JPH11106931A - プラズマcvd法による堆積膜形成装置及び方法 - Google Patents

プラズマcvd法による堆積膜形成装置及び方法

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JPH11106931A
JPH11106931A JP28904797A JP28904797A JPH11106931A JP H11106931 A JPH11106931 A JP H11106931A JP 28904797 A JP28904797 A JP 28904797A JP 28904797 A JP28904797 A JP 28904797A JP H11106931 A JPH11106931 A JP H11106931A
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gas introduction
source gas
introduction pipe
deposited film
reaction vessel
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JP28904797A
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Hideaki Matsuoka
秀彰 松岡
Yoshio Seki
好雄 瀬木
Hiroyuki Katagiri
宏之 片桐
Yasuyoshi Takai
康好 高井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、反応容器内のガス量のバランスをと
り、膜厚および膜質が均一な堆積膜を定常的に形成し、
画像欠陥を激減しうるプラズマCVD法による堆積膜形
成装置及び方法を提供すること、及び、形成される膜の
諸物性、成膜速度、再現性の向上、膜の生産性を向上
し、量産化を行う場合その歩留まりを飛躍的に向上させ
ることを可能にするプラズマCVD法による堆積膜形成
装置及び方法を提供することを目的としている。 【解決手段】本発明は、堆積膜を形成するための円筒状
支持体が配置される反応空間を有する反応容器と、前記
反応容器内の前記円筒状支持体の配置位置における該円
筒状支持体との同軸外周上に、該円筒状支持体の長手方
向に沿って設けられた複数の原料ガス導入管を有する堆
積膜形成装置及び方法において、前記原料ガス導入管の
上端部に、該原料ガス導入管を所定の位置にしうる部材
を設けたことを特徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラズマCVD法
により、支持体上に機能性堆積膜、特に電子写真用感光
体、光起電力デバイス、画像入力用ラインセンサー、撮
像デバイス、TFT等の半導体素子として好適に利用で
きる、結晶質、または非単結晶質半導体を連続的に形成
する堆積膜形成装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体デバイス、電子写真用感光
体、画像入力用ラインセンサー、撮像デバイス、光起電
力デバイス、その他各種エレクトロニクス素子、光学素
子等に用いる素子部材として、アモルファスシリコン、
例えば水素または/及びハロゲン(例えばフッ素、塩素
等)で補償されたアモルファスシリコン[以下、A−S
i(H,X)と略記する]のような非単結晶質の堆積膜
またはダイヤモンド薄膜のような結晶質の堆積膜が提案
され、その中のいくつかは実用に付されている。そし
て、こうした堆積膜は、プラズマCVD法、すなわち、
原料ガスを直流または高周波、あるいはマイクロ波によ
るグロー放電によって分解し、ガラス、石英、耐熱性合
成樹脂フイルム、ステンレス、アルミニウムなどの支持
体上に堆積膜を形成する方法により形成され、そのため
の装置も各種提案されている。
【0003】例えば、図2は高周波プラズマCVD法
(以後「PCVD」と略記する)による電子写真用感光
体の製造装置の一例を示す模式的な構成図である。図2
に示す製造装置の構成は以下の通りである。この装置は
大別すると、堆積装置(2100)、原料ガスの供給装
置(2200)、反応容器(2111)内を減圧にする
ための排気装置(図示せず)から構成されている。堆積
装置(2100)中の反応容器(2111)内には円筒
状支持体(2112)、支持体加熱用ヒーター(211
3)、原料ガス導入管(2114)が設置され、更に高
周波マッチングボックス(2115)が接続されてい
る。原料ガス供給装置(2200)は、SiH4、Ge
H4、H2、CH4、B2H6、PH3等の原料ガスのボンベ
(2221〜2226)とバルブ(2231〜223
6,2241〜2246,2251〜2256)および
マスフローコントローラー(2211〜2216)から
構成され、各原料ガスのボンベはバルブ(2260)を
介して反応容器(2111)内のガス導入管(211
4)に接続されている。
【0004】こうした従来の堆積膜形成装置を用いた堆
積膜の形成は、例えば以下のように行なわれる。まず、
反応容器(2111)内に円筒状支持体(2112)を
設置し、不図示の排気装置(例えば真空ポンプ)により
反応容器(2111)内を排気する。続いて、支持体加
熱用ヒーター(2113)により円筒状支持体(211
2)の温度を20℃乃至450℃の所定の温度に制御す
る。堆積膜形成用の原料ガスを反応容器(2111)に
流入させるには、ガスボンベのバルブ(2231〜22
36)、反応容器のリークバルブ(2117)が閉じら
れていることを確認し、また、流入バルブ(2241〜
2246)、流出バルブ(2251〜2256)、補助
バルブ(2260)が開かれていることを確認して、ま
ずメインバルブ(2118)を開いて反応容器(211
1)およびガス配管内(2116)を排気する。次に真
空計(2119)の読みが約6.7×10-4Paになっ
た時点で補助バルブ(2260)、流出バルブ(225
1〜2256)を閉じる。その後、ガスボンベ(222
1〜2226)より各ガスをバルブ(2231〜223
6)を開いて導入し、圧力調整器(2261〜226
6)により各ガス圧を2Kg/cm2に調整する。次
に、流入バルブ(2241〜2246)を徐々に開け
て、各ガスをマスフローコントローラー(2211〜2
216)内に導入する。
【0005】以上のようにして成膜の準備が完了した
後、以下の手順で各層の形成を行う。円筒状支持体(2
112)が所定の温度になったところで流出バルブ(2
251〜2256)のうちの必要なものおよび補助バル
ブ(2260)を徐々に開き、ガスボンベ(2221〜
2226)から所定のガスをガス導入管(2114)を
介して反応容器(2111)内に導入する。次にマスフ
ローコントローラー(2211〜2216)によって各
原料ガスが所定の流量になるように調整する。その際、
反応容器(2111)内の圧力が133Pa以下の所定
の圧力になるように真空計(2119)を見ながらメイ
ンバルブ(2118)の開口を調整する。内圧が安定し
たところで、周波数13.56MHzの高周波電源(不
図示)を所望の電力に設定して、高周波マッチングボッ
クス(2115)を通じて反応容器(2111)内に高
周波電力を導入し、グロー放電を生起させる。この放電
エネルギーによって反応容器内に導入された原料ガスが
分解され、円筒状支持体(2112)上に所定のシリコ
ンを主成分とする堆積膜が形成されるところとなる。所
望の膜厚の形成が行われた後、高周波電力の供給を止
め、流出バルブを閉じて反応容器へのガスの流入を止
め、堆積膜の形成を終える。同様の操作を複数回操り返
すことによって、所望の多層構造の光受容層を形成する
ことができる。それぞれの層を形成する際には必要なガ
ス以外の流出バルブはすべて閉じられていることは言う
までもなく、また、それぞれのガスが反応容器(211
1)内、流出バルブ(2251〜2256)から反応容
器(2111)に至る配管内に残留することを避けるた
めに、流出バルブ(2251〜2256)を閉じ、補助
バルブ(2260)を開き、さらにメインバルブ(21
18)を全開にして系内を一旦高真空に排気する操作を
必要に応じて行う。
【0006】このようにして、電子写真用感光体のよう
な大面積を有する堆積膜を形成する場合、膜厚、膜質の
均一化が必要であり、そのための装置構成も各種提案さ
れている。例えば、特開昭58−30125号公報によ
れば、原料ガス導入に、円筒状電極とは独立した、ガス
導入用ガス管を用い、該ガス管に設けたガス放出孔の断
面積と間隔を円筒形支持体の長手方向で変化させ、原料
ガスを均一に放出することにより、膜厚および電子写真
用感光体として使用する場合の画像ムラを改善する技術
が開示されている。特開昭58−32413号公報によ
れば、ガス導入手段兼用の円筒状電極においても、ガス
導入用ガス管を使用した場合においても、ガス放出孔の
向きを原料ガスが一定方向に回転する様に設定すること
により、膜厚の均一性を改善する技術が開示されてい
る。特開昭62−218573号公報によれば、ガス導
入管の上部及び下部を分岐管により接続することによ
り、支持体を回転させなくても膜厚、膜質の均一性を改
善する技術が開示されている。特開昭63−479号公
報によれば、ガス導入管のガス放出孔と円筒状支持体と
の角度と、円筒状電極の内径、円筒状支持体の内径との
関係を規定することにより、支持体を回転させなくても
膜厚、膜質の均一性を改善する技術が開示されている。
特開昭63−7373号公報によれば、ガス導入管を用
い、ガス導入管の断面積、ガス放出孔の断面積と数の関
係を規定することにより、円筒形支持体を回転させず
に、形成される堆積膜の膜厚及び膜質を均一にする技術
が開示されている。特開平9−003652号公報によ
れば、円筒上支持体長手方向に対して、セラミックリン
グを用いて原料ガス導入管を傾斜をさせる事で、長手方
向での特性むらを均一にする技術が開示されている。こ
れらの技術により電子写真用感光体の膜厚や膜質の均一
性が向上し、それに伴って歩留も向上してきた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
装置で作成された電子写真用感光体は、膜厚、膜質が均
一化され歩留の面で改善されてきたが、総合的な特性向
上を図る上でさらに改良される余地が存在するのが実情
である。特に、電子写真装置の高画質、高速化、高耐久
化は急速に進んでおり、電子写真用感光体においては電
気的特性や光導電特性の更なる向上とともに、帯電能、
感度を維持しつつあらゆる環境下で大幅に性能を延ばす
ことが求められている。そして、電子写真装置の画像特
性向上のために電子写真装置内の光学露光装置、現像装
置、転写装置等の改良がなされた結果、電子写真用感光
体においても従来以上の画像特性の向上が求められるよ
うになった。
【0008】このような状況下において、前述した従来
技術により上記課題についてある程度の膜厚、膜質の均
一化が可能になってはきたが、更なる画像品質の向上に
関しては末だ充分とはいえない。特にアモルファスシリ
コン系感光体の更なる高画質化への課題として、更に、
均一な膜を得ることとともに、微小な画像欠陥の発生を
抑制することが挙げられる。そのためには、反応空間内
のガスの流量、速度のバランスをとることが必要であ
る。また、成膜中に原料ガス導入管に付着した膜等が支
持体上に飛散し、堆積膜が異常成長し、画像上で微小な
画像欠陥の発生するところとなる。そのため、支持体以
外に付着した膜等の生成物が支持体へと飛散することを
防止しなければならない。
【0009】そこで、本発明は、上記従来の堆積膜形成
装置に於ける諸課題を解決し、反応容器内のガス量のバ
ランスをとり、膜厚および膜質が均一な堆積膜を定常的
に形成し、画像欠陥を激減しうるプラズマCVD法によ
る堆積膜形成装置及び方法を提供することを目的として
いる。また、本発明は、形成される膜の諸物性、成膜速
度、再現性の向上、膜の生産性を向上し、量産化を行う
場合その歩留まりを飛躍的に向上させることを可能にす
るプラズマCVD法による堆積膜形成装置及び方法を提
供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため、ラズマCVD法による堆積膜形成装置及び
方法をつぎのように構成したことを特徴としている。す
なわち、本発明の堆積膜形成装置は、堆積膜を形成する
ための円筒状支持体が配置される反応空間を有する反応
容器と、前記反応容器内の前記円筒状支持体の配置位置
における該円筒状支持体との同軸外周上に、該円筒状支
持体の長手方向に沿って設けられた複数の原料ガス導入
管を有する堆積膜形成装置において、前記原料ガス導入
管の上端部に、該原料ガス導入管を所定の位置にしうる
部材を設けたことを特徴としている。また、本発明の堆
積膜形成装置は、前記原料ガス導入管が、該原料ガス導
入管から放出されるガス放出角度(a)が、前記円筒状
反応容器に向かって左右に45°≦a≦90°の範囲で
あるガス放出孔を有することを特徴としている。また、
本発明の堆積膜形成装置は、前記原料ガス導入管を所定
の位置にしうる部材の表面がセラミックで形成されてい
ることを特徴としている。また、本発明の堆積膜形成装
置は、前記原料ガス導入管を所定位置にしうる部材の表
面の粗さ(Rz)が、10〜100μmであることを特
徴としている。また、本発明の堆積膜形成方法は、反応
容器内に配される円筒状支持体との同軸外周上に該円筒
状支持体の長手方向に沿って設けられた複数の原料ガス
導入管を介して成膜用原料ガスを前記反応容器内に導入
し、放電エネルギーによって前記成膜用原料ガスを励起
種化させて前記円筒状支持体の表面に堆積膜を形成する
堆積膜形成方法において、前記原料ガス導入管の上端部
に、該原料ガス導入管を所定の位置にしうる部材を設け
て堆積膜を形成することを特徴としている。また、本発
明の堆積膜形成方法は、前記原料ガスが、前記円筒状反
応容器に向かって左右に45°≦a≦90°の範囲で、
前記原料ガス導入管のガス放出孔から放出されることを
特徴としている。また、本発明の堆積膜形成方法は、前
記原料ガス導入管を所定の位置にしうる部材の表面が、
セラミックで形成されていることを特徴としている。ま
た、本発明の堆積膜形成方法は、前記原料ガス導入管を
所定の位置にしうる部材の表面の粗さ(Rz)が、10
〜100μmであることを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明は、上記構成により、上述
した本発明の課題を達成するものであるが、それは本発
明者らの鋭意研究を重ねた結果におけるつぎのような知
見に基づくものである。すなわち、前記原料ガス導入管
の上端部に該原料ガス導入管を所定の位置にしうる部材
を設けたことにより、堆積膜形成中における該原料ガス
導入管上端球面部に付着する膜等を抑え、且つ、堆積膜
形成中のガス導入管上端球面部から支持体への膜片等の
飛散が解消され、それらを核として堆積膜が異常成長し
て起る画像欠陥の抑制ができるという見知を得た。ま
た、前記原料ガス導入管の上端部に、該原料ガス導入管
を所定の位置にしうる部材を設け、且つ、前記原料ガス
導入管から放出されるガス放出角度(a)を、反応容器
に向かって左右に45°≦a≦90°の範囲であるガス
放出孔を有することにより、複数の原料ガス導入管の位
置が円筒状支持体の同軸外周上に該円筒状支持体の長手
方向に沿って均一化され、反応空間内のガス量のバラン
スが適正化されることで、堆積される堆積膜の膜質及び
膜厚を円筒状支持体の周方向で均一にすることができる
という知見も得た。本発明は、これらの知見に基づいて
完成に至ったものである。
【0012】以下、図面に基づいて、本発明の一つの実
施の形態について説明する。図1−a、bは、本発明の
プラズマCVD法による堆積膜形成装置における原料ガ
ス導入管と電極を兼ねる円筒状反応容器、円筒状支持体
を含む対向電極の配置を模式的に示す断面図である。図
1−a、b中101は円筒状反応容器、102は円筒状
支持体を含む対向電極、103は原料ガス導入管、10
4は原料ガス導入管を所定の位置にしうる部材、105
は排気管、106はガス導入分岐管、107上部碍子を
それぞれ示し、図2は、原料ガス導入管を所定の位置に
しうる部材(104)と原料ガス導入管(103)の嵌
め合わせ部を模式的に示す詳細断面図である。図3は、
本発明のプラズマCVD法による堆積膜形成装置におけ
る原料ガス導入管のガス放出孔を模式的に示す説明図で
あり、図3中108はガス放出孔、109はガス放出方
向を示している。
【0013】従来の堆積膜形成方法及び装置において
は、原料ガス導入管が円筒状支持体に対して長手方向で
平行になるよう設置されるものであるが、原料ガス導入
管の固定は下部で支持しているだけのもので不安定な事
から、原料ガス放出時の原料ガス導入管の揺れや、原料
ガス切り替わりによる反応容器内の圧力変動での原料ガ
ス導入管の揺れにより、原料ガス導入管の特に上部側
で、円筒状支持体の同軸外周方向や該円筒状支持体の長
手方向で、複数本配置された原料ガス導入管が、それぞ
れ不均一に位置ズレが生じ、反応容器内のガス量バラン
スがくずれてしまい、その結果、膜厚、及び膜質が円筒
状支持体周方向でバラつきが生じてしまうという問題が
ある。こうした問題を解決する為、ガス導入管に設ける
ガス放出孔の分布調整を行ない、ある程度改善されたも
のの、まだ不十分である。さらに、上記のような原料ガ
ス導入管の揺れにより、ガス導入管の上端球面部に付し
た膜等が円筒状支持体へ飛散する事にもなり、堆積膜が
異常成長し、画像上で黒ぽちと呼ばれる画像欠陥をおこ
しているという問題もある。
【0014】このことから、本発明のプラズマCVD法
による堆積膜形成方法及び装置においては、原料ガス導
入管の上端部に、該原料ガス導入管を所定の位置にしう
る部材を設けた事で、堆積膜形成中における該原料ガス
導入管上端球面部に付着する膜等を抑え、且つ、堆積膜
形成中のガス導入管上端球面部から支持体への膜片等の
飛散が解消され、それらを核として堆積膜が異常成長し
て起る画像欠陥を抑制することができた。また、原料ガ
ス導入管の上端部に、該原料ガス導入管を所定の位置に
しうる部材を設け、且つ、前記原料ガス導入管から放出
されるガス放出角度(a)を、前記反応容器に向かって
左右に45°≦a≦90°の範囲であるガス放出孔を有
することで、原料ガス導入管の揺れを一層安定的に抑え
ることができ、その結果、複数の原料ガス導入管の位置
が円筒状支持体の同軸外周上に該円筒状支持体の長手方
向に沿って均一化されたことで、反応空間内のガス量の
バランスが適正化され、堆積される堆積膜の膜質及び膜
厚を円筒状支持体の周方向で均一にすることができた。
更に、原料ガス導入管を所定の位置にしうる部材の表面
は、部材表面への堆積膜の密着性の点からセラミックで
ある事が本発明には適しており、その表面粗さとして
は、細かすぎても膜の密着性が悪く、粗すぎると塵やポ
リシラン等が付着しやすいことから好ましくは10〜1
00μm、より好ましくは15〜60μmの範囲が本発
明には適している。
【0015】更に、原料ガス導入管を所定の位置にしう
る部材は、原料ガス導入管を所定の位置に配置する事が
できれば、反応空間内外何れでも本発明には適してい
る。また、原料ガス導入管を所定の位置にしうる部材の
形状は特に制限はないが、反応空間内にある場合は、あ
まり大きすぎても放電バランスを崩す恐れがある事か
ら、例えば図5−aのような、原料ガス導入管の上端部
にかかる部分だけが凸状となるような極力小さいリング
形状のものが適しており、原料ガス導入管を所定の位置
にしうる部材外周面を、円筒状反応容器に密着させ原料
ガス導入管の位置決めを行なえる形で装着することが望
ましい。反応空間外にある場合も特に該部材の形状の制
限はないが、装置構成上、例えば図5−bのような上部
碍子(107)内に埋め込むような形状とし、該上部碍
子に前記部材外周面を密着させ原料ガス導入管の位置決
めを行なえる形で装着することが望ましい。更には、原
料ガス導入管を所定の位置にしうる部材を、図6のよう
にガス導入分岐管として使用することも可能である。
【0016】また、本発明のように、反応容器と独立し
た原料ガス導入管を使用した場合においては、原料ガス
導入手段兼用の円筒状反応容器の場合と異なり、原料ガ
ス放出孔が反応容器の壁面上にないため、原料ガス導入
の際、壁面の塵やポリシラン等を浮遊させることなく、
原料ガス導入が可能となっている。しかしながら、原料
ガス導入管に設けた原料ガス放出角度(a)が、小さい
場合においては、原料ガス導入管を使用する場合でも、
ガスの流れが円筒状反応容器壁面側になる為、塵やポリ
シラン等が浮遊することがありうる。そのため、得られ
る電子写真用感光体は欠陥が発生しやすくなる。また、
原料ガス導入管に設けたガス放出角度(a)が、大きい
場合においては、ガスの流れが円筒状支持体側になる
為、炉内ガスバランスの偏りが生じ、その為放電の偏り
が起こり、膜厚、電位の周方向ムラが大きくなる。した
がって、前記原料ガス導入管から放出されるガス放出角
度(a)を、前記反応容器に向かって左右に45°≦a
≦90°の範囲、好ましくは、70°≦a≦85°の範
囲であるガス放出孔を有する事が望ましく、該ガス放出
孔は左右に対称及び左右に非対称いずれも本発明には適
している。また、前記原料ガス導入管から放出されるガ
ス放出角度(a)が、上記範囲内であれば、原料ガス導
入管長手方向側に配置されるガス放出孔は、均一に配置
しても、不均一に配置しても何ら問題はなく、適宜決め
る事が望ましい。前記、原料ガス導入管の本数は特に制
限はないが、4〜12本が本発明には適している。
【0017】本発明において使用される支持体として
は、導電性でも電気絶縁性であってもよい。導電性支持
体としては、Al、Cr、Mo、Au、In、Nb、T
e、V、Ti、Pt、Pd、Fe等の金属、およびこれ
らの合金、例えばステンレス等が挙げられる。また、ポ
リエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロ
ースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポ
リスチレン、ポリアミド等の合成樹脂のフィルムまたは
シート、ガラス、セラミック等の電気絶縁性支持体の少
なくとも光受容層を形成する側の表面を導電処理した支
持体も用いることができる。本発明において使用される
支持体の形状は平滑表面あるいは凹凸表面の円筒状また
は板状無端ベルト状であることができ、その厚さは、所
望通りの電子写真用感光体を形成し得るように適宜決定
するが、電子写真用感光体としての可撓性が要求される
場合には、支持体としての機能が充分発揮できる範囲内
で可能な限り薄くすることができる。しかしながら、支
持体は製造上および取り扱い上、機械的強度等の点から
通常は10μm以上とされる。
【0018】特にレーザー光などの可干渉性光を用いて
像記録を行う場合には、可視画像において現われる、い
わゆる干渉縞模様による画像不良をより効果的に解消す
るために、支持体の表面に凹凸を設けてもよい。支持体
の表面に設けられる凹凸は、特開昭60−168156
号公報、同60−178457号公報、同60−225
854号公報等に記載された公知の方法により作成され
る。また、レーザー光などの可干渉光を用いた場合の干
渉縞模様による画像不良をより効果的に解消する別の方
法として、支持体の表面に複数の球状痕跡窪みによる凹
凸形状を設けてもよい。即ち、支持体の表面が電子写真
用感光体に要求される解像力よりも微少な凹凸を有し、
しかも該凹凸は、複数の球状痕跡窪みによるものであ
る。支持体の表面に設けられる複数の球状痕跡窪みによ
る凹凸は、特開昭61−231561号公報に記載され
た公知の方法により作成される。
【0019】本発明の装置を用いて、グロー放電法によ
って堆積膜を形成するには、基本的にはシリコン原子
(Si)を供給し得るSi供給用の原料ガスと、水素原
子(H)を供給し得るH供給用の原料ガスまたは/及び
ハロゲン原子(X)を供給し得るX供給用の原料ガス
を、反応容器内に所望のガス状態で導入して、該反応容
器内にグロー放電を生起させ、あらかじめ所定の位置に
設置されてある所定の支持体上にa−Si:H,Xから
なる層を形成すればよい。本発明において使用されるS
i供給用ガスとなり得る物質としては、SiH4、Si2
H6、Si3H8、Si4H10等のガス状態の、またはガス
化し得る水素化珪素(シラン類)が有効に使用されるも
のとして挙げられ、更に層作成時の取り扱い易さ、Si
供給効率の良さ等の点でSiH4、Si2H6が好ましい
ものとして挙げられる。そして、形成される堆積膜中に
水素原子を構造的に導入し、水素原子の導入割合の制御
をいっそう容易になるようにはかり、本発明の目的を達
成する膜特性を得るために、これらのガスに更にH2お
よび/またはHeあるいは水素原子を含む珪素化合物の
ガスも所望量混合して層形成することが必要である。ま
た、各ガスは単独種のみでなく所定の混合比で複数種混
合しても差し支えないものである。
【0020】また本発明において使用されるハロゲン原
子供給用の原料ガスとして有効なのは、たとえばハロゲ
ンガス、ハロゲン化物、ハロゲンを含むハロゲン間化合
物、ハロゲンで置換されたシラン誘導体等のガス状のま
たはガス化し得るハロゲン化合物が好ましく挙げられ
る。また、さらにはシリコン原子とハロゲン原子とを構
成要素とするガス状のまたはガス化し得る、ハロゲン原
子を含む水素化珪素化合物も有効なものとして挙げるこ
とができる。本発明に於て好適に使用し得るハロゲン化
合物としては、具体的には弗素ガス(F2)、BrF、
ClF、ClF3、BrF3、BrF5、IF3、IF7等
のハロゲン間化合物を挙げることができる。ハロゲン原
子を含む珪素化合物、いわゆるハロゲン原子で置換され
たシラン誘導体としては、具体的には、たとえばSiF
4、Si2F6等の弗化珪素が好ましいものとして挙げる
ことができる。堆積膜中に含有される水素原子または/
及びハロゲン原子の量を制御するには、例えば支持体の
温度、水素原子または/及びハロゲン原子を含有させる
ために使用される原料物質の反応容器内へ導入する量、
放電電力等を制御すればよい。
【0021】本発明においては、堆積膜には必要に応じ
て伝導性を制御する原子を含有させることが好ましい。
伝導性を制御する原子は、堆積膜中に万偏なく均一に分
布した状態で含有されても良いし、あるいは層厚方向に
は不均一な分布状態で含有している部分があってもよ
い。前記伝導性を制御する原子としては、半導体分野に
おける、いわゆる不純物を挙げることができ、p型伝導
特性を与える周期律表第IIIb族に属する原子(以後
「第IIIb族族原子」と略記する)またはn型伝導特性
を与える周期律表第Vb族に属する原子(以後「第Vb
族原子」と略記する)を用いることができる。第IIIb
族原子としては、具体的には、硼素(B)、アルミニウ
ム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、
タリウム(Tl)等があり、特にB、Al、Gaが好適
である。第Vb族原子としては、具体的には燐(P)、
砒素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)
等があり、特にP、Asが好適である。堆積膜に含有さ
れる伝導性を制御する原子の含有量としては、好ましく
は1×10-2〜1×104原子ppm、より好ましくは
5×10-2〜5×103原子ppm、最適には1×10
-1〜1×103原子ppmとされるのが望ましい。
【0022】伝導性を制御する原子、たとえば、第III
b族原子あるいは第Vb族原子を構造的に導入するに
は、層形成の際に、第IIIb族原子導入用の原料物質あ
るいは第Vb族原子導入用の原料物質をガス状態で反応
容器中に、堆積膜を形成するための他のガスとともに導
入してやればよい。第IIIb族原子導入用の原料物質あ
るいは第Vb族原子導入用の原料物質となり得るものと
しては、常温常圧でガス状のまたは、少なくとも層形成
条件下で容易にガス化し得るものが採用されるのが望ま
しい。
【0023】そのような第IIIb族原子導入用の原料物
質として具体的には、硼素原子導入用としては、B2H
6、B4H10、B5H9、B5H11、B6H10、B6H12、B6
H14等の水素化硼素、BF3、BCl3、BBr3等のハ
ロゲン化硼素等が挙げられる。この他、AlCl3、G
aCl3、Ga(CH3)3、InCl3、TlCl3等も
挙げることができる。
【0024】第Vb族原子導入用の原料物質として有効
に使用されるのは、燐原子導入用としては、PH3、P2
H4等の水素化燐、PH4I、PF3、PF5、PCl3、
PCl5、PBr3、PBr5、PI3等のハロゲン化燐が
挙げられる。この他、AsH3、AsF3、AsCl3、
AsBr3、AsF5、SbH3、SbF3、SbF5、S
bCl3、SbCl5、BiH3、BiCl3、BiBr3
等も第Vb族原子導入用の出発物質の有効なものとして
挙げることができる。また、これらの伝導性を制御する
原子導入用の原料物質を必要に応じてH2および/また
はHeにより希釈して使用してもよい。
【0025】本発明の目的を達成し、所望の膜特性を有
する堆積膜を形成するには、Si供給用のガスと希釈ガ
スとの混合比、反応容器内のガス圧、放電電力ならびに
支持体温度を適宜設定することが必要である。希釈ガス
として使用するH2および/またはHeの流量は、層設
計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、Si供給
用ガスに対しH2および/またはHeを、通常の場合1
〜20倍、好ましくは2〜15倍、最適には3〜10倍
の範囲に制御することが望ましい。反応容器内のガス圧
も同様に層設計にしたがって適宜最適範囲が選択される
が、通常の場合1×10-2〜1330Pa、好ましくは
6.7×10-2〜670Pa、最適には1×10-1〜1
33Paとするのが好ましい。放電電力もまた同様に層
設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、Si供
給用のガスの流量に対する放電電力を、通常の場合0.
1〜7倍、好ましくは0.5〜6倍、最適には0.7〜
5倍の範囲に設定することが望ましい。さらに、支持体
の温度は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選択され
るが、通常の場合200〜350℃とするのが望まし
い。
【0026】本発明においては、堆積膜を形成するため
の支持体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前記し
た範囲が挙げられるが、これらの条件は通常は独立的に
別々に決められるものではなく、所望の特性を有する電
子写真用感光体を形成すべく相互的且つ有機的関連性に
基づいて最適値を決めるのが望ましい。
【0027】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明するが、
本発明はこれらにより限定されるものではない。 [実施例1]長さ358mm、外径φ108mmの鏡面
加工を施したAl製シリンダー(円筒状支持体)を載置
したAl製ホルダー(長さ1000mm)を用い、図4
に示した装置を用いて該支持体上に電荷注入阻止層、光
導電層および表面層からなる光受容層を下記表1に示す
作製条件により形成した。なお、本例では図1−a、b
で示すような構成とし、原料ガス導入管は、該原料ガス
導入管の左右に設けられたガス放出角度(a)が、前記
円筒状反応容器に向かって左右対称に90°である原料
ガス導入管とし、円筒状支持体外周円上に10本配置
し、該原料ガス導入管の上部には、表面がセラミック
で、粗さ(Rz)が40μmの原料ガス導入管を所定の
位置にしうる部材を設けてある。また、ガス放出孔は、
φ0.5mmの穴径とし、長手方向に20個左右対称の
ものを使用した。 (比較例1)原料ガス導入管の上部には、該原料ガス導
入管を所定の位置にしうる部材を無くした事以外は、実
施例1と同様の条件にて作製した。
【0028】
【表1】 実施例1及び比較例1で作製した電子写真用感光体につ
いて、膜厚周方向ムラ、帯電電位周方向ムラ、及び欠陥
の数について以下の評価方法で評価した。その結果を表
2に示す。 『膜厚周方向ムラ』電子写真用感光体の周方向に添っ
て、堆積膜の膜厚を測定し、膜厚の平均値からのばらつ
きが、5%以内のものを◎、8%以内のものを○、10
%以内のものを△、10%を超えるものを×とした4段
階評価を行った。 『帯電電位周方向ムラ』電子写真装置(キヤノン製NP
6150をテスト用に改造)に作製した電子写真用感光
体をセットし、電子写真用感光体の周方向で帯電電位を
測定した。帯電電位の平均電位からのばらつきが5%以
内のものを◎、8%以内のものを○、10%以内のもの
を△、10%を超えるものを×とした4段階評価を行っ
た。 『欠陥』光学顕微鏡を用いて50倍の倍率で9cm2
範囲で電子写真用感光体の表面を観察し、20ミクロン
以上の欠陥が10個未満のものを◎、20ミクロン以上
の欠陥が20個末満のものを○、20ミクロン以上の欠
陥が30個末満のものを△、20ミクロン以上の欠陥が
30個を超えるのものを×とした4段階評価を行った。 『総合評価』それぞれの電子写真感光体について、上述
した評価結果に基づいて、総合評価を行い、結果を以下
の基準で表2にまとめて示す。 ◎:特に良好 ○:良好 △:実用上問題無し ×:実用上問題あり
【0029】
【表2】 表2から明らかのように、原料ガス導入管の上端部に該
原料ガス導入管を所定の位置にしうる部材を設けた事
で、良好な結果が得られた。
【0030】[実施例2]長さ358mm、外径φ10
8mmの鏡面加工を施したAl製シリンダー(円筒状支
持体)を載置したAl製ホルダー(長さ1000mm)
を用い、図4に示した装置を用いて該支持体上に電荷注
入阻止層、光導電層および表面層からなる光受容層を表
1に示す作製条件により形成した。なお、本例では図1
−a、bで示すような構成とし、原料ガス導入管の上部
には、表面がセラミックで、粗さ(Rz)が40μmの
原料ガス導入管を所定の位置にしうる部材を設けてある
構成とし、該原料ガス導入管の左右に設けられたガス放
出角度(a)を、前記円筒状反応容器に向かって左右対
称に10°〜110°の範囲で変化させた。また、円筒
状支持体外周円上に10本配置し、ガス放出孔は、φ
0.5mmの穴径とし、長手方向に20個左右対称のも
のを使用した。 (比較例2)10本の原料ガス導入管を配置し、該ガス
導入管の1方向に設けられたガス放出孔を前記円筒状反
応容器方向にし、且つガス放出量を合わせる為、ガス放
出孔をφ0.7mmの穴径とした事以外は実施例1と同
様の条件にて作製した。実施例2、比較例2で作製した
電子写真用感光体について、実施例1と同様の評価方法
で評価した。その結果を表3に示す。
【0031】
【表3】 表3から明らかな様に、原料ガス導入管の左右対称に設
けられたガス放出角度(a)が45°≦a≦90°の範
囲、好ましくは70°≦a≦85°の範囲で良好な結果
が得られた。
【0032】[実施例3]長さ358mm、外径φ10
8mmの鏡面加工を施したAl製シリンダー(円筒状支
持体)を載置したAl製ホルダー(長さ1000mm)
を用い、図4に示した装置を用いて該支持体上に電荷注
入阻止層、光導電層および表面層からなる光受容層を、
表1に示す作製条件により形成した。なお、本例では図
1−a、bで示すような構成とし、原料ガス導入管の上
部には、表面がセラミックで、粗さ(Rz)が40μm
の原料ガス導入管を所定の位置にしうる部材を設けてあ
る構成とし、該原料ガス導入管の左右に設けられたガス
放出角度(a)を、前記円筒状反応容器に向かって、
左側を80°とし、右側を10°から110°の範囲で
非対称となるよう変化、右側を80°とし、左側を1
0°から110°の範囲で非対称となるよう変化させ
た。また、円筒状支持体外周円上に10本配置し、ガス
放出孔は、φ0.5mmの穴径とし、長手方向に20個
左右対称のものを使用した。作製した電子写真用感光体
について、実施例1と同様の評価方法で評価した。その
結果を表4、表5に示す。なお評価は、実施例1と同様
の評価方法にて行った。
【0033】
【表4】
【0034】
【表5】 表4、5の結果から明らかのように、ガス放出角度
(a)を左右非対称にした場合においても、ガス放出角
度(a)が45°≦a<90°の範囲、好ましくは70
°≦a≦85°の範囲で良好な結果が得られた。
【0035】[実施例4]長さ358mm、外径φ80
mmの鏡面加工を施したAl製シリンダー(円筒状支持
体)を載置したAl製ホルダー(長さ1000mm)を
用い、図2に示した装置を用いて該支持体上に電荷注入
阻止層、光導電層および表面層からなる光受容層を実施
例1と同様の作製条件により形成した。なお、本例で
は、原料ガス導入管を所定の位置にしうる部材の表面粗
さ(Rz)を5μmから150μmの間で変化させた。
作製した電子写真用感光体について、実施例1と同様の
評価方法で評価した。その結果を表6に示す。
【0036】
【表6】 表6の結果から明らかなように、10〜100μmの範
囲で良好な電子写真用感光体を得た。さらに、15〜6
0μmの範囲でより効果的であることがわかった。
【0037】[実施例5]長さ358mm、外径φ10
8mmの鏡面加工を施したAl製シリンダー(円筒状支
持体)を載置したAl製ホルダー(長さ1000mm)
を用い、図4に示した装置を用いて、図5−aの構
成、図5−bの構成にした事以外は実施例1と同様の
条件にて、該支持体上に電荷注入阻止層、光導電層およ
び表面層からなる光受容層を形成したところ、いずれも
実施例1同様良好な結果が得られた。
【0038】[実施例6]長さ358mm、外径φ80
mmの鏡面加工を施したAl製シリンダー(円筒状支持
体)を載置したAl製ホルダー(長さ1000mm)を
用い、図4に示した装置を用いて、表7に示す作製条件
にした事以外は実施例1と同様にして該支持体上に電荷
注入阻止層、光導電層および表面層からなる光受容層を
作製したところ、実施例1同様、良好な結果が得られ
た。なお、図5−aの構成、図5−bの構成につい
ても、何れも良好な結果が得られた。
【0039】
【表7】 [実施例7]原料ガス導入管は、該原料ガス導入管の左
右に設けられたガス放出角度(a)が、前記円筒状反応
容器に向かって左右対称に80°である事以外は、実施
例1と同様にして該支持体上に電荷注入阻止層、光導電
層および表面層からなる光受容層を作製したところ、実
施例1同様、良好な結果が得られた。なお、図5−a
の構成、図5−bの構成についても、何れも良好な結
果が得られた。
【0040】[実施例8]原料ガス導入管は、該原料ガ
ス導入管の左右に設けられたガス放出角度(a)が、前
記円筒状反応客器に向かって左側が80°右側が70°
の非対称である事以外は、実施例1と同様にして該支持
体上に電荷注入阻止層、光導電層および表面層からなる
光受容層を作製したところ、実施例1同様、良好な結果
が得られた。なお、図5−aの構成、図5−bの構
成についても、何れも良好な結果が得られた。
【0041】[実施例9]原料ガス導入管を所定の位置
にしうる部材が、図6のように、ガス導入分岐管を兼ね
ている事以外は、実施例1と同様にして該支持体上に電
荷注入阻止層、光導電層および表面層からなる光受容層
を作製したところ、実施例1同様、良好な結果が得られ
た。
【0042】[実施例10]成膜条件を表8のようにし
て作成した事以外は、実施例1と同様にして該支持体上
に電荷注入阻止層、電荷輸送層、電荷発生層、および表
面層からなる光受容層を作製したところ、実施例1同
様、良好な結果が得られた。
【0043】
【表8】
【0044】
【発明の効果】本発明は、以上のように原料ガス導入管
の上端部に、該原料ガス導入管を所定の位置にしうる部
材を設ける構成により、堆積膜形成中における該原料ガ
ス導入管上端球面部に付着する膜等を抑え、且つ、堆積
膜形成中のガス導入管上端球面部から支持体への膜片等
の飛散が解消され、それらを核として堆積膜が異常成長
して起る画像欠陥を抑制することができる。また、前記
原料ガス導入管から放出されるガス放出角度(a)が、
前記円筒状反応容器に向かって左右に45°≦a≦90
°の範囲であるガス放出孔を構成することにより、原料
ガス導入管の揺れを一層安定的に抑えることができ、複
数の原料ガス導入管の位置が円筒状支持体の同軸外周上
に該円筒状支持体の長手方向に沿って均一化され、反応
空間内のガス量のバランスが適正化されて、堆積される
堆積膜の膜質及び膜厚を円筒状支持体の周方向で均一に
することができる。また、電子写真感光体の量産を行う
場合において、歩留を飛躍的に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプラズマCVD法による堆積膜形成方
法及び装置における、原料ガス導入管と電極を兼ねる円
筒状反応容器、円筒状支持体を含む対向電極、及び原料
ガス導入管を所定の位置にしうる部材の配置を模式的に
示す断面図である。
【図2】本発明のプラズマCVD法による堆積膜形成方
法及び装置における、原料ガス導入管を所定の位置にし
うる部材と原料ガス導入管の嵌め合わせ部を模式的に示
す詳細断面図である。
【図3】本発明のプラズマCVD法による堆積膜形成方
法及び装置における、原料ガス導入管のガス放出孔を模
式的に示す説明図である。
【図4】本発明の電子写真用光受容部材の光受容層を形
成するための装置の一例で、高周波を用いたグロー放電
法による電子写真用光受容部材の製造装置の模式的説明
図である。
【図5】本発明のプラズマCVD法による堆積膜形成方
法及び装置における、原料ガス導入管を所定の位置にし
うる部材の形状を模式的に示す詳細断面図である。
【図6】本発明のプラズマCVD法による堆積膜形成方
法及び装置における、電極を兼ねる円筒状反応容器、円
筒状支持体を含む対向電極、原料ガス導入分岐管を兼ね
る原料ガス導入管を所定の位置にしうる部材を示す模式
的説明図である。
【符号の説明】
101:電極を兼ねる円筒状反応容器 102:円筒状支持体を含む対向電極 103:原料ガス導入管 104:原料ガス導入管を所定の位置にしうる部材 105:排気管 106:原料ガス導入分岐管 107:上部碍子 108:ガス放出孔 109:ガス放出方向 2100:堆積装置 2111:反応容器 2112:円筒状支持体 2113:支持体加熱用ヒーター 2114:原料ガス導入管 2115:マッチングボックス 2116:原料ガス配管 2117:反応容器リークバルブ 2118:メイン排気バルブ 2119:真空計 2120:反応容器上部蓋 2121:反応容器下部蓋 2122:碍子(a:上部碍子 b:下部碍子) 2200:原料ガス供給装置 2211〜2216:マスフローコントローラー 2221〜2226:原料ガスボンベ 2231〜2236:原料ガスボンベバルブ 2241〜2246:ガス流入バルブ 2251〜2256:ガス流出バルブ 2261〜2266:圧力調整器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高井 康好 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】堆積膜を形成するための円筒状支持体が配
    置される反応空間を有する反応容器と、前記反応容器内
    の前記円筒状支持体の配置位置における該円筒状支持体
    との同軸外周上に、該円筒状支持体の長手方向に沿って
    設けられた複数の原料ガス導入管を有する堆積膜形成装
    置において、 前記原料ガス導入管の上端部に、該原料ガス導入管を所
    定の位置にしうる部材を設けたことを特徴とする堆積膜
    形成装置。
  2. 【請求項2】前記原料ガス導入管は、該原料ガス導入管
    から放出されるガス放出角度(a)が、前記円筒状反応
    容器に向かって左右に45°≦a≦90°の範囲である
    ガス放出孔を有することを特徴とする請求項1に記載の
    堆積膜形成装置。
  3. 【請求項3】前記原料ガス導入管を所定の位置にしうる
    部材は、その表面がセラミックで形成されていることを
    特徴とする請求項1または請求項2に記載の堆積膜形成
    装置。
  4. 【請求項4】前記原料ガス導入管を所定位置にしうる部
    材は、その表面の粗さ(Rz)が10〜100μmであ
    ることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項
    に記載の堆積膜形成装置。
  5. 【請求項5】反応容器内に配される円筒状支持体との同
    軸外周上に該円筒状支持体の長手方向に沿って設けられ
    た複数の原料ガス導入管を介して成膜用原料ガスを前記
    反応容器内に導入し、放電エネルギーによって前記成膜
    用原料ガスを励起種化させて前記円筒状支持体の表面に
    堆積膜を形成する堆積膜形成方法において、前記原料ガ
    ス導入管の上端部に、該原料ガス導入管を所定の位置に
    しうる部材を設けて堆積膜を形成することを特徴とする
    堆積膜形成方法。
  6. 【請求項6】前記原料ガスは、前記円筒状反応容器に向
    かって左右に45°≦a≦90°の範囲で、前記原料ガ
    ス導入管のガス放出孔から放出されることを特徴とする
    請求項5に記載の堆積膜形成方法。
  7. 【請求項7】前記原料ガス導入管を所定の位置にしうる
    部材は、表面がセラミックで形成された部材により支持
    することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の
    堆積膜形成方法。
  8. 【請求項8】前記原料ガス導入管を所定の位置にしうる
    部材は、その表面の粗さ(Rz)が10〜100μmで
    あることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1
    項に記載の堆積膜形成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013163841A (ja) * 2012-02-10 2013-08-22 Jtekt Corp 炭素膜成膜装置および炭素膜成膜方法
CN105154853A (zh) * 2015-09-11 2015-12-16 兰州空间技术物理研究所 一种在管状基底内表面沉积薄膜的方法

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JP2013163841A (ja) * 2012-02-10 2013-08-22 Jtekt Corp 炭素膜成膜装置および炭素膜成膜方法
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