JP3606395B2 - 電子写真用光受容部材 - Google Patents

電子写真用光受容部材 Download PDF

Info

Publication number
JP3606395B2
JP3606395B2 JP10280095A JP10280095A JP3606395B2 JP 3606395 B2 JP3606395 B2 JP 3606395B2 JP 10280095 A JP10280095 A JP 10280095A JP 10280095 A JP10280095 A JP 10280095A JP 3606395 B2 JP3606395 B2 JP 3606395B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
receiving member
light
photoconductive layer
electrophotographic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP10280095A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0815882A (ja
Inventor
博明 新納
聡 古島
光治 櫃石
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP10280095A priority Critical patent/JP3606395B2/ja
Publication of JPH0815882A publication Critical patent/JPH0815882A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3606395B2 publication Critical patent/JP3606395B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は光(ここでは広義の光であって、紫外線、可視光線、赤外線、X線、γ線などを意味する)のような電磁波に対して感受性のある電子写真用光受容部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
像形成分野において、光受容部材における光受容層を形成する光導電材料としては、高感度で、SN比〔光電流(I)/暗電流(I)〕が高く、照射する電磁波のスペクトル特性に適合した吸収スペクトルを有すること、光応答性が早く、所望の暗抵抗値を有すること、使用時において人体に対して無害であること、等の特性が要求される。特に、事務機としてオフィスで使用される電子写真装置内に組み込まれる電子写真用光受容部材の場合には、上記の使用時における無公害性は重要な点である。
【0003】
この様な点に優れた性質を示す光導電材料に水素化アモルファスシリコン(以下、「a−Si:H」と表記する)があり、例えば、米国特許公報第4,265,991号には電子写真用光受容部材としての応用が記載されている。
【0004】
このようなa−Si:Hを有する電子写真用光受容部材は、一般的には、導電性支持体を50℃〜350℃に加熱し、該支持体上に真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD法、光CVD法、プラズマCVD法等の成膜法によりa−Siからなる光導電層を形成する。なかでもプラズマCVD法、すなわち、原料ガスを直流または高周波あるいはマイクロ波グロー放電によって分解し、支持体上にa−Si堆積膜を形成する方法が好適なものとして実用に付されている。
【0005】
また、独国公開公報第3046509号には、導電性支持体と、ハロゲン原子を構成要素として含むa−Si(以下、「a−Si:X」と表記する)光導電層を有する電子写真用光受容部材が提案されている。当該公報においては、a−Siにハロゲン原子を1乃至40原子%含有させることにより、耐熱性が高く、電子写真用光受容部材の光導電層として良好な電気的、光学的特性を得ることができるとしている。
【0006】
また、特開昭57−115556号公報には、a−Si堆積膜で構成された光導電層を有する光導電部材の、暗抵抗値、光感度、光応答性等の電気的、光学的、光導電的特性及び耐湿性等の使用環境特性、さらには経時的安定性について改善を図るため、シリコン原子を母体としたアモルファス材料で構成された光導電層上に、シリコン原子及び炭素原子を含む非光導電性のアモルファス材料で構成された表面障壁層を設ける技術が記載されている。更に、米国特許公報第4,659,639号には、アモルファスシリコン、炭素、酸素及び弗素を含有してなる透光絶縁性オーバーコート層を積層する感光体についての技術が記載され、米国特許公報第4,788,120号には、表面層として、シリコン原子と炭素原子と41〜70原子%の水素原子を構成要素として含む非晶質材料を用いる技術が記載されている。
【0007】
さらに、米国特許公報第4、409、311号には、水素を10〜40原子%含有し、赤外吸収スペクトルの2100cm−1と2000cm−1の吸収ピークの吸収係数比が0.2〜1.7であるa−Si:Hを光導電層に用いることにより高感度で高抵抗な電子写真用感光体が得られることが記載されている。
【0008】
一方、米国特許公報第4,607,936号には、アモルファスシリコン感光体の画像品質向上のために、感光体表面近傍の温度を30乃至40℃に維持して帯電、露光、現像及び転写といった画像形成行程を行うことにより、感光体表面での水分の吸着による表面抵抗の低下とそれに伴って発生する画像流れを防止する技術が開示されている。
【0009】
これらの技術により、電子写真用光受容部材の電気的、光学的、光導電的特性及び使用環境特性が向上し、それに伴って画像品質も向上してきた。
【0010】
しかしながら、a−Si系材料で構成された光導電層を有する電子写真用光受容部材は、暗抵抗値、光感度、光応答性等の電気的、光学的、光導電的特性、及び使用環境特性の点、さらには経時安定性及び耐久性の点において、各々個々には特性の向上が図られてはいるが、総合的な特性向上を図る上でさらに改良される余地が存在するのが実情である。
【0011】
特に、電子写真装置の高画質、高速化、高耐久化は急速に進んでおり、電子写真用光受容部材においては電気的特性や光導電特性の更なる向上とともに、帯電能、感度を維持しつつあらゆる環境下で大幅に性能を延ばすことが求められている。
【0012】
そして、電子写真装置の画像特性向上のために電子写真装置内の光学露光装置、現像装置、転写装置等の改良がなされた結果、電子写真用光受容部材においても従来以上の画像特性の向上が求められるようになった。
【0013】
このような状況下において、前述した従来技術により上記課題についてある程度の特性向上が可能になってはきたが、更なる帯電能や画像品質の向上に関しては未だ充分とはいえない。特にアモルファスシリコン系光受容部材の更なる高画質化への課題として、周囲温度の変化による電子写真特性の変動や光疲労あるいはブランクメモリーやゴーストといった光メモリーを低減することがいっそう求められるようになってきた。
【0014】
例えば、従来は感光体の画像流れの防止のために前記米国特許公報第4,607,936号に記載されているように、複写機内に感光体を加熱保持するためのドラムヒーターを設置して感光体の表面温度を40℃程度に保っていた。しかしながら、従来の感光体では前露光キャリアや熱励起キャリアの生成に起因した帯電能の温度依存性、いわゆる温度特性が大きく、複写機内の実際の使用環境下では本来感光体が有しているよりも帯電能が低い状態で使用せざるをえなかった。例えば、室温での使用時に比べてドラムヒーターで40℃程度に加熱している状態では帯電能が100V近く低下してしまう場合があった。
【0015】
また、従来は複写機を使用しない夜間でもドラムヒーターに通電して、帯電器のコロナ放電によって生成されたオゾン生成物が夜間に感光体表面に吸着することによって発生する画像流れを防止するようにしていた。しかし、現在では省資源・省電力のために複写機の夜間通電を極力行わないようになってきている。
【0016】
このような状態で連続複写をすると複写機内の感光体周囲温度が徐々に上昇し、それにつれて帯電能が低下して、複写中に画像濃度が変わってしまうという問題が生じていた。
【0017】
一方、従来の感光体では、同一原稿を連続して繰り返し複写すると、画像露光による感光体の光疲労のために、画像濃度の低下やかぶりが生じることがあった。
【0018】
また、トナーを節約するために連続複写時の紙間において感光体に照射される、いわゆるブランク露光の影響によって複写画像上に濃度差が生じるブランクメモリーや、前回の複写行程の像露光の残像が次回の複写時に画像上に生じる、いわゆるゴースト現象等の露光メモリーが画像品質を向上させる上で問題になってきた。
【0019】
また、光メモリー改善と、装置の小型化やエコロジー問題、省エネルギーの点から、像露光装置の低光量化と小型化が求められており、それに対応するために感光体の光感度の改善を進めなければならない状況にある。
【0020】
さらに、従来の感光体では色地の原稿からコントラストの強い画像を得ようとして露光量を上げた時に、強露光の照射により大量の光キャリアが生成され、この光キャリアが動きやすい部分へと集中して流れ込む現象が生じる。この現象のために、文字部分がぼやけてしまう強露光時の画像流れ、いわゆるEV流れが発生するという問題が生じていた。
【0021】
したがって、電子写真用光受容部材を設計する際に、上記したような問題が解決されるように電子写真用光受容部材の層構成、各層の化学的組成など総合的な観点からの改良を図るとともに、a−Si材料そのものの一段の特性改良を図ることが必要とされている。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述のごときa−Siで構成された従来の光受容層を有する電子写真用光受容部材に於ける諸問題を解決することを目的とするものである。
【0023】
即ち、本発明の主たる目的は、電気的、光学的、光導電的特性が使用環境にほとんど依存することなく実質的に常時安定しており、耐光疲労に優れ、繰り返し使用に際しては劣化現象を起こさず耐久性、耐湿性に優れ、残留電位がほとんど観測されず、更に画像品質の良好な、シリコン原子を母体とした非単結晶材料で構成された光受容層を有する電子写真用光受容部材を提供することにある。
【0024】
本発明は、温度特性や光メモリーを低減して画像品質を飛躍的に向上させた、シリコン原子を母体とした非単結晶材料で構成された光受容層を有する電子写真用光受容部材を提供することを目的とする。
【0025】
また、本発明は、温度特性や光メモリーを低減し、光感度が向上して画像品質を飛躍的に向上させた、シリコン原子を母体とした非単結晶材料で構成された光受容層を有する電子写真用光受容部材を提供することを目的とする。
【0026】
更に、本発明は、温度特性や強露光時の画像流れを低減し、画像品質を飛躍的に向上させた、シリコン原子を母体とした非単結晶材料で構成された光受容層を有する電子写真用光受容部材を提供することを目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】
本発明の電子写真用光受容部材は、導電性支持体と、該導電性支持体の表面上に、シリコン原子を母体として水素原子及び/またはハロゲン原子を含有する非単結晶材料の光導電性を示す光導電層を有する光受容層とを少なくとも有する電子写真用光受容部材において、該光導電層がRF帯の周波数又は、VHF帯の周波数を用い、希釈ガスの流量とシリコン供給用ガスの流量との比を3〜20とし、前記シリコン供給用ガス流量に対する放電電力の比を2.5〜6とするように制御された、高周波プラズマCVD法により形成された領域を有しており、該光導電層が10〜30原子%の水素を含有し、該光導電層の少なくとも光の入射する部分における光吸収スペクトルから得られる指数関数裾の特性エネルギーが層中平均で50meV以上60meV以下であり、かつ該光導電層における局在状態密度が層中平均で1×1014cm−3以上1×1016cm−3未満であることを特徴とする。(但し、前記光導電層の層厚方向に炭素原子が均一に含有される場合を除く。)
【0028】
【作用】
一般的に、a−Si:Hのバンドギャップ内には、Si−Si結合の構造的な乱れにもとづくテイル(裾)準位と、Siの未結合手(ダングリングボンド)等の構造欠陥に起因する深い準位が存在する。これらの準位は電子、正孔の捕獲、再結合中心として働き素子の特性を低下させる原因になることが知られている。このようなバンドギャップ中の局在準位の状態を測定する方法として、一般に深準位分光法、等温容量過渡分光法、光熱偏向分光法、光音響分光法、一定光電流法等が用いられている。中でも一定光電流法[Constant Photocurrent Method:以後、「CPM」と略記する]は、a−Si:Hの局在準位に基くサブギャップ光吸収スペクトルを簡便に測定する方法として有用である。
【0029】
本発明者らは、CPMによって測定された光吸収スペクトルから求められる指数関数裾(アーバックテイル)の特性エネルギー(以下、「Eu」と略記する)や局在状態密度(以下、「DOS」と略記する)と感光体特性との相関を種々の条件に渡って調べた結果、Eu及びDOSがa−Si感光体の温度特性や光メモリーと密接な関係にあることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0030】
ドラムヒーター等で感光体を加熱したときに帯電能が低下する原因として、熱励起されたキャリアが帯電時の電界に引かれてバンド裾の局在準位やバンドギャップ内の深い局在準位への捕獲、放出を繰り返しながら表面に走行し、表面電荷を打ち消してしまうことが挙げられる。この時、帯電器を通過する間に表面に到達するしたキャリアについては帯電能の低下にはほとんど影響がないが、深い準位に捕獲されたキャリアは、帯電器を通過した後に表面へ到達して表面電荷を打ち消すために温度特性として観測される。また、帯電器を通過した後に熱励起されたキャリアも表面電荷を打ち消し帯電能の低下を引き起こす。したがって、感光体の使用温度領域における熱励起キャリアの生成を抑え、なおかつキャリアの走行性を向上させることが温度特性の向上のために必要である。
【0031】
さらに、光メモリーはブランク露光や像露光によって生じた光キャリアがバンドギャップ内の局在準位に捕獲され、光導電層内にキャリアが残留することによって生じる。すなわち、ある複写行程において生じた光キャリアのうち光導電層内に残留したキャリアが、次回の帯電時あるいはそれ以降に表面電荷による電界によって掃き出され、光の照射された部分の電位が他の部分よりも低くなり、その結果画像上に濃淡が生じる。したがって、光キャリアが光導電層内に残留することなく、1回の複写行程で走行するように、キャリアの走行性を改善しなければならない。
【0032】
したがって、本発明のごとくEu及びDOSを制御することにより、熱励起キャリアの生成が抑えられ、なおかつ熱励起キャリアや光キャリアが局在準位に捕獲される割合を小さくすることができるためにキャリアの走行性が著しく改善される。その結果、電子写真用光受容部材の使用温度領域での温度特性が飛躍的に改善され、同時に光メモリーの発生を抑制することができるために、電子写真用光受容部材の使用環境に対する安定性が向上し、ハーフトーンが鮮明に出てかつ解像力の高い高品質の画像を安定して得ることができる。
【0033】
さらにSi−H結合とSi−H結合に起因する吸収ピークの吸収強度比を特定することにより、光受容部材の面内でのキャリアの走行性が均一化され、その結果、ハーフトーン画像における微細な濃度差いわゆるガサツキを低減することができる。
【0034】
故に、上記の構成をとるように設計された本発明の電子写真用光受容部材は、前記した諸問題点の全てを解決し得、極めて優れた電気的、光学的、光導電的特性、画像品質、耐久性及び使用環境特性を示す。
【0035】
一方、露光によって生じた光キャリアは、前記したようにバンドギャップ内の局在準位への捕獲・放出を繰り返しながら表面へ電子が支持体側に正孔が走行する。その時、光メモリーはブランク露光や像露光によって生じた光キャリアがバンドギャップ内の局在準位に捕獲され、光導電層内にキャリアが残留することによって生じる。すなわち、ある複写行程において生じた光キャリアのうち光導電層内に残留したキャリアが、次回の帯電時あるいはそれ以降に表面電荷による電界によって掃き出され、光の照射された部分の電位が他の部分よりも低くなり、その結果画像上に濃淡が生じる。したがって、光キャリアが光導電層内に残留することなく、1回の複写行程で走行するように、キャリアの走行性を改善しなければならない。そこで、光キャリアの生成が比較的表面側に近い位置で、主に起こっている事と、表面側には電子が支持体側には正孔が走行し、正孔の走行性が電子に比べ非常に小さい事などから、その正孔の支持体の方向への走行性を上げる事が、光メモリーの低減と光感度の向上にとって必要である。
【0036】
したがって、本発明のごとくEu及びDOSの膜面内平均値を一定に制御し、しかもそれが支持体側方向に向かって減少するように分布させることにより、熱励起キャリアの生成が抑えられ、なおかつキャリアが局在準位に捕獲される割合を小さくすると共に、正孔の層厚方向支持体側への走行性が著しく改善される。その結果、電子写真用光受容部材の使用温度領域での温度特性が飛躍的に改善され、同時に光メモリーの低減と光感度の向上を達成することができるために、電子写真用光受容部材の使用環境に対する安定性が向上し、ハーフトーンが鮮明に出てかつ解像力の高い高品質の画像を安定して得ることができる。
【0037】
上記したような構成をとるように設計された本発明の電子写真用光受容部材は、前記した諸問題点の全てを解決し得、極めて優れた電気的、光学的、光導電的特性、画像品質、耐久性及び使用環境特性を示す。
【0038】
また、像露光によって生じた光キャリアは、前記したようにバンドギャップ内の局在準位への捕獲・放出を繰り返しながら表面へと走行する。しかしながら、膜の面内方向でのキャリアの動きやすさが異なっていると、強露光を照射して大量の光キャリアが生成された場合には、キャリアが動きやすい部分へと集中してしまう。このために得られた画像がぼやけてしまい、EV流れが生じる。したがって、光キャリアが光導電層内で膜の面内方向への移動を極力抑え、大部分が層厚方向にのみ走行するように、キャリアの走行性を改善する必要がある。
【0039】
したがって、本発明のごとくEu及びDOSの膜面内平均値を一定に制御し、しかもそれが表面方向に向かって減少するように分布させることにより、熱励起キャリアの生成が抑えられ、なおかつキャリアが局在準位に捕獲される割合を小さくすると共に、キャリアの層厚方向への走行性が著しく改善される。その結果、電子写真用光受容部材の使用温度領域での温度特性が飛躍的に改善され、同時に強露光時の画像流れの発生を抑制することができるために、電子写真用光受容部材の使用環境に対する安定性が向上し、ハーフトーンが鮮明に出てかつ解像力の高い高品質の画像を安定して得ることができる。
【0040】
上記したような構成をとるように設計された本発明の電子写真用光受容部材は、前記した諸問題点の全てを解決し得、極めて優れた電気的、光学的、光導電的特性、画像品質、耐久性及び使用環境特性を示す。
【0041】
【実施態様例】
以下に、本発明の電子写真用光受容部材を説明する。
図1(a)乃至図1(e)は、それぞれ本発明の電子写真用光受容部材の好適な層構成の一例を説明するための模式的構成図である。
【0042】
図1(a)に示す電子写真用光受容部材100は、光受容部材用としての支持体101の上に、光受容層102が設けられている。該光受容層102は、例えば水素原子及びハロゲン原子の少なくともいずれか一方と、シリコン原子を含有する非単結晶材料の一つであるa−Si(H,X)を有し光導電性を有する光導電層103を有する。
【0043】
図1(b)は、本発明の電子写真用光受容部材の他の層構成を説明するための模式的構成図である。図1(b)に示す電子写真用光受容部材100は、光受容部材用としての支持体101の上に、光受容層102が設けられている。該光受容層102は、例えばa−Si(H,X)を有する光導電性を有する光導電層103と、アモルファスシリコン系表面層104とを有する。
【0044】
図1(c)は、本発明の電子写真用光受容部材の他の層構成を説明するための模式的構成図である。図1(c)に示す電子写真用光受容部材100は、光受容部材用としての支持体101の上に、光受容層102が設けられている。該光受容層102は、例えばa−Si(H,X)を有する光導電性を有する光導電層103と、アモルファスシリコン系表面層104と、アモルファスシリコン系電荷注入阻止層105とを有する。
【0045】
図1(d)は、本発明の電子写真用光受容部材のさらに他の層構成を説明するための模式的構成図である。図1(d)に示す電子写真用光受容部材100は、光受容部材用としての支持体101の上に、光受容層102が設けられている。該光受容層102は光導電層103を構成するa−Si(H,X)の電荷発生層106ならびに電荷輸送層107と、アモルファスシリコン系表面層104とを有する。
【0046】
(支持体)
本発明において使用される支持体としては、導電性でも電気絶縁性であってもよい。導電性支持体としては、例えばAl,Cr,Mo,Au,In,Nb,Te,V,Ti,Pt,Pd,Fe等の金属、及びこれらの合金、例えばステンレス等が挙げられる。また、電気絶縁性材料としてポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド等の合成樹脂のフィルムまたはシート、ガラス、セラミック等を挙げることができる。本発明においてはこれら電気絶縁性支持体の少なくとも光受容層を作製する側の表面を導電処理して支持体として用いることができる。
【0047】
本発明に於いて使用される支持体101の形状は平滑表面あるいは微小な凹凸表面を有する円筒状または板状無端ベルト状であることができ、その厚さは、所望通りの電子写真用光受容部材100を作製し得るように適宜決定する。電子写真用光受容部材100としての可撓性が要求される場合には、支持体101としての機能が充分発揮できる範囲内で可能な限り薄くすることができる。しかしながら、支持体101は製造上及び取り扱い上、機械的強度等の点から通常は10μm以上とされる。
【0048】
特にレーザー光などの可干渉性光を用いて像記録を行う場合には、可視画像において現われる、いわゆる干渉縞模様による画像不良をより効果適に解消するために、支持体101の表面に凹凸を設けてもよい。支持体101の表面に設けられる凹凸は、米国特許公報第4,650,736号、米国特許公報第4,696,884号、米国特許公報第4,705,733号等に記載された公知の方法により作製される。
【0049】
また、レーザー光などの可干渉光を用いた場合の干渉縞模様による画像不良をより効果的に解消する別の方法として、支持体101の表面に複数の球状痕跡窪みによる凹凸形状を設けてもよい。即ち、支持体101の表面が電子写真用光受容部材100に要求される解像力よりも微少な凹凸を有し、しかも該凹凸は、複数の球状痕跡窪みによるものである。支持体101の表面に設けられる複数の球状痕跡窪みによる凹凸は、米国特許公報第4,735,883号に記載された公知の方法により作製される。
【0050】
(光導電層)
本発明に於いて、その目的を効果的に達成するために支持体101上に形成され、光受容層102の少なくとも一部を構成する光導電層103は、例えば真空堆積膜形成方法によって、所望特性が得られるように適宜成膜パラメーターの数値条件が設定され、また使用される原料ガスなどが選択されて作製される。具体的には、例えばグロー放電法(低周波CVD法、高周波CVD法またはマイクロ波CVD法等の交流放電CVD法、あるいは直流放電CVD法等)、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、光CVD法、熱CVD法などの数々の薄膜堆積法によって形成することができる。これらの薄膜堆積法は、製造条件、設備資本投資下の負荷程度、製造規模、作製される電子写真用光受容部材に所望される特性等の要因によって適宜選択されて採用されるが、所望の特性を有する電子写真用光受容部材を製造するに当たっての条件の制御が比較的容易であることからグロー放電法、特にRF帯またはVHF帯の電源周波数を用いた高周波グロー放電法が好適である。
【0051】
グロー放電法によって光導電層103を形成するには、例えば基本的にはシリコン原子(Si)を供給し得るSi供給用の原料ガスと、水素原子(H)を供給し得るH供給用の原料ガスまたは/及びハロゲン原子(X)を供給し得るX供給用の原料ガスを、内部が減圧にし得る反応容器内に所望のガス状態で導入して、該反応容器内にグロー放電を生起させ、あらかじめ所定の位置に設置されてある所定の支持体101上にa−Si(H,X)からなる層を形成すればよい。
【0052】
また、本発明において光導電層103中に水素原子または/及びハロゲン原子が含有されることが必要であるが、これは層中のシリコン原子の未結合手を補償するために含有され、層品質の向上、特に光導電性及び電荷保持特性を向上させるために必須不可欠であるからである。水素原子またはハロゲン原子の含有量、または水素原子とハロゲン原子の和の量はシリコン原子と水素原子または/及びハロゲン原子の和に対して好ましくは10〜30原子%、より好ましくは15〜25原子%とされるのが望ましい。
【0053】
本発明において使用されるSi供給用ガスとなり得る物質としては、SiH,Si,Si,Si10等のガス状態の、またはガス化し得る水素化珪素(シラン類)が有効に使用されるものとして挙げられ、さらに層作製時の取り扱い易さ、Si供給効率の良さ等の点でSiH,Siが好ましいものとして挙げられる。
【0054】
そして、形成される光導電層103中に水素原子を構造的に導入し、水素原子の導入割合の制御をいっそう容易になるようにはかり、本発明の目的を達成する膜特性を得るために、これらのガスに、更にH及び/またはHeあるいは水素原子を含む珪素化合物のガスを所望量混合した雰囲気で、層形成することが必要である。また、各ガスは単独種のみでなく所定の混合比で複数種混合しても差し支えないものである。
【0055】
また本発明において使用されるハロゲン原子供給用の原料ガスとして有効なのは、たとえばハロゲンガス、ハロゲン化物、ハロゲンをふくむハロゲン間化合物、ハロゲンで置換されたシラン誘導体等のガス状のまたはガス化し得るハロゲン化合物が好ましく挙げられる。また、さらにはシリコン原子とハロゲン原子とを構成要素とするガス状のまたはガス化し得る、ハロゲン原子を含む水素化珪素化合物も有効なものとして挙げることができる。本発明に於いて好適に使用し得るハロゲン化合物としては、具体的には弗素ガス(F),BrF,ClF,ClF,BrF,BrF,IF,IF等のハロゲン間化合物を挙げることができる。ハロゲン原子を含む珪素化合物、いわゆるハロゲン原子で置換されたシラン誘導体としては、具体的にはたとえばSiF,Si等の弗化珪素が好ましいものとして挙げることができる。
【0056】
光導電層103中に含有される水素原子または/及びハロゲン原子の量を制御するには、例えば支持体101の温度、水素原子または/及びハロゲン原子を含有させるために使用される原料物質の反応容器内へ導入する量、放電電力等を制御すればよい。
【0057】
本発明においては、光導電層103には必要に応じて伝導性を制御する原子を含有させることが好ましい。伝導性を制御する原子は、光導電層103中に万偏なく均一に分布した状態で含有されても良いし、あるいは層厚方向には不均一な分布状態で含有している部分があってもよい。
【0058】
前記伝導性を制御する原子としては、半導体分野における、いわゆる不純物を挙げることができ、p型伝導特性を与える周期律表第IIIb族に属する原子(以後「第IIIb族原子」と略記する)またはn型伝導特性を与える周期律表第Vb族に属する原子(以後「第Vb族原子」と略記する)を用いることができる。
【0059】
第IIIb族原子としては、具体的には、硼素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)等があり、特にB,Al,Gaが好適である。第Vb族原子としては、具体的には燐(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)等があり、特にP,Asが好適である。
【0060】
光導電層103に含有される伝導性を制御する原子の含有量としては、好ましくは1×10−2〜1×10原子ppm、より好ましくは5×10−2〜5×10原子ppm、更に好ましくは1×10−1〜1×10原子ppmとされるのが望ましい。
【0061】
伝導性を制御する原子、たとえば、第IIIb族原子あるいは第Vb族原子を構造的に導入するには、層形成の際に、第IIIb族原子導入用の原料物質あるいは第Vb族原子導入用の原料物質をガス状態で反応容器中に、光導電層103を形成するための他のガスとともに導入してやればよい。第IIIb族原子導入用の原料物質あるいは第Vb族原子導入用の原料物質となり得るものとしては、常温常圧でガス状のまたは、少なくとも層形成条件下で容易にガス化し得るものが採用されるのが望ましい。
【0062】
そのような第IIIb族原子導入用の原料物質として具体的には、硼素原子導入用としては、B,B10,B,B11,B10,等の水素化硼素、BF,BCl,BBr等のハロゲン化硼素等が挙げられる。この他、GaCl,Ga(CH,等も挙げることができる。中でもBは取扱いの面からも好ましい原料物質の一つである。
【0063】
第Vb族原子導入用の原料物質として有効に使用されるのは、燐原子導入用としては、PH,P等の水素化燐、PF,PF,PCl,PCl,PBr,PI等のハロゲン化燐が挙げられる。この他、AsH,AsF,AsCl,AsBr,AsF,SbH,SbF,SbCl,BiH,BiBr等も第Vb族原子導入用の出発物質の有効なものとして挙げることができる。
【0064】
また、これらの伝導性を制御する原子導入用の原料物質を必要に応じてH及び/またはHeにより希釈して使用してもよい。
【0065】
さらに本発明においては、光導電層103に炭素原子及び/または酸素原子及び/または窒素原子を含有させることも有効である。炭素原子及び/または酸素原子/及びまたは窒素原子の含有量はシリコン原子、炭素原子、酸素原子及び窒素原子の和に対して好ましくは1×10−5〜10原子%、より好ましくは1×10−4〜8原子%、更に好ましくは1×10−3〜5原子%が望ましい。酸素原子及び/または窒素原子は、光導電層中に万遍なく均一に含有されても良いし、炭素原子及び/または酸素原子及び/または窒素原子は光導電層の層厚方向に含有量が変化するような不均一な分布をもたせた部分があっても良い。
【0066】
本発明に於ける光導電層103の層厚としては、得ようとする特性、要求される特性に応じて適宜決められるものであるが、好ましくは20〜50μm、より好ましくは23〜45μm、更に好ましくは25〜40μmとするのが望ましい。層厚が20μmより薄くなると、帯電能や感度等の電子写真特性が実用上不十分となる場合があり、50μmより厚くなると、光導電層の作製時間が長くなって製造コストが高くなることがある。
【0067】
本発明の目的を達成し、所望の膜特性を有する光導電層103を形成するには、Si供給用のガスと希釈ガスとの混合比、反応容器内のガス圧、放電電力ならびに支持体温度を適宜設定することが必要である。
【0068】
希釈ガスとして使用するH及び/またはHeの流量は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、Si供給用ガスに対しH及び/またはHeを、好ましくは3〜20倍、より好ましくは4〜15倍、更に好ましくは5〜10倍の範囲に制御することが望ましい。また、その範囲の値で一定になるように制御することが好ましい。
【0069】
反応容器内のガス圧も同様に層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、好ましくは1×10−4〜10Torr、より好ましくは5×10−4〜5Torr、更に好ましくは1×10−3〜1Torrとするのが望ましい。
【0070】
放電電力もまた同様に層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、Si供給用のガスの流量に対する放電電力の比を、好ましくは2〜7、より好ましくは2.5〜6、更に好ましくは3〜5の範囲に設定することが望ましい。
【0071】
さらに支持体101の温度は、層設計にしたがって、適宜最適範囲が選択されるが、好ましくは200〜350℃、より好ましくは230〜330℃、更に好ましくは250〜310℃とするのが望ましい。
【0072】
また、支持体側から表面側に向かってEu及びDOSの値が増加するように膜を作る方法としては、例えばSiHと水素または/及びHeの混合率(希釈率)を一定に保ったまま、SiH流量に対する放電電力(W/Flow)及び/または、基板温度(T)を連続的に変化させる事が望ましい。
【0073】
この場合、放電電力もまた同様に層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、Si供給用のガスの流量に対する放電電力を、好ましくは2〜8倍、より好ましくは2.5〜7倍、更に好ましくは3〜6倍の範囲で連続的に支持体側から表面側に向かって小さくなる様に変化させることが望ましい。
【0074】
さらに支持体101の温度は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、好ましくは200〜370℃、より好ましくは230〜360℃、更に好ましくは250〜350℃の範囲で連続的に支持体側から表面側に向かって低くなる様に変化させることが望ましい。
【0075】
あるいは、支持体側から表面側に向かってEu及びD.O.Sの値が減少するように膜を作る方法としては、例えばSiHと水素または/及びHeの混合率(希釈率)を一定に保ったまま、SiH流量に対する放電電力(W/Flow)及び/または、基板温度(T)を連続的に変化させる事が望ましい。
【0076】
放電電力もまた同様に層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、Si供給用のガスの流量に対する放電電力を、好ましくは2〜8倍、より好ましくは2.5〜7倍、更に好ましくは3〜6倍の範囲で連続的に支持体側から表面側に向かって小さくなる様に変化させることが望ましい。
【0077】
さらに支持体101の温度は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、好ましくは200〜370℃、より好ましくは230〜360℃、更に好ましくは250〜350℃の範囲で連続的に支持体側から表面側に向かって低くなる様に変化させることが望ましい。
【0078】
本発明においては、光導電層を形成するための支持体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前記した範囲が挙げられるが、条件は通常は独立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を有する光受容部材を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて最適値を決めるのが望ましい。
【0079】
(表面層)
本発明においては、上述のようにして支持体101上に形成された光導電層103の上に、更にアモルファスシリコン系の表面層104を形成することが好ましい。この表面層104は自由表面110を有し、主に耐湿性、連続繰り返し使用特性、電気的耐圧性、使用環境特性、耐久性において本発明の目的を達成するために設けられる。
【0080】
また、本発明においては、光受容層102を構成する光導電層103と表面層104とを形成する非晶質材料の各々がシリコン原子という共通の構成要素を有しているので、積層界面において化学的な安定性の確保が十分成されている。
【0081】
表面層104は、アモルファスシリコン系の材料であればいずれの材質でも可能であるが、例えば、水素原子(H)及び/またはハロゲン原子(X)を含有し、更に炭素原子を含有するアモルファスシリコン(以下「a−SiC(H,X)」と表記する)、水素原子(H)及び/またはハロゲン原子(X)を含有し、更に酸素原子を含有するアモルファスシリコン(以下「a−SiO(H,X)」と表記する)、水素原子(H)及び/またはハロゲン原子(X)を含有し、更に窒素原子を含有するアモルファスシリコン(以下「a−SiN(H,X)」と表記する)、水素原子(H)及び/またはハロゲン原子(X)を含有し、更に炭素原子、酸素原子、窒素原子の少なくとも一つを含有するアモルファスシリコン(以下「a−SiCON(H,X)」と表記する)等の材料が好適に用いられる。
【0082】
本発明に於いて、その目的を効果的に達成するために、表面層104は真空堆積膜形成方法によって、所望特性が得られるように適宜成膜パラメーターの数値条件が設定されて作製される。具体的には、例えばグロー放電法(低周波CVD法、高周波CVD法またはマイクロ波CVD法等の交流放電CVD法、あるいは直流放電CVD法等)、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、光CVD法、熱CVD法などの数々の薄膜堆積法によって形成することができる。これらの薄膜堆積法は、製造条件、設備資本投資下の負荷程度、製造規模、作成される電子写真用光受容部材に所望される特性等の要因によって適宜選択されて採用されるが、光受容部材の生産性から光導電層と同等の堆積法によることが好ましい。
【0083】
例えば、グロー放電法によってa−SiC(H,X)よりなる表面層104を形成するには、基本的にはシリコン原子(Si)を供給し得るSi供給用の原料ガスと、炭素原子(C)を供給し得るC供給用の原料ガスと、水素原子(H)を供給し得るH供給用の原料ガスまたは/及びハロゲン原子(X)を供給し得るX供給用の原料ガスを、内部を減圧にし得る反応容器内に所望のガス状態で導入して、該反応容器内にグロー放電を生起させ、あらかじめ所定の位置に設置された光導電層103を作製した支持体101上にa−SiC(H,X)層を作製すればよい。
【0084】
本発明に於いて用いる表面層の材質としてはシリコンを含有するアモルファス材料なら何れでも良いが、炭素、窒素、酸素より選ばれた元素を少なくとも1つ含むシリコン原子との化合物が好ましく、特にa−SiCを主成分としたものが好ましい。
【0085】
特に、表面層をa−SiCを主成分として構成する場合の炭素量は、シリコン原子と炭素原子の和に対して30%から90%の範囲が好ましい。
【0086】
また、本発明において表面層104中に水素原子または/及びハロゲン原子が含有されることが必要であるが、これはシリコン原子などの構成原子の未結合手を補償し、層品質の向上、特に光導電性特性及び電荷保持特性を向上させるために必須不可欠である。水素含有量は、構成原子の総量に対して好ましくは30〜70原子%、より好ましくは35〜65原子%、更に好ましくは40〜60原子%とするのが望ましい。また、弗素原子の含有量として、好ましくは0.01〜15原子%、より好ましくは0.1〜10原子%、更に好ましくは0.6〜4原子%とするのが望ましい。
【0087】
これらの水素及び/または弗素含有量の範囲内で形成される光受容部材は、実際面に於いて従来にない格段に優れたものとして充分適用させ得るものである。すなわち、表面層内に存在する欠陥(主にシリコン原子や炭素原子のダングリングボンド)は電子写真用光受容部材としての特性に悪影響を及ぼすことが知られている。例えば自由表面から電荷の注入による帯電特性の劣化、使用環境、例えば高い湿度のもとで表面構造が変化することによる帯電特性の変動、更にコロナ帯電時や光照射時に光導電層により表面層に電荷が注入され、前記表面層内の欠陥に電荷がトラップされることにより繰り返し使用時の残像現象の発生等がこの悪影響として挙げられる。
【0088】
しかしながら表面層内の水素含有量を30原子%以上に制御することで表面層内の欠陥が大幅に減少し、その結果、従来に比べて電気的特性面及び高速連続使用性において飛躍的な向上を図ることができる。
【0089】
一方、前記表面層中の水素含有量が71原子%以上になると表面層の硬度が低下するために、繰り返し使用に耐えられなくなる場合がある。従って、表面層中の水素含有量を前記の範囲内に制御することが格段に優れた所望の電子写真特性を得る上で非常に重要な因子の1つである。表面層中の水素含有量は、原料ガスの流量(比)、支持体温度、放電パワー、ガス圧等によって制御し得る。
【0090】
また、表面層中の弗素含有量を0.01原子%以上の範囲に制御することで表面層内のシリコン原子と炭素原子の結合の発生をより効果的に達成することが可能となる。さらに、表面層中の弗素原子の働きとして、コロナ等のダメージによるシリコン原子と炭素原子の結合の切断を効果的に防止することができる。
【0091】
一方、表面層中の弗素含有量が15原子%を超えると表面層内のシリコン原子と炭素原子の結合の発生の効果及びコロナ等のダメージによるシリコン原子と炭素原子の結合の切断を防止する効果がほとんど認められなくなる。さらに、過剰の弗素原子が表面層中のキャリアの走行性を阻害するため、残留電位や画像メモリーが顕著に認められてくる。従って、表面層中の弗素含有量を前記範囲内に制御することが所望の電子写真特性を得る上で重要な因子の一つである。表面層中の弗素含有量は、水素含有量と同様に原料ガスの流量(流量比)、支持体温度、放電パワー、ガス圧等によって制御し得る。
【0092】
本発明の表面層の形成において使用されるシリコン(Si)供給用ガスとなり得る物質としては、SiH,Si,Si,Si10等のガス状態の、またはガス化し得る水素化珪素(シラン類)が有効に使用されるものとして挙げられ、更に層作成時の取り扱い易さ、Si供給効率の良さ等の点でSiH、Siが好ましいものとして挙げられる。また、これらのSi供給用の原料ガスを必要に応じてH,He,Ar,Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0093】
炭素供給用ガスとなり得る物質としては、CH,C,C,C,C10等のガス状態の、またはガス化し得る炭化水素が有効に使用されるものとして挙げられ、更に層作成時の取り扱い易さ、C供給効率の良さ等の点でCH,C,Cが好ましいものとして挙げられる。また、これらのC供給用の原料ガスを必要に応じてH,He,Ar,Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0094】
窒素または酸素供給用ガスとなり得る物質としては、NH,NO,NO,NO,O,CO,CO,N等のガス状態の、またはガス化し得る化合物が有効に使用されるものとして挙げられる。また、これらの窒素、酸素供給用の原料ガスを必要に応じてH,He,Ar,Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0095】
また、形成される表面層104中に導入される水素原子の導入割合の制御をいっそう容易にするため、これらのガスに更に水素ガスまたは水素原子を含む珪素化合物のガスも所望量混合して層形成することが好ましい。また、各ガスは単独種のみでなく所定の混合比で複数種混合しても差し支えないものである。
【0096】
ハロゲン原子供給用の原料ガスとして有効なのは、たとえばハロゲンガス、ハロゲン化物、ハロゲンをふくむハロゲン間化合物、ハロゲンで置換されたシラン誘導体等のガス状のまたはガス化し得るハロゲン化合物が好ましく挙げられる。また、さらにはシリコン原子とハロゲン原子とを構成要素とするガス状のまたはガス化し得る、ハロゲン原子を含む水素化珪素化合物も有効なものとして挙げることができる。本発明に於て好適に使用し得るハロゲン化合物としては、具体的には弗素ガス(F),BrF,ClF,ClF,BrF,BrF,IF,IF等のハロゲン間化合物を挙げることができる。ハロゲン原子を含む珪素化合物、いわゆるハロゲン原子で置換されたシラン誘導体としては、具体的には、たとえばSiF,Si等の弗化珪素が好ましいものとして挙げることができる。
【0097】
表面層104中に含有される水素原子または/及びハロゲン原子の量を制御するには、例えば支持体101の温度、水素原子または/及びハロゲン原子を含有させるために使用される原料物質の反応容器内ヘ導入する量、放電電力等を制御すればよい。
【0098】
炭素原子及び/または酸素原子及び/または窒素原子は、表面層中に万遍なく均一に含有されても良いし、表面層の層厚方向に含有量が変化するような不均一な分布をもたせた部分があっても良い。
【0099】
さらに本発明においては、表面層104には必要に応じて伝導性を制御する原子を含有させることが好ましい。伝導性を制御する原子は、表面層104中に万偏なく均一に分布した状態で含有されても良いし、あるいは層厚方向には不均一な分布状態で含有している部分があってもよい。
【0100】
前記の伝導性を制御する原子としては、半導体分野における、いわゆる不純物を挙げることができ、p型伝導特性を与える周期律表第IIIb族に属する原子(以後「第IIIb族原子」と略記する)またはn型伝導特性を与える周期律表第Vb族に属する原子(以後「第Vb族原子」と略記する)を用いることができる。第IIIb族原子としては、具体的には、硼素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)等があり、特にB,Al,Gaが好適である。第Vb族原子としては、具体的には燐(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)等があり、特にP,Asが好適である。
【0101】
表面層104に含有される伝導性を制御する原子の含有量としては、好ましくは1×10−3〜1×10原子ppm、より好ましくは1×10−2〜5×10原子ppm、更に好ましくは1×10−1〜1×10原子ppmとされるのが望ましい。伝導性を制御する原子、たとえば、第IIIb族原子あるいは第Vb族原子を構造的に導入するには、層形成の際に、第IIIb族原子導入用の原料物質あるいは第Vb族原子導入用の原料物質をガス状態で反応容器中に、表面層104を形成するための他のガスとともに導入してやればよい。第IIIb族原子導入用の原料物質あるいは第Vb族原子導入用の原料物質となり得るものとしては、常温常圧でガス状のまたは、少なくとも層形成条件下で容易にガス化し得るものが採用されるのが望ましい。そのような第IIIb族原子導入用の原料物質として具体的には、硼素原子導入用としては、B,B10,B,B11,B0,等の水素化硼素、BF,BCl,BBr等のハロゲン化硼素等が挙げられる。この他、GaCl,Ga(CH,等も挙げることができる。
【0102】
第Vb族原子導入用の原料物質として有効に使用されるのは、燐原子導入用としては、PH,P等の水素化燐、PF,PF,PCl,PCl,PBr,PI等のハロゲン化燐が挙げられる。この他、AsH,AsF,AsCl,AsBr,AsF,SbH,SbF,SbCl,BiH,BiBr等も第Vb族原子導入用の出発物質の有効なものとして挙げることができる。
【0103】
また、これらの伝導性を制御する原子導入用の原料物質を必要に応じてH,He,Ar,Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0104】
本発明に於ける表面層104の層厚としては、好ましくは0.01〜3μm、より好ましくは0.05〜2μm、更に好ましくは0.1〜1μmとされるのが望ましい。層厚が0.01μmより薄いと光受容部材を使用中に摩擦等の理由により表面層が失われてしまい易く、3μmを越えると残留電位の増加等の電子写真特性の低下がみられる場合がある。
【0105】
本発明による表面層104は、その要求される特性が所望通りに与えられるように注意深く形成される。即ち、Si,C,N及びOからなる群から選択された少なくとも一つの元素、H及び/またはXを構成要素とする物質は、その形成条件によって構造的には多結晶や微結晶のような結晶性からアモルファスまでの形態(総称して非単結晶)を取り、電気物性的には導電性から半導体性、絶縁性までの間の性質を、また、光導電的性質から非光導電的性質までの間の性質を各々示すので、本発明においては、目的に応じた所望の特性を有する化合物が形成される様に、所望に従ってその形成条件の選択が厳密になされる。
【0106】
例えば、表面層104を耐電圧性の向上を主な目的として設けるには、使用環境に於いて電気絶縁性的挙動の顕著な非単結晶材料として作製される。
【0107】
また、連続繰り返し使用特性や使用環境特性の向上を主たる目的として表面層104が設けられる場合には、上記の電気絶縁性の度合はある程度緩和され、照射される光に対して有る程度の感度を有する非単結晶材料として形成される。
【0108】
本発明の目的を達成し得る特性を有する表面層104を形成するには、支持体101の温度、反応容器内のガス圧を所望にしたがって、適宜設定する必要がある。
【0109】
支持体101の温度(Ts)は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好ましくは200〜350℃、より好ましくは230〜330℃、更に好ましくは250〜310℃とするのが望ましい。
【0110】
反応容器内のガス圧も同様に層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好ましくは1×10−4〜10Torr、より好ましくは5×10−4〜5Torr、更に好ましくは1×10−3〜1Torrとするのが望ましい。本発明においては、表面層を形成するための支持体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前記した範囲が挙げられるが、これらの条件は通常は独立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を有する光受容部材を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて最適値を決めるのが望ましい。
【0111】
さらに本発明に於いては、光導電層と表面層の間に、炭素原子、酸素原子、窒素原子の含有量を表面層より減らした中間層(下部表面層)を設けることも帯電能等の特性を更に向上させるためには有効である。
【0112】
また表面層104と光導電層103との間に炭素原子及び/または酸素原子及び/または窒素原子の含有量が光導電層103に向かって減少するように変化する領域を設けても良い。これにより表面層と光導電層の密着性を向上させ、界面での光の反射による干渉の影響をより少なくすることができる。
【0113】
(電荷注入阻止層)
本発明の電子写真用光受容部材においては、導電性支持体と光導電層との間に、導電性支持体側からの電荷の注入を阻止する働きのある電荷注入阻止層を設けるのがいっそう効果的である。すなわち、電荷注入阻止層は光受容層が一定極性の帯電処理をその自由表面に受けた際、支持体側より光導電層側に電荷が注入されるのを阻止する機能を有し、逆の極性の帯電処理を受けた際にはそのような機能は発揮されない、いわゆる極性依存性を有している。そのような機能を付与するために、電荷注入阻止層には伝導性を制御する原子を光導電層に比べ比較的多く含有させる。
【0114】
該層に含有される伝導性を制御する原子は、該層中に万遍なく均一に分布されても良いし、あるいは層厚方向には万遍なく含有されてはいるが、不均一に分布する状態で含有している部分があってもよい。分布濃度が不均一な場合には、支持体側に多く分布するように含有させるのが好適である。
【0115】
しかしながら、いずれの場合にも支持体の表面と平行面内方向においては、均一な分布で万遍なく含有されることが面内方向における特性の均一化をはかる点からも必要である。
【0116】
電荷注入阻止層に含有される伝導性を制御する原子としては、半導体分野における、いわゆる不純物を挙げることができ、p型伝導特性を与える周期律表第IIIb族に属する原子(以後「第IIIb族原子」と略記する)またはn型伝導特性を与える周期律表第Vb族に属する原子(以後「第Vb族原子」と略記する)を用いることができる。
【0117】
第IIIb族原子としては、具体的には、B(ほう素)、Al(アルミニウム)、Ga(ガリウム)、In(インジウム)、Ta(タリウム)等があり、特にB、Al、Gaが好適である。第Vb族原子としては、具体的にはP(リン)、As(砒素)、Sb(アンチモン)、Bi(ビスマス)等があり、特にP,Asが好適である。
【0118】
本発明において電荷注入阻止層中に含有される伝導性を制御する原子の含有量としては、本発明の目的が効果的に達成できるように所望にしたがって適宜決定されるが、好ましくは10〜1×10原子ppm、より好ましくは50〜5×10原子ppm、更に好ましくは1×10〜3×10原子ppmとされるのが望ましい。
【0119】
さらに、電荷注入阻止層には、炭素原子、窒素原子及び酸素原子の少なくとも一種を含有させることによって、該電荷注入阻止層に直接接触して設けられる他の層との間の密着性の向上をよりいっそう図ることができる。
【0120】
該層に含有される炭素原子または窒素原子または酸素原子は該層中に万偏なく均一に分布されても良いし、あるいは層厚方向には万遍なく含有されてはいるが、不均一に分布する状態で含有している部分があってもよい。しかしながら、いずれの場合にも支持体の表面と平行面内方向においては、均一な分布で万偏なく含有されることが面内方向における特性の均一化をはかる点からも必要である。
本発明における電荷注入阻止層の全層領域に含有される炭素原子及び/または窒素原子及び/または酸素原子の含有量は、本発明の目的が効果的に達成されるように適宜決定されるが、一種の場合はその量として、二種以上の場合はその総和として、好ましくは1×10−3〜50原子%、より好ましくは5×10−3〜30原子%、更に好ましくは1×10−2〜10原子%とされるのが望ましい。
【0121】
また、本発明における電荷注入阻止層に含有される水素原子及び/またはハロゲン原子は層内に存在する未結合手を補償し膜質の向上に効果を奏する。電荷注入阻止層中の水素原子またはハロゲン原子あるいは水素原子とハロゲン原子の和の含有量は、好ましくは1〜50原子%、より好ましくは5〜40原子%、更に好ましくは10〜30原子%とするのが望ましい。
【0122】
本発明に於ける電荷注入阻止層105の層厚としては、好ましくは0.1〜5μm、より好ましくは0.3〜4μm、更に好ましくは0.5〜3μmとされるのが望ましい。層厚が0.1μmより薄くなると、支持体からの電荷の注入阻止能が不十分になって十分な帯電能が得られない場合があり、5μmより厚くしても実質的な電子写真特性の向上よりも作製時間の延長による製造コスト増を招く。
【0123】
本発明において電荷注入阻止層を形成するには、前述の光導電層を形成する方法と同様の真空堆積法が採用される。
【0124】
本発明の目的を達成し得る特性を有する電荷注入阻止層105を形成するには、光導電層103と同様に、Si供給用のガスと希釈ガスとの混合比、反応容器内のガス圧、放電電力ならびに支持体101の温度を適宜設定することが必要である。
【0125】
希釈ガスであるH及び/またはHeの流量は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、Si供給用ガスに対しH及び/またはHeを、好ましくは1〜20倍、より好ましくは3〜15倍、更に好ましくは5〜10倍の範囲に制御することが望ましい。
【0126】
反応容器内のガス圧も同様に層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、好ましくは1×10−4〜10Torr、より好ましくは5×10−4〜5Torr、更に好ましくは1×10−3〜1Torrとするのが望ましい。
【0127】
放電電力もまた同様に層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、Si供給用のガスの流量に対する放電電力の比を、好ましくは1〜7、より好ましくは2〜6、更に好ましくは3〜5の範囲に設定することが望ましい。
【0128】
さらに、支持体101の温度は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、好ましくは200〜350℃、より好ましくは230〜330℃、更に好ましくは250〜310℃とするのが望ましい。
【0129】
本発明においては、電荷注入阻止層を形成するための希釈ガスの混合比、ガス圧、放電電力、支持体温度の望ましい数値範囲として前記した範囲が挙げられるが、これらの条件は通常は独立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を有する表面層を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて最適値を決めるのが望ましい。
【0130】
このほかに、本発明の電子写真用光受容部材においては、光受容層102の前記支持体101側に、少なくともアルミニウム原子、シリコン原子、水素原子または/及びハロゲン原子が層厚方向に不均一な分布状態で含有する層領域を有することが望ましい。
【0131】
また、本発明の電子写真用光受容部材に於いては、支持体101と光導電層103あるいは電荷注入阻止層105との間の密着性の一層の向上を図る目的で、例えば、Si,SiO,SiO、あるいはシリコン原子を母体とし、水素原子及び/またはハロゲン原子と、炭素原子及び/または酸素原子及び/または窒素原子とを含む非晶質材料等で構成される密着層を設けても良い。更に、支持体からの反射光による干渉模様の発生を防止するための光吸収層を設けても良い。
【0132】
次に、光受容層を形成するための装置及び膜形成方法について詳述する。
図2はRF帯の周波数を用いた高周波プラズマCVD法(以後「RF−PCVD」と略記する)による電子写真用光受容部材の製造装置の好適な一例を示す模式的な構成図である。図2に示す製造装置の構成は以下の通りである。
【0133】
この装置は大別すると、堆積装置(2100)、原料ガスの供給装置(2200)、反応容器(2111)内を減圧にするための排気装置(図示せず)から構成されている。堆積装置(2100)中の反応容器(2111)内には円筒状支持体(2112)、支持体加熱用ヒーター(2113)、原料ガス導入管(図示せず)が設置され、更に高周波マッチングボックス(2115)が接続されている。
【0134】
原料ガス供給装置(2200)は、SiH,GeH,H,CH,B,PH等の原料ガスのボンベ(2221〜2226)とバルブ(2231〜2236,2241〜2246,2251〜2256)及びマスフローコントローラー(2211〜2216)から構成され、各原料ガスのボンベはバルブ(2260)を介して反応容器(2111)内のガス導入管(2114)に接続されている。
【0135】
この装置を用いた堆積膜の形成は、例えば以下のように行うことができる。
まず、反応容器(2111)内に円筒状支持体(2112)を設置し、排気装置(図示せず)により反応容器(2111)内を排気する。続いて、支持体加熱用ヒーター(2113)により円筒状支持体(2112)の温度を、例えば200℃乃至350℃の所定の温度に制御する。
【0136】
堆積膜形成用の原料ガスを反応容器(2111)に流入させるには、ガスボンベのバルブ(2231〜2237)、反応容器のリークバルブ(2117)が閉じられていることを確認し、また、流入バルブ(2241〜2246)、流出バルブ(2251〜2256)、補助バルブ(2260)が開かれていることを確認して、まずメインバルブ(2118)を開いて反応容器(2111)及びガス配管内(2116)を排気する。
【0137】
次に真空計(2119)の読みが約5×10−6Torrになった時点で補助バルブ(2260)、流出バルブ(2251〜2256)を閉じる。
【0138】
その後、ガスボンベ(2221〜2226)より各ガスをバルブ(2231〜2236)を開いて導入し、圧力調整器(2261〜2266)により各ガス圧を2kg/cmに調整する。次に、流入バルブ(2241〜2246)を徐々に開けて、各ガスをマスフローコントローラー(2211〜2216)内に導入する。
【0139】
以上のようにして成膜の準備が完了した後、以下の手順で各層の形成を行う。円筒状支持体(2112)が所定の温度になったところで流出バルブ(2251〜2256)のうちの必要なもの及び補助バルブ(2260)を徐々に開き、ガスボンベ(2221〜2226)から所定のガスをガス導入管(2114)を介して反応容器(2111)内に導入する。次にマスフローコントローラー(2211〜2216)によって各原料ガスが所定の流量になるように調整する。その際、反応容器(2111)内の圧力が1Torr以下の所定の圧力になるように真空計(2119)を見ながらメインバルブ(2118)の開口を調整する。内圧が安定したところで、周波数13.56MHzのRF電源(図示せず)を所望の電力に設定して、高周波マッチングボックス(2115)を通じて反応容器(2111)内にRF電力を導入し、グロー放電を生起させる。この放電エネルギーによって反応容器内に導入された原料ガスが分解され、円筒状支持体(2112)上に所定のシリコンを主成分とする堆積膜が形成されるところとなる。所望の膜厚の形成が行われた後、RF電力の供給を止め、流出バルブを閉じて反応容器へのガスの流入を止め、堆積膜の形成を終える。
【0140】
同様の操作を複数回繰り返すことによって、所望の多層構造の光受容層が形成される。
【0141】
それぞれの層を形成する際には必要なガス以外の流出バルブはすべて閉じられており、また、それぞれのガスが反応容器(2111)内、流出バルブ(2251〜2256)から反応容器(2111)に至る配管内に残留することを避けるために、流出バルブ(2251〜2256)を閉じ、補助バルブ(2260)を開き、さらにメインバルブ(2118)を全開にして系内を一旦高真空に排気する操作を必要に応じて行う。
【0142】
また、膜形成の均一化を図るために、層形成を行なっている間は、支持体(2112)を駆動装置(図示せず)によって所定の速度で回転させることも有効である。
【0143】
さらに、上述のガス種及びバルブ操作は各々の層の作製条件にしたがって変更が加えられる。
【0144】
次に、VHF帯の周波数を用いた高周波プラズマCVD法(以後「VHF−PCVD」と略記する)によって形成される電子写真用光受容部材の製造方法について説明する。
【0145】
図2に示した製造装置におけるRF−PCVD法による堆積装置(2100)を、図3に示す堆積装置(3100)に代えて原料ガス供給装置(2200)と接続することにより、VHF−PCVD法による電子写真用光受容部材製造装置を得ることができる。
【0146】
この装置は大別すると、反応容器(3111)、原料ガスの供給装置(2200)、及び反応容器内を減圧にするための排気装置(図示せず)から構成されている。反応容器(3111)内には円筒状支持体(3112)、支持体加熱用ヒーター(3113)、原料ガス導入管(図示せず)、電極(3115)が設置され、電極には更に高周波マッチングボックス(3116)が接続されている。また、反応容器(3111)内は排気管(3121)を通じて排気装置(図示せず)に接続されている。
【0147】
原料ガス供給装置(2200)は、SiH,GeH,H,CH,B,PH等の原料ガスのボンベ(2221〜2226)とバルブ(2231〜2236,2241〜2246,2251〜2256)及びマスフローコントローラー(2211〜2216)から構成され、各原料ガスのボンベはバルブ(2260)を介して反応容器(3111)内のガス導入管(図示せず)に接続されている。また、円筒状支持体(3112)によって取り囲まれた空間(3130)が放電空間を形成している。
【0148】
VHF−PCVD法によるこの装置での堆積膜の形成は、以下のように行なうことができる。
【0149】
まず、反応容器(3111)内に円筒状支持体(3112)を設置し、駆動装置(3120)によって支持体(3112)を回転し、不図示の排気装置(例えば拡散ポンプ)により反応容器(3111)内を排気管(3121)を介して排気し、反応容器(3111)内の圧力を、例えば1×10−7Torr以下に調整する。続いて、支持体加熱用ヒーター(3113)により円筒状支持体(3112)の温度を、例えば200℃乃至350℃の所定の温度に加熱保持する。
【0150】
堆積膜形成用の原料ガスを反応容器(3111)に流入させるには、ガスボンベのバルブ(2231〜2236)、反応容器のリークバルブ(図示せず)が閉じられていることを確認し、また、流入バルブ(2241〜2246)、流出バルブ(2251〜2256)、補助バルブ(2260)が開かれていることを確認して、まずメインバルブ(図示せず)を開いて反応容器(3111)及びガス配管内を排気する。
【0151】
次に真空計(図示せず)の読みが約5×10−6Torrになった時点で補助バルブ(2260)、流出バルブ(2251〜2256)を閉じる。
【0152】
その後、ガスボンベ(2221〜2226)より各ガスをバルブ(2231〜2236)を開いて導入し、圧力調整器(2261〜2266)により各ガス圧を2kg/cmに調整する。次に、流入バルブ(2241〜2246)を徐々に開けて、各ガスをマスフローコントローラー(2211〜2216)内に導入する。
【0153】
以上のようにして成膜の準備が完了した後、以下のようにして円筒状支持体(3112)上に各層の形成を行う。
【0154】
円筒状支持体(3112)が所定の温度になったところで流出バルブ(2251〜2256)のうちの必要なもの及び補助バルブ(2260)を徐々に開き、ガスボンベ(2221〜2226)から所定のガスをガス導入管(図示せず)を介して反応容器(3111)内の放電空間(3130)に導入する。次にマスフローコントローラー(2211〜2216)によって各原料ガスが所定の流量になるように調整する。その際、放電空間(3130)内の圧力が1Torr以下の所定の圧力になるように真空計(図示せず)を見ながらメインバルブ(図示せず)の開口を調整する。
【0155】
圧力が安定したところで、例えば周波数500MHzのVHF電源(図示せず)を所望の電力に設定して、マッチングボックス(3116)を通じて放電空間(3130)にVHF電力を導入し、グロー放電を生起させる。かくして支持体(3112)により取り囲まれた放電空間(3130)において、導入された原料ガスは、放電エネルギーにより励起されて解離し、支持体(3112)上に所定の堆積膜が形成される。この時、層形成の均一化を図るため支持体回転用モーター(3120)によって、所望の回転速度で回転させる。
【0156】
所望の膜厚の形成が行われた後、VHF電力の供給を止め、流出バルブを閉じて反応容器へのガスの流入を止め、堆積膜の形成を終える。
同様の操作を複数回繰り返すことによって、所望の多層構造の光受容層が形成される。
【0157】
それぞれの層を形成する際には必要なガス以外の流出バルブはすべて閉じられており、また、それぞれのガスが反応容器(3111)内、流出バルブ(2251〜2256)から反応容器(3111)に至る配管内に残留することを避けるために、流出バルブ(2251〜2256)を閉じ、補助バルブ(2260)を開き、さらにメインバルブ(図示せず)を全開にして系内を一旦高真空に排気する操作を必要に応じて行う。
上述のガス種及びバルブ操作は各々の層の作成条件にしたがって変更が加えられる。
【0158】
RF−PCVD法とVHF−PCVD法のいずれの方法においても、堆積膜形成時の支持体温度は、特に好ましくは200℃以上350℃以下、より好ましくは230℃以上330℃以下、更に好ましくは250℃以上310℃以下が望ましい。
【0159】
光導電層を成膜する時に、EuおよびDOSを層厚方向に変化させる場合には、例えば上記の操作に加えてSiH流量と放電電力との比を連続的に変化させる操作並びに基板温度を連続的に変化させる操作を必要に応じて行えばよい。
【0160】
支持体の加熱方法は、真空仕様である発熱体であればよく、例えばシース状ヒーターの巻き付けヒーター、板状ヒーター、セラミックヒーター等の電気抵抗発熱体、ハロゲンランプ、赤外線ランプ等の熱放射ランプ発熱体、液体、気体等を温媒とし熱交換手段による発熱体等が挙げられる。加熱手段の表面材質は、ステンレス、ニッケル、アルミニウム、銅等の金属類、セラミックス、耐熱性高分子樹脂等を使用することができる。
【0161】
それ以外にも、反応容器以外に加熱専用の容器を設け、加熱した後、反応容器内に真空中で支持体を搬送する等の方法が用いられる。
【0162】
また、特にVHF−PCVD法における放電空間の圧力として、好ましくは1mTorr以上500mTorr以下、より好ましくは3mTorr以上300mTorr以下、最も好ましくは5mTorr以上100mTorr以下に設定することが望ましい。
【0163】
VHF−PCVD法において放電空間に設けられる電極(3115)の大きさ及び形状は、放電を乱さないならばいずれのものでも良いが、実用上は直径1mm以上10cm以下の円筒状が好ましい。この時、電極の長さも、支持体に電界が均一にかかる長さであれば任意に設定できる。
【0164】
電極の材質としては、少なくとも表面が導電性を有するものであれば良く、例えば、ステンレス,Al,Cr,Mo,Au,In,Nb,Te,V,Ti,Pt,Pb,Fe等の金属、これらの合金または表面を導電処理したガラス、セラミック等が通常使用される。
【0165】
【実施例】
以下本発明の一実施例を、図2と図3を参照して説明する。
(実施例1)
図2に示すRF−PCVD法による電子写真用光受容部材の製造装置を用い、直径108mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー支持体上に、例えば表1に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなる光受容部材を作製した。さらに光導電層のSiHとHとの混合比ならびに放電電力を変えることによって、種々の光受容部材を作製した。
【0166】
作製した光受容部材は、電子写真装置(キヤノン社製NP6150をテスト用に改造)にセットして、帯電能の温度依存性(温度特性)、メモリーならびに画像流れを評価した。温度特性は、光受容部材の温度を室温から約45℃まで変えて帯電能を測定し、このときの温度1℃当たりの帯電能の変化を測定して、2V/deg以下を合格と判定した。また、メモリー、画像流れについては、画像を目視により判定し、1:非常に良好、2:良好、3:実用上問題なし、4:実用上やや難のある場合ありの4段階にランク分けをした。その結果、ランク1と2を合格と判定した。
【0167】
一方、円筒形のサンプルホルダーに設置したガラス基板(コーニング社製 7059)ならびにSiウエハー上に、光導電層の作成条件で膜厚約1μmのa−Si膜を堆積した。ガラス基板上の堆積膜にはAlの串型電極を蒸着し、CPMにより指数関数裾の特性エネルギー(Eu)と局在準位密度(DOS)を測定し、Siウエハー上の堆積膜はFTIR(フーリエ変換赤外吸光分析)法により含有水素量を測定した。
【0168】
その結果、表1の条件で作製した光導電層は、水素含有量が27原子%、Euが57meV、DOSが3.2×1015cm−3であった。
【0169】
また、SiHに対する放電電力(RFPower)の比を固定してSiHとHとの混合比(H/SiH)を増加させた場合、混合比が10程度までしてEu、DOS共にほぼ単調に低下する傾向がみられ、特にDOSの低下する傾向が顕著であった。そして、それ以上混合比を増加した場合のEu、DOSの低下割合は緩やかであった。一方、SiHとHとの混合比を固定してSiHに対する放電電力(Power)の比を増加させた場合Eu、DOS共に増加する傾向が見られ、特にEuの増加する傾向が顕著であった。
【0170】
本例のEuと温度特性との関係を図4に、DOSとメモリー及び画像流れとの関係を図5、図6にそれぞれ示す。いずれのサンプルも水素含有量は10〜30原子%の間であった。図4、図5ならびに図6から明らかなように、Euは50meV以上60meV以下、DOSは1×1014cm−3以上1×1016cm−3未満の範囲にすることが良好な電子写真特性を得るために必要であることがわかった。
【0171】
作製された光受容部材を上記した電子写真装置にセットして帯電、露光、現像、転写、クリーニングを1プロセスとする画像形成をしたところ、極めて優れた画像を得ることができた。
【0172】
【表1】
Figure 0003606395
【0173】
(実施例2)
本例では、光導電層と表面層との間に、炭素原子の含有量を表面層より減らし、伝導性を制御する原子を含有させた中間層(上部阻止層)を設けた。表2に、このときの電子写真用光受容部材の作製条件を示した。
他の点は実施例1と同様とした。
【0174】
本例では、光導電層のEuとDOSは、それぞれ55meV、2×1015cm−3という結果が得られた。また、作製した電子写真用光受容部材を負帯電して実施例1と同様の評価をしたところ実施例1と同様に良好な電子写真特性が得られた。
【0175】
すなわち、中間層(上部阻止層)を設けた場合においても、Euは50meV以上60meV以下、DOSは1×1014cm−3以上1×1016cm−3未満の範囲にすることが良好な電子写真特性を得るために必要であることがわかった。
【0176】
作製された光受容部材を実施例1と同様にキヤノン社製NP6150をテスト用に改造した電子写真装置にセットして、帯電、露光、現像、転写、クリーニングを1プロセスとする画像形成をしたところ、極めて良好な画像を得ることができた。
【0177】
【表2】
Figure 0003606395
【0178】
(実施例3)
本例では、実施例1の表面層に代えて、表面層のシリコン原子及び炭素原子の含有量を層厚方向に不均一な分布状態とした表面層を設けた。表3に、このときの電子写真用光受容部材の作製条件を示した。
他の点は実施例1と同様とした。
【0179】
本例では、光導電層のEuとDOSは、それぞれ50meV、8×1014cm−3という結果が得られた。また、作製した電子写真用光受容部材を実施例1と同様の評価をしたところ実施例1と同様に良好な電子写真特性が得られた。
【0180】
すなわち、表面層のシリコン原子及び炭素原子を層厚方向に不均一な分布状態とした表面層を設けた場合においても、Euは50meV以上60meV以下、DOSは1×1014cm−3以上1×1016cm−3未満の範囲にすることが良好な電子写真特性を得るために必要であることがわかった。
【0181】
作製された光受容部材を実施例1と同様にキヤノン社製NP6150をテスト用に改造した電子写真装置にセットして、帯電、露光、現像、転写、クリーニングを1プロセスとする画像形成をしたところ、極めて良好な画像を得ることができた。
【0182】
【表3】
Figure 0003606395
【0183】
(実施例4)
本例では、支持体と電荷注入阻止層との間に、支持体からの反射光による干渉模様の発生を防止するための光吸収層として、アモルファスシリコンゲルマニウムのIR吸収層を設けた。表4に、このときの電子写真用光受容部材の作製条件を示した。
他の点は実施例1と同様とした。
【0184】
本例では、光導電層のEuとDOSは、それぞれ60meV、5×1015cm−3という結果が得られた。また、作製した電子写真用光受容部材を実施例1と同様の評価をしたところ実施例1と同様に良好な電子写真特性が得られた。
【0185】
すなわち、IR吸収層を設けた場合においても、Euは50meV以上60meV以下、DOSは1×1014cm−3以上1×1016cm−3未満の範囲にすることが良好な電子写真特性を得るために必要であることがわかった。
【0186】
作製された光受容部材を実施例1と同様にキヤノン社製NP6150をテスト用に改造した電子写真装置にセットして、帯電、露光、現像、転写、クリーニングを1プロセスとする画像形成をしたところ、極めて良好な画像を得ることができた。
【0187】
【表4】
Figure 0003606395
【0188】
(実施例5)
本例では、実施例1のRF−PCVD法に代えて、図3に示すVHF−PCVD法による電子写真用光受容部材の製造装置を用い、実施例1と同様に直径108mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に表5に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなる光受容部材を作製した。さらに光導電層のSiHとHとの混合比、放電電力、支持体温度ならびに内圧を変えることにより、種々の光受容部材を作製した。
他の点は実施例1と同様とした。
【0189】
作製した光受容部材を電子写真装置(キヤノン社製、NP6150をテスト用に改造)にセットして、帯電能の温度依存性(温度特性)、ブランク露光メモリーならびにゴーストメモリーを評価した。温度特性ならびにメモリーの評価は実施例1と同様にした。さらにハーフトーン画像の濃度ムラ(ガサツキ)をメモリーと同様、4段階のランク分けを行って評価した。その結果、ランク1と2を合格と判定した。
【0190】
一方、光導電層の作製条件で、円筒形のサンプルホルダーに設置したガラス基板(コーニング社製 7059)ならびにSiウエハー上に膜厚約1μmのa−Si膜を堆積した。ガラス基板上の堆積膜にはAlの串型電極を蒸着して、CPMにより指数関数裾の特性エネルギー(Eu)と局在準位密度(DOS)を測定し、Siウエハー上の堆積膜はFTIRにより含有水素量ならびにSi−H結合とSi−H結合の吸収ピーク強度比を測定した。
【0191】
その結果、表5の条件で作成した光導電層において、水素含有量は25原子%、Si−H/Si−Hは0.35であり、Eu、DOSはそれぞれ59meV、4.3×1015cm−3であった。
【0192】
また、SiHに対する放電電力(RFPower)の比を固定してSiHとHとの混合比(H/SiH)を増加させた場合、実施例1と同様に混合比が10程度まではEu、DOS共にほぼ単調に低下する傾向がみられ、特にDOSの低下する傾向が顕著であった。そして、それ以上混合比を増加した場合のEu、DOSの低下割合は緩やかであった。一方、SiHとHとの混合比を固定してSiHに対する放電電力(Power)の比を増加させた場合Eu、DOS共に増加する傾向が見られ、特にEuの増加する傾向が顕著であった。さらに、支持体温度を上げた場合、Eu、DOSは緩やかではあるものの低下する傾向が見られ、Si−H/Si−Hは減少する傾向が見られた。
【0193】
このときのEu、DOSと温度特性、メモリー、画像流れとの関係は実施例1と同様であり、Euは50meV以上60meV以下、DOSは1×1014cm−3以上1×1016cm−3未満の範囲にすることが良好な電子写真特性を得るために好ましいことがわかった。
【0194】
さらに、図7に示すSi−H/Si−Hと感度との関係から、Si−H/Si−Hは0.1以上0.5以下の範囲にすることが好ましいであることがわかった。
【0195】
作製された光受容部材を実施例1と同様にキヤノン社製NP6150をテスト用に改造した電子写真装置にセットして、帯電、露光、現像、転写、クリーニングを1プロセスとする画像形成をしたところ、極めて良好な画像を得ることができた。
【0196】
【表5】
Figure 0003606395
【0197】
(実施例
本例では、電荷注入阻止層は削除し、光導電層を、炭素原子を層厚方向に不均一な分布状態で含有する第1の層領域と実質的に炭素原子を含まない第2の層領域とで構成した。表に、このときの電子写真用光受容部材の作製条件を示した。
他の点は実施例5と同様とした。
【0198】
本例では、光導電層のEu、DOS及びSi−H/Si−Hは、それぞれ56meV、1.3×1015cm−3、0.38であった。また、作製した電子写真用光受容部材を実施例1と同様の評価をしたところ実施例1と同様に良好な電子写真特性が得られた。
【0199】
すなわち、電荷注入阻止層は削除し、光導電層を、炭素原子を層厚方向に不均一な分布状態で含有する第1の層領域と実質的に炭素原子を含まない第2の層領域とで構成した場合においても、Euは50meV以上60meV以下、DOSは1×1014cm−3以上1×1016cm−3とし、更にSi−H/Si−Hは0.1以上0.5以下の範囲にすることが良好な電子写真特性を得るために好ましいことがわかった。
【0200】
作製された光受容部材を実施例1と同様にキヤノン社製NP6150をテスト用に改造した電子写真装置にセットして、帯電、露光、現像、転写、クリーニングを1プロセスとする画像形成をしたところ、極めて良好な画像を得ることができた。
【0201】
【表
Figure 0003606395
【0202】
(実施例
本例では、光導電層と表面層との間に、炭素原子の含有量を表面層より減らした中間層(下部表面層)を設けると同時に、光導電層を、機能分離化して、電荷輸送層と電荷発生層の2層化をはかり設けた。表に、このときの電子写真用光受容部材の作製条件を示した。
他の点は実施例5と同様とした。
【0203】
本例では、光導電層のEu、DOS及びSi−H/Si−Hは、それぞれ59meV、3×1015cm−3、0.45であった。また、作製した電子写真用光受容部材を実施例1と同様の評価をしたところ実施例1と同様に良好な電子写真特性が得られた。
【0204】
すなわち、光導電層と表面層との間に、炭素原子の含有量を表面層より減らした中間層(下部表面層)を設けると同時に、光導電層を、機能分離化して、電荷輸送層と電荷発生層の2層化をはかり設けた場合においても、Euは50meV以上60meV以下、DOSは1×1014cm−3以上1×1016cm−3とし、更にSi−H/Si−Hは0.1以上0.5以下の範囲にすることが良好な電子写真特性を得るために好ましいことがわかった。
【0205】
作製された光受容部材を実施例1と同様にキヤノン社製NP6150をテスト用に改造した電子写真装置にセットして、帯電、露光、現像、転写、クリーニングを1プロセスとする画像形成をしたところ、極めて良好な画像を得ることができた。
【0206】
【表
Figure 0003606395
【0207】
(実施例
図2に示すRF−PCVD法による電子写真用光受容部材の製造装置を用い、直径108mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー上に、表に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなる光受容部材を作製した。その時、光導電層作製条件を層厚方向で表に示すように連続的に変化させた。また、光導電層作製条件の放電電力はSiH流量の3〜8倍までの電力で層厚方向に連続的に変化させて数種類の光受容部材を作製した。その時の光導電層のEuとDOSは光導電層の支持体側作製条件と中間部作製条件と表面側作製条件の3点でのサンプルの値の単純平均をとって膜中平均とした。
【0208】
作製した光受容部材は、電子写真装置(キヤノン社製NP6150をテスト用に改造)にセットして、帯電能の温度依存性(温度特性)、露光メモリー(ブランク露光メモリー、ゴースト露光メモリー)、感度を評価した。温度特性は、光受容部材の温度を室温から約45℃まで変えて帯電能を測定し、このときの温度1℃当たりの帯電能の変化を測定して、2V/deg以下を合格と判定した。また、露光メモリーについては、画像を目視により判定し、感度については従来をランク3(実用的)と判定し、1:非常に良好、2:良好、3:実用的、4:実用上問題なし、5:実用上やや難ありの5段階にランク分けした。また、ランクの判別が困難な場合は、1と2の間の場合はランク1.5の様に記した。
【0209】
一方、円筒形のサンプルホルダーに設置したガラス基板(コーニング社製 7059)ならびにSiウェハー上に数種類のa−Si膜を堆積した。ガラス基板上の堆積膜にはAlの串型電極を蒸着して、CPMにより指数関数裾の特性エネルギー(Eu)と局在準位密度(DOS)を測定した。また、SiウェハーはFTIRで含有水素量を測定した。
【0210】
【表
Figure 0003606395
【0211】
【表
Figure 0003606395
【0212】
実施例の光導電層作製条件が層厚方向に変化していたのに代えて、光導電層作製条件を固定して電子写真用光受容部材を作製した。
10に、このときの電子写真用光受容部材の作製条件を示した。
他の点は実施例と同様とした。
【0213】
【表10
Figure 0003606395
【0214】
実施例で作製した光受容部材の評価結果を、以下の図8〜15に示す。
図8に光導電層中における、Euの層厚方向分布を示す。図9に光導電層中における、DOSの層厚方向分布を示す。図10に光導電層中の平均Euに対する帯電能の温度依存性(温度特性)を示す。図11に光導電層中の平均DOSに対する帯電能の温度依存性(温度特性)を示す。図12に光導電層中の平均Euに対する露光メモリーを示す。図13に光導電層中の平均DOSに対する露光メモリーを示す。図14に光導電層中の平均Euに対する感度を示す。図15に光導電層中の平均DOSに対する感度を示す。
【0215】
EuとDOSを層厚方向に変化させなかった光受容部材の評価結果を、以下の図16〜21に示す。光導電層中におけるEuとDOSは、サンプルの値の単純平均をとって膜中平均とした。
【0216】
図16に光導電層中の平均Euに対する帯電能の温度依存性(温度特性)を示す。図17に光導電層中の平均DOSに対する帯電能の温度依存性(温度特性)を示す。図18に光導電層中の平均Euに対する露光メモリーを示す。図19に光導電層中の平均DOSに対する露光メモリーを示す。図20に光導電層中の平均Euに対する感度を示す。図21に光導電層中の平均DOSに対する感度を示す。
【0217】
以上の結果から、膜中平均でEuが50meV以上60meV以下、DOSが1×1014cm−3以上1×1016cm−3未満の範囲となる様にして、光導電層のEuとDOSを層厚方向に連続的に変化させた場合(図8〜15)のほうが、変化させない場合(図16〜21)より、より良好な電子写真特性が得られることが分かる。特に、温度特性、露光メモリーおよび感度のために好ましいことがわかった。また、いずれのサンプルの水素含有量も10〜30原子%の間であった。
【0218】
作製された光受容部材を実施例1と同様にキヤノン社製NP6150をテスト用に改造した電子写真装置にセットして、帯電、露光、現像、転写、クリーニングを1プロセスとする画像形成をしたところ、極めて良好な画像を得ることができた。
【0219】
(実施例
本例では、実施例の支持体温度とPowerの可変範囲を代えた。表11に、このときの電子写真用光受容部材の作製条件を示した。
他の点は実施例と同様とした。
【0220】
本例では、光導電層のEuとDOSは、それぞれ層支持体側(初期)にて、49meV、2.2×1014 −3、層中間部にて、55meV、9.8×1014cm−3、層表面側にて63meV、1.3×1016cm−3であり、膜中平均でそれぞれ56meV、4.7×1015cm−3であった。また、作製した電子写真用光受容部材を実施例と同様の評価をしたところ実施例と同様に良好な電子写真特性が得られた。
【0221】
これより、表面側でEuとDOSが上記の範囲をはずれた部分があっても、膜中平均でEuが50meV以上60meV以下、DOSが1×1014cm−3以上1×1016cm−3未満の範囲にすることでより良好な電子写真特性が得られることがわかった。
【0222】
作製された光受容部材を実施例1と同様にキヤノン社製NP6150をテスト用に改造した電子写真装置にセットして、帯電、露光、現像、転写、クリーニングを1プロセスとする画像形成をしたところ、極めて良好な画像を得ることができた。
【0223】
【表11
Figure 0003606395
【0224】
(実施例10
本例では、光導電層と表面層との間に、炭素原子の含有量を表面層より減らした中間層(下部表面層)を設けた。表12に、このときの電子写真用光受容部材の作製条件を示した。
他の点は実施例と同様とした。
【0225】
本例では、光導電層のEuとDOSは、膜中平均でそれぞれ55meV、2.2×1015cm−3であった。また、作製した電子写真用光受容部材を実施例と同様の評価をしたところ実施例と同様に良好な電子写真特性が得られた。
【0226】
すなわち、中間層(下部表面層)を設けた場合においても、光導電層が膜中平均でEuが50meV以上60meV以下、DOSが1×1014cm−3以上1×1016cm−3未満の範囲にすることで良好な電子写真特性が得られることがわかった。
【0227】
作製された光受容部材を実施例1と同様にキヤノン社製NP6150をテスト用に改造した電子写真装置にセットして、帯電、露光、現像、転写、クリーニングを1プロセスとする画像形成をしたところ、極めて良好な画像を得ることができた。
【0228】
【表12
Figure 0003606395
【0229】
(実施例11
本例では、実施例の表面層に代えて、表面層のシリコンおよび炭素含有量を層厚方向に不均一な分布状態とした表面層を設けた。表13に、このときの電子写真用光受容部材の作製条件を示した。
他の点は実施例と同様とした。
【0230】
本例では、光導電層のEuとDOSは、膜中平均でそれぞれ52meV、5.7×1014cm−3であった。また、作製した電子写真用光受容部材を実施例と同様の評価をしたところ実施例と同様に良好な電子写真特性が得られた。
【0231】
すなわち、表面層の伝導性を制御する原子を層厚方向に不均一な分布状態とした表面層を設けた場合においても、光導電層が膜中平均でEuが50meV以上60meV以下、DOSが1×1014cm−3以上1×1016cm−3未満の範囲にすることで良好な電子写真特性が得られることがわかった。
【0232】
作製された光受容部材を実施例1と同様にキヤノン社製NP6150をテスト用に改造した電子写真装置にセットして、帯電、露光、現像、転写、クリーニングを1プロセスとする画像形成をしたところ、極めて良好な画像を得ることができた。
【0233】
【表13
Figure 0003606395
【0234】
(実施例12
本例では、支持体と電荷注入阻止層との間に、支持体からの反射光による干渉模様の発生を防止するための光吸収層としてアモルファスシリコンゲルマニウムのIR吸収層を設けた。表14に、このときの電子写真用光受容部材の作製条件を示した。
他の点は実施例と同様とした。
【0235】
本例では、光導電層のEuとDOSは、膜中平均でそれぞれ57meV、4.8×1015cm−3であった。また、作製した電子写真用光受容部材を実施例と同様の評価をしたところ実施例と同様に良好な電子写真特性が得られた。
【0236】
すなわち、支持体と電荷注入阻止層との間に、支持体からの反射光による干渉模様の発生を防止するための光吸収層としてIR吸収層を設けた場合においても、光導電層が膜中平均でEuが50meV以上60meV以下、DOSが1×1014cm−3以上1×1016cm−3未満の範囲にすることで良好な電子写真特性が得られることがわかった。
【0237】
作製された光受容部材を実施例1と同様にキヤノン社製NP6150をテスト用に改造した電子写真装置にセットして、帯電、露光、現像、転写、クリーニングを1プロセスとする画像形成をしたところ、極めて良好な画像を得ることができた。
【0238】
【表14
Figure 0003606395
【0239】
(実施例13
本例では、実施例のRF−PCVD法に代えて、図3に示すVHF−PCVD法による電子写真用光受容部材の製造装置を用い、直径108mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー上に、表15に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなる光受容部材を作製した。その時、光導電層作製条件を層厚方向で表16に示すように連続的に変化させた。また、光導電層作製条件の放電電力はSiH流量の3〜8倍までの電力で連続的に変化させて数種類の光受容部材を作製した。その時の光導電層のEuとDOSは光導電層の支持体側作製条件と中間部作製条件と表面側作製条件の3点でのサンプルの値の単純平均をとって膜中平均とした。
【0240】
さらに、表16と同様の一定作製条件で、直径108mm円筒形のサンプルホルダーに設置したガラス基板(コーニング社 7059)ならびにSiウェハー上に数種類のa−Si膜を堆積した。ガラス基板上の堆積膜にはAlの串型電極を蒸着して、CPMにより指数関数裾の特性エネルギー(Eu)と局在準位密度(DOS)を測定した。また、SiウェハーはFTIRで含有水素量を測定した。
他の点は実施例と同様とした。
【0241】
作製した光受容部材は実施例と同様に電子写真装置(キャノン製NP6150をテスト用に改造)にセットして、帯電能の温度依存性(温度特性)、露光メモリー(ブランク露光メモリー、ゴースト露光メモリー)、感度を評価した。
【0242】
このときの、放電電力と基板温度の関係、Eu、DOSと温度特性、露光メモリー、感度は実施例1と同様であり、良好な電子写真特性のためには膜中平均でEuが50meV以上60meV以下、DOSが1×1014cm−3以上1×1016cm−3未満になる様に層厚方向に連続的に変化させることが好ましいことがわかった。
【0243】
作製された光受容部材を実施例1と同様にキヤノン社製NP6150をテスト用に改造した電子写真装置にセットして、帯電、露光、現像、転写、クリーニングを1プロセスとする画像形成をしたところ、極めて良好な画像を得ることができた。
【0244】
【表15
Figure 0003606395
【0245】
【表16
Figure 0003606395
【0246】
(実施例14
本例では、伝導性を制御する原子として、炭素原子の代わりに窒素原子を表面層中に設けた。表17に、このときの電子写真用光受容部材の作製条件を示した。
他の点は実施例13と同様とした。
【0247】
本例では、光導電層のEuとDOSは、それぞれ層支持体側(初期)にて、51meV、3.8×1014cm−3、層中間部にて、55meV、1.3×1015cm−3、層表面側にて59meV、3.7×1015cm−3であり、膜中平均でそれぞれ55meV、1.8×1015cm−3であった。また、作製した電子写真用光受容部材を実施例と同様の評価をしたところ実施例と同様に良好な電子写真特性が得られた。
【0248】
すなわち、伝導性を制御する原子として、炭素原子の代わりに窒素原子を表面層中に設けた場合においても、光導電層が膜中平均でEuが50meV以上60meV以下、DOSが1×1014cm−3以上1×1016cm−3未満の範囲にすることで良好な電子写真特性が得られることがわかった。
【0249】
作製された光受容部材を実施例1と同様にキヤノン社製NP6150をテスト用に改造した電子写真装置にセットして、帯電、露光、現像、転写、クリーニングを1プロセスとする画像形成をしたところ、極めて良好な画像を得ることができた。
【0250】
【表17
Figure 0003606395
【0251】
(実施例15
本例では、電荷注入阻止層は削除し、光導電層を、炭素原子を層厚方向に不均一な分布状態で含有する第1の層領域と実質的に炭素原子を含まない第2の層領域とで構成した。表18に、このときの電子写真用光受容部材の作製条件を示した。
他の点は実施例12と同様とした。
【0252】
本例では、光導電層のEuとDOSは、膜中平均でそれぞれ59meV、2.3×1015cm−3であった。また、作製した電子写真用光受容部材を実施例と同様の評価をしたところ実施例と同様に良好な電子写真特性が得られた。
【0253】
すなわち、電荷注入阻止層は削除し、光導電層を、炭素原子を層厚方向に不均一な分布状態で含有する第1の層領域と実質的に炭素原子を含まない第2の層領域とで構成した場合においても、光導電層が膜中平均でEuが50meV以上60meV以下、DOSが1×1014cm−3以上1×1016cm−3未満の範囲にすることで良好な電子写真特性が得られることがわかった。
【0254】
作製された光受容部材を実施例1と同様にキヤノン社製NP6150をテスト用に改造した電子写真装置にセットして、帯電、露光、現像、転写、クリーニングを1プロセスとする画像形成をしたところ、極めて良好な画像を得ることができた。
【0255】
【表18
Figure 0003606395
【0256】
(実施例16
本例では、光導電層と表面層との間に、炭素原子の含有量を表面層より減らした中間層(下部表面層)を設けると同時に、光導電層を機能分離化して、電荷輸送層と電荷発生層の2層化をはかり設けた。表19に、このときの電子写真用光受容部材の作製条件を示した。
他の点は実施例12と同様とした。
【0257】
本例では、光導電層のEuとDOSは、膜中平均でそれぞれ55meV、2×1015cm−3であった。また、作製した電子写真用光受容部材を実施例と同様の評価をしたところ実施例と同様に良好な電子写真特性が得られた。
【0258】
すなわち、光導電層と表面層との間に、炭素原子の含有量を表面層より減らした中間層(下部表面層)を設けると同時に、光導電層を、機能分離化して、電荷輸送層と電荷発生層の2層化をはかり設けた場合においても、光導電層が膜中平均でEuが50meV以上60meV以下、DOSが1×1014cm−3以上1×1016cm−3未満の範囲にすることで良好な電子写真特性が得られることがわかった。
【0259】
作製された光受容部材を実施例1と同様にキヤノン社製NP6150をテスト用に改造した電子写真装置にセットして、帯電、露光、現像、転写、クリーニングを1プロセスとする画像形成をしたところ、極めて良好な画像を得ることができた。
【0260】
【表19
Figure 0003606395
【0261】
(実施例17
図2に示すRF−PCVD法による電子写真用光受容部材の製造装置を用い、直径108mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー上に、表20に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなる光受容部材を作製した。その時、光導電層作製条件を層厚方向で表21に示すように連続的に変化させた。また、光導電層作製条件の放電電力はSiH流量の3〜8倍までの電力で層厚方向に連続的に変化させて数種類の光受容部材を作製した。その時の光導電層のEuとD.O.Sは光導電層の支持体側作製条件と中間部作製条件と表面側作製条件の3点でのサンプルの値の単純平均をとって膜中平均とした。
【0262】
作製した光受容部材は、電子写真装置(キヤノン製NP6150をテスト用に改造)にセットして、帯電能の温度依存性(温度特性)、強露光時の画像流れを評価した。温度特性は、光受容部材の温度を室温から約45℃まで変えて帯電能を測定し、このときの温度1℃当たりの帯電能の変化を測定して、2V/deg以下を合格と判定した。
【0263】
また、強露光時の画像流れについては、画像を目視により判定した。従来をランク3(実用的)と判定し、1:非常に良好、2:良好、3:実用的、4:実用上問題なし、5:実用上やや難ある場合ありの5段階にランク分けした。また、ランクの判別が困難な場合は、1と2の間の場合はランク1.5の様に記した。
【0264】
一方、円筒形のサンプルホルダーに設置したガラス基板(コーニング社 7059)ならびにSiウェハー上に数種類のa−Si膜を堆積した。ガラス基板上の堆積膜にはAlの串型電極を蒸着して、CPMにより指数関数裾の特性エネルギー(Eu)と局在準位密度(DOS)を測定した。また、SiウェハーはFTIRで含有水素量を測定した。
【0265】
【表20
Figure 0003606395
【0266】
【表21
Figure 0003606395
【0267】
また、実施例17の光導電層作製条件が層厚方向に変化していたのに代えて、光導電層作製条件を固定して電子写真用光受容部材を作製した。
22に、このときの電子写真用光受容部材の作製条件を示した。
他の点は実施例17と同様とした。
【0268】
【表23】
Figure 0003606395
【0269】
実施例17で作製した光受容部材の評価結果を、以下の図22〜27に示す。図22に光導電層中における、Euの層厚方向分布を示す。図23に光導電層中における、DOSの層厚方向分布を示す。図24に光導電層中の平均Euに対する帯電能の温度依存性(温度特性)を示す。図25に光導電層中の平均DOSに対する帯電能の温度依存性(温度特性)を示す。図26に光導電層中の平均Euに対する強露光時の画像流れを示す。図27に光導電層中の平均DOSに対するを強露光時の画像流れ示す。
【0270】
Eu,DOSを層厚方向に変化させずに作製した光受容部材の評価結果を、以下の図28〜31に示す。光導電層中におけるEuとDOSは、サンプルの値の単純平均をとって膜中平均とした。
【0271】
図28に光導電層中の平均Euに対する帯電能の温度依存性(温度特性)を示す。図29に光導電層中の平均DOSに対する帯電能の温度依存性(温度特性)を示す。図30に光導電層中の平均Euに対する強露光時の画像流れを示す。図31に光導電層中の平均DOSに対するを強露光時の画像流れ示す。
【0272】
以上の結果から、膜中平均でEuが50meV以上60meV以下、DOSが1×1014cm−3以上1×1016cm−3未満の範囲となる様に、光導電層のEuとDOSを層厚方向に連続的に変化させた場合(図22〜25)のほうが、変化させない場合(図28〜31)より、一層良好な電子写真特性が得られることが分かる。特に、温度特性、露光メモリーおよび感度のために好ましいことがわかった。また、いずれのサンプルの水素含有量も10〜30原子%の間であった。
【0273】
作製された光受容部材を実施例1と同様にキヤノン社製NP6150をテスト用に改造した電子写真装置にセットして、帯電、露光、現像、転写、クリーニングを1プロセスとする画像形成をしたところ、極めて良好な画像を得ることができた。
【0274】
(実施例18
本例では、実施例17の支持体温度とPowerの可変範囲を代えた。表23に、このときの電子写真用光受容部材の作製条件を示した。
【0275】
他の点は実施例17と同様とした。
【0276】
本例では、光導電層のEuとDOSは、それぞれ層支持体側(初期)にて、64meV、2.0×1016cm−3、層中間部にて、53meV、7.8×1014cm−3、層表面側にて48meV、2.2×1014 −3であり、膜中平均でそれぞれ55meV、7.0×1015cm−3であった。また、作製した電子写真用光受容部材を実施例17と同様の評価をしたところ実施例17と同様に良好な電子写真特性が得られた。
【0277】
これより、支持体側でEuとDOSが本特許の範囲からはずれた部分があっても、光導電層が膜中平均でEuが50meV以上60meV以下、DOSが1×1014cm−3以上1×1016cm−3未満の範囲にすることで良好な電子写真特性が得られることがわかった。
【0278】
作製された光受容部材を実施例1と同様にキヤノン社製NP6150をテスト用に改造した電子写真装置にセットして、帯電、露光、現像、転写、クリーニングを1プロセスとする画像形成をしたところ、極めて良好な画像を得ることができた。
【0279】
【表23
Figure 0003606395
【0280】
(実施例19
本例では、光導電層と表面層との間に、炭素原子の含有量を表面層より減らした中間層(下部表面層)を設けた。表24に、このときの電子写真用光受容部材の作製条件を示した。
他の点は実施例17と同様とした。
【0281】
本例では、光導電層のEuとDOSは、膜中平均でそれぞれ53meV、1.2×1015cm−3であった。また、作製した電子写真用光受容部材を実施例17と同様の評価をしたところ実施例17と同様に良好な電子写真特性が得られた。
【0282】
すなわち、中間層(下部表面層)を設けた場合においても、光導電層が膜中平均でEuが50meV以上60meV以下、DOSが1×1014cm−3以上1×1016cm−3未満の範囲にすることで良好な電子写真特性が得られることがわかった。
【0283】
作製された光受容部材を実施例1と同様にキヤノン社製NP6150をテスト用に改造した電子写真装置にセットして、帯電、露光、現像、転写、クリーニングを1プロセスとする画像形成をしたところ、極めて良好な画像を得ることができた。
【0284】
【表24
Figure 0003606395
【0285】
(実施例20
本例では、実施例17の表面層に代えて、表面層のシリコンおよび炭素含有量を層厚方向に不均一な分布状態とした表面層を設けた。表25に、このときの電子写真用光受容部材の作製条件を示した。
他の点は実施例17と同様とした。
【0286】
本例では、光導電層のEuとDOSは、膜中平均でそれぞれ51meV、6.7×1014cm−3であった。また、作製した電子写真用光受容部材を実施例17と同様の評価をしたところ実施例17と同様に良好な電子写真特性が得られた。
【0287】
すなわち、表面層のシリコンおよび炭素含有量を層厚方向に不均一な分布状態とした表面層を設けた場合においても、光導電層が膜中平均でEuが50meV以上60meV以下、DOSが1×1014cm−3以上1×1016cm−3未満の範囲にすることで良好な電子写真特性が得られることがわかった。
【0288】
作製された光受容部材を実施例1と同様にキヤノン社製NP6150をテスト用に改造した電子写真装置にセットして、帯電、露光、現像、転写、クリーニングを1プロセスとする画像形成をしたところ、極めて良好な画像を得ることができた。
【0289】
【表25
Figure 0003606395
【0290】
(実施例21
本例では、支持体と電荷注入阻止層との間に、支持体からの反射光による干渉模様の発生を防止するための光吸収層としてアモルファスシリコンゲルマニウムのIR吸収層を設けた。表26に、このときの電子写真用光受容部材の作製条件を示した。
他の点は実施例17と同様とした。
【0291】
本例では、光導電層のEuとDOSは、膜中平均でそれぞれ58meV、4.2×1015cm−3であった。また、作製した電子写真用光受容部材を実施例17と同様の評価をしたところ実施例17と同様に良好な電子写真特性が得られた。
【0292】
すなわち、支持体と電荷注入阻止層との間に、支持体からの反射光による干渉模様の発生を防止するための光吸収層としてIR吸収層を設けた場合においても、光導電層が膜中平均でEuが50meV以上60meV以下、DOSが1×1014cm−3以上1×1016cm−3未満の範囲にすることで良好な電子写真特性が得られることがわかった。
【0293】
作製された光受容部材を実施例1と同様にキヤノン社製NP6150をテスト用に改造した電子写真装置にセットして、帯電、露光、現像、転写、クリーニングを1プロセスとする画像形成をしたところ、極めて良好な画像を得ることができた。
【0294】
【表26
Figure 0003606395
【0295】
(実施例22
本例では、実施例17のRF−PCVD法に代えて、図3に示すVHF−PCVD法による電子写真用光受容部材の製造装置を用い、直径108mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー上に、表27に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなる光受容部材を作製した。その時、光導電層作製条件を層厚方向で表28に示すように連続的に変化させた。また、光導電層作製条件の放電電力はSiH流量の3〜8倍までの電力で連続的に変化させて数種類の光受容部材を作製した。その時の光導電層のEuとDOSは光導電層の支持体側作製条件と中間部作製条件と表面側作製条件の3点でのサンプルの値の単純平均をとって膜中平均とした。
【0296】
さらに、表28と同様の一定作製条件で、直径108mm円筒形のサンプルホルダーに設置したガラス基板(コーニング社 7059)ならびにSiウェハー上に数種類のa−Si膜を堆積した。ガラス基板上の堆積膜にはAlの串型電極を蒸着して、CPMにより指数関数裾の特性エネルギー(Eu)と局在準位密度(DOS)を測定した。また、SiウェハーはFTIRで含有水素量を測定した。
他の点は実施例17と同様とした。
【0297】
作製した光受容部材は実施例17と同様に電子写真装置(キャノン製NP6150をテスト用に改造)にセットして、帯電能の温度依存性(温度特性)、強露光時の画像流れを評価した。
【0298】
このときの、放電電力と支持体温度の関係、Eu、DOS.と温度特性、画像流れとの関係は実施例17と同様であり、良好な電子写真特性のためには膜中平均でEuが50meV以上60meV以下、DOSが1×1014cm−3以上1×1016cm−3未満になる様に層厚方向に連続的に変化させることが好ましいことがわかった。
【0299】
作製された光受容部材を実施例1と同様にキヤノン社製NP6150をテスト用に改造した電子写真装置にセットして、帯電、露光、現像、転写、クリーニングを1プロセスとする画像形成をしたところ、極めて良好な画像を得ることができた。
【0300】
【表27
Figure 0003606395
【0301】
【表28
Figure 0003606395
【0302】
(実施例23
本例では、伝導性を制御する原子として、炭素原子の代わりに窒素原子を表面層中に設けた。表29に、このときの電子写真用光受容部材の作製条件を示した。
他の点は実施例22と同様とした。
【0303】
本例では、光導電層のEuとDOSは、それぞれ層支持体側(初期)にて、62meV、5.8×1015cm−3、層中間部にて、57meV、6.3×1014cm−3、層表面側にて47meV、1.7×1014cm−3であり、膜中平均でそれぞれ52meV、2.2×1015cm−3であった。また、作製した電子写真用光受容部材を実施例17と同様の評価をしたところ実施例17と同様に良好な電子写真特性が得られた。
【0304】
すなわち、伝導性を制御する原子として、炭素原子の代わりに窒素原子を表面層中に設けた場合においても、光導電層が膜中平均でEuが50meV以上60meV以下、DOSが1×1014cm−3以上1×1016cm−3未満の範囲にすることで良好な電子写真特性が得られることがわかった。
【0305】
作製された光受容部材を実施例1と同様にキヤノン社製NP6150をテスト用に改造した電子写真装置にセットして、帯電、露光、現像、転写、クリーニングを1プロセスとする画像形成をしたところ、極めて良好な画像を得ることができた。
【0306】
【表29
Figure 0003606395
【0307】
(実施例24
本例では、電荷注入阻止層は削除し、光導電層を、炭素原子を層厚方向に不均一な分布状態で含有する第1の層領域と実質的に炭素原子を含まない第2の層領域とで構成した。表30に、このときの電子写真用光受容部材の作製条件を示した。
他の点は実施例21と同様とした。
【0308】
本例では、光導電層のEuとDOSは、膜中平均でそれぞれ56meV、1.3×1015cm−3であった。また、作製した電子写真用光受容部材を実施例17と同様の評価をしたところ実施例17と同様に良好な電子写真特性が得られた。
【0309】
すなわち、電荷注入阻止層は削除し、光導電層を、炭素原子を層厚方向に不均一な分布状態で含有する第1の層領域と実質的に炭素原子を含まない第2の層領域とで構成した場合においても、光導電層が膜中平均でEuが50meV以上60meV以下、DOSが1×1014cm−3以上1×1016cm−3未満の範囲にすることで良好な電子写真特性が得られることがわかった。
【0310】
作製された光受容部材を実施例1と同様にキヤノン社製NP6150をテスト用に改造した電子写真装置にセットして、帯電、露光、現像、転写、クリーニングを1プロセスとする画像形成をしたところ、極めて良好な画像を得ることができた。
【0311】
【表30
Figure 0003606395
【0312】
(実施例25
本例では、光導電層と表面層との間に、炭素原子の含有量を表面層より減らした中間層(下部表面層)を設けると同時に、光導電層を、機能分離化して、電荷輸送層と電荷発生層の2層化をはかり設けた。表31に、このときの電子写真用光受容部材の作製条件を示した。
他の点は実施例21と同様とした。
【0313】
本例では、光導電層のEuとDOSは、膜中平均でそれぞれ57meV、3×1015cm−3であった。また、作製した電子写真用光受容部材を実施例17と同様の評価をしたところ実施例17と同様に良好な電子写真特性が得られた。
【0314】
すなわち、光導電層と表面層との間に、炭素原子の含有量を表面層より減らした中間層(下部表面層)を設けると同時に、光導電層を、機能分離化して、電荷輸送層と電荷発生層の2層化をはかり設けた場合においても、光導電層が膜中平均でEuが50meV以上60meV以下、DOSが1×1014cm−3以上1×1016cm−3未満の範囲にすることで良好な電子写真特性が得られることがわかった。
【0315】
作製された光受容部材を実施例1と同様にキヤノン社製NP6150をテスト用に改造した電子写真装置にセットして、帯電、露光、現像、転写、クリーニングを1プロセスとする画像形成をしたところ、極めて良好な画像を得ることができた。
【0316】
【表31
Figure 0003606395
【0317】
【発明の効果】
本発明によれば、電子写真用光受容部材の使用温度領域での温度特性が飛躍的に改善され、同時に光メモリーの発生を抑制することができるために、電子写真用光受容部材の使用環境に対する安定性が向上し、ハーフトーンが鮮明に出てかつ解像力の高い高品質の画像を安定して得ることができる電子写真用光受容部材が得られる。
【0318】
また、本発明によれば、電子写真用光受容部材の使用温度領域での温度特性が飛躍的に改善され、同時に光メモリーの低減と光感度の向上を達成することができるために、電子写真用光受容部材の使用環境に対する安定性が向上し、ハーフトーンが鮮明に出てかつ解像力の高い高品質の画像を安定して得ることができる電子写真用光受容部材が得られる。
【0319】
また、本発明によれば、Si−H結合とSi−H結合に起因する吸収ピークの吸収強度比を更に特定することにより、光受容部材の面内でのキャリアの走行性が均一化され、その結果、ハーフトーン画像における微細な濃度差いわゆるガサツキを一層低減することができる電子写真用光受容部材が得られる。
【0320】
したがって、本発明の電子写真用光受容部材を前述のごとき特定の構成としたことにより、a−Siで構成された従来の電子写真用光受容部材における諸問題をすべて解決することができ、特にきわめて優れた電気的特性、光学的特性、光導電的特性、画像特性、耐久性及び使用環境特性を示す。
【0321】
特に本発明の光受容部材は、光導電層をそのギャップ準位を格段に減少せしめたa−Siで構成することによって、周囲環境の変動に対する表面電位の変化が抑制され、加えて光疲労や光メモリーの発生が実質的に無視し得るほどになく、極めて優れた電位特性、画像特性を有する。
【0322】
更に本発明の光受容部材は、光導電層をそのギャップ内準位を格段に減少せしめたa−Siを連続的に分布した構成にすることによって、周囲環境の変動に対する表面電位の変化が抑制され、加えて強露光時の画像流れが実質的に無視し得るほどに改善され、極めて優れた電位特性、画像特性を有する。
【0323】
以上説明したように、EuとDOSの規定は構造的な乱れ具合と欠陥の数とを規定している。これによってトラップされたキャリアによって生じる問題点を解決できる。
なお、本発明は発明の主旨の範囲内で適宜変形、組合せが可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子写真用光受容部材の好適な実施態様例の層構成の一例を説明するための模式的層構成図である。
【図2】電子写真用光受容部材の光受容層を形成するための装置の一例で、RF帯の高周波を用いたグロー放電法による電子写真用光受容部材の製造装置の模式的説明図である。
【図3】電子写真用光受容部材の光受容層を形成するための装置の一例で、VHF帯の高周波を用いたグロー放電法による電子写真用光受容部材の製造装置の模式的説明図である。
【図4】電子写真用光受容部材における光導電層のアーバックテイルの特性エネルギー(Eu)と温度特性との関係を示す図である。
【図5】電子写真用光受容部材における光導電層の局在状態密度(DOS)と光メモリーとの関係を示す図である。
【図6】電子写真用光受容部材における光導電層の局在状態密度(DOS)と画像流れとの関係を示す図である。
【図7】電子写真用光受容部材における光導電層のSi−H結合とSi−H結合の吸収ピーク強度比とハーフトーン濃度ムラ(ガサツキ)との関係を示す図である。
【図8】電子写真用光受容部材における光導電層の層厚方向位置とアーバックテイルの特性エネルギー(Eu)との関係を示す図である。
【図9】電子写真用光受容部材における光導電層の層厚方向位置と局在状態密度(DOS)との関係を示す図である。
【図10】電子写真用光受容部材における光導電層のアーバックテイルの特性エネルギー(Eu)と温度特性との関係を示す図である。
【図11】電子写真用光受容部材における光導電層の局在状態密度(DOS)と温度特性との関係を示す図である。
【図12】電子写真用光受容部材における光導電層のアーバックテイルの特性エネルギー(Eu)と露光メモリー評価ランクとの関係を示す図である。
【図13】電子写真用光受容部材における光導電層の局在状態密度(DOS)と露光メモリー評価ランクとの関係を示す図である。
【図14】電子写真用光受容部材における光導電層のアーバックテイルの特性エネルギー(Eu)と感度評価ランクとの関係を示す図である。
【図15】電子写真用光受容部材における光導電層の局在状態密度(DOS)と感度評価ランクとの関係を示す図である。
【図16】電子写真用光受容部材における光導電層のアーバックテイルの特性エネルギー(Eu)と温度特性との関係を示す図である。
【図17】電子写真用光受容部材における光導電層の局在状態密度(DOS)と温度特性との関係を示す図である。
【図18】電子写真用光受容部材における光導電層のアーバックテイルの特性エネルギー(Eu)と露光メモリー評価ランクとの関係を示す図である。
【図19】電子写真用光受容部材における光導電層の局在状態密度(DOS)と露光メモリー評価ランクとの関係を示す図である。
【図20】電子写真用光受容部材における光導電層のアーバックテイルの特性エネルギー(Eu)と感度評価ランクとの関係を示す図である。
【図21】電子写真用光受容部材における光導電層の局在状態密度(DOS)と感度評価ランクとの関係を示す図である。
【図22】電子写真用光受容部材における光導電層の層厚方向位置とアーバックテイルの特性エネルギー(Eu)との関係を示す図である。
【図23】電子写真用光受容部材における光導電層の層厚方向位置と局在状態密度(DOS)との関係を示す図である。
【図24】電子写真用光受容部材における光導電層のアーバックテイルの特性エネルギー(Eu)と温度特性との関係を示す図である。
【図25】電子写真用光受容部材における光導電層の局在状態密度(DOS)と温度特性との関係を示す図である。
【図26】電子写真用光受容部材における光導電層のアーバックテイルの特性エネルギー(Eu)と強露光時の画像流れとの関係を示す図である。
【図27】電子写真用光受容部材における光導電層の局在状態密度(DOS)と強露光時の画像流れとの関係を示す図である。
【図28】電子写真用光受容部材における光導電層のアーバックテイルの特性エネルギー(Eu)と温度特性との関係を示す図である。
【図29】電子写真用光受容部材における光導電層の局在状態密度(DOS)と温度特性との関係を示す図である。
【図30】電子写真用光受容部材における光導電層のアーバックテイルの特性エネルギー(Eu)と強露光時の画像流れとの関係を示す図である。
【図31】電子写真用光受容部材における光導電層の局在状態密度(DOS)と強露光時の画像流れとの関係を示す図である。
【符号の説明】
100 光受容部材、
101 導電性支持体、
102 光受容層、
103 光導電層、
104 表面層、
105 電荷注入阻止層、
106 電荷発生層、
107 電荷輸送層、
110 自由表面、
2100、3100 堆積装置、
2111、3111 反応容器、
2112、3112 円筒状支持体、
2113、3113 支持体加熱用ヒーター、
2114 原料ガス導入管、
2115、3116 マッチングボックス、
2116 原料ガス配管、
2117 反応容器リークバルブ、
2118 メイン排気バルブ、
2119 真空計、
2200 原料ガス供給装置、
2211〜2216 マスフローコントローラー、
2221〜2226 原料ガスボンベ、
2231〜2236 原料ガスボンベバルブ、
2241〜2246 ガス流入バルブ、
2251〜2256 ガス流出バルブ、
2261〜2266 圧力調整器、
3115 電極、
3120 支持体回転用モーター、
3121 排気管、
3130 放電空間。

Claims (12)

  1. 導電性支持体と、該導電性支持体の表面上に、シリコン原子を母体として水素原子及び/またはハロゲン原子を含有する非単結晶材料の光導電性を示す光導電層を有する光受容層とを少なくとも有する電子写真用光受容部材において、該光導電層がRF帯の周波数又は、VHF帯の周波数を用い、希釈ガスの流量とシリコン供給用ガスの流量との比を3〜20とし、前記シリコン供給用ガス流量に対する放電電力の比を2.5〜6とするように制御された、高周波プラズマCVD法により形成された領域を有しており、該光導電層が10〜30原子%の水素を含有し、該光導電層の少なくとも光の入射する部分における光吸収スペクトルから得られる指数関数裾の特性エネルギーが層中平均で50meV以上60meV以下であり、かつ該光導電層における局在状態密度が層中平均で1×1014cm−3以上1×1016cm−3未満でありことを特徴とする電子写真用光受容部材。(但し、前記光導電層の層厚方向に炭素原子が均一に含有される場合を除く。)
  2. 該光導電層の赤外吸収スペクトルから得られるSi−H結合とSi−H結合の吸収ピーク強度比が0.1〜0.5である請求項1に記載の電子写真用光受容部材。
  3. 前記光導電層中に、周期律表第IIIb族に属する元素の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真用光受容部材。
  4. 前記光導電層中に炭素、酸素、窒素の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1乃至3に記載の電子写真用光受容部材。
  5. 前記光導電層の層厚が20〜50μmである請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子写真用光受容部材。
  6. 前記光受容層が、シリコン原子を母体とする非単結晶材料から成る光導電層と、該光導電層の表面上に設けた、炭素、酸素、窒素の少なくとも一つを含むシリコン系非単結晶材料の表面層とから構成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電子写真用光受容部材。
  7. 前記光受容層が、シリコン原子を母体とし炭素、酸素、窒素の少なくとも一つ及び周期律表第IIIb族または第Vb族から選ばれる元素の少なくとも一つを含む非単結晶材料の電荷注入阻止層と、該電荷注入阻止層の表面上に設けた、シリコン原子を母体とする非単結晶材料から成る光導電層と、該光導電層の表面上に設けた、炭素、酸素、窒素の少なくとも一つを含むシリコン系非単結晶材料の表面層とから構成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電子写真用光受容部材。
  8. 前記表面層の層厚が0.01〜3μmであることを特徴とする請求項6または7のいずれか1項に記載の電子写真用光受容部材。
  9. 前記電荷注入阻止層の層厚が0.1〜5μmであることを特徴とする請求項7に記載の電子写真用光受容部材。
  10. 前記特性エネルギー及び局在状態密度が層厚方向に変化している請求項1乃至9のいずれか1項に記載の電子写真用光受容部材。
  11. 前記特性エネルギー及び局在状態密度が支持体側から表面側に向かって連続的に増加している請求項10に記載の電子写真用光受容部材。
  12. 前記特性エネルギー及び局在状態密度が支持体側から表面側に向かって連続的に減少している請求項10に記載の電子写真用光受容部材。
JP10280095A 1994-04-27 1995-04-26 電子写真用光受容部材 Expired - Fee Related JP3606395B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10280095A JP3606395B2 (ja) 1994-04-27 1995-04-26 電子写真用光受容部材

Applications Claiming Priority (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6-89054 1994-04-27
JP8905394 1994-04-27
JP6-89053 1994-04-27
JP8905294 1994-04-27
JP6-89052 1994-04-27
JP8905494 1994-04-27
JP10280095A JP3606395B2 (ja) 1994-04-27 1995-04-26 電子写真用光受容部材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0815882A JPH0815882A (ja) 1996-01-19
JP3606395B2 true JP3606395B2 (ja) 2005-01-05

Family

ID=27467590

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10280095A Expired - Fee Related JP3606395B2 (ja) 1994-04-27 1995-04-26 電子写真用光受容部材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3606395B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0957405B1 (en) * 1998-05-14 2009-10-21 Canon Kabushiki Kaisha Image forming apparatus
US7033717B2 (en) 2002-08-02 2006-04-25 Canon Kabushiki Kaisha Process for producing electrophotographic photosensitive member, and electrophotographic photosensitive member and electrophotographic apparatus making use of the same
EP1394619B1 (en) 2002-08-02 2010-03-03 Canon Kabushiki Kaisha Method for producing electrophotographic photosensitive member, electrophotographic photosensitive member and electrophotographic apparatus using the same

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0815882A (ja) 1996-01-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3368109B2 (ja) 電子写真用光受容部材
KR0148452B1 (ko) 전자사진용 광수용부재와 그 제작방법
JP3754751B2 (ja) 光受容部材
JP3606395B2 (ja) 電子写真用光受容部材
JP3559655B2 (ja) 電子写真用光受容部材
JP3862334B2 (ja) 電子写真用光受容部材
JPH1090929A (ja) 電子写真用光受容部材
JP4235593B2 (ja) 電子写真用光受容部材
US6294299B2 (en) Electrophotographic light-receiving member
JP2000171995A (ja) 電子写真用光受容部材
JPH09297421A (ja) 電子写真用光受容部材
JPH1165147A (ja) 電子写真用光受容部材
JPH07295265A (ja) 電子写真用光受容部材とその作製方法
JPH11202515A (ja) 電子写真用光受容部材
JPH08179532A (ja) 光受容部材と電子写真用光受容部材
JP2002311614A (ja) 電子写真用光受容部材
JP2001324828A (ja) 電子写真感光体とその作製方法及び装置
JPH1184700A (ja) 電子写真用光受容部材
JPH08179533A (ja) 光受容部材と電子写真用光受容部材
JP2000187344A (ja) 電子写真方法および電子写真装置
JPH08179534A (ja) 光受容部材
JPH08171319A (ja) 電子写真装置
JPH08211641A (ja) 非晶質シリコン系感光体の形成方法
JPH11194516A (ja) 電子写真用光受容部材
JPH11202514A (ja) 電子写真用光受容部材

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040929

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040930

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071015

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081015

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091015

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091015

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101015

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101015

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111015

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111015

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121015

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131015

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees