JP3229002B2 - 電子写真用光受容部材 - Google Patents

電子写真用光受容部材

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光(ここでは広義の光で
あって紫外線、可視光線、赤外線、X線、γ線などを意
味する。)のような電磁波に対して感受性のある電子写
真用光受容部材に関する。
【0002】
【従来の技術】像形成分野においては、光受容部材にお
ける光受容層を形成する光導電材料としては、高感度
で、SN比〔光電流(Ip)/暗電流(Id)〕が高
く、照射する電磁波のスペクトル特性に適合した吸収ス
ペクトルを有すること、光応答性が速く、所望の暗抵抗
率を有すること、使用時において人体に対して無害であ
ること、などの特性が要求される。特に、事務機として
オフィスで使用される電子写真装置内に組み込まれる電
子写真用光受容部材の場合には、上記の使用時における
無公害性は重要な点である。
【0003】このような点に立脚して最近注目されてい
る光導電材料にアモルファスシリコン(以下、「a−S
i」と表記する)があり、例えば独国公開第27469
67号公報、同第2855718号公報などには電子写
真用光受容部材としての応用が記載されている。
【0004】また、特開昭56−83746号公報にお
いては、導電性基体と、ハロゲン原子を構成要素として
含むa−Si光導電層第2領域からなる電子写真用光受
容部材が提案されている。該公報においては、a−Si
にハロゲン原子を1〜40原子%含有させることによ
り、ダングリングボンドを補償してエネルギーギャップ
内の局在準位密度を低減し、電子写真用光受容部材の光
導電層第2領域として好適な電気的、光学的特性を得る
ことができるとしている。
【0005】一方、アモルファス炭化シリコン(以下、
「a−SiC」と表記する)については、耐熱性や表面
硬度が高いこと、a−Siと比較して高い暗抵抗率を有
すること、炭素の含有量により光学的バンドギャップが
1.6〜2.8eVの範囲にわたって変えられることな
どが知られている。このようなa−SiCによって光導
電層を構成する電子写真用光受容部材が、特開昭54−
145540号公報において提案されている。当該公報
においては、炭素を化学修飾物質として0.1〜30原
子%含むa−Siを電子写真用光受容部材の光導電層と
して使用することにより、暗抵抗率が高く、光感度の良
好な優れた電子写真用特性を示すことが示されている。
【0006】さらに、特公昭63−35026号公報に
おいては導電性支持体上に、炭素原子と水素原子及び/
または弗素原子を構成要素として含むa−Si(以後a
−SiC(H,F)と表記する)中間層と、a−Si光
導電層からなる電子写真感光体が提案されており、少な
くとも水素原子及び/または弗素原子を含むa−SiC
中間層によって光導電特性を損なうことなく、a−Si
光導電層のクラックや剥離を低減することを図ってい
る。
【0007】このような技術により、良好な電気特性を
有する電子写真用光受容部材を得られるようになった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
a−SiCで構成された光導電層を有する電子写真用光
受容部材は、暗抵抗率、光感度、光応答性などの電気
的、光学的、光導電特性、及び使用環境特性の点、さら
には経時安定性及び耐久性の点において、各々個々には
特性の向上が図られてはいるが、総合的な特性向上を図
る上でさらに改良される余地が存在するのが実状であ
る。
【0009】特に近年、高速機、デジタル機、フルカラ
ー機の普及に伴い電子写真装置はさらに高画質化、高速
化、高耐久化が望まれている。その結果、電子写真用光
受容部材においては今まで以上にメモリー、画像欠陥な
どが少ないものが要求され、電気的特性や光導電特性の
さらなる向上に加えて、帯電能、感度を高速で使用した
場合に要求されるレベルに高めると同時に、耐久性を大
幅に向上させることが要求されるようになってきた。
【0010】しかし、従来の電子写真用光受容部材で
は、高感度化、高暗抵抗化を同時に図ろうとすると、そ
の使用時において残留電位が残る場合が度々観測され、
この種の光受容部材は長期間使用し続けると、繰り返し
使用による疲労の蓄積が起こって残像が生ずるいわゆる
「ゴースト」現象が生ずるようになるなどの不都合な点
が少なくなかった。
【0011】また、例えば、従来の電子写真用光受容部
材では、阻止層において、阻止能を向上させ帯電能の向
上、暗減衰の向上を図るための手段として、阻止層中の
炭素含有量を少なくするか、硼素のドープ量を多くする
などして、ブロッキング性能を向上させ、支持体側から
の電荷の注入を阻止する必要があった。しかしながら、
いずれの方法も阻止能の向上には有効な手段ではある
が、堆積膜の密着性の低下、帯電能の低下などの副作用
が生じてしまうといった問題点があった。
【0012】本発明は上記の点に鑑みなされたものであ
って、上述のごときシリコン原子を母体とする材料で構
成された従来の光受容層を有する電子写真用光受容部材
における諸問題を解決することを目的とするものであ
る。
【0013】すなわち、第1の本発明の主たる目的は、
電気的、光学的、光導電的特性が使用環境に殆ど依存す
ることなく実質的に常時安定しており、耐光疲労に優
れ、繰り返し使用に際しても劣化現象を起こさず、特に
非常に耐久性に優れ、残留電位が全く観測されないか、
または殆ど観測されない、シリコン原子を母体とする材
料で構成された光受容層を有する電子写真用光受容部材
を提供することにある。
【0014】本発明の他の目的は、導電性基体上に設け
られる層と導電性基体との間や積層される層の各層間に
おける密着性に優れ、構造配列的に緻密で安定的であ
り、層品質の高いシリコン原子を母体とする材料で構成
された光受容層を有する電子写真用光受容部材を提供す
ることである。
【0015】本発明のさらに他の目的は、電子写真用光
受容部材として適用させた場合、静電像形成のための帯
電処理の際の電荷保持能力が充分であり、通常の電子写
真法が極めて有効に適用され得る優れた電子写真特性を
示す、シリコン原子を母体とする材料で構成された光受
容層を有する電子写真用光受容部材を提供することにあ
る。
【0016】本発明のさらに別の目的は、高感度性、高
SN比特性及び高電気的耐圧性を有するシリコン原子を
母体とする材料で構成された光受容層を有する電子写真
用光受容部材を提供することにある。
【0017】第2の本発明の主たる目的は、短波長領域
での感度を向上させることで実用上の感度をさらに向上
させ、「ゴースト」現象が全く観測されないか、または
殆ど見られず、残留電位を低く保ったまま暗抵抗率が高
く、電気的、光学的、光導電的特性が使用環境に殆ど依
存することなく実質的に常時安定している、つまり温度
特性に優れた、シリコン原子を母体とする材料で構成さ
れた光受容層を有する電子写真用光受容部材を提供する
ことにある。
【0018】本発明の他の目的は、導電性基体上に設け
られる層と導電性基体との間や積層される層の各層間に
おける密着性に優れ、構造配列的に緻密で安定的であ
り、層品質の高いシリコン原子を母体とする材料で構成
された光受容層を有する電子写真用光受容部材を提供す
ることにある。
【0019】本発明のさらに他の目的は、電子写真用光
受容部材として適用させた場合、静電像形成のための帯
電処理の際の電荷保持能力が充分であり、通常の電子写
真法が極めて有効に適用され得る優れた電子写真特性を
示す、シリコン原子を母体とする材料で構成された光受
容層を有する電子写真用光受容部材を提供することにあ
る。
【0020】本発明のさらに別の目的は、高感度性、高
SN比特性及び高電気的耐圧性を有するシリコン原子を
母体とする材料で構成された光受容層を有する電子写真
用光受容部材を提供することにある。
【0021】第3の本発明の主たる目的は、電気的、光
学的、光電的特性をさらに向上させ、より高画質で、安
定した画像形成可能なシリコン原子を母体とする材料で
構成された光受容層を有する電子写真用光受容部材を提
供することにある。
【0022】本発明の他の目的は、支持体上に設けられ
る層と支持体との間や積層される層の各層間における密
着性に優れ、構造配列的に緻密で安定的であり、層品質
の高いシリコン原子を母体とする材料で構成された光受
容層を有する電子写真用光受容部材を提供することにあ
る。
【0023】本発明のさらに他の目的は、電子写真用光
受容部材として適用させた場合、静電像形成のための帯
電処理の際の電荷保持能力が充分であり、通常の電子写
真法が極めて有効に適用され得る優れた電子写真特性を
示す、シリコン原子を母体とする材料で構成された光受
容層を有する電子写真用光受容部材を提供することにあ
る。
【0024】本発明のさらに別の目的は、高感度性、高
SN比特性及び高電気的耐圧性を有するシリコン原子を
母体とする材料で構成された光受容層を有する電子写真
用光受容部材を提供することにある。
【0025】第4の本発明の主たる目的は、より高性能
な複写機、例えば、高速機、デジタル機、フルカラー機
などに搭載可能なように、電気的、光学的、光電的特性
をさらに向上させ、より高画質で安定して画像形成可能
なシリコン原子を母体とする材料で構成された光受容層
を有する電子写真用光受容部材を提供することにある。
【0026】本発明の他の目的は、支持体上に設けられ
る層と支持体との間や積層される層の各層間における密
着性に優れ、構造配列的に緻密で安定的であり、層品質
の高いシリコン原子を母体とする材料で構成された光受
容層を有する電子写真用光受容部材を提供することにあ
る。
【0027】
【課題を解決するための手段及び作用】第1の本発明の
光受容部材は、導電性基体上に、非単結晶材料からなる
光導電層と表面層を順次形成した光受容層を有し、前記
光導電層が、シリコン原子を母体とし、少なくとも炭素
原子、水素原子を含有する非単結晶材料で構成され、該
光導電層中に含有される全炭素原子に対して、炭素−炭
素の結合を持つ炭素原子の割合が60%以下、より好ま
しくは30%以下であり、炭素原子の含有量が少なくと
も光導電層の導電性基体側表面もしくは表面近傍で3〜
30原子%であり、かつ光導電層の導電性基体側表面も
しくは表面近傍で最も多く、表面層側表面もしくは表面
近傍で実質的に0原子%であるように変化していること
を特徴とする。
【0028】上記のような本発明の構成をとる電子写真
用光受容部材は前述のような諸問題点を全て解決するこ
とができ、極めて優れた電気的特性、光学的特性、光導
電特性、画像特性、及び耐久性を有している。
【0029】特に、画像形成への残留電位の影響が実用
的には実質上なく、その電気的特性が安定しており、高
感度、高SN比を有するものであって、耐光疲労、繰り
返し使用特性、耐湿性、電気的耐圧性に長けるために、
濃度が高く、ハーフトーンが鮮明にでて、かつ解像度の
高い、高品質の画像を安定して繰り返し得ることができ
る。
【0030】さらに、本発明の電子写真用光受容部材
は、光感度が高く、かつ光応答が速く、かつ残留電位が
ないかまたは実質的に問題がない。そのために高解像度
で高品質の画像を安定した状態で高速で繰り返し多数得
ることができ、また、デジタル信号に基づく画像の形成
にも適用することができる。
【0031】第2の本発明の光受容部材は、導電性基体
上に非単結晶材料からなる光導電層と表面層を順次形成
した光受容層を有し、前記光導電層が、シリコン原子を
母体とし、少なくとも炭素原子、水素原子、ならびに酸
原子及び/または窒素原子を含有する非単結晶材料で
構成され、該光導電層中に含有される全炭素原子に対し
て、炭素−炭素の結合を持つ炭素原子の割合が60%以
下、より好ましくは30%以下であり、炭素原子の含有
量が少なくとも光導電層の導電性基体側表面もしくは表
面近傍で3〜30原子%であり、かつ光導電層の導電性
基体側表面もしくは表面近傍で最も多く、表面層側表面
もしくは表面近傍で実質的に0原子%であるように変化
していることを特徴とする。
【0032】上記のような本発明の構成をとる電子写真
用光受容部材は前述のような諸問題点を全て解決するこ
とができ、極めて優れた電気的特性、光学的特性、光導
電特性、画像特性、及び耐久性を有している。
【0033】特に、画像形成への残留電位の影響が実用
的には実質上なく、その電気的特性が安定しており、高
感度、高SN比を有するものであって、耐光疲労、繰り
返し使用特性、耐湿性、電気的耐圧性に長けるために、
濃度が高く、ハーフトーンが鮮明にでて、かつ解像度の
高い、高品質の画像を安定して繰り返し得ることができ
る。
【0034】さらに、本発明の電子写真用光受容部材
は、光感度が高く、かつ光応答が速く、かつ残留電位が
ないかまたは実質的に問題がない。そのために高解像度
で高品質の画像を安定した状態で高速で繰り返し多数得
ることができ、また、デジタル信号に基づく画像の形成
にも適用することができる。
【0035】以下に本発明者らが得た知見の詳細な内容
について説明する。
【0036】光導電層に炭素を含有させると誘電率を小
さくすることができるため、層厚当りの静電容量を減少
できて高い帯電能と光感度において著しい改善がみら
れ、さらに高電圧に対する耐圧性も向上し耐久性も向上
できる。しかし近年、電子写真装置はさらなる高画質
化、高速化、高耐久化が望まれており、これに伴って、
電子写真用光受容部材においても、いくつかの改善すべ
き点があることは前述の通りである。
【0037】本発明者らは前述のような問題点を解決す
るために、光導電層の膜質の向上に関する様々な検討を
行ってきた。その結果、a−SiC系の光導電層では、
膜中に存在する炭素原子の結合状態が、特性を左右する
鍵であることを見いだした。
【0038】a−SiC系の膜を光導電層に用いた場
合、従来のように特に結合状態にこだわらずに光導電層
を形成した場合、シリコン原子と炭素原子とは均一な分
布とはならず、シリコン原子の濃度の多い部分と、炭素
原子の濃度の多い部分とが混在する状態となり易い。こ
のような膜中では、例えばアモルファス状態のシリコン
原子の結合中に炭素原子がクラスター状の塊となって取
り込まれていることが予想される。実際、従来のa−S
iC系の光導電層をESCA及びFT−IRにて炭素原
子の結合状態を分析したところ、光導電層中の全炭素原
子のうち65%程度の炭素原子が、炭素原子どうしの結
合(C−C結合)を持っていることがわかり、光導電層
の膜中で炭素原子のクラスターを形成していることを裏
付けている。
【0039】このような光導電層中に存在する炭素原子
のクラスターの影響については、なお発明者らの想像の
域をでるものではないが、およそ次のように考えられ
る。
【0040】まず第一に比較的大きなクラスターの影響
が考えられる。a−SiC系の光導電層を形成する場
合、特に比較的炭素含有量の多い場合では、炭素原子が
互いに十数個程度以上結合した比較的大きなクラスター
を形成することも考えられる。このような大きなクラス
ターが膜中に存在すると、膜中を移動するキャリアの走
行性がクラスターによって阻害されるのではないかと想
像される。
【0041】第二の比較的小さいクラスターの存在によ
る膜中のストレスの影響が考えられる。例えば炭素原子
が数個程度の比較的小さなクラスターがあった場合、シ
リコン原子の結合手と炭素原子の結合手ではその長さが
異なるため、炭素原子のクラスターとこれを囲むシリコ
ン原子との結合の間にストレスを生む結果となる。こう
して生じたストレスが膜の暗抵抗率などの特性を悪化さ
せているのではないかと考えられる。
【0042】加えて、第2の本発明においては、少なく
ともa−SiC系の光導電層中に酸素原子(O)及び/
または窒素原子を微量(10〜5000原子ppm)含
有させ、堆積膜の均一性をさらに向上させることによ
り、炭素のクラスター形成を抑制し、内部応力の変化を
緩和でき、堆積膜中の欠陥が減少し、膜質が向上する。
その結果、光受容部材の使用環境の温度変化にしたがっ
て光受容部材の特性が変化する、いわゆる温度特性を向
上させることが可能になり、帯電能などの電子写真特性
が改善される。また、弗素原子(F)を1〜95原子p
pmの範囲で含有させてもよい。この場合、酸素原子
(O)及び/または窒素原子との相乗効果によって、堆
積膜のストレスをより効果的に緩和して膜の構造欠陥を
抑制することが可能になる。
【0043】以上のような考察から特にa−SiC系の
光導電層においてはシリコン原子中に炭素原子を均一に
分布させ、炭素原子のクラスターを形成させないこと、
すなわちシリコン原子と炭素原子の結合(Si−C結
合)を促進し、C−C結合をできるかぎり少なくするこ
とが特性向上の上で不可欠であると考えることができ
る。そこで本発明者らは光導電層形成時に結合状態をコ
ントロールし、光導電層中に含有される全炭素原子のう
ち、C−C結合を持つ炭素原子の割合を従来のa−Si
C系光導電層に比べて極めて少なくすることで、前述の
ごとき問題点を全て解決する優れた電子写真特性を有し
た光導電層を形成することができ、本発明の完成に至っ
たものである。
【0044】すなわち本発明によれば、光導電層中の構
成原子の結合状態を改善することにより、残留電位を低
く保ったまま暗抵抗率を高くすることができ、高帯電能
を有した、「ゴースト」現象が殆ど見られない優れた性
能を有した電子写真用光受容部材を得ることができる。
さらに本発明によれば、従来の電子写真用光受容部材に
比べて短波長感度が向上するため、電子写真装置の像露
光のスペクトルと、電子写真用光受容部材の分光感度の
スペクトルを近づけることができ、実用上の感度が大幅
に向上できた。
【0045】第3の本発明の電子写真用光受容部材は、
前記第1または第2の本発明の構成に加え、導電性基体
上に、非単結晶からなる阻止層と、光導電層と、表面層
を順次形成した光受容層を有する光受容部材において、
前記阻止層が、シリコン原子を母体とし、少なくとも炭
素原子、水素原子を有し、さらに硼素原子を含有する非
単結晶材で構成され、該阻止層中に含有される炭素原子
(C/Si+C)が3原子%以上50原子%以下で、か
つ、該阻止層中に含有される全炭素原子に対して、炭素
−炭素の結合を持つ炭素原子の割合が80%以下である
ことを特徴としている。
【0046】上記のような本発明の構成をとる電子写真
用光受容部材は前述のような諸問題点を全て解決するこ
とができ、極めて優れた電気特性、光学的特性、光導電
特性、画像特性を有している。
【0047】特に、阻止層において、ブロッキング性能
が高くその性能を悪影響なく充分に引き出すことがで
き、その電気的特性が安定しており、帯電能、暗減衰が
向上するものであって、濃度が高く、ハーフトーンが鮮
明にでて、かつ解像度の高い、高品質の画像を安定して
繰り返し得ることができる。
【0048】さらに、本発明の電子写真用光受容部材
は、光感度が高く、かつ光応答が速く、かつ残留電位が
ないかまたは実質的に問題がない。そのために高解像度
で高品質の画像を安定した状態で高速で繰り返し多数得
ることができ、また、デジタル信号に基づく画像の形成
にも適用することができる。
【0049】以下に本発明者が得た知見の詳細な内容に
ついて説明する。
【0050】光導電層に炭素が含有されていることによ
り誘電率を小さくすることができるために、層厚当りの
静電容量を減少させることができて高い帯電能と光感度
において著しい改善がみられ、さらに高電圧に対する耐
圧性も向上し耐久性も向上できる。本発明者は、これら
の性能を充分生かしさらに優れた電子写真用光受容部材
を完成させるために、阻止層の膜質の向上に関する様々
な検討を行ってきた。その結果、a−SiC系の阻止層
では、膜中に存在する炭素原子の結合状態が、特性を左
右する鍵であることを見いだした。
【0051】a−SiC系の膜を阻止層に用いた場合、
一般に炭素原子の含有量は3〜50原子%程度が望まし
いものとして使用される。このとき従来のように特に結
合状態にこだわらずに阻止層を形成した場合、シリコン
原子と炭素原子は均一な分布とはならず、シリコン原子
の濃度の多い部分と、炭素原子濃度の多い部分とが混在
する状態となり易い。このような膜中では、例えばアモ
ルファス状態のシリコン原子の結合中に炭素原子がクラ
スター状の塊となって取り込まれていることが予想され
る。
【0052】実際、従来のa−SiC系の阻止層をES
CA及びFT−IRにて炭素原子の結合状態を分析した
ところ、阻止層中の全炭素原子のうち90%程度の炭素
原子が、炭素−炭素結合(C−C結合)を持っているこ
とがわかり、光導電層の膜中で炭素原子のクラスターを
形成していることを裏付けている。
【0053】このような阻止層中に存在する炭素原子の
クラスターの影響については、なお発明者らの想像の域
をでるものではないが、おおよそ次のように考えられ
る。
【0054】まず第一に比較的大きなクラスターの影響
が考えられる。a−SiC系の阻止層を形成する場合、
特に比較的炭素含有量の多い場合では、炭素原子が互い
に十数個程度以上結合した比較的大きなクラスターを形
成することも考えられる。阻止層において、ブロッキン
グ性能を向上させるために膜中に硼素を含有させるが、
このような大きなクラスターが膜中に存在すると、同じ
ブロッキング性能を得るためには、膜中により多くの硼
素を含有させる必要がある。そのために、阻止層形成時
に、例えば、ジボランなどのガスを多く必要とする。こ
のため、結果的に光導電層形成時に硼素の残渣の影響に
より、帯電能を低下させてしまうと考えられる。
【0055】第二に比較的小さなクラスターの存在によ
る膜中のストレスの影響が考えられる。例えば炭素原子
が数個程度の比較的小さなクラスターがあった場合、シ
リコン原子の結合手と炭素原子の結合手ではその長さが
異なるため、炭素原子のクラスターとこれを囲むシリコ
ン原子との結合の間にストレスを生む結果となる。こう
して生じたストレスが膜のブロッキング性能を悪化させ
ているのではないかと考えられる。
【0056】以上のような考察から特にa−SiC系の
阻止層においてはシリコン原子中に炭素原子を均一に分
布させ、炭素原子のクラスターを形成させないこと、す
なわちシリコン原子と炭素原子の結合(Si−C結合)
を促進し、C−C結合をできる限り少なくすることが特
性向上の上で不可欠であると考えることができる。そこ
で本発明者らは阻止層形成時に結合状態をコントロール
することで、阻止層中に含有される全炭素原子のうち、
C−C結合を持つ炭素原子の割合を従来のa−SiC系
阻止層に比べて極めて少なくすることで、前述のごとき
問題点を全て解決し得る、優れた電子写真特性を有した
阻止層を形成することができ、本発明の完成に至ったも
のである。
【0057】第4の本発明の電子写真用光受容部材は、
前記第1または第2の本発明の構成に加え、導電性基体
上に、非単結晶からなる阻止層と、光導電層と、表面層
を順次形成した光受容層を有する光受容部材において、
前記阻止層が、シリコン原子を母体とし、少なくとも炭
素原子、水素原子を有し、さらに酸素原子及び/また
は、窒素原子を含有する非単結晶材で構成され、該阻止
層中に含有される炭素原子{C/(Si+C)}が3原
子%以上50原子%以下で、かつ、該阻止層中に含有さ
れる全炭素原子に対して、炭素−炭素の結合を持つ炭素
原子の割合が80%以下であることを特徴としている。
上記のような本発明の構成をとる電子写真用光受容部材
は前述のような諸問題点を全て解決することができ、極
めて優れた電気特性、光学的特性、光導電特性、画像特
性を有している。
【0058】特に、阻止層において、支持体との密着
性、阻止層と光導電層との界面の密着性が著しく向上
し、そのため、優れた表面性を有し、画像欠陥の少ない
高品質の画像を安定して繰り返し得ることができる。
【0059】さらに、本発明の電子写真用光受容部材
は、光感度が高く、かつ光応答が速く、かつ残留電位が
ないかまたは実質的に問題がない。そのために高解像度
で高品質の画像を安定した状態で高速で繰り返し多数得
ることができ、また、デジタル信号に基づく画像の形成
にも適用することができる。
【0060】さらに、本発明の電子写真用光受容部材
は、ゴースト、ブランクメモリーなどの対光メモリーに
優れた画像特性を持つ。
【0061】以下に本発明者らが得た知見の詳細な内容
について説明する。
【0062】光導電層に炭素が含有されていることによ
り誘電率を小さくすることができるために、層厚当りの
静電容量を減少させることができて高い帯電能と光感度
において著しい改善がみられ、さらに高電圧に対する耐
圧性も向上し耐久性も向上できる。本発明者らは、これ
らの性能を充分生かし、さらに優れた電子写真用光受容
部材を完成させるために、阻止層の膜質の向上に関する
さまざまな検討を行ってきた。その結果、a−SiC系
の阻止層では、膜中に存在する炭素原子の結合状態が、
特性を左右する鍵であることを見いだし、さらに、より
高性能な電子写真感光体を形成するために阻止層中の酸
素原子及び/または窒素原子の含有量を10原子ppm
以上50000原子ppm以下に制御すること見いだし
た。
【0063】a−SiC系の膜を阻止層に用いた場合、
一般に炭素原子の含有量は3〜50原子%程度が望まし
いものとして使用される。このとき従来のように特に結
合状態にこだわらずに阻止層を形成した場合、シリコン
原子と炭素原子とは均一な分布とはならず、シリコン原
子の濃度の多い部分と、炭素原子濃度の多い部分とが混
在する状態となり易い。このような膜中では、例えばア
モルファス状態のシリコン原子の結合中に炭素原子がク
ラスター状の塊となって取り込まれていることが予想さ
れる。
【0064】実際、従来のa−SiC系の阻止層をES
CA及びFT−IRにて炭素原子の結合状態を分析した
ところ、阻止層中の全炭素原子のうち90%程度の炭素
原子が、炭素−炭素結合(C−C結合)を持っているこ
とがわかり、光導電層の膜中で炭素原子のクラスターを
形成していることを裏付けている。
【0065】このような阻止層中に存在する炭素原子の
クラスターの影響については、なお発明者らの想像の域
をでるものではないが、おおよそ次のように考えられ
る。
【0066】まず第一に比較的大きなクラスターの影響
が考えられる。a−SiC系の阻止層を形成する場合、
特に比較的炭素含有量の多い場合では、炭素原子が互い
に十数個程度以上結合した比較的大きなクラスターを形
成することも考えられる。阻止層において、ブロッキン
グ性能を向上させるために膜中に硼素を含有させるが、
このような大きなクラスターが膜中に存在すると、同じ
ブロッキング性能を得るためには、膜中により多くの硼
素を含有させる必要がある。そのために、阻止層形成時
に、例えば、ジボランなどのガスを多く必要とする。こ
のため、結果的に光導電層形成時に硼素の残渣の影響に
より、帯電能を低下させてしまうと考えられる。
【0067】第二に比較的小さなクラスターの存在によ
る膜中のストレスの影響が考えられる。例えば炭素原子
が数個程度の比較的小さなクラスターがあった場合、シ
リコン原子の結合手と炭素原子の結合手ではその長さが
異なるため、炭素原子のクラスターとこれを囲むシリコ
ン原子との結合の間にストレスを生む結果となる。こう
して生じたストレスが膜のブロッキング性能を悪化させ
ているのではないかと考えられる。
【0068】以上のような考察から特にa−SiC系の
阻止層においてはシリコン原子中に炭素原子を均一に分
布させ、炭素原子のクラスターを形成させないこと、す
なわちシリコン原子と炭素原子の結合(C−C結合)を
促進し、C−C結合をできる限り少なくすることが特性
向上の上で不可欠であると考えることができる。そこで
本発明者らは阻止層形成時に結合状態をコントロールす
ることで、阻止層中に含有される全炭素原子のうち、C
−C結合を持つ炭素原子の割合を従来のa−SiC系阻
止層に比べて極めて少なくすることで、前述のごとき問
題点を全て解決し得る、優れた電子写真特性を有した阻
止層を形成することができた。
【0069】さらに、本発明では、阻止層中に、炭素原
子、酸素原子及び/または窒素原子を同時に含有させる
ことにより、従来の阻止層に比べ、緻密で密着性の高い
膜質を得ることができる。そのため、基板との密着性の
みならず、阻止層上の光導電層との密着性も良好であり
「白ポチ」、「黒ポチ」などの画像欠陥の原因となる堆
積膜の欠陥である球状突起が著しく減少する。
【0070】さらに本発明では、a−SiC膜に酸素原
子及び/または窒素原子を含有させることにより、堆積
膜のストレスをより効果的に緩和して、膜の構造欠陥を
制御するため、a−SiC中でキャリアの走行性が改善
され、「ブランクメモリー」「ゴースト」などの光メモ
リーが改善される。
【0071】以下、図面にしたがって本発明の光受容部
材についてより詳細に説明する。 (第1の発明)図1は第1の本発明の電子写真用光受容
部材の層構成の一例を示した模式的断面図である。本発
明の電子写真用光受容部材100は、導電性基体101
上に、光導電層102、表面層103を順次積層して成
り立っている。
【0072】本発明において使用される導電性基体10
1は例えばAl,Cr,Mo,Au,In,Nb,T
e,V,Ti,Pt,Pb,Fe,などの金属、及びこ
れらの合金、例えばステンレスなどが挙げられる。また
ポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネイト、セル
ロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、
ポリエチレン、ポリアミドなどの合成樹脂のフィルムま
たはシート、ガラス、セラミックなどの電気絶縁性基体
の少なくとも光受容層を形成する側の表面を導電処理し
た基体も用いることができる。さらに光受容層を形成す
る側と反対側も導電処理することが望ましい。
【0073】導電性基体101の形状は平滑平面あるい
は凹凸表面の円筒状または板状無端ベルト形状であるこ
とができ、その厚さは所望どうりの電子写真用光受容部
材を形成し得るように適宜決定されるが、電子写真用光
受容部材として可撓性が要求される場合には、基体とし
ての機能が充分発揮できる範囲内で可能な限り薄くする
ことができる。しかいしながら、基体の製造上及び取り
扱い上、機械的強度などの点から通常は10μm以上と
される。
【0074】本発明においては、導電性基体101の表
面に凹凸を作る場合、例えばレーザー光などの可干渉性
光を用いて像記録を行う場合には、可視画像において現
れる干渉縞模様による画像不良を解消するために、導電
性基体101の表面に凹凸を設けてもよい。導電性基体
101の表面に設けられる凹凸は、特開昭60−168
156号公報、同60−178457号公報、同60−
225854号公報などに記載された公知の方法により
作製される。また、レーザー光などの可干渉光を用いた
場合の干渉縞模様による画像不良を解消する別の方法と
して、導電性基体101の表面に複数の球状痕跡窪みに
よる凹凸形状を設けてもよい。すなわち、導電性基体1
01の表面が電子写真用光受容部材に要求される解像力
よりも微少な凹凸を有し、しかも該凹凸は、複数の球状
痕跡窪みによるものである。導電性基体101の表面に
設けられる複数の球状痕跡窪みによる凹凸は、特開昭6
1−231561号公報に記載された公知の方法により
作製される。
【0075】本発明の光導電層102は、シリコン原子
を母体とし、少なくとも炭素原子、水素原子を有する非
単結晶材料で構成され、該光導電層中に含有される全炭
素原子に対して、C−C結合を持つ炭素原子の割合が6
0%以下、より好ましくは30%以下であるように形成
される。本発明の光導電層の形成方法は、RFなどの高
周波プラズマCVD法、マイクロ波プラズマCVD法、
スパッタリング法などが好適であるが、いずれの方法で
も光導電層中に含有される全炭素原子に対して、C−C
結合を持つ炭素原子の割合が従来のa−SiC系光導電
層に比べて低くなるように、結合状態を制御しながら反
応を抑制する必要がある。
【0076】例えばRFプラズマCVD法や、マイクロ
波プラズマCVD法で本発明の光導電層102を形成す
る場合、基本的にシリコン原子、炭素原子、などの表面
層を構成する原子を供給し得る原料ガスを、内部が減圧
可能な反応容器に所望のガス状態で導入し、反応容器内
でグロー放電を生起させ予め所定の位置に設置された導
電性基体101上にa−SiCからなる層を形成すれば
よい。
【0077】光導電層中に含有される全炭素原子に対し
て、C−C結合を持つ炭素原子の割合を制御する方法の
例としては、原料ガス種の選択と放電中の電界の印加に
よるイオンの利用が挙げられる。
【0078】光導電層中に含有される全炭素原子に対し
て、C−C結合を持つ炭素原子の割合が従来より少なく
なるように反応を制御する方法としては、原料ガスとし
てSiH4 ,Si26 などの水素化珪素類、またSi
4 などの弗化珪素類などのシリコン原子含有ガスとと
もに、炭素原子供給用の原料ガスとしてSi(CH34
(テトラメチルシラン)など予めシリコン原子と炭素
原子の結合を有しているものを用いることが特に有効で
ある。また炭素原子供給用原料ガスとしては、上記テト
ラメチルシランとともにCH4 ,CF4 などを用いても
よい。
【0079】また、マイクロ波プラズマCVD法におい
ては、上記の方法とともに放電空間中に電界を外部電気
バイアスとしてかけ、イオンを効果的に基体表面に到達
させることにより制御の効果がより大きなものとなる。
この外部電気バイアスは直流電圧、パルス状の電圧、整
流器により整流された時間によって大きさが変化する脈
動電圧でもよく、正弦波、矩形波などの波形を持った交
流電圧も使用できる。外部電気バイアスの電圧としては
いずれも実効値で15v以上300v以下、好ましく
は、30v以上200v以下が適するが、堆積膜の所望
の特性が得られるようにその他のパラメータと関連して
適宜決定される。
【0080】本発明においては上記のような原料ガスを
2 及び/または、Ar,He,Neなどの不活性ガス
で希釈して用いることも本発明では有効である。
【0081】本発明の光導電層102中の炭素原子の含
有量はシリコン原子に対して3〜30原子%が好ましい
ものとして挙げられる。炭素含有量が30原子%を越え
る場合は、光導電層中のC−C結合を従来よりも少なく
制御した場合でも、光キャリアが発生しにくくなるた
め、電子写真用光受容部材の光導電層として用いるに
は、残留電位が高くなるなどの問題が起こるため、不適
当である。
【0082】また炭素含有量が3原子%未満になると、
現在の分析機器の精度では結合状態を調べることが困難
になってくるため、本発明の効果を明確に分離すること
は困難になる。
【0083】この炭素原子は、光導電層中に万遍なく均
一に含有されてもよいし、光導電層の層厚方向に含有量
が変化するような不均一な分布をもたせた部分であって
もよい。炭素の含有量を変化させる場合には、炭素含有
量の最も多い部分で上記の含有量をとることが好まし
く、炭素原子の少ない領域では、上記の範囲よりも少な
い含有量の部分があっても差し支えない。
【0084】この場合、炭素含有量が3原子%未満の領
域においても、先に示した方法によれば光導電層中に含
有される全炭素原子に対して、C−C結合を持つ炭素原
子の割合が60%以下となっていると推測されるが、上
記のように本発明の効果は不明確になってくる。
【0085】しかしながら本発明は、炭素を比較的多く
含んだ光導電層において、C−C結合を持った炭素原子
の割合を従来よりも少なく制御することによって、従来
に比べ優れた電子写真特性を示すことを見いだし、完成
させたものであり、光導電層中の炭素含有量が多い領域
で効果が顕著に現れる。したがって炭素含有量が3原子
%未満に変化する場合でも、分析可能な範囲でC−C結
合を持つ炭素原子の割合が60%以下、より好ましくは
30%以下とすれば、本発明の効果を得るのに充分であ
る。
【0086】また、本発明において光導電層102中に
水素原子が含有されることが必要であるが、これはシリ
コン原子の未結合手を補償し、層品質の向上、特に光導
電性及び電荷保持特性を向上させるために必須不可欠で
あるからである。特に本発明のように炭素原子が含有さ
れた場合、その膜質を維持するために、より多くの水素
原子が必要となるため、炭素含有量にしたがって含有さ
れる水素量が調整されることが望ましい。よって水素原
子の含有量は望ましくは1〜40原子%、より好ましく
は5〜35原子%、最適には10〜30原子%とされる
のが好ましい。
【0087】さらに本発明においては、光導電層102
に必要に応じて伝導性を制御する原子(M)を含有させ
ることが好ましい。伝導性を制御する原子は、光導電層
第1領域中に万遍なく均一に分布した状態で含有されて
もよいし、あるいは層厚方向には不均一な分布状態で含
有している部分があってもよい。
【0088】前記の伝導性を制御する原子(M)として
は、半導体分野における、いわゆる不純物を挙げること
ができ、p型伝導特性を与える周期律表III 族に属する
原子(以後「第III 族原子)と略記する)またはn型伝
導特性を与える周期律表V族に属する原子(以後「第V
族原子」と略記する)を用いることができる。第III族
原子としては、具体的には、ホウ素(B)、アルミニウ
ム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In),
タリウム(Tl)などがあり、特にB,Al,Gaが好
適である。第V族原子としては、具体的には燐(P)、
ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)
などがあり、特にP,Asが好適である。
【0089】光導電層に含有される伝導性を制御する原
子(M)の含有量としては、好ましくは1×10-3〜5
×104 原子ppm、より好ましくは1×10-2〜1×
10 4 原子ppm、最適には1×10-1〜5×103
子ppmとされるのが望ましい。特に、光導電層におい
て炭素原子(C)の含有量が1×103 原子ppm以下
の場合は、光導電層に含有される原子(M)の含有量と
しては好ましくは1×10-3〜1×103 原子ppmと
されるのが望ましく、炭素原子(C)の含有量が1×1
3 原子ppmを越える場合、原子(M)の含有量とし
ては、好ましくは1×10-1〜5×104 原子ppmと
されるのが望ましい。
【0090】光導電層中に、伝導性を制御する原子、例
えば、第III 族原子あるいは第V族原子を構造的に導入
するには、層形成の際に、第III 族原子導入用の原料物
質あるいは第V族原子導入用の原料物質をガス状態で反
応容器中に、光導電層を形成するための他のガスととも
に導入してやればよい。第III 族原子導入用の原料物質
あるいは第V族原子導入用の原料物質となり得るものと
しては、常温常圧でガス状のまたは、少なくとも光導電
層形成条件下で容易にガス化し得るものが採用されるの
が望ましい。そのような第III 族原子導入用の原料物質
として具体的には、ホウ素原子導入用としては、B2
6 ,B410,B59 ,B511,B 610,B6
12,B614などの水素化ホウ素、BF3 ,BCl3
BBr3などのハロゲン化ホウ素などが挙げられる。こ
の他、AlCl3 ,GaCl3 ,Ga(CH33 ,I
nCl3 ,TlCl3 なども挙げることができる。
【0091】第V族原子導入用の原料物質として本発明
において、有効に使用されるのは、燐原子導入用として
は、PH3 ,P24 などの水素化燐、PH4 I,PF
3 ,PF5 ,PCl3 ,PCl5 ,PBr3 ,PBr
5 ,PI3 などのハロゲン化燐が挙げられる。この他、
AsH3 ,AsF3 ,AsCl3 ,AsBr3 ,AsF
5 ,SbH3 ,SbF3 ,SbF5 ,SbCl3 ,Sb
Cl5 ,BiH3 ,BiCl3 ,BiBr3 なども第V
族原子導入用の出発物質の有効なものとして挙げること
ができる。
【0092】また、これらの伝導性を制御する原子導入
用の原料物質を必要に応じてH2 ,He,Ar,Neな
どのガスにより希釈して使用してもよい。
【0093】さらに本発明の光導電層102には、周期
律表第Ia族、IIa 族、VIa族、VIII族から選ばれる少
なくとも1種の元素を含有してもよい。前記元素は前記
光導電層中に万遍なく均一に分布されてもよいし、ある
いは該光導電層中に万遍なく含有されてはいるが、層厚
方向に対し不均一に分布する状態で含有している部分が
あってもよい。これらの原子の含有量は0.1〜100
00原子ppmが望ましい。Ia族原子としては、具体
的には、リチウム(Li),ナトリウム(Na)、カリ
ウム(K)を挙げることができ。第IIa族原子として
は、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カル
シウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム
(Ba)などを挙げることができる。
【0094】また、第VIa族原子としては具体的には、
クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン
(W)などを挙げることができ、第VIII族原子として
は、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)
などを挙げることができる。
【0095】本発明において、光導電層102の層厚は
所望の電子写真特性が得られること及び経済的効果など
の点から適宜所望にしたがって決定され、光導電層につ
いては、好ましくは5〜50μm、より好ましくは10
〜40μm、最適には20〜30μmとされるのが望ま
しい。
【0096】さらに本発明の光受容部材においては、光
導電層102の前記導電性基体側に、少なくともアルミ
ニウム原子、シリコン原子、炭素原子及び水素原子が層
厚方向に不均一な分布状態で含有する層領域を有するこ
とが望ましい。
【0097】本発明の目的を達成し得るa−Siからな
る光導電層102を形成するためには、導電性基体の温
度、反応容器内のガス圧を所望にしたがって、適宜設定
する必要がある。
【0098】導電性基体の温度(Ts)は、層設計にし
たがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好
ましくは20〜500℃、より好ましくは50〜480
℃、最適には100〜450℃とするのが望ましい。
【0099】反応容器内のガス圧も同様に層設計にした
がって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好ま
しくは1×10-5〜100Torr、好ましくは5×1
-5〜30Torr、最適には、1×10-4〜10To
rrとするのが好ましい。
【0100】本発明においては、光導電層102を形成
するための導電性基体温度、ガス圧の望ましい数値範囲
として前記した範囲が挙げられるが、これらの層作成フ
ァクターは通常は独立的に別々に決められるものではな
く、所望の特性を有する光受容部材を形成すべく相互的
かつ有機的関連性に基づいて層作成ファクターの最適値
を決めるのが望ましい。
【0101】本発明において、光導電層102の層厚は
所望の電子写真特性が得られること及び経済的効果など
の点から適宜所望にしたがって決定され、好ましくは5
〜50μm、より好ましくは10〜40μm、最適には
15〜30μmとされるのが望ましい。
【0102】本発明の光受容部材の光導電層102は、
光導電層中に含有される全炭素原子に対する、C−C結
合を持つ炭素原子の割合が60%以下、より好ましくは
30%以下であれば、前述の問題点を解決する特性が得
られるのであって、その形成方法はいずれの方法でもよ
く、上記のような方法に限定されないのはいうまでもな
い。
【0103】本発明の表面層103は、電子写真用光受
容部材としての所望の特性、例えば電荷保持性、耐環境
性、耐擦性などが得られるような、非単結晶材料から構
成される。表面層の形成方法としては、RFなどの高周
波プラズマCVD法、マイクロ波プラズマCVD法、ス
パッタリング法、イオンプレーティング法などが好まし
いものとして挙げられる。
【0104】例えばa−SiCで構成された表面層10
3を、マイクロ波プラズマCVD法で形成するには、基
本的にシリコン原子を供給し得るSi供給用ガスと炭素
原子(C)を供給し得るC供給用ガスとを内部が減圧可
能な反応容器内に所望のガス状態で導入し、反応容器内
でグロー放電を生起させ予め所定の位置に設置された導
電性基体101上にa−SiCからなる層を形成すれば
よい。
【0105】本発明において使用されるSi供給用ガス
となり得る物質としてはSiH4 ,Si26 ,Si3
8 ,Si410などのガス状態の、またはガス化し得
る水素化珪素(シラン類)が有効に使用されるものとし
て挙げられ、さらに層作成時の取り扱い易さ、Si供給
効率のよさなどの点でSiH4 ,Si26 が好ましい
ものとして挙げられる。また、これらのSi供給用の原
料ガスを必要に応じてH2 ,He,Ar,Neなどのガ
スのにより希釈して使用しても本発明には何ら差し支え
ない。
【0106】炭素原子(C)導入用の原料ガスになり得
るものとして有効に使用される出発物質は、CとHとを
構成原子とする、例えば炭素数1〜5の飽和炭化水素、
炭素数2〜4のエチレン系炭化水素、炭素数2〜3のア
セチレン系炭化水素などが挙げられる。具体的には、飽
和炭化水素としては、メタン(CH4 )、エタン(C 2
6 )、プロパン(C38 )、n−ブタン(n−C4
10)、ペンタン(C 512)、エチレン系炭化水素し
ては、エチレン( C24 )、プロピレン(C3
6 )、ブテン−1(C48 )、ブテン−2(C4
8 )イソブチレン(C48 )、ペンテン(C5
10)、アセチレン系炭化水素としては、アセチレン
(C22 )、メチルアセチレン(C34 )、ブチン
(C46 )などが挙げられる。この他にCF4 ,CF
3 ,C26 ,C38 ,C48 などのフッ化炭素化
合物も本発明のC供給用ガスとして使用できる。
【0107】また。これらのC供給用の原料ガスを必要
に応じてH2 ,He,Ar,Neなどのガスにより希釈
して使用することも本発明には有効である。
【0108】また、Si(CH34 ,Si(C2
54 などのケイ化アルキルを上記の原料ガスと併せて
使用することも本発明では有効である。
【0109】本発明に使用される上記のような原料ガス
は、各々異なる供給源(ボンベ)から供給してもよい
し、また、予め一定の濃度で混合されたガスを使用する
ことも本発明には有効である。
【0110】本発明において、表面層103の層厚は所
望の電子写真特性が得られること、及び経済的効果など
の点から好ましくは0.01〜30μm、より好ましく
は0.05〜20μm、最適には0.1〜10μmとさ
れるのが望ましい。
【0111】本発明において表面層103を形成する条
件は、所望の電子写真特性が得られるように、適宜決定
することができる。例えば基体温度は適宜最適範囲が選
択されるが、好ましくは20〜500℃、より好ましく
は50〜480℃、最適には100〜450℃とするの
が望ましい。また、反応容器内のガス圧も適宜最適範囲
が選択されるが、好ましくは1×103 〜100Tor
r、より好ましくは5×10-5〜30Torr、最適に
は1×10-4〜10Torrとするのが望ましい。
【0112】本発明においては、表面層103を形成す
るための基体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前
記した範囲が挙げられるが、条件は通常は独立的に別々
に決められるものではなく、所望の特性を有する光受容
部材を形成すべく相互的かつ有機的関連性に基づいて最
適値を決めるのが望ましい。
【0113】さらに本発明によって形成される電子写真
用光受容部材の層構成は、電子写真用光受容部材として
の所望の特性を得るために必要に応じて、上記光導電層
と表面層以外に、所望の特性を有する密着層、下部電荷
注入阻止層等を設けることも有効である。
【0114】以下本発明の電子写真用光受容部材の形成
方法の手順について説明する。
【0115】図2は高周波プラズマCVD法による堆積
膜形成装置の全体の構成の一例を模式的に示したもので
ある。この装置を用いた光導電層の形成手順の例を以下
に述べる。
【0116】反応容器2111内に円筒状の基体211
2を設置し、不図示の排気装置(例えば真空ポンプ)に
より反応容器2111内を排気する。続いて、支持体加
熱用ヒーター2113により基体2112の温度を20
℃〜500℃の所定の温度に制御する。
【0117】堆積膜形成用の原料ガスを反応容器211
1に流入させるには、ガスボンベバルブ2231〜22
36、反応容器のリークバルブ2117が閉じられてい
ることを確認し、また、流入バルブ2241〜224
6、流出バルブ2251〜2256、補助バルブ226
0が開かれていることを確認して、まず、メインバルブ
2118を開いて反応容器2111及びガス配管内21
16を排気する。
【0118】次に真空計2119の読みが約5×10-6
Torrになった時点で補助バルブ2260、流出バル
ブ2251〜2256を閉じる。
【0119】その後、ガスボンベ2221〜2226よ
り各ガスをガスボンベバルブ2231〜2236を開い
て導入し、圧力調整器2261〜2266により各ガス
圧を2kg/cm3 に調整する。次に、流入バルブ22
41〜2246を徐々に開けて、各ガスをマスフローコ
ントローラー2211〜2216内に導入する。
【0120】以上のようにして成膜の準備が完了した
後、基体2112上に光導電層及び表面層の形成を行
う。
【0121】基体2112が所定の温度になったところ
で流出バルブ2251〜2256のうち必要なもの及び
補助バルブ2260を徐々に開き、ガスボンベ2221
〜2226から所定のガスをガス導入管2114を介し
て反応容器2111内に導入する。次にマスフローコン
トローラー2211〜2216によって各原料ガスが所
定の流量になるように調整する。その際、反応容器21
11内の圧力が1Torr以下の所定の圧力になるよう
に真空計2119を見ながらメインバルブ2118の開
口を調整する。内圧が安定したところで、高周波電源2
120を所望の電力に設定して、高周波マッチングボッ
クス2115を通じて反応容器2111内に高周波電力
を導入し、グロー放電を生起させる。この放電エネルギ
ーによって反応容器内に導入された原料ガスが分解さ
れ、基体2112上に所定の光導電層が形成される。所
望の膜厚の形成が行われた後、高周波電力の供給を止
め、流出バルブを閉じて反応容器へのガスの流入を止
め、堆積膜の形成を終える。
【0122】同様の操作を複数回繰り返すことによっ
て、所望の多層構造の光受容層が形成される。
【0123】それぞれの層を形成する際には必要なガス
以外の流出バルブは全て閉じられていること、また上述
のガス種及びバルブ操作は各々の層の作成条件にしたが
って変更が加えられることはいうまでもない。
【0124】また、マイクロ波プラズマCVD法による
堆積膜形成装置を用いた場合の電子写真用光受容部材の
形成手順を説明する。
【0125】図3(A),(B)はマイクロ波プラズマ
CVD法の堆積膜形成装置の反応容器の一例の縦断面と
横断面をそれぞれ模式的に示した図であり、図4は同装
置の全体の構成を模式的に示した図である。
【0126】まず、反応容器3001内に予め脱脂洗浄
された円筒状の導電性基体3005を設置し、駆動装置
3010によって導電性基体3005を回転し、不図示
の排気装置(例えば真空ポンプ)により反応容器300
1内を排気管3004を介して排気し、反応容器300
1内の圧力を1×10-6Torr以下に調整する。続い
て、基体加熱用ヒーター3006により導電性基体30
05の温度を20℃〜500℃の所定の温度に加熱保持
する。
【0127】光受容部材形成用の原料ガスを反応容器3
001に流入させるには、ガスボンベのバルブ4031
〜4036、反応容器のリークバルブ(不図示)が閉じ
られていることを確認し、また、流入バルブ4041〜
4046、流出バルブ4051〜4056、保持バルブ
4060が開かれていることを確認して、まずメインバ
ルブ(不図示)を開いて反応容器3001及びガス配管
4017内にを排気する。
【0128】次に真空計(不図示)の読みが約5×10
-6Torrになった時点で補助バルブ4060、流出バ
ルブ4051〜4056を閉じる。
【0129】その後、ガスボンベ4021〜4036よ
り各ガスをバルブ4031〜4036を開いて導入し、
圧力調整器4061〜4066により各ガス圧を2kg
/cm2 に調整する。次に、流入バルブ4041〜40
46を徐々に開けて、各ガスをマスフローコントローラ
ー4011〜4016内に導入する。
【0130】以上のようにして成膜の準備が完了した
後、導電性基体3005上に光導電層、表面層の各層の
形成を行う。
【0131】導電性基体3005が所定の温度になった
ところで流出バルブ4051〜4056のうち必要なも
の及び補助バルブ4060を徐々に開き、ガスボンベ4
021〜4026から所定のガスをガス導入管3012
を介して反応容器3001内の放電空間3006に導入
する。次にマスフローコントローラー4011〜401
6によって各原料ガスが所定の流量になるように調整す
る。その際、放電空間3006内の圧力が1Torr以
下の所定の圧力になるように真空計(不図示)を見なが
らメインバルブ(不図示)の開口を調整する。内圧が安
定した後、電源3009から電極3008に例えば直流
などの外部電気バイアスを所望の電圧印加し、さらにマ
イクロ波電源(不図示)により、例えば周波数2.45
GHzのマイクロ波を発生させ、マイクロ波電源(不図
示)を所望の電力に設定し、導波管3003、マイクロ
波導入窓3002を介して放電空間3006にμWエネ
ルギーを導入して、μWグロー放電を生起させる。この
ようにして導電性基体3005上に所定の光受容部材が
形成される。このとき、層形成の均一化を図るため駆動
手段3010によって、所望の回転速度で回転させる。
【0132】所望の膜厚の形成が行われた後、μW電力
の供給を止め、流出バルブを閉じて反応容器へのガスの
流入を止め、堆積膜の形成を終える。
【0133】同様の操作を複数回繰り返すことによっ
て、所望の多層構造の光受容層が形成される。
【0134】それぞれの層を形成する際には必要なガス
以外の流出バルブは全て閉じられていること、また上述
のガス種及びバルブ操作は各々の層の作成条件にしたが
って変更が加えられることはいうまでもない。 (第2の発明)以下、図面にしたがって第2の本発明の
光受容部材についてより詳細に説明する。
【0135】図1は第1の本発明の電子写真用光受容部
材の層構成の一例を示した模式的断面図である。本発明
の電子写真用光受容部材100は、導電性基体101上
に、光導電層102、表面層103を順次積層して成り
立っている。
【0136】本発明において使用される導電性基体10
1は、例えばAl,Cr,Mo,Au,In,Nb,T
e,V,Ti,Pt,Pb,Fe,などの金属、及びこ
れらの合金、例えばステンレスなどが挙げられる。また
ポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネイト、セル
ロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、
ポリエチレン、ポリアミドなどの合成樹脂のフィルムま
たはシート、ガラス、セラミックなどの電気絶縁性基体
の少なくとも光受容層を形成する側の表面を導電処理し
た基体も用いることができる。さらに光受容層を形成す
る側と反対側も導電処理することが望ましい。
【0137】導電性基体101の形状は平滑平面あるい
は凹凸表面の円筒状または板状無端ベルト形状であるこ
とができ、その厚さは所望どうりの電子写真用光受容部
材を形成し得るように適宜決定されるが、電子写真用光
受容部材として可撓性が要求される場合には、基体とし
ての機能が充分発揮できる範囲内で可能な限り薄くする
ことができる。しかいしながら、基体の製造上及び取り
扱い上、機械的強度などの点から通常は10μm以上と
される。
【0138】本発明においては、導電性基体101の表
面に凹凸を作る場合、例えばレーザー光などの可干渉性
光を用いて像記録を行う場合には、可視画像において現
れる干渉縞模様による画像不良を解消するために、導電
性基体101の表面に凹凸を設けてもよい。導電性基体
101の表面に設けられる凹凸は、特開昭60−168
156号公報、同60−178457号公報、同60−
225854号公報などに記載された公知の方法により
作製される。また、レーザー光などの可干渉光を用いた
場合の干渉縞模様による画像不良を解消する別の方法と
して、導電性基体101の表面に複数の球状痕跡窪みに
よる凹凸形状を設けてもよい。すなわち、導電性基体1
01の表面が電子写真用光受容部材に要求される解像力
よりも微少な凹凸を有し、しかも該凹凸は、複数の球状
痕跡窪みによるものである。導電性基体101の表面に
設けられる複数の球状痕跡窪みによる凹凸は、特開昭6
1−231561号公報に記載された公知の方法により
作製される。
【0139】本発明の光導電層102は、シリコン原子
を母体とし、少なくとも炭素原子、水素原子、ならびに
酸素及び/または窒素原子を有し、さらに弗素原子を有
する非単結晶材料で構成され、該光導電層中に含有され
る全炭素原子に対して、C−C結合を持つ炭素原子の割
合が60%以下、より好ましくは30%以下であるよう
に形成される。本発明の光導電層の形成方法は、RFな
どの高周波プラズマCVD法、マイクロ波プラズマCV
D法、スパッタリング法などが好適であるが、いずれの
方法でも光導電層中に含有される全炭素原子に対して、
C−C結合を持つ炭素原子の割合が従来のa−SiC系
光導電層に比べて低くなるように、結合状態を制御しな
がら反応を抑制する必要がある。
【0140】例えばRFプラズマCVD法や、マイクロ
波プラズマCVD法で本発明の光導電層102を形成す
る場合、基本的にシリコン原子、炭素原子、などの表面
層を構成する原子を供給し得る原料ガスを、内部が減圧
可能な反応容器に所望のガス状態で導入し、反応容器内
でグロー放電を生起させ予め所定の位置に設置された導
電性基体101上にa−SiCからなる層を形成すれば
よい。
【0141】光導電層中に含有される全炭素原子に対し
て、C−C結合を持つ炭素原子の割合を制御する方法の
例としては、原料ガス種の選択と放電中の電界の印加に
よるイオンの利用が挙げられる。
【0142】光導電層中に含有される全炭素原子に対し
て、C−C結合を持つ炭素原子の割合が従来より少なく
なるように反応を制御する方法としては、原料ガスとし
てSiH4 ,Si26 などの水素化珪素類、またSi
4 などの弗化珪素類などのシリコン原子含有ガスとと
もに、炭素原子供給用の原料ガスとしてSi(CH34
(テトラメチルシラン)など予めシリコン原子と炭素
原子の結合を有しているものを用いることが特に有効で
ある。また炭素原子供給用原料ガスとしては、上記テト
ラメチルシランとともにCH4 ,CF4 などを用いても
よい。また、酸素原子の供給用ガスとしては、O2 ,O
3 などが挙げられるが酸素原子の供給に加えて、炭素原
子の供給が行えるという点からCO,CO2 などの化合
物が挙げられ、同様に窒素原子の供給も行えるという点
から、NO,NO2 ,N2 O,N 23 ,N24 ,N
25 などの化合物を挙げることができる。また、弗素
原子供給用の原料ガスとしては、例えば、弗素ガス、弗
素化物、弗素を含むハロゲン間化合物、弗素で置換され
たシラン誘導体などのガス状のまたはガス化し得る弗素
化合物が好ましく挙げられる。
【0143】また、マイクロ波プラズマCVD法におい
ては、上記の方法とともに放電空間中に電界を外部電気
バイアスとしてかけ、イオンを効果的に基体表面に到達
させることにより制御の効果がより大きなものとなる。
この外部電気バイアスは直流電圧、パルス状の電圧、整
流器により整流された時間によって大きさが変化する脈
動電圧でもよく、正弦波、矩形波などの波形を持った交
流電圧も使用できる。外部電気バイアスの電圧としては
いずれも実効値で15v以上300v以下、好ましく
は、30v以上200v以下が適するが、堆積膜の所望
の特性が得られるようにその他のパラメータと関連して
適宜決定される。
【0144】本発明においては上記のような原料ガスを
2 及び/または、Ar,He,Neなどの不活性ガス
で希釈して用いることも本発明では有効である。
【0145】本発明の光導電層102中の炭素原子の含
有量はシリコン原子に対して3〜30原子%が好ましい
ものとして挙げられる。炭素含有量が30原子%を越え
る場合は、光導電層中のC−C結合を従来よりも少なく
制御した場合でも、光キャリアが発生しにくくなるた
め、電子写真用光受容部材の光導電層として用いるに
は、残留電位が高くなるなどの問題が起こるため、不適
当である。
【0146】また炭素含有量が3原子%未満になると、
現在の分析機器の精度では結合状態を調べることが困難
になってくるため、本発明の効果を明確に分離すること
は困難になる。
【0147】この炭素原子は、光導電層中に万遍なく均
一に含有されてもよいし、光導電層の層厚方向に含有量
が変化するような不均一な分布をもたせた部分であって
もよい。炭素の含有量を変化させる場合には、炭素含有
量の最も多い部分で上記の含有量をとることが好まし
く、炭素原子の少ない領域では、上記の範囲よりも少な
い含有量の部分があっても差し支えない。
【0148】この場合、炭素含有量が3原子%未満の領
域においても、先に示した方法によれば光導電層中に含
有される全炭素原子に対して、C−C結合を持つ炭素原
子の割合が60%以下となっていると推測されるが、上
記のように本発明の効果は不明確になってくる。
【0149】しかしながら本発明は、炭素を比較的多く
含んだ光導電層において、C−C結合を持った炭素原子
の割合を従来よりも少なく制御することによって、従来
に比べ優れた電子写真特性を示すことを見いだし、完成
させたものであり、光導電層中の炭素含有量が多い領域
で効果が顕著に現れる。したがって炭素含有量が3原子
%未満に変化する場合でも、分析可能な範囲でC−C結
合を持つ炭素原子の割合が60%以下、より好ましくは
30%以下とすれば、本発明の効果を得るのに充分であ
る。
【0150】また、本発明において光導電層102中に
水素原子が含有されることが必要であるが、これはシリ
コン原子の未結合手を補償し、層品質の向上、特に光導
電性及び電荷保持特性を向上させるために必須不可欠で
あるからである。特に本発明のように炭素原子が含有さ
れた場合、その膜質を維持するために、より多くの水素
原子が必要となるため、炭素含有量にしたがって含有さ
れる水素量が調整されることが望ましい。よって水素原
子の含有量は望ましくは1〜40原子%、より好ましく
は5〜35原子%、最適には10〜30原子%とされる
のが好ましい。
【0151】またさらに、光導電層102に酸素原子及
び/または窒素原子が含有されることが必要であるが、
これは堆積膜のストレスをより効果的に緩和して膜の構
造欠陥を抑制し、さらに、炭素原子及び水素原子の凝集
を抑制する効果があるためである。このため、前記光導
電層中でのキャリアの層構成が改善され、電位シフトが
減少する。酸素原子及び/または窒素原子の含有量が1
0原子ppmより少ないと、さらなる膜の密着性の向上
及び異常成長の発生の抑制を図ることが充分にはできず
電位シフトも大きくなる。5000原子ppmを越える
と電子写真の高速化に対応するための電気的特性が充分
でなくなる。したがって、酸素原子及び/または窒素原
子の含有量としては、10〜5000原子ppmとする
のが望ましい。また、酸素原子及び/または窒素原子は
前記光導電層中に万遍なく分布してもよいし、表面に各
々平行な面内では実質的に均一な分布状態であれば層厚
方向に不均一な分布状態であってもよい。
【0152】加えて本研究では、光導電層102中に弗
素原子が含有されてもよく、これは水素原子と同様にシ
リコン原子の未結合手を補償するだけでなく、炭素原子
及び水素原子の凝集を抑制する効果もある。弗素含有量
が1原子ppmより少ないと前記の効果が充分に発揮さ
れず、また、95原子ppmを越えると逆に膜質が低下
してしまいゴースト現象を生じるようになってしまう。
したがって、弗素原子の含有量は望ましくは1〜95原
子ppm、より好ましくは3〜80原子ppm、最適に
は5〜50原子ppmとされるのが好ましい。また、弗
素原子は前記光導電層中に万遍なく分布してもよいし、
表面に各々平行な面内では実質的に均一な分布状態であ
れば層厚方向に不均一な分布状態であってもよい。
【0153】さらに本発明においては、光導電層102
に必要に応じて伝導性を制御する原子(M)を含有させ
ることが好ましい。伝導性を制御する原子は、光導電層
第1領域中に万遍なく均一に分布した状態で含有されて
もよいし、あるいは層厚方向には不均一な分布状態で含
有している部分があってもよい。
【0154】前記の伝導性を制御する原子(M)として
は、半導体分野における、いわゆる不純物を挙げること
ができ、p型伝導特性を与える周期律表III 族に属する
原子(以後「第III 族原子)と略記する)またはn型伝
導特性を与える周期律表V族に属する原子(以後「第V
族原子」と略記する)を用いることができる。第III族
原子としては、具体的には、ホウ素(B)、アルミニウ
ム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In),
タリウム(Tl)などがあり、特にB,Al,Gaが好
適である。第V族原子としては、具体的には燐(P)、
ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)
などがあり、特にP,Asが好適である。
【0155】光導電層に含有される伝導性を制御する原
子(M)の含有量としては、好ましくは1×10-3〜5
×104 原子ppm、より好ましくは1×10-2〜1×
10 4 原子ppm、最適には1×10-1〜5×103
子ppmとされるのが望ましい。特に、光導電層におい
て炭素原子(C)の含有量が1×103 原子ppm以下
の場合は、光導電層に含有される原子(M)の含有量と
しては好ましくは1×10-3〜1×103 原子ppmと
されるのが望ましく、炭素原子(C)の含有量が1×1
3 原子ppmを越える場合、原子(M)の含有量とし
ては、好ましくは1×10-1〜5×104 原子ppmと
されるのが望ましい。
【0156】光導電層中に、伝導性を制御する原子、例
えば、第III 族原子あるいは第V族原子を構造的に導入
するには、層形成の際に、第III 族原子導入用の原料物
質あるいは第V族原子導入用の原料物質をガス状態で反
応容器中に、光導電層を形成するための他のガスととも
に導入してやればよい。第III 族原子導入用の原料物質
あるいは第V族原子導入用の原料物質となり得るものと
しては、常温常圧でガス状のまたは、少なくとも光導電
層形成条件下で容易にガス化し得るものが採用されるの
が望ましい。そのような第III 族原子導入用の原料物質
として具体的には、ホウ素原子導入用としては、B2
6 ,B410,B59 ,B511,B 610,B6
12,B614などの水素化ホウ素、BF3 ,BCl3
BBr3などのハロゲン化ホウ素などが挙げられる。こ
の他、AlCl3 ,GaCl3 ,Ga(CH33 ,I
nCl3 ,TlCl3 なども挙げることができる。
【0157】第V族原子導入用の原料物質として本発明
において、有効に使用されるのは、燐原子導入用として
は、PH3 ,P24 などの水素化燐、PH4 I,PF
3 ,PF5 ,PCl3 ,PCl5 ,PBr3 ,PBr
5 ,PI3 などのハロゲン化燐が挙げられる。この他、
AsH3 ,AsF3 ,AsCl3 ,AsBr3 ,AsF
5 ,SbH3 ,SbF3 ,SbF3 ,SbF5 ,SbC
3 ,SbCl5 ,BiH3 ,BiCl3 ,BiBr3
なども第V族原子導入用の出発物質の有効なものとして
挙げることができる。
【0158】また、これらの伝導性を制御する原子導入
用の原料物質を必要に応じてH2 ,He,Ar,Neな
どのガスにより希釈して使用してもよい。
【0159】さらに本発明の光導電層102には、周期
律表第Ia族、IIa 族、VIa族、VIII族から選ばれる少
なくとも1種の元素を含有してもよい。前記元素は前記
光導電層中に万遍なく均一に分布されてもよいし、ある
いは該光導電層中に万遍なく含有されてはいるが、層厚
方向に対し不均一に分布する状態で含有している部分が
あってもよい。これらの原子の含有量は0.1〜100
00原子ppmが望ましい。Ia族原子としては、具体
的には、リチウム(Li),ナトリウム(Na)、カリ
ウム(K)を挙げることができ。第IIa族原子として
は、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カル
シウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム
(Ba)などを挙げることができる。
【0160】また、第VIa族原子としては具体的には、
クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン
(W)などを挙げることができ、第VIII族原子として
は、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)
などを挙げることができる。
【0161】本発明において、光導電層102の層厚は
所望の電子写真特性が得られること及び経済的効果など
の点から適宜所望にしたがって決定され、光導電層につ
いては、好ましくは5〜50μm、より好ましくは10
〜40μm、最適には20〜30μmとされるのが望ま
しい。
【0162】さらに本発明の光受容部材においては、光
導電層102の前記導電性基体側に、少なくともアルミ
ニウム原子、シリコン原子、炭素原子、及び水素原子が
層厚方向に不均一な分布状態で含有する層領域を有する
ことが望ましい。
【0163】本発明の目的を達成し得るa−Siからな
る光導電層102を形成するためには、導電性基体の温
度、反応容器内のガス圧を所望にしたがって、適宜設定
する必要がある。
【0164】導電性基体の温度(Ts)は、層設計にし
たがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好
ましくは20〜500℃、より好ましくは50〜480
℃、最適には100〜450℃とするのが望ましい。
【0165】反応容器内のガス圧も同様に層設計にした
がって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好ま
しくは1×10-5〜100Torr、好ましくは5×1
-5〜30Torr、最適には、1×10-4〜10To
rrとするのが好ましい。
【0166】本発明においては、光導電層102を形成
するための導電性基体温度、ガス圧の望ましい数値範囲
として前記した範囲が挙げられるが、これらの層作成フ
ァクターは通常は独立的に別々に決められるものではな
く、所望の特性を有する光受容部材を形成すべく相互的
かつ有機的関連性に基づいて層作成ファクターの最適値
を決めるのが望ましい。
【0167】本発明において、光導電層102の層厚は
所望の電子写真特性が得られること及び経済的効果など
の点から適宜所望にしたがって決定され、好ましくは5
〜50μm,より好ましくは10〜40μm、最適には
15〜30μmとされるのが望ましい。
【0168】本発明の光受容部材の光導電層102は、
光導電層中に含有される全炭素原子に対する、C−C結
合を持つ炭素原子の割合が60%以下、より好ましくは
30%以下であれば、前述の問題点を解決する特性が得
れるのであって、その形成方法はいずれの方法でもよ
く、上記のような方法に限定されないのはいうまでもな
い。本発明の表面層103は、電子写真用光受容部材と
しての所望の特性、例えば電荷保持性、耐環境性、耐擦
性などが得られるような、非単結晶材料から構成され
る。表面層の形成方法としては、RFなどの高周波プラ
ズマCVD法、マイクロ波プラズマCVD法、スパッタ
リング法、イオンプレーティング法などが好ましいもの
として挙げられる。例えばa−SiCで構成された表面
層103を、マイクロ波プラズマCVD法で形成するに
は、基本的にシリコン原子を供給し得るSi供給用ガス
と炭素原子(C)を供給し得るC供給用ガスとを内部が
減圧可能な反応容器内に所望のガス状態で導入し、反応
容器内でグロー放電を生起させ予め所定の位置に設置さ
れた導電性基体101上にa−SiCからなる層を形成
すればよい。本発明において使用されるSi供給用ガス
となり得る物質としてはSiH4 ,Si26 ,Si3
8 ,Si410などのガス状態の、またはガス化し得
る水素化珪素(シラン類)が有効に使用されるものとし
て挙げられ、さらに層作成時の取り扱い易さ、Si供給
効率のよさなどの点でSiH4 ,Si26 が好ましい
ものとして挙げられる。また、これらのSi供給用の原
料ガスを必要に応じてH2 ,He,Ar,Neなどのガ
スのにより希釈して使用しても本発明には何ら差し支え
ない。炭素原子(C)導入用の原料ガスになり得るもの
として有効に使用される出発物質は、CとHとを構成原
子とする、例えば炭素数1〜5の飽和炭化水素、炭素数
2〜4のエチレン系炭化水素、炭素数2〜3のアセチレ
ン系炭化水素などが挙げられる。具体的には、飽和炭化
水素としては、メタン(CH4 )、エタン(C 2
6 )、プロパン(C38 )、n−ブタン(n−C4
10)、ペンタン(C 512)、エチレン系炭化水素して
は、エチレン(C24 )、プロピレン(C 36 )、
ブテン−1(C48 )、ブテン−2(C48 )、イ
ソブチレン(C48 )ペンテン(C510)、アセチ
レン系炭化水素としては、アセチレン(C22 )、メ
チルアセチレン(C34 )、ブチン(C46 )など
が挙げられる。この他にCF4 ,CF3 ,C26 ,C
38 ,C48 などのフッ化炭素化合物も本発明のC
供給用ガスとして使用できる。また。これらのC供給用
の原料ガスを必要に応じてH2 ,He,Ar,Neなど
のガスにより希釈して使用することも本発明には有効で
ある。また、Si(CH34 ,Si(C254
どのケイ化アルキルを上記の原料ガスと併せて使用する
ことも本発明では有効である。本発明に使用される上記
のような原料ガスは、各々異なる供給源(ボンベ)から
供給してもよいし、また、予め一定の濃度で混合された
ガスを使用することも本発明には有効である。
【0169】本発明において、表面層103の層厚は所
望の電子写真特性が得られること、及び経済的効果など
の点から好ましくは0.01〜30μm、より好ましく
は0.05〜20μm、最適には0.1〜10μmとさ
れるのが望ましい。
【0170】本発明において表面層103を形成する条
件は、所望の電子写真特性が得られるように、適宜決定
することができる。例えば基体温度は適宜最適範囲が選
択されるが、好ましくは20〜500℃、より好ましく
は50〜480℃、最適には100〜450℃とするの
が望ましい。また、反応容器内のガス圧も適宜最適範囲
が選択されるが、好ましくは1×105 〜100Tor
r、より好ましくは5×10-5〜30Torr、最適に
は1×10-4〜10Torrとするのが望ましい。
【0171】本発明においては、表面層103を形成す
るための基体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前
記した範囲が挙げられるが、条件は通常は独立的に別々
に決められるものではなく、所望の特性を有する光受容
部材を形成すべく相互的かつ有機的関連性に基づいて最
適値を決めるのが望ましい。
【0172】さらに本発明によって形成される電子写真
用光受容部材の層構成は、電子写真用光受容部材として
の所望の特性を得るために必要に応じて、上記光導電層
と表面層以外に、所望の特性を有する密着層、下部電荷
注入阻止層等を設けることも有効である。
【0173】以下本発明の電子写真用光受容部材の形成
方法の手順について説明する。
【0174】図2は高周波プラズマCVD法による堆積
膜形成装置の全体の構成の一例を模式的に示したもので
ある。この装置を用いた光導電層の形成手順の例を以下
に述べる。反応容器2111内に円筒状の基体2112
を設置し、不図示の排気装置(例えば真空ポンプ)によ
り反応容器2111内を排気する。続いて、支持体加熱
用ヒーター2113により基体2112の温度を20℃
〜500℃の所定の温度に制御する。
【0175】堆積膜形成用の原料ガスを反応容器211
1に流入させるには、ガスボンベバルブ2231〜22
36、反応容器のリークバルブ2117が閉じられてい
ることを確認し、また、流入バルブ2241〜224
6、流出バルブ2251〜2256、補助バルブ226
0が開かれていることを確認して、まず、メインバルブ
2118を開いて反応容器2111及びガス配管内21
16を排気する。
【0176】次に真空計2119の読みが約5×10-4
Torrになった時点で補助バルブ2260、流出バル
ブ2251〜2256を閉じる。
【0177】その後、ガスボンベ2221〜2226よ
り各ガスをガスボンベバルブ2231〜2236を開い
て導入し、圧力調整器2261〜2266により各ガス
圧を2kg/cm3 に調整する。次に、流入バルブ22
41〜2246を徐々に開けて、各ガスをマスフローコ
ントローラー2211〜2216内に導入する。
【0178】以上のようにして成膜の準備が完了した
後、基体2112上に光導電層及び表面層の形成を行
う。
【0179】基体2112が所定の温度になったところ
で流出バルブ2251〜2256のうち必要なもの及び
補助バルブ2260を徐々に開き、ガスボンベ2221
〜2226から所定のガスをガス導入管2114を介し
て反応容器2111内に導入する。次にマスフローコン
トローラー2211〜2216によって各原料ガスが所
定の流量になるように調整する。その際、反応容器21
11内の圧力が1Torr以下の所定の圧力になるよう
に真空計2119を見ながらメインバルブ2118の開
口を調整する。内圧が安定したところで、高周波電源2
120を所望の電力に設定して、高周波マッチングボッ
クス2115を通じて反応容器2111内に高周波電力
を導入し、グロー放電を生起させる。この放電エネルギ
ーによって反応容器内に導入された原料ガスが分解さ
れ、基体2112上に所定の光導電層が形成される。所
望の膜厚の形成が行われた後、高周波電力の供給を止
め、流出バルブを閉じて反応容器へのガスの流入を止
め、堆積膜の形成を終える。
【0180】同様の操作を複数回繰り返すことによっ
て、所望の多層構造の光受容層が形成される。
【0181】それぞれの層を形成する際には必要なガス
以外の流出バルブは全て閉じられていること、また上述
のガス種及びバルブ操作は各々の層の作成条件にしたが
って変更が加えられることはいうまでもない。
【0182】また、マイクロ波プラズマCVD法による
堆積膜形成装置を用いた場合の電子写真用光受容部材の
形成手順を説明する。
【0183】図3(A),(B)はマイクロ波プラズマ
CVD法の堆積膜形成装置の反応容器の一例の縦断面と
横断面をそれぞれ模式的に示した図であり、図4は同装
置の全体の構成を模式的に示した図である。
【0184】まず、反応容器3001内に予め脱脂洗浄
された円筒状の導電性基体3005を設置し、駆動装置
3010によって導電性基体3005を回転し、不図示
の排気装置(例えば真空ポンプ)により反応容器300
1内を排気管3004を介して排気し、反応容器300
1内の圧力を1×10-6Torr以下に調整する。続い
て、基体加熱用ヒーター3006により導電性基体30
05の温度を20℃〜500℃の所定の温度に加熱保持
する。光受容部材形成用の原料ガスを反応容器3001
に流入させるには、ガスボンベのバルブ4031〜40
36、反応容器のリークバルブ(不図示)が閉じられて
いることを確認し、また、流入バルブ4041〜404
6、流出バルブ4051〜4056、保持バルブ406
0が開かれていることを確認して、まずメインバルブ
(不図示)を開いて反応容器3001及びガス配管40
17内にを排気する。
【0185】次に真空計(不図示)の読みが約5×10
-6Torrになった時点で補助バルブ4060、流出バ
ルブ4051〜4056を閉じる。
【0186】その後、ガスボンベ4021〜4036よ
り各ガスをバルブ4031〜4036を開いて導入し、
圧力調整器4061〜4066により各ガス圧を2kg
/cm2 に調整する。次に、流入バルブ4041〜40
46を徐々に開けて、各ガスをマスフローコントローラ
ー4011〜4016内に導入する。
【0187】以上のようにして成膜の準備が完了した
後、導電性基体3005上に光導電層、表面層の各層の
形成を行う。
【0188】導電性基体3005が所定の温度になった
ところで流出バルブ4051〜4056のうち必要なも
の及び補助バルブ4060を徐々に開き、ガスボンベ4
021〜4026から所定のガスをガス導入管3012
を介して反応容器3001内の放電空間3006に導入
する。次にマスフローコントローラ4011〜4016
によって各原料ガスが所定の流量になるように調整す
る。その際、放電空間3006内の圧力が1Torr以
下の所定の圧力になるように真空計(不図示)を見なが
らメインバルブ(不図示)の開口を調整する。内圧が安
定した後、電源3009から電極3008に例えば直流
などの外部電気バイアスを所望の電圧印加し、さらにマ
イクロ波電源(不図示)により、例えば周波数2.45
GHzのマイクロ波を発生させ、マイクロ波電源(不図
示)を所望の電力に設定し、導波管3003、マイクロ
波導入窓3002を介して放電空間3006μWエネル
ギーを導入して、μWグロー放電を生起させる。このよ
うにして導電性基体3005上に所定の光受容部材が形
成される。このとき、層形成の均一化を図るため駆動手
段3010によって、所望の回転速度で回転させる。
【0189】所望の膜厚の形成が行われた後、μW電力
の供給を止め、流出バルブを閉じて反応容器へのガスの
流入を止め、堆積膜の形成を終える。
【0190】同様の操作を複数回繰り返すことによっ
て、所望の多層構造の光受容層が形成される。
【0191】それぞれの層を形成する際には必要なガス
以外の流出バルブは全て閉じられていること、また上述
のガス種及びバルブ操作は各々の層の作成条件にしたが
って変更が加えられることはいうまでもない。 (第3の発明)以下、図面に従って第3の本発明の光受
容部材についてより詳細に説明する。
【0192】図5は本発明の電子写真用光受容部材の層
構成の一例を示した模式的断面図である。本発明の電子
写真用光受容部材100は、導電性基体101上に、阻
止層104、光導電層102、表面層103を順次積層
して成り立っている。
【0193】本発明において使用される導電性基体10
1はたとえばAl、Cr、Mo、Au、In、Nb、T
e、V、Ti、Pt、Pb、Fe、等の金属、およびこ
れらの合金、たとえばステンレス等が挙げられる。また
ポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネイト、セル
ロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、
ポリエチレン、ポリアミド等の合成樹脂のフィルムまた
はシート、ガラス、セラミック等の電気絶縁基体の少な
くとも光受容層を形成する側の表面を導電処理した基体
も用いることができる。さらに光受容層を形成する側と
反対側も導電処理することが望ましい。
【0194】導電性基体101の形状は平滑平面あるい
は凹凸表面の円筒状または板状無端ベルト形状であるこ
とができ、その厚さは所望どうりの電子写真用光受容部
材を形成し得るように適宜決定されるが、電子写真用光
受容部材として可とう性が要求される場合には、基体と
しての機能が十分発揮できる範囲内で可能な限り薄くす
ることができる。しかしながら、基体の製造上および取
り扱い上、機械的強度等の点から通常10μm以上とさ
れる。
【0195】本発明において、導電性基体101の表面
に凹凸をつくる場合、例えばレーザー光などの可干渉性
光を用いて像記録を行う場合には、可視画像において現
われる干渉縞模様による画像不良を解消するために、導
電性基体101の表面に凹凸を設けてもよい。導電性基
体101の表面に設けられる凹凸は、特開昭60−16
8156号公報、同60−178457号公報、同60
−225854号公報等に記載された公知の方法により
作製される。また、レーザー光などの可干渉光を用いた
場合の干渉縞模様による画像不良を解消する別の方法と
して、導電性基体101の表面に複数の球状痕跡窪みに
よる凹凸形状を設けてもよい。即ち、導電性基体101
の表面が電子写真用感光体に要求される解像力よりも微
少な凹凸を有し、しかも該凹凸は、複数の球状痕跡窪み
によるものである。導電性基体101の表面に設けられ
る複数の球状痕跡窪みによる凹凸は、特開昭61−23
1561号公報に記載された公知の方法により作製され
る。
【0196】本発明の阻止層104は、シリコン原子を
母体とし、少なくとも炭素原子、水素原子を有し、さら
に硼素原子を含有する非単結晶材で構成され、該阻止層
中に含有される炭素原子(C/Si+C)が3原子%以
上50原子%以下で、かつ、該阻止層中に含有される全
炭素原子に対して、炭素−炭素の結合を持つ炭素原子の
割合が80%、より好ましくは、50%以下であるよう
に形成される。
【0197】本発明の阻止層の形成方法は、プラズマC
VD法、スパッタリング法等が好適であるが、いずれの
方法でも阻止層中に含有される全炭素原子に対して、C
−C結合を持つ炭素原子の割合が従来のa−SiC系阻
止層に比べて低くなるように、結合状態を制御しながら
反応を抑制する必要がある。
【0198】例えばRFプラズマCVD法や、マイクロ
波プラズマCVD法で本発明の阻止層104を形成する
場合、基本的にシリコン原子、炭素原子等の阻止層を構
成する原子を供給し得る原料ガスを、内部が減圧可能な
反応容器に所望のガス状態で導入し、反応容器内でグロ
ー放電を起こし、あらかじめ所定の位置に設置された導
電性基体101上阻止層を形成すれば良い。
【0199】阻止層中に含有される全炭素原子に対し
て、C−C結合を持つ炭素原子の割合を制御する方法の
例としては、原料ガス種の選択と放電中の電界の印可に
よるイオンの利用が挙げられる。
【0200】阻止層中に含有される全炭素原子に対し
て、C−C結合を持つ炭素原子の割合が従来より少なく
なるように反応を制御する方法としては、原料ガスとし
てSiH4 、Si26 等の水素化珪素類、またSiF
4 等の弗化珪素類などのシリコン原子含有ガスととも
に、炭素原子供給用の原料ガスとしてSi(CH34
(テトラメチルシラン)等があらかじめシリコン原子と
炭素原子の結合を有しているものを用いることが特に有
効である。また炭素原子供給用原料ガスとしては、上記
テトラメチルシランとともにCH4 、CF4 等を用いて
も良い。
【0201】また、マイクロ波放電法に於いては、上記
の方法とともに放電空間中に電界を掛けイオンを効果的
に支持体表面に到達させることにより制御の効果がより
大きなものとなる。
【0202】本発明においては上記のような原料ガスを
2 および/または、Ar、He、Ne等の不活性ガス
で希釈して用いることも本発明では有効である。
【0203】本発明の阻止層104中の炭素原子の含有
量はシリコン原子に対して5〜50原子%が好ましいも
のとして挙げられる。炭素含有量が50原子%を超える
場合は、阻止層中のC−C結合を従来よりも少なく制御
した場合でもブロッキング性能が低下し、硼素のドーピ
ング効率が低下してしまうため、帯電能の低下等の電子
写真特性を低下させてしまう。
【0204】また、炭素含有率が3原子%未満になる
と、現在の分折器な精度では結合状態を調べることが困
難になってくるため、本発明の効果を明確に分離するこ
とは困難になる。
【0205】この炭素原子は、阻止層中にまんべんなく
均一に含有されても良いし、阻止層の層厚方向に含有量
が変化するような不均一な分布をもたらせた部分があっ
ても良い。炭素の含有量を変化させる場合には、炭素含
有量のもっとも多い部分で上記の含有量をとることが好
ましく、炭素原子の少ない領域では、上記の範囲よりも
少ない含有量の部分があっても差し支えない。
【0206】この場合、炭素含有量の少ない領域、例え
ば約3原子%未満の領域に於いても、先に示した方法に
よれば、阻止層中に含有される全炭素原子に対して、C
−C結合を持つ炭素原子の割合が80%以下となってく
ると推測されるが、上記のように本発明の効果は不明確
になってくる。
【0207】しかしながら本発明は、炭素を比較的多く
ふくんだ阻止層に於いて、C−C結合を持った炭素原子
の割合を従来よりも少なく制御することによって従来に
比べ優れた電子写真特性を示すことを見いだし、完成さ
せたものであり、阻止層中の炭素含有量が多い領域で顕
著に現われる。従って炭素含有量が5%未満に変化する
場合でも、分折分析な範囲でC−C結合を持つ炭素原子
の割合が80%以下とすれば、本発明の効果を得るのに
十分である。
【0208】また、本発明において阻止層102中に水
素原子が含有されることが必要であるが、これはシリコ
ン原子の未結合手を補償し、層品質の向上、特に光導電
性および電荷保持特性を向上させるために必須不可欠で
あるからである。特に本発明のように炭素原子が含有さ
れた場合、その膜質を維持するために、より多くの水素
原子が必要となるため、炭素含有量に従って含有される
水素量が調整されることが望ましい。よって水素原子の
含有量は望ましくは1〜40原子%、より好ましくは5
〜35原子%、最適には10〜30原子%とされるのが
好ましい。
【0209】さらに本発明においては、阻止層104に
必要に応じて伝導性を制御する原子(M)を含有させる
ことが好ましい。伝導性を制御する原子は、阻止層第1
領域中にまんべんなく均一に分布した状態で含有されて
も良いし、あるいは層厚方向には不均一な分布状態で含
有している部分があっても良い。
【0210】前記の伝導性を制御する原子(M)として
は、半導体分野における、いわゆる不純物を挙げること
ができ、p型伝導特性を与える周期律表III 族に属する
原子(以後「第III 族原子」と略記する)またはn型伝
導特性を与える周期律表V族に属する原子(以後「第V
族原子」と略記する)を用いることができる。第III族
原子としては、具体的には、ホウ素(B)、アルミニウ
ム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、
タリウム(Tl)等があり、特にB、Al、Gaが好適
である。第V族原子としては、具体的には燐(P)、ヒ
素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)等
があり、特にP、Asが好適である。
【0211】阻止層に含有される伝導性を制御する原子
(M)の含有量としては、好ましくは1×10-3〜5×
104 原子ppm、より好ましくは1×10-2〜1×1
4原子ppm、最適には1×10-1〜5×103 原子
ppmとされるのが望ましい。特に、阻止層において炭
素原子(C)の含有量が1×103 原子ppm以下の場
合は、阻止層に含有される原子(M)の含有量としては
好ましくは1×10-3〜1×103 原子ppmとされる
のが望ましく、炭素原子(C)の含有量が1×103
子ppmを超える場合は、原子(M)の含有量として
は、好ましく1×10-1〜5×104 原子ppmとされ
るのが望ましい。
【0212】阻止層中に、伝導性を制御する原子、例え
ば、第III 族原子あるいは第V族原子を構造的に導入す
るには、層形成の際に、第III 族原子導入用の原料物質
あるいは第V族原子導入用の原料物質をガス状態で反応
容器中に、阻止層を形成するための他のガスとともに導
入してやればよい。第III 族原子導入用の原料物質ある
いは第V族原子導入用の原料物質となり得るものとして
は、常温常圧でガス状のまたは、少なくとも阻止層形成
条件下で容易にガス化し得るものが採用されるのが望ま
しい。そのような第III 族原子導入用の原料物質として
具体的には、ホウ素原子導入用としては、B26 、B
410、B59 、B511、B610、B612、B
614等の水素化ホウ素、BF3 、BCl3 、BBr3
等のハロゲン化ホウ素等が挙げられる。この他、AlC
3 、GaCl3 、Ga(CH33 、InCl3 、T
lCl3 等も挙げることができる。
【0213】第V族原子導入用の原料物質として本発明
において、有効に使用されるのは、燐原子導入用として
は、PH3 、P24 等の水素化燐、PH4 I、PF
3 、PF5 、PCl3 、PCl5 、PBr3 、PBr
5 、Pl5 等のハロゲン化燐が挙げられる。この他、A
sH3 、AsF3 、AsCl3 、AsBr3 、AsF
5 、SbH3 、SbF3 、SbF5 、SbCl3 、Sb
Cl5 、BiH3 、BiCl 3 、BiBr3 等も第V族
原子導入用の出発物質の有効なものとして挙げられるこ
とができる。
【0214】また、これらの伝導性を制御する原子導入
用の原料物質を必要に応じてH2 、He、Ar、Ne等
のガスにより希釈して使用してもよい。
【0215】さらに本発明の阻止層102には、周期律
表第Ia族、IIa族、VIa族、VIII族から選ばれる少な
くとも1種の元素を含有してもよい。前記元素は前記阻
止層中にまんべんなく均一に分布されてもよいし、ある
いは該阻止層中にまんべんなく含有されてはいるが、層
厚方向に対し不均一に分布する状態で含有している部分
があってもよい。これらの原子の含有量は、0.1〜1
0000原子ppmが望ましい。Ia族原子としては、
具体的には、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、
カリウム(K)を挙げることができ、第IIa族原子とし
ては、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カ
ルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム
(Ba)等を挙げることができる。
【0216】また、第VIa族原子としては具体的には、
クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン
(W)等を挙げることができ、第VIII原子としては、鉄
(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)等を挙
げることができる。
【0217】本発明において、阻止層102の層厚は所
望の電子写真特性が得られることおよび経済的効果等の
点から適宜所望に従って決定され、好ましくは0.3〜
10μm、より好ましくは0.5〜5μm、最適には1
〜3μmとされるのが望ましい。
【0218】さらに本発明の光受容部材においては、阻
止層104の前記導電性基体側に、少なくともアルミニ
ウム原子、シリコン原子、炭素原子および水素原子が層
厚方向に不均一な分布状態で含有する層領域を有するこ
とが望ましい。
【0219】本発明の目的を達成し得るa−Siからな
る阻止層104を形成するためには、導電性基体の温
度、反応容器内のガス圧を所望に従って、適宜設定する
必要がある。
【0220】導電性基体の温度(Ts)は、層設計に従
って適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好まし
くは20〜500℃、より好ましくは50〜480℃、
最適には100〜450℃とするのが望ましい。
【0221】反応容器内のガス圧も同様に層領域設計に
従って適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好ま
しくは1×10-5〜100Torr、好ましくは5×1
-5〜30Torr、最適には1×10-4〜10Tor
rとするのが好ましい。
【0222】本発明においては、阻止層104を形成す
るための導電性基体温度、ガス圧の望ましい数値範囲と
して前記した範囲が挙げられるが、これらの層作成ファ
クターは通常は独立的に別々に決められるものではな
く、所望の特性を有する光受容部材を形成すべく相互的
かつ有機的関連性に基づいて層領域作成ファクターの最
適値を決めるのが望ましい。
【0223】本発明の光導電層102は、電子写真用光
受容部材としての所望の光導電性が得られるような、非
単結晶材料から構成される。光導電層の形成方法として
は、RFプラズマCVD法、マイクロ波プラズマCVD
法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等が好
ましいものとして挙げられる。
【0224】例えばa−SiCで構成された光導電層1
02を、RF等を用いたプラズマCVD法で形成するに
は、基本的にシリコン原子を供給し得るSi供給用ガス
と炭素原子(C)を供給し得るC供給用ガスとを内部が
減圧可能な反応容器内に所望のガス状態で導入し、反応
容器内でグロー放電を生起させあらかじめ所定の位置に
設置された基体101上にa−SiCからなる層を形成
すればよい。
【0225】本発明において使用されるSi供給用ガス
となり得る物質としては、SiH4、Si26 、Si3
8 、Si410等のガス状態の、またはガス化し得
る水素化珪素(シラン類)が有効に使用されるものとし
て挙げられ、さらに層作成時の取り扱い易さ、Si供給
効率の良さ等の点でSiH4 、Si26 が好ましいも
のとして挙げられる。また、これらのSi供給用の原料
ガスを必要に応じてH 2 、He、Ar、Ne等のガスに
より希釈して使用しても本発明には何等差し支えない。
【0226】炭素原子(C)導入用の原料ガスになり得
るものとして有効に使用される出発物質は、CとHとを
構成原子とする、例えば炭素数1〜5の飽和炭化水素、
炭素数2〜4のエチレン系炭化水素、炭素数2〜3のア
セチレン系炭化水素等が挙げられる。具体的には、飽和
炭化水素としては、メタン(CH4 )、エタン(C26
)、プロパン(C38 )、n−ブタン(n−C4
10)、ペンタン(C512)、エチレン系炭化水素とし
ては、エチレン(C24 )、プロピレン(C 3
6 )、ブテン−1(C48 )、ブテン−2(C4
8 )、イソブチレン(C48 )、ペンテン(C5
10)、アセチレン系炭化水素としては、アセチレン
(C22 )、メチルアセチレン(C34 )、ブチン
(C46 )等が挙げられる。この他に、CF4 、CF
3 、C26 、C38 、C48 等のフッ化炭素化合
物も本発明のC供給用ガスとして使用できる。
【0227】また、これらのC供給用の原子ガスを必要
に応じてH2 、He、Ar、Ne等のガスにより希釈し
て使用することも本発明では有効である。
【0228】また、Si(CH34 、Si(C2
54 等のケイ化アルキルを上記の原料ガスと併せて使
用することも本発明では有効である。
【0229】本発明に使用される上記のような原料ガス
は、各々異なる供給源(ボンベ)化ら供給してもよい
し、また、あらかじめ一定の濃度で混合されたガスを使
用することも本発明には有効である。
【0230】本発明において、光導電層102の層厚は
所望の電子写真特性が得られること、および経済的効果
等の点から好ましくは10〜50μm、より好ましくは
15〜40μm、最適には20〜30μmとされるのが
望ましい。
【0231】本発明において光導電層102を形成する
条件は、所望の電子写真特性が得られるように、適宜決
定することができる。例えば基体温度は適宜最適範囲が
選択されるが、好ましくは20〜500℃、より好まし
くは50〜480℃、最適には100〜450℃とする
のが望ましい。また、反応容器内のガス圧も適宜最適範
囲が選択されるが、好ましくは1×10-5〜100To
rr、より好ましくは5×10-5〜30Torr、最適
には1×10-4〜10Torrとするのが好ましい。
【0232】本発明においては、光導電層102を形成
するための基体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として
前記した範囲が挙げられるが、条件は通常は独立的に別
々に決められるものではなく、所望の特性を有する光受
容部材を形成すべく相互的かつ有機的関連性に基づいて
最適値を決めるのが望ましい。
【0233】また本発明の光導電層の作成方法では、前
述の15MHz〜450MHzの範囲の周波数を用いた
プラズマCVD法も有効に使用できる。
【0234】本発明の表面層103は、電子写真用光受
容部材としての所望の特性、例えば電荷保持性、耐環境
性、耐擦性等が得られるような、非単結晶材料から構成
される。表面層の形成方法としては、RFプラズマCV
D法、マイクロ波プラズマCVD法、スパッタリング
法、イオンプレーティング法等が好ましいものとして挙
げられる。
【0235】例えばa−SiCで構成された表面層10
3を、RF等を用いたプラズマCVD法で形成するに
は、基本的にシリコン原子を供給し得るSi供給用ガス
と炭素原子(C)を供給し得るC供給用ガスとを内部が
減圧可能な反応容器内に所望のガス状態で導入し、反応
容器内でグロー放電を生起させあらかじめ所定の位置に
設置された基体101上にa−SiCからなる層を形成
すればよい。
【0236】本発明において使用されるSi供給用ガス
となり得る物質としては、SiH4、Si26 、Si3
8 、Si410等のガス状態の、またはガス化し得
る水素化珪素(シラン類)が有効に使用されるものとし
て挙げられ、さらに層作成時の取り扱い易さ、Si供給
効率のよき等の点でSiH4 、Si26 が好ましいも
のとして挙げられる。また、これらのSi供給用の原料
ガスを必要に応じてH 3 、He、Ar、Ne等のガスに
より希釈して使用しても本発明には何等差し支えない。
【0237】炭素原子(C)導入用の原料ガスになり得
るものとして有効に使用される出発物質は、CとHとを
構成原子とする、例えば炭素数1〜5の飽和炭化水素、
炭素数2〜4のエチレン系炭化水素、炭素数2〜3のア
セチレン系炭化水素等が挙げられる。具体的には、飽和
炭化水素としては、メタン(CH4 )、エタン(C26
)、プロパン(C38 )、n−ブタン(n−C4
10)、ペンタン(C612)、エチレン系炭化水素とし
ては、エチレン(C24 )、プロピレン(C 3
6 )、ブテン−1(C48 )、ブテン−2(C4
8 )、イソブチレン(C48 )、ペンテン(C5
10)、アセチレン系炭化水素としては、アセチレン
(C22 )、メチルアセチレン(C34 )、ブチン
(C46 )等が挙げられる。この他に、CF4 、CF
3 、C26 、C38 、C48 等のフッ化炭素化合
物も本発明のC供給用ガスとして使用できる。
【0238】また、これらのC供給用の原料ガスを必要
に応じてH2 、He、Ar、Ne等のガスにより希釈し
て使用することも本発明では有効である。
【0239】また、Si(CH34 、Si(C2
54 等のケイ化アルキルを上記の原料ガスと併せて使
用することも本発明では有効である。
【0240】本発明に使用される上記のような原料ガス
は、各々異なる供給源(ボンベ)化ら供給してもよい
し、また、あらかじめ一定の濃度で混合されたガスを使
用することも本発明には有効である。
【0241】本発明において、表面層103の層厚は所
望の電子写真特性が得られること、および経済的効果等
の点から好ましくは0.01〜30μm、より好ましく
は0.05〜20μm、最適には0.1〜10μmとさ
れるのが望ましい。
【0242】本発明において表面層103を形成する条
件は、所望の電子写真特性が得られるように、適宜決定
することができる。例えば基体温度は適宜最適範囲が選
択されるが、好ましくは20〜500℃、より好ましく
は50〜480℃、最適には100〜450℃とするの
が望ましい。また、反応容器内のガス圧も適宜最適範囲
が選択されるが、好ましくは1×10-5〜100Tor
r、より好ましくは5×10-5〜30Torr、最適に
は1×10-4〜10Torrとするのが望ましい。
【0243】本発明においては、表面層103を形成す
るための基体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前
記した範囲が挙げられるが、条件は通常は独立的に別々
に決められるものではなく、所望の特性を有する光受容
部材を形成すべく相互的かつ有機的関連性に基づいて最
適値を決めるのが望ましい。
【0244】また本発明の表面層の作成方法では、前述
の15MHz〜450MHzの範囲の周波数を用いたプ
ラズマCVD法も有効に使用できる。
【0245】以下本発明の電子写真用光受容部材の形成
方法の手順について説明する。
【0246】図2は、RFプラズマCVD法による堆積
膜形成装置の全体の構成を模式的に示した図である。こ
の装置を用いた光受容部材の形成手順の1例を以下に述
べる。
【0247】反応容器2111内に円筒状の基体211
2を設置し、不図示の排気装置(例えば真空ポンプ)に
より反応容器2111内を排気する。続いて、支持体加
熱用ヒーター2113により基体2112の温度を20
℃〜500℃の所定の温度に制御する。
【0248】堆積膜形成用の原料ガスを反応容器211
1に流入させるには、ガスボンベのバルブ2231〜2
236、反応容器のリークバルブ2117が閉じられて
いることを確認し、また、流入バルブ2241〜224
6、流出バルブ2251〜2256、補助バルブ226
0が開かれていることを確認して、まずメインバルブ2
118を開いて反応容器2111およびガス配管内21
10を排気する。
【0249】次に真空計2119の読みが約5×10-6
Torrになった時点で補助バルブ2260、流出バル
ブ2251〜2256を閉じる。
【0250】その後、ガスボンベ2221〜2226よ
り各ガクをバルブ2231〜2236を開いて導入し、
圧力調整器2261〜2266により各ガス圧を2Kg
/cm2 に調整する。次に、流出バルブ2241〜22
46を徐々に開けて、各ガスをマスフローコントローラ
ー2211〜2216内に導入する。
【0251】以上のようにして成膜の準備が完了した
後、基体2112上に阻止層、光導電層および表面層の
形成を行う。
【0252】基体2112が所定の温度になったところ
で流出バルブ2251〜2256の内の必要なものおよ
び補助バルブ2260を徐々に開き、ガスボンベ222
1〜2226から所定のガスをガス導入管2114を介
して反応容器2111内に導入する。次にマスフローコ
ントローラー2211〜2216によって各原料ガスが
所定の流量になるように調整する。その際、反応容器2
111内の圧力が1Torr以下の所定の圧力になるよ
うに真空計2119を見ながらメインバルブ2118の
開口を調整する。内圧が安定したところで、高周波電源
2120を所望の電力に設定して、高周波マッチングボ
ックス2115を通じて反応容器2111内にRF電力
を導入し、RFグロー放電を生起させる。この放電エネ
ルギーによって反応容器内に導入された原料ガスが分解
され、基体2112上に所定の阻止層が形成される。所
望の膜厚の形成が行われた後、RF電力の供給を止め、
流出バルブを閉じて反応容器へのガスの流入を止め、層
の形成を終える。
【0253】それぞれの層を形成する際には必要なガス
以外の流出バルブはすべて閉じられていること、また上
述のガス種およびバブル操作は各々の層の作成条件に従
って変更が加えられることは言うまでもない。
【0254】またVHFを用いたプラズマCVD法での
堆積膜形成装置、および形成方法は、上記のRFプラズ
マCVD法の場合の高周波電源2115と高周波マッチ
ングボックス2111をVHF用のものに変更するだけ
でよい。
【0255】次にマイクロ波プラズマCVD法を用いた
堆積膜形成装置における本発明の光受容部材の形成の手
順を説明する。図3はマイクロ波プラズマCVD法の堆
積膜形成装置の反応容器一例の横断面を模式的に示した
図であり、図4は同装置の全体の構成を模式的に示した
図である。
【0256】まず、反応容器3001、4001内にあ
らかじめ脱脂洗浄された導電性基体3005を設置し、
駆動装置3010によって導電性基体3005を回転
し、不図示の排気装置(例えば真空ポンプ)により反応
容器3001、4001内を排気管3004、4004
を介して排気し、反応容器3001、4001内の圧力
を1×10-6Torr以下に調整する。続いて、基体加
熱用ヒーター3006により円筒状基体3005の温度
を20℃〜500℃の所定の温度に加熱保持する。
【0257】光受容部材形成用の原料ガスを反応容器3
001、4001に流入させるには、ガスボンベのバル
ブ4031〜4036、反応容器のリークバルブ(不図
示)が閉じられていることを確認し、また、流入バルブ
4041〜4046、流出バルブ4051〜4056、
補助バルブ4060が開かれていることを確認して、ま
ずメインバルブ(不図示)を開いて反応容器3001、
4001およびガス配管4017内を排気する。
【0258】次に真空計(不図示)の読みが約5×10
-6Torrになった時点で補助バルブ4060、流出バ
ルブ4051〜4056を閉じる。
【0259】その後、ガスボンベ4021〜4036よ
り各ガスをバルブ4031〜4036開いて導入し、圧
力調整器4061〜4066)により各ガス圧を2kg
/cm2 に調整する。次に、流入バルブ4041〜40
46を徐々に開けて、各ガスをマスフローコントローラ
ー4011〜4016内に導入する。
【0260】以上のようにして成膜の準備が完了した
後、円筒状基体3005上に阻止層、光導電層、表面層
の各層の形成を行う。
【0261】円筒状基体3005が所定の温度になった
ところで流出バルブ3051〜4056の内の必要なも
のおよび補助バルブ4060)を徐々に開き、ガスボン
ベ4021〜4026から所定のガスをガス導入管30
12を介して反応容器3001内の放電空間3006)
に導入する。次にマスフローコントローラー4011〜
4016によって各原料ガスが所定の流量になるように
調整する。その際、放電空間3006内の圧力が1To
rr以下の所定の圧力になるように真空計(不図示)を
見ながらメインバルブ(不図示)の開口を調整する。圧
力が安定した後、マイクロ波電源(不図示)により、例
えば周波数2.45GHzのマイクロ波を発生させ、マ
イクロ波電源(不図示)を所望の電力に設定し、導波管
3003、4003、マイクロ波導入窓3002を介し
て放電空間3006にμWエネルギーを導入して、μW
グロー放電を生起させる。このようにして導電性基体3
005上に所定の光受容部材が形成される。この時、層
形成の均一化を図るため駆動手段3010によって、所
望の回転速度で回転させる。
【0262】所望の膜厚の形成が行われた後、μW電力
の供給を止め、流出バルブを閉じて反応容器へのガスの
流入を止め、堆積膜の形成を終える。
【0263】同様の操作を複数回繰り返すことによっ
て、所望の多層構造の光受容層が形成される。
【0264】それぞれの層を形成する際には必要なガス
以外の流出バルブはすべて閉じられていること、また上
述のガス種およびバルブ操作は各々の層の作成条件に従
って変更が加えられることは言うまでもない。 (第4の発明)以下、図面に従って第4の本発明の光受
容部材についてより詳細に説明する。
【0265】図5は本発明の電子写真用光受容部材の層
構成の一例を示した模式的断面図である。本発明の電子
写真用光受容部材100は、導電性基体101上に、阻
止層104、光導電層102、表面層103を順次積層
して成り立っている。
【0266】本発明において使用される導電性基体10
1は、たとえばAl、Cr、Mo、Au、In、Nb、
Te、V、Ti、Pt、Pb、Fe、等の金属、および
これらの合金、たとえばステンレス等が挙げられる。ま
たポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネイト、セ
ルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリエチレン、ポリアミド等の合成樹脂のフィルム
またはシート、ガラス、セラミック等の電気絶縁性基体
の少なくとも光受容層を形成する側の表面を導電処理し
た基体も用いることができる。さらに光受容層を形成す
る側と反対側も導電処理することが望ましい。
【0267】導電性基体101の形状は平滑平面あるい
は凹凸表面の円筒状または板状無端ベルト形状であるこ
とができ、その厚さは所望どおりの電子写真用光受容部
材を形成し得るように適宜決定されるが、電子写真用光
受容部材として可とう性が要求される場合には、基体と
しての機能が十分発揮できる範囲内で可能な限り薄くす
ることができる。しかしながら、基体の製造上および取
り扱い上、機械的強度等の点から通常10μm以上とさ
れる。
【0268】本発明において、導電性基体101の表面
に凹凸をつくる場合、例えばレーザー光などの可干渉性
光を用いて像記録を行う場合には、可視側像において現
われる干渉縞模様による画像不良を解消するために、導
電性基体101の表面に凹凸を設けてもよい。導電性基
体101の表面に設けられる凹凸は、特開昭60−16
8156号公報、同60−178457号公報、同60
−225854号公報等に記載された公知の方法により
作成される。また、レーザー光などの可干渉光を用いた
場合の干渉縞模様による画像不良を解消する別の方法と
して、導電性基体101の表面に複数の球状痕跡窪みに
よる凹凸形状を設けてもよい。即ち、導電性基体101
の表面が電子写真用感光体に要求される解像力よりも微
少な凹凸を有し、しかも該凹凸は、複数の球状痕跡窪み
によるものである。導電性基体101の表面に設けられ
る複数の球状痕跡窪みによる凹凸は、特開昭61−23
1561号公報に記載された公知の方法により作製され
る。
【0269】本発明の阻止層104は、シリコン原子を
母体とし、少なくとも炭素原子、水素原子を有し、さら
に酸素原子および/または、窒素原子を含有する非単結
晶材で構成され、該阻止層中に含有される炭素原子{C
/(Si+C)}が3原子%以上50原子%以下で、か
つ、該阻止層中に含有される全炭素原子に対して、炭素
−炭素の結合を持つ炭素原子の割合が80%、より好ま
しくは、50%以下であるように形成される。
【0270】本発明の阻止層の形成方法は、プラズマC
VD法、スパッタリング法等が好適であるが、いずれの
方法でも阻止層中に含有される全炭素原子に対して、C
−C結合を持つ炭素原子の割合が従来のa−SiC系阻
止層に比べて低くなるように、結合状態を制御しながら
反応を抑制する必要がある。
【0271】例えばRFプラズマCVD法や、マイクロ
波プラズマCVD法、15MHz〜450MHzの範囲
の周波数を用いた高周波プラズマCVD法で本発明の阻
止層104を形成する場合、基本的にシリコン原子、炭
素原子等の阻止層を構成する原子を供給し得る原料ガス
を、内部が減圧可能な反応容器に所望のガス状態で導入
し、反応容器内でグロー放電を起こし、あらかじめ所定
の位置に設置された導電性基体101上阻止層を形成す
れば良い。
【0272】阻止層中に含有される全炭素原子に対し
て、C−C結合を持つ炭素原子の割合を制御する方法の
例としては、原料ガス種の選択と放電中の電界の印可に
よるイオンの利用が挙げられる。
【0273】阻止層中に含有される全炭素原子に対し
て、C−C結合を持つ炭素原子の割合が従来より少なく
なるように反応を制御する方法としては、原料ガスとし
てSiH4 、Si26 等の水素化珪素類、またSiF
4 等の弗化珪素類などのシリコン原子含有ガスととも
に、炭素原子供給用の原料ガスとしてSi(CH34
(テトラメチルシラン)等あらかじめシリコン原子と炭
素原子の結合を有しているものを用いることが特に有効
である。また炭素原子供給用原料ガスとしては、上記テ
トラメチルシランとともにCH4 、CF4 等を用いても
良い。
【0274】また、マイクロ波放電法においては、上記
の方法とともに放電空間中に電界を掛けイオンを効果的
に支持体表面に到達させることにより制御の効果がより
大きなものとなる。
【0275】本発明においては上記のような原料ガスを
2 および/または、Ar、He、Ne等の不活性ガス
で希釈して用いることも本発明では有効である。
【0276】本発明の阻止層104中の炭素原子の含有
量はシリコン原子に対して5〜50原子%が好ましいも
のとして挙げられる。炭素含有量が50原子%を超える
場合は、阻止層中のC−C結合を従来よりも少なく制御
した場合でもブロッキング性能が低下し、硼素のドーピ
ング効率が低下してしまうため、帯電能の低下等の電子
写真特性を低下させてしまう。
【0277】また、炭素含有率が3原子%未満になる
と、現在の分析器の精度では結合状態を調べることが困
難になってくるため、本発明の効果を明確に分離するこ
とは困難になる。
【0278】この炭素原子は、阻止層中にまんべんなく
均一に含有されても良いし、阻止層の層厚方向に含有量
が変化するような不均一な分布をもたらせた部分があっ
ても良い。炭素の含有量を変化させる場合には、炭素含
有量のもっとも多い部分で上記の含有量をとることが好
ましく、炭素原子の少ない領域では、上記の範囲よりも
少ない含有量の部分があっても差し支えない。
【0279】この場合、炭素含有量の少ない領域、例え
ば約3原子%未満の領域においても、先に示した方法に
よれば、阻止層中に含有される全炭素原子に対して、C
−C結合を持つ炭素原子の割合が80%以下となってく
ると推測されるが、上記のように本発明の効果は不明確
になってくる。
【0280】しかしながら本発明は、炭素を比較的多く
ふくんだ阻止層に於いて、C−C結合を持った炭素原子
の割合を従来よりも少なく制御することによって従来に
比べ優れた電子写真特性を示すことを見いだし、完成さ
せたものであり、阻止層中の炭素含有量が多い領域で顕
著に現れる。従って炭素含有量が5%未満に変化する場
合でも、分析可能な範囲でC−C結合を持つ炭素原子の
割合が80%以下とすれば、本発明の効果を得るのに十
分である。
【0281】また、本発明において阻止層104中に酸
素原子、および/または、窒素原子を含有させるための
導入用の原料となる酸素原子含有化合物としては、例え
ば酸素(O2 )、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(C
2 )等が挙げられる。
【0282】また、窒素原子導入用の原料となる窒素原
子含有化合物としては、例えば、窒素(N2 )、アンモ
ニア(NH3 )等が挙げられる。
【0283】また、酸素原子の供給に加えて、窒素原子
の供給も同時に行えるという点から、一酸化窒素(N
O)、二酸化窒素(NO2 )、一酸化二窒素(N2
O)、三酸化二窒素(N23 )、四酸化二窒素(N2
4 )、五酸化二窒素(N25 )等が挙げられる。
【0284】また、本発明において阻止層104中に水
素原子が含有されることが必要であるが、これはシリコ
ン原子の未結合手を補償し、層品質の向上、特に光導電
性および電荷保持特性を向上させるために必須不可欠で
あるからである。特に本発明のように炭素原子が含有さ
れた場合、その膜質を維持するために、より多くの水素
原子が必要となるため、炭素含有量に従って含有される
水素量が調整されることが望ましい。よって水素原子の
含有量は望ましくは1〜40原子%、より好ましくは5
〜35原子%、最適には10〜30原子%とされるのが
好ましい。
【0285】さらに本発明においては、阻止層104に
必要に応じて伝導性を制御する原子(M)を含有させる
ことが好ましい。伝導性を制御する原子は、阻止層第1
領域中にまんべんなく均一に分布した状態で含有されて
も良いし、あるいは層厚方向には不均一な分布状態で含
有している部分があっても良い。
【0286】前記の伝導性を制御する原子(M)として
は、半導体分野における、いわゆる不純物を挙げること
ができ、p型伝導特性を与える周期律表III 族に属する
原子(以後「第III 族原子」と略記する)またはn型伝
導特性を与える周期律表V族に属する原子(以後「第V
族原子」と略記する)を用いることができる。第III族
原子としては、具体的には、ホウ素(B)、アルミニウ
ム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、
タリウム(Tl)等があり、特にB、Al、Gaが好適
である。第V族原子としては、具体的には燐(P)、ヒ
素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)等
があり、特にP、Asが好適である。
【0287】阻止層に含有される伝導性を制御する原子
(M)の含有量としては、好ましくは1×10-3〜5×
104 原子ppm、より好ましくは1×10-2〜1×1
4原子ppm、最適には1×10-1〜5×103 原子
ppmとされるのが望ましい。特に、阻止層において炭
素原子(C)の含有量が1×103 原子ppm以下の場
合は、阻止層に含有される原子(M)の含有量としては
好ましくは1×10-3〜1×103 原子ppmとされる
のが望ましく、炭素原子(C)の含有量が1×103
子ppmを超える場合は、原子(M)の含有量として
は、好ましく1×10-1〜5×104 原子ppmとされ
るのが望ましい。
【0288】阻止層中に、伝導性を制御する原子、たと
えば、第III 族原子あるいは第V族原子を構造的に導入
するには、層形成の際に、第III 族原子導入用の原料物
質あるいは第V族原子導入用の原料物質をガス状態で反
応容器中に、阻止層を形成するための他のガスとともに
導入してやれば良い。第III 族原子導入用の原料物質あ
るいは第V族原子導入用の原料物質となり得るものとし
ては、常温常圧でガス状のまたは、少なくとも阻止層形
成条件下で容易にガス化し得るものが採用されるのが望
ましい。そのような第III 族原子導入用の原料物質とし
て具体的には、硼素原子導入用としては、B26 、B
410、B59 、B511、B510、B610、B
612、B614等の水素化硼素、BF3 、BCl3
BBr3等のハロゲン化硼素等が挙げられる。この他、
AlCl3 、GaCl3 、Ga(CH33 、InCl
3 、TlCl3 等も挙げることができる。
【0289】第V族原子導入用の原料物質として本発明
において、有効に使用されるのは、燐原子導入用として
は、PH3 、P24 等の水素化燐、PH4 l、PF
3 、PF5 、PCl3 、PCl5 、PBr3 、PBr
5 、PI3 等のハロゲン化燐が挙げられる。この他、A
sH3 、AsF3 、AsCl3 、AsBr3 、AsF
5 、SbH3 、SbF3 、SbF5 、SbCl3 、Sb
Cl5 、BiH3 、BiCl 3 、BiBr3 等も第V族
原子導入用の出発物質の有効なものとして挙げることが
できる。
【0290】また、これらの伝導性を制御する原子導入
用の原料物質を必要に応じてH2 、He、Ar、Ne等
のガスにより希釈して使用してもよい。
【0291】さらに本発明の阻止層104には、周期律
表第Ia族、IIa族、VIa族、VIII族から選ばれる少な
くとも1種の元素を含有してもよい。前記元素は前記阻
止層中にまんべんなく均一に分布されてもよいし、ある
いは該阻止層中にまんべんなく含有されているが、層厚
方向に対し不均一に分布する状態で含有している部分が
あってもよい。これらの原子の含有量は、0.1〜10
000原子ppmが望ましい。Ia族原子としては、具
体的には、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カ
リウム(K)を挙げることができ、第IIa族原子として
は、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カル
シウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム
(Ba)等を挙げることができる。
【0292】また、第VIa族原子としては具体的には、
クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン
(W)等を挙げることができ、第VIII族原子としては、
鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)等を
挙げることができる。
【0293】本発明において、阻止層102の層厚は所
望の電子写真特性が得られることおよび経済的効果等の
点から適宜所望に従って決定され、好ましくは0.3〜
10μm、より好ましくは0.5〜5μm、最適には1
〜3μmとされるのが望ましい。
【0294】さらに本発明の光受容部材においては、阻
止層104の前記導電性基体側に、少なくともアルミニ
ウム原子、シリコン原子、炭素原子および水素原子が層
厚方向に不均一な分布状態で含有する層領域を有するこ
とが望ましい。
【0295】本発明の目的を達成し得るa−Siからな
る阻止層104を形成するためには、導電性基体の温
度、反応容器内のガス圧を所望にしたがって、適宜設定
する必要がある。
【0296】導電性基体の温度(Ts)は、層設計に従
って適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好まし
くは20〜500℃、より好ましくは50〜480℃、
最適には100〜450℃とするのが望ましい。
【0297】反応容器内のガス圧も同様に層領域設計に
従って適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好ま
しくは1×10-5〜100Torr、好ましく5×10
-5〜30Torr、最適には1×10-4〜10Torr
とするのが好ましい。
【0298】本発明においては、阻止層104を形成す
るための導電性基体温度、ガス圧の望ましい数値範囲と
して前記した範囲が挙げられるが、これらの層作成ファ
クターは通常は独立的に別々に決められるものではな
く、所望の特性を有する光受容部材を形成すべく相互的
かつ有機的関連に基づいて層領域作成ファクターの最適
値を決めるのが望ましい。
【0299】本発明の光導電層102は、電子写真用光
受容部材としての所望の光導電が得られるような、非単
結晶材料から構成される。光導電層の形成方法として
は、RFプラズマCVD法、マイクロ波プラズマCVD
法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等が好
ましいものとして挙げられる。
【0300】例えばa−SiCで構成された光導電層1
02を、RF等を用いたプラズマCVD法で形成するに
は、基本的にシリコン原子を供給し得るSi供給用ガス
と炭素原子(C)を供給し得るC供給用ガスとを内部が
減圧可能な反応容器内に所望のガス状態で導入し、反応
容器内でグロー放電を生起させあらかじめ所定の位置に
設置された基体101上にa−SiCからなる層を形成
すればよい。
【0301】本発明において使用されるSi供給用ガス
となり得る物質としては、SiH4、Si26 、Si3
8 、Si410等のガス状態の、またはガス化し得
る水素化珪素(シラン類)が有効に使用されるものとし
て挙げられ、さらに層作成時の取り扱い易さ、Si供給
効率の良さ等の点でSiH4 、Si26 が好ましいも
のとして挙げられる。また、これらのSi供給用の原料
ガスを必要に応じてH 2 、He、Ar、Ne等のガスに
より希釈して使用しても本発明には何等差し支えない。
【0302】炭素原子(C)導入用の原料ガスになり得
るものとして有効に使用される出発物質は、CとHとを
構成原子とする、例えば炭素数1〜5の飽和炭化水素、
炭素数2〜4のエチレン系炭化水素、炭素数2〜3のア
セチレン系炭化水素等が挙げられる。具体的には、飽和
炭化水素としては、メタン(CH4 )、エタン(C26
)、プロパン(C38 )、n−ブタン(n−C4
10)、ペンタン(C512)、エチレン系炭化水素とし
ては、エチレン(C24 )、プロピレン(C 3
6 )、ブテン−1(C48 )、ブテン−2(C4
8 )、イソブチレン(C48 )、ペンテン(C5
10)、アセチレン系炭化水素としては、アセチレン
(C22 )、メチルアセチレン(C34 )、ブチン
(C46 )等が挙げられる。この他に、CF4 、CF
3 、C26 、C38 、C48 等のフッ化炭素化合
物も本発明のC供給用ガスとして使用できる。
【0303】また、これらのC供給用の原料ガスを必要
に応じてH2 、He、Ar、Ne等のガスにより希釈し
て使用することも本発明では有効である。
【0304】また、Si(CH34 、Si(C2
54 等のケイ化アルキルを上記の原料ガスと併せて使
用することも本発明では有効である。
【0305】本発明に使用される上記のような原料ガス
は、各々異なる供給源(ボンベ)化ら供給してもよい
し、また、あらかじめ一定の濃度で混合されたガスを使
用することも本発明には有効である。
【0306】本発明において、光導電層102の層厚は
所望の電子写真特性が得られること、および経済的効果
等の点から好ましくは10〜50μm、より好ましくは
15〜40μm、最適には20〜30μmとされるのが
望ましい。
【0307】本発明において光導電層102を形成する
条件は、所望の電子写真特性が得られるように、適宜決
定することができる。例えば基体温度は適宜最適範囲が
選択されるが、好ましくは20〜500℃、より好まし
くは50〜480℃、最適には100〜450℃とする
のが望ましい。また、反応容器内のガス圧も適宜最適範
囲が選択されるが、好ましくは1×10-5〜100To
rr、より好ましくは5×10-5〜30Torr、最適
には1×10-4〜10Torrとするのが望ましい。
【0308】本発明においては、光導電層102を形成
するための基体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として
前記した範囲が挙げられるが、条件は通常は独立的に別
々に決められるものではなく、所望の特性を有する光受
容部材を形成すべく相互的かつ有機的関連性に基づいて
最適値を決めるのが望ましい。
【0309】また本発明の光導電層の作成方法では、前
述の15MHz〜450MHzの範囲の周波数を用いた
プラズマCVD法も有効に使用できる。
【0310】本発明の表面層103は、電子写真用光受
容部材としての所望の特性、例えば電荷保持性、耐環境
性、耐擦性等が得られるような、非単結晶材料から構成
される。表面層の形成方法としては、RFプラズマCV
D法、マイクロ波プラズマCVD法、スパッタリング
法、イオンプレーティング法等が好ましいものとして挙
げられる。
【0311】例えばa−SiCで構成された表面層10
3を、RF等を用いたプラズマCVD法で形成するに
は、基本的にシリコン原子を供給し得るSi供給用ガス
と炭素原子(C)を供給し得るC供給用ガスとを内部が
減圧可能な反応容器内に所望のガス状態で導入し、反応
容器内でグロー放電を生起させあらかじめ所定の位置に
設置された基体101上にa−SiCからなる層を形成
すればよい。
【0312】本発明において使用されるSi供給用ガス
となり得る物質としては、SiH4、Si26 、Si3
8 、Si410等のガス状態の、またはガス化し得
る水素化珪素(シラン類)が有効に使用されるものとし
て挙げられ、さらに層作成時の取り扱い易さ、Si供給
効率の良さ等の点でSiH4 、Si26 が好ましいも
のとして挙げられる。また、これらのSi供給用の原料
ガスを必要に応じてH 2 、He、Ar、Ne等のガスに
より希釈して使用しても本発明には何等差し支えない。
【0313】炭素原子(C)導入用の原料ガスになり得
るものとして有効に使用される出発物質は、CとHとを
構成原子とする、例えば炭素数1〜5の飽和炭化水素、
炭素数2〜4のエチレン系炭化水素、炭素数2〜3のア
セチレン系炭化水素等が挙げられる。具体的には、飽和
炭化水素としては、メタン(CH4 )、エタン(C26
)、プロパン(C38 )、n−ブタン(n−C4
10)、ペンタン(C512)、エチレン系炭化水素とし
ては、エチレン(C24 )、プロピレン(C 3
8 )、ブテン−1(C48 )、ブテン−2(C4
8 )、イソブチレン(C48 )、ペンテン(C5
10)を、アセチレン系炭化水素としては、アセチレン
(C22 )、メチルアセチレン(C34 )、、ブチ
ン(C46 )等が挙げられる。この他に、CF4 、C
3 、C26 、C38 、C48 等のフッ化炭素化
合物も本発明のC供給用ガスとして使用できる。
【0314】また、これらのC供給用の原料ガスを4要
に応じてH2 、He、Ar、Ne等のガスにより希釈し
て使用することも本発明には有効である。
【0315】また、Si(CH34 、Si(C2
54 等のケイ化アルキルを上記の原料ガスと併せて使
用することも本発明では有効である。
【0316】本発明に使用される上記のような原料ガス
は、各々異なる供給源(ボンベ)化ら供給してもよい
し、また、あらかじめ一定の濃度で混合されたガスを使
用することも本発明には有効である。
【0317】本発明において、表面層103の層厚は所
望の電子写真特性が得られること、および経済的効果等
の点から好ましくは0.01〜30μm、より好ましく
は0.05〜20μm、最適には0.1〜10μmとさ
れるのが望ましい。
【0318】本発明において表面層103を形成する条
件は、所望の電子写真特性が得られるように、適宜決定
することができる。例えば基体温度は適宜最適範囲が選
択されるが、好ましくは20〜500℃、より好ましく
は50〜480℃、最適には100〜450℃とするの
が望ましい。また、反応容器内のガス圧も適宜最適範囲
が選択されるが、好ましくは1×10-5〜100Tor
r、より好ましくは5×10-5〜30Torr、最適に
は1×10-4〜10Torrとするのが望ましい。
【0319】本発明においては、表面層103を形成す
るための基体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前
記した範囲が挙げられるが、条件は通常は独立的に別々
に決められるものではなく、所望の特性を有する光受容
部材を形成すべく相互的かつ有機的関連性に基づいて最
適値を決めるのが望ましい。
【0320】また本発明の表面層の作成方法では、前述
の15MHz〜450MHzの範囲の周波数を用いたプ
ラズマCVD法も有効に使用できる。
【0321】以下本発明の電子写真用光受容部材の形成
方法の手順について説明する。
【0322】図2はRFプラズマCVD法による堆積膜
形成装置の全体の構成を模式的に示した図である。この
装置を用いた光受容部材の形成手順の1例を以下に述べ
る。
【0323】反応容器2111内に円筒状の基体211
2を設置し、不図示の排気装置(例えば真空ポンプ)に
より反応容器2111内を排気する。続いて、支持体加
熱用ヒーター2113により基体2112の温度を20
℃〜500℃の所定の温度に制御する。
【0324】堆積膜形成用の原料ガスを反応容器211
1に流入させるには、ガスボンベのバルブ2231〜2
236、反応容器のリークバルブ2117が閉じられて
いることを確認し、また、流入バルブ2241〜224
6、流出バルブ2251〜2256、補助バルブ226
0が開かれていることを確認して、まずメインバルブ2
118を開いて反応容器2111およびガス配管内21
16を排気する。
【0325】次に真空計2119の読みが約5×10-6
Torrになった時点で補助バルブ2260、流出バル
ブ2251〜2256を閉じる。
【0326】その後、ガスボンベ2221〜2226よ
り各ガスをバルブ2231〜2236を開いて導入し、
圧力調整器2261〜2266により各ガス圧を2Kg
/cm2 に調整する。次に、流出にバルブ2241〜2
246を徐々に開けて、各ガスをマスフローコントロー
ラー2211〜2216内に導入する。
【0327】以上のようにして成膜の準備が完了した
後、基体2112上に阻止層、光導電層および表面層の
形成を行う。
【0328】基体2112が所定の温度になったところ
で流出バルブ2261〜2256の内の必要なものおよ
び補助バルブ2260を徐々に開き、ガスボンベ222
1〜2226から所定のガスをガス導入管2114を介
して反応容器2111内に導入する。次にマスフローコ
ントローラー2211〜2216によって各原料ガスが
所定の流量になるように調整する。その際、反応容器2
111内の圧力が1Torr以下の所定の圧力になるよ
うに真空計2119を見ながらメインバルブ2118の
開口を調整する。内圧が安定したところで、高周波電源
2120を所望の電力に設定して、高周波マッチングボ
ックス2115を通じて反応容器2111内にRF電力
を導入し、RFグロー放電を生起させる。この放電エネ
ルギーによって反応容器内に導入された原料ガスが分解
され、基体2112上に所定の阻止層が形成される。所
望の膜厚の形成が行われた後、RF電力の供給を止め、
流出バルブを閉じて反応容器へのガスの流入を止め、層
の形成を終える。
【0329】それぞれの層を形成する際には必要なガス
以外の流出バルブはすべて閉じられていること、また上
述のガス種およびバブル操作は各々の層の作成条件にし
たがって変更が加えられることは言うまでもない。
【0330】またVHFを用いたプラズマCVD法での
堆積膜形成装置、および形成方法は、上記のRFプラズ
マCVD法の場合の高周波電源2115と高周波マッチ
ングボックス2111をVHF用のものに変更するだけ
でよい。
【0331】次にマイクロ波プラズマCVD法を用いた
堆積膜形成装置における本発明の光受容部材の形成の手
順を説明する。図3はマイクロ波プラズマCVD法の堆
積膜形成装置の反応容器の一例の横断面を模式的に示し
た図であり、図4は同装置の全体の構成を模式的に示し
た図である。
【0332】まず、反応容器3001、4001内にあ
らかじめ脱脂洗浄された導電性基体3005を設置し、
駆動装置3010によって導電性基体3005を回転
し、不図示の排気装置(例えば真空ポンプ)により反応
容器3001、4001内を排気管3004、4004
を介して排気し、反応容器3001、40001内の圧
力を1×10-6Torr以下に調整する。続いて、基体
加熱用ヒーター3006により円筒状基体3005の温
度を20℃〜500℃の所定の温度に加熱保持する。
【0333】光受容部材形成用の原料ガスを反応容器3
001、4001に流入させるには、ガスボンベのバル
ブ4031〜4036、反応容器のリークバルブ(不図
示)が閉じられていることを確認し、また、流入バルブ
4041〜4046、流出バルブ4051〜4056、
補助バルブ4060が開かれていることを確認して、ま
ずメインバルブ(不図示)を開いて反応容器3001、
4001およびガス配管4017内を排気する。
【0334】次に真空計(不図示)の読みが約5×10
-6Torrになった時点で補助バルブ4060、流出バ
ルブ4051〜4056を閉じる。
【0335】その後、ガスボンベ4021〜4036よ
り各ガスをバルブ4031〜4036を開いて導入し、
圧力調整器4061〜4066)により各ガス圧を2k
g/cm2 に調整する。次に、流入にバルブ4041〜
4046を徐々に開けて、各ガスをマスフローコントロ
ーラー4011〜4016内に導入する。
【0336】以上のようにして成膜の準備が完了した
後、円筒状基体3005上に阻止層、光導電層、表面層
の各層の形成を行う。
【0337】円筒状基体3005が所定の温度になった
ところで流出バルブ3051〜4056の内の必要なも
のおよび補助バルブ4060)を徐々に開き、ガスボン
ベ4021〜4026から所定のガスをガス導入管30
12を介して反応容器3001内の放電空間3006)
に導入する。次にマスフローコントローラー4011〜
4016によって各原料ガスが所定の流量になるように
調整する。その際、放電空間3006内の圧力が1To
rr以下の所定の圧力になるように真空計(不図示)を
見ながらメインバルブ(不図示)の開口を調整する。圧
力が安定した後、マイクロ波電源(不図示)により、例
えば周波数2.45GHzのマイクロ波を発生させ、マ
イクロ波電源(不図示)を所望の電力に設定し、導波管
3003、4003、マイクロ波導入窓3002を介し
て放電空間3006にμWエネルギーを導入して、μW
グロー放電を生起させる。このようにして導電性基体3
005上に所定の光受容部材が形成される。この時、層
形成の均一化を図るため駆動手段3010によって、所
望の回転速度で回転させる。
【0338】所望の膜厚の形成が行われた後、μW電力
の供給を止め、流出バルブを閉じて反応容器へのガスの
流入を止め、堆積膜の形成を終える。
【0339】同様の操作を複数回繰り返すことによっ
て、所望の多層構造の光受容層が形成される。
【0340】それぞれの層を形成する際には必要なガス
以外の流出バルブはすべて閉じられていること、また上
述のガス種およびバルブ操作は各々の層の作成条件に従
って変更が加えられることは言うまでもない。
【0341】
【実施例】以下に本発明の効果を実証するための具体例
を説明するが、本発明はこれらによって何ら限定される
ものではない。 (第1の発明) <実験例1>鏡面加工を施し、脱脂洗浄したアルミニウ
ムシリンダーを基体として使用し、図3(A)(B)お
よび図4の製造装置を用い、先に示した手順により表1
に示す6種類の作成条件に従って電子写真用光受容部材
(以後ドラムと表現)を形成した。また、同一使用のシ
リンダー上に光導電層のみを形成したもの(以後サンプ
ルと表現)を別個に用意した。ドラムの方は電子写真装
置(キャノン社製NP7550を本テスト用に改造した
もの)にセットして、通常の電子写真プロセスにより画
像を形成し、感度、ゴースト、帯電能、残留電位につい
ての評価を行った。
【0342】これらの項目については、それぞれ、以下
の方法で評価した。
【0343】感度…ドラムを、400Vの暗部表面電位
に帯電させた。そして直ちに光像を照射した。光像はキ
セノンランプ光源を用い、フィルターを用いて550n
m以下の波長域の光を除いた光を照射した。この時表面
電位計によりドラムの明部表面電位を測定する。明部表
面電位が50Vの電位になるように露光量を調整して、
この時の露光量をもって感度とした。
【0344】ゴースト…キャノン製ゴーストテストチャ
ート(部品番号:FY9−9040)に反射濃度1.
1、直径5mmの黒丸を貼り付けたものを原稿台に置
き、その上にキャノン製中間調チャートを重ねておいた
際のコピー画像において、中間調コピー上に認められる
ゴーストチャートの直径5mmの黒丸の反射濃度と中間
調部分の反射濃度との差を測定、評価した。
【0345】帯電能…ドラムを実験装置に設置し、帯電
器に+6kVの高電圧を印加しコロナ帯電を行い、表面
電位計によりドラムの暗部表面位を測定する。
【0346】残留電位…ドラムを400Vの暗部表面電
位に帯電させ、0.2sec後に光像を照射した。光像
にキセノンランプ光源を用い、フィルターによって55
0nm以下の波長域の光を除いた光を1.51ux・s
ecの光量で照射した。このとき表面電位計によりドラ
ムの明部表面電位を測定する。
【0347】以上の4項目について、それぞれ ◎は「特に良好」 ○は「良好」 △は「実用上問題なし」 ×は「実用上問題有り」 を表わしている。
【0348】また、サンプルの方は画像部の上下に相当
する部分を複数枚切り出し、必要に応じてオージェ、S
IMSおよび有機元素分折法により膜中に含まれるシリ
コン原子、炭素原子および水素原子の定量分析を行っ
た。さらに、結合状態の分析をESCAおよびFT−I
Rにより行った。
【0349】以上の評価結果を表2に、分析結果を表3
に示す。表3より膜中の炭素の結合状態はシランガスと
メタンガスをテトラメチルシランに置き換えていくこと
により制御可能であると言える。表2、表3より、光導
電層中に含有される全炭素原子のうち、C−C結合を持
つ炭素源子の割合が60%以下とすることで、特性の向
上が見られ、さらにC−C結合を持つ炭素原子の割合を
30%以下とすることでさらなる特性の向上がみられ
た。 <実施例1>光導電層の炭素原子の供給源であるSi
(CH34 の流量を経時減少変化させ、作成条件を表
4のように変えた以外は、実験例1と同様にしてドラム
ならびにサンプルを作成した。こうして得たドラムなら
びにサンプルを実験例1と同様の評価・分析を行った。
評価結果を表6に、分析結果を表7に、次の比較例1と
合わせて示す。 <比較例 1>光導電層の炭素原子の供給源であるSi
(CH34 の流量を経時減少変化させ、作成条件を表
5のように変え、光導電層の基体側表面または表面近傍
の炭素含有量を34.3原子%とした以外は、実験例1
と同様にしてドラムならびにサンプルを作成した。こう
して得たドラムならびにサンプルを実験例1と同様の評
価・分析にかけた結果、表6および表7に示すような結
果を得た。
【0350】これより、光導電層の炭素分布に傾斜を持
たせても本発明が有効であるといえる。また、C−C結
合を持つ炭素原子の割合が少なくても炭素の含有量が3
0原子%より多くなると、残留電位が高くなることがわ
かった。 <実施例2>図2に示す製造装置において電源周波数を
105MHzとした高周波プラズマCVD法を用いて、
作成条件を表8に示すように変更した以外は実施例1と
同様にしてドラムならびにサンプルを作成した。こうし
て得たドラムを実験例1と同様の評価を行ったところ、
実験例1と同様に良好な特性が得られた。また、サンプ
ルを実験例1と同様の分析を行ったところ、炭素の含有
量が12.8原子%で、そのうちC−C結合を持つ炭素
原子の割合は8.3%であった。 <実施例3>光導電層のSi原子の供給源をジシランに
変え作成条件を表9に示すように変更した以外は実施例
2と同様にしてドラムならびにサンプルを作成した。こ
うして得たドラムを実験例1と同様の評価を行ったとこ
ろ、実施例1と同様に良好な特性が得られた。また、サ
ンプルを実験例1と同様の分析を行ったところ、炭素の
含有量が10.5原子%で、そのうちC−C結合を持つ
炭素原子の割合は9.1%であった。 <実施例4>希釈ガスにHeを用い、作成条件を表10
に示すように変更した以外は実施例2と同様にしてドラ
ムならびにサンプルを作成した。こうして得たドラムを
実験例1と同様の評価を行ったところ、実験例1と同様
に良好な特性が得られた。また、サンプルを実験例1と
同様の分析を行ったところ、炭素の含有量が20.1原
子%で、そのうちC−C結合を持つ炭素原子の割合は1
2.6%であった。 (第2の発明)以下に第2の本発明の効果を実証するた
めの具体例を説明するが、本発明はこれらによって何ら
限定されるものではない。 <実験例2>鏡面加工を施し、脱脂洗浄したアルミニウ
ムシリンダーを基体として使用し、図3(A)(B)お
よび図4の製造装置を用い、先に示した手順により表1
1に示す6種類の作成条件に従って電子写真用光受容部
材(以後ドラムと表現)を形成した。また、同一使用の
シリンダー上に光導電層のみを形成したもの(以後サン
プルと表現)を別個に用意した。ドラムの方は電子写真
装置(キャノン社製NP7550を本テスト用に改造し
たもの)にセットして、通常の電子写真プロセスにより
画像を形成し、感度、ゴースト、帯電能、残留電位、温
度特性についての評価を行った。
【0351】これらの項目については、それぞれ、以下
の方法で評価した。
【0352】感度…ドラムを、400Vの暗部表面電位
に帯電させた。そして直ちに光像を照射した。光像はキ
セノンランプ光源を用い、フィルターを用いて550n
m以下の波長域の光を除いた光を照射した。この時表面
電位計によりドラムの明部表面電位を測定する。明部表
面電位が50Vの電位になるように露光量を調整して、
この時の露光量をもって感度とした。
【0353】ゴースト…キャノン製ゴーストテストチャ
ート(部品番号:FY9−9040)に反射濃度1.
1、直径5mmの黒丸を貼り付けたものを原稿台に置
き、その上にキャノン製中間調チャートを重ねておいた
際のコピー画像において、中間調コピー上に認められる
ゴーストチャートの直径5mmの黒丸の反射濃度と中間
調部分の反射濃度との差を測定、評価した。
【0354】帯電能…ドラムを実験装置に設置し、帯電
器に+6kV高電圧を印加しコロナ帯電を行い、表面電
位計によりドラムの暗部表面位を測定する。
【0355】残留電位…ドラムを400Vの暗部表面電
位に帯電させ、0.2sec後に光像を照射した。光像
にキセノンランプ光源を用い、フィルターによって55
0nm以下の波長域の光を除いた光を1.51ux・s
ecの光量で照射した。このとき表面電位計によりドラ
ムの明部表面電位を測定する。
【0356】温度特性…作製した電子写真用光受容部材
の表面温度を30〜45℃まで変化させ、帯電器に+6
kVの高電圧を印加しコロナ帯電を行い、表面電位計に
より暗部の表面電位を測定する。光受容部材の表面温度
に対する暗部の表面温度変化を直線で近似し、その傾き
を「温度特性」とし、「V/deg」の単位で表す。
【0357】以上の5項目について、それぞれ ◎は「特に良好」 ○は「良好」 △は「実用上問題なし」 ×は「実用上問題あり」 を表わしている。
【0358】また、サンプルの方は画像部の上下に相当
する部分を複数枚切り出し、必要に応じてオージェ、S
IMSおよび有機元素分析法により膜中に含まれるシリ
コン原子、炭素原子および水素原子の定量分析を行っ
た。さらに、結合状態の分析をESCAおよびFT−I
Rにより行った。
【0359】以上の評価結果を表12に、分析結果を表
13に示す。表13より膜中の炭素の結合状態はシラン
ガスとメタンガスをテトラメチルシランに置き換えてい
くことにより制御可能であると言える。表12、表13
より、光導電層中に含有される全炭素原子のうち、C−
C結合を持つ炭素原子の割合が60%以下とすること
で、特性の向上が見られ、さらにC−C結合を持つ炭素
原子の割合を30%以下とする事で更なる特性の向上が
みられた。 <実験例3>光導電層の作成条件を表14のように変
え、酸素原子の含有量を変化させた以外は、実験例2と
同様にしてドラムならびにサンプルを作成した。こうし
て得たドラムならびにサンプルを実験例2と同様の評価
・分析を行った。評価結果を表15に、分析結果を表1
6に示す。
【0360】表15および16より酸素原子を含有させ
ることでC−C結合を持つ炭素原子の割合が減少してお
り、これにより温度特性が改善されているといえる。 <実験例4>光導電層の作成条件を表17のように変
え、窒素原子の含有量を変化させた以外は、実験例2と
同様にしてドラムならびにサンプルを作成した。こうし
て得たドラムならびにサンプルを実験例2と同様の評価
・分析を行った。評価結果を表19に示す。
【0361】表18および19より窒素原子を含有させ
ることでC−C結合を持つ炭素原子の割合が減少してお
り、これにより温度特性が改善されているといえる。 <比較例2>光導電層の作成条件を表20のように変え
た以外は、実験例2と同様にしてドラムならびにサンプ
ルを作成した。こうして得たドラムならびにサンプルを
実験例2と同様の評価・分析を行った。評価結果を表2
1に、分析結果を表22に示す。
【0362】表21および表22より酸素および窒素ま
たは弗素を含有させることでC−C結合を持つ炭素原子
の割合が減少しており、これにより温度特性が改善され
ていると言える。 <実施例5>光導電層の炭素原子の供給源であるSi
(CH34 の流量を経時減少変化させ、作成条件を表
23のように変えた以外は、実験例2と同様にしてドラ
ムならびにサンプルを作成した。こうして得たドラムな
らびにサンプルを実験例2と同様の評価・分析を行っ
た。評価結果を表25に、分析結果を表26に、次の比
較例3と合わせて示す。 <比較例3>光導電層の炭素原子の供給源であるSi
(CH34 の流量を経時減少変化させ、作成条件を表
24のように変え、光導電層の基体側表面または表面近
傍の炭素含有量を34.3原子%とした以外は、実験例
2と同様にしてドラムならびにサンプルを作成した。こ
うして得たドラムならびにサンプルを実験例2と同様の
評価・分析にかけた結果、表25および表27に示すよ
うな結果を得た。
【0363】これより、光導電層の炭素部分布に傾斜を
持たせても本発明が有効であるいえる。また、C−C結
合を持つ炭素原子の割合が少なくても炭素の含有量が3
0原子%より多くなると、残留電位が高くなることがわ
かった。 <実施例6>図2に示す製造装置において電源周波数を
105MHzとした高周波プラズマCVD法を光導電層
の形成に用いて、作成条件を表27に示すように変更し
た以外は実験例2と同様にしてドラムならびにサンプル
を作成した。こうして得たドラムを実験例2と同様の評
価を行ったところ、実施例5と同様に良好な特性が得ら
れた。また、サンプルを実験例2と同様の分析を行った
ところ、炭素の含有量が12.8原子%で、そのうちC
−C結合を持つ炭素原子の割合は8.3%であった。 <実施例7>光導電層のSi原子の供給源をジシランに
変え作成条件を表28に示すように変更した以外は実施
例6と同様にしてドラムならびにサンプルを作成した。
こうして得たドラムを実験例2と同様の評価を行ったと
ころ、実施例5と同様に良好な特性が得られた。また、
サンプルを実験例2と同様の分析を行ったところ、炭素
の含有量が10.5原子%で、そのうちC−C結合を持
つ炭素原子の割合は9.1%であった。 <実施例8>希釈ガスにHeを用い、作成条件を表29
に示すように変更した以外は実施例6と同様にしてドラ
ムならびにサンプルを作成した。こうして得たドラムを
実験例2と同様の評価を行ったところ、実施例5と同様
に良好な特性が得られた。また、サンプルを実験例2と
同様の分析を行ったところ、炭素の含有量が20.1原
子%で、そのうちC−C結合を持つ炭素原子の割合は1
2.6%であった。 (第3の発明)以下に第3の本発明の効果を実証するた
めの具体例を説明するが、本発明はこれらによって何ら
限定されるものではない。 <実験例5>鏡面加工を施し、脱脂洗浄したアルミニウ
ムシリンダーを基体として使用し、図3の製造装置を用
い、表30に示す101〜104の4種類の作製条件に
従って、電子写真用光受容部材(以後ドラムと表現)の
阻止層のみを形成したもの(以後サンプルと表現)を用
意し画像部の上下に相当する部分を複数枚切り出し、必
要に応じてオージェ、SIMSおよび有機元素分析法に
より膜中に含まれるシリコン原子、硼素原子、炭素原子
および水素原子の定量分析を行った。さらに、結合状態
の分析をESCAおよびFT−IRにより行った。 <比較実験例101〜104>阻止層の炭素原子の供給
源にCH4 を用い、作成条件を表30の比較実施例1の
ように変えた以外は、実験例5と同様にしてサンプルを
作成した。こうして得たサンプルを実験例5と同様の分
析にかけた結果を表2に示す。
【0364】表31より、膜中の炭素の結合状態は、シ
ランガスとメタンガスとテトラメチルシランに置き換え
ていくことにより制御可能であるといえる。実験例10
1−104は、比較実験例に比べ膜中に硼素原子が効率
よく含有されており、このことは、実験例の方が比較実
験例に比べて阻止層中に含有される全炭素原子のうち、
C−C結合を持つ炭素原子の割合が少なく、炭素原子が
より均一に分布していると考えられる。 <実施例9>実験例で使用した物と同様のアルミニウム
シリンダーを基本として使用し、図3の製造装置を用い
表32に示す作製条件に従ってドラムを形成した。
【0365】作製したドラムは電子写真装置(キャノン
社製NP7550を本テスト用に改造したもの)にセッ
トして、通常の電子写真プロセスにより画像を形成し、
帯電能、暗減衰についての評価を行った。
【0366】これらの項目については、それぞれ、以下
の方法で評価した。
【0367】帯電能…ドラムを実験装置に設置し、帯電
器に+6kV高電圧を印加しコロナ帯電を行い、表面電
位計によりドラムの暗部表面位を測定する。
【0368】暗減衰…ドラムを現像位置で400Vの暗
部表面電位に帯電させ、そのときの内部センサー位置の
暗部表面電位を測定し、現像位置の暗部表面電位との電
位差を暗減衰とした。
【0369】以上の2項目について、それぞれ ◎は「特に良好」 ○は「良好」 △は「実用上問題なし」 ×は「実用上問題あり」 を表わしている。 <比較例4>阻止層の作成条件を表33に示す条件に変
え、それ以外は実施例9と同様の条件でドラムを作製
し、実施例9と同様の評価を行い、表36に示すような
結果を得た。
【0370】表34よりC−C結合を持つ炭素原子の割
合80%以下のとき良好な結果が得られた。また、C−
C結合を持つ炭素原子の割合の50%以下のとき特に良
好な結果が得られた。 <実施例10>図2の製造装置において電源周波数を1
05MHzとした高周波プラズマCVD法を用いて阻止
層を形成した後、ドラムを作成した。作成条件を表35
に示す。こうして得たドラムを実施例9と同様の評価し
た結果、表36に示すようにな結果を得た。
【0371】また、サンプルを実験例5と同様の分析を
行ったところ、炭素の含有量が22.8原子%で、その
うちC−C結合を持つ炭素原子の割合は13.3%であ
った。
【0372】表36に示すように、電源周波数を105
MHzとした高周波プラズマCVD法を用いても実施例
9と同様に良好な結果が得られた。 <実施例11>阻止層のSi原子の供給源をジシランに
変え作成条件を表37に示すように変更した以外は実施
例10と同様にしてドラムならびにサンプルを作成し
た。こうして得たドラムを実験例5と同様の評価を行っ
たところ、実施例9と同様に良好な特性が得られた。ま
た、サンプルを実験例5と同様の分析を行ったところ、
炭素の含有量が15.5原子%で、そのうちC−C結合
を持つ炭素原子の割合は14.1%であった。 <実施例12>希釈ガスにHeを用い、作成条件を表3
8に示すように変更した以外は実施例2と同様にしてド
ラムならびにサンプルを作成した。こうして得たドラム
を実験例5と同様の評価を行ったところ、実施例9と同
様に良好な特性が得られた。また、サンプルを実験例5
と同様の分析を行ったところ、炭素の含有量が25.1
原子%で、そのうちC−C結合を持つ炭素原子の割合は
17.6%であった。 (第4の発明)以下に第4の本発明の効果を実証するた
めの具体例を説明するが、本発明はこれらによって何ら
限定されるものではない。 <実験例6>鏡面加工を施し、脱脂洗浄したアルミニウ
ムシリンダーを基体として使用し、図3の製造装置を用
い、表39に示す101〜104の4種類の作製条件に
従って電子写真用光受容部材(以後ドラムと表現)の阻
止層のみを形成したもの(以後サンプルと表現)を用意
し画像部の上下に相当する部分を複数枚切り出し、必要
に応じてオージェ、SIMSおよび有機元素分析法によ
り膜中に含まれるシリコン原子、炭素原子および水素原
子、酸素原子、窒素原子の定量分析を行った。さらに、
結合状態の分析をESCAおよびFT−IRにより行っ
た。 <比較実験例>阻止層の炭素原子の供給源にCH4 を用
い、作成条件を表39の比較実施例のように変えた以外
は、実験例と同様にしてサンプルを作成した。こうして
得たサンプルを実験例と同様の分析にかけた結果を表4
0に示す。
【0373】表40より、膜中の炭素の結合状態は、シ
ランガスとメタンガスとテトラメチルシランに置き換え
ていくことにより制御可能であるといえる。 <実施例13>実験例で使用した物と同様のアルミニウ
ムシリンダーを基本として使用し、図3の製造装置を用
い表41に示す作製条件に従ってドラムを形成した。
【0374】作製したドラムは電子写真装置(キャノン
社製NP7550を本発明のテスト用に改造したもの)
にセットして、通常の電子写真プロセスにより画像を形
成し、白ポチ、黒ポチ、ブランクメモリー、ゴーストの
画像性に評価を行った。
【0375】これらの項目については、それぞれ、以下
の方法で評価した。
【0376】白ポチ…キャノン製全面黒チャート(部品
番号:FY9−9073)を原稿台に置きコピーしたと
きに得られたコピー画像の同一面積内にある直径0.2
mm以下の白点について評価した。
【0377】黒ポチ…転写紙を5枚以上重ね原稿台に置
きコピーしたときに得られたコピー画像の同一面積内に
ある直径0.2mm以下の黒点について評価した。
【0378】ゴースト…キャノン製ゴーストテストチャ
ート(部品番号:FY9−9040)に反射濃度1.
1、5mmの黒丸を貼付けたものを原稿台の画像先端部
に置き、その上にキャノン社製中間チャート(部品番
号:FY9−9042)を重ねて置いた際のコピー画像
に置いて中間調コピー上に認められるゴーストチャート
の5mmの反射濃度と中間調部分の反射濃度との差を測
定した。
【0379】ブランクメモリ…キャノン社製中間チャー
ト(部品番号:FY9−9042)を原稿台に置きコピ
ーしたときに得られた画像のブランク露光により母線方
向にやや薄くなった部分と通常の部分の反射濃度差を測
定した。
【0380】それぞれについて、 ◎は「特に良好」 ○は「良好」 △は「実用上問題なし」 ×は「実用上問題あり」 を表している。 <比較例5>阻止層の作成条件を42に示す条件に変
え、それ以外は実施例13と同様の条件でドラムを作製
し、実施例13と同様の評価を行い、表43−5に示す
ような結果を得た。
【0381】表43−1〜表43−4よりC−C結合を
持つ炭素原子の割合80%以下で、酸素原子の含有量が
全原子に対して10原子ppm以上5000原子ppm
以下のとき良好な結果が得られた。また、C−C結合を
持つ炭素原子の割合の50%以下のとき特に良好な結果
が得られた。 <実施例14>図2の製造装置において電源周波数を1
05MHzとした高周波プラズマCVD法を用いて阻止
層を形成した後、ドラムを作成した。作成条件を表44
に示す。こうして得たドラムを実施例13と同様の評価
した結果、表47に示すような結果を得た。
【0382】また、実験例6同様に、阻止層のみのサン
プルを作製し実験例6と同様の分析を行ったところ、炭
素の含有量が22.8原子%で、そのうちC−C結合を
持つ炭素原子の割合は13.3%、酸素の含有量は全原
子に対して49.6原子ppmであった。
【0383】表47に示すように、電源周波数を105
MHzとした高周波プラズマCVD法を用いても実施例
13と同様に良好な結果が得られた。 <実施例15>阻止層のSi原子の供給源をジシランに
変え作成条件を表45に示すように変更した以外は実施
例14と同様にしてドラムならびにサンプルを作成し
た。
【0384】こうして得たドラムを実験例13と同様の
評価を行ったところ、表47に示すように実施例13と
同様に良好な特性が得られた。
【0385】また、サンプルを実験例6と同様の分析を
行ったところ、炭素の含有量が15.5原子%で、その
うちC−C結合を持つ炭素原子の割合は14.1%、酸
素の含有量は全原子に対して38.9原子ppmであっ
た。
【0386】表47に示すように阻止層のSi原子の供
給源をジシランを用いても、実施例13と同様に良好な
結果が得られた。 <実施例16>希釈ガスにHeを用い、作成条件を表4
6に示すように変更した以外は実施例14と同様にして
ドラムならびにサンプルを作成した。こうして得たドラ
ムを実験例1と同様の評価を行ったところ、実施例13
と同様に良好な特性が得られた。また、サンプルを実験
例6と同様の分析を行ったところ、炭素の含有量が2
5.1原子%で、そのうちC−C結合を持つ炭素原子の
割合は17.6%、酸素の含有量は全原子に対して4
1.5原子ppmであった。 <実施例17>表48に示す条件にて阻止層を形成した
以外は実施例13と同様にドラムを作製し、こうして得
られたドラムを実施例13同様の評価を行った。
【0387】さらに、表48の条件にて阻止層のみのサ
ンプルを作製し、実験例と同様の分析を行ったところ、
炭素の含有量が24.1原子%で、そのうちC−C結合
を持つ炭素原子の割合は18.1%、窒素の含有量は全
原子に対して51.0原子ppmであった。
【0388】その結果、実施例13と同様に、本発明の
範囲では、いずれも良好な結果が得られた。 <実施例18>表49に示す条件にて阻止層を形成した
以外は実施例14と同様にドラムを作製し、同様の評価
を行った。
【0389】さらに、表48の条件にて阻止層のみのサ
ンプルを作製し、実験例と同様の分析を行ったところ、
炭素の含有量が25.8原子%で、そのうちC−C結合
を持つ炭素原子の割合は18.9%、窒素の含有量は全
原子に対して50.2原子ppmであった。
【0390】その結果、実施例14と同様に、本発明の
範囲では、いずれも良好な結果が得られた。 <実施例19>表50に示す条件にて阻止層を形成した
以外は実施例15と同様にドラムを作製し、同様の評価
を行った。
【0391】さらに、表50の条件にて阻止層のみのサ
ンプルを作製し、実験例と同様の分析を行ったところ、
炭素の含有量が22.8原子%で、そのうちC−C結合
を持つ炭素原子の割合は18.3%、窒素の含有量は全
原子に対して52.6原子ppmであった。
【0392】その結果、実施例15と同様に、本発明の
範囲では、いずれも良好な結果が得られた。 <実施例20>表51に示す条件にて阻止層を形成した
以外は実施例16と同様にドラムを作製し、同様の評価
を行った。
【0393】さらに、表51の条件にて阻止層のみのサ
ンプルを作製し、実験例と同様の分析を行ったところ、
炭素の含有量が20.8原子%で、そのうちC−C結合
を持つ炭素原子の割合は13.3%、窒素の含有量は全
原子に対して40.6原子ppmであった。
【0394】その結果、実施例16と同様に、本発明の
範囲では、いずれも良好な結果が得られた。 <実施例21>表52に示す条件にて阻止層を形成した
以外は実施例13と同様にドラムを作製し、同様の評価
を行った。
【0395】さらに、表52の条件にて阻止層のみのサ
ンプルを作製し、実験例と同様の分析を行ったところ、
炭素の含有量が23.6原子%で、そのうちC−C結合
を持つ炭素原子の割合は11.3%、酸素と窒素の合計
の含有量は全原子に対して98.3原子ppmであっ
た。
【0396】その結果、実施例13と同様に、本発明の
範囲では、いずれも良好な結果が得られた。 <実施例22>表53に示す条件にて阻止層を形成した
以外は実施例14と同様にドラムを作製し、同様の評価
を行った。
【0397】さらに、表53の条件にて阻止層のみのサ
ンプルを作製し、実験例と同様の分析を行ったところ、
炭素の含有量が25.8原子%で、そのうちC−C結合
を持つ炭素原子の割合は13.5%、酸素と窒素の合計
の含有量は全原子に対して100.6原子ppmであっ
た。
【0398】その結果、実施例14と同様に、本発明の
範囲では、いずれも良好な結果が得られた。 <実施例23>表54に示す条件にて阻止層を形成した
以外は実施例15と同様にドラムを作製し、同様の評価
を行った。
【0399】さらに、表54の条件にて阻止層のみのサ
ンプルを作製し、実験例と同様の分析を行ったところ、
炭素の含有量が22.2原子%で、そのうちC−C結合
を持つ炭素原子の割合は14.2%、酸素と窒素の合計
の含有量は全原子に対して99.6原子ppmであっ
た。
【0400】その結果、実施例15と同様に、本発明の
範囲では、いずれも良好な結果が得られた。 <実施例24>表55に示す条件にて阻止層を形成した
以外は実施例16と同様にドラムを作製し、同様の評価
を行った。
【0401】さらに、表55の条件にて阻止層のみのサ
ンプルを作製し、実験例と同様の分析を行ったところ、
炭素の含有量が27.8原子%で、そのうちC−C結合
を持つ炭素原子の割合は18.3%、酸素と窒素の合計
の含有量は全原子に対して89.9原子ppmであっ
た。
【0402】その結果、実施例16と同様に、本発明の
範囲では、いずれも良好な結果が得られた。
【0403】
【表1】
【0404】
【表2】
【0405】
【表3】
【0406】
【表4】
【0407】
【表5】
【0408】
【表6】
【0409】
【表7】
【0410】
【表8】
【0411】
【表9】
【0412】
【表10】
【0413】
【表11】
【0414】
【表12】
【0415】
【表13】
【0416】
【表14】
【0417】
【表15】
【0418】
【表16】
【0419】
【表17】
【0420】
【表18】
【0421】
【表19】
【0422】
【表20】
【0423】
【表21】
【0424】
【表22】
【0425】
【表23】
【0426】
【表24】
【0427】
【表25】
【0428】
【表26】
【0429】
【表27】
【0430】
【表28】
【0431】
【表29】
【0432】
【表30】
【0433】
【表31】
【0434】
【表32】
【0435】
【表33】
【0436】
【表34】
【0437】
【表35】
【0438】
【表36】
【0439】
【表37】
【0440】
【表38】
【0441】
【表39】
【0442】
【表40】
【0443】
【表41】
【0444】
【表42】
【0445】
【表43】
【0446】
【表44】
【0447】
【表45】
【0448】
【表46】
【0449】
【表47】
【0450】
【表48】
【0451】
【表49】
【0452】
【表50】
【0453】
【表51】
【0454】
【表52】
【0455】
【表53】
【0456】
【表54】
【0457】
【表55】
【0458】
【表56】
【0459】
【表57】
【0460】
【表58】
【0461】
【表59】
【0462】
【表60】
【0463】
【表61】
【0464】
【表62】
【0465】
【表63】
【0466】
【表64】
【0467】
【表65】
【0468】
【表66】
【0469】
【表67】
【0470】
【発明の効果】第1の本発明の電子写真用光受容部材
は、光導電層中に含有される全炭素原子に対する、C−
C結合を持つ炭素原子の割合が60%以下、より好まし
くは30%以下に抑制されることで、従来の電子写真用
光受容部材での問題点を解決することができる。
【0471】すなわち本発明によれば、光導電層中の構
成原子の結合状態を改善することにより、残留電位低く
保ったまま暗抵抗率を高くすることができ、高帯電能を
有した、「ゴースト」現象がほとんど見られない優れた
性能を有した電子写真用光受容部材を得ることができる
と同時に、従来の電子写真用光受容部材に比べて短波長
感度が向上するため、電子写真装置の像露光のスペクト
ルと、電子写真用光受容部材の分光感度のスペクトルを
近づけることができ、実用上の感度が大幅に向上でき
る。
【0472】第2の本発明によれば、上記の他にさらに
光導電層中に微量の酸素原子および/または窒素原子な
らびに弗素原子を含有させることにより電子写真用光受
容部材の使用環境の温度変化に影響を受けにくい、いわ
ゆる温度特性が向上する。
【0473】第3の本発明の電子写真用光受容部材は、
阻止層中に含有される全炭素原子に対する、C−C結合
を持つ炭素原子の割合が80%以下に抑制されること
で、従来の電子写真用光受容部材での問題点を解決する
ことができる。
【0474】すなわち本発明によれば、阻止層中の構成
原子の結合状態を改善することにより、阻止層のブロッ
キング性能を保ったまま暗減衰の小さい高帯電能の電子
写真用光受容部材を得ることができる。
【0475】第4の本発明の電子写真用光受容部材は、
阻止層中に含有される全炭素原子に対する、C−C結合
を持つ炭素原子の割合および、酸素原子および/または
窒素原子の含有量を抑制することで、従来の電子写真用
光受容部材での問題点を解決することができる。
【0476】すなわち本発明によれば、阻止層中の構成
原子の結合状態を改善することにより、阻止層のブロッ
キング性能を保ったまま暗減衰の小さい高帯電能の電子
写真用光受容部材を得ることができる。
【0477】さらに本発明では、阻止層中に、炭素原
子、酸素原子および/または窒素原子を同時に含有させ
ることにより、従来の阻止層に比べ、緻密で密着性の高
い膜質を得ることができる。そのため、基板との密着性
のみならず、阻止層上の光導電層との密着性も良好であ
り「白ポチ」、「黒ポチ」等の画像欠陥の原因となる堆
積膜の欠陥である球状突起が著しく減少する。
【0478】さらに本発明では、a−SiC膜に酸素原
子および/または窒素原子を含有させることにより、堆
積膜のストレスをより効果的に緩和して、膜の構造欠陥
を制御するため、a−SiC中でのキャリアの走行性が
改善され、「ブランクメモリー」「ゴースト」等の光メ
モリーが改善される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真用光受容部材の層構成の一例
を示した模式的断面図である。
【図2】高周波プラズマCVD法による堆積膜形成装置
の全体の構成の一例を示した模式図である。
【図3】マイクロ波プラズマCVD法による堆積膜形成
装置の反応容器の一例の模式図である。(A)は縦断面
図、(B)は横断面図である。
【図4】マイクロ波プラズマCVD法による堆積膜形成
装置の全体の模式的な構成図の一例である。
【図5】本発明の電子写真用光受容部材の層構成の他の
例を示した模式的断面図である。
【符号の説明】
100 電子写真用光受容部材 101 導電性基体 102 光導電層 103 表面層 104 阻止層 2100 堆積装置 2111 反応容器 2112 基体 2113 基体加熱用ヒーター 2114 原料ガス導入管 2115 高周波マッチングボックス 2116 ガス配管 2117 リークバルブ 2118 メインバルブ 2119 真空計 2120 高周波電源 2200 ガス供給装置 2211〜2216 マスフローコントローラー 2221〜2226 ガスボンベ 2231〜2236 ガスボンベバブル 2241〜2246 流入バルブ 2251〜2256 流出バルブ 2260 補助バルブ 2261〜2266 圧力調整器 3000 堆積膜形成装置 3001 反応容器 3002 マイクロ波導入用誘電体窓 3003 導波管 3004 排気管 3005 導電性基体 3006 放電空間 3007 ヒーター 3008 電極 3009 電源 3010 駆動手段(回転モーター) 3011 ホルダー 3012 ガス導入管 4000 原料ガス供給装置 4011〜4016 マスフローコントローラー 4017 ガス配管 4021〜4026 ガスボンベ 4031〜4036 ガスボンベバルブ 4041〜4046 流出バルブ 4051〜4056 流出バルブ 4060 補助バルブ 4061〜4066 圧力調整器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡村 竜次 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−181974(JP,A) 特開 平2−53075(JP,A) 特開 平2−10368(JP,A) 特開 平1−214871(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 5/08

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性基体上に、非単結晶材料からなる
    光導電層と表面層を順次形成した光受容層を有する光受
    容部材において、前記光導電層が、シリコン原子を母体
    とし、少なくとも炭素原子、水素原子を含有する非単結
    晶材料で構成され、該光導電層中に含有される全炭素原
    子に対して、炭素−炭素の結合を持つ炭素原子の割合が
    60%以下であり、炭素原子の含有量が少なくとも光導
    電層の導電性基体側表面もしくは表面近傍で3〜30原
    子%であり、かつ光導電層の導電性基体側表面もしくは
    表面近傍で最も多く、表面層側表面もしくは表面近傍で
    実質的に0原子%であるように変化していることを特徴
    とする光受容部材。
  2. 【請求項2】 前記光導電層中に含有される全炭素原子
    に対して、炭素−炭素の結合を持つ炭素原子の割合が3
    0%以下であることを特徴とする請求項1に記載の光受
    容部材。
  3. 【請求項3】 導電性基体上に、非単結晶材料からなる
    光導電層と表面層を順次形成した光受容層を有する光受
    容部材において、前記光導電層が、シリコン原子を母体
    とし、少なくとも炭素原子、水素原子、ならびに酸素原
    子及び/または窒素原子を含有する非単結晶材料で構成
    され、該光導電層中に含有される全炭素原子に対して、
    炭素−炭素の結合を持つ炭素原子の割合が60%以下で
    り、炭素原子の含有量が少なくとも光導電層の導電性
    基体側表面もしくは表面近傍で3〜30原子%であり、
    かつ光導電層の導電性基体側表面もしくは表面近傍で最
    も多く、表面層側表面もしくは表面近傍で実質的に0原
    子%であるように変化していることを特徴とする光受容
    部材。
  4. 【請求項4】 前記光導電層中に含有される全炭素原子
    に対して、炭素−炭素の結合を持つ炭素原子の割合が3
    0%以下であることを特徴とする請求項に記載の光受
    容部材。
  5. 【請求項5】 前記光導電層において酸素原子の含有量
    が10〜5000原子ppmであることを特徴とする請
    求項3または4に記載の光受容部材。
  6. 【請求項6】 前記光導電層において窒素原子の含有量
    が10〜5000原子ppmであることを特徴とする請
    求項乃至いずれかに記載の光受容部材。
  7. 【請求項7】 前記光導電層が、さらに弗素原子を含有
    することを特徴とする請求項乃至いずれかに記載の
    光受容部材。
  8. 【請求項8】 前記弗素原子の含有量が1〜95原子p
    pmであることを特徴とする請求項に記載の光受容部
    材。
  9. 【請求項9】 導電性基体上に、非単結晶からなる阻止
    層と、光導電層と、表面層を順次形成した光受容層を有
    する光受容部材において、前記阻止層が、シリコン原子
    を母体とし、少なくとも炭素原子、水素原子を有し、さ
    らに硼素原子を含有する非単結晶材で構成され、該阻止
    層中に含有される炭素原子(C/Si+C)が3原子%
    以上50原子%以下で、かつ、該阻止層中に含有される
    全炭素原子に対して、炭素−炭素の結合を持つ炭素原子
    の割合が80%以下であることを特徴とする請求項1ま
    たは3に記載の電子写真用光受容部材。
  10. 【請求項10】 前記阻止層において、該阻止層中に含
    有される全炭素原子に対して、炭素−炭素の結合を持つ
    炭素原子の割合が50%以下であることを特徴とする請
    求項に記載の電子写真用光受容部材。
  11. 【請求項11】 導電性基体上に、非単結晶からなる阻
    止層と、光導電層と、表面層を順次形成した光受容層を
    有する光受容部材において、前記阻止層が、シリコン原
    子を母体とし、少なくとも炭素原子、水素原子を有し、
    さらに酸素原子及び/または、窒素原子を含有する非単
    結晶材で構成され、該阻止層中に含有される炭素原子
    {C/(Si+C)}が3原子%以上50原子%以下
    で、かつ、該阻止層中に含有される全炭素原子に対し
    て、炭素−炭素の結合を持つ炭素原子の割合が80%以
    下であることを特徴とする請求項1または3に記載の
    子写真用光受容部材。
  12. 【請求項12】 前記阻止層において、該阻止層中に含
    有される全炭素原子に対して、炭素−炭素の結合を持つ
    炭素原子の割合が50%以下であることを特徴とする請
    求項11に記載の電子写真用光受容部材。
  13. 【請求項13】 前記阻止層において、該阻止層中に含
    有される酸素原子{O/(Si+C+O)}が10原子
    ppm以上50000原子ppm以下であることを特徴
    とする請求項11または12に記載の電子写真用光受容
    部材。
  14. 【請求項14】 前記阻止層において、該阻止層中に含
    有される窒素原子{N/(Si+C+N)}が10原子
    ppm以上50000原子ppm以下であることを特徴
    とする請求項11または12に記載の電子写真用光受容
    部材。
  15. 【請求項15】 前記阻止層において、該阻止層中に含
    有される酸素原子と窒素原子{O+N/(Si+C+O
    +N)}が20原子ppm以上100000原子ppm
    以下であることを特徴とする請求項11または12に記
    載の電子写真用光受容部材。
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