JP2003041369A - 真空処理方法および真空処理装置 - Google Patents

真空処理方法および真空処理装置

Info

Publication number
JP2003041369A
JP2003041369A JP2001229522A JP2001229522A JP2003041369A JP 2003041369 A JP2003041369 A JP 2003041369A JP 2001229522 A JP2001229522 A JP 2001229522A JP 2001229522 A JP2001229522 A JP 2001229522A JP 2003041369 A JP2003041369 A JP 2003041369A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reaction vessel
processed
vacuum processing
high frequency
objects
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001229522A
Other languages
English (en)
Inventor
Kunimasa Kawamura
邦正 河村
Shigenori Ueda
重教 植田
Takashi Otsuka
崇志 大塚
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2001229522A priority Critical patent/JP2003041369A/ja
Publication of JP2003041369A publication Critical patent/JP2003041369A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)
  • Chemical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 プラズマを用いて複数の被処理物上に同時に
真空処理を施す際に、真空処理速度および真空処理特性
を向上し、真空処理特性を均一化し、真空処理コストを
低減する。 【解決手段】 反応容器102中に複数の円筒状基体1
01を配置し、2つの異なる周波数f1,f2の高周波
電力を同一の高周波電極104に同時に供給し、反応容
器102内に導入された高周波電力によってプラズマを
形成し、原料ガス導入管103より反応容器102中に
導入されたガスを分解して円筒状基体101上に堆積膜
を形成する。2つの異なる周波数f1、f2は、250
MHz≧f1>f2≧10MHzかつ0.9≧f2/f
1≧0.1の関係を満たす。複数の被処理物101は、
反応容器102内に、隣接する被処理物101間の間隔
(最短距離)d(mm)がd≧4000/(f1+f
2)となるように、一定間隔で配置される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体デバイス、電
子写真用感光体、画像入力用ラインセンサー、撮像デバ
イス、光起電力デバイス等における堆積膜形成やエッチ
ング等に用いられる、高周波電力を用いた真空処理方法
および真空処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体デバイス、電子写真用感光
体、画像入力用ラインセンサー、撮像デバイス、および
光起電力デバイスなど各種のエレクトロニクス素子や光
学素子の製造に採用される堆積膜形成方法として、真空
蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、
熱CVD法、光CVD法、プラズマCVD法等の多数の
方法が知られており、これらの堆積膜形成方法を実施す
るための装置も実用に付されている。
【0003】中でもプラズマCVD法、すなわち、原料
ガスを直流または高周波またはマイクロ波グロー放電に
より分解し被処理物上に薄膜状の堆積膜を形成する方法
が好適であり、電子写真用水素化アモルファスシリコン
(以下、「a−Si:H」と表記する)堆積膜の形成等
において実用化が非常に進んでおり、そのための装置も
多数提案されている。
【0004】このような堆積膜の形成装置および形成方
法は概略以下のようなものである。
【0005】図7は、RF帯の周波数の電源を用いたR
FプラズマCVD法(以後「RF−PCVD」と略記す
る)による堆積膜形成装置、具体的には電子写真用光受
容部材の形成装置の一例を示す模式的な構成図である。
図7に示す堆積膜形成装置の構成は以下の通りである。
【0006】この装置は大別すると、堆積装置210
0、原料ガス供給装置2200、反応容器2101内を
減圧にするための排気装置(図示せず)から構成されて
いる。堆積装置2100中の反応容器2101内には、
円筒状基体(被処理物)2112と、基体加熱用ヒータ
ーを内蔵した基体支持体2113と、原料ガス導入管2
114とが設置されている。高周波マッチングボックス
2115が、反応容器2101の一部を構成するカソー
ド電極(高周波電極)2111に接続されている。カソ
ード電極2111は、碍子2120によりアース電位と
絶縁され、基体支持体2113を通してアース電位に維
持され、アノード電極として作用する円筒状基体211
2との間に高周波電圧が印加可能になっている。
【0007】原料ガス供給装置2200は、SiH4
GeH4、H2、CH4、B26、PH 3等の原料ガスボン
ベ2221〜2226と、バルブ2231〜2236,
2241〜2246,2251〜2256と、マスフロ
ーコントローラー2211〜2216とから構成されて
いる。各原料ガスボンベ2221〜2226は、補助バ
ルブ2260を介して反応容器2111内の原料ガス導
入管2114に接続されている。
【0008】この装置を用いた堆積膜の形成は、例えば
以下のように行うことができる。
【0009】まず、反応容器2101内に円筒状基体2
112を設置し、不図示の排気装置(例えば真空ポン
プ)により反応容器2101内を排気する。続いて、基
体支持体2113に内蔵された基体加熱用ヒーターによ
り円筒状基体2112の温度を200℃〜350℃程度
の所定の温度に加熱制御する。
【0010】堆積膜形成用の原料ガスを反応容器210
1に流入させるには、原料ガスボンベバルブ2231〜
2236と反応容器のリークバルブ2117が閉じられ
ていることを確認し、また、流入バルブ2241〜22
46、流出バルブ2251〜2256、および補助バル
ブ2260が開かれていることを確認して、まずメイン
バルブ2118を開いて反応容器2101および原料ガ
ス配管2116内を排気する。
【0011】次に、真空計2119が約7×10-1Pa
を示した時点で、補助バルブ2260と流出バルブ22
51〜2256を閉じる。
【0012】その後、原料ガスボンベバルブ2231〜
2236を開いて原料ガスボンベ2221〜2226よ
り各原料ガスを導入し、圧力調整器2261〜2266
により各ガス圧を0.2MPaに調整する。次に、流入
バルブ2241〜2246を徐々に開けて、各原料ガス
をマスフローコントローラー2211〜2216内に導
入する。
【0013】以上のようにして成膜の準備が完了した
後、以下の手順で各層の形成を行う。
【0014】円筒状基体2112が所定の温度になった
ところで、流出バルブ2251〜2256のうちの必要
なものおよび補助バルブ2260を徐々に開き、所定の
原料ガスを、原料ガスボンベ2221〜2226から原
料ガス導入管2114を介して反応容器2101内に導
入する。次に、マスフローコントローラー2211〜2
216によって各原料ガスが所定の流量になるように調
整する。その際、反応容器2101内の圧力が所定の値
になるように、真空計2119を見ながらメインバルブ
2118の開口を調整する。内圧が安定したところで、
周波数13.56MHzのRF電源(不図示)を所望の
電力に設定し、高周波マッチングボックス2115およ
びカソード電極2111を通して反応容器2101内に
RF電力を導入し、円筒状基体2112をアノード電極
として作用させてグロー放電を生起させる。この放電エ
ネルギーによって、反応容器内に導入された原料ガスが
分解され、円筒状基体2112上にシリコンを主成分と
する所定の堆積膜が形成される。所望の膜厚の堆積膜が
形成された後、RF電力の供給を止め、流出バルブ22
51〜2256を閉じて反応容器2101への原料ガス
の流入を止め、堆積膜形成工程を終える。
【0015】同様の操作を複数回繰り返すことによっ
て、所望の多層構造の光受容層が形成される。それぞれ
の層を形成する際には必要な原料ガス以外の流出バルブ
はすべて閉じられていることは言うまでもない。また、
それぞれの原料ガスが反応容器2101内や流出バルブ
2251〜2256から反応容器2101に至る原料ガ
ス配管2116内に残留することを避けるために、流出
バルブ2251〜2256を閉じ、補助バルブ2260
を開き、さらにメインバルブ2118を全開にして系内
を一旦高真空に排気する操作が、必要に応じて適宜行わ
れる。
【0016】膜形成の均一化を図るために、層形成を行
っている間は、円筒状基体2112を駆動装置(不図
示)によって所定の速度で回転させることも有効であ
る。
【0017】なお、上述した原料ガスの種類やバルブの
操作方法は、各々の層の作成条件にしたがって適宜変更
が加えられることは言うまでもない。
【0018】このようなRF帯の周波数を用いたRF−
PCVD法による従来の堆積膜形成装置および形成方法
に加え、近年では、VHF帯の高周波電力を用いたVH
FプラズマCVD(以後「VHF−PCVD」と略記す
る)法が注目を浴びており、これを用いた堆積膜形成方
法および形成装置の開発も積極的に進められている。こ
れは、VHF−PCVD法は膜堆積速度が速く、また高
品質な堆積膜が得られるため、製品の低コスト化と高品
質化を同時に達成し得るものと期待されているからであ
る。例えば、特開平6−287760号公報には、a−
Si系電子写真用光受容部材の形成に用い得る装置およ
び方法が開示されている。また、複数の電子写真用光受
容部材を同時に形成でき、生産性の極めて高い、図8に
示すような堆積膜形成装置の開発も進められている。
【0019】図8(a)はその堆積膜形成装置の概略断
面図、図8(b)は、図8(a)の切断線A−A’に沿
う概略断面図である。反応容器301の側面には排気管
311が一体的に形成され、排気管311の端部は不図
示の排気装置に接続されている。反応容器301の中心
部を取り囲むように、堆積膜の形成される6個の円筒状
基体(被処理物)305が、互いに平行に配置されてい
る。各円筒状基体305は、回転軸308によって保持
され、発熱体307によって加熱され得る。モーター3
09を駆動すると、減速ギア310を介して回転軸30
8が回転し、円筒状基体305がその母線方向中心軸の
まわりを自転する。
【0020】反応容器301内には、不図示の原料ガス
供給装置より原料ガス導入管312を介して、所定の原
料ガスが所定の流量で供給される。VHF電力は、VH
F電源303からマッチングボックス304を経て、さ
らにカソード電極(高周波電極)302より反応容器3
01内に供給される。この際、回転軸308を通してア
ース電位に維持された円筒状基体305および反応容器
301壁面が、アノード電極として作用する。
【0021】このような装置を用いた堆積膜形成は、概
ね以下のような手順により行うことができる。
【0022】まず、反応容器301内に円筒状基体30
5を設置し、不図示の排気装置により排気管311を通
して反応容器301内を排気する。続いて、発熱体30
7により円筒状基体305を200℃〜300℃程度の
所定の温度に加熱制御する。
【0023】円筒状基体305が所定の温度となったと
ころで、原料ガス導入管312を介して、原料ガスを反
応容器301内に導入する。原料ガスの流量が設定流量
となり、かつ反応容器301内の圧力が安定したのを確
認した後、高周波電源303よりマッチングボックス3
04を介してカソード電極302へ所定のVHF電力を
供給する。これにより、カソード電極302と、アノー
ド電極として作用する円筒状基体305との間にVHF
電力が印加され、円筒状基体305で囲まれた成膜空間
306にグロー放電が生起し、原料ガスは励起解離して
円筒状基体305上に堆積膜が形成される。
【0024】所望の膜厚の堆積膜が形成された後、VH
F電力の供給を止め、続いて原料ガスの供給を停止して
堆積膜形成工程を終える。同様の操作を複数回繰り返す
ことによって、所望の多層構造の光受容層が形成され
る。
【0025】堆積膜形成中、回転軸308を介して円筒
状基体305をモーター309により所定の速度で回転
させることにより、円筒状基体表面全周に亘って堆積膜
を形成することができる。
【0026】特開平6−97078号公報および特公平
7−105354号公報には、VHF帯の高周波放電を
利用したプラズマCVD法において、電極間隔を周波数
との関係で規定することにより、良質なa−Si堆積膜
を形成する技術が開示されている。
【0027】また、特開昭63−241179号公報お
よび特開昭63−235477号公報には、マイクロ波
プラズマCVD装置において、反応容器内に配置された
複数の被処理物間の間隔を規定することにより、良質な
堆積膜を均一に形成する技術が開示されている。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】上記した方法および装
置によると、良好なプラズマ処理や堆積膜形成がなされ
る。しかし、製品に対する市場の要求レベルは日々高ま
っており、より高品質の製品が生産可能なプラズマ処理
方法や堆積膜形成方法が求められるようになっている。
【0029】例えば、電子写真感光体の場合、電子写真
装置のプロセススピードの向上、装置の小型化、および
低価格化等の要求が非常に高く、これらを実現可能な感
光体特性、具体的には帯電能や感度等の向上や生産時の
良品率向上が不可欠となっている。また、近年普及が目
覚しいデジタル電子写真装置やカラー電子写真装置にお
いては、文字原稿のみならず、写真、絵、デザイン画等
のコピーも頻繁になされるため、従来以上に感光体の光
メモリーの低減が求められるようになり、さらに、画像
濃度ムラの低減のために、大面積の基体(被処理物)上
に膜厚、膜質ともに均一な膜を形成することが求められ
ている。
【0030】このような感光体特性の向上を目指し、電
子写真感光体の層作成条件や層構成の最適化もなされて
いるが、同時に、電子写真感光体の製造方法および製造
装置の改善も必要とされている。
【0031】このような状況下において、プラズマ処理
方法や堆積膜形成方法においても、未だ改善の余地が残
されているのが現状である。
【0032】すでに述べたように、VHF帯あるいはそ
の近傍の周波数の高周波電力を用いてプラズマを生成し
真空処理を施すことにより、真空処理速度の向上および
真空処理特性の向上が達成可能である。しかしながら、
このような周波数帯の高周波電力を用いた場合、真空処
理容器中での高周波電力の波長が、真空処理容器、高周
波電極、基板、あるいは基板ホルダー等と同程度の長さ
となり、真空処理容器中で高周波電力が定在波を形成し
てしまう。さらに、この定在波によって真空処理容器中
では場所ごとに電力の強弱が生じ、プラズマ特性が異な
ってしまう。その結果、基体の表面内で堆積膜の膜厚が
均一であっても、その膜質に不均一が生じ、電子写真感
光体のような大面積の被処理基体においては、結果的に
特性ムラとなって現れ、真空処理特性の均一性を広い範
囲で得ることは難しかった。
【0033】また、電子写真感光体のように膜厚が厚い
デバイスの場合、膜堆積に従ってプラズマの状態が変化
してゆくことにより、基体の表面内での特性分布が膜厚
方向で異なってしまって膜質の不均一性が発生したり、
その厚さ方向に沿って膜質が変わってしまう場合があっ
た。
【0034】このような膜質の不均一性は、電子写真感
光体のみならず、光起電力デバイスや、画像入力用ライ
ンセンサーや、撮像デバイス等に用いられる、結晶質ま
たは非単結晶質の機能性堆積膜を形成する場合にも大き
な問題となる。またドライエッチングやスパッタリング
等のプラズマ処理プロセスにおいても、放電周波数を上
げた場合に同様の処理ムラが生じ、このままでは実用上
大きな問題になる。
【0035】このような問題を解決するための手段とし
て、複数の異なる周波数の高周波電力を反応容器中に同
時に供給することが考えられる。これによると、反応容
器中には、各々の周波数に応じた異なる波長の定在波が
複数形成されるが、これらは同時に供給されているの
で、これら複数の定在波が合成され、結果として明確な
定在波が形成されなくなる。このような考えに基づけ
ば、異なる複数の高周波電力の周波数はどのような値で
あっても定在波抑制効果は得られる。例えば、特開昭6
0−160620号公報においては、10MHz以上の
高周波電力と1MHz以下の高周波電力を同一電極に供
給する構成が開示されており、特開平9−321031
号公報においては、UHF帯(300MHz以上1GH
z以下)の第1の高周波電力に、それと2倍以上異なる
周波数の第2の高周波電力を重畳させる構成が開示され
ている。
【0036】この技術を用いることによって、反応容器
中の高周波電力の定在波は抑制され、真空処理の均一性
が向上すると考えられる。
【0037】しかしながら、本発明者らが上記公報で開
示された技術を用いて真空処理特性の均一性に関する実
験を行った結果、確かにあるレベルまでは真空処理特性
の均一性は向上できるものの、近年要求されているよう
な高レベルの均一性を得るには至らなかった。すなわ
ち、電界強度的に均一化されているはずの電力供給方法
であっても、実際の真空処理においては、不均一性が残
ってしまうことが明らかになった。
【0038】また、本発明者らが、反応容器内に複数の
被処理物を配置して同時に処理する実験を行った結果、
特に、隣接する被処理物間において、近年要求されてい
る高レベルの均一性を得ることがより困難であることが
判った。さらに、均一性の低下は、生産性を高める目的
で被処理物の設置数を増やした場合に、被処理物間の間
隔が狭くなるのに伴い、顕著に発生することが判った。
【0039】従って、本発明の目的は、上述のような従
来の問題点を克服し、従来の方法では達成できなかった
処理速度で、大面積の被処理物を均一にプラズマ処理す
ることが可能で、かつ複数の被処理物を同時に極めて均
一に処理することが可能な真空処理方法およびそのため
の真空処理装置を提供することにある。
【0040】本発明のさらなる目的は、複数の被処理物
上に、非単結晶材料で構成された複数の層からなる電子
写真用感光体を製造する際に、被処理物の表面内におい
て、膜厚、膜質ともに極めて均一に製造する方法および
装置を提供することにある。
【0041】
【課題を解決するための手段】本発明者らが上記した目
的を達成すべく鋭意検討を行った結果、反応容器内に設
置した複数の被処理物を処理する場合に、同一電極に複
数の高周波電力を供給し、周波数と、隣接する被処理物
間の間隔との関係を変化させることによって、真空処理
の均一性が顕著に変化することを見出した。そして、周
波数と被処理物間の間隔とを所定の関係とすることで、
複数の被処理物を同時に処理する場合においても、真空
処理速度の向上、真空処理特性の向上、真空処理特性の
均一性向上、および真空処理コストの低減が同時に実現
可能であることを見出し、本発明を完成させるに至っ
た。
【0042】以下、プラズマの均一化およびそれに基づ
くプラズマ処理の均一化を達成するために行った実験
と、それによって得られた知見を述べる。
【0043】前述のとおり、本発明者らが特開昭60−
160620号公報で開示された技術を用いて実験を行
った結果、確かにあるレベルまでは真空処理特性の均一
性は向上できるものの、近年要求されている高レベルの
均一性を得るには至らなかった。この場合、10MHz
以上の電力(以下「高周波数電力」と称す。)と1MH
z以下の電力(以下「低周波数電力」と称す。)を同時
に処理容器中に供給することで、高周波数電力による電
界定在波と低周波数電力による電界定在波が合成され、
高周波電界的には処理容器中での電界定在波を抑制する
ことは可能である。しかしながら、このように高周波数
電力と低周波数電力の周波数が1桁以上(10倍以上)
も異なってしまうと、生成される活性種の種類や比率に
空間的なばらつきが生じてしまい、真空処理特性が不均
一になると考えられる。
【0044】そこで、真空処理特性の均一化を可能とす
る周波数を見出すために以下の検討を行った。
【0045】図8に示す装置を用い、まず100MHz
の周波数の高周波電力のみを高周波電源より出力し、マ
ッチングボックスを経て電極に印加することで、電極と
対向する被処理物との間の高周波電界によりプラズマを
生起させて、被処理物上にプラズマ処理(a−Si膜の
堆積)を行った。図8に示す装置の場合、被処理物であ
る電子写真感光体は、通常、長さ350mm程度である
ために、必然的に電極長も350〜400mm程度とな
る。電極に供給する高周波の周波数を例えば13.56
MHz〜100MHzにすると、その波長λは、例えば
大気中では約22m〜3mとなる。電極上の1点から導
入された高周波は、電極表面を伝播して反対側に到達す
るが、その伝播距離がλ/10以上になると、定在波の
影響により電極上で電界のばらつきが生じるようにな
る。つまり、100MHzにおいては、この高周波電界
の影響から放電空間内の電界ムラを起こし、軸方向にプ
ラズマ特性の不均一性がみられ、それに対応するように
堆積膜の特性にも不均一性が観測された。
【0046】そこで、このような電極上の高周波電界ム
ラによる不均一性を解消し、高周波の定在波をプラズマ
特性のムラに反映させないようにするために、周波数は
異なるが比較的近接する複数の高周波を同時に電極に供
給する方法を用いたところ、それぞれの周波数において
発生するはずの局所ムラが緩和され、その結果、被処理
物のほぼ全体にわたって膜厚ならびに膜質が均一な堆積
膜が得られた。
【0047】しかしながら、このように均一な真空処理
が可能な場合においても、生産性を上げる目的で反応容
器内に設置する被処理物の数を増やすと、隣接する被処
理物間に位置する堆積膜に膜厚ならびに膜質の均一性が
低下してしまう現象が見られた。
【0048】そこで、反応容器内に複数の被処理物を設
置して同時に処理する場合に真空処理特性の均一化を可
能にするために、本発明者らはさらに鋭意検討を重ね
た。その結果、周波数の近接した複数の高周波を同一の
電極に供給し、さらに、その周波数と、隣接する被処理
物間の間隔との関係を変化させることによって、真空処
理の均一性が顕著に変化することを見出した。
【0049】そして、周波数と、被処理物間の間隔とを
所定の関係にすることで、複数の被処理物を同時に処理
する場合においても、真空処理速度の向上、真空処理特
性の向上、真空処理特性の均一性向上、および真空処理
コストの低減が同時に実現可能であることを見出し、本
発明を完成させるに至った。
【0050】すなわち、本発明は、反応容器中に複数の
被処理物を設置し、少なくとも2つの異なる周波数の高
周波電力を同一の高周波電極に同時に供給し、高周波電
極より反応容器内に導入された高周波電力によってプラ
ズマを形成し、原料ガス供給手段により反応容器中に導
入したガスを分解して被処理物を処理する際に、2つの
異なる周波数f1およびf2が、250MHz≧f1>
f2≧10MHzかつ0.9≧f2/f1≧0.1の関
係を満たし、複数の被処理物を、反応容器内に、隣接す
る前記被処理物間の間隔d(mm)がd≧4000/
(f1+f2)となるように、一定間隔で配置すること
を特徴とする。
【0051】これによれば、高い真空処理速度を維持し
ながら、真空処理特性の向上および真空処理コストの低
減を実現し、同時に真空処理特性の均一性を著しく向上
させることが可能である。
【0052】周波数がこのような関係にある際に均一化
効果が顕著に得られるメカニズムは、おおよそ以下のよ
うな作用によるものと考えられる。
【0053】例えば、同一の高周波電極に同時に供給す
る複数の高周波電力において、最大周波数f1と最小周
波数f2が1桁(10倍)近く異なる場合、最大周波数
の電力(高周波数電力)による電界定在波と、最小周波
数の電力(低周波数電力)による電界定在波とが合成さ
れ、高周波電界的には処理容器中での電界定在波を抑制
することは可能である。しかしながら、このように高周
波数電力と低周波数電力の周波数が1桁近くも異なって
しまうと、高周波数電力による原料ガスの分解の仕方と
低周波数電力による原料ガスの分解の仕方が異なってし
まう。その結果、生成される活性種の種類や比率が異な
ってしまう。このため、電界強度的には均一化がなされ
ていても、高周波数電力による電界定在波の腹部分では
高周波数電力の周波数に応じた種類および比率の活性種
が多く生成され、低周波数電力による電界定在波の腹部
分では低周波数電力の周波数に応じた種類および比率の
活性種が多く生成されてしまう。その結果、活性種の種
類や比率に空間的なばらつきが生じてしまい、真空処理
特性が不均一になると考えられる。
【0054】そこで、両周波数の比をf2/f1≧0.
1の関係に維持することで、このような周波数の違いに
よる生成活性種の種類や比率の違いは、実用上問題とな
るレベルでなくなるものと考えられる。また、f1とf
2とが近すぎると、各々の定在波の節位置や腹位置が近
接して、十分な電界定在波抑制効果が得られなくなって
しまうため、f2/f1≦0.9の関係に維持すること
が必要であると考えられる。
【0055】また、f1が250MHzよりも高くなる
と、電力の進行方向での減衰が顕著になり、異なる周波
数をもつ高周波電力間での減衰率のずれが顕著となって
しまい、十分な均一化効果が得られなくなってしまうと
考えられる。
【0056】さらに、f2が10MHzよりも小さくな
ると、真空処理速度が急激に低下してしまい、真空処理
コストの点から好ましくない。
【0057】以上のような理由から、周波数f1,f2
に関しては、250MHz≧f1>f2≧10MHzか
つ0.9≧f2/f1≧0.1とすることで、真空処理
速度を高く維持しながらも、真空処理特性の向上および
真空処理特性の均一性向上の効果を顕著に得られるもの
と推察される。
【0058】また、隣接する前記被処理物間の間隔d
(mm)が、d≧4000/(f1+f2)の関係にあ
る際に真空処理特性の均一化効果が顕著に得られるメカ
ニズムは、おおよそ以下のような作用によるものと考え
られる。
【0059】隣接する被処理物間の間隔dが小さくなる
と、被処理物間において被処理物に寄与し得るプラズマ
の体積が減少する。その結果、同一の高周波電極に同時
に供給される複数の周波数の関係が適切な関係にあった
としても、被処理物間の狭い領域においては定在波の影
響を抑制するのに充分な荷電粒子のエネルギー状態や密
度が得られず、これによって、プラズマから被処理物に
入射する荷電粒子のエネルギー状態や密度、また生じる
活性種の種類や比率に空間的なばらつきが生じてしま
い、真空処理特性が不均一になると考えられる。
【0060】さらに、周波数f1とf2の和が小さくな
ると、電磁波がその周波数特性によって狭い領域内に寄
与しにくくなり、その結果、定在波の影響を抑制するの
に充分な荷電粒子のエネルギー状態や密度が得られず、
真空処理特性が不均一になると考えられる。
【0061】即ち、複数の被処理物を同時に処理する場
合には、被処理物間の間隔を周波数f1とf2に対して
適切な関係になるように制御し、真空処理特性を均一化
することが必要であると考えられる。
【0062】以上のような理由から、隣接する前記被処
理物間の間隔を、d≧4000/(f1+f2)とする
ことで、真空処理速度を高く維持しながらも、真空処理
特性の向上および真空処理特性の均一性向上の効果を顕
著に得られるものと推察される。
【0063】なお、本発明において、上記した関係に設
定する対象である高周波電力は、真空処理に影響を及ぼ
すレベル以上の電力を有するものであって、実質上、真
空処理に影響を及ぼさない低電力の高周波電力、例えば
高調波電力等は上記関係に制限されるものではない。
【0064】また、必要に応じて、さらに他の周波数の
電力を同時に供給しても良い。例えば、真空処理中のバ
イアス効果を高めるために、本発明の範囲の高周波電力
に加えて、数十kHz〜数百kHz程度の周波数の電力
を同時に供給することができる。このように、さらなる
電力を供給する場合には、その電力を加えることで真空
処理特性の均一性が損なわれない程度の電力とする必要
がある。
【0065】本発明において、このような真空処理容器
中への高周波電力の供給は、同一電極から行う必要があ
る。各々異なった周波数の高周波電力を各々別の電極か
ら供給した場合、電極上では電極ごとに供給高周波電力
の周波数に依存した波長の定在波が生じてしまう。この
結果、電極近傍のプラズマ特性は、この定在波に応じた
分布をもってしまい、真空処理に寄与する活性種の種類
や比率が位置によって異なってしまうため、真空処理特
性の均一性が損なわれる可能性がある。
【0066】また、隣接する被処理物間の間隔dを大き
く取り過ぎることは、本発明の目的の一つである真空処
理の生産性向上を妨げることになる。従って、本発明に
おいては、所望の生産性が得られる範囲で被処理物間の
間隔dの上限を定め、隣接する被処理物間の間隔を設定
することが好ましい。
【0067】さらに、本発明においては、棒状の電極か
ら高周波電力を真空処理容器中に供給することで顕著な
効果を得ることができる。このような、実質的に一次元
として扱うことが可能な電極形状においては、電力が進
行方向に対して横方向に回りこむことが実質的にないの
で、横方向への回りこみによる二次的な定在波が生じ
ず、顕著な効果が得られると推察される。
【0068】さらに、本発明においては、被処理物が円
筒状または円柱状の場合により大きな効果を得ることが
できる。これは、被処理物が円筒状または円柱状の場
合、被処理物上の高周波電力の反射端は被処理物の両端
に限定されることによるものと推測され、これは、多く
の反射端が存在しそれに応じた多くの定在波が生じる場
合に比べ、定在波の腹位置での電界強度が高く、他の周
波数の電力によって生じる定在波の節位置、すなわち電
界強度の低い部分を効果的に補うことが可能となるため
と推測される。
【0069】さらに、本発明は、真空処理方法が、導入
した原料ガスを分解して、反応容器内に配された複数の
被処理物上に、非単結晶材料で構成された複数の層から
なる電子写真用感光体を製造する場合に、特に顕著な効
果を得ることが可能である。電子写真感光体は、大面積
の被処理物への堆積膜形成が必要であり、さらにその全
領域にわたって構造欠陥が存在しない必要がある。その
ため本発明によれば、被処理物上に膜厚、膜質ともに均
一で良好な特性の堆積膜を得ることができるため、デバ
イス特性の向上ならびに生産性の向上にともなうコスト
低減の上で極めて効果的である。
【0070】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。
【0071】図1は、本発明の第1の実施形態のプラズ
マ処理装置(真空処理装置)の模式図である。図1
(a)はその概略断面図、図1(b)は、図1(a)の
切断線A−A’に沿う概略断面図である。
【0072】反応容器301の側面には排気管311が
一体的に形成され、排気管311の端部は不図示の排気
装置に接続されている。反応容器301の中心部を取り
囲むように、堆積膜が形成される被処理物である6個の
円筒状基体305が、ホルダーに載置された状態で、互
いに平行になるように配置されている。各円筒状基体3
05は回転軸308によって保持され、発熱体307に
よって加熱されるようになっている。モーター309を
駆動すると、減速ギア310を介して回転軸308が回
転し、円筒状基体305がその母線方向中心軸のまわり
を自転するようになっている。
【0073】反応容器301内には原料ガスが原料ガス
導入管312より供給される。また、異なる周波数の複
数の高周波電力が、2つの高周波電源303、313よ
りマッチングボックス304を経て高周波電極(カソー
ド電極)302に同時に供給され、さらに高周波電極3
02より反応容器301内に供給される。この際、回転
軸308を通してアース電位に維持された円筒状基体3
05および反応容器301の壁面が、アノード電極とし
て作用する。
【0074】高周波電源303、313は、各々の発振
周波数が、例えば高周波電源303の発振周波数をf
1、高周波電源313の発振周波数をf2とした場合、
250MHz≧f1>f2≧10MHzかつ0.9≧f
2/f1≧0.1となるように設定されている。
【0075】なお、図1においては、上記した範囲を満
たす2つの異なる周波数の高周波電力を出力可能な2つ
の高周波電源303,313を用いているが、本発明に
おいては2つ以上の異なる周波数の高周波電力が供給可
能であればよく、高周波電源が3つ以上であってもよ
い。また、あらかじめ複数の周波数を合成した高周波電
力が出力可能な電源を用いる場合には、電源の数は1つ
であってもかまわない。また、図1においては2つの異
なる周波数の高周波電力を共通のマッチングボックスを
介して供給しているが、別々のマッチングボックス30
4を介して供給し、そのあとで合成して高周波電極30
2に供給してもかまわない。
【0076】高周波電極(カソード電極)302の形状
としては、特に制限はないが、真空処理特性の均一化効
果をより顕著に得るためには、図1に示すような棒状あ
るいは線状であることが好ましく、また、膜剥がれ防止
の観点から、可能な限り曲面により構成されていること
が好ましく、特に、円柱状や円筒状が好ましい。
【0077】高周波電極302の表面は、膜の密着性を
向上し、膜剥れを防止し、成膜中のダストを抑制する目
的から、粗面化されていることが望ましい。具体的に
は、2.5mmを基準とする10点平均粗さ(Rz)が
5μm以上200μm以下の範囲になる程度に粗面化す
ることが好ましい。
【0078】さらに、膜の密着性向上の観点から、高周
波電極302の表面はセラミックス材で被覆されている
ことが効果的である。被覆の具体的手段に特に制限はな
いが、例えばCVD法や溶射等の表面コーティング法に
より、高周波電極302の表面をコーティングしてもよ
い。コーティング法の中でも、溶射は、コスト面や、コ
ーティング対象物の大きさや形状にあまり制限がないと
いう点で好ましい。また、高周波電極302の外部をパ
イプ形状等のセラミック部材により覆う構成とすること
も効果的である。具体的なセラミックス材料としては、
アルミナ、二酸化チタン、窒化アルミニウム、窒化ホウ
素、ジルコン、コージェライト、ジルコン−コージェラ
イト、酸化珪素、酸化ベリリウムマイカ系セラミックス
等が挙げられる。高周波電極302の表面を被覆するセ
ラミックス材の厚さは特に制限はないが、耐久性および
均一性を増すため、また、高周波電力吸収量や製造コス
トの面から、1μm〜10mmが好ましく、10μm〜
5mmがより好ましい。
【0079】また、高周波電極302に加熱または冷却
手段を設けることにより、高周波電極302表面におけ
る膜の密着性をさらに高め、より効果的に膜剥がれの防
止を達成できる。この場合、高周波電極302を加熱す
るか冷却するかは、堆積する膜材料や堆積条件に応じて
適宜決定する。加熱手段としては、発熱体であれば特に
制限はない。具体的には、シース状ヒーターの巻付けヒ
ーターや板状ヒーターやセラミックヒーター等の電気抵
抗発熱体、ハロゲンランプや赤外線ランプ等の熱輻射ラ
ンプ発熱体、液体や気体等を媒体とした熱交換手段によ
る発熱体等が挙げられる。冷却手段としては、吸熱体で
あれば特に制限はない。具体的には、例えば、液体や気
体等を冷却媒体として流すことができる冷却コイル、冷
却板、冷却筒等が挙げられる。
【0080】このような装置を用いて、堆積膜形成は概
ね以下のような手順により行うことができる。
【0081】まず、反応容器301内に円筒状基体30
5を設置し、不図示の排気装置により排気管311を通
して反応容器301内を排気する。続いて、発熱体30
7により円筒状基体305を200℃〜300℃程度の
所定の温度に加熱制御する。
【0082】円筒状基体305が所定の温度となったと
ころで、原料ガス導入管312を介して、原料ガスを反
応容器301内に導入する。原料ガスの流量が設定流量
となり、かつ反応容器301内の圧力が安定したのを確
認した後、250MHz≧f1>f2≧10MHzかつ
0.9≧f2/f1≧0.1の関係を満たす2つの周波
数f1、f2の高周波電力を、高周波電源303、31
3よりマッチングボックス304を介して高周波電極3
02へ供給する。これにより、反応容器301内に2つ
の異なる周波数の高周波電力が導入され、反応容器30
1の成膜空間306内にグロー放電が生起し、原料ガス
は励起解離して円筒状基体305上に堆積膜が形成され
る。
【0083】高周波電源303、313より供給される
2つの周波数f1、f2の高周波電力は、それぞれの実
効値の和である総電力に基づいて制御される。本発明で
は、f1、f2ともに同一の電力、すなわち1対1の電
力比率で供給するが、処理特性を均一に維持できる範囲
内で適当な電力比率を選ぶこともできる。
【0084】所望の膜厚の堆積膜が形成された後、高周
波電力の供給を止め、続いて原料ガスの供給を停止して
堆積膜形成工程を終える。同様の操作を複数回繰り返す
ことによって、所望の多層構造の光受容層が形成され
る。
【0085】堆積膜形成中、回転軸308を介して円筒
状基体305をモーター309により所定の速度で回転
させることにより、円筒状基体305の表面全周に亘っ
て均一に堆積膜が形成される。
【0086】図2には、本発明の真空処理装置の他の例
が示されている。この真空処理装置100は、少なくと
も一部が非導電性材料からなる反応容器102の内部
に、複数の円筒状基体(被処理物)101が設置可能な
基体支持体106が配設されている。基体支持体106
は、その回転軸110が減速ギア112を介してモータ
ー111に接続されている。反応容器102の外部に
は、高周波電源108,117およびマッチングボック
ス109,118を含む高周波電力供給システム105
に電力分岐部113を介して接続された高周波電極(カ
ソード電極)104が設けられている。高周波電極10
4の外側は、円筒状導電性シールド115に取り囲まれ
ている。反応容器102内の円筒状基体101に囲まれ
る中央部分には、原料ガス導入管103が設けられてい
る。さらに、反応容器102に排気管107が接続され
ている。原料ガス導入管はここでは中央に設置したが、
反応容器内のガス分布をより均一化するために、反応容
器内で円筒状基体の配置円外に複数設置しても良い。
【0087】この構成では、原料ガスが分解される成膜
空間を、少なくとも一部を非導電性材料で構成した反応
容器102により制限し、反応容器102の外部に設置
した複数の高周波電極104から反応容器102内に電
力を供給することにより、原料ガスの利用効率が向上
し、同時に、形成される堆積膜中の欠陥が抑制可能とな
る。反応容器102の円筒状壁面の少なくとも一部をな
す具体的な非導電性材料としては、アルミナ、二酸化チ
タン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ジルコン、コー
ジェライト、ジルコン−コージェライト、酸化珪素、酸
化ベリリウムマイカ系セラミックス等が挙げられる。こ
れらのうち、高周波電力の減衰が少ないという点から、
特にアルミナが好適である。
【0088】また、中心軸が円筒状基体101の配置さ
れた円の中心を通る、一定電位に維持された円筒状導電
性シールド115を、円筒状壁面外に設置された高周波
電極104を取り囲むように設けることが、放出される
高周波電力の均一性を向上する上で好適である。反応容
器102自体がこのような円筒状導電性シールド115
としても機能する構成としてもよい。
【0089】この図2に示す装置においても、堆積膜を
形成する具体的手順は、図1に示す装置を用いた場合と
概略同様にして行うことができる。
【0090】本発明により、例えば図3に示すようなa
−Si系電子写真感光体が形成可能である。
【0091】図3(a)に示す感光体500は、基体
(被処理物)501の上に、光受容層502が設けられ
ている。光受容層502は、基体501側から順に積層
されている、a−Si系電荷注入阻止層505と、a−
Si:H,Xからなり光導電性を有する光導電層503
と、a−SiC系表面層504とから構成されている。
なお、a−SiC系表面層504の表面が自由表面51
0である。
【0092】図3(b)に示す感光体500は、基体
(被処理物)501の上に、光受容層502が設けられ
ている。光受容層502は、基体501側から順に積層
されている、a−Si系電荷注入阻止層505と、a−
Si:H,Xからなり光導電性を有する光導電層503
と、a−SiC系表面層504とから構成されている。
さらに、光導電層503は第1の層領域5031と第2
の層領域5032とから構成され、機能分離がなされて
いる。なお、a−SiC系表面層504の表面が自由表
面510である。
【0093】図3(c)に示す感光体500は、基体
(被処理物)501の上に、光受容層502が設けられ
ている。光受容層502は、基体501側から順に積層
されている、a−Si系電荷注入阻止層505と、a−
Si:H,Xからなり光導電性を有する光導電層503
と、a−SiC系中間層506と、a−SiC系表面層
504とから構成され、光導電層と表面層の界面制御が
なされている。なお、a−SiC系表面層504の表面
が自由表面510である。
【0094】上記した例では堆積膜の形成について説明
したが、本発明は堆積膜形成だけでなくエッチング等の
プラズマ処理にも適用し得るものである。
【0095】
【実施例】以下、本発明の実施例を挙げ、また、実施例
と比較例との対比に基づき、本発明ならびに本発明の効
果をより具体的に説明する。下記の実施例は、本発明の
好適な実施形態の一例であるものの、本発明はこれらの
実施例により限定されるものではない。
【0096】<光感度むらの周波数に対する依存性>ま
ず、本発明により形成される堆積膜の光感度むらの周波
数依存性を、各実施例と比較例とを比較することによっ
て検証する。
【0097】[実施例1及び比較例1]本実施例では、
図2に示す構成の装置を用い、反応容器102中に複数
の被処理物101を設置した。この被処理物101は、
直径80mm×長さ400mmの円筒状基体の表面に、
コーニング社製研磨ガラス(商品名:#7059)から
なるガラス基板を配設したものである。この被処理物1
01(円筒状基体にガラス基板が配設されたもの)が、
直径約400mmの反応容器内に、直径約240mmの
円上に位置するように6個配置されている。ガラス基板
は、25mm×38mmの研磨ガラスを長手方向に10
枚並べることにより25mm×380mmの板状に構成
されたものであり、隣りの円筒状基体に対向する位置に
配置されている。隣接する被処理物101間の間隔(最
短距離)dは40mmであり、6つの被処理物が一定間
隔で並べられている。
【0098】そして、2つの異なる周波数の高周波電力
を同一の高周波電極104に同時に供給してプラズマを
形成し、表1に示す条件で、前記したのと同様の手順に
より、a−Si:H堆積膜を作製した。供給する高周波
電力の周波数f1、f2は、表2に示す条件で変化させ
た。
【0099】
【表1】
【0100】
【表2】
【0101】そして、被処理物のガラス基板上に形成さ
れたa−Si:H堆積膜の光感度の測定を行い、その均
一性を評価した。ここで光感度とは、明導電率σpと暗
導電率σdとを用いて定義されるものとし、以下の手順
で測定を行った。
【0102】まず、ガラス基板上に形成したa−Si:
H堆積膜の表面に250μmのギャップをもつ櫛形のマ
スクを載せ、通常の真空蒸着法によって1000ÅのC
r膜を堆積させ櫛形電極を形成する。次に、1mW/c
2の強度のHe−Neレーザー(波長632.8n
m)を照射したときの導電率の測定を行い、これを明導
電率σpとし、さらに、光を照射しないときの導電率の
測定を行い、これを暗導電率σdとする。
【0103】こうして測定した明導電率σpと暗導電率
σdにより光感度=log10(σp/σd)を定義す
る。光感度の値が大きいほど堆積膜特性が良好であるこ
とを示す。
【0104】以上の測定を、堆積膜を形成した10枚の
ガラスについて行い、10枚中での光感度の最大値と最
小値の差(最大値−最小値)を光感度むらと定義し、光
感度の均一性を評価した。この評価結果を表2に示す。
光感度むらの値が小さいほど堆積膜特性の均一性が良好
である。
【0105】なお、光感度むらは、後述する比較基準の
光感度むらを1.0としたときの相対値によって表示さ
れている。従って、光感度むらが1.0より大きい場
合、比較基準よりも光感度むらが劣っていることを示
す。さらに、本発明者らが、ガラス基板上に形成したa
−Si:H堆積膜の光感度むらと、感光体作製時の電子
写真特性との関係を比較検討した結果、光感度むらの相
対値が1.2以下であれば、画像むらのない良好な画像
形成が可能であることを見出した。従って、評価結果と
しては、光感度むらが1.2以下の場合を○、1.2より
大きい場合を×として表2に示した。
【0106】表2に示す結果より、光感度むらは2つの
高周波電力の周波数の和f1+f2に依存し、f1+f
2の値が大きくなるほど、光感度むらが良化することが
判った。具体的には、隣接する被処理物101間の間隔
(最短距離)dが40mmの場合には、f1+f2≧1
00MHzの範囲において、光感度むらを大幅に低減可
能であることが判った。
【0107】[比較基準]ここで、光感度むらの基準と
なる比較基準について説明する。比較基準には、図4に
示す1本の円筒状基体を処理する構成の装置により作製
した堆積膜を用いた。この装置においては、当然ながら
複数の非処理物を設置した際に発生する真空処理特性の
不均一性は認められず、感光体作製時の電子写真特性も
非常に良好である。
【0108】図4に示す装置には、少なくとも一部が非
導電性材料からなる反応容器102の内部に、単一の円
筒状基体(被処理物)101が設置可能な基体支持体1
06が配設されている。基体支持体106は、その回転
軸110が減速ギア112を介してモーター111に接
続されている。高周波電極(カソード電極)104が、
電力分岐部113を介して、高周波電源108,117
およびマッチングボックス109,118を含む高周波
電力供給システム105に接続されている。反応容器1
02の上方にはシールド板115が配置されている。反
応容器102内の円筒状基体101を囲むように、原料
ガス導入管103が設けられている。反応容器102に
排気管107が接続されている。
【0109】この装置を用い、実施例1と同様に研磨ガ
ラスを10枚並べて構成したガラス基板が円筒状基体に
配設された被処理物を、反応容器中に1本設置する。そ
して、2つの異なる周波数の高周波電力を同一の高周波
電極104に同時に供給してプラズマを形成し、表3に
示す条件で、前記した工程と同様にガラス基板上にa−
Si:H堆積膜を作製した。供給する高周波電力の周波
数f1、f2は、f1=105MHz,f2=60MH
zとした。
【0110】
【表3】
【0111】以上説明した実施例1および比較基準にお
いては、いずれの条件においても、10枚のガラス中の
導電率比σp/σdの最大値は1×104以上の値が得
られており、特性の良好な膜形成が可能であることを確
認した。また、比較基準で作製された堆積膜の光感度む
らの値は充分小さく、堆積膜特性の均一性は極めて良好
であった。従って、比較基準の光感度むらを1.0とし
たときの相対値によって評価した場合に、光感度むらが
1.0に近いほど、被処理物を1個のみ設置して堆積膜
を形成した場合と同等の均一性が得られ、特性および均
一性を損なうことなく生産性の向上が達成可能であるこ
とが判る。
【0112】[実施例2及び比較例2]図2に示すもの
と実質的に同一の装置を用い、円筒状基体およびガラス
基板からなる被処理物を5個設置して、隣接する被処理
物間の間隔(最短距離)dを61mmとし、周波数を表
4に示す条件とした。それ以外の条件は実施例1と同様
にして、a−Si:H堆積膜を作製し、光感度むらの評
価を行った。光感度むらの評価結果を表4に示す。
【0113】
【表4】
【0114】表4に示す結果より、光感度むらについて
は、実施例1と同様に、f1+f2の値が大きくなるほ
ど光感度むらが良化することが判った。さらに、隣接す
る被処理物間の間隔dが61mmの場合には、f1+f
2≧70MHzの範囲において、光感度むらを大幅に低
減可能であることが判った。
【0115】<光感度むらの被処理物間の間隔に対する
依存性>次に、本発明により形成される堆積膜の光感度
むらの、被処理物間の間隔に対する依存性を、各実施例
と比較例とを比較することによって検証する。
【0116】[実施例3及び比較例3]高周波電極に供
給する高周波電力の周波数を、f1=105MHz,f
2=60MHzとし、隣接する被処理物間の間隔(最短
距離)dを表5に示す条件とした。それ以外の条件は実
施例1と同様にして、a−Si:H堆積膜を作製し、光
感度むらの評価を行った。光感度むらの評価結果を表5
に示す。
【0117】
【表5】
【0118】表5に示す結果より、光感度むらは、隣接
する被処理物間の間隔dに依存し、dの値が大きくなる
程、光感度むらの値は小さくなることが判った。さら
に、電極に供給する高周波電力の周波数が、f1=10
5MHz,f2=60MHzの場合には、d≧25mm
の範囲において、光感度むらを大幅に低減可能であるこ
とが判った。
【0119】[実施例4及び比較例4]高周波電極に供
給する高周波電力の周波数をf1=150MHz,f2
=100MHzとし、隣接する被処理物間の間隔(最短
距離)dを表6に示す条件とした。それ以外の条件は実
施例1と同様にして、a−Si:H堆積膜を作製し、光
感度むらの評価を行った。光感度むらの評価結果を表6
に示す。
【0120】
【表6】
【0121】表6に示す結果より、光感度むらについて
は、実施例3と同様の結果が得られ、電極に供給する高
周波電力の周波数が、f1=150MHz,f2=10
0MHzの場合には、d≧16mmの範囲において、光
感度むらを大幅に低減可能であることが判った。
【0122】<周波数と被処理物間の間隔が光感度むら
に及ぼす影響>本発明者らが、上記各実施例の結果に鑑
みて鋭意検討を重ねた結果、反応容器内に複数の被処理
物を設置し、周波数の異なる2つの高周波電力を同一の
高周波電極に同時に供給してプラズマを形成し、a−S
i:H堆積膜を作製した場合、高周波電力の周波数の和
f1+f2と、隣接する被処理物間の間隔(最短距離)
dの相互作用により、光感度むらが決まることを見出し
た。
【0123】図5は、上記実施例1〜4の結果から、光
感度むらが良好となる範囲の下限を、高周波電力の周波
数の和f1+f2と、隣接する被処理物間の間隔(最短
距離)dの関係でプロットした結果である。
【0124】本発明者らは、図5の結果より、d(m
m)、f1(MHz)、およびf2(MHz)の関係
が、d≧4000/(f1+f2)を満たす範囲におい
て、a−Si:H堆積膜の光感度むらを抑制できること
を見出した。
【0125】すなわち、被処理物を複数設置して同時に
真空処理を施す場合、隣接する被処理物間の間隔(最短
距離)dがd≧4000/(f1+f2)の範囲を満た
すように被処理物を配置することにより、被処理物を1
個のみ設置して堆積膜を形成した場合と同等の光感度の
均一性が得られ、堆積膜の特性および均一性を損なうこ
となく生産性の向上を達成することができる。
【0126】[実施例5]本実施例では、図2に示す構
成の装置を用い、直径約400mmの反応容器内に、隣
接する被処理物間の間隔(最短距離)dが40mmにな
るように、被処理物101である円筒状アルミニウムシ
リンダー(直径80mm、長さ358mm)を直径約2
40mmの円上に等間隔に6個設置し、周波数がf1=
105MHz,f2=60MHzの2種類の高周波電力
を高周波電極104に供給した。そして、表7に示す条
件で、この円筒状アルミニウムシリンダーに、電荷注入
阻止層、光導電層、および表面層を形成し、正帯電用の
電子写真感光体を作製した。
【0127】
【表7】
【0128】このようにして作製したa−Si感光体
を、図示しないキヤノン製複写機(商品名:IR−50
00)に組み込み、画像濃度むらおよび光メモリーの有
無を調べた。
【0129】画像濃度むらの評価は以下の方法により行
った。まず現像器位置における暗部電位が所定の値とな
るように主帯電器電流を調整したあと、原稿に反射濃度
0.1以下の所定の白紙を用い、現像器位置での明部電
位が所定の値となるように像露光強度を調整した。次い
でキヤノン製中間調チャート(部品番号:FY9−90
42)を原稿台に置き、コピーしたときに得られたコピ
ー画像上全領域における反射濃度むらを評価した。
【0130】その結果、本実施例により得られた感光体
は、画像濃度むらがきわめて少なく、非常に良好な画像
形成が可能であることが確認された。
【0131】光メモリーの評価は以下の方法により行っ
た。まず現像器位置における暗部電位が所定の値となる
ように主帯電器電流を調整したあと、原稿に反射濃度
0.1以下の所定の白紙を用い、現像器位置での明部電
位が所定の値となるように像露光強度を調整した。次い
でキヤノン製ゴーストチャート(部品番号:FY9−9
040)にキヤノン製中間調チャートを重ねて原稿台に
置き、コピーしたときに得られたコピー画像上の中間調
領域に認められる光メモリー部と中間調の反射濃度差を
測定することにより行った。
【0132】その結果、本実施例により得られた感光体
は、光メモリーに起因する反射濃度差がきわめて少な
く、非常に良好な画像形成が可能であることが確認され
た。
【0133】以上のように、本実施例で作成した感光体
は極めて良好な画像特性をもつ感光体であることが確か
められた。
【0134】[実施例6]本実施例では、図6に示す構
成の装置を用いた。この装置は、設置する円筒状基体の
直径及び本数以外は、図2に示す装置と実質的に同一で
あり、少なくとも一部が非導電性材料からなる反応容器
102の内部に、複数の円筒状基体(被処理物)101
が設置可能な基体支持体106が配設されている。基体
支持体106は、その回転軸110が減速ギア112を
介してモーター111に接続されている。反応容器10
2の外部には、高周波電源108,117およびマッチ
ングボックス109,118を含む高周波電力供給シス
テム105に電力分岐部113を介して接続された高周
波電極(カソード電極)104が設けられている。高周
波電極104の外側は、円筒状導電性シールド115に
取り囲まれている。反応容器102内の円筒状基体10
1に囲まれる中央部分には、原料ガス導入管103が設
けられている。反応容器102に排気管107が接続さ
れている。
【0135】この装置を用い、直径約400mmの反応
容器内に、隣接する被処理物間の間隔(最短距離)dが
40mmになるように、被処理物101である円筒状ア
ルミニウムシリンダー(直径30mm、長さ358m
m)を直径約272mmの円上に等間隔に12個設置
し、周波数がf1=105MHz,f2=60MHzの
2種類の高周波電力を高周波電極104に供給した。そ
して、表8に示す条件で、この円筒状アルミニウムシリ
ンダーに、電荷注入阻止層、光導電層、中間層、および
表面層を形成し、負帯電用の電子写真感光体を作製し
た。
【0136】
【表8】
【0137】このようにして作製した感光体を、図示し
ないが、前露光を波長660nmのLEDに、像露光を
波長655nmのレーザーにそれぞれ改造したキヤノン
製複写機(商品名:GP405)に組み込み、実施例5
と同様に画像濃度むらおよび光メモリーの有無を調べ
た。
【0138】その結果、本実施例で作成した感光体は、
画像濃度むらが極めて少なく、かつ光メモリーに起因す
る反射濃度差が極めて少なく、非常に良好な画像形成が
可能であることが確認された。
【0139】以上のように、本実施例で作成した感光体
は極めて良好な画像特性をもつ感光体であることが確か
められた。
【0140】[実施例7]本実施例では、図2に示す構
成の装置を用い、直径約400mmの反応容器内に、隣
接する被処理物間の間隔(最短距離)dが62mmにな
るように、被処理物101である円筒状アルミニウムシ
リンダー(直径108mm、長さ358mm)を直径約
240mmの円上に等間隔に4個設置し、周波数がf1
=105MHz,f2=60MHzの2種類の高周波電
力を高周波電極104に供給した。そして、表9に示す
条件で、この円筒状アルミニウムシリンダーに、電荷注
入阻止層、光導電層、および表面層を形成し、正帯電用
の電子写真感光体を作製した。
【0141】
【表9】
【0142】このようにして作製したa−Si感光体を
キヤノン製複写機(商品名:GP−605)に組み込
み、実施例5と同様に、画像濃度むらおよび光メモリー
の有無を調べた。
【0143】その結果、本実施例で作成した感光体は、
画像濃度むらが極めて少なく、かつ、光メモリーに起因
する反射濃度差が極めて少なく、非常に良好な画像形成
が可能であることが確認された。
【0144】以上のように、本実施例で作成した感光体
は極めて良好な画像特性をもつ感光体であることが確か
められた。
【0145】
【発明の効果】本発明によれば、高周波電力によって生
起されたプラズマを用いて複数の非処理物を同時に真空
処理を施す際に、真空処理速度の向上および真空処理特
性の向上を達成し、さらには真空処理特性を極めて均一
にし、また、真空処理コストの低減が可能である。
【0146】特に、非単結晶材料で構成された複数の層
から成る電子写真用感光体を製造する場合に、膜厚、膜
質ともに均一で良好な特性の堆積膜を、複数の被処理物
上に同時に形成することができ、デバイス特性の向上な
らびに生産性の向上にともなうコスト低減が達成でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の、VHF帯の周波数を用い
たプラズマCVD法による電子写真感光体製造装置の模
式的構成図である。
【図2】本発明の他の実施例の、プラズマCVD法によ
る電子写真感光体製造装置の模式的構成図である。
【図3】本発明により製造された電子写真感光体の層構
成を示す模式的構成図である。
【図4】本発明の比較例の、プラズマCVD法による電
子写真感光体製造装置の模式的構成図である。
【図5】本発明の真空処理方法において、周波数と、被
処理物間の間隔とを変化させた場合の、光感度むらとの
関係を示す図である。
【図6】本発明の他の実施例の、プラズマCVD法によ
る電子写真感光体製造装置の模式的構成図である。
【図7】従来の、RF帯の周波数を用いたプラズマCV
D法による電子写真感光体製造装置の模式的構成図であ
る。
【図8】従来の、VHF帯の周波数を用いたプラズマC
VD法による電子写真感光体製造装置の模式的構成図で
ある。
【符号の説明】
100 真空処理装置 101 円筒状基体(被処理物) 102 反応容器 103 原料ガス導入管 104 高周波電極(カソード電
極) 105 高周波電力供給システム 106 基体支持体 107 排気管 108、117 高周波電源 109、118 マッチングボックス 110 回転軸 111 モーター 112 減速ギア 113 電力分岐部 115 シールド 2100 堆積装置 2101 反応容器 2111 高周波電極(カソード電
極) 2112 円筒状基体(被処理物) 2113 基体支持体 2114 原料ガス導入管 2115 マッチングボックス 2116 原料ガス配管 2117 リークバルブ 2118 メインバルブ 2119 真空計 2120 碍子 2200 原料ガス供給装置 2211〜2216 マスフローコントローラー 2221〜2226 原料ガスボンベ 2231〜2236 原料ガスボンベバルブ 2241〜2246 流入バルブ 2251〜2256 流出バルブ 2260 補助バルブ 2261〜2266 圧力調整器 301 反応容器 302 高周波電極(カソード電
極) 303、313 高周波電源 304 マッチングボックス 305 円筒状基体(被処理物) 306 成膜空間 307 発熱体 308 回転軸 309 モーター 310 減速ギア 311 排気管 312 原料ガス導入管 500 電子写真感光体 501 基体(被処理物) 502 光受容層 503 光導電層 504 表面層 505 電荷注入阻止層 506 中間層 510 自由表面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大塚 崇志 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2H068 DA00 DA71 EA24 EA30 EA36 4K030 BA30 CA14 FA03 JA03 JA18 KA15 LA17 5F045 AA08 AB04 AC01 AC07 AD06 AF07 AF10 CA16 DA65 DP25 EB02 EH15 EH19

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反応容器中に複数の被処理物を設置し、
    少なくとも2つの異なる周波数の高周波電力を同一の高
    周波電極に同時に供給し、前記高周波電極より前記反応
    容器内に導入された高周波電力によってプラズマを形成
    し、原料ガス供給手段により前記反応容器中に導入した
    原料ガスを分解して前記被処理物を処理する真空処理方
    法であって、 前記2つの異なる周波数f1およびf2が、 250MHz≧f1>f2≧10MHz 0.9≧f2/f1≧0.1 であり、 前記複数の被処理物を、前記反応容器内に、隣接する前
    記被処理物間の間隔d(mm)がd≧4000/(f1
    +f2)となるように、一定間隔で配置することを特徴
    とする真空処理方法。
  2. 【請求項2】 前記高周波電極が棒状である請求項1に
    記載の真空処理方法。
  3. 【請求項3】 前記被処理物が円筒状または円柱状であ
    る請求項1または2に記載の真空処理方法。
  4. 【請求項4】 導入した前記原料ガスを分解して、前記
    反応容器内に配置された複数の前記被処理物上に、非単
    結晶材料で構成された複数の層からなる電子写真用感光
    体を製造する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の真
    空処理方法。
  5. 【請求項5】 複数の被処理物が配置される反応容器
    と、前記反応容器内にあり、少なくとも2つの異なる周
    波数の高周波電力が同時に供給される高周波電極と、前
    記反応容器内に原料ガスを供給する原料ガス供給手段と
    を有し、前記高周波電極に供給された高周波電力により
    プラズマを形成し、前記反応容器中に導入された前記原
    料ガスを分解して被処理物を処理する真空処理装置であ
    って、 前記2つの異なる周波数f1(MHz)、f2(MH
    z)が、 250MHz≧f1>f2≧10MHz 0.9≧f2/f1≧0.1 であり、 前記反応容器内には、前記被処理物が、隣接する前記被
    処理物間の間隔d(mm)がd≧4000/(f1+f
    2)となるように、一定間隔で配置されることを特徴と
    する真空処理装置。
  6. 【請求項6】 前記高周波電極が棒状である請求項5に
    記載の真空処理装置。
  7. 【請求項7】 前記被処理物が円筒状または円柱状であ
    る請求項5または6に記載の真空処理装置。
  8. 【請求項8】 導入された前記原料ガスを分解して、前
    記反応容器内に配置された前記複数の被処理物上に、非
    単結晶材料で構成された複数の層からなる電子写真用感
    光体を製造する装置である請求項5〜7のいずれか1項
    に記載の真空処理装置。
JP2001229522A 2001-07-30 2001-07-30 真空処理方法および真空処理装置 Pending JP2003041369A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001229522A JP2003041369A (ja) 2001-07-30 2001-07-30 真空処理方法および真空処理装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001229522A JP2003041369A (ja) 2001-07-30 2001-07-30 真空処理方法および真空処理装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003041369A true JP2003041369A (ja) 2003-02-13

Family

ID=19061860

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001229522A Pending JP2003041369A (ja) 2001-07-30 2001-07-30 真空処理方法および真空処理装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003041369A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009071280A (ja) * 2007-08-17 2009-04-02 Semiconductor Energy Lab Co Ltd プラズマcvd装置、微結晶半導体層の作製方法及び薄膜トランジスタの作製方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009071280A (ja) * 2007-08-17 2009-04-02 Semiconductor Energy Lab Co Ltd プラズマcvd装置、微結晶半導体層の作製方法及び薄膜トランジスタの作製方法
US8368075B2 (en) 2007-08-17 2013-02-05 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Plasma CVD apparatus

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3897582B2 (ja) 真空処理方法、真空処理装置、半導体装置の製造方法および半導体装置
JP3745095B2 (ja) 堆積膜形成装置および堆積膜形成方法
JPH108259A (ja) プラズマ処理方法およびプラズマ処理装置
JP4109861B2 (ja) 真空処理方法
JP2003041369A (ja) 真空処理方法および真空処理装置
JP2007297661A (ja) 堆積膜形成装置
JP2003027245A (ja) 真空処理方法及び真空処理装置
JPH1126388A (ja) 堆積膜の形成装置及び堆積膜形成方法
JP2003129244A (ja) 真空処理方法
JP2003041370A (ja) 真空処理方法
JP2005015879A (ja) 堆積膜形成装置、及び堆積膜形成方法
JP2002080971A (ja) 真空処理装置、真空処理方法及び基体ホルダー
JP2003313668A (ja) 半導体装置の製造方法
JP2003034872A (ja) 真空処理方法および真空処理装置
JP2004149825A (ja) 真空処理装置および真空処理方法
JP2003193242A (ja) プラズマ処理装置
JP2007297660A (ja) 堆積膜形成装置および堆積膜形成方法
JP2005163163A (ja) 堆積膜形成装置、及び堆積膜形成方法
JP2003082466A (ja) プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法
JP2005068455A (ja) 堆積膜形成方法及び装置
JP2005068454A (ja) 堆積膜形成方法
JP2005344151A (ja) 堆積膜形成装置及び方法
JP2005015877A (ja) 堆積膜形成装置及び堆積膜形成方法
JP2005163166A (ja) 堆積膜形成装置、及び堆積膜形成方法
JP2001316829A (ja) 真空処理装置および真空処理方法