JP2019211523A - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 感度を向上させながら、露光前表面電位(Vd)と露光後表面電位(Vl)の両方を均一にし、画像濃度ムラを低減し、画像品質も向上することのできる負帯電用電子写真感光体及びその製造方法を提供する。【解決手段】 中間層の屈折率が、層厚方向に連続に漸次変化し、かつ層厚方向に周期表の第13族に属する原子を含有する領域と含有しない領域とを有する前記負帯電用の電子写真感光体の製造方法において、前記負帯電用の電子写真感光体の長軸方向の露光前表面電位(Vd)ムラを前記周期表の第13族に属する原子を含有する領域で制御し、前記負帯電用電子写真感光体の長軸方向の露光後表面電位(Vl)ムラを前記周期表の第13族に属する原子を含有しない領域で制御し、前記露光前表面電位(Vd)と前記露光後表面電位(Vl)を個別に制御することを特徴とする負帯電用の電子写真感光体の製造方法。【選択図】 図1

Description

本発明は、像担持体の上に形成された静電像をトナーにより可視化して画像を得る複写機及びプリンターなどの電子写真装置に用いる電子写真感光体の製造方法に関する。
電子写真方式の画像形成装置では、電子写真感光体(以下、「感光体」とも表記する。)の表面を帯電装置によって一様に帯電し、帯電した感光体を像露光装置によって露光して静電潜像を形成し、その後に、この静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する。そして、画像装置は、このトナー像を用紙などの転写材に転写させ、そのトナー像を転写材に定着させ、トナー像が定着された転写材を、出力する。
今まで電子写真方式の画像形成装置の使われ方は、オフィス等で数枚から数十枚程度プリントすることが主な場合であったが、近年、オフセット印刷機が主流であったプロダクション市場においても、使われ始めている。
これは、電子写真方式の画像形成装置の高速化が達成され、電子写真方式の画像形成装生産性が向上したためである。また、電子写真方式の画像形成装置は、小ロットへの対応性とバリアブル印刷に関して、オフセット印刷機より優れるという特徴を有する。更に、電子写真方式の画像形成装置は、デジタル化とカラー化されたことで、よりプロダクション市場で生かせるようになったためである。
そして、プロダクション市場で扱われるプリントのバリエーションは、マニュアルやダイレクトメール等の低画像密度のものから、チラシ、ポスターやグラフィックアート等の高画像密度のプリントまでと、幅広い。従って、プロダクション市場において、高画質化への要求は以前に増して高まっている。高画質化への要求事項としては、画像濃度ムラが少ないこと、高解像であること、高精細であること、画像欠陥(白抜けや黒点など)が少ないこと等が挙げられる。
このようなプロダクション市場へ電子写真方式の画像形成装置が参入するためには、対策しなければならない課題も多い。
例えば、高画質が求められるプロダクション市場における、ポスターやグラフィックアート等におけるプリントでは、画像濃度ムラが問題となる場合がある。画像濃度ムラの原因の一つとして、感光体の感度の不均一(円筒状感光体の長軸方向の感度のムラ)が挙げられる。
感光体の感度が不均一になる理由の一つとしては、感光体が繰り返し使用され、感光体の表面が、用紙、トナー、現像器、クリーナー等との摺擦で不均一に削られることで、感光体における入射光の反射率の変動が発生するためである。
また、感光体の感度が不均一になるもう1つの理由としては、製造段階で光導電層の膜質および膜厚が不均となる点が挙げられる。この光導電層の膜質と膜厚のムラは、露光前表面電位(Vd)と露光後表面電位(Vl)のムラに影響するため、結果として感光体の感度のムラになる。
このため、画像濃度ムラを抑制するために、光導電層の膜厚および膜質の両方が均一でムラの無い感光体を得ることは常に重要な課題となっている。
今まで前述のような反射率のムラによる画像濃度ムラに対しては、例えば、感光層と表面層との界面における屈折率差及び光学的バンドギャップ(Egopt)差を適正化し、画像濃度ムラを抑える技術が開示されている。(特許文献1参照)。
また、光導電層の膜厚や膜質のムラに対しては、例えば、感光体を製造する装置の原料ガスの導入を適正化することですることで、均一性の高い光導電層を形成する技術が開示されている。(特許文献2参照)。
近年、前述の高画質と生産性向上と共に印刷物の一枚当たりの価格であるランニングコストを抑制することが求められている。このため、消耗品の交換頻度を抑制し、メンテナンス回数を減らすことが大きな課題となっている。これは、消耗品の一つである感光体についても当てはまり、感光体の高耐久性、長寿命化は重要な課題となっている。そして、このような状況の中で、有機光導電体を用いた感光体(以下、「OPC」とも表記する。)に対し高耐久で長寿命なアモルファスシリコン(以下「a−Si」ともいう)系材料で構成された光導電層を有するa−Si感光体が、注目されている。
特公平5−73232号公報 特開2005−307304号公報
従来、前述のような技術により、電子写真感光体の電気的、光学的、光導電的特性が向上し、それに伴って、画像濃度ムラも向上してきた。
しかしながら、前述のようにカラー機、特にプロダクション市場で用いられる画像形成装置に要求されるスペックは厳しく、今までは問題にならなかったレベルが問題視される場合がある。
このため、従来のa−Si系材料で構成された光導電層を有する負帯電用a−Si感光体は、更なる画像品質の向上のために、光感度特性、光応答性等のいわゆる電気的、光学的、及び光導電特性の改善の中でも、特に光感度の均一性の点で改善の余地が存在する。
従来の負帯電用a−Si感光体を用いた場合には、次のような課題がある。
まず、反射率のムラによる画像濃度ムラが一つの課題である。前述のように反射率のムラは、繰り返し使用の摺擦で起きる表面層の削れムラが原因である。
このような表面層の削れに起因する反射率のムラは、反射防止膜の技術、屈折率及び光学的バンドギャップ(Egopt)差の最適化、露光波長の工夫によって改善を行ってきた。
しかしながら、高画質な写真やプロダクション市場のポスターやグラフィックアート等では画像濃度ムラに対する要求レベルは高く、反射率のムラを更に抑制する必要がある。また、プロセスが高速化され、単位面積あたりに露光できる時間が短縮され、露光の光量が厳しくなるために感度が重要になっている。
このため、負帯電用の電子写真感光体の画像濃度ムラを改善するためには、反射率ムラを抑制することと、光導電層と電荷注入阻止層、または光導電層と表面層を接続する層である中間層の透過率を向上させることが課題である。
更に、光導電層の膜質・膜厚のムラに起因した露光前表面電位(Vd)と露光後表面電位(Vl)のムラによって発生する画像濃度ムラがもう一つの課題である。
膜質・膜厚のムラの原因としては、a−Si感光体がプラズマCVD法を利用した堆積膜形成装置で製造されることが挙げられる。プラズマによる堆積膜形成装置では、堆積速度を維持しながら大面積で均一に堆積膜を形成することは難しく、膜質・膜厚のどちらか一方、または両方にムラが生じてしまう。
結果として、露光前表面電位(Vd)と露光後表面電位(Vl)のどちらか一方、または両方にムラが生じるため、両方を均一にすることが難しく、大きな課題である。
導電性基体、前記導電性基体に対して層厚方向の上部に形成された光導電層、前記光導電層に対して層厚方向の上部に形成された干渉防止機能を有する中間層、および、前記中間層に対して層厚方向の上部に形成された表面層を有する負帯電用の電子写真感光体であって、
前記中間層がアモルファスシリコンカーバイドで形成され、層厚方向に周期表の第13族に属する原子を含有する領域と含有しない領域とを有し、かつ
前記中間層の屈折率が、層厚方向に連続に漸次変化する前記負帯電用の電子写真感光体の製造方法において、
前記負帯電用の電子写真感光体の長軸方向の露光前表面電位(Vd)ムラを前記周期表の第13族に属する原子を含有する領域で制御し、
前記負帯電用電子写真感光体の長軸方向の露光後表面電位(Vl)ムラを前記周期表の第13族に属する原子を含有しない領域で制御し、
前記露光前表面電位(Vd)と前記露光後表面電位(Vl)を個別に制御することを特徴とする負帯電用の電子写真感光体の製造方法。
本発明よれば、感度を向上させながら、露光前表面電位(Vd)と露光後表面電位(Vl)の両方を均一にし、画像濃度ムラを低減し、画像品質も向上することのできる負帯電用電子写真感光体の製造方法を提供することが可能である。
本発明の負帯電用電子写真感光体の層構成の一例を模式的に示した図である。 RFプラズマCVD法による堆積層形成装置の一例を模式的に示した図である。 ヒーター部が複数に分割された円筒状の基体加熱用ヒーターの一例を模式的に示した図である。 実施例1〜3及び比較例1の露光前表面電位(Vd)ムラを示した図である。 実施例1〜3及び比較例1の露光前後の表面電位(Vcont)ムラを示した図である。 実施例4〜6及び比較例1の露光前表面電位(Vd)ムラを示した図である。 実施例4〜6及び比較例1の露光前後の表面電位(Vcont)ムラを示した図である。 実施例7、8及び比較例1の露光前表面電位(Vd)ムラを示した図である。 実施例7、8及び比較例1の露光前後の表面電位(Vcont)ムラを示した図である。
本発明者らは前述の目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、アモルファスシリコンカーバイド(以下、「a−Si」とも表記する。)で構成される中間層を特定の方法で製造することで感度が向上し反射率のムラを抑制することが可能であることを見出した。
すなわち、中間層の層厚方向に周期表の第13族に属する原子を含有する領域と含有しない領域とを設けることが必要である。そして、製造において、感光体の長軸方向において、周期表の第13族に属する原子を含有する領域で露光前表面電位(Vd)ムラを感光体の長軸方向において制御することが必要である。更に、製造において周期表の第13族に属する原子を含有しない領域で露光後表面電位(Vl)ムラを制御することが必要であるとなることを見出した。
具体的には、まず、中間層において層厚方向に屈折率を漸次変化させる。
次に、周期表の第13族に属する原子を含有する領域の感光体の長軸方向において、感光体の長軸方向において基板の加熱温度を変化させることにより周期表の第13族に属する原子の活性化率を変化させて露光前表面電位(Vd)ムラを制御する。または含有量を変化させることで露光前表面電位(Vd)ムラを制御する。
同様に、周期表の第13族に属する原子を含有しない領域の感光体の長軸方向において、基板の加熱温度を変化させることにより含有する水素原子の原子数(H)の比率を変化させることで露光後表面電位(Vl)ムラを制御する。
このように構成された中間層を負帯電用a−Si感光体に設けることで、前述の目的を達成できる知見を得た。
現時点で詳細は不明であるが、この理由を推察する。
まず、中間層において、屈折率を連続的に漸次変化させることで感度を向上させ反射率のムラを低減できると考えている。この理由は以下と考えている。
これは、屈折率を漸次変化することで連続した逆位相が形成され、反射光が相殺されるため反射光が低減し、反射率のムラが低減すると考えている。また、屈折率を連続的に変化させることで、屈折率差による反射が抑制される。
次に、周期表の第13族に属する原子を含有する領域の感光体の長軸方向において、周期表第13族に属する原子の含有量を変化させることで露光前表面電位(Vd)ムラを制御できる理由は以下と考えている。
負帯電用a−Si感光体の露光前表面電位(Vd)は、付与する電荷と光導電層の帯電能と、中間層である上部阻止層の阻止能で決定される。
そして阻止能は、感光体の長軸方向において周期表13族に属する原子の含有量を変化させることで露光前表面電位(Vd)のムラを任意に制御できると考えている。
また、周期表の第13族に属する原子を含有しない領域の感光体の長軸方向において、含有する水素原子の原子数(H)を変化させることで露光後表面電位(Vl)ムラを制御できる理由は以下と考えている。
周期表の第13族に属する原子を含有しない領域は、前述の反射率の変化の低減には寄与するが、阻止能に寄与しない。このため、周期表の第13族に属する原子を含有しない領域は、露光前表面電位(Vd)のムラには影響を与えないが、露光に対する光吸収を持つので露光後表面電位(Vl)には影響を与える。
このことから、感光体の長軸方向において、本発明の製造方法によって、周期表第13族に属する原子を含有しない領域の光吸収特性を変化させることで露光後表面電位(Vl)ムラを独立して制御できると考えられる。光吸収を変化させるとは、吸収係数を制御することであり、a−Siにおいては水素原子の原子数を変化させることで制御できると考えている。
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照し、さらに詳細に説明する。
[負帯電用電子写真感光体]
図1は、円筒状基体1101の表面に下部電荷阻止層1201、光導電層1301、中間層1401、表面層1501を順次積層した負帯電用電子写真感光体1000の模式図である。
図1を使用して負帯電用子写真感光体を構成する各層について説明する。
<導電性基体(「円筒状基体」ともいう)>
まず、堆積膜を形成する円筒状基体1101の材質としては、例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、コバルト、鉄、クロム、モリブデン、チタンやこれらの合金を用いることができる。中でも、加工性や製造コストを考慮すると、アルミニウムが優れている。この場合、Al−Mg系合金、Al−Mn系合金のいずれかを用いることが好ましい。円筒状基体1101は、基体洗浄装置で処理される前に、例えば表面を鏡面切削加工することがある。
<光導電層>
光導電層1301は、導電性基体に対して層厚方向の上部に形成されるものである。一定極性の帯電処理では電荷を保持し、受光した際には導電する働きがある。光導電層1301は、シリコン原子を母体とするアモルファス材料からなり、光導電性および電荷保持特性を向上させるための原子や、伝導性を制御するための原子を含有させても良い。光導電性および電荷保持特性を向上させるための原子としては、水素原子やハロゲン原子を用いることができる。
水素原子やハロゲン原子は、シリコン原子の未結合手に結合し、層品質の向上、特に光導電性および電荷保持特性を向上させ得る。水素原子の含有量は、特に制限はなく、露光系の波長に合わせて適宜変化させることができ、例えばシリコン原子と水素原子の和に対して10〜40原子%などとすることができる。また、その分布形状に関しても、露光系の波長に合わせて適宜調整することができる。特に、水素原子やハロゲン原子の含有量をある程度多くすると、光学的バンドギャップが大きくなり、感度のピークが短波長側にシフトすることが知られている。
伝導性を制御する原子としては、半導体分野における、いわゆる不純物を挙げることができ、周期表第13族に属する原子(第13族原子とも略記する)、または周期表第15族に属する原子(第15族原子とも略記する)を用いることができる。
第13族原子としては、具体的には、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)等があり、特にBが好適である。
第15族原子として、具体的には、窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)等があり、特にPが好適である。
伝導性を制御する原子の光導電層中の含有量は、特に制限されないが、一般には0.01〜1000atmppmとすることができる。また、画像露光の到達する範囲においては、伝導性を制御する原子を実質的に含有しないものであってもよい。
光導電層1301の層厚は所望の電子写真特性が得られること及び製造上の効率や経済的効果等の点から適宜所望にしたがって決定され、例えば10〜80μm、好ましくは15〜60μm、より好ましくは20〜50μmである。層厚が10μm以上であれば、帯電能や感度等の電子写真特性が実用上使用可能となり、80μm以下であれば、光導電層1301を効率よく製造することができる。
<下部電荷阻止層>
次に下部電荷阻止層1201について説明する。下部電荷阻止層1201は、円筒状基体1101側からの電荷の注入を阻止する働きがある。下部電荷阻止層1201は光導電層1202が一定極性の帯電処理をその自由表面に受けた際、円筒状基体1101側より光導電層1202側に電荷が注入されるのを阻止する。また、光導電層1301で発生したキャリアを円筒状基体1101側へ通過させる整流性を有している。
下部電荷阻止層1201には、水素原子やハロゲン原子を含有するシリコン原子を母材とし、さらに導電性を制御する不純物を含有させても良い。
また、負帯電用電子写真感光体の場合、下部電荷阻止層1201に含有される不純物元素としては、第15族原子を用いることが出来る。
下部電荷阻止層1201中に含有される第13族原子および第15族原子の含有量は、所望にしたがって適宜決定される。好ましくは、下部電荷阻止層中の構成原子の総量に対して10atomppm以上10000atomppm以下、より好適には50atomppm以上7000atomppm以下である。最適には100atomppm以上5000atomppm以下とされるのが好ましい。
更に、下部電荷阻止層には、窒素原子、酸素原子及び炭素原子を少なくとも1つを含有させることによって、該下部電荷阻止層と円筒状基体との間の密着性の向上を図ることが可能となる。また、負帯電用電子写真感光体の場合には、下部電荷阻止層に不純物元素をドープしなくても窒素原子、酸素原子及び炭素原子を最適に含有させることで優れた電荷注入阻止能を有することも可能となる。
具体的には、下部電荷阻止層の全層領域に含有される窒素原子、酸素原子及び炭素原子の含有量は、窒素原子、酸素原子及び炭素原子の和を下部電荷阻止層中の構成原子の総量に対して、0.1atm%以上40atm%以下が好ましい。より好ましくは1.2atm%以上20atm%以下とすることにより、電荷注入阻止能が向上する。
下部電荷阻止層の層厚は、0.1μm以上10μm以下とすることで、円筒状基体1101からの電荷の注入阻止能が充分となり、充分な帯電能が得られ、電子写真特性の向上が期待でき、残留電位の上昇などの弊害を抑制できるため好ましい。
<中間層>
次に、中間層1401について説明する。 中間層1401は、通常、光導電層に対して層厚方向の上部に形成されるものであって、干渉防止機能を有する。中間層1401はアモルファスシリコンカーバイドで形成される。また、少なくとも周期表第13族に属する原子を含有しない領域を周期表第13族に属する原子含有する領域より表面層側に有する。
また、中間層1401は層厚方向に屈折率および膜組成を連続的に漸次変化させる。
p型の伝導性を付与し阻止能を持たせるために含有される第13族原子の含有量は、中間層1401の層厚方向の各々箇所で適宜決定される。好ましくは中間層1401の任意の箇所における構成原子の総量に対して1atomppm以上5000atomppm以下である。好適には5atomppm以上3000atomppm以下の範囲とするのが好ましい。
そして、前述のように、中間層1401の周期表第13族に属する原子を含有する領域においては、感光体の長軸方向における第13族原子の濃度は適宜調整される。また、周期表第13族に属する原子を含有する領域の層厚方向に含有される第13族原子の濃度としては、層厚方向に変化させることで、帯電能および感度、ゴーストの向上ができる。
また、前述のように、周期表第13族に属する原子を含有しない領域において、水素原子の含有比率は、中間層1401中の構成原子の総量に対して通常の場合5atom%以上70atom%以下が好ましい。より好ましくは10atom%以上65atom%以下、最適には15atom%以上60atom%以下とするのが好ましい。
<表面層>
次に、表面層1501について説明する。表面層2501は、中間層に対して層厚方向の上部に形成されるものであって、連続繰り返し使用耐性、耐湿性、使用環境耐性、電気特性に関して良好な特性を得るために設けられる。
前述のように、ランニングコストを抑制することが求められ、消耗品の交換頻度を抑制し、メンテナンス回数を減らすためにも、高耐久性、特に耐摩耗性が優れた表面層が好ましい。
表面層1501は、アモルファスシリコン系の材料であればいずれの材質でも可能である。例えば、水素原子(H)および/またはハロゲン原子(X)を含有し、さらに炭素原子を含有するアモルファスシリコン(以下「a−SiC:H,X」と表記する) 材料も好適に用いられる。または、酸素原子や窒素原子を含有するa−SiO:HX、a−SiN:HXも好適に用いられる。また、アモルファスカーボン系の材料、例えば、水素化アモルファスカーボン「以下「a−C:H」と表記する)も好適に用いられる。
層厚は0.3μm以上にすることで、光受容部材を使用中に摩耗等の理由により表面層が失われるリスクを回避することができる。また、層厚は2.5μnm以下にすることで、表面層の応力による膜剥れや、例えば感度や残留電位の悪化を防ぐことができる。
表面層の膜厚の増加は膜応力の増加につながるため、膜剥れと寿命とのバランスの見極めと適宜調整が必要である。
以上が負帯電用の電子写真感光体を構成する各層に求められる特性および役割である。
<堆積膜形成装置>
図2は、本発明の負帯電用の電子写真感光体の製造に使用できる、高周波電源を用いたRFプラズマCVD法により堆積膜を形成する装置の一例の模式図である。
この装置は主として、反応容器2110を有する堆積膜形成装置2100、原料ガス供給装置2200、および、反応容器2110の中を減圧する為の排気装置(図示せず)から構成されている。
反応容器2110の中にはアースに接続された円筒状基体2112、円筒状基体加熱用ヒーター2113および原料ガス導入管2114が設置されている。円筒状基体加熱用ヒーター2113は、円筒状基体2112の長軸方向で図3のように複数の領域に分割され、円筒状基体2112の長軸方向の温度を個別に制御可能な構成とする。
また、原料ガス導入管2114は、円筒状基体2112の周方向に対して複数配置され、ガス導入管2114に設けられたガス導入口2115の位置により、反応容器2110内おける原料ガスの導入量の分布を制御する。さらに、異なるガス導入口2115の配置を持つ原料ガス導入管2114を配置し、さらに原料ガスの分配比率を変更可能とすることで、各層のムラを制御可能な構成とする。
また、ガス導入管2114に設けられたガス導入口2115の位置により、反応容器2110内おける原料ガスの導入量の分布を制御する。煩雑になるため、図2ではガス導入口2115は5個しか記載していないが、実際にはガス導入口2115の数は適宜調整するのが好ましい。
そして、カソード電極2111には高周波マッチングボックス2122を介して高周波電源2120が接続されている。
原料ガス供給装置2200は、原料ガスボンベ2221〜2225であるSiH4,H2,CH4,NO,B2H6,CF4等のボンベを具備する。また、ガス供給停止用のバルブとして、バルブ2231〜2235、流入バルブ2241〜2245、流出バルブ2251〜2255を具備する。そして、圧力調整器2261〜2265およびマスフローコントローラー2211〜2215を具備する。
次に、この装置を使った堆積膜の形成方法について説明する。まず、円筒状基体2112を反応容器2110に受け台2123を介して設置する。次に、排気装置(図示せず)を運転し、反応容器2110の中を排気する。真空計2119の表示を見ながら、反応容器2110の中の圧力がたとえば1Pa以下の所定の圧力になったところで、円筒状基体加熱用ヒーター2113に電力を供給し、円筒状基体2112を例えば100℃から350℃の所望の温度に加熱する。このとき、ガス供給装置2200より、Ar、He等の不活性ガスを反応容器2110に供給して、不活性ガス雰囲気中で加熱を行うこともできる。
負帯電用の電子写真感光体を構成する各層、例えば下部電荷阻止層、光導電層、中間層、表面層、に応じてガス供給装置2200より各堆積膜の形成に用いるガスを反応容器2110に供給する。すなわち、必要に応じバルブ2231〜2235、流入バルブ2241〜2245、流出バルブ2251〜2255を開き、マスフローコントローラー2211〜2215に流量設定を行う。各マスフローコントローラーの流量が安定したところで、真空計2119の表示を見ながらメインバルブ2118を操作し、反応容器2110の中の圧力が所望の圧力になるように調整する。所望の圧力が得られたところで高周波電源2120より高周波電力を印加すると同時に高周波マッチングボックス2122を操作し、反応容器2110の中にプラズマ放電を生起する。その後、速やかに高周波電力を所望の電力に調整し、堆積膜の形成を行う。
多層膜を形成する場合には、各層の堆積膜が所望の膜厚になった時点で高周波電力の印加を停止し、再び前述の手順を繰り返してそれぞれの層を形成すれば良い。また、連続的に高周波電力、原料ガスの種類、流量設定、円筒状基体加熱用ヒーター2113の電力、反応容器2110の中の圧力を再設定して堆積膜を形成してもよい。
中間層1401は、原料ガス流量、圧力、周波数、電力等を変化させることで、層厚方向に漸次変化させることができる。
また、長軸方向における周期表の第13族に属する原子を含有しない領域の水素原子の含有量を制御するために、前述の複数に分割された円筒状基体加熱用ヒーター2113の各温度設定を変更する。分割されたヒーターは、個別に制御機構を有する。分割されたヒーターの設定温度は、250℃以上300℃以下の範囲であることが好ましい。隣接したヒーターの温度設定の差異は、10℃以上20℃以下の範囲であることが好ましい。
または、異なるガス導入口2115の配置を持つ原料ガス導入管2114に対する原料ガスの分配比率を変更する場合、圧力、周波数、電力、HやAr、He等の希釈ガスの希釈率等を変更する場合がある。
さらに、中間層1401の周期表第13族に属する原子を含有する領域および含有しない領域の間においては、放電を一旦切ることが望ましい。また、周期表の第13族に属する原子の含有量が変化する領域間においても放電を一旦切っても良い。
以上のようにして、所定の層だけ堆積膜の形成が終わったところで、電力の印加を停止する。
そして、バルブ2231〜2235、流入バルブ2241〜2245、流出バルブ2251〜2255、および補助バルブ2260を閉じる。そして、原料ガスの供給を終えると同時に、排気バルブ2118を開き、反応容器2110の中を1Pa以下の圧力まで排気する。
このようにして、すべての堆積膜形成が終わった後は、排気バルブ2118を閉じ、反応容器2110の中に不活性ガスを導入し大気圧に戻した後、円筒状基体2112を取り出す。
以上が、RFプラズマCVD法による堆積膜形成を用いた負帯電用電子写真感光体の製造方法である。
また、前述のように周波数13.56MHz以下の電力を与え原料ガスの分解によるグロー放電を用いたプラズマCVD法であれば、周波数3kHz以上300kHz以下の低周波を用いた低周波プラズマCVD法により堆積膜を形成しても良い。
このように製造された電子写真感光体は、電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、液晶プリンター、レーザー製版機などの電子写真応用分野にも広く用いることができる。
以下、実施例及び比較例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらにより何ら制限されるものではない。
導電性の基体として、外径φ84mm、長さ381mm、肉厚3mmのアルミニウム材料の表面に鏡面加工を施したシリンダーを用い、前述の手順で電子写真感光体を作製した。
なお、本実施例および比較例では図1に示した、下部電荷阻止層、光導電層、中間層、表面層の層構成からなる負帯電用電子写真感光体を採用した。
下部電荷阻止層、光導電層、表面層は、図2に示す堆積膜形成装置で、高周波電源を用いたRFプラズマCVD法により形成した。
そして、図2の円筒状基体加熱用ヒーター2113(ヒーター部が複数に分割された円筒状の基体加熱用ヒーター)は、ヒーター部が、図3に示す軸方向に5分割されたものを用いた。
また、下部電荷阻止層、光導電層、表面層においては、第1のヒーターから第5のヒーターまで同じ基板加熱温度で堆積膜を形成した。
下部電荷阻止層、光導電層、表面層の形成条件を表1に示す。以下、全ての実施例、比較例で下部電荷阻止層、光導電層、表面層は表1の条件を用いている。
Figure 2019211523
次に、RFプラズマCVD法により作成した中間層の成膜条件を表2に示す。
<実施例1>
実施例1では、本発明の手法を用いて、図3に示した円筒状の基体加熱用ヒーターの第1のヒーターから第5のヒーターまでの温度を個別に制御した。周期表第13族に属する原子を含有する領域を形成するにおいて基板加熱温度をコントロールすることで、露光前表面電位(Vd)ムラを制御した。
Figure 2019211523
表2に示すように、周期表第13族に属する原子を含有しない領域と含有する領域の屈折率を連続的に変化させるために、周期表第13族元素のホウ素原子を含有する領域と含有しない領域を形成するにおいて、成膜条件である基板加熱温度の条件を変更した。
なお、中間層の成膜において、中間層の形成条件をA〜Fの6個のポイントとそのポイントの間を結ぶ領域に分けた。また、第13族元素のホウ素原子を含有する領域と含有しない領域のポイント間、およびホウ素原子の濃度を急峻に変化するポイント間では、プラズマ放電用電力を一度切った。
プラズマ放電用電力を切るポイント間では、プラズマ放電用電力を一度切った後に、圧力と原料ガスの設定を変更し、安定した後にプラズマ放電用電力を再度投入した。なお、その他のポイント間では連続放電とし、プラズマ放電用電力を切らないポイント間では成膜条件を直線的に漸次変化させている。
具体的には、Aポイントの圧力と原料ガス流量でプラズマ放電用電力を投入し、Bポイントの成膜条件になるまで、成膜条件を直線的に補間するように漸次変化させ、Bポイントの成膜条件になったところでプラズマ放電用電力を切った。
そして、次にCポイントにおける圧力と原料ガス流量に設定を変更し、安定した後にプラズマ放電用電力を再度投入し、Dポイントの成膜条件になるまで、成膜条件を直線的に補間するように漸次変化させた。そして、Dポイントの成膜条件になったところでプラズマ放電用電力を切った。
次に、Eポイントにおける基板加熱温度、圧力と原料ガス流量に設定を変更し、安定した後にプラズマ放電用電力を再度投入し、Fポイントの成膜条件になるまで、成膜条件を直線的に補間するように漸次変化させた。そして、Fポイントの成膜条件になったところでプラズマ放電用電力を切った。
最後に、表面層の圧力と原料ガス流量に設定を変更し、安定した後にプラズマ放電用電力を再度投入し表面層を成膜した。
なお、BとC、DとEポイントの成膜条件は、反射防止効果が得られるように屈折率が同じになるように調整した。
<実施例2>
実施例2では、実施例1と同様に周期表第13族に属する原子を含有する領域を形成する際において基板加熱温度をコントロールすることで露光前表面電位(Vd)ムラを制御して負帯電用電子写真感光体を作製した。実施例2においても図3に示した円筒状の基体加熱用ヒーターの第1のヒーターから第5のヒーターまでの温度を個別に制御した。
実施例2の中間層の形成条件を表3に示す。
Figure 2019211523
<実施例3>
実施例3では、実施例1と同様に周期表第13族に属する原子を含有する領域を形成する際において基板加熱温度をコントロールすることで露光前表面電位(Vd)ムラを制御して負帯電用電子写真感光体を作製した。実施例3においても図3に示した円筒状の基体加熱用ヒーターの第1のヒーターから第5のヒーターまでの温度を個別に制御した。
実施例3の中間層の形成条件を表4に示す。
Figure 2019211523
<実施例4>
実施例4では、本発明の手法を用いて、周期表第13族に属する原子を含有しない領域を形成する際において基板加熱温度をコントロールすることで露光後表面電位(Vl)ムラを制御して負帯電用電子写真感光体を作製した。実施例4では、実施例1と同様に図3に示した円筒状の基体加熱用ヒーターの第1のヒーターから第5のヒーターまでの温度を個別に制御した。その他は、実施例1と同様とした。
実施例4の中間層の形成条件を表5に示す。
Figure 2019211523
<実施例5>
実施例5では、本発明の手法を用いて、周期表第13族に属する原子を含有しない領域を形成する際において基板加熱温度をコントロールすることで露光後表面電位(Vl)ムラを制御して負帯電用電子写真感光体を作製した。実施例5では、実施例1と同様に図3に示した円筒状の基体加熱用ヒーターの第1のヒーターから第5のヒーターまでの温度を個別に制御した。その他は、実施例1と同様とした。
実施例5の中間層の形成条件を表6に示す。
Figure 2019211523
<実施例6>
実施例6では、本発明の手法を用いて、周期表第13族に属する原子を含有しない領域を形成する際において基板加熱温度をコントロールすることで露光後表面電位(Vl)ムラを制御して負帯電用電子写真感光体を作製した。実施例6では、実施例1と同様に図3に示した円筒状の基体加熱用ヒーターの第1のヒーターから第5のヒーターまでの温度を個別に制御した。その他は、実施例1と同様とした。
実施例6の中間層の形成条件を表7に示す。
Figure 2019211523
<実施例7>
実施例7では、本発明の手法を用いて、露光前表面電位(Vd)ムラ、露光後表面電位(Vl)ムラの両方を制御して負帯電用電子写真感光体を作製した。
実施例7では、図3に示した長軸方向に複数に分割された円筒状の基体加熱用ヒーターの第1のヒーターから第5のヒーターまでの温度を個別に制御して、露光前表面電位(Vd)ムラ、露光後表面電位(Vl)ムラを制御した。
実施例7の中間層の形成条件を表8に示す。
Figure 2019211523
<比較例1>
比較例1では、表9に示したように、中間層を漸次変化させずに形成条件を一定にして、阻止能にムラの無い均一の中間層とした。比較例1の中間層の形成条件を表9に示す。
Figure 2019211523
<実施例8>
実施例8は、本発明の手法を用いて、周期表第13族に属する原子を含有する領域を形成において周期表第13族に属する原子の含有量で露光前表面電位(Vd)ムラを制御した。更に、露光後表面電位(Vl)を実施例4と同様に基板加熱温度で制御して、負帯電用電子写真感光体を作製した。
周期表第13族に属する原子の含有量は、図2に示したガス導入口2115の配置が異なる原料ガス導入管2114を用いて変化させた。その他は、露光後表面電位(Vl)ムラのみ制御した実施例4と同様とした。
以上のように、実施例1から実施例8、比較例1の負帯電用電子写真感光体を作製した。
そして、作製した実施例1から実施例8、比較例1の負帯電用電子写真感光体について、露光前表面電位(Vd)ムラの測定および露光後表面電位ムラ(Vlムラ)の測定、感度評価は以下の評価方法で行った。
露光前表面電位(Vd)、露光後表面電位(Vl)の測定位置は、電子写真感光体の長軸方向の中央位置を0mmとして、0mm、±50mm、±90mm、±130mm、±170mmの9点とした。露光前表面電位(Vd)ムラ、露光後表面電位(Vl)ムラの測定および評価は以下の方法で行った。
なお、露光後表面電位(Vl)ムラの評価については、露光前表面電位(Vd)ムラの影響を排除するため、露光前後の表面電位差(Vcont)ムラを用いて評価した。
(露光前表面電位(Vd)ムラの測定)
露光前表面電位(Vd)ムラの評価は、キヤノン製複写機iRC7065を実験用にマイナス帯電方式に改造した電子写真装置において、プロセススピードを500mm/secとして実施した。
作製した負帯電用電子写真感光体を、電子写真装置に設置し、まず像露光を切った状態で電子写真感光体の長手方向中央位置における現像器位置の電位が−500Vになるように主帯電器に供給する電流量を調整した。
次に、軸方向9点の各点において、前述の中央位置における主帯電器に供給した電流量と同じ電流量を用いて、像露光を切った状態で現像器位置の電位を測定し、その電位を各点における露光前表面電位(Vd)とした。
(露光前後の表面電位差(Vcont)ムラの測定)
露光前後の表面電位差(Vcont)ムラの評価には、キヤノン製複写機iRC7065を実験用に改造した電子写真装置において、プロセススピードを500mm/secとして実施した。
作製した負帯電用電子写真感光体を電子写真装置に設置し、まず像露光を切った状態で電子写真感光体の長手方向中央位置における現像器位置の電位が−500Vになるように主帯電器に供給する電流量を調整した。その後、像露光を照射し現像器位置の電位が−100Vになるように像露光の光量を調整した。
次に、軸方向9点の各点において、前述の中央位置における現像器位置の電位が−500Vになるように調整した電流量と同じ電流量と、前述の中央位置における像露光の光量と同じ光量を用いて、現像器位置の露光前後の表面電位を測定した。そしてその電位差を各点における露光前後の表面電位差(Vcont)とした。
まず、露光前表面電位(Vd)ムラを制御した実施例1から実施例3と比較例1の、露光前表面電位(Vd)ムラ、露光前後の表面電位差(Vcont)ムラの測定結果のグラフを図4、図5に示す。
次に、露光前表面電位(Vl)ムラを制御した実施例4から実施例6、と比較例1の、露光前表面電位(Vd)ムラ、露光前後の表面電位差(Vcont)ムラの測定結果のグラフを図6、図7に示す。
そして、実施例7は、露光前表面電位(Vd)ムラと露光前表面電位(Vl)ムラの両方を制御した場合である。実施例8は、露光前表面電位(Vd)を周期表第13族に属する原子の含有量で制御した場合である。図8に、露光前表面電位(Vd)ムラに関する実施例7、8及び比較例1の結果を示す。図9に、露光前後の表面電位差(Vcont)ムラに関する実施例7、8及び比較例1の結果を示す。
また、長期使用時の感度ムラ評価を以下の方法で行った。
(長期使用時の感度ムラ)
長期使用時の感度ムラ評価には、キヤノン製複写機iRC7065を実験用にマイナス帯電方式に改造した電子写真装置において、プロセススピードを500mm/secと、像露光の波長は658nmで実施した
作製した負帯電用電子写真感光体を、電子写真装置に設置し、像露光を切った状態で電子写真感光体の長手方向中央位置における現像器位置の暗部電位が−500Vになるように主帯電器に供給する電流量を調整する。その後、像露光光を照射し、現像器位置の明部電位が−100Vになるように像露光光の光量を調整した。この状態において、電子写真感光体における暗部電位と明部電位との電位差(暗部電位−明部電位)の分布を前述の長軸方向9点で測定し、その最大値と最小値の差分を平均値で割った値(%)を電位ムラとして測定した。
長期使用時の感度ムラの評価は25万枚ごとに実施し、100万枚画像出力までの感度ムラを評価し、その最悪値を採用した。感度ムラの評価に対しては、数値が小さいほど良く、DランクからAランクへ向かうほど良好である。
A:1.5%未満の電位ムラ
B:1.5%以上2.5%未満の電位ムラ
C:2.5%以上3.0%未満の電位ムラ
D:3.0%以上の電位ムラ
長期使用時の感度ムラ評価の結果を表10に示す。
Figure 2019211523
図4から図9のグラフおよび表10の結果から、以下のことが判った。
図4及び図5から、周期表第13族に属する原子を含有する領域のみ基板加熱温度を制御した実施例1から実施例3では、露光前表面電位(Vd)ムラのみを個別に制御できることがわかった。
また、図6及び図7から、周期表第13族に属する原子を含有しない領域のみ基板加熱温度を制御した実施例4から実施例6では、露光後表面電位(Vl)ムラのみを個別に制御できることがわかった。
そして、実施例7において、周期表第13族に属する原子を含有する領域と周期表第13族に属する原子を含有しない領域の両方の基板加熱温度を制御して感光体の作製をおこなった。図8及び図9から、露光前表面電位(Vd)ムラと露光後表面電位(Vl)ムラを独立して制御できることがわかった。
したがって、露光前表面電位(Vd)ムラと露光前表面電位(Vl)ムラを個別に制御して、露光前表面電位(Vd)ムラと露光前表面電位(Vl)ムラの両方が良好な負帯電用電子写真感光体を製造できることがわかった。
さらに、実施例1から実施例3および実施例8より、周期表第13族に属する原子を含有する領域の周期表第13族に属する原子の活性化度、含有量で露光前表面電位(Vd)ムラが制御できることがわかった。
また、実施例4から実施例6より、周期表第13族に属する原子を含有しない領域の水素含有量を変化させることで露光後表面電位(Vl)ムラが制御できることがわかった。
そして、表10の結果から、中間層の周期表第13族に属する原子を含有する領域と含有しない領域、および含有する領域と含有しない領域の間で層厚方向に屈折率を漸次変化させることで長期使用時の感度ムラが向上することがわかった。
以上、本発明では、露光前表面電位(Vd)と露光後表面電位(Vl)の両方を均一にし、画像濃度ムラを低減し、画像品質も向上することのできる負帯電用の電子写真感光体の製造方法を提供することが可能である。

Claims (5)

  1. 導電性基体、前記導電性基体に対して層厚方向の上部に形成された光導電層、前記光導電層に対して層厚方向の上部に形成された干渉防止機能を有する中間層、および、前記中間層に対して層厚方向の上部に形成された表面層を有する負帯電用の電子写真感光体であって、
    前記中間層がアモルファスシリコンカーバイドで形成され、層厚方向に周期表の第13族に属する原子を含有する領域と含有しない領域とを有し、かつ
    前記中間層の屈折率が、層厚方向に連続に漸次変化する前記負帯電用の電子写真感光体の製造方法において、
    前記負帯電用の電子写真感光体の長軸方向の露光前表面電位(Vd)ムラを前記周期表の第13族に属する原子を含有する領域で制御し、
    前記負帯電用の電子写真感光体の長軸方向の露光後表面電位(Vl)ムラを前記周期表の第13族に属する原子を含有しない領域で制御し、
    前記露光前表面電位(Vd)と前記露光後表面電位(Vl)を個別に制御することを特徴とする負帯電用の電子写真感光体の製造方法。
  2. 前記露光前表面電位(Vd)ムラの制御において、前記周期表の第13族に属する原子を含有する領域における前記周期表の第13族に属する原子の含有量を、前記負帯電用の電子写真感光体の長軸方向に漸次変化させる請求項1に記載の負帯電用の電子写真感光体の製造方法。
  3. 前記露光後表面電位(Vl)ムラの制御において、前記周期表の第13族に属する原子を含有しない領域における水素原子の含有量を、前記負帯電用の電子写真感光体の長軸方向に漸次変化させる請求項1又は2に記載の負帯電用の電子写真感光体の製造方法。
  4. 前記周期表の第13族に属する原子を含有する領域の形成において、ヒーター部が複数に分割された円筒状の基体加熱用ヒーターを用いて前記負帯電用の電子写真感光体の長軸方向の温度を変化させて前記露光前表面電位(Vd)ムラの制御を行う請求項1又は2に記載の負帯電用の電子写真感光体の製造方法。
  5. 前記周期表の第13族に属する原子を含有しない領域の形成において、ヒーター部が複数に分割された円筒状の基体加熱用ヒーターを用いて前記負帯電用の電子写真感光体の長軸方向の温度を変化させて前記露光後表面電位(Vl)ムラの制御を行う請求項1又は3に記載の負帯電用の電子写真感光体の製造方法。
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