JP2004310140A - 電子写真用光受容部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】帯電能の向上と、その温度特性の向上および光メモリーの低減とが両立・達成され、画像品質が向上した電子写真用光受容部材を提供する。
【解決手段】導電性支持体上に、水素原子と周期律表第IIIb族元素を含有しシリコン原子を母体とする非単結晶材料で構成された光導電層を有する電子写真用光受容部材において、光導電層を、それぞれ特定の範囲の水素原子含有量、光学的バンドギャップ、及び光吸収スペクトルの指数関数裾から得られる特性エネルギーを持つ支持体側の第1の層領域と表面側の第2の層領域で形成し、第2の層領域の光学的バンドギャップを第1の層領域より小さくし、且つ、第2の層領域の周期律表第IIIb族元素の含有量を第1の層領域より少なくする。
【選択図】図1

Description

本発明は、光(ここでは広義の光であって、紫外線、可視光線、赤外線、X線、γ線等を意味する。)のような電磁波に対して感受性のある電子写真用光受容部材に関する。
画像形成分野において、光受容部材の光受容層を形成する光導電材料は、次のような特性が要求される。高感度であること、SN比(光電流(Ip)/暗電流(Id))が高いこと、照射する電磁波のスペクトル特性に適合した吸収スペクトルを有すること、光応答性が速いこと、所望の暗抵抗値を有すること、使用時において人体に対して無害であること等である。特に、光受容部材が、事務機としてオフィスで使用される電子写真装置内に組み込まれる場合は、上記の使用時における無害性は重要である。
上記の特性が優れている光導電材料としては、水素化アモルファスシリコンが挙げられ、例えば、特公昭60−35059号公報(特許文献1)には電子写真用光受容部材としての応用が記載されている。
このような光受容部材の作製は、一般的には、導電性支持体を50〜350℃に加熱し、この支持体上に、真空蒸着法・スパッタリング法・イオンプレーティング法・熱CVD法・光CVD法・プラズマCVD法等の成膜法によってアモルファスシリコンからなる光導電層を形成する。なかでもプラズマCVD法による製造方法が好適であり、実用されている。このプラズマCVD法は、原料ガスを高周波あるいはマイクロ波グロー放電によって分解し、導電性支持体上にアモルファスシリコンの堆積膜を形成するものである。
また、特開昭56−83746号公報(特許文献2)においては、ハロゲン原子を含むアモルファスシリコンからなる光導電層を導電性支持体上に形成した電子写真用光受容部材が提案されている。この公報においては、アモルファスシリコンにハロゲン原子を1〜40原子%含有させることによって、耐熱性が高くなり、且つ電子写真用光受容部材の光導電層として良好な電気的・光学的特性を得ることができるとされている。
特開昭57−115556号公報(特許文献3)には、暗抵抗値・光感度・光応答性等の電気的・光学的・光導電的特性、及び耐湿性等の使用環境特性、さらには経時的安定性について改善を図るため、シリコン原子を母体とするアモルファス材料で構成された光導電層上に、シリコン原子及び炭素原子を含む非光導電性のアモルファス材料で構成された表面障壁層を設ける技術が記載されている。さらに、特開昭60−67951号公報(特許文献4)には、アモルファスシリコン、炭素、酸素およびフッ素を含有してなる透光絶縁性オーバーコート層が積層された感光体について記載され、特開昭62−168161公報(特許文献5)には、表面層として、シリコン原子と炭素原子と41〜70原子%の水素原子を構成要素として含む非晶質材料を用いる技術が記載されている。
特開昭58−21257号公報(特許文献6)には、光導電層の作製中に支持体温度を変化させ、光導電層内で禁止帯幅を変化させることによって、高抵抗であって光感度領域の広い感光体を得る技術が開示されている。特開昭58−121042号公報(特許文献7)には、光導電層の層厚方向にエネルギーギャップ状態密度を変化させ、表層のエネルギーギャップ状態密度を1017〜1019cm-3とすることによって、湿度による表面電位の低下を防止する技術が開示されている。また、特開昭59−143379号公報(特許文献8)および特開昭61−201481号公報(特許文献9)には、水素含有量の異なる水素化アモルファスシリコンを積層することによって、暗抵抗が高く高感度の感光体を得る技術が開示されている。
アモルファスシリコン感光体の画像品質向上のために、特開昭58−88115号公報(特許文献10)には、光導電層の支持体側に周期律表第III族の原子を多く含有させることが開示されている。特開昭62−83470号公報(特許文献11)には、電子写真用感光体の光導電層において光吸収スペクトルの指数関数裾の特性エネルギーを0.09eV以下にすることによって、残像現象のない高品質の画像を得る技術が開示されている。また、特開昭62−112166号公報(特許文献12)には、B26/SiH4流量比を3.3×10-7以上に保ってキャリア輸送層を形成することにより残像現象をなくす技術が開示されている。
その他、アモルファスシリコン感光体の画像品質向上のために、特開昭60−95551号公報(特許文献13)には、感光体表面近傍の温度を30〜40℃に維持しながら帯電・露光・現像・転写の画像形成行程を行うことによって、感光体表面での水分の吸着による表面抵抗の低下、及びそれに伴って発生する画像流れを防止する技術が開示されている。
これらの技術により、電子写真用光受容部材の電気的・光学的・光導電特性および使用環境特性が向上し、それらに伴って画像品質も向上してきた。
特公昭60−35059号公報 特開昭56−83746号公報 特開昭57−115556号公報 特開昭60−67951号公報 特開昭62−168161公報 特開昭58−21257号公報 特開昭58−121042号公報 特開昭59−143379号公報 特開昭61−201481号公報 特開昭58−88115号公報 特開昭62−83470号公報 特開昭62−112166号公報 特開昭60−95551号公報
しかしながら、アモルファスシリコン系材料で構成された光導電層を有する従来の電子写真用光受容部材は、暗抵抗値・光感度・光応答性等の電気的・光学的・光導電特性、使用環境特性、経時的安定性、及び耐久性において、これらの個々では性能の向上が図られてはいるが総合的には不十分であり、総合的な特性の向上を図る上でさらに改良すべき余地があった。
特に、電子写真装置の高画質化・高速化・高耐久化は急速に進んでおり、電子写真用光受容部材においては電気的特性や光導電特性のさらなる向上とともに、帯電能や感度を維持しつつあらゆる環境下で大幅に性能を高めることが求められている。そして、電子写真装置の画像特性向上のために電子写真装置内の光学露光装置・現像装置・転写装置等の改良がなされた結果、電子写真用光受容部材についても従来以上の高い画像特性が求められるようになった。
このような状況において、前述した従来技術により上記課題についてある程度の特性の向上が可能になってはきたが、帯電能、感度および光応答性、並びに画像品質の向上に関しては未だ十分とはいえない。特にアモルファスシリコン系光受容部材の高画質化の課題として、周囲の温度変化による電子写真特性(帯電能、感度など)の変動を抑えること(使用環境特性の改善)、及びブランクメモリーやゴーストといった光メモリーを低減すること(光応答性等の光導電特性の改善)がいっそう求められるようになってきた。
例えば、従来は感光体の画像流れの防止のために、前記特開昭60−95551号公報に記載されているように、複写機内に設置したドラムヒーターによって感光体の表面温度を40℃程度に保っていた。しかしながら、従来の感光体では前露光キャリアや熱励起キャリアの生成に起因した帯電能の温度依存性が大きいため、複写機内の実際の使用環境下では、感光体が本来有しているよりも低い帯電能の状態で使用せざるを得なかった。例えば、室温での使用時に比べて、ドラムヒーターで40℃程度に加熱している状態では帯電能が100V程度低下してしまっていた。
また、従来は複写機を使用しない間(例えば夜間など)でもドラムヒーターに通電することによって、帯電器のコロナ放電により生成するオゾン生成物が感光体表面に吸着することにより発生する画像流れを防止していた。しかし、現在では省電力化のために複写機を使用しない夜間などの通電は極力行わないようになってきている。このような通電を行わない状態で複写を行うと、帯電等により感光体周囲の温度が上昇し、それにともなって帯電能が低下するため、複写中に画像濃度が変わってしまうという現象が生じていた。
さらに、同一原稿を連続して繰り返し複写すると、前回の複写行程での像露光の残像が次回の複写時に画像上に生じる現象(ゴースト)や、トナーを節約するために連続複写時の紙間において感光体に照射するブランク露光の影響により複写画像上に濃度差が生じる現象(ブランクメモリー)等が画像品質を向上させる上で問題になってきた。
一方、近年、オフィスや一般家庭へコンピュータが普及し、電子写真装置も従来の複写機としてだけでなく、ファクシミリやプリンターの役目を担うためにデジタル化することが求められるようになってきた。デジタル化のための露光光源として用いられる半導体レーザーやLEDは、発光強度や価格の点から近赤外から赤色可視光までの比較的長波長のものが主流である。そのため、従来のハロゲン光を用いたアナログ機には見られなかった特性上の問題を解決することが求められるようになった。
特に、露光量と感光体表面電位の関係、いわゆるE−V特性(曲線)が温度によってシフトすること(感度の温度特性)や、E−V特性(曲線)の直線性(感度の直線性)が低下することが、半導体レーザーやLEDを用いた場合の特徴として注目されるようになってきた。すなわち、半導体レーザーやLEDを露光光源として用いたデジタル機においては、感光体温度を前述のドラムヒーターにより制御を行わない場合、感度の温度特性や感度の直線性の低下のために、周囲の温度によって感度が変化して画像濃度が変わってしまうという新たな問題が生じていた。
したがって、電子写真用光受容部材を設計する際に、上記のような問題が解決されるように、層構成や各層の化学的組成などの総合的な観点からの改良を図ると共に、アモルファスシリコン系材料そのものの一段の特性の改良を図ることが必要とされている。
そこで本発明の目的は、上述したアモルファスシリコン系材料で構成された光受容層を有する従来の電子写真用光受容部材における諸問題を解決することを目的とするものである。
すなわち、本発明の目的は、電気的・光学的・光導電的特性に優れ、且つこれらが温度や湿度等の使用環境にほとんど依存することなく実質的に常時安定し(使用環境特性に優れ)、画像品質に優れた電子写真用光受容部材を提供することである。特に、帯電能の向上と、その温度特性の向上および光メモリーの低減とが高次元で両立・達成され、画像品質が飛躍的に向上した電子写真用光受容部材を提供することである。
また、像露光光源として特に半導体レーザーやLEDを用いたときの感度の温度特性や感度の直線性が改善され、画像品質が飛躍的に向上した電子写真用光受容部材を提供することにある。
さらに、耐光疲労や繰り返し使用等による劣化現象を起こさない耐久性に優れた電子写真用光受容部材を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明者らは、光導電層のキャリアの挙動に着目し、アモルファスシリコン系材料(以下「a−Si」という。)のバンドギャップ内の局在状態密度分布と温度特性や光メモリーとの関係について鋭意検討した。その結果、光導電層の厚さ方向において、水素含有量、光学的バンドギャップ及びバンドギャップ内の局在状態密度分布を制御することによって上記目的を達成できるという知見を得た。
すなわち、水素原子または/及びハロゲン原子を含有しシリコン原子を母体とする非単結晶材料で構成された光導電層を有する電子写真用光受容部材において、その層構造が特定化された光受容部材は、実用上著しく優れた特性を示すばかりでなく、従来の光受容部材と比較してあらゆる点において優れていること、特に電子写真用の光受容部材として優れた特性を有していることを見い出した。
また本発明は、デジタル化に対応した長波長光(レーザーやLED)に最適化するために、特に光電変換に関わる光入射部について、光が入射する部分とそれ以外の部分との役割を考慮しながら、水素原子または/及びハロゲン原子含有量、光学的バンドギャップ、光吸収スペクトルから得られる指数関数裾の特性エネルギーの分布、および伝導性を制御する物質である周期律表第IIIb族の元素の分布を相互に関連させながら制御することによって、感度の温度特性や感度の直線性を改善し、さらに帯電能と光メモリーを改善できるという知見を得た。
これらの知見から、本発明者らは以下の発明を完成した。
第1の発明は、導電性支持体上に、水素原子または/及びハロゲン原子と周期律表第IIIb族の少なくとも一種の元素を含有しシリコン原子を母体とする非単結晶材料で構成された光導電層を少なくとも有する電子写真用光受容部材において、該光導電層は、水素原子または/及びハロゲン原子の含有量が10〜30原子%、光学的バンドギャップが1.75〜1.85eV、光吸収スペクトルの指数関数裾から得られる特性エネルギーが55〜65meVであって、該光導電層に入射する光を一定量吸収する第2の層領域を表面側に、その他の第1の層領域を支持体側に有し、第2の層領域の周期律表第IIIb族元素の含有量が第1の層領域よりも少ないことを特徴とする電子写真用光受容部材に関する。
第2の発明は、導電性支持体上に、水素原子または/及びハロゲン原子と周期律表第IIIb族の少なくとも一種の元素を含有しシリコン原子を母体とする非単結晶材料で構成された光導電層を少なくとも有する電子写真用光受容部材において、該光導電層は、水素原子または/及びハロゲン原子の含有量が10〜20原子%、光学的バンドギャップが1.75eV以下、光吸収スペクトルの指数関数裾から得られる特性エネルギーが55meV以下であって、該光導電層に入射する光を一定量吸収する第2の層領域を表面側に、その他の第1の層領域を支持体側に有し、第2の層領域の周期律表第IIIb族元素の含有量が第1の層領域よりも少ないことを特徴とする電子写真用光受容部材に関する。
第3の発明は、導電性支持体上に、水素原子または/及びハロゲン原子と周期律表第IIIb族の少なくとも一種の元素を含有しシリコン原子を母体とする非単結晶材料で構成された光導電層を少なくとも有する電子写真用光受容部材において、該光導電層は、水素原子または/及びハロゲン原子の含有量が25〜35原子%、光学的バンドギャップが1.80eV以上、光吸収スペクトルの指数関数裾から得られる特性エネルギーが55meV以下であって、該光導電層に入射する光を一定量吸収する第2の層領域を表面側に、その他の第1の層領域を支持体側に有し、第2の層領域の周期律表第IIIb族元素の含有量が第1の層領域よりも少ないことを特徴とする電子写真用光受容部材に関する。
第4の発明は、第2の層領域が、像露光のピーク波長光を50〜90%吸収する層領域である第1、第2又は第3の発明の電子写真用光受容部材に関する。
第5の発明は、第2の層領域の周期律表第IIIb族元素の含有量に対する、第1の層領域の周期律表第IIIb族元素の含有量の比が1.2〜200である第1〜第4のいずれかの発明の電子写真用光受容部材に関する。
第6の発明は、第2の層領域の周期律表第IIIb族元素の含有量がシリコン原子に対して0.03〜5ppmである第1〜第5のいずれかの発明の電子写真用光受容部材に関する。
第7の発明は、第1の層領域の周期律表第IIIb族元素の含有量がシリコン原子に対して0.2〜25ppmである第1〜第6の発明の電子写真用光受容部材に関する。
第8の発明は、導電性支持体上に、水素原子または/及びハロゲン原子と周期律表第IIIb族の少なくとも一種の元素を含有しシリコン原子を母体とする非単結晶材料で構成された光導電層を少なくとも有する電子写真用光受容部材において、水素原子または/及びハロゲン原子の含有量が20〜30原子%、光学的バンドギャップが1.75〜1.85eV、光吸収スペクトルの指数関数裾から得られる特性エネルギーが55〜65meVである支持体側の第1の層領域と、水素原子または/及びハロゲン原子の含有量が10〜25原子%、光学的バンドギャップが1.70〜1.80eV、光吸収スペクトルの指数関数裾から得られる特性エネルギーが55meV以下である表面側の第2の層領域を前記光導電層が有し、第2の層領域の光学的バンドギャップが第1の層領域より小さく、且つ、第2の層領域の周期律表第IIIb族元素の含有量が第1の層領域より少ないことを特徴とする電子写真用光受容部材に関する。
第9の発明は、導電性支持体上に、水素原子または/及びハロゲン原子と周期律表第IIIb族の少なくとも一種の元素を含有しシリコン原子を母体とする非単結晶材料で構成された光導電層を少なくとも有する電子写真用光受容部材において、水素原子または/及びハロゲン原子の含有量が25〜40原子%、光学的バンドギャップが1.80〜1.90eV、光吸収スペクトルの指数関数裾から得られる特性エネルギーが55meV以下である支持体側の第1の層領域と、水素原子または/及びハロゲン原子の含有量が10〜25原子%、光学的バンドギャップが1.70〜1.80eV、光吸収スペクトルの指数関数裾から得られる特性エネルギーが55meV以下である表面側の第2の層領域を前記光導電層が有し、第2の層領域の光学的バンドギャップが第1の層領域より小さく、且つ、第2の層領域の周期律表第IIIb族元素の含有量が第1の層領域より少ないことを特徴とする電子写真用光受容部材に関する。
第10の発明は、第1の層領域の周期律表第IIIb族元素の含有量がシリコン原子に対して0.2〜30ppmである第8の発明の電子写真用光受容部材に関する。
第11の発明は、第1の層領域の周期律表第IIIb族元素の含有量がシリコン原子に対して0.2〜25ppmである第9の発明の電子写真用光受容部材に関する。
第12の発明は、第2の層領域の周期律表第IIIb族元素の含有量がシリコン原子に対して0.01〜10ppmである第8〜第11のいずれかの発明の電子写真用光受容部材に関する。
第13の発明は、第2の層領域における、像露光のピーク波長光を70%以上吸収するに要する表面側からの層領域の周期律表第IIIb族元素の含有量が、シリコン原子に対して0.01〜5ppmである第8〜第12のいずれかの発明の電子写真用光受容部材に関する。
第14の発明は、第2の層領域が、像露光のピーク波長光を80〜95%吸収する層領域である第8〜第13のいずれかの発明の電子写真用光受容部材に関する。
第15の発明は、光導電層の全層厚に対する、第2の層領域の層厚の比が0.05〜0.5である第8〜第14のいずれかの発明の電子写真用光受容部材に関する。
第16の発明は、光導電層における周期律表第IIIb族元素の含有量が、支持体側から表面側へ向かって減少している第1〜第15のいずれかの発明の電子写真用光受容部材に関する。
第17の発明は、光導電層中に、炭素、酸素、窒素の少なくとも一種の元素を含有する第1〜第16のいずれかの発明の電子写真用光受容部材に関する。
第18の発明は、光導電層の厚さが20〜50μmである第1〜第17のいずれかの発明の電子写真用光受容部材に関する。
第19の発明は、炭素、酸素、窒素の少なくとも一種の元素を含有しシリコン原子を母体とする非単結晶材料で構成された表面層を有する第1〜第18のいずれかの発明の電子写真用光受容部材に関する。
第20の発明は、表面層の厚さが0.01〜3μmである第19の発明の電子写真用光受容部材に関する。
第21の発明は、水素原子または/及びハロゲン原子と、炭素、酸素、窒素の少なくとも一種の元素と、周期律表第IIIb族または第Vb族の少なくとも一種の元素を含有しシリコン原子を母体とする非単結晶材料で構成された電荷注入阻止層を有し、該電荷注入阻止層上に光導電層が設けられた第1〜第20のいずれかの発明の電子写真用光受容部材に関する。
第22の発明は、電荷注入阻止層の厚さが0.1〜5μmである第21の発明の電子写真用光受容部材に関する。
上記本発明における「指数関数裾」とは、光吸収スペクトルから低エネルギー側の裾領域を除いた吸収スペクトルのことを指しており、また「特性エネルギー」は、この指数関数裾の傾きと関係している。これらを図2を用いてさらに説明する。
図2に、横軸に光子エネルギーhν、縦軸(対数軸)に吸収係数αをとった場合のa−Siのサブバンドギャップ光吸収スペクトルの一例を示す。このスペクトルは大きく二つの領域に分けられる。すなわち、吸収係数αが光子エネルギーhνに対して指数関数的、すなわち図2において直線的に変化する領域B(「指数関数裾」または「アーバックテイル」)と、吸収係数αが光子エネルギーhνに対してより緩やかな依存性を示す領域Aである。
上記の領域Bは、a−Si中の価電子帯側のテイル準位から伝導帯への光学遷移による光吸収に対応し、領域Bの吸収係数αの光子エネルギーhνに対する指数関数的依存性は次式で表される。
α=α。exp(hν/Eu)
この両辺の対数をとると
lnα=(1/Eu)・hν+α1
ただし、α1=lnα。(定数)
となり、特性エネルギーEuの逆数(1/Eu)が、領域Bの傾きを表すことになる。Euは、価電子帯側のテイル準位の指数関数的エネルギー分布の特性エネルギーに相当するため、Euが小さければ価電子帯側のテイル準位が少なく、キャリアの局在準位への捕獲率が小さいことを意味する。
次に、本発明における感度の温度特性および感度の直線性について図3を用いて説明する。
図3は、室温(ドラムヒーターOFF)と約45℃(ドラムヒーターON)において、それぞれ感光体の暗電位として400Vの表面電位に帯電し、次に露光光源として680nmのLED光を照射して露光量を変えた時の表面電位(明電位)の変化、いわゆるE−V特性(E−V曲線)の一例である。なお、露光量は、表面電位が下限となる露光量を1としたときの相対値で示した。
感度の温度特性は、暗電位と明電位の差が200V(Δ200)となるときの露光量(半減露光量)の室温での値と約45℃での値との差である。
また、感度の直線性は、暗電位と明電位の差が350V(Δ350)となるときの露光量(実測値)と、露光なしの点(暗状態)と半減露光量を照射した状態の点とを結ぶ直線を外挿してΔ350となるときの露光量(計算値)との差である。
感度の温度特性および感度の直線性のいずれもその値が小さいほど感光体として良好な特性を示す。
本発明者らは、光学的バンドギャップ(以下「Eg」という。)及び上記指数関数裾の特性エネルギー(以下「Eu」という。)と感光体特性との相関を種々の条件において調べた結果、Eg及びEuと、a−Si感光体の帯電能、温度特性および光メモリーとが密接な関係にあることを見い出した。さらに、入射光の吸収領域と、伝導性制御物質である周期律表第IIIb族元素の含有量・分布について詳細に調べた結果、周期律表第IIIb族元素の含有量・分布を制御し、光入射側領域の周期律表第IIIb族元素の含有量を他の領域より少ない分布状態にすることにより、良好な感光体特性を発揮することを見い出し、本発明を完成するに至った。
特に長波長レーザーに最適化するために、伝導性制御物質の含有量・分布による光入射部の正孔と電子の走行性のバランス、及びEg・Euとレーザー光源を用いたときの感光体特性を詳細に検討した結果、伝導性制御物質の含有量・分布およびEg・Euと感度の温度特性および感度の直線性とが密接な関係にあることを見い出し、光入射部のEg・Eu及び水素含有量を特定の範囲内に制御すると共に、光入射部の吸収深さにより周期律表第IIIb族元素のシリコン原子に対する流量比を制御し、光入射側領域を周期律表第IIIb族元素の少ない分布状態にすることによって、デジタル化に適した感光体特性が発揮されることを見い出し本発明を完成するに至った。
すなわち、水素原子含有量、光学的バンドギャップ、キャリアの局在準位への捕獲率を規定した光導電層の形成において、光入射部の吸収深さにより周期律表第IIIb族元素のシリコン原子に対する流量比を制御して、光入射側領域を周期律表第IIIb族元素の少ない分布状態にすることによって、感度の温度特性および感度の直線性を大幅に改善し、さらに帯電能を向上させ、光メモリーを実質的になくすことができることが本発明者の実験により明らかになった。
以下、これらをさらに詳しく説明する。一般的に、水素原子を含有するa−Si(以下「a−Si:H」と略記する。)のバンドギャップ内には、Si−Si結合の構造的な乱れに基づくテイル(裾)準位と、Siの未結合手(ダングリングボンド)等の構造欠陥に起因する深い準位が存在する。これらの準位は電子や正孔の捕獲、再結合中心として働き、素子の特性を低下させる原因になることが知られている。
このようなバンドギャップ内の局在準位の状態を測定する方法として、一般に深準位分光法、等温容量過渡分光法、光熱偏向分光法、光音響分光法、一定光電流法等が用いられている。中でも一定光電流法(Constant Photocurrent Method、以下「CPM」と略記する。)は、a−Si:Hの局在準位に基づくサブバンドギャップ光吸収スペクトルを簡便に測定する方法として有用である。
ドラムヒーター等で感光体を加熱したときに帯電能が低下する原因(帯電能の温度依存性)として次のようなことが挙げられる。熱励起されたキャリアが、帯電時の電界に引かれて、バンド裾の局在準位やバンドギャップ内の深い局在準位への捕獲・放出を繰り返しながら表面に走行することによって、表面電荷を打ち消してしまう。この時、帯電器を通過する間(帯電中)に表面に到達したキャリアについては帯電能の低下にはほとんど影響がないが、深い準位に捕獲されたキャリアは、帯電器を通過した後(帯電後)に表面へ到達して表面電荷を打ち消すため、温度特性(帯電能の低下)として観測される。また、帯電器を通過した後に熱励起されたキャリアも表面電荷を打ち消し、帯電能の低下を引き起こす。したがって、光学的バンドギャップを大きくすることによって熱励起キャリアの生成を抑え、なおかつ深い局在準位を少なくすることによりキャリアの走行性を向上させてバランスをとることが温度特性の向上のために必要である。
光メモリーは、ブランク露光や像露光により生じた光キャリアがバンドギャップ内の局在準位に捕獲され、光導電層内にキャリアが残留することによって生じる。すなわち、ある複写行程において生じた光キャリアのうち光導電層内に残留したキャリアが、次回の帯電時あるいはそれ以降に表面電荷による電界によって掃き出され、光の照射された部分の電位が他の部分よりも低くなり、その結果、画像上に濃淡が生じる。したがって、光キャリアが光導電層内に極力残留することなく、1回の複写行程で走行するように、キャリアの走行性を改善しなければならない。
また、感度の温度特性は、光導電層の正孔と電子では電子の方が正孔よりも走行性が速くその走行性の違いが大きい上に、走行性が温度によって変化するために生じる。光入射部内では正孔と電子が対で生成され、正帯電ドラムでは正孔は支持体側へ電子は表面層側へ走行するが、その移動中に光入射部で正孔と電子が混在すると、支持体や表面に達するまでに再結合をしてしまう割合が多くなる。その再結合の割合が再捕獲中心からの熱励起により変化するために、露光量すなわち光生成キャリアの数と表面電位を打ち消すキャリア数が温度によって変化することになり、その結果、感度が温度によって変わることになる。したがって、光入射部での再結合の割合を少なくする、すなわち再捕獲中心となる深い準位を少なくすることと、正孔と電子の混在領域が小さくなるように、長波長光の光吸収率を大きくし且つキャリアの走行性も改善してバランスを取らなければならない。
感度の直線性は、長波長レーザーの露光量が多くなるにしたがって、相対的に表面から深い場所での光生成キャリアが増加し、走行距離が長いキャリア(電子)が増加することに起因する。したがって、光入射部の光吸収率を高めると共に、伝導性を制御する物質の含有量と分布を変えて、光入射部の電子の走行性と正孔の走行性を改善してバランスを取らければならない。
すなわち、水素含有量を少なくしてEgを狭くすると、熱励起キャリアの生成はEgを拡大したものよりも比較的多くなるが、長波長光の吸収が大きくなり光入射部を小さくできるために、正孔電子混在領域が縮小できる。さらにEuを低減することで、熱励起キャリアや光キャリアが局在準位に捕獲される割合が小さくなりキャリアの走行性が飛躍的に改善される。これに対し、水素含有量を多くしてEgを拡大すると、長波長光の吸収はEgを狭くしたものよりも小さいので光入射部はEgを狭くしたものより大きくなり正孔電子混在領域が比較的広くなるが、Egの拡大により熱励起キャリアの生成が抑えられ、なおかつEuを低減することによって熱励起キャリアや光キャリア局在準位に捕獲される割合を小さくすることができるため、キャリアの走行性が飛躍的に改善される。さらに、伝導性制御物質の含有量と分布を制御することにより、上記効果が助長され、光導電層全体の正孔と電子の走行性のバランスが改善される。
したがって、上述のように水素含有量、Eg及びEuをバランスを取りつつ制御し、光入射部の吸収深さにより周期律表第IIIb族元素のシリコン原子に対する含有量を制御し、光入射側領域を周期律表第IIIb族元素の少ない分布状態にすることによって、熱励起キャリアや光キャリアが局在準位に捕獲される割合が小さくなり、電子と正孔の走行性が飛躍的に改善される。
つまり、本発明は上記構成によって、レーザー光を用いたときの感度の温度特性、感度の直線性および帯電能の向上と、温度特性の改善および光メモリーの低減とを高い次元で両立させ、前記の従来技術における諸問題を解決することができ、極めて優れた電気的・光学的・光導電的特性、画像品質、耐久性および使用環境性を示す光受容部材を得ることができる。
本発明によれば、電子写真用光受容部材を前述の特定の構成としたことによって、a−Siで構成された従来の電子写真用光受容部材における諸問題を解決することができ、極めて優れた電気的・光学的・光導電的特性、使用環境特性、画像特性、及び耐久性を得ることができる。
特に、感度の温度特性および感度の直線性、ならびに帯電能の温度特性が飛躍的に改善されるとともに、残留電位がほとんど観測されず、光メモリーの発生を実質的になくすことができる。そのため、光受容部材の温度等の使用環境に対する安定性が向上し、ハーフトーンが鮮明で且つ解像度の高い高品質の画像を安定して得ることができる。
また、特に、デジタル化のために半導体レーザーやLEDを露光光源に用いる場合において、光導電層の光電変換に関わる光入射部について、光を一定量吸収する領域とその他の領域との役割を考慮しながら、水素または/及びハロゲン含有量、光学的バンドギャップ、及び光吸収スペクトルの指数関数裾から得られる特性エネルギーの分布と、伝導性を制御する物質である周期律表第IIIb族に属する元素の分布とを関連させながら制御することによって、感度の温度特性および感度の直線性が優れ、さらに帯電能が高く、且つ周囲環境の変動に対する表面電位の変化が抑制(特に帯電能の温度特性が改善)された、極めて優れた電位特性および画像特性を有する光受容部材を得ることができる。
以下、図面を用いて本発明の電子写真用光受容部材について詳細に説明する。
図1は、本発明の電子写真用光受容部材の層構成の模式的説明図である。図1(a)に示す電子写真用光受容部材は、支持体(101)上に光受容層(102)が設けられている。この光受容層は、水素原子または/及びハロゲン原子を含有するアモルファスシリコン(以下「a−Si:H,X」という。)からなる光導電性を有する光導電層(103)で構成されている。
図1(b)は、本発明の他の電子写真用光受容部材の層構成の模式的説明図である。図1(b)に示す電子写真用光受容部材は、支持体(101)上に光受容層(102)が設けられている。この光受容層はa−Si:H,Xからなる光導電性を有する光導電層(103)と、アモルファスシリコン系表面層(104)とから構成されている。
図1(c)は、本発明の他の電子写真用光受容部材の層構成の模式的説明図である。図1(c)に示す電子写真用光受容部材は、支持体(101)上に光受容層(102)が設けられている。この光受容層はa−Si:H,Xからなる光導電性を有する光導電層(103)と、アモルファスシリコン系表面層(104)と、アモルファスシリコン系電荷注入阻止層(105)とから構成されている。
支持体
本発明において使用される支持体としては、導電性支持体、又は電気絶縁性部材の少なくとも光受容層を形成する側の表面を導電処理した支持体を用いることができる。導電性支持体としては、Al、Cr、Mo、Au、In、Nb、Te、V、Ti、Pt、Pd、Fe等の金属、及びこれらの合金、例えばステンレス等が挙げられる。また、導電処理した支持体の電気絶縁性部材としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド等の合成樹脂のフィルム又はシート、ガラス、セラミック等が挙げられる。
本発明において使用される支持体の形状は、平滑表面あるいは凹凸表面を有する円筒状または無端ベルト状などにすることができる。その厚さは、所望通りの光受容部材を形成し得るように適宜決定するが、光受容部材としての可撓性が要求される場合には、支持体としての機能が充分発揮できる範囲内で可能な限り薄くすることが好ましい。しかしながら、支持体は製造上および取り扱い上、機械的強度等の点から通常は10μm以上とすることが望ましい。
特にレーザー光などの可干渉性光を用いて像記録を行う場合には、可視画像において現われる、いわゆる干渉縞模様による画像不良をより効果的に解消するために、支持体の表面に凹凸を設けてもよい。このような凹凸は、特開昭60−168156号公報、同60−178457号公報、同60−225854号公報等に記載された公知の方法により形成される。
また、レーザー光(例えば788nm)などの可干渉光を用いた場合の干渉縞模様による画像不良をより効果的に解消する別の方法として、支持体の表面に複数の球状痕跡窪みによる凹凸を設けてもよい。この凹凸は、光受容部材に要求される解像力よりも微少であって複数の球状痕跡窪みによるものである。このような支持体の表面に設けられる複数の球状痕跡窪みによる凹凸は、特開昭61−231561号公報に記載された公知の方法により形成される。
光導電層
本発明における光導電層は、その目的を効果的に達成するために、真空堆積膜形成方法によって所望の特性が得られるように適宜成膜パラメーターの数値条件を設定し、また使用する原料ガスなどを適宜選択して形成する。具体的には、例えばグロー放電法(低周波CVD法・高周波CVD法・マイクロ波CVD法等の交流放電CVD法、あるいは直流放電CVD法など)、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、光CVD法、熱CVD法などの数々の薄膜堆積法によって形成することができる。これらの薄膜堆積法は、製造条件、設備資本投資下の負荷程度、製造規模、作製される光受容部材に所望される特性等の要因によって適宜選択採用されるが、所望の特性を有する光受容部材を製造するための条件の制御が比較的容易であることから、高周波グロー放電法が好適である。
グロー放電法によって光導電層を形成するには、基本的にはシリコン原子(Si)を供給し得るSi供給用の原料ガスと、水素原子(H)を供給し得るH供給用の原料ガス又は/及びハロゲン原子(X)を供給し得るX供給用の原料ガスを、内部を減圧にし得る反応容器内に所望のガス状態で導入して、該反応容器内にグロー放電を生起させ、あらかじめ所定の位置に設置した所定の支持体上にa−Si:H,Xからなる層を形成する。
また、本発明における光導電層中には、水素原子または/及びハロゲン原子が含有されることが必要であるが、これはシリコン原子の未結合手を補償し、層品質の向上、特に光導電性および電荷保持特性を向上させるために必須不可欠であるからである。
水素原子もしくはハロゲン原子の含有量または水素原子とハロゲン原子との合計量(Ch)は、第1の発明に関する光受容部材については、シリコン原子と水素原子または/及びハロゲン原子との合計量に対して10〜30原子%、第2の発明に関する光受容部材については10〜20原子%、第3の発明に関する光受容部材については25〜35原子%の範囲内にあることが望ましい。第8の発明に関する光受容部材については、その光導電層の第1の層領域のChが20〜30原子%、第2の層領域のChが10〜25原子%であることが望ましい。第9の発明に関する光受容部材については、その光導電層の第1の層領域のChが25〜40原子%、第2の層領域のChが10〜25原子%であることが望ましい。
本発明において使用されるSi供給用ガスとなり得る物質としては、SiH4、Si26、Si38、Si410等のガス状態の又はガス化し得る水素化珪素(シラン類)が有効に使用されるものとして挙げられ、さらに層形成時の取り扱い易さやSi供給効率の良さ等の点でSiH4、Si26が好ましいものとして挙げられる。また、各ガスは単独種のみでなく所定の混合比で複数種混合しても差し支えない。
そして、形成される光導電層中に水素原子を構造的に導入し、水素原子の導入割合の制御をいっそう容易にして、本発明の目的を達成する膜特性を得るために、上記のガスにさらにH2ガス、H2とHeの混合ガス、あるいは水素原子を含む珪素化合物のガス等を所望量混合して層形成することが望ましい。
本発明において使用されるハロゲン原子供給用の原料ガスとして有効なものは、例えば、ハロゲンガス、ハロゲン化物、ハロゲンを含むハロゲン間化合物、ハロゲンで置換されたシラン誘導体等のガス状の又はガス化し得るハロゲン化合物が好ましくものとして挙げられる。また、さらにはシリコン原子とハロゲン原子とを構成要素とするガス状の又はガス化し得る、ハロゲン原子を含む水素化珪素化合物も有効なものとして挙げることができる。本発明において好適に使用し得るハロゲン化合物としては、具体的には弗素ガス(F2)、BrF、ClF、ClF3、BrF3、BrF5、IF3、IF7等のハロゲン間化合物を挙げることができる。ハロゲン原子を含む珪素化合物、いわゆるハロゲン原子で置換されたシラン誘導体としては、具体的には、例えばSiF4、Si26等の弗化珪素が好ましいものとして挙げることができる。
光導電層中に含有される水素原子または/及びハロゲン原子の量を制御するには、例えば支持体の温度、水素原子または/及びハロゲン原子を含有させるために使用される原料物質の反応容器内へ導入する量、放電電力等を制御すればよい。
本発明における光導電層には、伝導性を制御する原子を含有させることが必要である。これは、光導電層のEgやEuといった物性から得られるキャリアの走行性を調整し或いは補償して走行性を高次でバランスさせることにより、帯電能や光メモリー特性を向上させるために必須不可欠であるからである。伝導性を制御する原子としては、半導体分野における、いわゆる不純物を挙げることができ、p型伝導特性を与える周期律表第IIIb族の原子(以下「第IIIb族原子」という。)を用いることができる。
第1〜第3の発明に関する光受容部材については、この第IIIb族原子の含有量は、光導電層の光が入射する側であって光を一定量吸収する第2の層領域における第IIIb族原子含有量がその他の第1の層領域よりも少ないこと、該第2の層領域の第IIIb族原子の含有量がシリコン原子に対して0.03〜5ppmであること、第1の層領域の第IIIb族原子の含有量がシリコン原子に対して0.2〜25ppmであること、第2の層領域の第IIIb族原子の含有量に対する、第1の層領域の第IIIb族原子の含有量の比が1.2〜200であることが望ましい。ここで、第2の層領域の光の吸収量は、像露光のピーク波長光を50〜90%吸収することが好ましい。
第8の発明に関する光受容部材における第IIIb族原子の含有量は、第1の層領域の第IIIb族原子の含有量がシリコン原子に対して0.2〜30ppm、第2の層領域の第IIIb族原子の含有量がシリコン原子に対して0.01〜10ppmであることが望ましい。
第9の発明に関する光受容部材における第IIIb族原子の含有量は、第1の層領域の第IIIb族原子の含有量がシリコン原子に対して0.2〜25ppm、第2の層領域の第IIIb族原子の含有量がシリコン原子に対して0.01〜10ppmであることが望ましい。
また、第8及び第9の発明に関する光受容部材については、正孔電子対が生成し走行する部分である第2の層領域における、像露光のピーク波長光を70%以上吸収するに要する表面側からの層領域の第IIIb族元素の含有量が、第1の層領域より少ないこと、さらには、正孔と電子の走行性を高次でバランスさせるために、上記像露光のピーク波長光を70%以上吸収するに要する表面側からの層領域の第IIIb族元素の含有量が、シリコン原子に対して0.01〜5ppmであることが望ましい。
第IIIb族原子としては、具体的には、硼素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)等があり、特にB、Al、Gaが好適である。
伝導性を制御する原子である第IIIb族原子を構造的に導入するには、層形成の際に、第IIIb族原子導入用の原料物質をガス状態で反応容器中に、光導電層を形成するための他のガスとともに導入してやればよい。
このとき、光導電層における第IIIb族元素の含有量は、支持体側から表面側へ向かって減少させることが好ましい。
生成する光キャリヤのうち、支持体方向に走行するのは正孔(ホール)である。その走行性は電子の走行性に比べると劣るが、この正孔を走行させないと、ゴーストメモリレベルの低下や残留電位が高くなる等の問題が生じる。そこで、この正孔の走行性を改善し、電子との走行性のバランスを取るために、第IIIb族元素を含有させる。しかし、第IIIb族元素を含有させていくと、膜中の準位の増加により帯電能の低下という影響もでてくる。この二つの問題をバランス良く効果的に解決するために、第IIIb族元素の含有量に勾配を持たせる。
第IIIb族原子導入用の原料物質となり得るものとしては、常温常圧でガス状の、又は少なくとも層形成条件下で容易にガス化し得るものが望ましい。そのような第IIIb族原子導入用の原料物質としては、硼素原子導入用としてB26、B410、B59、B511、B610、B612、B614等の水素化硼素、BF3、BCl3、BBr3等のハロゲン化硼素等が挙げられる。この他、AlCl3、GaCl3、Ga(CH33、InCl3、TlCl3等も挙げることができる。中でもB26は、取り扱いの面からも好ましい原料物質である。また、これらの伝導性を制御する原子導入用の原料物質を必要に応じてH2又は/及びHeにより希釈して使用してもよい。
さらに本発明においては、光導電層に炭素原子および/又は酸素原子および/又は窒素原子を含有させることも有効である。炭素原子および/又は酸素原子および/又は窒素原子の含有量は、シリコン原子、炭素原子、酸素原子および窒素原子の合計量に対して1×10-5〜10原子%が好ましく、1×10-4〜8原子%がより好ましく、1×10-3〜5原子%が最適である。炭素原子および/又は酸素原子および/又は窒素原子は、光導電層中に万遍なく均一に含有されてもよいし、光導電層の層厚方向に含有量が変化するような不均一な分布を有する部分があってもよい。
本発明において、光導電層の層厚は、所望の電子写真特性が得られること及び経済的効果等の点から適宜所望にしたがって決定され、好ましくは20〜50μm、より好ましくは23〜45μm、最適には25〜40μmの範囲である。層厚が20μmより薄くなると帯電能や感度等の電子写真特性が実用上不充分となり、50μmより厚くなると光導電層の作製時間が長くなって製造コストが高くなる。
また、第8及び第9の発明に関する光受容部材については、光導電層全体(第1の層領域および第2の層領域)に対する第2の層領域の厚さの比は、0.05〜0.5であることが望ましい。その比が0.03より小さいと、第2の層領域を表面層側に位置させたときに前露光や像露光を十分に吸収することができず、感度の温度特性の低減や感度の直線性の改善の効果を十分に発揮することができない。また、0.05を超えると帯電能の向上や温度特性に対する効果が十分に発揮されない。
本発明の目的を達成し、所望の膜特性を有する光導電層を形成するには、Si供給用のガスと希釈ガスとの混合比、反応容器内のガス圧、放電電力ならびに支持体温度を適宜設定することが必要である。
希釈ガスとして使用するH2又は/及びHeの流量は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選択される。第1〜第3の発明に関する光受容部材については、Si供給用ガスに対するH2又は/及びHeの流量を、通常の場合3〜30倍、好ましくは4〜25倍、最適には5〜20倍の範囲に制御する。また、その範囲内で一定の値になるように制御することが好ましい。第8の発明に関する光受容部材については、第1の層領域における、Si供給用ガスに対するH2又は/及びHeの流量を、通常の場合4〜20倍、好ましくは5〜15倍、最適には6〜10倍の範囲に制御することが望ましく、第9の発明に関する光受容部材については、第1の層領域における、Si供給用ガスに対するH2又は/及びHeの流量を、通常の場合2〜15倍、好ましくは3〜12倍、最適には4〜8倍の範囲に制御することが望ましい。そして第2の層領域においては、第8及び第9の発明に関する光受容部材のいずれについても、Si供給用ガスに対するH2又は/及びHeの流量を、通常の場合0.5〜10倍、好ましくは1〜8倍、最適には2〜6倍の範囲に制御することが望ましい。
反応容器内のガス圧も同様に層設計にしたがって適宜最適範囲が選択され、通常の場合1×10-2〜2×103Pa、好ましくは5×10-2〜5×102Pa、最適には1×10-1〜2×102Paの範囲に制御する。
放電電力もまた同様に層設計にしたがって適宜最適範囲が選択され、Si供給用のガス流量に対する放電電力の比(W/sccm)を、好ましくは0.3〜10、より好ましくは0.5〜9、最適には1〜6の範囲に制御する。そして、第1の層領域のSi供給用ガスの流量に対する放電電力の比を第2の層領域のそれに比べて大きくし、いわゆるフローリミット領域で作製することが好ましい。
支持体の温度は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選択され、好ましくは200〜350℃、より好ましくは230〜330℃、最適には250〜300℃に設定する。
以上のガス混合比、反応容器内のガス圧、放電電力および支持体温度の望ましい数値範囲は、独立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を有する光受容部材を形成すべく、相互的かつ有機的関連性に基づいて最適値を決めることが望ましい。
表面層
本発明においては、上述のようにして支持体上に形成された光導電層の上に、さらにa−Si系の表面層を形成することが好ましい。この表面層は自由表面(110)を有し、主に耐湿性、連続繰り返し使用特性、電気的耐圧性、使用環境特性、耐久性等において本発明の目的を達成するために設けられる。
また本発明においては、光導電層と表面層を形成するそれぞれの非晶質材料がシリコン原子という共通の構成要素を有しているため、積層界面において化学的な安定性が十分に確保されている。
表面層は、a−Siであればいずれの材質でも使用可能であるが、例えば、水素原子(H)又は/及びハロゲン原子(X)を含有し、さらに炭素原子(C)を含有するアモルファスシリコン(以下「a−SiC:H,X」と表記する。)、水素原子(H)又は/及びハロゲン原子(X)を含有し、さらに酸素原子(O)を含有するアモルファスシリコン(以下「a−SiO:H,X」と表記する。)、水素原子(H)又は/及びハロゲン原子(X)を含有し、さらに窒素原子(N)を含有するアモルファスシリコン(以下「a−SiN:H,X」と表記する。)、水素原子(H)又は/及びハロゲン原子(X)を含有し、さらに炭素原子・酸素原子・窒素原子の少なくとも一つを含有するアモルファスシリコン(以下「a−SiCON:H,X」と表記する。)等の材料が好適に用いられる。
本発明においてその目的を効果的に達成するために、表面層は、真空堆積膜形成方法によって、所望の特性が得られるように適宜成膜パラメーターの数値条件が設定されて形成される。具体的には、例えばグロー放電法(低周波CVD法・高周波CVD法・マイクロ波CVD法等の交流放電CVD法、あるいは直流放電CVD法等)、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、光CVD法、熱CVD法などの数々の薄膜堆積法によって形成することができる。これらの薄膜堆積法は、製造条件、設備資本投資下の負荷程度、製造規模、作製される光受容部材に所望される特性等の要因によって適宜選択採用されるが、光受容部材の生産性から光導電層と同様な堆積法によることが好ましい。
例えば、グロー放電法によってa−SiC:H,Xからなる表面層を形成するには、基本的にはシリコン原子(Si)を供給し得るSi供給用の原料ガスと、炭素原子(C)を供給し得るC供給用の原料ガスと、水素原子(H)を供給し得るH供給用の原料ガス又は/及びハロゲン原子(X)を供給し得るX供給用の原料ガスとを、内部を減圧にし得る反応容器内に所望のガス状態で導入して、該反応容器内にグロー放電を生起させ、あらかじめ所定の位置に設置した光導電層を形成した支持体上にa−SiC:H,Xからなる層を形成する。
本発明における表面層の材質としては、アモルファスシリコン材料ならば何れでもよいが、炭素・窒素・酸素から選ばれた元素を少なくとも1つ含むアモルファスシリコン材料が好ましく、特にa−SiC:H,Xが好ましい。
表面層をa−SiCを主成分として構成する場合の炭素量は、シリコン原子と炭素原子の合計量に対して30〜90%の範囲が好ましい。
また本発明においては、表面層中に水素原子または/及びハロゲン原子が含有されることが必要であるが、これはシリコン原子などの構成原子の未結合手を補償し、層品質の向上、特に光導電性特性および電荷保持特性を向上させるために必須不可欠である。水素含有量は、構成原子の総量に対して通常の場合30〜70原子%、好ましくは35〜65原子%、より好ましくは40〜60原子%である。また、フッ素等のハロゲン原子の含有量は、通常の場合は0.01〜15原子%、好ましくは0.1〜10原子%、より好ましくは0.6〜4原子%である。
これらの水素または/及びハロゲン含有量の範囲内で形成される光受容部材は、実際面において、従来にない格段に優れたものとして十分適用できるものである。
表面層内に存在する欠陥(主にシリコン原子や炭素原子のダングリングボンド)は電子写真用光受容部材としての特性に悪影響を及ぼすことが知られている。例えば、自由表面からの電荷の注入による帯電特性の劣化、使用環境、例えば高い湿度の下で表面構造が変化することによる帯電特性の変動、コロナ帯電時や光照射時に光導電層から表面層に電荷が注入され前記表面層内の欠陥に電荷がトラップされることによる、繰り返し使用時の残像現象の発生などがこの悪影響として挙げられる。しかしながら表面層内の水素含有量を30原子%以上に制御することで表面層内の欠陥が大幅に減少し、その結果、従来に比べて電気的特性および高速連続使用性において飛躍的な向上を図ることができる。一方、前記表面層中の水素含有量が70原子%を超えると表面層の硬度が低下するために、繰り返し使用に耐えられなくなる場合がある。したがって、表面層中の水素含有量を前記の範囲内に制御することは、格段に優れた所望の電子写真特性を得る上で非常に重要である。表面層中の水素含有量は、原料ガスの流量(比)、支持体温度、放電パワー、ガス圧等によって制御することができる。
また、表面層中のハロゲン原子含有量を0.01原子%以上に制御することによって、表面層内のシリコン原子と炭素原子の結合の発生をより効果的に達成することが可能となる。さらに、表面層中のハロゲン原子の働きとして、コロナ等のダメージによるシリコン原子と炭素原子の結合の切断を効果的に防止することができる。しかし、表面層中のハロゲン原子含有量が15原子%を超えると、表面層内のシリコン原子と炭素原子の結合の発生の効果、及びコロナ等のダメージによるシリコン原子と炭素原子の結合の切断を防止する効果がほとんど認められなくなる。さらに、過剰のハロゲン原子が表面層中のキャリアの走行性を阻害するため、残留電位や画像メモリーが顕著に認められてくる。したがって、表面層中のハロゲン含有量を前記範囲内に制御することが所望の電子写真特性を得る上で重要である。表面層中のハロゲン原子含有量は、水素含有量と同様に原料ガスの流量(比)、支持体温度、放電パワー、ガス圧等によって制御することができる。
本発明の表面層の形成において使用されるSi供給用ガスとなり得る物質としては、SiH4、Si26、Si38、Si410等のガス状態の又はガス化し得る水素化珪素(シラン類)が有効に使用されるものとして挙げられ、さらに層形成時の取り扱い易さ、Si供給効率の良さ等の点でSiH4、Si26が好ましいものとして挙げられる。また、これらのSi供給用の原料ガスを必要に応じてH2、He、Ar、Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
炭素供給用ガスとなり得る物質としては、CH4、C22、C26、C38、C410等のガス状態の又はガス化し得る炭化水素が有効に使用されるものとして挙げられ、さらに層形成時の取り扱い易さ、Si供給効率の良さ等の点でCH4、C22、C26が好ましいものとして挙げられる。また、これらの炭素供給用の原料ガスを必要に応じてH2、He、Ar、Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
窒素または酸素供給用ガスとなり得る物質としては、NH3、NO、N2O、NO2、O2、CO、CO2、N2等のガス状態の又はガス化し得る化合物が有効に使用されるものとして挙げられる。また、これらの窒素または酸素供給用の原料ガスを必要に応じてH2、He、Ar、Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
また、表面層中に導入される水素原子の導入割合の制御をいっそう容易するために、これらのガスにさらに水素ガス、又は水素原子を含む珪素化合物のガスを所望量混合して層形成することが好ましい。なお、各ガスは単独種のみでなく所定の混合比で複数種混合しても差し支えない。
ハロゲン原子供給用の原料ガスとして有効なものは、たとえばハロゲンガス、ハロゲン化物、ハロゲンを含むハロゲン間化合物、ハロゲンで置換されたシラン誘導体等のガス状の又はガス化し得るハロゲン化合物が挙げられる。また、さらにはシリコン原子とハロゲン原子とを構成要素とするガス状の又はガス化し得る、ハロゲン原子を含む水素化珪素化合物も有効なものとして挙げることができる。本発明において好適に使用し得るハロゲン化合物としては、具体的には弗素ガス(F2)、BrF、ClF、ClF3、BrF3、BrF5、IF3、IF7等のハロゲン間化合物を挙げることができる。ハロゲン原子を含む珪素化合物、いわゆるハロゲン原子で置換されたシラン誘導体としては、例えばSiF4、Si26等の弗化珪素を好ましいものとして挙げることができる。
表面層中に含有される水素原子または/及びハロゲン原子の量を制御するには、例えば支持体の温度、水素原子または/及びハロゲン原子を含有させるために使用される原料物質の反応容器内へ導入する量、放電電力等を制御すればよい。
炭素原子または/及び酸素原子または/及び窒素原子は、表面層中に万遍なく均一に含有されてもよいし、表面層の層厚方向に含有量が変化するような不均一な分布を有した部分があってもよい。
さらに本発明においては、表面層には必要に応じて伝導性を制御する原子を含有させることが好ましい。伝導性を制御する原子は、表面層中に万遍なく均一に分布した状態で含有されてもよいし、あるいは層厚方向には不均一な分布状態で含有されている部分があってもよい。
伝導性を制御する原子としては、半導体分野における、いわゆる不純物を挙げることができ、p型伝導特性を与える周期律表第IIIb族原子またはn型伝導特性を与える周期律表第Vb族原子を用いることができる。
第IIIb族原子としては、具体的には、硼素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)等があり、特にB、Al、Gaが好適である。第Vb族原子としては、具体的には燐(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)等があり、特にP、Asが好適である。
表面層に含有される伝導性を制御する原子の含有量は、好ましくは1×10-3〜1×103原子ppm、より好ましくは1×10-2〜5×102原子ppm、最適には1×10-1〜1×102原子ppmの範囲である。
伝導性を制御する原子、例えば第IIIb族原子あるいは第Vb族原子を構造的に導入するには、層形成の際に、第IIIb族原子導入用の原料物質あるいは第Vb族原子導入用の原料物質をガス状態で反応容器中に、表面層を形成するための他のガスとともに導入してやればよい。
第IIIb族原子導入用の原料物質あるいは第Vb族原子導入用の原料物質となり得るものとしては、常温常圧でガス状の、又は少なくとも層形成条件下で容易にガス化し得るものが望ましい。そのような第IIIb族原子導入用の原料物質としては、硼素原子導入用としてB26、B410、B59、B511、B610、B612、B614等の水素化硼素、BF3、BCl3、BBr3等のハロゲン化硼素等が挙げられる。この他、AlCl3、GaCl3、Ga(CH33、InCl3、TlCl3等も挙げることができる。第Vb族原子導入用の原料物質としては、燐原子導入用としてPH3、P24等の水素化燐、PH4I、PF3、PF5、PCl3、PCl5、PBr3、PBr5、PI3等のハロゲン化燐などが挙げられる。この他、AsH3、AsF3、AsCl3、AsBr3、AsF5、SbH3、SbF3、SbF5、SbCl3、SbCl5、BiH3、BiCl3、BiBr3等も第Vb族原子導入用の出発物質の有効なものとして挙げることができる。また、これらの伝導性を制御する原子導入用の原料物質を必要に応じてH2、He、Ar、Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
本発明における表面層の層厚は、通常0.01〜3μm、好ましくは0.05〜2μm、より好ましくは0.1〜1μmである。層厚が0.01μmよりも薄いと光受容部材を使用中に摩耗等の理由により表面層が失われてしまい、3μmを超えると残留電位の増加等の電子写真特性の低下がみられる。
本発明における表面層は、その要求される特性が所望通りに得られるように注意深く形成する。すなわち、Siと、C・N・Oの少なくとも一つの元素と、H又は/及びXとを構成要素とする物質は、その形成条件によって構造的には結晶からアモルファスまでの形態(総称して「非単結晶」という。)を取り、電気物性的には導電性から半導体性、絶縁性までの間の性質を有し、また光導電的性質から非光導電的性質までの間の性質を各々示すので、本発明においては、目的に応じた所望の特性を有する化合物が形成されるように所望にしたがってその形成条件の選択が厳密になされる。
例えば、表面層を耐圧性の向上を主な目的として設ける場合には、使用環境において電気絶縁性的挙動の顕著な非単結晶材料として形成される。また、連続繰り返し使用特性や使用環境特性の向上を主たる目的として表面層を設ける場合には、上記の電気絶縁性の度合はある程度緩和され、照射される光に対してある程度の感度を有する非単結晶材料として形成される。
本発明の目的を達成し得る特性を有する表面層を形成するには、支持体の温度、反応容器内のガス圧を所望にしたがって適宜設定する必要がある。支持体の温度(Ts)は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好ましくは200〜350℃、より好ましくは230〜330℃、最適には250〜300℃とする。反応容器内のガス圧も同様に層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好ましくは1×10-2〜2×103Pa、より好ましくは5×10-2〜5×102、最適には1×10-1〜2×102Paとする。本発明においては、表面層を形成するための支持体温度やガス圧の望ましい数値範囲は上記範囲が挙げられるが、これらの条件は通常は独立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を有する光受容部材を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて最適値を決めるのが望ましい。
さらに、本発明においては、光導電層と表面層との間に、炭素原子・酸素原子・窒素原子の含有量を表面層より減らしたブロッキング層(下部表面層)を設けることも帯電能等の特性をさらに向上させるためには有効である。
また、表面層と光導電層との間に、炭素原子・酸素原子・窒素原子の含有量が光導電層に向かって減少するように変化する領域を設けてもよい。これにより、表面層と光導電層の密着性を向上させ、光キャリアの表面への移動がスムーズになるとともに、光導電層と表面層との界面での光の反射による干渉の影響をより少なくすることができる。
電荷注入阻止層
本発明の光受容部材においては、導電性支持体と光導電層との間に、導電性支持体側からの電荷の注入を阻止する働きのある電荷注入阻止層を設けるのがいっそう効果的である。すなわち、電荷注入阻止層は、光受容層が一定極性の帯電処理をその自由表面に受けた際、支持体側から光導電層側に電荷が注入されるのを阻止する機能を有し、逆の極性の帯電処理を受けた際にはそのような機能は発揮されない、いわゆる極性依存性を有している。
このような機能を付与するためには、電荷注入阻止層に伝導性を制御する原子を光導電層より比較的多く含有させる。伝導性を制御する原子は、層中に万偏なく均一に分布されてもよいし、あるいは層厚方向には万偏なく含有されてはいるが不均一に分布する状態で含有されている部分があってもよい。濃度分布が不均一な場合には、支持体側に多く分布するように含有させるのが好ましい。但し、いずれの場合も、支持体の表面と平行面内の方向においては、均一な分布で万偏なく含有されることが面内方向における特性の均一化を図る点からも必要である。
電荷注入阻止層に含有される伝導性を制御する原子としては、半導体分野における、いわゆる不純物を挙げることができ、第IIIb族原子または第Vb族原子を用いることができる。
第IIIb族原子としては、具体的には、硼素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)等があり、特にB、Al、Gaが好適である。第Vb族原子としては、具体的には燐(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)等があり、特にP、Asが好適である。これらの原子を導入するための原料物質は、前記表面層の形成に使用するものと同様である。
本発明における電荷注入阻止層に含有される伝導性を制御する原子の含有量は、本発明の目的が効果的に達成できるように所望にしたがって適宜決定され、好ましくは10〜1×104原子ppm、より好ましくは50〜5×103原子ppm、最適には1×102〜3×103原子ppmである。
さらに、電荷注入阻止層には、炭素原子・窒素原子・酸素原子の少なくとも一種を含有させることによって、該電荷注入阻止層に直接接触して設けられる他の層との間の密着性をよりいっそう向上させることができる。炭素原子・窒素原子・酸素原子は層中に万偏なく均一に分布されてもよいし、あるいは層厚方向には万偏なく含有されてはいるが不均一に分布する状態で含有されている部分があってもよい。但し、いずれの場合にも、支持体の表面と平行面内方向においては均一な分布で万遍なく含有されることが面内方向における特性の均一化を図る点からも必要である。
本発明における電荷注入阻止層の全層領域に含有される炭素原子・窒素原子・酸素原子の含有量は、本発明の目的が効果的に達成されるように適宜決定され、一種の場合はその量として二種以上の場合はその総和量として、好ましくは1×10-3〜50原子%、より好ましくは5×10-3〜30原子%、最適には1×10-2〜10原子%である。
また、本発明における電荷注入阻止層に含有される水素原子または/及びハロゲン原子は層内に存在する未結合手を補償し膜質の向上に効果を奏する。電荷注入阻止層中の水素原子またはハロゲン原子あるいは水素原子とハロゲン原子との和の含有量は、好ましくは1〜50原子%、より好ましくは5〜40原子%、最適には10〜30原子%である。
本発明における電荷注入阻止層の層厚は、所望の電子写真特性および経済的効果等の点から、好ましくは0.1〜5μm、より好ましくは0.3〜4μm、最適には0.5〜3μmである。層厚が0.1μmより薄くなると、支持体からの電荷の注入阻止能が不十分になって十分な帯電能が得られなくなり、また5μmより厚くすると電子写真特性の向上は期待できず、作製時間の延長による製造コストの増加を招くことになる。
本発明において電荷注入阻止層を形成するには、前述の光導電層を形成する方法と同様の真空堆積法が採用される。本発明の目的を達成し得る特性を有する電荷注入阻止層を形成するには、前述の光導電層と同様に、Si供給用のガスと希釈ガスとの混合比、反応容器内のガス圧、放電電力および支持体の温度を適宜設定することが必要である。
希釈ガスとして使用するH2又は/及びHeの流量は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選択され、Si供給用ガスに対しH2又は/及びHeを、通常の場合0.3〜20倍、好ましくは0.5〜15倍、最適には1〜10倍の範囲に制御する。
反応容器内のガス圧も同様に層設計にしたがって適宜最適範囲が選択され、通常の場合1×10-2〜2×103Pa、好ましくは5×10-2〜5×102Pa、最適には1×10-1〜2×102Paの範囲に制御する。
放電電力もまた同様に層設計にしたがって適宜最適範囲が選択され、Si供給用のガス流量に対する放電電力の比(W/SCCM)を、通常の場合0.5〜8、好ましくは0.8〜7、最適には1〜6の範囲に設定する。
支持体の温度は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選択され、通常の場合、好ましくは200〜350℃、より好ましくは230〜330℃、最適には250〜310℃に設定する。
本発明においては、電荷注入阻止層を形成するための希釈ガスの混合比、ガス圧、放電電力および支持体温度の望ましい数値範囲は、独立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を有する電荷注入阻止層を形成すべく、相互的かつ有機的関連性に基づいて最適値を決めることが望ましい。
この他に、本発明の光受容部材においては、光受容層の前記支持体側に、少なくともアルミニウム原子、シリコン原子、水素原子または/及びハロゲン原子が層厚方向に不均一な分布状態で含有する層領域を設けることが望ましい。また、本発明の光受容部材においては、支持体と光導電層あるいは電荷注入阻止層との間の密着性の一層の向上を図る目的で、例えば、Si34・SiO2・SiOあるいはシリコン原子を母体とし、水素原子または/及びハロゲン原子と、炭素原子または/及び酸素原子または/及び窒素原子とを含む非晶質材料等で構成される密着層を設けてもよい。さらに、支持体からの反射光による干渉模様の発生を防止するための光吸収層を設けてもよい。
光受容層形成装置および膜形成方法
次に、光受容層を形成するための装置および膜形成方法について詳述する。
図4は、RF帯の電源周波数を用いた高周波プラズマCVD法(以下「RF−PCVD」と略記する。)による光受容部材の製造装置の一例を示す模式的な構成図である。図4に示す製造装置の構成は以下の通りである。
この装置は大別すると、堆積装置(4100)、原料ガス供給装置(4200)、及び反応容器(4111)内を減圧にするための排気装置(図示せず)から構成されている。堆積装置(4100)中の反応容器(4111)内には円筒状支持体(4112)、支持体加熱用ヒーター(4113)、原料ガス導入管(4114)が設置され、さらに高周波マッチングボックス(4115)が接続されている。
原料ガス供給装置(4200)は、SiH4、GeH4、H2、CH4、B26、PH3等の原料ガスボンベ(4221〜4226)、バルブ(4231〜4236,4241〜4246,4251〜4256)及びマスフローコントローラー(4211〜4216)から構成され、各原料ガスボンベはバルブ(4260)を介して反応容器(4111)内のガス導入管(4114)に接続されている。
この装置を用いた堆積膜の形成は、例えば以下のように行なうことができる。
まず、反応容器(4111)内に円筒状支持体(4112)を設置し、不図示の排気装置(例えば真空ポンプ)により反応容器内を排気する。続いて、支持体加熱用ヒーター(4113)により円筒状支持体の温度を200〜350℃の所定の温度に制御する。
堆積膜形成用の原料ガスを反応容器(4111)に流入させるには、まず、原料ガスボンベバルブ(4231〜4236)及び反応容器リークバルブ(4117)が閉じられていることを確認し、また、ガス流入バルブ(4241〜4246)、ガス流出バルブ(4251〜4256)及び補助バルブ(4260)が開かれていることを確認し、その後にメインバルブ(4118)を開いて反応容器及びガス配管内(4116)を排気する。
次に、真空計(4119)の読みが約1×10-2Paになった時点で補助バルブ及びガス流出バルブを閉じる。
その後、原料ガスボンベから各ガスをバルブ(4231〜4236)を開いて導入し、圧力調整器(4261〜4266)により各ガス圧を2Kg/cm2に調整する。次いでガス流入バルブ(4241〜4246)を徐々に開けて、各ガスをマスフローコントローラー内に導入する。
以上のようにして成膜の準備が完了した後、以下の手順で各層の形成を行う。
円筒状支持体が所定の温度になったところでガス流出バルブ(4251〜4256)のうちの必要なもの及び補助バルブ(4260)を徐々に開き、原料ガスボンベから所定のガスをガス導入管を介して反応容器内に導入する。次にマスフローコントローラーによって各原料ガスが所定の流量になるように調整する。その際、反応容器内の圧力が1.5×102Pa以下の所定の圧力になるように真空計を見ながらメインバルブの開口を調整する。内圧が安定したところで、周波数13.56MHzのRF電源(不図示)を所望の電力に設定して、高周波マッチングボックスを通じて反応容器内にRF電力を導入し、グロー放電を生起させる。この放電エネルギーによって反応容器内に導入された原料ガスが分解され、円筒状支持体上に所定のシリコンを主成分とする堆積膜が形成される。所望の膜厚の形成が行われた後、RF電力の供給を止め、流出バルブを閉じて反応容器へのガスの流入を止め、堆積膜の形成を終える。
同様の操作を複数回繰り返すことによって、所望の多層構造の光受容層が形成される。
それぞれの層を形成する際には必要なガス以外の流出バルブはすべて閉じられていることは言うまでもなく、また、それぞれのガスが反応容器内や、ガス流出バルブから反応容器に至る配管内に残留することを避けるために、ガス流出バルブを閉じ、補助バルブを開き、さらにメインバルブを全開にして系内を一旦高真空に排気する操作を必要に応じて行う。
また、膜形成の均一化を図るために、層形成を行なっている間は、円筒状支持体を駆動装置(不図示)によって所定の速度で回転させることも有効である。
さらに、上述のガス種およびバルブ操作は各々の層の形成条件にしたがって変更が加えられることは言うまでもない。
上記の方法において、堆積膜形成時の支持体温度は、好ましくは200〜350℃、より好ましくは230〜330℃、最適には250〜300℃である。
支持体の加熱方法は、真空仕様である発熱体を用いればよく、より具体的にはシース状ヒーターの巻き付けヒーター、板状ヒーター、セラミックヒーター等の電気抵抗発熱体、ハロゲンランプ、赤外線ランプ等の熱放射ランプ発熱体、液体や気体等を温媒とし熱交換手段による発熱体等が挙げられる。加熱手段の表面材質は、ステンレス、ニッケル、アルミニウム、銅等の金属類、セラミックス、耐熱性高分子樹脂等を使用することができる。これら以外にも、反応容器の外部に加熱専用の容器を設け、そこで加熱した後、反応容器内へ真空下で支持体を搬送する方法が用いられる。
〔実験例〕
以下、実験例により本発明の効果を具体的に説明する。
実験例−A1
図4に示すRF−PCVD法による光受容部材の製造装置を用い、直径108mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、表−A1に示す条件で、電荷注入阻止層、光導電層および表面層を形成して光受容部材を作製した。光導電層は、第1の層領域、第2の層領域(波長680nmの光を70%吸収できる層厚の領域)の順で形成し、第IIIb族元素を含有するガス種としてはB26を用いてシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を調節した。
一方、アルミニウムシリンダーに代えて、サンプル基板を設置するための溝加工を施した円筒形のサンプルホルダーを設置し、ガラス基板(コーニング社 7059)及びSiウエハー上にそれぞれ上記光導電層の形成条件で膜厚約1μmのa−Si膜を堆積した。ガラス基板上の堆積膜は、光学的バンドギャップ(Eg)を測定した後、Crの串型電極を蒸着し、CPMにより指数関数裾の特性エネルギー(Eu)を測定した。Siウエハー上の堆積膜は、FTIRにより水素含有量(Ch)を測定した。
表−A1の条件による光受容部材の光導電層は、Ch、Eg、Euがそれぞれ21原子%、1.80eV、60meVであった(光受容部材a)。
次に、表−A1において、SiH4ガスとH2ガスとの混合比、SiH4ガス流量と放電電力との比率および支持体温度を種々変えることによって、光導電層のCh、Eg、Euがそれぞれ10原子%、1.75eV、55meV(光受容部材b)、26原子%、1.82eV、61meV(光受容部材c)、30原子%、1.85eV、65meV(光受容部材d)の種々の光受容部材を作製した。
上記の光受容部材を電子写真装置(キヤノン製NP−6550を実験用に改造。波長680nmのLEDとレーザー光が交換可能。)にセットして、電位特性の評価を行った。
その際、プロセススピード380mm/sec、前露光(波長700nmのLED)4 lux・sec、帯電器の電流値1000μAの条件において、電子写真装置の現像器位置にセットした表面電位計(TREK社Model 344)の電位センサーにより光受容部材の表面電位を測定し、その値を帯電能とした。残留電位は、像露光1.5 lux・secのときの表面電位を測定し、その値を残留電位とした。
また、光受容部材に内蔵したドラムヒーターにより、温度を室温(約25℃)から50℃まで変えて、上記条件で帯電能を測定し、そのときの温度1℃当たりの帯電能の変化を帯電能の温度特性とした。
さらに、室温と45℃のそれぞれについて暗電位が400Vとなるように帯電条件を設定し、像露光光源に680nmのLEDを用いてE−V特性(曲線)を測定して、感度の温度特性および感度の直線性を評価した。
光メモリーについては、像露光光源に波長680nmのLEDを用い、上述の条件下において同様の電位センサーによって、非露光状態での表面電位と一旦露光した後に再度帯電したときの表面電位との電位差を測定し、その値をメモリー電位とした。
画像特性は、680nmのLEDをNP−6650にセットして評価した。
それぞれの光受容部材(a〜d)に関して、層厚30μmの光導電層を第1の層領域または第2の層領域のみで構成した場合を基準として、帯電能、残留電位、温度特性、メモリー電位、感度の温度特性および感度の直線性について以下の基準で評価を行った。
◎:光導電層を第1の層領域または第2の層領域のみで構成した場合よりも非常に良好
○:光導電層を第1の層領域または第2の層領域のみで構成した場合よりも良好
△:光導電層を第1の層領域または第2の層領域のみで構成した場合と同等
×:光導電層を第1の層領域または第2の層領域のみで構成した場合よりも劣る。
光導電層を第1の層領域のみで構成した場合と比較した結果を表−A2に、光導電層を第2の層領域のみで構成した場合と比較した結果を表−A3に示す。これらの結果から明らかなように帯電能、残留電位、温度特性、メモリー電位、感度の温度特性および感度の直線性のいずれについても、光導電層を第1の層領域または第2の層領域のみで構成した場合よりも良好であり、さらに画像特性においても良好な画像が得られることがわかった。また、露光光源をLEDに代えて半導体レーザー(波長680nm)にした場合も同様に良好な結果が得られることがわかった。
Figure 2004310140
* 光導電層の層厚30μmから第2の層領域の層厚を引いた値
** 波長680nmの光を70%吸収できる層厚
Figure 2004310140
Figure 2004310140
実験例−A2
図4に示すRF−PCVD法による光受容部材の製造装置を用い、実験例−A1の光受容部材aと同様な条件で、直径108mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、電荷注入阻止層、光導電層および表面層を形成し、第2の層領域の光吸収率の異なる種々の光受容部材を作製した。その際、第2の層領域は、680nmの光を40%、50%、80%、90%及び92%吸収できる層厚に変化させた。
作製した個々の光受容部材について、層厚30μmの光導電層を第1の層領域のみで構成した場合を基準として、帯電能、残留電位、温度特性、メモリー電位、感度の温度特性および感度の直線性について以下の基準で評価を行った。
◎:光導電層を第1の層領域のみで構成した場合よりも非常に良好
○:光導電層を第1の層領域のみで構成した場合よりも良好
△:光導電層を第1の層領域のみで構成した場合と同等
×:光導電層を第1の層領域のみで構成した場合よりも劣る。
結果を表−A4に示す。表−A4から明らかなように第2の層領域が、680nmの光を50〜90%吸収できる層厚において本発明の効果が得られ、さらに画像特性においても良好な画像が得られることがわかった。また、露光光源をLEDに代えて半導体レーザー(波長680nm)にした場合も同様に良好な結果が得られることがわかった。
Figure 2004310140
実験例−A3
図4に示すRF−PCVD法による光受容部材の製造装置を用い、実験例−A1の光受容部材bと同様の条件で、直径108mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、電荷注入阻止層、光導電層および表面層を形成し、第2の層領域の第IIIb族元素の含有量の異なる種々の光受容部材を作製した。その際、第1の層領域のシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を6ppmとし、第2の層領域のシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を0.01ppm、0.03ppm、0.10ppm、2ppm、5ppm及び5.5ppmと変化させた。このとき、第IIIb族元素を含有するガス種としてB26を用い、シリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を調節した。
作製した個々の光受容部材について、層厚30μmの光導電層を第1の層領域のみで構成した場合を基準として、帯電能、残留電位、温度特性、メモリー電位、感度の温度特性および感度の直線性について以下の基準で評価を行った。
◎:光導電層を第1の層領域のみで構成した場合よりも非常に良好
○:光導電層を第1の層領域のみで構成した場合よりも良好
△:光導電層を第1の層領域のみで構成した場合と同等
×:光導電層を第1の層領域のみで構成した場合よりも劣る。
結果を表−A5に示す。表−A5から明らかなように第2の層領域において、シリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を0.03〜5ppmにすることで本発明の効果が得られ、さらに画像特性においても良好な画像が得られることがわかった。また、露光光源をLEDに代えて半導体レーザー(波長680nm)にした場合も同様に良好な結果が得られることがわかった。
Figure 2004310140
実験例−A4
図4に示すRF−PCVD法による光受容部材の製造装置を用い、実験例−A1の光受容部材cと同様の条件で、直径108mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、電荷注入阻止層、光導電層および表面層を形成し、第1の層領域の第IIIb族元素の含有量の異なる種々の光受容部材を作製した。その際、第2の層領域のシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を0.13ppmとし、第1の層領域のシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を0.15ppm、0.20ppm、2ppm、10ppm、25ppm及び30ppmと変化させた。このとき、第IIIb族元素を含有するガス種としてB26を用い、シリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を調節した。
作製した個々の光受容部材について、層厚30μmの光導電層を第2の層領域のみで構成した場合を基準として、帯電能、残留電位、温度特性、メモリー電位、感度の温度特性および感度の直線性について以下の基準で評価を行った。
◎:光導電層を第2の層領域のみで構成した場合よりも非常に良好
○:光導電層を第2の層領域のみで構成した場合よりも良好
△:光導電層を第2の層領域のみで構成した場合と同等
×:光導電層を第2の層領域のみで構成した場合よりも劣る。
結果を表−A6に示す。表−A6から明らかなように第1の層領域において、シリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を0.2〜25ppmにすることで本発明の効果が得られ、さらに画像特性においても同様に良好な画像が得られることがわかった。また、露光光源をLEDに代えて半導体レーザー(波長680nm)にした場合も良好な結果が得られることがわかった。
Figure 2004310140
実験例−A5
図4に示すRF−PCVD法による光受容部材の製造装置を用い、実験例−A1の光受容部材dと同様の条件で、直径108mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、電荷注入阻止層、光導電層および表面層を形成し、第1の層領域と第2の層領域との第IIIb族元素の含有量比が異なる種々の光受容部材を作製した。その際、第1の層領域のシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を一定(6ppm)にし、第2の層領域のシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量に対する第1の層領域のシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量の比を1.1、1.2、3、60、200及び600と変化させた。このとき、第IIIb族元素を含有するガス種としてB26を用い、シリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を調節した。
作製した個々の光受容部材について、層厚30μmの光導電層を第1の層領域のみで構成した場合を基準として帯電能、残留電位、温度特性、メモリー電位、感度の温度特性および感度の直線性について以下の基準で評価を行った。
◎:光導電層を第1の層領域のみで構成した場合よりも非常に良好
○:光導電層を第1の層領域のみで構成した場合よりも良好
△:光導電層を第1の層領域のみで構成した場合と同等
×:光導電層を第1の層領域のみで構成した場合よりも劣る。
結果を表−A7に示す。表−A7から明らかなように第2の層領域のシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量に対する第1の層領域のシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量の割合を1.2〜200にすることで本発明の効果が得られ、さらに画像特性においても良好な画像が得られることがわかった。また、露光光源をLEDに代えて半導体レーザー(波長680nm)にした場合も同様に良好な結果が得られることがわかった。
Figure 2004310140
実験例−A6
図4に示すRF−PCVD法による光受容部材の製造装置を用い、直径108mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、電荷注入阻止層、光導電層および表面層を形成して種々の光受容部材を作製した。その際、実験例−A1の表−A1の光導電層について以下のようにした以外は、実験例−A1と同様にして作製した。
(i)第1の層領域のシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を電荷注入阻止層側(支持体側)から表面層側(光入射側)へ向かって2ppmから0.5ppmへ図5(a)〜(g)に示すようにそれぞれ変化させ、第2の層領域のシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を0.2ppmとした。
(ii)第1の層領域のシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を2ppmとし、第2の層領域のシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を光導電層側(支持体側)から表面層側(光入射側)へ向かって0.2ppmから0.1ppmへ図5(a)〜(g)に示すようにそれぞれ変化させた。
(iii)第1の層領域のシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を電荷注入阻止層側(支持体側)から表面層側(光入射側)に向かって2ppmから0.5ppmへ図5(a)〜(g)に示すようにそれぞれ変化させ、その各々に対して第2の層領域のシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を光導電層側(支持体側)から表面層側(光入射側)に向かって0.2ppmから0.1ppmへ図5(a)〜(g)に示すようにそれぞれ変化させた。
作製した個々の光受容部材を実験例−A1と同様にして評価を行ったところ、実験例−A1と同様に帯電能、残留電位、温度特性、メモリー電位、感度の温度特性、感度の直線性および画像特性のいずれについても良好な結果が得られた。また、露光光源をLEDに代えて半導体レーザー(波長680nm)にした場合も同様に良好な結果が得られることがわかった。
実験例−A7
図4に示すRF−PCVD法による光受容部材の製造装置を用い、表−A8に示す条件で、直径108mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、電荷注入阻止層、光導電層および表面層を形成して光受容部材を作製した。光導電層は、第1の層領域、第2の層領域(波長680nmの光を70%吸収できる膜厚の層領域)の順で形成し、第IIIb族元素を含有するガス種としてはB26を用い、シリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を調節した。
一方、アルミニウムシリンダーに代えて、サンプル基板を設置するための溝加工を施した円筒形のサンプルホルダーを設置し、ガラス基板(コーニング社 7059)及びSiウエハー上にそれぞれ上記光導電層の形成条件で膜厚約1μmのa−Si膜を堆積した。ガラス基板上の堆積膜は、光学的バンドギャップ(Eg)を測定した後、Crの串型電極を蒸着し、CPMにより指数関数裾の特性エネルギー(Eu)を測定した。Siウエハー上の堆積膜は、FTIRにより水素含有量(Ch)を測定した。
表−A8の条件による光受容部材の光導電層は、Ch、Eg、Euがそれぞれ20原子%、1.75eV、55meVであった(光受容部材e)。
次に、表−A8において、SiH4ガスとH2ガスとの混合比、SiH4ガスと放電電力との比率および支持体温度を種々変えることによって、光導電層のCh、Eg、Euがそれぞれ10原子%、1.68eV、47meV(光受容部材f)、15原子%、1.7eV、50meV(光受容部材g)及び18原子%、1.73eV、53meV(光受容部材h)の種々の光受容部材を作製した。
上記の光受容部材e〜hを実験例−A1と同様にして評価を行ったところ、実験例−A1と同様に帯電能、残留電位、温度特性、メモリー電位、感度の温度特性、感度の直線性および画像特性のいずれについても良好であることがわかった。また、露光光源をLEDに代えて半導体レーザー(波長680nm)にした場合も同様に良好な結果が得られることがわかった。
Figure 2004310140
* 光導電層の層厚30μmから第2の層領域の層厚を引いた値
** 波長680nmの光を70%吸収できる層厚
実験例−A8
図4に示すRF−PCVD法による光受容部材の製造装置を用い、実験例−A7の光受容部材eと同様な条件で、直径108mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、電荷注入阻止層、光導電層および表面層を形成し、第2の層領域の光吸収率の異なる種々の光受容部材を作製した。その際、第2の層領域は、680nmの光を40%、50%、80%、90%及び92%吸収できる層厚に変化させた。
作製した個々の光受容部材について実験例−A2と同様にして、帯電能、残留電位、温度特性、メモリー電位、感度の温度特性、感度の直線性および画像特性について評価を行ったところ、実験例−A2と同様に第2の層領域が680nmの光を50〜90%吸収できる層厚において本発明の効果が得られ、さらに画像特性においても良好な画像が得られることがわかった。また、露光光源をLEDに代えて半導体レーザー(波長680nm)にした場合も同様に良好な結果が得られることがわかった。
実験例−A9
図4に示すRF−PCVD法による光受容部材の製造装置を用い、実験例−A7の光受容部材fと同様の条件で、直径108mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、電荷注入阻止層、光導電層および表面層を形成し、第2の層領域の第IIIb族元素の含有量の異なる種々の光受容部材を作製した。その際、第1の層領域のシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を6ppmとし、第2の層領域のシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を0.01ppm、0.03ppm、0.1ppm、2ppm、5ppm及び5.5ppmと変化させた。
作製した個々の光受容部材について実験例−A3と同様にして帯電能、残留電位、温度特性、メモリー電位、感度の温度特性、感度の直線性および画像特性について評価を行ったところ、実験例−A3と同様に第2の層領域においてシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を0.03〜5ppmにすることで本発明の効果が得られ、さらに画像特性においても良好な画像が得られることがわかった。また、露光光源をLEDに代えて半導体レーザー(波長680nm)にした場合も同様に良好な結果が得られることがわかった。
実験例−A10
図4に示すRF−PCVD法による光受容部材の製造装置を用い、実験例−A7の光受容部材gと同様の条件で、直径108mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、電荷注入阻止層、光導電層および表面層を形成し、第1の層領域の第IIIb族元素の含有量の異なる種々の光受容部材を作製した。その際、第2の層領域のシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を0.13ppmとし、第1の層領域のシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を0.15ppm、0.2ppm、2ppm、10ppm、25ppm及び30ppmと変化させた。
作製した個々の光受容部材について実験例−A4と同様にして帯電能、残留電位、温度特性、メモリー電位、感度の温度特性、感度の直線性および画像特性について評価を行ったところ、実験例−A4と同様に第1の層領域においてシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を0.2〜25ppmにすることで本発明の効果が得られ、さらに画像特性においても良好な画像が得られることがわかった。また、露光光源をLEDに代えて半導体レーザー(波長680nm)にした場合も同様に良好な結果が得られることがわかった。
実験例−A11
図4に示すRF−PCVD法による光受容部材の製造装置を用い、実験例−A7の光受容部材hと同様の条件で、直径108mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、電荷注入阻止層、光導電層および表面層を形成し、第1の層領域と第2の層領域との第IIIb族元素の含有量比が異なる種々の光受容部材を作製した。その際、第1の層領域のシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を一定(6ppm)にし、第2の層領域のシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量に対する第1の層領域のシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量の割合を1.1、1.2、3、60、200及び600と変化させた。
作製した個々の光受容部材について実験例−A5と同様に帯電能、残留電位、温度特性、メモリー電位、感度の温度特性、感度の直線性および画像特性について評価を行ったところ、実験例−A5と同様に第2の層領域のシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量に対する第1の層領域のシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量の割合を1.2〜200にすることで本発明の効果が得られ、さらに画像特性においても良好な画像が得られることがわかった。また、露光光源をLEDに代えて半導体レーザー(波長680nm)にした場合も同様に良好な結果が得られることがわかった。
実験例−A12
図4に示すRF−PCVD法による光受容部材の製造装置を用い、直径108mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、電荷注入阻止層、光導電層および表面層を形成して種々の光受容部材を作製した。その際、実験例−A7の表−A8の光導電層について以下のようにした以外は、実験例−A7と同様にして作製した。
(i)第1の層領域のシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を電荷注入阻止層側(支持体側)から表面層側(光入射側)へ向かって2ppmから0.5ppmへ図5(a)〜(g)に示すようにそれぞれ変化させ、第2の層領域のシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を0.2ppmとした。
(ii)第1の層領域のシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を2ppmとし、第2の層領域のシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を光導電層側(支持体側)から表面層側(光入射側)へ向かって0.2ppmから0.1ppmへ図5(a)〜(g)に示すようにそれぞれ変化させた。
(iii)第1の層領域のシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を電荷注入阻止層側(支持体側)から表面層側(光入射側)へ向かって2ppmから0.5ppmへ図5(a)〜(g)に示すようにそれぞれ変化させ、その各々に対して第2の層領域のシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を光導電層側(支持体側)から表面層側(光入射側)へ向かって0.2ppmから0.1ppmへ図5(a)〜(g)に示すようにそれぞれ変化させた。
作製した個々の光受容部材を実験例−A1と同様にして評価を行ったところ、実験例−A1と同様に帯電能、残留電位、温度特性、メモリー電位、感度の温度特性、感度の直線性および画像特性のいずれについても良好な結果が得られた。また、露光光源をLEDに代えて半導体レーザー(波長680nm)にした場合も同様に良好な結果が得られることがわかった。
実験例−A13
図4に示すRF−PCVD法による光受容部材の製造装置を用い、表−A9に示す条件で、直径108mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、電荷注入阻止層、光導電層および表面層を形成して光受容部材を作製した。光導電層は、第1の層領域、第2の層領域(波長680nmの光を70%吸収できる層厚領域)の順で形成し、第IIIb族元素を含有するガス種としてはB26を用い、シリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を調節した。
一方、アルミニウムシリンダーに代えて、サンプル基板を設置するための溝加工を施した円筒形のサンプルホルダーを設置し、ガラス基板(コーニング社 7059)及びSiウエハー上にそれぞれ上記光導電層の形成条件で膜厚約1μmのa−Si膜を堆積した。ガラス基板上の堆積膜は、光学的バンドギャップ(Eg)を測定した後、Crの串型電極を蒸着し、CPMにより指数関数裾の特性エネルギー(Eu)を測定した。Siウエハー上の堆積膜は、FTIRにより水素含有量(Ch)を測定した。
表−A9の条件による光受容部材は、Ch、Eg、Euがそれぞれ30原子%、1.84eV、53meVであった(光受容部材i)。
次に、表−A9において、SiH4ガスとH2ガスとの混合比、SiH4ガスと放電電力との比率および支持体温度を種々変えることによって、光導電層のCh、Eg、Euがそれぞれ25原子%、1.80eV、47meV(光受容部材j)、33原子%、1.85eV、54meV(光受容部材k)及び35原子%、1.87eV、55meV(光受容部材l)の種々の光受容部材を作製した。
上記の光受容部材i〜lを実験例−A1と同様にして評価を行ったところ、実験例−A1と同様に帯電能、残留電位、温度特性、メモリー電位、感度の温度特性、感度の直線性および画像特性のいずれについても良好であることがわかった。また、露光光源をLEDに代えて半導体レーザー(波長680nm)にした場合も同様に良好な結果が得られることがわかった。
Figure 2004310140
* 光導電層の層厚30μmから第2の層領域の層厚を引いた値
** 波長680nmの光を70%吸収できる層厚
実験例−A14
図4に示すRF−PCVD法による光受容部材の製造装置を用い、実験例−A13の光受容部材iと同様な条件で、直径108mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、電荷注入阻止層、光導電層、表面層を形成し、第2の層領域の光吸収率の異なる種々の光受容部材を作製した。その際、第2の層領域は、680nmの光を40%、50%、80%、90%及び92%吸収できる層厚に変化させた。
作製した個々の光受容部材について実験例−A2と同様にして、帯電能、残留電位、温度特性、メモリー電位、感度の温度特性、感度の直線性および画像特性について評価を行ったところ、実験例−A2と同様に第2の層領域が680nmの光を50〜90%吸収できる層厚において本発明の効果が得られ、さらに画像特性においても良好な画像が得られることがわかった。また、露光光源をLEDに代えて半導体レーザー(波長680nm)にした場合も同様に良好な結果が得られることがわかった。
実験例−A15
図4に示すRF−PCVD法による光受容部材の製造装置を用い、実験例−A13の光受容部材jと同様の条件で、直径108mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、電荷注入阻止層、光導電層および表面層を形成し、第2の層領域の第IIIb族元素の含有量の異なる種々の光受容部材を作製した。その際、第1の層領域のシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を6ppmとし、第2の層領域のシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を0.01ppm、0.03ppm、0.1ppm、2ppm、5ppm及び5.5ppmと変化させた。
作製した個々の光受容部材について実験例−A3と同様にして帯電能、残留電位、温度特性、メモリー電位、感度の温度特性、感度の直線性および画像特性について評価を行ったところ、実験例−A3と同様に第2の層領域においてシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を0.03〜5ppmにすることで本発明の効果が得られ、さらに画像特性においても良好な画像が得られることがわかった。また、露光光源をLEDに代えて半導体レーザー(波長680nm)にした場合も同様に良好な結果が得られることがわかった。
実験例−A16
図4に示すRF−PCVD法による光受容部材の製造装置を用い、実験例−A13光受容部材kと同様の条件で、直径108mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、電荷注入阻止層、光導電層および表面層を形成し、第1の層領域の第IIIb族元素の含有量の異なる種々の光受容部材を作製した。その際、第2の層領域のシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を0.13ppmとし、第1の層領域のシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を0.15ppm、0.2ppm、2ppm、10ppm、25ppm及び30ppmと変化させた。
作製した個々の光受容部材について実験例−A4と同様にして帯電能、残留電位、温度特性、メモリー電位、感度の温度特性、感度の直線性および画像特性について評価を行ったところ、実験例−A4と同様に第1の層領域においてシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を0.2〜25ppmにすることで本発明の効果が得られ、さらに画像特性においても良好な画像が得られることがわかった。また、露光光源をLEDに代えて半導体レーザー(波長680nm)にした場合も同様に良好な結果が得られることがわかった。
実験例−A17
図4に示すRF−PCVD法による光受容部材の製造装置を用い、実験例−A13光受容部材lと同様の条件で、直径108mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、電荷注入阻止層、光導電層および表面層を形成し、第1の層領域と第2の層領域との第IIIb族元素の含有量比が異なる種々の光受容部材を作製した。その際、第1の層領域のシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を一定(6ppm)にし、第2の層領域のシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量に対する第1の層領域のシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量の割合を1.1、1.2、3、60、200及び600と変化させた。
作製した個々の光受容部材について実験例−A5と同様に帯電能、残留電位、温度特性、メモリー電位、感度の温度特性、感度の直線性および画像特性について評価を行ったところ、実験例−A5と同様に第2の層領域のシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量に対する第1の層領域のシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量の割合を1.2〜200にすることで本発明の効果が得られ、さらに画像特性においても良好な画像が得られることがわかった。また、露光光源をLEDに代えて半導体レーザー(波長680nm)にした場合も同様に良好な結果が得られることがわかった。
実験例−A18
図4に示すRF−PCVD法による光受容部材の製造装置を用い、直径108mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、電荷注入阻止層、光導電層および表面層を形成して光受容部材を作製した。その際、実験例−A13の表−A9の光導電層について以下のようにした以外は、実験例−A13と同様にして作製した。
(i)第1の層領域のシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を電荷注入阻止層側(支持体側)から表面層側(光入射側)へ向かって2ppmから0.5ppmへ図5(a)〜(g)に示すようにそれぞれ変化させ、第2の層領域のシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を0.2ppmとした。
(ii)第1の層領域のシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を2ppmとし、第2の層領域のシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を光導電層側(支持体側)から表面層側(光入射側)へ向かって0.2ppmから0.1ppmへ図5(a)〜(g)に示すようにそれぞれ変化させた。
(iii)第1の層領域のシリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を電荷注入阻止層側(支持体側)から表面層側(光入射側)へ向かって2ppmから0.5ppmへ図5(a)〜(g)に示すようにそれぞれ変化させ、その各々に対して第2の層領域のSiH4に対するB26含有量を光導電層側(支持体側)から表面層側(光入射側)へ向かって0.2ppmから0.1ppmへ図5(a)〜(g)に示すようにそれぞれ変化させた。
作製した個々の光受容部材を実験例−A1と同様にして評価を行ったところ、実験例−A1と同様に帯電能、残留電位、温度特性、メモリー電位、感度の温度特性、感度の直線性および画像特性のいずれについても良好な結果が得られた。また、露光光源をLEDに代えて半導体レーザー(波長680nm)にした場合も同様に良好な結果が得られることがわかった。
実験例−B1
図4に示すRF−PCVD法による光受容部材の製造装置を用い、直径108mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、表−B1に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層および表面層を形成して光受容部材を作製した。光導電層は、第1の層領域、第2の層領域の順で形成した。
一方、アルミニウムシリンダーに代えて、サンブル基板を設置するための溝加工を施した円筒形のサンプルホルダーを設置し、ガラス基板(コーニング社7059)及びSiウエハー上にそれぞれ上記光導電層の形成条件で膜厚約1μmのa−Si膜を堆積した。ガラス基板上の堆積膜は、光学的バンドギャッブ(Eg)を測定した後、Crの串型電極を蒸着し、CPMにより指数関数裾の特性エネルギー(Eu)を測定した。Siウエハー上の堆積膜は、FTIRにより水素含有量(Ch)を測定した。
表−B1の条件による光受容部材の第1の層領域は、Ch、Eg、Euがそれぞれ28原子%、1.80eV、58meVであり、第2の層領域は、14原子%、1.72eV、53meVであった。
次に、第2の層領域において、SiH4ガス流量、SiH4ガスとH2ガスとの混合比、SiH4ガス流量と放電電力との比率および支持体温度を種々変えることによって、第2の層領域のEg(Ch)、Euの異なる種々の光受容部材を作製した。なお、第1及び第2の層領域の膜厚はそれぞれ24μm及び6μmに固定した。
作製した光受容部材を電子写真装置(キヤノン製NP−6650を実験用に改造。)にセットして、電位特性の評価を行った。
その際、プロセススピ−ド380mm/sec、前露光(波長700nmのLED)4 lux・sec、帯電器の電流値1000μAの条件において、電子写真装置の現像器位置にセットした表面電位計(TREK社Model 344)の電位センサーにより光受容部材の表面電位を測定し、その値を帯電能とした。
また、光受容部材に内蔵したドラムヒーターにより、温度を室温(約25℃)から45℃まで変えて、上記条件で帯電能を測定し、そのときの温度1℃当たりの帯電能の変化を帯電能の温度特性とした。
さらに、室温と45℃のそれぞれについて暗電位が400Vとなるように帯電条件を設定し、像露光光源に680nmのLEDを用いてE−V特性(曲線)を測定して、感度の温度特性および感度の直線性を評価した。
光メモリーについては、像露光光源に波長680nmのLEDを用い、上述の条件下において同様の電位センサーによって、非露光状態での表面電位と一旦露光した後に再度帯電した時との電位差を測定し、その値をメモリー電位とした。
本実験例のEu・Egと、帯電能・帯電能の温度特性・光メモリ−・感度の温度特性・感度の直線性との関係をそれぞれ調べた。図6〜図10に第2の層領域についての結果を示す。図中、縦軸の値は、光導電層(総膜厚30μm)を第1の層領域のみで構成した場合を1としたときの相対値である。この値が大きくなるほど、より改善されていることを示す。
図6〜図10からも明らかなように、第1の層領域においてEgが1.75〜1.85eV、Euが55〜65meV以下、水素原子の含有量(Ch)が20原子%以上30原子%未満で、かつ第2の層領域においてEgが1.70〜1.80eV、Euが55meV以下、Chが10原子%以上25原子%未満の条件において、帯電能、帯電能の温度特性、光メモリー、感度の温度特性、感度の直線性ともに良好な特性を得られることがわかった。
Figure 2004310140
実験例−B2
図4に示すRF−PCVD法による光受容部材の製造装置を用い、直径80mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、表−B2に示す条件で、電荷注入阻止層、光導電層および表面層を形成して光受容部材を作製した。光導電層は、第1の層領域、第2の層領域の順で形成した。
一方、アルミニウムシリンダーに代えて、サンプル基板を設置するための溝加工を施した円筒形のサンプルホルダーを設置し、ガラス基板(コーニング社7059)及びSiウエハー上にそれぞれ上記光導電層の形成条件で膜厚約1μmのa−Si膜を堆積した。ガラス支持体上の堆積膜は、光学的バンドギャップ(Eg)を測定した後、Crの串型電極を蒸着し、CPMにより指数関数裾の特性エネルギー(Eu)を測定した。Siウエハー上の堆積膜は、FTIRにより水素含有量(Ch)を測定した。
表−B2の条件による光受容部材の第1の層領域は、Ch、Eg、Euがそれぞれ29原子%、1.83eV、54meVであり、第2の層領域は、Ch、Eg、Euがそれぞれ16原子%、1.73eV、54meVであった。
次に、第2の層領域において、SiH4ガス流量、SiH4ガスとH2ガスとの混合比、SiH4ガス流量と放電電力との比率および支持体温度を種々変えることによって、第2の層領域のEg(Ch)とEuの異なる種々の光受容部材を作製した。そして、作製した個々の光受容部材について実験例−B1と同様の電位特性評価を行い、実験例−B1と同様にEu・Egと、帯電能・帯電能の温度特性・光メモリー・感度の温度特性・感度の直線性との関係を調べたところ、実験例−B1と同様の傾向を示し、第1の層領域においてEgが1.80〜1.90eV、Euが55meV以下、水素原子の含有量(Ch)が25原子%以上40原子%未満で、かつ第2の層領域においてEgが1.70〜1.80eV、Euが55meV以下、Chが10原子%以上25原子%未満の条件において、帯電能、帯電能の温度特性、光メモリー、感度の温度特性、感度の直線性ともに良好な特性を得られることがわかった。
Figure 2004310140
実験例−B3
図4に示すRF−PCVD法による光受容部材の製造装置を用い、直径80mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、表−B3に示す条件で、電荷注入阻止層、光導電層および表面層を形成して光受容部材を作製した。光導電層は、第1の層領域、第2の層領域の順で形成した。
一方、アルミニウムシリンダーに代えて、サンプル基板を設置するための溝加工を施した円筒形のサンプルホルダーを設置し、ガラス支持体(コーニング社7059)及びSiウエハー上にそれぞれ上記光導電層の形成条件で膜厚約1μmのa−Si膜を堆積した。ガラス支持体上の堆積膜は、光学的バンドギャップ(Eg)を測定した後、Crの串型電極を蒸着し、CPMにより指数関数裾の特性エネルギー(Eu)を測定した。Siウエハー上の堆積膜は、FTIRにより水素含有量(Ch)を測定した。
表−B3の条件による光受容部材の第1の層領域は、Ch、Eg、Euがそれぞれ28原子%、1.82eV、53meVであり、第2の層領域は、Ch、Eg、Euがそれぞれ15原子%、1.75eV、54meVであった。
ここで、光導電層中の第IIIb族元素の含有量として、像露光のピーク波長光の50%、60%、70%、80%、90%を吸収するに要する表面側からの層領域での含有量を0.3ppmとし、その他の層領域の含有量は均一に1.0ppmとして、第IIIb族元素の含有分布の異なる光受容部材を種々作製した。さらに、これらの光受容部材のそれぞれについて光導電層の全層厚(30μm)に対する第2の層領域の層厚の比を変化させた。
作製した個々の光受容部材について実験例−B1と同様の電位特性評価を行った。上記の含有分布および層厚比と、帯電能・帯電能の温度特性・光メモリ−・感度の温度特性・感度の直線性との関係をそれぞれ図11〜図15に示す。図中、縦軸の値は、光導電層の全体に第IIIb族元素1.0ppmを均一に含有させた場合を1としたときの相対値である。この値が大きくなるほど、より改善されていることを示す。
図11〜図15から明らかなように、第2の層領域における、像露光のピーク波長光を70%以上吸収するに要する表面側からの層領域の第IIIb族元素の含有量が支持体側の第1の層領域より少ない光受容部材は、層厚比が0.05〜0.5において、第IIIb族元素を均一に含有させたものに比べて、帯電能、帯電能の温度特性、光メモリー、感度の温度特性、及び感度の直線性の全ての特性レベルが向上することがわかった。
Figure 2004310140
* ピーク波長光の50、60、70、80、90%を吸収するそれぞれの層領域は0.3ppm、他は1.0ppm
** 光導電層の全層厚を30μmとして、第1の層領域と第2の層領域の層厚比を変化させた。
実験例−B4
図4に示すRF−PCVD法による光受容部材の製造装置を用い、直径80mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、表−B4に示す条件で、電荷注入阻止層、光導電層および表面層を形成して光受容部材を作製した。光導電層は、第1の層領域、第2の層領域の順で形成した。
一方、アルミニウムシリンダーに代えて、サンプル基板を設置するための溝加工を施した円筒形のサンプルホルダーを設置し、ガラス支持体(コーニング社7059)及びSiウエハー上にそれぞれ上記光導電層の形成条件で膜厚約1μmのa−Si膜を堆積した。ガラス支持体上の堆積膜は、光学的バンドギャップ(Eg)を測定した後、Crの串型電極を蒸着し、CPMにより指数関数裾の特性エネルギー(Eu)を測定した。Siウエハー上の堆積膜は、FTIRにより水素含有量(Ch)を測定した。
表−B4の条件による光受容部材の第1の層領域は、Ch、Eg、Euがそれぞれ24原子%、1.81eV、58meVであり、第2の層領域は、Ch、Eg、Euがそれぞれ14原子%、1.76eV、53meVであった。
ここで、光導電層中の第IIIb族元素の含有量として、像露光のピーク波長光の50%、60%、70%、80%、90%を吸収するに要する表面側からの層領域での含有量を0.3ppmとし、その他の層領域の含有量を1.0ppmとして、第IIIb族元素の含有分布の異なる種々の光受容部材を作製した。さらに、これらの光受容部材のそれぞれについて光導電層の全層厚(30μm)に対する第2の層領域の層厚の比を変化させた。
作製した個々の光受容部材について実験例−B1と同様の電位特性評価を行った。上記の含有分布および層厚比と、帯電能・帯電能の温度特性・光メモリー・感度の温度特性・感度の直線性との関係は、実験例−B3と同様の傾向を示した。すなわち、第2の層領域における、像露光のピーク波長光を70%以上吸収するに要する表面側からの層領域の第IIIb族元素の含有量が支持体側の第1の層領域より少ない光受容部材は、層厚比が0.05〜0.5において、第IIIb族元素を均一に含有させたものに比べて、帯電能、帯電能の温度特性、光メモリー、感度の温度特性、及び感度の直線性の全ての特性レベルが向上することがわかった。
Figure 2004310140
* ピーク波長光の50、60、70、80、90%を吸収するそれぞれの層領域は0.3ppm、他の領域は1.0ppm
** 光導電層の全層厚を30μmとして、第1の層領域と第2の層領域の層厚比を変化させた。
以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明はこれらに限定するものではない。
実施例−A1
図4に示す製造装置を用い、表−A10に示す条件で、表面層のシリコン原子および炭素原子の含有量を層厚方向に不均一な分布状態とした表面層を有する光受容部材を作製した。このとき、第IIIb族元素を含有するガス種としてB26を用い、シリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を調節した。表−A10の作製条件による光導電層のCh、Eg、Euはそれぞれ25原子%、1.81eV、57meVであった(光受容部材a)。
さらに、表−A10において、SiH4ガスとH2ガスとの混合比、SiH4ガスと放電電力との比率、及び支持体温度を種々変えることによって、光導電層のCh・Eg・Euが以下の値を有する種々の光受容部材を作製した。
(i)光導電層のChが10〜30原子%、Egが1.75〜1.85eV、Euが55〜65meVの光受容部材
b)22原子%・1.81eV・60meV
c)10原子%・1.75eV・55meV
d)28原子%・1.83eV・62meV
e)30原子%・1.85eV・65meV
(ii)光導電層のChが10〜20原子%、Egが1.75eV以下、Euが55meV以下の光受容部材
f)20原子%・1.75eV・55meV
g)10原子%・1.68eV・47meV
h)15原子%・1.70eV・50meV
i)19原子%・1.74eV・53meV
(iii)光導電層のChが25〜35原子%、Egが1.80eV以上、Euが55meV以下の光受容部材
j)32原子%・1.85eV・53meV
k)25原子%・1.80eV・47meV
l)34原子%・1.85eV・54meV
m)35原子%・1.87eV・55meV
作製した(a)〜(m)の光受容部材を実験例−A1と同様な評価を行ったところ、実験例−A1と同様に、帯電能、残留電位、温度特性、メモリー電位、感度の温度特性、感度の直線性および画像特性のいずれについても良好な結果が得られた。また、露光光源をLEDに代えて半導体レーザー(波長680nm)にした場合も同様に良好な結果が得られることがわかった。
すなわち本発明は、表面層のシリコン原子および炭素原子の含有量を層厚方向に不均一な分布状態とした表面層を設けた場合においても、良好な電子写真特性が得られることがわかった。
Figure 2004310140
* 光導電層の層厚30μmから第2の層領域の層厚を引いた値
** 波長680nmの光を80%吸収できる層厚
実施例−A2
図4に示す製造装置を用い、表−A11に示す条件で、表面層のシリコン原子および炭素原子の含有量を層厚方向に不均一な分布状態とした表面層を有し、全ての層にフッ素原子、ホウ素原子、炭素原子、酸素原子および窒素原子を含有する光受容部材を作製した。このとき、第IIIb族元素を含有するガス種としてB26を用い、シリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を調節した。表−A11の作製条件による光導電層のCh、Eg、Euはそれぞれ23原子%、1.82eV、56meVであった。
さらに、表−A11において、SiH4ガスとH2ガスとの混合比、SiH4ガスと放電電力との比率および支持体温度を種々変えることによって、実施例−A1と同様に、
(i)光導電層のChが10〜30原子%、Egが1.75〜1.85eV、Euが55〜65meVの種々の光受容部材、
(ii)光導電層のChが10〜20原子%、Egが1.75eV以下、Euが55meV以下の種々の光受容部材、
(iii)光導電層のChが25〜35原子%、Egが1.80eV以上、Euが55meV以下の種々の光受容部材を作製した。
作製した種々の光受容部材を実験例−A1と同様な評価を行ったところ、実験例−A1と同様に、帯電能、残留電位、温度特性、メモリー電位、感度の温度特性、感度の直線性および画像特性いずれについても良好な結果が得られた。また、露光光源をLEDに代えて半導体レーザー(波長680nm)にした場合も同様に良好な結果が得られることがわかった。
すなわち本発明は、表面層のシリコン原子および炭素原子の含有量を層厚方向に不均一な分布状態とした表面層を設けるとともに、全ての層にフッ素原子、ホウ素原子、炭素原子、酸素原子および窒素原子を含有させた表面層を設けた場合においても、良好な電子写真特性が得られることがわかった。
Figure 2004310140
* 光導電層の層厚30μmから第2の層領域の層厚を引いた値
** 波長680nmの光を60%吸収できる層厚
実施例−A3
図4に示す製造装置を用い、表−A12に示す条件で、表面層を構成する原子として炭素原子の代わりに窒素原子を表面層に含有させた光受容部材を作製した。このとき、第IIIb族元素を含有するガス種としてB26を用い、シリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を調節した。表−A12の作製条件による光導電層のCh、Eg、Euはそれぞれ28原子%、1.83eV、57meVであった。
さらに、SiH4ガスとH2ガスとの混合比、SiH4ガスと放電電力との比率および支持体温度を種々変えることによって、実施例−A1と同様に、
(i)光導電層のChが10〜30原子%、Egが1.75〜1.85eV、Euが55〜65meVの種々の光受容部材、
(ii)光導電層のChが10〜20原子%、Egが1.75eV以下、Euが55meV以下の種々の光受容部材、
(iii)光導電層のChが25〜35原子%、Egが1.80eV以上、Euが55meV以下の種々の光受容部材を作製した。
作製した種々の光受容部材を実験例−A1と同様な評価を行ったところ、実験例−A1と同様に、帯電能、残留電位、温度特性、メモリー電位、感度の温度特性、感度の直線性および画像特性のいずれについても良好な結果が得られた。また、露光光源をLEDに代えて半導体レーザー(波長680nm)にした場合も同様に良好な結果が得られることがわかった。
すなわち本発明は、表面層を構成する原子として炭素原子の代わりに窒素原子を含有させた表面層を設けた場合においても、良好な電子写真特性が得られることがわかった。
Figure 2004310140
* 光導電層の層厚30μmから第2の層領域の層厚を引いた値
** 波長680nmの光を70%吸収できる層厚
実施例−A4
図4に示す製造装置を用い、表−A13に示す条件で、表面層を構成する原子として窒素原子および酸素原子を含有させた。このとき、第IIIb族元素を含有するガス種としてB26を用い、シリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を調節した。表−A13の作製条件による光導電層のCh、Eg、Euはそれぞれ25原子%、1.82eV、55meVであった。
さらに、表−A13において、SiH4ガスとH2ガスとの混合比、SiH4ガスと放電電力との比率および支持体温度を種々変えることによって、実施例−A1と同様に、
(i)光導電層のChが10〜30原子%、Egが1.75〜1.85eV、Euが55〜65meVの種々の光受容部材、
(ii)光導電層のChが10〜20原子%、Egが1.75eV以下、Euが55meV以下の種々の光受容部材、
(iii)光導電層のChが25〜35原子%、Egが1.80eV以上、Euが55meV以下の種々の光受容部材を作製した。
作製した種々の光受容部材を実験例−A1と同様な評価を行ったところ、実験例−A1と同様に、帯電能、残留電位、温度特性、メモリー電位、感度の温度特性、感度の直線性および画像特性のいずれについても良好な結果が得られた。また、露光光源をLEDに代えて半導体レーザー(波長680nm)にした場合も同様に良好な結果が得られることがわかった。
すなわち、表面層を構成する原子として窒素原子および酸素原子を含有させた表面層を設けた場合においても、良好な電子写真特性が得られることがわかった。
Figure 2004310140
* 光導電層の層厚30μmから第2の層領域の層厚を引いた値
** 波長680nmの光を90%吸収できる層厚
実施例−A5
図4に示す製造装置を用い、表−A14に示す条件、すなわち電荷注入阻止層を形成せず、炭素源としてCH3ガスに代えてC22ガスを用いて炭素原子を含有する光導電層および表面層を形成して光受容層を作製した。このとき、第IIIb族元素を含有するガス種としてB26を用い、シリコン原子に対する第IIIb族元素の含有量を調節した。表−A14の作製条件による光導電層のCh、Eg、Euはそれぞれ22原子%、1.82eV、55meVであった。
さらに、表−A14において、SiH4ガスとH2ガスとの混合比、SiH4ガスと放電電力との比率および支持体温度を種々変えることによって、実施例−A1と同様に、
(i)光導電層のChが10〜30原子%、Egが1.75〜1.85eV、Euが55〜65meVの種々の光受容部材、
(ii)光導電層のChが10〜20原子%、Egが1.75eV以下、Euが55meV以下の種々の光受容部材、
(iii)光導電層のChが25〜35原子%、Egが1.80eV以上、Euが55meV以下の種々の光受容部材を作製した。
作製した種々の光受容部材を実験例−A1と同様な評価を行ったところ、実験例−A1と同様に、帯電能、残留電位、温度特性、メモリー電位、感度の温度特性、感度の直線性および画像特性のいずれについても良好な結果が得られた。また、露光光源をLEDに代えて半導体レーザー(波長680nm)にした場合も同様に良好な結果が得られることがわかった。
すなわち本発明は、電荷注入阻止層を設けず、炭素源のC22ガスを用いて炭素原子を含有する光導電層および表面層を形成した場合においても、良好な電子写真特性を得られることがわかった。
Figure 2004310140
* 光導電層の層厚30μmから第2の層領域の層厚を引いた値
** 波長680nmの光を70%吸収できる層厚
実施例−B1
図4に示すRF−PCVD法による光受容部材の製造装置を用い、直径80mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、電荷注入阻止層、光導電層および表面層を形成して光受容部材を作製した。表−B5にこのときの光受容部材の作製条件を示した。
本実施例では、光導電層の第1の層領域のCh、Eg、Euは、それぞれ26原子%、1.84eV、58meV、第2の層領域のCh、Eg、Euは、それぞれ19原子%、1.74eV、55meVであった。
光導電層における第IIIb族元素の含有量は、第1の層領域において2.0ppmの一定の含有量とし、第2の層領域においては像露光のピーク波長光の80%を吸収するに要する表面側からの層領域のみ0.4ppmとし他の領域は2.0ppmの一定の含有量とした。
作製した光受容部材について実験例−B1と同様な評価を行ったところ、帯電能、帯電能の温度特性、光メモリー、感度の温度特性、感度の直線性のいずれの特性も良好であった。また、作製した光受容部材を正帯電して画像評価をしたところ、画像上でも光メモリーは観測されず、その他の画像特性(ポチ、画像流れ)についても良好な電子写真特性が得られた。
すなわち、第1の層領域のCh、Eg、Euをそれぞれ20原子%以上30原子%未満、1.75〜1.85eV、55〜65meVとし、第2の層領域のCh、Eg、Euをそれぞれ10原子%以上25原子%未満、1.70〜1.80eV、55meV以下とすると共に、第2の層領域における、像露光のピーク波長光の70%以上を吸収するに要する表面側からの層領域の第IIIb族元素の含有量を第1の層領域より少なくすることによって良好な電子写真特性が得られることがわかった。
Figure 2004310140
* ピーク波長光の80%を吸収する層領域は0.4ppm、他の領域は2.0ppm
実施例−B2
図4に示すRF−PCVD法による光受容部材の製造装置を用い、直径80mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、電荷注入阻止層、光導電層および表面層を形成して光受容部材を作製した。本実施例では、電荷注入阻止層および光導電層の形成時の希釈ガスを実施例1のH2に代えてHeを使用し、表面層については、シリコン原子および炭素原子の含有量を層厚方向に不均一な分布状態とした。表−B6に、このときの光受容部材の作製条件を示した。
本実施例では、光導電層の第1の層領域のCh、Eg、Euは、それぞれ22原子%、1.78eV、61meV、第2の層領域のCh、Eg、Euは、それぞれ13原子%、1.72eV、55meVであった。
光導電層における第IIIb族元素の含有量は、第1の層領域において4.0ppmの一定の含有量とし、第2の層領域においては像露光ピーク波長光の80%を吸収するに要する表面側からの層領域のみ0.1ppmで他の領域は4.0ppmの一定の含有量とした。
作製した光受容部材を実施例−B1と同様な評価をしたところ、同様に良好な電子写真特性が得られた。すなわち、第1の層領域のCh、Eg、Euをそれぞれ20原子%以上30原子%未満、1.75〜1.85eV、55〜65meVとし、第2の層領域のCh、Eg、Euをそれぞれ10原子%以上25原子%未満、1.70〜1.80eV、55meV以下とすると共に、第2の層領域における、像露光のピーク波長光の70%以上を吸収するに要する表面側からの層領域の第IIIb族元素の含有量を第1の層領域より少なくすることによって良好な電子写真特性が得られることがわかった。
Figure 2004310140
* ピーク波長光の80%を吸収する層領域は0.4ppm、他の領域は4.0ppm
実施例−B3
図4に示すRF−PCVD法による光受容部材の製造装置を用い、直径80mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、電荷注入阻止層、光導電層および表面層を形成して光受容部材を作製した。本実施例では、表面層のシリコン原子および炭素原子の含有量を層厚方向に不均一な分布状態とするとともに、全ての層にフッ素原子、ホウ素原子、炭素原子、酸素原子および窒素原子を含有させた。表−B7に、このときの光受容部材の作製条件を示した。
本実施例では、光導電層の第1の層領域のCh、Eg、Euは、それぞれ29原子%、1.84eV、55meV、第2の層領域のCh、Eg、Euは、それぞれ15原子%、1.73eV、53meVであった。
光導電層における第IIIb族元素の含有量は、第1の層領域の支持体側の5.0ppmから、第2の層領域の最表面から露光波長の70%を吸収するに要する領域の最表面側で0.1ppmとなるように変化させた。変化の形は図5(d)のように層厚を等分して階段上に分布含有させた。
作製した光受容部材を実施例−B1と同様の評価をしたところ、同様に良好な電子写真特性が得られた。すなわち、光導電層中の第IIIb族元素の含有量を図5(d)のように膜厚を等分して階段状に変化させ、第1の層領域のCh、Eg、Euをそれぞれ20原子%以上30原子%未満、1.75〜1.85eV、55〜65meVとし、第2の層領域のCh、Eg、Euをそれぞれ10原子%以上25原子%未満、1.70〜1.80eV、55meV以下とすると共に、第2の層領域における、像露光のピーク波長光の70%以上を吸収するに要する表面側からの層領域の第IIIb族元素の含有量を第1の層領域より少なくすることによって良好な電子写真特性が得られることがわかった。
Figure 2004310140
実施例−B4
図4に示すRF−PCVD法による光受容部材の製造装置を用い、直径80mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、IR吸収層、電荷注入阻止層、光導電層および表面層を形成して光受容部材を作製した。IR吸収層は、支持体からの反射光による干渉模様の発生を防止するための光吸収層として支持体と電荷注入阻止層との間に設けた。また、表面層については、シリコン原子および炭素原子の含有量を層厚方向に不均一な分布状態とした。表−B8に、このときの光受容部材の作製条件を示した。
本実施例では、光導電層の第1の層領域のCh、Eg、Euは、それぞれ29原子%、1.83eV、53meV、第2の層領域のCh、Eg、Euは、それぞれ11原子%、1.71eV、53meVであった。
光導電層における第IIIb族元素の含有量は、第1の層領域の支持体側の8.0ppmから、第2の層領域の最表面から露光波長の70%を吸収するに要する領域の最表面側で0.1ppmとなるように変化させた。変化の形は図5(a)のように直線的な変化とした。
作製した光受容部材を実施例−B1と同様の評価をしたところ、同様に良好な電子写真特性が得られた。すなわち、光導電層中の第IIIb族元素の含有量を図5(a)のように直線的に変化させ、支持体側にIR吸収層を設け、且つ、第1の層領域のCh、Eg、Euをそれぞれ20原子%以上30原子%未満、1.75〜1.85eV、55〜65meVとし、第2の層領域のCh、Eg、Euをそれぞれ10原子%以上25原子%未満、1.70〜1.80eV、55meV以下とすると共に、第2の層領域における、像露光のピーク波長光の70%以上を吸収するに要する表面側からの層領域の第IIIb族元素の含有量を第1の層領域より少なくすることによって良好な電子写真特性が得られることがわかった。
Figure 2004310140
実施例−B5
図4に示すRF−PCVD法による光受容部材の製造装置を用い、直径80mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、電荷注入阻止層、光導電層および表面層を形成して光受容部材を作製した。本実施例では、シリコン原子および炭素原子の含有量を層厚方向に不均一な分布状態とした表面層を設けた。表−B9に、このときの光受容部材の作製条件を示した。
本実施例では、光導電層の第1の光導電領域のCh、Eg、Euは、それぞれ27原子%、1.82eV、58meV、第2の層領域のCh、Eg、Euは、それぞれ17原子%、1.76eV、54meVであった。
光導電層における第IIIb族元素の含有量は、第1の層領域の支持体側の6.0ppmから、第2の層領域の最表面から露光波長の85%を吸収するに要する領域の最表面側で0.5ppmとなるように変化させた。変化の形は図5(c)のように、第1の層領域で急峻に変化した後に最表面まで緩やかに滑らかな変化とした。
作製した光受容部材を実施例−B1と同様の評価をしたところ、同様に良好な電子写真特性が得られた。すなわち、第IIIb族元素の含有量を図5(c)のように第1の層領域で急峻に変化した後に最表面まで緩やかに滑らかに変化させ、第1の層領域のCh、Eg、Euをそれぞれ20原子%以上30原子%未満、1.75〜1.85eV、55〜65meVとし、第2の層領域のCh、Eg、Euをそれぞれ10原子%以上25原子%未満、1.70〜1.80eV、55meV以下とすると共に、第2の層領域における、像露光のピーク波長光の70%以上を吸収するに要する表面側からの層領域の第IIIb族元素の含有量を第1の層領域より少なくすることによって良好な電子写真特性が得られることがわかった。
Figure 2004310140
実施例−B6
図4に示すRF−PCVD法による光受容部材の製造装置を用い、直径80mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、電荷注入阻止層、光導電層、表面層を形成して光受容部材を作製した。表−B10にこのときの光受容部林の作製条件を示した。
本実験例では、光導電層の第1の層領域のCh、Eg、Euは、それぞれ27原子%、1.83eV、56meV、第2の層領域のCh、Eg、Euは、それぞれ22原子%、1.75eV、52meVであった。
光導電層における第IIIb族元素の含有量は、第1の層領域の支持体側の3.0ppmから、第2の層領域で1ppmにして、さらに最表面から露光波長の90%を吸収するに要する領域で0.3ppmとなるように変化させた。変化の形は図5(b)のように、第1の層領域で緩やかに変化した後、露光波長の90%を吸収するに要する領域で最表面まで急峻にかつ滑らかな変化とした。
作製した光受容部林を実施例−B1と同様の評価をしたところ、同様に良好な電子写真特性が得られた。すなわち、第IIIb族元素の含有量を図5(b)のように第1の層領域で緩やかに変化させた後に露光波長の90%を吸収するに要する領域で最表面まで急峻にかつ滑らかに変化させ、RF−PCVD法を用い、且つ、第1の層領域のCh、Eg、Euをそれぞれ20原子%以上30原子%未満、1.75〜1.85eV、55〜65meVとし、第2の層領域のCh、Eg、Euをそれぞれ10原子%以上25原子%未満、1.70〜1.80eV、55meV以下とすると共に、第2の層領域における、像露光のピーク波長光の70%以上を吸収するに要する表面側からの層領域の第IIIb族元素の含有量を第1の層領域より少なくすることによって良好な電子写真特性が得られることがわかった。
Figure 2004310140
実施例−B7
図4に示すRF−PCVD法による光受容部材の製造装置を用い、直径80mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、電荷注入阻止層、光導電層および表面層を形成して光受容部材を作製した。本実施例では、実施例−B6のH2に代えてHeを使用し、またSiF4を使用しなかった。また表面層を構成する原子として、炭素原子の代わりに窒素原子を含有させた表面層を設けた。表−B11にこのときの光受容部材の作製条件を示した。
本実施例では、光導電層の第1の光導電領域のCh、Eg、Euは、それぞれ23原子%、1.81eV、60meV、第2の層領域のCh、Eg、Euは、それぞれ20原子%、1.77eV、53meVであった。
光導電層における第IIIb族元素の含有量は、第1の層領域の支持体側の10.0ppmから、第2の層領域の最表面から露光波長の90%を吸収するに要する領域で1.0ppmとなるように変化させた。変化の形は図5(e)のように第1の層領域の支持体側で一定の部分を持ち、その後直線的に変化した後、露光波長の90%を吸収するに要する領域では一定になるような変化とした。
作製した光受容部材を実施例−B1と同様の評価をしたところ、同様に良好な電子写真特性が得られた。すなわち、第IIIb族元素の含有量を図5(e)のように第1の層領域の支持体側で一定の部分を持ち、その後直線的に変化した後、露光波長の90%を吸収するに要する領域で一定になるように変化させ、H2に代えてHeを使用し、表面層を構成する原子として炭素原子の代わりに窒素原子を含有させた表面層を設け、且つ、第1の層領域のCh、Eg、Euをそれぞれ20原子%以上30原子%未満、1.75〜1.85eV、55〜65meVとし、第2の層領域のCh、Eg、Euをそれぞれ10原子%以上25原子%未満、1.70〜1.80eV、55meV以下とすると共に、第2の層領域における、像露光のピーク波長光の70%以上を吸収するに要する表面側からの層領域の第IIIb族元素の含有量を第1の層領域より少なくすることによって良好な電子写真特性が得られることがわかった。
Figure 2004310140
実施例−B8
図4に示すRF−PCVD法による光受容部材の製造装置を用い、直径80mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、電荷注入阻止層、光導電層および表面層を形成して光受容部材を作製した。本実施例では、表面層に窒素原子および酸素原子を含有させた。表−B12にこのときの光受容部材の作製条件を示した。
本実施例では、光導電層の第1の層領域のCh、Eg、Euは、それぞれ24原子%、1.83eV、60meV、第2の層領域のCh、Eg、Euは、それぞれ17原子%、1.74eV、52meVであった。
光導電層における第IIIb族元素の含有量は、第1の層領域の支持体側の1.5ppmから、第2の層領域の最表面から露光波長の90%を吸収するに要する領域で0.2ppmとなるように変化させた。変化の形は図5(f)のように途中で勾配が変化する直線状の変化とした。
作製した光受容部材を実施例−B1と同様の評価をしたところ、同様に良好な電子写真特性が得られた。すなわち、第IIIb族元素の含有量を図5(f)のように途中で勾配が変化する直線状に変化させ、表面層に窒素原子および酸素原子を含有させた表面層を設け、且つ、第1の層領域のCh、Eg、Euをそれぞれ20原子%以上30原子%未満、1.75〜1.85eV、55〜65meVとし、第2の層領域のCh、Eg、Euをそれぞれ10原子%以上25原子%未満、1.70〜1.80eV、55meV以下とすると共に、第2の層領域における、像露光のピーク波長光の70%以上を吸収するに要する表面側からの層領域の第IIIb族元素の含有量を第1の層領域より少なくすることによって良好な電子写真特性が得られることがわかった。
Figure 2004310140
実施例−B9
図4に示すRF−PCVD法による光受容部材の製造装置を用い、直径80mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、電荷注入阻止層、光導電層、中間層および表面層を形成して光受容部材を作製した。本実施例では、H2に代えてHeを使用し、また光導電層と表面層との間に、炭素原子の含有量を表面層より減らした伝導性を制御する原子を含有させた中間層(上部阻止層)を設けた。表−B13にこのときの光受容部材の作製条件を示した。
本実施例では、光導電層の第1の層領域のCh、Eg、Euは、それぞれ29原子%、1.82eV、59meV、第2の層領域のCh、Eg、Euは、それぞれ24原子%、1.78eV、54meVであった。
光導電層における第IIIb族元素の含有量は、第1の層領域の支持体側の8.0ppmから、第2の層領域の最表面から露光波長の90%を吸収するに要する領域で0.1ppmとなるように変化させた。変化の形は図5(g)のように途中で勾配が変化する直線状の変化とした。
作製した光受容部材を実施例−B1と同様の評価をしたところ、同様に良好な電子写真特性が得られた。すなわち、第IIIb族元素の含有量を図5(g)のように途中で勾配が変化する直線状に変化させ、H2に代えてHeを使用し、伝導性を制御する原子を含有させた中間層(上部阻止層)を設け、且つ、第1の層領域のCh、Eg、Euをそれぞれ20原子%以上30原子%未満、1.75〜1.85eV、55〜65meVとし、第2の層領域のCh、Eg、Euをそれぞれ10原子%以上25原子%未満、1.70〜1.80eV、55meV以下とすると共に、第2の層領域における、像露光のピーク波長光の70%以上を吸収するに要する表面側からの層領域の第IIIb族元素の含有量を第1の層領域より少なくすることによって良好な電子写真特性が得られることがわかった。
Figure 2004310140
実施例−B10
図4に示すRF−PCVD法による光受容部材の製造装置を用い、直径80mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、光導電層および表面層を形成して光受容部材を作製した。本実施例では、電荷注入阻止層を設けず、炭素源としてC22ガスを用いて炭素原子を含有する第1の層領域、第2の層領域および表面層を形成した。表−B14に、このときの光受容部材の作製条件を示した。
本実施例では、光導電層の第1の層領域のCh、Eg、Euは、それぞれ25原子%、1.78eV、58meV、第2の層領域のCh、Eg、Euは、それぞれ17原子%、1.74eV、54meVであった。
光導電層における第IIIb族元素の含有量は、第1の層領域の支持体側の20ppmから、第2の層領域の最表面から露光波長の85%を吸収するに要する領域の最表面で0.3ppmとなるように変化させた。変化の形は直線的に表−B14に記載の値を結ぶように変化させた。
作製した光受容部材を実施例−B1と同様の評価をしたところ、同様に良好な電子写真特性が得られた。すなわち、第IIIb族元素の含有量を多段階の直線的に変化させ、電荷注入阻止層を設けず、炭素源としてC22ガスを用いて炭素原子を含有する光導電層および表面層を形成し、且つ、第1の層領域のCh、Eg、Euをそれぞれ20原子%以上30原子%未満、1.75〜1.85eV、55〜65meVとし、第2の層領域のCh、Eg、Euをそれぞれ10原子%以上25原子%未満、1.70〜1.80eV、55meV以下とすると共に、第2の層領域における、像露光のピーク波長光の70%以上を吸収するに要する表面側からの層領域の第IIIb族元素の含有量を第1の層領域より少なくすることによって良好な電子写真特性が得られることがわかった。
Figure 2004310140
実施例−B11
図4に示すRF−PCVD法による光受容部材の製造装置を用い、直径80mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、電荷注入阻止層、光導電層および表面層を形成して光受容部材を作製した。表−B15にこのときの光受容部材の作製条件を示した。
本実施例では、光導電層の第1の層領域のCh、Eg、Euは、それぞれ31原子%、1.86eV、54meV、第2の層領域のCh、Eg、Euは、それぞれ17原子%、1.73eV、54meVであった。
光導電層における第IIIb族元素の含有量は、第1の層領域の支持体側から2.0ppmの一定の含有量とし、第2の層領域においては像露光のピーク波長光の80%を吸収するに要する表面側からの層領域のみ0.4ppmで他の領域は2.0ppmの一定の含有量とした。
作製した光受容部材について実験例−B1と同様な評価を行ったところ、帯電能、帯電能の温度特性、光メモリー、感度の温度特性、感度の直線性のいずれの特性も良好であった。また、作製した光受容部材を正帯電して画像評価をしたところ、画像上でも光メモリーは観測されず、その他の画像特性(ポチ、画像流れ)についても良好な電子写真特性が得られた。
すなわち、第1の層領域のCh、Eg、Euをそれぞれ25原子%以上40原子%未満、1.80〜1.90eV、55meV以下とし、第2の層領域のCh、Eg、Euをそれぞれ10原子%以上25原子%未満、1.70〜1.80eV、55meV以下とすると共に、第2の層領域における、像露光のピーク波長光の70%以上を吸収するに要する表面側からの層領域の第IIIb族元素の含有量を第1の層領域より少なくすることによって良好な電子写真特性が得られることがわかった。
Figure 2004310140
*ピーク波長光の80%を吸収する層領域が0.4ppm、他の領域は2.0ppm
実施例−B12
図4に示すRF−PCVD法による光受容部材の製造装置を用い、直径80mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、電荷注入阻止層、光導電層および表面層を形成して光受容部材を作製した。本実施例では、H2に代えてHeを使用し、表面層のシリコン原子および炭素原子の含有量を層厚方向に不均一な分布状態とした。表−B16に、このときの光受容部材の作製条件を示した。
本実施例では、光導電層の第1の層領域のCh、Eg、Euは、それぞれ28原子%、1.84eV、55meV、第2の層領域のCh、Eg、Euは、それぞれ12原子%、1.72eV、53meVであった。
光導電層における第IIIb族元素の含有量は、第1の層領域の支持体側から6.5ppmの一定の含有量とし、第2の層領域においては像露光のピーク波長光の80%を吸収するに要する表面側からの層領域のみ0.1ppmで他の領域は6.5ppmの一定の含有量とした。
作製した光受容部材を実施例−B1と同様な評価をしたところ、同様に良好な電子写真特性が得られた。すなわち、第1の層領域のCh、Eg、Euをそれぞれ25原子%以上40原子%未満、1.80〜1.90eV、55meV以下とし、第2の層領域のCh、Eg、Euをそれぞれ10原子%以上25原子%未満、1.70〜1.80eV、55meV以下とすると共に、第2の層領域における、像露光のピーク波長光の70%以上を吸収するに要する表面側からの層領域の第IIIb族元素の含有量を第1の層領域より少なくすることによって良好な電子写真特性が得られることがわかった。
Figure 2004310140
*ピーク波長光の80%を吸収する層領域は0.1ppm、他の領域は6.5ppm
実施例−B13
図4に示すRF−PCVD法による光受容部材の製造装置を用い、直径80mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、電荷注入阻止層、光導電層および表面層を形成して光受容部材を作製した。本実施例では、表面層のシリコン原子および炭素原子の含有量を層厚方向に不均一な分布状態とるとともに、全ての層にフッ素原子、ホウ素原子、炭素原子、酸素原子および窒素原子を含有させた。表−B17に、このときの光受容部材の作製条件を示した。
本実施例では、光導電層の第1の層領域のCh、Eg、Euは、それぞれ35原子%、1.86eV、55meV、第2の層領域のCh、Eg、Euは、それぞれ14原子%、1.73eV、54meVであった。
光導電層における第IIIb族元素の含有量は、第1の層領域の支持体側の8.0ppmから、第2の層領域の最表面から露光波長の70%を吸収するに要する領域の最表面側で0.2ppmとなるように変化させた。変化の形は図5(d)のように膜厚を等分して階段上に分布含有させた。
作製した光受容部材を実施例−B1と同様の評価をしたところ、同様に良好な電子写真特性が得られた。すなわち、光導電層中の第IIIb族元素の含有量を図5(d)のように膜厚を等分して階段状に変化させ、且つ、第1の層領域のCh、Eg、Euをそれぞれ25原子%以上40原子%未満、1.80〜1.90eV、55meV以下とし、第2の層領域のCh、Eg、Euをそれぞれ10原子%以上25原子%未満、1.70〜1.80eV、55meV以下とすると共に、第2の層領域における、像露光のピーク波長光の70%以上を吸収するに要する表面側からの層領域の第IIIb族元素の含有量を第1の層領域より少なくすることによって良好な電子写真特性が得られることがわかった。
Figure 2004310140
実施例−B14
図4に示すRF−PCVD法による光受容部材の製造装置を用い、直径80mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、IR吸収層、電荷注入阻止層、光導電層および表面層を形成して光受容部材を作製した。IR吸収層は、支持体からの反射光による干渉模様の発生を防止するための光吸収層として支持体と電荷注入阻止層との間に設けた。また、表面層については、シリコン原子および炭素原子の含有量を層厚方向に不均一な分布状態とした。表−B18に、このときの光受容部材の作製条件を示した。
本実施例では、光導電層の第1の層領域のCh、Eg、Euは、それぞれ29原子%、1.83eV、53meV、第2の層領域のCh、Eg、Euは、それぞれ11原子%、1.71eV、53meVであった。
光導電層における第IIIb族元素の含有量は、第1の層領域の支持体側の10.0ppmから、第2の層領域の最表面から露光波長の70%を吸収するに要する領域の最表面側で0.15ppmとなるように変化させた。変化の形は図5(a)のように直線的な変化とした。
作製した光受容部材を実施例−B1と同様の評価をしたところ、同様に良好な電子写真特性が得られた。すなわち、光導電層中の第IIIb族元素の含有量を図5(a)のように直線的に変化させ、支持体側にIR吸収層を設け、且つ、第1の層領域のCh、Eg、Euをそれぞれ25原子%以上40原子%未満、1.80〜1.90eV、55meV以下とし、第2の層領域のCh、Eg、Euをそれぞれ10原子%以上25原子%未満、1.70〜1.80eV、55meV以下とすると共に、第2の層領域における、像露光のピーク波長光の70%以上を吸収するに要する表面側からの層領域の第IIIb族元素の含有量を第1の層領域より少なくすることによって良好な電子写真特性が得られることがわかった。
Figure 2004310140
実施例−B15
図4に示すRF−PCVD法による光受容部材の製造装置を用い、直径80mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、電荷注入阻止層、光導電層および表面層を形成して光受容部材を作製した。本実施例では、シリコン原子および炭素原子の含有量を層厚方向に不均一な分布状態とした表面層を設けた。表−B19に、このときの光受容部材の作製条件を示した。
本実施例では、光導電層の第1の層領域のCh、Eg、Euは、それぞれ35原子%、1.88eV、55meV、第2の層領域のCh、Eg、Euは、それぞれ19原子%、1.77eV、54meVであった。
光導電層における第IIIb族元素の含有量は、第1の層領域の支持体側の8.5ppmから、第2の層領域の最表面から露光波長の85%を吸収するに要する領域の最表面側で0.5ppmとなるように変化させた。変化の形は図5(c)のように第1の層領域で急峻に変化した後に最表面まで緩やかに滑らかな変化とした。
作製した光受容部材を実施例−B1と同様の評価をしたところ、同様に良好な電子写真特性が得られた。すなわち、第IIIb族元素の含有量を図5(c)のように第1の層領域で急峻に変化した後に最表面まで緩やかに滑らかに変化させ、且つ、第1の層領域のCh、Eg、Euをそれぞれ25原子%以上40原子%未満、1.80〜1.90eV、55meV以下とし、第2の層領域のCh、Eg、Euをそれぞれ10原子%以上25原子%未満、1.70〜1.80eV、55meV以下とすると共に、第2の層領域における、像露光のピーク波長光の70%以上を吸収するに要する表面側からの層領域の第IIIb族元素の含有量を第1の層領域より少なくすることによって良好な電子写真特性が得られることがわかった。
Figure 2004310140
実施例−B16
図4に示すRF−PCVD法による光受容部材の製造装置を用い、直径80mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、電荷注入阻止層、光導電層および表面層を形成して光受容部材を作製した。表−B20にこのときの光受容部材の作製条件を示した。
本実施例では、光導電層の第1の層領域のCh、Eg、Euは、それぞれ26原子%、1.82eV、52meV、第2の層領域のCh、Eg、Euは、それぞれ12原子%、1.71eV、51meVであった。
光導電層第IIIb族元素の含有量は、第1の層領域の支持体側の4.0ppmから、第2の層領域で2.7ppmとし、さらに最表面から露光波長の90%を吸収するに要する領域で0.25ppmとなるように変化させた。変化の形は図5(b)のように、第1の層領域で緩やかに変化した後、露光波長の90%を吸収するに要する領域で最表面まで急峻にかつ滑らかな変化とした。
作製した光受容部材を実施例−B1と同様の評価をしたところ、同様に良好な電子写真特性が得られた。すなわち、第IIIb族元素の含有量を図5(b)のように第1の層領域で緩やかに変化した後に露光波長の90%を吸収するに要する領域で最表面まで急峻にかつ滑らかに変化させ、RF−PCVD法を用い、且つ、第1の層領域のCh、Eg、Euをそれぞれ25原子%以上40原子%未満、1.80〜1.90eV、55meV以下とし、第2の層領域のCh、Eg、Euをそれぞれ10原子%以上25原子%未満、1.70〜1.80eV、55meV以下とすると共に、第2の層領域における、像露光のピーク波長光の70%以上を吸収するに要する表面側からの層領域の第IIIb族元素の含有量を第1の層領域より少なくすることによって良好な電子写真特性が得られることがわかった。
Figure 2004310140
実施例−B17
図4に示すRF−PCVD法による光受容部材の製造装置を用い、直径80mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、電荷注入阻止層、光導電層および表面層を形成して光受容部材を作製した。本実施例では、実施例−B16のH2に代えてHeを使用し、またSiF4を使用しなかった。また表面層を構成する原子として、炭素原子の代わりに窒素原子を含有させた表面層を設けた。表−B21にこのときの光受容部材の作製条件を示した。
本実施例では、光導電層の第1の層領域のCh、Eg、Euは、それぞれ33原子%、1.88eV、55meV、第2の層領域のCh、Eg、Euは、それぞれ18原子%、1.74eV、54meVであった。
光導電層における第IIIb族元素の含有量は、第1の層領域の支持体側の12.0ppmから、第2の層領域の最表面から露光波長の90%を吸収するに要する領域で0.5ppmとなるように変化させた。変化の形は図5(e)のように第1の層領域の支持体側で一定の部分を持ち、その後直線的に変化した後、露光波長の90%を吸収するに要する領域では一定になるような変化とした。
作製した光受容部材を実施例−B1と同様の評価をしたところ、同様に良好な電子写真特性が得られた。すなわち、第IIIb族元素の含有量を図5(e)のように第1の層領域の支持体側で一定の部分を持ち、その後直線的に変化した後、露光波長の90%を吸収するに要する領域で一定になるように変化させ、H2に代えてHeを使用し、表面層を構成する原子として炭素原子の代わりに窒素原子を含有させた表面層を設け、且つ、第1の層領域のCh、Eg、Euをそれぞれ25原子%以上40原子%未満、1.80〜1.90eV、55meV以下とし、第2の層領域のCh、Eg、Euをそれぞれ10原子%以上25原子%未満、1.70〜1.80eV、55meV以下とすると共に、第2の層領域における、像露光のピーク波長光の70%以上を吸収するに要する表面側からの層領域の第IIIb族元素の含有量を第1の層領域より少なくすることによって良好な電子写真特性が得られることがわかった。
Figure 2004310140
実施例−B18
図4に示すRF−PCVD法による光受容部材の製造装置を用い、直径80mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、電荷注入阻止層、光導電層および表面層を形成して光受容部材を作製した。本実施例では、表面層に窒素原子および酸素原子を含有させた。表−B22にこのときの光受容部材の作製条件を示した。
本実施例では、光導電層の第1の層領域のCh、Eg、Euは、それぞれ26原子%、1.82eV、52meV、第2の層領域のCh、Eg、Euは、それぞれ12原子%、1.72eV、52meVであった。
光導電層における第IIIb族元素の含有量は、第1の層領域の支持体側の4.5ppmから、第2の層領域の最表面から露光波長の90%を吸収するに要する領域で0.1ppmとなるように変化させた。変化の形は図5(f)のように途中で勾配が変化する直線状の変化とした。
作製した光受容部林を実施例−B1と同様の評価をしたところ、同様に良好な電子写真特性が得られた。すなわち、第IIIb族元素の含有量を図5(f)のように途中で勾配が変化する直線状に変化させ、表面層に窒素原子および酸素原子を含有させた表面層を設け、且つ、第1の層領域のCh、Eg、Euをそれぞれ25原子%以上40原子%未満、1.80〜1.90eV、55meV以下とし、第2の層領域のCh、Eg、Euをそれぞれ10原子%以上25原子%未満、1.70〜1.80eV、55meV以下とすると共に、第2の層領域における、像露光のピーク波長光の70%以上を吸収するに要する表面側からの層領域の第IIIb族元素の含有量を第1の層領域より少なくすることによって良好な電子写真特性が得られることがわかった。
Figure 2004310140
実施例−B19
図4に示すRF−PCVD法による光受容部材の製造装置を用い、直径80mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、電荷注入阻止層、光導電層、中間層および表面層を形成して光受容部材を作製した。本実施例では、H2に代えてHeを使用し、また光導電層と表面層との間に、炭素原子の含有量を表面層より減らした伝導性を制御する原子を含有させた中間層(上部阻止層)を設けた。表−B23にこのときの光受容部材の作製条件を示した。
本実施例では、光導電層の第1の層領域のCh、Eg、Euは、それぞれ38原子%、1.88eV、55meV、第2の層領域のCh、Eg、Euは、それぞれ22原子%、1.74eV、54meVであった。
光導電層における第IIIb族元素の含有量は、第1の層領域の支持体側の9.5ppmから、第2の層領域の最表面から露光波長の90%を吸収するに要する領域で0.15ppmとなるように変化させた。変化の形は図5(g)のように途中で勾配が変化する直線状の変化とした。
作製した光受容部林を実施例−B1と同様の評価をしたところ、同様に良好な電子写真特性が得られた。すなわち、第IIIb族元素の含有量を図5(g)のように途中で勾配が変化する直線状に変化させ、H2に代えてHeを使用し、伝導性を制御する原子を含有させた中間層(上部阻止層)を設け、且つ、第1の層領域のCh、Eg、Euをそれぞれ25原子%以上40原子%未満、1.80〜1.90eV、55meV以下とし、第2の層領域のCh、Eg、Euをそれぞれ10原子%以上25原子%未満、1.70〜1.80eV、55meV以下とすると共に、第2の層領域における、像露光のピーク波長光の70%以上を吸収するに要する表面側からの層領域の第IIIb族元素の含有量を第1の層領域より少なくすることによって良好な電子写真特性が得られることがわかった。
Figure 2004310140
実施例−B20
図4に示すRF−PCVD法による光受容部材の製造装置を用い、直径80mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、光導電層および表面層を形成して光受容部材を作製した。本実施例では、電荷注入阻止層を設けず、炭素源としてC22ガスを用いて炭素原子を含有する第1の層領域、第2の層領域および表面層を形成した。表−B24に、このときの光受容部林の作製条件を示した。
本実施例では、光導電層の第1の層領域のCh、Eg、Euは、それぞれ26原子%、1.81eV、52meV、第2の層領域のCh、Eg、Euは、それぞれ19原子%、1.75eV、55meVであった。
光導電層における第IIIb族元素の含有量は、第1の層領域の支持体側の22ppmから、第2の層領域の最表面から露光波長の85%を吸収するに要する領域の最表面で0.25ppmとなるように変化させた。変化の形は直線的に表−B14に記載の値を結ぶように変化させた。
作製した光受容部材を実施例−B1と同様の評価をしたところ、同様に良好な電子写真特性が得られた。すなわち、第IIIb族元素の含有量を多段階の直線的に変化させ、電荷注入阻止層を設けず、炭素源としてC22ガスを用いて炭素原子を含有する光導電層および表面層を形成し、且つ、第1の層領域のCh、Eg、Euをそれぞれ25原子%以上40原子%未満、1.80〜1.90eV、55meV以下とし、第2の層領域のCh、Eg、Euをそれぞれ10原子%以上25原子%未満、1.70〜1.80eV、55meV以下とすると共に、第2の層領域における、像露光のピーク波長光の70%以上を吸収するに要する表面側からの層領域の第IIIb族元素の含有量を第1の層領域より少なくすることによって良好な電子写真特性が得られることがわかった。
Figure 2004310140
本発明の電子写真用光受容部材の層構成の模式的説明図である。 本発明における指数関数裾の特性エネルギーを説明するためのアモルファスシリコンのサブバンドギャップ光吸収スペクトルの一例を示す説明図である。 本発明における感度の温度特性および感度の直線性を説明するためのアモルファスシリコン感光体の露光量−表面電位曲線の一例を示す説明図である。 本発明の電子写真用光受容部材の製造装置の一例であり、RF帯の高周波電源を用いた高周波プラズマCVD法による光受容部材の製造装置の模式的構成図である。 本発明の電子写真用光受容部材の光導電層における周期律表第IIIb族元素の分布状態の模式的説明図である。 本発明の電子写真用光受容部材における光導電層の第2の層領域の光学的バンドギャップ(Eg)及び指数関数裾の特性エネルギー(Eu)と帯電能との関係を示す図である。 本発明の電子写真用光受容部材における光導電層の第2の層領域の光学的バンドギャップ(Eg)及び指数関数裾の特性エネルギー(Eu)と帯電能の温度特性との関係を示す図である。 本発明の電子写真用光受容部材における光導電層の第2の層領域の光学的バンドギャップ(Eg)及び指数関数裾の特性エネルギー(Eu)と光メモリーとの関係を示す図である。 本発明の電子写真用光受容部材における光導電層の第2の層領域の光学的バンドギャップ(Eg)及び指数関数裾の特性エネルギー(Eu)と感度の温度特性との関係を示す図である。 本発明の電子写真用光受容部材における光導電層の第2の層領域の光学的バンドギャップ(Eg)及び指数関数裾の特性エネルギー(Eu)と感度の直線性との関係を示す図である。 本発明の電子写真用光受容部材における光導電層の第2の層領域の層厚と、光吸収率による周期律表第IIIb族元素の含有量制御範囲と、帯電能との関係を示す図である。 本発明の電子写真用光受容部材における光導電層の第2の層領域の層厚と、光吸収率による周期律表第IIIb族元素の含有量制御範囲と、帯電能の温度特性との関係を示す図である。 本発明の電子写真用光受容部材における光導電層の第2の層領域の層厚と、光吸収率による周期律表第IIIb族元素の含有量制御範囲と、光メモリーとの関係を示す図である。 本発明の電子写真用光受容部材における光導電層の第2の層領域の層厚と、光吸収率による周期律表第IIIb族元素の含有量制御範囲と、感度の温度特性との関係を示す図である。 本発明の電子写真用光受容部材における光導電層の第2の層領域の層厚と、光吸収率による周期律表第IIIb族元素の含有量制御範囲と、感度の直線性との関係を示す図である。
符号の説明
101 支持体
102 光受容層
103 光導電層
104 表面層
105 電荷注入阻止層
110 自由表面
4100 堆積装置
4111 反応容器
4112 円筒状支持体
4113 支持体加熱用ヒーター
4114 原料ガス導入管
4115 マッチングボックス
4116 原料ガス配管
4117 反応容器リークバルブ
4118 メイン排気バルブ
4119 真空計
4200 原料ガス供給装置
4211〜4216 マスフローコントローラー
4221〜4226 原料ガスボンベ
4231〜4236 原料ガスボンベバルブ
4241〜4246 ガス流入バルブ
4251〜4256 ガス流出バルブ
4261〜4266 圧力調整器

Claims (15)

  1. 導電性支持体上に、水素原子または/及びハロゲン原子と周期律表第IIIb族の少なくとも一種の元素を含有しシリコン原子を母体とする非単結晶材料で構成された光導電層を少なくとも有する電子写真用光受容部材において、水素原子または/及びハロゲン原子の含有量が20〜30原子%、光学的バンドギャップが1.75〜1.85eV、光吸収スペクトルの指数関数裾から得られる特性エネルギーが55〜65meVである支持体側の第1の層領域と、水素原子または/及びハロゲン原子の含有量が10〜25原子%、光学的バンドギャップが1.70〜1.80eV、光吸収スペクトルの指数関数裾から得られる特性エネルギーが55meV以下である表面側の第2の層領域を前記光導電層が有し、第2の層領域の光学的バンドギャップが第1の層領域より小さく、且つ、第2の層領域の周期律表第IIIb族元素の含有量が第1の層領域より少ないことを特徴とする電子写真用光受容部材。
  2. 導電性支持体上に、水素原子または/及びハロゲン原子と周期律表第IIIb族の少なくとも一種の元素を含有しシリコン原子を母体とする非単結晶材料で構成された光導電層を少なくとも有する電子写真用光受容部材において、水素原子または/及びハロゲン原子の含有量が25〜40原子%、光学的バンドギャップが1.80〜1.90eV、光吸収スペクトルの指数関数裾から得られる特性エネルギーが55meV以下である支持体側の第1の層領域と、水素原子または/及びハロゲン原子の含有量が10〜25原子%、光学的バンドギャップが1.70〜1.80eV、光吸収スペクトルの指数関数裾から得られる特性エネルギーが55meV以下である表面側の第2の層領域を前記光導電層が有し、第2の層領域の光学的バンドギャップが第1の層領域より小さく、且つ、第2の層領域の周期律表第IIIb族元素の含有量が第1の層領域より少ないことを特徴とする電子写真用光受容部材。
  3. 第1の層領域の周期律表第IIIb族元素の含有量がシリコン原子に対して0.2〜30ppmである請求項1記載の電子写真用光受容部材。
  4. 第1の層領域の周期律表第IIIb族元素の含有量がシリコン原子に対して0.2〜25ppmである請求項2記載の電子写真用光受容部材。
  5. 第2の層領域の周期律表第IIIb族元素の含有量がシリコン原子に対して0.01〜10ppmである請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真用光受容部材。
  6. 第2の層領域における、像露光のピーク波長光を70%以上吸収するに要する表面側からの層領域の周期律表第IIIb族元素の含有量が、シリコン原子に対して0.01〜5ppmである請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真用光受容部材。
  7. 第2の層領域が、像露光のピーク波長光を80〜95%吸収する層領域である請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子写真用光受容部材。
  8. 光導電層の全層厚に対する、第2の層領域の層厚の比が0.05〜0.5である請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子写真用光受容部材。
  9. 光導電層における周期律表第IIIb族元素の含有量が、支持体側から表面側へ向かって減少している請求項1〜8のいずれかに1項に記載の電子写真用光受容部材。
  10. 光導電層中に、炭素、酸素、窒素の少なくとも一種の元素を含有する請求項1〜9のいずれか1項に記載の電子写真用光受容部材。
  11. 光導電層の厚さが20〜50μmである請求項1〜10のいずれか1項に記載の電子写真用光受容部材。
  12. 炭素、酸素、窒素の少なくとも一種の元素を含有しシリコン原子を母体とする非単結晶材料で構成された表面層を有する請求項1〜11のいずれか1項に記載の電子写真用光受容部材。
  13. 表面層の厚さが0.01〜3μmである請求項12記載の電子写真用光受容部材。
  14. 水素原子または/及びハロゲン原子と、炭素、酸素、窒素の少なくとも一種の元素と、周期律表第IIIb族または第Vb族の少なくとも一種の元素を含有しシリコン原子を母体とする非単結晶材料で構成された電荷注入阻止層を有し、該電荷注入阻止層上に光導電層が設けられた請求項1〜13のいずれか1項に記載の電子写真用光受容部材。
  15. 電荷注入阻止層の厚さが0.1〜5μmである請求項14記載の電子写真用光受容部材。
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