JP3332463B2 - 電子写真用光受容部材 - Google Patents

電子写真用光受容部材

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JP3332463B2
JP3332463B2 JP09802093A JP9802093A JP3332463B2 JP 3332463 B2 JP3332463 B2 JP 3332463B2 JP 09802093 A JP09802093 A JP 09802093A JP 9802093 A JP9802093 A JP 9802093A JP 3332463 B2 JP3332463 B2 JP 3332463B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光(ここでは広義の光で
あって紫外線、可視光線、赤外線、x線、γ線などを意
味する。)の様な電磁波に対して感受性のある電子写真
用光受容部材に関する。
【0002】また本発明は、電子写真用像形成部材、撮
像素子、光電変換素子、太陽電池等に使用されるシリコ
ン原子を母体とする非単結晶の光受容部材に関するもの
である。
【0003】特に該光受容部材の改良に関するものであ
る。
【0004】
【従来の技術】像形成分野において、光受容部材におけ
る光受容層を形成する光導電材料としては、高感度で、
SN比[光電流(Ip )/暗電流(Id )]が高く、照
射する電磁波のスペクトル特性に適合した吸収スペクト
ルを有すること、光応答性が早く、所望の暗抵抗値を有
すること、使用時において人体に対して無害であるこ
と、等の特性が要求される。特に、事務機としてオフィ
スで使用される電子写真装置内に組み込まれる電子写真
用光受容部材の場合には、上記の使用時における無公害
性は重要な点である。
【0005】このような点に立脚して最近注目されてい
る光導電材料にアモルファスシリコン(以下、「a−S
i」と表記する)があり、例えば独国公開第27469
67号公報、同第2855718号公報等には電子写真
用光受容部材としての応用が記載されている。
【0006】また、特開昭58−171038号公報に
は、支持体上にシリコン原子とゲルマニウム原子とを含
む非晶質材料で構成され光導電性を示す非晶質層を有
し、ゲルマニウム原子の分布状態が膜厚方向に不均一で
支持体側に多く分布させた光導電部材によって全可視光
域において光感度を高くし、特に半導体レーザとのマッ
チングを向上させる技術が記載されている。
【0007】さらに、特開昭58−171039号公報
には、支持体上にシリコン原子とゲルマニウム原子を含
む非晶質材料で構成された第1の層領域と、シリコン原
子を含む非晶質材で構成され光導電性を示す第2の層領
域を設けた層構成の電子写真用光受容部材によって、半
導体レーザを使用した場合の、第2の層領域では吸収し
きれない長波長側の光を第1の層領域において吸収し、
支持体面からの反射光による干渉を防止する技術が記載
されている。
【0008】またさらに、特開昭58−171046号
公報には、アモルファスシリコンゲルマニウム(以下
「a−SiGe」と表記する)層に酸素原子を含有させ
て高暗抵抗化、高感度化、密着性向上を図る技術、特開
昭60−53957号公報にはa−SiGe層に窒素原
子を含有させて高暗抵抗化、高感度化、密着性向上を図
る技術がそれぞれ記載されている。
【0009】これらの技術により、a−Siを母材とし
た電子写真用光受容部材の電気的、光学的、光導電的特
性が向上し、更に、画像品位の向上も可能となった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年の
電子写真複写機はさらに高画質、高速、高機能が望まれ
ており、電子写真用光受容部材には総合的な電気特性お
よび画像特性の向上を図る上でさらに改良される余地が
存在するのが実情である。
【0011】とりわけ光源の半導体レーザとのマッチン
グのため、また通常使用されているハロゲンランプや蛍
光灯光源として使用する際の長波長側の光を有効に利用
するため、更にまた光源の長波長光の支持体面からの反
射光による干渉縞の発生を防止するために、a−Siの
光導電層にゲルマニウム原子を含有したa−SiGe層
領域を有する層構成を取った場合、a−SiGe系膜の
膜質がまだ充分に改善されていないため、特に高速での
繰り返し使用においてa−SiGe膜中にフォトキャリ
アがトップされるため生じると考えられる残像、いわゆ
る「ゴースト」現象やハーフトーンむらを引き起こす場
合があった。
【0012】近年さらに高画質、高速、高機能化が望ま
れている電子写真複写機において、電子写真用光受容部
材には電気的特性や光導電特性のさらなる向上ととも
に、写真などのハーフトーンを含む原稿を忠実に再現で
きることが必要不可欠になっている。そのため電子写真
用光受容体には、ハーフトーン画像の濃度むら、とりわ
けゴーストの低減が切望されている。特に近年普及して
きたフルカラー複写機においては、このハーフトーン画
像のむらは色の微妙なむらとなって視覚的に明らかなも
のとなるため、大きな問題となっている。
【0013】また、従来技術は、前記したように金属の
添加に対して、相反する効果が示されている。
【0014】本発明は上記の点に鑑み成されたものであ
って、上記のごときシリコン原子を母体とする材料で構
成された従来の光受容層を有する電子写真用光受容部材
における諸問題を解決することを目的とするものであ
る。
【0015】すなわち、本発明の主たる目的は、電気
的、光学的、光電的特性が使用環境にほとんど依存する
ことなく実質的に常時安定しており、耐光疲労に優れ、
特に高速での繰り返し使用に際してもゴーストやハーフ
トーンむらを起こさず、耐久性、耐湿性に優れ、残留電
位がほとんど観測されない、シリコン原子を母体とする
材料で構成された光受容層を有する電子写真用光受容部
材を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】(第1の本発明) 第1の本発明の電子写真用光受容部材は、支持体と該支
持体上にシリコン原子とゲルマニウム原子と水素原子ま
たは/及びハロゲン原子とを構成要素として含む非単結
晶材料で構成され、反応容器内のガス圧が10〜250mtor
rの条件下で形成された第1の層領域と、シリコン原子
を母体とし水素原子または/及びハロゲン原子を構成要
素として含む非単結晶材料で構成され光導電性を示す第
2の層領域とが前記支持体側より順次積層された光受容
層とを有し前記第1の層領域において水素原子または
/及びハロゲン原子の含有量が3〜35原子%であり、ゲ
ルマニウム原子の含有量が、シリコン原子とゲルマニウ
ム原子の和に対して20〜80原子%であり、かつ、シリコ
ン原子との結合を少なくとも1つ持つゲルマニウム原子
が第1の層領域中の全ゲルマニウム原子の40〜100%で
ある事を特徴としている。
【0017】上記のような構成を取るように設計された
本発明の電子写真用光受容部材は前述のような諸問題を
全て解決することができ、きわめて優れた電気特性、光
学的特性、光導電特性、画像特性、及び耐久性を示す。
【0018】本発明者らは、前述のような問題点、特に
ハーフトーン画像におけるゴースト等の画像濃度むらを
解決するため、光導電層のゲルマニウムを含む層領域の
改質に鋭意検討を重ねて来た。その結果、前記層領域の
ゲルマニウム原子の結合状態を特定化することにより目
的を達成することができるという知見を得た。
【0019】シリコン原子を母体とし少なくとも水素原
子または/及びハロゲン原子を構成要素として含む水素
化アモルファスシリコン(以後、「a−Si(H,
X)」と表記する)膜の光導電層の下部領域に、ゲルマ
ニウム原子を含む膜(以後、「a−Si1-x Gex
(H,X)」と表記する)で、a−Si1-x Gex
(H,X)膜を従来のように特に結合状態にこだわらず
に形成した場合、シリコン原子とゲルマニウム原子とは
均一な分布にはならず、シリコン原子の高濃度な部分と
ゲルマニウム原子の高濃度な部分とが混在する状態にな
り易く、このためゲルマニウム原子とシリコン原子の結
合(以後「Ge−Si結合」と表記する)は組成から予
想される値よりより少ないものとなる。このような膜中
では、例えばアモルファス状態のシリコン原子の結合中
にゲルマニウム原子がクラスター状の塊となって取り込
まれていることが予想される。従来のシリコン原子とゲ
ルマニウム原子をa−SiGe系膜でのレーザーラマン
分光法により膜中の構成原子の結合状態を分析したとこ
ろ、シリコン原子との結合を少なくとも1つ持つゲルマ
ニウム原子は膜中の全ゲルマニウム原子の30%以下と
少なく、またゲルマニウム原子どうしの結合(以後「G
e−Ge結合」と表記する)を持っているゲルマニウム
原子の割合が、膜中の全ゲルマニウム原子の80%程度
あることが解り、これらのことはa−SiGe(H,
X)膜中でゲルマニウム原子がクラスターを形成してい
る事を裏付けている。
【0020】このようなa−SiGe系膜中に存在する
クラスターの影響については、なお本発明者らの想像を
も含むものであるが、次のように考えられる。
【0021】まず比較的大きなクラスターの影響が考え
られる。a−SiGe系膜を形成する場合、とくに比較
的ゲルマニウム原子の含有量が多い場合では、ゲルマニ
ウム原子が互いに数100個程度結合した大きなクラス
ターを形成していることも考えられる。このような大き
なクラスターが膜中に存在すると、膜中を移動するキャ
リアがクラスターにトラップされ易くなるのではないか
と考えられる。
【0022】また比較的小さなクラスターの存在による
a−SiGe系膜のストレスの影響が考えられる。例え
ばゲルマニウム原子どうしが互いに数10個程度結合し
た比較的小さなクラスターがある場合、シリコン原子の
結合手とゲルマニウム原子の結合手ではその長さが異な
るため、ゲルマニウム原子のクラスターとそれを取り囲
むシリコン原子との結合の間にストレスを発生させる事
になる。こうして生じたストレスがキャリアの走行を悪
化させているのではないかと考えられる。
【0023】以上のような考察から、特にa−SiGe
系膜ではシリコン原子中にゲルマニウム原子を均一に分
布させ、Ge−Si結合を促進してゲルマニウム原子の
クラスターの形成をできる限り少なくすることが特性向
上のために不可欠であると考えられる。そこで本発明者
らは、a−SiGe系膜の形成において結合状態を制御
してGe−Si結合をすくなくとも1つ持つゲルマニウ
ム原子の割合を、従来のa−SiGe系膜より大幅に多
くすることにより、前述のような問題点を全て解決する
に至ったのである。
【0024】すなわち本発明によれば、a−Si1-x
x (H,X)膜中の構成原子の結合状態を改善する事
により、光メモリーが減少し帯電能を高く保ったまま
「ゴースト」現象やハーフトーンむらがほとんどまった
く見られない優れた特性を有した電子写真用光受容部材
を得る事ができた。
【0025】さらに本発明によれば、a−Si1-x Ge
x (H,X)膜の長波長光の光吸収が大幅に向上し、従
来のa−Si1-x Gex (H,X)膜よりも少ないゲル
マニウム原子の含有量で基体面からの反射光による干渉
を防止することが可能となり、a−Si1-x Gex
(H,X)膜を持つ電子写真用光受容部材のコストダウ
ンを促進する事ができた。
【0026】以下、図面に従って本発明の電子写真用光
受容部材についてより詳細に説明する。
【0027】図1は本発明の電子写真用光受容部材の層
構成の一例を示した模式的断面図である。本発明の電子
写真用光受容部材100は、光受容部材用としての支持
体101の上に、a−Si1-x Gex (H,X)で構成
される第1の領域102、a−Si(H,X)で構成さ
れる第2の領域103を順次積層してなる。
【0028】本発明において使用される支持体101と
しては、例えば、Al,Cr,Mo,Au,In,N
b,Te,V,Ti,Pt,Pd,Fe等の金属、およ
びこれらの合金、例えばステンレス等挙げられる。ま
た、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、
セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリスチレン、ポリアミド等の合成樹脂のフィルム
またはシート、ガラス、セラミック等の電気絶縁性支持
体の少なくとも光受容層を形成する側の表面を導電処理
した支持体も用いることができる。さらに、第1の層領
域102を形成する側とは反対側の表面も導電処理する
ことがより好ましい。
【0029】本発明に於いて使用される導電性支持体1
01の形状は平滑表面あるいは凹凸表面の円筒状または
板状無端ベルト状であることができ、その厚さは、所望
通りの電子写真用光受容部材100を形成し得るように
適宜決定するが、電子写真用光受容部材100としての
可撓性が要求される場合には、導電性支持体101とし
ての機能が充分発揮できる範囲内で可能な限り薄くする
ことができる。しかしながら、導電性支持体101は製
造上および取り扱い上、機械的強度等の点から通常は1
0μm以上とされる。
【0030】特にレーザー光などの可干渉性光を用いて
像記録を行う場合には、可視画像において現われる、い
わゆる干渉縞模様による画像不良をより効果的に解消す
るために、導電性支持体101の表面に凹凸を設けても
よい。
【0031】導電性支持体101の表面に設けられる凹
凸は、特開昭60−168156号公報、同60−17
8457号公報、同60−225854号公報等に記載
された公知の方法により作成される。
【0032】また、レーザー光などの可干渉光を用いた
場合の干渉縞模様による画像不良をより効果的に解消す
る別の方法として、導電性支持体101の表面に複数の
球状痕跡窪みによる凹凸形状を設けてもよい。即ち、導
電性支持体101の表面が電子写真用光受容部材100
に要求される解像力よりも微小な凹凸を有し、しかも該
凹凸は、複数の球状痕跡窪みによるものである。導電性
支持体101の表面に設けられる複数の球状痕跡窪みに
よる凹凸は、特開昭61−231561号公報に記載さ
れた公知の方法により作成される。
【0033】本発明の第1の層領域102は、シリコン
原子とゲルマニウム原子と水素原子とを構成要素として
含む非単結晶材料で構成され、シリコン原子との結合を
少なくとも1つ持つゲルマニウム原子が第1の層領域中
の全ゲルマニウム原子の40〜100%になるように形
成される。
【0034】その形成方法は、プラズマCVD法、スパ
ッタリ真空堆積膜形成方法によって、所望特性が得られ
るように適宜成膜パラメーターの数値条件が設定されて
作成される。具体的には、例えばグロー放電法、或いは
イオンプレーテイング法等が好適であるが、いずれの方
法でも第1の層領域に含有される全ゲルマニウム原子に
対してGe−Si結合を持つゲルマニウム原子の割合
が、従来のa−SiGe系膜に比べて高くなるように反
応を制御する必要がある。
【0035】例えば高周波放電法やマイクロ波放電法の
様にプラズマCVD法の場合は、ゲルマニウム原子の結
合の制御の方法の例としては原料ガス種の選択と放電中
の電界の印加によるイオンの利用が挙げられる。
【0036】第1の層領域において、全ゲルマニウム原
子に対するGe−Si結合を持つゲルマニウム原子の割
合を従来より多くする方法としては、原料ガスとしてS
iH 4 、Si26 等の水素化珪素類やSiHCl3
の塩素化珪素類、またSiF 4 等の弗化珪素類などのシ
リコン原子含有ガスと、ゲルマニウム原子供給用の原料
ガスとしてGeHCl3 ,GeH2 Cl2 ,GeH3
l等の水素化塩化ゲルマニウム類などの比較的分解の遅
いガスを用いる事が特に高周波放電法やマイクロ波放電
法の場合に有効である。またゲルマニウム供給用のガス
として、上記水素化塩化ゲルマニウム系ガスと共に、G
eH4 ,GeF4 等を用いても良い。また、これらのシ
リコン原子供給用の原料ガスおよびゲルマニウム原子供
給用のガスを必要に応じてH2 ,He,Ar,Ne等の
ガスにより希釈して使用してもよい。
【0037】また、マイクロ波放電法においては、上記
の方法と共に放電空間中に電界を掛けイオンを効果的に
支持体表面に到達させることにより、ゲルマニウム原子
の結合状態の制御の効果がより大きなものになる。この
外部電気バイアスは直流電圧、パルス状の電圧、整流器
により整流された時間によって大きさが変化する脈動電
圧でもよく、正弦波、矩形波等の波形を持った交流電圧
も使用できる。外部電気バイアスの電圧としてはいずれ
も実効値で15V以上300V以下、好ましくは、30
V以上200V以下が適するが、堆積膜の所望の特性が
得られるようにその他のパラメーターと関連して適宜決
定される。
【0038】本発明の光受容部材の第1の領域102
は、a−Si1-X GeX (H,X)膜中に含有される全
ゲルマニウム原子に対して、Ge−Si結合を少なくと
も1つ持つゲルマニウム原子の割合が好ましくは40〜
100%より好ましくは45〜100%、最適には50
〜100%であることが望ましい。
【0039】本発明の第1の層領域中のゲルマニウム原
子の含有量は、シリコン原子とゲルマニウム原子の和に
対して好ましくは20〜80原子%、より好ましくは2
5〜75原子%、最適には30〜70原子%が望ましい
ものとしてあげられる。このゲルマニウム原子は、第1
の層領域光導電層中に万遍なく均一に含有されても良い
し、第1の層領域の層厚方向に含有量が変化するような
不均一な分布をもたせた部分があっても良い。ゲルマニ
ウム原子の含有量がシリコン原子とゲルマニウム原子と
の和にたいして20%未満の場合は、光源の特に長波長
光の吸収が充分ではなく、干渉縞等のハーフトーンむら
の発生を効果的に防止する事が困難になる。またゲルマ
ニウム原子の含有量がシリコン原子とゲルマニウム原子
との和にたいして80%を越える場合は、a−Si1-x
Gex (H,X)膜中のGe−Si結合を少なくとも1
つ持つゲルマニウム原子の割合を従来より多くなるよう
に制御しても、キャリアが走行し難くなり前述のような
問題点、特にハーフトーン画像におけるゴースト等の画
像濃度むらが発生し易くなるなどの問題が起こるため、
本発明の効果を充分に発揮することができない。
【0040】また、本発明において第1の層領域102
中に水素原子または/及びハロゲン原子が含有されるこ
とが必要であるが、これはシリコン原子及びゲルマニウ
ム原子の未結合手を補償し、層品質の向上、特に光導電
性および電荷保持特性を向上させるために必須不可欠で
あるからである。よって水素原子または/及びハロゲン
原子の含有量は望ましくは1〜40原子%、より好まし
くは3〜35原子%、最適には5〜30原子%とされる
のが好ましい。
【0041】第1の層領域102中に含有される水素原
子または/及びハロゲン原子の量を制御するには、例え
ば支持体101の温度、水素原子または/及びハロゲン
原子を含有させるために使用される原料物質の反応容器
内へ導入する量、放電電力等を制御すれば良い。
【0042】本発明において使用されるハロゲン原子供
給用の原料ガスとして有効なのは、たとえばハロゲンガ
ス、ハロゲン化物、ハロゲンを含むハロゲン間化合物、
ハロゲンで置換されたシラン誘導体等のガス状のまたは
ガス化し得るハロゲン化合物が好ましく挙げられる。ま
た、さらにはシリコン原子とハロゲン原子とを構成要素
とするガス状のまたはガス化し得る、ハロゲン原子を含
む水素化珪素化合物も有効なものとして挙げることがで
きる。本発明に於いて好適に使用し得るハロゲン化合物
としては、具体的に弗素ガス(F2 ),BrF,Cl
F,ClF3 ,BrF3 ,BrF5 ,lF3 ,lF7
のハロゲン間化合物を挙げることができる。ハロゲン原
子を含む珪素化合物、いわゆるハロゲン原子で置換され
たシラン誘導体としては、具体的には、たとえばSiF
4 ,Si26 等のフッ化珪素が好ましいものとして挙
げることができる。
【0043】また本発明においては、第1の層領域10
2には必要に応じて伝導性を制御する原子(M)を含有
させることが好ましい。伝導性を制御する原子は、第1
の層領域102中に万偏なく均一に分布した状態で含有
されても良いし、あるいは層厚方向には不均一な分布状
態で含有している部分があってもよい。
【0044】前記の伝導性を制御する原子としては、半
導体分野における、いわゆる不純物を挙げることがで
き、p型伝導特性を与える周期律表III 族に属する原子
(以後「第III 族原子」と略記する)またはn型伝導特
性を与える周期律表V族に属する原子(以後「第V族原
子」と略記する)を用いることができる。
【0045】第III 族原子としては、具体的には、B
(硼素),Al(アルミニウム),Ga(ガリウム),
In(インジウム),Tl(タリウム),等があり、特
にB,Al,Gaが好適である。第V族原子としては、
具体的にはP(燐),As(砒素),Sb(アンチモ
ン),Bi(ビスマス)等があり、特にP,Asが好適
である。
【0046】第1領域102に含有される伝導性を制御
する原子(M)の含有量としては、好ましくは1×10
-3〜1×105 原子ppm、より好ましくは1×10-2
〜5×104 原子ppm、最適には1×10-1〜1×1
4 原子ppmとされるのが望ましい。伝導性を制御す
る原子、たとえば、第III 族原子あるいは第V族原子を
構造的に導入するには、層形成の際に、第III 族原子導
入用の原料物質あるいは第V族原子導入用の原料物質を
ガス状態で反応容器中に、第1の層領域102を形成す
るための他のガスとともに導入してやればよい。第III
族原子導入用の原料物質あるいは第V族原子導入用の原
料物質となり得るものとしては、常温常圧でガス状のま
たは、少なくとも層形成条件下で容易にガス化し得るも
のが採用されるのが望ましい。そのような第III 族原子
導入用の原料物質として具体的には、硼素原子導入用と
しては、B26 ,B410,B59 ,B511,B
610,B612,B614等の水素化硼素、BF3
BCl3 ,BBr3 等のハロゲン化硼素等が挙げられ
る。この他、AlCl3 ,GaCl3 ,Ga(CH33
,InCl3 ,TlCl3 等も挙げることができる。
【0047】第V族原子導入用の原料物質として本発明
において、有効に使用されるのは、燐原子導入用として
は、PH3 ,P24 等の水素化燐、PH4 I,PF
3 ,PF5 ,PCl3 ,PCl5 ,PBr3 ,PBr
5 ,PI3 等のハロゲン化燐が挙げられる。この他、A
sH3 ,AsF3 ,AsCl3 ,AsBr3 ,AsF
5 ,SbH3 ,SbF3 ,SbF5 ,SbCl3 ,Sb
Cl5 ,BiH3 ,BiCl 3 ,BiBr3 等も第V族
原子導入用の出発物質の有効なものとして挙げることが
できる。また、これらの伝導性を制御する原子導入用の
原料物質を必要に応じてH2 ,He,Ar,Ne等のガ
スにより希釈して使用してもよい。
【0048】これらの伝導性を制御する原子の導入量を
適宜設定することにより第1の層領域102に支持体か
らの電荷の注入を阻止する阻止層としての役割も持たせ
ることができる。また支持体101と第1の層領域10
2の間または/及び第1の層領域102と第2の層領域
103の間に阻止層を別に設けても良い。
【0049】さらに本発明の第1の層領域102には、
周期律表第Ia族、IIa族、VIa族、VIII族から選ばれ
る少なくとも1種の元素を0.1から10000原子p
pm程度含有してもよい。前記元素は前記光導電層第2
領域103中に万偏無く均一に分布されてもよいし、あ
るいは第2の層領域103中に万偏無く含有されてはい
るが、層厚方向に対し不均一に分布する状態で含有して
いる部分があってもよい。
【0050】第Ia族原子としては、具体的には、Li
(リチウム),Na(ナトリウム),K(カリウム)を
挙げることができ、第IIa族原子としては、Be(ベリ
リウム),Mg(マグネシウム),Ca(カルシウ
ム),Sr(ストロンチウム),Ba(バリウム)等を
挙げることができる。
【0051】また、第VIa族原子としては、具体的に
は、Cr(クロム),Mo(モリブデン),W(タング
ステン)を挙げることができ、第VIII族原子としては、
Fe(鉄),Co(コバルト),Ni(ニッケル)等を
挙げることができる。
【0052】また本発明の第1の領域102と第2の領
域103の間にゲルマニウム原子の含有量が第2の領域
に向かって減少するように変化する領域を設けても良
く、第1の領域と第2の領域の界面での反射光による干
渉の影響をより少なくする事ができる。
【0053】さらに本発明の光受容部材においては、第
1の層領域102の前記支持体101側に、少なくとも
アルミニウム原子、シリコン原子、ゲルマニウム原子、
水素原子または/及びハロゲン原子が層厚方向に不均一
な分布状態で含有する層領域を有することが望ましい。
【0054】またさらに、本発明では第1の層領域10
2中に前記の原子以外に微量(1原子%以下)であれば
他の如何なる原子を含有することも可能である。
【0055】本発明の第1の層領域102の膜厚は所望
の電子写真特性が得られること、及び経済的効果等の点
から適宜所望にしたがって決定され、好ましくは30A
〜20μm、より好ましくは50A〜15μm、最適に
は100A〜10μmとされるのが望ましい。
【0056】本発明の目的を達成し得る特性を有する第
1の層領域102を形成するには、導電性支持体101
の温度、反応容器内のガス圧を所望にしたがって、適宜
設定する必要がある。
【0057】支持体101の温度(Ts)は、層設計に
したがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、
好ましくは20〜500℃、より好ましくは50〜48
0℃、最適には100〜450℃とするのが望ましい。
【0058】反応容器内のガス圧も同様に層設計にした
がって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好ま
しくは1×10-5〜100Torr、更に好ましくは5
×10-5〜30Torr、最適には1×10-4〜10T
orrとする。
【0059】本発明においては、第1の層領域を形成す
るための基体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前
記した範囲が挙げられるが、条件は通常は独立的に別々
に決められるものではなく、所望の特性を有する光受容
部材を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて最
適値を決めるのが望ましい。
【0060】本発明の光受容部材の第1の領域102
は、a−Si1-x Gex (H,X)膜中に含有される全
ゲルマニウム原子に対して、Ge−Si結合を少なくと
も1つ持つゲルマニウム原子の割合が40〜100%で
あれば、前述の問題点を解決した特性が得られるのであ
って、その形成方法はいずれの方法でもよく、上記のよ
うな方法に限定されないのはいうまでもない。
【0061】本発明の第2の層領域103は真空堆積膜
形成方法によって、所望特性が得られるように適宜成膜
パラメーターの数値条件が設定されて作成される。具体
的には、例えばグロー放電法(低周波CVD法、高周波
CVD法またはマイクロ波CVD法等の交流放電CVD
法、あるいは直流放電CVD法等)、スパッタリング
法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、光CVD
法、熱CVD法などの数々の薄膜堆積法によって形成す
ることができる。これらの薄膜堆積法は、製造条件、設
備資本投資下の負荷程度、製造規模、作成される電子写
真用光受容部材に所望される特性等の要因によって適宜
選択されて採用されるが、所望の特性を有する電子写真
用光受容部材を製造するに当たっての条件の制御が比較
的容易であることからしてグロー放電法、スパッタリン
グ法、イオンプレーティング法が好適である。そしてこ
れらの方法を同一装置系内で併用して形成してもよい。
例えば、グロー放電法によって第2の層領域103を形
成するには、基本的にはシリコン原子(Si)を供給し
得るSi供給用原料ガスと、水素原子(H)を供給し得
るH供給用の原料ガスと、ハロゲン原子(X)を供給し
うるX供給用の原料ガスとを、内部が減圧にし得る反応
容器内に所望のガス状態で導入して、該反応容器内にグ
ロー放電を生起させ、あらかじめ所定の位置に設置され
てある所定の支持体表面上にa−Si(H,X)からな
る層を形成すればよい。
【0062】また、本発明において第2の層領域103
中に水素原子または/及びハロゲン原子が含有されるこ
とが必要であるが、これはシリコン原子の未結合手を補
償し、層品質の向上、特に光導電性および電荷保持特性
を向上させるために必須不可欠であるからである。よっ
て水素原子の含有量は望ましくは1〜40原子%、より
好ましくは3〜35原子%、最適には50〜30原子%
とされるのが好ましい。
【0063】本発明において使用されるSi供給ガスと
なり得る物質としては、SiH4 ,Si26 ,Si3
8 ,Si410等のガス状態の、またはガス化し得る
水素化珪素(シラン類)が有効に使用されるものとして
挙げられ、更に層作成時の取り扱い易さ、Si供給効率
の良さ等の点でSiH4 ,Si26 が好ましいものと
して挙げられる。また、これらのSi供給用の原料ガス
を必要に応じてH2 ,He,Ar,Ne等のガスにより
希釈して使用してもよい。
【0064】形成される第2の層領域103中に導入さ
れる水素原子の導入割合の制御を一層容易になるように
図るために、これらのガスに更に水素ガスまたは水素原
子を含む珪素化合物のガスを適宜混合して層形成するこ
とが好ましい。また、各ガスは単独種のみでなく所定の
混合比で複数種混合しても差し支えないものである。
【0065】水素原子を第2の層領域103中に構造的
に導入するには、上記の他にH2 、あるいはSiH4
Si26 ,Si38 ,Si410等の水素化珪素と
Siを供給するためのシリコンまたはシリコン化合物と
を反応容器中に共存させて放電を生起させることでも行
うことができる。
【0066】また本発明において使用されるハロゲン原
子供給用の原料ガスとして有効なのは、たとえばハロゲ
ンガス、ハロゲン化物、ハロゲンをふくむハロゲン間化
合物、ハロゲンで置換されたシラン誘導体等のガス状の
またはガス化し得るハロゲン化合物が好ましく挙げられ
る。また、さらにはシリコン原子とハロゲン原子とを構
成要素とするガス状のまたはガス化し得る、ハロゲン原
子を含む水素化珪素化合物も有効なものとして挙げるこ
とができる。本発明に於て好適に使用し得るハロゲン化
合物としては、具体的には弗素ガス(F2 ),BrF,
ClF,ClF 3 ,BrF3 ,BrF5 ,IF3 ,IF
7 等のハロゲン間化合物を挙げることができる。ハロゲ
ン原子を含む珪素化合物、いわゆるハロゲン原子で置換
されたシラン誘導体としては、具体的には、たとえばS
iF4 ,Si26 等のフッ化珪素が好ましいものとし
て挙げることができる。
【0067】第2の層領域103中に含有される水素原
子または/及びハロゲン原子の量を制御するには、例え
ば導電性支持体101の温度、水素原子または/及びハ
ロゲン原子を含有させるために使用される原料物質の反
応容器内へ導入する量、放電電力等を制御すればよい。
【0068】また第2の層領域に炭素原子及び/または
酸素原子及び/または窒素原子を含有させることも有効
である。炭素原子及び/または酸素原子/及びまたは窒
素原子の含有量はシリコン原子と炭素原子及び/または
酸素原子及び/または窒素原子の和に対して好ましくは
0.00001〜50原子%、より好ましくは0.01
〜40原子%、最適には1〜30原子%が望ましい。炭
素原子及び/または酸素原子及び/または窒素原子は、
第2の層領域中に万偏なく均一に含有されても良いし、
光導電層の層厚方向に含有量が変化するように不均一な
分布をもたせた部分があっても良い。
【0069】さらに本発明においては、第2の層領域1
03には必要に応じて伝導性を制御する原子(M)を含
有させることが好ましい。伝導性を制御する原子は、光
導電層第2領域103中に万偏なく均一に分布した状態
で含有されても良いし、あるいは層厚方向には不均一な
分布状態で含有している部分があってもよい。
【0070】前記の伝導性を制御する原子としては、半
導体分野における、いわゆる不純物を挙げることがで
き、p型伝導特性を与える周期律表III 族に属する原子
(以後「第III 族原子」と略記する)またはn型伝導特
性を与える周期律表V族に属する原子(以後「第V族原
子」と略記する)を用いることができる。
【0071】第III 族原子としては、具体的には、B
(硼素),Al(アルミニウム),Ga(ガリウム),
In(インジウム),Tl(タリウム),等があり、特
にB,Al,Gaが好適である。第V族原子としては、
具体的にはP(燐),As(砒素),Sb(アンチモ
ン),Bi(ビスマス)等があり、特にP,Asが好適
である。
【0072】第2領域103に含有される伝導性を制御
する原子(M)の含有量としては、好ましくは1×10
-3〜5×104 原子ppm、より好ましくは1×10-2
〜1×104 原子ppm、最適には1×10-1〜5×1
3 原子ppmとされるのが望ましい。伝導性を制御す
る原子、たとえば、第III 族原子あるいは第V族原子を
構造的に導入するには、層形成の際に、第III 族原子導
入用の原料物質あるいは第V族原子導入用の原料物質を
ガス状態で反応容器中に、第2の層領域103を形成す
るための他のガスとともに導入してやればよい。第III
族原子導入用の原料物質あるいは第V族原子導入用の原
料物質となり得るものとしては、常温常圧でガス状のま
たは、少なくとも層形成条件下で容易にガス化し得るも
のが採用されるのが望ましい。そのような第III 族原子
導入用の原料物質として具体的には、硼素原子導入用と
しては、B26 ,B410,B59 ,B511,B
610,B612,B614等の水素化硼素、BF3
BCl3 ,BBr3 等のハロゲン化硼素等が挙げられ
る。この他、AlCl3 ,GaCl3 ,Ga(CH33
,InCl3 ,TlCl3 等も挙げることができる。
【0073】第V族原子導入用の原料物質として本発明
において、有効に使用されるのは、燐原子導入用として
は、PH3 ,P24 等の水素化燐、PH4 I,PF
3 ,PF5 ,PCl3 ,PCl5 ,PBr3 ,PBr
5 ,PI3 等のハロゲン化燐が挙げられる。この他、A
sH3 ,AsF3 ,AsCl3 ,AsBr3 ,AsF
5 ,SbH3 ,SbF3 ,SbF5 ,SbCl3 ,Sb
Cl5 ,BiH3 ,BiCl 3 ,BiBr3 等も第V族
原子導入用の出発物質の有効なものとして挙げることが
できる。
【0074】また、これらの伝導性を制御する原子導入
用の原料物質を必要に応じてH2 ,He,Ar,Ne等
のガスにより希釈して使用してもよい。
【0075】さらに本発明の第2の層領域103には、
周期律表第Ia族、IIa族、VIa族、VII 族から選ばれ
る少なくとも1種の元素を0.1から10000原子p
pm程度含有してもよい。前記元素は前記光導電層第1
領域103中に万偏無く均一に分布されてもよいし、あ
るいは第2の層領域103中に万偏無く含有されてはい
るが、層厚方向に対し不均一に分布する状態で含有して
いる部分があってもよい。
【0076】第Ia族原子としては、具体的には、Li
(リチウム),Na(ナトリウム),K(カリウム)を
挙げることができ、第IIa族原子としては、Be(ベリ
リウム),Mg(マグネシウム),Ca(カルシウ
ム),Sr(ストロンチウム),Ba(バリウム)等を
挙げることができる。
【0077】また、第VIa族原子としては、具体的に
は、Cr(クロム),Mo(モリブデン),W(タング
ステン)を挙げることができ、第VIII族原子としては、
Fe(鉄),Co(コバルト),Ni(ニッケル)等を
挙げることができる。
【0078】本発明において、第2の層領域103の層
厚は所望の電子写真特性が得られること及び経済的効果
等の点から適宜所望にしたがって決定され、好ましくは
1〜80μm、より好ましくは2〜50μm、最適には
3〜40μmとされるのが望ましい。
【0079】本発明の目的を達成し得る特性を有する第
2の層領域103を形成するには、導電性支持体101
の温度、反応容器内のガス圧を所望にしたがって、適宜
設定する必要がある。
【0080】導電性支持体101の温度(Ts)は、層
設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の
場合、好ましくは20〜500℃、より好ましくは50
〜480℃、最適には100〜450℃とするのが望ま
しい。
【0081】反応容器内のガス圧も同様に層設計にした
がって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好ま
しくは1×10-5〜100Torr、好ましくは5×1
-5〜30Torr、最適には1×10-4〜10Tor
rとするのが好ましい。
【0082】本発明においては、第2の層領域を形成す
るための基体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前
記した範囲が挙げられるが、条件は通常は独立的に別々
に決められるものではなく、所望の特性を有する光受容
部材を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて最
適値を決めるのが望ましい。
【0083】さらに、本発明の電子写真用光受容部材は
第2の層領域103の上に表面層を設けることも有効
で、電子写真用光受容部材としての所望の特性、例えば
電荷保持性、耐環境性、耐擦性等がさらに向上する。
【0084】表面層の形成方法としては、RFプラズマ
CVD法、マイクロ波、プラズマCVD法、スパッタリ
ング法、イオンプレーティング法等が好ましいものとし
て挙げられる。
【0085】例えばa−SiCで構成された表面層を、
マイクロ波プラズマCVD法で形成するには、基本的に
シリコン原子を供給し得るSi供給用ガスと炭素原子
(C)を供給し得るC供給用ガスとを内部が減圧可能な
反応容器内に所望のガス状態で導入し、反応容器内でグ
ロー放電を生起させあらかじめ所定の位置に設置された
導電性基体101上にa−SiCからなる層を形成すれ
ばよい。
【0086】本発明において使用されるSi供給ガスと
なり得る物質としては、SiH4 ,Si26 ,Si3
8 ,Si410等のガス状態の、またはガス化し得る
水素化珪素(シラン類)が有効に使用されるものとして
挙げられ、更に層作成時の取り扱い易さ、Si供給効率
の良さ等の点でSiH4 ,Si26 が好ましいものと
して挙げられる。また、これらのSi供給用の原料ガス
を必要に応じてH2 ,He,Ar,Ne等のガスにより
希釈して使用しても本発明には何等差し支えない。
【0087】炭素原子(C)導入用の原料ガスになり得
るものとして有効に使用される出発物質は、CとHとを
構成原子とする、例えば炭素数1〜5の飽和炭化水素、
炭素数2〜4のエチレン系炭化水素、炭素数2〜3のア
セチレン系炭化水素等が挙げられる。具体的には、飽和
炭化水素としては、メタン(CH4 ),エタン(C26
),プロパン(C38 ),n−ブタン(n−C4
10),ペンタン(C512),エチレン系炭化水素とし
ては、エチレン(C24 ),プロピレン(C 3
6 )、ブテン−1(C48 ),ブテン−2(C4
8 ),イソブチレン(C48 ),ペンテン(C5
10),アセチレン系炭化水素としては、アセチレン
(C22 ),メチルアセチレン(C34 ),ブチン
(C46 )等が挙げられる。この他に、CF4 ,CF
3 ,C26 ,C38 ,C48 等のフッ化炭素化合
物も本発明のC供給用ガスとして使用できる。また、こ
れらのC供給用の原料ガスを必要に応じてH2 ,He,
Ar,Ne等のガスにより希釈して使用することも本発
明には有効である。また、Si(CH34 ,Si(C
25 4 等のケイ化アルキルを上記の原料ガスと併せ
て使用することも本発明では有効である。
【0088】その他、窒素(N2 ),アンモニア(NH
3 )等の窒素原子を含む元素、酸素(O2 ),一酸化窒
素(NO),二酸化窒素(NO2 ),酸化二窒素(N2
O),一酸化炭素(CO),二酸化炭素(CO2 )等酸
素原子を含む元素、四弗化ゲルマニウム(GeF4 ),
弗化窒素(NF3 )等の弗素化合物またはこれらの混合
ガスを表面層の形成時に同時に導入しても本発明は同様
に有効である。
【0089】また本発明は表面層中に前記の原子以外に
微量(1原子%以下)であれば他の如何なる原子を含有
することも可能である。
【0090】本発明に使用される上記のような原料ガス
は、各々異なる供給源(ボンベ)から供給してもよい
し、また、あらかじめ一定の濃度で混合されたガスを使
用することも本発明には有効である。
【0091】本発明において表面層としてa−SiCを
用いる場合、炭素原子の含有量はシリコン原子と炭素原
子の和に対して好ましくは20〜90原子%、より好ま
しくは30〜85原子%、最適には40〜80原子%と
するのが望ましい。
【0092】また水素原子またはハロゲン原子の含有
量、または水素原子とハロゲン原子の和の量はシリコン
原子と炭素原子と、水素原子または/及びハロゲン原子
の和に対して好ましくは10〜70原子%、より好まし
くは20〜65原子%、最適には30〜60原子%とさ
れるのが望ましい。
【0093】さらにまた第2の層領域と表面層の間に炭
素原子の含有量、及び水素原子または/及びハロゲン原
子の含有量が徐々に変化する領域を設けても良い。
【0094】本発明において、表面層の層厚は所望の電
子写真特性が得られること、及び経済的効果等の点から
好ましくは0.01〜30μm、より好ましくは0.0
5〜20μm、最適には、0.1〜10μmとされるの
が望ましい。
【0095】本発明において表面層を形成する条件は、
所望の電子写真特性が得られるように、適宜決定するこ
とができる。例えば基体温度は適宜最適範囲が選択され
るが、好ましくは20〜500℃、より好ましくは50
〜480℃、最適には100〜450℃とするのが望ま
しい。また、反応容器内のガス圧も適宜最適範囲が選択
されるが、好ましくは1×10-5〜100Torr、よ
り好ましくは5×10 -5〜30Torr、最適には1×
10-4〜10Torrとするのが望ましい。
【0096】本発明においては、表面層を形成するため
の基体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前記した
範囲が挙げられるが、条件は通常は独立的に別々に決め
られるものではなく、所望の特性を有する光受容部材を
形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて最適値を
決めるのが望ましい。
【0097】さらに本発明によって形成される電子写真
用光受容部材の層構成は、電子写真用光受容部材として
の所望の特性を得るために必要に応じて、上記光導電層
と表面層以外に、所望の特性を有する密着層、下部及び
/または上部電荷注入阻止層等を設けることも有効であ
る。
【0098】以下、第1の本発明の電子写真用光受容部
材の形成方法の手順について説明する。
【0099】図2は高周波プラズマCVD法による堆積
膜形成装置の全体の構成の一例を模式的に示したもので
ある。この装置を用いた光導電層の形成手順の例を以下
に述べる。
【0100】反応容器2111内に円筒状の基体211
2を設置し、不図示の排気装置(例えば真空ポンプ)に
より反応容器2111内を排気する。続いて、支持体加
熱用ヒーター2113により基体2112の温度を20
℃〜500℃の所定の温度に制御する。
【0101】堆積膜形成用の原料ガスを反応容器211
1に流入させるには、ガスボンベバルブ2231〜22
36、反応容器のリークバルブ2117が閉じられてい
ることを確認し、また、流入バルブ2241〜224
6、流出バルブ2251〜2256、補助バルブ226
0が開かれていることを確認して、まずメインバルブ2
118を開いて反応容器2111およびガス配管内21
16を排気する。
【0102】次に真空計2119の読みが約5×10-6
Torrになった時点で補助バルブ2260、流出バル
ブ2251−2256を閉じる。
【0103】その後、ガスボンベ2221〜2226よ
り各ガスをガスボンベバルブ2231〜2236を開い
て導入し、圧力調整器2261〜2266により各ガス
圧を2Kg/cm2 に調整する。次に、流入バルブ22
41〜2246を徐々に開けて、各ガスをマスフローコ
ントローラー2211〜2216内に導入する。
【0104】以上のようにして成膜の準備が完了した
後、基体2112上に光導電層および表面層の形成を行
う。
【0105】基体2112が所定の温度になったところ
で流出バルブ2251〜2256のうちの必要なものお
よび補助バルブ2260を徐々に開き、ガスボンベ22
21〜2226から所定のガスをガス導入管2114を
介して反応容器2111内に導入する。次にマスフロー
コントローラー2211〜2216によって各原料ガス
が所定の流量になるように調整する。その際、反応容器
2111内の圧力が1Torr以下の所定の圧力になる
ように真空計2119を見ながらメインバルブ2118
の開口を調整する。内圧が安定したところで、高周波電
源2120を所望の電力に設定して、高周波マッチング
ボックス2115を通じて反応容器2111内に高周波
電力を導入し、グロー放電を生起させる。この放電エネ
ルギーによって反応容器内に導入された原料ガスが分解
され、基体2112上に所定の光導電層が形成される。
所望の膜厚の形成が行われた後、高周波電力の供給を止
め、流出バルブを閉じて反応容器へのガスの流入を止
め、堆積膜の形成を終える。
【0106】同様の操作を複数回繰り返すことによっ
て、所望の多層構造の光受容層が形成される。
【0107】それぞれの層を形成する際には必要なガス
以外の流出バルブはすべて閉じられていること、また上
述のガス種およびバルブ操作は各々の層の作成条件にし
たがって変更が加えられることは言うまでもない。
【0108】またマイクロ波プラズマCVD法による堆
積膜形成装置を用いた場合の電子写真用光受容部材の形
成手順を説明する。図3(A)、(B)はマイクロ波プ
ラズマCVD法の堆積膜形成装置の反応容器一例の縦断
面と横断面をそれぞれ模式的に示した図であり、図4は
同装置の全体の構成を模式的に示した図である。
【0109】まず、反応容器3001内にあらかじめ脱
脂洗浄された円筒状の導電性基体3005を設置し、駆
動装置3010によって導電性基体3005を回転し、
不図示の排気装置(例えば真空ポンプ)により反応容器
3001内を排気管3004を介して排気し、反応容器
3001内の圧力を1×10-6Torr以下に調整す
る。続いて、基体加熱用ヒーター3006により導電性
基体3005の温度を20℃〜500℃の所定の温度に
加熱保持する。
【0110】光受容部材形成用の原料ガスを反応容器3
001に流入させるには、ガスボンベのバルブ4031
〜4036、反応容器リークバルブ(不図示)が閉じら
れていることを確認し、また、流入バルブ4041〜4
046、流出バルブ4051〜4056、補助バルブ4
060が開かれていることを確認して、まずメインバル
ブ(不図示)を開いて反応容器3001およびガス配管
4017内を排気する。
【0111】次に真空計(不図示)の読みが約5×10
-6Torrになった時点で補助バルブ4060、流出バ
ルブ4051−4056を閉じる。
【0112】その後、ガスボンベ4021〜4036よ
り各ガスをバルブ4031〜4036を開いて導入し、
圧力調整器4061〜4066により各ガス圧を2Kg
/cm2 に調整する。次に、流入バルブ4041〜40
46を徐々に開けて、各ガスをマスフローコントローラ
ー4011〜4016内に導入する。
【0113】以上のようにして成膜の準備が完了した
後、導電性基体3005上に光導電層、表面層の各層の
形成を行う。
【0114】導電性基体3005が所定の温度になった
ところで流出バルブ4051〜4056のうちの必要な
ものおよび補助バルブ4060を徐々に開き、ガスボン
ベ4021〜4026から所定のガスをガス導入管30
12を介して反応容器3001内の放電空間3006に
導入する。次にマスフローコントローラー4011〜4
016によって各原料ガスが所定の流量になるように調
整する。その際、放電空間3006内の圧力が1Tor
r以下の所定の圧力になるように真空計(不図示)を見
ながらメインバルブ(不図示)の開口を調整する。圧力
が安定した後、電源3009から電極3008にたとえ
ば直流等の外部電気バイアスを所望の電圧印加し、さら
にマイクロ波電源(不図示)により、例えば周波数2.
45GHzのマイクロ波を発生させ、マイクロ波電源
(不図示)を所望の電力に設定し、導波管3003、マ
イクロ波導入窓3002を介して放電空間3006μW
エネルギーを導入して、μWグロー放電を生起させる。
このようにして導電性基体3005上に所定の光受容部
材が形成される。この時、層形成の均一化を図るため駆
動手段3010によって、所望の回転速度で回転させ
る。
【0115】所望の膜厚の形成が行われた後、μW電力
の供給を止め、流出バルブを閉じて反応容器へのガスの
流入を止め、堆積膜の形成を終える。
【0116】同様の操作を複数回繰り返すことによっ
て、所望の多層構造の光受容層が形成される。
【0117】それぞれの層を形成する際には必要なガス
以外の流出バルブはすべて閉じられていること、また上
述のガス種およびバルブ操作は各々の層の作成条件にし
たがって変更が加えられることは言うまでもない。 (第2の本発明)以下第2の本発明を説明する。
【0118】本発明の電子写真用光受容部材は、支持体
と該支持体上にシリコン原子とゲルマニウム原子と、酸
素原子または/及び窒素原子と、水素原子または/及び
ハロゲン原子を構成要素として含む非単結晶材料で構成
された第1の層領域と、シリコン原子を母体とし水素原
子または/及びハロゲン原子を構成要素として含む非単
結晶材料で構成され光導電性を示す第2の層領域とが前
記支持体側より順次積層された光受容層とを有し、前記
第1の層領域においてシリコン原子との結合を少なくと
も1つ持つゲルマニウム原子が第1の層領域中の全ゲル
マニウム原子の40〜100%、かつ酸素原子を含む場
合はシリコン原子との結合を少なくとも1つ持つ酸素原
子が第1の層領域中の全酸素原子の20〜100%、か
つ窒素原子を含む場合はシリコン原子との結合を少なく
とも1つ持つ窒素原子が第1の層領域中の全窒素原子の
20〜100%であることを特徴としている。
【0119】上記のような構成を取るように設計された
本発明の電子写真用光受容部材は前述のような諸問題を
全て解決することができ、きわめて優れた電気特性、光
学的特性、光導電特性、画像特性、及び耐久性を示す。
【0120】本発明者らは、前述のような問題点、特に
ハーフトーン画像におけるゴースト等の画像濃度むらを
解決するため、光導電層のゲルマニウムを含む層領域の
改質に鋭意検討を重ねて来た。その結果、前記層領域の
ゲルマニウム原子の結合状態を特定化し、さらに酸素原
子または/及び窒素原子の結合状態を特定化することに
より目的を達成することができるという知見を得た。
【0121】シリコン原子を母体とし少なくとも水素原
子または/及びハロゲン原子を構成要素として含むアモ
ルファスシリコン(以後、「a−Si:H,X」と表記
す)膜の光導電層の下部領域に、ゲルマニウム原子及び
酸素原子または/及び窒素原子を含む膜(以後、「a−
Six Geyuv (H,X)」と表記する)で、a
−Six Geyuv (H,X)膜を従来のように特
に結合状態にこだわらずに形成した場合、シリコン原子
とゲルマニウム原子と、酸素原子または/及び窒素原子
は均一な分布にはならず、シリコン原子とゲルマニウム
原子と、酸素原子または/及び窒素原子のそれぞれ高濃
度な部分が存在し、それらが混在する状態になり易い。
そのためゲルマニウム原子とシリコン原子の結合(以後
「Ge−Si結合」と表記する)酸素原子とシリコン原
子の結合(以後「O−Si結合」と表記する)、窒素原
子とシリコン原子の結合(以後「N−Si結合」と表記
する)は組成から予想される値よりより少ないものとな
る。このような膜中では、例えばアモルファス状態のシ
リコン原子の結合中にゲルマニウム原子がクラスター状
の塊となって取り込まれていることが予想される。従来
のa−Six Geyuv (H,X)系膜をレーザー
ラマン分光法、FT−IR、オージェ、SIMS等によ
り膜中の構成原子の結合状態を分析したところ、シリコ
ン原子との結合を少なくとも1つ持つゲルマニウム原子
は膜中の全ゲルマニウム原子の30%以下と少なく、ま
たゲルマニウム原子どうしの結合(以後「Ge−Ge結
合」と表記する)を持っているゲルマニウム原子の割合
が、膜中の全ゲルマニウム原子の80%程度あることが
解り、これらのことはa−Six Geyuv (H,
X)膜中でゲルマニウム原子がクラスターを形成してい
る事を裏付けている。酸素原子とシリコン原子間の結合
または/及び窒素原子とシリコン原子間の結合に関して
も同様のことが言えるこのようなa−Six Geyu
v (H,X)膜系膜中に存在するクラスターの影響に
ついては、なお本発明者らの想像をも含むものである
が、例えば次のように考えられる。
【0122】まず比較的大きなクラスターの影響が考え
られる。a−SiGe系膜を形成する場合、とくに比較
的ゲルマニウム原子の含有量が多い場合では、ゲルマニ
ウム原子が互いに数100個程度結合した大きなクラス
ターを形成していることも考えられる。このような大き
なクラスターが膜中に存在すると、膜中を移動するキャ
リアがクラスターにトラップされ易くなるのではないか
と考えられる。
【0123】また比較的小さなクラスターの存在による
a−SiGe系膜のストレスの影響が考えられる。例え
ばゲルマニウム原子どうしが互いに数10個程度結合し
た比較的小さなクラスターがある場合、シリコン原子の
結合手とゲルマニウム原子の結合手ではその長さが異な
るため、ゲルマニウム原子のクラスターとそれを取り囲
むシリコン原子との結合の間にストレスを発生させる事
になる。こうして生じたストレスがキャリアの走行を悪
化させているのではないかと考えられる。また酸素原子
または/及び窒素原子の高濃度な部分が存在する場合に
も同様のことが考えられる。
【0124】以上のような考察から、特にa−Six
yuv (H,X)系膜ではシリコン原子中にゲル
マニウム原子と、酸素原子または/及び窒素原子を均一
に分布させ、Ge−Si結合と、O−Si結合または/
及びN−Si結合を促進してゲルマニウム原子、酸素原
子及び/または窒素原子のクラスターの形成をできる限
り少なくすることが特性向上のために不可欠であると考
えられる。
【0125】そこで本発明者らは、a−Six Gey
uv (H,X)系膜の形成において結合状態を制御し
てGe−Si結合をすくなくとも1つ持つゲルマニウム
原子の割合、及びO−Si結合を少なくとも1つ持つ酸
素原子の割合または/及びN−Si結合を少なくとも1
つ持つ窒素原子の割合を、それぞれ従来のa−Six
yuv (H,X)系膜よりも大幅に多くすること
により、前述のような問題点を全て解決するに至ったの
である。
【0126】すなわち本発明によれば、a−Six Ge
yuv (H,X)膜中の構成原子の結合状態を改善
する事により、高速での繰り返し使用においても帯電能
を高く保ったまま「ゴースト」現象やハーフトーンむら
がほとんどまったく見られない優れた特性を有した電子
写真用光受容部材を得る事ができた。
【0127】また本発明によれば、支持体表面の凹凸異
物が原因となる白ポチ等の画像欠陥を低減することがで
きた。これはa−Six Geyuv (H,X)膜中
にゲルマニウム原子と、酸素原子または/及び窒素原子
が均一に分布していることにより、支持体の凹凸部や異
物からの膜の異常成長の発生を抑える効果があるためと
考えられる。
【0128】さらに本発明によれば、a−Six Gey
uv (H,X)系膜の長波長光の光吸収が大幅に向
上し、従来のa−Six Geyuv (H,X)系膜
よりも少ないゲルマニウム原子の含有量で基体面からの
反射光による干渉を防止することが可能となり、a−S
x Geyuv (H,X)系膜を持つ電子写真用光
受容部材のコストダウンを促進する事ができた。
【0129】以下、図面に従って本発明の電子写真用光
受容部材についてより詳細に説明する。
【0130】図1は本発明の電子写真用光受容部材の層
構成の一例を示した模式的断面図である。本発明の電子
写真用光受容部材100は、光受容部材用としての支持
体101の上に、a−Six Geyuv (H,X)
で構成される第1の領域102、a−Si(H、X)で
構成される第2の領域103を順次積層してなってい
る。
【0131】本発明において使用される支持体101と
しては、例えば、Al,Cr,Mo,Au,In,N
b,Te,V,Ti,Pt,Pd,Fe等の金属、およ
びこれらの合金、例えばステンレス等挙げられる。ま
た、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、
セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリスチレン、ポリアミド等の合成樹脂のフィルム
またはシート、ガラス、セラミック等の電気絶縁性支持
体の少なくとも光受容層を形成する側の表面を導電処理
した支持体も用いることができる。さらに、第1の層領
域102を形成する側とは反対側の表面も導電処理する
ことがより好ましい。
【0132】本発明に於いて使用される導電性支持体1
01の形状は平滑表面あるいは凹凸表面の円筒状または
板状無端ベルト状であることができ、その厚さは、所望
通りの電子写真用光受容部材100を形成し得るように
適宜決定するが、電子写真用光受容部材100としての
可撓性が要求される場合には、導電性支持体101とし
ての機能が充分発揮できる範囲内で可能な限り薄くする
ことができる。しかしながら、導電性支持体101に製
造上および取り扱い上、機械的強度等の点から通常は1
0μm以上とされる。
【0133】特にレーザー光などの可干渉性光を用いて
像記録を行う場合には、可視画像において現われる、い
わゆる干渉縞模様による画像不良をより効果的に解消す
るために、導電性支持体101の表面に凹凸を設けても
よい。
【0134】導電性支持体101の表面に設けられる凹
凸は、特開昭60−168156号公報、同60−17
8457号公報、同60−225854号公報等に記載
された公知の方法により作成される。
【0135】また、レーザー光などの可干渉光を用いた
場合の干渉縞模様による画像不良をより効果的に解消す
る別の方法として、導電性支持体101の表面に複数の
球状痕跡窪みによる凹凸形状を設けてもよい。即ち、導
電性支持体101の表面が電子写真用光受容部材100
に要求される解像力よりも微小な凹凸を有し、しかも該
凹凸は、複数の球状痕跡窪みによるものである。導電性
支持体101の表面に設けられる複数の球状痕跡窪みに
よる凹凸は、特開昭61−231561号公報に記載さ
れた公知の方法により作成される。
【0136】本発明の第1の層領域102は、シリコン
原子とゲルマニウム原子と、酸素原子または/及び窒素
原子と、水素原子または/及びハロゲン原子との構成要
素として含む非単結晶材料で構成され、シリコン原子と
の結合を少なくとも1つ持つゲルマニウム原子が第1の
層領域中の全ゲルマニウム原子の40〜100%、且つ
酸素原子を含む場合はシリコン原子との結合を少なくと
も1つ持つ酸素原子が第1の層領域中の全酸素原子の2
0〜100%、且つ窒素原子を含む場合はシリコン原子
との結合を少なくとも1つ持つ窒素原子が第1の層領域
中の全窒素原子の20〜100%になるように形成され
る。
【0137】その形成方法は、プラズマCVD法、スパ
ッタリング真空堆積膜形成方法によって、所望特性が得
られるように適宜成膜パラメーターの数値条件が設定さ
れて作成される。具体的には、例えばグロー放電法、或
いはイオンプレーテイング法等が好適であるが、いずれ
の方法でも第1の層領域に含有される全ゲルマニウム原
子に対してGe−Si結合を少なくとも1つ持つゲルマ
ニウム原子の割合、及び全酸素原子に対してO−Si結
合を少なくとも1つ持つ酸素原子の割合または/及び全
窒素原子に対してN−Si結合を少なくとも1つ持つ窒
素原子の割合が、従来のa−Six Geyuv
(H,X)系膜に比べて高くなるように反応を制御する
必要がある。
【0138】高周波放電法やマイクロ波放電法の様にプ
ラズマCVD法の場合はシリコン原子、ゲルマニウム原
子、酸素原子または/及び窒素原子の結合の制御の方法
の例としては原料ガス種の選択と放電中の電界の印加に
よるイオンの利用が挙げられる。
【0139】第1の層領域において、全ゲルマニウム原
子に対してGe−Si結合を少なくとも1つ持つゲルマ
ニウム原子の割合、及び全酸素原子に対してO−Si結
合を少なくとも1つ持つ酸素原子の割合または/及び全
窒素原子に対してN−Si結合を少なくとも1つ持つ窒
素原子の割合を従来より多くする方法としては、シリコ
ン原子供給の原料ガスとしてSiH4 、Si26 等の
水素化珪素類やSiHCl3 等の塩素化珪素類、またS
iF4 等の弗化珪素類などのシリコン原子含有ガスと、
ゲルマニウム原子供給用の原料ガスとしてGeHCl
3 ,GeH2 Cl 2 ,GeH3 Cl等の水素化塩化ゲル
マニウム類などの比較的分解の遅いガスを用い、酸素原
子供給用の原料ガスとしてO2 ,O3 ,H2 O等、窒素
原子供給用の原料ガスとしてN2 ,NH3 等を用い、ま
た酸素原子と窒素原子を同時に供給できる原料ガスとし
てNO,NO2 ,N2 O,N23 ,N24 ,N2
5 等を用いることが特に高周波放電法やマイクロ波放電
法の場合に有効である。またゲルマニウム供給用のガス
として、上記水素化塩化ゲルマニウム系ガスと共に、G
eH4 ,GeF4 等を用いても良い。また、これらのシ
リコン原子供給用の原料ガス、ゲルマニウム原子供給用
のガス、酸素原子供給用の原料ガス及び窒素原子供給用
の原料ガスを必要に応じてH2 ,He,Ar,Ne等の
ガスにより希釈して使用してもよい。
【0140】本発明において使用されるハロゲン原子供
給用の原料ガスとして有効なのは、たとえばハロゲンガ
ス、ハロゲン化物、ハロゲンを含むハロゲン間化合物、
ハロゲンで置換されたシラン誘導体等のガス状のまたは
ガス化し得るハロゲン化合物が好ましく挙げられる。ま
た、さらにはシリコン原子とハロゲン原子とを構成要素
とするガス状のまたはガス化し得る、ハロゲン原子を含
む水素化珪素化合物も有効なものとして挙げることがで
きる。本発明に於いて好適に使用し得るハロゲン化合物
としては、具体的に弗素ガス(F2 ),BrF,Cl
F,ClF3 ,BrF3 ,BrF5 ,lF3 ,lF7
のハロゲン間化合物を挙げることができるハロゲン原子
を含む珪素化合物、いわゆるハロゲン原子で置換された
シラン誘導体としては、具体的には、たとえばSiF
4 ,Si26 等のフッ化珪素を好ましいものとして挙
げることができる。
【0141】また、マイクロ波放電法においては、上記
の方法と共に放電空間中に電界を掛けイオンを効果的に
支持体表面に到達させることにより、ゲルマニウム原
子、酸素原子または/及び窒素原子の結合状態の制御の
効果がより大きなものになる。この外部電気バイアスは
直流電圧、パルス状の電圧、整流器により整流された時
間によって大きさが変化する脈動電圧でもよく、正弦
波、矩形波等の波形を持った交流電圧も使用できる。外
部電気バイアスの電圧としてはいずれも実効値で15V
以上300V以下、好ましくは、30V以上200V以
下が適するが、堆積膜の所望の特性が得られるようにそ
の他のパラメーターと関連して適宜決定される。
【0142】本発明の光受容部材の第1の領域は102
は、a−Six Geyuv (H,X)膜中に含有さ
れる全ゲルマニウム原子に対して、Ge−Si結合を少
なくとも1つ持つゲルマニウム原子の割合が好ましくは
40〜100%、より好ましくは45〜100%、最適
には50〜100%であることが望ましい。
【0143】またシリコン原子との結合を少なくとも1
つ持つ酸素原子の割合が第1の層領域中の全酸素原子の
好ましくは20〜100%。より好ましくは25〜10
0%、最適には30〜100%であることが望ましい。
【0144】またシリコン原子との結合を少なくとも1
つ持つ窒素原子の割合が第1の層領域中の全窒素原子の
好ましくは20〜100%。より好ましくは25〜10
0%、最適には30〜100%であることが望ましい。
【0145】本発明の第1の層領域中のゲルマニウム原
子の含有量は、シリコン原子とゲルマニウム原子の和に
対して好ましくは20〜80原子%、より好ましくは2
5〜75原子%、最適には30〜70原子%が望ましい
ものとしてあげられる。このゲルマニウム原子は、第1
の層領域光導電層中に万偏なく均一に含有されても良い
し、第1の層領域の層厚方向に含有量が変化するような
不均一な分布をもたせた部分があっても良い。
【0146】ゲルマニウム原子の含有量がシリコン原子
とゲルマニウム原子との和に対して20%未満の場合
は、光源の特に長波長光の吸収が充分ではなく、干渉縞
等のハーフトーン画像ムラの発生を効果的に防止する事
が難しくなる。またゲルマニウム原子の含有量がシリコ
ン原子とゲルマニウム原子との和に対して80%を越え
る場合は、a−Six Geyuv (H,X)膜中の
Ge−Si結合を少なくとも1つ持つゲルマニウム原子
の割合を従来より多くなるように制御しても、キャリア
が走行し難くなり前述のような問題点、特にハーフトー
ン画像におけるゴースト等の画像濃度むらが発生し易く
なるなどの問題が起こるため、本発明の効果を充分には
発揮できない。
【0147】また酸素原子の含有量は、シリコン原子と
ゲルマニウム原子と酸素原子及び窒素原子の和に対して
好ましくは0.00001〜50原子%、より好ましく
は0.01〜40原子%、最適には1〜30原子%が望
ましい。
【0148】また窒素原子の含有量は、シリコン原子と
ゲルマニウム原子と酸素原子及び窒素原子の和に対して
好ましくは0.00001〜50原子%、より好ましく
は0.01〜40原子%、最適には1〜30原子%が望
ましい。
【0149】酸素原子または/及び窒素原子は、第1の
層領域中に万偏なく均一に含有されても良いし、光導電
層の層厚方向に含有量が変化するような不均一な分布を
もたせた部分があっても良い。酸素原子及び窒素原子の
含有量を変化させる場合には、酸素原子または/及び窒
素原子のもっとも多い部分で上記の含有量をとることが
好ましく、酸素原子または/及び窒素原子の少ない領域
では、上記の範囲よりも少ない含有量の部分があっても
差し支えない。
【0150】また、本発明において第1の層領域102
中に水素原子または/ハロゲン原子が含有されることが
必要であるが、これはシリコン原子及びゲルマニウム原
子の未結合手を補償し、層品質の向上、特に光導電性お
よび電荷保持特性を向上させるために必須不可欠である
からである。よって水素原子またはハロゲン原子の含有
量、または水素原子とハロゲン原子の和の量は、シリコ
ン原子とゲルマニウム原子と、酸素原子または/及び窒
素原子と、水素原子及び/またはハロゲン原子の和に対
して好ましくは1〜40原子%、より好ましくは3〜3
5原子%、最適には5〜30原子%とされるのが望まし
い。
【0151】第1の層領域102中に含有される水素原
子または/及びハロゲン原子の量を制御するには、例え
ば支持体101の温度、水素原子または/及びハロゲン
原子を含有させるために使用される原料物質の反応容器
内へ導入する量、放電電力等を制御すればよい。
【0152】また第1の層領域に炭素原子を含有させる
ことも有効で、本発明の効果をさらに助長する事ができ
る。炭素原子の含有量はシリコン原子とゲルマニウム原
子と炭素原子の和に対して好ましくは0.00001〜
50原子%、より好ましくは、0.01〜40原子%、
最適には1〜30原子%が望ましい。炭素原子は、第1
の層領域中に万偏なく均一に含有されても良いし、光導
電層の層厚方向に含有量が変化するような不均一な分布
をもたせた部分があっても良い。
【0153】炭素原子(C)導入用の原料ガスになり得
るものとして有効に使用される出発物質は、CとHとを
構成原子とする、例えば炭素数1〜5の飽和炭化水素、
炭素数2〜4のエチレン系炭化水素、炭素数2〜3のア
セチレン系炭化水素等が挙げられる。具体的には、飽和
炭化水素としては、メタン(CH4 ),エタン(C26
),プロパン(C38 ),n−ブタン(n−C4
10),ペンタン(C512),エチレン系炭化水素とし
ては、エチレン(C24 ),プロピレン(C 3
6 ),ブテン−1(C48 ),ブテン−2(C4
8 ),イソブチレン(C48 ),ペンテン(C5
10),アセチレン系炭化水素としては、アセチレン
(C22 ),メチルアセチレン(C34 ),ブチン
(C46 )等が挙げられる。この他に、CF4 ,CF
3 ,C26 ,C38 ,C48 等のフッ化炭素化合
物も本発明のC供給用ガスとして使用できる。また、こ
れらのC供給用の原料ガスを必要に応じてH2 ,He,
Ar,Ne等のガスにより希釈して使用する事も本発明
には有効である。また、Si(CH34 ,Si(C2
54等のケイ化アルキルを上記の原料ガスと併せて
使用することも本発明では有効である。
【0154】また本発明においては、第1の層領域10
2には必要に応じて伝導性を制御する原子(M)を含有
させることが好ましい。伝導性を制御する原子は、第1
の層領域102中に万偏なく均一に分布した状態で含有
されても良いし、あるいは層厚方向には不均一な分布状
態で含有している部分があってもよい。
【0155】前記の伝導性を制御する原子としては、半
導体分野における、いわゆる不純物を挙げることがで
き、p型伝導特性を与える周期律表III 族に属する原子
(以後「第III 族原子」と略記する)またはn型伝導特
性を与える周期律表V族に属する原子(以後「第V族原
子」と略記する)を用いることができる。
【0156】第III 族原子としては、具体的には、B
(硼素),Al(アルミニウム),Ga(ガリウム),
In(インジウム),Tl(タリウム),等があり、特
にB,Al,Gaが好適である。第V族原子としては、
具体的にはP(燐),As(砒素),Sb(アンチモ
ン),Bi(ビスマス)等があり、特にP,Asが好適
である。
【0157】第1領域102に含有される伝導性を制御
する原子(M)の含有量としては、好ましくは1×10
-3〜1×105 原子ppm、より好ましくは1×10-2
〜5×104 原子ppm、最適には1×10-1〜1×1
4 原子ppmとされるのが望ましい。伝導性を制御す
る原子、たとえば、第III 族原子あるいは第V族原子を
構造的に導入するには、層形成の際に、第III 族原子導
入用の原料物質あるいは第V族原子導入用の原料物質を
ガス状態で反応容器中に、第1の層領域102を形成す
るための他のガスとともに導入してやればよい。第III
族原子導入用の原料物質あるいは第V族原子導入用の原
料物質となり得るものとしては、常温常圧でガス状のま
たは、少なくとも層形成条件下で容易にガス化し得るも
のが採用されるのが望ましい。そのような第III 族原子
導入用の原料物質として具体的には、硼素原子導入用と
しては、B26 ,B410,B59 ,B511,B
610,B612,B614等の水素化硼素、BF3
BCl3 ,BBr3 等のハロゲン化硼素等が挙げられ
る。この他、AlCl3 ,GaCl3 ,Ga(CH33
,InCl3 ,TlCl3 等も挙げることができる。
【0158】第V族原子導入用の原料物質として本発明
において、有効に使用されるのは、燐原子導入用として
は、PH3 ,P24 等の水素化燐、PH4 I,PF
3 ,PF5 ,PCl3 ,PCl5 ,PBr3 ,PBr
5 ,PI3 等のハロゲン化燐が挙げられる。この他、A
sH3 ,AsF3 ,AsCl3 ,AsBr3 ,AsF
5 ,SbH3 ,SbF3 ,SbF5 ,SbCl3 ,Sb
Cl5 ,BiH3 ,BiCl 3 ,BiBr3 等も第V族
原子導入用の出発物質の有効なものとして挙げることが
できる。また、これらの伝導性を制御する原子導入用の
原料物質を必要に応じてH2 ,He,Ar,Ne等のガ
スにより希釈して使用してもよい。
【0159】これらの伝導性を制御する原子の導入量を
適宜設定することにより第1の層領域102に支持体か
らの電荷の注入を阻止する阻止層としての役割も持たせ
ることができる。また支持体101と第1の層領域10
2の間または及び第1の層領域102と第2の層領域1
03の間に阻止層を別に設けてもよい。
【0160】さらに本発明の第1の層領域102には、
周期律表第Ia族、IIa族、VIa族VII 族から選ばれる
少なくとも1種の元素を0.1から10000原子pp
m程度含有してもよい。前記元素は前記光導電層第1領
域103中に万偏無く均一に分布されてもよいし、ある
いは第2の層領域103中に万偏無く含有されてはいる
が、層厚方向に対し不均一に分布する状態で含有してい
る部分があってもよい。
【0161】第Ia族原子としては、具体的には、Li
(リチウム),Na(ナトリウム),K(カリウム)を
挙げることができ、第IIa族原子としては、Be(ベリ
リウム),Mg(マグネシウム),Ca(カルシウ
ム),Sr(ストロンチウム),Ba(バリウム)等を
挙げることができる。
【0162】また、第VIa族原子としては、具体的に
は、Cr(クロム),Mo(モリブデン),W(タング
ステン)を挙げることができ、第VII 族原子としては、
Fe(鉄),Co(コバルト),Ni(ニッケル)等を
挙げることができる。
【0163】また本発明の第1の領域102と第2の領
域103の間にゲルマニウム原子、酸素原子または/及
び窒素原子それぞれの含有量が第2の領域に向かって減
少するように変化する領域を設けても良く、ゲルマニウ
ム原子、酸素原子または/及び窒素原子が同時に変化し
ても、またそれぞれ個々に変化しても良い。これにより
第1の領域と第2の領域の界面での反射光による干渉の
影響をより少なくする事ができる。
【0164】さらに本発明の光受容部材においては、第
1の層領域102の前記支持体101側に、少なくとも
アルミニウム原子、シリコン原子、ゲルマニウム原子、
酸素原子または/及び窒素原子、水素原子または/及び
ハロゲン原子が層厚方向に不均一な分布状態で含有する
層領域を有することが望ましい。
【0165】またさらに、本発明では第1の層領域10
2中に前記の原子以外に微量(1原子%以下)であれば
他の如何なる原子を含有することも可能である。
【0166】本発明の第1の層領域102の膜厚は所望
の電子写真特性が得られること及び経済的効果等の点か
ら適宜所望にしたがって決定され、好ましくは30A〜
20μm、より好ましくは50A〜15μm、最適には
100A〜10μmとされるのが望ましい。
【0167】本発明の目的を達成し得る特性を有する第
1の層領域102を形成するには、導電性支持体101
の温度、反応容器内のガス圧を所望にしたがって、適宜
設定する必要がある。
【0168】支持体101の温度(Ts)は、層設計に
したがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、
好ましくは20〜500℃、より好ましくは50〜48
0℃、最適には100〜450℃とするのが望ましい。
【0169】反応容器内のガス圧も同様に層設計にした
がって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好ま
しくは1×10-5〜100Torr、より好ましくは5
×10-5〜30Torr、最適には1×10-4〜10T
orrとするのが好ましい。
【0170】本発明においては、第1の層領域を形成す
るための基体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前
記した範囲が挙げられるが、条件は通常は独立的に別々
に決められるものではなく、所望の特性を有する光受容
部材を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて最
適値を決めるのが望ましい。
【0171】本発明の光受容部材の第1の領域102
は、a−Six Geyuv (H,X)膜中におい
て、Ge−Si結合を少なくとも1つ持つゲルマニウム
原子の割合が全ゲルマニウム原子の40〜100%、且
つ酸素原子を含む場合はシリコン原子との結合を少なく
とも1つ持つ酸素原子が第1の層領域中の全酸素原子の
20〜100%、且つ窒素原子を含む場合はシリコン原
子との結合を少なくとも1つ持つ窒素原子が第1の層領
域中の全窒素原子の20〜100%になるように形成さ
れれば前述の問題点を解決した特性が得られるのであっ
て、その形成方法はいずれの方法でもよく、上記のよう
な方法に限定されないのはいうまでもない。
【0172】本発明の第2の層領域103は真空堆積膜
形成方法によって、所望特性が得られるように適宜成膜
パラメーターの数値条件が設定されて作成される。具体
的には、例えばグロー放電法(低周波CVD法、高周波
CVD法またはマイクロ波CVD法等の交流放電CVD
法、あるいは直流放電CVD法等)、スパッタリング
法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、光CVD
法、熱CVD法などの数々の薄膜堆積法によって形成す
ることができる。これらの薄膜堆積法は、製造条件、設
備資本投資下の負荷程度、製造規模、作成される電子写
真用光受容部材に所望される特性等の要因によって適宜
選択されて採用されるが、所望の特性を有する電子写真
用光受容部材を製造するに当たっての条件の制御が比較
的容易であることからしてグロー放電法、スパッタリン
グ法、イオンプレーティング法が好適である。そしてこ
れらの方法を同一装置系内で併用して形成してもよい。
例えば、グロー放電法によって第2の層領域103を形
成するには、基本的にはシリコン原子(Si)を供給し
得るSi供給用原料ガスと、水素原子(H)を供給し得
るH供給用の原料ガスとハロゲン原子(X)供給しうる
X供給用の原料ガスを、、内部が減圧にし得る反応容器
内に所望のガス状態で導入して、該反応容器内にグロー
放電を生起させ、あらかじめ所定の位置に設置されてあ
る所定の支持体101上にa−Si(H,X)からなる
層を形成すればよい。
【0173】また、本発明において第2の層領域103
中に水素原子または/及びハロゲン原子が含有されるこ
とが必要であるが、これはシリコン原子の未結合手を補
償し、層品質の向上、特に光導電性および電荷保持特性
を向上させるために必須不可欠であるからである。よっ
て水素原子またはハロゲン原子の含有量、または水素原
子とハロゲン原子の和の量はシリコン原子と水素原子ま
たは/及びハロゲン原子の和に対して1〜40原子%、
より好ましくは3〜35原子%、最適には5〜30原子
%とされるのが望ましい。
【0174】本発明において使用されるSi供給用ガス
となり得る物質としては、SiH4,Si26 ,Si3
8 ,Si410等のガス状態の、またはガス化し得
る水素化珪素(シラン類)が有効に使用されるものとし
て挙げられ、更に層作成時の取り扱い易さ、Si供給効
率の良さ等の点でSiH4 ,Si26 が好ましいもの
として挙げられる。また、これらのSi供給用の原料ガ
スを必要に応じてH2,He,Ar,Ne等のガスによ
り希釈して使用してもよい。
【0175】形成される第2の層領域103中に導入さ
れる水素原子の導入割合の制御を一層容易になるように
図るために、これらのガスに更に水素ガスまたは水素原
子を含む珪素化合物のガスを適宜混合して層形成するこ
とが好ましい。また、各ガスは単独種のみでなく所定の
混合比で複数種混合しても差し支えないものである。
【0176】水素原子を第2の層領域103中に構造的
に導入するには、上記の他にH2 、あるいはSiH4
Si26 ,Si38 ,Si410等の水素化珪素と
Siを供給するためのシリコンまたはシリコン化合物と
を反応容器中に共存させて放電を生起させることでも行
うことができる。
【0177】また本発明において使用されるハロゲン原
子供給用の原料ガスとして有効なのは、たとえばハロゲ
ンガス、ハロゲン化物、ハロゲンをふくむハロゲン間化
合物、ハロゲンで置換されたシラン誘導体等のガス状の
またはガス化し得るハロゲン化合物が好ましく挙げられ
る。また、さらにはシリコン原子とハロゲン原子とを構
成要素とするガス状のまたはガス化し得る、ハロゲン原
子を含む水素化珪素化合物も有効なものとして挙げるこ
とができる。本発明に於て好適に使用し得るハロゲン化
合物としては、具体的には弗素ガス(F2 ),BrF,
ClF,ClF 3 ,BrF3 ,BrF5 ,IF3 ,IF
7 等のハロゲン間化合物を挙げることができる。ハロゲ
ン原子を含む珪素化合物、いわゆるハロゲン原子で置換
されたシラン誘導体としては、具体的には、たとえばS
iF4 ,Si26 等のフッ化珪素が好ましいものとし
て挙げることができる。
【0178】第2の層領域103中に含有される水素原
子または/及びハロゲン原子の量を制御するには、例え
ば導電性支持体101の温度、水素原子または/及びハ
ロゲン原子を含有させるために使用される原料物質の反
応容器内へ導入する量、放電電力等を制御すればよい。
【0179】また第2の層領域に炭素原子及び/または
酸素原子及び/または窒素原子を含有させることも有効
である。炭素原子及び/または酸素原子/及びまたは窒
素原子の含有量はシリコン原子と炭素原子及び/または
酸素原子及び/または窒素原子の和に対して好ましくは
0.00001〜50原子%、より好ましくは0.01
〜40原子%、最適には1〜30原子%が望ましい。炭
素原子及び/または酸素原子及び/または窒素原子は、
第2の層領域中に万偏なく均一に含有されても良いし、
光導電層の層厚方向に含有量が変化するように不均一な
分布をもたせた部分があっても良い。
【0180】さらに本発明においては、第2の層領域1
03には必要に応じて伝導性を制御する原子(M)を含
有させることが好ましい。伝導性を制御する原子は、光
導電層第2領域103中に万偏なく均一に分布した状態
で含有されても良いし、あるいは層厚方向には不均一な
分布状態で含有している部分があってもよい。
【0181】前記の伝導性を制御する原子としては、半
導体分野における、いわゆる不純物を挙げることがで
き、p型伝導特性を与える周期律表III 族に属する原子
(以後「第III 族原子」と略記する)またはn型伝導特
性を与える周期律表V族に属する原子(以後「第V族原
子」と略記する)を用いることができる。
【0182】第III 族原子としては、具体的には、B
(硼素),Al(アルミニウム),Ga(ガリウム),
In(インジウム),Tl(タリウム),等があり、特
にB,Al,Gaが好適である。第V族原子としては、
具体的にはP(燐),As(砒素),Sb(アンチモ
ン),Bi(ビスマス)等があり、特にP,Asが好適
である。
【0183】第2領域103に含有される伝導性を制御
する原子(M)の含有量としては、好ましくは1×10
-3〜5×104 原子ppm、より好ましくは1×10-2
〜1×104 原子ppm、最適には1×10-1〜5×1
3 原子ppmとされるのが望ましい。伝導性を制御す
る原子、たとえば、第III 族原子あるいは第V族原子を
構造的に導入するには、層形成の際に、第III 族原子導
入用の原料物質あるいは第V族原子導入用の原料物質を
ガス状態で反応容器中に、第2の層領域103を形成す
るための他のガスとともに導入してやればよい。第III
族原子導入用の原料物質あるいは第V族原子導入用の原
料物質となり得るものとしては、常温常圧でガス状のま
たは、少なくとも層形成条件下で容易にガス化し得るも
のが採用されるのが望ましい。そのような第III 族原子
導入用の原料物質として具体的には、硼素原子導入用と
しては、B26 ,B410,B59 ,B511,B
610,B612,B614等の水素化硼素、BF3
BCl3 ,BBr3 等のハロゲン化硼素等が挙げられ
る。この他、AlCl3 ,GaCl3 ,Ga(CH33
,InCl3 ,TlCl3 等も挙げることができる。
【0184】第V族原子導入用の原料物質として本発明
において、有効に使用されるのは、燐原子導入用として
は、PH3 ,P24 等の水素化燐、PH4 I,PF
3 ,PF5 ,PCl3 ,PCl5 ,PBr3 ,PBr
5 ,PI3 等のハロゲン化燐が挙げられる。この他、A
sH3 ,AsF3 ,AsCl3 ,AsBr3 ,AsF
5 ,SbH3 ,SbF3 ,SbF5 ,SbCl3 ,Sb
Cl5 ,BiH3 ,BiCl 3 ,BiBr3 等も第V族
原子導入用の出発物質の有効なものとして挙げることが
できる。
【0185】また、これらの伝導性を制御する原子導入
用の原料物質を必要に応じてH2 ,He,Ar,Ne等
のガスにより希釈して使用してもよい。
【0186】さらに本発明の第2の層領域103には、
周期律表第Ia族、IIa族、VIa族、VIII族から選ばれ
る少なくとも1種の元素を0.1から10000原子p
pm程度含有してもよい。前記元素は前記光導電層第2
領域103中に万偏無く均一に分布されてもよいし、あ
るいは第2の層領域103中に万偏無く含有されてはい
るが、層厚方向に対し不均一に分布する状態で含有して
いる部分があってもよい。
【0187】第Ia族原子としては、具体的には、Li
(リチウム),Na(ナトリウム),K(カリウム)を
挙げることができ、第IIa族原子としては、Be(ベリ
リウム),Mg(マグネシウム),Ca(カルシウ
ム),Sr(ストロンチウム),Ba(バリウム)等を
挙げることができる。
【0188】また、第VIa族原子としては、具体的に
は、Cr(クロム),Mo(モリブデン),W(タング
ステン)等を挙げることができ、第VIII族原子として
は、Fe(鉄),Co(コバルト),Ni(ニッケル)
等を挙げることができる。
【0189】また本発明では第2の層領域103中に前
記の原子以外に微量(1原子%以下)であれば他の如何
なる原子を含有することも可能である。
【0190】本発明において、第2の層領域103の層
厚は所望の電子写真特性が得られること及び経済的効果
等の点から適宜所望にしたがって決定され、好ましくは
1〜80μm、より好ましくは2〜50μm、最適には
3〜40μmとされるのが望ましい。
【0191】本発明の目的を達成し得る特性を有する第
2の層領域103を形成するには、導電性支持体101
の温度、反応容器内のガス圧を所望にしたがって、適宜
設定する必要がある。
【0192】導電性支持体101の温度(Ts)は、層
設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の
場合、好ましくは20〜500℃、より好ましくは50
〜480℃、最適には100〜450℃とするのが望ま
しい。
【0193】反応容器内のガス圧も同様に層設計にした
がって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好ま
しくは1×10-5〜100Torr、より好ましくは5
×10-5〜30Torr、最適には1×10-4〜10T
orrとするのが好ましい。
【0194】本発明においては、第2の層領域を形成す
るための基体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前
記した範囲が挙げられるが、条件は通常は独立的に別々
に決められるものではなく、所望の特性を有する光受容
部材を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて最
適値を決めるのが望ましい。
【0195】さらに、本発明の電子写真用光受容部材は
第2の層領域103の上に表面層を設けることも有効
で、電子写真用光受容部材としての所望の特性、例えば
電荷保持性、耐環境性、耐擦性等がさらに向上する。
【0196】表面層の形成方法としては、RFプラズマ
CVD法、マイクロ波、プラズマCVD法、スパッタリ
ング法、イオンプレーティング法等が好ましいものとし
て挙げられる。
【0197】例えばa−SiC(H,X)で構成された
表面層を、マイクロ波プラズマCVD法で形成するに
は、基本的にシリコン原子を供給し得るSi供給用ガス
と炭素原子(C)を供給し得るC供給用ガスとを内部が
減圧可能な反応容器内に所望のガス状態で導入し、反応
容器内でグロー放電を生起させあらかじめ所定の位置に
設置された支持体101上にa−SiC(H,X)から
なる層を形成すればよい。
【0198】本発明において使用されるSi供給用ガス
となり得る物質としては、SiH4,Si26 ,Si3
8 ,Si410等のガス状態の、またはガス化し得
る水素化珪素(シラン類)が有効に使用されるものとし
て挙げられ、更に層作成時の取り扱い易さ、Si供給効
率の良さ等の点でSiH4 ,Si26 が好ましいもの
として挙げられる。また、これらのSi供給用の原料ガ
スを必要に応じてH2,He,Ar,Ne等のガスによ
り希釈して使用しても本発明には何等差し支えない。
【0199】炭素原子(C)導入用の原料ガスになり得
るものとして有効に使用される出発物質は、CとHとを
構成原子とする、例えば炭素数1〜5の飽和炭化水素、
炭素数2〜4のエチレン系炭化水素、炭素数2〜3のア
セチレン系炭化水素等が挙げられる。具体的には、飽和
炭化水素としては、メタン(CH4 ),エタン(C26
),プロパン(C38 ),n−ブタン(n−C4
10),ペンタン(C512),エチレン系炭化水素とし
ては、エチレン(C24 ),プロピレン(C 3
6 )、ブテン−1(C48 ),ブテン−2(C4
8 ),イソブチレン(C48 ),ペンテン(C5
10),アセチレン系炭化水素としては、アセチレン
(C22 ),メチルアセチレン(C34 ),ブチン
(C46 )等が挙げられる。この他に、CF4 ,CF
3 ,C26 ,C38 ,C48 等のフッ化炭素化合
物も本発明のC供給用ガスとして使用できる。また、こ
れらのC供給用の原料ガスを必要に応じてH2 ,He,
Ar,Ne等のガスにより希釈して使用することも本発
明には有効である。また、Si(CH34 ,Si(C
25 4 等のケイ化アルキルを上記の原料ガスと併せ
て使用することも本発明では有効である。
【0200】またハロゲン原子供給用の原料ガスとして
有効なのは、たとえばハロゲンガス、ハロゲン化物、ハ
ロゲンをふくむハロゲン間化合物、ハロゲンで置換され
たシラン誘導体等のガス状のまたはガス化し得るハロゲ
ン化合物が好ましく挙げられる。また、さらにはシリコ
ン原子とハロゲン原子とを構成要素とするガス状のまた
はガス化し得る、ハロゲン原子を含む水素化珪素化合物
も有効なものとして挙げることができる。本発明に於て
好適に使用し得るハロゲン化合物としては、具体的には
弗素ガス(F2 ),BrF,ClF,ClF3 ,BrF
3 ,BrF5 ,IF3 ,IF7 等のハロゲン間化合物を
挙げることができる。ハロゲン原子を含む珪素化合物、
いわゆるハロゲン原子で置換されたシラン誘導体として
は、具体的には、たとえばSiF4 ,Si26 等のフ
ッ化珪素が好ましいものとして挙げることができる。
【0201】その他、窒素(N2 ),アンモニア(NH
3 )等の窒素原子を含む元素、酸素(O2 ),一酸化窒
素(NO),二酸化窒素(NO2 ),酸化二窒素(N2
O),一酸化炭素(CO),二酸化炭素(CO2 )等酸
素原子を含む元素、四弗化ゲルマニウム(GeF4 ),
弗化窒素(NF3 )等の弗素化合物またはこれらの混合
ガスを表面層の形成時に同時に導入しても本発明は同様
に有効である。また本発明は表面層中に前記の原子以外
に微量(1原子%以下)であれば他の如何なる原子を含
有することも可能である。
【0202】本発明に使用される上記のような原料ガス
は、各々異なる供給源(ボンベ)から供給してもよい
し、また、あらかじめ一定の濃度で混合されたガスを使
用する事も本発明には有効である。
【0203】本発明において表面層としてa−SiCを
用いる場合、炭素原子の含有量はシリコン原子と炭素原
子の和に対して好ましくは20〜90原子%、より好ま
しくは30〜85原子%、最適には40〜80原子%と
するのが望ましい。
【0204】また水素原子またはハロゲン原子の含有
量、または水素原子とハロゲン原子の和の量はシリコン
原子と炭素原子と、水素原子または/及びハロゲン原子
の和に対して好ましくは10〜70原子%、より好まし
くは20〜65原子%、最適には30〜60原子%とさ
れるのが望ましい。
【0205】さらにまた第2の層領域と表面層の間に炭
素原子の含有量、及び水素原子または/及びハロゲン原
子の含有量が徐々に変化する領域を設けても良い。
【0206】本発明において、表面層の層厚は所望の電
子写真特性が得られること、及び経済的効果等の点から
好ましくは0.01〜30μm、より好ましくは0.0
5〜20μm、最適には、0.1〜10μmとされるの
が望ましい。
【0207】本発明において表面層を形成する条件は、
所望の電子写真特性が得られるように、適宜決定するこ
とができる。例えば基体温度は適宜最適範囲が選択され
るが、好ましくは20〜500℃、より好ましくは50
〜480℃、最適には100〜450℃とするのが望ま
しい。また、反応容器内のガス圧も適宜最適範囲が選択
されるが、好ましくは1×10-5〜100Torr、よ
り好ましくは5×10 -5〜30Torr、最適には1×
10-4〜10Torrとするのが望ましい。
【0208】本発明においては、表面層を形成するため
の基体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前記した
範囲が挙げられるが、条件は通常は独立的に別々に決め
られるものではなく、所望の特性を有する光受容部材を
形成すべく相互的かつ有機的関連性に基づいて最適値を
決めるのが望ましい。
【0209】さらに本発明によって形成される電子写真
用光受容部材の層構成は、電子写真用光受容部材として
の所望の特性を得るために必要に応じて、上記第1の層
領域と第2の層領域と表面層以外に、所望の特性を有す
る密着層、下部及び/または上部電荷注入阻止層等を設
けることも有効である。
【0210】以下、本発明の電子写真用光受容部材の形
成方法の手順について説明する。
【0211】図2は高周波プラズマCVD法による堆積
膜形成装置の全体の構成の一例を模式的に示したもので
ある。この装置を用いた光導電層の形成手順の例を以下
に述べる。
【0212】反応容器2111内に円筒状の基体211
2を設置し、不図示の排気装置(例えば真空ポンプ)に
より反応容器2111内を排気する。続いて、支持体加
熱用ヒーター2113により基体2112の温度を20
℃〜500℃の所定の温度に制御する。
【0213】堆積膜形成用の原料ガスを反応容器211
1に流入させるには、ガスボンベバルブ2231〜22
36、反応容器のリークバルブ2117が閉じられてい
ることを確認し、また、流入バルブ2241〜224
6、流出バルブ2251〜2256、補助バルブ226
0が開かれていることを確認して、まずメインバルブ2
118を開いて反応容器2111およびガス配管内21
16を排気する。
【0214】次に真空計2119の読みが約5×10-6
Torrになった時点で補助バルブ2260、流出バル
ブ2251〜2256を閉じる。
【0215】その後、ガスボンベ2221〜2226よ
り各ガスをガスボンベバルブ2231〜2236を開い
て導入し、圧力調整器2261〜2266により各ガス
圧を2Kg/cm2 に調整する。次に、流入バルブ22
41〜2246を徐々に開けて、各ガスをマスフローコ
ントローラー2211〜2216内に導入する。
【0216】以上のようにして成膜の準備が完了した
後、基体2112上に光導電層および表面層の形成を行
う。
【0217】基体2112が所定の温度になったところ
で流出バルブ2251〜2256のうちの必要なものお
よび補助バルブ2260を徐々に開き、ガスボンベ22
21〜2226から所定のガスをガス導入管2114を
介して反応容器2111内に導入する。次にマスフロー
コントローラー2211〜2216によって各原料ガス
が所定の流量になるように調整する。その際、反応容器
2111内の圧力が1Torr以下の所定の圧力になる
ように真空計2119を見ながらメインバルブ2118
の開口を調整する。内圧が安定したところで、高周波電
源2120を所望の電力に設定して、高周波マッチング
ボックス2115を通じて反応容器2111内に高周波
電力を導入し、グロー放電を生起させる。この放電エネ
ルギーによって反応容器内に導入された原料ガスが分解
され、基体2112上に所定の光導電層が形成される。
所望の膜厚の形成が行われた後、高周波電力の供給を止
め、流出バルブを閉じて反応容器へのガスの流入を止
め、堆積膜の形成を終える。
【0218】同様の操作を複数回繰り返すことによっ
て、所望の多層構造の光受容層が形成される。
【0219】それぞれの層を形成する際には必要なガス
以外の流出バルブはすべて閉じられていること、また上
述のガス種およびバルブ操作は各々の層の作成条件にし
たがって変更が加えられることは言うまでもない。
【0220】またマイクロ波プラズマCVD法による堆
積膜形成装置を用いた場合の電子写真用光受容部材の形
成手順を説明する。図3(A)、(B)はマイクロ波プ
ラズマCVD法の堆積膜形成装置の反応容器の一例の縦
断面と横断面をそれぞれ模式的に示した図であり、図4
は同装置の全体の構成を模式的に示した図である。
【0221】まず、反応容器3001内にあらかじめ脱
脂洗浄された円筒状の導電性基体3005を設置し、駆
動装置3010によって導電性基体3005を回転し、
不図示の排気装置(例えば真空ポンプ)により反応容器
3001内を排気管3004を介して排気し、反応容器
3001内の圧力を1×10-6Torr以下に調整す
る。続いて、基体加熱用ヒーター3006により導電性
基体3005の温度を20℃〜500℃の所定の温度に
加熱保持する。
【0222】光受容部材形成用の原料ガスを反応容器3
001に流入させるには、ガスボンベのバルブ4031
〜4036、反応容器リークバルブ(不図示)が閉じら
れていることを確認し、また、流入バルブ4041〜4
046、流出バルブ4051〜4056、補助バルブ4
060が開かれていることを確認して、まずメインバル
ブ(不図示)を開いて反応容器3001およびガス配管
4017内を排気する。
【0223】次に真空計(不図示)の読みが約5×10
-6Torrになった時点で補助バルブ4060、流出バ
ルブ4051−4056を閉じる。
【0224】その後、ガスボンベ4021〜4036よ
り各ガスをバルブ4031〜4036を開いて導入し、
圧力調整器4061〜4066により各ガス圧を2Kg
/cm2 に調整する。次に、流入バルブ4041〜40
46を徐々に開けて、各ガスをマスフローコントローラ
ー4011〜4016内に導入する。
【0225】以上のようにして成膜の準備が完了した
後、導電性基体3005上に光導電層、表面層の各層の
形成を行う。
【0226】導電性基体3005が所定の温度になった
ところで流出バルブ4051〜4056のうちの必要な
ものおよび補助バルブ4060を徐々に開き、ガスボン
ベ4021〜4026から所定のガスをガス導入管30
12を介して反応容器3001内の放電空間3006に
導入する。次にマスフローコントローラー4011〜4
016によって各原料ガスが所定の流量になるように調
整する。その際、放電空間3006内の圧力が1Tor
r以下の所定の圧力になるように真空計(不図示)を見
ながらメインバルブ(不図示)の開口を調整する。圧力
が安定した後、電源3009から電極3008にたとえ
ば直流等の外部電気バイアスを所望の電圧印加し、さら
にマイクロ波電源(不図示)により、例えば周波数2.
45GHzのマイクロ波を発生させ、マイクロ波電源
(不図示)を所望の電力に設定し、導波管3003、マ
イクロ波導入窓3002を介して放電空間3006にμ
Wエネルギーを導入して、μWグロー放電を生起させ
る。このようにして導電性基体3005上に所定の光受
容部材が形成される。この時、層形成の均一化を図るた
め駆動手段3010によって、所望の回転速度で回転さ
せる。
【0227】所望の膜厚の形成が行われた後、μW電力
の供給を止め、流出バルブを閉じて反応容器へのガスの
流入を止め、堆積膜の形成を終える。
【0228】同様の操作を複数回繰り返すことによっ
て、所望の多層構造の光受容層が形成される。
【0229】それぞれの層を形成する際には必要なガス
以外の流出バルブはすべて閉じられていること、また上
述のガス種およびバルブ操作は各々の層の作成条件にし
たがって変更が加えられることは言うまでもない。
【0230】
【実施例】以下、実施例により第1の本発明を更に詳細
に説明するが、本発明はこれらによって何等限定される
ものではない。
【0231】図3(A)(B)及び図4の製造装置を用
い、表1の作成条件に従って鏡面加工を施したアルミニ
ウムシリンダー上に電子写真用光受容部材(以後ドラム
と表現する)を形成した。又、図3(A)及び図3
(B)と同型の装置を用い、同一使用のシリンダー上に
第1の層領域のa−Si1-x Gex (H,X)膜のみを
形成したもの(以後サンプルと表現する)を別個に用意
した。ドラムの方は、電子写真装置(キャノン社製NP
9330を本テスト用に特に高速高画質用に改造したも
の)にセットして、ゴースト、ハーフトーンむら、帯電
能等の電子写真特性を評価した。
【0232】ゴースト:キャノン製ゴーストテストチャ
ート(部品番号:FY9−9040)に反射濃度1,
1、¢5mmの黒丸を貼付けたものを原稿台の画像先端
部に置き、その上に、キャノン製中間調チャートを重ね
ておいた際のコピー画像において中間調コピー上に認め
られるゴーストチャートの¢5mmの反射濃度と中間調
部分の反射濃度との差を測定した。
【0233】ハーフトーンむら:キャノン製中間調チャ
ート(部品番号:FY9−9042)を原稿台に置きコ
ピーしたときに得られたコピー画像上で直径0.05m
mの円形の領域を1単位として100点の画像濃度を測
定し、その画像濃度のばらつきを評価した。
【0234】帯電能:ドラムを実験装置に設置し、帯電
器に+6kVの高電圧を印加しコロナ帯電を行ない、表
面電位計により電子写真用光受容部材100の暗部表面
電位を測定した。
【0235】◎は「極めて良好」 ○は「良好」 △は「実用上問題無し」 ×は「実用上問題有り」 を表している。
【0236】またサンプルの方は画像部の上下に相当す
る部分をそれぞれ複数枚切り出し、必要に応じてオージ
ェ、SIMS,RBS,PRD,FT−IR、レーザー
ラマン分光法、及び加熱溶融水素分析法等により膜中に
含まれるシリコン原子、ゲルマニウム原子、水素原子の
定量分析、及び結合状態の分析を行ない、膜中のシリコ
ン原子、ゲルマニウム原子及びGe−Si結合を持つゲ
ルマニウム原子の比率を算出した。
【0237】以上の評価結果を表2に、分析結果を表3
にそれぞれ示す。
【0238】表2に見られるように、特にゴースト、ハ
ーフトーンむらの少ない優れた電子写真特性が得られ
た。 (比較例1)作成条件を表4のように変えた以外は、実
施例1と同様の装置、方法でドラム及びサンプルを作成
し、同様の評価に供した。その評価を表5に、分析結果
を表6に示す。
【0239】表5に見られるように、実施例1と比べ諸
々の項目について劣ることが認められた。 (実施例2(比較例2))第1の層領域の作成条件を表
7に示す数種類の条件に変え、それ以外は実施例1と同
様の条件にて複数のドラム及び分析用サンプルを用意し
た。これらのドラム及びサンプルを実施例1と同様の評
価・分析を行なった結果、表8及び表9に示すような結
果を得た。
【0240】これらの結果より、第1の層領域中に含有
される全ゲルマニウム原子に対し、Ge−Si結合を少
なくとも1つ持つゲルマニウム原子の割合を40%以上
とすることで特性が向上する事がわかった。 (実施例3(比較例3,4))第1の層領域の作成条件
を表10に示す数種類の条件に変え、それ以外は実施例
1と同様の条件にて複数のドラム及び分析用サンプルを
用意した。これらのドラム及びサンプルを実施例1と同
様の評価及び分析を行った結果、表11及び表12に示
すような結果を得た。
【0241】これらの結果より、第1の層領域のゲルマ
ニウム原子の含有量を20〜80%とすることで特性が
向上する事がわかった。 (実施例4)作成条件を表13のように変えた以外は、
実施例1と同様の装置、方法でドラム及びサンプルを作
成した。こうして得たドラムを実験例1と同様の評価を
行ったところ、実施例1と同様に良好な特性が得られ
た。 (実施例5)図2に示す製造装置において、第1の層領
域の作成時のみ電源周波数を105MHzとし、第2の
層領域と表面層の作成時には電源周波数を13.6MH
Zとした高周波プラズマCVD法を用いて、作成条件を
表14に示すように変更した以外は実験例1と同様にし
てドラムならびにサンプルを作成した。こうして得たド
ラムを実験例1と同様の評価を行ったところ、実施例1
と同様に良好な特性が得られた。また、サンプルを実験
例1と同様の分析を行ったところ、ゲルマニウム原子の
含有量がシリコン原子とゲルマニウム原子の和に対して
54.8原子%で、そのうちGe−Si結合を少なくと
も1つ持つゲルマニウム原子の割合は64.6%であっ
た。
【0242】以下、実施例により第2の本発明を更に詳
細に説明するが、本発明はこれらによって何等限定され
るものではない。 (実施例6)図3(A)(B)及び図4の製造装置を用
い、表15の作成条件に従って鏡面加工を施したアルミ
ニウムシリンダー上に電子写真用光受容部材(以後ドラ
ムと表現する)を形成した。又、図3(A)及び(B)
と同型の装置を用い、同一仕様のシリンダー上に第1の
層領域のa−Six Geyuv (H,X)膜のみを
形成したもの(以後サンプルと表現する)を別個に用意
した。ドラムの方は、電子写真装置(キャノン社製NP
9330を本テスト用として特に高速、高画質用に改造
したもの)にセットして、ゴースト、ハーフトーンむ
ら、帯電能等の電子写真特性を評価した。
【0243】ゴースト:キャノン製ゴーストテストチャ
ート(部品番号:FY9−9040)に反射濃度1,
1、¢5mmの黒丸を貼付けたものを原稿台の画像先端
部に置き、その上に、キャノン製中間調チャートを重ね
ておいた際のコピー画像において中間調コピー上に認め
られるゴーストチャートの¢5mmの反射濃度と中間調
部分の反射濃度との差を測定した。
【0244】ハーフトーンむら:キャノン製中間調チャ
ート(部品番号:FY9−9042)を原稿台に置きコ
ピーしたときに得られたコピー画像上で直径0.05m
mの円形の領域を1単位として100点の画像濃度を測
定し、その画像濃度のばらつきを評価した。
【0245】白ポチ:キャノン製全面黒チャート(部品
番号:FY9−9073)を原稿台に置きコピーしたと
きに得られたコピー画像の同一面積内ある直径0.2m
m以下の白ポチについて評価した。
【0246】帯電能:ドラムを実験装置に設置し、帯電
器に+6kVの高電圧を印加しコロナ帯電を行ない、表
面電位計により電子写真用光受容部材100の暗部表面
電位を測定した。
【0247】以上の4項目について、それぞれ ◎は「極めて良好」 ○は「良好」 △は「実用上問題無し」 ×は「実用上問題有り」 を表している。
【0248】またサンプルの方は画像部の上下に相当す
る部分をそれぞれ複数枚切り出し、必要に応じてオージ
ェ、SIMS,RBS,PRD,FT−IR、レーザー
ラマン分光法、加熱融解法等により膜中に含まれるシリ
コン原子、ゲルマニウム原子、酸素原子、窒素原子、水
素原子の定量分析、及び結合状態の分析を行ない、膜中
のシリコン原子、ゲルマニウム原子、酸素原子、窒素原
子及びGe−Si結合を持つゲルマニウム原子、O−S
i結合を持つ酸素原子、N−Si結合を持つ窒素原子の
比率をそれぞれ算出した。
【0249】以上の評価結果を表16に、分析結果を表
17にそれぞれ示す。
【0250】表16に見られるように、特にゴースト、
ハーフトーンむら、白ポチの少ない優れた電子写真特性
が得られた。 (比較例5)作成条件を表18のように変えた以外は、
実施例6と同様の装置、方法でドラム及びサンプルを作
成し、同様の評価に供した。その評価を表19に、分析
結果を表20に示す。
【0251】表19に見られるように、実施例6と比べ
諸々の項目について劣ることが認められた。 (実施例7)作成条件を表21のように変えた以外は、
実施例6と同様の装置、方法でドラム及びサンプルを作
成し、同様の評価に供した。その評価を表22に、分析
結果を表23に示す。 (比較例6)作成条件を表24のように変えた以外は、
実施例6と同様の装置、方法でドラム及びサンプルを作
成し、同様の評価に供した。その評価を表25に、分析
結果を表26に示す。
【0252】表25に見られるように、実施例7と比べ
諸々の項目について劣ることが認められた。 (実施例8)作成条件を表27のように変えた以外は、
実施例6と同様の装置、方法でドラム及びサンプルを作
成し、同様の評価に供した。その評価を表28に、分析
結果を表29に示す。 (比較例7)作成条件を表30のように変えた以外は、
実施例6と同様の装置、方法でドラム及びサンプルを作
成し、同様の評価に供した。その評価を表31に、分析
結果を表32に示す。
【0253】表31に見られるように、実施例8と比べ
諸々の項目について劣ることが認められた。 (実施例9(比較例8))第1の層領域の作成条件を表
33に示す数種類の条件に変え、それ以外は実施例6と
同様の条件にて複数のドラム及び分析用サンプルを用意
した。これらのドラム及びサンプルを実施例6と同様の
評価及び分析を行った結果、表34及び表35に示すよ
うな結果を得た。
【0254】これらの結果より、第1の層領域におい
て、含有される全ゲルマニウム原子に対しGe−Si結
合を少なくとも1つ持つゲルマニウム原子の割合を40
%以上、全酸素原子に対しO−Si結合を少なくとも1
つ持つ酸素原子の割合を20%以上、全窒素原子に対し
てN−Si結合を少なくとも1つ持つ窒素原子の割合を
20%以上とすることで特性が向上する事がわかった。 (実施例10(比較例9,10))第1の層領域の作成
条件を表36に示す数種類の条件に変え、それ以外は実
施例6と同様の条件にて複数のドラム及び分析用サンプ
ルを用意した。これらのドラム及びサンプルを実施例6
と同様の評価及び分析を行った結果、表37及び表38
に示すような結果を得た。
【0255】これらの結果より、第1の層領域のゲルマ
ニウム原子の含有量を20〜80%とすることで特性が
向上する事がわかった。 (実施例11)作成条件を表39のように変えた以外
は、実施例6と同様の装置、方法でドラム及びサンプル
を作成した。こうして得たドラムを実験例6と同様の評
価を行ったところ、実施例6と同様に良好な特性が得ら
れた。 (実施例12)図2に示す製造装置において電源周波数
を13.56MHzとした高周波プラズマCVD法を用
いて、作成条件を表40に示すように変更した以外は実
施例6と同様にしてドラムならびにサンプルを作成し
た。こうして得たドラムを実施例6と同様の評価を行っ
たところ、実施例6と同様に良好な特性が得られた。ま
た、サンプルを実施例6と同様の分析を行ったところ、
ゲルマニウム原子の含有量がシリコン原子とゲルマニウ
ム原子の和に対して55.7原子%で、そのうちGe−
Si結合を少なくとも1つ持つゲルマニウム原子の割合
は65.3%であり酸素原子の含有量はシリコン原子と
ゲルマニウム原子と酸素原子と窒素原子の和に対して
6.2%でそのうちO−Si結合を少なくとも1つ持つ
酸素原子の割合は34.6%で有り、窒素原子の含有量
はシリコン原子とゲルマニウム原子と酸素原子と窒素原
子の和に対して6.1%でそのうちN−Si結合を少な
くとも1つ持つ窒素原子の割合は33.5%であった。 (実施例13)図2に示す製造装置において、第1の層
領域の作成時のみ電源周波数を105MHzとし、電荷
注入阻止層と第2の層領域と表面層の作成時には電源周
波数13.56MHzとした高周波プラズマCVD法を
用いて作成条件を表41に示すように変更し、それ以外
は実施例6と同様にしてドラムならびにサンプルを作成
した。こうして得たドラムを実施例6と同様の評価を行
ったところ、実施例6と同様に良好な特性が得られた。
また、第1の層領域のサンプルを実施例6と同様の分析
を行ったところ、ゲルマニウム原子の含有量がシリコン
原子とゲルマニウム原子の和に対して56.1原子%
で、そのうちGe−Si結合を少なくとも1つ持つゲル
マニウム原子の割合は67.7%であり、酸素原子の含
有量はシリコン原子とゲルマニウム原子と酸素原子と窒
素原子の和に対して6.5%でそのうちO−Si結合を
少なくとも1つ持つ酸素原子の割合は37.6%で有
り、窒素原子の含有量はシリコン原子とゲルマニウム原
子と酸素原子と窒素原子の和に対して6.2%でそのう
ちN−Si結合を少なくとも1つ持つ窒素原子の割合は
36.9%であった。
【0256】
【表1】
【0257】
【表2】
【0258】
【表3】
【0259】
【表4】
【0260】
【表5】
【0261】
【表6】
【0262】
【表7】
【0263】
【表8】
【0264】
【表9】
【0265】
【表10】
【0266】
【表11】
【0267】
【表12】
【0268】
【表13】
【0269】
【表14】
【0270】
【表15】
【0271】
【表16】
【0272】
【表17】
【0273】
【表18】
【0274】
【表19】
【0275】
【表20】
【0276】
【表21】
【0277】
【表22】
【0278】
【表23】
【0279】
【表24】
【0280】
【表25】
【0281】
【表26】
【0282】
【表27】
【0283】
【表28】
【0284】
【表29】
【0285】
【表30】
【0286】
【表31】
【0287】
【表32】
【0288】
【表33】
【0289】
【表34】
【0290】
【表35】
【0291】
【表36】
【0292】
【表37】
【0293】
【表38】
【0294】
【表39】
【0295】
【表40】
【0296】
【表41】
【0297】
【発明の効果】本発明の電子写真用光受容部材は、従来
の電子写真用光受容部材の諸問題を解決することができ
る。
【0298】すなわち第1の本発明によれば、光導電層
の下部領域のa−Si1-x Gex (H,X)膜におい
て、含有される全ゲルマニウム原子に対し、Ge−Si
結合を少なくとも1つ持つゲルマニウムの割合を40〜
100%とする事により、帯電能を高く保ったまま「ゴ
ースト」現象やハーフトーンむらがほとんどみられない
優れた特性を有する電子写真用光受容部材を得る事がで
きる。
【0299】さらに本発明によれば、a−Si1-x Ge
x (H,X)膜の長波長光の吸収が大幅に向上するた
め、従来のa−Si1-x Gex (H,X)膜よりゲルマ
ニウム原子の含有量を少なくすることが可能となり、a
−Si1-x Gex (H,X)膜を持つ電子写真用光受容
部材のコストダウンを促進する事ができる。
【0300】また、第2の本発明によれば、光導電層の
下部領域のa−Si1-x Geyuv (H,X)系膜
において、含有される全ゲルマニウム原子に対し、Ge
−Si結合を少なくとも1つ持つゲルマニウムの割合を
40〜100%、全酸素原子に対しO−Si結合を少な
くとも1つ持つ酸素原子の割合を20〜100%または
/及び全窒素原子に対してN−Si結合を少なくとも1
つ持つ窒素原子の割合を20〜100%とすることによ
り高速での繰り返し使用においても帯電能を高く保った
まま「ゴースト」現象やハーフトーンむらがほとんどみ
られず、また白ポチ等の画像欠陥の少ない優れた特性を
有する電子写真用光受容部材を得る事ができる。
【0301】さらに本発明によれば、a−Si1-x Ge
yuv (H,X)系膜の長波長光の吸収が大幅に向
上するため、従来よりゲルマニウム原子の含有量を少な
くすることが可能となり、a−Si1-x Geyuv
(H,X)系膜を持つ電子写真用光受容部材のコストダ
ウンを促進する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真用光受容部材の層構成の一例
を示した模式的断面図である。
【図2】高周波プラズマCVD法による堆積膜形成装置
の全体の構成の一例を示した模式図である。
【図3】マイクロ波プラズマCVD法による堆積膜形成
装置の反応容器の一例の模式図であり、図3(A)は縦
断面図、図3(B)は横断面図である。
【図4】マイクロ波プラズマCVD法による堆積膜形成
装置の全体の模式的な構成図の一例である。
【符号の説明】
100 電子写真用光受容部材 101 導電性基体 102 第1の層領域 103 第2の層領域 2000 堆積装置 2111 反応容器 2112 基体 2113 基体加熱用ヒーター 2114 原料ガス導入管 2115 高周波マッチングボックス 2116 ガス配管 2117 リークバルブ 2118 メインバルブ 2119 真空計 2120 高周波電源 2200 ガス供給装置 2211〜2216 マスフローコントローラー 2221〜2226 ガスボンベ 2231〜2236 ガスボンベバルブ 2241〜2246 流入バルブ 2251〜2256 流出バルブ 2260 補助バルブ 2261〜2266 圧力調整器 3000 堆積膜形成装置 3001 反応容器 3002 マイクロ波導入用誘電体窓 3003 導波管 3004 排気管 3005 導電性基体 3006 放電空間 3007 ヒーター 3008 電極 3009 電源 3010 駆動手段(回転モーター) 3011 ホルダー 3012 ガス導入管 4000 原料ガス供給装置 4011〜4016 マスフローコントローラー 4017 ガス配管 4021〜4026 ガスボンベ 4031〜4036 ガスボンベバルブ 4041〜4046 流入バルブ 4051〜4056 流出バルブ 4060 補助バルブ 4061〜4066 圧力調整器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G03G 5/08 360 G03G 5/08 360 審査官 菅野 芳男 (56)参考文献 特開 平2−148040(JP,A) 特開 昭63−191152(JP,A) 特開 昭62−183467(JP,A) 特開 昭61−269160(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 5/00

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体と、該支持体上にシリコン原子と
    ゲルマニウム原子と水素原子または/及びハロゲン原子
    とを構成要素として含む非単結晶材料で構成され、 反応容器内のガス圧が10〜250mtorrの条件下で形
    された第1の層領域と、シリコン原子を母体とし水素
    原子または/及びハロゲン原子を構成要素として含む非
    単結晶材料で構成され光導電性を示す第2の層領域とが
    前記支持体側より順次積層された光受容層とを有し 前記第1の層領域において水素原子または/及びハロゲ
    ン原子の含有量が3〜35原子%であり、 ゲルマニウム原子の含有量が、シリコン原子とゲルマニ
    ウム原子の和に対して20〜80原子%であり、かつ、 シリコン原子との結合を少なくとも1つ持つゲルマニウ
    ム原子が第1の層領域中の全ゲルマニウム原子の40〜
    100%であることを特徴とする電子写真用光受容部
    材。
  2. 【請求項2】 前記第1の層領域と前記第2の層領域の
    間に、ゲルマニウム原子の含有量が第2の層領域に向か
    って減少する領域を有することを特徴とする請求項1に
    記載の電子写真用光受容部材。
  3. 【請求項3】 前記第2の層領域の上にシリコン原子と
    炭素原子と水素原子または/及びハロゲン原子とを構成
    要素として含む非単結晶材料で構成された表面層を有す
    ることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真
    用光受容部材。
  4. 【請求項4】 前記第1の層領域は酸素原子または/
    及び窒素原子構成要素として含み、酸素原子を含む場
    合はシリコン原子との結合を少なくとも1つ持つ酸素原
    子が第1の層領域中の全酸素原子の20〜100%
    素原子を含む場合はシリコン原子との結合を少なくとも
    1つ持つ窒素原子が第1の層領域中の全窒素原子の20
    〜100%であることを特徴とする請求項1乃至3のい
    ずれかに記載の電子写真用光受容部材。
  5. 【請求項5】 前記第1の層領域において、酸素原子の
    含有量がシリコン原子とゲルマニウム原子酸素原子
    窒素原子の和に対して0.00001〜50原子%、
    かつ窒素原子の含有量が、シリコン原子とゲルマニウム
    原子酸素原子窒素原子の和に対して0.0000
    1〜50原子%であることを特徴とする請求項1乃至4
    のいずれかに記載の電子写真用光受容部材。
  6. 【請求項6】 前記第1の層領域において、水素原子ま
    たは/及びハロゲン原子の含有量がシリコン原子とゲル
    マニウム原子と、酸素原子及び窒素原子と、水素原子及
    びハロゲン原子の和に対して1〜40原子%であること
    を特徴とする請求項乃至のいずれかに記載の電子写
    真用光受容部材。
  7. 【請求項7】 前記第1の層領域と前記第2の層領域の
    間に、ゲルマニウム原子、酸素原子または/及び窒素原
    子の含有量が第2の層領域に向かって減少する領域を有
    することを特徴とする請求項乃至のいずれかに記載
    の電子写真用光受容部材。
  8. 【請求項8】 前記第1の層領域中にさらに伝導性を制
    御する原子としてp型伝導特性を与える周期律表第III族
    原子またはn型伝導特性を与える周期律表第V族原子が
    含有される請求項1乃至のいずれか1項に記載の電子
    写真用光受容部材。
  9. 【請求項9】 前記第1の層領域のゲルマニウム原子の
    原料ガスは水素化塩化ゲルマニウムであることを特徴と
    する請求項1乃至8のいずれか1項に記載の電子写真用
    光受容部材。
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