JP3323681B2 - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

電子写真感光体の製造方法

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JP3323681B2 JP32540994A JP32540994A JP3323681B2 JP 3323681 B2 JP3323681 B2 JP 3323681B2 JP 32540994 A JP32540994 A JP 32540994A JP 32540994 A JP32540994 A JP 32540994A JP 3323681 B2 JP3323681 B2 JP 3323681B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光(ここでは広義の光で
あって、紫外線、可視光線、赤外線、X線、γ線などを
意味する。)のような電磁波に対して感受性のある電子
写真感光体を連続して安定に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】固体撮像装置、あるいは像形成分野にお
ける電子写真用光受容部材や原稿読みとり装置における
光導電層を形成する材料として、高感度でSN比[光電
流(Ip)/(Id)]が高く、照射する電磁波のスペ
クトル特性にマッチングした吸収スペクトル特性を有す
ること、光応答性が速く、所望の暗抵抗値を有するこ
と、使用時において人体に無公害であること、さらには
固体撮像装置においては、残像を所定時間内に容易に処
理することができること等の特性が要求される。特に事
務機としてオフィスで使用される電子写真用光受容部材
の場合には、上記の使用時における無公害性は重要な点
である。
【0003】この様な観点に立脚して注目されている材
料に、水素やハロゲン原子等の一価の元素でダングリン
グボンドが修飾されたアモルファスシリコン(以後、
「a−Si」と表記する)があり、例えば特開昭54−
86341号公報には電子写真用光受容部材への応用が
記載されている。
【0004】従来、円筒状支持体上にa−Siからなる
光受容部材を形成する形成方法として、スパッタリング
法、熱により原料ガスを分解する方法(熱CVD法)、
光により原料ガスを分解する方法(光CVD法)、プラ
ズマにより原料ガスを分解する方法(プラズマCVD
法)等、多数知られている。なかでもプラズマCVD
法、すなわち、原料ガスを直流または高周波、マイクロ
波グロー放電等によって分解し、円筒状支持体上に堆積
膜を形成する方法は電子写真用光受容部材の形成方法
等、現在実用化が非常に進んでいる。
【0005】図5は、典型的なプラズマCVD装置の断
面略図を示している。図中、5100は真空反応容器全
体を示し、5111は真空反応容器の側壁を兼ねたカソ
ード電極であり、5120は真空反応容器の上壁となる
ゲート、5121は真空反応容器の底壁である。前記カ
ソード電極5111と、上壁5120及び底壁5121
とは、夫々、絶縁材としての碍子5122で絶縁されて
いる。
【0006】5112は真空反応容器内に設置された円
筒状支持体であり、該支持体の基体5112は接地され
てアノード電極となるものである。支持体5112の内
側には、基体加熱用ヒーター5113が設置されてお
り、成膜前に支持体を所定の温度に加熱したり、成膜中
に支持体を所定の温度に維持したり、あるいは成膜後支
持体をアニール処理したりするのに用いる。
【0007】5114は堆積膜形成用原料ガス導入管で
あって、真空反応空間内に種々の原料ガスを放出するた
めのガス放出孔(図示せず)が多数設けられており、該
原料ガス導入管5114の他端は、補助バルブ5260
を介して堆積膜形成用原料ガス供給系5200に連通し
ている。
【0008】5119は、真空反応容器内を真空排気す
るための排気管であり、排気バルブ5118を介して真
空排気装置5117に連通している。5115は、カソ
ード電極5111への電圧印可手段の高周波マッチング
ボックスである。
【0009】こうしたプラズマCVD法による堆積膜形
成装置の操作方法は次のようにして行なわれる。即ち、
真空反応容器内のガスを、排気管5119を介して真空
排気すると共に、加熱用ヒーター5113により支持体
5112を所定温度に加熱、保持する。次に原料ガス導
入管5114を介して、例えばa−SiH堆積膜を形成
する場合であれば、シラン等の原料ガスを真空反応容器
内に導入し、該原料ガスは、ガス導入管5114の原料
ガス放出孔(図示せず)から真空反応容器内に放出され
る。これと同時併行的に、電圧印加手段5115から、
例えば高周波をカソード電極5111と支持体(アノー
ド電極)5112間に印加し、プラズマ放電を発生せし
める。かくして、真空反応容器内の原料ガスは励起され
励起種化し、Si*、SiH*等(*は励起状態を表わ
す。)のラジカル粒子、電子、イオン粒子等が生成さ
れ、これらの粒子間または、これらの粒子と支持体表面
との化学的相互作用により、支持体5112表面上に堆
積膜を形成する。
【0010】このような堆積膜の製造方法として堆積膜
形成中に条件を変えて作成する方法も検討されている。
【0011】例えば、特開昭58−21257号公報に
は、禁止帯幅を変化させ、光感度領域の広い感光体を作
成する為、光導電層形成中に支持体温度を低温側に変化
させる技術が、また特開昭58−136037号公報、
特開昭58−142582号公報には、同じく支持体温
度を低温側に変化させ、光導電層中の水素含有量を変化
させることで、帯電能感度に優れ、ピンホールの発生を
減少させる技術が開示されている。
【0012】また、特開昭61−130956号公報に
は、電荷注入阻止層形成時の支持体温度を、光導電層形
成時の支持体温度より低温にすることで、簡単な製造方
法で高信頼度の電子写真感光体を得る技術が開示されて
いる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の電子
写真感光体の形成方法により、ある程度実用的な特性と
均一性を持つ感光体を得ることが可能になった。また真
空反応容器内の清掃を厳格に行えば、ある程度欠陥の少
ない感光体を得ることは可能である。しかし、これら従
来の感光体形成方法では電子写真用感光体のように大
面積で比較的厚い堆積膜が要求される製品については、
均一膜質で光学的及び電気的諸特性の要求を満足し、か
つ電子写真プロセスにより画像形成時に画像欠陥の少な
い堆積膜を高収率で得るのは難しいという解決すべき問
題が残存している。
【0014】さらに現在、電子写真装置はさらに高画
質、高速、高耐久性が望まれている。その結果、電子写
真感光体においては、光学的特性や電気的特性の更なる
向上とともに、高帯電能、高感度を維持しつつあらゆる
環境下で耐久性を延ばすことが求められている。
【0015】また、近年、電子写真装置の画像特性向上
のために電子写真装置内の光学露光系、現像装置、転写
装置等の改良がなされた結果、電子写真感光体において
も、従来以上の画像特性の向上が求められるようになっ
た。特に画像の解像力が向上した結果、俗に「ポチ」と
呼ばれる、白点状または黒点状の画像欠陥の減少、特に
従来はあまり問題にされなかった微少な大きさの「ポ
チ」の減少が求められるようになってきた。
【0016】さらに、電子写真装置の高速化に対応し、
複写プロセスのスピードアップも成されている。
【0017】そのため、電子写真感光体を繰り返し使用
する際に生じる残像、いわゆる「ゴースト」現象は、従
来のスピードの複写システムにあっては必ずしも痛切で
はなく場合によっては無視することもできたが、レーザ
ー等の可干渉光光源を使用する高速の複写システム、フ
ァクシミリシステム、プリンターシステム等の高速連続
画像形成システム、特にデジタル高速連続画像システ
ム、さらには近年普及してきたフルカラー画像システム
においては、視覚的に明らかなものとなるため、重大な
問題であり、解決の要求されるところのものである。
【0018】したがって、電子写真感光体そのものの特
性改良が図られる一方で、上記のような問題が解決され
るように、層構成、各層の化学的組成および作製法など
総合的な観点からの改良を図ることが必要とされてい
る。
【0019】
【発明の目的】本発明の目的は、上述のごとき従来の電
子写真感光体の製造方法における諸問題を克服して、安
価に安定して歩留まり良く高速形成し得る、使いやすい
電子写真感光体の製造方法を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明の電子写真感光体
の製造方法は、導電性支持体上に少なくともシリコン原
子を母材とする非晶質材料からなる電荷注入阻止層と光
導電層を有する電子写真感光体の製造方法において、前
記電荷注入阻止層作成時、初期から支持体温度を−2.
5℃/min以上、−0.4℃/min以下で変化させ
る時間領域は、前記電荷注入阻止層作成時間の15%以
上、70%以下であり、かつ、前記光導電層作成時、初
期から支持体温度を0.3℃/min以上、5.0℃/
min以下で変化させる時間領域は、前記光導電層作成
時間の3%以上、20%以下であることを特徴とする電
子写真感光体の製造方法である。
【0021】
【0022】また、上記光導電層上に表面層を設けても
よい。
【0023】また、上記光導電層の層厚が25乃至0μ
mでもよい。
【0024】また、上記電荷注入阻止層の層厚が1乃至
4μmでもよい。
【0025】また、上記表面層の層厚が0.1乃至1μ
mでもよい。
【0026】
【作用】本発明によれば、電荷注入阻止層作成時の時間
的初期領域において支持体温度を−2.5℃/min以
上、−0.4℃/min以下で変化させかつ、前記光
導電層作成時の時間的初期領域において支持体温度を
0.3℃/min以上、5.0℃/min以下で変化さ
せて、堆積膜を形成することにより、ゴースト、あるい
は残留電位等の電子写真特性が改善し、また俗に「ポ
チ」と呼ばれる、白点状または黒点状の画像欠陥が大幅
に減少した。
【0027】本発明者らは、電子写真感光体における電
荷注入阻止層に要求される諸特性、すなわち、電気的、
光学的特性、連続繰り返し使用特性、および耐久性に関
し、鋭意検討を行ったところ、電荷注入阻止層作成時の
支持体温度と相関があることが解った。
【0028】〔電荷注入阻止層の形成〕電荷注入阻止層
は、電子写真感光体が一定の極性の帯電処理をその自由
表面に受けた際、支持体側より光導電層側に電荷が注入
されるのを阻止する機能を有し、逆極性の帯電処理を受
けた際にはそのような機能は発揮されない、いわゆる極
性依存性を有する必要がある。そのような機能を付与す
る為に、電荷注入阻止層には伝導性を制御する原子を光
導電層に比べ比較的多く含有させる。しかし、a−S
i:Hのバンドギャップ内には、Si−Si結合の構造
的な乱れに基づくテイル準位と、Siの未結合手(ダン
グリングボンド)等の構造欠陥に起因する深い準位が存
在する。このような準位が多く存在する場合には、伝導
性を制御する原子を含有させても、電荷の注入を阻止す
る機能が充分に発揮されなくなる。
【0029】特に電荷注入阻止層は、例えばアルミニウ
ム、あるいはステンレスの支持体上に直接堆積されるた
め、それら支持体とa−Siの熱膨張率の違いによる歪
みを受け、また電荷注入阻止層上に比較的厚膜に堆積さ
れる光導電層からの応力を受ける為、電荷注入阻止層内
には、ストレスが蓄積され前述のような準位が発生しや
すい。
【0030】本発明の電子写真感光体の製造方法は、電
荷注入阻止層作成時の初期領域において支持体温度を−
2.5℃/min以上、−0.4℃/min以下で変化
させることで、電荷注入阻止層内のストレスが緩和さ
れ、その結果、電荷の注入を阻止する機能の向上がなさ
れる。
【0031】このメカニズムに関しては定かではない
が、本発明者らは以下のように考えている。
【0032】プラズマCVD法により、例えばアモルフ
ァスシリコン堆積膜を支持体上に形成する場合、反応
は、気相における原料ガスの分解過程、放電空間から基
体表面までの活性種の輸送過程、支持体表面での表面反
応過程の3つに分けて考えることができる。中でも、表
面反応過程は完成した堆積膜の構造の決定に非常に大き
な役割を果たしている。そして、これらの表面反応は、
支持体表面の温度、材質、形状、吸着物質などに大きな
影響を受けるのである。この支持体上での成長過程を水
素を含むアモルファスシリコンを例にして、もう少し詳
細に説明すると以下のようになる。プラズマ中で分解し
て輸送されてきた分解種は支持体上に付着してアモルフ
ァスシリコン膜のネットワークを形成するが、まだ3次
元的にネットワークが完成されていないアモルファスシ
リコンの成長面では水素原子の脱離、ダングリングボン
ドへの水素原子や珪素原子の結合、エネルギー的に高い
結合を持つ原子の再配置などにより、構造欠陥の少な
い、エネルギー的に安定な方向への化学的反応(緩和過
程)が起こる。これらの結果、堆積膜としてはダングリ
ングボンドの減少、ギャップ準位密度の低下、Si−H
2結合が減少して、Si−H結合が主となる等の減少が
観察される。これらの反応は支持体の熱エネルギーによ
り制御されるため、堆積膜形成中の支持体温度が非常に
重要となる。
【0033】本発明のように電荷注入阻止層作成時の初
期領域において、支持体温度を高温から低温に変化させ
ると、この領域に形成される堆積膜が支持体と堆積膜の
熱膨張率の違いによる歪みを吸収する機能を有し、この
ために堆積される電荷注入阻止層内のストレスが大幅に
緩和され、その結果、支持体からの電荷の注入を阻止す
る機能が大幅に改善されると考える。
【0034】[光導電層の形成] さらに、本発明の電子写真感光体の製造方法は、光導電
層作成時の初期領域において支持体温度を0.3℃/m
in以上、5.0℃/min以下で変化させ堆積膜を形
成することにより、残留電位の減少等電子写真特性の改
善がなされる。この原因に関しては以下のように考えら
れる。
【0035】電荷注入阻止層と光導電層との間では組成
の違いあるいは、光学的バンドギャップ等の特性の違い
が存在する。そして電荷注入阻止層と光導電層が接合す
る界面においては、前記諸特性の違いにより歪みが集中
する。本発明のように光導電層の初期において支持体温
度を低温から高温に変化させることで、界面近傍での歪
みが緩和され、その結果、電子写真特性の改善がなされ
る。
【0036】さらに本発明の製造方法により、電子写真
感光体を繰り返し使用する際に生じる残像、いわゆる
「ゴースト」現象が改善される。これは前述のように、
支持体と電荷注入阻止層との界面近傍および、電荷注入
阻止層と光導電層との界面近傍における堆積膜中の歪み
を大幅に緩和した相乗効果により、光導電層全域での堆
積膜の膜質が向上したためと考えられる。
【0037】さらに、本発明により、俗に「ポチ」と呼
ばれる、白点状または黒点状の画像欠陥が減少し、さら
に長期間の使用による「ポチ」の増加を低減することが
できる。「ポチ」は、支持体表面に付着したチリ、ほこ
り、あるいは金属片といったダストがきっかけとなって
堆積膜が異常成長した球状突起が主原因である。とくに
球状突起が欠落した場合は球状突起の大小にかかわら
ず、必ず画像欠陥となる。本発明の製造方法により、電
荷注入阻止層と支持体および、電荷注入阻止層と光導電
層との密着性が向上し、堆積膜中のストレスも緩和され
る為、球状突起の欠落が大幅に減少する。その結果画像
特性が大幅に向上する。この効果は特に繰り返し使用時
の画像特性の劣化の防止に顕著である。電子写真感光体
表面は繰り返し使用するたびに、転写紙やクリーニング
ブレードと表面が摺擦する。そのため球状突起は欠落し
やすくなる。本発明の製造方法は堆積膜の密着性が向上
し、堆積膜中のストレスも緩和される為、摺擦にたいし
ても球状突起の欠落が大幅に減少され、長期間の使用に
よる「ポチ」の増加を低減することができる。
【0038】
【発明の具体的説明】以下、図面にしたがって本発明の
光受容部材の形成方法について具体例を挙げて詳細に説
明する。
【0039】本発明の製造方法は、真空堆積膜形成方法
によって、行われる。具体的には、例えばグロー放電法
(低周波CVD法、高周波CVD法またはマイクロ波C
VD法等の交流放電CVD法、あるいは直流放電CVD
法等)、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレー
ティング法、光CVD法、熱CVD法などの数々の薄膜
堆積法によって形成することができる。これらの薄膜堆
積法は、製造条件、設備資本投資下の負荷程度、製造規
模、作成される電子写真用光受容部材に所望される特性
等の要因によって適宜選択されて採用されるが、所望の
特性を有する電子写真用光受容部材を製造するに当たっ
ての条件の制御が比較的容易であることからグロー放電
法、特にRF帯またはVHF帯の電源周波数を用いた高
周波グロー放電法が好適である。
【0040】〔高周波プラズマCVD法(RF−PCV
D法)による製造方法〕以下、高周波プラズマCVD法
によって堆積膜を形成するための装置及び形成方法につ
いて詳述する。
【0041】図5は高周波プラズマCVD(以下「RF
−PCVD]と表記する)法による電子写真感光体の製
造装置の一例を示す模式的な構成図である。
【0042】図5に示すRF−PCVD法による堆積膜
の製造装置の構成は以下の通りである。この装置は大別
すると、堆積装置5110、原料ガスの供給装置520
0、反応容器5110内を減圧にするための排気装置5
117から構成されている。堆積装置5100中の反応
容器5110内には、カソード電極5111、導電性円
筒状支持体5112、支持体加熱用ヒーター5113、
原料ガス導入管5114が設置され、更に高周波マッチ
ングボックス5115が接続されている。
【0043】原料ガス供給装置5200は、SiH4
2、CH4、NO、B26、GeH4等の原料ガスのボ
ンベ5221〜5226とバルブ5231〜5236,
5241〜5246,5251〜5256およびマスフ
ローコントローラー5211〜5216から構成され、
各原料ガスのボンベは補助バルブ5260を介して反応
容器5110内のガス導入管5114に接続されてい
る。
【0044】この装置を用いた堆積膜の形成は、例えば
以下のように行なうことができる。まず、反応容器51
10内に円筒状支持体5112を設置し、排気装置51
17(例えば真空ポンプ)により反応容器5110内を
排気する。
【0045】続いて、支持体加熱用ヒーター5113を
ONし、円筒状支持体5112の温度を250℃〜50
0℃の所定の温度に制御する。
【0046】堆積膜形成用の原料ガスを反応容器511
0に流入させるには、ガスボンベのバルブ5231〜5
236、反応容器5110のリークバルブ5123が閉
じられていることを確認し、また、流出バルブ5251
〜5256、流入バルブ5241〜5246、補助バル
ブ5260が開かれていることを確認して、まずメイン
バルブ5118を開いて反応容器5110内およびガス
配管内5116を排気する。
【0047】次に真空計5124の読みが、約5×10
-6Torrになった時点で補助バルブ5260、流出バ
ルブ5251〜5256を閉じる。
【0048】その後、ガスボンベ5221〜5226よ
り各ガスをバルブ5231〜5236を開いて導入し、
圧力調整器5261〜5266により各ガス圧(例えば
2kg/cm2)を調整する。次に、流入バルブ524
1〜5246を徐々に開けて、各ガスをマスフローコン
トローラー5211〜5216内に導入する。
【0049】以上のようにして成膜の準備が完了した
後、円筒状支持体5112上に例えば電荷注入阻止層、
光導電層、表面層等の各層の形成を行う。
【0050】円筒状支持体5112が所定の温度になっ
たところで流出バルブ5251〜5256のうちの必要
なものおよび補助バルブ5260を徐々に開き、ガスボ
ンベ5221〜5226から所定のガスをガス導入管5
114を介して反応容器5110内に導入する。次にマ
スフローコントローラー5211〜5216によって各
原料ガスが所定の流量になるように調整する。その際、
反応容器5110内の圧力が1Torr以下の所定の圧
力になるように真空計5124を見ながらメインバルブ
5118の開口を調整する。内圧が安定したところで、
RF電源(図示せず)を所望の電力に設定して、高周波
マッチングボックス5115を通じて反応容器5110
内にRF電力を導入し、カソード電極5111と円筒状
支持体5112間にRFグロー放電を生起させる。この
放電エネルギーによって反応容器内に導入された原料ガ
スが分解され、円筒状支持体5112上に所定のシリコ
ンを主成分とする堆積膜が形成されるところとなる。こ
のときRF電力導入と同時に、支持体加熱用ヒーター5
113の出力を調整し、支持体の温度を所定の値で変化
させる。所望の膜厚の形成が行われた後、RF電力の供
給を止め、流出バルブ5251〜5256、補助バルブ
5260を閉じて反応容器へのガスの流入を止め、堆積
膜の形成を終える。
【0051】同様の操作を複数回繰り返すことによっ
て、多層構造の電子写真感光体が形成される。
【0052】それぞれの層を形成する際には必要なガス
以外の流出バルブはすべて閉じられていることは言うま
でもなく、また、それぞれのガスが反応容器5110
内、流出バルブ5251〜5256から反応容器511
0に至る配管内に残留することを避けるために、流出バ
ルブ5251〜5256を閉じ、補助バルブ5260を
開き、さらにメインバルブ5118を全開にして系内を
一旦高真空に排気する操作を必要に応じて行う。
【0053】また、膜形成の均一化を図る場合は、膜形
成を行なっている間は、円筒状支持体5112を駆動装
置(図示せず)によって所定の速度で回転させる。
【0054】上述のガス種およびバルブ操作は各々の層
の作成条件にしたがって変更が加えられることは言うま
でもない。
【0055】〔支持体の温度管理〕図4は、本発明の製
造方法における、堆積膜形成中の支持体温度の変化を示
す模式的説明図である。まず支持体を一定温度に加熱
し、その後電荷注入阻止層形成時は前述のように、RF
電力導入と同時に、図4の(A)に示すように支持体温
度を低温側に所定の値で変化させていく。初期変化時間
の(A)を経過後一定温度に保持しつつ電荷注入阻止層
を形成し、その後同様に光導電層形成時は、RF電力導
入と同時に、図4の(B)に示すように、支持体温度を
高温側に所定の値で変化させていく。初期変化時間の
(B)を経過後一定温度に保持しつつ光導電層を形成す
る。
【0056】円筒状支持体5112の加熱方法は、真空
仕様である発熱体であればよく、より具体的にはシース
状ヒーターの巻き付けヒーター、板状ヒーター、セラミ
ックヒーター等の電気抵抗発熱体、ハロゲンランプ、赤
外線ランプ等の熱放射ランプ発熱体、液体、気体等を温
媒とし熱交換手段による発熱体等が挙げられる。加熱手
段の表面材質は、ステンレス、ニッケル、アルミニウ
ム、銅等の金属類、セラミックス、耐熱性高分子樹脂等
を使用することができる。また、それ以外にも、反応容
器5110以外に加熱専用の容器を設け、円筒状支持体
5112を加熱した後、反応容器5110内に真空中で
円筒状支持体5112を搬送する等の方法が用いられ
る。
【0057】〔高周波プラズマCVD法(VHF−PC
VD法)による製造法〕次に、VHF帯の周波数を用い
た高周波プラズマCVD(以後「VHF−PCVD」と
略記する)法によって形成される電子写真用光受容部材
の製造方法について説明する。
【0058】図5に示した製造装置におけるRF−PC
VD法による堆積装置5100を、図6に示す堆積装置
6100に交換して原料ガス供給装置5200と接続す
ることにより、VHF−PCVD法による電子写真用光
受容部材製造装置を得ることができる。
【0059】この装置は大別すると、真空気密化構造を
成した減圧にし得る反応容器6111、原料ガスの供給
装置5200、および反応容器内を減圧にするための排
気装置(不図示)から構成されている。反応容器611
1内には円筒状支持体6112、支持体加熱用ヒーター
6113、原料ガス導入管(不図示)、電極6115が
設置され、電極6115には更に高周波マッチングボッ
クス6116が接続されている。また、反応容器611
1内は排気管6121を通じて不図示の拡散ポンプに接
続されている。
【0060】原料ガス供給装置5200は、SiH4
GeH4、H2、CH4、B26、PH 3等の原料ガスのボ
ンベ5221〜5226とバルブ5231〜5236,
流入バルブ5241〜5246,流出バルブ5251〜
5256およびマスフローコントローラー5211〜5
216から構成され、各原料ガスのボンベは補助バルブ
5260を介して反応容器6111内のガス導入管(不
図示)に接続されている。また、電極6115の同心円
状に円筒状支持体6112が複数個配置され、電極61
15と円筒状支持体6112によって取り囲まれた空間
6130が放電空間を形成している。これにより、一度
の製造により複数個の感光体を得ることができるので、
量産に適している。
【0061】VHF−PCVD法によるこの装置での堆
積膜の形成は、以下のように行なうことができる。
【0062】まず、反応容器6111内に円筒状支持体
6112を設置し、駆動装置6120によって支持体6
112を回転する。また不図示の排気装置(例えば拡散
ポンプ)により反応容器6111内を排気管6121を
介して排気し、反応容器6111内の圧力を1×10-7
Torr以下に調整する。続いて、支持体加熱用ヒータ
ー6113により円筒状支持体6112の温度を200
℃乃至350℃の所定の温度に加熱保存する。
【0063】堆積膜形成用の原料ガスを反応容器611
1に流入させるには、ガスボンベのバルブ5231〜5
236、反応容器のリークバルブ(不図示)が閉じられ
ていることを確認し、叉、流入バルブ5241〜524
6、流出バルブ5251〜5256、補助バルブ526
0が開かれていることを確認して、まずメインバルブ
(不図示)を開いて反応容器6111およびガス配管内
を排気する。
【0064】次に真空計(不図示)の読みが約5×10
-6Torrになった時点で補助バルブ5260、流出バ
ルブ5251〜5256を閉じる。
【0065】その後、ガスボンベ5221〜5226よ
り各ガスをバルブ5231〜5236を開いて導入し、
圧力調整器5261〜5266により各ガス圧を2kg
/cm2に調整する。次に、流入バルブ5241〜52
46を徐々に開けて、各ガスをマスフローコントローラ
ー5211〜5216内に導入する。
【0066】以上のようにして成膜の準備が完了した
後、以下のようにして円筒状支持体6112上に各層の
形成を行う。
【0067】円筒状支持体6112が所定の温度になっ
たところで流出バルブ5251〜5256のうちの必要
なものおよび補助バルブ5260を徐々に開き、ガスボ
ンベ5221〜5226から所定のガスをガス導入管
(不図示)を介して反応容器6111内の放電空間61
30に導入する。次にマスフローコントローラー521
1〜5216によって各原料ガスが所定の流量になるよ
うに調整する。その際、放電空間6130内の圧力が1
Torr以下の所定の圧力になるように真空計(不図
示)を見ながらメインバルブ(不図示)の開口を調整す
る。
【0068】電荷注入阻止層の形成は、圧力が安定した
ところで、例えば周波数500MHzのVHF電源(不
図示)を所望の電力に設定して、高周波マッチングボッ
クス6116を通じて放電空間6130にVHF電力を
導入し、グロー放電を生起させる。かくして支持体61
12により取り囲まれた放電空間6130において、導
入された原料ガスは、放電エネルギーにより励起されて
解離し、支持体6112上に所定の堆積膜が形成され
る。このときVHF電力導入と同時に、支持体加熱用ヒ
ーター6113の出力を調整し支持体の温度を所定の値
で変化させる。この時、層形成の均一化を図るため支持
体回転用モーター6120によって、所望の回転速度で
回転させる。
【0069】所望の膜厚の形成が行われた後、VHF電
力の供給を止め、流出バルブを閉じて反応容器へのガス
の流入を止め、堆積膜の形成を終える。
【0070】同様の操作を複数回繰り返すことによっ
て、所望の多層構造の光受容層が形成される。
【0071】図4は、本発明の製造方法における、堆積
膜形成中の支持体温度の変化を示す、模式的説明図であ
る。電荷注入阻止層形成は前述のように、VHF電力導
入と同時に、図4の(A)に示すように支持体温度を低
温側に所定の値で変化させていく。同様に、光導電層形
成時は、VHF電力導入と同時に、図4の(B)に示す
ように支持体温度を高温側に所定の値で変化させてい
く。
【0072】それぞれの層を形成する際には必要なガス
以外の流出バルブはすべて閉じられていることは言うま
でもなく、また、それぞれのガスが反応容器6111
内、流出バルブ5251〜5256から反応容器611
1に至る配管内に残留することを避けるために、流出バ
ルブ5251〜5256を閉じ、補助バルブ5260を
開き、さらにメインバルブ(不図示)を全開にして系内
を一旦高真空に排気する操作を必要に応じて行う。
【0073】上述のガス種およびバルブ操作は各々の層
の作成条件にしたがって変更が加えられることは言うま
でもない。
【0074】いずれの方法においても、堆積膜形成時の
支持体温度は、特に200℃以上350℃以下、好まし
くは230℃以上330℃以下、より好ましくは250
℃以上300℃以下が好ましい。
【0075】支持体の加熱方法は、真空仕様である発熱
体であればよく、より具体的にはシース状ヒーターの巻
き付けヒーター、板状ヒーター、セラミックヒーター等
の電気抵抗発熱体、ハロゲンランプ、赤外線ランプ等の
熱放射ランプ発熱体、液体、気体等を温媒とし熱交換手
段による発熱体等が挙げられる。加熱手段の表面材質
は、ステンレス、ニッケル、アルミニウム、銅等の金属
類、セラミックス、耐熱性高分子樹脂等を使用すること
ができる。
【0076】それ以外にも、反応容器以外に加熱専用の
容器を設け、専用容器で加熱した後、反応容器内に真空
中で支持体を搬送する等の方法が用いられる。
【0077】また、特にVHF−PCVD法における放
電空間の圧力として、好ましくは1mTorr以上、5
00mTorr以下、より好ましくは3mTorr以
上、300mTorr以下、最も好ましくは5mTor
r以上、100mTorr以下に設定することが望まし
い。
【0078】VHF−PCVD法において放電空間に設
けられる電極の大きさ及び形状は、放電を乱さないなら
ば、いずれのものでも良いが、実用上は直径1mm以上
10cm以下の円筒状が好ましい。この時、電極の長さ
も、支持体に電界が均一にかかる長さであれば任意に設
定できる。
【0079】(電極)電極の材質としては、表面が導電
性となるものならば、いずれのものでも良く、例えば、
ステンレス,Al,Cr,Mo,Au,In,Nb,T
e,V,Ti,Pt,Pb,Fe等の金属、これらの合
金または表面を導電処理したガラス、セラミック等が通
常使用される。
【0080】(支持体)本発明において使用される支持
体としては、導電性でも電気絶縁性であってもよい。導
電性支持体としては、Al、Cr、Mo、Au、In、
Nb、Te、V、Ti、Pt、Pb、Fe等の金属、お
よびこれらの合金、例えばステンレス等が挙げられる。
また、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネー
ト、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化
ビニル、ポリスチレン、ポリアミド等の合成樹脂のフィ
ルムまたはシート、ガラス、セラミック等の電気絶縁性
支持体の少なくとも光受容層を形成する側の表面を導電
処理した支持体も用いることができる。ただし、電気絶
縁性支持体とする場合、電極6115に対する他方の電
極は加熱用ヒータでも、駆動モータ6120により回転
する回転軸であってもよい。
【0081】本発明において使用される支持体の形状は
平滑表面あるいは凹凸表面の円筒状または板状無端ベル
ト状であることができ、その厚さは、所望通りの電子写
真用光受容部材を形成し得るように適宜決定するが、電
子写真用光受容部材としての可撓性が要求される場合に
は、支持体としての機能が充分発揮できる範囲内で可能
な限り薄くすることができる。しかしながら、支持体は
製造上および取り扱い上、機械的強度等の点から通常は
10μm以上とされる。
【0082】特にレーザー光などの可干渉性光を用いて
像記録を行う場合には、可視画像において現われる、い
わゆる干渉縞模様による画像不良をより効果的に解消す
るために、支持体の表面に凹凸を設けてもよい。支持体
の表面に設けられる凹凸は、特開昭60−168156
号公報、特開昭60−178457号公報、特開昭60
−225854号公報等に記載された公知の方法により
作成される。
【0083】また、レーザー光などの可干渉光を用いた
場合の干渉縞模様による画像不良をより効果的に解消す
る別の方法として、支持体の表面に複数の球状痕跡窪み
による凹凸形状を設けてもよい。即ち、支持体の表面が
電子写真用光受容部材に要求される解像力よりも微少な
凹凸を有し、しかも該凹凸は、複数の球状痕跡窪みによ
るものである。支持体の表面に設けられる複数の球状痕
跡窪みによる凹凸は、特開昭61−231561号公報
に記載された公知の方法により作成される。
【0084】(電荷注入阻止層)本発明の電子写真感光
体の製造方法における電荷注入阻止層は、光受容層が一
定極性の帯電処理をその自由表面に受けた際、支持体側
より光導電層側に電荷が注入されるのを阻止する機能を
有し、逆の極性の帯電処理を受けた際にはそのような機
能は発揮されない、いわゆる極性依存性を有している。
そのような機能を付与するために、電荷注入阻止層には
伝導性を制御する原子を光導電層に比べ比較的多く含有
させる。
【0085】該電荷注入阻止層に含有される伝導性を制
御する原子は、該層中に万遍なく均一に分布されても良
いし、あるいは層厚方向には万遍なく含有されてはいる
が、不均一に分布する状態で含有している部分があって
もよい。分布濃度が不均一な場合には、支持体側に多く
分布するように含有させるのが好適である。
【0086】しかしながら、いずれの場合にも支持体の
表面と平行面内方向においては、均一な分布で万遍なく
含有されることが面内方向における特性の均一化をはか
る点からも必要である。
【0087】電荷注入阻止層に含有される伝導性を制御
する原子としては、半導体分野における、いわゆる不純
物を挙げることができ、p型伝導特性を与える周期律表
第IIIb族に属する原子(以後、「第IIIb族原子」と略
記する)、またはn型伝導特性を与える周期律第Vb族
に属する原子(以後、「第Vb族原子」と略記する)を
用いることができる。
【0088】第IIIb族原子としては、具体的には、B
(ほう素)、Al(アルミニウム),Ga(ガリウ
ム)、In(インジウム)、Tl(タリウム)等があ
り、特にB、Al、Gaが好適である。第Vb族原子と
しては、具体的にはP(リン)、As(砒素)、Sb
(アンチモン)、Bi(ビスマス)等があり、特にP、
Asが好適である。
【0089】本発明において電荷注入阻止層中に含有さ
れる伝導性を制御する原子の含有量としては、本発明の
目的が効果的に達成できるように所望にしたがって適宜
決定されるが、好ましくは10〜1×104原子pp
m、より好適には50〜5×103原子ppm、最適に
は1×102〜1×103原子ppmとされるのが望まし
い。
【0090】さらに、電荷注入阻止層には、炭素原子、
窒素原子及び酸素原子の少なくとも一種を含有させるこ
とによって、該電荷注入阻止層に直接接触して設けられ
る他の層との間の密着性の向上をよりいっそう図ること
ができる。
【0091】該電荷注入阻止層に含有される炭素原子ま
たは窒素原子または酸素原子は該層中に万遍なく均一に
分布されても良いし、あるいは層厚方向には万遍なく含
有されてはいるが、不均一に分布する状態で含有してい
る部分であってもよい。しかしながら、いずれの場合に
も支持体の表面と平行面内方向においては、均一な分布
で万遍なく含有されることが面内方向における特性の均
一化をはかる点からも必要である。
【0092】本発明における電荷注入阻止層の全層領域
に含有される炭素原子及び/または窒素原子及び/また
は酸素原子の含有量は、本発明の目的が効果的に達成さ
れるように適宜決定されるが、一種の場合はその量とし
て、二種以上の場合はその総和として、好ましくは1×
10-3〜50原子%、より好適には5×10-3〜30原
子%、最適には1×10-2〜10原子%とされるのが望
ましい。
【0093】また、本発明における電荷注入阻止層に含
有される水素原子及び/またはハロゲン原子は層内に存
在する未結合手を補償し膜質の向上に効果を奏する。電
荷注入阻止層中の水素原子またはハロゲン原子あるいは
水素原子とハロゲン原子の和の含有量は、好適には1〜
50原子%、より好適には5〜40原子%、最適には1
0〜30原子%とするのが望ましい。
【0094】本発明において、電荷注入阻止層の層厚は
所望の電子写真特性が得られること、及び経済的効果等
の点から好ましくは0.1〜5μm、最適には1〜4μ
mとされるのが望ましい。
【0095】本発明の目的を達成し得る特性を有する電
荷注入阻止層を形成するには、Si供給用のガスと希釈
ガスとの混合比、反応容器内のガス圧、放電電力ならび
に支持体の温度を適宜設定することが必要である。
【0096】希釈ガスであるH2及び/またはHeの流
量は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選択される
が、Si供給用ガスに対しH2及び/またはHeを、通
常の場合1〜20倍、好ましくは3〜15倍、最適には
5〜10倍の範囲に制御することが望ましい。
【0097】反応容器内のガス圧も同様に層設計にした
がって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合1×1
-4〜10Torr、好ましくは5×10-4〜5Tor
r、最適には1×10-3〜1Torrとするのが好まし
い。
【0098】放電電力もまた同様に層設計にしたがって
適宜最適範囲が選択されるが、Si供給用のガスの流量
に対する放電電力を、通常の場合1〜7倍、好ましくは
2〜6倍、最適には3〜5倍の範囲に設定することが望
ましい。
【0099】さらに、支持体の温度は、層設計にしたが
って適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好まし
くは200〜350℃、より好ましくは220〜330
℃、最適には240〜310℃とするのが望ましい。
【0100】さらに、電荷注入阻止層作成時、初期から
支持体の温度変化が−0.4℃/minより大きいと本
発明の効果が得られず、−2.5℃/min未満だと密
着性が充分得られない。よって好ましくは、−2.5℃
/min以上、−0.4℃/min以下、より好ましく
は、−1.5℃/min以上、−0.5℃/min以下
がより好ましい。
【0101】さらに、電荷注入阻止層作成時の支持体の
温度を変化させる時間的領域は、電荷注入阻止層全体の
層形成時間の15%未満では、充分な密着性が得られ
ず、70%より大きいと、充分な電荷注入阻止機能が得
られない。よって15%以上、70%以下が好ましい。
【0102】本発明においては、電荷注入阻止層を形成
するための希釈ガスの混合比、ガス圧、放電電力、支持
体温度の望ましい数値範囲として前記した範囲が挙げら
れるが、これらの層作成ファクターは、通常は独立的に
別々に決められるものではなく、所望の特性を有する電
荷注入阻止層を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基
づいて各層作成ファクターの最適値を決めるのが望まし
い。
【0103】(光導電層)また、本発明の製造方法にお
ける光導電層中に水素原子または/及びハロゲン原子が
含有されることが必要であるが、これはシリコン原子の
未結合手を補償し、層品質の向上、特に光導電性及び電
荷保持特性を向上させるために必須不可欠であるからで
ある。よって水素原子またはハロゲン原子の含有量、ま
たは水素原子とハロゲン原子の和の量はシリコン原子と
水素原子または/及びハロゲン原子の和に対して10〜
30原子%、より好ましくは15〜25原子%とされる
のが望ましい。
【0104】本発明において使用されるSi供給用ガス
となり得る物質としては、SiH4、Si26、Si3
8、Si410等のガス状態の、またはガス化し得る水素
化珪素(シラン類)が有効に使用されるものとして挙げ
られ、更に層作成時の取り扱い易さ、Si供給効率の良
さ等の点でSiH4、Si26が好ましいものとして挙
げられる。
【0105】そして、形成される光導電層中に水素原子
を構造的に導入し、水素原子の導入割合の制御をいっそ
う容易になるようにはかり、本発明の目的を達成する膜
特性を得るために、これらのガスに更にH2及び/また
はHeあるいは水素原子を含む珪素化合物のガスも所望
量混合して層形成することが必要である。また、各ガス
は単独種のみでなく所定の混合比で複数種混合しても差
し支えないものである。
【0106】また本発明において使用されるハロゲン原
子供給用の原料ガスとして有効なのは、たとえばハロゲ
ンガス、ハロゲン化物、ハロゲンをふくむハロゲン間化
合物、ハロゲンで置換されたシラン誘導体等のガス状の
またはガス化し得るハロゲン化合物が好ましく挙げられ
る。また、さらにはシリコン原子とハロゲン原子とを構
成要素とするガス状のまたはガス化し得る、ハロゲン原
子を含む水素化珪素化合物も有効なものとして挙げるこ
とができる。本発明において好適に使用し得るハロゲン
化合物としては、具体的には弗素ガス(F2)、Br
F、ClF、ClF3、BrF3、BrF5、IF3、IF
7等のハロゲン間化合物を挙げることができる。ハロゲ
ン原子を含む珪素化合物、いわゆるハロゲン原子で置換
されたシラン誘導体としては、具体的には、たとえばS
iF4、Si26等の弗化珪素が好ましいものとして挙
げることができる。
【0107】光導電層中に含有される水素原子または/
及びハロゲン原子の量を制御するには、例えば支持体の
温度、水素原子または/及びハロゲン原子を含有させる
ために使用される原料物質の反応容器内へ導入する量、
放電電力等を制御すればよい。
【0108】本発明においては、光導電層には必要に応
じて伝導性を制御する原子を含有させることが好まし
い。伝導性を制御する原子は、光導電層中に万遍なく均
一に分布した状態で含有されても良いし、あるいは層厚
方向には不均一な分布状態で含有している部分があって
もよい。
【0109】前記伝導性を制御する原子としては、半導
体分野における、いわゆる不純物を挙げることができ、
p型伝導特性を与える周期律表第IIIb族に属する原子
(以後、「第IIIb族原子」と略記する)またはn型伝
導特性を与える周期律第Vb族に属する原子(以後、
「第Vb族原子」と略記する)を用いることができる。
【0110】第IIIb族原子としては、具体的には、硼
素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、
インジウム(In)、タリウム(Tl)等があり、特に
B、Al、Gaが好適である。第Vb族原子としては、
具体的には燐(P)、砒素(As)、アンチモン(S
b)、ビスマス(Bi)等があり、特にP、Asが好適
である。
【0111】光導電層に含有される伝導性を制御する原
子の含有量としては、好ましくは1×10-2〜1×10
4原子ppm、より好ましくは5×10-2〜5×103
子ppm、最適には1×10-1〜1×103原子ppm
とされるのが望ましい。
【0112】伝導性を制御する原子、たとえば、第III
b族原子あるいは第Vb族原子を構造的に導入するに
は、層形成の際に、第IIIb族原子導入用の原料物質あ
るいは第Vb族原子導入用の原料物質をガス状態で反応
容器中に、光導電層103を形成するための他のガスと
ともに導入してやればよい。第IIIb族原子導入用の原
料物質あるいは第Vb族原子導入用の原料物質となり得
るものとしては、常温常圧でガス状のまたは、少なくと
も層形成条件下で容易にガス化し得るものが採用される
のが望ましい。
【0113】そのような第IIIb族原子導入用の原料物
質として具体的には、硼素原子導入用としては、B
26、B410、B59、B511、B610、B612
614等の水素化硼素、BF3、BCl3、BBr3等の
ハロゲン化硼素等が挙げられる。この他、AlCl3
GaCl3、Ga(CH33、InCl3、TlCl3
も挙げることができる。
【0114】第Vb族原子導入用の原料物質として有効
に使用されるのは、燐原子導入用としては、PH3、P2
4等の水素化燐、PH4I、PF3、PF5、PCl3
PCl5、PBr3、PBr5、PI3等のハロゲン化燐が
挙げられる。この他、AsH 3、AsF3、AsCl3
AsBr3、AsF5、SbH3、SbF3、SbF5、S
bCl3、SbCl5、BiH3、BiCl3、BiBr3
等も第Vb族原子導入用の出発物質の有効なものとして
挙げることができる。
【0115】また、これらの伝導性を制御する原子導入
用の原料物質を必要に応じてH2及び/またはHeによ
り希釈して使用してもよい。
【0116】さらに本発明においては、光導電層に炭素
原子及び/または酸素原子及び/または窒素原子を含有
させることも有効である。炭素原子及び/または酸素原
子及び/または窒素原子の含有量はシリコン原子、炭素
原子、酸素原子及び窒素原子の和に対して、好ましくは
1×10-5〜10原子%、より好ましくは1×10-4
8原子%、最適には1×10-3〜5原子%が望ましい。
炭素原子及び/または酸素原子及び/または窒素原子
は、光導電層中に万遍なく均一に含有されても良いし、
光導電層の層厚方向に含有量が変化するような不均一な
分布をもたせた部分があっても良い。
【0117】本発明において、光導電層の層厚は所望の
電子写真特性が得られること及び経済的効果等の点から
適宜所望にしたがって決定され、好ましくは20〜50
μm、より好ましくは23〜45μm、最適には25〜
40μmとされるのが望ましい。
【0118】本発明の目的を達成し、所望の膜特性を有
する光導電層を形成するには、Si供給用のガスと希釈
ガスとの混合比、反応容器内のガス圧、放電電力ならび
に支持体温度を適宜設定することが必要である。
【0119】希釈ガスとして使用するH2及び/または
Heの流量は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選択
されるが、Si供給用ガスに対しH2及び/またはHe
を、通常の場合3〜20倍、好ましくは4〜15倍、最
適には5〜10倍の範囲に制御することが望ましい。
【0120】反応容器内のガス圧も同様に層設計にした
がって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合1×1
-4〜10Torr、好ましくは5×10-4〜5Tor
r、最適には1×10-3〜1Torrとするのが好まし
い。
【0121】放電電力もまた同様に層設計にしたがって
適宜最適範囲が選択されるが、Si供給用のガスの流量
に対する放電電力を、通常の場合2〜7倍、好ましくは
2.5〜6倍、最適には3〜5倍の範囲に設定すること
が望ましい。
【0122】さらに、支持体の温度は、層設計にしたが
って適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好まし
くは200〜350℃、より好ましくは230〜330
℃とするのが望ましい。
【0123】さらに、光導電層作成時、初期から支持体
の温度変化が0.2℃/min未満だと密着性が充分得
られず、5.0℃/minより大きいと本発明の効果が
得られない。よって好ましくは、0.3℃/min以
上、5.0℃/min以下、より好ましくは、0.5℃
/min以上、3.1℃/min以下がより好ましい。
【0124】さらに、光導電層作成時の支持体の温度を
変化させる時間的領域は、全光導電層作成時間の3.0
%未満では、充分に残留電位を減少させることができ
ず、20%より大きい場合は、密着性が充分に得られな
い。よって3.0%以上、20%以下が好ましい。
【0125】本発明においては、光導電層を形成するた
めの支持体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前記
した範囲が挙げられるが、条件は通常は独立的に別々に
決められるものではなく、所望の特性を有する光受容部
材を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて最適
値を決めるのが望ましい。
【0126】(表面層)本発明においては、光導電層の
上に、更にアモルファスシリコン系の表面層を形成する
ことが好ましい。この表面層は自由表面を有し、主に耐
湿性、連続繰り返し使用特性、電気的耐圧性、使用環境
特性、耐久性において本発明の目的を達成するために設
けられる。
【0127】又、本発明においては、光受容層を構成す
る光導電層と表面層とを形成する非晶質材料の各々がシ
リコン原子という共通の構成要素を有しているので、積
層界面において化学的な安定性の確保が十分成されてい
る。
【0128】表面層は、アモルファスシリコン系の材料
であればいずれの材質でも可能であるが、例えば、水素
原子(H)及び/またはハロゲン原子(X)を含有し、
更に炭素原子を含有するアモルファスシリコン(以下、
「a−SiC:H,X」と表記する)、水素原子(H)
及び/またはハロゲン原子(X)を含有し、更に酸素原
子を含有するアモルファスシリコン(以下、「a−Si
O:H,X」と表記する)、水素原子(H)及び/また
はハロゲン原子(X)を含有し、更に窒素原子を含有す
るアモルファスシリコン(以下、「a−SiN:H,
X」と表記する)、水素原子(H)及び/またはハロゲ
ン原子(X)を含有し、更に炭素原子、酸素原子、窒素
原子の少なくとも一つを含有するアモルファスシリコン
(以下、「a−SiCON:H,X」と表記する)等の
材料が好適に用いられる。
【0129】本発明において、その目的を効果的に達成
するために、表面層は真空堆積膜形成方法によって、所
望特性が得られるように適宜成膜パラメーターの数値条
件が設定されて作成される。具体的には、例えばグロー
放電法(低周波CVD法、高周波CVD法またはマイク
ロ波CVD法等の交流放電CVD法、あるいは直流放電
CVD法等)、スパッタリング法、真空蒸着法、イオン
プレーティング法、光CVD法、熱CVD法などの数々
の薄膜堆積法によって形成することができる。これらの
薄膜堆積法は、製造条件、設備資本投資下の負荷程度、
製造規模、作成される電子写真用光受容部材に所望され
る特性等の要因によって適宜選択されて採用されるが、
光受容部材の生産性から光導電層と同等の堆積法による
ことが好ましい。
【0130】例えば、グロー放電法によってa−Si
C:H,Xよりなる表面層を形成するには、基本的には
シリコン原子(Si)を供給し得るSi供給用の原料ガ
スと、炭素原子(C)を供給し得るC供給用の原料ガス
と、水素原子(H)を供給し得るH供給用の原料ガスま
たは/及びハロゲン原子(X)を供給し得るX供給用の
原料ガスを、内部を減圧にし得る反応容器内に所望のガ
ス状態で導入して、該反応容器内にグロー放電を生起さ
せ、あらかじめ所定の位置に設置された光導電層103
を形成した支持体101上にa−SiC:H,Xからな
る層を形成すればよい。
【0131】本発明において用いる表面層の材質として
は、シリコンを含有するアモルファス材料ならば何れで
も良いが、炭素、窒素、酸素より選ばれた元素を少なく
とも1つ含むシリコン原子との化合物が好ましく、特に
a−SiCを主成分としたものが好ましい。
【0132】表面層をa−SiCを主成分として構成す
る場合の炭素量は、シリコン原子と炭素原子の和に対し
て30%から90%の範囲が好ましい。
【0133】また、本発明において表面層中に水素原子
または/及びハロゲン原子が含有されることが必要であ
るが、これはシリコン原子の未結合手を補償し、層品質
の向上、特に光導電性特性及び電荷保持特性を向上させ
るために必須不可欠である。水素含有量は、構成原子の
総量に対して通常の場合30〜70原子%、好適には3
5〜65原子%、最適には40〜60原子%とするのが
望ましい。また、弗素原子の含有量として、通常の場合
は0.01〜15原子%、好適には0.1〜10原子
%、最適には0.6〜4原子%とされるのが望ましい。
【0134】これらの水素及び/または弗素含有量の範
囲内で形成される光受容部材は、実際面に於いて従来に
ない格段に優れたものとして充分適用させ得るものであ
る。すなわち、表面層内に存在する欠陥(主にシリコン
原子や炭素原子のダングリングボンド)は電子写真用光
受容部材としての特性に悪影響を及ぼすことが知られて
いる。例えば自由表面から電荷の注入による帯電特性の
劣化、使用環境、例えば高い湿気のもとで表面構造が変
化することによる帯電特性の変動、更にコロナ帯電時や
光照射時に光導電層により表面層に電荷が注入され、前
記表面層内の欠陥に電荷がトラップされることにより繰
り返し使用時の残像現象の発生等がこの悪影響として挙
げられる。
【0135】しかしながら表面層内の水素含有量を30
原子%以上に制御することで表面層内の欠陥が大幅に減
少し、その結果、従来に比べて電気的特性面及び高速連
続使用性において飛躍的な向上を図ることができる。
【0136】一方、前記表面層中の水素含有量が71原
子%以上になると表面層の硬度が低下するために、繰り
返し使用に耐えられなくなる。従って、表面層中の水素
含有量を前記の範囲内に制御することが格段に優れた所
望の電子写真特性を得る上で非常に重要な因子の1つで
ある。表面層中の水素含有量は、H2ガスの流量、支持
体温度、放電パワー、ガス圧等によって制御し得る。
【0137】また、表面層中の弗素含有量を0.01原
子%以上の範囲に制御することで表面層内のシリコン原
子と炭素原子の結合の発生をより効果的に達成すること
が可能となる。さらに、表面層中の弗素原子の働きとし
て、コロナ等のダメージによるシリコン原子と炭素原子
の結合の切断を効果的に防止することができる。
【0138】一方、表面層中の弗素含有量が15原子%
を超えると表面層内のシリコン原子と炭素原子の結合の
発生の効果およびコロナ等のダメージによるシリコン原
子と炭素原子の結合の切断を防止する効果がほとんど認
められなくなる。さらに、過剰の弗素原子が表面層中の
キャリアの走行性を阻害するため、残留電位や画像メモ
リーが顕著に認められてくる。従って、表面層中の弗素
含有量を前記範囲内に制御することが所望の電子写真特
性を得る上で重要な因子の一つである。表面層中の弗素
含有量は、水素含有量と同様にH2ガスの流量、支持体
温度、放電パワー、ガス圧等によって制御し得る。
【0139】本発明の表面層の形成において使用される
シリコン(Si)供給用ガスとなり得る物質としては、
SiH4、Si26、Si38、Si410等のガス状態
の、またはガス化し得る水素化珪素(シラン類)が有効
に使用されるものとして挙げられ、更に層作成時の取り
扱い易さ、Si供給効率の良さ等の点でSiH4、Si2
6が好ましいものとして挙げられる。また、これらの
Si供給用の原料ガスを必要に応じてH2、He、A
r、Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0140】炭素供給用ガスとなり得る物質としては、
CH4、C26、C38、C410等のガス状態の、また
はガス化し得る炭化水素が有効に使用されるものとして
挙げられ、更に層作成時の取り扱い易さ、Si供給効率
の良さ等の点でCH4、C2 6が好ましいものとして挙
げられる。また、これらのC供給用の原料ガスを必要に
応じてH2、He、Ar、Ne等のガスにより希釈して
使用してもよい。
【0141】窒素または酸素供給用ガスとなり得る物質
としては、NH3、NO、N2O、NO2、O2、CO、C
2、N2等のガス状態の、またはガス化し得る化合物が
有効に使用されるものとして挙げられる。また、これら
の窒素、酸素供給用の原料ガスを必要に応じてH2、H
e、Ar、Ne等のガスにより希釈して使用してもよ
い。
【0142】また、形成される表面層中に導入される水
素原子の導入割合の制御をいっそう容易になるように図
るために、これらのガスに更に水素ガスまたは水素原子
を含む珪素化合物のガスも所望量混合して層形成するこ
とが好ましい。また、各ガスは単独種のみでなく所定の
混合比で複数種混合しても差し支えないものである。
【0143】ハロゲン原子供給用の原料ガスとして有効
なのは、たとえばハロゲンガス、ハロゲン化物、ハロゲ
ンをふくむハロゲン間化合物、ハロゲンで置換されたシ
ラン誘導体等のガス状のまたはガス化し得るハロゲン化
合物が好ましく挙げられる。また、さらにはシリコン原
子とハロゲン原子とを構成要素とするガス状のまたはガ
ス化し得る、ハロゲン原子を含む水素化珪素化合物も有
効なものとして挙げることができる。本発明において、
好適に使用し得るハロゲン化合物としては、具体的に
は、弗素ガス(F2)、BrF、ClF、ClF3、Br
3、BrF5、IF3、IF7等のハロゲン間化合物を挙
げることができる。ハロゲン原子を含む珪素化合物、い
わゆるハロゲン原子で置換されたシラン誘導体として
は、具体的には、たとえばSiF4、Si26等の弗化
珪素が、好ましいものとして挙げることができる。
【0144】表面層中に含有される水素原子または/及
びハロゲン原子の量を制御するには、例えば支持体の温
度、水素原子または/及びハロゲン原子を含有させるた
めに使用される原料物質の反応容器内へ導入する量、放
電電力等を制御すればよい。
【0145】炭素原子及び/または酸素原子及び/また
は窒素原子は、表面層中に万遍なく均一に含有されても
良いし、表面層の層厚方向に含有量が変化するような不
均一な分布をもたせた部分があってもよい。
【0146】さらに本発明においては、表面層中には必
要に応じて伝導性を制御する原子を含有させることが好
ましい。伝導性を制御する原子は表面層中に万遍なく均
一に分布した状態で含有されてもよいし、あるいは層厚
方向には不均一な分布状態で含有している部分があって
も良い。
【0147】さらに本発明においては、表面層には必要
に応じて伝導性を制御する原子を含有させることが好ま
しい。伝導性を制御する原子は、表面層中に万遍なく均
一に分布した状態で含有されても良いし、あるいは層厚
方向には不均一な分布状態で含有している部分があって
もよい。
【0148】前記の伝導性を制御する原子としては、半
導体分野における、いわゆる不純物を挙げることがで
き、p型伝導特性を与える周期律第IIIb族に属する原
子(以後、「第IIIb族原子」と略記する)、またはn
型伝導特性を与える周期律第Vb族に属する原子(以
後、「第Vb族原子」と略記する)を用いることができ
る。
【0149】第IIIb族原子としては、具体的には、硼
素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、
インジウム(In)、タリウム(Tl)等があり、特に
B、Al、Gaが好適である。第Vb族原子としては、
具体的には燐(P)、砒素(As)、アンチモン(S
b)、ビスマス(Bi)等があり、特にP、Asが好適
である。
【0150】表面層に含有される伝導性を制御する原子
の含有量としては、好ましくは1×10-3〜1×103
原子ppm、より好ましくは1×10-2〜5×102
子ppm、最適には1×10-1〜1×102原子ppm
とされるのが望ましい。伝導性を制御する原子、たとえ
ば、第IIIb族原子あるいは第Vb族原子を構造的に導
入するには、層形成の際に、第IIIb族原子導入用の原
料物質あるいは第Vb族原子導入用の原料物質をガス状
態で反応容器中に、表面層104を形成するための他の
ガスとともに導入してやればよい。第IIIb族原子導入
用の原料物質あるいは第Vb族原子導入用の原料物質と
なり得るものとしては、常温常圧でガス状のまたは、少
なくとも層形成条件下で容易にガス化し得るものが採用
されるのが望ましい。そのような第IIIb族原子導入用
の原料物質として具体的には、硼素原子導入用として
は、B26、B410、B59、B511、B610、B6
12、B614等の水素化硼素、BF3、BCl3、BB
3等のハロゲン化硼素等が挙げられる。この他、Al
Cl3、GaCl3、Ga(CH33、InCl3、Tl
Cl3等も挙げることができる。
【0151】第Vb族原子導入用の原料物質として、有
効に使用されるのは、燐原子導入用としては、PH3
24等の水素化燐、PH4I、PF3、PF5、PC
3、PCl5、PBr3、PBr5、PI3等のハロゲン
化燐が挙げられる。この他、AsH3、AsF3、AsC
3、AsBr3、AsF5、SbH3、SbF3、Sb
5、SbCl3、SbCl5、BiH3、BiCl3、B
iBr3等も第Vb族原子導入用の出発物質の有効なも
のとして挙げることができる。
【0152】また、これらの伝導性を制御する原子導入
用の原子物質を必要に応じてH2、He、Ar、Ne等
のガスにより希釈して使用してもよい。
【0153】本発明に於ける表面層の層厚としては、通
常0.01〜3μm、好適には0.05〜2μm、最適
には0.1〜1μmとされるのが望ましいものである。
層厚が0.01μmよりも薄いと光受容部材を使用中に
摩耗等の理由により表面層が失われてしまい、3μmを
越えると残留電位の増加等の電子写真特性の低下がみら
れる。
【0154】本発明による表面層は、その要求される特
性が所望通りに与えられるように注意深く形成される。
即ち、Si、C及び/またはN及び/またはO、H及び
/またはXを構成要素とする物質はその形成条件によっ
て構造的には結晶からアモルファスまでの形態を取り、
電気的物性には導電性から半導体性、絶縁性までの間の
性質を、又、光導電的性質から非光導電的性質までの間
の性質を各々示すので、本発明においては、目的に応じ
た所望の特性を有する化合物が形成される様に、所望に
従ってその形成条件の選択が厳密になされる。
【0155】例えば、表面層を耐圧性の向上を主な目的
として設けるには、使用環境に於いて電気絶縁性的挙動
の顕著な非単結晶材料として作成される。
【0156】又、連続繰り返し使用特性や使用環境特性
の向上を主たる目的として表面層が設けられる場合に
は、上記の電気絶縁性の度合はある程度緩和され、照射
される光に対して有る程度の感度を有する非単結晶材料
として形成される。
【0157】本発明の目的を達成し得る特性を有する表
面層を形成するには、支持体の温度、反応容器内のガス
圧を所望にしたがって、適宜設定する必要がある。
【0158】支持体の温度(Ts)は、層設計にしたが
って適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好まし
くは200〜350℃、より好ましくは230〜330
℃、最適には250〜310℃とするのが望ましい。
【0159】反応容器内のガス圧も同様に層設計にした
がって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好ま
しくは1×10-4〜10Torr、より好ましくは5×
10 -4〜5Torr、最適には1×10-3〜1Torr
とするのが好ましい。
【0160】本発明においては、表面層を形成するため
の支持体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前記し
た範囲が挙げられるが、条件は通常は独立的に別々に決
められるものではなく、所望の特性を有する光受容部材
を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて最適値
を決めるのが望ましい。
【0161】さらに本発明においては、光導電層と表面
層の間に、炭素原子、酸素原子、窒素原子の含有量を表
面層より減らしたブロッキング層(下部表面層)を設け
ることも帯電能等の特性を更に向上させるために有効で
ある。
【0162】また表面層と光導電層との間に炭素原子及
び/または酸素原子及び/または窒素原子の含有量が光
導電層に向かって減少するように変化する領域を設けて
も良い。これにより表面層と光導電層の密着性を向上さ
せ、界面での光の反射による干渉の影響をより少なくす
ることができる。
【0163】本発明の方法で製造された電子写真感光体
は、電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービ
ームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンタ
ー、液晶プリンター、レーザー製版機などの電子写真応
用分野にも広く用いることができる。
【0164】以下、実施例として本発明の効果を確認す
るため、種々の実験例を示し具体的に説明するが、本発
明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0165】[実験例1]図5に示すRF−PCVD法
による電子写真用光受容部材の製造装置を用い、感光体
及び支持体である基体には、珪素原子の含有量が100
ppmのアルミニウムよりなる直径108mm、長さ3
58mm、肉厚5mmの円筒状基体を用い、該基体に鏡
面加工を施したアルミニウムシリンダー上に、表1に示
す条件で基体上に、アモルファスシリコン堆積膜の形成
を行い、図1(b)に示す層構成の阻止型電子写真感光
体を作製した。図1(b)において、101、105、
103及び104は、それぞれアルミニウム基体、電荷
注入阻止層、光導電層及び表面層を示している。
【0166】なお、ここで感光体の構造を図1に示し、
説明する。図1(a)に示す感光体100は、基体10
1上に、電荷注入阻止層105を形成し、その上に光導
電層103を形成したものである。感光層102は電荷
注入阻止層105と光導電層103とから構成されてい
る。また、図1(b)は上記の通りで、図1(c)に示
す感光体100は、基体101上に、電荷注入阻止層1
05を形成し、その上に電荷輸送層107、電荷発生層
106が形成され、さらに表面層104が形成されてい
る。光導電層103は電荷輸送層107と電荷発生層1
06から構成され、感光層102は電荷注入阻止層10
5と電荷輸送層107、電荷発生層106とから構成さ
れている。さらに、110は自由表面であり、レーザー
等の光線を照射される表面である。
【0167】本実験例では、電荷注入阻止層作成時の支
持体温度を以下の条件で作成した。 (a)支持体温度280℃一定。 (b)支持体温度255℃一定。 (c)支持体温度を280℃から255℃に変化させ、
その後255℃一定。このとき温度変化のパターンは図
2(b)のリニアーな変化とし、変化させる時間を電荷
注入阻止層の初期温度変化時間とし、その初期温度変化
時間の期間の温度変化量を変更して、8種類作成した。
なお、(a)、(b)については、1種類作成した。
【0168】ただし、光導電層作成時の支持体温度は、
(b),(c)の条件においては、光導電層作成時、初
期の10分間で支持体温度を255℃から280℃に図
3(b)のリニアーなパターンで変化させ、その後は2
80℃一定とし、(a)の条件においては280℃一定
とした。
【0169】作製した光受容部材を電子写真装置(キャ
ノン製NP6150をテスト用に改造)にセットして、
帯電能、ゴーストならびに画像欠陥(白ポチ)を以下の
方法で評価した。
【0170】『帯電能』電子写真感光体を実験装置に設
置し、帯電器に+6KVの高電圧を印加し、コロナ帯電
を行い、表面電位計により電子写真感光体の暗部表面電
位を測定する。そして得られた暗部表面電位の平均をも
って帯電能とする。そして、条件(a)で得られた帯電
能を100とし、xを本実験例の帯電能として相対評価
を行った。
【0171】◎は x ≧110 ○は 110> x ≧105 △は 105> x ≧100 ×は 100> x 『ゴースト』キャノン製ゴーストテストチャート(部品
番号:FY9−9040)に反射濃度1.1、φ5mm
の黒丸を貼り付けたものを原稿台の画像先端部に置き、
その上にキャノン製中間調チャート(部品番号:FY9
−9042)を重ねて置いた際のコピー画像において、
中間コピー上に認められるゴーストチャートのφ5mm
の反射濃度と中間調部分の反射濃度の差を測定した。
【0172】◎は「特に良好」 ○は「良好」 △は「実用上問題無し」 ×は「実用上問題有り」 『白ポチ』キャノン製全面黒チャート(部品番号:FY
9−9073)を原稿台に置きコピーしたときに得られ
たコピー画面の同一面積内にある直径0.2mm以下の
白ポチについて、評価した。
【0173】◎は「特に良好」 ○は「良好」 △は「実用上問題無し」 ×は「実用上問題有り」 さらに、作製した電子写真用光受容部材を電子写真装置
に設置し、200万枚の通紙耐久試験を行った。そして
ゴースト、白ポチ等の電子写真特性について同様に耐久
後として評価を行なった。
【0174】このようにして得られた結果を表2に示
す。
【0175】表2により明らかなように、電荷注入阻止
層の作成の初期領域において、支持体温度を−2.5℃
/min以上、−0.4℃/min以下で変化させるこ
とで、帯電能が向上し、さらに耐久後も白ポチ、ゴース
ト等の画像特性が劣化しない電子写真用感光体を作製す
ることができるようになった。さらに支持体温度を−
1.5℃/min以上、−0.5℃/min以下で変化
させることで、より効果的であることがわかった。
【0176】
【表1】
【0177】
【表2】
【0178】[実験例2]図5に示すRF−PCVD法
による電子写真用光受容部材の製造装置を用い、基体に
は、珪素原子の含有量が100ppmのアルミニウムよ
りなる直径108mm、長さ358mm、肉厚5mmの
円筒状基体を鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー
上に、実験例1と同様に表1に示す条件で基体上に、ア
モルファスシリコン堆積膜の形成を行い、図1(b)に
示す層構成の阻止型電子写真感光体を作製した。図1
(b)において、101、105、103及び104
は、それぞれアルミニウム基体、電荷注入阻止層、光導
電層及び表面層を示している。
【0179】本実験例では、光導電層作成時の支持体温
度を以下の条件で作成した。 (a)支持体温度280℃一定。 (b)支持体温度を255℃から280℃に変化させ、
その後280℃一定。このとき温度変化のパターンは図
3(b)に示すリニアーな変化とし、実験例1と同様に
変化させる時間を感光層の初期温度変化時間とし、その
初期温度変化時間の期間中での支持体の温度変化量を変
えて、8種類作成した。
【0180】ただし、いずれの条件においても、電荷注
入阻止層作成時の支持体温度は、電荷注入阻止層作成
時、初期20分間で支持体温度を280℃から255℃
に図2(b)のパターンで変化させた。
【0181】作製した光受容部材を電子写真装置(キャ
ノン製NP6150をテスト用に改造)にセットして、
残留電位、ゴーストならびに画像欠陥(白ポチ)を以下
の方法で評価した。
【0182】『残留電位』電子写真用光受容部材を、4
20Vの暗部表面電位に帯電させる。そして直ちに一定
光量(0.4lx・sec)を照射する。光像はキセノ
ンランプ光源を用い、フィルターを用いて550nm以
下の波長域の光を除いた光を照射した。この時、表面電
位計により電子写真用光受容部材の明部表面電位を測定
する。そして得られた明部表面電位をもって、残留電位
とする。そして、条件(a)で得られた残留電位を10
0とし、xをこの電位値として相対評価を行った。
【0183】◎は 90> x ○は 100> x ≧90 △は 110> x ≧100 ×は 110≦ x 『ゴースト』実験例1と同様。
【0184】『白ポチ』実験例1と同様。
【0185】得られた結果を表3に示す。
【0186】表3から明らかなように、光導電層の作成
の初期領域において、支持体温度を0.2℃/min以
上、4.2℃/min以下で変化させることで、残留電
位が向上し、さらに耐久後も白ポチ、ゴースト等の画像
特性が良好な電子写真感光体を作製することができるよ
うになった。さらに支持体温度を0.5℃/min以
上、3.1℃/min以下で変化させることで、より効
果的であることがわかった。
【0187】
【表3】
【0188】[実験例3]図2に示すRF−PCVD法
による電子写真用光受容部材の製造装置を用い、基体に
は、珪素原子の含有量が100ppmのアルミニウムよ
りなる直径108mm、長さ358mm、肉厚5mmの
円筒状基体を鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー
上に、実験例1、2と同様に表1に示す条件で基体上
に、アモルファスシリコン堆積膜の形成を行い、図1
(b)に示す層構成の阻止型電子写真感光体を作製し
た。図1(b)において、101、105、103及び
104は、それぞれアルミニウム基体、電荷注入阻止
層、光導電層及び表面層を示している。
【0189】本実験例では、電荷注入阻止層作成時の支
持体温度を電荷注入阻止層作成時、初期の30分間で支
持体温度を280℃から255℃に変化させた(−0.
83℃/min)。このとき温度の変化パターンを図2
の(a)から(f)の6種類にて行った。ただし、光導
電層作成時の支持体温度は、いずれの条件においても、
光導電層作成時、初期の30分間で支持体温度を255
℃から280℃に図(b)のパターンで変化させ、その
後は280℃一定とした。
【0190】作製した光受容部材を電子写真装置(キャ
ノン製NP6150をテスト用に改造)にセットして、
帯電能、ゴーストならびに画像欠陥(白ポチ)を実験例
1と同様の方法で評価した。
【0191】得られた結果を表4に示す。
【0192】表4から明らかなようにいずれのパターン
でも、非常に良好な結果が得られた。
【0193】
【表4】
【0194】[実験例4]図2に示すRF−PCVD法
による電子写真用光受容部材の製造装置を用い、基体に
は、珪素原子の含有量が100ppmのアルミニウムよ
りなる直径108mm、長さ358mm、肉厚5mmの
円筒状基体を鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー
上に、実験例1〜3と同様に表1に示す条件で基体上
に、アモルファスシリコン堆積膜の形成を行い、図1
(b)に示す層構成の阻止型電子写真感光体を作製し
た。図1(b)において、101、105、103及び
104は、それぞれアルミニウム基体、電荷注入阻止
層、光導電層及び表面層を示している。
【0195】本実験例では、光導電層作成時の支持体温
度を光導電層作成時、初期の30分間で支持体温度を2
55℃から280℃に変化させた(0.83℃/mi
n)。このとき温度の変化パターンを図3の(a)から
(f)の6種類にて行った。ただし、電荷注入阻止層作
成時の支持体温度は、いずれの条件においても、電荷注
入阻止層作成時、初期の30分間で支持体温度を280
℃から255℃に図2の(b)の直線的に変化させ、そ
の後は255℃一定とした。
【0196】作製した光受容部材を電子写真装置(キャ
ノン製NP6150をテスト用に改造)にセットして、
残留電位、ゴーストならびに画像欠陥(白ポチ)を実験
例2を同様の方法で評価した。
【0197】得られた結果を表5に示す。
【0198】表5から明らかなようにいずれのパターン
でも、非常に良好な結果が得られた。
【0199】
【表5】
【0200】[実験例5] 図2に示すRF−PCVD法による電子写真感光体の製
造装置を用い珪素原子の含有量が100ppmのアル
ミニウムよりなる直径108mm、長さ358mm、肉
厚5mmの円筒状基体鏡面加工を施してアルミニウム
シリンダーとした。表6に示す条件で基体上に、アモ
ルファスシリコン堆積膜の形成を行い、図1(b)に示
す層構成の阻止型電子写真感光体を作製した。図1
(b)において、101、105、103及び104
は、それぞれアルミニウム基体(導電性支持体)、電荷
注入阻止層、光導電層及び表面層を示している。
【0201】本実験例では、 (a)電荷注入阻止層作成時の支持体温度を電荷注入阻
止層作成時、初期の10分間で支持体温度を280℃か
ら265℃に変化させた(−1.5℃/min)。この
とき温度の変化パターンを図2の(b)で行った。そし
て、電荷注入阻止層の作成時間を変化させ10種類作成
した。
【0202】(b)電荷注入阻止層作成時の支持体温度
を265℃一定とし、(a)と同様に電荷注入阻止層の
作成時間を変化させ10種類作成した。
【0203】ただし、光導電層作成時の支持体温度は、
いずれの条件においても、光導電層作成時、初期の20
分間で支持体温度を265℃から280℃に図3の
(b)のパターンで変化させ、その後は280℃一定と
した。
【0204】作製した光受容部材を電子写真装置(キャ
ノン製NP6150をテスト用に改造)にセットして、
帯電能、ゴーストならびに画像欠陥(白ポチ)を実験例
1と同様の方法で評価した。
【0205】得られた結果を、表7に示す。なお表7に
おいて、帯電能は電荷注入阻止層作成時の支持体温度を
265℃一定とし、同一の電荷注入阻止層作成時間で作
成した場合を100とした相対評価で示してある。
【0206】表7より明らかなように、電荷注入阻止層
の支持体温度変化の領域を全層中の15%以上70%以
下にすることで、非常に良好な結果が得られる。
【0207】
【表6】
【0208】
【表7】
【0209】[実験例6]図2に示すRF−PCVD法
による電子写真用光受容部材の製造装置を用い、基体に
は、珪素原子の含有量が100ppmのアルミニウムよ
りなる直径108mm、長さ358mm、肉厚5mmの
円筒状基体を鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー
上に、実験例5と同様に表6に示す条件で基体上に、ア
モルファスシリコン堆積膜の形成を行い、図1(b)に
示す層構成の阻止型電子写真感光体を作製した。図1
(b)において、101、105、103及び104
は、それぞれアルミニウム基体、電荷注入阻止層、光導
電層及び表面層を示している。
【0210】本実験例では、 (a)光導電層作成時の支持体温度を光導電層作成時、
初期の20分間で支持体温度を265℃から280℃に
変化させた(0.75℃/min)。このとき温度の変
化パターンを図3の(b)で行った。そして、光導電層
の作成時間を変化させ10種類作成した。
【0211】(b)光導電層作成時の支持体温度を26
5℃一定とし、(a)と同様に光導電層の作成時間を変
化させ10種類作成した。
【0212】ただし、電荷注入阻止層作成時の支持体温
度は、いずれの条件においても、電荷注入阻止層作成
時、初期の30分間で支持体温度を280℃から265
℃に図3の(b)のパターンで変化させ、その後は26
5℃一定とした。
【0213】作製した光受容部材を電子写真装置(キャ
ノン製NP6150をテスト用に改造)にセットして、
残留電位、ゴーストならびに画像欠陥(白ポチ)を実験
例2と同様の方法で評価した。
【0214】得られた結果を、表8に示す。なお表8に
おいて、残留電位は光導電層作成時の支持体温度を26
5℃一定とし、同一の光導電層作成時間で作成した場合
を100とした相対評価で示してある。
【0215】表8より明らかなように、光導電層の支持
体温度変化の領域を、全層中の3%以上、20%以下に
することで、非常に良好な結果が得られる。
【0216】
【表8】
【0217】
【実施例】以上の実験例により本発明の構成が決定され
た。次に、本発明の実施例及び比較例により更に具体的
に説明する。
【0218】[実施例1]図5に示すRF−PCVD法
による電子写真用光受容部材の製造装置を用い、基体に
は、珪素原子の含有量が100ppmのアルミニウムよ
りなる直径108mm、長さ358mm、肉厚5mmの
円筒状基体を鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー
上に、表9に示す条件で基体上に、アモルファスシリコ
ン堆積膜の形成を行い、図1(b)に示す層構成の阻止
型電子写真感光体を作製した。図1(b)において、1
01、105、103及び104は、それぞれアルミニ
ウム基体、電荷注入阻止層、光導電層及び表面層を示し
ている。
【0219】作製した光受容部材を電子写真装置(キャ
ノン製NP6150をテスト用に改造)にセットして、
帯電能、残留電位、ゴーストならびに画像欠陥(白ポ
チ)を以下の方法で評価した。
【0220】『帯電能』実験例1と同様である。
【0221】『残留電位』実験例1と同様である。
【0222】『ゴースト』実験例1と同様である。
【0223】『白ポチ』実験例1と同様である。
【0224】これらの評価結果を表10に示す。表中、
帯電能・残留電位は、以下に示す比較例1の結果を10
0とした相対評価で示してある。 [比較例1]実施例1と比べ、本比較例においては、電
荷注入阻止層の支持体温度は255℃一定とし、光導電
層の支持体温度は280℃一定とした以外は、実施例1
と同様に阻止型電子写真感光体を作製した。
【0225】作製した電子写真用感光体を実施例1と同
様な手段で同様の評価を行った。
【0226】これらの評価結果を実施例1と共に表10
に示す。
【0227】本発明の電子写真感光体の製造方法により
製造した電子写真感光体は、従来の方法により製造した
電子写真感光体に比べいずれの項目においても非常に良
好な結果が得られた。
【0228】
【表9】
【0229】
【表10】
【0230】[実施例2]図6に示すRF−PCVD法
による電子写真用光受容部材の製造装置を用い、実施例
1と同様に直径108mmの鏡面加工を施したアルミニ
ウムシリンダー(支持体)上に表11に示す条件で電荷
注入阻止層、光導電層、表面層からなる光受容部材を作
製した。
【0231】作製した電子写真用感光体を実施例1と同
様な手段で同様の評価を行った。
【0232】その結果、実施例1と同様非常に良好な結
果であった。
【0233】
【表11】
【0234】[実施例3]図5に示すRF−PCVD法
による電子写真用光受容部材の製造装置を用い、基体に
は、珪素原子の含有量が100ppmのアルミニウムよ
りなる直径108mm、長さ358mm、肉厚5mmの
円筒状基体を鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー
上に、表12に示す条件で基体上に、アモルファスシリ
コン堆積膜の形成を行い、図1(c)に示す層構成の阻
止型電子写真感光体を作製した。図1(b)に於て、1
01、105、107、106、103及び104は、
それぞれアルミニウム基体、電荷注入阻止層、電荷輸送
層、電荷発生層、光導電層及び表面層を示している。
【0235】作製した電子写真用感光体を実施例1と同
様な手段で同様の評価を行った。
【0236】その結果、実施例1と同様非常に良好な結
果であった。
【0237】
【表12】
【0238】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、導
電性支持体上に少なくともシリコン原子を母材とする非
晶質材料からなる電荷注入阻止層と光導電層を有する電
子写真感光体の製造方法において、前記電荷注入阻止層
作成時、初期から支持体温度を−2.5℃/min以
上、−0.4℃/min以下で変化させかつ、前記光
導電層作成時の時間的初期領域において支持体温度を
0.3℃/min以上、5.0℃/min以下で変化さ
せることで、帯電能および残留電位等の電気的特性に優
れ、かつ高品位の画像を与える電子写真感光体を安価
に安定して製造することが可能である。
【0239】電荷注入阻止層および光導電層の作成時、
支持体温度を所定の割合で変化させることにより、堆積
膜の密着性および、堆積膜内のストレスを緩和すること
となり、帯電能の向上、残留電位の低減を図り、かつ、
画像欠陥、ゴーストが良好な高品位の画像を与える電子
写真感光体を安価に安定して得ることが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電子写真感光体の製造方法の好適
な実施態様例の構成を説明するための模式的構成図であ
る。
【図2】(a)乃至(f)において、本発明による電子
写真感光体の製造方法で、電荷注入阻止層を形成するに
当たって使用される、時間に対する支持体温度の変化分
布状態を示すグラフである。
【図3】(a)乃至(f)において、本発明による電子
写真感光体の製造方法で、光導電層を形成するに当たっ
て使用される、時間に対する支持体温度の変化分布状態
を示すグラフである。
【図4】本発明における、支持体温度の、電荷注入阻止
層および光導電層での時間変化分布状態を示すグラフで
ある。
【図5】本発明における電子写真用感光体を形成するた
めの装置の一例を示すものであり、RFグロー放電法に
よる電子写真用感光体の製造装置の模式的説明図であ
る。
【図6】本発明における電子写真用感光体を形成するた
めの装置の一例を示すものであり、VHFグロー放電法
による電子写真用感光体の製造装置の模式的説明図であ
る。
【符号の説明】
100 光受容部材 101 導電性支持体 102 光受容層 103 光導電層 104 表面層 105 電荷注入阻止層 106 電荷発生層 107 電荷輸送層 110 自由表面 5100、6100 堆積装置 5110、6111 反応容器 5112、6112 円筒状支持体 5113、6113 支持体加熱用ヒーター 5114 原料ガス導入管 5115、6115 マッチングボックス 5116 原料ガス配管 5117 反応容器リークバルブ 5118 メイン排気バルブ 5119 真空計 5200 原料ガス供給装置 5211〜5216 マスフローコントローラー 5221〜5226 原料ガスボンベ 5231〜5236 原料ガスボンベバルブ 5241〜5246 ガス流入バルブ 5251〜5256 ガス流出バルブ 5261〜5266 圧力調整器 6115 電極 6120 支持体回転用モーター 6121 排気管 6130 放電空間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−176871(JP,A) 特開 昭62−170968(JP,A) 特開 昭61−130956(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 5/08 105

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上に少なくともシリコン原
    子を母材とする非晶質材料からなる電荷注入阻止層と光
    導電層を有する電子写真感光体の製造方法において、 前記電荷注入阻止層作成時、初期から支持体温度を−
    2.5℃/min以上、−0.4℃/min以下で変化
    させる時間領域は、前記電荷注入阻止層作成時間の15
    %以上、70%以下であり、かつ、前記光導電層作成
    時、初期から支持体温度を0.3℃/min以上、5.
    0℃/min以下で変化させる時間領域は、前記光導電
    層作成時間の3%以上、20%以下であることを特徴と
    する電子写真感光体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記光導電層上に表面層を設けることを
    特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記光導電層の層厚が25乃至40μm
    である請求項1または2に記載の電子写真感光体の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 前記電荷注入阻止層の層厚が1乃至4μ
    mであることを特徴とする請求項2または3に記載の電
    子写真感光体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記表面層の層厚が0.1乃至1μmで
    あることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に
    記載の電子写真感光体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記電荷注入阻止層作成時、初期から支
    持体温度を−1.5℃/min以上、−0.5℃/mi
    n以下で変化させ、前記光導電層作成時、初期から支持
    体温度を0.5℃/min以上、3.1℃/min以下
    で変化させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれ
    か1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記光導電層は電荷輸送層であることを
    特徴とする請求項6に記載の電子写真感光体の製造方
    法。
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