JPH08179534A - 光受容部材 - Google Patents

光受容部材

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JPH08179534A
JPH08179534A JP33652394A JP33652394A JPH08179534A JP H08179534 A JPH08179534 A JP H08179534A JP 33652394 A JP33652394 A JP 33652394A JP 33652394 A JP33652394 A JP 33652394A JP H08179534 A JPH08179534 A JP H08179534A
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Hiroaki Niino
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】温度特性を向上させると共に、光メモリーを低
減して画像品質を飛躍的に向上させた、シリコン原子を
母体とした非単結晶材料で構成された光受容層を有する
光受容部材を提供する。 【構成】シリコン原子を母体とし水素原子及び/または
ハロゲン原子を含有する非単結晶材料で構成された光導
電層を有する光受容部材において、光導電層がキャリア
の光学的バンドギャップ内における局在準位に捕獲され
る割合を小さくした第一の層領域と、それが捕獲される
割合を大きくした第二の層領域とをその層厚を異ならせ
て積層し、温度特性を向上させると共に光メモリーの発
生をなくして良好な特性を発揮するようにした。その光
導電層は、第一の層領域における水素原子含有量が20
〜30原子%、第二の層領域におけるそれが10〜20
原子%、第一と第二の層領域の層厚(d1,d2)の比
が、d2/d1=0.03〜0.3とされている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光(ここでは広義の光で
あって、紫外線、可視光線、赤外線、X線、γ線などを
意味する。)のような電磁波に対して感受性のある光受
容部材に関する。
【0002】
【従来の技術】像形成分野において、光受容部材におけ
る光受容層を形成する光導電材料としては、高感度で、
SN比[光電流(Ip)/暗電流(Id)]が高く、照
射する電磁波のスペクトル特性に適合した吸収スペクト
ルを有すること、光応答性が早く、所望の暗抵抗値を有
すること、使用時において人体に対して無害であるこ
と、等の特性が要求される。特に、事務機としてオフィ
スで使用される電子写真装置内に組み込まれる電子写真
用光受容部材の場合には、上記の使用時における無公害
性は重要な点である。このような点に優れた性質を示す
光導電材料に水素アモルファスシリコン(以下、「a−
Si:H」と表記する)があり、例えば、特公昭60−
35059号公報には電子写真用光受容部材としての応
用が記載されている。そして、電子写真用光受容部材
は、一般的には、導電性支持体を50℃〜400℃に加
熱し、該支持体上に真空蒸着法、スパッタリング法、イ
オンプレーティング法、熱CVD法、光CVD法、プラ
ズマCVD法等の成膜法によりa−Siからなる光導電
層を形成する。なかでもプラズマCVD法、すなわち、
原料ガスを高周波あるいはマイクロ波グロー放電によっ
て分解し、支持体上にa−Si堆積膜を形成する方法が
好適なものとして実用に付されている。また、特開昭5
4−83746号公報においては、導電性支持体と、ハ
ロゲン原子を構成要素として含むa−Si(以下、「a
−Si:X」と表記する)光導電層からなる電子写真用
光受容部材が提案されている。当該公報においては、a
−Siにハロゲン原子を1乃至40原子%含有させるこ
とにより、耐熱性が高く、電子写真用光受容部材の光導
電層として良好な電気的、光学的特性を得ることができ
るとしている。また、特開昭57−115556号公報
には、a−Si堆積膜で構成された光導電層を有する光
導電部材の、暗抵抗値、光感度、光応答性等の電気的、
光学的、光導電的特性及び耐湿性等の使用環境特性、さ
らには経時的安定性について改善を図るため、シリコン
原子を母体としたアモルファス材料で構成された光導電
層上に、シリコン原子及び炭素原子を含む非光導電性の
アモルファス材料で構成された表面障壁層を設ける技術
が記載されている。更に、特開昭60−67951号公
報には、アモルファスシリコン、炭素、酸素及び弗素を
含有してなる透光絶縁性オーバーコート層を積層する感
光体についての技術が記載され、特開昭62−1681
61号公報には、表面層として、シリコン原子と炭素原
子と41〜70原子%の水素原子を構成要素として含む
非晶質材料を用いる技術が記載されている。さらに、特
開昭57−158650号公報には、水素を10〜40
原子%含有し、赤外吸収スペクトルの2100cm-1
2000cm-1の吸収ピークの吸収係数比が0.2〜
1.7であるa−Si:Hを光導電層に用いることによ
り高感度で高抵抗な電子写真用感光体が得られることが
記載されている。
【0003】そして、特開昭58−21257号公報に
は、光導電層の作成中に支持体温度を変化させることに
より光導電層内で禁止帯幅を変化させ、高抵抗であって
光感度領域の広い感光体を得る技術が開示され、特開昭
58−121042号公報には、光導電層の膜厚方向に
エネルギーギャップ状態密度を変化させ、表層のエネル
ギーギャップ状態密度を1017〜1019cm-3とするこ
とにより、湿度による表面電位の低下を防止する技術が
開示されている。また、特開昭59−143379号公
報ならびに特開昭61−201481号公報には、水素
含有量の異なるa−Si:Hを積層することにより暗抵
抗が高く高感度の感光体を得る技術が開示されている。
一方、特開昭60−95551号公報には、アモルファ
スシリコン感光体の画像品質向上のために、感光体表面
近傍の温度を30乃至40℃に維持して帯電、露光、現
像および転写といった画像形成行程を行うことにより、
感光体表面での水分の吸着による表面抵抗の低下とそれ
に伴って発生する画像流れを防止する技術が開示されて
いる。これらの技術により、電子写真用光受容部材の電
気的、光学的、光導電的特性及び使用環境特性が向上
し、それに伴って画像品質も向上してきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
a−Si系材料で構成された光導電層を有する電子写真
用光受容部材は、暗抵抗値、光感度、光応答性等の電気
的、光学的、光導電特性、及び使用環境特性の点、さら
には経時安定性および耐久性の点において、各々個々に
特性の向上が図られてはいるが、総合的な特性向上を図
る上でさらに改良される余地が存在するのが実情であ
る。特に、電子写真装置の高画質、高速化、高耐久化は
急速に進んでおり、電子写真用光受容部材においては電
気的特性や光導電特性の更なる向上とともに、帯電能、
感度を維持しつつあらゆる環境下で大幅に性能を延ばす
ことが求められている。そして、電子写真装置の画像特
性向上のために電子写真装置内の光学露光装置、現像装
置、転写装置等の改良がなされた結果、電子写真用光受
容部材においても従来以上の画像特性の向上が求められ
るようになった。
【0005】このような状況下において、前述した従来
技術により上記課題についてある程度の特性向上が可能
になってはきたが、更なる帯電能や画像品質の向上に関
しては未だ充分とはいえない。特にアモルファスシリコ
ン系光受容部材の更なる高画質化への課題として、周囲
温度の変化による電子写真特性の変動や光疲労あるいは
ブランクメモリーやゴーストといった光メモリーを低減
することがいっそう求められるようになってきた。例え
ば、従来は感光体の画像流れの防止のために前記特開昭
60−95551号公報に記載されているように、複写
機内にドラムヒーターを設置して感光体の表面温度を4
0℃程度に保っていた。しかしながら、従来の感光体で
は前露光キャリアや熱励起キャリアの生成に起因した帯
電能の温度依存性、いわゆる温度特性が大きく、複写機
内の実際の使用環境下では本来感光体が有しているより
も帯電能が低い状態で使用せざるをえなかった。例え
ば、室温での使用時に比べてドラムヒーターで40℃程
度に加熱している状態では帯電能が100V近く低下し
てしまっていた。また、従来は複写機を使用しない夜間
でもドラムヒーターに通電して、帯電器のコロナ放電に
よって生成されたオゾン生成物が夜間に感光体表面に吸
着することによって発生する画像流れを防止するように
していた。しかし、現在では省資源、省電力のために複
写機の夜間通電を極力行わないようになってきている。
このような状態で連続複写をすると複写機内の感光体周
囲温度が徐々に上昇し、それにつれて帯電能が低下し
て、複写中に画像濃度が変わってしまうという問題が生
じていた。一方、同一原稿を連続して繰り返し複写する
と、画像露光による感光体の光疲労のために、画像濃度
の低下やかぶりが生じることがあった。また、トナーを
節約するために連続複写時の紙間において感光体に照射
される、いわゆるブランク露光の影響によって複写画像
上に濃度差が生じるブランクメモリーや、前回の複写行
程の像露光の残像が次回の複写時に画像上に生じる、い
わゆるゴースト等が画像品質を向上させる上で問題にな
ってきた。光メモリーは複写機のプロセス条件(プロセ
ススピード、帯電電位設定、ブランク露光、像露光)に
も依存する傾向があり、さまざまなプロセス条件下にお
いて帯電能や感度の向上と温度特性や光メモリーの低減
とを両立することは困難であった。したがって、電子写
真用光受容部材を設計する際に、上記したような問題が
解決されるように電子写真用光受容部材の層構成、各層
の化学的組成など総合的な観点からの改良を図るととも
に、a−Si材料そのものの一段の特性改良を図ること
が必要とされている。
【0006】そこで、本発明は、上記した従来のa−S
iで構成された光受容層を有する光受容部材における諸
問題を解決することを目的とするものである。すなわ
ち、本発明の主たる目的は、温度特性を向上させると共
に、光メモリーを低減して画像品質を飛躍的に向上させ
た、シリコン原子を母体とした非単結晶材料で構成され
た光受容層を有する光受容部材を提供することにある。
特に、あらゆるプロセス条件のもとにおける温度特性の
向上と光メモリーの低減とを両立した光受容層を有する
光受容部材を提供することにあり、このような光受容部
材を用いた電気的、光学的、光導電的特性が使用環境に
ほとんど依存することなく実質的に常時安定しており、
耐光疲労に優れ、繰り返し使用に際しては劣化現象を起
こさず耐久性、耐湿性に優れ、残留電位がほとんど観測
されず、更に画像品質の良好な、シリコン原子を母体と
した非単結晶材料で構成された光受容層を有する電子写
真用光受容部材を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明者らは、光導電層のキャリアの挙動に着目
し、a−Siのバンドギャップ内の局在状態分布と温度
特性や光メモリーとの関係について鋭意検討した結果、
光導電層の厚さ方向において、水素含有量、光学的バン
ドギャップやシリコン原子と水素原子の結合状態、さら
にバンドギャップ内の局在状態密度の分布を制御するこ
とにより上記目的を達成できるという知見を得た。すな
わち、シリコン原子を母体とし、水素原子及び/または
ハロゲン原子を含有する非単結晶材料で構成された光導
電層を有する光受容部材において、その層構造を特定化
して作成された光受容部材は、実用上著しく優れた特性
を示すばかりでなく、従来の光受容部材と比べてみても
あらゆる点において凌駕していること、特に電子写真用
の光受容部材として優れた特性を有していることを見い
だした。
【0008】このようなことから、本発明はつぎのよう
な特徴を有する発明を提供するものである。すなわち、
本発明の光受容部材は、第1に、シリコン原子を母体と
し水素原子及び/またはハロゲン原子を含有する非単結
晶材料で構成された光導電層を有する光受容部材におい
て、前記光導電層がキャリアの光学的バンドギャップ内
における局在準位に捕獲される割合を小さくした第一の
層領域と、それが捕獲される割合を大きくした第二の層
領域とをその層厚を異ならせて積層し、温度特性を向上
させると共に光メモリーの発生をなくして良好な特性を
発揮するようにしたことを特徴としている。第2に、そ
の光導電層は、第一の層領域における水素含有量、光学
的バンドギャップ、光吸収スペクトルから得られる指数
関数裾の特性エネルギー及び光学的バンドギャップ内の
局在状態密度と、第二の層領域におけるそれらの値が異
なるように構成されていることを特徴としている。第3
に、その光導電層は、第一の層領域における水素原子含
有量が20〜30原子%、光学的バンドギャップが1.
75eV以上1.85eV未満、光吸収スペクトルから
得られる指数関数裾の特性エネルギーが50meV以上
60meV以下、光学的バンドギャップ内の局在状態密
度が1×1014cm-3以上1×1016cm-3未満であ
り、第二の層領域における水素原子含有量が10〜20
原子%、光学的バンドギャップが1.65eV以上1.
75eV未満、光吸収スペクトルから得られる指数関数
裾の特性エネルギーが60meV以上70meV未満、
光学的バンドギャップ内の局在状態密度が1×1016
-3以上1×1017cm-3未満であって、第一の層領域
の層厚(d1)と第二の層領域の層厚(d2)の比が、
d2/d1=0.03〜0.3とされていることを特徴
としている。第4に、その光導電層は、第一の層領域に
おける赤外吸収スペクトルから得られるSi−H2結合
とSi−H結合の吸収ピーク強度比が0.4以上1.0
未満であり、第二の層領域における前記吸収ピーク強度
比が0.1以上0.4未満であることを特徴としてい
る。第5に、その光導電層は、導電性支持体の表面上に
おける第一の層領域の上に第二の層領域が積層されてい
ることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項
に記載の光受容部材。第6に、その光導電層は、導電性
支持体の表面上における第二の層領域の上に第一の層領
域が積層されていることを特徴としている。第7に、そ
の光導電層は、導電性支持体の表面上における第一の層
領域の上に第二の層領域が、さらにその上に第一の層領
域が積層されていることを特徴とする請求項1〜請求項
3のいずれか1項に記載の光受容部材。第8に、その光
導電層は、その光導電層中に周期律表第IIIb族または
第Vb族に属する元素の少なくとも一つを含有すること
を特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載
の光受容部材。第9に、その光導電層は、その光導電層
中に炭素、酸素、窒素の少なくとも一つを含むことを特
徴としている。第10に、その光導電層は、その光導電
層の表面上に炭素、酸素、窒素の少なくとも一つを含む
シリコン系非単結晶材料からなる表面層が設けられてい
ることを特徴としている。第11に、その光導電層は、
シリコン原子を母体とし炭素、酸素、窒素の少なくとも
一つおよび周期律表第IIIb族または第Vb族から選ば
れる元素の少なくとも一つを含む非単結晶材料からなる
電荷注入阻止層の表面に設けられていることを特徴とし
ている。第12に、前記表面層は、その層厚が0.01
〜3μmであることを特徴としている。第13に前記電
荷注入阻止層は、その層厚が0.1〜5μmであること
を特徴としている。第14に、その光導電層は、その層
厚が20〜50μmであることを特徴とする請求項1〜
請求項13のいずれか1項に記載の光受容部材。なお、
本発明において用られている「指数関数裾」とは、光吸
収スペクトルの吸収から低エネルギー側に裾を引いた吸
収スペクトルのことを指しており、また、「特性エネル
ギー」とは、この指数関数裾の傾きを意味している。
【0009】
【作用】本発明者らは、光学的バンドギャップ(以下、
「Eg」と略記する)ならびにCPMによって測定され
たサブバンドギャップ光吸収スペクトルから求められる
指数関数裾(アーバックテイル)の特性エネルギー(以
下、「Eu」と略記する)や局在状態密度(以下、「D
OS」と略記する)と感光体特性との相関を種々の条件
に渡って調べた結果、Eg、EuおよびDOSがa−S
i感光体の温度特性や光メモリーと密接な関係にあるこ
とを見いだし、さらに、それらの異なる膜を積層するこ
とによりプロセス条件に依存せず良好な感光体特性を発
揮することを見いだし本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち、光学的バンドギャップを大きく
し、キャリアの局在準位への捕獲率を小さくして光導電
層のキャリアの走行性を改善することによって、温度特
性を向上させ、また、光メモリーの発生を少なくするこ
とはできるが、それだけでは光メモリーの発生を完全に
なくすることは困難であり、むしろこのようなキャリア
の局在準位の捕獲率の小さい層領域に、更にキャリアの
局在準位への捕獲率の高い層領域を積層することにより
光メモリーがより低減されることが本発明者らの実験に
より明らかになった。
【0011】これを更に詳しく説明すると、一般的に、
a−Si:Hのバンドギャップ内には、Si−Si結合
の構造的な乱れにもとづくテイル(裾)準位と、Siの
未結合手(ダングリングボンド)等の構造欠陥に起因す
る深い準位が存在する。これらの準位は電子、正孔の捕
獲、再結合中心として働き素子の特性を低下させる原因
になることが知られている。このようなバンドギャップ
中の局在準位の状態を測定する方法として、一般に深準
位分光法、等温容量過渡分光法、光熱偏向分光法、光音
響分光法、一定光電流法等が用いられている。中でも一
定光電流法[Constant Photocurre
nt Method:以後「CPM」と略記する]は、
a−Si:Hの局在準位に基づくサブギャップ光吸収ス
ペクトルを簡便に測定する方法として有用である。
【0012】ドラムヒーター等で感光体を加熱したとき
に帯電能が低下する原因として、熱励起されたキャアが
帯電能の電界に引かれてバンド裾の局在準位やバンドギ
ャップ内の深い局在準位への捕獲、放出を繰り返しなが
ら表面に走行し、表面電荷を打ち消してしまうことが挙
げられる。この時、帯電器を通過する間に表面に到達し
たキャリアについては帯電能の低下にほとんど影響がな
いが、深い準位に捕獲されたキャリアは、帯電器を通過
した後に表面へ到達して表面電荷を打ち消すために温度
特性として観測される。また、帯電器を通過した後に熱
励起されたキャアも表面電荷を打ち消し帯電能の低下を
引き起こす。したがつて、光学的バンドギャップを大き
くすることにより膜の抵抗を増大して熱励起キャリアの
生成を抑え、なおかつキャリアの走行性を向上させるこ
とが温度特性の向上のために必要である。
【0013】さらに、光メモリーはブランク露光や像露
光によって生じた光キャリアがバンドギャップ内の局在
準位に捕獲され、光導電層内にキャリアが残留すること
によって生じる。すなわち、ある複写行程において生じ
た光キャリアのうち光導電層内に残留したキャリアが、
次回の帯電時あるいはそれ以降に表面電荷による電界に
よって掃き出され、光の照射された部分の電位が他の部
分よりも低くなり、その結果画像上に濃淡が生じる。し
たがって、光キャリアが光導電層内に残留することな
く、1回の複写行程で走行するように、キャリアの走行
性を改善しなければならない。そのために、Egを広く
し、そのEuおよびDOSを制御することにより、熱励
起キャリアの生成が抑えられ、なおかつ熱励起キャリア
や光キャリアが局在準位に捕獲される割合を小さくする
ことができるためにキャリアの走行性が改善される。し
かしながら、帯電電位と露光波長(ブランク露光、像露
光)の設定によっては、単に光導電層内の光キャリアの
走行性を改善しただけでは光メモリーを完全になくする
ことは困難であることが実験により明らかになった。む
しろ光キャリアの局在準位への捕獲を積極的に利用する
層領域を設けること、すなわち、キャリアの局在準位の
捕獲率の小さい層領域に、更にキャリアの局在準位への
捕獲率の高い層領域を積層することにより光メモリーが
より低減されることが実験により明らかになった。
【0014】光導電層を局在状態密度の異なる層領域の
積層構造とすることによって光メモリーが格段に改善さ
れる理由としては、現段階では必ずしも明らかではない
が、以下のように考えている。正帯電の場合、通常のメ
モリーは、画像上において下地濃度よりもメモリー像の
濃度が薄くなり、一般的にポジメモリーとよばれる。こ
れは主に正孔(ホール)が捕獲準位にトラップされるこ
とにより生じる。それに対してキャリアの捕獲確率が一
定の水準を超えると、電子の捕獲確率が増え、ポジメモ
リーとは逆に下地画像濃度よりメモリー像の濃度が濃
い、いわゆるネガメモリーが観測される。そこで、この
二つの領域を積層し、その膜厚比を適宜設定することに
より、捕獲確率の低い膜で発生するポジメモリーと捕獲
確率の高い膜で生じるネガメモリーが相殺することによ
って実質的にメモリーが観測されなくなる。その結果、
感光体の温度特性が飛躍的に改善されるとともに電子写
真プロセスによらず光メモリーの発生を抑制することが
できるために、感光体の使用環境に対する安定性が向上
し、ハーフトーンが鮮明に出てかつ解像力の高い高品質
の画像を安定して得ることができる。つまり、電子写真
用光受容部材の最表面側に第一の層領域を設けて、実質
的に光を吸収する領域を第一の層領域とすることによ
り、特に温度特性の点で顕著な効果が見られ、電子写真
用光受容部材の最表面側に第二の層領域を設けて、実質
的に光を吸収する領域を第二の層領域とすることによ
り、特にメモリーの低減について顕著な効果が見られ
る。したがって、本発明は上記構成によって、あらゆる
プロセス条件のもとにおける温度特性の向上と光メモリ
ーの低減とを両立させ、前記した従来技術における諸問
題の全てを解決することができ、極めて優れた電気的、
光学的、光導電的特性、画像品質、耐久性および使用環
境性を示す光受容部材を得ることができる。
【0015】以下、図面に従って本発明の電子写真用光
受容部材について詳細に説明する。図1は、本発明の電
子写真用光受容部材の層構成を説明するための模式的構
成図である。図1(a)に示す電子写真用光受容部材1
00は、光受容部材用としての支持体101の上に、光
受容層102が設けられている。該光受容層102はa
−Si:H、Xからなり光導電性を有する光導電層10
3で構成され、光導電層103は支持体側から順に第二
の層領域112と第一の層領域111とからなってい
る。第一の層領域111と第二の層領域112の順番は
必要に応じて入れ替えることができる。図1(b)に示
す電子写真用光受容部材100は、光受容部材用として
の支持体101の上に、光受容層102が設けられてい
る。該光受容層102はa−Si:H、Xからなり光導
電性を有する光導電層103で構成され、光導電層10
3は支持体側から順に第一の層領域111と第二の層領
域112と、さらに第一の層領域111とからなってい
る。図1(c)に示す電子写真用光受容部材100は、
光受容部材用としての支持体101の上に、光受容層1
02が設けられている。該光受容層102はa−Si:
H、Xからなり光導電性を有する光導電層103と、ア
モルファスシリコン系表面層104とから構成されてい
る。また、光導電層103は支持体側から順に第二の層
領域112と第一の層領域111とからなっている。第
一の層領域111と第二の層領域112の順番は必要に
応じて入れ替えることができる。図1(d)に示す電子
写真用光受容部材100は、光受容部材用としての支持
体101の上に、光受容層102が設けられている。該
光受容層102はa−Si:H、Xからなり光導電性を
有する光導電層103と、アモルファスシリコン系表面
層104と、アモルファスシリコン系電荷注入阻止層1
05とから構成されている。また、光導電層103は支
持体側から順に第一の層領域111と第二の層領域11
2とからなっている。第一の層領域111と第二の層領
域112の順番は必要に応じて入れ替えることができ
る。
【0016】つぎに、本発明の支持体について説明す
る。本発明において使用される支持体としては、導電性
でも電気絶縁性であってもよい。導電性支持体として
は、Al、Cr、Mo、Au、In、Nb、Te、V、
Ti、Pt、Pd、Fe等の金属、およびこれらの合
金、例えばステンレス等が挙げられる。また、ポリエス
テル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロースア
セテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチ
レン、ポリアミド等の合成樹脂のフィルムまたはシー
ト、ガラス、セラミック等の電気絶縁性支持体の少なく
とも光受容層を形成する側の表面を導電処理した支持体
も用いることができる。
【0017】本発明において使用される支持体101の
形状は平滑表面あるいは凹凸表面の円筒状または無端ベ
ルト状であることができ、その厚さは、所望通りの電子
写真用光受容部材100を形成し得るように適宜決定す
るが、電子写真用光受容部材100としての可撓性が要
求される場合には、支持体101としての機能が充分発
揮できる範囲内で可能な限り薄くすることができる。し
かしながら、支持体101は製造上及び取扱い上、機械
的強度等の点から通常は10μm以上とされる。特にレ
ーザー光などの可干渉性光を用いて像記録を行う場合に
は、可視画像において現れる、いわゆる干渉縞模様によ
る画像不良をより効果的に解消するために、支持体10
1の表面に凹凸を設けてもよい。支持体101の表面に
設けられる凹凸は、特開昭60−168156号公報、
同60−178457号公報、同60−225854号
公報等に記載された公知の方法により作成される。ま
た、レーザー光などの可干渉光を用いた干渉縞模様によ
る画像不良をより効果的に解消する別の方法として、支
持体101の表面に複数の球状痕跡窪みによる凹凸形状
を設けてもよい。即ち、支持体101の表面が電子写真
用光受容部材100に要求される解像力よりも微少な凹
凸を有し、しかも該凹凸は、複数の球状痕跡窪みによる
ものである。支持体101の表面に設けられる複数の球
状痕跡窪みによる凹凸は、特開昭61−231561号
公報に記載された公知の方法により作成される。
【0018】つぎに、本発明の光導電層について説明す
る。本発明において、その目的を効果的に達成するため
に支持体101上に形成され、光受容層102の一部を
構成する光導電層103は真空堆積膜形成方法によっ
て、所望特性が得られるように適宜成膜パラメーターの
数値条件が設定されて作成される。具体的には、例えば
グロー放電法(低周波CVD法、高周波CVD法または
マイクロ波CVD法等の交流放電CVD法、あるいは直
流放電CVD法等)、スパッタリング法、真空蒸着法、
イオンンプレーティング法、光CVD法、熱CVD法な
どの数々の薄膜堆積法によって形成することができる。
これらの薄膜堆積法は、製造条件、設備資本投資下の負
荷程度、製造規模、作成される電子写真用光受容部材に
所望される特性等の要因によって適宜選択されて採用さ
れるが、所望の特性を有する電子写真用光受容部材を製
造するに当たっての条件の制御が比較的容易であること
からグロー放電法、特にRF帯またはVHF帯の電源周
波数を用いた高周波グロー放電法が好適である。グロー
放電法によって光導電層103を形成するには、基本的
にはシリコン原子(Si)を供給し得るSi供給用の原
料ガスと、水素原子(H)を供給し得るH供給用の原料
ガス及び/またはハロゲン原子(X)を供給し得るX供
給用の原料ガスを、内部が減圧にし得る反応容器内に所
望のガス状態で導入して、該反応容器内にグロー放電を
生起させ、あらかじめ所定の位置に設置されてある所定
の支持体101上にa−Si:H、Xからなる層を形成
すればよい。
【0019】また、本発明において光導電層103中に
水素原子及び/またはハロゲン原子が含有されることが
必要であるが、これはシリコン原子の末結合手を補償
し、層品質の向上、特に光導電性および電荷保持特性を
向上させるために必須不可欠であるからである。よって
水素原子またはハロゲン原子の含有量、または水素原子
とハロゲン原子の和の量は、第一の層領域の場合、シリ
コン原子と水素原子及び/またはハロゲン原子の和に対
して20〜30原子%とされるのが望ましく、第二の層
領域の場合、シリコン原子と水素原子または/及びハロ
ゲン原子の和に対して10〜20原子%とされるのが望
ましい。本発明において使用されるSi供給用ガスとな
り得る物質としては、SiH4、Si26、Si38
Si410等のガス状態の、またはガス化し得る水素化
珪素(シラン類)が有効に使用されるものとして挙げら
れ、更に層作成時の取扱い易さ、Si供給効率の良さ等
の点でSiH4、Si26が好ましいものとして挙げら
れる。そして、形成される光導電層103中に水素原子
を構造的に導入し、水素原子の導入割合の制御をいっそ
う容易になるようにはかり、本発明の目的を達成する膜
特性を得るために、これらのガスに更にH2及び/また
はHeあるいは水素原子を含む珪素化合物のガスも所望
量混合して層形成することが必要である。また、各ガス
は単独種のみでなく所定の混合比で複数種混合しても差
し支えないものである。
【0020】また本発明において使用されるハロゲン原
子供給用の原料ガスとして有効なのは、例えばハロゲン
ガス、ハロゲン化物、ハロゲンをふくむハロゲン間化合
物、ハロゲンで置換されたシラン誘導体等のガス状のま
たはガス化し得るハロゲン化合物が好ましく挙げられ
る。また、さらにはシリコン原子とハロゲン原子とを構
成要素とするガス状のまたはガス化し得る、ハロゲン原
子を含む水素化珪素化合物も有効なものとして挙げるこ
とができる。本発明に於て好適に使用し得るハロゲン化
合物としては、具体的には弗素ガス(F2)、BrF、
ClF、ClF3、BrF3、BrF5、IF3、IF7
のハロゲン間化合物を挙げることができる。ハロゲン原
子を含む珪素化合物、いわゆるハロゲン原子で置換され
たシラン誘導体としては、具体的には、たとえばSiF
4、Si26等の弗化珪素が好ましいものとして挙げる
ことができる。光導電層103中に含有される水素原子
及び/またはハロゲン原子の量を制御するには、例えば
支持体101の温度、水素原子及び/またはハロゲン原
子を含有させるために使用される原料物質の反応容器内
へ導入する量、放電電力等を制御すればよい。
【0021】本発明においては、光導電層103には必
要に応じて伝導性を制御する原子を含有させることが好
ましい。伝導性を制御する原子は、光導電層103中に
万遍なく均一に分布した状態で含有されても良いし、あ
るいは層厚方向には不均一な分布状態で含有している部
分があってもよい。前記伝導性を制御する原子として
は、半導体分野における、いわゆる不純物を挙げること
ができ、p型伝導特性を与える周期律表第IIIb族に属
する原子(以後「第IIIb族原子」と略記する)または
n型伝導特性を与える周期律表第Vb族に属する原子
(以後「第Vb族原子」と略記する)を用いることがで
きる。IIIb族原子としては、具体的には、硼素
(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム第(Ga)、
インジウム(In)、タリウム(Tl)等があり、特に
B、Al、Gaが好適である。第Vb族原子としては、
具体的には燐(P)、砒素(As)、アンチモン(S
b)、ビスマス(Bi)等があり、特にP、Asが好適
である。光導電層103に含有される伝導性を制御する
原子の含有量としては、好ましくは1×10-2〜1×1
2原子ppm、より好ましくは5×10-2〜50原子
ppm、最適には1×10-1〜1×10原子ppmとさ
れるのが望ましい。さらに第一の層領域に比べて第二の
層領域での伝導性を制御する原子の含有量を多くするこ
とが好ましい。伝導性を制御する原子、たとえば、第II
Ib族原子あるいは第Vb族原子を構造的に導入するに
は、層形成の際に、第IIIb族原子導入用の原料物質あ
るいは第Vb族原子導入用の原料物質をガス状態で反応
容器中に、光導電層103を形成するための他のガスと
ともに導入してやればよい。第IIIb族原子導入用の
原料物質あるいは第Vb族原子導入用の原料物質となり
得るものとしては、常温常圧でガス状のまたは、少なく
とも層形成条件下で容易にガス化し得るものが採用され
るのが望ましい。
【0022】そのような第IIIb族原子導入用の原料
物質として具体的には、硼素原子導入用としては、B2
6、B410、B59、B511、B610、B612
614等の水素化硼素、BF3、BCl3、BBr3等の
ハロゲン化硼素等が挙げられる。この他、AlCl3
GaCl3、Ga(CH33、InCl3、TlCl3
も挙げることができる。第Vb族原子導入用の原料物質
として有効に使用されるのは、燐原子導入用としては、
PH3、P24等の水素化燐、PH4I、PF3、PF5
PCl3、PCl5、PBr3、PBr5、PI3等のハロ
ゲン化燐が挙げられる。この他、AsH3、AsF3、A
sCl3、AsBr3、AsF5、SbH3、SbF3、S
bF5、SbCl3、SbCl5、BiH3、BiCl3
BiBr3等も第Vb族原子導入用の出発物質の有効な
ものとして挙げることができる。また、これらの伝導性
を制御する原子導入用の原料物質を必要に応じてH2
び/またはHeにより希釈して使用してもよい。
【0023】さらに本発明においては、光導電層103
に炭素原子及び/または酸素原子及び/または窒素原子
を含有させることも有効である。炭素原子及び/または
酸素原子及び/または窒素原子の含有量はシリコン原
子、炭素原子、酸素原子及び窒素原子の和に対して好ま
しくは1×10-5〜10原子%、より好ましくは1×1
-4〜8原子%、最適には1×10-3〜5原子%が望ま
しい。炭素原子及び/または酸素原子及び/または窒素
原子は、光導電層中に万遍なく均一に含有されても良い
し、光導電層の層厚方向に含有量が変化するような不均
一な分布をもたせた部分があっても良い。本発明におい
て、光導電層103の層厚は所望の電子写真特性が得ら
れること及び経済的効果等の点から適宜所望にしたがっ
て決定され、好ましくは20〜50μm、より好ましく
は23〜45μm、最適には25〜40μmとされるの
が望ましい。層厚が20μmより薄くなると、帯電脳や
感度等の電子写真特性が実用上不充分となり、50μm
より厚くなると、光導電層の作製時間が長くなって製造
コストが高くなる。また、第一の層領域に対する第二の
層領域の膜厚の割合としては0.03〜0.3、好まし
くは0.05〜0.4、最適には0.1〜0.3とする
のが望ましい。膜厚比が0.03より小さいとメモリー
低減の効果が充分に発揮されず、0.3より大きくなる
と、ネガメモリーが発生するとともにメモリーと温度特
性との両立を果たすことが困難になる。
【0024】本発明の目的を達成し、所望の膜特性を有
する光導電層103を形成するには、Si供給用のガス
と希釈ガスとの混合比、反応容器内のガス圧、放電電力
ならびに支持体温度を適宜設定することが必要である。
希釈ガスとして使用するH2及び/またはHeの流量
は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、
第一の層領域の場合、Si供給用ガスに対しH2及び/
またはHeを、通常の場合3〜20倍、好ましくは4〜
15倍、最適には5〜10倍の範囲に制御することが望
ましい。また、第二の層領域の場合は、Si供給用ガス
に対しH2及び/またはHeを、通常の場合0.3〜3
倍、好ましくは0.5〜2.5倍、最適には1〜2倍の
範囲に制御することが望ましい。反応容器内のガス圧も
同様に層設計にしたがっ て適宜最適範囲が選択される
が、通常の場合1×10-4〜10Torr(1.333
×10-2〜1.333×103Pa)、好ましくは5×
10-4〜5Torr(6.665×10-2〜6.665
×102Pa)、最適には1×10-3〜1Torr
(1.333×10-1〜1.333×102Pa)とす
るのが好ましい。放電電力もまた同様に層設計にしたが
って適宜最適範囲が選択されるが、Si供給用のガスの
流量に対する放電電力の比を、第一の層領域の場合3〜
8、好ましくは4〜7、最適には5〜6の範囲に設定す
ることが望ましい。第二の層領域の場合0.5〜3、好
ましくは0.8〜2.5、最適には1〜2の範囲に設定
することが望ましい。さらに、支持体101の温度は、
層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、通常
の場合、好ましくは200〜350℃、より好ましくは
230〜330℃、最適には250〜300℃とするの
が望ましい。本発明においては、光導電層を形成するた
めの支持体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前記
した範囲が挙げられるが、条件は通常は独立的に別々に
決められるものではなく、所望の特性を有する光受容部
を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて最適値
を決めるのが望ましい。
【0025】つぎに、本発明の表面層について説明す
る。本発明においては、上述のようにして支持体101
上に形成された光導電層103の上に、更にアモルファ
スシリコン系の表面層104を形成することが好まし
い。この表面層104は自由表面106を有し、主に耐
湿性、連続繰り返し使用特性、電気的耐圧性、使用環境
特性、耐久性において本発明の目的を達成するために設
けられる。また、本発明においては、光受容層102を
構成する光導電層103と表面層104とを形成する非
晶質材料の各々がシリコン原子という共通の構成要素を
有しているので、積層界面において化学的な安定性の確
保が充分なされている。表面層104は、アモルファス
シリコン系の材料であればいずれの材質でも可能である
が、例えば、水素原子(H)及び/またはハロゲン原子
(X)を含有し、更に炭素原子を含有するアモルファス
シリコン(以下「a−SiC:H、X」と表記する)、
水素原子(H)及び/またはハロゲン原子(X)を含有
し、更に酸素原子を含有するアモルファスシリコン(以
下「a−SiO:H、X」と表記する)、水素原子
(H)及び/またはハロゲン原子(X)を含有し、更に
窒素原子を含有するアモルファスシリコン(以下「a−
SiN:H、X」と表記する)、水素原子(H)及び/
またはハロゲン原子(X)を含有し、更に炭素原子、酸
素原子、窒素原子の少なくとも一つを含有するアモルフ
ァスシリコン(以下「a−SiCON:H、X」と表記
する)等の材料が好適に用いられる。
【0026】本発明において、その目的を効果的に達成
するために、表面層104は真空堆積膜形成方法によっ
て、所望特性が得られるように適宜成膜パラメーターの
数値条件が設定されて作成される。具体的には、例えば
グロー放電法(低周波CVD法、高周波CVD法または
マイクロ波CVD法等の交流放電CVD法、あるいは直
流放電CVD法等)、スパッタリング法、真空蒸着法、
イオンプレーティング法、光CVD法、熱CVD法など
の数々の薄膜堆積法によって形成することができる。こ
れらの薄膜堆積法は、製造条件、設備資本投資下の負荷
程度、製造規模、作成される電子写真用光受容部材に所
望される特性等の要因によって適宜選択されて採用され
るが、光受容部材の生産性から光導電層と同等の堆積法
によることが好ましい。例えば、グロー放電法によつて
a−SiC:H、Xよりなる表面層104を形成するに
は、基本的にはシリコン原子(Si)を供給し得るSi
供給用の原料ガスと、炭素原子(C)を供給し得るC供
給用の原料ガスと、水素原子(H)を供給し得るH供給
用の原料ガス及び/またはハロゲン原子(X)を供給し
得るX供給用の原料ガスを、内部を減圧にし得る反応容
器内に所望のガス状態で導入して、該反応容器内にグロ
ー放電を生起させ、あらかじめ所定の位置に設置された
光導電層103を形成した支持体101上にa−Si
C:H、Xからなる層を形成すればよい。本発明に於て
用いる表面層の材質としてはシリコンを含有するアモル
ファス材料ならば何れでも良いが、炭素、窒素、酸素よ
り選ばれた元素を少なくとも一つ含むシリコン原子との
化合物が好ましく、特にa−SiCを主成分としたもの
が好ましい。表面層をa−SiCを主成分として構成す
る場合の炭素量は、シリコン原子と炭素原子の和に対し
て30%から90%の範囲が好ましい。
【0027】また、本発明において表面層104中に水
素原子及び/またはハロゲン原子が含有されることが必
要であるが、これはシリコン原子の末結合手を補償し、
層品質の向上、特に光導電性特性および電荷保持特性を
向上させるために必須不可欠である。水素含有量は、構
成原子の総量に対して通常の場合30〜70原子%、好
適には35〜65原子%、最適には40〜60原子%と
するのが望ましい。また、弗素原子の含有量として、通
常の場合は0.01〜15原子%、好適には0.1〜1
0原子%、最適には0.6〜4原子%とされるのが望ま
しい。これらの水素及び/または弗素含有量の範囲内で
形成される光受容部材は、実際面において従来にない格
段に優れたものとして充分適用させ得るものである。す
なわち、表面層内に存在する欠陥(主にシリコン原子や
炭素原子のダングリングボンド)は電子写真用光受容部
材としての特性に悪影響を及ぼすことが知られている。
例えば自由表面から電荷の注入による帯電特性の劣化、
使用環境、例えば高い湿度のもとで表面構造が変化する
ことによる帯電特性の変動、更にコロナ帯電時や光照射
時に光導電層より表面層に電荷が注入され、前記表面層
内の欠陥に電荷がトラップされることにより繰り返し使
用時の残像現象の発生等がこの悪影響として挙げられ
る。しかしながら表面層内の水素含有量を30原子%以
上に制御することで表面層内の欠陥が大幅に減少し、そ
の結果、従来に比べて電気的特性面及び高速連続使用性
において飛躍的な向上を図ることができる。一方、前記
表面層中の水素含有量が70原子%を超えると表面層の
硬度が低下するために、繰り返し使用に耐えられなくな
る。従って、表面層中の水素含有量を前記の範囲内に制
御することが格段に優れた所望の電子写真特性を得る上
で非常に重要な因子の一つである。表面層中の水素含有
量は、原料ガスの流量(比)、支持体温度、放電パワ
ー、ガス圧等によって制御し得る。また、表面層中の弗
素含有量を0.01原子%以上の範囲に制御することで
表面層内のシリコン原子と炭素原子の結合の発生をより
効果的に達成することが可能となる。さらに、表面層中
の弗素原子の働きとして、コロナ等のダメージによるシ
リコン原子と炭素原子の結合の切断を効果的に防止する
ことができる。一方、表面層中の弗素含有量が15原子
%を超えると表面層内のシリコン原子と炭素原子の結合
の発生の効果およびコロナ等のダメージによるシリコン
原子と炭素原子の結合の切断を防止する効果がほとんど
認められなくなる。さらに、過剰の弗素原子が表面層中
のキャリアの走行性を阻害するため、残留電位や画像メ
モリーが顕著に認められてくる。従って、表面層中の弗
素含有量を前記範囲内に制御することが所望の電子写真
特性を得る上で重要な因子の一つである。表面層中の弗
素含有量は、水素含有量と同様に原料ガスの流量
(比)、支持体温度、放電パワー、ガス圧等によって制
御し得る。
【0028】本発明の表面層の形成において使用される
シリコン(Si)供給用ガスとなり得る物質としては、
SiH4、Si26、Si38、Si410等のガス状態
の、またはガス化し得る水素化珪素(シラン類)が有効
に使用されるものとして挙げられ、更に層作成時の取扱
い易さ、Si供給効率の良さ等の点でSiH4、Si2
6が好ましいものとして挙げられる。また、これらのS
i供給用の原料ガスを必要に応じてH2、He、Ar、
Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。炭素供給
用ガスとなり得る物質としては、CH4、C22、C2
6、C38、C410等のガス状態の、またはガス化し得
る炭化水素が有効に使用されるものとして挙げられ、更
に層作成時の取扱い易さ、Si供給効率の良さ等の点で
CH4、C22、C26が好ましいものとして挙げられ
る。また、これらのC供給用の原料ガスを必要に応じて
2、He、Ar、Ne等のガスにより希釈して使用し
てもよい。窒素または酸素供給用ガスとなり得る物質と
しては、NH3、NO、N2O、O2、CO、CO2、N2
等のガス状態の、またはガス化し得る化合物が有効に使
用されるものとして挙げられる。また、これらの窒素、
酸素供給用の原料ガスを必要に応じてH2、He、A
r、Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。ま
た、形成される表面層104中に導入される水素原子の
導入割合の制御をいっそう容易になるように図るため
に、これらのガスに更に水素ガスまたは水素原子を含む
珪素化合物のガスも所望量混合して層形成することが好
ましい。また、各ガスは単独種のみでなく所定の混合比
で複数種混合しても差し支えないものである。
【0029】ハロゲン原子供給用の原料ガスとして有効
なのは、たとえばハロゲンガス、ハロゲン化物、ハロゲ
ンをふくむハロゲン間化合物、ハロゲンで置換されたシ
ラン誘導体等のガス状のまたはガス化し得るハロゲン化
合物が好ましく挙げられる。また、さらにはシリコン原
子とハロゲン原子とを構成要素とするガス状のまたはガ
ス化し得る、ハロゲン原子を含む水素化珪素化合物も有
効なものとして挙げることができる。本発明において好
適に使用し得るハロゲン化合物としては、具体的には弗
素ガス(F2)、BrF、ClF、ClF3、BrF3
BrF5、IF3、IF7等のハロゲン間化合物を挙げる
ことができる。ハロゲン原子を含む珪素化合物、いわゆ
るハロゲン原子で置換されたシラン誘導体としては、具
体的には、例えばSiF4、Si26等の弗化珪素が好
ましいものとしてあげることができる。表面層104中
に含有される水素原子及び/またはハロゲン原子の量を
逝去するには、例えば支持体101の温度、水素原子及
び/またはハロゲン原子を含有させるために使用される
原料物質の反応容器内へ導入する量、放電電力等を制御
すればよい。炭素原子及び/または酸素原子及び/また
は窒素原子は、表面層中に万遍なく均一に含有されても
良いし、表面層の層厚方向に含有量が変化するような不
均一な分布をもたせた部分があっても良い。
【0030】さらに本発明においては、表面層104に
は必要に応じて伝導性を制御する原子を含有させること
が好ましい。伝導性を制御する原子は、表面層104中
に万遍なく均一に分布した状態で含有されても良いし、
あるいは層厚方向に不均一な分布状態で含有している部
分があってもよい。前記の伝導性を制御する原子として
は、半導体分野における、いわゆる不純物を挙げること
ができ、p型伝導特性を与える周期律表第IIIb族に属
する原子(以後「第IIIb族原子」と略記する)または
n型伝導特性を与える周期律表第Vb族に属する原子
(以後「第Vb族原子」と略記する)を用いることがで
きる。
【0031】第IIIb族原子としては、具体的には、硼
素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、
インジウム(In)、タリウム(Tl)等があり、特
に、B、Al、Gaが好適である。第Vb族原子として
は、具体的には燐(P)、砒素(As)、アンチモン
(Sb)、ビスマス(Bi)等があり、特にP、Asが
好適である。表面層104に含有される伝導性を制御す
る原子の含有量としては、好ましくは1×10-3〜1×
103原子ppm、より好ましくは1×10-2〜5×1
2原子ppm、最適には1×10-1〜1×102原子p
pmとされるのが望ましい。伝導性を制御する原子、例
えば、第IIIb族原子あるいは第Vb族原子を構造的に
導入するには、層形成の際に、第IIIb族原子導入用の
原料物質あるいは第Vb族原子導入用の原料物質をガス
状態で反応容器中に、表面層104を形成するための他
のガスとともに導入してやればよい。第IIIb族原子導
入用の原料物質あるいは第Vb族原子導入用の原料物質
となり得るものとしては、常温常圧でガス状のまたは、
少なくとも層形成条件下で容易にガス化し得るものが採
用されるのが望ましい。そのような第IIIb族原子導入
用の原料物質として具体的には硼素原子導入用として
は、B26、B410、B59、B511、B610、B6
12、B614等の水素化硼素、BF3、BCl3、BB
3等のハロゲン化硼素等が挙げられる。この他、Al
Cl3、GaCl3、Ga(CH33、InCl3、Tl
Cl3等も挙げることができる。
【0032】第Vb族原子導入用の原料物質として、有
効に使用されるのは、燐原子導入用としては、PH3
24等の水素化燐、PH4I、PF3、PF5、PC
3、PCl5、PBr3、PBr5、PI3等のハロゲン
化燐が挙げられる。この他、AsH3、AsF3、AsC
3、AsBr3、AsF5、SbH3、SbF3、Sb
5、SbCl3、SbCl5、BiH3、BiCl3、B
iBr3等も第Vb族原子導入用の出発物質の有効なも
のとして挙げることができる。また、これらの伝導性を
制御する原子導入用の原料物質を必要に応じてH2、H
e、Ar、Ne等のガスにより希釈して使用しても良
い。
【0033】本発明における表面層104の層厚として
は、通常0.01〜3μm、好適には0.05〜2μ
m、最適には0.1〜1μmとされるのが望ましいもの
である。層厚が0.01μmよりも薄いと光受容部材を
使用中に摩耗等の理由により表面層が失われてしまい、
3μmを越えると残留電位の増加等の電子写真特性の低
下がみられる。
【0034】本発明によると表面層104は、その要求
される特性が所望通りに与えられるように注意深く形成
される。すなわち、Si、C及び/またはN及び/また
はO、H及び/またはXを構成要素とする物質はその形
成条件によって構造的には結晶からアモルファスまでの
形態を取り、電気物性的には導電性から半導体性、絶縁
性までの間の性質を、又、光導電的性質から非光導電的
性質までの間の性質を各々示すので、本発明において
は、目的に応じた所望の特性を有する化合物が形成され
るように、所望にしたがってその形成条件の選択が厳密
になされる。例えば、表面層104を耐圧性の向上を主
な目的として設けるには、使用環境において電気絶縁性
的挙動の顕著な非単結晶材料として作成される。
【0035】また、連続繰り返し使用特性や使用環境特
性の向上を主たる目的として表面層104が設けられる
場合には、上記の電気絶縁性の度合はある程度緩和さ
れ、照射される光に対して有る程度の感度を有する非単
結晶材料として形成される。本発明の目的を達成し得る
特性を有する表面層104を形成するには、支持体10
1の温度、反応容器内のガス圧を所望にしたがって、適
宜設定する必要がある。支持体101の温度(Ts)
は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、
通常の場合、好ましくは200〜350℃、より好まし
くは230〜330℃、最適には250〜300℃とす
るのが望ましい。反応容器内のガス圧も同様に層設計に
したがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、
好ましくは1×10-4〜10Torr(1.333×1
-2〜1.333×103)、より好ましくは5×10
-4〜5Torr(6.665×10-1〜6.665×1
2)、最適には1×10-3〜1Torr(1.333
×10-1〜1.333×102)とするのが好ましい。
【0036】本発明においては、表面層を形成するため
の支持体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前記し
た範囲が挙げられるが、条件は通常は独立的に別々に決
められるものではなく、所望の特性を有する光受容部材
を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて最適値
を決めるのが望ましい。さらに本発明においては、光導
電層と表面層の間に、炭素原子、酸素原子、窒素原子の
含有量を表面層より減らしたブロッキング層(下部表面
層)を設けることも帯電能等の特性を更に向上させるた
めには有効である。また表面層104と光導電層103
との間に炭素原子及び/または酸素原子及び/または窒
素原子の含有量が光導電層103に向かって減少するよ
うに変化する領域を設けてもよい。これにより表面層と
光導電層の密着性を向上させ、光キャリアの表面への移
動がスムーズになるとともに光導電層と表面層の界面で
の光の反射による干渉の影響をより少なくすることがで
きる。
【0037】つぎに、本発明の電荷注入阻止層について
説明する。本発明の電子写真用光受容部材においては、
導電性支持体と光導電層との間に、導電性支持体側から
の電荷の注入を阻止する働きのある電荷注入阻止層を設
けるのがいっそう効果的である。すなわち、電荷注入阻
止層は光受容層が一定極性の帯電処理をその自由表面に
受けた際、支持体側より光導電層側に電荷が注入される
のを阻止する機能を有し、逆の極性の帯電処理を受けた
際にはそのような機能は発揮されない、いわゆる極性依
存性を有している。そのような機能を付与するために、
電荷注入阻止層には伝導性を制御する原子を光導電層に
比べ比較的多く含有させる。該層に含有される伝導性を
制御する原子は、該層中に万遍なく均一に分布されても
良いし、あるいは層厚方向には万遍なく含有されてはい
るが、不均一に分布する状態で含有している部分があっ
てもよい。分布濃度が不均一な場合には、支持体側に多
く分布するように含有させるのが好適である。しかしな
がら、いずれの場合にも支持体の表面と平行面内方向に
おいては、均一な分布で万遍なく含有されることが面内
方向における特性の均一化を図る点からも必要である。
【0038】電荷注入阻止層に含有される伝導性を制御
する原子としては、半導体分野における、いわゆる不純
物を挙げることができ、p型伝導特性を与える周期律表
第IIIb族に属する原子(以後「第IIIb族原子」と略記
する)またはn型伝導特性を与える周期律表第Vb族に
属する原子(以後「第Vb族原子」と略記する)を用い
ることができる。第IIIb族原子としては、具体的に
は、B(ほう素)、Al(アルミニウム)、Ga(ガリ
ウム)、In(インジウム)、Tl(タリウム)等があ
り、特にB、Al、Gaが好適である。第Vb族原子と
しては、具体的にはP(リン)、As(砒素)、Sb
(アンチモン)、Bi(ビスマス)等があり、特にP、
Asが好適である。本発明において電荷注入阻止層中に
含有さる伝導性を制御する原子の含有量としては、本発
明の目的が効果的に達成できるように所望にしたがって
適宜決定されるが、好ましくは10〜1×104原子p
pm、より好適には50〜5×103原子ppm、最適
には1×102〜3×103原子ppmとされるのが望ま
しい。
【0039】さらに、電荷注入阻止層には、炭素原子、
窒素原子及び酸素原子の少なくとも一種を含有させるこ
とによって、該電荷注入阻止層に直接接触して設けられ
る他の層との間の密着性の向上をよりいっそう図ること
ができる。該層に含有される炭素原子または窒素原子ま
たは酸素原子は該層中に万遍なく均一に分布されてもよ
いし、あるいは層厚方向には万遍なく含有されてはいる
が、不均一に分布する状態で含有している部分があって
もよい。しかしながら、いずれの場合にも支持体の表面
と平行面内方向においては、均一な分布で万遍なく含有
されることが面内方向における特性の均一化を図る点か
らも必要である。本発明における電荷注入阻止層の全層
領域に含有される炭素原子及び/または窒素原子及び/
または酸素原子の含有量は、本発明の目的が効果的に達
成されるように適宜決定されるが、一種の場合はその量
として、二種以上の場合はその総和として、好ましくは
1×10-3〜30原子%、より好適には5×10-3〜2
0原子%、最適には1×10-2〜10原子%とされるの
が望ましい。
【0040】また、本発明における電荷注入阻止層に含
有される水素原子及び/またはハロゲン原子は層内に存
在する未結合手を補償し膜質の向上に効果を奏する。電
荷注入阻止層中の水素原子またはハロゲン原子あるいは
水素原子とハロゲン原子の和の含有量は、好適には1〜
50原子%、より好適には5〜40原子%、最適には1
0〜30原子%とするのが望ましい。本発明において、
電荷注入阻止層の層厚は所望の電子写真特性が得られる
こと、及び経済的効果等の点から好ましくは0.1〜5
μm、より好ましくは0.3〜4μm、最適には0.5
〜3μmとされるのが望ましい。層厚が0.1μmより
薄くなると、支持体からの電荷の注入阻止能が不充分に
なって充分な帯電能が得られなくなり、5μmより厚く
しても電子写真特性の向上は期待できず、作製時間の延
長による製造コストの増加を招くだけである。
【0041】本発明において電荷注入阻止層を形成する
には、前述の光導電層を形成する方法と同様の真空堆積
法が採用される。本発明の目的を達成し得る特性を有す
る電荷注入阻止層105を形成するには、光導電層10
3と同様に、Si供給用のガスと希釈ガスとの混合比、
反応容器内のガス圧、放電電力ならびに支持体101の
温度を適宜設定することが必要である。希釈ガスである
2及び/またはHeの流量は、層設計にしたがって適
宜最適範囲が選択されるが、Si供給用ガスに対してH
2及び/またはHeを、通常の場合0.3〜20倍、好
ましくは0.5〜15倍、最適には1〜10倍の範囲に
制御することが望ましい。反応容器内のガス圧も同様に
層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、通常
の場合1×10-4〜10Torr(1.333×10-2
〜1.333×103Pa)、好ましくは5×10-4〜5
Torr(6.665×10-1〜6.665×102P
a)、最適には1×10-3〜1Torr(1.333×
10-1〜1.333×102 Pa)とするのが好まし
い。放電電力もまた同様に層設計にしたがって適宜最適
範囲が選択されるが、Si供給用のガスの流量に対する
放電電力の比を、通常の場合0.5〜8、好ましくは
0.8〜7、最適には1〜6の範囲に設定することが望
ましい。さらに支持体101の温度は、層設計にしたが
って適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好まし
くは200〜350℃、より好ましくは230〜330
℃、最適には250〜300℃とするのが望ましい。
【0042】本発明においては、電荷注入阻止層を形成
するための希釈ガスの混合比、ガス圧、放電電力、支持
体温度の望ましい数値範囲として前記した範囲が挙げら
れるが、これらの層作成ファクターは通常は独立的に別
々に決められるものではなく、所望の特性を有する表面
層を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて各層
作成ファクターの最適値を決めるのが望ましい。このほ
かに、本発明の電子写真用光受容部材においては、光受
容層102の前記支持体101側に、少なくともアルミ
ニウム原子、シリコン原子、水素原子及び/またはハロ
ゲン原子が層厚方向に不均一な分布状態で含有する層領
域を有することが望ましい。また、本発明の電子写真用
光受容部材においては、支持体101と光導電層103
おるいは電荷注入阻止層105との間の密着性の一層の
向上を図る目的で、例えば、Si34、SiO2、Si
O、あるいはシリコン原子を母体とし、水素原子及び/
またはハロゲン原子と、炭素原子及び/または酸素原子
及び/または窒素原子とを含む非晶質材料等で構成され
る密着層を設けても良い。更に、支持体からの反射光に
よる干渉模様の発生を防止するための光吸収層を設けて
も良い。
【0043】次に、光受容層を形成するための装置およ
び膜形成方法について詳述する。図2は電源周波数とし
てRF帯を用いた高周波プラズマCVD法(以後、「R
F−PCVD」と略記する)による電子写真用光受容部
材の製造装置の一例を示す模式的な構成図である。図2
に示す製造装置の構成は以下の通りである。この装置は
大別すると、堆積装置(2100)、原料ガスの供給装
置(2200)、反応容器(2111)内を減圧にする
ための排気装置(不図示)から構成されている。堆積装
置(2100)中の反応容器(2111)内には円筒状
支持体(2112)、支持体加熱用ヒーター(211
3)、原料ガス導入管(2114)が設置され、更に高
周波マッチングボックス(2115)が接続されてい
る。原料ガス供給装置(2200)は、SiH4、Ge
4、H2、CH4、B26、PH3等の原料ガスのボンベ
(2221〜2226)とバルブ(2231〜223
6,2241〜2246,2251〜2256)および
マスフローコントローラ(2211〜2216)から構
成され、各原料ガスのボンベはバルブ(2260)を介
して反応容器(2111)内のガス導入管(2114)
に接続されている。
【0044】この装置を用いた堆積膜の形成は、例えば
以下のように行うことができる。まず、反応容器(21
11)内に円筒状支持体(2112)を設置し、不図示
の排気装置(例えば真空ポンプ)により反応容器(21
11)内を排気する。続いて、支持体加熱用ヒーター
(2113)により円筒状支持体(2112)の温度を
200℃乃至350℃の所定の温度に制御する。堆積膜
形成用の原料ガスを反応容器(2111)に流入さるに
は、ガスボンベのバルブ(2231〜2237)、反応
容器のリークバルブ(2117)が閉じられていること
を確認し、又、流入バルブ(2241〜2246)、流
出バルブ(2251〜2256)、補助バルブ(226
0)が開かれていることを確認して、まずメインバルブ
(2118)を開いて反応容器(2111)およびガス
配管内(2116)を排気する。次に真空計(211
9)の読みが約5×10-6Torrになった時点で補助
バルブ(2260)、流出バルブ(2251〜225
6)を閉じる。その後、ガスボンベ(2221〜222
6)より各ガスをバルブ(2231〜2236)を開い
て導入し、圧力調整器(2261〜2266)により各
ガス圧を2Kg/cm2に調整する。次に、流入バルブ
(2241〜2246)を徐々に開けて、各ガスをマス
フローコントローラー(2211〜2216)内に導入
する。
【0045】以上のようにして成膜の準備が完了した
後、以下の手順で各層の形成を行う。円筒状支持体(2
112)が所定の温度になったところで流出バルブ(2
251〜2256)のうちの必要なものおよび補助バル
ブ(2260)を徐々に開き、ガスボンベ(2221〜
2226)から所定のガスをガス導入管(2114)を
介して反応容器(2111)内に導入する。次にマスフ
ローコントローラー(2211〜2216)によって各
原料ガスが所定の流量になるように調整する。その際、
反応空間(2111)内の圧力が1Torr以下の所定
の圧力になるように真空計(2119)を見ながら、メ
インバルブ(2118)の開口を調整する。内圧が安定
したところで、周波数13.56MHzのRF電源(不
図示)を所望の電力に設定して、高周波マッチングボッ
クス(2115)を通じて反応容器(2111)内にR
F電力を導入し、グロー放電を生起させる。この放電エ
ネルギーによって反応容器内に導入された原料ガスが分
解され、円筒状支持体(2112)上に所定のシリコン
を主成分とする堆積膜が形成されるところとなる。所望
の膜厚の形成が行われた後、RF電力の供給を止め、流
出バルブを閉じて反応容器へのガスの流入を止め、堆積
膜の形成を終える。
【0046】同様の操作を数回繰返すことによって、所
望の多層構造の光受容層が形成される。それぞれの層を
形成する際には必要なガス以外の流出バルブはすべて閉
じられていることは言うまでもなく、また、それぞれの
ガスが反応容器(2111)内、流出バルブ(2251
〜2256)から反応容器(2111)に至る配管内に
残留することを避けるために、流出バルブ(2251〜
2256)を閉じ、補助バルブ(2260)を開き、さ
らにメインバルブ(2118)を全開にして系内を一旦
高真空に排気する操作を必要に応じて行う。また、膜形
成の均一化を図るために、層形成を行っている間は、支
持体(2112)を駆動装置(不図示)によって所定の
速度で回転させることも有効である。さらに、上述のガ
ス種およびバルブ操作は各々の層の作成条件にしたがっ
て変更が加えられることは言うまでもない。
【0047】次に、電源周波数としてVHF帯を用いた
高周波プラズマCVD(以後「VHF−PCVD」と略
記する)法によって形成される電子写真用光受容部材の
製造方法について説明する。図2に示した製造装置にお
けるRF−PCVD法による堆積装置(2100)を、
図3に示す堆積装置(3100)に交換して原料ガス供
給装置(2200)と接続することにより、VHF−P
CVD法による電子写真用光受容部材製造装置を得るこ
とができる。この装置は大別すると、真空気密化構造を
成した減圧にし得る反応容器(3111)、原料ガスの
供給装置(2200)、および反応容器内を減圧にする
ための排気装置(不図示)から構成されている。反応容
器(3111)内には円筒状支持体(3112)、支持
体加熱用ヒーター(3113)、原料ガス導入管(不図
示)、電極(3115)が設置され、電極には更に高周
波マッチングボックス(3116)が接続されている。
また、反応容器(3111)内は排気管(3121)を
通じて不図示の拡散ポンプに接続されている。原料ガス
供給装置(2200)は、SiH4、GeH4、H2、C
4、B26、PH3等の原料ガスのボンベ(2221〜
2226)とバルブ(2231〜2236,2241〜
2246,2251〜2256)およびマスフローコン
トローラー(2211〜2216)から構成され、各原
料ガスのボンベはバルブ(2260)を介して反応容器
(3111)内のガス導入管(不図示)に接続されてい
る。また、円筒状支持体(3112)によって取り囲ま
れた空間(3130)が放電空間を形成している。VH
F−PCVD法によるこの装置での堆積膜の形成は、以
下のように行うことができる。まず、反応容器(311
1)内に円筒状支持体(3112)を配置し、駆動装置
(3120)によって支持体(3112)を回転し、不
図示の排気装置(例えば拡散ポンプ)により反応容器
(3111)内を排気管(3121)を介して排気し、
反応容器(3111)内の圧力を1×10-7Torr以
下に調整する。続いて、支持体加熱用ヒーター(311
3)により円筒状支持体(3112)の温度を200℃
乃至350℃の所定の温度に加熱保持する。
【0048】堆積膜形成用の原料ガスを反応容器(31
11)に流入させるには、ガスボンベのバルブ(223
1〜2236)、反応容器のリークバルブ(不図示)が
閉じられていることを確認し、又、流入バルブ(224
1〜2246)、流出バルブ(2251〜2256)、
補助バルブ(2260)が開かれていることを確認し
て、まずメインバルブ(不図示)を開いて反応容器(3
111)およびガス配管内を排気する。次に、真空計
(不図示)の読みが約5×10-6Torrになった時点
で補助バルブ(2260)、流出バルブ(2251〜2
256)を閉じる。その後、ガスボンベ(2221〜2
226)より各ガスをバルブ(2231〜2236)を
開いて導入し、圧力調整器(2261〜2266)によ
り各ガス圧を2Kg/cm2に調整する。次に、流入バ
ルブ(2241〜2246)を徐々に開けて、各ガスを
マスフローコントローラー(2211〜2216)内に
導入する。以上のようにして成膜の準備が完了した後、
以下のようにして円筒状支持体(3112)上に各層の
形成を行う。円筒状支持体(3112)が所定の温度に
なったところで流出バルブ(2251〜2256)のう
ちの必要なものおよび補助バルブ(2260)を徐々に
開き、ガスボンベ(2221〜2226)から所定のガ
スをガス導入管(不図示)を介して反応容器(311
1)内の放電空間(3130)に導入する。次にマスフ
ローコントローラ(2211〜2216)によって各原
料ガスが所定の流量になるように調整する。その際、放
電空間(3130)内の圧力が1Torr以下の所定の
圧力になるように真空計(不図示)を見ながら、メイン
バルブ(不図示)の開口を調整する。圧力が安定したと
ころで、例えば周波数500MHzのVHF電源(不図
示)を所望の電力に設定して、マッチングボックス(3
116)を通じて放電空間(3130)にVHF電力を
導入し、グロー放電を生起させる。かくして支持体(3
112)により取り囲まれた放電空間(3130)にお
いて、導入された原料ガスは、放電エネルギーにより励
起されて解離し、支持体(3112)上に所定の堆積膜
が形成される。この時、層形成の均一化を図るため支持
体回転用モーター(3120)によって、所望の回転速
度で回転させる。所望の膜厚の形成が行われた後、VH
F電力の供給を止め、流出バルブを閉じて反応容器への
ガスの流入を止め、堆積膜の形成を終える。
【0049】同様の操作を数回繰り返すことによって、
所望の多層構造の光受容層が形成される。それぞれの層
を形成する際には必要なガス以外の流出バルブはすべて
閉じられていることは言うまでもなく、また、それぞれ
のガス反応容器(3111)内、流出バルブ(2251
〜2256)から反応容器(3111)に至る配管内に
残留することを避けるために、流出バルブ(2251〜
2256)を閉じ、補助バルブ(2260)を開き、さ
らにメインバルブ(不図示)を全開にして系内を一旦高
真空に排気する操作を必要に応じて行う。上述のガス種
およびバルブ操作は各々の層の作成条件にしたがって変
更が加えられることは言うまでもない。いずれの方法に
おいても、堆積膜形成時の支持体温度は、特に200℃
以上350℃以下、好ましくは230℃以上330℃以
下、より好ましくは250℃以上310℃以下が望まし
い。支持体の加熱方法は、真空仕様である発熱体であれ
ばよく、より具体的にはシース状ヒーターの巻き付けヒ
ーター、板状ヒーター、セラミックヒーター等の電気抵
抗発熱体、ハロゲンランプ、赤外線ランプ等の熱放射ラ
ンプ発熱体、液体、気体等を温媒とし熱交換手段による
発熱体等が挙げられる。加熱手段の表面材質は、ステン
レス、ニッケル、アルミニウム、銅等の金属類、セラミ
ックス、耐熱性高分子樹脂等を使用することができる。
それ以外にも、反応容器以外に加熱専用の容器を設け、
加熱した後、反応容器内に真空中で支持体を搬送する方
法が用いられる。また、特にVHF−PCVD法におけ
る放電空間の圧力として、好ましくは1mTorr
(1.333×10-1Pa)以上500mTorr
(6.665×101Pa)以下、より好ましくは3m
Torr(3.999×10-1Pa)以上300mTo
rr(3.999×101Pa)以下、最も好ましくは
5mTorr(6.665×10-1Pa)以下100m
Torr(1.333×101Pa)以下に設定するこ
とが望ましい。VHF−PCVD法において放電空間に
設けられる電極の大きさ及び形状は、放電を乱さないな
らばいずれのものでも良いが、実用上は直径1mm以上
10cm以下の円筒状が好ましい。この時、電極の長さ
も、支持体に電界が均一にかかる長さであれば任意に設
定できる。電極の材料としては、表面が導電性となるも
のならばいずれのものでも良く、例えば、ステンレス、
Al、Cr、Mo、Au、In、Nb、Te、V、T
i、Pt、Pb、Fe等の金属、これらの合金または表
面を導電処理したガラス、セラミック等が通常使用され
る。
【0050】以下、実験例および実施例により本発明を
具体的に説明する。まず、その実験例をつぎに示す。 [実験例1]図2に示すRF−PCVD法による電子写
真用光受容部材の製造装置を用い、直径108mmの鏡
面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上
に、表1に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、表面
層からなる光受容部材を作製した。さらに光導電層のS
iH4とH2との混合比ならびに放電電力および支持体温
度を変えることによって、種々の光受容部材を作製し
た。作製した光受容部材を電子写真装置(キヤノン製N
P6060を実験用に改造)にセットして、帯電能の温
度依存性(温度特性)、メモリー電位を評価した。温度
特性は、光受容部材の温度を室温から約45℃まで変え
て電子写真装置の現像器位置に設置した電位センサーで
帯電能を測定し、このときの温度1℃当たりの帯電能の
変化を測定して、2V/deg以下を合格と判定した。また、
メモリー電位は、同様の電位センサーを用いて、非露光状
態での表面電位と一旦露光した後に再度帯電した時との
電位差を測定した。このとき、最帯電時の電位が非露光時
よりも低い時に正のメモリー電位とした。一方、図2の
装置においてアルミニウムシリンダーに代えて、円筒形
のサンプルホルダーを用い、ガラス基板(コーニング社
7059)ならびにSiウエハー上に、上記光導電層
の作製条件で膜厚約1μmのa−Si膜を堆積した。ガ
ラス基板上の堆積膜は、光学的バンドギャップ(Eg)
を測定した後、Crの串型電極を蒸着し、CMPにより
指数関数裾の特性エネルギー(Eu)と局在準位密度
(DOS)を測定し、Siウエハー上の堆積膜はFTI
Rにより水素含有量ならびに結合状態を測定した。
【0051】本例では、Egが1.75eV以上1,8
5eV未満となるように作製条件を調整した。またいず
れのサンプルも水素含有量は20〜30原子%であり、
赤外吸収スペクトルから得られるSi-H2結合とSi-H結合
の吸収ピーク強度比が0.4以上1.0未満であった。
本例のEuと温度特性との関係を図4に、DOSとメモ
リーとの関係を図5に示す。図4ならびに図5から明ら
かなように、Egが1.75eV以上1.85eV未満
の条件において、Euが50meV以上60meV未満
で、DOSが1×1016cm-3未満のときには温度特性
は良好であるものの、正のメモリー電位が観測され、E
uが60meV以上、DOSが1×1016cm-3以上で
は温度特性、メモリー電位ともに増加することがわかっ
た。
【0052】
【表1】 [実験例2]実験例1と同様に、図2に示すRF−PC
VD法による電子写真用光受容部材の製造装置を用い、
直径108mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリン
ダー(支持体)上に光受容部材ならびにサンプルを作製
した。作製条件は表2に示す条件とし、光導電層のSi
4とH2との混合比、放電電力および支持体温度を変え
ることによって、種々の光受容部材を作製した。本例で
はEgが1.65eV以上1,75eV未満となるよう
に作製条件を調整した。このとき、いずれのサンプルも
水素含有量は10〜20原子%であり、赤外吸収スペク
トルのSi-H2結合とSi-H結合の吸収ピーク強度比が0.
1以上0.4未満であった。作製した光受容部材ならび
にサンプルについて実験例1と同様の評価を行った。本
例のEuと温度特性との関係を図6に、DOSとメモリ
ーとの関係を図7に示す。図6ならびに図7から明らか
なように、Egが1.65eV以上1.75eV未満の
条件において、Euが60meV未満で、DOSが1×
1016cm-3未満のときには、温度特性は比較的良好で
はあるが、正のメモリーが観測され、Euが60meV
以上で、DOSが1×1016cm-3以上のときには温度
特性は増加し、負のメモリー電位が観測されることがわ
かった。
【0053】
【表2】 [実験例3]次に光導電層を支持体側から第一の層領域
と第二の層領域に分割し、光導電層の総膜厚を一定(3
0μm)にした上で、第一の層領域と第二の層領域の膜
厚比を変えて電子写真用光受容部材を作製し、各々につ
いて温度特性ならびにメモリー電位を測定した。この
際、第一の層領域としてEu=55、DOS=3.2×
1015cm-3の膜を用い、第二の層領域としてEu=6
5、DOS=2.6×1016cm-3の膜を用いた。本例
の膜厚比(d2/d1)と温度特性との関係を図8に、膜
厚比(d2/d1)とDOSとの関係を図9に示す。図8
および図9から明らかなように、膜厚比(d2/d1)が
0.03以上0.3未満のときに温度特性が良好で、な
おかつ光メモリーが実質的に観測されないことがわかっ
た。また、プロセススピード、帯電電位設定、露光波
長、露光量を変えて同様の測定をしたところ、第一の層
領域と第二の層領域の膜厚比が0.03〜0.3の時に
はいずれも良好な電子写真特性が得られた。
【0054】次に、本発明の実施例を示す。
【0055】
【実施例1】図2に示すRF−PCVD法による電子写
真用光受容部材の製造装置を用い、直径108mmの鏡
面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上
に、表3に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層(第一
の層領域、第二の層領域)、表面層からなる光受容部材
を作製した。作製した光受容部材を電位特性測定装置
(ドラム試験機)にセットして、帯電能の温度依存性
(温度特性)、メモリー電位を評価したところ、温度特
性は1.5V/deg、メモリー電位は1Vという結果
が得られた。表2にこのときの電子写真用光受容部材の
作製条件を示した。本例では、光導電層の第一の層領域
のEuとDOSは、ぞぞれ53meV、2×1015cm
-3、第二の層領域のEuとDOSは、それぞれ68me
V、5×1016cm-3という結果が得られた。また、作
製した電子写真用光受容部材を正帯電して画像評価をし
たところ、画像上でも光メモリーは観測されずその他の
画像特性(ポチ、画像流れ)についても良好な電子写真
特性が得られた。すなわち、光導電層の第一の層領域
(Eg=1.75eV〜1.85eV)をEuが50m
eV以上60meV未満、局在状態密度が1×1014
-3以上1×1016cm-3未満とし、第二の層領域(E
g=1.65eV〜1.75eV)をEuが60meV
以上70meV未満、局在状態密度が1×1016cm-3
以上1×1017cm-3未満とするとともに、第一の層領
域と第二の層領域の膜厚比(d2/d1)を0.03以上
0.3未満とすることが良好な電子写真特性を得るため
に必要であることがわかった。
【0056】
【表3】
【0057】
【実施例2】本例では、光導電層を電荷注入阻止層側か
ら第二の層領域、第一の層領域の順とし、実施例1の表
面層に代えて、表面層のシリコン原子および炭素原子の
含有量を層厚方向に不均一な分布状態とした表面層を設
けた。表4に、このときの電子写真用光受容部材の作製
条件を示した。他の点は実施例1と同様とした。作製し
た電子写真用光受容部材を実施例1と同様の評価をした
ところ実施例1と同様に良好な電子写真特性が得られ
た。すなわち、表面層のシリコン原子および炭素原子の
含有量を層厚方向に不均一な分布状態とした表面層を設
けた場合においても、光導電層の第一の層領域(Eg=
1.75eV〜1.85eV)をEuが50meV以上
60meV未満、局在状態密度が1×1014cm-3以上
1×1016cm-3未満とし、第二の層領域(Eg=1.
65eV〜1.75eV)をEuが60meV以上70
meV未満、局在状態密度が1×1016cm-3以上1×
1017cm-3未満とするとともに、第一の層領域と第二
の層領域の膜厚比(d2/d1)を0.03以上0.3未
満とすることが良好な電子写真特性を得るために必要で
あることがわかった。
【0058】
【表4】
【0059】
【実施例3】本例では、光導電層を電荷注入阻止層側か
ら第二の層領域、第一の層領域の順とし、実施例1の表
面層に代えて、表面層のシリコン原子および炭素原子の
含有量を層厚方向に不均一な分布状態とした表面層を設
けるとともに、全ての層にフッ素原子、ホウ素原子、炭
素原子、酸素原子、窒素原子を含有させた。表5に、こ
のときの電子写真用光受容部材の作製条件を示した。他
の点は実施例1と同様とした。作製した電子写真用光受
容部材を実施例1と同様の評価をしたところ実施例1と
同様に良好な電子写真特性が得られた。すなわち、表面
層のシリコン原子および炭素原子の含有量を層厚方向に
不均一な分布状態とした表面層を設けるとともに全ての
層にフッ素原子、ホウ素原子、炭素原子、酸素原子、窒
素原子を含有させた場合においても、光導電層の第一の
層領域(Eg=1.75eV〜1.85eV)をEuが
50meV以上60meV未満、局在状態密度が1×1
14cm-3以上1×1016cm-3未満とし、第二の層領
域(Eg=1.65eV〜1.75eV)をEuが60
meV以上70meV未満、局在状態密度が1×1016
cm-3以上1×1017cm-3未満とするとともに、第一
の層領域と第二の層領域の膜厚比(d2/d1)を0.0
3以上0.3未満とすることが良好な電子写真特性を得
るために必要であることがわかった。
【0060】
【表5】
【0061】
【実施例4】本例では、光導電層を電荷注入阻止層側か
ら第一の層領域、第二の領域の順とし、支持体と電荷注
入阻止層との間に、支持体からの反射光による干渉模様
の発生を防止するための光吸収層としてIR吸収層を設
けた。表6に、このときの電子写真用光受容部材の作製
条件を示した。他の点は実施例1と同様とした。作製し
た電子写真用光受容部材を実施例1と同様の評価をした
ところ実施例1と同様に良好な電子写真特性が得られ
た。すなわち、支持体と電荷注入阻止層との間に、支持
体からの反射光による干渉模様の発生を防止するための
光吸収層としてIR吸収層を設けた場合においても、光
導電層の第一の層領域(Eg=1.75eV〜1.85
eV)をEuが50meV以上60meV未満、局在状
態密度が1×1014cm -3以上1×1016cm -3未満
とし、第二の層領域(Eg=1.65eV〜1.75e
V)をEuが60me以上70meV未満、局在状態密
度が1×1016cm -3以上1×1017cm -3未満とす
るとともに、第一の層領域と第二の層領域の膜厚比(d
2/d1)を0.03以上0.3未満とすることが良好
な電子写真特性を得るために必要であることがわかっ
た。
【0062】
【表6】
【0063】
【実施例5】本例では、光導電層と電荷注入阻止層側か
ら第一の層領域、第二の層領域、第一の層領域の順とし
た三層構成とし、シリコン原子および炭素原子の含有量
を層厚方向に不均一な分布状態とした表面層を設けた。
表7に、このときの電子写真用光受容部材の作製条件を
示した。他の点は実施例1と同様とした。また、作製し
た電子写真用光受容部材を実施例1と同様の評価をした
ところ実施例1と同様に良好な電子写真特性が得られ
た。すなわち、光導電層を電荷注入阻止層側から第一の
層領域、第二の層領域、第一の層領域の順とした三層構
成とし、シリコン原子および炭素原子の含有量を層厚方
向に不均一な分布状態とした表面層を設けた場合におい
ても、光導電層の第一の層領域(Eg=1.75eV〜
1.85eV)をEuが50meV以上60meV未
満、局在状態密度が1×1014cm -3以上1×1016
cm -3 未満とし、第二の層領域(Eg=1.65e
V〜1.75eV)をEuが60meV以上70meV
未満、局在状態密度が1×1016cm -3 以上1×1
17 cm -3未満とするとともに、第一の層領域と第
二の層領域の膜厚比(d2/d1)を0.03以上0.
3未満とすることが良好な電子写真特性を得るために必
要であることがわかった。
【0064】
【表7】
【0065】
【実施例6】本例では、実施例1のRF−PCVD法に
代えて、図3に示すVHF−PCVD法による電子写真
用光受容部材の製造装置を用い、実施例1と同様に直径
108mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダ−
(支持体)上に、電荷注入阻止層、光導電層(電荷注入
阻止層側から第二の層領域、第一の層領域の順)、表面
層からなる光受容部材を作製した。表8にこのときの電
子写真用光受容部材の作製条件を示した。本例では、光
導電層の第一の層領域のEuとDOSは、それぞれ55
meV、5×1015 cm -3、第二の層領域のEuと
DOSは、それぞれ66meV、7×1016 cm -3
という結果が得られた。また、作製した電子写真用光受
容部材を実施例1と同様の評価をしたところ実施例1と
同様に良好な電子写真特性が得られた。すなわち、VH
F−PCVD法を用い、表面層のシリコン原子および炭
素原子の含有量を層厚方向に不均一な分布状態とした表
面層を設けた場合においても、光導電層の第一の層領域
(Eg=1.75eV〜1.85eV)をEuが50m
eV以上60meV未満、局在状態密度が1×1014
cm -3以上1×1016cm -3未満とし、第二の層領域
(Eg=1.65eV〜1.75eV)をEuが60m
eV以上70meV未満、局在状態密度が1×1016
cm -3以上1×1017 cm -3未満とするとともに、
第一の層領域と第二の層領域の膜厚比(d2/d1)を
0.03以上0.3未満とすることが良好な電子写真特
性を得るために必要であることがわかった。
【0066】
【表8】
【0067】
【実施例7】本例では、光導電層を電荷注入阻止層側か
ら第一の層領域、第二の層領域の順とし、表面層を構成
する原子として、炭素原子の代わりに窒素原子を表面層
に含有させて設けた。表9にこのときの電子写真用光受
容部材の作製条件を示した。他の点は実施例6と同様と
した。また、作製した電子写真用光受容部材を実施例1
と同様の評価をしたところ実施例1と同様に良好な電子
写真特性が得られた。すなわち、表面層を構成する原子
として、炭素原子の代わりに窒素原子を表面層に含有さ
せて設けた場合においても、すなわち、表面層を構成す
る原子として、炭素原子の代わりに窒素原子を含有させ
た表面層を設けた場合においても、光導電層の第一の層
領域(Eg=1.75eV〜1.85eV)をEuが5
0meV以上60meV未満、局在状態密度が1×10
14 cm -3以上1×1016 cm -3未満とし、第二の
層領域(Eg=1.65eV〜1.75eV)をEuが
60meV以上70meV未満、局在状態密度が1×1
16 cm -3以上1×1017 cm -3未満とするとと
もに、第一の層領域と第二の層領域の膜厚比(d2/d
1)を0.03以上0.3未満とすることが良好な電子
写真特性を得るために必要であることがわかった。
【0068】
【表9】
【0069】
【実施例8】本例では、光導電層を電荷注入阻止層側か
ら第二の層領域、第一の層領域の順とし、表面層に窒素
原子および酸素原子を含有させた。表10にこのときの
電子写真用光受容部材の作製条件を示した。他の点は実
施例6と同様とした。また、作製した電子写真用光受容
部材を実施例1と同様の評価をしたところ実施例1と同
様に良好な電子写真特性が得られた。すなわち、表面層
に炭素原子に加えて窒素原子および酸素原子を含有させ
た場合においても、光導電層の第一の層領域(Eg=
1.75eV〜1.85eV)をEuが50meV以上
60meV未満、局在状態密度が1×1014 cm -3
以上1×1016 cm -3未満とし、第二の層領域(E
g=1.65eV〜1.75eV)をEuが60meV
以上70meV未満、局在状態密度が1×1016cm
-3以上1×1017 cm -3未満とするとともに、第一
の層領域と第二の層領域の膜厚比(d2/d1)を0.
03以上0.3未満とすることが良好な電子写真特性を
得るために必要であることがわかった。
【0070】
【表10】
【0071】
【実施例9】本例では、光導電層を電荷注入阻止層側か
ら第一の層領域、第二の層領域の順とし、光導電層と表
面層との間に、炭素原子の含有量を表面層より減らし、
伝導性を制御する原子を含有させた中間層(上部阻止
層)を設けた。表11にこのときの電子写真用光受容部
材の作製条件を示した。他の点は実施例6と同様とし
た。また、作製した電子写真用光受容部材を負帯電させ
て実施例1と同様の評価をしたところ実施例1と同様に
良好な電子写真特性が得られた。すなわち、光導電層と
表面層の間に中間層(上部阻止層)を設け、負帯電をし
た場合においても、光導電層の第一の層領域(Eg=
1.75eV〜1.85eV)をEuが50meV以上
60meV未満、局在状態密度が1×1014 cm -3
以上1×1016 cm -3未満とし、第二の層領域(E
g=1.65eV〜1.75eV)をEuが60meV
以上70meV未満、局在状態密度が1×1016cm
-3以上1×1017 cm -3未満とするとともに、第一
の層領域と第二の層領域の膜厚比(d2/d1)を0.
03以上0.3未満とすることが良好な電子写真特性を
得るために必要であることがわかった。
【0072】
【表11】
【0073】
【実施例10】本例では、電荷注入阻止層を削除し、光
導電層として炭素原子を層厚方向に不均一な分布状態で
含有する第一の層領域と実質的に炭素原子を含まない第
二の層領域と連続して形成した。表12に、このときの
電子写真用光受容部材の作製条件を示した。他の点は実
施例6と同様とした。作製した電子写真用光受容部材を
実施例1と同様の評価をしたところ実施例1と同様に良
好な電子写真特性が得られた。すなわち、電荷注入阻止
層を削除し、光導電層を炭素原子を層厚方向に不均一な
分布状態で含有する第一の層領域と実質的に炭素原子を
含まない第二の層領域と連続して形成した場合において
も、光導電層の第一の層領域(Eg=1.75eV〜
1.85eV)をEuが50meV以上60meV未
満、局在状態密度が1×1014 cm -3以上1×10
16 cm -3未満とし、第二の層領域(Eg=1.65
eV〜1.75eV)をEuが60meV以上70me
V未満、局在状態密度が1×1016 cm -3以上1×
1017 cm -3未満とするとともに、第一の層領域と
第二の層領域の膜厚比(d2/d1)を0.03以上
0.3未満とすることが良好な電子写真特性を得るため
に必要であることがわかった。
【0074】
【表12】
【0075】
【発明の効果】本発明は以上のような構成により、温度
特性の向上と光メモリーの低減とを両立した光受容層を
有する光受容部材を提供することができる。したがっ
て、この光受容部材で電子写真用光受容部材を構成する
ことにより、電子写真用光受容部材の使用温度領域での
温度特性が飛躍的に改善されるとともに光メモリーの発
生を実質的になくすることができ、電子写真用光受容部
材の使用環境に対する安定性が向上し、ハーフトーンが
鮮明に出て且つ解像力の高い高品位の画像を安定して得
ることができる電子写真用光受容部材が得られる。
【0076】特に、本発明において、キャリアの光学的
バンドギャップ内における局在準位に捕獲される割合を
小さくした第一の層領域と、それが捕獲される割合を大
きくした第二の層領域と積層した光導電層を有する光受
容部材で電子写真用光受容部材を構成することにより、
電子写真装置のプロセス条件によらず光メモリーの発生
が実質的に無視し得るほどに低減し、周囲環境の変動に
対する表面電位の変化が抑制された使用環境特性の優れ
た、また、電気的特性、光学的特性、光導電特性、画像
特性、耐久性の優れた電子写真用光受容部材を提供する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真用光受容部材の好適な一例の
層構成を説明するための模式的層構成図である。
【図2】本発明の電子写真用光受容部材の光受容層を形
成するための装置の一例で、RF帯の高周波を用いたグ
ロー放電法による電子写真用光受容部材の製造装置の模
式的説明図である。
【図3】本発明の電子写真用光受容部材の光受容層を形
成するための装置の一例で、VHF帯の高周波を用いた
グロー放電法による電子写真用光受容部材の製造装置の
模式的説明図である。
【図4】本発明の電子写真用光受容部材における光導電
層の第一の層領域のアーバックテイルの特性エネルギー
(Eu)と温度特性の関係を示す図である。
【図5】本発明の電子写真用光受容部材における光導電
層の第一の層領域の局在状態密度(DOS)とメモリー
電位との関係を示す図である。
【図6】本発明の電子写真用光受容部材における光導電
層の第二の層領域のアーバックテイルの特性エネルギー
(Eu)との温度特性の関係を示す図である。
【図7】本発明の電子写真用光受容部材における光導電
層の第二の層領域の局在状態密度(DOS)とメモリー
電位との関係を示す図である。
【図8】本発明の電子写真用光受容部材における光導電
層の第一の層領域と第二の層領域の膜厚比と温度特性と
の関係を示す図である。
【図9】本発明の電子写真用光受容部材における光導電
層の第一の層領域と第二の層領域の膜厚比とメモリー電
位との関係を示す図である。
【符号の説明】
100 光受容部材 101 導電性支持体 102 光受容層 103 光導電層 104 表面層 105 電荷注入阻止層 110 自由表面 111 第一の層領域 112 第二の層領域 2100、3100 堆積装置 2111、3111 反応容器 2112、3112 円筒状支持体 2113、3113 支持体加熱用ヒーター 2114 原料ガス導入管 2115、3116 マッチングボックス 2116 原料ガス配管 2117 反応容器リークバルブ 2118 メイン排気バルブ 2119 真空計 2200 原料ガス供給装置 2211〜2216 マスフローコントローラ 2221〜2226 原料ガスボンベ 2231〜2236 原料ガスボンベバルブ 2241〜2246 ガス流入バルブ 2251〜2256 ガス流出バルブ 2261〜2266 圧力調整器 3115 電極 3120 支持体回転用モーター 3121 排気管 3130 放電空間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G03G 5/08 313 314 315 316 331 333 334 335

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリコン原子を母体とし水素原子及び/ま
    たはハロゲン原子を含有する非単結晶材料で構成された
    光導電層を有する光受容部材において、前記光導電層が
    キャリアの光学的バンドギャップ内における局在準位に
    捕獲される割合を小さくした第一の層領域と、それが捕
    獲される割合を大きくした第二の層領域とをその層厚を
    異ならせて積層し、温度特性を向上させると共に光メモ
    リーの発生をなくして良好な特性を発揮するようにした
    ことを特徴とする光受容部材。
  2. 【請求項2】前記光導電層は、第一の層領域における水
    素含有量、光学的バンドギャップ、光吸収スペクトルか
    ら得られる指数関数裾の特性エネルギー及び光学的バン
    ドギャップ内の局在状態密度と、第二の層領域における
    それらの値が異なるように構成されていることを特徴と
    する請求項1に記載の光受容部材。
  3. 【請求項3】前記光導電層は、第一の層領域における水
    素原子含有量が20〜30原子%、光学的バンドギャッ
    プが1.75eV以上1.85eV未満、光吸収スペク
    トルから得られる指数関数裾の特性エネルギーが50m
    eV以上60meV以下、光学的バンドギャップ内の局
    在状態密度が1×1014cm-3以上1×1016cm-3
    満であり、第二の層領域における水素原子含有量が10
    〜20原子%、光学的バンドギャップが1.65eV以
    上1.75eV未満、光吸収スペクトルから得られる指
    数関数裾の特性エネルギーが60meV以上70meV
    未満、光学的バンドギャップ内の局在状態密度が1×1
    16cm-3以上1×1017cm-3未満であって、第一の
    層領域の層厚(d1)と第二の層領域の層厚(d2)の
    比が、d2/d1=0.03〜0.3とされていること
    を特徴とする請求項1または請求項2に記載の光受容部
    材。
  4. 【請求項4】前記光導電層は、第一の層領域における赤
    外吸収スペクトルから得られるSi−H2結合とSi−
    H結合の吸収ピーク強度比が0.4以上1.0未満であ
    り、第二の層領域における前記吸収ピーク強度比が0.
    1以上0.4未満であることを特徴とする請求項3に記
    載の光受容部材。
  5. 【請求項5】前記光導電層は、導電性支持体の表面上に
    おける第一の層領域の上に第二の層領域が積層されてい
    ることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項
    に記載の光受容部材。
  6. 【請求項6】前記光導電層は、導電性支持体の表面上に
    おける第二の層領域の上に第一の層領域が積層されてい
    ることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項
    に記載の光受容部材。
  7. 【請求項7】前記光導電層は、導電性支持体の表面上に
    おける第一の層領域の上に第二の層領域が、さらにその
    上に第一の層領域が積層されていることを特徴とする請
    求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の光受容部材。
  8. 【請求項8】前記光導電層は、その光導電層中に周期律
    表第IIIb族または第Vb族に属する元素の少なくとも
    一つを含有することを特徴とする請求項1〜請求項7の
    いずれか1項に記載の光受容部材。
  9. 【請求項9】前記光導電層は、その光導電層中に炭素、
    酸素、窒素の少なくとも一つを含むことを特徴とする請
    求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の光受容部材。
  10. 【請求項10】前記光導電層は、その光導電層の表面上
    に炭素、酸素、窒素の少なくとも一つを含むシリコン系
    非単結晶材料からなる表面層が設けられていることを特
    徴とする請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の光
    受容部材。
  11. 【請求項11】前記光導電層は、シリコン原子を母体と
    し炭素、酸素、窒素の少なくとも一つおよび周期律表第
    IIIb族または第Vb族から選ばれる元素の少なくとも
    一つを含む非単結晶材料からなる電荷注入阻止層の表面
    に設けられていることを特徴とする請求項10に記載の
    光受容部材。
  12. 【請求項12】前記表面層は、その層厚が0.01〜3
    μmであることを特徴とする請求項10または請求項1
    1に記載の光受容部材。
  13. 【請求項13】前記電荷注入阻止層は、その層厚が0.
    1〜5μmであることを特徴とする請求項11に記載の
    光受容部材。
  14. 【請求項14】前記光導電層は、その層厚が20〜50
    μmであることを特徴とする請求項1〜請求項13のい
    ずれか1項に記載の光受容部材。
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