JP5081199B2 - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

電子写真感光体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5081199B2
JP5081199B2 JP2009160400A JP2009160400A JP5081199B2 JP 5081199 B2 JP5081199 B2 JP 5081199B2 JP 2009160400 A JP2009160400 A JP 2009160400A JP 2009160400 A JP2009160400 A JP 2009160400A JP 5081199 B2 JP5081199 B2 JP 5081199B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
surface layer
layer
photosensitive member
electrophotographic photosensitive
reaction vessel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2009160400A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010049240A (ja
Inventor
智仁 小澤
和敬 秋山
悠 西村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2009160400A priority Critical patent/JP5081199B2/ja
Priority to US12/505,698 priority patent/US8168365B2/en
Publication of JP2010049240A publication Critical patent/JP2010049240A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5081199B2 publication Critical patent/JP5081199B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G5/00Recording members for original recording by exposure, e.g. to light, to heat, to electrons; Manufacture thereof; Selection of materials therefor
    • G03G5/02Charge-receiving layers
    • G03G5/04Photoconductive layers; Charge-generation layers or charge-transporting layers; Additives therefor; Binders therefor
    • G03G5/08Photoconductive layers; Charge-generation layers or charge-transporting layers; Additives therefor; Binders therefor characterised by the photoconductive material being inorganic
    • G03G5/082Photoconductive layers; Charge-generation layers or charge-transporting layers; Additives therefor; Binders therefor characterised by the photoconductive material being inorganic and not being incorporated in a bonding material, e.g. vacuum deposited
    • G03G5/08214Silicon-based
    • G03G5/08235Silicon-based comprising three or four silicon-based layers
    • G03G5/08242Silicon-based comprising three or four silicon-based layers at least one with varying composition
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G5/00Recording members for original recording by exposure, e.g. to light, to heat, to electrons; Manufacture thereof; Selection of materials therefor
    • G03G5/02Charge-receiving layers
    • G03G5/04Photoconductive layers; Charge-generation layers or charge-transporting layers; Additives therefor; Binders therefor
    • G03G5/08Photoconductive layers; Charge-generation layers or charge-transporting layers; Additives therefor; Binders therefor characterised by the photoconductive material being inorganic
    • G03G5/082Photoconductive layers; Charge-generation layers or charge-transporting layers; Additives therefor; Binders therefor characterised by the photoconductive material being inorganic and not being incorporated in a bonding material, e.g. vacuum deposited
    • G03G5/08214Silicon-based
    • G03G5/08278Depositing methods

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)

Description

本発明は、複写機、プリンター、ファックスなどの電子写真プロセスを利用した画像形成装置(電子写真装置)に適用可能な、アモルファスシリコン(以下「a−Si」とも表記する。)で構成された光導電層(以下「a−Si光導電層」とも表記する。)を有する電子写真感光体(以下「a−Si感光体」とも表記する。)を製造する方法に関する。
導電性基体(以下単に「基体」とも表記する。)上に非晶質材料で構成された光導電層(感光層)を形成してなる電子写真感光体は広く知られている。特に、金属などの基体上に化学気相成長法(CVD法)、物理気相成長法(PVD法)などの成膜技術(層形成技術)により形成された光導電層を有するa−Si感光体がすでに製品化されている。
このようなa−Si感光体の基本構成としては、図5(a)に示すようなプラス帯電用a−Si感光体5000の構成と、図5(b)に示すようなマイナス帯電用a−Si感光体5100の構成が知られている。
プラス帯電用a−Si感光体5000は、導電性基体5001にa−Siで構成された光受容層5002を形成し、さらに水素化アモルファスシリコンカーバイド(以下「a−SiC」とも表記する。)で構成された表面層5005を積層した層構成となっている。光受容層5002は、下部電荷注入阻止層5003と光導電層5004との積層構造であってもよい。
また、マイナス帯電用a−Si感光体5100は、導電性基体5101上にa−Siで構成された光受容層5102を形成し、さらにa−SiCで構成された表面層5105を積層した層構成となっている。光受容層5102は、下部電荷注入阻止層5103と光導電層5104と上部電荷注入阻止層5110との積層構造であってもよい。
a−SiC表面層は耐摩耗性に優れていることから、主にプロセススピードの速い電子写真装置で用いられてきた。しかし、従来のa−SiCで構成された表面層(以下「a−SiC表面層」とも表記する。)は、絶対湿度の高い環境下で使用した場合に、文字がぼける、または、文字が印字されずに白抜けが生じる場合があった(以下「高湿流れ」とも表記する。)。
高湿流れとは、以下のような現象である。
すなわち、絶対湿度の高い環境下に設置された電子写真装置を用いて画像を出力し、しばらく時間をあけた後、再び画像を出力する。このとき出力される画像において、文字がぼける、または、文字が印字されずに白抜けが生じるという画像不良のことである。
この高湿流れは、電子写真感光体の表面に水分が吸着することによって表面の抵抗が低下し、電荷が横流れを起こすために発生すると考えられている。そのため、電子写真装置が設置されている環境の絶対湿度が高い場合や、a−Si感光体の近傍に設けた感光体加熱用ヒーターを使用しない場合に、より発生しやすくなる。そのため、この高湿流れの発生を抑えるために、常時、感光体加熱用ヒーターにより電子写真感光体を加熱し、高湿流れの原因とされる電子写真感光体の表面に吸着した帯電生成物や水分を低減または除去することが行われてきた。
これに対し、従来から感光体加熱用ヒーター以外の方法で、高湿流れを抑制するための電子写真プロセスが数多く提案されている。
また、帯電生成物や水分の吸着低減および除去効率向上による高湿流れの抑制を目的としたa−Si感光体やその製造方法も数多く提案されている。
特許文献1には、光導電層上に積層されたa−SiCからなる表面層の元素比率を組成式a−Si1−x:Hと表したx値表示で0.95≦x<1.00とし、かつ、その自由表面の動的押し込み硬さを45〜220kgf/mmとする技術が開示されている。
この技術によれば、x値を0.95以上とすることで硬度が小さくなり削れやすくなる。その結果、表面層の表面の酸化変質部とともに表面に吸着した帯電生成物や水分などの吸着物質を除去可能となるため、高湿流れの抑制が可能となった。
特許文献2には、基体上にa−Si光導電層とa−SiC表面層が順次積層されたマイナス帯電用a−Si感光体の、表面層中の炭素原子を積層方向で不均一に分布させ、表面以外の領域で炭素原子含有量が極大値を有するように構成する技術が開示されている。
この技術によれば、炭素原子含有量が極大値となる領域の最表面側近傍で光キャリアと表面電荷の再結合が行われるために、表面に吸着した帯電生成物の影響を受けなくなり、高湿流れの抑制が可能となった。
特開平9−204056号公報 特開2002−123020号公報
近年、市場では、電子写真装置の高速化およびカラー化が進み、従来に比べ、さらに摩耗しやすい電子写真プロセスへと変化してきている。また、高速化やカラー化に伴い、高画質な画像を安定して出力可能な電子写真装置も求められている。さらに、環境問題への関心も高く、電子写真装置の消費電力低減による省エネルギー性の向上も求められている。
これらの市場要求に対し、電子写真装置における改善も必要ではある。同時に、良好な耐摩耗性を維持しつつ、高湿流れを改善し、さらに、省エネルギー性にも優れた電子写真感光体も必要となっている。
しかしながら、特許文献1においては、高湿流れの発生を抑制するためには、電子写真感光体の表面に形成された酸化層やこの酸化層に吸着した水分や帯電生成物に代表される高湿流れの原因となる吸着物質を取り除くため、一定以上の摩耗量が必要であった。
また、特許文献1の技術を使用しない場合は、電子写真感光体の近傍に感光体加熱用ヒーターを設けることで電子写真感光体の表面に吸着した水分を除去し、摩耗量を抑えつつ高湿流れの抑制を可能としてきた。
しかしながら、感光体加熱用ヒーターは多量な電力を必要とすることから、感光体加熱用ヒーターを使用する場合、消費電力の削減を実現することは困難である。
以上のことから、従来の電子写真感光体および電子写真装置において、高湿流れを抑制しつつ、耐摩耗性向上と消費電力低減の両立を実現することは非常に困難な課題であった。
また、a−SiC表面層において、高湿流れ抑制のためには、吸着物質の吸着性を左右するa−SiC表面層の酸化を抑制することが極めて重要である。また、耐摩耗性を向上させるためには、a−SiC表面層の硬度を向上させることが必要である。そのため、高湿流れ抑制と耐摩耗性向上を両立するためには、表面層を構成するa−SiC自体の緻密性を向上させることが必要となる。
このような緻密性の高いa−SiC表面層を実現するための製造方法としては、原料ガスの分解を促進させることが考えられる。その具体的な手段として、反応容器内に導入する高周波電力を従来よりも増加すること、あるいは、原料ガスの供給量を減少させることが考えられる。
しかしながら、単純に反応容器内に導入する高周波電力を従来よりも増加するだけでは、表面層中のケイ素原子の原子数と炭素原子の原子数の和に対する炭素原子の原子数の比(以下「C/(Si+C)」とも表記する。)が増加し、a−SiC表面層での光吸収が増加する場合があった。このような場合、静電潜像形成に必要となる像露光光量が多くなり、感度が低下してしまう。
また、SiHの供給量を極端に低減した場合であっても、表面層中のC/(Si+C)が増加し、光吸収が増加することにより感度が低下する場合があった。
一方、CHの供給量を極端に低減すると、a−SiC表面層の抵抗が低下してしまい、静電潜像形成時にキャリアが表面層中で横流れを生じやすくなる。そのため、静電潜像としての孤立ドットを形成した場合に、表面層中でのキャリアの横流れによる孤立ドットが小さくなる。その結果、出力された画像において、特に、低濃度側での画像濃度が低下してしまうために、階調性の低下が生じる場合があった。
また、a−SiC表面層のC/(Si+C)を適正な範囲としても、製造条件によっては、原料ガスの過度な分解により表面層中の水素原子が必要以上に減少してしまう場合がある。このような場合、良好な感度を維持するのが難しくなる。
上記したように、a−SiC表面層において、高湿流れ、摩耗量、階調性および感度のすべてを良好な状態とする表面層を作製することは非常に困難であり、実現手段が見出されていなかった。
本発明の目的は、上記実現手段を提供することにある。すなわち、本発明の目的は、硬度向上による耐摩耗性向上と消費エネルギー低減を両立しつつ、電子写真感光体の表面への水分や帯電生成物の吸着低減による高湿流れ抑制を実現する電子写真感光体特性の優れた電子写真感光体の製造方法を提供することにある。
本発明は、真空排気可能な反応容器内に導電性基体を載置し、該反応容器内に原料ガスを供給し、高周波電力を導入して、該導電性基体の上に堆積膜の形成を行う電子写真感光体の製造方法であって、
該導電性基体の上にケイ素原子を含む非晶質材料で構成された光導電層を形成する工程と、
ケイ素原子および炭素原子を含む非晶質材料で構成された第1表面層を形成する工程と、
該電子写真感光体の最表面側の層として、ケイ素原子および炭素原子を含む非晶質材料で構成された第2表面層を形成する工程と
をこの順に有する電子写真感光体の製造方法において、
該第1表面層を形成する工程で該反応容器内に供給されるCHの流量をC、SiHの流量をS、該反応容器内に導入する高周波電力をPとし、該第2表面層を形成する工程で反応容器内に供給されるCHの流量をC、SiH流量をS、該反応容器内に導入する高周波電力をPとしたとき、
/Sが3以上25以下となり、C/SがC/S以上60以下となるように該反応容器内に原料ガスを供給し、
>Pとなるように、かつ、該第1表面層に含有されるケイ素原子の原子数と炭素原子の原子数との和に対する炭素原子の原子数の比、および、該第2表面層に含有されるケイ素原子の原子数と炭素原子の原子数の和に対する炭素原子の原子数の比が、ともに0.50以上0.80以下となるように高周波電力を調整して、
該第1表面層および該第2表面層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法である。
本発明によれば、硬度向上による耐摩耗性向上と消費エネルギー低減を両立しつつ、電子写真感光体の表面への水分や帯電生成物の吸着低減による高湿流れ抑制を実現する電子写真感光体特性の優れた電子写真感光体の製造方法を提供することができる。
これにより、高湿流れの抑制、耐摩耗性の向上および省エネルギー性の向上に優れた電子写真装置を実現可能な電子写真感光体を提供可能となる。
本発明の製造方法によって製造された電子写真感光体(プラス帯電用a−Si感光体)の層構成を説明するための模式的構成図である。 本発明の製造方法によって製造された電子写真感光体(マイナス帯電用a−Si感光体)の層構成を説明するための模式的構成図である。 本発明のa−Si感光体を作製するための高周波電源を用いたRFプラズマCVD法による電子写真感光体の堆積膜形成装置の一例を模式的に示す図である。 本発明の製造方法において、光導電層、第1表面層および第2表面層をこの順に形成する際の、高周波電力と原料ガスとなるSiHおよびCHとの供給のタイミングの一例を示す図である。 従来の電子写真感光体(a−Si感光体)の基本構成を示す図である。 実施例で用いた電子写真装置の構成を示す概略断面図である。
本発明は、電子写真感光体の表面への水分や帯電生成物の吸着低減による高湿流れ抑制、硬度向上による摩耗量低減、光吸収低減による感度向上、低抵抗化抑制による階調性向上が可能な表面層を有する電子写真感光体を製造する方法を提供するものである。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、まず、表面層を、高湿流れおよび耐久性の向上に特化した層と、光学的および電気的特性を維持するための層との2つに分離することが有効であることを見出した。そして、各々の層のC/(Si+C)を所定範囲に維持しながら、各層を形成する際の原料ガス供給量、高周波電力導入量を所定の範囲に制御することで他の弊害を生じることなく、これら2つの層を積層可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の製造方法によって製造された電子写真感光体(プラス帯電用a−Si感光体)の層構成を説明するための模式的構成図である。
図1(a)のプラス帯電用a−Si感光体1000は、導電性基体1001上に光受容層1002と表面層1005とがこの順に設けられている。光受容層1002は、ケイ素原子を母材とする下部電荷注入阻止層(ケイ素原子を含む非晶質材料で構成された下部電荷注入阻止層)1003とケイ素原子を母材とする光導電層(ケイ素原子を含む非晶質材料で構成された光導電層)1004とがこの順に設けられている。表面層1005は、ケイ素原子および炭素原子を母材とする第1表面層(ケイ素原子および炭素原子を含む非晶質材料で構成された第1表面層)1006とケイ素原子および炭素原子を母材とする第2表面層(ケイ素原子および炭素原子を含む非晶質材料で構成された第2表面層)1007とがこの順に設けられている。
図2は、本発明の製造方法によって製造された電子写真感光体(マイナス帯電用a−Si感光体)の層構成を説明するための模式的構成図である。
図2のマイナス帯電用a−Si感光体2000は、導電性基体2001上に光受容層2002と表面層2005とがこの順に設けられている。光受容層2002は、下部電荷注入阻止層2003と光導電層2004と上部電荷注入阻止層2008とがこの順に設けられている。表面層2005は、ケイ素原子および炭素原子を母材とする第1表面層(ケイ素原子および炭素原子を含む非晶質材料で構成された第1表面層)2006とケイ素原子および炭素原子を母材とする第2表面層(ケイ素原子および炭素原子を含む非晶質材料で構成された第2表面層)2007とがこの順に設けられている。
本発明では、表面層を2層構成とし、電子写真感光体の最表面側の第2表面層に高湿流れ抑制および耐久性向上の機能を持たせ、光導電層側の第1表面層に光学的および電気的特性を維持するための機能を持たせたことを特徴としている。
第1表面層および第2表面層の各々の機能を出現させるためには、第1表面層および第2表面層を以下に示す成膜条件(層(堆積膜)形成条件)を満たすように作製することが必要である。これにより、高湿流れ、摩耗量、階調性および感度に優れた電子写真感光体の作製が可能となる。
本発明においては、第1表面層を形成する工程で該反応容器内に供給されるCHの流量をC、SiHの流量をS、反応容器内に導入する高周波電力をPとし、第2表面層を形成する工程で反応容器内に供給されるCHの流量をC、SiH流量をS、反応容器内に導入する高周波電力をPとしたとき、
/Sが3以上25以下となり、C/SがC/S以上60以下となるように反応容器内に原料ガスを供給し、
>Pとなるように、かつ、第1表面層に含有されるケイ素原子の原子数と炭素原子の原子数との和に対する炭素原子の原子数の比(C/(Si+C))、および、該第2表面層に含有されるケイ素原子の原子数と炭素原子の原子数の和に対する炭素原子の原子数の比(C/(Si+C))が、ともに0.50以上0.80以下となるように、反応容器内に導入する高周波電力を調整する。
反応容器内に導入する高周波電力を大きくすることや、反応容器内に供給される原料ガスを低減することにより、反応容器内に供給される原料ガス、SiHと比較すると、分解しにくいCHの分解が促進される。これにより、水素原子の少ない活性種が生成され、基体上に形成した堆積膜中の水素原子が減少するため、緻密なa−SiC表面層が形成可能となる。
このような緻密性の高いa−SiCは、ケイ素原子と炭素原子のネットワーク化が図られ、また、メチル基のような水素原子の多い終端基が減少することにより、構造上のひずみが低減すると考えられる。そのため、帯電工程により生成されるイオン種とa−SiC表面層の酸化反応が抑制されることから、電子写真感光体の表面への水分や帯電生成物の吸着量が低減し、高湿流れ抑制が可能となる。
同時に、ケイ素原子と炭素原子のネットワーク化と構造上のひずみの低減により、硬度が向上することから、摩耗量の低減が可能となる。よって、第2表面層を形成する工程で供給されるSiH流量に対するCH流量の比C/Sが25以下となるように反応容器内に原料ガスを供給しつつ、電子写真感光体の最表面側の第2表面層を形成する工程で導入する高周波電力を、第1表面層を形成する工程よりも大きくすることにより、高湿流れ抑制効果と摩耗量低減効果を電子写真感光体の最表面側に顕在化させることができる。
一方、実質的に反応容器内に導入する高周波電力を大きくすることにより、a−SiC表面層中の水素原子が減少し、感度が悪化しやすくなる。そのため、第2表面層を形成する工程で供給されるSiH流量に対するCH流量の比C/Sを3以上となるように反応容器内に原料ガスを供給しつつ、光導電層側の第1表面層を形成する工程で導入する高周波電力を、第2表面層を形成する工程よりも小さくすることにより、第1表面層および第2表面層での光吸収が低減可能となる。
これにより、表面層全体としての光吸収が低減可能となるため、良好な感度を維持しつつ、高湿流れ抑制効果と摩耗量低減効果が得られる。
以上のことから、他の弊害なく高湿流れ抑制効果と摩耗量低減効果を得るためには、C/Sを3以上25以下となるように反応容器内に供給しつつ、P>Pとする必要がある。また、C/Sを4以上15以下となるように反応容器内に原料ガスを供給することにより、高湿流れ抑制効果、摩耗量低減効果および感度がより良好な電子写真感光体が得られる。さらに、1<P/P≦3とすることにより、表面層中の水素原子が特に好適な範囲に調整され、感度がさらに良好な電子写真感光体が得られる。
また、第1表面層を形成する工程で供給されるSiH流量に対するCH流量の比C/SをC/S以上60以下となるように反応容器内に原料ガスを供給する必要がある。
このような範囲にすることで、第1表面層から第2表面層へ連続的に接合する場合においても各表面層の形成が安定してなされる。これにより、複合領域での光吸収が抑制されるため、良好な感度を維持することができる。また、第1表面層と第2表面層を不連続に積層する場合であっても、第1表面層と第2表面層の屈折率の差が所定の範囲に抑えられ、第1表面層と第2表面層の界面での反射を抑制することが可能となる。この結果、第1表面層と第2表面層を不連続に積層する場合であっても、良好な感度を維持することができる。
さらに、第1表面層を形成する工程で供給される原料ガス供給量を上記条件とすることで、第1表面層と第2表面層の構造の違いにより生じる応力の差が抑制される。この結果、第1表面層と第2表面層の間での密着性が良好となる。
このように各表面層積層時の弊害を回避しながら、高湿流れ抑制効果および摩耗量低減効果を得るうえで、C≧Cとすることが好ましく、C/C≧2とすることがより好ましい。
そして、C/Sが3以上25以下、C/SがC/S以上60以下となるように反応容器内に原料ガスを供給し、P>Pとなるように、かつ、第1表面層に係るC/(Si+C)および第2表面層に係るC/(Si+C)がともに0.50以上0.80以下となるように高周波電力を調整することが必要である。
高周波電力を大きくすることにより、第1表面層に係るC/(Si+C)や第2表面層に係るC/(Si+C)が0.80より大きくなると、a−SiC表面層中のグラファイト構造に起因する炭素原子の結合が増加すると考えられる。その結果、光吸収が増加し、感度が悪化してしまう場合がある。
また、高周波電力を大きくすることにより、第1表面層に係るC/(Si+C)や第2表面層に係るC/(Si+C)が0.50より小さくなると、第1表面層や第2表面層自体の抵抗が低下してしまい、静電潜像形成時にキャリアが表面層中で横流れを生じやすくなる。そのため、静電潜像としての孤立ドットを形成した場合に、表面層中でのキャリアの横流れによる孤立ドットが小さくなる。その結果、出力された画像において、特に、低濃度側での画像濃度が低下してしまうために、階調性の低下が生じる場合がある。
したがって、C/Sが3以上25以下、C/SがC/S以上60以下となるように反応容器内に原料ガスを供給し、P>Pとなるように、かつ、第1表面層に係るC/(Si+C)および第2表面層に係るC/(Si+C)がともに0.50以上0.80以下となるように高周波電力を調整することで、良好な電子写真感光体特性を維持しつつ、優れた高湿流れ抑制効果および摩耗量低減効果を有する電子写真感光体が得られる。
本発明においては、第2表面層を形成する工程の反応容器内の圧力を、第1表面層を形成する工程の反応容器内の圧力と同等または高くすることが好ましい。これは、a−SiCで構成された層(堆積膜)を形成する際の圧力を高くすることで、層(堆積膜)の抵抗を高めることができるためである。第2表面層では、CH流量が少なく、かつ、導入する高周波電力が高いため、層(堆積膜)の抵抗は低下する傾向となる。反応容器内の圧力を高くすることで、CH流量が少なく、かつ、導入する高周波電力が大きくても、良好な階調性を安定して得ることができる。
このように、反応容器内の圧力を高くすることによって上記効果が生じる理由としては、
1.反応容器内に供給された原料ガスの滞留時間が長くなること、および、
2.原料ガスの分解により生じた水素原子や水素ラジカルによる表面層中の水素原子の引き抜き反応が生じること、
により表面層の緻密性が向上するためと考えている。そして、第2表面層を形成する工程では、高周波電力を第1表面層を形成する工程よりも大きく設定するので、このような効果が顕著に現れるものと推察される。
本発明において、第2表面層の膜厚は、0.20μm以上1.00μm以下であることが好ましい。また、第1表面層と第2表面層の合計膜厚(第1表面層の膜厚と第2表面層の膜厚との和)は、0.30μm以上1.50μm以下であることが好ましい。
第2表面層が薄い場合でも、電子写真感光体の使用初期においては、高湿流れ、階調性、感度などに特に問題は生じない。しかしながら、電子写真装置内で電子写真感光体を長期間使用した場合には、第2表面層がクリーニング部材などにより摩耗してしまう。そのような場合であっても、実用上問題のない期間、高湿流れ抑制の効果を維持するためには、第2表面層の膜厚は0.20μm以上であることが好ましい。一方、第2表面層の膜厚が厚くなると、第2表面層での光吸収の影響により感度に影響を与える場合があるため、第2表面層の膜厚は1.00μm以下であることが好ましい。
また、第1表面層と第2表面層の合計膜厚が薄い場合も、通常の使用環境であれば、高湿流れ、階調性、感度などに特に問題は生じない。しかしながら、電子写真装置内でクリーニング部材と電子写真感光体の間に異物が混入した際に、異物の圧接による画像不良が生じる場合がある。一方、第1表面層と第2表面層の合計膜厚が厚くなるに従い、光吸収も増加していくため、厚くなりすぎると感度特性に影響を与える場合がある。
このようなことから、第1表面層と第2表面層の合計膜厚は、0.30μm以上1.50μm以下であることが好ましい。また、電子写真装置内で電子写真感光体を長期間使用した場合における異物混入による画像不良を考慮すると、0.50μm以上1.50μm以下であることがより好ましい。
図4は、本発明の製造方法において、光導電層、第1表面層および第2表面層をこの順に形成する際の、高周波電力と原料ガスとなるSiHおよびCHとの供給のタイミングの一例を示す図である。
図4の横軸は経過時間を、縦軸は原料ガスの供給量または高周波電力の供給量を示している。
図4(a)では、SiHと高周波電力を供給して光導電層を形成した後、高周波電力の供給を停止し、その後、SiHの供給を減少させ、CHの導入を行う。その後、SiHおよびCHの供給量が安定した後、高周波電力を供給し、第1表面層を形成する。その後、高周波電力の供給を停止する。高周波電力の供給を停止した後、CHの供給を減少させた後、高周波電力を供給し、第2表面層を形成する。
図4(a)では、光導電層、第1表面層および第2表面層を形成するSiHおよびCHの供給量が安定した状態でのみ、高周波電力の供給が行われている。
図4(b)では、SiHと高周波電力を供給して光導電層を形成する。その後、高周波電力およびSiHの供給を一定の割合で徐々に減らし、その間にCHの供給を徐々に増やし、SiHおよびCHと高周波電力とが所望の供給量となったところで供給量を一定とし、第1表面層を形成する。第1表面層が所望の膜厚で形成されたところで、SiHと高周波電力の供給を一定の割合で増加させ、SiHと高周波電力とが所望の供給量となったところで、供給量を一定とし、第2表面層を形成する。
図4(c)では、SiHと高周波電力を供給して光導電層を形成する。その後、高周波電力およびSiHの供給を一定の割合で徐々に減らし、その間にCHの供給を徐々に増やし、SiHおよびCHと高周波電力とが所望の供給量となったところで供給量を一定とし、第1表面層を形成する。第1表面層が所望の膜厚で形成されたところで、SiHを一定の割合で増やし、逆にCHを一定の割合で減らし、高周波電力の供給を段階的に増加させ、SiHおよびCHと高周波電力とが所望の供給量となったところで、供給量を一定とし、第2表面層を形成する。
図4(a)では、光導電層の形成が終わり第1表面層の形成が開始される前および第1表面層の形成が終わり第2表面層の形成が開始される前の、原料ガスの供給量が所望の供給量となるまでの間、高周波電力が供給されていないので、層が形成されることはない。これに対し、図4(b)および(c)の場合、高周波電力の供給が停止することなく、原料ガスの供給を変化させるので、光導電層と第1表面層との間に、第1接合領域が形成され、第1表面層と第2表面層との間に第2接合領域が形成される。
図4(a)の手順で形成された電子写真感光体は、図1(a)および図2の構成となる。これに対し、図4(b)および(c)の手順で形成した電子写真感光体は、たとえば、図1(c)に示すような構成となる。図1(c)のプラス帯電用a−Si感光体1200では、導電性基体1201上に光受容層1202と表面層1205とがこの順に設けられている。光受容層1202は、ケイ素原子を母材とする下部電荷注入阻止層(ケイ素原子を含む非晶質材料で構成された下部電荷注入阻止層)1203、ケイ素原子を母材とする光導電層(ケイ素原子を含む非晶質材料で構成された光導電層)1204がこの順に設けられている。表面層1205は、ケイ素原子および炭素原子を母材とする第1接合領域(ケイ素原子および炭素原子を含む非晶質材料で構成された第1接合領域)1208、ケイ素原子および炭素原子を母材とする第1表面層(ケイ素原子および炭素原子を含む非晶質材料で構成された第1表面層)1206、ケイ素原子および炭素原子を母材とする第2接合領域(ケイ素原子および炭素原子を含む非晶質材料で構成された第2接合領域)1209、および、ケイ素原子および炭素原子を母材とする第2表面層(ケイ素原子および炭素原子を含む非晶質材料で構成された第2表面層)1207がこの順に設けられている。
このような層構成の場合、本発明では、第1表面層の領域は、第1接合領域1208、第1表面層1206および第2接合領域1209と定義し、第2表面層の領域は、第2表面層1207と定義する。そして、第1表面層の領域でのC、S、PおよびC/(Si+C)は、第1表面層1206形成時のCH流量、SiH流量、高周波電力、および、ケイ素原子の原子数と炭素原子の原子数の和に対する炭素原子の原子数の比の値とする。
第1接合領域1208および第2接合領域1209を形成する場合は、図4(b)および図4(c)のように、反応容器内へのSiHおよびCHの供給量は、局所的な変化をさせずに連続的に増加または減少させることが好ましい。また、高周波電力の導入に関しては、図4(b)のように連続的に変化させるか、または、図4(c)のように短時間で階段型に変化させることが好ましい。
さらに、第1接合領域および第2接合領域での圧力に関しても、連続的に増加または減少するように制御することが好ましい。
また、連続的に堆積膜を形成した場合の第1表面層の膜厚は、第1接合領域1208、第1表面層1206および第2接合領域1209の合計の膜厚とする。このときの第1接合領域1208、第1表面層1206および第2接合領域1209の膜厚比は、特に制限はないが、電子写真感光体の特性を制御するうえでは、第1接合領域1208および第2接合領域1209よりも第1表面層1206の膜厚が厚くなるようにすることが好ましい。
図3は、本発明のa−Si感光体を作製するための高周波電源を用いたRFプラズマCVD法による電子写真感光体の堆積膜形成装置の一例を模式的に示す図である。
この装置は、主として、反応容器3110を有する堆積装置3100、原料ガス供給装置3200、および、反応容器3110内を減圧する為の排気装置(図示せず)から構成されている。
堆積装置3100中の真空排気可能な反応容器3110内には、アースに接続された導電性基体3112、基体加熱用ヒーター3113、および、ガス導入管3114が設置されている。さらに、カソード電極3111には、高周波マッチングボックス3115を介して高周波電源3120が接続されている。
原料ガス供給装置3200は、SiH、H、CH、NO、B、CFなどの原料ガスのボンベ3221〜3225、バルブ3231〜3235、圧力調整器3261〜3265、流入バルブ3241〜3245、流出バルブ3251〜3255、および、マスフローコントローラ3211〜3215から構成され、各原料ガスを封入したガスのボンベは補助バルブ3260を介して反応容器3110内の原料ガス導入管3114に接続されている。
次に、この装置を使った堆積膜の形成方法について説明する。
まず、反応容器3110を固定しておき、あらかじめ脱脂洗浄した導電性基体3112を反応容器3110に受け台3123を介して載置する。次に、排気装置(図示せず)を運転し、反応容器3110内を排気する。真空計3119の表示を見ながら、反応容器3110内の圧力がたとえば1Pa以下の所定の圧力になったところで、基体加熱用ヒーター3113に電力を供給し、導電性基体3112をたとえば50〜350℃の所望の温度に加熱する。このとき、ガス供給装置3200より、Ar、Heなどの不活性ガスを反応容器3110に供給して、不活性ガス雰囲気中で加熱を行うこともできる。
次に、堆積膜形成に用いるガスを、ガス供給装置3200より反応容器3110に供給する。すなわち、必要に応じ、バルブ3231〜3235、流入バルブ3241〜3245、流出バルブ3251〜3255を開き、マスフローコントローラ3211〜3215に流量設定を行う。各マスフローコントローラの流量が安定したところで、真空計3119の表示を見ながらメインバルブ3118を操作し、反応容器3110内の圧力が所望の圧力になるように調整する。所望の圧力が得られたところで、高周波電源3120より高周波電力を印加すると同時に、高周波マッチングボックス3115を操作し、反応容器3110内にプラズマ放電を生起する。その後、速やかに高周波電力を所望の電力に調整し、堆積膜の形成を行う。
所定の堆積膜の形成が終わったところで、高周波電力の印加を停止し、バルブ3231〜3235、流入バルブ3241〜3245、流出バルブ3251〜3255、および、補助バルブ3260を閉じ、原料ガスの供給を終えると同時に、メインバルブ3118を開き、反応容器3110内を1Pa以下の圧力まで排気する。
以上で、堆積層の形成を終えるが、複数の堆積層を形成する場合、再び上記の手順を繰り返してそれぞれの層を形成すればよい。原料ガスの流量や、反応容器内の圧力などを光導電層形成用の条件に一定の時間で変化させて、接合領域の形成を行うこともできる。
すべての堆積膜形成が終わったのち、メインバルブ3118を閉じ、反応容器3110内に不活性ガスを導入し大気圧に戻した後、導電性基体3112を取り出す。
なお、3116はガス配管であり、3117はリークバルブであり、3121は絶縁材料である。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより何ら制限されるものではない。
<実施例1>
図3に示すRF帯の高周波電源を用いたプラズマ処理装置を用いて、導電性基体(直径80mm、長さ358mm、厚さ3mmの鏡面加工を施したアルミニウム製の円筒状の基体)上に、下記表1、表2に示す条件で各層を形成して、プラス帯電用a−Si感光体を作製した。その際、電荷注入阻止層、光導電層、第1表面層、第2表面層の順に成膜(層形成)を行い、各層での膜厚が表1となるように成膜時間を調整した。また、電子写真感光体の作製本数は、各成膜条件で2本ずつとした。
Figure 0005081199
Figure 0005081199
実施例1により作製した各成膜条件2本ずつの電子写真感光体について、各成膜条件1本の電子写真感光体を用いてケイ素原子の原子数と炭素原子の原子数の和に対する炭素原子の原子数の比(C/(Si+C))を後述の分析方法により求めた。そして、各成膜条件残りの1本を用いて、後述の評価条件にて、高湿流れ、耐久性、階調性および感度の評価を行った。その結果を表5に示す。
<比較例1>
図3に示すRF帯の高周波電源を用いたプラズマ処理装置を用いて、上記と同様の導電性基体上に下記表3に示す条件で各層を形成して、プラス帯電用a−Si感光体を2本作製した。その際、電荷注入阻止層、光導電層、表面層の順に成膜(層形成)を行い、各層での膜厚が表3となるように成膜時間を調整した。
Figure 0005081199
比較例1により作製した電子写真感光体について、実施例1と同様に、C/(Si+C)を求め、高湿流れ、耐久性、階調性および感度を評価した。その結果を表5に示す。なお、比較例1で作製した電子写真感光体の成膜条件No.を5とした。
また、比較例1で作製した成膜条件No.5の電子写真感光体において、表面層堆積時に反応容器内に供給されるCH流量をC、SiH流量をS、反応容器内に導入する高周波電力をPとした。
<比較例2>
実施例1と同様に図3に示すRF帯の高周波電源を用いたプラズマ処理装置を用いて、上記と同様の導電性基体上に上記表1に示す条件で各層を形成して、プラス帯電用a−Si感光体を2本ずつ作製した。ただし、第2表面層のCH流量および高周波電力は表4に示す条件とした。
Figure 0005081199
比較例2により作製した電子写真感光体について、実施例1と同様に、C/(Si+C)を求め、高湿流れ、耐久性、階調性および感度を評価した。その結果を表5に示す。
(C/(Si+C)の測定)
C/(Si+C)の測定に関しては、電子写真感光体の長手方向の中央部で、周方向においては任意の位置で、10mm×10mmの大きさで切り出した試料を、X線光電子分光装置により測定し、C/(Si+C)を算出した。X線光電子分光装置は、ULVAC−PHI(株)製:QUANTUM2000 SCANNING ESCA MICROPROBEを用いた。
具体的には、電子写真感光体の表面から光導電層までのケイ素原子(Si)、炭素原子(C)および酸素原子(O)のデプスプロファイルを測定した。得られた結果より、第1表面層および第2表面層のSiとCの比率を算出し、各層ごとに平均値を算出し、その値をC/(Si+C)とした。ただし、第2表面層のC/(Si+C)の算出に関しては、電子写真感光体の最表面側での付着物などの影響を取り除くため、Oが検出されなくなった位置から電子写真感光体の最表面側までのデータを使用せずにC/(Si+C)を算出した。
分析したSi、CおよびOの軌道は、Si2p、C1sおよびO1sであり、測定条件は、スポット径100μm、X線強度=25W−15kV、Pass enargy=23.5eV、Step size=0.1eV、Sweep数=10とした。また、スパッタ条件は、Arイオンを用いて2mm×2mmの領域を加速電圧4kV、1分間でスパッタリングを行った。スパッタリングと測定を交互に行い、Si、CおよびOのデプスプロファイルを作成した。
(高湿流れ評価)
高湿流れ評価で使用した電子写真装置は、図6に示す構成の電子写真装置とした。6001は電子写真感光体であり、6002は主帯電器であり、6003は除電器であり、6004は転写帯電器であり、6005は分離帯電器であり、6006は静電潜像手段であり、6007はマグネットローラーであり、6008はクリーニングブレードであり、6009はクリーナーであり、6010は転写材であり、6011は搬送手段であり、6012は現像器である。具体的には、キヤノン(株)製デジタル電子写真装置iR−5065である。
上記電子写真装置に作製した電子写真感光体を設置し、温度25℃、相対湿度75%の(容積絶対湿度17.3g/cm)環境下で連続通紙試験前のA3文字チャート(4pt、印字率4%)を出力した。
連続通紙試験前の画像出力後、連続通紙試験を実施した。連続通紙試験時は、電子写真装置を稼動して連続通紙試験を実施している間は感光体加熱用ヒーターをONとし、電子写真装置を停止している間は感光体加熱用ヒーターをOFFにする条件で実施した。
具体的には、印字率1%のA4テストチャートを用いて、1日あたり2.5万枚の連続通紙試験を10日間実施して25万枚まで行った。連続通紙試験後、温度25℃、相対湿度75%の(容積絶対湿度17.3g/cm)環境下で電子写真装置を15時間放置した。
15時間後に、感光体加熱用ヒーターをONにして電子写真装置を立ち上げ、A3文字チャート(4pt、印字率4%)を出力した。連続通紙試験前に出力した画像と、連続通紙試験後に出力した画像を、それぞれキヤノン(株)製デジタル電子写真装置iRC−5870を用いて、モノクロ300dpiの2値の条件でPDFファイルとして電子化した。電子化した画像をAdobe製の画像編集ソフト「Adobe Photoshop」を用いて、電子写真感光体1周分の画像領域(251.3mm×273mm)の黒比率を測定した。次に、連続通紙耐久前に出力した画像に対する連続通紙試験後に出力した画像の黒比率の比率を求め、高湿流れの評価を行った。
高湿流れが発生した場合、画像全体で文字がぼける、または、文字が印字されずに白抜けするため、連続通紙試験前の正常な画像と比較した場合、出力された画像における黒比率が低下する。よって、連続通紙試験前の正常な画像に対する連続通紙試験後に出力された画像の黒比率の比率が100%に近いほど高湿流れが良好となる。なお、高湿流れ評価に関して、B以上で本発明の効果が得られていると判断した。
A…連続通紙試験前の画像に対する連続通紙試験後に出力した画像の黒比率が90%以上105%以下。
B…連続通紙試験前の画像に対する連続通紙試験後に出力した画像の黒比率が80%以上90%未満。
C…連続通紙試験前の画像に対する連続通紙試験後に出力した画像の黒比率が80%未満。
(耐久性評価)
耐久性の評価方法は、作製直後の電子写真感光体の表面層の膜厚を電子写真感光体の任意の周方向で長手方向9点(電子写真感光体の長手方向中央を基準として、0mm、±50mm、±90mm、±130mm、±150mm)、および該周方向を180°回転させた位置での長手方向9点、合計18点を測定し、第1表面層と第2表面層の合計膜厚を18点の平均値により算出した。
測定方法は、約2mmのスポット径で電子写真感光体の表面に垂直に光を照射し、分光計(大塚電子製:MCPD−2000)を用いて、反射光の分光測定を行った。得られた反射波形をもとに表面層の膜厚を算出した。このとき、光導電層の屈折率を3.30、表面層の屈折率を2.00とした。
膜厚測定後、高湿流れ評価と同様に、キヤノン(株)製デジタル電子写真装置iR−5065に電子写真感光体を設置し、25℃、75%の環境下で同様の条件により連続通紙試験を実施した。25万枚連続通紙試験が終了した後、電子写真感光体を電子写真装置から取り出し、作製直後と同じ位置で膜厚を測定し、連続通紙試験後の第1表面層と第2表面層の合計膜厚の平均値を算出した。そして、作製直後および連続通紙試験後で得られた表面層全体の平均膜厚から差分を求め、25万枚連続通紙での摩耗量を算出した。25万枚連続通紙での摩耗量から600万枚連続通紙試験後の摩耗量を算出(24倍)し、第2表面層の初期膜厚に対する算出された600万枚連続通紙試験後の摩耗量の比を算出して、耐久性の評価を行った。なお、耐久性評価に関して、B以上で本発明の効果が得られていると判断した。
A…第2表面層の初期膜厚に対する600万枚耐久後の摩耗量の比が100%以下。
B…第2表面層の初期膜厚に対する600万枚耐久後の摩耗量の比が100%より大きく150%以下。
C…第2表面層の初期膜厚に対する600万枚耐久後の摩耗量の比が150%より大きい。
(階調性評価)
階調性評価は、キヤノン(株)製デジタル電子写真装置iR−5065の改造機を用いた。まず、画像露光光による45度141lpi(1インチあたり141線)の線密度で面積階調ドットスクリーンを用い面積階調(すなわち画像露光を行うドット部分の面積階調)によって、全階調範囲を17段階に均等配分した階調データを作成した。このとき、最も濃い階調を17、最も薄い階調を0として各階調に番号を割り当て、階調段階とした。
次に、上記の改造した電子写真装置に電子写真感光体を設置し、上記階調データを用いて、テキストモードを用いてA3用紙に出力した。このとき、高湿流れが発生すると画像ボケの評価に影響が出るため、22℃、50%の環境下で、感光体加熱用ヒーターをONにして、電子写真感光体の表面を約40℃に保った条件で出力した。
得られた画像を各階調ごとに反射濃度計(X−Rite Inc製:504 分光濃度計)により画像濃度を測定した。なお、反射濃度測定では各々の階調ごとに3枚の画像を出力し、それら濃度の平均値を評価値とした。
こうして得られた評価値と階調段階との相関係数を算出し、成膜条件No.2で作製した電子写真感光体の相関係数に対する各成膜条件にて作製した電子写真感光体の相関係数の比を階調性の指標として評価した。この評価において、数値が大きいほど階調性が優れていることを示している。なお、階調性評価に関して、Aで本発明の効果が得られていると判断した。
A…成膜条件No.2で作製した電子写真感光体から算出した相関係数に対する各成膜条件にて作製した電子写真感光体から算出される相関係数の比が0.80以上。
B…成膜条件No.2で作製した電子写真感光体から算出した相関係数に対する各成膜条件にて作製した電子写真感光体から算出される相関係数の比が0.80未満。
(感度評価)
キヤノン(株)製デジタル電子写真装置iR−5065の改造機を用いた。画像露光を切った状態で帯電器のワイヤーおよびグリッドに、それぞれ高圧電源を接続し、グリッド電位を820Vとし、帯電器のワイヤーへ供給する電流を調整して電子写真感光体の表面電位を400Vとなるように設定した。
次に、画像露光を照射し、その照射エネルギーを調整することにより現像器位置の電位を100Vとし、その際の照射エネルギー量を感度評価の評価値とした。評価結果は実施例1で作製した成膜条件No.2の電子写真感光体を搭載した場合の感度を1.00とした相対比較で示した。
また、感度評価で用いた電子写真装置の画像露光光源は、発振波長が658nmの半導体レーザーである。なお、感度評価に関して、C以上で本発明の効果が得られていると判断した。
A…実施例1で作製した成膜条件No.2の電子写真感光体での照射エネルギー量に対する照射エネルギー量の比が1.10未満。
B…実施例1で作製した成膜条件No.2の作製した電子写真感光体での照射エネルギー量に対する照射エネルギー量の比が1.10以上1.15未満。
C…実施例1で作製した成膜条件No.2の電子写真感光体での照射エネルギー量に対する照射エネルギー量の比が1.15以上1.20未満。
D…実施例1で作製した成膜条件No.2の電子写真感光体での照射エネルギー量に対する照射エネルギー量の比が1.20以上。
実施例1、比較例1および比較例2について、C/(Si+C)、高湿流れ、耐久性、階調性および感度に関する結果を表5に示す。
Figure 0005081199
表5の結果より、第1表面層と第2表面層の成膜条件を、3≦C/S≦25、P>P、かつ、第2表面層に係るC/(Si+C)を0.50≦C/(Si+C)≦0.80となるように調整することにより、高湿流れ、摩耗量、感度および階調性に優れた電子写真感光体が得られた。さらに、第2表面層の成膜条件を、4≦C/S≦15の範囲にすることにより、高湿流れおよび感度が特に良好な電子写真感光体が得られた。
また、電子写真装置停止時に感光体加熱用ヒーターをOFFしても高湿流れが良好であった。そのことから、第1表面層と第2表面層の成膜条件を上記範囲とし、かつ、C/(Si+C)を上記範囲に調整することにより、省エネルギー性に対しても良好な電子写真感光体が得られたことがわかった。
<実施例2>
図3に示すRF帯の高周波電源を用いたプラズマ処理装置を用いて、上記と同様の導電性基体上に下記表6、表7に示す条件で各層を形成して、プラス帯電用a−Si感光体を作製した。その際、電荷注入阻止層、光導電層、第1表面層、第2表面層の順に成膜(層形成)を行い、各層での膜厚が表6となるように成膜時間を調整した。また、電子写真感光体の作製本数は、各成膜条件で2本ずつ作製した。
Figure 0005081199
Figure 0005081199
実施例2により作製した電子写真感光体について、実施例1と同様に、C/(Si+C)を求め、高湿流れ、耐久性、階調性および感度を評価した。その結果を表9に示す。
<比較例3>
実施例2と同様に図3に示す周波数としてRF帯の高周波電源を用いたプラズマ処理装置を用いて、上記と同様の導電性基体上に上記表6に示す条件で各層を形成して、プラス帯電用a−Si感光体を2本ずつ作製した。ただし、第1表面層のCH流量は表8に示す。
Figure 0005081199
比較例3により作製した電子写真感光体について、実施例1と同様に、C/(Si+C)を求め、高湿流れ、耐久性、階調性および感度を評価した。その結果を表9に示す。
実施例2および比較例3について、C/(Si+C)、高湿流れ、耐久性、階調性および感度に関する結果を表9に示す。
Figure 0005081199
表9の結果より、第1表面層と第2表面層の成膜条件を、C/S≦C/S≦60、P>P、かつ、第1表面層に係るC/(Si+C)および第2表面層に係るC/(Si+C)を0.50≦C/(Si+C)≦0.80となるように調整することにより、感度が良好な電子写真感光体が得られた。さらに、第1表面層および第2表面層の成膜条件を、C/C≧2の範囲にすることにより、感度が特に良好な電子写真感光体が得られた。
<実施例3>
図3に示す周波数としてRF帯の高周波電源を用いたプラズマ処理装置を用いて、上記と同様の導電性基体上に下記表10、表11に示す条件で各層を形成して、プラス帯電用a−Si感光体を作製した。その際、電荷注入阻止層、光導電層、第1表面層、第2表面層の順に成膜(層形成)を行い、各層での膜厚が表10となるように成膜時間を調整した。また、電子写真感光体の作製本数は、各成膜条件で2本ずつ作製した。
本実施例では、第1表面層と第2表面層との間に、第2接合層を設けた。本実施例の電子写真感光体(プラス帯電用a−Si感光体1100)構造は、図1(b)に示すように、導電性基体1101上に光受容層1102と表面層1105とがこの順に設けられている。光受容層1102は、ケイ素原子を母材とする下部電荷注入阻止層(ケイ素原子を含む非晶質材料で構成された下部電荷注入阻止層)1103、ケイ素原子を母材とする光導電層(ケイ素原子を含む非晶質材料で構成された光導電層)1104がこの順に設けられている。表面層1105は、ケイ素原子および炭素原子を母材とする第1表面層(ケイ素原子および炭素原子を含む非晶質材料で構成された第1表面層)1106、第2接合領域1109、および、第2表面層1107がこの順に設けられている。
Figure 0005081199
Figure 0005081199
実施例3により作製した電子写真感光体について、実施例1と同様に、C/(Si+C)を求め、高湿流れ、耐久性、階調性および感度を評価した。その結果を表13に示す。
<比較例4>
実施例3と同様に図3に示す周波数としてRF帯の高周波電源を用いたプラズマ処理装置を用いて、上記と同様の導電性基体上に上記表10に示す条件で各層を形成して、プラス帯電用a−Si感光体を2本ずつ作製した。ただし、第2表面層の高周波電力は表12に示す。
Figure 0005081199
比較例4により作製した電子写真感光体について、実施例1と同様に、C/(Si+C)を求め、高湿流れ、耐久性、階調性および感度を評価した。その結果を表13に示す。
実施例3および比較例4について、C/(Si+C)、高湿流れ、耐久性、階調性および感度に関する結果を表13に示す。
Figure 0005081199
表13の結果より、第1表面層と第2表面層の成膜条件を、3≦C/S≦25、C/S≦C/S≦60、P>P、かつ、第1表面層に係るC/(Si+C)および第2表面層に係るC/(Si+C)を0.50≦C/(Si+C)≦0.80となるように調整することにより、高湿流れ、摩耗量、感度および階調性に優れた電子写真感光体が得られた。さらに、第1表面層および第2表面層の成膜条件を、1<P/P≦3の範囲にすることにより、感度が特に良好な電子写真感光体が得られた。
また、電子写真装置停止時に感光体加熱用ヒーターをOFFしても高湿流れが良好であった。そのことから、第1表面層と第2表面層の成膜条件を上記範囲とし、かつ、C/(Si+C)を上記範囲に調整することにより、省エネルギー性に対しても良好な電子写真感光体が得られたことがわかった。
<実施例4>
図3に示す周波数としてRF帯の高周波電源を用いたプラズマ処理装置を用いて、上記と同様の導電性基体上に下記表14、表15に示す条件で各層を形成して、プラス帯電用a−Si感光体を作製した。その際、電荷注入阻止層、光導電層、第1表面層、第2表面層の順に成膜(層形成)を行い、各層での膜厚が表14となるように成膜時間を調整した。また、電子写真感光体の作製本数は、各成膜条件で2本ずつ作製した。
表14中に記載のCH流量および高周波電力に関して、成膜No.23を用いて説明する。第1接合領域におけるCH流量の記載「0→表15」は、0[mL/min(normal)]から表15中の成膜No.23の条件である600[mL/min(normal)]へ連続的に増加させたことを表す。同様に高周波電力の記載「300W→表15」は、300Wから表15中の成膜No.23の条件である650Wへ連続的に増加させたことを表す。
同様に、第1表面層では、CH流量および高周波電力は、表15に記載した600[mL/min(normal)]および650Wである。そして、第2接合領域では、CH流量は600[mL/min(normal)]から300[mL/min(normal)]へ連続的に減少させたことを表し、高周波電力は650Wから700Wへ連続的に増加させたことを表す。
Figure 0005081199
Figure 0005081199
実施例4により作製した電子写真感光体について、実施例1と同様に、C/(Si+C)を求め、高湿流れ、耐久性、階調性および感度を評価した。その結果を表16に示す。
Figure 0005081199
表16の結果より、第1表面層と第2表面層の成膜条件を、3≦C/S≦25、C/S≦C/S≦60、P>P、かつ、第1表面層に係るC/(Si+C)および第2表面層に係るC/(Si+C)を0.50≦C/(Si+C)≦0.80となるように調整することにより、高湿流れ、摩耗量、感度および階調性に優れた電子写真感光体が得られた。さらに、第1表面層および第2表面層の成膜条件を、C≧C、すなわち1≦C/Cの範囲とすることにより感度が良好な電子写真感光体が得られた。さらに、第1表面層および第2表面層の成膜条件を、2≦C/Cの範囲にすることにより、感度が特に良好な電子写真感光体が得られた。
<実施例5>
図3に示す周波数としてRF帯の高周波電源を用いたプラズマ処理装置を用いて、上記と同様の導電性基体上に下記表17、表18に示す条件で各層を形成して、プラス帯電用a−Si感光体を作製した。その際、電荷注入阻止層、光導電層、第1表面層、第2表面層の順に成膜(層形成)を行い、各層での膜厚が表17、表18となるように成膜時間を調整した。また、電子写真感光体の作製本数は、各成膜条件で2本ずつ作製した。
Figure 0005081199
Figure 0005081199
実施例5により作製した電子写真感光体について、実施例1と同様に、C/(Si+C)を求め、高湿流れ、耐久性、階調性および感度を評価した。また、後述の評価条件にて圧傷の評価を行った。
(圧傷評価)
圧傷の評価方法は、電子写真感光体の任意の周方向で長手方向3点(電子写真感光体の長手方向中央を基準として、0mm、±90mm)において、スクラッチテスター(HEIDOn製:Scratching TESTER HEIDON−14)を用いて評価した。スクラッチテスターでの測定条件は、スクラッチ距離30mm、針は直径0.1mm、先端角90°のダイヤモンド、針の移動速度50mm/min、単動で荷重100g、150g、200gとした。
次に、スクラッチ後の電子写真感光体をキヤノン(株)製デジタル電子写真装置iR−5065に設置し、22℃、50%の環境下で反射濃度1.0のハーフトーン画像を出力した。出力画像からスクラッチ部が白抜けしたかを目視で確認することにより、圧傷の評価を行った。
A…荷重100g、150gおよび200gともにスクラッチ部が白抜けせず。
B…荷重100g、150gはスクラッチ部が白抜けせず、荷重200gはスクラッチ部に白抜けが見える。
C…荷重100gはスクラッチ部が白抜けせず、荷重150gおよび200gはスクラッチ部に白抜けが見える。
D…荷重100g、150gおよび200gともにスクラッチ部に白抜けが見える。
実施例5について、高湿流れ、耐久性、階調性、感度および圧傷に関する結果を表19に示す。
Figure 0005081199
表19の結果より、3≦C/S≦25、P>P、C/S≦60、1≦(C/S)/(C/S)、かつ、第1表面層に係るC/(Si+C)および第2表面層に係るC/(Si+C)を0.50≦C/(Si+C)≦0.80となるように調整された成膜条件28〜34のすべての条件において優れた電子写真感光体が得られていることがわかった。また、第1表面層と第2表面層の膜厚の和を、0.30μm以上1.50μm以下とすることにより特に感度に優れ、圧傷、摩耗量も良好な状態に維持できることがわかった。さらに、第1表面層と第2表面層の膜厚の和を、0.30μm以上1.50μm以下とすることにより感度、圧傷、摩耗量いずれにおいても特に良好な電子写真感光体が得られていることがわかった。
<実施例6>
図3に示す周波数としてRF帯の高周波電源を用いたプラズマ処理装置を用いて、上記と同様の導電性基体上に下記表20、表21に示す条件で各層を形成して、プラス帯電用a−Si感光体を作製した。その際、電荷注入阻止層、光導電層、第1表面層、第2表面層の順に成膜(層形成)を行い、各層での膜厚が表20、表21となるように成膜時間を調整した。また、電子写真感光体の作製本数は、各成膜条件で2本ずつ作製した。
Figure 0005081199
Figure 0005081199
実施例6により作製した電子写真感光体について、実施例1と同様に、C/(Si+C)を求め、高湿流れ、耐久性、階調性および感度を、また、実施例5と同様に圧傷を評価した。その結果を表22に示す。
Figure 0005081199
表22の結果より、3≦C/S≦25、P>P、C/S≦60、1≦(C/S)/(C/S)、かつ、第1表面層に係るC/(Si+C)および第2表面層に係るC/(Si+C)を0.50≦C/(Si+C)≦0.80となるように調整された成膜条件35〜40のすべての条件において優れた電子写真感光体が得られた。また、第2表面層の膜厚を、0.20μm以上1.00μm以下とすることにより特に感度に優れ、圧傷、摩耗量も良好な状態に維持できることがわかった。
1000、1100、1200 プラス帯電用a−Si感光体
1001、1101、1201 導電性基体
1002、1102、1202 光受容層
1003、1103、1203 下部電荷注入阻止層
1004、1104、1204 光導電層
1005、1105、1205 表面層
1006、1106、1206 第1表面層
1007、1107、1207 第2表面層
1208 第1接合領域
1109、1209 第2接合領域
2000 マイナス帯電用a−Si感光体
2001 導電性基体
2002 光受容層
2003 下部電荷注入阻止層
2004 光導電層
2005 表面層
2006 第1表面層
2007 第2表面層
2008 上部電荷注入阻止層

Claims (6)

  1. 真空排気可能な反応容器内に導電性基体を載置し、該反応容器内に原料ガスを供給し、高周波電力を導入して、該導電性基体の上に堆積膜の形成を行う電子写真感光体の製造方法であって、
    該導電性基体の上にケイ素原子を含む非晶質材料で構成された光導電層を形成する工程と、
    ケイ素原子および炭素原子を含む非晶質材料で構成された第1表面層を形成する工程と、
    該電子写真感光体の最表面側の層として、ケイ素原子および炭素原子を含む非晶質材料で構成された第2表面層を形成する工程と
    をこの順に有する電子写真感光体の製造方法において、
    該第1表面層を形成する工程で該反応容器内に供給されるCHの流量をC、SiHの流量をS、該反応容器内に導入する高周波電力をPとし、該第2表面層を形成する工程で反応容器内に供給されるCHの流量をC、SiH流量をS、該反応容器内に導入する高周波電力をPとしたとき、
    /Sが3以上25以下となり、C/SがC/S以上60以下となるように該反応容器内に原料ガスを供給し、
    >Pとなるように、かつ、該第1表面層に含有されるケイ素原子の原子数と炭素原子の原子数との和に対する炭素原子の原子数の比、および、該第2表面層に含有されるケイ素原子の原子数と炭素原子の原子数の和に対する炭素原子の原子数の比が、ともに0.50以上0.80以下となるように高周波電力を調整して、
    該第1表面層および該第2表面層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  2. 前記C/Sを4≦C/S≦15とする請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
  3. 前記Cと前記CとがC≧Cとなる条件で、前記第1表面層および前記第2表面層を形成する請求項1または2に記載の電子写真感光体の製造方法。
  4. 前記Pと前記Pとが1<P/P≦3となる条件で、前記第1表面層および前記第2表面層を形成する請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  5. 前記Cと前記CとがC/C≧2となる条件で、前記第1表面層および前記第2表面層を形成する請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  6. 前記第2表面層の膜厚が0.20μm以上1.00μm以下、前記第1表面層の膜厚と前記第2表面層の膜厚との和が0.30μm以上1.50μm以下である請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
JP2009160400A 2008-07-25 2009-07-07 電子写真感光体の製造方法 Expired - Fee Related JP5081199B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009160400A JP5081199B2 (ja) 2008-07-25 2009-07-07 電子写真感光体の製造方法
US12/505,698 US8168365B2 (en) 2008-07-25 2009-07-20 Method for manufacturing electrophotographic photosensitive member

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008192057 2008-07-25
JP2008192057 2008-07-25
JP2009160400A JP5081199B2 (ja) 2008-07-25 2009-07-07 電子写真感光体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010049240A JP2010049240A (ja) 2010-03-04
JP5081199B2 true JP5081199B2 (ja) 2012-11-21

Family

ID=41568954

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009160400A Expired - Fee Related JP5081199B2 (ja) 2008-07-25 2009-07-07 電子写真感光体の製造方法

Country Status (2)

Country Link
US (1) US8168365B2 (ja)
JP (1) JP5081199B2 (ja)

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5121785B2 (ja) 2008-07-25 2013-01-16 キヤノン株式会社 電子写真感光体および電子写真装置
JP4580028B2 (ja) * 2008-07-25 2010-11-10 キヤノン株式会社 画像形成方法及び画像形成装置
JP4612913B2 (ja) * 2008-12-26 2011-01-12 キヤノン株式会社 画像形成方法
JP5607499B2 (ja) * 2009-11-17 2014-10-15 キヤノン株式会社 電子写真感光体および電子写真装置
JP5653186B2 (ja) * 2009-11-25 2015-01-14 キヤノン株式会社 電子写真装置
JP5675287B2 (ja) * 2009-11-26 2015-02-25 キヤノン株式会社 電子写真感光体および電子写真装置
JP5675289B2 (ja) * 2009-11-26 2015-02-25 キヤノン株式会社 電子写真感光体および電子写真装置
JP5675292B2 (ja) * 2009-11-27 2015-02-25 キヤノン株式会社 電子写真感光体および電子写真装置
JP5777419B2 (ja) 2010-06-28 2015-09-09 キヤノン株式会社 電子写真感光体および電子写真装置
JP6128885B2 (ja) 2013-02-22 2017-05-17 キヤノン株式会社 電子写真感光体およびその製造方法ならびに電子写真装置

Family Cites Families (22)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4460669A (en) * 1981-11-26 1984-07-17 Canon Kabushiki Kaisha Photoconductive member with α-Si and C, U or D and dopant
JPS58192044A (ja) * 1982-05-06 1983-11-09 Konishiroku Photo Ind Co Ltd 感光体
US4683144A (en) * 1984-04-16 1987-07-28 Canon Kabushiki Kaisha Method for forming a deposited film
US4683147A (en) * 1984-04-16 1987-07-28 Canon Kabushiki Kaisha Method of forming deposition film
US4683145A (en) * 1984-04-16 1987-07-28 Canon Kabushiki Kaisha Method for forming deposited film
US4683146A (en) * 1984-04-16 1987-07-28 Canon Kabushiki Kaisha Process for producing deposition films
US4696881A (en) * 1984-07-10 1987-09-29 Canon Kabushiki Kaisha Member having light receiving layer with smoothly connected interfaces
JPH071395B2 (ja) * 1984-09-27 1995-01-11 株式会社東芝 電子写真感光体
US4569855A (en) * 1985-04-11 1986-02-11 Canon Kabushiki Kaisha Method of forming deposition film
EP0531625B1 (en) * 1991-05-30 1997-08-20 Canon Kabushiki Kaisha Light-receiving member
JP3155413B2 (ja) * 1992-10-23 2001-04-09 キヤノン株式会社 光受容部材の形成方法、該方法による光受容部材および堆積膜の形成装置
JP3279926B2 (ja) 1995-10-25 2002-04-30 京セラ株式会社 電子写真感光体および画像形成装置
JPH09244284A (ja) * 1996-03-06 1997-09-19 Canon Inc 光受容部材の製造方法
JP2001312084A (ja) * 2000-05-02 2001-11-09 Canon Inc 電子写真方法、および電子写真装置と、それに用いる感光体
JP2001337474A (ja) * 2000-05-25 2001-12-07 Canon Inc 光受容部材の製造方法、光受容部材、及び電子写真装置
JP2002091040A (ja) * 2000-09-12 2002-03-27 Canon Inc 電子写真感光体及び電子写真装置
JP2002123020A (ja) 2000-10-16 2002-04-26 Canon Inc 負帯電用電子写真感光体
JP3913123B2 (ja) * 2001-06-28 2007-05-09 キヤノン株式会社 電子写真感光体の製造方法
JP4562163B2 (ja) * 2001-09-28 2010-10-13 キヤノン株式会社 電子写真感光体の製造方法及び電子写真感光体
EP1429192A3 (en) * 2002-12-12 2005-03-23 Canon Kabushiki Kaisha Electrophotographic photosensitive member and process for producing the same
WO2005088401A1 (ja) * 2004-03-16 2005-09-22 Canon Kabushiki Kaisha 電子写真用感光体および電子写真用感光体の形成方法
JP4738840B2 (ja) * 2004-03-16 2011-08-03 キヤノン株式会社 電子写真感光体

Also Published As

Publication number Publication date
US8168365B2 (en) 2012-05-01
JP2010049240A (ja) 2010-03-04
US20100021837A1 (en) 2010-01-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5081199B2 (ja) 電子写真感光体の製造方法
JP5121785B2 (ja) 電子写真感光体および電子写真装置
JP5398394B2 (ja) 電子写真感光体および電子写真装置
JP5675289B2 (ja) 電子写真感光体および電子写真装置
JP5607499B2 (ja) 電子写真感光体および電子写真装置
JP5675287B2 (ja) 電子写真感光体および電子写真装置
JP4764954B2 (ja) 電子写真感光体および電子写真装置
JP5777419B2 (ja) 電子写真感光体および電子写真装置
JP2003029437A (ja) 電子写真感光体、および、それを用いた電子写真装置
JP3566621B2 (ja) 電子写真感光体及びそれを用いた装置
JP4599468B1 (ja) 電子写真感光体および電子写真装置
JP2006133525A (ja) 電子写真感光体及びこれを用いた電子写真装置
JP2015007753A (ja) 電子写真感光体
JP4683637B2 (ja) 電子写真感光体および電子写真装置
JP5479557B2 (ja) 電子写真感光体および電子写真装置
JP2006189822A (ja) 電子写真感光体
JP2020122840A (ja) 電子写真装置の制御方法
JP2020071276A (ja) 画像形成方法
JP2015200756A (ja) 電子写真感光体および電子写真感光体の製造方法
JP2011138033A (ja) 電子写真感光体
JP2015200755A (ja) 電子写真感光体および電子写真感光体の製造方法
JP2002082463A (ja) 電子写真感光体および電子写真装置
JP4448043B2 (ja) 電子写真感光体
JP2010276795A (ja) 電子写真装置
JP2006133524A (ja) 電子写真感光体および電子写真装置

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20100617

RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425

Effective date: 20100730

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20101227

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120703

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20120703

RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425

Effective date: 20120727

RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425

Effective date: 20120730

TRDD Decision of grant or rejection written
RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425

Effective date: 20120731

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120802

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20120731

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120831

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150907

Year of fee payment: 3

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5081199

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150907

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees