JP2002311614A - 電子写真用光受容部材 - Google Patents

電子写真用光受容部材

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JP2002311614A
JP2002311614A JP2001118127A JP2001118127A JP2002311614A JP 2002311614 A JP2002311614 A JP 2002311614A JP 2001118127 A JP2001118127 A JP 2001118127A JP 2001118127 A JP2001118127 A JP 2001118127A JP 2002311614 A JP2002311614 A JP 2002311614A
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Satoshi Furushima
聡 古島
Daisuke Tazawa
大介 田澤
Nobufumi Tsuchida
伸史 土田
Hiroaki Niino
博明 新納
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 帯電能の向上および温度特性ならびに光メモ
リーの低減が高次元で両立し、優れた電位特性、画像特
性を有する光受容部材を提供する。 【解決手段】 光受容部材の光導電層中に水素含有量、
光学的バンドギャップならびに光吸収スペクトルから得
られる指数関数裾の特性エネルギーの異なる層領域を有
する、特定の第一の層領域、第二の層領域、第三の層領
域を構成する。さらに周期律表第13族元素の含有を各
層領域で支持体側で多くなるようにし各層領域の最小含
有量および最大含有量を特定値となるように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光(ここでは広義の
光であって、紫外線、可視光線、赤外線、X線、γ線等
を意味する。)のような電磁波に対して感受性を有する
光受容部材に関する。
【0002】
【従来の技術】像形成分野において、光受容部材におけ
る光受容層を形成する光導電材料としては、高感度で、
SN比「光電流(Ip)/暗電流(Id)」が高く、照
射する電磁波のスペクトル特性に適合した吸収スペクト
ルを有すること、光応答性が早く、所望の暗抵抗値を有
すること、使用時において人体に対して無害であること
等の特性が要求される。特に、事務機としてオフィス等
で使用される電子写真装置内に組み込まれる光受容部材
の場合には、上記の使用時における無公害性は重要な点
である。
【0003】このような点に優れた性質を示す光導電材
料に水素化アモルファスシリコン(以下、a-Si:Hと
表記する)があり、例えば、特公昭60-35059号
公報には電子写真用光受容部材としての応用が記載され
ている。このような光受容部材は、一般的には、導電性
支持体を50〜350℃に加熱し該支持体上に真空蒸着
法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱C
VD法、光CVD法、プラズマCVD法等の成膜法によ
りa-Siからなる光導電層を形成する。なかでもプラズ
マCVD法、すなわち、原料ガスを高周波あるいはマイ
クロ波グロー放電によって分解し、支持体上にa-Si堆
積膜を形成する方法が好適なものとして実用に付されて
いる。
【0004】また、特開昭56-83746号公報にお
いては、導電性支持体と、ハロゲン原子を構成要素とし
て含むa-Si(以下、a-Si:Xと表記する)光導電層
からなる電子写真用光受容部材が提案されている。当該
公報においては、a-Siにハロゲン原子を1〜40原子
%含有させることにより、耐熱性が高く、電子写真用光
受容部材の光導電層として良好な電気的、光学的特性を
得ることができるとしている。
【0005】また、特開昭57-115556号公報に
は、a-Si堆積膜で構成された光導電層を有する光導電
部材の、暗抵抗値、光感度、光応答性等の電気的、光学
的、光導電的特性および耐湿性等の使用環境特性、さら
には経時的安定性について改善を図るため、シリコン原
子を母体としたアモルファス材料で構成された光導電層
上に、シリコン原子および炭素原子を含む非光導電性の
アモルファス材料で構成された表面障壁層を設ける技術
が記載されている。さらに、特開昭60-67951号
公報には、アモルファスシリコン、炭素、酸素および弗
素を含有してなる透光絶縁性オーバーコート層を積層す
る感光体についての技術が記載され、また、特開昭62
-168161号公報には、表面層として、シリコン原
子と炭素原子と41〜70原子%の水素原子を構成要素
として含む非晶質材料を用いる技術が記載されている。
【0006】さらに、特開昭57-158650号公報
には、水素を10〜40原子%含有し、赤外吸収スペク
トルの2100cm-1と2000cm-1の吸収ピークの
吸収係数比が0.2〜1.7であるa-Si:Hを光導電層
に用いることにより高感度で高抵抗な電子写真用感光体
が得られることが記載され、また、特開昭62-834
70号公報には、電子写真用感光体の光導電層において
光吸収スペクトルの指数関数裾の特性エネルギーを0.
09eV以下にすることにより残像現象のない高品質の
画像を得る技術が開示されている。
【0007】さらに、特開昭58-21257号公報に
は、光導電層の作製中に支持体温度を変化させることに
より光導電層内で禁止帯幅を変化させ、高抵抗であって
光感度領域の広い感光体を得る技術が開示され、また、
特開昭58-121042号公報には、光導電層の膜厚
方向にエネルギーギャップ状態密度を変化させ、表層の
エネルギーギャップ状態密度を1017〜1019cm-3
することにより、湿度による表面電位の低下を防止する
技術が開示されている。
【0008】また、特開昭59-143379号公報な
らびに特開昭61-201481号公報には、水素含有
量の異なるa-Si:Hを積層することにより暗抵抗が高
く高感度の感光体を得る技術が開示されている。また、
特開昭58-88115号公報には、アモルファスシリ
コン感光体の光導電層中に周期律表第13族元素を支持
体側に多くなるように分布させることにより、電荷保持
能が向上し、且つ残留電位のない感光体を得る技術が開
示されている。
【0009】一方、特開昭60-95551号公報に
は、アモルファスシリコン感光体の画像品質向上のため
に、感光体表面近傍の温度を30〜40℃に維持して帯
電、露光、現像および転写といった画像形成行程を行う
ことにより、感光体表面での水分の吸着による表面抵抗
の低下とそれに伴って発生する画像流れを防止する技術
が開示されている。これらの技術により、電子写真用光
受容部材の電気的、光学的、光導電的特性および使用環
境特性が向上し、それに伴って画像品質も向上してき
た。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
a-Si系材料で構成された光導電層を有する電子写真用
光受容部材は、暗抵抗値、光感度、光応答性等の電気
的、光学的、光導電特性、および使用環境特性の点、さ
らには経時安定性および耐久性の点において、各々個々
には特性の向上が図られてはいるが、総合的な特性向上
を図る上でさらに改良される余地が存在するのが実情で
ある。
【0011】特に、電子写真装置の高画質、高速化、高
耐久化は急速に進んでおり、電子写真用光受容部材にお
いては電気的特性や光導電特性のさらなる向上ととも
に、帯電能、感度を維持しつつあらゆる環境下で大幅に
性能を延ばすことが求められている。そして、電子写真
装置の画像特性向上のために電子写真装置内の光学露光
装置、現像装置、転写装置等の改良がなされた結果、電
子写真用光受容部材においても従来以上の画像特性の向
上が求められるようになった。
【0012】このような状況下において、前述した従来
技術により上記課題についてある程度の特性向上が可能
になってはきたが、さらなる帯電能や画像品質の向上に
関しては未だ充分とはいえない。特にアモルファスシリ
コン系光受容部材のさらなる高画質化への課題として、
周囲温度の変化による電子写真特性の変動やブランクメ
モリーやゴーストといった光メモリーを低減することが
いっそう求められるようになってきた。
【0013】例えば、従来は感光体の画像流れの防止の
ために前記特開昭60-95551号公報に記載されて
いるように、複写機内にドラムヒーターを設置して感光
体の表面温度を40℃程度に保っていた。しかしなが
ら、従来の感光体では前露光キャリアや熱励起キャリア
の生成に起因した帯電能の温度依存性、いわゆる温度特
性が大きく、複写機内の実際の使用環境下では本来感光
体が有しているよりも帯電能が低い状態で使用せざるを
えなかった。例えば、室温での使用時に比べてドラムヒ
ーターで40℃程度に加熱している状態では帯電能が1
00V程度低下してしまっていた。
【0014】また、従来は複写機を使用しない夜間でも
ドラムヒーターに通電して、帯電器のコロナ放電によっ
て生成されたオゾン生成物が夜間に感光体表面に吸着す
ることによって発生する画像流れを防止するようにして
いた。しかし、現在では省資源・省電力のために複写機
の夜間通電を極力行わないようになってきている。この
ような状態で連続複写をすると複写機内の感光体周囲温
度が徐々に上昇し、それにつれて帯電能が低下して、複
写中に画像濃度が変わってしまうという問題が生じてい
た。
【0015】一方、同一原稿を連続して繰り返し複写す
ると、画像露光による感光体の光疲労のために、画像濃
度の低下やかぶりが生じることがあった。また、トナー
を節約するために違続複写時の紙間において感光体に照
射される、いわゆるブランク露光の影響によって複写画
像上に濃度差が生じるブランクメモリーや、前回の複写
行程の像露光の残像が次回の複写時に画像上に生じる、
いわゆるゴースト等が画像品質を向上させる上で問題に
なってきた。したがって、電子写真用光受容部材を設計
する際に、上記したような問題が解決されるように電子
写真用光受容部材の層構成、各層の化学的組成等総合的
な観点からの改良を図るとともに、a-Si材料そのもの
の一段の特性改良を図ることが必要とされている。
【0016】そこで、本発明は、上述した従来のa-Si
で構成された光受容層を有する電子写真用光受容部材に
おける諸問題を解決することを目的とするものである。
すなわち、本発明の主たる目的は、帯電能の向上と、温
度特性の低減および光メモリーの低減を高次元で両立し
て画像品質を飛躍的に向上させた、シリコン原子を母体
とする非単結晶材料で構成された光受容層を有する光受
容部材を提供することにある。
【0017】特に、電気的、光学的、光導電的特性が使
用環境にほとんど依存することなく実質的に常時安定し
ており、耐光疲労に優れ、繰り返し使用に際しては劣化
現象を起こさず耐久性、耐湿性に優れ、残留電位がほと
んど観測されず、さらに画像品質の良好な、シリコン原
子を母体とした非単結晶材料で構成された光受容層を有
する光受容部材を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記課題の解決のため、
本発明者は、光導電層のキャリアの挙動に着目し、a-
Siの光学的バンドギャップおよびバンドギャップ内の
局在状態密度分布と帯電能や温度特性、光メモリーとの
関係について鋭意検討した結果、光導電層の厚さ方向に
おいて、水素含有量、光学的バンドギャップやバンドギ
ャップ内の局在状態密度を制御した層を積層し、その層
厚比も制御することにより上記目的を達成できるという
知見を得た。
【0019】また、さらに本発明者は、a-Siの光学的
バンドギャップおよびバンドギャップ内の局在状態密度
分布に加えて、電気伝導性を制御する周期律表第13族
元素の分布について、鋭意検討した結果、光導電層の厚
さ方向において、水素含有量、光学的バンドギャップや
バンドギャップ内の局在状態密度の分布を制御し、且つ
周期律表第13族元素の分布状態を特定することによ
り、上記目的を達成しさらに帯電能の向上とメモリーの
改善ができるという知見を得た。
【0020】すなわち、シリコン原子を母体とし、水素
原子および/またはハロゲン原子を含有する非単結晶材
料で構成された光導電層を有する光受容部材において、
その層構造を特定化するように設計されて作製された光
受容部材は、実用上著しく優れた特性を示すばかりでな
く、従来の光受容部材と比べてみてもあらゆる点におい
て凌駕していること、特に電子写真用の光受容部材とし
て優れた特性を有していることを見いだした。
【0021】このようなことから、本発明はつぎのよう
な特徴を有する発明を提供するものである。すなわち、
本発明の光受容部材は、第1に、シリコン原子を母体と
し水素原子および/またはハロゲン原子を含有する非単
結晶材料で構成された光導電層を有する光受容部材にお
いて、前記光導電層中に水素含有量、光学的バンドギャ
ップならびに光吸収スペクトルから得られる指数関数裾
の特性エネルギーの異なる層領域を有して帯電能、温度
特性を向上させると共に光メモリーの発生をなくして良
好な特性を発揮させるようにしたことを特徴としてい
る。
【0022】そして、その光導電層は、第一の層領域、
第二の層領域と第三の層領域とを積層し、第一の層領域
における水素含有量が10以上25原子%以下、光学的
バンドギャップが1.65eV以上1.75eV以下、光
吸収スペクトルから得られる指数関数裾の特性エネルギ
ーが50meV以上55meV以下であり、第二の層領
域における水素含有量が15以上30原子%以下、光学
的バンドギャップが1.75eV以上1.85eV以下、
光吸収スペクトルから得られる指数関数裾の特性エネル
ギーが55meV以上65meV以下であり、第三の層
領域における水素含有量が25以上40原子%以下、光
学的バンドギャップが1.80eV以上1.90eV以
下、光吸収スペクトルから得られる指数関数裾の特性エ
ネルギーが50meV以上55meV以下とされている
ことを特徴としている。
【0023】さらに、その光導電層は、導電性支持体の
表面上における第一の層領域の上に第二の層領域、第三
の層領域が積層されていることを特徴としている。
【0024】第2に、その光導電層は、光導電層全体に
占める第一の層領域の膜厚の比が、0.01〜0.3であ
ることを特徴としている。第3に、その光導電層は、光
導電層全体に占める第三の層領域の膜厚の比が0.1〜
0.3であることを特徴としている。
【0025】第4に、その光導電層は、その光導電層中
に周期律表第13族に属する元素の少なくとも一つを含
有していることを特徴としている。第5に、その光導電
層は、その光導電層中に周期律表第13族に属する元素
の少なくとも一つを含有し、各層領域の支持体側で増加
していることを特徴としている。
【0026】第6に、第三の層領域の表面側から0.5
μm以上1.5μm以下までの領域においては周期律表
第13族に属する元素の含有量を0以上0.1ppm以
下にすることを特徴としている。第7に、その光導電層
の周期律表第13族に属する元素の含有量は、第一の層
領域よりも第二の層領域が、第二の層領域よりも第三の
層領域で少なくなっていることを特徴としている。
【0027】第8に、第一の層領域の周期律表第13族
に属する元素の平均含有量は、シリコン原子に対して
0.1ppm以上25ppm以下であることを特徴とし
ている。第9に、第二の層領域の周期律表第13族に属
する元素の平均含有量は、シリコン原子に対して0.0
5ppm以上15ppm以下であることを特徴としてい
る。
【0028】第10に、第三の層領域の周期律表第13
族に属する元素の平均含有量は、シリコン原子に対して
0.01ppm以上10ppm以下であることを特徴と
している。第11に、第一の層領域の周期律表第13族
に属する元素の最小含有量は、シリコン原子に対して
0.1ppm以上20ppm以下であることを特徴とし
ている。
【0029】第12に、第一の層領域の周期律表第13
族に属する元素の最大含有量は、シリコン原子に対して
0.5ppm以上50ppm以下であることを特徴とし
ている。第13に、第二の層領域の周期律表第13族に
属する元素の最小含有量は、シリコン原子に対して0.
05ppm以上10ppm以下であることを特徴として
いる。
【0030】第14に、第二の層領域の周期律表第13
族に属する元素の最大含有量は、シリコン原子に対して
0.1ppm以上20ppm以下であることを特徴とし
ている。第15に、第三の層領域の周期律表第13族に
属する元素の最大含有量は、シリコン原子に対して0.
01ppm以上10ppm以下であることを特徴として
いる。
【0031】第16に、その光導電層は、その光導電層
中に炭素、酸素、窒素の少なくとも一つを含むことを特
徴としている。第17に、その光導電層は、その光導電
層の表面上に、炭素、酸素、窒素の少なくとも一つを含
むシリコン系非単結晶材料からなる表面層が設けられて
いることを特徴としている。
【0032】第18に、その光導電層は、シリコン原子
を母体とし炭素、酸素、窒素の少なくとも一つおよび周
期律表第13族から選ばれる元素の少なくとも一つを含
む非単結晶材料からなる電荷注入阻止層の表面上に設け
られ、さらに該光導電層の表面上に、炭素、酸素、窒素
の少なくとも一つを含むシリコン系非単結晶材料からな
る表面層が設けられていることを特徴としている。
【0033】第19に、その表面層は、その層厚が0.
01〜3μmであることを特徴としている。第20に、
その電荷注入阻止層は、その層厚が0.1〜5μmであ
ることを特徴としている。第21に、その光導電層の層
厚が20〜50μmであることを特徴としている。
【0034】なお、本発明において用られている「指数
関数裾」とは、光吸収スペクトルの吸収から低エネルギ
ー側に裾を引いた吸収スペクトルのことを指しており、
また「特性エネルギー」とは、この指数関数裾の傾きを
意味している。このことを図1を用いて詳しく説明す
る。図1は、横軸に光子エネルギーhν、縦軸に吸収係
数αを対数軸として示したa-Siのサブギャップ光吸収
スペクトルの1例である。このスペクトルは大きく二つ
の部分に分けられる。すなわち吸収係数αが光子エネル
ギーhνに対して指数関数的、すなわち直線的に変化す
る部分B(指数関数裾またはUrbachテイル)と、
αがhνに対しより緩やかな依存性を示す部分Aであ
る。
【0035】B領域はa-Si中の価電子帯側のテイル準
位から伝導帯への光学遷移による光吸収に対応し、B領
域の吸収係数αのhνに対する指数関数的依存性は次式
で表される。
【0036】α=αoexp(hν/Eu) この両辺の対数をとると 1nα=(1/Eu)・hν±α1 ただし、α1=
1nαo となり、特性エネルギーEuの逆数(1/Eu)が、B
部分の傾きを表すことになる。Euは価電子帯側のテイ
ル準位の指数関数的エネルギー分布の特性エネルギーに
相当するため、Euが小さければ価電子帯側のテイル準
位が少ないことを意味する。
【0037】(作用)本発明者らは、光学的バンドギャ
ップ(以下、Egと略記する)ならびにCPMによつて
測定されたサブバンドギャップ光吸収スペクトルから求
められる指数関数裾(アーバックテイル)の特性エネル
ギー(以下、Euと略記する)と感光体特性との相関を
種々の条件に渡って調べた結果、Eg,Euとa-Si感
光体の帯電能、温度特性や光メモリーとが密接な関係に
あることを見いだし、さらに、それらの異なる膜を積層
することにより良好な感光体特性を発揮することを見い
だした。また、光生成キャリアである正孔子電子の層中
の移動を詳細に検討した結果、正孔の移動が温度特性や
メモリーに深く関わっていることを見出した。
【0038】Eg,Euの異なる膜を積層し、それぞれ
の層厚比の制御をさらに詳細に検討し、光キャリアの発
生領域の光キャリアと膜中フリーキャリアの挙動、キャ
リア(主に正孔)走行が主となる領域での挙動、そして
下部からの電荷注入によるキャリアと上部から走行キャ
リアの挙動を考察検討し、Eg,Euの異なる膜を積
層、層厚比を制御でスムーズなキャリアの動きを得られ
ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0039】またさらに、本発明者はEg,Euの異な
る膜のそれぞれの層中で主たる電荷が走行するにつれ変
化する電界により、その時々の走行性が変化することを
見出し、Eg,Euの異なる膜を積層、層厚比を制御
し、且つその走行性の変化を小さくするように周期律表
第13族に属する元素の分布制御により、さらに電子写
真特性を改善できることを見出し、本発明を完成するに
至った。
【0040】すなわち、光学的バンドギャップが大き
く、キャリアの局在準位への捕獲率を小さくし、且つ欠
陥の少なく膜中フリーキャリアを少なくした層領域を光
導電層の表面側に設置することで、帯電能を大幅に向上
させつつ温度特性を低減させ、そして光導電層の支持体
側に走行する正孔の走行性の変化を小さくすることで、
実質的にメモリーをなくすとともに欠陥の少ない級密な
層で密着性を向上させることができる。
【0041】これをさらに詳しく説明すると、一般的
に、a-Si:Hのバンドギャップ内には、Si-Si結合の
構造的な乱れにもとづくテイル(裾)準位と、Siの未
結合手(ダングリングボンド)等の構造欠陥に起因する
深い準位が存在する。これらの準位は電子、正孔の捕
獲、再結合中心として働き素子の特性を低下させる原因
になることが知られている。
【0042】このようなバンドギャップ中の局在準位の
状態を測定する方法として、一般に深準位分光法、等温
容量過渡分光法、光熱偏向分光法、光音響分光法、一定
光電流法等が用いられている。中でも一定光電流法(C
onstant PhotoCurrent Metho
d:以後、CPMと略記する)は、a-Si:Hの局在準位
にもとづくサブギャップ光吸収スペクトルを簡便に測定
する方法として有用である。
【0043】ドラムヒーター等で感光体を加熱したとき
に帯電能が低下する原因として、熱励起されたキャリア
が帯電時の電界に引かれてバンド裾の局在準位やバンド
ギャップ内の深い局在準位への捕獲、放出を繰り返しな
がら表面に走行し、表面電荷を打ち消してしまうことが
挙げられる。このとき、帯電器を通過する間に表面に到
達したキャリアについては帯電能の低下にはほとんど影
響がないが、深い準位に捕獲されたキャリアは、帯電器
を通過した後に表面へ到達して表面電荷を打ち消すため
に温度特性として観測される。また、帯電器を通過した
後に熱励起されたキャリアも表面電荷を打ち消し帯電能
の低下を引き起こす。したがって、光学的バンドギャッ
プを大きくすることにより熱励起キャリアの生成を抑
え、なお且つキャリアの走行性を向上させることが温度
特性の向上のために必要である。
【0044】さらに、光メモリーはブランク露光や像露
光によって生じた光キャリアがバンドギャップ内の局在
準位に捕獲され、光導電層内にキャリアが残留すること
によって生じる。すなわち、ある複写行程において生じ
た光キャリアのうち光導電層内に残留したキャリアが、
次回の帯電時あるいはそれ以降に表面電荷による電界に
よって掃き出され、光の照射された部分の電位が他の部
分よりも低くなり、その結果画像上に濃淡が生じる。し
たがって、光キャリアが光導電層内に極力残留すること
なく、1回の複写行程で走行するように、キャリアの走
行性を改善しなければならない。
【0045】したがって、Chを少なくしてEgを広く
しつつEuを制御(低減)した光導電領域を光入射部と
して設けることにより、熱励起キャリアや光キャリアが
局在準位に捕獲される割合を小さくすることができるた
めにキャリアの走行性が飛躍的に改善される。またさら
なる効果として第二、第三の光導電領域は主たるキャリ
アを正孔としてその走行性を改善した層設計が可能とな
る。すなわち主たる光導電層にはChを多くしてEgを
拡大しつつEuを制御(低減)した層を用いることによ
って、熱励起キャリアの生成が抑えられ、なお且つ熱励
起キャリアや光キャリアが局在準位に捕獲される割合を
小さくすることができるためにキャリアの走行性が飛躍
的に改善される。
【0046】さらに、伝導性を制御する物質の含有量お
よび分布を制御することにより、光導電層全体の正孔と
電子の走行性のバランスを改善される。つまり、光受容
部材の最表面側に第三の光導電領域を設けて、実質的に
光を吸収する領域を第三の光導電領域とすることによ
り、正孔電子個運剤領域を小さくし、且つ伝導性を制御
する物質の含有量および分布を制御することにより帯電
能、温度特性、メモリーを改善する点で顕著な効果が見
られる。
【0047】また、光受容部材の最も支持体側にChを
少なくしてEgを狭くしつつEuを制御(低減)した層
領域において伝導性を制御する物質である周期律表第1
3族に属する元素の含有量を第二の光導電領域より多
く、且つ支持体側で多くなるように含有させた第一の光
導電領域を設けることにより、基板からの電荷(電子)
の注入を阻止する能力が向上すると共に、上部から走行
してくる電荷(正孔)の通過を妨げることなく、また電
界が小さくなる光導電層の支持体側での走行性を向上さ
せ、阻止能力と走行性のバランスをとざことで、帯電能
およびメモリー等を改善する効果が見られる。そして、
このような第一の光導電領域を基にした阻止層を光導電
層と支持体の間に設けることで、上記の効果がより有効
に現れると共に、密着性が向上することも明らかになっ
た。
【0048】このとき、長波長をカットしたアナログ光
源(ハロゲンランプ)の光(600nm付近を最長の波
長とする波長分布を持つ光)を実質的に吸収する光導電
層の領域、すなわち第三の層領域の表面側から0.5以
上1.5μm以下までの領域においては、周期律表第1
3族の元素の含有を極微少にして、電子の走行性を重視
した領域に調整することで、光導電層全域におけるキャ
リアの走行性をバランス良く改善できる。
【0049】つまり、光受容部材の主たる光導電領域で
ある第二の層領域の最表面側に第二の層領域よりEgが
大きい第三の層領域を設けて、実質的に光を吸収する領
域とし、支持体側に第二の層領域よりEgが小さい第一
の層領域を設置し、周期律表第13族の元素の分布を支
持体側で多く且つ第三の層領域の表面側から0.5以上
1.5μm以下までの領域においては周期律表第13族
に属する元素の含有量を0以上0.1ppm以下にする
ことにより、特に帯電能、温度特性、メモリーについて
顕著な効果が見られる。
【0050】したがって、本発明は上記構成によって、
帯電能の向上と温度特性ならびに光メモリーの低減とを
高い次元で両立させ、前記した従来技術における諸問題
の全てを解決することができ、極めて優れた電気的、光
学的、光導電的特性、画像品質、耐久性および使用環境
性を示す光受容部材を得ることができる。
【0051】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施態様を具体的
に説明する。図面に基づいて本発明の光受容部材につい
て詳細に説明する。図2は、本発明の光受容部材の層構
成を説明するための模式的構成図である。図2(a)に
示す光受容部材200は、光受容部材用としての支持体
201の上に、光受容層202が設けられている。該光
受容層202はa-Si:H,Xからなり光導電性を有する
光導電層203で構成され、光導電層203は支持体2
01側から順に第一の層領域211と第二の層領域21
2、第三の層領域213とからなっている。
【0052】図2(b)に示す光受容部材200は、光
受容部材用としての支持体201の上に、光受容層20
2が設けられている。該光受容層202はa-Si:H,X
からなり光導電性を有する光導電層203と、アモルフ
ァスシリコン系表面層204とから構成されている。ま
た、光導電層203は支持体201側から順に第一の層
領域211と第二の層領域212、第三の層領域213
とからなっている。
【0053】図2(c)に示す光受容部材200は、光
受容部材用としての支持体201の上に、光受容層20
2が設けられている。該光受容層202は支持体201
側から順にアモルファスシリコン系電荷注入阻止層20
5と、a-Si:H,Xからなり光導電性を有する光導電層
203と、アモルファスシリコン系表面層204とから
構成されている。また、光導電層203は電荷注入阻止
層205側から順に第一の層領域211と第二の層領域
212、第三の層領域213とからなっている。
【0054】(支持体)本発明において使用される支持
体としては、導電性でも電気絶縁性であってもよい。導
電性支持体としては、Al,Cr,Mo,Au,In,Nb,Te,
V,Ti,Pt,Pd,Fe等の金属、およびこれらの合金、例
えばステンレス等が挙げられる。また、ポリエステル、
ポリエチレン、ポリカーボネードセルロースアセテー
ト、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、
ポリアミド等の合成樹脂のフィルムまたはシート、ガラ
ス、セラミック等の電気絶縁性支持体の少なくとも光受
容層を形成する側の表面を導電処理した支持体も用いる
ことができる。
【0055】本発明において使用される支持体201の
形状は平滑表面あるいは凹凸表面の円筒状または無端ベ
ルト状であることができ、その厚さは、所望通りの光受
容部材200を形成し得るように適宜決定するが、光受
容部材200としての可撓性が要求される場合には、支
持体201としての機能が充分発揮できる範囲内で可能
な限り薄くすることができる。しかしながら、支持体2
01は製造上および取り扱い上、機械的強度等の点から
通常は10μm以上とされる。
【0056】(光導電層)本発明において、その目的を
効果的に達成するためた支持体201上に形成され、光
受容層202の一部を構成する光導電層203は真空堆
積膜形成方法によって、所望特性が得られるように適宜
成膜パラメーターの数値条件が設定されて作製される。
具体的には、例えばグロー放電法(低周波CVD法、高
周波CVD法またはマイクロ波CVD法等の交流放電C
VD法、あるいは直流放電CVD法等)、スパッタリン
グ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、光CVD
法、熱CVD法等の数々の薄膜堆積法によって形成する
ことができる。これらの薄膜堆積法は、製造条件、設備
資本投資下の負荷程度、製造規模、作製される光受容部
材に所望される特性等の要因によって適宜選択されて採
用されるが、所望の特性を有する光受容部材を製造する
に当たっての条件の制御が比較的容易であることからグ
ロー放電法、特にRF帯の電源周波数を用いた高周波グ
ロー放電法が好適である。
【0057】グロー放電法によって光導電層203を形
成するには、基本的にはシリコン原子(Si)を供給し
得るSi供給用の原料ガスと、水素原子Hを供給し得る
H供給用の原料ガスまたは/およびハロゲン原子Xを供
給し得るX供給用の原料ガスを内部が減圧にし得る反応
容器内に所望のガス状態で導入して、該反応容器内にグ
ロー放電を生起させ、あらかじめ所定の位置に設置され
てある所定の支持体201上にa-Si:H,Xからなる層
を形成すればよい。
【0058】また、本発明においては光導電層203中
に水素原子または/およびハロゲン原子が含有されるこ
とが必要であるが、これはシリコン原子の未結合手を補
償し層品質の向上、特に光導電性および電荷保持特性を
向上させるために必須不可欠であるからである。よって
水素原子またはハロゲン原子の含有量、または水素原子
とハロゲン原子の和の量は、第一の層領域の場合、シリ
コン原子と水素原子または/およびハロゲン原子の和に
対して10〜25原子%とされるのが望ましく、第二の
層領域の場合、シリコン原子と水素原子または/および
ハロゲン原子の和に対して15〜30原子%とされるの
が望ましく、第三の層領域の場合、シリコン原子と水素
原子または/およびハロゲン原子の和に対して25〜4
0原子%とされるのが望ましい。
【0059】本発明において使用されるSi供給用ガス
となり得る物質としては、SiH4,Si26,Si38,Si
410等のガス状態の、またはガス化し得る水素化珪素
(シラン類)が有効に使用されるものとして挙げられ、
さらに、層作製時の取り扱い易さ、Si供給効率の良
さ、等の点でSiH4,Si26が好ましいものとして挙げ
られる。
【0060】そして、形成される光導電層203中に水
素原子を構造的に導入し、水素原子の導入割合の制御を
いっそう容易になるようにはかり、本発明の目的を達成
する膜特性を得るために、これらのガスにさらにH2
よび/またはHeあるいは水素原子を含む珪素化合物の
ガスも所望量混合して層形成することが必要である。ま
た、各ガスは単独種のみでなく所定の混合比で複数種混
合しても差し支えないものである。
【0061】また本発明において使用されるハロゲン原
子供給用の原料ガスとして有効なのは、例えばハロゲン
ガス、ハロゲン化物、ハロゲンをふくむハロゲン間化合
物、ハロゲンで置換されたシラン誘導体等のガス状のま
たはガス化し得るハロゲン化合物が好ましく挙げられ
る。また、さらにはシリコン原子とハロゲン原子とを構
成要素とするガス状のまたはガス化し得る、ハロゲン原
子を含む水素化珪素化合物も有効なものとして挙げるこ
とができる。本発明において好適に使用し得るハロゲン
化合物としては、具体的には弗素ガスF2,BrF,ClF,
ClF3,BrF3,Br5,IF3,IF7等のハロゲン間化合物
を挙げることができる。ハロゲン原子を含む珪素化合
物、いわゆるハロゲン原子で置換されたシラン誘導体と
しては、具体的には、例えばSiF4,Si26等の弗化珪
素が好ましいものとして挙げることができる。
【0062】光導電層203中に含有される水素原子ま
たは/およびハロゲン原子の量を制御するには、例えば
支持体201の温度、水素原子または/およびハロゲン
原子を含有させるために使用される原料物質の反応容器
内へ導入する量、放電電力等を制御すればよい。
【0063】本発明においては、光導電層203に伝導
性を制御する原子を分布させることが必要である。伝導
性を制御する原子は、光導電層203中に第一の層領域
および第二の層領域の層厚方向支持体側が多くなるよう
に分布させれば、層領域中で不均一な分布状態で含有さ
れていてもよいが、第三の層領域の表面側から0.5以
上1.5μm以下までの領域においては伝導性を制御す
る原子の含有が微少になるように分布させることが必要
である。
【0064】前記伝導性を制御する原子としては、半導
体分野における、いわゆる不純物を挙げることができ、
p型伝導特性を与える周期律表第13族に属する原子
(以後、第13族原子と略記する)を用いることができ
る。第13族原子としては具体的には、硼素B、アルミ
ニウムAl、ガリウムGa、インジウムIn、タリウムT
l等があり、特にB,Al,Gaが好適である。
【0065】第一の層領域211に含有される、伝導性
を制御する原子の含有量としては、0.1〜25pp
m、第二の層領域212に含有される伝導性を制御する
原子の含有量としては、0.05〜15ppm、第三の
層領域213に含有される伝導性を制御する原子の含有
量としては、0.01〜10ppmの間で各層領域で適
宜選択して含有されるのが望ましい。また、分布させる
場合も最大含有量および最小含有量を各層で適宜選択し
て含有変化させることが望ましい。そのとき、各層領域
の支持体側で伝導性を制御する原子の含有量を多くする
ことが必要である。
【0066】さらに第一の層領域211における分布に
ついては、伝導性を制御する原子の第一の層領域の最大
含有量はシリコン原子に対して0.5ppm以上50p
pm以下、最小含有量はシリコン原子に対して0.1p
pm以上20ppm以下となるようすることが望まし
い。第二の層領域212における分布については、伝導
性を制御する原子の第二の層領域の最大含有量はシリコ
ン原子に対して0.1ppm以上20ppm以下、最小
含有量はシリコン原子に対して0.05ppm以上10
ppm以下となるようすることが望ましい。そして第三
の層領域213における分布については、伝導性を制御
する原子の第三の層領域の最大含有量はシリコン原子に
対して0.01ppm以上10ppm以下とすることが
望ましい。
【0067】また、第三の層領域の表面側から0.5以
上1.5μm以下までの領域においては伝導性を制御す
る原子の含有量はシリコン原子に対して0以上0.1p
pm以下になるようにすることが望ましい。各層領域に
おいては、伝導性を制御する原子を最大含有量から最小
含有量へ変化させて含有させることが望ましい。
【0068】伝導性を制御する原子の平均含有量が、第
一の層領域で0.1ppm以下、第二の層領域で0.05
ppm以下、第三の層領域で0.01ppm以下である
と、正孔の走行性が小さく、特性の改善を示さずに残留
電位およびメモリー電位の改善ができない。また伝導性
を制御する原子の平均含有量が、第一の層領域で25p
pm以上、第二の層領域で20ppm以上、第三の層領
域で15ppm以上、特に第三の層領域の表面側0.5
以上1.5μmの領域において伝導性を制御する原子の
含有量の層中平均が0.1ppm以上であると、含有量
が多くなりすぎて、フリーキャリア増となり帯電能およ
び温度特性の改善がなされない。
【0069】また、伝導性を制御する原子を分布させる
場合には、その最大含有量から最小含有量へ変化させて
分布させることが必要であるが、その最小含有量は、第
一の層領域で0.1ppm以下、第二の層領域で0.05
ppm以下であると、正孔の走行性が小さく、特性の改
善を示さずに残留電位およびメモリー電位の上昇が生じ
る。また伝導性を制御する原子の最大含有量が、第一の
層領域で50ppm以上、第二の層領域で25ppm以
上、第三の層領域で18ppm以上、特に第三の層領域
の表面側0.5以上1.5μmの領域において伝導性を制
御する原子の含有量の層中平均が0.1ppm以上であ
ると、含有量が多くなりすぎると、フリーキャリア増に
なり帯電能および温度特性の改善がなされない。
【0070】伝導性を制御する原子、例えば、第13族
原子を構造的に導入するには、層形成の際に、第13族
原子導入用の原料物質をガス状態で反応容器中に、光導
電層203を形成するための他のガスとともに導入して
やればよい。第13族原子導入用の原料物質となり得る
ものとしては、常温常圧でガス状のまたは、少なくとも
層形成条件下で容易にガス化し得るものが採用されるの
が望ましい。
【0071】そのような第13族原子導入用の原料物質
として具体的には、硼素原子導入用としては、B26,
410,B59,B511,B610,B612,B614等の
水素化硼素、BF3,BCl3,BBr3等のハロゲン化硼素
等が挙げられる。この他、AlCl3,GaCl3,Ga(CH3)
3,InCl3,TlCl3等も挙げることができる。また、こ
れらの伝導性を制御する原子導入用の原料物質を必要に
応じてH2および/またはHeにより希釈して使用して
もよい。
【0072】さらに本発明においては、光導電層203
に炭素原子および/または酸素原子および/または窒素
原子を含有させることも有効である。炭素原子および/
または酸素原子/およびまたは窒素原子の含有量はシリ
コン原子、炭素原子、酸素原子および窒素原子の和に対
して好ましくは1×10-5〜10原子%、より好ましく
は1×10-4〜8原子%、最適には1×10-3〜5原子
%が望ましい。炭素原子および/または酸素原子および
/または窒素原子は、光導電層中に万遍なく均一に含有
されてもよいし、光導電層の層厚方向に含有量が変化す
るような不均一な分布をもたせた部分があってもよい。
【0073】本発明において、光導電層203の層厚は
所望の電子写真特性が得られることおよび経済的効果等
の点から適宜所望にしたがって決定され、好ましくは2
0〜50μm、より好ましくは23〜45μm、最適に
は25〜40μmとされるのが望ましい。層厚が20μ
mより薄くなると、帯電能や感度等の電子写真特性が実
用上不充分となり、50μmより厚くなると、光導電層
の作製時間が長くなって製造コストが高くなる。
【0074】また、本発明において、光導電層203全
体(第一の層領域+第二の層領域+第三の層領域)に占
める第一の層領域の膜厚の比は、0.01以上0.3以下
とすることが望ましい。また、第三の層領域の膜厚の比
は、0.1以上0.3以下とすることが望ましい。第一の
層領域の膜厚比が0.01より小さいと、正孔が走行す
る区間中の第二の層領域の部分が増え、正孔の走行性に
最適化した第一の層領域の役割を発揮することができ
ず、帯電能向上やメモリー低減の効果を充分に発揮する
ことができない。また、密着性の向上についての効果も
充分に発揮することができない。
【0075】また、第一の層領域を0.3より大きくす
ると、光学的バンドギャップの小さい領域が増加するこ
とにより熱励起キャリアの生成が増加し、温度特性の低
減の効果が小さくなる。また所望の特性を有する第一の
層領域を得るためには堆積速度を小さくする必要がある
ため、第一の層領域を厚くすることは生産時間が長時間
になりコストが上昇する。
【0076】第三の層領域の膜厚比が0.1より小さい
と、光キャリアの生成領域が第二の層領域まで達してし
まう、すなわち光学的バンドギャップの小さな領域が表
面に近いところにも増えることとなり、そのため熱励起
キャリアが伝導に関与する割合が増える、さらに正孔が
走行する区間中の第二の層領域の部分も増えることとな
り、帯電中のキャリアの走行性や光キヤリアの走行性に
最適化した第三の層領域の役割を発揮することができ
ず、帯電能向上、温度特性の改善やメモリー低減の効果
を充分に発揮することができない。
【0077】また、第三の層領域を0.3より大きくす
ると、光学的バンドギャップの大きい領域が増えて、バ
ンドギャップ内で伝導帯まであがれないキャリアの増加
や帯電中で掃き出されないキャリアの増加を導き、帯電
能の向上や温度特性の低減の効果が小さくなる。
【0078】本発明の目的を達成し、所望の膜特性を有
する光導電層203を形成するにはSi供給用のガスと
希釈ガスとの混合比、反応容器内のガス圧、放電電力な
らびに支持体温度を適宜設定することが必要である。希
釈ガスとして使用するH2および/またはHeの流量
は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、
Si供給用ガスに対しH2および/またはHeを、通常の
場合3〜20倍、好ましくは4〜15倍、最適には5〜
10倍の範囲に制御することが望ましい。反応容器内の
ガス圧も同様に層設計にしたがって適宜最適範囲が選択
されるが、通常の場合1.0×10-2〜1.0×103
a、好ましくは5.0×10-2〜5.0×102Pa、最
適には1.0×10-1〜1.0×102Paとするのが好
ましい。
【0079】放電電力もまた同様に層設計にしたがって
適宜最適範囲が選択されるが、Si供給用のガスの流量
に対する放電電力の比を、第一の層領域は0.5〜4、
好ましくは1〜3の範囲に設定することが望ましく、第
二の層領域は2〜8、好ましくは3〜6の範囲に設定す
ることが望ましく、第三の層領域は3〜10、好ましく
は4〜8の範囲に設定することが望ましい。また、第二
の層領域および第三の層領域のSi供給用のガスの流量
に対する放電電力の比を第一の層領域に比べて大きく
し、いわゆるフローリミット領域で作製することが好ま
しい。さらに、支持体201の温度は、層設計にしたが
って適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好まし
くは200〜350℃、より好ましくは230〜330
℃、最適には250〜310℃とするのが望ましい。
【0080】本発明においては、光導電層を形成するた
めの支持体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前記
した範囲が挙げられるが、条件は通常は独立的に別々に
決められるものではなく、所望の特性を有する光受容部
材を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて最適
値を決めるのが望ましい。
【0081】(表面層)本発明においては、上述のよう
にして支持体201上に形成された光導電層203の上
に、さらにアモルファスシリコン系の表面層204を形
成することが好ましい。この表面層204は自由表面2
06を有し、主に耐湿性、連続繰り返し使用特性、電気
的耐圧性、使用環境特性、耐久性において本発明の目的
を達成するために設けられる。また、本発明において
は、光受容層202を構成する光導電層203と表面層
204とを形成する非晶質材料の各々がシリコン原子と
いう共通の構成要素を有しているので、積層界面におい
て化学的な安定性の確保が十分成されている。
【0082】表面層204は、アモルファスシリコン系
の材料であれば、いれずの材質でも可能であるが、例え
ば、水素原子Hおよび/またはハロゲン原子Xを含有
し、さらに炭素原子を含有するアモルファスシリコン
(以下、a-SiC:H,Xと表記する)、水素原子Hおよ
び/またはハロゲン原子Xを含有し、さらに酸素原子を
含有するアモルファスシリコン(以下、a-SiO:H,X
と表記する)、水素原子Hおよび/またはハロゲン原子
Xを含有し、さらに窒素原子を含有するアモルファスシ
リコン(以下、a-SiN:H,Xと表記する)、水素原子
Hおよび/またはハロゲン原子Xを含有し、さらに炭素
原子、酸素原子、窒素原子の少なくとも一つを含有する
アモルファスシリコン(以下、a-SiCON:H,Xと表
記する)等の材料が好適に用いられる。
【0083】本発明において、その目的を効果的に達成
するために、表面層204は真空堆積膜形成方法によっ
て、所望特性が得られるように適宜成膜パラメーターの
数値条件が設定されて作製される。具体的には、例えば
グロー放電法(低周波CVD法、高周波CVD法または
マイクロ波CVD法等の交流放電CVD法、あるいは直
流放電CVD法等)、スパッタリング法、真空蒸着法、
イオンプレーティング法、光CVD法、熱CVD法等の
数々の薄膜堆積法によって形成することができる。
【0084】これらの薄膜堆積法は、製造条件、設備資
本投資下の負荷程度、製造規模、作製される光受容部材
に所望される特性等の要因によって適宜選択されて採用
されるが、光受容部材の生産性から光導電層と同等の堆
積法によることが好ましい。例えば、グロー放電法によ
ってa-SiC:H,Xよりなる表面層204を形成するに
は、基本的にはシリコン原子Siを供給し得るSi供給用
の原料ガスと、炭素原子Cを供給し得るC供給用の原料
ガスと、水素原子Hを供給し得るH供給用の原料ガスま
たは/およびハロゲン原子Xを供給し得るX供給用の原
料ガスを、内部を減圧にし得る反応容器内に所望のガス
状態で導入して、該反応容器内にグロー放電を生起さ
せ、あらかじめ所定の位置に設置された光導電層203
を形成した支持体201上にa-SiC:H,Xからなる層
を形成すればよい。
【0085】本発明において用いる表面層の材質として
はシリコンを含有するアモルファス材料ならば何れでも
よいが、炭素、窒素、酸素より選ばれた元素を少なくと
も1つ含むシリコン原子との化合物が好ましく、特にa
-SiCを主成分としたものが好ましい。
【0086】表面層をa-SiCを主成分として構成する
場合の炭素原子量は、シリコン原子と炭素原子の和に対
して30〜90%の範囲が好ましい。また表面層の自由
表面側に向けて炭素原子量の増加は、光導電層および表
面層ともにシリコン原子という共通の構成要素を有する
ことによる積層界面での化学的な安定性の確保と、耐湿
性、連続繰り返し使用特性の高次での両立に対して効果
的である。
【0087】また、本発明において表面層204中に水
素原子または/およびハロゲン原子が含有されることが
必要であるが、これはシリコン原子の未結合手を補償
し、層品質の向上、特に光導電性特性および電荷保持特
性を向上させるために必須不可欠である。水素含有量
は、構成原子の総量に対して通常の場合30〜70原子
%、好適には35〜65原子%、最適には40〜60原
子%とするのが望ましい。また、弗素原子の含有量とし
て、通常の場合は0.01〜15原子%、好適には0.1
〜10原子%、最適には0.6〜4原子%とされるのが
望ましい。
【0088】これらの水素および/または弗素含有量の
範囲内で形成される光受容部材は、実際面において、従
来にない格段に優れたものとして充分適用させ得るもの
である。すなわち、表面層内に存在する欠陥(主にシリ
コン原子や炭素原子のダングリングボンド)は電子写真
用光受容部材としての特性に悪影響を及ばすことが知ら
れている。例えば自由表面から電荷の注入による帯電特
性の劣化、使用環境、例えば高い湿度のもとで表面構造
が変化することによる帯電特性の変動、さらにコロナ帯
電時や光照射時に光導電層より表面層に電荷が注入さ
れ、前記表面層内の欠陥に電荷がトラップされることに
より繰り返し使用時の残像現象の発生等がこの悪影響と
して挙げられる。
【0089】しかしながら、表面層内の水素含有量を3
0原子%以上に制御することで表面層内の欠陥が大幅に
減少し、その結果、従来に比べて電気的特性面および高
速連続使用性において飛躍的な向上を図ることができ
る。
【0090】一方、前記表面層中の水素含有量が70原
子%を越えると、表面層の硬度が低下するために、繰り
返し使用に耐えられなくなる。したがって、表面層中の
水素含有量を前記の範囲内に制御することが格段に優れ
た所望の電子写真特性を得る上で非常に重要な因子の1
つである。表面層中の水素含有量は、原料ガスの流量
(比)、支持体温度、放電パワー、ガス圧等によって制
御し得る。
【0091】また、表面層中の弗素含有量を0.01原
子%以上の範囲に制御することで表面層内のシリコン原
子と炭素原子の結合の発生をより効果的に達成すること
が可能となる。さらに、表面層中の弗素原子の働きとし
て、コロナ等のダメージによるシリコン原子と炭素原子
の結合の切断を効果的に防止することができる。
【0092】一方、表面層中の弗素含有量が15原子%
を超えると表面層内のシリコン原子と炭素原子の結合の
発生の効果およびコロナ等のダメージによるシリコン原
子と炭素原子の結合の切断を防止する効果がほとんど認
められなくなる。さらに、過剰の弗素原子が表面層中の
キャリアの走行性を阻害するため、残留電位や画像メモ
リーが顕著に認められてくる。したがって、表面層中の
弗素含有量を前記範囲内に制御することが所望の電子写
真特性を得る上で重要な因子の一つである。表面層中の
弗素含有量は、水素含有量と同様に原料ガスの流量
(比)、支持体温度、放電パワー、ガス圧等によって制
御し得る。
【0093】本発明の表面層の形成において使用される
シリコンSi供給用ガスとなり得る物質としては、SiH
4,Si26,Si38,Si410等のガス状態の、またはガ
ス化し得る水素化珪素(シラン類)が有効に使用される
ものとして挙げられ、さらに層作製時の取り扱い易さ、
Si供給効率の良さ等の点でSiH4,Si26が好ましい
ものとして挙げられる。また、これらのSi供給用の原
料ガスを必要に応じてH2,He,Ar,Ne等のガスにより
希釈して使用してもよい。
【0094】炭素供給用ガスとなり得る物質としては、
CH4,C22,C26,C38,C4 10等のガス状態の、
またはガス化し得る炭化水素が有効に使用されるものと
して挙げられ、さらに、層作製時の取り扱い易さ、Si
供給効率の良さ等の点で、CH4,C22,C26が好ま
しいものとして挙げられる。また、これらのC供給用の
原料ガスを必要に応じてH2,He,Ar,Ne等のガスによ
り希釈して使用してもよい。
【0095】窒素または酸素供給用ガスとなり得る物質
としては、NH3,NO,N2O,NO,O2,CO,CO2,N2
等のガス状態の、またはガス化し得る化合物が有効に使
用されるものとして挙げられる。また、これらの窒素、
酸素供給用の原料ガスを必要に応じてH2,He,Ar,Ne
等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0096】また、形成される表面層204中に導入さ
れる水素原子の導入割合の制御をいっそう容易になるよ
うに図るために、これらのガスにさらに水素ガスまたは
水素原子を含む珪素化合物のガスも所望量混合して層形
成することが好ましい。また、各ガスは単独種のみでな
く所定の混合比で複数種混合しても差し支えないもので
ある。
【0097】ハロゲン原子供給用の原料ガスとして有効
なのは、例えばハロゲンガス、ハロゲン化物、ハロゲン
をふくむハロゲン間化合物、ハロゲンで置換されたシラ
ン誘導体等のガス状のまたはガス化し得るハロゲン化合
物が好ましく挙げられる。また、さらにはシリコン原子
とハロゲン原子とを構成要素とするガス状のまたはガス
化し得る、ハロゲン原子を含む水素化珪素化合物も有効
なものとして挙げることができる。
【0098】本発明において好適に使用し得るハロゲン
化合物としては、具体的には弗素ガス(F2),BrF,Cl
F,ClF3,BrF3,BrF5,IF3,IF7等のハロゲン間
化合物を挙げることができる。ハロゲン原子を含む珪素
化合物、いわゆるハロゲン原子で置換されたシラン誘導
体としては、具体的には、例えばSiF4,Si26等の弗
化珪素が好ましいものとして挙げることができる。表面
層204中に含有される水素原子または/およびハロゲ
ン原子の量を制御するには、例えば支持体201の温
度、水素原子または/およびハロゲン原子を含有させる
ために使用される原料物質の反応容器内へ導入する量、
放電電力等を制御すればよい。
【0099】炭素原子および/または酸素原子および/
または窒素原子は、表面層中に万遍なく均一に含有され
てもよいし、表面層の層厚方向に含有量が変化するよう
な不均一な分布をもたせた部分があってもよい。さらに
本発明においては、表面層204には必要に応じて伝導
性を制御する原子を含有させることが好ましい。伝導性
を制御する原子は、表面層204中に万偏なく均一に分
布した状態で含有されてもよいし、あるいは層厚方向に
は不均一な分布状態で含有している部分があってもよ
い。
【0100】前記の伝導性を制御する原子としては、半
導体分野における、いわゆる不純物を挙げることがで
き、p型伝導特性を与える周期律表第13族に属する原
子(以後、第13族原子と略記する)、n型伝導特性を
与える周期律表第15族に属する原子(以後、第15族
原子と略記する)を用いることができる。第13族原子
としては、具体的には、硼素B、アルミニウムAl、ガ
リウムGa、インジウムIn、タリウムTl等があり、特
にB,Al,Gaが好適である。第15族原子としては、具
体的には燐P、砒素As、アンチモンSb、ビスマスBi
等があり、特にP,Asが好適である。
【0101】表面層204に含有される伝導性を制御す
る原子の含有量としては、好ましくは1×10-3〜1×
103原子ppm、より好ましくは1×10-2〜5×1
2原子ppm、最適には1×10-1〜1×102原子p
pmとされるのが望ましい。伝導性を制御する原子、例
えば、第13族原子あるいは第15族原子を構造的に導
入するには、層形成の際に、第13族原子導入用の原料
物質あるいは第15族原子導入用の原料物質をガス状態
で反応容器中に、表面層204を形成するための他のガ
スとともに導入してやればよい。
【0102】第13族原子導入用の原料物質あるいは第
15族原子導入用の原料物質となり得るものとしては、
常温常圧でガス状のまたは、少なくとも層形成条件下で
容易にガス化し得るものが採用されるのが望ましい。そ
のような第13族原子導入用の原料物質として具体的に
は、硼素原子導入用としては、B26,B410,B59,
511,B610,B612,B614等の水素化硼素、B
3,BCl3,BBr3等のハロゲン化硼素等が挙げられ
る。この他、AlCl3,GaCl3,Ga(CH33,InCl3,
TlCl3等も挙げることができる。
【0103】第15族原子導入用の原料物質として、有
効に使用されるのは、燐原子導入用としては、PH3,P
24等の水素化燐、PH4I,PF3,PF5,PCl3,PC
5,PBr3,PBr5,PI3等のハロゲン化燐が挙げられ
る。この他、AsH3,AsF3,AsCl3,AsBr3,AsF5,
SbH3,SbF3,SbF5,SbCl3,SbCl5,BiH3,BiCl
3,BiBr3等も第15族原子導入用の出発物質の有効な
ものとして挙げることができる。また、これらの伝導性
を制御する原子導入用の原料物質を必要に応じてH2,H
e,Ar,Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0104】本発明における表面層204の層厚として
は、通常0.01〜3μm、好適には0.05〜2μm、
最適には0.1〜1μmとされるのが望ましいものであ
る。層厚が0.01μmよりも薄いと光受容部材を使用
中に摩耗等の理由により表面層が失われてしまい、3μ
mを越えると残留電位の増加等の電子写真特性の低下が
みられる。
【0105】本発明による表面層204はその要求され
る特性が所望通りに与えられるように注意深く形成され
る。すなわち、Si,Cおよび/またはNおよび/または
O,Hおよび/またはXを構成要素とする物質はその形
成条件によって構造的には結晶からアモルファスまでの
形態を取り、電気物性的には導電性から半導体性、絶縁
性までの間の性質を、また、光導電的性質から非光導電
的性質までの間の性質を各々示すので、本発明において
は、目的に応じた所望の特性を有する化合物が形成され
るように、所望にしたがってその形成条件の選択が厳密
になされる。例えば、表面層204を耐圧性の向上を主
な目的として設けるには、使用環境において電気絶縁性
的挙動の顕著な非単結晶材料として作製される。また、
連続繰り返し使用特性や使用環境特性の向上を主たる目
的として表面層204が設けられる場合には、上記の電
気絶縁性の度合はある程度緩和され、照射される光に対
して有る程度の感度を有する非単結晶材料として形成さ
れる。
【0106】本発明の目的を達成し得る特性を有する表
面層204を形成するには、支持体201の温度、反応
容器内のガス圧を所望にしたがって、適宜設定する必要
がある。支持体201の温度(Ts)は、層設計にした
がって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好ま
しくは200〜350℃、より好ましくは230〜33
0℃、最適には250〜300℃とするのが望ましい。
【0107】反応容器内のガス圧も、同様に層設計にし
たがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好
ましくは1.0×10-2〜1.0×103Pa、より好ま
しくは5.0×10-1〜5.0×102Pa、最適には1.
0×10-1〜1.0×102Paとするのが好ましい。
【0108】本発明においては、表面層を形成するため
の支持体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前記し
た範囲が挙げられるが、条件は通常は独立的に別々に決
められるものではなく、所望の特性を有する光受容部材
を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて最適値
を決めるのが望ましい。
【0109】さらに本発明においては、光導電層と表面
層の間に、炭素原子、酸素原子、窒素原子の含有量を表
面層より減らしたブロッキング層(下部表面層)を設け
ることも帯電能等の特性をさらに向上させるためには有
効である。また、表面層204と光導電層203との間
に炭素原子および/または酸素原子および/または窒素
原子の含有量が光導電層203に向かって減少するよう
に変化する領域を設けてもよい。これにより表面層と光
導電層の密着性を向上させ、光キャリアの表面へ移動が
スムーズになるとともに光導電層と表面層の界面での光
の反射による干渉の影響をより少なくすることができ
る。
【0110】(電荷注入阻止層)本発明の光受容部材に
おいては、導電性支持体と光導電層との間に、導電性支
持体側からの電荷の注入を阻止する働きのある電荷注入
阻止層を設けるのがいっそう効果的である。すなわち、
電荷注入阻止層は光受容層が一定極性の帯電処理をそめ
自由表面に受けた際、支持体側より光導電層側に電荷が
注入されるのを阻止する機能を有し、逆の極性の帯電処
理を受けた際にはそのような機能は発揮されない、いわ
ゆる極性依存性を有している。そのような機能を付与す
るために、電荷注入阻止層には伝導性を制御する原子を
光導電層に比べ比較的多く含有させる。
【0111】該層に含有される伝導性を制御する原子
は、該層中に万偏なく均一に分布されてもよいし、ある
いは支持体の表面に平行な方向には万偏なく含有されて
はいるが、不均一に分布する状態で含有している部分が
あってもよい。分布濃度が不均一な場合には、支持体側
に多く分布するように含有させるのが好適である。
【0112】しかしながら、いずれの場合にも支持体の
表面と平行面内方向においては、均一な分布で万偏なく
含有されることが面内方向における特性の均一化をはか
る点からも必要である。電荷注入阻止層に含有され伝導
性を制御する原子としては、半導体分野におけるいわゆ
る不純物を挙げることができ、p型伝導特性を与える周
期律表第13族に属する原子(以後、第13族原子と略
記する)を用いることができる。
【0113】第13族原子としては、具体的には、ほう
素B、アルミニウムAl、ガリウムGa、インジウムI
n、タリウムTa等があり、特にB,Al,Gaが好適であ
る。本発明において電荷注入阻止層中に含有される伝導
性を制御する原子の含有量としては、本発明の目的が効
果的に達成できるように所望にしたがって適宜決定され
るが、好ましくは10〜1×104原子ppm、より好
適には50〜5×103原子ppm、最適には1×102
〜3×103原子ppmとされるのが望ましい。さら
に、電荷注入阻止層には、炭素原子、窒素原子および酸
素原子の少なくとも一種を含有させることによって、該
電荷注入阻止層に直接接触して設けられる他の層との間
の密着性の向上をよりいっそう図ることができる。
【0114】該層に含有される炭素原子または窒素原子
または酸素原子は、該層中に万偏なく均一に分布されて
もよいし、あるいは層厚方向には万偏なく含有されては
いるが、不均一に分布する状態で含有している部分があ
ってもよい。しかしながら、いずれの場合にも支持体の
表面と平行面内方向においては、均一な分布で万偏なく
含有されることが面内方向における特性の均一化をはか
る点からも必要である。
【0115】本発明における電荷注入阻止層の全層領域
に含有される炭素原子および/または窒素原子および/
または酸素原子の含有量は、本発明の目的が効果的に達
成されるように適宜決定されるが、一種の場合はその量
として、二種以上の場合はその総和として、好ましくは
1×10-3〜30原子%、より好適には5×10-3〜2
0原子%、最適には1×10-2〜10原子%とされるの
が望ましい。
【0116】また、本発明における電荷注入阻止層に含
有される水素原子および/またはハロゲン原子は層内に
存在する未結合手を補償し膜質の向上に効果を奏する。
電荷注入阻止層中の水素原子またはハロゲン原子あるい
は水素原子とハロゲン原子の和の含有量は、好適には1
〜50原子%、より好適には5〜40原子%、最適には
10〜30原子%とするのが望ましい。
【0117】本発明において、電荷注入阻止層の層厚
は、所望の電子写真特性が得られること、および経済的
効果等の点から好ましくは0.1〜5μm、より好まし
くは0.3〜4μm、最適には0.5〜3μmとされるの
が望ましい。層厚が0.1μmより薄くなると、支持体
からの電荷の注入阻止能が不充分になって充分な帯電能
が得られなくなり、5μmより厚くしても電子写真特性
の向上は期待できず、作製時間の延長による製造コスト
の増加を招くだけである。
【0118】本発明において電荷注入阻止層を形成する
には、前述の光導電層を形成する方法と同様の真空堆積
法が採用される。本発明の目的を達成し得る特性を有す
る電荷注入阻止層205を形成するには、光導電層20
3と同様に、Si供給用のガスと希釈ガスとの混合比、
反応容器内のガス圧、放電電力ならびに支持体201の
温度を適宜設定することが必要である。
【0119】希釈ガスであるH2および/またはHeの流
量は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選択される
が、Si供給用ガスに対しH2および/またはHeを、通
常の場合0.3〜20倍、好ましくは0.5〜15倍、最
適には1〜10倍の範囲に制御することが望ましい。反
応容器内のガス圧も同様に層設計にしたがって適宜最適
範囲が選択されるが、通常の場合1.0×10-2〜1.0
×103Pa、好ましくは5.0×10-1〜5.0×102
Pa、最適には1.0×10-1〜1.0×102Paとす
るのが好ましい。
【0120】放電電力もまた同様に層設計にしたがって
適宜最適範囲が選択されるが、Si供給用のガスの流量
に対する放電電力の比を、通常の場合0.5〜8、好ま
しくは0.8〜7、最適には1〜6の範囲に設定するこ
とが望ましい。さらに、支持体201の温度は、層設計
にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場
合、好ましくは200〜350℃、より好ましくは23
0〜330℃、最適には250〜310℃とするのが望
ましい。
【0121】本発明においては、電荷注入阻止層を形成
するための希釈ガスの混合比、ガス圧、放電電力、支持
体温度の望ましい数値範囲として前記した範囲が挙げら
れるが、これらの層作製ファクターは、通常は独立的に
別々に決められるものではなく、所望の特性を有する表
面層を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて各
層作製ファクターの最適値を決めるのが望ましい。
【0122】このほかに、本発明の光受容部材において
は、光受容層202の前記支持体201側に、少なくと
もアルミニウム原子、シリコン原子、水素原子または/
およびハロゲン原子が層厚方向に不均一な分布状態で含
有する層領域を有することが望ましい。
【0123】また、本発明の光受容部材においては、支
持体201と光導電層203あるいは電荷注入阻止層2
05との間の密着性の一層の向上を図る目的で、例え
ば、Si34,SiO2,SiOあるいはシリコン原子を母体
とし、水素原子および/またはハロゲン原子と、炭素原
子および/または酸素原子および/または窒素原子とを
含む非晶質材料等で構成される密着層を設けてもよい。
さらに、支持体からの反射光による干渉模様の発生を防
止するための光吸収層を設けてもよい。
【0124】次に、光受容層を形成するための装置およ
び膜形成方法について詳述する。図3は電源周波数とし
てRF帯を用いた高周波プラズマCVD法(以後、RF
-PCVDと略記する)による光受容部材の製造装置の
一例を示す模式的な構成図である。図3に示す製造装置
の構成は以下の通りである。
【0125】この装置は大別すると、堆積装置(310
0)、原料ガスの供給装置(3200)、反応容器(3
111)内を減圧にするための排気装置(図示せず)か
ら構成されている。堆積装置(3100)中の反応容器
(3111)内には円筒状支持体(3112)、支持体
加熱用ヒーター(3113)、原料ガス導入管(311
4)が設置され、さらに高周波マッチングボックス(3
115)が接続されている。
【0126】原料ガス供給装置(3200)は、Si
4,GeH4,H2,CH4,B26,PH3等の原料ガスのボ
ンベ(3221〜3226)とバルブ(3231〜32
36,3241〜3246,3251〜3256)および
マスフローコントローラー(3211〜3216)から
構成され、各原料ガスのボンベはバルブ(3260)を
介して反応容器(3111)内のガス導入管(311
4)に接続されている。
【0127】この装置を用いた堆積膜の形成は、例えば
以下のように行なうことができる。まず、反応容器(3
111)内に円筒状支持体(3112)を設置し、不図
示の排気装置(例えば真空ポンプ)により反応容器(3
111)内を排気する。続いて、支持体加熱用ヒーター
(3113)により円筒状支持体(3112)の温度を
200〜350℃の所定の温度に制御する。
【0128】堆積膜形成用の原料ガスを反応容器(31
11)に流入させるには、ガスボンベのバルブ(323
1〜3237)、反応容器のリークバルブ(3117)
が閉じられていることを確認し、叉、流入バルブ(32
41〜3246)、流出バルブ(3251〜325
6)、補助バルブ(3260)が開かれていることを確
認して、まずメインバルブ(3118)を開いて反応容
器(3111)およびガス配管内(3116)を排気す
る。
【0129】次に真空計(3119)の読みが約5×1
-4Paになった時点で補助バルブ(3260)、流出
バルブ(3251〜3256)を閉じる。その後、ガス
ボンベ(3221〜3226)より各ガスをバルブ(3
231〜3236)を開いて導入し、圧力調整器(32
61〜3266)により各ガス圧を200kPaに調整
する。次に、流入バルブ(3241〜3246)を徐々
に開けて、各ガスをマスフローコントローラー(321
1〜3216)内に導入する。
【0130】以上のようにして成膜の準備が完了した
後、以下の手順で各層の形成を行う。円筒状支持体(3
112)が所定の温度になったところで流出バルブ(3
251〜3256)のうちの必要なものおよび補助バル
ブ(3260)を徐々に開き、ガスボンベ(3221〜
3226)から所定のガスをガス導入管(3114)を
介して反応容器(3111)内に導入する。次にマスフ
ローコントローラー(3211〜3216)によって各
原料ガスが所定の流量になるように調整する。その際、
反応容器(3111)内の圧力が100Pa以下の所定
の圧力になるように真空計(3119)を見ながらメイ
ンバルブ(3118)の開口を調整する。
【0131】内圧が安定したところで、周波数13.5
6MHzのRF電源(不図示)を所望の電力に設定し
て、高周波マッチングボックス(3115)を通じて反
応容器(3111)内にRF電力を導入し、グロー放電
を生起させる。この放電エネルギーによって反応容器内
に導入された原料ガスが分解され、円筒状支持体(31
12)上に所定のシリコンを主成分とする堆積膜が形成
されるところとなる。所望の膜厚の形成が行われた後、
RF電力の供給を止め、流出バルブを閉じて反応容器へ
のガスの流入を止め、堆積膜の形成を終える。
【0132】同様の操作を複数回繰り返すことによっ
て、所望の多層構造の光受容層が形成される。それぞれ
の層を形成する際には必要なガス以外の流出バルブはす
べて閉じられていることは言うまでもなく、また、それ
ぞれのガスが反応容器(3111)内、流出バルブ(3
251〜3256)から反応容器(3111)に至る配
管内に残留することを避けるために、流出バルブ(32
51〜3256)を閉じ、補助バルブ(3260)を開
き、さらにメインバルブ(3118)を全開にして反応
容器内を一旦高真空に排気する操作を必要に応じて行
う。
【0133】また、膜形成の均一化を図るために、層形
成を行なっている間は、支持体(3112)を駆動装置
(不図示)によって所定の速度で回転させることも有効
である。さらに、上述のガス種およびバルブ操作は各々
の層の作製条件にしたがって変更が加えられることは言
うまでもない。
【0134】堆積膜形成時の支持体の温度は、特に20
0℃以上350℃以下、好ましくは230℃以上330
℃以下、より好ましくは250℃以上310℃以下が望
ましい。支持体の加熱方法は真空仕様である発熱体であ
ればよく、より具体的にはシース状ヒーターの巻き付け
ヒーター、板状ヒーター、セラミックヒーター等の電気
抵抗発熱体、ハロゲンランプ、赤外線ランプ等の熱放射
ランプ発熱体、液体、気体等を温媒とし熱交換手段によ
る発熱体等が挙げられる。加熱手段の表面材質は、ステ
ンレス、ニッケル、アルミニウム、銅等の金属類、セラ
ミックス、耐熱性高分子樹脂等を使用することができ
る。それ以外にも、反応容器以外に加熱専用の容器を設
け、加熱した後、反応容器内に真空中で支持体を搬送す
る方法が用いられる。
【0135】(試験例)以下、試験例により本発明の効
果を具体的に説明する。
【0136】(試験例1)図3に示すRF-PCVD法
による光受容部材の製造装置を用い、直径80mmの鏡
面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上
に、表1に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、表面
層からなる光受容部材を作製した。この際、電荷注入阻
止層側から第一の層領域、第二の層領域、第三の層領域
の順で光導電層を形成した。
【0137】一方、アルミニウムシリンダーに代えて、
サンプル基板を設置するための溝加工を施した円筒形の
サンプル正孔ダーを用い、ガラス基板(コーニング社
7059)ならびにSiウエハー上に、上記光導電層の
作製条件で膜厚約1μmのa-Si膜を堆積した。ガラス
基板上の堆積膜は、光学的バンドギャップEgを測定し
た後、Crの串型電極を蒸着し、CPMにより指数関数
裾の特性エネルギーEuを測定し、Siウエハー上の堆
積膜はFTIRにより水素含有量Chを測定した。
【0138】表1の例では、第一の層領域はCh,Eg,
Euはそれぞれ23原子%、1.72eV,53meVで
あり、第二の層領域はCh,Eg,Euはそれぞれ29原
子%、1.83eV、59meVであり、第三の層領域
はCh,Eg,Euはそれぞれ31原子%、1.85e
V、52meVであった。光導電層が第二の層領域だけ
の光受容部材(イ)、第一の層領域と第二の層領域から
なる光受容部材(ロ)、第二の層領域と第三の層領域か
らなる光受容部材(ハ)、そして第一の層領域、第二の
層領域と第三の層領域からなる光受容部材(ニ)の4種
の光受容部材を作製した。
【0139】周期律表第13族に属する元素はとしてB
を第一の光導電層および第二の層領域、第三の層領域と
もに0.5ppmで一定にした。そのとき、第三の層領
域の表面から1.5μmまでの領域は、0ppmとなる
ようにした。なお、第一の光導電層および第二の層領
域、第三の層領域の膜厚はそれぞれ5μmおよび20μ
m、5μmに固定した。作製した光受容部材を電子写真
装置(キヤノン製NP-6550を試験用に改造)にセ
ットして、電位特性の評価を行った。
【0140】この際、プロセススピード380mm/s
ec、前露光(波長565nmのLED)41ux・S
ec、帯電器の電流値1000μAの条件にて、電子写
真装置の現像器位置にセットした表面電位計(TREK
社Model 344)の電位センサーにより光受容部
材の表面電位を測定し、それを帯電能とした。また、光
受容部材に内蔵したドラムヒーターにより温度を室温
(約25℃)から50℃まで変えて、上記の条件にて帯
電能を測定し、そのときの温度1℃当たりの帯電能の変
化を温度特性とした。また、メモリー電位は、上述の条
件下において同様の電位センサーにより非露光状態での
表面電位と一旦露光した後に再度帯電したときとの電位
差を測定した。残留電位は、通常の像露光強度の2倍の
強露光を照射したときの表面電位を測定した。
【0141】本例の帯電能、温度特性、メモリー、残留
電位の評価結果を表2に示す。特性評価の基準として光
導電層(総膜厚30μm)を第二の層領域のみで構成し
た光受容部材を作成した。帯電能に関して基準と比較し
て、±20V以内を△で、+20V以上で○、+40V
以上で◎、-20V以下を▽で示す。
【0142】温度特性は、±1.5V/deg以下を◎
(優)、±3V/deg以下を○(良)、±3V/de
g以上を△(可)、±5V/deg以上を▽(実用上問
題無し)で示す。メモリーは、メモリー電位が5V以下
なら○、8V以下なら△、10V以上を▽で示す。
【0143】残留電位は、20V以下なら○、40V以
下なら△、40V以上なら▽で示す。表2から明らかな
ように、基板側からChが10原子%以上25原子%以
下、Egが1.65eV以上1.75eV以下、Euが5
0meV以上55meV以下である第一の層領域と、C
hが15原子%以上30原子%以下、Egが1.75e
V以上1.85eV以下、およびEuが55meV以上
65meV以下である第二の層領域と、Chが25原子
%以上40原子%以下、Egが1.80eV以上1.90
eV以下、およびEuが50meV以上55meV以下
である第三の層領域を積層した条件において、帯電能、
温度特性、メモリー、残留電位ともに良好な特性を得ら
れることがわかった。
【0144】
【表1】
【0145】
【表2】
【0146】(試験例2)図3に示すRF-PCVD法
による光受容部材の製造装置を用い、直径80mmの鏡
面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上
に、表1に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、表面
層からなる光受容部材を作製した。この際、電荷注入阻
止層側から第一の層領域、第二の層領域、第三の層領域
の順で光導電層を形成した。
【0147】一方、アルミニウムシリンダーに代えて、
サンプル基板を設置するための溝加工を施した円筒形の
サンプル正孔ダーを用い、ガラス基板(コーニング社
7059)ならびにSiウエハー上に、上記光導電層の
作製条件で膜厚約1μmのa-Si膜を堆積した。ガラス
基板上の堆積膜は、光学的バンドギャップEgを測定し
た後、Crの串型電極を蒸着し、CPMにより指数関数
裾の特性エネルギーEuを測定し、Siウエハー上の堆
積膜はFTIRにより水素含有量Chを測定した。
【0148】表1の例では、第一の層領域はCh,Eg,
Euはそれぞれ23原子%、1.72eV、53meV
であり、第二の層領域はCh,Eg,Euはそれぞれ29
原子%、1.83eV、59meVであり、第三の層領
域はCh,Eg,Euはそれぞれ31原子%、1.85e
V、52meVであった。
【0149】次いで第一の層領域においてSiH4ガスと
2ガスとの混合比、SiH4ガスと放電電力との比率な
らびに支持体温度を種々変えることによって、第一の層
領域のEg(Ch),Euの異なる種々の光受容部材を
作製した。周期律表第13族に属する元素として、Bを
第一の光導電層および第二の層領域、第三の層領域とも
に0.5ppmで一定にした。そのとき、第三の層領域
の表面から1.5μmまでの領域は、0ppmとなるよ
うにした。
【0150】なお、第一の光導電層および第二の層領
域、第三の層領域の膜厚はそれぞれ5μmおよび20μ
m、5μmに固定した。作製した光受容部材を、電子写
真装置(キヤノン製NP-6550を試験用に改造)に
セットして、電位特性の評価を行った。
【0151】この際、プロセススピード380mm/s
ec、前露光(波長565nmのLED)41ux・s
ec、帯電器の電流値1000μAの条件にて、電子写
真装置の現像器位置にセツトした表面電位計(TREK
社Model 344)の電位センサーにより光受容部
材の表面電位を測定し、それを帯電能とした。また、光
受容部材に内蔵したドラムヒーターにより温度を室温
(約25℃)から50℃まで変えて、上記の条件にて帯
電能を測定し、そのときの温度1℃当たりの帯電能の変
化を温度特性とした。また、メモリー電位は、上述の条
件下において同様の電位センサーにより非露光状態での
表面電位と一旦露光した後に再度帯電したときとの電位
差を測定した。
【0152】本例のEuならびにEgと帯電能、温度特
性、メモリーとの関係をそれぞれ図4、図5、図6に示
す。特性評価の基準(0点)として光導電層(総膜厚3
0μm)を第二の層領域のみで構成した光受容部材を作
成した。帯電能は基準と比較して±20V以内を0で、
+20V以上で+1、+40V以上で+2、−20V以
下を−1とする。温度特性は、±1.5V/deg以下
を+2、±3V/deg以下を+1、±3V/deg以
上を0、±5V/deg以上を-1とする。メモリー
は、メモリー電位が5V以下なら+1、8V以下なら
0、10V以上を−1とする。
【0153】図4、図5ならびに図6から明らかなよう
に、第一の層領域において、Egが1.65eV以上1.
75eV以下、Euが50meV以上55meV以下の
条件において、帯電能、温度特性、メモリーともに良好
な特性を得られることがわかった。
【0154】(試験例3)図3に示すRF-PCVD法
による光受容部材の製造装置を用い、直径80mmの鏡
面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上
に、表1に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、表面
層からなる光受容部材を作製した。この際、電荷注入阻
止層側から第一の層領域、第二の層領域、第三の層領域
の順で光導電層を形成した。
【0155】一方、アルミニウムシリンダーに代えて、
サンプル基板を設置するための溝加工を施した円筒形の
サンプル正孔ダーを用い、ガラス基板(コーニング社7
059)ならびにSiウエハー上に、上記光導電層の作
製条件で膜厚約1μmのa-Si膜を堆積した。ガラス基
板上の堆積膜は、光学的バンドギャップEgを測定した
後、Crの串型電極を蒸着し、CPMにより指数関数裾
の特性エネルギーEuを測定し、Siウエハー上の堆積
膜はFTIRにより水素含有量Chを測定した。
【0156】表1の例では、第一の層領域はCh,Eg,
Euはそれぞれ23原子%、1.72eV,53meVで
あり、第二の層領域はCh,Eg,Euはそれぞれ29原
子%、1.83eV,59meVであり、第三の層領域は
Ch,Eg,Euはそれぞれ31原子%、1.85eV,5
2meVであった。
【0157】次いで第三の層領域においてSiH4ガスと
2ガスとの混合比、SiH4ガスと放電電力との比率な
らびに支持体温度を種々変えることによって、第三の層
領域のEg(Ch),Euの異なる種々の光受容部材を
作製した。周期律表第13族に属する元素はとしてBを
第一の光導電層および第二の層領域、第三の層領域とも
に0.5ppmで一定にした。そのとき、第三の層領域
の表面から1.5μmまでの領域は、0ppmとなるよ
うにした。
【0158】なお、第一の光導電層および第二の層領
域、第三の層領域の膜厚はそれぞれ5μmおよび20μ
m、5μmに固定した。作製した光受容部材を、電子写
真装置(キヤノン製NP-6550を試験用に改造)に
セットして、電位特性の評価を行った。
【0159】この際、プロセススピード380mm/s
ec、前露光(波長565nmのLED)41ux・s
ec、帯電器の電流値1000μAの条件にて、電子写
真装置の現像器位置にセットした表面電位計(TREK
社Model 344)の電位センサーにより光受容部
材の表面電位を測定し、それを帯電能とした。
【0160】また、光受容部材に内蔵したドラムヒータ
ーにより温度を室温(約25℃)から50℃まで変え
て、上記の条件にて帯電能を測定し、そのときの温度1
℃当たりの帯電能の変化を温度特性とした。また、メモ
リー電位は、上述の条件下において同様の電位センサー
により非露光状態での表面電位と一旦露光した後に再度
帯電したときとの電位差を測定した。
【0161】本例のEuならびにEgと帯電能、温度特
性、メモリーとの関係をそれぞれ図7、図8、図9に示
す。特性評価の基準(0点)として光導電層(総膜厚3
0μm)を第二の層領域のみで構成した光受容部材を作
成した。帯電能は基準と比較して±20V以内を0で、
+20V以上で+1、+40V以上で+2、−20V以
下を−1とする。温度特性は、±1.5V/deg以下
を+2、±3V/deg以下を+1、±3V/deg以
上を0、±5V/deg以上を-1とする。メモリー
は、メモリー電位が5V以下なら+1、8V以下なら
0、10V以上を−1とする。
【0162】図7、図8ならびに図9から明らかなよう
に、第三の層領域において、Egが1.80eV以上1.
90eV以下、Euが50meV以上55meV以下の
条件において、帯電能、温度特性、メモリーともに良好
な特性を得られることがわかった。
【0163】(試験例4)図3に示すRF-PCVD法
による光受容部材の製造装置を用い、試験例1と同様の
条件で、直径80mmの鏡面加工を施したアルミニウム
シリンダー(支持体)上に、表3に示す条件で電荷注入
阻止層、光導電層、表面層からなる光受容部材を種々作
製した。
【0164】一方、アルミニウムシリンダーに代えて、
サンプル基板を設置するための溝加工を施した円筒形の
サンプル正孔ダーを用い、ガラス基板(コーニング社7
059)ならびにSiウエハー上に、上記光導電層の作
製条件で膜厚約1μmのa-Si膜を堆積した。ガラス基
板上の堆積膜は、光学的バンドギャップEgを測定した
後、Crの串型電極を蒸着し、CPMにより指数関数裾
の特性エネルギーEuを測定し、Siウエハー上の堆積
膜はFTIRにより水素含有量Chを測定した。
【0165】表3の例では、第一の層領域はCh,Eg,
Euはそれぞれ19原子%、1.66eV,52meVで
あり、第二の層領域はCh,Eg,Euはそれぞれ28原
子%、1.84eV,62meVであり、第三の層領域は
Ch,Eg,Euはそれぞれ27原子%、1.88eV,5
5meVであった。試験例4では、B元素の含有を第一
の層領域、第二の層領域、第三の層領域各々において支
持体側で増加するようにした。そのとき、第三の層領域
の表面側から1.5μmまでの領域においては周期律表
第13族に属する元素を添加しなかった。なお、第一の
光導電層および第二の層領域、第三の層領域の膜厚はそ
れぞれ4μmおよび22μm、4μmに固定した。
【0166】作製した個々の光受容部材について試験例
1と同様の評価を行ったところ、基板側からChが10
原子%以上25原子%以下、Egが1.65eV以上1.
75eV以下、Euが50meV以上55meV以下で
ある第一の層領域と、Chが15原子%以上30原子%
以下、Egが1.75eV以上1.85eV以下、および
Euが55meV以上65meV以下である第二の層領
域と、Chが25原子%以上40原子%以下、Egが
1.80eV以上1.90eV以下、およびEuが50m
eV以上55meV以下である第三の層領域を積層し、
且つ含有されるB元素が第一の層領域、第二の層領域、
第三の層領域各々において支持体側で増加している条件
において、帯電能、温度特性、メモリーともに良好な特
性を得られることがわかった。
【0167】
【表3】
【0168】(試験例5)図3に示すRF-PCVD法
による光受容部材の製造装置を用い、試験例1と同じ表
3の条件で、直径80mmの鏡面加工を施したアルミニ
ウムシリンダー(支持体)上に、電荷注入阻止層、光導
電層、表面層からなる光受容部材を種々作製した試験例
1と変えて比較例1では、第一の層領域および第二の層
領域、第三の層領域のB元素の平均含有量を表4に示す
ように種々変化させた。そのとき、第三の層領域の表面
側から1.5μmまでの領域においては周期律表第13
族に属する元素を添加しなかった。なお、第一の光導電
層および第二の層領域、第三の層領域の膜厚はそれぞれ
3μmおよび24μm、3μmに固定した。
【0169】作製した個々の光受容部材について試験例
1と同様の評価を行い、帯電能、温度特性、メモリー、
残留電位の測定を行い評価結果を表5に示す。試験例1
の条件で作製したものを基準(1)として評価した。帯
電能は基準に対して20V以内を0で、+20V以上で
1、+40V以上で2、−20V以上で−1とする。温
度特性は、±3.0V/degを越えると、温度変化に
より画像の濃度が変化するために、±1.5V/deg
以下を+1、±3V/deg以下を0、3V/deg以
上を−1、±5V/deg以上を−2とする。メモリー
は、メモリー電位が5V以下なら+1、8V以下なら
0、画像の濃度差が大きくなる8V以上を-1でとす
る。残留電位は、20V以下なら+1、40V以下なら
0、40V以上なら−1、60V以上を−2とする。
【0170】表5から明らかなように、周期律表第13
族に属する元素の第一の層領域の平均含有量を0.1以
上25ppm以下、第二の層領域の平均含有量を0.0
5以上15ppm以下、第三の層領域の平均含有量を
0.1以上10ppm以下とするとともに、第三の層領
域の表面側から0.5以上1.5μm以下までの領域にお
いては,周期律表第13族に属する元素を極微少(本試
験では無添加)にすることにより、電子写真用光受容部
材として総合的に良好な特性を示すことがわかった。
【0171】
【表4】
【0172】
【表5】
【0173】(試験例6)図3に示すRF-PCVD法
による光受容部材の製造装置を用い、直径80mmの鏡
面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上
に、表6に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、表面
層からなる光受容部材を種々作製した。
【0174】一方、アルミニウムシリンダーに代えて、
サンプル基板を設置するための溝加工を施した円筒形の
サンプル正孔ダーを用い、ガラス基板(コーニング社7
059)ならびにSiウエハー上に、上記光導電層の作
製条件で膜厚約1μmのa-Si膜を堆積した。ガラス基
板上の堆積膜は、光学的バンドギャップEgを測定した
後、Crの串型電極を蒸着し、CPMにより指数関数裾
の特性エネルギーEuを測定し、Siウエハー上の堆積
膜はFTIRにより水素含有量Chを測定した。
【0175】表6の例では、第一の層領域はCh,Eg,
Euはそれぞれ17原子%、1.66eV,53meVで
あり、第二の層領域はCh,Eg,Euはそれぞれ28原
子%、1.84eV,64meVであり、第三の層領域は
Ch,Eg,Euはそれぞれ35原子%、1.89eV,5
5meVであった。
【0176】試験例1と変え試験例2では、B元素の含
有を第一の層領域、第二の層領域、第三の層領域各々に
おいて支持体側で増加するようにした。そのとき、第一
の層領域の最小含有量と第二の層領域の最大含有量が同
じになるようにした。分布は図10(a)の様に変化さ
せて含有させた。なお、第一の光導電層および第二の層
領域、第三の層領域の膜厚はそれぞれ4μmおよび22
μm、4μmに固定した。
【0177】作製した個々の光受容部材について試験例
1と同様の評価を行ったところ、基板側からChが10
原子%以上25原子%以下、Egが1.65eV以上1.
75eV以下、E)が50meV以上55meV以下で
ある第一の層領域と、Chが15原子%以上30原子%
以下、Egが1.75eV以上1.85eV以下、および
Euが55meV以上65meV以下である第二の層領
域と、Chが25原子%以上40原子%以下、Egが
1.80eV以上1.90eV以下、およびEuが50m
eV以上55meV以下である第三の層領域を積層し、
且つ含有されるB元素が第一の層領域、第二の層領域、
第三の層領域各々において支持体側で増加している条件
において、帯電能、温度特性、メモリーともに良好な特
性を得られることがわかった。
【0178】
【表6】
【0179】(試験例7)図3に示すRF-PCVD法
による光受容部材の製造装置を用い、試験例2と同じ表
6の条件で、直径80mmの鏡面加工を施したアルミニ
ウムシリンダー(支持体)上に、電荷注入阻止層、光導
電層、表面層からなる光受容部材を種々作製した。
【0180】試験例6と変えて試験例7では、第一の層
領域および第二の層領域、第三の層領域の最小含有量お
よび最大含有量を表7に示すように種々変化させた。分
布は直線的に変化させた。そのとき、第三の層領域の表
面側から1.0μmまでの領域においては周期律表第1
3族に属する元素を添加しなかった。なお、第一の光導
電層および第二の層領域、第三の層領域の膜厚はそれぞ
れ6μmおよび18μm、6μmに固定した。
【0181】作製した個々の光受容部材について試験例
1と同様の評価を行い、帯電能、温度特性、メモリー、
残留電位の測定を行い評価結果を表8に示す。試験例1
の条件で作製したものを基準(1)として評価した。帯
電能は基準に対して±20V以内を0で、+20V以上
で1、+40V以上で2、-20V以上で-1とする。温
度特性は±3.0V/degを越えると、温度変化によ
り画像の濃度が変化するために、±1.5V/deg以
下を+1、±3V/deg以下を0、±3V/deg以
上を−1、±5V/deg以上を−2とする。メモリー
は、メモリー電位が5V以下なら+1、8V以下なら
0、画像の濃度差が大きくなる8V以上を-1でとす
る。残留電位は、20V以下なら+1、40V以下なら
0、40V以上なら−1、60V以上を−2とする。
【0182】表8から明らかなように、周期律表第13
族に属する元素の第一の層領域の最小含有量を0.1以
上20ppm以下および最大含有量を0.5以上50p
pm以下、第二の層領域の最小含有量を0.05以上1
0ppm以下および最大含有量を0.1以上20ppm
以下、第三の層領域の最大含有量を0.01以上10p
pm以下とするとともに、第三の層領域の表面側から
0.5以上1.5μm以下までの領域においては周期律表
第13族に属する元素を極微少(本試験では無添加)に
することで、電子写真用光受容部材として総合的に良好
な特性を示すことがわかった。
【0183】
【表7】
【0184】
【表8】
【0185】(試験例8)図3に示すすRF-PCVD
法による光受容部材の製造装置を用い、直径80mmの
鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上
に、電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなる光受容
部材を作製した。この際、光導電層を電荷注入阻止層側
から第一の層領域、第二の層領域、第三の層領域の順と
した。
【0186】表9にこのときの光受容部材の作製条件を
示した。そのとき、第二の層領域の表面側から0.5μ
mまでの領域においては周期律表第13族に属する元素
を添加しなかった。そして、各層領域のB元素の含有さ
せる部分は、含有量を図10(a)の様に変化させて含
有させた。
【0187】一方、アルミニウムシリンダーに代えて、
サンプル基板を設置するための溝加工を施した円筒形の
サンプル正孔ダーを用い、ガラス基板(コーニング社
7059)ならびにSiウエハー上に、上記光導電層の
作製条件で膜厚約1μmのa-Si膜を堆積した。ガラス
基板上の堆積膜は、光学的バンドギャップEgを測定し
た後、Crの串型電極を蒸着し、CPMにより指数関数
裾の特性エネルギーEuを測定し、Siウエハー上の堆
積膜はFTIRにより水素含有量Chを測定した。
【0188】本例では光導電層の第一の層領域のCh,
Eg,Euは、それぞれ16原子%、1.66eV,52
meV、第二の層領域のCh,Eg,Euは、それぞれ3
0原子%、1.85eV,64meV、第三の層領域はC
h,Eg,Euはそれぞれ35原子%、1.88eV,54
meVであった。なお、第一の光導電層および第二の層
領域、第三の層領域の膜厚はそれぞれ9μmおよび12
μm、9μmに固定した。
【0189】作製した個々の光受答部材について試験例
1と同様の評価を行ったところ、基板側からChが10
原子%以上25原子%以下、Egが1.65ev以上1.
75eV以下、Euが50meV以上55meV以下で
ある第一の層領域と、Chが15原子%以上30原子%
以下、Egが1.75eV以上1.85eV以下、および
Euが55meV以上65meV以下である第二の層領
域と、Chが25原子%以上40原子%以下、Egが
1.80eV以上1.90eV以下、およびEuが50m
eV以上55meV以下である第三の層領域を積層し、
且つ含有されるB元素が第一の層領域、第二の層領域、
第三の層領域各々において支持体側で増加している条件
において、帯電能、温度特性、メモリーともに良好な特
性を得られることがわかった。
【0190】
【表9】
【0191】(試験例9)図3に示すRF-PCVD法
による光受容部材の製造装置を用い、試験例3と同じ表
9の条件で、直径80mmの鏡面加工を施したアルミニ
ウムシリンダー(支持体)上に、電荷注入阻止層、光導
電層、表面層からなる光受容部材を種々作製した試験例
8と変えて試験例9では、第三の層領域の周期律表第1
3族に属する元素を添加しない領域を表10のように変
化させた。なお、第一の光導電層および第二の層領域、
第三の層領域の膜厚はそれぞれ9μmおよび12μm、
9μmに固定した。
【0192】作製した個々の光受容部材について試験例
1と同様の評価を行い、帯電能、温度特性、メモリー、
残留電位の測定を行い評価結果を表11に示す。試験例
1の条件で作製したものを基準(1)として評価した。
帯電能は基準に対して±10V以内を0で、+10V以
上で1、+20V以上で2、-10V以上で-1とする。
温度特性は±3.0V/degを越えると、温度変化に
より画像の濃度が変化するために、±1.5V/deg
以下を+1、±3V/deg以下を0、±3V/deg
以上を-1とする。メモリーは、メモリー電位が基準に
対して±1V以下なら0、+1V以上なら−1、−1V
以上なら+1とする。残留電位は基準に対して、±5V
以下なら0、−5V以下なら+1、+5V以上なら−1
とする。
【0193】表11から明らかなように、基板側から、
Chが10原子%以上25原子%以下、Egが1.65
eV以上1.75eV以下、Euが50meV以上55
meV以下である第一の層領域と、Chが15原子%以
上30原子%以下、Egが1.75eV以上1.85eV
以下、およびEuが55meV以上65meV以下であ
る第二の層領域とChが25原子%以上40原子%以
下、Egが1.80eV以上1.90eV以下、およびE
uが50meV以上55meV以下である第三の層領域
を積層し、且つ含有されるB元素が第一の層領域、第二
の層領域、第三の層領域各々において支持体側で増加し
ているともに、第三の層領域の表面側から0.5以上1.
5μm以下までの領域においては周期律表第13族に属
する元素を極微少(0以上0.1ppm以下)にするこ
とで、電子写真用光受容部材として総合的に良好な特性
を示すことがわかった。
【0194】
【表10】
【0195】
【表11】
【0196】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。
【0197】[実施例1]本例では、光導電層を電荷注
入阻止層側から第一の層領域、第二の層領域、第三の層
領域の順とし、表面層のシリコン原子および炭素原子の
含有量を層厚方向に不均一な分布状態とした表面層を設
けた。表12に、このときの光受容部材の作製条件を示
した。そのとき、第三の層領域の表面側から1.2μm
までの領域においては周期律表第13族に属する元素の
含有量を0.1ppmになるようにした。
【0198】本例では、光導電層の第一の層領域の、C
h,Eg,Euは、それぞれ22原子%、1.74eV,5
5meV、第二の層領域のCh,Eg,Euは、それぞれ
24原子%、1.78eV,61meV、第三の層領域の
Ch,Eg,Euは、それぞれ28原子%、1.83eV,
52meVという結果が得られた。作製した光受容部材
を試験例1と同様の評価をしたところ、同様に良好な電
子写真特性が得られた。
【0199】すなわち、光導電層を電荷注入阻止層側か
ら第一の層領域、第二の層領域、第三の層領域の順と
し、表面層のシリコン原子および炭素原子の含有量を層
厚方向に不均一な分布状態とした表面層を設けた場合に
おいても、基板側からChが10原子%以上25原子%
以下、Egが1.65eV以上1.75eV以下、Euが
50meV以上55meV以下である第一の層領域と、
Chが15原子%以上30原子%以下、Egが1.75
eV以上1.85eV以下、およびEuが55meV以
上65meV以下である第二の層領域と、Chが25原
子%以上40原子%以下、Egが1.80eV以上1.9
0eV以下、およびEuが50meV以上55meV以
下である第三の層領域を積層するともに、周期律表第1
3族元素の第三の層領域の表面側から0.5以上1.5牛
m以下までの領域においては周期律表第13族に属する
元素の含有量を微少にすることで、電子写真用光受容部
材として総合的に良好な特性を示すことがわかった。
【0200】
【表12】
【0201】[実施例2]本例では、光導電層を電荷注
入阻止層側から第一の層領域、第二の層領域、第三の層
領域の順とし、表面層のシリコン原子および炭素原子の
含有量を層厚方向に不均一な分布状態とした表面層を設
けるとともに、全ての層にフッ素原子、ホウ素原子炭素
原子、酸素原子、窒素原子を含有させた。
【0202】表13にこのときの光受容部材の作製条件
を示した。そのとき、第三の層領域の表面側から1.0
μmまでの領域においては周期律表第13族に属する元
素を添加しなかった。本例では、光導電層の第一の層領
域のCh,Eg,Euは、それぞれ13原子%、1.65
eV,51meV、第二の層領域のCh,Eg,Euは、
それぞれ16原子%、1.77eV,58meV、第三の
層領域のCh,Eg,Euは、それぞれ26原子%、1.
80eV,51meVという結果が得られた。作製した
光受容部材を試験例1と同様の評価をしたところ、同様
に良好な電子写真特性が得られた。
【0203】すなわち、光導電層を電荷注入阻止層側か
ら第一の層領域、第二の層領域、第三の層領域の順と
し、表面層のシリコン原子および炭素原子の含有量を層
厚方向に不均一な分布状態とした表面層を設けるととも
に、全ての層にフッ素原子、ホウ素原子炭素原子、酸素
原子、窒素原子を含有させた場合においても、基板側か
らChが10原子%以上25原子%以下、Egが1.6
5eV以上1.75eV以下、Euが50meV以上5
5meV以下である第一の層領域と、Chが15原子%
以上30原子%以下、Egが1.75eV以上1.85e
V以下、およびEuが55meV以上65meV以下で
ある第二の層領域と、Chが25原子%以上40原子%
以下、Egが1.80eV以上1.90eV以下、および
Euが50meV以上55meV以下である第三の層領
域を積層するとともに、周期律表第13族元素の第三の
層領域の表面側から0.5以上1.5μm以下までの領域
においては周期律表第13族に属する元素の含有量を微
少にすることで、電子写真用光受容部材として総合的に
良好な特性を示すことがわかった。
【0204】
【表13】
【0205】[実施例3]本例では、光導電層を電荷注
入阻止層側から第一の層領域、第二の層領域、第三の層
領域の順とし、表面層を構成する原子として、炭素原子
の代わりに窒素原子を表面層に含有させて設けた。
【0206】表14にこのときの光受容部材の作製条件
を示した。そのとき、第三の層領域の表面側から1.4
μmまでの領域においては周期律表第13族に属する元
素の含有量を0.05ppmになるようにした。本例で
は、光導電層の寧一の層領域のCh,Eg,Euは、それ
ぞれ18原子%、1.67eV,54meV、第二の層領
域のCh,Eg,Euは、それぞれ24原子%、1.81
eV,60meV、第三の層領域のCh,Eg,Euは、
それぞれ29原子%、1.85eV,55meVという結
果が得られた。また、作製した光受容部材を試験例1と
同様の評価をしたところ、同様に良好な電子写真特性が
得られた。
【0207】すなわち、光導電層を電荷注入阻止層側か
ら第一の層領域、第二の層領域の順とし、表面層を構成
する原子として、炭素原子の代わりに窒素原子をに含有
させた表面層を設けた場合においても、基板側から、C
hが10原子%以上25原子%以下、Egが1.65e
V以上1.75eV以下、Euが50meV以上55m
eV以下である第一の層領域と、Chが15原子%以上
30原子%以下、Egが1.75eV以上1.85eV以
下、およびEuが55meV以上65meV以下である
第二の層領域と、Chが25原子%以上40原子%以
下、Egが1.80eV以上1.90eV以下、およびE
uが50meV以上55meV以下である第三の層領域
を積層するとともに、周期律表第13族元素の第三の層
領域の表面側から0.5以上1.5μm以下までの領域に
おいては周期律表第13族に属する元素の含有量を微少
にすることで、電子写真用光受容部材として総合的に良
好な特性を示すことがわかった。
【0208】
【表14】
【0209】[実施例4]本例では、光導電層を電荷注
入阻止層側から第一の層領域、第二の層領域、第三の層
領域の順とし、表面層に室素原子および酸素原子を含有
させた。表15にこのときの光受容部材の作製条件を示
した。そのとき、第三の層領域の表面側から0.6μm
までの領域においては周期律表第13族に属する元素を
添加しなかった。
【0210】本例では、光導電層の第一の層領域の、C
h,Eg,Euは、それぞれ25原子%、1.74eV,5
4meV、第二の層領域のCh,Eg,Euは、それぞれ
30原子%、1.85eV,65meV、第三の層領域の
Ch,Eg,Euは、それぞれ39原子%、1.88eV,
55meVという結果が得られた。また、作製した光受
容部材を試験例1と同様の評価をしたところ、同様に良
好な電子写真特性が得られた。
【0211】すなわち、光導電層を電荷注入阻止層側か
ら第一の層領域、第二の層領域の順とし、表面層を構成
する原子として、窒素原子および酸素原子を含有させた
表面層を設けた場合においても、基板側からChが10
原子%以上25原子%以下、Egが1.65eV以上1.
75eV以下、Euが50meV以上55meV以下で
ある第一の層領域と、Chが15原子%以上30原子%
以下、Egが1.75eV以上1.85eV以下、および
Euが55meV以上65meV以下である第二の層領
域と、Chが25原子%以上40原子%以下、Egが
1.80eV以上1.90eV以下、およびEuが50m
eV以上55meV以下である第三の層領域を積層する
とともに、周期律表第13族元素の第三の層領域の表面
側から0.5以上1.5μm以下までの領域においては周
期律表第13族に属する元素の含有量を微少にすること
で、電子写真用光受容部材として総合的に良好な特性を
示すことがわかった。
【0212】
【表15】
【0213】[実施例5]本例では、光導電層に炭素源
としてCH4ガスを用いて炭素原子を含有する第一の層
領域と第二の層領域、第三の層領域および表面層を形成
した。表16に、このときの光受容部材の作製条件を示
した。そのとき、第三の層領域の表面側から1.0μm
までの領域においては周期律表第13族に属する元素の
含有量を0.08ppmになるようにした。
【0214】本例では、光導電層の第一の層領域の、C
h,Eg,Euは、それぞれ18原子%、1.68eV,5
0meV、第二の層領域のCh,Eg,Euは、それぞれ
28原子%、1.80eV,61meV、第三の層領域の
Ch,Eg,Euは、それぞれ28原子%、1.85eV,
54meVという結果が得られた。作製した光受容部材
を試験例1と同様の評価をしたところ、同様に良好な電
子写真特性が得られた。
【0215】すなわち、光導電層に炭素原子を含有さ
せ、電荷注入阻止層側から、第一の層領域、第二の層領
域の順とした二層構成とし、炭素原子を光導電層に含有
させた場合においても、基板側からChが10原子%以
上25原子%以下、Egが1.65eV以上1.75eV
以下、Euが50meV以上55meV以下である第一
の層領域と、Chが15原子%以上30原子%以下、E
gが1.75eV以上1.85eV以下、およびEuが5
5meV以上65meV以下である第二の層領域と、C
hが25原子%以上40原子%以下、Egが1.80e
V以上1.90eV以下、およびEuが50meV以上
55meV以下である第三の層領域を積層するととも
に、周期律表第13族元素の第三の層領域の表面側から
0.5以上1.5μm以下までの領域においては周期律表
第13族に属する元素の含有量を微少にすることで、電
子写真用光受容部材として総合的に良好な特性を示すこ
とがわかった。
【0216】
【表16】
【0217】[実施例6]本例では、光導電層を電荷注
入阻止層側から第一の層領域、第二の層領域の順とし、
表面層のシリコン原子および炭素原子の含有量を層厚方
向に不均一な分布状態とした表面層を設けた。表17
に、このときの光受容部材の作製条件を示した。そのと
き、第三の層領域の表面側から1.2μmまでの領域に
おいては周期律表第13族に属する元素の含有量を0.
1ppmになるようにした。そして、各層領域のB元素
の含有させる部分は、含有量を図10(b)の様に変化
させて含有させた。
【0218】本例では、光導電層の第一の層領域の、C
h,Eg,Euは、それぞれ15原子%、1.65eV,5
1meV、第二の層領域のCh,Eg,Euは、それぞれ
29原子%、1.83eV,65meV、第三の層領域の
Ch,Eg,Euは、それぞれ38原子%、1.87eV,
53meVという結果が得られた。作製した光受容部材
を試験例1と同様の評価をしたところ、同様に良好な電
子写真特性が得られた。
【0219】すなわち、光導電層を電荷注入阻止層側か
ら第一の層領域、第二の層領域、第三の層領域の順と
し、表面層のシリコン原子および炭素原子の含有量を層
厚方向に不均一な分布状態とした表面層を設けた場合に
おいても、光導電層の第一の層領域においてCh,Eg,
Euをそれぞれ10以上25原子%以下、1.65eV
以上1.75eV以下、50meV以上55meV以下
とし、第二の層領域においてCh,Eg,Euをそれぞれ
15以上30原子%以下、1.75eV以上1.85eV
以下、55mev以上65meV以下、第三の層領域に
おいてCh,Eg,Euをそれぞれ25以上40原子%以
下、1.80eV以上1.90eV以下、50meV以上
55meV以下で、且つ周期律表第13族元素の含有を
各層領域で支持体側で多くなるようにし、周期律表第1
3族元素の第一の層領域の最小含有量を0.1以上20
ppm以下および最大含有量を0.5以上50ppm以
下とし、第二の層領域の最小含有量を0.05以上10
ppm以下および最大含有量を0.1以上20ppm以
下とし、第三の層領域の最大含有量を0.01以上10
ppm以下とするとともに、周期律表第13族元素の第
三の層領域の表面側から0.5以上1.5μm以下までの
領域においては周期律表第13族に属する元素の含有量
を微少にすることで、電子写真用光受容部材として総合
的に良好な特性を示すことがわかった。
【0220】
【表17】
【0221】[実施例7]本例では、光導電層を電荷注
入阻止層側から第一の層領域、第二の層領域、第三の層
領域の順とし、表面層のシリコン原子および炭素原子の
含有量を層厚方向に不均一な分布状態とした表面層を設
けるとともに、全ての層にフッ素原子、ホウ素原子炭素
原子、酸素原子、窒素原子を含有させた。表18に、こ
のときの光受容部材の作製条件を示した。そのとき、第
三の層領域の表面側から1.2μmまでの領域において
は周期律表第13族に属する元素を添加しなかった。そ
して、各層領域のB元素の含有させる部分は、含有量を
図10(c)の様に変化させて含有させた。
【0222】本例では、光導電層の第一の層領域の、C
h,Eg,Euは、それぞれ18原子%、1.69eV、
53meV、第二の層領域のCh,Eg,Euは、それぞ
れ20原子%、1.80eV、62meV、第三の層領
域のCh,Eg,Euは、それぞれ40原子%、1.90
eV、55meVという結果が得られた。作製した光受
容部材を試験例1と同様の評価をしたところ、同様に良
好な電子写真特性が得られた。
【0223】すなわち、光導電層を電荷注入阻止層側か
ら第一の層領域、第二の層領域、第三の層領域の順と
し、表面層のシリコン原子および炭素原子の含有量を層
厚方向に不均一な分布状態とした表面層を設けるととも
に、全ての層にフッ素原子、ホウ素原子炭素原子、酸素
原子、窒素厚子を含有させた場合においても、光導電層
の第一の層領域において、Ch,Eg,Euをそれぞれ1
0以上25原子%以下、1.65eV以上1.75eV以
下、50meV以上55meV以下とし、第二の層領域
においてCh,Eg,Euをそれぞれ15以上30原子%
以下、1.75eV以上1.85eV以下、55meV以
上65meV以下、第三の層領域においてCh,Eg,E
uをそれぞれ25以上40原子%以下、1.80eV以
上1.90eV以下、50meV以上55meV以下
で、且つ周期律表第13族元素の含有を各層領域で支持
体側で多くなるようにし、周期律表第13族元素の第一
の層領域の最小含有量を0.1以上20ppm以下およ
び最大含有量を0.5以上50ppm以下とし、第二の
層領域の最小含有量を0.05以上10ppm以下およ
び最大含有量を0.1以上20ppm以下とし、第三の
層領域の最大含有量を0.01以上10ppm以下とす
るとともに、周期律表第13族元素の第三の層領域の表
面側から0.5以上1.5μm以下までの領域においては
周規律表第13族に属する元素の含有量を微少にするこ
とで、電子写真用光受容部材として総合的に良好な特性
を示すことがわかった。
【0224】
【表18】
【0225】[実施例8]本例では、光導電層を電荷注
入阻止層側から第一の層領域、第二の層領域、第三の層
領域とし、表面層を構成する原子として、炭素原子の代
わりに窒素原子を表面層に含有させて設けた。表19に
このときの光受容部材の作製条件を示した。そのとき、
第三の層領域の表面側から1.4μmまでの領域におい
ては周期律表第13族に属する元素の含有量を0.02
ppmになるようにした。そして、各層領域のB元素の
含有させる部分は、含有量を図10(d)の様に変化さ
せて含有させた。
【0226】本例では、光導電層の第一の層領域の、C
h,Eg,Euは、それぞれ15原子%、1.68eV,5
4meV、第二の層領域のCh,Eg,Euは、それぞれ
26原子%、1.82eV,63meV、第三の層領域の
Ch,Eg,Euは、それぞれ26原子%、1.82eV,
53meVという結果が得られた。また、作製した光受
容部材を試験例1と同様の評価をしたところ、同様に良
好な電子写真特性が得られた。
【0227】すなわち、光導電層を電荷注入阻止層側か
ら第一の層領域、第二の層領域、第三の層領域の順と
し、表面層を構成する原子として、炭素原子の代わりに
窒素原子をに含有させた表面層を設けた場合において
も、光導電層の第一の層領域においてCh,Eg,Euを
それぞれ10以上25原子%以下、1.65eV以上1.
75eV以下、50meV以上55meV以下とし、第
二の層領域においてCh,Eg,Euをそれぞれ15以上
30原子%以下、1.75eV以上1.85eV以下、5
5meV以上65meV以下、第三の層領域においてC
h,Eg,Euをそれぞれ25以上40原子%以下、1.
80eV以上1.90eV以下、50meV以上55m
eV以下で、且つ周期律表第13族元素の含有を各層領
域で支持体側で多くなるようにし、周期律表第13族元
素の第一の層領域の最小含有量を0.1以上20ppm
以下および最大含有量を0.5以上50ppm以下と
し、第二の層領域の最小含有量を0.05以上10pp
m以下および最大含有量を0.1以上20ppm以下と
し、第三の層領域の最大含有量を0.01以上10pp
m以下とするとともに、周期律表第13族元素の第三の
層領域の表面側から0.5以上1.5μm以下までの領域
においては周期律表第13族に属する元素の含有量を微
少にすることで、電子写真用光受容部材として総合的に
良好な特性を示すことがわかった。
【0228】
【表19】
【0229】[実施例9]本例では、光導電層を電荷注
入阻止層側から第一の層領域、第二の層領域、第三の層
領域の順とし、表面層に窒素原子および酸素原子を含有
させた。表20にこのときの光受容部材の作製条件を示
した。そのとき、第三の層領域の表面側から0.6μm
までの領域においては周期律表第13族に属する元素の
含有量を0.01ppmになるようにした。そして、各
層領域のB元素の含有させる部分は、含有量を図10
(e)の様に第一の層領域から直線的に変化し第三の層
領域で一定部分を持つように変化させて含有させた。
【0230】本例では、光導電層の第一の層領域の、C
h,Eg,Euは、それぞれ22原子%、1.75eV,5
5meV、第二の層領域のCh,Eg,Euは、それぞれ
29原子%、1.84eV,59meV、第三の層領域の
Ch,Eg,Euは、それぞれ35原子%、1.88e
V、54meVという結果が得られた。また、作製した
光受容部材を試験例1と同様の評価をしたところ、同様
に良好な電子写真特性が得られた。
【0231】すなわち、光導電層を電荷注入阻止層側か
ら第一の層領域、第二の層領域の順とし、表面層を構成
する原子として、窒素原子および酸素原子を含有させた
表面層を設けた場合においても、光導電層の第一の層領
域においてCh,Eg,Euをそれぞれ10以上25原子
%以下、1.65eV以上1.75eV以下、50meV
以上55meV以下とし、第二の層領域においてCh,
Eg,Euをそれぞれ15以上30原子%以下、1.75
eV以上1.85eV以下、55meV以上65meV
以下、第三の層領域においてCh,Eg,Euをそれぞれ
25以上40原子%以下、1.80eV以上1.90eV
以下、50meV以上55meV以下で、且つ周期律表
第13族元素の含有を各層領域で支持体側で多くなるよ
うにし、周期律表第13族元素の第一の層領域の、最小
含有量を0.1以上20ppm以下および最大含有量を
0.5以上50ppm以下とし、第二の層領域の最小含
有量を0.05以上10ppm以下および最大含有量を
0.1以上20ppm以下とし、第三の層領域の最大含
有量を0.01以上10ppm以下とするとともに、周
期律表第13族元素の第三の層領域の表面側から0.5
以上1.5μm以下までの領域においては周期律表第1
3族に属する元素の含有量を微少にすることで、電子写
真用光受容部材として総合的に良好な特性を示すことが
わかった。
【0232】
【表20】
【0233】[実施例10]本例では、光導電層に炭素
源としてCH4ガスを用いて炭素原子を含有する第一の
層領域と第二の層領域、第三の層領域および表面層を形
成した。表21に、このときの光受容部材の作製条件を
示した。そのとき、第二の層領域の表面側から1.0μ
mまでの領域においては周期律表第13族に属する元素
を添加しなかった。そして、各層領域のB元素の含有さ
せる部分は、含有量を図10(f)の様に変化させて含
有させた。
【0234】本例では、光導電層の第一の層領域の、C
h,Eg,Euは、それぞれ18原子%、1.72eV,5
3meV、第二の層領域のCh.Eg.Euは、それぞれ
23原子%、1.80eV,61meV、第二の層領域の
Ch,Eg,Euは、それぞれ28原子%、1.83eV
54meVという結果が得られた。作製した光受容部材
を試験例1と同様の評価をしたところ、同様に良好な電
子写真特性が得られた。
【0235】すなわち、光導電層に炭素原子を含有さ
せ、電荷注入阻止層側から、第一の層領域、第二の層領
域、第三の層領域の順とした三層構成とし、炭素原子を
光導電層に含有させた場合においても、光導電層の第一
の層領域においてCh,Eg,Euをそれぞれ10以上2
5原子%以下、1.65eV以上1.75eV以下、50
meV以上55meV以下とし、第二の層領域において
Ch,Eg,Euをそれぞれ15以上30原子%以下、
1.75eV以上1.85eV以下、55meV以上65
meV以下、第三の層領域においてCh,Eg,Euをそ
れぞれ25以上40原子%以下、1.80eV以上1.9
0eV以下、50meV以上55meV以下で、且つ、
周期律表第13族元素の含有を各層領域で支持体側で多
くなるようにし、周期律表第13族元素の第一の層領域
の最小含有量を0.1以上20ppm以下および最大含
有量を0.5以上50ppm以下とし、第二の層領域の
最小含有量を0.05以上10ppm以下および最大含
有量を0.1以上20ppm以下とし、第三の層領域の
最大含有量を0.01以上10ppm以下とするととも
に、周期律表第13族元素の第三の層領域の表面側から
0.5以上1.5μm以下までの領域においては周期律表
第13族に属する元素の含有量を微少にすることによ
り、電子写真用光受容部材として総合的に良好な特性を
示すことがわかった。
【0236】
【表21】
【0237】
【発明の効果】本発明によって、光受容部材の使用温度
領域での温度特性が飛躍的に改善されるとともに、光メ
モリーの発生を実質的になくすることができるために、
光受容部材の使用環境に対する安定性が向上し、ハーフ
トーンが鮮明に出て、且つ解像力の高い高品質の画像
を、安定して得ることができる電子写真用光受容部材が
得られる。
【0238】したがって、本発明の電子写真用光受容部
材を前述のごとき特定の構成としたことにより、a-Si
で構成された従来の電子写真用光受容部材における諸問
題をすべて解決することができ、特にきわめて優れた電
気的特性、光学的特性、光導電特性、画像特性、耐久性
および使用環境特性を示す。
【0239】特に本発明においては、光導電層を光学的
バンドギャップとギャップ内準位の異なる層領域に分割
し、且つ第三の層領域の表面側から0.5以上1.5μm
以下までの領域においては周期律表第13族に属する元
素の含有量を極微少にすることによって、帯電能が高
く、加えて周囲環境の変動に対する表面電位の変化が抑
制され、極めて優れた電位特性、画像特性を有する電子
写真用光受容部材が得られる。
【0240】またさらに、各層領域で伝導性を制御する
周期律表第13族元素を支持体側で多くなるように含有
することによって、帯電能が高くメモリーが改善され、
加えて、周囲環境の変動に対する表面電位の変化が抑制
され、極めて優れた電位特性、画像特性を有する電子写
真用光受容部材が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における指数関数裾の特性エネルギーを
説明するためのa-Siのサブギャップ光吸収スペクトル
の1例の模式図。
【図2】本発明の光受容部材の好適な実施態様例の層構
成を説明するための模式的層構成図。
【図3】本発明の光受容部材の光受容層を形成するため
の装置の一例で、RF帯の高周波電源を用いたグロー放
電法による光受容部材。製造装置の模式的説明図。
【図4】本発明の光受容部材における光導電層の第一の
層領域のアーバックテイルの特性エネルギー(Eu)と
帯電能との関係を示す図。
【図5】本発明の光受容部材における光導電層の第一の
層領域のアーバックテイルの特性エネルギー(Eu)と
温度特性との関係を示す図。
【図6】本発明の光受容部材における光導電層の第一の
層領域のアーバックテイルの特性エネルギー(Eu)と
メモリーとの関係を示す図。
【図7】本発明の光受容部材における光導電層の第三の
層領域のアーバックテイルの特性エネルギー(Eu)と
帯電能との関係を示す図。
【図8】本発明の光受容部材における光導電層の第三の
層領域のアーバックテイルの特性エネルギー(Eu)と
温度特性との関係を示す図。
【図9】本発明の光受容部材における光導電層の第三の
層領域のアーバックテイルの特性エネルギー(Eu)と
メモリーとの関係を示す図。
【図10】本発明の光受容部材において周期律表第13
族元素の分布を示す模式図。
【符号の説明】 200 光受容部材 201 導電性支持体 202 光受容層 203 光導電層 204 表面層 205 電荷注入阻止層 211 第一の層領域 212 第二の層領域 210 自由表面 3100,4100 堆積装置 3111,4111 反応容器 3112,4112 円筒状支持体 3113,4113 支持体加熱用ヒーター 3114 原料ガス導入管 3115,4116 マッチングボックス 3116 原料ガス配管 3117 反応容器リークバルブ 3118 メイン排気バルブ 3119 真空計 3200 原料ガス供給装置 3211〜3216 マスフローコントローラー 3221〜3226 原料ガスボンベ 3231〜3236 原料ガスボンベバルブ 3241〜3246 ガス流入バルブ 3251〜3256 ガス流出バルブ 3261〜3266 圧カ調整器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03G 5/08 314 G03G 5/08 314 315 315 316 316 333 333 334 334 335 335 336 336 (72)発明者 土田 伸史 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 新納 博明 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2H068 DA05 DA06 DA07 DA24 DA25 DA26 DA27 DA28 DA34 DA35 DA36 DA41 DA55 DA56 DA57 DA58

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水素原子および/またはハロゲン原子を
    含有しシリコン原子を母体とするアモルファス材料から
    なる光導電層を備えた電子写真用光受容部材において、
    水素原子および/またはハロゲン原子の含有量(Ch)
    が10原子%以上25原子%以下、光学的バンドギヤッ
    プ(Eg)が1.65eV以上1.75eV以下、ならび
    に光子エネルギー(hν)を独立変数とし光吸収スペク
    トルの吸収係数(α)を従属変数とする式(I) lnα=(1/Eu)・hν+α1 (I) で表される関数の直線関係部分(指数関数裾)から得ら
    れる特性エネルギー(Eu)が50meV以上55me
    V以下である第一の層領域と、Chが15原子%以上3
    0原子%以下、Egが1.75eV以上1.85eV以
    下、およびEuが55meV以上65meV以下である
    第二の層領域と、Chが25原子%以上40原子%以
    下、Egが1.80eV以上1.90eV以下、およびE
    uが50meV以上55meV以下である第三の層領域
    とを備え、且つ該光導電層が導電性支持体の表面上に、
    第一の層領域、第二の層領域、第三の層領域の順に積層
    されてなることを特徴とする電子写真用光受容部材。
  2. 【請求項2】 前記光導電層は、該光導電層全体の層厚
    に対する第一の層領域の層厚の比が0.01以上0.3以
    下であることを特徴とする、請求項1記載の光受容部
    材。
  3. 【請求項3】 前記光導電層は、該光導電層全体の層厚
    に対する第三の層領域の層厚の比が0.1以上0.3以下
    であることを特徴とする、請求項1記載の光受容部材。
  4. 【請求項4】 前記光導電層が、周期律表第13族に属
    する元素の少なくとも一種を含有することを特徴とす
    る、請求項1記載の光受容部材。
  5. 【請求項5】 前記光導電層が、該光導電層中に周期律
    表第13族に属する元素の少なくとも一種を含有し、各
    層領域の支持体側で増加してなることを特徴とする、請
    求項1記載の光受容部材。
  6. 【請求項6】 前記第三の層領域の表面側から0.5以
    上1.5μm以下までの領域においては、周期律表第1
    3族に属する元素の平均含有量が0以上0.1ppm以
    下であることを特徴とする、請求項1記載の光受容部
    材。
  7. 【請求項7】 前記光導電層の周期律表第13族に属す
    る元素の含有量は前記第一の層領域よりも第二の層領域
    が、第二の層領域よりも第三の層領域がより少ないこと
    を特徴とする、請求項1記載の光受容部材。
  8. 【請求項8】 前記第一の層領域の周期律表第13族に
    属する元素の平均含有量が、シリコン原子に対して0.
    1ppm以上25ppm以下であることを特徴とする、
    請求項1記載の光受容部材。
  9. 【請求項9】 前記第二の層領域の周期律表第13族に
    属する元素の平均含有量が、シリコン原子に対して0.
    05ppm以上15ppm以下であることを特徴とす
    る、請求項1記載の光受容部材。
  10. 【請求項10】 前記第三の層領域の周期律表第13族
    に属する元素の平均含有量が、シリコン原子に対して
    0.01ppm以上10ppm以下であることを特徴と
    する、請求項1記載の光受容部材。
  11. 【請求項11】 前記第一の層領域の周期律表第13族
    に属する元素の最小含有量が、シリコン原子に対して
    0.1ppm以上20pm以下であることを特徴とす
    る、請求項1記載の光受容部材。
  12. 【請求項12】 前記第一の層領域の周期律表第13族
    に属する元素の最大含有量が、シリコン原子に対して
    0.5ppm以上50ppm以下であることを特徴とす
    る、請求項1記載の光受容部材。
  13. 【請求項13】 前記第二の層領域の周期律表第13族
    に属する元素の最小含有量が、シリコン原子に対して
    0.05ppm以上10ppm以下であることを特徴と
    する、請求項1記載の光受容部材。
  14. 【請求項14】 前記第二の層領域の周期律表第13族
    に属する元素の最大含有量が、シリコン原子に対して
    0.1ppm以上20pm以下であることを特徴とす
    る、請求項1記載の光受容部材。
  15. 【請求項15】 前記第三の層領域の周期律表第13族
    に属する元素の最大含有量が、シリコン原子に対して
    0.01ppm以上10ppm以下であることを特徴と
    する、請求項1記載の光受容部材。
  16. 【請求項16】 前記光導電層が、該光導電層中に炭
    素、酸素、窒素の少なくとも一種を含むことを特徴とす
    る、請求項1ないし15のいずれかに記載の光受容部
    材。
  17. 【請求項17】 前記光導電層が、該光導電層表面上に
    炭素、酸素、窒素の少なくとも一種を含むシリコン系非
    単結晶材料からなる表面層が設けられてなることを特徴
    とする、請求項1ないし16のいずれかに記載の光受容
    部材。
  18. 【請求項18】 前記光導電層が、シリコン原子を母体
    とし、炭素、酸素、窒素の少なくとも一種および周期律
    表第13族から選ばれる元素の少なくとも一種を含む単
    結晶材料からなる電荷注入阻止層の表面上に設けられ、
    さらに該光導電層の表面上に、炭素、酸素、窒素の少な
    くとも一種を含むシリコン系非単結晶材料からなる前記
    表面層が設けられてなることを特徴とする請求項1ない
    し17のいずれかに記載の光受容部材。
  19. 【請求項19】 前記表面層は、その層厚が0.01〜
    3μmであることを特徴とする、請求項17または18
    記載の光受容部材。
  20. 【請求項20】 前記電荷注入阻止層は、その層厚が
    0.1〜5μmであることを特徴とする請求項18記載
    の光受容部材。
  21. 【請求項21】 前記光導電層の層厚が20〜50μm
    であることを特徴とする、請求項1ないし20のいずれ
    かに記載の光受容部材。
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WO2010098414A1 (en) * 2009-02-25 2010-09-02 Canon Kabushiki Kaisha Image forming method

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