JP3897582B2 - 真空処理方法、真空処理装置、半導体装置の製造方法および半導体装置 - Google Patents

真空処理方法、真空処理装置、半導体装置の製造方法および半導体装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体デバイス、電子写真用感光体、画像入力用ラインセンサー、撮影デバイス、および光起電力デバイス等における堆積膜形成やエッチング等に用いられる、高周波電力を用いた真空処理方法、真空処理装置、半導体装置の製造方法および半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体デバイス、電子写真用感光体、画像入力用ラインセンサー、撮影デバイス、光起電力デバイス、その他各種エレクトロニクス素子、光学素子等を作成する際に用いられる真空処理方法として、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD法、光CVD法、プラズマCVD法等が多数知られており、そのための装置も実用に付されている。中でも、高周波電力を用いたプラズマプロセスは、放電の安定性が高く、様々な材料を用いた堆積膜作成やエッチングに用いることができ、酸化膜や窒化膜の絶縁性材料の形成にも使用できる等の様々な利点を有している。プラズマプロセスの好適な使用例としては、例えば電子写真用の水素化アモルファスシリコン堆積膜の形成等があり、このプラズマプロセスの実用化が現在非常に進んでおり、そのための装置も各種提案されている。
【0003】
加えて、この高周波電力の供給方法を変えることにより、更に様々な改善を行うための様々な工夫が為されている。
【0004】
例えば、特開昭56−45760号公報には、反応ガスの励起用電源として周波数の異なる複数の電源(一例として、13.56MHzと400kHz)を同一の電極に印加して該反応ガスを励起し、被処理基板上に堆積膜を形成する技術が開示されている。
【0005】
また、特開昭60−160620号公報には、10MHz以上の高周波電力と1MHz以下の高周波電力(一例として13.56MHzと100kHz)を同一の電極に供給する構成のプラズマリアクタ装置が開示されている。
【0006】
さらに、特開昭62−188783号公報には、低周波交流電力(20Hz〜1MHz)と高周波交流電力(1MHz〜100GHz)とを重畳させた変調周波電力を電極に供給することにより、ヒータを不要にして成膜速度を速くし、基体上にアモルファス半導体層を積層形成する静電潜像坦持体の製造方法が開示されている。
【0007】
一方、近年では、より高い周波数の高周波電源を用いたプラズマCVD法の報告(Plasma Chemistry and Plasma Processing、 Vol.7、 No.3、 (1987)、p267-273)があり、放電周波数を従来の13.56MHzより高くすることで、堆積膜の性能を落とさずに堆積速度を向上させることができる可能性が示されており、注目されている。この方法により、製品の低コスト化、高品質化を同時に達成しうるものとして期待される。
【0008】
例えば特開平6−287760号公報には、アモルファスシリコン系電子写真用光受容部材の形成に用いうる周波数が30MHz以上300MHz以下のVHF帯の周波数を用いたプラズマCVDを行う装置および方法が開示されている。
【0009】
また、上述した、2種類の高周波電力を用いる方法と、より高い周波数の高周波電力を印加する方法とを組み合わせた例として、特開平7−074159号公報には、基板を清浄化するプラズマ処理方法において、基板を載置する電極に比較的周波数が高い高周波電力と比較的周波数が低い高周波電力(一例として60MHzと400kHzの高周波電力)を供給し、比較的周波数が低い方の電力の電力値を変化させることで、プラスイオンの衝突エネルギーを決めるセルフバイアス電圧を制御する技術が開示されている。
【0010】
また、特開平7−321105号公報には、半導体装置の製造方法において、10MHzから1GHzの範囲の比較的周波数が高い高周波電力(一例として13.56MHzの高周波電力)を供給する電源と、300kHzから500kHzの範囲の比較的周波数が低い高周波電力(一例として400kHzの高周波電力)を供給する電源とを用いて層間絶縁膜を作成する技術が開示されている。
【0011】
また、特開平9−321031号公報には、UHF帯(300MHz以上、1GHz以下)の第1の高周波電力と、それと2倍以上異なる周波数の第2の高周波電力とを同時に印加する構成のプラズマ処理装置が開示されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の方法および装置により、良好な堆積膜形成、即ち真空処理がなされる。しかしながら、このような真空処理を用いた製品に対する市場の要求レベルは日々高まっており、この要求に応えるべく、より高品質化、低コスト化が実現可能な真空処理方法や真空処理装置、半導体装置やその製造方法が求められるようになっている。
【0013】
例えば、電子写真装置の場合、コピースピードの向上、高画質化、低価格化の要求は非常に強く、これらを実現するためには感光体特性、具体的には帯電能や感度等の向上、画像上に白点あるいは黒点で現れる感光体中構造欠陥に起因する画像欠陥の抑制、及び感光体生産コストの低下が不可欠となっている。また、近年その普及が目覚しいデジタル電子写真装置、カラー電子写真装置においては、文字原稿のみならず、写真、絵、デザイン画等のコピーも頻繁に為されるため、感光体の光メモリの低減や画像濃度むらの低減のために膜厚および膜質がともに均一な大面積の膜を形成することが従来以上に強く求められるようになっている。
【0014】
このような感光体特性の向上、感光体生産コストの低下を目指し、堆積膜積層構成の最適化等も為されているが、同時に、真空処理方法の面での改善も強く望まれている。
【0015】
このような状況下において、前述した従来の真空処理方法や半導体装置の製造方法においても、真空処理特性の向上、真空処理コストの低下に関して、まだ改善の余地が残されているのが現状である。
【0016】
すでに述べたように、VHF帯、あるいはその近傍の周波数の高周波電力を用いてプラズマを生成して真空処理を施すことにより、真空処理速度の向上、真空処理特性の向上が達成可能であり、そのための鋭意研究がなされている。しかしながら、このような周波数帯の高周波電力を用いた場合、反応容器中での高周波電力の波長が反応容器、高周波電極、基板、あるいは基板ホルダー等と同程度の長さとなり、反応容器中で高周波電力が定在波を形成しやすくなる。この定在波によって、反応容器中では場所ごとに電力の強弱が生じ、プラズマ特性が異なってしまう。この結果、広い範囲で真空処理特性をより一層均一化させることは難しかった。
【0017】
また、電子写真感光体のようにその膜厚が厚いデバイスの場合、膜を堆積させるに従ってプラズマの状態が変化してゆくことにより、基体の面内方向での特性分布が膜厚方向で異なってしまって膜質の不均一性が発生したり、その厚さ方向で膜質そのものが変わってしまう場合があった。
【0018】
このような不均一性は、電子写真感光体のみならず、光起力デバイス、画像入力用ラインセンサー、撮像デバイス等に用いられる結晶質または非単結晶質の機能性堆積膜を形成する場合にも大きな問題となる。またドライエッチング、スパッタリング等のプラズマ処理プロセスにおいても、放電周波数を上げた場合に同様の処理むらが生じ、このままでは実用上大きな問題になってくる。
【0019】
このような処理むらを低減して均一性を上げるべく電極の形状や高周波電力の導入形態などの様々な改良がなされてきたが、膜厚の均一性と膜質の均一性とを両立すること、ならびに、均一性を維持したまま良好な膜質の堆積膜を得るのは容易ではなかった。
【0020】
特に、電極形状などの構造的な改良で均一性を得ようとした場合、複数の層領域を有する積層デバイスでは、特定の層領域では有効な方法であっても、その他の層領域では充分な効果が得られないことがあり、層形成条件が異なる複数の層領域を有する場合に均一性を保つための簡便で効果的な方法が求められていた。
【0021】
このような問題を解決するための手段として、複数の異なる周波数の高周波電力を反応容器中に同時に供給することが考えられる。これによって、反応容器中には、各々の周波数に応じた異なる波長の定在波が複数形成されることとなるが、これらは同時に供給されているので、これら複数の定在波が合成され、結果として明確な定在波が形成されなくなる。このような考えに基づけば、異なる複数の高周波電力の周波数はどのような値であっても定在波抑制効果は得られる。たとえば、特開昭60−160620号公報に開示された技術を用いることによって、反応容器中の高周波電力の定在波は抑制され、真空処理の均一性が向上するものと考えられる。
【0022】
しかしながら、本発明者らは、たとえば特開昭60−160620号公報に開示された技術を用いて真空処理特性の均一性に関する実験を行った結果、確かにあるレベルまでは真空処理特性の均一性は向上できるものの、近年要求されている均一性のレベルを得るには至らなかった。即ち、電界強度的には均一化されているはずの電力供給方法をもってしても、実際の真空処理においては、ある程度の不均一性が残ってしまうことが明らかとなった。
【0023】
本発明の目的は、真空処理速度の向上および真空処理特性の向上を達成し、更には真空処理特性の均一性を極めて高いレベルとし、また、真空処理コストの低減が可能な真空処理方法および真空処理装置を提供することにある。
【0024】
もう一つの目的は、基体の表面上に該基体のいずれの方向に関しても膜厚、膜質がともに均一で、特性的に優れた半導体とその製造方法を提供することにある。
【0025】
具体的には、
▲1▼ 反応容器中に被処理物を設置し、互いに異なる周波数を有する少なくとも2つの高周波電力を同一の高周波電極に同時に供給することにより、該高周波電極から前記反応容器内に導入された高周波電力によって前記反応容器内にプラズマを生起させて前記被処理物を処理する真空処理方法において、
前記高周波電極に供給する少なくとも2つの高周波電力のうちの一方の高周波電力の周波数をf1、電力値をP1とし、他方の高周波電力の周波数をf2、電力値をP2としたとき、前記周波数f1、f2および前記電力値P1、P2が、
(a)250MHz ≧ f1 > f2 ≧ 10MHz
(b)前記電力値P1、P2は、前記高周波電極に供給される前記高周波電力のうちの上記(a)の周波数範囲内にある高周波電力が有する電力値の中で、最も大きい電力値とその次に大きい電力値である
(c)0.9 ≧ P2/(P1+P2) ≧ 0.1
の3つの条件(a)〜(c)を全て満たすことを特徴とする真空処理方法を提供することにある。
【0026】
▲2▼ 反応容器中に基体を設置し、互いに異なる周波数を有する少なくとも2つの高周波電力を同一の高周波電極に同時に供給することにより、該高周波電極から前記反応容器内に導入された高周波電力によって前記反応容器内にプラズマを生起させて前記基体に複数の層領域を形成して半導体装置を製造する方法において、
前記高周波電極に供給する少なくとも2つの高周波電力のうちの一方の高周波電力の周波数をf1、電力値をP1とし、他方の高周波電力の周波数をf2、電力値をP2としたとき、前記周波数f1、f2および前記電力値P1、P2が、
(a)250MHz ≧ f1 > f2 ≧ 10MHz
(b)前記電力値P1、P2は、前記高周波電極に供給される前記高周波電力のうちの上記(a)の周波数範囲内にある高周波電力が有する電力値の中で、最も大きい電力値とその次に大きい電力値である
(c)0.9 ≧ P2/(P1+P2) ≧ 0.1
の3つの条件(a)〜(c)を全て満たすことを特徴とする半導体装置の製造方法を提供することにある。
▲3▼ 反応容器中に基体を設置し、互いに異なる周波数を有する少なくとも2つの高周波電力を同一の高周波電極に同時に供給することにより、該高周波電極から前記反応容器内に導入された高周波電力によって前記反応容器内にプラズマを生起させて前記基体に複数の層領域を形成させる半導体装置において、
前記複数の層領域は、前記高周波電極に供給する少なくとも2つの高周波電力のうちの一方の高周波電力の周波数をf1、電力値をP1とし、他方の高周波電力の周波数をf2、電力値をP2としたとき、前記周波数f1、f2および前記電力値P1、P2が、
(a)250MHz ≧ f1 > f2 ≧ 10MHz
(b)前記電力値P1、P2は、前記高周波電極に供給される前記高周波電力のうちの上記(a)の周波数範囲内にある高周波電力が有する電力値の中で、最も大きい電力値とその次に大きい電力値である
(c)0.9 ≧ P2/(P1+P2) ≧ 0.1
の3つの条件(a)〜(c)を全て満たし、形成されることを特徴とする半導体装置を提供することにある。
▲4▼ 反応容器中に被処理物を設置し、互いに異なる周波数を有する少なくとも2つの高周波電力を同一の高周波電極に同時に供給することにより、該高周波電極から前記反応容器内に導入された高周波電力によって前記反応容器内にプラズマを生起させて前記被処理物を処理する真空処理方法において、
前記高周波電極に供給する高周波電力を合成する工程と、
前記合成された高周波電力を分岐して、複数の前記高周波電極に各々印加する工程とを含むことを特徴とする真空処理方法を提供することにある。
▲5▼ 減圧可能な反応容器と、前記反応容器中に配置された被処理物支持手段とを有し、高周波電力によって、前記反応容器内にプラズマを生起させて被処理物を処理する真空処理装置において、
互いに異なる周波数を有する少なくとも2つの高周波電力を高周波電極に供給する少なくとも1つの高周波電力供給手段と、
前記各高周波電力の伝送経路のインピーダンスを調整するインピーダンス整合手段と、
前記互いに異なる周波数の各高周波電力を合成する合成手段と、
前記合成手段によって合成された高周波電力を分岐する分岐手段と、
前記分岐手段により分岐された高周波電力が印加される複数の高周波電極とを有することを特徴とする真空処理装置を提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、従来の装置及び方法における前述の問題点を鋭意検討した結果、VHF帯ならびにその近傍の高周波においては、電極の大きさや放電条件に対してプラズマの分布が敏感であり、また反応容器中での高周波電力の波長が反応容器、高周波電極、基板、あるいは基板ホルダー等と同程度の長さとなるため定在波の影響が出現し、プラズマ特性の分布が不均一になりやすく、その結果として処理むらが発生することがわかった。
【0028】
また、VHF帯の高周波を使用してプラズマを生成する場合には、表皮効果に起因した電極の表面インピーダンスの問題も顕在化する。即ち、VHF帯のように周波数が高くなると、高周波電流は導体表面付近のみを流れるようになり、電極表面におけるジュール損が大きくなって、電力効率が低下するとともに、伝搬経路の長さの相違によるプラズマ密度の不均一化の問題も生じる。さらに、電極の表面インピーダンスは、電極表面の荒さや汚れ等に左右され、一様な表面インピーダンスを達成することは困難である。そして、上記のようなプラズマ密度の不均一化は表面処理の不均一化をもたらすこともわかった。
【0029】
本発明者らは、前述した課題を解決し、上記目的を達成すべく、さらに検討を行った結果、同一の電極に周波数が異なる複数の高周波電力を供給し、それらの周波数および電力値の関係を変化させることによって、真空処理の均一化を図る効果が顕著に変化することを見出した。そして、それらの周波数および電力値を所定の範囲内の数値とすることで、真空処理速度の向上、真空処理特性の向上、真空処理特性の均一性の向上、真空処理特性の安定性の向上、および真空処理コストの低減化を同時に実現することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0030】
本発明のように構成された真空処理方法によれば、高い真空処理速度を維持しながら、真空処理特性の向上、真空処理特性の安定性の向上、および真空処理コストの低減を実現し、同時に真空処理特性の均一性を著しく向上させることが可能である。
【0031】
周波数および電力値が本発明の範囲内にある際に上記の効果が顕著に得られるメカニズムについては、現段階では明らかにはなっていないが、おおよそ以下のような作用によるものと考えられる。
【0032】
前述した通り、より高い周波数の高周波電力を用いることで、高品質で高速に堆積膜を形成することができる。しかし、より高い周波数の高周波電力を用いると、それにより生じる定在波の影響により、堆積膜の品質に「むら」が生じる場合がある。これに対し、基準となる第1の高周波電力に、それと異なる周波数の第2の高周波電力を重畳させることにより、一方の周波数の高周波電力による定在波の「節」に相当する部分に、他方の周波数の高周波電力による定在波の振幅をもたせることができるため、生成される定在波に「節」が生じることが抑制されると考えられる。
【0033】
ただし、これは非常に単純なモデルの場合に言えることであり、実際には複雑な現象が起きていることは言うまでもない。例えばプラズマの状況、電磁波の減衰や様々な反射面での反射等の要因がある。そのため、任意の周波数の高周波電力を任意の割合で重畳させただけでは、この抑制効果は必ずしも得られない。つまり、定在波抑制効果が顕著に現れるのは、所定の周波数の第1の高周波電力に対し、一定の周波数範囲の第2の高周波電力を一定の電力値の割合で組み合わせた場合である。そのとき、特に、第1の高周波電力と第2の高周波電力は、速い堆積速度を期待できる周波数範囲内で、かつ共に同一の活性種を生成できる関係にある周波数範囲内にある周波数を有し、また、それらの電力値のバランスが適切に設定されていることが最も望ましい。
【0034】
そして、さらに適切な周波数と電力値を持ったさらなる高周波電力を重ねることで、場合によっては、さらに定在波抑制効果を高めたり、他の効果(たとえばバイアス効果)を得ることも可能である。
【0035】
ここでは、本発明の基本的な考え方および作用を示すことを目的として、2つの異なる周波数を有する高周波電力を用いた場合について説明する。
【0036】
高周波電力の周波数は、堆積速度を向上させる観点から、その下限を30MHz以上とすることが望ましい。一方、その周波数が250MHzよりも大きいと、電力の進行方向での減衰が顕著となり、異なる周波数の高周波電力との減衰率のずれが顕著となってしまい、十分な均一化効果が得られなくなってしまうため、高周波電力同士の重畳効果を有効に得る観点から、その上限を250MHzとすることが好ましい。
【0037】
つまり、前記周波数f1、f2が、
250MHz ≧ f1 > f2 ≧ 30MHz
の条件を満たす構成とすることが好ましい。
【0038】
また、周波数f1を有する第1の高周波電力の電力値をP1とし、周波数f2を有する第2の高周波電力の電力値をP2としたとき、合計電力値(P1+P2)に対する第2の高周波電力の電力値P2の割合が小さいと、第1の高周波電力のみを供給する場合に近くなり、定在波抑制効果が小さくなる。逆に、電力値P2の割合が大きくなりすぎると、第2の高周波電力のみを供給する場合に近くなり、同様に定在波抑制効果が小さくなる。実験的事実から、合計電力(P1+P2)における高周波電力の電力値P2の割合を10%以上90%以下にすることで、定在波抑制効果が顕著に得られることが判った。さらに、合計電力(P1+P2)における電力値P2の割合を20%以上70%以下にすることが最も好ましいことが、実験の結果から明らかとなった。
【0039】
つまり、前記電力値P1、P2が、
0.7 ≧ P2/(P1+P2) ≧ 0.2
の条件を満たす構成とすることが、より好ましい。
【0040】
加えて、この2つの高周波電力の電力値の割合には、別の観点、すなわち放電の経時的安定性の観点から見ると、2つの高周波電力の周波数の関係によって決まる望ましい範囲があり、具体的には、電力比P2/(P1+P2)は、周波数の比(f2/f1)の値によって望ましい範囲の上限が決定されることがわかった。電力比をこの範囲内に設定することで、均一な放電が極めて安定的に得られる。
【0041】
この理由としては、およそ次のように考えられる。
【0042】
高周波電力によって生起する放電では、周波数に応じ、安定的な放電が生成される空間的領域が異なる場合がある。本発明のように、2つの高周波電力を用いて定在波を抑制する場合には、周波数が互いに近い方が放電全体の分布が似通うので、広い電力値範囲で望ましい放電分布を安定的に得ることが可能になると推測される。よって、合計電力(P1+P2)における高周波電力の電力値P2の電力比、すなわちP2/(P1+P2)を、2つの周波数f1、f2の関係によって決定される値「f2/f1」以下の範囲とすることで、均一な放電分布が安定的に得られると考えられる。
【0043】
つまり、前記周波数f1、f2および前記電力値P1、P2が、
f2/f1 ≧ P2/(P1+P2)
の条件を満たす構成とすることが好ましい。
【0044】
また、周波数f1とf2とが1桁以上も異なると、場合によっては原料ガスの分解の仕方が変わることがあり、生成される活性種の種類、比率が異なってしまうことがある。このため、電界強度的には均一化がなされても、第1の高周波電力の定在波の腹部分ではその周波数に応じた種類、比率の活性種が生成され、第2の高周波電力の定在波の腹部分では第1の高周波電力の定在波の腹部分とは異なった種類、比率の活性種が生成されてしまう場合がある。その結果、活性種の種類、比率に空間的な分布が生じてしまうことがあり、最悪の場合、真空処理特性に不均一化をもたらしてしまう場合があると考えられる。これに対し、周波数f1、f2をf2/f1 >0.5の関係に維持することで、このような周波数の違いによる生成活性種の種類、比率の違いを少なくすることができると考えられる。一方、f1とf2とが互いに近すぎると、各々の定在波の節位置および腹位置が近くなるため、十分な電界定在波抑制効果が得られなくなってしまう。そのため、周波数f1、f2を0.9 ≧ f2/f1の関係に維持することが必要であると考えられる。
【0045】
つまり、前記周波数f1、f2が、
0.9 ≧ f2/f1 >0.5
の条件を満たす構成とすることが好ましい。
【0046】
本発明において、このような反応容器中への高周波電力の導入は、同一の電極から行う必要がある。各々異なった周波数の高周波電力を各々別の電極から供給した場合、各電極上には電極ごとに供給された高周波電力の周波数に依存した波長の定在波が生じてしまう。この結果、電極近傍に生起するプラズマの特性は、この定在波に応じた形状をもってしまい、生成活性種の種類・比率や、電極に入射するイオンのエネルギーが位置によって異なってしまうため、電極上に付着する膜の構造が電極上の位置に依存して異なってしまう。このため、電極上において剥がれ易い膜構造の部分が生じたり、あるいは、膜の構造が位置的に変化する領域が生じ、その領域での内部応力の違いが生じたりして付着膜が剥がれやすい部分が生じてしまい、剥がれた膜が被処理物上に付着して欠陥を生じさせやすくなってしまう。このような問題を回避するために、本発明では周波数の異なる複数の高周波電力を同一の電極に供給する必要がある。このようにすることにより、電極上においても定在波は抑制され、上述したような問題が効果的に抑制される。
【0047】
以上のように2つの高周波電力を組み合わせることにより本発明の効果は十分に得られるが、さらに第3の高周波電力を組み合わせることも可能である。第3の高周波電力の範囲としては、第1および第2の高周波電力が適切な範囲に設定されている限りにおいては特に限定はない。
【0048】
第3の高周波電力の周波数f3をとし、電力値をP3とするとき、f3が0MHz以上250MHz以下の範囲にある場合には、第1の高周波電力(f1、P1)と第2の高周波電力(f2、P2)とを組み合わせた場合と同様のメカニズムによる作用・効果が期待できる。このとき、電力値P1〜P3の中で、電力値が最も大きいものをP1、次に大きいものをP2とすれば、P3は最も電力値が小さいものとなる。この場合には、第3の高周波電力によるマッチング不整合が起こりにくく、かつ第3の高周波電力による定在波抑制効果が加わるため、第1および第2の高周波電力を組み合わせた場合よりもさらに「むら」が抑制される場合がある。そのため、上記のようなさらなる高周波電力を組み合わせることは好ましい。
【0049】
また、たとえば、真空処理中のバイアス効果を高めるために、本発明の範囲の高周波電力に加えて、数十kHz〜数百kHz程度の周波数の電力を同時に供給してもよい。このように、更なる電力を供給する場合には、その電力を加えることで真空処理特性の均一性が損なわれない程度の電力とする必要がある。
【0050】
さらに、本発明では、前記高周波電極が棒状に形成されている構成としてもよい。電極の形状が、実質的に一次元として扱うことが可能な棒状形状である場合には、電力が進行方向に対して横方向に回りこむことが実質的に無いので、電力の横方向への回りこみによる二次的な定在波が生じすることがなく、本発明の効果をより顕著に得ることが可能になる。
【0051】
また、本発明においては、前記被処理物が円筒状または円柱状に形成されている構成としてもよい。被処理物が円筒状または円柱状に形成されている場合には、被処理物上の高周波電力の反射端は被処理物の両端に限定される。そのため、多くの反射端による多くの定在波が生じる場合に比べ、定在波の分布が比較的単純になり、本発明の効果をより顕著に得ることが可能になる。
【0052】
さらに、本発明は、前記被処理物の表面に堆積膜を形成する場合に、特に顕著な効果を得ることが可能である。本発明においては、電極上を含め反応容器中の全領域の電界分布を均一化するため、膜付着を生ずる部位の全領域にわたって、局所的な膜構造の変化が効果的に抑制される。例えば、電界むらがあると、むら部分で膜構造が変化し、その部分の内部応力が変化して剥離しやすくなることがある。しかし、本発明の方法により、膜剥がれが効果的に抑制され、そのような剥離したダストが被処理物上に付着することによって生じる構造欠陥を低減することが可能となる。よって、歩留まりの向上が図れ、コストダウンが可能となる。特に大面積が要求される堆積膜応用分野においては、構造欠陥の抑制の効果は大きい。
【0053】
また、本発明は、前記被処理物の表面に電子写真感光体用堆積膜を形成する場合に、より効果的である。電子写真感光体を形成するには、大面積の堆積膜を形成することが必要であり、さらにその全領域にわたって構造欠陥が存在しない必要がある。その一方で、電子写真感光体用堆積膜の形成では一般的に数十μmもの厚さの堆積膜形成を行うため、反応容器壁面への膜付着も多くなり、壁面に付着した膜に膜剥がれが生じやすい。さらには、構造欠陥が生じた場合、電子写真感光体では他のデバイスのように、構造欠陥の存在する部分のみを不良として扱い、他の領域は良品として扱うといったことができず、大面積にわたって形成した全体の堆積膜が不良となってしまう。このため、電子写真用感光体用堆積膜の形成においては、構造欠陥が生じた際にコストへ与える影響が非常に大きく、本発明によって構造欠陥をも効果的に抑制することは、生産コストを低減させる上で極めて効果的となる。
【0054】
さらに、電子写真感光体のような膜厚の厚い堆積膜が形成されているデバイスの場合、基体への堆積膜の形成と共に、反応容器の内壁や電極の表面に膜が堆積する等の要因により、処理の経過と共にプラズマの均一性を保つための最適条件が変化し、膜を堆積させるのに従ってその厚さ方向によって基体面内方向の特性分布状態が異なることがある。
【0055】
そして、複数の層領域が形成されて成る積層デバイスの場合には、各層領域に要求される機能が異なるために層領域毎にその組成が異なり、層領域によって均一性と良好な膜質とを両立する高周波電力の電力比率の最適条件が異なることもある。
【0056】
そこで、本発明のように供給する高周波電力の電力比率を変化させ、電極表面に伝播する高周波電力の分布を調整してやることにより、プラズマ処理の経過による最適電力比率の変化に対応でき、膜厚方向における膜質の均一性が得られる。
【0057】
また、堆積する膜の組成が異なる場合でも対応できるので均一な膜質とすることが可能である。
本発明の構成は、電子写真感光体のみならず光起電力素子用のような大型の基体に対して大きな効果を発揮するが、基体が大きくなくても、高周波電極の大きさに対して相対的に短い波長の高周波を使用する場合には大きな効果を発揮する。
【0058】
本発明は、前述したa−Siやa−SiC系の材料やそれら以外の材料から成る薄膜の作成や、ポリシリコン等のエッチング、表面酸化又は表面窒化等の表面改質等にも適用することが可能である。例えば、本発明の方法をエッチングに適用した場合、均一なプラズマによって均一なエッチング処理が進行するので、下地材料を削ったり被エッチング材が残ってしまうことのない良質なエッチングが可能となる。
【0059】
また、堆積膜を均一に効率よく形成するためには、原料ガスの流量を増やし、高周波電極に供給する高周波電力を大きくすることが考えられるが、そうした場合、周波数によっては正常な放電を維持できないことがある。そこで本発明のように、複数の異なる周波数の高周波電力を一旦合成した後に分岐し、複数のプラズマ発生用電極に印加することによって、各々のプラズマ発生用電極に印加される電力値は正常な放電を維持する程度の値であっても、反応容器内に導入される総電力値は大きくすることができる。それにより、十分な定在波抑制効果を維持した状態で、堆積膜形成速度および膜質をさらに向上させることが可能となる。
【0060】
また、本発明においては、高周波電力を分岐した後、複数のプラズマ発生用高周波電極各々の給電側に配置した、各高周波電力の伝送経路のインピーダンスを調整する補助整合回路を介して、複数のプラズマ発生用高周波電極に印加するすることで、より顕著な定在波抑制効果を得ることができるため好ましい。その原因は定かではないが、概ね以下のような理由によるものと考えている。
【0061】
周波数の異なる複数の高周波電力を一旦合成した後に、複数の電極に分割して高周波電力を印加する場合、必然的に高周波電力の分岐点と各電極間の伝送経路が長くなり、その間のL成分による高周波電力の減衰がより大きくなると考えられる。その結果、周波数によって高周波電力の減衰率が異なるために、減衰率のずれの影響が顕著となる場合があり、十分な定在波抑制効果が得られない場合があると考えられる。しかし、高周波電極の各々の給電点側に補助整合回路を配置することによって、L成分をキャンセルすることができ、その結果、より顕著な定在波抑制効果を得ることができると考えている。
【0062】
また、本発明に使用する補助整合回路としては、インピーダンス可変のLC回路を使用し、適宣、位相調整を行ってもよく、また、容量固定のコンデンサを用いてもよい。ただし、装置取り扱い性およびコストといった観点から考えると容量固定のコンデンサを配置するのみの構成であることが好ましい。
【0063】
また、本発明においては、複数のプラズマ発生用高周波電極を、同一円周上に配置することにより、より顕著な効果を得ることができる。その理由については、プラズマ発生用高周波電極を、同一円周上に配置することにより、高周波電力の分岐点から各々の高周波電極の距離を極力等しくすることができるため、ある特定の電極に極端に偏って電力が分岐することがなく、異常放電を生じることなく総電力を大きくするといった本発明の効果を顕著にすることができるのではないかと推察している。
【0064】
また、各々の電極のプラズマへの寄与を均一にすることを考慮すると、反応容器は円筒状であり、かつ、反応容器と同一の中心軸である円周上に各々のプラズマ発生用高周波電極各々を等間隔で配置することがより好ましい。
【0065】
また、本発明においては、複数のプラズマ発生用高周波電極が、少なくとも一部分が誘電体部材で構成された反応容器の外に設置されていることでより顕著な効果を得ることができる。その原因は定かではないが、概ね以下のような理由によるものと考えている。
【0066】
複数のプラズマ発生用電極が反応容器内部にある場合、ある電極の周囲の真空処理空間には、基体以外にも、他の電極やアースシールドとなる反応容器外壁等の導電性部材が必然的に存在することになる。そのため、複数の異なる周波数の高周波電力を電極に印加する場合、高周波電力の周波数の違いによって、反応容器内でのプラズマの広がり方に違いが生じ、プラズマに空間的なむらが生じる場合があると考えられる。そのために十分な定在波抑制効果が得られないのではないかと考えられる。しかし、高周波電極を反応容器の外に設置することにより、真空処理空間における導電性部材を極力減らすことができ、その結果、プラズマの空間的なむらを発生させることなく、顕著な効果が得られるのではないかと推察している。
【0067】
また、本発明においては、生産性の面で基体支持手段を複数設置してもよい。ただし、複数の基体支持手段を設置する場合においては、反応容器が円筒状であり、かつ、各々のプラズマ発生用高周波電極と各々の基体支持手段が、反応容器と同一の中心軸である円周上にそれぞれ等間隔に配置されることによりより顕著な効果を得ることができる。これは、基体支持手段、反応容器、プラズマ発生用高周波電極の位置関係を極力対称とすることにより、それぞれの基体支持手段上において同様の定在波抑制効果を得ることができるためと推察している。
【0068】
また、本発明においては、電極上を含め反応容器内の全領域の電界分布を均一化するため、従来のように、原料ガスに分布を持たせて反応容器内の電界分布の不均一を補うというような手法をとる必要がなく、原料ガス導入手段の数を極力減らすことが可能となる。よって、装置コストおよび取り扱い性の面を考慮すると、反応容器内へのガス導入手段の数は一つであることがより好ましい。ただし、ガス導入手段を一つにした場合においては、反応容器内のガス分布と基体支持手段、反応容器、プラズマ発生用高周波電極の位置関係を極力対称とすることにより、より顕著な本発明の効果が得られると推察されるため、ガス導入手段は反応容器中央に配置することがより好ましい。
【0069】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0070】
図1は、本発明の真空処理方法に適用しうる高周波電源を示すブロック図である。
【0071】
本実施形態の高周波電源は2つの異なる周波数の高周波電力を供給するものであり、例えば図1(a)に示すような構成をとることができる。
【0072】
図1(a)に示す例では、第1の高周波電源321が、シグナルジェネレータ301と増幅器311とで構成されている。また第2の高周波電源322も同様にシグナルジェネレータ302と増幅器312とで構成されている。これらの高周波電源321、322は、マッチングボックス341に接続されている。マッチングボックス341は、これらの電源から供給される高周波電力のマッチングを個々に取るように別々の整合回路をもつ構成でもよいし、合成したあとにマッチングを取る整合回路を配しても構わない。また、各々の電源に他方の電源からの高周波電力が回りこんでしまうのを防ぐために、高周波電源321、322とマッチングボックス341との間にフィルタ331、332をそれぞれ配してもよい。フィルタ331、332には、電源周波数の関係に応じて、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ、又はバンドパスフィルタを用いることができる。
【0073】
また、他の構成として、図1(b)に示すような構成をとることができる。
【0074】
図1(b)に示す例では、高周波電源321が、第1の高周波電力を発生させるシグナルジェネレータ301と、第2の高周波電力を発生させるシグナルジェネレータ302とを広帯域に対応した増幅器311にて合成し増幅することで予め2つの高周波電力を重畳させた合成波を得ることが可能となる構成となっている。ここで、所望の電力比を得ることは、各シグナルジェネレータ301、302の出力振幅を調整することで実現できる。その後、これらの高周波電力を増幅器311にて合成することで、所望の電力比を持った2つの高周波電力の合成波が生成されることとなる。このとき、増幅器311は2つの高周波電力を歪みなく増幅できることが望ましく、広い帯域に対応した増幅器であることが必要である。加えて、生成された高周波電力は、互いに異なる2つの周波数を合成してなる高周波電力であるため、マッチングボックス341もそれに応じて整合回路を調整する必要がある。なお、高周波電源321とマッチングボックス341との間にフィルタ331を配してもよい。
【0075】
また、互いに異なる3つの周波数の高周波電力を用いる場合、図1(c)に示すような構成をとることができる。
【0076】
図1(c)に示す例では、図1(a)に示した構成に、シグナルジェネレータ303および増幅器313よりなる高周波電源323がさらに加えられている。図1(a)に示した構成と同様に、高周波電源323とマッチングボックス341との間にフィルタ333を適宜挿入してもよい。
【0077】
また、さらに複数の高周波電力を合成する場合には、図1(c)に示したような構成で拡張を随時行ってもよいし、また図1(b)のような構成をとってもよいし、あるいは、これらを組み合わせた構成としてもよい。なお、図1にはマッチングボックス341の内部構造を示していないが、マッチングボックス341は単一のシールドケースに収められていてもよいし、各周波数の高周波電力毎にそれぞれ独立して分割させてもよい。
【0078】
図2は、本発明の真空処理方法を行うことができるプラズマ処理装置の一実施形態を示す模式図である。
【0079】
図2に示すプラズマ処理装置は平板状基体2113の上に堆積膜を形成する装置であり、大別すると、堆積装置2100、原料ガス供給装置2200、および反応容器2111内を減圧するための排気装置(不図示)から構成されている。
【0080】
反応容器2111の側面には排気管2112が一体的に形成されており、排気管2112の他端は不図示の排気装置に接続されている。上面に堆積膜が形成される平板状基体2113が、反応容器2111内に配置されている。平板状基体2113は、基板ステージ2120によって保持され、基体ステージ2120内に設けられた発熱体2120aによって加熱されるようになっている。
【0081】
原料ガス供給装置2200は、SiH4、H2、CH4、B26、PH3等の所望の真空処理に必要な原料ガスのガスボンベ2221〜2225、ヘッダーバルブ2231〜2235、ガス流入バルブ2241〜2245、ガス流出バルブ2251〜2255、圧力調整器2261〜2265、およびマスフローコントローラ2211〜2215から構成され、各原料ガスのボンベは補助バルブ2260を有する原料ガス配管2119を介して反応容器2111内にガスを導入する原料ガス供給手段2118に接続されている。
【0082】
図2に示す装置では、互いに異なる周波数の高周波電力を供給するために、2つの高周波電源2116、2117を用いている。各高周波電源2116、2117から供給された高周波電力は、マッチングボックス2115内においてそれぞれの整合回路を経て合成され、高周波電極2114より反応容器2111内に供給される。図2に示す構成では、基体ステージ2120を通してアース電位に維持された基体2113が他方の高周波電極として作用する。なお、高周波電源からマッチングボックスまでの構成には、図1(a)〜(c)に示したような他の構成を用いてもよく、あるいは、さらに多くの高周波電源を接続した構成としてもよい。
【0083】
例えば高周波電源2116を第1の高周波電力(周波数f1、電力値P1)を供給する第1の高周波電源とし、高周波電源2117を第2の高周波電力(周波数f2、電力値P2)を供給する第2の高周波電源とした場合、各高周波電源2116、2117には、各々の発振周波数の関係が、
10MHz ≦ f2 < f1 ≦ 250MHz
0.1 ≦ P2/(P1+P2) ≦ 0.9
とすることが可能である電源を用いる。
【0084】
2つの高周波電力の電力値の和P(=P1+P2)に関しては、如何なる値でもかまわないが、通常の真空処理であれば、反応容器1111内に供給されるガスの総流量をFとしたとき、単位流量あたりの電力値P/Fは、6〜6000J/ml(normal)が好ましく、さらに好ましくは、12〜3000J/ml(normal)、最適には、60〜1800J/ml(normal)である。
【0085】
このP/Fが小さすぎると、単位ガス量あたりの電力が小さすぎ、分解があまり進行しないことが考えられる。よって、ある程度以上P/Fが大きくないと所望の真空処理がなされない可能性がある。一方、P/Fがある程度以上大きくなりすぎると、単位ガス量あたりの電力が大きすぎることになり、所望の活性種よりもさらに分解が進みすぎて逆に所望の活性種が少なくなったり、電子温度やガス温度を過剰にして基板にダメージを与えたりする可能性がある。
【0086】
また、第1の高周波電源2116には、周波数f1よりも低く周波数f2よりも高いカットオフ周波数特性をもつハイパスフィルタを設けてもよい。また、同様に第2の高周波電源2117には、周波数f2よりも高く周波数f1よりも低いカットオフ周波数特性をもつローパスフィルタを設けてもよい。それらの周波数選択性は、より高い方が、それぞれの高周波電源に回り込む他方の電力を小さくできるため好ましい。
【0087】
また、図1(b)に示した構成により、複数のシグナルジェネレータの出力を広帯域の増幅器で増幅することで、本発明の条件を満たす高周波電力を生成してもよい。
【0088】
また、周波数f1、f2が
30MHz ≦ f2 < f1 ≦ 250MHz
の範囲を満たすことは、例えば堆積膜を形成する場合に堆積速度が著しく速くなるのでより好ましい。
【0089】
また、電力値P1、P2が、
0.2 ≦ P2/(P1+P2) ≦ 0.7
の範囲を満たすことが好ましく、さらに、電力比の上限をf2/f1に設定することにより放電の安定性を向上させることができる。
【0090】
さらに、周波数f1、f2を、
0.5< f2/f1 ≦ 0.9
の範囲に設定することにより、より高い定在波抑制効果が得られる。
【0091】
高周波電極2114の形状には特に制限はなく、角形や円形の平板状あるいは棒状のいずれでも適用可能である。特に、高周波電極が棒状である場合は、反応容器2111内における高周波電力の横方向の2次元的な定在波を考慮する必要がなく、本発明の効果を効率的に得ることができる。
【0092】
高周波電極2114の表面は、膜の密着性を向上し、膜剥がれを防止し、成膜中のダストを抑制する目的から、粗面化されていることが望ましい。粗面化の具体的な程度としては、2.5mmを基準とする10点平均粗さ(Rz)で、5μm以上200μm以下の範囲が好ましい。
【0093】
さらに、膜の密着性向上の観点から、高周波電極2114の表面はセラミックス材で被覆されていることが効果的である。被覆の具体的手段に特に制限はないが、例えばCVD法、溶射等の表面コーティング法により、高周波電極2114の表面をコーティングしてもよい。コーティング法の中でも溶射は、コスト面において、あるいはコーティング対象物の大きさや形状の制限を受けにくいため好ましい。具体的なセラミックス材料としては、アルミナ、二酸化チタン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ジルコン、コージェライト、ジルコン−コージェライト、酸化珪素、および酸化ベリリウムマイカ系セラミックス等が挙げられる。高周波電極2114の表面を被覆するセラミックス材の厚さに特に制限はないが、耐久性および均一性を増すため、また、高周波電力の吸収量の観点や製造コストの面から、その厚さは1μm〜10mmであることが好ましく、10μm〜5mmであることがより好ましい。
【0094】
このように構成された装置を用いて、プラズマ処理として、平板状の基体上に例えば光起電力素子のための堆積膜を形成することは、概略以下のような手順により行うことができる。
【0095】
まず、反応容器2111内の基板ステージ2120上に平板状基体2113を設置し、不図示の排気装置により排気管2112を通して反応容器2111内を排気する。続いて、原料ガス供給手段2118を介してArガスやHeガスなどの不活性ガス等を反応容器2111内に導入し、ガスの供給量と排気速度とを調節して一定の圧力になるように設定する。次に、発熱体2120aにより平板状基体2113を200℃〜300℃程度の所定の温度に加熱・制御し、温度が安定するまで維持する。
【0096】
基体2113が所定の温度となったところで、加熱に用いた不活性ガス等を十分排気した後、原料ガス供給手段2118を介して、原料ガスを反応容器2111内に導入する。原料ガスの流量が設定流量となり、また、排気速度を調整して反応容器2111内の圧力が安定したことを確認した後、発振周波数が互いに異なる2つの高周波電源2116、2117よりマッチングボックス2115を介して高周波電極2114へ所定の高周波電力を供給する。これにより、反応容器2111内にグロー放電が生起し、原料ガスが励起解離して基体2113上に堆積膜が形成される。
【0097】
所望の膜厚の層領域を形成した後、原料ガスの種類と各々の流量を所定の値に変え、高周波電力の比率を所望の値に変えて次の層領域の形成を行う。
【0098】
所望の層構成が形成されたところで電力の供給を止め、続いて原料ガスの供給を停止すると、多層構造の半導体装置が形成される。
【0099】
上記では堆積膜を形成する例について説明したが、上記の装置は堆積膜形成だけでなくエッチング等のプラズマ処理にも適用しうるものである。
【0100】
また、多層構造のデバイスに限らず、単一の層領域の形成中あるいはエッチング処理のようなプラズマ処理中に高周波電力の比率を変えることも有効であるが、その際においても上記周波数および電力比率の関係を満足するよう設定することが重要である。
【0101】
図3は、本発明の真空処理方法を行うことができるプラズマ処理装置の他の実施形態を示す模式図である。
【0102】
図3に示すプラズマ処理装置は円筒状基体に堆積膜を形成する装置であり、大別すると、堆積装置1100、原料ガス供給装置1200、および反応容器1111内を減圧するための排気装置(不図示)から構成されている。
【0103】
反応容器1111の側面には排気管1112が一体的に形成されており、排気管1112の他端は不図示の排気装置に接続されている。反応容器1111内には、堆積膜が形成される複数本の円筒状基体1113が、反応容器1111の中心部1110を取り囲むように配置されている。各円筒状基体1113は、モータ1123および減速ギア1122によって回転させられる回転軸1121によって保持され、発熱体1120によって加熱されるようになっている。回転軸1121はモータ1123を駆動すると減速ギア1122を介して回転し、これにより円筒状基体1113がその母線方向中心軸のまわりを自転するようになっている。
【0104】
原料ガス供給装置1200は、SiH4、H2、CH4、B26、PH3等の所望の真空処理に必要な原料ガスのガスボンベ1221〜1225、ヘッダーバルブ1231〜1235、ガス流入バルブ1241〜1245、ガス流出バルブ1251〜1255、圧力調整器2261〜2265、およびマスフローコントローラ1211〜1215から構成され、各原料ガスのボンベは補助バルブ1260を有する原料ガス配管1119を介して反応容器1111内にガスを導入する原料ガス供給手段1118に接続されている。
【0105】
図3に示す装置では、互いに異なる周波数の高周波電力を供給するために、2つの高周波電源1116、1117を用いている。各高周波電源1116、1117から供給された高周波電力は、マッチングボックス1115内においてそれぞれの整合回路を経て合成され、高周波電極1114より反応容器1111内に供給される。図3に示す構成では、回転軸1121を通してアース電位に維持された円筒状基体1113が他方の高周波電極として作用する。なお、高周波電源からマッチングボックスまでの構成には、図1(a)〜(c)に示したような他の構成を用いてもよく、あるいは、さらに多くの高周波電源を接続した構成としてもよい。
【0106】
図3に示す構成の装置では、真空処理中に回転軸1121を介して円筒状基体1113をモータ1123および減速ギア1122により所定の速度で回転させることにより、円筒状基体1113の表面全周にわたって均一に処理を行うことができる。
【0107】
例えば高周波電源1116を第1の高周波電力(周波数f1、電力値P1)を供給する第1の高周波電源とし、高周波電源1117を第2の高周波電力(周波数f2、電力値P2)を供給する第2の高周波電源とした場合、各高周波電源1116、1117には、各々の発振周波数の関係が、
10MHz ≦ f2 < f1 ≦ 250MHz
0.1 ≦ P2/(P1+P2) ≦ 0.9
とすることが可能である電源を用いる。
【0108】
2つの高周波電力の電力値の和P(=P1+P2)に関しては、如何なる値でもかまわないが、通常の真空処理であれば、反応容器1111内に供給されるガスの総流量をFとしたとき、単位流量あたりの電力値P/Fは、6〜6000J/ml(normal)が好ましく、さらに好ましくは、12〜3000J/ml(normal)、最適には、60〜1800J/ml(normal)である。
【0109】
このP/Fが小さすぎると、単位ガス量あたりの電力が小さすぎ、分解があまり進行しないことが考えられる。よって、ある程度以上P/Fが大きくないと所望の真空処理がなされない可能性がある。一方、P/Fがある程度以上大きくなりすぎると、単位ガス量あたりの電力が大きすぎることになり、所望の活性種よりもさらに分解が進みすぎて逆に所望の活性種が少なくなったり、電子温度やガス温度を過剰にして基板にダメージを与えたりする可能性がある。
【0110】
また、第1の高周波電源1116には、周波数f1よりも低く周波数f2よりも高いカットオフ周波数特性をもつハイパスフィルタを設けてもよい。また、同様に第2の高周波電源1117には、周波数f2よりも高く周波数f1よりも低いカットオフ周波数特性をもつローパスフィルタを設けてもよい。それらの周波数選択性は、より高い方が、それぞれの高周波電源に回り込む他方の電力を小さくできるため好ましい。
【0111】
また、図1(b)に示した構成により、複数のシグナルジェネレータの出力を広帯域の増幅器で増幅することで、本発明の条件を満たす高周波電力を生成してもよい。
【0112】
また、周波数f1、f2が
30MHz ≦ f2 < f1 ≦ 250MHz
の範囲を満たすことは、例えば堆積膜を形成する場合に堆積速度が著しく速くなるのでより好ましい。
【0113】
また、電力値P1、P2が、
0.2 ≦ P2/(P1+P2) ≦ 0.7
の範囲を満たすことが好ましく、さらに、電力比の上限をf2/f1に設定することにより放電の安定性を向上させることができる。
【0114】
さらに、周波数f1、f2を、
0.5< f2/f1 ≦ 0.9
の範囲に設定することにより、より高い定在波抑制効果が得られる。
【0115】
高周波電極1114の形状には特に制限はないが、真空処理特性の均一化効果をより顕著に得るためには、図3に示したような棒状、あるいは線状の形状であることが好ましく、また、堆積膜形成時に高周波電極1114に付着した膜が剥がれるのを防止する観点から、高周波電極1114は可能な限り曲面により構成されていることが好ましく、特に円柱状、円筒状が好ましい。
【0116】
高周波電極1114の表面は、膜の密着性を向上し、膜剥がれを防止し、成膜中のダストを抑制する目的から、粗面化されていることが望ましい。粗面化の具体的な程度としては、2.5mmを基準とする10点平均粗さ(Rz)で、5μm以上200μm以下の範囲が好ましい。
【0117】
さらに、膜の密着性向上の観点から、高周波電極1114の表面はセラミックス材で被覆されていることが効果的である。被覆の具体的手段に特に制限はないが、例えばCVD法、溶射等の表面コーティング法により、高周波電極1114の表面をコーティングしてもよい。コーティング法の中でも溶射は、コスト面において、あるいはコーティング対象物の大きさや形状の制限を受けにくいため好ましい。具体的なセラミックス材料としては、アルミナ、二酸化チタン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ジルコン、コージェライト、ジルコン−コージェライト、酸化珪素、および酸化ベリリウムマイカ系セラミックス等が挙げられる。高周波電極1114の表面を被覆するセラミックス材の厚さに特に制限はないが、耐久性および均一性を増すため、また、高周波電力の吸収量の観点や製造コストの面から、その厚さは1μm〜10mmであることが好ましく、10μm〜5mmであることがより好ましい。
【0118】
また、高周波電極1114に加熱手段または冷却手段を設けることにより、高周波電極1114の表面における膜の密着性を更に高め、より効果的に膜剥がれを防止できる。この場合、高周波電極1114を加熱するか冷却するかは、堆積する膜材料、堆積条件に応じて適宜決定する。具体的な加熱手段としては、発熱体であれば特に制限はない。具体的にはシース状ヒータの巻付けヒータ、板状ヒータ、セラミックヒーター等の電気抵抗発熱体、ハロゲンランプ、赤外線ランプ等の熱輻射ランプ発熱体、液体、気体等を媒体とした熱交換手段による発熱体等が挙げられる。一方、具体的な冷却手段としては、吸熱体であれば特に制限はない。例えば、液体・気体等を冷却媒体として流すことができる冷却コイル、冷却板、冷却筒等が挙げられる。
【0119】
このように構成された装置を用いて、例えば円筒状の電子写真感光体用の堆積膜を形成することは、概略以下のような手順により行うことができる。
【0120】
まず、反応容器1111内に円筒状基体1113を設置し、不図示の排気装置により排気管1112を通して反応容器1111内を排気する。続いて、原料ガス供給手段1118を介してArガスやHeガスなどの不活性ガス等を反応容器1111内に導入し、ガスの供給量と排気速度とを調節して一定の圧力になるように設定する。次に、発熱体1120により円筒状基体1113を200℃〜300℃程度の所定の温度に加熱・制御し、温度が安定するまで維持する。
【0121】
円筒状基体1113が所定の温度となったところで、加熱に用いた不活性ガス等を十分排気した後、原料ガス供給手段1118を介して、原料ガスを反応容器1111内に導入する。原料ガスの流量が設定流量となり、また、反応容器1111内の圧力が安定したことを確認した後、発振周波数が互いに異なる2つの高周波電源1116、1117よりマッチングボックス1115を介して高周波電極1114へ所定の高周波電力を供給する。これにより、反応容器1111内にグロー放電が生起し、原料ガスが励起解離して円筒状基体1113上に堆積膜が形成される。
【0122】
さらに多層の形態を有する堆積膜を得るためには、所望の膜厚の層領域を形成した後、原料ガスの種類や各々の流量等を所定の値に変えて次の層領域の形成を行えばよい。
【0123】
図8は、本発明により作成される電子写真感光体の層構成を説明するための模式的構成図である。
【0124】
図8(a)に示す感光体8500は、基体8501の上に光受容層8502が設けられている。光受容層8502は基体8501側から順にa−Si系電荷注入阻止層8505と、水素原子(H)および/またはハロゲン原子(X)を含有するアモルファスシリコン(a−Si:H、X)からなり光導電性を有する光導電層8503と、a−SiC系表面層8504とから構成されている。
【0125】
図8(b)に示す感光体8500は、基体8501の上に光受容層8502が設けられている。光受容層8502は基体8501側から順にa−Si系電荷注入阻止層8505と、a−Si:H、Xからなり光導電性を有する光導電層8503と、a−SiC系表面層504とから構成され、光導電層8503は第1の層領域8503aと第2の層領域8503bとからなっている。
【0126】
図8(c)に示す感光体8500は、基体8501の上に、光受容層8502が設けられている。該光受容層8502は基体8501側から順にa−Si系電荷注入阻止層8505と、a−Si:H、Xからなり光導電性を有する光導電層8503と、a−SiC系中間層8506と、a−SiC系表面層8504とから構成されている。
【0127】
<基体>
本発明において使用される基体としては、導電性でも電気絶縁性であってもよい。導電性基体としては、Al、Cr、Mo、Au、In、Nb、Te、V、Ti、Pt、Pd、Fe等の金属、およびこれらの合金、例えばステンレス等が挙げられる。また、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド等の合成樹脂のフィルムまたはシート、ガラス、セラミック等の電気絶縁性基体の少なくとも光受容層を形成する側の表面を導電処理した基体も用いることができる。
【0128】
本発明において使用される基体の形状は平滑表面あるいは凹凸表面の円筒状または平板状であることができ、その厚さは、所望通りの半導体装置を形成し得るように適宜決定するが、可撓性が要求される場合には、基体としての機能が充分発揮できる範囲内で可能な限り薄くすることができる。しかしながら、製造上および取り扱い上、機械的強度等の点から通常は10μm以上とされる。
【0129】
<光導電層>
本発明において、その目的を効果的に達成するために基体上に形成され、光受容層の1部を構成する光導電層はプラズマCVD法によって、所望特性が得られるように適宜成膜パラメーターの数値条件が設定されて作成される。
【0130】
光導電層を形成するには、基本的にはシリコン原子(Si)を供給し得るSi供給用の原料ガスと、水素原子(H)を供給し得るH供給用の原料ガスおよび/またはハロゲン原子(X)を供給し得るX供給用の原料ガスを、内部を減圧にし得る反応容器内に所望のガス状態で導入して、該反応容器内にグロー放電を生起させ、あらかじめ所定の位置に設置されてある所定の基体上にa−Si:H、Xからなる層を形成すればよい。
【0131】
また、本発明において光導電層中に水素原子および/またはハロゲン原子が含有されることが必要であるが、これはシリコン原子の未結合手を補償し、層品質の向上、特に光導電性および電荷保持特性を向上させるために必須不可欠であるからである。
【0132】
よって、水素原子またはハロゲン原子の含有量、または水素原子とハロゲン原子の和の量は、シリコン原子と水素原子および/またはハロゲン原子の和に対して10〜40原子%とされるのが望ましい。
【0133】
本発明において使用されるSi供給用ガスとなり得る物質としては、SiH4、Si26、Si38、Si410等のガス状態の、またはガス化し得る水素化珪素(シラン類)が有効に使用されるものとして挙げられ、更に層作成時の取り扱い易さ、Si供給効率の良さ等の点でSiH4、Si26が好ましいものとして挙げられる。
【0134】
そして、形成される光導電層中に水素原子を構造的に導入し、水素原子の導入割合の制御を一層容易になるように図り、本発明の目的を達成する膜特性を得るために、これらのガスに更にH2および/またはHeあるいは水素原子を含む珪素化合物のガスも所望量混合して層形成することも好ましい。また、各ガスは単独種のみでなく所定の混合比で複数種混合しても差し支えないものである。
【0135】
また、本発明において使用されるハロゲン原子供給用の原料ガスとして有効なのは、たとえばハロゲンガス、ハロゲン化物、ハロゲンを含むハロゲン間化合物、ハロゲンで置換されたシラン誘導体等のガス状のまたはガス化し得るハロゲン化合物が好ましく挙げられる。また、さらにはシリコン原子とハロゲン原子とを構成要素とするガス状のまたはガス化し得る、ハロゲン原子を含む水素化珪素化合物も有効なものとして挙げることができる。本発明において好適に使用し得るハロゲン化合物としては、具体的には弗素ガス(F2)、BrF、ClF、ClF3、BrF3、BrF5、IF3、IF7等のハロゲン間化合物を挙げることができる。ハロゲン原子を含む珪素化合物、いわゆるハロゲン原子で置換されたシラン誘導体としては、具体的には、たとえばSiF4、Si26等の弗化珪素が好ましいものとして挙げることができる。
【0136】
光導電層中に含有される水素原子および/またはハロゲン原子の量を制御するには、例えば基体の温度、水素原子および/またはハロゲン原子を含有させるために使用される原料物質の反応容器内へ導入する量、放電電力等を制御すればよい。
【0137】
本発明において、光導電層には伝導性を制御する原子を含有することが好ましい。
【0138】
光導電層に含有される伝導性を制御する原子としては、半導体分野における、いわゆる不純物を挙げることができ、本発明においては、p型伝導特性を与える周期律表第13族に属する原子(以下、「第13族原子」と略記する。)あるいはn型伝導特性を与える周期律表第15族に属する原子(以下、「第15族原子」と略記する。)を用いることができる。
【0139】
このような第13族原子としては、具体的には、硼素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)等があり、特にB、Al、Gaが好適である。
【0140】
第Vb族原子としては、具体的にはP(リン)、As(砒素)、Sb(アンチモン)、Bi(ビスマス)等があり、特にP、Asが好適である。
【0141】
光導電層に含有される伝導性を制御する原子の含有量としては、好ましくは1×10-2〜1×104原子ppm、より好ましくは5×10-2〜5×103原子ppm、最適には1×10-1〜1×103原子ppmとされるのが望ましい。
【0142】
伝導性を制御する原子を構造的に導入するには、層形成の際に、伝導性を制御する原子の原料物質をガス状態で、光導電層を形成するための他のガスと共に反応容器中に導入してやればよい。
【0143】
伝導性を制御する原子導入用の原料物質となり得るものとしては、常温常圧でガス状の、または、少なくとも層形成条件下で容易にガス化しうるものが採用されるのが望ましい。
【0144】
そのような第13族原子導入用の原料物質として具体的には、硼素原子導入用として、B26、B410、B59、B511、B610、B612、B614等の水素化硼素、BF3、BCl3、BBr3等のハロゲン化硼素等が挙げられる。この他、AlCl3、GaCl3、Ga(CH33、InCl3、TlCl3等も挙げることができる。
【0145】
第15族原子導入用の原料物質として、有効に使用されるのは、燐原子導入用としては、PH3、P24等の水素化燐、PH4I、PF3、PF5、PCl3、PCl5、PBr3、PBr5、PI3等のハロゲン化燐が挙げられる。この他、AsH3、AsF3、AsCl3、AsBr3、AsF5、SbH3、SbF3、SbF5、SbCl3、SbCl5、BiH3、BiCl3、BiBr3等も第15族原子導入用の出発物質の有効なものとして挙げることができる。
【0146】
また、これらの伝導性を制御する原子導入用の原料物質を、必要に応じてH2、He、Ar、Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0147】
さらに、光導電層に炭素原子および/または酸素原子および/または窒素原子を含有させることも有効である。炭素原子および/または酸素原子および/または窒素原子の含有量は、シリコン原子、炭素原子、酸素原子及び窒素原子の和に対して好ましくは1×10-5〜10原子%、より好ましくは1×10-4〜8原子%、最適には1×10-3〜5原子%が望ましい。炭素原子および/または酸素原子および/または窒素原子は、光導電層中に万遍なく均一に含有されても良いし、光導電層の層厚方向に含有量が変化するような不均一な分布をもたせた部分があっても良い。
【0148】
本発明において、光導電層の層厚は所望の電子写真特性が得られること及び経済的効果等の点から適宜所望にしたがって決定され、好ましくは10〜50μm、より好ましくは15〜45μm、最適には20〜40μmとされるのが望ましい。層厚が20μmより薄くなると、帯電能や感度等の電子写真特性が実用上不充分となり、50μmより厚くなると、光導電層の作製時間が長くなって製造コストが高くなる。
【0149】
本発明の目的を達成し、所望の膜特性を有する光導電層を形成するには、Si供給用のガスと希釈ガスとの混合比、反応容器内のガス圧、放電電力ならびに基体温度を適宜設定することが必要である。
【0150】
反応容器内の圧力も同様に層設計にしたがって最適範囲が適宜選択されるが、通常の場合1×10-2〜1×103Pa、好ましくは5×10-2〜5×102Pa、最適には1×10-1〜1×102Paとするのが好ましい。
【0151】
さらに、基体の温度は、層設計にしたがって最適範囲が適宜選択されるが、通常の場合、好ましくは150〜350℃、より好ましくは180〜330℃、最適には200〜300℃とするのが望ましい。
【0152】
本発明においては、光導電層を形成するための基体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前記した範囲が挙げられるが、条件は通常は独立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を有する感光体を形成すべく相互的かつ有機的関連性に基づいて最適値を決めるのが望ましい。
【0153】
<電荷注入阻止層>
本発明の感光体においては、導電性基体と光導電層との間に、導電性基体側からの電荷の注入を阻止する働きのある電荷注入阻止層を設けるのが一層効果的である。すなわち、電荷注入阻止層は光受容層が一定極性の帯電処理をその自由表面に受けた際、基体側より光導電層側に電荷が注入されるのを阻止する機能を有し、逆の極性の帯電処理を受けた際にはそのような機能は発揮されない、いわゆる極性依存性を有している。そのような機能を付与するために、電荷注入阻止層には伝導性を制御する原子を多く含有させることも有効である。
【0154】
電荷注入阻止層に含有される伝導性を制御する原子は、電荷注入阻止層中に万偏なく均一に分布されても良いし、あるいは層厚方向には万偏なく含有されてはいるが、不均一に分布する状態で含有している部分があってもよい。分布濃度が不均一な場合には、基体側に多く分布するように含有させるのが好適である。しかしながら、いずれの場合にも基体の表面と平行面内方向においては、均一な分布で万偏なく含有されることが面内方向における特性の均一化を図る点からも必要である。
【0155】
電荷注入阻止層に含有される伝導性を制御する原子としては、半導体分野における、いわゆる不純物を挙げることができ、正帯電用感光体においては、p型伝導特性を与える周期律表第13族に属する原子(以下、「第13族原子」と略記する。)を用いることができる。
【0156】
このような第13族原子としては、具体的には、硼素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)等があり、特にB、Al、Gaが好適である。
【0157】
また、負帯電用感光体においては、n型伝導特性を与える周期律表第15族に属する原子(以下、「第15族原子」と略記する。)を用いることができる。
【0158】
第15族原子としては、具体的にはP(リン)、As(砒素)、Sb(アンチモン)、Bi(ビスマス)等があり、特にP、Asが好適である。
【0159】
本発明において電荷注入阻止層中に含有される伝導性を制御する原子の含有量としては、本発明の目的が効果的に達成できるように所望にしたがって適宜決定されるが、好ましくは10〜1×104原子ppm、より好適には50〜5×103原子ppm、最適には1×102〜3×103原子ppmとされるのが望ましい。
【0160】
さらに、電荷注入阻止層には、炭素原子、窒素原子及び酸素原子の少なくとも1種を含有させることによって、この電荷注入阻止層に直接接触して設けられる他の層との間の密着性の向上をより一層図ることができる。
【0161】
電荷注入阻止層に含有される炭素原子または窒素原子または酸素原子は、電荷注入阻止層中に万偏なく均一に分布されても良いし、あるいは層厚方向には万偏なく含有されてはいるが、不均一に分布する状態で含有している部分があってもよい。しかしながら、いずれの場合にも基体の表面と平行面内方向においては、均一な分布で万偏なく含有されることが面内方向における特性の均一化をはかる点からも必要である。
【0162】
本発明における電荷注入阻止層の全層領域に含有される炭素原子および/または窒素原子および/または酸素原子の含有量は、本発明の目的が効果的に達成されるように適宜決定されるが、1種の場合はその量として、2種以上の場合はその総和量として、好ましくは1×10-3〜30原子%、より好適には5×10-3〜20原子%、最適には1×10-2〜10原子%とされるのが望ましい。
【0163】
また、本発明における電荷注入阻止層に含有される水素原子および/またはハロゲン原子は、層内に存在する未結合手を補償し膜質の向上に効果を奏する。電荷注入阻止層中の水素原子またはハロゲン原子あるいは水素原子とハロゲン原子の和の含有量は、好適には1〜50原子%、より好適には5〜40原子%、最適には10〜30原子%とするのが望ましい。
【0164】
本発明において、電荷注入阻止層の層厚は所望の電子写真特性が得られること、及び経済的効果等の点から好ましくは0.1〜5μm、より好ましくは0.3〜4μm、最適には0.5〜3μmとされるのが望ましい。層厚が0.1μmより薄くなると、基体からの電荷の注入阻止能が不充分になって充分な帯電能が得られなくなり、5μmより厚くしても電子写真特性の向上は期待できず、作製時間の延長による製造コストの増加を招く。
【0165】
本発明の目的を達成し得る特性を有する電荷注入阻止層を形成するには、光導電層と同様に、Si供給用のガスと希釈ガスとの混合比、反応容器内のガス圧、放電電力ならびに基体の温度を適宜設定することが必要である。
【0166】
反応容器内の圧力も同様に層設計にしたがって最適範囲が適宜選択されるが、通常の場合1×10-2〜1×103Pa、好ましくは5×10-2〜5×102Pa、最適には1×10-1〜1×102Paとするのが好ましい。
【0167】
さらに、基体の温度は、層設計にしたがって最適範囲が適宜選択されるが、通常の場合、好ましくは150〜350℃、より好ましくは180〜330℃、最適には200〜300℃とするのが望ましい。
【0168】
本発明においては、電荷注入阻止層を形成するための希釈ガスの混合比、ガス圧、放電電力、基体温度の望ましい数値範囲として前記した範囲が挙げられるが、これらの層作成ファクターは通常は独立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を有する表面層を形成すべく相互的かつ有機的関連性に基づいて各層作成ファクターの最適値を決めるのが望ましい。
【0169】
<表面層>
本発明においては、上述のようにして基体上に形成された光導電層の上に、更にアモルファスシリコン系の表面層を形成することが好ましい。この表面層は自由表面を有し、主に耐湿性、連続繰り返し使用特性、電気的耐圧性、使用環境特性、耐久性において本発明の目的を達成するために設けられる。
【0170】
また、本発明においては、光受容層を構成する光導電層と表面層とを形成する非晶質材料の各々がシリコン原子という共通の構成要素を有しているので、積層界面において化学的な安定性の確保が十分成されている。
【0171】
表面層は、アモルファスシリコン系の材料であればいれずの材質でも可能であるが、例えば、水素原子(H)および/またはハロゲン原子(X)を含有し、更に炭素原子を含有するアモルファスシリコン(以下、「a−SiC:H、X」と表記する。)、水素原子(H)および/またはハロゲン原子(X)を含有し、更に酸素原子を含有するアモルファスシリコン(以下、「a−SiO:H、X」と表記する。)、水素原子(H)および/またはハロゲン原子(X)を含有し、更に窒素原子を含有するアモルファスシリコン(以下、「a−SiN:H、X」と表記する。)、水素原子(H)および/またはハロゲン原子(X)を含有し、更に炭素原子、酸素原子、窒素原子の少なくとも1つを含有するアモルファスシリコン(以下、「a−SiCON:H、X」と表記する。)等の材料が好適に用いられる。
【0172】
本発明において、その目的を効果的に達成するために、表面層は真空堆積膜形成方法によって、所望の特性が得られるように成膜パラメーターの数値条件が適宜設定されて作成される。具体的には、例えばグロー放電法(低周波CVD法、高周波CVD法またはマイクロ波CVD法等の交流放電CVD法、あるいは直流放電CVD法等)、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、光CVD法、熱CVD法などの数々の薄膜堆積法によって形成することができる。これらの薄膜堆積法は、製造条件、設備資本投資下の負荷程度、製造規模、作成される感光体に所望される特性等の要因によって適宜選択されて採用されるが、感光体の生産性から光導電層と同等の堆積法によることが好ましい。
【0173】
例えば、グロー放電法によってa−SiC:H、Xよりなる表面層を形成するには、基本的にはシリコン原子(Si)を供給し得るSi供給用の原料ガスと、炭素原子(C)を供給し得るC供給用の原料ガスと、水素原子(H)を供給し得るH供給用の原料ガスおよび/またはハロゲン原子(X)を供給し得るX供給用の原料ガスとを、内部を減圧にし得る反応容器内に所望のガス状態で導入して、該反応容器内にグロー放電を生起させ、あらかじめ所定の位置に設置された光導電層を形成した基体上に「a−SiC:H、X」からなる層を形成すればよい。
【0174】
本発明において用いる表面層の材質としては、シリコンを含有するアモルファス材料ならば何れでも良いが、炭素、窒素、酸素より選ばれた元素を少なくとも1つ含むシリコン原子との化合物が好ましく、特にa−SiCを主成分としたものが好ましい。
【0175】
表面層をa−SiCを主成分として構成する場合の炭素量は、シリコン原子と炭素原子との和に対して30%から90%の範囲が好ましい。
【0176】
また、本発明において表面層中に水素原子および/またはハロゲン原子が含有されることが必要であるが、これはシリコン原子の未結合手を補償し、層品質の向上、特に光導電性特性および電荷保持特性を向上させるために必須不可欠である。水素含有量は、構成原子の総量に対して通常の場合30〜70原子%、好適には35〜65原子%、最適には40〜60原子%とするのが望ましい。また、弗素原子の含有量として、通常の場合は0.01〜15原子%、好適には0.1〜10原子%、最適には0.5〜5原子%とされるのが望ましい。
【0177】
これらの水素および/または弗素含有量の範囲内で形成される感光体は、実際面において従来にない格段に優れたものとして充分適用させ得るものである。すなわち、表面層内に存在する欠陥(主にシリコン原子や炭素原子のダングリングボンド)は、電子写真感光体としての特性に悪影響を及ぼすことが知られている。例えば自由表面から電荷の注入による帯電特性の劣化、使用環境、例えば高い湿度のもとで表面構造が変化することによる帯電特性の変動、更にコロナ帯電時や光照射時に光導電層より表面層に電荷が注入され、前記表面層内の欠陥に電荷がトラップされることによる繰り返し使用時の残像現象の発生等が、この悪影響として挙げられる。
【0178】
しかしながら、表面層内の水素含有量を30原子%以上に制御することで表面層内の欠陥が大幅に減少し、その結果、従来に比べて電気的特性面及び高速連続使用性において飛躍的な向上を図ることができる。
【0179】
一方、前記表面層中の水素含有量が70原子%を越えると表面層の硬度が低下するために、繰り返し使用に耐えられなくなる。従って、表面層中の水素含有量を前記の範囲内に制御することが格段に優れた所望の電子写真特性を得る上で非常に重要な因子の1つである。表面層中の水素含有量は、原料ガスの流量(比)、基体温度、放電パワー、ガス圧等によって制御し得る。
【0180】
また、表面層中の弗素含有量を0.01原子%以上の範囲に制御することで表面層内のシリコン原子と炭素原子との結合の発生をより効果的に達成することが可能となる。さらに、表面層中の弗素原子の働きとして、コロナ等のダメージによるシリコン原子と炭素原子との結合の切断を効果的に防止することができる。
【0181】
一方、表面層中の弗素含有量が15原子%を超えると表面層内のシリコン原子と炭素原子との結合の発生の効果およびコロナ等のダメージによるシリコン原子と炭素原子との結合の切断を防止する効果がほとんど認められなくなる。さらに、過剰の弗素原子が表面層中のキャリアの走行性を阻害するため、残留電位や画像メモリーが顕著に認められてくる。従って、表面層中の弗素含有量を前記範囲内に制御することが所望の電子写真特性を得る上で重要な因子の1つである。表面層中の弗素含有量は、水素含有量と同様に原料ガスの流量(比)、基体温度、放電パワー、ガス圧等によって制御し得る。
【0182】
本発明の表面層の形成において使用されるシリコン(Si)供給用ガスとなり得る物質としては、SiH4、Si26、Si38、Si410等のガス状態の、またはガス化し得る水素化珪素(シラン類)が有効に使用されるものとして挙げられ、更に層作成時の取り扱い易さ、Si供給効率の良さ等の点でSiH4、Si26が好ましいものとして挙げられる。また、これらのSi供給用の原料ガスを必要に応じてH2、He、Ar、Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0183】
炭素供給用ガスとなり得る物質としては、CH4、C22、C26、C38、C410等のガス状態の、またはガス化し得る炭化水素が有効に使用されるものとして挙げられ、更に層作成時の取り扱い易さ、Si供給効率の良さ等の点でCH4、C22、C26が好ましいものとして挙げられる。また、これらのC供給用の原料ガスを必要に応じてH2、He、Ar、Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0184】
窒素または酸素供給用ガスとなり得る物質としては、NH3、NO、N2O、NO2、O2、CO、CO2、N2等のガス状態の、またはガス化し得る化合物が有効に使用されるものとして挙げられる。また、これらの窒素、酸素供給用の原料ガスを必要に応じてH2、He、Ar、Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0185】
また、形成される表面層中に導入される水素原子の導入割合の制御が一層容易になるようにするために、これらのガスに更に水素ガスまたは水素原子を含む珪素化合物のガスをも所望量混合して層形成することが好ましい。また、各ガスは単独種のみでなく所定の混合比で複数種混合しても差し支えないものである。
【0186】
ハロゲン原子供給用の原料ガスとして有効なのは、たとえばハロゲンガス、ハロゲン化物、ハロゲンを含むハロゲン間化合物、ハロゲンで置換されたシラン誘導体等のガス状のまたはガス化し得るハロゲン化合物が好ましく挙げられる。さらには、シリコン原子とハロゲン原子とを構成要素とするガス状のまたはガス化し得る、ハロゲン原子を含む水素化珪素化合物も有効なものとして挙げることができる。本発明において好適に使用し得るハロゲン化合物としては、具体的には弗素ガス(F2)、BrF、ClF、ClF3、BrF3、BrF5、IF3、IF7等のハロゲン間化合物を挙げることができる。ハロゲン原子を含む珪素化合物、いわゆるハロゲン原子で置換されたシラン誘導体としては、具体的には、たとえばSiF4、Si2F6等の弗化珪素が好ましいものとして挙げることができる。
【0187】
表面層中に含有される水素原子および/またはハロゲン原子の量を制御するには、例えば基体の温度、水素原子および/またはハロゲン原子を含有させるために使用される原料物質の反応容器内へ導入する量、放電電力等を制御すればよい。
【0188】
炭素原子および/または酸素原子および/または窒素原子は、表面層中に万遍なく均一に含有されても良いし、表面層の層厚方向に含有量が変化するような不均一な分布をもたせた部分があっても良い。
【0189】
本発明における表面層の層厚としては、通常0.01〜3μm、好適には0.05〜2μm、最適には0.1〜1μmとされるのが望ましいものである。層厚が0.01μmよりも薄いと感光体を使用中に摩耗等の理由により表面層が失われてしまい、3μmを越えると残留電位の増加等の電子写真特性の低下がみられる。
【0190】
本発明による表面層は、その要求される特性が所望通りに与えられるように注意深く形成される。即ち、Si、Cおよび/またはNおよび/またはO、Hおよび/またはXを構成要素とする物質はその形成条件によって構造的には結晶からアモルファスまでの形態をとり、電気物性的には導電性から半導体性、絶縁性までの間の性質を、また、光導電的性質から非光導電的性質までの間の性質を各々示すので、本発明においては、目的に応じた所望の特性を有する化合物が形成されるように、所望によりその形成条件の選択が厳密になされる。
【0191】
例えば、表面層を耐圧性の向上を主な目的として設けるには、使用環境において電気絶縁性的挙動の顕著な非単結晶材料として作成される。
【0192】
また、連続繰り返し使用特性や使用環境特性の向上を主たる目的として表面層が設けられる場合には、上記の電気絶縁性の度合いはある程度緩和され、照射される光に対して有る程度の感度を有する非単結晶材料として形成される。
【0193】
本発明の目的を達成し得る特性を有する表面層を形成するには、基体の温度、反応容器内のガス圧を所望により適宜設定する必要がある。
【0194】
基体温度(Ts)は、層設計にしたがって最適範囲が適宜選択されるが、通常の場合、好ましくは150〜350℃、より好ましくは180〜330℃、最適には200〜300℃とするのが望ましい。
【0195】
反応容器内の圧力も同様に層設計にしたがって最適範囲が適宜選択されるが、通常の場合1×10-2〜1×103Pa、好ましくは5×10-2〜5×102Pa、最適には1×10-1〜1×102Paとするのが好ましい。
【0196】
本発明においては、表面層を形成するための基体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前記した範囲が挙げられるが、条件は通常は独立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を有する感光体を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて最適値を決めるのが望ましい。
【0197】
表面層と光導電層との間に炭素原子および/または酸素原子および/または窒素原子の含有量が光導電層に向かって減少するように変化する領域を設けても良い。これにより表面層と光導電層との密着性を向上させ、光キャリアの表面への移動がスムーズになるとともに光導電層と表面層との界面での光の反射による干渉の影響をより少なくすることができる。
【0198】
<中間層>
本発明の感光体においては、負帯電の場合に光導電層と表面層との間に表面層側からの電荷の注入を阻止する働きのある中間層(上部阻止層)を設けるのが効果的である。
【0199】
すなわち、中間層は光受容層が一定極性の帯電処理をその自由表面に受けた際、表面層側より光導電層側に電荷が注入されるのを阻止する機能を有し、逆の極性の帯電処理を受けた際にはそのような機能は発揮されない、いわゆる極性依存性を有している。そのような機能を付与するために、中間層には伝導性を制御する原子を多く含有させることが有効である。
【0200】
中間層に含有される伝導性を制御する原子は、中間層中に万偏なく均一に分布されても良いし、あるいは層厚方向には万偏なく含有されてはいるが、不均一に分布する状態で含有している部分があってもよい。
【0201】
しかしながら、いずれの場合にも基体の表面と平行面内方向においては、均一な分布で万偏なく含有されることが面内方向における特性の均一化を図る点からも必要である。
【0202】
中間層に含有される伝導性を制御する原子としては、半導体分野における、いわゆる不純物を挙げることができ、p型伝導特性を与える周期律表第13族に属する原子(以下、「第13族原子」と略記する。)を用いることができる。
【0203】
このような第13族原子としては、具体的には、硼素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)等があり、特にB、Al、Gaが好適である。
【0204】
本発明において中間層中に含有される伝導性を制御する原子の含有量としては、本発明の目的が効果的に達成できるように所望により適宜決定されるが、好ましくは10〜1×104原子ppm、より好適には50〜5×103原子ppm、最適には1×102〜3×103原子ppmとされるのが望ましい。
【0205】
中間層は、アモルファスシリコン系の材料であればいずれの材質でも可能であるが、表面層と同様の材料で構成することが好ましい。
【0206】
すなわち、「a−SiC:H、X」、「a−SiO:H、X」、「a−SiN:H、X」、「a−SiCON:H、X」等の材料が好適に用いられる。
【0207】
中間層に含有される炭素原子または窒素原子または酸素原子は、該層中に万偏なく均一に分布されても良いし、あるいは層厚方向には万偏なく含有されてはいるが、不均一に分布する状態で含有している部分があってもよい。しかしながら、いずれの場合にも基体の表面と平行面内方向においては、均一な分布で万偏なく含有されることが面内方向における特性の均一化を図る点からも必要である。
【0208】
本発明における中間層の全層領域に含有される炭素原子および/または窒素原子および/または酸素原子の含有量は、本発明の目的が効果的に達成されるように適宜決定されるが、1種の場合はその量として、2種以上の場合はその総和量として、10%から70%の範囲とするのが好ましい。
【0209】
また、本発明において中間層中に水素原子および/またはハロゲン原子が含有されることが必要であるが、これはシリコン原子の未結合手を補償し、層品質の向上、特に光導電性特性および電荷保持特性を向上させるために必須不可欠である。水素含有量は、構成原子の総量に対して通常の場合30〜70原子%、好適には35〜65原子%、最適には40〜60原子%とするのが望ましい。また、ハロゲン原子の含有量として、通常の場合は0.01〜15原子%、好適には0.1〜10原子%、最適には0.5〜5原子%とされるのが望ましい。
【0210】
本発明において、中間層の層厚は所望の電子写真特性が得られること、及び経済的効果等の点から好ましくは0.01〜3μm、より好ましくは0.03〜2μm、最適には0.05〜1μmとされるのが望ましい。層厚が0.01μmより薄くなると、表面側からの電荷の注入阻止能が不充分になって充分な帯電能が得られなくなり、3μmより厚くしても電子写真特性の向上は期待できず、むしろ感度等の特性の低下を招くことがある。
【0211】
本発明の目的を達成し得る特性を有する中間層を形成するには、表面層と同様に、Si供給用のガスとCおよび/またはNおよび/またはO供給用のガスとの混合比、反応容器内のガス圧、放電電力ならびに基体の温度を適宜設定することが必要である。
【0212】
反応容器内の圧力も同様に層設計にしたがって最適範囲が適宜選択されるが、通常の場合1×10-2〜1×103Pa、好ましくは5×10-2〜5×102Pa、最適には1×10-1〜1×102Paとするのが好ましい。
【0213】
さらに、基体の温度は、層設計にしたがって最適範囲が適宜選択されるが、通常の場合、好ましくは150〜350℃、より好ましくは180〜330℃、最適には200〜300℃とするのが望ましい。
【0214】
本発明においては、中間層を形成するための希釈ガスの混合比、ガス圧、放電電力、基体温度の望ましい数値範囲として前記した範囲が挙げられるが、これらの層作成ファクターは通常は独立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を有する表面層を形成すべく相互的かつ有機的関連性に基づいて各層作成ファクターの最適値を決めるのが望ましい。
【0215】
図9は、本発明により作成される光起電力素子の層構成を説明するための模式的構成図である。図9に示す光起電力素子9600は、基体9601上に、光反射層9602、n型層9603、i型層9604、p型層9605、透明電極層9606が順に積層され、透明電極層9606上には集電電極9607が形成されて構成されている。光起電力素子9600に対して、光は透明電極9606側から照射される。
【0216】
<基体>
基体は導電材料単体で構成されたものでもよく、絶縁性材料または導電性材料で構成された基体上に導電層を形成したものであってもよい。導電性材料としては、例えば、めっき鋼板、NiCr、ステンレス鋼、Al、Cr、Mo、Au、Nb、Ta、V、Ti、Pt、Pb、Sn等の金属または、これらの合金が挙げられる。
【0217】
絶縁材料としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、等の合成樹脂、または、ガラス、セラミックスなどが挙げられる。これらの絶縁性基体は、少なくともその一方の表面に導電層を形成し、該導電層を形成した表面上に本発明の半導体層を形成する。
【0218】
例えばガラスであれば、表面上にNiCr、Al、Ag、Cr、Mo、Ir、Nb、Ta、V、Ti、Pt、Pb、In203、ITO、ZnO等の材料またはその合金からなる導電層を形成し、ポリエステルフィルム等の合成樹脂シートであれば表面上にNiCr、Al、Cr、Ag、Pb、Mo、Au、Nb、Ta、V、Ti、Pt等の材料またはその合金からなる導電層を形成し、ステンレス鋼であればNiCr、Al、Ag、Cr、Mo、Ir、Nb、Ta、V、Ti、Pt、Pb、In203、ITO、ZnO等の材料またはその合金からなる導電層を形成する。形成方法としては真空蒸着法、スパッタリング法、スクリーン印刷法が挙げられる。
【0219】
基体の表面形状は、平滑あるいは山の高さが最大0.1〜1.0μmの凹凸(テクスチャー)であることが望ましい。例えば、ステンレス基体の表面をテクスチャー化する1つの方法として、被処理基体を酸性溶液を用いてエッチング処理する方法が挙げられる。基体の厚さは所望通りの光起電力素子を形成しえるように適宜決定するが、光起電力素子としての柔軟性が要求される場合には、基体としての機能が十分発揮される範囲で可能な限り薄くすることができる。しかしながら、基体の製造上および取り扱い上、機械的強度の点から、通常10μmとされる。
【0220】
<光反射層>
本発明の光起電力素子における望ましい基体の形態としては、上記基体上に、Ag、Al、Cu、AlSi、CuMg等の可視光から近赤外で反射率の高い金属からなる導電層(光反射層)を形成することである。光反射層は真空蒸着法、スパッタリング法等、水溶液からの電解析出法で形成するのが適している。光反射層としてのこれらの金属の層厚としては、10nmから5000nmが適した層厚として挙げられる。
【0221】
本発明の光起電力素子における更に望ましい基体の形態としては、光反射層上にZnO、SnO2、In203、ITO、TiO2、CdO、Cd2SnO4、Bi203、MoO3、NaxWO3等からなる透明導電層を形成する。透明導電膜の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、電解析出法、CVD法、スプレー法、スピンオン法、ディッピング法等が適した方法として挙げられる。また、層厚は、透明導電層の屈折率により最適な層厚は異なるが、好ましい層厚の範囲としては50nm〜10μmが挙げられる。更に、透明導電層をテクスチャー化するには、例えば、スパッタリング法においては、透明導電層の形成温度を200℃以上とすれば良い。また、いずれの形成方法においても、該膜形成後に弱酸により表面をエッチングするのも、テクスチャー化の効果を高める点で有効である。
【0222】
<ドーピング層(n型層、p型層)>
ドーピング層は非晶質シリコン系あるいは微結晶シリコン系半導体から構成される。非晶質シリコン系半導体としては、a−Si:H、a−SiC:H、a−SiO:H、a−SiN:H、a−SiCO:H、a−SiON:H、a−SiNC:H、a−SiCON:H等が挙げられ、微結晶シリコン系半導体としては、μc−Si:H、μc−SiC:H、μc−SiO:H、μc−SiN:H、μc−SiCO:H、μc−SiON:H、μc−SiNC:H、μc−SiCON:H等が挙げられる。
【0223】
ドーピング層に含有される水素原子(H、D)およびハロゲン原子(X)は未結合手を補償する働きをし、ドーピング効率を向上させるものであり、その素含有量は0.1〜30原子%が最適値として挙げられる。特にドーピング層が微結晶シリコンを含有する場合、0.01〜10原子%が最適量として挙げられる。
【0224】
一方、ドーピング層に炭素、酸素、窒素原子を含有する場合には、その含有量として、0.1原子ppm〜20原子%が好適な範囲として挙げられる。
【0225】
ドーピング層には、伝導型をp型またはn型にするために伝導性を制御する原子を含有させることが必要であり、その導入量は、1000原子ppm〜10原子%が好ましい範囲として挙げられる。
【0226】
光起電力素子に適したp型層またはn型層を形成する場合、堆積室内の基体温度は100〜400℃、圧力は0.05〜15Paとするのが好適である。
【0227】
原料ガスとしては、シリコン原子を含有しガス化し得る化合物、例えば、SiH4、Si26、SiF4、SiFH3、SiF22、SiF3H、SiH3D、SiFD3、SiF22、SiD3H、Si233等が挙げられ、これらに価電子制御をするための不純物、たとえばn型用にはB26やBF3などのホウ素化合物、p型用にはPH3等のリン化合物等を添加して用いることができる。また、前記ガス化し得る化合物をH2、He、Ne、Ar、Xe、Kr等のガスで適宜希釈して反応容器に導入してもよい。特に微結晶半導体やa−SiC:H等の光吸収が少ないかバンドギャップが広い層を堆積する場合は、水素ガスで2〜100倍に原料ガスを希釈し、比較的高いパワーを導入するのが好ましい。
【0228】
<i型層>
光起電力素子において、i型層は照射光に対してキャリアを発生輸送する重要な層であり、非晶質シリコン系あるいは微結晶シリコン系半導体から構成される。非晶質シリコン系半導体としては、a−Si:H、a−SiC:H、a−SiO:H、a−SiN:H、a−SiCO:H、a−SiON:H、a−SiNC:H、a−SiCON:H等が挙げられる。微結晶シリコン系半導体としては、μc−Si:H、μc−SiC:H、μc−SiO:H、μc−SiN:H、μc−SiCO:H、μc−SiON:H、μc−SiNC:H、μc−SiCON:H等が挙げられる。i型層としては、僅かにp型、僅かにn型の層も使用できる。
【0229】
また、該i型層中にドナーとなる価電子制御剤とアクセブターとなる価電子制御剤とが同時にドーピングされているものが好ましい。
【0230】
i型層に含有される水素原子(H、D)またはハロゲン原子(X)は、i型層の未結合手を補償する働きをし、i型層でのキャリアの移動度と寿命の積を向上させるものである。またp型層/i型層の各界面の界面準位を補償する働きをし、光起電力素子の光起電力、光電流そして光応答性を向上させる効果のあるものである。i型層に含有される水素原子および/またはハロゲン原子は1〜40原子%が最適な含有量として挙げられる。特に、p型層/i型層の各界面側で水素原子および/またはハロゲン原子の含有量が多く分布しているものが好ましい分布形態として挙げられ、該界面近傍での水素原子および/またはハロゲン原子の含有量はバルク内の含有量の1.1〜2倍の範囲が好ましい範囲として挙げられる。更にシリコン原子の含有量に対応して水素原子および/またはハロゲン原子の含有量が変化していることが好ましいものである。シリコン原子の含有量が最小のところでの水素原子および/またはハロゲン原子の含有量は1〜10原子%が好ましい範囲で、水素原子および/またはハロゲン原子の含有量の最大の領域の0.3〜0.8倍が好ましい範囲である。
【0231】
i型層の層厚は、光起電力素子の構造及びi型層のバンドギャップに大きく依存するが0.05〜1.0μmが最適な層厚として挙げられる。
【0232】
光起電力素子に適したi型層を形成する場合、反応容器内の基体温度は100〜400℃、圧力は0.05〜15Paとするのが好適である。
【0233】
原料ガスとしては、シリコン原子を含有しガス化し得る化合物、例えば、 SiH4、Si26、SiF4、SiFH3、SiF22、SiF3H、SiH3D、SiFD3、SiF22、SiD3H、Si233等が挙げられる。これらに価電子制御をするための不純物、たとえばB26やBF3などのホウ素化合物やPH3等のリン化合物を添加して用いることができる。また、前記ガス化し得る化合物をH2、He、Ne、Ar、Xe、Kr等のガスで適宜希釈して堆積室に導入してもよい。特に微結晶半導体やa−SiC:H等の光吸収が少ないかバンドギャップが広い層を堆積する場合は、水素ガスで2〜100倍に原料ガスを希釈し、比較的高いパワーを導入するのが好ましい。
【0234】
<透明電極層>
透明電極の材質としては、インジウム酸化物(In23)、スズ酸化物(SnO2)、ITO(In23−SnO3)が適した材料であり、これらの材料にフッ素を含有させても良い。透明電極の堆積方法には、スパッタリング法または真空蒸着法が最適である。
【0235】
例えば、スパッタリング法で堆積する場合、金属ターゲット、あるいは酸化物ターゲット等のターゲットを適宜組み合わせて用いいられ、基体温度は、20℃〜600℃が好ましい温度範囲として挙げられる。また透明電極をスパッタリング法で堆積する場合のスパッタリング用のガスとしては、Arガス等の不活性ガスが挙げられる。透明電極の堆積速度は、放電空間内の圧力や放電圧力に依存し、最適な堆積速度としては、0.01〜10nm/secの範囲である。
【0236】
透明電極の層厚は、反射防止膜の条件を満たすような条件に堆積するのが好ましいものである。具体的な該透明電極の層厚としては、50〜500nmが好ましい範囲として挙げられる。
【0237】
<集電電極>
光起電力層であるi型層により多くの光を入射させ、発生したキャリアを効率よく電極に集めるためには、集電電極の形(光の入射方向から見た形)および材質は重要である。通常、集電電極の形は櫛型が使用され、その線幅、線数などは、光起電力素子の光入射方向から見た形状および大きさ、集電電極の材質などによって決定される。線幅は通常、0.1mm〜5mm程度である。集電電極の材質としては、Fe、Cr、Ni、Au、Ti、Pd、Ag、Al、Cu、AlSi、C(グラファイト) 等が用いられ、通常、比抵抗の小さい、Ag、Cu、Al、Cr、Cなどの金属、あるいはこれらの合金が適している。集電電極の層構造としては単一の層からなるものであってもよいし、さらには複数の層からなるものであってもよい。これらの金属は、真空蒸着法、スパッタリング法、メッキ法、印刷法等で形成するのが好ましい。層厚としては10nm〜0.5mmが適している。
【0238】
図10は本発明で使用されるプラズマCVD法による電子写真用感光体の製造装置の模式図の一例であり、図10(a)は被処理物である基体101を収納し、基体101に堆積膜を形成する反応容器102を横から見た図であり、図10(b)はA−A’における装置の横断面図である。反応容器102と同じ中心軸を持つ円周上に、複数の原料ガス導入手段104、基体101が設置される放電電極を兼ね、基体加熱ヒータ106を内包するように内包するように配置され、回転機構111によって回転可能な複数の基体支持手段105、および複数のプラズマ発生用高周波電極103が反応容器102内に配置されている。
【0239】
図10に示した装置を使用して実施される、本発明による堆積膜形成方法の一例を以下に詳述する。
【0240】
反応容器102内に基体101を設置した後、排気装置(例えば真空ポンプ)を用いて反応容器102内を真空引きする。反応容器102内を十分排気した後、ガス供給装置(図示せず)内のHe、N2、ArおよびH2等のガスボンベから供給される内の必要とされる加熱用ガスが、圧力調整器およびマスフローコントローラ等を介することにより適切な流量に調節され、ガス配管107、原料ガス導入手段104を介して反応容器102内に送り込まれる。加熱用ガス導入後の反応容器102内圧力は圧力測定手段108によってモニターされ、スロットルバルブ109の開度を調節すること等によって、所定の値に制御される。所定の基体加熱環境が整ったところで、基体101は基体加熱ヒータ106によって間接的に所定の温度にまで加熱される。
【0241】
所定の加熱終了後、ガス供給装置(図示せず)内のSiH4、H2、CH4、B26、PH3等のガスボンベから供給されるうちの必要とされる堆積膜形成用ガスが、圧力調整器およびマスフローコントローラ等を介することにより適切な流量に調節され、ガス配管107、原料ガス導入手段104を介して、反応容器102内に送り込まれる。堆積膜形成用ガス導入後の反応容器102内圧力は圧力測定手段108によってモニターされ、スロットルバルブ109の開度を調節すること等によって、所定の値に制御される。所定の堆積膜形成環境が整ったところで、周波数の異なる第1の高周波電源110Aおよび第2の高周波電源110Bが接続され、それぞれ第1の整合回路112A、第2の整合回路112Bを介した後に一旦合成し、その後分岐して複数のプラズマ発生用高周波電極103に印加することによりプラズマを生起する。該プラズマにより堆積膜形成用ガスが分解され、基体101上に堆積膜を形成する。
【0242】
なお、図10においては、二つの異なる周波数の高周波電力を出力可能な二つの電源を用いているが三種類以上の周波数を用いる場合においては、電源は三つ以上あってもよい。また、あらかじめ複数の周波数を合成した高周波電力が出力可能な電源を用いた場合には、電源の数は一つであってもかまわない。しかしながら、高周波電力の出力安定性等を考慮した場合、複数の高周波電力それぞれにおいて第1および第2の整合回路112A、112Bを介した後に、高周波電力を合成することが好ましく、図10に示すように、使用するそれぞれの周波数の高周波電力を出力可能な第1および第2の高周波電源110A、110Bより高周波電力を供給し、それぞれにおいて第1および第2の整合回路112A、112Bを介した後に、高周波電力を合成する構成が好ましい。
【0243】
また、本発明で用いられる高周波電力を分岐する手段としては、均等に電力を分割することができるものであれば、どのような手段を用いてもよいが、高周波電力の分岐点から各々のプラズマ発生用高周波電源までの距離を等しくすることが好ましい。
【0244】
また、本発明においては、図11(a)に示すように、プラズマ発生用高周波電極の各々の給電側に補助整合回路401を配置することにより本発明の効果をより顕著なものとすることができるが、補助整合回路401として、容量固定のコンデンサを用いる場合においては、セラミックスコンデンサ等一般に市販されているコンデンサを用いればよいが、高周波電力を分岐した後の伝送経路にセラミックス等の絶縁性部材を挟むことによって容量を持たせるような構成であってもよい。図11(b)はB−B’における装置の横断面図である。
【0245】
また、本発明において使用されるプラズマ発生用高周波電極の表面性としては特に制限がないが、反応容器102内部にプラズマ発生用高周波電極103が配置される構成においては膜剥がれ防止の観点から、その表面性としては、粗面化されていることが望ましく、具体的には、2.5mmを基準とする10点平均粗さ(Rz)で5μm以上200μm以下の範囲が好ましい。さらに、堆積膜の密着性向上の観点から、プラズマ発生用高周波電極103の表面はセラミックス材で被覆されていることが効果的である。被覆の具体的手段に特に制限はないが、例えばCVD法、溶射によって、表面をセラミックス材でコーティングしてもよく、また、セラミックス製の防着部材等をプラズマ発生用高周波電極103にかぶせる構成にしてもよい。具体的なセラミックス材料としては、アルミナ、ジルコニア、ムライト、コージュライト、炭化珪素、チッ化ホウ素、チッ化アルミ等が上げられるが、これらの中でも、アルミナ、チッ化ホウ素、チッ化アルミは誘電正接や絶縁抵抗等の電気特性にすぐれ、高周波電力の吸収が少ないことからより好ましい。
【0246】
また、本発明においては、図12(a)に示すように、プラズマ発生用高周波電極103を一部誘電体部材501で構成された反応容器102の外に設置することにより本発明の効果をより顕著なものとすることができる。図12(a)は、プラズマ発生用高周波電極103を誘電体部材501で構成された反応容器102の外に配置した場合のプラズマCVD法による電子写真用感光体の製造装置の模式図の一例であり、誘電体部材501と同じ中心軸を持つ、誘電体部材501内の円周上に、複数の原料ガス導入手段104、および基体101が設置される放電電極を兼ね、基体加熱ヒータ106を内包するように配置され、回転機構111によって回転可能な複数の基体支持手段105が配置されており、さらに、誘電体部材501と同じ中心軸を持つ、誘電体部材501の外側の円周上に、複数のプラズマ発生用高周波電極103が配置されている。また、プラズマ発生用高周波電極103の外側には高周波電力の外部への漏洩を防止するためのアースシールド502が配置されている。図12(b)はC−C’における装置の横断面図である。
【0247】
また、本発明において使用される誘電体部材がプラズマにさらされる側の表面性としては特に制限がないが、膜剥がれ防止の観点から、粗面化されていることが望ましく、具体的には、2.5mmを基準とする10点平均粗さ(Rz)で5μm以上200μm以下の範囲が好ましい。また、誘電体部材501の材料としてはセラミックス材料が好ましく、具体的には、アルミナ、ジルコニア、ムライト、コージュライト、炭化珪素、チッ化ホウ素、チッ化アルミ等が上げられるが、これらの中でも、アルミナ、チッ化ホウ素、チッ化アルミは誘電正接や絶縁抵抗等の電気特性にすぐれ、高周波電力の吸収が少ないことからより好ましい。
【0248】
また、本発明においては、本発明の効果によって、図13(a)に示すように原料ガス導入手段104を一つにすることが可能となる。図13は、原料ガス導入手段104を一つにした場合のプラズマCVD法による電子写真用感光体の製造装置の模式図の一例であり、反応容器を兼ねる誘電体部材501の中央に、一つの原料ガス導入手段104が配置され、原料ガス導入手段104を中心軸とした、誘電体部材501内の円周上に、基体101が設置される放電電極を兼ね、基体加熱ヒータ106を内包するように配置され、回転機構111によって回転可能な複数の基体支持手段105が配置されており、さらに、誘電体部材501と同じ中心軸を持つ、誘電体部材の外側の円周上に、複数のプラズマ発生用高周波電極103が配置されている。また、プラズマ発生用高周波電極103の外側には高周波電力の外部への漏洩を防止するためのアースシールド502が配置されている。図13(b)はD−D’における装置の横断面図である。
【0249】
また、本発明において使用される原料ガス導入手段としては、膜厚むら防止の観点から、基体と平行に設置されていることが好ましい。さらには、膜剥がれ防止の観点から、原料ガス導入手段の表面は粗面化されていることが望ましく、具体的には、2.5mmを基準とする10点平均粗さ(Rz)で5μm以上200μm以下の範囲が好ましい。
【0250】
【実施例】
以下、本発明の真空処理方法について実施例を示して更に詳しく説明する。ただし、本発明の範囲は、これらの実施例により何ら制限されるものではない。
【0251】
まず、本発明により得られる効果を検証するために行った、以下の実験例1〜5について説明する。
【0252】
(実験例1)
本実験例では、図2に示す装置を用い、表1に示す条件でアモルファスシリコン堆積膜を形成した。被処理基板2113として、1×1.5インチ(25×38mm)の研磨ガラス(コーニング社製の#7059)を用い、これを長手方向に10枚を並べた1×1.5インチ(25×380mm)分の基板として、長尺方向の長さが450mmである基板ステージ2120の中央に設置した。高周波電極2114はステンレス製の直径10mm、長さ500mmの金属棒にアルミナ溶射を施したものとし、基板2113に対して平行にこれと60mmの距離を隔てて配置した。
【0253】
各高周波電源2116、2117はそれぞれ、シグナルジェネレータと増幅器とからなり、発振周波数を変化させることができるような構成とした。第1の高周波電源2116の増幅器は50MHzを増幅できるように調整し、第2の高周波電源2117の増幅器は30MHzを増幅できるように調整した。
【0254】
このように構成した装置を用いて、概略以下の通りに堆積膜の形成を行った。
【0255】
まず、不図示の排気装置により排気管2112を通して反応容器2111を排気した。続いて、原料ガス供給手段2118より反応容器2111内に流量が500ml/min(normal)のArガスを供給しながら、発熱体2120aにより基板2113を250℃になるように加熱・制御した。
【0256】
次いでArガスの供給を停止し、反応容器2111を不図示の排気装置により排気した後、表1に示した堆積膜形成条件で、水素化アモルファスシリコンからなる堆積膜を基板2113上に1μm程度堆積させた。このとき、2つの高周波電源2116、2117の電力の合計を500Wとし、合計の電力に対する第2の高周波電源2117から供給される電力の割合(電力比)を図4に示すように0〜1となるように変化させて9通りの電力比で堆積膜を形成した。
【0257】
堆積膜形成後に、反応容器2111をArガスにてパージした後、N2ガスでリークして堆積膜を取り出し、この堆積膜の上に、250μmのギャップをもつ櫛形のマスクを載せて、通常の真空蒸着法によってCrを1000Å堆積させ、この堆積膜の表面に櫛形電極を形成した。
【0258】
【表1】
Figure 0003897582
次に、作成した堆積膜の光感度を評価した。ここで、光感度とは、明導電率σpと暗導電率σdとを用いて定義されるものとする。
【0259】
明導電率σpは、1mW/cm2の強度のHe−Neレーザー(波長632.8nm)を照射したときの導電率とし、暗導電率σdは光を照射しないときの導電率とする。このとき、光感度はこれらの比によって表されるが、導電率の値は数桁の単位で変化する場合もあり、単純に比較しにくいため、
光感度=log(σp/σd)
と定義する。この光感度の値が大きいほど堆積膜特性が良好であることを示す。
【0260】
このような測定を10枚の基板2113について行うことで、長尺方向の堆積膜の均一性を評価することができる。10枚の基板の測定値のうち、最も光感度が良かった部分と悪かった部分との比を、光感度の長尺方向のむらとして評価した。
【0261】
得られた評価結果を図4に示す。図4では、P2/(P1+P2)=0、すなわち50MHzの高周波電力のみを用いて作成した堆積膜の長尺方向のむらの値を基準とした、第2の高周波電力の割合を横軸に取った際の「むら」の程度を表している。図4において、光感度むらの値が1より小さい場合には「むら」の程度が良好で、1より大きい場合には「むら」の程度が悪いことを示している。
【0262】
図4に示す結果から、第2の高周波電力2117から供給される高周波電力(30MHz)の割合が全体の電力に対して0.1〜0.9の範囲においては「むら」が少なく、特にその割合が0.2〜0.7の範囲においては「むら」が一層少なくなり、本発明の効果を最大限に得られることがわかった。
【0263】
また、本実験例で用いた装置および処理条件では結果に影響はほとんど見られなかったが、第2の高周波電力2117から供給される高周波電力の割合が0.7以上の場合にはマッチング調整を何度か行う必要があった。これは、放電状況が不安定になる兆候であると考えられる。一方、上記割合が0.6以下の場合には、一度マッチング調整を行った後はほとんど調整が不要であった。この実験から、周波数が異なる高周波電力の好ましい割合が存在し、その値の範囲は「f2/f1」以下であることが確かめられた。
【0264】
以上のように、本発明により、堆積膜の特性むらを低減させることが可能なことが確認された。
【0265】
(実験例2)
本実験例では、図2に示す装置を用い、水素化アモルファスシリコンカーバイド膜の形成を行った。このとき、基板2113や高周波電極2114などの配置等は実験例1と同様にした。
【0266】
高周波電源2116、2117には、実験例1と同様に周波数を変化させることが可能なシグナルジェネレータと増幅器とからなるものを用い、本実験例では、これらの発振周波数を様々に変えて実験を行った。
【0267】
本実験例では、第1の高周波電源2116から供給される第1の高周波電力と、第2の高周波電源2117から供給される第2の高周波電力との合計電力を400Wとし、全体電力における第2の高周波電力の割合を0.4とした。周波数に関しては、第1の高周波電力の周波数f1を10MHz〜300MHzの範囲で変化させ、その際、第2の高周波電力の周波数f2をf1の0.6倍となるように順次変化させた。周波数を変更する際には、増幅器およびマッチングボックス2115の最適化を行った。
【0268】
このように設定した高周波電源2116、2117を用い、表2に示す条件で膜堆積を行い、基板2113上に膜厚が約1μmの水素化アモルファスシリコンカーバイド膜を堆積させた。
【0269】
【表2】
Figure 0003897582
まず、中央部の基板について、本実験例の場合の堆積速度を見積もった。その結果を図5に示す。
【0270】
図5において、横軸は周波数f1、f2、縦軸は周波数f1が10MHz(f2が6MHz)の場合の堆積速度を基準とした堆積速度の相対値を示している。図5から判るように、周波数が高くなるにつれて堆積速度が増大する。特に、2つの高周波f1、f2が共に30MHzを超える範囲において、堆積速度が顕著に増大することが判った。
【0271】
つぎに、本実験例により作成した堆積膜の光学的エネルギーバンドギャップ(Egopt)を評価した。測定には紫外可視分光光度計(日本分光製のV−570)を用い、波長範囲を250〜2500nmとした。得られた各波長における吸収係数αを元に、通常のTaucプロット(hνと(αhν)1/2との関係を求め、hν軸の切片の値をEgoptと定義する)を用いてEgoptを得た。
【0272】
この測定を10枚の基板2113に対して行うことで、長尺方向の堆積膜の均一性を評価することができる。10枚の基板2113の測定値のうち、最もEgoptが大きい部分と小さい部分との差を、 Egoptの長尺方向むらとし、形成時に用いた高周波電力の周波数が異なる各々の堆積膜に関して評価した。
【0273】
得られた評価結果を図6に示す。図6は、高周波電力の周波数f1が10MHz(f2が6MHz)の条件で作成した堆積膜の長尺方向むらの値を基準とした、高周波電力の周波数(図6ではf1のみ示している)を横軸に取った際の「むら」の程度を表している。縦軸の「むら」の値が1より小さい場合には「むら」の程度が良好で、1より大きい場合には「むら」の程度が悪いことを示している。
【0274】
図6からわかるように、周波数f1、f2が10MHz以上、250MHz以下の場合に「むら」の程度が良好になり、特に周波数f1、f2が30MHz以上、250MHz以下の場合に「むら」の程度が一層良好になる。
【0275】
以上のように、本発明を用いることにより、堆積速度を向上させつつ、堆積膜の特性むらを低減させることが可能なことが確認され、このときの高周波電力の周波数の範囲としては10MHz〜250MHzが好ましく、特に30MHz〜250MHzの範囲において本発明の効果が最大限に得られることが判った。
【0276】
(実験例3)
本実験例では、図2に示す装置を用い、アモルファスシリコン堆積膜を形成した。このとき、基板2113や高周波電極2114などの配置等は実験例1と同様にした。
【0277】
本実験例では、第1の高周波電源2116の発振周波数f1を100MHzに固定し、第2の高周波電源2117の発振周波数f2を様々に変えて実験を行った。高周波電源2116、2117には、実験例1と同様に周波数を変化させることが可能なシグナルジェネレータと増幅器とからなるものを用い、実験例2と同様に、第2の高周波電源2117の発振周波数f2を変えるごとに、増幅器およびマッチングボックス2115の調整を行った。
【0278】
本実験例では、第1の高周波電源2116から供給される第1の高周波電力と、第2の高周波電源2117から供給される第2の高周波電力との合計電力を500Wとし、全体電力における第2の高周波電力の割合を0.3とした。第2の高周波電源2117の発振周波数f2を10MHz〜95MHzまで8通りに変化させ、表3に示す条件で水素化アモルファスシリコン堆積膜を形成し、実験例1と同様にしてこの堆積膜を取り出した後に、堆積膜の上に櫛形電極を形成した。
【0279】
【表3】
Figure 0003897582
(比較実験例1)
これに対し、本比較実験例として、図2に示す装置を用いて本実験例と同様にアモルファスシリコン膜の形成を行った。
【0280】
このとき、第1の高周波電力に第2の高周波電力を重畳させることによる効果を確かめるため、第2の高周波電源2117を外して、印加する高周波電力には発振周波数f1が100MHzの第1の高周波電源2116のみを用いた。この場合の高周波電力の全電力値、すなわち電力値P1は、本実験例と同じ条件の500Wとした。そして、表3に示した条件で膜堆積を行い、基板2113上に厚さが約1μmのアモルファスシリコン膜を堆積させた。
【0281】
次に、本実験例および比較実験例により作成した堆積膜の光感度のむらを評価した。評価方法は実験例1と同様とした。
【0282】
得られた評価結果を図7に示す。図7では、本比較実験例により作成した堆積膜の長尺方向むらの値を基準とした、第2の高周波電力の周波数を横軸に取った際の「むら」の程度を表している。光感度むらの値が1より小さい場合には「むら」の程度が比較実験例に比べて良好で、1より大きい場合には比較実験例より「むら」の程度が悪いことを示している。
【0283】
図7に示す結果から、周波数f2が10〜95MHzの範囲内にある場合に光感度むらを抑制でき、特に周波数f2が53MHz以上90MHz以下の領域では更に光感度むらを抑制できることがわかった。
【0284】
以上の結果から、第2の高周波電力の周波数が10MHz以上で、かつ第1の高周波電力の周波数未満である場合に本発明の効果が得られること、また、周波数f1、f2が、
0.5< f2/f1 ≦ 0.9
の関係を満たすことが望ましいことが確かめられた。
【0285】
(実験例4)
本実験例では、図2に示す装置を用いて、アモルファスシリコン堆積膜を形成した。このとき、不図示の第3の高周波電源をマッチングボックス2115に更に接続した。また、基板2113や高周波電極2114などの配置等は実験例1と同様にした。
【0286】
本実験例では、表1に示した堆積条件(実験例1の堆積条件)をそのまま用いた。ただし、全体電力に対する第2の高周波電力(30MHz)の電力比を、実験例1で最も「むら」の程度が低かった条件である「0.6」に設定した。すなわち、第1の高周波電力(50MHz)の電力を200Wとし、第2の高周波電力(30MHz)の電力を300Wとした。
【0287】
本実験例では、周波数が70MHzで電力値が70Wの第3の高周波電力をさらに付加した状態で、基板2113上に厚さが1μmのアモルファスシリコン膜を堆積させた。
【0288】
これにより得られた膜に対し、実験例1と同様の評価を行い、実験例1における同等条件の場合の「むら」の評価結果と比較したところ、実験例1の同等条件に比べて更に5%程度、むら特性が向上していた。
【0289】
このことから、少なくとも2つの異なる周波数の高周波電力を重畳させることで本発明の効果を得ることができるが、更に周波数の異なる高周波電力を付加しても本発明の効果が得られることが確かめられた。
【0290】
(実験例5)
本実験例では、図2に示す装置を用いて、水素化アモルファスシリコンカーバイド膜の形成を行った。このとき、基板2113や高周波電極2114などの配置等は実験例1と同様にした。
【0291】
高周波電源には、図2のような第1の高周波電源2116および第2の高周波電源2117に加え、不図示の第3の高周波電源を用いた。第1の高周波電力は、周波数f1を120MHzとし、出力を400Wとした。第2の高周波電力は、周波数f2を80MHzとし、出力を600Wとした。これら2つの電力は、図2に示したようにマッチングボックス2115を介して反応容器2111内の高周波電極2114に供給した。
【0292】
一方、第3の高周波電源から供給される第3の高周波電力は、周波数f3を400kHzとし、出力を300Wとした。この第3の高周波電力は、マッチングボックスを介さずに高周波電極2114に直接供給する構成とした。
【0293】
このように構成した装置を用い、表4に示した条件で堆積膜の形成を行い、基板2113上に約1μmの水素化アモルファスシリコンカーバイド膜を堆積させた。また、第3の高周波電源を外した他は同様の構成で、かつ上記と同様の堆積条件で、基板2113上に水素化アモルファスシリコンカーバイドを堆積させた。
【0294】
得られた堆積膜について、実験例2と同様の方法で長尺方向のむらを評価した。しかし、第3の高周波電力の印加の有無で結果に変化はなく、両者とも「むら」のない均一性の高い堆積膜であることがわかった。
【0295】
一方、得られた膜の硬さを簡易的に調べるため、ダイヤモンドペンを用いて一定の力で引っかき、削れの度合いを比較することによる引っかき試験を行ったところ、第3の高周波電力を印加して形成した膜の方が硬いことが判った。
【0296】
以上のことから、本発明における周波数範囲を超えた高周波電力を、本発明の効果が得られる構成に対してさらに付加しても、本発明の効果には何ら影響がないことが確かめられた。例えば、本発明の効果以外の効果(堆積膜の硬度を高めること等)を期待して、膜形成時にさらなる高周波電力を付加することは、何ら問題がないことが確かめられた。
【0297】
【表4】
Figure 0003897582
次に、本発明を適用した実施例について説明する。
【0298】
<実施例1>
本実施例では、図3に示す装置を用いて、アルミニウム製で直径80mm、長さ358mmの円筒状基体1113上に、多層構成の電子写真用感光体を作成した。
【0299】
高周波電極1114はSUS(ステンレス鋼)製の直径20mmの円柱形状に形成されており、その外部を内径21mm、外径24mmのアルミナ製のパイプで覆う構造とした。アルミナ製パイプの表面にブラスト加工を施して表面を粗くすることで、膜剥がれをなるべく防止できるような構成とした。また、円筒状基体1113を、高周波電極1114を中心とする同心円上に等間隔に4本配置し、各基体1113を回転軸1121を中心に回転させながら膜堆積を行った。
【0300】
原料ガス導入管1118には、内径10mm、外径13mmのアルミナ製のパイプからなり、端部が封止され、パイプの側壁上に設けられた直径1.2mmの10個のガス噴出口より原料ガスの供給を行う構造のものを用いた。原料ガス導入管1118の設置位置は円筒状基体1113が成す配置円の内側とし、高周波電極1114を中心とする同心円上に等間隔に4本の原料ガス導入管1118を配置した。なお、各原料ガス導入管1118は、それらの配置円の周方向に関し、隣り合う2つの円筒状基体1113の中間位置の近傍に位置するように配置した。なお、原料ガス導入管1118の表面にも、高周波電極1114を覆うパイプと同様にブラスト加工を施し、その表面を粗くした。
【0301】
このように構成した装置を用いて、表5に示す条件で、電荷注入阻止層、光導電層、および表面層からなる電子写真用感光体を作成した。
【0302】
【表5】
Figure 0003897582
得られたアモルファスシリコン感光体を、キヤノン製複写機(Image Runner 5000)を評価用に改造したものにセットし、画像上の濃度むら、光メモリーの有無とその軸方向位置依存性を調べた。
【0303】
最初に、画像濃度むらの評価を行った。まず、現像器位置での暗部電位が一定値となるように主帯電器電流を調整した後、原稿に反射濃度0.1以下の所定の白紙を用い、現像器位置での明部電位が所定の値となるように像露光強度を調整した。次いでキヤノン製中間調チャート(部品番号:FY9−9042)を原稿台に置き、コピーしたときに得られたコピー画像上の全領域における反射濃度を評価した。
【0304】
その結果、印加する高周波電力が80MHzのみである場合に生成すると予想される定在波の「節」の位置においても感光体の特性劣化が無く、画像濃度むらは極めて少ないことが判った。
【0305】
次に、光メモリーについて評価を行った。まず、現像器位置における暗部電位が所定の値となるように主帯電器を調整した後、所定の白紙を原稿とした際の明部電位が所定の値となるように像露光強度を調整した。この状態でキヤノン製ゴーストチャート(部品番号:FY9−9040)に反射濃度1.1、直径5mmの黒丸を感光体の母線方向に10mm間隔で貼り付けたものを原稿台に置き、その上にキヤノン製中間調チャート(部品番号:FY9−9042)を重ねておいた際のコピー画像において、中間調コピー上に認められるゴーストチャートの直径5mmの黒丸の反射濃度と中間調の反射濃度との差を測定することにより、評価を行った。
【0306】
その結果、画像濃度むらと同じく、「節」部分として予想される位置においても、感光体の特性劣化に起因する光メモリーの増大が観測されず、全体としてメモリーが低減されていることが判った。
【0307】
また、得られた画像は画像欠陥が観測されなかった。これは反応容器1111の全体にわたって膜剥がれが抑制されたためであると考えられる。
【0308】
以上のように、本実施例で作成した感光体は、極めて良好な画像特性をもつ感光体であることが確かめられた。
【0309】
<実施例2>
本実施例では、図3に示した装置を用いて、アルミニウム製の直径80mm、長さ358mmの円筒状基体1113上に、多層構成の電子写真用感光体を作成した。このとき、円筒状基体1113を、高周波電極1114を中心とする同心円上に等間隔に4本配置し、各基体1113を回転軸1121を中心に回転させながら膜堆積を行った。
【0310】
また、原料ガス導入管1118の設置位置は円筒状基体1113が成す配置円の内側とし、高周波電極1114を中心とする同心円上に等間隔に4本の原料ガス導入管1118を配置した。なお、各原料ガス導入管1118は、それらの配置円の周方向に関し、隣り合う2つの円筒状基体1113の中間位置の近傍に位置するように配置した。なお、その他原料ガス導入管1118の寸法や材料等は、実施例1と同様にした。
【0311】
また、本実施例では、印加する高周波電力として、図1(b)に示したような構成を用い、周波数が100MHzと60MHzの2つの高周波電力を合成し、パワー比(P2/(P1+P2))が0.2になるようにして、広帯域の増幅器にて増幅したものを用いた。また、マッチングボックス1115は、この電源構成にあわせた調整を施した。
【0312】
このように構成した装置を用いて、表6に示す条件で、電荷注入阻止層、光導電層、および表面層からなる電子写真用感光体を作成した。
【0313】
【表6】
Figure 0003897582
得られた感光体は、実施例1と同様に評価を行った。
【0314】
その結果、本実施例によれば、画像濃度むらがなく、光メモリー特性も母線方向に分布を持たずに全面にわたって良好であり、膜剥がれによる画像欠陥のない良好な電子写真特性をもつ感光体を作成できることが確かめられた。
【0315】
<実施例3>
本実施例では、図3に示す装置を用いて、アルミニウム製の直径30mm、長さ358mmの円筒状基体1113上に、多層構成の電子写真用感光体を作成した。このとき、円筒状基体1113を、高周波電極1114を中心とする同心円上に等間隔に10本配置し、各基体1113を回転軸1121を中心に回転させながら膜堆積を行った。
【0316】
また、原料ガス導入管1118の設置位置は円筒状基体1113が成す配置円の内側とし、高周波電極1114を中心とする同心円上に等間隔に5本の原料ガス導入管1118を配置した。なお、各原料ガス導入管1118は、それらの配置円の周方向に関し、隣り合う2つの円筒状基体1113の中間位置の近傍に位置するように配置した。なお、その他原料ガス導入管1118の寸法や材料等は、実施例1と同様にした。
【0317】
このように構成した装置を用いて、表7に示す条件で、電子写真用感光体を作成した。
【0318】
【表7】
Figure 0003897582
得られたアモルファスシリコン感光体を、キヤノン製複写機GP−405を改造したものにセットし、実施例1と同様の方法で画像上の濃度むら、光メモリーの有無とその軸方向位置依存性を調べた。
【0319】
その結果、本実施例によれば、画像濃度むらがなく、光メモリー特性も母線方向に分布を持たずに全面にわたって良好であり、膜剥がれによる画像欠陥のない良好な電子写真特性をもつ感光体を作成できることが確かめられた。
【0320】
<実施例4>
本実施例では、図3に示す装置を用いて、アルミニウム製の直径30mm、長さ358mmの円筒状基体1113上に、多層構成の電子写真用感光体を作成した。このとき、円筒状基体1113を、高周波電極1114を中心とする同心円上に等間隔に10本配置し、各基体1113を回転軸1121を中心に回転させながら膜堆積を行った。
【0321】
また、原料ガス導入管1118の設置位置は円筒状基体1113が成す配置円の内側とし、高周波電極1114を中心とする同心円上に等間隔に5本の原料ガス導入管1118を配置した。なお、各原料ガス導入管1118は、それらの配置円の周方向に関し、隣り合う2つの円筒状基体1113の中間位置の近傍に位置するように配置した。なお、その他原料ガス導入管1118の寸法や材料等は、実施例1と同様にした。
【0322】
また、本実施例では、印加する高周波電力として、第1の高周波電力の周波数f1を90MHz、第2の高周波電力の周波数f2を60MHz、パワー比(P2/(P1+P2))を0.5とした上で、周波数が30MHzの第3の高周波電力をパワー比がP3/P1が0.2となるようにしてさらに印加し、周波数が互いに異なる3つの高周波電力を用いた。また、マッチングボックス1115は、この電源構成にあわせた調整を施した。
【0323】
このように構成した装置を用いて、表8に示す条件で、電荷注入阻止層、第1の光導電層、第2の光導電層、および表面層からなる電子写真用感光体を作成した。
【0324】
【表8】
Figure 0003897582
そして、得られたアモルファスシリコン感光体の画像上の濃度むら、光メモリーの有無とその軸方向位置依存性を調べた。まず、得られたアモルファスシリコン感光体を、キヤノン製複写機GP−405を実験用に改造したものにセットした。複写に際して、像露光に655nmのレーザーユニット、除電光に660nmのLEDアレイを用い、プロセススピード(感光体の回転に伴う他の部材との相対速度)を265mm/secとした。このような複写プロセスにおいて、実施例1と同様の方法で、画像上の濃度むら、光メモリーの有無とその軸方向位置依存性を調べた。
【0325】
その結果、本実施例により、画像濃度むらがなく、光メモリー特性も母線方向に分布を持たずに全面にわたって良好であり、膜剥がれによる画像欠陥のない良好な電子写真特性をもつ感光体を作成できることが確かめられた。
【0326】
<実施例5>
図3に示す構成の装置を用い、発振周波数が105MHz(f1)と50MHz(f2)との2種類の周波数の高周波電力を高周波電極に供給し、直径80mm、長さ358mmの円筒状アルミニウムシリンダ上に、表9に示す条件で、電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなる電子写真感光体を作製した。そのとき、光導電層を形成する際には2つの高周波電力の総和を一定とし、層形成中に電力比率を変えることによって層形成をし、正帯電用の電子写真感光体を作製し、実施例5−1とした。
【0327】
【表9】
Figure 0003897582
これに対する比較のため、光導電層を形成する際に2つの高周波電力の比率を0.4に固定した以外は実施例5−1と同様にして、正帯電用の電子写真感光体を作製し、実施例5−2とした。
【0328】
このようにして作製した感光体を、キヤノン製複写機IR−5000に設置して特性評価を行った。評価項目は、「帯電能」、「感度」、「ゴースト」とし、さらにそれぞれの母線方向のむらを測定した。
【0329】
その際、プロセススピード265mm/sec、前露光(波長660nmのLED)光量4lx・s、帯電器の電流値1000μAの条件にて電子写真装置の帯電器位置にセットした表面電位計(TREK社のModel344)の電位センサーにより非露光状態での感光体の表面電位を測定し、それを帯電能とした。
【0330】
そして、非露光状態での表面電位が450V(暗電位)になるように帯電器の電流値を調整した後、像露光(波長655nmのレーザー)を照射した。次いで像露光光源の光量を調整して、表面電位が50V(明電位)となるようにし、そのときの露光量を感度とした。
【0331】
また、非露光状態で暗電位になるように帯電させておき、いったん明電位となるような露光量で露光し、再度非露光状態としたときの表面電位と露光直前の表面電位との差を光メモリーとした。
【0332】
これらの項目について感光体の母線方向全域にわたって測定し、平均値に対する最大値と最小値との差の割合を「母線方向むら」として評価した。
【0333】
その評価結果を表10に示す。表10において、実施例5−2の結果を基準とし、15%以上の良化を◎、5%以上15%未満の良化を○、5%未満の良化を△で示している。
【0334】
【表10】
Figure 0003897582
表10から明らかなように、いずれの項目においても実施例5−1の方が優れている。
【0335】
また、実施例5で作製された電子写真感光体を用いて形成された画像は、ゴーストや画像濃度むら、画像欠陥、画像流れ等のない極めて良好なものであった。
【0336】
<実施例6>
図3に示す構成の装置を用い、発振周波数が105MHz(f1)と60MHz(f2)との2種類の周波数の高周波電力を高周波電極に供給し、直径80mm、長さ358mmの円筒状アルミニウムシリンダ上に、表11に示す条件で、電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなる電子写真感光体を作製した。その際、各層毎に2つの高周波の電力比率を変えて層形成をし、正帯電用の電子写真感光体を作製し、実施例6−1とした。
【0337】
【表11】
Figure 0003897582
これに対し、比較のため、全ての層で高周波電力の比率を0.3に固定した以外は実施例6と同様にして、正帯電用の電子写真感光体を作製し、実施例6−2とした。
【0338】
このようにして作製した感光体について、実施例5と同様の評価を行った結果を表10に示す。表10においては、実施例6−2の結果を基準とし、15%以上の良化を◎、5%以上15%未満の良化を○、5%未満の良化を△で示した。
【0339】
表10から明らかなように、いずれの項目においても実施例6−1と実施例6−2との間に差が認められた。また、実施例6で作製された電子写真感光体を用いて形成された画像は、ゴーストや画像濃度むら、画像欠陥、画像流れ等のない極めて良好なものであった。
【0340】
<実施例7>
図3に示す構成の装置を用い、発振周波数が80MHz(f1)と50MHz(f2)との2種類の高周波電力に加えて不図示の電源より第3の高周波電力300KHz(f3)をマッチングボックスを介さずに直接高周波電極に供給し、直径80mm、長さ358mmの円筒状アルミニウムシリンダ上に、表12に示す条件で、電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなる電子写真感光体を作製した。その際、各層毎に周波数がf1の高周波電力と周波数がf2の高周波電力との電力比率(P2/(P1+P2))を変えて層形成をし、正帯電用の電子写真感光体を作製した。
【0341】
【表12】
Figure 0003897582
このようにして作製した感光体について、実施例5と同様の評価を行った結果、何れの項目においても実施例5と同様に良好な結果が得られた。本実施例で作製された電子写真感光体を用いて形成された画像は、ゴーストや画像濃度むら、画像欠陥、画像流れ等のない極めて良好なものであった。
【0342】
<実施例8>
図3に示す構成の装置を用い、発振周波数が200MHz(f1)と105MHz(f2)との2種類の高周波電力を高周波電極に供給し、直径108mm、長さ358mmの円筒状アルミニウムシリンダ上に、表13に示す条件で、電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなる電子写真感光体を作製した。その際、光導電層では総電力は一定として層形成中に2つの高周波の電力比率を変えて層形成し、更に各層毎に2つの高周波の電力比率を変えて層形成をし、正帯電用の電子写真感光体を作製し、実施例8−1とした。
【0343】
【表13】
Figure 0003897582
これに対し、比較のため、全ての層で高周波電力の比率を0.3に固定した以外は実施例8と同様にして、正帯電用の電子写真感光体を作製し、実施例8−2とした。
【0344】
このようにして作製した感光体を、キヤノン製複写機GP−605に設置して特性評価を行った。その際、プロセススピード300mm/sec、前露光(波長700nmのLED)光量4lx・s、帯電器の電流値1000μAの条件にて電子写真装置の帯電器位置にセットした表面電位計(TREK社のModel344)の電位センサーにより非露光状態での感光体の表面電位を測定し、それを帯電能とした。
【0345】
そして、非露光状態での表面電位が400V(暗電位)になるように帯電器の電流値を調整した後、像露光(波長680nmのレーザー)を照射した。次いで、像露光光源の光量を調整して、表面電位が50V(明電位)となるようにし、そのときの露光量を感度とした。
【0346】
また、非露光状態で暗電位になるように帯電させておき、いったん明電位となるような露光量で露光し、再度非露光状態としたときの表面電位と露光直前の表面電位との差を光メモリーとした。
【0347】
これらの項目について感光体の母線方向全域にわたって測定し、平均値に対する最大値と最小値との差の割合を「母線方向むら」として評価した。
【0348】
評価結果を表10に示す。表10においては、実施例8−2の結果を基準とし、15%以上の良化を◎、5%以上15%未満の良化を○、5%未満の良化を△で示した。
【0349】
表10から明らかなように、いずれの項目においても実施例8−1と実施例8−2との間に差が認められた。
【0350】
また、実施例8で作製された電子写真感光体を用いて形成された画像は、ゴーストや画像濃度むら、画像欠陥、画像流れ等のない極めて良好なものであった。
【0351】
<実施例9>
図3に示す構成の装置を用い、発振周波数が105MHz(f1)と60MHz(f2)との2種類の高周波電力を高周波電極に供給し、直径108mm、長さ358mmの円筒状アルミニウムシリンダ上に、表14に示す条件で、電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなる電子写真感光体を作製した。その際、光導電層と表面層では総電力は一定として層形成中に2つの高周波の電力比率を変えて層形成し、更に各層毎に2つの高周波の電力比率を変えて層形成をし、正帯電用の電子写真感光体を作製し、実施例9−1とした。
【0352】
【表14】
Figure 0003897582
これに対し、比較のため、全ての層で高周波電力の比率を0.3に固定した以外は実施例5と同様にして、正帯電用の電子写真感光体を作製し、実施例9−2とした。
【0353】
このようにして作製した感光体を、キヤノン製複写機GP−605に設置して、実施例8と同様の特性評価を行った。
【0354】
その評価結果を表10に示す。表10から明らかなように、いずれの項目においても実施例9−1と実施例9−2との間に差が認められた。
【0355】
また、実施例9で作製された電子写真感光体を用いて形成された画像は、ゴーストや画像濃度むら、画像欠陥、画像流れ等のない極めて良好なものであった。
【0356】
<実施例10>
図3に示す構成の装置を用い、発振周波数が80MHz(f1)と50MHz(f2)との2種類の高周波電力に加えて不図示の電源より第3の高周波電力500KHz(f3)をマッチングボックスを介さずに直接高周波電極に供給し、直径108mm、長さ358mmの円筒状アルミニウムシリンダ上に、表15に示す条件で、電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなる電子写真感光体を作製した。その際、各層領域毎に周波数がf1の高周波電力と周波数がf2の高周波電力との電力比率(P2/(P1+P2))を変えて層形成をし、正帯電用の電子写真感光体を作製した。
【0357】
【表15】
Figure 0003897582
このようにして作製した感光体について、実施例8と同様の評価を行った結果、何れの項目においても実施例8と同様に良好な結果が得られた。また、本実施例で作製された電子写真感光体を用いて形成された画像は、ゴーストや画像濃度むら、画像欠陥、画像流れ等のない極めて良好なものであった。
【0358】
<実施例11>
図3に示す構成の装置を用い、発振周波数が150MHz(f1)と60MHz(f2)との2種類の高周波電力を高周波電極に供給し、直径30mm、長さ358mmの円筒状アルミニウムシリンダ上に、表16に示す条件で、電荷注入阻止層、光導電層、中間層、表面層からなる電子写真感光体を作製した。その際、各層毎に2つの高周波電力の電力比率を変えて層形成をし、負帯電用の電子写真感光体を作製し、実施例11−1とした。
【0359】
【表16】
Figure 0003897582
これに対し、比較のため、全ての層で2つの高周波電力の比率を0.25に固定した以外は実施例7と同様にして、負帯電用の電子写真感光体を作製し、実施例11−2とした。
【0360】
このようにして作製した感光体を、キヤノン製複写機GP−215に設置して特性評価を行った。
【0361】
その際、プロセススピード200mm/sec、前露光(波長680nmのLED)光量4lx・s、帯電器の電流値1000μAの条件にて電子写真装置の帯電器位置にセットした表面電位計(TREK社のModel344)の電位センサーにより非露光状態での感光体の表面電位を測定し、それを帯電能とした。
【0362】
そして、非露光状態での表面電位が400V(暗電位)になるように帯電器の電流値を調整した後、像露光(波長660nmのレーザー)を照射した。次いで、像露光光源の光量を調整して、表面電位が50V(明電位)となるようにし、そのときの露光量を感度とした。
【0363】
また、非露光状態で暗電位になるように帯電させておき、いったん明電位となるような露光量で露光し、再度非露光状態としたときの表面電位と露光直前の表面電位との差を光メモリーとした。
【0364】
これらの項目について感光体の母線方向全域にわたって測定し、平均値に対する最大値と最小値との差を「母線方向むら」として評価した。
【0365】
その評価結果を表10に示す。表10においては、実施例11―2の結果を基準とし、15%以上の良化を◎、5%以上15%未満の良化を○、5%未満の良化を△で示した。
【0366】
表10から明らかなように、いずれの項目においても実施例11−1と実施例11−2との間に差が認められた。
【0367】
また、実施例11で作製された電子写真感光体を用いて形成された画像は、ゴーストや画像濃度むら、画像欠陥、画像流れ等のない極めて良好なものであった。
【0368】
<実施例12>
図2に示す構成の装置を用い、図9の構成を有する太陽電池セルを作製した。
【0369】
まず、厚さ0.5mm、縦300mm×横300mmのステンレス板をアセトンとイソプロピルアルコールとを混合させたものに浸漬して超音波洗浄を行った後、温風乾燥させた。そして、DCマグネトロンスパッタ法を用い、形成温度300℃でテクスチャリング構造を有する膜厚0.8μmのAgを堆積させ、続いて形成温度300℃でテクスチャリング構造を有する膜厚4.0μmのZnOの透明導電膜を堆積させた。
【0370】
次に、図2に示す構成の装置を用い、発振周波数が105MHz(f1)と60MHz(f2)との2種類の高周波電力を高周波電極2114に供給し、表17に示す条件で、ZnO透明導電膜上にpin層を形成した。その際、各層毎に上記2つの高周波電力の電力比率を変えて層形成をした。
【0371】
続いて、抵抗加熱を用いた真空蒸着法により、透明電極としてITOを約600Åの厚さに堆積し、さらに、電子ビームを用いた真空蒸着法により、集電電極としてAuを約8000Åの厚さに堆積して光起電力素子を作製し、実施例12−1とした。
【0372】
【表17】
Figure 0003897582
また、比較のため、各層での高周波の電力比率を全て0.3に固定した以外は同条件にて光起電力素子を作製し、実施例12−2とした。
【0373】
このようにして得られた光起電力素子について、AM1.5の光を照射したときの解放電圧の前記基板内における分布状態を調べたところ、本発明のごとく各層で電力比率を変えたことによって、電力比率が一定の場合の実施例12−2に比べて解放電圧の基板面内での最大値と最小値との差が10%低減されることが確認された。
【0374】
<実施例13>
図2に示す構成の装置を用い、発振周波数が105MHz(f1)と70MHz(f2)との2種類の高周波電力を高周波電極2114に供給し、表18に示す条件で基板ステージ上に設置した直径200mmのSiウェハ上に形成したSiO2膜のエッチング処理を行い、そのエッチングレートの分布状態を基板全面にわたって調べた。この際、エッチング中に高周波電力の電力比率を変えてエッチング処理を行い、実施例13−1とした。
【0375】
【表18】
Figure 0003897582
また、比較のため、同条件で電力比率を0.5に固定して同様にエッチング処理を行い、実施例13−2とした。
【0376】
その結果、エッチング処理中に高周波電力の電力比率を変えることによって、電力比率が一定の場合に比べて基板面内のエッチングレートの最大と最小との差が15%低減され、基板内においてより均一にエッチング処理されていることが確認された。
【0377】
<実施例14−1>
図10に示した真空処理装置を用い、第1の高周波電源110Aの発振周波数f1を105MHz、第2の高周波電源110Bの発振周波数f2を50MHzとし、それらから供給された高周波電力を第1および第2の整合回路112A、112Bを介した後に一旦合成し、その後六方向に分岐して六本のプラズマ発生用高周波電極103に印加することにより、直径80mm、長さ358mmの円筒状アルミニウムシリンダ製の基体101上に、表19に示す条件のうち光導電層形成条件のみを用いて、堆積膜速度評価用のサンプルを作成した。
【0378】
また、同様に、図10に示した真空処理装置を用い、第1の高周波電源110Aの発振周波数f1を105MHzとし、第2の高周波電源110Bの発振周波数f2を50MHzとし、それらから供給された高周波電力を第1および第2の整合回路112A、112Bを介した後に一旦合成し、その後六方向に分岐して六本のプラズマ発生用高周波電極103に印加することにより、直径80mm、長さ358mmの円筒状アルミニウムシリンダ製の基体101上に、表19に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなる電子写真用感光体を作成した。
【0379】
【表19】
Figure 0003897582
【0380】
<実施例14−2>
本例では、実施例14−1で使用した図10の真空処理装置に代えて、図15に示すように反応容器602の中央に一本のプラズマ発生用高周波電極603を配置した真空処理装置を用い、第1の高周波電源610Aの発振周波数を105MHzとし、第2の高周波電源610Bの発振周波数を50MHzとし、それらから供給された高周波電力を第1および第2の整合回路612A、612Bを介した後に合成し、一本のプラズマ発生用高周波電極603に印加することにより、直径80mm、長さ358mmの円筒状アルミニウムシリンダ製の基体601上に、表20に示す条件のうち、光導電層形成条件のみを用いて、堆積膜速度評価用のサンプルを作成した。
【0381】
また、同様に、図15に示した堆積膜形成装置を用い、第1の高周波電源610Aの発振周波数を105MHzとし、第2の高周波電源610Bの発振周波数を50MHzとし、それらから供給された高周波電力を第1および第2の整合回路612A、612Bを介した後に合成し、一本のプラズマ発生用高周波電極603に印加することにより、直径80mm、長さ358mmの円筒状アルミニウムシリンダ製の基体601上に、表20に示す条件を用いて電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなる電子写真用感光体を作成した。
【0382】
【表20】
Figure 0003897582
実施例14−1および実施例14−2において作製した二種類のサンプルから光導電層形成時の堆積膜形成速度および電子写真特性を以下に記載した方法で評価し、実施例14−1で作製したサンプルと実施例14−2で作製したサンプルとの比較を行った。その結果を表21に示す。
【0383】
【表21】
Figure 0003897582
『堆積膜形成速度評価方法』
作成した堆積膜形成速度評価用サンプルの軸方向中心位置において円周方向等間隔に八点の膜厚を、渦電流式膜厚測定器(HELMUT FICHER社製のtype E111)を用いて測定しその平均値を求め、堆積膜形成時間より堆積膜形成速度を求める。
【0384】
実施例14−2を基準とし、それと比較することにより以下のランクに区分した。
【0385】
A:50%以上の向上
B:25%以上の向上
C:同等以下
『電子写真特性評価方法』
作成した各々の電子写真用感光体を本評価用に改造されたキヤノン製の複写機NP−6750に設置し、評価項目は、『帯電能』、『感度』、『光メモリ』、三項目とし、以下の具体的評価法により各項目の評価を行った。
『帯電能』
複写機の主帯電器に一定の電流を流したときの現像器位置での暗部電位を『帯電能』とする(ただし、周方向一周の平均値とする)。従って、数値が大きいほど良好である。電子写真用感光体の母線方向全域にわたって『帯電能』を測定し、最も大きい値について、実施例14−2を基準とし、それと比較することにより以下のランクに区分した。
【0386】
A:10%以上の向上
B:10%未満の向上
C:同等以下
『感度』
現像器位置における暗部電位が所定の値となるように、主帯電器の電流値を調整した後、像露光を照射する。ついで像露光光源の光量を調整して、現像器位置における表面電位(明電位)が所定の値となるようにし、そのときの露光量を『感度』とする(ただし、周方向一周の平均値とする)。従って数値が小さいほど良好である。電子写真用感光体の母線方向全域にわたって『感度』を測定し、最も小さい値について、実施例14−2を基準とし、それと比較することにより以下のランクに区分した。
【0387】
A:10%以上の向上
B:10%未満の向上
C:同等もしくは悪化
『光メモリ』
現像器位置における暗部電位が所定の値となるように、主帯電器の電流値を調整した後、現像器位置における表面電位(明電位)が所定の値となるよう光量が調整された像露光を照射し、その後再度先と同じ電流値で帯電したときの現像位置での表面電位と、先の非露光状態での表面電位(暗部電位)との電位差を測定し『光メモリ』とする(ただし、周方向一周の平均値とする)。従って数値が小さいほど良好である。電子写真用感光体の母線方向全域にわたって『光メモリ』を測定し、最も小さい値について、実施例14−2を基準とし、それと比較することにより以下のランクに区分した。
【0388】
A:10%以上の向上
B:10%未満の向上
C:同等もしくは悪化
【0389】
(実施例14−3)
本例では、実施例14−2と同じく図15に示した堆積膜形成装置を用い、第1の高周波電源610Aの発振周波数を105MHzとし、第2の高周波電源610Bの発振周波数を50MHzとし、それらから供給された高周波電力を第1および第2の整合回路612A、612Bを介した後に合成し、一本のプラズマ発生用高周波電極603に印加することにより、直径80mm、長さ358mmの円筒状アルミニウムシリンダ製の基体601上に、実施例14−1で使用した表19に示す条件を用いて電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなる電子写真用感光体を作成した。
【0390】
実施例14−1および実施例14−3において作製した電子写真用感光体の電子写真特性むらを以下に記載した方法で評価し、実施例14−1で作製したサンプルと実施例14−3で作製したサンプルとの比較を行った。その結果を表22に示す。
【0391】
【表22】
Figure 0003897582
『電子写真特性むら評価方法』
作成した各々の電子写真用感光体を本評価用に改造されたキヤノン製の複写機NP−6750に設置し、評価項目は、『帯電能母線方向むら』、『感度母線方向むら』、『光メモリ母線方向むら』、『画像濃度むら』の四項目とし、以下の具体的評価法により各項目の評価を行った。
『帯電能母線方向むら』
電子写真用感光体の母線方向全域にわたって『帯電能』を測定し、平均値に対する最大値と最小値の差を帯電能むらとして評価した。従って、数値が小さいほど良好である。それぞれについて実施例14−3を基準とし、それと比較することにより以下のランクに区分した。
【0392】
A:50%未満に良化
B:50%以上75%未満に良化
C:75%以上同等以下に良化
D:悪化
『感度母線方向むら』
電子写真用感光体の母線方向全域にわたって『感度』を測定し、平均値に対する最大値と最小値の差を感度むらとして評価した。従って数値が小さいほど良好である。それぞれについて実施例14−3を基準とし、それと比較することにより以下のランクに区分した。
【0393】
A:50%未満に良化
B:50%以上75%未満に良化
C:75%以上同等以下に良化
D:悪化
『光メモリ母線方向むら』
電子写真用感光体の母線方向全域にわたって『光メモリ』を測定し、平均値に対する最大値と最小値の差を感度むらとして評価した。従って数値が小さいほど良好である。それぞれについて実施例14−3を基準とし、それと比較することにより以下のランクに区分した。
【0394】
A:50%未満に良化
B:50%以上75%未満に良化
C:75%以上同等以下に良化
D:悪化
『画像濃度むら』
現像器位置での暗部電位が一定値となるよう主帯電器の電流値を調整した後、原稿に反射濃度0.1以下の所定の白紙を用い、現像器位置での明部電位が所定の値となるよう像露光光量を調整した。ついでキヤノン製中間調チャート(部品番号:FY9−9042)を原稿台に置き、コピーしたときに得られたコピー画像上全領域における反射濃度の最高値と最低値の差により評価した。従って数値が小さいほど良好である。それぞれについて実施例14−3を基準とし、それと比較することにより以下のランクに区分した。
【0395】
A:50%未満に良化
B:50%以上75%未満に良化
C:75%以上同等以下に良化
D:悪化
表21および表22から明らかなように、周波数の異なる複数の高周波電力を一旦合成した後に分岐して、複数のプラズマ発生用高周波電極各々に印加することにより、印加する高周波電力を大きくした条件においても、十分な定在波抑制効果を得ることができ、極めて良質な堆積膜を均一かつ高速で形成することが可能となることがわかる。また、本例においては、実施例14−1と実施例14−2において作成した電子写真用感光体の電子写真特性むらの比較も同時に行っているが、共に十分な定在波抑制効果を得ることができており、ほぼ同等の結果であったことから表21には記載していない。
【0396】
<実施例15>
本例では、実施例14−1で使用した図10の真空処理装置に代えて図11に示すように、各々のプラズマ発生用高周波電極の給電点側に、補助整合回路401としてインピーダンス可変のLC回路を配置した真空処理装置を用い、第1の高周波電源110Aの発振周波数f1を105MHz、第2の高周波電源110Bの発振周波数f2を50MHzとし、それらから供給された高周波電力を第1および第2の整合回路112A、112Bを介した後に一旦合成し、その後六方向に分岐し、補助整合回路401を介して六本のプラズマ発生用高周波電極103に印加することにより、直径80mm、長さ358mmの円筒状アルミニウムシリンダ製の基体101上に、表19に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなる電子写真用感光体を作成した。なお、堆積膜形成中は適宜LC回路のインピーダンスを変化させた。
【0397】
<実施例16>
本例では、実施例15で使用した図11の真空処理装置において、各々のプラズマ発生用高周波電極の給電点側に、補助整合回路401として30pFのコンデンサを配置した真空処理装置を用い、第1の高周波電源110Aの発振周波数f1を105MHz、第2の高周波電源110Bの発振周波数f2を50MHzとし、それらから供給された高周波電力を第1および第2の整合回路112A、112Bを介した後に一旦合成し、その後六方向に分岐し、コンデンサを介して六本のプラズマ発生用高周波電極103に印加することにより、直径80mm、長さ358mmの円筒状アルミニウムシリンダ製の基体101上に、表19に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなる電子写真用感光体を作成した。
【0398】
実施例15および実施例16において作製した電子写真用感光体の電子写真特性むらを評価し、実施例14−2で作製した電子写真用感光体との比較を行った。その結果を表23に示す。表23から明らかなように、各々のプラズマ発生用高周波電極の給電点側に補助整合回路を配置し、周波数の異なる高周波電力を一旦合成した後に分岐し、さらに補助整合回路を介した後にプラズマ発生用高周波電極印加することによって、より顕著な定在波抑制効果を得ることができ、膜質の均一性をさらに高めることが可能となることがわかる。
【0399】
また、実施例15および実施例16において作成した電子写真用感光体の堆積膜形成速度および電子写真特性に関しては実施例14−1において作成した電子写真用感光体と同等であった。また、実施例16において、コンデンサを使用した場合では、装置の組み上げ等の作業性が向上した。
【0400】
【表23】
Figure 0003897582
なお、評価方法は前述した方法を用い、実施例14−2と比較し、ランクは以下のとおりとした。
『帯電能母線方向むら』
A:50%未満に良化
B:50%以上75%未満に良化
C:75%以上同等以下に良化
D:悪化
『感度母線方向むら』
A:50%未満に良化
B:50%以上75%未満に良化
C:75%以上同等以下に良化
D:悪化
『光メモリ母線方向むら』
A:50%未満に良化
B:50%以上75%未満に良化
C:75%以上同等以下に良化
D:悪化
『画像濃度むら』
A:50%未満に良化
B:50%以上75%未満に良化
C:75%以上同等以下に良化
D:悪化
<実施例17>
本例では、実施例16で使用した図11の真空処理装置に代えて図12に示すように、各々のプラズマ発生用高周波電極をアルミナセラミックス製の誘電体部材501の外に配置し、さらに各々のプラズマ発生用高周波電極の給電点側に、補助整合回路401として20pFのコンデンサを配置した真空処理装置を用い、第1の高周波電源110Aの発振周波数f1を105MHz、第2の高周波電源110Bの発振周波数f2を50MHzとし、それらから供給された高周波電力を第1および第2の整合回路112A、112Bを介した後に一旦合成し、その後六方向に分岐し、コンデンサを介して六本のプラズマ発生用高周波電極103に印加することにより、直径80mm、長さ358mmの円筒状アルミニウムシリンダ製の基体101上に、表19に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなる電子写真用感光体を作成した。
【0401】
実施例17において作製した電子写真用感光体の電子写真特性むらを評価し、実施例14−2で作製した電子写真用感光体との比較を行った。その結果を表24に示す。表24から明らかなように、各々のプラズマ発生用高周波電極を誘電体部材の外に配置することによって、より顕著な定在波抑制効果を得ることができ、膜質の均一性をさらに高めることが可能となることがわかる。また、実施例17において作成した電子写真用感光体の堆積膜形成速度および電子写真特性に関しては実施例14−1において作成した電子写真用感光体と同等であった。
【0402】
【表24】
Figure 0003897582
なお、評価方法は前述した方法を用い、比較ランクは実施例15と同様である。
【0403】
<実施例18>
本例では、実施例17で使用した図12の真空処理装置に代えて図13に示すように、各々のプラズマ発生用高周波電極をアルミナセラミックス製の誘電体部材501の外に配置し、さらに一本の原料ガス導入手段104を誘電体部材501の中央に配置し、各々のプラズマ発生用高周波電極の給電点側に、補助整合回路401として20pFのコンデンサを配置した真空処理装置を用い、第1の高周波電源110Aの発振周波数f1を105MHz、第2の高周波電源110Bの発振周波数f2を70MHzとし、それらから供給された高周波電力を整合回路112A、112Bを介した後に一旦合成し、その後六方向に分岐し、コンデンサを介して六本のプラズマ発生用高周波電極103に印加することにより、直径108mm、長さ358mmの円筒状アルミニウムシリンダ製の基体101上に、表25に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなる電子写真用感光体を作成した。
【0404】
作成した各々の電子写真用感光体を本評価用に改造されたキヤノン製の複写機GP−605に設置し、電子写真特性および電子写真特性むらについて評価したところ、いずれの電子写真用感光体も良好な結果が得られた。
【0405】
さらに文字原稿を複写したところ、黒濃度が高く鮮明な画像が得られた。また、写真原稿の複写においても原稿に忠実で鮮明な画像を得ることができた。
【0406】
【表25】
Figure 0003897582
<実施例19>
本例では、実施例18で使用した図13の真空処理装置に代えて図14に示したように、三つの高周波電源を配置した真空処理装置を用い、第1の高周波電源110Aの発振周波数f1を105MHz、第2の高周波電源110Bの発振周波数f2を50MHz、第3の高周波電源801の発振周波数f3を400kHzとし、それらから供給された高周波電力をそれぞれ第1の整合回路112A、第2の整合回路112B、および第3の整合回路802を介した後に一旦合成し、その後六方向に分岐し、コンデンサを介して六本のプラズマ発生用高周波電極103に印加することにより、直径108mm、長さ358mmの円筒状アルミニウムシリンダ製の基体101上に、実施例18で使用した表25に示す条件に代えて表26に示す条件を用いて電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなる電子写真用感光体を作成した。なお、表26に示す条件においては、基準となる電力値上位二つの高周波電力の周波数は105MHzおよび50MHzとなっている。
【0407】
作成した各々の電子写真用感光体を本評価用に改造されたキヤノン製の複写機GP−605に設置し、電子写真特性および電子写真特性むらについて評価したところ、いずれの電子写真用感光体も良好な結果が得られた。
【0408】
さらに文字原稿を複写したところ、黒濃度が高く鮮明な画像が得られた。また、写真原稿の複写においても原稿に忠実で鮮明な画像を得ることができた。
【0409】
【表26】
Figure 0003897582
【0410】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の真空処理方法は、高周波電極に供給される少なくとも2つの高周波電力のうちの一方の高周波電力の周波数をf1、電力値をP1とし、他方の高周波電力の周波数をf2、電力値をP2としたとき、周波数f1,f2および電力値P1,P2が、250MHz ≧ f1 > f2 ≧ 30MHz(b)電力値P1,P2は、高周波電極に供給される高周波電力のうちの上記(a)の周波数範囲内にある高周波電力が有する電力値の中で、最も大きな電力値から上位2つの高周波電力値である(c)0.9 ≧ P2/(P1+P2) ≧ 0.1の3つの条件(a)〜(c)を全て満たすので、真空処理速度を高く維持しながらも、真空処理特性の向上を達成し、さらには真空処理特性の均一性を極めて高いレベルとすることができる。したがって、高品質で均一性が高い大面積を有する堆積膜等を短時間で形成することができるので、製品品質の向上とともに良品率の向上を実現することができ、真空処理のコストの低減を図ることが可能となる。
【0411】
さらに、本発明の真空処理方法は、互いに異なる周波数を有する複数の高周波電力を高周波電極に同時に供給し、被処理物の処理中に複数の高周波電力の各高周波電力の電力比率を変えるので、従来のプラズマプロセスでは達成できなかった処理速度で大面積の基体を均一にプラズマ処理することが可能になる。さらに、基体の面内方向において、膜厚、膜質が共に極めて均一な堆積膜を高速で形成することが可能になる。
【0412】
また、本発明の半導体装置の製造方法は、互いに異なる周波数を有する複数の高周波電力を高周波電極に同時に供給し、複数の層領域のうちの少なくとも2つの層領域に関して、一方の層領域を形成するときと他方の層領域を形成するときとで複数の高周波電力の各高周波電力の電力比率を変え、また、これに加えて、あるいはこれに代えて、複数の層領域のうちの少なくとも1つの層領域の形成中に複数の高周波電力の各高周波電力の電力比率を変えるので、円筒状基体または平面状基体の表面上に該基体のいずれの方向に関しても膜厚、膜質が共に均一でしかも特性的に優れた、本発明の半導体装置を製造することが可能になる。
【0413】
また、本発明の真空処理装置は、互いに異なる周波数の高周波電力を一旦合成した後に分岐し、複数の高周波電極に印加することによって、各々の高周波電極に印加される電力値は正常な放電を維持する程度の値であっても、反応容器内に導入される総電力値は大きくすることができ、それにより、十分な定在波抑制効果を維持した状態で、堆積膜形成速度および膜質をさらに向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の真空処理方法に適用しうる高周波電源を示すブロック図である。
【図2】本発明の真空処理方法を行うことができるプラズマ処理装置の一実施形態を示す模式図である。
【図3】本発明の真空処理方法を行うことができるプラズマ処理装置の他の実施形態を示す模式図である。
【図4】本発明の実験例1による堆積膜の長尺方向のむらの程度を示すグラフである。
【図5】本発明の実験例2における、第1の高周波電力の周波数f1が10MHz(f2が6MHz)の場合の堆積速度を基準とした堆積速度の相対値を示すグラフである。
【図6】本発明の実験例2による堆積膜の長尺方向のむらの程度を示すグラフである。
【図7】本発明の実験例3による堆積膜の長尺方向のむらの程度を示すグラフである。
【図8】本発明により作成される電子写真感光体の層構成を説明するための模式的構成図である。
【図9】本発明により作成される光起電力素子の層構成を説明するための模式的構成図である。
【図10】本発明における真空処理装置の一例で、プラズマCVD法による電子写真用光受容部材の製造装置の模式的説明図である。
【図11】本発明における真空処理装置の他の例の、プラズマCVD法による電子写真用光受容部材の製造装置の模式的説明図である。
【図12】本発明における真空処理装置の、さらに他の例の、プラズマCVD法による電子写真用光受容部材の製造装置の模式的説明図である。
【図13】本発明における真空処理装置の、またさらに他の例の、プラズマCVD法による電子写真用感光体の製造装置の模式的説明図である。
【図14】本発明における真空処理装置の、さらなる他の例の、プラズマCVD法による電子写真用感光体の製造装置の模式的説明図である。なお、(b)はE−E’における装置の横断面図である。
【図15】本発明における真空処理装置で、プラズマCVD法による電子写真用光受容部材の製造装置の模式的説明図である。なお、(b)はF−F’における装置の横断面図である。
【符号の説明】
101、601 基体
102、602、1111、2111 反応容器
103、603 プラズマ発生用高周波電極
104、604 原料ガス導入手段
105、605 基体支持手段
106、606 基体加熱ヒータ
107、607 ガス配管
108、608 圧力測定手段
109、609 スロットルバルブ
110A、610A 第1の高周波電源
110B、610B 第2の高周波電源
111、611 回転機構
112A、612A 第1の整合回路
112B、612B 第2の整合回路
301、302、303 シグナルジェネレータ
311、312、313 増幅器
321、322、323、701 高周波電源
331、332、333 フィルタ
341 マッチングボックス
401 補助整合回路
501 誘電体部材
502 アースシールド
702 整合回路
801 第3の高周波電源
802 第3の整合回路
1100、2100 堆積装置
1110 中心部
1112、2112 排気管
1113 円筒状基体
1114、2114 高周波電極
1115、2115 マッチングボックス
1116、1117、2116、2117 高周波電源
1118、2118 原料ガス供給手段
1119、2119 原料ガス配管
1120、2120a 発熱体
1121 回転軸
1122 減速ギア
1123 モータ
1221〜1225、2221〜2225 ガスボンベ
1231〜1235、2231〜2235 ヘッダーバルブ
1241〜1245、2241〜2245 ガス流入バルブ
1251〜1255、2251〜2255 ガス流出バルブ
1260、2260 補助バルブ
1261〜1265、2261〜2265 圧力調整器
2113 平板状基体
2120 基板ステージ
8500 感光体
8501 基体
8502 光受容層
8503 光導電層
8504 表面層
8505 電荷注入阻止層
8506 中間層
8510 自由表面
9600 光起電力素子
9601 基体
9602 光反射層
9603 n型層
9604 i型層
9605 p型層
9606 透明電極層
9607 集電電極

Claims (31)

  1. 反応容器中に被処理物を設置し、互いに異なる周波数を有する少なくとも2つの高周波電力を同一の高周波電極に同時に供給することにより、該高周波電極から前記反応容器内に導入された高周波電力によって前記反応容器内にプラズマを生起させて前記被処理物を処理する真空処理方法において、
    前記高周波電極に供給する少なくとも2つの高周波電力のうちの一方の高周波電力の周波数をf1、電力値をP1とし、他方の高周波電力の周波数をf2、電力値をP2としたとき、前記周波数f1、f2および前記電力値P1、P2が、
    (a)250MHz ≧ f1 > f2 ≧ 30MHz
    (b)前記電力値P1、P2は、前記高周波電極に供給される前記高周波電力のうちの上記(a)の周波数範囲内にある高周波電力が有する電力値の中で、最も大きな電力値から上位2つの高周波電力値である
    (c)0.9 ≧ P2/(P1+P2) ≧ 0.1
    の3つの条件(a)〜(c)を全て満たすことを特徴とする真空処理方法。
  2. 前記電力値P1、P2が、
    0.7 ≧ P2/(P1+P2) ≧ 0.2
    の条件を満たす、請求項1に記載の真空処理方法。
  3. 前記周波数f1、f2および前記電力値P1、P2が、
    f2/f1 ≧ P2/(P1+P2)
    の条件を満たす、請求項1または2に記載の真空処理方法。
  4. 前記周波数f1、f2が、
    0.9 ≧ f2/f1 > 0.5
    の条件を満たす、請求項1から3のいずれか1項に記載の真空処理方法。
  5. 前記高周波電極が棒状に形成されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の真空処理方法。
  6. 前記被処理物が円筒状または円柱状に形成されている、請求項1から5のいずれか1項に記載の真空処理方法。
  7. 前記被処理物の表面に堆積膜を形成する、請求項1から6のいずれか1項に記載の真空処理方法。
  8. 前記被処理物の表面に電子写真感光体用堆積膜を形成する、請求項1から6のいずれか1項に記載の真空処理方法。
  9. 前記被処理物の処理中の前記高周波電力の電力比率を変える、請求項1から8のいずれか1項に記載の真空処理方法。
  10. 前記高周波電極に供給する高周波電力を合成する工程と、
    前記合成された高周波電力を分岐して、複数の前記高周波電極に各々印加する工程とを含む請求項1から9のいずれか1項に記載の真空処理方法。
  11. 前記高周波電極に供給する各高周波電力をそれぞれの高周波電源より供給する工程と、
    前記各高周波電力を整合回路を介した後に合成する工程とを含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の真空処理方法。
  12. 前記高周波電極の各々の給電側に補助整合回路を配置し、前記補助整合回路を用いてインピーダンスを調整する工程を含む、請求項1から11のいずれか1項に記載の真空処理方法。
  13. 前記補助整合回路として容量可変ではないコンデンサを用意する工程と、
    前記容量可変ではないコンデンサにより前記インピーダンスを固定する工程とを含む、請求項12に記載の真空処理方法。
  14. 反応容器中に基体を設置し、互いに異なる周波数を有する少なくとも2つの高周波電力を同一の高周波電極に同時に供給することにより、該高周波電極から前記反応容器内に導入された高周波電力によって前記反応容器内にプラズマを生起させて前記基体に複数の層領域を形成して半導体装置を製造する方法において、
    前記高周波電極に供給する少なくとも2つの高周波電力のうちの一方の高周波電力の周波数をf1、電力値をP1とし、他方の高周波電力の周波数をf2、電力値をP2としたとき、前記周波数f1、f2および前記電力値P1、P2が、
    (a)250MHz ≧ f1 > f2 ≧ 30MHz
    (b)前記電力値P1、P2は、前記高周波電極に供給される前記高周波電力のうちの上記(a)の周波数範囲内にある高周波電力が有する電力値の中で、最も大きな電力値から上位2つの高周波電力値である
    (c)0.9 ≧ P2/(P1+P2) ≧ 0.1
    の3つの条件(a)〜(c)を全て満たすことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  15. 前記複数の層領域のうちの少なくとも1つの層領域の形成中に前記高周波電極に供給する複数の高周波電力の電力比率を変える、請求項14に記載の半導体装置の製造方法。
  16. 前記複数の層領域のうちの少なくとも2つの層領域に関して、一方の前記層領域を形成するときと他方の前記層領域を形成するときとで、前記高周波電極に供給する複数の高周波電力の電力比率を変える、請求項14に記載の半導体装置の製造方法。
  17. 反応容器中に基体を設置し、互いに異なる周波数を有する少なくとも2つの高周波電力を同一の高周波電極に同時に供給することにより、該高周波電極から前記反応容器内に導入された高周波電力によって前記反応容器内にプラズマを生起させて前記基体に複数の層領域を形成させる半導体装置において、
    前記複数の層領域は、前記高周波電極に供給する少なくとも2つの高周波電力のうちの一方の高周波電力の周波数をf1、電力値をP1とし、他方の高周波電力の周波数をf2、電力値をP2としたとき、前記周波数f1、f2および前記電力値P1、P2が、
    (a)250MHz ≧ f1 > f2 ≧ 30MHz
    (b)前記電力値P1、P2は、前記高周波電極に供給される前記高周波電力のうちの上記(a)の周波数範囲内にある高周波電力が有する電力値の中で、最も大きな電力値から上位2つの高周波電力値である
    (c)0.9 ≧ P2/(P1+P2) ≧ 0.1
    の3つの条件(a)〜(c)を全て満たし、形成されることを特徴とする半導体装置。
  18. 前記複数の層領域のうちの少なくとも1つの層領域は、該層領域の形成中に前記高周波電極に供給する複数の高周波電力の電力比率を変えて形成されている、請求項17に記載の半導体装置。
  19. 前記複数の層領域のうちの少なくとも2つの層領域は、一方の前記層領域を形成するときと他方の前記層領域を形成するときとで、前記高周波電極に供給する複数の高周波電力の電力比率を変えて形成されている、請求項17に記載の半導体装置。
  20. 前記複数の層領域がシリコン原子を母体とし、水素原子および/またはハロゲン原子を含有する非単結晶材料を含んでいる、請求項17から19のいずれか1項に記載の半導体装置。
  21. 前記半導体装置は電子写真感光体である、請求項20に記載の半導体装置。
  22. 減圧可能な反応容器と、前記反応容器中に配置された被処理物支持手段とを有し、高周波電力によって、前記反応容器内にプラズマを生起させて被処理物を処理する真空処理装置において、
    互いに異なる周波数を有する少なくとも2つの高周波電力を高周波電極に供給する少なくとも1つの高周波電力供給手段と、
    前記各高周波電力の伝送経路のインピーダンスを調整するインピーダンス整合手段と、
    前記互いに異なる周波数の各高周波電力を合成する合成手段と、
    前記合成手段によって合成された高周波電力を分岐する分岐手段と、
    前記分岐手段により分岐された高周波電力が印加される複数の高周波電極とを有し、
    前記高周波電極に供給する少なくとも2つの高周波電力のうちの一方の高周波電力の周波数をf1、電力値をP1とし、他方の高周波電力の周波数をf2、電力値をP2としたとき、前記高周波電力供給手段が供給する前記周波数f1、f2および前記電力値P1、P2が、
    (a)250MHz ≧ f1 > f2 ≧ 30MHz
    (b)前記電力値P1、P2は、前記高周波電極に供給される前記高周波電力のうちの上記(a)の周波数範囲内にある高周波電力が有する電力値の中で、最も大きな電力値から上位2つの高周波電力値である
    (c)0.9 ≧ P2/(P1+P2) ≧ 0.1
    の3つの条件(a)〜(c)を全て満たしていることを特徴とする真空処理装置。
  23. 前記インピーダンス整合手段が、前記高周波電力供給手段と前記合成手段との間に設置されている、請求項22に記載の真空処理装置。
  24. インピーダンス補助整合手段が、前記高周波電極の各々の給電側に設置されている、請求項22または23に記載の真空処理装置。
  25. 前記インピーダンス補助整合手段が、容量可変ではないコンデンサである、請求項24に記載の真空処理装置。
  26. 前記高周波電極が棒状である、請求項22から24のいずれか1項に記載の真空処理装置。
  27. 前記被処理物が円筒状である、請求項22から25のいずれか1項に記載の真空処理装置。
  28. 前記反応容器が円筒状であり、該反応容器と同一の中心軸を有する円周上に前記高周波電極が等間隔で配置されている、請求項22から26のいずれか1項に記載の真空処理装置。
  29. 前記高周波電極が、少なくとも一部分が誘電体部材で構成された前記反応容器の外に設置されている、請求項28に記載の真空処理装置。
  30. 前記反応容器と同一の中心軸を有する円周上に、複数の前記被処理物支持手段が等間隔で配置されている、請求項29に記載の真空処理装置。
  31. 前記反応容器の中央に一つの原料ガス導入手段が配置されている、請求項30に記載の真空処理装置。
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