JPH1195468A - 電子写真用光受容部材 - Google Patents

電子写真用光受容部材

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JPH1195468A
JPH1195468A JP25202997A JP25202997A JPH1195468A JP H1195468 A JPH1195468 A JP H1195468A JP 25202997 A JP25202997 A JP 25202997A JP 25202997 A JP25202997 A JP 25202997A JP H1195468 A JPH1195468 A JP H1195468A
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JP25202997A
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Hiroaki Niino
博明 新納
Satoshi Furushima
聡 古島
Nobufumi Tsuchida
伸史 土田
Daisuke Tazawa
大介 田澤
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Original Assignee
Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 露光用光源としてLEDや半導体レーザーを
用いた時の帯電能、温度特性、光メモリー、感度変動を
改善し、優れた電位特性、画像特性を有する光受容部材
を提供する。 【解決手段】 光導電層103は支持体101側から第
1の層領域111、第2の層領域112および第3の層
領域113の順で構成され、各層領域の水素原子及び/
またはハロゲン原子の含有量(Ch)、光学的バンドギ
ャップ(Eg)並びに光エネルギー(hν)を独立変数
とし光吸収スペクトルの吸収係数(α)を従属変数とす
る式(I) 1nα=(1/Eu)・hν+α1
(I) で表される関数の直線関係部分(指数関数裾)から得ら
れる特性エネルギー(Eu)の少なくとも一つが異な
り、第1〜第3層領域における水素含有量、光学的バン
ドギャップ及び指数関数裾の特定エネルギーが特定範囲
内にあり、光導電層全体に占める第3領域の割合が0.
03以上0.5以下であることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光(ここでは広義の
光であって、紫外線、可視光線、赤外線、X線、γ線な
どを意味する。)のような電磁波に対して感受性のある
光受容部材に関する。
【0002】
【従来の技術】像形成分野において、光受容部材におけ
る光受容層を形成する光導電材料としては、高感度で、
SN比〔光電流(Ip)/暗電流(Id)〕が高く、照
射する電磁波のスペクトル特性に適合した吸収スペクト
ルを有すること、光応答性が早く、所望の暗抵抗値を有
すること、使用時において人体に対して無害であるこ
と、等の特性が要求される。特に、事務機としてオフィ
スで使用される電子写真装置内に組み込まれる光受容部
材の場合には、上記の使用時における無公害性は重要な
点である。
【0003】この様な点に優れた性質を示す光導電材料
に水素化アモルファスシリコン(以下、・「a−Si:
H」と表記する)があり、例えば、特公昭60−350
59号公報には電子写真用光受容部材としての応用が記
載されている。
【0004】このような光受容部材は、一般的には、導
電性支持体を50℃〜350℃に加熱し、該支持体上に
真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング
法、熱CVD法、光CVD法、プラズマCVD法等の成
膜法によりa−Siからなる光導電層を形成する。なか
でもプラズマCVD法、すなわち、原料ガスを高周波あ
るいはマイクロ波グロー放電によって分解し、支持体上
にa−Si堆積膜を形成する方法が好適なものとして実
用に付されている。
【0005】また、特開昭56−83746号公報にお
いては、導電性支持体と、ハロゲン原子を構成要素とし
て含むa−Si(以下、「a−Si:X」と表記する)
光導電層からなる電子写真用光受容部材が提案されてい
る。当該公報においては、a−Siにハロゲン原子を1
乃至40原子%含有させることにより、耐熱性が高く、
電子写真用光受容部材の光導電層として良好な電気的、
光学的特性を得ることができるとしている。
【0006】また、特開昭57−115556号公報に
は、a−Si堆積膜で構成された光導電層を有する光導
電部材の、暗抵抗値、光感度、光応答性等の電気的、光
学的、光導電的特性及び耐湿性等の使用環境特性、さら
には経時的安定性について改善を図るため、シリコン原
子を母体としたアモルファス材料で構成された光導電層
上に、シリコン原子及び炭素原子を含む非光導電性のア
モルファス材料で構成された表面障壁層を設ける技術が
記載されている。更に、特開昭60−67951号公報
には、アモルファスシリコン、炭素、酸素及び弗素を含
有してなる透光絶縁性オーバーコート層を積層する感光
体についての技術が記載され、特開昭62−16816
1号公報には、表面層として、シリコシ原子と炭素原子
と41〜70原子%の水素原子を構成要素として含む非
晶質材料を用いる技術が記載されている。
【0007】そして、特開昭58−88115号公報に
は、アモルファスシリコン感光体の画像品質向上のため
に、光導電層において支持体側で周期律表第III族の
原子を多く含有することが開示されており、特開昭62
−112166号公報には、SiH4に対するB26
流量比を3.3×10-7以上に保ってキャリア輸送層の
生成を行い残像現象をなくす技術が開示されている。
【0008】さらに、特開昭62−83470号公報に
は、電子写真用感光体の光導電層において光吸収スペク
トルの指数関数裾の特性エネルギーを0.09eV以下
にすることにより残像現象のない高品質の画像を得る技
術が開示されている。
【0009】そして、特開昭58−21257号号公報
には、光導電層の作成中に支持体温度を変化させするこ
とにより光導電層内で禁止帯幅を変化させ、高抵抗であ
って光感度領域の広い感光体を得る技術が開示され、特
開昭59−143379号公報ならびに特開昭61−2
01481号公報には、水素含有量の異なるa−Si:
Hを積層することにより暗抵抗が高く高感度の感光体を
得る技術が開示されている。
【0010】一方、特開昭60−95551号公報に
は、アモルファスシリコン感光体の画像品質向上のため
に、感光体表面近傍の温度を30乃至40℃に維持して
帯電、露光、現像および転写といった画像形成行程を行
うことにより、感光体表面での水分の吸着による表面抵
抗の低下とそれに伴って発生する画像流れを防止する技
術が開示されている。
【0011】これらの技術により、電子写真用光受容部
材の電気的、光学的、光導電的特性及び使用環境特性が
向上し、それに伴って画像品質も向上してきた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
a−Si系材料で構成された光導電層を有する電子写真
用光受容部材は、暗抵抗値、光感度、光応答性等の電気
的、光学的、光導電特性、及び使用環境特性の点、さら
には経時安定性および耐久性の点において、各々個々に
は特性の向上が図られてはいるが、総合的な特性向上を
図る上でさらに改良される余地が存在するのが実情であ
る。
【0013】特に、電子写真装置の高画質、高速化、高
耐久化は急速に進んでおり、電子写真用光受容部材にお
いては電気的特性や光導電特性の更なる向上とともに、
帯電能、感度を維持しつつあらゆる環境下で大幅に性能
を延ばすことが求められている。
【0014】そして、電子写真装置の画像特性向上のた
めに電子写真装置内の光学露光装置、現像装置、転写装
置等の改良がなされた結果、電子写真用光受容部材にお
いても従来以上の画像特性の向上が求められるようにな
った。
【0015】このような状況下において、前述した従来
技術により上記課題についてある程度の特性向上が可能
になってはきたが、更なる帯電能や画像品質の向上に関
しては未だ充分とはいえない。特にアモルファスシリコ
ン系光受容部材の更なる高画質化への課題として、周囲
温度の変化による電子写真特性の変動やブランクメモリ
ーやゴーストといった光メモリーを低減することがいっ
そう求められるようになってきた。
【0016】例えば、従来は感光体の画像流れの防止の
ために前記特開昭60−95551号公報に記載されて
いるように、複写機内にドラムヒーターを設置して感光
体の表面温度を40℃程度に保っていた。しかしなが
ら、従来の感光体では前露光キャリアや熱励起キャリア
の生成に起因した帯電能の温度依存性、いわゆる温度特
性が大きく、複写機内の実際の使用環境下では本来感光
体が有しているよりも帯電能が低い状態で使用せざるを
えなかった。例えば、室温での使用時に比べてドラムヒ
ーターで40℃程度に加熱している状態では帯電能が1
00V程度低下してしまっていた。
【0017】また、従来は複写機を使用しない夜間でも
ドラムヒーターに通電して、帯電器のコロナ放電によっ
て生成されたオゾン生成物が夜間に感光体表面に吸着す
ることによって発生する画像流れを防止するようにして
いた。しかし、現在では省資源・省電力のために複写機
の夜間通電を極力行わないようになってきている。この
ような状態で複写をすると複写機内の感光体周囲温度が
徐々に上昇し、それにつれて帯電能が低下して、複写中
に画像濃度が変わってしまうという問題が生じていた。
【0018】さらに、同一原稿を連続して繰り返し複写
すると、画像上に前回の複写行程での像露光の残像が生
じるいわゆるゴーストや、トナーを節約するために連続
複写時の紙間において感光体に照射される、いわゆるブ
ランク露光の影響によって複写画像上に濃度差が生じる
ブランクメモリー等が画像品質を向上させる上で問題に
なってきた。
【0019】一方、近年のオフィスや一般家庭へのコン
ピューターの普及が進み、電子写真装置も従来の複写機
としてだけでなく、ファクシミリやプリンターの役目を
担うためにデジタル化することが求められるようになっ
てきた。そのための露光光源として用いられる半導体レ
ーザーやLEDは、発光強度や価格の点から近赤外から
赤色可視光までの比較的長波長のものが主流である。そ
のため、従来のハロゲン光を用いたアナログ機には見ら
れなかった特性上の課題について改善することが求めら
れるようになった。
【0020】特に、露光量と感光体表面電位の関係、い
わゆるE−V特性(曲線)が温度によってシフトする
(感度の温度特性)ことや、E−V特性(曲線)が鈍っ
てその直線性(感度の直線性)が低下することが半導体
レーザーやLEDを用いることによる特徴的なこととし
て表面化してきた。
【0021】すなわち、半導体レーザーやLEDを露光
光源として用いたデジタル機では、前述のドラムヒータ
ーによる感光体温度の制御をしない場合、感度の温度特
性や感度の直線性の低下のために、周囲温度によって感
度が変化して画像濃度が変わってしまうという新たな課
題が生じてしまう。
【0022】したがって、電子写真用光受容部材を設計
する際に、上記したような課題が解決されるように電子
写真用光受容部材の層構成、各層の化学的組成など総合
的な観点からの改良を図るとともに、a−Si材料その
ものの一段の特性改良を図ることが必要とされている。
【0023】本発明は、上述した従来のa−Siで構成
された光受容層を有する電子写真用光受容部材における
諸問題を解決することを目的とするものである。
【0024】すなわち、本発明の主たる目的は、帯電能
の向上と、温度特性の低減および光メモリーの低減を高
次元で両立して画像品質を飛躍的に向上させた、シリコ
ン原子を母体とした非単結晶材料で構成された光受容層
を有する電子写真用光受容部材を提供することにある。
【0025】さらに、像露光光源として半導体レーザー
やLEDを用いたときの感度の温度特性や感度の直線性
を改善して画像品質を飛躍的に向上させた、シリコン原
子を母体とした非単結晶材料で構成された光受容層を有
する電子写真用光受容部材を提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明者らは、光導電層のキャリアの挙動に着目
し、a−Siのバンドギャップ内の局在状態密度分布と
温度特性や光メモリーとの関係について鋭意検討した結
果、光導電層の厚さ方向において、水素含有量、光学的
バンドギャップやバンドギャップ内の局在状態密度の分
布を制御することにより上記目的を達成できるという知
見を得た。すなわち、シリコン原子を母体とし、水素原
子及び/またはハロゲン原子を含有する非単結晶材料で
構成された光導電層を有する電子写真用光受容部材にお
いて、その層構造を特定化するように設計されて作成さ
れた電子写真用光受容部材は、実用上著しく優れた特性
を示すばかりでなく、従来の電子写真用光受容部材と比
べてみてもあらゆる点において凌駕していること、特に
電子写真用の光受容部材として優れた特性を有している
ことを見いだした。
【0027】また、本発明者らは、像露光光源として長
波長光(半導体レーザーやLED)を用いた場合の光電
変換に関わる光入射部について、水素含有量、光学的バ
ンドギャップやバンドギャップ内の局在状態密度の分布
を制御することにより感度の温度特性や感度の直線性を
も改善することができるという知見を得た。
【0028】さらに、本発明者らは、阻止層との界面領
域の水素含有量、光学的バンドギャップやバンドギャッ
プ内の局在状態密度の分布を制御することにより阻止層
との密着性を向上すると共に画像濃度の均一性(いわゆ
るガサツキ)をも改善することができるという知見を得
た。
【0029】このようなことから、本発明は以下のよう
な発明を提供するものである。
【0030】すなわち、本発明は、少なくとも導電性支
持体と、該導電性支持体の表面上に、水素原子及び/ま
たはハロゲン原子を含有しシリコン原子を母体とするア
モルファス材料からなる光導電層を備えた電子写真用光
受容部材において、該光導電層は、支持体側から第1の
層領域、第2の層領域および第3の層領域の順で構成さ
れ、各層領域では、水素原子及びまたはハロゲン原子の
含有量(Ch)、光学的バンドギャップ(Eg)、なら
びに光子エネルギー(hν)を独立変数とし光吸収スペ
クトルの吸収係数(α)を従属変数とする式(I) lnα=(1/Eu)・hν+α1 (I) で表される関数の直線関係部分(指数関数裾)から得ら
れる特性エネルギー(Eu)の少なくとも一つが異な
り、第1の層領域における水素含有量が25〜40原子
%、光学的バンドギャップが1.8〜1.9eV、指数
関数裾の特性エネルギーが50〜55meVであり、第
2の層領域における水素含有量が15〜30原子%、光
学的バンドギャップが1.75〜1.85eV、指数関
数裾の特性エネルギーが55〜65meVであり、第3
の層領域における水素含有量が10〜25原子%、光学
的バンドギャップが1.7〜1.8eV、指数関数裾の
特性エネルギーが50〜55meVであって、光導電層
全体に占める第3の層領域の割合が0.03以上0.5
以下であることを特徴とする電子写真用光受容部材を提
案するものであり、また、本発明は、少なくとも導電性
支持体と、該導電性支持体の表面上に、水素原子及的ま
たはハロゲン原子ならびに周期律表第IIIb族に属す
る少なくとも二つの元素とを含有し、シリコン原子を母
体とするアモルファス材料からなる光導電層を備えた電
子写真用光受容部材において、該光導電層は、支持体側
から第1の層領域、第2の層領域および第3の層領域の
順で構成され、各層領域では、水素原子及び/またはハ
ロゲン原子の含有量(Ch)、光学的バンドギャップ
(Eg)、ならびに光子エネルギー(hν)を独立変数
とし光吸収スペクトルの吸収係数(α)を従属変数とす
る式(I) 1nα=(1/Eu)・hν+α1 (I) で表される関数の直線関係部分(指数関数裾)から得ら
れる特性エネルギー(Eu)の少なくとも一つが異な
り、第1の層領域における水素含有量が25〜40原子
%、光学的バンドギャップが1.8〜1.9eV、指数
関数裾の特性エネルギーが50〜55meVであり、第
2の層領域における水素含有量が15〜30原子%、光
学的バンドギャップが1.75〜1.85eV、指数関
数裾の特性エネルギーが55〜65meVであり、第3
の層領域における水素含有量が10〜25原子%、光学
的バンドギャップが1.7〜1.8eV、指数関数裾の
特性エネルギーが50〜55meVであって、光導電層
全体に占める第3の層領域の割合が0.03以上0.5
以下であり、かつ前記光導電層の光の入射側における周
期律表第IIIb族に属する元素の含有量が、前記光導
電層の支持体側における周期律表第IIIb族に属する
元素の含有量より少ないことを特徴とする電子写真用光
受容部材を提案するものであり、前記第3の層領域は、
像露光に用いる光のピーク波長の50%〜95%を吸収
するのに要する部分であること、前記第3の層領域の周
期律表第IIIb族に属する元素の含有量がその他の層
領域における周期律表第IIIb族に属する元素の含有
量に比べて少ないこと、前記第3の層領域の周期律表第
IIIb族に属する元素の含有量は、シリコン原子に対
して0.01〜10ppmであること、前記第1の層領
域および第2の層領域の周期律表第IIIb族に属する
元素の含有量は、シリコン原子に対して0.2ppm〜
30ppmであること、前記光導電層の光の入射側から
露光波長の70%以上を吸収するに要する領域での周期
律表第IIIb族に属する元素の含有量が、前記光導電
層のその他の領域における周期律表第IIIb族に属す
る元素の含有量より少ないこと、その光導電層は、第3
の光導電領域の光の入射側から像露光の70%以上を吸
収するに要する領域での周期律表第IIIb族に属する
元素の含有量が、シリコン原子に対して0.01ppm
以上5ppm以下であること、その光導電層は、光導電
層に含有される周期律表第IIIb族に属する元素の含
有量が、支持体側から光の入射側に向かって階段状に減
少していること、その光導電層は、光導電層に含有され
る周期律表第IIIb族に属する元素の該含有量が、支
持体側から光の入射側に向かって滑らかに減少している
こと、その光導電層は、その光導電層中に炭素、酸素、
窒素の少なくとも一つを含むこと、その光導電層は、そ
の表面上に炭素、酸素、窒素の少なくとも一つを含むシ
リコン系非単結晶材料からなる表面層が設けられている
こと、その光導電層は、シリコン原子を母体とし、炭
素、酸素、窒素の少なくとも一つおよび周期律表第II
Ib族または第Vb族から選ばれる元素の少なくとも一
つを含む非単結晶材料からなる電荷注入阻止層の表面上
に設けられ、更に該光導電層の表面上に、炭素、酸素、
窒素の少なくとも一つを含むシリコン系非単結晶材料か
らなる表面層が設けられていること、その光導電層は、
層厚が20〜50μmであること、その表面層は、その
層厚が0.01〜3μmであること、その電荷注入阻止
層は、その層厚が0.1〜5μmであることを含む。
【0031】次に、本発明における「指数関数裾」およ
び「特性エネルギー」について図3を用いで詳しく説明
する。
【0032】図3は、横軸に光子エネルギーhν、縦軸
に吸収係数αを対数軸としで示したa−Siのサブギャ
ッブ光吸収スペクトルの1例である。このスペクトルは
大きく二つの部分に分けられる。すなわち吸収係数αが
光子エネルギーhνに対して指数関数的、すなわち直線
的に変化する部分B(指数関数裾またはUrbachテ
イル)と、αがhνに対しより緩やかな依存性を示す部
分Aである。
【0033】B領域はa−Si中の価電子帯側のテイル
準位から伝導帯への光学遷移による光吸収に対応し、B
領域の吸収係数αのhνに対する指数関数的依存性は次
式で表される。
【0034】α=αoexp(hν/Eu) この両辺の対数をとると lnα=(1/Eu)・hν+α1 ただし、α1=lnαo となり、特性エネルギーEuの逆数(1/Eu)が、B
部分の傾きを表すことになる。Euは価電子帯側のテイ
ル準位の指数関数的エネルギー分布の特性エネルギーに
相当するため、Euが小さければ価電子帯側のテイル準
位が少ないことを意味する。
【0035】また、本発明において用いられている感度
の温度特性および感度の直線性について図4を用いて説
明する。
【0036】図4は、室温(ドラムヒーターOFF)と
約45℃(ドラムヒーターON)において、それぞれ感
光体の暗電位として400Vの表面電位に帯電し、次に
露光光源として680nmのLED光を照射して露光量
を変えた時の表面電位(明電位)の変化、いわゆるE−
V特性(曲線)の1例である。
【0037】感度の温度特性は、暗電位と明電位の差が
200Vとなる時(△200)の露光量(半減露光量)
の室温での値と約45℃での値との差である。
【0038】また、感度の直線性は、暗電位と明電位の
差が350Vとなる時(△350)の露光量(実測値)
と、露光なしの点(暗状態)と半減露光量を照射した状
態の点とを結ぶ直線を外挿して△350となる露光量
(計算値)との差である。
【0039】いずれもその値が小さいほど感光体として
良好な特性を示すことを意味する。
【0040】本発明者らは、光学的バンドギャップ(以
下、「Eg」と略記する)ならびにCPMによって測定
されたサブバンドギャップ光吸収スペクトルから求めら
れる指数関数裾(アーバックテイル)の特性エネルギー
(以下、「Eu」と略記する)と感光体特性との相関を
種々の条件に渡って調べた結果、Eg、Euとa−Si
感光体の帯電能、温度特性や光メモリーとが密接な閥係
にあることを見いだし、さらに、それらの異なる層を積
層することにより良好な感光体特性を発揮することを見
いだし本発明を完成するに至った。
【0041】特に、像露光光源として半導体レーザーや
LEDを用いた時の光入射部のEg、Euと半導感光体
特性を詳細に検討した結果、Eg、Euと感度の温度特
性、感度の直線性とが密接な関係にある事を見いだし、
光入射部のEg、Euを特定の範囲内に制御することに
より半導体レーザーやLEDといった長波長光に適した
感光体特性を発揮することを見いだし本発明を完成する
に至った。
【0042】さらに、入射光の吸収領域と導電性を制御
する物質である周期律表第IIIb族に属する元素の含
有量について詳細に調べた結果、上記特性を特定した膜
を入射光の吸収領域により周期律表第IIIb族に属す
る元素の含有量を規定し、さらに、周期律表第IIIb
族に属する元素の含有量を光の入射側が支持体側に比べ
て少ない分布状態にすることにより、より良好な感光体
特性を発揮することを見いだし本発明を完成するに至っ
た。
【0043】すなわち、光学的バンドギャップが比軟的
大きく、キャリアの局在準位への捕獲率を従来に比べ小
さくした層領域を主たる光導電層とすることにより、帯
電能を向上させつつ温度特性を低減させ、なおかつ光メ
モリーを実質的になくすることができること、そして、
主たる光導電層に比べ光学的バンドギャップが小さく、
キャリアの局在準位への捕獲率をさらに小さくした層領
域を光導電層の表面側に配設して光電変換部とすること
により、感度の温度特性及び感度の直線性を大幅に改善
することができることが本発明者らの実験により明らか
になった。
【0044】また、主たる光導電層に比べ光学的パンド
ギヤップが大きく、キャリアの局在準位への捕獲率を小
さくした層領域を光導電層と阻止層の界面領域に介在さ
せることにより、帯電能の向上と温度特性および光メモ
リーの低減とを両立させ、なおかつ画像濃度の微少領域
での均一性(いわゆるガサツキ)が低減されることも明
らかになった。
【0045】これをさらに詳しく説明すると、一般的
に、a−Si:Hのバンドギャップ内には、Si−Si
結合の構造的な乱れにもとづくテイル(裾)準位と、S
iの未結合手(ダングリングボンド)等の構造欠陥に起
因する深い準位が存在する。これらの準位は電子、正孔
の捕獲、再結合中心として働き素子の特性を低下させる
原因になることが知られている。
【0046】このようなバンドギャップ中の局在準位の
状態を測定する方法として、一般に深準位分光法、等温
容量過渡分光法、光熱偏向分光法、光音響分光法、一定
光電流法等が用いられている。中でも一定光電流法(C
onstant Photocurrent Meth
od:以後、「CPM」と略記する)は、a−Si:H
の局在準位にもとづくサブギャップ光.吸収スペクトル
を簡便に測定する方法として有用である。
【0047】ドラムヒーター等で感光体を加熱したとき
に帯電能が低下する原因として、熱励起されたキャリア
が帯電時の電界に引かれてバンド裾の局在準位やバンド
ギャップ内の深い局在準位への捕獲、放出を繰り返しな
がら表面に走行し、表面電荷を打ち消してしまうことが
挙げられる。この時、帯電器を通過する間に表面に到達
するしたキャリアについては帯電能の低下にはほとんど
影響がないが、深い準位に捕獲されたキャリアは、帯電
器を通過した後に表面へ到達して表面電荷を打ち消すた
めに温度特性として観測される。また、帯電器を通過し
た後に熱励起されたキャリアも表面電荷を打ち消し帯電
能の低下を引き起こす。したがって、光学的バンドギャ
ップを大きくすることにより熱励起キャリアの生成を抑
える、あるいはキャリアの走行性を向上させることが温
度特性の向上のために必要である。
【0048】さらに、光メモリーはブランク露光や像露
光によって生じた光キャリアがバンドギャップ内の局在
準位に捕獲され、光導電層内にキャリアが残留すること
によって生じる。すなわち、ある複写行程において生じ
た光キャリアのうち光導電層内に残留したキャリアが、
次回の帯電時あるいはそれ以降に表面電荷による電界に
よって掃き出され、光の照射された部分の電位が他の部
分よりも低くなり、その結果画像上に濃淡が生じる。し
たがって、光キャリアが光導電層内に極力残留すること
なく、1回の複写行程で走行するように、キャリアの走
行性を改善しなければならない。
【0049】また、感度の温度特性は、光導電層の電子
と正孔の走行性の違いが大きい上に、走行性が温度によ
って変化するために生じる。光入射部ではキャリア(電
子−正孔対)が生成され、正帯電の場合、電子は表面層
側へ正孔は支持体側へと走行するが、半導体レーザーや
LEDではその波長とa−Siの吸収係数の関係から光
が深くまで進入してキャリアの生成領域が厚くなってし
まう。そして、その光入射部で正孔と電子が混在する
と、支持体や表面に達するまでに再結合をしてしまう割
合が多くなる。その再結合の割合が捕獲中心からの熱励
起により変化するために、露光量すなわち光生成キャリ
アの数と表面電位を打ち消すキャリア数が温度によって
変化することになり、その結果感度が温度によって変わ
ることとなる。
【0050】したがって、光入射部での再結合の割合を
少なくする、すなわち捕獲中心となる深い準位を減ら
し、正孔と電子の混在領域が極力少なくなるように光の
吸収率を大きく、かつキャリアの走行性を改善しなけれ
ばならない。
【0051】さらに、半導体レーザーやLEDの露光量
が多くなるにしたがって、相対的に表面から深い場所で
の光生成キャリアの数が増加し、表面電荷を打ち消すに
必要なキャリア(正帯電の場合は電子)の走行距離が増
加するために感度の直線性が生じる。したがって、光入
射部の光の吸収率を高めると共に、光入射部の電子の走
行性と正孔の走行性を改善し、伝導性を制御する物質の
含有量の分布を変えて、そのバランスを取らなければな
らない。
【0052】したがって、Chを少なくしてEgを狭く
しつつEuを制御(低減)した層領域を光入射部として
表面側に設けることにより、熱励起キャリアや光キャリ
アが局在準位に捕獲される割合を小さくすることができ
るためにキャリアの走行性が改善される。そして、Eg
を小さくすることで長波長光の吸収が大きくなって光入
射部を薄くすることができるために、正孔−電子の混在
領域が縮小できる。また、支持体側の光導電層は主たる
キャリアを正孔としてその走行性を改善した層設計が可
能となる。
【0053】また、Chを比較的多くしてEgを拡大し
つつEuを制御した層領域を主たる光導電層として用い
ることによって、熱励起キャリアの生成が抑えられ、な
おかつ熱励起キャリアや光キャリアが局在準位に捕獲さ
れる割合を小さくすることができるためにキャリアの走
行性が改善される。
【0054】そして、Chを多くしてEgを拡大しつつ
Euを(低減)した層領域を主持体側に配設することに
よつて、電荷の注入阻止能力が強花されて暗減衰の温度
による変動が減少するために帯電能が向上しつつその温
度特性が低減され、光キャリアが局在準位に捕獲される
割合を小さくすることができてキャリアの走行性が飛躍
的に改善され、支持体(阻止層)への電荷の移勲がスム
ース行われるようになるために、微少な画像濃度のムラ
(ガサツキ)が改善される。
【0055】つまり、光導電層の表面側に第3の層領域
を設けて、実質的に光を吸収する領域を第3の層領域と
することによって、帯電能、メモリー、特に半導体レー
ザーやLEDを像露光光源として用いた時の感度の温度
特性、感度の直線性の点で顕著な効果が認められ、光導
電層の支持体側に第1の層領域を設けることにより、特
に帯電能、温度特性、ガサツキの点で顕著な効果が見ら
れる。
【0056】本発明は上記構成によって、帯電能の向上
と温度特性の減少ならびに光メモリーの低減と半導体レ
ーザーやLEDを像露光光源として用いた時の感度の温
度特性、感度の直線性とを高い次元で両立させ、前記し
た従来技術における諸問題の全てを解決することがで
き、極めて優れた電気的、光学的、光導電的特性、画像
品質、耐久性および使用環境性を示す光受容部材を得る
ことができる。
【0057】
【発明の実施の形態】以下、図面に従って本発明の光受
容部材について詳細に説明する。
【0058】図1は、本発明の光受容部材の層構成を説
明するための模式的構成図である。
【0059】図1(a)に示す光受容部材100は、光
受容部材用としての支持体101の上に、光受容層10
2が設けられている。該光受容層102はa−Si:
H,Xからなり光導電性を有する光導電層103で構成
され、光導電層103は支持体101側から順に第1の
層領域111、第2の層領域112、第3の層領域11
3からなっている。
【0060】図1(b)に示す光受容部材100は、光
受容部材用としての支持体101の上に、光受容層10
2が設けられている。該光受容層102はa−Si:
H,Xからなり光導電性を有する光導電層103と、ア
モルファスシリコン系表面層104とから構成されてい
る。また、光導電層103は支持体101側から順に第
1の層領域111、第2の層領域112、第3の層領域
113からなっている。図1(c)に示す光受容部材1
00は、光受容部材用としての支持体101の上に、光
受容層102が設けられている。該光受容層102は支
持体101側から順にアモルファスシリコン系電荷注入
阻止層105と、a−Si:H,Xからなり光導電性を
有する光導電層103と、アモルファスシリコン系表面
層104とから構成されている。また、光導電層103
は支持体101側から順に第1の層領域111、第2の
層領域112、第3の層領域113からなっている。
【0061】また、図2は、本発明の光受容部材の光導
電層における周期律表第IIIb族に属する元素の分布
状態を説明するための模式図である。 〈支持体〉本発明において使用される支持体としては、
導電性でも電気絶縁性であってもよい。導電性支持体と
しては、Al、Cr、Mo、Au、In、Nb、Te、
V、Ti、Pt、Pd、Fe等の金属、およびこれらの
合金、例えばステンレス等が挙げられる。また、ポリエ
ステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロース
アセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリス
チレン、ポリアミド等の合成樹脂のフィルムまたはシー
ト、ガラス、セラミック等の電気絶縁性支持体の少なく
とも光受容層を形成する側の表面を導電処理した支持体
も用いることができる。
【0062】本発明に於いて使用される支持体101の
形状は平滑表面あるいは凹凸表面の円筒状または無端ベ
ルト状であることができくその厚さは、所望通りの光受
容部材100を形成し得るように適宜決定するが、光受
容部材100としての可撓性が要求される場合には、支
持体101としての機能が充分発揮できる範囲内で可能
な限り薄くすることができる。しかしながら、支持体1
01は製造上および取り扱い上、機械的強度等の点から
通常は10μm以上とされる。
【0063】特にレーザー光などの可干渉性光を用いて
像記録を行う場合には、可視画像において現われる、い
わゆる干渉縞模様による画像不良をより効果適に解消す
るために、支持体101の表面に凹凸を設けてもよい。
支持体101の表面に設けられる凹凸は、特開昭60−
168156号公報、同60−178457号公報、同
60−225854号公報等に記載された公知の方法に
より作成される。
【0064】また、レーザー光などの可干渉光を用いた
場合の干渉縞模様による画像不良をより効果的に解消す
る別の方法として、支持体101の表面に複数の球状痕
跡窪みによる凹凸形状を設けてもよい。即ち、支持体1
01の表面が光受容部材100に要求される解像力より
も微少な凹凸を有し、しかも該凹凸は、複数の球状痕跡
窪みによるものである。支持体101の表面に設けられ
る複数の球状痕跡窪みによる凹凸は、特開昭61−23
1561号公報に記載された公知の方法により作成され
る。 〈光導電層〉本発明に於いて、その目的を効果的に達成
するために支持体101上に形成され、光受容層102
の一部を構成する光導電層103は真空堆積膜形成方法
によって、所望特性が得られるように適宜成膜パラメー
ターの数値条件が設定されて作成される。具体的には、
例えばグロー放電法(低周波CVD法、高周波CVD法
またはマイクロ波CVD法等の交流放電CVD法、ある
いは直流放電CVD法等)、スパッタリング法、真空蒸
着法、イオンプレーティング法、光CVD法、熱CVD
法などの数々の薄膜堆積法によって形成することができ
る。これらの薄膜堆積法は、製造条件、設備資本投資下
の負荷程度、製造規模、作成される光受容部材に所望さ
れる特性等の要因によって適宜選択されて採用される
が、所望の特性を有する光受容部材を製造するに当たっ
ての条件の制御が比較的容易であることからグロー放電
法、特にRF帯の電源周波数を用いた高周波グロー放電
法が好適である。
【0065】グロー放電法によって光導電層103を形
成するには、基本的にはシリコン原子(Si)を供給し
得るSi供給用の原料ガスと、水素原子(H)を供給し
得るH供給用の原料ガスまたは/及びハロゲン原子
(X)を供給し得るX供給用の原料ガスを、内部が減圧
にし得る反応容器内に所望のガス状態で導入して、該反
応容器内にグロー放電を生起させ、あらかじめ所定の位
置に設置されてある所定の支持体101上にa−Si:
H,Xからなる層を形成すればよい。
【0066】また、本発明において光導電層103中に
水素原子または/及びハロゲン原子が含有されることが
必要であるが、これはシリコン原子の未結合手を補償
し、層品質の向上、特に光導電性および電荷保持特性を
向上させるために必須不可欠であるからである。よって
水素原子またはハロゲン原子の含有量、または水素原子
とハロゲン原子の和の量は、第1の層領域の場合、シリ
コン原子と水素原子または/及びハロゲン原子の和に対
して25〜40原子%、第2の層領域の場合、シリコン
原子と水素原子または/及びハロゲン原子の和に対して
15〜30原子%、第3の層領域の場合、シリコン原子
と水素原子または/及びハロゲン原子の和に対して10
〜25原子%とされるのが望ましい。
【0067】本発明において使用されるSi供給用ガス
となり得る物質としては、SiH4、Si26、Si3
8、Si410等のガス状態の、またはガス化し得る水素
化珪素(シラン類)が有効に使用されるものとして挙げ
られ、更に層作成時の取り扱い易さ、Si供給効率の良
さ等の点でSiH4、Si26が好ましいものとして挙
げられる。
【0068】そして、形成される光導電層103中に水
素原子を構造的に導入し、水素原子の導入割合の制御を
いっそう容易になるようにはかり、本発明の目的を達成
する膜特性を得るために、これらのガスに更にH2およ
び/またはHeあるいは水素原子を含む珪素化合物のガ
スも所望量混合して層形成することが必要である。ま
た、各ガスは単独種のみでなく所定の混合比で複数種混
合しても差し支えないものである。
【0069】また本発明において使用されるハロゲン原
子供給用の原料ガスとして有効なのは、たとえばハロゲ
ンガス、ハロゲン化物、ハロゲンをふくむハロゲン間化
合物、ハロゲンで置換されたシラン誘導体等のガス扶の
またはガス化し得るハロゲン化合物が好ましく挙げられ
る。また、さらにはシリコン原子とハロゲン原子とを構
成要素とするガス状のまたはガス化し得る、ハロゲン原
子を含む水素化珪素化合物も有効なものとして挙げるこ
とができる。本発明に於て好適に使用し得るハロゲン化
合物としては、具体的には弗素ガス(F2)、BrF、
ClF、ClF3、BrF3、BrF5、IF3、IF7
のハロゲン間化合物を挙げることができる。ハロゲン原
子を含む珪素化合物、いわゆるハロゲン原子で置換され
たシラン誘導体としては、具体的には、たとえばSiF
4、Si26等の弗化珪素が好ましいものとして挙げる
ことができる。
【0070】光導電層103中に含有される水素原子ま
たは/及びハロゲン原子の量を制御するには、例えば支
持体101の温度、水素原子または/及びハロゲン原子
を含有させるために使用される原料物質の反応容器内へ
導入する量、放電電力等を制御すればよい。
【0071】本発明において、光導電層103には伝導
性を制御する原子を含有させることが好ましい。伝導性
を制御する原子は、光導電層103において均一に分布
した状態で含有されても良いが、少なくとも光導電層1
03の層厚方向に不均一な分布状態で含有することが好
ましい。これは、光導電層のキャリアの走行性を調整
し、また或は補償して走行性を高次でバランスさせるこ
とにより、帯電能の向上や光メモリー低減に必要不可欠
である。
【0072】伝導性を制御する原子の含有量は、第1の
層領域および第2の層領域ではシリコン原子に対して
0.2〜30ppmとするのが望ましく、第3の層領域
では0.01〜10ppmとするのが望ましい。さら
に、第3の層領域の光の入射側から露光の70%以上を
吸収するのに要する領域では、その部分の正孔と電子の
走行性を高次でバランスさせるため、特にシリコン原子
に対して0.01ppm以上5ppm以下に制御するの
が望ましい。
【0073】前記伝導性を制御する原子としては、半導
体分野における、いわゆる不純物を挙げることができ、
p型伝導特性を与える周期律表第IIIb族に属する原
子(以後「第IIIb族原子」と略記する)を用いるこ
とができる。
【0074】第IIIb族原子としては、具体的には、
側素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(G
a)、インジウム(In)、タリウム(Tl)等があ
り、特にB、Al、Gaが好適である。
【0075】伝導性を制御する原子、たとえば、第II
Ib族原子を構造的に導入するには、層形成の際に、第
IIIb族原子導入用の原料物質をガス状態で反応容器
中に、光導電層103を形成するための他のガスととも
に導入してやればよい。第IIIb族原子導入用の原料
物質となり得るものとしては、常温常圧でガス状のまた
は、少なくとも層形成条件下で容易にガス化し得るもの
が採用されるのが望ましい。
【0076】そのような第IIIb族原子導入用の原料
物質として具体的には、硼素原子導入用としては、B2
6、B410、B59、B511、B610、B612
61 4等の水素化瑚素、BF3、BC13、BBr3等の
ハロゲン化硼素等が挙げられる。この他、AlCl3
GaCl3、Ga(CH33、InCl3、TlCl3
も拳げることができる。
【0077】また、これらの伝導性を制御する原子導入
用の原料物質を必要に応じてH2および/またはHeに
より希釈して使用してもよい。
【0078】さらに本発明においては、光導電層103
に炭素原子及び/または酸素原子及び/または窒素原子
を含有させることも有効である。炭素原子及び/または
酸素原子/及びまたは窒素原子の含有量はシリコン原
子、炭素原子、酸素原子及び窒素原子の和に対して好ま
しくは1×10-5〜10原子%、より好ましくは1×1
-4〜8原子%、最適には1×10-3〜5原子%が望ま
しい。炭素原子及び/または酸素原子及び/または窒素
原子は、光導電層中に万遍なく均一に含有されても良い
し、光導電層の層厚方向に含有量が変化するような不均
一な分布をもたせた部分があっても良い。
【0079】本発明において、光導電層103の層厚は
所望の電子写真特性が得られること及び経済的効果等の
点から適宜所望にしたがって決定され、好ましくは20
〜50μm、より好ましくは23〜45μm、最適には
25〜40μmとされるのが望ましい。層厚が20μm
より薄くなると、帯電能や感度等の電子写真特性が実用
上不充分となり、50μmより厚くなると、光導電層の
作製時間が長くなって製造コストが高くなる。
【0080】また、光導電層103全体(第1の層領域
+第2の層領域+第3の層領域)に占める第3の層領域
の膜厚の比は、0.03〜0.5とすることが望まし
い。その割合が0.03より小さいと、第3の層領域で
前露光や像露光を充分に吸収することができず、感度の
温度特性や感度の直線性の改善の効果を充分に発揮する
ことができない。また、光導電層103全体(第1の層
領域+第2の層領域+第3の層領域)に占める第3の層
領域の厚さの割合が0.5以上になると帯電能の向上や
帯電能の温度特性低減の効果を充分に発揮することがで
きない。
【0081】さらに第3の層領域は、像露光の50〜9
5%を吸収する領域であることが望ましい。
【0082】本発明の目的を達成し、所望の膜特性を有
する光導電層103を形成するには、Si供給用のガス
と希釈ガスとの混合比、反応容器内のガス圧、放電電力
ならびに支持体温度を適宜設定することが必要である。
【0083】希釈ガスとして使用するH2および/また
はHeの流量は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選
択されるが、第1の層領域では、Si供給用ガスに対し
2および/またはHeの流量を、通常の場合4〜20
倍、好ましくは5〜15倍、最適には6〜10倍の範囲
に制御することが望ましく、第2の層領域では、Si供
給用ガスに対しH2および/またはHeを、通常の場合
2〜15倍、好ましくは3〜10倍、最適には4〜8倍
の範囲に制御することが望ましく、第3の層領域では、
Si供給用ガスに対しH2および/またはHeの流量
を、通常の場合0.5〜10倍、好ましくは1〜8倍、
最適には2〜6倍の範囲に制御することが望ましい。
【0084】反応容器内のガス圧も同様に層設計にした
がって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合1×1
-2〜2×103Pa、好ましくは5×10-2〜5×1
2Pa、最適には1×10-1〜2×102Paとするの
が好ましい。
【0085】放電電力もまた同様に層設計にしたがって
適宜最適範囲が選択されるが、Si供給用のガスの流量
に対する放電電力の比[W/sccm]を、第1の層領
域および第2の層領域では、通常の場合3〜10、好ま
しくは4〜9、最適には5〜8の範囲に設定することが
望ましく、第1の層領域のSi供給用のガスの流量に対
する放電電力の比[W/sccm]を第2の層領域に比
べて大きくした、いわゆるフローリミット領域で作成す
ることが好ましい。そして、第3の層領域では、Si供
給用のガスの流量に対する放電電力の比[W/scc
m]を、通常の場合0.3〜5、好ましくは0.5〜
4、最適には1〜3の範囲に設定することが望ましい。
【0086】さらに、支持体101の温度は、層設計に
したがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、
好ましくは200〜350℃、より好ましくは230〜
330℃、最適には250〜300℃とするのが望まし
い。
【0087】本発明においては、光導電層を形成するた
めの支持体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前記
した範囲が挙げられるが、条件は通常は独立的に別々に
決められるものではなく、所望の特性を有する光受容部
材を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて最適
値を決めるのが望ましい。 〈表面層〉本発明においては、上述のようにして支持体
101上に形成された光導電層103の上に、更にアモ
ルファスシリコン系の表面層104を形成することが好
ましい。この表面層104は自由表面110を有し、主
に耐湿性、連続繰り返し使用特性、電気的耐圧性、使用
環境特性、耐久性において本発明の目的を達成するため
に設けられる。
【0088】又、本発明においては、光受容層102を
構成する光導電層103と表面層104とを形成する非
晶質材料の各々がシリコン原子という共通の構成要素を
有しているので、積層界面において化学的な安定性の確
保が十分成されている。
【0089】表面層104は、アモルファスシリコン系
の材料であればいれずの材質でも可能であるが、例え
ば、水素原子(H)及び/またはハロゲン原子(X)を
含有し、更に炭素原子を含有するアモルファスシリコン
(以下「a−SiC:H,X」と表記する)、水素原子
(H)及び/またはハロゲン原子(X)を含有し、更に
酸素原子を含有するアモルファスシリコン(以下「a−
SiO:H,X」と表記する)、水素原子(H)及び/
またはハロゲン原子(X)を含有し、更に窒素原子を含
有するアモルファスシリコン(以下「a−SiN:H,
X」と表記する)、水素原子(H)及び/またはハロゲ
ン原子(X)を含有し、更に炭素原子、酸素原子、窒素
原子の少なくとも一つを含有するアモルファスシリコン
(以下「a−SiCON:H,X」と表記する)等の材
料が好適に用いられる。
【0090】本発明に於いて、その目的を効果的に達成
するために、表面層104は真空堆積膜形成方法によっ
て、所望特性が得られるように適宜成膜パラメーターの
数値条件が設定されて作成される。具体的には、例えば
グロー放電法(低周波CVD法、高周波CVD法または
マイクロ波CVD法等の交流放電CVD法、あるいは直
流放電CVD法等)、スパッタリング法、真空蒸着法、
イオンプレーティング法、光CVD法、熱CVD法など
の数々の薄膜堆積法によって形成することができる。こ
れらの薄膜堆積法は、製造条件、設備資本投資下の負荷
程度、製造規模、作成される光受容部材に所望される特
性等の要因によって適宜選択されて採用されるが、光受
容部材の生産性から光導電層と同等の堆積法によること
が好ましい。
【0091】例えば、グロー放電法によってa−Si
C:H,Xよりなる表面層104を形成するには、基本
的にはシリコン原子(Si)を供給し得るSi供給用の
原料ガスと、炭素原子(C)を供給し得るC供給用の原
料ガスと、水素原子(H)を供給し得るH供給用の原料
ガスまたは/及びハロゲン原子(X)を供給し得るX供
給用の原料ガスを、内部を減圧にし得る反応容器内に所
望のガス状態で導入して、該反応容器内にグロー放電を
生起させ、あらかじめ所定の位置に設置された光導電層
103を形成した支持体101上にa−SiC:H,X
からなる層を形成すればよい。
【0092】本発明に於いて用いる表面層の材質として
はシリコンを含有するアモルファス材料ならば何れでも
良いが、炭素、窒素、酸素より選ばれた元素を少なくと
も1つ含むシリコン原子との化合物が好ましく、特にa
−SiCを主成分としたものが好ましい。
【0093】表面層をa−SiCを主成分として構成す
る場合の炭素量は、シリコン原子と炭素原子の和に対し
て30%から90%の範囲が好ましい。
【0094】また、本発明において表面層104中に水
素原子または/及びハロゲン原子が含有されることが必
要であるが、これはシリコン原子の未結合手を補償し、
層品質の向上、特に光導電性特性および電荷保持特性を
向上させるために必須不可欠である。水素含有量は、構
成原子の総量に対して通常の場合30〜70原子%、好
適に時35〜65原子%、最適には40〜60原子%と
するのが望ましい。また、弗素原子の含有量として、通
常の場合は0.01〜15原子%、好適には0.1〜1
0原子%、最適には0.6〜4原子%とされるのが望ま
しい。
【0095】これらの水素及び/または弗素含有量の範
囲内で形成される光受容部材は、実際面に於いて従来に
ない格段に優れたものとして充分適用させ得るものであ
る。すなわち、表面層内に存在する欠陥(主にシリコン
原子や炭素原子のダングリングボンド)は電子写真用光
受容部材としての特性に悪影響を及ぼすことが知られて
いる。例えば自由表面から電荷の注入による帯電特性の
劣化、使用環境、例えば高い湿度のもとで表面構造が変
化することによる帯電特性の変動、更にコロナ帯電時や
光照射時に光導電層より表面層に電荷が注入され、前記
表面層内の欠陥に電荷がトラップされることにより繰り
返し使用時の残像現象の発生等がこの悪影響として挙げ
られる。
【0096】しかしながら表面層内の水素含有量を30
原子%以上に制御することで表面層内の欠陥が大幅に減
少し、その結果、従来に比べて電気的特性面及び高速連
続使用性において飛躍的な向上を図ることができる。
【0097】一方、前記表面層中の水素含有量が70原
子%を越えると表面層の硬度が低下するために、繰り返
し使用に耐えられなくなる。従って、表面層中の水素含
有量を前記の範囲内に制御することが格段に優れた所望
の電子写真特性を得る上で非常に重要な因子の1つであ
る。表面層中の水素含有量は、原料ガスの流量(比)、
支持体温度、放電パワー、ガス圧等によって制御し得
る。
【0098】また、表面層中の弗素含有量を0.01原
子%以上の範囲に制御することで表面層内のシリコン原
子と炭素原子の結合の発生をより効果的に達成すること
が可能となる。さらに、表面層中の弗素原子の働きとし
て、コロナ等のダメージによるシリコン原子と炭素原子
の結合の切断を効果的に防止することができる。
【0099】一方、表面層中の弗素含有量が15原子%
を超えると表面層内のシリコン原子と炭素原子の結合の
発生の効果およびコロナ等のダメージによるシリコン原
子と炭素原子の結合の切断を防止する効果がほとんど認
められなくなる。さらに、過剰の弗素原子が表面層中の
キャリアの走行性を阻害するため、残留電位や画像メモ
リーが顕著に認められてくる。従って、表面層中の弗素
含有量を前記範囲内に制御することが所望の電子写真特
性を得る上で重要な因子の一つである。表面層中の弗素
含有量は、水素含有量と同様に原料ガスの流量(比)、
支持体温度、放電パワー、ガス圧等によって制御し得
る。
【0100】本発明の表面層の形成において使用される
シリコン(Si)供給用ガスとなり得る物質としては、
SiH4、Si26、Si38、Si410等のガス状態
の、またはガス化し得る水素化珪素(シラン類)が有効
に使用されるものとして挙げられ、更に層作成時の取り
扱い易さ、Si供給効率の良さ等の点でSiH4、Si2
6が好ましいものとして挙げられる。また、これらの
Si供給用の原料ガスを必要に応じてH2、He、A
r、Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。炭素
供給用ガスとなり得る物質としては、CH4、C22
26、C38、C410等のガス状態の、またはガス
化し得る炭化水素が有効に使用されるものとして挙げら
れ、更に層作成時の取り扱い易さ、Si供給効率の良さ
等の点でCH4、C22、C26が好ましいものとして
挙げられる。また、これらのC供給用の原料ガスを必要
に応じてH2、He、Ar、Ne等のガスにより希釈し
て使用してもよい。
【0101】窒素または酸素供給用ガスとなり得る物質
としては、NH3、NO、N2O、NO2、O2、CO、C
2、N2等のガス状態の、またはガス化し得る化合物が
有効に使用されるものとして挙げられる。また、これら
の窒素、酸素供給用の原料ガスを必要に応じてH2、H
e、Ar、Ne等のガスにより希釈して使用してもよ
い。
【0102】また、形成される表面層104中に導入さ
れる水素原子の導入割合の制御をいっそう容易になるよ
うに図るために、これらのガスに更に水素ガスまたは水
素原子を含む珪素化合物のガスも所望量混合して層形成
することが好ましい。また、各ガスは単独種のみでなく
所定の混合比で複数種混合しても差し支えないものであ
る。
【0103】ハロゲン原子供給用の原料ガスとして有効
なのは、たとえばハロゲンガス、ハロゲン化物、ハロゲ
ンをふくむハロゲン間化合物、ハロゲンで置換されたシ
ラン誘導体等のガス状のまたはガス化し得るハロゲン化
合物が好ましく挙げられる。また、さらにはシリコン原
子とハロゲン原子とを構成要素とするガス状のまたはガ
ス化し得る、ハロゲン原子を含む水素化珪素化合物も有
効なものとして挙げることができる。本発明に於て好適
に使用し得るハロゲン化合物としては、具体的には弗素
ガス(F2)、BrF、CLl、ClF3、BrF3、B
rF5、IF3、IF7等のハロゲン間化合物を挙げるこ
とができる。ハロゲン原子を含む珪素化合物、いわゆる
ハロゲン原子で置換されたシラン誘導体としては、具体
的には、たとえばSiF4、Si26等の弗化珪素が好
ましいものとして挙げることができる。
【0104】表面層104中に含有される水素原子また
は/及びハロゲン原子の量を制御するには、例えば支持
体101の温度、水素原子または/及びハロゲン原子を
含有させるために使用される原料物質の反応容器内へ導
入する量、放電電力等を制御すればよい。
【0105】炭素原子及び/または酸素原子及び/また
は窒素原子は、表面層中に万遍なく均一に含有されても
良いし、表面層の層厚方向に含有量が変化するような不
均一な分布をもたせた部分があっても良い。
【0106】さらに本発明においては、表面層104に
は必要に応じて伝導性を制御する原子を含有させること
が好ましい。伝導性を制御する原子は、表面層104中
に万偏なく均一に分布した状態で含有されても良いし、
あるいは層厚方向には不均一な分布状態で含有している
部分があってもよい。
【0107】前記の伝導性を制御する原子としては、半
導体分野における、いわゆる不純物を挙げることがで
き、p型伝導特性を与える周期律表第IIIb族に属す
る原子(以後「第IIIb族原子」と略記する)または
n型伝導特性を与える周期律表第Vb族に属する原子
(以後「第Vb族原子」と略記する)を用いることがで
きる。
【0108】第IIIb族原子としては、具体的には、
硼素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(G
a)、インジウム(In)、タリウム(Tl)等があ
り、特にB、Al、Gaが好適である。第Vb族原子と
しては、具体的には燐(P)、砒素(As)、アンチモ
ン(Sb)、ビスマス(Bi)等があり、特にP、As
が好適である。
【0109】表面層104に含有される伝導性を制御す
る原子の含有量としては、好ましくは1×10-3〜1×
103原子ppm、より好ましくは1×10-2〜5×1
2原子ppm、最適には1×10-1〜1×102原子p
pmとされるのが望ましい。伝導性を制御する原子、た
とえば、第IIIb族原子あるいは第Vb族原子を構造
的に導入するには、層形成の際に、第IIIb族原子導
入用の原料物質あるいは第Vb族原子導入用の原料物質
をガス状態で反応容器中に、表面層104を形成するた
めの他のガスとともに導入してやればよい。第IIIb
族原子導入用の原料物質あるいは第Vb族原子導入用の
原料物質となり得るものとしては、常温常圧でガス状の
または、少なくとも層形成条件下で容易にガス化し得る
ものが採用されるのが望ましい。そのような第IIIb
族原子導入用の原料物質として具体的には、硼素原子導
入用としては、B26、B410、B59、B511、B
610、B612、B614等の水素化硼素、BF3、BC
3、BBr3等のハロゲン化硼素等が挙げられる。この
他、AlCl3、GaCl3、Ga(CH33、InCl
3、TlCl3等も挙げることができる。
【0110】第Vb族原子導入用の原料物質として、有
効に使用されるのは、燐原子導入用としては、PH3
24等の水素化燐、PH4I、PF3、PF5、PC
3、PCl5、PBr3、PBr5、PI3等のハロゲン
化燐が挙げられる。この他、AsH3、AsF3、AsC
3、AsBr3、AsF5、SbH3、SbF3、Sb
5、SbCl3、SbCl5、BiH3、BiCl3、B
iBr3等も第Vb族原子導入用の出発物質の有効なも
のとして挙げることができる。
【0111】また、これらの伝導性を制御する原子導入
用の原料物質を必要に応じてH2、He、Ar、Ne等
のガスにより希釈して使用してもよい。
【0112】本発明に於ける表面層104の層厚として
は、通常0.01〜3μm、好適には0.05〜2μ
m、最適には0.1〜1μmとされるのが望ましいもの
である。層厚が0.01μmよりも薄いと光受容部材を
使用中に摩耗等の理由により表面層が失われてしまい、
3μmを越えると残留電位の増加等の電子写真特性の低
下がみられる。
【0113】本発明による表面層104は、その要求さ
れる特性が所望通りに与えられるように注意深く形成さ
れる。即ち、Si、C及び/またはN及び/またはO、
H及び/またはXを構成要素とする物質はその形成条件
によって構造的には結晶からアモルファスまでの形態を
取り、電気物性的には導電性から半導体性、絶縁性まで
の間の性質を、又、光導電的性質から非光導電的性質ま
での間の性質を各々示すので、本発明においては、目的
に応じた所望の特性を有する化合物が形成される様に、
所望に従ってその形成条件の選択が厳密になされる。
【0114】例えば、表面層104を耐圧性の向上を主
な目的として設けるには、使用環境に於いて電気絶縁性
的挙動の顕著な非単結晶材料として作成される。
【0115】又、連続繰り返し使用特性や使用環境特性
の向上を主たる目的として表面層104が設けられる場
合には、上記の電気絶縁性の度合はある程度緩和され、
照射される光に対して有る程度の感度を有する非単結晶
材料として形成される。
【0116】本発明の目的を達成し得る特性を有する表
面層104を形成するには、支持体101の温度、反応
容器内のガス圧を所望にしたがって、適宜設定する必要
がある。
【0117】支持体101の温度(Ts)は、層設計に
したがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、
好ましくは200〜350℃、より好ましくは230〜
330℃、最適には250〜300℃とするのが望まし
い。
【0118】反応容器内のガス圧も同様に層設計にした
がって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好ま
しくは1×10-2〜2×103Pa、好ましくは5×1
-2〜5×102、最適には1×10-1〜2×102Pa
とするのが好ましい。
【0119】本発明においては、表面層を形成するため
の支持体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前記し
た範囲が挙げられるが、条件は通常は独立的に別々に決
められるものではなく、所望の特性を有する光受容部材
を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて最適値
を決めるのが望ましい。
【0120】さらに本発明に於いては、光導電層と表面
層の間に、炭素原子、酸素原子、窒素原子の含有量を表
面層より減らしたブロッキング層(下部表面層)を設け
ることも帯電能等の特性を更に向上させるためには有効
である。
【0121】また表面層104と光導電層103との間
に炭素原子及び/または酸素原子及び/または窒素原子
の含有量が光導電層103に向かって減少するように変
化する領域を設けても良い。これにより表面層と光導電
層の密着性を向上させ、光キャリアの表面への移動がス
ムーズになるとともに光導電層と表面層の界面での光の
反射による干渉の影響をより少なくすることができる。 〈電荷注入阻止層〉本発明の光受容部材においては、導
電性支持体101と光導電層103の間に、導電性支持
体101側からの電荷の注入を阻止する働きのある電荷
注入阻止層105を設けるのがいっそう効果的である。
すなわち、電荷注入阻止層105は光受容層102が一
定極性の帯電処理をその自由表面に受けた際、支持体側
101より光導電層103側に電荷が注入されるのを阻
止する機能を有し、逆の極性の帯電処理を受けた際には
そのような機能は発揮されない、いわゆる極性依存性を
有している。そのような機能を付与するために、電荷注
入阻止層105には伝導性を制御する原子を光導電層に
比べ比較的多く含有させる。
【0122】該層に含有される伝導性を制御する原子
は、該層中に万偏なく均一に分布されても良いし、ある
いは層厚方向には万偏なく含有されてはいるが、不均一
に分布する状態で含有している部分があってもよい。分
布濃度が不均一な場合には、支持体101側に多く分布
するように含有させるのが好適であるらしかしながら、
いずれの場合にも支持体101の表面と平行面内方向に
おいては、均一な分布で万偏なく含有されることが面内
方向における特性の均一化をはかる点からも必要であ
る。
【0123】電荷注入阻止層105に含有される伝導性
を制御する原子としては、半導体分野における、いわゆ
る不純物を挙げることができ、p型伝導特性を与える周
期律表第IIIb族に属する原子(以後「第IIIb族
原子」と略記する)またはn型伝導特性を与える周期律
表第Vb族に属する原子(以後「第Vb族原子」と略記
する)を用いることができる。
【0124】第IIIb族原子としては、具体的には、
B(ほう素),Al(アルミニウム),Ga(ガリウ
ム),In(インジウム),Ta(タリウム)等があ
り、特にB,Al,Gaが好適である。第Vb族原子と
しては、具体的にはP(リン),As(砒素),Sb
(アンチモン),Bi(ビスマス)等があり、特にP,
Asが好適である。
【0125】本発明において電荷注入阻止層105中に
含有される伝導性を制御する原子の含有量としては、本
発明の目的が効果的に達成できるように所望にしたがっ
て適宜決定されるが、好ましくは10〜1×104原子
ppm、より好適には50〜5×103原子ppm、最
適には1×102〜3×103原子ppmとされるのが望
ましい。
【0126】さらに、電荷注入阻止層105には、炭素
原子、窒素原子及び酸素原子の少なくとも一種を含有さ
せることによって、該電荷注入阻止層105に直接接触
して設けられる他の層との間の密着性の向上をよりいっ
そう図ることができる。
【0127】該層に含有される炭素原子または窒素原子
または酸素原子は該層中に万偏なく均一に分布されても
良いし、あるいは層厚方向には万偏なく含有されてはい
るが、不均一に分布する状態で含有している部分があっ
てもよい。しかしながら、いずれの場合にも支持体10
1の表面と平行面内方向においては、均一な分布で万偏
なく含有されることが面内方向における特性の均一化を
はかる点からも必要である。
【0128】本発明における電荷注入阻止層105の全
層領域に含有される炭素原子及び/または窒素原子およ
び/または酸素原子の含有量は、本発明の目的が効果的
に達成されるように適宜決定されるが、一種の場合はそ
の量として、二種以上の場合はその総和として、好まし
くは1×10-3〜30原子%、より好適には5×10 -3
〜20原子%、最適には1×10-2〜10原子%とされ
るのが望ましい。
【0129】また、本発明における電荷注入阻止層10
5に含有される水素原子および/またはハロゲン原子は
層内に存在する未結合手を補償し膜質の向上に効果を奏
する。電荷注入阻止層105中の水素原子またはハロゲ
ン原子あるいは水素原子とハロゲン原子の和の含有量
は、好適には1〜50原子%、より好適には5〜40原
子%、最適には10〜30原子%とするのが望ましい。
【0130】本発明において、電荷注入阻止層105の
層厚は所望の電子写真特性が得られること、及ぴ経済的
効果等の点から好ましくは0.1〜5μm、より好まし
くは0.3〜4μm、最適には0.5〜3μmとされる
のが望ましい。層厚が0.1μmより薄くなると、支持
体からの電荷の注入阻止能が不充分になって充分な帯電
能が得られなくなり、5μmより厚くしても電子写真特
性の向上は期待できず、作製時間の延長による製造コス
トの増加を招くだけである。
【0131】本発明において電荷注入阻止層105を形
成するには、前述の光導電層を形成する方法と同様の真
空堆積法が採用される。
【0132】本発明の目的を達成し得る特性を有する電
荷注入阻止層105を形成するには、光導電層103と
同様に、Si供給用のガスと希釈ガスとの混合比、反応
容器内のガス圧、放電電力ならびに支持体101の温度
を適宜設定することが必要である。
【0133】希釈ガスであるH2および/またはHeの
流量は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選択される
が、Si供給用ガスに対しH2および/またはHeを、
通常の場合0.3〜20倍、好ましくは0.5〜15
倍、最適には1〜10倍の範囲に制御することが望まし
い。
【0134】反応容器内のガス圧も同様に層設計にした
がって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合1×1
-2〜2×103Pa、好ましくは5×10-2〜5×1
2、最適には1×10-2〜2×102Paとするのが好
ましい。
【0135】放電電力もまた同様に層設計にしたがって
適宜最適範囲が選択されるが、Si供給用のガスの流量
に対する放電電力の比を、通常の場合0.5〜8、好ま
しくは0.8〜7、最適には1〜6の範囲に設定するこ
とが望ましい。
【0136】さらに、支持体101の温度は、層設計に
したがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、
好ましくは200〜350℃、より好ましくは230〜
330℃、最適には250〜300℃とするのが望まし
い。
【0137】本発明においては、電荷注入阻止層を形成
するための希釈ガスの混合比、ガス圧、放電電力、支持
体温度の望ましい数値範囲として前記した範囲が挙げら
れるが、これらの層作成ファクターは通常は独立的に別
々に決められるものではなく、所望の特性を有する表面
層を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて各層
作成ファクターの最適値を決めるのが望ましい。
【0138】このほかに、本発明の光受容部材において
は、光受容層102の前記支持体101側に、少なくと
もアルミニウム原子、シリコン原子、水素原子または/
及びハロゲン原子が層厚方向に不均一な分布状態で含有
する層領域を有することが望ましい。
【0139】また、本発明の光受容部材に於いては、支
持体101と光導電層103あるいは電荷注入阻止層1
05との間の密着性のいつそうの向上を図る目的で、例
えば、Si34、SiO2、SiO、あるいはシリコン
原子を母体とし、水素原子及び/またはハロゲン原子
と、炭素原子及び/または酸素原子及び/または窒素原
子とを含む非晶質材料等で構成される密着層を設けても
良い。更に、支持体からの反射光による干渉模様の発生
を防止するための光吸収層を設けても良い。
【0140】次に、光受容層を形成するための装置およ
び膜形成方法について詳述する。
【0141】図5は電源周波数としてRF帯を用いた高
周波プラズマCVD法(以後「RF−PCVD」と略記
する)による光受容部材の製造装置の一例を示す模式的
な構成図である。図5に示す製造装置の構成は以下の通
りである。
【0142】この装置は大別すると、堆積装置(510
0)、原料ガスの供給装置(5200)、反応容器(5
111)内を減圧にするための排気装置(図示せず)か
ら構成されている。堆積装置(5100)中の反応容器
(5111)内には円筒状支持体(5112)、支持体
加熱用ヒーター(5113)、原料ガス導入管(511
4)が設置され、更に高周波マッチングボックス(51
15)が接続されている。
【0143】原料ガス供給装置(5200)は、SiH
4、GeH4、H2、CH4、B26、PH3等の原料ガス
のボンベ(5221〜5226)とバルブ(5231〜
5236,5241〜5246,5251〜5256)
およびマスフローコントローラー(5211〜521
6)から構成され、各原料ガスのボンベはバルブ(52
60)を介して反応容器(5111)内のガス導入管
(5114)に接続されている。
【0144】この装置を用いた堆積膜の形成は、例えば
以下のように行なうことができる。
【0145】まず、反応容器(5111)内に円筒状支
持体(5112)を設置し、不図示の排気装置(例えば
真空ポンプ)により反応容器(5111)内を排気す
る。続いて、支持体加熱用ヒーター(5113)により
円筒状支持体(5112)の温度を200℃乃至350
℃の所定の温度に制御する。
【0146】堆積膜形成用の原料ガスを反応容器(51
11)に流入させるには、ガスボンベのバルブ(523
1〜5237)、反応容器のリークバルブ(5117)
が閉じられていることを確認し、叉、流入バルブ(52
41〜5246)、流出バルブ(5251〜525
6)、補助バルブ(5260)が開かれていることを確
認して、まずメインバルブ(5118)を開いて反応容
器(5111)およびガス配管内(5116)を排気す
る。
【0147】次に真空計(5119)の読みが約5×1
-4Paになった時点で補助バルブ(5260)、流出
バルブ(5251〜5256)を閉じる。
【0148】その後、ガスボンベ(5221〜522
6)より各ガスをバルブ(5231〜5236)を開い
て導入し、圧力調整器(5261〜5266)により各
ガス圧を2Kg/cm2に調整する。次に、流入バルブ
(5241〜5246)を徐々に開けて、各ガスをマス
フローコントローラー(5211〜5216)内に導入
する。
【0149】以上のようにして成膜の準備が完了した
後、以下の手順で各層の形成を行う。
【0150】円筒状支持体(5112)が所定の温度に
なったところで流出バルブ(5251〜5256)のう
ちの必要なものおよび補助バルブ(5260)を徐々に
開き、ガスボンベ(5221〜5226)から所定のガ
スをガス導入管(5114)を介して反応容器(511
1)内に導入する。次にマスフローコントローラー(5
211〜5216)によって各原料ガスが所定の流量に
なるように調整する。その際、反応容器(5111)内
の圧力が100Pa以下の所定の圧力になるように真空
計(5119)を見ながらメインバルブ(5118)の
開口を調整する。内圧が安定したところで、周波数1
3.56MHzのRF電源(不図示)を所望の電力に設
定して、高周波マッチングボックス(5115)を通じ
て反応容器(5111)内にRF電力を導入し、グロー
放電を生起させる。この放電エネルギーによって反応容
器内に導入された原料ガスが分解され、円筒状支持体
(5112)上に所定のシリコンを主成分とする堆積膜
が形成されるところとなる。所望の膜厚の形成が行われ
た後、RF電力の供給を止め、流出バルブを閉じて反応
容器へのガスの流入を止め、堆積膜の形成を終える。
【0151】同様の操作を複数回繰り返すことによっ
て、所望の多層構造の光受容層が形成される。
【0152】それぞれの層を形成する際には必要なガス
以外の流出バルブはすべて閉じられていることは言うま
でもなく、また、それぞれのガスが反応容器(511
1)内、流出バルブ(5251〜5256)から反応容
器(5111)に至る配管内に残留することを避けるた
めに、流出バルブ(5251〜5256)を閉じ、補助
バルブ(5260)を開き、さらにメインバルブ(51
18)を全開にして系内を一旦高真空に排気する操作を
必要に応じて行う。
【0153】また、膜形成の均一化を図るために、層形
成を行なっている間は、支持体(5112)を駆動装置
(不図示)によって所定の速度で回転させることも有効
である。
【0154】さらに、上述のガス種およびバルブ操作は
各々の層の作成条件にしたがって変更が加えられること
は言うまでもない。
【0155】堆積膜形成時の支持体温度は、特に200
℃以上350℃以下、好ましくは230℃以上330℃
以下、より好ましくは250℃以上310℃以下が望ま
しい。支持体の加熱方法は、真空仕様である発熱体であ
ればよく、より具体的にはシース状ヒーターの巻き付け
ヒーター、板状ヒーター、セラミックヒーター等の電気
抵抗発熱体、ハロゲンランプ、赤外線ランプ等の熱放射
ランプ発熱体、液体、気体等を温媒とし熱交換手段によ
る発熱体等が挙げられる。加熱手段の表面材質は、ステ
ンレス、ニッケル、アルミニウム、銅等の金属類、セラ
ミックス、耐熱性高分子樹脂等を使用することができ
る。
【0156】それ以外にも、反応容器以外に加熱専用の
容器を設け、加熱した後、反応容器内に真空中で支持体
を搬送する方法が用いられる。 〈実験例〉以下、実験例により本発明の効果を具体的に
説明する。 《実験例1》図5に示すRF−PCVD法による光受容
部材の製造装置を用い、直径80mmの鏡面加工を施し
たアルミニウムシリンダー(支持体)上に、表1に示す
条件で電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなる光受
容部材を作製した。
【0157】
【表1】 一方、アルミニウムシリンダー(支持体)に代えて、サ
ンプル基板を設置するための溝加工を施した円筒形のサ
ンプルホルダーを用い、ガラス基板(コーニング社 7
059)ならびにSiウェハー上に、上記光導電層の作
成条件で膜厚約1μmのa−Si膜を堆積した。ガラス
基板上の堆積膜は、光学的バンドギャップ(Eg)を測
定した後、Crの串型電極を蒸着し、CPMにより指数
関数裾の特性エネルギー(Eu)を測定し、Siウェハ
ー上の堆積膜はFTIRにより水素含有量(Ch)を測
定した。
【0158】表1の例では第1の層領域のCh、Eg、
Euは、それぞれ35原子%、1.86eV、55me
Vであり、第2の層領域のCh、Eg、Euはそれぞれ
28原子%、1.79eV、62meVであり、第3の
層領域のCh、Eg、Euはそれぞれ20原子%、1.
75eV、53meVであった。
【0159】次いで第3の層領域においてSiH4ガス
流量、SiH4ガスとH2ガスとの混合比、SiH4ガス
流量と放電電力との比率ならびに支持体温度を種々変え
ることによって、第3の層領域のEg(Ch)、Euの
異なる種々の光受容部材を作製した。
【0160】なお、第2の光導電層および第3の層領域
の膜厚はそれぞれ20μmおよび10μmに固定した。
【0161】作製した光受容部材を電子写真装置(キヤ
ノン製NP−6550を実験用に改造)にセットして、
電位特性の評価を行った。
【0162】この際、プロセススピード380mm/s
ec、前露光(波長700nmのLED)4lux・s
ec、帯電器の電流値1000μAの条件にて、電子写
真装置の現像器位置にセットした表面電位計(TREK
社 Model 344)の電位センサーにより光受容
部材の表面電位を測定し、それを帯電能とした。また、
光受容部材に内蔵したドラムヒーターにより温度を室温
(約25℃)から45℃まで変えて、上記条件にて各温
度での帯電能を測定し、そのときの温度1℃当たりの帯
電能の変化の割合を帯電能の温度特性とした。そして、
室温と45℃のそれぞれについて暗電位が400Vとな
るように帯電条件を設定し、像露光光源に中心波長68
0nmのLEDを用いてE−V特性(曲線)を測定し
て、感度の温度特性ならびに感度の直線性を評価した。
また、メモリー電位は、感度と同様に同様に像露光光源
に680nmのLEDを用い、上述の条件下において同
様の電位センサーにより非露光状態での表面電位と一旦
露光した後に再度帯電した時との電位差を測定した。
【0163】本例の第3の層領域のEg、Euと帯電
能、帯電能の温度特性、メモリー、感度の温度特性なら
びに感度め直線性との関係をそれぞれ図6、図7、図
8、図9、図10に示す。それぞれの特性に関して、光
導電層を第1の層領域および第2の層領域のみで構成し
た場合を1としたときの相対値で示した。図6、図7、
図8、図9ならびに図10から明らかなように、第3の
層領域においてEgが1.7〜1.8eV、Euが50
〜55meVの条件において、帯電能、帯電能の温度特
性、メモリー、感度の温度特性ならびに感度の直線性い
ずれも良好な特性を得られることがわかった。
【0164】また、露光光源をLEDに代えて波長68
0nmの半導体レーザーにした場合も同様の結果が得ら
れることがわかった。 《実験例2》図5に示すRF−PCVD法による光受容
部材の製造装置を用い、実験例1と同様の条件で、直径
80mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー
(支持体)上に、電荷注入阻止層、光導電層、表面層か
らなる光受容部材を作製した。
【0165】次いで第1の層領域においてSiH4ガス
流量、SiH4ガスとH2ガスとの混合比、SiH4ガス
流量と放電電力との比率ならびに支持体温度を種々変え
ることによって、第1の層領域のEg(Ch)、Euの
異なる種々の光受容部材を作製した。
【0166】作製した個々の光受容部材について実験例
1と同様にして電位特性評価を行い、さらに画像特性と
してベタ黒画像による濃度分布いわゆるガサツキについ
て調べた。本例の第1の層領域のEg、Euと帯電能、
帯電能の温度特性、ガサツキとの関係をそれぞれ図1
1、図12ならびに図13に示す。それぞれの特性に関
して、光導電層を第2の層領域および第3の層領域のみ
で構成した場合を1としたときの相対値で示した。図1
1、図12ならびに図13から明らかなように、第1の
層領域においてEgが1.8〜1.9eV、Euが50
〜55meVの条件において、光導電層を第2の層領域
および第3の層領域のみで構成した場合に比べ、帯電
能、帯電能の温度特性、ガサツキレベルが向上すること
がわかった。 《実験例3》図5に示すRF−PCVD法による光受容
部材の製造装置を用い、実験例1と同様に表1に示す条
件で、直径80mmの鏡面加工を施したアルミニウムシ
リンダー(支持体)上に、電荷注入阻止層、光導電層、
表面層からなる光受容部材を、光導電層全体に占める第
3の層領域の厚さの割合を変えて作製した。
【0167】作製した個々の光受容部材について実験例
1と同様の電位特性評価を行った。
【0168】本例の光導電層に占める第3の層領域の割
合と帯電能、感度の温度特性ならびに感度の直線性との
関係をそれぞれ図14、図15、図16に示す。それぞ
れの特性に関して、光導電層(総膜厚30μm)を第1
の層領域および第2の層領域のみで構成した場合を1と
したときの相対値で示した。図14、図15、図16か
ら明らかなように、光導電層に占める第3の層領域の割
合が0.15以上0.5以下の条件において、帯電能、
感度の温度特性ならびに感度の直線性のいずれも良好な
特性を得られることがわかった。 《実験例4》図5に示すRF−PCVD法による光受容
部材の製造装置を用い、直径80mmの鏡面加工を施し
たアルミニウムシリンダー(支持体)上に、表2に示す
条件で電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなる光受
容部材を作製した。
【0169】
【表2】 一方、アルミニウムシリンダー(支持体)に代えて、サ
ンプル基板を設置するための溝加工を施した円筒形のサ
ンプルホルダーを用い、ガラス基板(コーニング社 7
059)ならびにSiウエハー上に、上記光導電層の作
成条件で膜厚約1μmのa−Si膜を堆積した。ガラス
基板上の堆積膜は、光学的バンドギャップ(Eg)を測
定した後、Crの串型電極を蒸着し、CPMにより指数
関数裾の特性エネルギー(Eu)を測定し、Siウェハ
ー上の堆積膜はFTIRにより水素含有量(Ch)を測
定した。
【0170】表2の例では第1の層領域のCh、Eg、
Euは、それぞれ34原子%、1.85eV、53me
Vであり、第2の層領域のCh、Eg、Euはそれぞれ
29原子%、1.79eV、60meVであり、第3の
層領域のCh、Eg、Euはそれぞれ15原子%、1.
72eV、51meVであった。
【0171】ここで、SiH4に対するB26量は、第
3の層領域の光の入射側の領域をその他の領域に比べて
少なく(0.1ppm)し、第3の層領域のその他の領
域を含む光導電層では1.5ppm(均一)とした。そ
して、B26量を少なくした領域の厚さを像露光(中心
波長680nmのLED)の吸収率が40%、50%、
60%、70%、80%、90%となるような厚さに設
定して、光導電層中の周期律表第IIIb族に属する元
素の含有状態の異なる光受容部材を作製した。
【0172】作製した個々の光受容部材について実験例
1と同様の電位特性評価を行った。
【0173】本例のSiH4に対するB26量を少なく
した領域の厚さに対応する像露光の吸収率と帯電能、メ
モリー、感度の温度特性との関係をそれぞれ図17、図
18、および図19に示す。それぞれの特性に関して、
光導電層の全ての層領域でB2H6量を1.5ppm
(均一)にした場合を1とした相対値で示した。図1
7、図18および図19から明らかなように、周期律表
第IIIb族に属する元素の含有量を、第3の層領域の
光の入射側から像露光の70%以上を吸収するに要する
領域をその他の領域より少なくすることによって、帯電
能、メモリー、感度の温度特性のいずれも良好な特性を
得られることがわかった。
【0174】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。 《実施例1》図5に示すRF−PCVD法による光受容
部材の製造装置を用い、直径80mmの鏡面加工を施し
たアルミニウムシリンダー(支持体)上に、電荷注入阻
止層、光導電層、表面層からなる光受容部材を作製し
た。表3にこのときの光受容部材の作製条件を示した。
【0175】
【表3】 本例では、光導電層の第1の層領域のCh、Eg、Eu
は、それぞれ35原子%、1.84eV、55meV、
第2の層領域のCh、Eg、Euは、それぞれ28原子
%、1.78eV、60meV、第3の層領域のCh、
Eg、Euは、それぞれ20原子%、1.75eV、5
4meVという結果が得られた。
【0176】また本例では、光導電層の周期律表第II
Ib族に属する元素の含有量は図2(a)に示すような
2段階の分布状態とした。すなわち、SiH4に対する
2 6量を、第1の層領域および第2の層領域では2p
pmとし、第3の層領域では0.5ppmとした。
【0177】作製した光受容部材を電子写真装置(キヤ
ノン製NP−6550を実験用に改造、像露光は680
nmの半導体レーザーおよび680nmのLED)にセ
ットして、電位特性の評価を行ったところ、帯電能、帯
電能の温度特性、メモリー、感度の温度特性、感度の直
線性とも良好な結果が得られた。
【0178】また、作製した光受容部材を正帯電して画
像評価をしたところ、画像上でも光メモリーは観測され
ず、その他の画像特性(ポチ、画像流れ)についても良
好であり、特にガサツキは非常に良好なレベルであっ
た。 《実施例2》本例では、直径80mmの鏡面加工を施し
たアルミニウムシリンダー(支持体)を用い、実施例1
の表面層に代えて、表面層のシリコン原子および炭素原
子の含有量を層厚方向に不均一な分布状態とした表面層
を設けた。表4に、このときの光受容部材の作製条件を
示した。
【0179】
【表4】 また本例では、光導電層の周期律表第IIIb族に属す
る元素の含有量は図2(a)に示すような2段階の分布
状態とした。すなわち、SiH4に対するB2 6量を、
第1の層領域および第2の層領域では1.5ppmと
し、第3の層領域では0.2ppmとした。
【0180】作製した光受容部材を電子写真装置(キヤ
ノン製NP−6550を実験用に改造、像露光は680
nmの半導体レーザーおよび680nmのLED)にセ
ットして、実施例1と同様の評価をしたところ、実施例
1と同様に良好な電子写真特性が得られた。
【0181】また、作製した光受容部材を正帯電して画
像評価をしたところ、画像上でも光メモリーは観測され
ず、その他の画像特性(ポチ、画像流れ)についても良
好であり、特にガサツキは非常に良好なレベルであっ
た。 《実施例3》本例では、直径80mmの鏡面加工を施し
たアルミニウムシリンダー(支持体)を用い、実施例1
のH2に代えてHeを使用し、実施例1の表面層に代え
て、表面層のシリコン原子および炭素原子の含有量を層
厚方向に不均一な分布状態とした表面層を設けた。表5
に、このときの光受容部材の作製条件を示した。
【0182】
【表5】 また本例では、光導電層の周期律表第IIIb族に属す
る元素の含有量は図2(a)に示すような2段階の分布
状態とした。すなわち、SiH4に対するB2 6量を、
第1の層領域および第2の層領域では1ppmとし、第
3の層領域では0.1ppmとした。
【0183】作製した光受容部材を電子写真装置(キヤ
ノン製NP−6550を実験用に改造、像露光は680
nmの半導体レーザーおよび680nmのLED)にセ
ットして、実施例1と同様の評価をしたところ、実施例
1と同様に良好な電子写真特性が得られた。
【0184】また、作製した光受容部材を正帯電して画
像評価をしたところ、画像上でも光メモリーは観測され
ず、その他の画像特性(ポチ、画像流れ)にっいても良
好であり、特にガサツキは非常に良好なレベルであっ
た。 《実施例4》本例では、直径108mmの鏡面加工を施
したアルミニウムシリンダー(支持体)を用い、実施例
1の表面層に代えて、表面層のシリコン原子および炭素
原子の含有量を層厚方向に不均一な分布状態とした表面
層を設けるとともに、全ての層にフッ素原子、ホウ素原
子、炭素原子、酸素原子、窒素原子を含有させた。表6
に、このときの光受容部材の作製条件を示した。
【0185】
【表6】 また本例では、光導電層の周期律表第IIIb族に属す
る元素の含有量は図2(a)に示すような2段階の分布
状態とした。すなわち、SiH4に対するB2 6量を、
第1の層領域および第2の層領域では3ppmとし、第
3の層領域では0.5ppmとした。
【0186】作製した光受容部材を電子写真装置(キヤ
ノン製NP−6550を実験用に改造、像露光は680
nmの半導体レーザーおよび680nmのLED)にセ
ットして、実施例1と同様の評価をしたところ、実施例
1と同様に良好な電子写真特性が得られた。
【0187】また、作製した光受容部材を正帯電して画
像評価をしたところ、画像上でも光メモリーは観測され
ず、その他の画像特性(ポチ、画像流れ)にっいても良
好であり、特にガサツキは非常に良好なレベルであっ
た。 《実施例5》本例では、直径80mmの鏡面加工を施し
たデルミニウムシリンダー(支持体)を用い、実施例1
の表面層に代えて、表面層のシリコン原子および炭素原
子の含有量を層厚方向に不均一な分布状態とした表面層
を設け、全ての層にホウ素原子を含有させた。表7にこ
のときの光受容部材の作製条件を示した。
【0188】
【表7】 また本例では、光導電層の周期律表第IIIb族に属す
る元素の含有量は図2回に示すような分布状態とした。
すなわち、SiH4に対するB26量を、第1の層領域
の支持体側から第3の層領域の表面側に向かって3pp
mから0.1ppmに一定の割合で減少させた。
【0189】作製した光受容部材を電子写真装置(キヤ
ノン製NP−6550を実験用に改造、像露光は680
nmの半導体レーザニおよび680nmのLED)にセ
ットして、実施例1と同様の評価をしたところ、実施例
1と同様に良好な電子写真特性が得られた。
【0190】また、作製した光受容部材を正帯電して画
像評価をしたところ、画像上でも光メモリーは観測され
ず、その他の画像特性(ポチ、画像流れ)についても良
好であり、特にガサツキは非常に良好なレベルであっ
た。 《実施例6》本例では、直径108mmの鏡面加工を施
したアルミニウムシリンダー(支持体)を用い、実施例
1の光導電層においてH2に加えてHeを使用し、表面
層を構成する原子として炭素原子を表面層に含有させて
設けた。表8にこのときの光受容部材の作製条件を示し
た。
【0191】
【表8】 このとき、光導電層の周期律表第IIIb族に属する元
素の含有量は図2(b)に示すような分布求態とした。
すなわち、SiH4に対するB26量を、第1の層領域
では5ppm、第2の層領域では1.5ppmとし、第
3の層領域では0.2ppmとした。
【0192】作製した光受容部材を電子写真装置(キヤ
ノン製NP−6550を実験用に改造、像露光は680
nmの半導体レーザーおよび680nmのLED)にセ
ットして、実施例1と同様の評価をしたところ、実施例
1と同様に良好な電子写真特性が得られた。
【0193】また、作製した光受容部材を正帯電して画
像評価をしたところ、画像上でも光メモリーは観測され
ず、その他の画像特性(ポチ、画像流れ)についても良
好であり、特にガサツキは非常に良好なレベルであっ
た。 《実施例7》本例では、直径80mmの鏡面加工を施し
たアルミニウムシリンダー(支持体)を用い、実施例1
の表面層に代えて、表面層のシリコン原子および炭素原
子の含有量を層厚方向に不均一な分布状態とした表面層
を設けた。表9に、このときの光受容部材の作製条件を
示した。
【0194】
【表9】 このとき、周期律表第IIIb族に属する元素の含有量
は図2(a)に示すような分布状態とした。すなわち、
SiH4に対するB26量を、第1の層領域から第3の
層領域の途中までは2.0ppmとし、第3の層領域の
表面側から露光波長の80%を吸収するに要する領域の
み0.3ppmとした。
【0195】作製した光受容部材を電子寧真装置(キヤ
ノン製NP−6550を実験用に改造、像露光は680
nmの半導体レーザーおよび680nmのLED)にセ
ットして、実施例1と同様の評価をしたところ、実施例
1と同様に良好な電子写真特性が得られた。
【0196】また、作製した光受容部材を正帯電して画
像評価をしたところ、画像上でも光メモリーは観測され
ず、その他の画像特性(ポチ、画像流れ)についても良
好であり、特にガサツキは非常に良好なレベルであっ
た。 《実施例8》本例では、直径80mmの鏡面加工を施し
たアルミニウムシリンダー(支持体)を用い、実施例1
のH2に加えてHeを使用し、実施例1の表面層に代え
て、表面層のシリコン原子および炭素原子の含有量を層
厚方向に不均一な分布状態とした表面層を設けた。表1
0に、このときの光受容部材の作製条件を示した。
【0197】
【表10】 このとき、周期律表第IIIb族に属する元素の含有量
は図2回に示すような分布状態とした。すなわち、Si
4に対するB26量を、第1の層領域では5ppm、
第2の層領域では中間までは3ppmそれ以後は1pp
m、そして第3の層領域の表面側から露光波長の70%
を吸収するに要する領域以外の領域は0.3ppm、第
3の層領域の表面側から露光波長の70%を吸収するに
要する領域のみ0.1ppmとした。
【0198】作製した光受容部材を電子写真装置(キヤ
ノン製NP−6550を実験用に改造、像露光は680
n中の半導体レーザーおよび680nmのLED)にセ
ットして、実施例1と同様の評価をしたところ、実施例
1と同様に良好な電子写真特性が得られた。
【0199】また、作製した光受容部材を正帯電して画
像評価をしたところ、画像上でも光メモリは観測され
ず、そのほかの画像特性(ポチ、画像流れ)についても
良好であり、特にガサツキが非常に良好なレベルであっ
た。 《実施例9》本例では、直径80mmの鏡面加工を施し
たアルミニウムシリンダー(支持体)を用い、実施例1
の表面層に代えて、表面層のシリコン原子および炭素原
子の含有量を層厚方向に不均一な分布状態とした表面層
を設けるとともに、全ての層にフッ素原子、ホウ素原
子、炭素原子、酸素原子、窒素原子を含有させた。表1
1に、このときの光受容部材の作製条件を示した。
【0200】
【表11】 このとき、周期律表第IIIb族に属する元素の含有量
は図2(e)に示すような分布状態とした。すなわち、
SiH4に対するB26量を、第1の層領域から第3の
層領域にかけて5ppmから0.2ppmまで一定の割
合で滑らかに減少し、第3の層領域の表面側から露光波
長の70%を吸収するに要する領域のみ0.2ppmの
一定とした。
【0201】作製した光受容部材を電子写真装置(キヤ
ノン製NP−6550を実験用に改造、像露光は680
nmの半曇体レーザーぉよび680nmのLED)にセ
ットして、実施例1と同様の評価をしたところ、実施例
1と同様に良好な電子写真特性が得られた。また、作製
した光受容部材を正帯電して画像評価をしたところ、画
像上でも光メモリーは観測されず、そあ他の画像特性
(ポチ、画像流れ)についても良好であり、特にガサツ
キは非常に良好なレベルであった。 《実施例10》本例では、直径80mmの鏡面加工を施
したアルミニウムシリンダー(支持体)を用い、実施例
1の表面層に代えて、表面唐のシリコン原子および炭素
原字の含有量を層厚方向に不均一な分布状態とした表面
層を設けるとともに、全ての層にフッ素原子、ホウ素原
子、炭素原子、酸素原子、窒素原子を含有させた。表1
2に、このときの光受容部材の作製条件を示した。
【0202】
【表12】 このとき、周期律表第IIIb族に属する元素の含有量
は図2(f)に示すような分布状態とした。すなわち、
SiH4に対するB26量を、第1の層領域では3.0
ppmの一定、第2の層領域では3.0ppmから0.
2ppmまで一定の割合で滑らかに減少し、第3の層領
域(=露光波長の90%を吸収するに琴する領域)では
0.2ppmとした。
【0203】作製した光受容部材を電子写真装置(キヤ
ノン製NP−6550を実験用に改造、像露光は680
nmの半導体レーザーおよび680nmのLED)にセ
ットして、実施例1と同様の評価をしたところ、実施例
1と同様に良好な電子写真特性が得られた。
【0204】また、作製した光受容部材を正帯電して画
像評価をしたところ、画像上でも光メモリーは観測され
ず、その他の画像特性(ポチ、画像流れ)についても良
好であり、特にガサツキは非常に良好なレベルであっ
た。
【0205】
【発明の効果】本発明によれば、光受容部材の使用温度
領域での温度特性(帯電能および感度)が飛躍的に改善
されるとともに光メモリーの発生を実質的になくするこ
とができるために、光受容部材の使用環境に対する安定
性が向上し、ハーフトーンが鮮明に出てかつ解像力の高
い高品質の画像を安定して得ることができる電子写真用
光受容部材が得られる。
【0206】したがって、本発明の電子写真用光受容部
材を前述のごとき特定の構成としたことにより、a−S
iで構成された従来の電子写真用光受容部材における諸
問題をすべて解決することができ、特にきわめて優れた
電気的特性、光学的特性、光導電特性、画像特性、耐久
性および使用環境特性を示す。
【0207】特に本発明においては、光導電層に光学的
バンドギヤップの異なる層領域を設け、光の入射側に光
学的バンドギャップの小さく欠陥の少ない層領域を配設
することによって、半導体レーザーやLEDを露光光源
に用いた時の周囲環境の変動に対する感度の変化が抑制
され極めて優れた電位特性、画像特性を有する。また、
光導電層に光学的バンドギヤップの異なる層領域を設
け、支持体側に光学的バンドギャップの大きく欠陥の少
ない層領域を配設することによって、画像濃度の微少な
ムラが抑制されて極めて優れた電位特性、画像特性を有
する。
【0208】さらに加えて、光導電層の特に光電変換に
関わる光入射部について、光が一定量吸収する領域とそ
の他の領域との役割を考慮しながら、導電性を制御する
物質である周期律表第IIIb族に属する元素の含有状
態を制御することにより、半導体レーザーやLEDを露
光光源とした時の周囲環境の変動に対する感度変化が効
果的に抑制され、極めて優れた電位特性、画像特性を有
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光受容部材の好適な実施態様例の層構
成を説明するための模式的層構成図である。
【図2】本発明の光受容部材の好適な実施態様例の周期
律表第IIIb族に属する元素の分布状態を説明するた
めの模式図である。
【図3】本発明における指数関数裾の特性エネルギーを
説明するためのa−Siのサブギャップ光吸収スペクト
ルの1例の模式図である。`
【図4】本発明における感度の温度特性および感度の直
線性を説明するためのa−Si感光体の露光量―表面電
位曲線の1例の模式図である。
【図5】本発明の光受容部材の光受容層を形成するため
の装置の一例で、RF帯の高周波電源を用いたグロー放
電法による光受容部材の製造装置の模式的説明図であ
る。
【図6】本発明の光受容部材における光導電層の第3の
層領域のEg、Euと帯電能との関係を示す図である。
【図7】本発明の光受容部材における光導電層の第3の
層領域のEg、Euと帯電能の温度特性との関係を示す
図である。
【図8】本発明の光受容部材における光導電層の第3の
層領域のEg、Euとメモリーとの関係を示す図であ
る。
【図9】本発明の光受容部材における光導電層の第3の
層領域のEg、Euと感度の温度特性との関係を示す図
である。
【図10】本発明の光受容部材における光導電層の光導
電層の第3の層領域のEg、Euと感度の直線性との関
係を示す図である。
【図11】本発明の光受容部材における光導電層の第1
の層領域のEg、Euと帯電能との関係を示す図であ
る。
【図12】本発明の光受容部材における光導電層の第1
の層領域のEg、Euと帯電能の温度特性との関係を示
す図である。
【図13】本発明の光受容部材における光導電層の第1
の層領域のEg、Euとガサツキレベルとの関係を示す
図である。
【図14】本発明の光受容部材における光導電層に占め
る第3の層領域の割合と帯電能との関係を示す図であ
る。
【図15】本発明の光受容部材における光導電層に占め
る第3の層領域の割合と感度の温度特性との関係を示す
図である。
【図16】本発明の光受容部材における光導電層に占め
る第3の層領域の割合と感度の直線性との関係を示す図
である。
【図17】本発明の光受容部材における光導電層の周期
律表第IIIb族に属する元素の含有量を減らした領域
の像露光の吸収率と帯電能との関係を示す図である。
【図18】本発明の光受容部材における光導電層の周期
律表第IIIb族に属する元素の含有量を減らした領域
の像露光の吸収率とメモリーとの関係を示す図である。
【図19】本発明の光受容部材における光導電層の周期
律表第IIIb族に属する元素の含有量を減らした領域
の像露光の吸収率と感度の温度特性との関係を示す図で
ある。
【符号の説明】
100 光受容部材 101 導電性支持体 102 光受容層 103 光導電層 104 表面層 105 電荷注入阻止層 110 自由表面 111 第1の層領域 112 第2の層領域 113 第3の層領域 5100 堆積装置 5111 反応容器 5112 円筒状支持体 5113 支持体加熱用ヒーター 5114 原料ガス導入管 5115 マッチングボックス 5116 原料ガス配管 5117 反応容器リークバルブ 5118 メイン排気バルブ 5119 真空計 5200 原料ガス供給装置 5211〜5216 マスフローコントローラー 5221〜5226 原料ガスボンベ 5231〜5236 原料ガスボンベバルブ 5241〜5246 ガス流入バルブ 5251〜5256 ガス流出バルブ 5261〜5266 圧力調整器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G03G 5/08 316 G03G 5/08 316 331 331 (72)発明者 田澤 大介 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも導電性支持体と、該導電性支
    持体の表面上に、水素原子及び/またはハロゲン原子を
    含有しシリコン原子を母体とするアモルファス材料から
    なる光導電層を備えた電子写真用光受容部材において、
    該光導電層は、支持体側から第1の層領域、第2の層領
    域および第3の層領域の順で構成され、各層領域の水素
    原子及び/またはハロゲン原子の含有量(Ch)、光学
    的バンドギャップ(Eg)、ならびに光子エネルギー
    (hν)を独立変数とし光吸収スペクトルの吸収係数
    (α)を従属変数とする式(I) 1nα=(1/Eu)・hν+α1 (I) で表される関数の直線関係部分(指数関数裾)から得ら
    れる特性エネルギー(Eu)の少なくとも一つが異な
    り、第1の層領域における水素含有量が25〜40原子
    %、光学的バンドギャップが1.8〜1.9eV、指数
    関数裾の特性エネルギーが50〜55meVであり、第
    2の層領域における水素含有量が15〜30原子%、光
    学的バンドギャップが1.75〜1.85eV、指数関
    数裾の特性エネルギーが55〜65meVであり、第3
    の層領域における水素含有量が10〜25原子%、光学
    的バンドギャップが1.7〜1.8eV、指数関数裾の
    特性エネルギーが50〜55meVであって、光導電層
    全体に占める第3の層領域の割合が0.03以上0.5
    以下であることを特徴とする電子写真用光受容部材。
  2. 【請求項2】 少なくとも導電性支持体と、該導電性支
    持体の表面上に、水素原子及び/またはハロゲン原子な
    らびに周期律表第IIIb族に属する少なくとも一つの
    元素とを含有し、シリコン原子を母体とするアモルファ
    ス材料からなる光導電層を備えた電子写真用光受容部材
    において、該光導電層は、支持体側から第1の層領域、
    第2の層領域および第3の層領域の順で構成され、各層
    領域の水素原子及び/またはハロゲン原子の含有量(C
    h)、光学的バンドギャップ(Eg)、ならびに光子エ
    ネルギー(hν)を独立変数とし光吸収スペクトルの吸
    収係数(α)を従属変数とする式(I) 1nα=(1/Eu)・hν+α1 (I) で表される関数の直線関係部分(指数関数裾)から得ら
    れる特性エネルギー(Eu)の少なくとも一つが異な
    り、第1の層領域における水素含有量が25〜40原子
    %、光学的バンドギャップが1.8〜1.9eV、指数
    関数裾の特性エネルギーが50〜55meVであり、第
    2の層領域における水素含有量が15〜30原子%、光
    学的バンドギャップが1.75〜1.85eV、指数関
    数裾の特性エネルギーが55〜65meVであり、第3
    の層領域における水素含有量が10〜25原子%、光学
    的バンドギャップが1.7〜1.8eV、指数関数裾の
    特性エネルギーが50〜55meVであって、光導電層
    全体に占める第3の層領域の割合が0.03以上0.5
    以下であり、かつ光導電層の光の入射側における周期律
    表第IIIb族に属する元素の含有量が、光導電層の支
    持体側における周期律表第IIIb族に属する元素の含
    有量より少ないことを特徴とする電子写真用光受容部
    材。
  3. 【請求項3】 前記第3の層領域は、像露光の50〜9
    5%を吸収する領域である請求項1または2に記載の電
    子写真用光受容部材。
  4. 【請求項4】 前記第3の層領域における周期律表第I
    IIb族に属する元素の含有量がその他の層領域におけ
    る周期律表第IIIb族に属する元素の含有量に比べて
    少ない請求項2または3に記載の電子写真用光受容部
    材。
  5. 【請求項5】 前記第3の層領域における周期律表第I
    IIb族に属する元素の含有量は、シリコン原子に対し
    て0.01〜10ppmである請求項2〜4のうち、い
    ずれか1項に記載の電子写真用光受容部材。
  6. 【請求項6】 前記第1の層領域および第2の層領域に
    おける周期律表第IIIb族に属する元素の含有量は、
    シリコン原子に対して0.2〜30ppmである請求項
    2〜4のうち、いずれか1項に記載の電子写真用光受容
    部材。
  7. 【請求項7】 前記光導電層の光の入射側から像露光の
    70%以上を吸収するに要する領域における周期律表第
    IIIb族に属する元素の含有量が、その他の領域にお
    ける周期律表第IIIb族に属する元素の含有量より少
    ないことを特徴とする請求項2〜6のうち、いずれか1
    項に記載の電子写真用光受容部材。
  8. 【請求項8】 前記光導電層の光の入射側から像露光の
    70%以上を吸収するに要する領域における周期律表第
    IIIb族に属する元素の含有量は、シリコン原子に対
    して0.01〜5ppm以下である請求項7に記載の電
    子写真用光受容部材。
  9. 【請求項9】 前記光導電層に含有される周期律表第I
    IIb族に属する元素の含有量が、支持体側から光の入
    射側に向かって階段状に減少している請求項2〜8のい
    ずれか1項に記載の電子写真用光受容部材。
  10. 【請求項10】 前記光導電層に含有される周期律表第
    IIIb族に属する元素の該含有量が、支持体側から光
    の入射側に向かって滑らかに減少している請求項2〜8
    のいずれか1項に記載の電子写真用光受容部材。
  11. 【請求項11】 前記光導電層は、その光導電層中に炭
    素、酸素、窒素の少なくとも一つを含む請求項1〜10
    のいずれか1項に記載の電子写真用光受容部材。
  12. 【請求項12】 前記光導電層は、その表面上に炭素、
    酸素、窒素の少なくとも一つを含むシリコン系非単結晶
    材料からなる表面層が設けられている請求項1〜11の
    いずれか1項に記載の電子写真用光受容部材。
  13. 【請求項13】 前記光導電層は、シリコン原子を母体
    とし、炭素、酸素、窒素の少なくとも一つおよび周期律
    表第IIIb族または第Vb族から選ばれる元素の少な
    くとも一つを含む非単結晶材料からなる電荷注入阻止層
    の表面上に設けられ、更に該光導電層の表面上に、炭
    素、酸素、窒素の少なくとも一つを含むシリコン系非単
    結晶材料からなる表面層が設けられている請求項1〜1
    1のうちいずれか1項に記載の電子写真用光受容部材。
  14. 【請求項14】 前記光導電層の層厚が20〜50μm
    である請求項1〜13のいずれか1項に記載の電子写真
    用光受容部材。
  15. 【請求項15】 前記表面層は、その層厚が0.01〜
    3μmである請求項12〜14のうちいずれか1項に記
    載の電子写真用光受容部材。
  16. 【請求項16】 前記電荷注入阻止層は、その層厚が
    0.1〜5μmである請求項13または14に記載の電
    子写真用光受容部材。
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