行う (積極的な添加
を行わない) ことも出来る。'
この伝導性制御原子の含有量が、 膜厚方向に連続的に、 又は段階的に変化す る領域を含んでいてもよく、 含有量が膜厚方向で一定の領域を含んでいてもよ い。
伝導性を制御する原子として、 周期表 13族に属する原子 (13族原子とも 略記する) 、 又は周期表 15族に属する原子 (15族原子とも略記する) を用 いることができる。
13族原子としては、 具体的には、 ホウ素 (B) 、 アルミニウム (A 1) 、 ガリウム (Ga) 、 インジウム (I n)、 タリウム (T 1)等があり、 特に B、 A l、 G aが好適である。
そのような 13族原子導入用の原料物質としては具体的には、 ホウ素原子導 入用としては、 B2H6、 B4H10、 B5H9、 B5Hn、 B6H,。、 B6H12、 B6H14等の 水素化ホウ素、 BF3、 BC 13、 BB r 3等のハロゲン化ホウ素等が挙げられる。 この他、 A1 C 13、 GaC l3、 Ga (CH3) 3、 I n C 13、 T 1 C 13等も挙 げることができる。 15族原子として、具体的には、 窒素(N) 、 リン(P) 、 ヒ素 (As) 、 アンチモン (Sb) 、 ビスマス (B i) 等があり、 特に P、 A s、 Sbが好適である。
15族原子導入用の原料物質として有効に使用されるのは、 リン原子導入用 としては、 PH3、 P2H4等の水素化リン、 PH4I、 PF3、 PF5、 PC15、 P B r3、 PBr5、 P 13等のハロゲン化リンが挙げられる。 この他、 s H3、 A s F3、 As C l3、 As B r3、 A s F5、 SbH3、 S bF3、 S bF5、 S b C 13、 S b C 15、 B i H3、 B i C 13、 B i B r3等も 15族原子導入用の出発物 質の有効なものとして挙げることができる。
また、 これらの伝導性を制御する原子導入用の原料物質を必要に応じて H2 および Zまたは Heにより希釈して使用してもよい。
光導電層の層厚は所望の電子写真特性が得られること及び経済的効果等の
点から適宜所望にしたがつ T決定され、 5〜5.0 z mが好ましく、 1 0 ^ 4 5 mがより好ましく、 2 0〜4 0 mが更に好ましい。 .
層厚が 5 ii mより薄くなければ、 帯電能や感度等の電子写真特性が実用上充 分であり、 5 0 mより厚くなければ、 光導電層の作製時間が長ぐなつて' 造 コス卜が高くなることはない。
所望の膜特性を有する光導電層を形成するには、 S i供給用、 八ロゲン添加 用等のガスと希釈ガスとの混合比、 反応容器内のガス圧、 放電電力ならびに基 体温度を適宜設定することが好ましい。
希釈ガスとして使用する H2および/または H eの流量は、層設計にしたがつ て適宜最適範囲が選択されるが、 H eの流量は、 S i供給用ガスに対し、 通常 の場合 3〜 3 0倍が好ましく、 4〜1 5倍がより好ましく、 5〜1 0倍の範囲 に制御することが更に好ましい。
反応容器内のガス圧も同様に層設計にしたがって適宜最適範囲が選択され るが、 通常の場合 1 X 1 0— 2〜: L X 1 03P aが好ましく、 5 X 1 0— 2〜5 X 1 0 2P aがより好ましく、 1 X 1 0 -1〜 2 X 1 02P aが更に好ましい。
放電電力もまた同様に層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、 S i供給用のガスの流量に対する放電電力の比を、 0 . 5〜 8に設定するこ^が 好ましく、 2〜6の範囲に設定することがより好ましい。
さらに、 基体の温度は、 層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、 2 0 0〜3 5 0 が好ましく、 2 1 0〜3 3 0 がより好ましく、 , 2 2 0〜3 o o tとするのが更に好ましい。 、
光導電層を形成するための基体温度、 ガス圧の好ましい数値範囲として前記 した範囲が挙げられるが、 条件は通常は独立的に別々に決められるものではな く、 所望の特性を有する光受容部材を形成すべく相互的かつ有機的関連性に基 づいて最適値を決めるのが好ましい。
ぐ下部注入阻止層 >
図 1 Aから図 1 Cに示すように、 導電性基体 101の上層 (こは、 基体 101 側がらの電荷の注入を阻止する働きのある下部注入阻止層 105を設けるの が効果的である。 下部注入阻止層 105は感光層 102が一定極性の帯電処理 をその自由表面に受けた際、 基体 1 G 1側より光導電層 103側に電荷が注入 されるのを阻止する機能を有している。
下部注入阻止層 105には、 シリコン原子を母材として導電性を制御 る元 素を含有させることで得られる。 下部注入阻止層 105は、 光導電層 103に 比べて導電性を制御する元素を比較的多く含有させることが好ましい。
負帯電用電子写真感光体の場合、 下部注入阻止層 105に含有される不純物 元素としては、 周期表 15族元素を用いることが出来る。 下部注入阻止層 10 5中に含有される導電性を制御する元素の含有量は、 本発明の目的が効果的に 達成できるように所望にしたがって適宜決定されるが、 下部注入阻止層中の構 成原子の総量に対して 10 a tmp pm以上 10000 a tmp pm以下が 好ましく、 50 a tmp pm以上 7000 a tmp pm以下がより好ましく、 100 a tmp pm以上 5000 a tmp pm以下が更に好ましい。
更に、 下部注入阻止層 105には、 炭素、 窒素及び 素を含有させることに よって、 下部注入阻止層 105と基体 101との間の密着性の向上を図る.こと が可能となる。 また、 負帯電用電子写真感光体の場合には、 下部注入阻止層 1 05が導電性を制御する元素を含有しなくても窒素および酸素を最適に含有 させることで優れた下部注入阻止能を付与することも可能と る。 .
具体的に、 下部注入阻止層 105の全層領域に窒素原子および酸素原子を含 有させることで下部注入阻止能を向上させることができる。 この場合、 含有さ れる窒素原子および酸素原子の含有量は、 窒素および酸素の和が下部注入阻止 層中の構成原子の総量に対して、 0. 1 a tm%以上 40 a tm%以下が好ま しく、 1. 2 a tm%以上 20 a tm%以下がより好ましい。
また、 本発明【 おける下部注入阻止層 105には水素原子を含有させるのが
好ましく、 この場合、 含有される水素原子は、 層内に存在する未結合手を補償 し膜質の向上に効果を奏する。 下部注入阻止層 105中に含有される水素原子 の含有量は、 下部注入阻止層中の構成原子の総量に対して 1 a tm%以上 50 a tm%以下が好ましく、 5 a tm%以上 40 a tm%以下がより好ましく、 10 a tm%以上 30 a tm%以下が更に好ましい。
さらに、 本発明における下部注入阻止層 105には炭素原子を含有させるの が好ましい。 この場合、 含有される炭素原子は、 層内に存在する未結合手を補 償し膜質の向上に効果を奏する。 下部注入阻止層 105中に含有される水素原 子の含有量は、 下部注入阻止層中の構成原子の総量に対して 1 a tm%以上 5 0 a tm%以下が好ましく、 5 a tm%以上 40 a tm%以下がより好ましく、 10 a tm%以上 30 a tm%以下が更に好ましい。
本発明において、 下部注入阻止層 105の層厚は所望の電子写真特性が得ら れること、 及び経済的効果等の点から、 10 Onm以上 5000 nm以下が好 ましく、 300 nm以上 4000 nm以下がより好ましく、 50 Onm以上 3 000 nm以下とすることが更に好ましい。
層厚を 100 nm以上 5000 nm以下とすることにより、 基体 101から の電荷の注入阻止能が充分となり、 充分な帯電能が得られると共に電子写真特 性の向上が期待でき、 残留電位の上昇などの弊害が発生しない。
下部注入阻止層 105を形成するには、 反応容器内のガス圧、 放電電力なら びに基体の温度を適宜設定することが必要である。導電性基体温度 (T s )は、 層設計にしたがって最適範囲が適宜選択されるが、 通常の場合、 150 以上 350で以下が好ましく、 180で以上 33 O :以下がより好ましく、 20 0 以上 300 以下とすることが更に好ましい。
反応容器内の圧力も同様に層設計にしたがって最適範囲が適宜選択される が、 通常の場合 lX i.O_2P a以上 1 X 103Pa以下が好ましく、 5X 10_2 P a以上 5 X 102P a以下がより好ましく、 最適には 1 X 10"'P a以上 1 X
102P a以下とするのが更に好ましい。
く電子写真感光体の製造装置〉
次に、 本発明の光受容層 102を作製するための装置及び膜形成方法につい て詳述する。
図 2は、 電源周波数として RF帯を用いた高周波プラズマ CVD法 (RF— PCVDとも略記する) による電子写真感光体の製造装置の一例を示す模式的 な構成図である。 図 2に示す製造装置の構成は以下の通りである。
この装置は大別すると、 堆積装置 2100、 原料ガスの供給装置 2200、 反応容器 2111内を減圧にするための排気装置 (図示せず) から構成されて いる。 堆積装置 2100中の反応容器 2111内には円筒状基体 2112、 基 体加熱用ヒ一夕一 2113、 原料ガス導入管 2114力 S設置され、 さらに高周 波マッチングボックス 2115が接続されている。
原料ガス供給装置 2200は、 S iH4、 GeH4、 H2、 CH4、 B2H6、 PHS 等の原料ガスのボンべ 2221〜2226とバルブ 2231〜2236.、 22 41〜2246、 2251〜2256及びマスフローコント口一ラー 221 1 〜2216から構成され、 各原料ガスのボンべは M助バルブ 2260を介して 反応容器 2111内のガス導入管 2114に接続されている。
この装置を用いた堆積膜の形成は、 '例えば以下のように行なうことができ る。
先ず、 反応容器 2111内に円筒状基体 2112を設置し、 不図示の排気装 置 (例えば真空ポンプ) により反応容器 2111内を排気する。 続いて、 基体 加熱用ヒ一夕一 2113 ίこより円筒状基体 211.2の温度を 15 Ot乃至 3 50 の所定の温度に制御する。
堆積膜形成用の原料ガスを反応容器 2111に流入させるには、 ガスボンベ のバルブ 2231〜 2.236、 反応容器のリークバルブ 2117が閉じられて いることおよびガス流入バルブ 22.41 2246、 流出バルブ 2251〜2
2 5 6、 補助バルブ 2 2 6 0が開かれていることを.確認して、 まずメインノ レ ブ 2 1 1 8を開いて反応容器 2 1 1 1及び原料ガス配管内 2 1 1 6を排気す る。
次に、 真空計 2 1 1 9の読みが約 0 . 1 P a以下になった時点で補助バルブ 2 2 6 0、 ガス流出バルブ 2 2 5 1〜2 2 5 6を閉じる。 その後、 ガスボンベ 2 2 2 1〜 2 2 2 6より各ガスを原料ガスボンベバルブ 2 2 3 1〜2 2 3 6 を開いて導入し、 圧力調整器 2 2 6 1〜2 2 6 6により各ガス圧を 0 . 2 M P aに調整する。 次に、 ガス流入バルブ 2 2 4 1〜2 2 4 6を徐々に開いて、 各 ガスをマスフローコント口一ラー 2 2 1 1〜2 2 1 6内に導入する。
以上のようにして成膜の準備が完了した後、 以下の手順で各層の形成を行う。 円筒状基体 2 1 1 2が所定の温度になったところで流出バルブ 2 2 5 1〜 2 2 5 6のうちの必要なもの及び補助バルブ 2 2 6 0を徐々に開き、 ガスポン ベ 2 2 2 1〜2 2 2 ,6 6から所定のガスを、 原料ガス導入管 2 1 1 4を介して 反応容器 2 1 1 1内に導入する。 次にマスフローコントローラー 2 2 1 1〜2 2 1 6によって各原料ガス;^所定の流量になるように調整する。 その際、 反応 容器 2 1 1 1内の圧力が 1 X 1 0 2 P a以下の所定の圧力になるように真空計 2 1 1 9を見ながらメインバルブ 2 1 1 8の開口を調整する。 内圧が安定した ところで、 周波数 1 3 . 5 6 MH zの R F電源 (不図示) を所望の電力に設定 して、 高周波マッチングボックス 2 1 1 5を通じて反応容器 2 1 1 1内に R F 電力を導入し、 グロ一放電を生起させる。 この放亀エネルギ よって反応容 器内に導入された原料ガスが分解され、 円筒状基体 2 1 1 2上に所定のシリコ ンを主成分とする堆積膜が形成されることになる。 所望の膜厚の形成が行われ た後、 R F電力の供給を止め、 流出バルブを閉じて反応容器へのガスの流入を 止め、 堆積腠の形成を終える。
同様の操作を複数 0繰り返すことによって、 所望の多層構造の光受容層が形 成される。 それぞれの層を形成する際には必要なガス以外の流出バルブはすべ
て閉じられていることは言うまでもなく、 また.、 それぞれのガスが反応容器 2 1 1 1内、 流出バルブ 2 2 5 1〜2 2 5 6から反応容器 2 1 1 1に至る配管内 に残留することを避けるために、 流出バルブ 2 2 5 1〜2 2 5 6'を閉じ、 補助 バルブ 2 2 6 0を開き、 さらにメインバルブ 2 1 1 8を全開にして系内を 旦' 高真空に排気する操作を必要に応じて行う。
また、 膜形成の均一化を図るために、 層形成を行なっている間は、 円筒状基 体 2 1 1 2を駆動装盧 (不図示) によって所定の速度で回転させることも有効 である。
さらに、 上述のガス種及びバルブ操作は各々の層の作製条件に従って変更が 加えられることは言うまでもな 。
基体の加熱方法は、 真空仕様である発熱体であればよく、 より具体的にはシ ース状ヒータ一の巻き付けヒータ一、 板状ヒータ一、 セラミックヒ一夕一等の 電気抵抗発熱体、 ハロゲンランプ、 赤外線ランプ等の熱放射ランプ発熱体、 液 体、 気体等を熱媒体とした熱交換手段による発熱体等が挙げられる。 加熱手段 の表面材質としては、 ステンレス、 ニッケル、 アルミニウム、 銅等の金属類、 セラミックス、 耐熱性高分子樹脂等を使用することができる。
上記以外にも、 反応容器以外に加熱専用の容器を設け、 加熱した後、 反応容 器内に真空中で基体を搬送する方法が用いられる。
<電子写真装置 >
図 3は、 フィルム状の誘電体ベルトからなる中間転写ベルト 3 0 5を用いて 転写を行う電子写真プロセスを利用したカラ一画像形成装置 (複写機またはレ ザ一ビームプリン夕一) の模式図である。
この画像形成装置は、 表面に静電潜像が形成され、 この静電潜像上にトナー が付着されてトナ一像が形成される第 1の画像担持体が、 繰り返し使用される 回転ドラム型の電子写真感光体がらなる感光体ドラム 3 0 1から構成されて いる。
感光体ドラム 3 0 1の周りには、 感光体ドラム 3 .0 1の表面を所定の極性 · 電位に一様に帯電させる 1次帯電器 3.0 2と、 帯電された感光体ドラム 3 0 1 の表面に画像露光 3 0 3を行って静電潜像を形成する、 不図示の画像露光装置 とが配置され、 更に、 形成された静電潜像上にトナーを付着させて現像する現 像器として、 ブラックトナー (B) を付着させる第 1現像器 3 0 4 aと、 ィ: L 口一トナー (Y) を付着させる現像器と、 マゼン夕トナー (M) を付着させる 現像器と、 シアン.トナー (C) を付着させる現像器とを内蔵した回転型の第 2 の現像器 3 0 4 bが配置されている。 さらに、. 中間転写ベルト 3 0 5にトナー 像を転写した後、 感光体ドラム 3 0 1上をクリーニングする感光体クリーナ 3 0 6、 及び、 感光体ドラム 3 0 1の除電を行う除電露光 3 0 7が設けられてい る。
中間転写ベルト 3 0 5は、 感光体ドラム 3 0 1に当接ニップ部を介して駆動 するように配置されており、 内側には感光体ドラム 3 0 1上に形成された卜ナ 一像を中間転写ベルト 3 0 5に転写するための一次転写ローラ 3 0 8.が配備 されている。 一次転写ローラ 3 0 8には、 感光体ドラム 3 0 1上のトナー像を 中間転写ベルト 3 0 5に転写するための一次転写バイアスを印加するバイァ ス電源 (不図示) が接続されている。 中間転写ベルト 3 0 5の周りにほ、 中間 転写ベルト 3 0 5に転写されたトナー像を記録材 3 1 3にさらに転写するた めの二次転写ローラ 3 0 9が、 中間転写ベルト 3 0 5の下面部に接触するよう に設けられている。
二次転写ローラ 3 0 9には、 中間転写ベル卜 3 0 5上のトナ一像を記録材 3 1 3に転写するための二次転写バイアスを印加するバイアス電源が接続され ている。 また、 中間転写ベルト 3 0 5上のトナー像を記録材 3 1 3に転写した 後、 中間転写ベルト 3 0 5の表面上に残留した転写残トナーをクリーニングす るための中間転写ベルドクリーナ 3 1 0が設けられている。
また、 この画像形成装置は、 画像が形成される複数の記録材 3 1 3を保持す
る給紙力セット 3 1 4と、 記録材 3 1 3を給紙力セット 3 1 4から中間転写べ ルト 3 0 5と二次転写口一ラ 3 0 9との当接エップ部を介して搬送する搬送 機構とが設けられている。 記録材 3 1 3の搬送経路上には、 記録材 3 1 3上に 転写きれたトナ一像を記録材 3 1 3上に定着させる定着器 3.1 5が配置され ている。 〖
一次帯電器 3 0 2としては磁気ブラシ方式の帯電器などが用いられる。 画像 露光装置としては、 カラ一原稿画像の色分解,結像露光光学系や、 画像情報の 時系列電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザービームを出力す るレーザ一スキャナによる走査露光系などが用いられる。
次に、 この画像形成装置の動作について説明する。
まず、 図 3に矢印で示すように、 感光体ドラム 3 0 1が、 時計方向に所定の ' 周速度 (プロセススピード) で回転駆動され、 中間転写ベル卜 3 0 5が、 反時 計方向に、 感光体ドラム 3 0 1と同じ周速度で回転駆動される。
感光体ドラム 3 0 1は、 回転過程で、 一次帯電器 3 0 2により所定の極性 · 電位に一様に帯電処理され、 次いで、 画像露光 3 0 3を受け、 これにより感光 体ドラム 3 0 1の表面上には、 目的のカラー画像の第 1の色成分像 (例えばマ ゼンタ成分像) に対応した静雩潜像が形成される。 次いで、 第 2現像器が回転 し、 マゼン夕トナー (M) を付着させる現像器が所定の位置にセットされ、 そ の静電潜像が第 1色であるマゼンタトナ一 (M) により現像される。 この時、 第 1現像器 3 0 4 aは、 作動オフになっていて感光体ドラム 3 0 1には作用せ ず、 第 1色のマゼン夕トナー像に影響を与えることはない。
このようにして、 感光体ドラム 3 0 1上に形成担持された第 1色のマゼン夕 トナー像は、 感光体ドラム 3 0 1と中間転写ベルト 3 0 5との ップ部を通過 する過程で、 一次転写バイアスがバイアス電源 (不図示) から一次転写ローラ 3 0 8に印加されるこ.とによって形成される電界により、 中間転写ベルト 3 0 5外周面に順次中間転写される。 ·
中間転写ベルト 3 0 5に第 1色のマゼンタトナー像を転写し終えた感光体 ドラム 3 0 1の表面は、 感光体クリーナ 3 0 6によりクリーニングされる。 次 に、 感光体ドラム 3 0 1の清掃された表面上に、 第 1色のトナ一像の形成と同 様に、 第 2色のトナー像 (例えばシアントナ一像) が形成され、 この第 2色の トナー像が、 第 1色のトナー像が転写された中間転写ベルト 3 0 5の表面上に 重畳転写される。以下同様に、第 3色のトナー像(例えばイエロ一トナー像)、 第 4色のトナ一像 (例えばブラックトナー像) が中間転写ベルト 3 0 5上に^! 次重畳転写され、 目的のカラ一画像に対応した合成力ラートナ一像が形成され る。
次に、 給紙カセット 3 1 4から中間転写ベルト 3 0 5と二次転写ローラ 3 0 9との当接ニップ部に所定のタイミングで記録材 3 1 3が給送され、 二次転写 ローラ 3 0 9が中間転写ベルト 3 0 5に当接されると共に、 二次転写バイアス がバイアス電源から二次転写ローラ 3 0 9に印加されることにより、 中間転写 ベルト 3 0 5上に重畳転写された合成カラ一トナ一像が、 第 2の面像担持体で ある記録材 3 1 3に転写される。 記録材 3 1 3へのトナー像の転写終了後、 中 間転写ベルト 3 0 5上の転写残トナ一は中間転写ベルトクリーナ 3 1 0によ りクリーニングされる。 トナー像が fe写された記録材 3 1 3は定着器 3 1 .5に 導かれ、 ここで記録材 3 1 3上にトナー像が加熱定着され 。
本画像形成装置の動作において、 感光体ドラム 3 0 1から中間転写ベルト 3 0 5への第 1〜第 4色のトナー像の順次転写実行時には、 二次 写ローラ 3 0 9および中間転写ベルトクリーナ 3 1 0は中間転写ベルト 3 0 5から離間さ せるようにてもよい。
このような中間転写ベルトを用いた電子写真によるカラー画像形成装置は、 以下に示す特徴を有している。
'第一に、 重ね合わせ時に各色のトナー像の形成位置がずれる色ズレが少ない。 また、 図 3に示すように、 記録材 3 .1 3をなんら加工、 制御 (例えばグリッパ
一に把持する、 吸着する、—曲率を持たせるなど) する必要なしに、 中間転写べ ルト 3 0 5からトナー像を転写させることができ、 記録材 3 1 3として多種多 様なものを用いることができる。 例えば、 薄い紙 (4 0 gZm2紙)から厚い紙 ( 2 0 0 gZm2紙)までの種々の厚みのものを選択して記録材.3 1 3:として使 用可能である。 また、 幅の広狭または長さの長短によらず種々の大きさのもの を記録材 3 1 3として使用可能である d さらには、 封筒、 ハガキ、 ラベル紙な どを記録材 3 1 3として使用可能である。 ,
また、 中間転写ベルト 3 0 5は、 柔軟性に優れており、 感光体ドラム 3 0 1 や記録材 3 1 3との二ップを自由に設定することができるため、 設計の自由度 が高く、 転写効率などを最適化しやすいといった特徴がある。
このように、 中間転写ベルト 3 0 5を用いた画像形成装置には種々の利点が める
実施例
以下実施例により本発明を更に詳細に説明するが、 本発明はこれらによって 何ら限定されるものではない。
(実施例 1 )
図 2に示したプラズマ C VD装置を用い、 直径 8 4 mm、 長さ 3 8 1 m:mの 鏡面加工を施しだアルミニウムシリンダ一 (支持体) 上に、 表 1に示した条件 で堆積膜を順次積層し、 上部注入阻止層、 表面層からなる感光体を作製した。 下部注入阻止層と光導電層は、 共通条件としてすベて表 1に示した条件で作製 し、 表面層は、 S i H4のガス流量、 S i H4と N2の混合比、 S i H4ガ 量あ たりの電力量を表 2に示す条件で、 それ以外は表 1に示す条件で作製し、 表面 層中における窒素原子濃度が異なる感光体 A〜Hを作製した。
このようにして製作した感光体 A〜Hは以下の評価を行った。
電子写真特性の評価には、 電子^真方式の画像形成装置 (キャノン製電子写 真装置 i R C 6 8 0 0を実験用に帯電器を磁気ブラシ方式に改造し、 帯電極性
を変更可能に改造し、 画像露光方式を I AE方式に改造し、 画像露光の光源を 発振波長 405 nmの青色発光半導体レーザ一に改造し、 ドラム面照射スポッ ト径が調整可能に画像露光の光学系を改造した機械 (以下、 i. RC 6800、一
405 nm改造機という。 ) ) にセットし、 以下に示す評価項目について評価 を行った。 測定結果は表 2に示した。
(1) 表面層中における実際の窒素原子濃度
最表面をおよそ 20 nm程度除去し最表面の環境の影響を受けた部分を取 り除いた上で S IMS (二次イオン質量分析法) [CAMECA社製: IMS -4F] により分析した。
(2) 表面層膜厚
干渉膜厚計 (大塚電子製: MCPD— 2000) によって軸方向 10点、 周 方向 6点の 60点に対して測定し、 最大値一最小値の値を平均膜厚で割った値 を膜厚ムラ (単位%) として表示した。
膜厚ムラが 30%を超えてくると、 硬度や抵抗のムラも大きくなつてくるが、 実用上は問題なかった。 さらに膜厚ムラが 40%を超えると硬度、 抵抗ムラも 大きく、 連続使用で部分的にスジ上に削れる現象が起こ,り、 好ましくない。
(3) 405 nm光の透過性
405 nm光の透過性は、 405 nm光に対する分光感度によって評価を行 つた。 すなわち、 製作した感光体 A〜Hに対して分光感度特性を測定し、 分光 感度が最大になる波長の分光感度 (分光感度のピーク値) を ¾準として、 40
5 nm光の分光感度を規格化した値によって、 それぞれの感光体について、 4 05 nm光の透過性の評価を行った。
ここでいう分光感度とは、 感光体の表面を一定電位、 例えば 450 Vに帯電 させ、 その後さまざまな波長の光を当てたとき、 単位光量 (単位面積) あたり の表面電位減衰分 (単位は V · cmV ) を指している。 この表面電位減衰 分の測定は、 梶田ら (電子写真学会誌、 第 22卷、 第 1号、 1983) の方法
に準じた方法により行った。 簡単に説明すると、 複写機内での挙動を再現する ため、 感光体表面に I T O電極な 透明な電極を密着させ、 複写機内のシーケ ンスを摸して露光や電圧印加を行い、 表面の電位変化を測定する。 表面の電位 を測定する場合には、 感光体をコンデンサ一と見なし、' 既知の容量と直列接続 して電位を印加することで、 感光体の帯電能の情報を得ることも可能となるの で、 好ましい。 梶田らの方法では透明絶縁膜を感光体と I T O電極の間に挟む 方法を用いているが、 電気回路を工夫する事で固定コンデンサーを用いても良 レ 具体的には、まず除電光(例えば 5 O mW/ c m2)を一定時間(例えば 0 . 1秒) 照射したあと、 一定時間 (例えば 0 . 0 1秒) 経過後、 電圧を印加 (例 えば 2 0 m s e c程度) して表面を帯電させる。 電圧付与をなくしてから一定 時間 (0 . 1〜0 . 5秒程 S、 例えば 0 . 2 5秒) 経てから、 I T O電極につ ないだ導電体の表面を電位計で測定する。 この時間は複写機内で感光体の電位 を付与した部分が現像器に到達するタイミングに相当するので、 現像器位置に おける電位に相当する。 次に、 同様のシーケンスで電圧付与と電位測定の間に 様々な波長の光を露光 (例えば電圧付与から 0 . 1秒後) し、 同様に現像器位 置に相当するタイミングの電位を測定し、 光を当てる場合と当てない場合との 差分を計算して求める。 これは、 現像器位置での、 露光光による電位減衰分を 測定していることに相当する。 このような感光体の感度は波長によって異なる ものとなる。 囟 6は、 横軸に波長、 縦軸に分光感度を、 その値が最大となる波 長における分光感度を基準として規格化した値として、 プロットしたグラフで ある。 更に、 図 7に、 表面層中における窒素原子濃度と 4 0 5 nmの光に対す る分光感度との関係についてプロットしたグラフを示す。 図 7から明らかなよ うに、 窒素原子濃度と 4 0 5 nmの光に対する分光感度との間には、 明確な相 関が見られ、 概ね窒素原子濃度が高くなるにつれて、 4 0 5 nmの光に対する 分光感度が良くなる傾向を示すことがわかる。
電子写真プロセスにおいて必要とされる感度の値は、 使用するレーザー素子
や光学系の性能に依存するものであり、 一概に、 その絶対値に言及する とは 難しい。 ここでは、 感光体 Bを、 評価用の画像形成装置に設置し、 現像器位置 における表面電位が— 4 5 0 V (暗電位) になるように帯電器を調整した後、 4 0 5 n mの像露光を照射し、 像露光光源の光量を調整して、 .表面電位が— 1 0 0 V (明電位) となるようにし、 そのときの露光量を基準露光量とした。 そ' の他の感光体については、 同様に評価用の画像形成装置に設置し、 4 0 5 nm の像露光を基準露光量で照射たときの電位が— 1 0 0 V以下にならない場合 は、 感度不足と判断した。
このようにして、 感度について本発明者らのさまざまな検討の結果、 図 6に 示したような分光感度のピーク値で規格化した指標で、 3 0 %以上の感度を有 することが好ましく、 望ましくは 4 0 %以上の感度を有することがより好まし いことがわかった。
従って、 そのような感度を有する感光体としては、 表面層中の窒素原子濃度 を、 3 0 a t m%以上、より好ましくは 3 5 a t m%以上とすることによって、 青色発光半導体レーザーのような 4 0 5 nm付近の短波長レーザー光に対す る感度を有するという更なる効果を有することが明らかとなった。
その一方、 表 2から明らかなように、 感光体 Gでは膜厚ムラが大きく、 表面 層として使用する際には窒素濃度が高すぎないことが望ましいことが分かつ た。 このような観点において、 表面層中の窒素原子濃度は、 好ましくは 7 0 a t m%以下、 より好ましくは 6 0 a t m%以下が好適であることがわかった。
表 1
表 2
<実施例 2 > - 図 2に示したプラズマ C ViD装置を用い、 直径 8 4 mm、 長さ 3 8 l mmの 鏡面加工を施したアルミニウムシリンダ一 (支持体) 上に、 表 3に示した条件 で、. 下部注入阻止層、 光導電層、 及び、 上部注入阻止層、 表面層からなる堆積 膜を順次積層し、 感光体を製作した。 下部注入阻止層と光導電層は、 共通条件 としてすベて表 1に示じた条件で 膜し、 表面層に関しては、 表 4に挙げたよ うに C Hのガス流量をさまざまに変化させて成膜し、表面層中における炭素原
子濃度が異なる感光体 2 A〜 2 Hを製作した。 .
このようにして製作した感光体 2 Α〜 2 Ηについては、 実施例 1と同様に (1)窒素原子濃度、 (3) 405 nmの透過性に加えて以下の評価を行った。
(4) 表面層中における実際の炭素原子濃度
最表面をおよそ 2 Onm程度除去する事で最表面の影響を取り除いた上で S IMS (二次イオン質量分析法) [CAMECA社製: IMS— 4F] によ り分析した。
(5) 残留電位
作製した電子写真感光体について、 現像器位置における表面電位が一 450 V (暗電位) になるように帯電器 調整した後、 像露光光源の光量を最大にな るように調整して、 像露光を照射し、 現像器位置に設置した表面電位計により 電子写真感光体の表面電位を測定し残留電位とした。 評価は、 感光体 2 Aをリ ファレンスとし、 以下に示す判断基準によってランク付けすることによって行 つ/こ。
☆: リファレンスに比べて 10%以上向上し、 非常に良いレベル
◎: リファレンスに比べて 5%以上向上し、 良いレベル
〇: リファレンスと同等! ル
(6) 電位ムラ
作製した電子写真感光体について、 現像器位置における暗部電位が一 450 Vになるように帯電器を調整し、 現像器位置における明部電位が一 1ひ 0 Vに なるように像露光光源の光量を調整した状態において、 暗部電位と明部電位の 面内分布を測定し、 その最大値と最小値の差を電位ムラとした。 評価は、 感光 体 2 Aをリファレンスとし、 以下に示す判断基準によってランク付けすること によって行った。
☆: リファレンスに比べて 10%以上向上し、 非常に良いレベル
◎ : リファレンスに比べて 5%以上向上し、 良いレベル
〇:.リファレンスと同等レベル
評価結果を、 表 4に示す。 '
評価結果より、 炭素原子を微量含有させることで、 残留電位および電位ムラ. に関する特性が改善されることがわかる。
表 3
(*) : 表 4參照
表 4
( * * )の 1定值は限定賊界と考えられる。 く実施例 3> ·
図 2に示したプラズマ CVD装置を用い、 直径 84mm、 長さ 38 lmmの
鏡面加工を施したアルミニウムシリンダ一 (支持体) 上に、 表 5に示した条件 で、 下部注入阻止層、 光導電層、 皮び、 表面領域層からなる堆積膜を順次積層 し、 感光体を製作した。
このとき、 表 5に示すように、 表面領域層の形成途中で <3 ガスと. B2H6ガ スの導入量を変化させる事で炭素原子濃度と周期表 1 3族元素のホウ素原子 ' 濃度が極大値を持つようにした。 表 3の表面領域層に極大値を形成するための ガスの導入方法としては、 変化層と表面層との形成時に、 表 5に示すように、 C H4ガスと B2H6ガスとを、 所定時間を掛けて一定値から直線的に増加させ、 その後同じ速度で再び初期の一定値まで直線的に減少させた。 さらに, NOガ ス、 S i F4ガスの導入量を変化させて同様に、 極大値を持つようにした。
このようにすることで炭素原子と硼素原子の含有量が図 1 0に示すような 極大値を持つ分布であることが S I M S測定によって確かめられた。
なお、 炭素原子の極大値は 1 . 0 X 1 02個/ c m3であり、 硼素原子の極大 値は、 光導電層側から、 2 . 1 X 1 0 18i@/ c m\ 6 . 5 X 1 0'18個 m3で あった。 硼素原子の極大値間隔は 2 5 0 n mであった。
また、表面層の窒素の量は NZ ( S i + N)の表記で 4 3 a t m%であった。
表 5
得られた感光体を、 電子写真方式の画像形成装置 (キャノン製電子写真装置 i R C 6800を実験用に帯電器を磁気ブラシ方式に改造し、 帯電極性を変 更可能に改造し、 画像露光方式を IAE方式に改造し、 画像露光の光源を発振 波長 405 nmの青色発光半導体レーザ一に改造し、 ドラム面照射スポット径 が調整可能に画像露光の光学系を改造した機械) にセットして、 以下の評 を 行った。 評価結果は、 後述の比較例 1および実施例 4とともに表 8に示されて いる。
(1) 解像度 - パソコンで、 2ポイントサイズ、 及び、 3ポイントサイズのアルファベット ■ (A〜Z) 、 及び、 複雑な漢字 (電、 驚など) を 1200 d p iの解像度で配 列したテストチャートを作成し、 そのテストチャートをプリン卜アウトした画 像によって感光体の解像度の評価を行った。 具体的には、 出力画像をスキャナ ― (キヤノン製 C a n.o'S c an 9900 F) を使って 1600 d p iの解像 度で読み取り、 読み取つた画像データとテストチャートの元データを比較して、
テスト原稿の文字からのズレ部分 (太り、 細り.) の面積を算出し、 その数値に よって感光体の解像度の評価を行った。 評価は、 後述する.比較例 1に示す層構 成の感光体の値をリファレンス (1 0 0 %) とした場合の相対評価でランク付 けをすることによって行った。
☆ : 8 0 %未満で、 リファレンスに比べて、 非常に良いレベル
◎ : 8 0 %以上、 9 5 %未満で、 リファレンスに比べて、 良いレベル 〇: リファレンスと同等レベル
( 2 ) 帯電能
作製した電子写真感光体を電子写真装置に設置して 電を行ない、 現像器位 置に設置した表面電位計により電子写真感光体の暗部表面電位を測定し帯電 能とした。 このとき、 比較のために帯電条件 (帯電器への D C印加電圧、 重畳 A C振幅、 周波数など) は一定とした。 評価は、 後述する比較例 1に示す層構 成の感光体をリファレンスとし、 以下に示す判断基準によってランク付けをす ることによって行った。
☆ : リファレンスに比べて 1 0 %以上向上し、 非常に良いレベル
◎: リファレンスに比べて 5 %以上向上し、 良いレベル
〇: リファレンスと同等レベル
( 3 ) 残留電位
作製した電子写真感光体について、 現像器位置における表面電位が— 4 5 0 V (暗電位) になるように帯電器を調整した後、 像露光光源の光量,を最大にな るように調整して、 像露光を照射し、 現像器位置に設置した表面電位計により 電子写真感光体の表面電位を測定し残留電位とした。 評価は、 後述する比較例 1に示す層構成の感光体をリファレンスとし、 以下に示す判断基準によってラ ンク付けをすることによって行った。
☆: リフ 7レンスに比べて 1 0 %以上向上し、 非常に良いレベル
◎: リファレンスに比べて 5 %以上向上し、 良いレベル
〇: リファレンスと同等レベル
( 4 ) 感度
作製した電子写真感光体について、 現像器位置における表面電位が一 4 5 0 V (暗電位) になるように帯電器を調整した後、 像露光を照射し、 像露 光源 の光量を調整して、 表面電位が一 1 0 0 V (明電位) となるようにし、 そのと きの露光量を感度とした。 評価は、 後述する比較例 1に示す層構成の感光体を リファレンスとし、 以下に示す判断基準によってランク付けすることによって 行った。
☆: リファレンスに比べて 1 0 %以上向上し、 非常に良いレベル
◎: リファレンスに比べて 5 %以上向上し、 良いレベル
〇: リファレンスと同等レベル
( 5 ) 電位ムラ
作製した電子写真感光体について、 現像器位置における暗部電位が— 4 5 0 Vになるように帯 ¾器を調整し、 現像器位置における明部電位が— 1 0. 0 Vに なるように像露光光源の光量を調整した状態において、 暗部電位と明部電位の 面内分布を測定し、 その最大値と最小値の差を電位ムラとした。 評価は、 後述 する比較例 1に示す層構成の感光体をリファレンスとし、 以下に示す判断基準 によってランク付けすることによって行った。
☆ : リファレンスに比べて 1 0 %以上向上し、 非常に良いレベル
◎: リファレンスに比べて 5 %以上向上し、 良いレベル
〇: リファレンスと同等レベル
( 6 ) 光メモリ
現像器位置における暗部電位が— 4 5 0 Vになるように帯電器を調整し、 現 像器位置における明部電位が一 1 0 0 Vになるように像露光光源の光量を調 整した状態において、 .同様の電位センサーにより非像露光状態での表面電位と 一旦像露光した後に再度帯電した時との電位差を測定し、 光メモリとした。 評
価は、 後述する比較例 1に示す層構成の感光体をリファレンスとし、 以下に示 す判断基準によってランク付けす.ることによって行った。
☆:リファレンスに比べて 10%以上向 ±し、 非常に良いレベル
◎:リファレンスに比べて 5%以上向上し、 良いレベル
0:リファレンスと同等レベル
(7) 405 nm光の透過性
分光感度特性は、 一定暗部電位から一定明部駕位まで光減衰させるのに必要 な光量の逆数、 即ち、 光の単位エネルギー量当たりの電位減衰量をその露光波 長に対する分光感度とし、 露光波長を変化させた時の各波長における分光感度 を測定して、 分光感度が最大になる波長の分光感度 (分光感度のピーク値) に よって規格化した数値によって評価した'。 より具体的には、 405nm光の透 過性を評価するために、 405 nm光の分光感度によって透過性の評価を行つ た。
(8) クリーニング性 (CLN性と略記)
CLN性は、 クリーニング残トナーが発生し始めるクリーニングブレード圧 力によって評価を行った。 具体的には、 A4コピー紙 1000枚の通紙耐久を 行った後の、 感光体表面を観察し、 クリーニング残トナーの有無を判定する実 験を、 クリーニングブレード圧力を徐々に低くしながら繰り返して、 クリ一二 ング残トナーが発生し始めるクリーニングブレード圧力を調べた。 評価は、 後 述する比較例 1に示す層構成の感光体の値をリファレンス (100%) としすこ 場合の相対評価でランク付けすることによって行った。 クリーニング残トナー が発生し始めるクリーニングブレード圧力は、 低い方がクリ一ニングのラチチ ユードが広く、 C L N性に優れると解釈することができる。
☆ : 80%未満で、 リファレンスに比べて、 非常に良いレベル
©: 80%以上、 9.5%未満で、 リファレンスに比べて、 良いレベル 〇: リファレンスと同等レベル
ぐ比較例 1 >
実施例 3と同様に、図 2に示した'プラズマ C VD装置を用い、直径 8 4 mm、 長さ 3 8 1 mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー (支持体) 上に、 表 6に示レた条件で、 下部注入阻止層、'光導電層、 及び、 上部注入阻止層、 表 面層からなる堆積膜を順次積層し、 感光体を製作した。
作成した感光体について、 実施例 3と同様の評価を行った。
評価結果は、 表 8に示す。
含有量は図 1 1に示すような極大値、 分布となるようにした。
表 6
ぐ実施例 4 >
実施例 3と同様に、図 2に示したプラズマ C VD装置を用い、直径 8 4 mm、 長さ 3 8 1 mmの鏡面加工を施.したアルミニウム リンダー (支持体) 上に、 表 7に示した条件で、 図 1 Bに示した層構成となるように、 下部注入阻止層、 光導電層、 及び、 上部注入阻止層、 表面層からなる堆積膜を順次積層し、 感光 体を製作した。'
このとき、 表 7に示したように、 表面領域層に NOガス、 S i F4ガスを用い
なかった。 それ以外は、.実施例 3と同じ条件で製作した。
作成した感光体を、 実施例 3と同様の評価を行った。
評価結果は、 実施例 3、 比較例 1を合わせて表 8に示す。
含有量は囪 1 2に示すような極大値、 分布となるようにしだ。
表 7
表 8から明らかなように、 青色半導体レーザー (4 0 5 nm) で、 1 2 0. 0 d p iの解像度で配列したテストチャートの画像では、 解像度が向上した。 こ れは、 表面領域層の硼素原子の分布が 2齒所に極大値を持つようにし、 かつ炭 素原子、 酸素原子及びフッ素原子め分布が 1箇所の極大値を持つように作成さ れた実施例 3および表面領域層の硼素原子の分布が 2箇所に極大値を持つよ うにし、 かつ炭素原子の分布が 1箇所の極大値を持つように作成された実施例
4のような表面領域層を用いると、 ドット再現性を向上させ ¾ことが出来、'本 来のスポット径を絞った効果が十分に発揮される事がわかった。
実施例 3および 4のように、 表面領域層の硼素原子の分布が 2箇所に極大値' を持つような感光体は、 評価した全項目で特性の改善が見られた。 実施例' 4で は炭素元素の分布が 1箇所に極大値を持っていたが、 実施例 3のように炭素、 ' 酸素およびフッ素原子の分布が、 1箇所に極大値を持った構成とすることで更 に解像度、 残留電位、 光メモリ及び C L N性が向上することが分かる。
く実施例 5 >
実施例 3と同様に、図 2に示したプラズマ C VD装置を用い、直径 8 4 mm, 長さ 3 8 l mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー (支持体) 上に、 表 9に示した条件で、 図 1 Cに示した層構成となるように、 下部注入阻止層、 光導電層、 及び、 変化層、 表面層からなる堆積膜を順次積層し、 感光体を製作 した。
このとき、 表 9に示したように、 表面領域層に導入する、 S i H4および B2 H6ガスの流量を変化させて、含有量及び極大値を変化させて、数種の感光体を 作成した。 その時の含有量及び極大値は表 1 3に示す。 それ以外の条件は、 実 施例 3と同じ条件で製作した。
作成した感光体を、 実施例 3と同様の評価を行った。
評価結果は、 表 1 4に示す。
含有量は図 1 3に示すような極大値、 分布を有していた。
表 9
( * )流量が多いほうが極大値が大きい。 実施例 6 > ,
実施例 3と同様に、図 2に示したプラズマ C VD装置を用い、直径 8 4mm, 長さ 3 8 1 mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダ一 (支持体) 上に、 表 1 0に示した条件で、図 1 Cに示した層構成となるように、下部注入阻止層、 光導電層、 及び、 変化層、 表面層からなる堆積膜を順次積層し、 感光体を製作 した。 . '
このとき、 表 1 0に示したように、 表面領域層に導入する、 B2H6ガスの流 量を変化させて、 表面側の極大値 >光導電層側の極大値となるように作成した。 その時の含有量及び極大値は表 1 3に示す。 それ以外の条件は、 実施例 3と同 じ条件で製作した。
作成した感光体を、 実施例 3と同様の評価を行った。
評価結果は、 表 1 4に示す。
含有量は図 1 4に示ずような極大値、 分布を有していた。
表 1 0
( * )流量が多いほうが極大値が大きい。
<実施例 7 >
実施例 3と同様に、図 2に示したプラズマ C VD装置を用い、直径 8 4 mm、 長さ 3 8 l mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー (支持体) 上に、 表 1 1に示した条件で、図 1 Cに示した層構成となるように、下部注入阻止層、 光導電層、 及び、 変化層、 表面層からなる堆積膜を順次積層し、 感光体を製作 した。
このとき、 表 1 1に示したように、 表面領域層に導入する、 B 2 H 6ガスの流 量が最大値の時に、 一定時間変化させずに、 極大領域となるようにして作成し た。 その B#の含有量及び極大値を表 1 3に示す。 それ以外の条件は、 実施例 3 と同じ条件で製作した。 .
作成した感光体を、 実施例 3と同様の評価を行った。
評価結果は、 表 1 4に示す。 - 含有量は図 1 5に示ずような極大値、 分布を有していた。
表 1 1
( * )流量が多いほうが極大値が大きい。
<実施例 8 >
実施例 3と同様に、図 2に示したプラズマ C VD装置を用い、直径 8 4mm、 長さ 3 8 1 mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダ一 (支持体) 上に、 表 1 2に示した条件で、図 1 Cに示した層構成となるように、下部注入阻止層、 光導電層、 及び、 ·変化層、 表面層からなる堆積膜を順次積層し、 感光体を 作 した。
このとき、 表 1 2に示したように、 表面領域層に導入する、 B2H6ガスの流 量を変化させて、 極大値と極大値の間隔を変えて作成した。 その時 含有量及 び極大値は表 1 3に示す。それ以外の条件は、実施例 3と同じ条件で製作した。 作成した感光体を、 実施例 3と同様の評価を行った。
評価結果は、 表 1 4に示す。
含有量は図 1 6に示すような極大値、 分布となるようにした。
表 12
( * )流量が多いほうが極大値が大きい。 表 13は、 実施例 5 8で作成した感光体の表面領域層の、 ボロン原子の含 有量の表面側の極大値、 光導電層側の極大値、 極大値間のボロンの含有量の最 小値、 極大値間隔、 Nノ (S i +N) で現される表面層の窒素の量および炭素 原子の含有量の極大値を示している。
表 13 , 表面側の 光導電層側の 極大偕間の 大値
N/(Si+N) C 極大値 感光体 搔大偕 極大値 最小偕 間隔
atm% 個 Zcm3 個/ cm3 個/ cm3 /cm3 ΏΙύ
実施例 5 - A 4.5 X1018 5.0 X 1018 2.5 XlO18 480nm 55 ' 1.2 xlO20 実施例 5 - B 4.5 1018 4.8 lO18 1.2 xlO18 480nm 55 - 1.2 XlO20 ' 実旄例 5— C 4.1X1018 5.8 xlO18 2.7 X lO18 520 55 1.2 x 1020 実施例 5— D 3.9 lO18 4.6 XlO18 3.1 xlO18 500nm- 55 1.2 x 1020 実施例 6 - A 4.2X10" 5.5 lO18 1.4X10 470nm 55 1.2 xlO20 実施例 6— B 5.3 X1018 7.2 lO18 2.1 XlO18 550nm 55 1.2 XlO20 実施例 7 A 4.8 1018 4.2X 1018 1.3 ΐΟίβ 460nm 55 1.2 lO20 実施 B 4.2 lO18 5.2 lO18 1.6 XlO18 520 55 1.2 x 1020 実施 8 - A 4.5 1018 5.5 xlO18 1.2X 10,S lOOnm 55. 1.2 xlO20 実施例 8— B 4.5 xlO'8 , 5.5 lO18 . - 1.2 XlO18 90nm 55 1.2 x 1020 実施 8 - C • 4.¾ ΐ0,δ 5.5 xlO18 1.2 lO18 lOOOnm , 55 1.2 XlO20 実施例 8—!) 4.5 xlO18 5.5 XlO18 1.2X 101'8 1020nm 55 1.2 XlO20
表 14
表 14の実施例 5の評価結果から、 光導電層側の極大値を 5 X1018個/ c m3以上にすることで、 帯電能が向上し、 極大値間の含有量を 2. 5 X 1 018個 / c m3以下にすることで、解像度の向上が図れることがわがる。極大値間の含 有量の最小値が 2. 5 X 1 018個 Zcm3よりも多くなると、 極大値が実質的に 1個と同じになり解像度改善の効果が見られない。
また、 実施例 6の結果から、 周期表 13族元素を極大領域となる形で含有さ せても、 本発明の効果は得られて、 すべての項目で比較例よりも向上すること がわかる。 さらに、 極大値を持つように含有させた方が、 より解像度が向上す ることがわかる。
実施例 7の結果から、 表面側の極大値よりも光導電層側の極大値を大きくし て、かつ光導電層側の極大値を 5 X 1018個ノ cm3以上にすることで、解像度、 帯電能が改善することがわかる。
実施例 8の結果から、 極大値間隔が 10 O nmよりも小さくなると、 極大値 が実質的に 1個と同じになり、そのために解像度、帯電能、残留電位の改善が、 ほとんど見られなくなる'。 さらに、 1000 nmよりも大きくなると、 解像度 や残留電位、 感度に改善効'果がやや低下してくることがわかる。
以上から、 周期表 13族元素の極大値を少な.くとも 2個有するようにするこ' とで、 解像度が向上し、 さらに光導電層側の極大値を 5X 1018個/ cm3より も大きくし、 極大値間隔を 100 nm以上 100 Onm以下にすることで、 帯 電能ゃ残留電位、 感度といった電気特性を改善することができる。 : く実施例 9 >
実施例 3と同様に、図 2に示したプラズマ CVD装置を用い、直径 84mm、 長さ 38 lmmの鏡面加工を施しだアルミニウムシリンダ一 (支持体) 上に、 表 15に示した条件で、 下部注入阻止層、 光導電層、 及び、 変化層、 表面層か らなる堆積膜を順次積層し、 感光体を製作した。
このとき、 変化層の S i H4ガス流量は漸減させる変化パターンで、 N2ガス 流量は漸増させる変化パターンでの組み合わせを種種変えて、 表面層と光導電 層を光学的に連続するように作製した。 それ以外の条件は、 実施例 3と同じ条 件で製作した。
作成した感光ドラムについて、 分光反射スペクトルを測定し、 光学的な連続 性を評価した。
分光反射スペクトルは、 入射光波長に対する反射率であり、 分光光度計 (大 塚竃子社製 MCPD— 2000) も用いて測定した反射率 (百分率) の値をさ す。 具体的には、 分光器の光源の分光発光強度 I (o) をとり、 次いで感光体 の分光反射光度 I (D) をとり、 反射率 R= I (D) /\ (o) を求めたもの である。
分光反射スペクトルの測定結果を図 8 A、 図 8 Bに示す。
作成した感光体を、 実施例 3と同様の評価を行った。
なお、 炭素原子の極大値は、 1. 7X 102D個/ cm3であり、 硼素原子の極 大値は、 光導電層側から、 7. 3X 1018個ノ c m - 6. 4X 1018個/ c m3 であった。 硼素原子 φ.極大値間隔は、 40 O nmであった。 また、 表面層の窒 素の量は NZ (S i +N) の表記で 69 a tm%であった。
評価結果は、 表 16に示す。
含有量は図 17に示すような極大値、 分布を有していた。
表 15
図 8 Aに、 実施例 9— Aから実施例 9—Dの分光反射スぺクトルを示す。 この 4丰の感光体の分光反射スぺクトルは、 波長 350 nmから 680 nm の範囲の反射率 (%) の最小値 (Mi n) と最大値 (Max) が 0%≤Max (%) ≤20%かつ 0≤ (Max— M i n) Z (100— Max) ≤0. 15
を満たしている。
また、 図 8Bには、 実施例 9— Eから実施例 9— Hの分光反射スペクトルが 示されているが、 上記条件範囲外となった感光体である。
表 16の結果から、 分光反射スペクトルを上 条件範囲内になるように、 光 導電層から表面層を光学的に連続するように作成することで、 電位ムラが向上 する事がわかった。 電位ムラの中でも特に、 露光 Λラが向上することが分かつ た。
また、 実施例 9以外の実施例では、 図 9に示すように、 感光体が、 反射率の 関係が条件範囲内になるように作製されている。
<実施例 10 >
実施例 3と同様に、図 2 こ示したプラズマ C V D装置を用い,、.直径 84 mm、 長さ 38 lmmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー (支持体) 上に、 表 17に示した条件で、図 1 Cに示した層構成となるように、下部注入阻止層、 光導電層、 及び、 変化層、 表面層からなる堆積膜を順次積層し、 感光体を製作 した。
このとき、 CH4ガスの流量を変えて、炭素原子の極大値の異なる感光体を作 製した。
それ以外の条件は、 実施例 3と同じ条件で製作した。
作成した感光体を、 実施例 3と同様の評価を行った。
含有量は図 18に示すような極大値、 分布となるようにした。 , なお、 炭素原子の極大値は、 9. 8X 1019個 Zcm3であり、 硼素原子の極 大値は、 光導電層側から、 7. 3X1018個 cm3、 6. 4X1 O180/cm3 であった。 硼-素原子の極大値間隔は、 300 nmであった。 また、 表面層の窒 素の量は NZ (S i +N) の表記で 48 a tm%であった。
評価結果は、 表 18に示す。
表 1 Ί
表 1 8と表 8の実施例 3を比較すると、 炭素原子の含有量が 1 . 0 X 1 0 2(1 個 Z c m3よりも少なくなると、 C L N性の改善がみられなくなるとが、解像度、 帯電能等は実施例 3と同様に良好な結果が得られた。
く実施例 1 1 >
実施例 3と同様に、図 2に示したプラズマ C VD装置を用い、直径 8 4 mm、 長さ 3 8 l mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー (支持体) 上に、 表 1 9に示した条件で、図 1 Cに示した層構成となるように、下部注入阻止層、 光導電層、 及び、 変化層、 表面層からなる堆積膜を順次積層し、 感光体を製作 した。
このとき、変化層部分で C H4ガスの流量を変えて、 ·炭素原子の含有量が極大 値を持つようにした。 それ以外の条件は、 実施例 3と同じ条件で製作した。 作成した感光体を、 実施例 3と同様の評価を行った。
なお、炭素原子の極大値は、光導電層側から、. 1. 1 X 102,Zc.m3、 .1. 5 X 102β個 Zcm3であり、 硼素原子の極大値は、 光導電層側から、 7. 1 X 1018i@/cm\ 6. 5 X 1018個 Z c m3であった。硼素原子の極大値間隔は、 28 Onmであった。 また、 表 層の窒素の量は Ν/· (S i + N) の表記で 4 8a tm%であった。
評価結果は、 表 20に示す。
含有量は図 19に示すような極大値、 分布となるようにした。
表 19
表 20から、 変化層部分と表面層部分に、 炭素原子の含有量が 1. 0 X 1 02°個 Z c m3以上のピークを 2個もつようにしても、 実施例 3と同様に全ての 特性で良好な結果が得られた。
<実施例 12>
実施例 3と同様に、図 2に示したプラズマ CVD装置を用い、直径 84mm、 長さ 38 lmmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー (支持体) 上に、 表 21に示した条件で、 図 1 Cに示した下部注入阻止層、 光導電層、 及び、 変 化層、 表面層からなる層構成となるように、 堆積膜を順次積層し、 感光体を製 作した。
表 21に示したように、 変化層での S i H4ガスの流量と N2ガスの流量をほ
ぼ一定として、その部分で CH4ガスの流量を変えて、 炭素原子の含有量が極大 値を持つようにした。 それ以外の条件は、 実施例 3と同じ条件で製作した。 作成した感光体を、 実施例 3と同様の評価を行った。
なお、 炭素原子の極大値は、光導電層側から、 1. ひ X 102»個 Zc:m3、.'2. 2X 102fl個 Z cm3であり、 硼素原子の極大値は、 光導電層側から、 7. 1 X 1018f@/cm\ 6. 5X 1。 個 じ!^でぁった。硼素原子の極大値間隔は、 400 nmであった。 また、 表面層の窒素の量は NZ (S i +N) の表記で 4 8 a tm%であった。
評価結果は、 表 22に示す。
含有量は図 20に示すような極大値、 分布となるようにした。
表 21
表 22 ら、 変化層を一定層としても、 周期表 13族元素の含有率が膜の厚
さ方向で極大値を少なくとも 2つ持ち、 かつ炭素原子と酸素原子、 フッ素元素 の含有率が極大値を持つようにすることによって、 実施例.3と同様に全ての特 性で良好な結果が得られた。
<実施例 13 >
実施例 3と同様に、図 2に示したプラズマ CVD装置を用い、直径 84mm、 長さ 38 lmmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー (支持体) 上に、 表 23に示した条件で、 図 1 Cに示した下部注入阻止層、 光導電層、 及び、 変 化層、 表面層からなる層構成となるように、 堆積膜を順次積層し、 感光体を製 作した。
このとき、 下部注入阻止層を実施例 3の S i系から S i N系に変えた以外の 層構成は実施例 3と同じ構成とした。
変化層の窒素、 ボロン、 フッ素、 酸素および炭素の含有量の分布が、 図 21 に示すような極大値、 分布となるようにガス流量を制御し、 図 21に示す分布 が得られた。
ここで、 炭素原子の極大値は、 2. 8X 102個 Zcm3であり、 硼素原子の 極大値は、 光導電層側から、 9. 4X 1018個 Zcm3、 5. 2 X 1018個 Zc m3であった。 硼素原子の極大値間隔は、 480 nmであった。 また、 表面層の 窒素の量は (S i +N) の表記で 58 a tm%であった。 .
作成した感光体を、 実施例 3と同様の評価を行った。
評価結果は、 表 24に示す。
表 23
表 24から、 下部注入阻止層を S iN系にしても、 実施例 3と同様に全ての 特性で良好な結果が得られた。
[実施例 14]
図 2示したプラズマ CVD装置を用い、 直径 84mm、 長さ 38 lmmの鏡 面加工を施したアルミニウムシリンダー (支持体) 上に、 表 25に示した条件 で堆積膜を順次積層し、表面領域層が上部注入阻止層(T B L— 1 )、中間層、 上部注入阻止層(TBL— 2)表面保護層(Si)からなる感光体を作製した。 下部注入阻止層と光導電層は、 共通条件としてすベて表 25に示した条件で作 製し、 表面保護層は、 S iH4のガス流量、 S iH4tN2の混合比、 S i H4ガス 量あたりの電力量を表 26に示す条件で、 それ以外は表 25に示す条件で作製 し、 表面保護層中にお.ける窒素原子濃度が異なる感光体 14A〜14Hを作製 した。
このようにして製作した感光体 1 4 A〜l 4 Hについて、 実施例 1と同様の 評価を行った。
評価結果を表 2. 6に示した。
本実施例においても、 実施例 1と同様の結果がえられた。 即ち、 図 6に し たような分光感度のピーク値で規格化した指標で、 3 0 %以上の感度を有する ことが好ましく、 望ましくは 4 0 %以上の感度を有することがより好ましいこ とがわかった。
従って、 そのような感度を有する感光体としては、 表面保護層中の窒素原子 濃度は、 3 0 a t m%以上、 より好ましくは 3 5 a t m%以上とすることによ つて、 青色発光半導体レーザ一のような 4 0 5 n m付近の短波長レーザー光に 対する感度を有するという更なる効果を有することが明らかとなった。
その一方、表 2 6から明らかなように、感光体 1 4 Gでは膜厚ムラが大きぐ 表面保護層として使用する際には窒素濃度が高すぎないことが望ましいこと が分かった。.'このような観点において、 表面保護層中の窒素原子濃度は、 好ま しくは 7 0 a t m%以下、 より好ましくは 6 0 a t m%以下が好適であること がわかった。
表 2 5 下部注入 表面锾域層
ガス種及び流量 IS 光導電層
止層 TBL-1 中間層 TBL-2 SL ,
SiHL OmL/ min、normal ] 150 . 200 10 30 10 10〜50
H2 &D.L/miiw.noniial)] 600 1200 一 一 - ' ―
B2H6 [ppm (対 SiH^ ] - - 1000 ' . ― 500 ―
N2 [m L/m in(no rm al)] - 一 300 500 300 20〜脚 0
NO [%(対 SiH ] 8. - 一 一 一 一
CH4 LmL/min(normal)] 600 ― 10 10 50 10 支持体温度 rc] 270 260 260 260 220 220 圧力 ΰ¾] 75 7.8 52 50 52 50
RF電力 [W] 150 400 200 300 200 150~300 層 JfLtim] 2 30 0.1 0.2 0.1 0.6
表 26
[実施例 15]
図 2に示したプラズマ CVD装置を用い、 直径 84mm、 長さ 38 lmmの 鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー (支持体) 上に、 表 27に示した条 件で堆積膜を順次積層し、 下部注入阻止層、 光導電層、 上部注入阻止層(TB L— 1)、 中間層、 上部注入阻止層(TBL— 2)、 及び表面保護層からなる感 光体を作製した。 下部注入阻止層と光導電層は、 共通条件としてすベて表 27 に示した条件で作製し、表面保護層は、 CH4のガス流量を表 28に示す条^で、 それ以外は表 27に示す条件で作製し、 表面保護層中における炭素原子濃度が 異なる感光体 15A〜15Hを作製した。 このようにして製作した感光体 15 A〜15Hについて、 実施例 2と同様に評価を行った。 このときレ ァレンス は感光体 15 Aとした。 測定結果は、 表 28に示す。
結果から明らかなように、 炭素原子を微量含有させることで、 表面領域層起 因の残留電位を低減できることがわかった。 この結果、 短波長露光の効果が得 られて解舉虔の向上が達成される。 その一方で、 含有させた炭素原子の量が多 くなると、 電位厶ラの感度のムラが大きくなる傾向が見られ、 また、 やや短波 長光の透過性が低下する傾向が見られた。 これは、 S i一 C結合が増加したた
めと推測される。
表 2 7
) : 表 28参照
表 2 8
( * * )の測定値は限定限界と考えられる。
[実施例 1 6 ]
図 2に示したプラズマ C VD装置を用い、 直径 8 4mm、 長さ 3 8 l mmの 鏡面加工を施し ^アルミニウムシリンダー (支持体) 上に、 表 2 9に示した条 件で堆積膜を順次積層し、 下部注入阻止層、 光導電層、 及び、 表面領域層から なる感光体を作製した。 表 5に示すように、 表面領域層は第 1の上部注入阻止
層(TBL— 1)、 中間層、 第 2の上部注入阻止層(TBL— 2)および表面保護 層 (SL) とした。 また、 表面領域'層の形成途中で N2ガス、 B2H6ガス、 CH4 ガスの導入量を変化させた。
作製した感光体の表面領域層について、 実施例 1と同様にして、 S:IM.S測 定を行った。 窒素原子、 ホウ素原子、 炭素原子の含有量について、 図 25B、. 図 26 E、図 27 Bに示すピークを持つことが分かった。窒素原子の極大値は、 光導電層側から、 NZ (S ί +Ν) の表記で 38a tm%、 43a tm%であり、 ホウ素原子の極大値は、 光導電層側から、 6. 5 X 1
2. I X 1 0 is個 /
c m3であり、炭素原子の極大値は 1. 0 X 1 020個 Zcm3であり、 窒素原子の極大値と最小値との間隔は 150 nmであり、 ホウ素原子の極大値 間隔は 300 nmであった。
表 29
得られた感光体を、 i RC6800— 405'nm改造機にセットして、 実施 例 3と同様以の評価を行った。 このときレファレンスは後述の比較例 2の感光 体とした。.評価結果は、 表 32に示す。
[比較例 2] '
実施例 16と同様にして、 表 30に示した条件で堆積膜を順次積層し、 下部
注入阻止層、 光導電層、.及び、 上部注入阻止層.、 表面層からなる感光体を作製 した。作製した感光体を、実施例 1と同様に S IMS測定を行った。窒素原子、 ホウ素原子の含有量は、 図 25E、 図 26.Fに示すピークを持つことが分かつ た。
製作した感光体について、 実施例 16と同様の評価を行った。 その結果を、 表 32に示す。
表 30
[実施例 17]
実施例 16と同様にして、 表 31に示した条件で堆積膜を順次積層し、 下部 注入阻止層、 光導電層、 及び、 表面領域層(TBL_ 1、 中間層、 TBL— 2、 SL)からなる感光体を製作した。表面領域層に NOガス、 SiF4ガス、を用いなか つた他は、 実施例 16と同様にして感光体を製作した。 作製した感光体の表面 領域層について、 実施例 1と同様にして、 S IMS測定を行った。 窒素原子、 ホウ素原子、 炭素原子の含有量について、 図 25B、 図 26E、 図 27 Bに示 すピークを持つことが分かった。 窒素原子の極大値は、 光導電層側から、 NZ (S i +N) の表記で 38 a tm%、 43 a tm%であり、 ホウ素原子の樺大 値は、 光導電層側から、 6. 5X 1018個 Z cm3, 2. 1 X 1018個/ c m3で
あり、 炭素原子の極大値は、 . 1 . 0 X 1.0211個 Z c m3であり、 窒素原子の極大 値と最小値との間隔は、 1 5 O nmであり、 ホウ素原子の極大値間隔は、 3 0 0 nmであった。
作製した感光体について、 実施例 1 6と同様の光電特性の評価を佇った。. .評 価結果を、 実施例 1 6、 比較例 2合わせて表 3 2に示す。
表 3 1
表 3 2
上記の結果から明らかなように、 青色半導体レーザー (4'0 5 nm) で、 1 2 0 0 d p iの画像では、 解像度が向上した。 表面側層領域にホウ素原子、 及 び、 窒素原子の極大値を 2個持つようにし、 且つ、 炭素原子、 酸素原子及びフ ッ素原子の極大値を持つ実施例?のような表面領域層を用いると、 ドッ卜再現 性を向上させることができ、 本来のスポット径を絞った効果が十分に発揮され ることがわかった。 また、 実施例 1 6の表面領域層を持つ感光体は優れた光導
電特性を有することが分かった。
さらに、 酸素原子及びフッ素原子の極大値を持つように作成したほうが、 解 像度、 残留電位、 光メモリ及び CLN性が向上することが分かった。
[実施例 18]
実施例 16と同様にして、 表 33に示した条件で堆積膜を順次積層し、 下部 注入阻止層、 光導電層、 及び、 表面領域層(TBL— 1、 中間層、 TBL— 2、 SL.)からなる感光体を作製した。 表面領域層に導入する、 B2H6ガスの流量を変 化させた他は実施例 3と同様にして、 6種の感光体を作製した。 作製した感光 体の表面領域層について、 実施例 1と商様にして、 S IMS測定を行った。 窒 素原子、 ホウ素原子、 炭素原子の含有量について、 図 25B、 図 26 Cまたは 26B、 図 27 Aに示すピークを持つことが分かった。 窒素原子の極大値は、 光導電層側から、 N/ (S i + N) の表記で 38 a tm%、 43 a tm%であ り、 炭素原子の極大値は 1. OX 10 個 Zcm3であり、 窒素原子の極大値と 最小値との間隔は 1 Ί 5 nmであり、 ホウ素原子の極大値間隔は' 35 O.nmで あった。
作製した感光体について、 実施例 16と同様に光電特性の評価を行った。 評価 結果を、 表 35に示す。
表 33
表 35
上記の結果から明らかなように、 最も光導電層側に位置する周期表第 13族 元素の極大値が、 5.0X 1018個/ cm3以上であると、解像度や帯電能に於いて、
更なる特性の向上が図られ、 周期表第 13族元素の隣接する 2つの極大値め間 に存在する周期表第 13族元素の最小値が、 2.5X 1018個/ cm3以下であると、 " 帯電能について、 更なる特性の向上が認められた。 また、 周期表第 13族元素 が、 極大領域として含まれていても、 ピークとして含まれている ¾合と同镲の 光電特性の効果が得られることが分かった。
[実施例 19]
実施例 16と同様にして、 表 36に示した条件で堆積膜を順次積層し、 下部 注入阻止層、 光導電層、 及び、 表面領域層(TBL_ 1、 中間層、 TBL— 2、 SL)からなる感光体を作製した。 表面領域層に導入する、 B2H6ガスの流量を 変化させた以外は実施例 1と同様にして感光体を作製した。 作製した感光体の 表面領域層について、 実施例 1と同様にして、 S IMS測定を行った。 ホウ素 原子の含有量について、 図 26 Dに示すピークを持つことが分かった。 窒素原 子の極大値は、 光導電層側から、 NZ (S i +N) の表記で 38 a tm%、 4 3 a tm%であり、 ホウ素原子の極大値は、 光導電層側から、 4. 0X10,18 個/ cm3、 6. 0 X 1018個 Zcm3であり、 炭素原子の極大値は 1. 0 X 1 02Q個/ cm3であり、 窒素原子の極大値と最小値との間隔は 9.0 nmであり、 ホウ素原子の極大値間隔は 180 nmであった。
作製した感光体について、 実施例 16と同様に光電特性の評価を行った。 評 価結果を、 表 37に示す。
表 36
上記の結果から明らかなように、 表面領域層に含まれる 2つの周期表第 13 族元素極大値のうち、 自由表面側の極大値が大きくなるように含有させた場合 においても、 特性の改善が見られ、 特に、 電位ムラ、 光メモリ、 透過性、 CL N性、 画像欠陥の点において、 特性の改善が見られることがわかった。
[実施例 20]
実施例 16と同様にして、 表 38に示した条件で堆積膜を順次積層し、 下部 注入阻止層、 光導電層、 及び、 表面領域層(TBL— 1、 中間層 >て BL— 2、 SL)からなる感光体を作製した。 表面領^層のうち中間層の成膜時間を変化 させ、 表面領域層に含まれる 2つの周期表第 13族元素極大値の極大値間距離 を変化させた他は実施例 16と同様にして 5種の感光体を作製した。 作製した 感光体の表面領域層について、実施例 1と同様にして、 S I MS測定を行った。 窒素原子の極大値は、光導電層側から、 N/(S i +N)の表記で 38 a tm%, 43 a tm%であり、 ホウ素原子の極大値は、 光導電層側から、 6. 5 X 1
018個 Zcm3、 2. 1 X 1018個 Zcm3であり、 炭素原子の極大値は 1. 102°個/ cm3であった。 '
作製した感光体について、 実施例 3と同様に光電特性の評価を行った。 評 結果を、 表 40に示す。
表 38
表 40·
上記の結果から明らかなように、 表面領域層に含まれる 2つの周期表第 13 族元素極 値の極大値間距離は、.膜の厚さ方向で 100 nm以上 1000 nm 以下の範囲にあることが'、 解像度や帯電能、 残留電位、 感度の点からより好ま しいことが分かる。
[実施例 21]
実施例 16と同様にして、 表 41に示した条件で堆積膜を順^積層し、 下部 注入阻止層、 光導電層、 及び、 表面領域層(TBL— 1、 中間層、 TBL— 2、 SL)からなる感光体を作製した。 表面領域層の中間層に導入する、 N2ガスの 流量を変化させ、 表 42にしめしたように表面領域層に含まれる窒素原子含有 率の極大値と最小値との比 (極大地/最小値)、,及び、 窒素原子含有率の分布を 変化させた他は実施例 16と同様にして、 5種の感光体を作製した。 作製した 感光体の表面領域層について、実施例 1と同様にして、 S I MS測定を行った。 窒素原子の極大値は、光導電層側から、 N/(S i +N)の表記で 38 a tm%、 43 a tm%であり、 ホウ素原子の極大値は、 光導電層側から、 6. 5X 1 018個 (:1113、 2. 1 X 1018個 Zcm3であり、 炭素原子の極大値は 1. Ό X 102°個/ cm3であり、 窒素原子の極大値と最小値との間隔は 150 nmであ り、 ホウ素原子の極大値間隔は、 300 nmであった。
作製した感光体について、 実施例 16と同様に光電特性の評価を行った。 評 価結果を、 表 43に示す。
表 41 下部注入 表面锾域層
ガス蘀及び流量 光導電層
RS止層 TBL-1 中間層 TBL-2 SL
SiH4 LmL/mim.normal)] 170 170 20 50 20 50
H2 [mL/min(norma ] 600 1000 ― 一 - -
B2H6 [ppm (対 SiH^)] - - 1000 - 1000
N2 [mL/min(normal)] 一 - 600 可変 600 - 1000
CH4 OnL/min(normal)] 300 ' - 10 10 50 10
NO [% (対 SiH4>] 5 - 2 2 5 2
SiF4 QnL/ min(normal)] - ― 8 8 20 8 支持体温度 c] 270 260 260 260 220 220 庄カ CPa] 80 75 52 50 52 50 '
RF電力 [W] 200 400 200 - 300 . 200 300
2.5 30 0.1 0.2 0.1 0.6
表 42
表 43
上記の結果から明らかなように、 表面領域層に含まれる窒素原子含有率の極 大値と最小値との比は、 1. 10以上であることが、 画像欠陥の点からより好 ましいことが分かる。 また、 窒素原子は、 一定部を持つような極大領域として 含まれていても、 ピ一クとして含まれている場合と同様の効果を得られること が分かった。 ,,
[実施例 22]
実施例 16と同様にして、 表 44に示した条件で堆積膜を順次積層し、 下部 注入阻止層、 光導電層、 及び、 表面領域層(TBL— 1、 中間層、 TBL— 2、 SL)からなる感光体を作製した。 表面領域層の中間層および第 2の上部阻止 層 (TBL— 2) の成膜時間を変化させ、 隣接する 2つの窒素原子極大値間の 最小値と光導電層側の極大値との距離を変化させた他は実施例 16と同様に して、 6 aの感光体を作製した。.作製した感光体の表面領域層について、 実施 例 1と同様にして、 S IMS測定を行った 窒素原子の極大値は、 光導電層御 J から、 NZ (S i +N) の表記で 38 a tm%、 43 a tm%であり、 ホウ素
原子の極大値は、 光導電層 から、 6. 5 X 1.018個ノ cm3, 2. 1 X1018 個 Z cm3であり、 炭素原子の極大 ί直は 1. 0X102()個 Zcm3であった。
作製した感光体について、 実施例 16と同様に光電特性の評価を行った。 評 価結果を、 表 46に示す。
表 44
*光導電側の極大値と瞵接する極大値間にある最小値との間の距離が、 表 45の値になるように、 成膜時間を調整して各層の膜厚を変化させた。
表 45
上記の結果から明らかなように、 表面領域層に含まれる隣接する 2つの窒素 原子極大値の極大値間の最小値と光導電層側の極大値と間距離は、 膜の厚さ方
向で 40 nm以上 300 um以下の範囲にあることが、 画像欠陥の点からより好ま しいことが分かる。
[実施例 23]
実施例 16と同様にして、 表 47に示した条件で堆積膜を順次積層し、 ^部 注入阻止層、 光導電層、 及び、 表面領域層(T B L— 1、 中間層、 T B L— 2、 ' S L )からなる感光体を製作した。表面領域層に導入する B 2H6ガスの流量を変 化させ、 表面領域層の全域にわたって周期表第 13族先素を含ませた上で、 周 期表第 13族元素が 2つの極大値を持つようにした他は実施例 16と同様に して感光体を作製した。 作製した感光体の表面領域層について、 実施例 1と同 様にして、 S IMS測定を行った。 ホウ素原子の含有量について、 図 26Cに 示すピークを持つことが分かった。 窒素原子の極大値は、 光導電層側から、 N / (S i +N) の表記で 38 a tm%、 43 a tm%であり、 ホウ素原子の極 大値は、 光導電層側から、 6. 5 X 10,8ii/cm3, 2. 1 X 1018i@/cm3 であり、 炭素原子の極大値は 1. 0X102D個 Zcm3であり、 窒素原子の極大 値間隔は 150 nmであり、 ホウ素原子の極大値間隔は 300 nmであった。 作製した感光体について、 実施例 16と同様に光電特性の評価を行った。 評 価結果を、 表 48に示す。
表 47
上記の結果から明らかなように、 表面領域層のすべてに周期表第 13族元素 を含ませた上で、 周期表第 13族元素が 2つの極大値を持つような場合におい ても、 評価した全項目で光電特性の改善が見られることが分かつた。
[実施例 24]
実施例 16と同様にして、 表 49に示した条件で堆積膜を順次積層し、 下部 注入阻止層、 光導電層、 及び、 表面領域層(TBL - 1、 中間層 >TBL— 2、 SL)からなる感光体を作製した。 表面領域層に導入する N2ガス 流量、 B2 H6ガスの流量を変化させ、表面領域層において窒素原子の含有率と周期表第 1 3族元素含有率元素の含有率が同位相でピークを持つようにした他は実施例 16と同様にして感 体を作製した。 作製した感光体の表面領域層について、 実施例 1と同様にして、 S IMS測定を行った。 窒素原子とホウ素原子の含有 量について、図 24に示すピークを持つことが分かった。窒素原子の極大値.は、 光導電層側から、 NZ (S i +N) の表記で 38 a tm%、 43 a tm%であ
り、 ホウ素原子の極大値は、 光導電層側から、 .6. 5X 10i8l@/c m3, 2. 1 X 1 018個 Z c m3であり、 炭素廐子の極大値は 1. 0 X 1 02。個/ c m3であ り、 窒素原子の極大値と最小値との間隔は 15 Onmであり、 ホウ素原子の極 大値間隔は、 50 Onmであった。
作製した感光体について、 実施例 1 6と同様に光電特性の評価を行った。 評 価結果を、 表 50に示す。
表 49
上記の結果から明らかなように、 表面領域層において周期表第 1,3族元素含 有率と窒素元素の含有率が同位相でピークを持つような場合には、 画像欠陥以 外で特性の改善が見られることが分かった。
[実施例 25]
実施例.16と同様にして、 表 51に示した条件で堆積膜を順次積層し、 下部 注入阻止層、' 光導電層、 及び、 表面領域層(TBL— 1、 中間層、 TBL— 2、 SL)からなる感光体を作製した。 表面保護層 (SL) 側の上部電荷注入阻止"
層 (TBL— 2) に導入する、 CH4ガスの流量を変化させて: 表面領域層にお' ける炭素原子含有率の極大値を変化させた他は実施例 16と同様にして 4種 の感光体 ¾作製した。 作製した感光体の表面領域層について、 実施例 1と同様 にして、 S IMS測定を行った。 窒素原子の極大値は、 光導電層側から、.
(S i +N) の表記で 38 a tm%、 43 a t m%であり、 ホウ素原子の極大 値は、 光導電層側から、 6. 5X 1018個/ cm3、 2. 1 X 1018個 Zcm3で あり、 炭素原子の極大値は 1. OX 102D個/ cm3であり、 窒素原子の極大値 と最小値との間隔は 150 nmであり、 ホウ素原子の極大値間隔は 300 nm であった。
作製した感光体について、 実施例 16と同様に光電特性の評価を行った。 評 価結果を、 表 53に示す。
表 51
表 52 感光休 25A 25B 25C 25D 炭素原子の極大値 (個 m3) 1.5X10'7 2.5X10' 7 4.6X1018 8.3X1019
表 53
上記の結果から明らかなように、 表面領域層に含まれる 2つの炭素原子の極 大値が、 2. 5Χ 10'8個/ cm3以上であることが、 残留電位、 CLN性の点から より好ましいことが分かる。
[実施例 26]
実施例 16と同様にして、 表 54に示した条件で堆積膜を順次積層し、 下部 注入阻止層、 光導電層、 及ぴ、 表面領域層(TBL— 1、 中間層、 TBL— 2、 SL)からなる感光体を製作した。 表面領域層に導入する CH4ガスの流量や成 膜時間を変化させ、 2つ極大値を持つようにした他は実施例 16と同様にして 感光体を作製した。 作製した感光体の表面領域層について、 実施例 1と同様に して、 S IMS測定を行った。 炭素原子の含有量について、 図 27 Cに示すピ —クを持つことが分かった。 窒素原子の極大値は、 光導電層側から、 NZ (S i +N)の表記で 38 a tm%、 43 a t m%であり、ホウ素原子の極大値 、 光導電層側から、 6. 5 X 1 Ol8f@/cm3, 2. 1 X 1018個ノ c m3であり、 炭素原子の極大値は、 光導電層側から、 1. Ι,Χ 102°個/ cm3、 1. 5X 1 02°個 Z cm3であり、窒素原子の極大値と最小値との間隔は 15 On. mであり、 ホウ素原子の極大値間隔は 30 Onmであった。
作製した感光体について、 実施例 16と同様に光電特性の評価を行った。 評 価結果を、 表 55に示す。
表 54
表 55
上記の結果から明らかなように、 表面領域層において炭素原子含有率^、 2 つ極大値を持つような感光体の場合においても、 評価した全項目で特性の改善 が見られることが分かった。
[実施例 27]
' 実施例 16と同様にして、 表 56に示した条件で堆積膜を順次積層し、 下部 注入阻止層、 光導電層、 及び、 表面領域層(TBL— 1、 中間層、 TBL— 2、 S L)からなる感光体を作製した。 下部注入阻止層に導入する N2ガ の流量を 変化させ、 下部注入阻止層に窒素原子を導入した他は実施例 16と同様にして 感光体を作製した。 作製した感光体の表面領域層について、 実施例 1と同様に して、 S IMS測定を行った。窒素原子の極大値は、光導電層側から、 (S i +N)の表記で 38 a tm%、 43 a tm%であり;ホウ素原子の極大値は、 光導電層側から、 6. .5 X 1018個/ cm3, 2. 1 X 1018個 Z c m3であり、 炭素原子の極大値は 1. 0X 102(1個 Z c m3であり、 窒素原子の極大値と最小
値間隔は 150 nmであり、 ホウ素原子の極大値間隔は 300 nmであった。 · 作製した感光体について、 実施^ 16と同様に光電特性の評価を行った。 評 価結果を、 表 57に示す。
表 56
上記の結果から明らかなように、 下部注入阻止層に窒素原子を導入した 合 においても、 評価した全項目で特性の改善が見られることが分かった。
[実施例 28]
実施例 16と同様にして、 表 58に示した条件で堆積膜を順次積,層し、 下部 注入阻止層、 光導電層、 及び、 表面領域層 (変化層、 TBL— 1、 中間層、 TB L— 2、 SL)からなる感光体を製作した。 表面領域層の初めに変化層を導入 し、 ガス流量を変化させることで光導電層と第 1の上部注入阻止層(T B L— 1)を光学的に連続するように他は実施例 16と同様にして感光体を作製した。 作製した感光体の表面領域層について、 実施例 1と同様にして、 S IMS測定 を行った。 窒素原子の極大値は、 光導電層側から、 NZ (S i +N) の表記で
38 a tm%、 43 a t m%であり、ホウ素原子の極大値は、光導電層側から、 6. 5X 1018個 Zcm3、 2. 1 X 1018個 Zcm3であり、 炭素原子の極大値 は 1. 0X 10 n< c m3であり、 窒素原子の極大値と最小値との間隔は 15 Onmであり、 ホウ素原子の極大値間隔は 300 nmであった。
作製した感光ドラムについて、 分光反射スペクトルを測定し、 光学的な連続 性を評価した。 分光反射スペクトルは、 入射光波長に対する反射率であり、 分 光光度計 (大塚電子社製 MCPD— 2000) を用いて測定した反射率 (百分 率) の値をさす。 具体的には、 分光器の光源の分光発光強度 I (o) をとり、 次いで感光体の分光反射光度 I (D) をとり、 反射率 R=I (D) /\ (o) を求めたものである。 感光体 28 A〜 28 Dの分光反射スペクトルの測定結果 を図 28 A及び 28 Bに、 感光体 28E〜28 Hの分光反射スぺクトルの測定 結果を図 28 C及び 28 Dに示す。
感光体 28A〜28Dは、 波長 350 nmから 68 Onmの範囲の反射率 (%)の最小値 (Mi n) と最大値 (Max) が 0%≤Max (%) ≤20%か つ 0≤ (Max— M i n) / (100— Max) ≤ 0.15を満たしており、 感光体 28 Ε〜2 δΗは波長 350 nmから 680 nmの範囲の反射率(%) の最小値 (Mi n) と最大値 (Max) が上記関係を満たしていなかった ^ 作製した感光体について、 実施例 16と同様に光電特性の評価を行った。 評 価結果を、 表 59に示す。
表 58
, 上記の結果から、 光導電層から上部注入阻止層を光学的に連続とし、 波長 3 50 nmから 680 nmの範囲の反射率(%)の最小値 (M i n) と最大値 (M ax) が上記関係を満たしている感光体は、 電位ムラが改良し、 特.に、 電位ム ラの中の露光ムラによる電位ムラが改良されることが分かつた。 実施例 1〜 2 8の感光体は、 波長 350 nmから 680 nmの範囲の反射率(%)の最小値 (M i n) と最大値 (Max) が上記関係を満たしていた。
本実施例は、 全てアモルファスで行なったが、 多結晶膜であっても同様の効 果が得られることは明ちかである。
この出願は 200·4年 12月 10日に出願された日本国 許出願番号第 2 004-358096及び 200 '4年 12月 10日に出願された日本国特許 出願番号第 2004-358098からの優先権を主張するものであり、 その 内容を引用してこの出願の一部とするものである。 ·