JP2003029437A - 電子写真感光体、および、それを用いた電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体、および、それを用いた電子写真装置

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JP2003029437A
JP2003029437A JP2001215386A JP2001215386A JP2003029437A JP 2003029437 A JP2003029437 A JP 2003029437A JP 2001215386 A JP2001215386 A JP 2001215386A JP 2001215386 A JP2001215386 A JP 2001215386A JP 2003029437 A JP2003029437 A JP 2003029437A
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electrophotographic photosensitive
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Yoshiyuki Yoshihara
淑之 吉原
Tatsuyuki Aoike
達行 青池
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 a-Si系感光体のさらなる長寿命化を達成し、
また、高速化、省エネルギー化、カラー化に対応した近
年の電子写真装置においても画像ボケや流れの発生がな
く、転写性、クリーニング性が良好で常に高品位の画像
を安定して供給でき、さらには、感度低下のない、安定
した潜像電位を得ることのできる電子写真感光体、およ
び、この感光体を用いた、高品位の画像を安定して供給
することのできる電子写真装置を提供する。 【解決手段】 本発明の電子写真感光体は、シリコンを
主体とする非単結晶からなる光導電層を有し、表面層が
フッ化マグネシウムを主成分として含有する。また、本
発明の電子写真装置は、このような電子写真感光体を用
い、帯電手段、現像手段、転写手段またはクリーニング
手段のいずれか1つ以上が、前記電子写真感光体と当接
部を形成して接触する部材を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真感光体、
より詳しくは、特定の表面層を有する非単結晶シリコン
感光体、および、それを用いた電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真感光体に用いる素子部材の1つ
として、珪素原子を主成分として含む非単結晶堆積膜、
例えば水素および/またはハロゲンで補償されたアモル
ファスシリコン(以下、a−Siという)堆積膜は高性
能、高耐久、無公害な感光体として提案され、そのいく
つかは実用化されている。
【0003】また、a−Si堆積膜を電子写真感光体に
適用するために必要な構成として、電荷の阻止能や環境
安定性の付与等を目的とした表面層を設けることが提案
されている。例えば、特開昭57−115551号公報
には、シリコン原子を主体とし、水素原子またはハロゲ
ン原子の少なくともいずれか一方を含むアモルファス材
料で構成されている光導電層の上に、シリコン原子およ
び炭素原子を母体とし、水素原子を含む非光導電性のア
モルファス材料(以下、a-SiC:Hという)で構成された
表面障壁層を設けた光導電部材の例が開示されている。
【0004】一方、特開昭61−219961号公報に
は、a−Si系の感光層の上に形成された表面保護層と
して、10〜40原子%の水素原子を含有するa−C:
Hで構成された電子写真感光体の例が開示されている。
【0005】また、特開昭61−289354公報に
は、表面をフッ素を含んだガスでプラズマ処理したa−
C表面層が開示されている。
【0006】このような表面層を用いることで、電気
的、光学的特性および使用環境特性、耐久性の向上、さ
らには画像品位の向上も可能になっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、未だ解
決すべき課題も残っている。
【0008】電子写真装置のデジタル化、高速化が進む
に従って出力紙の量が増大し、同時に低ランニングコス
ト化の要求も強くなってきている。このため、通常、他
の材料に比べて高耐久であるa-Si感光体も、さらなる長
寿命化が課題となってきている。
【0009】また、電子写真装置において感光体の帯電
工程はそのほとんどが放電を利用しているため、感光体
表面は常に放電環境にさらされるとともに、放電生成物
の付着が起きる。これら感光体表面の放電劣化物や放電
生成物は親水性が強いため、特に高湿環境で表面抵抗の
低下、電荷保持能の低下を引き起こすことがある。その
結果、静電荷潜像パターンが崩れる、あるいは、形成さ
れないことによる画像ボケや画像流れといった画像不良
が発生しやすい。
【0010】そこで従来は、感光体にヒーターを内蔵し
て加温することにより、表面の低抵抗化を防止する手段
が取られていた。しかし、近年は、省エネルギーの観点
から、このようなヒーターの不要化が課題となってい
る。
【0011】前述の電子写真装置の高速化や省エネルギ
ー化は、一方で、より大量、かつ、低融点のトナーを感
光体表面に供給し、転写、クリーニングしなければなら
ないことを意味する。加えて、電子写真装置のカラー化
の比率も高まっており、トナー印字比率の増大から、転
写均一性の向上や、クリーニング不良、トナー融着等の
クリーニング性の向上が感光体表面としても要求される
ようになってきている。
【0012】これらの課題は、a-SiC:H表面層に、さら
にa-C:H,Fを積層することである程度は達成できるもの
の、必ずしも十分ではない。さらに、a-C系の膜はバン
ドギャップが小さく、光吸収があるため、表面層とした
場合に感光体の感度を低下させてしまうことがあるとい
う問題がある。この点は、バンドギャップが大きく、実
質的に光吸収のないa-SiC:H膜では生じない課題であ
る。感度低下に対しては、電子写真装置の露光強度を大
きくすることである面では対処できるものの、耐久によ
って表面層が磨耗して膜厚が減少するとともに感度が良
化する、すなわち潜像電位が徐々に変動するという問題
は避けられない。
【0013】なお、潜像電位を装置内で検知して露光強
度にフィードバックするような手段を持つ場合はこのよ
うな問題は生じにくいが、制御手段のコスト、制御の精
度等の問題や、露光量増大による光源の寿命低下といっ
た新たな問題が生じてしまうことがある。
【0014】そこで、本発明は、上記従来技術の課題を
解決し、a-Si系感光体のさらなる長寿命化を達成し、ま
た、高速化、省エネルギー化、カラー化に対応した近年
の電子写真装置においても画像ボケや流れの発生がな
く、転写性、クリーニング性が良好で常に高品位の画像
を安定して供給できる電子写真感光体を提供することを
目的とする。また、本発明は、感度低下のない、安定し
た潜像電位を得ることのできる電子写真感光体を提供す
ることを目的とする。さらに、本発明は、この感光体を
用いた、高品位の画像を安定して供給することのできる
電子写真装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、a-Si感光
体の表面層材料の検討を行い、前記の課題を解決しうる
ような高硬度で低表面エネルギー、かつ、光吸収の小さ
い膜を追求した結果、フッ化マグネシウム(以下、MgF2
という)が好適であることを見出し、本発明に至った。
【0016】すなわち、本発明の上記目的は、以下の本
発明により解決できる。 (1)シリコンを主体とする非単結晶質からなる光導電
層を有する電子写真感光体であって、表面層が、フッ化
マグネシウムを主成分として含有することを特徴とする
電子写真感光体。 (2)前記表面層がスパッタリング法により形成されて
いることを特徴とする前記(1)の電子写真感光体。 (3)前記表面層の水に対する接触角が80°以上であ
ることを特徴とする前記(1)または(2)の電子写真
感光体。 (4)電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、像露光
を行うことにより該電子写真感光体上に静電潜像を形成
する潜像形成手段と、該静電潜像を該電子写真感光体上
でトナーによって可視化する現像手段と、該可視化像を
転写材に転写する転写手段と、該電子写真感光体表面に
残留した転写残トナーを除去するクリーニング手段とを
含む電子写真装置であって、前記電子写真感光体は前記
(1)〜(3)のいずれかの電子写真感光体であり、帯
電手段、現像手段、転写手段またはクリーニング手段の
いずれか1つ以上が、前記電子写真感光体と当接部を形
成して接触する部材を有することを特徴とする電子写真
装置。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明のMgF2膜は十分に硬度が高
く、これを表面層に用いた電子写真感光体は、従来技術
に比較してもさらなる長寿命を達成することができる。
【0018】また、その表面には(-F)基を有し、表面
エネルギーが低いので、前述したような画像ボケや画像
流れの要因となる低抵抗物質の付着が押さえられると同
時に、クリーニング工程で低抵抗物質を除去しやすくな
るために、加温ヒーターを感光体に内蔵するといった特
別な手段を取らなくてもこれらの画像不良の発生を抑え
ることが可能となる。
【0019】特に、スパッタリング法によって成膜した
MgF2膜は、スパッタリング時のプラズマの作用によって
MgF2の一部が解離しており、その表面には解離により生
じた(-F)基を有する。このため、スパッタリング法に
より形成することで、MgF2表面層は表面エネルギーをさ
らに低くすることが可能となる。
【0020】表面エネルギーの指標としては水に対する
接触角で表すことができ、80°以上、特に85°以上と
することが好ましい。
【0021】さらには、MgF2膜を表面層とすることで、
トナーに対しての離型性も向上するため、転写の均一性
やクリーニング性に優れ、電子写真装置のカラー化にも
十分対応することが可能となる。また、電子写真装置の
高速化、省エネルギー化に伴って発生しやすくなるクリ
ーニング不良やトナー融着等に対しても十分効果を発揮
できる。
【0022】また、MgF2膜は、光吸収が極めて少ないた
め、感光体の表面層とした時に感度の低下がほとんどな
く、長期使用によって膜が磨耗し、膜厚が変動してもそ
れによる潜像電位が変動することがほとんどない。
【0023】本発明者はMgF2膜を表面層とした感光体を
電子写真装置に組み込んでその特性を評価し、上記のよ
うな本発明の効果を確認することができたが、その過程
で、さらに予期せぬ効果として、長期の耐久使用の間で
地カブリが極めて少なく、安定していることを見出し
た。
【0024】感光体が地カブリに寄与する因子としては
一般的には潜像電位の変動が考えられるが、本発明の効
果は感光体の表面層材料そのものに起因している。その
詳細なメカニズムは不明であるが、感光体上にわずかに
残存しているトナーの極性が、感光体表面と他の接触す
る部材、例えばクリーニングローラ、帯電ローラ等との
摺刷により変動し、MgF2表面層の場合は従来技術材料の
膜に比べてカブリの発生しにくい極性になりやすい傾向
にあるものと予想している。
【0025】以下、本発明を詳細に説明する。
【0026】(電子写真感光体の構成)本発明に用いる
電子写真感光体は、導電性基体上に、シリコン原子を母
体とする非単結晶材料で構成された光導電層、および、
フッ化マグネシウムを主成分とする表面層を積層してな
ることを特徴とする。
【0027】図1は本発明に用いられる電子写真感光体
100の模式的な断面図の一例である。
【0028】図1に示すa−Si感光体は、アルミニウ
ム等の導電性基体101と、導電性基体101の表面に
順次積層された電荷注入阻止層102、光導電層10
3、バッファ層104および表面層105とからなる。
電荷注入阻止層102とバッファ層104とは、設けな
くてもよい。
【0029】ここで、電荷注入阻止層102は、導電性
基体101から光導電層103への電荷の注入を阻止す
るものであり、必要に応じて設けられる。また、光導電
層103は、少なくともシリコン原子を含む非単結晶材
料で構成され、光導電性を示すものである。光導電層1
03と表面層105の間に必要に応じて設けられるバッ
ファ層104は、表面から光導電層103への電荷の注
入を阻止する能力および/または光導電層103の表面
を保護する能力をもつ層である。
【0030】まず、母体となる非単結晶シリコン感光体
部分の作製概要を述べる。
【0031】(導電性基体)導電性基体としては特に限
定されず、例えば、Al、Cr、Mo、Au、In、N
b、Te、V、Ti、Pt、Pd、Fe等の金属、およ
び、これらの合金、例えばステンレス等が挙げられる。
また、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネー
ト、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化
ビニル、ポリスチレン、ポリアミド等の合成樹脂のフィ
ルムまたはシート、ガラス、セラミック等の電気絶縁性
支持体の少なくとも感光層(光導電層)を形成する側の
表面を導電処理したものも、導電性基体として用いるこ
とができる。
【0032】(光導電層)光導電層は、例えばグロー放
電法(低周波CVD法、高周波CVD法またはマイクロ
波CVD法等の交流放電CVD法、または直流放電CV
D法等)、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレ
ーティング法、光CVD法、熱CVD法などの数々の薄
膜堆積法によって形成することができる。これらの薄膜
堆積法は、製造条件、設備資本投資下の負荷程度、製造
規模、作製される画像形成装置用像担持体に所望される
特性等の要因によって適宜選択されて採用されるが、所
望の特性を有する画像形成装置用像担持体を製造するに
当たっての条件の制御が比較的容易であることから、グ
ロー放電法、特にRF帯、μW帯またはVHF帯の電源
周波数を用いた高周波グロー放電法が好適である。
【0033】グロー放電法によって光導電層103を形
成するには、基本的には周知のごとくシリコン原子(S
i)を供給し得るSi供給用の原料ガスと、水素原子
(H)を供給し得るH供給用の原料ガス、および、ハロ
ゲン原子(X)を供給し得るX供給用の原料ガスの少な
くともいずれかを、内部を減圧にし得る反応容器内に所
望のガス状態で導入し、該反応容器内にグロー放電を生
起させ、導入した原料ガスを分解し、あらかじめ所定の
位置に設置されてある所定の導電性基体101上にa−
Si:H,Xからなる層を形成すればよい。
【0034】また、シリコン原子の未結合手を補償し、
層品質、特に光導電性および電荷保持特性を向上させる
ためには、光導電層103中に水素原子およびハロゲン
原子の少なくともいずれかが含有されることが必要であ
るが、水素原子またはハロゲン原子の含有量、または、
水素原子とハロゲン原子の合計含有量は、シリコン原子
と水素原子およびハロゲン原子の和に対して10原子%
以上、特に15原子%以上であることが好ましく、ま
た、シリコン原子と水素原子およびハロゲン原子の和に
対して30原子%以下、特に25原子%以下であること
が好ましい。
【0035】本発明において好適に使用し得るハロゲン
化合物としては、具体的には、弗素ガス(F2)、Br
F、ClF、ClF3、BrF3、BrF5、IF3、IF
7等のハロゲン化合物を挙げることができる。ハロゲン
原子を含む珪素化合物、いわゆるハロゲン原子で置換さ
れたシラン誘導体としては、具体的には、例えば、Si
4、Si26等の弗化珪素を好ましいものとして挙げ
ることができる。
【0036】本発明において、光導電層103には必要
に応じて伝導性を制御する原子を含有させることが好ま
しい。伝導性を制御する原子は、光導電層103中に万
偏なく均一に分布した状態で含有されていてもよいし、
また、層厚方向には不均一な分布状態で含有している部
分があってもよい。
【0037】伝導性を制御する原子としては、半導体分
野における、いわゆる不純物を挙げることができ、p型
伝導特性を与える周期律表13族に属する原子(以後
「第13族原子」と略記する)またはn型伝導特性を与
える周期律表15族に属する原子(以後「第15族原
子」と略記する)を用いることができる。
【0038】第13族原子としては、具体的には、硼素
(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、イ
ンジウム(In)、タリウム(Tl)等があり、特に
B、Al、Gaが好適である。第15族原子としては、
具体的には燐(P)、砒素(As)、アンチモン(S
b)、ビスマス(Bi)等があり、特にP、Asが好適
である。
【0039】光導電層203に含有される伝導性を制御
する原子の含有量は、1×10-2原子ppm以上、特に5
×10-2原子ppm以上、さらには1×10-1原子ppm以
上であることが好ましく、また、1×104原子ppm以
下、特に5×103原子ppm以下、さらには1×103原子
ppm以下であることが好ましい。
【0040】伝導性を制御する原子、例えば、第13族
原子または第15族原子を構造的に導入するには、層形
成の際に、第13族原子導入用の原料物質または第15
族原子導入用の原料物質をガス状態で、光導電層203
を形成するための他のガスとともに、反応容器中に導入
してやればよい。第13族原子導入用の原料物質または
第15族原子導入用の原料物質となり得るものとして
は、常温常圧でガス状のもの、または、少なくとも層形
成条件下で容易にガス化し得るものを採用することが好
ましい。
【0041】また、必要に応じて、これらの伝導性を制
御する原子導入用の原料物質をH2やHe等により希釈
して使用してもよい。
【0042】さらに本発明においては、光導電層103
に炭素原子、酸素原子または窒素原子のいずれか1種以
上を含有させることも有効である。炭素原子、酸素原子
および窒素原子の含有量(合計量)は、シリコン原子、
炭素原子、酸素原子および窒素原子の和に対して、1×
10-5原子%以上、特に1×10-4原子%以上、さらには1
×10-3原子%以上であることが好ましく、また、シリコ
ン原子、炭素原子、酸素原子および窒素原子の和に対し
て、10原子%以下、特に8原子%以下、さらには5原
子%以下であることが好ましい。炭素原子、酸素原子お
よび窒素原子は、光導電層中に万遍なく均一に含有され
ていてもよいし、光導電層の層厚方向に含有量が変化す
るような不均一な分布をもたせた部分があってもよい。
【0043】本発明において、光導電層103の層厚
は、所望の電子写真特性が得られること、経済的効果等
の点から適宜所望にしたがって決定されるが、15μm
以上、特に20μm以上とすることが好ましく、また、
60μm以下、特に50μm以下、さらには40μm以
下とすることが好ましい。光導電層103の層厚が15
μm未満であると、帯電部材への通過電流量が増大し、
劣化が早まりやすい傾向がある。光導電層103の層厚
が60μmを超えると、a−Si感光体の異常成長部位
が大きくなることがあり、具体的には水平方向で50〜
150μm、高さ方向で5〜20μmとなり、表面を摺
擦する部材へのダメージが無視できなくなったり、画像
欠陥となる場合がある。
【0044】(表面層)本発明の表面層の形成方法とし
ては、真空蒸着法、スパッタリング法等の真空薄膜作成
法が挙げられる。前述のように、表面層の形成にはスパ
ッタリング法を用いることが、本発明においてより効果
的である。表面層のMgF2膜を形成する条件は、特に限定
されず、適宜決めればよい。
【0045】図2は、本発明の表面層の形成に用いるD
Cマグネトロンスッパッタリング装置の一例の模式的な
断面図である。この図に示すように、スパッタリング装
置には、内部をほぼ真空状態に維持する真空容器301が
設けられている。この真空容器301の底部の中央部に
は、内部に磁石を収め、外部から供給される冷却水を内
部を流通させてターゲットの冷却を行う冷却ボックス30
2が設けられている。この冷却ボックス302の上面には、
カソード電極303が配置されており、この電極303の上面
に高純度Mg金属ターゲット304が固定されている。タ
ーゲット材料としては、酸素添加金属もしくはフッ素添
加金属などからなるターゲットであってもよい。そし
て、このターゲット304との間に所定の間隙をおいて外
方に配置されたアノード電極305が真空容器301に固定さ
れている。なお、アノード電極305とカソード電極303と
の間には、絶縁材306が配置されている。
【0046】さらに、真空容器301の上部には、円筒状
の被処理基体307が、図示しない移動機構により、基体
支持機構308とロードロック室310との間をゲートバルブ
309を介して移動自在に設けられている。被処理基体307
とターゲット304との間には、放電が安定するまで被処
理基体307に膜が付着しないよう、シャッター311が設け
られている。このシャッターは、図示しない移動機構に
より、高速で開閉可能となっている。また、処理を行っ
ている間は、図示しない回転機構により、回転軸318を
介して基体307を回転させる。なお、特に符号を付さな
いが、真空容器301内の漏れを防止するため、適宜箇所
にはシール部材が設けられている。
【0047】被処理基体307はターゲット304と相対しな
い位置に設置され、ターゲット表面で生成し、ターゲッ
トシースで加速された負イオンの影響を直接受けないよ
うにされている。
【0048】また、スパッタガス導入ポート313、H2
ガス(反応性ガス)導入ポート314より、マスフローコ
ントローラを含むガス供給系によって5%濃度にArで
希釈したF2 ガスおよびH2Oガスを導入可能な構成と
なっている。ここで、導入するガスは、流量、純度、圧
力は高精度に制限され、一定値に保持できる。F2 を希
釈する不活性ガスとしては、Ar以外に、He,Ne,
Kr,Xeなどのガスを、フッ素を含むガスとしては、
2 ガス以外に、CF4 ,NF3 などのガスを必要に応
じて切り替えて導入することが可能な構成となってい
る。
【0049】図示はしないが、F2 などの反応性の高い
ガスを流すため、排気するポンプは耐食性の高いものを
用いるとともに、軸パージや、排気ガス希釈、排気ガス
処理施設なども設置されていることはもちろんである。
【0050】ターゲット冷却水は図示しないチラーで所
望の温度に調整され、流量も一定に保持してターゲット
表面温度を一定に保つ構成としている。
【0051】続いて、a-Si感光体の表面にMgF2膜を形成
する方法について、詳しく説明する。なお、成膜条件は
下記のものに限定されず、適宜決めればよい。
【0052】真空容器301を排気系312により真空に排気
する。2×10-4Paにまで排気が完了したところで、
2 /Arガスを200sccm(F2 10scc
m)、および、H2Oガスを20sccm導入し、カソ
ード電極303に直流電源315より直流電圧500Wを印加
すると、放電してF2 ,Arガスがイオン化し、磁石31
7による磁界がターゲット304の上方に形成されているた
め、磁界に電子がトラップされ、ターゲット表面にマグ
ネトロンプラズマが発生する。放電によりターゲット表
面にシースが形成され、プラズマ中の陽イオンがシース
で加速されてターゲット304に衝突し、ターゲット304か
らスパッタされたMg,F,MgFなどの粒子が放出さ
れる。
【0053】本発明では、異常放電が起こらない条件
(ガス圧、流量、印加電力)を選択しており、放電が安
定するまで基板とターゲットとの間に配置されたシャッ
ターは閉じておき、安定したところでシャッターを開
け、被処理物である感光体基体307に薄膜を形成するよ
うにしている。異常放電が生じる条件で成膜した場合、
異物が膜に混入し、散乱の大きい膜となることがある。
【0054】スパッタされた粒子はプラズマ中および基
板表面で活性なF原子を含む分子と反応し、被処理基体
307にフッ化マグネシウム薄膜が堆積する。成膜終了
後、シャッターを閉じ、放電を停止する。ここで、基板
をロードロック室310を介して、大気に搬出する。
【0055】本方法では、直流電源より、ターゲット電
圧が常時監視され、電圧の変動に応じて直流電源出力、
反応性ガス流量を制御できる制御装置316が設置されて
いる。この電圧を常時一定に保持して成膜することによ
り成膜レートを一定にすることができ、シャッターの開
閉時間を制御することで膜厚制御を行うことも可能とな
る。
【0056】ところで、条件によってはターゲット表面
で絶縁物のフッ化物を形成する場合があり、ターゲット
表面および近傍で異常放電が目立って発生するようにな
る場合がある。この異常放電は絶縁物にチャージしたイ
オンもしくは電子による絶縁破壊であるが、この異常放
電が発生すると、膜中に異物が混入し、表面の粗い膜と
なることがある。そこで、さらに交流電圧を直流電圧に
重畳することにより、チャージをキャンセルし、異常放
電を防止することができる。
【0057】なお、高周波を重畳する場合、高周波放電
によって基板セルフバイアス電圧が増加し、基板に入射
する陽イオンによって膜がダメージを受けることがある
ため、500KHz以下という周波数の低い高周波を重
畳することが好ましく、特に50KHz以下の周波数の
電圧を重畳することが好ましい。
【0058】本発明において、表面層の膜厚は、所望の
電子写真特性、十分な機械的強度が得られ、本発明の効
果が十分に得られるので、0.005μm以上、特に0.01μm
以上であることが好ましい。また、表面層の膜厚は、均
一な膜になりやすく、残留電位を十分少なくでき、所望
の電子写真特性が得られ、経済的なので、3μm以下、特
に1μm以下であることが好ましい。
【0059】なお、表面層のフッ化マグネシウムは量論
組成でなくてもよく、また、表面層には、フッ化マグネ
シウム以外に、O,H,C,N等が含まれていてもよい
が、光吸収の小さい膜を得るためには、これら不純物の
含有量は少ない方がより好ましい。
【0060】(バッファ層)本発明の電子写真感光体
は、前記表面層と光導電層との間にバッファ層が設けら
れている形態であることも好ましい。
【0061】バッファ層は、水素および/またはハロゲ
ンを含み、シリコン原子を母体としたアモルファスシリ
コン(a-Si(H、X))をベースとし、炭素原子、窒素原
子および酸素原子から選ばれる少なくとも1種の原子を
さらに含有する非単結晶材料から構成される。このよう
な非単結晶材料として、アモルファス炭化珪素、アモル
ファス窒化珪素、アモルファス酸化珪素等が挙げられ
る。バッファ層は、特に、a-Siとa-C:Hの中間の組成で
あるアモルファス炭化珪素(a-Si:C(H、X))で形成さ
れることが好ましい。
【0062】この場合、光導電層103から表面層10
5に向かってバッファ層104の組成を連続的に変化さ
せることも可能であり、干渉防止等に効果的である。ま
た、このバッファ層104に13族元素、15族元素な
どのドーパントを含有させることにより伝導型を制御
し、表面からの帯電キャリアの注入を阻止する上部阻止
能を持たせることも可能である。
【0063】本発明におけるバッファ層に用いられる原
料ガスとしては、次のようなものが好適に挙げられる。
【0064】炭素供給用ガスとなり得る物質としては、
CH4、C26、C38、C410等のガス状態の、また
は、ガス化し得る炭化水素が有効に使用されるものとし
て挙げられる。
【0065】窒素または酸素供給用ガスとなり得る物質
としては、NH3、NO、N2O、NO2、O2、CO、C
2、N2等のガス状態の、または、ガス化し得る化合物
が有効に使用されるものとして挙げられる。
【0066】バッファ層は、プラズマCVD法、スパッタ
リング法、イオンプレーティング法等によって作成可能
である。また、本発明におけるバッファ層を作成する際
のプラズマCVD法に用いる放電周波数としてはいかなる
周波数も用いることができ、工業的にはRF周波数帯と呼
ばれる1MHz以上、50MHz未満の高周波でも、V
HF帯と呼ばれる50MHz以上、450MHz以下の
高周波でも好適に用いることができる。
【0067】また、バッファ層を堆積する際の導電性基
板温度は50〜450℃、より好ましくは100〜30
0℃に調整することが好ましい。
【0068】(その他の層)本発明の電子写真感光体
は、上記表面層、バッファ層、光導電層の他に、電荷注
入阻止層(下部阻止層)が光導電層と導電性基体との間
に設けられていることも好ましい。
【0069】電荷注入阻止層(下部阻止層)102を設
ける場合には、一般的にa-Si(H、X)をベースとし、1
3族元素、15族元素などのドーパントを含有させるこ
とにより伝導型を制御し、導電性基体からのキャリアの
注入阻止能を持たせることが可能である。この場合、必
要に応じて、炭素原子、窒素原子および酸素原子から選
ばれる少なくとも1種の原子を含有させることで応力を
調整し、感光層(光導電層)の密着性向上の機能を持た
せることもできる。
【0070】(シリコン感光体を作成する装置)次に、
MgF2表面層形成前までのシリコン感光体を作成する装置
の一例を述べる。
【0071】図3は、高周波電源を用いたRFプラズマ
CVD法による感光体の堆積装置の一例を模式的に示し
た図である。
【0072】この装置は大別すると、反応容器2110
を有する堆積装置2100、原料ガス供給装置220
0、および、反応容器2110内を減圧する為の排気装
置(図示せず)から構成されている。
【0073】堆積装置2100中の反応容器2110内
にはアースに接続された導電性基体2112、導電性基
体加熱用ヒーター2113、および、原料ガス導入管2
114が設置され、さらに高周波マッチングボックス2
115を介して高周波電源2120が接続されている。
【0074】原料ガス供給装置2200は、SiH4
2,CH4,NO,B26,CF4等の原料ガスボンベ
2221〜2226、バルブ2231〜2236、圧力
調整器2261〜2266、流入バルブ2241〜22
46、流出バルブ2251〜2256およびマスフロー
コントローラー2211〜2216から構成され、各原
料ガスを封入したガスのボンベは補助バルブ2260を
介して反応容器2110内の原料ガス導入管2114に
接続されている。
【0075】このような装置で光導電層まで、もしく
は、さらにバッファ層および/または上部阻止層までを
積層した後、真空状態を保ったまま前記スパッタ装置に
感光体基体を搬入するか、あるいは、一旦大気中に開放
してから改めてスパッタ装置に搬入するかは、全体の装
置構成を鑑みて適宜決めればよい。
【0076】(電子写真装置)次に、上記のような電子
写真感光体を用いた本発明の電子写真装置について概要
を述べる。
【0077】図4は、本発明の電子写真装置の一例の概
略構成図である。
【0078】回転する電子写真感光体401の周辺には、
主帯電器402、現像器404、転写紙供給系405、転写帯電
器406(a)、分離帯電器406(b)、クリーナー407、転写紙
搬送系408、除電光源409等が配設されている。
【0079】以下、さらに具体的に画像形成プロセスを
説明すると、p型特性を持つ電子写真感光体401は高電圧
を印加した主帯電器402により+電荷を一様に帯電さ
れ、これに画像情報をもつ像露光403(光源は図示せ
ず)によって静電潜像が形成される。ここでは、印字し
ない部分を露光するいわゆるバックグラウンド露光の例
を示す。この潜像に現像器404からネガ極性トナーが供
給されてトナー像が形成される。
【0080】一方、転写紙供給系405を通って電子写真
感光体401方向に供給される転写材Pは、高電圧を印加し
た転写帯電器406(a)と電子写真感光体401の間隙におい
て、背面からトナーとは逆極性の正電界を与えられ、こ
れによって感光体表面のネガ極性のトナー像は転写材P
に転写する。次いで、高圧AC電圧を印加した分離帯電器
406(b)により、転写材Pは転写搬送系408を通って定着装
置410に至り、トナー像が定着されて装置外に搬出され
る。
【0081】電子写真感光体401上に残留するトナーは
クリーニングユニット407によって回収される。ここ
で、クリーニングユニット407は、感光体に接触して回
転する弾性体のクリーニングローラ407(a)と、板状のク
リーニングブレード407(b)とから構成される。残留する
静電潜像は除電光源409によって消去される。
【0082】このような電子写真装置において本発明の
感光体を用いて印字テストを行うと、前述したように予
期せぬ効果として、長期間の使用に渡って地カブリが極
めて少ないことが見出された。
【0083】このメカニズムは以下のように推測してい
る。地カブリの要因の一つとして極性反転トナー(ここ
ではポジ極性)の生成が挙げられる。クリーニング工程
をすり抜けたごくわずかなトナーは、感光体表面とクリ
ーニングローラとの摩擦帯電の影響を受ける。ここでポ
ジ極性となったトナーは現像器内に徐々に蓄積され、本
来白地部である潜像電位を現像してしまう。本発明のMg
F2表面を有する感光体の場合、回収されたトナーの帯電
極性を調べるとポジ成分が極めて少なく、このことが地
カブリの低減につながっているものと考えられる。
【0084】図5には、本発明の電子写真装置の別の一
例の概略構成図を示す。
【0085】この例においては、図4の例と基本的な構
成は同様であるが、直接帯電を用いている点が異なる。
回転する電子写真感光体501の周辺には、帯電ローラ50
2、現像器504、転写紙供給系505、転写ローラ506、クリ
ーナー507、転写紙搬送系508等が配設されている。
【0086】以下、さらに具体的に画像形成プロセスを
説明すると、n型特性を持つ電子写真感光体501は、高
電圧を印加した回転する帯電ローラ502により、−電荷
を一様に帯電される。ここで、帯電ローラ502は、電圧
が印加される電極502(a)と、その周囲に形成され、感光
体表面に当接巾を持って接触する導電性の弾性層502(b)
とからなる。
【0087】帯電の後、画像情報をもつ像露光503(光
源は図示せず)によって静電潜像が形成される。ここで
は、印字する部分を露光するいわゆるイメージ露光の例
を示す。この潜像に現像器504からネガ極性トナーが供
給されてトナー像が形成される。
【0088】一方、転写紙供給系505を通って電子写真
感光体501方向に供給される転写材Pは、高電圧を印加し
た転写ローラ506と電子写真感光体501の間隙において、
背面からトナーとは逆極性の正電界を与えられ、これに
よって感光体表面のネガ極性のトナー像は転写材Pに転
写する。ここで、転写ローラは、図示しないが前記帯電
ローラと同じように、電極と弾性体とから構成される。
次いで、転写材Pは転写搬送系508を通って定着装置510
に至り、トナー像が定着されて装置外に搬出される。電
子写真感光体501上に残留するトナーはクリーニングブ
レード507によって回収される。
【0089】このような装置構成例においても本発明の
感光体を用いて印字テストを行うと、前述したように予
期せぬ効果として、長期間の使用に渡って地カブリが極
めて少ないことが見出された。
【0090】この場合では、地カブリの要因となる反転
極性トナーは感光体表面と転写ローラおよび/または帯
電ローラとの摩擦帯電により生成されると思われる。本
発明のMgF2表面を有する感光体を用いると、回収された
トナーの帯電極性は先の例と同様にポジ成分が極めて少
なく、このことが地カブリの低減につながっているもの
と考えられる。
【0091】
【実施例】以下、実施例により本発明の効果を具体的に
説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
【0092】<実施例1>まず、感光体の製造方法で記
載したように、図3に記載のRFによるプラズマCVD
装置を用いて下記に示した条件により、φ80mm、長さ35
8mm、肉厚3mmのアルミニウム製導電性基体としての鏡面
加工を施したシリンダー上に、下部阻止層、光導電層、
バッファ層を順次積層した。なお、RFの周波数は1
3.56MHzを用いた。 下部阻止層 SiH4 200ml/min(normal) H2 300ml/min(normal) NO 5ml/min(normal) B 2000ppm(Si原子に対する元素量) パワー 200W 内圧 67Pa 基体温度 270℃ 膜厚 3μm 光導電層(第1の領域) SiH4 200ml/min(normal) H2 1000ml/min(normal) B 2ppm(Si原子に対する元素量) パワー 800W 内圧 67Pa 基体温度 270℃ 膜厚 14μm 光導電層(第2の領域) SiH4 200ml/min(normal) H2 1000ml/min(normal) B 0.2ppm(Si原子に対する元素量) パワー 800W 内圧 67Pa 基体温度 270℃ 膜厚 14μm バッファ層 SiH4 10ml/min(normal) CH4 500ml/min(normal) パワー 200W 内圧 67Pa 基体温度 270℃ 膜厚 0.5μm ここで感光体を一旦大気中に取り出した後、次に、表面
層の製造方法で記載したように、図2に記載のスパッタ
装置を用いて下記に示した条件により、バッファ層の上
にMgF2の表面層を積層した。表面層 ターゲット 金属Mg スパッタガス:流量 Ar:200ml/min(normal) 原料ガス:流量 F2 :10ml/min(normal) 内圧 2×10-4Pa DC電力 500W 基体温度 20℃ 膜厚 0.2μm このようにして作成した電子写真感光体の評価を以下の
ように行った。
【0093】まず、感光体表面の接触角を測定した。具
体的には、滴下式の接触角計(協和界面化学(株)、接
触角計CA−DS型)により、純水に対する接触角を測
定したところ、本感光体の表面層の接触角は88°であっ
た。
【0094】一方、シリンダー基体とは別に、ガラス基
板上に前述の同一条件で成膜し、ダイナミック硬度試験
を行った。
【0095】先端の半径0.1μm以下である稜線の角
度115°の三角錐ダイヤモンドスタイラスに垂直に荷
重を掛けた際の荷重と押し込み深さの関係を DH=α×p/d2 の式に当てはめてダイナミック硬度DHを計算した。こ
こでα:37.8、p:荷重(gf)、d:押し込み深
さ(μm)である。押し込み深さは下地の影響を防ぐた
めに最表面のMgF2膜の膜厚の約1/5とした。
【0096】次いで、この感光体をデジタル複写機(キ
ヤノン(株)社製、iR6000)の改造機に装着して印字耐
久テストを行った。この電子写真装置は図4に示した構
成を有する。ただし、クリーニングローラの部材をマグ
ネットローラからウレタンゴムのスポンジローラに変更
する改造を行った。スポンジローラは感光体に5mmの
ニップ幅をもって当接され、感光体回転に対して順方
向、120%の周速差で回転するように設定されている。
【0097】まず、潜像電位の設定を行った。本装置
は、暗部電位/明部電位を検知し、所定の値(暗部電位/
明部電位=450v/50v)となるよう露光光源であるレー
ザーの発光強度を調整する手段を備えている。本装置の
標準的なレーザー強度を1とし、以降の実施例はそれに
対する相対値を表す。
【0098】次に、30℃、80%RHの環境で5万枚の耐久
テストを行い、画像のボケや流れを評価した。本感光体
を用いた場合、初期から耐久テスト終了に至るまでボケ
や流れのない鮮明な画像を得ることができた。
【0099】続いて環境を23℃、50%RHに移し、さらに
5万枚の耐久テストを継続した。このとき、クリーニン
グ性等を促進評価するため、一般的な複写原稿よりも高
い印字比率20%の画像を用いて耐久した。その結果、本
発明の感光体を用いた場合、斑点状あるいはスジ状等の
画像欠陥が発生することはなく、ベタ画像における均一
性も良好であった。また、地カブリもなく、初期と変わ
らない高品位な画像を耐久テストを通して得ることがで
きた。
【0100】なお、いずれの環境においても、複写機に
本来装着されている感光体内臓のヒーターは動作しない
条件で評価を行った。
【0101】また、計10万枚の耐久を行った感光体の膜
厚を測定し、表面層の削れ量を求めた。
【0102】<実施例2、3>表面層の成膜条件を以下
のように設定した他は実施例1と同様にして電子写真感
光体を作成し、その評価を行った。 実施例2 ターゲット 金属Mg スパッタガス:流量 Ar:200ml/min(normal) H2:20ml/min(normal) 原料ガス:流量 F2:10ml/min(normal) 内圧 2×10-4Pa DC電力 500W 基体温度 100℃ 膜厚 0.2μm 実施例3 ターゲット 金属Mg スパッタガス:流量 Ar:200ml/min(normal) 原料ガス:流量 CF4:10ml/min(normal) 内圧 2×10-4Pa DC電力 500W 高周波バイアス 20KHz 基体温度 150℃ 膜厚 0.2μm <比較例1>バッファ層の上に表面層を形成しなかった
他は実施例1と同様にして電子写真感光体を作成し、そ
の評価を行った。
【0103】<比較例2>バッファ層の上に、以下の条
件で非単結晶炭素膜の表面層を形成した他は実施例1と
同様にして電子写真感光体を作成し、その評価を行っ
た。表面層 CH4 100ml/min(normal) パワー 1500W 内圧 67Pa 基体温度 50℃ 膜厚 0.2μm 実施例1〜3、比較例1、2の結果をまとめて表1に示
す。なお、表1中の削れ量は1000枚当りの換算値であ
る。
【0104】
【表1】 いずれの実施例においても、高硬度で低表面エネルギ
ー、良好な耐久性が得られ、本発明の表面層の効果が十
分に得られていることがわかった。
【0105】比較例1は従来のa-SiC:Hから構成される
表面層を有する感光体であるが、接触角が小さく、表面
エネルギーが大きいことにより、高温、高湿雰囲気では
画像流れが発生した。さらには、過酷な条件におけるト
ナーのクリーニング性が不十分であり、クリーニング不
良によるスジが発生していた。また、耐久による表面層
の削れ量も本実施例より1桁大きい値となった。
【0106】一方、比較例2はa-Cから構成される表面
層を積層した感光体であるが、露光の透過率が低いため
に必要なレーザー強度は約40%大きくなった。また、高
温、高湿環境特有の問題は生じなかったものの、さらに
常温での耐久を継続することにより地カブリが現れた。
【0107】
【発明の効果】本発明によれば、シリコンを主体とする
非単結晶からなる光導電層を有する電子写真感光体にお
いて、フッ化マグネシウムを主成分として含有する表面
層を設けることにより、従来技術の課題を解決する電子
写真感光体を提供することが可能となった。
【0108】具体的には、a-Si系感光体のさらなる長寿
命化を達成し、また、高速化、省エネルギー化、カラー
化に対応した近年の電子写真装置においても画像ボケや
流れの発生がなく、転写性、クリーニング性が良好で常
に高品位の画像を安定して供給できる電子写真感光体を
提供することができる。また、本発明によれば、感度低
下のない、安定した潜像電位を得ることのできる電子写
真感光体を提供することができる。さらに本発明によれ
ば、この感光体を用いた、高品位の画像を安定して供給
することのできる電子写真装置を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体の一例の模式的断面図
である。
【図2】本発明の表面層を形成するための堆積装置の一
例の模式的断面図である。
【図3】本発明の電子写真感光体を形成するための堆積
装置の一例の模式的断面図である。
【図4】本発明の電子写真装置の一例の模式的断面図で
ある。
【図5】本発明の電子写真装置の一例の模式的断面図で
ある。
【符号の説明】
100 電子写真感光体 101 導電性基体 102 電荷注入阻止層(下部阻止層) 103 光導電層 104 バッファ層 105 表面層 2100 堆積装置 2110 反応容器 2111 カソード電極 2112 導電性基体 2113 基体加熱用ヒーター 2114 ガス導入管 2115 高周波マッチングボックス 2116 ガス配管 2117 リークバルブ 2118 メインバルブ 2119 真空計 2120 高周波電源 2121 絶縁材料 2123 受け台 2200 ガス供給装置 2211〜2216 マスフローコントローラー 2221〜2226 ボンベ 2231〜2236 バルブ 2241〜2246 流入バルブ 2251〜2256 流出バルブ 2260 補助バルブ 2261〜2266 圧力調整器 301 真空容器 302 冷却ボックス 303 カソード電極 304 ターゲット 305 アノード電極 306 絶縁材 307 被処理基体 308 基体支持機構 309 ゲートバルブ 310 ロードロック室 311 シャッター 312 排気系 313 スパッタガス導入ポート 314 反応性ガス導入ポート 315 直流電源 316 演算、制御装置 317 磁石 318 基体回転軸 401、501 電子写真感光体 402 主帯電器 502 帯電ローラ 502(a) 電極 502(b) 導電性弾性層 403、503 画像露光 404、504 現像器 405、505 転写紙供給系 406(a) 転写帯電器 406(b) 分離帯電器 506 転写ローラ 407、507 クリーニングユニット 407(a) クリーニングローラ 407(b) クリーニングブレード 408、508 転写搬送系 409 除電光源 410、510 定着器

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリコンを主体とする非単結晶からなる
    光導電層を有する電子写真感光体であって、表面層が、
    フッ化マグネシウムを主成分として含有することを特徴
    とする電子写真感光体。
  2. 【請求項2】 前記表面層がスパッタリング法により形
    成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子写
    真感光体。
  3. 【請求項3】 前記表面層の水に対する接触角が80°
    以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の
    電子写真感光体。
  4. 【請求項4】 電子写真感光体を帯電させる帯電手段
    と、像露光を行うことにより該電子写真感光体上に静電
    潜像を形成する潜像形成手段と、該静電潜像を該電子写
    真感光体上でトナーによって可視化する現像手段と、該
    可視化像を転写材に転写する転写手段と、該電子写真感
    光体表面に残留した転写残トナーを除去するクリーニン
    グ手段とを含む電子写真装置であって、前記電子写真感
    光体は、請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真感光
    体であり、帯電手段、現像手段、転写手段またはクリー
    ニング手段のいずれか1つ以上が、前記電子写真感光体
    と当接部を形成して接触する部材を有することを特徴と
    する電子写真装置。
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