JPH1165147A - 電子写真用光受容部材 - Google Patents

電子写真用光受容部材

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JPH1165147A
JPH1165147A JP22965297A JP22965297A JPH1165147A JP H1165147 A JPH1165147 A JP H1165147A JP 22965297 A JP22965297 A JP 22965297A JP 22965297 A JP22965297 A JP 22965297A JP H1165147 A JPH1165147 A JP H1165147A
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JP22965297A
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Daisuke Tazawa
大介 田澤
Hiroaki Niino
博明 新納
Satoshi Furushima
聡 古島
Nobufumi Tsuchida
伸史 土田
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気的、光学的、光導電的特性が使用環境に
ほとんど依存することなく安定し、画像品質の良好な、
電子写真用光受容部材の提供。 【解決手段】 光導電層が第一の層領域と第二の層領域
からなり、第一の層領域は光吸収スペクトルの指数関数
裾から得られる特性エネルギー(Eu)を50〜55m
eV、水素原子含有量(Ch)を25〜40原子%、光
学的バンドギャップ(Eg)を1.8〜1.9eVとし、
第二の層領域はEuを60〜70meV、Chを10〜
20原子%、Egを1.65ないし1.75eVとするこ
とを特徴ととし、また光導電層の光が入射する側の周期
律表第IIIbに属する元素の含有量が、光導電層の支持
体側の含有量より少ないことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光(広義の光であ
り、紫外線、可視光線、赤外線、X線、γ線等を含む)
のような電磁波に対し感受性を有する電子写真用光受容
部材に関する。
【0002】
【従来の技術】像形成分野において、光受容部材におけ
る光受容層を形成する光導電材料としては、高感度で、
SN比[光電流(Ip)/暗電流(Id)]が高く、照
射する電磁波のスペクトル特性に適合した吸収スペクト
ルを有すること、光応答性が早く所望の暗抵抗値を有す
ること、使用時において人体に対して無害であること、
等の特性が要求される。特に、事務機としてオフィスで
使用される電子写真装置内に組み込まれる光受容部材の
場合には、上記の使用時における無公害性は重要な点で
ある。
【0003】このような点に優れた性質を示す光導電材
料に水素化アモルファスシリコン(以下、a-Si:Hと
表記する)があり、例えば、特公昭60-35059号
公報には電子写真用光受容部材としての応用が記載され
ている。このような光受容部材には、一般的には、導電
性支持体を50〜350℃に加熱し、前記支持体上に真
空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング
法、熱CVD法、光CVD法、プラズマCVD法等の成
膜法によりa-Siからなる光導電層を形成する。なかで
もプラズマCVD法、すなわち、原料ガスを高周波ある
いはマイクロ波グロー放電によって分解し、支持体上に
a-Si堆積膜を形成する方法が好適なものとして実用に
供されている。
【0004】また、特開昭56-83746号公報に
は、導電性支持体と、ハロゲン原子を構成要素として含
むa-Si(以下、a-Si:Xと表記する)光導電層から
なる電子写真用光受容部材が提案されている。同公報に
おいては、a-Siにハロゲン原子を1〜40原子%含有
させることにより、耐熱性が高く、電子写真用光受容部
材の光導電層として良好な電気的、光学的特性を得るこ
とができると記載されている。
【0005】また、特開昭57-115556号公報に
は、a-Si堆積膜で構成された光導電層を有する光導電
部材の、暗抵抗値、光感度、光応答性等の電気的、光学
的、光導電的特性および耐湿性等の使用環境特性、さら
には経時安定性について改善を図るため、シリコン原子
を母体としたアモルファス材料で構成された光導電層上
に、シリコン原子および炭素原子を含む非光導電性のア
モルファス材料で構成された表面障壁層を設ける技術が
記載されている。さらに、特開昭60-67951号公
報には、アモルファスシリコン、炭素、酸素および弗素
を含有してなる透光絶縁性オーバーコート層を積層する
感光体についての技術が記載され、特開昭62-168
161号公報には、表面層として、シリコン原子と炭素
原子と41〜70原子%の水素原子を構成要素として含
む非晶質材料を用いる技術が記載されている。
【0006】さらに、特開昭62-83470号公報に
は、電子写真用感光体の光導電層において光吸収スペク
トルの指数関数裾の特性エネルギーを0.09eV以下
にすることにより残像現象のない高品質の画像を得る技
術が開示されている。
【0007】そして、特開昭58-21257号公報に
は、光導電層の作成中に支持体温度を変化させることに
より光導電層内で禁止帯幅を変化させ、高抵抗であって
光感度領域の広い光受容部材を得る技術が開示され、特
開昭58-121042号公報には、光導電層の膜厚方
向にエネルギーギャップ状態密度を変化させ、表面層側
のエネルギーギャップ状態密度を1017〜1019cm-3
とすることにより、湿度による表面電位の低下を防止す
る技術が開示されている。また、特開昭59-1433
79号公報ならびに同61-201481号公報には、
Chの異なるa-Si:Hを積層することにより暗抵抗が
高く高感度の光受容部材を得る技術が開示されている。
【0008】さらに、特開昭58-88115号公報に
は、アモルファスシリコン感光体の画像品質向上のため
に、光導電層において支持体側で周期律表第III族の原
子を多く含有させることが開示されており、特開昭62
-112166号公報にはB26/SiH4流量比を3.3
×10-7以上に保ってキャリア輸送層の生成を行い残像
現象をなくす技術が開示されている。
【0009】一方、特開昭60-95551号公報に
は、アモルファスシリコン光受容部材の画像品質向上の
ために、光受容部材表面近傍の温度を30〜40℃に維
持して帯電、露光、現像および転写等の画像形成行程を
行うことにより、光受容部材表面での水分の吸着による
表面抵抗の低下とそれに伴って発生する画像流れを防止
する技術が開示されている。
【0010】これらの技術により、電子写真用光受容部
材の電気的、光学的、光導電的特性および使用環境特性
が向上し、それに伴って画像品質も向上してきた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
a-Si系材料で構成された光導電層を有する電子写真用
光受容部材は、暗抵抗値、光感度、光応答性等の電気
的、光学的、光導電特性、および使用環境特性の点、さ
らには経時安定性および耐久性の点において、各々個々
には特性の向上が図られてはいるが、未だ総合的な特性
向上を図る上でさらなる改良の余地が残されているのが
実情である。
【0012】特に、電子写真装置の高画質、高速化、高
耐久化は急速に進んでおり、電子写真用光受容部材にお
いては電気的特性や光導電特性のさらなる向上ととも
に、帯電能、感度を維持しつつあらゆる環境下で大幅に
性能を延ばすことが求められている。
【0013】そして、電子写真装置の画像特性向上のた
めに、電子写真装置内の光学露光装置、現像装置、転写
装置等の改良がなされた結果、電子写真用光受容部材に
おいても従来以上の画像特性の向上が求められるように
なった。
【0014】また、近年のオフィスや一般家庭へのコン
ピューター普及と画像処理方法のデジタル化が進み、マ
ルチメディア時代に向けて電子写真装置も従来の複写機
だけでなく、ファクシミルやプリンターの役目を担うた
めにデジタル化が求められるようになった。デジタル化
のために用いられる半導体レーザーやLEDは、発光強
度や価格の点から赤外ないし赤色可視光までのものが主
流である。そのため従来のハロゲン光を用いたアナログ
複写機には見られなかった特性の改善が求められるよう
になった。
【0015】このような状況下において、前述した従来
技術により上記課題についてある程度の特性向上が可能
になってはきたが、さらなる帯電能や画像品質の向上に
関しては未だ充分とはいえない。特にアモルファスシリ
コン系光受容部材のさらなる高画質化への課題として、
周囲温度の変化による電子写真特性の変動や光メモリー
を低減することがいっそう求められるようになってき
た。また、デジタル化に伴いレーザーやLEDを用いる
ことで、光量・帯電能曲線の変化部分が温度によって変
化する(感度の温度特性)ことやその変化部分が直線か
ら鈍ってくる(感度の直線性)ことが新たに注目される
ようになってきた。
【0016】さらに、先にも記述したように、デジタル
化のために用いられる半導体レーザーやLEDは発光強
度や価格の点から赤外ないし赤色可視光までのものが主
流であり、従来アナログ複写機の光学露光装置で使用さ
れていたハロゲン光と比較すると波長が長くなってい
る。よって、デジタル複写機に搭載される光受容部材と
しては、これらの波長領域に対応した光学特性を持つ必
要性が出てきている。
【0017】例えば、従来は光受容部材の画像流れの防
止のために前記特開昭60-95551号公報に記載さ
れているように、複写機内にドラムヒーターを設置して
光受容部材の表面温度を40℃程度に保っていた。しか
しながら、従来の光受容部材では前露光キャリアや熱励
起キャリアの生成に起因した帯電能の温度依存性、いわ
ゆる温度特性が大きく、複写機内の実際の使用環境下で
は本来光受容部材が有しているよりも帯電能が低い状態
で使用せざるを得なかった。例えば、室温での使用時に
比べてドラムヒーターで40℃程度に加熱している状態
では帯電能が100V程度低下ししてしまっていた。
【0018】また、従来は複写機を使用しない夜間でも
ドラムヒーターに通電し、帯電器のコロナ放電により生
成されるオゾン生成物を夜間に光受容部材表面に吸着す
ることによって発生する画像流れを防止するようにして
いた。しかし、現在では省資源・省電力のために複写機
の夜間通電を極力行わないようになってきている。この
ような状態で複写をすると、電源投入後の複写機内の光
受容部材周囲の温度の上昇に伴い帯電能が低下して、複
写中に画像濃度が変わってしまうと問題が生じていた。
【0019】また、レーザーやLEDを用いたデジタル
機で上記のようにドラムヒーター等により光受容部材の
温度を一定に制御していない場合、感度の温度特性や感
度の直線性のために、光受容部材周囲温度が変化するこ
とによって、感度が変化し画像濃度が変わってしまうと
いう問題が生じていた。さらに、レーザー光やLEDの
赤外ないし赤外可視光の波長領域に光受容部材の光学特
性が対応していない場合、露光時に電子や正孔等のキャ
リアが十分に励起されず、そのためにキャリアの走行性
が低下し膜中の局在準位にキャリアが束縛され、帯電能
の低下、または光メモリーの増加等の弊害が生じてしま
っていた。
【0020】一方、同一原稿を連続して繰り返し複写す
ると、前回の複写行程の像露光の残像が次回の複写時に
画像上に生じる、いわゆるゴーストが画像品質を向上さ
せる上で問題になってきた。
【0021】したがって、電子写真用光受容部材を設計
する際に、上記したような問題が解決されるように電子
写真用光受容部材の層構成、各層の化学的組成等総合的
な観点からの改良を図るとともに、a-Si材料そのもの
の一段の特性改良を図ることが必要とされている。
【0022】そこで、本発明は、上述した従来のa-Si
で構成された光受容層を有する電子写真用光受容部材に
おける諸問題を解決することをその目的とするものであ
る。すなわち、本発明の主たる目的は、帯電能の向上
と、温度特性の低減および光メモリーの低減を高次元で
両立して画像品質を飛躍的に向上させた、シリコン原子
を母体とする非単結晶材料で構成された光受容層を有す
る光受容部材を提供することにある。
【0023】特に、電気的、光学的、光導電的特性が使
用環境にほとんど依存することなく実質的に常時安定し
ており、繰り返しの使用に際しては劣化現象を起こさず
耐久性、耐湿性に優れ、残留電位がほとんど観測され
ず、さらに画像品質の良好な、シリコン原子を母体とし
た非単結晶材料で構成された光受容層を有する光受容部
材を提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明者は、光導電層のキャリアの挙動に着目し、
a-Siのバンドギャップ内の局在状態密度分布と温度特
性や光メモリーとの関係について鋭意検討した結果、光
導電層の厚さ方向において、水素含有量(以下、Chと
略記する)、光学的バンドギャップ(以下、Egと略記
する)やバンドギャップ内の局在状態密度の分布を制御
することにより上記目的を達成できるという知見を得
た。
【0025】すなわち、シリコン原子を母体とし、水素
原子および/またはハロゲン原子を含有する非単結晶材
料で構成された光導電層を有する光受容部材において、
その層構造を特定化するように設計されて作成された光
受容部材は、実用上著しく優れた特性を示すばかりでな
く、従来の光受容部材と比べてみてもあらゆる点におい
て凌駕していること、特に電子写真用の光受容部材とし
ては優れた特性を有していることを見いだした。
【0026】そして、本発明はデジタル複写機に搭載さ
れるレーザーやLEDに対応するために、特に光電変換
に関わる光入射部について、Ch、バンドギャップ内の
局在状態密度分布を制御することにより、帯電能、温度
特性、光メモリーおよび感度の温度特性や感度の直線性
を改善した。さらに、光が入射する部分とそれ以外の部
分との役割を考慮しながら、上記Ch,Egやバンドギ
ャップ内の局在状態密度分布と伝導性を制御する物質で
ある周期律表第IIIb族に属する元素の含有状態を関連
させながら制御することにより帯電能、温度特性、光メ
モリーおよび感度の温度特性や感度の直線性を大幅に改
善した。
【0027】このようなことから、上記の課題・目的は
以下に示す本発明によって解決・達成される。すなわ
ち、本発明は次のような特徴を有する光受容部材を開示
するものである。
【0028】第1に、シリコン原子を母体とし水素原子
および/またはハロゲン原子を含有する非単結晶材料で
構成された光導電層を有する光受容部材において、前記
光導電層中にCh,Egならびに光吸収スペクトルから
得られる指数関数裾の特性エネルギー(以下、Euと略
記する)の異なる第一の層領域、第二の層領域からなる
光導電層を有することを特徴とする。主にキャリアの輸
送を担う第一の層領域においてはChは25〜40原子
%の範囲、Egは1.8〜1.90eVの範囲、Euは5
0〜55meVの範囲とし、主に光の吸収領域としての
機能を担う第二の層領域において、Chを10〜20原
子%の範囲、Egを1.65〜1.75eVの範囲、Eu
を60〜70meVの範囲としたことを特徴としてい
る。
【0029】第2に、前記第二の層領域の膜厚を露光波
長の50〜95%を吸収するために必要な厚さとするこ
とを特徴としている。第3に、シリコン原子を母体とし
水素原子および/またはハロゲン原子を含有する非単結
晶材料で構成された光導電層を有する光受容部材におい
て、前記光導電層中にCh,EgならびにEuの異なる
第一の層領域、第二の層領域からなる光導電層を有する
ことを特徴とする。そして第一の層領域において、Ch
は25〜40原子%の範囲、Egは1.8〜1.90eV
の範囲、Euは50〜55meVの範囲とし、主に光の
吸収領域としての機能を担う第二の層領域においてCh
を10〜20原子%の範囲、Egを1.65〜1.75e
Vの範囲、Euを60〜70meVの範囲とし、伝導性
を制御する物質である周期律表第IIIb族に属する元素
を、光導電層の光の入射する側の含有量が、光導電層の
支持体側の含有量より少なくなるように分布させること
を特徴としている。
【0030】第4に、前記第一の層領域に含有される周
期律表第IIIb族に属する元素の量は、シリコン原子に
対して、0.2〜30ppmの範囲であることを特徴と
している。第5に、前記第二の層領域に含有される周期
律表第IIIb族に属する元素の量はシリコン原子に対し
て、0.01〜10ppmの範囲であることを特徴とし
ている。第6に、前記光導電層は、前記導電層中に周期
律表第IIIb族に属する元素の含有量が、支持体側から
表面側に階段状に減少していることを特徴としている。
第7に、前記光導電層に含有される周期律表第IIIb族
に属する元素の含有量が、支持体側から表面側に滑らか
に減少していることを特徴としている。
【0031】第8に、前記光導電層は、前記光導電層の
表面上に炭素、酸素、窒素の少なくとも一種を含むシリ
コン系非単結晶材料からなる表面層が設けられているこ
とを特徴としている。第9に、前記記光導電層は、シリ
コン原子を母体とし、炭素、酸素、窒素の少なくとも一
種および周期律表第IIIb族または第Vb族から選ばれ
る元素の少なくとも一種を含む非単結晶材料からなる電
荷注入素子層の表面上に設けられ、さらに前記光導電層
の表面上に、炭素、酸素の少なくとも一種を含むシリコ
ン系非単結晶材料からなる前記表面層が設けられている
ことを特徴としている。第10に、前記表面層の層厚が
0.01〜3μmであることを特徴としている。第11
に、前記電荷注入阻止層は、その層厚が0.1〜5μm
であることを特徴としている。
【0032】第12に、前記光導電層の全層厚が、20
〜50μmであることを特徴としている。第13に、前
記光導電層は、光導電層全体に占める第二の層領域の膜
厚の比が0.05〜0.5であることを特徴としている。
【0033】なお、本発明において用いられている指数
関数裾とは、光吸収スペクトルの吸収から低エネルギー
側に裾を引いた吸収スペクトルのことを指しており、ま
た、特性エネルギーとは、この指数関数裾の傾きを意味
している。
【0034】このことは図1を用いて詳しく説明する。
図1は、横軸に光子エネルギーhν、縦軸に吸収係数
α、を対数軸として示すa-Siのサブギャップ光吸収ス
ペクトルの1例である。このスペクトルは大きく二つの
部分に分けられる。すなわち、吸収係数αが光子エネル
ギーhνに対して指数関数的、すなわち直線的に変化す
る部分B(指数関数裾またはUrbachテイル)と、αがh
νに対しより緩やかな依存性を示す部分Aとである。
【0035】B領域はa-Si中の価電子帯側のテイル準
位から伝導帯への光学遷移による光吸収に対応し、B領
域の吸収係数αのhνに対する指数関数的依存性は次式
で表される。 α=αoexp(hν/Eu) この両辺の対数をとると、 lnα=(1/Eu)・hν+α1 (I) となり(ただし、α1=lnαo)、特性エネルギーEu
の逆数(1/Eu)が、B部分の傾きを表すことにな
る。Euは価電子帯側のテイル準位の指数関数的エネル
ギー分布の特性エネルギーに相当し、Euが小さければ
価電子帯側のテイル準位が少ないことを意味する。
【0036】このようなバンドギャップ中のテイル準位
の状態を測定する方法として、一定光電流法(Constant
Photocurrent Method:以後、CPMと略記する)は、
a-Si:Hの局在準位に基づくサブギャップ光吸収スペ
クトルを簡便に測定する方法として有用である。
【0037】また、本発明において用いられている感度
の温度特性および感度の直線性について図2を用いて説
明する。図2は、室温(ドラムヒーターOFF)と約4
5℃(ドラムヒーターON)において、それぞれ光受容
部材の暗電位として400Vの表面電位に帯電し、次に
露光光源として680nmのLED光を照射して露光量
を変えたときの表面電位(明電位)の変化、いわゆるE
-V特性(曲線)の1例である。
【0038】感度の温度特性は、暗電位と明電位の差が
200Vとなるとき(Δ200)の露光量(半減露光
量)の室温での値と約45℃での値との差である。ま
た、感度の直線性は、暗電位と明電位の差が350Vと
なるとき(Δ350)の露光量(実測値)と、露光なし
の点(暗状態)と半減露光量を照射した状態の点とを結
ぶ直線を外挿してΔ350となる露光量(計算値)との
差である。いずれもその値が小さいほど、光受容部材と
して良好な特性を示すことを意味する。
【0039】
【作用】本発明者らは、EgならびにCPMによって測
定されたサブバンドギャップ光吸収スペクトルから求め
られるEuと光受容部材特性との相関に注目し、特にレ
ーザーおよびLEDに適応するために、露光波長、E
g,Euと光受容部材特性の種々の条件にわたり詳細に
検討した結果、露光波長、Eg,Euと光受容部材の帯
電能、温度特性や光メモリーとが密接な関係にあるこ
と、中でも露光波長、Eg,Euと感度の温度特性、感
度の直線性とが極めて密接な関係にあることを見いだ
し、本発明を完成するに至った。
【0040】すなわち、Egが小さいa-Si:H,Xを光
導電層の光入射側である第二の層領域に配置し、Egが
大きく、キャリアの局在準位への捕獲率を小さくした光
導電領域を光導電層の下部すなわち第一の層領域に配置
することにより、感度の温度特性および感度の直線性を
改善し、帯電能を向上させ、光メモリーを低減すること
ができることが試験により明らかになった。
【0041】また、本発明者らは、伝導性制御物質の含
有量、ならびに分布形態によって制御される光入射部の
正孔と電子の走行性のバランス、およびEg,Euとa-
Si光受容部材の帯電能、温度特性や光メモリーとが密
接な関係にあることを見いだし、前記周期律表第IIIb
族に属する元素の含有量の分布について詳細に調べた結
果、光導電層の光が入射する側での周期律表第IIIb族
に属する元素の含有量を、光導電層の支持体側に含有量
より少なくすることにより良好な光受容部材特性を発揮
することを見いだした。
【0042】すなわち、Egが小さく、a-Si:H,Xを
光導電層の光入射側である第二の層領域に配置し、ま
た、Egが大きく、キャリアの局在準位への捕獲率を小
さくしたa-Si:H,Xを光導電層の支持体側である第一
の層領域に配置し、さらに光導電層の光の入射側の周期
律表第IIIb族に属する元素の含有量が、光導電層の支
持体側の周期律表第IIIb族に属する元素含有量より少
なくなるように分布制御することにより、感度の温度特
性および感度の直線性を大幅に改善し、さらに帯電能を
向上させ、光メモリーを実質的になくすることが本発明
者の試験により明らかになった。
【0043】以下、これをさらに詳しく説明する。ドラ
ムヒーター等で光受容部材を加熱したときに帯電能が低
下する原因として、熱励起されたキャリアが帯電時の電
界に引かれてバンド裾の局在準位やバンドギャップ内の
深い局在準位への捕獲、放出を繰り返しながら表面に走
行し、表面電荷を打ち消してしまうことが挙げられる。
このとき、帯電器を通過する間に表面に到達したキャリ
アについては帯電能の低下にはほとんど影響がないが、
深い準位に捕獲されたキャリアは、帯電器を通過した後
に表面へ到達して表面電荷を打ち消すために温度特性と
して観測される。また、帯電器を通過した後に熱励起さ
れたキャリアも表面電荷を打ち消し帯電能の低下を引き
起こす。したがって、主となる光導電層内での熱励起キ
ャリアの生成を抑え、また、キャリアの局在準位への捕
獲率を小さくし、なお且つ深い局在準位をを少なくする
ことによりキャリアの走行性を向上させることが温度特
性の向上のために必要である。
【0044】さらに、光メモリーは像露光によって生じ
た光キャリアがバンドギャップ内の局在準位に捕獲さ
れ、光導電層内にキャリアが残留することによって生じ
る。すなわち、ある複写行程において生じた光キャリア
のうち光導電層内に残留したキャリアが、次回の帯電時
あるいはそれ以降に表面電荷による電界によって掃き出
され、光の照射された部分の電位が他の部分よりも低く
なり、その結果画像上に濃淡が生じる。したがって、光
キャリアの光導電層内に極力残留することなく1回の複
写行程で走行するようにキャリアの走行性を改善しなけ
ればならない。
【0045】また、感度の温度特性は光導電層の正孔と
電子の走行性の違いが大きい上に、走行性が温度によっ
て変化するために生じる。光入射部内では正孔電子が対
で生成され、正孔は支持体側へ電子は表面層側へ走行す
るが、その移動中に光入射部で正孔と電子が混在する
と、支持体や表面に達するまでに再結合をしてしまう割
合が多くなる。その再結合の割合が再捕獲中心からの熱
励起により変化するために、露光量すなわち光生成キャ
リアの数と表面電位を打ち消すキャリア数が温度によっ
て変化することになり、その結果感度が温度によって変
わることになる。したがって、光入射部での再結合の割
合を少なくする、すなわち再捕獲中心となる深い準位を
少なくすることと正孔と電子の混在領域が小さくなるよ
うに、露光の光吸収率を大きくし、そしてキャリアの走
行性も改善しなければならない。
【0046】さらに、感度の直線性は露光量が多くなる
にしたがって、相対的に表面から深い場所での光生成キ
ャリアが増加し、走行距離が長いキャリア(電子)が増
加するために生じる。したがって、光入射部の光吸収率
を高めると共に、伝導性を制御する物質の含有量および
分布を変えて、特に光入射部の電子の走行性のバランス
を改善しなければならない。
【0047】したがって、Chを少なくしてEgを小さ
くしたa-Si:Hを光入射側に設けることにより、レー
ザー光またはLEDの波長、例えば680nmもしくは
700nmに対しても、十分に電子や正孔が励起され、
光キャリアが局在準位に捕獲される割合を小さくするこ
とができるためにキャリアの走行性が飛躍的に改善され
る。また、Egを小さくすることで露光の吸収が大きく
なり光入射部を小さくできるために、正孔電子混在領域
が縮小できる。また、主にキャリアの輸送を担う第一の
層領域のEgを大きくすることにより、熱励起キャリア
の生成を少なくすることができ、またEuを小さくする
ことにより、熱励起キャリアや光キャリアが局在準位に
捕獲される割合を小さくすることができるためにキャリ
アの走行性が飛躍的に改善される。
【0048】つまり、光導電層の光入射側にEgの小さ
い第二の層領域を設け、実質的に光吸収する領域とし、
特にレーザーおよびLEDを用いたときの感度の温度特
性、感度の直線性、帯電能、温度特性、メモリーを改善
する点で効果が見られる。
【0049】また、前記したとおり、光の入射側にEg
の小さい第二光導電領域を配置し、支持体側にEgが大
きくEuの小さな第一光導電領域を配置することによ
り、レーザーおよびLEDを用いたときの感度の温度特
性、感度の直線性を改善し、伝導性を制御する物質の含
有量、および分布を制御することにより帯電能、温度特
性、メモリーを改善する点で効果が見られるが、Egを
小さくすることで露光の吸収が大きくなり光入射部を小
さくできるために正孔電子混在領域を縮小することがで
き、そのため支持体側光導電層は主たるキャリアを正孔
としてその走行性を改善した層設計が可能となる。よっ
て、上記の光導電層に導伝性を制御する周期律表第III
bに属する元素の含有量および分布を制御することによ
り、上記の効果を助長し、光導電層全体の正孔に電子の
走行性のバランスが改善され、レーザーおよびLEDを
用いたときの感度の温度特性、感度の直線性を大幅に改
善し、帯電能、温度特性、メモリーを改善する点で顕著
な効果が見られる。
【0050】したがって、本発明は上記構成によって、
レーザーおよびLEDを用いたときの感度の温度測定、
感度の直線性および帯電能の向上と温度特性減少ならび
に光メモリーの低減とを高い次元で両立させ、前記した
従来技術における諸問題の全てを解決することができ、
極めて優れた電気的、光学的、光導電的特性、画像品
質、耐久性および使用環境性を示す光受容部材を得るこ
とができる。
【0051】
【発明の実施の形態】以下、図面にしたがって本発明の
電子写真用光受容部材について詳細に説明する。図3
は、本発明の電子写真用光受容部材の層構成を説明する
ための模式的構成図であり、図4は本発明の周期律表第
IIIb族に属する元素の分布様式例を示すものである。
【0052】図3(a)に示す電子写真用光受容部材3
00は、電子写真用光受容部材用としての支持体301
の上に、光受容層302が設けられている。該光受容層
302はa-Si:H,Xからなり光導電性を有する光導電
層303で構成され、光導電層303は支持体301側
から順に第一の層領域311と第二の層領域312とか
らなっている。
【0053】図3(b)に示す電子写真用光受容部材3
00は、電子写真用光受容部材用としての支持体301
の上に、光受容層302が設けられている。該光受容層
302はa-Si:H,Xからなり光導電性を有する光導電
層303と、アモルファスシリコン系表面層304とか
ら構成されている。また、光導電層303は支持体30
1側から順に第一の層領域311と第二の層領域312
とからなっている。
【0054】図3(c)に示す電子写真用光受容部材3
00は、電子写真用光受容部材用としての支持体301
の上に光受容層302が設けられている。該光受容層3
02は支持体301側から順にアモルファスシリコン系
電荷注入阻止層305と、a-Si:H,Xからなり光導電
性を有する光導電層303と、アモルファスシリコン系
表面層304とから構成されている。また、光導電層3
03は電荷注入阻止層305側から順に第一の層領域3
11と第の層領域312とからなっている。
【0055】また、図4は、本発明の光導電層に含有さ
れる周期律表第IIIb族に属する元素の分布様式例を説
明するための模式的構成図であり、図3に示す層構成を
持つ電子写真用光受容部材の光導電層に、図4に示す分
布様式例に基づき周期律表第IIIb族に属する元素が分
布している。また、図4に示す分布様式以外の分布形態
であっても本発明の条件に合うようにすれば、いかなる
変化形態をとってもよい。
【0056】(支持体)本発明において使用される支持
体としては、導電性でも電気絶縁性であってもよい。導
電性支持体としては、Al,Cr,Mo,Au,In,Nb,Te,
V,Ti,Pt,Pd,Fe等の金属、およびこれらの合金、例
えばステンレス等が挙げられる。また、ポリエステル、
ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロースアセテー
ト、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、
ポリアミド等の合成樹脂のフィルムまたはシート、ガラ
ス、セラミック等の電気絶縁性支持体の少なくとも光受
容層を形成する側の表面を導電処理して支持体も用いる
ことができる。
【0057】本発明において使用され支持体301の形
状は平滑表面あるいは凹凸表面の円筒状または無端ベル
ト状であることができ、その厚さは、所望通りの光受容
部材300を形成し得るように適宜決定するが、光受容
部材300としての可撓性が要求される場合には、支持
体301としての機能が充分発揮できる範囲内で可能な
限り薄くすることができる。しかしながら、支持体30
1は製造上および取り扱い上、機械的強度等の点から通
常は10μm以上とされる。
【0058】(光導電層)本発明において、その目的を
効果的に達成するために支持体301上に形成され、光
受容層302の一部を構成する光導電層303は真空堆
積膜形成方法によって、所望特性が得られるように適宜
成膜パラメーターの数値条件が設定されて作成される。
具体的には、例えばグロー放電法(低周波CVD法、高
周波CVD法またはマイクロ波CVD法等の交流放電C
VD法、あるいは直流放電CVD法等)、スパッタリン
グ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、光CVD
法、熱CVD法等の数々の薄膜堆積法によって形成する
ことができる。これらの薄膜堆積法は、製造条件、設備
資本投資下の負荷程度、製造規模、作成される光受容部
材に所望される特性等の要因によって適宜選択されて採
用されるが、所望の特性を有する光受容部材を製造する
に当たっての条件の制御が比較的容易にあることからグ
ロー放電法、特にRF帯の電源周波数を用いた高周波グ
ロー放電法が好適である。
【0059】グロー放電法によって光電導層303を形
成するには、基本的にはシリコン原子(Si)を供給し
得るSi供給用の原料ガスと、水素原子(H)を供給し
得るH供給用の原料ガスまたは/およびハロゲン原子
(X)を供給し得るX供給用の原料ガスを、内部が減圧
にし得る反応容器内に所望のガス状態で導入して、前記
反応容器内にグロー放電を生起させ、あらかじめ所定の
位置に設置されてある所定の支持体301上にa-Si:
H,Xからなる層を形成すればよい。
【0060】また、本発明において光導電層303中に
水素原子または/およびハロゲン原子を含有されること
が必要であるが、これはシリコン原子の未結合手を補償
し、層品質の向上、特に光導電性および電荷保持特性を
向上させるために必須不可欠であるからである。よっ
て、水素原子またはハロゲン原子の含有量、または水素
原子とハロゲン原子の和の量は、第一の層領域の場合、
シリコン原子と水素原子または/およびハロゲン原子の
和に対して25〜40原子%の範囲とされるのが望まし
く、また第二の層領域の場合、シリコン原子と水素原子
または/およびハロゲン原子の和に対して10〜20原
子%の範囲とされるのが望ましい。
【0061】本発明において使用されるSi供給用ガス
となり得る物質としては、SiH4,Si26,Si38,Si
410等のガス状態の、またはガス化し得る水素化珪素
(シラン類)が有効に使用されるものとして挙げられ、
さらに層作成時の取り扱い易さや、Si供給効率の良さ
等の点で、SiH4,Si26が好ましいものとして挙げら
れる。
【0062】そして、形成される光導電層303中に水
素原子を構造的に導入し、水素原子の導入割合の制御を
いっそう容易になるように図り、本発明の目的を達成す
る膜特性を得るために、これらのガスにさらにH2およ
び/またはHeあるいは水素原を含む珪素化合物のガス
を所望量混合して層形成することが必要である。また、
各ガスは単独種のみでなく所定の混合比で複数種混合し
ても差し支えないものである。
【0063】また本発明において使用されるハロゲン原
子供給用の原料ガスとして有効なのは、例えばハロゲン
ガス、ハロゲン化物、ハロゲンを含むハロゲン間化合
物、ハロゲンで置換されたシラン誘導体等のガス状のま
たはガス化し得るハロゲン化合物が好ましくは挙げられ
る。また、さらにはシリコン原子とハロゲン原子とを構
成要素とするガス状のまたはガス化し得る、ハロゲン原
子を含む水素化珪素化合物も有効なものとして挙げるこ
とができる。本発明において好適に使用し得るハロゲン
化合物としては、具体的には弗素ガス(F2),BrF,Cl
F,ClF3,BrF3,BrF5,IF3,IF7等のハロゲン間
化合物を挙げることができる。ハロゲン原子を含む珪素
化合物、いわゆるハロゲン原子で置換されたシラン誘導
体としては、具体的には、例えばSiF4,Si26等の弗
化珪素が好ましいものとして挙げることができる。
【0064】光導電層303中に含有される水素原子ま
たは/およびハロゲン原子の量を制御するには、例えば
支持体301の温度、水素原子または/およびハロゲン
原子を含有させるために使用される原料物質の反応容器
内へ導入する量、放電電力等を制御すればよい。
【0065】本発明においては、光導電層303には必
要に応じて伝導性を制御する原子を含有させることが必
要である。前記伝導性を制御する原子としては、半導体
分野における、いわゆる不純物を挙げることができ、p
型伝導特性を与える周期律表第IIIb族に属する原子
(以後第IIIb族原子と略記する)を用いることができ
る。第IIIb族原子としては、具体的には、硼素(B)、
アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(I
n)、タリウム(Tl)等があり、特にB,Al,Gaが好適で
ある。
【0066】本発明の効果を得るために含有させる周期
律表第IIIb族に属する元素の含有量は、第一の層領域
はシリコン原子に対して0.2〜30ppmの範囲に制
御するのが望ましく、第二の層領域は0.2〜10pp
mの範囲に制御するのが望ましい。そして正孔電子対が
生成し走行する部分である第二の層領域の最表面から露
光波長の70%以上を吸収するに要する領域では、その
部分を正孔と電子の走行性を高次でバランスさせるため
に特に注意してシリコン原子に対して0.01〜5pp
mの範囲に制御されるのが望ましい。
【0067】伝導性を制御する原子、例えば第IIIb族
原子を構造的に導入するには、層形成の際に、第IIIb
族原子導入用の原料物質をガス状態で反応容器中に、光
導電層303を形成するための他のガスと共に導入して
やればよい。第IIIb族原子導入用の原料物質となり得
るものとしては、常温常圧でガス状のまたは、少なくと
も層形成条件下で容易にガス化し得るものを採用するの
が望ましい。
【0068】そのような第IIIb族原子導入用の原料物
質としては具体的には、硼素原子導入用としては、B2
6,B410,B59,B511,B610,B612,B614
等の水素化硼素、BF3,BCl3,BBr3等のハロゲン化
硼素等が挙げられる。この他AlCl3,GaCl3,Ga(CH
3)3,InCl3,TlCl3等も挙げることができる。
【0069】また、これらの伝導性を制御する原子導入
用の原料物質を必要に応じてH2および/またはHeによ
り希釈して使用してもよい。
【0070】さらに本発明においては、光導電層303
に炭素原子および/または酸素原子および/または窒素
原子を含有させることも有効である。炭素原子および/
または酸素原子および/または窒素原子の含有量はシリ
コン原子、炭素原子、酸素原子および窒素原子の和に対
して好ましくは1×10-5〜10原子%、より好ましく
は1×10-4〜8原子%、最適には1×10-3〜5原子
%の範囲が望ましい。炭素原子および/または酸素原子
および/または窒素原子は、光導電層中に万遍なく均一
に含有されてもよいし、光導電層の層厚方向に含有量が
変化するような不均一な分布をもたせた部分があっても
よい。
【0071】本発明において、光導電層303の層厚は
所望の電子写真特性が得られることおよび経済的効果等
の点から適宜所望にしたがって決定され、好ましくは2
0〜50μm、より好ましくは23〜45μm、最適に
は25〜40μmの範囲とするのが望ましい。層厚が2
0μmより薄くなると、帯電能や感度等の電子写真特性
が実用上不充分となる場合があり、50μmより厚くな
ると、光導電層の作製時間が長くなって製造コストが高
くなる。
【0072】また、本発明において、光導電層303全
体(第一の層領域+第二の層領域)に占める第二の層領
域の厚さの割合は、5%〜50%の範囲とすることが望
ましい。その割合が5%より小さいと、第二の層領域に
おいて前露光や像露光を充分に吸収することができず、
感度の温度特性の低減や感度の直線性の改善の効果を充
分に発揮することができない。また、50%以上になる
と帯電能の向上や温度特性低減の効果を充分発揮するこ
とができない。
【0073】本発明の目的を達成し、所望の膜特性を有
する光導電層303を形成するにはSi供給用のガスと
希釈ガスとの混合比、反応容器内のガス圧、放電電力な
らびに支持体温度を適宜設定することが必要である。
【0074】希釈ガスとして使用するH2および/また
はHeの流量は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選
択されるが、第一の層領域の場合、Si供給用ガスに対
してH2および/またはHeの流量を、通常の場合4〜2
0倍、好ましくは5〜15倍、最適には6〜10倍の範
囲に制御することが望ましく、また第二の層領域の場合
は、Si供給用ガスに対しH2および/またはHeの流量
を、通常の場合0.5〜10倍、好ましくは0.7〜5
倍、最適には1〜3倍の範囲に制御することが望まし
い。
【0075】反応容器内のガス圧も、同様に層設計にし
たがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合1×
10-2〜2×103Pa、好ましくは5×10-2〜5×
102Pa、最適には1×10-1〜1.5×102Paの
範囲とするのが好ましい。
【0076】放電電力もまた同様に層設計にしたがって
適宜最適範囲が選択されるが、Si供給用のガスの流量
に対する放電電力の比を、0.3〜10、好ましくは0.
5〜8、最適には1〜6の範囲に設定することが望まし
い。そして、第一の層領域のSi供給用のガスの流量に
対する放電電力の比を第二の層領域のそれに比べて大き
くし、いわゆるフローリミット領域で作成することが好
ましい。
【0077】さらに、支持体301の温度は、層設計に
したがって適宜最適範囲が選択されるが、好ましくは2
00〜350℃、より好ましくは230〜330℃、最
適には250〜300℃の範囲とするのが望ましい。
【0078】本発明においては、光導電層を形成するた
めの支持体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前記
した範囲が挙げられるが、条件は通常は独立的に別々に
決められるものではなく、所望の特性を有する光受容部
材を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて最適
値を決めるのが望ましい。
【0079】(表面層)本発明においては、上述のよう
にして支持体301上に形成された光導電層303の上
に、さらにアモルファスシリコン系の表面層304を形
成することが好ましい。この表面層304は自由表面3
10を有し、主に耐湿性、連続繰り返し使用特性、電気
的耐圧性、使用環境特性、耐久性において本発明の目的
を達成するために設けられる。
【0080】また、本発明においては、光受容層302
を構成する光導電層303と表面層304とを形成する
非晶質材料の各々がシリコン原子という共通の構成要素
を有しているので、積層界面において化学的な安定性の
確保が充分なされている。
【0081】表面層304は、アモルファスシリコン系
の材料であればいずれの材質でも可能であるが、例え
ば、水素原子(H)および/またはハロゲン原子(X)を含
有し、さらに炭素原子を含有するアモルファスシリコン
(以下a-SiC:H,Xと表記する)、水素原子(H)および
/またはハロゲン原子(X)を含有し、さらに酸素原子を
含有するアモルファスシリコン(以下a-SiO:H,Xと
表記する)、水素原子(H)および/またはハロゲン原子
(X)を含有し、さらに窒素原子を含有するアモルファス
シリコン(以下a-SiN:H,Xと表記する)、水素原子
(H)および/またはハロゲン原子(X)を含有し、さらに
炭素原子、酸素原子、窒素原子の少なくとも一種を含有
するアモルファスシリコン(以下a-SiCON:H,Xと
表記する)等の材料が好適に用いられる。
【0082】本発明において、その目的を効果的に達成
するため、表面層304は真空堆積膜形成方法により、
所望特性が得られるよう適宜成膜パラメーターの数値条
件が設定されて作成される。具体的には、例えばグロー
放電法(低周波CVD法、高周波CVD法またはマイク
ロ波CVD法等の交流放電CVD法、あるいは直流放電
CVD法等)、スパッタリング法、真空蒸着法、イオン
プレーティング法、光CVD法、熱CVD法等の数々の
薄膜堆積法によって形成することができる。
【0083】これらの薄膜堆積法は、製造条件、設備資
本投資下の負荷程度、製造規模、作成される光受容部材
に所望される特性等の要因によって適宜選択されて採用
されるが、光受容部材の生産性から光導電層と同等の堆
積法によることが好ましい。例えば、グロー放電法によ
って、a-SiC:H,Xよりなる表面層304を形成する
には、基本的には、シリコン原子(Si)を供給し得る
Si供給用の原料ガス、炭素原子(C)を供給し得るC
供給用の原料ガスと、水素原子(H)を供給し得るH供
給用の原料ガスまたは/およびハロゲン原子(X)を供
給し得るX供給用の原料ガスを、内部を減圧にし得る反
応容器内に所望のガス状態を導入して、前記反応容器内
にグロー放電が生起させ、あらかじめ所定の位置に設置
された光導電層303を形成した支持体301上に、a
-SiC:H,Xからなる層を形成すればよい。
【0084】本発明において用いる表面層の材質として
はシリコンを含有するアモルファス材料ならば何れでも
よいが、炭素、窒素、酸素より選ばれた元素を少なくと
も1つ含むシリコン原子との化合物が好ましく、特にa
-SiCを主成分としたものが好ましい。表面層をa-Si
Cを主成分として構成する場合の炭素量は、シリコン原
子と炭素原子の和に対して30%から90%の範囲が好
ましい。
【0085】また、本発明において表面層304中に水
素原子または/およびハロゲン原子が含有されることが
必要であるが、これはシリコン原子の未結合手を補償
し、層品質の向上、特に光導電性特性および電荷保持特
性を向上させるために必須不可欠である。Chは、構成
原子の総量に対して通常の場合30〜70原子%、好適
には35〜65原子%、最適には40〜60原子%の範
囲とするのが望ましい。また、弗素原子の含有量とし
て、通常の場合は0.01〜15原子%、好適には0.1
〜10原子%、最適には0.6〜4原子%の範囲とする
のが望ましい。
【0086】これらの水素および/または弗素原子含有
量の範囲内で形成される光受容部材は、実際面において
従来にない格段に優れたものとして充分適用させ得るも
のである。すなわち、表面層内に存在する欠陥(主にシ
リコン原子や炭素原子のダングリングボンド)は、電子
写真用光受容部材としての特性に悪影響を及ぼすことが
知られている。例えば自由表面から電荷の注入による帯
電特性の劣化、使用環境、例えば高い湿度のもとで表面
構造が変化することによる帯電特性の変動、さらにコロ
ナ帯電時や光照射時に光導電層より表面層に電荷が注入
され、前記表面層内の欠陥に電荷がトラップされること
により繰り返し使用時の残像現象の発生等がこの悪影響
として挙げられる。
【0087】しかしながら表面層内のChを30原子%
以上に制御することで表面層内の欠陥が大幅に減少し、
その結果、従来に比べて電気的特性面および高速連続使
用性において飛躍的な向上を図ることができる。
【0088】一方、前記表面層中のChが70原子%を
越えると表面層の硬度が低下するために、繰り返し使用
に耐えられなくなる場合がある。したがって、表面層中
のChを前記の範囲内に制御することが格段に優れた所
望の電子写真特性を得る上で重要な因子の1つである。
表面層中のChは、原料ガスの流量(流量比)、支持体
温度、放電パワー、ガス圧等によって制御し得る。
【0089】また、表面層中の弗素含有量を0.01原
子%以上の範囲に制御することで表面層内のシリコン原
子と炭素原子の結合の発生をより効果的に達成すること
が可能となる。さらに、表面層中の弗素原子の働きとし
て、コロナ等のダメージによるシリコン原子と炭素原子
の結合の切断を効果的に防止することができる。
【0090】一方、表面層中の弗素原子含有量が15原
子%を越えると、表面層内のシリコン原子と炭素原子の
結合の発生の効果およびコロナ等のダメージによるシリ
コン原子と炭素原子の結合の切断を防止する効果がほと
んど認められなくなる。さらに、過剰の弗素原子が表面
層中のキャリアの走行性を阻害するため、残留電位や画
像メモリーが顕著に認められてくる。したがって、表面
層中の弗素含有量を前記範囲内に制御することが所望の
電子写真特性を得る上で重要な因子の一種である。表面
層中の弗素含有量は、Chと同様の原料ガスの流量
(比)、支持体温度、放電パワー、ガス圧等によって制
御し得る。
【0091】本発明の表面層の形成において使用される
シリコン(Si)供給用ガスとなり得る物質としては、Si
4,Si26,Si38,Si410等のガス状態の、または
ガス化し得る水素化珪素(シラン類)が有効に使用され
るものとして挙げられ、さらに層作成時の取り扱い易
さ、Si供給効率の良さ等の点でSiH4,Si26が好ま
しいものとして挙げられる。また、これらのSi供給用
の原料ガスを必要に応じてH2,He,Ar,Ne等のガスに
より希釈して使用してもよい。
【0092】炭素供給用ガスとなり得る物質としては、
CH4,C22,C26,C38,C4 10等のガス状態の、
またはガス化し得る炭化水素が有効に使用されるものと
して挙げられ、さらに層作成時の取り扱い易さや、Si
供給効率の良さ等の点でCH4,C22,C26が好まし
いものとして挙げられる。また、これらのC供給用の原
料ガスを、必要に応じて、H2,He,Ar,Ne等のガスに
より希釈して使用してもよい。
【0093】窒素または酸素供給用ガスとなり得る物質
としては、NH3,NO,N2O,NO2,O2,CO,CO2,N
2等のガス状態の、またはガス化し得る化合物が有効に
使用されるものとして挙げられる。また、これらの窒
素、酸素供給用の原料ガスを必要に応じてH2,He,Ar,
Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0094】また、形成される表面層304中に導入さ
れる水素原子の導入割合の制御を一層容易になるよう図
るため、これらのガスにさらに水素ガスまたは水素原子
を含む珪素化合物のガスも所望量混合して層形成するこ
とが好ましい。また各ガスは単独種のみでなく所定の混
合比で複数種混合しても差し支えないものである。
【0095】ハロゲン原子供給用の原料ガスとして有効
なのは、例えば、ハロゲンガス、ハロゲン化物、ハロゲ
ンを含むハロゲン間化合物、ハロゲンで置換されたシラ
ン誘導体等のガス状のまたはガス化し得るハロゲン化合
物が好ましく挙げられる。また、さらにはシリコン原子
とハロゲン原子とを構成要素とするガス状のまたはガス
化し得る、ハロゲン原子を含む水素化珪素化合物も有効
なものとして挙げることができる。
【0096】本発明において好適に使用し得るハロゲン
化合物としては、具体的には弗素ガス(F2),BrF,Cl
F,ClF3,BrF3,BrF5,IF3,IF7等のハロゲン間
化合物を挙げることができる。ハロゲン原子を含む珪素
化合物、いわゆるハロゲン原子で置換されたシラン誘導
体としては、具体的には、例えばSiF4,Si26の弗化
珪素が好ましいものとして挙げることができる。
【0097】表面層304中に含有される水素原子また
は/およびハロゲン原子の量を制御するには、例えば支
持体301の温度、水素原子または/およびハロゲン原
子を含有させるために使用される原料物質の反応容器内
へ導入する量、放電電力等を制御すればよい。
【0098】炭素原子および/または酸素原子および/
または窒素原子は、表面層中に万遍なく均一に含有され
れもよいし、表面層の層厚方向に含有量が変化するよう
な不均一な分布をもたせた部分があってもよい。
【0099】さらに本発明においては、表面層304に
は必要に応じて伝導性を制御する原子を含有させること
が好ましい。伝導性を制御する原子は、表面層304中
に万遍なく均一に分布した状態で含有されてもよいし、
あるいは層厚方向には不均一な状態で含有している部分
があってもよい。
【0100】前記の伝導性を制御する原子としては、半
導体分野における、いわゆる不純物を挙げることがで
き、p型伝導特性を与える周期律表第IIIb族に属する
原子(以後第IIIb族原子と略記する)またはn型伝導
特性を与える周期律表第Vb族に属する原子(以後第V
b族原子と略記する)を用いることができる。
【0101】第IIIb族原子としては、具体的には、硼
素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウ
ム(In)、タリウム(Tl)等があり、特にB,Al,Gaが好
適である。第Vb族原子としては、具体的には、燐
(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)等
があり、特にP,Asが好適である。
【0102】表面層304に含有される伝導性を制御す
る原子の含有量としては、好ましくは1×10-3〜1×
103原子ppm、より好ましくは1×10-2〜5×1
2原子ppm、最適には1×10-1〜1×102原子p
pmの範囲とされるのが望ましい。
【0103】伝導性を制御する原子、例えば第IIIb族
原子あるいは第Vb族原子を構造的に導入するには、層
形成の際に、第IIIb族原子導入用の原料物質あるいは
第Vb族原子導入用の原料物質をガス状態で反応容器中
に、表面層304を形成するための他のガスと共に導入
してやればよい。第IIIb族原子導入用の原料物質ある
いは第Vb族原子導入用の原料物質となり得るものとし
ては、常温常圧でガス状のまたは、少なくとも層形成条
件下で容易にガス化し得るものを採用するのが望まし
い。
【0104】そのような第IIIb族原子導入用の原料物
質としては、具体的には硼素原子導入用としては、B2
6,B410,B59,B511,B610,B612,B614
等の水素化硼素、BF3,BCl3,BBr3等のハロゲン化
硼素等が挙げられる。この他にAlCl3,GaCl3,Ga(C
3)3,InCl3,TlCl3等も挙げることができる。
【0105】第Vb族原子導入用の原料物質として、有
効に使用されるのは、燐原子導入用としてはPH3,P2
4等の水素化燐、PH4I,PF3,PF5,PCl3,PC
l5,PBr3,PBr5,PI3等のハロゲン化燐が挙げられ
る。この他、AsH3,AsF3,AsCl3,AsBr3,AsF5,
SbH3,SbF3,SbF5,SbCl 3,SbCl5,BiH3,BiCl
3,BiBr3等も第Vb族原子導入用の出発物質の有効な
ものとして挙げることができる。また、これらの伝導性
を制御する原子導入用の原料物質を必要に応じてH2,H
e,Ar,Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0106】本発明における表面層304の層厚として
は、通常0.01〜3μm,好適には0.05〜2μm、
最適には0.1〜1μmの範囲とされるのが望ましいも
のである。層厚が0.01μmよりも薄いと光受容部材
を使用中に摩耗等の理由により表面層が失われてしま
い、3μmを越えると残留電位の増加等の電子写真特性
の低下がみられる。
【0107】本発明による表面層304は、その要求さ
れる特性が所望通りに与えられるように注意深く形成さ
れる。すなわち、Si,Cおよび/またはN、および/ま
たはO,H、および/またはXを構成要素とする物質
は、その形成条件によって構造的には結晶からアモルフ
ァスまでの形態を取り、電気物性的には導電性から半導
体性、絶縁性までの間の性質を、また、光導電的性質か
ら非光導電的性質までの間の性質を各々示すので、本発
明においては、目的に応じた所望の特性を有する化合物
が形成されるように、所望にしたがってその形成条件の
選択が厳密になされる。
【0108】例えば、表面層304の耐圧性の向上を主
な目的として設けるには、使用環境において電気絶縁性
的挙動の顕著な非単結晶材料として作成される。また、
連続繰り返し使用特性や使用環境特性の向上を主たる目
的として表面層304が設けられる場合には、上記の電
気絶縁性の度合いはある程度緩和され、照射される光に
対してある程度の感度を有する非単結晶材料として形成
される。
【0109】本発明の目的を達成し得る特性を有する表
面層304を形成するには、支持体301の温度、反応
容器内のガス圧を所望にしたがって、適宜設定する必要
がある。
【0110】支持体301の温度(Ts)は、層設計に
したがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、
好ましくは200〜350℃、より好ましくは230〜
330℃、最適には250〜310℃の範囲とするのが
望ましい。反応容器内のガス圧も、同様に層設計にした
がって適宜最適範囲が選択されるが通常の場合、好まし
くは1×10-2〜2×103Pa、より好ましくは5×
10- 2〜5×102Pa、最適には1×10-1〜2×1
2Paの範囲とするのが望ましい。
【0111】本発明においては、表面層を形成するため
の支持体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前記し
た範囲が挙げられるが、条件は通常は独立的に別々に決
められるものではなく、所望の特性を有する光受容部材
を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて最適値
を決めるのが望ましい。
【0112】さらに本発明においては、光導電層と表面
層の間に、炭素原子、酸素原子、窒素原子の含有量を表
面層より減らしたブロッキング層(下部表面層)を設け
ることも帯電能等の特性をさらに向上させるためには有
効である。
【0113】また表面層304と光導電層303との間
に炭素原子および/または酸素原子および/または窒素
原子の含有量が光導電層303に向かって減少するよう
に変化する領域を設けてもよい。これにより表面層と光
導電層の密着性を向上させ、光キャリアの表面への移動
がスムーズになるとともに光導電層と表面層の界面での
光の反射による干渉の影響をより少なくすることができ
る。
【0114】(電荷注入阻止層)本発明の電子写真用光
受容部材においては、導電性支持体と光導電層との間に
導電性支持体側からの電荷の注入を阻止する働きのある
電荷注入阻止層を設けるのがいっそう効果的である。す
なわち、電荷注入阻止層は光受容層が一定極性の帯電処
理をその自由表面に受けた際、支持体側より光導電層側
に電荷が注入されるのを阻止する機能を有し、逆の極性
の帯電処理を受けた際にはそのような機能は発揮されな
い、いわゆる極性依存性を有している。そのような機能
を付与するために、電荷注入阻止層には伝導性を制御す
る原子を光導電層に比べ比較的多く含有させる。
【0115】前記層に含有される伝導性を制御する原子
は、前記層中に万遍なく均一に分布されてもよいし、あ
るいは層厚方向には万遍なく含有されてはいるが、不均
一に分布する状態で含有している部分があってもよい。
分布濃度が不均一な場合には支持体側に多く分布するよ
うに含有させるのが好適である。しかしながら、いずれ
の場合にも支持体の表面と平行面内方向においては、均
一な分布で万遍なく含有されることが面内方向における
特性の均一化をはかる点からも必要である。
【0116】電荷注入阻止層に含有される伝導性を制御
する原子としては、半導体分野における、いわゆる不純
物を挙げることができ、p型伝導特性を与える周期律表
第IIIb族に属する原子、(以後第IIIb族原子と略記す
る)を用いることができる。第IIIb族原子としては、
具体的には、B(ほう素)、Al(アルミニウム)、Ga
(ガリウム)、In(インジウム)、Ta(タリウム)等
があり、特にB,A,Gaが好適である。
【0117】本発明において、電荷注入阻止層中に含有
される伝導性を制御する原子の含有量としては、本発明
の目的が効果的に達成できるように、所望にしたがって
適宜決定されるが、好ましくは10〜1×104原子p
pm、より好適には50〜5×103原子ppm、最適
には1×102〜3×103原子ppmの範囲とするのが
望ましい。
【0118】さらに電荷注入阻止層には、炭素原子、窒
素原子および酸素原子の少なくとも一種を含有させるこ
とによって、前記電荷注入阻止層に直接接触して設けら
れる他の層との間の密着性の向上をよりいっそう図るこ
とができる。
【0119】前記層に含有される炭素原子または窒素原
子または酸素原子は、前記層中に万遍なく均一に分布さ
れてもよいし、あるいは層厚方向には万遍なく含有され
てはいるが、不均一に分布する状態で含有している部分
があってもよい。しかしながら、いずれの場合にも支持
体の表面と平行面内方向においては、均一な分布で万遍
なく含有されることが、面内方向における特性の均一化
を図る点からも必要である。
【0120】本発明における電荷注入阻止層の、全光導
電領域に含有される炭素原子、および/または窒素原
子、および/または酸素原子の含有量は、本発明の目的
が効果的に達成されるように適宜決定されるが、一種の
場合はその量として、二種以上の場合はその総和とし
て、好ましくは1×10-3〜30原子%、より好適には
5×10-3〜20原子%、最適には1×10-2〜10原
子%の範囲とされるのが望ましい。
【0121】また、本発明における電荷注入阻止層に含
有される水素原子および/またはハロゲン原子は層内に
存在する未結合手を補償し膜質の向上に効果を奏する。
電荷注入阻止層中の水素原子またはハロゲン原子あるい
は水素原子とハロゲン原子の和の含有量は、好適には1
〜50原子%、より好適には5〜40原子%、最適には
10〜30原子%の範囲とするのが望ましい。
【0122】本発明において、電荷注入阻止層の層厚
は、所望の電子写真特性が得られること、および経済的
効果等の点から好ましくは0.1〜5μm、より好まし
くは0.3〜4μm、最適には0.5〜3μmとするのが
望ましい。層厚が0.1μmより薄くなると、支持体か
らの電荷の注入阻止能が不充分になって充分な帯電能が
得られなくなり、5μmより厚くしても電子写真特性の
向上は期待できず、作製時間の延長による製造コスト増
を招くだけである。
【0123】本発明において電荷注入阻止層を形成する
には、前述の光導電層を形成する方法と同様の真空堆積
法が採用される。本発明の目的を達成し得る特性を有す
る電荷注入阻止層305を形成するには、光導電層30
3と同様に、Si供給用のガスと希釈ガスとの混合比、
反応容器内のガス圧、放電電力ならびに支持体301の
温度を適宜設定することが必要である。
【0124】希釈ガスであるH2および/またはHeの流
量は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選択される
が、Si供給用ガスに対しH2および/またはHeを、通
常0.3〜20倍、好ましくは0.5〜15倍、最適には
1〜10倍の範囲に制御することが望ましい。反応容器
内のガス圧も、同様に層設計にしたがって適宜最適範囲
が選択されるが通常の場合は1×10-2〜2×103
a、好ましくは5×10-2〜5×102Pa、最適には
1×10-1〜2×102Paの範囲とするのが望まし
い。
【0125】放電電力もまた同様に層設計にしたがって
適宜最適範囲が選択されるが、Si供給用のガスの流量
に対する放電電力の比を、通常の場合0.5〜8、好ま
しくは0.8〜7、最適には1〜6の範囲に設定するこ
とが望ましい。
【0126】さらに、支持体301の温度は、層設計に
したがって適宜最適範囲が選択されるが、好ましくは2
00〜350℃、より好ましくは230〜330℃、最
適には250〜300℃の範囲とするのが望ましい。
【0127】本発明においては、電荷注入阻止層を形成
するための希釈ガスの混合比、ガス圧、放電電力、支持
体温度の望ましい数値範囲として、前記した範囲が挙げ
られるが、これらの層作成ファクターは通常は独立的に
別々に決められるものではなく、所望の特性を有する光
受容部材を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づい
て各層作成ファクターの最適値を決めるのが望ましい。
【0128】この他に、本発明の光受容部材において
は、光受容層302の前記支持体301側に、少なくと
もアルミニウム原子、シリコン原子、水素原子または/
およびハロゲン原子が層厚方向に不均一な分布状態で含
有する光導電領域を有することが望ましい。
【0129】また、本発明の光受容部材においては、支
持体301と光導電層303あるいは電荷注入阻止層3
05との間の密着性のいっそうの向上を図る目的で、例
えばSi34,SiO2,SiO,あるいはシリコン原子を母
体とし、水素原子および/またはハロゲン原子と、炭素
原子および/または酸素原子および/または窒素原子と
を含む非晶質材料等で構成される密着層を設けてもよ
い。
【0130】次に、光受容層を形成するための装置およ
び膜形成方法について詳述する。図5は、RF帯の電源
周波数を用いた高周波プラズマCVD法(以後RF-P
CVDと略記する)による光受容部材の製造装置の一例
を示す模式的な構成図である。図5に示す製造装置の構
成は以下の通りである。
【0131】この装置は大別すると、堆積装置510
0、原料ガスの供給装置5200、反応容器5111内
を減圧するための排気装置(図示せず)から構成されて
いる。堆積装置5100中の反応容器5111内には円
筒状支持体5112、支持体加熱用ヒーター5113、
原料ガス導入管5114が設置され、さらに高周波マッ
チングボックス5115が接続されている。
【0132】原料ガス供給装置5200は、SiH4,Ge
4,H2,CH4,B26,PH3等の原料ガスのボンベ52
21〜5226とバルブ5231〜5236,5241
〜5246,5251〜5256およびマスフローコン
トローラ5211〜5216から構成され、各原料ガス
のボンベはバルブ5260を介して反応容器5111内
のガス導入管5114に接続されている。
【0133】この装置を用いた堆積膜の形成は、例えば
以下のように行うことができる。まず、反応容器511
1内に円筒状支持体5112を設置し、不図示の排気装
置(例えば真空ポンプ)により反応容器5111内を排
気する。続いて、支持体加熱用ヒーター5113によ
り、円筒状支持体5112の温度を200〜350℃の
所定の温度に制御する。
【0134】堆積膜形成用の原料ガスを反応容器511
1に流入させるには、ガスボンベのバルブ5231〜5
237、反応容器のリークバルブ5117が閉じられて
いることを確認し、また、流入バルブ5241〜524
6、流出バルブ5251〜5256、補助バルブ526
0が開かれていることを確認して、まずメインバルブ5
118を開いて反応容器5111およびガス配管511
6内を排気する。
【0135】次に真空計5119の読みが約1×10-2
Paになった時点で補助バルブ5260、流出バルブ5
251〜5256を閉じる。その後、ガスボンベ522
1〜5226より各ガスをバルブ5231〜5236を
開いて導入し、圧力調整器5261〜5266により各
ガス圧を2Kg/cm 2調整する。次に、流入バルブ3
241〜3246を徐々に開けて、各ガスをマスフロー
コントローラー5211〜5216内に導入する。
【0136】以上のようにして成膜の準備が完了した
後、以下の手順で各層の形成を行う。円筒状支持体51
12が所定の温度になったところで、流出バルブ525
1〜5256のうちの必要なものおよび補助バルブ52
60を徐々に開き、ガスボンベ5221〜5226から
所定のガスをガス導入管5114を介して反応容器51
11内に導入する。次にマスフローコントローラー52
11〜5216によって各原料ガスが所定の流量になる
ように調整する。その際、反応容器5111内の圧力が
1.5×102Pa以下の所定の圧力になるように真空計
5119を見ながらメインバルブ5118の開口を調整
する。内圧が安定したところで、周波数13.56MH
zのRF電源(不図示)を所望の電力に設定して、高周
波マッチングボックス5115を通じて反応容器511
1内にRF電力を導入し、グロー放電を生起させる。こ
の放電エネルギーによって反応容器内に導入された原料
ガスが分解され、円筒状支持体5112上に所定のシリ
コンを主成分とする堆積膜が形成されるところとなる。
所望の膜厚の形成が行われた後、RF電力の供給を止
め、流出バルブを閉じて反応容器へのガスの流入を止
め、堆積膜の形成を終える。
【0137】同様の操作を複数回繰り返すことによっ
て、所望の多層構造の光受容層が形成される。それぞれ
の層を形成する際には、必要なガス以外の流出バルブは
全て閉じられていることは言うまでもなく、また、それ
ぞれのガスが反応容器5111内、流出バルブ5251
〜5256から反応容器5111に至る配管内に残留す
ることを避けるために、流出バルブ5251〜5256
を閉じ、補助バルブ5260を開き、さらにメインバル
ブ5118を全開にして系内を一旦高真空に排気する操
作を必要に応じて行う。
【0138】また、膜形成の均一化を図るために、層形
成を行っている間は、支持体5112を駆動装置(不図
示)によって所定の速度で回転させることも有効であ
る。さらに、上述のガス種およびバルブ操作は各々の層
の作成条件にしたがって変更が加えられることは言うま
でもない。
【0139】また、堆積膜形成時の支持体温度は、特に
200〜350℃、好ましくは230〜330℃、より
好ましくは250〜310℃の範囲が望ましい。支持体
の加熱方法は、真空仕様である発熱体であればよく、よ
り具体的には、シース状ヒーターの巻き付けヒーター、
板状ヒーター、セラミックヒーター等の電気抵抗発熱
体、ハロゲンランプ、赤外線ランプ等の熱放射ランプ発
熱体、液体、気体等を温媒として熱交換手段による発熱
体等が挙げられる。
【0140】加熱手段の表面材質は、ステンレス、ニッ
ケル、アルミニウム、銅等の金属類、セラミックス、耐
熱性高分子樹脂等を使用することができる。それ以外
に、反応容器以外に加熱専用の容器を設け、加熱した
後、反応容器内に真空中で支持体を搬送する方法が用い
られる。
【0141】[試験例]以下、試験例により本発明の効
果を具体的に説明する。 (試験例1)図5に示すRF-PCVD法による光受容
部材の製造装置を用いて、直径108mmの鏡面加工を
施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、表1に
示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなる
光受容部材を作製した。この際、電荷注入阻止層側から
第一の層領域、第二の層領域の順で光導電層を形成し
た。
【0142】一方、アルミニウムシリンダーに代えて、
サンプル基板を設置するための溝加工を施した円筒形の
サンプルホルダーを用い、ガラス基板(コーニング社、
7059)ならびにSiウエハー上に、上記光導電層の
作成条件で膜厚約1μmのa-Si膜を堆積した。ガラス
基板上の堆積膜は、光学的バンドギャップ(Eg)を測
定した後、Crの串型電極を蒸着し、CPMにより指数
関数裾の特性エネルギー(Eu)を測定し、Siウエハ
ー上の堆積膜はFTIRにより水素含有量(Ch)を測
定した。
【0143】表1の例では第一の層領域はCh,Eg,E
uはそれぞれ40原子%、1.83eV、53meVで
あり、第二の層領域はCh,Eg,Euはそれぞれ15原
子%、1.70eV、64meVであった。
【0144】次いで、第二の層領域においてSiH4ガス
流量、SiH4ガスとH2ガスとの混合比、SiH4ガス流
量と放電電力との比率、ならびに支持体温度を種々変え
ることによって、第二の層領域のEg,Ch,Euの異な
る種々の光受容部材を作製した。なお、第一の光導電層
および第二の層領域の膜厚はそれぞれ23μmおよび7
μmに固定した。
【0145】作製した光受容部材を電子写真装置(キヤ
ノン製NP-6550を試験用に改造)にセットして、
電位特性の評価を行った。この際、プロセススピード3
80mm/sec、前露光(波長700nmのLED)
4lux・sec、帯電器の電流値1000μAの条件
にて、電子写真装置の現像器位置にセットした表面電位
計(TREK社Model344)の電位センサーによ
り光受容部材の表面電位を測定し、それを帯電能とし
た。また、光受容部材に内蔵したドラムヒーターにより
温度を室温(約25℃)から45℃まで変えて、上記条
件にて各温度での帯電能を測定し、そのときの温度1℃
当たりの帯電能の変化の割合を帯電能の温度特性とし
た。
【0146】そして、室温と45℃のそれぞれについて
暗電位が400Vとなるように帯電条件を設定し、像露
光光源に680nmのLEDを用いてE-V特性(曲
線)を測定して、感度の温度特性ならびに感度の直線性
を評価した。また、メモリー電位は、感度と同様に同様
に像露光光源に680nmのLEDを用い、上述の条件
下において同様の電位センサーにより非露光状態での表
面電位と一旦露光した後に再度帯電した時との電位差を
測定した。
【0147】本例のEg,Euと帯電能、帯電能の温度
特性、メモリー、感度の温度特性ならびに感度の直線性
との関係を、それぞれ図6〜10に示す。それぞれの特
性に関し、光導電層(膜厚30μm)を第一の層領域の
みで構成した場合を1としたときの相対値で示す。図6
〜10から明らかなように、第二の層領域においてEg
が1.65〜1.75eVの範囲、Euが60〜70me
Vの範囲の条件において、帯電能、帯電能の温度特性、
メモリー、感度の温度特性ならびに感度の直線性、いず
れも良好な特性を得られることがわかる。また、露光光
源をLEDに代えて半導体レーザー(波長680nm)
にした場合も同様の結果が得られることがわかる。
【0148】
【表1】 ※:シリコン原子に対する第IIIb族元素(B)の含有量の値。
【0149】(試験例2)図5に示すRF-PCVD法
による光受容部材の製造装置を用い、試験例1と同様に
表1に示す条件で、直径108mmの鏡面加工を施した
アルミニウムシリンダー(支持体)上に、電荷注入阻止
層、光導電層、表面層からなる光受容部材を作製した。
またその際に、光導電層に占める第二の層領域の膜厚ま
たはEgを変化させて、光導電層に占める第二の層領域
において露光波長が吸収される割合を変化させた。
【0150】作製した光受容部材について試験例1と同
様の電位特性評価を行った。本例の光導電層に占める第
二の層領域の割合と帯電能、感度の温度特性ならびに感
度の直線性との関係を、それぞれ図11〜13に示す。
それぞれの特性に関して、光導電層(総膜厚30μm)
を第一の層領域のみで構成した場合を1としたときの相
対値で示す。図11〜13から明らかなように、第二の
層領域において露光波長の50%〜95%の範囲を吸収
する条件において、帯電能、感度の温度特性ならびに感
度の直線性いずれも良好な特性を得られることがわか
る。
【0151】(試験例3)図5に示すRF-PCVD法
による光受容部材の製造装置を用い、実施例1と同様に
表1に示す条件で、直径108mmの鏡面加工を施した
アルミニウムシリンダー(支持体)上に、電荷注入阻止
層、光導電層、表面層からなる光受容部材を、光導電層
に占める第二の層領域の膜厚の割合を変えて作製した。
【0152】表2の例では第一の層領域はCh,Eg,E
uはそれぞれ37原子%、1.88eV、54meVで
あり、第二の層領域はCh,Eg,Euはそれぞれ15原
子%、1.70eV、64meVであった。作製した個
々の光受容部材について試験例1と同様の電位特性評価
を行った。
【0153】本例の光導電層に占める第二の層領域の割
合と帯電能、感度の温度特性ならびに感度の直線性との
関係をそれぞれ図14〜16に示す。それぞれの特性に
関して、光導電層(総膜厚30μm)を第一の層領域の
みで構成した場合を1としたときの相対値で示す。図1
4〜16から明らかなように、光導電層に占める第二の
層領域の膜厚の割合が0.05〜0.5の範囲の条件にお
いて、帯電能、感度の温度特性ならびに感度の直線性い
ずれも良好な特性を得られることがわかる。
【0154】
【表2】 ※:シリコン原子に対する第IIIb族元素(B)の含有量の値。
【0155】(試験例4)図5に示すRF-PCVD法
による光受容部材の製造装置を用いて、直径108mm
の鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)
上に、表3に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、表
面層からなる光受容部材を作製した。この際、電荷注入
阻止層側から第一の層領域、第二の層領域の順で光導電
層を形成した。
【0156】一方、アルミニウムシリンダーに代えて、
サンプル支持体を設置するための溝加工を施した円筒形
のサンプルホルダーを用い、ガラス支持体(コーニング
社7059)ならびにSiウエハー上に、上記光導電層
の作成条件で膜厚約1μmのa-Si膜を堆積した。ガラ
ス支持体上の堆積膜は、Egを測定した後、Crの串型
電極を蒸着し、CPMによりEuを測定し、Siウエハ
ー上の堆積膜はFTIRによりChを測定した。
【0157】表2の例では第一の層領域はCh,Eg,E
uはそれぞれ28原子%、1.82eV、53meVで
あり、第二の層領域はCh,Eg,Euはそれぞれ15原
子%、1.75eV、64meVであった。次いで光導
電層中の周期律表第IIIb族に属する元素の含有量を、
図17に示す5種類の分布パターンで光導電層中に分布
させた光受容部材を作製した。
【0158】作製した個々の光受容部材について試験例
1と同様の電位特性評価を行った結果を下記の表4に示
す。それぞれの特性に関して、光導電層中の周期律表第
IIIb族に属する元素の分布パターンを図17(c)す
なわち光導電層で均一とした場合を1としたときの相対
値で示す。
【0159】光導電層の光が入射する側の周期律表第II
Ib族に属する元素の含有量が、光導電層の支持体側の
含有量より少い条件で作製した光受容部材が、周期律表
第IIIb族に属する元素を均一に含有させた物または光
導電層の光が入射する側の周期律表第IIIb族に属する
元素の含有量が、光導電層の支持体側の含有量より多い
条件で作製した物に較べて帯電能、温度特性、光メモリ
ー、感度の温度特性、感度の直線性の全ての特性レベル
が向上することがわかる。
【0160】
【表3】 ※:図17の分布パターンに従う。 ※※:シリコン原子に対する第IIIb族元素(B)の含有量の値。
【0161】
【表4】
【0162】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。 [実施例1]図5に示すRF-PCVD法による光受容
部材の製造装置を用いて、直径80mmの鏡面加工を施
したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、電荷注入
阻止層、光導電層、表面層からなる光受容部材を作製し
た。この際、光導電層を電荷注入阻止層側から第一の層
領域、第二の層領域の順とし、表面層のシリコン原子お
よび炭素原子の含有量を層厚方向に不均一な分布状態と
した表面層を設けた。表5にこのときの光受容部材の作
製条件を示す。
【0163】本例では、光導電層の第一の層領域のC
h,Eg,Euは、それぞれ26原子%、1.86eV、
51meVであり、第二の層領域のCh,Eg,Euは、
それぞれ15原子%、1.71eV、62meVという
結果が得られた。第一の層領域は27μm、第二の層領
域は3μmの膜厚とした。
【0164】また、周期律表第IIIb族に属する元素の
含有量は光導電層を通して0.3ppmで一定の含有と
した。作製した個々の光受容部材について、試験例1と
同様に帯電能、温度特性、メモリー、感度の温度特性、
感度の直線性についての電位特性評価を行ったところ、
いずれの特性ともに良好な結果を得られた。
【0165】また、作製した光受容部材を正帯電して画
像評価をしたところ、画像上でも光メモリーは観測され
ずその他の画像特性(ポチ、画像流れ)についても良好
な電子写真特性が得られた。
【0166】すなわち、光導電層を電荷注入阻止層側か
ら第一の層領域、第二の層領域の順とした場合、光導電
層の第一の層領域においてEuを50〜55meVの範
囲とし、Ch,Egをそれぞれ25〜40原子%、1.8
0〜1.90eVの範囲とし、第二の層領域においてE
uを60〜70meVの範囲とし、Ch,Egをそれぞ
れ10〜20原子%、1.65〜1.75eVの範囲とす
ることが、良好な電子写真特性を得るために必要である
ことがわかる。
【0167】
【表5】 ※:シリコン原子に対する第IIIb族元素(B)の含有量の値。
【0168】[実施例2]本例では、電荷注入阻止層中
および光導電層中の希釈ガスを実施例1のH2に代えて
Heを使用し、表面層のシリコン原子および炭素原子の
含有量を層厚方向に不均一な分布状態とした表面層を設
けた。表6に、このときの光受容部材の作製条件を示
す。
【0169】本例では、光導電層の第一の層領域のC
h,Eg,Euは、それぞれ25原子%、1.80eV、
55meVであり、第二の層領域のCh,Eg,Euは、
それぞれ12原子%、1.71eV、64meVという
結果が得られた。周期律表第IIIb族に属する元素の含
有量は第一の層領域では1.5ppmで一定の含有と
し、第二の層領域では0.2ppmで一定の含有とし
た。作製した光受容部材を実施例1と同様の評価をした
ところ、同様に良好な電子写真特性が得られた。
【0170】すなわち、光導電層を電荷注入阻止層側か
ら第一の層領域、第二の層領域の順とした場合、光導電
層の第一の層領域においてEuを50〜55meVの範
囲とし、Ch,Egをそれぞれ25〜40原子%、1.8
0〜1.90eVの範囲とし、第二の層領域においてE
uを60〜70meVの範囲とし、Ch,Egをそれぞ
れ10〜20原子%、1.65〜1.75eVの範囲とす
ると共に、前記第二の層領域の周期律表第IIIb族に属
する元素の含有量を、前記第一の層領域の支持体側の含
有量より少なくすることが、良好な電子写真特性を得る
ために必要であることがわかる。
【0171】
【表6】 ※:シリコン原子に対する第IIIb族元素(B)の含有量の値。
【0172】[実施例3]本例では、希釈ガスを水素に
もどし、光導電層を電荷注入阻止層側から第一の層領
域、第二の層領域とし、また、表面層のシリコン原子お
よび炭素原子の含有量を層厚方向に不均一な分布状態と
した表面層を設けた。表7に、このときの光受容部材の
作製条件を示す。
【0173】本例では、光導電層の第一の層領域のC
h,Eg,Euは、それぞれ26原子%、1.82eV、
50meVであり、第二の層領域のCh,Eg,Euは、
それぞれ17原子%、1.74eV、67meVという
結果が得られた。周期律表第IIIb族に属する元素の含
有量は、最大値1.5ppm、最小値0.1ppmとし
て、図4の(a)の様に直線的に変化させて分布含有さ
せた。作製した光受容部材を実施例1と同様の評価をし
たところ、同様に良好な電子写真特性が得られた。
【0174】すなわち、光導電層中の周期律表第IIIb
族に属する元素の含有を図4(a)の様に直線的に変化
させて含有させた場合でも、光導電層を電荷注入阻止層
側から第一の層領域、第二の層領域の順とした場合、光
導電層の第一の層領域おいてEuを50〜55meVの
範囲とし、Ch,Egをそれぞれ25〜40原子%、1.
80〜1.90eVの範囲とし、第二の層領域において
Euを60〜70meVの範囲とし、Ch,Egをそれ
ぞれ10〜20原子%、1.65〜1.75eVの範囲と
すると共に、前記第二の層領域の周期律表第IIIb族に
属する元素の含有量を、前記第一の層領域の支持体側の
含有量より少なくすることが良好な電子写真特性を得る
ために必要であることがわかる。
【0175】
【表7】 ※:シリコン原子に対する第IIIb族元素(B)の含有量の値。 ※※:周期律表第IIIb族に属する元素の含有量は、最大値1.5ppm、最小値 0.1ppmとして、図4(a)に示すように直線的に変化させて分布含有させ た。
【0176】[実施例4]本例では、光導電層を電荷注
入阻止層側から第一の層領域、第二の層領域の順とし、
表面層のシリコン原子および炭素原子の含有量を層厚方
向に不均一な分布状態とした表面層を設けるとともに、
全ての層にフッ素原子を含有させた。表8にこのときの
光受容部材の作製条件を示す。
【0177】本例では、光導電層の第一の層領域のC
h,Eg,Euは、それぞれ36原子%、1.81eV、
55meVであり、第二の層領域のCh,Eg,Euは、
それぞれ15原子%、1.7eV、68meVという結
果が得られた。また、周期律表第IIIb族に属する元素
の含有量は、最大値1.2ppm、最小値0.3ppmと
して、図4(f)に示すように直線的に変化させて分布
含有させた。作製した光受容部材を実施例1と同様の評
価をしたところ、同様に良好な電子写真特性が得られ
た。
【0178】すなわち、光導電層の周期律表第IIIb族
に属する元素の含有を図4(f)に示すように連続的に
変化させて含有させた場合でも、光導電層の第一の層領
域においてEuを50〜55meVの範囲とし、Ch,
Egをそれぞれ25〜40原子%、1.80〜1.90e
Vの範囲とし、第二の層領域においてEuを60〜70
meVの範囲とし、Ch,Egをそれぞれ10〜20原
子%、1.65〜1.75eVの範囲とすると共に、前記
第二の層領域の周期律表第IIIb族に属する元素の含有
量を、前記第一の層領域の支持体側の含有量より少なく
することが、良好な電子写真特性を得るために必要であ
ることがわかる。
【0179】
【表8】 ※:シリコン原子に対する第IIIb族元素(B)の含有量の値。 ※※:周期律表第IIIb族に属する元素の含有量は、最大値1.2ppm、最小値 0.3ppmとして、図4(f)に示すように連続的に変化させて分布含有させ た。
【0180】[実施例5]本例では、光導電層を電荷注
入阻止層側から第一の層領域、第二の層領域の順とし、
表面層のシリコン原子および炭素原子の含有量を層厚方
向に不均一な分布状態とした表面層を設けるとともに、
全ての層にフッ素原子、ホウ素原子、炭素原子、酸素原
子、窒素原子を含有させた。表9にこのときの光受容部
材の作製条件を示す。
【0181】本例では、光導電層の第一の層領域のC
h,Eg,Euは、それぞれ29原子%、1.84eV、
55meV、第二の層領域のCh,Eg,Euは、それぞ
れ15原子%、1.73eV、68meVという結果が
得られた。また、周期律表第IIIb族に属する元素の含
有量は、最大値1.0ppm、最小値0.1ppmとし
て、図4の(d)に示すように膜厚を等分して階段上に
分布含有させた。作製した光受容部材を実施例1と同様
の評価をしたところ、同様に良好な電子写真特性が得ら
れた。
【0182】すなわち、光導電層の周期律表第IIIb族
に属する元素の含有を図4(d)のように膜厚を等分し
て階段状に分布含有させた場合でも、光導電層の第一の
層領域においてEuを50〜55meVの範囲とし、C
h,Egをそれぞれ25〜40原子%、1.8〜1.90
eVの範囲とし、第二の層領域においてEuを60〜7
0meVの範囲とし、Ch,Egをそれぞれ10〜20
原子%、1.65〜1.75eVの範囲とすると共に、前
記第二の層領域の周期律表第IIIb族に属する元素の含
有量を、前記第一の層領域の支持体側の含有量より少な
くすることが、良好な電子写真特性を得るために必要で
あることがわかる。
【0183】
【表9】 ※:シリコン原子に対する第IIIb族元素(B)の含有量の値。 ※※:周期律表第IIIb族に属する元素の含有量は、最大値1.0ppm、最小値 0.1ppmとして、図4の(d)に示すように膜厚を等分して階段状に分布含 有させた。
【0184】[実施例6]本例では、光導電層を電荷注
入阻止層側から第一の層領域、第二の層領域とし且つ、
第一の層領域と第二の層領域の界面においてガス流量お
よびRF電力が連続的に変化するようにし、また、表面
層において炭素原子の含有量を層厚方向に不均一な分布
状態とした表面層を設けた。表10に、このときの光受
容部材の作製条件を示す。
【0185】本例では、光導電層の第一の層領域のC
h,Eg,Euは、それぞれ、32原子%、1.84e
V、58meV、第二の層領域のCh,Eg,Euは、そ
れぞれ12原子%、1.68eV、69meVという結
果が得られた。また、作製した光受容部材を実施例1と
同様の評価をしたところ、同様に良好な電子写真特性が
得られた。
【0186】また、周期律表第IIIb族に属する元素の
含有量は、最大値1.0ppm、最小値0.2ppmとし
て、図4の(c)に示すように第一の層領域で急峻に変
化した後、最表面まで緩やかに滑らかな変化とした。作
製した光受容部材を実施例1と同様の評価をしたとこ
ろ、同様に良好な電子写真特性が得られた。
【0187】すなわち、図4の(c)に示すように第一
の層領域で急峻に変化した後、最表面まで緩やかに滑ら
かな変化場合において、光導電層の第一の層領域におい
てEuを50〜60meVの範囲とし、Ch,Egをそ
れぞれ、25〜40原子%、1.80〜1.90eVの範
囲とし、第二の層領域においてEuを60〜70meV
の範囲とし、Ch,Egをそれぞれ10〜20原子%、
1.65〜1.75eVの範囲とすると共に、前記第二の
層領域の周期律表第IIIb族に属する元素の含有量を、
前記第一の層領域の支持体側の含有量より少なくするこ
とが、良好な電子写真特性を得るために必要であること
がわかる。
【0188】
【表10】 ※:シリコン原子に対する第IIIb族元素(B)の含有量の値。 ※※:周期律表第IIIb族に属する元素の含有量は、最大値3.0ppm、最小値 0.5ppmとして、図4の(c)に示すように第一の層領域で急峻に変化した 後、最表面まで緩やかに滑らかな変化とした。 ※※※:30秒から300秒の間で連続的にガス流量およびRF電力を変化させ た。
【0189】[実施例7]本例では、光導電層を電荷注
入阻止層側から第一の層領域、第二の層領域とし且つ、
第一の層領域と第二の層領域の界面においてガス流量が
連続的に変化するようにし、また表面層において炭素原
子の代わりに窒素原子を層厚方向に不均一な分布状態と
した表面層を設けた。表11に、このときの光受容部材
の作製条件を示す。
【0190】本例では、光導電層の第一の層領域のC
h,Eg,Euは、それぞれ、27原子%、1.82e
V、55meV、第二の層領域のCh,Eg,Euは、そ
れぞれ17原子%、1.74eV、69meVという結
果が得られた。また、作製した光受容部材を実施例1と
同様の評価をしたところ、同様に良好な電子写真特性が
得られた。
【0191】また、周期律表第IIIb族に属する元素の
含有量は、最大値3.0ppm、最小値0.5ppmと
し、図4の(c)に示すように第一の層領域で急峻に変
化した後、最表面まで緩やかに滑らかな変化とした。作
製した光受容部材を実施例1と同様の評価をしたとこ
ろ、同様に良好な電子写真特性が得られた。
【0192】すなわち、図4(c)に示すように第一の
層領域で急峻に変化した後、最表面まで緩やかに滑らか
な変化場合において、光導電層の第一の層領域において
Euを50〜60meVの範囲とし、Ch,Egをそれ
ぞれ25〜40原子%、1.80〜1.90eVの範囲と
し、第二の層領域においてEuを60〜70meVの範
囲とし、Ch,Egをそれぞれ10〜20原子%、1.6
5〜1.75eVの範囲とすると共に、前記第二の層領
域の周期律表第IIIb族に属する元素の含有量を、前記
第一の層領域の支持体側の含有量より少なくすること
が、良好な電子写真特性を得るために必要であることが
わかる。
【0193】
【表11】 ※:シリコン原子に対する第IIIb族元素(B)の含有量の値。 ※※:周期律表第IIIb族に属する元素の含有量は、最大値3.0ppm、最小値 0.5ppmとして、図4の(c)に示すように第一の層領域で急峻に変化した 後、最表面まで緩やかに滑らかな変化とした。 ※※※:30秒から300秒の間で連続的にガス流量を変化させた。
【0194】
【発明の効果】本発明によれば、光受容部材の使用温度
領域での帯電能および感度の温度特性が飛躍的に改善さ
れるとともに光メモリーの発生を実質的になくすること
ができるために、光受容部材の使用環境に対する安定性
が向上し、ハーフトーンが鮮明に出て且つ解像力の高い
高品質の画像を安定して得ることができる電子写真用光
受容部材が得られる。
【0195】したがって、本発明の電子写真用光受容部
材を前述のごとき特定の構成としたことにより、a-Si
で構成された従来の電子写真用光受容部材における諸問
題をすべて解決することができ、特にきわめて優れた電
気的特性、光学的特性、光導電特性、画像特性、耐久性
および使用環境特性を示す。
【0196】特に本発明においては、光導電層を光学的
バンドギャップの異なる光導電領域を設け、且つ第二の
層領域の周期律表第IIIb族に属する元素の含有量を第
一の層領域の支持体側の含有量より少なくなるように制
御することによって、帯電能が高く、加えて周囲環境の
変動に対する表面電位の変化が抑制され、極めて優れた
電位特性、画像特性を有するという特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における指数関数裾の特性エネルギーを
説明するためのa-Siのサブギャップ光吸収スペクトル
の1例を示す模式図。
【図2】本発明における感度の温度特性および感度の直
線性を説明するためのa-Si光受容部材の露光量-表面
電位曲線の1例を示す模式図。
【図3】本発明の光受容部材の好適な実施態様例の層構
成を示す模式的説明図。
【図4】本発明の光受容部材の好適な実施態様例の周期
律表第IIIb族に属する元素の分布を示す模式的説明
図。
【図5】本発明の光受容部材の光受容層を形成するため
の装置の一例で、RF帯の高周波電源を用いたグロー放
電法による光受容部材の製造装置を示す模式的説明図。
【図6】本発明の光受容部材における光導電層の第二の
層領域のアーバックテイルの特性エネルギー(Eu)と
帯電能との関係を示すグラフ図。
【図7】本発明の光受容部材における光導電層の第二の
層領域のアーバックテイルの特性エネルギー(Eu)と
帯電能の温度特性との関係を示すグラフ図。
【図8】本発明の光受容部材における光導電層の第二の
層領域のアーバックテイルの特性エネルギー(Eu)と
メモリーとの関係を示すグラフ図。
【図9】本発明の光受容部材における光導電層の第二の
層領域のアーバックテイルの特性エネルギー(Eu)と
感度の温度特性との関係を示すグラフ図。
【図10】本発明の光受容部材における光導電層の第二
の層領域のアーバックテイルの特性エネルギー(Eu)
と感度の直線性との関係を示すグラフ図。
【図11】本発明の光受容部材における光導電層の第二
の層領域における露光波長の吸収の割合と帯電能との関
係を示すグラフ図。
【図12】本発明の光受容部材における光導電層の第二
の層領域における露光波長の吸収の割合と感度の温特と
の関係を示すグラフ図。
【図13】本発明の光受容部材における光導電層の第二
の層領域における露光波長の吸収の割合と感度の直線性
との関係を示すグラフ図。
【図14】本発明の光受容部材における光導電層の第二
の層領域の膜厚と帯電能との関係を示すグラフ図。
【図15】本発明の光受容部材における光導電層の第二
の層領域の膜厚と感度の温度特性との関係を示すグラフ
図。
【図16】本発明の光受容部材における光導電層の第二
の層領域の膜厚と感度の直線性との関係を示すグラフ
図。
【図17】本発明の光受容部材の周期律表第IIIb族に
属する元素の分布を示す模式的説明図。
【符号の説明】
300 光受容部材 301 導電性支持体 302 光受容層 303 光導電層 304 表面層 305 電荷注入阻止層 310 自由表面 311 第一の層領域 312 第二の層領域 5100 堆積装置 5111 反応容器 5112 円筒状支持体 5113 支持体加熱用ヒーター 5114 原料ガス導入管 5115 マッチングボックス 5116 原料ガス配管 5117 反応容器リークバルブ 5118 メイン排気バルブ 5119 真空計 5200 原料ガス供給装置 5211〜5216 マスフローコントローラー 5221〜5226 原料ガスボンベ 5231〜5236 原料ガスボンベバルブ 5241〜5246 ガス流入バルブ 5251〜5256 ガス流出バルブ 5261〜5266 圧力調整器
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年12月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0179
【補正方法】変更
【補正内容】
【0179】
【表8】 ※:シリコン原子に対する第IIIb族元素(B)の含有量の値。 ※※:周期律表第IIIb族に属する元素の含有量は、最大値1.2ppm、最小値 0.3ppmとして、図4(f)に示すように連続的に変化させて分布含有させ た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G03G 5/08 314 G03G 5/08 314 315 315 316 316 333 333 334 334 335 335 336 336 (72)発明者 土田 伸史 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体と、該支持体の表面上に、
    水素原子および/またはハロゲン原子を含有し、シリコ
    ン原子を母体とする非単結晶材料からなる光導電層を備
    える電子写真用光受容部材において、前記光導電層が支
    持体側から第一の層領域と第二の層領域からなり、該第
    一の層領域が光子エネルギー(hν)を独立変数とし光
    吸収スペクトルの吸収係数(α)を従属変数とする式
    (I) lnα=(1/Eu)・hν+α1 (I) で表わされる関数の直線関係部分(指数関数裾)から得
    られる特性エネルギー(Eu)を50ないし55meV
    の範囲、水素原子および/またはハロゲン原子の含有量
    (Ch)を25ないし40原子%の範囲、光学的バンド
    ギャップ(Eg)を1.8ないし1.90eVの範囲と
    し、前記第二の層領域が特性エネルギー(Eu)を60
    ないし70meVの範囲、Chを10ないし20原子%
    の範囲、Egを1.65ないし1.75eVの範囲とする
    ことを特徴とする電子写真用光受容部材。
  2. 【請求項2】 前記第二の層領域の膜厚を露光波長の5
    0ないし95%を吸収するために必要とされる厚さとす
    ることを特徴とする、請求項1記載の電子写真用光受容
    部材。
  3. 【請求項3】 導電性支持体と該導電性支持体の表面上
    に、水素原子および/またはハロゲン原子と周期律表第
    IIIb族に属する少なくとも一種の元素を含有し、シリ
    コン原子を母体とする非単結晶材料からなる光導電性を
    示す光導電層を有する光受容層を少なくとも有する電子
    写真用光受容部材において、前記光導電層が支持体側か
    ら第一の層領域と第二の層領域からなり、光導電層の光
    が入射する側の周期律表第IIIb族に属する元素の含有
    量が、光導電層の支持体側の含有量より少なく、且つ光
    導電層が光子エネルギー(hν)を独立変数とし光吸収
    スペクトルの吸収係数(α)を従属変数とする式(I) lnα=(1/Eu)・hν+α1 (I) で表わされる関数の直線関係部分(指数関数裾)から得
    られる特性エネルギー(Eu)を50ないし55meV
    の範囲とし、水素原子および/またはハロゲン原子の含
    有量(Ch)を25ないし40原子%の範囲、光学的バ
    ンドギャップ(Eg)を1.8ないし1.90eVの範囲
    とする第一の層領域と、前記特性エネルギー(Eu)を
    60ないし70meVの範囲、Chを10ないし20原
    子%の範囲、Egを1.65ないし1.75eVの範囲と
    する第二の層領域を備えることを特徴とする電子写真用
    光受容部材。
  4. 【請求項4】 前記第一の層領域に含有される周期律表
    第IIIb族に属する元素の量が、シリコン原子に対して
    0.2ないし30ppmの範囲であることを特徴とする
    請求項3に記載の電子写真用光受容部材。
  5. 【請求項5】 前記第二の層領域に含有される周期律表
    第IIIb族に属する元素の量が、シリコン原子に対して
    0.01ないし10ppmの範囲であることを特徴とす
    る、請求項3記載の電子写真用光受容部材。
  6. 【請求項6】 前記光導電層に含有される周期律表第II
    Ib族に属する元素の含有量が、支持体側から表面側に
    階段状に減少していることを特徴とする、請求項3ない
    し5のいずれかに記載の電子写真用光受容部材。
  7. 【請求項7】 前記光導電層に含有される周期律表第II
    Ib族に属する元素の含有量が、支持体側から表面側に
    滑らかに減少していることを特徴とする、請求項3ない
    し5のいずれかに記載の電子写真用光受容部材。
  8. 【請求項8】 前記光導電層が、その表面上に炭素、酸
    素、窒素の少なくとも一種を含むシリコン系非単結晶材
    料からなる表面層を備えてなることを特徴とする、請求
    項1ないし7のいずれかに記載の電子写真用光受容部
    材。
  9. 【請求項9】 前記光導電層が、シリコン原子を母体と
    し、炭素、酸素、窒素の少なくとも一種、および周期律
    表第IIIb族または第Vb族から選ばれる元素の少なく
    とも一種を含む非単結晶材料からなる電荷注入阻止層の
    表面上に設けられ、さらに前記光導電層の表面上に、炭
    素、酸素の少なくとも一種を含むシリコン系非単結晶材
    料からなる表面層が設けられてなることを特徴とする、
    請求項1ないし8のいずれかに記載の電子写真用光受容
    部材。
  10. 【請求項10】 前記表面層の層厚が、0.01ないし
    3μmの範囲であることを特徴とする、請求項8または
    9記載の電子写真用光受容部材。
  11. 【請求項11】 前記電荷注入阻止層の層厚が、0.1
    ないし5μmの範囲であることを特徴とする、請求項9
    記載の電子写真用光受容部材。
  12. 【請求項12】 前記光導電層の全層厚が、20ないし
    50μmの範囲であることを特徴とする、請求項1ない
    し11のいずれかに記載の電子写真用光受容部材。
  13. 【請求項13】 前記第二の層領域の層厚が、前記光導
    電層の全層厚に対して、5ないし50%の範囲であるこ
    とを特徴とする、請求項1ないし12のいずれかに記載
    の電子写真用光受容部材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010008653A (ja) * 2008-06-26 2010-01-14 Kyocera Corp 電子写真感光体および該電子写真感光体を備える画像形成装置

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