JP2000252220A - 堆積膜形成装置及び堆積膜形成方法 - Google Patents

堆積膜形成装置及び堆積膜形成方法

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JP2000252220A
JP2000252220A JP11054322A JP5432299A JP2000252220A JP 2000252220 A JP2000252220 A JP 2000252220A JP 11054322 A JP11054322 A JP 11054322A JP 5432299 A JP5432299 A JP 5432299A JP 2000252220 A JP2000252220 A JP 2000252220A
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gas
layer
flow rate
photoconductive
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English (en)
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Satoshi Furushima
聡 古島
Nobufumi Tsuchida
伸史 土田
Makoto Aoki
誠 青木
Hiroaki Niino
博明 新納
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 膜の均一性、帯電能、温度特性、光メモリー
等に優れた電子写真用光受容部材の製造に好適な、堆積
膜形成装置及び堆積膜形成方法を提供する。 【解決手段】 原料ガス導入管103と排気口104と
は、互いに円筒状反応容器101の異なる端部で同軸外
周上に配置されており、排気口104の中心から反応容
器101内面までの距離A、その中心から支持体102
外面までの距離B、原料ガス導入管103の中心から反
応容器101内面までの距離X、その中心から支持体1
02外面までの距離Yが、下記条件(1)及び(2)を
満たすよう配置される堆積膜形成装置、及びこの装置を
用いた堆積膜形成方法。 Y>B (1) X≦B<(A+B)/2 (2)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラズマCVD法
により、支持体上に機能性堆積膜、特に電子写真用光受
容部材、光起電力デバイス、画像入力用ラインセンサ
ー、撮像デバイス、TFT等の半導体素子として好適に
利用できる結晶質又は非単結晶質半導体等を連続的に形
成する堆積膜形成装置及び堆積膜形成方法に関する。本
発明は、特に電子写真用光受容部材のような大面積の堆
積膜を形成する際に有用である。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体デバイス、電子写真用光受
容部材、画像入力用ラインセンサー、撮像デバイス、光
起電力デバイス、その他各種エレクトロニクス素子、光
学素子等に用いる素子部材として、アモルファスシリコ
ン、例えば水素及び/又はハロゲン(例えばフッ素、塩
素等)で補償されたアモルファスシリコン[以下、a−
Si(H,X)と略記する]のような非単結晶質の堆積
膜又はダイヤモンドのような結晶質の堆積膜が提案さ
れ、その中のいくつかは実用に付されている。そして、
こうした堆積膜は、プラズマCVD法、すなわち、原料
ガスを直流又は高周波、あるいはマイクロ波によるグロ
ー放電によって分解し、ガラス、石英、耐熱性合成樹脂
フィルム、ステンレス、アルミニウムなどの支持体上に
堆積膜を形成する方法により形成され、そのための装置
も各種提案されている。また、電子写真用光受容部材の
ような大面積を有する堆積膜を形成する場合、膜厚、膜
質の均一化が必要であり、そのための装置構成も各種提
案されている。
【0003】例えば、特開昭58−30125号公報に
は、原料ガスの導入手段として、円筒状電極とは別個独
立したガス導入用ガス管を用い、このガス管に設けたガ
ス放出孔の断面積と間隔を円筒形支持体の長手方向で変
化させることにより、原料ガスを均一に放出し、膜厚及
び電子写真用光受容部材として使用する場合の画像ムラ
を改善する技術が開示されている。
【0004】また、特開昭58−32413号公報に
は、ガス導入手段兼用の円筒状電極において、ガス放出
孔の向きを原料ガスが一定方向に回転する様に設定する
ことにより、膜厚の均一性を改善する技術が開示されて
いる。
【0005】また、特開昭62−218573号公報に
は、ガス導入管の上部及び下部を分岐管で接続すること
により、支持体を回転させずに膜厚及び膜質の均一性を
改善する技術が開示されている。
【0006】また、特開昭63−479号公報には、ガ
ス導入管のガス放出孔と円筒状支持体との角度、及び、
円筒状電極や円筒状支持体の内径の関係を規定すること
により、支持体を回転させずに膜厚、膜質の均一性を改
善する技術が開示されている。
【0007】また、特開昭63−7373号公報には、
ガス導入管の断面積、及び、ガス放出孔の断面積と数の
関係を規定することにより、支持体を回転させずに堆積
膜の膜厚及び膜質を均一にする技術が開示されている。
【0008】これらの技術により、電子写真用光受容部
材の膜厚や膜質の均一性が向上し、それに伴って歩留も
向上してきた。
【0009】また、電子写真用光受容部材の属する像形
成分野において、光受容部材の光受容層を形成する光導
電材料には、高感度で、SN比〔光電流(Ip)/暗電
流(Id)〕が高く、照射する電磁波のスペクトル特性
に適合した吸収スペクトルを有すること、光応答性が早
く、所望の暗抵抗値を有すること、使用時において人体
に対して無害であること等の特性が要求される。特に、
事務機としてオフィスで使用される電子写真装置内に組
み込まれる光受容部材の場合には、上記の使用時におけ
る無公害性は重要な点である。
【0010】この様な点に優れた性質を示す光導電材料
として、a−Si:Hがある。例えば、特公昭60−3
5059号公報には、a−Si:Hを電子写真用光受容
部材へ応用する旨が記載されている。
【0011】このような光受容部材においては、一般的
には、導電性支持体を50℃〜350℃に加熱し、支持
体上に真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーテ
ィング法、熱CVD法、光CVD法、プラズマCVD法
等の成膜法によりa−Si堆積膜からなる光導電層を形
成する。なかでもプラズマCVD法、すなわち、原料ガ
スを高周波あるいはマイクロ波グロー放電によって分解
し、支持体上にa−Si堆積膜を形成する方法が好適な
ものとして実用されている。
【0012】また、特開昭56−83746号公報で
は、導電性支持体と、ハロゲン原子を構成要素として含
むa−Si:X光導電層からなる電子写真用光受容部材
が提案されている。ここでは、a−Siにハロゲン原子
を1乃至40原子%含有させることにより、耐熱性が高
く、電子写真用光受容部材の光導電層として良好な電気
的、光学的特性を得ることができるとしている。
【0013】また、特開昭57−115556号公報に
は、a−Si堆積膜で構成された光導電層を有する光導
電部材の暗抵抗値、光感度、光応答性等の電気的、光学
的、光導電的特性及び耐湿性等の使用環境特性、さらに
は経時的安定性について改善を図る目的で、シリコン原
子を母体としたアモルファス材料で構成された光導電層
上に、シリコン原子及び炭素原子を含む非光導電性のア
モルファス材料で構成された表面障壁層を設ける技術が
記載されている。
【0014】また、特開昭60−67951号公報に
は、アモルファスシリコン、炭素、酸素及び弗素を含有
してなる透光絶縁性オーバーコート層を積層する光受容
部材についての技術が記載され、特開昭62−1681
61号公報には、表面層として、シリコン原子と炭素原
子と41〜70原子%の水素原子を構成要素として含む
非晶質材料を用いる技術が記載されている。
【0015】さらに、特開昭57−158650号公報
には、水素を10〜40原子%含有し、赤外吸収スペク
トルの2100cm-1と2000cm-1の吸収ピークの
吸収係数比が0.2〜1.7であるa−Si:Hを光導電
層に用いることにより、高感度で高抵抗な電子写真用光
受容部材が得られることが記載され、特開昭62−83
470号公報には、電子写真用光受容部材の光導電層に
おいて光吸収スペクトルの指数関数裾の特性エネルギー
を0.09eV以下にすることにより、残像現象のない
高品質の画像を得る技術が開示されている。
【0016】そして、特開昭58−21257号公報に
は、光導電層の作製中に支持体温度を変化させすること
により光導電層内で禁止帯幅を変化させ、高抵抗であっ
て光感度領域の広い光受容部材を得る技術が開示され、
特開昭58−121042号公報には、光導電層の膜厚
方向にエネルギーギャップ状態密度を変化させ、表層の
エネルギーギャップ状態密度を1017〜1019cm-3とす
ることにより、湿度による表面電位の低下を防止する技
術が開示されている。また、特開昭59−143379
号公報および特開昭61−201481号公報には、水
素含有量の異なるa−Si:Hを積層することにより暗
抵抗が高く高感度の光受容部材を得る技術が開示されて
いる。
【0017】また、特開昭58−88115号公報に
は、a−Si光受容部材の光導電層中に周期律表第III
b族元素を支持体側に多くなるように分布させることに
より、電荷保持能が向上し、かつ残留電位の無い光受容
部材を得る技術が開示されている。
【0018】一方、特開昭60−95551号公報に
は、a−Si光受容部材の画像品質向上のために、光受
容部材表面近傍の温度を30乃至40℃に維持して帯
電、露光、現像及び転写といった画像形成行程を行うこ
とにより、光受容部材表面での水分の吸着による表面抵
抗の低下とそれに伴って発生する画像流れを防止する技
術が開示されている。
【0019】これらの技術により、電子写真用光受容部
材の電気的、光学的、光導電的特性及び使用環境特性が
向上し、それに伴って画像品質も向上してきた。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】従来の装置で作製され
た電子写真用光受容部材は、膜厚、電子写真特性が均一
化され歩留の面で改善されてきたが、総合的な特性向上
を図る上でさらに改良される余地が存在するのが実情で
ある。
【0021】特に、電子写真装置の高画質、高速化、高
耐久化は急速に進んでおり、電子写真用光受容部材にお
いては電気的特性や光導電特性の更なる向上とともに、
帯電能、感度を維持しつつ、あらゆる環境下で大幅に性
能を延ばすことが求められている。そして、電子写真装
置の画像特性向上のために電子写真装置内の光学露光装
置、現像装置、転写装置等の改良がなされた結果、電子
写真用光受容部材においても、従来以上の画像特性の向
上が求められるようになった。
【0022】このような状況下において、前述した従来
技術によりある程度の膜厚、電子写真特性の均一化及び
特性向上が可能になってはきたが、更なる帯電能や画像
品質の向上に関しては未だ充分とはいえない。特に、a
−Si系光受容部材の更なる高画質化への課題として、
更に均一な膜を得ることが挙げられる。そのためには、
反応空間内のガスの流量、流速のバランスをとり、プラ
ズマ中の活性種が均一に膜形成に寄与することが必要で
ある。また同様に、高画質化への課題として、周囲温度
の変化による電子写真特性の変動やブランクメモリーや
ゴーストといった光メモリーの低減がなされてきたが、
このメモリーについても特性の均一性が求められるよう
になってきている。
【0023】また、従来は、光受容部材の画像流れの防
止のために、前記特開昭60−95551号公報に記載
のように、複写機内にドラムヒーターを設置して光受容
部材の表面温度を40℃程度に保っていた。しかしなが
ら、従来の光受容部材では前露光キャリアや熱励起キャ
リアの生成に起因した帯電能の温度依存性、いわゆる温
度特性が大きく、複写機内の実際の使用環境下では、本
来光受容部材が有しているよりも帯電能が低い状態で使
用せざるをえなかった。例えば、室温での使用時に比べ
てドラムヒーターで40℃程度に加熱している状態で
は、帯電能が100V程度低下してしまう。このような
温度特性についても、均一性がいっそう求められるよう
になってきている。
【0024】また、従来は、複写機を使用しない夜間で
もドラムヒーターに通電して、帯電器のコロナ放電によ
って生成されたオゾン生成物が夜間に光受容部材表面に
吸着することによって発生する画像流れを防止するよう
にしていた。しかし、現在では省資源・省電力のために
複写機の夜間通電を極力行わないようになってきてい
る。このような状態で連続複写をすると、複写機内の光
受容部材の周囲温度が徐々に上昇し、それにつれて帯電
能が低下して、複写中に画像濃度が変わってしまうとい
う問題が生じていた。
【0025】したがって、電子写真用光受容部材を設計
する際に、上記したような問題が解決されるように電子
写真用光受容部材の層構成、各層の化学的組成など総合
的な観点からの改良を図るとともに、電子写真用光受容
部材製造装置及び製造方法も改良を図ることが必要とさ
れている。
【0026】そのような中で、さらなる電子写真用光受
容部材の高機能化に対応すべく、多層構成化、機能分離
型の光受容部材の設計、製造の必要性が増してきてい
る。この多層構成化により、今まで以上に各層の処方
(ガス流量や放電電力)が変化する割合が大きくなって
きている。したがって、この変化により放電状況が変動
し、電子写真特性及び膜厚むらが大きくなるという問題
を解決することが必要とされている。
【0027】すなわち、本発明の主たる目的は、膜厚及
び膜質の均一性を高め、帯電能や温度特性、光メモリー
の改善を高次元で両立して画像品質を飛躍的に向上した
電子写真用光受容部材の製造用途に好適な、堆積膜形成
装置及び堆積膜形成方法を提供することにある。
【0028】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前述の目
的を達成すべく鋭意研究を重ね、放電空間内への原料ガ
ス導入管と円筒状反応容器端部開口部に設けた排気口の
位置について詳細に検討を行ったところ、放出に複数の
ガス放出孔を有するガス導入管を用い、複数の排気口の
中心から該円筒状反応容器内面までの距離と、該排気口
の中心から該円筒状支持体外面までの距離、及び該原料
ガス導入管の中心から該円筒状反応容器内面までの距離
と、該原料ガス導入管の中心から該円筒状支持体外面ま
での距離との関係をある範囲内に制御して配置すること
で均一性を良好に向上できるという知見に至り、さら
に、反応容器内へのガス導入と排気口を円筒状反応容器
の異なる端部に設けることで、さらに膜質の均一性に良
好な結果を示すという知見に至り、本発明を完成した。
【0029】すなわち本発明は、排気手段と原料ガス供
給手段を備えた真空気密可能な円筒状反応容器を備え、
該円筒状反応容器内に円筒状支持体が配置され、該円筒
状支持体の同軸外周上に該円筒状支持体の長手方向に沿
った複数の原料ガス導入管が該円筒状反応容器の一方の
端部に接続され、かつ排気手段に接続された複数の排気
口が設けられた堆積膜形成装置において、原料ガスを励
起させる為の放電エネルギー印加手段が、前記円筒状反
応容器の放電電極である該円筒状容器の壁面に接続さ
れ、前記複数の排気口は、前記複数の原料ガス導入管が
接続されている端部側とは異なる端部において前記円筒
状支持体の同軸外周上に配置されており、かつ、前記排
気口の中心から前記円筒状反応容器内面までの距離をA
とし、該排気口の中心から前記円筒状支持体外面までの
距離をBとし、前記原料ガス導入管の中心から該円筒状
反応容器内面までの距離をXとし、該原料ガス導入管の
中心から該円筒状支持体外面までの距離をYとしたとき
に、下記条件(1)及び(2) Y>B (1) X≦B<(A+B)/2 (2) を満たすように配置されていることを特徴とする堆積膜
形成装置である。
【0030】さらに本発明は、この堆積膜形成装置を用
いて、円筒状支持体上に堆積膜を形成することを特徴と
する堆積膜形成方法である。
【0031】さらに、本発明者らが検討を行ったとこ
ろ、特に多層構成で、層ごとの処方(ガス流量や放電電
力)が大きく変化する様な電子写真用光受容部材におい
て、特性と膜厚の均一性の向上に効果があることがわか
った。
【0032】さらに、膜質の均一性を向上させるため
に、本発明者らは、希釈ガスの流量と印加する放電電力
について詳細に検討した結果、Si元素供給用ガスの流
量に対して制御する事で膜質の均一性が変化するという
知見を得た。
【0033】すなわち、本発明においては、希釈ガスの
流量を、第一の光導電領域ではSi元素供給用ガスに対
し3〜20倍、第二の光導電領域ではSi元素供給用ガ
スに対し0.5〜10倍にするとともに、励起せしめる
放電電力を、第一の光導電領域ではSi元素供給用ガス
の流量に対し2〜10倍、第二の光導電領域ではSi元
素供給用ガスの流量に対し0.5〜6倍に制御すること
が、均一性を向上させる点でより好ましい。
【0034】また、それに加えて、励起せしめる放電電
力を、第一の光導電領域では希釈ガスの流量に対し0.
5〜1倍、第二の光導電領域では希釈ガスの流量に対し
0.1〜0.5倍に制御することが、均一性を向上させる
点でより好ましい。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態に
ついて説明する。
【0036】図1は、本発明のプラズマCVD法による
堆積膜形成装置(電子写真用光受容部材製造装置)にお
けるガス導入管と電極を兼ねる円筒状反応容器、円筒状
支持体を含む対向電極の配置を模式的に示す断面図であ
り、図1(a)は全体の構成を説明する為の図であり、
図1(b)は各部の位置関係を説明する為の図である。
【0037】図1においては、電極を兼ねる円筒状反応
容器101内の中心に、対向電極となる円筒状支持体1
02が配置されている。さらに、円筒状支持体102の
同軸外周上に、その長手方向に沿って複数(8本)の原
料ガス導入管103(原料ガス供給手段)が設けられて
いる。この原料ガス導入管103は、円筒状反応容器1
01の一方の端部に接続されている。
【0038】また、原料ガス導入管103が接続されて
いる側とは反対側の円筒状反応容器101の端部には、
排気手段に接続された複数(8個)の排気口104が設
けられている。また、この排気口104も、円筒状支持
体102の同軸外周上に設けられている。
【0039】そして、図1(b)に示すように、排気口
104の中心から円筒状反応容器101内面(電極面)
までの距離をAとし、排気口104の中心から円筒状支
持体102外面までの距離をBとし、原料ガス導入管1
03の中心から円筒状反応容器101内面までの距離を
Xとし、原料ガス導入管103の中心から円筒状支持体
102外面までの距離をYとしたときに、下記条件
(1)及び(2) Y>B (1) X≦B<(A+B)/2 (2) を満たすように配置されている。
【0040】一方、従来の装置においては、ガス導入部
と排気口が円筒状反応容器の同じ端部に配置されてい
た。そのため、反応空間内のガス組成及び活性種の分布
が上下で不均一となり易く、円筒状支持体の長手方向で
の膜厚及び膜質にばらつきが生じてしまうという問題が
ある。従来技術では、こうした問題を解決する為、ガス
導入管に設けるガス放出孔の分布やガス放出方向の調整
等を行ない、ある程度改善されたものの、まだ不十分で
ある。
【0041】さらに、従来技術では、ガス導入管と電極
面との距離及び排気口との距離関係は、配置のし易さで
決められていたのが実状である。
【0042】本発明の堆積膜形成装置おいては、原料ガ
ス導入管へのガス導入と排気口が円筒状反応容器の異な
る端部に設けられ、しかも上記条件(1)及び(2)を
満たすように配置されている。ガス導入部と排気口を、
円筒状反応容器の異なる端部に配置すれば、ガスの流れ
が一方向で導入部側から排気側に流れることになり、従
来同じ側に配置されていて未分解のまま捨てられていた
原料ガスが放電により励起された活性種として膜形成に
寄与する割合が増すとともに、ガスの一様な流れが構成
され、長手方向の膜厚及び膜質の均一性が向上する。ま
た、異なる端部に設けることにより、ガス導入管と排気
口の配置の自由度が増す。この結果、電極面と排気口及
びガス導入管、支持体面の距離の関係を制御すること
で、ガス組成及び活性種の分布を変化させて均一化を図
ることができる。
【0043】ここで、排気口の中心から支持体面までの
距離(B)に対して、ガス導入管の中心から支持体面ま
での距離(Y)が、前記条件(1)を満たさない場合、
すなわちY≦Bとなるように配置する場合は、ガス導入
管に設けられたガス放出孔から出た未分解の原料ガスが
そのまま排出口に流れる部分が増えるので、特に微量な
導電性制御元素などの分布がガス中で異なり易く、また
ガスの利用効率も低下して、堆積時間の増加や膜質のば
らつきを生じ易くなる。
【0044】また、排気口は電極面と支持]体面の中間
よりも支持体側よりに設置することにより[すなわちB
<(A+B)/2]、膜厚及び膜質の均一性について良
い結果が得られる。これは、ガス導入管を中間よりも電
極面側よりに設置することで、さらにその均一性が向上
することから、放出孔から噴出して分解され膜形成に寄
与するまでの空間を大きくできるためと考えられる。
【0045】ガス導入管と電極面との距離に関しては、
ガス放出孔の向きにも依存するが、円筒状反応容器の内
面(電極面)へのガスの吹き付けがあると、ガス放出孔
と電極面との間に堆積物の形成がなされることがある。
その堆積物が、電子写真用光受容部材形成中に気相中に
飛散すると膜中欠陥になる。それを回避するためにも、
電極面へのガスの吹き付けについても考慮することが望
ましい。
【0046】また、ガス放出孔から噴出したガスの流れ
が、電極面への衝突や電極面に反射したガス流の導入管
への衝突は、ガス流の乱れの原因となりやすい。これを
考慮し乱れを少なくするように、ガス放出孔から電極面
までの距離が近づきすぎないようにすることが望まし
い。その一つとして、ガス放出孔の向きを電極面側か
ら、接線方向へ変えることも有効な方法である。
【0047】以上の通り、本発明は上記構成によって、
帯電能、感度ならびに光メモリーといった電子写真特性
と膜厚の均一化とを高い次元で両立させ、前記した従来
技術における諸問題の全てを解決することができ、極め
て優れた電気的、光学的、光導電的特性、画像品質、耐
久性及び使用環境性を示す光受容部材を得ることができ
るのである。
【0048】図2に、本発明の堆積膜形成装置(電子写
真用光受容部材製造装置)の一例を図示する。
【0049】原料ガスの供給装置214、反応容器20
0内を減圧にするための排気装置210から構成されて
いる。装置中の反応容器200内には円筒状支持体20
2、円筒状支持体を保持するホルダー206、支持体加
熱用ヒーター205、原料ガス導入管204が設置さ
れ、更に反応容器壁面電極201に高周波マッチングボ
ックス207が接続されている。
【0050】原料ガス供給装置214は、SiH4、G
eH4、H2、CH4、B26、PH3等の原料ガスのボン
ベとバルブ及びマスフローコントローラーから構成さ
れ、各原料ガスのボンベはバルブ212とガス導入分配
管213を介して反応容器200内のガス導入管204
に接続されている。
【0051】この装置を用いた堆積膜の形成は、例えば
以下のように行なうことができる。まず、反応容器20
0内に円筒状支持体202を設置し、排気装置210
(例えば真空ポンプ)により反応容器200内を排気す
る。続いて、支持体加熱用ヒーター205により円筒状
支持体202の温度を200℃乃至350℃の所定の温
度に制御する。
【0052】堆積膜製造の原料ガスを反応容器200に
流入させるには、ガスボンベのバルブ、反応容器のリー
クバルブ208が閉じられていることを確認し、また、
原料ガス供給装置214内の流入バルブ、流出バルブ、
補助バルブが開かれていることを確認して、まずメイン
バルブ209を開いて反応容器200及びガス配管内2
13を排気する。
【0053】次に、真空計211の読みが約5×10-4
paになった時点で補助バルブ、流出バルブを閉じる。
【0054】その後、ガスボンベより各ガスをバルブを
開いて導入し、圧力調整器により各ガス圧を2Kg/c
2に調整する。次に、流入バルブを徐々に開けて、各
ガスをマスフローコントローラー内に導入する。
【0055】以上のようにして成膜の準備が完了した
後、以下の手順で各層の形成を行う。円筒状支持体20
2が所定の温度になったところで流出バルブのうちの必
要なもの及び補助バルブを徐々に開き、ガスボンベから
所定のガスをガス導入管204を介して反応容器200
内に導入する。次に、マスフローコントローラーによっ
て各原料ガスが所定の流量になるように調整する。その
際、反応容器200内の圧力が150Pa以下の所定の
圧力になるように真空計211を見ながらメインバルブ
209の開口を調整する。内圧が安定したところで、周
波数13.56MHzのRF電源(不図示)を所望の電
力に設定して、高周波マッチングボックス207を通じ
て反応容器200内にRF電力を導入し、グロー放電を
生起させる。この放電エネルギーによって反応容器内に
導入された原料ガスが分解され、円筒状支持体202上
に所定のシリコンを主成分とする堆積膜が形成されると
ころとなる。所望の膜厚の形成が行われた後、RF電力
の供給を止め、流出バルブを閉じて反応容器へのガスの
流入を止め、堆積膜の形成を終える。
【0056】同様の操作を複数回繰り返すことによっ
て、所望の多層構造の光受容層が形成される。
【0057】それぞれの層を形成する際には必要なガス
以外の流出バルブはすべて閉じられていることは言うま
でもなく、また、それぞれのガスが反応容器200内、
原料ガス供給装置214の流出バルブから反応容器20
0に至る配管内に残留することを避けるために、流出バ
ルブを閉じ、補助バルブを開き、さらにメインバルブ2
09を全開にして反応容器内を一旦高真空に排気する操
作を必要に応じて行う。
【0058】また、膜形成の均一化を図るために、層形
成を行なっている間は、支持体202を駆動装置215
によって所定の速度で回転させることも有効である。
【0059】さらに、上述のガス種及びバルブ操作は各
々の層の作製条件にしたがって変更が加えられることは
言うまでもない。
【0060】堆積膜形成時の支持体温度は、特に200
℃以上350℃以下、好ましくは230℃以上330℃
以下、より好ましくは250℃以上310℃以下が望ま
しい。
【0061】支持体の加熱方法は、真空仕様である発熱
体であればよく、より具体的にはシース状ヒーターの巻
き付けヒーター、板状ヒーター、セラミックヒーター等
の電気抵抗発熱体、ハロゲンランプ、赤外線ランプ等の
熱放射ランプ発熱体、液体、気体等を温媒とし熱交換手
段による発熱体等が挙げられる。加熱手段の表面材質
は、ステンレス、ニッケル、アルミニウム、銅等の金属
類、セラミックス、耐熱性高分子樹脂等を使用すること
ができる。
【0062】それ以外にも、反応容器以外に加熱専用の
容器を設け、加熱した後、反応容器内に真空中で支持体
を搬送する方法が用いられる。
【0063】図3は、本発明の製造装置で製造する電子
写真用光受容部材の層構成を説明するための模式的構成
図である。
【0064】図3(a)に示す光受容部材300は、光
受容部材用としての支持体301の上に、光受容層30
2(光導電層303からなる)が設けられている。
【0065】図3(b)に示す光受容部材300は、光
受容部材用としての支持体301の上に、光受容層30
2が設けられている。該光受容層302はa−Si:H,
Xからなり光導電性を有する光導電層303と、アモル
ファスシリコン系表面層304とから構成されている。
【0066】図3(c)に示す光受容部材300は、光
受容部材用としての支持体301の上に、光受容層30
2が設けられている。該光受容層302は支持体301
側から順にアモルファスシリコン系電荷注入阻止層30
5と、a−Si:H,Xからなり光導電性を有する光導電
層303と、アモルファスシリコン系表面層304とか
ら構成されている。また、光導電層303は電荷注入阻
止層305側から順に第一の層領域311と第二の層領
域312とからなっている。
【0067】図3(d)に示す光受容部材300は、光
受容部材用としての支持体301の上に、光受容層30
2が設けられている。該光受容層302は支持体301
側から順にアモルファスシリコン系電荷注入阻止層30
5と、a−Si:H,Xからなり光導電性を有する光導電
層303と、アモルファスシリコン系表面層304とか
ら構成されている。また、光導電層303は電荷注入阻
止層305側から順に第一の層領域311と第二の層領
域312とからなっている。
【0068】<支持体>本発明において使用される支持
体301としては、導電性でも電気絶縁性であってもよ
い。導電性支持体としては、Al、Cr、Mo、Au、
In、Nb、Te、V、Ti、Pt、Pd、Fe等の金
属、及びこれらの合金、例えばステンレス等が挙げられ
る。また、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネ
ート、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩
化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド等の合成樹脂のフ
ィルム又はシート、ガラス、セラミック等の電気絶縁性
支持体の少なくとも光受容層を形成する側の表面を導電
処理した支持体も用いることができる。
【0069】本発明において使用される支持体301の
形状は平滑表面あるいは凹凸表面の円筒状であることが
でき、その厚さは、所望通りの光受容部材300を形成
し得るように適宜決定するが、光受容部材300として
の可撓性が要求される場合には、支持体301としての
機能が充分発揮できる範囲内で可能な限り薄くすること
ができる。しかしながら、支持体301は製造上及び取
り扱い上、機械的強度等の点から通常は10μm以上と
される。
【0070】<光導電層>本発明の装置は、作製される
光受容部材に所望される特性等の要因によって適宜選択
されて採用されるが、所望の特性を有する光受容部材を
製造するに当たっての条件の制御が比較的容易であるこ
とからグロー放電法、特にRF帯の電源周波数を用いた
高周波グロー放電法を採用している。
【0071】グロー放電法によって光導電層303を形
成するには、基本的にはシリコン原子(Si)を供給し
得るSi供給用の原料ガスと、水素原子(H)を供給し
得るH供給用の原料ガス及び/又はハロゲン原子(X)
を供給し得るX供給用の原料ガスを、内部が減圧にし得
る反応容器内に所望のガス状態で導入して、該反応容器
内にグロー放電を生起させ、あらかじめ所定の位置に設
置されてある所定の支持体301上にa−Si:H,Xか
らなる層を形成すればよい。
【0072】また、本発明において光導電層303中に
水素原子及び/又はハロゲン原子が含有されることが必
要であるが、これはシリコン原子の未結合手を補償し、
層品質の向上、特に光導電性及び電荷保持特性を向上さ
せるために必須不可欠であるからである。
【0073】本発明において使用されるSi供給用ガス
となり得る物質としては、SiH4、Si26、Si3
8、Si410等のガス状態の、又はガス化し得る水素化
珪素(シラン類)が有効に使用されるものとして挙げら
れ、更に層作製時の取り扱い易さ、Si供給効率の良さ
等の点でSiH4、Si26が好ましいものとして挙げ
られる。
【0074】そして、形成される光導電層303中に水
素原子を構造的に導入し、水素原子の導入割合の制御を
いっそう容易になるようにはかり、本発明の目的を達成
する膜特性を得るために、これらのガスに更にH2及び
/又はHeあるいは水素原子を含む珪素化合物のガスも
所望量混合して層形成することが必要である。また、各
ガスは単独種のみでなく所定の混合比で複数種混合して
も差し支えないものである。
【0075】また本発明において使用されるハロゲン原
子供給用の原料ガスとして有効なのは、たとえばハロゲ
ンガス、ハロゲン化物、ハロゲンを含むハロゲン間化合
物、ハロゲンで置換されたシラン誘導体等のガス状の又
はガス化し得るハロゲン化合物が好ましく挙げられる。
また、さらにはシリコン原子とハロゲン原子とを構成要
素とするガス状の又はガス化し得る、ハロゲン原子を含
む水素化珪素化合物も有効なものとして挙げることがで
きる。本発明に於て好適に使用し得るハロゲン化合物と
しては、具体的には弗素ガス(F2)、BrF、Cl
F、ClF3、BrF3、BrF5、IF3、IF7等のハ
ロゲン間化合物を挙げることができる。ハロゲン原子を
含む珪素化合物、いわゆるハロゲン原子で置換されたシ
ラン誘導体としては、具体的には、たとえばSiF4
Si26等の弗化珪素が好ましいものとして挙げること
ができる。
【0076】光導電層303中に含有される水素原子及
び/又はハロゲン原子の量を制御するには、例えば支持
体301の温度、水素原子及び/又はハロゲン原子を含
有させるために使用される原料物質の反応容器内へ導入
する量、放電電力等を制御すればよい。
【0077】本発明においては、光導電層303に伝導
性を制御する原子を分布させることが必要である。さら
に、第二の層領域の光が入射する表面側は、第一の層領
域より少なくなるように含有させることが必要である。
【0078】前記伝導性を制御する原子としては、半導
体分野における、いわゆる不純物を挙げることができ、
p型伝導特性を与える周期律表第IIIb族に属する原子
(以後「第IIIb族原子」と略記する)を用いることが
できる。
【0079】第IIIb族原子としては、具体的には、硼
素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、
インジウム(In)、タリウム(Tl)等があり、特に
B、Al、Gaが好適である。
【0080】光導電層303に含有される伝導性を制御
する原子の含有量としては、好ましくは5×10-3〜5
0原子ppm、より好ましくは1×10-2〜40原子p
pm、最適には1×10-1〜25原子ppmの間で含有
されるのが望ましい。そのとき、第二の層領域312に
おける含有量が、第一の層領域311における含有量よ
りも少なくなるように含有することが必要である。
【0081】伝導性を制御する原子の第一の層領域の含
有量はシリコン原子に対して0.2ppm以上30pp
m以下となるようすることが望ましい。そして、伝導性
を制御する原子の第二の層領域の含有量はシリコン原子
に対して0.005ppm以上10ppm以下となるよ
うにすることが望ましい。
【0082】各層領域においては、伝導性を制御する原
子を変化させて含有させることも有効である。
【0083】伝導性を制御する原子の含有量が、第一の
層領域で0.2ppm以下及び/又は第二の層領域で0.
005ppm以下であると、ホールの走行性が小さく、
特性の改善を示さずに残留電位及びメモリー電位の上昇
が生じる。また伝導性を制御する原子の含有量が、第一
の層領域で30ppm以上及び/又は第二の層領域で1
0ppm以上であると、含有量が過多でフリーキャリア
の要因となる準位が多くなりすぎ帯電能及び温度特性の
改善がなされない。
【0084】伝導性を制御する原子、たとえば、第III
b族原子を構造的に導入するには、層形成の際に、第II
Ib族原子導入用の原料物質をガス状態で反応容器中
に、光導電層303を形成するための他のガスとともに
導入してやればよい。第IIIb族原子導入用の原料物質
となり得るものとしては、常温常圧でガス状の又は、少
なくとも層形成条件下で容易にガス化し得るものが採用
されるのが望ましい。
【0085】そのような第IIIb族原子導入用の原料物
質として具体的には、硼素原子導入用としては、B
26、B410、B59、B511、B610、B612
614等の水素化硼素、BF3、BCl3、BBr3等の
ハロゲン化硼素等が挙げられる。この他、AlCl3
GaCl3、Ga(CH33、InCl3、TlCl3
も挙げることができる。
【0086】また、これらの伝導性を制御する原子導入
用の原料物質を必要に応じてH2及び/又はHeにより
希釈して使用してもよい。
【0087】さらに本発明においては、光導電層303
に炭素原子及び/又は酸素原子及び/又は窒素原子を含
有させることも有効である。
【0088】本発明において、光導電層303の層厚は
所望の電子写真特性が得られること及び経済的効果等の
点から適宜所望にしたがって決定され、好ましくは20
〜50μm、より好ましくは23〜45μm、最適には
25〜40μmとされるのが望ましい。層厚が20μm
より薄くなると、帯電能や感度等の電子写真特性が実用
上不充分となり、50μmより厚くなると、光導電層3
03の作製時間が長くなって製造コストが高くなる。
【0089】所望の膜特性を有する光導電層303を形
成するには、Si供給用のガスと希釈ガスとの混合比、
反応容器内のガス圧、放電電力ならびに支持体301の
温度を適宜設定することが必要である。
【0090】希釈ガスとして使用するH2及び/又はH
eの流量は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選択さ
れるが、0.5〜20倍の範囲で制御することが望まし
い。光導電層303を第一の層領域と第二の層領域に分
けることはさらに効果的で、第一の層領域においてはS
i供給用ガスに対しH2及び/又はHeを、通常の場合
3〜20倍、好ましくは4〜15倍の範囲に制御するこ
とが望ましい。第二の層領域においてはSi供給用ガス
に対しH2及び/又はHeを、通常の場合0.5〜10
倍、好ましくは1〜8倍の範囲に制御することが望まし
い。
【0091】反応容器内のガス圧も同様に層設計にした
がって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合1.0
×10-2〜1.0×103Pa、好ましくは5.0×10
-2〜5.0×102Pa、最適には1.0×10-1〜1.0
×102Paとするのが好ましい。
【0092】放電電力もまた同様に層設計にしたがって
適宜最適範囲が選択されるが、Si供給用のガスの流量
に対する放電電力の比を0.5〜10倍の範囲で設定す
ることが望ましい。光導電層303を第一の層領域と第
二の層領域に分けることはさらに効果的で、第一の層領
域は2〜10の範囲に設定し、第二の層領域は0.5〜
6の範囲に設定することが望ましい。
【0093】さらに、支持体301の温度は、層設計に
したがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、
好ましくは200〜350℃、より好ましくは230〜
330℃、最適には250〜310℃とするのが望まし
い。
【0094】本発明においては、光導電層303を形成
するための支持体301の温度、ガス圧の望ましい数値
範囲として前記した範囲が挙げられるが、条件は通常は
独立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を
有する光受容部材を形成すべく相互的且つ有機的関連性
に基づいて最適値を決めるのが望ましい。
【0095】<表面層>本発明においては、上述のよう
にして支持体301上に形成された光導電層303の上
に、更にアモルファスシリコン系の表面層304を形成
することが好ましい。この表面層304は自由表面30
6を有し、主に耐湿性、連続繰り返し使用特性、電気的
耐圧性、使用環境特性、耐久性において本発明の目的を
達成するために設けられる。
【0096】又、本発明においては、光受容層302を
構成する光導電層303と表面層304とを形成する非
晶質材料の各々がシリコン原子という共通の構成要素を
有しているので、積層界面において化学的な安定性の確
保が十分成されている。
【0097】表面層304は、アモルファスシリコン系
の材料であればいずれの材質でも可能であるが、例え
ば、水素原子(H)及び/又はハロゲン原子(X)を含
有し、更に炭素原子を含有するアモルファスシリコン
(以下「a−SiC:H,X」と表記する)、水素原子
(H)及び/又はハロゲン原子(X)を含有し、更に酸
素原子を含有するアモルファスシリコン(以下「a−S
iO:H,X」と表記する)、水素原子(H)及び/又
はハロゲン原子(X)を含有し、更に窒素原子を含有す
るアモルファスシリコン(以下「a−SiN:H,X」と
表記する)、水素原子(H)及び/又はハロゲン原子
(X)を含有し、更に炭素原子、酸素原子、窒素原子の
少なくとも一つを含有するアモルファスシリコン(以下
「a−SiCON:H,X」と表記する)等の材料が好適
に用いられる。
【0098】本発明において、その目的を効果的に達成
するために、表面層304は真空堆積膜形成方法によっ
て、所望特性が得られるように適宜成膜パラメーターの
数値条件が設定されて作製される。
【0099】本発明において、グロー放電法によってa
−SiC:H,Xよりなる表面層304を形成するに
は、基本的にはシリコン原子(Si)を供給し得るSi
供給用の原料ガスと、炭素原子(C)を供給し得るC供
給用の原料ガスと、水素原子(H)を供給し得るH供給
用の原料ガス及び/又はハロゲン原子(X)を供給し得
るX供給用の原料ガスを、内部を減圧にし得る反応容器
内に所望のガス状態で導入して、該反応容器内にグロー
放電を生起させ、あらかじめ所定の位置に設置された光
導電層303を形成した支持体301上にa−SiC:
H,Xからなる層を形成すればよい。
【0100】本発明において用いる表面層304の材質
としてはシリコンを含有するアモルファス材料ならば何
れでも良いが、炭素、窒素、酸素より選ばれた元素を少
なくとも1つ含むシリコン原子との化合物が好ましく、
特にa−SiCを主成分としたものが好ましい。
【0101】表面層304をa−SiCを主成分として
構成する場合の炭素量は、シリコン原子と炭素原子の和
に対して30%から90%の範囲が好ましい。
【0102】また、本発明において表面層304中に水
素原子及び/又はハロゲン原子が含有されることが必要
であるが、これはシリコン原子の未結合手を補償し、層
品質の向上、特に光導電性特性及び電荷保持特性を向上
させるために必須不可欠である。水素含有量は、構成原
子の総量に対して通常の場合30〜70原子%、好適に
は35〜65原子%、最適には40〜60原子%とする
のが望ましい。また、弗素原子の含有量として、通常の
場合は0.01〜15原子%、好適には0.1〜10原子
%、最適には0.6〜4原子%とされるのが望ましい。
【0103】これらの水素及び/又は弗素含有量の範囲
内で形成される光受容部材は、実際面において従来にな
い格段に優れたものとして充分適用させ得るものであ
る。すなわち、表面層304内に存在する欠陥(主にシ
リコン原子や炭素原子のダングリングボンド)は電子写
真用光受容部材としての特性に悪影響を及ぼすことが知
られている。例えば自由表面から電荷の注入による帯電
特性の劣化、使用環境、例えば高い湿度のもとで表面構
造が変化することによる帯電特性の変動、更にコロナ帯
電時や光照射時に光導電層303より表面層304に電
荷が注入され、前記表面層304内の欠陥に電荷がトラ
ップされることにより繰り返し使用時の残像現象の発生
等がこの悪影響として挙げられる。
【0104】しかしながら表面層304内の水素含有量
を30原子%以上に制御することで表面層304内の欠
陥が大幅に減少し、その結果、従来に比べて電気的特性
面及び高速連続使用性において飛躍的な向上を図ること
ができる。
【0105】一方、前記表面層304中の水素含有量が
70原子%を越えると表面層304の硬度が低下するた
めに、繰り返し使用に耐えられなくなる。従って、表面
層304中の水素含有量を前記の範囲内に制御すること
が格段に優れた所望の電子写真特性を得る上で非常に重
要な因子の1つである。表面層304中の水素含有量
は、原料ガスの流量(比)、支持体301の温度、放電
パワー、ガス圧等によって制御し得る。
【0106】また、表面層304中の弗素含有量を0.
01原子%以上の範囲に制御することで表面層304内
のシリコン原子と炭素原子の結合の発生をより効果的に
達成することが可能となる。さらに、表面層304中の
弗素原子の働きとして、コロナ等のダメージによるシリ
コン原子と炭素原子の結合の切断を効果的に防止するこ
とができる。
【0107】一方、表面層304中の弗素含有量が15
原子%を超えると表面層304内のシリコン原子と炭素
原子の結合の発生の効果及びコロナ等のダメージによる
シリコン原子と炭素原子の結合の切断を防止する効果が
ほとんど認められなくなる。さらに、過剰の弗素原子が
表面層304中のキャリアの走行性を阻害するため、残
留電位や画像メモリーが顕著に認められてくる。従っ
て、表面層304中の弗素含有量を前記範囲内に制御す
ることが所望の電子写真特性を得る上で重要な因子の一
つである。表面層304中の弗素含有量は、水素含有量
と同様に原料ガスの流量(比)、支持体301の温度、
放電パワー、ガス圧等によって制御し得る。
【0108】本発明の表面層304の形成において使用
されるシリコン(Si)供給用ガスとなり得る物質とし
ては、SiH4、Si26、Si38、Si410等のガ
ス状態の、又はガス化し得る水素化珪素(シラン類)が
有効に使用されるものとして挙げられ、更に層作製時の
取り扱い易さ、Si供給効率の良さ等の点でSiH4
Si26が好ましいものとして挙げられる。また、これ
らのSi供給用の原料ガスを必要に応じてH2、He、
Ar、Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0109】炭素供給用ガスとなり得る物質としては、
CH4、C22、C26、C38、C410等のガス状態
の、又はガス化し得る炭化水素が有効に使用されるもの
として挙げられ、更に層作製時の取り扱い易さ、Si供
給効率の良さ等の点でCH 4、C22、C26が好まし
いものとして挙げられる。また、これらのC供給用の原
料ガスを必要に応じてH2、He、Ar、Ne等のガス
により希釈して使用してもよい。
【0110】窒素又は酸素供給用ガスとなり得る物質と
しては、NH3、NO、N2O、NO 2、O2、CO、CO
2、N2等のガス状態の、又はガス化し得る化合物が有効
に使用されるものとして挙げられる。また、これらの窒
素、酸素供給用の原料ガスを必要に応じてH2、He、
Ar、Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0111】また、形成される表面層304中に導入さ
れる水素原子の導入割合の制御をいっそう容易になるよ
うに図るために、これらのガスに更に水素ガス又は水素
原子を含む珪素化合物のガスも所望量混合して層形成す
ることが好ましい。また、各ガスは単独種のみでなく所
定の混合比で複数種混合しても差し支えないものであ
る。
【0112】ハロゲン原子供給用の原料ガスとして有効
なのは、たとえばハロゲンガス、ハロゲン化物、ハロゲ
ンをふくむハロゲン間化合物、ハロゲンで置換されたシ
ラン誘導体等のガス状の又はガス化し得るハロゲン化合
物が好ましく挙げられる。また、さらにはシリコン原子
とハロゲン原子とを構成要素とするガス状の又はガス化
し得る、ハロゲン原子を含む水素化珪素化合物も有効な
ものとして挙げることができる。本発明において好適に
使用し得るハロゲン化合物としては、具体的には弗素ガ
ス(F2)、BrF、ClF、ClF3、BrF3、Br
5、IF3、IF7等のハロゲン間化合物を挙げること
ができる。ハロゲン原子を含む珪素化合物、いわゆるハ
ロゲン原子で置換されたシラン誘導体としては、具体的
には、たとえばSiF4、Si26等の弗化珪素が好ま
しいものとして挙げることができる。
【0113】表面層304中に含有される水素原子及び
/又はハロゲン原子の量を制御するには、例えば支持体
301の温度、水素原子及び/又はハロゲン原子を含有
させるために使用される原料物質の反応容器内へ導入す
る量、放電電力等を制御すればよい。
【0114】炭素原子及び/又は酸素原子及び/又は窒
素原子は、表面層304中に万遍なく均一に含有させて
も良いし、表面層304の層厚方向に含有量が変化する
ような不均一な分布をもたせた部分があっても良い。
【0115】さらに本発明においては、表面層304に
は必要に応じて伝導性を制御する原子を含有させること
が好ましい。伝導性を制御する原子は、表面層304中
に万偏なく均一に分布した状態で含有されても良いし、
あるいは層厚方向には不均一な分布状態で含有している
部分があってもよい。
【0116】前記の伝導性を制御する原子としては、半
導体分野における、いわゆる不純物を挙げることがで
き、P型伝導特性を与える周期律表第IIIb族に属する
原子(以後「第IIIb族原子」と略記する)n型伝導特
性を与える周期律表第Vb族に属する原子(以後「第V
b族原子」と略記する)を用いることができる。
【0117】第IIIb族原子としては、具体的には、硼
素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、
インジウム(In)、タリウム(Tl)等があり、特に
B、Al、Gaが好適である。第Vb族原子としては、
具体的には燐(P)、砒素(As)、アンチモン(S
b)、ビスマス(Bi)等があり、特にP、Asが好適
である。
【0118】表面層304に含有される伝導性を制御す
る原子の含有量としては、好ましくは1×10-3〜1×
103原子ppm、より好ましくは1×10-2〜5×1
2原子ppm、最適には1×10-1〜1×102原子p
pmとされるのが望ましい。伝導性を制御する原子、た
とえば、第IIIb族原子あるいは第Vb族原子を構造的
に導入するには、層形成の際に、第IIIb族原子導入用
の原料物質あるいは第Vb族原子導入用の原料物質をガ
ス状態で反応容器中に、表面層304を形成するための
他のガスとともに導入してやればよい。第IIIb族原子
導入用の原料物質あるいは第Vb族原子導入用の原料物
質となり得るものとしては、常温常圧でガス状の又は、
少なくとも層形成条件下で容易にガス化し得るものが採
用されるのが望ましい。そのような第IIIb族原子導入
用の原料物質として具体的には、硼素原子導入用として
は、B26、B410、B59、B511、B610、B6
12、B614等の水素化硼素、BF3、BCl3、BB
3等のハロゲン化棚素等が挙げられる。この他、Al
Cl3、GaCl3、Ga(CH33、InCl3、Tl
Cl3等も挙げることができる。
【0119】第Vb族原子導入用の原料物質として、有
効に使用されるのは、燐原子導入用としては、PH3
24等の水素化燐、PH4I、PF3、PF5、PC
3、PCl5、PBr3、PBr5、PI3等のハロゲン
化燐が挙げられる。この他、AsH3、AsF3、AsC
3、AsBr3、AsF5、SbH3、SbF3、Sb
5、SbCl3、SbCl5、BiH3、BiCl3、Bi
Br3等も第Vb族原子導入用の出発物質の有効なもの
として挙げることができる。
【0120】また、これらの伝導性を制御する原子導入
用の原料物質を必要に応じてH2、He、Ar、Ne等
のガスにより希釈して使用してもよい。
【0121】本発明における表面層304の層厚として
は、通常0.01〜3μm、好適には0.05〜2μm、
最適には0.1〜1μmとされるのが望ましいものであ
る。層厚が0.01μmよりも薄いと光受容部材を使用
中に磨耗等の理由により表面層304が失われてしま
い、3μmを越えると残留電位の増加等の電子写真特性
の低下がみられる。
【0122】本発明における表面層304は、その要求
される特性が所望通りに与えられるように注意深く形成
される。即ち、Si、C及び/又はN及び/又はO、H
及び/又はXを構成要素とする物質はその形成条件によ
って構造的には結晶からアモルファスまでの形態を取
り、電気物性的には導電性から半導体性、絶縁性までの
間の性質を、又、光導電的性質から非光導電的性質まで
の間の性質を各々示すので、本発明においては、目的に
応じた所望の特性を有する化合物が形成される様に、所
望に従ってその形成条件の選択が厳密になされる。
【0123】例えば、表面層304を耐圧性の向上を主
な目的として設けるには、使用環境において電気絶縁性
的挙動の顕著な非単結晶材料として作製される。
【0124】又、連続繰り返し使用特性や使用環境特性
の向上を主たる目的として表面層304が設けられる場
合には、上記の電気絶縁性の度合はある程度緩和され、
照射される光に対して有る程度の感度を有する非単結晶
材料として形成される。
【0125】良好な特性を有する表面層304を形成す
るには、支持体301の温度、反応容器内のガス圧を所
望にしたがって、適宜設定する必要がある。
【0126】支持体301の温度(Ts)は、層設計に
したがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、
好ましくは200〜350℃、より好ましくは230〜
330℃、最適には250〜300℃とするのが望まし
い。反応容器内のガス圧も同様に層設計にしたがって適
宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好ましくは
1.0×10-2〜1.0×103Pa、より好ましくは5.
0×10-1〜5.0×102Pa、最適には1.0×10
-1〜1.0×102Paとするのが好ましい。
【0127】本発明においては、表面層304を形成す
るための支持体301の温度、ガス圧の望ましい数値範
囲として前記した範囲が挙げられるが、条件は通常は独
立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を有
する光受容部材を形成すべく相互的且つ有機的関連性に
基づいて最適値を決めるのが望ましい。
【0128】また表面層304と光導電層303との間
に炭素原子及び/又は酸素原子及び/又は窒素原子の含
有量が光導電層303に向かって減少するように変化す
る領域を設けても良い。これにより表面層304と光導
電層303の密着性を向上させ、光キャリアの表面への
移動がスムーズになるとともに光導電層303と表面層
304の界面での光の反射による干渉の影響をより少な
くすることができる。 <電荷注入阻止層>本発明においては、導電性支持体3
01と光導電層303との間に、導電性支持体側301
からの電荷の注入を阻止する働きのある電荷注入阻止層
305を設けるのがいっそう効果的である。すなわち、
電荷注入阻止層305は光受容層302が一定極性の帯
電処理をその自由表面に受けた際、支持体301側より
光導電層303側に電荷が注入されるのを阻止する機能
を有し、逆の極性の帯電処理を受けた際にはそのような
機能は発揮されない、いわゆる極性依存性を有してい
る。そのような機能を付与するために、電荷注入阻止層
305には伝導性を制御する原子を光導電層303に比
べ比較的多く含有させる。
【0129】該層に含有される伝導性を制御する原子
は、該層中に万偏なく均一に分布されても良いし、ある
いは層厚方向には万偏なく含有されてはいるが、不均一
に分布する状態で含有している部分があってもよい。分
布濃度が不均一な場合には、支持体側に多く分布するよ
うに含有させるのが好適である。
【0130】しかしながら、いずれの場合にも支持体の
表面と平行面内方向においては、均一な分布で万偏なく
含有されることが面内方向における特性の均一化をはか
る点からも必要である。
【0131】電荷注入阻止層に含有される伝導性を制御
する原子としては、半導体分野における、いわゆる不純
物を挙げることができ、p型伝導特性を与える周期律表
第IIIb族に属する原子(以下「第IIIb族原子」と略記
する)を用いることができる。
【0132】第IIIb族原子としては、具体的には、B
(ホウ素)、Al(アルミニウム)、Ga(ガリウ
ム)、In(インジウム)、Ta(タリウム)等があ
り、特にB、Al、Gaが好適である。
【0133】本発明において電荷注入阻止層中に含有さ
れる伝導性を制御する原子の含有量としては、本発明の
目的が効果的に達成できるように所望にしたがって適宜
決定されるが、好ましくは10〜1×104原子pp
m、より好適には50〜5×103原子ppm、最適に
は1×102〜3×103原子ppmとされるのが望まし
い。
【0134】さらに、電荷注入阻止層には、炭素原子、
窒素原子及び酸素原子の少なくとも一種を含有させるこ
とによって、該電荷注入阻止層に直接接触して設けられ
る他の層との間の密着性の向上をよりいっそう図ること
ができる。
【0135】該層に含有される炭素原子又は窒素原子又
は酸素原子は該層中に万偏なく均一に分布されてもよい
し、あるいは層厚方向には万偏なく含有されてはいる
が、不均一に分布する状態で含有している部分があって
もよい。しかしながら、いずれの場合にも支持体301
の表面と平行面内方向においては、均一な分布で万偏な
く含有されることが面内方向における特性の均一化をは
かる点からも必要である。
【0136】本発明における電荷注入阻止層の全層領域
に含有される炭素原子及び/又は窒素原子及び/又は酸
素原子の含有量は、本発明の目的が効果的に達成される
ように適宜決定されるが、一種の場合はその量として、
二種以上の場合はその総和として、好ましくは1×10
-3〜30原子%、より好適には5×10-3〜20原子
%、最適には1×10-2〜10原子%とされるのが望ま
しい。
【0137】また、本発明における電荷注入阻止層に含
有される水素原子及び/又はハロゲン原子は層内に存在
する未結合手を補償し膜質の向上に効果を奏する。電荷
注入阻止層中の水素原子又はハロゲン原子あるいは水素
原子とハロゲン原子の和の含有量は、好適には1〜50
原子%、より好適には5〜40原子%、最適には10〜
30原子%とするのが望ましい。
【0138】本発明において、電荷注入阻止層の層厚は
所望の電子写真特性が得られること、及び経済的効果等
の点から、好ましくは0.1〜5μm、より好ましくは
0.3〜4μm、最適には0.5〜3μmとされるのが望
ましい。層厚が0.1μmより薄くなると、支持体30
1からの電荷の注入阻止能が不充分になって充分な帯電
能が得られなくなり。5μmより厚くしても電子写真特
性の向上は期待できず、作製時間の延長による製造コス
トの増加を招くだけである。
【0139】本発明において電荷注入阻止層を形成する
には、前述の光導電層303を形成する方法と同様の真
空堆積法が採用される。
【0140】良好な特性を有する電荷注入阻止層305
を形成するには、光導電層303と同様に、Si供給用
のガスと希釈ガスとの混合比、反応容器内のガス圧、放
電電力ならびに支持体301の温度を適宜設定すること
が必要である。
【0141】希釈ガスであるH2及び/又はHeの流量
は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、
Si供給用ガスに対しH2及び/又はHeを、通常の場
合0.3〜20倍、好ましくは0.5〜15倍、最適には
1〜10倍の範囲に制御することが望ましい。
【0142】反応容器内のガス圧も同様に層設計にした
がって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合1.0
×10-2〜1.0×103Pa、好ましくは5.0×10
-1〜5.0×102Pa、最適には1.0×10-1〜1.0
×102Paとするのが好ましい。
【0143】放電電力もまた同様に層設計にしたがって
適宜最適範囲が選択されるが、Si供給用のガスの流量
に対する放電電力の比を、通常の場合0.5〜8、好ま
しくは0.8〜7、最適には1〜6の範囲に設定するこ
とが望ましい。
【0144】さらに、支持体301の温度は、層設計に
したがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、
好ましくは200〜350℃、より好ましくは230〜
330℃、最適には250〜310℃とするのが望まし
い。
【0145】本発明においては、電荷注入阻止層を形成
するための希釈ガスの混合比、ガス圧、放電電力、支持
体301の温度の望ましい数値範囲として前記した範囲
が挙げられるが、これらの層作製ファクターは通常は独
立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を有
する表面304層を形成すべく相互的且つ有機的関連性
に基づいて各層作製ファクターの最適値を決めるのが望
ましい。
【0146】このほかに、本発明においては、光受容層
302の前記支持体301側に、少なくともアルミニウ
ム原子、シリコン原子、水素原子及び/又はハロゲン原
子が層厚方向に不均一な分布状態で含有する層領域を有
することが望ましい。
【0147】また、本発明においては、支持体301と
光導電層303あるいは電荷注入阻止層305との間の
密着性の一層の向上を図る目的で、例えば、Si34
SiO2、SiO、あるいはシリコン原子を母体とし、
水素原子及び/又はハロゲン原子と、炭素原子及び/又
は酸素原子及び/又は窒素原子とを含む非晶質材料等で
構成される密着層を設けてもよい。
【0148】
【実施例】以下、実験例及び実施例により本発明の効果
を具体的に説明する。
【0149】<実験例1>図2に示したRF−PCVD
法による光受容部材の製造装置を用い、直径80mmの
鏡面加工を施した長さ358mmのアルミニウムシリン
ダー(支持体)上に、表1に示す条件で電荷注入阻止
層、光導電層、表面層からなる光受容部材を作製した。
ここでは、X+Y=A+B=70mm、X=20mm、
Y=50mm、A=40mm、B=30mmとした。
【0150】また、ガス導入管に設けたガス放出孔は、
180度タイプ(円筒状反応容器の接線方向に2列の孔
をあけたもの)を採用した。また、ガス導入管は直径7
mm、排気口径は20mmで固定した。
【0151】装置は、ガス導入管と排気口を円筒状反応
容器の同じ側、下端に設けたものと、ガス導入管は上端
に、排気口は下端にと分けたものの2種を使用した。ま
た、支持体はともに回転させて作製した。
【0152】得られた光受容部材の膜厚むら及び電子写
真特性(帯電能、感度、メモリー、温度特性)のむらを
評価した。測定した位置は、中央、中央から上に80m
mと160mm、中央から下に80mmと160mmの
5点である。
【0153】電子写真特性の評価は、電子写真装置(キ
ヤノン製NP−6550を実験用に改造)にセットして
行った。この際、プロセススピード380mm/se
c、前露光(波長565nmのLED)4lux・sec、帯
電器の電流値1000μAの条件にて、電子写真装置の
現像器位置にセットした表面電位計(TREK社 Mo
del 344)の電位センサーにより光受容部材の表
面電位を測定し、それを帯電能とした。また、光受容部
材に内蔵したドラムヒーターにより温度を室温(約25
℃)から50℃まで変えて、上記の条件にて帯電能を測
定し、そのときの温度1℃当たりの帯電能の変化を温度
特性とした。また、メモリー電位は、上述の条件下にお
いて同様の電位センサーにより非露光状態での表面電位
と一旦露光した後に再度帯電した時との電位差を測定し
た。感度は、像露光が当たっていない状態での表面電位
を400Vに設定したときの、Δ200Vにするために
必要な像露光の光量を測定した。評価は、同じ側(従
来)の製造装置の測定値の最大値−最小値を100%と
して、相対値で示した。評価結果を表2に示す。
【0154】膜厚は、Max−Minが1μm以内を◎、1以
上2μm以内を○、2以上3μm以内を△、3μm以上
を×で示す。帯電能むらは、Max−Minが20V以内を
◎、20V以上30V以内を○、30V以上40V以内
を△、40V以上を×で示す。感度むらは、Max−Minが
0.02lux・sec以内を◎、0.03lux・sec以内を○、
0.04lux・sec以内を△、0.04lux・sec以上を×で
示す。温度特性むらは、Max−Minが1V/deg以内を
◎、2V/deg以内を○、3V/deg以内を△、3
V/deg以上を×で示す。メモリーむらは、Max−Min
が1V以内を◎、2V以内を○、3V以内を△、3V以
上を×で示す。すなわち、◎は非常に優れている、○は
良好である、△は通常の使用に問題のないレベル、×は
やや使用に難ありというランクを示す。
【0155】
【表1】
【0156】
【表2】 表2に示す結果から、ガス導入管と排気口を異なる側に
設けることにより、膜厚及び特性の均一性が高まること
が分かる。
【0157】<実験例2>図2に示したRF−PCVD
法による光受容部材の製造装置を用い、直径80mmの
鏡面加工を施した長さ358mmのアルミニウムシリン
ダー(支持体)上に、表3に示す条件で電荷注入阻止
層、光導電層、表面層からなる光受容部材を作製した。
ここでは、X+Y=A+B=70mmの装置を用い、
X、Y、A及びBの関係を変更して、光受容部材を作製
した。ガス導入管のガス放出孔、及びガス導入管と排気
口径のサイズは実験例1と同様にした。
【0158】得られた光受容部材の膜厚むら及び電子写
真特性(帯電能、感度、メモリー、温度特性)を実験例
1と同様の条件で評価した。評価結果は表4に示す。
【0159】
【表3】
【0160】
【表4】 表4に示す結果から、条件(1)と条件(2)をともに
満たすように設計配置された本発明の装置を用いる事で
均一性が向上する事が分かる。ただし、サンプルbのX
=5mmでは、ガスの放出孔と電極面が近すぎるため
か、画像欠陥が他に比べてやや増加していた。
【0161】<実験例3>図2に示したRF−PCVD
法による光受容部材の製造装置を用い、実験例1と同様
の条件で、直径80mmの鏡面加工を施したアルミニウ
ムシリンダー(支持体)上に、表5に示す条件で電荷注
入阻止層、光導電層、表面層からなる光受容部材を種々
作製した。また、装置は、X=10mm、Y=60m
m、A=40mm、B=30mmとし、ガス導入管と排
気口は異なる側に設置した。そして、ここでは、光導電
層の希釈ガスである水素の流量と、放電電力を変えて光
受容部材を作製した。
【0162】作製した個々の光受容部材について実験例
1と同様の評価を行った。各評価基準は前記と同様であ
る。また、帯電能は、400V以上を○、370V〜4
00Vを△、370V以下を×で示す。感度は、0.5l
ux・sec以下を○、0.5から0.6lux・secを△、0.6lu
x・sec以上を×で示す。温度特性は、±2V/deg以
内を○、±3V/deg以内を△、±3V/deg以上
を×で示す。メモリーは、5V以下を○、5〜10Vを
△、10V以上を×で示す。これらの評価結果は表6に
示す。
【0163】
【表5】
【0164】
【表6】 表6に示す結果から、光導電層においては、Si元素含
有ガスに対する水素ガスの流量が0.5〜20倍で、か
つSi元素含有ガスに対する放電電力が0.5〜10倍
で、かつ水素ガスに対する放電電力が0.1〜1倍にな
るように制御することで、膜厚及び電子写真特性の均一
性の向上と、優れた電子写真特性がともに得られること
が分かる。
【0165】以下、実施例により本発明をさらに具体的
に説明する。
【0166】<実施例1>図2に示したRF−PCVD
法による光受容部材の製造装置を用い、直径80mmの
鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上
に、表7に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、表面
層からなる光受容部材を作製した。また、光導電層のB
元素の含有させる部分は、含有量を直線的に変化させて
含有させた。装置は、円筒状反応容器内径220mm
で、X=15mm、Y=55mm、A=50mm、B=
20mmとし、ガス導入管を下端に8本と、排気口は上
端に8個と、異なる側に設置した。
【0167】また、ガス導入管に設けたガス放出孔は1
50度タイプ(円筒状反応容器の接線方向より外側に向
いて2列の孔をあけたもの)を採用した。また、ガス導
入管は直径7mm、排気口径は20mmとした。
【0168】
【表7】 作製した光受容部材を実験例1と同様に電子写真装置
(キャノン製NP−6550を実験用に改造)にセット
して、電位特性の評価を行なったところ、帯電能、感
度、温度特性、メモリーとも良好な特性が得られた。ま
た、膜厚及び電子写真特性の均一性も良好であった。
【0169】また、作製した光受容部材を正帯電して画
像評価をしたところ、画像上でも光メモリーは観測され
ずその他の画像特性(ポチ、画像流れ)についても良好
な電子写真特性が得られた。
【0170】すなわち、ガス導入管と排気口を円筒状反
応容器のそれぞれ異なる端部に設けるとともに条件1
[Y>B]と条件2[X≦B<(A+B)/2]をとも
に満たすように設計配置された本発明の製造装置を用い
て、かつ光導電層を電荷注入阻止層側から第一の層領
域、第二の層領域の順とした場合においても、本発明の
製造装置を用いるとともに、光導電層でSi元素含有ガ
スに対する水素ガスの流量が2〜15倍で、かつSi元
素含有ガスに対する放電電力が1〜8倍で、かつ水素ガ
スに対する放電電力が0.2〜1倍になるように制御す
ることで、膜厚及び電子写真特性の均一性の向上と、優
れた電子写真特性がともに得られ、電子写真用光受容部
材として総合的に良好な特性を示すことがわかった。
【0171】<実施例2>図2に示したRF−PCVD
法による光受容部材の製造装置を用い、表8に示す条件
で、電荷注入阻止層側から順に、第一の層領域、第二の
層領域からなる光導電層を形成したこと以外は、実施例
1と同様にして光受容部材を作製した。ここでは、第二
の層領域の表面側から0.8μmまでの領域においては
周期律表第IIIb族に属する元素を添加しなかった。ま
た、各層領域のB元素の含有させる部分は、含有量を図
4(a)に示す様に変化させて含有させた。
【0172】
【表8】 作製した光受容部材を評価したところ、実施例1と同様
の良好な結果が得られた。すなわち、実施例1と同様の
制御、及び、光導電層の第一の層領域において、Si元
素含有ガスに対する水素ガスの流量が3〜20倍で、か
つSi元素含有ガスに対する放電電力が2〜10倍で、
かつ水素ガスに対する放電電力が0.5〜1倍になるよ
うに制御し、かつ第二の層領域においては、Si元素含
有ガスに対する水素ガスの流量が0.5〜10倍で、か
つSi元素含有ガスに対する放電電力が0.5〜6倍
で、かつ水素ガスに対する放電電力が0.1〜0.5倍に
なるように制御することで、膜厚及び電子写真特性の均
一性の向上と、優れた電子写真特性がともに得られ、電
子写真用光受容部材として総合的に良好な特性を示すこ
とがわかった。
【0173】<実施例3>図2に示したRF−PCVD
法による光受容部材の製造装置を用い、表9に示す条件
で、表面層のシリコン原子及び炭素原子の含有量を層厚
方向に不均一な分布状態とし、X=20mm、Y=50
mm、A=45mm、B=25mmとし、ガス導入管を
上端に4本と、排気口は下端に4個と、異なる側に設置
し、ガス導入管に設けたガス放出孔は180度タイプ
(円筒状反応容器の接線方向より外側に向いて2列の孔
をあけたもの)を採用し、ガス導入管は直径10mm、
排気口径は25mmとしたこと以外は、実施例2と同様
にして光受容部材を作製した。ここでは、第二の層領域
の表面側から2μmまでの領域においては周期律表第II
Ib族に属する元素の含有量を0.1ppmになるように
した。また、各層領域のB元素の含有させる部分は、含
有量を図4(b)の様に変化させて含有させた。
【0174】
【表9】 作製した光受容部材を評価したところ、実施例1と同様
の良好な結果が得られた。
【0175】<実施例4>図2に示したRF−PCVD
法による光受容部材の製造装置を用い、表10に示す条
件で、表面層のシリコン原子及び炭素原子の含有量を層
厚方向に不均一な分布状態とし、さらに全ての層にフッ
素原子、ホウ素原子炭素原子、酸素原子、窒素原子を含
有させ、X=20mm、Y=50mm、A=40mm、
B=30mmとし、ガス導入管に設けたガス放出孔は1
20度タイプ(円筒状反応容器の接線方向より外側に向
いて2列の孔をあけたもの)を採用し、ガス導入管は直
径8mm、排気口径は20mmとしたこと以外は、実施
例2と同様にして光受容部材を作製した。
【0176】ここでは、第二の層領域の表面側から1.
0μmまでの領域においては周期律表第IIIb族に属す
る元素を添加しなかった。また、各層領域のB元素の含
有させる部分は、含有量を図4(c)の様に変化させて
含有させた。
【0177】
【表10】 作製した光受容部材を評価したところ、実施例1と同様
の良好な結果が得られた。
【0178】<実施例5>図2に示したRF−PCVD
法による光受容部材の製造装置を用い、表11に示す条
件で、表面層を構成する原子として、炭素原子の代わり
に窒素原子を含有させ、円筒状反応容器内径230mm
で、X=20mm、Y=55mm、A=50mm、B=
25mmとし、ガス導入管に設けたガス放出孔は160
度タイプ(円筒状反応容器の接線方向より外側に向いて
2列の孔をあけたもの)を採用し、また、ガス導入管は
直径10mm、排気口径は25mmとしたこと以外は、
実施例2と同様にして光受容部材を作製した。
【0179】ここでは、第二の層領域の表面側から1.
4μmまでの領域においては周期律表第IIIb族に属す
る元素の含有量を0.05ppmになるようにした。ま
た、各層領域のB元素の含有させる部分は、含有量を図
4(d)の様に変化させて含有させた。
【0180】
【表11】 作製した光受容部材を評価したところ、実施例1と同様
の良好な結果が得られた。
【0181】<実施例6>図2に示したRF−PCVD
法による光受容部材の製造装置を用い、表12に示す条
件で、表面層に窒素原子及び酸素原子を含有させ、円筒
状反応容器内径230mmで、X=15mm、Y=60
mm、A=45mm、B=30mmとし、ガス導入管に
設けたガス放出孔は120度タイプ(円筒状反応容器の
接線方向より外側に向いて2列の孔をあけたもの)を採
用し、また、ガス導入管は直径8mm、排気口径は20
mmとしたこと以外は、実施例2と同様にして光受容部
材を作製した。
【0182】ここでは、第二の層領域の表面側から0.
6μmまでの領域においては周期律表第IIIb族に属す
る元素を添加しなかった。そして、各層領域のB元素の
含有させる部分は、含有量を図4(e)の様に第一の層
領域から直線的に変化し第二の層領域の表面側で一定部
分を持つように変化させて含有させた。
【0183】
【表12】 作製した光受容部材を評価したところ、実施例1と同様
の良好な結果が得られた。
【0184】<実施例7>図2に示したRF−PCVD
法による光受容部材の製造装置を用い、アルミニウムシ
リンダーの直径を108mmとし、表13に示す条件
で、光導電層に炭素源としてCH4ガスを用いて炭素原
子を含有する第一の層領域と第二の層領域及び表面層を
形成し、装置は円筒状反応容器内径258mmで、X=
20mm、Y=55mm、A=55mm、B=25mm
とし、ガス導入管は直径8mm、排気口径は25mmと
したこと以外は、実施例2と同様にして光受容部材を作
製した。
【0185】ここでは、第二の層領域の表面側から1.
0μmまでの領域においては周期律表第IIIb族に属す
る元素を添加しなかった。そして、各層領域のB元素の
含有させる部分は、含有量を図4(f)の様に変化させ
て含有させた。
【0186】
【表13】 作製した光受容部材を評価したところ、実施例1と同様
の良好な結果が得られた。
【0187】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
堆積膜の層さ及び特性の均一性が飛躍的に改善される。
したがって、例えば電子写真用光受容部材などの製造に
用いれば、総合的に電子写真特性の改善もなされるため
に、光受容部材の使用環境に対する安定性が向上し、ハ
ーフトーンが鮮明に出てかつ解像力の高い高品質の画像
を安定して得ることができる。
【0188】すなわち、a−Siで構成された従来の電
子写真用光受容部材における諸問題をすべて解決するこ
とができ、特にきわめて優れた電気的特性、光学的特
性、光導電特性、画像特性、耐久性及び使用環境特性を
示す。
【0189】特に本発明においては、ガス導入管と排気
口の配置関係を特定するとともに、Si元素含有ガス流
量と水素ガス流量並びに、放電電力との関係を特定し制
御することが好ましく、これによって、均一性がよく、
帯電能が高く、加えて周囲環境の変動に対する表面電位
の変動に対する表面電位の変化が抑制され、極めて優れ
た電位特性、画像特性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の装置のガス導入管及び排気口の配置を
説明する模式的説明図(断面図)である。
【図2】本発明の装置の一例で、RF帯の高周波電源を
用いたグロー放電法による光受容部材の製造装置の模式
的説明図である。
【図3】本発明により製造できる光受容部材の好適な層
構成を説明するための模式的層構成図である。
【図4】実施例において製造した光受容部材における周
期律表IIIb族元素の分布を示す模式図である。
【符号の説明】
101 円筒状反応容器(電極) 102 円筒状支持体 103 ガス導入管 104 排気口 105 ガス放出方向(放出孔の向き) 200 反応容器 201 円筒状反応容器(電極) 202 円筒状支持体 203 排気口 204 原料ガス導入管 205 支持体加熱用ヒーター 206 円筒状支持体保持具 207 マッチングボックス 208 反応容器リークバルブ 209 メイン排気バルブ 210 排気装置 211 真空計 212 ガス導入バルブ 213 原料ガス配管 214 原料ガス供給装置 215 支持体回転装置 300 光受容部材 301 導電性支持体 302 光受容層 303 光導電層 304 表面層 305 電荷注入阻止層 311 第一の層領域 312 第二の層領域 310 自由表面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 青木 誠 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 新納 博明 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2H068 DA05 DA06 DA07 DA08 DA17 DA23 DA28 DA37 DA55 DA56 DA57 DA58 DA67 EA02 EA24 EA30 EA35 4K030 AA09 AA14 AA16 AA17 AA18 BA30 BA55 EA05 EA11 FA03 JA06 JA16 KA05 LA04 LA17 5F045 AA08 AB04 AB06 AB32 AB33 AB34 AC01 AC02 AC17 AD06 AD07 AE13 AE15 AE17 AE19 AE21 AF07 AF10 BB02 CA16 DP25 DP28 EE12 EE14 EE20 EF20 EH12 EH19

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 排気手段と原料ガス供給手段を備えた真
    空気密可能な円筒状反応容器を備え、該円筒状反応容器
    内に円筒状支持体が配置され、該円筒状支持体の同軸外
    周上に該円筒状支持体の長手方向に沿った複数の原料ガ
    ス導入管が該円筒状反応容器の一方の端部に接続され、
    かつ排気手段に接続された複数の排気口が設けられた堆
    積膜形成装置において、 原料ガスを励起させる為の放電エネルギー印加手段が、
    前記円筒状反応容器の放電電極である該円筒状容器の壁
    面に接続され、 前記複数の排気口は、前記複数の原料ガス導入管が接続
    されている端部側とは異なる端部において前記円筒状支
    持体の同軸外周上に配置されており、 かつ、前記排気口の中心から前記円筒状反応容器内面ま
    での距離をAとし、該排気口の中心から前記円筒状支持
    体外面までの距離をBとし、前記原料ガス導入管の中心
    から該円筒状反応容器内面までの距離をXとし、該原料
    ガス導入管の中心から該円筒状支持体外面までの距離を
    Yとしたときに、下記条件(1)及び(2) Y>B (1) X≦B<(A+B)/2 (2) を満たすように配置されていることを特徴とする堆積膜
    形成装置。
  2. 【請求項2】 原料ガス導入管はガス放出孔を有し、該
    ガス放出孔はガスの放出方向が少なくとも円筒状支持体
    の接線方向よりも外側を向くように配置される請求項1
    記載の堆積膜形成装置。
  3. 【請求項3】 電子写真用光受容部材を製造する為の装
    置である請求項1記載の堆積膜形成装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の堆積膜形成装置を用い
    て、円筒状支持体上に堆積膜を形成することを特徴とす
    る堆積膜形成方法。
  5. 【請求項5】 電子写真用光受容部材を製造する為の方
    法である請求項4記載の堆積膜形成方法。
  6. 【請求項6】 円筒状支持体上に形成する堆積膜は、少
    なくとも、水素原子及び/又はハロゲン原子と周期律表
    第IIIb族に属する少なくとも一つの元素とを含有し、
    シリコン原子を母体とする非単結晶材料からなる光導電
    性を示す光導電層を含む光受容層であり、 前記光受容層は、単独もしくは複数の光導電領域を有
    し、支持体側から電荷注入阻止層、光導電層、表面層か
    ら構成され、 該光導電領域は、原料ガス流量と希釈ガス流量及び/又
    は放電電力を、各層及び各光導電領域において異ならせ
    ることにより形成する請求項5記載の堆積膜形成方法。
  7. 【請求項7】 希釈ガスとしてH2及び/又はHeを使
    用し、該希釈ガスの流量を、光導電層ではSi元素供給
    用ガスに対し0.5〜20倍にする請求項6記載の堆積
    膜形成方法。
  8. 【請求項8】 励起せしめる放電電力を、光導電層では
    Si元素供給用ガスの流量に対し0.5〜10倍にする
    請求項7記載の堆積膜形成方法。
  9. 【請求項9】 励起せしめる放電電力を、光導電層では
    希釈ガスの流量に対し0.1〜1倍にする請求項7記載
    の堆積膜形成方法。
  10. 【請求項10】 光導電層に含有される周期律表第III
    b族に属する元素の量は、シリコン原子に対して0.0
    05ppm以上30ppm以下である請求項6記載の堆
    積膜形成方法。
  11. 【請求項11】 光導電層が、支持体側から第一の光導
    電領域と第二の光導電領域からなり、希釈ガスの流量
    を、第一の光導電領域よりも第二の光電領域の方を少な
    くする請求項7記載の堆積膜形成方法。
  12. 【請求項12】 希釈ガスの流量を、第一の光導電領域
    ではSi元素供給用ガスに対し3〜20倍、第二の光導
    電領域ではSi元素供給用ガスに対し0.5〜10倍に
    する請求項11記載の堆積膜形成方法。
  13. 【請求項13】 励起せしめる放電電力を、第一の光導
    電領域ではSi元素供給用ガスの流量に対し2〜10
    倍、第二の光導電領域ではSi元素供給用ガスの流量に
    対し0.5〜6倍にする請求項12記載の堆積膜形成方
    法。
  14. 【請求項14】 励起せしめる放電電力を、第一の光導
    電領域のSi元素供給用ガスの流量に対する比よりも、
    第二の光導電領域のSi元素供給用ガスの流量に対する
    比が小さくなるようにする請求項13記載の堆積膜形成
    方法。
  15. 【請求項15】 励起せしめる放電電力を、第一の光導
    電領域では希釈ガスの流量に対し0.5〜1倍、第二の
    光導電領域では希釈ガスの流量に対し0.1〜0.5倍に
    する請求項14記載の堆積膜形成方法。
  16. 【請求項16】 第二の光導電領域の光が入射する側の
    周期律表第IIIb族に属する元素の含有量が、第一の光
    導電領域の含有量より少ない請求項15記載の堆積膜形
    成方法。
  17. 【請求項17】 第一の光導電領域に含有される周期律
    表第IIIb族に属する元素の量は、シリコン原子に対し
    て0.2ppm以上30ppm以下である請求項16記
    載の堆積膜形成方法。
  18. 【請求項18】 第二の光導電領域に含有される周期律
    表第IIIb族に属する元素の量は、シリコン原子に対し
    て0.005ppm以上10ppm以下である請求項16
    記載の堆積膜形成方法。
  19. 【請求項19】 円筒状支持体上に形成する堆積膜は、
    その表面に、C、N、Oの少なくとも一つを含むシリコ
    ン系非単結晶材料からなる表面層を含む請求項6〜18
    の何れか一項に記載の堆積膜形成方法。
  20. 【請求項20】 表面層では、Si元素供給用ガスに対
    してC、N、O元素供給用ガスの流量を最表面側で6〜
    80倍にする請求項19記載の堆積膜形成方法。
  21. 【請求項21】 表面層では、Si元素供給用ガス流量
    及び/又はC、N、O元素供給用ガスの流量を単独に又
    は共に変化させる請求項19記載の堆積膜形成方法。
  22. 【請求項22】 光導電層は、シリコン原子を母体と
    し、C、N、Oの少なくとも一つ及び周期律表第IIIb
    族から選ばれる元素の少なくとも一つを含む非単結晶材
    料からなる電荷注入阻止層の表面上に設け、更に該光導
    電層の表面上に、C、N、Oの少なくとも一つを含むシ
    リコン系非単結晶材料からなる表面層を設ける請求項6
    〜21の何れか一項記載の堆積膜形成方法。
  23. 【請求項23】 希釈ガスとして使用するH2及び/又
    はHeの流量を、電荷注入阻止層ではSi元素供給用ガ
    スに対して0.3〜20倍にする請求項22記載の堆積
    膜形成方法。
  24. 【請求項24】 励起せしめる放電電力を、電荷注入阻
    止層ではSi元素供給用ガスの流量に対して0.5〜8
    倍にする請求項22記載の堆積膜形成方法。
  25. 【請求項25】 表面層の層厚を0.01〜3μmにす
    る請求項6〜24の何れか一項記載の堆積膜形成方法。
  26. 【請求項26】 電荷注入阻止層の層厚を0.1〜5μ
    mにする請求項6〜25の何れか一項記載の堆積膜形成
    方法。
  27. 【請求項27】 光導電層の層厚を20〜50μmにす
    る請求項6〜26の何れか一項記載の堆積膜形成方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100461283B1 (ko) * 2000-12-30 2004-12-14 현대엘씨디주식회사 유기전기발광소자 제조장치용 유기물증발보트구조
KR100861089B1 (ko) 2006-12-27 2008-09-30 세메스 주식회사 박막 증착용 면 증발장치 및 이를 구비하는 박막 증착 장치

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KR100461283B1 (ko) * 2000-12-30 2004-12-14 현대엘씨디주식회사 유기전기발광소자 제조장치용 유기물증발보트구조
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