JP2003313668A - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

半導体装置の製造方法

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JP2003313668A
JP2003313668A JP2002122890A JP2002122890A JP2003313668A JP 2003313668 A JP2003313668 A JP 2003313668A JP 2002122890 A JP2002122890 A JP 2002122890A JP 2002122890 A JP2002122890 A JP 2002122890A JP 2003313668 A JP2003313668 A JP 2003313668A
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JP2002122890A
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Hiroaki Niino
博明 新納
Kunimasa Kawamura
邦正 河村
Yukihiro Abe
幸裕 阿部
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高周波電力によって原料ガスをプラズマ化
し、基体上に堆積膜を形成する、半導体装置の製造方法
において、高速な処理速度で大面積の基体上に、膜厚、
膜質共に均一で欠陥の少ない堆積膜を形成する。 【解決手段】 最初の工程において、支持体上に、所定
の原料ガス流量、高周波電力で第1の層を形成する。そ
の後の工程において、第1の層領域におけるのとは異な
る、原料ガス流量、高周波電力で第2の層を形成する。
第1の層を形成する工程と第2の層を形成する工程の間
には、原料ガス流量、高周波電力を、第1の層における
量から第2の層における量へと徐々に変化させる遷移領
域を設ける。遷移領域では、高周波電力を、原料ガス流
量を変化させ始めるタイミングとはずれたタイングで変
化させ始める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、反応容器内に原料
ガスと高周波電力を供給して堆積膜を形成する、半導体
装置の製造方法に関し、特に、非単結晶質の機能性堆積
膜、その中でも、光(ここでは広義の光であって、紫外
線、可視光線、赤外線、X線、γ線などを含む。)のよ
うな電磁波に対して感受性のある光受容部材を広範囲に
わたって連続して安定に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体デバイス、電子写真感光
体、画像入力用ラインセンサー、撮影デバイス、光起電
力デバイス、その他各種エレクトロニクス素子、光学素
子等の形成に用いる真空処理方法としては、真空蒸着
法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラ
ズマエッチング法等、多数の方法が知られており、その
ための装置も実用に付されている。
【0003】特に、円筒状の支持体上にアモルファスシ
リコン(a−Si)からなる光受容部材を形成する方法
としては、原料ガスを直流または高周波グロー放電によ
り分解して、基体上に薄膜状の堆積膜を形成するプラズ
マCVD法が好適な堆積膜形成手段として実用化されて
おり、そのための装置も各種提案されている。プラズマ
CVD法の中でも、特に、放電にVHF帯の高周波電力
を用いたプラズマCVD(以後「VHF−PCVD」と
略記する)法は、膜堆積速度が速く、また高品質な堆積
膜が得られるため、製品の低コスト化、高品質化を同時
に達成し得るものとして期待されている。このため、近
年、VHF−PCVD法は注目を浴びており、これを用
いた各種堆積膜形成装置の開発が積極的に進められてい
る。
【0004】このような堆積膜形成装置として、特に、
複数のa−Si系電子写真用光受容部材を同時に形成で
き、したがって、高い生産性が得られる堆積膜形成装置
の開発も進められている。図5はこのようなVHF−P
CVD法を用いた、電子写真感光体の製造装置の一例を
示す模式的な構成図である。
【0005】この製造装置は、堆積膜形成処理が行われ
る反応容器5111を有している。反応容器5111の
側面には排気管5112が一体的に形成され、この排気
管5112は不図示の排気装置に接続されている。反応
容器5111内には、その中心部5110付近に高周波
電力を供給する高周波電極5117と、原料ガスを供給
する原料ガス導入管5118が設けられている。高周波
電極5117には、マッチングボックス5115を介し
て高周波電源5116が接続されており、原料ガス導入
管5118には不図示の原料ガス供給手段が接続されて
いる。
【0006】堆積膜の形成される複数の円筒状基体51
13は、反応容器5111内に、中心部5110を取り
囲むように配置されている。各円筒状基体5113は、
それを支持する支持体5114と共に回転軸5121に
よって保持されている。回転軸5121には、減速ギア
5122を介してモータ5123が接続されており、モ
ータ5123を駆動すると、回転軸5121が回転し、
基体支持部材5114がその母線方向中心軸のまわりを
自転するようになっている。基体支持部材5114の内
側には、円筒状基体5113を必要に応じて加熱する発
熱体5120が設けられている。
【0007】このような装置を用いた堆積膜形成は概略
以下のような手順により行うことができる。
【0008】まず、反応容器5111内に円筒状基体5
113を載置した支持体5114を設置し、不図示の排
気装置によって、排気管5112を通して反応容器51
11内の排気を行う。続いて、発熱体5120により円
筒状基体5113を200℃〜300℃程度の所定の温
度に加熱・制御する。
【0009】円筒状基体5113が所定の温度となった
ところで、原料ガス導入管5118を介して反応容器5
111内に原料ガスを導入する。原料ガスの流量が設定
流量となり、また、反応容器5111内の圧力が安定し
たのを確認した後、高周波電源5116よりマッチング
ボックス5115を介して高周波電極5117へ所定の
VHF電力を供給する。導入されたVHF電力によっ
て、反応容器5111内にはグロー放電が生起され、そ
れによって原料ガスは励起解離されて円筒状基体511
3上に堆積し、堆積膜が形成される。堆積膜の形成中、
回転軸5121を介して基体支持部材5114をモータ
5123によって所定の速度で回転させる。それによっ
て、円筒状基体5113の表面全周に渡って均一に堆積
膜が形成されるようにできる。
【0010】堆積膜を所望の膜厚だけ形成した後、VH
F電力の供給を止め、続いて原料ガスの供給を停止して
堆積膜の形成処理を終える。同様の操作を複数回繰り返
すことによって、所望の多層構造の光受容層が形成され
る。
【0011】また、このように多層の堆積膜を形成して
良好な感光体特性を得るために、層形成条件の検討も進
められている。例えば、特開平8−179536号公報
には、電子写真感光体の光導電層形成時に、初期から、
放電電力と、シリコン原子を供給し得る原料ガスおよび
稀釈ガスの導入量を特定範囲の割合で変化させて、電位
特性に優れ、画像欠陥の少ない電子写真感光体を得る技
術が開示されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上記のような方法・装
置により、良好な堆積膜形成を行うことができるが、製
造される製品に対する市場の要求レベルは日々高まって
おり、より高品質の製品を生産可能な堆積膜形成方法が
求められるようになっている。
【0013】例えば、電子写真感光体に関しては、電子
写真装置のプロセススピード向上、装置の小型化、低価
格化等の要求により、これらを実現可能な感光体特性を
得ることが求められている。具体的には、製造する感光
体の帯電能、感度等を向上させること、また、製造時の
良品率を向上させることが不可欠となっている。
【0014】また、近年その普及が目覚しいデジタル電
子写真装置やカラー電子写真装置においては、文字原稿
のみならず、写真、絵、デザイン画等のコピーも頻繁に
なされ、従来以上に品位の高い画像を形成することが求
められている。このため、それに用いる感光体には、光
メモリー性を低減すること、すなわち除電後に先の露光
の影響が残らないようにすることがますます求められる
ようになっている。さらに、画像濃度ムラを低減するた
めに、感光体製造時には、大面積の基体上に膜厚、膜質
共に均一な膜を形成することが求められている。また、
画像欠陥に関しても個数、大きさ共に従来以上に低減す
ることが必要とされている。特に、電子写真装置の解像
度が向上するのに従い、俗に「ポチ」と呼ばれる、白点
状または黒点状の画像欠陥の減少、特に、従来はあまり
問題にされなかったほどの微少な大きさの欠陥を低減す
ることがいっそう求められている。
【0015】このような感光体特性の向上を目指し、電
子写真感光体の製造方法・装置の改善がなされている。
これに関して、すでに述べたように、VHF−PCVD
法では、VHF帯あるいはその近傍の周波数の高周波電
力を用いてプラズマを生成して真空処理を施すことによ
り、真空処理速度の向上、真空処理特性の向上を達成可
能である。しかしながら、このような周波数帯の高周波
電力を用いた場合、真空処理容器中での高周波電力の波
長は真空処理容器、高周波電極、基体、あるいは基体支
持部材と同程度の長さとなり、真空処理容器中には高周
波電力が定在波を形成してしまう場合がある。この定在
波が形成されると、真空処理容器中で場所ごとに電力の
強弱が生じてプラズマ特性にムラが生じ、真空処理特性
にムラが現れる。このような真空処理特性のムラは、電
子写真感光体のような大面積の被処理基体に処理を行う
場合には、非処理物に、基体の成膜面に平行な面内方向
での特性ムラを生じさせる。さらに、プラズマ特性のム
ラや形成される膜特性のムラによって、堆積膜の応力に
もムラが生じることになり、その結果、反応容器内部や
基体上で膜剥がれが生じ、それによって製造物に欠陥が
発生してしまう場合がある。
【0016】プラズマ特性のムラの発生を低減するため
の手段として、複数の異なる周波数の高周波電力を反応
容器中に同時に供給することが考えられる。これによっ
て、反応容器中には各々の周波数に応じた、異なる波長
の定在波が複数形成されることとなるが、これら複数の
定在波を同時に形成することによって、それらが合成さ
れ、結果として明確な定在波が形成されないようにでき
る。このような技術を用いることによって、反応容器中
の高周波電力の、定在波による特性ムラの発生を抑制
し、真空処理特性の均一性を向上させることができる。
【0017】しかしながら、特に、電子写真感光体の分
野では、このように真空処理特性の均一性を向上させる
ことに加えて、画像欠陥、特に微少な欠陥に関して改善
を行うために、さらに真空処理特性を向上させる必要が
あることが明らかになっている。すなわち、上記のよう
な電子写真感光体の製造方法・装置の改善と同時に、電
子写真感光体の各層の化学的組成や層形成条件および層
構成の最適化などを含めた総合的な観点からの改良を図
ることが必要とされている。
【0018】そこで、本発明は、上述のように従来達成
されてきた、プラズマCVD法の改善に対して、さらな
る処理特性の向上を図ろうとするものであって、本発明
の1つの目的は、大面積の基体を均一にプラズマ処理す
ることが可能な、半導体装置の製造方法を提供すること
にある。本発明のさらなる目的は、特に、プラズマCV
D法によって堆積膜を形成して電子写真感光体を製造す
る場合において、基体の堆積膜形成面に平行な面内方向
に、膜厚、膜質共に極めて均一な堆積膜を形成すること
に加えて、同時に欠陥の発生を大幅に低減することがで
きる、堆積膜形成方法を提供することにある。すなわ
ち、より一般的には、本発明の目的は、発生するプラズ
マの均一性と安定性を向上させ、膜厚や膜質の均一性に
優れた堆積膜を再現性良く形成すると同時に、堆積膜の
欠陥の発生を大幅に低減して歩留りを飛躍的に向上させ
ることができる、半導体装置の製造方法を提供すること
にある。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明による、半導体装置の製造方法は、反応容器
内に原料ガスを導入し、高周波電力を供給する工程を有
し、基体上に堆積膜を形成して半導体装置を製造する方
法であって、原料ガスを所定の流量で供給し、所定の高
周波電力を供給して基体上に第1の層を形成する工程
と、少なくとも1つの原料ガスの流量と高周波電力の供
給量を、第1の層を形成する工程における量とは異なる
量として第1の層上に第2の層を形成する工程と、第1
の層を形成する工程と第2の層を形成する工程との間
で、原料ガスの流量と高周波電力の供給量を、第1の層
を形成する際の量から第2の層を形成する際の量へと徐
々に変化させる工程とを有し、原料ガスの流量と高周波
電力の供給量を徐々に変化させる工程では、少なくとも
1つの原料ガスの流量を、高周波電力の供給量を変化さ
せ始めるタイミングとは異なるタイミングで変化させ始
めることを特徴とする。
【0020】この製造方法によれば、第1の層と第2の
層の間に、構成や構造が第1の層におけるものから第2
の層におけるものへと緩やかに変化する領域を設けるこ
とによって、第1の層上に第2の層を形成する際に、両
者の構成、構造の違いのために発生する場合がある応力
を低減することができる。そして、本発明の製造方法
は、このような応力を低減することによって、さらに、
膜厚や膜質が不均一になるのを防止する作用を生じ、ま
た、堆積膜形成中に膜剥がれが生じるのを防止して、欠
陥が生じるのを防止する作用をも生じる。
【0021】原料ガスの流量と高周波電力の供給量を徐
々に変化させる遷移領域では、様々なパターンで原料ガ
スの流量と高周波電力の供給量を変化させることが考え
られる。すなわち、具体的には、高周波電力の供給量
を、少なくとも1つの原料ガスの流量を変化させ始めた
後、遅れて変化させ始めてもよいし、逆に、少なくとも
1つの原料ガスの流量を、高周波電力の供給量を変化さ
せ始めた後、遅れて変化させ始めてもよい。また、前者
の場合、少なくとも1つの原料ガスの流量を第2の層を
形成する際の量に変化させ終わった後に、高周波電力の
供給量を変化させ始めてもよく、同様に、後者の場合、
高周波電力の供給量の変化を完了した後に少なくとも1
つの原料ガスの流量を変化させ始めてもよい。
【0022】高周波電力を変化させる速度は、放電空間
容積に対する高周波電力密度で換算して、1×10-4
/cm3・min〜1.5×10-3W/cm3・minと
するのが好適である。
【0023】また、本発明者らは、特に、プラズマCV
D法において、プラズマの均一化およびそれに基づくプ
ラズマ処理の均一化を達成する方法についての検討の中
で、10MHz以上250MHz以下の互いに異なる周
波数の高周波電力を合成したものを同一の高周波電極に
供給して堆積膜形成を行うことによって、基体の成膜面
に平行な面内方向での膜厚ならびに膜質の均一性を格段
に向上させることができることを見出した。これは、こ
のようにすることによって、高周波の定在波が明確に形
成されないようにし、それによってプラズマ特性にムラ
が生じないようにできるためと考えられる。
【0024】本発明の製造方法は、複数の層領域を有す
る半導体装置を形成する際に、そのために、膜厚ならび
に膜質が不均一になるのを防止して、これらを均一化す
る作用を生じる。そこで、本発明の製造方法は、上述
の、プラズマ特性を均一化できる方法と組み合わせれ
ば、相乗的に、膜厚ならびに膜質を均一化する作用を得
られ、好ましい。
【0025】半導体装置の1つとして考えられる電子写
真感光体には、それぞれ異なる特性を有することが要求
される複数の層、特に、少なくとも、シリコン原子を母
材とする非晶質材料からなる、電荷注入阻止層と光導電
層を形成する必要がある。また、電子写真感光体を製造
する際には、大面積の基体に堆積膜を形成する必要があ
り、さらに、高品位な画像形成を可能とするために、そ
の全領域にわたって構造欠陥が存在しないようにする必
要がある。
【0026】これに対して、本発明によれば、基体上
に、複数の層を有する、膜厚、膜質共に均一で良好な特
性の堆積膜を形成することができ、また欠陥の発生を抑
えることができる。すなわち、本発明によれば、上記
の、電子写真感光体の製造に求められる要求を満足する
ことができる。したがって、本発明の製造方法は、電子
写真感光体を製造する方法として好適である。本発明を
電子写真感光体の製造方法に適用すれば、デバイス特性
を向上させることができ、また、良品率を高くして生産
性を向上させることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。
【0028】最初に、図4を参照して本実施形態の、半
導体装置の製造方法を適用するのに好適な一例のプラズ
マ処理装置の構成について説明する。図4はこのプラズ
マ処理装置の構成を示す模式図である。
【0029】このプラズマ処理装置は、一度の処理で複
数の円筒状基体4113に同時に堆積膜を形成できるよ
うに構成されている。このプラズマ処理装置は、大別す
ると、堆積装置4100、原料ガス供給装置4200、
および、反応容器4109内を減圧するための排気装置
(図示せず)から構成されている。
【0030】堆積装置4100は、内部で堆積処理を行
うための反応容器4109を有している。反応容器41
09は、円筒状の形状を有しており、側壁が誘電体部材
4111から構成され、その上方の端部が導電性部材4
110によって閉じられている。反応容器4109の底
面には、不図示の排気装置に接続された排気管4112
が接続されている。
【0031】反応容器4109内には、その中心軸を取
り囲むように、堆積膜の形成される複数の円筒状基体4
113が配置されている。各円筒状基体4113はそれ
を支持する基体支持部材4114と共に回転軸4121
によって保持されている。回転軸4121には、減速ギ
ア4122を介してモータ4123が接続されており、
モータ4123を駆動すると、回転軸4121が回転
し、円筒状基体4113がその母線方向中心軸の回りを
自転するようになっている。基体支持部材4114の内
側には、円筒状基体4113を加熱する発熱体4124
が設けられている。また、反応容器4109内には、原
料ガス供給装置4200に接続された原料ガス導入管4
125が配置されている。
【0032】反応容器4109の外側には、その側壁に
沿って鉛直方向に延びる複数の高周波電極4118が設
けられている。各高周波電極4118の上端には電力分
岐材4119が接続されている。電力分岐材4119に
は、整合回路等を含むマッチングボックス4115を介
して2つの高周波電源4116,4117が接続されて
いる。
【0033】高周波電極4118の周りには、それを取
り囲むように円筒状の電磁波シールド4131が配設さ
れている。電磁波シールド4131内には、反応容器4
109の上蓋を兼ねた導電性部材4110上の位置で電
磁波シールド4131内の空間を仕切るように水平方向
に延びる、導電性部材4110に電気的に接続された中
間シールド部材4133が設けられている。電磁波シー
ルド4131の上端は、上部シールド部材4132によ
って閉じられており、前述の電力分岐材4119は、こ
の上部シールド部材4132と中間シールド部材413
3の間に位置している。これら電磁波シールド4131
と、上部シールド部材4132と、中間シールド部材4
133は、供給される電力によって発生する電磁波が堆
積装置4100外に放出されるのを防ぐ電磁波遮蔽手段
を構成している。
【0034】原料ガス供給装置4200は複数のボンベ
4221,4222,4223,4224,4225を
有している。これらのボンベには、例えば、SiH4
2、CH4、B26、PH3等の、真空処理に必要な各
種のガスが保持されている。各ボンベからの供給ライン
は途中で合流して原料ガス導入管4125に接続されて
いる。各ボンベの供給ラインには、圧力調節器426
1,4262,4263,4264,4265と、マス
フローコントローラー4211,4212,4213,
4214,4215がそれぞれ設けられており、所定の
圧力、所望の流量で各ガスを供給できるようになってい
る。供給ラインには、適宜バルブが設けられており、す
なわち、マスフローコントローラー4211の入口には
バルブ4241,4242,4243,4244,42
45、出口にはバルブ4251,4252,4253,
4254,4255がそれぞれ設けられており、合流点
の後にはバルブ4260が設けられている。
【0035】この構成例では、上述のように、高周波電
極4118には2つの高周波電源4116,4117が
接続されている。2つの高周波電源4116,4117
は互いに異なる周波数の高周波電力を発生し、それらが
マッチングボックス4115内においてそれぞれの整合
回路を経て合成され、各高周波電極4118に供給され
るように構成されている。このように、異なる周波数の
高周波電力を合成したものを各高周波電極4118に供
給し、そこから反応容器4109中に供給することによ
って、それぞれの周波数の高周波によって形成される定
在波が互いに影響し合って、結果として明確な定在波が
形成されないようにすることができる。それによって、
真空処理特性が空間的に不均一になるのを抑制でき、広
範囲にわたって安定して均一に処理を行うことができ
る。
【0036】この例では、異なる周波数の高周波電力を
出力可能な2つの高周波電源4116,4117を用い
ているが、2つ以上の異なる周波数の高周波電力を合成
したものを各高周波電極4118に供給する構成とすれ
ば、上述のように真空処理特性を均一化する効果が得ら
れる。したがって、例えば、3つ以上の、異なる周波数
の高周波電力を出力可能な高周波電源を設けてもよい。
また、あらかじめ複数の周波数の高周波電力を合成した
ものを出力可能な電源を用い、電源の数自体は1つとし
てもよい。
【0037】また、高周波電極4118の形状は、特に
制限はないが、真空処理特性を均一化する効果をより顕
著に得るためには、図4に示すように棒状であることが
好ましい。
【0038】また、異なる周波数の高周波電力を各々別
の電極から供給した場合、各電極には、それに供給され
る高周波電力の周波数に依存した定在波が生じてしま
う。この結果、電極近傍のプラズマ特性にはこの定在波
に応じた分布が生じ、すなわち、生成活性種の種類・比
率や、イオンのエネルギーが位置によって異なってしま
うことがある。このため、反応容器4109中への異な
る周波数の複数の高周波電力の供給は、真空処理特性を
効果的に均一化するために、上述のように、同一の電極
から行うことが好ましい。
【0039】電極に供給する複数の高周波電力の関係、
すなわち、周波数の差および電力比率は実際に真空処理
特性の均一性を確認しながら、良好に均一な処理を行う
ことができるように決めればよいが、一般的に、以下の
ことが言える。まず、それぞれの周波数の差があまりに
も小さいと、実質的に同一周波数の高周波電力を印加し
た場合と同等となってしまい、すなわち、各々の定在波
の節位置、腹位置が近いため十分な定在波抑制効果が得
られなくなってしまう。また、その差が大きすぎると、
周波数が小さい方の高周波電力の電界定在波の波長が、
周波数が大きい方の高周波電力の電界定在波の波長に対
して大きすぎて、これもまた十分な定在波抑制効果が得
られない。
【0040】電極に供給する高周波波電力の周波数につ
いては、高速な処理速度を得るために10MHz以上で
あることが好ましく、30MHz以上とすることが十分
な堆積速度を得る上でより好ましい。一方周波数が25
0MHzよりも高くなると、高周波電力の、進行方向へ
の減衰が顕著となって、周波数の異なる高周波電力間で
減衰率のずれが顕著に現れ、その結果、十分な均一化効
果が得られなくなってしまう。したがって、高周波波電
力の周波数は、重畳による均一化効果が有効に得られる
ようにする上で、250MHz以下にすることが好まし
い。これらのことから、電極に供給する複数の高周波波
電力は、周波数が10MHz以上250MHz以下の高
周波電力を少なくとも2つ含むことが、高速かつ均一な
真空処理特性を得る上で必要である。
【0041】また、電極に供給する高周波電力の電力比
率に関しては、上述のような好ましい周波数を有する2
つの高周波電力について、第1の高周波電力をP1、こ
れより周波数の低い第2の高周波電力をP2としたとき
に、電力の総和(P1+P2)に対する第2の高周波電
力P2の比率を0.1以上0.9以下の範囲とすること
が好ましい。第2の高周波電力が電力の総和に対してこ
の範囲よりも小さいと、発生する高周波電界において、
第1の高周波電力に起因する成分が支配的となってしま
い、十分な定在波抑制効果が得られない。一方、第2の
高周波電力を大きくしていくと、それにしたがって、第
2の高周波電力が反応容器4109中での原料ガス分解
に及ぼす影響が高まり、上述の範囲を上回ると、第2の
高周波電力を単独で用いた場合に近くなって、定在波抑
制効果が小さくなる。したがって、少なくとも一方の高
周波電力を、2つの合計電力に対して10%以上にする
ことが定在波抑制効果を十分に得る上で必要である。
【0042】以上のように2つの高周波電力を組み合わ
せれば、定在波の形成を抑制し、真空処理特性を均一化
する効果が十分に得られるが、上述のように、さらに第
3の高周波電力を組み合わせることも可能である。第3
の高周波電力の範囲としては、第1、第2の高周波電力
が適切な範囲に設定されている限りにおいては特に制限
はないが、以下のようにすることができる。
【0043】第3の高周波電力(周波数f3、電力P3)
が、f1、f2と同様に10MHz以上250MHz以
下の範囲にある場合には、第1の高周波電力(P1、f
1)、第2の高周波電力(P2、f2)を組み合わせた
場合と同様のメカニズムで定在波をさらに抑制する効果
を得ることが期待できる。このとき、P1〜P3の中
で、電力値の高い側から上位2つをP1、P2と再定義
して説明する。したがって、P3は最も低い電力値であ
る。この場合、P3によるマッチング不整合は起こりに
くく、かつP3による定在波抑制効果が加わるため、P
1、P2を組み合わせた際よりも真空処理特性のムラが
さらに抑制される場合がある。
【0044】一方、例えばバイアス効果を得るために、
f3を10MHz〜250MHzの範囲外にした場合で
も、f1、f2とP1、P2が上述の範囲に適切に設定
されている限り定在波抑制効果が得られる。しかし、こ
のように、上述の範囲外の周波数を有する更なる電力を
供給する場合には、その電力を加えることで真空処理特
性の均一性が損なわれない程度の電力とする必要があ
る。
【0045】反応容器4109の上蓋を兼ねる導電性部
材4110の内表面は、堆積膜の密着性が高くなるよう
にして膜剥がれを防止するために粗面化されていること
が望ましい。粗面化は、例えばホーニング処理やAl溶
射等の方法によって行うことができる。粗面化の具体的
な程度としては、2.5mmを基準とする10点平均粗
さ(Rz)で5μm以上200μm以下の範囲とするこ
とが好ましい。
【0046】また、導電性部材4110の内表面をセラ
ミックス部材で被覆(コーティング)してもよい。被覆
の具体的手段としては、特に制限はないが、導電性部材
4110の表面を直接コーティングする場合には、コス
ト面から、またコーティング対象物の大きさや形状の制
限を受けにくいことから、溶射が好ましい。別の方法と
して、セラミックスの板材をネジ止め等により導電性部
材4110の内表面に固定してもよい。この場合、セラ
ミックス部材の破損や経時劣化が生じた際には、セラミ
ックス部材を導電性部材4110から取り外して交換す
ることができる。
【0047】このように用いるセラミックス部材の材料
としては、アルミナ、二酸化チタン、窒化アルミニウ
ム、窒化ホウ素、ジルコン、コージェライト、ジルコン
−コージェライト、酸化珪素、酸化ベリリウムマイカ系
セラミックス等が挙げられる。セラミックス材料の被覆
厚さは、特に制限はないが、耐久性および均一性、高周
波電力吸収量の観点から、また、製造コストの面から1
μm〜10mmとするのが好ましく、10μm〜5mm
とするのがより好ましい。また、このセラミックス部材
の、反応容器4109内に面する面についても、堆積膜
の密着性を高めて膜剥がれを防止するために粗面化され
ていることが望ましく、その具体的な程度は、2.5m
mを基準とする10点平均粗さ(Rz)で5μm以上2
00μm以下の範囲とすることが好ましい。
【0048】次に、図4に示すプラズマ処理装置によっ
て、堆積膜を形成して半導体装置を製造する方法につい
て説明する。
【0049】まず、反応容器4109内に円筒状基体4
113を載置した基体支持体4114を設置し、不図示
の排気装置により排気管4112を通して反応容器41
09内を排気する。続いて、発熱体4124により円筒
状基体4113を200℃〜300℃程度の所定の温度
に加熱・制御する。
【0050】円筒状基体4113が所定の温度となった
ところで、原料ガス導入管4125を介して反応容器4
109内に原料ガスを導入する。原料ガスの流量が設定
流量となり、また、反応容器4109内の圧力が安定し
たのを確認した後、互いに異なる周波数の高周波電力を
出力する2つの高周波電源4116、4117からマッ
チングボックス4115、電力分岐材4119を介して
高周波電極4118へ、合成された所定の高周波電力を
供給する。これにより、反応容器4109内にグロー放
電が生起され、原料ガスが励起解離されて円筒状基体4
113上に堆積膜が形成される。堆積膜形成中、回転軸
4121を介して円筒状基体4113をモータ4123
により所定の速度で回転させることにより、円筒状基体
4113の表面全周に渡って均一に堆積膜を形成するこ
とができる。
【0051】本実施形態による、半導体装置の製造方法
では、互いに異なる構成の少なくとも2つの層を形成す
る。各層は、各原料ガスの供給量と高周波電力について
の条件を一定の条件とした状態で形成し、互いに異なる
構成の層では、これらの条件を変えて堆積膜形成が行わ
れる。
【0052】そして、第1の層を形成した後、その上に
第2の層を形成する際には、電力と原料ガスの供給量を
第1の層を形成する際の条件から第2の層を形成する際
の条件へと徐々に変化させる。すなわち、堆積膜形成工
程には、それぞれ第1、第2の層を形成する条件で処理
を行う第1、第2の層と、第1の層と第2の層の間で、
電力と原料ガスの供給量を一定の割合で徐々に変化させ
る遷移領域とを設けている。
【0053】このような遷移領域における、従来の、原
料ガスの供給量と電力の変化パターンを模式的に示すグ
ラフを図6に示す。図6は、正帯電感光体での電荷注入
阻止層(第1の層)から光導電層(第2の層)への遷移
領域の例を示している。電荷注入阻止層(第1の層)に
おいては、主原料ガスの他に、ドーピングガスとしてB
26とNOを導入している。一方、光導電層(第2の
層)においては、ドーピングガスとしては、B26のみ
を導入しており、その量も電荷注入阻止層におけるより
も少なくしている。また、電力は、電荷注入阻止層(第
1の層)におけるよりも、光導電層(第2の層)におけ
る方を高くしている。そして、図6に示すように、従来
は、遷移領域において、電力と原料ガス流量の変化はほ
ぼ同時に開始されており、変化が完了するタイミングも
ほぼ同一である。
【0054】一方、本実施形態の製造方法での、遷移領
域における原料ガスの供給量と電力の変化パターンを模
式的に示すグラフを図1に示す。同図に示すように、本
実施形態では、遷移領域において、電力は一定に保った
まま、まず原料ガス流量の変化を開始し、その後遅れて
電力の変化を開始している。
【0055】このように、各層を所望の膜厚で形成し、
その後、原料ガスの種類と各々の流量を次の層の形成条
件における所定の値へと変化させ、また高周波電力を変
化させ、次の層を所望の膜厚で形成する。これを必要に
応じて繰り返して所望の層構成が形成されたところで電
力の供給を止め、続いて原料ガスの供給を停止して多層
構造の堆積膜形成を終了する。
【0056】以上のように、本実施形態では、構成の異
なる複数の層を積層して半導体装置を作成している。こ
のように、複数の層を積層する場合、単純に成膜条件を
変えて膜形成を行うと、層の組み合わせによっては、2
つの層の構造的な相違によって両者間に歪みが生じる場
合がある。このため、堆積膜中や界面領域に大きな応力
が発生し、膜剥がれが発生することがある。また、膜剥
がれが発生するまでには至らない場合でも、堆積膜中に
ストレスが蓄積されて、局所的に膜特性が低下し、特性
の均一性が低下することがある。
【0057】特に、電子写真感光体を形成する場合に
は、比較的厚い膜厚で、かつ大面積にわたって堆積膜を
形成する必要があり、このため、堆積膜中に生じる応力
が大きくなりがちである。また、特に、電荷注入阻止層
上に光導電層を堆積する場合、含有物質の違いによる、
組成や、その構造的な違い、あるいは、応力のかかる向
き、大きさ等の特性的違いにより、界面領域や光導電層
内に応力が蓄積しやすい傾向がある。そのため、従来、
電子写真感光体の作成時に、膜剥がれが生じたり、電荷
保持能力が低下するなどの悪影響が生じる現象がみられ
た。
【0058】一方、本実施形態では、構成元素の異なる
複数の層を積層して形成する際に、各層を形成する層領
域の間に、原料ガスと放電電力を徐々に変化させる遷移
領域を設けている。このような遷移領域を設けることに
よって、遷移領域において形成する堆積膜に、2つの層
間の歪みによって生じる応力を緩和する働きをさせるこ
とができる。すなわち、遷移領域を設けることによっ
て、前に形成する層と後に堆積する層に生じる応力を分
散させることができる。これによって、特にRF帯の高
周波電力を用いて処理を行う場合には、堆積膜中や界面
領域における応力を十分に分散できる。しかしながら、
本実施形態におけるように、RF帯に比べて周波数の高
いVHF帯で堆積膜を形成する場合、成膜条件によって
は応力分散が充分に行えないことがある。
【0059】そこで、本実施形態では、さらに、遷移領
域において原料ガス流量の変化を開始するタイミングと
放電電力の変化を開始するタイミングをずらしている。
このようにすることによって、遷移領域において形成さ
れる堆積膜に、2つの層間の歪みによる応力をより効果
的に分散する働きをさせることができ、また、遷移領域
において形成される堆積膜自身に生じる応力を緩和する
こともできる。そして、それによって、膜質を均一化す
る効果も得られる。
【0060】特に、電子写真感光体を形成する際、電荷
注入阻止層と光導電層とを積層して形成する際に、本実
施形態におけるように遷移領域を設けることによって、
阻止能を向上させて帯電特性を向上させることができ
る。また、電荷注入阻止層と光導電層との間の密着性を
向上させ、各堆積膜中のストレスも緩和されるため、球
状突起の発生を大幅に減少させ、俗に「ポチ」と呼ばれ
る、白点状または黒点状の画像欠陥、特に微少な画像欠
陥を低減することができる。したがって、本実施形態に
よれば、膜質の均一性を向上させることに加えて、これ
らの改善が成されることによって、より均一な画像濃度
で、より高品位な画像を形成することが可能な電子写真
感光体を製造することができる。
【0061】なお、上述の実施形態においては、ガス流
量は遷移領域全域にわたって変化させ、遷移領域の途中
で、ガス流量の変化開始より遅れて、電力変化を開始す
る例(図1)を示したが、これらの変化を開始する順番
を含めて他の様々な変化パターンとしても上述のような
効果を得ることができる。このような他の変化パターン
の例を図2に示す。図2は、図1と同様、正帯電感光体
での電荷注入阻止層(第1の層)から光導電層(第2の
層)への遷移領域における、B26とNOの変化と、電
力の変化を示している。
【0062】図2(a)は、最初にB26とNOの流量
を第2の層における値まで変化させ、変化させ終わった
後に電力の変化を開始させる例を示している。図2
(b)は、最初にNOの流量の変化を開始させ、NOの
流量を0にした後、B26の流量変化と電力の変化を開
始させる例を示している。図2(c)は、図2(a)に
比べてNOの流量変化の速度を落とし、NOの流量変化
とB26の流量変化の完了のタイミングを合わせた例を
示している。図2(d)は、最初に電力の変化を開始さ
せ、遅れてB26とNOの流量の変化を開始させる例を
示している。図2(e)は、最初に電力の変化を開始さ
せ、遅れてNOの流量の変化を開始させ、さらに遅れて
26の流量の変化を開始させる例を示している。ま
た、この例では、B26の流量変化の開始タイミング
と、NOの流量と電力の変化完了のタイミングが一致し
ている。図2(f)は、最初に電力を第2の層における
値まで変化させ、変化させ終わった後にB26とNOの
流量の変化を開始させる例を示している。
【0063】このように、一般に、遷移領域において、
少なくとも1つの原料ガスの流量変化の開始と電力変化
の開始を異なるタイミングにすれば、堆積膜中の応力を
緩和し、膜剥がれに起因する欠陥の発生を抑制し、膜特
性の均一性を向上させる、本実施形態の効果が得られ
る。
【0064】また、遷移領域おける電力変化の速度が、
放電空間容積に対する高周波電力密度で換算して、1.
5×10-3W/cm3・minより速くなると遷移領域
での電力変化が急峻すぎて界面での応力分散の効果を得
ることが困難になる。逆に、遷移領域における電力変化
速度が遅すぎると、遷移領域において形成される堆積膜
の膜厚が厚くなって好ましくない。特に、電子写真感光
体の電荷注入阻止層上に光導電層を積層する場合、電力
変化速度が、放電空間容積に対する高周波電力密度で換
算して、1×10-4W/cm3・minより遅いと、感
度が低下したり、残留電位が大きくなる等の特性上の弊
害が出やすくなる。このように、遷移領域において、電
力を第1の層における値から第2の層における値に変化
させる際の、電力変化の速度は、放電空間容積に対する
高周波電力密度で換算して、1×10-4W/cm3・m
in〜1.5×10-3W/cm3・minの範囲内とす
ることが好ましい。
【0065】次に、本実施形態の、半導体装置の製造方
法によって製造するのに好適な電子写真感光体の構成に
ついて、図3を参照して説明する。図3は、この電子写
真感光体の層構成を示す模式図であり、図3(a)と図
3(b)はそれぞれ異なる構成例を示している。
【0066】図3(a)に示す感光体300は、基体3
01の上に光受容層302が設けられて構成されてい
る。光受容層302は、基体301側から順に、a−S
i系の電荷注入阻止層305と、水素原子および/また
はハロゲン原子を含むアモルファスシリコン(a−S
i:H,X)からなり、光導電性を有する光導電層30
3と、アモルファスシリコンカーバイド(a−SiC)
系の表面層304とが積層されて構成されている。図3
(b)に示す感光体300は、基体301の上に、他の
構成の光受容層402が設けられて構成されている。こ
の光受容層402は、基体301側から順に、a−Si
系の電荷注入阻止層305と、a−Si:H,Xからな
り、光導電性を有する光導電層303と、a−SiC系
の中間層307とa−SiC系の表面層304とが積層
されて構成されている。いずれの構成においても、表面
層304の上面が自由表面310となっており、画像形
成においては、この自由表面310上に帯電処理が行わ
れ、トナーが担持される。
【0067】以下に、各構成要素についてより詳細に説
明する。
【0068】〈基体〉基体としては、導電性のものを用
いても、電気絶縁性のものを用いてもよい。用いられる
導電性の基体としては、Al、Cr、Mo、Au、I
n、Nb、Te、V、Ti、Pt、Pd、Fe等の金
属、およびこれらの合金、例えばステンレス等が挙げら
れる。また、電気絶縁性の基体としては、ポリエステ
ル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロースアセ
テート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレ
ン、ポリアミド等の合成樹脂のフィルムまたはシート、
ガラス、セラミック等からなるものを用いることができ
る。電気絶縁性の基体を用いる場合、少なくとも光受容
層を形成する側の表面を導電処理して用いることができ
る。
【0069】基体の形状は、平滑な表面の、または凹凸
の表面の円筒状または平板状であってよい。基体の厚さ
は、所望の半導体装置を形成できるように適宜決定する
ことができる。可撓性が要求される場合には、基体とし
ての機能を充分発揮できる範囲内で可能な限り薄くする
ことができる。しかしながら、製造上および取り扱い
上、十分な機械的強度等が得られるように、基体の厚さ
は、通常は10μm以上とされる。
【0070】〈電荷注入阻止層〉電荷注入阻止層は、光
受容層が一定極性の帯電処理をその自由表面に受けた
際、基体側より光導電層側に電荷が注入されるのを阻止
する機能を有しているが、逆の極性の帯電処理を受けた
際にはそのような機能は発揮されない。そのような機能
を付与するために、電荷注入阻止層には伝導性を制御す
る原子を多く含有させることも有効である。
【0071】電荷注入阻止層に含有させる、伝導性を制
御する原子は、電荷注入阻止層中に万偏なく均一に分布
させてもよいし、あるいは層厚方向には、万偏なく含有
させるものの、不均一に分布させた部分を設けてもよ
い。分布濃度を不均一にする場合には、基体側に多く分
布させるのが好適である。しかしながら、いずれの場合
にも、基体の表面と平行な面内の方向においては、面内
方向における特性の均一化をはかるために、万偏なく均
一に分布させる必要がある。
【0072】電荷注入阻止層に含有させる、伝導性を制
御する原子としては、半導体分野における、いわゆる不
純物を挙げることができ、正帯電用感光体においては、
p型伝導特性を与える、周期律表第13族に属する原子
(以後「第13族原子」と略記する)を用いることがで
きる。この第13族原子としては、具体的には、硼素
(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、イ
ンジウム(In)、タリウム(Tl)等があり、特に
B、Al、Gaが好適に用いられる。
【0073】また、負帯電用感光体においては、n型伝
導特性を与える、周期律表第15族に属する原子(以後
「第15族原子」と略記する)を用いることができる。
この第15族原子としては、具体的には、P(リン)、
As(砒素)、Sb(アンチモン)、Bi(ビスマス)
等があり、特にP、Asが好適に用いられる。
【0074】電荷注入阻止層中に含有させる、伝導性を
制御する原子の含有量は、前述のような機能を効果的に
付与できるように、また所望の特性が得られるように適
宜決定することができるが、好ましくは10〜1×10
4原子ppm、より好適には50〜5×103原子pp
m、最適には1×102〜3×103原子ppmとするの
が望ましい。
【0075】さらに、電荷注入阻止層に、炭素原子、窒
素原子、および酸素原子の少なくとも1種を含有させる
ことによって、電荷注入阻止層に直接接触して設けられ
る他の層との間の密着性をよりいっそう向上させること
ができる。電荷注入阻止層に含有させる炭素原子および
/または窒素原子および/または酸素原子は、電荷注入
阻止層中に万偏なく均一に分布させてもよいし、また
は、層厚方向には、万偏なく含有させるものの、不均一
に分布させた部分を設けてもよい。しかしながら、いず
れの場合にも、基体の表面と平行な面内の方向において
は、面内方向における特性の均一化を図るために、万偏
なく均一に分布させる必要がある。
【0076】電荷注入阻止層の全層領域に含有させる炭
素原子および/または窒素原子および/または酸素原子
の含有量は、前述のような作用が効果的に得られるよう
に適宜決定することができるが、1種の場合はその量と
して、2種以上の場合はその総和として、好ましくは1
×10-3〜30原子%、より好適には5×10-3〜20
原子%、最適には1×10-2〜10原子%とするのが望
ましい。
【0077】また、電荷注入阻止層に含有させる水素原
子および/またはハロゲン原子は、層内に存在する未結
合手を補償し膜質を向上させる効果を奏する。電荷注入
阻止層中の水素原子またはハロゲン原子、あるいは水素
原子とハロゲン原子の和の含有量は、好適には1〜50
原子%、より好適には5〜40原子%、最適には10〜
30原子%とするのが望ましい。
【0078】電荷注入阻止層の層厚は、0.1μmより
薄くなると、基体からの電荷の注入阻止能が不充分にな
って充分な帯電能が得られなくなる。また、層厚を5μ
mより厚くしても、電子写真特性が向上することはあま
り期待できず、一方、作製時間が長くなる等の理由か
ら、製造コストが高くなる。したがって、電荷注入阻止
層の層厚は、所望の電子写真特性が得られ、また経済的
な優位性が得られるように、好ましくは0.1〜5μ
m、より好ましくは0.3〜4μm、最適には0.5〜
3μmとするのが望ましい。
【0079】所望の特性を有する電荷注入阻止層を形成
するには、Si供給用のガスと希釈ガスとの混合比、反
応容器内のガス圧、放電電力、および基体の温度を適宜
適切に設定することが必要である。反応容器内の圧力も
同様に層設計にしたがって適宜最適範囲に設定すればよ
いが、通常の場合、1×10-2〜1×103Pa、好ま
しくは5×10-2〜5×102Pa、最適には1×10
-1〜1×102Paとするのが好ましい。また、基体の
温度は、層設計にしたがって適宜最適範囲に設定すれば
よいが、通常の場合、好ましくは150〜350℃、よ
り好ましくは180〜330℃、最適には200〜30
0℃とするのが望ましい。
【0080】〈光導電層〉光受容層の一部を構成する光
導電層は、所望の特性が得られるように適宜成膜パラメ
ーターの数値条件を設定して作成する。光導電層を形成
するには、基本的にはシリコン原子(Si)を供給し得
るSi供給用の原料ガスと、水素原子(H)を供給し得
るH供給用の原料ガスまたは/およびハロゲン原子
(X)を供給し得るX供給用の原料ガスを、内部を減圧
することができる反応容器内に所望のガス状態で導入
し、反応容器内にグロー放電を生起させ、あらかじめ所
定の位置に設置してある所定の基体上にa−Si:H,
Xからなる層を形成すればよい。
【0081】また、光導電層中に水素原子または/およ
びハロゲン原子を含有させることが必要である。これは
シリコン原子の未結合手を補償し、層品質の向上、特に
光導電性および電荷保持特性を向上させるために必須不
可欠である。水素原子またはハロゲン原子の含有量、ま
たは水素原子とハロゲン原子の和の量は、シリコン原子
と水素原子または/およびハロゲン原子の和に対して1
0〜40原子%とするのが望ましい。
【0082】Si供給用ガスとして用いることができる
物質としては、SiH4、Si26、Si38、Si4
10等の、ガス状態の、またはガス化し得る水素化珪素
(シラン類)が有効に使用できるものとして挙げられ
る。これらの中でも、層作成時の取り扱い易さ、Si供
給効率の良さ等の点でSiH4、Si26がSi供給用
ガスとして用いるのに好ましい。
【0083】そして、所望の膜特性を得るために、形成
される光導電層中に水素原子を構造的に導入し、水素原
子の導入割合の制御がいっそう容易になるように、これ
らのガスにさらにH2および/またはHeあるいは水素
原子を含む珪素化合物のガスも所望量だけ混合して層形
成に用いるのも好ましい。また、各ガスは単独種のみで
なく所定の混合比で複数種混合して用いても差し支えな
い。
【0084】また、ハロゲン原子供給用の原料ガスとし
て有効なのは、例えばハロゲンガス、ハロゲン化物、ハ
ロゲンをふくむハロゲン間化合物、ハロゲンで置換され
たシラン誘導体等の、ガス状の、またはガス化し得るハ
ロゲン化合物が好ましいものとして挙げられる。またさ
らに、シリコン原子とハロゲン原子とを構成要素とす
る、ガス状の、またはガス化し得る、ハロゲン原子を含
む水素化珪素化合物も有効なものとして挙げることがで
きる。本実施形態において好適に使用し得るハロゲン化
合物としては、具体的には弗素ガス(F2)、BrF、
ClF、ClF3、BrF3、BrF5、IF3、IF7等の
ハロゲン間化合物を挙げることができる。ハロゲン原子
を含む珪素化合物、いわゆるハロゲン原子で置換された
シラン誘導体としては、具体的には、たとえばSi
4、Si26等の弗化珪素が好ましいものとして挙げ
ることができる。
【0085】光導電層中に含有させる水素原子または/
およびハロゲン原子の量を制御するには、例えば基体の
温度、水素原子または/およびハロゲン原子を含有させ
るために使用する原料物質を反応容器内へ導入する量、
放電電力等を調整すればよい。
【0086】光導電層には伝導性を制御する原子を含有
させることが好ましい。光導電層に含有させる伝導性を
制御する原子としては、半導体分野における、いわゆる
不純物を挙げることができ、本実施形態においては、p
型伝導特性を与える周期律表第13族に属する原子(以
後「第13族原子」と略記する)あるいはn型伝導特性
を与える周期律表第15族に属する原子(以後「第15
族原子」と略記する)を用いることができる。このよう
な第13族原子としては、具体的には、硼素(B)、ア
ルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム
(In)、タリウム(Tl)等があり、特にB、Al、G
aが好適である。第15族原子としては、具体的にはP
(リン)、As(砒素)、Sb(アンチモン)、Bi
(ビスマス)等があり、特にP、Asが好適である。
【0087】光導電層に含有させる伝導性を制御する原
子の含有量としては、好ましくは1×10-2〜1×10
4原子ppm、より好ましくは5×10-2〜5×103
子ppm、最適には1×10-1〜1×103原子ppm
とするのが望ましい。伝導性を制御する原子を構造的に
導入するには、層形成の際に、伝導性を制御する原子の
原料物質をガス状態で反応容器中に、光導電層を形成す
るための他のガスと共に導入してやればよい。
【0088】伝導性を制御する原子導入用の原料物質と
なり得るものとしては、常温常圧でガス状の、または少
なくとも層形成条件下で容易にガス化し得るものを採用
するのが望ましい。
【0089】そのような第13族原子導入用の原料物質
としては、具体的には、硼素原子導入用として、B
26、B410、B59、B511、B610、B612
614等の水素化硼素、BF3、BCl3、BBr3等の
ハロゲン化硼素等が挙げられる。この他、AlCl3、G
aCl3、Ga(CH33、InCl3、TlCl3等も挙げ
ることができる。
【0090】第15族原子導入用の原料物質として、有
効に使用されるのは、燐原子導入用としては、PH3
24等の水素化燐、PH4I、PF3、PF5、PC
3、PCl5、PBr3、PBr5、PI3等のハロゲン
化燐が挙げられる。この他、AsH3、AsF3、AsC
3、AsBr3、AsF5、SbH3、SbF3、Sb
5、SbCl3、SbCl5、BiH3、BiCl3、B
iBr3等も第15族原子導入用の原料物質とするのに
有効なものとして挙げることができる。
【0091】また、これらの伝導性を制御する原子導入
用の原料物質を必要に応じてH2、He、Ar、Ne等
のガスにより希釈して使用してもよい。
【0092】さらに、光導電層に炭素原子および/また
は酸素原子および/または窒素原子を含有させることも
有効である。炭素原子および/または酸素原子/および
または窒素原子の含有量は、シリコン原子、炭素原子、
酸素原子および窒素原子の和に対して、好ましくは1×
10-5〜10原子%、より好ましくは1×10-4〜8原
子%、最適には1×10-3〜5原子%とするのが望まし
い。炭素原子および/または酸素原子および/または窒
素原子は、光導電層中に万遍なく均一に含有させてもよ
いし、光導電層の層厚方向に含有量が変化するように不
均一な分布をもたせた部分を設けてもよい。
【0093】光導電層の層厚は、所望の電子写真特性が
得られ、また経済的な優位性が得られるように、所望に
応じて適宜決定することができるが、好ましくは10〜
50μm、より好ましくは15〜45μm、最適には2
0〜40μmとするのが望ましい。層厚が20μmより
薄くなると、帯電能や感度等の電子写真特性が実用上不
充分となり、50μmより厚くなると、光導電層の作製
時間が長くなって製造コストが高くなる。
【0094】所望の膜特性を有する光導電層を形成する
には、Si供給用のガスと希釈ガスとの混合比、反応容
器内のガス圧、放電電力ならびに基体温度を適宜設定す
ることが必要である。反応容器内の圧力も同様に層設計
にしたがって適宜最適範囲に設定するが、通常の場合1
×10-2〜1×103Pa、好ましくは5×10-2〜5
×102Pa、最適には1×10-1〜1×102Paとす
るのが好ましい。また、基体の温度は、層設計にしたが
って適宜最適範囲に設定すればよいが、通常の場合、好
ましくは150〜350℃、より好ましくは180〜3
30℃、最適には200〜300℃とするのが望まし
い。
【0095】〈表面層〉上述のようにして形成された光
導電層の上に、さらにアモルファスシリコン系の表面層
を形成することが好ましい。この表面層は自由表面を有
し、主に耐湿性、連続繰り返し使用特性、電気的耐圧
性、使用環境特性、耐久性について、好ましい特性が得
られるようにするために設けられる。また、光受容層を
構成する光導電層と表面層とを形成する非晶質材料の各
々がシリコン原子という共通の構成要素を有するように
することによって、積層界面において化学的な安定性を
十分に確保することができる。
【0096】表面層には、アモルファスシリコン系の材
料であれば、どのような材質のものでも用いることがで
きるが、例えば、水素原子(H)および/またはハロゲ
ン原子(X)を含有し、さらに炭素原子を含有するアモ
ルファスシリコン(以下「a−SiC:H,X」と表記
する)、水素原子(H)および/またはハロゲン原子
(X)を含有し、さらに酸素原子を含有するアモルファ
スシリコン(以下「a−SiO:H,X」と表記す
る)、水素原子(H)および/またはハロゲン原子
(X)を含有し、さらに窒素原子を含有するアモルファ
スシリコン(以下「a−SiN:H,X」と表記す
る)、水素原子(H)および/またはハロゲン原子
(X)を含有し、さらに炭素原子、酸素原子、窒素原子
の少なくとも1つを含有するアモルファスシリコン(以
下「a−SiCON:H,X」と表記する)等の材料が
好適に用いられる。
【0097】表面層は真空堆積膜形成方法によって、所
望の特性が得られるように適宜成膜パラメーターの数値
条件を設定して作成する。具体的には、例えばグロー放
電法(低周波CVD法、高周波CVD法またはマイクロ
波CVD法等の交流放電CVD法、あるいは直流放電C
VD法等)、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプ
レーティング法、光CVD法、熱CVD法などの様々な
薄膜堆積法によって形成することができる。これらの薄
膜堆積法は、製造条件、設備資本投資下の負荷程度、製
造規模、作成する感光体に所望される特性等の要因によ
って適宜選択して採用することができるが、生産性の面
から光導電層と同等の堆積法を用いることが好ましい。
【0098】例えば、グロー放電法によってa−Si
C:H,Xよりなる表面層を形成するには、基本的には
シリコン原子(Si)を供給し得るSi供給用の原料ガ
スと、炭素原子(C)を供給し得るC供給用の原料ガス
と、水素原子(H)を供給し得るH供給用の原料ガスま
たは/およびハロゲン原子(X)を供給し得るX供給用
の原料ガスを、内部を減圧することができる反応容器内
に所望のガス状態で導入して、反応容器内にグロー放電
を生起させ、あらかじめ所定の位置に設置された、光導
電層を形成した基体上にa−SiC:H,Xからなる層
を形成すればよい。
【0099】表面層の材質としては、シリコンを含有す
るアモルファス材料ならば、どのようなものでもよい
が、炭素、窒素、酸素より選ばれた元素を少なくとも1
つ含む、シリコン原子との化合物が好ましく、特にa−
SiCを主成分としたものが好ましい。
【0100】表面層をa−SiCを主成分として構成す
る場合の炭素量は、シリコン原子と炭素原子の和に対し
て30%から90%の範囲とするのが好ましい。
【0101】また、表面層中に水素原子または/および
ハロゲン原子を含有させることが必要であるが、これは
シリコン原子の未結合手を補償し、層品質の向上、特に
光導電性特性および電荷保持特性を向上させるために必
須不可欠である。水素含有量は、構成原子の総量に対し
て、通常の場合30〜70原子%、好適には35〜65
原子%、最適には40〜60原子%とするのが望まし
い。また、弗素原子の含有量として、通常の場合は0.
01〜15原子%、好適には0.1〜10原子%、最適
には0.6〜4原子%とするのが望ましい。
【0102】水素および/または弗素を上記の範囲内の
含有量として表面層を形成した感光体は、実際面におい
て、従来知られているものの中でも格段に優れた特性を
有するものとすることができる。
【0103】表面層内に存在する欠陥(主にシリコン原
子や炭素原子のダングリングボンド)は電子写真感光体
としての特性に悪影響をおよぼすことが知られている。
この悪影響としては、例えば、自由表面から電荷の注入
による帯電特性の劣化、使用環境、例えば高い湿度のも
とで表面構造が変化することによる帯電特性の変動、さ
らにコロナ帯電時や光照射時に光導電層より表面層に電
荷が注入され、表面層内の欠陥に電荷がトラップされる
ことにより、繰り返し使用時の残像現象の発生等が挙げ
られる。これに対して、表面層内の水素含有量を30原
子%以上に制御することで表面層内の欠陥が大幅に減少
し、その結果、従来に比べて電気的特性および高速連続
使用性において飛躍的な向上を図ることができる。一
方、表面層中の水素含有量が70原子%を越えると表面
層の硬度が低下するために、繰り返し使用に耐えられな
くなる。したがって、表面層中の水素含有量を前記の範
囲内に制御することが格段に優れた所望の電子写真特性
を得る上で非常に重要な因子の1つである。表面層中の
水素含有量は、原料ガスの流量(比)、基体温度、放電
パワー、ガス圧等を調整することによって制御すること
ができる。
【0104】また、表面層中の弗素含有量を0.01原
子%以上の範囲に制御することで表面層内のシリコン原
子と炭素原子の結合をより効果的に発生させることが可
能となる。さらに、表面層中の弗素原子は、コロナ等の
ダメージによるシリコン原子と炭素原子の結合の切断を
効果的に防止する働きもする。
【0105】一方、表面層中の弗素含有量が15原子%
を超えると表面層内のシリコン原子と炭素原子の結合を
発生させる効果、およびコロナ等のダメージによるシリ
コン原子と炭素原子の結合の切断を防止する効果がほと
んど認められなくなる。さらに、過剰の弗素原子が表面
層中のキャリアの走行性を阻害するため、残留電位や画
像メモリーによる、画像形成への悪影響が顕著に認めら
れてくる。したがって、表面層中の弗素含有量を前記の
範囲内に制御することが所望の電子写真特性を得る上で
重要な因子の1つである。表面層中の弗素含有量は、水
素含有量と同様に原料ガスの流量(比)、基体温度、放
電パワー、ガス圧等を調整することによって制御するこ
とができる。
【0106】表面層の形成において使用する、シリコン
(Si)供給用ガスとなり得る物質としては、Si
4、Si26、Si38、Si410等の、ガス状態
の、またはガス化し得る水素化珪素(シラン類)が有効
に使用できるものとして挙げられる。これらの中でも、
層作成時の取り扱い易さ、Si供給効率の良さ等の点で
SiH4、Si26を用いるのが好ましい。また、これ
らのSi供給用の原料ガスを必要に応じてH2、He、
Ar、Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0107】炭素供給用ガスとなり得る物質としては、
CH4、C22、C26、C38、C410等の、ガス状
態の、またはガス化し得る炭化水素が有効に使用できる
ものとして挙げられる。これらの中でも、層作成時の取
り扱い易さ、Si供給効率の良さ等の点でCH4、C2
2、C26を用いるのが好ましい。また、これらのC供
給用の原料ガスを必要に応じてH2、He、Ar、Ne
等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0108】窒素または酸素供給用ガスとなり得る物質
としては、NH3、NO、N2O、NO2、O2、CO、C
2、N2等の、ガス状態の、またはガス化し得る化合物
が有効に使用できるものとして挙げられる。また、これ
らの窒素、酸素供給用の原料ガスを必要に応じてH2
He、Ar、Ne等のガスにより希釈して使用してもよ
い。
【0109】また、形成される表面層中に導入される水
素原子の導入割合の制御がいっそう容易になるようにす
るために、これらのガスにさらに水素ガスまたは水素原
子を含む珪素化合物のガスも所望量混合したものを層形
成に用いることが好ましい。また、各ガスは単独種のみ
でなく所定の混合比で複数種混合して用いても差し支え
ない。
【0110】ハロゲン原子供給用の原料ガスとして有効
なのは、例えばハロゲンガス、ハロゲン化物、ハロゲン
をふくむハロゲン間化合物、ハロゲンで置換されたシラ
ン誘導体等の、ガス状の、またはガス化し得るハロゲン
化合物が好ましいものとして挙げられる。またさらに、
シリコン原子とハロゲン原子とを構成要素とする、ガス
状の、またはガス化し得る、ハロゲン原子を含む水素化
珪素化合物も有効なものとして挙げることができる。本
実施形態において好適に使用し得るハロゲン化合物とし
ては、具体的には弗素ガス(F2)、BrF、ClF、C
lF3、BrF3、BrF5、IF3、IF7等のハロゲン間
化合物を挙げることができる。ハロゲン原子を含む珪素
化合物、いわゆるハロゲン原子で置換されたシラン誘導
体としては、具体的には、例えばSiF4、Si26
の弗化珪素を好ましいものとして挙げることができる。
【0111】表面層中に含有させる水素原子または/お
よびハロゲン原子の量を制御するには、例えば基体の温
度、水素原子または/およびハロゲン原子を含有させる
ために使用する原料物質を反応容器内へ導入する量、放
電電力等を制御すればよい。
【0112】炭素原子および/または酸素原子および/
または窒素原子は、表面層中に万遍なく均一に含有させ
てもよいし、表面層の層厚方向に含有量が変化するよう
に不均一に分布させた部分を設けてもよい。
【0113】表面層の層厚としては、通常0.01〜3
μm、好適には0.05〜2μm、最適には0.1〜1
μmとするのが望ましい。層厚が0.01μmよりも薄
いと感光体の使用中に摩耗等の理由により表面層が失わ
れてしまう場合があり、3μmを越えると残留電位の増
加等の電子写真特性の低下がみられる。
【0114】表面層は、その要求される特性が所望の通
りに得られるように注意深く形成する。すなわち、S
i、Cおよび/またはNおよび/またはO、Hおよび/
またはXを構成要素とする物質は、その形成条件に応じ
て、構造的には結晶からアモルファスまでの形態を取
り、電気物性的には導電性から半導体性、絶縁性までの
間の性質を、また、光導電的性質から非光導電的性質ま
での間の性質を示す。したがって、本実施形態において
は、形成する表面層が、目的に応じた所望の特性を示す
ように、所望に応じて、その形成条件を厳密に選択する
必要がある。
【0115】例えば、表面層を耐圧性の向上を主な目的
として設ける場合には、使用環境において顕著な電気絶
縁性を示す非単結晶層になるように形成条件を調整す
る。また、連続繰り返し使用特性や使用環境特性の向上
を主な目的として表面層を設ける場合には、上記の電気
絶縁性の度合はある程度低くなっても、照射される光に
対してある程度の感度を有する非単結晶層が形成される
ように形成条件を調整する。
【0116】所望の特性を有する表面層を形成するに
は、基体の温度、反応容器内のガス圧を所望にしたがっ
て適宜設定する必要がある。基体温度(Ts)は、層設
計にしたがって適宜最適範囲に設定すればよいが、通常
の場合、好ましくは150〜350℃、より好ましくは
180〜330℃、最適には200〜300℃とするの
が望ましい。反応容器内の圧力も同様に層設計にしたが
って適宜最適範囲に設定すればよいが、通常の場合1×
10-2〜1×103Pa、好ましくは5×10-2〜5×
102Pa、最適には1×10-1〜1×102Paとする
のが好ましい。
【0117】また、表面層と光導電層との間に、炭素原
子および/または酸素原子および/または窒素原子の含
有量が光導電層に向かうにつれて減少するように変化す
る領域を設けてもよい。これにより、表面層と光導電層
の密着性を向上させ、光キャリアの表面への移動がスム
ーズになるとともに、光導電層と表面層の界面での光の
反射による干渉の影響をより少なくすることができる。
【0118】〈中間層〉負帯電感光体を作成する場合に
は、光導電層と表面層との間に表面層側からの電荷の注
入を阻止する働きをする中間層(上部電荷注入阻止層)
を設けるのが効果的である。すなわち、中間層は、光受
容層が一定極性の帯電処理をその自由表面に受けた際、
表面層側より光導電層側に電荷が注入されるのを阻止す
る機能を有しているが、逆の極性の帯電処理を受けた際
にはそのような機能は発揮されない。そのような機能を
付与するために、中間層には伝導性を制御する原子を多
く含有させることが有効である。
【0119】中間層に含有される伝導性を制御する原子
は、中間層中に万偏なく均一に分布させてもよいし、あ
るいは層厚方向には、万偏なく含有させるものの、不均
一に分布させた部分を設けてもよい。
【0120】しかしながら、いずれの場合にも、基体の
表面と平行な面内の方向においては、面内方向における
特性の均一化を図るために、均一な分布で万偏なく含有
させる必要がある。
【0121】中間層に含有させる伝導性を制御する原子
としては、半導体分野における、いわゆる不純物を挙げ
ることができ、p型伝導特性を与える周期律表第13族
に属する原子(以後「第13族原子」と略記する)を用
いることができる。このような第13族原子としては、
具体的には、硼素(B)、アルミニウム(Al)、ガリ
ウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)
等があり、特にB、Al、Gaが好適である。
【0122】中間層中に含有させる伝導性を制御する原
子の含有量としては、中間層が所望の特性になるように
所望にしたがって適宜決定することができるが、好まし
くは10〜1×104原子ppm、より好適には50〜
5×103原子ppm、最適には1×102〜3×103
原子ppmとするのが望ましい。
【0123】中間層には、アモルファスシリコン系の材
料であれば、どのような材質のものを用いてもよいが、
表面層と同様の材料で構成することが好ましい。すなわ
ち、水素原子(H)および/またはハロゲン原子(X)
を含有し、さらに炭素原子を含有するアモルファスシリ
コン(以下「a−SiC:H,X」と表記する)、水素
原子(H)および/またはハロゲン原子(X)を含有
し、さらに酸素原子を含有するアモルファスシリコン
(以下「a−SiO:H,X」と表記する)、水素原子
(H)および/またはハロゲン原子(X)を含有し、さ
らに窒素原子を含有するアモルファスシリコン(以下
「a−SiN:H,X」と表記する)、水素原子(H)
および/またはハロゲン原子(X)を含有し、さらに炭
素原子、酸素原子、窒素原子の少なくとも1つを含有す
るアモルファスシリコン(以下「a−SiCON:H,
X」と表記する)等の材料が好適に用いられる。
【0124】中間層に含有させる炭素原子または窒素原
子または酸素原子は、中間層中に万偏なく均一に分布さ
せてもよいし、あるいは層厚方向には、万偏なく含有さ
せるものの、不均一に分布させた部分を設けてもよい。
しかしながら、いずれの場合にも、基体の表面と平行な
面内の方向においては、面内方向における特性の均一化
を図るために、均一な分布で万偏なく含有させる必要が
ある。
【0125】中間層の全層領域に含有させる炭素原子お
よび/または窒素原子および/または酸素原子の含有量
は、中間層が所望の特性になるように適宜決定すること
ができるが、1種の場合はその量として、2種以上の場
合はその総和として、10%から70%の範囲とするの
が好ましい。
【0126】また、中間層中に水素原子または/および
ハロゲン原子を含有させることが必要であるが、これは
シリコン原子の未結合手を補償し、層品質の向上、特に
光導電性特性および電荷保持特性を向上させるために必
須不可欠である。水素含有量は、構成原子の総量に対し
て通常の場合30〜70原子%、好適には35〜65原
子%、最適には40〜60原子%とするのが望ましい。
また、ハロゲン原子の含有量は、通常の場合は0.01
〜15原子%、好適には0.1〜10原子%、最適には
0.6〜4原子%とするのが望ましい。
【0127】中間層の層厚は、所望の電子写真特性が得
られ、また経済的な優位性が得られるように、好ましく
は0.01〜3μm、より好ましくは0.03〜2μ
m、最適には0.05〜1μmとするのが望ましい。層
厚が0.01μmより薄くなると、表面側からの電荷の
注入阻止能が不充分になって充分な帯電能が得られなく
なる。また、3μmより厚くしても、電子写真特性が向
上することはあまり期待できず、むしろ感度等の特性の
低下を招くことがある。
【0128】所望の特性を有する中間層を形成するに
は、表面層と同様に、Si供給用のガスと、Cおよび/
またはNおよび/またはO供給用のガスとの混合比、反
応容器内のガス圧、放電電力、ならびに基体101の温
度を適宜設定することが必要である。反応容器内の圧力
も同様に層設計にしたがって適宜最適範囲に設定すれば
よいが、通常の場合1×10-2〜1×103Pa、好ま
しくは5×10-2〜5×102Pa、最適には1×10
-1〜1×102Paとするのが好ましい。また、基体の
温度は、層設計にしたがって適宜最適範囲に設定すれば
よいが、通常の場合、好ましくは150〜350℃、よ
り好ましくは180〜330℃、最適には200〜30
0℃とするのが望ましい。
【0129】本実施形態においては、各層領域を形成す
るための希釈ガスの混合比、ガス圧、放電電力、基体温
度の望ましい数値範囲として前記した範囲が挙げられる
が、これらの層領域作成ファクターは、通常は、独立的
に別々に決められるものではなく、所望の特性を有する
層領域を形成するために相互的かつ有機的関連性に基づ
いて各層領域作成ファクターの最適値が決められ、本実
施形態においてもそのようにするのが望ましい。
【0130】本実施形態の、半導体装置の製造方法は、
このような電子写真感光体を製造する方法として好適で
ある。すなわち、電子写真感光体の製造においては、大
面積の基体に堆積膜を形成する必要があり、なおかつ、
その全領域にわたって構造欠陥を生じさせないようにす
る必要がある。これに対して、本実施形態の方法では、
大面積の基体上に膜厚、膜質共に均一に良好な特性の堆
積膜を形成することができ、また構造欠陥の発生を抑え
ることができ、すなわち、電子写真感光体の製造に求め
られる要求を満足することができる。したがって、本実
施形態の方法は、特に電子写真感光体のデバイス特性を
向上させるのにきわめて効果的であり、また、良品率を
高くして生産性を向上させ、それに伴ってコストを低減
する上でも効果的である。
【0131】また、特に、本実施形態の方法は、電子写
真感光体の電荷注入阻止層と光導電層を、堆積膜を積層
して形成するのに適用するのが効果的である。これは、
この部分は電子写真特性に大きく影響する重要な部分で
あり、また膜剥がれの影響がでやすい部分でもあるの
で、本実施形態における改善効果が極めて大きく影響す
るためである。
【0132】その一方で、本実施形態の方法は、電子写
真感光体のみならず、光起電力素子のような、大型の基
体上に堆積膜を形成して製造される他の半導体装置の製
造方法としても大きな効果を発揮し、また、基体が大き
くなくても、高周波電極の大きさに対して相対的に短い
波長の高周波を使用する場合にも大きな効果を発揮す
る。したがって、これらの他の半導体装置の製造方法と
しても、本実施形態の方法は有効である。
【0133】
【実施例】以下、上述の実施形態に示した、半導体装置
の製造方法を用いて、電子写真感光体を作製した例を実
施例として示す。なお、本発明はこれらの実施例によっ
て何ら制限されるものではない。
【0134】(実施例1)図4に示すような構成の装置
を用い、正帯電用の電子写真感光体を作製した。この
際、高周波電極には、発振周波数が105MHz(f
1)と60MHz(f2)の2種類の周波数の高周波電
力を合成したものを供給した。電子写真感光体の基体と
しては、直径80mm、長さ358mmの円筒状アルミ
ニウムシリンダーを用いた。そして、その上に、表1に
示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、表面層を形成し
た。電荷注入阻止層と光導電層を形成する工程の間に遷
移領域を設け、遷移領域では、図1に示すような変化パ
ターンでガス流量(B26、NO)と高周波電力を変化
させた。この際、電力の変化速度は、放電空間容積に対
する高周波電力密度で換算して、3×10-4W/cm3
・minとした。
【0135】
【表1】
【0136】(比較例1)図6に示すように、電荷注入
阻止層と光導電層の間の遷移領域においてガス流量の変
化と電力の変化を同時に開始した以外は実施例1と同様
にして、正帯電用の電子写真感光体を作製した。
【0137】(実施例1の評価)以上のように、実施例
1および比較例1で作製した感光体を、キヤノン製複写
機IR−5000に設置して特性評価を行った。評価項
目は、「帯電能」、「感度」、「ゴースト」とし、さら
に「帯電能」、「感度」、に関してはドラム面内ムラを
測定した。
【0138】その際、プロセススピード265mm/s
ec、前露光(波長660nmのLED)光量4lx・
s、帯電器の電流値1000μAの条件で、電子写真装
置の帯電器位置にセットした表面電位計(TREK社M
odel344)の電位センサーを用いて非露光状態の
感光体の表面電位を測定し、それを帯電能として評価し
た。そして、非露光状態での表面電位が450V(暗電
位)になるように帯電器の電流値を調整した後、像露光
(波長655nmのレーザー照射)を行った。その後、
像露光光源の光量を調整して、表面電位が50V(明電
位)となるようにし、そのときの露光量を感度として評
価した。
【0139】また、非露光状態で暗電位になるように帯
電させておき、いったん明電位となるような露光量で露
光し、再度非露光状態としたときの表面電位と、露光直
前の表面電位との差を光メモリーとして評価した。さら
に帯電能と感度については、感光体の全域にわたって測
定した値の最大値と最小値の差を面ムラとして評価し
た。また、作製した感光体を用いてA3ベタ黒画像を形
成し、φ0.2mm以下の画像欠陥(白ポチ)の個数を
画像全面でカウントして画像欠陥を評価した。
【0140】これらの評価結果を表2に示す。表2の評
価結果は、比較例1の結果を基準とし、15%以上の良
化を◎、5%以上15%未満の良化を○、5%未満の良
化もしくは同等を△で表記して示している。
【0141】
【表2】
【0142】表2から明らかなように、いずれの項目に
おいても、実施例1では、比較例1に対して改善が見ら
れたことが分かる。
【0143】(実施例2)実施例1と同様にして、表1
に示す条件で、電荷注入阻止層、光導電層、表面層から
なる正帯電用の電子写真感光体を作製した。その際、電
荷注入阻止層から光導電層への遷移領域における高周波
電力の変化速度を変えて種々の感光体を作製した。作製
した感光体について、実施例1と同様の評価を行った。
結果を表3に示す。(したがって、表3において、電力
変化速度が3×10-4の列は、実施例1と同様の条件で
電子写真感光体を作製した例を示している。表記記号
は、表2と同様である。)
【0144】
【表3】
【0145】表3から明らかなように、電力変化速度を
1×10-4W/cm3・min〜1.5×10-3W/c
3・minの範囲内とした場合に、特に良好な結果が
得られた。
【0146】(実施例3)図4に示すような構成の装置
を用い、正帯電用の電子写真感光体を作製した。この
際、高周波電極には、発振周波数が105MHz(f
1)と60MHz(f2)の2種類の周波数の高周波電
力を合成したものを供給した。電子写真感光体の基体と
しては、直径80mm、長さ358mmの円筒状アルミ
ニウムシリンダーを用いた。そして、その上に、表4に
示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、表面層を形成し
た。電荷注入阻止層と光導電層を形成する工程の間に遷
移領域を設け、遷移領域では、図2(a)に示すような
変化パターンでガス流量(B26、NO)と高周波電力
を変化させた。
【0147】
【表4】
【0148】このようにして作製した感光体について、
実施例1と同様の評価を行った結果、いずれの項目にお
いても実施例1と同様に良好な結果が得られた。
【0149】(実施例4)図4に示すような構成の装置
を用い、正帯電用の電子写真感光体を作製した。この
際、高周波電極には、発振周波数が105MHz(f
1)と60MHz(f2)の2種類の周波数の高周波電
力を合成したものを供給した。電子写真感光体の基体と
しては、直径80mm、長さ358mmの円筒状アルミ
ニウムシリンダーを用いた。そして、その上に、表5に
示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、表面層を形成し
た。電荷注入阻止層と光導電層を形成する工程の間に遷
移領域を設け、遷移領域では、図2(c)に示すような
変化パターンでガス流量(B26、NO)と高周波電力
を変化させた。
【0150】
【表5】
【0151】このようにして作製した感光体について、
実施例1と同様の評価を行った結果、いずれの項目にお
いても実施例1と同様に良好な結果が得られた。
【0152】(実施例5)図4に示すような構成の装置
を用い、正帯電用の電子写真感光体を作製した。この
際、高周波電極には、発振周波数が80MHz(f1)
と50MHz(f2)の2種類に、さらに500KHz
(f3)を加えて全部で3種類の周波数の高周波電力を
合成したものを供給した。電子写真感光体の基体として
は、直径80mm、長さ358mmの円筒状アルミニウ
ムシリンダーを用いた。そして、その上に、表6に示す
条件で電荷注入阻止層、光導電層、表面層を形成した。
その際、電荷注入阻止層ではNOに代わりCH4を使用
した。また、電荷注入阻止層と光導電層を形成する工程
の間に遷移領域を設け、遷移領域では、図2(b)に示
すような変化パターンでガス流量(B26、CH4)と
高周波電力を変化させた。
【0153】
【表6】
【0154】このようにして作製した感光体について、
実施例1と同様の評価を行った結果、いずれの項目にお
いても実施例1と同様に良好な結果が得られた。
【0155】(実施例6)図4に示すような構成の装置
を用い、正帯電用の電子写真感光体を作製した。この
際、高周波電極には、発振周波数が105MHz(f
1)と40MHz(f2)の2種類に、さらに500K
Hz(f3)を加えて全部で3種類の周波数の高周波電
力を合成したものを供給した。電子写真感光体の基体と
しては、直径80mm、長さ358mmの円筒状アルミ
ニウムシリンダーを用いた。そして、その上に、表7に
示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、表面層を形成し
た。その際、電荷注入阻止層ではNOに代わりNH3
使用し、表面層ではCH4に代わりNH3を使用した。ま
た、電荷注入阻止層と光導電層を形成する工程の間に遷
移領域を設け、遷移領域では、図2(d)に示すような
変化パターンでガス流量(B26、NH3)と高周波電
力を変化させた。
【0156】
【表7】
【0157】このようにして作製した感光体について、
実施例1と同様の評価を行った結果、いずれの項目にお
いても実施例1と同様に良好な結果が得られた。
【0158】(実施例7)図4に示すような構成の装置
を用い、負帯電用の電子写真感光体を作製した。この
際、高周波電極には、発振周波数が200MHz(f
1)と60MHz(f2)の2種類の周波数の高周波電
力を合成したものを供給した。電子写真感光体の基体と
しては、直径80mm、長さ358mmの円筒状アルミ
ニウムシリンダーを用いた。そして、その上に、表8に
示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、中間層、表面層
を形成した。その際、電荷注入阻止層と光導電層ではB
26を使用しなかった。また、電荷注入阻止層と光導電
層を形成する工程の間に遷移領域を設け、遷移領域で
は、図2(f)に示すような変化パターンでガス流量
(NO)と高周波電力を変化させた。
【0159】
【表8】
【0160】このようにして作製した感光体について、
実施例1と同様の評価を行った結果、いずれの項目にお
いても実施例1と同様に良好な結果が得られた。
【0161】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
高周波電力によって生起されたプラズマを用いて高速な
処理速度で大面積の基体を均一にプラズマ処理し、膜
厚、膜質共に極めて均一な堆積膜を高速で形成すること
が可能となる。この際、基体上に複数の層を積層して製
造される半導体装置において、基体の成膜面に平行な面
内のいずれの方向に関しても膜厚、膜質共に均一で、欠
陥のない優れた特性を有する堆積膜を形成することがで
き、それによって製品品質を向上させることができ、ま
た良品率を向上させて生産コストを低減することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にける、第1の層と第2の層
との間の遷移領域での、原料ガス流量と高周波電力の変
化パターンの一例を示すグラフである。
【図2】図1の他の変化パターンの例を示すグラフであ
る。
【図3】本発明の実施形態の製造方法によって製造可能
な半導体装置の一例である電子写真感光体の層構成を示
す模式的な構成図である。
【図4】本発明の実施形態によって半導体装置を製造す
るのに用いることができる一例の真空処理装置、特に、
VHF帯の周波数の電力を用いたプラズマCVD法によ
って半導体装置を製造するプラズマ処理装置の模式的な
構成図である。
【図5】従来のVHF帯の周波数の電力を用いたプラズ
マCVD法によって半導体装置を製造するプラズマ処理
装置の一例の模式的な構成図である。
【図6】図1に対比されるグラフであり、遷移領域にお
ける原料ガス流量と高周波電力の、従来の変化パターン
を示している。
【符号の説明】
300,400 電子写真感光体 301 基体 302,402 光受容層 303 光導電層 304 表面層 305 電荷注入阻止層 305 中間層 310 自由表面 4100 堆積装置 4109,5111 反応容器 4110 導電性部材 4111 誘電体部材 4112,5112 排気管 4113,5113 円筒状基体 4114,5114 基体支持部材 4115,5115 マッチングボックス 4116,4117,5116 高周波電源 4118,5117 高周波電極 4119 電力分岐材 4121,5121 回転軸 4122,5122 減速ギア 4123,5123 モータ 4124,5120 発熱体 4125,5118 原料ガス導入管 4131 電磁波シールド 4132 上部シールド部材 4133 中間シールド部材 4200 原料ガス供給装置 4211,4212,4213,4214,4215
マスフローコントローラー 4221,4222,4223,4224,4225
原料ガスボンベ 4231,4232,4233,4234,4235,
4241,4242,4243,4243,4244,
4245,4251,4252,4253,4254,
4255,4260 バルブ 4261,4262,4263,4264,4265
圧力調整器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阿部 幸裕 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2H068 DA00 EA24 4K030 AA06 AA10 AA24 BA30 BA37 BB13 CA02 CA16 HA01 JA05 JA16 JA18 LA17

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反応容器内に原料ガスを導入し、高周波
    電力を供給する工程を有し、基体上に堆積膜を形成して
    半導体装置を製造する方法であって、 前記原料ガスを所定の流量で供給し、所定の前記高周波
    電力を供給して前記基体上に第1の層を形成する工程
    と、 少なくとも1つの前記原料ガスの流量と前記高周波電力
    の供給量を、前記第1の層を形成する工程における量と
    は異なる量として前記第1の層上に第2の層を形成する
    工程と、 前記第1の層を形成する工程と前記第2の層を形成する
    工程との間で、前記原料ガスの流量と前記高周波電力の
    供給量を、前記第1の層を形成する際の量から前記第2
    の層を形成する際の量へと徐々に変化させる工程とを有
    し、 前記原料ガスの流量と前記高周波電力の供給量を徐々に
    変化させる工程では、少なくとも1つの前記原料ガスの
    流量を、前記高周波電力の供給量を変化させ始めるタイ
    ミングとは異なるタイミングで変化させ始める、半導体
    装置の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記原料ガスの流量と前記高周波電力の
    供給量を徐々に変化させる工程では、前記高周波電力の
    供給量を、少なくとも1つの前記原料ガスの流量を変化
    させ始めた後、遅れて変化させ始める、請求項1に記載
    の、半導体装置の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記原料ガスの流量と前記高周波電力の
    供給量を徐々に変化させる工程では、少なくとも1つの
    前記原料ガスの流量を前記第2の層を形成する際の量に
    変化させ終わった後に、前記高周波電力の供給量を変化
    させ始める、請求項2に記載の、半導体装置の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記原料ガスの流量と前記高周波電力の
    供給量を徐々に変化させる工程では、少なくとも1つの
    前記原料ガスの流量を、前記高周波電力の供給量を変化
    させ始めた後、遅れて変化させ始める、請求項1に記載
    の、半導体装置の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記原料ガスの流量と前記高周波電力の
    供給量を徐々に変化させる工程では、前記高周波電力の
    供給量を前記第2の層を形成する際の量に変化させ終わ
    った後に、少なくとも1つの前記原料ガスの流量を変化
    させ始める、請求項4に記載の、半導体装置の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 前記原料ガスの流量と前記高周波電力の
    供給量を徐々に変化させる工程では、前記高周波電力
    を、放電空間容積に対する高周波電力密度で換算して、
    1×10-4W/cm3・min〜1.5×10-3W/c
    3・minの速度で変化させる、請求項1から5のい
    ずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記高周波電力として、10MHz以上
    250MHz以下の互いに異なる周波数の高周波電力を
    合成したものを同一の高周波電極に供給し、前記反応容
    器内に導入した前記原料ガスを分解し、プラズマを生成
    して前記堆積膜を形成する、請求項1から6のいずれか
    1項に記載の、半導体装置の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記半導体装置は、導電性部材上に、少
    なくとも、シリコン原子を母材とする非晶質材料からな
    る、電荷注入阻止層と光導電層とを積層して電子写真感
    光体を製造する方法であって、前記電荷注入阻止層を前
    記第1の層とし、前記光導電層を前記第2の層として形
    成する、請求項1から7のいずれか1項に記載の、半導
    体装置の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007080811A (ja) * 2005-08-05 2007-03-29 Advanced Micro-Fabrication Equipment Inc Asia 真空反応室のrfマッチングネットワーク及びその配置方法
JP2014164042A (ja) * 2013-02-22 2014-09-08 Canon Inc 電子写真感光体およびその製造方法ならびに電子写真装置

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JP2007080811A (ja) * 2005-08-05 2007-03-29 Advanced Micro-Fabrication Equipment Inc Asia 真空反応室のrfマッチングネットワーク及びその配置方法
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US9588447B2 (en) 2013-02-22 2017-03-07 Canon Kabushiki Kaisha Electrophotographic photosensitive member, method for manufacturing the same, and electrophotographic apparatus

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