JP4298369B2 - 堆積膜形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、円筒状支持体及び2以上のアモルファスシリコン堆積膜を有する電子写真感光体のアモルファスシリコン堆積膜をプラズマCVD法によって形成する堆積膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体デバイス、電子写真用感光体デバイス、画像入力用ラインセンサー、撮像デバイス、光起電力デバイス、その他各種エレクトロニクス素子、光学素子等に用いる素子部材として、アモルファスシリコン、例えば水素原子及び/又はハロゲン原子(例えば弗素、塩素等)で補償されたアモルファスシリコン(以下、“a−Si:(H,X)”と記す。)等のアモルファス材料で構成された半導体等用の堆積膜が提案され、その中のいくつかは実用に付されている。
【0003】
そして、こうした堆積膜はプラズマCVD法、即ち原料ガスを直流、又は高周波、マイクロ波グロー放電によって分解し、ガラス、石英、耐熱性合成樹脂フィルム、ステンレス、アルミニウムなどの材質の支持体上に薄膜状の堆積膜を形成する方法が知られている。電子写真用感光体のような大面積を有する堆積膜を形成する場合、膜厚、膜特性の均一化が必要であり、そのための装置構成も各種提案されている。
【0004】
円筒電極の内壁面に配列された原料ガス噴出口の開口率が、ガス導入管の連結位置から排気方向に向かって逓増する(例えば、特許文献1参照)あるいは逓減する(例えば、特許文献2参照)ように構成することによって画像欠陥の原因となる突起を抑制する技術が開示されている。
【0005】
また、原料ガス導入に、円筒状電極とは独立したガス導入用ガス管を用い、該ガス管に設けたガス導入孔の断面積と間隔を円筒形支持体の長手方向で変化させ、原料ガスを均一に放出することにより、膜厚及び電子写真用感光体として使用する場合の画像むらを改善する技術が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
ガス導入管のガス導入孔と円筒状支持体との角度と、円筒状電極の内径、円筒状支持体の内径との関係を規定することにより、支持体を回転させなくても膜厚、膜特性の均一性を改善する技術が開示されている(例えば、特許文献4、特許文献5参照)。
【0007】
ガス導入管を用い、ガス導入管の断面積、ガス導入孔の断面積と数の関係を規定することにより、円筒状支持体を回転させずに、形成される堆積膜の膜厚及び膜特性を均一にする技術が開示されている(例えば、特許文献6参照)。
【0008】
原料ガス導入管を複数のガス導入系で構成し、堆積膜形成用原料ガス導入系と希釈ガス導入系を独立させることにより反応空間のガスの流速及び分布を均一にする技術が開示されている(例えば、特許文献7参照)。
【0009】
円筒支持体の同軸外周部にガス導入孔を設けたガス導入系と円筒支持体の長手方向に沿って設けたガス導入系の両方から同時に原料ガスを導入し、さらに各々のガス導入系の流量の関係を規定することで、コンダクタンスの違い等から起こる原料ガスの不均一性を改善し、特に上部の不均一性が低減し、膜厚、膜特性の均一性を向上させる技術が開示されている(例えば、特許文献8参照)。
【0010】
二つ以上のガス導入系を有し、かつガス導入管には2方向の導入孔を持ち、ガス導入系毎に原料ガス混合比率を独立に制御して導入することにより、反応空間の上部と下部でプラズマ強度が不均一になってしまうことを改善する技術が開示されている(例えば、特許文献9参照)。
【0011】
電極に複数の長手方向のガス導入系を内接させることで、ガスを均一に反応容器内に導入する技術が開示されている(例えば、特許文献10参照)。
【0012】
【特許文献1】
特開平3−44475号公報
【特許文献2】
特開平3−44476号公報
【特許文献3】
特開昭58−30125号公報
【特許文献4】
特許第2553330号公報
【特許文献5】
特開平10−168573号公報
【特許文献6】
特開昭63−7373号公報
【特許文献7】
特許第2620782号公報
【特許文献8】
特開平10−183356号公報
【特許文献9】
特開平11−323563号公報
【特許文献10】
特開2000−192242号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
これらの電子写真感光体の製造方法により、ある程度実用的な特性と均一性を持つ電子写真感光体を得ることが可能になった。また、真空反応容器内の清掃を厳格に行えば、ある程度欠陥の少ない電子写真感光体を得ることは可能である。しかし、これら従来の電子写真感光体の製造方法では、電子写真用感光体のように大面積で比較的厚い堆積膜が要求される製品については、例えば均一膜質で光学的及び電気的諸特性の要求を満足し、かつ電子写真プロセスにより画像形成時に画像欠陥の少ない堆積膜を高収率で得るのは難しいという問題が残っている。
【0014】
特に、アモルファスシリコン(a−Si)堆積膜は、支持体表面あるいは堆積膜表面に数μmオーダーのダスト等の核となるものが付着していた場合、堆積中にそれを核として異常成長、いわゆる「球状突起」が成長してしまうという性質を持っている。
【0015】
図8は、電子写真感光体の球状突起が発生メカニズムの例を示す模式的断面図である。この感光体は、少なくとも表面が導電性である支持体801上に、光導電層802と表面層803が、順次堆積形成されてなるものである。光導電層802の形成過程においてダスト804が混入すると、膜の堆積中にこのダスト804が核となって膜内で異常成長が生じ、球状突起805が生成する。この球状突起805は、核を円錐頂点とした形をしており、正常部に比べて帯電電荷の保持能力が低い性質を持っている。
【0016】
このため、球状突起のある部分は、画像上ではベタ黒画像で白い点となって現れる(反転現像の場合はベタ白画像に黒い点となって現れる)。このいわゆる「ポチ」と呼ばれる画像欠陥はより高画質を達成するためには改善しなければならない課題であり、特にカラー複写機に搭載される場合にはよりいっそう改善が望まれている。
【0017】
この球状突起の核を少なくするため、使用する支持体は堆積前に精密に洗浄され、反応容器に設置する工程は全てクリーンルームあるいは真空下で作業が行われる。このようにして、堆積開始前における支持体上の付着物は極力少なくするよう努力されてきており、効果を上げてきた。
【0018】
しかしながら、膜厚や膜特性の均一性向上のために、堆積させる層の特性や処方毎に、最適化したガス導入孔の配置や孔径であるガス導入管を有するガス導入系に切り替えて堆積させる方法が行われる場合には、ガス導入系の切換により、ガス導入孔付近に付着した反応生成物が飛散し、堆積中に支持体に付着し、球状突起になることがある。
【0019】
本発明は、このように膜厚や膜特性というマクロ的均一性を高めるだけでなく、微小な異常成長(球状突起)を低減させて、デジタル画像すなわちミクロなドットの集まりの均一性を向上させるためになされた。
【0020】
すなわち、本発明の目的は、上述のごとき従来の電子写真感光体の製造における諸問題を、電気的特性を犠牲にすることなく克服して、安定して歩留まり良く、画像欠陥が少なく高画質の使いやすい電子写真感光体のアモルファスシリコン堆積膜形成し得る方法を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述の問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、電子写真感光体のアモルファスシリコン堆積膜を以下のように形成することにより、電気特性に何ら悪影響を与えず、膜厚や膜特性の均一性に優れ、ポチなどの画像欠陥を大幅に改善した感光体を安定して製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0022】
すなわち、本発明及びその好適な実施形態は、以下の通りである。
【0023】
(1)円筒状支持体及び2以上のアモルファスシリコン堆積膜を有する電子写真感光体のアモルファスシリコン堆積膜をプラズマCVD法によって形成する堆積膜形成方法であって、
上壁、電極を兼ねる円筒状内壁及び底壁を有する、該円筒状支持体を設置するための反応容器
反応容器排気するための排気手段
該反応容器内に設置された該円筒状支持体の同軸外周上かつ該円筒状支持体の長手方向に沿うように設けられた堆積膜形成用原料ガスを導入するための複数の原料ガス導入管を有するガス導入手段の、少なくとも2系統
を有する堆積膜形成装置を用い、
該反応容器内に該円筒状支持体を設置する設置工程と、
該排気手段により該反応容器内を排気する排気工程と、
該2以上のアモルファスシリコン堆積膜のうちの第1のアモルファスシリコン堆積膜用の原料ガスを、該少なくとも2系統のガス導入手段のうちの、該第1のアモルファスシリコン堆積膜用の原料ガスの主たる導入を行う第1のガス導入手段から、該反応容器内に導入し、該第1のアモルファスシリコン堆積膜用の原料ガスに放電エネルギーを印加して、該第1のアモルファスシリコン堆積膜用の原料ガスを励起させることによって、該第1のアモルファスシリコン堆積膜を形成する工程と
該2以上のアモルファスシリコン堆積膜のうちの第2のアモルファスシリコン堆積膜用の原料ガスを、該少なくとも2系統のガス導入手段のうちの、該第2のアモルファスシリコン堆積膜用の原料ガスの主たる導入を行う第2のガス導入手段から、該反応容器内に導入し、該第2のアモルファスシリコン堆積膜用の原料ガスに放電エネルギーを印加して、該第2のアモルファスシリコン堆積膜用の原料ガスを励起させることによって、該第1のアモルファスシリコン堆積膜上に該第2のアモルファスシリコン堆積膜を形成する工程とを経て、該第1のアモルファスシリコン堆積膜及び該第2のアモルファスシリコン堆積膜を含む2以上のアモルファスシリコン堆積膜を形成する堆積膜形成方法において、
該第1のアモルファスシリコン堆積膜を形成する工程の際、該第2のガス導入手段を含む該少なくとも2系統のガス導入手段のうちの該第1のガス導入手段以外の待機状態のガス導入手段から、該第1のアモルファスシリコン堆積膜用の原料ガスよりも少ない量の、該第1のアモルファスシリコン堆積膜用の原料ガスと同一組成の原料ガスを、該反応容器内に導入することを特徴とする堆積膜形成方法。
【0024】
(2)前記第1のアモルファスシリコン堆積膜を形成する工程の際、前記第1のガス導入手段から前記反応容器内に導入する原料ガスの導入量(a)と、前記第2のガス導入手段を含む前記少なくとも2系統のガス導入手段のうちの前記第1のガス導入手段以外の待機状態のガス導入手段から前記反応容器内に導入する原料ガスの総導入量(b)とが、0.002≦b/a≦0.050の関係にある上記(1)の堆積膜形成方法。
【0025】
(3)前記第1のアモルファスシリコン堆積膜を形成する工程の際、前記第1のガス導入手段から前記反応容器内に導入する原料ガス導入量(a)と、前記第2のガス導入手段を含む前記少なくとも2系統のガス導入手段のうちの前記第1のガス導入手段以外の待機状態のガス導入手段から前記反応容器内に導入原料ガスの1系統当りの導入量(c)0.002≦c/aの関係にある上記(1)又は(2)の堆積膜形成方法。
【0026】
(4)前記堆積膜形成装置の、前記少なくとも2系統のガス導入手段のうちの少なくとも1系統のガス導入手段が、ガス流量制御弁を有する上記(1)〜(3)のいずれかの堆積膜形成方法。
【0027】
(5)前記少なくとも2系統のガス導入手段がそれぞれ有する複数の原料ガス導入管は、ガス導入手段毎に、ガス導入孔の配置及び/又は孔径が異なっている上記(1)〜(4)のいずれかの堆積膜形成方法。
【0028】
(6)前記少なくとも2系統のガス導入手段がそれぞれ有する複数の原料ガス導入管のうち、同一系統のガス導入手段に属する複数の原料ガス導入管は、ガス導入孔の配置及び孔径が同じものである上記(5)の堆積膜形成方法。
【0029】
(7)前記2以上のアモルファスシリコン堆積膜のうちの電子写真感光体の光導電層たるアモルファスシリコン堆積膜が、水素原子及び/又はハロゲン原子を含有し、シリコン原子を母体とするアモルファス材料からなるアモルファスシリコン堆積膜である上記(1)〜(6)のいずれかの堆積膜形成方法。
【0030】
(8)前記少なくとも2系統のガス導入手段が、2系統以上10系統以下のガス導入手段である上記(1)〜(7)のいずれかに記載の堆積膜形成方法。
【0037】
なお、本発明においては、長手方向にガス導入孔が配列しているガス導入管を有する少なくとも2系統のガス導入手段を持つ堆積膜形成装置を用い、堆積膜の原料ガスの主たる導入は一つのガス導入手段とし、そのときに主たる導入を行うガス導入手段以外の待機状態のガス導入手段からは主たる導入を行うガス導入手段よりも少ない量の原料ガスを導入してプラズマCVD法により堆積膜を形成させることにより、均一性に優れ、かつ微小な異常成長が少なく、極めて画像濃度が均一な感光体を得ることができる。
【0038】
それは以下のような理由によるものと推測される。
【0039】
任意の処方の堆積膜を均一にするには、特定のガス導入孔の配列を定める必要がある。そのため、処方の異なる堆積膜を堆積するような場合には、特定の配列のガス導入管を持つガス導入手段を堆積させる膜の数に応じて用意しなければならない。
【0040】
電子写真感光体を製造する場合、電子写真特性を主に担う堆積膜は光導電層であり、電子写真感光体の中で最も厚く堆積される。従来、この光導電層は一層で構成されるものが多かったが、昨今のデジタル化により、機能分離型と呼ばれる電荷発生層・電荷輸送層など二層以上の堆積がなされる様になってきている。
【0041】
従来の2系統以上のガス導入手段を有する堆積装置では、任意の処方に適正化された特定配列のガス導入孔をもつガス導入管を有するガス導入手段を使用して堆積膜を形成している間、他のガス導入手段は、原料ガスを導入することなく待機状態にしていた。
【0042】
しかし、待機状態では、待機中のガス導入管のガス導入孔付近にも反応生成物の堆積が生じる。その反応生成物が、ガス導入手段の切換により待機状態から噴出状態に換わることで、ガス導入孔付近から堆積物が剥離し飛散が生じることが分かった。このために、微小な異常成長(球状突起)が発生していると考えている。
【0043】
本発明者らは、微小な異常成長の低減と均一性を高次でバランスさせるために、鋭意検討した。
【0044】
従来、待機状態にあるガス導入手段のガス導入管にも希釈ガスを導入して反応生成物のガス導入孔付近への堆積を低減させる方法が検討されてきた。本発明者らも、希釈ガスの導入についても検討を行ったが、プラズマの均一性が待機側ガス導入管付近で乱れやすく、膜特性の均一性には不利であることがわかった。
【0045】
この待機側ガス導入管付近での乱れを最小限に押さえるために、待機状態のガス導入系統にも原料ガスと同組成のガスを導入することを鋭意検討し、異常成長の低減と高次元の均一性が得られることを見いだした。
【0046】
さらに、特定の配列のガス導入孔を持つガス導入管に導入するガス流量を大きく変動させないこと、また反応空間内のガス均一性を乱さない範囲で待機状態のガス導入系統のガス流量を制御することで、膜厚や膜特性というマクロな均一性を維持したまま、微小な異常成長というミクロな均一性を改善できることを見いだし、本発明に至った。
【0047】
すなわち、本発明は堆積膜の原料ガスの主たる導入は一つのガス導入手段とし主たる導入を行うガス導入手段以外の待機状態のガス導入手段からは主たる導入を行うガス導入手段より少ない量の原料ガスを導入することにより、マクロな均一性と、ミクロな均一性を共に改善する堆積膜の形成方法を提供するものである。
【0048】
本発明は、堆積膜の原料ガスの主たる導入を行うガス導入手段から導入する原料ガス導入量(a)と、そのときに主たる導入を行うガス導入手段以外の待機状態のガス導入手段から導入する原料ガスの総導入量(b)を、0.002≦b/a≦0.050の関係で制御することが好ましい。
【0049】
処方の異なる層を堆積する場合、堆積する層毎にガス混合比及び/又はガス組成が変化する時には、主たる導入を行うガス導入手段から次に主たる導入を行うガス導入手段に、徐々に切り替えることで、ガス導入孔からのガス噴出しを止めることなく、プラズマの均一性を乱すことなく、次に堆積する膜の処方に最適化されたガス導入管に切り替えることができる。なお、急激なガスの流量変化をすると、ガス導入管付近での乱れが発生しやすいので、連続的に流量を変化させて切り替えることが好ましい。
【0050】
また、堆積中の膜堆積用原料ガスは、その大部分を一つの主たる導入を行うガス導入手段から導入するのであるが、そのときに主たる導入を行うガス導入手段以外の待機状態のガス導入手段からの原料ガスが、主たる導入を行うガス導入手段からの原料ガスと同一組成であることが膜特性の均一性のためには好ましい。
【0051】
複数のガス導入手段に対して同一組成のガスを導入するので、複数のガスを任意の混合比で混合させるガス混合装置、いわゆるミキシングパネル(不図示)は一つで、反応容器直前で分割し複数のガス導入手段に接続して、反応容器に導入することで、均一性の良い膜を得ることができる。
【0052】
処方の異なる層を堆積する時、次に主たる導入を行うガス導入手段からのガス導入量の増加が始まったと同時にあるいはその後に、先に主たる導入を行うガス導入手段として使用していたガス導入手段のガスを微量流量まで徐々に減少させることで、急激な内圧変動やプラズマの乱れ、反応容器内のガス分布の変動を抑えることができる。
【0053】
さらに、ガス流量の変化だけでなく、内圧や印加する高周波電力を大きく変化させるような場合には、該ガス流量の変化とは異なるタイミングで、主たる導入を行うガス導入手段として使用していたガス導入手段から徐々に次に主たる導入を行うガス導入手段に切り替えることで、プラズマの乱れを抑えることができることがわかった。
【0054】
また、膜厚や膜特性の均一性を向上させるためには、円筒状支持体を回転させながら堆積膜を形成することは効果的である。
【0055】
【発明の実施の形態】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。
【0056】
「ガス導入手段」
本発明に用いるガス導入手段の例を図1に示す。
【0057】
この例における原料ガス導入手段は、第1のガス導入手段の導入経路105に第1のガス導入管107が8本接続され、第2のガス導入手段の導入経路106に第2のガス導入管108が8本接続されている。反応容器110内には、ガス導入管107、108のガス導入孔から原料ガスが導入される。なお、図において、第1のガス導入管107に記載した矢印はガス導入孔からのガスの噴き出し方向を示している。ここでは、第1のガス導入手段の導入経路105を主とした時には、第2のガス導入手段の導入経路106を従属的に分割制御する。
【0058】
なお、ガス導入手段の数は処方の異なる堆積膜の数と均一性の度合いを総合的に判断して決めるが、2つ以上あれば特に制限はないが、多すぎるとガス導入管の設置が物理的に困難になったり、装置コストの上昇を招いたりする。そのため、ガス導入手段の数は、好ましくは2系統以上10系統以下であり、最適には2系統以上5系統以下とすることが好ましい。
【0059】
ガス導入手段に接続するガス導入管の一例を図7に示す。
【0060】
ガス導入管703に設けるガス導入孔701、702の大きさについては特に制限はないが、大きすぎても小さすぎてもプラズマが不均一になる可能性があるため、好ましくは直径0.1〜3mm、最適には0.2〜2mmが適している。ガス導入孔の数についても特に制限はないが、多すぎても少なすぎてもプラズマが不均一になる可能性があるため好ましくはガス導入管1mあたり20〜150個、最適には30〜100個が適している。ガス導入孔を設ける間隔(原料ガス導入管長手方向のガス導入孔間隔)については間隔の絶対値、及び等間隔か不均一な間隔で設けるかについても特に制限はなく、形成する堆積膜に求める特性に応じて適宜設けることが望ましいが、概ね1〜200mmが適している。
【0061】
さらに、ガス導入孔701、702の支持体に対する角度については、特に制限はないが、支持体側には向かないほうが良い。支持体方向書面に向いたときに角度(α)を0度とすると、角度が70度未満のときは支持体周辺のプラズマを乱す場合があるので、70度以上が適しており、好ましくは90度以上である。また、反応容器内壁面に向けすぎると、反応容器内壁面に堆積した反応生成物を飛散させる可能性があるために、150度以下が適しており、好ましくは130度以下である。
【0062】
本発明に用いる原料ガス導入管の材質については真空中で使用可能で、放電を乱さず、実用強度を備え、また放電空間を汚染しない材質であればいずれでも使用可能であるが、好適なものとしては、ガラス、セラミックス等が挙げられる。特にアルミナセラミックスが適している。
【0063】
また、本発明における原料ガス導入管の本数は特に制限はないが、一つのガス導入系統当たり2〜10本が適当であり、反応容器内に設置する全数で4〜20本が適している。
【0064】
原料ガス導入管についていうと、ガス導入手段毎に割り当てられた堆積膜に適したガス導入孔の配列・孔径となっていることが好ましく、また、同一系統のガス導入手段に属しているものであっても反応容器内の原料ガス雰囲気が均一になるならば異なっていてもよい。なお、原料ガスのコントロールが容易であることから同一系統のガス導入手段に属する原料ガス導入管のガス導入孔の配列・孔径が同じであることが好ましい。
【0065】
「支持体の形状及び材質」
支持体の形状は、電子写真感光体の駆動方式などに応じた所望のものとしてよい。例えば、平滑表面あるいは凹凸表面の円筒状で、その厚さは、所望通りの電子写真用感光体を形成し得るように適宜決定する。電子写真用感光体としての可撓性が要求される場合には、機能が充分発揮できる範囲内で可能な限り薄くすることができる。しかしながら、支持体は製造上及び取り扱い上、機械的強度等の点から通常は1mm以上とされる。
【0066】
支持体の材質としては、Alやステンレスのごとき導電性材料が一般的である。
【0067】
導電性材料としては,上記の他、Cr、Mo、Au、In、Nb、Te、V、Ti、Pt、Pd、Fe等の金属及びこれらの合金が挙げられる。
【0068】
「アモルファスシリコン(a−Si)堆積膜」
グロー放電法によって堆積膜を形成するには、基本的にはシリコン原子(Si)を供給し得るSi供給用の原料ガスと、水素原子(H)を供給し得るH供給用の原料ガス又は/及びハロゲン原子(X)を供給し得る供給用の原料ガスを、反応容器内に所望のガス状態で導入して、該反応容器内にグロー放電を生起させ、所定の位置に設置されている支持体上にa−Si:(H,X)からなる層を形成すればよい。
【0069】
本発明において使用されるSi供給用ガスとなり得る物質としては、SiH4、Si26、Si38、Si410等のガス状態の、又はガス化し得る水素化珪素(シラン類)が有効に使用されるものとして挙げられ、更に層作成時の取り扱い易さ、Si供給効率の良さ等の点でSiH4、Si26が好ましいものとして挙げられる。
【0070】
そして、形成される堆積膜中に水素原子を構造的に導入し、水素原子の導入割合の制御をいっそう容易にし、目的を達成する膜特性を得るために、これらのガスに、更にH2及び/又はHeあるいは水素原子を含む珪素化合物のガスも所望量混合して層形成することが好ましい。また、これらのガスは単独種のみでなく所定の混合比で複数種混合しても差し支えない。
【0071】
また、本発明において使用されるハロゲン原子供給用の原料ガスとして有効なのは、たとえばハロゲンガス、ハロゲン化物、ハロゲン間化合物、ハロゲンで置換されたシラン誘導体等のガス状の又はガス化し得るハロゲン化合物である。さらにはシリコン原子とハロゲン原子とを構成要素とするガス状の又はガス化し得る、ハロゲン原子を含む水素化珪素化合物も有効なものとして挙げることができる。本発明において好適に使用し得るハロゲン化合物としては、具体的には弗素ガス(F2)、BrF、ClF、ClF3、BrF3、BrF5、IF5、IF7等のハロゲン間化合物を挙げることができる。ハロゲン原子を含む珪素化合物、いわゆるハロゲン原子で置換されたシラン誘導体としては、具体的には、たとえばSiF4、Si26等の弗化珪素が好ましいものとして挙げることができる。
【0072】
堆積膜中に含有される水素原子やハロゲン原子の量を制御するには、例えば支持体の温度、水素原子やハロゲン原子を含有させるために使用される原料物質の反応容器内へ導入する量、放電電力等を制御すればよい。
【0073】
本発明においては、堆積膜には必要に応じて伝導性を制御する原子を含有させることが好ましい。伝導性を制御する原子は、堆積膜中に万偏なく均一に分布した状態で含有されても良いし、あるいは層厚方向には不均一な分布状態で含有している部分があってもよい。
【0074】
伝導性を制御する原子としては、半導体分野における、いわゆる不純物を挙げることができ、周期律表第13族に属する原子(以後「第13族原子」と略記する)又は周期律表第15族に属する原子(以後「第15族原子」と略記する)を用いることができる。
【0075】
第13族原子としては、具体的には、硼素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)及びタリウム(Tl)があり、特に、B、Al、Gaが好適である。第15族原子としては、具体的には、燐(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)及びビスマス(Bi)が適当であり、特にP、Asが好適である。
【0076】
堆積膜に含有される伝導性を制御する原子の含有量としては、好ましくは1×10-2〜1×104原子ppm、より好ましくは5×10-2〜5×103原子ppm、最適には1×10-1〜1×103原子ppmとされるのが望ましい。
【0077】
伝導性を制御する原子、たとえば、第13族原子あるいは第15族原子を構造的に導入するには、層形成の際に、第13族原子導入用の原料物質あるいは第15族原子導入用の原料物質をガス状態で反応容器中に、堆積膜を形成するための他のガスとともに導入してやればよい。第13族原子導入用の原料物質あるいは第15族原子導入用の原料物質となり得るものとしては、常温常圧でガス状の又は、少なくとも層形成条件下で容易にガス化し得るものが採用されるのが望ましい。
【0078】
そのような第13族原子導入用の原料物質として具体的には、硼素原子導入用としては、B26、B410、B59、B511、B610、B612、B614等の水素化硼素、BF3、BCl3、BBr3等のハロゲン化硼素等が挙げられる。この他、AlCl3、GaCl3、Ga(CH33、InCl3、TlCl3等も挙げることができる。
【0079】
第15族原子導入用の原料物質として有効に使用されるのは、燐原子導入用としては、PH3、P24等の水素化燐、PF3、PF5、PCl3、PCl5、PBr3、PI3等のハロゲン化燐、さらにPH4I等が挙げられる。この他、AsH3、AsF3、AsCl3、AsBr3、AsF3、SbH3、SbF3、SbF5、SbCl3、SbCl5、BiH3、BiCl3、BiBr3
が第15族原子導入用の出発物質の有効なものとして挙げられる。
【0080】
また、これらの伝導性を制御する原子導入用の原料物質を必要に応じてH2及び/又はHeにより希釈して使用してもよい。本発明の目的を達成し、所望の膜特性を有する堆積膜を形成するには、Si供給用のガスと希釈ガスとの混合比、反応容器内のガス圧、放電電力ならびに支持体温度を適宜設定する。
【0081】
希釈ガスとして使用するH2及び/又はHeの流量は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、Si供給用ガスに対し、通常の場合1〜20倍、好ましくは3〜15倍、最適には5〜10倍の範囲に制御することが望ましい。
【0082】
反応容器内のガス圧も同様に層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合1×10-2〜1×103Pa、好ましくは5×10-2〜5×102Pa、最適には1×10-1〜2×102Paとするのが好ましい。
【0083】
放電電力もまた同様に層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、Si供給用のガスの流量(ml/min(normal))に対する放電電力(W)を、通常の場合0.1〜7倍、好ましくは0.5〜6倍、最適には0.7〜5倍の範囲に設定することが望ましい。
【0084】
さらに、支持体の温度は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合200〜450℃とするのが望ましい。
【0085】
本発明においては、堆積膜を形成するための支持体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前記した範囲が挙げられるが、これらの条件は通常は独立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を有する堆積膜を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて最適値を決めるのが望ましい。
【0086】
次に、電子写真感光体を堆積させる場合について、詳しく述べる
【0087】
「a−Si感光体」
本発明が対象とする電子写真感光体の例を図5に示す。図5(a)はAl、ステンレス等の導電性材料からなる支持体501上に必要により設けられる下部阻止層502が形成され、その上に光導電層503があり、さらにその上に必要により設けられる表面層505があり、図5(b)に示すように、第2の光導電層504が第1の光導電層503と表面層505の間に設けられていてもよく、また、図5(c)に示すように、光導電層503と表面層505の間に上部阻止層506が設けられていてもよい。なお、図5(c)においては光導電層503を一層で示したが、図5(b)のように2層とされていてもよい。
【0088】
本発明においては、光導電層503、504の材料として、通常はa−Siが用いられる。また、必要に応じて最表面に設けられる表面層505はa−Siを母体とし、必要に応じて炭素、窒素、酸素の中から少なくとも1つを含有した層が用いられ、耐環境性、耐摩耗性や耐傷性を向上させることができる。さらに、必要に応じて、下部阻止層502が設けられる。
【0089】
また、必要に応じて設けられる上部阻止層506は、a−Siを母体とし、必要に応じて炭素、窒素、酸素を含有した層が用いられる。
【0090】
図5(b)の電子写真感光体の光導電層の堆積において、第1のガス導入手段を用いて、第1の光導電層503を堆積し、次に堆積途中で徐々に第2のガス導入手段に切り替えて光導電層504をさらに堆積させる。第1のガス導入手段を用いている間は、その他のガス導入手段からは微量の原料ガスを導入する。また、第2のガス導入手段を用いている間は、第1及びその他のガス導入手段からは微量の原料ガスを導入する。
【0091】
このようにして感光体を製造することによって、マクロな均一性だけでなく、微小な球状突起も極めて少ないミクロな均一性にも優れた堆積層を堆積することができ、得られる感光体では良好な画質を保つことが可能となる。
【0092】
ガス導入手段から導入する微量な流量については、堆積膜の原料ガスの主たる導入を行うガス導入手段から導入する原料ガス導入量(a)としたとき、主たる導入を行うガス導入手段以外の待機状態のガス導入手段から導入する微量の原料ガスの総導入量(b)を、0.002≦b/a≦0.050の範囲内とすることが好ましい。
【0093】
図5(a)の下部電荷注入阻止層502、光導電層503及び表面層505を形成した感光体を製造するような場合、各層に応じたガス導入孔の孔径、配置を有したガス導入管を備えたガス導入手段をそれぞれに割り当てて、それぞれを堆積することが好ましく、例えば、支持体501上に下部電荷注入阻止層502を第1のガス導入手段を用いて、その時他のガス導入手段には微量(b/a=0.010)のガスを導入して堆積させ、次に徐々にガス流量・内圧・電力を光導電層の処方に変化させるときに、徐々に第1のガス導入手段から第2のガス導入手段に切り替え、その時他のガス導入手段には微量(例えば、b/a=0.010)のガスを導入して堆積させ、さらに徐々にガス流量・内圧・電力を表面層の処方に変化させるときに、徐々に第2のガス導入手段から第3のガス導入手段に切り替え、その時他のガス導入手段には微量(例えば、b/a=0.006)のガスを導入して堆積させる。このように、堆積膜の種類の数に応じて、複数のガス導入手段を順次切り替え、その時待機状態のガス導入手段からも微量のガスを導入する。
【0094】
ガス導入手段が3系統以上になる場合、すなわち微量のガスを導入するガス導入手段が複数系統になる場合には、主たる導入を行うガス導入手段以外の待機状態のガス導入手段からは、1系統当たりの原料ガス導入量(c)が、主たる導入を行うガス導入手段から原料ガス導入量(a)とするとき、0.002≦c/aとなるようにすることが好ましい。すなわち、主たる導入を行うガス導入手段以外の待機状態のガス導入手段から微量の原料ガスを導入することが本発明にとって必須であるが、原料ガスを微量に流すガス導入手段が複数系統あるときには、1系統当たりのガス導入量が少なすぎると待機中のガス導入手段に微量に原料ガスを流しても本発明の効果が得られないことがあるので、それぞれに一定流量のガスが導入されるように調整しなければならない。なお、そのときの総導入量(b)は上記により調する。
【0095】
「光導電層」
光導電層503、504は、前記したようにシリコン原子を母体とし、通常は、更に水素原子及び/又はハロゲン原子を含む非晶質材料a−Si:(H,X)で構成される。
【0096】
a−Si堆積膜は、本発明のプラズマCVD法を用いた堆積膜形成方法で作製することで、特に高品質の堆積膜が大面積で均一に得られる。
【0097】
に、光導電層は、電子写真感光体の中で最も厚い層厚が必要とされ、かつ膜質の均一性が要求される。したがって、光導電層に最適化したガス導入孔配列をもつガス導入手段を採用することは、本発明にとって望ましい。
【0098】
また、画像欠陥の原因である球状突起が成長するのも、この光導電層堆積時である。したがって、支持体表面に球状突起の核となるものが付着しないようにしなければならない。
【0099】
原料としてはSiH4、Si26、Si38、Si410等のガス状態の、又はガス化し得る水素化珪素(シラン類)を原料ガスとして用い、高周波電力によって分解することによって作製可能である。更に層作製時の取り扱い易さ、Si供給効率の良さ等の点でSiH4、Si26が好ましいものとして挙げられる。
【0100】
このとき、支持体の温度は、200〜450℃、より好ましくは250〜350℃の温度に保つことが特性上好ましい。これは膜成長表面での表面反応を促進させ、充分に構造緩和をさせるためである。
【0101】
反応容器内の圧力も同様に層設計にしたがって最適範囲が選択されるが、通常の場合1×10-2〜1×103Pa、好ましくは5×10-2〜5×102Pa、最適には1×10-1〜1×102Paである。
【0102】
また、これらのガスに、更にH2あるいはハロゲン原子を含むガスを所望量混合して層形成することも特性向上の上で好ましい。
【0103】
ハロゲン原子供給用の原料ガスとして有効なのは、弗素ガス(F2)、BrF、ClF、ClF3、BrF3、BrF5、IF5、IF7等のハロゲン間化合物を挙げることができる。ハロゲン原子を含む珪素化合物、いわゆるハロゲン原子で置換されたシラン誘導体としては、具体的には、たとえばSiF4、Si26等の弗化珪素が好ましいものとして挙げることができる。また、これらのハロゲン供給用の原料ガスを必要に応じてH2、He、Ar、Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0104】
光導電層503、504の全体の層厚としては特に限定はないが、製造コストなどを考慮すると10〜60μm程度が適当である。
【0105】
更に、特性を向上させるために光導電層を3層以上の層構成にしても良い。例えばよりバンドギャップの狭い層を表面側に、よりバンドギャップの広い層を支持体側に配置することで光感度や帯電特性を同時に向上させることができる。特に、半導体レーザーの様に、比較的長波長であって且つ波長ばらつきのほとんどない光源に対しては、こうした層構成の工夫によって画期的な効果が現れる。
【0106】
「下部阻止層」
電子写真感光体において、必要に応じて光導電層の下部に設けられる下部阻止層502は、一般的にa−Si:(H,X)をベースとし、第13族原子、第15族原子などのドーパントを含有させることにより伝導型を制御し、支持体からのキャリアの注入阻止能を持たせることが可能である。この場合、必要に応じて、炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)から選ばれる少なくとも1つ以上の元素を含有させることで応力を調整し、感光層の密着性向上の機能を持たせることもできる。
【0107】
下部阻止層において、ドーパントとなる第13族原子としては、具体的には、B、Al、Ga、In及びTlであり、特にB、Alが好適である。第15族原子としては、具体的には、P、As、Sb及びBiであり、特にPが好適である。
【0108】
また、第13族原子導入用の原料物質として、具体的には、B導入用としては、B26、B410、B59、B511、B610、B612、B614等の水素化硼素、BF3、BCl3、BBr3等のハロゲン化硼素等が挙げられる。この他、AlCl3、GaCl3、Ga(CH33、InCl3、TlCl3等も挙げることができる。中でもB26は取り扱いの面からも好ましい原料物質の一つである。
【0109】
第15族原子導入用の原料物質として有効に使用されるのは、P導入用としては、PH3、P24等の水素化燐、PF3、PF5、PCl3、PCl5、PBr3、PI3等のハロゲン化燐、さらにPH4I等が挙げられる。この他、AsH3、AsF3、AsCl3、AsBr3、AsF3、SbH3、SbF3、SbF5、SbCl3、SbCl5、BiH3、BiCl3、BiBr3等が有
効なものとして挙げられる。
【0110】
下部阻止層でのドーパントの原子の含有量としては、好ましくは1×10-2〜1×104原子ppm、より好ましくは5×10-2〜5×103原子ppm、最適には1×10-1〜1×103原子ppmとされる。
【0111】
「上部阻止層」
電子写真感光体において、必要に応じて光導電層の上部に設けられる上部阻止層506は、感光体が一定極性の帯電処理をその自由表面に受けた際、表面側より光導電層側に電荷が注入されるのを阻止する機能を有し、逆の極性の帯電処理を受けた際にはそのような機能は発揮されない、いわゆる極性依存性を有している。
【0112】
そのような機能を付与するために、上部阻止層506には伝導性を制御する不純物原子を適切に含有させることが必要である。そのような目的で用いられる不純物原子としては、第13族原子、あるいは第15族原子を用いることができる。このような第13族原子としては、具体的には、B、Al、Ga、In及びTlがあり、特にBが好適である。第15族原子としては、具体的には、P、As、Sb及びBiがあり、特にPが好適である。
【0113】
上部阻止層506に含有される伝導性を制御する不純物原子の必要な含有量は上部阻止層506の組成や製造方法により一概にはいえないが、一般的にはネットワーク構成原子に対して1×102〜3×104原子ppmとされ、5×102〜1×104原子ppmとすることが更に好ましい。
【0114】
上部阻止層506に含有される伝導性を制御する原子は、上部阻止層506中に万偏なく均一に分布されていても良いし、あるいは層厚方向に不均一に分布する状態で含有していてもよい。しかしながら、いずれの場合にも支持体の表面と平行面内方向においては、均一な分布で万偏なく含有されることが面内方向における特性の均一化を図る点からも望ましい。
【0115】
上部阻止層506は、a−Si系の材料であればいずれの材質でも可能であるが、後記する表面層505と同様の材料で構成することが好ましい。すなわち、「a−SiC:(H,X)」、「a−SiO:(H,X)」、「a−SiN:(H,X)」、「a−SiCON:(H,X)」等の材料が好適に用いられる。上部阻止層506に含有されるC、N又はOは、上部阻止層中に万偏なく均一に分布されても良いし、あるいは層厚方向に不均一に分布する状態で含有していてもよい。しかしながら、いずれの場合にも支持体の表面と平行面内方向においては、均一な分布で万偏なく含有されることが面内方向における特性の均一化を図る点からも好ましい。
【0116】
上部阻止層506の全層領域に含有されるC、N又はOの含有量は、本発明の目的が効果的に達成されるように適宜決定されるが、1種類の場合はその量として、2種類以上の場合はその総和量として、シリコンとの総和に対して10〜70原子%とするのが好ましい。
【0117】
また、上部阻止層506に、通常は、シリコン原子の未結合手を補償し、層品質の向上、特に光導電性特性及び電荷保持特性を向上させるために、水素原子及び/又はハロゲン原子が含有される。水素含有量は、構成原子の総量に対して通常の場合30〜70原子%、好適には35〜65原子%、最適には40〜60原子%とするのが望ましい。又、ハロゲン原子の含有量として、通常の場合は0.01〜15原子%、好適には0.1〜10原子%、最適には0.5〜5原子%である。
【0118】
さらに、上部阻止層506は光導電層504側から表面層505に向かって組成を連続的に変化させることも好ましく、密着性の向上だけでなく干渉防止等に効果がある。
【0119】
上部阻止層506を形成するには、Si供給用のガスとC、N、O等供給用のガスとの混合比、反応容器内のガス圧、放電電力ならびに支持体の温度を適宜設定することが必要である。
【0120】
反応容器内の圧力も同様に層設計にしたがって最適範囲が適宜選択されるが、通常の場合1×10-2〜1×103Pa、好ましくは5×10-2〜5×102Pa、最適には1×10-1〜1×102Paである。
【0121】
さらに、支持体の温度は、層設計にしたがって最適範囲が適宜選択されるが、通常の場合、好ましくは150〜350℃、より好ましくは180〜330℃、最適には200〜300℃である。
【0122】
本発明において、上部阻止層506を形成するための希釈ガスの混合比、ガス圧、放電電力、支持体温度の望ましい数値範囲として前記した範囲が挙げられるが、これらの層作製ファクターは通常は独立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を有する感光体を形成すべく相互的かつ有機的関連性に基づいて各層作製ファクターの最適値を決めるのが望ましい。
【0123】
「表面層」
電子写真感光体において、必要に応じて最表面に設けられる表面層505は自由表面を有し、主に耐湿性、連続繰り返し使用特性、電気的耐圧性、使用環境特性、耐久性の改善に効果を奏する。
【0124】
また、a−Si系の表面層505は、光導電層503、504や表面層505を形成する非晶質材料の各々がシリコン原子という共通の構成要素を有しているので、層界面において化学的な安定性の確保が十分なされている。表面層505の材質としてa−Si系の材料を用いる場合は、炭素、窒素、酸素より選ばれた元素を少なくとも1つ含むシリコン原子との化合物が好ましく、特にa−SiCを主成分としたものが好ましい。
【0125】
表面層505が炭素、窒素、酸素のいずれか一つ以上を含む場合、これらの原子の含有量は、ネットワークを構成する全原子に対して30〜95原子%とするのが好ましい。
【0126】
通常は、表面層505中に水素原子及び/又は弗素原子が含有されるが、これはシリコン原子の未結合手を補償し、層品質の向上、特に光導電性特性及び電荷保持特性を向上させるためである。水素含有量は、構成原子の総量に対して通常の場合30〜70原子%、好適には35〜65原子%、最適には40〜60原子%とするのが望ましい。また、弗素原子の含有量として、通常の場合は0.01〜15原子%、好適には0.1〜10原子%、最適には0.5〜5原子%である。
【0127】
これらの水素原子及び/又は弗素原子含有量の範囲内で形成される感光体は、実際面において優れたものとして充分適用させ得るものである。
【0128】
なお、表面層505内に存在する欠陥(主にシリコン原子や炭素原子のダングリングボンド)は、電子写真感光体としての特性に悪影響を及ぼすことが知られている。例えば自由表面から電荷の注入による帯電特性の劣化、使用環境、例えば高い湿度のもとで表面構造が変化することによる帯電特性の変動、更にコロナ帯電時や光照射時に光導電層より表面層に電荷が注入され、この表面層内の欠陥に電荷がトラップされることによる繰り返し使用時の残像現象の発生等が、この悪影響として挙げられる。
【0129】
しかしながら、前記表面層505内の水素含有量を30原子%以上に制御することで表面層内の欠陥が大幅に減少し、その結果、従来に比べて電気的特性面及び高速連続使用性において向上を図ることができる。
【0130】
一方、前記表面層505中の水素含有量が70原子%を越えると表面層の硬度が低下するために、繰り返し使用に耐えられなくなる。従って、水素含有量を前記の範囲内に制御することが優れた所望の電子写真特性を得る上で重要な因子の1つである。
【0131】
表面層505中の水素含有量は、原料ガスの組成・流量、支持体温度、放電パワー、ガス圧等によって制御し得る。
【0132】
また、前記表面層505中の弗素含有量を0.01原子%以上の範囲に制御することで表面層内のシリコン原子と炭素原子との結合の発生をより効果的に達成することが可能となる。さらに、弗素原子の働きとして、コロナ等のダメージによるシリコン原子と炭素原子との結合の切断を効果的に防止することができる。前記表面層505中の弗素含有量が15原子%を超えると、表面層内の弗素原子が過剰となり、表面層中のキャリアの走行性を阻害するため、残留電位や画像メモリーが顕著に認められてくる。従って、弗素含有量を前記範囲内に制御することが所望の電子写真特性を得る上で重要な因子の1つである。前記表面層505中の弗素含有量は、水素含有量と同様に原料ガスの流量(比)、支持体温度、放電パワー、ガス圧等によって制御し得る。
【0133】
さらに、表面層505には必要に応じて伝導性を制御する原子を含有させてもよい。伝導性を制御する原子は、表面層中に万偏なく均一に分布した状態で含有されても良いし、あるいは層厚方向には不均一な分布状態で含有している部分があってもよい。
【0134】
前記の伝導性を制御する原子としては、半導体分野における、いわゆる不純物を挙げることができ、第13族原子、又は第15族原子を用いることができる。
【0135】
表面層505の層厚としては、通常0.01〜3μm、好適には0.05〜2μm、最適には0.1〜1μmである。層厚が0.01μmよりも薄いと感光体を使用中に摩耗等の理由により表面層505が失われてしまい、3μmを越えると残留電位の増加等の電子写真特性の低下がみられる。
【0136】
表面層505を形成するには、支持体の温度、反応容器内のガス圧を所望により適宜設定する必要がある。支持体温度は、層設計にしたがって最適範囲が適宜選択されるが、通常の場合、好ましくは150〜350℃、より好ましくは180〜330℃、最適には200〜300℃である。
【0137】
反応容器内の圧力も同様に層設計にしたがって最適範囲が適宜選択されるが、通常の場合1×10-2〜1×103Pa、好ましくは5×10-2〜5×102Pa、最適には1×10-1〜1×102Paである。
【0138】
本発明においては、表面層505を形成するための支持体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前記した範囲が挙げられるが、条件は通常は独立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を有する感光体を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて最適値を決めるのが望ましい。
【0139】
「a−Si感光体製造装置」
図2は、本発明で用いるRF帯の高周波電源を用いたRFプラズマCVD法による感光体の堆積装置の一例を模式的に示した図である。
【0140】
この装置は大別すると、堆積装置1、ガス混合装置を有する原料ガス供給装置2、原料ガスを各系統のガス導入手段に分割制御する分割装置3、及び反応容器110内を減圧するための排気装置4から構成されている。
【0141】
堆積装置に印加する高周波電力は10〜50MHz、例えば周波数13.56MHzのRF電源により行ない、反応容器内の圧力は1×10-2〜1×103Pa程度に保たれる。
【0142】
堆積装置1中の反応容器110内にはアースに接続された支持体112、支持体の加熱用ヒーター113、原料ガス導入管114、115が設置され、更に高周波マッチングボックス116を介して高周波電源117が接続されている。
【0143】
原料ガス供給装置2は、SiH4、H2、CH4、NO、B26、CF4等の原料ガスボンベ221〜226、原料ガスボンベバルブ231〜236、流入バルブ241〜246、流出バルブ251〜256、マスフローコントローラー211〜216及び圧力調節器261〜266から構成され、各構成ガスは反応容器へのガス導入バルブ109の後で分岐された第1のガス導入手段の流量調整弁101及びマスフローメーター103を経て第1のガス導入管107から反応容器110内に導入される。そのとき、第2のガス導入手段の流量調整弁102及びマスフローメーター106には、流量調整弁102で微量に調整された原料ガスが第2のガス導入管108から反応容器110に導入される。
【0144】
支持体112は導電性受け台120の上に設置されることによってアースに接続される。
【0145】
以下、図2の装置を用いた感光体の形成方法の手順の一例について説明する。
【0146】
反応容器110内に支持体112を設置し、排気装置4(例えば真空ポンプ)により反応容器110内を排気する。続いて支持体加熱用ヒーター113により支持体112を200〜450℃、より好ましくは250〜350℃の所定の温度に制御する。
【0147】
次いで、感光体形成用の原料ガスを反応容器110内に流入させるには、原料ガスボンベのバルブ231〜236、反応容器のリークバルブ405が閉じられていること、及び流入バルブ241〜246と流出バルブ251〜256が開かれていることを確認し、まず、第1のガス流量調節弁101、第2のガス流量調節弁102及びガス導入バルブ109を全開し、次いで、排気メインバルブ403を開いて反応容器110及びガス供給配管118を排気する。
【0148】
その後、真空計404の読みが0.5mPaになった時点で、まず、流出バルブ251〜256を閉じ、次いで、流入バルブ241〜246を閉じる。その後ガスボンベ221〜226より各ガスをバルブ231〜236を開いて導入し、圧力調整器261〜266により各ガス圧を0.2MPaに調整する。次に流入バルブ241〜246を徐々に開けて各ガスをマスフローコントローラー211〜216内に導入する。
【0149】
以上の手順によって成膜準備を完了した後、支持体112上に、光導電層の形成を行なう。
【0150】
すなわち、支持体112が所定の温度になったところで、各流出バルブ251〜256のうちの必要なものを徐々に開き、各ガスボンベ221〜226から原料ガスを第1のガス導入管107を介して反応容器110内に導入する。次に、各マスフローコントローラー211〜216によって、各原料ガスが所定の流量になる様に調整する。その際、反応容器110内が1×10-2〜1×103Paの所定の圧力になる様に、真空計404を見ながら排気メインバルブ403の開口を調整する。
【0151】
第1の光導電層を形成するのに使用する第1のガス導入手段の流量調整弁101を開放したまま、第2のガス導入手段の流量調整弁102を徐々に絞って、主となる第1のガス導入手段のマスフローメーター103の指示値(a)に対する第2のガス導入手段のマスフローメーター104の指示値(b)の比が0.002〜0.050の間になるように、第2の流量調整弁102を調整する。
【0152】
反応容器内の圧力が安定したところで、高周波電源117に所定の高周波、通常10〜50MHz、例えば、13.56MHz、通常100〜1500Wの高周波電力を高周波マッチングボックス116からカソード電極111に供給し、反応容器110内で高周波グロー放電を生起させる。この放電エネルギーによって反応容器110内に導入した各原料ガスが分解され、支持体112上に所望のシリコン原子を主成分とするa−Siからなる第1の光導電層が堆積される。
【0153】
本装置においては、支持体112とカソード電極111により取り囲まれた放電空間121において、導入された原料ガスは、放電エネルギーにより励起されて解離し、支持体112上に所定の堆積膜が形成される。この時、層形成の均一化を図るため支持体回転用モーター119によって、支持体112を回転させることも有効である。
【0154】
所定の層厚の形成が行なわれた後、第2の光導電層のガス流量、内圧、高周波電力に徐々に変化させる。そのとき、第1の光導電層の形成時に微量にガスを流していた第2のガス導入手段の流量調整弁102を、徐々に開放し、全開になったところで、第1の光導電層の形成時に主たる導入を行うガス導入手段として使用していた第1のガス導入手段の流量調整弁101を徐々に絞って、第1のガス導入手段側のマスフローメーター103の指示値(b)が第2の光導電層形成時に主たる導入を行う第2のガス導入手段のマスフローメーター104の指示値(a)に対して0.002〜0.050の間になるように、第1の流量調整弁101の調整を終えるように制御する。
【0155】
そして、所定の層厚の第2の光導電層が形成された後、高周波電力の供給を止め、各流出バルブ251〜256を閉じて反応容器110への各原料ガスの流入を止め、光導電層の形成を終える。光導電層の組成や層厚は公知のものを使用することができる。上記光導電層と支持体の間に下部阻止層を形成する場合も基本的には上記の操作をあらかじめ行えばよい。
【0156】
上記の手順で光導電層まで堆積した感光体に、さらに最表面にSi含有ガス及び炭素含有ガスを用いて、a−SiC系の表面層を堆積する。その場合も基本的には上記の操作を行えばよい。
【0157】
「分割制御装置」
図1に、ガス導入手段が2系統に分けられた場合の分割制御装置及びガス導入管の反応容器内の配置を模式図として示した。
【0158】
原料ガスは配管118を経てガス分割制御装置に入ってくると、ガス導入バルブ109を経たところで2手段に分けられ、第1のガス導入手段(第1のガス導入手段の流量制御弁101、同マスフローメーター103、同導入経路105及び同ガス導入管107)と第2のガス導入手段第2のガス導入手段の流量制御弁102、同マスフローメーター104、同導入経路106及び同ガス導入管108)を経て、反応容器110内に導入される。ここでは、ガス導入管は各手段各8本で形成されており、これらは交互に配置されている。また、ガス導入管に設けられたガス導入孔は図1においてガス導入管に矢印で示したように通常2方向に開口している。
【0159】
ガス導入管107を主として使用して堆積膜を作製する場合、第1のガス導入手段のガス導入経路105を経て原料ガスを導入する。その時、第2のガス導入手段のガス導入経路106へも微量のガスを流すことが、本発明にとって重要である。
【0160】
第1のガス導入手段のマスフローメーター103に示される流量(a)と第2のガス導入手段のマスフローメーター104に示される流量(b)の関係が、0.002≦b/a≦0.050になるように、それぞれの流量制御弁101及び102を調整することで流量の調整を行う。
【0161】
調整方法としては、通常、主となる第1のガス導入手段の流量制御弁101は全開放しておき、第2のガス導入手段の流量制御弁102を徐々に絞ることで調整する方法が用いられる。また、両方の流量制御弁101及び102の開度をともに50%にしておき、第1のガス導入手段の流量制御弁101を徐々に開けていき、所定のb/aになるように調整することによってもかまわない。なお、第1の流量制御弁101の開度が100%になっても、所定のb/aにならないときは、流量制御弁102を徐々に閉めて所定のb/aに調整する。
【0162】
図3は、ガス導入手段がガス導入バルブ109を経た後に4系統に分けられた場合の分割制御装置の例を示す模式図で、図3(a)は各系統のガス導入手段のガス導入経路がマスフローメーターを出て、直接に反応容器に接続した例であり、図3(b)は各系統のガス導入手段のガス導入経路にマスフローメーターと反応容器の間にストップバルブを設けた例である。
【0163】
図3(a)において、各流量制御弁309〜312がそれぞれのマスフローメーター305〜308に接続されている。主たる導入を行うガス導入手段から導入する原料ガスの量(a)と、主たる導入を行うガス導入手段以外の待機状態のガス導入手段から導入する原料ガスの合計量(b)の調整方法は上記と同様である。例えば、主たる導入を行うガス導入手段として使用するガス導入手段以外の待機状態の残る3系統の流量制御弁をそれぞれ調整することにより行う。
【0164】
図3(b)では、堆積前後の分割制御装置内のガス置換効率を高めるため、マスフローメーター305〜308に対しバイパスラインとバイパスバルブ313〜316を設けている。分割制御装置内のガス引きを行うときは、バイパスバルブ313〜316を開にして行うことで、コンダクタンスが小さいマスフローメーター305〜308を通さずに、ガス導入経路の排気及び置換ガスの導入をすることができる。
【0165】
また、分割制御装置は4系統であるが、使用するガス導入手段の系統数を任意に1〜4系統内で変更する場合は、ストップバルブ317〜320を閉めることで、該ガス導入手段を遮断することで行うことができる。
【0166】
上記の様な基本的構成からなる分割制御装置を原料ガス供給装置と反応容器の間におかれるが、各系統のガス導入手段のコンダクタンスを同等にし、ガス導入管へ導入するガス圧がほぼ同等になるように、配管の接続等も考慮して設計製作することが好ましい。
【0167】
また、マスフローメーターと流量制御弁の代わりに、マスフローコントローラーを用いることも可能である。その場合は、分割制御装置に流入するガス総流量と、分割されたガス導入手段の総流量が等しくなるように、各系統のガス導入手段のマスフローに対して制御流量を決定する必要がある。
【0168】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明する。
【0169】
[実施例1]
図2に示したRF−CVD法(高周波に13.56MHzを使用)のa−Si感光体製造装置を用いて、外径108mm(厚さ5mm)のAl支持体に、表1に示す条件で下部阻止層、光導電層及び表面層からなる電子写真感光体を製造した。ガス導入手段は光導電層堆積に最適化したガス導入孔の孔径・配列を持つガス導入管を第1のガス導入手段に設置して、光導電層堆積時に使用した。また、第2のガス導入手段には表面層堆積に最適化したガス導入孔の孔径・配列を持つガス導入管を設置した。ガス導入管は、第1のガス導入手段、第2のガス導入手段共に8本とした。なお、下部阻止層は第1のガス導入手段を使用した。
【0170】
光導電層堆積は、第1のガス導入段に導入するガス流量(a)と第2のガス導入手段に導入するガス流量(b)の関係を、表2に示す範囲で変化させた。
【0171】
作製した感光体の評価は、下記の基準で球状突起、画像欠陥、画像濃度均一性及び電位均一性について行い、これらの結果から総合評価を行った。結果を表2に示す。
【0172】
(球状突起)
得られた感光体の表面を光学顕微鏡で観察し、5μm以上の大きさの球状突起の個数(4cm2当たり)を調べた。そして、比較例2の個数を100%として相対比較でランク付けを行った。
「☆」 55%以下。
「◎」 55%以上、75%未満。
「○」 75%以上、95%未満。
「△」 95%以上、110%未満。
「×」 110%以上。
【0173】
(画像欠陥)
一次帯電器がコロナ放電であり、クリーナーにクリーニングブレードを備える電子写真装置GP605(キヤノン社製、プロセススピード300mm/sec、イメージ露光)に、作製した電子写真用感光体を装着し、A3サイズの白紙原稿を複写した。こうして得られた画像を観察し、直径0.1mm以上の球状突起に起因する黒ポチの個数を数えた。そして、比較例2の個数を100%として相対比較でランク付けを行った。
「☆」 55%以下。
「◎」 55%以上、75%未満。
「○」 75%以上、95%未満。
「△」 95%以上、110%未満。
「×」 110%以上。
【0174】
(画像濃度均一性)
電子写真感光体を、一定の暗部表面電位(450V)に帯電させて直ちに一定光量の光(0.2 lx・sec)を照射し、その状態で、A3の均一画像を出力した。画像面を均等に25分割し、各エリア内の画像濃度を測定し、その最大濃度と最小濃度の差を求めた。そして、比較例2の差を100%として相対評価でランク付けを行った。なお、画像濃度測定はGRETAG MACBETH社製のD200−IIにより行った。
「☆」 85%以下。
「◎」 85%以上、95%未満。
「○」 95%以上、105%未満。
「△」 105%以上、110%未満。
「×」 110%以上。
【0175】
(電位均一性)
電子写真感光体を、一定の暗部表面電位(450V)に帯電させて直ちに一定光量の光(約0.5 lx・sec)を照射した。なお、この時の光量は、現像器位置に設置した表面電位計により電子写真用光感光体のドラム軸方向中央部の表面電位がおよそ200Vになるようにした。照射後の感光体の表面電位の分布を周方向、ドラム長手方向について測定し、最大値と最小値の差を求めた。そして、比較例2におけるそれらの差を100%として相対評価でランク付けを行った。
「☆」 85%以下。
「◎」 85%以上、95%未満。
「○」 95%以上、105%未満。
「△」 105%以上、110%未満。
「×」 110%以上。
【0176】
(総合評価)
本発明の効果である電位均一性と画像欠陥改善の効果を重点において、下記ランクで総合的な評価を行った。
「☆」 非常に良好。
「◎」 良好。
「○」 やや良好。
「△」 実用上問題なし。
「×」 実用面で問題有り。
【0177】
[比較例1]
実施例1において、光導電層堆積時に、第2のガス導入手段からの原料ガス導入を行わずに電子写真感光体を製造した。この感光体について、評価を実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
【0178】
[比較例2]
a−Si感光体製造装置として、図4に示したRF−CVD法(高周波に13.56MHzを使用)の従来のガス導入手段1系統であるa−Si感光体製造装置を用いて、実施例1と同様にして電子写真感光体を製造した。なお、ガス導入管は光導電層の堆積に最適化したガス導入孔の孔径・配列を持つものを8本設置した。得られた感光体を実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。なお、本比較例の感光体を各評価の標準として用いた。
【0179】
【表1】
Figure 0004298369
【0180】
【表2】
Figure 0004298369
【0181】
表2に見られるように、堆積膜形成用の複数の原料ガス導入管を有する少なくとも2系統のガス導入手段を有する堆積膜形成装置において、堆積膜の原料ガスの主たる導入は一つのガス導入手段を用い、そのときに主たる導入を行うガス導入手段以外の待機状態のガス導入手段からは微量の原料ガスを導入することによって、球状突起、画像欠陥が改善することが分かる。さらに、ガス導入量比(b/a)を0.002〜0.050にすることで、球状突起、画像欠陥だけでなく、電位均一性及び画像濃度均一性も改善する。
【0182】
[実施例2]
図2に示したa−Si感光体製造装置の反応容器へのガス導入手段を図6に示すように4系統とした。各系統のガス導入手段にはガス導入管を各4本として、表3に示す条件で下部阻止層、第1の光導電層、第2の光導電層及び表面層からなる電子写真感光体を製造した。なお、それぞれの層を堆積するときには、各系統のガス導入手段のガス導入管のガス導入孔の孔径・配列はそれぞれに最適化したものを用いた。また、感光体製造において主として使用するガス導入手段とその他のガス導入手段に導入する流量比(b/a)は、0.02となるようにし、それぞれの層の製造条件が変化するときのガス導入手段の切り替えは図9に示すようにコントロールした。
【0183】
堆積膜の原料ガスの主たる導入を行うガス導入手段から導入する原料ガス導入量(a)と、そのとき主たる導入を行うガス導入手段以外の待機状態のガス導入手段から導入する微量の原料ガスの総導入量(b)の関係b/a、及びその時の微量の原料ガス入す系統当たりの原料ガス導入量(c)の関係c/aについて表4に示す範囲で変化させた。
【0184】
このようにして作製した感光体を実施例1と同様に評価した。結果を表4に示す。
【0185】
【表3】
Figure 0004298369
【0186】
【表4】
Figure 0004298369
【0187】
表4からわかるように、堆積膜形成用の複数の原料ガス導入管を有する複数系統のガス導入手段を備えた堆積膜形成装置において、堆積膜の原料ガスの主たる導入は一つのガス導入手段を用い、そのときには主たる導入を行うガス導入手段以外の待機状態のガス導入手段からは微量の原料ガスを導入することによって、球状突起、画像欠陥が改善することがわかる。
【0188】
また3系統以上のガス導入手段を有する場合には、ガス導入量比(b/a)を0.002〜0.050にし、さらに、その他のガス導入手段の1系統あたりのガス導入量(c)と主たるガス導入手段からガス導入量(a)の比(c/a)を0.002以上とすることで、球状突起、画像欠陥だけでなく、電位均一性及び画像濃度均一性も改善することがわかる。
【0189】
[実施例3]
それぞれのガス導入管を、本実施例の第1の光導電層の堆積及び第2の光導電層の堆積にあわせたガス導入孔の孔径・配置を最適化したものとした実施例1において用いたa−Si感光体製造装置を用い、表5に示す下部阻止層、第1の光導電層、第2の光導電層及び表面層からなる電子写真感光体を製造した。なお、これら光導電層を堆積する際のガス流量の比(b/a)は、0.005となるようにした。また、各光導電層の堆積のときのガス流量、印加電圧及び反応器内の圧力を図10に示すように、コントロールした。ここで下部阻止層の堆積は第1のガス導入手段を、表面層の堆積は第2のガス導入手段を使用した。このようにして作製した感光体を実施例1と同様に評価した。結果を表8に示す
【0190】
【表5】
Figure 0004298369
【0191】
[実施例4]
それぞれのガス導入管を、下部阻止層の堆積、第1の光導電層の堆積、第2の光導電層の堆積及び表面層の堆積にあわせたガス導入孔の孔径・配置を最適化したものとした実施例2において用いたa−Si感光体製造装置を用い、表6に示す下部阻止層、第1の光導電層、第2の光導電層及び表面層からなる電子写真感光体を製造した。なお、これらの層を堆積する際のガス導入流量の比(b/a)は0.020となるように、そして、その他のガス導入手段の一つに流すガス流量(c/a)は0.007とした。また、それぞれの層の製造条件を変化させたときは、ガス導入手段もそれぞれの層にあわせた系統のガス導入手段に徐々に切り替わるようにした。このように作製した感光体を実施例1と同様に評価した。結果を表8に示す。
【0192】
【表6】
Figure 0004298369
【0193】
[実施例5]
実施例4におけるa−Si感光体製造装置を用い、表7に示す下部阻止層、第1の光導電層、第2の光導電層及び表面層からなる電子写真感光体を製造した。なお、表面層を堆積する際にはガス組成及び流量を表7に記載したように変化させながら堆積した。ガス導入の流量比(b/a)は0.020となるようにし、その他のガス導入手段の一つに流すガス流量(c/a)は0.007とした。なお、それぞれの層の製造条件を変化させたとき、ガス導入手段も徐々に切り替わるようにした。このように作製した感光体を実施例1と同様に評価した。結果を表8に示す。
【0194】
【表7】
Figure 0004298369
【0195】
【表8】
Figure 0004298369
【0196】
表8より、ガス導入手段が2系統(実施例3)であっても、4系統(実施例4)であっても、球状突起、画像欠陥だけでなく、電位均一性及び画像濃度均一性も良好な電子写真感光体が得られることがわかる。
【0197】
また、実施例5に見られるように、SiH4及びCH4の流量が変化する条件であっても、球状突起、画像欠陥だけでなく、電位均一性及び画像濃度均一性も良好な電子写真感光体が得られる。
【0198】
[実施例6]
実施例3で用いたa−Si感光体製造装置を用い、表9に示す下部阻止層、第1の光導電層、第2の光導電層及び表面層からなる電子写真感光体を製造した。なお、第1の光導電層の堆積から第2の光導電層の堆積へ切り替えに際し、まず、第2のガス導入手段の流量制御弁を徐々に開放して100%の開度にし、第2のガス導入手段から原料ガスの導入が始まった後に、第1のガス導入手段の流量制御弁を徐々に絞って、ガスを微量流量まで減少させる方法で行った。このとき、いずれの光導電層の堆積の時もb/a=0.005となるようにした。このように作製した感光体を実施例1と同様に評価した。結果を表11に示す。
【0199】
【表9】
Figure 0004298369
【0200】
[実施例7]
実施例6において、第1の光導電層の堆積から第2の光導電層へ切り替えるときの堆積条件を、図11に示すように、第2の光導電層の堆積の極めて初期は第1のガス導入手段からガスが導入されており、その後第2のガス導入手段の流量制御弁を徐々に開放させると、同時に第1のガス導入手段の流量制御弁を徐々に絞って、ガスを微量流量まで減少させる方法で行った。なお、このときの各光導電層の堆積時はb/a=0.008となるようにした。このように作製した感光体を実施例1と同様に評価した。結果を表11に示す。
【0201】
[実施例8]
実施例7において、円筒状支持体を2rpmで回転させながら電子写真感光体を製造した。このように作製した感光体を実施例1と同様に評価した。結果を表11に示す。
【0202】
[実施例9]
実施例6において、各層の堆積条件を表10に示すように、第1の光導電層及び第2の光導電層の堆積中にB26の導入量を変化させ、光導電層の堆積時のb/aを0.006とする以外は実施例6と同様にして、電子写真感光体を製造した。このように作製した感光体を実施例1と同様に評価した。結果を表11に示す。
【0203】
【表10】
Figure 0004298369
【0204】
【表11】
Figure 0004298369
【0205】
実施例6、7より、ガス導入手段の切換を制御することで、球状突起、画像欠陥だけでなく、電位均一性及び画像濃度均一性も良好な電子写真感光体が得られることがわかる。プラズマを乱さないようにすることで、球状突起の少ない及び均一性の良好な電子写真感光体が得られることがわかる。
【0206】
さらに、実施例8より支持体を回転させながら堆積させることで、均一性が良好になることがわかる。
【0207】
また、実施例9に見られるように、堆積中にガス組成が変化するような場合であっても、球状突起、画像欠陥だけでなく、電位均一性及び画像濃度均一性も良好な電子写真感光体が得られることがわかる。
【0208】
[実施例10]
実施例6において、光導電層を1層とし、代わりに上部阻止層を設ける表12に示すような電子写真感光体を製造した。なお、各層の堆積は円筒状支持体を回転(1rpm)させながら行った。また、第1のガス導入手段には光導電層の形成に適したガス導入孔の孔径・配列を有するガス導入管を、第2のガス導入手段には上部阻止層の形成に適したガス導入孔の孔径・配置を有するガス導入管をそれぞれ用いた。
【0209】
光導電層から上部阻止層へ堆積の切換えに際して、ガス導入手段の切換の仕方は、まず、第2のガス導入手段の流量制御弁を徐々に開放させ100%の開度にし、第2のガス導入手段からガスが導入始まった後に、第1のガス導入手段の流量制御弁を徐々に絞って、ガスを微量流量まで減少させる方法で行った。このとき、光導電層堆積時も上部阻止層堆積時もb/a=0.004となるようにした。このように作製した感光体の評価を実施例1と同様にした。評価結果を表14に示す。なお、下部阻止層、表面層の堆積にはそれぞれ第1のガス導入手段、第2のガス導入手段を使用した。
【0210】
【表12】
Figure 0004298369
【0211】
[実施例11]
図6に示したものと同様な4系統のガス導入手段を持つ装置を用い、表13に示すような下部阻止層、光導電層、上部阻止層及び表面層を有する電子写真感光体を製造した。なお、各層の堆積は円筒状支持体を回転(1rpm)させながら行った。ただし、各ガス導入手段にはそれぞれ下部阻止層(第1)、光導電層(第2)、上部阻止層(第3)、表面層(第4)の堆積に適したガス導入孔の孔径・配列を有するガス導入管各5本(全20本)を接続した。各層の堆積を切換えの際には、次に主たる導入を行うガス導入手段の流量制御弁を徐々に開放させ100%の開度にし、ついで先に主たる導入を行っていたガス導入手段の流量制御弁を徐々に絞って、ガスを微量流量まで減少させる方法で行った。このとき、各層堆積時は全てb/a=0.012及びc/a=0.004となるように調整した。このように作製した感光体を実施例1と同様に評価した。評価結果を表14に示す。
【0212】
【表13】
Figure 0004298369
【0213】
【表14】
Figure 0004298369
【0214】
表14より、上部阻止層を有する電子写真感光体であっても、複数系統のガス導入手段を有する堆積装置を用いることで、球状突起、画像欠陥だけでなく、電位均一性及び画像均一性も良好な電子写真感光体が得られることがわかる。
【0215】
また、上部阻止層に最適化した特定のガス導入孔配列を持つガス導入管を設置したガス導入手段を用いることで、均一性が良好な電子写真感光体を得られることがわかった。
【0216】
【発明の効果】
以上述べたように、プラズマCVD法による堆積膜形成方法において、本発明の方法として、複数系統のガス導入手段を有する堆積装置を使用し、ある膜を堆積中はその原料ガス導入を主に1つの系統のガス導入手段から行い、そのときに他のガス導入手段からも微量の原料ガスの導入行なうことで球状突起、画像欠陥だけでなく、電位均一性及び画像均一性も良好な電子写真感光体を提供することが可能となった。
【0217】
に、原料ガスの主たる導入を行うガス導入手段から導入する原料ガス導入量(a)、そのとき主たる導入を行うガス導入手段以外の待機状態のガス導入手段から導入する微量の原料ガスの総導入量(b)を、0.002≦b/a≦0.050の関係にすることで、球状突起を減少させ、画像欠陥の改善を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の堆積方法を採用した堆積装置のガス導入手段の一例を示す模式的断面図である。
【図2】 本発明の堆積方法を採用した堆積装置の一例を示す模式的構成図である。
【図3】 本発明の堆積方法に使用する原料ガス分割装置の例を示す模式的断面図である。
【図4】 従来の堆積方法を採用した堆積装置の一例を示す模式的構成図である。
【図5】 a−Si電子写真感光体の層構成の一例を示す模式図である。
【図6】 4系統のガス導入手段をもつガス導入管の配置の一例を示す模式図である。
【図7】 ガス導入管の孔配列を説明するための模式図である。
【図8】 電子写真感光体の球状突起が形成される状況を示す模式的断面図である。
【図9】 本発明のガス導入手段の系統切換に伴うフロー図の一例を示す概略図である。
【図10】 本発明のガス導入手段の系統切換に伴うフロー図の一例を示す概略図である。
【図11】 本発明のガス導入手段の系統切換に伴うフロー図の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 製造装置
2 原料ガス供給装置
3 分割装置
4 排気装置
101 第1のガス導入手段の流量制御弁
102 第2のガス導入手段の流量制御弁
103 第1のガス導入手段の流量測定器(マスフローメーター)
104 第2のガス導入手段の流量測定器(マスフローメーター)
105 第1のガス導入手段の導入経路
106 第2のガス導入手段の導入経路
107 第1のガス導入管
108 第2のガス導入管
109 ガス導入バルブ
110 反応容器
111 カソード電極
112 支持体
113 支持体加熱用ヒーター
116 高周波マッチングボックス
117 高周波電源
118 原料ガス配管
119 円筒形支持体回転用モーター
120 受け台
121 放電空間
211〜216 マスフローコントローラー
221〜226 ボンベ
231〜236 バルブ
241〜246 流入バルブ
251〜256 流出バルブ
261〜266 圧力調整器
301〜304 ガス導入経路
305〜308 流量測定器
309〜312 流量調整弁
313〜316 バイパス弁
317〜320 ストップバルブ
402 排気配管
403 排気メインバルブ
404 真空計
405 リークバルブ
501 支持体
502 下部阻止層
503 第1の光導電層(光導電層)
504 第2の光導電層
505 表面層
506 上部阻止層
601 第1のガス導入手段のガス導入管
602 第2のガス導入手段のガス導入管
603 第3のガス導入手段のガス導入管
604 第4のガス導入手段のガス導入管
605 支持体(回転)
606 反応容器(カソード電極)
701、702 ガス導入孔
703 ガス導入管
801 支持体
802 光導電層
803 表面層
804 ダスト
805 球状突起
α ガス導入孔の角度

Claims (8)

  1. 円筒状支持体及び2以上のアモルファスシリコン堆積膜を有する電子写真感光体のアモルファスシリコン堆積膜をプラズマCVD法によって形成する堆積膜形成方法であって、
    上壁、電極を兼ねる円筒状内壁及び底壁を有する、該円筒状支持体を設置するための反応容器
    反応容器排気するための排気手段
    該反応容器内に設置された該円筒状支持体の同軸外周上かつ該円筒状支持体の長手方向に沿うように設けられた堆積膜形成用原料ガスを導入するための複数の原料ガス導入管を有するガス導入手段の、少なくとも2系統
    を有する堆積膜形成装置を用い、
    該反応容器内に該円筒状支持体を設置する設置工程と、
    該排気手段により該反応容器内を排気する排気工程と、
    該2以上のアモルファスシリコン堆積膜のうちの第1のアモルファスシリコン堆積膜用の原料ガスを、該少なくとも2系統のガス導入手段のうちの、該第1のアモルファスシリコン堆積膜用の原料ガスの主たる導入を行う第1のガス導入手段から、該反応容器内に導入し、該第1のアモルファスシリコン堆積膜用の原料ガスに放電エネルギーを印加して、該第1のアモルファスシリコン堆積膜用の原料ガスを励起させることによって、該第1のアモルファスシリコン堆積膜を形成する工程と
    該2以上のアモルファスシリコン堆積膜のうちの第2のアモルファスシリコン堆積膜用の原料ガスを、該少なくとも2系統のガス導入手段のうちの、該第2のアモルファスシリコン堆積膜用の原料ガスの主たる導入を行う第2のガス導入手段から、該反応容器内に導入し、該第2のアモルファスシリコン堆積膜用の原料ガスに放電エネルギーを印加して、該第2のアモルファスシリコン堆積膜用の原料ガスを励起させることによって、該第1のアモルファスシリコン堆積膜上に該第2のアモルファスシリコン堆積膜を形成する工程とを経て、該第1のアモルファスシリコン堆積膜及び該第2のアモルファスシリコン堆積膜を含む2以上のアモルファスシリコン堆積膜を形成する堆積膜形成方法において、
    該第1のアモルファスシリコン堆積膜を形成する工程の際、該第2のガス導入手段を含む該少なくとも2系統のガス導入手段のうちの該第1のガス導入手段以外の待機状態のガス導入手段から、該第1のアモルファスシリコン堆積膜用の原料ガスよりも少ない量の、該第1のアモルファスシリコン堆積膜用の原料ガスと同一組成の原料ガスを、該反応容器内に導入することを特徴とする堆積膜形成方法。
  2. 前記第1のアモルファスシリコン堆積膜を形成する工程の際、前記第1のガス導入手段から前記反応容器内に導入する原料ガス導入量(a)と前記第2のガス導入手段を含む前記少なくとも2系統のガス導入手段のうちの前記第1のガス導入手段以外の待機状態のガス導入手段から前記反応容器内に導入する原料ガスの総導入量(b)が、0.002≦b/a≦0.050の関係にある請求項1に記載の堆積膜形成方法。
  3. 前記第1のアモルファスシリコン堆積膜を形成する工程の際、前記第1のガス導入手段から前記反応容器内に導入する原料ガス導入量(a)と、前記第2のガス導入手段を含む前記少なくとも2系統のガス導入手段のうちの前記第1のガス導入手段以外の待機状態のガス導入手段から前記反応容器内に導入原料ガスの1系統当りの導入量(c)0.002≦c/aの関係ある請求項1又は2に記載の堆積膜形成方法。
  4. 前記堆積膜形成装置の、前記少なくとも2系統のガス導入手段のうちの少なくとも1系統のガス導入手段が、ガス流量制御弁を有する請求項1〜のいずれかに記載の堆積膜形成方法。
  5. 前記少なくとも2系統のガス導入手段がそれぞれ有する複数の原料ガス導入管は、ガス導入手段毎にガス導入孔の配置及び/又は孔径が異なっている請求項1〜のいずれかに記載の堆積膜形成方法。
  6. 前記少なくとも2系統のガス導入手段がそれぞれ有する複数の原料ガス導入管のうち、同一系統のガス導入手段に属する複数の原料ガス導入管は、ガス導入孔の配置及び孔径が同じものである請求項に記載の堆積膜形成方法。
  7. 前記2以上のアモルファスシリコン堆積膜のうちの電子写真感光体の光導電層たるアモルファスシリコン堆積膜が、水素原子及び/又はハロゲン原子を含有し、シリコン原子を母体とするアモルファス材料からなるアモルファスシリコン堆積膜である請求項1〜のいずれかに記載の堆積膜形成方法。
  8. 前記少なくとも2系統のガス導入手段、2系統以上10系統以下ガス導入手段である請求項1〜のいずれかに記載の堆積膜形成方法。
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